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1971/05/25 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 文教委員会 第6号
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1971/05/25 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 文教委員会 第6号

#1
第068回国会 文教委員会 第6号
昭和四十七年五月二十五日(木曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大松 博文君
    理 事
                久保田藤麿君
                楠  正俊君
                宮之原貞光君
                安永 英雄君
    委 員
                金井 元彦君
                志村 愛子君
                内藤誉三郎君
                永野 鎮雄君
                濱田 幸雄君
                二木 謙吾君
                宮崎 正雄君
                秋山 長造君
                片岡 勝治君
                鈴木美枝子君
                内田 善利君
                矢追 秀彦君
                萩原幽香子君
                加藤  進君
   国務大臣
       文 部 大 臣  高見 三郎君
   政府委員
       文部政務次官   渡辺 栄一君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       青木 英世君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○義務教育諸学校施設費国庫負担法及び公立養護
 学校整備特別措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大松博文君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 義務教育諸学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○内田善利君 私は、当委員会で前回にも質問したことがございますが、中学校に行けない生徒についてまず最初にお伺いしたいと思います。
 現在、全国で中学校の未修了者はどれくらいおりますか、お伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(岩間英太郎君) 私どものほうでもなかなか数字的につかみにくいわけでございますけれども、十五歳以上で、旧制の小学校あるいは国民学校あるいは新制の中学校を卒業しておらない者と申しますのは、これは推計でございますが、五十七万人ぐらいというふうに推計をいたしておるわけでございます。
#5
○内田善利君 前回質問しましたときに、前宮地初中局長は、中学校未修了者については関係官庁と連絡をして未修了者が絶無になるように持っていくよう血の通った施策を講じたい、そういった意味のことを言われまして、本来の義務教育、これを一そう充実して、夜間中学は廃止する方向に持っていくのがやはり本筋だと。まあそのとおりだと思います。そして、高齢の未修了者に対しては生涯教育の観点からも今後の研究課題としたい、このように答弁いただいておるわけですが、その後どのような研究がなされたか、お聞きしたいと思います。
 この五十七万人の実情調査ということは非常に困難かと思います。また、文部省としては、本来の義務教育を一そう充実して――本来の本筋じゃないということですから、非常に消極的なこともわかりますけれども、今後の研究課題としたいということですが、どのような実情調査が行なわれているか、年齢別あるいは理由別等がありましたら、お伺いしたいと思います。
#6
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま先生御指摘になりましたように、その問題につきましては、たいへん重要な問題でございますので、方向としましては前局長からお答え申し上げたとおりでございます。ただ、私といたしましては、中教審の答申もございまして、生涯教育ということが非常に重要になってまいったわけでございます。したがいまして、ある意味の生涯教育ということでそういう方々の教育もとらえていったらどうかというような気が強くするわけでございます。
 なお、ただいまお尋ねがございました就学の猶予または免除を受けまして就学しなかった場合、あるいは家庭の貧困、親の無理解、病気、学校ぎらい、そういうふうなことで長期欠席をしております者の内訳を調べてみますと、これは四十五年度でございますが、学校基本調査によりますと、学齢生徒の〇・一%、人数にいたしまして約五千人が就学の猶予・免除を受けております。また、学齢生徒の〇・六%、人数にいたしまして約三万人が長期欠席をいたしております。このうち、病気によるものが五七・一%、学校ぎらいによるものが二八・五%、家庭の貧困によるものが四・三%、その他が一〇・一%、そういうふうな調査がございます。
 なお、四十六年度に夜間中学校の生徒につきまして中学校をなぜ修了しなかったかという理由を尋ねてみた結果が出ておりますが、それによりますと、貧困が三二・五%、欠損家庭が一四・二%、学校ぎらいが一三・一%、病弱等が一〇・一%、そのような数字になっております。
#7
○内田善利君 学齢期でありながら未就学というのがどのようになっておるか。いまおっしゃったのは、夜間中学に行っている生徒で中学を修了しなかったパーセントだったように思うのですが、五十七万人のうち、未就学の学齢期の児童、これはどのようになっているか、また、その原因は何か。いま答弁がありましたのは、現在夜間中学に行っている生徒によって調査された結果だと思いますが、五十七万人の中で学齢期が来ておりながら未就学の児童はどのようになっておりますか。
#8
○政府委員(岩間英太郎君) 五十七万人の内訳と申しますのは、五十七万人自体が推定でございましてその理由を明らかにすることができないわけでございますが、ただいまお答えしました四十五年度の学校基本調査、これは就学の猶予・免除、あるいは長期欠席、そういうものの原因別の内訳を申し上げたわけでございます。もう一度申し上げますと、病気によるものが五七・一%、学校ぎらいによるものが二八・五%、貧困によるものが四・三%、その他一〇・一%、こういう数字になっておるわけでございます。
#9
○内田善利君 この中には、学校ぎらいが二八%、それから病気が五七%と、貧困がわりに少なく四・三%となっておりますが、病弱児童が非常に多いということが考えられるわけですが、こういった児童に対する今後の対策、これはどのように考えておられますか。
#10
○政府委員(岩間英太郎君) ここで病気によると申しますものの中には、いわゆる特殊学校あるいは特殊学級の対象となるものがかなりの数を占めておると思われます。したがいまして、そういうものに対しましては、これは特殊教育の場が教育の方法などにつきましてまだつまびらかでございません点が数多くございまして、その点で、はたしてその程度によりましては教育がうまくやっていけるのかどうかという点がまだ明らかでない点がございます。その点につきましては、国立教育研究所あたりでこれからじみに研究を続けていくということが一つの方法であろうと思いますけれども、しかしながら、その対策がわからないからそういう子供たちをほうっておいてよろしいということにはならないわけでございまして、私どもとしましては、計画的にそういう子供たちを収容できるような学校あるいは学級というものを増設してまいるというのが基本的な態度であろうというふうに考えております。
#11
○内田善利君 いま、夜間中学は、全国で何校で、在学生徒は何人か、お聞きしたいと思います。
#12
○政府委員(岩間英太郎君) 以前には二十一校というふうにお答えを申し上げておったと思いますけれども、この四月から二十四校にふえております。したがいまして、生徒の数も千百四十四名というふうに増加をいたしております。
#13
○内田善利君 こういった夜間中学は本来望ましい姿ではないわけですけれども、現実的には非常に充実した学校もありますし、こういった学校に対する文部省としての施策はどのように考えておるわけですか。
#14
○政府委員(岩間英太郎君) 夜間中学が設立されました当初は、貧困というふうな理由がおもで、しかも、当然昼間の中学校に通わなければならない子供たちがかなり入っておったという実態がございますが、最近になりましてからは、御案内のとおり、九〇%以上がもう学齢を過ぎた方でございます。したがいまして、私どもは、夜間中学の存在理由と申しますか、使命と申しますか、そういうものにつきましては、先ほど先生も御指摘になりましたような生涯教育というふうな観点からもう一度考え直してもいいのじゃないかというふうな気がいたしているわけでございます。そういう意味から申しますと、学齢相当の子供たちは、これはできるだけ昼間の中学校のほうに就学させるように私どもは努力をしなければならぬ、もし貧困が理由でございましたら、私どものほうで最大限の援助はしていかなければいけないだろうというふうに考えるわけでございます。しかし、学齢を過ぎた方、これは現実に職場を持っておられると思いますし、そういう中学校を現実に卒業しておらないでいろいろ資格をとるためとか事情がございましょうけれどもとにかく就学の意欲を持っておられる方につきましても、これは正面から取り組んでもよろしいのじゃないかという気が最近はちょっとしているわけでございます。したがいまして、私ども、そういうふうな方向で問題を検討していきたいというふうに考えているわけでございます。
#15
○内田善利君 いまおっしゃるように、九〇%以上が、老齢者というか、学齢期を過ぎた方々が入学しておるということでありますから、いま言われるように、いろんな資格をとりたいということもあると思いますし、向学心に燃えて夜間中学に入って資格をとりたいという老齢者といいますか学齢期を過ぎた希望者が多いと、このようにとられるわけですが、そういったことでまた何とか文部省としては正面から対策を講じていきたいということですが、最近、墨田区の夜間中学で、年齢制限をして希望者を入れなかったということがあるように聞いておりますが、こういった具体的事実がありますか。
#16
○政府委員(岩間英太郎君) この問題については私ども特に聞いておらないのでございますけれども、推測いたしますと、学齢生徒をなるべく排除しようということかと考えておったのでございますが、ただいまの先生の御指摘でございますと、そういうことではなさそうでございます。したがいまして、私どもは、先ほどから申し上げましたように、生涯教育というような観点からできるだけ好意的に扱うようにすべきではないかというふうに考えるわけでございます。
#17
○内田善利君 私は、やはり何らかの理由で中学卒業できなかった、そういう方々が五十七万人もいらっしゃるわけですから、そういった方々に対する義務教育というものを実施する方向へ持っていかないと、このようなせっかく希望があっても年齢制限によって入学を拒否するというような事態が出ておりますから、そういうことのないように、文部省としても、消極的な姿勢でなくて、本来は違法だというような考え方でなくて、そういった希望者に対する何らかの方策を講じていっていただきたいと、このように思いますが、文部大臣、いかがでしょう、こういった方策については。
#18
○国務大臣(高見三郎君) 本来望ましい姿でないというお答えを前々からしておるようでありますけれども、私は、本来望ましい姿じゃないという考え方に若干の疑問、抵抗を感じておるのであります、と申しまするのは、生涯教育という観点から考えますというと、夜間中学校の高年齢層の就学者が非常に多いということを考えまするというと、むしろ、夜間中学はできるだけ多くつくって、できるだけ多く収容してあげることを考えるべきである。ただ、家庭が貧困だとかいう経済的な事情による問題については、これは政府が責任をもって考えるべきことであって、就学の便宜をはかってなるべく昼間の中学校へ収容するというたてまえであるべきではないか、こう考えておるのであります。私は、むしろ、夜間中学へ向学心を持ってお進みになるという方が、また、そうしなければならない事情をお持ちになっている方が、数多くあると思うのであります。たとえば、国家試験なんかを受けます場合に、義務教育修了の資格がなければ国家試験を受けささないという例があります。早い例で申し上げますと、住み込みのあんまさんなどは小学校を出ただけでいつの間にか年をとってしまいます。国家試験を受けるには中学校を出ておらなければ受けられないという場合があります。これらの人々についてはむしろ積極的に夜間の中学に行かせるということを考えてあげることが一番親切な方法ではないだろうか、私はかような考え方に立っておりまして、本来望ましい姿でないとは考えておりません。むしろ、望ましい姿であると考えるわけであります。
#19
○内田善利君 それじゃ、夜間中学を充実して、今後学校教育法にのっとってがっちり夜間中学をやっていただきたいと、そのように思うわけです。そうして、できるだけ本人たちの希望によっては昼間の中学校に行かせる、このようにしていただくという、文部大臣のそういった趣旨のお話であったと受け取ってようございますね。
 それでは、夜間中学の対策費として昭和四十六年は二百三十九万調査費が使われておるわけですが、この調査費はどのような任務といいますか性格といいますか、どういう目的でどのように使われたのか、お聞きしたいと思います。
#20
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほども先生から御指摘がございましたように、夜間中学校の中身というのがずいぶん変わってきております。したがいまして、指導のしかたその他も学齢者を対象とするしかたとある程度違ったやり方でやらなければいかぬ場合もございますし、また、生徒指導などにつきましても特別にくふうが要るということで、そういうことにつきまして望ましいあり方の研究をお願いするというための費用でございます。
 内訳を申し上げたほうが性格がよくわかるかと思いますが、調査研究校の謝金、それから学校医・学校歯科医の謝金、事業所あるいは家庭訪問の費用、教師と生徒の懇談会の教師の旅費、学校・事業主・家庭の連絡会議の会議費、教師・生徒の懇談会の会議費、教師・生徒の懇談会の生徒の宿泊費、それから諸検査用紙購入費、健康診断実施費、個人記録表作製費等で、中身をごらんいただきますと大体の傾向はおわかりと思いますけれども、私どもは、夜間中学の特殊性、特別な性格に注目をいたしまして、その望ましいあり方の研究を委嘱するというふうなことを考えておるわけでございます。
#21
○内田善利君 いま具体的にわかったわけですが、昭和四十七年度はどのようになっておりますか。昭和四十七年度でも同じようになさるおつもりですか。
#22
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど申し上げましたのは昭和四十七年度の予算の中身をちょっと申し上げたわけでございまして、金額も三百七十二万七千円と増額をいたしまして、新しく事業所・家庭訪問費、生徒教師の懇談会の会議費、そういうものを新規の項目として加えたわけでございます。
#23
○内田善利君 四十六年度は二百三十九万、四十七年度は三百七十二万、こういうことで、先ほど中身はお聞きしたわけですが、どうも夜間中学対策費として計上しないとおかしいというようなかっこうをつけるためにつけたような項目に思われるわけですが、先ほど大臣からお話がありましたように、向学心に燃えた、また、中学校で資格をとりたい、そういった人たちがたくさんいらっしゃるわけですから、そういった人たちを学業につけるようにしてあげるという意味では、もっともっと具体的に学校として充実していくように、また、夜間中学もどんどんふやしていきたいという御意向でございますから、その点は具体的に措置をしていただきたい、このように思うわけです。いかがでしょうか。
#24
○政府委員(岩間英太郎君) 先生からのお話もございましたし、また、大臣からもお答えいたしましたとおり、夜間中学につきましてはだいぶ新しいやり方で進んでいかなければいけないのじゃないかということを痛感するわけでございます。したがいまして、そういう線に沿いまして、ただいま先生から御指摘いただきましたような点を検討いたしまして、これからの予算の要求あるいは作成等につきましては努力をしてまいりたいというふうに考えます。
#25
○内田善利君 最後に、もう一度文部大臣にお伺いしますが、夜間中学を法的に認められる方向で行かれるわけですね。
#26
○政府委員(岩間英太郎君) 格別に現在法的な手当てをしなくても、実際に私どもが考え方をはっきりさしてそれに対処すれば十分ではないかというふうに考えておりますけれども、その点もあわせて検討さしていただきたいというふうに考えます。
#27
○内田善利君 法的には認められないけれども、夜間中学を充実するような方向に持っていく、こういうことですか、その辺がよくわからないんですが。
#28
○政府委員(岩間英太郎君) 法的に認められないということではなくて、現行法の中で夜間中学の存在というものは認められてもよろしいのじゃないかというふうな考えのもとに今後いろいろな施策をやってまいりたいということでございます。格別に法律を改正しなければ夜間中学の存在というものが認められないということでもなさそうな気がするわけでございますので、そういうふうにお答え申し上げたわけでございます。
#29
○内田善利君 何だかはっきりしないのですが、ただ、先ほどから申し上げますように、また、答弁いただきましたように、五十七万人の未就学児童がおるわけですから、そういう人たちが中学の授業を受けられるような方向に持っていっていただきたいと思います。高齢者のために入学を拒否されるというようなことがないように、文部省としてもそのように指導し、助言をしていただきたい、そのように思います。
 次に、僻地教育について、これも過去に何度か質問したわけですけれども、財政上いろいろ問題があることは十分承知しているわけですが、きょうは僻地における教職員の問題について二、三お伺いしたいと思います。どこの県でもそうですけれども、僻地教育こそ非常に大事なことだと思うのですけれども、こういう僻地に、優秀なといいますか、僻地教育に熱意を燃やしておられる教員を確保するような方法をどのようにして講じておられるか、まずお聞きしたいと思います。
#30
○政府委員(岩間英太郎君) 僻地の教員の問題につきましては、これは、私どもは、まず人事管理の問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。ある先生が僻地を御希望になって僻地に長い間御勤務になるということ自体、これはたいへんありがたいことではございますけれども、しかしながら、大部分の先生は、むしろ僻地に行かれるよりは都会に近いほうの学校に行きたいということを希望するというふうな実態がございます。これは、いい悪いは別にいたしまして、そういう実態があるということは事実でございます。したがいまして、僻地に優秀な先生を確保するというためには、人事管理によりまして、僻地に勤務すれば優遇されるといいますか、そういうような道を講ずる。そのために、特別昇給というような制度も設けているわけでございます。あるいは、僻地の学校に必ず一回先生は行っていただくというふうなルールと申しますか、そういうふうな人事管理の面での配慮というものが優秀な先生を僻地に得るためには一番効果的な方法ではないかというふうに考えているわけでございます。先ほど申し上げましたように、僻地で教育をされるということはたいへん御苦労なことでございますけれども、そういう方々に対しましては、特別昇給とか、教員住宅でありますとか、その他あらゆる面で私どものほうでも配慮をするというふうな措置をとっておるのでございます。
#31
○内田善利君 ただいま住宅の方面も配慮するということですが、現在は、国庫補助とか負担のほうはなくて、ほとんど市町村の財政措置でされているように思いますが、私は、国庫負担なり補助をして住宅を確保していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
#32
○政府委員(安嶋彌君) 僻地の教員住宅につきましては、二十八年度以来補助をいたしておりまして、本年度予算をも含めまして、総額すでに四十億七千三百万円の補助が行なわれております。その補助金によって整備されました僻地の教員住宅は約一万一千二百戸でございます。四十六年五月一日現在の調査によりますると、僻地、離島、過疎地域、豪雪地域に勤務する教員が約六万二千名ございますが、そのうち、借家、借間、校内居住といったような事情にございまして住宅に困窮をいたしております者が約二八%弱ございます、そうした資料から、私どもは、僻地における教員住宅の不足戸数を約一万七千戸というふうに推定をいたしまして、このうち七割を国の補助金によって整備をする、三割は町村の単独事業として整備をしていただきたい、こういうことで本年度予算も計上いたしておるわけでございます。
 今後の計画といたしましては、四十七年度から五十六年度までの十カ年間に一万二千戸の住宅の建設の補助を行ないたいということでございます。本年度の予算といたしましては、千六十七戸予算額といたしまして七億四千四百万円の補助金を計上しておる次第でございます。
#33
○内田善利君 それから通勤関係ですけれども、僻地は道路事情も非常に悪いし、教師は自動車通勤をせざるを得ないわけですけれども、この車に対するガソリン代、そういったものも認められていませんが、そういったことに対する配慮はいかがですか、通勤費のほかにですね。
#34
○政府委員(岩間英太郎君) この問題は、御指摘のとおり、非常に要望の強い問題でございますので、私どもも、四十五年度の人事院への申し入れにつきましては、僻地等で自動車などを使用しなければ通勤困難な者については、妥当な通勤手当を支給するように要望をいたしました。その結果、人事院勧告で、交通不便のために自動車などを使用して通勤する者  片道が十キロメートル以上でございますが――に対しましては、従前の月九百円の手当を千四百円に引き上げております。まあこれがガソリン代になると思われるわけでございますけれども、この額等につきましては今後とも増額の方向で努力をしたいというふうに考えております。
#35
○内田善利君 いまこうした金銭的な問題を申し上げましたが、僻地に行ったら一、二年ないし三年、長いところは四年というような先生がいらっしゃるわけですが、そういった先生方に希望を与えるようなそういった方途は考えておられるのかどうか。
#36
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど申し上げましたように、私どもは基本的にはやはり人事管理ということが一番大事じゃないかというふうに考えているわけでございますけれども、三年僻地に御勤務をいただければ特別の昇給ができるように財源的な手当てをしているわけでございます。私どもとしましては、僻地に御勤務いただく年数と申しますのは、まあ大体三年ぐらいを一つのめどにしてお考えいただいたらどうかということで、その点を教育委員会等ともお話ししておるような次第でございます。
#37
○内田善利君 それから教員定数の点ですけれども、四十五人に一人の定数になっているわけですが、そういった僻地においては、生徒四十五人に一人という定数、そういう教室数によるという考え方でなくて、やはり教科その他学校単位に先生方を配置すべきじゃないか、行ってもらうべきじゃないかと、そのように思うのですが、一人の先生で教員免許状もないのに二科目も三科目も四科目も授業をしている、そういうような学校があるわけですね。形式的に仮免許を与えてそうして授業をやっていると、そういうことで非常に負担が先生方にかかるわけですが、やはり教科目も考慮に入れ、学校単位に定数ということはもう少し考えるべきじゃないか、あるいは四十五人に一人という数をもっと減らして教員定数を充実すべきじゃないかと、このように思いますが、この点はいかがですか。
#38
○政府委員(岩間英太郎君) 方向といたしましては、大体先生が御指摘になりましたような方向で私どもも努力をしているようなつもりでございます。ただいま進行中でございます教職員定数の改善計画におきましても、どのような小規模学校でも一人ないし二人の学級担当外の教員が確保できるような措置を講ずるとか、あるいは、僻地学校とか無医村にも養護教諭が配置されるような方向で進んでおるとか、あるいは、事務職員につきましても、一定の基準によりまして事務職員が配置できるような方法を講ずると、そういうふうな努力をしているつもりでございます。まあ極端に子供が少ない場合にはこれはどうなるかというような問題が残されております。そういう場合には、ただいま御指摘になりましたように、一人の先生がいろいろな科目を持たなければいけないというふうな事態が生ずるわけでございます。これがよろしいかどうかまだ疑問があるところもありますけれども、私どもは、そういう場合には、なるべく学校を統合いたしまして寄宿舎などで教育ができるような方法も講じているわけでございます。ただ、この問題につきましては、特に低学年の場合に実際に家庭から離れまして教育をするのがいいのかどうかというふうな問題も残されておりまして、たいへんむずかしい問題でございますが、今今後とも検討をしてまいりたいというふうに考えております。
#39
○内田善利君 それから僻地ほど文化の恩恵に離れおくれておるわけですが、こういったところほどよけいに視聴覚教育の充実が必要じゃないか、このように思うのですが、教員自身もそういった機器を利用することによって十分な教育効果が得られると思いますが、僻地校に対する視聴覚器材の充実、これに対する特別補助というようなことはどのように考えておられますか。
#40
○政府委員(岩間英太郎君) 以前に僻地学校に対しますテレビの補助などをやっておったのでございますけれども、現在は補助の制度は一応目的を達しましてそういうような制度はやめになっております。しかし、これは、ただやめたいというだけではございませんで、その分は教材費のほうで手当てをするというふうな方向で進んでいるわけでございます。具体的に申しますと、小学校の場合に五学級以下の小規模学校の一学級当たりの単価は普通の場合よりも一・八三倍というふうな割り増しをいたしておりまして、その教材費の中でいろいろな教材ないしテレビ等の視聴覚教材も購入できるような配慮をしているということを考えておるわけでございます。
#41
○内田善利君 僻地教育はそれで終わります。
 次に、もう一つお聞きしておきたいことは、昨年の三月ごろ公害特別委員会でお聞きしたわけですけれども、非常に地盤沈下が多いわけです、全国至るところ。特に佐賀の白石平野が、考えられるのは農業用水のくみ上げによる地盤沈下というふうに考えられておるわけですが、そこにある白石町の白石中学、それから有明町の有明中学、これを私は見に行ったわけですが、これをごらんになった方がおられるかどうか、地盤が沈下して、体育館が、たとえて言いますと、あの廊下が一メーターぐらい浮いているわけですね。それから第一棟と第二棟は別々に年次別に建てたわけですが、こっちのほうはちゃんとくいを打って建てた。こっちのほうは砂地だからということでそのままつくった。ところが、こっちのほうがぐっと下がってしまって、二階に渡り廊下ができておったのですが、その渡り廊下も渡れなくなった。というのは、こっちが下がったためにこっちの二階のほうの窓に突き当たるわけです、まっすぐ来たら。途中から段をつけて下がるように廊下をして入るようになっている。また、特別教室の割烹室等は、水道パイプ、ガスパイプがこわれて修理をしたという実情にあります。地盤沈下のひどさを私は思い知ったわけですが、こういった地盤沈下に対するいろんな復旧がなされているわけですが、これは町当局と県だけでなされておる、これに対して国のほうで何とかならないかという陳情があったわけですが、公立学校施設災害復旧費国庫負担法の第二条の三項に「その他の異常な現象」というのがありますが、まず、これに入らないかどうか。
#42
○政府委員(安嶋彌君) 御質問の佐賀県の白石町、有明町などにおける地盤沈下の被害についてでございますが、先生の御指摘もございまして管理局の職員が現地に参りまして実情を見てまいりました。私もその写真を見ておりまして、ただいま御指摘のようなことが事実として起こっておるようでございます。原因につきましては、これもただいまお話がございましたように、農業用水の地下水のくみ上げということが地盤沈下の原因のようでございますが、抜本的な対策といたしましては、御承知かと思いますが、建設省におきましてこの方面の六角川の河口に堰堤をつくるという工事を約六十億円の予算で進めておるということを伺っております。学校自体の被害の状況といたしましてはまさしく御指摘のようなことでございますが、その被害の補修に使用されました金額は、昭和四十六年度におきまして、白石町におきましては九十万円、有明町におきましては三百七十一万円ということでございます。まあこの程度でございますれば、私ども、やはり学校の維持管理費の一部であると。維持管理費は、御承知のとおり、学校教育法の規定によりまして設置者の負担ということでございますので、これは設置者において御負担を願いたいというふうに原則的には考えるわけでございますが、しかし、御指摘のような非常に特殊な異常な事態でもございますので、自治省におきましてはこのことを考慮に入れまして、昭和四十六年度、白石町に対しましては約二千百万円、有明町に対しましては約千三百万円の特別交付税を算定しておるということでございます。この被害がさらに進行いたしまして、問題の校舎自体がたとえばまあひび割れを来たすといったようなそういう状態になりますれば、これは私どもの危険校舎改築費補助金のまあ対象にする等、抜本的な施策を講じてまいりたいということでございますが、ただいまのような状況でございますれば、特別交付税のただいま申し上げましたような措置ということで一応いいのではないかというふうに考えております。
#43
○内田善利君 私がまず質問したのは、公立学校施設災害復旧費国庫負担法の第二条三項の中にいろいろ項目をあげておりますが、「その他の異常な現象」というのに地盤沈下による校舎のそういった被害は入らないかどうかということなんです。
#44
○政府委員(安嶋彌君) 災害は、御承知のとおり、一般的には天災がその中心でございまして、むしろ、災害ということよりは、もし扱うといたしますならば、公害という形で扱っていくほうが私どもは妥当ではないかというふうに考えます。地盤沈下の問題は、これはまあ原因はいろいろあるわけでございますが、この白石町、有明町だけではございませんで、東京都の江東区その他全国的にかなり事例があるわけでございます。こうした場合におきましては、これはむしろ一般論でございますが、原因者がある場合には、その原因者がこれを補償するということがたてまえであるというふうに考えますが、本件のような場合、原因者が必ずしも特定できないというような場合には、公害という形で扱うか、あるいは  公害と申しましてもこれは一般公害でございますが、一般公害という形で扱うか、ただいま申し上げましたような実際上の措置でカバーをするしかない、そういう方法で私ども一応いいのじゃないかというふうに考えております。
#45
○内田善利君 向こうの学校の校長先生も非常に困っておられるわけですが、昨年見に行ったときからまだ全然直っていないと、そういう実情にあるわけですね。ことし一教室だけ何とか水道の配管を変えたいと、そういうことで非常に遠慮しておられるのか、見たかっこうは宙に浮いてかっこうが悪いわけですが、これはもう早く修復しなきゃいけない、だれの目で見ても。管理局のほうで見に行かれたそうですが、これは早く修復しなきゃいけない。九十万円町費を払ったということですが、私の聞いたところでは、四十六年度では、これは県全体ですけれども、地盤沈下で三百六十一万九千円、県が四百三十五万六千円、合計七百九十七万五千円負担して、国庫負担はゼロと、こういうことになっておるようです。これが毎年少しづつ地盤沈下していくわけですから、ストップするわけじゃないので、できるだけ早く早急に対策を講じないと、またあの廊下は通れなくなるのじゃないかと、そういうふうに思うわけですね。だから、私は、どこからか金を国が負担する方法はないかと思って、「その他の異常な現象」の中に入らないかどうかと苦肉の策で質問したわけですけれども、公害として扱ったほうがよいということですけれども、公害の典型公害の中の一つとして地盤沈下が入っておるわけですから、当然そうだと思いますけれども、いま言われますように原因者がはっきりしない、加害者がはっきりしないということですから、何とか国のほうで――こういった地盤沈下による災害校というのは少ないと思うのですね。ああいったひどい、約八十センチから一メートルぐらい沈下しているわけですから、したがって、割烹室なんか水道パイプ、ガスパイプその他の鉛パイプなどは当然修復しなければあぶない、そういう実情ですから、これに対して何らかの復旧をしていただきたいと、このように思うのですが、いかがでしょう。
#46
○政府委員(安嶋彌君) 私どもに出ている報告によりますと、毎年必要な補修は行なわれているように思うのでございますが、たとえば白石町の白石小学校でございますと、四十四年度から四十六年度にわたりまして、屋外運動場のかさ上げ工事をやるとか、あるいは側溝の補修をやるとかいったことが行なわれておりますし、また、同じく白石町の白石中学におきましては、渡り廊下、水道管、排水管、あるいは昇降口等の補修が行なわれておるというようなことでございまして、その金額が先ほど申し上げたような金額になるわけでございます。
 これに対する国の措置といたしましては、特別交付税で自治省において配慮しておるということでございます。現状はそういう程度で一応お願いをしたいということでございますが、先ほど申し上げましたように、この校舎自体が危険な状態になるというようなことでございますれば別途の措置もあるわけでございまして、たとえば、例といたしましては千葉県の浦安町の南小学校でございますが、同じような状況になりまして、これは全面的な改築をし、それに対して国が補助をしたというような実績もございます。したがいまして、事態に応じてただいま申し上げましたような各種の手だてを講じてまいりたい、こういうふうに考えます。
#47
○内田善利君 確かに、毎年修理しておることは私も認めます。体育館も屋内体育館でしょう。屋内体育館もその周辺だけ土盛りしてあるわけですね。床下をふさぐ意味で――私たちが見ればそういうふうにしかとれないのですが、ずうっと土盛りしてある。そういうことですから、まあ間に合わせの修理しかしてないという感じがするわけですが、したがって、周辺だけを土盛りしてありますから、下がっていくとまたどんどん下がっていく、そういうことなんですね、一例をあげれば。それから割烹室なんかも徐々に下がっていくわけですけれども、やはり、少しずつ、先ほど申しましたように、特にガスパイプがひびが入るとか、水道管が破裂するとか、そういうこともあり得ると思いますので、できましたらもう一度調査していただいて抜本的な方策を講じていただきたいと、そのように思うわけですが、まあそのように要望申し上げて私の質問は終わりますが、どうですか、そのように努力していただけるでしょうか。
#48
○政府委員(安嶋彌君) 抜本的な施策というお話でございますが、まずは白石町なり有明町当局がどういう判断をなさいますか、その辺のところもよく伺ってみたいと思いますし、それから現在、この建物自体は、くいを打ってある関係上、あんまり沈下はしていない状況でございますが、四囲の状況からして学校の建物として使用に耐えない、ないしはきわめて不適当であるというようなことでございますれば、これは不適格建物といったような扱いもあるわけでございますから、それに対応してこれを場所を移すなりあるいは現地で別途のくふうをして改築をしたいというようなことでございますれば、それには対応してまいりたいというふうに考えます。
#49
○萩原幽香子君 この新聞は、横浜市の浜小学校東分校の写真でございます。ごらんになりましたでしょうか。「ちょっぴり青空の下、金網の下、そこが校庭」「物干ザオが降った!」「日照時間まるっきりナイ」という学校でございます。ここは、もともと、教室のつもりでつくったのではありません。日本住宅公団が住宅用につくったもので、マーケット、集会所に充てるつもりのものを、急遽教室にしたというものなのでございます。こんな学校がなぜできたとお考えでございましょうか。こんな学校で学ぶ子供たちに対して文部大臣はどうお考えになりますでしょうか。
#50
○政府委員(安嶋彌君) なぜこういう学校ができたかということでございますが、御承知のとおり、横浜市は、全国でも有数の児童生徒の急増地域でございます。その上に、地理的な関係で土地がなかなか得にくいというようなことがございましてこうした事態が起こったわけかと思いますが、こういう学校ができました経過につきましては、ただいま萩原先生からお話がございましたように、本校がすでに飽和状態になって、大規模な高層住宅ができました際そこの児童を収容し切れないというようなまことにやむを得ない事情か白浜小学校の東分校というものができたということでございます。
 こういう事態につきまして、私どもは、決して好ましい状態だというふうには考えておりません。できれば避けるべきだというふうに考えております。文部省自体といたしましても、この学校の建築にはもちろん補助金は出していないのでございますが、最近私どもの担当課長が現地を調査いたしましていろいろ事情も伺ってきたわけでございますが、問題点といたしましては、給食室の位置が悪くて外部からのほこりが入りやすいとか、あるいは、便所がおとな向きにできておって子供が不便を感じておるとか、あるいは、道路からの騒音に対しまして二重窓を用いておるわけでございますが、換気が十分ではない、あるいは、これは新聞にもございましたが、中庭へ屋上から落下物があって網の目が荒いためにいろいろなものが落ちてくるというようなこと、あるいは、屋外運動場への通路が住居地域と交差をいたしておりましてぐあいが悪いといったような、いろいろな欠陥が指摘されております。こうした問題点につきましては、横浜市の教育委員会当局も早急に手だてを講じていきたいということを申しておりますので、早晩改善されるとは思いますが、こうした状況はもちろん好ましいことではございませんが、大勢として考えますと、今後起こり得る課題であろうかとも思うわけでございます。したがまして、こうした大都市における学校建築の問題につきましては、私どものほうでこの問題についての調査研究会を設けておりまして、現在鋭意検討を進めておるということでございます。たとえば、今後の大都市における学校の位置づけでございますとか、あるいは高密度住宅地が開発された場合における学校施設のあり方でございますとか、そうした問題を中心にいたしまして学識経験者も加えまして検討いたしておるわけでございますが、すみやかに結論を得まして適切な指導を加えていきたいというふうに考えます。
#51
○萩原幽香子君 私、好ましくないことは、もう皆さんがよくお認めのことだと思います。
 そこで、小中学校には設置基準というものがないわけでございますね。現在のようなことになりますと、小中学校にも設置基準というものが必要な時代が来たのではないかと私は考えるのですけれども、その点、文部大臣はどのようにお考えでございましょうか。
#52
○政府委員(安嶋彌君) 確かに、おっしゃるとおりでございまして、学校教育法の施行規則におきましても、小中学校につきましては別に設置基準を定めるというふうに規定があるわけでございますが、実際問題といたしましては、まだ小中学校の設置基準という題名の基準は遺憾ながらできていないわけでございます。
 どうしてそういうものが今日までできていないかと申しますと、設置基準と申しますと、中身は、御承知のとおり、学級編制でございますとか、教員定数の配置基準でございますとか、あるいは施設設備の基準でございますとか、あるいは土地の面積の基準でございますとか、そうしたものがその実質的な内容をなすわけでございますが、小中学校の主体をなしますのはもちろん公立の学校でございまして、公立の小中学校につきましては、学級編制あるいは教員定数につきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律というのがございます。それから施設につきましては、これは補助基準ということではございますが、ただいま御審議をいただいておりまする義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づく一種の基準があるわけでございます。その他、設備等につきましても、教材等につきましても、法令という形ではございませんが、各種の指導基準というものがございまして、実質的には一応カバーされておると、こういうことかと思います。もちろん、たてまえといたしましては、そういうものが当然あってしかるべきだというふうには考えますが、当面はそういうことでやってきておるというのが実際でございます。
#53
○萩原幽香子君 私が特にいまこそと申し上げたのは、先ほど申し上げたようなこういった例が出てまいりますから、そうして、こういうこともまたあり得ることだというふうに局長さんも御答弁をしてくださったわけでございますから、いまこういったようなちゃんとしたものをつくっておかないと、これからだんだん最低基準さえも満たされない学校ができてくるという心配があるために、私は特にこういうことをお願いしているわけでございます。そういうことにつきまして十分御検討いただいて、中学校、小学校だけにこういう基準がないのですから、あわせてこういうものをつくっておいて、この基準に合わなければいけないということを文部省としてはっきりしていただかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思います。
 人口急増都市の悩みというものはまことに深刻でございます。私は兵庫県でございますが、神戸市に例をとりますと、現在、市が開発を計画しております主要団地は三十九団地、面積にいたしまして四千九百六十六ヘクタール、戸数は約十九万戸ということになっております、そこで、昭和五十五年度までに小学校五十二校、中学校二十八校の新設がどうしても必要になってまいり、その経費は五百五十億と見込まれております。さらに、すべての計画団地が完成いたしました時点では、小学校八十二校、中学校三十八校、計百二十校の建設をやらなければならないところに追い込まれているわけでございます。現在、神戸市では、小中合わせて百七十校あるわけでございますから、約十年の間に現在の七割の小中学校をつくらなければならない、こういうことになっております。したがいまして、神戸市にとりましてこの問題はまことに重大な問題だと御理解をいただきたいわけでございます。そこで、神戸市のほうにお尋ねをしたわけでごいますけれども、新設をするところについては開発者負担制度というものを設けてその土地に学校の用地というものを平米当たり五千円で市が購入して何とかまかなおうという努力をされているそうでございますけれども、既成の過密地区につきましては用地の確保は非常に困難でまことに苦労をしていると、こういったような現状でございましたが、こういうことになりますと、私は、学校教育なんというようなものがほんとうにできるのだろうかという心配さえも持たれるわけでございますが、これはひとり神戸市の問題だけではなくて、横浜市の場合も、向こう五カ年には百五十校の新設をしなければならない、こういうことを言っておられるわけでございます。
 そこでお伺いをしますが、過密都市の五カ年の児童生徒の急増の見込み数をどのように把握されておりますか、承りたいと存じます。
#54
○政府委員(安嶋彌君) 文部省のとらえておりますのは、いわゆる児童生徒急増町村ということになるわけでございます。児童生徒急増町村の定義は、すでに御承知かと思いますが、念のため申し上げますと、過去三カ年間に児童または生徒の増加数が五百人以上で、かつ増加率が一〇%以上、これは小学校の場合でございまして、中学校の場合は五百人が二百五十人ということになるわけでございますが、または過去三カ年間に児童または生徒の増加数が千人以上で、その増加率が五%以上の町村、これは中学校の場合は千人が五百人ということになるわけでございますが、こうした町村を児童生徒急増町村というふうに呼んでおります。この数は、昭和四十六年度におきましては、小学校の該当が百九十六市町村、中学校が四十八市町村でございます。四十七年度の場合は、小学校が二百三十一市町村、中学校が八十二市町村ということでございます。
 今後の増加の見込みでございますが、小学校の場合、全国指数で申しますと、現在九百四十九万人の児童が、五十一年度におきましては千三十五万というふうに九%増加するという見込みでございますが、急増町村だけをとりました場合には、四十六年度三百六十万が五十一年度五百二十五万ということで、四六%増加をするという推定でございます。実は、四十六年度から五十一年度までの間の推計中、四十九年度までは、これは町村ごとに積み上げた推計数値でございますが、五十、五十一年度の数字は、これは四十九年度までの増加傾向を引き伸ばした推計値でございます。そうしたものを用いまして、ただいま申し上げましたように、急増町村の場合、小学校では四六%ふえる。それから中学校の場合は、全国数で四十六年度四百五十一万人が四百五十六万人、これは一%の増でございますが、急増市町村のみをとりますと、四十六年度の約二十九万人が五十一年度四十八万人ということで、六四%の増ということでございます。これが児童生徒急増町村における児童あるいは生徒の増加の将来の見込みでございますが、ただ、児童生徒急増の場所は、御承知のとおり、ドーナツ現象というような表現がございますように、大都市周辺におきましてこうした傾向が強いわけでございますが、この傾向がさらにその外に向かって進んでおるというような傾向が見られるのではないかというふうに考えます。
#55
○萩原幽香子君 そこで、これに対しましての学校用地並びに学校施設建築費、こういうものを文部省ではどのように確保されるおつもりでございましょうか、その自信がおありになりますでございましょうか、お伺いをいたします。
#56
○政府委員(安嶋彌君) 公立学校の施設の整備につきましては、御存じのとおり、四十四年度を初年度とする五カ年計画がございまして、現在その第四年度目になっているわけでございますが、すでにその八七%を消化しておるというような状況にもございますし、かつまた、ただいま御指摘がございましたように、その後の社会的な状況も非常に変化いたしております。ただいまは児童生徒急増町村のお話がございましたが、ほかに過疎地域の問題もございますし、危険校舎改築の促進という課題もございますので、そうした問題を全部含めましてこの際新しい年次計画を策定することにつきまして前向きで検討してまいりたい、ただいま申し上げましたような五十一年度までの大きな児童生徒の急増の実態を前提にいたしましてそうした新しい五カ年計画というものを検討してまいりたい、その中にはもちろん土地も含めて検討をしてまいりたいというふうに考えます。
#57
○萩原幽香子君 このような人口急増都市における教育費総額が一般会計に占める割合というのはどれくらいになっておりますでしょうか。
#58
○政府委員(安嶋彌君) まず全国的な状況を申し上げたいと思いますが、四十四年度における自治省の調査でございますが、歳出総額における教育費の割合は、全国平均でございますと一八・八%でございますが、四十五年度の児童生徒急増市町村のみをとって見ますと、歳出中における教育費の割合は二一・八%ということで、全国水準をかなり上回っておるというような数字が出ております。
#59
○萩原幽香子君 そういたしますと、学校施設建築費及び土地購入費がまたそれぞれ教育費の何割くらいになっておりますでしょうか。
#60
○政府委員(安嶋彌君) 全国数字で申しますと、建物は歳出中四・七%でございます。これに対しまして、急増町村におきましてはこれが六・九%でございます。それから用地費でございますが、全国平均が二・三%に対しまして、児童生徒急増町村は三・四%ということでございます。最初にちょっとお断わり申し上げましたように、全国数が四十四年度でございまして、急増町村の数が四十五年度で、そこのところはちょっと符合いたしませんが、大体の傾向といたしましては、申し上げたような実態かと思います。
#61
○萩原幽香子君 神戸の例をとりますと、十年で大体百二十校建てるということでございますから、これはなかなかたいへんなことではないかと思うのですが、そこで、このような都市では財源というものをどういうふうにしているとお考えでございましょうか。
#62
○政府委員(安嶋彌君) 公立の小中学校の建築の場合は、国庫負担金が、御承知のとおり、小中学校の校舎の場合は、今回の改正によりまして両方とも二分の一出るわけでございますが、その国庫負担金を除く地方負担分につきましては、交付税で原則として二五%が措置され、残りの七五%につきましては地方債が充当されるということでございます。それから小中学校の学校用地につきましては、昨年度から補助金を出しているわけでございますが、補助事業にかかる地方負担分につきましては、九〇%が地方債で措置されまして、残余が交付税で措置されるという地方財政上の計画になっております。用地につきましては、ただいま申し上げましたように、児童生徒急増町村についてだけ補助が出ておるわけでございますが、それ以外の町村につきましては、学校用地の買収費の九〇%が地方債によって充当されるということでございます。本年度の地方債計画といたしましては、義務教育施設整備事業債といたしまして八百七十七億円が地方債計画に計上されております。そのうち、補助起債と申しますものが五百二十八億、学校用地関係が二百七十九億、こういうことでございまして、その他は単独事業債等、こういうことになっております。
#63
○萩原幽香子君 大蔵省にお尋ねしますけれども、昭和四十七年度の予算編成の際に、急増都市の学校建築に対して文部省のほうから補助金を要請されたと考えるわけでございますが、そのことにつきましては大蔵当としてはどういうふうなお取り扱いをなさいましたか、承りたいと存じます。
#64
○説明員(青木英世君) 人口急増地帯におきます義務教育諸学校――小学校あるいは中学校の施設の建設につきましては、ただいまお話がございましたように、一つは土地の補助という問題でございまして、これにつきましては四十六年度から新たにそういう土地に対する国の補助の制度が始まったわけでございますが、四十六年度には三カ年で六十億、したがいまして、単年度ですと二十億という予算を計上したわけでございますが、四十七年度には合計で九十六億九千万円、単年度で三十二億三千万円、そういう予算を計上しております。
#65
○萩原幽香子君 それだけで何とかなりそうだと大蔵省はお考えになったのでございますか。一体、文部省からお願いをしたいというふうに要請したのはどれだけだったのでございましょうか。
#66
○説明員(青木英世君) ちょっといま概算要求それ自体の数字は持っておりませんが、実はいま三十二億三千万円と申しましたのは四十七年度の単年度分でございまして、そのほかに四十六年度の歳出化分二十億がございますので、歳出予算総額としましては五十二億三千万ということで、前年度の二十億と比べますと、倍以上にもふえておる、こういう形になっております。
#67
○萩原幽香子君 倍以上になったとおっしゃいましても、こういうふうに、学校の建て方というのが、倍以上どころの話ではございません。そうしますと、大蔵省がお考えになっていらっしゃるようにぼつぼつやっていただいたのではどうしようもないということになるのではなかろうかと考えます。そこで、概算要求のあれを持って来なかったからわからないとおっしゃるけれども、それを一ぺん見ていただかないと話にならぬのじゃないかと思います。
#68
○説明員(青木英世君) 文部省からの四十七年度におきます当初の要求額は、ただいま申し上げました五十二億三千万円に対応しますものとしては百三十億でございます。
#69
○萩原幽香子君 百三十億に対して五十二億というのは、三分の一よりはちょっと多いということでございますね。これではどうしようもございませんね。ですから、学校建築費とか土地購入費が市町村財政を極度に圧迫しているということは、いまの御答弁でもはっきりしていますから、大蔵省も十分御承知のはずだと考えるわけでございます。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、それぞれの費用の財源別の、いわゆる国庫はなんぼ出している、市費はなんぼ出している、地方債はなんぼ出しているといったような内訳を四十四年度から本年度までお示しをいただきたいと思います。
#70
○説明員(青木英世君) ちょっと数字の額としては持ち合わしておりませんが、先ほど管理局長からお話がありましたように、国庫補助の裏につきましては、裏負担のうちの九割が地方の起債措置、それから残りの一割が地方交付税の算出上計算されておる、こういうことでございます。
#71
○萩原幽香子君 ということは、国庫補助というものが非常に少ないと、こういうことで承知してよろしゅうございますか。
#72
○説明員(青木英世君) 国庫補助金そのものとしましては、小学校については従前は三分の一、四十七年度からは二分の一、それから中学校につきましては二分の一という補助率でございますが、その裏負担としての地方債、これは現実に地方債を償還いたしますときにまた地方交付税で一部措置しておるということでございますので、そういう地方交付税とかあるいは地方債とかといった全体としての国の助成というものを考えますと、おっしゃるとおり非常に少ないというふうには私どもは考えておりません。
#73
○萩原幽香子君 義務教育でございますから、ほんとうをいえば、学校を建てることも、もうすべてのことを国でやっていただかなければならないのじゃないかと思います。大体、外国の例なんかも十分御承知と思いますけれども、非常に進んだ国におきましては、一体、義務教育に対しての国の扱いというものはどのようになっておりますか、大蔵省にお尋ねいたしたいと思います。
#74
○説明員(青木英世君) 実は、この問題は、それぞれ、国の事務、あるいは地方の事務、それから財源をどうするかというような問題で諸外国区々であろうと思いますが、日本の場合は、先生からいまお話がありましたが、学校教育法のたしか五条でございますか、設置者負担の原則ということがあげられておりまして、法律に定める場合に国が負担する、こういう制度をとっております。ちょっと諸外国につきましては資料を持っておりませんので、財源の負担区分はここではお答え申し上げられません。
#75
○萩原幽香子君 義務教育という場合は、設置者というのは国であるのがほんとうだと私は思うのです。それを市町村にまかしてあるところにそもそもの問題があるのではなかろうかと思いますけれども、大蔵省は、そういうことをたてにして、いろいろその点国の手当てが薄いのではないとおっしゃいます。しかし、私が考えるところでは、考えるところでは、学校に対する国の施策は非常に薄いというふうに考えるわけでございます。「子供と老人を大切にしない国に真の繁栄はない」という有名なことばがございますけれども、ほんとうに大きな声を出して叫ぶことのできない子供とか年寄りについては大蔵省はずいぶん薄い査定をいていらっしゃると、こういうふうに私は考えます。きのうも実は、決算委員会の場で私は佐藤総理に対して実に社会教育の薄さをいろいろとお話しを申し上げました。総理もそれに対してはそのとおりだという御答弁であったと私は思います。こういうことで、はたして日本のいまの状態から人間性を回復するようなほんとうにいい日本の国づくりというものができるだろうかというふうに考えます。
 いまのままで推移いたしますならば、一そう過密化というものは進むというふうに私は思います。といたしますならば、土地の確保というものは、財政面のみではなく、スペースの面からいっても年ごとに困難になってまいることは当然だと思います。そこで、人口急増が予想される地域におきましては、総合的な都市計画の一環として早期に学校の用地を確保すべきだと考えるわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。これは文部省のほうにお尋ねをいたします。
#76
○政府委員(安嶋彌君) 御指摘の点は、全くそのとおりだと思います。現在は、御承知のとおり、学校用地あるいは学校の施設も含めまして五省協定というものがございまして、文部省、建設省、自治省、厚生省、その他関係の省庁で協定を結んでおりますが、大規模な住宅の建設等が行なわれます際にそれに伴って当然必要な学校でございますとか保育所でございますとかそうした施設、これは本来ならばその開発が行なわれる町村が整備をするということが一応たてまえでございますが、実際問題としてこれが財政上の理由を中心としてなかなか実施できないというような事態がございますので、そうした場合には当該市町村にかわって住宅公団等の開発事業者が立てかえてこの仕事を施工する、そして施工いたしました学校を町村がその後におきまして買収をするというたてまえをとっております。この際、建物の買収につきましては国庫から補助があるわけでございますが、用地につきましては住宅公団が小中学校の場合は町村の財政状況によりまして二分の一の減額譲渡をするというたてまえになっております。これが現行の方式でございますが、これだけの措置ではとうてい十分な学校用地の取得が行ない得ないというような実情にもあるわけでございます。そこで、これは政府全体といたしましてもそうした問題に配慮をいたしまして、御承知かと思いますが、自治省からは公有地の拡大の推進に関する法律案というものが今国会に提出をされておるわけでございますし、また、建設省からは新都市基盤整備法案というものも今国会に提出されておるわけでございます。そうした新しい施策並びに従来の五省協定をさらに弾力的に運用することによりまして、ただいま御指摘のような事態に対処をしていきたいというふうに考えております。
#77
○萩原幽香子君 そういう早期に学校の用地を確保するといったような手当てをしておかないと、先ほど申しましたように、学校教育法の第二十九条のとおりにやろうといたしますというと、先ほどの横浜の浜小学校東分校のような例が出てまいりまして、マーケットや集会所に充てたところを急速教室に充てなければならないといったような問題も起きてくると考えるわけでございます。こうした状況で正常な教育が進められないということは、もう大臣も十分御承知いただけると思います。
 そこで、この学校用地確保についていま大蔵省にお尋ねをいたしますと、まことに残念なお答えしか返していただけなかったのでございますけれども、大蔵省はこの学校用地確保について今後どういうふうに措置をしていただくおつもりか、承りたいと存じます。
#78
○説明員(青木英世君) 先ほど申し上げましたように、人口急増市町村につきましては、四十六年度以降新たにそういう補助の制度ができておりますので、今後人口急増市町村のいわば事業量等の伸びにも着目いたしまして、当然これは四十八年度以降の財政全般の問題にも影響がありますので、この場で何割伸ばすということを申し上げるわけにまいりませんが、実情に沿うべくその事業量の拡張について努力してまいりたい、このように考えます。
#79
○萩原幽香子君 それでちょっと安心をいたしました。よく実情に合っておやりいただきますようにお願いをいたしたいと思います。望ましい環境で望ましい教育を受けるということは、子供の権利でございます。この権利を守ってやるために、国は重要な推進力になるべきだと考えるわけでございます。これはもう私が大臣にお考えを承るまでもございませんけれども、このあたりで一ぺん大臣の御所見を承っておきたいと存じます。
#80
○国務大臣(高見三郎君) 人口急増地域につきましての萩原先生の先ほどからの御意見、傾聴いたしておったのであります。私も全く同感であります。問題は、しかし、これからの経済情勢というものを見ます場合の人口動態というものも十分考えておかなければならぬ問題じゃないかと思うのであります。たとえば過疎地における過密状態というものも私は大きな問題じゃないかと存じますが、人口が過疎だ過疎だといっておる町村に参ってみましても、やはり過疎の中に過密がある、ドーナツ現象が起こっておるという実態も踏まえてかからなければならぬ。これらのことを考えまするというと、たとえば団地ですね、営利事業でやっております団地経営者、これには法律的なやはり義務づけをしなければならぬだろう。団地を開発いたします場合に、これこれは学校用地にしなければならないというだけの建設省で義務づけをしてもらいたいと考えておりまするし、住宅公団につきましては、先ほど局長からお答え申し上げましたような方法をとってはおります。とってはおりますが、それだけで一体解決するものであろうか。私は、三年ばかり前に横浜の港北区の急増地帯を見に参りまして、しみじみ横浜市長のお骨折りが並みたいていのものでないということを承知いたしまして、昨年度から御承知のような土地政策についての新しい制度をつくっていただきました。大蔵省をたいへんおしかりになりましたけれども、大蔵省は今度は非常に理解を示してくれたと私は思っております。来年はさらに飛躍的な理解を示してもらいたいものだと思っておるわけでありまするが、こういう点は各省が力を入れなければならぬ問題で、先ほどの御質問の中でたとえば地盤沈下に対する特別交付税、確かに自治省はやっておるのです。やっておるのですけれども、特別交付税にこの村のこれに幾らということを自治省が指示いたしませんから、町村ではもらっただけもらい得ということになって実はうまく使われていない、われわれが意図しておるように使われておらないといううらみがあるのでありますが、金を効率的に使うということは、国の財政上、当然国としてはお願いをしたいことなんであります。御意見はまことに傾聴すべき御意見として私は十分承っておきます。
#81
○萩原幽香子君 文部大臣はなかなかうまいことを上手におっしゃってくださいますけれども、しかし、大臣ね、大臣がそういうふうに大蔵省に対して非常にありがたいと思っているということでございますならば、私があえてこういうことを申し上げる必要はないかもしれません。しかし、私は、国民の一人として考えたときに、それほどありがたいというふうには思っておりません。ですから、あえてこういうことを申し上げたわけでございます。
 横浜市の教育長さんの言をかるまでもなく、「郊外までも開発され尽くした時代に市街地に学校用地などあろうはずがない」というおことばもあるわけでございます。私は、おそらく神戸市の場合も同じことが言えるのではなかろうかと考えるわけございます。大臣はいま過疎地の中の過密ということをおっしゃいましたけれども、私が考えているところでは、たとえば私は兵庫県でも但馬とか丹波というところへよく参ります。そういうところへ行きまして、ああ、こんないいところに学校を建てればなあということを私はよく考えるのです。山紫水明の広々とした地域、こういうところに学校を建ててやったらどんなにいいだろうかと思います。これは私の一つの提案でございますけれども、こんな高層ビルの中に教室をつくって、いろんなものが落っこちてくるようなあぶないところで子供がおちおち勉強もできないといったようなところに学校をつくるというよりかは、むしろ中学校なんかはこういったようなところに学校を建てて、全寮制にして伸び伸びと心身ともにすこやかに育てるといったような発想はいかがなもんでございましょう。こういうことができれば、過疎地域もまた過疎にならずに済むということで、一挙両得ということにもなるのではないか。もちろん、学校教育法二十九条の問題もございますから、すぐにというわけにはまいらないでしょうけれども、そうして、おとうさんやおかあさんも、週休二日というようなことになれば、その子供の行っております広々とした伸び伸びとした美しいところへ出かけて行って、ここで子供とともに勉強もしたりレジャーを楽しむといったようなこともできるのではないか。狭いところへ、ないところへ高いものを建ててやるやるなんておっしゃらずに、少し発想の転換をされて広いところへ持っていくということだって、そうすれば、土地だって非常に安く買えるということにもなるのではございませんか。大蔵省もだいぶ助かるのではございませんか。そういう発想について、大臣はどのようにお考えでございましょう。
#82
○国務大臣(高見三郎君) しごくごもっともな意見でございますが、ただ、小学校の場合におきましては、子供さんを全寮制にするということが、子供にとってしあわせであるか、親にとってしあわせであるかという問題もやっぱり考えてみなきゃならぬ問題ではないかと思うのであります。私は全寮制の高等学校などはまことに望ましいことだと思っておりまするけれども、小学校の子供が全寮制で親のもとから離れるということが子供にとって人間性を養う上においてはたしていいことであるか悪いことであるか、これには私は若干の問題があるのじゃないかと思うわけであります。もちろん、現在の高層ビルの林立しております中に小学校用地を求めようといっても、これは容易じゃございません。容易じゃございませんけれども、私が一番心配しておるのは、団地として指定せられた地域には学校用地がございます。学校用地は求め得られます。ただ、ぱらぱらと人口が無計画に集中してくる地域がございます。この地域の問題を実は私ども真剣に考えなきゃならぬ。したがって、市町村の当局がこの地域は人口がふえるという判断をいたしました場合に、早く土地を買っておくということも考えなきゃならないというような感じがいたすのであります。それで、考え方としては、先生のお考えになっていることは非常にけっこうなことだと思いますけれども、全寮制がいいか悪いかという問題になりますと、私はすぐには御返事を申し上げかねる問題があるということを御理解いただきたいと思います。
#83
○萩原幽香子君 大臣、私は中学校と申し上げたのでございますよ。小学校とは申し上げておりません。ですから、中学校以上でございますなら、むしろそれはいいのじゃないでしょうか。そうしたら、中学校があきますから、そこへ小学校の子供を入れてやるということだって私は可能になると、こういうことも考えます。ですから、中学校以上の子供なら、全寮制にして、そして、一生懸命になって勉強勉強というのじゃなくて、あの山へ行ってワラビをとりなさい、川へ行ってメダカをとりなさいと、こういうことだってあるのじゃないでしょうか。私たち師範学校に参りますと、これは大臣はよく御存じだと思いますが、高等小学校を二年行って三年目といえば、これはもう中学校の時期になりますね。そういうときにみんな寄宿舎に入ったじゃございませんか。だから、子供と親というものをべたっとくっつけることばかりが私はいいことじゃないと思います。むしろ、離せば、そこにはじめて親と子との間の文通ということだってございましょう。そうしますと、親が考えていなかったようなことを子供が手紙に書くこともございますでしょうし、また、あるいは親が書いた手紙を子供が見て、いつも一緒にいるよりかは、ああ、おかあちゃんはぼくのことをよく考えていてくれるということがわかるという場合だって可能でございましょう。そういった広い立場に立ってこういう問題を検討していただきたいと私はお願いをしているところでございます。決して一緒にべたっとくっついていることがいい教育にはならないと私は思います。セルフコントロールということもございましょうから、そういうことを分お考えをいただきたいものだと、そうしてまた、土曜から日曜日にかけては親と子が出会えるという場が必ずあるわけでございますから、そういうこともひとつ十分御検討をいただいて、この狭いところに一生懸命学校の用地を獲得するということの苦労をこういう方向に転換することはいかがかと申し上げたところでございます。
#84
○国務大臣(高見三郎君) ただいまのお話、非常に示唆に富んだお話でございます。私もその点については十分検討いたします。ことに、まあ中学校になりますと全寮制にしてもいいじゃないかという御意見は、傾聴すべき御意見だと存じまして、十分検討をいたします。
#85
○萩原幽香子君 ぜひ御検討をいただきたいと存じます。
 次いで、特殊教育の振興についてお伺いをいたします。
 心身障害児童生徒は、現在どれほどおりますでございましょうか。
#86
○政府委員(岩間英太郎君) 四十六年五月一日の推定によりますと、合計いたしまして約五十三万人の心身障害児がおるということでございます。
#87
○萩原幽香子君 その中で就学しております数はどれほどでございましょうか。
#88
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま申し上げました五十三万人のうちの約三一%の十六万三千人余りでございます。
#89
○萩原幽香子君 それでは、この残りの子供というのは、一体、どういう状態でおりますでございましょうか。
#90
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま申し上げましたのは、特殊教育の対象として就学している者の数を申し上げたのでございます。その余の者につきましては、普通学級に行っている者、あるいは就学の猶予・免除を受けておる者というふうなことになっております。
#91
○萩原幽香子君 各県の社会的、地理的、過密・過疎、交通条件などを勘案した上での今度の養護学校設置計画ということなんでございましょうか、その点はいかがでございましょう。
#92
○政府委員(岩間英太郎君) 特殊学校の場合には、これは、御案内のとおり、就学ということよりは、寮に収容するということである程度考えていかなければならないという事情がございますから、必ずしもその立地条件というのはちょうど交通の便のいいところというような必要はないのじゃないかというふうに考えます。
#93
○萩原幽香子君 盲・聾・養護学校の高等部への進学の状況はいかがでございましょうか。
#94
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっと数字がございませんが、盲聾の場合はほとんど全部の者が高等部のほうに進学しております。ただ、二重障害あるいは三重障害というような重複障害児なんかにつきましては高等部へ行けないような者もあるかもしれませんが、大半は高等部へ行っているということであろうと思います。
#95
○萩原幽香子君 そうすると、大体半分ぐらいは高等部のほうへ進学していると、こういうことでございますか。
#96
○政府委員(岩間英太郎君) もう少し高い率で高等部のほうへ行っているのではないかと思いますが、ちょっといま数字がございませんので、正確には申し上げられません。
#97
○萩原幽香子君 私が聞いておりますところでは、高等部への進学というのは非常に低いというふうに聞いております。これは私の間違いであるかもしれません。
 ところで、特殊教育拡充整備計画の中に高等部の問題が盛り込まれていないというのは、どういう事情でございましょうか。
#98
○政府委員(岩間英太郎君) 盲聾学校につきましては、私ども、一応希望者は全員盲聾学校に収容できる体制にあるというふうに考えております。したがいまして、おくれております養護学校の設置をこれから急ぐというふうな計画でございます。
#99
○萩原幽香子君 それは、ことしのあれを見ますと、高等部の問題についての整備計画というものが出ておりませんね。これはどういうことでございますか。
#100
○政府委員(岩間英太郎君) このたび私どものほうで計画を立てておりますのは、まだ未設置でございます病弱虚弱の養護学校の設置を急ぐとともに、いままで手薄でございました精神薄弱その他の養護学校の設置を促進していく、それからまた、特に早期教育を望まれております部面につきましては幼稚部の設置を促進する、そういうふうなことであります。高等部につきましては、盲学校、聾学校の場合には、すでに高等部はほとんで完全に設置されておるわけでございまして、その他の部面につきましては、むしろ義務段階のほうが十分でない、幼稚部のほうがまだ十分でないので、そちらのほうを先に急いでやるということでございます。
#101
○萩原幽香子君 身障者で普通高校に学んでいるのはどれくらいでございますでしょうか。
#102
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっと正確な数は把握しておりませんが、先ほど申し上げましたように、約五十三万人のうちで十六万人が現在特殊学校あるいは特殊学級に在学している、その他の者が普通学級に在学しているわけでございます。就学の猶予・免除というのが約二万人でございますから、その差の三十五万人以上の者が、普通学級に在学しているということでございます。その中で、肢体不自由の関係が二万五千八百二十六名の推定対象者に対しまして在学者が一万四千七百六十二名ということでございまして、約一万一千名が普通学級に行っていると、そういうふうな計算になると思います。
#103
○萩原幽香子君 身障者で普通の高等学校に行っておりますその学生たちのいわゆる勉学の状況、そういうものはいかがでございましょうか。
#104
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっとお答えしにくいのでございますが、どういう点が問題でございましょうか。――それぞれ障害を持っておられるわけでございますから、多少の御不便はあると思います。しかし、ユネスコの宣言にもございますように、なるべく普通の者と一緒に教育をしてやれというふうなこともございまして、私は、できれば普通学級で多少の不便はございましてもやるのがよろしいのではないかという考え方をしておるわけでございます。ただ、特に特別の学校あるいは特殊学級で教育をしなければならないというふうな方は、これはできるだけそういうところに収容するということで努力をすべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#105
○萩原幽香子君 これはごらんになったかと思いますけれども、「身障高校生に無情の留年宣告」という新聞記事がございますね。きのう口頭弁論があったということなんでございますけれども、自分の子供を一生懸命になって何とか高等学校を卒業させようとした親の気持ち、そういうものを考えたときに、こういう裁判ざたにしなければならないというほどの問題が起きているということは、一体、これはどういうことだとお考えでございましょう。私は、これを読みましたときに、非常にショックを私自身が受けたわけなんでございます。こういう問題が起きることについて、一体、どこに原因があるとお考えでございましょうか、その点を承りたいと存じます。
#106
○政府委員(岩間英太郎君) 私もその新聞記事は拝見したわけでございますけれども、まあ普通の高等学校に入学させたことがやや無理だったのじゃないかというのが率直な意見でございます。したがいまして、そういう方を収容して教育の効果があがるような、養護学校の高等部でございますとか、そういうふうな特別の教育をする必要がこの方についてはあったのじゃないかというふうなことが率直な感想でございます。
#107
○萩原幽香子君 無理であったということになるといたしましても、こういうところへ入れようとした親の気持ちでございますね、こういうことを考えますと、やっぱり高等部の拡充計画というものは必要なんではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。そういう点につきまして、そうしてまた、そういう高等学校ではどういったような内容のものを考えたらよろしいのか、そういう、何といいますか、今後の目標、あるいは今後のお考え、そういうものがあれば、お聞かせをいただきたいと存じます。
#108
○政府委員(岩間英太郎君) これは、普通の高等学校と同じような中身でございましたら、おそらく非常な無理があるのじゃないかということでございます。したがいまして、その内容、経路というものは、その障害にふさわしいものにしなければならないということは言うまでもないことでございますけれども、その際に内容をどうするかと申しますと、これは社会に出てひとり立ちできるということがやはり基本ではないか。社会に出てひとり立ちできる限度において教育内容をほかの高等学校とは違った形でやっていくということが適当ではないかというふうに考えております。
#109
○萩原幽香子君 もう大臣がお出かけいただく時間でございますから、この問題について、教育を受ける権利というのはだれにもあるわけでございますから、身障者の教育はどうであればいいかと、こういうことについて大臣の御意見を承って、大臣、どうぞ衆議院のほうにお出ましをいただきますように。
#110
○国務大臣(高見三郎君) この問題は非常に深刻な問題だと私は受けとめております。御承知のように、子を持つ親の立場からいたしますと、世間さま並みの教育をしたいとお考えになるのは無理のないことであります。これは、極端に言えば、裁判ざたにもなるということでございましょう。しかし、本人の持っておりまする能力というものがとうていついていけないということになれば、むしろ養護学校の高等部というものについて真剣にわれわれが考えてまいらなければならない問題だと思いますが、ただ、私は、教育という観点から申しますると、ついていけるいけぬは別な問題として、普通の子供さんと一緒の立場に置いてあげたい、区別のない状態に置いてあげたいということが私の願いであります。これは、その子供の能力が若干劣るといたしましても、一番大事な問題は、やっぱり社会人として共通の意識のもとに社会生活が営まれる状態をつくってあげることが何よりも好ましいことであると思うわけでありまして、これはまあその人その人の事情にもよりましょうけれども、できることならばそういう形の学校、学校自体もそれだけの理解をもっての教育をやっていただきたいと思うのでありまして、ただこの項目ができないから留年だというような木で鼻をくくったような態度は必ずしも望ましい姿じゃないと考えておるわけであります。
#111
○委員長(大松博文君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#112
○委員長(大松博文君) 速記を始めて。
#113
○萩原幽香子君 この問題の中で私も非常に考えさせられましたのは、学校側と親側との意見の対立の接点といいますか、それが、実は、留年と言われてもすでに体力が限界にきており、これ以上無理な学業は続けさせられないという場合で、しかもこれは三年でございますね。そういうときだからこそ、親は、何とかこれを卒業させてやってもらいたいという願いでございますね。ところが、校長さんのお考えは、やっぱりいろいろ単位を残しているのだからこれは留年させるべきだというごく一般論的な考え方の上にお立ちになっていらっしゃる。この間で一体これはどういうふうに考えていくのがほんとうに教育という立場からいってよろしいのでしょうか、この点、局長さんの御意見を承りたいと存じます。
#114
○政府委員(岩間英太郎君) 率直なところ、私はむずかしくてわかりません、どういうような方法をとったらいいかということは。ただ、実際に高等学校を出ましても、そういうふうな高等学校の資格を生かせないというふうなところにからだのほうもきておるというふうなことを伺いますと、まあこれは形式的なことにはなりますけれども、卒業というふうなことを認める場合もあってよろしいのじゃないかというふうな気もしないことはございません。
#115
○萩原幽香子君 これはほんとうにたいへんむずかしい問題だと私も思いますけれども、しかし、留年をさせるということは、結局、留年をさせることによってその学生があらためて卒業できるという条件を与えるということに意味があるのではないか。そういうことになりますと、もう体力の限界があってこれはどうしようもないのだというときに、三年になった子供をあらためて留年をさせるということについては、私も割り切れない感じがするわけでございます。しかし、この問題につきましては、きのうが第一回の口頭弁論でございましたから、二回、三回とございますでしょうし、私は、文部省といたしましてもやはりこの行く末というものをしっかり見守っていただいて、そしてこういったような身体障害者の教育というものは、一体いかにあればよろしいかということを十分御検討をいただきたいと、こういうふうに考えるわけでございます。
 質問を続けさせていただきます。身障者の就労状況というのはどういうふうになっておりますか、承りたいと存じます。
#116
○政府委員(岩間英太郎君) 身障者の就職を特別に保護するような法律がちょっと題名を忘れましたがございまして、たとえば、文部省でございましても、ある一定のパーセンテージ以上は身障者を採用しなければいけないというふうなことになっておるように聞いております。いま盲聾唖学校の例でございますと、これは就職は一〇〇%やっておるようでございます。あとの方の問題でございますが、特に肢体不自由児で重症なもの、あるいは精神薄弱で重症なもの、そういう方につきましては、これは厚生省のほうの話を聞きますと、施設のほうでお預かりしておって実際には社会に出ていくことができないというふうな状態の方が非常に多いというふうに伺っておるわけでございます。
#117
○萩原幽香子君 盲聾学校の高等部なんかを出られたような人ですと、大体、どういうところへ就職をして、いま現在どういうようになっているかということは、文部省としても把握をしておかれる必要があるのではございませんでしょうか。そういうことについて何かこういう明るい状態が出ているというようなものがありましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
#118
○政府委員(岩間英太郎君) 盲学校の場合には、はり、きゅうと、あんまと申しますか、マッサージ関係でございますか、そういうところに大部分が行っておられるというふうなことを伺っております。それから聾の方は、理容でございますとか、あるいは単純な作業あたり、それから養鶏、そういうようなところに出て非常に効果をあげているというふうなことも聞いておりますけれども、社会の様子がどんどん変わってまいりまして、実際に学校で先行きのことを考えながらやりましても、どうしてもズレが出てまいります。私どもは、できればそういう身障者に対しましては一定の職業を将来国として確保するというふうなことが望ましいというふうな気がしておりますけれども、現在のところは、学校のほうでいろいろ苦労いたしましても、それに合った職業をさがすのにいま非常な苦労をするということを聞いておるわけでございますが、この問題もなかなかむずかしい問題でございます。社会復帰ということになりました場合には、ただいまは人手不足でかなりのところにいっておりますけれども、まあ人手が足りるようにかりになった場合には一番先に排除されるのはこういう方々じゃないか。そういう点で、何かほんとうに必要な職業を確保すると申しますか、そういうことも将来は必要になってくるのじゃないかというふうに考えております。
#119
○萩原幽香子君 こういう人たちのいわゆる授産事業と申しますか、そういうもの、あるいはまた、いわゆる健康な方の生涯教育に見合うようなそういったようなものについて、文部省としてはどういうふうにお考えでございましょうか。
#120
○政府委員(岩間英太郎君) 私どもとしましては、学校教育をあずかっている立場からいいまして、学校教育においてできるだけ社会に出ました場合に社会に適応していけるような方法を考えていかなければならないというのが基本的な考え方でございます。しかし、ただいまも申し上げましたように、そのほかの方と比べますと非常に弱い立場にあるということ、したがいまして、そういうふうな将来の職業の確保については、ある程度社会というものが好意的に職場を確保し、また、それを荒らさないというようなことも必要なんじゃないかというふうな感じがするわけでございますけれども、これはまた文部省限りの問題ではございませんで、なかなかむずかしい問題でございます。私どものほうは、学校のほうでできるだけ社会に出た場合の適応性を養うというふうなことにつとめてまいりたいというふうに考えております。
#121
○萩原幽香子君 たいへんむずかしい問題だとは思いますけれども、やっぱり身障者に生きる喜びを見出すような、そういったようなあり方をぜひ学校教育の中でも検討していただきたいと思いますし、ただ学校を出たらそれで以上終わりというのでは教育者のとるべき立場ではないと私は考えます。ですから、最後までこういう人たちがほんとうに喜んで生きていけるようなそういったような指導を最後の最後まで見ていくということこそ大事なことではなかろうかというふうに思います。そこで、局長さんもそういう面ではたいへん御苦労をいただいておりますようですし、また、今後もそういうふうにやっていただく御計画のようでもございますので、この点はあらためて私のほうからお願いを申し上げておきたいと思います。
 それで、最後に公害問題についてお伺いをいたしたいと存じます。
 文部省が公害の実態調査の結果を四十六年の四、五月ごろに発表するという旨のお答えが六十四国会でございましたが、その調査結果を、騒音、大気汚染、それから通学途上の危険等といったような項目別に小中学校別にお示しをいただきたいと存じます。
#122
○政府委員(安嶋彌君) 学校公害の実態でございますが、調査を実は文部省は二回やっておりまして、最初にやりましたのが昭和四十二年度でございます。この調査対象校は四万四千校ございまして、そのうち、何らかの被害を受けておるとしている学校が二千校でございます。それから四十四年度にやりました調査でございますが、これは調査対象校が三万五千校ございまして、被害があると報告をいたしておりまする学校が三千校でございます。
 四十二年調査の内容でございますが、被害があるという報告をいたしました約千九百校のうち、約七〇%の千三百校が騒音による被害を訴えております。そのうち、騒音源といたしましては、やはり航空機が一番多いのでございまして、これが二五%、それから自動車が二三%、ほかに軌道その他がございます。それから次に大気汚染でございますが、これが全体の約一四%でございまして、二百七十校にそうした被害があるという報告がございます。その他の公害といたしまして、騒音、大気汚染、そうしたものの複合したものが約三百校、一六%あるというのが四十二年度の調査結果でございます。それから昭和四十二年度の調査結果は、これは幼稚園、小学校、中学校、高等学校につきまして管理局の指導課が行ないました調査の結果でございます。
 それから四十四年度の調査は、これは官房の統計課で実施をいたしましたものでございまして、小中学校だけの調査でございますが、被害があるという報告をいたしましたものが三千七百校でございまして、そのうち、航空機による騒音被害があると申しますものが約八百三十校、それから自動車による騒音被害があると申しますものが約千二百校、軌道の騒音による被害があるものが約三百八十校、その他でございます。それから大気汚染による被害があるというものは約八百校でございます。ただし、この被害校数は、これは二つ以上の被害があります場合にはそれぞれ一校として数えておりますので、実数といたしましては約三千校ということでございます。
#123
○萩原幽香子君 これは、指導課でなさったという場合、統計課でなさったという場合、どこへさしてなさったのでございましょう。たとえば、学校の校長さんに対して資料を提出さしたと、こういうことなんでございましょうか、それとも、客観的な何か違った形でこういう調査をなさったのでございましょうか。
#124
○政府委員(安嶋彌君) これは教育委員会を通じまして校長の判断によって報告をさせたものでございます。
#125
○萩原幽香子君 そういたしますと、校長さん方がおやりになる場合には、かなり主観的なものが入るということになりますので、もう少し客観的な調査をというようなお話があったかと思うのでございますが、その結果を私はお聞かせいただきたいと、こうお願いしているわけなんでございます。
#126
○政府委員(安嶋彌君) おっしゃるとおりでございまして、従来の調査は、校長の主観による判断がおもなわけでございますが、どういう程度のことをもって被害があるとするか、あるいはその被害をどういう形で客観的に測定するかということが問題なわけでございますが、そうした点につきましては、実は現在検討中でございまして、騒音、大気汚染その他につきましてすべてその基準あるいは測定方法がきまっておるということではございません。現在、たしか、委員会を設けてそうした測定方法等について検討をいたしておるという状況でございます。
#127
○萩原幽香子君 これはたしか昨年の四月ごろに発表いただけるといったのがそれであったのじゃなかろうかと私は記憶をしているわけでございますが、もし私の記憶違いでございますならば、いま客観的に検討していらっしゃいますそういう調査結果というのはいつごろ出るわけでございますか。
#128
○政府委員(安嶋彌君) 御承知のとおり、騒音にいたしましても、大気汚染にいたしましても、文部省だけの問題でも必ずしもないわけでございまして、環境庁というお役所もできたわけでございますので、そうしたところと十分打ち合わせをいたしました上でなるべく早い機会にそういうものを確定いたしたいというふうに考えます。
#129
○萩原幽香子君 それでは、これからということでございましょうか。まあできましたらなるべく早くこうした資料をいただきたいというふうに考えます。
 公害が授業に及ぼす影響ということでございますが、たとえば生徒の性格に与える影響、こういうものについて文部省として調査をされたことがございますでしょうか、もしあればお伺いをいたしたいと存じます。
#130
○政府委員(安嶋彌君) 航空機騒音につきましてそういう調査をやったことがあるそうでございますが、必ずしもその結果が定量的には出てこないということでございます。
#131
○萩原幽香子君 たしか、昨年でございましたか、文教委員会から調査に参りまして、それは尼崎のほうに私たち参りましたのでございますが、そのときにいろいろなことを私も聞かされて参りまして、少し統計的にそういう調査がほしいというお願いをして帰ったのでございますけれども、まだ私もそれをいただいておりませんが、いろいろやはり性格的な問題とかあるいは授業の上に影響があることは確かなようでございますね。ですから、そういうものについてやはり一応きちっとした調査をしていただくことがよろしいのではなかろうかと思います。そういうものもあわせまして調査をお願いしておきたいと思います。
 それから文部省の公害対策についてお伺いをするわけでございますが、文部省の補助というのが運輸省や防衛施設庁に比べまして悪いわけでございますね。その悪いというのは、どういう理由でございましょうか。
#132
○政府委員(安嶋彌君) ただいま御指摘の点は補助率のことかと思いますが、御承知のとおり、防衛庁は、基地関係の騒音の対策につきまして措置を講じておるわけでございますが、防衛施設周辺の整備等に関する法律というのがございまして、補助率が地方団体の財政力にもよりまするけれども十分の十から十分の七・五ということになっております。それから運輸省関係といたしましては、これは羽田、伊丹等の国際空港が中心のようでございますが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というものがございまして、補助率が十分の十ということで措置をされておるわけでございます。これらは、いずれも、何と申しますか、いわばその加害者、原因者による補助と申しますよりは、むしろ補償と言っていいかと思いますが、そうした種類のものでございます。したがいまして、補助率もかなり高額なものになっておるわけでございますが、文部省関係の一般の公害の補助率は、御承知のとおり、四十六年に公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律というものが出まして、公害対策基本法十九条の規定による公害防止地域で、かつその防止計画に基づいて実施される事業につきましては、小学校が二分の一、中学校が三分の二の国庫補助をするということがこの法律に基づく政令で定められておるわけでございます。実は、この政令は、小学校に対する補助率が三分の一でございました当時二分の一というふうに決定されたわけでございまして、今回ただいま御審議をいただいておりまする法改正によりまして小学校の校舎の補助率を三分の一から二分の一に引き上げることが確定いたしますならば、私どもは、自治省、大蔵省とも折衝いたしまして、これを中学校と同じように三分の二に引き上げるように検討努力をいたしたいというふうに考えております。運輸省やあるいは防衛庁の補助率は、全体の公害と申しますか、その扱い方が違うものでございますから、三分の二という補助率ではございますが、そうした方向に努力をいたしたいというふうに考えております。
#133
○萩原幽香子君 たいへん御努力をいただいていることはありがたいわけでございますけれども、教育を受ける側から考えますと、発生源のいかんにかかわらず、同じような被害を受けるということについては同じじゃないかと私は考えるわけでございます。ところが、飛行機なんかの場合でございますと、そういうふうに十分の十とか百分の七十五といったようによろしいわけですが、文部省のほうからいただくのは、これは審議をしてもらってそれが通ればそれから大蔵省とも折衝をしてと、こういうことで三分の二ということでございますが、ここで私が特にお願いをしておきたいのは、どのような影響があるかということのはっきりとした資料をつくっていただきまして、それを示していただければ、もっとその率というものは上げてもらうことができるのではないか。教育というものがほんとうに阻害されているのだから、だからこそこうしなければならないということになるわけでございますから、私が先ほど申しましたように、こういった授業に影響はこうあるのだ、子供の性格の上にこう出ているのだ、こういう資料をはっきりとまとめていただいて折衝に当たっていただくことがよろしいのではないか、こう思います。ちょうど大蔵省がいらっしゃるわけでございますからお尋ねをいたしますけれども、どちらも三分の二にするということについては、大蔵省としてはこれはもう文句なしにやっていただけるのでございましょうね、いかがでございましょうか。
#134
○説明員(青木英世君) いま管理局長からお話がございましたように、法律上は公害対策基本法の場合には義務教育諸学校の施設については二分の一以上三分の二以内ということになっておりまして、その範囲内ではいわば政令にまかされておりますので、いま御審議いただいております施設費負担法というものが通りましたら、十分おっしゃるような方向で検討させていただきたいと思います。
#135
○萩原幽香子君 終わります。
#136
○委員長(大松博文君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後三時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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