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1971/06/08 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 文教委員会 第9号
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1971/06/08 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 文教委員会 第9号

#1
第068回国会 文教委員会 第9号
昭和四十七年六月八日(木曜日)
   午前十一時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月八日
    辞任         補欠選任
     濱田 幸雄君     河口 陽一君
     金井 元彦君     中山 太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大松 博文君
    理 事
                久保田藤麿君
                楠  正俊君
                宮之原貞光君
                安永 英雄君
    委 員
                金井 元彦君
                志村 愛子君
                内藤誉三郎君
                中村 登美君
                濱田 幸雄君
                宮崎 正雄君
                秋山 長造君
                片岡 勝治君
                鈴木美枝子君
                内田 善利君
                矢追 秀彦君
                萩原幽香子君
                加藤  進君
   衆議院議員
       文教委員長代理
       理事       西岡 武夫君
   国務大臣
       文 部 大 臣  高見 三郎君
   政府委員
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (女子教育職員育児休暇制度に関する件)
 (義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休
 暇に関する法律案に関する件)
○理科教育振興法の一部を改正する法律案(衆議
 院提出)
○参考人の出席要求に関する件
○私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大松博文君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査中、女子教育職員育児休暇制度に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、今国会冒頭に、女子教育職員育児休暇制度に関する小委員会を設置し、調査検討をお願いしてございましたが、本日、宮崎小委員長から、同小委員会における審議の経過及び結果について報告したいとの申し出がございましたので、これを許します。宮崎小委員長。
#3
○宮崎正雄君 ただいまから女子教育職員育児休暇制度に関する小委員会の審議経過と結果について御報告申し上げます。
 御承知のとおり、本小委員会は、昨年末設置されましたが、本年四月四日、第一回の会合を開きました。続いて同月六日の第二回小委員会におきまして、審議を進めていくためのたたき台として国立及び公立の義務教育諸学校等の女子教育職員の育児休暇に関する法律案要綱試案を私から提出いたしました。その後の審議は、この要綱試案を中心にして、委員相互間で、あるいは政府関係機関に対し、きわめて熱心に進められ、回を重ねること七回に及び、今日ようやく成案を得るに至りました。
 ただいまお手元に配付してございますものがその草案でございますが、朗読を省略させていただきまして、この際、その趣旨について御説明申し上げます。
 女子教育職員の育児休暇制度の問題については、かねてより本委員会において十分論議されてまいりましたので、この制度創設の背景や理由については省略させていただきまして、本案が目的とするところについて一言触れたいと存じます。
 高等学校以下幼稚園に至る学校の女子教育職員は年々増加し、四〇%を占めるに至り、年間出産者もおよそ二万人前後と聞いております。核家族が多い上に、保育施設も十分でない状況の中で、乳児をかかえた女子教育職員は、退職を余儀なくされたり、あるいは職にとどまっても十分な勤務ができない実情にあります。そこで、かような女子教育職員に対し、育児休暇制度を設け、休暇終了後引き続いて勤務し得るようにするとともに、その間は代替教員を配置して学校教育の一貫性を保持し、もって教育水準の維持向上をはかろうというのが本案のねらいでございます。
 次に、内容のおもなる点について御説明申し上げます。
 まず、第一に、学校以下幼稚園に至るまでの国公立学校に勤務する女子教育職員で、一歳未満の子を育てる者が申請した場合、任命権者は、特別の事情のない限り、育児休暇を承認しなければならないこと。
 第二に、育児休暇期間は、産後休暇終了の翌日から生児が一歳に達する日の属する学期の末日までを原則とすること。
 第三に、育児休暇を承認された女子教育職員は、その間身分を保有するが職務に従事せず、給与は支給されないこと。
 ただし、任命権者は、教育上特に必要があると認めるときは、育児休暇中の女子教育職員に対し、月に三日以内の勤務を命ずることができることとし、その場合には、相当額の給与を支給すること。
 第四に、女子教育職員は、育児休暇により勤務しなかったことを理由に、不当に不利益な取り扱いを受けないこと。
 第五に、任命権者は、育児休暇を認める女子教育職員にかわる教育職員を臨時的に配置すること。
 第六には、退職手当、復職時の俸給調整、公務災害補償、労働基準等他の法律関係につき、所要の規定を定めたこと。
 第七には、私立学校の設置者は、育児休暇制度を実施するよう努めること。
 第八には、この法律の施行期日を昭和四十七年九月一日からとしたこと。
 第九には、本法施行前六カ月以内に産後休暇を満了した女子教育職員で、法施行後一カ月以内に育児休暇を申請した者には、本法が適用されることを経過措置として定めたこと。
 以上が、草案の趣旨並びにその内容であります。小委員会といたしましては、この草案を本委員会提出法律案として御決定いただけるよう希望したいのであります。
 なお、小委員会は次のような申し合わせを行ないましたので、当委員会においても御了承いただけますようにお願いをいたします。
 申し合わせを朗読いたします。
 以上で御報告を終わります。
#4
○委員長(大松博文君) ありがとうございました。宮崎小委員長及び小委員会の方々の御苦労に感謝いたします。
 ただいまの報告において、宮崎小委員長から、本件に関する小委員会の一致した意見として、義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する法律案草案が提案されましたので、この際、本草案について御審議願いたいと存じます。
 本草案に対し、質疑、意見等がございましたら、順次御発言願います。――別に御発言もなければ、本草案を、義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 なお、宮崎小委員長の御報告にございました小委員会の申し合わせにつきましては、本委員会としてもその趣旨を了承することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認めます。
 なお、本会議における本法律案の趣旨説明の内容につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(大松博文君) 次に、理科教育振興法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
#9
○安永英雄君 原則的にはこの法案につきましては賛成という立場で若干質問をしたいと思います。
 理科教育について数学教育を加えるという趣旨でありますが、この点について文部省のほうにお聞きをしたいと思います。文部省としては、この法律案については、提案理由の中で書いてありますように、特に異議はない、むしろ好ましいということですが、私は、現在の各教科というものを全般的に振興し、質の向上をはかっていかなければならぬという使命が文部省にはあると思います。その中で、理科教育というものを振興するという特別な法律をつくり、さらにそれに数学を入れていくと、こういうことでありますが、今後――これは議員提案でありますから、文部省の意向をとくと聞きたいと思うのですけれども、たとえば音楽教育、あるいは体育、いろいろの教科はそれぞれの目的を持って、そして全部の教科が全人的な人格の完成を目ざしながら教育をやっていくというのが基本法の精神です。その中で、特に理科、さらに加えて数学、こういうふうになってだんだん広がっていくことが好ましいというふうに考えておられるのかどうか。今度は体育についての振興法をつくる、あるいは国語なら国語、あるいは音楽教育なら音楽教育、こういうふうにして議員提案で次々にあげてもらうことを文部省としては望んでおるというふうに考えてよろしいのかどうか、お聞きしたいと思います、基本的に。
#10
○政府委員(岩間英太郎君) この問題はまあいろいろな観点があると思いますけれども、現在、先生がただいま御指摘になりましたように、私どもとしましては、各教科が同じようなウエートでもって、しかも全人的な教育というものを推進していく、これが大事ではないかというふうな気がするわけであります。しかしながら、理科教育の場合は、ほかの教科に比べまして設備が比較的多額の経費を要するという問題もございますのと、それから戦後科学的なものの考え方というものを特に強調するという意味がございまして、理科教育につきましては格別の御配慮があったのじゃないかと私ども推察するわけでございます。そういう観点から申しまして、このたび数学がこの中に入ってきたということは、理科と関係のある教科でございますから、それはけっこうなことじゃないかと思いますけれども、しかしながら、一つ一つの教科につきまして設備を充実するために特別の立法を行なうということは、全体の均衡等を考えますと、なお検討を要する問題がいろいろあるのじゃないかというふうな感じでございます。したがいまして、私どものほうは、ただいまのところは、理科教育は別でございますけれども、その他の教科につきましては、教材費というふうなやり方でもってその充実をはかるというふうな方法をとっておるわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、それぞれお考えもあることと思いますので、この点につきましては御議論がございましてそれに従って結論が出た場合には、私どもはそれに従っていくということであろうと思います。
#11
○安永英雄君 私は、提案者じゃなくて、文部省のほうに聞いておるわけです。そちらのほうはお答えにならぬでもけっこうなんです。文部省はどういうふうにお考えなんですか、もう一ぺん――別に議員提案の理由を聞いているのじゃないんです。いまの一番最後のことばあたりは、議員提案でこういうことが決定されたら、いろいろ問題はありますけれども、云々ということがありましたが、全面的にこれについては文部省としては異存はないのだ、賛成なんだという立場をとっておられるのかどうか、再度お聞きしたい。
#12
○政府委員(岩間英太郎君) このたびの法律案につきましては、これは予算措置その他の関連から申しましても、私どもはまさしく今度提案されておりますような法案の趣旨に従って予算の措置もしているわけでございますから、これにつきましては異存がないということでございます。しかし、全体の教育につきましては、先ほど先生からお話がございましたように、全人的な教育という立場から、各教科のバランスをとって財源措置をしていくということが必要じゃないかと思います。ただ、理科の場合等につきましては、先ほど申し上げましたように、特に多額の経費を要するというような観点から特別の措置が行なわれておるということは、私ども十分理解しております。
#13
○安永英雄君 時間をあまりさいてもならぬと思いますけれども、いまおっしゃるように、理科あるいは今度加わった数学というものについて他の教科と比べて特別の教材関係とか設備、これが要るとおっしゃるけれども、どういうことなんですか。コンピューターとかなんとかいうことですか。これが通れば、コンピューターが備わり、いろいろするのですか、小中学校全部、バランスという関係から。もう少し具体的に答えてください。
#14
○政府委員(岩間英太郎君) これは、かつての伝統と申しますか、たとえば教室におきましても、特別教室の場合には理科教室というのが昔からもあったわけでございまして、そのための準備室ということも考えられておりました。それからその中のいろいろな設備にしましても、戦前からの傾向を見ておりましても、理科につきましてはいろいろな設備が必要である……
#15
○安永英雄君 理科じゃない、数学です。
#16
○政府委員(岩間英太郎君) 数学の場合も、これは先のことはよくわかりませんけれども、しかし、現在、計算機その他いろいろな機器が発達しております。そういう観点から申しまして、数学についても理科と同じように扱うというふうな御方針につきましては、私どものほうは異存がないということを申し上げているわけでございます。
#17
○安永英雄君 西岡さんに伺いますが、この法律が通れば、数学という分野で、施設その他教材、こういうものはどういった形で出てくるのですか。
#18
○衆議院議員(西岡武夫君) 先生御承知のとおり、現在、数学につきましては、義務教育教材費の国庫負担金の中でそれぞれの学校が自主的な判断でどういう器材を購入するかということで処理されているわけでございますが、今回理振法の中に数学の教材を適用することによりまして、別ワクでこれが補助金として措置されることになるわけでございます。したがいまして、従来より数学教育に関する教材の充実をはかりやすいという点がこの法律の大きな眼目ではなかろうかと思います。
 それともう一つは、現在の高等学校につきましてもこの法律の対象にすることによりまして、高等学校における数学教育の振興に役立つのではなかろうか。このことは、同時に私立に対する助成の道も開かれるということでございまして、そういう面から、先ほど初中局長からも御答弁がございましたように、いろいろな新しい教材が開発されておりますので、これを充実していくためには、こういう形できちっと目的を定めて予算が獲得できるというそういう制度をこの際確立することが望ましいのではなかろうかというのが本法の趣旨でございます。
#19
○安永英雄君 私の言いたいことは、数学が理振法に加わるということについては、これは賛成なんです。ただ、バランスという問題等があるということなんですが、バランスをとるというのは予算の問題だろうと思うのです。要するに、私は、教育の全般的なことを考えた場合、どの教科もこれが全部最高限に教育されて、それが総合的な人格の完成という形をねらっておることはもう間違いないわけでありますから、したがって、それに伴う教材教具、こういったものは、一つ一つの教科を次々に議員提案で出すということよりも、予算も伴うことでありますから、私は、将来全教科をどう伸ばしていくかという問題について文部省は基本的な計画を出さなければうそだと思うのです。議員提案を通したって異存はございませんと言いながら、よく聞くと、やはり問題はないことはございません、問題がないと。それなら文部省は提案をしないのかということになるものですから、そこらあたりぐあいが悪いと思うのですが、私はそういったものじゃないと思う。議員提案というものもこれは尊重しなければならぬことは当然だと思いますし、この法律が通れば、他の教科のバランスも考えて文部省は積極的に他教科についても充実した教科というものをはかってもらいたいというのが私の趣旨なんですから、いまの法律案は私は大賛成です。
 そこで、そういう趣旨で私は一つの例を申し上げてみたいと思うのですが、音楽なら音楽でも相当の器材が要るんですよ。
 それから私はもう一つ申し上げてみたいと思いますが、これは大臣も御存じだし、本人にも会っておりますけれども、福岡県の吉本というおじいさん、このおじいさんが熱心に全国を回って、そうして国会にも来て、与党も野党もない全議員で超党派で砂場をぜひ学校につくってくれ。現在、調査してみると、砂場というものはほとんどない。あってもコチコチで、使えそうな砂場はない。ぜひひとつ学校に二面くらいは砂場をつくってほしい。これをぜひ国のほうの設置基準ということできめてもらって、そうして市町村にこの義務を課してぜひともやってもらいたいと。理由はたくさんあげてありますが、いまの肥満児の問題とか、あるいは児童生徒の健康の問題等々を考えた場合には、私どもも賛成をしているわけですし、大臣自身も大臣になられる前に一議員として請願もされておるようでありますし、請願も何百通と出ておる。これも毎年毎年のことでありますが、私は、数学あるいは理科というものを振興していく場合に、いま現在、やはり体育というものの向上充実ということも非常に必要だと思うし、請願されておるこの考え方というものについては何とかこれは実現をはかってやるべきであるし、いま一人のおじいさんが全国を回ってやるということでなくして、これは文部省が積極的に取り組んでもらわなければならない問題だと思う。体育振興法ぐらいはつくって、砂場振興法ぐらいつくって、そしてここへ出すぐらいのあれで、数学を出すなら体育も出すぐらいの積極性がなきゃならぬと私は思うんです。私は多くは申しませんけれども、この請願は何回もこの委員会も受理しておる。しかも、この受理したその請願の取り扱い、処理という問題について文部省の回答を見てみますというと、
  学校体育施設は、児童生徒の心身の健全な発達を図るうえできわめて重要であるので、これらの施設のうち屋内体育館、水泳プール等国として国庫補助等の措置を講じてその整備の促進に努めてきたが、砂場の補助すべきものについては、整備については地方公共団体の一般財源により措置されるほかないものと考える。
  なお、砂場を含めて学校における体育施設設備の整備に関する基準の設定については、今後検討すべき課題であると考える。
 きわめて冷たい返事なんです。これは国会の意思としてこの請願を取り上げて――もちろん請願の効果といいますか、権限といいますか、これも私も十分心得ておるつもりだけれども、毎年毎年とにかく生涯この問題にささげて、全財産を打ち込んで何とか児童生徒のために砂場を整備したい、こういう方に対する――しかも、国会としても何回も取り上げて、委員会でも取り上げ、本会議でも通ってやっておる。それが、ようやくのこの返事なんです。地方自治体がやらなきゃならぬということは百も承知のことを知りながら、国のほうから乗り出してくれ、こういう請願でありますから、何とかひとつ考えてもらいたい、こう思うのです。このことについて、かつて私は木田さんが体育局長をしておったときに言って、本人が来たときにも、体育館の中にあるマットには当然補助金が出るんですよ、教材として。砂場になるとこれはこない。だから、かつては、砂場をマットとみなすという形を一つ入れれば、これは地方団体のほうに補助金は行くんですよ。こういう便法を何とか取れないか、そういう方向で検討したいということを言って、近々やるといって返事をして帰ったあとの返事がこれなんです。何回も言うようですが、理科、数学も大事ですが、体育も大事だから、この点については慎重に検討してみるということですが、この点、文部大臣、どうお考えになりますか、あなたも署名しておるのだから。
#20
○国務大臣(高見三郎君) 砂場の請願には、実は私も議員として署名をいたしております。これの必要性は十分承知をいたしております。ただ、大蔵省の零細補助打ち切りという趣旨からこれがなかなか実現をいたしておりませんことは、まことに遺憾に思っております。しかし、安永君がいまおっしゃった気持ちは、私も十分承知しております。ことに、あれは、吉本さんとおっしゃいましたかね、あの人の非常に熱心な全国を行脚しての調査というものには敬意を表しております。できることならば、この願いをかなえてあげたいという気持ちについては、私はいまも変わっておりません。ただ、それが特別立法が必要であるかどうかという問題はおのずから別な問題でありますけれども、あの方の努力を実らしてあげたいという気持ちについては変わってはおらないということだけを申し上げておきます。
#21
○安永英雄君 大臣の気持ちはわかりますけれども、具体的に先ほど言いましたように、まあ一回か二回言って話が進むわけじゃございませんけれども、砂場をマットとみなすというくらいのことで法律全般をすぐに変えることはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、何とか芽はふきませんか。そこらはだれが係なんですか、初中局長でわかれば……。
#22
○政府委員(岩間英太郎君) これは体育局長と思います。教材費となりますと私どもの所管になるわけでございますが、まあ砂場とマットというのがイコールになるかどうか、私もちょっといまここで判断することはなかなかむずかしいと思います。しかし、先生の御指摘はよくわかりましたので、十分検討したいと思います。
#23
○内田善利君 私も若干質問したいと思います。
 一番最初に、いま話題になりましたように、どういうわけで理科に関する教育の振興だけを充実振興することをはかっていくのか。提案理由によりますと、「今日の社会の著しい発展に対応するためには従来の理科に関する教育の振興のみでは十分でなく、これにあわせて算数及び数学に関する教育の充実振興を図ることが緊要であると痛感するのであります。」ということですが、いまもお話がありましたように、今日の社会の著しい発展に対応するためには、全般的なバランスのとれた教育振興が考えられなければならない、このように考えるわけですが、この点をもう一度お尋ねしたいと思います。
#24
○衆議院議員(西岡武夫君) 先ほどもお答え申し上げましたが、先生御指摘のとおり、全般的な問題として教育の振興、その内容、施設の充実に尽くさなければいけないことはもう当然でございまして、御趣旨のとおりでございますが、その中でも、先生御承知のとおり、理科とか数学とかの教育の器材、施設につきましては、特に金額的にもかなりの金高の張るいろいろな器材、施設というものが必要になってきている。そういうことを考えますと、従来の義務教育教材費の国庫負担金の中で教材費としてこれを措置するよりは、これを取り出して理科、数学について、算数についても、予算を別ワクで獲得するほうがより充実を促進する早道ではなかろうかというのがこの法案の趣旨でございます。それと、先ほども申し上げましたように、義務教育諸学校につきましての教材費という形で処理をされておりますために、高等学校と私立の学校についての適用がないわけでございまして、これが理科教育振興法の中で対象になっておりますので、そういう観点からもこの際数学を理振の対象として取り上げたいというのが趣旨でございます。
 先生の御指摘の、全体的な問題をより充実していく、先ほど安永先生からも御指摘のございました、音楽あるいは体育についても同様のことが言えるではないかということにつきましては、私どもも十分その御趣旨は理解をいたしておりますし、賛成でございますが、当面以上申し上げたような理由で法改正を提案をした次第でございます。
#25
○内田善利君 よく理科教室の毒物劇物が校外に持ち出されて爆弾がつくられたりしたわけですけれども、現在、小中校の理科教室の中の毒物劇物はどのように保管されておるのか、お聞きしたいと思います。
#26
○政府委員(岩間英太郎君) 先生御指摘のようなことが最近起こっておりますことは、たいへん遺憾でございます。そういう毒物劇物というものの保管というのは、そういうことがなくても気をつけなければいけないことでございまして、このたび新しい基準を設けましてそういうふうな保管に要するような設備関係を補助の対象にしていくようにこれから努力してまいりたいというふうに考えております。
#27
○内田善利君 毒物劇物だけじゃなくて、例をあげれば、塩素酸カリとか、あるいは硫黄とか、そういったものは、毒物劇物ではないわけですけれども、理科教室の実験だなに保管されておるわけですね。こういったものの保管の責任者はだれなのか。
#28
○政府委員(岩間英太郎君) これは、言うまでもなく、直接には学校当局ということになるわけでございますが、具体的にはおそらく理科教室担当の責任者でございます理科の主任とか、そういう方であろうと思います。
#29
○内田善利君 こういった備品の取り扱いは非常に厳重にやらなければならないと思うのですけれども、実情は毎時間毎時間実験に使うわけですから、この辺はルーズになりがちなわけですね。そういった意味で、また理振法等でどんどん薬品を購入するわけですけれども、こういったものの保管、使用等は、会社等でやっておるように、もっと厳重にしないといけないのじゃないかと、このように思うのですけれどもこの点はいかがでしょうか。
#30
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど申し上げましたように、ただいま先生御指摘になりましたような対策の一環といたしまして、今年度からその保管に要する設備につきましては補助の対象にするという方向で進んでおるわけでございます。しかし、そういうふうな具体的なものができましても、やはり当事者が十分気をつけなければならないという点でございますが、消防法等で防火責任者とかそういうものの責任者がきめられておりますけれども、そういうふうな危険な薬品等の保管責任者というものは、やはり学校で特定の方にお願いをして、そういう方にしっかり見ていただくということが必要ではないかと思います。そういう点につきましても十分指導していきたいというふうに考えます。
#31
○内田善利君 もう一つお聞きしておきたいことは、これと関連しまして産業教育振興法ですね。この産業教育振興法で私がいつも疑問に思うのは、どうして商業教育に産業教育ということで手当が出ないのか。ほかの農業、水産、それから電波高校等は手当が出ている、一〇%ですね。ところが、商業高校の商業教育に対しては産振手当が出ない。最近は、事務機器も非常に発達して、先生方の労苦もそう変わらないと私は思うのですけれども、商業教育ですね、あるいはさらに職業課程の家庭科等ですね、同じことじゃないかと、このように思うのですが、その点はどうでしょうか。
#32
○政府委員(岩間英太郎君) 産振手当につきましては、これは主として実験実習を担当する先生方の御苦労を考えましてこういう手当が創設されたように伺っております。その場合に、たとえば農業でございますと、生き物を扱うという点から申しまして、その実験実習の勤務の実態につきましてもかなりほかの教科を担当されておる方と特異な点があるわけでございます。そういう点に注目しまして、農業から始まりまして、これが工業、水産というふうに広がってまいったように私ども理解をしているわけでございます。先生ただいま御指摘になりましたように、やはり商業につきましても実験実習が伴うわけでございますが、ただいまのところ、たとえばコンピューターにつきましては、これは各都道府県にセンターをつくりまして、実際にはそちらに参って実習をするというふうな形態をとっているわけでございます。まだ、商業の先生方につきましての勤務の実態が、たとえば農業で豚とか鶏とかを飼うとか、そういう動物のために余分の勤務をしておる実態と比べましてそこまでいっていないというのが、これがおそらく実態であろうと思います。そういう点にかんがみまして、まだそこまで至っていないということでございます。今後こういう点につきましても十分検討する必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。
#33
○内田善利君 私はそこまでもういっているこのように判断するわけですが、ひとつ検討をお願いしたいと思います。
 もう一つ、最後に、今度は、同じ工業化学科の学校を卒業して、同じ工業化学また理科の教員免許状を持っておりながら、そうして同じ工業高校に勤めておりながら、一方は理科の先生、一方は工業化学の先生だということで、工業化学の先生には手当が出て、理科の先生には手当が出ない。これは非常にアンバランスであり、同じ学校において同じ教員免許状を持っていて同じ学歴でありながらそういうアンバランスが行なわれるということはよくない。再三当委員会で質問しているわけですが、この点についても検討をお願いしたいと思うわけですけれども、この点はいかがでしょう。
#34
○政府委員(岩間英太郎君) 一つの学校の中で、一部の先生が特別手当を受けられ、ほかの先生がそういう手当を受けられないということは、学校運営上も非常に支障があるという点は、これは産業教育関係の校長先生の中からもそういうふうな声があることは事実でございます。しかしながら、特別の手当を出すという場合には、現在の給与体系から申しまして、特別の勤務がなければ特別手当を出すことができないというふうなことが基本になっているわけでございまして、同じ職場で働いておられます方々の間にその違いが出てくるという点はたいへん遺憾なことではございますけれども、やはり、給与制度と申しますか、そういった点から考えますと、いまのワクをこえまして理科の先生に手当を支給するというところまでいっておらないというのが実情でございます。
#35
○内田善利君 実は、私は、工業高校の理科の教員をしておったわけですけれども、工業化学科に行って加勢して教育したり、あるいは実習したりすることがあるわけです。また、工業化学科の先生が理科のほうに来て加勢してもらったり、もう一体となって工業高校でやっているわけですから、この点はぜひひとつ考慮していただきたい、このように思うわけです。
#36
○萩原幽香子君 関連して一つお伺いいたします。
 先ほど備品の管理の問題が出たわけでございますね。それにつきまして、理科教室の準備室というようなものがどのように整備されておりますか、承りたいと思います。
#37
○政府委員(岩間英太郎君) たしか、私は、理科教室の準備室は建物の基準の中に入っておったのではないかと思いますが、その整備状況等につきましてはこれは管理局で所管いたしておりますので、実は私どものほうでここで申し上げられないのはたいへん残念でございますけれども、たぶん基準の中に入っておったのではないかというふうな気がするわけでございます。
#38
○萩原幽香子君 それがもう少し実態を調査していただきたいと思うわけなんですね。実は、そういったような非常にルーズないろいろなやり方でございますので、こういった毒物が盗まれたりするという事情もございます。ですから、これはちゃんと準備室というものが完備されておりますと、こういうことも非常に少ないのではないだろうかということを考えられるわけでございますね。特にこういったような理振法が出たわけでございますから、そういう点で特に準備室の問題なんかは十分御検討いただきまして、そしてみんなどこの学校にもこういったようなものがきちっとあって、先生たちが理科教育を進めます上に都合よく手順よく進められますようにお願いをしたいと思うわけです。たとえば、学校なんかに参りますと、理科の時間になりますと、何か器具のようなものだけをちょこちょこと教室へ持ってきてそこでやるというようなことのために、けがをするような事態が起こったりしているということもたくさんあるわけでございます。そういうことで、特にこの点につきましてはもう一度十分に全国的な調査をしていただいて、この準備室の設置につきましては格段の御配慮をいただきたい、こう考えるわけでございます。
#39
○加藤進君 一言そのことに関連してお聞きしたいと思います。
 提案者にまずお聞きします。理振法ができ、さらにその上に今回の数学教育についてまでの法改正が出たわけですけれども、現状はどのようにいっているかということで、ただいま萩原委員から出されました準備室の問題があると思うのです。この理振法に基づく教育をやるなら、どうしても理科教育にとっては準備室がなくてはできぬ、これはもう明らかだと思いますし、また、指導要領の趣旨から言うなら当然持つべき準備室だと思います。ところが、今日の理振法においてさえその準備室さえ十分に政府によって補助対象になっていない、こういう点があるわけでございまして、この点は法律を提案する側に立っても重要な問題としてひとつ御考慮を願わなくてはならぬ。したがって、法案改正の機会に、ぜひとも文部省、政府に対して十分にその点の義務を果たしてもらうようにせっかくの御努力を賜わりたい。これが提案者に対する私の要望でございます。
 第二点は、これは文部省当局にお願いしたいのでございますけれども、この点、私はすでに本委員会で質問をしております点を重ねて確認したいわけでございますけれども、この点について文部省はほんとうにこの提案の趣旨を受けて文教行政の面において生かすというなら、設備の中でわけても重要な準備室を責任を持って全国的に整備充実する、こういう御決意の一言を承っておきたいと思います。
#40
○衆議院議員(西岡武夫君) ただいま先生御指摘の問題は施設に関する問題であろうと思いますので、御承知のとおり、今回御提案申し上げました理科教育振興法の対象としておりますのは設備に関する問題でございまして、施設の義務教育国庫負担法についてさらに改善する余地があるということについては、この問題を提案いたしました立場といたしましても十分取り組んでいきたいと考えております。
#41
○政府委員(岩間英太郎君) 現在の義務教育諸学校施設費国庫負担法によりますと、小学校それから中学校ともに、理科教室は最低一教室設けるような基準になっております。準備室の関係でございますが、これはやはり施設の一環として考えられるべきことであろうと思いますけれども、特別にその準備室というふうな形でやるということは、これはあるいは困難があるかもしれません。しかし、理科教室の基準を定める場合には、当然その面積というものが問題になるわけでありまして、そういう際に十分ただいま先生のおっしゃいましたようなことは考えていくべきものであるというふうに理解しております。
#42
○委員長(大松博文君) 他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。
 理科教育振興法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方は、挙手を願います。
 〔賛成者挙手〕
#43
○委員長(大松博文君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十五分開会
#45
○委員長(大松博文君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案の審議のため、必要に応じ、私立学校教職員共済組合の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(大松博文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#48
○委員長(大松博文君) 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
#49
○秋山長造君 ごく簡単に若干の御質問を申し上げます。
 最初に、文部大臣にお尋ねしますが、私学の振興ということは、もういまさら多く論議をする余地のない時代の要請でもありますし、また、現内閣としても大きなキャッチフレーズの一つとして常に掲げてこられておることは、これはもう申すまでもないことであります。この私学の振興の是非について論議をするつもりはありません。いま、政府として、あるいは文部大臣として、私学の振興について具体的にどういうことをお考えになって、何をやっておられるか、また、何をこれからやろうとしておられるのかということをごく要点だけでよろしいですから説明願いたいと思います。
#50
○国務大臣(高見三郎君) 私学の振興につきましては、私は、国公立大学に比較いたしまして、私学の一人当たりの経費というものを見てみますると、実は、国公立大学の大体三分の一という経費になっております。しかも、これに対する授業料はどうなっておるかというと、国公立に対して、今回国立を値上げいたしましたけれども、三倍程度になっております。これは、私学の経営の実情からきておるのであります。しかし、明治以来、日本で非常な大きな役割りを演じてまいりましたものは何であるかと申しますると、私は私学であったと思うのであります。したがって、国が私学に対する援助を大幅に伸ばしていくということが今後の非常な課題であろうと思うのであります。
 現在、私学が、私学側に言わせますると、累積赤字が六千億というようなことを言っております。けれども、文部省の調べましたところによりますと、私学の累積赤字は大体三千億、しかし、この三千億の累積赤字というものをどう解消してやるかということは、単に授業料の問題で解決する問題ではございません。
 そこで、私学に対する援助は、今日まで、御承知のように、昨年からとりました私立学校等経常費補助というものを、今後五カ年間にわたりまして、人件費については五割という補助の方式をとりまして、今年は前年度に比較いたしまして五二%増の、昨年百九十億でありましたものを三百一億を私学振興のために助成金をとったのであります。ただ、御承知のように、これもいろいろ段階がありまして、理工学系の学部については、医学部については今年すでに五〇%の人件費補助を実現いたしましたけれども、どうも考えてみますと、五〇%でこれでいいという状態ではないのであります。そこで、私は、少なくとも医学系については七割五分ぐらいまでは国が持つという姿勢を将来とらなければなるまいと考えております。文科系がようやく今年で三割までまいりました。それから理工系が四割までの補助ということになりまして、一応の年次計画の目標は着々進行中でございますけれども、ほんとうに私学のいま持っております累積赤字を解消するためには、私学振興財団の貸し付け金というものに対して国が思い切った国自身の出資をしなければなるまい。国が出資をすることによりまして、私学振興財団の貸し付け金の金利を引き下げることができますると同時に、貸し付け条件を改善することもできるであろう。私は、少なくとも年利二、三分の金が二十年借りられるためには、国が少なくとも四、五十億の出資をするという状態が起こらなければ、実はこの問題は解決せぬと思うのであります。
 ことし予算を要求いたしまして私が非常に困りました問題は、私学振興財団の貸し付け金が金が余っておるという現状でありますので、そこで、政府の私学振興財団に対する出資というものについて大蔵省は非常に渋ったのであります。渋ったのでありまするが、私は、この出資は無利子の金でありまするから十億取りました。けれども、十億ではいけないのであります。去年十億、ことし十億、将来は百億ぐらいにしますというと――実は、私学はなぜ財団の金を借りないかと申しますというと、銀行金利のほうが安いなら銀行のほうへいくんですね。だから、この問題を解決してやらなければ私学の健全な発達というものは考えられないと思います。
 私は、金だけの問題で私学を論議しておるのじゃございません。私学には私学の建学の精神がございます。その精神をできるだけ生かしてあげることが文部省の仕事であり、文部大臣としての私の仕事であると思うのであります。だから、私は、金は出しますけれども口は出しませんという基本的な姿勢をとって今日までやってまいりました。今後ともこの私学助成の問題につきましては、私が大臣であろうと平の議員であろうと、一生懸命になってこの問題の解決に全力をあげる覚悟でおりまして、さよう御承知をいただきたいと存じます。
#51
○秋山長造君 いまの御答弁は、まことにけっこうです。私が次に質問しようと思ったことまで大臣が先に言ってしまわれましたが、ただ、私の期待しておった全部じゃないんです、御答弁は。その半分だと思うんですよ。実は、いつだったか文部大臣が所信表明をこの席でなさったその印刷物をここに持っているのですが、私学の振興についていまおっしゃった経常費の補助の問題と、それからもう一つ大きな柱として私学共済に対する補助のことをあげておられる。大臣の文部行政に対する御所信は、全部で字数は何字か、ちょっと数えておりませんけれども、行数からいきますと百三十行ぐらいあるんですが、その中で私学の振興についての御発言は五行ちょっとぐらいしかないわけです。全体の中で私学に五行ばかり触れておられる、その簡単に触れておられる中で、いまの経常費の補助と並んで私学共済のことを言っておられるのですから、文部大臣の私学振興に対する施策としては、前段の経常費の問題と並んで私学共済の問題を相当大きく考えておられるのだろうと私は思っておったのですが、いまの御答弁にはそのことが全然なかったので、どういうのだろうと思ったのですが、この点はいかがですか。
#52
○国務大臣(高見三郎君) 私学共済の問題は、御承知のように、国庫補助を百分の十六から十八に引き上げました。これは、たしか、昭和四十一年でありましたか、百分の十五を十六に引き上げた例があります。私は、たしか厚生年金であると思いますが、百分の二十という補助率になっておりますので、少なくとも私学共済、農林共済、これらのものは百分の二十にすべきであるというのが多年の持論であったのであります。ことし二%増額になりましたけれども、私はこれで満足をいたしておるわけではございません。この問題は私学の職員にとっては非常な大きな問題であるという考え方をいたしておるのであります。私のお答えの中にこの問題が抜けておったという御指摘でありまするけれども、私は、今度の私学共済の二%アップというのは、昭和四十一年以来の懸案が、わずかながら、われわれが要求しておった半分は実現をしたという意味においては一つの画期的な意味を持っておるという意味で申し上げたつもりであります。
#53
○秋山長造君 私学共済の問題も私学振興の中で大きな柱として考えておられるのだというように受け取りまして、質問を続けさしていただきます。一六%を一八%にされました。これはもう相当な御努力だったろうと思います。その点は十分評価しますが、ただ、長期経理の現状なんかから考えますと、まだまだ非常に少ない、もっと奮発できぬかということは関係者はみんな痛感しておることだし、私もそのおっしゃっておることは全く同感なんです。
 この場合に、ほかの共済とのつり合いということをよくおっしゃるのですね。衆議院の速記録なんか見ましても、局長なんか、他の共済とのつり合い――国共済、地共済等々とのつり合いということをしきりにおっしゃる。それからさらに、私学の振興ということからこれを扱うか、それとも、社会保障制度ということから扱うかということについて、だいぶ迷いがおありのようにどうも見えるんですがね。私は、どっちだと割り切ることはできぬと思うんですよ。それは、しいて言えば、両方だと思うのです。両方だと思うのですけれども、なかんずく、あれじゃないでしょうかね、私学の場合は、私学共済というものは、私学振興ということに相当重きを置いてお考えになってしかるべきじゃないかという感じを持っているんですよ。
 これは、私学共済組合ができたときのいきさつ、二十八年、二十九年ごろ、あの当時の経緯からしても、それからまた、私学共済組合法の第一条の目的の条文を読んでみましても、私学振興ということに私学共済の場合は非常に大きいウエートが置かれているのではないかという感じを持っているんです。国共済、地共済、その他と同じように共済組合法という名前がついているものですから、どうもそれと全く同じなような扱いになりがちなんだと思うのですけれども、その点はいかがでしょうかね。私は、同じ名前でも、私学の場合は他の場合とはちょっと違うのじゃないかという気がするのですがね。
#54
○政府委員(安嶋彌君) 私学共済についての基本的な考え方につきましては、私は秋山先生がおっしゃったとおりだと思います。私学共済に対する補助の問題は、単に社会保障制度の一環としての他共済とのバランスという観点だけではなくて、私学振興という観点からも当然これを考えるべきだというふうに考えますが、ただ、当面の目標といたしましては、現に厚生年金が百分の二十という補助を国庫からもらっておるわけでございますから、それに比べてもなおかつ少ないではないか。だから、少なくともそれまでの補助は当然にいただきたいという主張をすることは、主張のしかたとしては私は現段階ではまあ許されるのではないかと思いますが、しかし、それにとどまらず、さらに多額の国庫補助というものは、これは私学共済の組合員の実態、その中には当然給与の高い低いという問題も入るわけでございますが、そういう点から考えて、私は当然主張してしかるべきだと思います。また、そういう言い方を現にいたしております。
 それからもう一つ、現状におきまして私学共済に対する補助の問題は他共済と実は非常に違う点がございまして、先生御承知のとおり、都道府県から補助をもらっておるわけでございます。これは掛け金の千分の八ということでございます。もっとも、これは財源的にはプラスではなくて、千分の七十六という長期給付の財源が千分の八だけ軽減されておる、学校法人の負担が千分の四、組合員の負担が千分の四軽減されておるということでございますので、財源的にはプラスの要素ではございませんが、他共済にはないそうした補助が私学振興という観点から行なわれておるということでございます。その金額は、御参考までに申し上げますと、四十七年度におきましては約十二億になる見込みでございます。
 それから他共済と違う第二点は、私学振興財団からの助成があるということでございます。四十六年度の額といたしましては二億七千九百万円というものが私学振興財団から私学共済に助成金として支出されておるわけでございますが、これもまさしく私学振興という観点からの助成でございまして、他共済には全く例のないことでございます。
 現状でもその二つの観点からの補助が行なわれており、将来も先生おっしゃるような方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#55
○秋山長造君 いや、それはもうおっしゃるとおりで、他の共済と違うところは、都道府県なりあるいは私学振興財団から補助金が若干出ておる。それも私学振興という趣旨で出ておる。それはそれでいいんですよ。しかし、だから国のほうは出さぬでもいいということにはならぬのでね。だから、私は、国が私学振興の趣旨でもっと――これは一八%まで上げられたということに対する努力は大いに評価するんですよ。評価するけれども、私学振興という大義名分でさらにもっと引き上げらぬかということを言っているんで、いわば私学振興財団なり都道府県なりからの補助金というものはプラスアルファということでね。だから、国としてもっと奮発できないかと。そのできない理由として、たとえば他の共済との均衡がどうとかということを言われておるし、あるいは農林共済との均衡がどうとかというようなことを言われておるわけですが、また、その反面、厚生年金は二〇%ですね。だから、当然それと同じ線までは持っていくべきではないかという議論が始終ある。さらに、その上に、厚生年金はいまでは低いということで、もう少し上げようという強い要求がありますわね。おそらくそれは近い将来実現するのではないかというように私は思うのですけれどもね。そういうことであれば、なおさらのこと、私学振興という趣旨からしても、それからさらに社会保障制度の水準を上げるという趣旨からしても、何もほかの共済との均衡のことばかり気にされる必要はないのじゃないか。同じ共済ですけれども、国共済とか地共済とかいうものは、大体これは財政の規模が違いますからね。
 それから制度ができた時期からいいましても、これは私学共済が一番早くできているんでしょう。本来からいえば、常識的にいえば、国共済が一番にできて、地共済ができて、それからそれに右へならえして私学共済ができるというのが一般的な事の順序だと思うのですけれどもね。それが、この共済の場合は、逆になっていますわね。私学共済が一番先にできている。二十八年にできて、二十九年から施行になっている。それから何年かたって国共済それから地共済と、こうできたわけですからね。だから、そういうことも、ただ時期的に偶然そうなったということじゃなしに、やっぱりそれにはそれだけの私は意味があると思うんですよ、理由がね。だから、そういうことから考えても、ひとつ竿頭一歩を進めて奮発してもらえぬものだろうかというように思えてならないんです。
#56
○政府委員(安嶋彌君) 全く、先生のおっしゃるとおりだと思います。今後そういう方向でぜひ努力をしてまいりたいというふうに考えますが、ただ、私ども大蔵省その他と折衝いたします場合に、厚年が百分の二十でございますから、これを下回るということは少なくとも不合理ではないかという議論をするわけでございまして、もちろんそれ以上の補助というものにつきましては今後十分努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#57
○秋山長造君 さっきも言いましたが、文教行政は多岐にわたっていますけれども、私学に対する文部省としての施策としては、さっきの人件費の補助金、それからいろいろな研究費に対する若干の補助金と、それからこの私学共済と、三つだけなんですよ。ほかにはないんですから。だから、そういう趣旨からいっても、これだけ私学振興というものが大きな時代の要請になっておるんですから、それはやっぱり百分の十八でもうたいへんな奮発をしたようなことで満足ばかりしておられずに、もっと思い切って前進をしていただきたい。これは、私学振興からはもちろん、それから社会保障制度の水準を上げるという趣旨からいっても、ぜひひとつ今後格段の御努力をお願いしたいと思います。
 この問題と、それからあと私学共済についてあなたのほうで問題点を幾つか持っておられると思うんですよ。あなたのほうで考えておられる問題点をちょっと説明していただきたいと思います。
#58
○政府委員(安嶋彌君) 幾つかの問題点があるわけでございますが、第一の問題点は、短期給付の経理状況でございます。これは資料として差し上げてございますものの四ページでございますが、ごらんいただきますとおわかりいただけますように、単年度収支といたしましては、三十七年度以来赤字が四十五年度まで続いておりました。累積といたしましては、三十九年度から今日まで赤字の累積がございます。この短期経理の赤字をどうやって解消してまいるかということが一つ問題点でございます。その表の一番最後にもございますように、四十六年度は、推計ではございますが、単年度三億七百万円の黒字ということになっております。したがいまして、四十五年度末の累積赤字の十四億は、四十六年度末では約十一億程度に減少するということでございます。この四十六年度単年度に黒字になりました理由といたしましては、実は昨年の十月から短期給付の掛け金率を千分の六引き上げたわけでございますが、そのうちの二は付加給付の財源といたしまして、残りの四は掛け金の不足分に充当するという措置を講じました。ほかに、昨年度の保険給付の受診率が従来の伸び率をやや下回っております。そうした二つの理由、並びに組合員の給与水準も逐年増加をしておるというような理由から黒字に転じたわけでございますが、本年二月、医療費のさらにアップもございましたので、今後この短期経理の収支状況がどういう形で推移するかということにつきましては予断を許さないわけでございますが、さしあたりのところは、単年度収支はほぼ均衡するのではないかという見通しを一応立てております。
 それから第二は、長期経理の収支状況でございますが、その四ページの表の右側にもございますように、長期経理の保有資産が、四十六年度末六百七十三億ということでございますが、実は、四十五年度末の計算でございますと、長期経理の責任準備金といたしましては千百五十九億円が必要であるという計算になっております。それに対しまして、保有資産が約五百五十五億、ほかに責任準備金の引き当て金といたしまして、将来入るであろう補助金、助成金、掛け金等の原価計算をいたしましたものが四百八十三億円というふうに推計をされるわけでございますが、そうしたものを責任準備金から差し引きますと、なおかつ百二十一億円余の責任準備金の不足があるという状況でございます。この百二十一億円の責任準備金の不足は、これはただいま申し上げましたように計算上の不足でございまして、ただいま直ちに現金に不足を来たして支払い給付に困るということではもちろんございませんが、長期的に考えた場合には、もちろん個々に財源の不足という問題があるわけでございます。この財源不足をどうして解消するかということになりますと、掛け金のアップということも考えられますけれども、私学共済の組合員の給与の状況、あるいは学校法人の負担能力といったようなものを考えますと、軽々に掛け金のアップに踏み切るべきではないというふうに考えまして、先ほども御指摘がございましたように、やはり国庫補助率のアップということで対処すべきであろうと。さらに、御承知のとおり、共済組合の資産は、予想金利といたしましては五分五厘ということで運用することになっておるわけでございますが、実際の運用は七分以上の運用をいたしております。そういたしますと、五分五厘と実際の運用利率との差額のいわば利差益というものがあるわけでございまして、この額が四十六年度末四十七億という数字になっております。最近、金利の引き下げというようなことも問題になっておるわけでございますが、それにいたしましても、将来やはり運用による利益差というものもある程度見込めるというふうに考えます。それから整理資源の積み立てというものもございますので、そうしたものをあわせて長期的にバランスをとってまいりたいというふうに考えます。
 ほかにも、事務費の問題でございますとか、各種福祉事業の実施上の問題とか、いろいろ問題はございますけれども、基本的な事業についての問題点と申しますと、あらかたそういうことかと存じます。
#59
○秋山長造君 だいぶ詳しい御答弁をいただいたんですが、前段の短期経理の赤字の問題ですね。ずうっと三十九年度以来赤字が漸増してきておったのが、四十六年になって急に三億の黒字に転じておるわけですが、こういう事態というものは、当初あなたのほうで予想されておったのでしょうかどうですか。
#60
○政府委員(安嶋彌君) 先ほども申し上げましたように、昨年十月から千分の四の掛け金の値上げによりまして不足の解消をはかったわけでございますから、少なくともその分は赤字が減るであろうという見込みは立てておったわけでございますが、医療給付の伸び悩みと申しますか、伸び率が従来の伸びに比べて低かったということは、実はこれは予想外のことでございました。実際問題といたしましては、昨年秋の保険医の総辞退といったような問題が実はたまたま響いているのではないかというのが私どもの考え方でございますけれども、そういう予想された条件、予想されなかった条件が重なってこうした黒字が出たということかと思います。
#61
○秋山長造君 掛け金の引き上げで若干の赤字解消を予想されたことは、これはもうわかりますが、そのほかに、保険医の総辞退による偶然的な要素というものも、かなり、おそらく金額にしたら億という台の金額になって響いているんじゃないかというぐらいに私は思うのですがね。受診量が低下した、内容としては。
 それと、それからもう一つこういうことがあるのじゃないでしょうか。赤字解消のために、俗にいう乱診乱療を戒めるという、まあきれいなことばで言えばね、そういうことで相当締めておられる向きがあるのじゃないかという感じがするんですがね。そういう指導をされておるのかどうか。もしそういう指導が、あるいはあなたのほうで直接やっておられるか、あるいは組合のほうで自主的にやっておられるか知らぬが、しかし、いずれにしても、そういうことが行なわれておるとすれば、これはいまの一般健保の問題についても言えることですが、あまり賢明なやり方じゃないと思うのですね。場当たりな、その場のがれなやり方にすぎぬのじゃないかという気がするんです。乱診乱療といえば、いかにも何か飲む必要もない薬をやたらに飲んでいるとか、それから医者にかかる必要もないのにやたらに医者にかかっているというような感じを受けるんですけれども、実際問題としては、まあお互いだってそうですが、薬を飲んだり、あるいは医者にかかったりするのは、ほんとうに不必要なのをぬきこのんで薬を飲んだり医者にかかったりするものじゃないんで、医者にかかるといってもなかなか手数がかかりますからね。だから、たいがいのことなら、まあ少々のことなら、がまんしてかからずにおくというのが大多数の人の常識じゃないでしょうかね。だから、それを、一がいに乱診乱療で不必要なことに医者にばっかりかかっているというような角度から押えにかかるというのは、まともな打開対策じゃないというように考えるのですが、その点はいかがですか。
#62
○政府委員(安嶋彌君) 乱診乱療がよろしくないということは、これは言うまでもないことかと思います。私どもも、そういうことがないようにという注意は、絶えず文部省からも組合に対していたしております。組合もレセプトの審査を厳重にしたいということでやっておりますが、その面で給付が低下したとか無理がいったということは、これは私は全くないと思います。方針としてはそうでございますが、実態的にそういう問題は起きておりません。現に、私学共済の給付の組合員当たりの件数でございますとか、あるいは一件当たりの金額でございますとか、そうしたものを公立学校共済や文部省共済に比較いたしましても、決して不当だという数字は実は出ておりませんので、私は、私学共済については、まあ例外的な問題は別でございますが、全体的に乱診乱療があってこれを赤字対策上押えなければならないというような事態ではなかろうというふうに考えております。
#63
○秋山長造君 それで、短期経理は、大体今後の見通しとしてはとんとんでいけるのじゃなかろうかというようなお話がちょっとありましたね。その見通しは、どうでしょう、私は少し自信過剰じゃないかという気がするのですがね。今日の物価の動向等から考えましても、あるいは医療全体の動き等から考えましても、この三億円の黒字というのは全く一時的なものにすぎないので、今後はやはりまただんだん赤のほうへ向かって進んでいくのじゃないかという感じがするんですがね。私学の場合には、給与水準が比較的低いわけですからね。比較的あるいは非常に低いかもしれない。したがって、掛け金を引き上げるといっても、もうここらが限度じゃないですか、掛け金はね。そうなりますと、いまの健保の改正問題でも非常に問題になっていますが、やっぱり短期経理に対しても国が若干の補助をするということ、この道をどうしても開かなければ満足な運営ができないのじゃないかという感じがしてならぬのです。短期経理のほうにまで補助を出すということについては、大蔵省なんかで相当抵抗があるように聞いておりますが、しかし、今度のいまかかっている健保改正案なんかでも、ことし七%、来年以降一〇%ですか、補助金を出そうというようなことのようです。ですから、別に短期に補助金を出すのは間違いだということはない、全く。ただ、いろいろ理屈をつけるだけでね。それは、本来、短期だから補助金を出すのはいかぬ、長期だから補助金を出すのはあたりまえという理屈は成り立たぬと思うのですよ。ですから、これもまた社会保障制度の水準を上げるということのほかに、さらに私学振興という大きな大義名分があるわけですからね。そこから出発して短期経理にも補助金の道を開いて、そうしてすみやかにこの内容を健全化する、赤字を解消して健全化するということをお考えになるべきときじゃないかと思うんです。いまたまたまいろいろな偶然的な理由で単年度黒字が若干出たからといって、これでもう当分いいんだというわけにはなかなかいかぬのじゃないか。これは全く四十六年度の例外的な現象と受け取ったほうがいいのじゃないかという気がするのですが、いかがですか。
#64
○政府委員(安嶋彌君) 収支とんとんでいくのじゃないかという見込みを申し上げたわけでございますが、確かに、先生御指摘のような心配な要素もあるわけでございます。先ほども申し上げましたように、ことしの二月一日から医療費が一三・七%値上げになっておりますし、それから保険医の総辞退といったような問題もこれはたまたま昨年の秋あったということでございますので、将来の経理がはたしてこのままいくかどうかという点については、御指摘のような心配がないわけではございません。
 そこで、短期給付についての国庫補助でございますが、ただいまお話がございましたように、健保につきましては国庫補助という方式が確立されつつあるわけでございますが、実は、私学共済におきましても、昨年度、療養の給付、それから家族療養費、傷病手当金、出産手当金の百分の五ということで短期給付についての国庫補助を大蔵に要求いたしました。しかし、大蔵の壁は非常にかたいわけでございまして、その理由とするところは、政管健保というものは特殊な制度なんであって、私学共済は、むしろ、先ほど来お話がございますように、国共済、地共済、農林共済等のつまり共済グループの中の一部としてのバランスということを前提にして考えるべきであるということが強い主張でございまして、私どもそれを破り得なかったわけでございますが、四十七年度はそうした要求をいたしておりますので、今後もそうした方向で努力をしてまいりたいというふうに考えます。
#65
○秋山長造君 これは、やはり、新しい道を開くわけですからね。だから、安嶋局長の御努力も御努力ですが、やっぱりこれは大臣の相当大きい政策問題でしょう。この点、いかがですか、大臣。まあ引き続いて大臣をおやりになるということを前提でひとつお尋ねするんですが。
#66
○国務大臣(高見三郎君) 私が引き続いて大臣をやるかやらぬか、それは私が答える限りじゃありません。しかし、いま秋山先生のおっしゃる問題は、私学振興という見地から私学共済の問題を考えるべきだという御意見には、私も全く賛成であります。ただ、御承知のように、共済制度は数多くの共済制度がございます。大蔵省の立場からいたしますると、この共済制度のバランスということをやっぱり大蔵当局は考えざるを得ないという立場になっております。
 ことしの予算編成の内輪話を申し上げますると、私学ががんばっているからどうにもならぬと。そこで、私学におりてくれいという話が実は農林のほうからございまして、しかし、私は断じておりるわけにはいかぬというのでがんばりまして百分の十八というものを獲得したのでありまするけれども、私は、厚年の制度から申しますると、社会福祉の問題がこれからまたうんと伸びてくると思います。したがって、百分の二十が百分の二十五になる事態が必ず来るとは思っておりまするけれども、問題は、私学振興という見地から考えまするならば、短期であろうと、長期であろうと、私ども文部当局は、当然私学振興の見地からものを申さなければならないという考え方に変わりはございません。私は、今度の予算編成において、最後まで、これはもう大臣折衝の直前までこの問題はがんばり通してまいりました。農林も百分の十八になり、私学共済も百分の十八になったわけでありまするが、内輪の話を申し上げますると、そういういきさつもあった。けれども、断じて私はこれは譲らなかった。しかも、私は、できるならば百分の二十という線を実現したいと。実は、私が自民党の総務をやっております当時に、私はその当時農林水産委員長をやった直後であったものですから、農林共済の問題で総務会で最後までがんばりまして、これは三役預けということになったのでありまするけれども、あれだけ言うんだから、しょうがない、一%だけ顔を立てるかということで百分の十五が十六になったいきさつを知っております。私学共済はそれに便乗したというかっこうに実はなっておる。私は、この点は、私学共済のほうももう少し真剣にものを考えてほしいという感じが正直なところいたしております。けれども、今度の予算編成では私は一歩もおりないというたてまえを貫き通しました。将来は、まあ来年は何とか百分の二十というせめて厚年とのバランスのとれる状態をつくりたい。そのうちには、御承知のように、社会福祉の見地から、百分の二十五になり、百分の三十になるという事態も起こるであろうと期待をいたしております。ただ、問題は、先生おっしゃるように、私も、私学振興という見地からもの申す立場を文部省自身がとらなければならぬ、農林年金とアベックでいつも闘争しておるという状態ではいかぬという考え方を持っておるということをこの際申し上げておきたいと思います。
#67
○秋山長造君 大臣の御熱意には全く敬意を表するのですが、また、今後もその熱意で格段の御努力を続けていただきたいと思いますが、前段に御質問した短期のほうに対する補助金の道を開くという点についても同じお考えで努力されるものと受け取ってよろしゅうございますか。
#68
○国務大臣(高見三郎君) 端的に申し上げますると、この問題は非常に困難な要素を含んでおります。しかしながら、短期であろうと、長期であろうと、私学振興という見地から申しますると、これは当然やらなきゃならぬ問題だ。ことしたまたま三億の黒字が出たということは、私はこれは偶然だと思っております。それは掛け金が幾らかふえたという分は赤字がそれだけ減ったということは言えるかもしれませんけれども、黒字が出たからこれでいいというわけのものではない。もし黒字が出るようなら、掛け金を下げるべきであるという考え方をとることが文教政策のあるべき姿じゃないか、こういうように考えております。
#69
○秋山長造君 いや、全くもう大臣の御答弁に逆に教えられました。それはもうそのとおりです。ひとつ、ぜひ掛け金を下げるぐらいな意気込みをもってがんばっていただきたいと思います。
 しつこく何回も申し上げますが、いままでのところは、文部省のほうの私学振興という旗印と、大蔵省のほうの共済グループのつり合いという論法とがかち合って、どうも私学振興という文部省の言い分が共済グループのつり合いという大蔵省の言い分に負かされているかっこうですね。私は、やっぱり、私学振興という大義名分が優先すべきだということが私学の場合についてはあくまで正しいと思います。これはもういまさら言う必要のないことで、釈迦に説法以上に言う必要のないことですが、教育の場合は事業費とか人件費とかいうものがせつ然と分けられぬ性質のものだと思うのでしてね。事業費即人件費、人件費即事業費というようなもので、たとえば共済組合の類似の法律がたくさんあるわけですけれども、こういうように私学共済法の第一条のように、「私立学校教職員共済組合は、私立学校教職員の相互扶助事業を行い、その福利厚生を図り、もって私立学校教育の振興に資することを目的とする。」と、こういう私学の振興というようなことをはっきり共済組合法に規定した法律はほかにないですよ。国共済にしても、地共済にしても、こういうことは書いてないです。ただ福利厚生をはかるということは書いてあっても、私学振興に資することを大目的にするというこのことばに該当するような文言はないですよ、ほかの法律に。これをもってしても、二十八年当時この法律をつくった動機なり趣旨なりというのは、やっぱり私学振興――当時は、私学振興財団もなければ、いわんや人件費の補助なんかというものはなかった当時ですからね。私学対策としてはこの私学共済ぐらいなものだったんですからね。ですから、その出発当時の趣旨からいいましても、他の類似の共済組合とのつり合いということもこれは無視はできませんけれども、私学振興ということがやっぱりもう最大の眼目にならなければうそだと思うんですよ。この点はくれぐれももっと強い迫力をもって進んでいただきたいということを重ねて申し上げておきます。
 それからもう時間がありませんから、最後にもう一点だけ、いわゆる未加入校の問題です。未加入校の問題について、これもまた毎年この改正案が出るたびに議論になるんですが、私学共済の発足当時、私も文教委員会の末席をけがしておったのですが、あの当時ずいぶんいろいろ議論がありまして、まあ初めてやることだからどういう内容のものやらわからぬという不安もあったでしょう。それからまた、その当時までいろんな形でやってこられたことに対する執着もあったと思うんです、惰性的なね。そういうことで、新しい私学共済に入るものと、それからいままでの形で残るもの、入らないものと、いろいろと振り分けたと思うのです。しかし、あの当時と今日と、もう二十年近くたっていますから、社会、経済、あらゆる条件が一変しているわけですからね。それを、たまたまあのときの事情で振り分けたものをそのまま固定してしまってずうっと今日までそのまま持ち続けておるわけですね。これを手直ししようと幾たびかおそらくあなたのほうでも考えられたと思うんですよ。国会でも問題になったことがありますね、数年前に。どうも、これはそういう手直しをしなければならぬ時期はもうとっくに来ているにもかかわらず、いまだに陰の声だけに終わって、はっきりこれができないという根本原因はどこにあるのかというと、これは私学自身にも若干の理由はあると思いますけれども、しかし、そういうことよりも、一番ほんとうのできぬ理由というものは、私は政府自身にあるのじゃないかとすら言いたいんですよ。もっと端的に言えば、厚生省と文部省との間で、あるいは厚生大臣と文部大臣との間で話がつかないというか、了解がつかないというか、そういうところが一番障害になっておるとしか思えぬのですがね。その点、いかがでしょうか。
#70
○政府委員(安嶋彌君) 未加入校ができました事情並びにその考え方につきましては、ただいま秋山先生がおっしゃったとおりでございます。今日までこれがなぜ解決されないかということでございますが、端的に申しまして、政府部内と申しますか、厚生省と文部省の間の意見調整ができないということでございます。私どもは、私学共済組合というのは、御指摘もございましたように、私学振興ということを目的にする共済組合でございますから、これは強制加入というたてまえをとるべきであるというふうに考えております。特に、最近は、未加入校の中から私学共済組合に加入したいという希望が相当強く出ております。そうした状況を踏まえまして、厚生省と年来折衝をいたしておるわけでございますが、結論的に申しまして話し合いがつかない。
 それは、どういうことかと申しますと、厚生省側の考え方といたしましては、健保・厚年に入っておる私学教職員の取り扱いについては、当初の法律の附則二十項におきましてすでに決着がついておるんだと、それをいまさら持ち出してあらためて問題にするということは、経過から考えておかしいではないかということが一つございます。
 第二点は、これは私立学校側自体にも問題があるわけでございますが、私立の短期給付についての米加入校が百五十一校あるわけでございますが、そのうち六十七校がいわゆる政管健保に加入をいたしておりますが、残りの八十四校がいわゆる組合健保でございます。この組合健保の大学というのは、これは、早稲田、慶応をはじめといたしまして比較的大規模な大学でございまして、こうした大学の健保組合につきましては、掛け金率が私学共済に比べて低い、それから給付の内容もかなり充実しておるというような実態でございます。したがいまして、これを法律をもって強制をして健保組合を解散させ私学共済に加入をさせるということについては、理論的にもまた実際的にも問題があるのではないかというのが厚生省の主張の第二点でございます。実は、この点につきましては、私立学校側自体にも、強制的に健保組合を解散して私学共済に入ることについては異論を唱える学校がかなりございます。
 それから第三点は、長期給付の問題でございますが、長期給付の社会保障制度全体としての動向は、各制度を統合するという方向にあるんだと。しかも、厚生年金という制度は包括的な制度なんであって、現にそこに入っておるものをわざわざ抜き出して私学共済といったような特別の共済制度に入れることは、むしろ年金制度を統合するというそういう基本的な方向に逆行するのではないかという点が第三点でございます。
 第四点は、年金給付は、これは各職域における勤務がずっと継続して年金計算の基礎になるということが望ましいわけでございますが、厚生年金は各種の職場を含んでおりますので、転職をいたしましても何ら問題なく在職期間が全部つながっていく。ところが、私学共済のようなそういう特殊な組合に入れば、職場を変えるたびにその組合員期間が分断されるというような不利な点があるのではないかと、こういうことが厚生省側の主張でございまして、私ども一々それにはいま秋山先生がおっしゃいましたような観点を含めて反論をいたしておるわけでございますが、なかなか了解がつかないという状況でございます。
 予算要求といたしましては、毎年度、全員加入を前提とする予算要求を大蔵省にいたすわけでございますが、関係省間の話し合いがつかないために予算もつかない、こういうことでございます。
 そこで、当初申し上げましたように、私ども全員加入ということが私学共済のたてまえであるというふうには考えますが、健保組合の実際の状況等を考えますと、全部強制的に私学共済に入れてしまうということにも確かに問題もあるように思いますので、現時点では、たてまえはたてまえといたしまして、もう少し実際的な観点から、私学共済に加入したいという学校だけでも加入するような道が開けないものかということで検討をいたしておるわけでございますが、これもまだ最終的な結論は得ていないという状況でございます。
#71
○秋山長造君 いや、私もいやだというものを無理やりに綱をつけて引っぱってこいということまでは言わない。いま最後に局長がおっしゃったように、せめて、もうあの振り分けをやって制度が発足してからやがて間もなく二十年になるんですからね。ですから、この時期でもう一ぺん再調整をするといいますか、再振り分けをするといいますか、手直しをするといいますか、それぐらいなことはやるべきじゃないか。いわんや、未加入校の中の相当数が私学共済に加入を非常に熱望しているわけですからね。ですから、私は、入る道を開くのが私学共済制度をつくった趣旨からいっても何からいってももう当然のことだと思うんですよ。にもかかわらず、いま何項目か厚生省側の言い分をあげられましたけれども、それはそれとして、いまの最後に局長のおっしゃったせめてこの際希望校、希望者だけは入れたらどうか、入れる道を便法を講じたらどうかぐらいなことで厚生・文部両省の間の話がつかぬということは、これはわれわれ部外者には全く理解できぬですよ。これは今後の事務当局同士の交渉にもまたなければなりませんが、やっぱりこれまた閣議での大臣同士の政治的な決断でしょうね。大臣、だいぶその点について御就任以来御努力は不断にされているように漏れ聞いておりますけれども、これはやっぱり大臣同士でそのくらいの話はつかぬものですか。便法を講じようじゃないかとか、何かそういう妥協の道を開こうじゃないかぐらいな話はつかぬものですか。
#72
○国務大臣(高見三郎君) 厚生大臣は、いま、健保法案で全く頭をかかえ込んでいるところであります。が、いま秋山さんのおっしゃる未加入校の加入問題、これは私は実現しようと思っております。実現したいという考え方でおりますし、厚生大臣との話がつかないとは考えておりません。それから長期給付の問題になりますと、こういう問題があるんです。早稲田にしても、慶応にしても、みなそれぞれの組合を持っております。持っておりますが、長期的に展望してみるというと、やっぱり私学共済に入ったほうがいいというのが学長なんかの共通した意見でございます。ただ、教授会の意見をまとめるまでもうしばらく待ってくれ、短期と離してもらって長期だけ入れてくれぬかというような話も実は出ておるんです。私は、何度も、この問題については、組合をお持ちになっておる大きな学校の学長さんとは非公式に会って、一体あなた方は将来どうするんだということを聞いてみますというと、将来社会保障制度が充実してくる場合には、われわれのところでやっている組合ではとてもだめだ、ぜひ入れてもらいたいんだと。入れてもらいたいんだが、いますぐと言われても困るんだと。困るから、せめて分けてくれぬか――分けてくれという話はちょっとこっちもぐあいが悪いんですが、分けてくれぬかというようなお話も実は承っておるのであります。私は、長い目で見ますというと、社会保障制度が充実するに従って、学校独自の組合でうまくいくとは思いませんし、大学当局もその辺のことは御承知になっておることでありますので、この問題は私学全体の問題として必ず解決する時期がここ一両年のうちに来るという確信を持っております。したがいまして、未加入校の問題については、何とか便法を講じて加入さしてあげたい。昨年からこの問題で私はいろいろな人に会いまして、いろいろな人の御意見を伺っておるのでありますが、この問題は積極的に努力をいたすということで御了承をいただきたいと存じます。
#73
○片岡勝治君 いま、秋山さんから、この問題に対して相当広範な質問がありましたので、なるべく重複しない点でごく短い時間質問さしていただきたいと思います。
 先ほど、大臣が、私学に対する基本的な考え方として、援助はするけれども干渉しない、文句はつけないと、こういうお話があったわけであります。基本的にはまことにそういった政治姿勢が私学に対する最も大切なものであろうと私も感ずるわけであります。しかし、いま、私学の中にかかえておるたくさんの問題があるわけであります。ほんとうに私学がより効果的に発展をしていくためには、私は、単に財政的な援助だけではなくして、私学のよき――干渉とか文句をつけるということじゃなくて、ほんとうによき相談相手として助言をしていくとかあるいは指導をしていくという、そういう姿勢もむしろ積極的にあってしかるべきではないかというふうに考えるわけです。
 一つの例をとれば、実際にあったかどうかわかりませんけれども、大学の入学金に一千万円の金を持っていかなければ入れてくれないというようなことがもしかりにあるとすれば、これは教育上ゆゆしき問題でありますから、そういう点については私はやっぱりどんどんと指導助言をしていくというようなことが必要であろうと思います。
 そういう点からすれば、いま私学の中にかかえておる非常にたくさんの問題、施設設備の問題にもいろいろな課題があるだろうし、あるいはまた、教職員の身分、待遇、まあこの共済組合の活動も一つの待遇改善であるわけでありますけれども、そういう点についても多くの問題をかかえておる。あるいはまた、いま申し上げましたように、特に入学金の問題とか、私学の非常に大きな負担を生徒学生あるいはその父兄がかかえておるわけであります。私は、私学に対する文部省の姿勢としては、原則的に援助すれど干渉せずということは基本的に是認をいたしますけれども、そうした問題については、あたたかい配慮といいますか、そういう指導助言というものを積極的に進めるべきだというふうに考えますけれども、文部大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#74
○国務大臣(高見三郎君) 金は出すが口は出さぬと申しましたのは、私学が間違っておることをやっておるのに口は出さないという意味じゃございません。それぞれの建学の精神というものを私は尊重いたしたいということを申し上げたのであります。まことに残念な現象でありまするけれども、やみ入学金があるということは、一、二の大学を除きましては現実の問題としてあるということは、私も承知をいたしております。これは、学校経営の問題であろうと思うのであります。したがって、学校経営の問題として考える場合には、まず国が文句を言う前にほんとうは私学の経営が成り立つだけの国としての援助をしなければならぬ、これが私は文部大臣としてとるべき当然の仕事じゃないかと考えております。口を出さぬと申しましたのは、非違の行為に対して口を出さぬという意味ではございません。私学の建学の精神はあくまで尊重をいたしますと、こういう意味で申し上げたつもりであります。
 残念ながら、いま片岡先生御指摘のような事態があるということは、これは否定はできません。できませんが、考えてみますというと、私学の経営というものが非常な困難な状態になっておる。国立に出しておりまする金と私立に出しておりまする助成金というものを比較してみますというと、これはもう問題にならない。大体、私立が七割五分と申し上げていいでしょう。国立が二割五分であって、しかも、国が出しております金は、国立には私立に対する助成金の十倍の経費を国が負担しておるのでありますから、せめて国立に出しておるぐらいな金は、まあ三倍半出せというわけにもまいりませんけれども、少なくとも国立に出しているぐらいな金は私学に出すという形で、私学が私学独自の建学の精神を生かしていっていただきたいものであるという意味において、銭は出すがものは言わぬということを申し上げたつもりであります。
#75
○片岡勝治君 次に、教職員の――まあもちろん基本的にはこの共済組合の諸活動については私学振興という大きな目標を持っておるわけでありますけれども、同時に、私学で一生懸命働いております教職員の皆さんの福利厚生活動ということが具体的な目標になっております。こうした福利厚生の分野を大いに拡大をするということはもちろん大切でありますけれども、同時に、教職員の基本的な賃金といいますか、給与、身分、そういうものがもっと基本的に確立される必要があるのではないか。もちろん、私は、全部の私学が教職員の待遇を非常に悪くしているということは申し上げませんけれども、しかし、非常に大きな格差がある。私も友人が私学に行っておりますけれども、公立に比べると、その給与がもう三分の二、まごまごすると半分ぐらいなところがあるということであります。全く同じ教壇に立って同じような教育をしておりながら、そうした非常に低い給与、賃金というものが決して少なくないというふうに見るわけであります。こういう賃金が低いと、共済組合の掛け金、特に長期給付が非常に低劣になってくるわけであります。共済組合を充実強化することにあわせて、基本的には教職員の給与水準というものを引き上げていくという方向に文部省としてもいま申し上げました指導助言といいますか、そういうものを大いに積極的に推し進めるべきではないか。それはまた、大臣のことばで言えば、金を出さなければなかなかそういうことは十分でき得ないと思いますけれども、しかし、だからといって、いまのまま放置するということは、これは教職員にとってたいへんな問題であります。そういう点で、文部省として、直接この給与、賃金の問題についてあれこれということはなかなか言い得ない立場でありまして、まあ純粋の立場でいえば労使の関係ということにもなりかねない。そういう労使関係の中に文部省が入っていくということは確かに問題があると思いますが、一般的な指導方針というものはあってしかるべきじゃないかと思うのですが、そういう点についての文部省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#76
○政府委員(安嶋彌君) 教育の振興のために教職員の処遇の改善が必要であるということは、これは当然なことかと思いますが、ただ、私どもは、私学に対しましてそうした当然のことをあらためて申すようなことも特にはないわけでございますが、むしろ、その前提といたしまして、大臣もお話しがございましたように、私学自体の経営状態を改善をし、そうした処遇の改善が可能になるようなそういう力をつけてやるということがやはり基本であろうというふうに考えるわけでございまして、そういう観点から、いつも申し上げることでございますが、四十五年度から私学の経常費の補助というものが始まりまして、本年度は三百一億円という補助金が計上されておるわけでございます。
 私学の給与の水準が高いか低いかということになりますと、厳密な比較といたしましてはいろいろ問題のあるところかと思いますが、確かに、国立あるいは公立に比べまして、平均額は、かなりと申しますか、若干と申しますか、下回っておることは事実でございます。大学につきましては、ただいま申し上げましたように、本年度三百一億の経常費の補助――これは主として人件費が内容でございますが、補助をいたして、私学の教職員の給与の改善を間接的にではございますが可能になるようなそういう措置を講じておるわけでございます。同時に、高等学校以下の私学につきましては、交付税措置をもちまして毎年度措置をいたしておるわけでございますが、四十七年度におきましては、基準財政需要額といたしまして約二百四十億円を計算上ではございますが積算をいたしております。四十六年度におきましては、この額が約百四十億円ということでございます。もちろん、この基準財政需要額の中身はいろいろございますが、やはり何と申しましても一番大きなものは私学の運営費の補助、つまり実質的には人件費の補助でございまして、地方におきましても、四十五年以来、国の措置にあわせまして、高等学校以下の経常費、人件費の補助が行なわれております。補助率といたしましては、一応国の場合の人文社会系に準ずる三割の補助ということで計算をいたしておるわけでございますが、実績といたしまして昭和四十六年度の数字を申し上げますと、給与費だけではございませんが、二百三十四億というような補助が行なわれております。国・地方を通じましてこうした経常費の補助が行なわれることによりまして、私学の教職員の給与も徐々に改善されておるという実情でございます。
#77
○片岡勝治君 私学と公立ないし国立の給与の比較というのは非常に複雑でむずかしい点もあると思うんですが、文部省で把握しておる数字というものがあれば、この際お示し願いたいと思います。
#78
○政府委員(安嶋彌君) 文部省が学校基本調査及び地方教育費の調査に基づきまして把握をいたしておりまする数字を四十四年度について申し上げますと、私立の大学の場合、年額で申しまして百六万円、短期大学の場合約六十九万円、高等専門学校の場合七十一万円、高等学校の場合八十一万円、中学校の場合八十八万円、小学校の場合七十五万円、幼稚園の場合三十九万円ということでございまして、大学について国立と比較いたしますと、国立大学を一〇〇といたしました場合に、私立大学は九五でございます。それから公立高等学校を一〇〇といたしました場合に、私立の高等学校は六九でございます。それから公立の幼稚園を一〇〇といたしました場合に、私立の幼稚園は五一というような比率になっております。これは教職員の給与でございまして、教員だけではございません。教員だけでございますと、この平均単価よりはさらに上回っておるわけでございますが、そうした数字をつかんでおります。
 なお、実は、共済組合の御審議の資料といたしまして、お手元に標準給与月額の資料を差し上げてございます。一ページでございますが、全体の平均で五万七千三百四十七円でございます。大学が七万五千七百円、これが一番高いわけでございまして、一番低いものが幼稚園の三万二千四百四十三円でございます。ただいま申し上げました基本調査あるいは地方教育費調査の数字と、この共済組合の標準給与月額の平均額が、実は調査の年度も二年ばかり違うわけでございますが、それにいたしましても、若干の開きがございます。その理由を私どもいろいろ考えておるわけでございますが、共済組合の場合は標準給与に上限があるということ。それから先ほどもちょっと問題として出ておりましたが、給与水準の比較的高い学校が、これはまあ大学が中心でございますが、共済組合に入っていないということ。それから共済組合の標準給与は、御承知のとおり、五月―六月の二カ月の給与が基準でございますが、五月―六月に支給される期末手当いわゆる賞与というものが標準給与の中に算入されていないというような、そういうことから来るズレであろうかと思います。文部省調査の数字は、そうした年間のすべての給与を含めておりますので、共済組合からとりました数字よりは若干上回った数字が出ておる、こういうことかと思います。
#79
○片岡勝治君 いま文部省のほうからの資料によりましても、いろいろな要素がありますから、現実にはあるいは若干これより上回っているのではないかということも想定できます。しかし、いずれにしても、高等学校の給与が、国公立に比べて六九%、まあこれを若干よく見ても七〇%、七五%程度であるということになると、これは相当大きな開きがあるわけであります。つまり、この給与が基準になって共済組合のほうの長期給付というものが行なわれるわけですね。ですから、長期給付の率は国公立の学校と同じであっても、その基本ベースがこのように二割ないし三割ぐらい低いということになれば、自動的に退職給付なり年金、疾病の給付というものが下がってくるということでありますから、やはり基本給というものを国公立に近づけるということによって、はじめて共済組合の福利厚生の部面においても私立の教職員が救われていくということになると思うのですね。ですから、共済組合の給付率を改善すると同時に、特に私学の場合には基本給を何とか改善をしていかなければ、こういった面でも公立と大きな差が出てくるというふうになると思うのであります。
 そこで、いま御説明のありました経常費の補助、これはたいへんけっこうな制度であると思います。あるいはまた、都道府県から補助を出す場合の基礎になる基準財政需要額の計算の中には公立ないし国立学校の給与というものを基準にして私学の教職員の給与も当然その水準にあるべきだ。その水準まで持っていかなければ、せっかくの共済組合だって非常に低劣になるわけですから、経常費補助の計算の基礎には国公立の学校の給与というものを基準にしていく、基準財政需要額の計算においても国公立の教職員の給与水準というものを基準にして計算をして補助をしていくと、補助をする場合にはその計算の基礎がそういうことでありますから、私学に対しても教職員の給与改善というものについてひとつ一段と努力をしてくれということの指導助言というものを、まあ条件をつけるわけにいきませんかもしれませんけれども、指導助言を加えていく。私学のほうも、そういった態度で教職員の待遇改善をやっていくことによってあるいは経営が苦しくなるものでしたら、それに対してはやはり堂々と国のほうにさらに補助を求めるということによって私学全体が浮き上がってくると思うんですよ。それで、いまお話のあった経常費の補助あるいは基準財政需要額の計算の中での教職員の給与費というものの基準はどこに置いているのか、国立あるいは公立の給与体系を基準にして計算をしているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#80
○政府委員(安嶋彌君) 国の補助金の場合でございますと、前年度の五月一日の現給に五%給与改定財源分を見込んだ額、これがその年度の補助単価の基礎になるわけでございます。先生おっしゃいましたように、国公立学校の給与の水準ということではなくて、私学の現給に一・〇五を乗じた額をもって積算の基礎としておるということでございます。したがいまして、その基本の単価は年年上がっておるわけでございますから、四十七年度の前提になる単価は四十六年度、四十六年度の単価は四十五年度ということでございまして、私学の実勢が上がってまいりますれば、それに合わせて積算の基礎は上がっていくと、こういうことでございます。
#81
○片岡勝治君 年々私学のほうの給与水準も上がっていきますけれども、現に国公立との差があるわけですよね。ですから、現にあるその差というものに早く追いつくということが大切でありますから、いまの計算方法でいくと、カメとウサギの競争じゃないですが、追いつくかどうか、ちょっと疑問なんですがね。その辺は、またあとで時間もありませんのでお話を承りたいと思うのですけれども、いずれにしても、現国公立の給与水準というものにすみやかに近づけていく、そういうことによって、はじめて私学共済の特に長期給付が文部省が考えておる率どおりいくわけでありますから、そういう点について、やはり基本は私学の学校の先生の給与水準というものの改定が非常に大事であるという点で、経常費の補助あるいは基準財政需要額の計算においての適切な配慮をしていただきたいと思うわけであります。
 時間がありませんから、最後に、この教職員の給与については、なかなか直接文部省が介入といいますか指導というものがむずかしいと思うのでありますけれども、非常に大きな格差がある。まあ普通の水準にいっておればいいんですけれども、非常に悪いところがあるわけであります。これはひとつ研究課題として文部省のほうで労働省のほうと検討していただきたいと思うのは、こういう方法がとれないかどうか。同じ教職員で同じ教壇に立って一生懸命働いておるわけでありますから、私は、どういう学校にいようと、やはりある程度の給与というものは保障してあげなければいけない。そういう意味で、最低賃金制というものが一般の労働者の中にあるわけであります。教職員の場合には、国公立の場合は基準がはっきりしていますけれども、私学の教職員の場合には、一つの基準をきめて、もうその基準を下回るような賃金というものはまかりならぬというようなことができるかできないか。まあ教職員組合などがつくられてある程度賃金が上がっていくという職場であればいいんですけれども、ほとんどそういう職場もない。こういうことばが適切かどうかわかりませんが、同族私学というような一族郎党でやっておるようなところで非常に悪いところがある。あるいは、宗教関係、ミッション関係では、ミッションスクール等の中では、一つの奉仕的な考えで、低い賃金でみんなでがまんしよう。そういう考え方に立ってやっておる方については私は尊敬しますけれども、たまたまそういう中に入っていった教職員もがまんしなければならぬというのは、私は矛盾があると思う。そういう点から、私学の教職員の一つの給与基準、最低賃金制というものの検討がもしでき得れば、そういうことによってもし水準を上げることができ得るならば、これも一つの道ではないかと思うのですが、文部省の見解を承り、一つの課題として、われわれも研究いたしますけれども、もし検討願えればと思うのですが、文部省側の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 これで終りたいと思います。
#82
○国務大臣(高見三郎君) 非常な貴重な御意見でありますが、問題は、文部大臣が基準をきめるという性質のものではございません。いま御意見のありました問題につきましては、労働大臣とも十分相談をいたしまして前向きにこの問題は検討をしてみたいと思います。御指摘のように、同族学校、あるいはミッション等におきましては、皆さんが皆さん全部奉仕の精神でおやりになるならばこれはまことに尊敬すべきことでありまするけれども、必ずしもそうでない場合もあるのであります。貴重な御意見として私は労働大臣と十分相談をいたして前向きに検討をいたしたいと存じます。
#83
○委員長(大松博文君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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