くにさくロゴ
1971/06/08 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第21号
姉妹サイト
 
1971/06/08 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第21号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第21号
昭和四十七年六月八日(木曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり
    委員長         中村 英男君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                高田 浩運君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上田  稔君
                川野辺 静君
                玉置 和郎君
                高橋文五郎君
                山下 春江君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                柏原 ヤス君
                高山 恒雄君
                小笠原貞子君
   衆議院議員
       社会労働委員長  森山 欽司君
       修正案提出者   田邊  誠君
   国務大臣
       労 働 大 臣  塚原 俊郎君
   政府委員
       労働大臣官房長  藤繩 正勝君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       道正 邦彦君
       労働省職業訓練
       局長       遠藤 政夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       人事院事務総局
       任用局企画課長  飯野 達郎君
       人事院事務総局
       職員局厚生課長  榊  孝悌君
       大蔵大臣官房審
       議官       森谷  要君
       国税庁長官官房
       参事官      安田 裕之君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  岩佐キクイ君
       自治省行政局公
       務員部公務員第
       二課長      叶野 七郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○勤労婦人福祉法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案の審査のため、明九日参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(中村英男君) 勤労婦人福祉法案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。塚原労働大臣。
#6
○国務大臣(塚原俊郎君) ただいま議題となりました勤労婦人福祉法案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、近年、婦人の職場進出は著しく、雇用者総数の三分の一、約千百万人に達し、特に既婚婦人がその過半数を占めるに至っており、今後とも勤労婦人の経済及び社会に果たす役割りは大きくなるとともに、婦人の生涯における職業生活の意義もますます高まるものと思われます。
 これら勤労婦人が、職業生活と家庭生活との調和をはかるとともに、その能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むことができるようにすることは、勤労婦人自身のためばかりでなく、国家、社会にとりましてもたいへん重要であると存じます。
 政府といたしましては、これに対処するためには、勤労婦人の福祉に関する立法措置を講じ、勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるための諸施策を推進する必要があると考え、婦人少年問題審議会にはかり、その答申に基づいてこの法律案を作成し提案した次第であります。
 次に、法律案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的は、勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、勤労婦人について、所要の措置を推進することにより、勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるものであることを明らかにいたしました。
 第二に、勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにするために、勤労婦人の福祉の基本的理念及び関係者の責務について規定いたしました。
 すなわち、勤労婦人の福祉の基本的理念といたしまして、勤労婦人は、次代をになう者の生育について重要な役割りを有するとともに、経済及び社会の発展に寄与する者であることにかんがみ、勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和をはかることができるように、また、職場において、母性を尊重されつつその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むことができるように配慮されるべきであることを明らかにいたしました。
 他方勤労婦人は、勤労に従事する者としての自覚を持ち、みずから進んで、その能力を開発し、これを職業生活において発揮するようにつとめなければならないことといたしました。
 さらに、事業主、国及び地方公共団体がそれぞれ勤労婦人の福祉を増進する責務を有することを明らかにしております。
 第三に、国及び地方公共団体は、勤労婦人の福祉について国民の理解と関心を深め、かつ、勤労婦人の勤労に従事する者としての意識を高めるとともに、特に、勤労婦人の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消をはかるため、必要な啓発活動を行なうことといたしました。
 第四に、勤労婦人の福祉に関する施策を総合的に推進するため、労働大臣は、勤労婦人福祉対策基本方針を定めることといたしました。
 第五に、勤労婦人の福祉に関して、国、地方公共団体及び事業主が講ずる措置について規定いたしました。
 その一は、国、地方公共団体は、勤労婦人について、職業指導の充実、職業訓練に関する啓蒙宣伝及び職業訓練の受講を容易にするための措置の実施、職業生活と家庭生活との調和を促進するための指導、相談、講習の実施等福祉増進の措置を講ずるものとしたことであります。
 その二は、事業主は、その雇用する勤労婦人が妊娠中及び出産後の保健指導等を受けることができるよう時間の配慮を行なうとともに、勤労婦人が当該保健指導等に基づく指導事項を守ることができるようにするため、必要な配慮をするようにつとめなければならないものとしたことであります。
 その三は、事業主は、その雇用する勤労婦人について、必要に応じ、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうように努めなければならないものとしたことであります。
 第六に、勤労婦人のための福祉施設について規定いたしました。すなわち、地方公共団体は、地域の勤労婦人の福祉増進活動の拠点として働く婦人の家を設置するようにつとめなければならないことを明らかにしております。また、働く婦人の家には、勤労婦人に対する相談及び指導の業務を担当するにふさわしい指導員を置くようにつとめなければならないこととしております。
 その他労働大臣が行なう調査研究等に関する規定を設け、また、船員及び船員になろうとする者に関しては、運輸大臣が所管することとするため所要の規定を置くことといたしております。
 以上この法律案の提案理由及びその内容の概略につきまして御説明申し上げました。
 なお、この法律案は、衆議院において一部修正されましたので申し添えます。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(中村英男君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員田邊誠君から説明を聴取いたします。田邊誠君。
#8
○衆議院議員(田邊誠君) 勤労婦人福祉法案に対する衆議院の修正部分について、私からその内容を御説明申し上げます。
 その要旨は、第一に、勤労婦人の福祉に関する基本的理念について、勤労婦人が性別により差別されることがない旨を明確にすること。
 第二に、国等が勤労婦人について、職業訓練に関して講ずる措置は、技能を習得し、その能力の向上をはかることを促進し、かつ、勤労婦人に対し職業訓練の機会が均等に確保されるようにするために行なう旨その目的を明らかにすること。
 第三に、勤労婦人が保健指導等に基づく指導事項を守ることができるようにするために、事業主は、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講ずるようにつとめなければならない旨を明らかにすること。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#9
○委員長(中村英男君) 質疑のある方は、順次御発言願います。
#10
○柏原ヤス君 ただいま提案の理由にもございましたが、全雇用者の三分の一、約千百万人が女性という、この婦人の職場進出の現状、またその過半数が既婚者であるという実態、これをどのように認識されているか、この点をお伺いしたいのでございます。
 と申しますのは、この法案が今度国会で取り扱われるというので、大ぜいの働く婦人からいろいろなことが私たちのところに寄せられております。まあ、その実態でございますが、ここにセールスマンの一女性の言い分があるわけです。ちょっと読ましていただきますと、「N保険会社セールスマンのFさんは、若くして主人を亡くし、五人の子供を抱えて、現在、勤続十七年になるという。その間、何度やめ様と思ったか知れぬ。しかし、子供のことを考える時、どんなに苦しくとも働かなくては母子共餓死する以外にない。昼夜必死になって働いたという。仕事の無理が重なり、二年前に倒れ入院のやむなきに至った。しかし、保険会社のシステムは、何年勤続しても本人のノルマに依る報酬しか支給されず、Fさんは全快しないまま再び働いた。十七年勤続したFさんの本俸が何んと三千円という話にならない話。年々に体力も弱り、いつまで働けるのか、将来のことを考えると毎日が不安でしかたがない。仕事の出来る時は良いが、出来ない時の職場は全く冷たいものだ。大企業である保険会社に失業保険もない。何年勤めても最低の生活保障もされない。三年とか五年とか勤続した者に対し、せめて病気をして休んだ時くらいは何らかの保障制度を付けて欲しい。最低でも固定給の制度を作って欲しい。」まあこういう声でございます。
 またパートタイマー、これはこういうことを言っております。「パートタイマー三百五十名のアンケートに依る二百十四名が未亡人又は家庭の事情で生計の中心者であった。去年来のドルショックに依る失業者が目立っている。企業体は忙がしい時はパートタイマーを増員し、不景気になったとたん簡単に解雇してしまう。まるで紙屑の様にはき捨てられてしまった。未組織労務者に、失業保険も身分保障もなく、次の日は又職を探して歩くありさま。Hさんは五歳の子供と二人暮し、朝九時になると子供を保育所に送って行き、その足で丁造船所の雑役婦として働く。月平均約三万円、これでは保育所の支払と家賃を払えば一銭も残らず造船所の急がしい時は残業もしたいが保育所は四時までに子供を引き取らねばならぬ。したがって時間が縮小される。仕方なく夜は手内職で夜中の一時二時まで働く。せめて保育所が夕方六時頃まで預かってくれれば内職をしなくてもすむのに、今はまだ若い。しかし生身の体で無理を重ねて何時健康を害し働けなくなるかも知れぬ。暗い不安になる気持を一生懸命自分で追い払いながら明日へ小さな希望をみい出そうと頑張っている。子供を抱えて働く婦人に安心して働ける様な公立保育所を作って欲しい。」こういうなまなましい声があるわけです。こういうふうに働く婦人はふえたけれども、それは低賃金、劣悪な労働条件でかり出されたその集積ではないかと、こう思われます。これらの働く婦人ははたして適正な評価を受けているかは疑問なのです。それだけに、この多くの働く婦人にこたえ得る法律でなければならないと思います。その立場でこのお答えをいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(塚原俊郎君) いま日本で雇用関係にある者が約三千万、そのうち先ほど申し上げましたように、婦人が千百万、五四%が既婚者でありまして、その半数は、中学生をかしらとするお子さんがある方であります。したがって御婦人にとってはお子さまを育てることと家事をやらなければならないという、男性とは違った大きな仕事があるわけであります。そういった悪条件を克服しながら、やはり勤労婦人として明るい職場で働くためにはよほどのことを考えていかなければいけないということは、これは言うまでもありません。そこで一つの基本法でありまするが、この法案を御審議を願うことになったのであります。ただいま二つの例をおあげになりましたが、まことにお気の毒な方だと私も考えておりまするが、そういう方々に幾らかでもあたたかい手が差し伸べられなければならない――完全なものが差し伸べられることはもちろんでありまするが、そういう趣旨から基本法として、御批判はあるかもしれませんが、この法案を出したような次第でございます。
 それから、「かり出された」というおことばでございまするが、私は、婦人が職場に出るか出ないか、職場に出るか家庭にあるかどうかということはその御婦人が主体性を持って考えるべきことでありまして、決してかり出すとかそういうことでやったことではございません。あくまでも本人の御意思に従ってその措置がとられるべきものであると考えております。
#12
○柏原ヤス君 そこで、第一条に「勤労婦人の福祉に関する原理」ということが示されておりますが、この点についてお伺いいたします。
 まず、本法案が対象としている勤労婦人の範囲についてどう解釈されておりますか。
#13
○国務大臣(塚原俊郎君) 雇用関係にある者と、それから求職中の御婦人、これを対象といたしております。
#14
○柏原ヤス君 この第四条、それから九条、十条、十一条、これは雇用関係の勤労婦人であることは当然でございますが、第一条の「目的」、また第二条の「基本的理念」、その他福祉施設の利用についてもこれは雇用関係のない婦人も含まれていると、こういうことは衆議院の答弁で明らかになっております。それゆえに広い意味で働くすべての婦人、こう考えて差しつかえないと思いますが、いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(塚原俊郎君) 御指摘の第二条、第三条の「基本的理念」は、その趣旨は就業形態のいかんを問わずすべての働く婦人を対象といたしております。
#16
○柏原ヤス君 それでは「福祉」ということばをどう解釈されておりますか。
#17
○政府委員(高橋展子君) 法文の用語の問題でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。
 「勤労婦人の福祉」と申しますとき、この法律案におきましては、この「福祉」ということばは、いわゆる幸福といった概念として考えているところでございます。福祉ということばの用いられ方として、ややもしますとハンディキャップのあるグループの者に対する救済的な概念として使われてまいったこともあるがと思いますが、現在では福祉国家というような用例にも見られますようにより大きな幸福、より大きな利益というような積極的な意味合いで用いられる用例も多いわけでございまして、私どもはこの法案の準備にあたりましてはその積極的な意味合いで、まあいわば幸福というような意味合いで用いたところでございます。
#18
○柏原ヤス君 次に、「原理」とは具体的にどのように明らかにされておりますでしょうか。
#19
○政府委員(高橋展子君) 第一条で「勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにする」と申しているわけでございますが「原理」と申しますのはこれは基本的な考え方という意味に御理解いただきたいと思います。で、これは具体的にはこの法律案の第二条、第三条、第四条の規定を設けたことをさしているところでございます。すなわち、基本的理念、勤労婦人の福祉に関する基本的理念を明らかにし、関係者の責務というものを明らかにする、それによりまして勤労婦人自身、また国民一般関係者についての心がまえに指針を与える、また事業主や国、地方公共団体が勤労婦人の福祉に関していろいろな対策を実施するについての方針決定に指針を与える、そのようなことを意図している次第でございます。
#20
○柏原ヤス君 次にお伺いしたいのは、本法案提出の真意がどこにあるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
 そこで、本法案の中に「勤労婦人の福祉の増進と地位の向上」を目的としてと提案されたことは、ことばの上では明らかになっております。しかし、第一条の「職業指導の充実」、「職業訓練の奨励」といった表現は、何か企業サイドから要求されたものにこたえるもの、つまり労働市場にかり出すことを目的としたのではないかという意見もございます。そうした観点からお伺いしているわけなんです。こうした意見がなぜ起こるか。いわば条文をずっと見てみましても、具体的に実効のある条文がほとんどないという点。また、真に勤労婦人の福祉を考えた法律ならば予算上の措置がなければならぬ、また国及び地方公共団体、また事業主、こういう方面による福祉の実効のある義務規定が必要である、こう思います。しかし、各条文を見ますとほとんどが努力規定にとどまっている。この法案は老人福祉法と性格を同じくするものと考えられますが、あの貧弱だといわれた老人福祉法ですら一応の予算措置は講じられております。こういう点から、本法案提出の真意はどこにあるのかということをお答え願いたいと思います。
#21
○政府委員(高橋展子君) 本法案を準備いたしました真意ということでございますが、それは先ほど労働大臣から提案理由説明の中で申し上げましたところでございまして、近年のわが国における働く婦人の姿、またその動向、今後の展望などに立ちまして、これからの働く婦人が生きがいを持ってその充実した職業生活を営んでいく、また家庭生活との調和をはかっていく、そのような姿を描きましてそのための必要な措置を講じていこう、そのためにはまず基本的理念というものを明確に示しまして、働く婦人はこのようにあってほしいということを示しているところでございます。そういう意味合いでこの法律は基本法的な性格を持つものでございます。従来、いろいろな法律、特に労働関係の法律がございまして、働く婦人の労働条件につきまして、あるいは職業指導、あるいは職業訓練等につきましてもそれぞれの領域で働く婦人の福祉、保護を進めてまいったところでございますが、しかし働く婦人というものを一体的にとらえまして、そしてその働く婦人がどのようにあってほしいかという姿を描きまして、ビジョンと申しましょうか、この基本理念に掲げられましたような姿を描いてそれに対して向かっていこうということは、この法案が初めての試みと申しますか、そういう次第でございます。
 いま申し上げましたように、この法律案が基本法的なものでございますために、予算につきましては、たとえばこれはいわゆる予算関係法案ということではございませんので、先生御指摘のような点があるかとは思いますけれども、これは、私どもといたしましては、この法案が制定されました上はこれを一つの手がかりといたしまして、今後諸施策の展開の中で予算面の努力もしてまいりたいと考えております。あるいは義務規定についてのお尋ね等もございましたが、これも基本法という性格によるところでございます。
#22
○柏原ヤス君 最近、結婚退職制、出産退職制、若年退職制、こうしたことがかなり慣行的に行なわれているように思います。この実情はどうなのか、お聞きしたいと思います。
#23
○政府委員(高橋展子君) 御指摘のように、職場におきましてその企業の女子の従業員に対してのみ非常に若い年齢で退職を強制するとか、あるいは女子従業員にのみ結婚したら必ず退職するというようにさせるような事例が見られるわけでございまして、私ども非常に遺憾と思うところでございます。で、その実情といたしますと、私どもの調査によりますと、全国の企業で男女の異なる定年年齢というものを設けておりますところが約一四%ございます。しかしまあ、異なるという場合にもたとえば男子五十五歳、女子五十歳といった若干の相違のところが大部分でございますが、しかし女子については二十歳台、あるいは三十歳台といった、著しく若いところの年齢に定年を設けておりますものが一・四%あるわけでございます。また結婚ということを理由に女子についてだけは退職をさせるという事業所が約六%、このような数字があがっております。
#24
○柏原ヤス君 出産退職制は……。
#25
○政府委員(高橋展子君) 失礼いたしました。出産退職制は事業所の約二%というような数字になっております。
#26
○柏原ヤス君 このような不合理な制度を行政担当者としてどう思われていらっしゃいますか。
#27
○政府委員(高橋展子君) 私どもといたしましては、単に女子であるということの理由で著しく若い定年年齢を設けるとか、あるいは単に女子であるということのために結婚のゆえに退職を迫られるということははなはだ不合理なことを考えて、全く残念なことと思っております。
#28
○柏原ヤス君 この関係の裁判事例はいままで何件ございますか。
#29
○政府委員(高橋展子君) 裁判の事例といたしましては、若年定年にかかわるものが三件、それから結婚退職制にかかわるものが五件と、このようになっております。
#30
○柏原ヤス君 その判決はどういうふうになっておりますでしょうか。
#31
○政府委員(高橋展子君) 昭和四十一年に出されました東京地方裁判所における判決、これは結婚退職制に関する裁判でございますが、その判決におきましては、女子労働者のみについて、結婚を退職事由とすることは性による差別であり、かつ結婚の自由を制限するものであり、しかもその合理的根拠を見出し得ないから、労働協約、就業規則及び労働契約中かかる定めをしたる部分は民法九十条にいう公の秩序に違反し、無効であると、このような趣旨の判決が出されております。また、七の後出されました結婚退職制についての判決につきましても、いずれも原告、あるいは申請人である婦人労働者の主張が認められて、ほぼ同様の理由によりまして、結婚退職制は無効とされておるところでございます。また、若年定年制につきましても、これは昭和四十四年に東京地方裁判所において出されました判決の中に、女子を著しく不利益に取り扱う本件定年制は著しく不合理なもので、公序良俗に反し無効であると、そのような判決がなされ、またその他の二件の事案につきましても同様の趣旨でございます。
#32
○柏原ヤス君 地裁でこのような判断を下している、そしてこれが一審で和解している、上訴していない、こういうことは事業主が根拠が弱いというか、勝てる見込みがないということを私は物語っていると思うんです。こうした結婚退職制、出産退職制、若年退職制が不当であるということか次第に社会通念となっている現状から考えて、裁判に持ち込まなくても労働基準法によって解決できるようにすべきだ、こう思いますが、この点まず労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
#33
○国務大臣(塚原俊郎君) 結婚、出産、若年、こういうものからくる御批判のある問題につきましては、確かに今日までの事例、そしてまた判例等か示すように、遺憾な点があったと私は考えます。今後は、こういうことが裁判に持ち込まれないように、労働協約その他の面で十分充実させていかなければならないし、またそのための指導もいたす考えでおりますが、やはり世の中の経済情勢の発展に応じまして企業者といえども、かり出しではございませんけれども、やはりこれからの労働力という面から、そういう事例は私は少なくなるのではなかろうか、またあってはならない、そういう指導を強くやらなければならないと考えております。
#34
○柏原ヤス君 そうした抽象的なことを繰り返されておりますが、そういうことでは私はこの問題の前進も解決もないと思うんですね。いま申し上げましたように、裁判に持ち込まなくても解決できる問題なんですね。それは労働基準法によって解決するという、そうした方法が一番適当であり、またそうしてこそ、私は婦人の地位とか福祉が守られ、向上するものと思うわけです。これは労働基準法によって解決しようと、こういう大臣のお考えはございますか。それとも、いかがですか。
#35
○国務大臣(塚原俊郎君) 労働基準法では賃金の点は十分規制いたしておりますが、基準法でいまのような問題をやることについては、これはちょっと問題がある点だと思っております。したがって、基本法的な性格ではありまするが、いま御審議を願っております勤労婦人福祉法案によっては、その細目の点が少ないのではないかという御批判は十分私承知いたしておりまするが、これをきっかけといたしまして、その問題の解決に当たることが至当である、このように考えております。
#36
○柏原ヤス君 この労働基準法によって解決するということはまずいという御意見ですけれども、私は決してそうではないと思うのですが、その点いかがでしょう。
#37
○政府委員(渡邊健二君) ただいま大臣がお答え申し上げましたように、基準法では、四条で、賃金については、女子であることを理由とする差別というものを禁止をいたしておるわけであります。これはいろいろな労働条件のうち、賃金についての弊害というものが従来日本で一番問題であったということで、基準法でその点を規律いたしておるわけでございますが、労働条件全般につきましての性別による差別というふうな問題につきましては、基準法には規定はございませんけれども、憲法の十四条に性別による差別が国民の平等権の問題から規定されておりまして、こういう憲法十四条の趣旨からも、われわれはそういうことは趣旨としてまことに好ましくないことだと考えておりますし、基準法の精神からいいましても、規定はございませんが、やはり好ましいことではないと、かように考えておるわけでございます。ただ、直ちにいま基準法によりまして、それらの点、どういう問題を取り上げて基準法をいじるかどうかというような問題になりますと、まあいろいろな御意見もあるわけでございます。そこで、基準法ができましてからすでに四半世紀たっておりまして、基準法が制定されました当時と職場における事情もいろいろ変わっており、あるいは社会的な情勢もいろいろ変化しておる、それに伴って基準法が最近の実情から見ていろいろ問題があるじゃないかという各方面からの御意見もございますので、労働省といたしましては、四十四年以来基準法研究会というものを設けまして、学識経験者の方に、現在の基準法の運用の実情及びそれに伴う問題点をいろいろ御検討を願っておるところでございまして、先生御指摘のような問題も現在基準法研究会の中で研究をされておりますので、われわれといたしましては、そういう研究の結果等を拝聴いたしましてから十分検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#38
○柏原ヤス君 その第四条の解釈ですけれども、いま伺っておりますと、賃金の問題についての男女の差別を禁止しているのだと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、これはそうじゃないんですね。なぜ賃金の差別を撤廃したかといえば、ここにちょっとございますよね、「本条が賃金の差別的取扱いのみを禁止の対象にしているのは、歴史的にも賃金についての差別的取扱いが、とくに顕著な弊害を生んだことからこれを罰則つきで禁止したものであり、賃金以外の差別的取扱いを許容する趣旨ではない。」と、これが正しい解釈だと思うんですね。そうならば、賃金の差別以外の待遇もここで取り扱ってもいいわけです。その他の男女の差別待遇を撤廃すべきである、こういうことばを入れてもいいと思うんですね。またそういうふうに私は改めるべきだと思うんです。
#39
○政府委員(渡邊健二君) 先ほどもお答えいたしましたように、四条は、直接には賃金につきまして女子であることを理由とする差別を禁止いたしておるわけでございますが、憲法十四条の趣旨からも、また基準法の精神からも好ましくないということは、先ほども私から申し上げたとおりであるわけでございます。ただこれを、基準法の中でいまそういうものを取り上げるかどうか、あるいはそういうものについてどの程度まで取り上げるかといったような問題、いろいろ問題がございますので、先ほどもお答え申し上げましたとおり、現在基準法全体の検討の中でそういう問題も検討されておりますので、その結果を待って検討いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
#40
○柏原ヤス君 そのお答えは、私は非常に不満でございます。特にこうした勤労婦人福祉法案というものが提案されて、そして、勤労婦人の福祉、地位の向上をもっとはかろうとする、そうした法案が審議されている中で、いま何ですか、基準法を研究している、その研究会のほうにまかせてあるからそっちにげたを預けちゃって、まあ自分としての、責任者の立場としての意見を積極的に答えようとしていない。まあいわばうまく逃げたと、こう私は思うわけですね。また、大臣のお考もばく然として、いかにもことばではていさいのいいことばをおっしゃっておりますけれども、じゃ内容は何をさしているのか、どういう点を労働大臣として婦人のために、特に、働く婦人のためにつくろうとしているのか、そうした点はつめのあかほども感ぜられません。そういう点で私、特に現実にいま勤労婦人の中で問題になっているああした不合理ないろいろな制度を解決しなければならない立場に立っているのでお聞きしているわけなんですね。それも、私としては、裁判に持ち込んでがたがたするまでもなく、労働基準法によって解決できると、こんなことで泣いている女性の多い国は日本ぐらいのもんじゃないですか。福祉国家とか、文化国家とか、男女の平等というものが強く叫ばれ、女性の選挙権まで与えられている、こうした中で、いまの大臣の御答弁といい、また人まかせのような無責任な御答弁というものは、ほかの場合ならいざ知らず、こうした勤労婦人のための法案がここで審議されているのですから、私、もう少し前向きな、力強い、そして具体性のある御答弁を期待しているわけなんです。その点いかがでしょうか、大臣。
#41
○国務大臣(塚原俊郎君) 労働基準法第四条の読み方の問題だと思うのですが、やはりこれは賃金の問題が重点でありまして、基本的にはいまおっしゃったようなものが流れておることはこれは私も率直に認めます。しかし、この四条から読んだ限りは、このままではいま先生御指摘のような問題の解決にはこれはどうかというような考えもいたします。と同時に、憲法十四条によりますれば、これは明らかに規定いたしておるのでありまするが、それとていまおっしゃった結婚、出産、若年問題等について、理念としては私はその方向にあることは率直に認めます。だから、先ほど申し上げましたように、今度御審議願っておる勤労福祉法案は基本法でありますだけにこういう批判はあるでしょう。しかし、これを契機といたしまして、今後立法措置、そしてまた予算措置というものが講ぜられていかなければならないと考えておりますので、決して労働基準局長逃げた答弁でもないし、また基本法研究会にげたを預けておるというものでもございません。そういう方々の御意見も拝聴いたしまして、私は前向きに取り組んでおるつもりでありますので、どうぞその点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
#42
○柏原ヤス君 そのおことばを口だけではなくて実際に示していただきたい。そして勤労婦人が確かに世界レベルに持っていけるように、大臣のお力でやっていただきたいと思いますが、重ねて。
#43
○国務大臣(塚原俊郎君) 御趣旨はよく体しまして全力を尽くします。
#44
○柏原ヤス君 そこで、この第二条に、今度衆議院から修正されて、「しかも性別により差別されることなく」ということばが特に入ったわけですね。これは確かに前進だと思いますが、惜しいかな罰則規定がない。したがって拘束力がないと思います。その点どうでしょう。
#45
○政府委員(高橋展子君) ただいまの御質問は、先ほどの関連で若年定年あるいは結婚退職といったものに対してそれの改善に役に立たないのではないかと、そのような御趣旨であるかと存じますが、この若年定年あるいは結婚退職といったような職場の制度、慣行は、これは先生も先ほど御指摘のように、非常に日本的な現象でございます。で、外国でもそういう例がないことはないようですが、しかし、はなはだまれな例で、しかも非常に特殊な職業に限られているようでございます。日本の場合は、むしろ一般的な事務職であるとかごく普通の職場でもってこのような制度が行なわれているというところ、これは日本におけるいろいろな社会的、経済的あるいは歴史的な要因というものがあると思うのでございます。それらの要因の中でもやはり一番基本になるものは、婦人の働くということ、婦人労働に関しましての考え方、婦人労働の位置づけということについての社会全般の理解の不足であるとか、あるいは極端な場合には偏見とも見られるような、そのような考え方というものがこれらの制度の基本に横たわっておると私どもは考えるわけでございます。したがいまして、これらの不合理な制度の除去のためには、もちろんいろいろな方策がございますが、やはりまずその基本になるところの婦人労働に対するものの考え方というもの、これは労使双方にもございましょうし、社会一般にもあると思いますが、そこを改善していくということが非常に重要なことであろうかと思います。そういう意味合いにおきまして、今回のこの勤労婦人福祉法案におきましては、勤労婦人というものが職場においてその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むようにあるべきだという基本理念を掲げておりますし、また第五条で、啓発活動の中では、「とくに、勤労婦人の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消を図る」というような字句を設けておりまして、これらはいずれもこの不合理な制度、慣行の改善、またその背景となっております婦人労働観というものの改善ということを予定して設けた条文でございます。でございますから、私どもは、従来からもこれらの若年定年制等につきましては、行政指導を行なってまいったところでございますが、今後この法案が制定を見ました上は、これを根拠にさらに一そう強力な啓発活動というものを行なっていくということが予定されるわけでございます。また、先ほどの基準法の面につきましては、また別途研究会で御検討中と、こういうことでございます。
#46
○柏原ヤス君 先ほどからお聞きしているのは、罰則規定がない、拘束力がない、したがってこれは単なることばで終わってしまうんじゃないか、そういう点を心配してお聞きしたんですけれども、今後これが最も私は勤労婦人を守るために大事な点だと思うんですね。そういう点で拘束力を持ったそうした法律に持っていっていただきたいと、こう思うわけです。そうでないと、第一条の福祉の増進と地位の向上という目的すら私は絵にかいたもちになってしまうんじゃないかと、こう心配するわけですが、大臣いかがですか。
#47
○国務大臣(塚原俊郎君) 基本法でありまするだけに努力目標というものがほとんどこの中心を占めているわけでありまして、もっと一歩突っ込んだものがなければ法律としてどうかという御指摘はいろんな委員会でこの御婦人の問題で私もいただいておるとこれであります。そこで労働大臣として当を得た発言ではないと思いまするが、私は、これはベストではないが、しかしベターであるということばも申しておりますのでありまするが、あくまでの基本法でありまするので、その点御批判はありましても、これを修正する考えはございません。ただし、先ほどから繰り返し申しておりまするように、この基本法を中心といたしまして、いろいろな問題に取り組むためには、今後立法措置、これは予算関連法案ではございませんので、先ほど高橋局長からもお答えいたしましたような予算の裏づけというような点でも、非常に微々たるものではありますが、予算措置というものも合わせて考えていかなければならないと私はこのように考えております。
#48
○柏原ヤス君 ILO第一二三号に「家庭責任をもつ婦人の雇用に関する勧告」というのが示されております。この精神は、そのまま本法案の内容にすべきであると思いますが、それにもかかわらず勧告の肝心な精神は抜かれていると、むしろすりかえられたと、こういうふうに見る点もございます。これはどういうことかといいますと、男女差別待遇の禁止、これが貫かれた諸施策を講じることが勤労婦人に対しては最も重要であると思います。ところがこの法案はこうした諸施策は明文化されていない。そればかりかこの法案の第三条の中には婦人の自覚を促す規定が入っているわけです。すりかえられたというのは、この点を申し上げるわけですが、この効果のある福祉保護施策が、婦人の自覚ということばにすりかえられた、こういう意見、こういう点を申し上げて、労働大臣はどのようにお考えになっているかをお尋ねいたします。
#49
○政府委員(高橋展子君) ILO第一二三号勧告関係のお尋ねがまずありましたので、私からお答えさしていただきます。
 ILO一二三号勧告は、「家庭責任をもつ婦人の雇用に関する勧告」と呼ばれるものでございます。で、その勧告の趣旨は、勤労婦人が、職業生活と、家庭生活との調和をはかり、その有する能力を十分に発揮できるようにするということをねらいとしているわけでございますので、本法案の趣旨と非常に類似したものでございます。で、私どもといたしましても、本法案の準備にあたりまして、大いにこれを参考といたしました。で、その勧告の内容におきましては、家庭責任を有する婦人労働者の実情について、十分な把握をするとか、あるいは啓発活動を行なうとか、あるいは児童の保育施設を整備するとか、あるいは婦人自身の生涯にわたっての職業生活を充実したものにするため、若いときの就職あるいは人生の途中における再就職のための一般的な教育を強化すべきであるということ、あるいは職業紹介、職業訓練等の強化もうたわれております。さらにまた「育児休業」とこの法案では呼んでおりますが、そのような思想もこの勧告に盛られているところでございます。この勧告の内容のうち、児童保育施設等あるいは女子の一般教育等につきましては、それぞれ児童福祉法とか、学校教育法とかにゆだねられているわけでございますが、それ以外の点につきましては、この一二三号勧告の内容は、この法案にかなり取り入れられているように私どもとしては考えております。少なくとも考え方につきましては、かなり大きく取り入れているつもりでございます。
#50
○柏原ヤス君 大臣にもこの問題をお答え願いたいと思います。
#51
○国務大臣(塚原俊郎君) いま高橋局長が答弁いたしましたように、十分一二三号勧告の内容については、私も取り入れられたと考えておりますが、過般、衆議院でも御審議を願いましたとき修正されました第二条でありますが、「尊重されつつ」の下に、「しかも性別により差別されることなく」というのを加えた。もともと男女平等であるという立場でわれわれは考えておったのでありまするが、この点問題がありまするので、こういう修正もいたしたのでありまして、決してすりかえとかそういう意味はございません。あくまでも性別にとらわれることなく男女平等の立場においてこの法律というものはつくられておるのであります。
#52
○柏原ヤス君 それでは、その勧告の中にもない婦人の自覚を促すというこの規定はどういうことなんでしょうか。またどういう意味でこういうものをわざわざお入れになったのか。その点お聞かせ願いたいと思います。
#53
○政府委員(高橋展子君) 本法案の第三条に、勤労婦人はみずから進んでその能力を開発するように、またそれを職業生活で発揮するようにつとめる、これを要請しているところでございます。これは第二条におきまして、勤労婦人に対してその周囲のもの、つまり国、地方公共団体、事業主あるいは社会一般が適切なる配慮をすることを要請しているのに対応いたしまして、それと相まって勤労婦人の自覚と努力を求めているところでございますが、一般に基本法といわれる法律の体系におきましては、このような両面からの努力というものを要請するのが、一つの典型になっているということもございますし、またさらに私どもの考え方といたしましては、この三条で勤労婦人の努力ということを要請することによりまして、勤労婦人がただ非常に弱いものであるから保護されるというような概念ではなくて、責任のある職業人としての大きな期待というもの、それにこたえてもらいたい、そのような一つの姿というものを前提として前向きな姿勢を要請した、このような考え方もあるわけでございます。
#54
○柏原ヤス君 本案は勤労青少年福祉法と姉妹法であると思いますが、勤労青少年福祉法は第五条に「勤労青少年の日」の規定がございます。勤労婦人に対してはあえて規定しなかったというのはどういう理由によるのでしょうか。
#55
○政府委員(高橋展子君) 勤労青少年福祉法におきましては、特に勤労青少年が心身の成長発達段階で働いているという特殊性にかんがみまして、周囲の者の非常に心のこもった配慮ということがまず第一に求められるということがございます。そしてそのようなことを求めてまいります上に、特定の日を設けて、そこで勤労青少年を励ますということなどが効果的であろう、かような考えに立ったものでございます。
 勤労婦人につきましては、もちろんそのような若い勤労婦人につきまして勤労青少年福祉法で掲げられた「勤労青少年の日」の事業の対象となるわけでございますが、まあこちらの婦人福祉法の対象とするのは成人の婦人でございますから、特に特定の日を設けて励ますというようなことをすることが必ずしも適当ではないのではないか。むしろ常時啓発活動というものを強力に行ないまして、先ほど来御指摘のようないろいろ不合理な制度、慣行等を排除していくことに努力してまいることがより妥当なのではないか、このような判断に立ったものでございます。
#56
○柏原ヤス君 本法案の検討の段階で、企業内においての育児の便をはかるための保育施設の設置について検討された、こう聞いておりますが、事業所内保育所はどう処置されたかどうか、その経過をお聞きしたいと思います。
#57
○政府委員(高橋展子君) 事業主が、そこに働いております女子従業員のために、その婦人たちの就労時間中その婦人の子供を預かって守るこのような施設――企業内託児施設というように通称いわれておりますが、このような施設は働く婦人の福祉増進の上から私どもはきわめて有効な措置であって、事業主の自主的な努力というものは大いに評価したいと、かように考えております。そのことにつきまして、この法案の準備段階で審議会でいろいろと御審議を願っていたわけでございますが、その過程で、企業内の託児施設のそのような有効性と申しますか、有用性はあるといたしましても、しかし、保育に欠ける乳幼児については、児童福祉法による市町村等の設置するところの保育所を設けることが第一義ではないか、こういう御議論が非常にございました。また、事業内に託児施設を設ける場合、必ずしもその基準が児童の福祉の維持という点から十分に確保されないのではないかと、こういう懸念等もございました。あるいはまた、この審議会は三者構成でございますので、使用者側の御意見としまして、事業主が託児の施設を設けるということまで求められては負担が大き過ぎるのではないか、このような御意見もございまして、そのような労使双方あるいは公益の方々からの危惧等もございましたので、この法案の中にはそれを織り込まないということになったわけでございます。
#58
○柏原ヤス君 事業所内の保育施設はどういう目的で設置されているか、はっきりお伺いしたいわけです。それは私は従業員の福利厚生対策だ、求人対策だ、そこに重点があるのではないかという感じがどうしてもありますのでお聞きするわけなんです。
#59
○政府委員(高橋展子君) 企業内の託児施設は事業主が自主的に設置するものでございますので、私どもその設置の意図についてまでつまびらかにいたしてはおらないのでございますが、御指摘のような意図というものももちろんございましょうし、また、一般に事業主が福利厚生のためにいろいろな施設を設けております。体育の施設であるとかあるいは文化的な施設等をいろいろ設けております。社宅等もその例であるかと思いますが、これらは御指摘のような点からのアプローチももちろんございましょうが、やはり事業主がそこの従業員に高い福祉を享受させよう、そのような気持ちに発しましてみずからの負担でそのような施設を運営すると、そういう動機もきわめて大きいのではないかと察します。
#60
○柏原ヤス君 このように求人対策であったり従業員の福利厚生対策であってはならない。やはり子供であるという点においては他の子供と同じように、働く婦人の子供であるがゆえにそういうそれこそ飛ばっちりを受けたみたいな、そうした施設の中でいいかげんな育て方をされるということはまずいと思いますので、厚生省でもそういう点を非常に心配して事業内の保育施設、特に施設についていろいろと指導しているようでございますが、労働省ではどういう指導方針を持っていらっしゃるのか、また指導していらっしゃいますか。
#61
○政府委員(高橋展子君) 事業主がそのような施設を設けるという場合に、そこの場所において子供を預かるわけでございますので、その運営につきましては、あるいは設備等につきましても、そこで児童の福祉が守られなければならない、児童が安全にまた健全に守られなければならないのは当然でございます。しかし、先生御指摘のように、事業主が全く自主的にこの施設を設けてまいりますときに、必ずしもすべての場合それらの水準が十分であるとは言いがたい例が見受けられることは事実でございます。私どもといたしましては、事業主がこのような施設を整備する場合に、このような施設を設けます場合、それがよりよく整備されますよう、そしてそこで児童の福祉が阻害されませんよう関係機関と緊密な連携をとりましてそのレベルアップのための指導、援助をいたしております。で、特に雇用促進融資という制度の中でこれらの施設を設置する事業主に対しては低利の融資を行なうことによりまして事業主の努力というものに対する助長をいたしている次第でございます。
#62
○柏原ヤス君 事業所内の保育施設といえども、私は児童という立場から考えた場合、差別を受けているということは児童福祉上の問題であると思うんです。こうした点から児童福祉施設の最低基準に準じた指導要領、これが必要ではないかと思いますが、いかがでしょう。
#63
○政府委員(高橋展子君) そのような点につきましては、今後特に厚生省とも御相談の上十分に検討してまいりたいと思ってえります。
#64
○柏原ヤス君 この保育を必要とする幼児の施設は国とか地方公共団体の責任で社会保障というワクの中で措置すべきであると思っております。そしてこの充実が必要だ、むしろ重要なことだと思うんです。こういう点、労働省はどういう意見をお持ちであるか。ILOの勧告においても託児または教育施設は企業外に設けることが望ましい、こういっております。この点お聞かせ願いたいと思います。
#65
○政府委員(高橋展子君) 私どもも児童の福祉という点から国、地方公共団体等が責任を持って保育所の設置、整備を進めるということ、これは第一義的に重要なことだと、かように考えております。そのため従来から関係省庁と御相談いたしまして、特にその責任をお持ちの厚生省に対しましては、保育所の増設、整備等につきましていろいろとお願い申し上げているところでございます。
#66
○柏原ヤス君 保育所の整備が充実していればこうした事業所内施設を設置する必要はないのではないかと、こう思います。そういうことを考慮に入れた保育所の整備計画、これが現在進められているか、保育所の整備計画というものはどうなっているのか、厚生省にお聞きしたいと思います。
#67
○説明員(岩佐キクイ君) 保育所の整備につきましては、従来から年次計画を持ちまして増設をはかっておりますところでございますが、特に最近母親である勤労婦人が増大傾向にございまして、したがって、保育に欠ける児童もふえてきております傾向にございますので、それらを踏まえまして、さらに四十六年を初年度といたしまして昭和五十年度までの保育所整備五ヵ年計画をつくりまして現在進めておりますところでございます。昭和四十六年十二月一日現在におきます保育所の数は約一万四千八百三ヵ所、定員約百二十八万人ということになっておりますが、昭和五十年までに母親であるところの勤労婦人の増大傾向等を加味いたしますと、約百六十二万人の保育に欠ける児童が出るであろうということが推計されますので、これらに対応いたしますためにさらに約三十五万人程度の児童を収容することができる入所計画をはかってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#68
○柏原ヤス君 こういう事業所内の保育所でもこれからますます必要だという現状から考えて、この整備計画というものは改定すべきではないかとこう思いますが、そういうお考えはございますか。
#69
○説明員(岩佐キクイ君) ただいま御指摘の保育に欠ける児童が非常にふえていく傾向にあるということはわかっておるわけでございますけれども、現状におきましては、昭和五十年度までの整備計画を進めてまいりまして、この計画も、計画の進行状況は大体順調でございますので、現在、これで進めてまいりまして、さらにその後いま先生の仰せになりましたような実態がまだ残っておるということであれば、その後におきまして検討させていただきたいというふうに考えます。
#70
○柏原ヤス君 昭和四十六年度末現在で、「働く婦人の家」は全国で三十二ヵ所設置されておりますが、その利用状況、これはどういうふうに利用されておりますか。
#71
○政府委員(高橋展子君) 「働く婦人の家」は、これは勤労婦人の福祉増進のための地域における総合的な福祉施設という役割りを持っておりまして、勤労婦人の職業生活や家庭生活に関するもろもろの相談指導に応じましたり、あるいは講習等によってその技術を高めるなどのことを行ない、さらにまた勤労婦人の豊かな教養のための事業あるいはレクリエーションサービス等の機会提供を行なっているところであります。また特に勤労婦人は昼間働くということが多いわけでございますので、この「働く婦人の家」は夜間も開いておりまして、勤務を終えた婦人たちが利用できるようにすべての働く婦人には夜間開いているところでございます。そのような役割りを持つこの「働く婦人の家」でございますが、御指摘のように現在三十二ヵ所ほどできておりまして、今後計画的にその増設をはかってまいりたいと思います。
 その利用状況というお尋ねでございますが、これは大体どのようにお答えするのがよろしいか、人数で申しますと一つの家、「働く婦人の家」あたり大体一日に百六名が利用しております。一ヵ月で二千六百人ほどになるわけでございます。
#72
○柏原ヤス君 この一ヵ所あたりの建築物の規模、内容補助金はどのくらいを考えているか、またことしは八ヵ所新設が予定されていると聞いておりますが、将来どのような計画を持っているか、あわせてお聞きいたします。
#73
○政府委員(高橋展子君) この「働く婦人の家」の設置に対しましては国庫補助を行なっております。国庫補助を行ないます際の要件といたしまして、その「働く婦人の家」の規模は最低六百平米以上というようにいたしておりますし、またその施設の中にその「働く婦人の家」の中に設けなくてはならない幾つかの施設設備等について要件を定めております。で、国庫補助額につきましては、現在は一ヵ所あたり五百五十万という額のものが交付されております。なお同額のものが都道府県から措置されるということになっているのが通例でございます。
#74
○柏原ヤス君 将来はどのように計画を持っているかということをお聞きましたんすが、そのお答えがありませんから次の質問とあわせてお願いしますが、将来、地元で要望が非常に強い場合には勤労青少年ホームと同じように増設していく必要があると、こう思うんです。将来の計画とこの辺に対してのお考えをお願いいたします。
#75
○政府委員(高橋展子君) 先生のおことばのとおりでございまして、非常に地方の要望も強くなっておりますし、また私どもといたしましてもこのような施設の重要性というものは今後ますます高まると思いますので、今後計画的に設置してまいりたい。全国のたとえば人口が五万人以上の都市であるとか、そのようなことを目標にして今後の計画の中で全国的に働く婦人の家をふやしてまいりたいというふうに考えております。
#76
○柏原ヤス君 大臣にこの点ではお聞きしたいんですが、非常に補助金が少ないわけです。これの増額を私は期待しております。そうした点、大臣の見通しをお聞かせしていただきたいと思います。
#77
○国務大臣(塚原俊郎君) 働く婦人の家、勤労青少年ホームを私どもわずかではありますが視察いたしまして、その利用度が非常に高いし、また各地から歓仰されておる状況を見まして、またこういう法案ができますると、そういう施設の必要性も非常に高まってまいると考えております。要望も陳情等もかなり多いように聞いております。御指摘の補助の問題でありまするが、これはひとつできるだけ増額するよう努力いたしたいと考えております。
#78
○柏原ヤス君 ぜひお願いいたします。
 最後に働く婦人の家庭指導員はどのような資格を必要とするか。また人数、手当これについてお尋ねいたします。
#79
○政府委員(高橋展子君) お尋ねの点は「働く婦人の家指導員」であるかと思います。この「働く婦人の家指導員」は働く婦人の家に置くところの専門的な職員でございます。この者が勤労婦人に対する相談及び指導の業務を担当するということでございます。そのような役割りを持つ指導員でございますから、婦人の労働に関する問題あるいは家庭生活に関する問題等につきましての知識が十分であることが必要でございますし、そのほか人格であるとか識見等も求められるところでございます。そしてこの法案におきましては、「働く婦人の家指導員」につきましては、労働大臣が定める資格を有することということを規定いたしております。具体的には労働大臣がこの指導員の資格講習会というようなものを設けまして、その講習を終了したものをこの資格を有するものと見なすというように運んでまいるということに相なるかと思います。これはちょうど勤労青少年福祉法におきましても勤労青少年ホームの中に同様な指導員が設けられることの規定がございまして、それとほとんど平仄を一にしているものでございます。
#80
○柏原ヤス君 最後にいろいろとお伺いいたしましたが、この法案があくまで基本法的なものである。したがって、いま勤労婦人が非常に悪条件の中で働いておりますけれども、具体的にこの法案が通って、そうした婦人がどれだけしあわせになるか、また地位が向上するかということは期待できないわけです。
  〔委員長退席、理事高田浩運君着席〕
しかしこれが基本法としての法律なんだから、今後これを足場にして婦人が守られていくように、地位が向上するようにしていくという御答弁でございましたので、むしろ世界的なレベルからいえばまだまだ低い日本の勤労婦人、特に未組織の婦人のためにしあわせが与えられるように、どうか大臣、そのことのためにがんばっていただきたい、こう切望いたしまして終わりにいたします。
#81
○石本茂君 私はこの法案の成立を非常に希望しておりますし、また成立後の施行の時点におきまして大きく効果があがることを期待している者の一人でございますが、この機会にひとつお尋ねしてみたいと思います。納得できないところもありますので……。
 まず、この法律の性格でございますが、先ほど柏原委員も聞いていらっしゃいましたが、なぜ罰則などを伴う取り締まり規定ではなくて、単なる訓示規定にされましたのか、かなりお話を承りましたけれども、さらに明確にお答えいただきたいと思います。
#82
○政府委員(高橋展子君) 御指摘のように、この福祉法案は訓示規定が主でございます。それは先ほど来繰り返して申しておりますように、この法律が基本法的な性格を持つものでありまして、勤労婦人の福祉増進につきまして、国の姿勢をまず示すということ。それからまた事業主や地方公共団体の努力すべきその目標というものを明らかにする、そのような性格であるということが一つ、大きな理由でございますが、特にお尋ねの取締法になぜしないのかという点でございます。
 これは事業主にかかわることであるかと思いますが、この法案では事業主の責務につきましても包括的な訓示的な規定でその努力を要請しているところでございます。これは基本法であるということの理由でございますが、同時にやはり取締法にいたすという場合には、これは何と申しますか、要件を厳格に定めてそして最底基準において一律に事業主に国家権力で強制する。こういう姿になるわけでございますが、この法案でねらいといたしますところは、そのようにただ最低基準の確保ということよりはむしろ最底基準を上回って、非常に多様化してまいっております勤労婦人の実情に応じてより柔軟な配慮というものが行なわれ得るように、そのような努力を事業主に促すそういう意味合いももちろんございます。また単に訓示規定であるとは申しましても、しかし単なる従来の行政指導とは異なりまして、法律をもって国の意思として明らかに示すものでございますから、事業主もこれを守っていくという努力義務はあるわけでございますので、今後、行政指導を進めます上から、また事業主の姿勢というものを改善する上からも、これは勤労婦人の福祉増進につとめてまいりたいと思います。
#83
○石本茂君 そういうような御見解からいたしますと、むしろこの法案の出たその時期はおそかったというぐあいに思いますし、それから現に根っこになっております労基法を見ておりましても、現場の中ではたしてそれが守られていくだろうかということになると、やはりこの法律の主眼であります中小企業等におきましては、まだほんとに原点にありますものが行なわれておらない状態でありまして、ぜひこの法律ができましたときにそこはやはりきびしい指導がありませんと、ただ法律ができたということだけで終始してしまうんじゃないかということを非常に私どもはおそれるわけなんです。そういう意味で一応お聞きいたしました。
  〔理事高田浩運君退席、委員長着席〕
 次にお尋ねしたいと思っておりますのは啓発活動でございますが、いわゆる第五条で示してあります「必要な啓発活動を行なうものとする。」というようなことが書いてございますが、これは具体的に例示をあげまして、簡単でけっこうですから、こういうようなことをしますということをひとつお聞かせを願いたいと思います。
#84
○政府委員(高橋展子君) 啓発活動といたしましては、これは事業主に対する啓発、それから勤労婦人みずからに対する啓発、それから社会一般に対する啓発と、およそそのように対象としては考えているかと思います。で、啓発の方法は、これはいろいろな手段があるかと思いますが、ねらいといたしますのは、勤労婦人の福祉についての理解を深め、また勤労婦人自身の意識を高めるというようなことにあるわけでございます。
#85
○石本茂君 そういたしますと、私は具体的にどうかというようなことを聞くことは無理かもしれませんけれども、やはり指導とか教育とかいう、そういう機会をたくさん持たなきゃいけないんじゃないかと、通り一ぺん役人を集めてお話をされましてそれが浸透するなんて考えられませんし、だからといって、小さな事業主を一ぱい集めてお話をなさることがはたしてできるだろうか、あるいはまた大ぜいの勤労に従事する女性をどういうときにどういう場所でどのようにして指導されるのか、私はこれを非常に具体的に御計画いただきませんと、法律を出しました、公告しました、みんなそれでやりなさいでは、これはもう話にならぬというふうに思いますので、一、二度考えましたけれども、ぜひひとつ具体的な方法等をいずれの日にかまた私どもにもお話しを願いまして、もし、協力できる面がありますれば、一緒にがんばっていかなければならぬというふうに思いましたのでお聞きしたわけでございます。
 三番目でございますが、この「福祉の措置」についてでございまして、これは第七条、第八条に示してありますことの、これもちょっと無理な質問かもわかりませんが、具体的に一体この二条文をどのように進めようとされますのか、お伺いしたいと思います。
#86
○政府委員(道正邦彦君) 第七条につきましては、最近急速な産業技術の進展に伴いまして職業の種類、内容が変化し、かつ多様化しております。したがいまして、求職者に適職をあっせんするための職業指導の必要性は一段と高まってきておりますが、特に最近は婦人の就労のパターンも結婚する季での間短期間就労するというような形で結婚後も引き続き就職する、あるいは一生涯を通じて引き続き働かれるというような方も非常にふえております。さらにまた、婦人の就労する職業、あるいは職種の分野も非常に拡大してきておることは御承知のとおりでございます。このため、この法律によりまして婦人自身に対しまして職場についての知識あるいは就労についての心がまえ等を与えるための指導、あるいは講習会等を実施いたしております。また、事業主に対しましては、婦人を受け入れるためのいろいろな配慮、これも男性と違っていろいろあるわけでございますが、そういう点について指導を強化する、特に最近は御承知のようにパートタイムの形で就労される方がふえております。で、そのためにパートタイマーの非常に多い安定所六十四ヵ所を選びまして、特別のコーナー等も設置いたしております。そういうことを通じまして、婦人につきましてはその特性に適応した職業指導を行なうということで、この法律が制定されましたならば一段と強化してまいりたいというふうに考えております。
#87
○石本茂君 そこでこの際関連でございますが、この職業訓練項目としまして、現在ただいまどれだけのものが、名前は要りません。大体その種類の数だけでけっこうですが。それからこの法律案が可決いたしました事後におきまして、どのようなことを御計画なさっておるのか、この機会にちょっと聞いておきたいと思います。
#88
○政府委員(遠藤政夫君) 婦人の職業進出もだんだんこれからも必要になってまいりますし、こういった婦人の職場の確保、その雇用の安定をはかってまいりますためには、何と申しましても婦人の職業能力、技能を身につけていただくことが何より大事だと思います。そういうことで、私ども、こういう御婦人のための職業訓練ということに特に力を入れてまいりたいと思っておりますが、現在は公共職業訓練施設におきまして婦人向けのタイプとか、経理事務、洋裁とか、縫製とか、こういったものを主として行なっておりますけれども、その他の一般の職種につきましても婦人の職場進出について必要な職種、あるいは御希望の向きにつきましては、できるだけ男子と同じような形で訓練を受けやすいような措置をとってまいっておるわけでございます。また、事業内で行なっております訓練につきましては、これはあらゆる職種にわたりまして男子と女子と同じような形で、大体数におきましても同程度の方がいろいろな教育、訓練を受けておられます。こういった事業内訓練につきましても、私どものほうでいろいろな技術的な援助なり、あるいは経費の援助なりをいたしてまいっております。今後、この法律が制定されまして、男女平等に訓練の機会を与えるようにという趣旨でもございますので、今後そういった婦人向けの職種につきましては、できるだけ訓練種目をふやしまして、婦人が職場に進出される場合に雇用の安定をはかる、このような体制をとってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#89
○石本茂君 ぜひ進めていただきますときに、家庭におりましても、いわゆる外に着物を着かえていかなくても、げたをはいて出なくてもできるような仕事につきましても、もっともっといまよりはたくさん御検討いただくことをお願いしたいと思っております。
 次に、お尋ねしたいのは、「福祉の措置」の育児のことでございますが、「育児に関する便宜の供与」ということで第十一条に示してございます。この法案の中で最も何か注目したい、値のある条文じゃないかというふうに、私、考えておりますし、また、今後この問題につきましても実現を非常に期待しているわけでございますが、実際にこの法律が可決されましたその後に、この実際の効果をあげ得る可能性についてどのような展望をお持ちなのか、聞いておきたいと思うのですが、これはやはり出産に立ち向かう、その後の育児に入る仕事をする側の者よりも、経営側、使用する側のほうが相当これは考えを深くいたしませんことには実現できないものだと思うのですが、こういう規定ができまして、お願いしてみたらだめだと言われたということで、たいへん苦しみが倍加していく場合もあるのじゃなかろうかという、これは非常に端的な臆測でございますけれども、それをむしろ心配する一人でございますので、お尋ねをいたします。
#90
○政府委員(高橋展子君) ただいまのお尋ねの点は、十一条の「育児に関する便宜の供与」全体をおさしになっていらっしゃるものとしてお答え申し上げてよろしいのでございましょうか。
#91
○石本茂君 けっこうです。
#92
○政府委員(高橋展子君) 十一条では、「育児に関する便宜の供与」といたしまして明示いたしましたのは、「育児休業」の実施でございます。で、また、「育児休業――の実施その他の育児に関する便宜」というようにいたしまして、「その他」といたしましては、たとえば子供を持つ母親が子供を毎朝保育所につれていかなくてはならない、そのための時間の配慮であるとか、あるいは授乳のための設備をつくるというような配慮であるとか、あるいは超過勤務の少ない職場へつけるというような配慮であるとか、これはいろいろあるかと思います。で、明示しております育児休業につきましては、これは本法案で初めて法律上の用語としても育児休業ということを出しましたので、そこに要件等をうたっておるところでございます。で、このような配慮を事業主に求めてまいります、また、配慮を行なうように促進してまいりますためには、私ども、これは非常に強力な行政指導が要ると、このように考えております。で、実際問題といたしましては、たとえば育児休業にいたしましても、あるいはその他先ほど例示いたしましたような配慮の措置にいたしましても、これはそれぞれの職場における労働協約あるいは就業規則といったようなものの中できっちりと取りきめられていくべきものであろうかと思います。そういうことも含めまして私どもは下部機関の連係のもとに、また関係の方面等の協力のもとに、これらの事業所の中でそのような体制づくりというものが進められてまいりますが、強力に指導をしてまいりたいと、このように存じております。
#93
○石本茂君 それができるようにつとめなければならないという、非常にこれは流動性のあることばである反面、してもせぬでもいいんだというふうにも受け取れますので、ぜひ指導の場面におきましては、法律条文はこうありますけれども、それは与えるべきものなんだというところまでひとつきびしく指導願いませんと、これは、もらうほうも遠慮がございますし、休暇を与えるほうの側にいたしましても、決してこれは利益になるものではないと思いますので、ひとつきびしく、問題は特に強く御指導の面でお取り上げ願いたいことをさらに私、御要望させていただきたいと思っております。
 それから、次にお伺いしたいのは、「働く婦人の家」についてでございます。先ほども質問があったのでございますが、聞くところによりますと大体人口五万人くらいの都市に一ヵ所、そこには五千人の働く婦人がいるであろうという予想のもとに一ヵ所というまあ基準じゃないと思うのでありますが、そういう予想のもとに現在あちこちでだんだんできているのでございますが、これは私の考えでございますが、保育所と同じというわけにはいきませんが、働く婦人というのは、五万人の人口のある市のどこかに一ヵ所できましたときに、はたして多くがそこに行きたくても行けるであろうか。小さいまとまった市ならいいんですが、そういうようなことを考えますと、これはいまは三十何ヵ所で、まだまだでございますが、将来もっともっとこの数をふやしていただいて、私は規模的には非常に大それたものでなくてもいいんですが、ほんとうに働く人がそこに相集まり相寄って、料理のことを話し合い、教養的なことを話し合い、育児の問題を話し合えるというようなものにしてほしいと思うのでございますが、このことについてどのように考えていらっしゃるか。
 それからまたもう一つ、先般二、三ヵ所見てきたのですが、たいがいこの「働く婦人の家」にはそこに子供を連れてくる婦人がほとんどでございますから、おかあさんが講習をしている間、お話を聞いている間、子供を預かる場所が必ず設置してございます。この場所を拝見いたしまして、認可保育所になるにはちょっと遠いかもしれませんけれども、むしろここで終日ということばは変わりませんが、認可された保育所があってもいいんじゃないだろうか。おかあさんの講習の便宜のためにだけこの場所をきめてあります、特にこういう道具がありますというだけでは、もう少し、ちょっと足りないように思いまして、もしできるなら、「働く婦人の家」のほとんどが認可保育所のようなものを設置されることをなぜ奨励できないのだろうかというような、これは私のただ感じだけでございますが、そういう意味で、この「働く婦人の家」の事業の一つに保育事業というようなことを奨励できないだろうか、できるものならしてほしい。
 それから、あわせてもう一つここで申し上げますが、先ほども柏原委員も申しておられましたけれども、設置費は補助する、しかしその後の運営につきましては、現在ただいまはこれは措置されておりませんわけでございますが、この条文の中の一つの十四条に、「働く婦人の家には、指導員を置くように努めなければならない。」というようなことが書いてございます。「努めなければならない。」のであって、おらなくてもしかたがないんだという考え方も出てくるのです。これは私のひがみかもわかりませんが、そういうことを考えますと、何か事業の主体の中で特別な婦人労働者、働く婦人のための家でございますならば、他のどのような労働省所管のといいますか、設備されました、設置されました条件のものよりも特定な条件というのが、子供というものがついて回っていると思いますから、ならば、保育所などを事業にさせまして、これは認可を厚生省がするでしょうが、運営費のようなものを筋道を通して国が補助できないだろうかということを私は非常に切実に感ずるわけですが、その点についての御見解は、これは大臣、恐縮でございますが、大臣の御見解もあわせましてちょうだいしたいと思うのでございます。
#94
○国務大臣(塚原俊郎君) ただいまのお話はまことにごもっともなことでございますが、現状においては御指摘のようなことになっておるわけであります。しかし、非常に重要な問題でありますので、検討さしていただきたいと存じます。
#95
○石本茂君 局長さん、おそれいりますが……。
#96
○政府委員(高橋展子君) 大臣から申し上げたとおりでございますけれども、なお、先生がおあげになりました幾つかの点につきまして、少し付言いたします。
 先生が最初におっしゃられた点は、「働く婦人の家」は小さくてもいいから、たくさんあったほうがいいのではないかという点であったかと思います。私どももほんとうに婦人の利用ということを考えます場合には、遠いところにりっぱなものがあるということよりは、小さくてもそばにあったほうがいいのではないか。その点は常々考えておるところでございますが、なお、これは従来からのいろいろな考え方もございますし、今後の問題といたしましては、たとえばブランチのようなものを考えていくというようなことなどもあり得るかと思いますが、検討させていただきたいと思います。
 それから子供を預かるという点でございますが、先生のおことばのとおり、働く婦人に子供はつきものといえばつきもののようなものでございますので、それらの点についての配慮ということは、非常に大きな課題であると、全く同感でございます。現在では働く婦人の家で低学年の小学生等をお預かりするというようなサービスを行なっているところもあるわけでございますが、乳幼児をお預かりする、いわゆる保育事業ということにつきましては、これはまたいろいろ問題もございますので、厚生省とも御相談して今後検討させていただきたいと思います。
#97
○石本茂君 これは重ねて関連のようなことを申しますが、先ほど柏原委員も申されましたように、私も中小企業の事業所の中に、この保育所を設置するということもいいことかもわかりませんが、私はあまり賛成じゃないのです。厚生省当局の認可された保育所がもっともっとふえることとあわせまして、この「働く婦人の家」なども、だんだん場所がふえてきて、そこに完備された保育所ができるほうが、母と子の福祉、働く婦人の福祉ということに基本的な条件として返ってくるのじゃないかということで、くどいようでございますが、ぜひ将来の御計画の中に、都道府県が主体になります、市町村が主体になる働く家かもわかりませんが、何らかの措置をとられまして、そして、こういう事業が進展していきますことをぜひひとつ、早急に御検討願いたいという気がしてなりません。学童保育、子供は大切でございますけれども、それは遊び場があって、雨宿りするところがあればだれでもできることでございますが、それよりも安心して働く婦人の立場ということになりますと、家計のことも心配でございますけれども、幼い子供をどう育てようかと、これが一番大きな問題だと思いますので、ひとつ働く婦人の福祉が根幹になった今回の法律案でございますから、あわせてもっともっと御検討願って、もっともっと早い時期に何らかの御意見がちょうだいできたらということをあわせて要望しておきたいと思います。
 最後にお伺いしたいのでございますが、私はさっき、一番最初申しましたように、この法律ができましても、あってもなくてもいい法律だということになったら、何のためにこんなに必死になってみんなが審議して、政府当局が御提案され、御努力なさったのか、ということになりますので、ぜひこれは何としてでも推進できますように、さっきは小さな保育所の問題で国家予算云々と申しましたけれども、私はやはり労働基準法の中の関連などもありますので、この際に、労働基準法の中の諸問題をもう一ぺん整理していただきまして、ただ、あちこち条文の整理じゃなくて、そして婦人労働者、女子勤労者のための抜本的な改善を早急にお願いしたいと思っております。これができれば基本的なものだからいいだろうということじゃないと考えますので、この問題、これを強く要望いたしますし、あわせましてこの法律がほんとうにまともに働く人々のために実施できるという段階の時期におきまして国家予算の措置が必要な部分もたくさんあるように思いますので、そのことも、くどいようでございますが、しっかり御検討願いまして、ほんとうに有意義な推進ができますような、将来の展望の中での御活躍を行政当局のほうにお願い申し上げたいと思っております。
 以上、私の質問は終わるわけでございますが、こうした私の願いに対しまして、一言でけっこうですから局長、大臣お二方の御所信を承りたいと思います。
#98
○国務大臣(塚原俊郎君) 労働基準法研究会で、たびたび話が出るのでありまするが、この御研究も願っておりまするし、またわれわれも今回この法案を提出いたしましたのは、勤労婦人の立場を守り、その向上をはかるということでありまするので、予算編成の法案ではないから四十七年度においては確かに予算措置は非常に微々たるものでございましょう。しかしこれが通過いたしましたならば、基本法ではありまするが、何回も繰り返して答弁しておりまするように、四十八年度からの裏づけとなるべき予算措置、それからまた問題によりましては立法措置等もこれは前向きに考えていきたい、また、そうしなければならないと思っております。
#99
○政府委員(高橋展子君) 私どもも事務当局といたしまして、この法案が制定されました場合には、この法案の趣旨が生かされますように十分な努力をしてまいりたいと存じます。
#100
○石本茂君 どうもありがとうございました。
#101
○委員長(中村英男君) 本案に対する午前中の審査はこの程度といたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
#102
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 勤労婦人福祉法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#103
○田中寿美子君 今回の勤労婦人福祉法案、衆議院で修正と附帯決議がついてまいりました。その修正の内容ですけれども、大体この原案が出されました当時から全国の婦人労働者は非常に関心が深かったわけです。マスコミでは働くママの憲章だということもありましたし、非常に抽象的で何にもならないんじゃないかという批評をする者もございました。それから特に私は労働婦人に接触しておりましたが、たいへん労働婦人の中での一部では抵抗が強いようでございました。今度修正によって労働婦人が一番問題にしていた幾つかの点が入ったということでだいぶよくなったと思います。
 第一番目に、第二条の性による差別の禁止、これは働く婦人が一番いま職場で感じている問題ですから、これを明確に入れてほしいという要望が非常に強かったのが第二条にそのことばが入りました。「性別により差別されることなく」ということばが入ったのはこれは進歩だと思います。
 それから第二番目に、第八条で職業訓練の機会均等、これもたいへん婦人労働者が要求していたことでございます。おもに職場の中でだんだん熟練者になりあるいは専門的に進んでいきたいと思うときに、職業訓練のチャンスが男女に不平等であるということに対してたいへん婦人労働者はこれを平等に扱えということを要求しておりましたから、第八条にそれが入ってまあだいぶよくなった
 それから第三番目に、第十条に妊産婦の勤務時間の変更とか軽作業への勤務の軽減ですね、これが入りましたが、これなんかも働く婦人の側からは時差出勤とかあるいは労働をもっと軽減せよとか夜勤を制限せよということを明確に入れてほしいという要求があって、それが妊産婦の勤務時間、「勤務の軽減」というような形、「勤務時間の変更」こういうようなことばが入ったという意味で、非常に強く要望していたことのうちの三つが修正として入った。
 これだけ改善されましたが、あとに附帯決議ですね。そのほか非常に労働婦人が要求していたものがあったわけで、それらは附帯決議の中でこれは出ております。たとえば、男女平等の趣旨のもとで、労基法その他の関係法規を有効に効果をあげるようにその施策を進めようとか。それから労基法の改善、それから関連している国際労働条約――ILO条約の批准の問題、これも労働婦人が非常に要求していたことです。それから特に育児休暇の問題では例の三原則、この三原則をたいへん労働婦人のほうでは主張しておりましたが、これらについてもまあ附帯決議の中でそういう方向に向かうようにことばが入っている。
 それから第四番目に、保育所の整備、これは私立保育所も含めて整備ということだと思います。
 それから五番目に、「働く婦人の家」の制度、一応労働婦人が要求していたことのうち三つは修正で入り、それからあとは附帯決議で入ったわけなんですが、労働大臣、この法律案そのものは多くの議員が言われておりますように、それから衆議院で議論されました議事録、私も出た分は見ましたけれども、皆さんがこの法律案は訓示規定でしかないということについてたいへん問題にしているわけなんですが、私は法律というものはまあ相当具体的な法律であってもその法律をいかに自分が使っていくかどうかというような主体的な法の態度ということも非常に必要であると考えておりますからこの法律だって使い方いかんだというふうに思っているものの一人です。ですけれども、それには使えるようにしておかなければいけない。そこで附帯決議というものはこれはしばしば私ども使いますけれども、自己満足にすぎないことがあるわけなんです。それで労働大臣ね、ここに掲げられております修正というものはもちろんのこと、附帯決議に掲げられております分について今後労働省の立場から進めていく、行政指導する、こういう決意を持っていらっしゃるかどうか、最初にお伺いしたいと思います。
#104
○国務大臣(塚原俊郎君) 修正の三点は、いま田中委員御指摘のように両性の本質的平等の趣旨というものを明示したものであり、それから訓練の問題、事業主の配慮、それから附帯決議につきまして六項目から成っておりまするが、修正の点は審議の過程において浮き彫りにされた問題について話し合いの上こういうことが行なわれた、こういうふうに行なわれたことは言うまでもありません。それから附帯決議につきましては、もちろん決議の趣旨に沿ってわれわれは善処し努力しなければならないと考えておりまするが、午前中にもお答えいたしましたように、これは基本法でありまするので、確かにいま御指摘のような何か煮え切らないものがあることは、それは私もよくわかります。しかし、たとえば、行政指導にいたしましても、法律というものができて、いま法律の使い方によってはこれはどうにでもなるというお話がありましたが、私もまことに同感であります。そのどうにでもなるし、いい方向へのどうにでもなるものでなければならないと考えておりまするが、そういう法律に基づいた行政指導ということになりますれば、いわゆるよい方向への法律の解釈というふうに御了解いただければ幸いであり、また法律に基づいた行政指導を労働省としても今後やり得る立場にあり、またやらなければならないと考えております。ですから、御質問は附帯決議の点につきましては、この決議に沿うような措置を今後法律的措置あるいは予算的措置において講じなければならないと考えております。
#105
○田中寿美子君 まあ、法律だけで婦人の地位は向上するわけでもありませんで、これは働く労働婦人のための福祉法案ですから、労働婦人自身の組織力とかあるいは活動力、あるいは交渉力、こういうものが非常に作用するということを私も十分それは認めます。それにその際にこれを根拠として使うときに労働省がそれを推進させていく、あるいはふだんからその方向に向かっての行政指導をしていくというふうにしていただく、そういうふうに私はいまのお答えをとっておきたいと思います。
 この法案の背景についてなんですけれども、私自身が婦人少年局におったのでございますから、立案者の考え方というのは私は信じたいと思っているわけなんです。私が終戦後の婦人少年局ができた当時、これは戦前に労働省というものは日本にはなかったわけでございますが、戦後のあの敗北のあとでマッカーサー司令部がきて、しかも初期には相当ラジカルな人がやってきて、そうして日本の軍部の解体と財閥の解体をし、民主化を進めていったわけですが、その中で労働者が団結する権利を認めないような国であったことが日本の民主化をおくらしたのだというようなことで、労働組合の運動を奨励もしたし、それから労働者を守る権利を守る役所として労働省は出発したと思います。その中でも婦人少年局というものをつくったのは、これは、かつて戦前に無産運動をやっていた山川菊栄さんのような人を婦人少年局長に持ってきたという非常にドラマチックな変化をさせた。その中で生まれたのが婦人少年局であって、私もそのもとに入ってきたものの一人であります。ですから、当時まだ婦人官僚というようなものは育っておりませんでしたので、山川さんのもとにはかつて婦人解放運動をやった、婦人問題を研究していたようなものが皆はせ参じてつくり出したのが婦人少年局でございました。ですから私どもは婦人解放運動の継続のようなつもりで婦人少年局で働いていたと思います。当時働く婦人は二百五十万ぐらいでございましたか、それから発足して、今日雇用労働婦人が一千百万、そういうふうに大きく進出してきたんでございますけれども、私は当時の婦人少年局というのは、憲法からすべての法律が改正されて男女平等になった、その立場から男女平等を推し進めていこう、こういう熱意に燃えていたと思います。で、特に男女の平等、婦人の解放運動を進めていくというような気持ちで、気魄でやっていた。私はそういう初心が婦人少年局の中には流れているはずだというふうに信じたいと思っておりますので、その辺は大臣はどういうふうに見ていられるか。それからその当時から今日まで働く婦人がふえてきます過程で、一番私どもはいつもいつも苦しいと思ってきたことは家庭を持ちながら働く婦人がだんだんふえてきた、初期には共働きということは非常に困難であった、それが次第次第にふえて、今日ではもう雇用労働婦人の半数がもう家庭持ちのあるいは子持ちの母親であるというようになってしまった、平均年齢も三十歳近くになってしまった。これほど働く婦人が定着してきた、こういう中で家庭持ちの働く婦人の悩みを取り除きたい、どうしたら家庭を持ちながら男女差別をなくして働き続けることができるか、そういうことを一生懸命に考えてきたはずだと思いますし、これは働く婦人全部の悩みでございますから、これは労働省であろうと、婦人少年局に関係があろうとなかろうと、今日ここにいらっしゃる婦人議員もほとんどが生涯仕事を持ってきた人ですから、同じような悩みをみんな経験してきていると思います。そういう中で婦人少年局というような役所ができて、そして調査、宣伝、啓蒙、調整というような役割りを狩ってきた。幾つかの議論を私はほんとうに自分も同感しながら、聞きながら、しかも婦人少年局というようなところには自分が施行する法律を持っていないという立場からしますと、そうしろと命令したり罰則をつけたりすることのできない立場にあった、そういう特異のものであるからこそ、あるいは省内野党の立場を持っていることができたんじゃないかというような気がいたしますか、このこと自体は、私は行政の中にいいことであるというふうに思っているんです。これは私がかってに言うことばですから、婦人少年局の人がそういうことを言っていると思いませんけれども、私どもしばしば省内でもにらまれた存在であった。いま労働の問題は非常に一般的になってきたから、労働者の権利を主張したり、男女の平等を主張したからといって、特別おかしく思うようなことのないような時代になりましたから、違うと思いますけれども、こういう部局があって、そしてほんとうに家庭を持ちながら職場でも働き、社会活動にも参加し、そして人間個人としても婦人が伸びていこうとする、そういうものを心から助けたいという気持ちであってほしいと思います。それが初心であったと思いますが、そういうふうに信じたいと思いますし、このことに関して立案者であった労働省の中の婦人少年行政について労働大臣がどのように認識し、あるいは理解し、協力していらっしゃるのか、ちょっとその辺を、つまり労働大臣は今回たいへん婦人問題を勉強なさったと思いますから、ひとつ所信を明らかにしていただきたいと思います。
#106
○国務大臣(塚原俊郎君) 田中先生が労働省の中枢として、いな重要幹部としてたいへんなお仕事をなさったことば私よく承っておりまするし、その後国会議員として野党の立場からいろいろな主張をされ、非常に建設的な御意見を述べられてまいりましたこともよく承知いたしております。私が大臣になりましてからも、いろいろと教えをいただいておるわけであります。占領政策によって民主主義が押しつけられたということがあると思いますけれども、いまは定着していると思います。その一つの労働省であり、特に婦人の問題、少年の問題、こういういま先生の御指摘は私はまことに同感であります。労働省に参りまして各局の仕事をもちろん勉強いたしておりまするが、婦人少年局がそれこそ婦人少年局であるがゆえに婦人でなければならぬという考えはありませんが、御婦人の方を中心にしていろいろと前向きの研究をされ、そしてまた今度のような勤労婦人福祉法という法律案をお出しになるまでの努力というものは私高く評価いたしておるのであります。その内容につきましては、実質が伴わないとかあるいはヤマブキではないかというようなお話も承りまするけれども、しかし、私はその間にあっても三者構成の婦人少年問題審議会の全会一致の答申に基づいてかねてから労働省婦人局が中心となって勤労婦人のあるべき姿、この立法措置を講じようという努力が実ってここに御審議を願っておるということは、私は婦人少年局のメンバーからすれば、非常に感慨無量なるものがあるのではなかろうか、このように思っております。したがいまして、法案の審議の過程でいろいろわれわれも教えられております。足らざる点は十分あるでしょう、しかし、基本法としての性格から御批判はあっても、ぜひこれをお通しいただいて、そうしてこれを第一歩として今後諸問題に取り組んでいくという、そういう姿が、そういうことがなされることが私は一番望ましいと考えております。婦人は決してか弱い者ではありません。また、そういう考えは私毛頭ありませんが、ともすれば一部そういうことも、婦人自身がインフェオリティーを考える方がないとは言えませんけれども、いまはあくまでも男女平等、両性平等の立場に立って進まなければならない時期でありまするだけに、やはりこの法律というものが起爆剤となって今後の婦人問題というものがよい方向に向かうことを私は心から望んでおる一人であります。
#107
○田中寿美子君 そのような立場の婦人少年行政の中から出てきた法案でございますので、私はそれを立案した人たちの気持ちはもう疑わないのですけれども、それであるのにこの勤労婦人福祉法案に対して働く婦人が非常に抵抗したのはなぜだというふうにお思いになりますか。
#108
○国務大臣(塚原俊郎君) 審議会の会長である田辺繁子先生からも審議の内容についてのお話も承りました。なるほど全会一致ではあるけれども、中にはいろんな議論があったということもその後ほかの団体の方からも私はいろいろ承りました。やはりこれが一つの努力目標であって、これではたとえば事業主に対してこういうことをやれといってもやれない場合はどうするのだという、何と申しますか、その努力目標だけでは実効があがらない、もう少し具体的なものを入れなければならないというのがやはり御不満の中心ではなかろうかと、私はこのように考えております。
#109
○田中寿美子君 それもあります。それはみんなが言っていることですから、それもありますけれども、一つは、これは大臣御存じのはずでございますけれども、この法案が出てきます前の一、二年さかのぼりまして、あるいはもう少しさかのぼるかもしれませんが、ウーマンパワーの有効活用という、婦人労働力の有効活用という思想が流れていたわけです。これは原労働大臣もそういうことを勤労婦人の福祉対策五ヵ年計画というものの中で相当露骨に言っていらっしゃいますが、それのよっている基礎というのは、新経済社会発展計画、この中で若年労働力が足りなくなってくる、だから、婦人労働力を有効に使わなければいけない、こういう考え方が出てきて、これは国の経済をあずかる人の側から見れば、あたりまえのことばというふうに聞こえるかもしれませんけれども、婦人自身の、それはたとえば通産省やら企業の立場に立つ役所ならそうですけれども、あるいはいいかもしれないけれども、婦人自身の地位の向上とか婦人自身の解放を考えるそういうものの立場からしますと、非常に耳ざわりなことばです。労働力としていかにじょうずに使うか、こういう立場から考えられるのであってはたまったものじゃないという反発があったというふうに私は思うのですけれども、原前労働大臣の勤労婦人の福祉対策五ヵ年計画というものは、労働大臣、御存じですか、そのポイントはどういうことをいっているかということですね。
#110
○国務大臣(塚原俊郎君) 前に、どの委員会でございますか、そのことを聞かれまして、私不勉強だったものですから、それは存じ上げないと申しましたが、その後五ヵ年計画を私も読ましていただきました。各政党とも、どの政党といえども、それぞれ政策審議会、政調というものがあって、各部門にわたっての研究はなさっておると私は思います。もちろん、議院内閣制でおりまするから、政府が与党の意見というものをいれることもそれは当然でありましょう。しかし、この勤労婦人福祉法は、ただいまかり出しとかいうようなことばがございましたけれども、そういう意図を持ってつくったものでないということだけはひとつ御了承いただきたいと思うのであります。今後の日本の経済が、産業がどうなっていくか、これに対応する労働力の需給関係はどうなるかということは、これはまた別問題として扱わなければなりませんが、われわれは毛頭、かり出しとか、それを充てるためにどうこうというような意図は持っておりません。かねてから労働省が、勤労婦人のあり方について立法措置が必要であろうと、そして三者構成の田辺コミッティによって答申が出されて、それに基づいてつくった法律案でありまするので、ひとつそのように御認識いただきたいと思うのであります。そしてまた、婦人が働くか家庭にあるかということは、これは強制してきめられる問題ではないと私は思います。あくまでもその御婦人が主体性を持って考えるべきであります。家庭にとどまるべきか、職場に出るべきであるかということは、おのずからその方、個人の考えによってきまるものである。これが強制して労働力というものを確保しようというようなことがあってはならないし、事実、この法律案の立案の過程において、そういうことは毛頭考えておりません。この点はひとつ誤解のないようにお願いをしたいと思います。
#111
○田中寿美子君 そうしますと、原前労働大臣の勤労婦人福祉対策五ヵ年計画の中に盛られているものは、何といいますか、この法案をつくり出す直接の構想になったのではないというふうに考えてよろしゅうございますか。
#112
○国務大臣(塚原俊郎君) 議院内閣制でありまするから、政府が与党の意見を聞くことは当然であります。ですから、原労働大臣もいろいろな労政の権威でありまするから、いろいろお考えになった、それは私高く評価いたします。しかし、この法律を提案いたしまするスタートというものは、あくまでも、労働省が考えておりました勤労婦人のあり方、それから田辺コミッティの答申に基づいてつくったものである、そのように御理解いただきたいと思います。
#113
○田中寿美子君 それではその原前労働大臣の勤労婦人福祉対策五ヵ年計画の中にある、近年労働力が不足して、四百万から五百万人に不足が達すると思う。それで勤労婦人の有効活用をはかる必要がある。そこで中高年齢層を引っぱり出すことを考えなきゃいけないというようなことがあるし、そのためには事業内託児所を設置してパートタイマーの就業を促す必要があるというようなことがいわれておりますが、これらが相当根を持って働く婦人たちの反感の根源になったということにつきまして私は申し上げたわけですから、その点を切り離して、今後の法の運用では考えるというふうに考えていただきたいと思います。
 続いて、それを受けたというふうに思われるんですが、婦人の就業に関する懇話会というのを四十六年の三月から五、六月ごろまで労働省で開いて、四十六年七月、「婦人の就業に関する基本的考え方」という報告書が出ておりますが、この懇話会の性格はどういうものでございますか。
#114
○政府委員(高橋展子君) 私からお答えさしていただきます。
 この懇話会は、いわば、専門家会議といった性格でございまして、正式の諮問機関ではございません。で、学識経験者の方々がそれぞれ専門的な立場から婦人が職場に出て働くという問題をいろいろな角度から検討なさるわけで、純粋な客観的な検討でございますので、当事者である労使等は入っておりませんで、それぞれ専門をお持ちの、主として学者の方々によって構成されました研究的な会議でございます。
#115
○田中寿美子君 このメンバーの中には私も尊敬すべき人がだいぶ入っていらっしゃんるですけれども、この基本的な考え方の報告書を出された中に、いろいろとちょっと気にさわるようなことばがあるわけです。たとえば、「国民経済的観点からみた婦人の就業」、これは経済学者がやればそれはおかしいことではないというふうにいわれるでしょうが、次に「主婦の就業の国民経済上のバランスシート」、これなんかは、主婦を働かせたら国民経済から見たらバランスシートは得か損かという損得計算ですよね。こういうようなことばがあったり、それから保育施設についても、主婦を引っ張り出すと社会的コストが高まるということばもあるし、保育施設をつくったら婦人がよけいに出てくるかどうかというような検討もされていて、そしてその中から、保育の社会化について、「施設保育はこどもの成長にとつて家庭保育に代替し得るものではない。」つまり、家庭保育が一番いいんで、施設保育は家庭保育にかわれるようなものではないということが相当強く強調されています。こういうところで、一体、集団保育というものの意義なんかというものが見られたのかどうかというようなことも私は疑いを持つわけなんなんです。それから、それぞれ違ったサブ・コミッティを持っていらっしゃったと思いますが、「婦人の地位向上と就業」というところでは、経済力を持てば主体性の確立ができるということばがある。こういうところは共感するところもあるわけなんですがね……。
 それで、これはさっき第三者的な客観的な検討と言われたけれども、勤労婦人福祉法案をつくる前の準備段階での一つの研究と、こういう意味でされたものであるのでしょうか、どうでしょうか。この懇話会の目的はどういうところにあったのかということです。
#116
○政府委員(高橋展子君) この懇話会は昨年の三月に設けられまして、鋭意検討をいただいたものでございます。私どもがこの懇話会に研究をお願いいたしました趣旨は、これは、もちろん、立法ということの検討も片や考えておりました段階でございまして、そして、その立法の作業というものを具体的に進めるに先立ちまして、婦人が働くということについての基本的な考え方というものを一応まとめておく必要があるのではないか、そういう趣旨でございます。と申しますのは、先生も御存じのことと存じますが、婦人が職場に非常に進出する、特に家庭の主婦の雇用化が進んでまいってきておるというこの日本の社会の動きに対しまして各方面からいろいろな御意見がございました。またそれは、私どもが考えましても、その主婦の職場進出というような事態は、日本の歴史と申しますか、婦人の歴史の中で非常に新しい事態でございまして、婦人自身の生活を非常に大きく変えるものでありますし、また広く国民経済、児童福祉あるいは家族関係等にもさまざまな影響を与えるのではないか、そのような問題意識を持っておりまして、それらをやはり社会各層が納得のいくような、そういう専門的な研究というものを行なって明らかにした上で立法というものにも取り組んでいくべきではないか、このようなことで、各界の専門家の客観的な御検討をお願いすることにし、何と申しますか、政策的な目標ということは別にいたしまして、全く客観的に専門的な御検討をお願いする、このような次第です。
#117
○田中寿美子君 ここに集まってこられている専門家の中からそういう意見が出ることは当然かもしれませんけれども、たとえば、人口再生産論みたいなものもありますね。婦人があまり働きに出たらその人口が減少してくるんではないかというようなこともあったり、それからさっき言いました家庭保育というもの、施設の保育は家庭保育にとってかわれるものじゃないといって施設保育に対するたいへん否定的なことばが出ている。これなんかは専門家の議論にもいろいろありまして、御承知ですけれども、スウェーデンのミルダルさんなんかは、愚鈍な母親と二十四時間いるよりは聡明な働く母親と一日数時間いるほうがもっと子供はよく育つということを言っている人もある。松田道雄先生なんかも集団保育に入れなかったら人間の育ち方というのは非常に曲がってくるということも言っていられるわけですから、こういうふうなことばが出ていたり、それから主婦が働きに出ると社会的コストがかかるだろうという議論がありますが、こういうことがみんな労働婦人にとって、今度の法案が出てくるのについてこういうことが全部背景にあるんではないかという疑惑を抱かせたんだと思います。この中でお尋ねしたいと思うんですが、社会的コストがかかるということは具体的には何を意味していたんでしょうか。
#118
○政府委員(高橋展子君) 懇話会の御検討の中で、たとえば、児童心理の点から検討されるグループ、あるいは家族関係といった点から検討されるグループ、あるいは地域社会の問題、婦人の地位の問題から検討されるグループ等々と並びまして国民経済という点から見て婦人の就労をどう評価すべきかということに取り組まれたグループがあったわけでございます。で、その場合、ここでの用語としてバランスシートということばが使われておりますが、この意味合いは、主婦が職場に出て働くということによる国民経済への貢献度というものを片方に置きまして、一方、主として育児等でございますが、それが家庭責任に対して社会的な配慮ということが必要になる、その社会的コスト、そのバランスシートがどうなるものかと、そういう観点でのまさにお考えと申しましょうか、国民経済的な分析と申しますか、そういう検討でございまして、このような検討は外国でも行なわれているというように理解をいたしております。
#119
○田中寿美子君 それはそうだと思うんですね。それでそういう損益計算で婦人が出たらいいのか、家庭に置いておいたらいいのかというような考え方を用いるということについては、これは国民経済をやる側で、たとえば経済企画庁なんかでやっていく分にはそれは反対であってもしようがないと思う。ですけれども婦人の地位を高める、あくまで働く婦人を保護していこうという立場からはこういう点を強調しないようにしてほしい。まあこれは単なる研究であったと言われますので私はそれで了解したいと思いますけれども、そういうことがあってなお疑惑を深めたということになるだろうと思います。その次に婦人少年問題審議会にはかられたわけでございますね。それで、この婦人少年問題審議会――田辺繁子さんが会長をしていらっしゃいます審議会で勤労婦人に対する立法の基本構想についての諮問をされ、答申をされ、そしてこの法案が出たという順序になっているわけなんですが、その中身が、簡単に言えば職業生活と育児などとの家庭責任を調和させるということと、それから婦人の職業能力を発揮して、充実した職業生活ができるようにするためにどうしたらいいかというようなことだと思うのですが、この中にはいままで議論してまいりました、最初の原前労働大臣の構想、それからいまの懇話会で出されたような意見、そういう考え方、つまり婦人労働力を有効に活用しょうというような立場からの考え方は落ちてきているのではないかというふうに私は思うのですが、いかがですか。
#120
○政府委員(高橋展子君) 審議会と原先生の計画との関係につきましては、先ほど大臣からお答え申したとおりでございます。で、審議会とただいまお尋ねのありました懇話会との関係でございますが、「婦人の就業に関する基本的考え方」を検討された懇話会は、その討論の過程におきまして、先生が先ほど来御指摘のような、社会的コストであるとか、あるいは家庭保育であるとかいろいろな点に触れておりますが、最終的な結論としまして、この懇話会の報告書には、特に婦人が働くということ一般につきましてはそれは望ましいことである、婦人の能力の発揮、自己充実の機会を広げるし、婦人の地位の向上の見地からも望ましいというようなことを一応結論とされております。また、特に乳幼児を持つ主婦の就労につきましては、これは非常に問題は複雑であるという前置きがございまして、そして結論的には自由選択の原則というものをこの懇話会の結論とされているわけでございます。で、先ほど来大臣から申し上げておりますように、婦人、特に家庭を持つ婦人が就業するかどうかは全く自由選択、婦人自体の主体的な選択にゆだねるべきであって、第三者が強制すべきではないという原則が明らかにうたわれております。そしてさらにこの懇話会には、自由選択といってもその選択を可能にするには条件整備が行なわれなくてはならない。家にとどまったいと思う者はとどまれるように、働き続けたいと思う者は働くことができるように、諸般の施策を講じるべきであるということが懇話会の報告として出されているわけでございます。で、討議の過程のことはいろいろございましたが、懇話会の一致した意見はそういうところでございまして、私どもはその懇話会のその結論、そこを一つのスタートにいたしまして、私どもの基本構想というものを考え、また婦人少年問題審議会におはかりするにあたりましても、婦人がそのような自主的な選択によって職場に出る、その出るような場合には、どのような配慮が要るかという点、そうしてまたそのことは婦人の地位の向上ということのつながりで考えられなくてはならない。その点を踏まえて基本構想を考えたところでございますし、また審議会の御審議もそのようなことを前提として進められたと、かように理解いたしております。
#121
○田中寿美子君 勤労婦人ということばについて衆議院のほうで議論があっているようでした。私は議事録で見ましたけれども、これは労働婦人じゃないかというのに対して、いや労働婦人ではあるけれども、その家庭生活とか市民生活まで含めるから、あるいは主婦として家庭にいる人が職業に入ってくるということまで含めて勤労婦人と呼ぶのだというようなお答えが労働省のほうから出ているようでございますが、そこで、いまおっしゃったような経過を経て、この法案を出すにあたって、審議会の答申の中にも、労働婦人の代表が審議会の中に入っていただいていろいろ議論された、その議論の中で労働婦人の代表が非常に強調したところはどういうところにあったかということをちょっと言っていただきたいと思います。
#122
○政府委員(高橋展子君) 審議会はそれ自体は非公開で行なわれたものでございますけれども、三者構成のそれぞれのお立場の方がお出しになられました主張につきまして抽象的にお答えさしていただきたいと思います。労働婦人についてのお尋ねでございますので、労働婦人の御意見のおもなものを申し上げたいと思います。幾つかあったかと思いますが、ちょっと取りまとめたものがございませんので、順不同に申し上げますと、一つには勤労婦人の職場における差別待遇の問題、これを廃止と申しますか、禁止と申しますか、改善と申しますか、そういったことを重点的に考えてほしい、考えるべきだと、そういう御意向がひとつ強くございました。それから企業内託児施設の問題に関しまして、これは基本構想の原案にございましたために、それに対する危惧といいますか、疑念がかなり強くあったわけでございます。それから職業訓練等に関しまして、これはやはり若いときからの訓練が必要であるし、それからまた再就職と申しますか、そういう際の訓練も必要なので、要するに、婦女子の訓練教育ということを本腰でやるという姿勢を出すべきである、このような意見が強くあったかと思います。それからやはり基本理念をどのように打ち出すかということについて非常に御意見が、これは各代表からあったところでございます。勤労婦人というものの特質をどう押えるかという点でございます。結果的には次代をになう者の生育について重大な役割りを有するということと同時に、経済及び社会の発展に寄与するものであるとか、この二つが勤労婦人の特質であるということについて皆さんが共通の認識をお持ちになられた、このように理解いたしておりまするが、なおまた落ちている点があると思いますが、それらにつきましてはまた別の機会に説明させていただきたいと思います。
#123
○田中寿美子君 自治労の甲藤さんが出ていたわけですね、この甲藤さんが報告書を出しているのを読みますと、労働力の活用という思想に反対したということ、それから母性を尊重してほしいということ、それからいまおっしゃった男女差別反対の点、それから基準法の改正についての心配を非常にしておるわけです。そして基準法そのものをもっといいほうへ改正してほしい。一部に改悪の動きがあるのじゃないかという意味で改正を主張しているし、それから母性保護や婦人労働の保護に関するILO条約を批准せよというようなことも主張しているというふうに聞いております。それから妊産婦の保健指導について、つまり妊娠中の働く婦人の、あるいは出産後の働く婦人の労働の軽減、あるいはつわり休暇なども含めて要望がいろいろあったように言われております。それから例の育児休暇の問題については三原則ですね、選択性と、原職復帰と、有給性、この三つについてだいぶん主張したというふうに言われておりますが、それは事実でございますか。
#124
○政府委員(高橋展子君) そのような記憶いたしております。
#125
○田中寿美子君 今後この法律を活用する、こういう経過を経てできた法律を活用するしかたについてなんですけれども、一つは、非常に一番働く婦人が大きな関心を持っております男女差別の問題ですね、この実態に対しての取り組みをお伺いしたいわけなんで、皆さんがいろいろとこの問題についてはいろんな面から言われておりますが、賃金の格差というのは、私は全体、全産業平均すればどうしてもいつも半分以下に出てくるわけなんですけれども、こういう問題に関しては労働省ではどういう方法をもって格差を埋めていこうというふうにしていらっしゃるでしょうか。ひとつ伺いたい。
#126
○政府委員(高橋展子君) 男女の賃金の格差については、先生の御指摘のように、全産業の全女子雇用者の給与の総額を同じく全産業の全男子雇用者の給与総額と比べますと給与総額平均と比べますと、大体今日でも約五〇%でございます。しかし、十年ほど前から比べますと六、七%のアップはあるわけでございます。このような平均値の差があるということの理由は、これはいろいろあるわけでございます。もちろんまず第一には、女子のついている職種、その分布が男子と比べて低い職種についているという点が一番基本的な理由であるかと思いますが、同時にまた、女子の労働時間は男子と比べますと月間にして約二十時間短いわけでございます。また働いております女子の平均年齢は男子の平均年齢と比べましてまた四、五歳低いとか、それからまた職場における勤続年数が短いとか、こういったような要因も重なりまして、また特に年功序列の賃金体系という中における位置づけ、あるいは日本の給与の中にはいろいろな諸手当がいろいろ複雑に盛り込まれておりますが、それらも世帯主である男子のほうがそれらがつく割合が多いということなどがいろいろ加味されましていま申し上げたような開きが大きく出ていると思います。かりに何と申しますか、一時間当たりの平均給与ということで試算をいたしてみますと、これは全産業通算でございますが、五七%程度に上がってまいるわけでございます。いずれにいたしましても、賃金の開きというものがかなりあるということ、これは残念なことでございますし、その改善をはかってまいりたいと思っておりますが、そのためには一つにはやはり女子自身の能力、職業上の能力ということを高めることがきわめて肝要なことであると思います。そうして、よりベターな職種につく機会を得させるということが肝要であるかと思います。もちろん、職場における労務管理等におきまして不合理な差別的待遇のために女子が低いところに押し込められているというようなことは、これは妥当なことでございませんので、その労務管理面の改善指導、これも力を入れて行なわなくてはならないと考えております。従来、そのような点で指導に努力してまいったところでございます。
#127
○田中寿美子君 いまの言われているような事情で婦人の賃金のみがいつまでたっても低く出てくる。平均すれば低く出てくるという事情、それはいろいろなことが作用していることはわかりますけれども、やはり長い間の慣行、これが破られないとなかなか男女の差別というのは直っていかないわけなんです。それで、これは賃金だけではありません。採用についても、それから昇給、昇格なんかについても差別があるし、若年定年制や結婚退職制の話が次々ともう出たと思いますけれども、たとえばこれは国家公務員の上級、公務員甲種です、大学を出て甲種の試験を受けて合格した女性、ことしは何人あって、それがどのくらい任用されたかということですね。これは人事院の方、お見えだと思いますが、ちょっとことしの昭和四十六年度の……。
#128
○説明員(飯野達郎君) 四十六年度の上級の採用について申し上げますと、四十六年度の上級試験では、合格者総数が千四百一名ございまして、そのうち男が千三百五十三名で女性が四十八名でございます。合格者のうち、採用されました者が五百八十九名ございますが、その内訳は、男性が五百六十六名で女性が二十三名、このようになっております。
#129
○田中寿美子君 それで、この四十八名――上級公務員甲種ですね――の、大学を出ていわゆる各省の幹部候補生になる人たちですが、そういう人たち、合格者四十八人のうち二十三人任用と。これはいいほうで、もとはなかなかこんなには任用されていなかったと思います。幾らかよくなったとは思いますけれども、私の身近にも相当いい成績で合格している人がいますが、なかなか各省が任用しないですね。こういう習慣というのは簡単に直らないんだけれども、行政機関、国家公務員の中から直していかなければだめだと思うんですよ。
 それで、これを比率で伺ったら、男女採用率は同じぐらいだったとゆうふうにおっしゃるんですけれども、男性は断然多いわけでしょう。千三百何人とおっしゃいましたかね。
#130
○説明員(飯野達郎君) 千三百五十三名です。合格者ですが。
#131
○田中寿美子君 千三百五十三名ですね、合格者は。そのうち五百六十六名が男性ですね。女は四十八人のうち二十三人。
#132
○説明員(飯野達郎君) さようでございます。
#133
○田中寿美子君 これを各省別に見ますと、一体労働省は何人ことしお採りになりましたか。労働大臣、上級公務員甲種。
#134
○国務大臣(塚原俊郎君) この間、ごあいさつにおいでになった方にお目にかかったんですが、女性は一人でしょう、紅一点でございましたから。全部で八人か十人ぐらい、これははっきり数字を記憶いたしておりませんが、ちょうどごあいさつにおいでになりましたので、紅一点であったことは覚えております。
#135
○田中寿美子君 女性を採用したところはどことどこですか。人事院の方、おわかりですね。
#136
○説明員(飯野達郎君) ことしの五月三十一日現在で、これはまだ各省庁とも採用を続けておりますので、これで採用が全部終わったということには相なりませんけれども、現在まで通知が参っておりますのは科学技術庁、法務省、文部省、国立大学、厚生省、工業技術院、特許庁、労働省、かように相なっております。
#137
○田中寿美子君 全体の大きな比率の中で採用率は大体同じだと言われているけれども、絶対数はまるで違うわけなんです。これは、婦人はいい成績で合格するんですね、みんな。それだけれどもなかなか任用しない。労働省も、何だか女の人の採用が減ってきていますね、労働大臣。前はもう少しいたんじゃないですか、もうちょっと。つまり、国家公務員のところでまず模範を出さなければいけないと思うんですが、通産省なんかで、私の知った人で相当いい成積で通ったのにどうしても採用してくれないので、ずいぶんがんばってい少ししていたんじゃないですか、もうちょっと。つまり、国家公務員のところでまず模範を出さなければいけないと思うんですが、通産省なんかで、私の知った人で相当いい成積で通ったのにどうしても採用してくれないので、ずいぶんがんばっていたけれども、ついにだめだったということで国立大学に行きました。絶対に入れないようなところもあるわけで、これはもう長年男子を中心にした幹部候補生の組織ができてしまっておりますので、なかなか入っていけないという状況にあります。こういうことは、少し積極的に何か打開策を講じませんと、男女の差別、任用における差別、あるいはそのほかいろんな形の差別があるわけなんです。ですけれども、若年定年制、結婚退職制――結婚したらやめなさいという……。それから三十五歳になったらやめるとか、共働きで二人の収入が四十万円こしたらやめなければいけないとかですね。
 それから、肩たたきというのがあるのを労働大臣御存じですか、肩たたきを。――これは女の人たちでなければわからないのです。もうあなたそろそろやめたらどうか、だんなさんも課長待遇になってきたからというようなのがあるわけですね。
#138
○国務大臣(塚原俊郎君) 大体想像はできますが、何かこそこそ話して、歌にある肩たたき合いとは違うと思いますけれども、何といいますか、ある時期が来たら、どうでしょうと言う、そういうような意味だろうと私は思います。
 先ほど、全体の数字と、女性一名と申しましたが、全体の数字は先ほど八名か十名と申しましたが、これは間違っておりました。今年度の採用は十三名、そして女性が一名であります。
 肩たたきはその程度の認識がございます。
#139
○田中寿美子君 肩たたきというのは、もうそろそろやめてはどうか、ついてはいまやめれば優遇しますというようなことはこれは非常に多い。これはもう自治労関係ですから地方公務員ですね、で、非常に多いです。
 それからもう一つ、これはもう労働大臣をテストするみたいで悪いですけれども、渡り差別というのを御存じですか。何のことか御存じですか。
#140
○国務大臣(塚原俊郎君) 私は、大体もの知りですが、いまのことばは知りません。
#141
○田中寿美子君 これは、三級職ぐらいまで女は来たら、あるいは四級職でもうそのままとどめてしまって、男だったら、四級職の何号というところになると今度は三級職とか移っていくときに、女は移らせないで、ずっと同じところを渡らしているわけなんです。つまり四級でずっととどめておくんで、渡り差別といっております。これが非常に多いのですよね。こういうことが地方自治体では平気で行なわれているのです。女の人は格づけが高くなって給料が上がっていくはずないわけですよ。そして非常にたくさんいる公務員が、地方も国家公務員も、つまり、そんな上級のことを言わなくたって、中級のあるいは下級の公務員がたくさんいるわけなんですが、女の人は、ある一定のところまで来ますと、もうそこでもってとめてしまって、同じところを渡らせていくというので渡り差別、そういうのがたくさん報告されております。
 こういうことについて、私は、賃金の差別、賃金格差が出てくる原因には、女がいつまでも同じところでとどまらなければいけなかったり、それから同じところへとどまらされておりますと、やめちまいます、おもしろくないから。おもしろくないからやめるということも起こる。あるいは、いまやめたら倍退職金をあげますよというような肩たたきをするとか、こういうようなことが起こる。きちんと若年定年制を設けておかなくたって、自然とやめざるを得ないようにしておく。子供が二人目だったらやめなければならないというようなことがたくさんあって、これは違憲訴訟なんかも起こされていることは御存じだと思いますけれども、たまに一つや二つ訴訟をしたところで、全体の慣行がそうである以上は、なかなか差別は実態として残っている。これを御認識いただきたいと思います。だから、今度の法律にどうしても性による差別を受けることなくということを入れてほしいという要求を労働婦人がしたのは、そういう意味でございます。
 それから、職業訓練に関してですが、今度その訓練のところも修正が入って、そうして男女が同じように職業訓練が受けられるようにするということになりましたですね、修正されました。で、職業訓練についても差別があること御存じでしょうか。
#142
○政府委員(遠藤政夫君) 職業訓練の基準、内容、職種、こういった面につきましては、少なくとも私どものほうで公的に扱っております訓練内容に関する限りは、男女についての差別は全くございません。ただ、御指摘のお話は、おそらく事業内で企業が訓練を行なっておりますものについて、男子の訓練を受けておる者と女子で訓練を受けておる者の数が大きな開きがあるじゃないか、こういう御指摘だろうと思います。
 確かに企業が行なっております訓練の中で、一年以上の養成訓練につきましては、その人員についてはかなりの差がございまして、全体の中の女子の割合が約一〇%程度でございます。これはいわゆる労働省で公認をしております認定職業訓練ということになりますと、一年以上の養成訓練に限られておりますので、そういう意味では確かにその差はございますけれども、実際に、たとえば中卒、高卒の新規学校卒業生の訓練を見ますと、そのうちのほとんどの部分の者がいろいろな意味で訓練を受けております。こういうものがその職種の内容、作業の内容等によりまして訓練内容は種々、多岐にわたっておりますけれども、こういう人たちの、訓練を受けた人員の割合は、男子と女子でほとんど差はございません。たとえば中卒について見ますると、女子のほうがむしろ訓練を受けておる者の割合が多い、数が多いと、こういうことになっておりまして、養成訓練と限定をいたしますと、御指摘のような点がございますので、まあ今後私ども訓練を行ないますにつきましては、訓練内容、認定の内容、基準等を十分検討いたしまして、御指摘のようなことのないように今後十分努力してまいりたい、かように考えております。
#143
○田中寿美子君 そこで、まず職業訓練中の手当の問題なんですが、第八条の修正で男女が平等に訓練を受けるようにするというということをここではうたってあるわけなんですけれども、これは当然時間内――企業内の訓練ですよ。さらに上級職になろうとするための訓練があるときに、あるいは研修なんかがあるときに、これは企業が有給でやっておりますね、出張の命令を出したりして。その場合は女の場合も全部有給でやるというふうに解釈し、そして、そういう指導をしてくださいますか。
#144
○政府委員(遠藤政夫君) そのとおりでございます。
#145
○田中寿美子君 これは石本先生なんかもよく御存じだと思うのです。准看が正看護婦になるための資格を取るために、退職をして二年間の研修を受けるというようなことがあるんですね。その間、何にもらわないということになるんですが、こういうことについては何か方法がないかということ。それから保母さんの場合でも自費で研修を受けて、つまり資格が十分ない保母さんの見習いのときだと思いますけれども、そういうときに何らかの方法があれば、さらに婦人が職業能力を伸ばし、そしてまた、もう一つ高いところに、専門的なところに行かれるようにしていただきたいと思いますけれども、その手だてはありますか。
#146
○政府委員(遠藤政夫君) いま、御意見ございました看護婦、あるいは保母、こういったものにつきましては、実は所管が厚生省の所管になっておりまして、私どもの職業訓練の対象になっておりません。したがって、この点につきまして、どういう手だてがございますか、私どもいまのところちょっと申し上げかねますが、実は余談になりますけれども、私よりも専門家の先生のほうが十分御承知だと思いますが、いまから十数年前に、私こういう経験を持っております。美理容、特に女子の美容なんかの場合に一定年限学校へ行って、それからインターンを受けて試験を受けないと一人前の美容師になれない。その間は美容院に住み込みで働きながら、働かされながら、その間はもちろん給料はもらえない。学校へ行く費用も本人が出さなければならない。さらに食費なんかも取られる。こういう制度だったと私は思います。その当時、私は地方におりましたけれども、炭鉱離職者の子弟なんかを全部集団的に、当時私百人ほど入れまして、これに全部定額の給与を与えて、しかも学校の費用、インターンの費用を全部事業主に払わせると、こういうことで三年間で一人前の美容師にした、こういうことを業界と相談して実施したことがございます。私どもも訓練をやります以上は、事業主の協力を十分、これは強制はできませんけれども、こういう指導なり協力を求めて、こういう形で女子、勤労婦人の人たちに職業能力、技能を身につけさせて、そして職場に送り出してその生活を安定させる。こういう方向でやってまいるつもりでおりますし、過去にそういう経験も持っております。今後もそういう形で努力してまいりたいと、かように考えます。
#147
○田中寿美子君 さっき看護婦さんの問題、保母さんの問題、これは厚生省の所管だと言われたけれども、労働条件につきましては、私は労働省が当然所管するものだと思います。この問題は、午前中も保育所の問題で、厚生省の所管と労働省の企業内託児所の所管に関してお互い一歩も出ないような努力をしていらっしゃるような感じがいたしましたが、それでは困るので、働く者は一人でございます。ですから、その働く人の立場から考えていただいて、必要なことは厚生省からも労働省に申し入れるということでやっていただかないと困るもので、特に看護婦は非常に不足している時期で、准看護婦が専門の看護婦になりたいという努力に対して、私は働きながら研修を受けたりする者には当然のこれに対する奨学金なりあるいは補助金なりということがあってもいいのじゃないか、そういうことについての権限を一緒に持っていただきたいということを申し上げたいと思うのですが、いかがですか。
#148
○政府委員(高橋展子君) お考えはごもっともと存じますので、その具体的なことにつきましては、検討さしていただきたいと思います。
#149
○田中寿美子君 それから次に、「妊娠中及び出産後の健康管理」、九条、十条のところですけれども、それに関する配慮のところですが、母子保健法による健診ですね、これを受けるために勤務時間を変更し、勤務の軽減などの措置をとる、こういうことなんですね。で、これは具体的にどういうようなことを考えられているかということです。
#150
○政府委員(高橋展子君) 九条、十条の趣旨は、働いております婦人が妊娠また出産をするということが非常にふえてまいっております。その方々の健康というものが維持されますように、格段の配慮を事業主に要請している趣旨でございます。で、まず母子保健法に定めますところの妊産婦の受けるべき保健指導または健康診査を勤労婦人がきちんとできるようにするために、まず必要な時間について事業主はこれを与えるべきであることをこの法律で要請いたしております。また、さらに婦人がそのような診査を受けた結果、そこでは通常母子健康手帳でございますか、それを持ちまして、それに健康診断をいたしました医師あるいは助産婦が注意事項と申しますか、指導事項というものを書き込むようなシステムになっております。で、その書き込まれたところの指導事項、これを本人が守ることができるようにするためには、ここでまた事業主の格段の配慮が必要になってまいるわけでございます。すなわち、たとえば非常にその婦人がむくみがひどいというならば、それで従来立った作業をしているならばすわる作業にかえるということも必要でございましょうし、あるいは通勤等の非常に困難な状態にあるような場合、その出勤の時間等について配慮するということも必要でございましょうし、非常に多種多様な配慮というものがあるかと思いますが、総じていいますれば、その通勤してきますところの時間的な面の配慮であるとか、あるいは勤務の内容面の配慮であるとか、そのような点について事業主に努力を求めておるわけでございます。
#151
○田中寿美子君 労働婦人たちの要求の中に時差出勤あるいは労働の軽減、いま言われたようなこと、それから夜勤とか、残業を禁止すると、あるいは時間を短縮する必要のあるものは短縮すると、そういうようなことも含めた意味で労働の軽減、勤務時間の変更というふうな修正を、そういうものを含めてこの修正を考えていいか、労働婦人たちはそういうことを要求していたと思うのですね。それから自治労の甲藤さんが強調していたことは、時間を短縮した場合に、その短縮した分の賃金を失うことなくというようなことを考えに入れたいということを強調していたんですが、これは別にこの法律で命令することはできないけれども、法律の解釈としてはそういうことをも含めて「妊娠中及び出産後の健康管理に関する配慮」というのは考えるべきものだというふうに思いますけれども、いかがですか。
#152
○政府委員(高橋展子君) 労働時間を短縮する、あるいは特別休みを認めるというような場合に、その間の賃金をどのようにするかという点につきましては、もちろんそのような御意見があることは了解いたしております。しかし、この法案ではその点につきましては、その賃金をどうするか。つまり有給か無給かということについては規定いたしていないところでございます。まあ労使の自主的な決定にゆだねることが妥当である、このような考えをとっております。
#153
○田中寿美子君 全体としてこの法律案はそういう法律ですけれども、しかし妊娠中の女子を保護しよう、あるいは出産後の女子を保護しようという考えの中には、そういうことも当然入ってこなければならないと私は思います。後にILO条約のことを議論したいと思いますが、そういうものとの関連でもやっぱりそれは考えなきゃいけないと思います。
 それから「育児に関する便宜の供与」ですが、これは例の育児休暇あるいは育児休業の問題でたいへん議論のあったところでございます。第一番に女子教職員の育児休暇の問題、たいへん長くもめて、たぶんきょうごろ決定するのじゃないかと思いますけれども、三原則を非常に主張しておりました、選択制と原職復帰と有給制と。しかしまあ有給ということはノーペイで、なかなかそれを取ることはむずかしいというようなことで、おそらく、私はいまちょっとわかりませんが、そこのほうも無給でもこの育児休暇制をとるということにきまるんじゃないかと思いますけれども、そこで、看護婦さんやそれから保母さんの育児休暇の問題も出てきているわけですね。これは自民党のほうからの内田試案で出たわけですけれども、しかし育児休暇をほしいという婦人はやはり相当あると思われます。で、衆議院のほうの議事録で拝見しましたけれども、現在三%ぐらいが育児休暇を取っているというふうに、たしか局長が答えられていたかと思いますが、それはどことどこであるか。三%といいますと働く婦人の三%ですか、そうすると三十万くらいはあることになりますね。それと私は全電通のことは知っておりますが、それから民間なんかでそういうのがあるのかどうか。いま全専売でも取ろうと、つくろうとしているわけですが、どういうところが……。三%というと育児休暇の制度を持っているところでございますか。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#154
○政府委員(高橋展子君) 三%を詳しく言いますと、三・六%という数字でございますが、これは育児休暇制度、呼び名はいろいろでございますが、要するに育児休業の制度を持っておりますところの事業所の割合でございまして、働く婦人の割合ではございません。また、それらの事業所の分布といたしましては、非常に多いのが運輸通信業あるいはサービス業、卸売り、小売り業等でございます。
 個別の事業所の例はございますが、具体的な名前になりますので……。そのおもなやり方を申し上げることにいたしましょうか。
#155
○田中寿美子君 ちょっと代表的なものを言ってください。
#156
○政府委員(高橋展子君) これは先ほどお話の出ました電電公社等が代表的なものとしてかなり早くからやっていらっしゃるわけでございますが、そのほかに、民間の企業で、製造業あるいは百貨店等でそれぞれ近年にお始めになってやっていらっしゃいます。
 で、概要的に申し上げますと、大体その期間といたしましては、まあ一年間くらい――六ヵ月から三年ぐらいでございますが、おおむねは一年間くらいのところが多いようでございます。そして、まあもちろんいずれの場合も、任意制と申しますか、本人の選択によってそれを取得することができるということになっております。またその期間中の給与につきましては、無給とするものが大部分でございますが、例外的には若干の手当のようなものを支給しているような例もなくはないのでございます。
 それから復職時の任用といたしましては、原則的には前の職場に復帰するというようになっているようでございます。それからまた休んでいた期間について、たとえば退職手当その他の算定の際どうするかということ、これも各社によっていろいろでございますが、全く見ないというところから、かなり多くまで、つまり割合を多く見るところまでいろいろあるようでございます。
#157
○田中寿美子君 それで、今度三原則のことでずいぶんもめたんですが、この法律案で考えていられる考え方、つまり企業に対して、あるいは地方自治体やら国の機関に対してこの法律で労働省が進められていきたいと思っている考えの中には、選択制というのは当然任意にその本人がこれを取りたいと思えば取る。それから原職に復帰させるということについては、やはり原則として当然だと私は思うのですが、それはどう考えていらっしゃいますか。それから有給制については、出すことができないということで、こういうことになったということはわかっておりますが、これは有給であるか無給であるかは、それはそれぞれの労使の間の交渉でとるんだと、しかし制度としてはこれを認めると、こういうことですか。この三つの原則についての態度をお願いします。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
#158
○政府委員(高橋展子君) 本法案におきましては、ただいま御指摘の三つの原則につきましては、それぞれ以下のように考えられております。
 まず選択制ということは、これはもう明らかに条文の中でも「勤労婦人の申出により、」ということで、そのことを当然に考えております。
 それから原職復帰という点につきましては、この育児休業というものがこの条文にも書かれておりますように、「一定期間休業することを認める措置」というふうに規定いたしておりまして、休業という概念から、それはその期間中雇用関係を継続しながら労務の提供は行なわなくともいいという関係でございますので、その期間が終わりましたときはもとの職場に戻るというのが原則であると、そのように考えております。
 それから第三の有給という点につきましては、これはこの法案におきましては、労使の自主的決定にゆだねると、そのような立場をとっておるのでございます。
#159
○田中寿美子君 労働省の立場はわかりましたが、ただ実際問題で、かりに有給でなくても、この制度を発足させますと、育児休業あるいは休暇を取る人が出てきますと人員がそこで欠員してくるわけですね。そのあとの補充というものがなかったらそこで働く職場の同じ仲間の婦人あるいは男性になるかもしれませんが、のたいへん労働が過重になってくるわけです。ですから、ちょうど産休職員の補助職員の制度がありますね。これはやはりどうしてもそのあとの補助員のような者が必要だと思うのですが、この辺についてはどんなようにお考えになりますか。
#160
○政府委員(高橋展子君) 確かに一人の職員がかなり長期に休むということでございますから、その間の補充ということは必要になってまいると思います。ただそれらの点につきまして、これもやはり法律でもってそのやり方をどうするべきだというようにきめるという性格のものではございませんで、やはりまあ、主として事業主の努力と申しますか、考え方でその補充をする、あるいは労使の話し合いでその点を制度化すると、そのようになさるのではないかと思います。また従来から産前産後の休業の制度がございまして、これはまあ通算いたしまして十二週間でございますから、育児休業よりは短かいわけでございますが、まあしかし、やはり三月近く婦人が休むということは、一般的に行なわれていることでございまして、そういう期間、個別の企業においてはその間の人員の補充をする、あるいはローテーションを考えるというような努力はされてきておることと思いますので、それがやや期間は長くなるということで、なかなかこれは管理という上からはもちろん大きな問題もあるかと思いますが、やはりそのような努力を期待するということになるかと思います。
#161
○田中寿美子君 今後これが制度として発足をしますと、たとえば地方自治体でも看護婦さんや保母さんに適用したい、あるいはほかの職種でもこれは当然要求として起こってまいりますと相当欠員も出てくる。これに対する補助職員のことを考えておきませんと、私はそれは、行政指導にしましても非常にたいへんになってくる。またそこに問題が起こってくる。それからもう一つは、これは地方自治体に働いている人たちがいつも痛感しているんですが、たいへんこのごろはパートを入れたり臨時職員を入れる。だから育児休暇をとった、それはちょっと臨時職員で埋めておこうというようなやり方をされる可能性があるので、代替職員の配置ということをちゃんと考えなきゃならぬと思うんですね。そこら辺も問題として起こってくるので、そこら辺についても労働省がきちんとした考え方をもって指導するということを私は要望しておきます。
 それから時間を急ぎますので、保育所と企業内の問題ですが、先ほどから保育所の問題が出ましたから、あまり多くは言いませんけれども、企業内託児所が私は全然必要ないとは思わないわけです。というのは、たとえば病院の看護婦さんなんか夜勤がありますわけで、夜間は保育所というのはほとんどいまはありません、ですから企業内にあれば便利だということもあるし、たとえば専売公社なんかは長年にわたって企業内の託児所を持っているわけですね。問題は、その企業内託児所に関しては、企業のものであるから、だから児童福祉法にいう、そういう措置が及ばないというところで、大きな企業の場合はちゃんとするけれども、中小企業でいま人手不足なもんだからちょっと託児所を置くということがあるんですね。その場合に非常に条件が悪くなるということがありますので、それらについてはもっと管理監督を労働省としてすべきだと思うんです。いかがですか。
#162
○政府委員(高橋展子君) 私どもも企業内の託児施設というものの必要性、特にその母親の勤務時間との関連などでその必要性が大きいこと、また地域の保育所が必ずしも十分でないという点からいいましても、働く母親にとってその企業内の保育所が非常に重要な福祉の役割りをしていることを認識しているわけでございます。そのために事業主の自主的な努力というものを大いに助長して、よい設備を持つ施設をつくってもらうように指導、援助につとめているところでございます。
#163
○田中寿美子君 保育所についてもう一点私つけ加えておきたいのは、先般も私ちょっと沖繩の問題でやったときに申し上げましたけれども、沖繩には復帰前、直前に参りましたときも、保育所が非常に不足でして、たくさんのおかあさんが働いていて、昼夜預からなければ、サービス業が多いものですから働けないので、いわゆる預かり屋さんというのが非常にたくさんある。ちょっと町を歩いているだけで、「乳児預かります」、「二十四時間預かります」というような看板の出た家がたくさんあったわけです。このようなものは児童福祉法にも違反しているのが非常に多いし、働く婦人の立場からもぜひこれは実態をよく調査して今後の方針についてはよく厚生省とも相談をしていただきたいと思います。
 次に、働く婦人の母性保護についてなんですが、母性保護は、婦人が職業能力を生かす上になくてはならないんですね。婦人がいろいろと差別されるのは母性がある。これは何も女が望んで持ったものではございませんけれども、私は社会的な任務だと思いますが、子供を産むという機能を与えられている。そこで、これを保護することは、私は当然女性の権利だというふうに思うのですけれども、その辺について労働省――これは労働大臣に伺いましょう、労働基準法の改正論というのが一部の財界のほうにありまして、二年前に東京商工会議所が意見書を出しましたですね。母性は過保護だ、婦人労働者は過保護である、だから請求権という保護規定は除け、それからパートで働く婦人がたくさんいるが、あれは労働婦人に対する労働基準法の適用からはずせというようなことを申しまして、母性保護があることはいかにもよけいなことだという考え方が提出されております。労働省としては、こういうことに関してどういうお考えを持っていらっしゃいますか。つまり、母性保護に関して基本的にどういう態度か。それから東商の意見、過保護に対してどう思いますか。
#164
○国務大臣(塚原俊郎君) 母性保護を第一義的に考えるべきものであると考えます。したがって、商工会議所から出ましたのは行き過ぎであって、これは改めるべき、考えを改めるべきであると、私は思います。
#165
○田中寿美子君 そういう意思表示をなすったことはございますか。あれはずいぶん騒がれたので、働く婦人の間では有名な意見書なんですがね。
#166
○国務大臣(塚原俊郎君) 商工会議所の方と、公式にそういうことについての議論はいたす機会はいままでございませんでした。大会において、私お話は申し上げたことはございまするが、そのときは福祉優先、人間尊重というたてまえから私の労政のあり方を、演説でありまするが、それは申しておきました。しかし、個々の問題について具体的に会うような機会はいままでございませんでしたが、今後ありましたならば、私の考えを率直に申し上げたいと思います。
#167
○田中寿美子君 問題になっております労働基準法の改正、労働基準法研究会ですね、これに対して働く婦人はたいへん疑いを持っているわけです。特に、東商の意見書が出されまして以来、やっぱり婦人は過保護なんだというような考え方が相当風摩してきて、職場によって母性保護を取ろうと、縮小しようとしているところがだいぶあるわけなんです。これは私鉄なんかにもあるし、全日通にもあるし、慶応病院なんかは生休の有休制を取り上げちゃいましたよね。それから最近訴えられたんですが、日本中野篩絹労組――繊維労連ですね、生体を買い上げ制度といいましょうか、二日間で四千円、皆精勤手当みたいな形で出す。だから休んだら四千円は引くという、こんなのは労働基準法違反ではありませんか。
#168
○政府委員(渡邊健二君) 生理休暇につきましては、基準法では一定の要件を満たす者については請求があればこれは生休を与えなければならないことになっておるわけでございまして、使用者がもしこれを与えないといたしますと基準法六十七条違反になるわけでございまして、その点につきましては私どもも厳格に勧告をいたしておるわけでございます。ただ、いま言ったようなことが、具体的に与えなかったことなのかどうか、その辺はよくお話ではわかりませんが、もしそれが生休をなるべく請求させない、こういうねらいをもってやったとすれば、これは基準法の精神から見て好ましくないことであると、かように考えるわけでございます。
#169
○田中寿美子君 買い上げですね、一日二千円で二日間でいままで有給の生休だったんですね。それをとったから四千円差し引くということは、これは違反じゃないですか。
#170
○政府委員(渡邊健二君) 六十七条は請求したときには与えなければならないということでございます。したがって請求がなければ与えるべき別に義務はないわけでございます。買い上げということがどういう趣旨かよくわかりません。どこでも精勤手当等がございますので、無欠勤の者に対してそれだけ多く出るということはあり得るわけでございます。ただ、生休だけ等を目当てにいたしまして、六十七条の請求をさせない。そういうねらいがもしあったとすれば、これは基準法の趣旨から見て好ましくないことだと存じます。
#171
○田中寿美子君 だから使用者は巧みになりましてね、有給の生休を協約でとっていても、今度はそれをとらせないようにすると違反になるから、皆精勤手当というふうにして出しておいて、それで生休をとったら今度は四千円差し引く、こういうような措置をとっているのですね。ですから、これはまあよく調べていただいて、こういったようなやり方で、そのすでに持っている母性保護のいろいろな基準法上の規定がくずれてきつつあるということなんですね。それでそういうときに労働基準法の研究会をしていられて、私、そのこと自体が何を目的としているかということはあとでお伺いしたいと思うのですが、ここで母性保護に関するILO条約のこと、さっきもILO条約の話がちょっと出ましたけれども、九五号条約、母性保護に関する条約ですよね。このほかまあ婦人労働者からは一〇二号、一〇三号、一一一号、八九号なんかを批准してくれという要求がございます。私は母性保護の条約に関してだけ申し上げますけれども、一〇三号条約がなぜ批准できないのか、その理由を、どうして批准しないのか。一〇〇号条約、同一賃金の原則のところは批准しましたね。あれ以来ちっとも批准しないんだけれども、なぜ一〇三号が批准できないのか理由をお聞きします。
#172
○政府委員(高橋展子君) 一〇三号が批准できないと申しますか、批准しておりません理由は、これは労働基準法その他国内法との相違があるからでございますが、その相違点のおもなものといたしましては、たとえば出産休暇の期間がございますが、その間の休業中の金銭及び医療の給付ということが一〇三号条約でかなり大きなウエートを含めております。その条約によりますと女子が出産休暇によって休業している間には強制的社会保険、または公の基金から金銭給付及び医療給付を受ける権利を有することになっておりまして、金銭給付は従前の所得の三分二以上とこのようになっておるところでございます。また医療給付につきましては、これはその金銭ではなくて産前、分べん、産後の医療そのものをストレートに給付するとこのようになっております。御存じかと思いますが、日本の場合はこの休業中には標準報酬日額の百分の六十がこれは健康保険法によって支給されるということになっております。ILO条約では所得の三分の二という、日本の場合は百分の六十といい、そこはわずかな差ではございますけれども、形式的に相違があるということになりますし、またわが国の場合はその医療給付ということはうたわれておらないとなっております。あるいはまあ育児時間の取り扱いが一〇三号条約につきましては、これは労働時間として計算する。そしてそれに応じて報酬を与えるとなっておりますが、わが国の基準法の場合には育児時間の定めはございますが、有給とすべきことについての規定はございません。
#173
○田中寿美子君 ですから、日本の労働基準法よりはるかにみんな上回っているわけですね。産休でも十二週間で、産前産後両方とも強制しろ、産後六週間が強制になっていますね。この一〇三号条約では、そのほかもしも産前が長引いたら、その分、産後延長し、強制休暇与えろとか、日本の労働基準法を上回っているわけです。つまり母性保護がいまの労働基準法よりはるかに強い形で一〇三号条約が出ているので、私は批准ができないんだと、国内法と合わないから批准ができないんだと思うわけなんですが、それならば今後、労働基準法の改正にあたって母性保護についてもっとこれを拡張していくという気があるのかどうかということなんです。それは労働基準法の研究会の婦人労働の小委員会でいま何をしていらっしゃるのか、中間報告はまだ出ていませんけれども、現在までにある母性保護の規定を縮小する方向に向かおうとしているのか、そうじゃなくて、さらに母性保護を強めていって、女の人がほんとうに男女が平等の立場で働けるための母性ということなのか、楽にさせなければいけないという立場に立っているのかどうかということなんです。
#174
○政府委員(渡邊健二君) 基準法研究会は、先生も御承知のように、制定後約四半世紀たちまして、基準法の運用の実情及び問題点につきまして、最近の社会情勢あるいは職場における事情の変化等々の観点から研究をいたしていただいておるわけでございます。もちろんその検討にあたりましては、基準法の基本的精神というものの上に立ちながら、最近の事情から見てどういうふうに運用されており、問題点があるかということを研究願っておるわけでございまして、先生いまあげられましたようなILO条約等々は当然その研究の際の委員方の考慮の中に入っておるわけでございまして、そういうことを含めて現在検討が続けられておるところでございます。
#175
○田中寿美子君 それじゃ既定の方針があって、それに当てはめていくというような形ではないわけですね。それだけは確認しておきたい。つまり、いままでの労働基準法の保護規定を縮小しようというような考えではないということは明らかにできますか。
#176
○政府委員(渡邊健二君) 先生が先ほどあげられました当省の意見その他等々いろいろの意見は出ておりますけれども、保護を縮小するとか、そういう前提で研究をいたしているわけではもちろんないわけでございます。
#177
○田中寿美子君 ちょっと心配なことばがありますがね。これは今後監視していかなきゃいけないのですが、そこで、母性保護に関しては、九五号勧告、一二三号勧告、両方まだ――さらに勧告が出ている、この勧告に至ってはさらに一〇三号を上回っているわけですね。九五号勧告は産前産後休暇を十四週間に延長せよ、それからさらに給付を高めていけということがありますね。それから産衣といいますか、うぶ着ですね。その費用を出せとか、牛乳や保育手当を給付せよとか、それから乳児をかかえているおかあさんの保育時間を一時間じゃなくて一時間半にせよとか、強制的な社会保険で保育所をつくれとか、手作業に移せとか、たいへんさらに進んだ母性保護を要求しておりますし、一二三号勧告は、もう先ほど説明ありましたように家庭の責任を持って働くおかあさんが差別を受けないで十分に働けるようなあらゆる努力を国と企業と、また労働組合もやらなきゃいけないというようなことであったと思います。ですから、母性保護ということについて、私は基本的に労働大臣は第一義としますとおっしゃいましたけれども、これをどう考えるかということが私は婦人解放のかぎみたいに思っているわけなんですがね。
 それでもう一つ、これは母性保護と大いに関係のあると思うのですが、夜業、深夜業ですね。夜業に関する条約がありますね、九八号。夜間というものの定義ですけれどもね、日本の労働基準法の深夜業とそれから八九号でいう夜間作業とはちょっと違うと思うのですが、ここをちょっと説明していただきたい。
#178
○政府委員(高橋展子君) ILO条約のほうで夜間として定義いたしておりますものは、これは工業的企業に限っておりますが、工業的企業における二十二時から七時までの継続七時間を含む十一時間、これが夜間労働の定義として設けられております。で、わが国につきましては、労働基準法におきまして午後十時、つまり二十二時から午前五時まで、これを深夜としておるわけでございます。
#179
○田中寿美子君 で、その間をいまの八九号条約では夜の十時から朝の七時までの間におくる少なくとも七時間継続して働かせる、その時間を含む十一時間の継続した時間を夜間という、たいへんややこしいけれども、結局夜の十時から朝の七時までの間を含めて、そしてその前なりあとなりの十一時間の中で働かせるということでしょう。そうしますと、これは私、専売公社の例ですけれども、去年二交代制勤務の問題が非常に騒がれた。おととしから去年にかけて二交代制勤務を導入するときに非常に騒がれて、私も専売公社総裁とだいぶ言い合いしたところですけれども、朝六時半から勤務して夜の九時半、あるいはその間、早番の人は六時半から二時までですかね、おそ番は二時から九時五十分、まあ十時。それは夜間の中に入っていますね。この八九号条約の規定からいえば夜間ですね。日本の労働基準法ではこれは夜間作業にならないわけですね。
#180
○政府委員(渡邊健二君) いまの先生がおあげになりました例、わが国の基準法で申しますと、これは別に深夜業に触れないわけでございます。で、ILOの条約の例で申しますと、もしそのおそ番と早番の交代の際に、前の日の夜の九時五十分まで働きまして、そして翌日六時半にもし早番で出なくちゃならない人があったということになりますと、これは前の晩の九時半から朝の六時半と申しますと、その間、夜の十時から朝の七時までの間における継続七時間、これは要件を満たします。継続七時間をその中に含みますから入りますが、それを含む十一時間というのには、その前の晩の九時半から翌朝の六時半までございますと十一時間ございませんので、それには触れることに相なると存じます。
#181
○田中寿美子君 深夜業をどうとるかということは、それは各国で違うので、ILO八九号条約にしても、さっきの一〇三号条約にしても、批准している国を見ますと非常におかしいんですね。いわゆる先進西欧諸国や日本はほとんど批准していなくて、発展途上国のようなところばかり、それから社会保障に関しては北欧や福祉国家は批准しておるけれども、一体ILO条約というのは世界じゅうの労使と三者構成でやってきて議論するのに、いいことはきめておいて、そうして先進国はみんな批准しないという、全く不まじめな態度、これはどういうことかと思うんですね。日本などはILOの理事国でしょう。大臣は率先して母性保護を第一義とする方針ですから、さらに進めていって一〇三号条約を批准できるような方向に母性保護を手厚くしていくというお考えはありませんか。
#182
○国務大臣(塚原俊郎君) 日本はILOの加盟国でありまするから、批准については最大限の努力をしなければならないことは言うまでもありません。いまの一〇三号条約について先進国のお話がございましたけれども、私の記憶するところでは、まだこれは承認しているのは十四ヵ国しかないんじゃなかったかというふうに思っておりまするが、確かに先進国は批准してない国が非常に多いというふうに私ども承知いたしております。冒頭に申しましたように、日本もILOにおいてはかなり重要な役割りを果たさなければならない立場にもありまするので、今日、国内法との関連その他においてまだ困難な点もあるかとも存じまするが、それこそ前向きにこの問題とは取り組んでいかなければならない。そうでなければ、私が先ほど申しました母性保護第一ということも、田中先生からうそではないかというおしかりも受けまするから、私はそういうかまえで今後とも臨んでいく考えでおります。
#183
○田中寿美子君 日本にはたいへん詳しい労働基準法があるもんですからね、なかなかこのために進んで国際条約には批准もできないというような状況にあると思うのです。そういう意味では労働基準法を考えるときには気をつけていただきたいということを念を押して申し上げておきます。母性保護の問題に関連しまして、私は婦人少年行政の任務、最初に私が婦人少年局との関係も申し上げましたけれども、任務や、それからことしアメリカの憲法が修正されて、憲法の中に性別による差別を取っ払ったということによって母性保護が取り除けられようとしている状況について少し触れてみたいと思うんですが、私は婦人少年局というのは、私が最初に申し上げましたように、自分が施行するところの強力な法律は持っていないけれども、特異な存在だと、だからいろいろ調査、現場の労働婦人や農村やそれから家庭の婦人の地位なんかについても調査はずいぶんやっているし、それから、その関係している行政官庁の間の調整役もしてきた、たいへんユニークな存在だし、それからほんとうに婦人の地位の向上や解放を目ざして出発した機関である、こういうふうに思っているわけなんですが、そこで労働婦人の意見あるいは婦人団体――活発に活動している婦人団体の意見そういうもの、それから保守側からも革新側からも十分取り入れて婦人少年行政を今後やっていっていただきたいということをまず注文として申し上げたいのですが、労働大臣いかがですか。私、労働省婦人少年局は戦後の占領下にできたものですから、アメリカの婦人局をかたどってつくられたと思います。それで、アメリカの婦人局にも私何回か行ったことあるけれども、労働婦人を絶えず集めてその意見を聞いておりました。だから諮問委員会、そういうようなものも持っておりました。そういうことを婦人少年行政の中では特にやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。現在でもやっているというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、私たちとしてはまだ不十分に思うのです。
#184
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほどの労働省の設置、それから婦人少年局の設置がきわめてラジカルなものからスタートされたという田中委員のお話でありましたが、今日では明らかに民主主義の原理にのっとり、働く者の味方として、ことに婦人の立場を擁護する立場に立って、その行政を進められておると私は考えております。
 それからなお今年から、勤労婦人に限らず、あらゆる婦人に対する実態調査というものを婦人局が中心となって調査を開始いたしました。なるべく早い機会に結論が出ることを私たちも望んでおります。
 それから御指摘の各団体、その他たくさんございます。もちろん国会の御意見、それからそういう団体の御意見、それから日本という国はまだまだ、民主主義の国となって大いに発言をすべきであるとは言いながら、ものを言うところにはもちろん世論もあるでしょうが、案外ものを言わないところに世論のある、そういう国柄であるということも考えまして、今度の全国の実態調査もあわせ、そういうものも加味いたしまして、婦人の状況というか、婦人の態様という、そういうものを完全に把握いたしたいと考えております。
#185
○田中寿美子君 それで、さっきから議論してまいりました。男女差別、それから母性保護の関係の問題ですけれども、私は母性保護が完全にやられて初めて男女が同じ立場に立つというふうに考えているわけなんですが、そこでアメリカで憲法の修正があった、一昨年の夏に下院を通りました。これは長い、長い間、修正要求して、婦人運動がそれをやっていたわけなんですが、それは男女差別、性による差別をしないという憲法の中に一項目を入れるのにすぎないことなんですけれども、長い間、それに対する反対があってできなくて、ようやく下院を通って、ことし上院を通りましたですね、ことしの三月。で、これは五十州のうちの三十五州ですから、批准したら初めて効力を発生するということになって、それでこのことを非常に私たちから見れば奇異に感ずるわけです。日本には日本の憲法十四条で法のもとの平等ということがある。性別による差別をしちゃいけないということがそれは高らかにうたわれていて、そうして、労働基準法なんかでは母性保護なんかがまたちゃんとうたわれているわけでしょう。ですから、性別による差別をしてはいけない。男女平等の原則と母性保護とは相反しないと私は思うんですけれども、この点についてどう思われるかということと、アメリカの場合、憲法で、その男女の差別を撤廃したら、州法の中にある労働保護、特に弱い立場にありますところのサービス業、卸売り、小売り業の婦人たちのような未組織の多い労働婦人がいままで受けてきた労働保護を奪い取られてしまう。完全に男女平等のところに置けということは保護も与えるべきものではないというねらいがあるように思うんですが、この辺をどういうふうにお考えでございますか。
#186
○政府委員(高橋展子君) アメリカの憲法修正につきまして私どもの理解しておりますことをちょっと申し上げますと、このアメリカ憲法の修正という考え方は、もう五十年ぐらい前からアメリカの婦人団体、あるいは婦人議員の方々を中心に進められてまいってきたことであろうと思います。それで、その場合、アメリカでは御存じのように、各州が別の法律を持っておりまして、それぞれの法律、州法の中でそれぞれ男女の地位につきましても異なる規定を持っておるということが非常に大きなこの修正案の理由になっていると思います。で、州によりましては、たとえば婦人が州立の大学に入るというような場合に制限を加えたり、あるいは地方の公務員になるというときに、たとえばそのパーマネントといいますか、正規の職員にしないというようなところがあったり、あるいは陪審制がございますが、陪審員になることを女子には制限をしたりというようなこと、あるいはいわゆる妻の無能力といったような制度がまだある州がありましたり、まあ種々雑多でございます。で、それらを改めて全部法のもとの平等を確保しようというのがこの運動の基点であるわけでございますが、その際アメリカのこの修正運動の展開の過程の中で婦人の労働の場における保護、これも差別の一つであると、このような認識が次第に強まってまいってきたように思われます。で、たとえば婦人の労働時間、あるいは重量物の持ち上げ等について特別の制限を設けるというようなことは、本来は婦人の保護ということからスタートされたものであったにせよ、非常に技術革新が進んできております今日、近年ではそれらはむしろ有利な職場から婦人を締め出すんじゃないかと、さような議論が盛んになってきたように伺っております。まあ、いずれにいたしましても、その男女差別ということの中に、この婦人労働の保護ということを含めて考えてこられたというのがアメリカのこの修正運動の非常に大きな特徴でございまして、したがいまして、その修正案というものがこの五十年の長きにわたって非常に大きな論議がありまして、なかなか結着がなかったように思います。で、その点につきましては、最初はこの運動を進めておりましたが、いわゆるフェミニストと申しますんでございましょうか、女権拡張論という方々の手によって行なわれ、それに対して婦人労働者は反対をすると、こういう形でもまれてきたように理解いたしておりますが、次第に婦人労働者と申しますか、働く婦人の間にもいま申したような議論が強くなってまいりまして、特にいまから十年ほど前にアメリカで公民権法でございますか、これができまして、雇用の上で男女の差別をしてはいけないという連邦の法律ができました。それに基づきまして州法が次々と改正されていきまして、かなり婦人の保護というものは何といいますか、撤廃と申しますか、つまり裁判で違法とされて州法が改められてくるという傾向等があったようでございます。
 そのような経過を経まして、最近、一昨年でございますか、まず下院を通過いたしまして、そうして今年の三月でございますか、上院を通過したと、このような経緯があったように私どもは了解いたしております。
 なお、このような修正を行なう前に、やはりアメリカ大統領の委員会で婦人の地位委員会というのがございまして、そこでその委員会がさらにその研究班というようなものを設けてこの問題と取り組んだようでございます。そうして、そこの報告が一九六九年に出まして、そこの報告の中でやはり男女はすべての面で平等に扱われるべきだということがうたわれましたし、また政府機関であるところのアメリカ労働省婦人局などもそれをバックするということを明らかにして、そのような世論の転換の中で最近この修正案が通ったというように私どもは理解いたしておるところでございます。で、一般に婦人の保護と、それから平等というこの二つのまあ二律背反といいますか、その二つの面の要請というのが婦人労働の大きな課題であるかと思いますが、その件につきまして、アメリカではこのような一つの考え方に到達したと言えるかと思いますが、この婦人の保護と平等という問題が、これはやはりそれぞれの国の産業の発達段階であるとか、あるいは労働条件の状態であるとかあるいは社会生活の実情であるとか、そのような背景によりまして非常に変わるものじゃないかと思います。で、保護の要求が非常に強い場合もあれば平等の要求のほうが強くなる場合もあるようでございますが、いずれにせよ、それぞれの国の実情でまた歴史的にいろいろ変わりゆくものではないかと思っております。
#187
○田中寿美子君 婦人問題を考える際に、一番私は重要な問題だと思うのです、これが。それで、平等と保護と申しますけれども、母性保護、私は保護ということばが正しくないかもしれないと思っておる。母性の権利というほうが正しいかもしれない。母性というのは、まあ人間の種族を産み出す機能を与えられているものだ。これは社会的な任務であるから、これが無事に果たせるようにするということを保護と呼ぶならば保護は女にとって権利である。だから、その権利ということと平等ということは相反しないというふうに私は思うので、徹底的に母性が保護されてハンディキャップにならない、じゃまにならないように、女が子供を産み、家庭を持つことで男性と人間において苦しみ方が違うというようなことでないようにしなくちゃならない。そういうことであって初めて平等になるのだというように思うので、その辺でいまのアメリカのこの変わり方ですけれども、ケネディ大統領のときの委員会では保護を打ち出しておる。ニクソン大統領になってこう変わりました。というのは、まあアメリカにウーマンリブの運動も起こってまいりました。そしていまおっしゃったように、民法上の差別がまだ各州に残っていたり、また陪審員になることについての差別があったり、アメリカには相当差別が残っていた。それに対するふんまんと、それから職場において男性と対等に進出できない原因を憲法の規定の中に持っていったというふうに思うんですが、実は私はこの憲法の修正に関する公聴会の公述人の公述を幾つか読みまして、中でホテル、レストラン、それから卸売り、小売り業など、つまりアメリカで下積みの労働者を代表する人の反対の公述を読みました。この人が言っているのには、あの憲法の修正、その私は男女差別がないという憲法を持つことはけっこうなことだと思うんですけれども、そのことが婦人労働の保護をだめにしてしまうような仕組みというものに対して反発しているわけです。で、だから労働保護も全部取っ払ってしまえというような意見は一部のエリートの意見である。自分たち五百五十万人のホテル、レストランのサービス業、五百万人の卸売り、小売りの婦人、月収は日本のお金にして十万円以下、アメリカの賃金は日本の二倍から三倍ですから、十万円というのは非常に低いんで、この人たちにとって法律上の女性の保護、労働婦人の保護というのは非常に大切なものであるのに、それが無組織であるということも手伝って労働協約でも取れない、何の保護も受けられないようになってしまうということが憲法の平等の宣言と、何といいますか、交換で取り去られてしまうということを非常に憤慨した公述をしております。で、私は日本が憲法十四条で法のもとの平等をうたっていて、そしてすべての面での男女の平等の法律を持っているけれども、同時に婦人労働の保護、母性の保護を進めてきたということはアメリカより進んでいるんじゃないかと思うんです。この問題で間違った方向に考えないようにしていただきたいと思うんです。ウーマンリブの主張の中にはおもしろい主張もありますし、賛成するところもありますけれども、私は、こういうことのために、たとえば危険有害業務の制限、重量物の取り扱いの制限、重量物は機械を使えるかもしれません。しかし、危険有害業務というものの中に新しい有害物資がいっぱい入ってきている、そういうところで、子供を産む母体を持っている女の人を使うことの制限を取りはずすということも反対でございます。ですから、こういう点で東商に代表されるような母性過保護論、これとまた男女は全く同じにしてしまえというエリートの意見とが偶然に一致しているような感じがいたします。その辺は婦人行政を扱う労働省、労働大臣は特に気をつけていただきたいと思いますので、最後に特にそのことを要望し、労働大臣の御決意を伺って終わりたいと思います。
#188
○国務大臣(塚原俊郎君) アメリカの憲法問題についての質疑応答、私も非常によく勉強になりました。私もこれについて関心を持っておったのでありまするが、日本の場合でも田中委員はすぐれておるというお話でありまするが、われわれはやはり世界各国のいろいろな例も全部勉強をしなければなりませんが、やはり日本は独自で主体性を持って今後婦人問題に取り組んでいかなければならないことは言うまでもありません。ウーマンリブで左右されるとか、女性はかよわいものであるというような考えは毛頭ございません。われわれはあくまでも憲法十四条に規定されたその趣旨にのっとって今後の婦人問題というものを進めていかなければならないわけであります。
 それから母性第一ということですが、やはり母性を守るためには男の責任があることは言うまでもないのでありますから、その点、決してフェミニストぶるわけではありませんけれども、そういう観点から婦人少年局のあり方、婦人少年室のあり方、婦人問題の展開というものが進められていくことを望み、またそのための努力は惜しまないつもりであります。
#189
○高山恒雄君 だいぶんいろんな御質問がございましたので、私もダブらないような方向で御質問申し上げたいと思います。
 きょうは全く婦人の方々三人の御質問で、黒一点といいますか、質問は基本的理念に対するその立場で質問するわけです。
 勤労婦人問題のここに初めてこうした法案を提案願ったということは、私はまあ一応敬意を表したいと思うのです。しかし内容を見せていただきますと、先ほどからお二人の方から御質問がございましたが、ほんとうにその女性としての特異的な保護と申しますか、いわゆる憲法十四条の男女平等性の問題、それから母性保護に関する基本的な理念、こういう問題を何としてもやっぱり婦人の立場からいえば重要視しなければならない大きな問題だと思うのです。それがゆえにこそ勤労婦人の福祉のための法律を制定する、こういうことになるのでありますから、これが最も重要だと私は思うのです。その基本的な理念がやっぱり流れていないところに、この全体の法律の内容を見ますと訓示法みたいなふうに変わってきているのではないか、何としても指摘をせざるを得ないと思うのです。この点はどうしてこの立案に対して基本的な原則の中にまずうたうことができなかったのか。一応男女平等の点は修正をされましたけれども、どうしてこれが入れられなかったのか、その経過と考え方をお聞きしたいと思う。大臣、ひとつ。
#190
○国務大臣(塚原俊郎君) これは勤労婦人の基本法ともいうべきものでありまするので、やや努力目標だけに終始したという御批判があることを私はよく承知いたしております。それから男女平等の思想に立っておることは、これは先ほどから何回もお答えしたところでありまするし、特に政府の段階における修正も、皆さんの方の御意見――各党一致でこの問題も修正がきまったわけでありまするので、男女の性別という、それからあくまでも平等というこの方針は貫いておるわけであります。その他各条についていろいろ御不満の点、御批判の点があることは私も十分承知いたしております。しかし基本法としての考え方から、まあ婦人局を中心として、これだけのものがつくられたということは、私は皆さん方の御努力を多とするものであります。
#191
○高山恒雄君 そこでですね、やはり基本法なるがゆえにこそ、私はたとえば育児の休暇、これは最高、最低という期間があるんです。これは見のがすことのできない重要な問題です。さらに育児休暇中における賃金や俸給の取り扱い、出産に対する、それを理由としての解雇の禁止、これは先ほど柏原先生からも御質問がありましたように、労働基準法の六十五条、六十六条に基づく脱法として許されないということで婦人が提訴しておったことが条章として現実に法律で出ております。こういうことは法律で解決をつけなくちゃならないような重要な問題であるためにこそ、この憲法にうたわれておる平等の精神と母性保護という重要な課題を骨組みにしなければならぬ、こういうふうに私は考えます。なおまた、育児休暇後における前職の復職保証、これはもっとも婦人には大事な点だと思うのですね。何としても、男性よりも婦人のほうが私は職場においては十分な発言もできぬし、弱いと思うのですよ。こういう点こそ、ここの基本法ともいうべき新しいこの法案になぜ盛り込まなかったのか。
 なお、勤続の問題ですが、休暇後の継続の取り扱い、これは労働協約でやればいいというようなことも言えるだろうと思うのですけれども、婦人の立場からみれば、私はやはり指導理念の大きな課題の一つとして入れるべきだ、こう思うのです。
 なおもう一つは、この授乳、世話に要する特別の休憩時間を与える、これはなかなか、言うはやすしで、やらないと思うのですよ。それで、やらないことをやらすような方向に持っていくのが私は今度の福祉法だと、こう考えるのです。こういう問題をほんとうに入れておかない、明記していないということから、あまりにもこの訓示法そのものが一そう、やらぬでもいいんじゃないかという、石本委員が言われたような解釈が成り立つわけなんです。これは非常に残念なことだと私は思うのですよ。重視するがゆえにこそ、過護法としての批判を逆に受けるのじゃないかという、これも田中委員が言われました。こういう基本的なものは憲法で保障されている、あるいは母性保護というのは基準法で完全に保障されている。保障されておるものを実施させるための指導理念として、労働省としては少なくともこれを入れておくということで私は指導ができると思うのですよ。そういう指導の中にこそ、今度の法案に書いてございますように、たとえば今度の第二条ですか、「しかも性別により差別されることなくその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むことができるように配慮されるものとする。」――あくまでもこれは配慮ですから、だからこういうものを入れて、まだ配慮ということであるならば、私は労働省の基本的なものとしてはまだまだいいじゃないか。あるいはまた三条の「勤労婦人は、勤労に従事する者としての自覚を持ち、みずからすすんで、その能力を開発し、これを職業生活において発揮するように努めなければならない。」ということは、労働者に対するこれは一つの訓示ですわね。労働者がそうつとめなくちゃいかぬ。したがって、先ほど私が申しましたような基本的な理念が挿入されておって、そうして労働者自身もこうしなくてはいけませんよという一つの基本原則が、労働者に責任を負わすという点は、これならまだいいと思うのですね。そういう問題が非常にこれは抜けているということについては、私は逆にこの前文から申しますと、何だい、女性なるがゆえに特別の保護をするということはおかしいじゃないかという批判が出かねない。私が言った、この六つの問題が挿入されて初めて母性というものに対する国民の理解、あるいはまた経営をなす現地にいる職場監督者の理解がそこで初めて生まれてくる、これが抜けているということは非常に私は残念だと思いますが、これはまあ局長、今後直接取り扱う場合の、施行にあたってはやられるわけですが、どうして労働省としてこれを強く挿入することに努力されるのがそんなにむずかしかったのか、お聞きしたいと思います。
#192
○政府委員(高橋展子君) あるいは御質問の趣旨を十分に理解し得なかった点があるかと思いますけれども、一つには基本理念という点であったかと思いますし、もう一つは、それを具体化してはっきりともっと書くべきことがあるのではないか、そのような理解でお答えさせていただきたいと思います。基本理念といたしましては、この法律におきまして初めて勤労婦人というものを一体的にとらえまして、その特質がここにある、したがってこのような配慮が必要だということを法律の形、すなわち国の意思として明確にいたすということを試みたわけでございます。従来いろいろな労働関係の法令あるいはその他の関係法令で、もちろん勤労婦人に対する各般の保護や福祉は行なわれておりますが、しかしそれはそれぞれの一つの専門的な角度からの保護、福祉でございます。勤労婦人というものがどのようなものとして考えられるべきかというような全体の像というものを理念的にうたうということは今回が初めてでございまして、そのためにこの二条をこのように設けるにつきましては、審議会で非常に念入りな御審議を願って、勤労婦人の特質はこのような二点を持つものであり、そのゆえにこのような配慮が必要であるということを明確にいたしたということでございます。私どもといたしましては、このような二条を設けたことによりまして、今後勤労婦人対策というものが関係者のみな共通の理解認識のもとに進められていくということが期待できると思うのでございますし、特に関係の法律の施行にあたりましてはそれぞれの法律がこういう理念を踏まえて勤労婦人の福祉のための施策を進めていくということが大いに期待されるのではないかと思っております。
 それから第二点と申しますか、先生お尋ねの育児休業の措置等についてもっと詳細に規定を設けることが必要であったのではないかという点でございますが、まあこれも非常にむずかしい問題といいますか、重要な問題としまして審議会においても論議され、また事務的にも検討いたしましたし、また関係機関との御相談等もいたしたわけでございます。この法律では、対象として全産業の、全事業所と申しますか、そういったところに働く全勤労婦人を対象とするものでございます。したがいまして、たとえば育児休業の制度と申しますか、その実施につきましても一律にたとえば一年であることが一番いいとか、三年のほうがもっといいとか、そういうことをきめるということは非常に無理なことでございますし、また、その間の賃金と申しますか、そういったことにつきましても、これも一律にそのことを強制するということはとても無理なことであるというような判断が非常にございまして、やはりとにかくこの法律におきましては、育児休業というものを初めて法律の上にその概念を打ち出していくということで、まずは育児休業ということが国の法律によって世の中に認められていくということをしようと、こういうことになったわけでございます。
 なお、先生御指摘の原職復帰というようなことにつきましては、この休業というものが本来的に雇用関係は継続しているわけでございますので、その期間が終われば原職に復帰するということは、この育児休業という概念の中に当然に入っていると私どもは考えております。
#193
○高山恒雄君 こういう法律ができますと、労働省の担当者の方だけがこれを適用して指導されるのじゃないのです。日本の全労働者がこれをよく熟読して、そうして自分達に与えられた権利を主張して、組合ならば労使で協議をして、そうして初めてこれは実現に移るわけです。最も大事なことは、第二条に「勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和を図り」と、こうしてありますね。これは、言うはやすくしてなかなかむずかしいことですよ。私は、その調和をはかる大きな根源になるものは、私が申し上げた、この育児休暇の最高、最低というような問題は組合がきめるにしても、せめてやはり婦人が主張できるような道を明らかにしてやるべきだと、こういう考え方に立つわけですよ。あるいはまた、この育児休暇に対して、その後における原職復帰はおまえできぬのだ、こう会社が言うかもしれぬ。けれども、私はやっぱり母性保護という立場から、こうした法律の中にも書いてあるじゃありませんかと、したがってこういうことですと、法律にまで載ってあることを私のほうの会社はなぜ守ってくれないのですか。これは一つの理論の組み立ての柱になる法律というものは、どうしてそういうものを入れなかったのかということを私はお聞きしておるんで、特に家庭持ちの婦人の方なんかはなかなかそれが弱いわけですね。先ほどの実例も出ましたように、非常に弱いのですよ。したがって私は、そういう婦人の勤労者がこの法律のたてまえを了として、そうしてみずからの労働者としての、勤労婦人としての生活を守っていく、こういうことにならなくてはいかぬじゃないかと、こういうふうに思うんです。まあ、先ほどの説明聞いても非常にむずかしかったようでありますが、その点は実に私は重大な問題だと思うのであります。
 それじゃ次に私は移りたいと思いますが、家庭生活と職業生活との調和をはかるということになっておりますが、これは単なる教育的な私は問題で終わっちゃうのじゃないかというような感がするんですよ。労働者としては、その調和というふうなものを、一体具体的には、ただ教育あるいは一つの、まあ何ですか、地方自治体に対する指導等によって解決がつくものじゃないと思うのですよ。この点は何か具体策があるのか、あったらひとつお聞かせ願いたいと思います。
#194
○政府委員(高橋展子君) おことばのとおり、職業生活と家庭生活との調和ということは非常にむずかしい問題であると思います。しかし、やはりその調和をはかるということを目標としまして施策というものを進めてまいらなければならないと、非常にこれはそういう意味で大きな目標であり、課題であると思っております。この法律案の中で特にこの家庭生活との調和という点について何ができるかというお尋ねであるかと思いますが、もちろん、この法律案全体を通じてそのことは基盤となって考えられておるところでございますが、たとえて申し上げますれば、やはり啓発活動という場合にも、啓発活動の中核といたしましては、その家庭生活との調和ということについての国民全体の関心ということを深めていくということが中核になってまいりますわけでございますし、その他、たとえば先ほど来御質問のございました育児休業といったことは、これは婦人がその長い職業生活の中で家庭生活との調和をはかっていくというために今回新たに法律の中に設けましたところの制度でございますし、また、育児に関しましては、事業主は育児休業以外についてもその配慮をするように要請いたしておりますのも、この調和のための一助といたしたいという考えでございます。あるいは十二条、十三条等に特に地方公共団体がいろいろなサービスをするとの規定がございますが、ここでもやはりその調和の促進のために相談に応ずる、講習をする、あるいは具体的なサービスをしていくということをうたっているわけでございまして、もちろんこのことにつきましては、今後の究明に期する点が非常に大きいものでございますので、特に十六条を設けまして、労働大臣は、勤労婦人の職業生活及び家庭生活に関して今後もなお調査研究を進めていくということを明らかにいたしまして、この大きな課題というものを今後もその実現のために追求してまいり、実のある施策を生み出していこうという努力を期待いたしておるわけでございます。
#195
○高山恒雄君 それじゃ、これは厚生省との関係もあると思いますが、事業所内の保育所の設置ですね、あるいは幼稚園と言っているところもございますが、いろいろあります。きょうの、先ほどのなにでは、一万四千百ですか、これは幼稚園ですか、先ほどの発表されたのは。
#196
○説明員(岩佐キクイ君) 先ほど柏原先生の御質問にお答えいたしました全国保育所の個所数一万四千余ヵ所につきましては、保育所でございます。これは事業所集団保育所施設は含んでおりません。
#197
○高山恒雄君 そうしますと、工場内にある保育所は、これはどちらの監督になっているのですか。労働省ですか、厚生省ですか。
#198
○政府委員(高橋展子君) 私どもは、企業内の託児施設につきましては、これに対しましてその設備運営についての援助指導をするという観点から低利の融資制度等の援助方策をとっておりますが、児童を預かる施設という点から、児童のための福祉施設としての厳密な意味の監督、これは厚生省の御所管であったと思います。
#199
○高山恒雄君 私の調べ方が悪いのかもしれませんけれどもね、保育所の設備に対する基準的な指導というものは全然なされてないんじゃないかと思うんですよ。これは厚生省が一つの基準を持って、こういうふうにつくらなくちゃいかぬのだ、あるいは五十人単位の保育所とか、七十人とか百人とか、いろいろありましょう。そういうものをつくった場合には、これとこれの設備が必要だと、こういう基準がどこにあるのか、厚生省にあるのか労働省にあるのか、監督は一体どこがするのかということをお聞きしたいのですが、私はなぜこのことを強く主張するかと申しますと、最近のいろんな災害を見ますと、非常に大きな問題があるんです、これは。むろん、労働省はいまの事業団から金を出して大いにそれをつくりなさいということをやっていますわね。これはつくるのはいいが、一体その監督と設備の基準、どういうところに置いておるのか、こういう点があまり明確でないと思うんですよ、工場内にあるのは。先ほどもそういう意見が出ておりましたように、人手が足らないときには、もうかりの保育所をつくってでもやる、こういう行き方があるわけですね。最近のような建築材を使っておりますと、急速な災害、延焼が起こりますから、災害が起こらぬとも限りません。私は、何としてもこれは厚生省でやっぱり基準をつくって――監督は労働省かやってもいいですよ――厚生省がやってもいいです。これはともに連絡をとって、どちらかにひとつ責任を持たす必要があるんじゃないか。問題が起こってからででもうだめだと思うんですね。いまの労働省と厚生省の関係、ひとつ答えてください。
#200
○政府委員(高橋展子君) 労働省といたしましては、企業内託児施設につきましては、先ほど申しておりますように、雇用促進事業団による長期低利の融資をいたしておりましてその設置を助成してまいっております。また、融資をいたしております限りにおきましては、その設備等について一定の要件を設けて、運営につきましてもレベルアップのために指導を行なっておるところでございますが、しかし、事業主が独自で、と申しますか、全くこれらの融資というようなことの外でどんどんおつくりになるということも、これもやはり大きな動きとしてはあるわけでございまして、その点につきましては厚生省とも前々からいろいろ御相談をしておるところでございますが、厚生省のお考えはお聞きくださるといたしましても、まあ私どもの理解といたしましては、やはり児童を預かる施設であるから、それについては厚生省でその監督ということには責任をおとりになると、このようなお立場をとっていらっしゃると理解をしております。
#201
○説明員(岩佐キクイ君) 保育に欠ける子供の保育の保障につきましては、私どもといたしまして本来児童福祉法に規定いたしておりますところの認可保育所で保障することが最も望ましいのではないかというふうな考えを持っておりまして、これにつきましては厚生省令として児童福祉施設最低基準というものを定めておりまして、それに従って児童の福祉が十分に守られていくようにということで指導をいたしておるわけでございます。ところが、最近既婚婦人の就労の増加等に伴いまして、特に事業所集団保育施設というものも現実ふえてきているという面がございます。これらにつきましては先ほど労働省の婦人少年局長がお答えになりましたところでございますんですが、こういうところが、まあ一部ではございますけれども、求人対策だとか、あるいは従業員の福利厚生というような面の追求が激しいということから、そういう面を重視しておりますような集団的な保育施設もないとは言えないという実態もあるようでございますので、そういうところにおきましても子供の保育が行なわれているということであるならば、それを放置することはできないのではないかというふうに考えまして、こういうところに対しましては、昨年指導通知を出しまして、都道府県の民生所管部局におきまして、労働所管部局と十分連携を保ちまして指導を徹底するようにということで通知を出しておるところでございます。ただ、これらに対しましても、児童の福祉を阻害しないような基準を設けることができるかどうかと申しますと、すでに児童福祉施設の最低基準というものを設けております関係上、これよりはまた違う基準を設けるということがよいのか悪いのかという点もございますので、事業所集団保育施設につきましては、児童福祉施設最低基準の精神を尊重いたしまして、児童の保育が阻害されないような方向で指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#202
○高山恒雄君 それは厚生省の言われるとおりだと思うんですよ。そこで、厚生省でもいいですが、労働省でもいいですがね、一体、工場内にある託児所の実態調査をなされたことありますか。あったら知らしてください。どっちでもいいです、実態調査を。一体、どのくらい日本にあるのか、調査の結果をひとつ知らせてもらいたいですね。
#203
○政府委員(高橋展子君) 労働省のほうからお答え申し上げますと、企業内託児施設の設置の有無というような点での調査を全国的にいたしておるのがございます。それからまた、これは全国的とは申し上げられませんが、訪問調査という形で各府県で数ヵ所ずつの企業内託児施設の実態を、これは運営の実態等を調査したものでございますが、これもございます。
#204
○高山恒雄君 どのくらいですか。それと、それはいつの調査ですか。
#205
○政府委員(高橋展子君) その施設の設置の有無につきましては、これは四十三年の調査が一番新しいものとなっております。それからまた、ただいま昨年実施いたしました調査を集計中でございます。
#206
○高山恒雄君 その四十三年のは幾らぐらいあります。
#207
○政府委員(高橋展子君) そのときのは、これはパーセンテージでございますが、総数でいいますと、三十人以上の事業所のうち一・六%がこの種の施設を持っているという結果が出ております。推計いたしますと、実数で約二千五百事業所がこのような施設を持っているということになっております。それからもう一つの調査は、これは運営の実態等を主として、どこに問題があるかという意味で調べたものでございまして、これは昭和四十五年に調査いたしているところでございます。
#208
○高山恒雄君 厚生省はお調べになったんですか。
#209
○説明員(岩佐キクイ君) 厚生省におきましては、四十四年五月に行政調査をいたしまして、これによりますと、無認可保育施設というものを調べたわけでございますけれども、その中に事業所内の集団保育施設というものが四百四十一ヵ所ということになっておるわけでございます。これは四十四年の五月現在でございます。
#210
○高山恒雄君 労働省のほうに、局長に聞きますが、労働省でお調べになったのは雇用促進事業団を通じてつくったものを対象として、その中の不備が一・六%ぐらいの不備な点があると、こういう見方ですか。
#211
○政府委員(高橋展子君) 先ほど申し上げました一・六%といいますのは、全国の企業の中でその一・六%がこの種の施設を持っているということでございまして、これは融資とは無関係でございます。
#212
○高山恒雄君 そこで問題なのは一・六%危険な個所があるというようなことですが、児童福祉施設基準に基づいて厚生省としてはこれをその基準に基づいて指導をしておると、まあこういうことですが、この認可を受けてないものが四百四十一ヵ所あると、こういうことですね。そうすると、それは、設備というのは実態の調査の中からは掌握がしてないわけですか。全くの、単に子供さんをお預かりすると、こういう状態なのか。設備は全然ないのか、それはどうしようとお考えになっているのか。
#213
○説明員(岩佐キクイ君) 先ほど申し上げました四十四年五月現在におきまして行政調査で行ないました無認可保育施設の調査のうち、四百四十一ヵ所程度が事業所集団保育施設の数字ということでとらえておるわけでございます。これらにつきましては、それぞれ子供の保育を行なう施設は持っておるということになっておるわけでございますけれども、ただ、これが規模によりましていろいろの大きさもあろうと思います。児童の保育を行なうに十分な施設があるかどうかという点につきましては、必ずしも実態が詳細には把握されておらないわけでございますが、指導といたしましては、そのようなところにおきまして、児童の保育の向上をはかるために設備の増設をしたいというようなときには、年金福祉事業団等の融資を貸し付けまして施設の充実をはかるように指導いたしております。
#214
○小笠原貞子君 関連。
 先ほど労働省のほうで、四十三年五月段階で二千五百事業所とおっしゃいましたね。その二千五百の事業所の中には、認可も無認可も含めて、すべて事業所の中の保育所、託児施設というのが含まれているわけですか。
#215
○政府委員(高橋展子君) 企業内託児施設の場合は、原則として無認可のものであると思います。
#216
○小笠原貞子君 もう一つ。そうしますと、四十三年五月の労働省の調べでは、いわゆる企業内の無認可の施設が二千五百事業所あるわけですよね。だから、少なくとも二千五百ヵ所あると、こういうわけでしょう。今度厚生省のほうのお調べでは、四十四年ですから次の年の五月の段階ですか、一年たった五月の段階での事業所内無認可の保育所が四百四十幾つと、非常に差が出てくるわけなんですが、そこのところの数字というのはどういうふうにごらんになってどういう結果こういう大きな数字が出たんですか。私たちが見ますと、一年一年この事業所内の保育所というのが非常にふえてきています、労働力確保のために。しかも、それは認可を受けないで無認可でやられているというのが非常に多いんです。そうすると、当然労働省が一年前にやった二千五百ヵ所よりも上回る数字が出てくるはずなのに、厚生省のが一年後で四百四十一だから、約五分の一という数字になって出てきているというのは、その調査が非常にあいまいだという結果になると思うのですけれども、その辺、いかがでございますか。
#217
○政府委員(高橋展子君) あるいは調査方法の差異ということが影響しているかと思います。私どものほうの調査は、これは毎年行ないます全国の三十人以上の規模の事業所に対する通信調査として行なっているわけでございますが、この二千五百という先ほど申し上げました数字は、これはその調査の結果出ましたパーセンテージを復元したところの推計の数値でございます。
#218
○小笠原貞子君 もう一つ、最後に。関連ですからやめますけれども、いま高山先生御心配になっていらっしゃる、私もたいへん心配しています無認可保育の問題については、厚生省にいろいろいままでお願いしていたわけですけれども、少なくとも企業内保育所というのには非常に大きな問題があるんです。大きな大資本の企業内保育という場合には、課長の奥さんが保母さんになって、そして施設をつくって見てやるというような、全く労働力確保のための保育所になっている。そうかと思えば、必要に迫られての中小企業の保育所となれば、この間、厚生省のほうはお聞きになったと思いますけれども、子供が出入りして危険でめんどう見ていられないからというので戸は締めっぱなし、そして施設も日もささないような施設で、ミルクなんかもあげている人も人手がないというのであめ玉ぐらいをなめさしちゃう。だから虫歯がふえるとか、非常に健康にも悪いというようなことで、無認可保育の中でも、企業内保育の問題というのは、いま非常に大きな問題になっているわけですね。そういう意味から、労働省のほうも、この辺のおところをもうちょっと実態はどうなっているのだということを、今度四十五年の調査が出るとおっしゃっていましたけれども、その四十五年の調査というのがどういう内容で調査されているか、そういう問題まで把握しての調査内容であったのかということをお伺いしたいし、もしそれが不十分であれば、私たちとしてはたいへん残念だと思いますので、あらためてまた企業内の非常に不備な無認可保育所について、子供を守り、働く婦人を守る立場から、しっかりした調査をやっていただきたいと要望したいと思います。
#219
○政府委員(高橋展子君) そのように努力いたしたいと思います。なお、私どもといたしましては、企業内の保育という問題、あるいは託児と申しますか、その問題は、これはいろいろ問題が多いということは重々承知いたしておりますが、また一方、その需要といいますか、これをどうしても必要とする婦人も非常に多いわけでございますから、やはり企業内託児施設を排除するというような方向ではなくて、そのレベルアップをはかるという方向で考えていくべきではないかと、そのことを基本的な立場といたしまして、厚生省とも御相談の上、そのレベルアップのために善処してまいりたいと思います。
#220
○高山恒雄君 いま関連で御質問願ったとおりと思うんですが、大臣、この問題、ひとつ私も希望意見を申し上げて大臣の所見を聞きたいと思うのです。先ほど申しますように、労働省は四十三年の調査で、いま四十七年度をやっていると、こういうことです。さらに厚生省は四十四年の五月やられた、こういうことです。しかも厚生省は、無認可が四百四十一ケ所もあるんだと、さらに危険が二千五百ヵ所の中に一・六%ですか、これだけあるということですね。これでは私は保育園の基準的なものをどこが一体監督をしてやるのかということが明らかになっていないと思うのですね。それはあくまでも厚生省だろうと、こう私は思っておったんですが、なかなか厚生省ですらやはりこの無認可……、あるいは労働省はどんどん雇用促進事業団を通じて保育園をつくらす。そうすると、あとは今度は無認可でやっているものもある。あるいは先ほどの例のように、全くの保母としての資格のない人にお預けしておるというところもある。このくらい今日の時代に無責任なことは私はないと思うんですよ。これは一体、事業団が保育園をつくるのに金を貸したり――全然とぼけるわけにいかないでしょうから、これは労働省なら労働省が監督をする、それ以外の工場内の保育園は全部厚生省が監督をするとか、あるいは明らかに監督範囲内というものをやっておかないと、非常な事態が起こってから問題にしてもだめだと思うんですね。この点はひとつ大臣、厚生大臣と十分のお話し合いをしていただいて、早急に私は確立をする必要があると思うんですが、大臣、どうお考えになりますか。
#221
○国務大臣(塚原俊郎君) 保育所、それから託児所の問題は、きわめてきめこまかい問題でありまするだけに、非常に大事な問題だと私は思います。確かにいままで不備な点があったことは各委員会等におきましても御指摘を受けたわけでありまするが、いまその監督の権限の問題でありまするが、私は決してセクショナリズムにこだわるわけではありませんが、いまおっしゃった高山委員の御意見は一つの私は案だろうと思います。二元的になるという批判があるかもしれませんが、少なくとも労働省として雇用促進の関係でやるのは私の監督にあるわけでありまするから、これは労働省が見るということも一つの考えでしょう。しかし、おまえのほうはこれをやれ、おれのほうはこれをやるという形でそこに意思の疎通を欠いたら何にもなりませんので、これはひとつ厚生大臣ともよく私は打ち合わせてみたいと思います。それは一つの考えだと思います。二元的なものにならぬで、しかも二元的なものであって一元的なものでなければ実効をあらわさない、このように思います。
#222
○高山恒雄君 それは私の一つの試案でありまして、この雇用促進事業団以外のものがたくさんあるわけですね。これの調査は、したがってこれは厚生省が責任を持ってやる、こういうことにならないといけないんじゃないかと私は思うんですが、厚生省にもう一つお尋ねしたいのですが、厚生省は、無認可の場合一体どういう処置をしておられるのか。今日までに保育園、幼稚園に対する非常な不当な設備で保育をしておったとか、そういうことは新聞でも見たことはないのですね。一体こういう無認可でやっておるものに対してはどういう処置をやってこられたのか。ただ黙認なのか、この点、ひとつお聞かせ願いたいと思います。ほんとうは局長に聞きたいことなんですけれども、きょうは見えないですからね。
#223
○説明員(岩佐キクイ君) 無認可保育施設の対策につきましては、四十三年度におきまして、その時点におきましては全国に約二千二百ヵ所ほどの無認可保育施設があったわけでございます。そこで、これのうち、大体無認可につきましては比較的規模の小さいと申しましょうか、小規模のものが多いようでございましたので、従来からの保育所の設置認可基準によりますと、定員を六十名以上ということで指導してまいっておるところでございますけれども、特に無認可保育所解消対策といたしましては、小規模の三十人のものをも保育所に認可することを一つの対策として打ち出しましたわけでございます。ただ、これにつきましては、公立でございますとかあるいは民間でございますと、公立は市町村がやっておりますわけでございますが、民間につきましては、社会福祉法人になるような指導もいたしておるわけでございまして、その点、いろいろと法人化の促進をはかりますために、私どものほうでも、また都道府県におきましても、たとえば設備が不足しておるために指定基準に満たないという場合には、何年かは、これに対しまして貸し付け金を貸しておるところもございますし、厚生省におきましては、四十四年度から、法人になることを前提といたしまして設備費の国庫補助も行ないまして、認可保育所になるように指導はいたしておるわけでございます。
#224
○高山恒雄君 その程度の指導ですと、四百四十一件の三十人以下の全くの、何といいますか、子供預かり所というんですか、そういうものは何も手を加えてないということですね。それを一体どうするかということが問題です。私は、それでも、何かの基準をつくって、たとえば退避場所はこういうふうにするとか、あるいは健康上日照権はこうでなければならないとかいろいろあるでしょう。たとえ三十人でも二十人でも十人でも、そういう名前のもとに託児所をつくるなら、やはり厚生省としては一つの基準を持って指導をする。もしそれをやらなかった場合は、必ず県のほうとして直接呼んで指導するとか、何かの処置がなされなければ、放任されたままじゃないかという私感じがしておるから強くここで御質問を申し上げておるわけです。この点は意見になりますが、ぜひそういうふうにひとつ御相談しておいてください。
 それから、これは婦人少年局にお聞きするんですが、各県に婦人少年局の相談施設というのがございますね。これは各県にあるわけでしょう。そこで各県で協助員というのを設けておられるんですよ。この協助員というのは一体どういうことをしておられるのか。これには手当が出ておるのが。どの範囲内調査に必要とする協助員なのか。何か指導のための協助員なのか。その点、もっと内訳をはっきりしておいてください。
#225
○政府委員(高橋展子君) お尋ねの件は婦人少年室のことであり、またその婦人少年室協助員のことであるかと思います。
 婦人少年室はお尋ねのとおり各都道府県にございます。これは国の直接の出先機関でございます。地方における婦人少年行政の第一線機関といたしまして、国の行政方針を地方に伝達普及する役割りと、また触覚的な役割りを持ちまして、地方の問題点、実情を把握いたしまして中央における施策に逆に反映させる、そういう役割りを持つ機関でございます。したがいまして、婦人少年室の業務は調査、啓蒙というものが非常に大きなウエートを占めているわけでございます。
 この婦人少年室の機構というものが必ずしも十分に大きくはございませんので、私どもといたしましては、その婦人少年室の仕事につきまして民間有識者の協力を得てその婦人少年行政の浸透をはかる、こういうシステムを採用しているわけでございまして、それが婦人少年室協助員、こういう制度でございます。したがいまして、この婦人少年室協助員は民間の有識者のボランティア的な活動ということを期待をしてお願いをしている次第でございまして、おもな仕事といたしましては、その各婦人少年室における行政の方針を地域にまで浸透させるという役割りと、それから具体的にての地域の方々のいろいろなケースの相談に応じる、そのような相談業務の役割りを持っております。
 なお、この協助員は全国で三千人の理解者によって制度となっているわけでございますが、特にまた最近は、相談ケース等につきましても非常に専門的な特殊な相談を必要とするような情勢になってまいりましたので、特に四十五年度からは新たに特別協助員制度というものを設けまして、各県二名程度でございますが、この方々には特に婦人及び年少者に特殊な労働問題についての専門的な御相談をしていただくというようなインテンシブなサービスをお願いする、こういうような制度を設けております。で、お尋ねの手当でございますが、一般の協助員、これはちょっとお恥ずかしいようなことでございますが、年間に、手当と申しますか名刺代のようなものでございますが、一千円を差し上げております。これはまあボランティア活動ということに、非常に、何といいますか、その御好意、善意にたよっていることで、たいへんにお恥ずかしいような感じでもございますが、しかし、非常に地方で熱意のある方々の御参加を得ております。なお、特別協助員のほうは、これは非常にインテンシブな相談業務をお願いいたしますので、月額でおおむね一万二千円程度の手当を支給する、このように相なっております。
#226
○高山恒雄君 まあ、聞いて驚いたんですがね。どんな調査をされるのか知りませんけどね。私はここで大臣に申し上げたいんですが、いまお聞きのとおりですよ。二千人からおられる人、相談していただく人でしょう。今度は特別協助員というのを設けられたそうですがね。私は労働省の予算というものはほんとうに少ないと思うんですね。ことしの予算でも、大体千五百二十億ですわ。その中で、失対に対して千六十億です。それを引くと四百六十億しか残らないんですよ。私はちょっと昼の休憩時間に見てきたんですがね、あまり少ないものですから。そうすると、「その他」の四百三十三億の中にこの婦人少年局も入っておると思うんです。その予算を見ますと、「勤労婦人福祉法(仮称)の制定を中心とした婦人対策の積極的展開」、これが昨年よりは多くて二億二千三百九十八万四千円。昨年よりはふえてはおりますけれども、私は、やっておられるこの仕事を見ますと、結果的には、大きい予算というのは、現在、「働く婦人の家設置費補助」、これに大きく取られております。そうすると、あとは「その他」の中で「婦人労働基本調査」「特定業種における婦人労働者の災害実態調査」「婦人週間の開催」「婦人労働及び婦人関係啓発活動資料の作成」とか、もうほとんど資料の程度ですね。これがどのくらいかというと、大体一千八百三十二万三千円です。ほんとうに安いんですね。だから、いま何をやろうとされても、この経費では何もできないと私は思うんです。したがって、私は、基本法に触れますけれども、なぜ婦人でできないことをこの基本法に盛らないのか。予算も十分な獲得はできない。そうして一方においてはほとんど調査費で終わっておる。「婦人の日」とか、そういう行事費に終わっておる。これではどんな法律をつくっても私はほんとうによくならないということを心配をするんですが、まあ、大臣もこの予算をお組みになったときには強い主張をされたわけでもないでしょう、大臣のときでなかったと思いますから。したがって、全体を見まして、私は、これではいま一番ひずみとなっておる婦人対策にはあまりにも少額だと思う。もっと行動面における問題を考えていくならば、たとえて申しますなら沖繩ですよ。これは百万人単位の人口に対して五人の人を制定されましたね。私も沖繩北対の問題のときに国会で問題にしました。五人ですよ、これ。ところが、これを見ますと、売春法の婦人の今後の処理問題等についてどうするかという対策をやはり立てておられます。「いわゆる売春婦の転落原因と更生に関する調査の実施、」これも調査だけですよ。懇談会開催といいましても、この予算が二百三万六千円。だから、中央から行って指導をすることもできないんじゃないか。ところが、沖繩には売春婦は六千人からおるということが事実として国会で問題に何回もなっております。それも一つの目安人員であって、実際には一万人以上おるんじゃないかといわれております。こういう予算では、実際問題として、いま婦人少年局がやろうとすることは結果的には作文だけに終わって、しかも、その作文が訓示規定みたいなものになって逆に利用される。これはおそろしい現象だと私は思うんです。婦人の基本を守ろうとするならば、やはり私は理念的にも、せっかくここに出していただいたんですから、先ほど言ったような問題を今後の実施面においてやってもらうことにして、予算措置も十分考えていただいてやっていただかなくちゃならぬのじゃないかということを私は強く感ずるわけです。まず、この点、どうお考えになるかお聞かせ願いたい。
#227
○国務大臣(塚原俊郎君) 四十七年度予算編成の際には私は党役員としておりましたので、労働省にはおりませんでした。だからといって決して逃げるわけではございません。四十七年度予算には党の考え方を盛り込むため大蔵当局との最後の折衝等徹夜で行なった一人でありまするけれども、このただいま御審議を願っておりまする勤労婦人福祉法案につきましては、私も労働大臣に就任いたしまして最初に報告を受けましたときに、やはり裏づけとなるべき予算の問題について大きな疑惑を持ったことは事実であります。これは皆さん御承知でございましょうが、大体、通常国会における予算の提出は二月十五日までを予算関連法案、三月十五日までを予算関係外の法案というふうに分けまして、それ以後の法案はあまり国会には出さない。しかし、各党協議の上成案を得たものはこれはやるというたてまえになっておりますることはここ数年間の慣例であります。この勤労婦人福祉法案はその後者に属するものでありまして、予算関連法案ではございませんで、だから、その裏づけがないという私は逃げことばを申すつもりはございません。ですから、御審議を願いましてこれが通過いたしましたならば、四十八年度予算におきましては、各方面からの御意見もあり、私自身足らざる点をたくさん感じておりまするから、その際、私がいずれの立場にあるかは別といたしまして、ここで、今日までの審議過程で私もいろいろ発言もいたしておりまするから、その責任を十分果たすための努力はやらなければならない、またやるべきである、このように考えております。
#228
○高山恒雄君 それじゃ最後にお聞きしたいんですが、
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
先ほど発表なされた指導員の細部におけるところの協助員ですか、これは特別に今度お設けになったという方ですね。これをもっと私はふやして、中央からやっぱり地域別のスケジュールを組んで、そうして徹底的な一ぺん指導をするんだ、その上に立ってこの指導員にもある程度のまた俸給は、先ほど一万何ぼと言っておられましたが一万二千円ですか、と言っておられましたのは、私はこの予算をもっとふやして、この指導員をやっぱり徹底させる。なお、この従来からの協助員、いわゆる地方の名士だろうと思いますが、ここら辺、調査機関だけにしか使ってないんじゃないですか、いままで。これでは私はたいした助言はできないと思うんですよ。だから、やっぱりもっとやらしてもらうならば、その人も含めた新しいケースの指導員というものの、いわゆる協助員というものの強化をはかる必要がある。それがなければ、これも予算に関連しますけれども、しかし、婦人局としては少なくともそれをやっぱり強く出してもらう必要があるんじゃないかと思うんだが、局長自体、今後のいろいろな指導をするとおっしゃっていますけれども、具体的な考え方というのはどういう指導をされようとするのか。先ほども申しましたように、沖繩の一つの例を申し上げましたが、これは調査と指導するといいますけれども、百万単位の宮崎県が五人だったら沖繩も五人ですよ。これは最も緊急を要するわけですね。そういう場合にはやっぱり少なくとも増員をはかるとか、あるいはだから援助を願うとか、緊急の場合があると思うんですね。そういうものをどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
#229
○政府委員(高橋展子君) 協助員の問題、あるいは婦人少年室の体制の問題等、行政を進めていく上の私どもの組織の弱体である点についての御指摘であろいかと思います。私どもといたしましては、この法案が成立を見ました上は、この法案の趣旨の普及、PRと申しましょうか、それがまず第一に非常に重要なことであると思いますので、それを鋭意行なわなくてはならない。また九条、十条、十一条といった特に事業主の配慮を要請している規定につきましては、その実効をあげるためにこれは綿密な指導というものが行なわれなければならないと思います。そういうことのためにもやはり私どもの行政機関としての機能というものを強化するということは非常に必要なことであると考えております。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
で、具体的には協助制度というもの、これも地域の実情に対しましての正確な把握を行なうというのが従来の任務でございましたし、また個々のケースについての相談を行なうというのが役割りでございまして、その性格といたしましては、非常勤の国家公務員であり、民間の有識者の御協力をいただいているというのがたてまえでございますので、この人たちを実際の行政面での指導に当たらせることが可能であるかどうか、これはまだ検討を要することではございますが、しかし、この法律の趣旨の普及徹底等には、こういう民間の方々の御助力というものが非常に大きいものであると思いますので、御趣旨の方向に沿いまして努力してまいりたいと、このように考えます。
#230
○高山恒雄君 最後にしますが、特に今度第二章を設けまして、この第六条で、労働大臣は勤労婦人の福祉に関する施策の基本となるべきものをこれからおつくりになるわけですね。これが大事なんですよ。生きてくるのはこれだけですね、この中で。これをどうおつくりになるのか私はお尋ねいたしませんけれども、これをやっぱりここにおあげになっている問題をほんとうに具体的に掘り下げていただいて、そして労働大臣の権限でやっていただくその指針の提案を私はやっぱり局としてはやっていただく必要があるんじゃないか。そのためには、先ほどおっしゃったように、発表されて局長もお笑いになっております千円という問題なんかは、ここらでもう解消すベきじゃございませんかね。いまごろ、人にお世話になっておって千円やっているといったら人は笑いますよ。そんな社会じゃないですよ、いまの日本は、近代社会は。こういう問題もひとつ大臣に御相談願って、これはやっぱり婦人局が積極的にやらなくちゃいかぬと思うんですね。私は、先ほども採用の問題が出ましたが、やっぱり官庁も男女の比率は非常に女性が少ないですから、ここの原則があるように、この原則の方針に基づいて堂々とやっていただいて、私は大臣の協力を求めてやっぱり婦人局がやらなければこれはよくならないと思うんです、調査だけじゃなくて。この予算を見ますと、ほとんど調査とか行事とか、そういうものに使われておりますが、もっと行動的なもの、あるいは指導的なもの、それをひとつやっていただくように、また、大臣はこの点についてこの法案に基づいて特別の配慮を今後の施策に対してやっていただくことを希望として申し上げ、お考え方をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#231
○国務大臣(塚原俊郎君) 婦人局を中心といたしましてこの法律をつくりましたときに、何回も申すようでありますが、私は一つの前進であり、皆さま方の御苦労を多とするものであります。それだけに、この法律を施行の暁には、仏つくって魂入れずということのないように、これの運用面において実効のあがるような裏づけ、予算措置もとらなければならないと考えております。
 また、先ほど千円の話が出ましたけれども、これはボランティア精神にのっとったものとはいいながら、今日の貨幣価値から見てまことにこれはどうかと思う。私自身、私事にわたって恐縮でありますが、年三千円という収入をいただいておりましたのが、このごろ一万円にアップいたしましたようなこともございまするが、それとてナンセンスということもあるかもしれません。千円では、いかにボランティア精神といいながら、これはどうも世の中の批判を十分受ける問題であると思いますので、それは一つの問題かもしれませんが、もっと大きな観点からひとつ婦人の地位向上、勤労婦人のための施策というものを今後推進していく決意であります。
#232
○高山恒雄君 終わります。
#233
○小笠原貞子君 いまかかっております勤労婦人福祉法案が出されるという話が聞こえましたときに、私、びっくりするほど各職場の婦人からいろいろな問い合わせが参りました。まだ骨子がやっと出たか出ないかぐらいのときから、各職場で学習会を持ったり、そして労働基準法と今度の勤労婦人福祉法との関係は一体どうなんだろうかと、この法律によって私たちの生活は一体ほんとうに福祉的になって向上するのだろうかというような集会がずいぶん持たれました。私は、その方々からいろいろな御意見を伺ったり、問い合わせを聞きながら、ほんとうにいま働く婦人たちの生き方というものが真剣な問題なんだということを考えさせられたわけでございます。けさ方からの大臣の答弁の中でも、労働力の三分の一からが婦人である、その婦人たちがいまや大きな社会的な貢献を果たしているということをお認めいただいての御発言でございましたけれども、その方々がいまたいへんな苦労の中でその職場を守り、女として、人間としての自分の成長を遂げたいという努力をしているわけなんです。そういう人たちがいろいろ学習会を開いたり、また基本的な方針だけではなくて、法案として出されたものをずっと読んだときに、いろいろな意見が上がってまいりました。それも、私が申し上げるまでもなく、そちらでも御承知のとおり、非常に抽象的過ぎる、美しいことばで、いかにもすぐよくなるようだけれども、罰則規定もないしというようなことで、非常にこれはたよりないという意見がございましたし、また、働く婦人労働者にとって、当面の要求としては、働ける条件、働きやすい条件、そういうものをつくりたいという立場から考えると、先ほど高山委員からおっしゃいましたような保育所の問題というような点、それからいまの労働基準法でも、婦人に対しての保護の問題なんかももっと適用して守ってもらえるところがさっぱり守ってもらえないで、そして守りなさいという指導をしても、それを無視するというような事業所やなんかが多い場合に、一体これではたしてどういうふうに私たちを守ってしあわせにしてくれるんだろうか、私たちの願っていることとやっぱりだいぶ離れているんじゃないかというような、期待を持ちながらも不満とか批判というようなものが非常に多かったわけなんです。大臣も先ほどからいこの法律はベストではないけれどもベターであると、こういうことばをおっしゃいました。私も、いまベストのものがすぐできるとは思いません、いろいろな関係で。しかし、よりベターなものであるとおっしゃった。そのベターであるというものは、具体的にいって、この法案が成立した暁には、こういうふうな点がこういうふうにやりやすくなると、こういうふうに婦人労働者は守られるんだというような具体的な何かを考えていらっしゃらなければ、ただ婦人少年局を中心にして一つの法律をつくった、これは非常に御苦労で、そのことは多とするということだけで、法律ができたからということでは、これは何にもならないと思う。この法律が真に働く婦人の立場に立ってこそ初めてそれが生きるものであるとするならば、ベストではないけれどもベターであると言われたそのベターであるというのは、具体的にはどういうベターを予想してそういうふうに評価なさって御発言なさっていらっしゃるか。その辺をまずお伺いしたいと思います。
#234
○国務大臣(塚原俊郎君) この法律案が各方面にいろいろの反響を呼んだことは私もよく承知いたしております。各団体――婦人団体といわず、ほかの団体からもお話も承りましたし、また、テレビ、ラジオ等においての考え方なども私も拝見いたしました。また、私個人に対しましてもいろいろな方々から疑問の点や御不満の点、御批判の点も私自身もずいぶんちょうだいいたしております。それから、衆参両院における、社労といわず、その他の委員会においても、この種の問題についての御質問もちょうだいいたしまして、私としては私なりに問題のあることはよく承知いたしております。労働大臣としては当を得ないことばであるかもしれませんが、ベストではないがベターと言った、それから確かに婦人局を中心としてこの立法作業に当たられた方の御苦労を多とする、私はこれはそのとおりに繰り返して申し上げます。しからば、ベターのものは何であるかという御質問でありまするが、予算の裏づけがございませんので、先ほど申しました三億未満のものでは、やろうと思ってもこれは何もできません。ですから、そのいわゆる裏づけとなるものは、どうしても四十八年度の予算によってこれを実施をしなければなりません。しかも、今日、じゃ何をやれるか、一つの訓示規定にすぎないではないかとおっしゃるかもしれません。しかし、少なくとも法律というもの、これが通過いたしますれば、これで法律となって日本じゅうの方々になじんでいただかなければならない。たくさん先ほどから問題がありましたが、たとえば育児休業という問題一つとらえてみましても、法律で育児休業というものをうたったのはこれが初めてじゃないか。しかも、有給も無給もないじゃないかという御批判ございます。これは全体を対象にして、零細企業もある、また労使間の話し合いで云々ということも申し上げましたけれども、いまの例で、何だそれだけかと言われるかもしれません。しかし、ほかにたくさんの問題をあげれば、やはり前向きのものはかなりあるわけであります。それで、今日まで労働省というものは、労使間の話し合い、労働協約等によって問題の解決がはかられることを望み、そのための行政指導をいたしてまいったことは御承知のとおりでありまするが、ことに勤労婦人に対しましては、この法律というものがあれば行政指導をする面においてもベターな面があり、より推進できることを私は確信をいたしております。じゃ、具体的にたとえば結婚による退職、あるいは先ほどから問題になっておるようなたくさんの問題が具体的に一つもあらわれていないじゃないかという御批判は、それはまともに私はいただきます。しかし、裏づけとなるものはひとつ四十八年度の予算、それから皆さん方のいろんな御意見というものを体しまして、今後、婦人少年問題審議会におはかりするともあるでしょう。労働基準法研究会の御研究、それもあるでしょう。労働省自体の考え方もあります。こういったものを踏まえながら、今後の対策に、それこそおしかりを受けないようなオールマイティーのものはできないと思いますが、勤労婦人というものがいま非常に大事なウエート、大きなウエートを占めているときであります。決してかり出しではありませんから、先ほども申しておりますように、働くか家庭にとどまるか、それは御婦人の主体性によってきまるものでありまするから、そういうことを考慮しながら、ひとつおしかりのないように最善の努力をいたします。
#235
○小笠原貞子君 たいへんりっぱな御決意で取り組まれることだと、発言をすなおに受け取りたいと思います。予算がなければ何もできませんし、また、いろいろ調査、指導するにしても、全くいまの体制では心もとないわけでございますので、どうぞいまの立場で、今後婦人の福祉のために御奮闘をいただきたいと思います。
 次に、それでは具体的な問題について伺っていきたいと思います。婦人少年局でまとめられました昭和四十五年「女子保護の概況」というのを見せていただいたわけなんですけれども、ここに非常に大きな問題点がたくさん出ていました。きょうは、大臣、何か御気分悪そうだから簡単に、私、済ましていきたいと思いますんですけれども……。
#236
○国務大臣(塚原俊郎君) だいじょうぶですから……。
#237
○小笠原貞子君 だいじょうぶですか。
 先ほどから申されていましたけれども、産前、産後の休暇の問題ですね、この産前、産後の休暇、一人平均どれくらい取られているかということの表を見ますと、昭和三十年には四十四日、四十五年には四十六・一日、こういう数字でございます。それから、妊娠して軽作業に転換した割合、これは三十年が一一・一で四十五年が一一・三と全く横ばいの状態でございます。それから、育児時間を請求して取れる割合というのを見ますと、昭和三十年には四十六・八という数字が出ておりますけれども、四十五年になりますと一八・〇と、まさに約三分の一というようなたいへんひどい数字が出てまいります。また、「産業別、規模別にみた生理休暇請求状況」というのを調べてみますと、三十年と四十五年の生休を取っている割合というのが同じ数でございます。こういうふうに見てみますと、三十年から四十五年でございますから、十五年という年月の中で国民総生産――GNpというのは非常な上がり方をしている、そういう中で婦人の労働者は比重が大きく占められていくと言っているのに、母性保護の立場から見たときに、あるいは軽作業に移るのが十五年横ばいだとか、それから今度は産前、産後の休暇をとるのがほとんど変わらないとか、育児休暇に至っては三分の一くらいに落ち込んでいるというような状態、おたくのほうの調査で出ているのを見ますと、これはやっぱり母性保護の立場から非常に重要な問題だと思うんです。こういうような状態が起きてきたのは一体どういう原因からだというふうにお考えになるだろうか。その原因と考えられるものは何か。そこをお伺いしたいと思います。
#238
○政府委員(高橋展子君) 御指摘の「女子保護の概況」、私どもの調査の概況でございますが、これによりますると、産前休業につきましては、これは先生の御指摘のように、昭和三十年が三十三・四日でありましたのが逐年長くなる傾向でございまして、四十五年には三十六・一日となっております。産後休業につきましても、これは四十四・〇日から四十六・一日と、ここは長くなっているようでございます。
#239
○小笠原貞子君 わずかね。
#240
○政府委員(高橋展子君) なお、この産前休業といいますのは、これは死産も含むわけでございます。したがいまして、予定日よりも六週間前から産前休業を請求することができるわけでございますが、それは通常産の場合でございまして、死産とか異常産の場合は、何といいますか、急にお産になってしまうというようなこともあるわけでして、したがいまして、この産前につきましては法定の請求できる休業日数よりも短いというのが通例であるように見られます。
 それから、軽易業務への転換者の割合あるいは生理休暇請求状況などはほぼ横ばいでございます。
 育児時間請求者の割合がかなり顕著に減少いたしているわけでございます。私どものこの調査では、それがなぜかということの理由はつまびらかにできないわけでございますが、まあ推定いたしますと、一つには、やはりまあ人工栄養の発達であるとか、あるいは保育所の整備発達等によりまして、あるいは大都市における交通難のこと等もございまして、働く婦人が授乳のために保育時間を取るということが減ってまいっていると、そういうふうなことが大きな原因ではないかと考えております。
#241
○小笠原貞子君 確かにいま言われたのも一つの原因だと思いますけれども、やっぱり私たちが接しております働く婦人なんかと話をしてその実情を聞いてみますと、非常にいわゆる資本家的な合理化といいますか、合理化が非常にきびしくなってきた。この前も予算委員会で私が質問しましたように、生理休暇が無給になってしまうというようなことで、経済的な問題から取りにくくなる。また、人員が非常に少ないから、生理休暇で休めば仲間に迷惑がかかるというので無理して出ていくとかというような、そういうような合理化の中から、母体保護、母性保護の立場から非常に大きなこういう心配すべき問題点が出てきているということを、やっぱり大きな原因として考えていただかなきゃならないんじゃないかと思います。
 それからまた、権利についての知識というのが決して十分ではございません。生理休暇というのが取れるということも知らないというような、小さい企業の中の労働者の場合にはおりました。そういう権利についての知識がないというようなことについては、労働省としての責任も私は大きなものではないかというふうに考えるわけなんです。また、田中委員から午前中ありましたけれども、東商の婦人の生理休暇を不要だとか過保護だとかいうようなああいう考え方というのは、一日も早く大宣伝されまして、幸いきょうは労働大臣があの考え方は正しくはないというような御発言がありましたけれども、やはりそういうようないろんな点で、いま働く婦人たちが苦しい中でこういうふうに産前産後の休暇も、まあ延びたといってももうわずかな延び、あるいは育児休暇が減っているというようなことも、それは粉ミルクというようなこともあるかと思いますけれども、一番大きな問題は、その授乳というのを働く婦人の時間が取れないというような問題から来ているというわけなんです。そういうことから私いろいろ考えまして、やっぱりたくさんしてもらいたいことがあるけれども、まず最初の段階として、婦人にとっては母性保護の立場からこういうようなあなたは保護されるということ、先ほども田中委員が言われましたけれども、保護されるということは、社会的に子孫を生み民族を生み育てる母性としての権利なんだというような問題や、また、働くということが決して経済的な問題ではなくて、婦人自身にとっての人間成長のこれはもう当然の権利なんだというような、非常に初期の段階の問題だけれども、婦人に対して、こういうあなたには権利がありますよと、これは権利を乱用するのではなくて、正しく使うというそういう立場に立っての婦人の権利はこういうものがありますというようなものを、今度の法案の中にもありますけれども、私はもっと啓蒙宣伝していく必要があるんではないだろうか。そうすると、これは具体的にはまあ大きな組織のところはいろいろ組合での話も聞きますけれども、新しく就職される方とか、職業安定所だとかというようなところにも、こういう婦人の立場の権利というようなものを、まあせめて簡単でけっこうですけれども、リーフレットくらいのものをつくって、そうして福祉の面でもこういう法律ができましたと、これを要求していって、そうして社会的にいい働きをして、そうして職場と家庭とを両立させながらいい子孫を生み育てるというような、そういう立場の啓蒙宣伝ということを考えていただきたいなあと、こういうふうに考えるわけなんですけれども、そういうことは決してむずかしいことでもないし、予算としても非常にわずかな予算で済むと思うし、大事なことだと思うんですけれども、その辺はどういうふうに考えていただけるでしょうか。
#242
○政府委員(高橋展子君) 先生御指摘のとおり、勤労婦人の福祉を進めてまいります上で、勤労婦人が法律上どのような権利と義務を持っておるかということを婦人自身がよく知るということ、またその関係者もよく知るということ、これはきわめて重要なことであると思います。そういう意味合いで、特に労働基準法の中の女子保護の規定に関しましては、従来から労働省といたしましてはいろいろな方法を通じましてその趣旨の普及徹底ということにつとめてまいっております。で、法制定以来二十五年になるわけでして、その女子保護の規定についての理解というものは、これはかなり広く広まっていると一般的には言えると思います。しかし、なおややもするともう一つ正確に理解されていないというような面などは間々見られるところでございます。したがいまして、私どもは今後とも周知徹底ということについては努力を怠らないで進めてまいりたいと思います。その際、先生御指摘のリーフレットの配布というようなことも非常に有効な手段であると思いますし、私どもも通常普及活動にはこのリーフレットというものを非常にたくさん活用してやっております。たとえば近時問題になっておりますパートタイマーにつきましても、パートタイマーというものは労働法上どのように保護されているかというようなことにつきまして、私どもはここ数年リーフレットをつくりまして、まあ御指摘のように、職安の窓口などにそれを置きまして、広くパートタイマーになろうとする婦人の方々、あるいは事業主の方々の理解を求めるように努力しておるところでございます。また、今回のこの御審議いただいております勤労婦人福祉法も、その制定の上は、何よりもまず実効をあげるために法の趣旨の普及ということが求められるわけでございまして、そのための広報資料の作成とか、その他の会合等を通じての啓発活動に力を注いでまいりたいと考えております。
#243
○小笠原貞子君 じゃ具体的に婦人の権利がほんとうに届かないところに届くような、そういうような具体的な措置を御検討いただきたいと思います。
 次に、大臣にお聞きしたいのですけれども、大臣、ラッシュの国電だとか私鉄だとか電車にお乗りになったことおありですか。ないでしょうね。
#244
○国務大臣(塚原俊郎君) ございます。
#245
○小笠原貞子君 それじゃわかっていただけると思いますけれども、たいへんなものなんです。私もラッシュにかかりますと、たびは二足持ってこないと、もう国会に参りますまでの間にたびの甲がまっ黒になってしまうのです。私などは太っていますから、ちょっと柱にぶつかっても弾力性がありますし大きいから何とか持ちこたえられますけれども、私ら、ほんとうに妊婦の方からお話を聞いて、これはどうしてもきょう何とかしていただきたいと思って具体的な問題として取り上げたわけなんです。私、その話を聞いたときに、もうほんとうに悲しくなって、聞いただけじゃあれだから、ひとつプリントにして皆さんに宣伝したほうがいいし、私のところにも資料くださいというので、書いていただきました。これは全税関の婦人の方たちが書いてくださったのですけれども、「夏の暑さと共につわりの時期も何とかすぎて、お腹の子も五ヵ月になりました。そろそろ落ち着く頃かと思っていましたら、切迫流産になり、本当にびっくりしました」まあいろいろあります。そしてたとえばバスに乗って、それから私鉄に乗って、地下鉄で通勤する。しかも、それは満員で、もうやっと乗って、そして立っているということも、むしろ満員の中でささえられているというような状況なんです。そしてもう殺人的な中でほんとうに悲鳴をあげて、すわっていても電車がカーブするたびに立っている人がどっと倒れてくるから、そのたんびにおなかを一生懸命に保護するというようなことをするのだけれども、もうこれはほんとうに毎日命がけの苦労をしていらっしゃるわけなんですね。また、東京の方なんかもこう言っています。「おねがいです!お腹に子供がいるんです!」朝のラッシュ時、私は思わず大声で叫びたくなります。習志野の官舎から晴海の税関まで一時間二十分、バス二回と、特に殺人的といわれる地下鉄東西線での通勤は、お腹の大きくなかった普段の時でさえ途中で貧血をおこしたりする程の、ものすごさ」、もう五ヵ月に入ったこのごろでは、そのおなかを両ひじを張ってがんばっても、やっと津田沼から一駅だけはがんばれるけれども、あとがんばれないと、こういうわけなんですね。そうしますと、もうほんとうにこれは切実な問題でございます。
 いつか麹町でしたか、保健所でも、死産とか切迫流産とかいろいろ御調査いただきましたけれども、家庭の主婦の場合とそれから働いている婦人の場合との事故というのは非常に数が、ひどく事故が大きく出てきているわけなんですね。で、昨年の七月婦人少年局が主催された「婦人の就業に関する懇話会報告書」というのも読ませていただきましたけれども、その中でも「妊婦の通勤等には特別の配慮が必要だ」と、こういうふうに書かれております。せめて朝夕三十分時間を短縮していただけたら、そしたらもうほんとうに安心できるんだし、そういうような流産だとかいうような悲劇を起こさないで済むんだというのが、働く人たちのほんとうの、妊娠した婦人たちの切実な求要になっているわけです。これは、民間企業でも大きな要求になっております。
 これはきちっと法的にするといえば基準法改正というような問題もございましょうけれども、非常にこの問題が大きな問題となってきているわけなんで、きょうは特に人事院にもおいでいただきましたが、こういう税関関係とか何かの場合は、法改正しなくても、人事院のほうでこの問題を取り上げていただけばそれは解決するのではないか、政府関係等の場合にはできると思うんで、その辺のところを何とか考えて、一人でも、子供をなくして泣く母親のないようにしていただきたいと思うんですけれども、人事院としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#246
○説明員(榊孝悌君) ただいまの御質問でございますけれども、確かに、お話しございましたように、大都市の周辺でございますと、非常に通勤事情が、最近特に混雑の一途をたどっておるというふうなことで、やはりこれが妊娠に与えます影響というものも見のがすことができないことだろうと思います。しかしながら、妊娠に与える影響という問題につきましては、これは、通勤距離あるいは通勤時間あるいは通勤方法、あるいはまた、その個人のいろんな健康条件とか、そういうものがいろいろ、もろもろ関係いたしましてやはり起きるのではないかというふうにこれは考えられるわけでございます。先ほどお話しの麹町保健所のいろいろな調査のデータ等を見ましても、そういうような関係があるわけでございます。したがいまして、これを一律にどういうふうにきめるかということにつきましては、やはりいろいろ問題もあろうかとも思います。しかし、前段でお話し申し上げましたように、そういう影響ということはやはり十分考えられることでございますし、私どものほうといたしましても、先生お話しの御趣旨を十分体しまして、やはりこの問題につきましては、専門家の意見というふうなものも十分徴しながら検討をさしていただきたい、このように思っております。
#247
○小笠原貞子君 専門家の意見をいろいろ御聴取なさるのもけっこうだと思いますけれども、そんなむつかしいことないんです。おなかが大きくてつぶされそうなんだと、流産しそうなんだという問題ですから、医学的にどうなんだなんというむずかしいことはないですね。働く婦人たちも、決して、それを理由にして朝晩三十分ぐらいずつサボっちゃうとか、そんな考え方は持ってないです。その辺は、働く者を信頼して当たっていただきたいと思うんです。いろいろと、一般的には、こういう場合にはとるというようなことではなかなかむつかしいとか思いますけれども、近い場合には必要ないかもしれない。そうでなくて済んでいる場合にはそれでいいかもしれない。しかし、そういう問題で非常に苦しんで切迫流産の危険があるというような毎日というのは、専門家の意見を聞かなくても、その電車に一度お乗りになっていただいてその婦人と行動をともにしていただけば、どれだけたいへんかということもわかっていただけるわけです。だから、そういうような者が要求した場合には、当然これは、母体を保護するという立場から、婦人の福祉を守るというこの法律ができる以前にだって私は当然していただきたかったことなんですけれども、具体的にはそういうようなことをやっていただけるのじゃないでしょうか。その辺のところを、そんなむずかしく考えなければいけないでしょうか。
#248
○説明員(榊孝悌君) 私、先ほど申し上げました中で、やはり個々のいろいろな条件というものがございます。それらを踏んまえた上で、どういうふうな方法をとったらいいかということを、専門家の意見といったようなものもこれは徴しながらやはりきめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#249
○小笠原貞子君 専門家なんかに聞かなくてもいいという声が隣にもありますけれども、そんなにしゃくし定木な御答弁でなくて、やっぱり妊娠して働いている婦人の立場というのを具体的に考えていただいて、そこに理解と信頼というものがなければ私はだめだと思うのですね。そういう立場に立って考えていただきたいと、そう思います。
 人事院規則の一〇−四の第十七条の三項に業務の軽減ということが載っておりますけれども、この業務の軽減というのには勤務時間の短縮も含まれるというふうに解釈すれば、そういうしゃくし定木に考えていただかなくても、そういう危険な場合には、業務の軽減というところで運用上その人たちを守るということだってできるのだと思うのです。これから専門家の意見を調査して検討いたしましてなんというと、流産して死んじゃうかもしれません。その辺のところを考えていただきたいと思います。
#250
○説明員(榊孝悌君) ただいま御指摘の人事院規則一〇−四の業務の軽減ということでございますが、これは、現在労働基準法にございますいわゆる「軽易な業務」につかせるということとまあ同趣旨の形で設けられたものでございます。したがいまして、いまのお話しの通勤負担の緩和という問題については、この規則の運用問題だけでそういう形が可能かどうかの問題がやはりございます。したがって、私どもとしては、そういう意味も含めまして――また、実は私どものこの人事院規則では、妊娠中のいろんな健康診査とか保健指導、今度の勤労婦人福祉法の九条にございますようなそういう形の規定はもうすでに設けてございまして、その辺との問題もございます。そういうことで、先生御指摘のような趣旨は十分体した形でできるだけ早い時期に検討をしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#251
○小笠原貞子君 いま私が言っていたことは、労働大臣としても当然だと思っていただけると思います。また、婦人少年局長の立場でも、妊婦の母性を守るという立場からも当然だというふうにお認めいただけると思うし、お認めいただければ、人事院に対しても、早く働く者のためにそういうふうな措置をとるようようにというような御意見にもつながるかと思いますが、その辺、どういうふうに考えていただけるか。
 また、人事院のほうでは、早急に、ということでございますけれども、「早急に」ということばが使われても何年もかかっているというような問題もございますが、大体「早急」ということばは、いつごろの期限というふうに頭の中でお考えいただけるかどうか。
 その辺を、お三人からお答えいただきたいと思います。
#252
○国務大臣(塚原俊郎君) 確かに、いまのラッシュアワーのときには、われわれ自身、もうからだに自分ではかなり自信があると思っておりましても、あなたほどの弾力性はございませんけれども、(笑声)だいぶきつい目にはあっております。私は悪条件と戦ってきた男でありますから、やはりそういう体験は必要であろう。しかしながら、妊産婦の方は――私女性でありませんからわかりませんが、やはりある時期では、自動車ではいけない、レールの上を走るもののほうがいいのだという話は聞いておりますから、もちろんそれはラッシュアワー以外のときにお乗りになることになりましょうが、ラッシュアワーで非常にそれが、死産になるとか、おなかの子に影響するというようなことがあってはなりませんので、この間の修正の中にも、第十条の中に、「必要な配慮をする」という中に、勤務時間の変更、勤務の軽減という必要の措置を講ずるというようなことがございますが、これは明らかに出勤の時間、これをラッシュをはずして通勤できるというようなことを考えておる点であります。
 それからなお公務員の場合の、人事院のいま答弁がありましたけれども、この法律にいう事業主という場合、これは明らかに国または地方公共団体をさすことは、これはそのとおりでありまするから、私といたしましても、人事院の方、いろいろ御研究なさることもあるでしょうが、これは私としては人事院総裁その他関係者とお目にかかりまして、この法案の趣旨にのっとった措置をとるよう強く要請する考えであります。では、時期的にいつできるかといえば、やはりこれは会っておりませんから、そういう御返答はできませんが、さっそく折衝をいたす考えであります。
#253
○政府委員(高橋展子君) 私の考え方は大臣と全く同じでございまして、事務当局といたしまして努力いたしたいと考えます。
#254
○説明員(榊孝悌君) ただいまのお話でございますが、私も早急にこれは上司に報告いたしまして、ただいま労働大臣からもお話しのございましたように、早急に実現のできるようにいろいろ検討を進めたい、このように思います。
#255
○小笠原貞子君 それでは国税庁に伺いたいと思いますが、国税庁のほうには、全国税の労働組合から、やはり妊娠中の婦人が請求した場合に、朝夕それぞれ三十分以上の、一日六十分の遅刻、早退を認めてほしいという要求が出ていると思うんですけれども、いままでの討論をお聞きになっていかがお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#256
○説明員(安田裕之君) 私どもといたしましては、勤務時間とか休暇の問題につきましては、人事院規則並びにそれを受けてできておりますところの総理府令というのがございますが、その定める基準に従ってやっていかなくちゃなりません。したがって、もし人事院のほうで将来この点について、きょうのここでの議論をもとにして改正をされるというようなことでございますれば、私どものほうもそれを受けまして取り扱いを変更することになると、こういうふうに考えております。
#257
○小笠原貞子君 それは当然だと思うんです。そこで、しかし問題なのは、おたくのほうでは以前には実施されていたんですね、妊産婦の出勤、朝と晩の三十分というのがね。それが組合分裂のあの時期にこれを取り上げちゃっているんですよね。このこと御存じでしょうか。で、私はその辺の事情も考えまして、これは以前にやられていたと、そしてまた当然婦人のそういう母体を守り、そうしてからだを守るということは、業務にも影響がいいことになりますから、そうすれば当然前にやっていたものを、組合分裂のときにこれを取り上げたという経過から考えれば、もういますぐにだって当然やれるはずなのにあまり考えないで、その辺のところをきちっとまとめて実施していただきたいと思うわけなんですけれども、いまの御答弁のとおり、人事院のほうも考えていただくということですから、その段階において早急に処置していただきたいし、また、労働組合の切実な要求というものも十分に聞いていただきたいと、そういうふうに考えているんですけれども、その労働組合の、実際本人に希望などもお聞きいただいて事情を聴取していただけるかどうかということと、それから十年前にはあったものを、分裂以後取り上げたというところは一体どういう点だったのかということを簡単にお答えいただきたいと思います。
#258
○説明員(安田裕之君) 昨日、実は本日ここの席でこういう御質問があるということを伺いましてから、急遽私たちはこの問題についていろいろな勉強を重ねたわけでありますけれども、むしろそういうことを国税庁はやっていたということを私は聞いておりません。
 それから御質問の第二点でございますけれども、もし人事院のほうで人事院規則を改められるとか、あるいはそれを受けて総理府令が改正になるということでございますれば、職員の希望を聞きまして、それに沿った扱いをするという方針でおります。
#259
○小笠原貞子君 それは御存じなかったということでは、事実はそうでございますということを申し上げておきたいと思います。
 それから関税のほうにお伺いしたいと思います。
 関税当局にも同じような要求が出されているわけなんですけれども、この問題について、これまで労働組合とお話し合いをなされたかどうか、そしてこの要求を妥当とお思いになったかどうか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#260
○説明員(森谷要君) お答えいたします。
 ただいま御指摘の点につきましては、かねてからたびたび組合の婦人部の方々から御要望のあることは十分承知しております。で、私どもといたしましては、税関の職場というものは非常に大蔵省の組織の中でも女性の数が少のうございまして、そういう意味におきまして、非常に大事にしておる職場だと私は確信いたしておりますが、さような考え方もございまして、たびたび御要望があった点を踏まえまして、いままで人事院当局にもどうにかならないだろうか、多少なりとも前向きにこの問題を解決いたしたいということで御相談にあがってきたいきさつがございます。ところが、先ほど来、人事院の方から御説明がございましたように、遺憾ながら現在の人事院規則の運営の点から、通勤時間をずらして勤務時間を短縮するというようなことは、これはなかなかむずかしいと、で、本人の請求によって業務の軽減をすることは可能であるが、どうもむずかしいと、こういうことでございます。先ほど人事院のほうからもお話しがございまして、しかも、先ほど労働大臣からもお答えがございましたように、いま申し上げたような考え方で現在まで終始しておりますので、この問題がいま御議論になっておりますところの法案が成立した暁に、何らかの形で先生の御指摘のような方向で解決されるといたしましたならば、私どもも非常に喜んでさような形でこの問題が解決されることを期待いたしておるわけでございます。
#261
○小笠原貞子君 いろいろな法的な問題や規則の面では、人事院規則とか総理府令とかいろいろな問題でのきまりがなければやりにくいというようなことでございましたけれども、一つお伺いしたいのは、職場の中で婦人がどれくらいいるかといえば、半分以上婦人だという職場もありますけれども、全体としてそんなにたくさんございませんでしょう。それからまた、妊娠している婦人というのは、そうしたらどのくらいいるかといったら、一つの職場でもう一ぺんに何十人が同時に妊娠しているというようなのは現在の状態では考えられないわけですね。そうすると、一つの職場の中で妊娠している、この人はほんとうにいま通勤でたいへんなんだと、だからみんなその人のために三十分ぐらい朝晩減らしても、それくらいの仕事はみんなでカバーできるし、一向差しつかえないというようなことで、それぞれの役所で、それぞれの職場で自主的にそういう立場で母性を保護するというようなことをした場合にはどうなりますか。私は当然それはできると思うのですけれども、そういうふうなやり方というのはできないものでしょうか。
#262
○説明員(森谷要君) 大蔵省の中の税関の職員に限って申しますと、現在女子の職員が、約七千名税関の職員がございますが、そのうち五百八十四名の婦人の方がつとめております。で、先ほど来申し上げましたように、私ども非常に、御指摘を待つまでもなく、この問題に非常に関心を持っておりますので、常時妊婦の、妊娠中の御婦人の数を把握しておるわけでございますが、現在十三名ございます。で、かような方々がいま御指摘のようにいろいろの職場に配属されておるわけでございますが、そういう妊婦の方に限って、たとえば勤務時間、出勤時間をずらすということは、遺憾ながら現在の人事院の規則の上ではだめだということのようでございます。したがいまして、私ども大蔵省の税関の職場といたしましては、やはり公務員法あるいは人事院規則というものを適正に順守いたしまして職場を運営してまいる必要があるという考えを持っておりますので、人事院規則を破ってまでそういう措置をとることは遺憾ながらできないという状況でございます。しかし、現在でも個別的にたとえば職場をかえるとか、あるいは宿舎事情が許せばもっと近いところへその御婦人に移っていただくとか、現行制度を運用する範囲内においてさような趣旨を生かし、同時に、それぞれの妊娠中の御婦人の希望に沿い得るような措置はそのつど実施いたしておるわけでございます。
#263
○小笠原貞子君 いま労働省では週休二日制というような問題も考えておられるというような時代になっているわけなんですね。やっぱり私は頭の切りかえを少ししてほしいんです。三十分朝おそいからそれはできないというような、とにかく三十分という時間そこにいれば仕事の能率があがるみたいに考えているところをもうちょっと頭をやわらかくしてもらいたいんです。やっぱり三十分、三十分、一時間という時間が短縮されるかもしれないけれども、ほんとに安心して働いて能率をあげるという実際の面からの見方というものをやっていただきたい。そうでないから、役所というのは、とにかく時間に行って黙っていたって、あれやっているんだというようなふうに言われている一面もあるわけですよね。私はそういうふうなこととは考えていませんけれども、やはりほんとうに母性を守り、そうして仕事も家庭も両立させていくという立場に立てば、しゃくし定木な御答弁というのは、いまもうすでに週休二日制というようなことがいわれているときに非常に残念だと思うので、もう少し頭を柔軟に考えていただきたいということを要望したいと思います。
 で、それじゃ続いて自治省の叶野さん、自治省のほうにお伺いいたしたいと思いますけれども、やはり妊娠中の女子地方公務員、地方公営企業職員についても事情は同じだと思いますけれども、自治省としてこの問題を調査研究されたというようなことばございますのでしょうか。
#264
○説明員(叶野七郎君) 地方公共団体の職員の勤務条件につきましては、地方公務員法の二十四条の五項に規定がありまして、国なりその他の地方公共団体との権衡を失しないようにというような規定がありますので、もちろんそれは労働基準法もかぶっておりますから、労働基準法の範囲内の問題、その二つの条件でこのことを考えて指導してきてまいってはおります。ただ、このように具体的な問題については、率直なところ、現在まで指導した覚えはありません。
#265
○小笠原貞子君 たとえば東京とか京都なんとかいうのをちょっと調べてみたら、実施しておりますね。で、そういうような点もございますので、調査したことないとおっしゃいましたけれども、自治省としても、やはり働く婦人をたくさんかかえてこういう問題も切実な問題としていま提起されておりますので、地方自治体の自主性を尊重しながらも、好ましい方向として指導をしていただきたいというふうに希望するんですが、そういうふうな姿勢で自治省として御指導を考えていただけるでしょうか。
#266
○説明員(叶野七郎君) 先ほど人事院なりあるいは労働省のほうから御答弁ありましたような方向で、自治省といたしましても検討してまいりたいと思います。
#267
○小笠原貞子君 まあ、そういうようなことを伺いますと、人事院も相当しっかりしていただかないと、他に影響がたいへん大きゅうございますので、先ほどのことばどおりに、早急に具体的に実施をしていただけるような措置をとっていただきたいということを重ねてお伺いして、御答弁けっこうでございますが、次の問題に移らせていただきたいと思います。
 次に、産前産後の休暇についてお伺いしたいと思いますが、婦人少年局訳によります一九六八年の十一月二十六日から二十八日までパリで開かれましたOECDセミナーの報告書というものを拝見いたしました。これで産前産後の休暇の欄をずっと見てみましたら、たとえばフランスとかイタリーというものを見ますと、産前産後八週間、しかも、強制的に産前産後を取れというような、非常に母性保護の立場に立った内容になっているわけなんです。こういうものから見ると、先ほど、まあILOの問題で言われましたけれども、日本が非常に、たいへんおくれているわけなんですね。で、先ほども、まだそれは一〇三号は十四ヵ国しか批准していないというようなお話でありましたけれども、まあGNPがこれだけだというのなら、どの国がしなくたって日本がやってみるというくらいでなければ福祉国家と言えることにはならないと思うわけなんです。で、こういうような産前産後の休暇の問題を考えますと、働き過ぎるエコノミック・アニマルというような国際的批判も当然だという一面も出てくると思います。私はその産前産後の休暇を考えたら、これはどうしてもいま要請されているように産前産後八週間というような国際的な水準に恥じないように持っていっていただきたい。週休二日制もけっこうだけれども、それもやっていただきたいけれども、産前産後の八週間というものをやっていただきたいと、こう希望するわけですけれども、大臣としてはどういうふうな御見解でしょうか。
#268
○国務大臣(塚原俊郎君) 労働基準法ができまして二十数年たちまして、当初のうちはなじまない面もありましたけれども、このごろはだいぶ定着いたしてきたと私は考えております。また、労働基準法研究会においていろいろ検討された結果、立法措置をとられたものもあることは御承知のとおりでございます。特に最近ややおそきに失した感はあるかもしれませんが、婦人の問題、ただいま勤労婦人福祉は御審議を願っておるのでありまするが、婦人問題が非常に大きくクローズアップされてまいりましたこと、これも事実でございます。したがいまして、いま八週間というお話でございますが、今日までいまのところ六週間でございますが、そういう婦人問題というものが非常に脚光を浴びるおるというか重大な問題であり、今後の日本の発展段階においても大きな役割りを占めるということから考えまして、これは前向きの検討を続けなければならない。いま現にこの問題等を含めまして労働基準法研究会でも御審議を願っておりまするから、それの考え方というようなもの等と相まちまして、この問題と真剣に取り組む考えであります。考える所存であります。
#269
○小笠原貞子君 きょうは時間の関係で特に母性保護の立場からお伺いしたわけでございますけれども、冒頭申し上げましたように、勤労婦人福祉法が出された段階で、ほんとうにこれが婦人のことを考えて出されたものか、あるいは、巷間いわれるような労働力のかり集めのために出されたものかということは、これからの具体的な行政または予算のつけ方というところが試金石になって出てくると思います。私は、いま具体的な問題でいろいろ要望をしたわけなんで、こういうことがほんとうに実施し措置されたときに、ああやっぱり労働省は本気に婦人の、働く者の立場に立ってやってくれているんだな、こういう期待もあるし、この法そのものも生かされてくると思いますので、そういう立場に立って真剣に、前向きとおっしゃったその姿勢でしっかりやっていただきたいということを最後にくどいようですが重ねてお願いをして、質問を終わりたいと思います。どうぞしっかりやっていただきたいと思います。
#270
○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト