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1971/05/12 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第24号
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1971/05/12 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第24号

#1
第068回国会 大蔵委員会 第24号
昭和四十七年五月十二日(金曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     鈴木 一弘君     原田  立君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前田佳都男君
    理 事
                柴田  栄君
                嶋崎  均君
                戸田 菊雄君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                河本嘉久蔵君
                栗原 祐幸君
                棚辺 四郎君
                津島 文治君
                西田 信一君
                桧垣徳太郎君
                竹田 四郎君
                成瀬 幡治君
                松永 忠二君
                横川 正市君
                吉田忠三郎君
                原田  立君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       経済企画庁総合
       開発局長     岡部  保君
       沖繩・北方対策
       庁総務部長    岡田 純夫君
       大蔵政務次官   船田  譲君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       松川 道哉君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩振興開発金融公庫法案(第六十七回国会内
 閣提出、第六十八回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として原田立君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(前田佳都男君) 沖繩振興開発金融公庫法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○松永忠二君 質問を始める前に委員長にお聞きしますが、大蔵大臣は一体どういうわけで出席しないのですか。
#5
○委員長(前田佳都男君) きょうは衆議院の大蔵委員会がございましておくれておりますが、後刻出てくる予定でございます。
#6
○松永忠二君 しかし、きょうはあれじゃないですか、本委員会で公庫法案を上げようというようなことで、最後の審議に入って、山中総務長官も来られて、私は、大蔵大臣が出てくるということを聞いた上で質問をすることで予定をつくったわけですが、少し委員会の出席が少な過ぎるのじゃないですか、大蔵大臣は。
#7
○政府委員(船田譲君) 松永委員のおしかりごもっともでございますが、去る九日に三時間当委員会に出席いたしまして、先生方の御質問を受けたわけでございます。きょうは主として総理府総務長官に御答弁いただきまして、最後の時点におきまして大蔵大臣の出席を求めるという形で進んでおりますので、その点、御了承願いたいと思います。
#8
○松永忠二君 私は理事の方から、大蔵大臣と総務長官、一緒にきょうは来られて質問をするというお話を聞いているわけですね。それで私は少し速記録を調べましたけれども、衆議院と比べて参議院の大蔵委員会の大臣の出席が少ないのじゃないかと思うのですよ。採決をしてもらうときちょこっと顔を出す程度では困る。大蔵大臣は予算委員会のときに当委員会へはずっと欠席しているわけなんですから、つとめてやはり出席をするということでなければならないし、そううかつに簡単に大蔵大臣が他の委員会に出席することを委員長として認めるということは、私はおかしいと思うのですが、どういう理由からなんでしょうか。
#9
○委員長(前田佳都男君) お答えいたします。
 ただいま松永委員御指摘のとおり、大蔵大臣が大蔵委員会に出席が少ないということは、まことに遺憾なことでございますが、われわれも大蔵大臣の出席方を委員会として極力折衝はいたしておるのでございますが、何ぶん大蔵大臣は引っぱりだこというか、いろいろな委員会に出ております関係上、なかなか出席ができないということで、まことにその点は委員長としても遺憾に思っておりますが、きょうは実は沖繩振興開発金融公庫法案につきましては、主管大臣が総務長官ということになっておりますので、それで総務長官に先ほどお出ましをいただきまして、大蔵大臣も追ってお出ましをいただく予定でございますので、その点、あしからず御了承願います。
#10
○松永忠二君 もう一度確かめますが、きょうは一体衆議院の大蔵委員会は何の法律を取り扱っておるのですか。
#11
○委員長(前田佳都男君) 直税三法でございます。
#12
○松永忠二君 それは別にきょう上げる必要があってじゃないと思うのですね。まあ、委員会ダブってやっておられることだから、並行してあっちこっち出られるということは差しつかえないと思うのです。これは私別に指示を受けてきて言うわけじゃありませんけれども、どうも出てきても非常に大臣の出席が少ないし、きょうは二人の大臣がおそろいだというお話で、しかも非常に短い質問時間の割り当てだと、そう言っておるのに、その大臣が出てこないということは、これではやはり何のために質問するのかと、また大蔵大臣には、いま当面の問題である庶民金融であるとか、いろいろの問題もかかえているわけですから、関連をして質問をしたいという気持ちを持っているわけなんですよ。まあ、委員長理事の打ち合わせ会で特に認めたというお話であれば、これはやむを得ないのですけれども、ぜひひとつ今後は、予定があったら予定どおりやらしていただくようにお願いしておきます。
#13
○委員長(前田佳都男君) よくわかりました。
#14
○松永忠二君 それでは総務長官にお尋ねをいたしますが、「豊かな沖繩の県づくり」、あるいはまた「公害のない緑の島」ということで、たいへんキャッチフレーズをもって新しい沖繩の県づくりが行なわれるという期待が非常に強いわけです。その期待が強ければ強いほど、ある意味からいえば、計画がりっぱに立てられておればおるほど、それが実現をしなかった場合には、非常な失望と落胆がそこにあるわけですけれども、こういう点について一体「豊かな沖繩の県づくり」というのは、どういう目標のもとに、どういう年度までにはこういうふうな形で完成をしていきたいのだという、こういう点についての一つの目標的なものを私たちお話を聞いていると、五年間で産業基盤については本土レベルまで上げましょう、こういうことを端的に言われているわけですけれども、こういう面で一つの大まかな目標としてどんなものを持っておられるのか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
#15
○国務大臣(山中貞則君) 形式的に申しますと、これは十カ年計画の策定を待つべき事柄であります。その十カ年計画の策定はすでに法律できまりました。沖繩開発の構想についての新しく選ばれた沖繩県知事が原案を作成したものにより、過半数をもって構成される審議会がそれを決定をしたものを総理大臣が決定し、国の責任で推進していくという手順を待たなければならぬと思います。しかしながら、沖繩の現状並びに復帰直前、直後の経済的な不安動揺、こういうものに対処するために、私たちは当面の施策というものを持ちながら、そして沖繩のつくっておる計画を基礎にして、それを作成をしていかなければならない当面の任務があることも承知いたしております。したがって、沖繩における復帰の前後において生ずるいろいろの、経済あるいは賃金、あるいは雇用関係の不安動揺、あるいは物価の問題、こういう問題等に最大限の努力をいたしますと同時に、短期的な目標としては、一応本年度予算を、各種五カ年、十カ年計画の初年度と位置づけられるようなつもりで琉球政府と十分打ち合わせをしてつくりました。したがって、一番おくれている社会資本の整備、そういうもの等については電力、道路あるいは水資源、港湾、漁港その他のもろもろの問題について大体五年間で――義務教育施設も含めますが――到達目標としての予算をつくったつもりであります。しかし、これも実際上すぐに沖繩において雇用の貢献度の高い企業が出ていくという見通しが、ドル・ショック等もありまして、造船とか、あるいは電子産業がいまのところ年度内進出というものが期待できない状態にあります。かろうじて着工するのはアルミということになるわけでありますが、したがって、私たちとしては、昭和五十年の国際海洋博、こういうものに向かって普通の公共投資にプラスしたものを集中的に沖繩に投下しなければなりませんので、すべての人たちを、ブルーカラーもホワイトカラーも全部そちらの職場に回せるという見通しはありませんけれども、沖繩の現地においてそういう国家的な投資というものが大々的に行なわれることによって、沖繩との間に若干のそのような人口の流出につながるような状態を避けつつ、そしてすみやかに十カ年計画を策定して、具体的な企業の進出、そしてまたその前にも、ゆれ動く既存企業というものの保護育成ということに十分につとめていかなければならないと考えております。また、企業の誘致にしても、沖繩で、施政権下の国家的な小さい範囲においての環境に置かれましたために、ようやく自分たちの力で営々としてつくり上げました沖繩における大手と申しますか、そういう企業も、本土の資本に比べたら一たまりもないわけでありますから、競合企業等については、税制、金融あるいは特定事業の指定等においてそういうことを認めない、運賃同盟等についてはなぐり込みを認めないという手段を行政的にも講じていくつもりでございます。
#16
○松永忠二君 そうすると、私聞きましたのは、たとえば新全総に、沖繩を新しい八番目のブロックとして加える。そして新全総の案については、新たな知事ができた上で相談をして、そしてそれに基づいて沖繩のいわゆる開発計画ができ上がってくる、具体化してそういうふうな順序でいくとすると、たとえば伝えられているところによると、六十年度に人口は百十万から百十三万、経済成長率は八・三%程度であって、六十年度の、六十年の県民総生産あるいは県民所得、あるいは那覇の都市圏をどうするということが考えられているわけですから、この点については、総務長官もこういう立案の中に入って、いわゆる新全総の構想がまとめられてきているのかどうなのか。それと、一体沖繩の開発計画との関連はどうなるのか。そういうことと、本年度の予算というような問題もあわせ、その関連をどういうふうにしているのか、この点を少しお聞かせ願いたい。
#17
○国務大臣(山中貞則君) ものごとははっきり申し上げておきますが、経企庁の新全総の事務段階の作業でありますから、経済企画庁長官たる国務大臣の木村さんがどこまで承知しておられるかしれませんが、私との間の相談は事実上ないわけです。なおかつ、また木村大臣としては、沖繩復帰後一カ月以内に沖繩の新しいブロックとしての新全総の位置づけをしたいという記者会見をされましたので、私はすぐ木村さんに、それはちょっと待ってください。あとの質問にも関係がありますが、これは沖繩のこの新全総の位置づけは、沖繩の新しい年次計画の指標たるべきものに位置づけをするはずでありますから、したがって、私との相談はもちろんのことでありますが、沖繩県の知事たるべき者が選出された後に、沖繩県側の意向を、法的なものはないにしても、十分に沖繩が作成するであろう。すでに琉球政府の時代に作成した一応の十カ年計画が、長期計画がありますから、そういうものは企画庁も十分参照しながらつくっていくことと思います。思いますが、やはり新しい新生沖繩県の初代知事――みなす知事である初代知事が、公人としての立場において十分意見を述べる、意見を交換してきめてほしいということを申し述べまして、木村さんも快く、それはそのとおりでしたということで私の提案に同意をしていただきました。したがって、いま事務段階の作業でありますから、これから政治レベルの配慮を加えた作業にしていくための話し合いは進めていきたいと思います。それでよろしゅうございますか。
 第二点の問題。長期計画の指標となるべきものが新しい新全総であり沖繩復帰の全総の計画である、そういうふうに私は考えております。
#18
○松永忠二君 そうすると、さっき最初にお話しのあった、大体沖繩のいまの琉球政府等の首脳とも話し合って大体のめどをつけて、計画の上に立って本年度の予算がつくられ、それが当初の計画の第一年度としての実施をするというふうな考え方でまとめてきたと、こういうお話が最初あった。そうなってくると、それの一体目標というのは、もちろん新しい知事が選ばれて、同時に新全総がきまり、それに基づいて、基軸にしながら振興開発計画ができていくわけですけれども、そういうふうな順序を踏むとしても、本年度予算を成立をさせていった総務長官として、いわゆる「豊かな沖繩県づくり」という場合における初年度としての予算の持っているその目標というのは、どういう一体輪郭をもって考えておられたのか。こまかいことは省略をして、重要な点だけについて、およそこういうふうな目標に基づいてやりたいというような考え方があったらひとつお示しを願いたい。
#19
○国務大臣(山中貞則君) 先ほど申しました社会資本投下が、非常におくれております。したがって、港湾とか、あるいは義務教育の施設整備とか、そういうもの等については、五年後に、本土の五年後の状態に一ぺんに追いついてしまうという計画を立てまして、それに必要な初年度予算を計上しているわけであります。しかしながら、この金融公庫のほうは、当初予定をいたしておりました造船がドル・ショックで一応見合わせてほしいという意向もありましたし、あるいはまた、土地まで取得しておりました松下電器産業あたりも、やはりドル・ショックでしばらく待ちたいというようなこと等もありまして、かろうじて基幹産業である電力という問題等は、金利的な優遇をすることにいたしておりますけれども、結果として、目ぼしいものといえば、まあ本土から来るものとしてはアルミ産業であるという、私としてはあまり予期しない方向に落ちつきました。この点は、琉球政府との間に、沖繩における今後の経済開発、発展のための長期展望の初年度であるという位置づけの議論は深く詰めないままで現実というものを受け入れるという姿のままで出発をいたしておりますが、後年度に、次年度以降においては、これは明らかに新全総を踏まえ、十カ年計画を踏まえて、金融公庫が受け入れるべき沖繩の産業の新しい形態にマッチするような資金計画にならなければならぬと考えております。
#20
○松永忠二君 そうすると、今度の沖繩振興対策の二千二百三億という金については、一応そのお話はわかったのですが、沖繩国会で盛んに政府が公庫の問題について説明をしているところによると、金額的にも非常に幅が出てきているように思うのですね。たとえば沖繩国会の政府の説明では、政府の新規出資は百五十億、政府の借入金は三百九十億で、四十七度初年度の貸し付けの契約額は六百億と考えたいというようなことを盛んに答弁をしておったわけですね。ところが、現実にいま出されているのは、新規出資は三十億、政府借入が三百三十億、貸し付け契約額で四百五十億という、大幅に大きな差が出てきているわけであります。これでは、いまお話しのあったいわゆる初年度としての金融的な面の措置としては、非常に不十分だというような感じを、われわれはいまの御説明と関連をしてそういう感じを受けるわけなんですが、こういう点については総理府の長官としてはどういうふうな考え方を持っておられるのか。どうしてこういうような結果になったのか。これでは考えているようなことが実行できないのか。こういう点で少なくもどの程度のものが今後考えられるのか。こういう点をお聞かせ願いたい。
#21
○国務大臣(山中貞則君) これは、金融業務というものは、体質の問題と融資の効果、すなわち融資の原資、そうして金利その他の貸し出し条件、こういうもの等が考えられると思うのです。問題は、予算要求は出資百五十億という要求をいたしました。この点は、いわゆる金融公庫の体質の問題として、それくらいのしっかりした体質で出発したいと思ったのですけれども、その後大蔵との事務折衝の段階で、本土のいろいろの開発銀行その他政策金融機関の出発当時における、あるいはまた今日までの累積した政府の出資額という形の金額を見ますと、百五十億というのが実はなくて、これは私も吹っかけたわけじゃありませんが、それぐらいのものは国の出資であってしかるべきだ、こういうつもりでおったわけでありますが、その後問題は、じゃあ何が目的なんだ。沖繩に対しては特利あるいは特ワク、そしてまたその総額も十分に沖繩側の希望にこたえ得る融資の額を維持すべきだ、原資の確保であるというととを考えましたので、したがって三十億というものを一応出資としては見たわけであります。これはまあそのかわりに、不測の事態等が体質において起こってはいけませんので、予備費を一億取るということにおいて話をつけたわけであります。
#22
○松永忠二君 それで政府の借入金につきましても、三百九十億も二百二十億になっておるわけです。当時、貸し付け計画については産業開発にどのくらいとか、生業資金がどのくらいだ、住宅資金がどうだとか、中小企業がどうだとか、農林漁業はどうだとか、医療はどうだとか、それからまた特別資金はどうだとかいうようなことを言ったわけですよね。そうなると、われわれはこの説明を聞いている範囲においては、いわゆる新しい沖繩の開発にあたっては、この程度のものが当初どうしても必要なんだろうか、おおよその計画のワクを考えているのじゃないかというふうに考えていたので、これではやはり支障があるのじゃないか。当初考えていたようなものを計上していく必要があるし、また、そういうことの努力が必要なのじゃないかという感じを受けてお話を、意見を聞いたわけですが、だいぶ差が開き過ぎているので、やはりこの程度のいわゆる公庫の貸し付け資金で大体当初としては行なわれていくだろうという見通しなのか、あるいは、今後こうした予定したもの等もできないのでなお拡大をはかりたいということなのか、この点はどうなんですか。
#23
○国務大臣(山中貞則君) まあ当初は、一カ年の予定をいたしておりましたし、それが十・五カ月ということになりまして、一般の行政費も、交付税も、そして金融公庫のやつも、これが十・五カ月分ということになったことも一つはあります。それから、出資をどこまで見るか、あるいは借入金で利子補給していくかという、そういう問題等にも関連いたしますが、大体出資三十億の場合に、一億ほど体質に貢献をするという感じであります。したがって、百五十億予定しておりましたものの、私どもが当初貸し出し資金その他を考えておりましたものの、体質に貢献するために必要なものは、その後沖繩側ともちろんこの内容については十分に詰めておりますので、現在の沖繩側の資金需要、そして復帰の年に起こるであろう十・五カ月分の需要に対応するものはまかなえるのだ、しかしながら、やはり出資三十億だけでは、場合によっては心もとないことが起こるだろうということで、出資三十億に匹敵する予備費の一億というものを確保をいたしてあります。
#24
○松永忠二君 そうすると、大体いまのお話だと、当初としてはこの程度の財政的な面と、資金的な面があって、それに沖繩の県の予算等組み合わせてやっていけば、いわゆる「豊かな沖繩の県づくり」の初年度としましてはまあまあ何とかやっていけるのじゃなかろうかというのが、それが総務長官の考え方ですか。
#25
○国務大臣(山中貞則君) 原則はそういう姿勢で予算を終わったわけなんです。ところが、その後、御承知のような、沖繩においては三百六十円が当然のこととして受け取られていたいわゆる賃金の設定その他の問題が、これは公務員ばかりでなくて、賃金雇用者全部にあったわけですね。それが復帰を迎えて三百八円というものにもし賃金が読みかえられるとすれば、われわれは実質上手取りが減るんじゃないかというようなことで、非常な心配がありました。公務員その他措置できる範囲は十分いたしましたし、なおかつ、一般の企業についても琉球政府の要請どおり産発資金十億、大衆金融が百億六千万というものを出しました。しかしながら、その後追跡調査してみますと、それによって読みかえが可能となったものが大体五〇%ぐらいであるということがわかりまして、大蔵委員会で現在皆さん方審議中の法案が衆議院を通過いたしましたる際に与野党共同の附帯決議がつけられました際に、私どもから、八十億以内における、期間は一年間で貸し出せば済むことでありますが、償還は百年間で二年据え置き、金利三分という特例のものを設定して、さらに金融公庫の融資量としては八十億が追加をされたわけであります。したがって、金融公庫出発にあたっては、その後の情勢の変化にプラスこの八十億が乗っかった。まあコスト・プッシュ要因になる賃金を、換算のために金がよけい要るという場合に、融資でやることは理論的にはおかしいのでありますが、しかし、このような低利長期のものを融資の対象にいたしますと、ほとんどの企業が負債を持っておりますので、民間負債の実質上肩がわり等によってメリットが出るということで、おおむね労使間の紛争というものも、賃金をめぐっての問題は終結をした、片づいたということもあったわけであります。
#26
○松永忠二君 いまのお話の点はわかりましたが、いま言った、その目標というか「豊かな沖繩県づくり」という面で、特に力点を置きたいというような点はどこなんでしょう。当面、まあたとえば長期経済開発計画についてもいろいろ批判があるわけですね。これらの第二次産業を軸とした徹底した産業構造の改造をやるということである。しかし、当面一体何に力を入れていくことが必要であろうかというと、必ずしもそういう意見ばかりじゃなくて、農漁業と観光、工業の三本の柱としても、まずここへ力を入れていくべきでないかというような意見も出ているわけです。あるいはまた雇用の増大というような意味からいって、まず公共投資の点で、公共投資についても、産業基盤が先なのか、社会福祉か。いわゆる重点を福祉重点の公共投資に置くべきであるとかいうような意見も出ている。それから、戦略産業への積極的な融資というような問題についても、一体どういうものをどういうふうな形で持っていったらいいのかということで、何かやはりこの問題を解決するために集中的に努力をしなければいけないような問題があるというふうに考えているわけでありますが、こういう点についてはどういうふうな考え方を持っておられるか。
#27
○国務大臣(山中貞則君) 国会の御論議でも、ともすれば二次産業の問題に集中して議論が行なわれた傾向は確かにあると思います。しかしながら、沖繩においてやはり現在は施政のパスポート等の関係もあって、もし沖繩が本土の一県であったならばおそらく人口流出――過疎になったに違いない環境にあっても、人口は一応ふえております。したがって、琉球政府側が立てておりますかつての計画である、十年後に百九万、百十万の人口にするということは、これはゆえなしとしないのでありますが、しかし、その沖繩の中において県内の過疎化が進行し、県内の那覇を中心とする過密が行なわれております。これは私は政策をよろしきを得なければ、沖繩ぐるみの過疎化が急速に対本土に対して行なわれるおそれが多分にあると思うわけであります。そのためには、やはり沖繩本島を除いたほかの四十幾つの島というものは、全部がこれは農漁業の島であります。したがって、林業のウエートは比較的少ないのでありますが、農漁業に対して施策を誤るならば、これはまた沖繩の人口流出はとめられない。去年の干ばつ、台風によって、宮古、八重山の諸島からはすでに相当出かせぎ者が出ております。施策よろしきを得ないと、その出かせぎ者は帰ってこないというおそれが出てくると思うのであります。そういうこともありまして、農林漁業の基盤整備、体質の改善ということには、きわめて意欲を持ってやっております。ことに農業においては、基盤整備ももちろんでありますが、沖繩が他の県よりもすぐれた条件で営農していく道があるとすれば何だ。それはやはり亜熱帯の産業であるキビとパインを中心にして畜産を組み合わせ、あるいは温暖の地方としての蔬菜園芸等であろうと思うわけでありますが、こういうことに対する施策を厚くし、漁業においては、御承知のように、くり舟比率が七〇%もある。これは操業もはなはだ非能率でありますし、危険であります。しかも、そのくり舟は、漁港施設らしいものがほとんどないために、港に帰ると、かついで、人力で陸上に揚げているという状態でありますので、漁港は五年間で本土に追いつくということで集中投資をやりまして、そして漁船の近代化、特にくり舟については二分五厘で資金を充てて、急速に今後大型化、近代化をはかっていきたいと思っております。
 さらに、沖繩におけるもう一つの問題は、いずれ御指摘があるのでありましょうが、三次産業のウエートがきわめて高い。これはやはり基地依存形態と申しますか、生活の場を基地に取られて、生きんがための追い詰められた知恵でもって、基地から自分たちが生活のかてを生み出してやろうという意味からの三次産業がきわめて強いわけであります。これはやはり基地縮小に努力をする反面、このいびつな基地依存形態を中心とする三次産業というものを、何とか三次産業のワク内における転業なり、新しい発展が期せられることが理想でありましょうから、そのためには、沖繩県の世論調査を見ましても、観光立県に対する期待が非常に強い。私どもは、海洋博への公共投資の面、あるいは、海洋博をそのときの国際的なお祭りだけに終わらせることなく、沖繩については、この平和産業の中で観光立県への第三次産業の発展ということは、ぜひともやはり沖繩県の考え方を受けて、これに対して十分の力を尽くしていきたい。そして二次産業への新しい構造の、体質の改善ということがまた一方の柱になっていかなければならぬだろう。御指摘のとおりだと思います。
#28
○松永忠二君 そうすると、考え方として、沖繩で琉球政府がつくった長期経済開発計画というものの非常に片寄った、第二次産業を軸としたというやり方、あるいはたとえば新たに新しい産業、新規企業の生産を七割も取り込んで考えているような、こういうやり方も考えられたこともあるけれども、お話によると、まず当面農漁業とかあるいは観光というものに相当力を入れていかなければいかぬという点、あるいはまた雇用増大というような面について、非常に考えていかなければならないということを強調されたわけですね。雇用の増大という面からいえば、一体、当面何へ力を入れたら雇用増大ができるのか。そのためには、お話しのあった海洋博とか、あるいは明年はいわゆる国体が開かれるとか、いま言ったアルミとか飛行場の建設とか、いろいろな問題が出ているが、いわゆる公共的な事業なりそういうものを通して、当面雇用の増大をはかっていくということが非常に大事だと。ただ、新規産業を誘致をするということだけに夢中になっていては、これはぐあいが悪いというような考え方なんですか。それとも、何かやはり初めのいろんなものを見ると、もっぱら集中的に新規産業の誘致というような問題で、それの基盤づくりというような面に非常に力を入れているような感じを受けたんですが、こういう面については相当やっぱり考えていかなければいけないというような御意見なんですか。内容のことについてはあまりこまかくお聞かせしていただかんでも、考え方の基点だけちょっと示してください。
#29
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩の一次、二次産業の構成比というものは、私はやはり二次産業というものの比率をもっと高めるべき点にあると思います。かといって、一次産業の比率を減らすべきが理想であるということでやってみても、これがほかの本土の県のように、全部地続きの県でありますと、それができるわけでありますが、沖繩の離島は農業、漁業以外で立つにはちょっとほかに方策は考えられない。まあ、かりに下地島等の飛行場、ジェット・パイロットの練習飛行場、そういうものができるにしても、そういうものは局地的にとどまるという、そういうことを考えると、その意味ということを忘れてはならないということを申したわけであります。
 そこで、二次産業については、これは現在琉球政府が許認可いたしたもので目ぼしいものといえば、石油CTSその他の装置産業は雇用にはあまり貢献しないし、関連産業も興こっていない。これは琉球政府がやったことですから、今後は、これ以上はやってもらわぬほうがいいと私は思っております。それにかわるものとしては、いま現在具体的なものは、残念ながらアルミだけである。私としては、関連企業の雇用増大に大いに貢献する造船あるいはまた電子産業、弱電産業、いわゆる内陸型のもの、そういうもの等をやはり推進していかなければならぬ。そういう計画があったのに、ドル・ショックその他でとんざを来たしておる。このことがきわめて残念でありますから、これらの問題は引き続き推進をしていって、現地で雇用が喚起され、付加価値が創造され、落とされていくという問題をやはり考えていかなければなりません。長期的には、沖繩の中城湾の北の泡瀬を予定して調査をいたしますが、大規模な港湾を建設する、フリーゾーン――自由貿易地帯というものを設けて、いろいろとアメリカのプエルトリコあるいは台湾の高雄とか、その他いろいろと研究をいたしておりますが、そういうことで、沖繩側において付加価値等関連産業が興ればけっこうである。これは長い展望でありますので、当面はそういうことに重点を置きたいと思います。
#30
○松永忠二君 それでは、一体、沖繩開発に困難な点だと考えられている点はどういうものがあるというふうな考えなのか。いまドル・ショックの話が出ましたけれども、今後、バラ色のただの夢に終わらせないためには、一体、沖繩開発にはこういう困雑な点があるんだという考え方は、どこに困難な点があるというふうに長官としては考えておられるか、そんな点をあげてみてください。
#31
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩の経済は、やはり沖繩本島というものが中心でありますから、本島に関する限りは、利用度の最も高い、しやすい場所が膨大な軍事基地によって占められている。これが何といっても私は一番の障害だと思います。
 第二点は、やはりあのような島でありますから、水がほしいということ。この点はやはり幸いにして北部水系に相当な表流水がむだに海に流れ出しておりますから、これを国家投資によって南部のほうに引っぱっていって、飲料水並びに工業用水に使うという基盤整備が大切だと考えております。
#32
○松永忠二君 いま困難な点について少し話が出ましたけれども、沖繩の地理的な条件というものも、いいと言う人もあれば、いや非常に開発の支障になるという点を指摘している人もある。あるいはさっき話に出た人口の流れという問題について問題があるというようなことも、いろいろ私はやはり困難な点を明確にして、その困難な点を打破するという考え方に立っていかなければいけないんじゃないか。そういう点について相当はっきりしたものを早く示しておく必要があるんではないか。特に、いまの非常に格差の激しいことは、少し調べれば調べるほど、本土と沖繩との格差が非常に激しい、いろいろな面で。このものを見合わせて、一体いま言ったような沖繩をつくっていくことについては、非常に大きな努力が必要じゃないか。それにはどういう点に大きな障害があるかということを明確にしながら、その障害を意識して切り抜けていくことが必要じゃないか。だから、要するに、バラ色の夢だけが出ている点について問題があるのではないかという感じを持っているわけなんです。
 最後に一つお聞きをいたしますが、きのう、あるいはおとといあたり、NHKあたりで売春婦の問題を問題にしている。同時に、その前に暴力団の進出の問題とか、あるいはそういう措置を取り上げている。こういうような問題については、時間短いことだから、こまかいことは話はできませんけれども、一体、売春婦の問題については、例の前借の無効という問題について、どんなふうな手を打とうとしているのか、あるいは取り締まりの面が強調されるけれども、更生保護の面をどういうふうに考えておるのか、あるいは特に暴力団については、警察力を充実してどういう取り締まりを指示、明確にしていこうとしているのか。これはあなたの直接の所管でない面もあるけれども、どんな考え方を持っておるのか、これ、ひとつお聞かせいただきたい。
#33
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩においては、本土よりもはるかにおくれて売春防止法というものが制定をされまして、その実際上の効力を発するのは七月一日からだと思います。したがって、沖繩の基地のあることも手伝って、異常に売春婦の率が高い。特殊帰人と呼ばれておりますが、実際上七千人大体調査の結果出ている。しかし、推定一万を下らぬだろうという意見もあります。しかも、その大多数、半分ぐらいの者が、いわゆる子持ちの方々である、世帯持ちである。こういう点は、まことに私たちとしては、それは安易な金を獲得する手段のためにそうなってしまったとはいえ、沖繩がこのような状態に、本土法の庇護も受けられないで置かれたことに対する結果だと思っております。その中でも、管理売春的な形態がまだある。したがって、これは復帰と同時に、本土の売春防止法による前借金無効なり管理売春の違法なり、そういうものは直ちに取り締まりが始まるわけでありますが、さらに厚生省においてもちろん更生指導もいたしますし、労働省の職業訓練その他の再生の手段を講じますが、一方において、最近そういう仕事をしている人たちも、復帰したならばできなくなるというようなことから、その間隙を縫って暴力団というものが管理売春の裏の形態、いわゆる最も好ましくないひもによる手かせ足かせという形があらわれつつある。この点は最近検挙された事犯等も出てきておりますから、相当日に余るものが出てきておるのではないか。琉球警察も一生懸命やっておりますが、やはりこれは本土法の施行と相まって、そして本土警察もともに経験を持っておりますので、いろいろな指導をさせながらやってほしいと思っております。国家公安委員会と警察庁とは連絡をとっておりますが、暴力団の本土との系列化の問題、これもやはり大きな問題がありますが、幸いなことに、沖繩は相当離れた離島でありますから、それらの取り締まりについては、本土各県のように、自動車で簡単に県外に出られるという状態じゃありませんし、その面は警察がきちんとやってもらえれば、本土のような状態には、なる前に防げるのではないかという気持ちもいたします。
#34
○竹田四郎君 非常に短い時間ですから、十分私のほうも意を尽くせないと思いますけれども、沖繩復帰を目前に控えて、一体沖繩の復興というのはどこからどう手をつけられていくのかというようなことがきわめて不明確であります。おそらくそうしたものは、通貨調整なり国際的な景気の変動なり、こうしたものが非常に大きく作用していると思うのです。それだけに私は、政府として沖繩復興の手順といいますか、そういうものをより明確にしてやるという責任が本土政府側に私はあると思うのです。その点では、いまの松永委員の質問についてもある程度はお答えになっているとは思うのですけれども、長期計画といえども、一体いつきまっていくのか、これは一つの大きな方向で私はあろうと思うのです。そうしたものも何か暗中模索という状態だと思うのです。こういうものはよけいに復帰に対する不安というものをかき立てる一つの材料になっていると思います。そうした長期計画の見通しというもの、これはなるべく早くやってやらなくちゃいかぬと思うし、それから、原案を沖繩県知事が出して、それを審議会にかけて総理大臣が決定をする、こういう手続になっているわけでありますが、沖繩県知事の選挙を前にして、そういう落ち着いた長期計画をつくるということも、これはなかなか実際問題は困難であろうと思うのですけれども、しかし、ある程度の目安というものを示してやるべきだと思うのです。これは長官として、私はなるべく早く出してやるのが、やはりいまの不安をおさめていく一つの方向だろうと思うのです。その辺は一体どのように考えておりますか。
#35
○国務大臣(山中貞則君) 形の上では、先ほど「形式的」と申しましたが、新しい沖繩県知事が、新しい県議会等の意向もくみながら案をつくってくるわけでありますが、琉球政府のやはり行政スタッフの優秀な諸君が一生懸命努力をしておりまして、すでに一九七〇年を初年度とする長期十カ年計画は持っております。私は、その作業をした諸君とも会ってみましたが、ほんとうに真摯に一生懸命になってやっておるようです。したがって、経企庁の事務段階の作業もそういうものを十分に参考にしていると思いますので、これは知事選挙その他でごたごたはいたしますでしょうが、これを前提にして、そして実現可能な十カ年計画をつくり上げるということは、作業としてはそうたいしたことではないのではないかと思っております。したがって、時期的には、おそらくことしの秋口にはそういうものが最終的に決定される段取りになるだろう。したがって、来年度――四十八年度予算はそれを踏まえた予算を組まなければいけないと思いますので、例年八月三十一日で予算要求を締め切ります各省と別に、沖繩開発庁並びに沖繩関係の各省の予算はもっとおくれて、その計画を踏まえて大蔵に提出するという確約を閣議か何かでいずれ取りつけておかなければならぬだろうと考えておりますが、来年度予算に間に合わせる作業にしたいものだと考えております。
#36
○竹田四郎君 私もその程度のことはぜひしてもらいたいと思います。そういう長期計画をつくる上でも、先ほどの長期計画の作成の困難性というのは、一番基盤になっている土地の利用計画だと思うのです。土地の利用計画ができなければ、一体起業をどこへどう持っていき、レジャーはどういうふうにしていく、観光施設はどういうふうにしていくか、その土地利用計画というものがつくられなくちゃならぬと思うのです。土地利用計画の作成段階というものは、いまどの辺にいっておるのですか。
#37
○国務大臣(山中貞則君) これは、沖繩においては、土地利用計画を最も阻害しておるのは軍事基地である、そういうことを申しました。反面において、沖繩はずっと周辺を相当固い強固な地盤になっているリーフが取り巻いておりますために、安易に埋め立てて土地を造成をしておるというきらいがないではありません。典型的な一例は、与勝政府立公園を解消するまでになってしまった勝連半島から平安座、宮城一帯の埋め立てなり、その他海中道路等による工場進出、こういうことが言えると思うのですが、それらの手段もやはりあわせ活用したいと思います。それは琉球政府あるいは市町村それぞれに埋め立て計画を持っておりますし、それは私は無計画な埋め立てでなければ、沖繩の乏しい土地を新しく造成する意味において国も援助をしながら認めてやっていい点もあるだろうと思っておりますが、長期的な目で見ますと、土地利用計画は、やはり軍事基地がどのようになるのかということを抜いてはなかなかできません。軍事基地を持っております市町村等においては、もし基地がなかりせば自分たちはこのような利用をしたいという青写真としては理想的なものを描いておられます。また、沖繩県としても、それの集大成されたものを、土地が返ってきた場合の利用計画として、私の手元に、膨大な労作と思われますが、そういうものが届いております。これはやはり本土政府もそれを前提に持ってそしてこのような利用計画があり、アメリカ側の利用の現状から見て返してしかるべきところではないかというような交渉は、今後外交当局を通じまして強力にアメリカと折衝していく必要が、また、その余裕も沖繩の基地にも相当あると私は見ておりますので、今後さらに努力していきたいと考えます。
#38
○竹田四郎君 私はその埋め立てによる土地の用地の確保という点は、まあ確かに埋め立てやすいことは事実だろう。しかし、沖繩の財産というのは、一つは、そういう亜熱帯的な海、あるいはサンゴ礁に囲まれたところにあるということが、非常に将来の貴重な私は財産だと思います。ただ、そういうものをいたずらに埋めていくということは、これは相当慎重にやっていっていただかないと、いまの土地利用計画と基地との関係というのは、確かに一番大きな難物でありますし、それがいつまでもうまくいかないということになりますと、これはやっぱり沖繩がいままで持っていた貴重な財産というようなものをスポイルしてしまうことになってしまうと思います。そういう意味で、いま埋め立てのお話が出ましたんですが、私も詳しくどこどこをどういうふうにしたらいいかということはいま腹案を持っておりませんけれども、この辺はかなり慎重にやっていただかないと私はいけないだろうということを、これはお願いしておきたいと思うんですが、そこでいまおっしゃられた、各市町村では十年後基地のない沖繩というものを一つの前提として土地利用計画をそれぞれつくっていると思うんですが、しかし、それがはたして現実的な計画かというと、どうも私ども常識的に考えてあまり現実的でないような感じがするわけですけれども、これは特に沖繩だけの問題ではなしに、本土政府、まあ将来の政府として相当考えなければならない面であろうと思うんですけれども、当然、大きな基地というものに対する前提というものをどこへ置くか、このことによって土地利用計画というものは大きな相違が出てくるんじゃないかと思いますが、いま長官の話でも、まあ、かなりそういう基地で、はずすべき、撤去すべき基地がある、こういうふうにおっしゃっておられるわけでありますが、その辺の前提条件、どのくらいの基地が撤去されるか、長期計画の中でそういうもののある一つの前提というものをつくらなければ、私は土地利用計画というものはおそらくできないだろう。そういう前提は一体どのくらいに長官としてこれをお考えになっておられるか。まあ、それぞれ政府の各省で考え方というのはまたおそらく違うだろうと思うんです。少なくとも開発庁の長官となられる人が、当面のこうした問題でも重要なポイントになるわけでありますから、そういう意味で、長官の基地利用のための前提条件、これはあまり詳しく一つ一つの基地をあげられても困るんですが、大ざっぱに、どのくらいその長期計画の中で基地が撤去されていくのかという、大ざっぱな前提というようなものをお示しいただければけっこうだと思うんですが。
#39
○国務大臣(山中貞則君) 琉球政府として集約した形の沖繩県の要望は、戦前のような基地の全くない島ということをできれば復帰の際に、という御要望でありましたし、そういう理想は今後も捨てられないと思うんです。したがって、十年後の長期経済計画では、基地収入はゼロでいいという計画のもとに成り立つような計画をつくっておられるわけでありますが、おっしゃるように、では嘉手納基地も含めて十年後はほんとうにゼロになるかと言われますと、その長期計画に立って作成する場合には、やや近い視野で見るとむずかしい問題も現実には起こると思いますが、しかし、やはり本日の閣議で総理から初代開発庁長官を命ずという大体内定がございまして、開発庁長官の初代のつもりで答弁をいたしますが、開発庁長官として沖繩のそういう願望というものはすなおに受けとめて計画を練っていかなきゃならぬ。その計画を練ったものが政府の中で、場合によっては、安保条約の提供施設の問題になるでしょうし、あるいはまた、アメリカ側との久保・カーチス協定その他による防衛庁側の展開の必要性の問題ともなってくるでありましょうし、しかし、本来アメリカが沖繩において土地を取得した経過というものを考えると、私は他の県のようなつもりで沖繩の基地の提供について安易であってはならないし、また自衛隊についても、戦争末期の日本軍からそのまま自衛隊に短絡したまま復帰を迎える沖繩県民の心情というものをよほど考えていかなきゃなりませんし、開発庁長官たるべき者は、沖繩側の要請を、閣内において、政府全体の外交を通じての施政において最大限に努力をして、それを一つでも二つでもなるべく早く現実化していく作業をすべきだということを考えますので、その意味において施政は、琉球、沖繩県側の要請を受けた努力を閣内においてすべきものである、その努力が少しでも実っていくための最善の努力を傾けるべきであると考えております。
#40
○竹田四郎君 その点、たいへん私、楽な仕事じゃないと思うんです。かなり困難な仕事だと思いますけれども、ひとつ鋭意いままで以上の馬力を上げてこの点についてはぜひやってもらいたい。私ども、そういう点では山中長官に対して期待するところが非常に大きいわけでありますが、ぜひそうした意味で、二次産業がかなり大きなウエートを持って、沖繩の開発と復興をやっていくというためには、やはり基地の、しかも一番いい地域でございますから、そういう意味では、特に基地の撤去という方向というものがやはり沖繩復興のかぎになるというふうに私ども考えるわけですが、そこで山中長官、いままでたいへん沖繩の問題については閣僚の中でも大きな関心を持ち、同時に意欲を持って、県民の側に立って進めてこられたというふうに私は理解をしております。しかしながら、なかなか情勢は思うようにいかないわけですが、長官が三月二十日の「時の動き」で稲福健蔵氏と対談をやった記事がございました。この中で長官は「十月九日以降につまずいた部分、これに対して国は何ができたかという反省は持たなければならぬと思う」、さらにこうした「沖繩が犠牲にされたことに対する反省、そして復帰直前になって起こったいまの問題で、沖繩に対して理論的にいうと完全にカバーし得なかった責任、多くの責任を負わなければならないなということを考えています」と、まあ私、この発言、たいへん長官としてこの発言については私も賛成するものであります。しかし、稲福氏のその直後の質問で「通貨の問題で不安を与えないとおっしゃってこられた精神をどこまで生かしていくのか」、こういう質問を受けております。この面については長官、あまり歯切れのいい――まあほとんど答えていないというようなふうに私は読んで理解をしたわけでありますが、この「多くの責任を負わなければならないなと考えています」ということと、その稲福健蔵氏の質問というものと、どういうふうに組み合わせたらいいか、この点をお伺いしたいと思います。
#41
○国務大臣(山中貞則君) 対談の時点でちょっと明確に表現することを差し控えた点もあります。それは理論的に申し上げて、十月九日にチェックいたしましたすべての県民の手持ちの通貨並びに通貨性資産、これはドルがいかに安くなり円がいかに高くなろうが、三百六十円との差額が補償されますから、いまのように円高でございますと、予算の三百六十億はおそらく三百億をこえるものとなって沖繩県民に返ると思うんです。しかしながら、理論的にいって、十月九日から五月十四日まで沖繩の経済というものはやはり成長しております。過去の沖繩経済の成長を見ますと年率一八%、そうしてそれを十月九日から五月十四日までおおむね七ヵ月と見ますと、一〇%ぐらいの成長率があったものと見なければなりません。その成長率を県民個々に帰属させる手段は、十月九日以降のドルはやはり手持ちは確認されたものの、転々これは移り渡っているわけでありますから、この個人帰属はむずかしゅうございますが、さてその一〇%程度の成長に見合うところの差損と申しますか、補てんすべき必要な措置は何があるのかという問題で、私としてはいま一、二の具体案を持っておりますけれども、政府全体としての決定まで立ち至っておりませんので御披露いたしかねますけれども、大体、かりに二百六十億円の予算が組まれてあるものが、現在の相場で三百億ぐらい交付金が実際上なる。――これは予備費を出すことになると思いますが――そうなりました場合に、その一〇%という乱暴なつかみ方でありますが、三十億というものが沖繩県の経済、県民個々の所得に対して何らかの影響を与えているんだという点は私は否定できないと思うのです。これをどうするかという具体的な問題について、私自身が、腹案について検討中であるということでありますが、その対談の時点では、そこまでの答弁もいたしかねたわけで、本日もこれ以上、それをどのような形でという答弁についても、まだ根回しができておりませんので、これはいま大蔵少しショックを受けておるかもしれませんけれども、まだ大蔵までも話しておりませんし、そこらの点を私は念頭に置いておるわけであります。
#42
○竹田四郎君 それをあえてここで腹案をお聞きしようとは思いませんけれども、しかし、いまの長官の発言ですと、どうもそれが一人一人の交換という形でなく、何らかの形で全体に振りまかれるというような感じが実はするわけですが、その辺にどうも沖繩県民の個人個人としてはなかなか納得ができないというふうに思うのですが、その辺の個人個人との関連というのは、おそらくあなたの腹案の中では直接関連はしていないのじゃないかと私は思うのですが、どうなんでしょうか。
#43
○国務大臣(山中貞則君) これはきわめてむずかしいのでして、琉球政府も実は案がないのです。ということは、十月九日にチェックいたしましたから、まあ、みんなチェックされた金額については一安心されたわけです。場合によってはもっとドルが安くなればいいという気持ちもないではない、よけいもらえるわけですから。が、しかし、問題はチェックしたそのときの個人個人ははっきりしておりますが、そのドルは、極端にいうと、その日から、そのあくる日から、場合によっては土地に変わり、場合によっては住宅に変わり、場合によっては本土から講師が行って講演をして、これに自衛策を講ずるただ一つの道は、沖繩県民が自由に買える金をうんと買い込んでおくことだ、その差益によって。八一にしろという、もっともうかるぞという講演もあったくらいですから。そういうことが行なわれておったとは思いませんけれども、しかし、換物ということも私はあったろうと思います。しかし、ドルそのものはやはり沖繩県内において回っているわけでありますから、他の人の手に回っているわけです。そうすると、十月九日にチェックされた個人に対して、さらに一〇%分だけということをやるについては、その後の成長率がありますから、これはきわめて個人帰属についてはむずかしいというのは、これは琉球政府も認めているわけであります。これはしばらく時間をかしていただきたいと思います。
#44
○竹田四郎君 そういう配慮を非常にきめこまかくやるとしても、やはり沖繩経済の発展ということが必要であろうと思うわけです。まあ、そのときに長官の話にも「復帰後やはり沖繩の経済の急速な伸展と復興と発展、そしてそれぞれの企業、県民の所得向上に、おくれて補てんしていく形になります」と、こう書いてあるのですけれども、経済の復興と発展の急速な伸長ということでありますけれども、どうもこの点に関連して私どもも何か非常に頭の痛い感じを、いま十五日を前にして持たざるを得ないのですけれども、先ほどのお話でも、一体何を中心にして急速に発展させていくかということについても、あまり期待していないアルミが出てきたというくらいのことで、この辺でも何か歯車のかみ合わせというものが少し狂っているのではないかという感じがするわけですけれども、これは長官に聞いてもしようがないことだとは思うのですけれども、もう少し急速な発展ができ得るような態勢、これは当初に申し上げましたけれども、ただ単に沖繩から出てくる自主的なものだけではたしていいのかどうか。確かに沖繩の自主性というものは尊重しなくてはいけないけれども、ある意味で、やはり急速な発展をさせていくということについては、本土のアドバイスといいますか、そういうものも私はある程度必要じゃないだろうか、このスタートにあたっては。しかし、それがいつまでもそういう形で、本土のアドバイスでのみ沖繩の県政が行なわれるということは、これはまたたいへん反発を私は招く点だろうと思いますけれども、何かいま渦巻いてどうにもしようがないというような感じを強くするわけですが、その辺は長官としてどんなふうにお考えになっているかお聞きしたいと思います。
#45
○国務大臣(山中貞則君) これはやはり琉球政府――復帰後の沖繩県だけにまかせていては――やはり本土の企業というものは大体三月期決算できのう締め切ったようでありますが、ほとんどが減益決算をしておりますから、なかなかこの際に新しく沖繩のために出ようというような企業が見つかりません。松下――まあ社長さん個人でありましょうが、過疎地域とか後進地域に貢献できるならと言って、ある程度採算を度外視しても出ていかれるような方でさえも、糸満町に膨大な敷地を取得しながら、なおかつ工場建設に着手できないでいる、こういう状態にあります。したがって、造船とか機械とか、そういう、沖繩にとってみて公害もあまり出さない、そして関連産業を振興さして雇用にも大きく貢献するようなものについては、これは通産省とも相談をいたしておりますが、もっと本土が政策的に沖繩側の要望を受けながらそれを推進をしていく、そして企業に対して個々に説得をしていくというような努力はやはり本土側の責任であると考えます。
#46
○原田立君 山中総務長官が初代沖繩開発庁長官に内定したということでありますから、その立場でお伺いしたい。
 われわれは、どちらかというと、いわゆる日本の内地人というような考え方でこの問題をとらえがちで、いろいろ不可解な点が出てくるわけでありますけれども、実際沖繩の現地の人たちはそういう内地的なものの考え方に強い反発を持っているのは事実です。それで、過日屋良主席と会ったときにも、現在の沖繩は、いわゆる去年の台風及び干ばつが一つですね、三つにはドル・ショック三つ目には基地経済あるいは今後の不安という三重苦をしょって立っているのが沖繩の現状である、こういうことを言い、何とかその解決に努力してもらいたいということを切々として言っておりました。それで、また佐藤総理は、今後沖繩がドル経済から円経済に移行する過程で予想される諸困難の解決や、沖繩経済と本土経済の格差を解消するための公共投資の拡大などに一そう努力する、こう言っておるわけでありますけれども、そういう沖繩の人たちの気持ちをくんでの諸施策でなければならぬと思うのであります。具体的にどのような手を打ったのかということをお聞きしたいのがまず一つ。
 それから二つには、今回の附帯決議の中にある八十億の出資ですね、このことについて大蔵省は出し渋っているというようなこと、これについて長官は一体どんなふうに意識しているか。
 この二つをお聞きしたい。
#47
○国務大臣(山中貞則君) 八十億は出し渋ってはおりませんで、これはその席で大蔵大臣とともにがん首並べて、私がその内容を説明して、大蔵大臣は、大蔵委員会に対して、大蔵省は異存なくそのことを実行することを約束しておりますから、それを渋るなんということはあり得ないことだと思うのです。
 さらに、屋良主席のお話にあったという、昨年の干ばつ、台風等に見舞われた農業者あるいはまた漁業者、そういう人たちの問題も、単に八十億の低金利、長期資金というだけでは、一応金融公庫では原則的な金融として農林漁業には低利融資の道を開いておりますが、そのほかに、やはり今回の中小企業に対してとられた措置といっても、農漁民から見れば、商売人の人たちはいいじゃないかという気持ちにもなる可能性がありますので、その大蔵委員会の席では表明しておりませんでしたが、その後大蔵省との相談で、農林、通産等ともよく相談をいたしまして――通産のほうは農林の関係じゃありませんが――農業者、漁業者についても同じような三%の金利で二年据え置きの七年償還、短期で返す人は返しても、安い金利のいい人はそれで選択してほしい。一方また、五%、二十年償還というのもありますが、いずれをとるかは現地の選択にまかせようということで、さしあたりは昨年の干ばつ、台風によって負債として借り入れられておる農家の方々に対する肩がわりをしようというつもりで話し合いを詰めた次第で、それもきまっております。
#48
○原田立君 差損補償の基本的な考え方、これはもう当委員会でもるる問題になったであろうと思うのでありますが、屋良主席が言っておったのは、個々の補償はむずかしかろう、沖繩経済への何らかの措置を強く望むのだ、これができ上がらないと、ほんとうの終戦処理にはならない、だから、返還は全部が完成したという意味じゃなく、これから、これ自体スタートである。こういうような意味のことを強く言っておりまして、沖繩経済への何らかの措置というものをこれは強く要請がありました。それはもう長官のほうにも言ってきているだろうと思いますけれども、それについて具体的に答えとして、やはり当然初代の長官ですから、はっきりと答えてあげる、そういう姿勢が必要であろうと思うのです。その点、いかがですか。
#49
○国務大臣(山中貞則君) これは琉球政府のほうとしても、理論的にそれが補てんさるべきである。いまおっしゃったのは、十月九日以降の問題であろうと思いますが、それについては私もそういうふうに思います。しかし、具体的には琉球政府も案を持つに至っておりませんし、経済といっても、それを単に融資の原資に回すようなことでは、私は、それはいわゆる差損補償と申しますか、そういうものにはなじまないと思いますので、やはり具体的にそのものが、県民のすべてに何らかの形で貢献するようにしなければならぬというふうに考えておりますけれども、まだ最終的な構想を政府として答弁するには、これは関係各省とよく相談をして合意をしていたしませんと、私が答弁して、あとだめだったというのでは、これは国務大臣として責任が果たせませんので、しばらく時間をおかし願いたいと思います。
#50
○原田立君 それは当然のことでしょう。それで、ただそれがずっとずれ込んじゃっておそくなったんじゃ、あまり意味をなさないと思うのです。沖繩現地にもまだ案がないからというような長官のお話もいまありましたけれども、何といいましょうか、復帰後、昭和五十年に海洋博がある。海洋博までには何とかできるだろう。だけども、その海洋博が終わったあとは一体どうなるのだ。そういう強い不安を、これは國場さんが言っておりました。これは沖繩経済の中心者のほとんど一致した不安であると、こう言っております。そこら辺もかみ合わせて、基本構想なるものもずっとあとへずれ込むようなことではならないし、やはりここら辺で、近い範囲内で朗報を与えてやる、こういう必要があると思うのです。そういうようなところを含んで、大体いつごろそれがまとまっていくようなことなんですか。
#51
○国務大臣(山中貞則君) これはやや長期的にいいますと、海洋博が終わってかんこ鳥の鳴く沖繩になってしまってはたいへんだ。したがって、海洋博までの投資、あるいは海洋博期間中の各種の外客その他の収入等があるでしょうが、それまでの間のそれはつなぎである。したがって、それまでの間に大体の具体的な構想と、具体的な進出を始めなければ、沖繩企業の、沖繩経済の円滑な発展というものにつながりませんので、その第一段階の問題としては、長期経済計画を策定し、来年度の予算を編成いたしまするころにはその問題が具体化されて、金融その他の予算措置もとられるように、そうして沖繩経済の上に、具体的にどういう企業が、どういう雇用効果と経済浮揚力をつける能力を持って沖繩側で、あるいは沖繩に設定されるか、こういう問題はさしあたりの問題として詰めなければならぬと考えます。
#52
○原田立君 こういう意見がありました。沖繩に来る人たちは、何といっても安い物が買える、こういうふうな魅力もあり、また、観光の、きれいな所も見たいという意味で人が来るだろうが、大体来る人はショッピングが多い。それで、もしこれが復帰後本土並みのような値段になってしまったならば、沖繩には来ないで、もう通り越して台湾だとか香港のほうに行ってしまうだろう。そうすると沖繩はさびれてしまう。その点、非常に心配だ。日本経済を混乱させないような恒久税制をぜひしいてほしい。こういう意見が、これは星議長の意見でありました。そのときに言っていたことばは、かつての沖繩は、表通りは鹿児島県人がざっと全部買い占めてしまって、現地の沖繩人はもう裏のほうでこそこそやっていなければならないような、そういう状態がかつてあった。だから、復帰後もしそういうふうなことがあったのじゃ、また真の復帰にもならないし、喜べない、そういう点も何らかの措置をとらなければならないが――こういうふうな意見を添えて言っておりました。問題は、日本経済を混乱させないような恒久税制をぜひしいてほしい、こういう要望が強かった。それについてはどうお考えですか。
#53
○国務大臣(山中貞則君) ちょっと鹿児島の名誉のために申しておきますが、これは慶長の琉球侵寇をした薩藩、それから初代県令の奈良原県令が、元来鹿児島の出身であったというようなことから、おそらく明治の初期あたりそういう傾向があっただろうと思います。しかし、遺憾ながら現実は、鹿児島県は全国最下位の県民所得にもやっと細々やっていくような県でありますので、そういう違いからいって、再び経済侵略をするようなことは、能力がございませんので、そういうことはないと思いますので、念のために申し上げておきます。
 それから沖繩の、いわゆる人がよけい行って金を落とすという意味の観光、そういう意味における魅力は、本土の人も含めて、やはり安い買い物のできる地点である、地域であるという気持ちは確かにあったと思います。その点で、大体いままで観光客として税関を通るときに許された品数、品目あるいは金額の範囲内でそのまま復帰後も残すことになっております。これは最近私はびっくりしたのですが、沖繩の指導者の人でも、これをなおわかっていない人がおりまして、私にジョニーウォーカーを一本手みやげに――もらったことを話して恐縮ですが、これは大臣、最後のジョニーウォーカ−ですと言ったから、どうしてですかと言うと、復帰後は大臣、ジョニーウォーカーは高くなって買えませんと言うので、それは違いますと申し上げたことがありますが、これは沖繩の人であっても、本土あるいは外国の友人か親戚に同じように持って出て、非課税の免税になるということは、いまと変わりません。したがって、これを永久にやっていいかどうかの問題は、全島フリーゾーンにせよというような意見も一方にありますけれども、やはり沖繩経済が健全であるかどうかということもありますから、金の地金をいままでどおり安く払い下げるという問題も含めて、沖繩のそういう観光の魅力を五年間はささえていこうということで措置をいたしてございます。当分、五年間でいいのかという議論はございますが、一応すべての特例措置が五年でございますので、五年間は残しますから御安心くださいということで一応納得をしていただいておるものと考えまてす。
#54
○原田立君 長官、鹿児島県人の名誉をかけてということを言ったけれども、大体そういう考え方が内地人的な発想ですよ。それを現地の人は非常にいやがっているのです。その点は別に追及するつもりはございませんが、ひとつ考え方を改めてほしい。
 同じ席上で話があったのは、返ってきた基地が地下一メートル掘ってある。たとえ返ってきても、原形復旧は非常にむずかしいという問題で悩んでいるということが話がありました。それと関連して、基地はほとんどブルドーザーでつぶされているために、現在では地籍が不明あるいは地主が不明、特に与那原町なんというのは特に非常にひどかった。それで、この地籍の調査について土地の所管問題としてどこの省でやってもらおうかと思って盛んに交渉したのだけれども、適当なところがないので、これは沖繩県になれば県がやれば一番やりやすいだろう、こういうことでこれに取り組もうとしている。だけれども、具体的になると非常にむずかしく、見通しをつけにくいのでたいへん困っているというようなので、それだけに公務員をあてがって、それで仕事をしなければいけないけれども、それも数で制限されているので、それ以上ふやすわけにはいかないし、人員あるいは人件費、そういうふうなことで非常に今後の作業等でいろいろ悩んでおる。ぜひこの問題については協力してほしいと屋良主席からじきじき話がありましたから、あらためて長官に申し伝えておきますが、この点について何らかの処置が講じられるようにしてほしいと思うのですが、この点、いかがですか。
#55
○国務大臣(山中貞則君) 御承知のとおり、最終的には土地の境界引き変えの確定はすべての権利者が立ち会い、すべての権利者が確認して、そしてそれが合意された場合に可能でありますし、それが合意されなかった場合は訴訟――司法の問題になるわけであります。しかしながら、それでは沖繩の特に戦場と化した本島中南部、ここの境界引き変えの確定というものは非常にむずかしい。かといって、全部民事裁判に訴えなさいと言っても、みんなわかっているわけなんです。そこに住んでいるのは、おれのところだよと言えば、そのとおりなんですよ。しかし、いまさら移ることもできないしというのが与那原町あたりでははっきりしておるわけであります。また、読谷のように返還された飛行場のあとの境界確定が最近ようやく話がついて、長いことかかったというようなこと等もありまして、沖繩が戦場と化して、そのあとぞろぞろ人が住みついた結果、何とかかきねをしたところが自分のうちだというようなこと等がありますので、最近、米軍が沖繩爆撃開始直前に撮影した空中撮影の写真等がひそかにありましたものが発見されましたし、大体もとの状態への復元が可能になりそうであります。そこで、これは琉球政府だけでは不可能だし、法律の、司法の問題ですと言ってほっぽり出すのは祖国として申しわけないということで、場合によっては、いわゆる行政の権限内において司法の分野に近い境界確定の法律が必要になるのじゃないかということを考えまして、そのために総理府においてこの問題をひとつやろう。経企庁の国土調査法ではとてもそういうことは法律上もできませんので、沖繩開発庁設置法福の、御承知のように附則第三条第一項の「政令」というものがございますが、それの第一項に、「通貨等の切替対策、土地の権利関係を明確にするために必要な資料の収集その他の調査、」、ついでにこれを読みますと、「アメリカ合衆国の軍隊に接収された校地に代えて借り受けている公立小学校の校地の購入の助成その他復帰前における沖繩の特殊事情に基因する事項で、復帰に伴い、特に対策を講ずる必要があるもの」――これは例の請求権問題とかその他のもろもろの敗戦直前、直後の問題等を処理するわけです。これもひっくるめて「土地の権利関係を明確にするために必要な資料の収集その他の調査」ということで、総理府が一義的に責任を持って、琉球政府の土地調査庁と相談をしまして、いろいろ立法の必要があれば立法していこうというつもりでいまおります。
#56
○松永忠二君 ちょっと、大蔵大臣に対してですが、何か、きのう、きょうから金利の引き下げの問題が出ているわけですが、預金金利の引き下げ、公定歩合の引き下げ、いろいろな機会にあなたからお話を聞いたのは、景気の底固めもだいぶできた、そうして予算が通った、大幅に公共投資が伸びていけば、これで年末から景気も回復してくるのじゃないかというお話があったり、あるいは、外貨ももうだいぶん月ごとにたまり方も少なくなってきているので、いまここでどうこうという手を打つ必要もないし、これはだいじょうぶなんだというお話を聞いていたわけでありますね。それからまた、何か日銀総裁あたりもこのことについては、むしろ海外の金利は上がりぎみだ、国内の景気も底固めの段階に入っているし、いま金利政策に手をつける必要はないんだというようなことを言ってきている。企画庁あたりの何か月例報告が、九日に経済関係の閣僚協議会で了承されたのにも、だいぶん鉱工業生産の先月比が一・一%増加しているとか、いろいろ具体的に生産出荷もふえてきているし、景気指標も回復に向かっているというようなことを言っているとか、あるいは日銀あたりの四月の月例報告でも、景気上昇の兆が見えるというので、まあ預金金利まで引き下げて、公定歩合を引き下げるということはなかろうという感じを持っていたのですけれども、いまやはりここでこういう方法をとることについて、あなたは衆議院の大蔵委員会で相当はっきり、両方とも必要だというようなお話をされているようですが、急にこういうふうな方向になってきたという感じもするのですが、これはどういうことなんでしょうか。何か理由があってその方向に向かってきたんですか。
#57
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、予算がようやく国会を通過いたしましたので、したがって、政府が企図した財政政策というものはこれから行なわれていくことになります。この予算が動きだせばしたがってこの政府の財政政策の効果というものは出てくると思っておりますので、それで、しばらくこの景気の動向というようなものを見守っても差しつかえないというふうに思っておりましたが、財政政策が一応そういうことで動きだしたとすれば、この次にまだどういう問題が残るかということは、輸入促進とか、あるいは対外均衡の回復とかいう問題を中心にして、外貨の活用策そのほか一連のいろいろな検討問題が出てまいりましたので、その一環として、今後の対策として金融政策の問題をいま私どもは検討を始めておるということでございます。したがいまして、その検討の一環としてこの金利問題を検討しておるものでございますから、これがいろいろの形で伝えられておりますが、まだ私どもとして、こうするという方針をきめたり、成案を得ている問題ではございません。しかし、もう一方の福祉政策の遂行ということになりますというと、当然国内の金利水準の問題は出てまいりますし、もう一方、対外的な問題、国際情勢の問題から今後の金利の動向というようなものについても、いろいろ考えておかなければならぬ問題が当然ございますので、そういうときには、この預金金利の問題とどういう関連を持つかということも当然一応検討事項にしておかなければなりませんので、いま金利の問題だけを問題にしているということでございませんで、いわゆる外貨の活用を中心とした問題、それから、これからの金融政策、それからまた、しばしばいわれておりますいろいろな減税の問題、そういうような一連の問題を、いま予算が通過した機会に私どもは総合的に検討を始めておるということでございます。急にこの問題を取り上げたというのじゃなくて、これから何をしなければならぬかといういろいろな問題と関係して、総合的な研究の一つの問題としていま金利問題を取り上げて検討していることは事実でございます。
#58
○松永忠二君 何か、しかし、そう言うほど検討されておるようでもないようで、公定歩合の引き下げは来週くらいにはやるんだと、百月の一日から預金金利の引き下げをやるんじゃないか、そういうことまで言っているし、大体、何というのですか、いろいろな外貨対策をやってみたけれども、どうも実効のあがるものもなかなか出ない、そうかといって、いま減税をやるとかあるいは補正ということもすぐやれるというわけじゃないものだから、当面、これよりほかに打つ手はないんだということで考えて、もうある程度はっきりこれを手をつけるんだというふうになってきているというふうにわれわれは理解をしているんですが、そうじゃないんですか。また、そうだとすると、今度はまた逆に郵便貯金の庶民金融の問題に何かかね合わせながらこれもやるんだという話で、もう郵便貯金の庶民金融のほうは別に議員提案として出すというような話も出ておるんですが、そういうことは、いまあなたがおっしゃったような、いま説明されたような程度のものではないというふうに私どもは把握をしているんですが、それは全く誤りですか、誤報ですか。
#59
○国務大臣(水田三喜男君) 郵便局のいわゆる庶民金融問題は、政府の関係機関内でいろいろ相談をしておりましたが、いまも申しましたように、これは非常に大きい問題でございますので、なかなか手に負えないでいる間に、政党側においてもこの問題を取り上げて、政府立法というような形でまとまらないようであったら、議員立法という形ででもこの問題を解決したいというようなことが、政党の中にそういう動きが起こってまいりまして、いまこの問題を審議しておる。で、本日あたりの様子を聞きますというと、与党の財政部会においては、一応各部会で討議されたその案については異論が非常に多かった。つまり、庶民金融といっても、金のない者に金を融通する、少額の融資をするということだったらこれは庶民金融の実を果たすということになるかもしれないけれども、積んであるものを一部おろすことを認めるような貸し付けということではこれは庶民金融としてどういうことかというような議論で、まだ与党側においても、この問題はしばらく結論を得るにはひまがかかるような様子でございます。こういう問題が起こっている過程において、一方、全体の将来の金融政策というようなものを政府が検討しだしてきますと、その過程において預金金利の問題も出るということになりますというと、それならば預貯金の問題はどうなるかということもやはり当然これはからんでくる問題でございますので、この与党の議員立法の過程においてもこういう問題がからんで論議をされているということは聞いておりますが、まだ政府側の私どもの検討問題としては、預金金利をどうするかというような具体的な結論を出すところまでにはまだいっておりませんが、問題が検討されておりますというと、自然にいろんなそういう問題がからんでくる。すでにさきに郵便貯金の問題が起こっておりましたので、ですから、この貸し付け問題とからんでこの問題が出ておることは事実でございますが、いま私どものほうからこの問題を取り上げて問題を起こしているということではございません。
#60
○松永忠二君 そうすると、あれですか、公定歩合の引き下げと、預金金利の引き下げ、それと今度は郵便貯金の庶民金融と郵便貯金の預金金利を引き下げる、この問題は関連を持って解決をするんですか、別個の問題として解決をしていくんですか。順序としてどうなるんですか、同時解決になるんですか。
#61
○国務大臣(水田三喜男君) 庶民金融の問題は別個の問題となると思いますが、金利水準の引き下げということになりますというと、これは預金金利の問題とからんだ問題に当然なってくるだろうと思います。
#62
○松永忠二君 そうすると、こういうことについてはどういうふうにお考えでしょうかね。要するに、四月の消費者物価が非常に上昇が鈍っているとはいいながら相当高い。そこへ持ってきて、いろいろな公共料金関係の物価の上昇もあるし、そこへ預金金利は引き下げる。そうしてその利益というのは、非常に大きなものは企業が利益を受けていくんじゃないか。逆に、その預貯金者のほうの対策というものは具体的に打ち出されているでもないしするのにそういうことをやっていくのは、大衆の犠牲においてそういうことをやることになりはしないかという議論もあります。あるいはまた、事実上資金がだぶついているんじゃないか。きょうもいろいろ出ていますが、外国為替資金の特別会計の支払い超過四兆三千億余で、それは年内の日銀券の平均の発行の残高の四兆六千億に匹敵をするようなものだ。そういう点で、その金融は非常に緩慢な状態である。しかも、その金を使って大きな資本、大企業は不動産投資をやったり、あるいは株の買い上げをやったりして、盛んにそっちへ金を回しているじゃないか。こんなときに預金金利まで引き下げて公定歩合を引き下げるということはおかしいじゃないか。しかも、そういうことで庶民金融自身が必要だということは言っているのに、それとダブらして、また今度庶民金融の問題とひっからめて郵便貯金の預金金利の引き下げまでやることは、全くもってけしからぬという意見が出ていることは事実ですが、こういう意見は見当はずれの意見なんでしょうか。それとも、やはりこういう点を十分考慮してやらなければいけない問題なんでしょうか。大蔵大臣、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#63
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年末、公定歩合の引き下げを日銀が行ないましたときは、いろいろ検討いたした結果、預金金利と関係せしめなくてもできるという結論で、切り離して、日銀は公定歩合の引き下げを行ないました。預金金利と関係させなくてもまだまだ貸し出し金利の引き下げの余地というものは銀行に十分ございますので、したがって、あの措置はよかったと思いますが、ようやく金利もこの二、三ヵ月の間に急速に実際に下がってまいりましたので、今後、もう一歩の低金利政策が必要であるというようなとき、公定歩合の引き下げ、これ以下の金利政策をとろうとする限りは、今度は預金金利の問題とからまざるを得ないというふうに私どもは判断をしておりますので、非常にこの点も慎重にいま検討しているところでございます。
#64
○松永忠二君 最後に一つお尋ねしますが、これは総務長官も一緒にお答えしていただきたい。
 この金融公庫法というのは、こういう一本にした形の法律ですけれども、本土と比べれば非常に、何というのですか、北海道についても北海道東北関発公庫があるけれども、それぞれ、ここにある銀行なんかは別個に活動しているわけですけれども、やはりこういうのは一つの暫定的なものじゃなくて、沖繩自身の問題からいえば、こういうふうな形の一元化した公庫法というものは必要なんだという考え方なんですか。やはり将来においては、これは力がついてくれば取り払っていかなければならないというふうに考えておられるのか。この点について大蔵大臣と総務長官にちょっと考え方を聞かしてもらいたい。
#65
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩に関するさまざまな特例をいたしておりますが、これはいずれも振興開発十カ年計画というものが達成をされて、そして沖繩県が本土各県に互して、そして、あるいは沖繩県自身が占めるべき当然の地位というものを占めるという時期が来ましたならば、これは開発庁ももちろん、出先の事務局もすべてが時限立法としての効果をもってそれで閉鎖をしてしかるべきものだと思います。役所の機構も、それで普通の県になっていいと思うのです。しかしながら、おそらくこのような金融政策が沖繩にとられますと、沖繩にとってはこれは非常にプラスになりますし、沖繩の企業なりあるいは各種の農林漁業も含めた中小企業等も、すべてが本土の政策金融機関から一々別個に借りる手段よりもこちらが便利であるという結論が出ますならば、総ワクのアウトラインも明瞭でありますし、あるいは、これは残しておいてくれという希望があるかもしれませんけれども、私どもとしては、一生懸命特別に扱って本土に追いつかせなければいかぬ、しかし、いつまでも沖繩の人たちを特別扱いにしなければ一人歩きができないような県にしておいてはいかぬのだという気持ちが入りまじっておりますが、大体十年の時限立法というものに従って、開発庁なり出先事務局なりそういうもの等も逐次整理されていくべきものと考えております。
#66
○松永忠二君 この公庫法についてはどうですか。
#67
○国務大臣(山中貞則君) 公庫法も、こういう特例な措置を開発銀行から始まって環境衛生に至るまで、幅広くすべての政策金融機関を取り込んでいくということが沖繩の人たちにとって便利であって、しかも、これがまた非常にわかりやすくてよろしいという希望があればそのときのことでありますが、一応全体沖繩に対してのそういう国が特別に何かをするという範囲は、十年のうちにそういうことの必要のないような県にしたいという希望を持っておりますということであります。
#68
○松永忠二君 大蔵大臣はどうですか。
#69
○国務大臣(水田三喜男君) いろいろな経済環境が本土並みになったというときには、ただいま総務長官が言われたように、特別な機関を置く必要はなくなるということでありましょうが、やはり私は、いままでの沖繩の実情から見まして、一応十年を目標にして、その間に内地並みの沖繩をつくるといういろんな諸施策をする必要はあると思いますので、少なくともそのくらいの間はこういう特別な機関を存続させるという必要が実際には続くものであろうというふうに考えております。
#70
○戸田菊雄君 全く時間がありませんから、三点一括質問しておきます。
 第一点は、沖繩所在金融機関の業種別貸し出し残高、これを資料としていただいたのですが、結論として、建設業、不動産業、サービス業――山中長官先ほど言いましたけれども、沖繩はやはり農林漁業ですね、そういうところに中心を置かなければいけないと言うけれども、現実この融資状況を見る限りでは、そういうところにウエートが行っているのですね。それから予算計画書でも、これは政府の出された今年度の予算傾向も大体そういう方向に行っています。こういうことであれば、やはり復帰以後の今後の産業振興というものは、やはりこのパターンで進めざるを得なくなってくるのじゃないか、こういう心配があるのです。こういうものを融資面からひとつ調整をしていく必要があるのじゃないか。この辺の見解について一つお伺いをしたい。
 それからもう一つは、中小企業の関係ですけれども、現在の沖繩の中小企業の現存している会社の資本金規模あるいは従業員の数、事業所の数、総数で四万三千百四十四事業所あるわけですけれども、一事業所当たり従業者数は四・四人です。これは時間がありませんから私から申し上げます。こういうことからすれば、もう資本金からいっても構成要員からいっても、これに対するやっぱり具体的な保護政策をとっていかなければ地場産業というものは壊滅するわけです。なるほど、この沖繩の特別措置法には、十九条、二十条で、一定の措置をしてやるといっておりますけれども、しかし、これは大体本土法の現存する法律の適用であるわけですね。特別の措置をとられたものはあまりない。こういうことでありますから、特段の力を入れて振興政策に乗り出していく必要があるのじゃないか。これが第二点。
 それから三点は、保険行政の関係で、ことに生命保険、琉球生命と沖繩生命と、こう二つあるわけですけれども、琉球生命については、四十六年の銀行局の金融年報で明確に一定の方針が出されております。しかし、日本の各生命保険会社と比較をしますと、資本の構成その他からいって問題になりませんね。だから、特段の保護政策をとっていかなければ太刀打ちができない。シェアの問題から考えても、各般の問題からそういうことが言えると思う。ですから、こういう問題について一体どういう保護政策をとっていくのですか。
 この三点について、時間がありませんから、骨格を申し上げて、山中長官と大蔵大臣に質問しておきます。
#71
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩の農漁業について今日まで金額的にも貸し出しについて手薄であったという点はそうかもしれないと思います。また、ことしの貸し出しの設定目標についても、これはやはり企業形態によって金額がかさむものが出るものもありますので、そういうこと等も考えますと、私どもとしては、沖繩の農林漁業、ことに農業、漁業についての必要なものは大体手当てがしてあると思います。これは実際の行政予算執行の問題と金融の問題と相まってやっていけると思っております。打ち合わせは完全にできております。
 それから、中小企業は御承知のとおり零細であります。また沖繩には独特のものもあります。そこで、本土の中小企業近代化資金の指定業種等について、本土ではすでに終わったものも、沖繩は該当業種があれば全部新しく指定をし、また、本土ではなかった漆器とか泡盛とかそういうもの等も近代化業種に指定をしていく。そして金融の対象にし、あるいはまた特別償却等に、税制等についても、本土二分の一は四分の三、あるいは本土三分の一は二分の一というふうに一応の努力はしておるつもりであります。
 さらに、第三点の生命保険会社の問題は、これは大蔵省に答弁してほしいと思いますが、私としては、復帰しますと琉球生命、沖繩生命と二つあることは、どっちか一方に本土の巨大資本が入ったら――これは本土の一番最低の生命保険会社のたしか二十分の一くらいだと思うのですね。そうすると、やっていけませんよということを言っておりましたけれども、沖繩の複雑な人脈その他の関係もあって、結局目的を果たすことができませんでした。これはしかし、国が強制的に合併しろということも言えない業種でありますので、はなはだ心残りであったと考えております。
 あと、大蔵からちょっと生命保険のことについて。
#72
○説明員(松川道哉君) 生命保険会社のこれからの指導につきましては、ただいま総務長官から御説明のございましたように、本土の生命保険会社と比較いたしまして、片っ方の琉球生命は約半分の大きさであり、片っ方の沖繩生命は約十分の一の規模でございます。したがいまして、こういう小さい生命保険会社が二つあるところへ、本土の生命保険会社が進出することは、沖繩のほうの営業をむずかしくすることもあろうかと思いまして、できるだけ進出を抑制するように指導をいたしております。具体的な内容といたしましては、沖繩におきましては一般の新規契約募集は行なわないと、そういう行政指導をいたしております。なお、その間、保険会社の体質強化のために、私ども本土の保険会社を指導して得ました知識その他を活用いたしまして、できるだけ早い機会に体質が強化するよう指導していくつもりでおります。
#73
○国務大臣(水田三喜男君) 一番最初の問題は、いま山中長官がもうお答えになりましたが、御指摘の点は、この琉球銀行と沖繩銀行と沖繩相互銀行、三つの銀行の貸し出し残高を中心とされたようでございますが、そうしますというと、おっしゃられるとおり、農業は一・三%、水産業は三三%というようなことで、非常に貸し出しの比率というものは少なくなっておりますが、これを補うために、いまもお話しがありましたように、財政援助というものと、今度できたこういう機関による政策金融というようなものでこれを補うというようなことになりますので、これはなおざりにならぬような措置というものが講ぜられることと思っております。
#74
○原田立君 私は総務長官に引き続きお伺いしますけれども、今後の沖繩で一番大事な問題といえば、電源開発あるいは水資源確保、こういうふうなことだと思うんです。話によりますと、北部の山岳地帯に大規模な多目的ダムをつくる、こういうふうに聞いておりますけれども、これはぜひ必要であろうと思うんであります。またそのほかに、あそこは高い山がございませんから、当然水力発電というよりか火力発電、こっちのほうに重点を置かなければならないだろうかと思うんでありますけれども、その点についての電源開発、水資源確保、火力発電と、この三点について今後どういうふうな開発計画があるのか。また、昭和五十年に開かれる海洋博に約三百六十万人ぐらいの人が寄ると聞いております。となると、当然それに間に合うようにしなければならないだろうと思うんですけれども、海洋博とあわせて、間に合うのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#75
○国務大臣(山中貞則君) まず水資源開発でありますが、沖繩本島北部においては比較的降雨量が多いために、豊富な表流水が利用されることなく海面に流出をいたしております。したがって、いまのところ、米軍工事で福地ダムが完成間近にありますけれども、これを引き継いで石川浄水場までの送水管を十分の十――全額国庫補助で工事を急ぎますとともに、さらに北の東海岸の二水系、すなわち安波、普久川、新川と、これらのそれぞれに多目的ダムを設定して、大体五十五万トンの水を新しく開発するつもりで具体的な作業を急いでおりますが、もちろん海洋博には間に合います。さらに今後の展望としては、やや短い河川でありますが、西海岸にも表流水がございますから、これらの調査に取りかかりますし、さらに長期的な展望としては、地元関係者の了承を得なければなりませんが、塩屋湾、屋我地湾等の淡水化によるダムと申しますか、貯水池と申しますか、そういうもの等も考えていかなければならぬと考えます。これらはいずれも全額国費でもってやるつもりであります。
 さらに電力については、御案内のように沖繩電力株式会社というものを九九・九%の国の出資、〇・一%は最初は沖繩県の出資ということで沖繩県の発言力も確保しながら措置することになっておりますが、これらはいずれも、現在の電力の卸売り料金、小売り料金が、幸いにして民政府の特別な燃料に対する措置その他によって、本土各県よりも低く、もしくはその程度に押えられておりますので、この国策会社は卸売り料金を本土各県の料金よりも引き上げないための国の援助をもって進めてまいりますので、その点はだいじょうぶであろうと考えますが、工業用電力その他等の需要が今後高まりますので、さしあたりアルミ等も沖繩電力と一緒になって、アルミ会社のほうが出資をして、石川のほうに新しい発電を興すようであります。これはおっしゃるとおり、沖繩においては当然すべてが火力発電であります。したがって、今後火力発電の新規の需要に見合う開発は、実際上国の手で行なわれるということであります。以上の二点でございますが、海洋博には当然間に合うようにいたします。
#76
○原田立君 昭和五十年に国際海洋博があると、それに対して都市計画も充実していかなければならないだろうし、実は本部町のあの会場の付近の一番大きな町といえば名護市であります。ところが、その名護市は下水道計画がないんだそうでございます。ないんです。あるのは那覇市だけです。で、あそこの本部の町にいわゆるホテルなんかをつくればいいんだろうけれども、なかなか無理であろう。そうなると、名護市となると、その名護市は下水道計画がなければ当然大きなホテルなんかをつくれない。まあ、きたない話でありますけれども、くさい名護市というものができ上がるような心配もしているわけであります。そういう都市計画、下水道計画ですね、それらもあわせて施策していかなければならないだろう、これがまず一つ。
 それから民間の宿泊施設、それも当然つくっていかなければいけないでしょうし、観光・レジャーの施設等、これらもつくる必要がある。で、観光・レジャー施設等についても、いわゆる魅力あるもの、こういうものをつくっていかなければいけない。あそこで海中展望台というところへ行って見て来ました。だけれども、あれは十人も入ればそれでおしまいであります。あれで東洋一だなんて地元の人はいばって言っておりましたけれども、その気持ちはいいとしても、たった十人か十五人ぐらい入ると一ぱいになるのが東洋一だと言っているんではお恥ずかしい話であるし、魅力あるそういう観光・レジャー施設とは言えないと思う。そういう面でやっぱり強い指導、大きな融資、こういうふうなことが当然必要になるんではないか、こう思うんです。こういう観光面のことを考えて、その反面、また石油、アルミ等のいわゆる公害企業が進出する、非常にジレンマを持ちながら見て来たわけでありますが、この平安座島のガルフの精油工場を見て来ましたが、八十万トンの重油の大タンクあるいは精製工場を見て来たけれども、不気味な白い煙を吐いて盛んに作業しておりました。公害関係についてはきびしい監視はしているんだろうと思うのでありますけれども、あそこの水と油の分離施設というんでしょうが、見て来ましたけれども、われわれしろうとですから専門的なことはわかりませんけれども、こんなことでいいんだろうかというような、そういう施設でありました。
 それで、こういう公害企業が沖繩に進出していく場合の政府の基本姿勢でありますけれども、内地では公害問題がやかましいからそういう企業をつくることはできない、だったらば沖繩へ持っていけだなんというような、公害を沖繩へばらまくようなそういう姿勢であってはならぬと思う。むしろ、緑の沖繩を今後も残すという意味においても、公害絶滅のそういう姿勢でなければならぬと思う。それらについて、観光問題と公害問題ということで、非常にジレンマを持ちながら見て来たわけでありますが、どういう姿勢で臨むのか、それが質問の第二点であります。
 あまり時間がありませんが、総務長官、先ほどのお答えではあまりよくわからないので、もう一ぺん整理して申し上げたいのですが、屋良主席が言っていたように、個々の補償はむずかしかろうが、沖繩経済への何らかの措置を望むという、これについての答え。
 それから安い物のショッピングが多い。本土並みになれば台湾、香港へ行ってしまう、沖繩はさびれる、日本経済を混乱させないような恒久税制をしいてほしい。これが二つ。
 それから地籍調査の問題等について、県になるとやりやすいが、具体的には国家公務員法によって定員が制限されるので人員の増加ができない、何らかの増加をしてほしいという、そういうふうな具体的なことですね。
 これらについて一括してお聞きしましたけれども、お答えいただきまして私の質問は終わります。
#77
○国務大臣(山中貞則君) なるべく簡略に御答弁したいと思います。
 名護市については、今年度予算で都市下水道予算を計上いたしましてそういうことのないようにいたしたいと思います。
 さらにまた宿泊施設については、現在の住宅計画を総合いたしますと、おそらく大阪万博の日曜、祭日等を計算いたしましたピーク時というようなもの等計算いたしまして、沖繩におけるいわゆる宿泊施設――現在コザ市周辺等で米軍に契約で提供してあるような施設等の改造等も含めて全部計算しましても、平日においても千二百名、ピーク時において千六百名ほどの宿なしという状態でありますので、早急に、三年以内にこれを充足したい。方法としては沖繩県が行ないます住宅供給公社というものに対する援助という形で建設をしてまいりたいと思います。これは分譲にしろ、あるいは賃貸にしろ、その方法が入る人たちのために金額が安くできるものでありますから、公団住宅よりかそのほうが有利だという判断でいま計画を立てております。
 さらに沖繩の観光のあり方であります。これは一つには海洋博を海洋観光の足がかりにはいたしますが、沖繩について将来世界の学者が、まだ未知の分野である海洋開発の分野ですけれども、つえをひく場所にしたいと考えて、海洋博の構想の中で、沖繩の海洋博がやがて終わりましても、そこに沖繩における世界的な研究の機関である海洋開発センターみたいなものも計画を進めたい。いま寄り寄り協議をいたしておるところでございます。
 なお、全般的な観光としては、沖繩には観光開発事業団というものが政府にございまして、これは政府がやるのは、県になってからこれはおかしいというので、法人格を与えてやることになりますが、これも政府のほうで引き継ぎその他でめんどうを見ることになりまして、観光開発事業団が、本来ならばそういうものは事業をやりませんけれども、法人として観光事業ができるような道をあけてあるわけであります。
 さらに海中展望塔の問題等も確かに観光客を誘致するためとしてはなかなか規模として問題がありますけれども、今度の海洋博等でほぼ永久的なものとして、海底遊歩道なりあるいは海底牧場なり、そういうもの等も計画を持っておりますので、こういうものはやはり後世に残るものとして、海底その他の神秘に対して観光のよりどころになるように計画をしてみたいと思います。
#78
○委員長(前田佳都男君) 長官、ちょっと時間がありませんので、なるべく簡潔に。
#79
○国務大臣(山中貞則君) ガルフを中心に公害企業誘致でありますが、これがもうすでに石油産業が出ておりまして、大気汚染の問題は、沖繩は島で、絶えず海の風が吹いておりますから、そう極端に重大問題を惹起する可能性もあまりないと思いますが、問題は水質汚濁の問題であると思いますが、すでに金武湾等で一部そういう被害が起こったこともありますから、今後十分に留意して、ただいま予定しておるアルミ等については、公害に対する対策を徹底的にやることを条件にしたいと思います。
 なお、先ほど御答弁いたしましたとおり、残りの三点については、為替差損の問題は、十月九日以降の成長率の問題をどうするかという問題で今後相談をしていきたいという問題。
 それから税制の問題は、観光戻し税制度を中心に今後沖繩の魅力ある、ある意味の買い物的な魅力というものも持続していきたいし、沖繩県民の生活をささえてまいりました安い外国製品の関税なり割り当て量なり等の特別措置はそのまま残していきたいと考えます。
 さらに、土地調査の問題は、与那原地区をモデル地区として、これを国費で支弁するような措置をいたしたいということで、できれば四十七年度予算と思っておったのでありますが、地元の与那原町の計画が単なる埋め立て計画だけでありましたので、これをもう少し練り直す必要があるということを町長さんも含めて合意いたしまして、さらに調査をしたいと思います。
 なお、人員の問題は、土地調査庁を沖繩県側で引き取ってそのまま実務はやっていただくということに伴って、交付税措置その他について沖繩側に迷惑のかからないように措置をいたしてあります。
#80
○栗林卓司君 時間の限りがありますので、基本的な問題について一点だけ山中長官と大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
 去年でしたですけれども、沖繩に参りまして指導者と数えられる方々にお目にかかって伺いますと、百万という単位の沖繩県民が今後も存続できるとほんとうに思っておいでの方は実はいなかったように感じますし、本土に帰ってきてからいろいろ話を伺っても、それは無理であろうというような大方の御意見でございました。これは長官などもたびたび言われるように、沖繩の問題というのは実は過密過疎の問題だと思います。本土でも過密過疎の問題というのは、深刻化することはあっても、対策は有効な成果をあげてこなかった。したがって、沖繩もまた日本の過疎県と同じような道をたどるであろうと、沖繩並びに本土の人たちが思っても私は当然に思いますし、私自身もそういう感じが非常に強い。その意味で、沖繩の問題というのは実は沖繩の問題にとどまらない。沖繩を含む日本全体の過密過疎対策をどう進めていくのかということだと思います。そういう観点から、たまたま長官は鹿児島県の選挙区でございますけれども、失礼ですが、鹿児島県もまた過疎県の一つに数えられておると思います。その過疎対策のきめ手は何だとお考えになっているか伺いたいと思います。
#81
○国務大臣(山中貞則君) 人口は九十四万五千百一名という国勢調査の結果が出ておりますが、これを十年後に百十万の大台に乗せるということはやはり私もむずかしかろうと思います。しかし、それは一つの目標でございますから、それに対して、流出をしないでふえていく努力はしなければなりません。経企庁等の試算によりますと、おそらく七、八十万に減るのではないかという試算もあります。したがって、本土において過疎地域対策緊急措置法というものもありますが、沖繩においてはそれ以上のものを過疎地域に対して措置をしようと思っておりますし、離島振興についても、離島振興も本土以上のものを、沖繩本島も含めた各離島に手厚くしたいと考えておりますが、それだけでは、やはり私は日本のメガロポリスの吸引力、太平洋ベルトラインに吸収されていった本土の各県の過疎の実情というものを考えますと、やはり沖繩において魅力ある生活をする場所というものが提供されなければ、幾ら空気がよくて美しい風土、風俗等がありましても、人情等がありましても、人間の常として出て行く可能性があります。そこで、一応私どもとしては、沖繩について定着できるような産業基盤あるいは産業政策というものの樹立が何よりも急務だ、そして離島の人たちは離島なりに、離島とは何ぞや、海を隔てているからなんだということの解消、たとえば交通、通信あるいは運輸――運輸は交通のうちに入るかもしれませんが――医療、そういった問題で、離島に住んでいてもまあまあ特別に不便でないというような施策はすみやかにやらなければならぬと考えております。しかしながら、基本的に沖繩の人口をどのように確保し、ふやしていくかという問題は、これは私にとって一番頭の痛い問題であります。同時に、沖繩県にとっても一番心配な事柄であろうと思いますが、しかし、一ぺん東京や大阪に出たい、カラーテレビで見たらすばらしい所だっと思って出る人を妨げることはできませんが、しかし、それでも一年か二年おったらもういい、やはり沖繩に帰りたいという沖繩にぜひしたいという願望を持って各種の施策を展開したいと思います。
#82
○栗林卓司君 私にもお話はたいへんよくわかるような気がいたします。しかし、実際にそうなるかどうかですね。そこで鹿児島の例を出しましたのは、沖繩よりもより恵まれた条件の中で、しかも風光明媚で歴史的遺産もあるその鹿児島でも、やはり過疎化はとまらないし、その鹿児島のきめ手は一体何なのかということをお伺いしたかったのですが、時間がありませんので、水田大臣にお伺いいたします。
 たまたま千葉県御選出でございますけれども、南関東の中では、どちらかというと立ちおくれた地域にあるということから、工業誘致を主力に置いて今日まで県の産業開発ということが進んでまいりました。その結果起こってきたものは、たとえば製鉄所を持ってきますと、九州からの民族大移動という問題が起こってまいります。結果としてコンビナートができてくる。それが千葉県の問題としてほんとうにいい面ばかりだったかというと、いろんな問題が起こってくる。過密の悩みを深めつつある千葉県の立場から見て、いわゆる地域産業振興ということは工業誘致なんだというこのパターンは、いま一つの反省点に立っているように私は感ずるのですけれども、この点、大蔵大臣の御意見はいかがでしょうか。
#83
○国務大臣(水田三喜男君) 非常にむずかしい問題でございますが、私は、総務長官もさっき言われましたように、沖繩の人たちが外へ出なくても済むという状態にするのはなかなかむずかしい。しかし、施策のいかんによっては、一たん出てもまた沖繩へ帰るというような沖繩をつくることは、私は施策のいかんによってはある程度可能ではないかというふうに考えます。各府県の過疎化とは非常に今回は違いますので、私は一つの過疎化対策の例として、沖繩に思い切っていろんな適切な施策をし、資金の集中もやって、日本の過疎化対策として一つのいいモデルを提供されている問題だと見て、これにやはり全力をあげてやることが国の施策として適切なことじゃないかというふうに考えております。しかし、それによっても、なおかつ人口全部を定着せしめ得るかどうかということは、非常にむずかしい問題かと思っております。
#84
○栗林卓司君 いま大臣も御指摘になりましたけれども、沖繩問題が解決できるかどうかということは、沖繩を含む日本の過密過疎問題、その問題に対して一つの答案が出てくるわけですけれども、その意味では、ほんとうにたいへんなお仕事を担当されるということだと思います。
 それで、時間がありませんので、意見として申し上げてみたい気がしますのは、地域産業開発というと工場誘致、このパターンというものは、実は今度の金融公庫の中の金利に対する配慮ということから見ても、同じように入っているような気がいたします。ところが、最近逆に、日本本土では過密過疎を進行させてしまった一つの原因になった。そこで、沖繩が離島であるということも含めて考えてみたときに、自給率を高めるということは考えられないのか。ところが、自給率を高めるといいますと、「規模の利益」をある程度捨てるということになります。これが従来は、国際競争力との見合いで「規模の利益」は捨てられないという理屈になってまいりました。ところが、その国際競争力も、今日ある意味では前向きに再検討する過程に来ておりますし、その意味で、「規模の利益」を一部放てきをしながら、自給率を高めるということが考えられてもいいのではないか。それでもやはり投資からいえば損だということになりますと、実はいまの本土のように、最適の産業立地を求めて大規模産業、企業がまとまって来るということになりますと、資源の輸送にしても製品の輸送にしても人の移動にしても、交通そのものがたいへんな物流をかかえざるを得ない。そのための投資、やはり社会投資をしていかなければいけない。片方では過密過疎化――もっともこれは過密地域、過疎地域、両方ですが、精神面を含めた社会的な損失という問題が起こってくる。それと見合いで考えて、「規模の利益」、すなわち国際競争力ということだけで追い詰めていっていいのだろうか。よく言われる「発想の転換」ということも、何かこの辺に一つの取っかかりができそうな気がいたします。非常に困難な条件の中で、離島における産業開発、住みよい明るい沖繩をつくる、ということなんですけれども、その中身として、沖繩でつくって沖繩で消費するというものがないのかあるのか。単に沖繩に昔からある地場産業を育成するという問題を、沖繩の中小企業育成ということも一つの検討議題として考えていいのではないか。その意味で、これは今後の問題ですけれども、中小企業に対する基準金利が七・三%ということも、当然の検討対象にしてぜひ考えていただきたいと思います。
 以上、意見を申し上げて質問を終わります。
#85
○渡辺武君 今度できます振興開発金融公庫の資本金が、その八八%までが県民の汗とあぶらの結晶である現地の公的金融機関の資産で占められているということは、長官も御存じのとおりだと思います。この資本構成という点からしましても、また、従来の沖繩県民の強い要望からしても、公庫は当然これは県の金融機関にすべきものだというふうに私は思います。また、民主勢力の統一戦線の上に乗って当選した統一主席のもとで県の経営にするということこそが、この金融機関がほんとうに県民のために役立つ一つの重要な機関になるというふうに思っております。ところが政府は、今回一片のこの法律で県民の資産をいわば略奪接収をして国の金融機関にしてしまっております。一体、なぜ国の金融機関にしなければならぬのか、その理由を伺いたいと思います。
#86
○国務大臣(山中貞則君) 民主戦線による革新主席だから沖繩県の公庫にしろという御意見であると、そうすると、保守党の知事だったら、するなということになるのですか。私は、そういうつもりで沖繩に対してやっておりません。県民の選んだ主席は主席、そうして県民の九九%は、政党思想というものを越えて、本土の行政というものを見守って、沖繩県のための努力を期待しておるわけなんです。私らはそれに沿って、ほんとうに虚心たんかいにやらなければならぬと思います。
 そこで、そのような前置きは別にいたしまして、いまの資本の承継でありますが、これは確かに沖繩県民がガリオア資金等を中心にして琉開金というものが構成されたことも事実でございますが、その他の、特別会計その他についてはこれは本土政府の資本も入っておりますが、アメリカの資本については、大蔵省のほうと外務省のほうで資産を承継するために対価も支払っております。したがって、これは国有という形に一ぺん帰したものを沖繩側にどうするかという問題でありますが、この金は、沖繩にとっては無償として、別段沖繩県民が対価を払うものではありませんし、その融資の対象は沖繩にのみ限って行なわれる融資でありますから、ことにその対象になっていなかった開発銀行その他の政策金融機関も全部出ていくわけでありますので、私としては、この問題については、そうあまり沖繩側との対立もありませんし、この問題について、沖繩のみに使われる金融機関であるということで、そのような搾取とか略奪とかいう議論にはなっていないということで御理解を賜わりたいと思います。
#87
○渡辺武君 私は時間がないので、御答弁は恐縮ですが簡略にお願いしたいと思うのです。簡単明瞭に。
 いまおっしゃった理由は、おそらく私はほんとうの理由じゃないというふうに思います。その証拠は、この金融公庫の融資計画そのものの中にもはっきり出ている。今回接収される七つの公的金融機関は、沖繩に大企業が従来なかったということもあって、ほとんど融資の一〇〇%が農漁民だとか中小企業に対する融資だとか、あるいは住宅建設その他の、言ってみれば、沖繩の勤労県民に向けられた融資だったというふうに見て差しつかえないと思います。額の多い少ないはありましょうけれども、しかし、とにかく内容が重要である。ところが、いま申しましたように、これら金融機関の資産をもって資本金の八八%を構成している今度の金融公庫が、四十七年度の貸し出し計画でどういうふうな融資計画を持っているか。貸し出し計画額二百九十四億円のうち七十二億円、つまり総額の二四・五%がいわゆる産業開発資金融資に向けられている。この産業開発資金融資というのをきのう私質問で伺ってみましたところが、従来現地金融機関の融資対象でなかった電力だとか、アルミだとか、あるいはまた観光資本だとか、こういうようなところを重点にして、そうしてそれに関連する、つまり言ってみれば、本土から進出する、あるいは在来沖繩にある大企業とそれに関連する施設あるいは企業、こういうところに重点が向けられている。ですから、それ以外の現地の勤労県民に対する融資というのは比重がぐうっと下がっておる。従来は一〇〇%だったところが四十七年度は七五・五%に下がるという状態。特に住宅建設資金等では、これは一九七一年度の現地の融資の全体の中では二七%を占めている。ところが、四十七年度のこの公庫の融資計画ではわずかに一二%を占めているにすぎない。五月十五日に終わるこの一年間、沖繩のこの一年間での住宅融資、これと比べれば、絶対額でもおそらく下がるのじゃないかと思われるほどです。この点に非常に明瞭にあらわれている大企業本位の融資、これが新たにつくられる金融公庫の性格になる。しかも、金利水準を見てみますというと、この大企業本位の産業開発資金関係に特に低く優遇措置が行なわれているという状況。今後、この方面が金利が低いために、この方面への融資がずっとふえるということは当然予想されるわけであります。結局のところ、現地の資産を大企業に振り向けているというのが、公庫を国の金融機関にした最大の眼目になっているのじゃないかというふうに思われますが、その点はどうですか。
#88
○国務大臣(山中貞則君) まあ、ものも見ようでありますが、そういうふうに見られるとなにでありますが、しかし、いままで融資していなかった電力、観光とおっしゃいますけれども、これは琉開金から融資はしていたのです。新規といえばアルミだと思います。なぜアルミを特利でやるか。これは沖繩の人たちがアルミ産業は来てもらっては困るという御意思であれば、私どもはいまからでもやめます。しかし、沖繩でアルコアがいいか、あるいは本土五社の進出による沖繩アルミがいいかどうかということになれば、やはり民族資本がいいということで、沖繩アルミの設立を要望されたわけです。それに従って私どもとしては政策金融の誘導手段として金利などを設定いたしておるわけであります。沖繩の県民の意思を無視してやる意思はありませんし、電力等については、やはり基幹産業でありますから、沖繩における電力の今後のあり方を考えた場合に、やはり相当優遇して、電力の配電に至るまでの融資については配慮をしてあげることは必要なことだと考えているわけであります。
#89
○渡辺武君 もう時間が来たので最後に一言。
 やはり県民の最大な願望は、沖繩から基地を取りのけてほしい、経済の上でいえば、基地依存経済を脱却したいということだと思います。また同時に、現地の農林漁業及び土着の中小企業、これを中心として沖繩県の経済を復興さしていきたい。もちろん、本土からの企業の誘致、これも公害のない、しかも雇用効果の大きい工業の誘致をしたいというのが最大の眼目だと思う。それは、形の上であらわれたものは、琉球政府もアルミ産業の誘致ということも言っておりましょう。しかし、この県民の基本的な願望にすら十分合っていない。それは明らかですよ。しかも、あなた方が振興開発特別措置法でやろうとしているのは、すでに本土で実証済みの拠点開発方式でしょう。そうしてこの開発金融公庫、これはそのための融資機関として大いに役立てられる。こういうことになっている。もしあなた方が県民の要望に沿えないようなことをしたくないというならば、仕組みからして県民の要望とはずれた方向に公庫の融資を使われようとしているのですからね、そういうことのないように、これは県に委譲するということをやるべきだと思う。その点、どうでしょうか。
#90
○国務大臣(山中貞則君) これは大蔵大臣の御答弁の範囲かもしれませんが、やはり県に委譲できる範囲は、この中で分けてみてもごくわずかの分野しかないと思います。国の政策金融機関を県にやらせる、一切の業務も予算も全部運用させるということは、やはり幾ら沖繩のためといっても、国の政策金融は国としてめんどう見なければなりませんから、これは責任があるわけでありますから、沖繩県知事の作成する計画に従ってこれの運用がなされることは、計画に即応した融資がなされていくことはこれは当然でありまするけれども、この金融公庫を沖繩県知事にまかせるということは部分的にはできるかもしれませんが、開銀その他国策金融機関まで全部渡すということは、これはまあ私どもの党の立場としては、共産党とは違いますので、そういうところまでの考え方というものに踏み切ることができないということであります。
#91
○委員長(前田佳都男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(前田佳都男君) 御異議ない福と認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 沖繩振興開発金融公庫法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#94
○委員長(前田佳都男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#95
○戸田菊雄君 私は、ただいま可決されました沖繩振興開発金融公庫法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四派共同による附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
 以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#96
○委員長(前田佳都男君) ただいまの戸田君提出の附帯決議案を議題といたします。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#97
○委員長(前田佳都男君) 全会一致と認めます。よって、戸田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山中総理府総務長官及び水田大蔵大臣からそれぞれ発言を求められておりますので、この際、これを許します。山中総理府総務長官。
#98
○国務大臣(山中貞則君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府としても御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
 特に第二項の、円経済への円滑な移行のための特別措置として、融資規模は八十億円以内、貸し付け金利三%、償還期間七年以内、うち据え置き期間二年以内の特別融資を公庫設立後一年間を限り行なうことといたしたいと存じます。
#99
○委員長(前田佳都男君) 水田大蔵大臣。
#100
○国務大臣(水田三喜男君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
#101
○委員長(前田佳都男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回の委員会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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