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1971/06/12 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第24号
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1971/06/12 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第24号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第24号
昭和四十七年六月十二日(月曜日)
   午前十時三十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     佐野 芳雄君     村田 秀三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 英男君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                高田 浩運君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上田  稔君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                玉置 和郎君
                高橋文五郎君
                橋本 繁蔵君
                山下 春江君
                佐野 芳雄君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤原 道子君
                村田 秀三君
                柏原 ヤス君
                高山 恒雄君
                小笠原貞子君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     橋本龍太郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生大臣官房審
       議官       曾根田郁夫君
       厚生省公衆衛生
       局長       滝沢  正君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省薬務局長  武藤g一郎君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省保険局長  戸澤 政方君
       社会保険庁医療
       保険部長     穴山 徳夫君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       渡部 周治君
       文部省大学学術
       局医学教育課長  斎藤 諦淳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○老人福祉法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法
 等の一部を改正する法律の一部を改正する法律
 案(衆議院提出)
○毒物及び劇物取締法等の一部を改正する法律案
 (衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○藤原道子君 私は、前回の改正のときに、政管健保の赤字解消のためには、料率の引き上げ等では実態からいっても不可能である、どうしても定率国庫補助を行なうべきであるということを強く主張いたしまして、その料率は二割を必要とする、これによって医療の内容も充実してくるのではないかということを強く主張いたしましたが、残念ながら受け入れられませんでした。今回初めて五%の定率補助を原案として、衆議院修正で一〇%となったが、プラスボーナスからも徴収するというようなことを規定していることは絶対に許せないと私は思っております。
 政府は、一体、政管健保の赤字発生の原因をどのように認識されているのか、これからまずお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(穴山徳夫君) 一口に申しますと、いままでの政府管掌健康保険の財政の状態と申しますのは、支出に対しまして収入が不足するということでございました。
 収入面につきまして問題になりますのは、御承知のように、政府管掌健康保険の対象といたします事業所というものは、零細企業である。したがって、そこに働く人たちの給料というものは総対的に低いわけでございますので、保険料の収入というのがなかなか伸び悩むというような問題があるわけでございます。
 それから支出の面につきましては、組合管掌の健康保険などに比べまして、年齢構成から見ましても老齢者の占めます比率というものが大体倍ぐらいおります。したがって、相当高年齢者をかかえておる。高齢者をかかえておりますということは、やはり一人当たりの医療費が高年齢者は若い人に比べまして高いわけでございまして、それだけ支出をふくらませる要素をかかえているということが言えると思います。また、いわゆる老齢化と申します現象を分析いたしますと、組合の場合よりも政管のほうが老齢化のスピードが速いわけでございまして、そういったようなことで、被保険者のそういった要素からも支出を押し上げる要素を多分に含んでいるということが言えると思います。それからまた、男女の構成の比を見ましても、健康保険のほうが六、四ぐらい、すなわち四〇%ぐらい女子の被保険者をかかえております。組合管掌のほうでは七、三ぐらいの割合で、三〇%ぐらい女子の被保険者をかかえているわけでございます。この女子の被保険者の多寡――多い少ないと申しますのは、女子のほうが男子よりは医療費につきましては若干高いということもございますが、収入面につきまして、女子の被保険者のいわゆる標準報酬というものは男子の被保険者の標準報酬よりも低いわけでございまして、したがって、女子が多いということはやはりそれだけ収入の面にもある程度の影響があるというようなことが言えるのではないかと思います。
 したがって、政府管掌の健康保険では、いま申し上げましたような年齢の問題、あるいは性別の問題、あるいは対象事業所が零細であるというような問題、そういったようないわゆる構造的な面に弱さを持っているわけでございまして、それが原因で、結局、支出の面が収入の面を上回っているというようなことから赤字がいままでに累積をしてきたというように考えているわけでございます。
#5
○藤原道子君 収入が少なくって非常に苦しい人たちの料率がどんどん上がるということは、私は納得がいかない。
 そこで、中小企業に働いておる労働者の労働条件とか、生活の実態、あるいは健康管理の実態等をどのように把握しておられるか、詳しく伺いたい。健康管理の面を特にお伺いします。
#6
○政府委員(穴山徳夫君) 健康管理の面につきましては、これは私どもも中小企業の被保険者の健康につきましていろいろと管理的な努力をしなければいけないというように考えているわけでございますが、率直に申しますと、組合管掌の健康保険に比べまして政府管掌の健康保険における健康管理というものは、まあ格段の見劣りと申しますか、数字的な面で見ましても劣っているということは、これは否定できないと思います。これは、御承知のように、従来までいわゆる赤字をかかえている財政ということで、十分に健康管理の面まで手が回らなかったというようなことが率直に申しますと原因でございまして、私どもも、健康管理の重要性というものから、いまの現状というものは何とかして打開していきたいということを考えているわけでございます。したがいまして、この法案を成立させていただきました暁には、それを契機といたしまして、私どもも健康管理という面には特段の努力を払っていかなければいけないというように考えております。
#7
○藤原道子君 あなたが最初におっしゃったように、零細企業が多い、給与は非常に低い、物価はどんどん上がってくる、そして労働時間も残業その他が非常に多いわけです。しかも、健康管理はあまりやっていただけない。ほとんどやっていないと言っても過言でございません。そういう人たちに対して、赤字だからといってボーナスからまで取り上げるというのは、どういうわけなんですか。ふだんの家計の赤字をボーナスで補うというのが、中小企業で働く人たちは特にそういう方針でやっているんです。ですから、私は、こういう実態を知りながら、なおかつボーナスから料金を取るということは絶対に許せないと思いますが、ここまで及んでこられたお考えはどういうところから発想されたのですか。
#8
○政府委員(戸澤政方君) 今度ボーナスを対象にしまして特別保険料というものを創設いたしたいと考えておりますその理由について御説明申し上げます。
 ボーナスのような臨時収入について保険料を徴収するという考え方は、昨年の六十五国会に提出いたしました改正法案の中でもすでに打ち出したわけでございますが、今回はさらにそれを運営上やりやすいような簡素化するような方向でもって再提出をいたしたわけでございます。なぜそういう保険料の対象としてボーナス等を入れたかということでございますが、現在、ほかの労災とか失保とか社会保険におきましては、そういうボーナス等を含めたいわゆる総報酬というようなものを対象にして保険料を賦課している制度がたくさんにあるわけでございます。しかし、健康保険におきましては、いわゆる総報酬制というものはとらずに、標準報酬制というものでもって実施しているわけでございます。したがいまして、ただ保険の収支を合わせるというためには、従来どおりの方法でもって保険料率を上げるということでもそれは収支のバランスはとれるわけでございますが、四十七年度の政管健保の財政収支につきまして、これを収支のバランスをとるためには、当初の原案によりますと、国庫補助五%を入れましても料率を千分の六ほど上げなければならない計算になるわけでございます。したがいまして、もしボーナス等を対象にしないとすれば、保険料率を千分の六上げなければならぬという計算になります。これはあまりにも急激上な昇率ではないかということと、それからもう一つは、正常の保険料率は、これはすべての所得者にべたに一律にかかるわけでございます。その負担というものが一律にかかるわけでございます。ところが、ボーナスの実態を見てみますと、高額所得者ほどボーナスも大きいという実態がございます。国税庁調査によります民間給与の実態調査によりますと、所得階級別のボーナスの年額割合を見てみますと、全平均は三・五カ月分になっております。それを所得別に分けてみますと、たとえば所得が年二十万円以下の人は一・一六月、それから五十万円以下の人が二・七八月、百万円以下の人が三・二八月、だんだんと上がってまいりまして、たとえば五百万円の人ですと四・二月、それから一千万円の人になりますと四・五月というふうに、非常に高くなっていきます。ということは、どういうことかと申しますと、従来、ボーナスのようなものが保険料の対象からはずされておるということは、高額所得者ほど相対的に有利な扱いになっておる、低額所得者ほど相対的に負担が過重になっておるということが言えるわけでございます。これをボーナスの特別保険料をやめまして保険料率をただ千分の六ほど上げるということになりますと、所得の逆進性と申しますか、そういった矛盾が起こるわけでございます。したがって、保険料の負担の公平を期するという意味からは、やはりボーナスを含めて高額所得者のほうからたくさんの保険料を取るというふうにしたほうが負担の公平を期するという意味から適正なのではなかろうかというふうに考えたわけでございます。
#9
○藤原道子君 そうすると、政管健保の人たちからは取らないのですか。収入はどの程度からお取りになるんですか。
#10
○政府委員(戸澤政方君) 当初の政府原案では、ボーナスは全部の人から取るという案にしておったわけでございます。これはまあボーナスに対する料率は千分の十、つまり一%ということでございまして、
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
そう多額なものでもないであろうと。たとえば、例を申し上げますと、給与の月額が四万八千円の人に対するボーナスに関する保険料は、月額六十六円の増でございます。それから十万円の人に対するボーナスの保険料が月百六十三円、そういったような程度のものでございます。したがいまして、負担の均衡をはかるという意味から、全部の人に特別保険料を課してもそう大きな負担にはなるまいというふうに考えておったわけでございます。それが衆議院の段階で修正されまして、月収五万円以下の人は特別保険料免除というふうに修正されました。それによって、当初の財政効果が約五十億近く減るわけでございますけれども、衆議院修正の御趣旨に従って、現在では、月収五万円以上の人についてだけ特別保険料を課するというふうに考えているわけでございます。
#11
○藤原道子君 私は、きょう、この点についての質問は他の委員がやることになっておりますので、詳しくは追及いたしませんけれども、五万円の月収で子供をかかえて家庭生活ができると思いますか。そういうふだんの生活の赤字を補っていく方向へ低所得層の人たちは使っているんですよ。だから、われわれが言うように、もっと国庫補助をふやして、そうしてボーナスからまで料金を取るということは私は絶対に了承できません。この点につきましては、あなた方の生活から考えましても、月給五万や六万で生活ができると思いますか。こういう点を十分にお考えになって、まあ同僚議員からの御質問がさらにございますので、きょうは私の使命がございますので、この程度にいたしますが、だから、私たちは、今度初めて一〇%の定率補助ということになったけれども、もしこの前のときに定率補助が入れられていたならば、きょうのような問題にはならなかった。もう少し国民の生活、国民の医療等に対して、政府は心を用いていただきたいということを強く要望いたします。
 そこで、政府は、日本は国民皆保険であるというようなことを誇らかに言っておりますけれども、保険加入者が安心して医療が受けられることによってのみ、はじめて皆保険の価値があると思う。ところが、現在、国民が安心して医療が受けられていると思っておいでになるかどうか。結局、待ち時間が二、三時間、診療はわずかに二、三分、そして終わってから薬をいただきますためにはまた一時間くらい廊下のようなところで待たなければならない。病気で苦しい患者が廊下のようなところで長時間待たねばならない原因はどこにあると思っておいでになりますか。
#12
○政府委員(松尾正雄君) ただいまのような現象が起こっていることを端的に申し上げれば、一つは、医師その他の診療に従事されている、そういう患者さんをいわば処理していかれる方々の数が相対的に足らない、こういうことが一つ。それからもう一つは、わが国の医療需要というものが非常に大きな勢いで伸びておる。それには、保険制度の問題もございましょうし、国民の衛生知識の問題、あるいは交通機関その他の簡便さとか、いろいろな問題が関係があると思いますが、いずれにいたしましても、多数の患者さんがあられる。そこの相対的な比較の上において供給力が不足していると考えるのが私は適切だと思います。
 ただ、いま御指摘のようなそういうことの待ち時間等の関係、こういったものにつきましては、なおまだまだ病院自体で改善をすべき余地はないのかと言われれば、それはまだ余地はあるわけでございます。特に、いわゆる予約制度、あらかじめ何時から何時までというような予約制度というようなことがうまく運用されますと、そういったような待ち時間というのは解消されるわけでございます。わが国でもそういうことをやって効果をあげているところがございますが、それがなかなか一般には行き渡っていない。そういったようなこともございます。私どもは、できるだけそういう不便というものをなくす、こういう方向で病院の管理運営ということを考えなければならぬと考えております。
#13
○藤原道子君 本案に対しましての質問条項はそれこそ山ほどありますけれども、私といたしましては、時間の制限もありますので、主として医療従事者の実態と、その補充、さらに待遇改善についてきょうの質問といたしたいと思います。
 まず、第一にお伺いいたしますが、医療従事者数の基準でございますが、国際水準に比べまして四分の一から六分の一というのが日本の実態でございます。日本病院管理学会の調査報告によりますと、これは少し古く昭和四十二年でございますけれども、アムステルダムの自由大学附属病院では、七百床に対して職員が千七百人、一床当たり二・一四人となっております。うち、医師が十九床に対して一人、看護婦は〇・七床に一人。それからイギリスのセント・バーソロミュー病院では、八百十八床に職員が二千八百人、一床当たり三・四人となっております。それからアメリカのマウトサイナイ病院では、千五百床に対して職員が四千人で、一床当たり二・七人。ところが、日本の現状は、百床に対しまして職員はわずかに六十人でございます。これは厚生省の医療施設調査でございますから、間違いないと思います。この現状で、そうして幾ら保険制度の料率が何だかんだ言ったっても、これで完全な医療が行なわれるとお考えでございましょうか、この点についてまずお伺いをいたします。
#14
○政府委員(松尾正雄君) ただいまおあげになりましたような病院の実態は、私どももさようなことだと存じております。ただ、わが国の全体のように、医療法の施行規則等で、一定の標準でございますけれども、標準をきめておるという国は、ほとんどないようでございます。したがいまして、学会等がいろいろと御視察いただきましていろいろな資料を集めていただいて、そういったようなことが報告されております。したがって、日本全体としての比較と外国の個々の病院とがそのまま比較できるという性質のものではないと私は考えております。しかしながら、いまおあげになったものの中にも、かなり教育病院的な病院もあるかと存じます。したがって、そういうようなまた特殊な性格も加わっておるということもあろうかと存じますけれども、しかし、総体的に見まして、私も、先ほど冒頭にお答え申し上げましたように、人の面におきましてなお医療全体において供給体制としては不足をしておるということは事実だと存じます。したがいまして、それで完全な医療ができるか、医療サービスといったようなものにつきましてこの限度まであればそれでもう一切それから先は要らないのだと、こういう認識はおそらく出てこない問題だと私は思います。サービスというものにつきましては、できるだけ濃いほうがいいといった、いわばかなり際限のないものであろうかと思いますけれども、しかし、それにしましても、いま先ほど最初にも申し上げましたような事情一つとらえましても、なおやはり充足をしていくという必要性は基本的にあるかと存じます。
#15
○藤原道子君 私は、この外国の病院の実態を申し上げまして、いまの日本でこれだけをすぐやれなんということは無理であることは承知しております。しかしながら、これに対しての努力はどうなされておるか、ここに問題がある。私は、医療従事者の問題は、皆さんもうるさいくらいしょっちゅう当委員会で取り上げてきておりますが、きょうは重ねてお伺いをしなければならぬ段階に来ていることをお考えになっていただきたい。
 そこで、まず、一番問題となりますのは、看護婦の基準でございます。医療法施行規則の十九条で、入院四床対一人、結核、精神病については六床対一人、外来三十人対一人、こういうふうになっておりますね。ところが、社会保険診療報酬による基準看護は、特類が三床に一人、一日六百四十円、一類が四床に一人、保険のほうで四百四十円、二類が五床に一人、三百円、三類は六床に一人で二百十円というふうになっております。ところが、この四床対一人というこの規定のときに、私は、保助看法の制定のとき、四床に一人でやっていけるはずがない、絶えず四床に一人の看護婦がいるならばこれは別だけれども、三交替制で四床に一人というのは無理じゃないか、どこからこの基準が出てきたのかと伺いましたら、病床の数と看護婦の数とを割っていくと四対一でなければやれませんと。じゃ、それで四対一で十分看護ができると思っているのかと言ったら、いいえ、漸次看護婦の養成を急ぎ増員することに努力すると、こういう御答弁があったわけなんです。ところが、いま、その当時から見て、病床数はどのくらいふえているか、看護婦の数はどのくらいふえているかをちょっとお伺いいたしたい。
#16
○政府委員(松尾正雄君) 私の手元に古い資料がございませんので、看護婦関係につきましては、昭和三十五年に看護婦、准看護婦含めまして十九万五千人――十九万五千八百六十五人、それが四十五年末におきましては三十万三千人、これは就業人口だけでございまして、潜在看護を含んでおりません。こういうような状況でございまして、この三十万三千人になりました四十五年末の段階におきましての日本の一般病院のベット数、これは百六万ベットでございます。医療法ができました当時、昭和二十三年でございますが、その当時は、たしかわが国の病床数は三十万ベットを割っておったと、かように存じております。これはもちろん戦災その他によって荒廃したわけでございますから、それが今日、一般病院だけで百六万ベット、そのほかに有床診療所のベットが約二十四万ベットでございます。合わせますと、わが国のベットそのものは総体として現在百三十万ベット、こういうふうにかなり急速な伸び方を示しております。
#17
○藤原道子君 看護婦さんの現状はどうなっているでしょうか。結局、基準看護というところになれば、看護婦さんだけで十分看病ができるかということなんですね。ところが、現実はどうなっておるか。特類はことしの二月の改定で新設されたんですが、その理由は、あまりにも看護婦さんたちの労働が過重である、夜勤が多過ぎる、病気で倒れる人がふえてきた、こういうことで夜勤は一人夜勤が多いために、患者のところに行っている留守にブザーが鳴ってもわからない、患者のほうにもいろんな悲劇が起きてきた、こういうことで二人夜勤にしろと。夜勤は、ひどいところは二十日間の夜勤なんというものがございました。これらもこの委員会でずいぶん問題にしてまいりましたが、ぜひ夜勤は六日以内にしてほしいというのが私たちの主張なんです。それで二人の夜勤です。ところが、これが、人事院の判定で、夜勤は二人で月に八日間、いわゆるニッパチということに相なりました。これがいまどの程度に行なわれておるかということをちょっとお伺いをしたいと思います。
#18
○政府委員(松尾正雄君) 日本じゅうの全病院につきましてはまだそういう調査がございませんが、国立病院・療養所について申し上げますと、大体、二人夜勤をやっておりますのが全看護単位の四二%で、それから四十六年昨年秋の段階での夜勤回数が約九回、こういうことでございます。それで、私どもは、これも前から御指摘をいただいておる問題でございますし、人事院判定は、御承知のとおり、すべての看護単位について二人夜勤でなければいかぬということを言っているわけではございません。病棟のいろいろな状況に応じましてその必要なものについては二人夜勤をすべきである、こういうことでございますので、そういう趣旨に沿いまして三カ年計画でそれに必要な増員は全部したいと、こういう計画で進めてまいりました。御承知のとおり、私どもは、この三カ年計画を四十七年度の段階でそのためだけで約千二百五十人の増員をいたしておるわけでございます。そういうことで、私ども、当初の計画は、少なくとも国立病院・療養所につきましては計画どおりに実施したい、そういうことで、その定員についても、すべて私どもの計画どおりに、繰り下げをしないで充実をすると、こういうことで進めてまいっておりますので、これから四十七年度の最後の一番大きな定員の配分が各施設に行なわれるわけでございます。その結果によって、私どもは、私どもが当初期待いたしておりますような夜勤回数になるということを期待しております。その上においては、いろいろ実行上こまかい配慮をしなければならぬ問題があるかと存じます。マクロといたしましては、総体的には、そういうことで計画を達成するように努力したつもりでございます。
#19
○藤原道子君 私どもの調べによりますと、国立病院・療養所における夜勤制限のための増員といたしまして、第一年度の四十四年から四十五年度で、四十四年は二百六十一人、四十五年は四百八十三人となっておりますが、その四百八十三人のうちの百二十七人は、正式な職員ではなくて、日給制による臨時ということになっている。それから第二年度の四十六年度は六百二十八名となっておりますが、そのうちでは三百十四名が日給制の者、それから第三年度の四十七年には千二百五十五人、うち六百二十一人が日給制の職員ということになっております。こういうことでよろしいのでしょうか。
 それから厚生省は、病院で病棟数の半分、療養所で三割が複数夜勤が実施されておる、月平均八回が可能と言っておられますが、はたして可能でございましょうか。
#20
○政府委員(松尾正雄君) これは前にもいろいろな御議論があったことかと思いますが、少なくとも看護の仕事全体がきわめて能率的になるためには、これはいろいろなほかの要素もありますけれども、何としても人の数が必要であるということは、否定できないものがあります。したがいまして、私どもも、全力をあげて、できるならばすべて定員でもって確保したい、こういう努力をしてまいりましたけれども、御承知のように、公務員全体の定員のワクの問題いろいろなものがひっかかっております。したがって、そうであっても、私どもは、実質上の人の確保だけはしたい、こういうことで、いま御指摘のような問題がございますけれども、努力してまいった――もちろん、こういったものは、この人方を賃金職員でございましても永久にそのままにしておくという性格のものではございません。あきがあればいつでも定員化できる、そういう操作を十分配慮すべき問題でありますが、しかし、全体として少なくとも数をしっかり確保する、このことは何としても一番基本であろうということで、ただいま御指摘のような問題はございますが、努力してまいったわけでございます。
 それで、国立病院や療養所の二人夜勤制度の病棟を、国立病院へ行けば一応半々、これは御承知のとおり、先ほども申しましたように、人事院がすべての病棟について二人夜勤をしろと言っているわけではございませんから、できるだけそういった点を各単位ごとに検討いたしまして、そうしてここは少なくとも二人夜勤が要るであろう、ここは比較的軽症病棟であるということで判断をいたしましてさような数字をまとめたわけでございまして、一応そういう形においては私どもは実現できる、こういう計算をいたしておるわけでございますが、しかし、今後は、患者の病状と申しますか、いろいろな質的な変化というものは当然ございます。そういったものは今後とも固定したままでいいのだという気持ちは毛頭持っておりませんし、また、ただいま先生御指摘のような数字は、二人夜勤制度というものを実現するためのその項目に対応する増員分でございますけれども、決して国立病院や療養所がそれだけで済ましておるわけじゃございません。ほかに、重症科の問題、あるいは医療の救急の問題、その他いろいろなファクターとして増員しなければならぬものがあるわけでございます。したがって、私どもは、四十五年から四十七年までの間に、少なくともそういうものを含めまして四千七十六名の増員措置をとったわけでございます。その一部に、ただいま御指摘のようなニッパチ制度があります。しかし、この問題は、看護婦全体の数が増すということによって、この目的がどういうものであろうと、現実に国立病院・療養所の中の看護婦さん方がふえるということが先生御指摘のような問題を解決をする方向に全部結びつくわけでございまして、決してニッパチの定員だけがニッパチ問題であるということは私どもは考えておりません。したがって、そういうような一応の計画は持ってまいりましたけれども、今後は、来年度以後、そういう質的な内容の変化、そういったようなものも考えながらさらに私どもは充実をはかりたい、かようなつもりでおります。
#21
○藤原道子君 厚生省ではまあいまのおことばでございましたが、全医労の調査によりますと、四十七年の三月に、病院では夜勤が九・九九回となっております。療養所では九・五八回、平均いたしまして九・七一回となっているわけなんですね。複数夜勤は、病院で三五%、重症心身障害児病棟を除いた療養所では二七%、こういうふうな調査が出ているわけなんです。したがいまして、国立について今後の夜勤制限のための増員、と同時に、これは国立のみでなく全部の医療機関について今後の指導方針というものがございましたら、ちょっとお聞かせ願いたい。
#22
○政府委員(松尾正雄君) 国の機関等になされました人事院判定の趣旨というものが、その判定自身の対象が国であろうとを問わず、この問題はやはり勤務条件の問題として一般化していくことは当然のことでございます。したがいまして、私どもも、特に直接いろいろの関係の深い公立病院等につきましては、これもあの問題以来いろいろなことが各病院でも起こってまいりましたけれども、それぞれに当たって増員措置をとるというような指導はやってまいっております。まあ全部の病院について網羅するわけにはまいりませんが、その結果、ただいままでにわれわれがつかんでいる範囲では、いわゆる公立病院関係につきましては、こういった趣旨の増員というものが定員の約五割増、大体五〇%増というようなことが計画をされまして、これは何も一年間ですべてが解決していくものばかりでもございません。それぞれの病院において年次計画というもので達成をするという目標になっているところもございますが、一応その程度の増員をするということで勤務条件の改善をはかる、そういう方向に進んでいることは事実でございます。
#23
○藤原道子君 そこで、お伺いしたいのは、ことしの二月から実施されました特類看護ですね、これはおそらくニッパチ闘争による看護婦の増員に対応するものだと思いますが、これによって保険財政へのはね返りは、現状で、日本の病院病床数のうち、どのくらい特類が実施されているか、一、二、三類についてもちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#24
○政府委員(戸澤政方君) ことし二月医療費改定の際に、いまの看護の実態に応じまして、従来の一、二、三類の上に特類看護というものを設けまして、三床に一人という基準ができたわけでございますが、それらの実施状況につきましては、毎年七月一日に調査しておりますので、まだ特類看護を実施している数というものはつまびらかでございません。それで、一類、二類、三類の実施状況を申し上げますと、一類が三十三万四千六百六十床、二類が十九万九千九百六十二床、三類が九万六千三百十一床、合計六十三万九百三十三となっております。これは昨年七月の調査でございます。
 それで、今回特類看護を実施することによりまして、一類看護の三十三万四千の中から一割か二割かが、ある部分が特類看護に上るということが予想されるわけでございます。それで、かりに一類看護の承認を受けている病床のうち、一割が特類に移行するといたしますと、約三万床ばかりが特類病床になるわけでございまして、特類と一類の一日当たりの金額は二百円違います。したがって、それで計算をしてみますと、全体の病床に対する特類看護による増加額は約二十億円となります。それで、それは総医療費でございますから、各種の保険等全部含めたものでございますから、政管の総医療費に占める割合は、四十四年度で二割一分、二一%となっておりますので、政管健保に及ぼす財政的影響は約四億円というふうに一応推定されております。
#25
○藤原道子君 私は、この点につきましても、こういうことによってまた保険料を上げるなんということのないように、国庫の補助率を増すことによって医療の内容充実ということをやってほしいことを強く要望しておきます。
 そこで、医療の実態から、いまの看護婦の基準でよいのでしょうか。私は、国立病院や療養所における流産あるいは異常産ということに対して前々からたびたび本委員会で質問してまいりましたが、いまどの程度になっておるでございましょうか。
#26
○政府委員(松尾正雄君) 私は、どうも、いま国立病院・療養所で流早産、異常出産というものが何件ありますか、そういった実は統計を持っておりません。しかしながら、先生御指摘のように、どこの勤務先だということじゃなしに、そういう働いている方々にそういうものが多いということは、前にも御指摘いただいたこともございまして、やはり、そういう健康管理と申しますか、そういった点には十分配慮すべきだというふうに考えております。
#27
○藤原道子君 ごまかしているんじゃないの。これはもうずいぶん大きな問題になっておりまして、いま働く女性の中でも異常産の多いのは看護婦さんと学校の先生です。全医労の調査によりますと、流産が非常に多い。この前、三つの妊娠で、一つが流産で、あとの半分が異常産と、こういうふうな結果が出ているんです。これはなぜ起こるかということになりますと、労働条件にあると思います。
 全医労で腰痛調査を行なっておりますけれども、八千七百三十一名中での千三百八十三名が腰痛症にかかっておる。うち、四分の三が看護婦と看護助手なんです。これは医療従事者の調査でございますから、そのうちの四分の三が看護婦と看護助手ということがここに出ています。
 労働基準法では、女子の重量物取り扱い制限というのがございますね。労働省から見えていますね。断続作業でございましたら、十八歳以上は三十キロ、許可があれば四十キロまではよろしい。継続作業においては、十八歳以上は二十キロ、許可があれば三十キロ、こういうことに労働基準法では規定されておる。ところが、看護婦さんたちは非常に無理をしいられておる。特に多いのは、重度心身障害児とか、あるいは筋萎縮症というようなところに、重量といいますか、重い患者さんを絶えずやらなければならない。それから脳卒中ですね。重度心身障害児と筋萎縮症の看護の場合には、二分の一が腰痛にかかっておる。あるいは、脳卒中の看護の場合には、六分の一の人が腰痛におかされている。しかも、この人たちは、夜勤の数も多いということになれば、看護婦さんたちが病気になるのはあたりまえじゃないでしょうか。こういうことが現に行なわれていること、これに対して対応策を厚生省はどう思うか、あるいは労働省ではこういうことが放置されていていいとお考えになるかどうか、この点を伺いたいと思います。
#28
○政府委員(松尾正雄君) 私どもが承知いたしておりますのでも、重心、筋ジスの施設で現在まで二十九件の方々が腰痛症で公務災害の申請をいたしており、そのうちすでに二十二件が承認になっております。この件は、いま御指摘のように、主として重心とか筋ジスとか、全くからだの動けない方々、しかも、初めのうちは小さい方が入っておられましたけれども、だんだん中におられるうちに成長してきたと、こういうことも一つでございましょう。しかしながら、実態といたしまして、そういったような動作のときに腰痛症がかなり出るということをわれわれも非常に心配をいたしております。
 したがいまして、一つには、いまの重量制限ではございませんが、いろいろな動作をいたしますときに、一人だけで持ち上げるということが無理であれば、数人で一緒にやるというようなことも必要でございましょうし、また、おふろに入れますときに、これはごらんいただいて御承知だと思いますが、重心者の施設にはいわゆる機械を使っておふろに入れるという設備等もいたしております。それから私が参りましても、おふろ場の高さとか、こういったようなものについて、一体これでいいのかどうかということを私はこまかく質問いたしております。と申しますのは、御承知のように、その高さ自体が少し不適当であれば、その異常な姿勢をとることによっていわゆる腰痛症を起こすということは多いわけでございますから、どういう形にしたら一番働きやすいのだということは、私自身も現場に参りましたときには必ず看護婦さん方にお聞きして、そしてたとえば床を上げることで楽になるならそれをやるべきだということも指導いたしております。それからそのほか、御承知のように、一般的な腰痛防止といたしましては、作業に入ります前の軽いいろいろな体操といったこともこれは有効な方法だとされておりますので、そういうこともぜひ職場でやるようにということを指導いたしております。今後、われわれも、ベットから患者さんを持ち上げる場合にも、いま申しましたようなことだけではいかないような事情もございましょうし、いわばベットから直ちに簡単な機械でもって患者さんのからだを上げて、そして運搬車に移すと、こういう装置の導入につきましても来年度以降やりたいと、こういう研究を進めておるわけでございまして、一応いろいろな手段を通じましてそういう特殊な病棟における作業ができるだけ軽くいきますようにわれわれも努力をしてまいりたいと、かように考えております。また、同時に、こういったような場合におきましては、先ほど来御指摘のように、やはり人の数ということは基本的な問題であろうと考えますので、これは先ほど申し上げたような線で努力をしたいと考えておるわけであります。
#29
○政府委員(渡邊健二君) 基準法に基づきます女子年少者規則にいま先生が御指摘になりましたような重量物制限等の規定があることは、先生のおっしゃるとおりでございます。病院関係等につきましては、この重量物制限等だけではなしに、全般的に基準法につきましていろいろ違反その他問題になることが多いわけでございまして、私どももそういう意味で病院その他の医療機関につきましては監督の重点業種の一つといたしまして監督につとめておるところでございまして、そういう違反を発見いたしましたときには、直ちにこれを是正させますよう指導をいたしておるところでございます。
 なお、それら病院関係につきましての違反全般につきましては、いろいろ問題がございますので、昨年の九月にも、当時の基準局長名と婦人少年局長名で、厚生省の関係局長に、文書をもちまして、病院関係につきまする違反のないような処置、そのための人員、あるいは予算の確保の処置等々について御要望も申し上げ、病院が労働基準法違反等をやることなく、適正な労働条件のもとで運営できますよう、われわれとしても日ごろ配慮をいたしておるところでございます。
#30
○藤原道子君 私は、よき医療が受けられるような、国民のしあわせを守るためにも、やはりそこで働く医療従事者の待遇が考えられなければならないと思うのです。ことに、労働基準法違反が九〇%をこしているんですからね。ということになって、同じ女性であるのに異常産が非常に多いということは、過重労働が原因だと思うのです。ことに、重量物等は、相当影響があるということを考えます。だから看護婦さんたちだって、この看護婦さんの数が足りなくて大きな悩みとなっているときに、三十万からの看護婦さんが免状を持ちながら潜在されておる。この人たちに待遇が直って、それで夜勤もわれわれの主張のような月に六回くらい、そうして二人夜勤になり、そうして看護婦の定員もふやしていくとなりましたら、むしろ看護婦の不足は補われていくんじゃないか、こういうふうに思いますので、厚生省としてもぜひその方向へ進んでほしいし、また、労働省としては、勤労婦人福祉法ができて、その中には働く女性の福祉が大いにうたってあるわけですから、そういうことも考え合わせまして今後の御指導をお願いしたい。こういう状態でございますが、大臣としてはどうお考えでございましょうか、私の主張は間違いでしょうか、ひとつその点に大臣のお考えをお伺いしたい。
#31
○国務大臣(斎藤昇君) 看護婦問題についてたいへんに藤原委員が御熱心でありますことは、もう前々から承知をいたしております。今日の医療問題は看護婦問題だとさえ数年前から言われておりますことも、承知をいたしております。そこで、看護婦の養成その他につきましても、思うとおりにはいっておりませんが、相当力を入れてまいっておるつもりでありますが、今後もさらにつとめてまいりたいと思います。
 それからただいま看護婦のおふろへ入れる場合のいわゆる重労働であるとかいろいろお話がございましたが、こういったことにつきましても、かねてから三年前に私が伺ったときにも医務局長等にも話しまして、また、全般的に、看護婦のしている仕事の中で、看護婦でなければならない仕事と、看護婦でなくてもいいものを看護婦にやらしている分野が相当あるじゃないかと。たとえば、おふろに入れるのに、必ずしも看護婦にやらせる必要がない。食事を運んだり、そんな仕事はする必要がない、お掃除は看護婦にさせる必要がない、看護婦本来の仕事に専念させるようにと、そういった補助者でいいような仕事は補助者にやらせるように、その程度の仕事はどのぐらいあるかというと、大体三〇%ぐらいあると、こういうことです。したがって、そういう指導によって、補助者を相当増して看護婦の労働強化を緩和するというように指導をいたしております。相当そういう病院も多くなってきたというわけでありますが、こういうことも徹底さしていく必要があるのじゃないであろうか。非常に大事な看護婦さんを雑役に使うということのないように、そういった補助者なり雑役者をもっとふやして、そして看護婦の労働強化を緩和するというようにやっていくべきだと、そういう指導をもいたしておるわけであります。おっしゃいますことは一々ごもっともに思いますので、なお今後ともそういう方向で努力をいたしてまいりたいと思っております。
#32
○藤原道子君 私は、大臣にお願いしておきたいんですが、国が金をけちるから、医務局長などもいろいろ考えを持っていらっしゃるけれども、なかなか実現できないので、大蔵省へ強く要求していただきまして、こういう待遇の改善も考えてもらう。ことに看護助手のできる仕事はたくさんあります。ところが、その看護助手を入れたから看護婦の定員を減らしていくというのがいままでのあり方だ。それじゃ困る。おふろへ入れるのは、確かに助手でけっこうでございます。しかし、病人でございますから、やはり看護婦さんが監視しなければならない点はたくさんある。そういう意味からまいりまして、助手をふやすということは、看護婦の労働を緩和していくことに役立つ。助手をふやしたから看護婦を減らすと、こういう従来のやり方はぜひおやりいただかないように強く要望いたします。
 それから次に、看護婦の資格制度についてお伺いしたい。今後、准看護婦廃止問題についてどのように考えておいでになるか。私たちは、看護婦の資格はあくまで一本であってほしいということを長年主張してまいりました。そこで、われわれは、いまも法案を出しておりますけれども、審議していただけないんですけれども、准看を六年以上やっておられる方は特定講習を経て国家試験を受ける権利を与える、そうして看護婦の資格にするということを主張しておりますが、准看護婦を廃止し、看護婦は同じ職場で働くんだからあくまでも一本化していくべきだと、こういう主張に対して、どのようにお考えになっているのか。
#33
○政府委員(松尾正雄君) 私は、少なくとも、歴史的に見ましても、准看が生まれてまいりましたということには、当時の日本の医療環境というものの中で、先ほど来いろいろ御指摘にもございますような総体としての人の確保をしなければならぬ、そういったような現実の中で考えられた問題だと、こういうように考えております。また、医療機関といいましても、診療所もございますし、高度な病院もございますが、そういったような場合におけるいろいろな必要度というようなものの相違、これも多分に背景としてはあったのではなかろうか。これは今日すべてがそれが消えているとは私も一がいに考えられる問題じゃございませんが、多分にそういう問題もあったろうと思います。しかしながら、少なくとも現段階においての判断で申し上げれば、准看護婦というような方々が看護チームの一員として非常に大きな仕事をしてこられたことは私は十分承知しておりますけれども、極端に申し上げれば、看護婦自体の世界におきましてはそういう二つの職種があるということが一つのトラブルになるということも、やはりこれは払拭のできない現実であろうと存じます。したがって、そこに気持ちのいい形で看護業務に従事したいというような念願も強くあがってきている、かように私は考えております。したがって、いずれこういうものについての基本的な整理を近いうちにやはりやらざるを得まい、かように考えておりますが、ただ、その准看というものをいきなり廃止するのがいいのか、いま先生の御提案のような形の道を開いておけば、それだけで――しかし、それは相当かかることでございましょうし、また、試験という制度を残す以上は、脱落した方はやはりその二本立ての制度で残るということも理論上はあり得ることでございますから、そういったような形でこれを整理するのがいいのか、また、いま御提案のように六年ということを御指摘でございますけれども、はたして六年かかるものであろうかという問題がある。それからまた、いろいろないまの進学コース等のあり方を見ましても、一応職場を離れてそこの学校に入らなきゃならぬのじゃないか。しかも、それについては一定の試験年数というものを前提にいたしますという考え方も、はたしてこれしかないのであろうか。私の案を極端に申し上げれば、これはまだ私の私見にしかすぎませんけれども、たとえば単位制というようなものを導入いたしまして、これから放送教育その他の問題等が出てまいりますれば、そういったような新しい方法を利用することで、むしろある一定の単位を積み重ねたらそれでいいではないかという見方も私はあり得ると思うのでございます。したがって、いままでのやり方だけに拘泥をしてそれだけが唯一の方法だという考え方よりも、もっと全体として、広い立場から、新しい技術を入れながら、どういうふうに持っていくべきであろうか、これを私どもはことしの課題といたしまして、ただいまそういう問題についての検討のための委員会の費用もちょうだいいたしておりますので、ことしじゅうに早急にそういう方向の整理をしてみたいと、こういう形で取り組むつもりでございます。
#34
○藤原道子君 私は、保助看法の制定のときから、看護婦はあくまで一本でいくべきだ、同じ職場で働くのだということを主張しましたが、こういう結果になったんです。ところが、准看さんは、将来のこれが途中でストップされるわけですね。これは私はおかしいと思う。病院へ行ってみると、准看のほうが長年勤めていらして、看護の技術も非常に優秀であるということを病院長そのものも認めておる。けれども、法に規制されておる。ばかばかしいからやめていく。こういうふうなことになるので、希望を持たせたならば、もっとよりよい看護ができるのじゃないか。したがって、最初私は四年を主張いたしましたが、准看の進学コースの関係からいくと、どうしても六年くらいでなければ理屈が通らぬのじゃないかというほかからの規制もございまして、私は六年ということをいま主張しておるわけでございまして、この点は十分御検討いただきまして、看護婦の一本化のために、そうして同じ職場でがみんな気持ちよく働けるようにしていただきたいということを強く要望いたします。
 そこで、今度、厚生省では、看護制度改善への検討会費というものを四十七年度予算に計上されておりますが、これはどういう内容であり、どういう人がこれに参加するお見通しであるかということを伺いたい。
#35
○政府委員(松尾正雄君) この性質自身は、ただいま申しましたように、看護の制度、たとえば、准看と看護婦の問題、あるいはそれの解消方法、あるいは看護教育全体の基本的な問題、こういったようなことを広い角度から一ぺんメスを入れてみる、こういう制度の委員会でございます。ただいま、私どものほうは、まだこの具体的な発令手続までするところまでいっておりません。その前段階といたしまして、省内で看護問題について関係各課が集まりました一つのチームをつくって、そこで、いろいろな従来ございましたような点、資料等の整理をいたしまして、省内で一応の検討会を実施してまいっております。これが一応できますと、もう近々終わると思いますので、その暁にそういったような問題点を整理したことを広く学識経験者にゆだねまして、そこで討議をしてもらいたい、かように考えておりますので、具体的な人選まではまだ終わっておりませんが、少なくとも、私は、私自身のいまの考えでは、こういう問題を検討いたしますのに、単に医者であるとか看護婦であるとかいう方だけがカリキュラムがどうであるかとかいうようなことから入るような着想では、おそらく今日の段階の新しい問題は出ないのではなかろうか。もっと違う角度からこういう問題にアプローチできるような方々にもぜひ御参加をいただきまして、広く社会全体の中の問題としてどういくべきであろうかと、こういうことも御開陳いただけるような人を加えたいということでいま選定中でございますので、まだその内容はだれだということまではきめているわけではございません。
#36
○藤原道子君 私が漏れ聞くところによりますと、看護協会も入れない、あるいは組合代表も入れないという方針だと伺っております。そこで、私は、幾ら名前が有名であろうとも、年寄りばっかり――私も年寄りですが、年寄りばっかり入れるのじゃなくて、新しい認識の上に立った人を入れる。それで、看護協会は看護婦のために生きているところ、あるいは看護婦さんたちの組合の代表、医療組合の代表、こういう人もお入れになって、各方面から審議していただいて誤りない看護制度対策を立てていただきたいということを強く要望いたしておきます。
 そこで、いま、あなたのほうでは、高卒二年の教育の看護婦案が検討されていると伺っておりますが、そうですか。そうすると、いまの看護婦養成は三年ですね。それで、今度二年制ができる。しかし、その資格は一本である。これはおかしいと思うのですけれども、どうなんですか。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
#37
○政府委員(松尾正雄君) 前段のほうでちょっといろいろな代表の問題が出ましたが、私が申し上げましたように、やはり新しい着想でやってみる必要があろう。したがって、できれば、われわれ自身のような固定観念を持った人間はむしろ入るべきではないという感じをいたしますし、やはりとらわれないで新しい角度で考える人がこういう検討の際には望ましいのではなかろうか。もちろん、その過程で現実を無視するわけでございませんから、いろいろな方の御意見をこちらでお聞きしなければならぬ、これは当然のことだと存じますが、なるべく新しい考え方でこの問題はやりませんと、いままで長い歴史を持ってきた過去を振り返ってみても一歩前進が非常にむずかしいのじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
 しかし、後段のほうで、高卒二年という制度をわれわれがいま具体的に考えているということは全くございません。ただ、看護制度全体を考える場合においてどのような組み立て方をしていくのが一番正しいであろうかと、これは十分検討しなければならないと思います。したがって、いわゆる一般的な看護婦としての資格をつくる養成課程と、それから――もう日本ではそれしかないわけでございます。先生御承知のように、それで全部終わる、こういうことでございますが、さらにいわゆる専門看護婦というものの要望というのは非常に強くなってきております。そういったことを加味すれば、一本の看護婦の教育制度というよりも、さらに将来高いレベルの分野で勉強できるというコース、こういうものは当然あっていい。学校でいえば大学院があってもいいというのと同じでございまして、そういうふうなことは当然これから新しい看護婦を考えるときに考えなければならないであろうということは思っております。それは、高校二年を基礎にしてその上に立てるか、高校三年に立てるかということは、まだ全く具体的には何も出していないという段階でございます。
#38
○藤原道子君 前半の局長の御答弁を御信頼申し上げますので、各方面から人を入れて、よりよい検討ができることを強く要望いたしておきます。
 それから看護婦は、いまのところ、高卒三年で国家試験を受けて資格を得ているにもかかわらず、正確な学歴は高卒となっている。これは各種学校です。これでは、看護婦さんがどうも満足いかない。私は、ほうぼうからそういう御意見を伺っておりますので、できますことならば学校教育法による看護婦の養成、これを前々から強く主張しておりますが、これに対してはどのようにお考えになっておりますかということが一つ、いま一つは、やはり二年制などということで真の看護教育というものは無理だと思いますので、だんだん医術も高度化してきているのですから、いま三年のものを二年に下げてそれで資格は一本だということはおかしいと思います。あくまで学校教育法によって、三年制は堅持して、四年制のと二つつくって、そこへ行けば助産婦、保健婦、看護婦と三つの資格が得られるようなことはどうだろうかと私は考えておりますが、それとあわせまして看護学校の教師ですね、これの養成はどのように考えておいでになるか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
#39
○政府委員(松尾正雄君) 私どもも、学校教育法に基づく大学や短大という形でこのことが行なわれることは、決して反対をいたしておりません。現に、わが国でも、相当数の大学が、四年制大学もすでに八校できているわけでございます。それから三年制の短大が十校、二年制の短大が五校というようにございまして、先ほど、年数の点で、二年じゃだめだ、三年だというお話もございましたが、しかし、学校教育法だけをとりましても、二年、三年、四年というような大学課程が存在しておるという実態でございます。この問題は、私は、少なくとも将来教養の豊かな看護婦さんという形で伸びていくためには、こういう学校教育のような基本的な教養の問題を持つということは非常に望ましい問題だと思います。ただ、いきなりそれに走るということは、いま大きな隘路がございます。また、一方、私は、少なくとも看護学院の実態を見まして、これも先生御承知だと思いますが、非常にまじめ過ぎるぐらいにいろいろなカリキュラムを組んで実習もやって勉強をしていただいている。そういろ方々が教育法の上だけでは別でございますということ自体に私自身は実は大きな逆に言うと抵抗を感じなければならぬ。中身としては非常にりっぱな教育努力をしておられるという感じがいたしますが、その辺は今後調整していかなければならぬ問題でございます。ただ、そういう課程におきまして、大学であれ、どうであれ、少なくとも看護婦、保健婦、助産婦、この三つのものが一元化するかどうか、これもまた一がいに大学であれば直ちにいいということは言い得るかどうかは私は問題があると思います。それはそれぞれ看護婦自身の基本的なものが四年制の大学でなければならぬということであれば、その上にやはりプラスアルファというものがつくべきだという議論も当然一応出得る問題でございますけれども、しかし、いまのようにあまり一人の女性の方々が三つの資格を持たなければならぬというような形も必ずしもとられる必要はない。もっと共通した部分がたくさんございますので、そういった点を整理すれば、おっしゃるような全部三つが一本になり得るかどうかは別としまして、少なくとも看護婦、助産婦の資格といったものが一元化できる道は、これは相当近いのではなかろうかと、私はかように考えておりまして、ただいま今後の検討をやるにあたりましては、そこまでも踏まえて検討してみたい、かように存じております。
#40
○藤原道子君 ぜひ、これも、看護制度への改善検討会ですか、そこで十分検討していただかなければ、看護婦さんたちが非常にいやなんですよ。給与の決定にしても低いところできめられる傾向がありますから、ぜひとも学力に相応した待遇が与えられなければおかしい。これからは、国民の保健衛生の立場から、保健婦さんへの期待も非常に強いので、三年の制度を終わってあと一年学校へ行って保健婦さんというのでは、だんだんそれが少なくなる傾向があるのではないか。ことに心配なのは、助産婦が非常に足りなくなる。こういうことから、私は、いま自分の考えで主張したので、これは社会党の方針というわけでなくて、私がそう考えているので、お考えはどうですかということを伺いました。
 文部省の方、見えていますか。看護婦さんがいま高校を出て三年行っても、学歴は高校なんです。だから、やはりこれは学校教育法によって養成して、国がそれに補助を与えていくという方向が望ましいと思いますが、文部省ではどうお考えですか。
#41
○説明員(斎藤諦淳君) 医療技術者の養成を学校教育法の一条に基づく学校で行なうべきではないか、そういう要望が非常に強いということは十分承知しておりまして、この考え方に基づきまして、先生御案内かとは思いますが、昭和四十二年度に大阪大学に医療技術短期大学をつくりましたし、それから四十六年度には九州大学にやはり医療技術短期大学を各種学校から格上げという形で創設いたしました。それから四十七年度には金沢大学にやはり医療技術短大を持てるようにいたしております。その際に定員増もいたしまして、できるだけたくさんの看護婦さんが一条学校から卒業できるようにし、そういう措置を講じておるわけであります。先ほど医務局長からも話のありましたように、一挙に一条学校に切りかえるということも非常に問題がありますので、各種学校は各種学校自体として十分拡充するように措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#42
○藤原道子君 私は、これは重大な問題でございますから、厚生省と文部省が十分お話し合いの上で、直ちにこれを切りかえるとは申しません。これは長年の経緯のあるものでございますから、切りかえるにも何年かの猶予期間が置かれることもあるでございましょう。私は、この点はしろうとでございますから、十分お話し合いの上で、看護婦さんたちの要望している方向へ進んでほしいということを強くお願いしておきます。
 そこで、お伺いしたいのは、OT、PTの養成について、これはどのようになっているでしょうか。私はびっくりしたのは、調査によりますと、OTのほうは、現在数は三百五十五人、不足数が七千七百五十四人だと、こういうふうなことが出てきているのです。PTのほうでは、現在数が千二百四十八人、そして不足数が七千三十五人というようなのが、厚生省の医務局医事課の調べなんですね、四十六年八月現在の。ということになると、不足数が圧倒的に多い。それで、OT、PTの使命は非常に重要になってきている。このときに、これをまかなっていきますにはどういう方針でやっておいでになるのか、そしてその見通しがあるのかということについてお聞かせを願いたい。
#43
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のとおり、理学療法、作業療法関係につきましては、制度自体が四十年に発足をしたということもございまして、いま非常に不足しております。養成数につきまして言えば、現在、理学療法が八校、作業療法が三校というような状態でございますので、これはもうとうていその現員から申しましても不足でございます。ただいま御指摘のような数字は、ことしの四月一日現在で、PT関係が千二百四十八名、OT関係が三百五十五名という方が資格を持っておる、こういう条件でございまして、これを実際に委員会でも御議論いただきましたようないろいろな身障施設の問題、それから病院の問題等も含めてやりますと、いま御指摘のように、五十一年で大体七千人程度は両方ともそれぞれ必要であろう。これをわれわれは一つの目標にいたしまして、何とか早く解消をしたい。したがって、この問題にはいろいろなまだ隘路がたくさんございます。特に、このOT、PTが養成されました歴史が浅いために、実はそれを教える人の育ち方が非常に少ない。つい二年ほど前までは、外人教師に来てもらって非常に困難な中でやっておったという実態でございました。しかし、ややそういうものが育ってまいりましたので、われわれもこれから十分ひとつ手をつけなければなるまい、こういうことにいたしまして、四十七年度では国立の療養所に新設一カ所を直轄といたしまして養成所を持ちます。それから補助金をもちまして都道府県立のものを一カ所、二カ所をことし新たに提案をいたしておるわけでございますが、これは今後逐次毎年その数をふやしていく、しり上がりにふやしていくという方向で要員の充実をはかりながらそういう方向でわれわれは急速な増加をはからなければならぬと、かように考えております。
 また、同時に、いまの制度が主として高卒三年という制度でございますけれども、このPT、OTの世界におきましても、やはり基本的な資格の問題、養成のあり方についてはいろいろ議論がございます。たとえば視能訓練士法、これは先般お認めいただいてすでに発足しているわけでございますが、こういう場合にはいわば大学、短大学におきましてある一定の基礎科目を修了した方々に入学資格として入ってもらうということで、非常にレベルの高い方が短期間で養成されるという実績を最初につくったわけでございます。こういうPT・OT関係につきましても、そういう基本になりますいろいろな素養を持たれた方が、いわばサーティフィケート・コースと申しますか、そういうコースに入ることで資格を得るという道、その道も十分考えていいのではなかろうかということで、ただいまその具体的な中身について医学療法、作業療法の部会で詰めをやっていただいているわけでございます。私どもは、単に従来の線をさらにふやすのみならず、そういう新しいいい形のものも導入するということも含めまして、できるだけ早急に追いつく努力をいたしたいと存じております。
#44
○藤原道子君 それで、今年度はいまお話しのとおりですが、四十八年、四十九年、五十年度で大体二十校新設を計画されている、そうですか。
#45
○政府委員(松尾正雄君) 私どもの一応の五カ年計画では、二十校にしたい、かように考えております。
#46
○藤原道子君 これはいまの段階で非常に必要な職種でございまして、それによって国民のいわゆる病める人たちの運命を左右するくらいな重大な役割りを果たすわけでございますから、ぜひ至急に充実できるようにお骨折りを願いたいと強く要望いたしておきます。
 そこで、今度は、保健所に行っても医者がいない、まあ医者のいるところは四二%くらい。あるいは、いろいろな施設で置かなければならないところにもお医者さんがいない。それから一般の病院でもお医者さんが足りない。けがをしてかつぎ込まれても医者がおりません。こういうことが社会の非常な不安を招いております。そこで、お医者さんの養成計画についてはどのようになっておるか、これをお伺いいたします。
#47
○政府委員(松尾正雄君) 私どもも、最初に申し上げましたように、わが国の医師数は、まあ人口当たりにいたしますれば、人口十万対百十三とか十四とかいう数字になります。正しい推計をいたしますと百二十幾つという数字になると思いますが、そういったものが、人口比だけですと、御承知のように、諸外国に比べて、アメリカ、ソ連は別でございますけれども、それほど日本が低いという位置にはない。これが従来からわが国の医師養成を考えるときの基本にされていた一つの判断だったと思います。しかしながら、今日のわが国では、むしろそういう人口比という問題よりも、患者さん方が医療機関にかかる数、これが圧倒的にふえてきた。そういうものにやはり対応して医者の養成というものは考えるべきではなかろうかというのがわれわれの考え方でございます。したがって、私どもがそういうことを基準にいたしまして、皆保険スタート前の昭和三十五年当時における医師とそれから患者数との関係、この比率に少なくとも戻すべきではなかろうか。当時おそらく三十六人に一人程度のものであったと思いますが、これが四十四年当時にはもうすでに患者五十人に一人というような実態になっておるわけでございますから、それを少なくともその程度までに戻すことが必要ではなかろうか。それによってもう少し医者自身の診療時間というものにもゆとりをとりたいと。これは、患者さん方にとっても、三分間診療だといわれている不満を解消する一つの方向ではないかというふうに考えております。その結果、私どもが人口十万単位にいたしまして少なくとも百五十人と、ちょうど現在の六大都市なりあるいはアメリカなりというところでたまたまそうなっておりますが、そういったことまで医師養成を急速にふやしてもらいたい。しかし、これは一学年六年以上の年数を要する課程でございますので、昭和六十年にその程度の医師を養成してもらいたい、これを強く文部省にもお願いをいたしまして、文部省の調査会でもそれを正式にオーソライズして、高見文部大臣にも答申が昨年の秋に出されております。文部省におきましても、そういう線に沿って、ことしから国立大学をはじめといたします医師の養成施設の増加というふうに踏み切っていただいているわけでございまして、少なくとも私はいまのテンポでここ数年のうちに医学部定員を千六百名程度ふやすということによって、ただいまの目標が昭和六十年には達成できるのではなかろうかと、かように考えております。ただ、私は、この数字が絶対適正で一つも動かせないものだとは考えておりません。また、途中の状況によってその計画自身は常に再検討すべきである、こういう含みのもとにさようなことをお願いした次第でございます。
#48
○小笠原貞子君 関連して。いまのもう一つ前の藤原委員の御質問で、養成学校のことを二十校ということで大体いけるというような御答弁でございましたね。この間私はこの委員会で聞いて、計画では二十校という計画になっていますけれども、四十七年度分ですでにもう半分になっておりますでしょう。それをこの間お認めになったし、事実半分になっていますね。そうすると、四十七年半分になった分は来年度で取り戻すというように具体的な計画というものが考えられて二十校というものはだいじょうぶだというふうにお答えになったのでしょうか。
#49
○政府委員(松尾正雄君) 私、藤原先生には、五カ年計画として私どもは二十校案を持っておりますことを申し上げました。しかし、この前、先生にもお答え申し上げましたように、かなりこれには難問があるということも率直に申し上げました。本年は、先ほど申しましたように、二つの養成施設でございます。これを来年以後やはり取り返す、これは基本的にわれわれの姿勢でございますが、単に漫然と補助金を幾らにすればそれだけできるというものでもございませんので、四十八年度の予算の編成はもうぼつぼつ始めておりますが、これには、やはり相当具体的な見通し、ここは必ずやる、ここは必ずつける、こういうようなものを詰めた上で予算を要求いたしませんと、単なる計画数だけではなかなか引き受け手がないということにもなりはしないか。そういった点も十分配慮しながらできるだけ追いつきたい、こういう考えでやるつもりでございます。
#50
○小笠原貞子君 見通しはだいじょうぶですか。
#51
○政府委員(松尾正雄君) 二十校完全にいまの段階で間違いなく達成できるかと言われると、これは先日も率直に申し上げましたように、かなり努力をしなければならぬ。しかし、この努力はわれわれはあらゆる線でいま申しましたことも含めましてやってみたい、かように考えております。
#52
○説明員(斎藤諦淳君) 先ほどの医師の養成につきましては、文部省でも調査会を設けまして、千二、三百名の入学定員増をはかる必要がある。しかも、地理的な配置なり、あるいは機会均等と、こういうふうな考え方から、少なくとも過半数は国公立の医科大学あるいは医学部でなければならない、こういう答申をいただいておりますので、私どもとしましても鋭意そのための創設の準備に当たっているわけでございます。来年度、北海道の旭川ほか二県に創設準備費をつけまして、いま具体的にそれを進行しておる、こういうふうな状態でございます。
#53
○藤原道子君 どうも、お医者さんの大学に入るのにはたいへん金がかかるというのは、これは困りますから、そういうことがないようにやってほしいと思います。
 それからお医者さんの養成には、やはり病院の実地訓練が要るのですね。その教育病院でございますけれども、大学の附属病院だけでなくて、各地にあります総合病院で国立なり私立でも優秀なのがありますね。そういうところも教育病院に使ったらどうかと思うのですけれども、それはどうでしょうか。
#54
○政府委員(松尾正雄君) 私どもも御指摘のとおりに考えておりまして、実は教育病院群という構想でもって、もっと医師の医学教育を充実すべきではないか。これは私どもは単に附属病院を縮小するということで安上がりだなんということを考えているわけではございません。豊富な臨床例をたくさん適切に組み合わせて使うということが何としても医者の教育の基本でございます。そういう意味から言うと、現在の附属病院というのはかなり大きなものがございますが、それだけで十分だとだれも感じていない。こういうことから、附属病院とともにほかの病院も十分活用していく。これも、単に一つの病院だけでいいというものではございません。今日、結核のようなものを十分訓練したいといえば、これはもう短期の病院の中にはほとんどそういう患者さんはいないということでございますから、これはやはり結核療養所もその部分については教育上の参加をしてあげるということが一番望ましい。もちろん、精神病院、あるいは肢体不自由児、こういうものを含めましても、すべてが教育的な場として提供し得るべきだと、かように考えております。しかしながら、そのためには、やはり病院自体の内容が十分によくなるということが前提でございます。私どものほうも、ことし、教育病院制度の検討費というものを正式に組んでおります。これは文部省にも同じものが計上されておりまして、厚生省と文部省の両側から、ただいま御指摘の教育病院制度を具体的に実現するためにどういうことをやらなければいかぬか、この具体化のための検討にただいま入っておる段階でございます。
#55
○説明員(斎藤諦淳君) 文部省といたしましても、関係者の了解が得られれば、できるだけ早い期間に大学教育と関連する教育病院、この制度を具体的に発足させたい、こういうふうに考えまして、目下その具体的な基準なりあるいは指定方法、連携方法、こういうことについて調査を行なっておる段階でございます。
#56
○藤原道子君 とにかく、医科大学にいろいろな問題が起きております。入らなきゃ医者になれない、だから、金がかかったから、卒業してもこうだというようなことが言われておりますから、そういうことのございませんように、国民が信頼できる教育制度、これを強く要望いたしておきます。
 それから看護婦さんの問題、お医者さんの問題、PT・OTの問題が、ぜひとも、私が申し上げましたように、また、御答弁がございましたように、さらに前進していただきたいということを、国民が安心して医療が受けられるような制度、保険に入っておれば安心して医者にかかれるんだというような制度がはっきりと確立されることを強く要望します。
 最後に、付き添い問題についてお伺いをしたいと思います。過日、この委員会で、茨城県でしたか、県立病院の問題で、そのときにも付き添い問題をちょっと取り上げたのでございますが、いま一番国民の悩みは、差額ベットが一般化していることは、実質上の差額徴収制度だと思うのです。それで、法律違反であると指摘してきたが、同じように保険医療機関でありながら、付添看護婦をつけなければ入院ができないという現実は、大きな問題だと思うのです。病院によると、付き添いをつけなければと言われて、入院するときの条件として付き添いをつけさせられているところもある。こういうことについて私は厚生大臣にお尋ねしたい。基準看護の指定を受けた病院でありながら、患者負担の付添看護をつけなければ入院できないというのは、どう考えたらよろしいのでしょうか。
#57
○国務大臣(斎藤昇君) 基準看護の指定を受けた病院は、付添人はなくても入院看護に遺漏がないというようにすべきでございます。したがって、そういうことをしていない病院につきましては、厳重に警告をし、改善ができなければこれは保険病院としての診療を取り消さなければなるまいというほどに考えております。
#58
○藤原道子君 それでは、あなたが直接管轄しておいでになる国立の大病院、たとえば国立東京第一病院でも、多数の付添看護がおります。これはどういうわけでしょうか。これは承知しておいでになるかどうか。また、患者が職業付添看護を依頼した場合にどれほどの自己負担をしているか、御存じでしょうか。
#59
○政府委員(松尾正雄君) 国立病院は、もうほとんど全部が基準看護の承認を受けておるわけでございます。したがいまして、ただいま大臣からお答えのような、基本的にその病院の力で看護をする、これがたてまえでございます。したがって、それを違反するということは、われわれはもう一切やっちゃいかぬということできびしくやっているわけでございます。おそらく、この中には、しかしながら、家族の方々がぜひそばにいたいと、こういう御要望が出てくるものがございます。こういうものは、たぶん昨年の秋であったかと思いますが、二千数百名が国立病院で日本全国の中でおるようなかっこうになっております。この問題は、私どもは、その人たちが看護の身がわりになるということであっては基本的な精神としてはおかしいのでございますけれども、ぜひそばにいたいんだと、そしてまあ多少のことに手を出されるということはあり得ると思いますけれども、それはその患者さんの御希望とそれから病院の主治医等の判断、これでやむを得ない場合にはそういうことをお認めしている、まあこういうケースとしてこれは処理されていると私は存じております。
#60
○藤原道子君 それは、そういう答弁をしなきゃならない立場にいらっしゃるから、そういう御答弁だろうと思うのです。結局、付き添いをつけてくださいよということが条件になっている病院はたくさんある。
 それで、この間の参考人からのお話もありましたが、看護婦さんたちは非常に過重労働ですから、「お変わりありませんか」と私看護婦当時は患者に聞いておりました。ところが、このごろ入院してごらんなさい。「お変わりありませんね」と言って帰っちゃう。そうしなければ次の仕事がやっていけないんですよ、現実は。看護婦さんの責任じゃない。仕事があまりに過重であるから、そうしなければほかの方面の仕事がやっていけない。こういうことを一体御承知でございましょうか。
 それから東京の場合は、付添看護料が一日三千数百円かかるんですね。有資格者でございましたら三千五百二十円、准看護婦資格者でございましたら三千八十円、無資格者が二千七百五十円、重症の場合はほかに割増金がつくということになると、一体患者はどうして支払っていけるでしょうか。こういうことが現実に行なわれているということを御承知でございましょうか。だから、保険医療機関で基準看護でありながら、患者負担の付添看護を必要とすることは、何としても私には納得がまいりません。だから、その付添看護料は保険で負担するのか、それとも、基準看護を取り消すのか、この二つが問題になるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#61
○政府委員(戸澤政方君) 保険医療機関におきまして基準看護を実施しているところについては、あくまで正規の看護婦でもってその看護を実施するのがたてまえでございますから、そういうところにおいて付き添いを強要するというようなことはあり得ないわけでございまして、そういう実態がございますれば、十分に行政指導をしてまいりたいと思います。ただ、現在、付添看護を認めている場合というのは、そういう基準看護をしているところ以外のところにおきまして、医師がその付き添いを必要と認定し、また、保険者もそれを承認するという場合に認めているわけでございますが、この看護料が実態に必ずしも合わないというようなお話でございますが、毎年人事院勧告によりまして国家公務員の給与改定が行なわれます際に、それに準じて看護料その他の基準も改定いたしておるわけでございますけれども、これは、地方によりまして、また、その病院によりまして、必ずしも一律に実施できない面もございますので、できるだけ今後も人件費等の上昇に応じまして実態に即するように改善を加えてまいりたいというふうに考えております。
#62
○藤原道子君 あのね、看護婦の人数が足りないから見回れないんですよ。ですから、これを、看護婦さんの定員をふやすか、あるいは付き添いをやらなければやれないならば、付添料は保険が見るか、こうなると思うのですが、どうですか、医務局長からも……。
#63
○政府委員(戸澤政方君) お話のとおり、看護婦の総数が足りない、十分でないという問題は、それはそれとして検討すべき問題であると思いますけれども、保険におきまして基準看護を認める際には、もちろんその施設における看護婦の整備状況等を十分に調査して、基準にも照らして、この程度の看護婦が充足されておれば看護業務に支障はないというところでもって基準看護を承認するわけでございますから、そういうところにおきましては、原則としてそういう付き添いなどはもう必要としない、患者の希望等による以外は必要としないというところでもって実施されているはずでございます。したがいまして、そういう基準看護を実施しているところにつきましては、もう本来の看護婦でもって看護業務が遂行されなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
#64
○藤原道子君 基準看護では付き添いは置けないことになっておりますが、厚生大臣、あなたは、保険者の立場と国立病院の立場と、いわば二足のわらじをはかなければならない立場にあられるわけなんです。国立病院に付添看護がいることに対して、保険者の立場として国立病院の基準を取り消すのか、基準看護はそのままとすれば、その付添看護料を国立病院で負担するか、この二つを考えなければならないと思いますが、どういうふうにお考えになるのか。
#65
○国務大臣(斎藤昇君) 国立病院で基準看護をやっておりまするところは、それをこえて付添料というものは取らせない。それをもし取っておるならば、これは厳重に警告をいたします。しかしながら、患者さんがぜひつけてほしいと言われる場合は、これは患者の負担でつけても差しつかえがないと、そういうように考えております。基準看護だからもう付添人はどうしてもつけられない、これはまことに困ったという訴えも私は聞くわけでございますが、そういう病院も中にはあるようでございます、これは国立病院というわけじゃございません。うちの病院は基準看護ですから、家庭の奥さんでも付き添いは困りますといってやられると、これはその病院の管理上であろうと思いますが、しかし、それでは不安心だから、はたについていたい、あるいは一人専属につけておきたいという方は、つけていいのじゃないか、病院の管理上差しつかえがなければ。しかし、基準看護だと言っておきながら、付添料を必ず出さなければならないと請求することは、これは間違っておりますので、そういうことのないように是正をさしたい。看護婦の数その他で基準看護がどうしてもやりにくいというならば、それは病院の負担で付添人をつけるということにすべきだと、そういう指導をいたしております。
#66
○藤原道子君 私も、しょっちゅう体を悪くして、あっちやこっちの病院に入りますけれども、もう少し厚生省としては実態を調査してもらいたいと思うのです。
 それから付き添いをつけなかったために看護婦さんは手が回らないというようなことから、いろいろな事故が起こっていますね。赤ちゃんがベットから落ちかかって首が引っかかって死んだとか、あるいはお産のときにいくらベルを押しても来てくれないで、ついに間に合わなくてたいへんなことになったとか、いろいろな事故が起こっているんです。これは看護婦の怠慢で絶対なくて、看護婦の数が少ない、そうして夜勤も一人である、こういうときに、家族とすれば、そういう事故が起これば、それは病院から言われなくても付き添いをつけたいという人もあるでしょうし、家族にすれば、いまの病院の状態には安心していられないという不安もあるので、中には入院するときの条件として付き添いをつけることを言われる病院もある。いろいろなんです。だから、保険に入っていて高い保険料を払っていろいろなことをしているが、それならば安心して医療が受けられる制度でなければ、国民が納得できないのは私はあたりまえだと思うのです。こういう点についてお考えになって、よき対策を立ててほしい。われわれが看護婦の定員が足りない、こういうことを長年主張いたしますのは、こういうところにも引っかかっているということをお考えになっていただきたい。
 私はこういうことはあまり言いたくございませんが、過日の新聞で、国立の小倉病院に入院中の患者――家族の奥さんが手術のあとが調子が悪くてもう半年も寝たきりになっている。ところが、基準看護の国立病院だけれども、付添看護料が個人負担となっておる、これは不当だといって大臣はたしか訴えがあったと新聞で拝見いたしました。ところが、厚生省でいろいろ考えてみられたのだろうと思うけれども、あまり御返事が四十日もないために、総理大臣に訴えたら、はじめて取り上げられたということが「読売新聞」に大きく出ておりますが、私は厚生大臣がそんなに冷たいとは思っておりません。厚生省としてはどうするかということでいろいろ論議しておいでになったのだろうと思いますけれども、「読売新聞」等、あるいは患者さんの言い分等を見ますと、やはり非常に理解ができずにいられるらしいんです。まさか本心が永久に握りつぶす腹だったとは私は考えておりませんが、それは一体どういう経過であったかをお聞かせ願いたい。
 それから厚生大臣の命により所管の国立病院課長が国立小倉病院に入院中の患者家族にわび状を出しているというようなことが出ておりますが、この経過をちょっとここでお聞かせを願いたい。
#67
○政府委員(松尾正雄君) 小倉病院におきます問題は、昨年の秋にほかの病院で手術をされまして、その結果としていわば意識がなくなられた患者さんが小倉病院に転院をしてこられております。昨年のたしか秋にお入りになっております。その方は、いわゆる意識もございませんものですから、家族の方が当初は付き添っておられた。この点、私も、先ほどの問題と関連いたしますので、はたして病院側がそういうものを強制をしたのかどうかということも非常に注意して調べさしておりますが、当初、病院としては、やはり自分のほうで責任を持ってやりますと、こういう話であったそうでございますが、どうしても心配だということで、家族の方々が交代でおつとめになっておったと聞いております。しかし、長くなりまして、医療費自体が、奥さんでございますので自己負担があるということで、生活保護法の医療扶助に切りかわった。医療扶助に切りかわりましたときに、また家族の方々もいろいろと引き続いての看病ということでお疲れになって、とても家族はつけられません、そういうことで、実は生活保護法の患者さんとして入院されておられる段階でほかの付添婦さんが家族のかわりにほしい、こういうことが起こったようです。しかしながら、そのときに、現実にそういうことが生活保護法の関係からいえば、それは先ほどの議論どおりできないたてまえでございます。家族の方が自分の負担でもって付き添いを雇っておられた。しかし、それはたいへんな費用がかかる。何か生活保護法で初め見てくれないだろうかと、こういうお話がいろいろとあったようでございます。現地におきましてもいろいろ基準等も入ってやりましたが、それはたてまえ上できません、こういうことでたいへんお困りになって実は厚生大臣あてにお手紙が来た。
 これは、実は、回答がおくれましたことは、私どもも非常に残念に思います。ほんとうに遺憾なことだと思います。その問題は、社会局と医務局との間でいろいろと他の段階で打ち合わせておったようでございます。その方向は決してそういう悪意のものではございませんで、何とかならないのかという気持ちでいろいろやっておった。しかし、その段階ではなかなか結論がつかめない。また、社会局では、実態を調べるために各県のほうにいろいろと照会をしておったという時間も入っておったようでございます。私が聞きましたときには、たいへんいろいろと困っておられる、いままでこうやってきた、しかし折り合いがついていないという話が出まして、私が聞きました段階で直ちに結論を下しました。それは、あくまで病院が全部責任を持ってやるべきだということで、直ちにその日のうちに地方局から病院のほうにも指示をいたしました。直ちに病院の手でその方の看護ができるようにすべきだ、こういう指示をいたしました。もちろん、そういった点で非常に特殊なケースであって、その病院内でやりくりがつかなければ、先ほど大臣がおっしゃったように、臨時の賃金職員等を使ってでも病院が責任を持つべきだと、こういうことで私は具体的に指示をいたしました。そのとおりそれは解決したはずでございます。
 そのような報告を受けております。
#68
○藤原道子君 私は、ここにいろいろ資料は持っておりますけれども、時間の関係で省略しますけれども、厚生大臣の指示によって課長がお出しになったわび状も持っております。その中に、「病院の医療の一環として十分な看護を行うことが最善の方法であり、国立小倉病院においては患者負担による付添いを廃止し、看護に万全を期する措置をとることといたしました。」とありますが、この内容に間違いはありませんか。厚生大臣、あなたの指示でございますから。
#69
○国務大臣(斎藤昇君) 新聞等には、厚生大臣に陳情をしたのになかなか決着が得られなかった、総理大臣に陳情したら直ちに決着がついたというように、相当皮肉めいた報道がございましたが、真相はただいま局長が申し上げておるとおりであります。厚生大臣あての陳情とかいうものは、親展であれば直ちに私が開きますが、そうでないものは、それぞれ原局に回してやりますから、そこで、各原局で、ただいま申しましたように、これは医療扶助でいわゆる生活保護としてやるべきじゃないか、そこで道がないか、何とか患者の方々の家庭に負担にならないようにというので、関係局相互の間で、この方法はないか、あの方法はないかと検討していたようであります。ちょうどそのときに総理大臣のほうへこういう陳情があったという書面が総理大臣の秘書官のほうから私のほうへ回ってまいりました。私が見たのは、そのときが初めてです。それは、仕事の処理上そういうふうになっておった。そこで、私は聞きましたところが、いまかくかくの事情でこういうように検討をして、そうして医務局では完全看護だからそういうように指示をするというふうにちょうどきまったところですということでございましたから、それならいいが、完全看護だと言うておきながら実際完全看護でないというようなことが他の病院にあってはいけない、よく指導をするようにということを私は申しました。したがって、いま私の指示でそうなったというようにもなっておるところもあるかもしれませんが、私がそう言ったときにはすでにそういうようにしようと、こう決定をしておったときであります。事情は、さような事情でございます。
#70
○藤原道子君 国民から大臣あての陳情を出すということは、よくよくのことでなければならない。せっぱ詰まった気持ちで出すのです。厚生省が慎重に相談をしていたと言われますけれども、いま大きな問題になっております森永ミルクの問題にしても、この砒素の入った廃品を払い下げてほしいという要求があるけれどもいかがでございましょうかという陳情、相談に対して、一年近くも放置したわけです。その間に、これが下請といいますか、ほしいところへ払い下げられて、それが回り回っていろいろなコースをとりながら、工業用のものをつくるところが第二燐酸ソーダだといって偽って森永へ入れた、そうしてあの多くの子供たちが今日悩みをしておる。その子をかかえた親の苦しみ、と同時に、森永との間はいまなお解決ができずに騒いでおる原因をつくったのも、厚生省の決意がおくれた結果になるんじゃないか。いよいよ困り切って頼んできた今度のこの問題にしても、四十日以上も相談していたということは、私は納得がまいりません。
 しかし、その問題は一応そういうことになったというのですが、付添看護は病院の医療の一環であるということ、患者負担による付き添いを廃止するということ、これは間違いありませんか。
#71
○政府委員(松尾正雄君) この問題につきましては、ただいまのように指示をいたしまして、その後、翌日からこの方についての付き添いは廃止をいたしております。もちろん、二人夜勤パトロール制等もすぐ病院ではとったようでございますから、そういうこともあわせましてそういうことは解決をいたしております。同時に、この小倉病院におきましても、先ほど私も申しましたように、家族の方々が付き添うという形がまだございます。しかし、その点については、いま申しましたように、ややもいたしますと脱線をいたしましたり、誤解を与えたり、いろいろなことになります。したがって、病院内では、診療会議も開きまして、各医局あるいは看護婦さん方も一緒になってそういうことの方針を決定をしてそれで徹底をさせるということを病院内でもきつくやっておるようでございます。私は、そういう形で今後はこちらの責任でやるということをはっきり言っているわけでありますので、そういうことが実現できると期待いたしております。
#72
○藤原道子君 これは国立小倉病院に限ったことではなくて、すべての国立病院、すべての医療機関に共通しなければならない原則だと私は思います。それが厚生大臣への訴えではだめで、まあ厚生大臣の御弁解もございますけれども、総理大臣への訴えで明らかにされたということは、私としてはまことに遺憾でございます。そこで、それはそれとして、この原則をすべての病院に適用することについて、厚生大臣は国民に対してはっきり約束ができるでしょうか。私の手元には、国立病院あるいは公的医療機関でありながら、患者負担の付き添いが多数いる、現実にいるという資料がたくさんございます。大臣の約束で今後これは解決すると考えてよいかどうか、この点についての御答弁を伺います。
#73
○国務大臣(斎藤昇君) 基準看護の承認を受けている医療機関におきましては、その医療機関において患者の病状に応じて一切の医療上の必要な看護を行なわなければならぬわけであります。そこで、私は、看護婦等の不足によってそれができないというなら、病床を減らせとまで私は言っておるのでありますが、そうすると、患者の方は病床があいているのにということもありましょうから、したがって、そこで付添人をつけますからと言われれば、それはやっぱり入れてもやむを得ないであろう。しかしながら、そういうことのないように今後看護力を増加をするというように努力をいたしていきたい。私は、規則どおりやるなら、もう病床数に見合うだけの看護婦が足りませんと、そして、何といいますか、応援看護婦ですか、よそから頼んでくる、派出看護婦を頼んでくるということもできないというなら、私は病床を閉ざしてしまうべきだと思います。病床を閉ざして困るのは患者でありますから、そこで、看護料は出すからという方の入院は、これは受け入れなければなるまい。しかし、少なくとも基準看護の看板をかけている以上は、そういうことのないように看護力をふやしたい。看護婦の数は、先ほどからおっしゃっているように、絶対数が不足しているという現状でありますから、その間を縫って患者にも御不便のないようにやっていくのにはいま非常に困っているという現状でありますから、これを克服してまいりたい。私は、本来なら、基準看護という制度をあるいはやめて、そして看護料も必要だと見られるものは保険で給付できると。基準看護でないところの病院の看護料はこれは一定基準によって支払っているわけでありますから、全部そういう制度にしてしまうか。しかし、基準看護というのは一つの目ざすべき方向でありますから、そこで、基準看護という制度は存続しながら、いまおっしゃるようなことのないように努力をさせていきたい、こう考えております。
#74
○藤原道子君 ところが、国立小倉病院で付き添いを廃止して看護に万全を期す措置をとったというけれども、どういう具体的措置をとったか。大臣の前記の約束は全く守られておりません。国立小倉病院でとられた措置は、松下さんの付き添いをはずしただけでございます。
 具体的改善は何にもとられていない。松下さんの付き添いをはずしただけではないか。他に看護力を増加していないので、付き添いを取っただけ看護力の低下になって、看護婦としての労働強化になっている。同じ病棟に患者負担の付き添いがいて、訴えた松下さんだけの付き添いをはずしたというのは、どういうことでしょうか。
#75
○政府委員(松尾正雄君) 私は少なくとも五月十日段階で報告を正確に受けておりますが、それは、病院内におきましては職業付き添いについては一切廃止をすると。しかも職員を流動的にいろいろ配置するという等のことを講じて看護管理の適正をはかります。これを診療会議でもきめて、あるいは婦長会議でもみな徹底をして、そして院内ですべてその線でやりますということを申し合わせております。先ほど申しましたように、私は、そういう病院の決定、われわれの指導に基づきます決定を尊重して、そのとおりにいっているというふうに考えております。もちろん、これは、職業付き添いということばを使っておりますから、先ほどのように、家族の方々がどうしても自分のため、あるいは自分が雇った形で入れていると、こういうものをさすものではなかろうと思います。したがって、私どもは、その特定の方一人を廃止すればいいと、この問題をそこで解決すればあとはどうでもいいんですという気持ちでこのことを指示したつもりはございません。その一例といえども病院で責任を持つべきだということを言ったわけでございますので、ただいま申しましたように、病院では全体としてそういう決定をして、そして全体でそれをやろうということを申し合わせておりますので、そういう方向で進む。また、なお、その間におきまして院内の看護力のためにはいろいろな病院内としてもまたくふうすべきものがあろうと思います。しかしながら、そういう特殊なケースというものが起こってくれば、そのときどきに直ちにすべてが院内だけで対応できるかどうか、これはケースによっていろいろ判断しなければなりません。したがって、私どものほうは、予算の許す限りであれば、その他の予算を使ってでも、臨時的にそういうものをやっていく。あるいは、その方は何も賃金を使う必要はないのでございまして、その方には看護婦さんたちの一番ベテランの方々がその看護に当たる。しかし、そのためにほかの仕事が多少落ちます。そこの落ちるところは無資格の補助者等でいつでもカバーするということで、専門の看護婦さんが重症の患者に付き添いできますと、こういう体制だってあっていいと思います。したがって、患者さんが賃金を出すから、その賃金の職員が患者さんについていることをもって私は病院の看護のあり方だとは思っておりませんので、そういう全体としてやれるようにわれわれも病院に対しては必要だったらいろいろな予算措置を講じます。そういうつもりでございます。
#76
○藤原道子君 松下さんの病棟の状況をちょっと申し上げますが、国立小倉病院の西二病棟です。外科病棟です。定床四十八床中、三月中の入院患者は四十名。看護体制は、病棟婦長以下九名。付き添いは、プロが二名、家族名義が五名。小倉病院全体としての付き添いは、これは病院の発表ですが、プロ十名、家族四十名、しかし、家族名義でも半数近くは職業付き添いらしいということです。
 具体的改善はいま小倉病院としては何もとられていない。松下さんの付き添いをはずしただけではないか。他に看護力を増加していないので、付き添いを取っただけ看護力の低下になっております。看護婦さんの労働強化になっております。同じ病棟に患者負担の付き添いがいて、訴えた松下さんだけの付き添いをはずしたというのはどういうことだろうか。国立小倉病院にはほかにも十名以上のプロ付き添いがいると、こういうことがいわれておりますが、これをどうお考えになりますか。付き添いははずしたけれども、人数をふやさなければ、たださえ過重労働の看護婦さんが、さらに夜勤もふえる、いろいろ苦労しておられるように私は聞いておりますが、いかがでございますか。
#77
○政府委員(松尾正雄君) 私は、少なくとも、いま先生が申されましたような実態がいまでも残っているといたしましたならば、私自身が、先ほど申しましたように、この問題を契機にいたしまして病院の責任でやるべきだということを強い指示をしているわけでございます。しかも、それを診療会議等でも確認をしてやるという報告までしているわけでございますから、これは、私も、監督の責任上、そういう実態についてはもう一度徹底的に調べさしていただきたい。私どもがそう言って、われわれにも報告している問題でございます。一体、どういうふうなところに隘路があって、どういうふうなことを具体的にやっているのか。それは、おそらく、病院としても具体的な処置についての意見をこまかく積み上げているはずであろうと思いますので、これは私ども自身責任を持ちまして再度調査をしてみたいと思います。
#78
○藤原道子君 それでは、ぜひお調べになっていただきたい。松下さんの付き添いをはずしただけで、看護婦も増員せず、同病棟の看護婦の夜勤をふやそうとして組合と対立しております。私は、こういうことからまた組合と病院との闘争が始まるというようなことを非常に遺憾に思っております。したがいまして、組合ではぜひ増員をしてほしいということを要求しております。そこで、この点についてはぜひ調査をしていただきたい。
 それから他の国立病院の付き添いに対しては、どういうことをおとりになりますか。
#79
○政府委員(松尾正雄君) 基準看護をとっておるところでございますから、先ほど大臣も申されましたような方針でこれはやはりきびしくやっていかざるを得ないと思います。
#80
○藤原道子君 私に割り当てられました時間が終わりました。とにかく、私が長年のあれである主張を申し上げ、しかもそのことが何かにつけて御苦労しておる大臣や局長をいじめるようなことに聞こえるかわかりませんけれども、とにかく、国民が安心して医療が受けられる制度にしてほしい、これが私の願いなんです。そこで働く看護婦さんや医療従事者が過重労働のために健康を害しておる、この現実をぜひ考えていただきたいということでこの問題を取り上げました。過日の茨城県立病院のときでも、付き添いはほとんど家族だと言われたけれども、家族が付き添いをしておるため、この松下さんだって、月給はたった六万円ですよね。これで親をかかえ子をかかえて生活をしなければならない。その人が付き添いの金が払えないから、家族だといったってできるはずがないんですよ。こういう人はほかにもたくさんございます。保険に入って保険料を納めておれば安心して医療が受けられるようにしてくれるのが保険本来の使命だと、こういう点について大臣の最後のお考えを伺いまして、ここに新聞も切り抜いて持ってきておりますけれども、とにかく、お約束が完全に果たされるように、そしてまた、付き添い問題において全国的に悩んでおる人がずいぶんいるということもお考えいただきまして、保険でみるか、あるいは医療従事者を増員するか、この点をこの際お伺いしたいと思います。
#81
○国務大臣(斎藤昇君) 普通の入院につきましては、保険でみられるように診療報酬制度も改定をしてまいる必要もあろうと、かように考えております。理想の姿に持っていくのにはなかなか、先ほどの看護婦の増員の問題、OT・PTの増員の問題をとらえてみましても、直ちに実現のできないことが多いわけでありますが、そういった方向で今後努力をしてまいりたいと思います。
#82
○藤原道子君 これで終わります。
 私は、この前のときに、最初に申し上げましたように、国が二割の定率補助をしなければこの政管健保の内容の充実はできないということを強く主張いたしました。今回あなた方が赤字解消のゆえんをもっていろいろ今度の改正を急いでおられるようでございますが、かりに、あとは人数が少ない、強行採決して突破する、こういうことをおやりになったとしても、保険本来のあり方から言えば、それでもってこの内容の充実ができますか。いままで四百四十円だったのが、特別の看護制度を設けたために六百四十円を負担しなければならない。あるいは医療従事者をふやさなければほんとうの医療は受けられない。こういうことになって、それで今度の改正でりっぱな医療ができるとお考えでしょうか。私たちは絶対に反対でございますが、そのお考えを最後にお聞かせ願いたいと思います。
#83
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、今度の医療保険法が通っても、絶対完全無欠の看護、医療供給体制が直ちに確立するとは思いません。それは、とにかく、現状をよりよくしていくということでありまして、完全無欠ということになれば、先ほどお話のあった医師の数も増さなければならない。看護婦の数もふやさなければならない。OT。PTもふやさなければならない、また、これらに働く人たちのいわゆる勤労報酬も十分なものをペイしなければならない。そういう理想な姿が直ちにただいま御審議をいただいている法案で実現できるということは言い切れません。切れませんが、少なくとも現状においてまずまずやっていけるという程度のものだと、かように御理解をいただきたいと思います。
#84
○委員長(中村英男君) 本案に対する午前中の審査は、この程度といたします。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(中村英男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 佐野芳雄君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。
 午後一時四十分より再開することとし、これにて休憩いたします。
   午後零時四十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十五分開会
#86
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#87
○須原昭二君 実は、きょう私は質問の予定日にはなっておりません。先輩の佐野議員が病で突然倒れられまして、したがって、ピンチヒッターでございますが、過般の代表質問の際に多面にわたって御質問申し上げました。本会議においては一方通行でありますから、大臣等の御答弁も、不明確の点、あるいはまた不十分な点がございます。それを振り返りながら質疑を進めてまいりたいと、かように思っております。
 まず、その前に、この健康保険法の改正案が出てきますと、その過去を見ますると、実にそのたびごとに大きな波乱を巻き起こしているわけです。したがって、この保険法なるものを実はよくよくつらつら見てみますと、健康保険法というのは大正十一年に実はできておるわけです。戦後、たとえば国民健康保険法、あるいは日雇労働者健康保険法、あるいは国家公務員共済組合法、いろいろあまたの法律ができておりますが、はたしてこの健康保険法の目的というのはどういうところにあるのか、こういう点が実は法文の中でも明記をされておらない。法律というものは、大体、法体系からいって、第一条には目的が明らかにされておるわけでありますが、この健康保険法は、大正十一年にできている関係上、しかし、戦後においてはあまた改正をされた機会はあるわけであります。したがって、法体系からいって、まず目的が明らかになっておらないところに多くの問題がそのたびごとに大ゆれにゆれておるのではないかと思うわけですが、はたしてこの健康保険法の目的をどのように理解をされ、実施をされているのか、まず冒頭に大臣に御意見を承っておきたいと思います。
#88
○国務大臣(斎藤昇君) 確かに、おっしゃいますように、健康保険の目的は何かということが書かれておりません点がいろいろの問題を派生をしておるであろうと思います。大正十一年に健康保険法ができました当時の考え方は、これはいわゆる事業所で働く被用者の方々の、何といいますか、一種の労使関係という面も多分に加味されてできてきた法律ではなかろうかと、かように考えております。これは、労使お互いに、疾病に被用者がかかったという場合に、一日も早く健康を回復し、そうして産業に従事できるようにというような見地も多分にあったことだと、かように思います。もともと、健康保険法ができます前に、事業場の中で任意的にこういった制度も出発しかけておったわけでありまして、その出発のもとは何かといえば、国民の医療をどうするか、国民の健康をどう保持するかということよりも、むしろそういう点から出発してまいったと、かように思います。したがいまして、当初は、被保険者は、いわゆる被用者本人のみである。ところが、それでは家族の疾病ということも気にかかるではないかということで、家族も途中に入ってまいった。国民健康保険に至りましては、これは地域住民の疾病から生じる貧困というものをどうして救っていくかというようなことから当初は任意で出発してまいった。今日、皆保険という立場になり、今日の国民の健康保持という点から考えますると、医療供給体制を整えるということも喫緊の要務であることはもちろんでありますが、しかし、医療にかかる費用をどうするかという問題を考えますると、そこでやはり費用のために医療にかかれないということでは国民の健康の保持に支障を来たすということで皆保険になった。しかしながら、まだ保険給付も一律ではない、不十分である。これからは、国民全体の医療というものを主眼に置いてこの保険というものを考えていくべきではないだろうかと、そういうように考えておるわけでございまして、もし医療保険がほんとうに一本化された制度ができるとなれば、目的にはそういうものが書かれるのがこれからの要請であろう、かように思います。
 したがいまして、健康保険の制度の出発から今日まで、そういった目的は若干変わってまいったと、こう言うべきではなかろうかと私は判断をいたしております。
#89
○須原昭二君 いま長々と御説明をいただいたわけですが、いずれにしても、健康保険法の目的が条文の中に明らかにされておらないわけです。たとえば、国民健康保険法によりますと、「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与する」と、こう書いてあるわけです。あるいはまた、日雇労働者健康保険法によりますと、「その生活の安定に寄与することを目的とする。」と。いわゆる健康というものは、からだが悪いところがなく、元気なこと、まあ字引きを引きますと、こう書いてある。すこやか、達者、丈夫と書いてある。健康を保つ保健の意味は、健康を守り、そして保つことと、こう辞書に書いてあるわけです。たとえば、健康という字、あるいは保健という字を見ても、人によってその解釈が違ってくるわけです。したがって、この健康保険法も、戦後四十数回にわたって改正がなされているわけですから、戦後における立法の精神からいって、やはり法体系上目的を明らかにしておらないところに問題が多発してくるのではないか。したがって、機会が四十数回もあったんですから、少なくともこの際健康保険法の目的を明確にして、条文としてうたうべきである、こう実は私は思いますけれども、その点を大臣はどのようにお考えになりますか。
#90
○国務大臣(斎藤昇君) 抜本改正の際に、そのことも考えたのでございます。ただいままあ抜本改正と称して、まだ御審議していただいておりませんが、提案をいたしております法律をつくりますときも。ところが、まだその各種保険を統一をしたという形には形の上ではなっておりませんので、そういう際に譲るべきであろうかと、かように考えているわけでございます。
#91
○須原昭二君 これは、ぜひとも、近い将来でもけっこうですから、明確に条文化されることを要望しておきたいと思います。
 前段として二番目にお尋ねをいたしたいことは、衆議院における修正案が通って後、五月二十四日でしたか、その翌日、厚生省と大蔵省との間に覚え書きが交換をされたと聞いておりますが、その内容は、新聞の報ずるところによっては、政管健保の保険財政の健全化をはかる目的で組合健保への移行を促進するために、厚生省がつくられております内規といいますか、その基準を改めること、それからもう一つは、政管健保財政から医療機関への診療報酬の支払いを適正に行なうこと、この二点を何か両省において覚え書きを交換されたと私は仄聞をいたしております。
 後段の問題については、支出のときにあらためてお尋ねをいたすこととして、きょうはピンチヒッターでございますから、とりわけ収入面の点だけ御質問をすることとして、この前段の基準を改正するということについてどうお考えになっておるのか、あらためてお伺いをいたしたいと思います。
#92
○国務大臣(斎藤昇君) 大蔵省と厚生省との申し合わせといいますか、これは、健保法が通ってしまったら、そこでひとつはっきりそういうことを申し合わせをしようじゃないかというようにいたしておったのでございまして、まだ正式申し合わせということにはなっておりませんが、そういう趣旨で話が進んでおりますことは事実でございます。
 そこで、ただいま、健康保険組合を設ける基準が、法律では三百人以上のものは健康保険組合をつくることができるということになっておりますが、現実には大体千名程度ということで実施をしているようでございまして、かねがね、政管健保はその運営自身が効率的でない、保険組合は効率的である、こういうように一般にいわれておりまするし、その点は、確かに、事実上、全国の事業所、被険者というものを一手にということになると、非効率になるのもこれはいかに努力をしてもやむを得ない点であろう、やはり事業所単位にやっていくということのほうが運営が効率になるであろう、かように考えておりますので、そういう線に沿って、そして組合健保の運営の効率化という点を考えてまいることは被保険者のためにもよかろうと、かように考えて、将来そういうようにいたしたいとかねがね考えておったところでございますが、この法案をお通しいただいたら、ひとつ、そういう方針で、いままでの許可基準という実際の扱いをもっと保険組合のつくりやすいようにしようではないかと、かように考えておるわけでございます。
#93
○須原昭二君 局長にお尋ねしますが、現在の運用されております厚生省の内規基準、これはどうなっているんですか。
#94
○政府委員(戸澤政方君) 現在、健保組合の認可基準は、ただいま大臣が申しましたように、法律上は被保険者数三百人以上となっておりますが、実際の扱いは、被保険者数については千人以上、いわゆる総合組合につきましては三千人以上といったようなことでもって運営しております。
 それで、その他の認可基準としましては、何と申しましても、その組合を設立することによって政管健保の保険料率内で大体収支の均衡が保たれると、かつまた、事業主、被保険者がその設立を強く希望して、その運営についても大いに自主的な努力をもって健全な運営をしていくことが確認されるということが必要でございます。
 それで、認可基準としてきめておりますことを個条的に申し上げますと、まず、その一つは、組合を設立しようとする事業所のその本体の事業の基礎、資産内容、経営の実態が堅実であって将来の見込みも良好であること。まあこれは当然のことでございます。それから二番目は、事業主及び組合員たる者がその組合の設立を強く要望して、まあ別に過半数とかなんとかいうことは言っておりませんが、全体として強い要望が事業主にも組合側にも熾烈であるということがあります。それから三番目は、組合設立後の……
#95
○須原昭二君 簡単でいいですよ、その内容は。
#96
○政府委員(戸澤政方君) ああそうですか。財政状況について十分見通しがつくというようなこと。それから四番目は、過去において社会保険における成績が良好である。大体そのようなことが現在の基準になっております。
#97
○須原昭二君 いま大臣もおっしゃいましたように、法律では三百名以上ということは明記されているわけですね。それを、厚生省の内規において、私に言わせれば法律違反をして、単独の事業所の場合には一千名以上の被保険者、総合組合の場合は三千人以上なければいけないという内規をつくられておったわけですね。しかも、三十一条の規定によりますと、五百名以上は厚生大臣が事業主に対して健康保険組合の設立を命令をすることができることになっているわけです。それをあえて法律をまげて、一千名以上、三千名以上いなきゃできないんだという方針をとってこられたのは、どこにゆえんがあったんですか。
#98
○政府委員(戸澤政方君) この三百人という基準は、健保法の制定された当初からの基準でございまして、まあ当時の経済情勢、それからまた医療費の動向等から見ますれば、この程度のもので自主運営ができるという一応ことであったのだろうと思いますけれども、その後の経済情勢の変化、または医療費の急激な増高、そういった点から見ますと、将来にわたって経営の安定を確保するためには、とてもこういう三百人といったような規模ではむずかしいというところで、大事をとりまして千人というようなことでもって運営してまいったわけでございます。しかし、最近の現状から見ますと、必ずしもそういう被保険者の数、規模だけでもって認可を厳重に縛るということは必ずしも適当でないようなふうに考えられますので、今後はこの基準を直ちに法律どおりに実施するのが適当かどうかは検討の余地があると思いますが、少なくとも五百人以上ぐらいのところにつきましては、経営内容が堅実であれば、認めてもいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#99
○須原昭二君 法律のできたときからこういう条項が、二十八条あるいは三十一条があるというお話なんです。経済社会の状態が非常に変わってきた。だから、三百名では小さ過ぎるんだと。したがって、千名ないし三千名という規定で運用してきたんだと言われるならば、戦後四十数回改正の時期があったんです。だから、その時代に即したような改正をすべきだと思うんです。それを放任されていたところに私は厚生省の責任があると思います。その点はどうお考えになっておられますか。
#100
○政府委員(戸澤政方君) 確かに、長い間にわたって法律の規定と違った運営をしておって、また、それに必要な法律改正もしなかったということは、いささか怠慢であったかもしれませんけれども、この組合の設立については、そのときどきの社会情勢、経済情勢によって、そういう被保険者の数というようなものは必ずしも固定する必要はないわけでございますので、まあ千人というのも一応の基準でございまして、千人を一人でも欠けたらいかぬというようなものでもございませんまいりたいということでもって、あえて法律改正はいたさなかったわけでございます。今回も、この次の抜本改正のときにもこの点をどういうふうにするかというふうなことをいろいろ議論したのでありますけれども、法律の規定としましては、なるべくもとの法律の規定に近いような線でもって今後は組合を運営してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#101
○須原昭二君 健保組合に対する補助率は、年額三億円ぐらいだと私は聞いているんです、全部で。そこが問題なんですよ。大蔵省が言っていることは、この負担率がたとえ一〇%になっても、初め五%だと思っていたけれども、衆議院で一〇%に上げられちゃったと、これでは負担率が非常に多くなるので、この際負担総額を少しでも減らすために、今度は健康保険の該当者を少なくして負担率を下げようとするという意図がここにあらわれていると私は言っても過言でないと思う。したがってこの厚生省と大蔵省との覚え書き交換というものは、大蔵省の圧力の前に、厚生省は、今度はこれからどんどん適用除外をして組合をつくらせる、そういうことによって国庫の負担率を少しでも軽減しようという意図が顕著にあらわれてきたと思うんです。その点はどうお感じになっておられますか。
#102
○政府委員(戸澤政方君) いま大蔵省との間にそういう覚え書きについて話し合いが進められている趣旨は、必ずしも、政管に対する国庫負担の増額に対応して組合を大いに助長することによって政管を細らせて国庫補助の実額を少なくするというような趣旨ではございませんで、今回のこの改正案をめぐる審議の過程におきましても、政管の経営についてもっとその改善合理化をはかるべきであるということが強く強調されたわけでございます。それで、それに対応しまして、組合のほうは自主的な努力によって経営効率を上げておる、そういうものを大いに促進すべきであるという議論が国会における審議あるいはまた審議会の答申等にもうたわれております。そういう趣旨に沿って、今回、政管の経営改善に努めると同時に、組合経営として自主独立できるものについては大いにこれを促進すべきであるという、従来こういった法律と違ったような基準でもって運営していることの不適当が批判されまして、そういう点について今後は反省して努力をしていこうという趣旨を盛ったものであろうと思います。
#103
○須原昭二君 どう御答弁をいただいても、この覚え書き交換というのは、いかに国の負担を下げようかというところに終始されていると私は言っても過言でないと思う。先ほどの保険組合の国庫負担額が年額三億円、したがって、一〇%に上がったんだから少しでも減らそうという意図が歴然と私はしていると思う。したがって、この際、その覚え書きの内容が私は知りたいんで、ひとつ資料として提出を願いたい、これが一つお願いです。
 それから三百人以上という法律があるけれども、それはともかくとして、じゃ組合に移行させるように厚生省は努力をするんですか。あくまでも、先ほどのお話のように、そういう集団が組合をつくりたいという申し出があった場合はいいけれども、それでなくて、おまえのところは該当するからやれというような強制をされるおそれがあると私は思うのですが、その点を明確にしておいていただきたいと思う。
#104
○政府委員(戸澤政方君) 今後の組合の促進につきましては、この法案が成立いたしましたならば、積極的に進める方向で、一定規模の事業所につきましてはこれをできるだけ組合に移行させるように年次計画をもって計画を立てたいと考えております。それからまた、既存の組合に対する、いろいろ、下請企業とかあるいは同列産業とか、そういったものを併合させるというようなことも行政努力によってできるだけ促進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#105
○須原昭二君 そう言うていま明確になったわけですが、年次計画を立てて組合に移行さしていくんだと、こういうことが明言されました。したがって、積極的にやられる意思があると私は思います。
 そこで、お尋ねをしたいんですが、そうしたら、この組合に対して補助率をそれに相応するように増額をされる意図があるのですか、その点を明確にしておきたい。
#106
○政府委員(戸澤政方君) 元来、健保組合というのは、政管健保と違って、自分らの同種同業の企業が相互の連帯意識によって政管健保よりも有利な条件でもって健全な運営ができるという見通しのあるものに設立を認可するわけでございますから、組合を設立したけれどもそれが政管健保よりも被保険者の負担過重になるというようなことは、原則的にはあり得ないわけでございます。しかし、今後、組合を大いに設立を促進していく、年次的に年次計画をもって促進していくというなれば、あるいはその組合の中には経営上非常な困難を来たすものが出てくるかもしれません。そういうようなものにつきましては、ただいま、健保組合相互間におきまして、いわゆる自主的な共同事業もプール計算、そういったものによる相互の助け合い、そういった計画もございますけれども、しかし、国としても、どうしてもやむを得ない事情でもって組合の運営に支障を来たすというようなものにつきましては、将来の問題としては現在の国庫補助以上に何らか考えなければならない場合もあるだろうというふうに考えております。
#107
○須原昭二君 いま答弁の中で明らかになってきたんですが、明らかにこれは国庫負担を少なくしていこうという意図が一つあるということ、いま一つは、弱小のあるいはまた力を持った組合と、これで組合間におけるところの財政調整をしようというその意図が明らかになってきたということ、この点は私たちは反対です。そういう国の責任を他に転嫁していこうという意図というものをわれわれはどうしても承認ができないわけであります。特にこの問題については、論議をしておりますと時間が過ぎてしまいますから、保留をさしていただきたいと思いますが、ただ、先ほど申し上げた覚え書きですね、これは委員長を通じて資料提出をお願いしたいと思います。
#108
○委員長(中村英男君) いいですか。
#109
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど申し上げましたように、健保法の改正が成立をすれば、こういった趣旨の覚え書きをあれをしようと、これはこちらのほうもその覚え書きをすることによって政管健保の効率的な運営をはかるために相当費用も要しまするので、私のほうも特に大蔵省から費用を出させるという意味からも必要だと、こう考えておるわけでありますが、話し合いの内容の要点は新聞に出たようなことでございますから、こういった趣旨で覚え書きを交換することになるであろうという資料は、御提出申し上げます。
#110
○須原昭二君 趣旨ではなくして、私は交換をされた文書がほしいんですよ。この点はあらためて要求しておきたいと思います。
 それから今度のこれだけ問題になっている財政の問題について、はたして保険料の負担の限界についてどう考えられておるかということです。御案内のとおり、失業保険や他の社会保険と違って、本会議でも申し上げましたように、この健康保険という制度は、きょうから加入をすればあすから供給を受けれるわけです。したがって、たとえば掛け金の問題にしても、納付期限の問題、そういうものによって資格がどうかという問題ではないわけですね。しかも、その給付を受けるに際しては、自己の判断に基づいて病気だと、そして保険関係上第三者であるお医者さんにかかって、そしてお医者さんの診断によって、はじめて病気であるかどうかがわかってくるわけです。また、医療の中断はない。したがって、その給付にも限界をつくるわけにはまいらないわけであります。そういう点から言うならば、保険であって保険にならない制度、その中における国民の保険料の負担に私は限界があると思うのですが、国民の保険料の負担の限界についてどのように政府は考えられておるのか、これをお話しをいただきたいと思います。
#111
○国務大臣(斎藤昇君) 保険料の負担の限界は、いわゆる所得といいますか、給料といいますか、その何%までが限界であるか、学問的にはなかなかむずかしいと思うのでございますが、健保法では千分の八十までは上下ができると、組合にも認めているわけでありますから、一応そこらが今日の段階では限界と、かように考えております。
#112
○須原昭二君 千分の八十というのが出てきたのですが、この問題はまた後ほど論議をすることとして、保険であって保険にならない制度、その中における国民の保険料の限界というのは、非常にむつかしい問題であると同時に、これを野放しにしているところに今度のこの値上げの問題が出てくると思うのです。この点は、論議をしておりますとまた時間のかかる問題ですが、次回にこの点は残したいと思います。とりわけ、きょうの質問は二時間ぐらいで、あとまだ一時間ぐらい割り当てがあるそうですから、その段階でお尋ねをいたしていきたいと思います。
 それから今度は収入面に入りますが、赤字の実態の問題について、政府案によりますと、昭和四十七年度末累積赤字は二千百九十四億円――これは政府の資料によって出てきておる数字です――といわれますけれども、はたして純粋の赤字というものはどれだけあるかというのがわたしたちは疑問でならないわけであります。本会議でもこれは御質問申し上げましたけれども、ああいう本会議での慣例から言うと再質問ができないものですから、そのままになっておりますけれども、たとえば、固定資産の見合い分三百二十六億ですか、保険料で未徴収の分が百二億、合わせて四百二十八億入っているわけです。大蔵大臣は、本年度における損失繰り越し金として勘定に入れるべきだ、純粋なる繰り越し損失は千七百六十六億であると、こう答弁をされたんですが、たとえば、昭和四十二年は五十八億の赤字、四十三年は二十四億、四十四年は五十六億、四十五年は三百八十三億、こうなっておりますが、単年度だけにおけるところの純粋な赤字を各年度の集計に基づくとどれだけになるのか、この点を明確にしていただきたい。
#113
○政府委員(穴山徳夫君) ただいま最後に先生がおあげになりました四十二年度五十八億、四十三年度二十四億という数字でございますが、これは利子を別にした単年度の収支の不足でございまして、純粋にという御質問が非常にむずかしいわけで、ちょっと勘違いしているかもしれませんけれども、たとえば四十七年度の累積赤字が二千百九十四億あります中で、いま先生がおあげになりましたような単年度の赤字というもの、単年度の収支不足と私どもが言ってまいりましたものを合計いたしますと千六百二十三億でございまして、それからそのほかに毎年度の累積赤字と申しておりましたものの利子があるわけでございますが、その総計が五百七十一億でございます。
#114
○須原昭二君 単年度における保険料の収入と給付費の支出の差ですね、これが千六百二十三億、こういうふうに理解してもいいですね。そうしますと、利子分は五百七十一億。じゃ、単年度で黒字になった年があるんだと厚生大臣は本会議でおっしゃいました。黒字になった年がありますか。その年と、そして額を明示をしていただきたい。
#115
○政府委員(穴山徳夫君) 赤字に転化いたしましたのが三十七年度からでございまして、したがって、三十一年度から三十六年度までは黒字の年であったわけでございます。
#116
○須原昭二君 三十一年から六年まで黒字額を明らかにしていただきたい。
#117
○政府委員(穴山徳夫君) 億の単位で申しますが、三十一年度が四十八億、三十二年度が八十九億、三十三年度が六十八億、三十四年度が五十一億、三十五年度が五十二億、三十六年度が二十七億でございます。
#118
○須原昭二君 そうすると、これをずっと通覧いたしますと、赤字が出てくると利子を生む、利子を生んでそれで利子を含めた総合の累積赤字のまた利子を払っていかなければいけないと、こう雪だるまになってきたと、こう言ってもいいわけですね。そういたしますと、過去のこの黒字というものは、その利子の補てんに、赤字の補てんに使われたと言っても過言でないですね。その点はどうですか。
#119
○政府委員(穴山徳夫君) 三十六年までの積み立て、いわゆる収支余りましたものは、これは三十七年度からの赤字が出始めましてからそれを使ったということになるわけでございます。
#120
○須原昭二君 過去の黒字というものは、その後に起きた累積赤字を埋めていったと、こういう財源に使われたということが明言をされたわけですね。
 そこで、お尋ねをいたしますが、この四十七年度末における累積赤字をこの間の衆議院の段階においてたな上げを見送ってしまった。そういたしますと、この衆議院における修正案によりますと、制度改正後の単年度収支がたとえ百七億の黒字が出てきても、この黒字はまた累積赤字の補てんに使われるのではないかというおそれが出てくるわけです。四十七年度七%としてかりに黒字が出たとしても、これは累積赤字の補てんに使われる、そういうことになるのではないかと思うのですが、その点は大蔵省はどうお考えになっておりますか。
#121
○説明員(渡部周治君) 四十七年度に黒字が出た場合にそれをどう処理するかというお尋ねでございますが、まず、収支のほうの見通しといたしましては、かりに衆議院で御修正をされました財政対策が実施された場合には、いまのところ見通しといたしましては百九十一億円の収支不足が出るという見通しでございまして、お尋ねのように黒字が出るという見通しはあまりないように見受けられるわけでございます。ただ、まあかりに医療費の動向等が非常に変動ということがあり得るかどうかわかりませんけれども、かりに黒字が生じた場合に、じゃどうするのか、こういうお尋ねでございます。この点につきましては、四十七年度のみならず、四十八年度以降についての問題としても起こり得るわけでございますが、われわれといたしましては、医療保険の財政収支につきましては、保険料収入の動向なりあるいは医療費の変動等の不確定な要素に大きく左右されるわけでございますので、四十七年度のみならず、四十八年度以降におきましても、その単年度収支の状況が必ずしもかりにこの修正案のとおり実施されたといたしましてもそう大きな黒字が出るというぐあいに楽観はしておらないわけでございます。ただ、問題は、黒字が出た場合に、それでは一体どうするかということになろうかと思いますけれども、これは、御存じのように、われわれといたしましては、過去の累積損失につきまして、政府原案におきましては、定率五%の国庫補助と相まちまして保険会計の自主的な努力によって政管健保の財政安定をはかられる、保険料率の弾力条項が入るということで長期的な収支均衡が確保されるということを前提といたしまして、四十七年度以前に生じました累積損失につきましては、これは異例な措置ではございますけれども、われわれは保険の負担外にたな上げしてこれを一般財源、税金財源から充当するという方針にしておったわけでございます。しかしながら、このたびの衆議院の御修正によりまして、この保険料の弾力条項と、累積損失の一般会計からの赤字補てんという権限規定が削除されたことになるわけでございますので、したがいまして、これにつきましては、われわれとしまして、この修正案が成立いたしましたならば、その修正の段階でもう一度あらためてこの問題は将来の問題として検討しなくてはならないということでございまして、現在差し迫ってこれをどうするという対策は立てておらないわけでございます。かりに改正法の施行後黒字が出た場合というものにつきましては、その時点時点における財政の状況を勘案しながらその処理方針を検討するということになろうかと思いますけれども、われわれといたしましては、衆議院の修正の趣旨に照らしまして、累積赤字の補てんにも充当する道は開かれておる、かように考えております。
#122
○須原昭二君 そういたしますと、いまかりにも黒字が出た場合どうするかという私の質問に対して、明確な答弁がないわけですね。まだこれから検討すると。たとえば、この二千百九十四億の累積赤字、あるいはまた、たとえば固定資産分、あるいはまた保険料の未徴収分はほんとうの赤字じゃないんだから、これは純然たる繰り越し損失なんだと、こういう点から考えて、千七百六十六億としても、いずれにしても、来年度、この千七百六十六億もしくは二千百九十四億に利子の補てんが出てくるわけですね。そうすると、また元金に入っちゃって、四十八年度ではそれにまた利子がかかってくる。このままほかっていけば、どんどん幾何学的に数字が上がってくるわけなんですよ。そういう問題を長期的な展望でとらえて何も考えておらないというところに問題があると思う。したがって、私たちは、このたな上げという問題については、もうあくまでもたな上げすべきであるという主張を変えずにおるわけなんです。その点はどう考えておられるのですか。
#123
○説明員(渡部周治君) これは政府原案の考え方を御説明することになろうかと思いますけれども、基本的には、保険会計において生じております赤字というものは、その保険会計の自主的努力で解消するというのがたてまえであろうかと思います。しかしながら、政管健保の財政収支に照らしまして、これをこのまま放置しておくことには問題があるということで、政府原案といたしましては、定率の五%の国庫補助を導入する、同時に、今後の財政収支につきまして長期的な安定の見通しが立つということを前提にいたしまして、したがって、今後保険会計上では赤字は生じないということが担保されることを前提といたしまして、非常に異例の措置ではございますけれども、あえて税金財源から過去の累積損失を穴埋めいたしまして、保険会計の負担を軽くするということを考えたわけでございます。しかしながら、この点につきましては、御存じのとおり、衆議院の修正におきまして、そういう長期的な安定対策の柱としておりました弾力条項が削除されることとワンセットで累積損失の一般会計負担という規定が削除されたわけでございます。そういう国会の御意思でございまするので、われわれといたしましては、これが成立をいたしました段階におきましては、この問題は将来の問題としてまたあらためて再検討せざるを得ない、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
#124
○須原昭二君 それは、本会議ではそういうふうに答弁されていないんです。検討すると、将来の問題としていない。現時点で何とかしたいというような意見は開陳をされているわけです。したがって、主計官にここで聞いておっても事は始まりませんから、一ぺん大蔵大臣にここへ来てもらう、これはひとつ委員長にお願いをいたしておきたいと思います。ただ、私たちが思うのは、先ほどの料率を千分の八十まで上げる、弾力条項の削除、あるいはまた、国庫負担を今年度は七%、来年度からは一〇%しても、いつから弾力条項を発動するかによって差はありますけれども、累積赤字のたな上げはこれらの問題と相殺したような感じを国民は持っているわけです。はたして、この累積赤字のたな上げがない場合に、先ほど申しましたように、それに利子が加わり、またそれが元金の中へ繰り込まれて、再来年にはまた大きな利子を生んでくる、ほかっておいたらどんどん利子が一年間に大体百二、三十億かかるというふうに私たちは思っております。せっかく国民の負担を上げたところで、これに充当されるようなことになったら、これこそたいへんなことだと思うので、この点は明確にしておかなければならない問題点だと私は思います。したがって、委員長、これは主計官の方をここで責めておっても事の解決にはなりませんから、あらためて大蔵大臣にも御出席をいただいてこの問題点を解明をしていきたいと思いますから、この点は保留さしていただきます。
#125
○田中寿美子君 ちょっと関連して。
 単年度の四十七年度の赤字の額について、これは社会保険庁にお尋ねしますけれども、少し私は疑義があるのですが、七月実施で、衆議院の修正で、一〇%国庫負担ということで四十七年度は七%の計算ですね、それで千二百七十五億というのを出していられるわけなんですが、それの中に含まれている百二十億の予備費、それは四月実施の場合も百二十億ですか。この予備費の内容はどういうものなのかということ、それから七月実施でも変わりがないのかということが一つ。
 それからもう一つ、最初は累積赤字のたな上げというのが政府原案として出てきていたわけですね。したがって、その累積赤字にかけられる利子は、この単年度の計算に出ておりません。それを今度修正の場合にたな上げをやめてしまった。したがって、単年度の赤字七月実施で百九十一億というのを出していらっしゃいますが、これにさらに累積赤字の利子が入るはずだろうと思うのですがね。ですから、ここに出ている計算の数マイナス百九十一億というのと、それから千二百七十五億というのと、両方に疑義があるので、もう少しここをはっきりしていただきたい。
 それから衆議院での修正の場合に、ボーナスにかけますね、それで月収五万円以下の者にはかけないということで計算してあります。ここへ出された計算も、その五万円以下の人口を四十七年度の人口の比率を一体どれだけの計算で出していらっしゃるのか、これも私は正しい数字でないように思うのです。
 その三点をはっきりさして、その赤字総額千二百七十五億がはたして正しいのかどうか、はっきりさしていただきたいと思います。
#126
○政府委員(穴山徳夫君) 四月実施で千二百七十五億という赤字につきましては、これは対策を何も講じないときにこういう金額になるということでございます。それで、簡単に申しますと、四十七年度におきまして何ら対策を講じなければ単年度で千二百七十五億の赤字が出ると、こういうようになっているわけでありますが、おそらく先生が一つ御疑問に思われましたのは、満年度千三百三十三億で四月実施で千二百七十五億というこの差があるのはどういうことだろうかということかとも思いますが、あるいは、四月実施千二百七十五億であるのに、七月実施千二百七十五億というのはおかしいじゃないかという御疑問かと思いますけれども、後者のほうでもってお答えいたしますと、これは、いま申しましたように、対策を講ずる講じないには関係なしに、というよりも、むしろ四十七年度に何も対策を講じませんときに一体幾ら赤字が出るだろうかという計算をまずいたしまして、その計算に対して、それでは対策を講じたときに幾ら財政効果があらわれて単年度で幾らの過不足が出るかという私どもとしては計算をしているわけでございます。したがって、四月実施と七月実施の相違と申しますのは、制度改正を行ないましたいわゆる財政効果のほうに差が出てくるわけでございまして、そのもとは同じであるということでございます。
 それから第二点は、予備費百二十億でございますが、これは、私どもが従来毎年予算を組みますときに、いわゆる単年度の収支不足というもののほかに、たとえばインフルエンザの流行とかいろいろな不測の医療費の動きがあるような場合もございますので、毎年予備費というものを予算に計上しているわけでございます。それだけ結局予備費の支出を含めて支出をみているということになるわけでございまして、したがって、普通でいきますと四十七年度では単年度収支不足というものが千百五十五億と私どもは推定をいたすわけでありますけれども、しかし、年間、もしインフルエンザのものすごい流行があるとかいろいろなそういった問題あるいは収入がえらく減るというような問題、そういった収支にわたってのいろいろな変動要素の変動によりまして私どものその収支の見込みに変化が出るという場合に、それに対応するように一応予備費を組んでおくということをいたしているわけでございます。そういう意味で百二十億を四十七年度は計上したということでございます。
 それからもう一つ、最後に、ボーナスの問題でございますが、五万円以下の考え方につきましては、これはまず五万円以下のものを控除するということにいたしますと、大体私どものいわゆる標準報酬月額の分布ということがございまして、たとえば何級がどのぐらいであろうかという分布がございますが、それが四十六年の十月におきまして約四九%でございます。それから四十七年度のこれは推計でございますけれども、推計をいたしますと、約四〇%でございます。この和半をとりまして私どもは四五・二%ぐらいのものが五万円未満のものとして対象者から外れるという計算をいたしたわけでございます。それから金額につきましては、これは国税庁の民間給与実態調査の結果の、これは四十五年分が一番新しいものでございますから、これによらざるを得ないわけでございますが、その調査によりまして、大体五万円以下の者が年間にもらう賞与の総額というものが全体の賞与の支給額の何%ぐらいに当たるかという計算をいたしました。それが、大体二〇・八%、約二一%でございますが、金額としては約二一%五万円の者を削除することによって減少するという計算をいたしたわけでございます。
#127
○田中寿美子君 まだ利子のことがあります。もう一ぺん言います。いまの説明はまだ納得できないんです。予備費の百二十億は、これはずっと初めであろうとあとであろうととっておくと。これを赤字の中に数えること自体一つ問題だと思います。赤字を非常に過大に宣伝している感じがするんです。それから累積赤字に対して利子を毎年何十億払っているわけですね。それで、最初は赤字はたな上げするつもりだったから、このいただいた計算のこの数字には利子は入っていません。そうすると、今度はこの利子が入るから、おたくの計算ですと、四十七年度の赤字はさらにふえていくということになるのじゃないんですか。百九十一億の赤字というふうに出していられますね、おたくが。だから、その場合に、これは利子は計算に入っていないという問題です。ボーナスに関してまだ疑義があるけれども、このことはまた須原さんがやると思いますから……。
#128
○政府委員(穴山徳夫君) 七月実施の場合の百九十一億の赤字につきましては、これはいわゆる単年度の収支不足ということでございまして、これには利子を含んでいないわけでございます。
#129
○田中寿美子君 そうすると、それにプラスしていくわけですか。たな上げしないんだから、入るわけでしょう。利子はその年に支払うことになるんでしょう。
#130
○政府委員(穴山徳夫君) それは、百二十七億の利子の中に入るわけでございます。
#131
○田中寿美子君 これに出ていません。どこへ入っているんですか。百二十七億というその利子はどこへ計算に入れていますか。
#132
○政府委員(穴山徳夫君) 結局、最初は四十七年度末の借り入れ金の見込み額は二千百九十四億であったわけでございます。それが今度衆議院の修正後におきましては二千三百七十八億に四十七年度末の借り入れ金の見込みがなる予定でございます。
#133
○田中寿美子君 累積のほうは入れているわけですね。
#134
○政府委員(穴山徳夫君) はい、そういうことでございます。
#135
○田中寿美子君 単年度の収支にはそれは入れないわけですね。
#136
○政府委員(穴山徳夫君) 入っておりません。
#137
○田中寿美子君 ああそうですか。ありがとうございました。
#138
○須原昭二君 そこで、また私のほうの本質問の継続でありますが、大蔵省は私の本会議の答弁の中でもその意向が明らかですが、あくまでもやはり個人責任の原理、保険主義の立場を固持されております。たとえば、大きな企業、独占といわれるような大きな企業には、たとえば金を貸しても、経済事情の変動によって経営が不能になってくると、利子補給をしたり、あるいはさきのドルショックなんかで差損すれば、差損分は税金面で損失金として算入して優遇措置をとっているわけですね。今度のわれわれの国民の健康の問題については、今日の疾病の構造の変化から、病気は、自分がいかに病気にならないようにと留意しておっても、いわゆる公害の問題とか環境汚染の問題等によって個人の責任のワクでは縛り得ないような状態に実はなってきているわけです。そういう点をよく考えますと、健保といういわゆる国民の命と健康にかかわるこういう重大な問題についての国庫の支出、あるいはまた利子補給、こうしたものについては私はきわめて冷淡であると言わざるを得ないのです。弾力条項をやめた、国庫負担を若干引き上げた。しかし、先ほども御案内のように、三分の一は利子が大半を示しておるわけでありまして、累積赤字はたな上げをすると、こういうことを百歩譲っても、借り入れ金の利子ぐらいは国庫から補給すべきだと私は思うのですけれども、まあこの問題についても、主計官にお話をしても、明確なる回答は出てこないと思うので、この点は、厚生大臣、ひとつ大蔵省に国民の命と健康を守る厚生省としては、胸を張って、大きな声を出せとは言いませんけれども、ほんとうに積極的に大蔵省に働きかける意思はございませんか。その点の御意向を承りたいと思います。
#139
○国務大臣(斎藤昇君) 実際問題といたしまして、累積赤字の利子は、その年の黒字から補うとかいうことはいたしておらぬので、やはり借り入れ借り入れでやっておるわけであります。借り入れというと、こちらの肩の荷が重うございますけれども、それは保険料の中から支払っているという問題ではありませんので、たな上げはしてもらっていない。保険会計の中でということになっておりますが、しかし、年々の保険料からそれをなしくずしをやっているという経理をやっておらないというのが現状でございますので、それを、ことし黒字ができたから、過去の少なくとも赤字の利子分はこちらから埋めろということになると、これは議論になってまいって、そうはいかないということで、これは翌年度どうなるかわからないから、そちらの累積赤字の利子払いには使いませんというようにこれは私のほうはがんばっていくつもりでございます。
#140
○須原昭二君 先ほども、局長が、かつて三十一年から三十六年まで黒字が出ておったと。それはそのあとの赤字分を埋めていった形跡があるわけですよ。そういう状態から見ますと、赤字が出たからといって、今度は国民の負担に切りかえていくのは、過去の経過からいってもおかしいのではないか。したがって、国庫で負担するについても国庫の金は国民の税金だと、だから国民の保険料としても同じことじゃないかというようなことを、大蔵大臣がいずれにしても国民の負担になるというような論理を展開されました。しかし、保険というものは、御案内のとおり、当該被保険者の相互扶助の精神の上に成り立っているわけで、私たちは税金と保険料と同じ同一視しては考えておらないのです。あくまでも、この際、所得の再配分といいますか、保障のワク内に閉じ込めて国民全部が連帯責任を感ずる、そういう方向へ行くべきではないかと思うのですが、その点は厚生大臣はどうお考えになっておられますか。
#141
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、医療保険は、やはり保険料でまかなうというのが原則であるべきだと思います。そうかといって、保険料を非常に高く取らなければ医療保険が成り立たないというようになれば、先ほどおっしゃいました保険料の取り得る最高限度はどこかという問題になってくると思うのです。その最高限度は千分の八十というのが、現行法では一応そういうことで、組合は千分の八十までは組合の会議で取れるということから見ましても、千分の八十まではこれは組合においても取らしてもいいというまあ限度として現行法は認めているわけであります。これは学問的に正しいかどうかという点はさらに検討する余地もあろうと思いますが、現行法から見れば千分の八十までは標準報酬に対して取ってもよろしいという一応の限界があるわけです。そこで、政府の原案は、千分の八十までは弾力条項で認めてもらったらどうであろうかと。その場合は、また、政府も千分の七十三までは五パーセントの定率でありますが、しかし、それから弾力条項で上げる際には国庫もさらに補助金を増額いたすということで弾力条項というものを認めたわけでございますので、したがって、そこら辺までは保険料として負担をしてもらって、それでもなおかつ足らぬということになれば、これはどうするか、その際に、先ほどおっしゃいました千分の八十というのが限度であるか、もう少し増していいか、それが限度だというなら、あとは組合と言わず、政官と言わず、国の補助で見るべきであるという議論がその段階になれば出てくるであろうと、かように考えます。
#142
○須原昭二君 いま厚生大臣のお話を聞いておりますと、何としても、たな上げ分と、あるいはまた弾力条項、それから国庫負担、この三つがからみ合って相殺勘定で整理をされたような感じを私は受けるわけです。その弾力条項の中で、千分の八十、これがまあ国民の保険料の負担率の限界であるというような厚生大臣の限界論が出てきたわけですが、私は、この問題について論議をしますとまた時間がかかりますけれども、弾力条項の問題ですが、私に言わしめるならば、死んだはずのお富さんで、こんな論議をする必要はないじゃないかと、こうおっしゃるかもわかりませんけれども、これは死んだはずのお富さんじゃなくて、死ぬべき性格を持っているわけですよ。ここでお尋ねをしたいのは、この弾力条項は、私は、憲法違反である、財政法違反である、したがって、こんなものは死んだはずじゃなくて、死ぬべき性格を持っておったもので、これと相殺勘定でするというのはおかしいという感じを持っております。たとえば、憲法八十三条でしたか、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない。」と明記されております。さらに、また、財政法第三条には、「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と、こういう項目があるわけであります。そういう点から言うならば、こんな弾力条項というのは、まさに官僚支配を許すことであって、これは死ぬべき性格を持っておった。それをなくされたからといって、たな上げはもうやめなんだと、こういう論拠にはならないと思うのですが、その点はどうお感じになっておられますか。
#143
○国務大臣(斎藤昇君) 死んだはずのお富さん、もう議論しなくてもいいじゃないかと、こう言うて御質問でございますから、原案を説明いたしますと、財政法では、「法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と、これも一つの法律でありますから、法律に基づいて定めるわけで、決して法律違反ではありませんし、また、憲法違反でもございません。現に、四十一年までこれが生きていたわけであります。それがもう一ぺん生き返ってくるというわけで、今度はまあ生き返れなくなったということでございますが、ところが、社会保障制度審議会におきましても、この弾力条項は抜本改正に入れるべきではないか、四十七年度においては赤字が出ないという保証さえとればいいんじゃないかという議論がございました。したがって、この弾力条項はいけないということではなくて、やるならばむしろ抜本改正にやるべきではないかと、こういう御意見でありました。また、衆議院における委員会の論議の中においても、それをなぜ急いでこのいまの財政対策に入れるんだと、抜本改正に譲っていいじゃないかという御議論が圧倒的でありました。私は、そういう御趣旨で今後は削除をされたのかと思っております。そして、この弾力条項をわれわれがこの際に必要だというのは、累積赤字をたな上げをする、そうすると単年度赤字を出さないという保証を将来も取りつけておく必要があるということで弾力条項を入れたわけであります。したがいまして、これは、私は、累積赤字のたな上げと弾力条項というものは、もう一度ゆっくりと抜本改正の際に御議論をいただけるものであろうかと、かように私は私なりに解釈をいたしておるわけであります。
#144
○高山恒雄君 関連して。
 いま厚生大臣の答弁を聞いていますと、八十までの限度があると、こうおっしゃっておりますが、あることは十分私も承知をいたしております。ただし、組合保険の場合には三十五という歯どめがあるわけです。三十五以上は経営者の負担において出すということになっておるわけです。これは非常に大事なところです。だから、組合保険と政府管掌保険というのは、そこに違いがあるわけです。したがって、政府が政府管掌保険という名前をつける限りにおいては、やっぱり歯どめをつくって政府がこれを負担するという原則を捨ててはいかぬと私は思うのです。それをなぜいままでにやらぬのか。今度でも、七十三にしないで、七十で押えて、そしてそれ以上の赤字に対しては政府が八十までの間に政府が負担をすべきだと、この原則を組合保険と同様に守る、こういう行き方こそ正しいと私は思うのですが、どうですかこの点。それなら八十でけっこうなんです、三十五という歯どめをしていただきますならば。八十ということは、労働者も四十、経営者も四十じゃないんです。八十という幅は認めていますけれども、労働者は三十五、したがって経営者は四十五出しておる場合もございましょう。ところが、管掌保険ですから、これは政府が関与しておる保険ですから、政府がその原則をつくってくれるならば、決して七十を七十三にしなくても、今回は七十で押えて、政府が赤字に対しては対処すべき金を出してやるべきです。ここに組合保険と管掌保険の違いがあるし、管掌保険の中小企業労働者の対象者が非常に犠牲になる。その上に賞与まで取ろうとするから問題があるんです。この問題は私の質問のときやりますけれども、一ぺん、その点、どうですか、答弁してください。
#145
○政府委員(戸澤政方君) 政管と組合健保の保険料の取り方についての御質問でございますので、その点を御説明いたしますと、そもそも組合健保を認めて、政管健保よりもより有利な条件でもって運営していくという前提で組合を認めるわけでございますから、組合健保につきましてその被保険者が政管の被保険者の負担料率よりも多くなるということは、これは考えられない。考えられないといいますか、そういうようなことになれば、とても組合の認可申請などしてくるはずがないわけでありますから。したがって、従来、政管健保の保険料率は千分の七十でございましたので、これが労使折半ですから、被保険者の負担は千分の三十五です。したがって、組合のほうにおきましても、被保険者の負担は千分の三十五をこえることができないというふうにしているわけです。したがって、今回改正法案で政管健保の保険料率は千分の七十三に上げるわけですから、本来ならば組合のほうの被保険者の負担限度というものをもう一・五、千分の一・五上げるのが筋なんですけれども、現状の組合におきましてはそこまでいっているものはほとんどありませんし、それから上の千分の八十というものをそのまま据え置いておいて、それで下を千分の三十五を上げるということは、相対的に被保険者の負担をふやすということになりますので、今回据え置いたというだけのことでございまして、したがって、政管健保におきましては労使折半負担という原則になっておる以上は――なっているわけでございますから、組合の場合のそれと比較することはできないと思います。組合のほうがそういうふうに千分の八十にして八十まで上限を認めるというのは、これも政管健保以上にいろいろな付加給付をやっているわけでございまして、そういうものがあるから組合健保のメリットというものがあるわけでして、その付加給付の分を含めた保険料につきましては、労使折半ということでなくて、大体事業主のほうが負担を多くするということでもって運営をされているわけであります。
#146
○高山恒雄君 もう一つ、大事なことだから。
 それは、あなたが言われることはよくわかるんです。現行の法律がそうだから、今度千分の七十三ということになると、労働者が三十六・五、経営者が三十六・五を出すんでしょう。そうでしょう。
#147
○政府委員(戸澤政方君) そうです。
#148
○高山恒雄君 だから、政府管掌という名前がつく限りにおいては、それ以上の赤字なら政府が出しなさいと、こういうことでしょう。それをやらないで、この率だけを上げるというところに問題があるというのです。そこに特別のまた保険料を今度取ろうというところに問題があるのであって、組合保険と管掌保険というものの違いはそこにあるし、それはしかし政府が管掌しておる限りにおいては、零細企業を中心とする労働者であるがためにこそ、また、中小企業経営者であるがためにこそ、政府が関与してつくった法律だから、政府から出してやるべきじゃないかということを私は主張しておる。その改正をなぜやらないのか。そこに問題があるということを私は申し上げておる。
  〔委員長退席、理事高田浩運君着席〕
#149
○政府委員(戸澤政方君) 組合のほうで被保険者の負担限度というものを規定いたしました趣旨は、ただいま御説明しましたとおり、政管健保における被保険者の負担との関連におきまして保障する意味で規定しているわけでございます。政管健保のほうは、これは労使折半負担となっているわけでございまして、これを被保険者の負担限度というものを法律でもってきめる、その限度をこしたならば、それは事業主負担かあるいは国庫補助に求めるということは、ちょっとむずかしいことではなかろうかと思います。(「やろうと思ったらできる、そこが問題だ」と呼ぶ者あり)保険給付について国の負担がどのくらいあるべきかということをきめ、それを一〇%なら一〇%ときめたならば、その残りは労使でもって折半していく、保険料率が上がればその半分は被保険者の負担もまたそれなりに上がっていくということは、これはやむを得ないのではないかと思っております。
#150
○須原昭二君 いろいろお話を聞いていると、どうも、何でもいいから財源をひとつあさろうと、その焦点は国民に負担をかけていこう、こういうところに終始しているところにそういう問題が出てくると思うんですよ。先ほども、大臣は、法律をつくれば憲法違反にもならぬじゃないかと、こういう御論議ですが、その前に、国民に負担をかけていいか悪いか、これ以上はいいかどうかと、ここら辺の心のかまえが私はそうでないというふうに認定せざるを得ないのですよ。
 そこで、もっとお尋ねしておきますが、国民の負担増の問題です。国保と健保の国庫負担の違いがあるんですね。国保に対する国の補助率は、総医療費の四五%であります。これを、健保のように、給付に相当する補助率に換算をすると、これは事業者と事業者でない従業員との負担がありますが、私は、大体一〇%ぐらいになると思いますが、どういうふうに積算されますか。おたくのほうではどういうふうにお考えになっておられますか。
#151
○政府委員(戸澤政方君) 国保と健保でもって国庫負担の比率が違っておるわけでございますけれども、これは、健康保険と国保では、これを構成しております保険集団と申しますか、その対象の形成のしかた、それから所得の状況、それからまた、さらに、給付割合、給付の内容も違います。健康保険では、傷病手当金、出産手当、そういったものがございますが、国保のほうではないと。そういったようなものが違っておりますので、これを国庫負担率を単純に比較することは非常にむずかしいことであろうと思いますが、いま先生も言われたようなことで一応分析してみますと、国民健康保険は、御承知のとおり、三割が自己負担で、七割が保険給付でございます。その七割を一応事業主分と被保険者分というふうに分けますれば、三十五・三十五になるわけでございます。それで、国庫補助は四五%、したがいまして、その三十五は事業主分に当たるものであるとすれば、残りの一〇%が国庫補助金というふうなことも一応推定されると思います。そういう計算でもって国保の国庫補助がきめられているわけじゃございません。これはいろいろないままでのいきさつとか、給付改善のたびごとに国庫補助がだんだんと上がってきたわけでして、この四五%のうちの何ぼが事業主分で、何ぼが国庫補助であるというようなことは、必ずしもいま申し上げたような意味でつけられているわけじゃありませんけれども、一応分析してみれば、そういうふうになるわけでございます。そうしますと、今度、政管健保におきまして一〇%の国庫補助が四十八年度からつくということは、ほぼこれに見合うのではないかというふうに考えます。
 それからまた、逆に、保険料の負担という点から見まして、健保と国保の保険料の負担を計算してみますと……
#152
○須原昭二君 国庫負担だけ聞いているんです。
#153
○政府委員(戸澤政方君) そうですか。それでは省略いたします。
#154
○須原昭二君 私たちの積算をしますと、国保に対する国の補助率は、総医療費に対しての四五%、これは間違いない。これを健保のように給付費に相当する補助率に換算をすると、一〇%になる。しかし、健保には、事業主負担が半分ありますから、これを換算いたしますと、ほんとうの被保険者の負担というものに見合った国庫負担、すなわち国保並みに国の補助率を計算をすると、一二%になるわけです。われわれが当初から言っている一二%を国庫負担にしなさいと、こういう要求は、ここから論拠が出てきているわけです。これは私は正しいと思う。しかるに、政府の原案は、五%なんですよ、出発点が。かりに衆議院の修正を正しいとしても、ことしは七%、そして来年は一〇%、これを見ても、まだ国保並みになっていないわけなんです。少なくとも、私は、国庫負担というものは、国保並みに一二%まで上げても国は損をしない、過去の経過から言って。こう言わざるを得ないんです。とりわけ昭和四十二年の定額補助のときの補助率が六・三%なんですから、五%というのは実績からいっても低額である。ましてや、七%なんかあたりまえのことである、一〇%はまた過少であると言わざるを得ない。この積算の根拠、過去の経過からいって、一二%は私は正しいと思うんですよ。その点、どうお考えになりますか。
#155
○政府委員(戸澤政方君) 確かに、国保は総医療費に対する補助でありますし、健保のほうは給付額に対する補助ですから、それを換算いたしますと、健保は総医療費に対する補助率に換算すると一二%になります。しかし、これは、いまも申し上げましたとおり、健保と国保ではその構成する対象の所得の態様とか給付の内容等も違いますので、一律にそういう率だけを比較することはむずかしいと思います。たとえば国保と政管健保の所得を比較してみますと、政管健保の家族を含めた加入者一人当たりの所得は、昭和四十五年度の実績で二十万七千円ほどでございますが、国保のそれは被保険者一人当たり十四万三千六百円というふうに、かなり国保のほうが低いわけでございます。そういったこともございまして、国保のほうには総体的に厚い国庫補助が行っているということは、やむを得ないことではなかろうかと思うわけでございます。
#156
○須原昭二君 そのやむを得ないというところに、やむを得ないんじゃなくて、それ相応にこちらのほうにもするというのがわれわれはほんとうの前向きの姿だと思うんですよ。
 そこで、過去の経過ですよ、今度は。国庫負担は、この四年間据え置かれてきましたね。どうですか。――簡単でいいですよ。
#157
○政府委員(穴山徳夫君) そのとおりでございます。
#158
○須原昭二君 そうでしょう。四年間全部ずうっと据え置きでしょう。その間、保険料と国民の負担は何%上がっていますか。
#159
○政府委員(穴山徳夫君) 政管健保で一人当たりの料率は上がっておりません。
#160
○須原昭二君 料率は上がっていないけれども、実際額……。
#161
○政府委員(穴山徳夫君) 一人当たりの保険料は、昭和四十二年が二万六千三百六円でございまして、昭和四十五年は三万九千三百三十五円でございます。
#162
○須原昭二君 そうでしょう。国の負担は、いままで四年間は据え置きでずっと上げずにおいている。国民の負担は、五〇%、約五割ばあっと上がっているわけですよ。あなたたちは、それにもかかわずら、その上、国庫負担の出し惜しみをして、標準報酬の等級の改定、そうして料率の引き上げ、それに加えて特別保険料千分の十を加えると。特にボーナス分で保険料をかける。それは一%。しかも、所得制限が五万円だからたいしたことはないと、こういうものの見方というのは、私はあまりにも国の責任を回避されているような感じがしてならないわけです。ボーナスの分については、定額報酬だけから保険料を取ると、かえって低所得者の人には軽く、高額者にはそれ相応に負担をしてもらうという考え方であると、こう言われるけれども、(「たいへんな詭弁ですよ」と呼ぶ者あり)いまヤジが飛んでおりますが、これはまさに詭弁だと私は思うんですよ。もし高額者に負担をそれ相応にさせるとするならば、標準報酬等級の上限を私ははずすべきだと思う。それがほんとうのやり方だと思うのですが、その点はどうですか。
#163
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、上限はもっと上げてもいいと本来は思っております。しかしながら、一挙に上げるのもどうであろうかということで、まあ二十万円ということで押えたわけでありますが、私は、三十万円でも四十万円でもと、さように思いますが、しかし、そこにはやっぱり一定の、これは保険料でありますから、他の税金とは違って、給付が一定になる、保険給付は限られているわけでございますから、一千万円まで上げるかというと、そうはいかない。やはりそこは三十万か四十万というのが最終の限度であろうかと、かように考えます。
 そこで、特別保険料をとったということに対しましては、もし特別保険料をとらなければ、一般の保険料で上げなければならない。そこで、どういう取り方が一番公平であろうかと考えますると、総報酬というものを基礎に置いたほうがこれは公平ではないかという議論もあるわけであります。そして、特別保険料の対象である賞与というものは、上のほうに厚くって下のほうに薄いと、そういう点から考えますると、いまの労災保険は総報酬制をとっておりまするし、将来総報酬制に移行をするのが適当であるという議論もあるというようにこれは制度審議会でも指摘をされておるのでありますが、しかし、それを実施するのにはまだいろいろと検討しなければならない点があるから、直ちには実施はしにくいであろうという制度審議会の意見でございます。そこで、私は、まあこの程度の特別保険料ならば、むしろ下のほうに軽くって上のほうに重くするという社会政策的な意味合いからも、むしろ賛成をしていただけるのじゃないだろうかと。これに反対をされて、上のほうに高く取ることがけしからぬという御趣旨は、平常の御議論とどうも合わぬような気がして、どうも私は了解しがたいと、かように思うわけでございます。
#164
○須原昭二君 私は、いまの御答弁を聞いておって、すりかえられたような感じがしてならぬのです。私たちは、ボーナスから取ることは反対なんですよ。しかし、あなたたちがそれだけウの目タカの目になって国民から取ろうとするなら、取るところはおのずからきまってきますよ、大きいところから取りなさいと、こういうことになるわけなんです。そういうことを言っただけのことであって、この総報酬制を認めたわけではございませんから、その点はひとつ誤解のないようにしていただきたい。しかも、二十万でしょう。いま、厚生大臣は、三十万か三十数万まで上げてもいいというのだったら、なぜ取らなかったんですか。これはもう一ぺん切り返しますけれども。それで、ボーナスはやめればいいじゃないですか。もう一ぺんこちらから今度は切り返します。
#165
○国務大臣(斎藤昇君) しかしながら、やるのには、何といいますか、順序というものがありますので、十万を二十万に倍に上げるということはこれは相当思い切った上げ方でございますから、このたびは二十万でがまんをしていこうということで提案をいたしたわけでございます。
#166
○須原昭二君 まあその点は理論的ではないわけです。答弁の使い分けをされますけれども、ただ、所得五万円の足切りをやっておられますが、特別保険料は月収五万円までの被保険者は免除される。これがわれわれから見ると妙味のあるように見られるけれども、私は実態はそうではないと思う。その対象人員は、先ほどの田中議員の質問に局長が答えられておりましたが、全体の四五・二%である、こう言われました。まあそういう免除される人たちが多いのでいいじゃないかという論理につながるわけですが、四五・二%というこの基礎データというのはどこにあるのですか。どのデータによって四五・二%と言われているのですか。
#167
○政府委員(穴山徳夫君) 私どもは、ただいま標準報酬月額の各等級別に被保険者が何%ずついるだろうかという、いわゆる分布表と申しますか、分布をもとにしておるわけでございまして、これは、四十五年の十月と、それから四十六年の十月――十月と申しますのは、これは、御承知のように、定時決定の時期でございまして、年々新しく十月に標準報酬の改定を行なうわけでありますが、その改定を行なったときに、一体、各等級にどのぐらいのパーセントの被保険者がいるかというその分布の表があるわけでございまして、四十七年の十月はもちろんございませんので、これは推計でございますが、四十五年の十月と四十六年の十月の伸び率の平均を使って四十七年の分布を類推しているわけでございますが、その分布表によりますと、四十六年の十月の時点におきましていわゆる五万円以下のものが約四九%でございます。それから四十七年の十月が四〇%ということで、その和半で四五・二%というものを類推したわけでございます。
#168
○須原昭二君 この基礎データというものが私は不明確だと思うんですよ。そして、何かまん中をとられたというお話ですが、四五・二というのはまさしくいま局長が言った類推の域を脱しないわけですね。科学的根拠に基づいて出てくるわけじゃないんですよ。それで、六万円以下の人は五九。七%、七万円以下の人は六七・六%と、こういう数字も政府のほうから出ておりますが、いよいよ実施をするとしても来月一日からですね。すると、もう直ちに賞与がひっかかってくるわけですよ。しかし、年々一万円近いベースアップがなされているわけです。こういう将来の目途を考えますと、たとえいま四五・二%を認めたとしても、半分の方が免除されると言われても、一年か二年たつと、みなかかっちゃうんですよ。そういたしますと、先ほど、大臣が、格差は少ないどころか、多いところはたくさん取るためにこの総報酬制をしいたんだ、ボーナスから保険料を取るんだと、こうおっしゃった論拠は、もう二年か三年たつとまた御破算、そういうことになるんじゃないですか。いずれにしても、これは二、三年でほとんどの人にこの特別保険料を取らざるを得ない、そういうシステムになってしまうんじゃないですか。その将来展望はどうお考えになっておりますか。
#169
○国務大臣(斎藤昇君) 私のほうは、五万円以下は免除をするという原案は出しておりませんです。衆議院の修正では五万円以下は無理であろうというので御修正をされたわけでございます。これは低額の者にまでという配慮で衆議院でそういう修正をなされたと、かように考えます。
 それから毎年一万円ぐらいベースアップとおっしゃいますけれども、政管健保の全体からいうと、私は、毎年一万円の報酬のアップというものはとうてい見込めないと、かように考えております。
#170
○須原昭二君 いずれにしても、これは私たちのそれこそ類推をいたしますと、二、三年でみんなボーナスにかかってくるわけです、ほとんど。そういう点から見れば、これはたいへんなあれだと思うわけで、特に政管健保については特別保険料を強制するんですね。強制するわけです。しかし、組合健保においては任意徴収になっているのですね。こういう差別もわれわれはどうかと思うのですが、その点はどうですか。
#171
○政府委員(戸澤政方君) 大体、今度ボーナスを対象にして特別保険料という制度を設けましたのは、政管健保の財政対策としての負担の公平をはかるというような趣旨から考えたわけでございます。それで、組合健保のほうの保険料につきましては、その自主性を尊重して、法律でもって上限・下限だけをきめまして、あとはもっぱら労使の話し合い、運営協議会でもってきめるということになっているわけでございます。したがいまして、その組合において保険料率の改定によって増収をはかるか、あるいは、その特別保険料をボーナスを対象に一部取るか、それは組合の自主性にまかせる。全然組合に対してそういうボーナスから取る道をふさいでしまうというのも、組合によっては適当でない、政管に近い性格のところもございますので、そういう道だけを開いて、あと運営については組合の自主的な判断にまかせるというふうにいたしたわけでございます。
#172
○須原昭二君 おのおの保険制度が差異があることは私は認めますけれども、ある面については強制し、ある面については任意、その組合、労使関係にまかせるというような取り扱いは、私はよろしくないと思うのです。特に、総括的に言って、ボーナスから特別保険料を取るというたてまえですね、これについては私は非常に異論があるわけです。特に、低所得者の場合は、賞与というのは企業の期末利潤というような性格と違っているわけです。われわれでも、個人のことを言って恐縮でありますが、選挙で借金ができて、これはボーナスが来たら返そうかしらんと思っておるのですし、一般の庶民の皆さんでも、生活の資金、借金の返済、あるいはまた、住宅を建てるとか、あるいは住宅備品を整えるとか、こうした生活投資資金に回すのがボーナスなんですよ。ですから、おのずから企業の期末利潤と違う性質を持っているわけで、そういうところから特別保険料を徴収するということは、ひいては総報酬制への第一歩としてわれわれは断じて認めるわけにはまいらぬ。こういう点をひとつ銘記をしていただきたいと思うのですが、その賞与についての認識ですね、これは政府はどうお考えになっているのですか。庶民のボーナスというものは、私は、何べんも言いますけれども、企業の期末利潤と違うのだと、生活投資資金であり、あるいはまた借金に見合えるものであると、こういう点を考えているわけですが、厚生大臣はどうお考えになっておられますか。
#173
○国務大臣(斎藤昇君) 昔はといいますか、以前は、やはりボーナスというのは何か不時の収入であったというように思っていたわけですよ。われわれも、ボーナスをもらえば、これで飲み屋の借金を払うとかいうようなことになっておったわけです。しかし、このごろは、会社その他が人を雇われる場合にも、ボーナスは何カ月分と大体きめて、そうして、これは、不時の収入というよりも、うちの会社は給料は最低幾らでございます、ボーナスは何カ月でございますというようにやっておりまして、不時の収入というよりは、やはり年間を通じての収入というようにだんだん国民の考えも変わってきているのじゃないだろうか。そこで、総報酬制ということもぼつぼつ考えられるという時代に入ってきていると、かように思います。そこで、組合健保は任意制になっておりますが、組合員の方々のお考えの中で、ボーナスで取ってそうしてわれわれの低いほうのものを含めてもらいたいという声が強いところは、そういうようになっていくのじゃないだろうか。ボーナスで取ると言っても、ボーナスで取れば給料から取る分が減るわけでありますから、全体に考えてどちらが低所得者の人に有利であるかということを判断いたしますると、やはり総収入制をとってもらったほうが有利だというような判断をされる組合も出てくるのじゃないだろうかと、さように考えております。それらの推移を見ることも一つの大きな将来への制度の本格的改正への資料になると、かように考えております。
#174
○須原昭二君 厚生大臣のお話を聞いて、これではまずいなと思うんですよ。まあ厚生大臣のような立場になると、飲み屋の借金とおっしゃいますけれども、まあ料理屋の借金だろうと思うんですが、われわれ庶民のほんとうに働く庶民の実態というのは、そうじゃないんですよ。ここら辺に認識が若干また違うと思うんです。もう少し庶民の実態の生活へ食い入って観察をしていただけば、そういう発言は出てこないと思うんです。ですから、ボーナスを企業のような期末利潤ということではなくして、生活の投資であり、あるいは借金の返済にされているという今日の国民の実態というものをもう少し厚生大臣が知っていただかなければ、これは論議は発展をしないと思います。
 特に、ボーナスを目当てにしてこの特別保険料と黒字の関係で一つ御質問いたしたいんですが、衆議院での修正によりますと、四十七年度末に収支の見込みは百七億円の黒字になるというふうに推定されているわけです、満年度。一方、もし特別保険料による収入を認めると、百九十一億円、こういう収入になる。差し引き勘定いたしますと、もし特別保険料を取らないとすると、八十四億円の赤字になる、こういうふうにわれわれは計算ができるわけであります。国庫負担率一%が大体七十八億円に相当するのでありますから、先ほどの論議の発展でありますが、健保の国庫負担を国保並みにすれば一二%、こういうことになりますね。そうすると、一二%にしなくても、いまこの七%の上に一・〇八%上げれば、これは特別保険料を取らなくても済むことになるわけです。七%の上に一・〇八%乗せれば、国保並み以下の国庫負担でつじつまが合うわけです。そのぐらいの、一・〇八%積み重ねるぐらい、そういう勇断がないかどうか。収支のバランスをとるためには、当然、一・〇八%上げてもいいんじゃないか、こう実はわれわれはわれわれなりに計算をいたしておるのですが、その点はどうですか。
#175
○国務大臣(斎藤昇君) 特別保険料を取らないで、それを一般の保険料で一・〇八%ですか、上げるという……(「国庫負担」と呼ぶ者あり)ああ、国庫負担ですか。国庫負担は、われわれは、五%が適当かと、こう思っておりますので、これ以上国庫負担を上げるということは、これは国庫負担といえども一般の税金でありますから、したがって、私は、まあここらが限度ではなかろうかと、かように考えております。
#176
○須原昭二君 それが大蔵大臣の答弁だったら、まあまあしようがないわという気持ちにもなるけれども、厚生大臣はもう少しそういう点についての勇断がほしいと思う。七%プラス一・〇八%積み重ねれば、との特別保険料を取らなくて済むんですよ。これが、先ほど私が質疑をいたした中で明確にしたように、国保並みにするその一二%よりもまだ低いんですよ。このぐらいの勇断はやはり厚生省が持って向かうことが国民のためになる。大蔵省は収支のバランスばっかり言っていますから、これは論議の対象になりませんけれども、少なくとも厚生大臣はそのぐらいのことを大蔵省なり要求するぐらいの熱意があって私はしかるべきだと思うんです。もう一ぺん御答弁をいただきたい。
#177
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、国庫負担を増すことはいやだとは申しませんけれども、しかしながら、医療保険というものは保険料というものを根幹にしてやるべきであって、それで赤字が出たから全部国庫負担でまかなえという考え方は、医療保険を運営する者といたしましてはにわかに賛成しがたいと、そういう基本的な考えを持っております。そこで、五%がいいか一〇%がいいかという問題は別にありますけれども、足らないものはみな税金から国庫補助で行けという考え方は、保険を運営する者といたしましてはちょっとにわかに賛成しがたいと、かように申し上げておるわけでございます。
#178
○須原昭二君 そこに根本的な問題点があるわけで、あくまでも保険であって保険になり得ない制度をそのままにしてあって、赤字になるのはあたりまえのことなんですよ。赤字になることはあたりまえのことを、さもこれを収支のバランスをとろうとするところに問題が出てくるわけで、それは当然国が補てんをすべきですよ。私も本会議で申し上げたように、特に私たちは強調せなければいけないのは、全国で二千になんなんとする無医地区がたくさんあるわけです。お医者さんにかかろうと思っても、かかれないところがあるわけです。それはごく少数だからと、こういう答弁はございましたけれども、いかに少数といえども、そういう人たちを見殺しにしていく、そこに私は日本の医療行政の中に低医療政策が徹底的に骨の髄の髄まで入っていると私は指摘をせざるを得ないのです。特に、福祉なくして成長なしだとか、人間尊重の政治の実現だとか、文句だけは非常にいいことばっかり言われるけれども、実態はそうなんです。したがって、ことしこそ、よく所信表明演説の中にもあった発想の転換、こういうことばをとらえて言うならば、いまこそ、社会保障重視の予算、あるいは国庫負担の増額、そうしたものに私は転換すべきだと思う。国庫負担を一%ぐらい、七十八億ですか、そのぐらいを上げるぐらいのことは、それこそ二階から目薬程度の小さな財源ですよ。このぐらい出さないところに、私は、日本の自民党政府の佐藤政府の低医療政策が徹底的に髄の髄まであるんじゃないかと、こう思わざるを得ないのです。とりわけ、公費医療との関係について私は聞きたいのですが、老人の医療の無料化無料化と言われるけれども、あれは無料ではなく、個人の負担の一部を公費に切りかえただけのことである。大衆は無料になったと言っているけれども、みんな保険は保険でやらして、残った一部の自己負担の分だけ公費の無料が行なわれているだけなんです。そのほか、多くの公費負担の医療があるわけでありますが、公費負担医療が保険財政に全部食い入っているわけです。たとえば、改管健保の場合、家族の五割の自己負担分を公費で見ている。そうすると、必ずその十割給付分は、本人は十割給付、家族がその十割になってしまうと、本人と同じように、それ以上に医療費が上がっていくわけですよ。こういう問題はどうとらえられているのか、この点をひとつお尋ねをいたしたいと思います。
#179
○国務大臣(斎藤昇君) 公費負担と十割給付との問題は、これはなお今後整理をしていかなければならない問題が多々あると思います。おっしゃいますように、保険の一部負担を公費で負担するというだけでいいのかという問題もあります。むしろ、根っこからこれは公費負担にすべきだという問題もあると思います。これらは今後さらに整理をしてまいらなければならないと、かように考えております。
#180
○須原昭二君 そこで、保険財政に肩がわりされているところの公費の医療の国庫負担分はどれだけあるのか、この点は再三にわたって資料要求をしておりますが、この明確なものがないように承ります。これは、ひとつ、どうなっているのか、一ぺん早急に出していただきたいと思うんですよ。再度これは資料要求を委員長を通じてお願いをいたしておきたいと思います。そういう公費負担がふえればふえるほど、今度は保険財政に食い入って、その赤字を生み出している要因になっているわけです。したがって、国が見るべき保険財政に負担さしている率、これを考えれば、国庫負担の一%ぐらい出したっていいんですよ。そのぐらいのことは大蔵省に厚生大臣からこの見合い分だけはもう一ぺん上積みするぐらいの要求は当然出されてしかるべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。
#181
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、たとえば家族五割給付が六割給付になる、七割給付になる、あるいは八割給付にすると、これはむしろ保険本来の給付のあり方であろうと思います。前にも申し上げましたように、十割給付というのが適当かどうかという点はもちろんございます。保険ではむしろたくさんかかる医療費を保険をする、わずかな程度のものは自分で負担をしていくという考え方に立つほうが、保険というもののほんとうの効能を発揮するものだろうと、かように考えます。そうでありますから、高額医療費は、一定限度以上は十割給付をしたい。これも一定限度以上、むしろ上のほうを負担をしたい。それによって受診率が高まっていくということは、これはやはり保険で負担をしていくべきである。受診率が高まってくるということは、お互いに助け合うということですから、これは保険料でまかなっていくべきだ。しかしながら、今日のいろいろな経済界、公害問題、その他いろいろな問題がございますが、そういうことで社会的な原因で発生をしてくるというような疾病、社会的に防衛をしなければならぬというような疾病、そういうような疾病は、私はむしろもう根こそぎ公費で負担をするというように整理をしてまいらなきゃなるまいと、かように考えております。
#182
○須原昭二君 時間が来たようですから、実は、今度のこの法案は、何といっても、収支のバランスを保つ、赤字を解消する――解消するといっても、今日の赤字を何とかすることであって、長期展望に立った法案ではないわけですよ。したがって、私に言わしめるならば、ちょうどバケツに少しの穴程度があいたやつに水を入れるのは、まだ目張りも簡単にできるのですけれども、ちょうどざるに水を入れるようなもので、幾ら入れたってこれは足らない。こういう点から、支出の面については後ほどまた時間をいただいて綿密に質疑をかわしたいと思っているのですが、いずれにしても、抜本的の法案、あるいは基本法、こうしたものは全部名目的に要求されてあとから出されたようなもので、しかもそれは延長になる前日ぐらいに出てきているわけです。これは実に私は本末転倒だと思うのですよ。まず目張りをしておいて水を入れるなら、まだ水はたまりますけれども、これはただ漏りなんで、こういうものを論議するのは、まず抜本案、あるいは医療基本法なるものを一緒にやらなければいけないということを痛切に感じます。したがって、どうも、政府の社会保障の長期計画というものはいまだかつて一度も公表されたものがないのですが、これはどういうことなんですか。関連をしてお尋ねをしておきますが、社会保障の長期計画というのは一ぺんも公開されたことがない。ここに基本的なものに取り組む態度というのは非常に薄弱だと思いますが、その点はどうなんですか。
#183
○国務大臣(斎藤昇君) 社会保障の長期計画を具体的に立てるということは非常にむずかしいわけでございまして、これは経済全体の計画の中にある程度の見通しは立てておりますけれども、しかし、それを個々にということはなかなかむずかしいというので、今度の新全総計画の中にぜひそういうものを持ち込みたいというので企画庁とも相呼応してただいま作業中でございます。ただいままでできなかったということについては、これは怠慢といえば怠慢でありますが、事実上いままでは非常に困難であったというように御了承をいただきたいと思います。
#184
○須原昭二君 おくればせながらいま検討中だということですが、何度も言うようですけれども、わが国の社会保障というのは、先進国に比べて三十年のおくれがあるわけですよ。このおくれを取り戻すためには、ほんとうに数倍の力で推進しないとできないと思うんですよ。とりわけ、この法案を見て私は痛切に感ずることは、衆議院の修正案によると、若干の黒字が出てくると。しかしながら、大蔵省は、たな上げされなかった分について、これから黒字が出たものを利子の補給に入れるのか、それを補てんしていくのか、その点が明確になっておりません。したがって、これは、まあいろいろ修正されたけれども、廊下で当局の話を聞きますと、修正はしたけれども、これは二、三年ぐらいは何とかもっていくだろうと、その場限りの法案のような感じがしてなりません。こういう法案の出し方では、ほんとうにわれわれは安心して聞き置くわけにはまいらないわけでありまして、その場限りの態度、この点についてどうお考えになっておられるのか。この法案というものは、まあ一、二年ぐらいは何とかなるけれども、それまで抜本法案はまたちょっと考えればいいんだと、こういうようなその場限りのような感じがするわけでありますが、その点は、大臣、どうお考えになっておられますか。時間が過ぎましたから、これを最後にしたいと思います。
#185
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、政府原案であれば、一、二年どころではない、これは当分の間これで政管の財政は安定をすると、かように思っております。そうして、その考える上に立って抜本改正を考えたいというので、抜本改正もこれは同時に出せれば非常によかったと思うのでありますが、諸方面との折衡のために日時を費やしましておくれましたことは、まことに申しわけございません。抜本改正と医療基本法はぜひ継続審議にしていただいて、そうしてひとつ継続的に精力的に、いろいろとこれは御意見があろうと思います、そういう御意見を十分伺って、いい抜本改正、いい医療基本法にしていただきたいと、これはもう切にお願いを申し上げるわけでございます。
#186
○須原昭二君 終わりと思っておったのですが、原案だったらうまくいくという話を聞いた、この点については私は聞き置くわけにはまいらないわけです。特に原案でいったらどういう現象が起きるか。日本の社会保障制度の前進になるどころではなくて、これは後退になって、国民の負担は増大をする一方で、政府の低医療政策を黙認をすることになるわけです。その点は聞き置くことはできませんから、この点は反論をして、支出の面についての討議は後ほどまたお願いをしたいと思います。
#187
○小平芳平君 それでは、厚生大臣、いまの続きですが、社会保障制度審議会の答申、あるいは各新聞の社説等をごらんになっても、政府の健保改正というものは、収入をいかに確保するか、これだけがいつも政府の健保改正だったわけです。今回も、まさしく、いかにして収入を確保しようかというのが政府の取り組んでいる内容です。それではならない。収入面を検討するとともに、支出面の検討がともになされなければ、対策が十分とは言えないではないかという意味で、大臣が仰せの抜本改正あるいは医療基本法、それはむしろ今国会に政府が出された健保財政対策よりも先に、そういう支出面の対策、抜本、あるいは――政府が今回出されている抜本にしても、基本法にしても、いろいろな問題がありますので、まだまだこれからの問題でありますが、そうした面が先に検討されるべきなんだと、このような意見に対しては、いかがですか。
#188
○国務大臣(斎藤昇君) 理屈としては、まさにおっしゃるとおりだと、かように考えますが、何せ政管健保の赤字というものは、すでにもう差し迫って、俗にいえば蔵に火がついているわけでありますから、これをまず消しとめていただきたいと、これが四十七年度の四月からでもぜひ実施をさしていただきたい、こういうように差し迫っておるわけであります。抜本と基本法は、四十八年度から実施をいたしたいとしてただいま提案をいたしておりますが、一方は財政的に緊急に迫られているという点をぜひ御了承いただきたいと存じます。
#189
○小平芳平君 しかし、私は、その大臣がいま述べられるような健保がそれほど赤字に直面しているかどうか、そこに疑問を持っているわけです。その点についてこれから質問をいたしますが、先に、昭和四十六年度の収支はどのように見通しを立てておられますか。
#190
○政府委員(穴山徳夫君) 昭和四十六年度の見通しにつきましては、現在の段階では、単年度の収支不足が百五十八億でございまして、累積二千六十億くらいになるのではないかと推定しております。
#191
○小平芳平君 ですから、そういうことを言っているから納得できないのです。昭和四十六年は、三K赤字というのはどこから出てきたことばかわかりませんが、三K赤字といって、国鉄あるいは米の食管会計が膨大な赤字をかかえるといわれますが、四十六年の健保はそんな赤字になっていないじゃないですか、単年度を見た場合に。問題は、かかえてきた累積赤字が問題であって、須原委員がいろいろ指摘されたように、四十六年度を見た場合に、政府が最初予算編成のときの赤字見込みは九百七十六億円、その九百七十六億円を保険医総辞退等のあとで修正して、いまの百五十八億円、八分の一くらいに減らしたわけです。それからなおかつ、その後の医療費が出ているでしょう、すでに、その後の医療費がずっと出ている。ですから、百五十八億円の赤字が減るわけです。どのくらい減りますか。
#192
○政府委員(穴山徳夫君) 四十六年度の当初私どもが見込みましたのは、いま先生がおっしゃいましたように、九百七十六億であったわけでございますが、これは、たとえば、国庫補助の導入をまだいたす前の金額でございまして、それを差し引くと、あるいは、いま先生が御指摘になりましたように、総辞退がございまして、その後の医療費の鎮静というようなこともありまして、百五十八億になるであろうというように推計をしたわけでございます。
 おそらく、いま先生が御指摘になりましたのは、四十六年度の最近の医療費の趨勢から見ると、さらに見込みよりも医療費が減るのではないかということでございまして、その点は、基金の数字で二月までの金額を合計いたしますと、私どもが最近見込みましたものよりも約七十億ぐらいの医療費の減になるのは、これは事実でございましょう。ただ、それでは赤字がそれだけ減るかという問題でございますが、御承知のように、ただいま収入の面におきましてまだ幾ら保険料収入があるかということが確定いたしておりません。これは七月末までの決算期のときになりませんと確定いたさないわけでございますが、したがって、最近の倒産その他の問題で第一線の職員が非常に努力をしているわけでございますが、保険料がはたしてどのぐらい私どもの見込みに対して入るかということがまだここで断言できませんので、もし見込みよりも保険料収入が減れば、やはりそれだけいわゆる医療費の減と相殺になるというような関係もございます。したがって、医療費が見込みよりも減ってきたということは、これは先生の御指摘のとおりでございますけれども、収入の面がまだ確定しておりませんので、いままでに推計いたしました百五十八億がどのようになるかということは、まだこの段階ではっきり申し上げることができないわけでございます。
#193
○小平芳平君 そういうことを言っていれば、そもそもここで審議すること自体ナンセンスじゃないですか。ですから、こうした資料も、一番新しい資料を、参議院の審議がさてきょうから始まろうというときに、委員の皆さんに配付するのが当然じゃないですか。それを、自分のほうでこっそり持っていて、そうして赤字見込みが百五十八億だと言っておられる。かりに最近の医療給付費の動向からいって、いま説明のように、七十億くらい給付費が減れば、そうすれば、九十億くらいの赤字だとしますね。そうすると、当初厚生省が九百億の大赤字だといって予算編成で大騒ぎをした昭和四十六年が、実は十分の一の九十億の赤字でしかなかったと、こういうことになるんでしょう。いかがですか。
#194
○政府委員(穴山徳夫君) 結果から申しますと、九十億になるかどうかは別にしまして、当初の九百七十六億というものが大幅に減ったということは、これは事実でございます。ただ、四十六年度は、いままでにない問題が御承知のようにあったわけでございまして、七月に総辞退がありました。その総辞退後、私どもが予想していたよりも医療費の伸びが鎮静してきたというような事態があったわけで、したがって、私どもが最初に予想いたしましたのは、従来の手法に従って一応推計をしてみた結果でありますが、年度途中に思わぬ問題が起こりましたので、いまのような状態になってきたわけでございます。
#195
○小平芳平君 ですから、正直に、四十六年の赤字見通しは思わぬ事態も起きて十分の一で済みましたと、そういうように報告すべきでしょうと、こう言っているわけです。
 そこで、四十六年度の政管健保の医療費は、これは予算と実績に分けてどのくらいになっていますか。
#196
○政府委員(穴山徳夫君) 予算のときの見込みが、医療給付費は六千百二十五億予算に計上したわけでございまして、最近の基金の数字を合計いたしますと、大体五千四百五十億になるということでございます。
#197
○小平芳平君 そこで、医療費は、最近の見通しは、四十六年度で医療給付費が五千四百五十億と。それで、四十六年末のしたがって累積赤字、これは二千六十億ですか、それを資産見合い分を差し引いて幾らになりますか。
#198
○政府委員(穴山徳夫君) 四十六年の累積のいわゆる借り入れ金の総額を二千六十億といたしまして、資産見合いを差し引きますと、約千六百八十億でございます。
#199
○小平芳平君 さて、そこで、いま二つの問題があるわけですが、第一に千六百八十億のこの赤字ですね、これが四十七年度へ持ち越されてくる赤字になるわけですが、この赤字は、大臣の先ほどの答弁ですと、そういう赤字は当然政府が処理していきますと言われたんですか、その辺をもう一度おっしゃっていただきたい。
#200
○国務大臣(斎藤昇君) 当然政府が処理していくと、そこまで言ったのではございませんが、この赤字を過去の累積赤字を解消をするようにこれからの保険料収入からやっていくということは事実上無理だと。したがって、いままでの例から言いましても、この赤字に対する利払いもこちらの面で借りかえをしていくということをいままでやっているわけでございますが、当該年度の黒字から過去の赤字を解消していくということは事実上困難だと思いますと答えたわけであります。
#201
○小平芳平君 したがって、今度は、「昭和四十七年度単年度収支見込」という資料を配付されているでしょう。この昭和四十七年度政管健保単年度収支見込みには、利子見込み額、政府原案で百二十一億、衆議院修正後で百二十七億という、こういう利子見込み額をなぜ入れるのかですね。この利子見込み額百二十億ということは、料率にして千分の一が九十九億でしょう。そうすると、そのくらいのものをなぜわざわざここへ計上しておくんですか。
#202
○政府委員(穴山徳夫君) これは、四十七年度末の借り入れ金の見込み額が幾らになるだろうかという計算をしたわけでございまして、それが当初政府原案の場合に四月実施で二千百九十四億であったわけでございますけれども、衆議院の修正がございまして赤字が十三億から百九十一億になると。そうしますと、二千六十億と百九十一億の合計したいわゆる借り入れ金の総額、それに対してさらにそれの利子の見込み百二十七億が要るわけでございまして、したがって、四十七年度末にそういったようなひっくるめて借り入れ金の総額が幾らになるだろうかということを計算いたしましたので、百二十七億の利子を含めまして二千三百七十八億の借り入れ金の総額になるという数字を出したわけでございます。
#203
○小平芳平君 ですから、大臣の説明だと、将来全く起こる見通しのない百二十七億というようなものをここへ加えておどかしている数字じゃないですか。
#204
○国務大臣(斎藤昇君) その百二十七億は、累積赤字の利子でありますから、したがって、累積赤字はそれだけふえますということで、やはり累積赤字のほうへ見るべきだと、かように思っております。
#205
○小平芳平君 いや、そういうように、累積赤字が利子はこうなりますと、まあこういうところは丁寧なんだね、こういうところは。だって、将来、その累積赤字の利子をこの健保財政から支払うことはなくて済むと言っているんでしょう。そうじゃないんですか。
#206
○政府委員(穴山徳夫君) 将来のこの扱いというものは、これからいろいろきめていくわけでございますが、かりに利子をほかのほうで持つということであれば、おっしゃいますように、百二十七億というものはこれは減るわけでございます。しかし、現在は、私どもとしてそれがまだ未決定でございますし、一応従来のとおり四十七年度末に借り入れ金が幾らになるだろうかということで、二千三百七十八億という数字をお示ししたわけでございます。
#207
○小平芳平君 ですから、私が言うとおりじゃないですか。百二十七億がこの健保の財政から支払われるという予定はないわけです、現在。それを、そういうのは多く見せるためにわざわざ入れておいて、それと、当初、厚生省が、昭和四十七年度医療保険財政収支、ここで、保険給付費、その中で医療給付・現金給付、業務勘定へ繰入等々という、こうした資料を出されたわけですが、これはだいぶ前の見込みでしょう。したがって、この見込みは修正する要素ができてきていませんか。
#208
○政府委員(穴山徳夫君) いま先生がお持ちの資料は、おそらく四十七年度の予算書の数字であろうと思います。四十七年度の予算は、御承知のように、四十六年の暮れに編成をいたすわけでありまして、したがって、四十六年の暮れにおきまして一番新しい資料をもとにして予算を編成するということでございます。
  〔理事高田浩運君退席、委員長着席〕
したがいまして、その後にいろいろな変化が、変化と申しますか、実績が出てくるということは、これは毎年同じことでございまして、ただ、私どもは、予算を編成するときに、いわゆる四十七年度の予算につきましては四十六年の暮れにおきましてできるだけ正確な数値を求めて予算を積算するということに努力をしているわけでございます。
#209
○小平芳平君 ですから、最初予算を立てたときの数字よりも最近の実績が出てきた。四十六年度で見ても、医療給付費が、先ほど述べられたように、六千百二十五億の見込みが五千四百五十億に減ってきているということですね。したがって、そうしたものに合わせて今度は四十七年度の見通しを立て直さなくちゃいけない。そういう資料を提出していただきたい。要するに、この一枚だと、何もわからないわけですよ。なぜこういうような収支見込み、単年度不足というものが出てくるのかという、そのもとになるものですね。したがって、よろしいですか、昭和四十六年のまず実績が二月まで出ましたですね。最初の予算のときの医療給付費、それと、今度は、実際の四十六年二月までの実績、それをもとにしてどういう計算でこの四十七年度の収支見込みが立てられたかという、それは提出できますか。
#210
○政府委員(穴山徳夫君) いま先生がおっしゃいましたのは、おそらく四十六年度の予算の医療給付費の数字と、それから実際の数字が違うから、それをそれからこう延ばして、四十七年度の予算の見通しと申しますか、四十七年の予算がどうなるかということだろうと思いますけれども、しかし、四十七年度のこの見込みと申しますのは三月から始まるわけでございまして、したがって、これから医療給付費がどのような動きをするかということは、これからの問題でございます。したがって、いままで総辞退後ある程度鎮静をしていたという傾向は確かにございますけれども、しかし、四十七年度分に入りまして、これから四十七年度年間どう動くかということは、これは全くわかりません。それからまた、収入の面につきましても、いまの時点ではまだ四十七年度の年間の見通しがどうなるかということがわかりませんので、したがいまして、いまお話しの四十六年の予算の医療給付費とそれから実績がどうなったかという数字は、これはわかりますけれども、四十七年度の予算をさらに見直すということは、私どもとしてはちょっとできません。
#211
○小平芳平君 たとえば保険料の伸びも、四十五年一四。七%、四十六年一三・六%、そうなっていますか。四十七年何%ということを見込んでこそそれが出るわけでしょう。それが何もなくて、いきなり予算だけ出るわけないじゃないですか。医療費は四十四年一二・九%、四十五年二〇・四%ですか。それが、四十六年、四十七年とそれを延ばしていかなければ、これは出るわけないじゃないですか。そういうものを出してくださいと言っているんです。
#212
○政府委員(穴山徳夫君) 予算のときに見込みましたいわゆる基礎計数的なものは、これはお示しすることができますけれども、それはあくまでも昨年の十二月の予算を編成するときに私どもの見込んだ数字でございまして、それを提出しろという御要求でございましたらば、それは提出さしていただきます。
#213
○小平芳平君 それば、もちろん予算を編成したときのものと、その後わかったことがあったら、こういうことがわかりましたって説明してくれるのが親切じゃないですか。
#214
○政府委員(穴山徳夫君) 先ほど御説明いたしましたように、いまわかっておりますのは、先ほど先生もおっしゃいました医療給付費、これは二月までわかっております。しかし、収入のほうの保険料収入のほうは、これはいまの時点ではまだ四十六年度幾らになるかということがわかりませんので、いまわかっておりますのは、医療給付費が四十六年度は幾らであったかということでございます。
#215
○田中寿美子君 私も、さっきもまだよくわからなかったので、つまり、皆さんが提出してくだすった資料で、単年度収支不足千二百十三億、これは政府原案、それから衆議院の修正後も千二百十三億と出してありますね。これの計算の基礎みたいなものが、何で千二百十三億が赤字として計算されて出てきているのかが知りたいわけなんです。その中身がはっきりしないので、一体これはほんとうだろうかどうか、私たち判断ができないということなんです。それから予備費のこともさっき申し上げましたけれども、予備費の百二十億というのも、そのまま載っているわけなんですが、これは一体どこへどう行っちゃったのか行方不明ですね、私のいただいた資料では。ですから、とにかく、収支見込みをお出しになったその基礎を、中身を、何で千二百十三億という不足が出るのかということを知りたいというので、そのことについては何回かお願いしたけれども、なかなか資料を出していただけないんです。
#216
○政府委員(穴山徳夫君) これは、いわゆる予算の従来分と私どもは申しておりますけれども、予算を積算する場合に、たとえば保険料収入をどう見込むかと、その場合に、一体、標準報酬――たとえば標準報酬の例をとりますと、標準報酬が四十六年の十月まで一応把握して予算を編成するわけでございますけれども、じゃ、四十六年の十月までの実績をもとにしてどう四十七年度の標準報酬を見ていくかということが一つにあるわけでございます。それで、これは……
#217
○田中寿美子君 説明は要らないんです。それで、その収支不足なり、収入なり支出なりの見込みを出された根拠ですね、何が幾ら何が幾らというのを見せてほしいんです。その資料をいただけないでしょうか。――委員長、みんな要求しているんですけれども、もらえないんです。
#218
○委員長(中村英男君) 前に要求しておいたんですか。
#219
○田中寿美子君 はい、個別にですけれどもね。勉強している最中に頼んでいるんです。
#220
○委員長(中村英男君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#221
○委員長(中村英男君) 速記を起こしてください。
#222
○小平芳平君 それでは、次に、赤字たな上げについては大臣からも答弁がありましたが、この赤字たな上げにつきましては、大臣も重々御承知のように、制度審議会の答申も、「評価できる」となっているんですね。との赤字たな上げ、それから国庫の定率補助、これは「評価できる」となっている、その評価できるものがすっ飛んでしまったわけです。これに対していかがですか。また、去る九日、参考人の意見を当委員会としてお聞きいたしましたが、そのときに推薦された与党――そういうふうに言っていいですかね、自民党から推薦された肥後参考人、この方は、保険料が利息の支払いに食われるようなことは問題だ、そういううしろ向きの経費は早く始末すべきだ、政管の経営努力によってかりに黒字が出た場合――先ほど万が一万が一とずいぶん念を押しておりましたが、黒字が出た場合には、給付改善とか被保険者の負担軽減に回すべきだと、このように述べておられました。したがって、この審議会の答申といい、参考人の御意見といい、こういうことをもととして大臣もこれから進めていかれるお考えだと考えますが、いかがですか。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#223
○国務大臣(斎藤昇君) 結論は、さように存じております。
#224
○小平芳平君 それでは、次に、特別保険料です。特別保険料についても、先ほど以来るる質疑答弁がございましたが、この点についても、審議会の答申としては、まあこれは財源あさりの結果ボーナスに保険料を徴収しようということになったことと思いますが、こうした賞与から保険料を徴収しようというようなことをしてみても安定的な財源ではない、それから被保険者間の負担の公平が期せられない、それから先ほども指摘された組合管掌と取り扱いを異にするという問題がある、あるいは別の立場から上限がもうけられていないというというような意見が出されておりました。
 ところで、衆議院の修正、標準報酬五万円以下は免除、これがまた負担の不公平をさらに大きくする結果になりませんか。いかがです。
#225
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、衆議院は衆議院の見るところで修正をせられると、かように考えておりますので、あまり批判はいたしたくございません。やはり低額の者は免除をすべきだということで修正をされたことだと、かように思っております。
 特別保険料を取る可否につきましては、いろいろ議論のあるところでありますが、制度審議会におきましても、総報酬制によるべきだという議論もある、これも一応将来は考えていかなければなるまいという一節がたしかあったと思います。今度の特別保険料は、そういう意味から申しますと、将来総報酬制に行く一つの参考的な行き方だと、こういうようにも見てもらえるようにも私はとっておるのでございます。これを恒久的にやっていいかどうかということは、なお十分検討の余地があると、こういうように結論づけられていると、かように考えております。
 なお、組合のほうは任意制にしてあるのは権衡がとれないという御意見がございますが、これは先ほど保険局長なり私から答えましたように、組合健保はどういうように取るかということは組合の自主性にまかしておりますので、一応自主的にまかして様子を見ていいじゃないかと、こういう考え方でございます。
#226
○小平芳平君 大臣、ちょっと答申を取り違えておりませんか。「同じく被用者保険でありながら、労働省関係は保険料算出の基礎を総報酬におき、厚生省関係は標準報酬主義をとっている。これは、それぞれの理由と長い沿革があり、これを統一することは、望ましいには違いないが、それには相当長期の検討を必要とするであろう。」と、こういうことであって、先ほど来大臣のお答えは、何か総報酬制を検討せよみたいに言っているように言われますが、労働省関係は総酬報主義で来ている、厚生省関係は標準報酬主義で来ている、それを統一することは望ましいに違いないというのですから、どっちに統一せよと言っているわけでもないわけでしょう、この文面だけでは。しかも、相当長期の検討を必要とするであろうと、こうなっているだけです。その点、少し大臣の先ほどの答弁と違いませんか。
#227
○国務大臣(斎藤昇君) 両方違っているが、どちらかに統一したほうがよかろうと、表面読めばそうだと思うのでありますが、私は、そのニュアンスは、やはり総報酬制に将来行くべきではないだろうかという意図が含まれていると思います。しかし、それには相当長期の検討を要するというので、私のほうも総報酬制に行くまでにはよほどいろいろと検討すべきものがありますから、いま直ちにこの特別保険料をもって総報酬制へ移行する前提であるとまでは私は言い切っておりません。
#228
○小平芳平君 では、総報酬制に行く前提だとは考えていないということで理解してよろしゅうございますね。
 そこで、「今回の特別保険料は、財源あさりのため、」これこれと先ほど指摘したようなことがありまして、そうして「被保険者の間の負担の公平を期せられるものでもない。」となっておりますが、この負担の公平を期せられないということはいろいろな場合が出てくると思います。いろいろな場合が出てくると思いますが、要するに、標準報酬が五万円以下ならばボーナスが何カ月出てもかからないわけですね。標準報酬が五万円をこしていれば、ボーナスはわずかでもかかるわけですね。そういうような点も不公上平とは感じられませんか。
#229
○国務大臣(斎藤昇君) この五万円以下というのは、また特別な理由で衆議院で修正をされましたので、それに対してどうかという点から言えば、いまおっしゃいますように、五万円以下はかからない、五万円以上はかかると、そこには負担の公平を欠くじゃないかとおっしゃれば、それはそのとおりだと思います。しかし、五万円というようななにを切られたところから見れば、負担の公平といってもやはり低所得者にはかからせないようにするのが社会政策だと、こういう議論も成り立つだろう。そこらを見合って修正をせられたと、かように了解をいたしております。
#230
○小平芳平君 実際問題、事務当局として、そういうことがスムースにいきますか、事務が。それはいかがです。
#231
○政府委員(戸澤政方君) この特別保険料の扱いが事務的に非常に負担になるというようなことですと、これは一つのまた問題を提起するわけですが、昨年の六十五国会に提案いたしました特別保険料の徴収のしかたはなかなかめんどうなやり方で、前年度に支給されたボーナスを当年度の毎月の標準報酬の中に十二分の一して繰り込んでいくといったような非常にめんどうくさい方法でありましたから、これはかなり事務負担になるというおそれがありましたが、今回提案いたしましたやり方は、もう盆・暮れ、ボーナスの支給されたときにその翌月、しかも事業主は源泉徴収することができるということになっておりますので、これはほとんど事務負担もかからずにできると思います。それからまた、五万円以下のものを免除するということも、これはもう毎月の保険料を徴収する際に、五万円以下のものをチェックして、それを落としていけばいいわけですから、さほど事務的に負担になることはないと思います。
#232
○小平芳平君 それで、しかも、四回出るものはこれは入らないわけでしょう。ですから、三回まで出るものは特別保険料をかけようというわけでしょう。それできわめて事務的にスムースにいきますか。
#233
○政府委員(戸澤政方君) これは、現在の現行法におきましても、保険料から除外されているものは、三カ月をこえて支給されるものということでございますので、ボーナスが四回出ているようなものは、銀行とか保険会社にも若干あるようでございますが、こういうものは現在でも保険料の対象になっているわけでございます。今回は、その三カ月をこえて支給されるような臨時的な収入、まあ盆・暮れのボーナスが代表的なものですが、そういうものを特別保険料として徴収しようというものでございまして、特に従来の保険料徴収事務に加えて大きな事務負担になるということはなかろうかと思います。
#234
○小平芳平君 この特別保険料については、先ほど反対意見が述べられましたので、私も繰り返しませんが、反対意見です。
 次に、弾力条項のことも、すでになくなったものをというお話がありましたので、また、私も、すでになくなったものをどうこうという考えはありませんが、一つここで考え方だけ伺っておきたい。それは、確かに制度審議会では抜本改正のときに論議すべきだということを述べておりますが、問題点を二つ伺いますが、第一には、上限が千分の八十ですか、下限は幾らですか、それが一つです。それから第二点は、労働省関係の失業保険、労災保険等は労働大臣になっておりますが、今回の厚生省提案は社会保険庁長官になっておりますが、この辺の違いはどうして違いが起きるか。
 以上二点について伺います。
#235
○国務大臣(斎藤昇君) これは、下限はきめておりません。しからば、ゼロまでいくかというと、そうではないので、とにかく保険の維持できるところまで最低は下げられるということになっておりまして、下げる場合にはそう特に制限を設ける必要がなかろうということで、下限の制限はつけておらぬのであります。
 それから一方は労働大臣になっておって、一方は社会保険庁長官となっておりますが、これは、御承知のように、社会保険庁長官は、一つの独立官庁ということになっておりますので、その運営の責任を持つ社会保険庁長官はこれは制度としてはちょうど当然ではなかろうか労働省ではこれは別の官庁になっておりませんので、労働大臣が所管をしているということでございますから、その所管の責任者ということになっているわけでございます。
#236
○小平芳平君 まあそういうことでいいかどうか、なくなった条項だから、それ以上繰り返しませんが……。
 次に、私は、問題が今回の健保改正についてもいろいろまだありますが、時間の関係で次の問題へ移りたいと思います。次の問題は、薬が大量に出回っておりますが、この薬について薬務局長がよく答弁されることは、薬がきくということは、副作用も伴うということだというふうによく答弁されます。そこで、私は、薬に対して国民は有効性と安全性を期待していると思うのです。その副作用を期待して薬を飲むのじゃなくて、有効性と安全性を期待しておりますが、薬事法に基づいて新薬を許可する場合は、その有効性と安全性を保障するということになるのかどうか。
#237
○政府委員(武藤g一郎君) 薬の本質問題につきましては、先生がいま御指摘なされたとおりでございます。薬の承認許可につきましては、従来から薬事法に基づいて厚生省が許可をしております。昨今、御承知のように、いろいろの薬剤による事件が起きまして、四十二年以降につきましては、非常に厳格な資料要求をして有効性並びに安全性について許可をしているわけでございます。特に、安全性の問題につきましては、いろいろの基礎的な実験のほかに、臨床実験等もきびしく要求をいたしまして許可をいたしておるわけでございます。
 そのほか、薬につきまして、当初予期せざるいろいろの副作用が起こる場合もございますし、それから予期していてもその度合いが強まる場合もございます。そういう点につきまして、ここ数年、国立病院あるいは大学病院等にモニター制度というものを設けまして、それによりまして情報を得たものにつきましては、さらにその副作用の問題を専門家によって検討をしていろいろな訂正を行なっております。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
そのほか、国際的な情報、それから本年度から新しくWHOに国際モニター制度というものが現在ございますが、それに日本も加盟するという新しい対策もとると同時に、いままでの国立病院、大学病院だけでは不十分ではないかと、こういう御指摘が内外にございましたので、本年度からはさらに各県立病院あるいは市立病院等の病院を五十数ヵ所増加するように現在手続中でございます。このように、副作用につきましては、問題ないように私どもとしては心がけております。
 なお、有効性の問題につきましては、たしか一昨年国会でも非常に御関心をいただきまして、薬効問題を再検討せよというような御趣旨でございまして、一年間かかりまして懇談会で検討しました結果、昨年の秋から、現在出回っております約四万品の薬につきまして、各調査会を設けて有効性の再検討を行なっている次第でございます。
 以上述べましたように、有効性、安全性の問題につきましては、できるだけの対策、前向きの対策を現在とっている次第でございます。
#238
○小平芳平君 そんなに詳しく答弁してくれなくてもいいですが、私が伺ったことは、薬に対する有効性、安全性は、薬事法に基づいて許可するときに、この新薬を許可するということは有効であり安全であるという保障があるということですね。
#239
○政府委員(武藤g一郎君) もちろん、有効でありかつ安全であることは必要でございますが、ただ、安全性という問題につきましては、どうしても副作用を伴うわけでございます、一般的には。したがいまして、その副作用につきまして十分周知をはかり、またかつ、使用される医者のほうにも徹底をして管理をしながらこの薬の使用をやっていただきたい。それから一般大衆向きの薬でありますれば、そういう点を能書に十分書いて、使用者側が間違いがないように使用していただくということが必要であろうかと思います。
#240
○小平芳平君 そこで、副作用の危険の発生を防止する、あるいは危険が発生しても最小限に被害を食いとめる、そういう副作用の危険を防止するという安全性ですね、この安全性は、国の責任なのか、企業の責任なのか、両方の責任なのか、それはいかがですか。
#241
○政府委員(武藤g一郎君) 薬を許可する場合には、いろいろメーカーが動物実験なり臨床実験をしまして、できるだけのことを内外の情報を集めて、それを売り出す場合に徹底するわけでございます。その場合の審査は、私どものほうで専門の学者を動員して、それに手落ちがないかどうかという点を十分審査するわけでございます。したがいまして、使用書等に記載されているものにつきましては、もちろん、これは、副作用といいますのは、臨床実験等でも、たとえば百五十人の臨床実験をとった場合には、全部の人にある程度の副作用が起きる場合をさすわけではございません。ある一部の方に副作用が起きましても、この薬を使う場合には一部そういう副作用が起こり得ることがあるべしという場合でも、十分にその点を注意するわけでございます。したがいまして、使用するお医者さん、あるいは使用される御本人等につきましては、その副作用につきましては起こるかもしれないということを十分考慮に置いて使用していただく。したがいまして、何か事件が起きた場合にだれが責任を持つかということにつきましては、やはりケース・バイ・ケースによってきまろうかと思います。
#242
○委員長(中村英男君) 二十分程度休憩いたします。
   午後四時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時十四分開会
#243
○委員長(中村英男君) 社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#244
○小平芳平君 薬の副作用については、企業と国がともに責任を持つと。要するに、副作用による危険を防止する、あるいは危険を最小限に食いとめる、そういう責任は企業にもあるし国にもある、このように理解してよろしいですね。
#245
○政府委員(武藤g一郎君) 一般的にはそうでございます。
#246
○小平芳平君 そうすると、使用上の注意、それから使用のどのくらい飲んでよろしいとかいう限界、そういうことを定めるのも、企業がそういう研究をし、国が許可をするという両方の責任でなされていると、このように理解してよろしいですか。
#247
○政府委員(武藤g一郎君) 一般的には、薬につきましてはそういうようなことをきめるわけでございますが、これは医療行為の場合にはいわゆる使う医者、あるいは一般薬の場合は国民が、それに従って判断をして病状に応じていろいろ用いるわけでございます。
#248
○小平芳平君 製薬会社の能書きと先ほど局長が言われましたが、この能書きは、その内容をチェックするのはどの段階でチェックされていますか。
#249
○政府委員(武藤g一郎君) 申請がなされまして、それを必要なものはそれぞれの部会なり調査会、いわゆる薬事審議会の中におきます専門部会できめられるのが通例でございます。非常に前に発売されておりますたとえば局方品等のようなものにつきましては、従来の例によりましてその当時の学問レベルに従って行政当局だけできめる場合もございます。
#250
○小平芳平君 そこで、私は、具体的に、鳥居薬品の商品名はコラルジル、そのほか数社が使っていたDH剤というもの、これが昭和三十八年にイタリアから輸入して許可をしておりますが、このときには慢性毒性、急性毒性ともに研究の結果許可をなさったのかどうか、その辺の事情はいかがですか。
#251
○政府委員(武藤g一郎君) 鳥居薬品のコラルジルの問題でございますが、これは薬事審議会の中で検討され、具体的には三十七年の十二月に承認をしております。その後、許可を得て発売に移ったわけでございますが、どういう資料に基づいて措置をとったかということにつきましては、急性毒性資料に基づきまして承認許可をいたしております。なお、慢性毒性につきましては、国内では慢性毒性につきましてはメーカーからは提出がございませんでしたけれども、それにかわるものとして大学病院で行なわれました臨床試験によってこれが許可になっております。
 なお、承認される場合には、そのほか、薬理試験、それから臨床試験、急性毒性試験等につきまして、国内的にはいま御説明したとおりでございますが、そのほか、外国のデータ等も参考にしまして承認許可を行なっております。
#252
○小平芳平君 したがって、コラルジルの場合は、急性毒性の実験はイタリアから来ていたけれども、慢性毒性、つまり、二年三年にわたって二千錠三千錠飲んでだいじょうぶかどうか、そういうことは、そういう検査のないままに許可になったということですか。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#253
○政府委員(武藤g一郎君) 慢性毒性の試験につきましては、それにかわるものとして臨床試験が行なわれておりますので、それによって判断されたわけでございます。
#254
○小平芳平君 その臨床試験は、二年三年にわたっ七二千錠三千錠と与えたものが出ておりますか。
#255
○政府委員(武藤g一郎君) 臨床試験は、数年にわたるものはございませんでしたけれども、ある程度の長期間の臨床試験を経ているようでございます。
#256
○小平芳平君 ですから、ある程度じゃ困るんですよ。特にこの会社の能書きによりますと、飲用性にすぐれ長期連続投与にも適している、あるいはまた、飲用性にすぐれ長期連用にも適していると、こういう能書きをつけて販売しているのですから、そういうことをわからないで許可しているのですか。
#257
○政府委員(武藤g一郎君) 長期連用についてのその当時の積極的な問題があるというようなデータが出ておりませんでしたので、長期連用につきましてはそういうふうな記載がなされていたと私どもは判断いたしております。
#258
○小平芳平君 長期連用をして差しつかえないというデータがないのに、長期連用に適するということを能書きにして販売するのは、薬事法違反じゃないですか。
#259
○政府委員(武藤g一郎君) 積極、消極両方からのデータが必要ではないかというのが先生の御議論かと思いますが、その当時としては、積極的に長期連用が問題があるということにつきましてデータがなかったので、消極的にそういう点を是認したというふうに思われます。
#260
○小平芳平君 ところが、昭和四十年五月十日、川崎市立病院内科、ここの発表ですね。結果としては、心臓の薬として使ってよろしいという結果なんですか、血圧は最高、最低変化なし、心臓の薬で血圧が変化ないということ、それからコレステロールが上昇したということ、それから肝臓の障害が発見されたということ、こういうことが四十年五月に出ております。同じく四十年に、北海道の日赤病院の医師から、このコラルジルには肝臓障害があるぞということが指摘されている。そういうことを一切ほおかぶりして長期連用に適して販売していて、それでよろしいですか。
#261
○政府委員(武藤g一郎君) いま先生の御指摘の川崎の問題、それから北海道の問題につきましては、その発表された当時につきましては私どものほうとしては情報が入っておりませんで、そういう情報が発表されたことを最近情報として知った次第でございます。
#262
○小平芳平君 企業は知っていたんですね、企業は知っていた。そういうことをほおかぶりで売っていたのは、企業の責任か国の責任か、両方の責任かということを初めから質問してきたわけです。
#263
○政府委員(武藤g一郎君) 私どもとしては、情報が不十分でございましたが、会社自体がどういうふうな情報をつかんでおりましたかは、私どもはつまびらかにはわかりません。
#264
○小平芳平君 そんなわかりませんということはないじゃないですか。ぼくは何日も前に言ってあるんだから。しかも、参議院の別の委員会でちゃんと問題提起してあるんですから。
#265
○政府委員(武藤g一郎君) 先ほどのお答えが正確でなかったようでございます。川崎の方の御発表は、当時学会で発表がされたようでございます。したがいまして、私どもとしては、当然知り得た状況にあったというふうに考えてます。それから北海道の点は、学会誌ではございませんので、その点は知っていたかどうかは私どもとしてはわかりません。
#266
○小平芳平君 企業に注意したとなっているんです。これはどうです。北海道日赤のお医者さんが企業に注意したと。
#267
○政府委員(武藤g一郎君) 先般の先生の御質問の以後会社に確かめましたけれども、その点は会社でも内部で以前のことでよくわからないという返事がございました。
#268
○小平芳平君 そういうようにあいまいにされたのでは困るわけですよ。とにかく、これは、御承知と思いますが、その後、阪大の第二内科、あるいは東大第一内科、こうしたところでコラルジルを長期服用した人の肝臓を解剖してみた。そうしたら、阪大のほうでは、肝臓の量一キログラムについて、一人の人は〇・八%、もう一人の人は一・八%、したがって、一キログラムの中から八グラム、もう一人は十八グラム、こうした十八グラムというようなDH剤が検出されるということは、服用した薬の量の四〇%が肝臓にたまっている計算になる。この発表は御存じですか。東京大学でも、同じように肝硬変で亡くなった人の肝臓を分析している。その肝臓からコラルジルがたいへんな量検出されているという。したがって、全く心臓の薬だということでお医者さんの指示に従って一年二年と連続服用していたところが、肝臓の中へごっそりたまっていた。肝臓がそんなに悪くなって人間がまともに生活できるわけはないです。そういう責任はどこですかと言っている。
#269
○政府委員(武藤g一郎君) ただいまの先生の御説明は、私どもとしても、ことしの五月の発表につきましては資料を入手しております。肝臓にそういうふうな障害があったということにつきましてどこが責任かということでございますが、これはやはり具体的なケースの実態を十分に究明しないと明らかにできないと、かように考えます。
#270
○小平芳平君 それはすでに訴訟が起きておりますから、そういう事実究明をして法律判断をするのは裁判で行なわれるでしょう。しかし、現実にそういう被害者がどれだけいるかわからないわけです。肝臓が悪いという人はずいぶんいま大ぜいおりますが、その肝臓が悪いという人が、いま、新潟で、あるいは東京で、あるいは大阪で問題となっているだけであって、日本全国どれだけこのDH剤による肝臓障害者がいるか想像もつかないのが現状なんでしょう。それを政治がただほうって見ていていいものですか。それだったら、何のために許可をするのですか。
#271
○政府委員(武藤g一郎君) DH剤によります肝臓障害の問題につきましては、先生いまお話しのように、四十五年の十一月に副作用モニターの大阪大学の西川教授から正式に私どものほうに燐脂質脂肪とDH剤の関係が報告があったわけでございます。したがいまして、学会としてこの関係が明らかにされましたのは、この時点が私どもは客観的に確定した時点というふうに考えております。その後の経過につきましては、先生御存じのように、いろいろ手が打たれているわけでございます。現在は、西川教授によりましてこのいろいろな原因の究明なりその後の状況につきまして詳細検討が行なわれておるわけでございますので、その検討に基づきまして私どもは今後の問題を考えていきたいと、かように考えております。
#272
○小平芳平君 どうも、局長、歯切れが悪いですがね、まことに。この問題は、イタリアから輸入した薬ですね。急性毒性はイタリアで検査したでしょう。しかし、日本のように一年、二年、三年と長期にわたってこの薬を飲んで被害がないというものは何もなかった。しかも、四十年にはすでに北海道の日赤あるいは川崎においてそういう肝臓障害が起きるおそれがあるということを指摘されているにもかかわらず、四十五年十二月までほうっておいた。それはどういうわけですか。
#273
○政府委員(武藤g一郎君) 当時の許可の内容にいわゆる現在やっておりますような慢性試験がないじゃないかと、こういう御指摘でございますが、
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
その当時におきましては、臨床実験、それから外国におきます臨床実験によってそういうものの判断を関係者がいたしたと、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
#274
○小平芳平君 その臨床が日赤と川崎で指摘しているでしょう、肝臓障害が起きたと。これを五年もほうっておいたのはどういうわけかというんです。
#275
○政府委員(武藤g一郎君) 川崎の発表を私どもとして検討しておりますがこの点につきましてははっきりその薬の使用その他につきまして強い意見が結論としては出ていないようでございます。それから北海道につきましては、私ども詳細に存じませんので、その点の判断は現在わからない状況でございます。
#276
○小平芳平君 そこで、今度は、保険のほうではどういうふうに扱うのですか。要するに、保険としてその薬品が使用された場合は。
#277
○政府委員(戸澤政方君) 保険のほうでは、薬価基準に登載されておれば、そのまま使うわけでございます。したがいまして、薬務局のほうでそれを薬価基準に登載することが適当でないというような意思表示がなければ、そのまま使われるわけでございます。
#278
○小平芳平君 そうしたら、結局、保険でお金を取って毒を渡していることになるじゃないですか。結果として。それが、有機水銀とかカドミウムとかBHCとかと同じように、ごってりからだの中にみんなたまっているんですから。肝臓だけ分析しても、さっきのようなたいへんな量が分析されているということ。それというのも、そもそもが許可のときにあるわけです、問題が。
#279
○政府委員(戸澤政方君) 去る二月の薬価基準改定の際に、いまの薬は落としてあるそうでございます。現在は使われておりません。
#280
○小平芳平君 二月というのは、四十七年の二月ですか。それがおかしいじゃないですか。四十五年十二月にだめだということがわかったといっているんでしょう。どういうふうに回収しましたか。四十六年になってからもなお服用させられて被害が発生したといって訴訟に入った人がいるでしょう。
#281
○政府委員(武藤g一郎君) コラルジルの問題につきましては、四十五年十一月に西川教授からの副作用モニター報告がございまして、出荷停止、それから十一月の中旬以降に卸からの販売停止、それから下旬に個々の医者に対してそういう点を通知して製品の回収をやっております。したがいまして、十一月の終わりには回収を開始して、一、二カ月でほぼ完了したという報告を私どもは聞いております。
#282
○小平芳平君 したがって、もし四十六年になってからなおかつコラルジルの投薬を受けていた人がいたら、これはどこの責任ですか。これは責任をのがれられないですよ。
#283
○政府委員(武藤g一郎君) 販売中止並びに回収を十一月以降すみやかに行なっております。したがいまして、当然医療機関ではこの薬の使用をしていないと、また、使用できないという状態にあったはずでございます。先生、いま、四十六年に入ってから患者が出ているではないかということにつきましては、私どもは報告を受けておりません。これは、患者が発生したというよりも、ある程度の期間服用してそれから患者が発見される場合があるわけでございますから、発生というよりも、むしろ新しい患者がその時点で発見されたのではないかというふうに私どもは判断をいたしております。
#284
○小平芳平君 そこで、厚生大臣に、いまのような薬事行政では、国民はきわめて不安です。要するに、許可をされた薬が、製薬会社からは長期に服用して安全ですといって能書きがついて売られているこの薬が、心臓の薬ですから一気になおらない。それこそ長期にわたってお医者さんからいただいて服用している。それが、二年三年たつうちに、なんと、先ほど指摘するように、肝臓にごっそりたまっている。おかげで、血圧が下がるどころか、たいへんな重病人になってしまいます。肝硬変で亡くなった人がいる。こういうようなことでは、きわめて困るわけです。ですから、大臣から、はっきりと指示していただきたいと思いますことは、このような場合は、はたして四十六年になってからそのコラルジルを服用したかどうか、これはカルテを見なければわからないわけです。患者本人にはわからないわけです。想像しかつかない。そういうような場合は、カルテを保存して原因究明するとか、あるいは、肝臓障害の人は、コラルジルとの関係のありそうな人は、特に検査を受けるとか、そうした疫学調査が必要だと思うのです。その点はいかがですか。
#285
○国務大臣(斎藤昇君) コラルジルは、四十五年の末からは販売停止、それからこれは服用させてはならぬということを医者のほうにも通知をしてあると、こういうことでありますから、これの徹底は今日では十分できているであろうと存じます。
 そこで、過去にコラルジルを飲んだ方が今日どういう状況であるかという調査につまきしては、私、ただいま直ちに全部にさかのぼってコラルジルを服用させた患者を一斉に調査をするということが適当であるかどうかということにつきましては、いまちょっとここで直ちにお答えをいたしかねると、かように思いますが、学問的な調査、あるいはそういった方々に対してさらに今後の治療方法というものを見出す上においては、あるいは必要であろうと、かように考えます。一方、コラルジルを飲んだということで非常に不安を起こさせるという点もあるであろうと思います。それらの点は、もう少し実態を私みずからよく把握をいたしました上で決定をいたしたいと、かように考えます。
#286
○小平芳平君 そうしますと、薬の副作用によって被害を受けた患者は、訴訟以外に救済の道はないのですか。どういう救済の道がありますか。
#287
○政府委員(武藤g一郎君) 薬の副作用によりまして起きた事故の問題でございますが、これはやはり個々のケースによって、もちろん裁判によって争われる場合もあるかもしれません。それからはっきり過失がわかっている場合でありますれば、つまり、裁判といいますのは、製薬会社あるいは医者、そういうものによってそれに相当する対策がとられるべきだと思います。それからもちろん政府におきましても、そこに過失その他の問題がありますれば、当然私どももその責任を負うべきであろうと思います。それはやはりケース・バイ・ケースによって処理されるべきであろうと思います。その点、他のいろいろの、たとえば公害でありますとか、食品でありますとか、そういうものと非常に違う点は、個々の患者の体質、それからそれを飲ませる場合の人が医者という専門家によって投与される。その場合に、ある程度薬というものは副作用がございますので、有効性、安全性、それからその患者の状態、そういうものによってはある程度の副作用につきましても受忍すべきような点も場合によってはあろうかと思います。そういう点がなかなか薬の問題につきましては他のものと違った複雑かつ困難な問題があろうかと考えております。
#288
○小平芳平君 いや、複雑困難な問題だということは重々わかりますが、とにかく、このコラルジルの場合でしたら、本人が希望して飲んだ薬じゃないんです。それは心臓によくきくということが能書きに書いてある。国も許可をした。そこで、病院がくれる。しかも、長期連用して差しつかえない、長期連用に適すと能書きには書いてある。それを飲んでいたために、先ほど来申し上げるような健康被害が生じた。しかも、その健康被害に対して、国も、厚生省の薬務局で出されたかどうか、とにかく因果関係は争ってないですね、ほとんど。確かに、今日の医学の上から見れば、コラルジルによって肝臓障害が起きたことは認めると、こういうふうに国も言っている。こういう事態において、法律上の責任は訴訟で争うとしましても、国が何の対策をとるべきか、救済の方法、補償の方法、国は何の責任もとらないということでは、何のための薬事法であり、何のための許可かということになるわけです。いかがですか。
#289
○政府委員(武藤g一郎君) DH剤によります問題につきましては、これを発見し客観的に証明されました西川教授によりまして四十六年度も研究をやっていただいております。それから四十七年度も引き続いて学問的な、あるいは病理学的な、あるいはその後の治療等につきましても検討を行なっているところでございます。先生御承知のように、投与をやめた現在におきましては、かなりの患者の方につきましては、実際に相当回復されている方も多いわけでございます。そういう点、なお回復ができない方についてどういう処置をとるかということにつきましては、もちろん現在裁判が行なわれておるわけでございまして、そういう点につきまして待ななければいけない点もございます。ただ、一般的には、薬の問題につきましての救済制度をどうするかという問題は、いつぞや先生からも私に御指摘がございました。こういう点につきまして、現在部内でいろいろ研究を進めておりますが、いろいろむずかしい問題がありますので、結論がまだ出ていない状態でございます。この点につきましては、私どもとしてはいろいろ検討を進めてまいりたいと、かように考えております。
#290
○須原昭二君 副作用の問題で関連的にお尋ねをしておきたいと思うのですが、薬が副作用が強い、弱い、いろいろ判定の基準があるんですけれども、薬というものは疾病をなおす場合に副作用が大なり小なり伴うことは薬の特殊性なんです。この点はよくわかるわけなんです。したがって、薬は毒であるという原則の上に立って考えれば、副作用は大なり小なりはある。しかしながら、いま小平議員が質疑をされているそういう副作用の顕著なものは、いま薬事審議会の中における薬効調査会ですか、その分科会に副作用の調査会があるように聞いているのですが、そこでは、各種の世界のデータから、今度は国際課なんかがつくられて情報を集められる、国内の各診療機関からも情報を受けられる、そういうものが集結されて副作用調査会において検討されるわけですが、少なくとも副作用の問題について何か副作用調査会の中で論議をされたことを隠しておられるような感じがしてならぬわけです。したがって、大なり小なり副作用はあるけれども、そこで論議をされたものは事前に公表していく、そのたてまえが私はなくてはならぬと思うのです。したがって、副作用調査会の中で論議をされたものが、こういうものが論議をされているということになれば、診療機関もそれの取り扱いを非常に慎重を期すと思うのです。そういう方途がぼくは必要だと思うのだけれども、どうも私たちが資料要求をしても、副作用調査会で論議をなされておる品物を出せと、こう言っても、なかなか公表されない。何か隠蔽をされているところに一つ問題があるんじゃないかという感じがしてなりません。したがって、副作用調査会なんかで論議をされている薬は直ちに公表すべきだと思うのですが、その点ほどうですか。
#291
○政府委員(武藤g一郎君) モニターからいろいろ報告を受けた場合に、それを公表すべきじゃないかと、こういう御意見でございます。私どもとしましては、調査会で検討が行なわれ、それにつきまして評価が行なわれたものにつきましては、通牒によりまして、都道府県を通じまして、各医師会あるいはメーカー等に指示をしまして、訂正をさせております。それから評価に至らぬものにつきましては、それぞれ各モニターのほうに戻して、こういうふうな情報が一部に、まだ一般的な確認とまではいかないけれども、そういう例が来たと、したがって、こういう情報が入っているからということをお知らせしております。そうしますと、モニターによりましては、先生御推察できると思いますけれども、その情報によって、さらにその病院では他の病院の情報も検討が行なわれるわけでございます。したがって、漏れているようなものもまた再び上がってくるというシステムを私どもでは考えております。したがって、公表ということがどういうことを先生意味しておられるかわかりませんが、私どもとしては、確認ができたものについては、これは全部通牒として公表をしております。それから評価がまだできないものにつきましては、当然各モニターにそれを連絡した上でさらに詳細なデータが出てくるように期待をいたしております。
#292
○須原昭二君 私が言っているのは、副作用調査会の中でこれは悪いとかいいとか結論が出てからではおそ過ぎると思うんです。また、少なくとも国際的国内的なものを全部情報が集まってきたら、その段階において、こういうものが副作用があるおそれがあると、こういっていま論議がなされておるという、その中間報告でけっこうなんです、これを出されないところにぼくは問題があると思うんです。したがって、副作用調査会において論議がなされておる薬名を明らかにせよといって私が要求しても、いまだもって実は出てこないんです。個々の薬品名を全部明らかにしなさいと、こういう資料要求しても、まだ出されておらないところは、何か製薬企業の悪いところをさらけ出すような気持ちになられて、何かカバーされているんじゃないかというような感じがしてならないんです、逆から言えば。ですから、結論が出てからではなくして、もうすでに論議があがっている――副作用調査会だって何カ月かかけて審議しているんですから、その間にこういう被害者がどんどん生まれてくるんですから、やはり、予告上、こういうものが悪いんだと、そういうおそれがあるという論議になっているというその中間報告でもいいんだから、そういうものを公開すべきである、こういうことをぼくは要求をしているんです。したがって、現在副作用調査会に課題になって結論の出ておらないものも、この際、公表されたほうがいい。また、資料として出されるよう、重ねて私は要求したいと思います。
#293
○政府委員(武藤g一郎君) 結論につきましては、先生は全部公表しろと、こういう御意見でございます。この点につきましては、私どもとしても関係学者なり関係の方々ともよく相談をして決定したいと思います。
#294
○須原昭二君 論議せぬでもいいじゃないですか。
#295
○政府委員(武藤g一郎君) 先生とここで論議するつもりは私はございませんけれども、副作用そのものの持つ意味、情報の持つ意味そのものが、学問的にもあるいは因果関係等につきましてもいろいろ議論を慎重にすべきであるという議論が一部にはございます。そういう点も含めまして、十分先生の御趣旨を体してこの問題の結論を出したいと、かように考えております。
#296
○大橋和孝君 私もちょっと関連して。
 大臣ね、私、この問題は前からもちょっと御議論申し上げたことがあるんですが、こういうような薬が次々に出まして、それでいろいろな障害者が出てくる、そうなってくると、これはみな訴訟になっているわけですね。まあスモンのときもそうでございましょう。だから、そういうようなことを考えてみますと、この重要な健康保険の医療というものを取り上げるときには、いま議論されているようなそういうような副作用の調査会だけでほんとうにいいものかどうなのか。また、医者の場合だって、ぐあいが悪かったことを知らずに使っている医者は、これは告発されているわけですね。そういうことから言えば、その品物を見てみればどうもないと書いてある品物であるということになれば、これはもう医者も不安であれば、患者も不安である、国民全体が不安であるわけですね、この薬に対して。ですから、私は、いままでのような製薬会社で研究機関を置いて研究をしておるからというその信頼感がいままではあったわけですが、いまとなってはそれだけではいけないという状態です。しかも、そういうような中毒があるかないかというそういうモニターも使ってやっておられるその気持ちはよくわかるんですけれども、もうそれだけでは手おくれなんですね、いろいろな問題で。そういう段階であったら、私は、この薬の問題を、中毒が起こるか起こらないかという調査ではなしに、もう研究機関というものを国でしっかり持って、そしてそこできめていくということにしなかったら、これは不安というものは解消できないわけですね。みんなが不安ですよ。やった人は今度加害者として追及されるだろう。また、それ以上に病人になった人はおそらくたくさんの人がそれで亡くなっていくという状態ですから、そういうことを一切国民が安心をするためにはこのような取り組みをしましたということで、国から相当の予算と相当の規模をもってそういうものを検査する機関を国で独立さしてやる、そうして薬は少なくともそこを通さなければ許可ができないようなくらいの権威あるものをつくって、大ぜいの学者が集まって、そこでほんとうの真剣な疫学的な調査、あるいはまたはいろいろな研究、あるいはまた動物実験、すべてのものがそこでシステム化されなかったら、私は薬というものに対しては非常にたいへんな問題じゃないかというところにいま来ていると思うんですね。そういうことなんかに対して、いままでの考え方を一ぺん抜本的に根本的に変えて薬というものに取り組む必要があると思うのですが、大臣はどんなふうにお考えになりますか。
#297
○藤原道子君 ちょっとそれに関連して。
 御案内のように、私は、サリドマイドのときに、これはドイツで禁止したから日本でも禁止しなさいと言ったら、厚生省では、目下試験中だから、これが出た結果を待って処置をいたしますと、こういう答弁だった。私は、それなら一時ストップして、検査の結果が白になったらお使いなさい、黒になった場合どうするかというようなことで争いましたが、諸外国は全部禁止したにもかかわらず、日本は十一カ月そのまま放置した。だから、三十六年の暮れにドイツその他が禁止しましたから、三十七年度のサリドマイドの奇形児は外国はほとんどなかった。ところが、日本は、三十七年度がピークなんです。三百五、六十人の奇形児が生まれた。こういうこともございますから、私は、危険だということが検査の結果あらわれるあらわれないにかかわらず、一時ストップして、その検査の結果が支障がなかったらまたやるとしても、そういう人命に関するようなことをそのまま試験の結果が出ないからなどといって放置していくということは、厚生省としては許せないやり方じゃないかと思います。
#298
○上原正吉君 薬の問題がだいぶ論議されておりますので、私も薬屋ですから……。
 薬の副作用というものは、なかなか早期には発見できないものなんです。そうして、発見されてからではもうおそい。薬を売ったら、厚生省の許可があっても、許可があるからそれで済むというわけにいかないんです。必ず苦情を受ける。訴訟が起こる。その被害は、やっぱり薬屋も負うんです。薬屋のほうが大きいかもしれない、お医者さまよりは。だから、私どもでは、私も薬屋だから薬屋として申し上げるんですが、世界の文献を必死に調べているんです。非常な金がかかる。世界じゅうどこでもこういう薬はどういう害が起こるというふうなそういううわさなりデータなりが出れば、さっそくその薬をつくることをやめる。そのために非常な金をかけているんです。これは私は国がやってくれるほうがはるかに助かる。そうして、さっさと情報を流してくれる、このことを薬屋の一人として要求いたします。
#299
○国務大臣(斎藤昇君) 薬の安全性が非常に重大な問題に最近なってきておりますので、そこで、薬の安全の調査会を設けて、ことに副作用部会というものを設けて、いま専心やっておるわけでございます。これを国の機関で調査研究と申しましても、なかなかそう一挙に国の機関を整えてあらゆる薬をというわけにはまいりません。したがって、そういう権威者に集まっていただいて、各国の情報その他もできるだけそこで収集してもらって、そうして一日も早くそういうおそれがあるというときにはこれは禁止をする、藤原委員のおっしゃいましたように場合によっては中止をするということが必要であると、かように考えます。
 また、須原委員のおっしゃいましたどういうものが問題になっているかと、私は、これは公表して差しつかえないだろうと、かように考えます。そこで、小委員会にもその意向を示しまして、公表して悪いというもし学者の中に議論が出てそういう結論になれば、もう一ぺん再検討いたしますが、そういう意見で、いま小委員会で問題とされている薬はこれは公表をしたほうがいいと思う、どうだということで、至急須原委員のおっしゃるような方法に従いたいと、かように考えます。
 先ほど申し上げましたように、国の機関で全部の薬を再検討すると申しましても、国の現状でそういった権威者を全部集めてということはなかなかできませんから、それよりは、そういった事柄について権威のある方々に集まってもらって、いまやっております方法をさらにできるだけ精力的に進めていただくということをするほうが能率的である、かように考えております。
#300
○小平芳平君 それでは、いろいろ問題が提起されましたが、そうした問題のある場合は、ただモニターにたよっているだけでなくて、問題点はすみやかに公表するということと、それから危険があるということが予知されるような場合には、すぐ使用を中止するという点でよろしゅうございますね。
#301
○国務大臣(斎藤昇君) けっこうでございます。私は、できるだけ薬なんかは使わぬほうがいいと、かように思っておるのであります。しかしながら、新薬ができた、これを早く使うようにしてもらいたいという一方の患者側の要求も非常にあるわけです。そこで、まあ要らざることでありますが、その薬がなければ亡くなってしまったという方が、その薬のために命が長らえたと、しかしながら、薬の副作用で他の障害が起こったというような場合に、どちらに判断をするか迷う場合もございます。そういった薬もなきにしもあらずで、先般あるそういった方が見えまして、あなたそれじゃこの薬を飲まなかったらいままで命があったと思うのかと言ったら、もうなかったでしょうと言うんです。その薬を飲んで目の狭窄症ですかになってきた。そこで、どちらがよかったのかと聞くと、やはり目がこうなっても命が長らえたほうがよろしゅうございますということを言われますと、私は、薬を飲まぬほうがいいと、こう言っても、そのときの判断にはたしてどうかという感じをいたします。薬にはそういういろいろなものがございますから、そこらはやはりよほど慎重に扱われなければならないと思います。ただ、われわれ行政の面から考えますると、そういった問題が起こらぬほうがいいわけでありますから、したがって、この薬を飲めば、ある患者には命が長らえるかもしれないけれども、ほかの患者には副作用が起こるかもしらぬというときにはこれは禁止をする、また、そういうものは認めないというほうが適当であろう、かように考えております。
#302
○小平芳平君 いま大臣の後半に言われた点で私はもう一つ問題を提起したかったわけですが、それは、ストマイによる被害です。確かに、ストマイによって結核は治療できた。あるいは、結核の死亡者も減った。ただ、問題は、いまストマイでつんぼになって、ストマイつんぼと言うんだそうですが、ただ単なるつんぼになったんじゃなくて、神経が麻痺されて悩んでいらっしゃる方がいらっしゃる。この点については、厚生省から昭和三十八年六月に「結核の治療指針の改正について」という通知が出ているでしょう。昭和三十八年に、厚生省としては、治療指針の改正について、「結核の化学療法は長期にわたることを建前とするから副作用の問題はとくに重要である。」と、そのほかずっといきまして、「定期的にオージオメーター等による聴力検査、諸種の肝機能検査、血液検査など励行しなくてはならない。」と、こういうことを通知しておりますが、このことがはたして守られているかどうか。
 ついでに、時間がありませんので申し上げますと、それは、いま大臣から言われたように、あなたはあそこで結核で死んだのとつんぼになったのとどっちがいいのかと言われるような人よりもむしろ軽症の人、ストマイはこわいから抗生物質はこわいからと言っている人になおかつ投与されてつんぼになったという人、それから昭和三十八年にこういう指示を出しておりますが、現に訴訟を起こしている川崎の方は四十年から四十二年に治療を受けてつんぼになってしまったという事実、そして、軽症の人ですから、なおさら急に耳が聞えない、頭がふらふらする、手足の感覚が鈍い、非常な苦しみを味わっているということ、それからそういう場合に健康保険ではどう扱われているか、この点についていかがですか。
#303
○政府委員(戸澤政方君) 三十六年に保険のほうの治療指針の改正をやりまして、そういうストマイ等の抗生物質の使用基準について示したわけでございますが、これは結核審議会にもはかりまして結核のほうの治療指針を審議会でもって十分に学問的にも検討していただき、その結果に基づいて指針を示しているわけでございますので、おそらくその指針に従って支障なく行なわれているものであろうと考えております。
#304
○小平芳平君 その前段の答弁はどこですか。要するに、三十八年に出した指針がどのように守られているかどうか。これが守られていなくて被害が発生した。オージオメーター等により検査をしろとなっているけれども、そのオージオメーターそのものがそこにはないという、そういうような点はどうですか。
#305
○政府委員(松尾正雄君) 結核の治療指針をそういうふうに直させておりますことは、そういう新しい知見に基づいて事故を防ぐ、こういう趣旨から適用させるために生まれているものでございます。日本全国のストマイ患者について全部どの程度やっているかということは、私どもいま直ちにお答えできませんが、少なくとも私どもが直轄しております国立療養所の結核関係については、すべてオージオメーターのテストはやっております。そのことは十分に注意をさせております。それからいま御指摘のように、その施設にそれぞれいろいろな外来患者等もあるわけでございますが、そういったところでオージオメーターがないではないか、こういう御疑問も当然だと思います。しかし、こういった種類の検査は、何も自分の施設に持っていなくても、最寄りのそういう公的機関なり大学でもけっこうでございますし、そういう持っているところに定期的にときどき行って検査をしてチェックをする、こういうことで大体済むわけでございますから、そういったような面が当然活用されるべきだと存じます。少なくとも国立関係について十分その点は徹底してやっていることになっております。
#306
○小平芳平君 いや、国立以外でこういう被害が発生しているんです。ですから、厚生省は、ただ指示を出したからそれだけでいいんですか。
#307
○政府委員(松尾正雄君) 当然、そういう指示を出した以上は、守られるように十分注意をしなければならぬと思います。たとえば結核予防法の公費負担の申請、そういったようなところで保健所の結核診査協議会もチェックできるはずでございます。そういったときに、いろいろ出てきている申請の書類、こういったものを見ましても、私はなお行政的に十分な指導ができる余地があろう、そういう情報に接する機会があろうと存じます。その点、私は、直ちに公衆衛生局長ともよく相談をしまして、できるだけそういう指示があらゆるチャンスを使って徹底できますように努力をするようにいたします。
#308
○小平芳平君 それでは、先ほど指摘した一――厚生大臣、いまのストマイの問題についても、具体的な例を出して、このときに患者はこう訴えた、しかしお医者さんがこう言った、こういう処置をした、結果こうなったというふうにやっていけばよろしいのですが、時間もありませんので、それは省きまして、最後に、こうした副作用の障害を受けている方々に対して、法律上そこでそう言ったか言わなかったかというようなことは裁判で争われるのでしょうけれども、国としてそうした薬を許可する、あるいはこうした結核に対して指示をする、その国として、こういう被害者に対する救済の方法、補償の方法というものを考える必要があるのではないか。いまのままでは、責任は、企業へ行けば国が許可したんだから、国へ行けばそれはこっちは知らないというようなことでは、被害者は全くの泣き寝入りになってしまうわけです。そういう点、大臣に、食品衛生についてはずいぶん大臣は前進的な考えを示されましたが、こうした医薬品に対する健康被害について大臣の前進したお考えを述べていただきたい。
#309
○国務大臣(斎藤昇君) これはなかなかむずかしい問題がありますので、そういうものを一切国が公費で見るかどうかという点は、非常にむずかしい点があるだろうと思いますが、十分関係審議会なりまた関係の方々の御意見を伺って、なるべく早くそういったものに対してどう対処をするかということを、これは問題点でございますから、できるだけ早くそれらに対する措置をきめてまいりたいと、かように思います。
#310
○委員長(中村英男君) 本案に対する本日の審査は、この程度といたします。
    ―――――――――――――
#311
○委員長(中村英男君) 老人福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑希望者の質疑は全部終わっております。別に御発言もないようですから、討論に入ります。――別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。
 老人福祉法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#312
○委員長(中村英男君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#313
○山下春江君 ただいま可決されました法律案に対し、各派を代表いたしまして附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
 以上でございます。
#314
○委員長(中村英男君) ただいま山下君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 山下君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#315
○委員長(中村英男君) 全会一致と認めます。よって、山下君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、斎藤厚生大臣から発言を求められております。斎藤厚生大臣。
#316
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力をいたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#317
○委員長(中村英男君) あんま摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#318
○委員長(中村英男君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
#319
○委員長(中村英男君) 毒物及び劇物取締法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 毒物及び劇物取締法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#320
○委員長(中村英男君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、ただいま採決いたしました三法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#321
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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