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1971/02/03 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第2号
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1971/02/03 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第068回国会 大蔵委員会 第2号
昭和四十七年二月三日(木曜日)
   午後二時四十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月三十一日
    辞任         補欠選任
     戸叶  武君     横川 正市君
 二月一日
    辞任         補欠選任
     小谷  守君     松井  誠君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前田佳都男君
    理 事
                柴田  栄君
                嶋崎  均君
                戸田 菊雄君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                河本嘉久蔵君
                棚辺 四郎君
                津島 文治君
                竹田 四郎君
                横川 正市君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
   政府委員
       大蔵政務次官   船田  譲君
       大蔵省主計局次
       長        吉瀬 維哉君
       大蔵省主計局次
       長        長岡  實君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省理財局長  橋口  收君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○租税及び金融等に関する調査
 (当面の財政及び金融等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 一月三十一日、戸叶武君が委員を辞任され、その補欠として横川正市君が選任されました。
 また、二月一日、小谷守君が委員を辞任され、その補欠として松井誠君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(前田佳都男君) 次に、理事の辞任についておはかりいたします。
 成瀬幡治君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に戸田菊雄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(前田佳都男君) 次に、水田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。水田大蔵大臣。
#7
○国務大臣(水田三喜男君) 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説におきまして、その基本的な考え方を明らかにしたところでありますが、本委員会において、関係法律案の御審議をお願いするにあたり、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
 私は、最近における内外経済情勢の大きな変化にかんがみ、今後の財政金融政策の運営にあたっては、わが国の充実した経済力を活用して、福祉社会の建設を進めると同時に、国際経済との調和をはかり、もって均衡のとれた成長を期することをその基本といたしたいと存じます。
 まず、福祉社会を建設するために、次のような施策を講じてまいりたいと存じます。
 第一に、住宅をはじめ、上下水道、公園、緑地等の生活環境施設を中心とした社会資本の整備を積極的に進めていくことであります。
 第二に、経済成長の成果が社会のすべての人々に対して、十分に行き渡るようにするために、国民各層の強い連帯感に支えられた社会保障を充実していくことであります。
 第三に、消費者物価の上昇、公害の発生など、これまでの成長過程において生じてきたひずみ現象を是正していくことであります。消費者物価の安定のためには、輸入政策を積極的に活用する一方一低生産性部門や流通機構の近代化・合理化を含め、経済活動の能率を一そう高めていかなければなりません。産業公害の防止につきましては、税制上、金融上の優遇措置により、企業の努力を支援してまいりたいと考えております。
 次に、今後の国際経済との調和をはかるために、まず第一に重要なことは、国際通貨体制の安定強化のために積極的な役割りを果たすことであります。わが国は、昨年末多国間の通貨調整の一環として、これまでの一ドル三百六十円の対ドル基準レートを改定して、一ドル三百八円にいたしました。この結果、世界各国は、対外取引の安定を一応取り戻すことになりましたが、わが国としては、今後とも関係諸国と相協力して、国際通貨体制の残された諸問題の根本的な解決のために努力してまいります。
 第二に、ガットその他の場を通じて、自由無差別な貿易の促進を強く呼びかけると同時に、わが国の経済力や国際的地位にふさわしい経済の国際化を一そう推進し、保護貿易主義や経済ブロック化の傾向を牽制し、世界の平和と繁栄をはかることであります。
 第三に、開発途上国との間の経済交流を深めていくことであります。今後は、一段と経済協力の拡充につとめるほか、開発輸入などを通ずる貿易の拡大にも配慮してまいる所存であります。
 昨年後半以降、金融市場は本格的な金融緩和の様相を呈しており、年末には、公定歩合が〇・五%引き下げられ、実質的に戦後最低の水準となりましたが、今後とも内外経済環境の変化に即応した妥当な金利水準の実現をはかっていくことが肝要であると考えております。
 また、通貨調整後の新しい情勢に適応し得るよう、準備預金制度の改定等金融調節手段の整備拡大につとめてまいる所存であります。
 同時に、最近におけるわが国資本市場の国際的な地位の向上、金融環境の変化、公債政策の積極的活用等の事態に対応し、公社債の円滑な発行、流通をはかる見地から、引き続き資本市場の整備育成に一そう配慮してまいりたいと考えております。
 昭和四十七年度予算は、以下申し述べました財政金融政策の基本的方向にのっとり、財政の健全性を保ちつつ、積極的に有効需要の拡大をはかり、かつ、国民福祉の向上を強力に推進することに主眼を置いて編成いたしました。
 すなわち、まず、通貨調整に伴う国際経済環境の新たな展開に即応しつつ、当面する国内経済の停滞をすみやかに克服するため、予算及び財政投融資計画を通じ、積極的な規模の拡大をはかっております。
 このため、公債政策を活用することとし、建設公債、市中消化の原則を堅持しつつ、一般会計における公債発行規模を一兆九千五百億円に拡大しております。また、財政投融資計画における政府保証債の発行額は、四千億円を予定しております。
 次に、国民福祉の向上のための施策の充実をはかっております。特に、各種社会資本の整備、社会保障施策の充実、物価対策、公害対策など国民生活の充実向上のための諸施策の推進に重点を置いております。
 このような方針のもとで、昭和四十七年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも十一兆四千七百四億円といたしております。これは昭和四十六年度当初予算に対し、二一・八%の増加となっております。また、昭和四十七年度財政投融資計画の総額は、五兆六千三百五十億円でありまして、昭和四十六年度当初計画に対し、三一・六%の増加となっております。
 次に、税制の改正について申し述べます。
 まず、所得税につきましては、さきの臨時国会において千六百五十億円の年内減税を特に早めて行なったところでありまして、これは昭和四十七年度におきましては、二千五百三十億円程度の減税となります。これに加えて昭和四十七年度には、個人住民税、個人事業税を中心に、千億円をこえる地方税の減税を行ない、個人税負担の軽減をはかることとしております。
 また、老人対策の観点から老人扶養控除を設け、扶養親族のうち年齢七十歳以上の者について、通常の扶養控除にかえて十六万円の控除を適用することとし、また、寡婦控除の適用範囲を拡大することとしております。
 次に、相続税につきましては、配偶者に対する相続税を軽減するため、婚姻期間が二十年以上の場合には、取得した遺産について三千万円まで非課税とすることを中心として特段の配慮を加えました。また、新たに障害者控除を設けることとしております。
 法人税につきましては、付加税率の適用期限を二年間延長することとしております。なお、金融保険業の貸倒引当金につきましては、その繰り入れ率を引き下げることとし、近日中に政令改正をもって実施することといたしております。
 租税特別措置につきましては、住宅対策、公害対策、中小企業対策等の諸施策を中心として所要の措置を講ずる一方、昭和四十六年度に引き続き、輸出振興税制を大幅に整理縮減し、また、通貨調整に伴い所要の措置を講ずる等、当面の経済社会情勢に応じて弾力的な改廃を行なうこととしております。
 また、空港施設等の整備充実に資するため、航空機燃料税を創設することとし、その他、国税につきまして、所要の税制の整備合理化を行なうことといたしております。
 関税面におきましては、昨年来推し進めてまいりました総合的対外経済政策の趣旨に沿って、関税引き下げ等の関税改正を行なうこととしております。
 まず、国民生活に関連の深い物資に重点を置いて関税の引き下げを行なうこととしております。
 次に、輸入の自由化を円滑に実施するため、品目の実態に応じ、適切な関税措置を講ずることとしております。
 このほか、協定税率の適用を受けない国または地域の産品に対する関税上の格差解消措置、国内の産業政策上の要請にこたえるための関税措置、関税制度面の整備等、各種の改正を行なうこととしております。
 なお、この際、円のデノミネーションについて一言したいと存じます。
 デノミネーションは、単なる通貨単位の変更でありまして、本来、経済の実態に何らの変化をもたらすものではありません。わが国におきましては、戦後激しいインフレーションを経験したため、現行の通貨単位は、国際的な水準と著しくかけ離れており、国際化の趨勢にそぐわないところがありますので、これを変更してしかるべきものと考えております。しかし、さきに通貨の対外価値の変更である円の切り上げが行なわれたことでもあり、この際、デノミネーションを行ないますことは、国民に無用の誤解と混乱を与えるおそれがありますので、その実施については慎重を期さねばならないと考えます。
 過般、大阪における私の発言は、以上の考え方を質問に答えて申し述べたことでありまして、政府におけるデノミネーション実施の意図を申し上げたわけではございません。
 以上、財政金融政策に関する私の所信を申し述べ、昭和四十七年度予算及び税制改正の大綱について御説明いたしました。
 本国会において提出を予定しております大蔵省関係の法律案は、租税、関税に関するもの八件、特別会計の統合等に関するもの三件を含め合計十五件でありまして、本委員会に御審議をお願いすることになると存じます。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願いする次第であります。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(前田佳都男君) 次に租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 ただいまの水田大蔵大臣の所信表明並びに当面の財政及び金融等に関する件についてこれより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○竹田四郎君 今国会で総理も、去る一月の二十九日の本会議のときに、「発想の転換」ということばを使われました。大蔵大臣も、きょうの所信表明にはございませんけれども、当日の財政演説においては、「発想の転換」ということばを使っておられるわけでありますが、「発想の転換」というのは、一体、具体的にどういうことなのか、この点について、まずお尋ねしたいと思います。−
#10
○国務大臣(水田三喜男君) 要するに、いままでの考え方を変えるということでございますので、たくさんあると思います。ことに財政政策においても、今後の経済に処するためには、財政方針において考え方を変えなければならない部門もたくさんございますので、そういうものを幾つか頭に描いて発想の転換が必要だということを申し上げたわけであります。
#11
○竹田四郎君 いまも財政政策あるいは金融の問題にもそういうところがおそらくあるのではないかと、こう思うのですが、具体的にはどういう個所が、どういうふうに悪かったから今後どう改めるというふうに、いま財政運営の中でというおことばがあったわけでありますが、具体的にどういうところがどう悪かったからどう改めるのだということなんですか。ただ考え方の違いと言うだけじゃわかりませんから、いままでおそらく何か適切でなかったから改めると、こういうことになろうと思うのですが、具体的にどういうことなんですか。
#12
○国務大臣(水田三喜男君) こちらからまとめて述べてもけっこうでございますが、むしろ御質問によって、そこは変わったなあというのを私のほうでお答えしたほうがいいんじゃないかと思います。
#13
○竹田四郎君 それが所信表明なり、あるいは四十七年度予算でよくわからないから、私は、あえて基本的に大蔵大臣はどう考えているか、まあ総理大臣もいろいろお考えでしょうけれども、財政、金融運営の衝に当たっている大蔵大臣としては具体的にどう考えているか、どうも所信表明を読ましていただいてもよくわからないから実は聞いているわけです。これは考えの基本的な問題がかなりあると思いますので、おそらく単年度予算だけでそれがすべて変えることができるというほどまた簡単なものでも私はなかろうと思う。そういう意味でひとつ、長期にわたる考え方もありましょうし、あるいは短期的な問題もあるでしょうし、そういろ点でひとつ総括的に大臣のほうからお述べいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(水田三喜男君) もう私は財政政策の面においで、金融政策において、租税政策の面において、あらゆる点において発想の転換を必要とすることに現在迫られておると思いますが、これは発想の転換に迫られておりますが、まだ、じゃこういうふうに転換しようというためには、未熟な問題がたくさんございますので、今度それを表面にはっきりと出していない問題がたくさんございますが、租税においても、金融においても、これから具体的にこういうふうに転換したいと思うとお示しすべき問題はたくさんあると思いますが、まだ熟していないために申し述べない問題がずいぶんあろうと思いますので、それをいま申し上げて議論をたくさん出してしまうのもどうかと思いますが、たとえば税の問題におきましても、福祉政策、福祉重点ということに政策を踏み切ってきますというと、今後の予算編成においては非常に財源の調達ということではむずかしいことになろうと思いますが、しかし福祉政策は一たん踏み切ってしまった以上はあと戻りができない。そうすれば、財源というものはどんなことをしても調達しなけりゃならぬということを考えますというと、問題は二つしかないと思います。
 やっぱりこれは終局的には国民の負担によって解決すべき問題であるからして、それは政策の強化はある程度国民の負担において行なわれるべきであるかどうかということ、それがまたその国民負担力について、負担力と必要経費とのいろんな不調和の問題が出たときには、これを公債によってその財源は調達するということも必要になろうと思いますが、そういう財源の調達を公債政策の活用によって得ていいのかどうかという問題でございますが、従来の考え方は、給付は厚くする、福祉政策はだんだんに強化していくけれども、国民負担はだんだんに減らしていくんだということで、過去私どもは財政政策をやってきましたが、これは日本の高度成長期における政策としてはそれでやっていけたと思うのですが、そうじゃなくて、経済が安定成長期に入って、そうしていままでのような多額な自然増収というようなものも見込めないというところへきましたら、これはやはり国民負担というものによって解決する方法をはっきりととらなきゃならぬ。その場合には、従来のように直接税中心の税制というものはもうやめなけりゃならぬ、できるだけ直接税の比率を減らして、これを間接税に置きかえる。この間接税に置きかえるという過程において、国民はそう大きい負担感を持たなくて、実質的にはある程度負担増になるということもできるんじゃないか。そういう税制の税体系も思い切ってここで転換することを考えなければいかぬということを、私はこの二、三年の間にそういう必要性に迫られると思いますが、こういうものも従来の発想の転換なくしてはできないことであると思いますが、万事各部門においてそういう問題があると思います。従来の方針の踏襲では、今後対処できない問題があらゆる面にたくさん出てきておると思います。
#15
○竹田四郎君 私ども社会党も、去る三十五回の大会で、流れを変えよう、「チェンジニッポン」ということをキャッチフレーズにして七〇年代をやっていこうということであります。発想の転換と似たような感じもするのですが、いま大蔵大臣の、大蔵大臣だからこういうことを言うのか、あるいは大蔵大臣は政治家とはちょっとジャンルの違うお人なのか、ちょっとその辺、私いまお話を承りながら、実は疑問に思ったのです。もっとやはり大きく流れを変える、あるいは発想の転換をやるべきことが政治家の課題としてあるのじゃないかと私は思うのですが、大蔵大臣だから金のことが一番心配だから、こうおっしゃるとは思うのですけれども、もっとやはり大きく変えていくべきものを、大蔵大臣としてお感じになっている点があるのじゃないかと思いますが、どうですか。
#16
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、まず財政政策といいますか、これは一つの大きい政治政策でございますが、やはり高度成長政策から、あるいは設備投資主導型経済というものから、福祉重点経済への切りかえということは必要なときになっておるのですし、またそれができる条件が成熟しているのですから、この政策は一歩踏み切るべきであるといって、今度の予算でいろいろなところで踏み切りをつけたつもりでございますが、一ぺん踏み切った以上、当然私どもが心配するのは、今後のこの財源の問題でございますが、その場合に、私どもはこの間も参議院の本会議で答弁しましたように、もうこういう問題は安易な道にみんな流れやすいのが例でございますので、私はこういう転換期に赤字公債によって財源調達という道を一ぺん選んでしまったら、これはもうアヘンを飲んだようなものであって、この安易な赤字というものはそう簡単に捨てられないと、行きつく先は日本経済を大きいインフレーションに持っていって解決する以外にないところに追い込められるということを心配して、どんなことがあっても赤字公債の発行というような財政政策はとってはいかぬという一点だけは今度は守ったつもりですが、そうだとしたらどうするのだということになってきますと、当然これからの政治として各政党が取り組むべき一番むずかしい問題は、好むと好まざるとにかかわらず、私はやはり税の国民負担の問題になってくると思います。いままでは国民所得の水準が低かったから、減税というものをどんどんやらなければ、これは税の負担が重いのですから、減税をやらなければいけなかったのですが、もうすでに去年からことしへかけて、おととしよりも国民所得に対する負担率は減ってきて、この三年順々に減ってきているので、福祉政策に転換するというような時期に、国民の負担率というものはずっと減ってきておるのですが、これは西欧の先進諸国などの状態を見ましたら、高福祉政策をとっておるところは、全部やはり国民の負担というものは重いので、日本国民の倍くらいになっておるということを考えますと、日本はいま負担率を年々減らしていく方向にきて、現に実績として負担率は減っているんですから、この方向というものは何らかの形で転換することを考えなければ、私は、行き詰まるというふうに思いますが、ただそうすると、増税につながる問題でございますので、国民が負担感を強めるような税制というものは考えられませんので、いかに国民が負担感をそう多く持たなくて、事実上は徐々に国民負担を重くして福祉政策を完全に実施していくかという、そういう税の模索ということが当然必要であって、この問題にもう政党が私は取り組むべき時期にきておると思う。この問題をあまり早く持ち出しますと、これはまた未熟なうちにいろんな問題を提起してむずかしいことになりますから、黙っていろいろ私どもは研究している段階でございますが、これはやはり私は重要な問題だと思います。これは発想の転換なければ私はできない、解決できない一つの問題だと思っております。これは一例でございます。
#17
○横川正市君 委員長。
 「発想の転換」というこの意味ですね。意味のことをあまり追求しても、それに伴って具体的なものが出てきませんから、「発想の転換」とは何かと聞かれたときは、具体的なものがないと、答弁に非常にむずかしいいろいろな要素が出てくるだろうと思うんですが、私は端的に言って、こういうことをやってもらいたいということを幾つか野党側からは指摘していると思うんですよ。
 それは、いままでは予算の総ワクの実施が経済を刺激し、刺激した経済が景気の立ち直り、あるいは個人所得の増強になり、消費を拡大するという、いわば既定の計画に基づいた金の使われ方をしておったけれども、いままでのやり方からすれば、予算の総ワクがふくらめば景気の立ち直りにつながるという、そういう考え方ではなしに、少なくともこの金融とか財政とかそういうものの中で、不労所得あるいは浪費的な性格、そういったものをきちっと整備して、そしてそれを良質な予算消費に向けていくという、そういう努力が出てきたら、私はそれは一つの発想の転換だと思う。こういうふうに考えていいんじゃないか。その点がいままで非常にルーズであったんじゃないか。いわゆるそのある程度不良あるいは悪質と思われておっても、それは経済の潤滑油的な性格を持っていれば見て見ないふりをする、そういうありきたりの性格があったんじゃないだろうか。それをどう直そうかというところに、いわば発想の転換というようなものがあるんじゃないか。こういうふうに思うわけなんですね。
 それからもう一つは、私はやはり金融資本を一つの窓口として、大資本に奉仕をする財政経済というものを、これをたとえば庶民の持っております乏しい預貯金でありましても、あらゆる窓口を経由して吸い上げたものを、あなたの言う、たとえば住宅だとか、上下水道だとかという公共投資に振り向けていく。そいつを単に民間企業の圧迫だなんということで手をつけない。これは発想の転換ではなしに従前のとおりだ。もし発想の転換があるとするならば、そういうような庶民的な性格のものは、これを集中的に集めて、それをこの高い公共投資あるいは福祉投資に振り向けていく。こういうようなことが具体的に行なわれることが、私は一つの発想の転換じゃないのか。発想の転換というのは、ありきたりのことを、何か新味を加えて、ことばでこれをつくろうんじゃなくて、実質的に内容が変わった行き方をしながら効果をあげていくという、そういう金の使われ方を考えていく。これが発想の転換ではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#18
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、発想の転換について、それじゃ次の例はと言われたら、いまの例をとるつもりでございましたが、まさにこの問題は発想の転換を要する問題だと思います。といいますのは、いままではやはり福祉政策といっても、経済が成長しなくて、国民の所得が非常に少ないということでは、福祉政策も何もないのですから、何としてもやっぱり一定の経済成長というものを確保しなければいけなかったということですから、過去の政策は私はある程度無理もなかったと思うのですが、民間が仕事をすると、民間活動が旺盛だと設備投資は意欲が強くなり、どんどん民間が金を設備投資で使うというときに、国が同時に公共事業というか、国の仕事に金を使うと、この二つが競合するときに、これは経済を過熱させてインフレへ持っていく。しかもインフレに持っていったら、国際収支は天井にすぐつかえて動きがとれなくなるのですから、そこの制約を受けて、民間と政府が競合したときには常に政府がおりる。そうして民間に席を譲るというのが過去の政策だったと思うのです。そうすればもう民間が、いわゆる設備主導型経済というものができてくるのは、これはあたりまえのことだったと思うのですが、福祉政策へ転換するということは、今度は民間の活動をある程度押えて、公経済が相当取ってかわって福祉部門への金を使うという政策への転換ですから、したがって民間資金というものは常に税の形、そのほか公共債的な形、いろいろな形で民間資金を吸収しこれを動員するということを、これは公経済がやらなければならぬということになってきますので、その点において二つが競合した場合には、今度はどちらが優先して、民間のほうをある程度押えるのだという財政政策をとるということは、これは大きい転換でございますので、それを中心としたこれからのやり方の変化というものはだいぶ出てくると思います。これを解決しなければ福祉主導型経済なんというものは実際できませんので、そういう点にも発想の転換というものは当然考えられなければならないと思っておるわけです。
#19
○竹田四郎君 何か舞台が非常に小回りになったかげんかどうか知りませんけれども、どうも大蔵大臣らしいといえばまさに大蔵大臣らしいのですが、何か大臣の話を聞いていますと、金のほうが先であって政治のほうはあとだ。まあこういう感じを私はいますわって聞いていまして非常に深くしたわけです。私はもっと、所信表明にあるとおりに、発想の転換というのはいま最後に申されたようなことが先になるんじゃないか。財政、金融というのはいわゆる台所である。そういう政治の方向を先に目標として掲げて、それに対して財政、金融をそういう方向に持っていく、こういう発想のしかたが私は正しいんじゃないかと思う。おそらくそういう発想のしかたをなさっているんだろうと思うのですが、まあ舞台が違ったからそういう考えかたに逆にお述べになったんだろうというふうに私は思いますが、所信表明に書いてある点を見れば、福祉社会の建設というのをいま一番先に取り上げていらっしゃるから、そう大きく問題には私はすべきではないと思うのですけれども、何かちょっと気がついたときに、税金をどうするかということが先にきて、社会福祉のほうがあとにくるということが、どうも社会福祉をやる気があるのか、金が先で、金の調達ができなければ社会福祉はできないのだというような、そういう奇異な感じを実は受けたわけでありまして、そう違っていると私は思いませんけれども、その点だけをここで申し上げておきたいと思うわけです。
 そこで、もしそういう形で、所信表明に述べられてあるように、内においては社会福祉の建設であり、外においては国際経済との調和をはかると、まあこういう大きな目標があるとすれば、金を調達するということも一つの側面ではあると思うのですが、具体的に社会福祉の建設という場合に、七〇年代を一体どういう目標でやっていくのか。これは当然一九八〇年になったならば、あるいはその中間でもよかろうと思いますが、具体的にどうなるのか。これも財政演説の中に、「生活にゆとりと安らぎをもたらすために、」ということばを述べられているわけでありますが、どの程度に具体的に持っていこうとするのか。先ほどの話では、この辺もまだ模索中だというような感じがするわけでありますが、今度の予算でも、たとえば下水道の普及率を高めるとか、あるいは公園、縁地については予算をいままでよりもつけたとか、まあこういうことでありますが、社会保障は具体的にどうなるだろうか――下水道なんかはある程度長期計画が出ておりますが、社会保障等については、十年たったら具体的に福祉社会の建設はどうなるのか、公害の防止については一体どうなるのか、その辺は一体どんなふうになっておりますか。ただ計画だけでは、まあいままでも実際には計画は社会発展計画とかいろいろな計画はあったけれども、実際はそれがことばの上でのみあって、実際それに伴うお金をどうするかという資金計画等は実はなかったわけです。そういうものは先ほどのお話ではまだできていないようでありますけれども、これはやはりそういう考え方であるならば、早急にそうしたものを示さないと私はいけないと思います。先ほどの税金――財源の調達の面でも、その面が明らかにならぬと、やはり国民の協力は私は得られないと思う。そういうものはひとつ政府としてどう考えているのか。これは大蔵省としても大きな関心のあるところでありましょうから、もちろんそういう計画自体は企画庁なり、あるいは厚生省なりがおつくりになるものでありましょうけれども、政府としてはこれを全体としてどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。
#20
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、この公共投資の問題などについては、これはもう年次計画をつくることができるところへきておりますから、これでいいと思いますが、まだ社会保障給付についての計画というものはいままで全然ありませんので、これからこの問題にようやく入るべきときにきておるというのがいまの大体状態で、これまではやはり国際収支の問題がこうなろうとは、わずか二、三年前には想像つかないことですから、こういう問題についてのほんとうの年次計画というものは立たなかったと思いますが、ようやく国際収支にゆとりができて、今後の経済成長というのはいままでと違って、もっと安定したものになることは必至でございますので、そうすれば初めてこの社会保障の計画も年次的に立てられるという条件が一応成熟してきたということが言えるような気がしますので、できたら私は、社会保障はあと戻りできないとする以上は、短期じゃなく、少し長目のことで、十年計画ぐらいで最終目標をきめた計画を立ててもらえば、一番心配なく、順を追って充実をはかれる問題だと思いますので、私は長目の計画で、社会保障の内容をこれから充実させていくということをするのがいいんじゃないかと思っております。
#21
○竹田四郎君 なぜ私は、そういう計画を早くつくれということを申し上げるかというと、どうも、いままでもそういうことばの上では、社会開発ということばがあった、あるいは人間尊重ということばがあった、福祉の向上ということばがあった。ことばはしばしばこの十カ年間にわたって実は出されているわけです。しかし、それが景気が悪い間はそういうふうに言われるのですが、景気が少し上向きになってくると、そういう問題はいつの間にかどこかに吹っ飛んでしまって、そして輸出の増強をどうしてやるか、どうして企業の体質を高めていくか、物流をどうするか、まあこういう方面にのみ実際走ってしまったし、そういう方向に財政も金融も流れてしまう。国民が望んでいる方向とはむしろ逆、それであとで国民に残されたものは物価の高騰と公害、交通の混雑、狭い住宅、まあこういうものしか国民には残されてこなかった。
 ですから、そういう意味で私は、非常にこの計画、財源計画、こうしたものを早くつくって、そしてそれに沿うて今後の財政、金融が運営さるべきだ、こう思っているわけですが、そうした点ではいまのお話でも、あまり実はまだ計画がいつごろまでに練り上げるというような予定も何かつかないような感じがするのですが、まだかなり先のような感じがするのですが、そんなに先に持っていくのですか、それともこの一年ぐらいでそういうもののめどをつけるというようなふうにお考えになっておるか、その辺もう少しはっきりしていただかないと、また流れてしまうのではないかという不安が国民全体にやはりわき起こってくる。そうすれば先ほどの、幾ら財源調達を他に求めるために、まあこれは付加価値税のことなんかおっしゃっているのだろうと私思うのですけれども、そういうことだって国民ははたして協力するかどうか。また重税だと言うだけのものだと思うのです。税金を払う立場にいけば、おそらく、これだけの社会福祉があるのだから、これは当然それに応ずるだけの金を出すのはあたりまえだと、こういうふうな形で発想をしていけば、またそういうふうな形が具体的に目の前に見せられていけば、これは私は税金払うの国民やぶさかでないと思う。いまは税金だけ取られるけれども、落としていくものというのは、先ほど言った公害以下の問題であるから、税金払うのいやだと抵抗を示すのだ。その点は少し長期展望を国民に見せてくれなければ、税金だって払うのいやだということになると思うのです。その辺でもう少し長期的な社会福祉、あるいは社会保障、あるいは公害問題の展望を国民に与えられるような計画というものを早く示してくれないと困ると思うのですね。あなたの発想の転換にも大きな壁が出てくると私は思うのですがどうなんでしょう。
#22
○国務大臣(水田三喜男君) 私もそう思います。できるだけ早くそういう長期の展望が描かれないと、いま言ったこの税制の改正というようなことにも取り組めないということになろうと思います。私が英国へ行ったときに感心したのは、英国のある年寄りですが、おばあさんですが、税金は重いか軽いかというのをまあ参考のために聞いたら、税金はイギリスは重いけれども、みんな自分たちに戻ってきますということを言ったんですが、まあ一人のおばあさんが税金を聞かれて、とにかく戻ってきますと言うことは、ある程度実感を伴わなければ言えないことで、理論的な返事ではなかったと思いますが、やはりこれからの国民負担というものは、どれだけ自分たちに戻ってくるかということと結びつかないというと、国民の生活水準が上がったからといって、国民負担を少しづつ増すということは政治的にむずかしいものでございますので、私はこの計画は早く急がなければいけないと思っています。
 特に、私どもは予算を編成した責任者から見ますというと、この計画がないために将来危険だと思いますことは、その年に財源がない、ないがこれはやりたいというので、予算折衝の最後にきて、その年度の予算にはほとんど影響がないように一月以後実施するというようなことにすると、その年の予算には関係がないからといっても、一つの政策の踏み切りをやるのですから、これは来年度にいって平年度化した場合大きい負担になりますし、こういうことがもし幾つか重なるというようなことだったら、ほかの問題はともかくとしまして、社会保障の問題については、これはなかなかたいへんな問題を起こしますので、長期展望、一定の展望を持たない限り、今後予算編成というものも非常にそういう不合理なやり方で対処させられるというような問題も出てくると思いますので、はっきりした計画があれば、そういう無理しなくても、年度の最初から毎年社会保障の強化はどういうふうな形で、どの程度にやっていくかというようなものもはっきりしてきますので、無理な予算編成をしなくても済むということになりますので、そういう点からも、私はそういう社会保障の展望、計画というものがここに描かれなければどうにもならぬと思います。
#23
○竹田四郎君 大体わかってきたわけでありますけれども、そうしますと、私は、ある程度大蔵省として、あるいは大蔵大臣としてそうした展望なり、あるいは社会福祉の長期計画といいますか、そういうようなものがあって、しかも、ここの最初に書かれております福祉社会の建設のための三つの柱、第一に、住宅をはじめ、上下水道、公園、緑地等の生活環境の施設を中心とする社会資本の整備、それから二番目に、社会保障の充実、三番目に、消費者物価、公害、こうしたひずみの是正というようなことが、そうした計画から導かれてきているんだと、こういうふうに当初理解をしていたのですが、いまのお話を聞きますと、どうもそういう長期展望とは関係なしにほんとうに書かれて、しかもこうしたものは、おっしゃるように、一たんそういう制度が発足すれば、それは毎年必要経費として計上しなくちゃならぬ問題になってくるわけでありますから、当然一年ぽっきりであとはやらないというものじゃないわけなんです。当然そういう計画と、こうした三つの国内における大きな柱というものが結び合って書かれているんだというふうに思ったわけですが、そうしますと、そういう計画がないということになりますと、この三つの計画というのは、何か宙に浮いたような、ことしだけの、当初に書いてありますような四十七年度の関係だけだと、こういうふうな理解しかできないわけなんですが、その関係は一体どうなんですか。
#24
○国務大臣(水田三喜男君) いまの社会保障の内容の問題というものは、恒久的な問題でございますので、長期的な計画なり、展望なりを要しますが、物価問題というようなものは、そう長期的なものじゃなくて、短期的な性格を持っておりますので、むろん長い目の物価対策というものも必要であろうと思いますが、特に当面見られる物価問題にはどういうふうに対処するかということは、そのときの予算編成ではそれが非常に大きいウエートで出てくることもあるでしょうし、そういう意味で不況対策とか物価対策というものと、社会保障制度の問題というのはおのずから違う問題で、来年度の予算ということについては、これは三つからむ問題でございますが、永久にからむ問題とは言われないと思います。
#25
○竹田四郎君 大臣、そのようにおっしゃるのは私はおかしいと思うのですがね。物価問題にいたしましても、経済社会発展計画の中にはそういうものはのせられていたわけですね。それに基づいてことしは何%下げる、ことしは何%下げるという形でやってきたわけでしょう。それが年々、もちろんそれは修正されるものも出てくるわけですが、一応いままで佐藤内閣において、佐藤さんのお声がかりで経済社会発展計画をつくれ、そういうものの中にのせられてきたわけですね。ところがいまのお話ですと、どうもそういうものとは関係ないんだというような気がしますが、そんなことは私はないと思うのですよ。ですから、私はむしろ、新経済社会発展計画ですか、四十五年度につくられた、そういうものにのっとっていたのかと思ったのですが、どうもそういう資料を見ても、だいぶ発想の転換以前の問題であります、だいぶ違う。ですから、当然新しいものをつくらなければいかぬというふうに私は思っているのですが、現在ある新経済社会発展計画、四十五年の五月一日に経済企画庁から出しているものでございますが、これとの関係はどうなりますか。これは廃棄をするのですか。その辺は閣議の中で話されたことはないわけですか。
#26
○国務大臣(水田三喜男君) 前に立てた新経済開発五カ年計画というものはまだ続いておりますが、しかし、御承知のように、昨年来経済には大きい変化がございましたし、したがって、あのときに予想しておったような、輸出にしろ、輸入にしても、何でもいろいろな要素がえらい狂っておるのですから、ここでどうしても新しい経済計画を、経済見通しを立て直さざるを得ないということになりまして、いま企画庁ではその作業に入っております。で、非常にむずかしい作業でございますので、いまの見込みでは、何とか私どもは夏までにはといって、今年の予算編成期に間に合うようにというので相談しておりますが、なかなか今年の夏までにこれができるかどうか、いまのところむずかしい状態でございますが、しかし、最後の予算編成期には何とか間に合うであろうということで作業を急いでもらっておりますが、そういうふうにいままでやった計画というものは、どうしても見直しを迫られておるときでございますので、したがって、たとえば来年度の経済成長を七・二%と見るというようなことは、今後の五年、十年の長い長期計画と完全に関連のある数字ということは言えないと思います。むろんそういう計画の線に沿って経済運営をしなけりゃなりませんが、私はいま今度の予算編成を言っておるので、遺憾ながら四十七年度はそういうものとあまり長期計画とは結びついていない、当面、四十七年度は少なくともこれを目標にしてこういう対策を進めるんだという予算になっているということを申し上げたつもりでございます。
#27
○竹田四郎君 どうも意見がかみ合わないんですがね。まあ、十一兆四千七百億円、しかも二兆円以上の公共事業というようなものを考えますと、これはことしだけの予算だということは言えないんじゃないですか。公共事業一つとってみても、それはことしはこれだけやって、来年はどうするのか、昨年の続きはどうするのか、こういうことは当然関係があるはずですよ、一つの事業をやるにしても、道路をつくるにしても、下水をつくるにしても。末端の市町村ではそれぞれの計画をつくって、ことしはこれだけどうも予算が来そうだからこれだけ広げようと、いままでは一キロだったのを、一キロ二百にしようと、こういうような予算の続きというのは私は必ずあると思うんですよ。で、いまのお話ですね……。
#28
○国務大臣(水田三喜男君) いや、それはさっき言いましたように、すでに年次計画がみんなできておりますから、それはそれによって現在予算は編成されております。その辺は無関係とかなんとかということではございませんが、今後の、あと五年先の展望というものと、ことしのあれがどう結びついているかというようなものについてはいま作業中なんで、ほんとうのものができていませんから、それとどういう関係にあるかという明確な説明はなかなかむずかしいということを言っておるわけです。
#29
○竹田四郎君 そうしますと、どうもことしの予算というのは、そうした社会福祉の充実ということもあんまり密接な関係はない、地域開発といいますか、そうした問題はいままでの計画、今後の計画によってやられていくんだと、こういうふうにいたしますと、一体ことしの予算というものは何なんだ、結局不況克服という一点にしかしぼられない。だから、ここに書いてある一、二、三というような、福祉社会の建設というようなことも、予算をふやしていって、不況克服というそうしたものに対する一種のイチジクの葉の役割りしかこれは果たしていない、こういうふうにしか思えないんですがね。そうすると、この所信表明の話と、どうも大蔵大臣のねらっている予算の方向というものとだいぶ食い違いがある。だから、もっとすなおにこの所信表明においても不況の克服というようなものを冒頭に掲げておやりになったらどうかと思うんですがね。もっと正直に出したらどうですか。
#30
○国務大臣(水田三喜男君) 少し私がまじめに言い過ぎているのかもしれませんが、従来計画のあるものは、一応計画に沿っていろんな予算の編成をやっておりますから、全く無関係とは言えませんが、しかし、経済情勢が変わったんだから、今後の見通しと、ことしの計画の間にどれだけ有機的な関係があるかというと、そう正確に関連づけるのはむずかしいということを言ったわけで、たとえばいま私どもは四次防計画というようなものとぶつかっておりますので、このむずかしさは、今後四年の――今後五年間における日本のやはり経済の一応の姿というものを描かないというと、それとマッチしたほんとうの計画というものは立たないということになりますので、できるだけこれとの関係をはっきりつけた計画にしたいということでやっておりますために策定がおくれて、いま苦心しておるのでございますが、それと同じことで、ほんとうにそういうものと結びついた説明のできる計画にしようということになりますというと、いまその計画はできないということから、どうしても説明ができないものになって、じゃいまのは何だと言ったら、当面いままでの計画に乗って、その延長として、四十七年度これだけのものは最低限必要だというものを査定して、この予算に計上するというしかしかたありませんので、そういう形で四十七年度の予算を計上しているという部面もございますが、そういうようなことで、この福祉予算にしましても、これが五年先の計画と、四十七年度の初年度の踏み出しはどう結びついているかと言われますと、そんな結びつきを説明できる計画はまだ立っていないということを言ったまででございます。できるだけ早くこれをほしいと思っております。
#31
○竹田四郎君 どうも何かたよりなくてしようがないのですが、せっかく書かれた三本柱も、来年になればどこかに吹っ飛んでしまうような感じがしてしようがないわけですが、こういう計画がなくても、発想の転換を求めるなら私はできることは幾らでもあると思う。大蔵省自体でできることは相当あると思う。水田さんが触れたくないから、おそらく最初から財源調達の問題を私は出してきたんじゃないかと勘ぐらざるを得ないわけですが、国民がいま一番求めているのは何かというと、いままでのとにかく輸出さえすればいいのだ、工場ができてどんどん物ができればいいのだ、GNPが高まればいいのだ、そういうところから転換してくれというのが国民の要望だろうと思う。そうして人間らしい福祉社会をつくってくれ、年とったって何とか暮らしていけるような、そういうようなものをつくってくれ、何とか年金で毎月毎月が暮らしていけるような、そういう政治を望んでいると思うのです。そういう方向にいくことが私は発想の転換であろうと思う。国民もそれを望んでいると思うのです。
 そうしたならば、財政、金融の立場から言っても、私はそれにこたえるようなものというのはうんとあるはずだ。いままでは景気がよくなれば民間投資がぐんぐんふえてしまう。そうして社会資本への投資というものはおくれてしまっている。その民間投資の伸び率と、政府の固定資本形成の伸び率を比べてみると、ほとんど不景気のときしかそういうものはない。景気がよくなれば金は常に民間設備投資に流れていく、こういうあり方というようなものを私は直していかなければいかぬと思う。今後の十年間財政主導型だとか、あるいは公経済を中心として社会資本を充実していくのだ、こういうことであるならば、当然政府の考え方として、民間資本の伸びよりも、政府の固定資本の形成の伸びのほうが高くしなくちゃいかぬ、そういうコントロールを常にやっていかなければならぬと思う。そういうことは今後どうしますか。景気がよくなってくれば、いままでと同じような民間設備投資の伸び率のほうを高くしてしまう、そういうやり方でいくのですか、どうなのか。
#32
○国務大臣(水田三喜男君) これはまだ私は、この比率がどのくらいが妥当な姿かということをはっきりわかりませんので何とも言えませんが、いままでの比率を見ますというと、民間の設備投資は五年間でGNPに対して大体一九・二%という比率だと思います、五年間平均が。政府のほうの固定資本形成は八%台、八・六、七%と、半分以下だというんですが、これはやはり政府のほうの資本形成のほうが、GNPの中で比重が高くなっていいというものではないので、そこにひとつの適当な比率があると思いますが、いずれにしてもいままでそういう程度の比率できて、現在のような立ちおくれがきたということは事実でございますので、これをこの比率を変えることに配慮しなければなりませんが、ことしはようやくその点で一六・五と一〇という比率まで直してきましたので、これは相当思い切った比重の変更でございますが、この程度の比重を維持していかないというと、このいままでのおくれが取り戻せないのじゃないかと思っておりますが、さてこのあるべき姿がどのくらいかということについては、いまのところこれははっきりしておりませんが、いずれにしろいままでの姿では差が多過ぎた、これが相対的なおくれだといわれているものであろうと思いますので、これはせめてことし程度の比重に直すことがいいと思います。
#33
○竹田四郎君 ことしは民間の投資意欲が冷えちゃっているからそういうことになってくる。これは来年あたり政府の経済見通しでも、おそらく来年――ことしの後半から来年になれば景気は上向きになる、こう言っておりますが、それはいままでほどの投資意欲になるかならないかはわかりませんけれども、いままででもそんなに三十年代ほど四十年代は経済成長の伸びは高くないだろうというのが大かたの予想であったわけです。ところが実際には三十年代の伸びよりも四十年代の伸びのほうがずっと高かった。そうなってまいりますと、今度の場合でも、来年あたりから経済の伸びというのはどのくらいになるかこれはわからない。そうしてみますと、経済の景気がよくなったときにも資金が民間のほうに流れない、政府のほうに入ってくる。こういうような措置というものは、財政、金融上私は当然立てなくちゃいかぬ。四十七年度だけじゃいけないと思うんです。
  〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
いまのうちに四十八年度、四十九年度もそういうようなコントロールといいますか、チェックといいますか、そういうものをいまのうちにつくっておかなくちゃならぬ、そういう確固たる方針をつくっておかなくちゃいけないと思うんですが、来年になったらまたそれが逆になるというのがいままでのあり方なんです。そういうものが連続的にことしのようなあり方が続いていくんだということでなければ、七〇年代が財政主導型の経済運営ということには私はならぬと思う。それは同時に、福祉を中心とする政治経済の運営にはならぬ。そういうことは何かお考えになっておりますか、大臣。これは大臣がわからなければほかの方でもけっこうですが、何か計画なり具体的なそういう措置というものをお考えになっておりますか。
#34
○国務大臣(水田三喜男君) 結局、国民の資金配分ということになりますと、これはやはり税か公債かということにならざるを得ないと思います。やはりいままでは民間の設備投資意欲が強いときには、政府が減税をやり、公債の依存率を落していくというようなことをやったわけですが、今度は逆に民間の活動を抑えるということになりますというと、これをチェックするためには、やはり民間資金を政府がもっと吸収するということをやるか、あるいは税という形で財源を政府がより多く民間から吸い上げてくるかという問題になって非常にむずかしい問題ですが、福祉政策への転換ということをやった以上は、いずれかでなければこの転換はできないと私は思いますので、そこで私はさっき冒頭申しましたのは、その問題で発想の転換をした以上は、そこまでの問題の解決をしないといけないだろうと言ったわけでございます。
#35
○竹田四郎君 しかし実際上は、なかなか法人関係の税金というのは、特別措置法をつくったり、あるいは会計処理でいろいろな積み立て金や、引き当て金をつくって、そしてそれに対して税金をまけてやるというようなことをかなりやっているわけですね。今度、輸出割り増しについては何か税金を取るようですけれども、そういう点では、私はもっと、いま一番大きい問題は、やはり法人に対する税金というのは取らなくちゃいかぬと思うのです。租税特別措置法なんかももっと整理したらどうかと思うのですが、どうなんですか。たとえば、法人税率そのものを見ましても、あなたは先ほど日本の税負担率は非常に低いんだからというようなことを言っておりますけれども、一番金になるところはやはり法人税だと思うのですね。西欧の先進国に比べても五%から一〇%くらい税率が安いのです。でもこの間も、法人税の付加税ですか、一・七五%はようやくと守ったということなんですが、景気がよくなったら私は四〇%くらいに法人税率を引き上げるべきだと思うのです。あるいは租税特別措置等も、この際、全廃の方針を考えて、その中で調整をしていくというような大胆な方針をあなたはお出しになるべきだと私は思うのですが、どうなんですか。
#36
○国務大臣(水田三喜男君) そういう一連の問題につきましては、先般、税制調査会でも勉強してくれまして答申が出ております。この線に沿った税の改正をやればいいんじゃないかと思いまして、その答申の中で、法人についてはいま程度の負担というものを維持していくということで、減税の必要はないかわりに、法人についても増税というような問題もこれは問題でございますので、いま程度の負担率を維持していく。そうして個人の税負担というものを、直接税負担をできるだけ軽くしていく。ことに、所得税の減税は、これは毎年やらなければならない問題と思いますが、これに力を入れると同時に、間接税の比率も一応直すことを考えろというのですが、その線に沿った税の考え方をするのがいいんじゃないかと思います。
#37
○竹田四郎君 まあ今度の税制改正で、貸倒引当金の改正とか、輸出振興税制の整理なんというのは私どももこれは評価します。しかし、まだまだあるわけです。近代化のためのものなんかも、ここまでくれば私はいままでと同じようなことをやっておかなくてもいいだろうと思うのですけれども、もう少しそういう方面に目を向けていただかなければ私はいけないんじゃないか。大蔵大臣の話を聞いていますと、すぐ直接税じゃなくて間接税の方向が話の中に必ず出てくる。そういうことであっては、やっぱりいまの発想の転換というそういう中に私は入らぬじゃないか、こう思うのです。法人というのにいままで税金をあまりかけなかったから大きな成長力を私は示したと思うのですよ。だからもう少しその辺を整理してもらわなければいかぬと思うのです。来年あたり――ことしは若干法案もできてしまったことでしょうから、来年あたりそういうところに大きなメスを入れていくおつもりはありますか。来年はどうですか。
#38
○国務大臣(水田三喜男君) 租税の特別措置というものは、これはもう経済情勢、社会情勢の変化に伴って、新たにつくられたり廃止されたりしていい政策税でございますから、私は特別措置がたくさんこれから創設されるということは一向に差しつかえないことだと思いますが、問題は、もう政策効果を果たしたものが慢性化したり、あるいはこれが既得権化していくことがいけないんでございますから、この見通しを始終する必要があると思います。今度の場合はそういう見通しによりまして、あまり大写しにはなっておりませんが、中小企業に対する税の特別措置というものに三百何十億という財源を使っていますので、相当大きい税の改正でございますが、こういうものの改正、それから住宅減税をやりましたし、公害に対する減税もやると、何百億のこういう減税は、いま言ったこの輸出振興税制とか、あるいは貸倒引当金の繰り入れ率の引き下げとか、こういうようなもので、全部もろもろの必要な新しい特別措置をまかなったというのが今度の税制改正でございますが、このことはずっと今後も引き続きやっていきたいと思います。
#39
○竹田四郎君 まあそれはそれでわかりましたけれども、一番租税特別措置によって減税を受けているというものを見ますと、いままで輸出振興税制、これなんかはたいへん大きな恩恵を受けていたわけですけれども、利子・配当所得ですね、これには分離課税をやることによって非常に得をしているわけですが、これなんかもたいへんまけられているものになっておりまして、これは四十五年の数値を見ますと七百十七億ぐらいそのために税金がまけられているわけです。こういうところからどんどん取っていって、いまおっしゃられたようなことをひとつ来年もやってもらえないですか。
#40
○国務大臣(水田三喜男君) そういう見直しは来年も引き続きやりたいと思います。
#41
○竹田四郎君 まあいまは税関係ですけれども、時間がありませんから一つ一つこまかくはやっていきませんけれども、もう一つは、金融関係からの民間企業への資金供給ということが実は非常に強く行なわれているわけです。そういう金融関係の面では何かコントロールをするというような考え方はありませんか。そうすることによって資金配分というものを民間から公共のほうに回していく、そういう方途は何か考えていらっしゃいませんか。
#42
○国務大臣(水田三喜男君) これはもう今後の問題として十分いま考えております。金融機関の資金運用の面で、やはり福祉重点ということになってきますというと、金融機関の貸し出しも、今後はやはり――いままで府県市町村というような公共団体に金を貸すというようなことを金融機関は非常にきらって逃げておった趣がございますが、そうではなくて今後はやはりこういう機関への信用の増大をはかる必要がございますし、さらに住宅政策の遂行というようなことになりますと、個人への住宅金融、個人への信用増大というようなことも従来と違った運用をやってもらわなければなりませんし、さらにそういうものを、全般を通じてやはり金利の引き下げということは、金融機関がこれからやらなければならぬ問題だと思います。そういう問題についての今後いままでと違った変わり方がこれから当然期待される問題だと思っております。
#43
○竹田四郎君 いまはなるほど都市銀行なんかでも金の貸し出し先が見当たらないというようなことで、住宅ローン等にも相当金を貸し付けてやっているようでありますが、おそらくこうしたものも景気がよくなってきて、資金需要が高まってくれば当然引き揚げてしまうだろう。それから中小金融機関に対しましても、いまのところは中小金融機関の貸し出し先を銀行が取ってしまっている。こういうことでむしろ中小金融機関としては採算上は苦しくなってきておる、こういう事態でありますけれども、いままでの日本の金融機関のメカニズムというものは、大体日銀が都市銀行に金を貸してやって、その金が大企業に行って設備投資をしていく、こういうことで金融面から経済成長をバックアップしていたわけですが、今度はそういうものも日銀が安易に都市銀行にどんどん出して信用創造をしていくと、こういうようなことももっと慎ませるような方途を私は講ずべきだと思う。たとえば預金準備等もさらにもっともっと引き上げていかなくちゃいけないじゃないか。そういうことが日本の企業の企業体質を一つは弱めているわけですね。企業の資本構成から見ましても、とにかく借金が八割、自己資本というのは二割ぐらいしかない、こういう形だから自転車操業と同じで、常に拡張に拡張をしなければ企業採算が合っていかない、そういうメカニズムだと思うのです。こういうメカニズムを直していくということは、私は相当大蔵省として勇断をもってその辺の金融メカニズムを直していかなくちゃいかぬと思う。そういう面についてはことしもちょっぴり出ておりますけれども、将来展望としてどのように考えておりますか。
#44
○国務大臣(水田三喜男君) そのように考えております。
#45
○竹田四郎君 具体的に。ことばだけでは困るのですよね。そういうふうに考えていると、そういうことだけでは何らここの審議に私は当たらぬと思う。具体的に、この制度をこう改革するつもりがあるとか、具体的に述べてくれなければ、私は何にもならないと思います。審議に値しないと思います。
#46
○国務大臣(水田三喜男君) それは今度御審議願うことになっております準備預金制度の改正ということにも、そういう目的からこの改正を意図しているものでございますし、公社債市場の育成ということもその方向に沿った一つの部分でございますし、また、いま日銀の問題がありましたが、これは早いときからの問題で、市銀のオーバーローンが問題になっておりましたときから、日銀では必要通貨の供給をオペレーションによるという方向をきめてその運用をやってきましたので、ようやくここで、いままで言われておった日銀の市銀への一般貸し出しというものもほとんどゼロに近いところまで今日きているというようなことで、こういう点は非常な改善を見ておりますので、これを逆転させないためのいろいろな指導も、これから日銀もこれを逆転させない運営をやっていくと思いますし、そういうような一連のことによって、おっしゃられたような方向でやっていきたいと思います。
#47
○竹田四郎君 どうも私は大蔵大臣の答弁は子供だましの答弁をしていると思うのですよ。日銀の貸し出しが少なくなってきたというのは、そういう観点から日銀の貸し出しが少なくなってきたわけではないでしょう。外貨が流入して外為の資金が流れたからそういう形になったんでしょう。外貨が今度は出ていけばまた同じような形で日銀が貸し出しをせざるを得なくなるわけです。だから、その辺はもう少しまともに国民に答えてくれなければ、それがあたかも政府のやり方によって日銀の貸し出しが少なくなったような、そういうような答弁のしかたというのは、私は国民を愚弄していると思うのですよ。しかし、そんな議論を長くしていても……。
#48
○国務大臣(水田三喜男君) そういう意味ではありません。いま貸し出しがなくなったのは、外為の散超がこれだけ多くなって、金融緩慢基調になったことからでございますから……。
#49
○竹田四郎君 初めからそう言ってくれたら。
#50
○国務大臣(水田三喜男君) それはもう言わなくてもわかっていることだと思って言いませんでしたが、いままでやろうとしてもそういうふうなことがなかったので、オーバーローンの解消なんということはやれなかった。ようやくいまそれができるところにきたんですから、それを今度はあと戻りさせないようにすることが大事だということで言っただけでございます。
#51
○竹田四郎君 それではそれをあと戻りさせないために具体的にどういう措置を講じますか、具体的に述べてください。
#52
○国務大臣(水田三喜男君) 具体的には日銀貸し出しということじゃなくて、やはり必要通貨の供給をオペレーションによるという運営をすればいいと思います。
#53
○竹田四郎君 そういうことをすれば今度のようなことは今後一切ないわけですね。そういうことを保証できますか。
#54
○国務大臣(水田三喜男君) いままでのようなことはございません。
#55
○竹田四郎君 いままでのはひど過ぎたのですよ。私はひど過ぎたと思うのです。それが私はこういう結果になったと思うのです。それには大体それがモダレートな形になるような私は制度というものをつくるべきだと思うのです。いままでだって外貨資金の貸し付けなんというものは幾らでも出した。そういうものがいたずらに輸出を伸ばして外貨を余分にためてしまったというような制度にもなっているわけです。それをただそういう形のみでごまかすということは、私はよくないことだと、こういうふうに思いますが、時間も来ておりますから、ほかに質問を移して、あまりナマズ問答していてもしようがありませんから、先へ進みたいと思うのです。
 今度の予算の目玉商品では、老人に対しまして、老齢福祉年金の月額を二千三百円から三千三百円にした。これはおそらく目玉商品の一つだろうと私は思いますけれども、こういう三千三百円ぐらいで老人が暮らしていけるというふうには大蔵大臣でも私は思わないだろうと思うのです。これを老人が暮らしていけるような形にするには、私はおそらくいまの積み立て式の形、そういう形ではだめだろうと思うのです。これは三千三百円というのは福祉年金ですから無拠出制ですけれども、ほかの拠出制にしても厚生年金にしても、これは同じです。いずれにしても二万円前後の金額にすぎないわけですから、これではおそらく暮らしていけないだろう。だからこれを直していくには、いままでの積み立て方式から賦課方式をとっていく、こういう形にすべきだと、それをしていかなければ老人対策というのは一向に進まないと思うのですけれども、これは各国でも賦課方式をとっていますけれども、そういうようなものを考えなければいけないと思いますが、それはどうなんでしょうか。
#56
○国務大臣(水田三喜男君) その問題は一応私どもは検討するということにしておりまして、ただいま検討中でございます。なかなかこの積み立て方式を賦課方式に直すということについては反対の意見のほうが強い現状でございます。しかし、これはもう少し、老齢人口がどんどん多くなっているときでございますが、一応落ち着いたときとか、あるいはこの年金制度がもう少し成熟するという段階に達したり、あるいはスライド制というような問題が出てくるというようなときになりますというと、積み立て制の欠陥というものははっきりあるのですから、賦課方式というものも一応考える必要もございますので、検討するということを衆議院の段階でもいまお約束してあるところであります。
#57
○竹田四郎君 まあことしは公共料金主導型の物価値上げだということでありますが、公共料金についてはこの所信表明でもあまり触れられていないわけですが、それから財政演説でもその点は触れられていないわけでありますけれども、公共料金の値上げについて大蔵大臣としては一体どう考えているのか。これは公共料金のストップをやっても、少しすればまたすぐものすごい形で値上げが出てきているわけですが、これの繰り返し、さらにそれが一般の物価を引き上げる、こういうふうなことになっているわけです。私は前々から国鉄運賃の値上げなんかにつきましても非常に奇異に思うのです。たとえば、一般の雇われている人の場合には通勤費がかなり支払われています。政府の役人でもおそらくかなり通勤手当が払われている、全額とは言えませんけれども。しかし、学生についてはこれは一切何も払われていないわけですね。ただ学割り、学生の通学定期についてはまあ普通よりも大きい、割り引き率が高いということですね。それで、国鉄が日本の教育全体をやっているというならば、国鉄が料金を安くして学生の教育をやるのもいいのですけれども、日本の教育というのはこれは文部省がやるわけですね。
 そうすると、その負担というものが国鉄にしわ寄せが行くというのは私は少しおかしいことだと思う。だから、この学割り分というものは、私は当然国鉄に対して国が補助をすべき性格のものであると思うのです。そういうふうにしていけばこの国鉄運賃の値上げ幅もかなり低くすることが私はできると思う。
  〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
この辺なんかも私にしては少しも理解ができないところなんです。ですから、通勤定期の場合にはある程度上げても、それは企業がそれをある程度カバーをしている。学割りの場合には、これは一般家計にしわ寄せされていく。私非常に常に奇異に思っているわけでありますが、ひとつ政府・大蔵省として、公共料金の値上げについて一体どういうふうな考え方でいるのか。いままでも、公共料金にストップをされても、その間何もやっていないというにひとしい。タクシー料金の値上げなんかは、長い間乗車拒否をなくしようと言っても、値上げしたって乗車拒否がなくなっているわけではない。ちっとも解決されていない。そういうことが繰り返されているだけにすぎない。そういう公共料金の問題は――いまの学割りについては一つの例でありますが、一体どういう考え方で公共料金にストップをかけたり、公共料金の値上げを認めているのか。ただそれだけではあまりにも芸がなさ過ぎる。どうなんですか、これは。
#58
○国務大臣(水田三喜男君) 私も芸がなさ過ぎるような気がいたします。国民の負担と受益の要するに均衡問題はむずかしい問題でございますが、やはり大体妥当な料金というものは、受益者が負担をするということを原則としなければ、いろいろな矛盾が出てくると思います。ですから、もう当然企業が存立する上において必要な料金というようなものを、ただ物価に響くということをもって長く据え置いておくということが、どれくらい今度は別にマイナスのそれが作用をなしておったかというようなことを考えますというと、やはり適宜、適切に必要な公共料金をきめられることが望ましかったんじゃないかと思います。それがうまくいっていなかったために、いろいろなしわ寄せが現在来てしまっていることは事実でございます。しかし、これをほうっておくわけにはまいりませんので、受益者にも一部負担をしてもらうかわりに、国もできるだけの財政援助をここでして、各企業の立て直しをする、そうして不必要な負担を今後国民にかけないようなことを企業の努力においてもしてもらおうということよりほかしかたがございませんので、国鉄の場合におきましても、千七百億円の増収ということをこれは受益者の負担によってしてもらうかわりに、国はこれに対して、十年間に一兆七千億ですか、それだけの負担をしてこの国鉄の立て直しに協力するということで、今度は千百三十四億の援助をするというようなことで、国の援助、国鉄の努力、受益者の負担、三者の協力によってこの問題の切り抜けをしようというようなことで、国鉄料金、しかも最低の値上げということをきめたわけでございますから、ひとつ国鉄だけでなくて、同じような問題がたくさんございますが、これはやはり、解決をおくらせることのほうが、先に行って国民負担を増すことになりますので、なるたけ早期に解決することがいい。そういう意味で、今回のこのいろいろな公共料金の改定は、私はやむを得ない措置であると思っています。しかも、これが物価にどれくらい影響するかと申しますと、物価に対する影響というものが、企画庁の計算によりますというと、一%は響きません。一%以内、全部の影響を寄せて一%以内ということですから、これは、この程度の影響で済むのなら、私はここで公共料金の問題も解決すべきだと思っております。
#59
○竹田四郎君 もうあまりそれについて、時間がありませんから議論しません。二つまとめてお聞きします。
 一つは、郵便局の扱っている定期預金、これは、大蔵省のほうから、金利値下げということで、下げろと。郵政省のほうでは、それに対して、少額の貸し付け制度を認めるならそれはやむを得ないだろうというようないきさつがあるようでありますが、郵便局の定期預金あるいは普通の預金についても同じでありますが、一体利子率をどうしていくのか、郵政省の要求に対してどうするのか。これが一つの問題。
 それからもう一つは、沖繩における円・ドルの交換、返還は五月十五日というふうにきまったわけでありますが、一体これは事前にやるのか、事後にやるのか。やるとすればいつごろやるのか。事後にやるとすれば、いつごろやるのか。
 この二点についてお答えをいただきたいと思いますが、ひとつ大蔵大臣に御注文を申し上げておきたいと思うのです。本会議では、「発想の転換」ということでたいへん景気よく打たれたわけでありますが、どうも内容を聞いてみると、それに相応する状況、かまえも私はあまり感ぜられないわけであります。この辺は、この一年間非常に好機だと思いますから、ひとつ発想の転換を具体的な金融、財政制度のほうでこの一年間で見せていただきたい。少なくとも来年度の予算では発想の転換がかなり大幅にわかるというふうな形をつくり出していただきたいということを付言して質問を終わりたいと思いますが、二点についてはお答えいただきたいと思います。
#60
○国務大臣(水田三喜男君) 金利は、今後の傾向として、長期、短期とも、もう一歩水準を引き下げることは必要であると思います。そういたしますというと、これは最終的には預金金利の問題とからむことは当然であろうと思いますが、しかしいま国民の貯蓄というものは金融機関への預金という形で――これが貯蓄のうちの一番大きな部分をなしておると思いますが、そういう形で行なわれていますので、したがって、貯蓄性の預金の金利をいじるということはなかなか影響のあるむずかしい問題でございますので、これにはわれわれは慎重を期したいという考えで今日まできております。
 そこで、昨年来行なった金利の引き下げ、公定歩合の引き下げに伴う各金融機関の貸し出し金利の引き下げの際は、一応金利の引き下げと預金金利の問題を切り離して実行したということでございまして、いますぐにこれを一緒にしてどうこうしようということじゃなくて、もう少しこの点は慎重に考えたいと思っています。で、これはひとり郵便局だけの問題でございませんので、全部の金融機関に対して、いま私はそういう慎重な態度をとっている次第でございます。
 それから、沖繩のドル交換の問題ですが、これは、前国会で御審議を願ったあの復帰に関する特別措置、これによりまして、そのときの実勢レートによって交換をするということをはっきりきめてございますので、その線に沿って……。
#61
○竹田四郎君 日にちです、日にち。
#62
○国務大臣(水田三喜男君) 日にちは、復帰の日から一定期間というのですが、大体一週間以内ぐらいを考えております。
#63
○多田省吾君 私は最初にお尋ねしたいのは、今度の一般会計予算は二一・八%の増加となっておりますが、それにもまして昭和四十七年度の財政投融資計画の総額は五兆六千三百五十億円、三一・六%の増加になっております。前からこの財政投融資は国会審議にかけようという意見が非常に強くあったわけでございます。ところが政府はいろいろなことを言ってこれを拒んでいるわけです。まあ大蔵省の資金運用部資金が約十七兆円といわれておりますけれども、その中の大部分は郵便貯金であり、厚生年金であり、国民年金でございます。そのお金は当然国民の福祉関係に使うべきでありますけれども、従来までこれが強く生産第一主義あるいは大企業優先の高度成長のために使われてきたために、日本独特の財政投融資計画というものが結局高度成長のお先棒をかついできた。そして物価の値上がりを助長した。その中にあって、なけなしの金を郵便貯金あるいは国民年金あるいは厚生年金に積み立ててきた国民が一番ばかをみているわけです。今回はもうこの財政投融資計画は一般会計予算のちょうど五〇%近くまできています。この調子でいきますと、五〇%をオーバーするのも近いのじゃないかと思います。こういう多額の財政投融資計画を国会審議にかけないで、そのまま政府が通してしまうということは、私は絶対納得できない。先ほど竹田委員もお尋ねになりましたけれども、結局年金の賦課方式への切りかえにしましても、結局まあいろいろな反対意見はありましょうが、こういった資金運用部資金を財政投融資に高く使っていきたいという考えもおありだから、なかなか賦課方式に切りかえられないのじゃないかということも考えられます。また大蔵省の資金運用部資金というものが国債の購入にも非常に多く充てられている、こういうこともあります。ですから私は、この財政投融資計画というものは、従来からの野党の主張のように、そして今回は約一般会計予算の半額に達しているということから見て、国会審議にかけるのが順当である、当然である、またそうしなければならない、こう思いますが、大蔵大臣いかがですか。
#64
○国務大臣(水田三喜男君) その問題は衆議院の予算委員会で問題になりまして、結局、これは私のときではありませんが、予算委員会自身でもこの問題を委員会として研究する、同時に政府においても研究すべしということで、そういう話になりましたので、政府では財政審議会にこの問題を検討してもらっておるところでございまして、財政審議会の法制部会で数回この問題のために会合していま検討しておりますが、来年の予算には間に合うようにことしの秋ごろまでに大体答申を財政審議会から出すということになっていますので、その答申によって今後措置を考えたいと思いますが、ことしは中間的な報告を受けて、その取り扱いがほんとうにきまらない前にもやはり改善したほうがいいと思いまして、ことしの予算のときには、このいろいろ改善策を講じて、国会へいままでなかった書類を提出してございますが、これはもう御承知だと思いますが、財政投融資計画、財投計画といっても、いま言われたような産業投資会計もありますし、郵便局、簡保、そのほか資金の使い道を一本にまとめて並べてある、まとめたものでございますが、個々には、たとえば政府機関に融資するものは政府機関の予算のときにこれは審議を受けますので、個々にはもう国会の審議を受けておるものがたくさんあって、承認を得ているものも多いんですから、あれをあのまま審議に供するということになると、二重審議の問題を起こして非常に適当でないという意見も審議会の中でございますので、そこらをどういうふうに、もし国会が審議するとするならどういう形で審議したらいいかというようなことまで、相当掘り下げて研究しているようでございますから、検討の結果を見たいと思います。ただ、あれだけの資金がどう使われているかわからないというようでは困るというので、使途別分類表というものをつけることに、以前に国会の要望によってそういう表をつくることにしましたので、国会の審議の資料として提出してございますが、これで見てもわかりますように、この資金は、いまおっしゃるような大企業に使われているというようなことはございませんで、開発銀行とか輸出銀行を通じていろいろ使われる、ある部面は、これが民間の大きい企業へいくものもありますが、そういうものはもう全体の四%ちょっとというぐらいの比率で、ほとんど大部分は国民生活に直結した部分の資金として使われているというのが現状でございますので、使途については、おそらくそういま問題を持っていないと思います。ただ、おっしゃられるように、量が大きくなるし、予算と一体になって効果を発揮する性質のものでございますから、国会等の審議の関係でどうしたらいいかということの研究は、これは必要であろうと思いますので、いまやっておりますが、使途についての、私は問題は現在はほとんどないんじゃないかと、思っております。
#65
○多田省吾君 財政審議会に諮問してあるというお話でございますけれども、やはり私は審議会の性格から見ても、政府がその気にならなければなかなかこれはりっぱな答申が出ない。私はこういうことを言いたくないけれども、やはり選挙制度審議会だって、財政審議会だって、結局政府の任命でございますから、やっぱり政府の意向に左右される面が非常に強いわけです。ですから、まあその面の政府の態度を明確にするという問題、それからもう一つは、使途につきましても、私はいろいろ問題があろうと思います。これは時間がありませんから、詳しくはここで述べませんけれども、本来郵便貯金とか、あるいは厚生年金、国民年金、国民大衆が、結局血と汗の結晶であるお金を出しているわけです。そういうお金は、本来社会福祉あるいは社会保障のために使われるべきでありますけれども、なかなかそうなってないという現状ですから、私は使途につきましても大きな問題があると思います。で、その点を、まあことしの秋あたり答申が出るということですから、それをまた待って質問したいと思いますけれども、これは大蔵大臣に強く要望しておきます。
 それからもう一点は、今度の衆参の本会議におきましても、まあ政府が発想の転換あるいは国民福祉優先の政策に切りかえたということで、そんならなぜこの社会保障充実のための長期計画ができていないのか。三年あるいは五年の長期計画をはっきりここで示しなさいと言ったのに対しまして、総理もまだ明確な答えを出しておらないようです。ただこの昭和四十七年度の中で何とかつくりたい、というような答弁もありましたけれども、大蔵大臣としては、三年ないし五年間の社会保障充実のための長期計画、年度別あるいは目標というようなものをこの四十七年度において立てるという見通しを持っておられますか。
#66
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、さっきお答えしましたように、やはり長期計画は必要であると思いますが、
  〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
そのときに申しましたように、できたら十年くらいの長期のものが望ましいと言いましたことは、いまたとえば社会党からは三年というような意見が出ておりますが、三年で立てろといえば立てられるかもしれませんが、どう立てるかといいますと、三年で西欧並みの社会保障に追いつける、西欧並みの計画をしろというのですが、西欧並みと申しますと、まあGNPの十何%というものが社会保障費になっておりますが、そこまでのものを三年で立てろと言われても、これは事実上日本の財政力が伴う問題じゃございませんので、私は、短期間にはとてもそういう計画は立たない、これは相当長期的な問題として取り組まなければ、西欧諸国並みの給付水準にいくというわけにいかぬじゃないかと思っておりますので、なるたけ長いことが望ましいと言ったわけでございますが、短期間にそこまでいけばそれにまさることはございませんが、とてもおくれて出てきた日本の社会保障制度でございますので、相当長期的な展望で内容の充実をはかるんじゃなかったら不可能じゃないかという私は気がいたします。
#67
○多田省吾君 私は、物価の値上がりが七・六%だとか、六・一%というような世界一の物価の値上がりの状況において、社会保障の長期計画を十年間も長くかけて設定するようでは、これは私はそれこそ画餅に帰すると思うのです。まあ三年で、三年くらいがいいでしょうけれども、むずかしければ、少なくとも住宅計画や、あるいは下水道計画等も五年計画で立てているのですから、五年間ぐらいの計画は立てなければならないのじゃないかと思います。年金にしましても、ある学者の調査によりますと、これから二十年、三十年たてば、幾ら将来十二、三万円の年金をもらったとしても、生活費の三・七%くらいにしかならない、こういういわゆる計算も立っているわけです。もちろん、それは物価の値上がりを五%とか、あるいは五・五%にした場合の計算でありましょうけれども、そういう世界一の物価の値上がりのわが国の現状において、十年先の社会保障計画では私は長過ぎると思うのです。少なくとも五年計画でいかなければならないと、こう思いますけれども、もう一回その点答弁願います。
#68
○国務大臣(水田三喜男君) 問題はこの社会保障の水準の問題だと思います。せめてこの程度までのものを五カ年でやろうというようなことでしたら、五カ年計画はむろんできますが、問題は水準の問題ですが、いま西欧諸国の到達しているような水準に達する計画を、年次計画でそれをやろうじゃないかということになりますというと、なかなか相当私は年月はかかろうと思うので、目標をどこに置くかということで年次計画は立てられるものだろうと思いますので、まあ、日本の現状としては、せめてここまでのところを急速に五年間でやろうじゃないかというようなことでしたら、これは五年計画というものもりっぱに立ち得るものだろうと思います。ですから、目標の設定で年数はどうにでもなるものだと思います。しかし、せっかく社会保障という以上は、やはり先進国の水準に日本はいつ達するかという展望を描いた計画のほうが合理的のような気が私はいたします。
#69
○多田省吾君 私たち、すなわち国民あるいは野党が願っていることは、当然、欧米先進諸国並みの社会保障でございまして、決してそれよりも少なくていいということではございません。もう政府自体は、いまの日本の国民所得はイタリアを追い越して、今度の平価調整によってイギリスを追い越したのだ、このように言っているわけです。そういうことを言うなら、社会保障においても当然欧米先進国並みにするのはあたりまえでございまして、それでこそ私は、発想の転換であろうと思います。まあ、この問題はまたあらためて述べることといたします。
 次に、お尋ねしたいのは、円の切り上げ問題でございますが、本会議におきましても大蔵大臣は、通貨調整できまった基準レートは相当長い間変更されないと思う、二年くらい見なければその推移もわからないということで、この二、三年は円の再切り上げはないし、またやらせない、という方針のように聞きましたけれども、残念でございますけれども、もうすでにけさの新聞等を見ますと、ヨーロッパにおきましては、ロンドンとかチューリヒにおきまして金が急騰しまして、一オンス五十ドルをこえたというようなこともいわれておりますし、またベルギーとかオランダにおきましては、拡大された変動幅の上限まであと一歩だ、そういうことで、中央銀行が買いささえを相当行なっている、また行なわなければならないという段階にきているようでございます。これはもちろん、ドルが非常に弱いためでございます。
 わが国におきましても、平価調整後いわゆる、短期資金が五十億ドルくらい予想されておりますけれども、この中の三十億ドルくらいは流出するのじゃないかと思われておりましたけれども、この予想が非常に狂いまして、いま現在百六十億ドルを突破しまして、田中通産大臣のごときは、今年末に、いまのままでいきますと二百億ドルを突破するのじゃないか、こういうことでございますから、これは当然、またこれでアメリカのドル危機と申しますか、国際通貨の危機というものが相変わらず続くのじゃないか。結局私は、大臣がこの前からいろいろ答弁されておりますけれども、べトナム戦争等による出費あるいは多国籍企業と称するいわゆるアメリカからの資金が全世界に六百億ドルとか七百億ドルとか流れておりまして、もう毎年それによって二千億ドル程度の生産を外国でやっているわけです。そういういろいろな理由によって、アメリカの国際収支というものがなかなかうまくいっていない、こういうような現状にあろうかと思います。そういう現状で大臣は、この円の再切り上げを実施しないで済むためには、いまの日本のドル保有高の推移をどのようになさろうとしているのか、あるいは円の再切り上げに追い込まれた場合に、いかなる回避策をとろうとしておるのか、どういう措置をとるのか、あるいはアメリカに対してベトナム戦争はやめろ、それ以外に多国籍企業なんかに対して、アメリカの経済政策に対して大いなる注意を喚起しているのか、その点いかがですか。
#70
○国務大臣(水田三喜男君) アメリカが国際収支についての節度を持つと、その責任を持つということは、今度のドルの切り下げという行為によって明らかになったことでございまして、
  〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
一時的にはいろんなことがあると思いますが、私は、アメリカは今度は自分の国の通貨はもう絶対動かされないものであるという、従来の頭を持っての経済運営をやるということはもうできなくなっておりますので、私は、この問題は、必ずアメリカが自分の責任において国際収支を直すことについて全力をあげてくることであろうと思いますし、また日本におきましても、外貨を幾らにしようという計画を立てたって、そのとおりになるものではございませんで、問題は、この国際的な不均衡を早く直せばいいんですから、そのためには、一番的確な方法は、もう日本の不況を克服することであると私は思っております。これによって一方輸出圧力の減ることと、輸入のふえるのと、この二つによって心配されるような事態は相当解消されると思いますので、私は、この日本の不況は、回復するまでの間あまり感心しないような傾向が見られましても、これはもう少し先に行けば、必ず望ましい方向へ日本の国際収支も向いていくと思いますので、その間に円の切り上げを外国から迫られるというようなことはないでありましょうし、また現実に各国とも今度のような通貨調整は短期間の間に二度できる仕事ではございませんで、いろんな短期的には変化があったにしましても、通貨調整はここもう最低二年、三年の間、再切り下げ、再切り上げという事態は、私は、ないものというふうに思っております。
#71
○多田省吾君 通貨不安の原因をつくったのは言うまでもなくアメリカでございます。アメリカが国際収支の節度を守らなかったためでございますが、大蔵大臣自身も通貨問題は最終的に解決されていないと、これからのドル交換性の回復の問題とか、いろんな問題があろうかと思いますし、またいま、大蔵大臣はそのようにおっしゃっていますけれども、事実ヨーロッパにおいては、結局ドルの値打ちがますます下がっているような姿があるわけです。ですから私は、先ほどお尋ねいたしましたけれども、サンクレメンテ等、あるいは今後大蔵大臣もアメリカの要人と会う機会もあると思いますけれども、アメリカに国際収支の節度を守らせるために何を求めようとしているのか、あるいは何を要求したのかという問題です。ベトナム戦争の終結等も問題でありますけれども、多国籍企業の問題なんかも大臣としてアメリカに強く要求したのかどうか。いままで要求されたのか、また今後要求される気持ちがあるのかどうか、いかがですか。
#72
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、アメリカが責任のある国内政策をとる上において、やはり対外政策がこの重要な前提条件になっているのではないかと思います。したがって、アメリカのいまのニクソンの対中、対ソのいろいろな働きかけの態度といういまの外交活動は、結局アメリカの国内政策の一つのやはり準備行為であるというふうにも私どもは見ておりますので、こういう一連の対外活動のあとに初めて、国際収支の問題に責任を持つ対内政策をとってくるというふうに私どもは期待しております。
#73
○多田省吾君 私は、最後にお尋ねしたいのは、まあ国債とそれからいわゆる税制の二つでございます。
 で、この前の参議院本会議におきましても、まあ大蔵大臣は、昭和四十八年度も大型の予算を組むようでは、結局昭和四十七年度の国債計画あるいは財政計画というものが失敗したようだという、このようにはっきりおっしゃっておるのですね。当然われわれはこの四十七年度におきまして景気も回復し、四十八年度におきましては国債の発行高は非常に減少させなければならないだろうと、このように考えるわけです。で、その場合にですね、政府はまた大型予算を組むために、いわゆる付加価値税とか、あるいはその前提として四十八年度あたりから仕入れ税なんというものをつくるための準備をしているのじゃないかと、新しい財源を何に求めるのかということも考えられているわけでございます。この昭和四十八年度以降における国債政策あるいはこの新しい財源計画に対してどういうお考えをお持ちでございますか。
#74
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、やはり税制のいろいろこの問題をいまのうちから考えておく必要があるということをさっきは申しましたが、私どものいま考えているような問題は、なかなかすぐに実施できる問題ではございませんので、税制調査会にも長期的税制の問題として検討を願っておるというようなことでございますので、来年すぐ実施できるというようなことではございませんが、将来やはりこの税体系を変えるという発想を持たなければ今後対処できなくなるだろうということを考えておることが一つと、もう一つは、国債についての問題でございますが、これは今年の依存度というものは、これはもう異常なものと自分たちは思っておりますので、来年もこの経済が大きくなったのにかかわらず、まだこの国債の依存度が減らせないようだったということでしたら、いまの不況が克服されていないということを物語るものでございましょうし、不況が回復されているなら、必ず歳入もふえてくるでありましょうし、各国の依存率は切れるはずでございますが、これが切れないようだったら、昭和四十七年度予算の運営が失敗したのだということが言えるだろうということを、きのう参議院で述べたことでございますので、やはり国債は将来依存度をこれ以上はもう上げないで、不況の克服と同時に切っていくという方針で運営したいということ、その二つを考えますというと、やはりこれからむずかしいのは、経済成長と福祉との調和ということでございまして、このためにはやはり福祉についてのさっき言ったような一つの展望を持って、めどを持ったやり方をしたいというとむずかしい問題にぶつかる、このように考えておりますので、そういう問題についての解決を、これから四十七年度の予算と並行して四十八年度の予算に備えて、その間にそういう一連の問題の勉強をすることが政府には必要だろうと思って、せっかくこの問題にひとつ私どもは取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
#75
○栗林卓司君 大臣の所信表明を中心に二、三基本的なお考えを伺いたいと思います。
 その前に、これはぜひ大臣に聞いていただきたいと思うんですけれども、所信表明を本日拝見しておりまして、たいへんよくできていると思います。このよくできているという意味は、読めば読むほどよくわからなくなってくる。これは変に皮肉で申し上げているのではなくて、一つの例をとって申し上げますと、たとえば「金融政策の運営」というところで、「内外経済環境の変化に即応した妥当な金利水準の実現を図っていく」という表現をとっております。なるほどそのとおりなんですが、じゃ内外の経済環境の変化とは何かといいますと、人によって見方はずいぶんさまざまでございます。そうなると、この妥当な金利水準というのは、一体何なのだろうかという私は疑問が出てきます。そこで、内外経済環境の変化について何か言っておるかといいますと、本日の所信表明ではなくて、いやでも財政演説にさかのぼらざるを得ません。そこで拝見しますと、一番最初のところでその点に触れておいでになります。一つは、国際通貨体制の動揺と、その中で幅広い国際的視野に立つことが一そう要請されている現状に対する認識、これは全く同感です。二番目が、国内的な要因としては、国際収支の赤字増大という制約要因が排除された今日、今後の経済運営のあり方に対する発想の転換を求める機運が高まってきた、これも私全く同感だと思います。この二つをくくってどうおっしゃっているかといいますと、「私は、本年こそは一九七〇年代を展望する長期的な視野のもとに、財政金融政策の転換の第一歩を踏み出すべき重要な年であると痛感しております。」、表現として私は全く同感なんですが、では一九七〇年代を展望したお考えはということになりますと、どこにも書いてない、おっしゃってない。またお伺いしても、先ほどのむずかしい問題だと思いますけれども、コンニャク問答に近いような話になってしまう。
 で、私があえて最初にこれを申し上げたかったのは、こういう所信表明のしかたというのは、文字どおり発想の転換が国民の中から生まれつつある今日の政治に私はなじまないと思うんです。何も外国の例を引いて申し上げるわけじゃありませんけれども、昨年の八月十五日のニクソンの新経済政策、中身を見ると、より具体的でわかりやすい表現をとっております。そういう意味で、今後所信表明をされる場合には、ぜひ直截な表現を極力入れていただきたい。たとえばいまの金利の問題にしましても、先ほどの質問に対して長短ともあと一段と引き下げていきたいという御返答がございました。そう書いていただいたほうがはるかにわかるんでありまして、「内外経済環境の変化に即応した妥当な金利水準」というと、どちらとも読めてしまう。その意味で所信表明の組み立て方について、いまの民主政治の置かれた要請に沿った具体的な表現をぜひ御採用いただきたいと思います。その分だけ委員会でのむだな議論が私はなくなるのではないか、こんなことを感じながら先ほど来の議論を聞いておりました。
 そこでお伺いしたいのは、金利の問題に戻りますけれども、長短ともあと一段と下げていきたいということについて、時期の制約というものがあるとお考えになるのか。もとの所信表明に戻れば、「即応して」ということばがありますけれども、その意味でいつまでにしなければいけないとお考えになっているのか伺いたいと思います。
#76
○国務大臣(水田三喜男君) もう短期金利、長期金利の利下げというものはすでに行なっております。金利水準から見ますというと、日本はいままで世界で一番高い国ということになっておりましたんですが、いまではそうでなくて、たとえばアメリカは非常に公定歩合が低いんですが、日本はそう金利水準が高いということはございませんので、〇・五%引き下げのときを機にして、長期金利の引き下げにも入りますし、また、今度の予算におきまして、政府関係の金融機関の貸し出し金利の引き下げもやりますので、これによって情勢に応じてもう一歩の金利水準の引き下げということが必要になるかもしれませんが、そうなった場合に、預金金利の問題とも当然からんでくることは一応予想されます。しかし、さっき申しましたように、まだこれをすぐに結びつけて考えなくても、もう少し慎重に考えていいのではないかというのがいまの考え方でございます。ことに、物価の動向をもう少し私は見る必要があろうと思いますので、物価が非常に落ちついてくるというようなときに、預金金利の問題が論議されるということでしたら、これはまた一つの国際間の趨勢でございますので、検討をすることも適当であろうと思いますが、まだいま変動期でございまして、物価の趨勢もはっきりしないというときでございますから、この機会に国民の貯蓄性預金の利子の問題を論議するということは、少し時期的に早いんじゃないかという考えから、もう少しこの問題は慎重に考えたいと思っております。
#77
○栗林卓司君 恐縮ですが、なるべく簡潔にお答えいただきたいと思います。
 預金金利の問題は後ほどまたお伺いするとして、情勢の変化によってはという情勢のことをお伺いしているんですが、国際通貨の一応の調整ということがされても、米国に対するドルの還流が予想以上に少ないという現実があります。そのことと、日本の金利水準ということとは関連して考えるべきなのかどうか。
 もう一つ、これはまことに予想外だったんですが、変動相場制に移行する、さらにまた一六・八八%に円を切り上げするにもかかわらず、輸出の増勢というものは衰えておりません。有力な原因は、国内の景気の停滞だとは思いますけれども、片方では、工場をとめておくわけにはいかぬという企業側の実態があると思います。とめてしまえば費用は出ませんけれども、なおかつかかってくる金利負担というものが結局今日輸出圧力を非常に強くしている。
 そこで、これからの国際経済の中におけるわが国のあり方を考えてみたときに、その面からも金利はいじらなくていいのだろうか。さらにまた、今回一兆九千五百億円という、ある意味では大幅な公債計画を出されましたけれども、それによってとにかく景気の停滞を打破したい、じゃ一体何%の成長率に戻ったら済むのか。これが従来の高度成長でないことは、日本の資源問題、世界の資源問題一つとってみても明らかだと思います。そうなると、それはいわゆる安定成長の水準でなければならない。そのときになおかつ民間の企業経営が成り立つということを考えると、その面でも低金利水準ということになる。しかもこれは、ことしじゅうに結着をつけなければいけないという景気対策のことを一つ考えてみても、そうそう時間をおいていい話ではありません。
 先ほど国際通貨の今後のことがありましたけれども、このまま日本の採算割れを含めて輸出ドライブが続き、片方では米国に対するドルの還流が少ない。そうなると、結局金利はいじらざるを得ない。ただ、これは、預金金利といまおっしゃったのでつけ加えますけれども、預金金利とは私はダイレクトにつながらないと思います。貸し出し金利と預金金利をつなぐものは、銀行の企業努力だと思うのです。それはいわゆる物価引き上げの裏返しの形として銀行に要請してしかるべき部分ですから、ダイレクトに預金金利に結びつけるということは、金利の野放しと全く同じ議論になります。その意味で、一応預金金利をはずれますけれども、今日のまわりの情勢を考えると、低金利に一歩踏み込む政策というのはある程度急ぐべきではないか、そう感ずるんですがいかがでしょう。
#78
○国務大臣(水田三喜男君) 私はそう特に急ぐ問題ではないような気がします。と申しますのは、非常にむずかしいことでして、企業が全部成り立つようにするために、そのために特に金利をというようなことになりますと、輸出振興策をとったことと同じ思想の振興策をまた引き続きとるということにもなりますし、やはりこの機会に開発途上国に譲ってもいい産業もあるでございましょうし、そうではなくて、もっと日本がさらに高度化して国際競争の中で育成されて出ていくべき産業もございますし、そういう問題の色分けというようなものもこれから自然に行なわれてくると思いますので、その過程においてこの金利の問題は考えらるべきときにぶつかってくると思いますが、そういう問題を深めている前に、ただ一、二の輸出企業がいま出血になっておるようなんで、ここでもう一段の金利引き下げをというような観点から金利の扱いはできないだろうと思いますので、そういう意味から、そうこの問題は急ぐ問題でもないと思います。それとドルの還流しない原因として、これはたくさん原因はございますが、やはり国際間における短資の流出入という問題と、金利という問題はやはり相当関係のある問題であると思います。
#79
○栗林卓司君 時間がございませんから深くはお伺いしません。最後に二つだけ。
 これは今後いろいろお伺いするためにということも含めて大臣の御見解を伺いたいと思いますだ、今回の所信表明、前回の国会での財政演説も含めてですが、いわゆる大蔵省というワクをはみ出した日本全部の問題をつかまえた論議になっておりますし、それは逆に言えば、財政金融政策が果たすべき役割りの大きさということだと思うのです。そういうお述べになっている中で、土地問題が一つも出てこないというのはどういうことであったのか、これが一つです。それからもう一つは、これは地方財政の問題になるんですけれども、従来地方財政というのは、言うならばその他に類するような、いわばどぶ板の問題も含めて、住民の身のまわりのめんどうを見てということで、これまでの国と地方の財政分担の仕組みというものができてきたと思います。ところが昨今ではごみ処理問題一つとってみても、身のまわりの解決問題が大問題になってきた、またこれが今後大きな問題になるということを考えますと、地方財政と国の財政との振り分けという問題についても、発想転換の必要があるのではないだろうか。なぜこう申し上げるかといいますと、たとえばごみ処理問題一つとってみても、結局出てくるのは住民エゴのたいへん無残な衝突という姿になる。そうなると、納得ずくでその地域で解決しなさいというならば、負担を含めてもということになると、やはりある程度地方自治体の中で解決していくということも、これから一九七〇年代の世相の中では必要な気もするのですが、そう踏まえて考えると、地方と国との財政負担割合もやはり一つのあかりをあてて再検討すべき問題ではなかろうか。その問題と土地の問題と、いずれにしても財政金融政策の発想転換という点では避けては通れない問題だと思いますので、これを今回特に土地についてはお触れにならなかった理由を含めてお伺いしたいと思います。
#80
○国務大臣(水田三喜男君) 土地問題が重大でないとは思いませんし、特にこれを避けたわけではございませんが、財政政策の大つかみな骨組みというようなものについての所信を申し述べる限りでは、特に土地問題を取り上げるという必要もなかろうと思ったからでございます。まあ、公共事業を遂行する上において、大体二割ぐらいの割りを考えておるところの価格でございますから、これは財政にも影響がありますし、物価への影響もある問題ですから、これは土地問題として当然この国の予算が審議される場合に別個の問題としてこれは審議されるべき問題だと思います。
#81
○栗林卓司君 あと地方財政と国との振り分けの問題。
#82
○国務大臣(水田三喜男君) 地方財政と国との問題は、問題の所在は明らかでございますが、あまりにこれは大きい問題でございますので、問題の所在ははっきりしておっても、これは簡単に手のつかない問題じゃないかと思います。結局、財源の配分、利潤の配分、いろいろな問題を基礎にすることでございまして、今回の場合でも減税しないと、だいぶおこられているのですが、もう減税はいち早く所得税の減税は繰り上げてやったあげく、地方税のほうが減税をこの前しなかったために、今回しないというと課税最低限に格差ができますから、地方財政において減税をしてほしいということで私どもは政府原案をつくったのですが、地方が財源難を理由にしてなかなか地方税の減税は承知しないので、結局、減税分の金を全部中央が持ち出してやって、地方の減税をさせるというようなことから考えても、中央財政のあり方と地方財政のあり方にはいろいろここで調整されるべき基本問題が出てきておると思いますが、なかなか手をつけたらむずかしい問題だろうと思います。
#83
○渡辺武君 日本経済は、従来大企業中心に実質一〇%をこえる資本主義国最高の経済成長を続けてきました。この急激な経済成長が、日本が安保条約第二条にうたっております日米経済協力という条項に基いて、先ほどもお話がありましたが、べトナム侵略その他を主要な原因として起こってきているアメリカのドル危機のしりぬぐいをさせられておるということとも相まって、大幅な円切り上げをアメリカその他から強要される一つの大きな要因となっていることは否定できないことだと思います。
 ところで、現在国際通貨調整後の世界経済情勢を見てみますと、アメリカに若干回復の徴候が見られておりますけれども、日本、西ヨーロッパともに不況が一そう深刻化しているという状況だと思います。また通貨情勢も、先ほど来のお話もありましたけれども、ドルの急落など一そう不安定になってきているというのが実情じゃないかと思うのです。これは大臣も指摘されておりますような、一時的な要因の作用ということも当然考えられますけれども、しかし根本的には、今後資本主義世界経済の不安定性が大きくなってくる。世界市場競争もイギリスのEC加盟など、拡大ECの出現というような要因もあって、一そう激化することを示しているというふうに見て差しつかえないと思います。ですから、このような事態のもとで、日本が従来のような急激な経済成長、生産第一主義、輸出第一主義というようにいわれておりますけれども、そういう経済成長を続けていくならば、国内から国民がきびしく批判するということはもとよりでありますが、国際的にも世界経済の撹乱要因としてきびしい対抗措置を受けるだろうというふうに見て差しつかえないと思うのです。特に日本が日米協力ということを盛んに強調しておって、アメリカ追随の経済政策もとっておりますので、ドル切り下げ、もしくは円の切り上げというようなことに再び追い込まれて、一そう経済的発展が困難な状態になるということは当然予想されることだと思うのです。それできょう伺った経済報告の中にも、大臣も国際経済との調和をはかるということを強調されておりますし、先ほど御答弁の中でも、安定成長期に入るのだというようなおことばもありましたが、今後従来のような急激な経済成長率は維持できるのか、私は、むしろこれは維持できないで、従来よりも成長率は鈍化するだろうと思いますけれども、その点大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#84
○国務大臣(水田三喜男君) 鈍化するでありましょうし、鈍化してしかるべきだと思います。
#85
○渡辺武君 大体何%くらいの成長率になるだろうというふうにお思いでしょう。
#86
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、池田内閣のときに、所得倍増計画に関係したものでございますが、当時、経済を倍増させるということと取り組んだときの成長率というものは、今度と偶然にも、平均七・二%とふしぎな因縁だと私は思っておりますが、あの当時の一応の目標はそうでございました。ところが、やはり日本には伸びる潜在力が当時は非常に多かったために、伸びる力があるのならば伸ばしてしまえというようなことから、あれ以後十年間に非常な成長を示したわけでございますが、したがって平均十何%の成長に国民がなれてしまっておりますので、これを急に成長率を落とすということは不況感も強いでしょうし、いろんな経済的な故障が多いことと思いますので、いつ安定路線に切りかえるきっかけがあるかということも一つの問題でございましたが、不幸にしてこういう国際通貨の混乱という時期を迎えて、通貨の調整というものが行なわれたのが、私はやはり安定成長していく一つの契機じゃないかと思っております。
 で、すでにもう四、五%の成長率というものを長く国民経験してしまいましたので、今度はこれが七、八%にいくということは、不況感よりも、むしろ安定感のほうが強くなってくるでありましょうし、私はなかなか急速に成長率を落とせないということを心配しておったんですが、むしろ安定成長路線を確保するというためにはいい機会に恵まれたのじゃないかとすら思いますので、いまの不況対策をやって、七、八%の成長率を確保したら、その程度の成長はもう落とさないという、それを維持するという方向で、生産力になるたけそれ以上はね返らないで、これが福祉政策に向くような政策をとれば一番いいのじゃないかというように考えております。
#87
○渡辺武君 大臣、恐縮ですけれども、私はあまり持ち時間がないものですから、ひとつ御答弁を端的にいただきたいと思うのです。
 いまおっしゃった、四十七年度七・二%の経済成長率ですね、この見通し自体もっと低くなるんじゃないかという議論もあって疑問が持たれておりますけれども、しかし私、ここで問題にしたいのは、この経済成長率自体が二兆円近い赤字公債、十一兆五千億円近い超大型予算、これにささえられて初めて実現できるというようにいわれているものだと思うのです。ですから先ほど御答弁ありましたように、いろいろ国際的にも経済困難が増加して、安定成長ということばはいいんですけれども、つまり成長率が鈍化するというような事態になってくるとしますと、今後やはり経済の運営における財政の役割りというものが非常に大きな比重を占めてくるのじゃないかというように考えられます。特に田中通産大臣などは、一〇%以上成長率を維持しなければならないのだというようなこともいわれておられるようで、財界の中にも、そういう意向もかなり強いようでありますので、もしそういうようなことになれば、やはりこの財政で成長を刺激するというようなことが相当今後重要になってくるというように見て差しつかえないのじゃないかと思うのです。
 GNPの中に占めるこの財政の比率を私見てみますと、昭和三十五年が一〇・八%でしたが、その後四十年代に入って、傾向的には比重がふえております。特に四十六年度、四十七年度は不況ということがありますが、四十六年度が一二・四%、四十七年度が一二・七%というようなことで、GNPの中に占める一般会計の支出総額の比重は高まる傾向を持っているというように、もうすでに実積があらわれているわけですね。今後こういう傾向がさらに大きくなるんじゃないかというように思われますが、どうでしょうか。
#88
○国務大臣(水田三喜男君) 傾向はやはり私は大きくなると思います。
#89
○渡辺武君 そうしますと、この経済的発展が鈍化するわけでありますから、現在のような直接税を中心とする税収、これは鈍化せざるを得ないというように見て差しつかえないのじゃないかと思うのですね。で、その反面で支出のほうを見てみますと、来年度の四十七年度予算案に出ておりますように、大企業の経済成長をささえるための公共投資、これが急激に今後もふえていくだろうということも予想されますし、特にサンクレメンテ会談などで想像できますように、軍事費あるいはアジア諸国を中心とする他国への経済援助というようなもの、つまり軍事的、政治的性格を持った支出がともに増大するということになるんじゃないかと思います。
 それからまた国債費ですね。この四十七年度は二兆円に近い赤字公債が出ました。四十六年度は一兆二千二百億、これまた相当大きな規模の公債が出ました。いずれ支払い時期がくれば財政の中における国債費の比重というのは大きくならざるを得ない。これまた大きな支出要因だというように見て差しつかえないと思うのですね。
 で、そうなってきますとどうなるのか、やはり今後公債をさらに発行して、財政上公債に相当依存しなければならないという事態が出てくるんじゃないかと思うのですが、福田前大蔵大臣は、大体公債発行の規模は五%程度にしたいと常々言っておられるけれども、大臣は今後どれくらいのところ公債発行の規模を押さえられようとされるのか、伺いたいと思います。
#90
○国務大臣(水田三喜男君) まだ私は何%がいいかという勉強をしておりませんが、五%というのは日本の高度成長時代、そうして自然増が非常に毎年多かったときに、財政審議会によって答申されたひとつの比率でございますので、あのときはそうであったかもしれませんが、事情が違ったいま、公債の依存率が五%でなければいかぬとか、何%でなければいかぬという根拠というものははっきりいたしませんので、やはりいまの現状から見て、あらためて国債の依存率がどのくらいが適当であるかということは、新しい作業としてこれから勉強しなきゃならぬ問題だと私は思っています。
 私は、やはり国債というものが、景気、不景気に対するフィスカルポリシーとして使われるという以外に、今度は、成長型経済から福祉経済への切りかえということについて国債の果たす役割りというものは、あらためて別の役割りが今度は出てきているような気がいたしますので、そうしますというと、従来と違った角度から国債の依存率を検討することはやはり間違いだと思いますが、民間の資金を公経済に動員する一つの手段としての国債でございますから、そういう意味でこれがどの程度の活用をしたらいいかということは、新しい観点から私は検討し直す必要があると思います。
#91
○渡辺武君 そうすると、五%をこえるだろうという気持ちが――この五%という大体のめと以上のことを考えておられるんだというふうに思いますけれども、それでいいですか。
#92
○国務大臣(水田三喜男君) まだ勉強してみないからわかりませんが、気持ちとしてはそんな気持ちがします。
#93
○渡辺武君 そうしますと、国債というものは、これはインフレーション論議というものはいろいろありますけれども、もしインフレーションが起こらぬとしましても――きっと起こりますよ、赤字公債を出していけば。同時にまたこれは、いま六分半の利付きですから、これを償還しなきゃならぬときには、これは税金となってはね返ってくるということは、これは国民の立場からすれば当然考えられると思います。
 同時に、先ほどは、直接税では税負担感が強いので、間接税のほうを重視するというふうなおことばがありました。大臣、水田委員会として付加価値税の調査に行かれて、付加価値税の問題についてはかなり積極的に考えていらっしゃると思うのですけれども、大体いつごろ付加価値税制を採用すべきだというふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#94
○国務大臣(水田三喜男君) 政府の税制調査会に諮問しておりますが、まだ検討が始まったばかりでございまして、進んでおりませんし、また欧州諸国の事情を見ました結果によりますと、こういう制度は実施するまでに準備期間に少なくとも三年以上を要するというのが各国の意見でございますし、実施することをきめても、なかなか何年かかかる問題でございますので、かりにこれがいいというふうにきまっても、実施は相当先の問題だろうと思っております。まだそこまでとにかく税制調査会の研究が進んでおりません。
#95
○渡辺武君 一問だけ。
 そうしますと、公債は従来以上に発行する、それから付加価値税制もまあ一応考慮の中にあるという趣旨の御答弁ですね。この付加価値税制というのは、これは物価を値上げして、所得税も払うことのできないような人たちまでが税金を負担しなければならぬ。国民にとってはたいへんな悪税ですよ、これは。その上に、先ほどのおことばによりますと、受益者負担というようなことで、公共料金引き上げも考慮するというようなおことばもありました。私は大臣の発想の転換ということを伺っておると、まさにこういう側面にこそ発想の転換が行なわれるべきだということを言わざるを得ない。なるほど四十七年度の予算案の中では、社会保障関係費の増加率が、ほかの費目よりも多少大きい。大きいけれども、しかし、たとえば社会保障費は、一般会計で、四十七年度は四十六年度に比べてどのくらいふえたのか、二千九百七十四億円ですよ、ふえたのは。ところがその他方で、たとえば二月一日からの郵便料金、三月一日からの電報料金、これの値上げで九百十六億円国民は余分に負担しなきゃならぬ。国鉄運賃の値上げで約千八百億円、それから二月一日からの健保の医療費の引き上げ、これで国民の負担増七百億円、さらに取りざたされている保険料ですね、政管健保。これを引き上げられれば八百八十九億円の負担増になる。たったこれだけ合わせただけで四千三百億円の国民の負担増ですよ。そうしますと、二千九百七十四億円ぐらいの社会保障費の増は一ぺんにこれは帳消しになっておつりがくるくらいですわ。
 また、この公害防止その他ということも強調しておりますけれども、環境庁が発表しているので一般会計のほうを調べてみますと、千六百八十億円、これが四十七年度の公害関係の自然環境の保護も含めての総額ですよ。東京都の四十七年度の公害関係の予算を見てみますと、三千二百十八億八千三百億円、二倍近いですよ。これでは福祉国家をつくるんだということは、つまりいま言ったように、公債を出し、あるいは税制を間接税のほうへ転換させ、公共料金を引き上げ、国民から大幅に収奪するということの口実にしかすぎないというふうに思われますけれども、どうでしょうか。ほんとうに福祉社会の建設をなさるのなら、大企業の利益を第一にするいままでの経済政策、アメリカに追随するいままでの経済政策と手を切る以外に道はないと思いますが、どうでしょうか。
#96
○国務大臣(水田三喜男君) いま誤解があるといけませんから、さっきので訂正しておきますが、私は、公債を多く出したらいいという意味じゃなくて、公債の依存率はむろん下げることが必要で、来年から下げなきゃならぬということを言っておりますので、五%が適当だというこの意見についてどうだということでしたから、これはもうあまり根拠がないだろうということを言っただけでございます。やはり社会保障の充実というためには、いま言われたようないろんな問題がたくさん出てきますので、問題はやはり合理的に国民が社会保障の内容を充実する負担を、国民が非常に合理的に円滑にし得る税制というものが考えられれば、いろんなそういう矛盾を解決することになると思いますので、問題はやはりいろんな解決すべき問題を解決しないと、いろんなそういう矛盾した問題がたくさん出てきますので、やはり大筋の解決策とこれから取り組まなきゃいかぬだろうという、そんな気をますますいま強くしているところでございます。
#97
○野末和彦君 初めに大臣と、それからほかの皆さんにお願いしておきたいんですけれども、前回質問したときにお願いしておいた未成年勤労者の納税状況の問題に関する資料でございますけれども、何か非常に困難なので、なかなかむずかしいというお話、よくわかりましたが、これは私だけじゃなくて、ほかの委員の間にもやはり未成年勤労者に対して控除を設けるべきだというようなお考えがあるのです。
 そこでもう一度お願いしたいと思いますけれども、資料の意味は、政府にとってはこの問題はごく小さいかもしれませんけれども、私個人にとっては非常に大きな意味があるので、ぜひ未成年勤労者の納税状況に関して、実態サンプルでもって、大体推定でけっこうなんですけれども、大体どのくらい彼らが税金を納めているのか、所得税に関してですね。ですから、それをぜひ資料としてお願いしたいということを初めにお願いしておきます。いかがでしょうか。
#98
○政府委員(高木文雄君) あとでお打ち合わせをして、どの程度のサンプル、どの程度のものでよろしいか承りまして、それによって調製できるかどうかを御相談いたしたいと思います。
#99
○野末和彦君 何しろ数字がわかって、たいした税額じゃないということになれば、これは思い切った控除をしてもいいだろうし、あるいは十八歳というところに線を引きまして、まあいろいろこの資料に基づいて別の考え方もできるだろうと思いまして……。ぜひそれじゃあとで相談することにします。
 そこで、本会議でも話題になりましたけれども、減税はもう去年やったと、本年の予定の減税は繰り上げでもって去年終わったというお話でしたけれども、減税は一回やったからこれで終わったというのは、どうも盲腸の手術じゃないんで、一回で終わって、もうというのはぼくはよくわからないんですよ。やはりこれは重税に苦しむ国民に対してサービスということで、当然できる限りの減税の努力をするのが政府のつとめだろうとぼくは思うわけです。
 そこで、ことしいろいろ、いま渡辺委員からもお話ありましたけれども、公共料金がいろいろ値上がりする。それに伴って、先ほどの大臣のお話では物価への影響は一%ぐらいだというお話でしたけれども、とにかく諸物価値上がり、ことしの物価上昇率を五・三に押える、抑制する目標が五・三ということですが、それにしましても大体今年度われわれ国民全体が年間どのくらい負担増になるのか、その大体の金額をちょっと教えていただきたいんですけれどもね。
#100
○国務大臣(水田三喜男君) 負担増になるというと……。
#101
○野末和彦君 公共料金値上げをはじめとして物価が上昇する。そうすると、いまの渡辺委員のお話でも、四千何百億はもうすでに負担増になるということですけれども、もう少しはっきりした数字を……。
#102
○国務大臣(水田三喜男君) いまちょっとここに私自身持ち合わせておりませんが、たとえば国鉄料金が年に一千七百億円値上げになると、これがどれだけ物価への影響があるかというと、〇・三%とかなんとかという企画庁には詳しい計算がございまして、私が見たところによりますと、そういういろんな公共料金の値上げを寄せて物価への影響は一%はないという計算でございましたが、もし必要なら企画庁から取り寄せます。
#103
○野末和彦君 それじゃあとでそれは取り寄せていただきますよ。
 いずれにしても、ぼくが考えますのに、ことしはいわゆる名目上の所得はあまり伸びないと思いますね。そうすると、物価のほうはそれだけ上昇していきますと、実質所得は減るわけです。そうすると、減税を去年したからといって、やはり国民のふところぐあいからいうと、ことしも相変わらず実質所得は減ったと同じ形でかなりの負担になる。それだったらば、この際それを防止するために、物価調整減税というようなものをもう一度当然やるのがあたりまえで、それを全然しないで、もう終わりましたと言われちゃ、何かだまされたような気がするのです。物価調整減税というのをことしぜひやるような予定があるかどうか、あるいはやるべきだとぼくは思うのですが、大臣はそれについてどう考えるか、それをお聞きしたい。
#104
○国務大臣(水田三喜男君) 昭和四十六年度の当初予算で所得税の減税をやりまして、税制調査会の答申にも出ておりますように、この自然増に見合った一定の減税は毎年やれということでございますが、四十七年度予定された所得税の減税の二千五百――四十七年度としますと三十億になりますから、大体税制調査会で言っている一応適当な減税ということにはなっておるはずでございますが、これをこの国会でほんとうは御審議願うべきものを、前回の国会で消費活動の最も強い十二月にこれを行なうことが非常に有効である、景気浮揚策としても非常に有効であるというようなことで、繰り上げてこれを実施したのですが、いまさら言うわけではございませんが、繰り上げについては与党も野党もみんなそろって昭和四十七年度分の減税であることは十分承知しているが、いまやったら有効であるというので、それではそうしようかといって政府も検討を約して、あそこに繰り上げ減税に踏み切った。しかも、衆議院においては、この大蔵委員会において、四十七年度分の繰り上げ、これは明白にしておいてください、速記にもそれをはっきりしておいてくださいというのが、社会党からの発言で、じゃはっきりいたしますと――これを出せば、四十七年度分の減税ですよというのをはっきりして出したんだから、今度はどうも諸方面で、四十七年度はやらぬ、やらぬと言っていけないから、ひとつ証人になってくれと、私大蔵委員会に行っておこられてきましたが、これはほんとうはここもそうじゃなかったかと思いますが、私は、証人になってもらいたいくらいで、はっきりと四十七年度の繰り上げ減税でございますので、やらぬということはないんで、やったと。あの中にはしたがって物価調整の意味がもう十分入っておるということで、このあとは来年またやればいいんじゃないか、ことしは地方税の減税だけを追加してやって、三千億円以上の幅の減税をやったんですから、まあこれは少なくとも税制調査会の求めている程度の減税はやったものであるというふうに私は思います。
#105
○野末和彦君 ですから、やったこと自体はぼくわかるんでいいんですが、ただ、総理なんかも、政治は国民に奉仕すべきものだとか、いろいろ大きなことを言ってますから、それだったら、一回やったのを二回やるぐらいの努力があってもいいんじゃないか。さっきの税調の話ですけれども、所得税に関してもできるだけ早く負担の軽減を行なうべきだというところがありましたし、ぼくはそんなに、大臣がおっしゃった、一回の減税でもう国民も納得していて、物価調整の意味もあると割り切れるもんじゃないと思うんですね。ですから、もしおやりにならないなら、それはそれでいいですけれども、それだったら総理のことばの、あるいは高度福祉国家を目ざすとか、いろいろ言ってます、政治は国民に奉仕すべきだなんていうのは、全然これはいいかげんだというふうになるわけですから。
#106
○国務大臣(水田三喜男君) いや、あなたの言うように、一回やったことは確かだが、何回やってもいいのだから、また今年中にやれというお話ならよくわかりますが、やらぬ、やらぬと言われるから、こっちはやったやったと言うんです。
#107
○戸田菊雄君 それは、社会党も四十七年度やれという主張なんですね。大臣の言う言明はいま言ったとおりだが、社会党にすればそれは誤解のないようにしてもらいたい。
#108
○野末和彦君 ですから、やらないと言うんじゃない。ことしもう一度やる意思はないのかと、去年の繰り上げはもちろんわかってますが、そういう意味なんです。ですから、その意味でどうなんですか、やる見通し、あるいはやりたいというお気持ちは大臣としてはおありですか。
#109
○国務大臣(水田三喜男君) それは、不況が回復して非常に財政状態がよくなったというときは、もう一回減税をやるか、あるいは国債依存率を切るか、これはどっちか考えたいと思います。
#110
○野末和彦君 ところで、大臣自身がいまの税制に対して個人的にどういう不公平感を持っておられるかということなんです。われわれは、やはりただ税金が重い重いと言うだけじゃなくて、非常にいまの税制が不公平であると、先ほどからも出ていますけれども、発想の転換だと、たとえば企業優先から生活優先にいくならば、税制の面でもそうならなければいけないわけなんで、その点非常に国民の間に、納税者の間に不公平感というのがあるわけですね。具体的に言えば、もう切りがありませんけれども、個人的に大臣自身はいまの税制に対して不公平感をお持ちだとしたら、まずどの点から直すべきだと、どの点が一番の不公平で、これは是正しなければいかぬと、そういうふうにお思いですか。それをちょっとぼくに教えていただきたいんですが。
#111
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、個人的にはいろいろ税金について考えることがございますが、ただこうだと、いま国会で御審議を願っておきながら、違うことを大蔵大臣が言ったのでは問題になると思いますので、ちょっとその税金についての感想は許していただきたいと思いますが、ただアメリカも最近、たとえば欧州におけるような間接税を採用するであろうというようなことが言われておりますが、やはり私どもが欧州へ行って見たところによりますと、国民所得について、日本がことしは中央・地方の両方の税の負担で一九%、社会保険の掛け金負担などを入れて二三%前後の国民負担になると思いますけれども、何で日本と所得水準がそんなに違わない――まだ向こうのほうが多いのですが、そんなに違わなくなっている欧州の諸国が二倍以上の負担率になって、国民がよくそれで負担感を感じないかというのを、非常に私どもは疑問を持ってその点だけいろいろ興味を持って調べてみましたが、結局はやっぱり間接税であるということでございまして、負担感なしに、国民が知らない間に税を納めている。しかもそれが非常に多いということでございますので、これは今後福祉国家をつくるというからには大きい財源を要しますし、その財源の調達方法としては、やはり国民みずからが自分の還境をよくし、自分の生活内容を豊富にする問題ですから、やっぱり水準の上がったのに応じた負担というものを国民がするということでなければ、福祉国家は私はできないと思う。そうしましたら、やはり負担感の伴わない負担のしかたというものをくふうする必要があるのではないかと私は考えております。
#112
○野末和彦君 時間ですから。
 全然聞いたことと違うことを言われたのでまずいんですけれども、とりあえずさっきの未青年勤労者のあれ、それだけをお願いしておきますけれども。
 最後に、大臣としては私の言っている未青年勤労者に対する思い切った所得税の上で控除するというお考えに対してどうですか、賛成ですか、全く関心がありませんか、それ最後に一言おっしゃってください。
#113
○国務大臣(水田三喜男君) 税制にあまりたくさんの特例を置くことは問題であって、やはり税制というものは簡明に原則を貫くのが私はいいと思いますので、そういう意味でいきますというと、年齢の差別によって一定の所得に差をつけて扱う税制というのがいいかどうかというようなことは、もう少しこれは慎重に考えるべき問題だと思いますが、一定の所得ある者については、やはり一定の税がかかるというような税の原則というものをあまりに私は曲げないほうが、税制としてはいいんじゃないかというふうな気がします。
#114
○委員長(前田佳都男君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次回の委員会は、二月十日午前十時から開会いたすことにし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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