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1971/06/01 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第29号
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1971/06/01 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第29号

#1
第068回国会 大蔵委員会 第29号
昭和四十七年六月一日(木曜日)
   午前十時四十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前田佳都男君
    理 事
                柴田  栄君
                嶋崎  均君
                戸田 菊雄君
                栗林 卓司君
    委 員
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                河本嘉久蔵君
                栗原 祐幸君
                津島 文治君
                西田 信一君
                桧垣徳太郎君
                竹田 四郎君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
   政府委員
       大蔵政務次官   船田  譲君
       大蔵省主計局次
       長        吉瀬 維哉君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省国際金融
       局長       稲村 光一君
       厚生省児童家庭
       局長       松下 廉蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       大谷 邦夫君
       大蔵省主税局税
       制第三課長    福田 幸弘君
       国税庁直税部長  江口 健司君
       厚生省社会局老
       人福祉課長    山口新一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案、以上三案を審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(前田佳都男君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○竹田四郎君 この前時間が十分ありませんでして、老齢者の扶養控除について、年齢的な問題について若干質問したんですが、その前に厚生省にお聞きしますが、老齢者の、この前は生計をどうしているかということについてちょっとお尋ねしたんですがね、いま一番困る問題は、その同居か別居かということが、老齢者をかかえた家庭の中でたいへん問題だと思うんですね、まあ一時、家つき、カーつき、ばばあ抜きということばが実はたいへん流行いたしましたけれども、その辺の老齢者、まあおじいちゃん、おばあちゃんと同居をする状況が、どういう状況になっているのか。老齢者は一体どう考えているのか。新しいその実際に扶養をしようとしている子供とか孫ですね、そういう者は一体同居に対してどう考えているのか。この辺のお考えが、どういうふうに意識が変わっているのか。この辺の問題というのは、やはり大きい問題になってくるだろうと思うんですが、その辺少し御説明いただきたいと思うんです。
#7
○説明員(山口新一郎君) 私どものほうで調べた状況では、大体まあ老後の生活についてどういう責任の持ち方があるかというような観点から調べたものがございますけれども、年齢別で調べたものといたしましては、総理府のほうで、老後の生活に関する世論調査というものを昭和四十四年にいたしております。これで見ますると、若い方に比べまして、老齢者の方は、老後の生活について、家族の責任であるという考え方が、六十歳以上では約半分を占めております。それに対しまして、二十代になりますと、老後の生活は自分の責任であるという考え方が四四%になっています。こういうふうに、年代におきまして、老後の生活についての責任の感じ方が違うということで、年寄りが比較的、若い者と一緒に暮らすのがむずかしくなる傾向にあるんじゃないかということが、うかがわれます。
#8
○竹田四郎君 その若い者が、老齢者と一緒に暮らすのはいやだということは、一体どういうことにあるんですか。たとえば教育程度も確かに昔より水準は非常に高くなっている。生活程度自体も昔に比べれば高くなっているわけですから、まあ若い人たちはマイホーム主義といいますか、そういうことで自分たちの生活を楽しむ。あるいは自分の子供にはひとつ十分教育をしたい。だから実際親を見る――何といいますかね、余裕がないという、そういうことなのか。あるいはもう本質的にそういうものとは別居するのがあたりまえなんだと。つまり権利意識としてそういうふうに考えているのか、その辺はおわかりになりませんか。
#9
○説明員(山口新一郎君) これはたいへんむずかしい問題でございます。正直に申し上げまして、結論的にはずばりこれであるという一つの原因はあげにくいと思います。やはりいろいろな要素がからみまして、いまおっしゃいましたように、生活水準の上昇に伴いまして、自分の親子の生活水準を上げていくということに追われて、年寄りについては、つい手が回りかねる。あるいは家制度の崩壊による扶養意識の変化。それから住宅事情、いろいろな問題がからみ合って、現在のような現象になってきているんじゃないかというふうに私どもは考えております。
#10
○竹田四郎君 それから、その一体だれが扶養するかということが、この子供の中でだいぶ問題になっているわけですね。一体長男が扶養するのか、子供全部が扶養するのか、こういう意識というものも、私はかなり混乱しているというか、子供全体が親を扶養する義務というのがあると思うのですが、いままでの古い習慣といいますか、そういうもので、親を見るのは長男に限るという意識も必ずしも払拭していない。その辺が非常に混乱をしているわけですね。ですから、私の地域で見ておりますと、子供が三人あると、おかあさんが信玄袋をかついで、子供のところを三カ月、四カ月おきに均分に回って、そこで生活しているというようなのもあるわけですね。こういうのは、私必ずしもいいとは思わないのですが、そういうところに、若干の混乱がある。それはなかなか、それを、じゃ一つの法律でどうこうするということをきめても、必ずしもそれがそのとおりにうまくいかないというのが現実じゃないかというふうに思います。したがって、まあ大体、一番上の兄貴が少し生活が楽だから、おばあちゃんたちそっちに余分に行ってろよと。おれのほうはその割合でいくと、二カ月ぐらいおばあちゃん養えば、私の任務はそれで済むからというふうな話もあるわけですね。実際には、なかなかその辺、一体どこへおじいちゃん、おばあちゃんを預けるかということがきょうだい同士でたいへん問題になっていることだと思うんですが、
  〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
やっぱりこの辺は、どう将来定着していくのかということが、私はたいへんむずかしい実は問題だろうと思います。そういう、一がいにすっきりと解決できる問題ではないと思います。
 また、同時に、老人の入る施設というものが、それじゃそれでいいかというと、これもそう簡単に私はいかないと思うんですが、その辺、施設の問題と老後の問題というのは、厚生省なんかはどういうふうにお考えですか。
#11
○説明員(山口新一郎君) ただいまの問題でございますけれども、私どもといたしましては、お年寄りはやはり、長年生活をされた場で、できるだけそのまま家族と一緒に生活を送られるという状態が一番好ましいと基本的に考えております。ただ、いろいろな事情で、どうしても家族と一緒に生活ができないという状況の方については、老人ホームでお世話をいたすという考え方でございます。したがいまして、施設の対策だけではありませんで、在宅の年寄りに対する対策というものも十分に考える必要がある。たとえば生活費の面では、ある程度の年金を出すことによりまして、まあ食べるほうの心配がない、病気になったときには医療はただで見てもらえる、それから住まいも、隠居部屋ぐらいは何とかつくりやすくするというようなことによりまして、お年寄りも一緒に生活しやすくする条件をつくる。そういうような努力をやはり今後ともやらなきゃいかぬというふうに考えております。
#12
○竹田四郎君 それで、どうも最近、一人で生活している老人が、死んでから一週間たって、初めて近所の人が、あまり姿が見えないからといって見に行ったら、一人で死んでいたというようなことなんか、私非常に痛ましいような気がするんです。
 もう一つは、老人というのは非常に一つの意味ではさびしがりやだと。それと、一つにはがんこだということで、交友関係なんかも、必ずしも近くにだけは得られないような気がするんです。年寄りが近くにいるから、それじゃ近い年寄りがお互いに交わって、老人クラブでもつくって、そこで一日話し合えばいいじゃないかといっても、なかなかおのおのの経歴が違いますから、若い者ほど、同じ話をしても合わないわけですね。
 たとえば、私の近くにいるおばあちゃんなんかを見ますと、あるおばあちゃんは、かつて女学校の先生で、文学のほうをやったと。そのおばあちゃんは文学の話ばっかりするわけですね、得意ですから。片一方のおばあちゃんは、そういうものと全然関係がないということになると、このおばあちゃんはけんかしちゃうわけです。だから、非常に近くにいても交われない。そうすると、やっぱり同じ趣味を持ったおばあちゃん、あるいはおじいちゃん連中だと、非常に話が合う。
 こういうむずかしさも、私近くで見ていてあるような気がするのです。おのおのが、深い浅いは別として、その道で生活してきているわけですから、それなりに、その部面では他の者より深いということになりますと、なかなか話が合わない。だから、老人クラブを結成していても、老人クラブにみんな集まって、そこでにぎやかに暮らしてお互いに慰め合ったり、情報を交換したりというようなことが、必ずしもどうもあんまりうまくいっていないというのが実情じゃないかと思うのですよ。これは、厚生省でも、あるいは各都道府県、市町村でも、たいへん老人クラブの結成というようなものは力を入れているようでございますけれども、これも、実際上から見ると、形はできてきておりますけれども、実際それによってお年寄りが満足されているかというと、どうもあんまり必ずしも満足されていない。そういうような感じを私は受けるわけです。この辺たいへんむずかしいと思うのですがね、一番中心は、やっぱりだれがおじいちゃん、おばあちゃんをかかえるかというところに私は問題があると思うのです。
 そういう点で、これは主税局長に聞くんですが、この三万円という根拠はどこから出したのですか。
#13
○政府委員(高木文雄君) 現行の諸控除制度の中で、基礎控除、配偶者控除が御存じのように二十万円でございます。それから扶養控除が十四万円でございます。そこで、普通の扶養控除よりは、老人を扶養することを、いわば何か税制上も見ましょうということでございますから、その答えは十四万円と二十万円の間に出ると思うのでございます。その場合に、十四万円と二十万円の間のどこに求めるかということについては、実は必ずしも、一万円がいいのか、二万円がいいのか、三万円がいいのかということあたりについては、私ども必ずしも明確に、一万円ではぐあいが悪いのだ、あるいは三万円ではぐあいが悪いのだ、二万円がいいのだという検討を十分いたしたわけではございません。
 ただ私どもが、まああまりまだこの方面の十分の資料がございませんのでよくわからないのですが、たとえば老人の生計費といいますか、生活費といいますか、そういうものが、他の扶養親族と比べて非常に経費の面で追加的費用がよけいかかるかどうかということにつきましては、いろいろ調べましたけれども、あまり老人について、子供その他に比べて特に経費がよけいかかる――これはたとえば病気をしておられるとかなんとかということでありますと、現在でも障害者控除のほうの適用を受ける場合があります。そういう非常に経費がかかる場合は別でありますが、そうでない場合には、一般に老人の生計費が、扶養控除の中で特によけいかかるということではありませんので、そこで、先ほど申しましたように、十四万円と二十万円の間のまあどの辺でよかろうかということで考えたわけでございます。
 なお、その際に、ひとつ、なるべくは、あまり控除金額にいろいろの種類のものがあるというのもいかがかということで、現行制度といろいろ比較していくわけでございますが、現行制度では、配偶者控除三十万円の次に、金額の大きいものとしては、特別障害者控除というのが十六万円になっております。まあ一つの、何といいますか、目安として、特別障害者控除というものもあるいは一つの参考にはなったということは言えるかもしれませんが、しかし、その十六万円という金額、その二万円という金額が、何か十分の証明でき得る金額から算定されたものではないわけでございます。
#14
○竹田四郎君 私はね、大蔵省のほうでも、結局、根拠なしの、もう言うなれば、足して二で割るという式のものだと思うのですがね。どうもそういう形で、はたして、これから老人問題というのはたいへん大きくなっていくのに、ただそういう勘だけで問題を扱っていいものかどうか、もう少し年寄りの生活実態、こういうようなものをにらんでいかなくちゃいかぬと思うのですが、私、先ほども申し上げましたように、最近は、地方団体の中では、老人サービスというので、特に電話とか、インターホンをつけて老人を慰める。それから、アメリカあたりの老人なんかの報告を聞くと、お年寄りの電話というのはたいへん長いということで有名なんですよね。へたすると半日くらい、お互いに何でもない、話の内容はわれわれに比べればたいしたことじゃないと思うのですけれども、まあそれでもぐちをこぼし、古いことを話しするということでつい長くなる。それから、先ほど申しましたように、なかなか近くにいても、趣味が合わないために、遠くへ出かけて、そして同じ趣味の集まりでやるということになりますと、まあ今日の交通機関の中では、これはそう楽な形ではない、場合によっては、その家族がだれかついて行かなくちゃならぬという場合も私はあると思うのです。それからもう一つ、やはり家族と一体になるというのは、まあ結局年寄りと孫との関係というのが、これはやっぱりかなりうまくいかないと、うまくいかないんじゃないかという気もするわけですね。これだけが唯一のものだとは言えません。そうすると、おじいちゃん、おばあちゃんも、たまには孫にものを買ってやる小づかい銭だって要るわけですね。それから、古いつき合いだって子供と違ってある。こういうことを考えますと、子供の場合の扶養とやっぱりかなり違っているんじゃないか。なるほど食うもの着るもの、こういうものについては、これはそう子供に比べれば要るとは思えませんけれども、そういうつき合い的なもの、あるいは交通費的なものは、まあ子供の交際範囲というのは、そう広くない。しかし、一世代を暮らしてきたお年寄りということになりますと、これはやっぱり交際範囲というのは違うと思うのですね。同じ地域に住んでても、やはり交際の範囲というのは、年寄りのほうがどうしたって広く遠くなる。子供の場合には近くて済む。こういうことになりますれば、その辺も違うと思うのですが、どうなんですか。主税局長、私は、ただ勘で二万円というのは、これからの老人対策をやっていかなくちゃならない国の政策として、これからも論議になってしまうと思うのです。ある程度の科学的な根拠を、主税局自体としてもつかむ必要があるし、まあ厚生省のほうのお話でも、どうもその辺あまりまだいろいろな調査が進んでいるとは思いませんけれども、その辺もう少し科学的、合理的にやっていかなければ、これからの老人対策に対応できないんじゃないか。まあこれは片一方で、もちろんこの控除だけで老人対策がいけるというものだとも私は思いません。その他の老人対策というものが進んでいかなくちゃならぬことは事実であります。ところが、現実には進んでいないですね。騒がれているほどこれは進んでいないと思う。ですから、その辺は、見ることができるところで、やっぱりとりあえず見ていかなくちゃしようがないということなんですが、そういう意味でも、あまり勘的にこれを当てはめていくということについては、もう少し反省していただかなくちゃならぬと思うのですが、どうでしょうか。
#15
○政府委員(高木文雄君) 現在の所得税におきます控除制度は、基礎控除につきましても、配偶者控除につきましても、扶養控除につきましても、それからまたもろもろの障害者控除等につきましても、まあ生活費といいますか、生活のための費用性ということに着目しての控除制度でございます。老人扶養控除につきましても、本来であれば、その費用性ということに論拠をおくべきものであると思われますので、そういう意味からいいましたならば、竹田先生が御指摘のように、老人の生活についての十分の実態調査が行なわれて、そうして老人の生活費が、やはり普通の扶養親族よりも経費として平均的にはよけいかかるんだということの、まあいわば証明といいますか、立証がなされて、初めて扶養控除よりも、たとえ二万円でありましても、あるいは別の額でありましても、違った額の控除制度が認められるべきであるという結論になるというのが、本来の筋道であろうかと思います。残念ながら、しかし私どもも、また厚生省のほうにも、老人の生計費調査、そしてそれがどのぐらいかかるか、他の扶養親族と比べて明らかによけいかかるという証明がつくものは、いまのところ実は手持ちが十分ないわけでございます。それでは、そういう証明資料といいますか、立証資料といいますか、そういうものが整備されるまでは、この老人扶養控除制度というものを設けるのは早過ぎるのかということになりますというと、先ほど来こまかく御指摘がございましたように、だんだん、いわば核家族化してきて、そうして老人を所得者が扶養することをあまり歓迎しないといいますか、そして先ほども御指摘がありましたように、お年寄りが、お子さんのところをぐるぐる回っているというようなことがあって、何とかまあ古い考え方といいますか、そういうことでなくても、長男が親を養うのだというような昔からの考え方ということに必ずしも関係なくても、何とか、たとえば老人ホームに入れるとかなんとかいうことじゃなくて、所得のある人があれば、まあおじいさん、おばあさんを扶養するような、そういう形を、いわば奨励したいものだという、何といいますか、まあ声といいますか、世論といいますか、そういうものがあることは事実でございますので、そこで私どもといたしましても、そういう先ほど来申しておりますような意味での、生計費がこういう金額になりますと、よってもってこういう金額を控除額としてよけい認めましょうということの証明がつくまでは、こういう制度はだめですということを言っているのも、まあいかがかというようなところから、はなはだいまきつい御質問を受けたわけでございますが、現段階では、必ずしも幾らと、一万円がいいか、二万円がいいか、三万円がいいかということの明確な説明は、率直に言ってできないわけなんでございますが、さりとて、それを待っておるのも、また歯がゆいということで、とりあえずまあ、勘といっては悪いんですが、目見当といいますか、大体の達観でそういうことにしたということでございまして、今後の問題としては、やはり老人問題がいろんな面から検討されなければなりませんが、その中の一つとして、この老人扶養控除制度の問題の一つのとしては、やはりもろもろの調査の一環として、そういうものをできるならば厚生省等でも調査していただいて、そういうものに根拠を置いて金額をきめるようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
#16
○竹田四郎君 私もこれをここでつくるなということじゃございません。つくることは大いにけっこうだと思う。実際私、話を聞いているところでは、厚生省ではもう少し高い金額を大蔵省のほうに要求したということだそうでございます。で、まあ多くの金額を要求したということは、いろいろな意味がその中には含まれているとは思うのでもけれども、しかし、大蔵省より厚生省のほうが老人につき合っていて、統計的な資料はないにしても、ある程度情報は私は得ていると思うのですよね。それがかなり削られているということなんですが、それは厚生省のほうにも、おそらく大蔵省を説得するだけの科学的な資料がなかったということにもあると思うんですがね。ただ私は、そこで非常にちょっと心配になってきたのは、調査をするのはいいけれども、ただ、いまのお年寄りの非常につつましやかな生活をしている、それが年寄りのあり方だと、こういうふうな形で調査されては困ると思うんです。年寄りはこうあるべきだという一つの姿があって、それに対してこのくらいかかるんだという形でないと、おそらくなかなか先ほどの電話の話にしたって、嫁さんがいると長い電話をまあ半分ぐらいでちょん切っちゃうと、かけたくても嫁がいるときはかけないで、嫁さんがどこかへ出たときにちょこっとかけるというのも、私はある意味では相当実態だと思うんですよ。だから、電話の回数が少ないから、それをいまの実態として計上してしまうという形では、これはやっぱり困ると思うんですよね。これ厚生自が調査される場合にも、だから、老人生活のあるべき姿というものをひとつモデルとしてつくって、それに対応してこれぐらいかかるんだという形でやってもらわなくちゃ困ると思うんですけれども、大蔵省がこれ削ったという点は、私はあまり感心しないんですけれどもね。その削った理由というのはどういうことですか。これはやっぱりさっきの勘で、このくらいだから削っちゃったということですか。
#17
○政府委員(高木文雄君) 恐縮でございますが、いま厚生省からの御要求の金額、十六万円になっております金額が、御要求の段階で何万円であったかちょっといま私記憶しておりませんのですが、私どもとしては、費用性ということだけでは、実は老人扶養控除はなかなか説明し切れないという感じを持っておるわけでございます。
 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
 で、控除で、いま私ども非常にまあ各方面から御要請を受けておりますものの中に、この老人扶養控除のほかに、たとえば教育費控除というような問題がございます、それからちょっと異質なものではございますが、積雪寒冷地帯について特別な生活費がかかると、たとえば雪おろしに経費がかかるとか、そういう意味で、地帯別の生活費控除という制度を設けてはどうかというようなお話があるわけでございます。で、これらにつきましては、それぞれ教育費についても十分の理由があるわけでございますし、それから地帯別の問題につきましても、それぞれ御要求のサイドからごらんになりますと、十分な理由があるわけでございまして、ただまあそういうふうにして、控除制度を順次広げていきますと、非常にこの税制が複雑になるというところから、いままでのところは、基本的には消極的な態度でまあ今日まできておるわけでございます。その意味におきましては、今回老人扶養控除制度というものを設けますということは、従来まあ主税局といいますか、大蔵省の事務当局として、控除制度としてとってまいりました態度から申しますと、実はかなり飛躍といいますか、制度の複雑になりますことをいわば犠牲にして、まあこの問題は、非常に大きな問題であるから、繁雑になるとかいうことで、消極的な態度をとっておってはならぬであろうということで、制度をつくることには賛成したという経過でございました。したがって、その場合に、金額が幾らであるべきかということについては、率直に申しまして、やや十分な調査といいますか、それを尽くした上での制度の創設ではなかったのでございますから、まあ先ほど来申しておりますように、十四万円と二十万円の間でしかるべきだということで見当をつけたというのが、率直なところでございまして、その額については、今後とも研究はしてまいりたいと思っております。ただ、非常にこの老人扶養控除制度という制度は、税制の上では非常にまあむずかしい制度でございます。むずかしい制度と申しますのは、扶養控除、配偶者控除あるいは障害者控除というようなものは、非常に明確に経費控除という概念がはっきりしておるわけでありますが、いまちょうど竹田委員がお触れになりましたように、現在の老人のつつましやかな生活だけを基準にしておっては、なかなかそういう額が出てこないとおっしゃいましたけれども、私どももそう思うわけでございます。
 そこで、にもかかわらず、十四万円でなしに、その若干上積みの額の十六万円という制度ができましたというところに、非常に制度としてもかなりデリケートなものがあるわけでございまして、つまり経費控除だけでは説明し切れない分野がちょっと頭をのぞかしておるような制度になっておるわけでございます。今後この制度をどういうふうに展開していくかということは、単に額だけの問題でなしに、そういう意味でもかなり問題を含んでおる制度でございます。
 率直のところ、ことし老人医療の無料化問題をはじめといたしまして、老人問題が非常に強く取り上げられましたし、またさらにその背後には、福祉政策の前進ということがございましたので、まあかなり思い切ってこの制度を創設いたしましたので、私の説明も、先ほど来たいへん行き届かない点があるわけでございますが、つまり、ややそこらの詰めを十分しない状態のままで創設に踏み切ったという形でございまして、よってもって今後の検討を、いろいろな資料等の整備等ともにらみ合わせて続けてまいりたいということを申し上げておきたいと思います。
#18
○戸田菊雄君 委員長、関連。
 ちょっとタイミングをはずしたようですけれども、この老人の、先ほど竹田委員の質問に対する関連で、この機会に再度質問しておきたいと思うんです。
 厚生省で、老人というのはどういう定義を考えられておるか、その点をひとつ聞かしていただきたいと思います。
#19
○説明員(山口新一郎君) 非常にむずかしい御質問でございます。私どものほうの所管で、老人福祉法というのがございますけれども、この法律でも、老人そのものの定義はいたしておりません。一がいに老人といわれておりますけれども、非常に個人差があるわけでございます。肉体的にも、精神的にも、個人個人で老化現象のあらわれというのは非常に差異があるわけでございます。そういう意味で、個々の対策の中で、何歳から扱うということを一応の線に出しておるわけでございます。たとえて申しますと、年金制度でございましても、低いほうから申しますと、共済組合が五十五歳、厚生年金は六十歳、国民年金は保険料掛けた分が六十五歳、福祉年金は七十歳というふうに、年金制度だけでも非常にまちまちでございます。
 それから私どもでやっております老人の健康診査、これも六十五歳、老人ホームになりますと原則は六十五歳で、例外的には六十歳でもよろしいというようなことで、各対策で年齢もまちまちでございまして、それぞれの対策の目的に応じて拾い上げていく。いま申し上げました健康診査なんかも、人によりましては、老人のための健康診査ということであれば五十歳、極端な方は四十歳くらいからやるべきだというような御意見もあるわけでございます。そういう意味で、現在の厚生省の立場といたしましては、老人とは何歳以上のこういう方だということは、はっきりきめていないというのが実情でございます。
#20
○戸田菊雄君 端的にぼくは、老人というものは、少なくとも生産を離れたことが一つの条件だと思うんですね。年齢的に何歳だとか、これいろいろ問題があるだろうと思うんですが、社会主義国の、いま盛んに戦争やっているベトナムですね、ベトナム民主共和国、ここでは六十歳というふうに年齢を引いているんですね。さっき福祉課長が答えられたように、老後の生活、この態様についてはあくまでも老人の意思、これを中心にやっておりますね。だから、それをあなたは、先ほど言ったように、原則としては家族同居が望ましい、いまの政府の考えはそうかもしれません。それも一つの方法だと私は思います。しかし、現地に行ってみまして考えられることは、老人の意思本位になってますから、家族といろいろな談合をして、私は家族と同居したい、そのほうがいいということであれば、国が一定の老人に対する福祉、あらゆる生活上の補助を与える、そして家族と同居させる。老人ホームなら老人ホームヘ、国家の施設ですね、いわゆるそういうものに住みたいと言えば、それも同様の生活保障、国で一切やると、国が持ってやっておる、こういうことですから、政体が違うから、そういう面についてはいろいろあるでしょうけれども、資本主義国家といえども、私はやはり老人問題が長年いろいろと論議をされて、十年後には少なくとも二千万になる、総人口一億の二割になるんじゃないか、こういう事態にまできているわけです。ことに生産から離れて、急速に生活度合いは、収入その他を考えてみても、大体三分の一と見たらいいと思うんですね。しかし、その三分の一も一時期、わずかに短い期間ですね。あとはいまのきわめて変動する経済情勢下ですから、物価はどんどん上がっていく、年金はそのままですから、急速に下降ぎみですね、なおさら生活ができない。そういう状況にいま追い込まれているのが、俗に言う五十万近い寝た切り一人老人というものがあるんだと。だから、この底辺を当面国としてどうするかということは、私はいろいろな問題、確かに部分的には、医療は七十歳以上無料にしようとか、あるいは国民年金、いまおっしゃられたように五十五歳以上、いろいろ保険関係でもまちまちですから、そういうものをいまやはり一定の線で、最低、底上げをしていく必要があるんじゃないか。あるいは年次計画、十カ年なら十カ年の中で、そういう年齢はこの辺まで持っていきたいという一つのプロセスがあってもいいじゃないか、そういうものをやっぱり早期に私は検討すべきじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、ぜひひとつ、次回私はもっと端的にお伺いしてまいりたいと思うので、それまでの間にひとつ資料をお願いしておきたい。その資料は、いま年齢ごとに、老人といわれる各般の問題がありますが、たとえば国民年金なら国民年金の五十五歳、こういう受給者がどのくらいいるか、生活度合いはどういう、年齢別構成はどうなっているか、その辺の各種保険関係の問題。もう一つは、今後政府が実施をする七十歳以上医療無料化についてのこの人員構成はどのくらい、その収入、生活様式、こういう態様はどうなっているのか、その辺の老人全体に含まるひとつ資料をぜひこの機会にお願いをしておきたい。
 それから主税局長にお伺いするんですか、税法上、制度上老人とはどういうことをいっているのかですね、今回七十歳としたのは一体どういう考えに基づくのですか。その辺の見解をひとつ聞かしてもらいたい。
#21
○委員長(前田佳都男君) ただいまの戸田委員からの御要求の資料は出せますか。
#22
○説明員(山口新一郎君) 私どものほうで、現在あります資料の中で、集められるものは集められるだけまとめましてお出ししたいと思います。
#23
○政府委員(高木文雄君) 現在お出ししております所得税法の改正によります老人扶養控除制度の前に、現行制度では、老人自身が稼得者である、老人自身に所得があるという場合についてだけ、特別な制度があることは御存じのとおりでございます。これは非常にややこしいのでございますが、老年者控除ということばを使っているんですが、この場合には、六十五歳以上の方が所得がある場合に、所得税を納めていただく場合には――御本人は当然基礎控除が二十万円控除になるわけでありますが、老人である場合には、十二万円だけ老年者控除としてさらに控除が働くという制度がございます。ただしこれには、いわゆる所得制限がありまして、所得が五百万円以下の方に限るということになっております。これはまあやはり同じ所得をあげるにしても、年齢をとってこられるというと、健康の問題もありますし、やはり同じ所得をあげるについての経費性といいますか、そういう点を考慮して以前からあった制度でございます。このほうは六十五歳ということで前からきているわけでございます。今回の老人扶養控除の制度のほうは、これとは違いまして、所得者がおとうさんなりおかあさんなり、あるいはまあ別にそういう方に限らないわけですが、老人を扶養親族として持っているという場合に、従来でありますと、扶養控除制度として十四万円の控除があるだけであったのに対して、それを十六万円にしようということでございますが、これはまあ一種の社会保障といいますか、社会福祉といいますか、そういう角度を税制の中にも持ち込もうという考え方が基本にあるわけでございます。その場合の老人とはどう考えるべきかということについては、昨日の御質問にもお答えいたしましたが、六十五歳として制度を組み立てるか、七十歳として制度を組み立てるか、二つの考え方があり得るわけでございますが、結論的に七十歳以上といたしましたのは、国民年金法によります老人福祉年金の制度でありますとか、老人福祉法によります老人医療の無料化の制度でありますとか、生活保護法の老齢加算の制度でありますとかというものを見てみますと、いずれも現行制度では七十歳になっております。先ほどの竹田委員の御質問にもお答え申し上げましたように、今回の老人扶養控除制度というのは、必ずしも経費面だけで説明し切れるものでないわけでありまして、多分に福祉制度の一環として考えるべき性質のものであろうかという見地からスタートしておりますので、この際といたしましては、ただいま申しましたような、もろもろの制度との権衡を考慮するならば、やはりそれと同じ年齢制限、年齢規定ということでいくほうがよろしいのではないかという判断に立って七十歳というほうを選んだわけでございます。
#24
○戸田菊雄君 主税局長がおっしゃること、確かに直税関係法規集一の第二条、定義三十の「老年者」というところでございますね。いろいろありますが、これは二つの要件ですね、年齢は六十五歳以上、もう一つは、全所得総額が五百万円以下、この場合は老人の「老年者」としての所得税の制度上として付加税措置をやっている、こういうことになっておるわけですね。いま主税局長が言われました、今回改正法として出ている改正老人扶養控除の問題、これは一つの社会保障的な考え、国民年金その他各般の老人対策として行なわれておる制度上の、いわば政策上の問題として取り上げてきた七十歳、こういうことになっておるわけなんですが、これは将来やはり私は直税の定義三十にございますこういった制度上の問題と統一一元化していくような、そういう構想があってもいいんじゃないかと思うんですが、それは社会党も本来は老人というのは六十五歳以上、医療の無料化についても各種年金についても、そこまで当面下げなさい、こう言っていることは間違いないのですが、それでも各国から見れば、日本は非常におくれた状況だと私は思うのですね。だから、そういうものが当面われわれが主張する線まではほど遠いかもしれませんが、税制上として今後いろいろと検討を加えていく運程において、将来はやはり定義に言う三十に近づけていく、こういう形が一番好ましいんじゃないかと思いますが、その辺の今後のあり方についてひとつ主税局長の見解を承って、関連ですから終わりたいと思います。
#25
○政府委員(高木文雄君) 御指摘のとおりだと思います。ただ、それを判断する場合に、私どもとしては、他のもろもろの福祉制度におきます老人の位置づけといいますか、老人制度の、老人に対する福祉対策の拡充の度合い及びテンポというものとにらみ合わせながら考えていくべきではなかろうか、いろいろ老人福祉対策を考える場合に、一体どの程度税の面でお手伝いすることができるか、やはりどうしても歳出面と申しますか、そっちのほうの諸施策が当然主体になるべきだろうと思われます。したがって、そちらのほうの諸施策がどういうテンポで、どういうところに重点を置いて拡充されていくかということをにらみ合いながら、漸次制度の整備をはかっていくべきではないかと思っております。
 それからもう一つは、最近これは老人が働いておられない場合の、働かないで他の所得者に扶養されている場合の控除制度でございますが、わずかではありますけれども、漸次有業者の、何といいますか、年齢構成が若干ずつではありますが、上へ上がっているということも一つありますので、そういうこととの動向なども一つ問題点になろうかと思います。今後の問題として検討さしていただきたいと思います。
#26
○竹田四郎君 実はもう少し老人問題やりたいのですが、もう時間がありませんから終わりたいと思いますが、いずれにしても、厚生省側にしても、とにかく非常におくれている。まずデータ自体から必ずしも私は十分じゃない、こう思いますし、大蔵省側も老人対策に対する熱意というか、必ずしも騒がれているほどではないように思います。ことしあたりのいろんな運動見てまいりますと、老人がはち巻きして国会のまわりに、おれたちのことを何とかしてくれなんて来るというのは、率直に言って私はみじめだと思うのですよ。そこまでやらなければ、世界で二位だ三位だといって生産を誇っている国が、老人が自分たちの要求で街頭デモに出なくちゃならぬなんということは、私は少しみじめ過ぎると思うのですよ。だから、私はもうまともにあのデモというのは見れないですけれども、何とかこれは急速に老人福祉対策というのは進めざるを得ないと思うのですよ。またそれが当然だと思うのですよ。この辺いろいろなバランスはあると思うのですよ。税制上でどれだけ、一般的な福祉政策でどれだけ見るというようなバランスもあるでしょうし、あるいは政策の進みぐあいによってそのバランスをとっていかなくちゃならぬという問題もあると思うのですがね。この辺はひとつ次官自体も、私はいいと思っていないと思うのですが、これからの政府の決意を聞かしてもらいたいのですが、ほんとうなら総理大臣なり大蔵大臣にすべきものであろうと思いますが、きょうは欠席しておりますから、ひとつきょうの論議の締めくくりとして政務次官から御見解をいただきたい。
#27
○政府委員(船田譲君) 竹田委員から、また戸田委員からいろいろ御指摘のありましたわが国の老人対策につきまして、どの部分を一般財政で見るべきであるか、どの部分を税制で見ていくべきであるか、こまかい論議は別といたしまして、少なくとも今年度の予算を立てますときに、老人対策が目玉商品であるといった以上は、これが一歩でも半歩でも対策に踏み込んでいかなければならないと思います。
 先ほど来、主税局長の答弁にもございましたように、一般の扶養控除に対しまして二万円の上のせという根拠を問われたわけでございますが、これに科学的なお答えはできない、つまりデータが十分そろっておらない、ある意味では腰だめであるというような答弁でございました。これはわが国の老人対策について、まとまった一つの体系がなかなかできておらないということの一つの証左だろうと思いまして、私も財政の当局の一員といたしまして、今度ほんとうに真剣に対処をしていかなければならないと思っております。ことに先ほど竹田委員が御指摘になられましたように、核家族化というものはますます早い速度で進んでまいります。また若い世代の老人に対するところの考え方にも非常な変化がございます。したがって、どうしても国があるいは地方公共団体が、従来は家族の中で処理をしておりましたようなことも、当然やるべきこととして政策に取り上げていかなければならないと思うのであります。老人医療の無料化についても、七十歳以上の老人についての医療保険の自己負担分を、この四十八年の一月から実施をするわけでございますけれども、それについても、まあ幾つかの地方公共団体が先に出まして、国がそれをあとから追っかけているような形でございますが、国といたしましては、いろいろな国全般のバランスあるいはいろいろな制約を受けながら、こういう問題につきましては、やはり地方公共団体のみにまかしておくべきではないということで取り組んだわけでございますが、同様に、たとえば寝たきり老人、一人暮らし老人につきましてのホームヘルパーの問題などにつきましても、その人数をふやすことももちろんでありますが、同時に待遇も改善していかなければならぬ。片や税制の面におきましても、いままで御指摘のありましたような点につきまして、十分われわれも真剣に取り組んでまいりたい、こう考えております。
#28
○竹田四郎君 ことしの予算のPRのほうが何か非常に勝っていたような感じがいたしまして、――まあ私はこういうことを進めるのは、経済的な情勢としては非常にいい時期だと思うのですよ。政府はとにかく腹の中はどうとしても、スローガンとしては掲げざるを得ないという事態でございますので、ひとつ、あと御答弁要らないのですが、もっとひとつ前向きにやっていただきたいと思うし、あなたもやがて御老人になるわけでありまして、あなたは困るかどうかわかりませんけれども、御老人になることは間違いないというふうに思いますから、ひとつ精一ぱいこの点は厚生省ももっと積極的に進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、障害者についての控除ですね。これは十六万円ですか、これはもう少し私は実態から見てふやしたらどうかと思うのです。やはり障害児者をかかえている家族というのは、その人の日常生活にかなりの手間をとられているというのは実態だろうと思うのですがね。これはどういうふうな形でそういう額にきまったわけですか。これは今度は税法上は、相続税には関係がありますけれども、所得税には関係がないわけですが、それはどういう根拠でそういう金額になったのですか。
#29
○政府委員(高木文雄君) 障害者については障害者控除という制度がございまして、扶養親族に障害者があります場合には、扶養控除のほかに十二万円の控除が認められておりますし、特に重度の障害者につきましては、特別障害者として十六万円の控除が認められるという制度になっております。この十二万円の額あるいは十六万円の額というものにつきましては、これは創設当時におきましては、やはり先ほどの老人の場合とやや違いまして、障害者についてのこれはまさに追加的費用を見るという思想でございますので、創設当時にそういう追加的費用についての、これはやはり障害者にもいろんな方々がおられますから、平的均なもので見るということについては、いろいろ問題があろうかと思います。あろうかと思いますが、一応追加的費用を調べまして、それに基づいて金額をきめたという経緯でございますが、ただ現行制度では、障害者控除の十二万円というのは、老年者控除の十二万円、寡婦控除の十二万円、勤労者控除の十二万円と、いずれも金額が合わしてあるといいますか、合っているといいますか、そういう関係になっております。このあたりは実は非常に私どもとしてもいつも困るところでございまして、きめこまかに言いますと、あるいは障害者控除と老年者控除と寡婦控除と勤労者控除と同じ金額であるという理由は何もない。理由は何もないということになりますが、これに若干の差をつけますと、なぜ向こうが高くてこっちが低いかということで、なかなかそれぞれの関係の方面からは、向こうが幾らだから――自分の関係するというか、御熱心に、向こうと合わしてくれ、こういう御主張が出てくるというような関係がありまして、そこで、なかなか現実問題としては、たとえば十一万、十二万、十三万というのはなかなかできにくいということが一つあり、それからもう一つは、制度といたしましても、あまりいろいろな金額的に違う控除のものをつくりますと、申告書の様式であるとか、いろいろな点で非常に複雑になってまいるということもございますので、そこでこれらの四つのこういう制度については、金額を同じにしているということでございます。
 今回据え置いたのはどういうわけかということでございましたが、この点につきましては、四十五年までは十万円であったわけでございますが、これは四十六年の春の減税のときに一万円それぞれふやしていただきました。また昨年の秋の、いわゆる年内減税のときに一万円ふやしていただいた、そういうことがあります。四十五年から四十七年の間では二万円すでにふえておるということでございます。ちなみに四十二年には七万円、四十三年には八万円、四十四年には九万円、そして先ほど申しましたように、四十五年には十万円ということで、年々一万円ずつ上がってきたわけでございます。これは基礎控除あるいは配偶者控除等の控除額の年々一万円の引き上げの幅と合わせて上げてきたという経過でございます。本年どうして上げなかったかという御指摘でございますが、一つには、昨年の年内減税のときに一万円を上げましたということとの関連で、この種の控除については、基礎控除、配偶者控除、扶養控除と同様に上げましたものですから、今回は見送らせていただいたということでございます。
#30
○委員長(前田佳都男君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#31
○委員長(前田佳都男君) 速記起こして。
#32
○竹田四郎君 まだいろいろとこの問題聞きたいんですけれども、先ほどの障害者控除については、追加的費用というものを考慮して当初きめたんだというのですが、この十二万円あるいは十六万円、これの追加的費用というのは、具体的にどうだという資料があったらひとつ出していただきたい。
 それから、あと次の関係がありますから厚生省にお願いしたいと思うのですが、厚生省では、障害児あるいは障害者をかかえているというために、普通の場合よりどのくらい費用がかかるというような調査というものがあるのでしょうか、あったらその結果を最近のものをひとつ出していただきたい。
 それから、それと同時に、去年あたりですか、心身障害者の扶養共済保険制度というのができたと思います。それの加入状況、こうしたものをひとつ資料として出していただきたいと思うわけです。そういうものによって、またさらに質問を続けたいと思いますが、時間がきましたので、主税局長からひとつその去年の秋きまった十二万円、障害者控除十二万円の追加的費用がどうこれに見合っているのか、それを御説明していただきたい。もしここですぐ御説明できなければひとつ資料で出していただきたい。
#33
○政府委員(高木文雄君) 先ほど申しました創設の当時においては、直接当時の資料、追加的費用としての資料を頭に置いて定められたことでございますが、同時に老年者控除、寡婦控除、勤労者控除と金額を合わせてきたという過程において少し離れているかもしれません。そこで、そこのところをもう一ぺんよく検討いたしまして、資料がどの程度整備されておりますか、なお検討いたしますが、いまここに手持ちはございませんから、整えまして提出をいたしたいと思います。
#34
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま御要望がありました扶養保険の加入状況は、資料がございますので、直ちに差し上げたいと思いますが、心身障害児者の扶養につきまして、どの程度の通常の生活費に対して経費がかかるかどうかという実態調査は、申しわけございませんが、私のほうでは直接の資料はございませんので、もし御必要でございましたならば、たとえば生活保護におきます障害加算の内容あるいは通常の児童福祉施設、障害者施設との経費の格差、そういった資料がございましたら整理いたしまして差し上げられると思います。
#35
○竹田四郎君 どうもこういう問題になりますと、何か他との振り合いとか、いまのこれは各県あたりでやっているのですよ。現実に神奈川県あたりだってやって、かなりの資料というものをつくってその中に出ておるわけですよ。各県でやれるものが私は国でできないはずはないと思うのですよ。ですから、そういうことは私はやるべきだと思うのですよ。そういうことをやらないで、ただいいかげんに他との割り振りという、向こうが今度一万円上げた、今度こっちは一万円上げましょう、こういうことをやっているから、私はこの問題は一向進まない、こういうふうに思うのですよ。もう聞いていて、何ていいかげんだろうという感じしかないですよ。もう少し調査が進んでいるということなら、そういうものはかなり的確で、いま主税局長の離れているかもしれないという話は答弁はなしで済むはずだと思うのですよ。そういうものがないから、一向に進まないんじゃないか。だから、厚生省のそういう関係の資料整備というものは、私は積極的にやってもらいたいと思うのです。やればできるのですよ。費用もそうかかるわけじゃないですよ。神奈川県のこれだけの資料だって、これは身障者の父母の会が中心になって県の委託を受けてやっているわけですよ。できないことはないですよ。ですからぜひそういう点では資料を整備して、そしてその資料を検討しながら、福祉政策というものを全体的に進めるということにしてもらわないと、こういう形でいけば、いつまでたったって取り残されますよ。こっちのほうではなかなかPRはうまいけれども、実際のほうはちっとも進んでいない、こういうことになると思うのですよ。この辺はひとつ反省して、私もう時間がきましたからこれで終わりますけれども、もう少し反省して進めるその準備、手だてというものをつくり上げてもらわないと困ると思います。これは強く要望して終わります。
#36
○栗林卓司君 苦干取りとめのない質問になるかもしれませんけれども、相続の問題について二、三御見解を伺いたいと思います。
 これは俗に、三代たつと相続財産がなくなるという言い方がありますけれども、いまの相続税の基本的な考え方というのは、相続財産を税で基本的には取り上げてしまう、あるいは相続税というものを一つの政策手段にして、相続財産を手放させる、そこにねらいがあるということなんでしょうか。その辺はいかがですか。
#37
○政府委員(高木文雄君) 相続税は、所得税、法人税とたいへん考え方が違うと思います。で、やはり御不幸があった場合に、その際に、その生前の、何といいますか、税関係をそこで一応清算をするという思想が基本的にあると思います。で、先ほどおっしゃるように、相続税があまり重くなりまして、財産を子孫に残されても、それが税があまり重いために、何代か後には全部取り上げられてしまうということでは、勤労意欲を阻害するというか、子孫のために美田を残そうという精神を阻害するということになりますから、それは行き過ぎてはいけないわけでございますけれども、さりとて、御先祖がりっぱにやっておられたならば、その御子息は、その方の能力なり勤労程度に関係なく、気楽に生活ができるのだということであっても、これまたひとつ問題であるので、どの辺にその調和点を求めるかということで問題があろうかと思いますけれども、やはり先ほどおっしゃるほど、三代で全部なくなってしまってもいいのだというわけにはまいりませんけれども、そうかといって、かなりのきびしさを持ったものでなくてはいけないのではないかと、これはしかし、その国その国の歴史なり、それからものの考え方なり、社会体制なりによってたいへん違うわけでございまして、わが国の場合には、戦争で財閥解体があったり、あるいは新円切りかえがあったり、財産税があったりということで、まあ一倍総無産化ということに一ぺんなったわけでございまして、そこで、相続税の問題としては、いまどちらかといいますと、今日までの間、戦後二十年間あまり問題にならなかった傾向があるわけでございますが、その間に経済も復興いたしましたし、それから若干富の集中も再び起こり始めておりますので、まさに御指摘のような点について、どのあたりを目安にしていくべきなのかということを、ほんとうはこの辺でもう一ぺん根本的に考え直すべき時期ではなかろうかと、その場合に基本的には全部取り上げてしまってはいけないでしょうし、さりとてあまり甘過ぎてはいけない。その中間をどの辺に求めるかということはたいへんむずかしいことではございますが、その中間点を具体的にどの程度に求めるかということは、そのときそのときの国の全体の富の状態とか、財産の配分の状態とかいうものとにらみ合わせながらきまっていくものではないか。いずれにしても、相当これは基本的に洗い直すべき時期にきていると私は考えております。
#38
○栗林卓司君 いまのお答えのように、たいへんむずかしい問題だと思います。で、相続をどう見るか、いまのお答えの中にもあったのですけれども、相続財産そのものについて見ていく問題と、それから相続ということを一つの原因にした、いわゆる不労所得であるという意味で見ていく面と二つございまして、どちらを重視するかで相続税の取り扱いに三つの行き方があると思います。ただ、そこでかりに不労所得だという見方をしますと、今回御提案の配偶者については特例を設けるということも、従来の考え方からいくと一歩を踏み出したことになる。ところが、その相続財産形成にあたって、配偶者が果たしてきた役割りというものを考えれば当然なんだと、そういう発想がもとにあっての今回の御提案だと思うのです。ところが、これはさらに広がっていくような気がする。というのは、相続財産というのは、かりに一家で家業を経営している場合には、その被相続人の子供についても、同じように相続財産形成にあずかったじゃないか、なぜ配偶者だけが特例を受けるのかというところまで広がってきそうな気がいたします。そこで、いまのお答え、もう少し繰り返して伺いたいのですけれども、これまでは相続財産取得者課税ということで、相続税が組み立てられてまいりましたから、どちらかというと、不労所得性に問題点を求めて、それを再配分するということであったと思いますけれども、そうでなくて、相続財産課税にむしろ持っていってしまう。それまでの相続財産形成における、いまのお答えにありました税関係の清算を一ぺんつけてしまう。そのあとの財産の移動については、別な見方をしていくのだというようにしたほうが、今回のような配偶者について特例を設けるのだということになれば、当然のこととして、それじゃ子供はどうなるかということになる。それは一家で事業を経営しているということで考えますと、従来から問題になっております事業用資産について特例をなぜ設けないのだというところまで話が広がってくるとすれば、農業については、均分相続ということがもたらす農地細分化という弊害から、農業基本法の選好承継が認められておりますし、ある意味では、事業用財産に準じた取り扱いがされている。それじゃ中小企業は関係はないのか、やはり大いに関係があるので、相続というと、なるほど財産権の継承ということが、近代相続の本質でありますけれども、それを取り巻いているいろいろ人間くさいものが実は相続にはからまっている。それはその国の歴史なり、あるいはいまおっしゃった社会の組み立て方というものと、この相続が切り離しがたく結びついているということだと思うのです。そこで、たいへん長い回りくどい質問になってしまいましたけれども、いまの基本的な見直しが必要だという観点で、たとえば事業用財産ということを一つ例にとりますと、再検討の対象になっていくでしょう。この点はいかがですか。
#39
○政府委員(高木文雄君) 相続税は実はたいへんむずかしい問題がいろいろございます。で、その中で一つ、ただいまお触れになりませんでしたけれども、最近特に問題になっておりますのは、土地の評価価額がどんどん上がってきた。そこで、相続財産の中に占める土地のウエートというものが非常に高いということが問題になります。それとの関連で、その土地が事業用に使われている場合、それから居住用に使われている場合、それからいわば空閑地のように、ただ財産として持っている場合というような場合、全く同一に扱われております。そのことがいいかどうかという問題が一つあります。
 それから、ただいま御質問の事業用財産についてどう考えるかという問題とからみ合わせて、非常に具体的には、現在のような課税では事業が続けられないではないか。親の代の財産を一ぺんここで清算しようという考え方はわかるにしても、そのことのために、事業までつぶすということになっては、それにからまる従業員もいることだし、せっかく、まあのれんといいますか、そういうものもあることだし、それはどういうふうにするかという問題は、実は私ども具体的に、相続税の案件を扱っておりますとしばしばぶつかる問題でございます。したがって、事業用財産の問題がたいへん問題があることはよく承知はいたしておりますんですが、しかしながら、同じ土地を事業用に用いられております土地と、それから居住用に使われております土地と、全然――現在は財産として持っているというか、あるいは空閑状態のままあります、空閑地の状態であります土地とで区分してたとえば評価をするとか、あるいは財産税――相続税の上で税率上変えるとか、控除制度を設けるとかいうことになりますというと、土地問題自体の問題として、いままたやっかいなことになっております時期だけに、なかなか踏み越えられない技術的な難点があるのではなかろうかというふうに考えております。しかし、一面におきましては、私はいかにも土地の値段が上がってきておりますものですから、御指摘のように、事業用財産の問題を、農地についてああいうことをしておりますことの関連上、ほうっておいていいのかと言われますと、これはやはり全くこのままで何ともなりませんということでなくて、いろんな角度から検討しなきゃならぬと思っておりますけれども、さて現段階でどういう方向で、どういうことを考えているかというところまでお答えできるほど考え方がまとまっておるわけではないのでございます。
#40
○栗林卓司君 同じ問題にからんで、少し違う見方から、これは素朴な疑問としてよく聞く話ですけれども、相続で財産を承継する、いまお話しのように、それがいろんな問題になってきたのは、土地の値上がりということが背景にあって、その土地を相続財産として承継するとたいへんな金額になる。したがって、それに伴った相続税を納めていくということになりますと、そのためにも換金処分をせざるを得ない。換金処分をするということは、それを譲渡するわけですから、当然譲渡所得としての課税もされてまいります。しかし、相続ということと、譲渡ということは異なった行為であることは、分けて考えればもちろんなんですが、それはあくまでも、相続という一つの原因から発生した事件であることは間違いがない。そこで素朴な疑問というのは、なぜ二つ税金を納めるかと、こまかく理をくだいていけば、相続と譲渡というのは違うじゃないかという話になるんですが、やはり何か実感としてぴんとこないという面があると思うんです。そういう取り扱いでほんとうにいいのだろうかという点について一応まず御見解を伺いたいと思います。
#41
○政府委員(高木文雄君) 従来から相続税と譲渡所得の重複問題は非常に問題でございました。それに対して私どもは、たとえば土地を売られた、譲渡所得税を納められた、その直後に相続が起こったという場合には、これはまああまり皆さん御疑問をお持ちにならない。ところが逆に、相続が起こって、相続のあとで土地を売るという場合には二重になる。相続が先に起こるか、譲渡が先に起こるかによって、たとえば同じ一年の中でどっちが先に起こるかによって二重になる。素朴な多くの方が二重になると考えられたり、二重にならないと考えられたりするのは、やはりそこはおかしいので、どうもそこは現行制度上二重になってもやむを得ないのではないかというふうに考え、そういうふうに御説明をし、制度上もそうなっておったわけでございますが、なかなかそれでは御納得がいかないという情勢でございますものですから、数年前に若干の手直しをいたしましたのが現状でございます。現行制度では、御承知のように相続税の申告期限から、二カ年内に譲渡が行なわれた場合には、譲渡所得の課税をいたします際に――譲渡所得は、売った価額から取得価額を引くわけでございますが、引くときに、その納められた相続税を、その土地にかかる相続税を、取得価額に算入して、つまり引くほうに入れますということによって若干の調整をするという規定を、これを租税特別措置法に入れております。これを相続税法なり所得税法なりに規定をしないで、租税特別措置法に入れておりますということは、まあいわば一種の臨時の措置として、経過的な措置としてそういうことをしているわけでございまして、一応はこれで極端な重複感というものは排除されておると思っておりますけれども、なおそれでもまだ御不満は各方面にあろうかと思っております。しかし、これ以上の調整というのはいまのところ困難ではなかろうか。先ほど申しましたように、先に譲渡があった場合を考えていきますと、やはりこれ以上調整することは、また、先に売られてすぐ御不幸があった場合とのバランスからいいまして、ちょっとむずかしいのではないかと思っております。
#42
○栗林卓司君 先に譲渡があった場合、あとに譲渡があった場合、その一番の違いというのは、先の譲渡は、これは実際の個人の生活関係を見れば、あながちこうとは言えないのかもしれませんけれども、一応は生存している時期において、自由な判断における処分ということになりますし、あとの場合は、相続ということに最大の原因を置いた処分行為になるわけですから、同じだというのは、やはり素朴な実感論から言うと合わない。
 そこで、なぜ何となく割り切れない気がするのかということを、私なりに考えてみますと、たとえば相続が開始されてから、二年以内だったら相続税は加算をするんだというふうにしてみても、相続税と譲渡所得というものをあわせて考えてみますと、現在相続財産の評価というものは、それなりのいろいろな配慮がされているという、必ずしも時価そのままではない。ところが、相続した、換金処分をする、譲渡所得がかかる。これを足してみますと、結局時価評価で課税がされたと同じような効果になる。たまたま資産をお持ちになって、ほかに相続税を納める道がある人は、その土地なら土地をそのまんま長いこと相続財産として受け継いで、あと自分の自由な判断に基づいて処分することができる。そうすると、比較的お金のない相続人というのは、土地の将来の値上がりという得べかりし利益を失った上に、加えて時価評価で税金を取られたのと同じような形になってしまう。それをいまのお話のように、交互に分けて考えれば全くそのとおりなんです。
 そこで、これはむしろ御意見伺いたいんですけれども、相続税の扱いについて二つあると言われておりまして、相続財産課税のやり方と、相続財産取得者課税のやり方、この二つの考え方を、たとえばいまの問題に適用すると、扱いは変わってくるでしょうか。それとも全く無関係なんでしょうか。
#43
○政府委員(高木文雄君) ちょっといまにわかに判断がつきにくいのでございますが、遺産課税方式をとりましても、取得者課税方式をとりましても、おそらくは若干受け取られる感じは違うかもしれませんが、経済関係の負担では同じになるのではないかと思いますが、ちょっと一ぺん少し時間をいただいて考えないと、間違うといけませんから。たぶん違いないだろうと思います。
#44
○栗林卓司君 私も自信がないんで、ただいまのようなお伺い方をしたのは、たまたまイギリスの相続税制というものを見ますと、事業用財産についての課税特例ということがございます。それで、イギリスの相続税の考え方が、日本とは違って、相続財産課税であるということで結びつけて法制上考えられているのかどうかという疑問が素朴にしたものですから、お伺いをしたわけです。
 そこで、最初の質問に戻るんですけれども、事業用財産、とりわけ土地の値上がりということを背景にして再検討しなければいけないということと、いまのイギリスの例をたまたま持ち出して恐縮ですけれども、相続税の取り扱いということまでさかのぼった変更が必要になるだろうか、その辺はいかがなものでしょうか。
#45
○政府委員(高木文雄君) ちょっと私自信がありませんので、担当の第三課長から答えてもらいます。
#46
○説明員(福田幸弘君) より基本的な御質問で、私も直ちに返答できませんが、相続税制の場合は二つのタイプがあると思います。
 一つはエステート・タックス、これはアメリカ及び英国がやっているやり方であります。この場合には、清算課税と申しますか、一生かかったのを清算する、そのときには財団として見るという考え方でございます。したがって、その場合には、相続人の個人的事情というものは本来は考えないというたてまえをとっております。この場合、英国は農業用財産、それから事業用財産、これらについて軽減税率を適用されておりますけれども、これは特殊な沿革があるからだろうということで、直ちに遺産税に結びつくものではない。ということは、アメリカについてはこういう例はございません。
 それに対して対照的な税制、これはインヘリタンス・タックス、財産取得税という考え方であります。これはフランス、ドイツでやっております大陸系のやり方であります。この場合には、各相続人が実際にこれをもらうということに対して課税しますから、偶発所得というのが課税根拠になる。この場合には、各人の個人事情を参酌するということが基本的に可能になるわけでございます。
 日本の場合の税制は、両方の混合と申しますか、非常にうまくできているか、複雑か、その辺は問題でございますが、基本的には取得税の形をとりながら、最初の段階から各相続人の財産を合わせる。まず総遺産額から、債務控除を引き、いろんな調整をして純遺産額を出す。この辺は非常にエステート・タックス的なものなんです。それを相続分に応じて相続人数で割るという形で、各税率を、みなした取得分に掛けていきます。それによって相続税をみなす額で出し、合計するということは一つの混合形態である。その相続税の総額を、今度は実際に取得した割合で分けるというところでほんとうの取得税的になるわけでございます。その途中の過程で、基礎控除等によって各人の状況を参酌するという形をとっております。事業用の関係では、農業なんかは相続人が多いものですが、こういうことで相続人数で割りますので、税率は低く出るという形でも、税の配慮が行なわれているというふうに考えております。
 それからドイツも最近税制改正についてやっておりますが、事業用について評価を落とすという議論は受け入れられておりませんで、中小企業に対する場合には、延納を考慮するということが検討されております。日本の場合は、すでに御承知のように各種の延納対策があると思います。
 以上のような形が全体的なピクチャーでございます。
#47
○栗林卓司君 どうもありがとうございました。いずれにしても、多くの材料をもってお伺いしているわけではないんですけれども、中小企業、とりわけ零細というものを考えてみますと、今回の御提案の中でも、同族会社について法人税法上の特例が御提案になっている。一方では、事業所得控除という問題が、税制調査会のほうで御審議の対象になっているということがいわれておりますけれども、それとからめて、中小企業についての事業用財産についての取り扱いもぜひ御検討いただきたいと思います。
 それから、とりとめもない質問のついでにお伺いするのですけれども、老齢者控除ということが御提案になるのですけれども、その前提にあるのは、所得がないと控除が出てこない。その意味でいま、老齢者控除の問題を御検討になる過程で、控除によって実際に恩恵を受ける層というのはどの程度あるのでしょうか。
#48
○政府委員(高木文雄君) 今度創設を予定されております老年者控除、老人扶養控除によりまして、その適用がある納税者の数は、大体いま百七十万というふうに推算いたしております。
#49
○栗林卓司君 そうすると、百七十万といいますと、実際に該当する年代の数からいって、どのくらいの割合になるのでしょうか。
#50
○政府委員(高木文雄君) 現在七十歳以上の方は四百三十万人だそうでございます。それで、現存七十歳以上の方で、御自身で所得があり、したがって、老年者控除の適用になる方というのは非常に少ないと思われますから、その四百三十万対百七十万というのが適用割合というように見てよろしいのではないかと思います。
#51
○栗林卓司君 そこで、最後に一つだけお伺いして終わりたいと思うのですが、いま四百三十万のうち百七十万という人がそのままだとは言えないと思いますけれども、先般の総理府の世論調査だったと思います。老齢になったときには、なるべく子供と同居もしくは近くで住んでいたいという老人の方々の御希望等々をあわせ考えますと、老齢者控除というのは、その人は所得がないと、その政策目的は達成できない。じゃ、扶養の場合はどうかというと、老齢者を扶養する人は扶養控除という制度がある。ところが、そういう実際に親を扶養している人自体が、相続財産の形成について必ずしも事業用とは言えないまでも、まるまる無関係とは言えない。その意味で、相続の形態に従ってということになるかどうか、私も自信がないのですけれども、今回の配偶者控除ということを広げて、その相続の形態によっては、別途の控除を広げていく御検討というのはあるのでしょうか。
 実は、なぜこんなことを申し上げるかというと、現在の相続税は比較的高率であって、それは所得の再分配ということできているわけで、その辺に理論的根拠があるのですけれども、だんだんとなくなってしまって、そのなくなってしまうものが、どういうものを雰囲気として育てたかというと、そうか、一代限りかという雰囲気が強くなり過ぎてしまう。これがいまの日本の社会の姿としてほんとうにいいのだろうかと考えてみると、いまの日本の法律が定めておる均分相続の考え方が、いい悪いをここで論ずるつもりはありませんけれども、相続というのは、財産の単なる承継だと言い切れない部分に着目しますと、いろいろな幅というものがあってもいいんじゃないか。なぜかといいますと、一生のうちで、相続というものはそう何べんも起こるわけでもないし、しかも、これは税源として当てにしているわけでもない。そこで、日本の憲法にしても、あるいは民法の規定にしても、親の扶養義務ということは言外にきめているわけですし、昔からの日本人の考え方というものは承継している。それが長子相続かなんかということになると問題なんですけれども、回りくどい質問で恐縮ですが、配偶者まで範囲を広げたとき、それはいずれ事業用財産ということで別途配慮しなければいけないかもしれない。それと、そのときまでに至る親の扶養形態ということも含めた税法、相続税法の扱いが広がるということは考え得るんだと、この点お伺いして質問終わりたいと思います。
#52
○政府委員(高木文雄君) 御質問にお答えになるかどうかわかりませんが、最初に申し上げたいことは、今回配偶者控除――配偶者に対する相続について従来よりも軽くなるようにいたしましたということが、子供さんに対する相続の場合にも、同じ思想をつなげていくならば、何らかの措置がとられることになるのかどうかということでございますが、その点につきましては、私は必ずしも直接には関係ないというふうに考えております。と申しますのは、現在の相続税では、基本的には配偶者に相続する場合と、それからジェネレーションを変えて、親の代から子の代にいく場合と、さして基本的には大きな差を相続税法上はいま設けていないわけでございます。しかし、その考え方にはいろいろ御批判がありまして、相続税はジェネレーションが変わるところだけについて相続税をかけることにしてはどうかという議論、あるいは現在の日本の財産制度は、夫婦財産共有制度ではなくて、特有制度にはなっているとはいうものの、夫がなくなったとしました場合に、夫がなくなって残していった財産についての妻の貢献度というものはやはり無視できないんだから、それは親子間とは違うんではないかという考え方が、次第に現行相続税に対する批判として現在は起こっておりますけれども、そうかといって、現在のところ相続税を基本的に変えまして、世代間相続に限って相続税を課しますというところまで踏み切ると、つまり世代が変わらない横への相続は、相続税の対象にしませんというところまではなかなか踏み切れない。それから妻の貢献ということがいわれるにしても、所得の大きさ、財産の大きさによって、何百万、何千万、何億という大きさによって妻の貢献度というものを、どんなに大きな財産の場合でも、奥さんの貢献度をやっぱり半分なら半分に見るべきかどうかということについては、非常に疑問点があるというところから、三千万円というところで切ったということで、中途はんぱではございますが、若干世代間相続に重点が置かれるべきであり、世代がまたがらない相続については、別の考え方をとってもいいのではないかという考え方が基本に今回の改正の場合はあるわけでございます。したがいまして、今回の改正の考え方を延長していけば、先ほど来お話がありますように、親子で一緒になって財産を形成していったような場合の事業用資産の相続については、何らかの措置が必要だという思想につながっていくのではないかという御指摘については、私は今回の改正からは直ちに出ないと思うのでございますけれども、先ほども触れましたように、土地の価額の上昇というような問題に関連して、今回の改正の思想とは、別途の問題としてやはり事業用資産の問題はいろいろと検討さるべきでありましょうし、さらには相続税全体があまりにもいろいろな問題を持っておるということでございますので、今回とは別ではございますが、やはり検討していかなきゃならぬ問題であるということで、お答えになるかどうかわかりませんが申し上げておきます。
#53
○政府委員(船田譲君) ただいまの栗林委員の御質問の中で、直接、税法の技術的な問題は私も詳しくございませんが、ただ相続税を今後考えていく上での、これを囲むエンバイロンメントはいかにあるべきかという考え方、非常に示唆に富んだ御質問だと思います。たとえば先ほどの竹田委員のお話にもございましたように、均分相続が直ちにそのまま親が荷物を持ってある期間、等間隔で子供の家を回らなきゃならぬというようなことに直ちにつながるのかどうか、これは言えませんけれども、しかし、少なくともその原因の一つになっていることは事実かと思います。そういう社会心理学的なアプローチも当然必要であろうと思います。ただ片方において、刑法について例の尊属殺傷の条項をいかにするか、それが憲法違反であるか、合憲であるかという問題もあるところでございますから、これは非常に大きな問題を御提起なさったものとわれわれは考えております。
#54
○委員長(前田佳都男君) 午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
#55
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
#56
○横川正市君 まず一つは、税負担の重さという問題と、公平という二つの点から、二、三質問をいたしたいと思います。
 第一番先には、実は納税者の側が非常に税に対して不平とか不満とか、あるいは重税感とか、そういうようなものを持っている。これを世論調査の面で見ると、重税感という点では、非常に全体が相当パーセンテージが高い比重というのは持っているようです。たとえば、「あなたは税金は重いと思いますか、それともまあやむを得ない程度だと思いますか」というような問いが行なわれますと、それに対して、「税金は重い」が、五五%、「やむを得ない」というのが三四%というふうに、いわゆる税に対する重税感というのは一般的に非常に強いものを持っているわけです。最初私のほうで質問の重点を聞かれたときには、その重税感というものに対して、課税側、これは当然政府を含めまして課税側は一体重税感というものをどういうふうに掌握をされて、重税感からくる弊害というものは当然あるわけですから、その弊害を除去するのにどういう手だてをとっていくのか、この点の具体的な内容をまずひとつお聞きをいたしたいと思います。
#57
○国務大臣(水田三喜男君) 昭和四十五年に、総理府で世論調査をしたことがございますし、いまおっしゃられた朝日新聞社の調査も、四十五年に行なわれておりますが、その調査の結果を見ますというと、総理府のほうの世論調査によりますというと、「税金が高い」という答えをした者が二九%、それから「高いということにつながるでしょう」が、サラリーマンの税金が特に重いとか、あるいは職種によって不公平があるとか、あるいは大企業が優遇されているとか、高額所得者の負担が軽過ぎるとか、その他税の不公平に対する不満というようなものも三五%を占めるというようなことで、この二つから見ますというと、税が高いという感じの中には、不公平だということに対する感じと、そうでない、税が高いんだという感じがあるんだと思います。税が高いのだという感じはどこからきているのだと申しますと、朝日新聞のほうの調査で見ますと、税金は重いという五五%の中に、収入に比べて重いというのが一五%ある。これが私はやはり一般の感じを代表するものじゃないかと思います。税が高いか重いかということは、税率の問題というようなことじゃなくて、所得水準の問題であって、収入に対して税率がかりに軽いとしても、収入、所得の水準が低ければ、これは税が重いという感じを持ちますし、収入に対して税が重いという数字が非常に多いという、これがやはり庶民の税金が重いという感じを代表するものじゃないかと考えます。そういたしますというと、やはり税について、これから私どもが講じなければならない問題は、やはり公平の原則に沿った税制の改善ということと、それからやはり所得水準を考えた税負担のあり方ということで、所得税においても毎年まだ減税をやっていかなければいけないという根拠も、いまの所得水準から見て私は必要な施策だろうと言えるのではないかというふうに考えます。
#58
○横川正市君 一般的なもののとらえ方としては、いま大臣のお答えになったとおりの感触を持っているわけですが、ただ税が重いという感触の中に、こういう面があるのですね。消費者物価の上昇が非常にひどいとか、それから家賃や地価が高いとか、あるいは給料とか俸給が実際上はまかない切れないような状態にあるとかというような、周囲の環境から税に対する感触が非常に重い、こういう意見が非常に強く出される原因になっているんじゃないか。で、このことは、一番負担の重さが強調されている一つの表示としては、非常に大切な面で、取り扱いとしては十分注意をすることが必要なんじゃないか。もう一度言いますと、消費者物価の上昇が非常に激しい、それから家賃や地価が依然として上昇しておって、一般の人の手の届かないところにあるとか、それから給料、俸給の点で、現在の生活の実態からいってみて、必ずしも満足すべき状態にないとか、これは総じて言いますと、一つの物価上昇というのは、これは恒常的に物価の上昇が続いているという現象ですね。もう一つ、家賃や地価というのは、これは対策なしですね、全然政策がない。この問題です。それから給料、俸給ということになりますと、私は日本経済も相当底は浅いけれども、日本の俸給生活者というのは、相当何か満たされているようであって、事実上は非常に不安定な状態だ、この三つが実は重税感という感触としてあげられたということは、非常に重要な問題だと思うのでありますけれども、その点は大臣はどうお考えでしょうか。
#59
○国務大臣(水田三喜男君) その点はやはりそのように考えます。ただ、過去においても消費者価格というものは、年平均を見ても相当今日まで毎年上がってきておるにかかわらず、物価という問題については、最近一番国民の関心が高まっておるということは、過去においても物価は相当上昇しておったにかかわらず、高度成長時代にはやはり所得がそれに伴ってある程度上がっておった、所得の上昇率も多かったということから、わりあいに物価問題についての関心がそれほどではなかったと思いますが、経済成長が安定してくるに従って、この物価への関心が上がってきたということは、さっき私が申しましたように、帰するところはやはり収入に対する税が重く感じられるということになるんじゃないかと思いますが、分析すれば、いまおっしゃられたような三つの問題がみなからみ合った問題として重税感を構成しているものというふうに考えます。
#60
○横川正市君 そこで、一つ例を申し上げますが、大蔵当局が重税感を取り除こうとするために、たとえば三千億減税やりましたとか、千五百億減税やりましたというのは、一般的な政策として、相手側には、今度は幾らか自分の収入に対して、税の面からはよくなるんだからと、こういう意味での非常に効果てきめんな重税感を取り除く施策というのがあるわけですけれども、大蔵当局としては、いまの大臣の言われるような、いわゆる重税感を取り除くための具体的な施策ということになりますと、今日以後何が考えられますか、具体的にひとつ示していただきたい。
#61
○政府委員(高木文雄君) 私どもといたしましては、この重税感ということにつきましては、たとえば他の国の事例等も時おり聞いてみるわけでありますが、やはり世界じゅうどこの国でも、ことばは悪いんですが、同業者といいますか、税金の仕事をしている人に聞きますと、どこの国でも税金が高いといって文句を言われておるということでありまして、本質的に税というものについては、国民の間ではまず印象として高いといいますか、そういう先入感があるのではないかと思いますので、なかなか、たいへん税が軽くなったというふうに受け取っていただけるような妙案というものはすぐに見つからないと思います。ただ、地道にいろいろなことをやっていかなければならぬと思いますが、少なくとも私どもの受け持ちの分野では、一番やはり重要なのは不公平感を除去する、絶対的な水準が高いということのほかに、やはり新聞報道あるいはいろいろな読みもの等を通じて、いろいろ不公平があるようだということを多くの人が見る、聞く、言うことが、やはり税というものに対する不満のもとになっておるわけであります。で、現行制度上あるいは執行上いろいろな、万全を期しているつもりではありましても、うまくいってない点がいろいろあるわけでございますから、制度上あるいは執行上の不公平というものを気長に取り除いていく努力をするというのがまず第一に果たすべきことだと思います。同時にこれは、私ども主税局と申しますか、その分野からは、ややはずれるわけでございますが、やはりもう少し日本の場合には、税金の使い道ということについて、皆さんにこれだけ税を納めていただいておりますが、それはしかし、こういうふうに皆さんにまた利益としてはね返ってきておりますということについての、広報宣伝も不十分でありますし、そういう理解を求める求め方というものもまたへたであるということがありまして、何か皆さんが自分で納められている税金はどこかへいってしまって、何に使われているのかよくわからないということが、非常に税についての理解をいただくのにマイナスに働いているように思います。この点については、まあ税務署におきましても、税務署は直接には税をいただくほうの得所ではございますが、やはり税に関する納税思想の向上をはかっていくということも、私どもないし国税庁、税務署の仕事でございますので、等々通じて、わずかではありますが、努力を重ねて、税金の使途が広く国民の方々にわかっていただけるように、地道な努力を続けていかなければならぬと思っております。税の制度上、たとえば直接税と間接税とで負担感が大きいとか小さいとかいう問題もございますけれども、そういうことよりも、むしろ基本的には、ただいま申しましたような全般としての不公平感を取り除くことと、税金の使途が十分に理解されるように努力をするということが、役所として努力すべき最大のポイントであろうかと思っております。
#62
○横川正市君 具体的に言わないところに、この特徴があるのじゃないかと思うのですね。いま士税局長の言われるように、納めた税金はさっぱり国民の生活に還元されていないのではないかというふうな印象があるとすれば、それを取り除くために何かやられたか、あるいはやろうとしているかというふうに問われるでしょう。それから、明らかに大衆から見ると、何だこんなところにこんな金を使いやがってという意味での取られ方で、税金の消えていったことに対して不満感が持たれるということがあるとすれば、一体それはどういう意義を持つかという説明も必要でしょう。何のめに納税をしているかわからないというような声が、一般から上がってきていないとは言えないと思うのですよ。それに対して適時適切な手を打たないというのは、これはたいへん問題だと思うので、これは次の質問をいたしたいと思ったのですが、問題はこういうことじゃないでしょうか、重圧感あるいは重税感というものを持たせないための施策として、一体何をやったらいいのかという点の具体性の問題ですね。たとえばいま一般大衆は、あなたは税金を正直に納めるということはどうですかと言えば、それはばかのすることだよ、税金というのはばかか正直で、正直者は結局ばかをみるのだということで、どうやってごまかして納めるかということを考えるというふうになってきている、これは朝日新聞の、いま総理府ではどういうふうに出ておるか、ここに資料ありませんが、朝日新聞見ますと、四十六対四十六、半々がばかをみているというふうに言う、あるいはある者は、それは義務だという、半々の比率になっているのですね。非常に大きな私は一つの世論だと思うのです。だから、そういう世論があるのだから、一体税金を正直に納めるということは、それはばかがやることだよということを、私はこれも取り除く必要があるのじゃないかという点で、その具体性を求めたわけなんです。
 それからもう一つは、これは大蔵大臣も参画してきめられていることですが、たとえばうちのほうの政党は、一般の社会保障費その他教育費その他必要なときに、どこから財源を持ってくるかというときに、二つの方法があるのですね。一つは、防衛費を削りなさいとか、もう一つは、租税特別措置法とか、企業の保護があまりにも過ぎないか、あるいはむだづかいが多いのじゃないかという、一つの対案の柱としていつも出すわけなんですが、そうすると、おたくのほうは、というか、自民党さんと政府のほうは、やはり安保必要論から、それから自国は自分が守る気概を持ちなさいとか、そういうことでいままでずっと予算を組まれてきたわけなんですよ。ところが、最近になりまして、自民党さんのこれに対する思想も変わってきたんじゃないかと私は思うんですね。その変わってきたあらわれは、たとえばアジアの近隣あるいは友好国、あるいは日本と密接不可分なアメリカであるとか、ヨーロッパであるとかから、日本の軍国主義復活じゃないかというふうに指摘をされてくると、今度は、野党から言われておったときには正当性を主張しておったんだけれども、この国際的な世論が盛り上がってくると、歴代の防衛長官のいわゆる一般へのアピールのしかたですか、これが変わってきて、あるときには、いや平和に徹しているんだという総理のことばを筆頭にして、軍国主義化されておらないということを言う。同時に装備の問題について、どこが限界だというような限界説が出てくる。というようなものが、実は最近の――防衛費の問題、これは一つの例ですけど、出てきていると思うんですよ。いまの内閣の思想といいますか、それから内閣の持っている哲学といいますか、そういうものが実は一般世論の中で、いままでは袋だたきにされておったのに、それにはこう然とかまえておった、しかし、世論が変わると変えざるを得なくなってきた。そうしてその問題は、国民一般からは非常にいわゆる重税感の一つの代表的なものとして指摘をされておった。そういう関連というものを考えてみて、将来にわたってこの点では、大蔵当局として予算編成の場合には一体どうされようとされるのか、少し先の話になりますけれども、大蔵大臣の考え方をちょっと聞いておきたいと思います。
#63
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、防衛に対する考えが、最近そう変わったというふうには思っておりません。で、昔から政府は、国力に応じて自衛力を漸増するという方針でやってきましたが、いままでのこの漸増方針のあとを見ますというと、やはり大体国民総生産の何%ぐらいが防衛費となっておるか、また総予算の中で占める地位はどの程度であったかというようなものとかけ離れた、特に防衛力の増強というようなことはしないで、いままでと同じようなことで、一定の比率の範囲内において、自衛力の漸増をはかっていこうという方針には、いま特に変わっているところはございませんので、したがって、最近の予算の編成を見ておっても、何次防、何次防という計画は立てられても、GNPの中に占める防衛予算というものにはほとんど私は変化はあらわれていない。比率としては、これは絶対値が大きくなってきますから、したがって、むしろ防衛費の比率は下がりつつあるというのが現状であろうと思っております。
  〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
#64
○横川正市君 たとえば大蔵省という、大きな仕事の一環である税の問題を取り扱っている主務官庁が、一般の国民の半数以上の人が、いまの税に対しては重いと、こういう感じを持って、極端な例を言えば、正直に納税するやつはばかだというほどに、税の問題をとらえているときに、そういう一般の国民のものの考え方を、いわば納税は義務であると、当然であると、収入があって税を納めるのは当然であるというふうに転換をさせていくには、ただ単にPRだけでは私はだめだと思います。納税者のその大半の中に、たとえばF86Fが何機かつくられたままたなざらしになっていて、これは一体どうなんだ、一機一億六、七千万円もするものが十何機もその場でたなざらしになっている。これはいわば防衛というものの適否ではなしに、防衛庁が予算のむだづかいをしているということで、私は納税者に非常に反発を与えている問題だと思うので、これは当然取り除かなければいかぬと思う。同時に、前者が防衛ということに対して、どう自民党さんがPRしてみても、その必要の度合いとか、いまの四次防なら四次防の実態とかいうようなものは、これは最も必要なものとして認めがたいという思想が非常に強くなってきている。たとえば最近行なわれる選挙の実態を見てみましても、自民党さんが三百議席の大台をこえたというときも、防衛費の問題で戦って当選してきたというのはおそらくいないのじゃないですかな。おそらくこれを出せば反発を食うから、なるたけ憲法の問題と一緒に陰に隠しておって、選挙運動をやっていると思うのです。それほどに防衛費の問題は、おたくのバッジをつけておる人たちも、だいぶ心配しながら選挙をやる。そういうものに私はやはりある一つの発想の転換とか、政策の転換があって、重税感というものを取り除く効果というものをあげられるようにしたらどうかと、これは税の主務官庁としてはそれぐらいな心がけがあっていいんじゃないかと思うのですが、どうですかね。
#65
○国務大臣(水田三喜男君) 税の重いという、税、について重税感を国民が持っておるとしましても、実際問題として、防衛費が多いために国民が重税に悩んでいるというような事実は、わが国には私はないものと思っています。他の国の国防費、軍事費というものが、予算の中でどのくらいの比率を占めているか、あるいはその国の総生産の中でどれくらいの比率を占めているか、主要先進国の実情を見ましても、〇・何%というような比率の防衛費をもって国の安全をはかっていられるという国は、いま事実上はないんですから、これが多いために、日本の税金が重くなっている、国民はそのために負担感にたえないという感情を持っているというような事実は、私は防衛費に関する限りはないと思っています。よくパンか大砲かなんと言われていますが、もうパンのほうが大砲予算の倍以上になっているところを見ましても、実際問題から見て、もし国民がそう思ったとすれば、それは間違って考えておるかどうかで、これは私どもの啓蒙が足らなかったということになると思いますが、事実はそういうことには実際問題としてなっておらないと思います。
#66
○横川正市君 前段の大蔵大臣の説明とだいぶ食い違うのですね。一をもって十を律するということは、これは往々にして間違いがあるから相対的にものを見て判断すべきだというのは、これは論理だと思うのです。しかし、一般の国民感情というのは、給料が非常に少ないのに、こんなに税金をかけられるのはけしからぬと言って、いわゆる重税感に対する答えを出しているということは、これは納税者もそういうふうに言っているし、税当局、大蔵省も重圧感の一つの大きな柱にあげているわけですね。そういう人たちが持っている、いわば税の使い方に対する批判というものを、これを今度は逆に、防衛思想なら防衛思想だけにおっかぶせていくということは、やはり実際上の下部の者の考え方をくんでいないということにならないかと私は思うのですね。
 それと後段の、それじゃどうなんですか。たとえば幾らでも、F86Fが十何機かたなざらしにして、一機一億六千万以上もするものがそのまま使われておらない。これはどうお考えですか。
 それからもう一つは、比喩ですけれども、たとえばファントム一機二十七億とか三十億とか。これを投ずれば、いま住宅難で困っている、あるいは土地を取得するのに困っておるものの何千人かの住宅を満たす、土地を満たすということです。そういうことに対してどうおこたえになりますか。そういういろんなものが出てくるところに私は問題があると思うのです。たとえばファントムが絶対必要だというならば、ファントムが土地になったり、住宅になったりするわけないでしょう。しかし、ファントムの何その他から見ても、一体防衛上必要かどうかということで、必要ないという判断が国民の中にあるから、それに対する批判が出るわけです。ところが政府は、104からファントムに切りかえていくのに、何で切りかえるのかさっぱり説明しないで、防衛費の増費、強化ということで取り上げている。その課税当局が、国民からそういうふうに言われているのに、無神経にこれに飛びついていく手はないんじゃないか。その点をお聞きしたいわけなんです。
#67
○国務大臣(水田三喜男君) 要するに、必要な経費をむだづかいされておるかどうかはもちろんございましょうが、いま防衛予算の中で、私どもが、これは毎年厳重な査定をいたしまして、防衛当局からの要望についても、今年度は一千億円以上の査定で縮減いたしましたが、けっこう厳密にそういうものの査定をやっているつもりでございますので、したがって、日本の防衛のために、これは不必要だというようなものが、いまの防衛費の中にそうたくさんある、私ども現実に、計上しているというふうにはいま思っておりません。
#68
○横川正市君 やがてこれは批判されることで、現在の政府の責任追及は将来はやられることですから、一応の一つの例として私のほうで持ちあげたわけです。ただ、課税当局が、重税感を持っている国民にどうこたえるかという何らかの一つのポイントだと私は思うのです。
 それからもう一つの問題は最近の行なわれている低金利政策ですね。全体的に低金利、国際的な低金利時代を迎えて、日本の場合もこれはやるべきであるという国策としては私もうなづけるのです。ところが一面では、利子などというものがもらえたならばありがたかったというような、庶民の納めた郵便貯金の金利まで一緒に下げなければという、この相対論といいますか、これにはちょっと私どもは政策的にはうなづけないわけですね。もっと、郵便貯金のような金利は、いわゆる庶民の気持ちを満たす意味で、現行でとどめておいておくという方法を、あるいは時間的にずらしていくというような方法はとられていいのではないか、こういうふうに思うわけですが、一般的にやられてしまって、全体的にこれを低金利時代に即応させるようにする、この考え方も、大蔵省は財政金融と税制ですから、財政金融面でうなづけても、税制面の一つの庶民の感情としては、何だわれわれのこんなちっぽけなものまで下げてしまうのかという、そういう金融財政問題から税に対しても不平、不満を持つ、こういうことにならないかと思うのでありますけれども、その点は御検討になったでしょうか。
#69
○国務大臣(水田三喜男君) 金利政策につきましては、一昨年から公定歩合の引き下げもちょうど五回行なっておることでございますし、したがって、そのつど預金金利との問題は慎重に私どもは検討しておりましたが、まだ預金金利との問題に関連させなくとも、日本の金利水準を下げる余地というものは十分あるということから、大衆預金の金利については、慎重な考えを持って、特に今日までこの問題に手をつけずにまいりましたが、昨今の国際、国内的な情勢から見まして、もう一段の金利水準の引き下げが必要であるという事情に迫られておりますが、その際、いまのままで、金利水準の全般の貸し出し金利の引き下げができるかと申しますと、できる余裕を比較的持つのは大銀行だけではないかと思います。これはある程度、この小銀行、ほかの信用組合とか農協とか、あるいは信用金庫とか、そのほかの銀行に対しては、比較的持久力を持つかもしれませんが、もう一段いまの預金金利をそのままにしておいて、低金利政策を行なったら、一般の金融機関がつぶれて、大金融機関に統合されるというような事態になりかねないというようなことを考えますというと、この際もう貸し出し金利の引き下げは限度にきておる、預金金利の引き下げと関連なくしては、限度にきておると考えられますので、今回は慎重に、いままできめてまいりましたが、今回の金利引き下げについては、関連せしめるという方針を私どもはとっておるわけでございますが、そのときに、そういう意味から国全体の金利水準を下げるというときに、民間金融機関の預金金利は下げる、本来ならば一番信用のある国の機関の金利が安くなるべきのを、一番信用のある国の機関の金利だけ、預金金利だけ上げておいて、総合的な金利政策、金融政策を実行しようなんということは、これはずいぶん無理な話であって、当然郵便貯金の金利も、一般市中銀行の預金金利も、これは連動して均衡をとるべき筋のものでございます。したがって、そういう意味で、過去においても一般金利が上がる場合には、全部郵便貯金も連動して、一回も別々な行動をとったことはない、一般が上がるときは、必ず一緒に上がるということで今日まできたものを、下げるときだけこれは別にするというようなことで、金融政策の実行ということはできませんので、これは当然一緒に均衡をとった処置がとらるべきであるということで、この一つをそのままにしておく意味というものはないので、あらゆる金融政策を、総合を来たさせる措置でございますので、これは一緒でなければならぬ性質のものだと思っています。また、したがって、法律でも郵便貯金の金利について、一般金利を勘案してきめるということが書いてある、その趣旨であろうと思います。
#70
○横川正市君 大体、資本主義社会で、民営と官業があって、官業優先であって民営はどうなんだというようなことを言ったって通らぬですよ。いかに金融資本が今日まで優遇されてきておったかということは、あなたたち自身の中でそれがはっきり出ているので、それじゃ官業の郵便貯金というのは、どういう取り扱い方がされてきたか、体質、構造からいったってですよ、職員の給料だって、どんな状態だったかということぐらいわかるわけでしょう。これは何か国営企業の独善的な独占企業というかっこうでやってきているのじゃないのだから、そういうものの見方というものは、私は当たらないだろうと思うのです。それと同時に、たとえば今度のことをやられるとすれば、ある企業は四十何億ももうかりますよ、低金利その他から。あるものはこのことによってたいへん損しますよ、というのは、五千円とか一万円とか郵便貯金をしている一般の庶民ですよ。こういうような不公平なことが電車の中の週刊誌の中にも出ているわけでしょう。そういうものを見て、税の問題に対して重圧感を持っている国民大衆というのは、何だということにならないかと私は次元的にはそう思うわけですね。郵便貯金の問題はまたひとつときを違えて論議をいたしますが、言ってみれば、ドルでたいへん損をした――まああとで質問いたしますけれども、実際上赤字でもって収益のあがっておらない、あるいは法人税の納められないような会社がずいぶんあるのに、その会社の株だけはどんどん上がっていくというようなばかげたこともあるわけですから、そういうふうな不公平があって、そのことが一つのポイントになって、一般の納税者に非常に不公平感というものを与える、そういう原因を大蔵当局で除去しないというわけにはいかぬだろうと、私はそう思うわけですよ。
 それはおくといたしまして、もう一つは、たとえば私学と官学とは大体政府の助成あるいは税の問題、ことに私学の私費ですね、私財の提供者に対する課税問題とか、そういうようなものの取り扱いとしては、大蔵当局は現在どうなっておって、それから将来どういうふうに取り扱おうとしていますか。
#71
○政府委員(高木文雄君) 私学に対して、個人もしくは法人から出されました寄付については、いわゆる指定寄付ということで課税上優遇といいますか、非課税扱いになるわけでございます。
#72
○横川正市君 これは、たとえば私学に対する私財の提供というのは全部非課税ですか。
#73
○政府委員(高木文雄君) 私学が、たとえば寄付を集められました場合に、寄付の中で、たとえば入学に関してなしたと認められる寄付は、これはだめだということになっておりますし、それから一種の、たとえば広告宣伝の目的につながるというようなものであれば、それはだめだということがありますが、いわゆる純粋の寄付ということであればよろしいわけでございます。
#74
○横川正市君 私は、私財の寄付による、今日私学の経営という、私学振興という問題から勘案してみて、その実際上の経営状態を見て改善すべき幾多の問題点があると思うんですよ。ですから、こういうような場合ですね、今日の社会制度の中でも、たとえば私学の経営だとか、あるいは社会福祉であるとか、あるいは医療機関であるとか、そういうようなものは特段な税措置というものが必要だと、こう思いますけれども、大蔵大臣はどうですか。
#75
○政府委員(高木文雄君) 一般論としては、ただいまお話しのような場合には、税制上特別な扱いで、課税がないということの方向で進んでよろしいんだろうと思います。ただ実は、特定の企業と関係のある方が、特定の学校をつくられるというようなことがありまして、そこで、その企業の利益を、非常に密接な関係のある私学のほうに寄付をされるというような場合が事実ありますので、寄付については、ある寄付のうち、特定の方が巨額に出されるということについては、それはだめですというような制限がついております。
 それから社会福祉施設等につきましても、申し上げますと非常に長くなりますので、簡単に申し上げますが、一般論としては、当然通常の場合とは違う扱いにはいたしておりますが、それに伴う実は課税上公平上のまた弊害が伴ってまいりますので、いろいろ規制をしておると、無条件ということにはなっていないということでございます。
#76
○横川正市君 いま言ったようないろいろな問題が提起をされても、実は的確に総理府あるいは朝日新聞がいろいろ世論調査をした世論の中のおもだった問題に、具体的な答えというものは出ないんですよ。ですから、これはぜひひとつ、単なるPRということよりか、具体的な政策で答えていただくようにお願いをして、それでその中に、納めた税金はさっぱり国民生活に還元されていないではないかというような意味の批判、これは第一ですね。それから明らかに、あらぬところに消えていっているではないか、非常にむだが多いではないかというような批判、自分たちの税金というのは、一体何のために納めているんだかさっぱりわからぬというような、そういう批判ですね、こういうような、この重税感というのは、政治そのものの批判でもあり、あるいはまた税に対する不公平感でもあるわけですから、これに的確な答えを出していただくように、それから私、できれば納税する側からすれば、いや、おれはもう年とったら、こういうふうになるんだというような、一つの安心感が制度の中に的確にされている、あるいは今日の生活の中で、そういう不安感を持たずに生活ができる、こういうような意味の裏づけがあって、初めて重税感というものは取り除かれるようになると、こう思うわけですが、その点でぜひ当局も特段な努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
 引き続いてきょうはずっとこういう質問をする予定でしたが、ちょっと私のほうの時間が、次の回までなくなってしまったので、次回に譲りたいと思います。非常に抽象的ですが、最後の締めくくりに答えていただいて、きょうはこの辺でやめておきます。
#77
○国務大臣(水田三喜男君) たとえばこの年金制度がもう少し成熟いたしますというと、初めて国民は掛け金の負担というものがはっきり、何にこれがなるかということがわかりますので、いまおっしゃられたような、この負担感ということについては非常に違ってくると思います。拠出制が行なわれておりながら、まだこの年金受給者が非常に少ないというようなときですから、こういう点においても、いま過渡的ないろんなそういう税の重税感というものはあると思います。ですから、本来ならこれは目的税なら一番はっきりすると思います。何のためにガソリン税を納めているかといったら、それがそのまま道路になるんですから、これは、この税はどこへいくかということは、国民にはっきりわかりますのでいいんですが、しかし税を全部、弾力性のない目的税にするわけにはまいりませんので、かわりに、まあこれは私の私案で別に役所の考えではございませんが、将来の国民福祉の向上というものとからんで、できたら、たとえば間接税というようなものは、それは大体において国民のそういう福祉的なものに使われているんだということが、何か国民にわかるように、金額が符合するとか、あるいはそうじゃなしに、もっとこれが密接にわかりやすく結びついた形のものになっていくか、何かそこで、PRじゃなくて、事実上国民が、この自分たちの税負担がどこにいくか、どう使われているかというものがもう少し、はだで感じられるような税の仕組みというものも、今後これは考えないというと、福祉国家をつくるための負担増というような方向への踏み切りがつかなくなっていくということが考えられますので、そういう点では十分くふうをこらすといいますか、一段の考慮を払わなければいけないんじゃないかというようなことも考えます。
#78
○戸田菊雄君 横川委員に続いて若干質問しておきたいと思います。
 第一点は、今回の税制改正の主要点である法人税法の問題について伺います。これは「付加税率の延長」ということで「ファイナンス」の三月号ですか、その文章でいろいろ説明されておりますが、これによっても明らかなように、現在の法人税法では基本税率が三五%、これが原則ですね。それが特別措置法で五%の割り増し、こういうことになって、適用税率三六・七五%、こうなっておるわけです。これが四十五年度の税制改正で二年間延長して、四十七年の四月に本来ならこの延長期間が切れている。これをさらに二年間延長に持ち込んだというのが、法人税改正の今回の特徴点だろうと私は思うんです。そういうことになって、さらに諸外国との対比においても、これは「ファイナンス」の二二ページに明確にされております。たとえば各国の基本税率は、アメリカが四八%、イギリスで四〇%、西ドイツ五一%、フランスが五〇%、こういうことですから、いずれにしても、日本の現行法人税率よりは相当高額になっていることは明らかです。そこで、二年間延長したのは一体どういうことかということで理由づけがあるわけです。それはこういうことをいっているわけですね。二年後の現時点の経済情勢は、景気の停滞が続いて付加税率が導入された当時とは変わってしまった。だから、今回もその三六・七五%というものは二年間延長する、こういうことをいっているわけです。理由をここに求めている。もう一つは、二三ページに明確になっておるのですが、税制調査会の長期答申は、企業の税負担は少なくとも現状を維持すべきである。この税調と経済情勢と、こういう二本柱を土台にして、今回も二年間延長したというのが、政府の偽らざる説明の骨格になっておる。ところが、国税庁発表の資本金一億円以上の法人の場合ですね、一九七一年、この年間申告所得額が四兆一千三百九十六億、わずかに前年比二・二%の減少しか見ていない。それは、いまの国際収支全体をはかって見ても、八月のドルショック以来たいへんな差損の手当て、いろいろなことで企業に対しては至れり尽くせりの補償を政府はとっている。これはたいへんなことになると、こう言ってきた。しかし、一貫して国際収支全体を見ても、日本貿易の場合で、一九七一年度が八十六億ドルと、これはいままでの委員会でいろいろ論議されてきているからそう詳しく申し上げませんが、国際収支全体では八十六億ドル黒字、七一年の三月をとってみますと百七十六億ドルとなっていますね。四月になって若干減少して百五十六億ドルですから、二十億ドル見当減少したことは間違いない。しかし、七二年度中にはおよそ二百億ドル、いままでの論議でも大臣はじめこれは肯定している点ですね。だから、当面新円対策をとって、緊急措置法をいま国会終盤になって出して審議している、こういう状況まで実はなってきた。従来、円八項目対策というものを立てたけれども、これは実行しずまいで終わってしまったわけでしょう。今回の新円対策の緊急措置法、どれだけの効果があるかはこれからの状況を見なければわかりませんが、この法案自体国会で成立するか、それも保証の限りではありません。
 いずれにしても、この法人税率改正になった情勢展望に対する政府の見方というものは、この「ファイナンス」に明確にされている方針なんです。国税庁発表でいきまして、法人の年間の申告所得額、これは利潤率においてわずかに二・二%の減少でしょう。まさしく利潤の高水準横ばい状況というのが実態である。こういうことからいくとするならば、やはりこういう情勢の見方に政府の誤りないし甘さがあったんじゃないかということが一つ。もう一つは、諸外国その他からいっても、法人税というものは、いままでの各委員の質問に対して主税局長が答弁されているとおり、現行の四〇%を最高に、六段階というものは今後検討しなければいけない、どういう検討をするか具体的に示されていません。
  〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
いずれにいたしましても、この財政需要増大の中において、多くの税制の中に求める税収、財政需要というものは高まってきているわけですから、当然ここに一つの焦点を合わせて、今後の税制全体のやはり検討というようなことはやったらいいんじゃないかと思うんですが、この点についてひとつ大臣の明快な今後の見通し、当面の法人税改正に対する矛盾点、こういうものに対して見解を伺いたい。
#79
○国務大臣(水田三喜男君) 法人税については、税制調査会の答申にもございますように、方向としては、所得税そのほかと違って、減税を年々すべき性質のものではないということは言えると思いますが、今年度税制改正におきましては、いまの経済事情から見まして、特例措置を継続する必要があるという状態がまだ現在続いておるものでございますから、今回は根本的な所得税の改正というようなものには入りませんでしたが、このいまの状態が一応済んで、一・七五%のこの期限がくるというときを期して、法人税についてはもう一ぺん再検討しなければならないだろうというふうに考えます。
#80
○戸田菊雄君 ですから、ここでもいっているように、いま大臣が言われた再検討はしなければいけない、個々の税制を考える場合にですね。言っている再検討の方向はどういう方向にいくんですか。いわば諸外国に比して低いから、あるいは、いま言ったように、高水準の利潤、法人企業で一億円以上という、そういうものは非常に高額の利潤を生んでいる、そういうことだから、上げなければいけないということで検討されていくのか。それともまた、現行のように、特例措置等に基づいたそういうものを期間延長していくのか、あるいは抜本的に、主税局長が言うように六段階方式というものはまずいから、これを見直しをして総点検をして、いずれにしても、財政需要なり他の税目と比較をして均衡を失しないという立場から見きわめていくのか。いろんなケースが考えられると思いますけれども、その前途に対する考えは一体どうなんですか。その辺をちょっと聞かしていただきたい。
#81
○国務大臣(水田三喜男君) 税制調査会の方向は、将来は引き上げの方向という方向が示されておりますので、この方向で検討することになろうかと思います。
#82
○戸田菊雄君 あと二点ほどお伺いしておきますが、その第一点は、いままでの大臣との質問で、おおよその今後の七〇年代に向けての税に対する政府の考え方というものはほぼ出尽くした。その一つは何かといえば、付加価値税の導入、あるいはギャンブル税の創設、いずれにしてもそういう目的税的なものを大量に採用して、今後の税全体の増収体制というものをはかっていく。これは今後期待されるいわゆる高福祉高負担、いわば社会資本の充実その他の関係も含めて税に対する今後の政府の考えはおおむね出尽くしたと思うんです。いずれにしても、私は増税対策だと思う。そういうことになってまいりますと、現行の税法の原則的立場は何かといえば、やはり税法上はできるだけ目的税等は縮減しなさいというのがたてまえなんですね。これと大きく私は相矛盾するようなかっこうになっていくだろうと思う。そういう点について大臣は、基本的に今後の税制のあり方をどういうふうにお考えか。その見解をひとつ示していただきたい。
#83
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、いま政府は、新しい経済社会発展計画というようなものを策定することと取り組んでおりますが、やはりこれを基準にして考えないと、税についての考え方もほんとうは固まらないというふうに私は考えておりますので、もし今後、国民福祉の向上を中心とした財政需要がどういう形をとって出てくるであろうかというような、この全貌が大体わかるようになってきますというと、それによって今後の経済見通しとからんだ財源対策というものも立てられると。その財源対策は、これは単純ではなくて、方法がたくさんあろうかと思います。この需要に対処するための財源対策は、高福祉高負担といわれておりますが、この財政需要がそう多くないというようなことでしたら、御承知のように、いまの税制でも、税収の弾性値というのは相当強いんですから、少しぐらいの財政需要が多くなるという程度でしたら、別に特別の増税をしなければならぬという必要は出てこないかもしれませんし、また、やはり高福祉に対して高負担がなければこれは実現できないということでしたら、高負担のあり方としましてはまたいろいろある。今回の金利水準の引き下げというものも、この高福祉に対する高負担の一つの形だというふうに私は考えております。国民が預金金利について、たとえば百万円について月四百円の金利が下がることの負担をするということは、これによって今後日本の福祉向上が格段に進むこれは道をつくることでございますので、これによって、この利得は国民にもっと大きいものとなって私ははね返ってくるものだろうと思いますが、これも高福祉に対する負担の一つの形で、税に限ったことはないと思います。同時に、社会保険に対する負担も、これは高福祉に対する一つの負担の形でございますので、したがって、そういうものを勘案しますというと、税が分担する分がどういう形で、どの程度のものであっていいかというようなものも、この際、いま言った経済見通し、それに伴う今後の財政需要の姿というようなものが一応描かれてからでないと、私は今後の税制についての本格的な構想が固まらないんじゃないかというふうに考えておりますので、これを見てから、そういう問題、それから付加価値税の問題、これのあり方についても、こういう問題が目鼻がついてから真剣な取り組み方をしてみたいというふうに考えております。
#84
○戸田菊雄君 どうも、大臣、いつもそこへくるとお茶を濁すようなんですけれども、結局、社会発展計画、これを隠れみのとして、逃げを打つというか、そういうところが多いんじゃないかと思います。しからば、その社会発展計画の見直しをしなければいけないというのは、大臣いままでも主張されるわけですが、一体、いつごろこの社会発展計画を見直しをして策定をするつもりなのか。今度策定される社会発展計画というものは、新々、いわゆるダブル新の社会発展計画ということになると思いますが、いつごろまでにそれが策定されて、そして税制、財政その他の一般的な基本政策というものが盛り込まれるのか、どういう構想に立たれているのか、その辺の見解をひとつお示し願いたい。私はいずれにしても、税制全体としては、いままでの質問の中でやや出尽くした、構想というものは。私はそういうものが必然的に社会発展計画の中に基礎的な政策としてうたわれていくと思うんです。その辺はそういう理解でよろしゅうございますか。時期的にはいつごろですか。
#85
○国務大臣(水田三喜男君) 今年度の経験で、私どもは、来年度の防衛予算のときには防衛計画を確立しておかなければいけないというふうに考えます。この計画のないままに予算を組んだことで、本年度はいろいろな混乱を生みましたので、来年はこの混乱は避けたいと考えます。そういたしますというと、各省が予算の概算要求をする月は八月でございますので、概算要求ができるようにいまの計画をつくりたいということで、非常に関係当局に督励をいままでしておったところでございますが、いまのところでは非常に作業がむずかしい。夏までにはこれはできないと。どうしても九月以降になるというのが、いまのところ企画庁の見方でございますので、私は、やはり十月前後でなければほんとうの計画はできないんじゃないかというふうに考えております。そうしますというと、防衛予算についてのいろいろな問題が出てきますが、しかし、大筋の姿が出てまいりませば、これは対処する方法はございますので何とかやれると思いますが、これを各政策の基準にするというための計数的なほんとうの整理ができるというものは、ある程度やはりおくれるんじゃないかと思っております。
#86
○戸田菊雄君 時期的な判断については大体了解をするのであります。いずれにしても、今通常国会が終わって、新内閣の決定が七月になるかどうかわかりませんが、それにも間に合わない。そうすると、勢い、次の臨時国会、この辺を大体想定されている。あるいは時期的には、いずれにしても十月後になるかわかりませんが、その辺を大臣としては考えておると、こういうことでありますから、ぜひ私は、要望として、かりに増税態勢をどうしてもとらなければいけないと、そういう場合であっても、いままで政府が主張してきた高福祉政策というものを明確化していただきたい。従来のように、たとえば開発銀行の融資対策を見ても、あるいは租税特別措置関係を見ても、もう十重二十重に、現行の税制・金融対策というものは一貫して大企業中心にした優先方式をとっておるんですね。そのすべての犠牲をしわ寄せされているのが国民大衆なんです。そういうものに対する反感というものが、いまたいへんな政治不信になって渦巻いている。これは私は、このまま推移すれば、もっと大きなそういう怒濤がやってくるような気がする。もう少し、この点について――いみじくも佐藤総理や大臣も言われておるように、ほんとうの意味での発想の転換というか、そういうものをやはり社会発展計画の中に、われわれが理解できる程度十分に導入をしていただきたい。このことを私はこの機会に要望しておきたいと思います。
 最後に一点だけ。午前中のわが党の竹田委員の質問に対して、今回の政策の一つの主要点、目玉商品というのは老人対策だと、こういうことで、四十七年度の老人対策に対する大蔵の答弁があったのですが、今回の所得の、いわば扶養控除の問題についても一応十四万円から二万円、二人の場合については四万円の総体控除をされる。増分控除がされる、こういうことで計算がなされている。ただし、老人対策といっても、態様が制度ごとに非常に違うのですね。税制の立場でいうならば、これは所得税法の第二条定義によって、老年者ということばを使っておりますが、老人とは言っておりませんが、老年者に対しては年齢六十五歳、所得において総所得が五百万以下、こういう者に対しては課税しないとして、一方、取るほうは、そういう制度を明らかにしている。しかし、恩典を与えようという――恩典じゃないのですね。当然社会保障として国がやるべきそういう控除体制については、適用年齢が七十歳。厚生省の老人福祉課長に聞きましたら、政府一体としての老人に対する年齢の定めや、そういうものの定義はいまだに確定しておらぬ。したがって、国民年金に対しては、あるものは六十五歳適用、あるいは医療無料に対しては七十歳適用、あるいは地方自治体を見ますと、財源によって、あるところは八十歳以上、七十五歳、こういう種々さまざま、同じ政府の施策運用の中において、非常にばらばらな状況がいま存在しておるわけです。ですから、ほんとうに政府が今次四十七年度予算の中において、おそらく今後十年くらいの見通しでは、一億総人口の中で二千万人くらいを占めるだろう、そういうものを目玉商品として力を入れてやっていくというならば、この辺の問題から、政府の画一的な一つの対応措置というものが出てきてけっこうじゃないか。税制において、国民年金に対して適用する六十五歳なら六十五歳。あるいは定義でいう六十五歳なら六十五歳、こういうことで一律に適用方式をとって、制度上としてはいま一挙にそこまでいかないとするならば、今後十年計画でこうなっていきますよと、それこそまさしく老人に対する長期展望に立った策定計画というものはあってしかるべきです。そうでないと、どうもいまの政治というものは、口ではいろいろりっぱなことを言うけれども、一向に実効が上がらない。こういうところにまた国民からの反感、政治不信というものが非常に大きくなる、こういう状態であります。こういういわば老人対策全般について、ことに税制上どういう考えを大臣としては持っておられるか。今後の見通し、そういうものに対する検討内容というものはどういう方向でいくのか、この辺の見解をひとつ聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#87
○国務大臣(水田三喜男君) 先日も申し上げましたように、老人の年齢につきましては、税制においても、その他の社会保障制度のほうにおいても、まちまちになっておりますが、今度の医療の無料化という措置をとるときには、やはり年齢七十歳にすべきか、六十五歳以上にすべきか、非常に議論がございましたが、他の制度で七十歳以上ということになっているところが多うございますので、この際はそれに歩調をそろえることにいたしました。かたがた、財政上の理由もございましたが、他に類似の制度が七十歳ということになっておりますので、それと歩調をそろえたわけでございますが、しかし、老人の医療の無料化というような問題については、できるだけ六十五歳からにしたいというのが、これはもう全体の希望でございましたので、将来は六十五歳にするということで、一応のめどにするということをこのときにきめてございますので、したがって、いつからそういうふうにするかというめどを、今後私どもはやはり立てなければいけないと思います。何年ぐらいたったらこれができるかというような一つのめども、これから社会保障計画の一環としてつくらなければと思いますが、そうなりますというと、それ一つじゃなくて、他に関連する老人対策も歩調をそろえることになるでございましょうし、したがって、税制における年齢についても、やはりこれに歩調をそろえた措置が考えられなければならないと思いますので、将来おっしゃられるように、めどはぜひ至急に立てたいというふうに考えております。
#88
○鈴木一弘君 この税三法の改正、これにあたって、当然のことでありますけれども、これからの先のわが国の経済の問題がなければならないわけですけれども、景気の実態、それから経済の実情、これは大蔵大臣は、今後どういうふうに展開されていくという見通しでございますか。これは当初予算ができたときの情勢とはだいぶ変わってきております。それをまず伺いたいと思います。
#89
○国務大臣(水田三喜男君) 当初予算ができたときは、御承知のとおり、今年度の経済成長七・二%というのを一応目標にするということでございましたが、実は予算編成当時におけるいろんな経済指標を見ましても、各方面から集めた資料を見ましても、はたしてこの成長率の達成ができるかどうかということを私どもは自信がございませんでした。一抹の不安を持っておりましたが、最近になりましてようやくこの不景気、断続の不況というような心配もとれて、底固めができた。これ以上の落ち込みはない。いままでの財政金融措置でそれこそ下ざさえができた。したがって、新予算の発足によって、今度は景気の浮揚を、緩慢であっても浮揚を築くことができるだろうという見通しがようやくいま得られるということになりましたので、いまの状態でいきますというと、よほど最初の、所期の期待のような経済成長が見込まれるのじゃないかというふうに、あの当時の予想が大体狂わないでいくのじゃないかという程度に、いまわれわれ考えているところでございます。
#90
○鈴木一弘君 そこで、その問題と関連したこれは大臣のいままでの答弁だと思うのですけれども、景気がそうなると、底入れをしたのではないか、こういういままでの経済政策が、財政政策等で底入れをしたから、これからだんだん回復してくるだろう。そうなると、これから先さらに景気回復の引き金を引く必要がない、そう極端に言ってしまっていいかどうか問題ですけれども。言えば、これから先、景気回復のための補正予算を組むとか、あるいは年内減税と言いましょうか、そういう減税というものを、所得減税を考える必要というものが、景気回復の面から見ただけではないのだというような、そういうニュアンスの御答弁があったのでございますが、そのとおりに受け取っておいてよろしいのですか。
#91
○国務大臣(水田三喜男君) とにかく予算は通過して動き出したところでございますから、あとは予算に付随して、金融政策をさらに加味し、それから貿易、資本そのほかの自由化をさらに一歩進めて、輸入の増進をはかるということ、そのほか一連の今後まだ打つべき余地のある政策を打って補充していくのなら、いま始まったばかりの予算の補正とか、そういうものに手をつけるということも、まだそれを考えることも早い、もう少し推移を見守って間に合うことでございますので、そのほかのことで、まだやるべくしてやられてないものだけを急ごうというのが、大体今度の七項目の対策ということでございます。
#92
○鈴木一弘君 この間からの答弁で、年内の推移を見て、明年度の減税にするか、年内減税にするかを考えたいと、こういう御答弁だったのですが、その景気回復のことが至上目的であったとすれば、いままでのところで底入れはしたというような御答弁からだと、これは当然年内はないんじゃないかというふうに思わないわけにはいかないわけなんですが、その点で伺ってみたいと思ったのですけれども、いまの補正の話だと、そうすると、減税のほうはこの間の答弁と少しも変わらないということですか、それとももっとうしろへ後退していくのでしょうか。
#93
○国務大臣(水田三喜男君) まあ大体現内閣も来年度の予算編成まで続く見通しもなさそうでございますので、したがいまして、それらについての方針は、また新しい内閣がいろいろきめていい問題だと思いますので、少なくとも現内閣に関する限りは、まあ予算が通過したばかりであって、そういう問題はいまのところ考えていないというのが実際でございます。
#94
○鈴木一弘君 大蔵大臣の答弁というのは、内閣が変更になっても、ならなくてもそう変わるものではないだろう、基本方針の話ですから。ただいまの答弁を伺っていると、政治的な理由で、いわゆる経済的な理由とか、国民経済の上の問題ではなくて、政治的な理由で減税もあり得れば、政治的な理由で年内所得減税のない場合もあり得る、こういうように受け取れるわけでございますが、そのとおりでございますか。
#95
○国務大臣(水田三喜男君) 政治的ではございませんで、要するに時期の問題であろうと思います。この時期のもう少し推移を見ないと、経済の動きもわかりませんで、その動きを見きわめるときまで時間があるのでしたらよろしゅうございますが、その時間がなさそうだということを言っただけでございまして、時間があれば要するに推移を見てきめるべき問題だと思います。
#96
○鈴木一弘君 これは――何だか質問する気がなくなってしまいましたが、そういう感じが非常に強くなって残念なんですけれども……。まあちょっと戻ってまいりますが、需給ギャップについて、これは現在どの程度とお見込みになられますか。そのギャップが縮小していくというのについての確かな証拠、そういうものがあったらひとつ伺いたいと思います。
#97
○国務大臣(水田三喜男君) この需給ギャップは、業種別にまちまちであるということでございまして、鉄鋼、繊維、石油化学、こういうものを中心とした、いわゆる素材産業部門といわれておる部面におきましては、四兆円以上の需給ギャップがあるという計算をいろいろされておりますし、反対にもう最終消費段階に近いいろんな部門のこの非製造業種においては、すでにもう需給が逼迫しているというふうなものも見られるというようなことで、もう業種によってまちまちでございますが、しかし、今度の不況の回復の過程というものは、そういう大企業から回復してきて、その効果が他の産業に浸透するというこの型はとらないで、ほかの方面からの景気回復ということが、最後にはそういう素材産業の不況の解決にも波及していくというような、いままでと違った形の景気回復の型をとるんじゃないかというふうに私どもはいま考えております。
#98
○鈴木一弘君 そうすると、いままでのような設備投資の回復、景気の上昇と、そういうような形じゃなくということでございますね、一つのパターンとしては。はたしてそのとおりで、秋ごろまでには大臣の言うとおり回復の見通しがあるのですか。
#99
○国務大臣(水田三喜男君) そういう方向が考えられるということになりますというと、景気回復はやはり相当緩慢なものになるということが見通されますので、そうしますと、これを促進する方法としては、国民の消費支出の部面――住宅ローン、消費ローンのこの活発化というような面に期待しなければならないということも考えられますし、そうしますというと、一般金利水準の問題が出てくるということで、金利政策をここに加えるなら、こういう点において格段の私は推進力が発揮されるのじゃないかというふうに考えます。
#100
○鈴木一弘君 まあ大臣のお話を聞いていると、結局金利の問題になると思うのです。この間は目玉か、目玉じゃないかということについては確たる御返事がなくて、重要なものが金利の引き下げであるというお話だったのですが、いまのを聞いておりますと、完全な大目玉が金利引き下げ、円対策の七項目でもそういうふうに受け取られるわけです。それは別にしましても、ひとつここで伺いたいのですが、そういういまの不況のもとで、これは非常にこのところで大きく問題になると思うのは、金融の超緩和という状態。それが御承知のような土地の投機、そのほか株式の投機ということが異常に大きくなっているのではないか。これは一つは産業界自身の安定成長というような意識とは非常に遠いような、そういう感じなんでありますけれども、はっきり申し上げて、今回の異常な株価の姿ですね、このままでいきますというと、これはちょっと古今未曽有のような株価になるのではないか。もう三千五百円どころか、ダウ平均が四千円台になるだろうと、その次には猛烈な反落をするであろうというようないろんなことが言われております。この点については大臣はどういう見通しでございましょうか。
#101
○国務大臣(水田三喜男君) 株式のこの株価上昇について、私どもは非常にいま注目しておりまして、もしここに御心配な様子が出てくるというようなことでございましたら、これは考えなければなりませんので、毎日この問題は注意深く見ておるところでございますが、いまのところ、最近、信用取引にやや若干いままでよりはいろんな要素が見られるようになりましたが、いままでは、もうこの信用取引は少しもふえておりませんし、したがって、この融資の残高も少しもふえていないというようなことで、特に株式投機化の心配というような面もございませんで、ただ各証券会社についていろんな点で注意をしながらやってきたのでございますが、しかし、背景としては、もう金融緩和という大きい背景がありますし、最近金利の低下問題が云々されてきましたので、これも一つの株価上昇の背景になっておりますし、また一応その不況の底入れがどうのこうのといわれておりますので、企業底入れというムードがやはり出てきて、これが株価に相当の影響を与えているものと思います。また安定株主工作が各企業間に行なわれておりますので、したがって、株式の需給関係が逼迫しているというようなことから、そう心配する要素はないとは言いながら、こういうことを背景にして少しずつ上げていく、そしてまた外国の株式の売買のぐあいを見ましても、買いのほうが売りよりも多くなっているというようないろんな事情があって、株が上がっているということでございまして、まあ金融機関ができるだけ株式を持つということについては、やはりここである程度自重してほしいとか、あるいは無配株そのほかについて、特に各証券会社が勧誘をするというような、そういう態度は自粛してくれとか、あらゆることでこの証券行政としてはやり得る手を使って、もう十分気をつけてはおりますが、この株式はなかなかいまのところ下がる要素がないというのが実情でございます。
#102
○鈴木一弘君 いま下がる要素がないと、大臣の答弁の中でほとんど言い尽くされたように思うんですけれども、確かに金融筋からもかなり入っているんではないか。そういうことが株価があのように上がったり、大臣の答弁にあった無配会社の株価があんなに上がるなんということは、想像もできないようなことが現実に行なわれております。結局この次の反落があったときに損をするのが大衆投資家であるということ、そういうことがわかりますし、あるいは資金の運用も十分でないような中小企業関係が大きな危険をかぶらなければならないということになるわけです。いまの大臣の御答弁だと、一生懸命やっておるけれども十分じゃない、効果があがらないで困っているという話でありますけれども、さらにそれを強力に何か推し進めていこうと、こういうような、手をこまねいているわけじゃないでしょうけれども、われわれから見ると、こまねいているような感じを受けるわけですけれども、その点は何か手を打たれる方針がございますか、いま。
#103
○説明員(大谷邦夫君) ただいまの状況は、大臣からの御説明のとおりでございますが、われわれといたしましても、毎日のように株価の状況を見ておりまして、必要に応じ証券会社を呼び、実は本日も呼び出しておりますが、たとえば最近五日間で百円上がったけれども、テンポが速いんじゃないかということもありまして、最近の営業態度等を聴取するため本日も呼び出しております。このように始終その様子を見ながら手を打っております。必要があれば今後とも打つつもりであります。
#104
○鈴木一弘君 具体的なのはどういうふうに持っていきますか。ただ呼び出していろいろ、これ困るじゃないかということを言っているだけであるということでありますか。
#105
○説明員(大谷邦夫君) たとえば二、三月ごろのいわゆる金融機関あるいは事業法人の買いが多かったというときに対しましては、証券会社に、あまりそういったところに勧誘しない、し過ぎることのないようにという注意をいたしましたし、あるいは先月中旬あたりのいわゆる注意株、無配株が上がったときに、また呼び出しまして注意をいたしました結果、数字的に見ますと、ある程度改善のあとが見えております。たとえば無配株、注意株といいますのも、五月の下旬からやや落ちついたようでございますし、かつまた大臣の話にもありましたが、信用取引というものは依然として三十数%で、そう大きくふえておる様子はございません。したがいまして、ただ注意と申しますが、全然無意味あるいはきき目のないものではございません。ある程度の効果はあると思っていますが、なお株価の状況によりましては、いろいろ規制の手段、方法もなおございますので、それを場合によっては発動することも考えられると思います。ただ、どういうときにどういう手を打つかというのは、これはまあ営業上ではございませんが、証券行政上の問題でございますので、ちょっと説明は差し控えさしていただきたいと思います。
#106
○鈴木一弘君 で、これは大臣、前回も円の七項目の対策で伺ったわけです。景気浮揚と円対策の問題七項目、この中にいまの、たとえば株式市場の行き過ぎといったような投機の防止策であるとか、あるいははっきり申し上げて、前回所得減税というのを織り込むのは当然だったろうと申し上げたんですが、そのほかにもあと、週休二日制の採用というようなことですね、そういうこと、あるいは住宅、教育、まあこういうところへのきめこまかな重要施策を織り込むというようなことが、私は円対策の中で非常に大事なものになるんじゃないかと思うのですけれども、こういう点を、まあはっきり申し上げてあの中に入ってなかったと、これで、はたして景気浮揚とか、円の再切り上げ防止ということができるだろうかという不安を非常に持たされるわけです。だから、われわれのほうから再切り上げなんていうこと言いたくないことでありますけれども、そういう心配があるのでありますが、その点はどうお考えですか。
#107
○国務大臣(水田三喜男君) いずれにいたしましても、円の再切り上げという心配はもう当分これはございません。それは、その心配で対策をしているのではございませんで、別個のこの対策でございますが、円再切り上げということは、いまの経済状態から見ましても、心配されるようなことは全然ございません。
#108
○鈴木一弘君 再切り上げ云々はあれですけれども、いま申し上げたような週休二日制とか、そういうことを、円対策等の中には、あるいは株価の問題、お入れにならなかったわけでありますけれども、その点は総合的な政策の中に含めて進めるようにしないかということはいかがですか。
#109
○国務大臣(水田三喜男君) 今後は、当面のこの対策、緊急対策という問題ではなくて、今後の経済政策の総合的な問題として、こういう問題はこれから検討さるべき問題だと思います。
#110
○鈴木一弘君 所得税のことで一つ伺いたいんですが、所得税のいわゆる非課税所得の問題でありますが、非課税所得の中で、法律の第九条第一項ですか、いわゆる通勤手当の問題であります。四十五年に改正して以来動いてないわけでありますが、これは今回は、この通勤のための交通機関等の通勤手当ですね、通勤手当の非課税がいままでは四千二百円が限度額になっているわけでありますし、自転車そのほかでは限度額千四百円ということになっておりますが、これについては、今回はこの政令はいじくる予定でございますか。または、その予定ではどのくらいになる予定かお伺いいたしたいと思います。
#111
○政府委員(高木文雄君) 従来通勤手当の非課税限度をきめますときの一つの目安といたしましては、結果的には公務員に支給されます通勤手当の額というのが目安になっております。なぜ公務員に支給されます通勤手当の額が目安になっているかといいますと、これは公務員に対する通勤手当の額をきめます際に、人事院のほうで民間給与を調べる、民間給与の実態を調べた上で、その平均的なものといいますか、妥当な線を出す、それを前提にして、公務員の給与の前提となる通勤手当をきめておる、こういうことでございます。そこで、私ども実は人事院の調査を、いわば間接法で拝借しておるという形でそれを基準にしておるわけであります。したがいまして、ことしの勧告でどういうことになりますか、全くまだだいぶ先のことでございますのでわかりませんが、現在のところでは――その勧告があれば別でございますけれども、現在のところではそれを変更する予定はないわけでございます。
#112
○鈴木一弘君 これは改正されたのが四十一年それから四十三年、四十五年と、二年おきに改正されてきているわけです。また運賃の値上げの問題、そのほかこれありというときです、これが改正されないというのは、どうしても私は納得できないんですけれども、この点はいかがでございますか。
#113
○政府委員(高木文雄君) 二年ごとに直ってまいりましたのは、実はいま申し上げましたように、人事院勧告によって二年ごとにそう直ってきた、つまり合わしてきたのでございますが、また国鉄の運賃がもし改正されまして、それとの関連で通勤手当もまた直っていくということがありますれば、従来の例に徴しますれば直すことになろうかと思います。
#114
○鈴木一弘君 そうすると、大体どのくらいになりそうかという試算はいまのところはおありにならないんですか。
#115
○政府委員(高木文雄君) 私のほうではいまのところやっておりません。
#116
○鈴木一弘君 次はもう一つ、これはこまかいことであれですが、寡婦控除の問題でありますが、寡婦の範囲の問題であります。これが法律で、その政令の中できまっておりますけれども、死別の場合、離婚した場合あるいは生死不明とか、いわゆる戦争そのほかではっきりしている場合とか、こうありますが、生別であって離婚は正式にしてない、しかし、もう寡婦と同じであると、こういう場合もかなりあるわけであります。そういう場合はどういうふうになっておりますか。その点のことをほんとうにこれは考えていかなければいけないんではないかと、こういうように思うんでありますが。
#117
○政府委員(高木文雄君) 現在のところは法律上離婚というか、そういう状態でなければだめだということで、まあ立証方法等の都合もございますので、そういうことで、法律上のその婦人の地位ということによっております。
#118
○鈴木一弘君 ですから私は、そうじゃなくて、たとえばまあ離婚をしているけれども書類は出てないと、だけれども、子供をすでに引き取ってやっていかなきゃならぬ、片っ方の主人のほうからはこないと、こういう場合もあり得るわけでしょう。その場合に、本人が働いていると、当然寡婦控除を受けられるような通常なら資格があるわけでありますが、届け一片がないということだけで、認められないということは、ちょっとこれは考えられないんですけれども、そういう点は、これは勘案をしてあげる必要があると思いますが、いかがでありますか。
#119
○政府委員(高木文雄君) 実情としてはごもっともと思われますが、まあやっぱりこれは税務行政の面におきましても、どの方が法律上の、税法上の寡婦であるかということを、大ぜいの税務職員の扱いがばらばらになっては困るわけでありますし、そこに認定の余地が残るというのは非常に問題でありますので、やはり客観的といいますか、判別をつける手だてがないといけないものですから、一応いまそういう法律的な地位によってきめているわけであります。御指摘の点は気持ちとしてはわかるわけでありますが、それを広げますことは、実際問題として、いまの税務行政から申しますと、非常に困難であろうかと思います。
#120
○鈴木一弘君 困難なことはわかるんです。困難なことはわかりますけれども、これは政令でもってある程度の線を引くことができるわけでありますから、その点は何とか考えるべきじゃないかということが一つです。
 それから扶養親族のない場合、この場合の寡婦控除というのはどういうふうになっておりましょうか。
#121
○政府委員(高木文雄君) 従来は扶養親族がある場合にのみ寡婦控除の適用があったわけでございますが、今回の改正で、扶養親族がなくても、いわゆる死別であればよろしいということで、寡婦控除の概念を若干変えまして広げるということになるわけでございます。
#122
○鈴木一弘君 生別の場合にはなくて、死別の場合はあると、これはどういうわけですか、その根拠というのは。
#123
○政府委員(高木文雄君) 現在この所得税の論議のときに、婦人の地位をどう考えるか、いわば婦人というのはいろんな意味で弱者であるところから、いろいろ問題が提起されておるわけでございます。で、御婦人の中に――まあ所得税でございますから現に所得がある方の問題になるわけでございます。所得がある婦人で、大別してまず結婚経験のある人とない人、それから結婚経験があるが、つまりかつて結婚した人ではあるが、現在単身であるのについて、生別であるか死別であるか、このいわば三種類に大別して分かれるわけでありますが、そこで従来は、いわばそういう夫のない、俗に未亡人という方で、所得のある方について子供を持っていると、生活について追加費用がかかるであろうからという見地から、寡婦控除の制度があったわけでございますが、今回はそういう見地とやや別に、そういうかよわい婦人といいますか、そういう角度から見て、何らかの配慮が必要ではないかという角度から、この問題が各方面から寄せられてまいりました。
 そこで、どの程度にそれを見るべきかということもいろいろ議論がございました。すべて婦人であれば同じ、男子とはちょっと違うんだという考え方をとるのか、それとも、やはり結婚経験のない婦人と、結婚経験のある婦人と比べた場合に、何らかの意味において社会的な弱さといいますか、こういうものが違うというふうに判断するのか、さらにはまた、生別の場合と死別の場合では、つまり死別の場合といいますと、夫がなくなったあとでも、いろいろ夫の周辺、親兄弟というようなもの、周辺との関連がいろいろあるので、社会的に非常に負担が重かろうということを考慮するのかというあたりがいろいろ議論になったわけでございます。そこで、それについてはいろいろ実は御議論があったのでありますが、非常にそれぞれの婦人の地位というものについては、ニュアンスに差があるといいますか、デリケートな差があるのでありまして、そこで、結論的に申しますと、死別の婦人の場合には、なくなった夫を取り巻くいろいろの家族関係、まわりとの関係で、いろいろ複雑な事情もあろうということで、そこまでを特別な扱いをするということに限定するということにしたわけでありまして、生別と死別ではたいへん違うという考え方をとるか、あるいは全くそれはそう別にするのはおかしいという考え方をとるか、そこは非常にむずかしいところであると思いますが、まあいろいろ議論を詰めてそこに線を引いたということでございます。
#124
○鈴木一弘君 時間がないので私はいまので終わりにいたしますが、非常にむずかしい話で終わったんですけれども、ひとつ資料の提出をお願いしたいと思うんですが、それは法人税に関係してですが、製造業と全企業と二つに分けまして、製造業と並びに全企業の付加価値額の中に占める租税公課分とか、賃金配分とか、内部留保とか、そういうものの一覧表を、最近の年度までの分を、四、五年度の分でけっこうでありますから資料としてお願いをしたいと思います。
 これで終わります。
#125
○政府委員(高木文雄君) ただいまお指図がありました資料につきましては、全部調べられるかどうか。たとえば賃金等はわかりますが、付加価値のうち、いろいろお求めのようにうまくつくれますかどうかわかりませんが、いろいろの資料を総合して用意をいたしたいと思います。
#126
○栗林卓司君 これまでの御質問と大体同じようなことをお尋ねしなければいけないんですけれども、理由は、大臣の御答弁をお伺いしていて、どうもやはりよくわからない。で、一体どういう税体系にこれから向かっていくのか。これがお伺いしたい中身なんだし、それがどう向かっていくということがわかれば、それについていろんな意見もあればということで議論をされていくと思うんですけれども、その肝心のところがどうもわからないので、なぜわからないのか一つの例として申し上げてみますと、いま高福祉高負担ということを否定する人はだれもいないと思う。じゃ一体高福祉とは何かということをお伺いしますと、現在検討している。新経済社会発展計画を待って、ですからいまはわからない。当然のこととして高負担の中身もわからない。じゃまるっきりわからないのかといいますと、先ほどの御質問のお答えにもありましたように、国民の理解を得る税ということで考えますと、年金の充実にしても、あるいは社会保険、社会福祉制度の拡大充実にしても、それと何らかのつながりが見える形で見合った間接税のあり方ということも考えていかなければならないんじゃないかという御意見も出てまいりました。じゃ一体それは付加価値税あるいは類似した消費税なのかということになりますと、それは具体的にはまだこれからの問題。そうなると一体どこへ向かっていくのかほんとうにわからなくなってしまう。今日どこへどういう税体系を求めていくのかということを御質問するのは無理なんでしょうか。あるいはその点について、こういったかっこうで税体系を考えていきたいという、政府の見解はお示しいただけるんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
#127
○国務大臣(水田三喜男君) 高福祉の内容とか、方向が全くわからないという問題ではございません。もう社会資本の充実とか、あるいは一連の社会保障政策の拡充とか、こういう方向はきまっておりますし、それについてもう制度上は整備されておりますので、そのあとは内容をどう整えるか、どう充実されるかという、これから問題が残されているのでございますが、その規模、幅というようなものは、結局今後の経済情勢のあり方によって、これはきめざるを得ない。経済がそう大きく伸びないというのに、社会資本をそう経済の実態を無視して大きい拡充をするわけにはまいりませんので、したがって、その幅とか、やり方は当然やはりこれからの経済の動きに制約されるのでございましょう。したがって、このいま見通しを立てているときでございますから、この見通しができたら、それに応じて、今後の福祉政策についてのある程度計画的な作業が初めて進められるということになりますので、そういう一連のこの姿が描かれてくるようになりますと、初めてそれに対処する財政政策、ことに、そのうちで、税のあり方というようなものもきまってくるだろうということを申したわけでございまして、そういうものを無視して、一応税の方向を言えということでしたら、これはたびたび申しておりましたとおり、税制調査会から出ておりますように、今後の財政需要については、ある程度法人税がまだ負担する余地があるというようなこと、所得税は、これは今後やはりもっと減税の方向をとっていくべきものということ、それから間接税と直接税のこの比率の問題について、間接税が非常に比率が低下していることについての均衡を考えることがいいということになりますので、そうしますというと、今後の税体系の問題の中で、間接税についてのいろんな考慮が払われるべきことは、税制改正の一つの方向であるということは一応考えられますが、さてその場合に、いま問題となっておりますたとえば付加価値税というような問題も、高福祉の内容によって、その高福祉を実現するための負担が、全部いまの間接税にみんなかかるべきものとは限りませんし、いまの財政のうちで、相当改革して余力を出せる部門というものもずいぶんあろうと思います。そういう問題とからみますし、それから国費で持つものと、それから保険制度によって運営されるべきものと、こういうやはり保障制度についての一つのはっきりしたこの区分けもして、これに基づいて、税ではないが、社会保険料として負担すべき部門というものとの勘案で、税の負担もきまってくる問題でございましょうし、一連のそういう問題を、ほんとうに全貌を描き得るときは、やはり今後の経済成長のこの見通しというようなものと関連する。そうでないと、本物ができないということを申したまでで、大体の方向を言えというんでしたら、一応私はその方向というのはおぼろげながらこれは言うことができますが、しかし、これは、具体的なものにならなかったら、ほんとうの施策になりませんので、したがって、まあこの企画庁でいま作業しているこの作業を、私どもはみんな総力をあげて急いでいるというところでございます。
#128
○栗林卓司君 どのような規模の福祉政策になるかということは、これは具体的な政策が積み上げられないとわからないとは思いますし、それに対する税源をどうやって求めていくのか、そのときの具体的なこまかい姿ということは、当然いまからわからないということは、御返答のとおりだと思います。ただ、そうは言いながら、やはり少しわからないという気持ちが残りますのは、たとえば税調の答申で、所得税については減税の方向で考えていかなければいけない。法人税については高めていく方向になるかもしれぬ。間接税は増徴あるいは見直しの方向にいくかもしれない。そういう変化と、先ほどお答えになりましたいまの税制の弾性値というのは高い。したがって、いまのままのもう制度でも、福祉政策の財源がもうまかなえるかもしれないという御発言とが、どうも一緒にかみ合わない。そこで、元来税調と政府とは違いますけれども、税調の一つの文句をかりて御質問申し上げますと、「長期税制のあり方についての答申」の中で、こういう文章がございます。「税負担のあり方を考える場合においては、歳出の効率化と負担の公平な配分の確保を常に念頭におく必要がある」、これはいまさらのことではないと思います。しかし、歳出の効率化については再三大臣から御発言もございました。ただ問題は、この負担の公平化ということに対してどう歩いていくのか、もう一つ追加して同じことを伺うんですけれども、たとえば間接税を、これは付加価値税がいいかどうか別にして、そちらに対する比重を高めていくのだ。これに対して、税調がどう書いているかといいますと、「消費税は一般に逆進的があるといわれる。しかし、この点は、税体系全体のなかで調整が可能であるし、また、社会保障等歳出面の所得再分配機能を含めて調整することも可能である。」事実そうだと思うのです。そうしますと、たとえば間接税ということをいわれる場合には、ほかの税体系との関係が一体どうなっていくのかということも方向性だけは出てこないと、結局、ばらばらの議論になってしまう。そこで、たとえば先ほど言われた所得税の負担は大体現状どおりである。法人税は上げていく。間接税も上げていく。そのときの税の比率というのは、おぼろげながら大体このくらいが想定されるであろう、やはりそこまでの話をおっしゃっていただかないと、なかなかわからない気がいたします。そこまでの作業というものは現在まだ全然ないのでしょうか。
#129
○国務大臣(水田三喜男君) まだそこまでの作業はありません。直接税と間接税の比率が、フィフティー・フィフティーぐらいがいいとかいうようなことを前提に置いた作業というものはまだやっておりません。たとえば付加価値税というようなものを税体系の中に取り入れるということを考えるきには、間接税と直接税の比率が場合によったら半々以上にくずれても、直接税を思い切って減らすという措置も考えられないこともございませんし、やはり間接税を大幅に取り入れるというときには、いまの日本の直接税、これはやっぱり国民にとっては税負担感を非常に強くさせている一つの税体系でございますから、これを思い切ってくふうをこらして、直接税を減らすという方向も考えられないことはございませんし、そういうことも考えて、この次の税問題については、これはいままでと違った体系を変えるという作業との取り組みでございますので、いろんな問題が出てくると思いますから、いま簡単にここで申し上げられないと言っておることでございますが、相当思い切った税制改革をやらないというと、今後の財政需要に合理的に応ずる税体系ができないのじゃないかというふうに思っております。
#130
○栗林卓司君 税に対する抜本的な見直しが必要だということは、全く同感に思うのですけれども、たとえば付加価値税の導入一つとってみても、イギリスでは四年間ぐらい準備をかけてした。四年がいいかどうか別として、国民の合意を求めながら、全体を見直し、変えていくわけですから、相当の長期間かかる。それと、今度の展望ということを踏まえてみて、いま現在、いまおっしゃったようなゆっくりした、どちらかといえば、あいまいな態度でいていいのだろうか。
 なぜ、こうお伺いするかといいますと、政府と税制調査会の関係というのは、どうも私には解せないのです。もともとは、税制調査会というのは諮問機関なんですけれども、果たしている役割りから見ますと、政策の形成機関のような面まで立ち入ってしまったような気がします。なぜこう言うかといいますと、いろいろお伺いしても、それは税調に検討依頼してます、それは税調に検討を御依頼申し上げますという答えがまいりますから、あたかも、税調が政策形成機関のような感じがいたします。ところが、いま言われた税体系の抜本的な見直しというのは、いろいろな利害関係者がありますから、税調の中で意見が一本にまとまるということはきわめて困難な問題でしょう。そうなりますと、どこかの線を政府が選択したら、政治責任をかけてやるというやり方しかなかなか吹っ切れない。そこで、たとえばイギリスでもEC加盟ということを一つ想定に置きながら、なおかつ四年間かかるということを考えますと、おっしゃったような立場に大蔵省がいてほんとうにいいのだろうか、間に合うのだろうか、今後高福祉の要求に対して、ほんとうにこたえていけるのだろうか、その辺の時期との見合いの感じはいかがお考えになりますか。
#131
○国務大臣(水田三喜男君) それはおっしゃられるとおりだと思いますので、大蔵省としましては、何といっても税の立案の責任は主税局にございますので、主税局中心にいま勉強をしている最中でございまして、付加価値税につきましても、御承知のようにフランスから主税局の次長を呼んでいろいろ勉強したりしておるように、主体は大蔵省の主税局ということで責任を持った立案をやろうといま取り組んでいる最中でございます。
#132
○栗林卓司君 検討中ということですので、またあらためてお伺いをしたいと思います。
 ただ関連して、違った問題ですけれども、二点お伺いして質問終わりたいと思うのですが、一つは、今後の所得減税というものを考えますと、従来から議論のありますように、住民税が一つの対象になっていくと思います。そうなると住民税というのは地方財源ですから、住民税の課税最低限の引き上げ、あるいは税率緩和、変更に伴う地方財源をどう見るのかということが当然伴ってまいります、付随的な問題として。所得割り住民税の所得税の付加税化といいますか、その問題も税調で議論になっているように、当然政府としても問題になってくると思います。ここで、これは大蔵省と自治省にわたる問題なので、たいへんお伺いしづらいのですけれども、どちらかがより中心になって構想というのを描いていかないと、これは解決できないような気がいたします。そこで所得割り住民税の、国税を含めたあり方の問題について、今後大蔵省が当然のこととして中心に、これは自治省に協力を求めながら解決をしていくということになると思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
#133
○政府委員(高木文雄君) この問題は、税制調査会と地方制度審議会とでいつも議論をされております。税制調査会の中でも議論が二つに分かれたままになっております。だいぶ以前の答申と最近の答申とでは、若干のニュアンスの違いが出てきておりまして、いわば両方の止み寄りといいますか、接近が見られてはおりますが、まだなかなか付加税というところまではいきにくい、つまり地方自治ということと、それから地方公共団体の課税権ということの関連上、なかなか付加税というところまではまだいきにくいという現状でございます。しかし、一方において、この地方自治団体の状態は、経済の広域化ということと関連いたしまして、また一つの、何といいますか、壁に突き当たっておりますので、何か解決をしなきゃならぬという要請はますます強まっている実情でございます。私どもも今後ともさらに一段とその問題と取り組みたいと思いますが、付加税化の方向に向かってと言われますというと、そのように取り進めましょうということにはなかなか申し上げにくい現状でございます。
#134
○栗林卓司君 たいへん扱いにくい問題なのはよくわかるのですけれども、これは新聞に出てしまったことですから申し上げていいでしょうけれども、郵便貯金の少額融資のときには、郵政大臣が大蔵大臣に電話をしてもなかなか出てくれない、ところが、貯金の利子引き下げとなったら、先方から再々電話がある。しかし、今後はわしのほうで出ないのだと、これまでの経過を話しながら泣いていたという話がございました。事のよしあしを申すのではなくて、それぞれ御主張があるわけですから、いつまで時間をかけてもいいという問題ではないのです。議論を深めていただければと思う次第でございます。
 そこで、いまの貯金の利子の引き下げのことで、先ほどの御答弁とからんで一つ申し上げたいのは、これもまた高負担であるとかいう御答弁ございました。ということは、預金あるいは貯金の利子を下げる、そのことによる利子の減少というのは、国民が負う一面としては高負担の原則がある、回り回って大きな収穫になればいいんじゃないかという、それは発想としてわからないわけではありません。ただ高負担ということで考え、貯蓄ということで考えますと、たとえば少額貯蓄の利子等の非課税が現在特別措置にありますけれども、むしろこちらのほうを問題にするほうがものごとは順序ではなかったのか、その点についてはいかがお考えですか。お伺いする理由というのは、これも租税特別措置の中で貯蓄促進のために相当の減税財源をさいてまいりました。それと、この郵便貯金の利子というのは、素朴な実感としてはからんでいるわけです。これもまた高負担だということになれば、郵便貯蓄の利子の上げ下げを論ずる前に、私は少額貯蓄に対する課税特例を検討するほうが政治としては順序ではなかったかという気もするのですが、この点の御見解を伺って質問を終わります。
#135
○国務大臣(水田三喜男君) さっき高負担と言ったのは、ことばが正確ではなかったかもしれませんが、高福祉に対して高負担、その高負担のしかたは、実際において負担額をふやすというプラスの負担のしかたと、今度は逆に受け取るべき利子を減らすという、所得のマイナスということによるものも、これも一つの負担の形式であるというふうに思って、高負担の中に、利子の引き下げも高負担の一つの方式だと言ったわけでございます。そういう意味で申したわけでございます。
#136
○渡辺武君 私は土地税制の問題について二、三点伺いたいと思います。
 最近の不況下の物価高の中で、特に地価の高騰が問題になっております。しかも、最近の地価の高騰で特に重要なことは、このおもな原因として、大法人の土地の買いあさり、買い占めが大きな問題になっているという点だと思います、こういう実情は、金融緩慢下の銀行や、大法人の投機的な資金運用という点からしましても、また今後の土地税制という点からしても、大蔵省にも大きなかかわりのある問題だと思うのですね。で、大蔵省として法人の土地買いあさり、買い占め、この実態をどのようにつかんでいらっしゃるか、これをまず伺いたいと思います。
#137
○国務大臣(水田三喜男君) いま各金融機関別に実情の調査をやっておりますが、確かに昨年の三月からことしの三月までの一般の貸し出しの伸びに比べて、特に建設業と不動産業に貸しておる貸し出しの増は倍近くになっているということは確かでございますので、それを中心にしていろいろ実情の調査をやっておりますが、いままでのところでは、やはり土地造成及び住宅の建設ということを業とするものに多く貸し出されているということになりますというと、これは国民福祉の上からいって、チェックすべき問題ではないかということになりますので、いわれておるような、投機のために大企業がいたずらに土地を独占保有するようなことが行なわれてはいないかという点について、非常に注意して銀行局は調査しているのですか、いまのところはそういうはっきりしたものというものが、いわれているほど大体ない。もの一歩突き進んだ調査をしてみたいということを当局は言っておるのですが、やはり大きいデイベロッパーに土地がどんどん買われているということは事実でございますから、これはまた単なる個人的な、たとえば需要家であっても、土地は造成されていなければ自分の手で未開発のところを必要な需要地だけを買うということはできませんし、買ってもどうにもならぬということでございますから、やはり宅地造成者の手にかかるのでないと、一般需要家もこれを利用することができないという事情にございますので、これがほんとうの宅地造成になる限りの金融であるとするなら、これがここでふえてもやむを得ないのじゃないかという気がいたします。全体の貸し付け額をみて多いと言われても、まだ全体の一割程度のことでございますので、したがって、いまのところ、おっしゃられるような事例が普遍的になっているというような傾向はないと思います。
#138
○渡辺武君 大蔵大臣がそういう立場に立っておられたのじゃ、これはどうにもしようがないという感じがします、率直に。この法人の土地の買いあさり、買い占めが、地価高騰の原因だということは、今回に限って初めてわかったことじゃないと私は思うのですね。地価統計を見てみましても、従来工業用の土地の値上がりですね、これが一般宅地用の土地の値上がりよりもはるかに急テンポだ。つまり工業用の地価の値上がりのほうが、住宅用地の地価の上昇をいつもリードしているという傾向が非常にはっきり出ております。これは必ずしも不動産業などが土地を買いあさったということではなくして、一般的に地域開発その他で大工場用地を買いあさって、それが地価高騰の大きな原因になったということを示していると思いますけれども、同時に、いま大臣のほうから言われた、不動産業あるいはまた建築業ですね、こういうもののやはり土地の買いあさり、これも地価高騰の一つの非常に重要な原因になっているということをはっきりと見ていただかなければならぬと思うのですね。これはある専門家の調査したところですけれども、首都圏だけで、この社団法人不動産協会を中心とする大小の不動産業者の手に、一億平米の土地がすでにもう買い占められているという統計があります。その中でも大手で五社、名前を申しますと、三井不動産、三菱地所、東急不動産、西武鉄道、東武鉄道、これらはそれぞれ一社一千万平米以上の土地をすでに買い占めている。一千万平米以上の土地を持っているという場合、たとえば西武鉄道の場合ですと、年間土地の造成能力は約三十万平米だといわれる。これで計算しますと、三十三年間分の土地をすでに買い占めているという計算が出てくるわけですね。これほど膨大な土地を首都圏だけでも大手不動産業者が買い占めている。これじゃ土地が値上がりするのも当然だと私ども思います。それにいま大臣も言われましたように、この不況下で金融が緩慢化している。そこでこの不動産会社、建設業者に、前年に比べて二倍も銀行から融資がだあっといくというような状態が新たに生まれて、一そう激しくなっているのですよ、この傾向は。最近の特徴としては、こういう不動産業を専業にしているところだけじゃない。一般の会社が、もう北は北海道から南は沖繩に至るまで、至るところで土地を買いあさっているというのが実情ですよ。新聞の大まかな計算によりますと、この一年間で日本列島、約三億平米は買いあさっているというようなことまで言っている。私もこの間ちょっとほかの用事で大分県へ行ってみましたところが、大分の国東半島、あすこには文化財がたくさんございまするので、これを観光開発と称して買いあさっている。会社はどこかというと、帝国人絹です。これが買いあさっている。そうして観光開発なるものをやっている。これがいまの地価高騰の主要な原因になっているのです。ですから、その点をはっきり見ていただいて、そうしてこの不動産業、建設業はもとよりのこと、こういう大手法人の土地の買いあさり、買い占めを封ずるという方向で土地税制を考えていただく必要があるんじゃないか。またいままで買い占めた土地をどういうふうにして安く放出させるかということを中心にして、土地税制を考えていただかなくちゃならないんじゃないかというふうに思いますが、その点どうですか。
#139
○国務大臣(水田三喜男君) それはそういう意味で土地税制を考える必要があると思いますが、いま私の申しましたのは、調べた実態について言っておることで、いま例にあげられました帝人云々という話がありましたが、会社のそれは業務でないのに、相当広い土地を会社が買うというようなことについては、これは好ましい方向ではございませんし、またこれに銀行が金融するということは適切でございませんので、そういう点を中心に調べましたところが、確かにそういう大手の土地業者についての金融がございますが、これはしかし、ほとんどその手によって大量の土地供給が、宅地造成が行なわれておるのでございますから、これがいけないということにはなりませんし、新都市計画なんというものも各地に、いま各県にどんどんできているときでございますので、したがって、やはり大手の手を通じ計画が全国的に進んでおりますので、したがって、それらの業者がいままでと違った、相当金融が多くなっていくというのも、まあこれはある程度私はやむを得ないんじゃないかと思います。あまりに行き過ぎがあるようでございましたら、これは当然いろいろと監督をいたしますが、いまのところでは、実情調査した限りでは、特にこれがけしからぬというものがあまりないというのが検査のほうの報告でございますので――もっともこれは大ざっぱな検査でございますから、もう少し詳しい検査をしたいと言っておりますので、それによってまたいろんな事実が出るかもしれませんが、いままでのところではそういう状態になっております。
#140
○渡辺武君 重ねて申します。大臣それじゃだめですよ、率直に言いますと。昭和四十四年に制定された現行の土地税制ですね、あれがこの国会にかけられたときに、私この委員会ではっきり申し上げましたよ。この税制は、これはいまの地価高騰をあおっている最も元凶であり、不動産業、建設業などの土地投機に対しては何の効果もない、むしろこれを促進させるものじゃないかということを申しました。なぜかといえば、あの土地税制でもって対象になっているのは、全部これは個人の保有地です、個人の。そうして短期で譲渡した場合には四〇%ですか、重税を課する。しかし、長期保有の分について、個人が土地を手放した場合には、早く手放した順位に応じて税率を安くする。こういうような形になっておった。つまりこれは個人の、特に農民などの先祖代々から持っている土地を早く手放させて、そうしていわばこれを商品として売買する法人に土地を買い占めるのに便利を供するというような税制じゃないかということを申しました。私の申し上げたとおり、ついこの間の新聞には、どうですか、四十五年度の長者番付で、上位百人のうちほとんど大部分は大量の土地を売った人だということが出ていた。しかもその土地が何に使われたか。宅地の造成なんかにはほとんど役に立っていないじゃないですか。そういう実情ですよ。そんな税制をつくって、地価の安定に資するためなんて言ったって、これは口だけのこととしか受け取れない。大もとを押えてないですよ。土地は商品でないという名言、まあ名の字が問題ですが、名言をはいた大臣があります。瀬戸山建設大臣だったと私記憶しておりますが、農民に対して、土地は商品ではないのだ、これを商品として売ることはけしからぬということで、農民をぎゅうぎゅう締めながら、現に商品として土地を扱っている大法人、これに対しては何の規制措置も講じなかったというのが、いままでの自民党政府のやり方だと私は思います。そこのところを根本的に改めなければ、地価の問題なんて解決できないと思う。
 そこで伺うのですが、四月二十二日の読売新聞にこういう記事が出ています。大蔵省は来月後半から審議に入る税制調査会に次のような土地税制を諮問したいというような趣旨の記事でありました。で、大蔵省の構想として書かれているのは、1は、「公示価格を上回った売却益は一般収益と分離し五〇%程度の高率課税をする」、それから2として「業種別や規模別に土地の保有規模を決め、それを越えた過大保有地の固定資産税などを大幅に引き上げる」、3「土地の保有そのものを一定の“所得”とみなし、保有規模別に所得額をはじき出し、現行の合算方式で法人税を課税する」、こういう三方式を構想として考えている、税調に諮問するのだというような記事が出ております。これは大法人が土地の買い占め、買いあさりをやっているから、これを押えるためだという趣旨でこういうことを考えているという記事なんです。この点どうなんでしょうか、ほんとうでしょうか。
#141
○国務大臣(水田三喜男君) そういう案を大蔵省で検討しているという話は、私聞いておりません。
#142
○渡辺武君 そうでしょうね。私この記事見たときに、大蔵省もなかなかいいことをやろうとしているのだなと思ったけれども、そうですよ、法人が土地を買い占めているのを、これならかなりの程度押えられるという方向ですね。けっこうなことだから大いにやったらどうかと思って質問したら、そういうことは考えていない。そういう大蔵省では、いまの地価高騰なんということは押えることはできませんよ。大臣も少しこれは考えていただきたい。私どもは、やはりこの法人の土地投機こそ、いまの地価の値上がりの一番大きな原因なんで、法人の土地買いあさり、買い占め、これをまず押えなければいかぬ。そのためには、先ほど来例にあげました三十三年間分も土地を買い占めて持っている。造成能力にとても追いつかないというほど土地を買い占めている。こういう不動産業者に対しては、よろしく土地収用法を適用して、そうして適正な価格、つまり買った値段に近いところでこの土地を収用する。そうしてこれを住宅用地なり公園その他の公共的な施設に使うという措置をとる必要があると思うのですね。それとあわせてこの法人の土地の売買所得ですね、これを分離課税で重課するという措置をとれば、土地投機を押えることができる。そういうことをおやりになるおつもりがあるかどうか。それからもう一つは、個人の所有地、これについては、これを公共用の土地に売る場合ですね、そして住宅用地、あるいは学校の敷地、あるいはまた緑地や公園などにこれを使うというような場合、そういうところに個人が土地を安く売る場合には特別に税金を安くする。そうすれば、公共用地に優先的に土地が集まってくると思う。そういう方式をおとりになるおつもりがあるかどうか、これを伺いたいと思う。
#143
○国務大臣(水田三喜男君) 公共用地に土地を優先的に集めるというようなことについては、これは考える必要があろうかと思いますが、土地税制については、いままでもう長い間研究して今日に至っておりますが、なかなかこの土地の地価を上げないということと、やはり土地を潤沢に供給するという、この二つの目的を阻害しないような税制というものを考えるということはむずかしいので、なかなかいい結論は現在まで出ていないというのが実情でございます。今後これはほうっておくべき性質のものではございませんので、政府の土地に対するいろんなほかの施策との関連において、十分今後引き続いて検討していくつもりでございます。
#144
○野末和彦君 前回に引き続きまして、サラリーマンの給与所得控除を中心に質問したいと思います。きょうも時間がありませんから、次の回もこれを続けてやりますので、ちょっとじっくりと納得いくように説明してください。
 サラリーマンの給与所得控除が、定額と定率分、全部含めました控除率が、現在のほかの職業などと比べまして、いわゆる課税バランスの上から見て適正であるかどうかということを、前回主税局長に質問したわけです。で、その主税局長のお答えの中で、ちょっとふに落ちない点があるので、あらためて大臣にこの問題をお聞きするのですが、いまの給与所得控除というのは、他の所得者との課税バランスの上から見て、大臣はこれが適正であるとお考えかどうか、まずこれをお聞きいたします。
#145
○国務大臣(水田三喜男君) 適正であるかどうかと言われると、これはむずかしい問題でございますが、他の所得と比べて、すでに一応、特にこの課税が不当であるというふうには考えられない、相当な水準に達しているということは事実だろうと思います。
#146
○野末和彦君 主税局長は、二五%大体概算控除ということになると、これは年収百五十万のところで計算した数字ですけれども、二五%の概算控除が控除率として非常に高いというふうに主税局長は答えたわけですが、大臣もほんとうにこれは高い控除率であるとお思いですか。
#147
○国務大臣(水田三喜男君) 百五十万円が二五%ということで、かりにもう少し収入の少ない年収五十万というような場合にはこれが四〇%、四一%、八十万円程度でございますと三三%というふうに、控除率が下に行くほどこれは多くなっておりますが、これは他の所得との権衡から見ましたら、一応均衡のとれた水準であるというふうに見られるだろうと思います。
#148
○野末和彦君 まあサラリーマンの中だけで二百万、百五十万、百万、あるいは八十万というふうに比較すれば、三〇%の控除率の収入もあるわけですよ。しかし上もありまして、大体平均が二五%ぐらいになるような気がするわけですが、さてほかの仕事と比べて均衡がとれているかどうかということになると、非常に疑問がありまして、私、あまりほかの職業をいろいろ知りませんからお聞きするんですが、この二五%の概算控除をかりに平均としておきまして、サラリーマンの場合、二五%よりももっと低い控除率――概算控除ですね。控除率の仕事は一体どのくらいあるのか、それをちょっと教えていただきたいわけですね。つまり、非常に高いわけですからね、二五%は。そうなりますと、普通の率あるいは非常に低い率というのがあるわけで、そういう仕事にはどんな仕事があるのか、それをじっくり説明していただきたい。
#149
○説明員(江口健司君) いまの御質問は、所得標準率の逆から言うた御質問だと思いますが、先年御案内のとおり、標準率につきましてはじっくり納得のいく御説明のできない守秘義務の立場がございますので、はなはだ恐縮でございますが、概説的な御説明でお許しいただきたいと思います。
 最低経費率二〇%程度、あるいはそれ以下のものがどの程度の業種に、どういう形であるかということでございますが、大ざっぱに申しますと、経費率が二〇%ないしそれ以下のものにつきましては、きわめてレアケースであるということが一般的には言えるわけでございます。
#150
○野末和彦君 そうすると、レアケースになりますと、これは非常に少ないので、二五%控除率が非常に高いということは全くこれおかしく思えますがね。主税局長いかがですか。
#151
○政府委員(高木文雄君) サラリーマンの給与所得控除というのは、これは必要経費を概算的に控除するものでございます。そこでサラリーマンの必要経費としてどういうものがあるか。しばしばよく主張されますのは、銀行なり会社へつとめる場合の衣服の被服料であるとか、あるいはいろいろな勉強するための書籍代であるとか、あるいはワイシャツその他の洗たく費であるとかいうことがいろいろ言われるわけでございますが、これは営業所得の場合については、それらが、それでは常に必要経費として個別算定の場合に引き得るものであるかというと、必ずしもそうでないわけでございまして、サラリーマンについてだけ特に必要だと認められますような、そういう経費をかりに抜き出してみましても、年間給与収入百五十万円のサラリーマンについて二五%に当たる必要経費をはじき出すということは、非常に積み上げ計算ではむずかしいというのが実情でございます。ただいま江口直税部長が申しましたのは、野末委員の御質問に答えまして、標準率として二〇なり二五なりというものがあるかどうかということの御質問でございましたが、もろもろの職業の必要経費というものについては、これは確かに二〇とか二五とかいう形の低い率の必要経費の職業がたくさんあるとは思われないわけでありますが、サラリーマンという業種は、これは一般的に言いまして、非常に必要経費の掛かりの少ない業種であるということは言えるわけでありまして、それと標準率と比較することは、議論のスタートにおいて相当に無理があることではないかと思います。私が二五%というのはかなり高い必要控除率であると申しましたのは、それでは百五十万なら百五十万の給与収入の場合に、それに対応するだけの必要経費が算定し得るサラリーマンが現実にそう多くはおりませんではありませんかという意味で申し上げたわけでございます。
#152
○野末和彦君 まあ必要経費が何かということになりますと、これはもう実にむずかしいので、ここであれこれと論議することはできないと思いますが、ただ私は、納税者の感覚から言って、まず主税局長のおっしゃる二五%というのは、標準率でいくとこれは非常に高いのだと、それならばほかのサラリーマンに一番近い職業、まあ似た職業として幾つか考えてみて、そこでその職業の控除率というものを考えますと、もちろんこれは標準ですから、収入に応じてあるいは個人個人事情が違いますが、たとえばさっきせびろとかワイシャツも出ましたけれども、かりに外交員なんというのもありますね。外交員もサラリーマンですが、サラリーマンの場合でもセールスでもって生計を立てているということになりますと、会社に働いているサラリーマンと若干違いますが、やはりかなり似ているわけですが、外交員の場合だったら、これは概算控除でもって標準でどのくらいになるのでしょうかね。
#153
○説明員(江口健司君) いまの外交員の関係でございますが、これはもちろん会議等で各局の事情に応じまして議論をいたしますと、これも若干局によって都会地と地方とでは差がございます。オープンで申し上げていい性質の標準率の一つかと思いますが、公式にはオープンにはしてございませんが、たとえば生命保険会社あるいはその他外交販売をするというような、比較的大口の徴収義務者がございまして、源泉徴収をする部分がかなりウエートとして高い部類に属しますので、徴収義務者等につきましては、指標の意味で、目安としてそれを示しておりますが、平均的に申しますと、おおむね三〇%前後とお考えいただいてよろしいかと思います。
#154
○野末和彦君 そうしますと、仕事の種類、それから徴収面からいっても、サラリーマンに似ているセールスマンあるいは外交の仕事が三〇%前後だというと、これはもう非常に高過ぎるわけですね。主税局長、これは必要経費が、セールスマンのほうがせびろがたくさん要って、一般のサラリーマンより、たくさん金がかかるという証拠もないと思うのですね。これは解釈の違いかもしれませんが、そうなりますと、大蔵大臣もおっしゃいましたが、サラリーマンの二五%の概算控除は、標準率でいって、これは均衡がとれている、ほかの仕事と。そういうことは絶対にあり得ない。かりに農業所得者などを見ますと、車はこれは必要経費だ、車はといっても、あるいはサラリーマンの場合には、全く車は必要経費じゃありませんけれども、ガソリン代も含めて農家の場合には車二台、三台持っても必要経費で落とせるということになると、これは絶対均衡はとれてないとしか思えない。むしろこれは納税する立場での感じですから……。しかし、いろいろな職業を当たってみますと、やはり、まず主税局長のおっしゃる二五%の概算控除が、これは非常に高いので、ほかの職業に比べて控除率の上で均衡がとれて不当ではないという論拠は、非常にあやしくなると私は思うのですがね。もちろん、この次には青色申告の青色事業主控除の今度十万と、そういうものとの比較において質問を続けていきたいと思いますけれども、とりあえず、この控除率から考えても、どう考えても二五%以上の職業、外交員が三〇%、ほかの職業はおそらくもっとでしょうね。まあ医者の場合は別といたしまして、あらゆる職業をいろいろ検討しても、いわゆる守秘義務はあるでしょうが、いわゆる概算控除という意味でいいますと、やはり二五%以上だと思いますね。
 そこで、もう一度主税局長に伺いますが、やはりこれはサラリーマンの場合は、いまの給与所得控除は非常に高いもので、ほかの職業と比べて確実にバランスがとれて、不均衡ではないということをもう一度おっしゃれるだけの実証的な説明をしていただきたい。
#155
○政府委員(高木文雄君) ただいまの保険の外交員のいわゆる標準率との関係で申し上げますが、実は、外交員の標準率の計算内訳等を私まだ見ておりませんから、正確にはお答えいたしかねますが、ちょっと感じますのは、外交員というのは、毎日事務所に一応出まして、事務所から毎日保険に加入しようとする人のところへ勧誘に行くわけでございます。そこで、事務所から勧誘に行く場所までには、それぞれ交通費がかかるわけでございます。この交通費はどちらの負担になるかといいますと、大体において、現在のところは勧誘員の負担になる。で、つまり、通勤費持ちで、保険勧誘報酬というものを会社が払っているというのが現在の形態でございます。そこで、その場合に、その標準率のきめ方なるものは、実はなかなかこれも積み上げ計算が非常にむずかしいわけでございまして、おそらくは、標準率の計算の過程におきましては、一方においては、やはり給与所得の控除割合というものもひとつ頭に置いていることであろうかと考えますが、そういうことを考えますと、かりに外交員の標準率が三〇といたします場合、この外交員の三〇が適用される場合の年間収入というものを幾らとその場合見るか。これは、外交員も、その能力によりまして非常に差が大きくなるものでございますから、年間の収入は、外交員というのは非常に差が大きいものでございますから、そこに標準率を置くことは非常に問題がございますので、年間収入は幾らということとの関係で、さだかにバランスがとれているかとれていないかということは、いまここでは責任を持ってお答え申し上げかねますが、いまかりに、二五と三〇という差があるからといって、決して私はバランスがとれてないとは言えない。一方、一般的にいって、サラリーマンは毎日同じ場所に勤務をするということでございますから、通勤費の分で非常に大きな差があるということを考えますならば、御指摘のように三五と三〇で、バランスが外交員のほうが有利じゃないかということには万ならないと思うのでございます。
#156
○野末和彦君 それを言い出しましたら、またほかの、さっき言った農家から、あるいは芸能人から、文筆業、全部ひっくるめて、一々こまかく検討しなければなりませんので、そこまで話を広げてやるわけじゃありませんが、とりあえず次回は、青色事業主との比較において、サラリーマンの今回見送られた定額、そして定率の控除についても質問をしたいと思うのですが、主税局長、個人的に伺いますが、あなたもサラリーマンですから、どうですか、このサラリーマンの控除率は、課税バランスの上から見て適正で、不均衡がなくて、非常に満足ですか、それともやはりちょっと不満だ、どちらですかね。それだけ聞かしてください。
#157
○政府委員(高木文雄君) かってここ十年の間、サラリーマン減税ということが非常に世の中で問題になり、現実に私どもといたしましても、所得税の減税中、サラリーマンの減税に最大の焦点が置かれてまいりましたのは、やはりただいま先生御指摘のような認識に基づいて今日に至ったのであると思っております。ところが、この一、二年になりまして、にわかに個人事業者から非常に強い反発が出てまいりました。これはまあ一つには、九・六・四論議というものからするところの多分に感情的な反発もあろうと思いますが、特に青色の事業者につきましては、サラリーマンが九であって、自分たちが六であるということはないということで、非常に強い反発が出てきておるわけでありまして、そういう点から考えますと、その非常に素朴な実感というものも、やはり私どもとしては大いに耳を傾ける必要があるわけでございまして、そういう点から申しますと、絶対額としていかにあるべきかという問題ではなしに、各種各様の業種業態のバランス感の問題としましては、従来ほどサラリーマンに重点を置いていくというわけにはいかない状態になりつつあるのではないかという感じがいたしておるわけでございます。今朝来の御議論で、共通でございますが、どなたでも税は重いと思っておられるわけでございます。まさにそのとおりでございます。その意味におきましては、私どもも決して軽いとは思っていないわけでございますが、公平論ということ、具体的には課税バランスという点からいいますと、このところはかなり問題のあるところでございますが、その意味では、少なくとも従来どおりのテンポで給与所得控除を上げていくということには、大いに反省を要する時期になっておるのじゃないかと思っておるわけでございます。
#158
○野末和彦君 不満ながら、個人的に……。前回もそのとおりのお答えをいただいたわけでございます。ひとつ次回にやります。
#159
○委員長(前田佳都男君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次回の委員会は、明二日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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