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1971/04/20 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第19号
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1971/04/20 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第19号

#1
第068回国会 大蔵委員会 第19号
昭和四十七年四月二十日(木曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     松井  誠君     鶴園 哲夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前田佳都男君
    理 事
                柴田  栄君
                嶋崎  均君
                戸田 菊雄君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                河本嘉久蔵君
                棚辺 四郎君
                津島 文治君
                桧垣徳太郎君
                成瀬 幡治君
                横川 正市君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   政府委員
        大蔵政務次官  船田  譲君
        大蔵省主計局次
        長       長岡  實君
        労働大臣官房長 藤繩 正勝君
        労働省労働基準
        局長      渡邊 健二君
        労働省職業安定
        局審議官    中原  晁君
   事務局側
        常任委員会専門
        員       杉本 金馬君
   説明員
        大蔵省理財局資
        金課長     福島 量一君
        労働大臣官房労
        働保険徴収室長 田中 清定君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働保険特別会計法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○空港整備特別会計法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○沖繩振興開発金融公庫法案(第六十七回国会内
 閣提出、第六十八回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、松井誠君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(前田佳都男君) 次に、労働保険特別会計法案、空港整備特別会計法の一部を改正する法律案及び沖繩振興開発金融公庫法案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○戸田菊雄君 前回に引き続いて、労働保険特別会計について質問してまいります。
  〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
 この前もいろいろと説明を聞いたのですけれども、その説明の内容で明らかになってきていることは、法案自体がそうなんでありますが、労災保険と失業保険の保険料の受け入れですね、いわゆる徴収を、これはまさしく一元化されているのですね。しかし、給付関係においては同一の特別会計ではありますけれども、労災勘定と失業勘定、いわゆるこういう二本建てになっている。はたしてこれで――徴収の一元化をはかる、しかし、給付は従来どおり、こういうのがいまの法案の内容だと思うのですね。これで一体どれだけ実益というものが考えられるか、その辺の見解について聞かせてもらいたいと思います。
#5
○政府委員(藤繩正勝君) 労災、失保の適用徴収を一元化したいということは、この前も御説明を申し上げましたように、実は二年前にそういうことで法律案を提出いたしまして成立をいただいたわけでございますが、そのねらいといたしますところは、労災保険、失業保険、いずれにつきましても、五人未満の零細事業場が強制適用になっていないということでございまして、これにつきましては、長年各種審議会等からも強制適用にすべきであるという意見が出されておりますし、私ども行政担当者といたしましても、いわば一番弱い、一番そういった補償を必要とする分野において強制適用が実現をしていないということについては、年来何とか実現をしたいというふうに思ってまいったわけでございます。そこで二年前にいろいろくふうをいたしまして、この適用徴収の面を一元化することによって、非常に困難な問題をとにかく一歩前進させまして、たてまえとしては全面的な適用を実現するということでお願いをいたしたわけでございます。
 そこで、いまお尋ねの点は、適用徴収だけを一元化しても、労働保険としては一本ではないじゃないか、こういう御趣旨だと思いますけれども、元来あらゆる保険を一本で扱うべきかどうかということは、これは非常に大きな問題でございまして、厚生省所管の保険を含めまして、全体の社会保険を一元的に処理したらいいではないかというような考え方も、以前から各方面から述べられておるところで、たとえばイギリスのように、ナショナルインシュアランスというような制度をとっているところもあるわけでございますが、ただそれはまあ非常に大きな問題でございますけれども、とりあえず二年前にお願いをいたしましたのは、先ほど来申し上げておりますように、五人未満の適用をやったらということについては、ばらばらでは何としても零細な事業場が非常に多いということから、事務の簡素化を進めて、そうしてこれを実現したいということで、適用徴収の一元化ということをお願いをいたしたわけでございます。
 そこで、労働省所管の両保険は、それぞれたてまえも違い、沿革も違うわけでございますが、労使関係に基づく場における保険という点では、一つの共通の面を持っておりますので、その適用徴収についてこれを一元的に処理する、かようにしたわけでございます。給付につきましては、それぞれ保険事故が、業務上災害、失業という異質なものでありまして、したがって、それぞれの保険給付は内容を異にしております。また給付事由の認定という実務的な面でも、それぞれ違っておりますので、元来給付の一元化というものはなかなかなじみにくいものでございます。
 そこで、先ほど来御説明しましたような趣旨で、適用徴収の面に限りまして、一元化をしたいということで、法律案を二年前にお願いした、こういう次第でございます。
#6
○戸田菊雄君 いま藤縄官房長から答えられた内容等については、この前の回答でもおおよそ説明されておるわけです。ですから、制度上一つは、五人未満の事業場、こういうものをいわゆる対象拡大をはかっていくということはわかりますし、事務簡素化をはかっていく、こういうことにもなりますね。そういうところで、特別会計法案というものを制度上改善したということはわかるのですが、その徴収事務の一元化だけであって、給付関係に対する内容は、それぞれ別途勘定でやられる、だからこれの実益は一体どういうところにあるか、制度上どうしてもいまの段階でできないのか、あれは何か現行別勘定、労災、失業、それぞれの勘定でやっていることが実益になるから、給付体制としてやっているのか、それはどっちなんですか。
#7
○政府委員(藤繩正勝君) 適用徴収に限っての一元化でも、どういうところに実益があるのか、あまり実益がないじゃないかという御趣旨の御質問でありますが、適用徴収を従前どおりばらばらでやっておりますと、それぞれの保険において、当然のことながら事業場に対して適用し、それぞれ徴収するということでございますけれども、今度の一元的な適用にいたしますと、全部というわけにはいきませんけれども、大部分の事業場につきまして労災、失保一度にまとめて保険料を取るわけでございます。そこで徴収の方法につきましても、概算保険料を取るというようなことで処理をいたしますし、事業主のほうの側から申し上げましても、従来労災、失保、それぞれに保険料を納めるということになっておりましたものが、とにかく保険料の側面におきましては一本で済むというようなことで、そういった点で役所のほうも、また適用を受けるほうも、事務が簡素化される、それが私どもとしては一番のメリットであるというふうに考えております。
#8
○戸田菊雄君 将来は、給付関係は制度上どういうふうに、もし改善するとすれば考えておられるか、その辺の見解をひとつ。
#9
○政府委員(藤繩正勝君) 労災、失保、両保険につきまして、前回の委員会におきましても、先生方からその給付の中身についての改善意見が種々出されたわけでありますが、私どもといたしましても、両保険の給付の拡充につきましては、今後ともそれぞれの分野で検討を進めてまいりたいと思いますけれども、いま直ちに両保険を給付の面で一本にするという考えはないわけでございます。とりあえずは適用拡大を進める、それから給付水準あるいはこの前御意見のありました最低額等々につきましては、今後実情に即して改善を積み重ねていく、あるいはまた労災保険等につきましては、御承知の通勤途上災害等についての制度の拡充というようなことも現在検討されておるというわけでございます。そういった面での検討は今後も進めてまいりますが、一元化は適用徴収に限って進めたいということでございます。
#10
○戸田菊雄君 資料をいただいて、四十七年の適用外五人未満事業場も相当あるわけでございますが、今後五人未満の対象事業場の加入数どのくらいあるのか。どのくらいを考えているのか、その数字をちょっと教えていただきたい。
 それからもう一つは、この加入増によって当然保険料の金額もふえてくると思うんですね。それはどのくらい一体見込まれているのか、その辺の見解についてちょっとお知らせいただきたい。
#11
○政府委員(藤繩正勝君) 昭和四十六年度末で申し上げますと、労災の適用は百二十七万事業場になっております。失業保険は七十四万五千の適用事業場になっております。これを四十七年度末、つまり本年度末には労災で百四十四万四千、失業保険で九十七万二千に適用拡大をしていきたいというふうに考えております。この数字の中で、純然たるこの五人未満の適用拡大に限って言いますと、労災では五万二千でございます。失業保険では十一万三千でございます。そのほかに事業場の自然増がございますので、いま申し上げたような数字に相なるわけでございます。
 そこで、今後どういうぐあいにこの数字が拡大をしていくかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、前回の委員会でもお答えを申し上げましたように、まあ三年程度をめどに全面的な適用拡大を実現したいという腹づもりでおります。ただ先生十分御承知のように、零細事業場の把握ということにつきましては、非常にむずかしい問題がございまして、完全な把握ということがなかなかできにくい側面がございます。そこで事業場の自然増を見込みまして、将来どのくらいあるか、それとどこまで実際問題として適用を伸ばしていけるかというようないろんな要素がござ、いまして、必ずしも明確な数字を私どもとしては確信を持って申し上げる段階ではないわけでございますが、四十七年度末につきましては、先ほど申し上げたようなめどを持っておるわけでございます。なお四十七、四十八、四十九、五十年ということで、五十年度末におきましては、まあまことにこれは一応の試算でございますが、労災において約二百万、失業保険において百七十万ぐらいの事業場の適用を見ることができるというふうに私どもは踏んでおるわけでございます。
#12
○戸田菊雄君 いま説明がございましたように、労災保険の法律案そのものの推移から言っても、大体零細事業場にも適用拡大されていきますと、約二百万ぐらい、とにかく増加をされるという状況だろうと思います。そういうことになりますと、事業場もふえますが、当然保険料、こういったものもふえていくわけですから、そういったものが急激に増加する傾向になると思うんです。そういうことになってまいるわけでありますけれども、どうもこの法案全般をながめて見ますると、本特別会計のねらいといいますかね、それはどうも国家、この財政の資源として、財投のいわば融資計画などに多く振り向けていこう、そういう意図があらわれているんじゃないだろうか。こういうように推測できるんでありますが、その辺の見解はどういうふうに考えているか。
#13
○政府委員(藤繩正勝君) いま御指摘になった点は、おことばでございますけれども、私どもはさようには考えていないと申しますか、かりに先生のおっしゃるようなことであれば、むしろ零細事業場というのはたいへん能率の悪い話でございまして、五人未満の適用などに踏み切るのは下の下の策ということに相なるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、五人未満の零細事業場のようなところは、実は一番こういった労災なり失業の危険にさらされておるところであり、そういったところに保険制度を導入すべきだということを、私どもとしては年来考えております。各方面からも御意見が出されました。二十五年間なかなかむずかしい問題でございますから、実現を見なかったことでございますけれども、むずかしいむずかしいと申しておっては、いつまでたってもこの問題が実現いたしませんので、たいへん困難なことは承知の上で、こういった行政事務の簡素化を実現しながら、全面適用しようということでございます。その点は私どもとしては文字どおり零細事業場の適用拡大ということが、そもそものねらいであるということでございます。もちろん御懸念のようにたいへん把握という点では問題がございますので、労働保険事務組合というような制度も大いに活用いたしまして、できるだけ早い機会に全面適用を実現していきたいということでございます。
#14
○戸田菊雄君 本特別会計が徐々に強化拡大されていくわけですけれども、どうもそういうことになりますと、特別会計だけではまかない切れない。何か別に特殊法人的なものですね、設置をして、それで運用をはかっていく。そういう事態になりかねないんじゃないかという気もするのですが、そういう見解はいかがですか。
#15
○政府委員(藤繩正勝君) こういった特殊な、たとえば労災事業、失業保険事業というものをどういう形で運用するかということにつきましては、国によっていろいろな形がございます。イギリスのように、あらゆる社会保障を一本でやるというところもございますし、また御指摘のように、西ドイツあたりでは、失業保険につきまして独特の公社といいますか、連邦職業紹介失業保険公社というようなもので運営をしてきた実績もございます。しかしながら、私どもといたしましては、この両保険につきましては、現在のこのような特別会計を今後もずっと運営をしていくという考え方はそのとおりでございます。ただ福祉施設の面につきまして、従来から法律でもって、労災につきましては労働福祉事業団、失業保険関係につきましては雇用促進事業団というものをすでに設置をいたしておりまして、それによって全国的に労災病院等の福祉施設あるいは職業訓練、労働者の移転就職宿舎の建設等々の仕事を進めておることも御承知のとおり。またそういった施設の事業団、それから全体の会計経理の運用としては、こういった特別会計といったシステムで進めていくことにつきまして、当面私どもはこれで差しつかえないではないかというふうに考えておるわけでございます。
#16
○戸田菊雄君 この保険料について、両保険の保険料を一本化して、労働者の賃金総ワク、それに基づいて算定して一年一回払う。こういうことに今回徴収内容というものを変更したわけですね。そうしますと、この保険料は賃金総額を土台にして料率でもって掛けていきますので、毎年ベースアップが行なわれるということになりますと、それだけ保険金額も増大してふくらんでまいりますね。ただし、この給付のほうにおいては、そういういわば制度改正がない限り、これの改定は行なわないということになりますと、片や保険料はもうスライド的にベースアップがあれば自動的に上がっていく。ふくらまる。給付のほうは別途改正がなければこれはそのまま据え置きと、こういうことになっておると思うのですが、もちろん失業保険金額の自動的変更、十七条の三の1、こういうことがございますので、これはしかし、大臣がそういう措置をとらない限りこれは行なわないわけですね。そうでしょう。だから片方はです、どうしても据え置くというかっこうになりかねない非常にアンバランスな状況が私は生じてくるのではないかと考えますが、その辺の見解はいかがとっておりましょうか。
#17
○政府委員(藤繩正勝君) 保険料は毎年のベースアップで上がっていく、給付はきまっておるから改定がない限りは上がらないのではないかという御指摘でございますが、そういうことにはなっておらないのでございまして、御指摘のように、保険料は賃金総額に保険料率を掛けますから、そういうことで年々ベースアップで上がっていくとすれば、それに応じて増大するということは御指摘のとおりでございます。給付の面におきましても、たとえば失業保険について申し上げますと、賃金の六〇%支給するわけでございます。それから労災保険につきましても休業補償はそういうたてまえになっております。それ以外の補償につきましても、平均賃金をベースに置いて算定されるわけでございます。したがいまして、やはり賃金がベースアップで上がりますれば自動的に給付そのものが上がるわけでございます。ただ、前委員会でも御指摘がありました、最低額あるいは最高額につきまして、最低額はまあ賃金の六割ということだけれども、それではいかにも低いということで六割では低過ぎるということにつきまして最低を押える。それから最高は、非常に高い賃金労働者につきまして、失業保険がいかにも高いということにつきまして最高額を押えるという考え方でございます。これもときどき改定をいたしております。本年度も改定をいたしたわけでございますから、そういうことで改定を進めておりますので、賃金がベースアップで上がる、保険料だけが上がって給付は上がらないということはないというふうに思うわけでございます。
#18
○戸田菊雄君 いま官房長の説明されたとおりだと思うのですが、問題になるのは、いわゆる最低額の問題だろうと思うのです。過去の資料によって見ましても、省令ベース等の場合は三年に一回程度の更新できているのですね。今回いただいた資料で、千円なんですね。いまの千円といいますと、大体生活保護、予算書説明の内容にありますように、これは東京で三万二千円ですね。そうすると、一千円の場合ですと、これは二十五日計算でいっても日雇いの場合二万五千、各種のいろいろな差し引きをいたしますと、おそらく私は二万ちょっとじゃないかと思うのですがね。非常に低額ですね。障害を受けた、あるいは死亡した、そういういわば不幸な事態の中においてそういう事態に追い込まれるわけですから、確かにこの賃金の六〇%という基本の給付内容がございますけれども、いずれにしてもこれは相当減収になりますからね。そういう面についての更新体制というものは、もっと私はスライド的に、いま、保険料あるいは給付内容の賃金を土台にした割合給付、こういうものを含めて制度上何かうまい改善策をとれないのか、その辺を伺いたい。その辺はどうですか。
#19
○政府委員(藤繩正勝君) 戸田先生、前回の委員会でもその点を御指摘になったわけでございます。私、前回からずっとお聞きいたしておりまして、できるだけ、低い労働者の失業補償あるいは労災補償について十分給付を引き上げるべきだという御指摘につきましては、私ども全く同感でございます。ただ、いま御指摘になりましたように、いろんな数字との合理的な関係を通じて、改定のメルクマールといいますか、基準というようなものをどう考えるかという点につきましては、まず第一には、いまおあげになりました生活保護との関係でございますけれども、おことばでございますが、私どもは生活保護と、そういった給付とを直接に比較するということは問題があるのではないかというふうに思うわけでございます。たとえば現在労働者の平均賃金は約八万あるいは八万五千円ぐらいの水準にございますが、勤労者家庭の実収入は十一万ぐらいあるわけです。ですから、生活保護というのは、いわば世帯における生活水準の最低を保障するという考え方でございますから、世帯収入と生活保護は見合うわけでございまして、賃金は、もしそういうものがかりにあるとすれば、最低賃金がそれに対応する性質のものである。賃金労働者の収入が、即勤労家庭の全収入には、平均的にいうとならないわけでございますので、そういう比較が正しいのではないかと思うわけでございます。
 そこで、最低額につきましての考え方につきましては、前回も労災管理課長等から申し上げましたように、現在における最低賃金の推移というものも見きわめながら、最低額を押えようというわけでございまして、そのような考え方について私どもは最低額をきめておるわけでございます。ただ、繰り返して申し上げますが、できるだけそういう低い階層における補償を十分なものにすべきだという御指摘については、全く同感でございます。
#20
○戸田菊雄君 常用労働者一人平均月間現金給与総額、これも、現在は産業別に、建設業あるいは衣服・繊維製品、木材・木製品あるいは卸売・小売業、流通部門、金融・保険、これ現在どのくらになっておりますか。
#21
○政府委員(藤繩正勝君) 手元にございます資料で、毎月勤労統計調査の数字を申し上げますと、四十六年平均で、調査産業計は八万五千百二十円、これが平均でございますが、建設業は八万三.千八百四十八円に相なっております。製造業でございますと、合計で八万一千十円ということになっております。さらにこまかい数字ございますけれども、もし必要でございますれば……。
#22
○戸田菊雄君 卸売り、小売り業、流通部門はどのくらい。
#23
○政府委員(藤繩正勝君) 卸売り、小売りは、それに見合う数字は七万九千五十円でございます。
#24
○戸田菊雄君 金融・保険業は。
#25
○政府委員(藤繩正勝君) 金融・保険は九万八千三百九十八円でございます。
#26
○戸田菊雄君 そうしますと、かりに、もちろん保険料はそれぞれ賃金総額によってやられますから、それぞれ違うわけですけれども、大体一つの例として、卸売り、小売り業七万九千ですから、大体労災保険等の場合はその六〇%、賃金のですね。となると頭から四割減収となりますから、相当生活は苦しくなる。これは片一方の治療貿がふえていく。いろんな面で経費が高まってきますね。で、大体いまのところ、平均賃金をあげていただきましたけれども、たとえば国鉄の賃金等の場合ですね、一日の食費が約九十二円くらいしかとれないんですね、平均にして八万ちょっとらしいのですが、そういう中において一万二千から二万円見当の賃金が不足だと、こういう、これは実態調査で明らかになっている。そういう非常に低賃金に置かれている中において、さらにこの六〇%支給といっても、相当これは深刻なものがあるだろうと思うのですね。ですから、そういうものに対する抜本改善策、ことにいま政府が主張しているように、社会福祉充実であるとか、あるいは社会保障の充実であるとか、そういうことをいろいろ口では言っているけれども、保険そのものが、内容一つとってみても、私はほど遠いものである。大体この労災保険なんか考えてみたって、イギリスから三十年くらいもおくれているのが日本の現状なんですね。だから、内容においても、制度においても、給付一つ見ても、たいへんな冷遇態様にあることだけは間違いない。だから、もう少しそういうものを時代に即応して抜本改正をしてもいいじゃないかというように考えるんですけれどもね。これはしかし相対的な問題ですから、それだけ、保険だけに全体をしわ寄せして、いま一足飛びにやりなさいと、こういう意味じゃない。労働省としてはそういう面を相対的に考える必要があるんじゃないか、こういうように考えるんですけれども、その辺の見解はどういう考えをお持ちですか。
#27
○政府委員(渡邊健二君) ただいまの御質問、労災保険の給付を中心とした給付改善の点であったと思いますので、私からお答えを申し上げます。
 業務上負傷または疾病にかかる、あるいは死亡されました方々の災害補償につきまして、われわれといたしましても、できるだけ手厚い補償をしてあげるように考えるべきだという点は全くおっしゃいますとおりでございまして、そういう意味におきまして、私ども労災保険等につきましては、三十年以降数次にわたりまして改善をはかり給付の引き上げをはかってきているわけでございまして、最近は四十五年にも改正をさしていただいたわけでございます。その結果現在の給付水準と申しますのは、もちろん世界で最高というわけではございませんけれども、一応ILOの国際条約等によって示されております災害補償の水準等から見ましても、百二十一号条約の給付水準等に一応適応しておる、われわれかように考えておるわけでございまして、そういう意味で、国際的に見てもそう遜色があるものではないと、かように考えております。休業の場合の六〇%といったような率にいたしましても、ILO百二十一号条約では標準労働者の報酬の約六〇%を基準にせいというようなことでございますので、一応それに、水準には適応しておると、われわれかように考えております。ただ先生おっしゃいましたとおり、こういう業務上災害にあわれたような方々の補償等につきましては、福祉の向上をはかる趣旨から、できるだけ手厚くできるものはして差し上げたいという点はおっしゃるとおりでございまして、そういう意味におきまして、われわれといたしましても、今後とも労災保険の給付の改善等については努力をしていきたい、かように考えております。
 現在この労災保険の給付水準は、災害補償という意味におきましては、基準法に災害補償の規定がございまして、内容的にはそれを上回っておりますけれども、一応基準法の災害補償というものを保険するということで労災保険が出発いたしました。その制度の趣旨から申しまして、基準法の災害補償との関連を考え、そういう上に立って現在の仕組みができておるわけでございます。しかしながら、基準法ができましたのは昭和二十二年四月でございまして、以来四分の一世紀もたっておるのでございます。はたして基準法のもとにあって、基準法の災害補償自身がいまのままでいいのかどうかという点も問題がございます。そういう意味におきまして、基準法につきましては二、三年来基準法研究会というものを設けまして、基準法の過去二十五年にわたる運用状況及びそれに伴う問題点等を検討をし、それについての意見を出していただいているわけでございまして、逐次安全衛生だとか、あるいは労働時間、休日制などについて意見が出されてきているわけでございますが、引き続きこの災害補償等の問題も含めまして、基準法の残りの分野についていま検討が進められております。基準法研究会からこれら災害補償につきまして、何らかの御意見が今後出されてまいりますれば、われわれといたしましては、そういう御意見を十分尊重し、基準法と労災保険、両方の関係等をも考慮しながら、今後とも労災保険の給付内容の改善について検討していきたいと、現在かように考えておるところでございます。
#28
○戸田菊雄君 長岡主計局次長にお伺いしますが、資金運用部の資金状況についてお伺いしたいのですが、ことに負債の部は、現行どういう状況になっておりましょうか。郵便貯金、郵便振替預託金、これが一つ。それからもう一つ、簡易生命保険郵便年金預託金、厚生年金預託金、国民年金預託金、その他、こういう見当でけっこうですが、現行の状況をひとつお知らせください。
#29
○政府委員(長岡實君) 担当の理財局資金課長がまいっておりますので、資金課長からお答えを申し上げます。
#30
○説明員(福島量一君) お答えいたします。
 昭和四十七年三月末現在、四十六年度末現在でございますが、資金運用部資金の預託金のうち、郵便貯金及び郵便振替預託金が九兆五千六百五十八億八千八百万円、それから簡易保険の預託金が四千五百八十三億五千万円、厚生年金保険の預託金が五兆三千六百二十三億二千三百万円、それから国民年金の預託金が九千百八十億二千四百万円、それからその他の特別会計等からの預託金が一兆七千六百六十七億五千七百万円、それから特別会計の積み立て金等の、その他に当たるわけでございますが、これが七百三十五億八百万円、以上合計いたしまして十八兆一千四百四十八億五千万円、これは百万単位で申し上げましたが、四十六年度末の資金運用部の負債の部の合計でございます。
#31
○戸田菊雄君 そうしますと、いまこの負債の部のその他の預託金一兆七千何がしですね、この中にいま問題になっているこの労働特別会計の七百十億、この積み立て金が入っているという理解でいいですか。
#32
○説明員(福島量一君) そのとおりでございます。
#33
○戸田菊雄君 そうしますと、この予算の説明書で、政府発行の四十七年度の予算説明でありますが、これの九六ページにまいりますと、四十七年財政投融資計画の一覧表が全部載っているわけです。この中に一応この労働者の財投計画に該当するものが相当項目あるわけでありますが、保険関係に関すると思われる項目を拾い上げてみますと、一つは年金福祉事業団あるいは雇用促進事業団あるいは労働福祉事業団等々が明細に載っているわけです。これは総体金額から見ますと、資金計画の合計が三兆一千三百三十四億円、これは資金運用部資金その他いろいろございまするが、
  〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
相当膨大なものがあるのですが、それから見ると、数としては非常に少ない状況になっていますね。だから、こういうものについて七百十億積み立て金やった、しかし、雇用促進事業団に二百七億円、労働福祉事業団に二十億じゃないですか、最後を見ますと。もう少しそういう面に対しては私は労働者に対する投資方式をとってもいいじゃないか、だから、全部別項目の中でまるきり保険加盟者に関係のないところでこの流用をやられる、財投計画一つ見ましても。だから、そういう財投資金計画の内容がもう少し検討されて、少なくともこの保険加盟者の保険剰余金が七百十億円も積み立て金としていっているとするならば、その三分の一くらいは少なくともこれに投資をする、もちろん一般会計からの繰り入ればありますよ、現勘定に対して。ありまするけれども、こういう部面の流用その他使用についてもう少し考えてもいいんじゃないかという考えを持つのですけれども、その辺の見解はどういうふうに考えておりますか。
#34
○説明員(福島量一君) 先ほどの御質問と、私ちょっと数字を取り違えて御説明申し上げましたので、それからまず訂正させていただきたいと思うんですが、先ほど申し上げました四十六年度末の預託金の一兆七千六百六十七億五千七百万円の中に、ただいま御審議願っております、現在の失保特会あるいは労災特会からの預託金――これは資料としてお手元に提出してございますが、失保特会は三千六百十三億円……。
#35
○戸田菊雄君 どの資料ですか。けさもらったやつですか、三枚つづりの。
#36
○説明員(福島量一君) その一番最初のページでございますが、一番右の欄に「四十六年度」と書いてございますが、そのうちの三千六百十三億円が失保特会からの預託残高、それからその次の労災特会の預託残額、これが八百八十億円。合計いたしますと、失保特会、労災特会からの合わせました預託残高は四千四百九十三億円、こういうふうに相なっております。一兆七千億の中に四千四百九十三億円が預託されている。これが三月末の残高でございます。
#37
○戸田菊雄君 その他の預託金の一兆七千何億の中には四千四百九十三億が含まれているという理解ですね。そうですか。
#38
○説明員(福島量一君) そのとおりでございます。
#39
○戸田菊雄君 総体の四分の一程度含まれているわけですね、その他の預託金だけで見るならば。全体とすれば十八兆円ですから、そう大きい額ではないですけれども。ですから、こういう問題について先ほど質問しましたように、もう少し労働者還元方式を考えてもいいんじゃないかという気がするんですが、その辺の見解はどうですか。今後の問題も含めて回答してください。
#40
○説明員(福島量一君) 資金運用部資金を中心といたしまして、財政投融資計画が仕組まれておるわけでございますが、財政投融資計画におきましても、国民の生活福祉、あるいは環境整備、そういったものに重点を置いて策定しておるところでございまして、四十七年度計画で申しますと、住宅、それから生活環境整備あるいは文教、中小企業、そういったものを合わせました、国民に対しまするいわゆる国民生活に比較的関連の強い部分に対します資金配分は、全体の五八%強にのぼっておるわけでございます。先生御指摘の、この労災あるいは失保特会からの預託残高のわりには、たとえば議労働福祉事業団でございますとか――これは来年度から始まるわけでございますが、従来からやっております雇用促進事業団に対する資金配分が少ないんじゃないかという御指摘だと思うわけでございますが、この資金運用部の資金配分につきましても、「予算の説明」を御参照いただきますと御理解願えるかと思うんですが、たとえば病院でございますとか、あるいは国民公庫でございますとか、あるいは地方債の上水道その他もろもろのものに広くこれを配分しておりまして、従来財投計画の発足当初は、いわゆる基幹産業向けのものがかなりウエートを占めておったわけでございますが、それが非常にダウンいたしまして、国民生活関連の部門を重点にして運用しておるわけでございます。具体的に、たとえば労災あるいは失保特会の預託金をそのまま直接、何と申しますか、関連の部門へのいわゆる還元融資的な考え方につきましては、まあ御承知のように、資金運用部資金というのが、全体の財政的資金を総合運用しまして、そのときどきの時代の要請にこたえて、総合的な見地から資金配分を行なっているという立場からしますと、特定の原資を、いわば引き当てに特定の部門に一定割合を配分するということで、いわばひもつき的な方向になろうかと思うんですが、そういうものにつきましては、資金配分全体のあるべき姿をゆがめるおそれもあるということも考えられるわけでございます。そういう個々の資金の性格というものよりは、全体としての資金配分をどうやるべきかという点に重点を置いていきたい。かつまた、それがここ数年来、いわゆる基幹産業あるいは大産業向けから、順次国民生活関連部門を重視しつつ資金配分を行なっているということは、別に財投計画についております使途別分類表等を御参照願えれば御理解願える、このように考えております。
#41
○戸田菊雄君 まあ確かに、資金課長が言われましたように、財投計画そのものも総体的な運用の中で十分検討されなければいけないだろうと思うのです。私もそういう意見については全く賛成なんです。じゃ、総体的にそういう内容が十分果たされているかというと、私はそうじゃないだろうと思う。
 一つ一つ項目別に伺ってまいりますが、まず「予算の説明」の一〇一ページに、雇用促進事業団というのがある。いろいろな趣旨が書かれておって、ことしの財政投融資計画というのは、四十七年百九十億ですね。しかし、いまの雇用促進事業団が取り扱っている内容というものは、非常に広範なものであり、大量のものですね。それがわずか百九十億ですよ。その内訳として、たとえば労働者住宅に対して百九十八億、福祉施設に対して十八億です。職業訓練施設は二億、通年雇用設備が四億、身障者作業施設に対して一億。総体でいっても二百二十三億。これで一体現行の必要経費と目されるものに対してどの程度の割合になっていますか、その内容を説明してください。
#42
○説明員(福島量一君) 各個別項目についての実績の数字は、実はいま手元にちょっと持ち合わせないのですが、ここ数年来の雇用促進事業団に対しまする貸し付けワク消化状況を見てまいりますると、これは過去四十五年度まででありますが、大体九七、八%から九九%ぐらいの消化である。若干の不用額が実は出ております。この雇用促進事業団につきましては、実は一般のものと取り扱いを異にいたしておりまして、四十六年度百九十七億が、これは貸し付け計画でございますが、その貸し付け計画は四十六年度と四十七年度の二年間にわたって消化する。四十六年度の場合は――初年度の場合は、どちらかというと、従来比較的消化割合が落ちておりまして、二年度目からかなり消化されるということでございまして、特に四十六年度の場合は、あくまで見込みでございますが、百九十七億の貸し付けワクのうちで、三月末までに消化されると考えられるものが、大体十一億程度でございます。これは例年これに近いパターンでございますけれども、これをもって云々するわけにはまいりませんが、御承知のような国内の不況等の関係もございまして、労働者住宅の建設のテンポが非常にスローダウンしているというようなことから、この面に対する資金需要が落ちてきておる。これはちょっと部門が違いまするが、年金福祉事業団等においてもそういうことが言えまして、厚生省に聞いたところによりますと、年金福祉事業団につきましても、いわゆる勤労者住宅というものの建設が大幅にダウンしておりまして、かなり不用額が出ざるを得ないという状況でございます。私ども来年度の計画の策定にあたりましては、そういった今日までの状況等も勘案しつつ、実は総合の伸び率で査定したつもりでおるわけでありますが、いま先生御指摘になりました個々の項目についての充足度合いは、ちょっと手元に数字がございませんので、また後ほど答弁させていただきたいと思います。
#43
○戸田菊雄君 資料でも、後ほど答弁でもけっこうなんですが、もしできるなら資料でお願いしたいのは、資金運用部資金運用状況の資産の部と、それから負債の部のいま言われたやつ――負債の部については、いま聞きましたからこれはけっこうです。資産の部について、現行どうなっているか、あとで資料としてお出し願いたい。
 それで、時間があまりありませんから細部事項に入れませんけれども、労働省に、労働者住宅百九十八億予算要求の内訳はどういうふうになっておりますか、ことし。それをひとつお聞かせください。
 それからもう一つは、職業訓練施設で現行どのくらいあるか。今年度予算でもってどのくらいの増で要求しておるのか。その総額はどのくらいになっておるのか。もう一つは身障者作業施設、同様の内容についてちょっと教えてください。
#44
○政府委員(中原晁君) 雇用促進事業団の融資の内訳でございますが、先ほど先生からもお話がありましたように、四十七年度におきましては貸し付け契約額二百二十三億、前年度に比べますと二十六億、パーセントで申しますと一三・二%の増になっておりますが、従来五種類でございまして、先ほど先生がお読みになりました五種類の対象があるわけでございますが、その五種類のうち、一番需要の多いのが労働者住宅と福祉施設でございます。労働者住宅につきましては、昨年度百七十七億に対しまして百九十八億ということで、特に重点を置きまして二十一億増加いたしました。これにつきまして一万九千四百三十二戸を一応予定いたしております。
 それから、四十六年度の実績につきましては、まだ最終的な締め切りをしておりませんが、先ほど大蔵省から御説明がありましたように、ドル・ショック等の影響もありましたので、若干途中でいろいろ気迷い的なあれもあったわけでございますが、大体労働者住宅と福祉施設につきましては需要がかなり多くて、いつもワクの二割ぐらいをこえる申し込みがあるわけでございます。ただ、申し込みが二割ぐらい多くても、その中に要件の該当しないもの、あるいは申し込んでありましても、その後いろいろな都合でとりやめたものもありますので、今年度につきましては、この百九十八億で労働者住宅についてはまかなえるというふうに考えております。
 それから福祉施設につきましては、去年が十二億でございますが、これに対しまして十八億ということで六億、去年よりも五割ふやしまして、この中には企業内勤労婦人ユーティリティーというようなものも含めまして、各種の福祉施設に対して融資ができるようにかなり拡充したわけでございます。
 それから職業訓練施設につきましては、二億円に対しまして、これは大体現行このワク内でまかなえておりますので、二億円ということでございまして、通年雇用設備につきましては、これは若干いままでワクを余しておりますので、このやり方等も改善いたしますが、一応四億円ということで、前年より一億減らして、その分をほかに振り向けております。
 それから身体障害者の作業施設につきましては、次第に需要が増加する部門であると思いますけれども、現在のところはまだまだ十分軌道に乗っておりませんので、まだ日が浅い時点でもございますので、一応四十七年度も一億円、こういうことで考えておるわけでございます。
#45
○戸田菊雄君 いま説明されたことについてはわかっております。その内容ついて伺いたいわけです。ことに労働省が当初予算要求として出した内容はどんなものであって、現状、たとえば職業訓練施設は全国に幾らあって、一体この適用対象者がどのくらいあって、どのくらい現在収容しているのか、その辺の内容を承りたかったんです。
#46
○政府委員(中原晁君) 四十六年度の実績でございますが、労働者住宅から順に申し上げますと、労働者住宅に対しましては、申請が一千四十七件ございましたが、そのうち九百十件、これを決定しておるわけでございます。金額もわかっておりますが、一応件数を申し上げたいと思います。それから福祉施設につきましては、二百九十九件の申請がございましたが、二百六十四件の決定をしております。
 それから職業訓練施設につきましては、先ほど申しましたとおり、一応ワクが足りておりますので、二十一件申請、全部を一応決定しております。
 それから通年雇用設備というのがございますが、これは、たとえば冬期等に工事等を休むので、その間雇用が不安定になるというようなことに対しまして、冬期間、たとえば暖房設備等があれば工事ができるというような場合には、そういう各種の施設に対して融資しまして、通年の雇用ができるような配慮をするわけでございますが、これにつきましては、建設業関係で二十一件の申請に対しまして十四件の決定、水産加工関係におきましては二十一件の申請に対しまして十九件の決定、それから粘土製品製造業、かわら等でございますが、これに対しましては七件の申請に対しまして六件の決定、通年雇用設備の合計総括としましては、四十九件の申請に対しまして三十九件の決定を見ております。
 それから身体障害者の作業施設でございますが、これは、たとえば階段等を、少し車いすで通れるように直せば、身体障害者も雇えるというような場合に、その改造に要する設備等に対する融資でございまして、比較的新しいものでございますが、これに対しては二十件の申請に対しまして十四件の決定、以上総計いたしまして千四百三十六件の申請に対しまして千二百四十八件の決定、こういうような実績に相なっております。
#47
○戸田菊雄君 確かに要求に対する実行率は、そう、ことさら悪いという状況じゃないと思うんですが、それは机上プランであって、現行有する施設というのはもっともっと必要としているだろうと思うんですね。だから、そういう点は、要望として今後さらに検討を加えていただきたいと思うんですが、時間がありませんから詳しくその各項目等についてやることはできませんが、ただ労働福祉事業団の財投貸し付けは、今年度二十億の非常に微々たるものなんですね。これはきのうも、私が当局からいただいた資料によって指摘をしたわけでありますけれども、労働災害の発生件数というのは、業種別に見てもたいへんに大きな数になっているんですね。だから、そういうものに対してこそ、私は保険も重要であるけれども、その予防措置というのは非常に大事だ、こういう角度で十分、一般会計予算ではまかない切れないのが現状なんですから、どうしても財投資金に負担をかけざるを得ないという、そういう状況になってくるんですね。それが二十億見当ですからね、どれだけのはたして防災施設なり安全予防なり、そういうものができるのか。かりに、四十七年度の二十億を財投計画によってどういうものを一体考えているのか、それによって今後の事故発生率というものはどの程度一体減少として考えられるのか、その辺の見解をひとつ聞かしていただきたい。
#48
○政府委員(渡邊健二君) 労働福祉事業団に対しまして二十億の融資、まあ四十七年度予算に計上されておるわけでございますが、これは四十七年度初めて創設が認められました労働安全融資制度の資金になるわけでございます。で、この新しい労働安全融資制度二十億の内訳は、一つは、職場環境改善融資でございまして、これは現在国会で御審議を願っております労働安全衛生法案におきまして、災害多発事業場等に対しましては、行政官庁が改善計画の作成を命じることができるようになっておりまして、その行政官庁の指示によりまして改善計画を実施した事業場に対しまして、その計画の遂行に必要な資金を融資しようというものでございまして、それは二十億のうち十六億をそれに充てる予定にいたしております。残りの四億につきましては健康診断機関整備促進融資と申しまして、これは今度の労働安全衛生法によりまして健康診断を非常に拡充いたしまして、従来よりもさらに、小規模の企業等についても健康診断事務を拡充いたしたわけでございます。そうなりますと、なかなかそういう中小零細企業におきましては、健康診断をスムーズにやることが困難な点もあろうと思うのでございますが、こういう中小零細企業につきましては、巡回健康診断等をやっておる機関がすでにかなりございますので、そういう中小企業向きの健康診断機関の機能を向上いたしますために、そういう健康診断機関が健康診断のために必要な機器等を整備しようというものに対して融資をしよう、こういうのが今回の健康診断機関整備促進融資の内容でございます。
 で、これは以上申しましたように、四十七年度初めて設けられました制度でございますし、労働安全衛生法がもし国会で御承認をいただき成立するならば、それと相まって、その裏づけとしてこれを活用し、災害防止のために十分な効果をあげてまいりたいと、かように考えておりますが、われわれといたしましては、もちろんこれで十分だと考えておるわけではございませんので、今後とも今年度これを嚆矢といたしまして、この安全衛生融資制度を拡充をはかりまして、将来十分の需要に応ずるものにしてきていきたいと、かように考えておるわけでございます。今年ようやく初めて発足いたしますものでありますだけに、いまのところ直ちにこれによってどれだけの災害が減少になるか等々の数字的な推算はまだちょっとわれわれ持っておらないわけでございます。
#49
○戸田菊雄君 これは四十七年三月十三日、一四五一号、財政経済弘報でございますが、これに「各種主要金利一覧表」ということで全部掲載されておるわけです。これの六ページを見ますると、(29)の資金運用部、簡易保険郵便年金資金、これに運用部預託金利率一カ月以上三カ月未満、ずっと七年以上までそれぞれの金利が出ておるわけです。それから貸し出し等に対しても政府会計、政府関係機関(国鉄、公庫、開輸銀、公団)あるいは地方公共団体――長期貸し付け、短期貸し付け、全部金利が出ておるわけです。この前の質問の中で回答をされましたのは、大体貸し出し金利は平均六・五%、それから積み立て金は社会保険の場合については六・一%、こういうことですが、やや合致しておるわけですけれども、そこでどうしても私は財投の貸し出し金利と積み立て金の預託金利ですね、こういうものに利幅があるじゃないか。これが国家間の取引でありますから何らかの金利の態様においてもう少し狭めるという考えがあっていいじゃないか、こういう質問をいたしまして、政務次官のほうからも今後検討いたしますという回答をいただいたわけでありますが、私はそういう面で非常に不合理を感じておるわけですけれども、ことにけさいただいた資料ですから、十分検討はいたしておりません。ただ三枚目ですね、そこを見ますと、「資金運用部預託金の預託利率別内訳」、これをずっと見てまいりますと総体十八兆七百十三億円の財投資金の中でその大部分が六・五%、これなんです。この五・五%以下というのはおおむね少額部分になっておる。この五・五%以下の少額部分についてはどういう一体内容のものか、ちょっと説明していただきたい。
#50
○説明員(福島量一君) 五・五%以下と申しますと、七年未満の預託期間、以下でございますが、先ほど先生御指摘になりましたように、六・五%のものが九五%弱、ほとんど大部分でございますが、五・五%以下のものは具体的にどういうものが入っておるかと申し上げますと、たとえば国有林野事業特別会計特別積立金引当資金といったものとか、あるいはこれは、たとえば簡易保険の積立金の余裕金として簡易保険の余裕金、そういったもの、それから貴金属特別会計の余裕金といったようなものでございまして、各特別会計がさまざまな余裕金、引当金があるわけですが、大体短い期間のものは、その年度を経過いたしますと整理されるような、いわば余裕金といったようなものは、比較的短い預託期間でございまして、あるいは支払い備金的なもの、短期的な支払い備金的なもの、そういったような短い預託期間でありまして、大部分が、先ほど申し上げましたように七年以上の運用になっておる。ただ、これは期限前の解約の場合には、ペナルティーと申しますか、一定の料率を減殺するということは可能でございますから、預託側といたしましては、できるだけ有利に心がけるという意味で、長期に預託してきた金利を、できるだけ有利に運用するということの結果が、九五%程度が七年以上のものになっておるということの大きな原因の一つであろうかと思います。
#51
○戸田菊雄君 政府金融機関の発行されておる経済統計月報、この中身なんかを見ますると、大体五%以下の率のものについては民間のそういう大企業投資、そういうものにいくものが多いんじゃ、ないかという気がいたします。もちろんいろいろ貸し出し内容がそれぞれ財投の計画の中に全部盛り込まれておりますが、どうも私はそういう気がするのですが、そういう理解は持っておりますか。
#52
○説明員(福島量一君) ただいま申し上げましたのは、私ども預かっておる資金に対する、預託金に対する支払い利率でございます。私どもがいわゆる自前で、資金でございますから、毎日毎日運用しなければなりません。そういった中でころがしておりますのは、主として日本銀行から買い入れました国債――長期国債、短期国債でございます。それ以外の先生御指摘になりましたような外部に対するいわゆる財政投融資という形で運用いたしますのは、最低が六・五%でございます。六・五%を割った運用というのはございません。ただ輸出入銀行などが借款などで低利で信用を供与するという場合には六・五%ではまいりませんから、それは一般会計から産投会計に繰り入れまして、産投会計からさらに出資して、その出資金によってその貸し出し金利を低くして貸すというようなことはやっております。運用部から安い金利で貸す、六・五%を割って貸し出すということは、低い金利で貸すということはございません。
#53
○戸田菊雄君 主計局次長に制度上の問題で質問をいたします。
 現下の特別会計全体で、予算説明書の中でもはっきりしておるわけですけれども、総数において四十一種類設定をされているわけですね。四十一種類で非常に多いですね。その基本的な論議はあとで空港特別会計等の問題で質問してまいりたいと思うのですが、予算決算制度要論(平井平治)昭和二十三年第二節特別会計の態様の中の五の保険行政事務特別会計ということで、一応設定の趣旨が述べられているのですが、本則的には国の財政において特別会計制度がとられるということは、国の財政においては単一会計主義がとられ、これに伴い予算の面では総計予算主義の原則がとられている。その理由は予算の通覧に便宜であり、国家全体の財政状態の把握、収支の調整に役立ち、財政の健全性を維持するに不可欠とせられる点にあるが、最近とみにそういう特別会計が乱設されぎみにあるんじゃないかというふうに考えるのですが、その辺の見解はどうですか。
#54
○政府委員(長岡實君) 最近の傾向といたしましては、四十五年度に空港整備特別会計が新たにできておりますけれども、一般的な原則論的な考え方といたしましては、特別会計をそうみだりに増加させるべきではない、かように考えております。ただ、財政法の規定によりましても、国の会計には大きく分けて一般会計と特別会計とがございまして、一般会計の中で、いわばどんぶり勘定的な経理をすることがかえって国民に対する説明その他から申しましても明確でなくなるような場合あるいは特別の資金を区分をして経理をしなければならない場合、特定の歳入で特定の歳出に充てて経理をしていかなければならない場合、いろいろ特別会計が設けられる基準というようなものがあるわけでございますけれども、まあそういう必要性に応じて特別会計が設置されておるわけでございますが、一般的にはこれをみだりにふやすべきではない、また減らせるものならば減らしていくべきであるということで、ただいま御審議をお願いしております労働保険特別会計につきましても、主たる目的は、再々労働省のほうからお答え申し上げておりますように、五人未満の零細企業に対する適用拡大のために、その行政事務の合理化をはかること、あるいは保険料を支払う事業主の便宜をはかることが主たるねらいではございますけれども、これによりまして、特別会計の数が一つ減ったということにもなるわけでございまして、今後とも特別会計をみだりにふやすべきではないという考え方は堅持してまいりたいと考えております。
#55
○戸田菊雄君 端的に見解を述べていただきたいんですが、この特別会計の利害得失といったようなものはどういうふうにお考えですか。
#56
○政府委員(長岡實君) やはり利害得失と申しますよりは、御承知のように一般会計の予算規模もたいへん膨大になっておりますけれども、一般会計予算を国民が見ます場合には、やはりその歳入の大半を占めます国民の税金がいかなる国家目的に配分されていくかということが一番の関心の的であろうかと存じます。それに対しまして、特別会計の場合には、特定の歳入で、そのいわゆる税金以外の特別の歳入で特別の歳出に充てる、たとえば保険事業のようなものは、原則的には保険料によってその保険事業が運営されていくわけでございますから、こういったものを一般会計の中に入れてしまうことはかえって好ましくない、経理上も好ましくございませんし、国民に対する説明上も好ましくないというような点があるわけでございまして、戸田先生御存じでございますけれども、十三条にも「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」という規定がございますので、この財政法の趣旨に沿って、特別会計が設けられておるということだと思います。利害得失的な議論よりは、むしろそういったような必要性に応じて現在の特別会計が設けられておるというふうに考えております。
#57
○戸田菊雄君 最後に、法律の附則の一ですが、「この法律は、公布の日から施行し、昭和四十七年度の予算から適用する。」こういうことになっているわけですね。目下暫定予算ですから、本来ならば四月一日以降ということになるのですが、この暫定とのからみ合いというものはどういうことになるのですか。
#58
○政府委員(長岡實君) 附則の四項でございますが、「この法律の施行前に労災保険特別会計又は失業保険特別会計の昭和四十七年度の暫定予算に基づいてした債務の負担又は支出は、政令で定めるところにより、この会計の労災勘定、失業勘定又は徴収勘定の同年度の予算に基づいてしたものとみなす。」という規定がございます。それから歳入面につきましては五項がございます。債務負担等につきましては六項があるわけでございます。徴収一元化のほうはもうすでに一元化に関する法律によりまして四月一日から一元化をはかられておりますが、これる受けるべき特別会計が、暫定予算の関係で四月一日に間に合っておりませんので、暫定予算期間中は、従来の両特別会計が生きておる。歳入は一般会計が受け入れまして、歳出は従来の両特別会計が経理をいたしまして、この本予算が成立し、またこの法律が通りましたときに、その暫定期間中の歳入歳出の経理が、労働保険特別会計の歳入歳出になるというような、そういうみなし規定を設けておるわけでございます。
#59
○戸田菊雄君 それからもう一つは、この21の沖繩関係ですが、沖繩の返還は五月十五日ですから、いまの5と6の内容等に基づいて、暫定予算等々の適用と同じ内容と理解をしていいんですか、その辺はどうですか。
#60
○政府委員(長岡實君) 沖繩関係は、五月十五日に復帰いたしますので、暫定期間中は関係ないということであろうかと思います。
#61
○戸田菊雄君 具体的にどういう処置で対処するんですかね。この21によりますと、「沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律(昭和四十六年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。」「第三十八条を次のように改める。」「沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法の廃止に伴う労働保険特別会計法の一部改正」。そこで沖繩関係の一部改正法案というものは、これはどこで一体審議され、どの程度いま進行しておるのですか。おそらく私の理解では、社会労働委員会でこれらのものは審議をされるんじゃないかと思うのです。あるいは前段の沖繩特別国会等でこれはさまっておるのかどうか、私の記憶によるとそこまで行っていないじゃないかと思いますが、その辺どうですか、法律的に具体的な対処策はどうなんですか。
#62
○委員長(前田佳都男君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#63
○委員長(前田佳都男君) じゃ速記を起こして。
#64
○戸田菊雄君 それでは労働省のほうにお伺いしますがね。沖繩の失業保険、労災保険における適用状況については、どのようにその実数を掌握されておりますか。労働省関係でひとつ、まあ具体的にいいますと、いままでいただいたような資料の中には本土しかないわけですね。ですから、それを全部沖繩に当てはめた場合にどういう状況になるのか。項目だけ読み上げますが、労働保険の適用事業数の推移、こういうものについてはどういうかっこうになるのか、あるいは現行の教育・調査の事業所等の状況についてはどうなるのか、あるいは業種別労働災害の発生状況、こういうものは一体沖繩ではどうなっているのか、こういう内容について具体的にひとつ説明してください。
#65
○政府委員(藤繩正勝君) ただいま御指摘になりました適用事業数につきましては、現在沖繩に本土と同様の、ごく本土と同じような制度がございますので、当然その適用数はわかっておりますが、ただいま手元に資料がございませんので、後ほど調べまして午後の委員会にでも御説明さしていただきたいと思います。
 それから教育・調査の関係の事業も、これは本土につきまして申し上げれば、前回にお答えしましたように、昭年五十年までに調査、研究をするということになっております。本土に返ってまいりますればその適用があるわけでございます。
 それから業種別の災害の状況につきましてもわかっているはずでございます。ただ手元に資料がございませんので、後刻答弁をさしていただきたいと思います。おそれ入ります。
#66
○戸田菊雄君 それじゃ、それきょうじゅうにできますか。
#67
○政府委員(藤繩正勝君) はい。
#68
○戸田菊雄君 きょうじゅうに出してください。
#69
○政府委員(中原晁君) 失業保険の関係につきましては、ここに手元に資料がございますので、足りない分は後ほど御説明、あるいはお届けしたいと思いますが、一九七一年度の失業保険の概況でございますが、適用事業所数は年度平均で三千三百七十二でございます。それから被保険者は十一万四千二百六十一名でございます。それからどのくらい失業保険をもらっている人がいるかと申しますと、二千二百二十一名が一九七一年の平均でございます。これをちょっと年度別で申しますと、六七年度は千九十四名、六八年度が千四百八十七名、六九年度が千八百十五名、七〇年度が千七百六十九名、七一年度が二千二百二十一名と増加の傾向にあるわけでございます。で、受給率が一・九%というようなことになっております。
#70
○戸田菊雄君 本土復帰に伴って沖繩は非常に深刻な状況に追い込まれるのじゃないかと思うのですね。ですから、確かにいま審議官が説明されましたように、漸次、年次別に見ますると増大の傾向がありますが、復帰後、私は非常に急激にふえてくる要素があるのじゃないかと思うのですが、その辺の見通しはいかがでしょう。
#71
○政府委員(中原晁君) 先生御指摘のとおりでございます。それで、これは昨年の末に成立いたしました沖繩振興開発特別措置法の中に、特に一つの章を設けまして、第六章の中に、職業の安定という章を設けまして、これで、たとえば沖繩の離職者の中でも特にかたまって出る、さらに非常にやむを得ない事情で出てくる、手厚い保護をしなければならないという方の例をあげますと、たとえば法令等の改廃によって出てくる――沖繩のたばこ等は民営でございますが、そういう関係とか、それから各種の関税保護によって保護されている産業が、それが本土並みになることによって経済的な影響を受ける。あるいは基地及び基地関連、これが純然たる基地労務者の場合には、一種、二種、いわゆる駐留軍の離職者の法律で保護されております。それで保護されない、たとえばボーイ、メードでありますとか、その他の基地関連のクリーニング屋さん、花屋さんであるとか、駐留軍に依存している、こういうものは現在、駐留軍の法律の適用を受けませんので、これを沖繩の振興開発法の中に一つの章を設けまして、こういう方々の有効期間三年の求職手帳という制度を設けまして、この手帳をもらった方は、これは年齢の制限なくこの手帳を出すということで、本土で一番手厚い石炭とか、駐留軍の離職者と同じレベルの保護を講じておりまして、こうした者が出た場合のこの就業援護には万全を期するということを考えておりますが、先生御指摘のとおり、離職者を出すのは次善の策でございますので、離職者が出ないように、また出るとしても、どんどん便乗的にたくさん出てこないように時期とかタイミング、その他につきまして十分各種の施策を講じまして、そういう第一に離職者が出てこないようにする。それから出る場合にも、そういう点に十分配慮する。万一出た場合にも、手帳によりまして十全の配慮をしていくということですが、長期的には振興開発計画によりまして、沖繩に安定した雇用をふやしていくという方法によってこの離職者を救済していきたい。
 なお、本土の中には、沖繩に目をつけて、本土のほうに来てもらおうかというような企業もあるようでございますけれども、やはり沖繩が過疎になっては問題でございますので、沖繩の各方面、これは本島、それから先島を含めまして、安定した雇用の機会を増大していく、こういう観点から、この離職者対策に対処してまいりたい。
 失業保険のほうにつきましては、沖繩が返ってまいりますと、全部本土のほうとプールしてまいりますので、先ほどの特別の保護を要する沖繩の振興開発に基づくこれは特別の対策でございますが、失業保険につきましては、本土の全体の、今年度十万三千人ふやしまして、五十六万七千人のワクで御審議いただいておるわけです、これの中に。それから予備費も三百九十億円、これで九万人ぐらい、かなりの雑職者がたとえ出たとしましても、沖繩を含めまして、失業保険の受給者の給付につきましては足りないようなことは絶対ない、こういうふうに確信しております。
#72
○戸田菊雄君 その保険の給付ないし保険料の問題もそうでありますけれども、沖繩の場合はどうしても根底に通貨問題が私は横たわっていると思うんですね。確かに復帰に際して、政府の措置としては、できる限り努力をしたことは私も認めるんですけれども、たとえば公務員等については三百六十円に置きかえてやや整備された、あるいは金融機関については、利子補給もやって一定の資産に余裕を持たしたと、そういう各般の措置をとっていますが、一般の社会保険加盟者、そういう人たちに対しては、まだ何にも施策が行なわれていないわけですから、そういう場合には、基本的に三百六十円レートでいくのか、円切り上げ後の三百八円でいくのか、あるいは実勢相場でいくのか、この辺はいままで実行してきた内容に基づいて実施されるのが私は至当だと思うんですけれども、そういう問題についてはどう考えておられるのか、たとえば給付の問題についても、保険料の問題についても、そういう相違が出てくると思うんですね。法律上は、賃金総額によって保険料率を掛けて保険料というものを取るということになっていますから、もうその点は一向おかまいなく現況に見合わして全部とっていくということになる、あるいは給付についても、どういう状況で六〇%なら六〇%で給付していく、どうしても私はその辺の救済措置が根底になければ、やはり沖繩県民の不安というものは解消されないと思います。そういう点が非常に本土との格差が、アンバランスが非常に広がるという状況が出てくると思うんですけれども、これは一体どう対処していきますか。
#73
○政府委員(長岡實君) 最初に、たいへん時間がかかりまして申しわけございませんでしたが、沖繩に関する附則の説明をまず申し上げまして、それからいまのお答えを申し上げたいと思います。
 現在沖繩と本土との関係でございますけれども、沖繩で失業保険に入っておりまして、保険料を納めておった者が、本土に来て失業した場合とか、あるいは本土の失業保険に加入している者が、沖繩で就職して失業した場合等につきまして、保険金に相当するような給付を行なう仕組みになっております。この規定は、失業保険法の附則に現在入っているわけでございます。それが今度は労働保険に一本化されるわけでございますので、この特別会計で経理をします内容の中に、一応それを、失業保険時代のものをまず持ってこなければいけないわけでございます。それがいま御審議いただいております労働保険特別会計法案の中の附則の十一項、十二項に入っております。これで失保、労災の特別会計が労働保険会計に移行しました場合に、そのような取り扱いを、そのままこの労働保険特別会計が経理するように受け入れておるわけでございます。ところが、五月十五日以降は、先ほど労働省からのお話もございましたように、沖繩においては本土法の適用のもとに入るわけでございまして、こういう十一項、十二項の規定が今度必要でなくなる、本土と一体化するわけでございますから必要でなくなるわけでございます。それを附則の二十一項におきまして、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律が五月十五日から発効いたしまして、法令の整理が行なわれるものですから、この法律の三十八条で、いまの十一項、十二項も落としてしまいます。失業保険特別会計から労働保険特別会計へ移行する間、すなわちこの法律が通りまして五月十五日までの間は、従来のような取り扱いを継続するために附則の十一項、十二項が必要でございますけれども、五月十五日以降は完全に本土法適用のもとに入るわけですから、この十一項、十二項が要らなくなります。それをこの附則の二十一項の関係法令の改廃に関する法律の中で、この十一項、十二項を落とすというのが二十一項の内容でございます。これによって完全にもう五月十五日以降は沖繩においても本土法の適用が行なわれる。もう一度御説明申し上げますか――。
#74
○戸田菊雄君 わかりました。
#75
○政府委員(長岡實君) よろしゅうございましょうか、くどいようでございますけれども、結局現在やっておりますその制度を、失業保険特別会計がなくなりまして、労働保険特別会計になる問題でございますから、それをその附則の十一項、十二項で受けまして、従来と同じような取り扱いをし、かつ労働保険特別会計ができましたあとも、五月十五日以降はこの規定が必要がなくなる、完全に沖繩が本土に復帰いたしまして、本土並みの取り扱いを受けることになるので、この二つの事項の附則を落としますのは、この附則二十一項の関係法令の改廃法の中で落としておる、こういう仕組みになっております。
 それからただいまの沖繩の復帰後支給されます失業保険等はどのような取り扱いを受けるのかという御質問でございますけれども、これは失業保険に限らず、各種の社会保険あるいは年金と申しますか、そういった支給に関係のあることであろうかと存じます。戸田先生、沖繩が復帰すれば、公務員の給与が三百六十円に読みかえられるというふうにおっしゃいましたけれども、私ども国会でお答え申し上げておりますのは、本土復帰に伴って三百六十円で換算した円の金額になるわけではない。本土と同じような学歴、同じような経験年数で計算をいたしまして格づけをいたします。大半のものがほぼ本土並みの公務員給与になるというような御説明を申し上げておるのではないと思います。最近沖繩関係で問題となりました中小企業の賃金読みかえの問題につきましては、私どもは賃金読みかえのために特別の融資を行なうという考え方ではなくて、沖繩が本土復帰で円経済に入りますときの急激な変化のために、経営上相当な摩擦が起きる、そういう摩擦を避けるために、特に中小零細の企業者に対して非常に条件のいい融資を特別に行ないまして、経営の安定と申しますか、経営内容の改善に資するような融資を行ないます。結果的にはそのような融資によって、中小零細企業者も、あるいは従業員の賃金の引き上げが可能になるのではなかろうかという説明を申し上げておるわけでございます。そのような基本的な考え方からいたしますと、各種の年金につきましても、本土復帰に伴いまして直ちに三百六十円読みかえという結論は出ないと思います。ただ、いろいろの保険、失業保険も含めまして各種の保険制度の問題につきましては、いま私が申し上げましたような原則論だけでは、必ずしも割り切れない点があろうかと思いますので、現在は、私どもも含めまして、関係各省が検討いたしておる最中でございます。
#76
○戸田菊雄君 いまの前段の回答については、一応この法律上の関係では理解をするのです。理解をしますけれども、私はいまその条文を持っておりませんが、沖繩居住者等に対する失業保険特別措置法、この廃止については、三十八条を指しているわけですね、本文では。しかし、その内容を見ますと、「失業保険特別会計法(昭和二十二年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。」その「次のように改正する。」のは、十八条削除ということです。十八条を持っていませんから、わかりませんけれども、三十八条を改正する、これだけで法律上一体いいのかどうかということですね。この沖繩の居住者等に対する失業保険特別措置法、この関係はその十八条を削るとなっている。この関係はどうなっているんでしょうか。その辺の見解をひとつ聞かしていただきたい。
 それからもう一つは、やっぱり一番問題なのは、いまの労災保険にしても、失業保険にしても、その対象者は五人未満の零細企業、そういう事業場を対象にして拡大していこうというのですから、沖繩の場合は、私正確な資料を持っておりませんけれども、どうしても日本の本土のパターンが、いわゆる沖繩のパターンじゃないかと思うんですね。どうしてもその面が多い。そういうものに対しては何ら通貨問題に対して善処をされておらないという実情を、そのまま放置して通過するというわけに私はいかないだろうと思う。もちろん基本的な問題等についてはあとでかかってくる振興開発公庫法の中で十分やっていきたいと思うんですけれども、その辺の見解をひとつもう一度聞かしてください。
#77
○政府委員(長岡實君) 沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律の改正の三十八条に「失業保険特別会計法の一部を次のように改正する。」「第十八条を削る。」とございます。その十八条が、先ほど申し上げました、沖繩と本土との間でどっちかの保険に入っておりまして、それがどちらかで失業した場合にも相当給付が行なわれるという規定でございますが、これが沖繩の復帰に伴って必要がなくなる、要するに本土法と一体化するというのが本来の規定でございます。それが、今度は労働保険特別会計ができてまいりますと、これが先ほどの十一項、十二項に移ってまいりまして、四月一日以降労働保険特別会計が、法律も予算も成立して発足しておれば、そのままにしておきまして、との改廃法でこれを削れば、直ちに本土と一体化するということになっておったわけでございますけれども、その間に労働保険特会が現在失業保険特会のままで推移しておりまして、それが一応労働保険特会に移りまして、五月十五日までに沖繩が本土と一体化することになるものでございますから、そこで労働保険特別会計法を改正しまして、いまの附則を落として、そして一体化するというような二段がまえのような規定になっておるわけでございます。
 それからもう一点、ただいまの失業保険の給付等につきまして、本土復帰後どうなるかという問題でございますけれども、まあ現在私どもとしてお答え申し上げられることは、原則論としては、円経済の移行に伴う場合に、いわゆる為替差損に相当する部分をそのまま追加いたしまして、すべてを三百六十円で読みかえて制度が運営されるという結論にはならないのではないかと思いますけれども、まあ現在までに、たとえば中小企業者に対する特別の融資の措置を講ずるとか、そういうような間接的な方法である程度摩擦を減らすような努力はしておるわけでございます。
 年金制度につきましては、やはり制度としては三百六十円を読みかえるという結論にはならないと思いますけれども、まあしかし、戸田先生のおっしゃいますようないろいろの問題もあろうかと思いますので、関係各省と現在鋭意検討しておる、こういう段階でございまして、現段階におきましては、それ以上にお答え申し上げるような結論には到達いたしておりません。
#78
○戸田菊雄君 五月十五日復帰以降の問題等については一応さておきますが、復帰と同時にすぐやらなければいけないのは資産の問題でありますね。この換算をどういうふうに置きかえるのか。あるいは加盟者の保険金の問題がありますね。こういうものをどう置きかえるのか、あるいはいままで沖繩では法律に基づいて処置をやってきたんですけれども、そういうものに対してどういった一体通貨上の取り扱いを全般的にやっていくのか、これは問題になると思うんですよ。いまの政府の態度ですと、そこまで積極的でないように私理解しているわけですけれども、これはしかしできるだけそういう手当てをやっていくべきじゃないか。だから、私がやっていけというのは、具体的には、三百六十円レートでそういうものを置きかえていく必要があるんじゃないかという考えを持つんです。十五日復帰以降の取り扱いいろいろありましょう、これから。もうすでに既存化した保険金給付なり、こういうものがあるわけですから、こういうものを一体どう処置していくか。それはいかがですか。
#79
○政府委員(中原晁君) いま先生の御指摘のように、すでにもらっている人が切りかえる場合どうするか、それからまた、いまあれしている人が、五月十五日直前あるいは直後に受給事由が生じた場合どうなるかということでございますが、そういう方たちの問題も全部含めまして、ただいま大蔵省と鋭意詰めておるわけでございます。実は、きょうもこの委員会がなければ大蔵省と詰めようかという話もしておったのでございますが、先ほど長岡次長が話しましたように、原則的な問題、それから原則ではなかなか律しられないような現実論、こういう点をすべて勘案しまして、先生のお気持ちはよく私どもわかっておりますので、私どもとしましては、そういう実態も十分判断した上で早急に結論を出したい、かように存じます。
#80
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険につきましても、復帰前に給付事由の発生いたしましたものは旧沖繩法に、復帰後に受給事由の発生いたしましたものは本土法によりまして支給をいたすわけでございますが、ただいま先生の御指摘になりましたような、給付の場合の円・ドル等の問題につきまして何らかの考慮をすべきではないかという点につきましては、私どもも関係官庁間でただいま協議をいたしておるところでございまして、まだ結論を得ておらないわけでございますが、われわれとしても先生の御指摘のような点を十分考慮いたしまして、今後関係省と話し合いをしていきたいと思います。
#81
○戸田菊雄君 時期的にはいつごろまでに大体そういう作業を完了する予定ですか。もしその時期的なものがおおむね見当つくなら聞かしていただきたいと思いますし、内容等について、もし決定をされましたら報告をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#82
○政府委員(長岡實君) 何日までというところまではっきりとしためどはございませんけれども、いずれにいたしましても、本土復帰までに一カ月ないわけでございますから、その制度の移行が円滑に行なわれるように準備期間を設けまして、できるだけ早く結論を出したいと思っております。また、結論が出ました場合には御説明を申し上げることは十分考えております。
#83
○多田省吾君 私は最初に、労災保険及び失業保険の適用範囲の拡大の問題についてお尋ねいたします。
 先ほどの御答弁でも、昭和四十六年度末の時点で、労災保険については百二十七万事業場、失業保険につきましては七十四万五千事業場、それから四十七年度末の予定は、それぞれ百四十四万四千並びに九十七万二千、このようにお聞きいたしましたけれども、藤縄官房長から衆議院におきましては、四十七年度末の失業保険の事業所はトータルで百万五千というような御答弁があったんですが、どちらがほんとうなのか。
 それから第二番目といたしまして、将来三年の予定で、しかも昭和五十一年の一月三十一日までに必要な措置を講ずるとありますから、それまでの予定で商業等を含めて事業拡大が全面的に行なわれると思いますが、その場合に、労災保険並びに失業保険のそれぞれどの程度まで適用されるのか。
 この二点をまずお伺いいたします。
#84
○政府委員(藤繩正勝君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、労災保険につきましては四十七年度末までに百四十四万四千、失業保険につきましては九十七万二千の事業場の適用拡大を行ないたい、かように考えているわけでございます。
 なお、四十六年度末の数字を先ほど申し上げましたのは、労災について百二十七万、失業保険について七十四万五千、かような数字でございます。
 なお、前回の委員会で事業所センサスによります全事業場の数字を申し上げておりまして、御指摘の点はあるいはそれかと思いますが、これは失業保険、労災保険の適用ではございませんで、事業所センサスによりますと、四十六年度末に全事業場で二百四十二万二千、五人以上が九十五万八千、五人未満百四十六万四千、かような数字になっておるというわけでございます。問題は強制適用でございますけれども、一〇〇%適用するということがなかなか実際問題としてできないというような観点から、そういうようなところから、適用と、実際の数字との間に若干のズレが生ずるということでございます。
 それから、今後の適用拡大をどうするかということにつきましては、私どもといたしましては、三年程度の目途を持って全面適用を実現したいということでございますが、ただ、先ほどお答え申し上げましたように、昭和四十七年度につきましては、政令を改正いたしまして、製造業、運輸通信業、電気・ガス・水道業、建設業等の適用拡大を行なうことにいたしておりますけれども、四十八年、四十九年、今後どうやっていくかということについては、今後の推移を見て具体的にきめてまいらなければならないというふうに思っております。
 そこで、数字については先ほどごく試算でございますが、ということで申し上げたわけでございますが、五十年度末に、一応、労災について二百三万、失業保険について約百七十万という程度の適用拡大に進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#85
○多田省吾君 ちょっと勘違いしておられるようですが、先ほど私が申し上げましたのは、あげ足取るようでおそれ入りますけれども、衆議院の四月四日の大蔵委員会では、藤縄官房長から、昭和四十七年度末で失業保険についてはトータルで百万五千。五人以上が六十五万九千、五人未満が三十四万六千となっている。ただいま戸田委員のおっしゃったのは九十七万二千。これはどちらがほんとうなのかということをお尋ねしたわけです。
#86
○政府委員(藤繩正勝君) 多田先生から御指摘をいただきまして、まことに恐縮でございますが、確かに、失業保険につきまして百万五千という数字がございまして、それを衆議院でお答えいたしたと思います。いま申し上げましたのは、九十七万二千、若干の食い違いがございますが、なぜ、そういうふうに食い違っているかということでございますが、これは結局、五人未満の事業場の見通しは同じなんでございますが、どういうふうにその把握をしていくかという試算のやり方が幾つかございまして、それによって、実は数字が二通りございまして、たいへん申しわけない数字を申し上げましたが、百万五千――九十七万二千、若干の相違でございます。いずれにしましても、その把握率の、何といいますか、見方、端数の関係で若干出てまいります。いずれにしても百万前後のものを私どもとしてはとらえていきたいということでございます。
#87
○多田省吾君 結局、三年後は、労災保険のほうは、四業種のみならず、商業等も含めまして、さらに、農業、林業・水産業、教育・研究・調査の事業、こういったものも含めまして、二百三万を大体目標にしている。それから失業保険のほうは、農業等三業種が入らないわけですから、これは百七十万と、こういうお答えだと思いますけれども、そういう目標にしては、やっぱり四十七年度適用のものがちょっと少ないような気がするわけでございます。結局、四十九年度末で二百三万といいますと、現在の百二十七万を引きますと、約七十六万ですか、これは三年の予定ですと、平均にすれば大体二十五万ぐらい適用範囲を拡大してもいいんじゃないかと思いますけれども、四十五年度末から四十七年度末の大体増加率は十七万四千ということでありますと、四十八年度、四十九年度末は、相当大幅な拡大をしなければならない。先ほどの御答弁をみましても、本年度の経過を見てからと、あるいは関係審議会等の意見も承りながらやっていきたいということになりますと、ちょっと、この目標の二百三万が四十九年度末にできるかどうか危ぶまれるわけでございます。この適用範囲の拡大ということは、前から強く要望されているところでございますし、どの辺にこの難点があるのか、また、今後の見通しに対して確信があるのかどうかですね、その辺をもう一ぺんはっきりしておきたいと思います。
#88
○政府委員(藤繩正勝君) 見通しから見て、初年度の適用拡大の範囲が低きに失するではないかという御指摘でございますが、四十七年度が仰せのように非常に低い数字になっておりますのは、何せその新しい制度の適用の初年度でございまして、まずもって保険料の一元化ということが、当面、私ども事務的にはなかなかたいへんな作業でございまして、事業関係の職員はもとよりでございますが、事業場の皆さま方のほうに対するPRというようなことも、実はなかなか徹底しないということで、いま鋭意やっておるところでございますが、そういうようなことから、まず、この適用拡大の前に、この保険料の一元的徴収という事務を大きく処理をしなければならないという関係で、私どもは、初年度は実はその辺の事務の事務量を勘案いたしまして、若干低目に押えたわけでございます。先へいきまして徴収の一元化が軌道に乗りますれば、鋭意適用拡大に進めていきたい。特に、零細企業につきましては、通常の適用拡大ではなかなかはかどりませんので、労働保険事務組合というような制度でこれを推進していきたい。そうすれば、そういった組合の設立、開所というようなことも順を追うて拡大していくというようなことから、初年度よりも二年度、三年度目に大きな数字を私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。
 そこで、そうは言っても、はたしてどの程度の自信があるのかというお尋ねでございますが、確かに先生、御懸念なさいますように、私どももこの適用拡大、五人未満の事業場の適用ということは、これはなかなかたいへんな仕事だというふうに思っております。したがいまして、非常にたいへんであったがゆえに二十五年間やらずにきたという経緯だと思いますけれども、二年前に法律が成立をいたしまして、いよいよ、こういう手段でやるということに踏み切った以上は、万難を排しましてこれをなし遂げていきたいというふうに考えておりますので、私どもとしては全力をあげてこの目標数字の確保につとめたいというふうに考えておるわけでございます。
#89
○多田省吾君 それで四十七年度末の事業場の増加の推移というものは、大体二百五十二万一千程度だ、こういうお答えでございますけれども、三年後の四十九年度末で労災保険のほうは二百三万の事業場が適用拡大されるということになりますと、約五十万が取り残される勘定になりますけれども、その場合にこの五十万というものは、三年後においても、三年度以降においても全然考えないのか、漸次やっていかれるのか、またそういう五十万というものはどのような業種で、またどのような内容のものなのか、その辺をひとつお答え願いたい。
#90
○政府委員(藤繩正勝君) 法律上のたてまえは全面適用を実現していくということでございます。そこで私どもは、政令で適用拡大していく業種につきまして、少なくとも三年程度の見通しですべての適用をしていくというつもりでおります。つまり、業種的に例外をつくらないで進めたいというふうに思っております。しかしながら、これはあくまでも、先生御指摘のように、制度上の適用拡大で、実際に具体的に個々の企業をとらまえて適用関係を規定していくということは、これは容易でないわけでございます。特に、実は小売りあるいはサービスといったような分野は、非常に零細な事業場が多いので、労使関係においても必ずしも製造業等のあるいは五人以上の普通の企業のようなはっきりしたものがないというようなことも間々あることでございまして、なかなか実際問題としては適用がむずかしい。そこで、私どもとしては、安全度を見まして、実は慎重な見通しを立てておるというわけで、あくまでも試算でございますということで先ほど申し上げましたようなことで、実は少し固く見ているかもしれませんが、一応の目標としてそのようなものを用意をしておるということでございます。
 なお、これはつけ加えさせていただきますと、制度上の適用拡大が実現いたしました場合は、保険事故がございますと、当該労働者につきましては、それぞれ保険給付がなされるわけでございます。問題は、それに要する保険料をどこまで取り立てることができるかということになります。そこで、もしその間にギャップがありますれば、他の事業場のいわば犠牲において保険給付はなされるということになるわけでございます。そこで、私どもとしては、そのギャップをできるだけ縮める努力をいたしたいということを申し上げているわけでございまして、給付のほうの適用は、拡大が政令上実現すれば直ちに実現していくという性質のものでございます。
#91
○多田省吾君 そういたしますと、四十七年度においては四業種の適用拡大が行なわれる、特に労災保険におきまして昭和四十八年度においてはあとの三業種、卸等の業種、サービス業、農業、この三業種は四十八年度において業種として適用されると考えてよろしいのか。
#92
○政府委員(藤繩正勝君) 先ほどお答えをいたしましたように、わが国としましては、四十七年度につきましては、一つの態度を決定いたしまして、政令で適用拡大をいたしたわけでございますが、あと三年程度の期間で全面的な適用を拡大をしていきたいというわけでございまして、四十八年度あるいは四十九年度にどういうふうに適用拡大をするかという点が、まことに遺憾ながらまだ具体的にここまで、ここまでという年次的な計画は持ち合わしておらないわけでございます。しかしながら、今後この法律の成立によりまして、いよいよ全面的な適用拡大に踏み切るわけでございますから、今後鋭意その辺は検討を続けていく。それからまた関係審議会等にもおはかりして、できるだけ三年の範囲ですみやかに逐次適用拡大を実現したいというふうに思っておるわけでございます。
#93
○多田省吾君 次に、労働保険特別会計の労災勘定、失業勘定、徴収勘定につきまして若干質問いたします。
 労災勘定の中で、四十七年度で労災保険事業に要する費用の一部補助として、一般会計より十八億円の補助金を交付しておりますけれども、前年度、前々年度の額はどのくらいか、また来年度においてはどのくらいを見積っておるのか。
#94
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険の一般会計よりの繰り入れ額は、四十五年度は十七億、四十六年度十七億五千万円、四十七年度は十八億に相なっておるわけでございます。
#95
○多田省吾君 来年度は、大体毎年五千万円ほどふえている勘定でございますけれども、大体そういう傾向でございますか。
#96
○政府委員(長岡實君) 労災保険に対しまする一般会計からの補助十八億円は、その性格が歴史的な意味を持っておりまして、この国庫補助が始まりましたときには、けい肺とか脊損患者といったものに対して相当長期な給付を必要とする、また労災保険自体に年金的な相当長期間にわたる給付制度が確立されている前でありまして、いわば労災保険という制度自体が、事業主の責任において、その事業主の損害賠償能力を担保するための保険であるというたてまえになっておりますけれども、その事業主の責任をこえた分について、国が負担しておったというような考え方で始ったわけでございます。しかしその後、この制度改正によりまして、労災保険自体の中で考えられる事業主責任の範囲も広がりまして、そういう意味におきましてこの十八億円はけい肺、脊損患者のための給付の一部に充てるものであるという性格はすでになくなっておるということは言えるわけでございます。しからばその一体どういう意味を持つものであるかという点でございますけれども、率直に申しましてこの十八億円には、はっきりした積算の根拠と申しますか、あるいは性格的なものが明確になっておるわけではございませんけれども、この労災保険の運営上一般会計からもある程度の補助を行なうということで、先ほど労働省からお答えがございましたような金額で推移をして今日に至っておるわけでございます。来年度以降につきましても、まあどの程度の国庫補助をするかということは、来年度予算の編成の過程においてきまるわけでございますけれども、私どもといたしましては、労災保険の全体の事業の規模なり、あるいはその内容なりを勘案し、かつ長期給付がどの程度行なわれていくかという傾向を勘案しながら、その予算折衝の過程でこの金額をきめていくことになろうと、かように考えております。
#97
○多田省吾君 次に、労災勘定の中で、四十七年度の歳入見込み額が三千六百一億円余ありますけれども、この中で雑収入が七十七億三千万円ほどございます。この雑収入の内訳はどうなっているのか、また歳出の項目を見ますと、施設整備費、保険施設費労働福祉事業団出資とございますけれども、その具体的な内容、その歳出額、どの程度かわかっていらっしゃったら……。
#98
○政府委員(渡邊健二君) 歳入の部の雑収入の内訳は、預託金利子収入が六十九億三千万円余りございますが、公務員宿舎貸し付け料が三千万円、それから小切手支払い未済金収入が三千二百万円、返納金が七千四百万円、雑入が六億六千万円、端数は省略いたしましたが、以上のとおりでございます。
 それから歳出につきましては、保険給付費が千七百四十八億円余りでございます。これは保険法に基づきます保険の給付に充てられる費用でございます。それから業務取扱費が八十二億ございます。これは労災保険の運営に当たりますいわば事務費でございます。それから施設整備費。労災保険の業務に当たります庁舎等の整備に要する費用でございます。これが七億一千四百万円でございます。それから保険施設費が四十六億一千八百万円になっております。これは、労災保険法におきまして保険給付とともに労働者の福祉のための保険施設を行なうことが労災保険事業の内容として定められておりますので、それによります保険施設の費用でございます。それから労働福祉事業団出資金が四十九億でございます。これは、御承知と存じますが、労働福祉事業団法というものに基づきまして労働福祉事業団というものが設けられております。これは、労災保険の保険施設といたしまして、労災病院あるいはそれに伴いますところの看護学院であるとか、あるいはリハビリテーション関係の施設等々の運営に当たっておる団体でございますが、この団体に出資をいたしまして、さらにその団体が運営する施設を充実していくための費用でございます。そのほかに他勘定への繰り入れが八十二億九千二百万円ほどございます。残りの千五百八十五億ほどは予備費に相なっておるわけでございます。
#99
○多田省吾君 次に、失業勘定の歳入の中で、運用収入が二百四十三億円見込まれておりますけれども、この内容について。
 それから第二点は、歳出のほうで雇用促進事業団出資として二百八十三億円を充当しておりますが、この内容と、今日までの事業経過、実績。
 それから第三番目に、保険施設費八百億円の歳出見込みの執行計画について、大綱おっしゃってください。
#100
○政府委員(中原晁君) 御質問は三点にわたっておると思いますが、第一点の、失業勘定の歳入の中に二百四十三億円の運用収入というものが先生御指摘のとおり見込まれております。これは、現行の失業保険特会法、これの十三条におきまして、決算上剰余が生じましたときは、これを積み立て金として積み立てなければならないという規定がございます。それから、十四条におきまして、この積み立て金は、資金運用部に預託しまして、これを運用するということになっておりまして、その運用収入の二百四十三億というものは、三千九百九十三億四千九百万円という資金運用部に対しまする預託金を、運用原資として生ずる利子収入でございまして、これは先日――昨日ですか――もお話が出ましたけれども、大半のものが六分五厘の利子で、七年ものということでこの利子があがっておるわけでございます。
 それから、第二点の、雇用促進事業団に対して二百八十三億の出資金がある、が、どういうような事業をやっておるか、それから、いままでの実績といいますか、これのお尋ねでございますが、この二百八十三億の内訳としましては、職業安定局の関係と職業訓練局の関係と大きく分かれますが、二百八十三億のうち二百三十三億が職業安定局の関係でございまして、そのおもなものを申し上げますと、一番大きなものが移転就職者用宿舎でございます。これは例年一万戸のペースでございますが、四十七年度におきましても一万戸ということで、百七十五億円余りを予定しております。
 それから中小企業の福祉施設。これが四十三億でございますが、これにつきましては、中小企業に働く労働者の福祉増進のための各種施設でございますが、その内訳を申しますと、五つほどに分かれておりますが、第一番が勤労青少年センター。これが約二十一億でございます。これは現在、中野の駅前に建設中でございますが、二十一階建ての全国の働く勤労青少年のメッカということでセンターを建てておりますが、これはもう土地の手当てを終わりまして、建物等につきまして最終年度二十一億、これが予定されております。
 それから、勤労総合福祉センターにつきましては、これは開発拠点地域の労働者の福祉のためのものでございますが、十五億円。これは全部で五カ所でございます。
 それから勤労青少年体育施設。これは体育館とかプール等でございますが、四億五千万円ということで、これは一カ所三千万円で十五カ所。
 それから共同福祉施設。これが二億八千万円でございまして、六カ所でございますが、これは中小企業集団の労働者の福祉のための施設でございます。
 それから次に、簡易宿泊所というものがございますが、これは日雇い労働者の宿泊等の施設でございまして一億八千万円。四カ所。
 次に、港湾労働者の福祉センターというものがございますが、これは港湾労働者の福祉の増進のための施設でございまして、四カ所で三億円。
 次に、各種相談等の施設でございますが、相談関係の施設。これも数種類ございますが、五億三千万円組んでおります。その内訳を申し上げますると、特別地区労働福祉センターというのがございます。これは神奈川県の、横浜の曙町に、大阪の愛隣地区と同じように、労働市場の近代化と日雇い労働者の福祉をあわせ行なうという意味で、一億九千万円の施設を一カ所予定しておるわけでございます。
 それから、季節的移動労働者、いわゆる出かせぎでございますが、この福祉センターを今年度三カ所新たにつくることに相なっておるわけでございます。
 それから心身障害者の職業センター。これが四千万円でございますが、今度は大阪につくる。東京、名古屋には、いま、もうあります。つくっております。
 それから、出かせぎの援護相談所、就職の援護センター等がありますが、これは本年度はございません。現在、すでにつくり終わっております。
 それから勤労者財産形成促進事業。これは今年度五億円でございますが、これは勤労者の財産形成に要するところのファンドでございます。
 以上が、大体、職業安定局関係その他でございます。
 次に、職業訓練局の関係にまいりますると、四十九億六千七百万円ほどでございますが、大きく言いますと三つに分かれまして、総合高等職業訓練校、これが二十九億六千七百万円。これは四校でございまして、そのうちの一校は土地の購入費でございます。
 それから、職業訓練大学校というのが、現在、小平にございますが、これが近く相模原に引っ越すことになっておりまして、現在、工事中でございますが、土地を四十四年度、四十五年度で手当てしまして、四十七年度は機械五億円を含めまして二十億円ということでございます。これで、四十六年度、四十七年度で職業訓練大学校の主たる施設を終わるわけでございます。
 以上、合計いたしまして、四十七年度におきまして二百八十三億三千九十三万六千円ということに相なっております。
 それから四十六年度までの予算の概況でございますが、これは合計申しまして、雇用促進事業団が三十六年にできましてからの合計が、これは四十七年度の分は入れておりませんが、千二百七十七億六千四百四十三万二千円ということでございまして、そのおもなものを申し上げますと、移転就職者用宿舎七万八千八百十八戸で、一千六十五億五千二百二十九万円。
 中小企業福祉施設が百六十六億三千五百七十六万円。これは先ほど申しましたように、各種五種類に分かれております。合計しまして百六十六億でございます。
 それから簡易宿泊所につきましては、これは日雇い労働者の宿泊でございますが、去年までは三十六カ所で十五億円。
 それから港湾労働者福祉センターにつきましては、二十九カ所で十六億円。
 それから各種相談等施設につきましては、いろいろありますが、合計しまして六億五千五百六十三万円。
 それから出稼援護相談所というのが五カ所ございまして、東京ほか出稼ぎの多いところにございまして一億九千八百四十万円。
 それから沖繩に就職援護センターというのをつくりました。四十六年度につくりましたが、これが五千万というようなことでございます。
 それから職業訓練局関係にまいりますると、いままで職業訓練局関係では二百四十八億五千百万円余りとなっております。
 総合高等訓練校が八十八校、百九十六億六千七百万円。
 それから職業訓練大学校につきましては四十二億五千二百六十四万円。
 それから中央技能センターというのが千葉にございますが、その九億三千万円。
 以上合わせまして千五百二十六億一千五百六十二万五千円。これが安定局と訓練局を合わせまして四十六年度までの実績でございます。
 それからだいぶ長くなって恐縮でございますが、最後の第三番目の御質問でございますが、保険施設費八百億円の歳出見込みの執行計画はどうなっておるか、こういう御質問でございますが、これにつきましては、この八百億円の大半は就職支度金等の福祉施設給付金でございます。すなわち失業保険受給者の就職を促進し、かつ早く就職した人に対していろいろ身支度をととのえるお金を差し上げるという就職支度金、今年度これ六万人ほど見込んでおりますが、これに要する経費が大半でございまして、六百七十九億一千万円、これが大半でございます。
  〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
 あとその他は、雇用促進事業団に対する交付金、これが百一億二千万円。
 職業訓練校設備整備費等の補助金が十一億八千百万円というふうなことでございます。
#101
○多田省吾君 先ほどの労災勘定の中で、雑収入の内容といたしまして一番大きかった預託金利子収入六十九億三千四百万円、資金運用部の預託金利子収入でございますけれども、もちろんこの財投の協力資金として余剰金を預託運用してもいいということは、法の第八条及び第十四条に規定されておりますから特に問題はありませんが、この総額をはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
 それからこの労災保険の余剰金はどのように運用されているのか、伺いたい。
#102
○政府委員(渡邊健二君) いま資金運用部に預託しております額は一千三百六億円ということで、四十七年度予定をいたしておるわけでございます。で、この労災保険の現金の余裕と申しますのは、これは労災保険はすでに業務上の災害が発生しておる、今後にわたってある程度長期間給付をしなければならぬものが現在あるわけでございますので、そういう支払いに充てるための一種の支払い備金に当たるわけでございまして、いますぐにはこれは払わなくていい。そういう意味では、現金も余裕があることになりますので、労災保険特会法の八条に基づきまして、預金部資金に預託をいたしまして、先ほど申し上げましたような額、それぞれ約定期限が一年未満のものから七年までのものがございまして、それに応じまして三分五厘から六分五厘までの利子が入るわけでございます。それが預託金利子収入として先ほど申し上げました額に相なるわけでございます。
#103
○多田省吾君 この資金運用部の預託額、昭和四十六年度末の、きょういただきましたけれども、全体の昭和四十六年度の預託残高は、失保特会、労災特会合わせて四千四百九十三億円となっておりますが、四十七年度の見積もりは大体どの程度でありますか。
#104
○説明員(福島量一君) 四十六年度末の労災特会からの預託金は、そこの表に書いてございますが、八百八十億円でございます。従来私ども来年度の見通しといたしましては、労災特会につきましては原資の引き当て金といたしましては百二十億円程度を見込んでおります。それから失保特会につきましては、これはなかなか予測がつきませんので、私ども来年度の見込みは特に計上しておりません。
#105
○多田省吾君 先ほども戸田委員から資金運用部資金の運用につきましていろいろ質問があったわけでございますが、私も前々からこの委員会において資金運用部資金十八兆円の使い道につきまして質問をいたしました。先ほども生活関係に大体財投の中で五八%程度を使っておるというお話でございましたけれども、この内容をこまかく見てみますと、生活関係の予算の中にも、やはり産業投資と見られるようなお金がだいぶ入っておりますし、やはりわれわれから見る計算は違ってくるわけです。本来財投資金の内容から見まして、厚生年金、国民年金あるいは郵便貯金等がほぼ大勢を占めておりまして、そういう産業投資をしますと、どうしてもそれによって高度成長また物価の値上がりも惹起する。そして国民福祉、社会保障等にはあまり使われていないところに大きな疑問が持たれておる。そういう意味で、私もひとつ資料要求として、詳しい財投の内容を個々に至るまで出していただきたいと思います。
#106
○説明員(福島量一君) ただいまの先生の御要求の、個々に至るまでというのは、具体的にはどういう趣旨の――各機関別と申しますか、こういうふうに整理したらよろしゅうございましょうか。使途別の意味でございますか。振り向けられた資金の使途別に個々にという意味でございますか。
#107
○多田省吾君 そういう意味です。
#108
○理事(柴田栄君) よろしゅうございますね。
#109
○説明員(福島量一君) では準備さしていただきます。
#110
○多田省吾君 労災勘定の予備費を見ますと千五百八十五億円、総額の四割近い額が見込まれておりますけれども、別途歳出のほうには、保険給付等の歳出額が計上されております。予見しがたい予算の不足に充当するといいながら、これはあまりにも巨額の予備費ではないかと思いますが、この点はどうですか。
#111
○政府委員(渡邊健二君) 予備費という額で申しますと、総額の四割近い額で非常に多いのではないかという御疑念をお持ちになりますことはもっともと思うわけでございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたとおり、労災保険と申しますのは、業務上の負傷、疾病あるいは死亡等がございますと、それに応じまして給付をいたします。療養中の人でございますとなおるまで療養費を払い、あるいは休業期間中は休業補償をやる。なおられたあとに障害が残れば、なおられた時点でその障害の度に応じて障害の補償をいたしますが、障害の補償の中でも非常に重度の、労働能力の喪失が著しい方は年金ということで長く給付をいたします。それから遺族補償につきましても、大部分の方は遺族年金ということで、年金の給付に相なるわけでございます。したがいまして、すでに起きております業務上の負傷、疾病、死亡といったような保険事故に対します給付が今後長きにわたる。そういう今後長きにわたります、翌年度以降における保険給付に充てるための支払い備金に充てるものを予備費ということで計上をしておるわけでございます。
#112
○多田省吾君 労災保険の長期傷病補償給付というものは、療養開始後三年間を経過してなお全治しない場合は療養補償給付、休業補償給付にかえて年金が支給されることになっておりますけれども、その場合、給与の六〇%の年金が出されることになっておりますが、この年金の場合に、スライド規定がありまして、賃金水準が二〇%をこえる場合に変動率にスライドして年金額を引き上げることになっておりますけれども、この場合、変動率をもっと小刻みにしてスライドシステムを変更したほうがよろしいと思いますけれども、これはどのように考えておりますか。
#113
○政府委員(渡邊健二君) 先生いまお話のごとく、現在の制度は二〇%刻みのスライド制に相なっておるわけでございます。これは、労災保険と申しますのは、基本的には基準法に、業務上の災害に労働者がかかりました場合の災害補償という補償がございまして、それを保険するということから発足いたしました制度でございます。したがいまして、労災保険の給付につきましては、基準法上の災害補償との関連というものが一方にあるわけでございます。で、先生いまお話の長期傷病者補償と申しますのは、基準法上で申しますと、三年たってなおらない方々のは打ち切り補償ということで、一時金を払って打ち切りになってしまうものを、保険のほうでは三年で打ち切ったのでは、労働者の保護に十分でないということで、長期傷病者補償ということで年金制度にいたしましたわけでございますが、これはやはり平均賃金の六〇%ということで、三年までの間の休業補償に見合うものを、三年後は年金という形で出すわけでございますが、三年までの療養期間中の休業補償につきましては、基準法で、二〇%刻みの、これはやはりスライド制が基準法上設けられておりますので、それとの関連もございまして、三年後の長期傷病補償の年金になりましたものも、二〇%刻みのスライド制ということに相なっております。
 なお、それからこの年金のスライド制につきましては、他の社会保険とのいろいろな関係もあるわけでございまして、日本の現在では他の社会保険にはスライド制というのはない、労災独自の制度でございますが、他の社会保険につきましても、長期にわたる年金等についてはスライドをすべきではないかというような議論もございます。したがって、そういうものをひっくるめて、この年金のスライド制ということを検討するという問題も別途ございまして、現在公的年金制度調整連絡会議というものを政府で設けまして、社会保険全体のそういうような問題を検討しておるところでございます。したがいまして、労災の年金の二〇%刻みのスライド制につきましては、ただいま申しましたような基準法上の休業補償のスライド制との関係、あるいは公的年金全体の中のスライド制の問題との関連等もございますので、それらいろいろの関連を考えながら今後検討することにいたしたいと、かように考えておるところでございます。
#114
○多田省吾君 いまお答えがありましたように、公的年金制度調整連絡会議というものが総理府に設置されましてからもう数年たっているのですけれども、中間答申さえ出ておりません。しかも、労災時の賃金から六〇%と低く押えられておりまして、傷がなおらないという段階で両方――療養給付とともに六〇%の年金に移行するというお気の毒な療養生活者に対しましては、何としてもこの給付率を引き上げてやる必要があるのじゃないかと、このように考えますけれども、その点はどう考えておりますか。
#115
○政府委員(渡邊健二君) 業務上災害にあわれました方々の補償をできるだけ引き上げるべきだ、そういう意味において労災保険の給付の改善をはかるべきだという御趣旨はまことにごもっともだとわれわれも考え、そのように努力をいたし、そのためにこれまでも労災保険の給付改善につきましては、三十年以降数度にわたりまして法律の改正をいたし、改善をはかっておるところでございます。現在の労災保険の給付につきましては、ただいま先生御指摘の、休業補償あるいは長期傷病者の場合の年金等、平均賃金の六〇%という率等も含めまして、一応これは国際水準と相なっておりますILOの業務上災害の補償に関します百二十一号条約等の水準にも達しておるわけでございまして、私ども国際的に見て、そう見劣りのするものではない、かように考えておるわけでございます。しかしながら、業務上の災害にあわれましたような方の補償というものは、できるだけ手厚く、できることならしてあげるべきであるという点は、われわれもそのように考えておるわけでございまして、その意味では今後とも給付の改善について検討してまいりたいと考えておりますが、先ほども申し上げましたごとく、労災保険の保険給付の内容というものは、労働基準法の災害補償というものとの関連もあるわけでございます。で、現在労働基準法の内容につきましては、すでに制定後四分の一世紀もたっておって、そのままでいいのかどうかという問題もございまして、それらを一昨年以来労働基準法研究会という学識経験者の方々のお集まりにも検討をお願いし、問題点の指摘と、それについての御意見も承っておるところでありまして、逐次それについての御意見も出され、安全衛生だとか、あるいは労働時間、休日休暇制等については、すでに意見が出されておりますが、その他残った問題につきましても、引き続き御検討が続けられておりまして、この災害補償の問題もただいま検討の対象になっておりますので、それらの御検討の結果、基準法上の災害補償についての改善等の御意見が出てまいりますれば、それと労災保険との関連等を勘案いたしながら、今後労災保険の給付の引き上げについて検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#116
○多田省吾君 次にお尋ねしたいのは、一昨日も論議されましたけれども、いわゆる通勤途上の災害でございます。ILO百二十一号条約でも、労災に、通勤途上の災害を含むという解釈もあります。また通勤災害も労災給付の対象としている国はもう西ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、ベルギー、オーストリア、フィンランド、ソ連など、約三十数カ国に及んでいるわけでございます。特に最近、わが国の通勤途上の災害というものは非常に増加しております。で、各種の生命保険も交通災害というものを二倍、三倍の支払い額にしている現状です。このように、通勤途上の災害を労災に含めるかどうかということは、勤労者にとってこれは重大な問題であります。で、非常にいままでの政府答弁は消極的でございます。このように、主要な先進国がほとんど何らかの形で通勤災害を労災扱いにしている現状にかんがみまして、わが国も早急に必要な国内法の手直しを行ないまして、一日も早くこの条約の批准にもっていくべきであると思いますけれども、どう考えているか。特に通勤災害の統計数をとっているかどうか、その辺をひとつ全体の労働災害の統計から比較しておっしゃっていただきたい。
#117
○政府委員(渡邊健二君) ILOの百二十一号条約におきましては、業務上災害の定義の中に、通勤途上の災害を労働災害とみなす条件を含めろという規定がございまして、まあこれをどういうふうに解釈するか問題があるわけでございますが、すべて労働災害としろということまでいっているとは思われないのでございますが、ともかく通勤途上の災害のあるものは、労災、業務上の災害の中に含まれるのだという考え方にあるであろうというふうに考えられるわけでございます。現在わが国の労災保険法上で申しますと、たとえて申しますれば、使用者が指定をいたしました通勤バスで通勤することが従業員に義務づけられているといったような場合、あるいは急に、緊急に早出を命じられて急遽呼び出されて出勤する途上に災害があったというような場合等々、使用者の管理下で、通勤途上ではあるが、使用者の管理下にすでに入っておったと見られるようなものは、これは通勤途上の災害でありましても、業務上の災害としてわれわれ保険給付の対象にいたしているわけでございます。しかしながら、そうでない一般の通勤途上災害、これは確かに業務と密接な関連はございますけれども、まだ通勤途上という場合には、使用者の管理下には入ってない、そういう意味で、使用者の管理下に入って業務につく前段階における災害であると、こういう考え方で、そういう一般の通勤途上災害を業務上の災害とはしておらないわけでございます。で、しかしながら、先生もおっしゃいましたように、最近のわが国の交通事情、それに伴う交通災害の多発、こういう関連におきまして、通勤途上におきまして、まあ主として交通災害にあわれる例というものが非常にふえておりまして、これをこのままでいいのかどうかという点は、世上いろいろ問題になっていることはわれわれも十分に承知をいたしているわけでございます。
 そこで、一昨年、通勤途上災害調査会というものを設けまして、通勤途上災害をどう取り扱うべきかという点について御検討を願っておるわけでございます。で、現在までの御審議におきまして、通勤途上災害が、先ほど申しましたように、現在までのところ一般的には業務上災害とされておらない、したがって、そういう災害にあわれた労働者は、健康保険等によって保護を受けられることに相なっておるわけでございますが、こういう現在の保護では、必ずしも十分でない。もっと保護を、最近の交通事情等にかんがみて手厚くする必要があるという点につきましては、同調査会の労使、公益の方々が大体すでに意見は一致されておるわけでございますが、その給付内容をどうするか、あるいはその費用負担をどうするかといったような点につきましては、労使の間になお意見の一致を見るに至っておりませんで、現在公益委員の方が中心になりまして、両者の歩み寄りをいろいろはかっておられるわけでございます。私どもといたしましては、同調査会がそう遠くないうちに見解をまとめられまして、御意見をお出しいただくものと期待をいたしておりますので、同調査会から御意見が示されますならば、その意見を尊重いたしまして、必要な措置をとってまいりたいと、かように考えております。
 なお、先生から通勤災害の発生状況、統計的にどうなっているかという御質問でございましたが、これにつきましては、昭和四十五年に労働省で通勤途上の災害調査というのを実施いたしております。これは製造業で、常用労働者三十人以上雇用する事業場につきまして、四十五年の七月から九月までの三カ月間に、労働者が住居と事業場との間を通勤するために行動していた際にこうむった災害であって、休業一日以上のものを調査いたしましたものがございます。それによりますと、災害の発生率は千人当たり一・〇六、いわゆる千人率で申しますと一・〇六でございまして、その期間に発生いたしました労働災害の発生率、すなわち五・四九に比べますと、その約一九%程度に当たっているわけでございます。で、この発生率を単純に年間の率に換算いたしますと、四・二四となりまして、一年間に労働者千人につきまして四人強でございますが、通勤途上で一日以上の休業を要するような災害をこうむることに相なるわけでございます。で、これを四十一年の調査等から見ますと、同じ、最初に申しました三カ月間の調査で見ますると、四十一年当時は〇・九九でありましたのが、一・〇六というふうに増加をしておることから見ましても、四十一年当時から見ますと、やはり交通事情の状況等からいたしまして、徐々に通勤途上災害がふえているということもうかがわれるわけでございます。
#118
○多田省吾君 まあいまお答えにもありましたように、使用者の管理下にあるような通勤途上の災害について補償しているということでございますが、そういった国もイギリスをはじめ十カ国足らずあるわけでございます。それから全然通勤災害に対する給付を定めない国、インドをはじめ四カ国ぐらい、これはむしろ少ないほうでございまして、先ほど申しましたように、全面的に通勤災害を労災給付の対象にしておる国というのは、先進国は三十数カ国やっているわけですから、わが国も早急にそれをやるべきであろう、このように思うわけです。これはもう当局に強く要望するものでございます。
 最後に、最近著しい工業化と技術革新によって、かつて特定の産業に限られていた化学物質の使用が、全産業に広がることによって、神経障害あるいは新たな形の疾病が激増しているわけです。現行では労災補償を受けるためには、労働者が業務上であることを立証しなければならないわけですが、これを法改正して、公害無過失賠償責任制と同じように、使用者と労働基準局が、業務外であることを立証しない限りは、業務上とするという方向に改めていくべきであると思いますけれども、まあこれは衆議院なんかでも論ぜられておりますが、どう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。特に最近はPCB公害なんかも非常に広がっているようでございます。カネミ油症事件なんかに見られるように、これはもう相当な障害である。この点はどう考えているのか、ひとつ御答弁を願いたい。
#119
○政府委員(渡邊健二君) 先生御指摘のように、最近、産業の技術革新に伴いまして、新しい生産方法や新しい物質の使用等に伴って、いろいろな新しい形の業務上災害あるいは職業病等が多数発生いたしておりますことは、われわれまことに残念に思っているところでございます。で、これらに対します業務上災害としての取り扱いでございますが、これは業務に起因いたしまして発生いたしました災害あるいは疾病ということになりますれば、これはやはり基準法上、したがって、労災保険法上も使用者の無過失責任でございまして、使用者が過失があろうとなかろうと、その災害、疾病が業務に起因したものであれば、業務上の負傷、疾病事故ということで、労災保険あるいは保険の適用のないものは基準法上で補償がなされるわけでございます。しかし、それはあくまでも業務に起因したものであることが必要でございまして、基準法上は、業務に起因したものに対して使用者が補償をいたしませんと、罰則をもって使用者は処分を受ける、このように相なっております関係からも、そういうものが、業務に起因したというものであることが、業務上災害については当然要件になるわけでございます。で、しかしながら、その点について労働者側がなかなか業務に起因したものであるという、ことの立証が困難ではないかという御趣旨もあろうと思うのでございますが、これにつきましては、労働者のほうから一応それが業務上のこういう理由によってかかったんだということを申請をしていただきますと、労働者の立証だけでそれを判断しているわけではなしに、必要な場合には基準監督機関が必要な調査をいたしまして、業務上であるのかいなかということを認定いたしまして、保険給付等も決定をいたしておるわけでございます。したがいまして、労働者の立証が十分でない場合にも、行政官庁のほうの調査によって業務上とされる場合も多々あるわけでございます。
 それから、先生御指摘の職業病というふうな場合にはその認定がむずかしい。したがって、労働者のほうで立証が困難であるという点の御指摘であろうと思いますが、こういう点につきましては、基準法に基づきまして、業務上の疾病とされるものを施行規則に列記してございまして、そういうものは一応業務に起因する疾病である、いわゆる俗に職業病といいますか、列記してありますが、したがって、それの原因、いかような業務に従事しておっても、その基準法施行規則に列記されました疾病にかかりますと、一応は業務上の疾病という推定をされるわけでございます。さらに、その業務上の疾病であるかどうかという病気の判断等につきましても、いろいろ問題がございますので、それにつきましては、われわれ行政の取り扱いといたしまして、医学界のそれぞれの専門家の御意見を伺って、認定基準というものを定めておりまして、それぞれの、中毒といたしますと、どういう症状、どういう検査結果が出ればそれは何々の中毒であるという認定基準というものを定めまして、それによって統一的な認定の取り扱いをいたしておるわけでございます。したがいまして、この労災の診断、治療に当たられますいわゆる労災指定医などは、大体この認定基準を承知しておられるわけでございますから、労働者からそういう業務上の疾病だとして診断を求められたような場合には、認定基準で定められましたいろいろな検査をいたしまして、検査の資料等を添えて保険給付の申請がなされますので、それによりまして認定基準に合っているかどうかということで、基準監督署で業務障害の認定をすることになっておりますので、一般に考えられますほど、それほど業務上の認定に際しまして、労働者の立証が困難であるために、なかなか保険給付が受けられないということはないわけでございまして、年間に約百六十五万人が新たに保険給付、業務上の負傷、疾病、死亡などで受けているような状況でございまして、大体そう困難なしに一般には労働者は労災保険によりまして保険給付を受けられるような状態に相なったわけでございます。今後ともわれわれこれらの認定基準の明確化あるいは労働者の立証が不十分な場合における監督署からの積極的な調査あるいは専門家の認定等々の手段によりまして、適切な業務内の認定が行なわれる、労働者が不利におちいることのないように運用してまいりたいと、かように考えているところでございます。
#120
○多田省吾君 関連しまして、最後に、労働安全衛生法案が二月十五日に閣議決定いたしまして、いま社労委員会に付託されておりますけれども、ちょっとおそすぎるんじゃないかということですね。それから、これが成立しても、二重行政になるおそれがあるんじゃないかというふうな心配。それから、今度の四十七年度予算でも、労働省の安全衛生関係予算というものが、中小企業への融資二十億円を含めてもわずか四十億円だ。ですから、法律はつくったが、政令とか執行体制では骨抜きになって何もないということも言われております。そういう点に関してどういう覚悟を持って今後やっていこうとなさるのか、その辺をお伺いしたい。また、この労働安全衛生法案と、それから本特別会計法案との関連性についてどういうお考えを持っているかお伺いしたい。
#121
○政府委員(渡邊健二君) 労働災害が多数発生いたしまして、労働者の生命、身体がそこなわれておりますことは、われわれきわめて心を痛めているところでございまして、労働災害防止は、労働行政の最重点といたしまして、われわれもこれまで努力してまいったところでございます。しかしながら、三十年以降、技術革新というものが非常に進み、経済成長が非常に進んでまいった、そういう中で、いろいろ新しい製造方法あるいは工法等がどんどん入ってくる、あるいは新しい化学物質その他のいろいろな物質が使用されるようになるというようなことで、いままでなかったような新たな大型の災害、新たな職業病というものがふえておるわけでございます。そのために、そういうものに対処いたしますために、いろいろ努力をわれわれいたしておったわけでございます。基準法を中心といたしますこれまでの予防体制では、いろいろの面で十分でない点がだんだんと出てきております。たとえて申しますと、基準法は直接使用者、雇用関係を前提といたしまして、最低労働基準を設定いたしまして、それを順守させることによって事故を防止しよう、こういうのが従来の基準体系の中心にするたてまえでございますが、たとえていいますと、建設業で最近は数社が共同してジョイントベンチャーというようなことで工事を行なう、あるいは元請、下請、孫請、曽孫請というような複雑な関係の中で、同一場所で作業が行なわれるといったようなことになりますと、直接の雇用関係、雇用関係だけを規制いたしましても、非常に複雑なそういう関係の中で、十分な統一的な災害防止対策がとれないといったような面、あるいは直接の雇用関係以外の製造、流通段階等々からくる災害というものがありまして、それは直接の雇用関係だけの規制では十分でないという点から、そういう技術革新がどんどん進んでおります結果、最低基準を設定して、それを守らせるだけでは十分でない、さらにいろいろよりよい環境の設定だとか、技術上の指針だとか、そういったような指導行政を加えないと、災害防止に十分でない等々の点が感じられましたので、これまでの基準法を中心といたしました災害防止体制では十分でないということで、いろいろ検討の結果、今回基準法から、関係の条項を抜き出しまして、さらに最近の産業事情等に即応いたしました、先ほどから申しております直接の雇用関係以外の面における製造、流通段階等々につきましての規制、あるいは最低基準の設定を上回るいろいろな指導助長行政、そういうようなものを含めまして、労働安全衛生法といたしまして、総合的な立法ということで今国会に御審議をお願いいたしておるところでございます。で、そういう立法をしても、いろいろ予算等が必ずしも十分でなくて、仏をつくっても魂が入っておらないのではないかという御意見でございます。まあ、われわれこれで一〇〇%十分だということは申しませんけれども、今年度の予算におきましては、従来なかったような、いろいろ施行法で予算措置として含まれておるわけでございまして、一つ二つ例を申し上げますと、新しい労働安全衛生法では、安全衛生教育の設定ということを非常に強く規定をいたしておりますが、それを受けまして、労働安全衛生教育の充実のために、労働安全教育センターというものを今度実施して、職長教育等々の安全教育を十分徹底していこう、こういう考え方で、そのためのセンター設置費といたしまして、三億円というものが本年新たに計上されておりますし、あるいは今度の労働安全衛生法案では、健康診断の徹底ということを非常に強調いたしておりますが、この健康診断推進のために、健康診断機関に対する助成金あるいは企業を離職した後における健康管理のための健康管理手帳制度の実施等々のために一億円余りの、一億一千六百万円ほどの新しい予算も計上されております。その他災害防止指導用の計測器等の整備、あるいは危険有害設備計画の事前審査等、新しい労働安全衛生法で規定されます事項に対応いたします新たな予算が入っておりますし、先生が例にあげられましたように、初めて安全衛生融資制度、二十億円というものが四十七年度予算では計上されまして、特に中小企業等を中心にいたしまして、安全衛生向上のためにいろいろな設備改善等々を行なったり、あるいは健康診断機関の健康診断のための機器の整備をはかるために必要な融資制度を設けるというような予算も入っておるわけでございまして、私どもといたしましては、今年度はかなり従来から比較いたしますと、それなりの予算の充実は見たと考えております。今後とも一そうこういう面の予算の充実をはかりまして、労働安全衛生法案の趣旨が今後実施面で十分生かされるように努力したいと考えております。
#122
○理事(柴田栄君) 午後二時二十分から再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十二分開会
#123
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働保険特別会計法案、空港整備特別会計法の一部を改正する法律案及び沖繩振興開発金融公庫法案、以上三案を便宜一括して議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#124
○栗林卓司君 最初に、事務的な問題について若干お伺いしたいと思います。
  〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
 徴収の一元化については、事務の簡素化等という理由があげられておりますけれども、今回御提案の労働保険特別会計法によると、事務はどのように簡素化されるのか、細部はけっこうですから、大づかみに簡潔にお答えいただきたいと思います。
#125
○政府委員(藤繩正勝君) 従来両保険でそれぞれ保険料を取っておりましたので、たてまえが違っておりました。労災につきましては、年間一本で概算保険料で取りますけれども、失業保険につきましては、原則として月々保険料を取るというようなやり方をやってまいりましたが、今度は一元化いたしますと、両保険ともその点は一括して概算保険料で取るというようなことでございますので、まあ例外はございますけれども、原則としては年一回ということで、しかも両保険を一回で取るというところは非常な簡素化でございます。それから零細事業につきましては、事務組合を通じてやっていく方針でございますが、これも従来労災、失保それぞれの事務組合でございましたけれども、労働保険事務組合一本でやります。それぞれ半分くらいしか入っていなかった状態が、どっちかに入っておれば、今度は両方とも取るというようなことになってまいります。そういう点で、役所のほうの手続も非常に簡便化されます。事業主のほうも年間に一ぺんというようなことで非常に簡便化されるということでございます。
#126
○栗林卓司君 そうしますと、一つ具体的な例としてお伺いしますと、労働保険事務組合というものがあります。従来は徴収した額の一部をそこに事務費として補助していたという経緯があったと思いますけれども、ただいまのお話のように、事務工数がたいへん簡素化されるということになりますと、その点も再考慮されていくことになるかどうか。さらにまたそれぞれの徴収事務にかかわる行政費用についても、範囲の拡大は別として、それについても削減、減っていくということになるんでしょうか。
#127
○説明員(田中清定君) 労働保険事務組合に対します報奨金につきましては、四十七年度におきましては、前年度の実績に従って交付するということでございまするので、一元化によって特に変わったということはございません。徴収勘定の業務取り扱い費につきましては、これは両保険の事務を一本で処理するということから、経費的には相当の節約になっているということでございます。
#128
○栗林卓司君 前のお答えのほうは、ことしはわかりましたけれども、一元化が反映される以降はどうなんでしょうか。
#129
○説明員(田中清定君) 四十七年度は、労働保険事務組合の事務処理状況あるいは中小零細企業の加入状況等、その辺のところの情勢を見守りながら、四十八年度以降の普及拡大にいろいろな意味で努力をしてまいりたい、こう考えて現在鋭意検討中でございます。
#130
○栗林卓司君 従来月々のものが年一回になるという、たいへん事務工数の違いという、いまのお話は合点がいきませんけれども、一つ念のために伺います。
 特会としては一本にしましたけれども、中はそれぞれ明確に分類経理するわけですから、当然徴収についても二つに分けて、それぞれ事業所なり組合なりあるいは行政機関なりが分けて事務手続をすることになると思います。この点は一元化のもたらす事務の簡素化を阻害することではないか、そう考えてよろしいですか。
#131
○政府委員(藤繩正勝君) 全部について適用を一元化するということが理想でございますけれども、実は業種によりましては、そうもまいりませんで、一部二元的な適用を残しますけれども、大部分のものについては一元的な適用になるわけでございます。そこで、従来は労災、失業保険それぞれ適用徴収をやってまいりましたが、今度は主としては概算保険料というような観点から、一般の事業につきましては、労働基準局系統で一括して徴収を行ないます。それから事務組合の関係等は、都道府県のほうでこの手続をするということの中で振り分けましてやってまいりますので、個別の事業場についていえば両方からくるということは原則としてない、一本で徴収される、こういうことでございます。
#132
○栗林卓司君 あとの質問とも関連しますので重ねてもう一つ伺いますと、中を二つに分けたままにしてというのは、従来の失業保険、労災保険の特別会計を、実質的な変更を加えないで、それを一つの特会としてくくったというのが今回の御提案なんですが、それをあえて二つに中を残した大きな理由は何だったのですか。
#133
○説明員(田中清定君) 徴収一元化によりまして、適用徴収業務については一本になったわけでございますが、徴収勘定で収納して受け入れられた保険料につきましては、それぞれ保険料率に応じ労災の分、失業保険の分ということで、やはり経理区分をして、両保険事業それぞれについての収支を明確にする必要があるということでございますので、そういう意味におきまして、勘定区分を設けて、労災保険事業としての収支を明確にする、失業保険事業としての収支を明確にするということが必要だということで勘定区分をしたわけでございます。
#134
○栗林卓司君 それではほかの面からお伺いいたします。範囲を拡大して五人未満まで及ぼしていきたいと、期間は別として三年ぐらい時間をかげながら考えていきたいというお話がありましたけれども、五人未満というのは、一人を当然含むと思いますけれどもそう理解してよろしいでしょうか。
#135
○政府委員(藤繩正勝君) 一人でも雇用労働者がいる場合は含まれるわけでございます。
#136
○栗林卓司君 そこで、これまでの質疑をお伺いしますと、たいへんむずかしいので、調査検討しながら努力をしていきたいというお答えでございました。むずかしいということはよくわかるんですけれども、なるべく早い機会にということであると、どういう行政手段で、いま言われたかりに一人でも雇用関係にあればというところまで広げていくのか、その構想ぐらいはもうなければいけないんだろうと思いますが、そういうことから二、三お伺いしたいんですけれども、かりに、一人が雇用関係にあるから労災の対象になる、失業保険の対象になるとした場合に、その保険関係なり、あるいは給付事由なりをだれがどうやって立証するのか、その点はどうお考えになっておりますか。
#137
○政府委員(藤繩正勝君) いま問題になっております適用は、もちろん強制適用でございます。そこで、従来といえども五人未満は任意適用の道がありまして、一定の手続によって任意に加入するということはあるわけでございます。そうなりますと、いわば労使のほうから動きだしまして、そして加入手続を経て行なわれるということでございますが、今度の場合は、強制適用でございますから、政令で適用範囲が拡大になります。たとえば四十七年度で申し上げますと、製造業その他の四業種は適用拡大になりました。そうしますと、一人でも雇用労働者がおり、その業種に該当すれば当然強制的に適用になってまいるわけでございます。そこで、あとはただ事業主には規則によりまして保険関係の成立届けを行なう義務がございます。そういう手続をしていただきますけれども、もし出ない場合は、職権で手続を進めるということで、これは役所側でできるだけ努力をして、いわば捕捉をしながらその手続をしていくということでございます。万一、保険事故が生じました場合、先ほどお答えいたしましたように、失業保険なり、労災保険なりの保険事故が起こりました場合に、労働者に対しましては、当該事業場の適用の有無にかかわらず、もはや保険給付はなされるわけでございますから、あとはもうもちろん保険経済上の必要に基づきまして、役所としては、もし未適用であれば、それに対応する費用を徴収しなければならないというようなことがありますが、そういう必要からも、できるだけ役所のサイドにおいて把握につとめるということでございまして、労使のほうからいえば、先ほどの成立届け以外には、具体的には加入手続ということは要らないわけでございます。
#138
○栗林卓司君 法律のたてまえは、おっしゃるとおりでしょう。ただ、そういう義務を課してあるというのは、義務を違反した場合に、それを担保する別な仕組みというものがないと、書いただけになってしまうんです。その意味で、一人でも雇用関係にあればと私があえて申し上げたのは、そのときに、たとえば保険関係が発生した、そういった届けを出す必要がある、義務がある、そういうものを国の行政機関として必ず守らせる、守らない場合には、当然それに対する救済措置も講じていく、あるいは払わない者に対しては取っていくんだ、そういう活動を実際にしていく場合の行政コストというものを考えますと、そこでどんな構想でおやりになるんですかと伺っているんです。
#139
○政府委員(藤繩正勝君) まさに御指摘のように、その点がたいへんむずかしい問題でもあるわけでございます。そこで、私どもとしましては、できるだけ雇用関係の比較的はっきりいたしておりますような四業種からまず手をつけるという、段階的にもまずそういうものから手をつけるということを考えておりますのと、それから労働保険事務組合というものを今後もますますたくさん設立を願いまして、できるだけそういう事務組合を通じて事業主のほうの加入が行なわれるような、そういうことでやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#140
○栗林卓司君 当面、強制適用の対象になるのは四業種というお話でしたけれども、当然労働省としては、将来の方向として、全業種に及ぼしていきたい、しかし、当面の取っかかりとして比較的勝手がわかっている四業種から手をつけていきたい、こういうことだと思うんです。ですから四業種についてやるのだということは、さしあたっての話としてはわかる気がします。しかし、これから二年、三年、五年という将来の構想で考えると、全業種を含めてということになると思うんです。
 そこで、これも実際には苦労されている点だと思うのでありますけれども、とにかく一人でも対象になるのだといった場合に、悪意の受給者に対してはどういう処置を考えておいでになるか。たとえば大きな事業所というものは、そもそもの出発点でございまして、その意味で事業所というのは、そういった一つの管理機能を持っております。ある部分はそこに失業保険なり、あるいは労災保険というものが成り立ってまいります。この五人以下がさらにふえてくるということになると、相当程度国が入っていかないと、その処置ができないということになる、といって相手が一人という場合には簡単な例で、やはり雇用主でもまず一人でしょう。そういった場合に、保険関係から、保険事由発生の立証から、しかもそこに悪意があったのかなかったのかということまでほんとうに負い切れるものなのか。努力しますということばはほんとうに簡単なんですけれども、ほんとうに行政に乗るのだろうかということは、たいへん先ほど来の質疑を伺っていて私は不安を感じたので、重ねてお伺いいたします。
#141
○政府委員(藤繩正勝君) その点はまさに実は非常に重要な問題でございます。ただこの関係の法律は二年前に国会に提出されまして、そういった点もあわせて御議論がありまして、成立いたしておりますので、役所としては実際入って行かなければならぬというところにきているわけであります。さりとて確かに先生御指摘の点はたいへんむずかしい問題をはらんでおるわけでございます。しかしながら、そういう問題があるからといって、実は二十五年間、五人未満の零細事業場にやはり保険の適用はできないという反論がありましたし、そういうことできたわけでございます。しかし、先ほど来お答えしておりますように、そういうことで一体この零細事業場の労働者が保険の適用外にあるということを、いつまでも続けておいていいのだろうかということから、たいへん困難のあることはやはり承知の上で、一元徴収あるいは保険事務組合、いろいろな手だてを通じて、実施に踏み切ったりいたしまして、私どもも簡単にこれが完全に適用に正々といくというふうには思っていないのでありますが、御指摘の点は十分努力してその間のギャップを埋めていかなければならぬというふうに思っているわけであります。
#142
○栗林卓司君 そこで、お伺いしたいのですけれども、確かに二年前の法律できまりましたので、きまった以上やらなければならぬということ以上に、この五人未満まで及ぼしていきたい、それと徴収の一元化をはかる、これは全く離れた問題だったのです。当時の事情を私つまびらかにしませんけれども、徴収の一元化ということ、それから五人未満まで及ぼしていきたいのだということは、事務工数までふえるということ以上に、失業保険と労災保険の共通性というものにやはり着目した一つの立法の方向ではなかったのか。なぜ言うかといいますと、たとえば健康保険にしても、年金にしても、いろいろな諸制度があります。だれだって病気になれば、やはり健康保険は必要な事前処置だし、だれだって年をとるということになれば年金も必要となる。ところが、失業保険と労災保険というものはなければないにこしたことはない、そういう共通性があると思うのです。そういう共通性に着目して、これは下までおろしていく当然の前提として似通ったものだから、一緒にいくのだという、そういう発想があったのではないかと感ずるのですが、この点はいかがですか。
#143
○政府委員(藤繩正勝君) 従来から厚生省所管の保険も含めまして、各種社会保険を一本に制度化し運用したらどうかという御意見はあるわけでございまして、また諸外国の例を見ましても、いろいろな方向があるわけでございます。ただそういった議論が確かに背景にあって、こういった手続が進められたことは事実でございますけれども、少なくとも厚生年金あるいは健康保険というようなものを、いま一緒にするということはとてもできないということになりまして、それで労働省所管のところはどうかという議論が一つあるわけでございます。しかしながら、これもそういう背景がありましたことは御指摘のとおりでございますが、理論的にそれじゃ厚生省のほうが無理でも、労働関係は保険として一本にする、労働保険という制度にしようというふうなところまでは実はきておらないのでありまして、確かに雇用関係ということを前提にするという共通の場はございますけれども、しかしながら、給付の側面におきましては、実際にその必要性なり、あるいは制度の沿革なりというものがかなり違っておりまして、これはたまたま労働関係ということ等から一本の労働保険というわけにはなかなかまいらぬわけでございます。しかし、そこへもってきまして、今度は五人未満ということがむしろ当面非常に重要な課題として出てきたのだから、やや屈折がございますが、五人未満の適用を進めるについては、業務の簡素化をはかる必要がある、そんなところから可能な適法な徴収については一元化をしよう、こういうことで、二年前にこういった考え方が法律案の形で出てきたものだと私どもは受けとめておるわけでございます。
#144
○栗林卓司君 いや、実は、失業保険と労災保険、これが全く同じものだということを申し上げておるわけではありません。ただ、その辺の共通する部分、どこが似通っておるかというと、雇用関係ということもありますけれども、もう一つは、支出が少なければ少ないほど結果としていいんだという側面を両方とも持っておる。これは、健康保険とか国民年金保険とは全然違う。ですから、すぐれて社会保障的な機能が高い、だから下まで及ぼしていかなければいけない、こういったところからお伺いしたのですけれども、そのことで重ねては申し上げません。
 ただ、ひとつこの点について御意見を伺いたいのですけれども、五人未満、一人も含むということになりますと、なるほど雇用関係ということは、事業の発生に密着したものではありますけれども、一人ということは、それは国民一人一人の権利ということに非常に近くなってくる。それほど広がってくる。当面の対象は一人ということじゃなくて、広げていくと、結局そこまでこれは広がっていかざるを得ないのではないかと感ずるのですが、この点、御意見いかがでしょうか。
#145
○政府委員(藤繩正勝君) その点は、一人といいましても、雇用される者が一人でございまして、事業主があるわけでございますから、いま先生のおっしゃるような意味では、むしろ二人ということになろうかと思います。つまり一人親方のような、これはたまたま労災では任意適用というふうにずっとなっておりまして、ここで問題になっております強制適用ということについては、あくまでも雇用労働者に限られるわけでございますから事業主のほうは対象にならないわけです。そういう意味では、一番小さな単位である一人というところへまいりましても、事業主のほうが抜けております。そういう観点から言えば、あくまで雇用関係を対象とした保険であって、すべての国民を対象とする保険というところまでは、やっぱりそこに一線あるんではないかというふうに考えます。
#146
○栗林卓司君 それはおっしゃるとおりなんですけれども、ただ、いま国民の権利に近いということで申し上げたのは、きょう雇用主が、あしたは人に雇用されれば当然対象になるわけです。したがって、どうやって国民一人一人に周知徹底させるかという作業がいやでもついてまいりますし、先ほど来申し上げております保険関係の発生にしても、事業の確認にしても、これまでの行政のワク組みをはみ出していくことになりかねない。また、そこまで覚悟しないと、おっしゃっている五人未満という課題には取り組めないというふうに感ずるわけですから、たいへん行ったり来たりのような議論になりました。
 次に、別なことで関連しながらお伺いしたいのですけれども、まあ、一人にばかりこだわるようですが、一人まで対象を及ぼすという発想で考えてまいりますと、失業保険対策ということは、裏返せば完全雇用政策だということになります。当然、失業に対してどういう対策を打つかが、さしあたっては保険ということであっても、長期的には次の雇用を確保するわけです。それを、雇用労働者一人一人について事業の大小にかかわらず実現をしてはかっていくんだということになりますと、それはそのまま完全雇用政策にほかならないような気がいたします。
 そこで、その観点で、これは一昨日も議論に出ておりました、これからますます大きな問題になっていくであろう中高年の雇用対策の問題についてお伺いをしたいのですけれども、これについて、労働省として雇用率をそれぞれきめて、強制力がないけれども、行政指導をしているんだというお話がございました。その行政指導の具体的な効果について、ありましたら簡潔にお伺いしたいと思います。
#147
○政府委員(中原晁君) 昨年成立いたしました中高年齢者の雇用促進法につきましては、十月一日から施行されておるわけでございますが、確かに先生御指摘のとおり、強制力はございません。ただ、その法律の中に、当該職種について率を達成していない企業が、たとえば学卒をほしいということで求人申し込みがきた場合には、そういう求人は受けつけないことができるというような条文がございます。これは伝家の宝刀でございますので、むしろ、そういうこともあるのでということで指導に使えるものでございますが、そういうことで強制力はございませんが、そういう条文その他の行政指導を通じまして、これは長期的といいますか、五十年度くらいを目途にして順次達成したいと思いますけれども、単なる努力規定だから、ただ言いっぱなしということじゃなく、実効をあげるように努力したい、かように存じます。
#148
○栗林卓司君 これからの中高年雇用対策ということで考えますと、今後の日本経済の伸びがどうあるかは別にしまして、従来のような非常に厚い人手不足状態からは変わっていくだろうと思います。そう考えてみると、新規学卒者がほしい、そのための条件としてこの雇用率でなければならぬ、これはだんだんと行政的な力がなくなっていく。その意味で事業所ぐるみを見て、あなたのところはこういう雇用率の雇用構成にしなさいというところまでいかないと、年ごとに深刻化するであろう中高年雇用問題というのは、早期には解決しないように思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
#149
○政府委員(中原晁君) いまの栗林先生の御指摘、私ども全面的に賛成でございます。今後の雇用政策の一環としまして、たとえば具体的に言いますと、雇用主懇談会等の、事業主団体等の会合における啓蒙を通じ、あるいは安定所における指導、それから事業団が行なう各種の融資、午前中も議論になりましたが、こういうものにつきましても、今後、雇用率達成事業に対しましては、各種の優遇措置を講じていくといったいろいろな総合的な対策を講じまして、何といいましても、この雇用率は企業並びに労働組合等の理解と御協力によりまして達成しなければならないと、かように存じておる次第でございます。
#150
○栗林卓司君 重ねての質問ですけれども、強制力のある法制化も必要になるとお考えになりますか、それとも、そこまでいかなくとも、大体消化できるとお考えになりますか。
#151
○政府委員(中原晁君) これは、先ほど申しましたとおり、現在は達成していない職種がほとんどでございます。ということは、現状の調査をおととしの十二月に行ないまして、これも高いところに目標を置いたわけでございますので、現在ではまだ達成していないのは当然といえば当然でございますが、私ども今後の実績と推移を見ながら、いま御指摘のような点も検討いたしたいと思いますが、私どもは、この日本の雇用賃金慣行につきましては、終身雇用制または年功序列賃金というような、西欧諸国に比べると特殊な慣行がございます。この慣行がいいか悪いかにつきましてはいろいろあるかと思いますが、私どもはやはりこういう慣行も新しい時代の要望に合うように、少なくとも変更だけはしなければ、とても今後の需要に追いついていけないと思うのでございますが、こういう従来の制度がいい面もありながらも、やっぱり中高年の雇用をはばみ、学卒にはドル・ショックのさなかでも三倍も五倍もという一種の年齢的なアンバランスを呼んでいると思いますので、やはりそういう雇用率の達成につきましては、そういうような雇用賃金慣行、それから一つの企業におきましても、外国に比べると日本の場合は間接部門の人員配置が多いというようなこともいわれておりますが、そういう点に対する合理的な指導等も行ない、そういうような行政をやってみた上で、先生御指摘のような点も考える必要があれば考えなければならぬということで、まず当面はこの推移を見守り、あらゆる手段をもってその達成に努力する、これが先決だろう、かように存じます。
#152
○栗林卓司君 関連して。これは基準局の関係かもしれませんが、いまのお答えの中で、日本独特の賃金慣行、年齢別序列賃金というお話がありました。そこで、もとは失業保険から出発したわけですけれども、ある期間まで保険で見てやったがあとは、というふうにしては、これは対策としては十分ではございませんし、したがって、そういう日本的な賃金慣行を含めた中高年労働者に対する雇用の口というものをどうやってつくっていくか。そうなりますと、実は最低賃金の問題にも触れてくるわけです。これまで最低賃金というのは地域、業種とはいうものの、一番低い線で考えられてまいりました。これは若年労働力でさえあぶれていた時代の姿だと思います。しかし、これからを考えますと、年齢別、これはどういう層にいくかは別にして、年齢別最低賃金の法制化というものがもう一つの側面でない。もともとなぜ新規学卒が歓迎されるかといいますと、それは単なる経済の合理性だと思うんです。そうなっているわけですから、それに対して無理なたがをはめていかなければならない。そうすると、最低賃金の問題も、年齢別ということに当然のこととして踏み込んでいかざるを得ないと思うんですけれども、この点はどうでしょう。
#153
○政府委員(渡邊健二君) 現在最低賃金法に基づきまして業種別、職種別、または地域別の最低賃金の推進につとめておるわけでございます。これに年齢別という考慮を加えることはどうだ、こういう御質問でございますが、この点につきましては、諸外国の例等を見ますると、成人労働者、それよりも下の未成年の労働者等に、年齢に応じて差をつけている例があるわけでございます。これは労働能力に差があるから、それに従って労働の質が違っておる、こういう観点であろうと思います。そういう点についてはわれわれも、日本でもそういうことがいいかどうか、今後考えてみる必要があると思いますが、ただそれ以上の成年労働者の中で、年齢別にさらに差を設けるかどうかということになりますと、確かに日本では年功序列型賃金制度というのがございますけれども、それの是非ということについてはいろいろ論議もございます。それから大企業では、年齢別、年功序列賃金というのは非常にはっきりしておりますが、中小企業あるいは単純労働などにおきましては、比較的成人労働者の間では業務の内容によってきまっておりまして、年齢別の差というものはございません。したがいまして、その点をどう考えるかという問題になりますと、世界にもあまり成年労働者の中での年齢別最低賃金というものはほとんどわれわれ承知しておりませんので、それらこれらを考えて、日本でそういう点を考慮していくべきかどうか、これは一つの問題点だろうと思います。中央最低賃金審議会などで、最低賃金の設定のしかたをどうするかということが検討されておりますので、そういう御意見を承りながら今後検討してまいりたいと思います。
#154
○栗林卓司君 諸外国の例を出されたのですけれども、事は日本固有と言っていいほど日本的な原因、結果から生まれた問題ですから、とにかく何らかのそういう法制化をもって雇用の道を安定的に開くべきであるということでは諸外国と同じですけれども、そのときのワクのつくり方というのは、やっぱり日本は日本のワクをつくるよりしかないような気がいたします。
 そこで、これはこれまでの質問と関連があるんですけれども、まとめた形でどなたでもけっこうですから御意見伺いたいのですが、お伺いする理由を申し上げますと、五人未満にどんどん範囲を拡大していって、当然そこの事業主、失業保険料について負担をしていくべきものだと、保険ということを考えますと当然そういう発想になると思います。ところが、なぜ失業がそこで起きるんだろうかと考えますと、産業構造の変化ということが裏側にあるわけですから、当然その原因をもたらしたものが負担すべきではないか。それは、そういう変化を、第一線で働いておる者が負担すべきである当然社会的な費用ではないか。そういう観点から、実は保険の負担のしかたということについても、五人未満まで発想を広げていくんなら、別なものの考え方が必要になるのではないかと思うんです。この点もよろしければ御見解伺いたいのですが、そういうたてまえに立って、中高年齢者の雇用対策問題を考えてみますと、たとえば大企業と小企業、零細企業ということを比べてみた場合に、大企業のほうは、金と力にまかせて新規学卒労働者をかき集めるわけです。日本の賃金体系のもとでは賃金が安いし、しかも若いから新しい職種に対する適応力が高い。片一方の小企業、零細はどうかといいますと、結果として相当に新しい仕事に対する適応力が乏しい。しかも本来ならもっと日本の賃金構成からいうと、高い賃金であるべき中高年の人が寄ってしまう、競争条件としてたいへん不公平な扱いになると思います。それだって、経済の合理性などを追及してもいいのだということが考えられるだろうといいますと、大企業の中を見ますと、若者だらけになってしまう。本来は先輩、後輩の序列関係があって、ある一つのまとまった人の関係というものがないと、健全な職場というものは育ってまいりません。その意味でも、やはり先ほどの雇用率に戻りますけれども、あるべき労使関係なり、あるべき競争条件なりということから考えても、一歩踏み込んだ中高年雇用対策が必要だと思います。それがわざわざ対象五人未満まで広げていくもう一つの重要な側面ではないかと思うのです。この点どなたからでもけっこうですから、労働省の御見解を承りたいと思います。
#155
○政府委員(中原晁君) ただいまの栗林先生の五人未満の適用拡大とからめまして、大企業と中小企業との日本の雇用形態、慣行等の相違に対する非常に興味ある御指摘でございますが、失業保険の場合には、メリット制というものをとっておらないわけでございまして、諸外国ではとっている国もあるわけでございますが、メリット制をとった場合には、やはりその中高年をかかえているような中小企業が、率が高くなってくるというような面もございますので、私どもとしましては、こういう点につきましては、やはり相当慎重に考えなければならない。ただ失業保険のそういう分担の問題負担の問題、それから受益者の問題等につきましては、前は失業保険、一律六カ月、百八十日でございましたけれども、長年勤続した者につきましては、最近はもっと長期な制度もつくっておるわけでございまして、そういうような点を通じまして、バランスの問題、それから中小企業等にいろいろの点でしわ寄せがくる、こういうような面も救わなければならないというような経済法則の問題と、社会保障的な問題のからみ合わせの問題になると思いますが、先生の御指摘になります点も含めまして、安定審議会でも失業保険部会におきまして、失業保険につきましてはいろいろ検討しております。ドイツなんかにおきましては、失業保険料という名前ではなく、雇用促進施策に充てるための拠出金、いわば労働料というような制度にした。これもいい面、悪い面いろいろあると思いますが、そういうような状況等も勘案いたしまして、今後改善できる点は改善したいと思いますが、いまのところ率につきましては、これを変えよう、あるいはメリット制を採用するというような考えは持っておらないわけでございます。
#156
○栗林卓司君 それでは、今後の検討を待ちながらいろいろまた後ほどお伺いしていきたいと思いますが。
 一つだけ追加して伺います。労災保険の場合一人ということで考えますと、日雇い労働者などはどうかということに及んでまいります。それは健康保険と労災保険の接点のようなもので考えてみると、労災保険というのは、疾病対策という意味では、健康保険的な性格がある、生活対策という面では、失業保険の変形的な性格もある一わけですから、一人ということになりますと、日雇い労働者の場合、労災保険の適用についてどういう整理をしてこれに臨んでいくかという問題が起こってくると思います。この辺についてはどうお考えになりますか。
#157
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険は、労働者が業務上の災害によりまして負傷しまたは疾病し、死亡した場合に、これに対して給付をするわけでありますが、雇用形態のいかんを問わないわけでございまして、日雇い労働者の方でも、その人が就業の場において業務に起因するそういう災害で、あるいは負傷し、死亡するならば、業務上の災害として保険が給付されるわけでございます。
#158
○栗林卓司君 では最後に一つだけお伺いいたします。いろいろお伺いして、今後の検討課題という意味では、また後ほどお伺いしますけれども、相変わらず一人ということにこだわるようですけれども、私はそこまで範囲を広げるべきだということからお伺いしているのです。ただそこまで広げてまいりますと、先ほど御答弁の中にもありましたけれども、従来の失業保険なりあるいは労災保険なり、そういうものの性格がやはり変わってくる。変わってくるというのは、本来の性格は変わりませんけれども、制度としての骨組みがやはり変化してくるのではないか。そこで、これは異論のある点かもしれませんけれども、ひとつ御意見として承っておきたいと思います。それは、一つは、従来からの論議でもずいぶん出ていたのですけれども、保険から税、社会保障というような立場に転化していかないと、とにかく五人未満一人までというものを行政的につかむことは不可能なんじゃないか、それが一つです。
 それから範囲を拡大していくということで、今度特別会計が設けられました。中身は、従来の特別会計が実態をそこなわないで二つ残っております。しかしほんとうは、社会保障ということで考えますと、必要なのは失業保険で幾らかかったのか、労災保険で幾らかかったのかということで、それぞれがそれぞれ徴収と見合っているかどうかということまで厳格に対応させることが、どの程度価値があるんだろうか。したがって、もっと大ざっぱな言い方をすれば、せっかく徴収一元化をし、しかもそれぞれはもっと新しい仕組みの中に発展していくんだということになれば、中を二つに分けなくて、どんぶり勘定ぐるみであってちっともかまわないのだ、そのほうが将来二つの保険の抜本的な再検討に適するのではないかと思うのですが、この二つについて御意見を伺いたいと思います。
#159
○政府委員(藤繩正勝君) 第一の労災保険の保険料は、保険税というようなかっこうで税務機関で徴収したらどうかというような御意見だったと思いますが、かりに、御指摘のような考え方のもとに、労災保険の保険料を税務機関で徴収するというふうにいたしましても、税金と徴収対象者あるいは徴収額の算定方法というようなことが、全く異っておりますために、これを一体的に徴収することはたいへんむずかしいし、また簡素、効率的な徴収方法が見つかるとも思われません。それからまた保険給付のほうは、労働基準監督署で行なわれるわけでございますが、それと全く切り離されるということにつきましては、先ほど未適用の場合でも、保険事故が起こりました場合には給付を行ないますと、それに見合うものはあとで取り立てるということを申し上げましたが、そういった給付と徴収事務の相互関係というものが非常に大切でございます。また労災の場合は、労働災害防止対策あるいはもっと執務的には保険料のメリット性というようなことがございまして、やはり両方は非常に密接な関係にあるというふうに私どもは考えておりますので、御意見ではございますけれども、やはり現在のような方法が一番実際に合っているのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから労災、失保適用、徴収だけではなくて、全体的に一元的にまあどんぶり勘定でというお話でありましたが、先ほどもそういう御意見をいただいたわけでございますけれども、繰り返すようで恐縮でございますが、私ぐもはさらにほかの保険も含めて、こういう雇用関係にあります社会保険あるいはさらに広く国民全体を対象とする保険、社会保障というものについてはいろんな御意見があろうかと思いますし、諸外国も実例がございますけれども、現在とっております労災、失業両保険につきましては、先ほどお答えいたしましたように、むしろ事務的な便宜的な観点から徴収、適用を一元化するという考え方でございまして、給付の面については、現行体制というのが一番現段階では執務的にぴったりするんではなかろうかと思っております。ただそういう思想的な背景が常に沿革的にもございますし、諸外国の制度もございますし、また世の中もいろいろ動いておるのでございますから、今後とも関係各省と御相談をしながら十分勉強をさせていただきたいと思っております。
#160
○栗林卓司君 いまのお答えでけっこうなんですけれども、一応確認の意味で伺わしてください。徴収の一本化はいい。そこで給付は分けなければならない、これはけっこうだと思うのです。ただ給付を分けるから、したがって、それは労災勘定、失保勘定、勘定別に分けてそれぞれの徴収勘定から振りかえられて別個に計算ができている、そこまでタイトにする必要がなぜあるのかということを聞いておきたいと思います。
#161
○政府委員(長岡實君) ただいまの御質問に対しまして、お答えになりますかどうかわかりませんが、今回の制度改正と申しますのは、あくまで先ほどからお答え申し上げておりますように、保険料収入の徴収を一元化をした段階でございます現段階におきましては、先ほどから先生がおっしいますように、将来社会保険というものの性格が、現在のような各種保険の性格別の色分けが、ある程度もう少しこん然一体としてくるのではないか、という御趣旨はわかりますけれども、現段階におきましては、まだ失業保険と労災保険という、おのおの別個の保険が厳然として存在いたしておりまして、その保険料を徴収いたします仕組みといたしましても、その事業主が支払う賃金総額に応じて納める保険料の徴収を一本化することは可能でございますけれども、個々の保険の料率等は一応違っておるわけでございます。そういうたてまえから、現在のところはまだ特別会計の経理といたしましても、この両保険をはっきりと区分経理をしておいたほうが制度としては好ましいと、また説明も十分に行ない得るところであろうかと存じます。将来の問題といたしまして、保険料その他の社会保険まで含めまして、その徴収の一元化等が考えられないか、あるいは税という形で徴収すべきではないかという御意見につきましては、労働省の官房長も申し上げましたけれども、私どもといたしましても、欧米先進国等の例を見ますと、社会保障の先進国に比べまして、わが国の社会保障制度はようやく制度的には完備したものの、給付の内容等についてまだ不十分の点が多々あることは承知いたしております。これを改善していく場合、外国の例を見ますと、租税負担率のみならず、社会保険全体の保険料の負担割合が、現在のわが国に比べれば相当高い水準になっております。いずれは制度改正の内容と関連いたしまして、そのような国民負担の増加を求める場合に、外国の場合は一本の税という形で徴収しておる例もございますので、私どもとしてはそういう問題については十分検討に値する問題ではないか。現実問題としてなかなかむずかしい問題ではございますけれども、検討課題としてはたいへん重要な課題であろうと考えております。
#162
○渡辺武君 私は持ち時間が少ないので、失業保険の問題にしぼって伺いたいと思います。したがって、答弁のほうも簡単明瞭にひとつお願いしたいと思います。
 最初に伺いたいのは、この失業保険制度の根本の目的は何でしょうか。
#163
○政府委員(中原晁君) 失業保険制度の目的につきましては、失業保険法の第一条に書いてございますが、「被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。」ということでございます。これはいろいろつけ加えることはできると思いますが、一言で言えばそういうことになります。
#164
○渡辺武君 根本の目的が失業保険金を支給してその生活の安定をはかるというところに置かれているとすれば、今度失業保険特別会計と労災特別会計が一本になるという場合でも、失業保険については、この目的に従って会計を運用すべきだというふうに思いますが、どうでしょう。
#165
○政府委員(中原晁君) その点につきましては、特会法が変わりましても、目的はごうも変わるところはないと、かように考えております。
#166
○渡辺武君 それでは伺いますけれども、失業保険特別会計の収支の残高ですね、平たく言えば使い残り、これが積み立て金の残高となって年々累増していると思いますけれども、どのくらいになっておりますか、若干の推移を入れてお聞かせいただきたい。
#167
○政府委員(中原晁君) 失業保険の積み立て金につきましては、四十二年度から申し上げますと、昭和四十二年度におきまして千九百三十億円、端数は省きます。それから四十三年度が二千四百三十四億円、それから四十四年度が三千九十七億円、四十五年度が、いずれもこれ年度末でございます。四十五年度が三千六百十三億円、それから四十六年度、これは見込みでございますが、四十六年度末で三千九百七十三億円、かように相なっております。
#168
○渡辺武君 そうしますと、使い残りが年々累増しているという状況なんですけれども、先ほど来の質疑応答の中で伺っておりますと、これが大蔵省の預金部ですか、ここに積み立てられて財政投融資に運用されているということを伺ったわけですけれども、この使い道がどのようなものに使われているとにかかわらず、一時余って、それをそういう方向に運用しているというなら理解できるんですけれども、年々累増している。そうしてこれが財政投融資に使われる。こういうことは、これは先ほどおっしゃった失業保険金を給付して、その生活を安定させるという根本の目的とははずれているんじゃないんでしょうか、その点どうですか。
#169
○政府委員(中原晁君) 確かに先生御指摘のとおり、累年積み立て金がふえておることは事実でございますが、
  〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
まだ年間の保険料収入とのバランスでいきますと、大体一・四か一・五くらいということに相なっております。これをたとえば西ドイツ、アメリカ等で見ますると、年間の保険料収入の二・三倍、スウェーデンになりますと八・三倍、もっと多い国もございます。そういうようなことでございますので、確かに失業保険金を支給して、生活の安定をはかることでございますけれども、やはり各国の例を見ましても、経済の変動等いろいろ考えますと、この程度の積み立て金が十分である、必ずしも十分であるということにつきましては、もっと減らしてもだいじょうぶじゃないかということは言えないのではないかと思います。すなわち、この程度の積み立て金は、諸外国の例から見ましても必要ではなかろうか、かように存ずる次第であります。
#170
○渡辺武君 現実は一・三四倍ということなんですけれども、根本の趣旨はどうですか。この年々累増している、これの運用の根本の目的ですね。これはやはり失業保険法第一条に合致するように運用するのが本来のたてまえじゃないかと思うのですが、どうですか。
#171
○政府委員(中原晁君) この積み立て金につきましては、やはり資金運用部に預託しまして、必要な場合にはこれをすぐ失業保険に使えるということでございますので、この積み立て金をその先どうするかということは、必ずしもこの失業保険法上から他にどうするのか、こうすべきであるという解釈はいろいろむずかしい条件があると思います。したがいまして、私どもとしましてはこの三千九百七十三億、約四千億の積み立て金を、必ずしもこれは十分でないものでございますので、失業保険の情勢によりましては、すぐ使えるような状況に置いておくことが必要と、かように存ずる次第でございます。
#172
○渡辺武君 運用の根本の立場はどうですか。
#173
○委員長(前田佳都男君) ちょっと、資金課長がこちらに向かっておりますので……。
#174
○政府委員(長岡實君) 理財局の資金課長からお答えすべきことであろうかと思いますけれども、渡辺先生御指摘のように、失業保険の積み立て金が相当額に達しておることは事実でございます。しかし、これはなぜこれだけの金額を積み立てておるかと申しますと、景気の情勢、その他によって、失業保険金の支払いが一時的にふえる場合でも、支障なくその保険事業が営めるための一種の支払いの備金である。これがどのくらいあるかという点、これは先ほど来申し上げておりますように、むろん諸外国の、先進国の例を見ますと、年間の保険料収入の倍額程度までは必要であろう。わが国の失業保険制度も、その辺にめどを置きまして、現在保険料率のきめ方が、支払い賃金総額の千分の十三、これを労使が折半して負担しておりますが、積み立て金が当該年度の保険料収入の二倍をこえるに至りますときには、保険料率のほうを引き下げる、千分の十一までの範囲内で引き下げていくというようなことで調整をはかっております。
 なお、保険料収入の一・四五倍になりました現在の積み立て金の運用のしかたでございますけれども、理財局のほうといたしましては、この積み立て金の性格が、長期的な運用にふさわしいお金の種類だとは考えないわけです。先ほど申し上げましたように、急激に失業保険金の支払いがふえた場合も、支障なく支払えるようなために積み立てているわけでございますから、したがって、財投原資の運用の場合には、この場合にはたいへん苦慮いたしておりまして、当初からは運用の原資の中には計算に入れない。ただ金に区別はございませんので、最終的に失業保険特別会計から預かった預託金がどこに運用されているかと申しますれば、その一部は財投全体の原資になっているわけでございますけれども、そもそもの姿勢といたしましては、この資金をどこに運用するという対象には一応入れてないということのようでございます。
#175
○渡辺武君 先ほど、特別会計一本になるのだが、しかし、失業保険特別会計の運用の趣旨ですね。これは第一条の目的に沿ってやるのだというふうに御答弁がありました。ただ現実の問題として、いままで資金運用部のほうに預けるということだと理解しますが、そういう点にだって、一体こういうふうに年々累増している理由、なぜこんなふうにふえてきているのか、その点伺いたいと思います。
#176
○政府委員(中原晁君) これは四十年代におきまする雇用情勢が比較的よかった、これが一言で言えば、積み立て金が積み上がってきた理由である、かように考えております。
#177
○渡辺武君 それは確かにそうだと思うのですが、しかし私は、それだけじゃないと思うのですね。やはり給付水準が低いこともその一因になっているのじゃないかというふうに思うのですけれども、どうでしょう。いまの給付水準で十分に失業中の労働者の生活の安定ができると考えていらっしゃるのでしょうか。
#178
○政府委員(中原晁君) 失業保険の金額につきましては、日本では賃金の六割ということになっておりまして、ILOの条約では、たしか四五%以上にしろということになっておる。日本の場合は六〇%になっております。これにつきましては、今年の四月一日からかなり大幅に上げまして、最高額につきましては千八百円を二千二百八十円、それから最低額は三百七十円を四百九十円というふうに大幅に上げまして、この給付の水準の改善をはかっているわけでございます。これは保険法にも必要な規定がございますが、随時その規定によって改善をはかっていく、こういうことでございます。それから低階級につきましては、十円加算ということでございます。一日当たり十円でございますが、そういうような加算も行ないまして、それからさらに、六割のほかに扶養手当、それから訓練を受ける方が非常に大事でございますので、訓練期間中はそのほかに訓練受講手当、技能取得手当というようなものがプラスされるわけでございます。今後とも改善をはかってまいりたいと思いますが、こういう点で諸外国に遜色のない水準になっておろうかと思うのであります。
#179
○渡辺武君 失業保険の受給者の平均日額ですね。これを四十六年七月の数字でちょっと調べてみますと、二十二等級、だから大体平均程度と見てもいいと思いますが、これで見てみますと、失業保険の日額千百四十円ということになっておりますね。これにかりに三十日を掛けた月額で見ますと三万四千二百円、こういう金額が出ます。私は、これに多少の手当などがかりについたとしても、非常にこれは低過ぎる水準じゃなかろうかというふうに思うのです。たとえば東京の、これはまあ生活保護の級地からいけば一級地になりますけれども、これで生活保護法による生活扶助の月額基準額を調べてみますと、昭和四十七年度で、三十五歳の男子、それから三十歳の女子、それから九歳の男の子、四歳の女の子の夫婦と子供二人の世帯の場合で四万四千三百六十四円、こういうことになっているんですよ。これね、機械的に比較するというわけにもいかないとは思いますけれども、しかし、生活扶助の基準額といえば、大体世間でも低いところというのが通念になっている。ところがそれよりも、この失業保険の給付額のほうが低いというような状態が現にあらわれているわけですね。非常に低いじゃないですか。どうでしょう。
#180
○政府委員(中原晁君) 生活保護との比較につきましては、いま先生もこれどういうような角度から比べるかというようなお話もございましたけれども、私どものほうとしましては、この失業保険につきましては、結局世帯ということでなしに、個人ということでとらえておるわけでございます。たとえば共かせぎも最近は出ておりますが、共かせぎの場合には、その個人個人ということで、だんなさんと奥さんは別になるというようなことでございまして、この失業保険につきましては、この六割の水準が低いか高いかというよりも、日本の賃金そのものの動向とからみ合って、これが上がっていくということかと存じますが、私どものほうとしましては、先ほど申しましたとおり、ILOの水準、それから諸外国の状況から見まして、これはひけをとらないと思っておりますけれども、まあ既存の規定等の活用、その他も含めまして、こういう失業者の生活の安定につきましては、今後とも万全を期してまいりたいと、かように存ずる次第でございます。
#181
○渡辺武君 生活保護のほうは、これは四人家族というようなことで算定している。ところが、失業保険のほうは、それは労働者本人と、こういうことになるわけですけれども、しかし、日本の普通の通念からいえば、大体そこの主人が働きに行けば、その収入でその家族を養うことができるようにしなきゃならぬというのが大体の通念ですよ。それが足りないから、夫婦共働きになってきたような現象も出てくる一つの理由になってくるわけなんです。だからそういう見地から見れば、生活保護費以下というのが失業保険の給付水準と、こういうことになっているのは、それはILOで出ている数字がどうであろうとも、日本の現状からいえば、これは低いと言わざるを得ない。日本の賃金水準が非常に低いということは、これはあなた方も御存じのとおりだと思うのですね。ですから、やはりこれはだんだん累増していっているわけです、この使い残りが。ですから、全部これをなくせというわけじゃない。しかしながら、同時にこの異増していっている状況から判断すれば、この給付水準をもう少し、六〇%というようになっておるが、これを、この基準をもう少し上げたらどうであろうか。そしてまた、給付の日数、これも大体百八十日ということになっているけれども、この給付期間をもう少し延長させるということをやる必要があるんじゃないか。もしこれをやらなければ、つまり失業した人たちは、失業保険で給付を受けているんだけれども、とうてい暮らしていけないので、やむを得ず低賃金のところでもいいから、しようがないから、がまんをして就職せざるを得ないということにならざるを得ない。いまの低い給付水準というのは、これはやはり低賃金制度を維持する政府のことばで言えば、いわゆる労働力流動化政策の責め道具の一つになっているのじゃないかというふうに思います。この給付内容を改善するおつもりがあるかどうか、これを伺いたい。
#182
○政府委員(中原晁君) 給付水準につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まあ六割ということはきまっているわけでございますが、今年度最高額千八百円を、二千二百八十円ということで、これでいきますと、大体七万円ぐらいに相なるかと思います。それに扶養手当、それから訓練の場合にはその訓練の手当が加算されますので、まあ私どもとしては、先生のおっしゃるような御議論もあろうかと思いますが、私どもとしましては、失業保険としては、他の社会保障とのいろんな関係、基準法との関係、その他の問題も勘案する必要もございましょう。それから給付日数につきましては、前は百八十日、六カ月でございますが、これ一本やりでございましたのが、勤務年限の長い場合には、これが九カ月、十カ月と、三百日まで延ばすというようなことになっております。失業者の多いところにおきましては、さらに九十日の延長措置というものもできる。それから職業訓練を受ける場合には、それにプラスしまして、職業訓練受講期間中は失業保険をもらえる。極端にいいますれば、半年の人が、半年の終わりごろになって職業訓練校に入りますると、その半年プラス一年もらえるというようなことに相なっておりますので、まあ今後とも改善には努力いたしますけれども、そういう給付日数、あるいは水準というものにつきましては、何回も同じことを申し上げて恐縮でございますが、諸外国その他の水準に比べまして遜色はないと思います。しかしながら、今後ともいろいろな面につきまして、生活の安定につきましては一そう努力いたしたい、かように存じております。
#183
○渡辺武君 今後努力してくださるということですね。まあ時間もないので次に移らざるを得ませんけれども、しかし、この点だけはよくお考えいただきたいと思います。それはつまり、諸外国と比べても遜色はないんだと言われるけれども、きょうは数字をあげませんけれども、日本の水準よりも、はるかに諸外国の高い例が幾つもあるんですね。特に先ほどの御答弁の中でも言われましたけれども、日本の社会保障の水準、これは一応制度は外国並みになっているけれども、しかし、その内容は非常に悪いということは、これは佐藤総理大臣自身が国会ではっきり言明しているとおりです。だから、ほかの社会保障、社会保険の水準と比べても遜色がないんだという理屈はちっとも通らぬですわ。これは現実がはっきり物語っている。やっぱり失業労働者が非常に苦しんでいるということをよくひとつ見詰めて、改善も早急にやっていただきたいと思います。
 そこで次に移りますけれども、私は、積み立て金がこうやって累増している要因、これはなおそのほかにもあると思うのですね。もう一つ見落とすことのできないものは、労働省の行政ですね、これがあるんじゃないか。私、申し上げるまでもなく、失業保険法第三条に、失業の定義がありますね。この定義を読んでみますと、失業者というのは、離職者の中で、労働の意思と能力を持っている者、しかも職場のない者という趣旨のことが書かれている。いま労働省の行政で、この規定をいわば悪用しまして、そうして受給資格のあるにもかかわらず、その資格を剥奪して、そうして給付を受けるべき人に給付をやらないという実例がたくさんあるんじゃないかと思います。こういう点、あなた方もお気づきでしょうか。
#184
○政府委員(中原晁君) いま先生御指摘の、要するに安定所で失業保険をもらう場合の受給制限といいますか、この問題だろうと思いますが、これはいろいろな機会に、いろいろな角度から御議論いただいておりまして、そういう問題があるということは、もちろん存じております。ただ、これにつきましては、私どもとしましては、当然労働の意思と能力を持っているというような観点で、これをどういうふうに判断するかというようなことでございますが、まあ一言で申しますると、失業保険の保険金をもらうために、要するに安定所に来てお金をくださいということだけでは、やはり就職の意思、能力があるとは見なされないというような観点でございまして、これの具体的な適用につきまして、いろいろ基準の問題、あるいは一万四千人おりまする安定所の職員のことばつき、態度等とからみ合いまして、いつもいろいろおしかりをこうむったり何かしているわけでございますが、これはやはり失業保険の趣旨からいいまして、生活の安定をはかるわけでございますが、就職の意思及び能力がないと認められる場合には、これは残念ながら給付制限するということが法律できまっておりますので、この法律のもとに、これを機械的にやることなく、私どもは指導しておりますけれども、そういうような先生御指摘の問題もあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、これを厳重にやって、なるべく金を節約しようと、そういうような意図は毛頭ございませんので、この点だけはひとつはっきり申し上げておきたいと思うわけでございます。
#185
○渡辺武君 問題は非常に大事だと思うんですね。それでこの第三条の「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず」という「労働の意思及び能力を有する」というのはどういう基準で判断するのか。それはその基準を全部おっしゃる必要はないんですが、その基準というのが、法律で特定されているのかどうか、その点だけお答えいただきたいと思います。
#186
○政府委員(中原晁君) これは、具体的な基準につきましては、労働省の通達等できまっておりますが、これにつきましては、法律の求めるところによりまして、職業安定審議会、これは労働者側、使用者側、公益委員で構成されて、そういうことで、失業の認定の問題につきましては、職業安定審議会の意見を聞いてきめた基準によってこれを判定することになっておりますが、その「意思及び能力」ということにつきましては、これは解釈規定等はございますけれども、法律によってこれが意思である、これが能力であるということには相なっておりません。
#187
○渡辺武君 つまり法で特定されていないと、だから結局のところは、それは審議会の意見などを聞くにしましても、これは行政当局が意思があるかどうかということを判断をして、そうして第一条では、保険金を給付して、生活の安定をすることが目的だと言っていながら、その失業の概念規定のところで、お前は、これはもう失業者と認められないんだと、職場へ行く意思がないからということで、どんどん削り落とす。言ってみれば、この第三条の「労働の意思」と、これを判定する人が、これを責め道具に使って、そうして給付を受けるべき人を、給付をどんどん押えていくということが現に行なわれている。これはたいへんなことだと思うんですよ。で、お金をそれでふやそうと思ってはいないんだとおっしゃるけれども、それは確かにお金の問題じゃないと私も思う、お金の問題もからんでいるけれども。これも責め道具にして、賃金の安いところでも何でもかまわない。就職せざるを得ないように追い込んでいくと、ここが私は最大の眼目だと思うんですね。たとえば、これは東京都の例で申しますけれども、一つ一つ例をあげる時間もないのでまとめて申しますけれども、たとえば失業保険金の給付月額ですね、これより下回った職場に就職をあっせんして、行かないからといって、これは、もうお前は就職する能力がないんだ、意思がないんだ、失業者と見なされないと、こういうことをやって、労働者の反撃を受けている。それでその点は引っ込めてはいるようですけれども、たとえば百円でもですよ、百円でも賃金が高ければそこを紹介して、そうして、いや賃金が低過ぎるからちょっと行けないんだと言うと、お前は就業する意思がないんだから失業者として認められない、こういうことで、保険金の受給の制限をやる。ひどい場合には、これを打ち切るというようなことが行なわれております。それからまた、求職者が経験したことのない職種を紹介する、こういう例がたくさんあるんです。たとえば大工さんをやっておって、そうしてこれが運転免許証がある。ところが、お前は運転免許証を持っているから、だからしてトラックの助手になれ、こういうこと。そうすると、大工さんは、自分の本職を生かすところに就職したいんだ。だから、これは困りますと言う。さっそくのところ、お前は労働の意思がない。こういうことでやられる。あるいは通勤片道二時間、大体これが基準になっているんじゃないですか、二時間以内。そういうところに就職の紹介をして、あるいはまた社会保険が何にもない職場に紹介して、それでいやだと言えば、これが打ち切りの材料になる、こういう例たくさんあります。私たくさん持っているんだ。こういうことで受給制限をやるというのは、これは不当じゃないでしょうか。これはね、失業保険法の根本的な趣旨、第一条の根本趣旨を踏みにじる。それだけじゃないのです。憲法で保障された職業選択の自由さえも踏みにじる。職業安定法の第二条だってはっきり書かれているでしょう、同じ趣旨のことが。それさえも実際の行政で踏みにじる、こういうことになっているのじゃないですか。どうですか。
#188
○政府委員(中原晁君) 先生御指摘のような事例につきましては、私どものほうでもいろいろ調べなきゃならぬと思いますけれども、失業保険金をもらっていて、それより低い賃金のところを断わったから打ち切るというようなことは、東京都内のところでは原則としてないと思います。先ほど先生も、それはすぐ文句言って直したというお話でございましたけれども、そういうものは、私どもの基準からいっても、賃金が低いので断わっても給付制限の対象にはならないと、そういうことになっております。その他万般の問題につきまして、いろいろ基準があるわけでございますが、まあこの基準につきましては、あまりこまかくきめますと、これが機械的になってしまう。しかし、これをルーズにきめてしまうと、また安定所の職員の恣意が入ってくる、なかなかむずかしいところではございますが、先ほど、依然として相当まああこぎなあれがあるではないかという御指摘でございますが、私どもの統計でとってまいりますと、そういう紹介拒否等の給付制限の事例をとってみましても、四十一年度あたりに比べますと、四十五年度の数字は、そういうことによって給付制限をした例は三分の一くらいに減っております。したがいまして、これはまあ受給者自体のそういう認識も高まってきている点もあろうかと思うのでございますが、私どもがやはりそういう点につきまして、機械的にやっておらないというようなこともあろうかと思います。四十一年度五万三千件と、こういう件数が、四十五年度には一万八千件というふうに三分の一くらいに減っておりますので、私どものほうとしましては、この指導につきましては、何回も言っておるのでございますが、こういう点につきましては、数多い職員の中でございますので、たとえばそういうような考え方に機械的なことがないかどうか。それからことばつき等について不穏当な点がないかどうか、こういう点につきましては今後とも十分指導しまして、遺憾のないように指導いたしたいと、こういうふうに思っております。
#189
○渡辺武君 それで、受給制限やった例が減っていると、それはまあけっこうなことですよね。けっこうなことだけれども、もう少し実情を見てほしいと思うのですね。この物価高のおりに、失業したらたちまち食うに困るのですよ、いまの失業保険の給付金の範囲内では。だから、打ち切られたらとてもたまらぬから、だから無理難題を言われても、泣く泣く就職せざるを得ないというのが実情じゃないですか。どうですか。
 私はいろいろ聞きたいのだが、時間がないので一つだけ聞きますと、東京都で二時間以内、大体まあそこならば就職あっせんして、聞かなきゃ打ち切ってもいいんだと、まあ大体行くことになっているようですね。これ無理と思いませんか。たとえばね、経済審議会の人的能力部会が、この四月に報告をしている中で、通勤時間は九十分でも望ましくないということを言っている。九十分とは一時間半。ところが職安では二時間くらいはだいじょうぶだということでやっているんじゃないですか。この点改善する必要があるのじゃないですか。どうでしょう。
#190
○政府委員(中原晁君) 何分以上、あるいは何時間以上かかるところに紹介された場合はそれは気の毒、あるいは無理だから断わっても打ち切らないというような、具体的な時間については、労働省のほうとしては指示いたしておりません。それから、その各地の実情とか、ほかの慣習等によりまして、こういうのは一律にきめたほうがいいのか、あるいは各地の実情を勘案したほうがいいのかという点もございますが、同じ二時間でありましても、その地域地域のほかの人の実情とか、そういうような点も勘案しなければならないと思います。いずれにしましても、結局この紹介拒否の基準というものは、最後の結論までいくと、やはり常識的なところに落ちつくと思いますので、常識から見ておかしいような基準があるとすれば、それはやっぱり問題だろうと思います。あるいはそういう点につきまして、まあ何がまた常識であるかという議論もまたあろうかと思いますけれども、そういう地域地域の実情等も勘案しつつ、少なくとも失業保険法第一条の目的にそぐわないようなことだけはないように十全の指導をいたしたい、こういうのが基本的な考え方でございます。
#191
○渡辺武君 もう一つだけ実例をあげます。これは出かせぎ農民の例です。ここでの失業保険の打ち切りというのは、出かせぎ農民にとっちゃ大問題になっているのですね。その打ち切りのしかたなんかも実に巧妙をきわめている。たとえば六カ月働いて村へ帰った、そこで職業紹介所に求職の申し込みをする、ところが、そこでどういうことをやられるかといえば、その職業安定所では、あなたのところの耕作面積はどのくらいか、これを届け出ろ、こういうことなんですね。そうして、届け出さした上で、これだけの田畑を持っているんだったら、あなたは就職する余地がない、お百姓やるんだから、就職する余地がない、こういうことで職業紹介も打ち切る。したがって、また失業保険金ももらえない。こういう事態に追い込んでいっている、こういうことであると思うけれども、どうですか。
#192
○政府委員(中原晁君) 季節的受給者――出かせぎの方でありますとか、出かせぎでなくても、季節的に失業保険を受給するというような方につきまして、特にいわゆる夏型と申しまして冬働いて夏故郷に帰ってくるという方の場合に、いま先生の御指摘のようなことがあるかないかということでございますが、私どものほうとしましては、要するに失業保険の趣旨からいいまして、その間就職の意思及び能力を持ちながら職につけないということが要件になってまいりますので、そういうようないろいろな判定の基準といたしまして、たとえば相当大きな田畑を持っていて、それも人にまかせるような形跡がないという場合には、当然その人がこれは相当部分働かなきゃならぬということになりますれば、失業保険法でいう失業とみなされないのではないかというようなこともからみ合いまして、そういうような田畑を持っているかどうかというようなことを聞くということもあろうかと存じますが、いずれにしましても、この例につきましても、先ほどの通勤時間の点と同様でございまして、常識、それからその地方の実情等から勘案しまして、これが失業の認定として客観的なものに裏づけられるような一つの材料として活用されるということを、私どもは指導しているわけでございまして、機械的に田畑を持っているからどうだこうだというようなことは考えておりませんし、またそういう点につきましても十全の指導を行ないまして、機械的にならないようなふうに指導いたしたい、かように存じております。
#193
○渡辺武君 それは行政の姿勢を正すというのはけっこうだけれども、しかし、それだけじゃやっぱりみんな不安心なんです。みんないままでの実績がありますからね。たとえばそういう、いま言ったようなケースのような農民が、いや田畑はこのくらいあるけれども、しかしいま機械化なんかして、十分にこれはもう農業をやりながら、同時にまた工場に就業できるんですよということを反論し実証する余地ですね、これは与えますか。
 それからもう一つ、この出かせぎ農民について伺いますけれども、この職業紹介をやる場合に、農民の就業先の労働条件ですね、これを書き入れようとすると、いや労働条件については書き入れなくていいということで書き入れさせない。させないということは、これはどんな安いところでも職業紹介をして、そうしていやだと言えば、おまえは就業の意思がないんだということで打ち切ろうという準備工作として書き入れさせない。こういうことはやめるべきだと思うが、どうでしょうか。その二点ちょっと。
#194
○政府委員(中原晁君) その田畑につきましても、先ほど申し上げましたとおりでございます。田畑を持っているか持ってないかというような、あるいは何平米以上とか、そういうような機械的なことでやるようなことのないように指導いたしたいと思います。
 それから求職表に賃金を書かれるといかぬので、それを書かせないようにしているというようなことでございますが、私どもはそういう事例は聞いておりませんが、もありますれば――それは当然求職というものは、こういうところで、こういう仕事をしたい、賃金は幾ら以上ほしいということが当然出てまいりますので、これを書かせないということは、実際そういうことが私どもはあるとは思いませんけれども、もし万一あるようなことがございましたら、これは適当ではない、是正さしたい、かように思います。
#195
○渡辺武君 いまここで是正するというふうに御答弁あったから、私きょうは時間がないから具体的事例は申し上げないんだけれども、具体的事例が出たときに、あなたいまの言明をそのままひとつ実行していただきたいと思うんですね。その点は念を押しておきます。
 それから、まだいろいろ伺いたいことがあるんですが、時間もきたようですから、あと一、二点だけ伺って終わりたいと思うんです。
 労働保険特別会計法案の参考資料を見てみますと、失業保険勘定ですね、この中の歳出ですね、ここに保険施設費、それから雇用促進事業団出資、それから施設整備費、これがずいぶん大きいですね。保険給付費よりももっとこの費用のほうが大きい。もっと大きいというよりも、ほとんど匹敵するくらいだな、正直に言いまして、半分程度――半分程度もこういう方向に出ている。いま言ったように、とにかく給付水準が低いのになかなか上げてくれない。しかも打ち切り制限で労働者は非常に恨んでいるんですよ。この会計の中身を見たら、給付金よりもほかのところにべらぼうに金が出ている、これは非常に疑問だと思う。これはどういう内容のものですか、ちょっと御説明をいただきたい。
#196
○政府委員(中原晁君) 保険給付費につきましては、二千三百七十四億六千万円ということでございますので、それに比べれば、もちろん額ははるかに少ないわけでありますが、それでも少なからず金が出ておる、こういうことでございますが、保険施設費というのは、これはちょっと私どもも最初勉強するまでは名前と実体がぴんとこなかったのですが、このほとんどのものは、八百八億のうちの六百七十九億は福祉施設給付金といいましても、大半が就職支度金、たとえば、比較的早目に就職した人についてはいろんな身支度に要するようなお金を給付金として差し上げる。これは今年度月六万人組んでおりますが、大半がこういうような費用でございます。八百八億円のうち六百七十九億円がそういうようなもの並びに転換給付金でございます。
 それから、事業団出資金につきましては、二百八十三億円ということでございますが、これは先ほど多田先生の御質問のときに詳細に申し上げましたけれども、これは職業安定局並びに訓練局の関係で、雇用促進事業団を通じまして、各種の職業訓練校あるいは福祉センターというようなことで、就職の促進あるいは被保険者の福祉の向上、特に中小企業等は比較的恵まれませんので、そういう人に重点的に使っていただくとか、施設のための出資金でございます。そのパーセントにつきましても、去年は一〇・六%が充当率でございました、保険料収入の。ことしの四十七年度につきましては一〇・四%ということで、わずかではございますが下げました。ともかく、やはり失業保険につきましては、制度全般の目的から均衡ある使い道をするということでやってまいっておるわけでございます。
#197
○渡辺武君 一番最初ぼくが問題にしたのは、この失業保険法の第一条には、給付金を出して、そうして失業者の生活を安定させるのが目的になっている。ところが、給付金以外にこんなにたくさんの金が出ている。とんでもないことじゃないですか。しかも、給付金は非常に低い。私計算してみました。この徴収勘定から保険料として取った分の中で、三項目にどのくらい使われているか。四十六年度で言えば三六・四%、四十七年度で言えば、これは予算額ですが三四・六%がこういう本来の目的以外のところに使われている。なるほど就職支度金は確かに給付金の一つになるでしょう。しかしこれは従来国の補助金の中に含まれていたものでしょう。国で出す金の中で、それを国が出さないようにしてこの会計から出すようにしている。本来これは国が出すべきものだ、そうでしょう。それでそれを雇用促進事業団へ出資するということは、なるほど雇用を促進するんだから失業者のためになるだろうというような理屈も立たないことはない。立たないことはないけれども、そういうことは、これは失業保険の根本趣旨とはまた別の問題で、失業保険の根本目的というのは、いま言ったように失業保険金を与えて、そうして失業保険期間中の生活を安定させるというのが根本の趣旨。かってにそれをねじ曲げて、そうして労働者の払った保険料の四割近い額をそういう方面に使う、これは不当ですよ。そういうことをやめて、給付内容の改善にこれを使うべきだと思うけれども、どうでしょうか。
#198
○政府委員(中原晁君) 確かに失業保険の目的は、先ほど申し上げましたように、失業保険金を支給してその生活の安定をはかるということを目的として書いてあるわけでございますが、昭和三十年の法改正によりまして、二十七条の二に「福祉施設」ということで、こういう福祉施設をやるということも、失業保険の事業の重要な一環として設置されたわけでございます。したがいまして、この目的は非常に簡単かつ明瞭に書いてあるわけでございますが、広い意味におきますれば、当然そういう福祉施設というものも、この失業保険法の被保険者の福祉向上並びに職業の援護という点からいきまして、その目的の中に入るわけでございます。ただそのパーセントにおきましてどうであろうか、なるべくそういうものをしぼって、保険の給付に重点を置くべきではないか、給付率は六割あるいは給付期間は十カ月というものは遜色ないにしても、もっと上げるのが先決ではないかという先生の御指摘でございますが、職業安定審議会におきましても、このそういうような福祉施設に充てるのはどのくらいが適当であるかというような基準につきましても御審議いただいております。私どものほうとしましては、この保険施設という八百八億の中の大半は、先ほど先生もおっしゃいましたが、就職支度金というようなことでございますけれども、そういうような福祉施設等につきましても適正な規模で、適正な運用を行ないまして、この保険法第一条の目的に沿う方向におきまして、今後も改善運営していきたいと、かように存ずる次第でございます。
#199
○渡辺武君 最後に一言だけ。いやちょっと納得できないんです。就職支度金はさっきも言ったように、いままで政府が出していたやつを出さないようにして、この会計から出すようにしているんですよ。それはもう不当なことなんだ、これはどだい。だから、そのことを口実にして、雇用促進事業団への出資なども合理化しようとしている、これは間違っていますよ。大体、昭和四十四年の失業保険法の改悪の当時、政府はこの改悪案の中に、失業保険法第一条の目的に、この失業の予防や就職の安定ということを加えようとした、それが各界の反対によってやることができなかった、そういういきさつはあるでしょう。その各界の反対のあったことを、事実上雇用促進事業団への出資などの形でこうしてやっているということは、これは不当なんだよ。失業保険法の根本精神をねじ曲げているんだ、法にきまってもいないことを、そういう理屈をつけてこういうことをやる、けしからぬですよ。これは法の根本目的に沿ったように、やっぱり給付内容の改善や、打ち切り、引き締めをやらないという方向で解決すべきだと思うんです。このことを要望して私は終わっておきます。
#200
○委員長(前田佳都男君) 先刻の戸田委員の質疑に対しまして答弁漏れがございました。聞いておりますか。
#201
○戸田菊雄君 きのう中原審議官に、福岡県内の相互銀行の離職状況、これもあとで調べて答弁すると、こういうことですから、きょう来ておりますから、その辺の見解もあわせてひとつ。
#202
○政府委員(渡邊健二君) 先ほど答弁のための資料を手元に持ちませんでしたため、答弁が漏れました沖繩労災法の適用関係の状況についてお答えを申し上げます。
 沖繩労災法の適用状況、四十五年で申しますと、事業場数で三千六、適用労働者数が六万一千四百七十二人と、かよう相なっております。で、先生お尋ねのその中の農林水産業につきましては、事業場数百六十一、適用労働者数二千九百二十人ということになっております。教育・研究の事業につきましては、沖繩のほうの資料にそういう業種区分がございませんので、ちょっと教育・研究の事業につきましては事業場数、労働者数等わからなかったわけでございます。
 なお、以上は沖繩労災法の適用状況でございますが、そのほかに沖繩で労災法ではなしに、駐留軍関係で米軍の布令の適用を受けている労働者がございます。業務上の災害の補償につきまして布令の適用を受けておりますのが合計して約三万五千ほど別個におられるわけでございます。
 なお、沖繩における労働災害の発生状況でございますが、四十五年度で全産業で休業一日以上のものが二千七件、それを業種別に申し上げますと、製造業が大部分で千百三十五件、そのほか建設業が三百四十五件、貨物取り扱い業が二百二十件等々の業種別の状況に相なっておるわけでございます。
#203
○政府委員(中原晁君) 福岡相互の件でございますが、現在いま調べておりまして、これ個別の会社の名前が出ますので、ちょっと正確に申し上げないといかぬかと思いますので、まことに申しわけありませんが、次回に報告させていただきます。
#204
○戸田菊雄君 福岡相互銀行じゃございません。福岡県内の各種相互銀行、県内の相互銀行です。福岡相銀というのもありますが、そうじゃなくて、一行じゃなくて、県内の相互銀行の離職状況はどうか、そういうことですから、その点誤りのないように。
#205
○政府委員(中原晁君) その点早速調べまして次回に御報告さしていただきます。
#206
○委員長(前田佳都男君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次回の委員会は、四月二十一日午前十時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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