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1971/05/30 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 文教委員会 第7号
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1971/05/30 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 文教委員会 第7号

#1
第068回国会 文教委員会 第7号
昭和四十七年五月三十日(火曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大松 博文君
    理 事
                久保田藤麿君
                楠  正俊君
                宮之原貞光君
                安永 英雄君
    委 員
                金井 元彦君
                志村 愛子君
                内藤誉三郎君
                中村 登美君
                永野 鎮雄君
                濱田 幸雄君
                宮崎 正雄君
                秋山 長造君
                片岡 勝治君
                鈴木美枝子君
                内田 善利君
                矢追 秀彦君
                萩原幽香子君
                加藤  進君
   国務大臣
       文 部 大 臣  高見 三郎君
   政府委員
       文部政務次官   渡辺 栄一君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部大臣官房審
       議官       奥田 真丈君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
   説明員
       建設省計画局宅
       地部宅地政策課
       長        関口  洋君
       建設省計画局宅
       地部宅地開発課
       長        川上 幸郎君
       建設省住宅局日
       本住宅公団首席
       監理官      福地  稔君
       自治大臣官房企
       画室長      横手  正君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○義務教育諸学校施設費国庫負担法及び公立養護
 学校整備特別措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大松博文君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 義務教育諸学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続いて質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○宮之原貞光君 まず、本議案とは直接関係ないことでございますけれども、きわめて重要なことでございますので、大臣にお聞きをいたしておきたいと思います。
 それは、新聞によりますと、中教審の新しいメンバーについて、きょうの閣議で決定をしたとかするとか報ぜられておるわけでありますが、これは新聞の報ずるように事実であるのかどうか、まずお答え願いたいと思います。
#4
○国務大臣(高見三郎君) それは事実でございまして、けさの閣議で承認されました。
#5
○宮之原貞光君 そういたしますと、新しい中教審の委員のいわゆる任務というものはどういうことになりますか。
#6
○国務大臣(高見三郎君) ただいま予定いたしておりますテーマは、学術文化の国際交流についてこの委員会に諮問をいたす予定でございます。
#7
○宮之原貞光君 これまた私どもは新聞記事しか知らないわけでございますが、文部省は、しきりに、今度の委員は、悪評をこうむったところのいわゆる養老院的な委員ではなくして、若返ったんだということで宣伝をされておるようでございますが、委員の選考にあたっての視点と申しますか、それはどういう観点からそういう委員をお選びになったのか、お聞かせ願いたいと思います。
#8
○国務大臣(高見三郎君) 学術文化の国際交流という問題になりますと、できるだけ国際的視野の広い人を選びたいということが一つの大きなねらいであったのであります。そこで、国際的視野というものを考えますというと、どうも、九期までやりました中教審の答申が、皆さんの御批判になるように、ややもすると官僚的作文になるということであった。これではいかぬので、相当強い反対の御意見も出してもらったほうがいいという意味で、労働界からも、あるいは作家の中からも、いろいろな文化人を加えまして、非常に幅広い範囲で委員を求めたい、こういうつもりで発足したのであります。
#9
○宮之原貞光君 新聞は、きょう最終的にきめられたところの委員の選考の過程の中で、たとえば、いま大臣がおっしゃったところの労働界からは太田薫君、あるいは国立大学関係からは東大の加藤学長等とも一応折衝されたけれども辞退をされたと、あるいはまた、一橋大学の都留学長も何か辞退を表明されておるとか云々と、こういうふうに報ぜられておるわけでありますが、そういうことは事実なのかどうか。また、事実とすれば、辞退をされておるところのその人々の真意をどのように文部大臣は御理解されておるか、お伺いをしておきたい。
#10
○国務大臣(高見三郎君) 一橋大学の都留さんは、最初、参加いたしますということであったのでありますが、大学学長に就任されますときに教授会に約束を表明されましたのが、大学の経営管理に専念するという意思表示をされております関係上、教授会、評議会にかけました結果が、大体半分半分で就任してもよかろう就任しないほうがよかろうという御意見だから、この際は約束どおり自分は大学の管理運営に専念をいたしたいと。昨日の午後まで会議をやられまして、とうとうこの際は御辞退を申し上げると。それからまた、加藤学長は、これは私も初めからやや困難じゃないかと思っておりました。やや困難じゃないかと思っておりましたのは、加藤学長が、自分はこの問題については反対の意思は毛頭ない、むしろ積極的にやりたいと思うのだが、大学の学長という立場でやることはどうもぐあいが悪いと。だから、私の任期は来年の三月一ぱいなんだから、任期一ぱいまでは学長として専念させてもらいたいと、こういう御意見でございました。それから太田さんについては、私も電話で話し合ったのですが、第九期の中教審の答申について批判をしてあれを練り直すというなら出るけれども、あれはあれでこれはこれだというのであっては出られないということでございましたが、私は、第九期の答申はすでに私どもが受けております。受けておりまして、これをどう実行に移していくかということがいま私どもに課せられた仕事だと、こういうふうな考え方をしております。したがいまして、今度の学術文化の国際交流というテーマの中で第九期の答申を再検討するというようなことは私どもとしてはお約束できない。すでに答申をいただいておって、今度は行政庁で処理する段階になってきておるわけでありますから、そのいずれをとるかというようなことは、これは国民の皆さんの御意見も伺わなければなりませんけれども、それが新中教審のテーマであると私は考えておりませんと、そういうようにお答えをいたしました。それじゃ自分は出られないということで、私は非常に期待をしておったのでありますけれども、太田さんはそういう事情で御辞退になりましたというふうな関係があるわけであります。
#11
○宮之原貞光君 そういたしますと、これらの辞退をされた方々のまた補充をされたわけですか、それとも、よく言われておるところの見切り発車をされたわけですか、どちらですか。
#12
○国務大臣(高見三郎君) 御承知のように、委員会は二十名以下でやることになっております。現に、第二期でありましたか、委員会が十七名で発足している場合もあります。十九名で発足している場合もあります。そういう関係で、一応この辺で出発をするということにいたしました。いたしましたが、いま私はやっぱり太田さんだけはぜひ入っていただきたいなという気持ちは依然として持っております。依然として持っておりますが、どうでもいやだとおっしゃるのを無理にというわけにもまいりませんので、見切り発車とおっしゃいますけれども、この辺がいいタイミングじゃないかというのできょうの閣議で承認を得た次第であります。
#13
○宮之原貞光君 まあ世間で言われておるところの見切り発車がされたということはあったわけでありますが、こういう経緯の中で今度の人選に当たった過程において大臣はどういうような反省と申しますか御感想をお持ちであるか、もしおありだったら参考のためにお聞かせをいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(高見三郎君) これは、私ども、委員の予定をいたしましたときに、私は総理の内諾を得る必要がありました、こういう名簿でございますと。しかし、この中には三、四人は必ず断わられる方があるだろうという予測をいたしておりましたから、これはまだ流動的であるということを申し上げて内諾を得た次第であります。ただ、私は、何とかして教育文化の国際交流という場に労働団体からの代表を送っていただきたいという気持ちを持っておったのでありますが、これは滝田さん一人がお入りになるという結果で、太田さんに辞退されたということは、私としてはいかにも残念なことだと、こういうふうに考えております。
#15
○宮之原貞光君 この問題は、ここでそう長く議論をしておる問題じゃありませんから、これでやめますけれども、大臣が、事教育の問題ですから、幅広い立場から人選をされようとしたところの意図については私もよく理解できるのでございますが、やはり問題は私はその場合の選考のしかた――意図はわかったけれども、選考のしかたに、手だてと申しますか、しかたというか、そこに問題があったのじゃないだろうかとこの問題を見ております。たとえば、労働界からでしたら、同盟並びに総評という舞台があるわけですから、一直線に個人を指定するよりも、こういう適切な人があったら君らひとつ推薦をしてくれぬかと、こういうことで複数の人をある程度推薦してもらってその中から選ぶというふうに、それぞれのほんとうに団体の意向をあなたのおっしゃるところの教育問題に反映させたいとするならば、そういう配慮をしてこそ、民主的にしかもみんなの合意を得られるような人選ができると思います。そういう観点から考えますれば、端的に申し上げさしてもらうならば、若干評判の悪かったところの前の委員にこりて、意図としては幅広く若返りさせようとしたけれども、どうもそのやり方は旧態依然たるものがあるということを私は率直に感じておるのであります。今後の問題もあると思いますが、そういうところまで一歩進めるならば、さらに大きく一歩を進めて、ほんとうに各界の意見が反映されるような人選ができるような配慮と申しますか、運営と申しますか、それをやられたほうがいいのではなかったろうかということを私は強く感じておりますから、この機会にそのことだけを申し上げておきたいと思います。
 それでは、本議題に入りまして、最初に、私は、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案と関連をいたしまして、学校統合問題につきまして若干お聞きをしておきたいと思います。
 中教審の答申の中に、「教育の機会と教育条件の保障に関する総合的な施策」という表題があります。それで、その冒頭に、「すべての国民に対してその能力に応ずる教育の機会を均等に保障するとともに、教育条件にいちじるしい格差が生じないよう措置する」云々と、こういうことが述べられておるわけでございます。したがいまして、私は、こういう見出しとそれから冒頭のあれから見て、「教育条件にいちじるしい格差が生じないよう措置」云々と、こうあるから、たぶん、今日大きな社会的な問題になっておりますところの過疎過密の地域の問題に対しますところの教育上の条件整備の配慮というものもあるのではないだろうかと、こう期待をして中を読んでみますれば、私学とか後期中等教育とかあるいは就学前教育の問題だけが触れられておって、肝心のその問題に触れられておらないことに対して私は非常にがっかりしたわけでございますが、申し上げるまでもなく、今日いわれておるところの過疎過密という現象は、政府が一貫してとってきておるところの高度経済成長政策のひずみによってもたらされておるということは、これはもう明白な事実でございます。それだけに、私は、この問題をそのまま放置しておくわけにはいかない。そういう立場から考えてみますれば、一体、文部省としては、過疎地域に対するところの教育行政の基本的な考え方と申しますか、施策の基本的な考え方ということをどのように考えられておるか、まずその点をお聞かせ願いたいと思います。
#16
○政府委員(岩間英太郎君) 過密過疎の問題は、御承知のとおり、ただいまの一番大きな問題でございまして、たいへん残念なことでございますけれども、教育の面では、いろいろな社会的な現象の結果を私どもが処理するというふうなことになっておるわけでございます。しかし、教育の立場といたしましては、そういうふうな社会情勢の変化というものに適応して対策を立てなければたらないということは言うまでもないことでございまして、先ほど先生が申されましたように、すべての国民に均等な教育を保障するというのが私どもの基本的な考え方でございます。過疎の問題につきましても、私どもとしましては、そういう事態が決して好ましいというふうな考えではございませんけれども、そういう事態が起きたからには、それに対する教育的な配慮をしていかなければならない、そう考えております。基本的には、先ほど申し上げましたように、すべての国民に均等な教育を保障するという観点からこれに対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#17
○宮之原貞光君 局長はあまりそれでは抽象的過ぎると私は思うんですよ。一体、過疎地域に対して、具体的に、それは予算も関連しますけれども、どういう手だてをことしは重点的にやろう、また、過疎地域対策の教育上の一番のポイントは何だと、こういうふうに考えられて段取りをされておるか、その点をもう少し具体的にお聞かせ願いたい。もう抽象的な答弁は要りませんから。
#18
○政府委員(岩間英太郎君) 過疎地域の一番大きな問題は、これは小規模学校というふうな形で私どもがとらえてまいるようなケースの問題ではないかというふうに考えるわけでございます。小規模学校につきましては、これはいろいろな限界がございまして、たとえば、教職員の配置とか、あるいは施設設備とか、そういうものにつきましてもなかなか困難がございます。それから教育の指導上も、人数が少ないとかいう点から限界がございます。そういう意味から申しまして、小規模学校を存続するといたしました場合には、これに対していま申しましたような障害をできるだけ取り除いていくということが必要ではないかというわけでございます。それからもう一つは、先生も御指摘になりましたように、学校の統合というものが推進されます場合には、それに応じた必要な措置をとっていく。まあ二つの行き方があるのじゃないかと思います。
 前者の場合には、教職員の定数につきましても、ただいま進行中の年次計画の中でも、小規模学校につきましては、学級編制あるいは教職員の配置につきまして特別の配慮をしたつもりでございます。これは先生も中身については御案内と思います。それから教材費等につきましても、五学級以下の学校につきましては普通学級よりも割り増しをかなり強くしているということがございます。それから学校統合の場合には、これは建物の面ではもちろん必要なめんどうは見るわけでして、そのほかに、スクールバス、ボート、あるいは遠距離通学費、あるいは寄宿舎居住費、そういうものにつきまして私どものほうでできるだけの配慮をするというふうな方向をとっておるわけでございます。
#19
○宮之原貞光君 私も、過疎対策の一番のポイントは、いま初中局長が答弁されているように、小規模学校に対してどういう手だてをするか、条件の整備をしてやるかということがポイントだと思います。したがいまして、その点では意見は一致するわけでございますが、その上に立ってもう少し具体的にお聞きしてまいりたいと思いますが、まず、その中の学校統合の問題ですね。少なくとも学校統合をする場合にも、その学校統合の結果が、憲法なり教育基本法の根幹でありますところの教育の機会均等、すべての国民は教育上の差別があってはならないという立場を踏まえたものでなければならないと、このように思うわけでありますが、そういう立場から学校統合というものを考えてみた場合に、私は、おおよそ三つの視点が考えられると思うのです。一つは教育上の問題−教育上といっても教育効果の問題ですね。いま一つは通学上のいろいろな問題、さらには父母の経済負担の問題ということがおおよそ考えられるわけでございますが、その中でいま御答弁をいただいておるのは、スクールバスの問題等々、一つだけをお示しになったのですが、いま私が申し上げましたところのいわゆる学校の教育上のいろいろの配慮の問題、あるいは通学上の問題、経済上の問題点で特に皆さんがこれは一番大事なことだと考えられていろいろ行政指導されているところの点があれば、まずそれをお聞かせ願いたいと思います。
#20
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま御指摘になりました三点のうちのまず教育効果の面でございますが、それは、先ほど申し上げましたように、人数が少ないという面でいろいろな制約がございます。たとえば人数が十人以下というふうな場合でございますと、団体的な競技がしにくいわけでございます、体育の場合で申しますと。まあそういう面はございますけれども、また、反面、個人の指導というのはかなりやりやすいというふうな面もあると思います。前に文部大臣をやっておられました灘尾先生も僻地の御出身だったと。その他いろいろ政治家の方で僻地の御出身の方がおられますけれども、まあそういう意味で考えますと、少人数の教育の効果というのはやはりあると思います。その反面、マイナスの面もあるわけでございます。その中で特に指摘をされておりますのは、先生が免許状を持たずに教えるというふうな場合がある。これに対して何とかフォローする方法はないかというような問題でございます。それから養護教諭等の是正の面でございますが、養護教諭等を優先的に配置すべきじゃないかというふうな面がございます。それらを考えまして、私ども、現在進行中の教職員の定数の五カ年計画におきましては、小規模学校につきまして、たとえば養護教諭をある程度優先的に配置するような計画を立てて、それから教員数の割り当てにいたしましてもほかの学校よりも以上に学級担当外の教員が配置できるように配慮する、そういうふうな面をやっておるわけでございます。それから教材の面では、先生も御案内のとおり、前にテレビ等、独自の補助をしていた場合もございますが、これは今度教材費のほうに含めまして、そういうような視聴覚教材等を中心に設備の内容の充実をはかるというような手だてをいたしておるわけでございます。具体的に申しますと、五学級以下の学校では普通学級の一・八倍以上の補助金が行くようになるような手だてをしておるわけでございます。これが教育の効果の面から考えまして私どもがいろいろくふうしている面でございます。
 それから通学の面につきましては、先ほど申し上げましたスクールバス、ボートのほかに、遠距離通学費というものの補助を出しております。それからさらに、実際に通えないというふうな場合、あるいは通うことが非常に負担であるというふうな場合には、寄宿舎をつくっていただきまして、寄宿舎居住費は食費に至るまで無料で、実際に子供にとりましては無料で措置をいたすように私どものほうでやはり補助金を出しております。そういうふうにいたしまして、通学上の問題は、スクールバス、ボート、あるいは遠距離通学費、あるいは寄宿舎居住費というふうなものに対する補助でもって対処してまいりたいというふうに考えております。
 それから最後の父兄の経済的な負担の問題でございますけれども、これにつきましては、たとえば、遠距離通学費とか寄宿舎居住費、これにつきましては、父兄の負担がなくてもよろしいように食費から寝具費に至るまでめんどうを見ていくという点が私どもの父兄に対する負担の軽減ということでございますし、また、御案内のとおり、僻地に対する給食費の特別の補助の制度もございます。私ども、あらゆる角度から申しまして、父兄に負担がかからないように、この点につきましてもできるだけ努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#21
○宮之原貞光君 答弁の限りではなかなかりっぱなことを考えておられるようでありまするが、その文部省のお考えになっているようなとおりに今日の学校統合というものは進められておると、このように皆さん、御理解をしていらっしゃるかどうかということですが、その点はいかがでございますか。
#22
○政府委員(岩間英太郎君) 私ども、最近、過疎化現象の進行、深刻化に伴いまして、学校統合がかなり多数行なわれておるというふうに伺っておるわけでございます。それだけ多数の学校統合が行なわれておりますと、特に以前は私ども考えておりませんでした小学校の学校統合ということまでそれが広がってきておるような実情でございます。したがいまして、そういうふうな多数の学校統合が行なわれるということにつきましては、住民の間の意思の食い違いとかいろいろその地域社会の多少の摩擦が出てくる、それがまた学校の実際の統合に響いてあまりよくない影響を与えるというふうな点、あるいは、かなり大幅な学校統合を行ないますにつきまして、私どもが客観的に見まして少しこれでは無理が起こるのじゃないかというふうな統合も出てくるというふうなことはございます。具体的にどういう点が問題になっているかということは、ちょっと私は実例を存じませんのでお答えできないわけでございますが、こういうふうに学校統合がふえてまいりますと、やはりいろいろな問題が出てくるだろうということは予想されるわけでございます。
#23
○宮之原貞光君 あなた自身、いま御答弁いただいたように、実は必ずしも学校統合が教育的な見地から行なわれているとは言えないと思うのであります。実際に地方を回ってみますと、教育効果をあげるという立場からの学校統合なら私ども反対する何ものもないわけでございますけれども、むしろ、教育的な配慮よりは地方自治体の財政上の問題になっている、あるいは学校統合の問題が一つの政争の具に供されて必要以上の摩擦を生んでいるというところも少なくないわけです。私はここに学校統合の問題に対してもっと積極的な指導というものが行なわれなければならぬところの大きな一つの要素があると見ているのですけれどもね。
 これは一例でございますけれども、私の出身県の鹿児島の囎唹郡に未吉中学校というのがあるんです。この末吉町は、町内の五つの中学校を非常な無理をいたしまして昨年の四月にまず名目統合をした。町内で賛否分かれまして、結局、町長選挙では、学校統合を強行した現役の町長が大敗をする、こういう事態を起こしている。しかし、また、一方では、現実に校舎の建築がどんどん進んでおるために、学校統合というのは既成の事実みたいに強引に推し進められているという事態をここでは生じているんです。当初この問題について統合問題が起きたときに、町当局の統合の理由としては、先ほど局長も指摘をしておったように、生徒が減ってしまうと小規模学校になってしまう、小規模学校では施設設備が悪くなる、あるいは教員組織が悪くなるんだ、生徒の集団的陶冶を行なう場合に不便がある、こういう理由をあげまして強引に統合したのでありますけれども、現実にはそういう結果になっておらなんです。たとえば、五つの中学校には以前はそれぞれ屋内体育館があったわけでありますが、統合しまして一つの体育館になりますから、屋内体育館の利用度というものはかえって非常に不便になってきておる。あるいは特別教室の問題にいたしましても、特別教室の数がきわめて少なくなってきて、むしろ無理に統合してみた場合に施設設備が悪くなってきている、こういう事態を生んでいるんです、教育効果、教育効率の面では。また、通学距離で申しますと、五つの中学校のうちの南之郷中学校という校区があるんですが、これは驚くなかれ片道が十一キロから十八キロあるんです。子供たちは、十八キロから十五、六キロありますと、学校に来るだけで大体その日のエネルギーは消粍し尽くして、学校に来ると居眠りをする、勢い学習意欲が停滞する、教育効果があがらないという事態を現実に生んでいる。しかも、また、そういう距離ですから、下校時を早めなければならない。そうなりますと、勢い学校のクラブ活動なりあるいは教師の個人指導というものが思わしべないという事態を現実に生じておるというのがこの学校の実態なんです。
 もう一つ例をあげますと、同じ県内の姶良郡の牧園中学校というところがあるんです。これは町内の六つの中学校を統合したんです。なるほど、行ってみますと、デラックスな三階建ての、建物だけはりっぱなのがたんぼのどまん中に建っている。しかし、これは、教育上の問題、教育効果の面から見ますと、先ほど申し上げたところの諸点の問題がネックになっているのですね。その上、ここは、バスがあるんですけれども、いわゆるバスの時間帯の関係上、四時二十分までにバスに乗らなければ一番遠いところの自宅には着かない、こういうことですから、学校の授業は四時までにはすべて終わらなければならないという事態を生んでいるんですね。その通学バスに乗っておるのは、生徒の約三分の一なんです。人数にしまして四百三十名がいま申し上げたのに該当している。それからまた、一方、自転車通学の子供も相当おるわけですけれども、これはずっと日本の端のほうですから、道路も整備されておらない、砂利の道が多い。御承知のように、あの辺は、いわゆる火山灰地帯ですから、道が荒い。そういうことで、この通学生にはけがが非常に多いという事態を生んで、実は先生方も頭をかかえておるというのが実態なんですね。昨年の四月から十月までの約七カ月間でもこの通学生でけがしたのが二百二十八名、そのうち病院に入ったのが十六名の多きに達しておるのですね。このバス代は、年間、八月を除きまして、七千七百円ですけれども、町費から二千二百円の補助がありますけれども、あとは父母の負担だと、こういうのが実例なんですね。
 いま私が申し上げましたのは、これは決して特殊のケースじゃないんです。過疎といっても、鹿児島では比較的恵まれたところの地帯の統合学校の状況なんですね。したがって、統合によって、さっきあなたが御答弁なされたように、教育効果もあがる、あるいは通学者のいろいろな問題点もたいして支障がないし、父母の負担にもそう大きくかからないというならいざ知らず、こういうようなことが学校統合という大義名分のもとにどんどん進んでおるというところに私は大きな問題があると思う。したがって、これは、一歩突っ込んでみれば、六つの学校よりも一つの中学校のほうが財政的にどうだという財政上の問題だけからこの問題が考えられておるところに私は大きな問題点があると思う。一体こういう事態に対して、大臣はどういうふうに見ておられるのか。あるいは、いわゆる学校統合の問題は、方針さえ出せばもう地方の教育委員会なりあるいは地方自治体にまかせればいいんだという形で野放しにされておるのじゃないだろうか。この面について、ほんとうに学校統合にふさわしいような学校統合をやるような積極的な指導をされておるのかどうか、そこのところを私はやっぱり明確にしてもらななければ困ると思う。そういう観点からこの法案を見ますと、いわゆる統合予定校にまで今度は補助をするというわけでしょう。その精神はいいとしても、無条件に予定校にまでどんどん国庫負担をふやすのだということになれば、ますます教育的な立場というよりも財政上の見地を重視するところの統合を地方自治体が進めやしないかということについて私は非常に危惧を持つものなんです。したがって、そこらあたりを一体皆さんとしてはどう考えて処置をされようとしているのか、もう少し具体的な御答弁をお聞きしたいのですがね。
#24
○政府委員(安嶋彌君) 学校統合につきましてただいま宮之原先生から御指摘がありましたような問題があるということは、確かに事実でございます。学校統合のねらいは、初中局長も申し上げましたように、一つは教育水準の向上ということにあろうかと思いますが、他面、学校経営の合理化と申しますか、あるいは町村財政の改善という観点のあることも、これは争えないところでございます。かつまた、合併町村におきましては、住民意識の統一化と申しますか、それを一つにするために、従来格差があった学校を統合したいという動きもあるようでございます。が、その統合を進める過程におきましてただいま先生がおっしゃったような傾向がございまして、まさしく御指摘のように、鹿児島県のその具体的な二つの例だけではなくて、全国に各県に一つ二つは同じような事例があるようでございます。私どもは、学校統合がそういう経営上の観点だけから推進されることがないように指導はいたしておるつもりでございますが、御指摘のこともございますので、さらに教育的な観点というものを重視してこの事業を進めるように今後さらに指導をしてまいりたいというふうに考えます。
 それから法案に関連することでございますが、今後は統合予定校についても補助をしたいという改正を御提案申し上げておるわけでございまが、従来は、その統合が完了したと、つまり名目的な統合が過去形になったという形のものについてしか補助を認めていないわけでございますが、こうしたやり方でございますと、通常統合には二、三年要するわけでございますが、その間一人の校長が距離的に相当ばらばらに離れております数校の学校のめんどうを見なければならないというようなことで、学校の管理運営上非常に問題がございます。そこで、今回は、条例あるいは教育委員会規則等で統合が明確に決定され、同時に、その統合の時期というものが明示されておるような場合、かつまた、そのことについて住民の了解が得られておるような場合、そういう場合に限って予定統合に対しましても補助をしたいということでございます。この審査の過程におきましては、ただいま御指摘のような点は十分踏まえて今後審査に当たっていきたいというふうに考えます。
#25
○宮之原貞光君 答弁の限りでは私から反論することはないんですけれども、ただここだけのお座なりの答弁であってもらっては困るんです。文部省は、普通、いままでの例なんだけれども、何もかも都合が悪いと、これは地方教育委員会や県教委の自主性にまかせるんだと、こう言って、自分がやらにゃならぬ場合にはその自主性を頭から押しつけさせておるというのが、私の知る限りの文部省の指導態度なんです。少なくとも、この統合問題は、こうして国が補助をして進めようということなんですから、それならば、ほんとうにこの学校統合が教育的な立場、教育上の効果をいかにしてあげしめるか、こういう観点はあくまでも貫いて、むちゃな統合にはちょい待ちをかけるぐらいの相当強い指導力を発揮されてもいいんじゃないかと思う。したがって、私がここで強く要請をしておきたい点は、もう少し積極的に学校統合の問題については文部省は教育委員会と話を進めていただきたい。進めるというのは、いわゆる教育的な見地の問題なんですよ。そのことをまずつけ加えて申し上げておきたいと思います。続いてお尋ねしなければならないのは、先ほどの初中局長の答弁とも関連をしますが、今度は、統合したくても統合できない僻地、離島というのかありますわね。これは、当然、先ほども答弁があったように、定数の問題が一つの大きなポイントだし、あるいは教材の問題だと思うんですけれども、特に九州全体を考えてみますと、中学校の場合、二学級、一学級というのがわりに多いんですね。これは統合したくてもできない、一つの僻地なり離島というところから。こういう点を考えてみますれば、これまた先ほども申し上げたように、定数の問題なりあるいは施設設備に対して積極的にやはりこの面では国のあたたかい手を差し伸べて、いわゆる教育の機会均等というものが文字どおり行なわれるような配慮と申しますか、そういうことはやっておいていただきたいということをあわせて申し上げておきます。
 いま一点お尋ね申し上げたい点は、寄宿舎の問題なんですね、先ほども触れられた。私の手もとにあるところの資料では、中学校の寄宿舎は全国で五百四校、うち二百九十九校が豪雪地帯のいわゆる冬季学校といわれておるところのもの、二百五校が通学距離の遠いためのもののようでございますが、大体その数字に中学校の場合は間違いないものかどうか、その点をお聞きいたすことと同時に、特に私はこの寄宿舎の問題は過疎地域におけるところの学校統合の問題ときわめて関係の深い問題でありますだけに、子供の通学距離、父母の財政負担というものを考えてみた場合には、寄宿舎制というものについては相当考えていく必要があると、こう見ておるのですが、その場合に、この寄宿舎の建築に対するところの国庫補助の問題なんですね。この法案を見てみますと、同法の三条第一項の七号に関係をしていわゆる公立学校の建物で構造上危険な状態にあるという改築のみ、それから新築の場合は第三条一項五号による盲聾学校の建設の問題だけが補助の対象のようにも見受けられるのですが、そうじゃなくして、いわゆる新築云々という場合も普通の公立学校の場合もこれは補助の対象になってくるという形になりておるのかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
#26
○政府委員(安嶋彌君) 法制的にはただいま御指摘のとおりでございますが、予算上の補助といたしまして四十一年度以来小中学校の寄宿舎の新増築に対する補助をいたしております。四十六年度の実績を御参考までに申し上げますと、三十八件、面積にいたしまして一万八千七百三十平米というものが補助対象になっておるわけでございます。法律的には、ただいま御指摘のございましたように、特殊学校の寄宿舎等、学校教育上必須のものについては法律上の補助対象とするということでございますが、小中学校の寄宿舎につきましてはこれは一般にそうしたものがあるということではなくて、御指摘のとおり、僻地の小規模学校に限定されてあるわけでございます。そうした関係上、法律上の補助対象からは除外いたしておりますが、ただいま申し上げましたように、四十一年度以来、公立小中学校僻地集会室等の新増築事業という予算事項の中におきまして執行上予算補助をいたしておるということでございます。
 なお、御参考までに申し上げますと、補助率は二分の一でございますが、過疎統合、あるいは離島特別、豪雪地帯等におきまする小中学校の寄宿舎につきましては三分の二の補助をいたしておるという状況でございます。
#27
○宮之原貞光君 どうもそこがわからないんですよ。予算の執行上はやっておると。しかし、法律にはないというんですね。今度、改正の中に、学校統合の問題、僻地の対策の問題と、教育上の配慮をするというのはきわめて大事なことだと思うのですけれども、それは今度はいじらなかった。しかし、予算の実際はやっておるという御答弁なんです。やられなかったところの理由は何ですか、そこをお聞かせ願いたい。
#28
○政府委員(安嶋彌君) 法律上の負担制度は、これは公立学校の施設の全体についてこれを補助対象、負担対象にするということではなく、最大公約数的にどこの学校でも必要だというものを補助対象にするというたてまえでございます。繰り返しになりますが、小中学校の寄宿舎というものは、ただいま申し上げましたように、きわめて限定された地域においてのみ設けられるものでございますので、法律上の補助あるいは負担の対象としなかったということでございます。もちろん、御指摘のとおり、これをしていけないという理由は私はないと思いますけれども、そうしたまあ特殊なというか部分的な事態でもございますので、実行上の問題として処理しておる、こういうことでございます。
#29
○宮之原貞光君 どうもそこがわからないのですがね。たとえば、この法律以外に、豪雪地帯対策特別措置法というのがありますね。これの十五条二項一号には、確かに新築の場合には豪雪地帯は三分の二という補助がありますね。あるいは過疎地域対策緊急措置法を見ますと、十条には、教職員の住宅の補助が三分の二とある。しかしながら、肝心な寄宿舎といろんな新築の場合のものは、十一条から見ると、地方債にほとんどまかされている。何らこれに対するところの措置がない。あるいはへき地教育振興法を見ましても、第六条は、「事務に要する」云々という、事務関係の補助費しかない。言うならば、過疎地域あるいは学校統合の場合のいわゆる寄宿舎という問題については、天下晴れてと言うとちょっとことばが適切であるかどうかわかりませんけれども、大ぴらにこの法律に基づいてこういうところはこうやるのだと、こういうものが私はあってしかるべきだと思う。学校統合の問題について、あなたも答弁されたように、いろんな地域で摩擦が多い、そういう中においてもしやるとすれば、子供たちの教育の問題点、寄宿舎の問題点は、こういう設備があり、こういう法律的な手当てがあるのだから、この点についてはこうなんだといって父母の方にも理解してもらうような手だてというものが私はこの問題についてはきわめて重要だと思うので、今度の法律にないというのはきわめて遺憾ですけれども、早急にやはりこの問題については検討していただいて、次の機会に補強するなら補強してもらいたいと、こう思うのですが、その点、どうですか。
#30
○政府委員(安嶋彌君) 今後十分検討いたします。
#31
○宮之原貞光君 そこで、次は、公立養護学校整備特別措置法の一部改正に関する法律案と関連をいたしまして、障害児教育の問題についてお伺いをしておきたいと思います。三月の二十一日でございましたか、本委員会で、大臣は、所信表明の中で、中教審答申の趣旨に沿って特殊教育の拡充整備に一そうの力を注ぐということを申されてまいったわけでありますが、大臣は、一体、中教審答申の特殊教育の振興整備についての本旨をどのように理解をされて今後この問題についての拡充整備を具体化されようとして考えられておるのかとうか、そこをまず大臣からお聞きしたい。――大臣、あなたが所信表明したのだから、やりなさいよ。
#32
○政府委員(岩間英太郎君) まず、私から申し上げますが、特殊教育の基本的な考え方は、これは中教審答申にも述べられておりまして、一つは教育の機会均等というふうな考え方があるわけでございますけれども、実際問題といたしましては、私は、こういう心身に障害のある方については、まず、社会復帰と言うのもちょっとあれでございますが、社会に適応できるような能力を養っていくということが基本ではないかというふうな気がするわけでございます。しかしながら、たいへん遺憾なことでございますけれども、特殊教育の分野というのは、ほかの教育の分野と比べましてまだ進歩が非常におくれております。したがいまして、具体的に心身に障害のある方に適切な教育を行なう現在のところは能力がないというふうな面もあろうかと思います。したがいまして、どういうふうなやり方が特殊教育にはふさわしいのかというふうな研究開発をする必要がある、これがもう一つの問題でございます。
 それから最後には、そうは申しましても、どうしても教育ができない、あるいはその教育の効果があがらないというふうな方々も残念でございますがあるというふうな現状でございまして、そういうふうな方々には、この人生を送る場合に、できるだけ生きがいのある人生と申しますか、そういうものを送っていただく。ある程度社会復帰ということはできないにしても、内容のある実りのある人生を送っていただくということにも私ども心を用いなければいけない、そういうふうな気がするわけでございます。
 特殊教育全般が非常におくれておりますのは、その教育のやり方につきましての開発が非常におくれている、そのまた裏づけと申しますか、医学的なあるいは心理学的な研究というものも非常におくれているというふうな実態がございます。これはたいへん遺憾なことでございますけれども、率直にこういうふうなことを認めざるを得ない。その上に立ちまして、現在そういうふうなお子さんをかかえておられる父兄の方々の御苦労というものを少しでも軽減するような方向をとりたいということが私どもがただいま考えております方向でございます。
#33
○宮之原貞光君 昭和四十四年六月の中教審の中間報告には、この問題について、「特殊教育は、心身の障害だけに着目してその欠陥を補うといろ消極的態度ではなく、障害に応じながらも人間としてのすべての能力・適性を伸ばすという積極的な態度で行なわれるべきものである。」と、こう中間報告は述べておるのですが、去年の最終答申になりますと、「すべての国民にひとしく能力に応ずる教育の機会を保障することは国の重要な任務であって、通常の学校教育の指導方法や就学形態には適応できないさまざまな心身の障害をもつ者に対し、それにふさわしい特殊教育の機会を確保するため、」云々と、こういうふうに中間報告と最終答申とはだいぶ中身が違ってきておるのですが、この違ってきておるところの意味はどういう意味なんですか。両者がこう非常に違っておるというふうに理解してよろしいのか、それとも、両者は本質的には同じだというふうに理解していいのですか、どうなんですか。そこらあたりは、岩間さんは中教審の討論をわきまえておられると思いますが、この二つのあれはどういうふうに理解されていますか。
#34
○政府委員(岩間英太郎君) たいへん恐縮でございますが、私はこの中教審の答申がまとめられる過程におきましてこれに参与しておらなかったものでございますからお答えはできませんが、趣旨といたしましては、ただいま私から申し上げましたように、この内容自体がそう変わっているようなことではなくて、表現について変化があったというふうに理解をしておるわけでございます。
#35
○宮之原貞光君 私は中教審の答申には非常な批判と問題点を多く感じておるのですが、この特殊教育の分野も、少なくとも四十四年六月の中間報告は問題点を適切に押えておると見ておる。先ほど局長のほうからは、研究するのだどうだと、教授法の問題、いろいろ言われておったのですけれども、いわゆる心身の障害だけに着目をしてその欠陥をどう克服するかという消極的な問題ではなく、基本的には、みんなすべて他の子供たちと同じように、それぞれの違いはあるけれども、能力なり適性というものがあるのだから、それを伸ばしていくという積極的な分野の教育ということこそが特殊教育に望まれるのだということをこの中間報告は指摘しておると思うのです。もしそのことについて同意をされておるとするならば、少なくとも今後の特殊教育と申しますか障害児教育と申しますか、この問題はそういう積極的な意欲を持たなきゃならないと、こう思うんです。その点で二十五日の初中局長の萩原委員に対するところの答弁を見ておりますと、特殊教育というものは可能な限り普通教育の場でやるんだ、なおそれでできない場合の条件をこうこうしてやるんだという筋の答弁をしておりますが、私はその限りにおいては基本的に正しいと思う。したがって、そういうような立場からの教育というものが私は特殊教育の基本でなきゃならないと思うんです。その点は、大臣、どうお考えになられますか。
#36
○国務大臣(高見三郎君) これは、萩原先生に初中局長がお答え申し上げましたが、私どもの考え方は基本的にはそのとおりでございます。
#37
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっと補足いたしますと、私が萩原先生にお答え申し上げましたのは、実は、ユネスコの宣言と申しますか場におきまして、そういうふうな精神薄弱の者であっても、普通の一般の方と同じように、そういう方と一緒に教育すべきであるというふうな文言がございまして、ただいま先生からも御指摘がございましたけれども、私は非常に啓発されたような感じがしたわけでございます。私ども、従来、そういう方はそういう方で特別な教育をするほうがむしろよろしいのじゃないかというふうな感じがしておったわけでございますが、そう言われてみますと、確かに、普通人と同じように教育をする、そういう方向が正しいのじゃないか。いま宮之原先生からも御指摘がございましたけれども、私ども、そういう点では、いま申し上げましたように、普通人と一緒にと申しますか、普通人と同じような考え方で特殊教育については対処をするということが一つの基本的な考え方じゃないかというふうな気がするわけでございます。
#38
○宮之原貞光君 その点でさらにお聞きいたしたいんですが、学校教育法の第七十一条は、特殊教育の目的を、幼小中高校に準ずる教育を施し、あわせてその欠陥を補うため云々というふうに規定をしておりますですね。実は、私は、この「準ずる教育」云々というのはどうも語感が悪いと思うんですよ、感じが。「準ずる」という表現ですと、一般的には一つの水準があって、水準よりもちょっと低いところ、まあ優勝、準優勝というふうなことばにもあらわれるように、特殊教育というものはそういうような教育なんだという感じがしてならないんですよね。実は、これは私一人だけじゃなくて、私どもいろんな関係者の会合を開きますと、やはりその問題について関係者がだいぶひっかかっているようなんです。また、この問題については、六十五国会の本院の内閣委員会でもこれを指摘され、当時の宮地初中局長は、適切なことばがあれば訂正するのにやぶさかでないという答弁をされておる。また、政務次官の西岡さんも同趣旨のことを言われておるんですが、この点、どうなんですか、その後文部省ではこの用語の問題について特殊教育のあり方の基本的な問題と関連をして何か検討されたことがありますかどうですか。その点、あったら、お聞かせ願いたい。
#39
○政府委員(岩間英太郎君) 私、途中から引き継いだものでございますので、その点についてはまだ聞いておりませんが、具体的に課のほうで検討を進めておるのじゃないかと思います。先生も御指摘になりましたように、法律のことばというのは、とりょうによりましては非常に冷たいことばがあるわけでございます。そういう意味から申しまして、先生のおっしゃることは私どもも十分理解できるわけでございますし、そういうことでまた御指摘もございましたので、今度は私も中心になりましてこういう問題について一応検討してみたいというふうに考えます。
 ただ、法律用語というのは、これは同じ共通な用語をできるだけ使って、あまり解釈に幅ができないようにというふうな基本的な考え方もあろうと思います。学校教育法の体系の中では「準ずる」ということばが一般的に使用されているわけでございまして、そういうふうなワクからはずれた新しいことばを使うことは、現実の理解を促進するという意味では非常に有効であろうと思いますけれども、学校教育法という法律の体系の中で違った用語を使うということ、それについてはまた法制局等専門家の意見も十分聞いてみなければならないというふうに考えております。
#40
○宮之原貞光君 私は、法律用語としてはわかるんですがね。ただ、少なくともそういう条件にあるところの子供たち、あるいはそれぞれの御両親からすれば、やはり、この問題は、スムースにと申しますか、ストンと落ちるものがないのです。何か段が下がるみたいな感じを持っているということは、いなめないところの事実でございます。しかも、先ほど私が申し上げたことと皆さんの考え方と全く一致するとするならば、特殊教育のあり方の問題からしてもこれは若干議論をしてもらいたいし、もし用語上できないとするならば、指導の面でどうするかという点を明確にして行政に当たってもらいたい、こういう点を強くこの機会に申し上げておきたいと思います。なお、このことと関連していま一つ引っかかっておるのは、特殊教育という概念の問題なんですね。この用語も、やはりそういうような響きがしないでもない、普通・特殊と、こういうことになりますとですね。したがって、私は、この点を考えるならば、むしろ、特殊教育というよりも、これは障害の子供たちなんですから、障害児教育というふうなほうがもう名実ともにぴったりするのじゃないかと、こうも思っているんです。この問題も何もここで初めて問題になるのではなく、六十一国会の衆議院の文教委員会でもこの問題は議論されていることなんですね。四十四年の四月二一の議事録を見ますと、こういうかっこうになっているんですよ。憲法二十六条の教育権は、障害の有無によって差別されることのない厳粛な国民の権利である、したがって、特殊教育いわゆるスペシャルエデュケーションではなく、エデュケーション・フォー・ハンディキャップの意味で、名は体をあらわすというが、この用語は適切でないと思われるかどうなのか、こういう質問に対して、当時の文部大臣の坂田さんは、ヘレン・ケラー女史の母校のパーキンス盲学校の卒業生のミスター・スミスダスの例をあげながら人間の可能性の偉大さをとうとうと述べておられると同時に、この質問の趣旨に全面的に賛意を表して、ことばというものはいろいろ誤解を招いたりあるいは適切でなかったりしますので、今後十分検討したい旨答弁をされておるんですね。ただここだけじゃなくて、また六十五国会においても、本院の内閣委員会で、政務次官の西岡さん、同時に、坂田さんは当時病気であったようでございまして、秋田文相代理という形で秋田さんが答弁をされていますけれども、やはりこの問題についてそういうものの言い方をしている。むしろこれは障害児教育ということばが適切じゃないだろうかと、こういうことも答えておられるのですね。私は、この問題は、ただ検討しますということじゃなくて、何も特殊教育から障害児教育というふうにことばを変えたって大きな障害があるわけじゃないですから、どうでしょうか、この問題あたりは、それこそ合意を得るように前向きに検討されてはいかがだろうかと思いますが、いかがなものでしょうか。
#41
○政府委員(岩間英太郎君) よくわかりました。私ども検討し、また、関係者の意見も聞いてみたいと思います。ことばと申しますのは、ある方が非常にいいことばだと思われても、ある方はこれはどうも感じとして悪いという感じの問題がかなりあると思います。したがいまして、これは一番多くの方々が支持されるようなことばというのが一番よろしいのじゃないかという感じがあるわけでございます。それからたとえば国立特殊教育総合研究所というのがございますけれども、そういうのは、これはつまらぬことでございますけれども、やはり名前を変えていかなきゃならぬというふうな、いろんな問題がございまして、そういうことを総合的に私どもで検討さしていただき、関係者の意見も聞きたいと思います。それだけお約束をさしていただきたいと思います。ただ、法律の改正、また用語の改正などは、これは機会がないとなかなかできないことでございますけれども、一応私どもとしての意見をまとめておくというととをいたしてみたいと思います。
#42
○宮之原貞光君 それは、ことばに対するところには賛否あるということは、私も承知している。あるいは、えてして官庁というのは自分の殻にとじ込もりがちなんですから、そういう陋習もないではありませんから。しかしながら、ほんとうに障害があるところの子供たちという立場に立って、そういう立場からこの問題は議論をしなければ、お互いに五体満足の人間から見ればそういう用語の問題ぐらいと、こうお互いに思いがちなんですけれども、少なくともこの教育というものはそういう立場に立ってやるとするならば、決してこれはおざなりにできないところの問題だと、こう思いませんか。検討しますというここだけの答弁じゃなくて、また次の機会には聞きますから、どうぞひとつそれまでにはある程度前向きのことを出していただきたい。あるいはまた、方向性というものを出していただきたい。場合によっては、たとえばこういう種類の問題は懇談会あたりにいろいろ意見を交換するというのも、教育効果をあげる、教育そのものをよくするためにもいいんじゃないかと、こう思いますので、その点十分ひとつ御検討願いたいと思います。
 ところで、障害児教育の現状でございますが、先般の文教委員会ではあなたは萩原委員の質問に答えて大まかな答弁をされておったんですが、これの実際数というものはどうなんですか。私の手元には四十五年五月一日現在のおたくの発表の数字があるわけでありますが、ことしのものがありますか。あったら、概要でいいですから、お聞かせ願いたいと思います。
#43
○政府委員(岩間英太郎君) 四十六年の五月一日現在の数字を申し上げます。
 特殊教育の就学の推定の対象者でございますが、これは、萩原先生にもお答え申し上げましたように、約五十三万、正確に申しますと五十二万九千四百四十四、それに対しまして就学者が十六万三千四百四十七でございまして、就学率が三〇・九%ということになっておるわけでございます。
 ただ、これは、小学校中学校のいわゆる義務教育段階の数字でございまして、たとえば視覚障害は就学率が四〇・九%、聴覚障害が六五・〇%、それから精神薄弱が四一・九%、肢体不自由声五七・二%、これに対しまして病弱・虚弱が八・二%、言語障害が五・八%、情緒障害が一・二%というふうに、内容に非常にばらつきがあるわけでございます。
 それからこの就学率でたとえば視覚障害、聴覚障害の率が低いようでございますけれども、いわゆる盲学校、聾学校に就学させるべき者というのは就学率が一〇〇%でございます。その関係の数字を申し上げますと、特殊教育の諸学校に対する就学を要する者の推定対象数は六万五千五百七十六、これに対しまして、就学者が三万七千四百七十一、就学率が五七・一%でございます。先ほど申し上げましたように、盲学校、聾学校は一〇〇%、それに対しまして、精神薄弱が三〇・三%肢体不自由が七四・二%、病弱・虚弱が二九・〇%というふうな数字になっております。
#44
○宮之原貞光君 いま四十六年の五月一日現在のおおよそのあれをお聞きしたのですが、こうなりますと、四十五年の五月一日が、在学者が十六万二千六十二人、就学率が三〇・八%と、こうなっております。一年たってもわずか〇・一%しかふえておらないと、こういう形になっておるのですがね。なおまた、厚生省が出したところの去年の十一月二十六日の「厚生白書」なりあるいは総理府の四十六年度の「青少年白書」等を見ますと、またそれぞれとり方に違いはありましょうけれども、若干の開きがあるのですが、その数字の可否は別にしても、就学率があまり進展をしておらないということは、これは否定できない事実だと思うのです。その原因をどのように握っておられるのか、その点をお聞かせ願います。
#45
○政府委員(岩間英太郎君) 絶対数で比較いたしますと、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、その理由としましては別途部分があるというふうなことが一つの理由にあげられております。これはまあ医学の進歩等がございまして、具体的に対象児が減ってまいるという、これは好ましい結果によるものでございます。しかし、ただいま御指摘のありましたように、特殊教育全般といたしましてはまだまだ前進がおくれておりまして、その点は私どももまことに遺憾に存じておるわけでございますが、中教審の答申を機会に年次計画を立てましてこれから強力に推進をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#46
○宮之原貞光君 私は、医学の進歩で少なくなったんだからという答弁では、なかなかこれは理解できないのです。おそらくこの統計をされる場合の出現率の率の問題は、ずっと変わっておらないと思うのですね。合計して三・六九%であると、そういうことであるならば、なぜこういう積極的にやってみても就学率が上がっていないのかどうか、一体ほんとうに本腰を入れてこの指導がされておるかどうかということを私は疑問に思わざるを得ないのです。
 たとえば、これは大阪府の例ですけれども、去年の八月に文教委員会で関西に調査に行きましたそのときの大阪府の資料を見てみますと、大阪府では障害児教育の問題についてだいぶ積極的にやっておるのですね。たとえば、盲聾学校等十七校の独立校を持ち、特殊学級だけでも二百九十九を持つ。また、ことしは、それぞれ、たとえば精薄プラス二とか、肢体不自由プラス二とか、積極的な意欲を持っておる。しかし、このおたくからもらったところの資料を見て、まだ精薄児の学校もないという県もあるのですね。そういうばらつきというかアンバランスは、これに対するところの文部省の皆さんの積極的な指導というものが欠けておるところに大きな問題点があるのじゃないかと思いますが、その点、欠けておりますとは御答弁にならぬと思いますが、少なくとも十分とは言えないでしょう。どうなんですか。
#47
○政府委員(岩間英太郎君) その点につきましては、私どもも深く反省をいたしております。
#48
○宮之原貞光君 その問題と関連いたしましてお聞きしたいのは、前回の委員会でも萩原委員の質問に対して就学猶予の児童が約二万おると、こういう答弁をされておりましたですね。この就学猶予の問題なんですけれども、これは確かに学校教育法の二十三条に基づくところの規定を見ますと、このやり方の発動は、学校教育法施行規則の四十二条によって、保護者から願い出る方式になっていますね。しかし、実際は、その県に精薄とか病弱児に対するところの養護学校がなくて、やりたくてもやれないところの条件というものがやはり相当あるんですね。したがって、学校側のほうで、おたくの子供は家に置かれておったほうがいいんじゃないですかという形で無理やりに学校に出させないという状態の地域もあるんですね。一体、そのことを文部省当局としては御存じなのかどうなのか。ただこれは父母から願い出るという規則になっておるんだから、父母の願い出によってそれがやられておるんだろうくらいに皆さんは理解をされておるのじゃないだろうかと思うのですが、これでは私は非常に問題があると思うんです。憲法に保障されたところの子供の教育を受けるという権利が、その地域その県にたまたま精薄児の学校なり病弱児の学校がないために、その子供は学校に行くところの権利さえも奪われておるという実態があるんです。五月二十四日の「読売新聞」の教育欄を関係者はお読みになっておられると思いますけれども、こう出ています。そういう免除をされたところの子供が、岩手に四百九名、神奈川に九百十七人もおるというんですね。こういうことを報ずるとともに、昭和二十七年から四十六年までの二十年間にわたって心身障害を原因とするところの心中、自殺、殺人、あるいは焼死、虐待死、事故死などが実に八百八十四件ある。言うならば、八日に一件の割合でこういう痛ましい事件が起きておるということを報じておるんですよ。私は、こうした障害児の実際の状況を見ますと、教育から見捨てられたということは、それは単に教育にとどまらないで、その人間の終えんを意味するというふうに言わざるを得ないんです。それだけに、実に暗たんたる気持ちにならざるを得ないんです。ほんとうに、障害児教育というものは、一人一人の子供たちの命を大事にし、人間性というものの尊厳をお互いに尊重していくところの教育を行なうというならば、ここにこそ私は文部行政の行き届いた手が差し伸べられなければならないと思うんです。重症の子供たちにも教育の可能性がある、生きているということはやはり教育の可能性があるというふうに私どもは理解しなければならない。そういう立場に立って私どもはこの問題を考えてみる必要があると思うんですがね。どうですか、大臣、その点。
#49
○国務大臣(高見三郎君) さっきから宮之原さんの御説を伺っておりまして、私は非常に啓発されるところが多かったのであります。特殊教育ということばそれ自体にも私は私自身も抵抗を感じておるのでありますが、実は文部省の今日までの姿勢の中に反省すべきものが多いと思います。これはもう率直に認めます。それなればこそ、今年度予算で特にこの問題に力を入れたわけでありますし、これを将来義務制にするということになりますというと、なかなか容易なことではないと思います。けれども、何とかしてそれをやらなきゃならぬというのがいま私どもに課せられた使命であります。御意見を十分承りまして、私は宮之原さんとその点において意見の相違はないと思います。どうぞ、ひとつ、今後とも御協力をいただきたいと思います。
#50
○宮之原貞光君 大臣、これはおざなりの答弁に終わらさないように、特に事務当局は十分理解をして、ただやりますやりますではなくして、実効のあがる方途を講じていただきたいということをこの機会に強く御要請申し上げておきたいと思います。
 時間がないようでございますので、はしょりますけれども、義務制の問題について大臣がちょっと触れられたんですけれども、養護学校は、おおよそ三つの種類に分けられますね。これを見ますと、先ほども申し上げましたように、おたくの資料にもあるように、いまだ設置をされておらない県というのが少なくないですね。また、とこにあるところの資料を見ますと、その後おたくから資料としてもらったところともだいぶ食い違いがあるようでございますけれども、そのあれは別にいたしまして、大臣としては、養護学校を義務制の方向に持っていきたいと、こう言って――持っていきたいといって、これは当然です、法律にあるんですからね。一体、いつごろをめどにこの問題を充実しようとお考えになっておるのか。ただやりますやりますじゃぐあいが悪いんで、やはり一つの決着点がないと困るので、その点をお聞かせ願いたいと思います。
#51
○国務大臣(高見三郎君) 昨年今年度予算を要求いたしました時点におきましては、私どもとしては十年計画という考えをしておりましたけれども、御要望も非常に強いことだし、そこで七年をもってほぼ完成という方向に、十年計画というものをことしから七年ということにいたしました。
 それからさっきちょっとお触れになりましたが、例の義務教育の就学猶予の問題でありますが、これはいろいろ御意見も出ておりますし、私も考えなきゃならぬ問題だと思います。父兄がただ願い出るのを待って就学を猶予してやるというような安易なものの考え方でほんとうにいけるだろうか。むしろ、親の立場からいけば、学校に入れてもらいたいという人が多いんですけれども、宮之原さん御指摘のとおり、いまのところでは入れてもらう施設がないために猶予せざるを得ないという状態になっているのが七〇%ぐらいじゃないかという感じがするのであります。その点につきましても、私どもも、これから一そう力を注いでいかなければならない、かように考えております。
#52
○宮之原貞光君 いま、大臣の答弁を聞きますと、文部省としては義務制に移行するめどを七年後の五十四年ぐらいに持っていきたいという御答弁ですが、実は、その話を聞いて非常にがっかりしたんです。これは、先ほどもちょっと申し上げたところの六十一国会の衆議院の文教委員会で坂田さんは二回にわたってこういう答弁をされています。昭和四十八年を目途にその責任を果たしたい、昭和四十八年には、三つの種類の養護学校の全県必置を実現をしたいと、これは二回にわたって述べられているんですよ。六十一国会といったら昭和四十四年ですね。それからもうすでに三年になる。今度はまた、そのまま置いて、七年後にはそういうところに持っていきたいという答弁なんですが、これはいかに皆さんが障害児教育がことばと実際が裏腹になっておるということをこれくらい実証するものはないと思う。先ほど来私がいろいろな角度から御質問申し上げておるように、障害児の子供たちに対するところの教育がほんとうに大事だといろならば、もっともっと積極的な意欲を持っていいんじゃないですか。議事録を調べてごらんなさい。坂田さんは明確に言っているんです。二回にわたって答弁しています。まさか違うとはおっしゃらないでしょう。あれは坂田さんの考えで、政府の考えではないと、こうおっしゃるかもしれない。しかし、私は、ああいう文部省の態度であるならば、四十八年までと言ったが、あれができなかったけれども、四十九年度まではと、こう言うならまだ話はわかりますよ。けれども、驚くなかれ、七年もかかると、こういう話では、文部省が常にこの委員でも言う障害児教育の問題についてのことばと実際とが違うと言われたってしかたがないと思うんですよ。これでは私はもう納得もできませんし、当時これを坂田文相が言われたときには、そういう子供さんをお持ちの父母の方はほんとうにうれし泣きに泣かれたんですよ。文部大臣が二回にわたってああいうことを言われたんだから、もう間近ですねと、こう言われた。それが、どうですか、いまから七年かかるというんでしょう、五十四年まで。それではぐあいが悪い。したがって、ぼくは、いまさら皆さんを追及しようとは思いませんけれども、ほんとうにこの障害児に対するところの教育が大事だと思うなら、七年計画なんて言わないで七年を五年なり四年なりにして、そういう子供たちあるいはまた子供たちの父母の期待にこたえていただきたい。ほんとうに文部省が教育の条件整備ということを大事だと考えるならば、へたな教員いじめをするよりは、こういう問題をやってこそ文部省の値打ちが上がるんですよ。高見文部大臣はえらいということになるんですよ。ぜひとも、この問題について、もう一回、七年計画などと言わないで、これをいかにして早めるか。もし早めるという計画を出されて、それに対して大蔵省がチェックするというなら、それこそ私は世間の世論が承知しないと思う。そういうまた世論関係を皆さんが巧みにPRしていくならば、それこそ立場の相違はないはずなんだから、この問題についての国民の気運というものは起こると思う。現に、あれでしょうし、四十五年五月制定の心身障害者対策基本法というものがある。これを見ましても、三条、四条、十二条の規定、これにもやはり義務化云々というふうな問題もすでに出ておるんですよ。すでに特殊教育の義務化が叫ばれてからもう四半世紀になるんですね、あの法律ができてから。ただ、そこだけは政令を四半世紀になるのに一回も出さない。政令できめるという逃げ口を置いて二十五年間もほっぽり出しておるんです。せめて、私は、高見文相の目玉商品があるとするならば、目玉行政をやるとするならば、ほんとうにこれを置きみやげにされて、ああ高見さんはえらいというかっこうで幕を引かれたらどうですか。七年などと、そういうことを言わないで、一回そこらあたりの気持ちをお聞かせ願いたい。
#53
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっと私から補足して申し上げますが、坂田大臣が申されましたのは、すべての県にすべての種類の養護学校を設置させるということでございまして、その方針は現在でも変わっておりません。病弱・虚弱それから精神薄弱の養護学校のできていない県が四十県以上ございますので、これを四十八年までに解消するということでございます。いま大臣がお答えになりましたのは、義務教育にするのはいつかということにお答え申し上げたわけでございまして、義務教育にするには、現在二百六十一校ございますけれども、なお二百五十校程度の学校をつくりませんと全部の子供を収容するわけにいかないということでございます。たとえば東京都だけでも、おそらくこれから五十校ぐらいの養護学校をつくらなければいけないということでございまして、これは土地の問題を考えただけでもたいへんむずかしい問題だろうというふうに先生も御理解いただけるのじゃないかと思いますが、そういうものを全部の子供が収容できるような体制を整えました上で義務教育にしたい、それを私どもは十年ぐらいたたなければとても無理だというふうな感じでございましたけれども、大臣も申されましたように、これを七年ぐらいに目標を縮めて何とか努力をしてみたいということでございまして、必置とそれから義務教育との関係をちょっと二つに分けて御答弁申し上げましたので、その点で誤解があったのじゃないかと思います。
#54
○宮之原貞光君 何も私は義務制ということを先ほど坂田文相の答弁で言った覚えはないですよ。記録を見ていけば、四十八年を目途に四十八年の三月の末に養護学校の全県必置を実現したいと、こう述べておるんですね。先ほど答弁にあった、何も坂田さんが義務制にするといって確約したとは言わない。しかし、どうですか、皆さん、あなたのところの資料には、まだ未設置県が、七県、十一県、十六県と、こう出ておるでしょう。それ以外に私がいただいた初中局の特殊教育課の「都道府県別養護学校設置状況」を見ますと、この数字とはまた違っておるんですよ。未設置県が養護学校だけのやつは十一県といわれていますけれども、二十二校じゃありませんか、このいただいたのを見ますとですね。そのように、この報告されたものとも違っておるんですよ。これから見ればやはり相当開きがあるということは明白なんですよ。
 それなら、初中局長にお聞きしますけれども、四十八年には坂田文相の言ったことはきちんとやれますかどうですか、御確約願えますか、全県三種類の学校をみんな必置させるということは。
#55
○政府委員(岩間英太郎君) 御案内のとおり、肢体不自由児の養護学校は、これは全県にできておるわけでございます。あと残されておりますのが、病弱・虚弱と精神薄弱の養護学校が未設置の県があるわけでございます。お手元に差し上げました資料はこれが正確でございまして、最近の資料を差し上げているわけでございまして、いまの状況を見てみますと、来年再来年はなお地方財政のほうでかなり苦しいような状況が続くというふうに見込まれておりまして、まだ私どもの期待どおりの数が設置をされる傾向にはございません。したがいまして、私どものほうでそれをお約束ができるかどうかと申されますと、私どものほうではそういう方向で全力をあげて努力したい、そのためにただいま御審議を願っております法律におきましても高率補助をしてまいりたいということでございまして、この法律を御承認いただきました暁におきましては私ども全力をあげてそういう方向で努力をしたというふうに考えております。
#56
○宮之原貞光君 この資料ですけれども、ここにもらった資料と、私がその後もらったところの四十六年五月一日の特殊教育課の資料とは、「未設置県の状況」のこの状態に食い違いがあるんですよ、どっちが正しいかという問題はありますけれども、それはやめましょう、時間がありませんからね。ただ、問題は、私が先ほど来申し上げているように、ほんとうにそういう心身に障害があるところの子供たちの教育は大事だというなら、もっともっと文部省が積極的に四十八年度と約束をされたならやると、あるいは七年のものも五年に縮めるくらいの意欲を持っていただきたいと思うんですよ。
 しかも、義務制のほうへ持っていくのには、本法案を見ますと、一県一校に対するところの三分の二の補助なんですね、未設置県に対する。これでは少し消極過ぎると思うんです。さらに一歩を進めていただいて、最低限は一県一校かもしれないけれども、どんどん義務化の方向にやりたいというなら、一県一校ではできないですから、たくさんおれの県はつくろうという県に対してもこの法律を適用して、五つつくろうと思うところには五つに三分の二の補助をするというように前向きにこの法律を改めぬことには、これはまた義務化も日暮れて道遠しと、こういうかっこうにならざるを得ないと思うのですがね。ですから、私は最終的には賛成でありますけれども、この法律には積極性が一つもない。冒頭に私は特殊教育をどういうふうに考えていらっしゃいますかと申しておる。消極的な態度ではだめですよ、もう少し積極性を持たせなさいと言ったのはこれにもある。この法案は、まだ一回もやっていないところには三分の二やりましょうと。積極的にその県で意欲を燃やしてもっとそういう施設と学校をつくろうというところは、恩典に浴しないわけです。だから、私は、この機会に、一県一校というふうに限らないで、一つ一つ希望のあるところには積極的に三分の二補助をするという方向のものが次の機会にはやはり法改正として出てくるように皆さんに御検討を願うし、大臣にも最後のお約束を願って質問を終わりたいと思いますが、どうですか、大臣。
#57
○国務大臣(高見三郎君) 非常にいい御提言でございます。私も、一県一校というたてまえで三分の二補助というようなことではなかなか容易なことじゃないだろうと。ただ、今度は、管理局長にもよく言ってあるのでございますが、各県でつくらない県には補助金なんか少ししぼってみたらどうかという話もしておるくらいに相当強力な指導をやっているつもりであります。坂田大臣が申されました四十八年は未設置県というものをなくしようという御意見、私もよく知っております。それに立脚いたしましてただいまの七年計画というものを進めておる次第であります。そういう意味では、いま宮之原さんの言われたような方向に向かって、七年を五年に、あるいは五年を三年にするというような方向でできるだけ強く進めていきたい、かように考えております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
#58
○楠正俊君 ちょっと関連して。
 いま宮之原委員の御質問でございますが、先ほどの用語――ことばのことですね、それは文部省のほうでも研究をするというお話でございましたが、それに関連いたしまして、ああいう欠陥を持たれた御両親の気持ちというのは非常にデリケートなものがございまして、養護学校というのならまだいいんですけれども、学校の場合は養護と使っておいて、学級となるとわざわざ特殊学級と、こう言っているんですね。一般の普通教育とまざって特殊学級というところに入れていられる御両親なんか、どうも、気がひけるというか、肩身が狭いということがございまして、わざわざ学校のときに養護学校と言うんだから、学級のときも養護学級と言えばよさそうなものだが、わざわざ特殊学級というようなことばを使うところに、何かそういう方に対する愛情が欠けておるような気がいたしまして、この点はまあ養護教諭とまぎらわしいから、養護ということばを使わないのかもしれませんが、別にまぎらわしくてもかまわないのじゃないかと思うんですね。答弁は要りませんから、それもあわせて御研究を願いたいと思います。
#59
○矢追秀彦君 初めに、法案に入ります前に、先ほど質問が出ておったようでありますが、私ちょっとおりませんでしたので重複になりましてまことに恐縮でありますけれども、本日の閣議で中教審の新しいメンバーが了承されたということを伺いました。それについて報告を聞きたいと思います。
#60
○国務大臣(高見三郎君) 本日の閣議で、第十期中教審の委員が承認されました。
#61
○矢追秀彦君 了承されたメンバーについて御報告をいただきたいんですけれども。
#62
○国務大臣(高見三郎君) これはアイウエオ順になっておりますが、
 (演出家)      浅利 慶太さん
 (日本クラウン株式会社取締役社長)
            有田 一寿さん
 (作 家)      有吉佐和子さん
 (京都大学教授)   梅棹 忠夫さん
 (東京工業大学助教授)江頭 淳夫さん
 (作 家)      遠藤 周作さん
 (日本国際教育協会理事長)
            小川 芳男さん
 (上智大学教授)   大泉  孝さん(再任)
 (評論家)      扇谷 正造さん
 (社会学者)     加藤 秀俊さん
 (成蹊大学教授)   久保田キヌさん
 (神奈川県教育委員会委員長)
            高村 象平さん
 (全日本労働総同盟顧問)
            滝田  実さん
 (国立教育研究所長) 平塚 益徳さん(再任)
 (新日本製鉄株式会社副社長)
            藤井 丙午さん(再任)
 (国際文化会館専務理事)
            前田 陽一さん
 (早稲田大学総長)  村井 資長さん
 (日本学術振興会理事長)
           吉識 雅夫さん
 以上十八名でございます。
#63
○矢追秀彦君 前々から新聞報道によりますと、太田薫氏、あるいは加藤総長、あるいは都留教授等に働きかけをされまして、それが辞退をされて、十八人のままで見切り発車をすると、こういうことでございましたが、現在のままでこの第十期はやっていかれるおつもりですか。
#64
○国務大臣(高見三郎君) 私は労働界の代表はもう一人ぜひほしいものだと思っております。それから東京大学の加藤学長は、来年学長をやめたら参加してもいいからという御意見でございます。一応その辺のところを目ざして、これでもろ固定してしまってあとはやらないということはいたしません。必要があれば必要に応じて入れるつもりでおります。
#65
○矢追秀彦君 必要があれば必要に応じて入れるということは、労働界の代表との話がつき、加藤総長がおやめになった時点において入れると、こう解してよろしいですか。
#66
○国務大臣(高見三郎君) これはまあこれからの委員会の運営の問題でありますから、私はできることなら労働界から一人入っていただきたいと思いますし、加藤さんにもぜひ参加していただきたいという気持ちを持っております。これは大体任期を二年と、二年間に答申を出してもらうという諮問をするつもりでございまして、その間においてよろしければ考えたいと、こう考えます。
#67
○矢追秀彦君 いまの大臣のお話だと、どうもあまり積極性があるというふうには受け取れないですが、できればとか、必要があればとか、まあ入ってもらいたい希望であると、こういうふうな発言でありますので、ぜひ労働界から入れたい、そのためには労働界の代表と話をしてしかるべきメンバーを出してもらってたとえばこの一年以内にはきめて入れたいと、こういうような意向でないように受け取るのですけれども、その点はいかがですか。
#68
○国務大臣(高見三郎君) いま閣議決定をやったばかりでありまして、いますぐだれをどうするというような具体的な話はこの席では避けたいと思います。けれども、私がそういう意思を持っていることは矢迫さんには御理解いただけるのじゃないかと、こう思いますので、さよう御承知をいただきたい。
#69
○矢追秀彦君 欠員といいましても、二十人以内ということですから、別にかまわないと思うのですが、その大臣の希望が全面的に今回は入らずして、いわゆる見切り発車といわれておりますが、後退された理由はどういうところにあるのですか。要するに、文部大臣、もうあと寿命がありませんので、その間に何とか発足をして次にバトンタッチをしたいという御意向なのか、その辺はいかがですか。
#70
○国務大臣(高見三郎君) 昨年六月十三日でありますか、第九期の委員から、今後の学校教育のあり方について四年間にわたる長期間の検討についての御報告をいただきました。これはこれからこれをどう行政の上に反映させていくかということを考える責任は私どもにあるわけであります。私は中教審の新しいメンバーというものに大きな期待をかけておりまして、その意味から申しまして、これはこの際任命しておくほうがいいだろうというので任命をいたしたわけでございます。
#71
○矢追秀彦君 新しい中教審に対する諮問事項は、現在どういうお考えですか。
#72
○国務大臣(高見三郎君) 今度の中教審のテーマは、私は、学術教育の国際交流というものを中心に、まあことばの表現はどうなるか知りませんが、学術教育文化の国際交流についての方策を考えてもらいたい、こういう諮問をするつもりでおります。
#73
○矢追秀彦君 いまの国際交流ないしは国際協力という諮問になりますと、政府全体の姿勢ということが非常に大事になってまいりますけれども、今後文部大臣としてこういった中教審の大きな課題を諮問されるにあたって、現在の政府の外交政策というものに対して相当いろんな意味で注文をつけなければならないと私は思うわけですが、これはいろいろ政府とわれわれと考え方が違う点もあるかと思いますが、いわゆる政府全体の外交とからんでくる問題がかなり出てくると思います。そういった面については大臣はどういうふうにお考えになっておるか、その点をお伺いしたいと思います。
#74
○国務大臣(高見三郎君) 国家体制の異なる国もありますし、一がいに言い切れないかもしれませんけれども、私は、事教育に関する問題、事文化に関する問題に国境はないほうがいいと。お互いに力を合わせてやっていきたいと。これは外交上いろんな問題があるし、それはまた委員の皆さん方からの御答申もいろいろ出てくるだろうと思います。けれども、私は、教育文化というような問題は、これは万国共通のものとして国境を越えてでも果たしていかなければならないと、かように考えております。したがって、委員の選考にあたりましても、できるだけ幅広く見識をお持ちになっている方という方針で実は進めております。
#75
○矢追秀彦君 国交の回復している国は問題ないと思いますが、いわゆる未承認国についてどういうふうな態度で臨まれようとしておりますか。中華人民共和国、あるいは朝鮮民主主義人民共和国、あるいはベトナム民主共和国、そういったいわゆる日本と未承認国とのこういう国際協力、いま、大臣は、国境はないんだと、こう言われましたが、この点については特にどういう姿勢でこれから臨まれますか、お伺いしておきたいと思います。
#76
○国務大臣(高見三郎君) 私は、学術の研究だとか文化の問題だとかいうものについて、イデオロギーを越えた形においての国際間の交流というものがあってしかるべきじゃないかと、また、なければ困るという感じを持っております。たとえば、一例を申しますると、高松塚古墳の学術的調査というようなものになりますと、私どもやっぱり高麗文化というものを考えざるを得ない、あるいは中共文化というものを考えざるを得ないのですね。まあ応じてくださるかくださらぬかは別問題として、私のほうは呼びかけていくんだと、こういう考え方をいたしておるのであります。
#77
○矢追秀彦君 いま高松塚古墳のお話が具体的に出ましたが、向こうはどうかわからないと言われておりますが、じゃ、具体的にそれに対しての折衝はすでにされたのですか。されるとすれば、いつごろどういう形でされようとしておるのか、ちょっとついででございますけれども伺っておきたいと思います。
#78
○国務大臣(高見三郎君) 私のほうは、朝鮮人民共和国に対しては非公式でありまするけれども意向を探っております。中華人民共和国に対してはまだ意向を打診いたしておりませんけれども、私は、できることならばこういう機会を通じて国交の正常化というものを考えるべきであって、ただイデオロギーだけを振り回して、あるいは利害関係だけのそろばんをはじいての国交回復なんというものは、ほんとうに望ましい姿じゃないだろうと思うわけであります。これはこれからの課題でありまするけれども、こういうことが今度の審議会に課せられておる一つの大きな使命じゃないかと思いますし、また、皆さんもおそらくこれには御賛成いただけるものだと、こういうふうに考えております。
#79
○矢追秀彦君 大臣は前向きにおっしゃっておりますが、具体的に特に中華人民共和国の場合はまだ接触ができていないと。いまの政府の中国との外交自体がまだなかなか手がかりもつかめていない状態でありますので、ひとつ、大臣、大臣のほうから、外務大臣なんか飛び越して、何らかの形でとっかかりをつくる気持ちになればいろんなルートが政府にもあるし、あるいはまたいろんなコースがあるわけですから、ぜひ外交とは別にこの問題については大いにやっていただきたいと要望しておきます。
 次に、本論に入らしていただきますが、これもいろいろ質問等もすでに出た問題が多いかと思いますが、この法律案の審議にあたりましてやはり問題は、学校用地の取得の問題が一番最重点になるかと思います。人口急増地域においての公用地の取得が非常に困難になってきておる。学校用地につきましても、市町村は、学校を建てなければならない、土地は非常に高価である、こういうことでなかなか建設に踏み切れない。東京の近郊のある市では、用地買収費が坪二十万、総額六億六千九百万円、また、校舎の建設費が二億一千五百万円、そういう非常に高い価格になっておりまして、これが非常に財政負担になっておりますので、これは中途はんぱな対策あるいはこう薬をはるようなやり方ではもう解決をしない。要するに、総合的な土地の利用の計画、特に公用地をどう取得するかという問題に結局なるかと思いますので、きょうは、建設省、自治省からお見えいただいておりますので、住民と密着した公用地の計画について建設省はどうお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
#80
○説明員(関口洋君) お答えさせていただきます。
 土地問題が非常に重要な課題であることは、先生御指摘のとおりでございます。土地問題の発生しました由来は、これも御案内のとおり、大都市への人口なり産業なりの非常な集中というところに基本的な課題があると、私どもはかように認識をいたしております。したがって、その観点に立ちまして、おっしゃるように、人口、産業の分散、こういった全体の土地利用計画と申しますか、そういう考え方の確立が何といっても必要ではなかろうか。しかしながら、それを達成しますためには、これも御承知のとおりに、期間を要しますので、いま御指摘のございました公共用地と申しますか公用地と申しますか、必要なそういう用地の確保をいかにして行なうかというのが現実の課題として非常に重要になってまいるわけでございます。そういう問題につきましては、すでに先行取得の方策を各公共団体で種々御苦労なさって講じておられることもこれまた御案内のとおりだろうと、かように考えております。その場合に、従来、先行取得とは申しても、どうしても財政あるいは計画の未策定、こういう事情からしてあと追い的にならざるを得なかったということが今回御指摘のような問題を生じた一番問題ではなかろうかと、かように考えております。そこで、私どもとしましては、学校用地につきましても、全体の都市の計画の上で、所要の用地につきましては都市計画決定をいたしましてそれを中心にして先行取得の問題を考えてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
 具体的な問題につきましては、自治省のほうからもお見えになっておられますので、いろいろ御質問を通じましてさらに不十分な点は補ってまいりたい、かように考えております。よろしくお願
 いいたします。
#81
○矢追秀彦君 自治省のほうからいまの問題に関連してお願いしたいと思います。特に、今回国会に出て審議されております公有地拡大推進法、これがかりに成立したといたしました場合、学校建設にはどのくらいのメリットになるのか、いまの問題と関係して。
#82
○説明員(横手正君) 公共用地の先行取得につきましては、現在の措置といたしましてはもっぱら地方債にたよっておるところでありますが、地方債は何といたしましても一定のワクがございます。そこで、多くの地方団体は、民間資金を活用しまして公共用地の需要に当たりたいというようなことから、一種の生活の知恵とでも申しましょうか、民法上の法人、土地取得のための地方公社を設けましてこうした地方団体の土地利用に対処してまいっております。現在、そうした地方公社、これは地方におきましては七百四十をこえるというような実態になっております。ただ、こうした私法人は、地方団体との関係でどうしても責任関係が明確でない、こういうような点がありますので、今回公有地拡大推進法というような法案を用意いたしまして、公法人としての法制化をはかってまいりたいと、かように考えておるわけであります。
 今後、公法人としての土地開発公社ができますと、従来のように第一に民間資金の活用がはかれるというような点がございます。第二には、地方団体が土地開発公社に対しまして債務保証ができるということになりますので、公社の信用力が増してまいるというような点から資金の確保が非常に有利になってまいるというような点があります。その他、税制上の面におきましても、不動産取得税でありますとか固定資産税あるいは登録税等におきまして減免措置の恩典が講ぜられると、こういうふうなことになってまいりますので、市町村としましてはこうした公社を設けまして学校用地の先行取得が非常に大幅に進められるというようなことになってまいろうかと、かように思っております。
 なお、地方公社で貸し付けております資金関係でございますが、四十六年度におきましては七千億円を上回るというような見通しでございますが、四十七年度におきましてもこの額はさらに一そう大きくなろうかというふうに考えております。そうした民間資金を活用してかなりの面で地方団体の土地需要に対処していけるものと、こう考えておるわけでございます。
#83
○矢追秀彦君 いま、自治省のほうと建設省のほうから、用地の先行取得がある程度楽になるようなお話ですが、かりにその用地の先行取得がやりやすくなったとしても、地価の問題がはたしてこれで押えられるのかどうか、この点はどうお考えになりますか。
#84
○説明員(関口洋君) 私ども建設省のほうで地価公示制度によりましていわば正常な取引価格の公示を進めておることは、先生御案内のとおりでございます。従来いわば取引にあたりましての価格形成がお互いの力関係できまるという不合理な面がございましたので、私どもとしては地価公示価格の推進につとめておるような次第でございます。こういう地下公示価格の活用、そういうものを通じまして価格の面から疑問が起きないように特につとめてまいりたいと、かように考えております。
#85
○説明員(横手正君) 私どものほうで今度の国会に提案させていただいております公有地拡大推進法、これは主たるねらいを地価対策に置くものではないわけでございます。むしろ、地方団体の実態からいたしまして、現在設けられております私法上の法人、これを公法人化しようというようなことから法案を作成いたしておるわけでございます。地価対策につきましては、別途、抜本的な措置が必要であろうというふうに考えておりますが、これは時間をかけて検討してまいる必要があろうと、かように存じております。
#86
○矢追秀彦君 公社ができて資金ぐりが楽になるのはいいんですが、それが結局また地価にはね返るという現象が必ず出てくるわけであります。現在、金融が少しゆるんでまいりまして、いまどういう現象が起こるかというと、土地を非常にたくさん買い占める人がふえておるというのがいま統計的に出てきております。そのことは間違いないとなると、結局、地価の上昇が起こる、それは学校建設にはね返る、こういう形になりますので、いま時間をかけて地価問題をやると言われておりますが、そういうことではもう間に合わない。生徒さんはいま満ぱいで、とにかくたいへんな状態でありますから、特にそういう土地の値段の高いところが問題でありますので、これはもう時間をかけてなどと言わないで、早急に抜本的な地価対策、これは自治省だけの問題ではなくして、建設省の問題にもなりますけれども、これをがっちり検討していただいて早急にお願いしたい。
 これは文部大臣にお伺いしますが、この地価の問題について、結局、文部省で幾らがんばって補助率をふやしても、肝心の地価がどんどん上がれば何にもならぬわけですから、学校用地取得のそういう価格に対する対策は、建設大臣と徹底的に話し合いをしていただいて何らかの対策、歯どめを講じていかなければ永久に解決をしないと思いますが、その点について何か具体的なこれからのお考えがありましたら、お伺いしたいと思います。
#87
○国務大臣(高見三郎君) 地価の問題は、ひとり文部省だけの問題じゃございません。国全体をあげて取り組まなければならぬ問題だと存じております。いま御指摘のありました問題につきましては、私は、補助率を上げてそれで学校ができるかどうか、実際はできないだろうという感じがいたしておりますけれども、いま御指摘の地価の問題、この問題につきましては、私も建設大臣と十分相談をいたしまして前向きに処理していく所存でございます。
#88
○矢追秀彦君 これは建設省にもお伺いしたいんですが、いま公団あるいは団地等がたくさんつくられまして、要するに人口急増地域ほどこういった公団あるいは団地の建設が盛んでありますが、それで団地をつくってもそれに対して市町村は学校をつくることを義務づけられると、こういうことで、人口のふえる市町村というものは非常に困っているわけでして、人がふえることはいいようですけれども、そういった学校をはじめとしたいろんないわゆる生活環境の整備ということに非常に金を取られてしまう。中でも、教育予算は幾らあっても足りない、こういう状況になりまして、公団と県あるいは市町村との間のいろんなトラブルもいままであっようでありますし、いまもありますが、その点はどういうふうに状況を把握されておるのか、また、これに対して今後どういう対策を講じられようとしているのか、その点を建設省のほうにお伺いしたいと思います。
#89
○説明員(福地稔君) お答えいたします。
 日本住宅公団が団地を現在建設しているわけでございますが、だんだん適地が遠くなります。遠くなりますと、総体的に地方にいきまして財政力が比較的弱い市町村になるわけでございます。したがいまして、地方団体におきましても、団地建設というものの財政負担というものが非常に重圧になりまして、その軽減を要望してきております。一部には、団地建設反対というような現象が起きていることも事実でございます。このために、住宅公団といたしましては、地方団体が整備すべき、いまお話がございました学校、それ以外に、道路、あるいは上下水道、河川、ごみ処理施設、そういうものにつきまして立てかえ制度を実施いたしております。一番短いのは三年、長いのは二十年というようなことで立てかえ制度を実施しております。それ以外に、できるだけ補助事業に採択する、あるいは起債の許可をお願いする、そういうようなことの配慮によりまして建設の促進をしてまいっておるわけでございます。
#90
○矢追秀彦君 いま言われた立てかえの問題でありますが、これは五省協定になるかと思いますけれども、これが現在どのくらい行なわれて、その辺の実情はどうなっておりますか、スムーズにいっておるのか、あるいはどうかということを伺いたいと思います。
#91
○説明員(川上幸郎君) 五省協定の実施状況につきまして御説明さしていただきます。
 先ほど公団監理官から答弁がありましたとおり、昭和四十二年に、建設、大蔵、文部、厚生、自治の各省間におきましていわゆる五省協定が結ばれ、これに基づきまして、道路、公園、下水道、河川、小中学校、幼稚園等の団地建設の公共公益施設の整備がはかられておるところでございます。
 この内容でございますが、地方公共団体が宅地開発に合わせまして適宜施設の整備を行ないますことが困難な場合におきまして、住宅公団等の事業主体が所要資金の一部を立てかえましてみずからかわってその施設の整備を行なうことによりまして市町村の財政負担の緩和をはかろうとするものでございますが、この金利は六・五%となっております。
 なお、予算でございますが、昭和四十六年度で申しますと百八億円、四十七年度には百五十七億円でございまして、さらに、住宅金融公庫におきましては、関連公共施設の立てかえ資金といたしまして、四十六年度には三十億円、四十七年度には三十五億円がついております。
#92
○矢追秀彦君 これは地方公共団体はこれに対して非常に歓迎をされておるのか、また、この契約の期間がいま三年、十年あるいは二十年とございますけれども、現在行なわれておるところではどのぐらいの支払い期間が一番多いのか、その現在の施行状況を大ざっぱでけっこうですから伺いたいと思います。
#93
○説明員(川上幸郎君) この貸し付け期間でございますが、住宅金融公庫が宅地開発事業者に貸します場合におきましては、現在五年となっております。なお、これは、大規模なものにつきましては、四十七年度からは七年となりますよう、現在、公庫法の改正におきまして御審議を願っておる次第でございます。
 なお、住宅公団の分につきましては、現在二十年となっております。でございますが、これは市町村が立てかえます分でございまして、その前に補助金もしくは起債でつきます場合においては直ちに返還されるという仕組みになっております。
 なお、いろいろ市町村等で協議いたしておりますが、公庫の貸し付け期間につきましては若干延ばしてほしいという要望が出ておる次第でございます。
#94
○矢追秀彦君 いまの公庫の五年を引き延ばすお考えはあるんですか。
#95
○説明員(川上幸郎君) 先ほど申しましたように、大規模な団地建設にかかるもの、これは大体五十ヘクタール程度かと存じますが、これにつきましては本年度から五年を七年に延ばしたい、このように考えております。
#96
○矢追秀彦君 公団が住宅とかあるいは宅地をつくる場合、特に公団が先に建設を行なう、あとで市町村からお金を返してもらう、こういうことが行なわれた場合、それはその住民の負担には、家賃とか、あるいはその辺のこれから公団をつくる場合の用地取得の地価とか、そういうのにははね返りは絶対ないですか、その辺はいかがですか。要するに、公団としては資金が要るわけでして、たとえお金を借りるにしても、ある程度の利息を払わなくちゃいけませんし、そういった点、ただ団地をつくるだけが公団としては楽だと思うわけですけれども、その負担等が家賃等にはね返る可能性はいままであったのかなかったのか、これからはどうか、その点をお伺いします。
#97
○説明員(福地稔君) いま御説明いたしました立てかえ分につきましては、家賃その他にはね返りはいたしません。
#98
○矢追秀彦君 この問題はこの辺にしまして、次に、四十六年度から文部省が生徒急増市町村に補助金を出しておりますが、四十六年が二十億円、四十七年が三十二億三千万円と、こういうふうに承知をしておりますけれども、この補助金の効果がどういう形であらわれたのか、その点の実情はどうなっておりますか。
#99
○政府委員(安嶋彌君) 効果というお尋ねでございますが、財政上の補助金でございますから、人口急増・児童生徒急増町村における財政負担がその分だけ軽減されたということがその効果かと思いますが、前回の委員会でも申し上げましたように、児童生徒急増町村における小中学校の建設費が一般歳出に占める割合、これはその他の町村に比べましてもちろん重いわけでございますが、そうした人口急増・児童生徒急増町村の財政負担が補助金あるいは地方債をもって措置いたしました分軽減され、したがって、学校の建設なりあるいは学級の増設なりがそれだけ容易になったということは申し得るかと思います。
#100
○矢追秀彦君 四十六年度では、この助成に対する申請の数、それに対する補助実績、それはどうなっておりますか。
#101
○政府委員(安嶋彌君) 市町村から補助申請がございました面積は、二百四十九万五千平米でございます。これに対しまして、予算上措置をいたしました面積は、二百六十万平米でございます。
#102
○矢追秀彦君 件数で言うとどうなりますか。
#103
○政府委員(安嶋彌君) 全体で二百四校ほどでございます。
#104
○矢追秀彦君 その二百四校に対してどれだけの実績があるわけですか、補助金が。
#105
○政府委員(安嶋彌君) 補助金は、御承知のとおり、本年度は、いや、本年度と申しますか、四十六年度は、現金予算で二十億でございます。国庫債務負担行為三カ年分、全体で六十億でございます。したがいまして、ただいま申し上げました二百四校に対して六十億円の補助金の交付決定があり、そのうち二十億円は現金で四十六年度中に交付をした、残りは四十七年、四十八年度で交付をする、こういうことでございます。
#106
○矢追秀彦君 その二百四件全部にくまなく渡っているわけですか。
#107
○政府委員(安嶋彌君) そのとおりでございますす。
#108
○矢追秀彦君 一応全部に行き渡っているといいましても、非常に金額においても少ないと思いますし、こういうふうな状態では問題にならないのじゃないかと思います。現在この法案でかなりの補助率の改善はできるわけでありますけれども、さらにもっとこの国庫負担の率を上げることと、やはり用地買収の問題についての補助率の点はもっと考慮しなければならぬと思うのですが、いつも私たちが地方で聞きますことは、校舎の建築費を出してもらうのはありがたいけれども、用地のほうをもっと配慮してもらいたいと、これが非常に強いわけです。先ほどの公共用地の先行取得とからんではまいりますが、その辺の公共用地の先行取得ということがかなり制度的に確立をした時点には、用地に対する補助を考える、あるいは急増地帯においては補助率をもっと考慮するということが大事ではないかと思いますが、その点に対する文部省のこれからの見通しはどうですか。
#109
○政府委員(安嶋彌君) 用地の補助でございますが、御承知のとおり、昨年度始まったばかりでございます。執行の結果は、ただいまもちょっと申し上げましたが、実際の需要に比べまして補助金を計上した面積がかなり下回っております。四十六年度の補助坪数は二百六十万平米で、四十七年度はこれを三百六十三万平米にふやしたわけでございますが、なおかつ、実際の必要量に比べましてかなり少ない量であろうと思います。また、単価にいたしましても、昨年度、本年度とも平米当たり一万六千円ということでございますが、四十六年度の補助実績からいたしますと、平米当たり約二万一千円というような状態でございます。したがいまして、私どもといたしましては、やはり、事業量と申しますか、補助対象坪数の増加をまずはかりたい、それから第二は補助単価というものを実際に合わしていきたいということ、この二つが重点であろうかと思います。ただいまその土地についての補助率を上げる考えはないかというお話でございますが、土地というのは、御承知のとおり、いわゆる非償却資産でございます。そうした土地の特殊性からいたしまして長い間土地が補助対象になるということがなかったわけでございまして、昨年初めて児童生徒急増町村に限りまして土地が補助対象になったというようなこと、土地が非償却資産であるということ、それから長い間のそうした懸案等を考えますと、ただいまの段階で補助率を引き上げるということはなかなかむずかしい課題ではないかと考えます。先ほど申し上げましたような事業量の増加、あるいは単価の改定、あるいはそれに関連する地方財政上の措置を充実するということのほうが当面は重要な課題ではないかというふうに考えます。
#110
○矢追秀彦君 この問題につきまして、四十六年度の「国の予算」というこの資料の一二三ページですが、第五節の「文教施設費」の四番目に、「社会増地域の小・中学校校舎建築に対する補助率を2/3に引き上げるべきであるという要求があるが、この点については、上記(3)の(イ)で述べたように児童生徒急増市町村に対し、手厚い助成措置が講じられることとなったことのほか、さらに次のような理由により、これを引き上げることは適当でないと考える。」と、こういうことが出ている。三項目にわたって引き上げることは適当でないという理由が出ておりますが、これは、今年度も、この法案は法案といたしまして、大体考え方としては変わらないと見てよろしいんですか。その辺はいかがですか。
#111
○政府委員(安嶋彌君) 土地についての補助率の引き上げにつきましては、ただいま申し上げました考え方でされておるわけでございますが、先般も御質問がございましたように、児童生徒急増町村における建物の建築費につきましては三分の二の補助をしたいというふうな方向でこれは今後とも努力してまいりたいというふうに考えます。そうした施策を含めまして児童生徒急増町村に対する財政措置を手厚いものにしてまいりたいというふうに考えております。
#112
○矢追秀彦君 私が聞いているのは、いまの三分の二に引き上げる方向で検討したいというふうに受け取りますが、これは四十六年度の話ですが、三つの理由をあげて上げることは適当でないといわれているわけですよね、三分の二に引き上げることは。特に第三番目の「補助率を引き上げても、起債や交付税が減るだけで、社会増市町村にとつてさしたる財源的なプラスは期待できないことに留意する必要がある。」と、こういうのがあるわけですね。この辺の考え方はこれからも貫いていかれるのかということなんですね。要するに、補助率を上げるのはけっこうだけれども、じゃ起債とか交付税のほうは減るだけですよと、こういうふうな態度でいかれるのかどうか、その辺をお伺いしたいんです。
#113
○政府委員(安嶋彌君) 実は、先生がお読みになっておりますものを私は手元に持っておらないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、との補助制度は地方債とうらはらの関係で運用しておるわけでございます。補助金がふえれば、それに付随する補助起債というものが減るわけでございます。そういう意味におきましては、そこに書いてあるとおりかと思いますが、ただ、町村の側から考えますれば、起債で措置してもらうよりは補助金で措置をしてもらったほうが有利なわけでございますが、その有利・不利という点を別にいたしまして、私ども、この補助対象が土地であるという点の事柄の本質を考えますと、やはりこの補助率は三分の一ということで、事態がよほど変わってくれば別でございますが、さしあたりはこの三分の一という補助率でいくことが適当ではないかというふうに考えております。
#114
○矢追秀彦君 もちろん土地もそうでありますが、
  〔資料を示す〕
その資料に出ているのは、土地の問題だけではなくて、全体の問題になっておりますが、その点をもう一度お伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(安嶋彌君) したがいまして、土地についてはそういうことでございますが、建物につきましては、先ほども申し上げましたように、児童生徒急増町村の財政負担というのがきわめて高いわけでございますから、補助率を引き上げるという方向で努力をしてまいりたいということでございます。
#116
○矢追秀彦君 次に、横浜市などの場合に具体的に見ますと、典型的な生徒急増地になっておりまして、昭和四十六年十月で小学校百九十四校、中学校が七十三校、五十二年には小学校三百四校、中学校が百十九、こういうふうに非常に必要だということになってきておりますが、これに対して、先ほどからいろいろ御答弁いただいております土地にしても、あるいはまた建設費全体にしても、結局、補助率の問題、あるいは金額の問題、土地の価格の問題で市町村は非常に困っておるわけです。特に、横浜市においてもそうでありますが、プレハブの校舎の問題がいろいろ議論をかもし出しておるわけでありますが、このプレハブ校舎についてはどういうふうに掌握をされておりますか。
#117
○政府委員(安嶋彌君) プレハブ校舎につきましては、四十六年の五月一日現在におきまして、小学校が三千三百五十一クラス、それから中学校が七百九十二クラス、計四千百四十三クラスのプレハブ校舎があるということでございます。これにどう対処するかということでございますが、御承知のとおり、小中学校校舎整備費を本年度はかなり大幅に増加をいたしたわけでございます。同時に、小学校校舎に対する補助率を三分の一から二分の一に引き上げたわけでございます。この小中学校校舎に対する補助金は、先般も御答弁申し上げましたように、その約七割が児童生徒急増町村に対して実際上配当されるわけでございまして、配当されたこの予算というものはそのまた大部分がただいま申し上げましたようなプレハブ校舎、仮設校舎の解消に充当されるわけでございます。もちろん児童生徒急増町村における不足教室は四十六年の五月一日現在で約九千教室あるわけでございますが、そのうちの約半分に近い四千百教室がただいま申し上げました仮設校舎でございます。ですから、補助金のすべてがその仮設校舎の解消に充てられるということではなくて、特別教室に転用しておるものの解消に充てられるということももちろんあろうかと思いますが、大勢といたしましては仮設校舎の解消にこの予算が大部分充当されるということは申し得るかと思います。
#118
○矢追秀彦君 このプレハブ校舎の位置づけですけれどもね、法律的な面での。私は詳しいことはよくわからないんですが、学校設置基準法ではこれは認められるのか、あるいは建築基準法では認められておるのか、その点はいかがですか。
 それからいま補助金の対象ということを言われておりますが、これは国庫負担金が法律的には出せる種類のものなのかどうか、その辺はいかがですか。
#119
○政府委員(安嶋彌君) 学校施設基準法上認められるかという前段のお話でございますが、学校施設のあり方といたしましては、もちろんこのプレハブということは適当ではないわけでございまして、何と申しますか、本建築で教室が設置されるということがこれは当然なことでございます。特にそうでなければならないという規定があるわけではございませんが、私どもはそれは当然なことだと考えております。
 次に、建築基準法との関係でございますが、実は、建築基準法の八十五条の規定によりまして、こうした仮設建物につきましては行政官庁の許可を得てこれを設置するということになっております。先般衆議院でも御指摘がございましたけれども、現在の小中学校のプレハブ教室につきましては、建築基準法上の確認を得ていないものがかなりあるということが明らかになりましたので、私どものほうでも、教育委員会の建築関係、施設関係の部課に対しまして通達を出しまして、すみやかに建築基準法上の安全の確認をとるように指導をいたしておる次第でございます。
 それからなお、プレハブ校舎が補助対象になるかというお話でございますが、もちろん、これは、この解消のために本来の教室が建築されます場合には、それは補助対象にいたしております。
#120
○矢追秀彦君 いま建築基準法の八十五条に違反しておる建物があるということですが、大体どれくらい掌握されておりますか。まだですか、実情は。
#121
○政府委員(安嶋彌君) ことしの三月の調査でございますが、仮設校舎につきまして建築基準法に基づく行政官庁の許可が必要なものが約二千五百件ございますが、まことに遺憾なことでございますが、そのうち許可を受けておるものが約六百件という状況でございます。そうした事態が明らかになりましたので、先ほど申し上げましたように、すみやかに所定の許可を受け、安全の確認を行なうように指導をいたしておるところでございます。
#122
○矢追秀彦君 この問題は非常に重要でありまして、いま衆議院でもいろいろ議論をされたとおっしゃっておりましたが、これは大臣に要望も含めての質問ですが、子供さんがプレハブに入ってどんな気持ちになっておるかということが一つの資料に出ておりますが、ちょっと読みます。
 二がっきになって、ぼくたちはプレハブこうしゃにひっこしてきました。生とのかずがふえて、きょうしつをふやさなければならなくなつたのです。プレハブになっていやなことがたくさんあります。まずきょうしつがくらいのでくもった日などはこくばんのじが見にくいのです。それからあめの日にお手あらいにいくときは、かさをさしていかなくてはなりません。これからさむいふゆがやってきます。プレハブきょうしつはさむいそうです。はやくてっきんのこうしゃができるといいなあと思います。
 これは子供たちの声でありますが、たとえば群馬県の高崎市一つを取り上げましても、小学校が十三校あるうちでプレハブを使っているのが七校ある。半分以上、六割なんですね。五割以上がプレハブ校舎を併設しておる、こういう状態です。いま言ったように、具体的にいろいろあるわけです。夏暑くて冬が寒い。扇風機をつけなければできないので、つけたらやかましくて授業が聞けない。あるいは、寒暖計でデータをいま先生がとっているようですけれども、非常に暑い。そういうようないろいろな問題があって、同じ地域から通学している子供たちにもプレハブとプレハブでないのと差別ができているというので父兄から非常な苦情が出ておる。そういう異常な問題が出ておりますので、これについては、早急にこれを建てかえる、そういった点で特にこれには精力的に尽力をしていただきたい。結局、これが大事な問題になってまいりますけれども、特にいま言った内容の悪いところに対して具体的にきめこまかくやらなければならぬと思いますが、それに対する大臣の所見を伺いたいと思います。
#123
○国務大臣(高見三郎君) お話しの点は、私ども十分心してこの問題については取り組んでいかなければならぬと考えておるわけでありまして、文部大臣の仕事のうちで教育条件の整備ということは一番大事でございますから、それは私は積極的に取り組んでいくという決意を申し上げておきます。
#124
○矢追秀彦君 私、最後に、文部大臣に全体的な問題になりますけれどもお伺いしたいのですが、いま施設の問題でいろいろ質問してまいりましたけれども、文教予算全体に対しての質問になりますけれども、今年度はかなり文教予算は伸びたと、こういうことでございますけれども、最近の文教予算の伸びは一般会計全体の伸びを上回っていない。三十年代では後半あたりは上回っていたわけです、文教予算のほうが一般会計予算の伸びをですね。最近は全然上回っていない。こういうふうな状況下におきまして、結局、国として文教に対する取り組み方というのは、だんだん低下をしてきておる、こう言わざるを得ないと思うのです。公共事業が今度も相当ふえておりますけれども、こまかい数字は私ちょっと覚えておりませんけれども、ほとんど産業基盤整備のほうに回ってしまって、不況対策にからんででありましょうけれども、やはり福祉予算と言われるならば、その中で非常に大事なこういった文教関係――直接の福祉となるかどうかはいろいろ運用のしかたに問題がありますが、やはり教育というのは一つの大きな柱であります。文教予算の伸びというものはことしはわりあい伸びたけれども、一般会計まで及んでいない。この伸び率の問題については、今後どういうふうに大臣としてはお考えですか。
#125
○国務大臣(高見三郎君) 伸び率の問題についての御質問でありますが、御承知のように、公立学校の教職員の給与の半額を国が国庫負担いたします。それから国立学校の教員の給与を全部見ております。しかも、予算の面ではそれが一八%の増になりますから、その一八%増ということになりますと、実は約九千億というものが国庫負担、国立学校の人件費なんですから、そこで、ああいう社会教育の予算をうんとふやしてみましても、体育の予算をうんとふやしてみても、もともと根っこが少ないものですから、全体の伸びから申しますと二十何%ということになりますけれども、いまお話のありました点は、私は、伸びとか伸びでないという問題よりは、教育全体の問題として考える場合に、もっと積極的に予算を取らなければならぬし、また、大蔵省も出さなければならぬと考えております。その意味から申しますというと、各省を通じまして一番固定したものをはずしますというと、事業費としましては大幅に伸びておる、こういうような理解に立っておるわけでありまして、考え方はいろいろあるだろうと思いますけれども、私は、その意味においては、今年度予算というものは相当の伸びを示したということが言えるのではないかと、こういうように考えております。
#126
○矢追秀彦君 時間がありませんから、この問題はまた別な機会に詰めたいと思います。
 今度は、国民所得に対するいわゆる教育投資総額ですね、これの比率というのは現在どのようになっておりますか。また、中教審の答申ではどの程度を目ざしておられますか。
#127
○政府委員(奥田真丈君) 公財政の支出の教育費総額が国民所得に対する比率は、一九六九年度の統計では四・八%になっております。
#128
○矢追秀彦君 このままいきますと、中教審の答申によりますと、昭和五十五年度では四・五%になる、この答申で提案した新しい政策上の課題を実行に移した場合には六・三%になると、こう言われておりますけれども、一昨年度の比率は四・八でありますけれども、これはやっぱりだんだん低下しておる。今後この施策を入れながら六・三にしたいという方針ですが、いまの調子だと、私は、六ということはちょっとむずかしいのじゃないかと、こう思うのですけれども、大臣は絶対できるという確信がおありですか。
#129
○政府委員(奥田真丈君) 現在の施策という考え方でございますが、昭和四十五年度、四十六年度ごろまでにとってまいりました施策もそのまま将来も伸びるといたしますと、やはり国民所得に対する。パーセンテージは低下してまいります。ただ、従来の十年ほど前にさかのぼって統計を見てみましても、少しずつ低下という傾向がございます。これは国民所得の全体の伸びのほうが大きいということにもなるわけでございます。
#130
○矢追秀彦君 だから、目標が到達できるかということと、ここに書いてある六・三%になるのかどうかということです。
#131
○政府委員(奥田真丈君) 中教審の昨年の答申は、提案した事項を実施するということを仮定いたしまして、現在までの成長率二二・九%という率でもって将来十年間伸びるという形の上での一応の試算でございます。したがいまして、その前提に基づいての試算では、十年先の昭和五十五年度では、新しい施策を入れないでいきますといまよりもパーセンテージは低くなる、提案しております改善施策を加えますと約六・三%ぐらいになると、こういう試算でございます。それには、先ほど申しましたように、経済成長率というもの、あるいは取り上げるべき施策というものの前提が全部含まれて考えられております。
#132
○矢追秀彦君 諸外国の例を見ますと、答申にあるグラフによりましても、イギリスではもうすでに六六年に六%を突破しておりますし、アメリカも六八年には六%を突破しておる、こういう状況で、結局、日本はこういうふうなカーブになって、現在はまだ五%出たところで、諸外国はわりあい順調に伸びているわけですね。日本はこういうカーブになっている。文教政策に対する国の施策のあり方が、結局、アンバランスといいますか、行き当たりばったりといいますか、そういうところからこんなカーブが出てきたんじゃないか。結局、経済成長率の問題、あるいは予算の中のさっき言った産業基盤整備、あるいは福祉への予算、あるいは教育予算、こういった点のあり方というものがもっともっと徹底的に検討されて、わが国の教育がどうあるべきなのか、それに対して国としては予算の中でどういう位置づけをしているのか、国民所得の中ではどうあるべきなのか、この点がはっきりした施策がとられてこなかったととろにこういったカーブになっていると、私はこまかい分析はしておりませんのでまだこれからもっとやってみたいと思っておりますけれども、そう感ずるわけです。これはもっと論証しなければいかんと思いますけれども、ちょっと不勉強で恐縮ですけれども、その点、文部大臣は、今後そういう変なカーブじゃなくて、せめて諸外国の急上昇カーブぐらいには持っていってもらわなければ困る、こう思うのですが、その点に対する所信をお伺いして、私は、時間ですから、質問を終わらしていただきます。
#133
○国務大臣(高見三郎君) 矢追さんの御質問、全く同感でございます。私どももせめて六%と言いたいところでありますが、実は、この計測を出しました時点における日本の経済成長率と、出して半年もたたない間の日本の経済成長率の基盤が非常に変わってまいりましたから、いまお話しのようにパーセンテージだけで話をきめるわけにはいかないと思うのでございますが、少なくとも教育予算については国の長い目で見る公共投資だという観点から思い切った投資をすべきじゃないかという意味においては矢追先生と全く同じ意見であるということをお答え申し上げておきます。
#134
○加藤進君 今度の法改正の第一のねらいというのは、今日、小中学校の施設がきわめて現状に即さない、立ちおくれている。したがって、その施設の整備拡充をはかる。このために、とりあえず学校の新増築については補助をふやそうというのが第一のねらいであると思いますが、そのとおりですか。
#135
○政府委員(安嶋彌君) 補助の金額自体は、すでに御承知のとおり予算できまっておりまして、前年度に比べましてかなり増加をいたしておるわけでございますが、ただいま改正法案としてお願いをいたしておりまする内容は、御承知のとおり、補助率を引き上げるとか、あるいは前向き整備を容易にするとか、学校統合を名目統合を要件としないで統合予定のもの等も補助の対象にしていきたい、あるいは特殊教育についての補助率の引き上げ、あるいは特殊教育における基準の児童生徒一人当たりから学級当たりへの改定、そうした事柄を内容としているわけでございまして、金額自体はすでに予算できまっておるわけであります。その執行のしかたを通して内容をさらに充実改善してまいりたいということでございます。
#136
○加藤進君 いまお触れになりましたような点は順次質問を申し上げますけれども、とりあえずとにかく新増築についての補助率を引き上げる、こういう措置だと思いますけれども、いま学校施設の拡充整備ということになりますと、今日ある木造などの老朽校舎に対して、こういう危険な校舎を早急に整備しなくてはならないという課題が同時にあると思うのですが、この点では本法案について何ら触れられておらないというのはどういうわけなのか、お尋ねしたいと思います。
#137
○政府委員(安嶋彌君) 老朽校舎の改築が必要であるということは、これまた当然なことでございます。先般も御説明を申し上げましたように、四十六年の五月一日現在におきまして、木造校舎は五千六百八十八万平米ございまして、全保有面積の四七%が木造でございます。この木造校舎は、通常の場合でございましても年の経過とともに老朽化し危険になってまいるわけでございますが、そのうち私どもが四千五百点以下の危険建物というふうに算定をいたしておりまするものが五百八十万平米ございます。当面この改築に重点を置いてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、予算額といたしましても、御承知のとおりに、危険校舎の改築につきましては、四十七年度百三十七億という金額を予算に計上いたしておる次第でございます。
#138
○加藤進君 どこへ参りましても、木造の非常に危険な校舎が目についてしようがないわけでございます。じゃ、なぜこれが鉄筋にならないのか。一番大きな原因の一つは、私は文部省にあると思う。危険校舎であるという認定の基準が非常にきびしい、こういう声を至るところで聞くわけですが、とりあえず私はそういう声に応じてぜひとも文部省として勇断をもって処置してもらいたい点が二つあるのです。その一つは、現在の基準を改めて、少なくとも六千五百点程度にこれを認めてもらえないかどうか、これが第一であります。第二には、学校の新増築についての国庫補助率を二分の一に引き上げるというなら、危険校舎の改築についても現行の三分の一を二分の一に引き上げてほしい。これは特例をもってやるなら実施できるわけでございますから、その点について文部大臣の御所見をお願いしたいと思います。
#139
○政府委員(安嶋彌君) ただいまもお答え申し上げましたように、四千五百点以下の老朽危険校舎の坪数がなお五百八十万平米もあるということでございます。私どもはこれが改築が当面の課題であるというふうに考えておるわけでございますが、最近、お話がございましたように、この点数がきつ過ぎるではないかというような御意見も各方面から出ておりますので、これを五千点程度にまで引き上げるという方向で現在検討いたしておるわけでございます。これを五千点に引き上げますと、さらに、推計でございますが、要改築面積が百七十八万平米増加するということでございます。こうした状況でございまして、実際の予算で年々改築をいたしておりまする坪数は、御承知のとおり、約百万平米でございます。したがいまして、この段階におきまして危険校舎の要改築点数を六千五百点にまで一挙に引き上げるということは、かなり困難な課題ではないかと思います。老朽度のはなはだしいものをまず改築をいたしまして、逐次老朽度のそれほどでもないものに及んでいくということが行政の順序ではないかというふうに考える次第でございます。
 それから補助率の点でございますが、小中学校の校舎の新増築の場合はこれが二分の一ということになっておるわけでございますが、老朽校舎は三分の一ということでございます。そこに補助率に差があります理由でございますが、改築費ということになりますと、財政的には経常的な性格がかなり強くなってくるわけでございます。臨時費的な新増築といったことではなくて、経常的な性格がやや強くなってくるわけでございまして、そういう観点から三分の一という補助率を現在定めておるわけでございます。先般衆議院でこの法律が審議されました際におきましても、この三分の一を二分の一に引き上げてはどうかという御意見がございました。これにつきましては、前向きで対処をいたしたいというふうにお答えを申し上げておるわけでございますが、四千五百点以下の坪数がかなり残されておるという点等を考え合わせまして、明年度予算の概算要求の段階におきましては十分検討をしてまいりたいというふうに考えます。
#140
○加藤進君 前向きに努力されるというわけでごさいますけれども、それにしては御答弁の趣旨内容が非常に低調であるというふうに認めざるを得ないわけで、ぜひとも公約どおり努力をしていただきたいと思います。
 とりあえず五千点にまで引き上げるというのは、いつからやられるのでしょうか。
#141
○政府委員(安嶋彌君) 現在でも、特殊教育の学校、あるいは豪雪地帯の学校、あるいは関東南部で震災が問題になっておるような地域の学校につきましては、実行上五千点ということで補助金を支出しておるわけでございますが、いつ全体的にこの点数を五千点に引き上げるかというお尋ねにつきましては、前向きの姿勢ではございますが、さらに予算の総ワク等との関連もございますので、十分検討さしていただきたいというふうに考えます。
#142
○加藤進君 もう少し、検討検討でなしに、いつまでにぜひ実現したいという確答を実はほしかったわけでございますけれども、ぜひそのために御努力を賜わりたいと思います。次に、学校の新増築に対してその補助率を引き上げられるわけでございますけれども、これによってはたして現在ある深刻な教室の不足、プレハブ校舎の解消ということができるのかどうか、この点についての確信を持っておられるでしょうか。
#143
○政府委員(安嶋彌君) 本年度も努力はしたつもりでございますが、私ども予算に計上しております金額並びに事業量では実際の要望にこたえ得るということにはまだほど遠いというふうに考えております。今後とも最善の努力を尽くしたいというように考えます。
#144
○加藤進君 この点につきましては、この前の委員会ですか、文部大臣自身が、問題は用地取得にある、こういうふうに端的に指摘されました。私も一番基本的な問題はそこにあるのじゃないかと思います。昨日、私は、先般も委員会で問題になりました東久留米市に参りましてその学校施設等々を調査いたしました。また、助役、教育長にもその所見をただしたわけでございますが、東久留米市でいま第十小学校という学校を建設中です。これは四月に開設する予定のところが、今日に至るもなお開設できない。この第十小学校の学校の用地は、坪で計算すれば坪当たり十万、四千坪ですから用地費として四億投じなければならない、こういうのが実情でございます。これに対して国のほうからの用地費補助というのはどのくらい出されるのでございましょうか、その点をお伺いしたいと思います。
#145
○政府委員(安嶋彌君) 四十七年度の予算の執行はまだ行なっていないわけでございますが、一般的な処理の方式を申しますと、校地の買収面積につきましては一つの基準がございます。その基準につきましては加藤先生も御承知かと思いますが、基準の範囲内の不足面積をまず補助対象といたします。
 それから単価といたしましては、実際の単価、または、先ほど建設省から話がございましたが、土地の公示価格のいずれか少ない金額を補助単価とするということでございます。ただ、東久留米等の場合におきましては、この公示単価もかなり高い単価でございまして、買収の実績単価とほとんど違わないということが実際でございます。したがいまして、ほぼ買収実績単価が補助単価になるというふうに考えていただいていいかと思います。
 その所要面積と買収の実績単価の相乗積に対しまして足切り率というものがかかるわけでございます。この足切り率と申しますのは、これは児童生徒急増町村以外の一般町村におきましても校地取得のための財政負担というものがあるわけでございます。それは全町村共通の財政上の負担であるというふうに考えまして、その分は控除する。つまり、それをこえる部分について児童生徒急増町村に対しては補助をする、そういう考え方がつまり足切り率でございます。昨年度はこの率が五六%でございましたが、本年度は若干改善されましてこれが五〇%になっておるわけでございますけれども、その率を掛けまして、さらに、補助率が三分の一でございますから、三分の一の補助率を乗ずる。さらに、三カ年の国庫債務負担行為による補助でございますから、それが三分の一される。その金額が実際に交付される。ただ、予算のワクがある関係上、そうした形で全国集計をいたしました金額が予算を上回ります場合には、これにある程度の圧縮率を掛けるということが、まあ実際やむを得ず行なわれておる措置でございます。
 したがいまして、幾ら補助金が参るかというお尋ねでございますが、直接お答えいたしかねますが、そういうルールで計算をいたしたいというふうに考えております。
#146
○加藤進君 お金の問題ですから、数字的にきちっとお答えを願いたいと実は期待しておったわけでございますけれども、どうもそうもお答えが願えなかったわけでございますが、私が現地で市当局にお聞きしましたところは、実は国からの用地補助というのは四億円のうちの一二%程度四千八百万程度のものであって、しかもこれが一挙にいただくわけではなしに、三年の分割払いになる。したがって、四十七年度には千六百万程度しか来ませんと、こういうお話でございますけれども、こういう数字の計算は大体正しいのでしょうか、それとも、間違っておるのでしょうか。
  「写真を手渡す〕
#147
○政府委員(安嶋彌君) 先ほど申し上げましたように、四十七年度の事業につきましてはまだ執行いたしていないわけでございますので、東久留米市に対してどれだけの金額が交付されるのかということは全くわからないわけでございますが、御参考までに東久留米市に対する四十六年度の補助金額を申し上げますと、補助の基本額と申しますか、補助の対象にいたしました土地購入費の総額が九億五千五百万円でございます。そのうち、補助金の交付決定をいたしました額が一億六百万円でございます。これを三年で分割交付をいたしますから、単年度にいたしますと約三千五百万円の補助金ということになります。
#148
○加藤進君 ともかく、用地には四億もかかった。しかし、国からの補助はきわめて乏しいと。その結果どうなっておるかというと、ただいま文部大臣にお見せしました写真のとおりでございます。これは第七小学校の校庭の中に第十小学校のプレハブ校舎が建って、やっと学校の開設になってきておる、こういうのが現実の姿であります。四億もかけた敷地はどうなっているかというと、いま整備中です。十一月に何とか開校したい、こういうのが心からの市当局の願いなんです。こういう状態にいわば人口急増地帯における学校がなっていく、その一番のもとは何であるかというと、用地買収のために金がかかるから、金を出さなくてはならない。しかし、あと学校の校舎にはもう金がない。こういう状態がついにプレハブを今日のように全国的に非常に多くしている根本の一つになっている。こういう点は、私は、文部大臣自身も否定をなさらないと思うのですけれども、文部大臣は、こういう状況に対してどのような方策をとらなくてはならぬ、こういうふうにお考えになるか、所見を承りたいと思いますが、その前に、私は、せめてもこういう人口急増地に対しては少なくとも用地費について実質用地費の二分の一の補助ができないものかどうか、こういう行政措置なりあるいは特別立法なりができないものかどうか、この点の所見を第一にお伺いしたいということと、第二には、プレハブ教室を解消するために校舎の新増築に対する国庫補助を二分の
 一ではなしに三分の二に引き上げるための特別措置がとれないものかどうか、この二つさえとりあえず政府がめんどうを見る気なら、問題の相当大きな前進があるのではないか、こういうふうに考えますけれども、その点の将来を見越してでけっこうでございますけれども文部大臣の所見を伺っておきたいと思います。
#149
○政府委員(安嶋彌君) 最初に土地についてのお話でございますが、先ほどもお答えを申し上げましたように、当面はやはり事業量をふやすということ、あるいは土地の購入単価を実際に即したものに引き上げていくということ、それから足切り率を前年度の五六%から五〇%に下げたわけでございますが、さらにこれを改善してまいりたいということ、そうしたことに当面の重点を置いてまいりたいということでございます。立法化というお話もございましたけれども、現在は補助でやっておるわけでございますが、この考え方は、一応昭和五十年度までの暫定措置であるという、そういう考え方が大前提になっておるわけでございます。補助の制度自体も昨年度発足をしたばかりということでもございますし、現段階で立法化ということは私どもさらに慎重に検討いたしたい課題だと考えております。むしろ、実質の充実改善に努力をしてまいりたいということでございます。
 それから校舎の補助率の引き上げにつきましては、四十七年度予算の要求の際にもそうした要求をいたしたわけでございますが、今後ともそれはそういう方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#150
○加藤進君 文部大臣の所見を一言お伺いします。
#151
○国務大臣(高見三郎君) 加藤さんのおっしゃるとおりであります。用地取得費というものを実は昨年度から補助費をつけることにいたしました。なかなか、これをつけるという段階までは、たいへんなことであったのであります。ようやく発足いたしたばかりでありますので、御不満の点も多々あろうと思いますが、しかし、これを解決しなければ容易に前進は見られないので、なおこの問題については努力を重ねていきたいと存じております。
#152
○加藤進君 いつごろまでに実現の運びに至るか、こういうお考えについてはいかがでしょうか。
#153
○国務大臣(高見三郎君) これはまあいつごろまでにといって証文を取られても困るのですが、私としてできるだけ早い機会にこういうことを実現したいということを考えておるわけであります。
#154
○加藤進君 非常に答えにくいそうでございますけれども、プレハブ校舎の解消、教室不足の解消自体も、あまり安閑としておったらいつになっても解決できるかわからないということでございますから、これを抜本的に解決するための方策として、いま大臣も私の趣旨に御理解をいただいたわけですから、ぜひとも可及的にそのための勇断をもりた処置をとっていただきたいということを要望しておきます。
 次に、三年前向き整備の問題でございますけれども、提案の趣旨説明の中で、集団的な住宅の建設などによる児童生徒の増加に対処するために学校校舎の新増築の国庫負担分を三年先までに延長する、こう言われておりますけれども、「集団的な住宅の建設」の中身はこれはこれから建設するといういわば集団的住宅団地のことをさすのでしょうか、それとも、既存の団地についても児童生徒が増加する場合にはこれを適用するというふうに理解していいのでしょうか、その点はどうでしょうか。
#155
○政府委員(安嶋彌君) 既存の団地がございまして、そこに児童生徒がおりますれば、それに対応する坪数は、現在の学校について不足坪数としてこれは現実に算定されるわけでございます。「前向き」と申しておりますのは、既存現存のものではなくて、これから建設されるであろうものにつきまして、それを前向きに不足坪数として先取りをいたしましてそれの整備をはかっていきたいということでございます。
#156
○加藤進君 そうしますと、いままである団地がだんだんとふくれていって、人口もふえるわ、学童生徒の数もふえる、そうしていやおうなく学校を新しくつくらなくちゃならぬ、こういった場合には、三年前向きの整備ということは不可能なんですね。
#157
○政府委員(安嶋彌君) 既存の団地がふえるという話でございますが、そのふえ方がどういう形のふえ方であるか、私ども、通常、三百戸以上の集団的な住宅が建設されるという場合を一応基準にいたしておりますが、そうした事態に該当するものでございますれば、これは当然前向き整備の対象になり得るということでございます。ただ、その住宅のバラ建ちと申しますか、そういうものにどう対処していくかということが、私ども、非常に困っておる問題でございます。そうした問題につきましては、今後、さらにこの人口急増地域の実態を調査をいたしまして、政令で適切に対処するような方策を検討いたしたいというふうに考えております。
#158
○加藤進君 団地のふえ方によっては適用も可能だと、こういうように言われたわけですけれども、私がいま例を申し上げますから、これはどうかという点で御判断を願いたいと思います。東久留米の第七小学校の学区には、滝山団地というのと西団地というのがございますね。西団地は、昭和四十四年にできて、そのときには八百四十戸、ところが昨年だけで千百戸ふえまして、いまや二千戸になんなんとするような大団地にふくれ上がっております。そのために、児童数が急増して、第七小学校は三十学級にしても収容がしきない。そこで、先ほどの写真にありますけれども、第十小学校を新設して九学級を増加しなければならぬという必要に迫られたわけであります。これが現状なんであります。ところが、この第十小学校では、四十七年度には九学級だけれども、四十八年度になると当然十二学級になり、四十九年度には十六学級、五十年度には二十学級、五十一年度には二十五学級に急増するであろうということを今日久留米市の当局はちゃんと数字で握っておるわけです。そこで、つくった学校についてもまず最初にもう少し先行取得が認められるなら、たとえば五十年度二十学級の校舎の建設に取りかかり得るんだけれども、残念ながら今日の校舎は、市の負担を相当ふやしまして十二学級でスタートせざるを得ない、こういうようなのが現状なんです。こういう状況で、西団地の人口急増のために新たに学校が必要になった、こういう状況でございますから、これには少なくとも三年間の先行整備が認められるなら、この学校は非常に充実した学校としてスタートできるけれども、それができないとなれば、毎年毎年、工事工事で、学校は工事現場のような状態を今後とも続けなければならぬ。これは、私は、教育条件の整備という問題から見ても非常に憂うべき事態ではないか、この点でこそ向こう三年の先行取得という規定をこの際このような学校には当然のことながら適用すべきである、こういう意見を持つわけでございますけれども、文部大臣、いかがでしょうか。
#159
○政府委員(安嶋彌君) お話を伺いますと、先行整備の規定が適用されるケースのように思いますが、東久留米市の教育委員会、あるいは東京都の教育委員会から十分事情を聴取いたしまして補助金の交付決定に当たりたいというふうに考えます。
#160
○加藤進君 その点は、助役からも強く要望がありました。ぜひひとつ文教委員会としても一度調査に来てほしい、こういうような希望も強く出ておりました。私は東久留米に初めて参りましたけれども、東京から一時間も乗ればすぐ行けるところで、実情の調査についてもっと文部省は的確に人口急増地区における学校建設問題と取っ組んでもらいたいということを強く要望せざるを得ないわけですが、その点、ぜひ期待にこたえるように努力してもらいたいと思います。
 続いて、前向き整備だけでなしに、補助面積の問題がございます、御承知のとおり。これが基準か非常にきびしくして、そのために学校の状況に見合うようになっていない、こういうことは文部省もお認めになっておると思いますけれども、ここでお尋ねしたいのは、二十四学級の補助面積基準は一体どれくらいか、この点をちょっとお尋ねいたしたい。
#161
○政府委員(安嶋彌君) 二十四学級の場合でございますと、全体で約三千四百平米でございます。
#162
○加藤進君 そうしますと、学校施設の指導要領による適正面積とは非常な隔たりがあるわけですね。私の調べた書類によりますと、学校施設の指導要領には、二十四学級の学校の適正な面積は四千三百七十八平米である、こういうことですね。なぜ学校施設指導要領にさえ適正面積として出されるこの面積に対して、これを補助面積と認めないのでしょうか。
#163
○政府委員(安嶋彌君) 適正面積でございますが、これは先生お持ちの文書にもございますように、適正面積の案でございまして、私どもは一つの面積基準改定の目標として部内で検討するために設定をした一つのめどでございます。現行の補助基準は、小中学校校舎につきましては三十九年度に設定されましたし、屋内運動場の補助基準につきましては昭和四十一年度に設定されておるわけでございますが、その後かなり年限も経過いたしておりますので、このあたりでこの補助基準面積をさらに適正面積案に近づけるように、さらには現在問題になっておりまする超過負担の原因でありまするところの実施面積と補助面積のズレを是正するために、現行の補助基準の改定につきましては前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
#164
○加藤進君 たとえ検討中の案だからといっても、この案にいわれる適正面積というのは、文部省としても教育上望ましい面積である、こういうことにお認めになっておると思いますけれども、その点をもう一度確かめておきます。
#165
○政府委員(安嶋彌君) それは、おっしゃるとおり、望ましい基準でございます。
#166
○加藤進君 これは望ましいだけでは済まされないと思います。ぜひともこれを実施してもらわなくてはならぬ最低の基準ではないか、こういうふうに私は考えるわけですが、そこで、具体的にお尋ねいたします。面積の補助基準は、先ほどおっしゃいましたように、昭和三十九年にきまりましたね。その間に学習指導要領はどんなふうに何回変わりましたか。
#167
○政府委員(安嶋彌君) 学習指導要領は、三十九年以降でございますと、四十三年度に小学校の指導要領が改定され、四十四年度に中学校の指導要領が改定されております。
#168
○加藤進君 そこで、お尋ねしますけれども、その新たに改定になった学習指導要領によると、理科教育というのはどこに重点が置かるべきであるというふうに変わったのでしょうか。
#169
○政府委員(奥田真丈君) いま手元に学習指導要領そのものを持っておりませんので、記憶で申し上げたいと思いますが、四十三年の改定にあたりましては、今日の進んだ科学技術の振興にこたえるために小中学校におきましても理科の教育を重視するという大方針がございまして、それに従いまして内容面では学習を進めるにあたって探究の過程を重視する。いままでの学習は、答えが出てしまったのをそれにどういうふうにして到達するかという指導をしておったのでございますが、これからの理科学習では答えを見出すそのプロセスを重視しようということを一つの方針としてあげております。具体的には、できるだけ実験観察等を教材の中に多く含めて指導を展開するようになっておると記憶しております。
#170
○加藤進君 私もいまの御説明は正しいと思います。三百で言えば実験を重視するような理科教育、これが私は少なくとも文部省の出した学習指導要領の理科教育の重点だと思います。実験を重視するということになれば、当然のことながら準備室が必要でしょう。準備室は必要でありませんか。
#171
○政府委員(安嶋彌君) 必要だと思います。
#172
○加藤進君 それでは、補助面積基準には準備室というものは予定されておるのでしょうか。
#173
○政府委員(安嶋彌君) 積算されておりません。
#174
○加藤進君 いま具体的に申し上げましたように、補助面積基準なるものが学習指導要領を実施する場合にでも大きな障害になっておる。これはどうしても改めなくてはならぬと私は思うのですけれども、文部大臣、いかがでしょうか。
#175
○政府委員(安嶋彌君) 基本的には、先生の御指摘のとおりかと思います。適正基準案におきましては、御承知のとおり、準備室の面積を算定をいたしておるわけでございますが、全体の考え方といたしましては、理科教室、音楽教室、図工教室、家庭科教室等の特別教室を整備してまいりたいということが適正基準案の基本的な考え方でございまして、先ほど申し上げましたように、教育の水準の向上に伴いまして今後現行基準の改定には努力をしてまいりたいというふうに考えます。
#176
○加藤進君 東久留米小学校の例を出しますけれども、第十小学校では設計としてはここに設計がありますけれども、二十四教室の設計をちゃんとつくっています。
  〔青写真を示す〕
この白い筋のところです。黒いところが今度ここだけをとにかく建設するという計画の内容ですね。ここで、第十小学校は、国が補助をしてくれなくても、生徒のためあるいは父兄の要望が強いために、どうしても理科教室と準備室をつくらなくてはならぬと、こうして、理科教室は百七平米、準備室に二十七・四七平米の計画をちゃんといま実行中です。ところが、補助面積基準では理科は九十三平米だけであって、先ほど言われたように準備室は予定されていない、こういうのが偽らざる現状なんですね。私は、これをこのまま文部省がほうっておくようなことでは、ほんとうの学校施設の拡充整備にはならないと、こういうふうに考えますし、同時に、学習指導要領を忠実に実行しようということにしても文部省みずからがその精神に違反していると、こう言わざるを得ないわけだと思いますし、また、理振法によっても本来の理科教室に準備室がないなどというようなことは許しがたいと、こういうふうに教育の内容面から考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
#177
○政府委員(安嶋彌君) 繰り返し申し上げておりますように、現行基準にはございませんけれども、そうした準備室が望ましいということは当然のことでございますので、そうした方向で努力をいたしたいというふうに考えます。
#178
○加藤進君 文部大臣にじかにお答えを願いたいわけですけれども、こういう実態ですから、私は、補助面積基準なるものに固執してはならぬと思います。したがって、この補助面積基準を少なくとも学校施設の指導要領に基づく適正な面積にする、こういうことだけはぜひともここでお約束を願わなくてはならぬと思いますし、また、そのためには政令を改正すればできることですから、これをひとつ勇断をもってやっていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#179
○国務大臣(高見三郎君) 御意見、ごもっともだと思います。これは、この場限りの問題でなしに、前向きに検討いたします。
#180
○加藤進君 よろしくお願いします。ぜひともひとつ努力してもらいたいと思います。
 それから特別教室の問題に移りますが、施行令の第二条第一項の二号によりますと、教室の満たすべき条件として、学級数の多い少ないによって特別教室の置き方が違うという点が出てくると思います。たとえば、ここに施行令がありますけれども、施行令の中を見ましても、一学級から五学級までの学校は、理科教室だけでよろしい、あと音楽教室もあるいは図工教室も家庭科教室も要らぬ。六学級から十一学級になると、理科教室と音楽教室をつくればよろしい。十二学級から十七学級になると、理科教室、音楽教室に加えて図画工作の教室をつくる。十八学級から二十三学級に至ってやっと理科教室、音楽教室、図工教室、家庭科教室がはじめてそろう。これがこの施行令の規定だと思うのです。こうして見ますと、五学級までの学校の生徒には、ピアノの教育なんかは必要ない、こういうふうに文部省自身がはっきりきめておると言っても言い過ぎじゃないと思うのですけれども、その点、いかがでしょうか、矛盾はないでしょうか、
#181
○政府委員(安嶋彌君) 御指摘のとおり、一学級から五学級までの小学校につきましては、音楽教室、図工教室、家庭科教室が特別教室の数としてあがっていないわけでございますが、これはそうしたものが必要ではないということではもちろんないわけでございますし、かつまた、音楽や図工の教育が必要でないということでないことはこれまた当然なことでございます。しかし、そうした学校におきましてもこのような特別教室をすべてそろえるということがもちろん理想かとも思いますけれども、一方、施設の効率というようなこと、あるいは財政上の限度というようなことも考えなければならない実際上の要素でございまして、たとえば音楽でございますれば、普通教室にピアノあるいはオルガンを置いてこれを音楽教室として使用するとか、あるいは、図工教室においても、同様、普通教室におきまして図工の教育を行なうということも、これまた望ましいことではないかもしれませんが、実際上やむを得ないことかと思います。
#182
○加藤進君 文部省は、よく、学習指導要領には法的拘束力がある、こういうことを強調されております。それほど法的拘束力があるなら、これをまず文部省が忠実にそのまま実行するという責任があるのじゃないでしょうか。第一、図工教室や家庭科の教室がなくて学習指導要領の教育内容が実施できるのでしょうか。できませんよ、これは。こういういわば間違いを今日行なっているのじゃないか。第一、教育権自体の問題に対してもこれは重要な意味を持っています。学級数が違うために、教育を受ける子供たちの教育内容まで違う。機会均等は一体どうなりますか、教育の。こういうことを文部省自身が許しているんです。私は、少なくとも学習指導要領を尊重する気なら、これに基づいて学校施設もしっかりつくってもらわなくては困る、特別教室の問題もまたその一例である、こういうことをあえてこの際強調したいわけですけれども、その点、文部大臣、いかがでしょうか。
#183
○国務大臣(高見三郎君) それは、もうお話のとおりだと思います。したがいまして、私どもは、この改善是正には、先ほどから申し上げておりますとおり、前向きに検討いたしますということを申し上げているところであります。
#184
○加藤進君 私は一番初めに特に大臣にただしたわけでございますけれども、そもそもこの法改正のスタートは、学校の施設の整備充実をはかる、これも急速にやらなくてはならぬ、こういうところがら発足しておると思います。したがって、そのための法改正ですから、せっかく先行取得まで考え、あるいは補助率の引き上げまで考えておられるのですから、ぜひともこの機会にいま申し上げましたような諸点について、文部省が、真に子供たちの教育権の保障、教育の機会均等、そして学習指導要領の趣旨内容に少なくとも沿うような教育を実行する、こういう責任の上で、前向きの検討はまことにけっこうでございますけれども、単にことばの上の検討ではなしに、積極的にいつまでに必ずそういう方向で実施に移す、こういう点を御確約を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#185
○政府委員(安嶋彌君) 先ほど大臣がお答えになりましたように、私どもといたしましては最善の努力をいたしたいというふうに考えます。ただ、小規模学校における特別教室でございますが、音楽教室とかあるいは図工教室とか、そういう特定の教室を整備するということもこれも一つの考え方かと思いますが、何らかのくふうを普通教室に加えることによりまして、普通教室が同時に音楽教室あるいは図工教室としても使用し得ると申しますか、そうした機能を果たし得るというようなそういうくふうの余地もあろうと思いますが、そういう点も含めて検討さしていただきたいと思います。
#186
○加藤進君 ことばを返すようでございますけれども、そもそもそういう特別の教育内容を実施していくという趣旨のためにこそ普通教室のほかに特別教室というものがあるわけですから、その特別教室を十分に整備充実する、こういう方向に努力してもらうのは私は当然の道だと思います。
 最後に、特に文部省当局の皆さんに強調したいのは、三年前に自治省と文部省が特に人口急増地に対して特別立法をつくろうと、こういういわば企てがあったやに私は聞いておるわけです。その内容としては、三年間の先行整備を実施する、用地費については二分の一の補助を行なう、校舎、屋内体操場については三分の二の国庫補助を行なう等々の内容を盛り込んだ特別立法だと聞いておりますが、私は、三年前に自治省と文部省との間にこのような前向きのいわば話し合いが行なわれておるほどなら、三年後の今日なぜこれが実施に移し得ないのか、こういう感を持たざるを得ないわけでございまして、少なくともこのような方向と線に沿うて教育条件の整備拡充にぜひとも真剣に取っ組んでいただきたい、このことを私は強く要望するわけであります。御承知のように、ことしは学制百年といわれますけれども、教育基本法の制定二十五周年に当たります。教育基本法の第十条には、教育行政の最も重要な仕事は教育条件の拡充整備にあるということがうたわれておるわけでございまして、その趣旨を正しくことしこそ行政の面において生かしていかなくてはならぬ、こういう任務がとりわけあると考えるわけでございます。その意味から見ても、今度の法改正は一歩前進ではあるけれども、しかし、なお非常に不十分さがあり欠陥がある、その点を私は指摘したわけでございまして、そういう点についてさらに前向きに勇断をもって教育基本法の趣旨精神にそむかないような行政を積極的に実施していただきたいと心からお願い申し上げまして、その点について高見文部大臣の御所見を最後に承りたいと思います。
#187
○国務大臣(高見三郎君) 加藤さんのいまのお話、私もそのとおりだと思っております。が、御承知のように、急増地帯の土地取得の補助金というものの制度ができましたのは去年からのことでございまして、いま進行中であります。したがいまして、私は、これを漸を追うて充実していくという形で――これは私は御不満があるのは無理ないと思います。たとえば、小学校の校舎についての新築は二分の一にするが、屋体は三分の一じゃないかと言われれば、そのとおりであります。けれども、これはまあ国の財政上の事情もありますし、来年にはぜひとも三分の二にしてもらうというような逐次改善を加えていくということ以外にそう一足飛びにぱっといくわけでもございませんので、その辺のことは御理解をいただいておきたいと思います。
#188
○委員長(大松博文君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直もに採決に入ります。
 義務教育諸学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#190
○委員長(大松博文君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#191
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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