くにさくロゴ
1971/06/08 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第31号
姉妹サイト
 
1971/06/08 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第31号

#1
第068回国会 大蔵委員会 第31号
昭和四十七年六月八日(木曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前田佳都男君
    理 事
                柴田  栄君
                嶋崎  均君
                戸田 菊雄君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
    委 員
                伊藤 五郎君
                河本嘉久蔵君
                栗原 祐幸君
                棚辺 四郎君
                津島 文治君
                西田 信一君
                桧垣徳太郎君
                藤田 正明君
                竹田 四郎君
                松永 忠二君
                横川 正市君
                吉田忠三郎君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
   政府委員
       人事院事務総局
       任用局長     岡田 勝二君
       人事院事務総局
       職員局長     島 四男雄君
       大蔵政務次官   船田  譲君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        福間  威君
       大蔵大臣官房審
       議官       中橋敬次郎君
       大蔵省主計局次
       長        大倉 眞隆君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省関税局長  赤羽  桂君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
       国税庁長官    吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       法務省民事局第
       二課長      田代 有嗣君
       大蔵大臣官房審
       議官       松川 道哉君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      清水  汪君
       国税庁直税部法
       人税課長     垣水 孝一君
       郵政省貯金局次
       長        滝本 哲郎君
       労働省労政局労
       働法規課長    岸  良明君
       日本専売公社総
       裁        北島 武雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税及び金融等に関する調査
 (当面の財政及び金融等に関する件)
○たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○竹田四郎君 税法の審議でありますけれども、若干金融問題についてお伺いをしたいと思います。
 いま国内の預貯金の金利の引き下げということが政治の大きな課題になっております。その焦点が、郵便の預貯金についての金利の引き下げということでありますけれども、過日総理大臣は、郵政大臣に対しまして金利を引き下げなさい、このようにおっしゃったというふうに聞いているわけであります。御承知のとおりに、郵便貯金は、一般的にやはり大衆の零細なものが多いわけです。しかし、この預金の全体の金利の引き下げ、こういうことによって大企業はたいへんな金利引き下げに基づくところの利益が出てくるわけであります。安くなりますから、その分だけは多くなる。新聞報道等によりますと、大企業で数百億、多いところでは一千億弱というような金利低下による利益が得られる、一方こういう状態になっておるわけです。それから都市銀行の最近の決算等を見ましても、他の企業は、配当を減らすとか、あるいは減益ということが続いているわけです。特に都市銀行、これについては、むしろ利益をどう隠すかということで苦心しているというのが実態のようであります。こういたしますというと、庶民のほうは、景気の動向がいままでに比べて落ちている、収入は減っている、国鉄運賃をはじめとして、どうも値上げのほうは――値上げ攻勢を受けている、それで零細な預金の金利引き下げ、私はこの大衆の預金というのは、これは何回も私申し上げておりますけれども、日本の社会保障制度が完備すれば、貯蓄というものはそう高くなくてもいいはずです。ところがそういう社会保障制度がおくれている。したがって、みずから自分を守らなくちゃならぬ。まあそれにはそうした証券市場というものは必ずしも大衆が参加できるような状態になっていない。勢い手軽な郵便貯金というものに依存せざるを得ないというのが私は実態じゃないか。こういうときにあえて私は郵便貯金の金利を下げるということは、国民の納得を得られる形ではなかろうという気がいたします。この前も私は主張しましたのですが、まあいま金利は世界的に自由化という形というものがかなり出てきております。そういう状況であるだけに、私は都市銀行なり、もうかっているところがどんどん金利を下げて、全体的に下がっていく状況の中で、郵便貯金の金利も引き下げざるを得ないというならば、その際下げればいい。何も郵便貯金を大銀行の預金金利というものと一括して一緒に下げなくちゃならないという私は事情はないだろうと思う。まあその中で、特に中小の金融機関についてはこれは何か手当てをしなきゃならぬ点も出てくるかと思いますけれども、私はそういうふうに考えるのですけれども、総理のほうは強く郵政大臣に早く金利を下げなさいということを申したというのですが、どうもその辺私は納得できないのですが、もっと金利の問題は、金利を下げられるような環境をまず大銀行なり政府のほうがつくるべきだ、そういう中で初めて郵政関係もわれわれも金利を下げなくちゃならぬというような状況のもとに初めて考えればいい、私はこう思うのですが、総理はその点どうお考えになりますか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#4
○国務大臣(佐藤榮作君) 竹田君からただいま郵便の預金利子を下げることは、郵便貯金だけはそのままにしておいたらどうか、こういうような御意見のように実は聞きとれたのでございます。その中のお話の中にもありましたように、世界的な、国際的な金利水準、これは自由化の方向に向いている。その自由化のできるところは自由化したらいいじゃないか、こういうようなお話がございました。その点をやはりわれわれもいま重要視せざるを得ないのじゃないか。これは国際的な問題です。日本だけが高金利、そういう形であるわけでもない。やはり国際的な水準において日本の金利、国内金利のあり方を考えるわけであります。またもう一つは、国内的な金利はどういうようにあるべきかという、国際的なにらみもきかすが、と同時に、国内的な問題も判断をすべきではないか。そういう場合に銀行ざらにまた郵便貯金の金利、これがいかにあるべきか、こういうように関連してものごとを考えていくべきじゃないか、実はかように私は思うのでございます。そういうように考えますと、一つだけ特別な状態だと、それだけを主張するというわけにいかない。たとえばただいまの言われる郵便貯金、これは庶民的な貯金だ、庶民的な貯金の金利はやはり保護すべきだ、こういう観点から、いまのようなお話になりましたが、やはりもとをただしてみると、一般の金利体系、しかも国際的金利体系、その関係において国内の金利体系を考え、そうしてその場合に、やはり国内の金利体系が、庶民金融といわず、大企業金融といわず、同一の均衡のとれたものであるべきだと、かように私は考えますので、ただいまいろいろ詳細にお話しでございましたが、私は特別な考え方をある一部のものだけについて考えると、こういうわけにはいかないじゃないかと実は思います。最近は五分五厘これが普通庶民金融の金利だといわれておりますけれども、私どもの育ってきたその状態から見ると、どうも郵便貯金の三分五厘、そういうふうなたいへん低い状態である、かようなときもあったわけです。そういうことなどを考えますと、やはり適正な金利はどういうところにあるべきか、ここをやはり国際的、国内的双方について考えるべきじゃないか、かように思います。そしてただいま、あるいは貸し出し金利引き下げの利益を受けるのは、特殊な大企業だけだという、こういうような御指摘がございましたけれども、私はやはり大企業も特別な金を借りているところが利益を受けますが、同時に中小企業においても、金融の円滑、そういうようなことは望ましいことではないか、かように考えますので、これはまあ議論の分かれるところですが、ただいま政府のとっておるところは、私は双方にらみながら均衡のとれたものをとると、かように実は考えておるのでございまして、別に矛盾はないと、またその意味においてやはり協力すべき点が郵便貯金においてもあるのではないかと、かように私は考えております。
#5
○竹田四郎君 少し、総理のおっしゃっておることと、私の述べておることと若干何か違いがある。私も郵便金利を絶対にいまのまま固守しろというふうに決して言っておるわけではない。それを一律に国内の金利を下げなければ、いまのところは郵便貯金の金利を下げなければ、その他の金利も下げられない。きのうの日銀総裁の談話等を見ても、郵便貯金の金利が下がらない限りは公定歩合の引き下げもしないと、こういう談話を実は発表しております。ですから、私はそうではなしに、ほかのほうから、国内では下げられる条件にあるものは下げてよろしいじゃないか、そういう条件を整えて、そして最後に郵便貯金の問題を考えたらいいじゃないか。ところがいまは、郵便貯金の金利引き下げが先行しなければ一切ストップなんだ、こういうような感じさえ得られるような形というのではおかしいじゃないかということを私は申し上げているわけでありまして、日本の金利というものも、国際的な金利水準というものを考えて、それに合わせていくということ、これは私は否定するものではない。ただ、それを一つのてこにして、いまやっているというところに私は問題があるんじゃないか。そこへまた総理大臣が強壮剤を注射するようなことをおっしゃられたが、どうも少しおかしいじゃないか、少し銀行、都市銀行保護のあり方ではないか、こういうことを私は申し上げておるわけであります。
 それからもう一つ、私ども反省をしなければいけないことは、金利引き下げと言うのですが、これも私は全面的に否定するものではないのですけれども、金利の引き下げをすれば景気が上がって外貨が減っていくか、必ずしも私はそれが唯一の手段だとは思わない。やはり金利が高くても、これは国内の中小企業を見ましても、幾ら金利が高くても、あの銀行は、あの信用金庫は何かのときにやはりまたごやっかいになりたいというようなことで、金利は高くても、その銀行との取引というものはせざるを得ない。これは国際的に見ても私は同じだと思う。だから、金利を下げたから、日本の外貨が一ぺんに外へばっと出てしまうということは、必ずしもそれだけは言い切れない面が一つはあるだろうと思うのです。そういうことよりも、いま円再切り上げの問題で圧力を受けているのは、むしろ輸出そのものだと思うのです。輸出そのものについて、もう少し考えてみなければいかぬというふうに私は思います。おそらくまあ一般的に二百億ドル台になったら、円の再切り上げがあるだろうというふういわれているのですが、まあそれよりも、外国のほうの焦点の合わせ方というのは、むしろ貿易収支にあると思うのですね。ですから最近、公取が、国際カルテルの問題が出たり、あるいはアメリカから相殺関税の問題が出たり、アンチダンピング税の課税の問題が出ているというのは、私はむしろそこだろうと思うのです。ですから、外貨をめぐる諸問題というのは、むしろいま貿易の問題になっているんじゃないか。そういう点で、この利下げの問題というものが、何か外貨減らしの中心だというふうなことから、少し焦点が移っているんじゃないかというふうに私は思うわけでありますが、そうした意味で、これからは政界の大御所として政治問題を指導される佐藤総理といたしましては、やはりその辺のお考えも聞いておかなければならぬと思いますが、そうした意味で、日本の秩序ある輸出というものは一体どういうものなのか、金利だけの問題にどうも観念されやすいような気がいたします。で、秩序ある輸出というものは、必ずしもその秩序ある輸出になっていない。その辺にポイントがあるんじゃないかと私は思うのですが、ひとつ御見解を伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) 竹田君、誤解なしに私の話を聞き取っていただいたと、かように思いますか、私もう少し――わずかな制限されたこの質問時間中に、ただいまのような経済の基本に触れた問題を説明することはなかなか困難だと思いまするので、もう少しつけ加えさしていただきます。
 ただいま言われますように、外貨の状態、外貨減らし、これのために、また景気回復のために政府がとっている政策、これはただ金利だけの問題ではございません。この点は誤解のないように願います。もうすでにおそらく大蔵大臣から経済全般に対する現状についての対策、これは詳細に述べたことだと思いますが、そのうちの一つが、ただいまお触れになった金利の問題であります。ところで、この金利もさることだが、もっと大事なのは輸出の問題だろう。この輸出の問題になってくると、これはやはり国内の景気動向に非常に関係があります。いわゆる景気が上昇して、そうして輸出が増加するという普通の状態ではなしに、国内は不景気、どうもその圧力が生産のほうにかかってきて、そうして輸出せざるを得ない、こういうようにも見られる向きもあるのでございます。したがって輸出というものも、ただ国際収支の関係だけから見るというものでなしに、経済の相対的な国内、国際双方の観点からいかに輸出があるべきかと、またそういうものが、どうしてこんなに輸出が進むのか、こういう原因を十分探求する必要がある、かように私は思います。ことに円の強いこの状態において、輸入は楽だが、輸出はしにくいといわれているにもかかわらず、依然として円の強い状況のもとにおいて輸出がふえている。国際的な批判が非常に加わっている。そこで再切り上げという議論にまで発展する。これは確かに非常な飛躍です。飛躍ですが、そういうような方向にまで話がいく、これは一体どうなんだ。そこらを考えてみると、やはり国内の不況が輸出圧力になっている。こういうことは見のがせないのでございます。そういうことを考えると、やはり景気をよくしていくということにならざるを得ない、かような議論に実はなってきておるのでございます。ただ単に金利の問題だけではなく、いろいろな政策を一緒にいたしまして、いま七項目とか、あるいは特に力を入れるものは六項目だとか、かようにいわれているのもそういう点であります。そういうことを考えながら、ただいまのような対策について、われわれがいろいろ苦心をしている最中であります。そこで、どういうのがいわゆる適正な輸出になるのか、そういうところでございますが、これはしかし、何といっても取り扱う方々の態度、それが十分に理解されないと、個々には適正な輸出条件というものが整備されたとはなかなか言えないと思います。ただ利益追求だけではこれは解決しない。そこでいろいろ政府の指導、政府が自由貿易の立場から、また資本主義の立場から、自由経済の立場から、これはあまりタッチすべき事柄ではございませんけれども、やはり秩序ある輸出、そういうものが望ましい、こういうことで業界に対して指導したり、業界に反省を求めたりしているわけであります。しかしそれが、ダンピングというような非難を受けるとか、あるいは特別な話し合いだとかいうようなことにならないように、これは各輸出業者自身がみずから処理すべき事柄ではありますけれども、私は幾多の問題を包蔵しながらも秩序ある輸出、それが政府としては望ましい、かように考えているところであります。
#7
○竹田四郎君 時間があまりありませんから、これだけに時間を費やすわけにはいきませんので、また何かの機会に経済問題をやりたいと思います。私はそういう意味で、政府がいま一番重点を置かなければならないのは国際収支、特に貿易収支だと、私はこういうように思っておりますので、あまり郵便貯金の利下げに圧力をかけないようにひとつお願いしたい、こういうように思うわけであります。
 それからもう一つ、ここで特に総理にお聞きしておきたいことは、いわゆる高福祉高負担ということばが、たいへん政府のいろいろな諸報告の中で見られるわけでありますが、いまの現状、これは一つの高福祉高負担というのは、ある一定時期の一つの想定した目標であろうと思うのでありますが、現在の状況は必ずしも高福祉とはいえない。口の悪いのは低福祉だと言っている人もあるようでございます。しかし高福祉高負担というものは、福祉を高めれば、やはり何らかの形で国民全体からの負担というものは多くせざるを得ないということは私も非常によくわかります。ただ問題は、一体どういうところが、その担税力に応じて負担をすべきかという問題と、ただ高負担という問題とは必ずしも一致していない。担税力のあるところはこれからも負担をしてもらう。担税力のないところに負担を要求しても、これは重税、悪政につながるものになってしまう。おとといも参考人に方においでいただきまして、お話を聞いたわけでありますけれども、特に税調の副会長をなさっております福良参考人からは、法人税については、まだ担税力一ぱいということじゃないんだ、まだ若干の余裕はあるんだというような意見というのは、税調の中でも大多数の意見だ、こういうふうに述べられているわけでありますが、法人税については、基本税率についても実効税率についても、西欧、いわゆる先進国に比べて、日本の税率というのは高いとは言い切れない、そういう点から見まして、また佐藤総理が年来から言っております社会開発、あるいは人間尊重、またことしの予算の施政方針の中でも言われておりました住民福祉の充実という立場から考えてみますと、私はどうしてもやっぱりこれからの高福祉を実現していく負担のあり場所というものは、これは法人税がいま相対的に見て、税調でもそういう御意見です、いまの現状の景気というものは、私は若干いままでの状態と比べれば落ちている。しかし、これは経企庁の景気先行指標等を見ましても、底固めから回復の段階に入っておるということでありますし、経済関係の分析家の意見を聞いても、学者の意見では、大体回復過程にそろそろ入ってきている、こういう段階であるだけに、今後来年度あたりの税制改正では、法人税の問題を取り上げなければいけないんじゃないか。確かに、ことしの四月一ぱいで付加税率の五%ですか、それは一応二年間延長ということで、三五%の税率が三六・二五ですか、そういう税率にはなっておりますけれども、しかし、それだけでは私は不十分であろうと思うんです。そうした意味で法人税の税率引き上げというような問題を考慮すべき時期に私は入っているんだろう、こういうふうに思いますけれども、総理のお考えはどうですか。
#8
○国務大臣(佐藤榮作君) もう一つ先ほどのものに追加いたしておきますが、私が郵政大臣に圧力を特に加えた、かように考えていらしたら、それは誤解ですから、すでに政府のやることは必ず閣議決定をして、そうして基本的な方針をきめるのでありますから、やはり閣議決定のあったことは忠実に実行される、そういう方向でなければ、政府の役目が果たせない、そういう意味で、絶えず閣議決定がどういうふうに進行していくか、そういうことをチェックするのが総理大臣のつとめでございますから、そういう意味で、私の発言がときどき気にいらないことが各大臣にはあるだろうと思います。これが総理としての役目だと、かように御理解をいただきたいと思います。
 ところで、ただいまの法人税がもっと負担してもいいんじゃないか、こういうふうなお話でありますが、この点はいろいろ御議論のあるところだと思いますので、私どもも税制調査会のその答申を重んずる、こういう形で、ただいまも特別な基本的な税率のあり方よりも、こういう不景気な時代にもかかわらず、法人税率の特別税率を維持する、かようにしたのも、ただいまのような観点でありまして、しかし、これがまだなお余裕がありそうだというようなことを、十分税制調査会等で論議を尽くして、そしてその意見を聞いた上で、政府が決定するということであります。
#9
○戸田菊雄君 主として税制について総理の見解をお伺いしたいと思います。
 第一に、佐藤政権の七年間在任中、たいへんに私は税制にゆがみができたと思うのです。そういう代表的なものについて見解を伺って、今後の総理の方針といいますか、構想をぜひとも伺っておきたいと思うのであります。その一つは、輸出振興税制の問題、四十七年度の税改正の中でも、確かに輸出振興税制の整理、これは平年度において六百四十億、初年度で三百二十億見当は一部廃止もしくは縮小いたしました。まだまだあるわけですね。この輸出振興税制というものは、そもそも外貨準備のきわめて不足な時代にそれをカバーしようということで、輸出振興の意味から文字どおり創設されたのです。今日少なくとも百六十億ドル以上をこえた外貨の準備を持って、さらに年内でこのままいくなら二百億ドルぐらいになるだろう、いろいろ審議会その他においても検討を加えられているような状況ですね。ですから、こういう事態になれば、私はいま輸出振興税制というものの存在価値は、創設した趣旨からいってなくなったのじゃないかと思うんですね。だから、こういう問題について、四十八年度においては、明確に私は廃止、整理をすべきじゃないかというふうに考えるのですけれども、総理の見解はいかがでしょうか。
#10
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまおっしゃるような点もなきにしもあらず、かように私は思います。おそらく税制調査会におきましても、さような意味で、ただいま真剣に検討している、準備している、さらにまたもっとそれが進むと、輸出振興税制じゃなくて、さらに輸出税をかけろ、こういう議論にまで発展するのじゃないか、かように私は思います。それらの点は、いずれ各方面の御意見を聞いた上で政府は決定する、かように御了承願います。ことに税の問題についておっしゃるが、これは国会のあり方として、当然税の問題についてはもっと意見が述べられてしかるべきだ、かように思います。これは国会の発達史から見ましても当然のことだ、かように思います。御遠慮なしにどうぞ。
#11
○戸田菊雄君 御遠慮なくということでありますから、遠慮なくひとつ質問いたしますけれども、私は佐藤政権の中で、税においてはこの問題が一つ、全く有言不実行の内容のものが一つある。
 もう一つは、やはり政治資金規正法の問題です。まあ総理いつ引退されるかわかりませんが、過去において政治資金規正法について、何回か総理が責任をもって本会議、委員会等で答弁しておったことは、まあそのことはいま触れません。
 もう一つに、医師控除の問題があるんです、お医者さんの控除。これは現行七二%で、世論としてはやはり高いんじゃないかということになっているんです。あるいは国税庁や主税局でも、いろいろ調査をした結果、実質経費は約五〇%見当じゃないか。発表されておりませんよ、われわれがいろいろ承るところによりますと。ですから、こういった税の公平さというものを根定からくつがえすような、こういうものについては、抜本的に当面早期に改善措置をはかるべきじゃないか。ことにこの医師控除の問題については、三十一年から八回にわたって税調では政府に答申をしているんですね、これは改めなさいということで。総理になってから五回も答申をされている。一貫して総理が握りつぶしてきているんですね。だから、こういう問題については、私は四十八年度に廃止をすべきじゃないかと思うのですけれども、ことに大体年間の総額でいきますと、私の調査では一千億見当優遇措置をはかられている、医師一人あたり大体百二十万ないし百三十万――四人家族平均でいえば百三万ちょっとですから、それ以上の、免税点以上の優遇措置をやっておる。実質的には、これは補助対策ですね、税制上の。こういう不公平な税のあり方というものは、あらゆる民主的な手続きによって諮問に基づき、かけられ、税調でも検討されて、政府に答申をされた。ことに佐藤総理になってから五回もやっておる。これを一貫して握りつぶされてきた。こういうことは、私は政治姿勢としていけないと思います。四十八年度に改廃する意図があるのかどうか、明確なひとつ総理の見解を伺いたい。
#12
○国務大臣(佐藤榮作君) 私もこの医師の七二%控除、これはたいへんな行き過ぎだと、かように考えます。何度もこれに改正のメスを加えようと、かようにいたしましたけれども、これにはやはり社会医療制度、その根本対策がないとどうもこの問題にメスを入れるわけにはいかない、そういう両面の問題がある。七二%控除に一体どういうわけでなったのか、これは申すまでもなく、診療制度の不十分から、お医者さんの納税を軽くすることによって何らかもう少し医療制度の完ぺきを期そう、こういうことでだんだんふえたのでございますから、ただいま申すようなもとを正さない限りこれはできるわけのものではございません。ところが、このむずかしさというものは、私の蛮勇をもってしてもなかなか解決がつかない問題であります。これは戸田君も御承知のように、三者構成、これが三つが利害相反しますから、いまさら申し上げるまでもなくこの間の事情は御承知のことだと思います。そこらにどうも蛮勇をふるってもなかなかできないものがある、そういうことで今日まで延び延びになっている、その点は御了承いただきたいと思います。しかし、ただいま御審議をいただいております医療制度の問題が、さらに基本的な御意見まで述べられることだと思いますので、そういうことを考えると、これも一つ法案ができ上がることによって前進ではないかと、かように思います。私は、確かにある特別な職業に携わる者だけが、よしどんな理由があるにしろ七二%の控除、かようなことはちょっと許せないような状況ではないか、かように思います。
#13
○戸田菊雄君 それからもう一つは法人税の問題でありますけれども、いま個人事業のそういう経営方を変更する、たとえば法人に切りかえる、株式会社に切りかえていく、こういうことになりますと、事業主の給料支払いや、あるいはお茶やその他でもって接待したものは、これはすべて経費として認められておりますね。しかし、一貫して個人でそのまま継続して事業をやっていくような場合は、税はそれに対して法人組織とは違った形でかかる、これは私は一つの矛盾じゃないかと思うんですがね。内容は変わってないわけですね、形だけ株式会社とかそういうことにしていけば、税金はおのずから安くなっていく、こういうことです。だから、いずれにしても、私は法人組織でとっていくような税制態様に法人税というものを変えていくならば、ひとつ整理していくべきじゃないかと思うんです。いずれにしても、一方に寄せて税制態様というものを整理をしていく必要があるんじゃないかというふうに考えるんですが、これは税の専門屋からいけばいろいろな理屈はございます。理屈はございますけれども、納税者から見れば、これほど不合理で納得のできない税金のあり方はないだろう、だからこういう問題について、いろいろと法人そのものも税の検討は、このごろ大蔵大臣も再々言っておるのでありますが、検討するとは言っておる。税率そのものにも矛盾がある、あるいはその税制の態様についても問題がある、ですから、そういう問題については検討はすると言っているのでありますけれども、こういう問題については、やはり私は四十八年度の税制改定については十分配慮をしていくべきだと思うんですけれども、その態様、あり方について総理はどういった御見解ですか。
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのお尋ねは、法人の場合と個人の場合と負担の均衡がとれていないのじゃないか、こういうことかと思います。
 もちろん大蔵省といたしましても、その間に差等を設けるというような特別な考慮が払われておるわけではありません、できるだけ均衡のとれるように、かようないろいろの諸措置をとっておる、これは皆さんに御審議いただいてそういう方向に是正されつつあるということは、私が申し上げるまでもなく御承知のとおりだと思います。いわゆる法人の場合においての免税あるいは諸雑費の経費としての計上のしかた等についても、いろいろくふうされておるようであります。また、個人所得の場合におきましても、その申告のあり方等においてできるだけ法人との均衡を保つように、こういうことが考慮されておる。そればかりではなく、ときには法人に対してはもっと特別な課税をしてもいいのではないか、こういうような御意見まで述べられておる。そういうようなことがやはり税制調査会のほうで取り上げられておると、かように私は考えておりますが、まだ不十分な点があれば、ただいまのような点もさらに次の機会に是正する、これにやぶさかではございませんし、これは私がやめるからかってなことを言うのだ、かようにおとりにならないで、これは必ず、私も政治家をやめるつもりはございませんから、政治家である限りにおきましては、やはり発言の責任はとるわけでございますから、そういう意味で、これはやっぱり均衡がとれなければ国民は納得はしない、このことはよく私にもわかるところであります。
#15
○戸田菊雄君 それから最近問題になっておるのは、いわゆる土地問題である。それにちなんで土地税制、これは確かに四十三年以降、政府といたしましても、税調にゆだねてそれで四十六年四月に租税特別措置法を改正し、今回の土地税制が実現した。そのねらいの一つは、土地の供給促進にあったと思うんです。もう一つは、土地に対する仮需要ないし投機的需要の抑制、こういうところにあったわけです。もう一つは土地の有効需要。そこで土地税制を実行した結果この三本柱といわれるそれぞれの重要項目がはたして実現しておるかというと、庶民に対する土地供給というのは全くなされなくなってしまった。今年度の国税庁の所得一覧表を見ても、高額所得といわれる百名くらいの間の中には土地成金というのは九十六人くらい入っておるわけです、結局この土地税制に基づいてそういう三本柱の実行態様の可能性を求めたが、結果としては逆な方向にいっておるというのがいまの実情ではないかと私は思う。そうして結果的には土地成金を大量につくりあげてきておる。こういうことになると、この本来の目的より離れた、庶民の持ち家制度ですね、家と土地くらい何とか三十年も四十年も働いたのだから何とかひとつほしいという、ささやかな要望すらも踏みにじっておるような状況、ですから、こういうものについても、私はいまこそ抜本的な改善策をとるべきではないか、かつての土地税制改正ではどうにもならないということが実証された、こういう問題に対して、高度の政治的判断から、今後土地税制というものを改正する意図があるのかどうか、あるいはそういう意図があるとすれば、どういう構想で対処していくのか、これに対する総理の見解をお伺いしたい。
#16
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の土地の問題、これはたいへん政治の問題といたしましても基本的なたいへんな関心事でございます。ことに不景気になって、そうして金融が、金が余ってくる、かようにいわれると、設備投資のほうに向かわないで、土地に対する投資、そういう意味の土地買い占めがどんどん行なわれる、そういう実情にある。ことにまたレジャーブームといわれる、そういうことから開発がまず問題になる、いわゆる自然環境の破壊、それはどうもレジャーブームによる土地開発、さようなことも指摘できるのではないだろうか、そこまで考えると、ただいまの政治の問題で一番むずかしい問題、やっかいな問題、これは土地の問題だと、かように思います。これが金融の面からある程度押えることができるかどうか。そういう点も大蔵当局にもいろいろくふうをしてもらっております。またそれから後に処分したのちの税のあり方、あるいは処分前の土地の評価に対する税のあり方、それなどもいろいろ議論の対象になっている。こういうことで、これはいろいろくふうもしておると。しかし、大体いままでのところでは、所得が現実にあったときに課税するというのが普通のたてまえでございますから、ただ土地を持っているだけで課税する、それが必ずしも十分効果があるとも思えませんし、ここらにも腐心の点があるわけです。
 もう一つは、いま言う自然破壊、これを一体いかにして防ぐか、こういうような問題もございますので、ただいまお尋ねになりました点、私は全く一番の問題はこれだと、現在当面しておるやっかいな問題だと、かように思っております。しからば、それに対する妙手があるのか、どういう手があるのか、かように考えますと、私なかなかいまこれがきめ手ですとか、これが妙手です、こう言って皆さまに御披露することができないのは、これまた残念でございます。したがいまして、私はこういう問題について、もっと各方面の有識者の意見を徴するとか、こういうような方法で対策を立てる。いまからでもおそくはない、かように思うのでございます。ただいまお尋ねがありましたその機会に、政府としてもたいへん腐心をしておる。そういうことだけ御披露いたしまして、名案がただいま持ち合わせがないと。ただいま言われておる税金の問題だけではこういう問題は解決をしないし、また金融を押えるだけでも解決はしないし、いろいろ困っておるということを率直に披露してお答えとしておきます。
#17
○戸田菊雄君 それからこの四十六年度の税収、決算で七兆九千二百九十二億、四十六年度の補正後の比較で見ますと、一千八十七億円の増収になっておりますね。四十六年度の当初予算見積もりと比較をして、四十六年度補正後の決算額で見ますると、税収は一千八十七億円の増収ということになっておる。その四十六年度の実績を土台にし四十七年度の、今年度の税収見積もりというのもそれぞれ立っておる。そうすると、どだい当初の見積もりより一千八十七億円高くなっておるのですから、税収見積もりが低かったということになるのですね。その低いものを土台にして、四十七年度の税収見積もりを立てているわけですから、当然四十六年度同様の増収態勢というものが生まれてくるんじゃないか。私のこの推測による一つの計算によりますと、四十七年度の予算と、それから四十六年度補正後の比較で見ますると、大体一千七百十億円見当の増収態勢になるんじゃないかという考えなんです。こういうことになっていくと、年度の税収見積もりの評価というものが非常に低位に見られてくる。これは意識的にかどうかわかりませんけれども、そういう経緯を踏まえている。そういうことになるとするならば、私は非常に国民に対する重課税態勢というものがやはりどっかで考えられていくわけですから、全体的な国民の税負担感というものが強くなっていく。だから、土台としてそういう税収見積もりの、四十七年度の見積もりにおける考え方というものがはたして正しいのかどうか、この点が第一点であります。
 それから第二点は、印紙収入の落ち込みですね。これは四十七年の見積もりでまいりますると、当初予算で一千五百億円見当、大体税収見積もりで少なく見積もっておられるのじゃないか、こういう考えを持ちまするけれども、この辺の見解はどう一体お考えになるのか。
 それからもう一つは、そういう上に立って、四十七年度は、確かに四十六年度補正で四十七年度分二千五百三十億円見当の減税はやったと言っておられます。しかしわずかに今回の相続税の改正にとどまり、その総額においても全く微々たるものですね。ことにこの景気がきわめて悪い、そういう面からいっても、従来四十年あたりはそういう経験を踏まえて景気浮揚政策の一環として所得税の大幅減税をやった、こういう貴重な経験もあるわけです。もちろんその当時の経済情勢と、六年後の今日の経済情勢が違うということは多くあるでありましょう。国債の発行条件であるとか、あるいは景気の不況の深さ浅さのそういう条件、いろいろあるでありましょう。しかしいずれにしても、今回この所得税の減税というものは提起をされておらない。今後やはり景気浮揚の立場からいっても、あるいは税収見積もりの非常に低く置かれた、こういう状況からいっても、財源があるような気がする。ですから当然年度内減税があってしかるべきではないかという考えを持つのですけれども、その辺の御見解、三点についてひとつ総理の御見解承らせていただきたい。
#18
○国務大臣(佐藤榮作君) この税収の見積もり、あるいは印紙収入の見積もり等について、その実際は大蔵当局から説明をさせたいと思いますが、私は、まあ昔からたいへん大蔵当局の計算は正確だと、実はかつては非常に敬意を表し、あんなによくできるかと実は思っていたのですが、ところが最近のような情報化時代になって、コンピューターまでできたこの際に、たいへんな、どうも見積もりができないという、どこかに欠陥があるのではないか。そういうことでいろいろしかりもし、またしろうとなりにもっとできるはずではないかというような意味の事柄も申しておるのです。しかしまあ最近の情勢はたいへん複雑になったと。そういう事柄がただいま御指摘になったような結果を生み出しているのではないかと思います。方で情報化時代、コンピューターその他ができればできただけに、どこかの狂いが意外な結果を持ち出すと、こういうことになる。こういうことで、どうも期待に沿わない、これが現状でございます。しかし政府は、このままでいいというわけじゃありませんし、また本来の大蔵省自身が、国家財政の基本になる税収、あるいは印紙収入、そういうようなものに大きな狂いがある。まあただいまのところ、不足でないからまだいいようなものの、もしも不足を来たすというようなことになったら一体どうなるか。破産状態になる。これは国家の一大事だと実は思うのであります。そういう意味で、大蔵当局としてもその責任は非常に痛感をしておる、かように思いますから、一そう正確を期することに今後とも――御指摘はありましたか、御指摘がなくても、これはもう当然やるべきことだと思います。
 そこで、まあとにかく結果から見ると減税ができるのだ、こういうことであります。ただいまの状況、いま予算が成立したばかりでありまして、ようやく一ヵ月経過したばかりであります。そういうときに次の、まあ年内減税、そういう話をするのはやや早過ぎると、かように思いますので、しばらくいまの経過をひとつ見ていただいて、政府はもう年内に減税が可能ならば、そういうことも積極的な姿勢をとるべきだと、かように当然考えなければならないと思っております。けれども、いまのところは、ただいまの状況のもとにおいて、いま以上程度の狂いがあったからといって、どうもことしの問題には、おそらく正確が期せられておると思いますので、いましばらく予算の実行さらにまた税収のあり方等見きわめた上で、しかる上で、ただいまのような御意見を、さらにまた事前にこういうことも考えられるぞ、かように御注意がただいまあった、かように私は理解したいと思いますので、大蔵当局もここにいますから、そこらもどうか御了承いただきまして、いま直ちにどうする、かようなことは申しませんけれども、ただいまのような状況であることは、過去の結果について遺憾であったということを私は申し上げますし、また将来については十分注意をいたしまして、あやまちなきを期したい。また、減税そのものは国民の要望でもある、そういう意味で積極的な姿勢をとる、かように御理解いただきたい。
#19
○国務大臣(水田三喜男君) 見積もりが少し違ったことは申しわけございませんが、それでも高度成長時代には自然増の見方でもう少し大きく違っておったのを最近は正確になったと思っております。そこで、今回の問題は、御承知のように、土地の譲渡所得に対する課税で、ことしの一月から税率は上がりますので、結局十二月になって、かけ込みの土地処分者が非常に多く出たということから、今度の見積もり違いが出てきたということでございます。同じような見積もり違いが四十八年度もあるかと申しますと、ことしは税率がことしから上がることでございますから、去年のような狂いはことしにおいてそうないんじゃないかというふうに見ますと、ことしの四十七年度は、四十六年度を低く見積もってあるから、これは四十七年度も直さなきゃならぬというふうには必ずしもならないんではないか。去年特別な理由があって年末、特にこのかけ込み譲渡があった、こういう事情だと思います。
#20
○戸田菊雄君 これで終わりますが、いま総理それから大蔵大臣からそれぞれ答弁があったわけですが、前向きの検討ということですから、了承するわけですが、ただ自民党内部でも、ことに総理のあと目と言われている大平さんは、年内減税五千億やるべきだ、こう言っているわけですね。だから党内においても有力幹部がそういうことを言っているんですから、やっぱり私は年内減税やるべきだという考えなんです。ぜひひとつその点は要望しておきます。
 そこで、最後に政治問題について一つ。今回のイスラエルの事件の問題について、これに端を発して、これも現閣僚の有力幹部が次の二点についてそれぞれ発表しております。一つは高見文部大臣。だから学生を取り締まるために、今後は大学管理法というものが必要じゃないかということを言われている。少なくとも、私の理解からいけば、過去の歴史からいって、大管法が設置されるということは、戦争前夜を意味すると思うのです。そのくらい当時の軍国主義、軍閥、こういうものが学校を抑制するためにとられた手段だと私は思う。そういう事態まで、高見文部大臣、現閣僚の口からそういうことを聞いて大管法設置をすべきだ、私はこれは全く不見識というか、そういう考えを持つんでありますが、そういうことが一つございます。
 もう一つは田中通産大臣でありまするけれども、これは警察官職務執行法というものを再検討したいというようなことを発表されております。この二点はかつていずれも大問題になった問題なんですね。こういう政治判断が次々に出てくるということは、非常に私はいまの諸外国から言われているような、どうも日本は経済大国イコール軍事大国になっていくんじゃないかというような危惧の念が持たれているというときに、国内法の反動的なそういう諸立法が今後有力幹部によって発表されるというようなことになると、国民の感じとしてはきわめて危険なものを感じざるを得ないという考えに立つのであります。総理はこれらの問題についてどういう御見解をお持ちでありますか。
#21
○国務大臣(佐藤榮作君) これはたいへんな問題、次元の高いたいへんな問題として扱うべきだと、かように私は思います。ただいま言われるように、最近起きておるハイジャック、そういうような問題次元の低い問題でなしに、今回の問題はもっと高次元で考えるべきじゃなかろうか、かように思っております。したがって、ただいまのようなそれぞれの対策、差しあたりの対策を考える、これも必要なことだろうと思いますけれども、しかしもっと高次元でものごとを考え、そうしてその根源にさかのぼっていかにあるべきかということを十分慎重に考えた上で結論を出すべきである、かように私は思うのでございます。昨日もちょうど下田会談に出てきたブレジンスキー教授としばらく話をしたのですが、それからいろいろいわゆる国際情勢の話が展開されましたが、私はその国際情勢もさることだが、もっと大事なのは、今回起きたアラブゲリラのこの問題だ、これは日本だけの問題ではなくて、おそらく国際的にこういうような問題で皆が頭が痛いのじゃないだろうか、そういう問題をもっと基本的に掘り下げて、そうして取り組む姿勢、これが望ましいのじゃないか、かように思う。そういう話をいたしましたら、先生、そのとおりだ、きみと同じような考え方だ、まず一つは教育の問題、もう一つはマスコミの問題、その二つを、私もその二つが実は問題だ、かように実は思っておるのでございます。ここにもマスコミの方がいらっしゃると思いますが、私はこれはマスコミにおいても十分考うべきことじゃないか、かように思っております。世論を形成する力がマスコミにある、そういうことを考えると、やはり新聞も報道も商品だという本山社長の言動ではなくて、やはりいま商品より以上のどえらい世論形成の力のあるそれを考え、そうしてこのことについて深い反省が必要なように思っております。私はどうも今回の問題は日本の国際信用をなくしたとか、まあいろいろな議論ございますけれども、もうすでによわい七十を過ぎてきて、どうも若い人たちとの間の断絶を痛感しておる一人といたしまして、ただいまのような問題が起きたことについて私は深く反省もし、各方面の協力を得なければならない、かように思っております。それで必要ならば大学管理法もよろしいじゃありませんか、また警職法も必要ならば、必要ならばですよ、これもよろしいじゃありませんか。もっと積極的に、ほんとうに安心してお互いが旅行できるような、そういう世の中にしようじゃありませんか。とにかく今回のような、何ら因縁もない、かかわり合いもない者が、無差別のたまで生命を失う、そういう事態が起こる、このことはたいへんな問題だ、これは深く政治に携わるものとしてもその責任を感じているわけであります。よく政治の貧困が言われますけれども、こういう事件については政治の貧困がまず取り上げられ、しこうしてただいま申し上げるように、各方面にあらゆる面からやはり万全を期する対策が立てられてしかるべきだ、かように私は思います。これは戸田君、いまの一、二の問題について、直ちにその問題にぶっつけられますから、いかにも急場しのぎの対策で、それでは意味なさぬ、こういう意味のおしかり、あるいは御意見の開陳があったと私は理解したいのであります。しかし私は事柄の性格を、どうも政府に関係のないもの、あるいはお互いに関係のないもの、だからそういうような一部のあばれ者の行為だ、こういうのにしてはあまりにも私は行為が残虐きわまる、これは非人道的、非人間的だ、かように考えます。こういう事柄についてはもっと真剣に高次元でものごとを考えないと、こういうあやまちがまた繰り返される、私は政治の最高の責任者として責任を痛感すると同時に、ただいま申し上げるような意味合いから、これに対する対策はもっと真剣にお互いにひとつ考えるべきである、かように私は思う次第でございます。これにはもちろんいろいろの御意見があろうと思います。短時日の間に結論が出るとは思いませんが、これはもっと掘り下げて検討を要する問題だ、かように私は思います。
#22
○鈴木一弘君 総理大臣は政治には小休止がないということを絶えず言われてまいりました。私どももそのことばはほんとうに名言でもあるというふうに思っておったわけでありますが、今回の金利の引き下げの問題でありますが、このことが言い出されましてから、すでに一ヵ月以上になっております。先ほども質疑があったのでありますけれども、この金利の引き下げが、そのまま一ヵ月以上も、もたもたしている、こういう点は、非常にこれでは閣内の統一もできない、いろいろな面で政治不在という感じを金利の問題では、強く感じないわけにはいかないわけでありますが、一昨日の全国銀行大会での総理のあいさつの中にも、預貯金金利の引き下げを含む各種金利の引き下げ、輸入の促進等の新たな対外経済緊急対策を決定いたしましたと、はっきりとやるという意思がここにはおありになる。それから各大臣のその場での出席のを見ましても、同じように預貯金金利の引き下げをして、そうして消費者ローンとか、住宅金融の金利の引き下げを促進してもらいたいというのが、大蔵大臣からも木村経企庁長官からも話が出ております。そういうように、一貫した流れがあるわけでありますけれども、しかも、総理のこのあいさつを見てもわかりますように、いわゆる対外経済緊急対策という新円対策でありますが、その中の目玉商品ともいうべきものが、私は金利の引き下げであったろうというふうに思います。ところが、それがここまで延びてきておる。これではもう政治の小休止どころか、大休止ということになってくるのではないか、金融界も産業界もどこもかしこも影響が甚大ということにならざるを得ません。その点についてどういうふうにこれからお考えになっておるのか伺いたいと思います。
#23
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどもお答えをいたしたのでありますが、閣議決定をして、そうしてそれが進まないじゃないか、こういっておしかりを受けておるのが、ただいまの鈴木君の御発言だと思います。御承知のように、郵政省には郵政審議会がございますから、その議を経なければ、こういう問題をきめるわけにはいかない。ただいまちょうどそれがかかっておる最中で、審議しておる最中でございます。したがって、いわゆる結論はそのうち出ることだと思います。私は最も急ぐ問題だと、かように思いますので、公定歩合の引き下げ等を含んでおりますから、本来なら極秘のうちに決行されるというのが望ましいことでありますが、しかし、今度の問題は、そうでなくて、公開されたその状況のもとにおいて進行する、そういうことで、私自身が非常にあせっておるという気持ちもあります。したがいまして、先ほどのように、特別に郵政大臣に圧力を加えたんじゃないか、こういうような御意見まで述べられるようでございますけれども、これはしかし、私は閣議決定された今日、それを忠実に実施する、こういうことで、この問題と取り組むつもりでございますし、またそういう意味で、ただいま督励しておる最中でございます。いましばらく結論の出るまで待たなければならない事柄でございます。いわゆる制度を無視して強行する、こういうようなものではございませんので、協力して、納得してもらって、そうして実行に移す、こういうものでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
#24
○鈴木一弘君 私はそれはわかる、郵政審議会の結論が出なければならないということは重々知っておりますけれども、やがて一ヵ月たつ、あれほど強硬な反対があるとは、当初予想なさっていらっしゃらなかったんじゃないか、こういう感じもしております。
 それで一つは、この預貯金金利の問題では、民間金融機関からいわれていることは、いわゆる利子に対する非課税の度合いでありますね、これのいわゆるマル優制度というものをさらに拡大する、そういうもので金利の引き下げに見合うだけの貯蓄価値といいましょうか、貯蓄したものの値打ちというものが、下がらないようにその維持を考えろ、こういうことが要求されております。郵便貯金のほうについては、もし引き下げをするということであれば、何かの価値の保障を考えなければならないだろう、一方だけというわけにはいかないと私は思うわけです。いままでいわれているのは、いわゆる貯金の金額の中から、幾らかは貸してもいいというような案があってみたりしているわけでありますけれども、少なくとも、郵便貯金を預けている者が、政府の金融機関あるいは政府関係の金融機関である住宅公庫とか使用する際は、特別な金利の負担というものが下がるとかなんとか考えないことには、片づかないんじゃないかという気もいたします。そういう貯蓄価値の維持ということを、郵便貯金の場合にはどのように考えておられるか。
 それからもう一つは、先ほど申し上げた、銀行等でいっているような利子に対する課税限度の引き上げの問題、これはどのようにお考えになっていらっしゃるか。
#25
○国務大臣(佐藤榮作君) そのやさしいほうから先に申しますが、非課税措置、これにつきましては、おそらく大蔵当局におきましてもいろいろくふうし、それぞれの機関に相談をかけていることだ、かように思います。
 もう一つのほうの、いわゆる貯蓄の価値、これを維持する、こういうことは、これはもうとりもなおさず、逆の方向で説明すれば、物価の維持あるいは物価を安定さす、また安くさす、こういうことにあろうと思います。ところが逆な方向にいっているじゃないか、これが現状でございます。私は一番苦心しているのはその点でありまして、これがみんなが納得のいくような方向であってほしいと思いながら、ただいま物価対策とも取り組んでおるということであります。
 また利子そのものにつきましては、先ほども申しましたように、国際的さらにまた国内的、また国内的の場合においては、それが特殊な機関についての金利、こういうものが別にあってはならない、こういう意味で全部が均衡がとれることが望ましい、いわゆる金融の正常化を来たすゆえんだ、かように思っておりますから、そういう方向で努力してまいる、かように考えております。
#26
○鈴木一弘君 私も郵便貯金の金利の引き下げは絶対反対というわけじゃありませんけれども、そういう少なくとも、何か貯蓄の価値を維持する方法を考えてあげないということは、まずいのではないかという点を痛切に思うものですから、その点は十分お考えをいただきたいと思います。
 それからこのごあいさつの中で、輸入の促進、これは相当強く大きく打ち出された、それでそういうことから、対外経済緊急対策ということを進めていくということでありますけれども、この輸入の促進で一番大事なことは、農産物の中心の輸入の自由化ということだと思うんです。結局そこが片づかないことには、これは輸入の促進といっても、もはやできないところへきておるのじゃないかと思うんですが、その点については、ここまで総理が対外的にも御発表になられたわけでありますから、お考えがあると思うのでございますが、伺いたいと思います。
#27
○国務大臣(佐藤榮作君) この農産物の輸入自由化の問題は、他の場所でも説明をいたしましたので、誤解はないと思っております。日本の国内におきまして、ただいまいろいろの対策を展開中であります。いわゆる国際水準に対応し得るような、そういう生産状況に持ち上げようとしておる最中でございますから、自由化ということがおのずからその方面から制限を受けると、こういうことでありまして、ただいま残っておるようなものについての自由化、これはそう簡単にやるつもりはございませんし、できるものでもございません。そのことで誤解のないようにお願いしたいと思います。
#28
○鈴木一弘君 残存輸入制限云々よりも、輸入の自由化に伴って、はっきり申し上げると、いままでの輸入の制限されていたときと同じ程度まで輸入されるものは優遇されても、それ以上の量になると非常に関税が高くなる措置があるわけですよ。そういう点は、はっきり申し上げれば一種の制限みたいなものであります。そういう点の整理は、これは総理お考えでございますか。
#29
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのは割り当て数量の問題でしょうか。
#30
○鈴木一弘君 いままでの数量でしょうね。
#31
○国務大臣(佐藤榮作君) そうでしょうね。
 その数量の適正化、これはやはりある程度、自由化という状態ではございませんけれども、数量的にはある程度数量の変化があると、増減があると、これはむしろ増加の方向ですが、そういうことはあると、かように理解していただきたいと思います。
#32
○鈴木一弘君 総理は、古くて新しい問題であるということで、物価の問題にも触れられておられるんですけれども、これはだれが見ても古くて新しい問題で間違いないんですが、先ほども話がございましたけれども、一番大きな問題は何と言っても、やはり土地問題であるということは、これは間違いないと思うんです。その点で先ほどは、税制そのものの話があったわけでありますけれども、まあ言えば、この土地問題が解決しなければ、いかなる今後の新しい経済政策として、消費者投資あるいは金融ですか、住宅金融というものに金融の状態を持っていこうとしても、土地問題が片づかなければ、これはパターンを変えることはできないということになるわけです。これは相当強力なものがこれから必要だと、税制以外の面がかなりあると思います。税で言えば新しく、公共投資の場合で言えば公共事業の計画の時点それより二、三年前の価格でもって売買をしなければならないというような、強力な土地対策等が必要になってくるんではないかと、こう思わざるを得ないんでございますけれども、その点はどうお考えでありましょうか。
#33
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、なかなか土地問題についてはこれという名案がまだ私どもに浮かんでおりません。したがって、ただいまのお話しになる点も一つの案かと思いますが、十分検討すべき事柄でございます。
#34
○鈴木一弘君 これはイタリアがすでに成功しているわけですね。日本の場合は認定時であったとかいろいろありますけれども、事業計画の二年前とか三年前の価格でということで凍結をしてから土地の価格が安定しているという点もあります。そういう点は、これは十分先ほどの答弁ございましたから、これ以上申し上げませんけれども、考えていただきたいと思うんです。
 それから、これまでの製造業における設備投資主導型の高度成長政策から新たな目標に向けて脱皮することが必要であると、総理は非常に強調されたわけです。この新たな目標というのが、いわゆる高度成長政策でないとなれば、福祉重点、あるいはいま申し上げたような最終需要といいましょうか、住宅とか、そういう点に力を入れていっての景気浮揚ということになるんだろうと思うんですけれども、その新たな目標に向けてということは、一体佐藤総理として、この年内といいましょうか、在任中に抜本策というものを示される予定か、それともまあこれはそういう方向だけを言っただけで、何も策は示さずに終わるのか、この辺いかがでございましょうか。
#35
○国務大臣(佐藤榮作君) その方向はすでに本年度の予算にも出ておると、かように御理解をいただきたいと思いますし、さらにまた本年度の予算で不十分な点はさらに力を入れると、かような意味で御鞭撻を賜わりたいと、かように思います。
#36
○栗林卓司君 これまでの質疑を受けた形で二、三お伺いしたいと思います。
 総理の御答弁をお伺いしておりますと、わかる気もするんですけれども、よく考えると、やっぱりどうもおかしいなあという気持ちが残ってしまう。ことばじりをとらえるわけではございませんが、二、三例を示して申し上げますと、たとえば医師の所得控除七二%について、特定の職業なるがゆえに七二%もの控除があるということは許しがたいこと、許されないことだと思う、とおっしゃいました。そう言われますと、総理もよく御理解になっているとは思うわけですけれども、じゃどうやって解決するかということになりますと、現在三者構成の委員会があってむずかしい、私の蛮勇をもってしてもなかなかこれは、ということになります。それからもう一つ、ただいま話題に出ておりました土地問題になりますと、これは政治の基本問題である、政府として真剣に取り組むんだというお答えがありますから、それもわかると思うんですが、いざ内容はといいますと、実は妙案はない。この私はそれぞれがむずかしい問題であることはよく承知しているつもりです。ただ、いつまで時間をかけていいんだろうか、結局総理の御答弁の中でうかがえなかったのは、いつまでにどうするんだという時間の問題だったように思います。たまたま七二%と土地問題を例にあげたわけですけれども、そのいつまでにどうするんだということをお示しいただくわけにはまいらぬでしょうか。
#37
○国務大臣(佐藤榮作君) これを含めて実はたいへんむずかしい問題だということを申したつもりでございます。しかしていま七二%の話が出ておりますし、また土地の問題が出ておる。しかし、いまちょうど政管健保の法案を提案しておる。こういうものも、ただいまの七二%に影響なしと、かように考えられない、やっぱりそういうところからこれを片づけようとしておる政府の努力のしかたがあるんだ。そうして、さらにそういうものが成功すれば、いま議論されておる抜本策、そういうものと取り組む政府は用意があるんだと、かように御理解をいただきたいと、かように思っております。
 また、ただいまの土地の問題につきましても、いままであまり成功はいたしておりませんけれども、いわゆる土地の線引き、都市の線引き、そういうような問題もいままでのあがきの一つに政府が採用したつもりであります。しかし十分効果が上がっておらない、そういう意味から、先ほど申し上げるように、これというまだ名案がないんだということを申しておるのであります。できるだけ早くそういうことの実効のあがるような方向で取り組まなければならぬと、これは私もほんとうに追いかけられるような気持ちがいたしておりますから、各党の協力を得れば必ずできることだと、かように私は思っております。
#38
○栗林卓司君 できるだけ早く取り組みたいというおことばのこの問題に対するつかみ方ということで、重ねてお伺いしたい気がしますのは、先ほどテルアビブ空港の問題に触れて、青年問題に総理の取り組むお気持ちをお示しになりました。そこでお伺いしたいのは、いつの時代でもそうであったと思いますけれども、青年の気持ちをとらえている大きなものは、やはり正義感だと思います。そういう青年の目から見て、いまの社会が一体どう映っているんだろうか、これはいつの時代でも完全な社会というのは私はないと思いますけれども、やはり青年の正義感に照らして一番気になる点というのは社会の不公平ということだと思います。それをどうやって正していくかということが、青年のエネルギーを正しく引き出していく道にもつながってくると思います。そこで、社会の不公平ということを先ほどの話題とつなげてまいりますと、たとえば七二%の問題にしても、だれが見ても不公平だなあということなんだし、さらにたまたまある事由によって土地の地主であったがゆえにという土地問題の発生というのは、やはり社会の不公平感というものを大きくかき立てていると思います。そこで総理が言われた青年問題に対する真剣な取り組みの一環として、先ほどはせかれる思いでやっているとおっしゃいましたけれども、結局はそういう青年問題の解決にもつながっていくんだという問題認識を持って税制の問題、負担の公平という問題にもお取り組みになっておいでになると思いますけれども、確認の意味でお伺いしたいと思います。
#39
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、国会の歴史から申しましても、やはり国民負担の不公平是正、これが起源だと言われておりますし、またそういう方向で各党とも努力しておられると、かように私は考えておりますから、そういう意味においては、この不公平をなくするという、そういう立場でものごとを考える、これはもう政治のあり方だと、これが無私なやはり公平な政治、そういう哲理に立たないとなかなかできないことだと思います。ただしかし、いまのテルアビブ空港の連中を直ちにそれと結びつけられると、私はどうも不公平、そういう事柄に関連してああいう無差別攻撃、無差別発砲、それをも許される、かように私は考えませんから、これはつながりのない問題だと、かように考えていただきたいと思います。私は政治の基本、また教育も、もちろん不公平を是認するものではないと、かように思いますし、また正義感、これまた当然のことであります。これが一国正義じゃなくて国際正義、こういう立場でものごとは考えなきゃならないと思います。しかし、その両方から見まして、両観点から見ましても、あの暴徒学生の行動はそのいずれでもないと言える、これだけははっきりしている、かように思いますので、その点は誤解のないように願いたいと思います。
#40
○栗林卓司君 例の犯人については、一切の弁護の余地は私もないと思いますし、あのことから直線で問題を引き出してくるつもりもありません。ただ、総理が先ほど、こうしたこともまた政治の貧困と言われるし、そういう責任を感ずる立場にあるとおっしゃったことからとらえますと、今度の問題というのは、十分検討の時間をかけてとは言いながら、やはりそれぞれに急いでいかなければいけない、そういうことを意識する一つの材料にはなったんではないかということです。
 そこで、続けてお伺いしたいんですけれども、減税の問題について総理も先ほど言われました。あまりきれいごとばかりでは議論が前に行かないように思いますし、たとえば所得減税をしろ、税というのは本来負担するのが国民の義務であるわけですから、とにかくまけろという、これは実は減税の議論ではないと思いますし、また景気対策という点だけで減税を取り扱うというのも本来の筋道ではないと思います。要は、先ほど来言われている負担の公平という観点から、いかに所得税あるいは地方税があるべきかという観点からの追い詰めだと思います。
 そこでお伺いしたいのは、これからの財政需要というものを考えてまいりますと、これは新経済社会発展計画ができなければ具体的なものがないんだという再々の政府の御答弁がございましたけれども、たとえば今日重要な問題になっております老人問題を見ても、あるいは教育問題を見ても、現在の老人福祉が十分だとは総理はよもやお考えにならないでしょうし、あるいはまた教育問題にしても、教師のあるベき待遇ということに対する中教審の答申なり、あるいは設備の拡充ということを考えれば、この二つだけをとってみても相当膨大な財政需要が計算をしなくてもある程度想定はつきます。一方では、負担の公平という観点から、所得減税はやはり進めていくべきだ、こういうことになりますと、その差をどうやって今後埋めておいでになるか、増税をするのかあるいは行政の効率化ということでやっておいでになるのか、あるいは両方なのか、実はこの辺の議論があわせて政府のほうから御提示になりませんと、本当は国民の合意というものは私は育っていかないように思います。いたずらに増税議論だけは避けて減税議論だけということであっては私はいけないと思います。その意味で、今後の膨大な財政需要と、負担の公平ということをからめながら、どうやって税源をさがしておいでになるのか、方向を伺って質問を終わりたいと思います。
#41
○国務大臣(佐藤榮作君) いま目ざしておるところは福祉国家である、あるいは文化国家だ、こういうような表現をいたしますが、いずれにいたしましても福祉国家であることは間違いない。それが高福祉高負担、こういうことにならないようにということが、理論的には高福祉高負担ではあるけれども、そうならないようにと、国民の納得のいくような負担でやってくれと、こういうことだと思います。そうなってくると、いわゆる借金、これが可能かどうか、いわゆる公債を発行することによってその限度は一体どこなのか、これは私は一つの課題だと思います。私は借金をしても、国が借金をして、国がつぶれるというわけでもないような気がいたしますので、この借金はしてもいい、かように思います。しかし、おのずから限度がある。これも非常に借金の利払いに今度はまた借金するというようになったらこれはたいへんだと思いますから、おのずから一つの限度がある。これが一つの財源を直接、税でとるか、あるいはただいまのような借金にするか、これは一つの問題だと思います。
 もう一つは、今度は税の場合に、直接税、間接税、そのいずれによるか、ここに一つの問題があると思います。どうも終戦後、日本の場合には間接税の取り扱い方が国民の理解を得なかったために、今日でも間接税というと、非常な弊害のほうが強く指摘されておるようでありますけれども、しかし、私は直接税ばかりでまかなうということは困難になってくるのではないか、やはり間接税も適当に取り入れるべきではないか、かように思っております。こういうような事柄が、ただいまのお尋ねに対する答弁になるかどうかわかりませんが、私はそういうようなことを、これからあんばいしていくのが政治の問題であり、また税制調査会でも、そういう意味の検討が行なわれると、かように私は思っておる次第でございます。ただいま申し上げるように、国民の負担をどういう方向で負担さすか、いつの間にか負担していたと、こういうようになれば、こんなしあわせはないように思いますけれども、これがなかなかむずかしいことであろうか、かように思っております。
#42
○渡辺武君 私は、総理大臣にいろいろ伺いことがたくさんあるのですけれども、きょうは時間もありませんから入場税の問題について伺いたいと思います。
 この税金が、戦時中に総力戦思想に基づいてつくられた税金で、文化、教育活動に大きな圧迫を与えている、それがいまだに残されている、佐藤内閣の文化、教育政策を案ずる一つの試金石でもあるというふうに考えておりまして、従来もこのような税金は撤廃すべきだということを何回も主張してまいりました。ところが、現在これが悪法であることからくる新しい問題が起こっております。これは福岡市をはじめ全国三十九ヵ所にある子ども劇場とか、親子劇場とか呼ばれている団体に入場税がかけられているという問題であります。福岡にあります子ども劇場という団体は、これはいまの、総理も御存じのとおりだと思いますけれども、エロと暴力を礼賛するような文化がはんらんしているという状態の中で、おかあさん方が月に二百円ずつのお金を持ち寄って、そうして子供を教育するために、具体的に言いますと、子供たちの友情と、その自主性、創造性をはぐくむことを目的としてつくった団体であります。このやっていることは、二ヵ月に一回、例会と称して人形劇やら子供劇やら、こういうものを専門家を呼んで子供たちに見せるということと、それからさらに、子供自身の人形劇や児童劇、それからまた児童文化に関する講演やら読書サークル、あるいはハイキングやキャンプというようなものをやっているそうであります。私どももこういう団体があるということは知りませんでした。一ヵ月ばかり前におかあさん方が上京してきて、いま入場税がかけられて、非常に重い入場税で、会の存続も危うくなっているんで何とかしてほしいということで、各党に陳情に来られて、共産党にもおいでになった。自民党の議員さんの紹介で文部省、国税庁などにも行かれて、いろいろるる実情を述べられたそうであります。こういう団体でありますから、これは社会教育団体であるということで、福岡市の社会教育法二条、十条に基づく社会教育活動を行なう団体だということで、教育委員会の推薦で、従来は五万円の補助を出しておったそうであります。それが四十七年度から三十万円にその補助もふえているという状況であります。この前、陳情に来られたときに、文部省でも、これはりっぱな社会教育団体だというふうに折り紙をつけてくれたそうであります。これに入場税がかけられている。こういうおかあさん方が手弁当で子供たちのしあわせのために一生懸命でやっておるような社会教育活動に入場税をかけるということは、いかにもこれは不当なことだと思いますけれども、その点総理の御見解はどうでしょうか。
#43
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのはどうも私、実情をよく知りませんから、事務当局から説明させます。御了承ください。
#44
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘の子ども劇場の問題につきましては、これは福岡国税局管内で従来からやや問題があったようであります。で、御指摘のように、親子を会員としてそこで例会を催すということのようであります。現在同じような形で労音というものが入場税について訴訟をしておりますけれども、ややその形態と類似したものでございます。ただ問題は、いわゆる入場税に該当する催しもの以外のものをやっておるというところに、その会費の中に区分けすべきものがあるのじゃないかというような問題があるようであります。それにつきまして、それを区分けを明らかにさすために、その帳簿内容等の開示を求めていたようでありますが、その開示ができないということで、税務署側との間にいろいろ行き違いがあるように聞いております。で、もちろんその会費の中に入場料に相当するものというものが区別できれば、それはそれとして処置をするということも可能であろうかと思います。その実体の内容を示す帳簿等の開示を受けて、具体的な措置を講ずべきじゃないかと私どもは考えておる次第でございます。
#45
○渡辺武君 時間がありませんので、総理大臣、質問の通告のときにその点ははっきり申し上げておりますので、総理大臣からお答えいただきたいと思います。
 それで、いま国税庁長官からのお答えもありましたけれども、労音ですか、労演ですか、そういうものと、私はこの子ども劇場というのは性格が違うと思うんですね。その点がわからないというところに一番問題点がありはせんですか。入場税法の九条二項には、学校における教育に資するために、生徒などを興業場等に入場させる場合には非課税とするというような趣旨のことがありますね。ところで、この子ども劇場のような社会教育活動、これは教育基本法にもいうように、学校教育とも並ぶ教育の二本の柱だと思うのですよ。そうでしょう。第七条には、国や地方の自治体がこれに助成しなければならないということも書かれています。当然これは入場税法を改正して、こういう社会教育団体にも非課税措置を行なうというふうにすべきだと思いますけれども、その点どうでしょうか。
#46
○国務大臣(佐藤榮作君) 渡辺君に、私答えないで、事務当局から説明させましたが、私もいまちょっとわかりかねていたのは、三十円の入場免税点、それを百円にした。そのときにもたしか、どの委員会でしたか、皆さんからお尋ねがあって百円にした。これはだいぶ前の話ですから、その後一体そのまま守られておるか、その後変更になっておるか、かように聞いてありますから、それはただいまのところ依然として百円ということなのであります。ただいま言われるような教育施設としての、それが相当多額な入場料を取る、こういうこともひとつ問題があろうかと思います。しかし、私自身は、もっとこういうものについて百円が適当なりやいなや、こういうことを積極的に考えるべきじゃないか。ただいま別の問題まで引き合いに出して渡辺君からおしかりを受けるようなことを答弁しなくて、私ならこれはまじめに答えられたろうと、まじめに事務当局も答えたのですけれども、どうもよけいな、聞きもしないことまで言うから、どうも頭に来るから気に入らなかったのかと思いますが、私むしろ本来の本筋から見て、百円が適当なりやいなや、こう端的に聞いていただいて、この種のものはもっと入場料自身が、おそらく社会教育だと、こういう意味で、市まで補助を出しているのですから、おそらくそんなもの無料でやるのだと、もちろん税金はかかりませんと、こういうようにあってしかるべきものだと、かように私思いますが、しかし、いまの入場税法がある限りにおいては、幾らのものに対してどういうような税金をかけると、これは一つの標準になりますから、いまのまあ百円というものが、いまの時代で入場料としてそういうような低額のものでは困ると、こういうことは実情に合わない、こういうことのほうがむしろ検討すべき問題ではないだろうか、かように私、いまの話を聞きながら思っておる次第でございます。
#47
○渡辺武君 免税点のことを伺っているんじゃないんです。根本的なこの趣旨について伺っているのですよ。それは総理大臣も、お孫さんのことを考えながら私の申し上げることを聞いていただきたいと思う。いまの子供たちが、ろくな文化も身につける施設も何にもない。おかあさん方がそれを見かねて、月二百円ずつお金を出し合って、そうして会をやっている。そうして二ヵ月に一回、子供たちに人形劇その他を見せている。それだけやっているわけじゃないけれども、それを一つとしてやっておるわけですよ。それに対して税金をかけるというのは、一体これは正しいのかどうかということなんです。しかも、いま申しましたように、場税法には、学校教育に資するために、子供たちが映画を見にいったり、演劇を見にいったりする場合は非課税だということになっている。学校教育が非課税ならば、それと並ぶ社会教育活動についたって、これは非課税にすべきが当然じゃないでしょうか。その点を伺っているのです。その点をお答えいただきたい。総理大臣の御答弁をいただきます。
 それからもう一点、時間がありませんので、これは事務当局でけっこうですけれども、いま現実の問題として差し迫っている問題がある。それは何かといいますと、この子ども劇場は、いままで税金を納めていないわけじゃない。税務署とも話し合って、そうして税務署の了解も得て自主申告ということで税金を納めておられる。ところが、突如として向こう五ヵ年間の分について更正決定をやるということで、この六月末までに更正決定をやることになっておるそうであります。これで追徴される。また追徴ということばは適切じゃありませんが、余分にかけられる税金はおそらく二百八十万円だというふうに言われる。おかあさん方がわずかのお金を出し合った団体が、二百八十万円も余分に税金を取られたら、たちまちこれはつぶれてしまう。ですから、税務当局の言い分も、私いろいろ書類もいただいて見てみましたけれども、どうもこの考え方が、国税庁長官がいわれたように、これはもう労演とか、労音とかいうようなものと同じもののように考えておられるけれども、これは社会教育活動ですよ。しかも月に二百円会費を出して、で、二ヵ月に一回、子ども劇場をやる。そうしたら二ヵ月分の会費は全部そのための入場料だというふうな考え方をしている。そうしてほかにいろんなことをやっているのは全然認めようとしない。しかも、入場人員についても税務署の査定が非常に不確かだ。そういうような問題点もあるんです。あるんですけれども、こういう社会教育活動をやっている人たちに対して更正決定をやって、数十万円の税金をあらためて取るというようなことは適切じゃないと思う。やはりいままで税務署との話し合いで、自主申告して税金を納めているわけですから、更正決定というようなものは取りやめるべきだ、いままでのやはり税金で済ませるべきだと思いますが、その二点について伺いたい。
#48
○国務大臣(佐藤榮作君) 第一点は、私十分検討いたします。いまのお話なら、労音あるいは労演というものは取ってもいいような言い方ですが、しかし、そういうものは区別はできませんから、全部いわゆる最低限幾らのものというようなことがやはり基準になるだろうと思います。しかし、十分検討いたします。
#49
○渡辺武君 取ってもいいということを言ってるんじゃない。社会教育活動をやっているのに税金をかけるのは正しいかどうかということを伺っているんです。
#50
○国務大臣(佐藤榮作君) それは誤解のないように、十分検討いたします。
#51
○渡辺武君 検討してくださいよ。
#52
○政府委員(吉國二郎君) 第二点の更正決定をどうするかという問題、私はその内容を実は具体的には存じませんので、これに対して結論的なことを申し上げるのはいかがかと存じますけれども、いま御指摘のように、第九条第二項の趣旨とおっしゃいますけれども、これは学校教育法でいう学校の教師が引率をして入った時という限定がついておりますので、税務署としては、法律上社会教育団体だからという類推でやるわけにはこれはまいらぬと思います。また、自主申告がございまして、それが正しいものであれば、これはもちろん尊重すべきだと思いますが、ただ実際に、いま御指摘にあったように、確かに会費がほかのことにも使われているとすれば、その内容をはっきりしてほしいということは再三申し上げてあるのでありますけれども、張簿は見せぬということで、調査できなかったいう話を私は実は聞いております。これは正確かどうかわかりません。実際に即してやるように 税局に十分注意はいたしますけれども、一般的に、社会教育団体の申告はすべて是認すべしということは、一般論としては申せないというふうに申し上げておきたいと思います。
#53
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、渡辺君、これは十分――この場限りで聞き流して調査する、こういうわけではございません。誠意をもって調査をいたしますから、どうぞその意味に御理解をいただきたいと思います。
#54
○野末和彦君 私の質問したいことはほかの委員の先生から出ましたので、私はいままでのこの委員会で私が政府に質問をしまして、ちょっと納得のいきかねるところが二、三ありましたから、そういうこまかい点について総理の御意見を伺いたいと思います。一つは脱税のことで、一つはサラリーマンの税金についてです。
 脱税については、大口脱税者を調べたところ、脱税者の持っていた隠し金の六〇・四%が何と銀行の裏預金だったということが国税庁の話でわかったわけです。これはいかに裏預金が脱税とつながっているかという証拠だと思うんですね。結果的にこういうふうに脱税に手をかした裏預金を持っているこういう金融機関の数が、都市銀行はじめ七百店から八百店ぐらいにのぼっている。こういうことを聞きますと、これはおかしい。そこで大蔵大臣にお聞きしますと、この裏預金というのは好ましくないから、やめる方向に持っていきたいとおっしゃいます。政府に聞いても、絶滅のために努力していると言うんですが、いまのやり方だとなかなか形式的で、実効があがらないように思えるわけですね。そこで脱税防止の一策として、私は、そういう裏預金を多く持っている金融機関の名前を公表したらどうかということを聞きましたところ、調査がまだ一部だからこれだけ公表するのは不公平になるというような答えなんです。何か銀行の名誉とか信用とか、そういうものを考えての発言のようにも思えたんですが、こういうこと自体が非常に銀行を保護していることにぼくには思えるわけです。少なくも正直な納税者にとっては、脱税なんという話を聞くと、実に腹が立つし、やりきれないわけですね。脱税というのは一種の社会悪ですから、日本では外国のように脱税をにくむという気持ちは強くないかもしれませんが、社会悪であることには間違いない。そうすると、それを助ける金融機関も、やはり同罪なんですからね、名前ぐらいせめて公表してもいいんじゃないかと私は思うのです。総理のお力でひとつ裏預金を多く持っている金融機関の名前を公表するというわけにはいきませんでしょうか、それをお願いしたいと思います。
#55
○国務大臣(佐藤榮作君) 実は私自身もまだ、裏預金を持っている銀行、そういうものを大蔵大臣から聞いてもおりません。もっと調べなければならないことだと思います。ただいま言われておるような裏預金といわれるのがどういうようなものを言われるのか、私ちょっと理解しかねております。これは事務当局から……。
#56
○野末和彦君 それは総理、不勉強です。
#57
○国務大臣(佐藤榮作君) 不勉強ですが、そういうおしかりを受けてもしかたがありません。もう少しよくわかる事務当局から説明させます。
#58
○政府委員(近藤道生君) 仮装名義預金の中には、これはもう御承知のとおり二種類ございまして、一つは、架空名義でございます。もう一つは、実在の人物の名前を使っての預金ということでございます。そこで、それらのものにつきまして、たびたび衆議院大蔵委員会並びに本委員会におきましても御指摘がございまして、二年くらい前からやり方を変えまして、個々に大きな、しかも悪質な仮装名義預金が存在いたします場合には、これを直ちに銀行局に国税庁から通報をしていただきまして、それに対して処置を講ずるということをいたして一おります。現実に特に悪質なものにつきまして注意をいたしまして、その注意に基づきまして、重役の報酬のカット、あるいは降格を含む転勤といったようなことが行なわれている状況でございます。
#59
○野末和彦君 そこで総理、そういうわけなんです。ですから、架空名義ということは、大蔵大臣自体が非常に好ましくないからやめたい、政府も絶滅したい。ですから、名前を公表するぐらいはいいんじゃないか。総理のお力で公表して、それがいずれ脱税防止に役立つということは確実だと私は思うのです。そこで公表していただけるかどうか。
#60
○国務大臣(佐藤榮作君) まあいろいろの問題がありますから、この席で直ちに結論を出すわけにまいりません。しかし、ただいまのような野末君のお話もありますから、十分検討いたします。
#61
○野末和彦君 時間がないんで急ぎますので、それじゃほんとうは納得できませんけれども、次へいきますけれども、今度はサラリーマンの税金ですね。前からお願いしてありますように、総理の最近の税額をちょっとお知らせいただきたい。それは総理のプライバシーにわたるので恐縮なんですが、それを基準に、総理を給与所得者の一人として考えてサラリーマンの税金について質問したいわけです。
#62
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、私の税の問題については、野末君から質問を受けるのは三回目かと思いますね。三回目でしょう。
#63
○野末和彦君 そうです。
#64
○国務大臣(佐藤榮作君) それで、そのつど私は申し上げておるように、私は別に隠しておりませんから……。
#65
○野末和彦君 だから金額を。
#66
○国務大臣(佐藤榮作君) それで、はっきりします。これは私の秘書に扱わしておりますから、この機会にこの席で金額は申し上げません。しかし、ただいま申し上げますように、たしか三回目だと思います。大蔵省に出かければ私の納税額というのははっきりわかるわけでありますから、別にお調べになるまでもない。これは発表もしておるのじゃないかと、かように思っております。
#67
○野末和彦君 ですから、これは総理、税額について総理が重税感がないとかいろいろおっしゃるから、総理も申告所得に対してどのくらいの税金を納めていられるかをお聞きしているわけです。当然総理も公表するのにやぶさかでないということで何度も私におっしゃっていながら、いまだにこれを言わないというのは、実にぼくは何かばかにしているような気もしますが、まあ、それはその金額自体が問題じゃないんですよ、要するに、総理も給与所得者であれば、総理が約一千六百万ぐらい申告所得があって、それを計算しますと、半分は税金なんですね。地方税を含めまして、半分大体税金を取られる計算になるのですよ。ところが、ほかの職業でこれ計算しますと、これからあげる数字は幾つかの前提を置いて計算するので、まあやや問題はあると思うのですが、およその目安が出るのですね。職業が違うとこれだけ税金が違うという目安が出るんです。それでいきますと、サラリーマンの場合、一千六百万だと、まあ半分ぐらい税金、夫婦二人の場合ですよ。半分ぐらい税金ですね。お医者の場合はさっき問題出ましたように必要経費七二というのがありますから、約百十五万ぐらいで済んでしまうのですね。事業所得者の場合、これはいろいろありますが三百万ぐらい、いや笑うどころじゃない、ぼくはちゃんと計算したのですから、ほんとうに。そういうふうに考えますと、八百万総理がもしとられていたら、これはほかの職業と比べて実に不公平感を持つと思うのですね。ただこれにはもちろんこれが間違いだとは言いませんよ。しかし、職業が違ってこんなにも違う。よく内訳を見ると、控除率とかいろいろな問題が出てくる。そこでサラリーマン、ほとんどわれわれの税金は不公平じゃないか、取られ過ぎてんじゃないか、ましてや捕捉率が一〇〇だということで、不公平感を持つので、総理にその点をお聞きしたかったわけです。でも税額をおっしゃらないので、ひとつ総理にあらためてお聞きしますが、まあ圧力団体があるところはいいですよ。いろんな租税特別措置やなんかが出てきますが、サラリーマンは全然そういうものもありませんし、まとまらないから声が弱いですね。だからといっていつも何となく無視されておるようなのではおもしろくない、いままでの改正のようには今度はサラリーマンの減税はやらないというふうに主税局長お答えになったのですが、今回の所得税改正でも見送られているのですが、やはり私はこの委員会でお聞きするのですが、サラリーマンの税金というのは二五%、百五十万の年収ですけれども二五%概算控除があるというのは、これはどう考えても低いと思うのですよ。二五%以下の概算控除のそういう職業があるかというとほとんどないという、実に大蔵大臣あたりもサラリーマンの税金は不当じゃないと、課税バランスはほかの職業と比べて均衡がとれているとおっしゃるのですが、現実にそれを裏づけるだけの根拠というものが非常に薄弱なんです。そこでお願いしたいのですよ、実は。総理は引退後ももちろん指導力と影響力はたいへんなものだと思うので、あえてお願いしたいのですが、ひとつ総理お得意の高度の政治的判断によって、サラリーマンの税金がやはりもう少し安くなって、少なくとも不公平感をいまほど感じなくても済むように、何とか講じていただけないだろうか、そういう指示を与えていただけないか、そういうことをお願いしたいのですが、総理いかがでしょう。
#68
○国務大臣(佐藤榮作君) サラリーマンからは、いま野末君の言われるように、自分たちの給与は、所得ははっきりしておる。どうも重税だと、かように言われます。またやっぱり自由営業しておりますと、どこか隠しているのではないかとずいぶん税金をかけられて重税ですと。各方面で、適正な税を課せられたと、こう言う人は実際国民には一人もおらぬと言っていいような状況です。いろいろ自由営業やっておられる方、あるいは創作に携っておられる方、もっと何か安くなる方法はないか、どうも重税だ。本を一冊書けば幾らと、こういうような話ずいぶん聞きます。そういうことを聞きながら、こういうことの不平があるところを見ると、やはり税負担、これは相対としては高いけれども、わりに各方面から出てくるところを見ると、これは案外公平に高負担をしておられるのじゃないか、こう実は思わざるを得ない。ただいま言われるように、サラリーマンばかりじゃない、このことを私は申し上げて、やっぱり大蔵大臣が税は公平に取っておると、課税は公平にさしておると、かように言っていることは正しいのじゃないか。私はむしろいまのお話を聞くにつけても、大蔵当局の説明のほうにうちわを上げざるを得ないのです。しかし私が申し上げますが、政治家である限りにおいて、何といっても税、国民負担、これはやはり軽減する方向で取り扱わなきゃならない。これは先ほど申したように、だから適当な借金政策もこれは可能だ、かように申しておりますし、またたばこのようにいつの間にか税を払っている、こういうことで、また酒を飲んで楽しみながら税を払っている、こういうようなことも一つの方法ではないかとかように思うのです。私はそういうことを考えると、直接税ばかりが税の取り方ではない、間接税も適当な方法ではないか、そこらの問題をよくあんばいしてもらうことが、税制調査会のやるべき仕事のように思います。かように私は思うのでございますが、いろいろ税金の問題にはむずかしい問題もあります。しかし、考え方によっては、とにかく国民の納得いく税と、こういうことでなければ、党、政府、またわが国の信用というものは得られないと、これだけは銘記すべきだとかように思います。
#69
○委員長(前田佳都男君) 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十七分開会
#70
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案及び租税及び金融等に関する調査、以上四案件を便宜一括して議題といたします。
 質疑に入ります前に、この際、委員長より、税関研修所の件について御報告申し上げます。
 去る三月二十四日、関税定率法等の一部を改正する法律案審査の際、竹田委員より税関研修所の諸問題について質疑がなされ、現地実情調査の要求が行なわれました。この取り扱いを理事会で協議いたしました結果、四月二十六日、新宿区市ケ谷の税関研修所を視察、調査し、まず、研修所長から概要説明を聴取し、次いで委員との質疑応答を行なった後、教室、講堂、食堂、宿舎等を視察し、最後に指導官との懇談を行ない、実情調査を行ないました。その実情調査に基づき、本日再度理事会で協議いたし、その結果次のように各党間の意見が一致いたしました。
 一、税関研修所長は、現在、税関局長の併任となっているが、研修の重要性にかんがみ、専任の研修所長を設けることを前向きに検討することが望ましい。
 二、税関研修所の運営については、研修目的、研修効果、研修生の自主性尊重等を考慮し、各省庁の研修のあり方との関連にも配慮しつつ、その改善につとめること。
 三、自習室等施設の改善、拡充につとめることが望ましい。
 四、研修期間中の研修生の処遇については、公務員研修制度全般の基本的あり方との関連において再検討することが望ましい。
 以上でございますが、大蔵省当局は、ただいま申し上げました点については、十分配慮の上、本理事会の決定を尊重し行なうよう、特に委員長から申し添えます。
 また、これをもちまして税関研修所の問題は打ち切りといたします。
 以上、御報告を終わります。
 ただいまの委員長の報告に対し、大蔵省当局より発言を求められておりますので、この際、これを許します。船田穴蔵政務次官。
#71
○政府委員(船田譲君) ただいまの御報告の中で、御指摘のありました事項につきましては、関係の各省庁とも十分協議の上、できる限り御趣旨を尊重してまいりたいと存じます。
 なお、いまそれぞれ項目を立てられましての御報告でございましたので、ただいま私どもが考えておりますことを申し上げたいと思います。
 第一番目に、専任の研修所長の設置につきましては、来年度の予算要求においてさっそく要求し、実現に努中することといたしたいと存じます。
 第二番目に、研修所の運営につきましては、次のような方針で対処してまいりたいと思います。
 (一)、指導官のあり方の改善につきましては、まず、指導官という名称について、ともすれば一方的な研修生への押しつけの印象が強く、誤解を生じやすいとの御指摘にかんがみ、早急に適切な名称、たとえば教官補のごときでございますが、への変更を検討することといたしたいと存じます。
 次に、指導官の分担事務につきましては、今後一段と基礎科研修の目的にかなった学習指導に重点を置く方向で検討を行ない、あわせて指導官の人数につきましても、縮減の方向で検討を行ない、明年度から実施していくことといたしたいと存じます。
 また、指導官の待遇につきましては、実績に応じて超勤を支給しておりますことばもちろんでございますが、任期中の帰省回数をふやす等、改善をはかることといたしたいと存じます。
 (二)、次に、研修生の自主性の尊重につきましては、御指摘に基づき、すでに実施したものを含めまして、次のような改善を行なうことといたしたいと存じます。
 その第一は、寄宿舎委員、班委員を新たに設け、寄宿舎生活に研修生の意見が十分反映されるよう、研修生とのパイプをより大きくする。しかも、その委員につきましては、輪番制をたてまえといたしてまいりたいと思います。
 次に、集団による外出を実施するにあたっての寮生の自発性の尊重、グループ外出の廃止、外出時の服装制限の廃止。
 次に、起床、消灯時間の改正、自由時間の拡大――休日の前日の自習時間の廃止、授業後の自由時間の延長、これはいま五時から七時半になっておりますものを、五時から八時にしようというものでございます、を実行してまいりたいと思います。
 第三番目に、施設の改善、拡充につきましては、本年度予算において、教室の増築等について一部予算化されたところでございますが、明年度は、視聴覚教室、セミナー室、図書室、このうちセミナー室、図書室は、夜間は自習室を兼用するということになっております。医務室等の建物の建設について予算要求を行ない、その実現に努力する所存でございます。
 なお、御指摘の休養室の設置につきましては、さっそく寄宿舎内の一室をもってこれに充てることといたしております。
 四番目に、研修期間中の研修生の処遇につきましては、これは公務員研修制度全般を通じての問題でございますので、人事院等における今後の検討結果を待つことにいたしたいと思っております。
 以上でございます。
#72
○委員長(前田佳都男君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#73
○竹田四郎君 きょうは先に大分銀行の問題、お尋ねをいたしたいと思います。
 まず最初に、銀行局長にお聞きしたいんですが、大分銀行の大分地域におけるところの地銀としての役割り、あるいは地銀全体における大分銀行の地位といいますか、力といいますか、そうした点についてまずお尋ねいたします。
#74
○政府委員(近藤道生君) 大分銀行が、大分地区におきまして、金融機関として有しております役割りは、きわめて大きいものでございます。地方銀行として、その地方では唯一のものでございます。そういうステータスを持っております。
 それから地方銀行全体の中における地位等につきましては、銀行課長から御答弁申し上げます。
#75
○説明員(清水汪君) 大分銀行の資金量でございますが、本年の三月期について申し上げますと、預金は二千五十六億二千六百万円、これは地方銀行の中では三十五番目という大きさになっております。なお、貸し出しのほうは千七百七十七億九千八百万円、こういう大きさになっております。
#76
○竹田四郎君 それは何位になっておりますか。
#77
○説明員(清水汪君) 貸し出しのほうの順位は、ただいまちょっと計算してございませんが、まあ大体預金の順位に準じておるものと思います。
#78
○竹田四郎君 いま御説明があったように、まあ大分銀行は一県一行という形の銀行でありますし、特に別府湾を中心とするところの新産都市の建設、こういう意味では大きな資金的な役割りというものをいままでも負ってきた銀行でありますし、そうした意味では、たいへん大分県においては重要な銀行だというふうに私も認識しているわけでありますが、実はこの銀行、昭和三十八年だと思いましたけれども、第一組合、第二組合というふうに組合が分裂をいたしました。この分裂のときの状況というのは、ここであらためて申し上げる必要もないと思いますけれども、まさに、その銀行の分裂というのは、組合同士の分裂ということよりも、むしろ銀行側のイニシアチブによって酒食を提供し、あるいは呼び出し、あるいは脅迫めいた発言、まあそういう形で分裂をし、組合の当時の賃上げの要求も、銀行の言う範囲内に押しとどめ、その上執行部不信任というものをやっていくという形で、私ども調査に参りましたけれども、まさにそれば銀行側の要請によっての組合分裂というふうに言って私はよかろうと思いますけれども、まあそのことの是非については、いまここでとやかく私は言う必要はないと思いますけれども、それに伴いまして、従業員組合が第一組合、それから労働組合がいわゆる第二組合ということで、まあ人数的には労働組合のほうが圧倒的に多いという形でありますが、組合分裂のその不当労働行為、これにつきまして昭和三十八年の八月に大分地労委のほうから命令が出ております。この命令は、銀行に対しまして、組合に対して謝罪をしなさいという内容の決定でございます。主文だけ読んでみますと、「被申立人は、」――これは銀行側であります、「その費用をもって縦百九センチメートル横七十八センチメートルの紙に下記陳謝文をわかりやすく墨書し、これを被申立人の本店及び各支店内の従業員の見やすい場所に一ヵ月間掲げ、一般従業員に周知させねばならない。」という命令が出たわけであります。その後銀行側はその命令を不服といたしまして、中労委のほうに再審査の請求を出したわけであります。中労委の決定が昭和四十年の八月に出ておりますけれども、中労委の決定というのは、主文は「本件再審査申立を棄却する。」と、こういう形の主文が出ておりまして、さらに銀行側は中労委のその命令を不服といたしまして、東京地裁に提訴をいたしました。これが四十五年の十二月に東京地裁で「原告の請求を棄却する。」、こういう判決が出ております。大分銀行はこれをも不服として、現在東京高裁に上訴をいたしまして、裁判中という形であります。この不当労働行為を見ましても、三十八年に地労委、四十年に中労委、それから四十五年の十二月に東京地裁、この三つのいわゆる公正な機関といわれております機関によって銀行側は負けているわけであります。このように、銀行側にももちろん言い分はぼくはあると思うんですけれども、どちらかがその理由がおかしくて何とかということならば話がわかるわけであります。いずれも銀行側が負けているという形になっております。
 その次には、昭和四十五年のやはり十二月でありますが、地労委から、そこの委員長がいままで専従でございましたけれども、組合員が減ったから、要するに組合費の総額が少なくなったと、専従はとてもできないということで、専従を解除いたしまして、職場に帰ろうということでありましたけれども、これも一年間にわたって拒否をし続けました。したがいまして、その間の委員長の給与というものは組合が出しているわけでありますが、これについて地労委に提訴をいたしまして、この件も四十五年の十二月に実はその一年間の給与分ですか、それについては支払いなさいという命令が出ているわけであります。
 それから三つ目には、第一組合と第二組合、この人たちの賃金の差別というのはたいへん大きい差別が出てきているわけでありますが、まあ多い人になりますと、年間の給与差というのは百二十五万円、少ない人でも二十一万円という給与差が出ているわけでありまして、この賃金の差別の件につきましても、大分の地労委はその差額を支払いなさいと、こういうことがありまして、これも現在中労委で、銀行のほうが中労委に再審査を申し出てこれもいま審議中、こういうことであります。
 それから、そのほか決定をされている者の中に二人の女性、これはお札を数える仕事を主としてやっているわけですが、これによって腱鞘炎になって銀行を休んだということでありますが、これに対して、これは職業病ではないかということで、おのおのの勤務している場所によって、その監督署が違いますが、八幡の監督署及び大分県だと思いますが、佐伯の監督署、この二つの監督署では、それは職業病だという認定をいたしまして、したがって、現在大分地裁に対して損害賠償請求の民事訴訟が起こされているという状況であります。
 もう一件は、岩井達生さんというんでありますが、この人が病気をして、病気はなおったけれども、一向に職場に復帰をさしてくれないということで、大分地裁に復職申請の仮処分の申請をいたしました。これについては、岩井が勝っているわけでありますが、これについて銀行側はさらに福岡高裁のほうに抗告をいたしましてまだ争っている、こういう状態であります。
 まあ数えてみますと、たいへんな数、不当労働行為では地労委、中労委、東京地裁、それから平岡というここの委員長の職場復帰の地労委の命令、それから賃金差別の事件、それから岩井の仮処分の事件、それから二人の女性の職業病の認定の二つの件、数えてみますと八件が、これは全部公の機関において銀行側の言い分というのが負けている、俗な言い方で負けている、こうして相変わらず三十八年から今日の段階まで、この問題が大分県のただ一つの銀行、しかも、ビルはたいへん近代的なりっぱなビルでございますけれども、その中で争われているということは、どう見てもふしぎでならない。一、二年の争いだということならまだそういう争いがあることはあり得ると、こう思いますけれども、現実に十年戦争だと言ってもいいほど大分銀行の中でこういう労使の関係、しかも、その決定というのは、組合側に筋が通っているという決定、こういうことを大蔵省として十年間も放置しておくということが、一体銀行、大分銀行自体の信用問題にとっても、私はこれはたいへんな問題であろうと思うのです。私、この前行ってまいりまして、できたらこういう機会に、銀行問題でもありますから、こういうところで取り上げるということよりも、ひとつそれは労使間の問題だから、なるべく労使で歩み寄りの態度を示してくれ、そういう態度が見えるということであれば、それはもうけっこうなことだと、われわれがとやかくこういう公の場で言うべきことじゃない、ですから、ぜひ誠意を示してほしい、私はそれを期待を持って見守っている。しかし、いつまでもそういうことが進んでいかないということであるならば、これは非常に残念なことであるけれども、国会で取り上げざるを得ない、いつまでも放置しておくわけにはいかない。したがって、その場合には、場合によってはひとつ頭取さんに出てきてもらうことがあるかもしれぬ、こういうことを申し上げてきたわけでありますが、お会いしたときに、まだこの労働委員会や、あるいは地裁等で問題になっていない、まあ掲示板の問題とか、組合の事務室の問題とか、こういう問題について、これはどこでもまだ決定が出ていない問題である。ひとつそうした問題については、もう少し話し合いを進めてほしいということを特に申し上げてきたわけでありますが、その後組合と銀行側と話が六月一日にあったようでありますが、その中では、私どものところに入った通知によりますと、掲示板も事務室も認めない。人数の多い組合、これは労働組合のほうでありますが――を大切にせにゃならぬ、国会議員の要請も応ずる意思はない、こういうことを言い切っているということを聞きまして、私は非常に両者が話し合いの上で前向きで解決をしていくということを願ったわけでありますけれども、実際にはこういう返事があるということになりますと、どうもこの紛争というものはまだ続きそうだと。かなりの有力な銀行であり、しかも、今後も大分県の産業の発展の上では、県民の信頼を集めて銀行としての役割りを十分果たさなければならない任務を持っているにもかかわらず、こうしたことがその地域で問題になっているというのは、私は非常に残念だと思う。そうした意味で、大蔵省としても、これをそのまま放置をしておるということは、これは国の権威にもかかわるような感じがいたします。地労委、中労委、地裁、こうした機関の決定、もちろん不服があるのもわかりますけれども、それもいろいろ、その決定についてその内容が違っている。まだ争うべき点があるというならば、私わかりますけれども、もうほとんど争うべき点はない、こういうような事態の中で、これが相変わらずこういう紛争が期限もなしに続いていくということは、非常に残念でなりません。そうした意味で、ひとつ大蔵省としてこの問題についてのお考え、どういうふうにすべきかというような点をぜひ聞かしていただきたい。
#79
○政府委員(近藤道生君) まず、基本的には、先ほど竹田委員も仰せになりましたとおり、労使間の紛争に関しましては、当事者間の自主的な解決にゆだねるということが基本でございまして、紛争に直接行政機関として介入するということは避けるたてまえをとっていることはもちろんでございます。したがって、具体的な争点に立ち入って指導をいたしましたり、あるいはその解決を指示するというようなことは、大蔵省としては行なうべきではないと考えております。当事者間の交渉とか、公正な第三者機関の判断によって、円満な解決がはかられることが望ましいと考えております。
 ただ、先ほどもお話がございましたように、非常に紛争が長きにわたりまして、そのために預金者に不安を与え、あるいは取引先に不便を与えるというような事態を生じますような場合には、これは銀行行政の立場といたしましても、黙っておられないわけでございまして、その意味では、絶えず検査のつど等に、非常な関心を持って、こういう紛争問題についての事態の進展は見守っているわけでございます。ただ、現在のところ、これも先ほどお触れいただきましたように、当面、中労委の和解あっせんということが、近日中にあるようでございますので、その決定を見守っている。そうして、長きにわたる紛争が、できるだけ早く終息するということを期待いたしているわけでございます。
#80
○竹田四郎君 十五日、中労委の和解があるということでありますが、この和解の話というのは、たしかすでに一、二回は事前折衝もあったようであります。ただ問題は、この中労委の和解ということが、問題の解決ではなしに、ただ銀行の引き延ばしというような形になるというのを、私はむしろ、この前銀行側とお会いしたときもおそれるわけです。そういう意味で、これからの地方銀行のあり方というものも、いままでのあり方というものよりも変えていかなくちゃならない。そういう事態になりつつあると思います。もっと庶民的なものにサービスをすると同時に、銀行自体の経営内容というものも近代化されていかなくちゃならぬというときに、近代的な労使関係というものが、相変わらずここでもめているということは、これは銀行行政の立場からも、望ましいことだとは、銀行局長も思っていないと思うのですがね。そういう点で、ただながめているということだけではならぬと思うのです。もちろん労働問題でありますから、労働省ももちろんこれはタッチをすべき事項であると思うのですけれども、銀行側としても、いま銀行、金融再編成云々ということが出ているときに、やはり少し考えてもらわなければいかぬだろうと思うのですがどうですか。
#81
○政府委員(近藤道生君) 労使問題そのものは、私ども直接的な介入は一切しないたてまえではございますが、ただ、ただいまも仰せのございましたように、銀行自体が近代化し、大衆化し、脱皮をしてまいるという過程におきまして、労使関係も当然近代化されてまいるということは、全般的に期待されている新しい銀行像として必要なことであろうかと思います。そういう点では、全く御指摘の御趣旨に賛成でございますが、ただあくまでも、これは労使間の問題でございますので、当面この具体的な問題についてどうするかということは、私の立場からは申し上げられないわけでございますが、全般的な考え方を申し上げれば、いま申し上げたとおりでございます。
#82
○竹田四郎君 まあ一つの事件だけというわけのものでなしに、先ほど申し上げましたように、すでに八件の問題がある。各命令、判決が出ている。しかも、まだ係争中のものがある。こういう事態というのは、ちょっと常識では考えられないと思うのです。銀行の頭取は、おれのほうにも権利があるからということで、はたしてそれが、法理的にいえば確かに権利があると思います。しかし、すでに十年もやって、しかも、その一つ一つについて、それぞれの公正の機関の命令ないし判決が出ている。まさに私は少し異常だと思うのです。これ労働省の方はお見えになっておりますか――労働省としてお調べになったと思うんですがね、あなたの管轄にある地方委、中労委、こういうものの命令が全然聞けない。あるいは監督署の裁定、認定というんですか、職業病の認定、これについて守れない。これは、一つや二つそういう場合が、意見が相違してあるというのはわかりますけれども、もうほとんど全部がそうなんですね。これは労働省に対してけんかを売っているような感じすら私は持つわけなんですけれども、労働省は、これをお調べになっての御感想をひとつ承りたいと思います。
#83
○説明員(岸良明君) ただいま先生の御指摘になりました大分銀行の事件でございますが、私どもも大分県のほうからいろいろと実情を聞きまして、非常に関心を持って見ているわけでございます。ただ、先ほど来から言われておりますように、やはり労使関係というものは、何といいましても政府あるいは役所の側で、やはりまあ介入というのか、そういう問題が非常にむずかしい点がございます。あくまでも労使関係というのは、自主的な両者の話し合いで解決が得られるのが一番望ましいわけでございますけれども、ただ当然そういう紛争についての調整機関は地労委並びに中労委等を設けているわけでございます。労働省としては、そういうものの公正な判断が出れば、労使ともにそれを尊重していただく、また私の所管ではございませんけれども、監督署の判断が出ればそれに従っていただくということが最も望ましいし、また期待をしているわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、これは法の制度といたしまして、当然不服があります場合には、不服の申し立ての制度もございます。また司法機関の判断を得るというようなことも許されておるわけでございます。そういう点については、非常にまあ、そういうような権利を使用者側で行使をされるということは、これはやむを得ないことじゃないかというふうに感じております。ただ、御承知のとおり、そういうような紛争の際に、労働者側の権利というものが、非常に解決が長引くということも考慮いたしまして、御承知かと思いますけれども、地労委の初審の命令については、これは履行効力がそのまま継続をするという規定が労組法の中に設けられておりますし、また中労委の会長の判断によりまして、再審査の申し立てがなされた場合におきましても、初審命令の全部または一部の履行を勧告するとか、あるいはまた裁判所に継続される事件につきましても、これは受訴裁判所におきまして、労働委員会の申し立てによってこの当該命令の全部または一部の履行を命ずるというような、そういうような配慮はされているわけでございます。まあそういうわけでございますので、非常にこういう問題の解決ということが、ただいま御指摘のように、非常に長期にわたってあるということは、労使関係の面から非常に好ましくないと思いますけれども、ただ制度的にはそういうような形になっているということを申し上げておきます。
#84
○竹田四郎君 労政局の課長さんね、法理的には確かにそうだと思うんです。しかし、片方は金のあるやつですよ、片方は金のない人たち、労働組合が違うということだけで、ひどい人になれば百二十万円、少ない人で年額二十万円という給料の差をつけられて、これで労働者の生活というものが一体守られるのかどうなのか。私はこれは、法理的には権利の立場からいえばそうだと思うんです。片方は実際は生活が守られていかないわけですよ、ちっとも給料は上がらない。年額百万円の違いといったらこれは相当大きいものだと思うんですよ。ボーナスすべて含めてですけれども、一ヵ月十万近く違うわけです。少ない人でもまあ二万近く違うわけですね。そういう背後の労働者の生活問題、そういう問題をやはり労働省としては考えてこの問題に対処しなければ、ただ権利関係のみで議論をされるということになれば、それは長引いて勝つのは銀行側で、負けるのは――生活上いたし方ないということで、労働者はそこを去るか、あるいは自分たちの組合員としての権利をすべて放棄して裸になって降伏するか、私はそのどちらかになってしまうんではないか。頸腕症の人なんかにいたしましても、生活に困ってくるわけですね。そういう問題を一つお考えいただかなければ、私は労働省としてはおかしいんじゃないか。ただ権利義務の関係で争うだけ争わして、これについては、私どもは、そういうものに役所側が入るのはどうかと思いますということでは、どうも問題は解決しないんではないかと思うんですが、どうですか。
#85
○説明員(岸良明君) ただいま私が制度的なことを申し上げましたけれども、やはり地労委の命令が出ますと、たとえば不利益取り扱いの場合でございますれば、当然不利益取り扱いに対してこれを是正しろ、すなわちバックペイというか、そういう形の命令が出るといたしますと、当然その命令は、たとえ使用者側で不服がありましても効力を持ってくるわけでございます。そういう面で、やはり法制的にはそういうふうになっておるということを前提として考えなければならない。それをすらも、使用者側で履行をしないということになりますと、これはまた別個の問題になってまいります。ただ私どもとしまして、労使関係に対し、政府あるいは公共団体が介入することに慎重でなければならないということを申し上げましたけれども、やはり当然法律上不当労働行為が行なわれてはならないことば当然でございます。かねがね私どもとしましては、都道府県を通じまして、そういうような不当労働行為が行なわれないように十分な指導をしておりますし、また最近でございますけれども、今回の事件と大体まあ類似したような問題が出ておりますので、特に新旧労働組合の対立に関連していろいろトラブルが起きる例が多いので、都道府県においても十分そういう状態を注意しつつ、必要に応じて許される限度で指導していきなさい、こういうような通達を去年の、四十六年の七月でございますか、出しております。私どもとしましては、全く拱手傍観してそういう形のものを見過ごしているのではなくて、やはり許される限度があり、またそういうような必要に応じて必要な所要の指導はする、しかしながら、一方使用者のほうでどうしても法制上争っていく、判断について不服であるという場合には、やはりそれに対する上訴をするというか、あるいは再審査を求めるということまでは制限はできない、こういうことでございます。ですから、もう一度繰り返しますと、初審命令についてはあくまでも効力は法制上確保されている、したがって、使用者はたとえ不服があっても、その間その履行はしていかなければならないというのがたてまえでございます。
#86
○竹田四郎君 もしそういうことが履行されていないということになれば、あなたのほうはどうするんですか。先ほども、いろいろ指導をしているというんですが、具体的にどういう指導をしたか、明らかにしてください。どういうふうに銀行側にあなたのほうは指示をしているのか、明らかにしてください。
#87
○説明員(岸良明君) 私が申しましたのは、当該事案についてどのような形で都道府県がやりますか、これは実を言うと承知はしておらないわけでございますが、一般的に私どもとしては、不当労働行為が行なわれないように都道府県を通じて各般の指導を行なっておるということでございます。それからこの通牒にございますように、やはりそういう問題にトラブルが最近多いので、この通牒におきましては、特に十分に事前の労働教育等を通じて啓蒙につとめるとともに、また実情の把握につとめて、そういう必要に応じて適切な指導あるいは助言をするようにしてくれというような趣旨のことを書いてございます。特に人権問題にわたるような場合については、地方法務局とも十分連絡をとって対処をしろと、これは一般的にそういうふうに申しておるわけでありまして、当該事案について都道府県当局がいかなる対処をしたかということについては、私は現在のところ承知しておりません。
#88
○竹田四郎君 中労委の命令が出たのは、四十年の八月ですよ。もう七年間たつんですよ。あなたのおっしゃったことは、おそらく一般的なことしかおっしゃっていない。この件について承知していない、そんなばかなことはないと思うのですよ。中労委の決定が出てから七年間、両者がその決定によって落着したということであれば、それはあなたのほうがそれについて承知していない、と言ってもかまいませんよ。その後も続々と労働省管内でも、この労働委員会でいろんな議論がされておる。あなたのひざ元の東京の地裁でも判決が出てる。こういうような事態を七年間もあなたは承知していない、労働省は承知していないというのは、私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが。少なくとも、承知している、ぐらいのことは私はおっしゃられるだろうと思ったら、承知していない、というのはちょっとあきれるのです。それが労働者の団体の育成を心がけている労働省のあれとは思わないのですが。あなただけが承知していないというならわかりますよ。労働省がそれを承知していないというのは、ちょっと私は労働行政に首をかしげざるを得ない。どうですか、その点。
#89
○説明員(岸良明君) 私が申し上げましたことは、あるいはことばが足らなかったと思いますけれども、具体的に先生のお尋ねの点は、組合のほうで中労委あるいは裁判所に提訴をしている間に、どのような、実際的な不利益取り扱いに対して対処をされているか、それに対して県が指導しているか、こういう問題だろうと思うのでございます。私は具体的にどういうような指示を県が行なったかということについては、これはまことに率直に申して、明確には私は知っておりませんけれども、ただ、私どものところへ報告が参っておる限度におきましては、たとえば組合分裂をめぐる事件について、これは現在裁判所のほうまで争われている問題でございまして、その点については、これはそのうち、組合のいわゆる労使間の動向というものは当然大分県は注視をしておるというふうに思います。それからその委員長の職場復帰の問題につきましては、これは御承知だと思いますけれども、三十九年の六月十四日にすでに職場復帰が実現されておるわけでございまして、あとは残された過去一年間における、いわば復帰を拒否されてから一年間の問題が争われているということで、これは現実には過去の既往の問題が争われているということでございますので、少なくとも現在においては一応の解決を見ておるというふうに考えております。
 それからあとは、三番目の組合活動の差別問題につきまして、いろいろ先ほど御指摘がありましたような問題でございますけれども、これもやはりなかなか労使間の合意が得られない問題でございますので、おそらく動向等は刻々と県のほうでそれを聴取しまた把握をしておると思います。ただその中に入りましてどういうふうにこれを解決しろと言いましても、労使間のいろいろの対立の問題でございますからなかなか対処がむずかしかろうと思います。
 それから賃金差別をめぐる諸問題につきまして、これはやはり現在いわゆる労働委員会の係争中の問題でございますので、この点についてやはり直接この問題に入っていろいろ対処をするということはなかなかむずかしい問題があろうと思います。ただ、当然地労委のほうで差別取り扱い等についてバックペイ等を命ぜられた、具体的な命令が発せられたものについては、当然都道府県におきましては所要の指導、勧告を行なっておるものと私は承知しております。
#90
○竹田四郎君 私はちょっと、労働省がそういう態度というのは驚いたのですがね。労働省はもう少し長引く紛争については、それは確かに法的ないろんな問題はあろうと思うのですけれども、何らかの形で、やっぱり早くそういう状況というものをなくしていくというのは大きな役割りだと思うのです。あなた自体がどうも、ただ、客観的な立場でいままでの状況というのをあまりよく御存じないのじゃないか。分裂のときのいきさつ、こうしたものも私は労働省の方に、組合が発行した、どういう状況で組合が分裂したかというその資料については差し上げてあるはずです。ですから、銀行側だけではなしに、組合側の意見もそういう形で私はあなたに御判断を願おうというわけで差し上げてあるわけです。組合分裂の経過か小見ても私はおかしいと思うのです。先ほど六月一日に、組合と銀行側との交渉の中でも、片一方の組合は人数が多いから大切にせにゃいかぬ、私はそういうことは労働組合法の中にあるとは思わないんですよ。団体のいかんを問わず、それは同じように待遇をしなくちゃいかぬと思うのです。そういうことがいま平然と言われているわけです。どうもその辺私はあなたの答弁が理解できないのです。労働省というのは、そういうただ見守っておるという役割りしかしないのですか。私はそうじゃないと思うのですけれども。長い紛争についてはやはり労働省が乗り出していく、当然だろうと思うのですよ。しかも、あなたの下部機関で、あなたの関連的な機関が、いずれも出している決定というものについては守っていないんですよ。労働省、これでは何を経営者側がやったってものを言えないということじゃないですか。それで労働省の役割りがつとまりますか。どうもあなたの見解は私は賛成できないのです。あなたはそういう形でこれからもやっていくというのだったら、もう労働省なんか要らないですよ。私の見解が間違っているなら間違っていると言って下さい。
#91
○説明員(岸良明君) どうも私のことばが足りませんので真意を御理解いただけないと思いますけれども、ただ、権利の争いになりますと、これはやはり法律的な判断によって解決をしていかなければなりません。また不当労働行為問題については、御承知のとおり労働委員会の制度があるわけでございます。この制度を通じて解決をしていくということが私どもの、労働法のたてまえであると思うわけでございます。ただ、その間に先ほど来申し上げておりますように、やはり一応の判定を得るまでには時間がかかっておる問題もございますから、労組法上には初審命令についての履行の確保とか、あるいは中労委会長の勧告であるとか、あるいは受訴裁判所の命令であるとか、いろいろの措置が講ぜられておるわけであります。たださらに労働省の立場といたしましては、そういうような労組・労調法その他関係法の履行を完全に確保していくとともに、あわせてやはり労使関係問題について所要の指導をしていくということでございます。決してこの問題について等閑に付しているというわけではございませんで、やはり現在中労委で和解の話し合いが進められておる、そういう状態を非常に私どもとして重大な関心を持って動向を見ているわけでございます。また必要な事態になりますれば、また許される限度において必要な指導等を行なっていくということは決して否定をしているわけではありません。
#92
○竹田四郎君 あなたそう言うけれども、それじゃたとえば委員長の職場復帰の問題で、大分の地労委が組合側に百十万七千三百七十一円支払え、こういう命令を出しているわけです。こういうことを銀行がやっていますか。あなたのほうの命令は一つ一つ全部聞かれていないじゃないですか。なぜそういうことをやって、中労委でそれが変わったならばそれを返還されるとかなんとかいう手があろうと思いますね。片一方が金があるのに片一方は金がないんですよ。それを平等に扱うという考え方は私は労働省の考え方じゃないと思う。労働組合そのものの意義というのはそういうことでしょう。労働者が団体をつくってやるというのは、金では争いができないから、団体をつくって力を大きくして交渉をしようというのが労働組合の本旨でしょう。あなたの話では、これはもうそういう点を忘れて、一対一の形でそうした経済的な背景というものを考えないでおやりになっているというふうにしか私はとれませんよ。具体的にその地労委なり中労委の命令を有効であるというなら、あなたのほうはやらせる努力をしたらどうです。いつまでも引き延ばされていたらかないませんよ、それは。もう昭和三十八年ごろからですから、年齢的に見ましても、もう退職の期限に近づいている人だってあるわけです。もう退職の期限がきてから決定が出たって、これは何ら意味ないじゃないですか。その辺もう少し考え直してもらわなければいかぬと思うのですがね。相変わらずいまのような状況で、大分銀行の問題についてあなたは対処するのですか、どうなんですか。
#93
○説明員(岸良明君) ただいま御指摘になりました平岡委員長の件でございますけれども、これは中労委に上がりました段階で、御承知かと思いますが、四十六年の一月二十九日に、中労委会長の判断によりまして初審命令を履行せよという勧告を出しております。ただこれはもう制度的にその初審勧告、そういうような中労委会長の命令、履行勧告に従わない場合の罰則というのは何もないわけでございます。強制の方法というのが制度的にはないということでございます。したがいまして、労働省としては、特に労働委員会でございますけれども、法上認められている形におきます履行確保のための措置はいままで当該事件については尽くしておる、こういうことでございます。
#94
○竹田四郎君 どうも労働省の態度、そういうあり方というものはちょっと承認できません。いつまでも放置して、法的なことばかり言っているということでは、私はこれは少なくとも労働者の生活というのは守れないと思います。これはもうできたら私は委員長にお願いしたいのですが、労働省のこういう態度だということですと、私はもう少し銀行側の態度を明らかにしないといつまでたっても解決できないと思うのです。ですから、関係者を呼んでその人たちのひとつ意見を聞かざるを得ないと思うのでお取り計らいをいただきたいと思うのですが、どうですか。
#95
○委員長(前田佳都男君) ただいま竹田委員から御要求の件につきましては、いずれ理事会にはかりまして検討いたしたいと思います。
#96
○戸田菊雄君 ちょっと関連して、労働省に質問するのですが、いまのあなたの御答弁の中で、中労委が、不履行部面について勧告をした、しかし現地では、いまだにその勧告に従って履行をやっておらぬ、こういうことなんですね。またいまそういうことでもし履行しなかった場合、これは明らかに罰則規定がないというのだけれども、法規課長としてはそういう不備な法律態様というものについてどういう改善を今後考えておられるのか、その辺の見解をまず聞かしてください。
#97
○説明員(岸良明君) ただいま御指摘の問題でございますけれども、初審命令を出されまして、そして初審命令についての履行勧告を四十六年に行なったわけでありますけれども、やはり当該事案について争っておるということで、その履行はなされていないと私は承知をいたしております。そこで、確かに先生の御指摘のとおりに、この制度についてもっと強力な方法がないかということは、これは私どもかねがねまあいろいろとそういうような御意見を伺っておるわけでございます。ちょうど私どもの労使関係法研究会、これがいままで、現在も継続しておりますけれども、そこでも労働委員会制度について、すでにある程度の検討を了しまして、そういうこの報告書については、一般に公表をいたしておるわけでありますが、その中におきましても、やはりこういう労働委員会制度がいろいろと問題点があると、また改善すべき事項もあるということの指摘を受けているわけでございます。ただ、現実にどういうふうにしていくかということは、やはり全体的ないろいろな労使関係法全般の問題にも関連をいたしますので、私どもとしては、社会全般のいろいろな動向を見た上で、この報告書にある事項をどのような形で実現をするかということを、目下慎重に検討をしている状態でございます。
#98
○戸田菊雄君 まあ慎重に検討するというのは、罰則規定を設置をするという方向で検討をされているのかどうかですね。
 それから、そういう労使紛争自体は原則としては労使自体の中で自主的に解決する、これは原則です。それはわかるのですけれども、いま全国的にそういう紛争状況から未解決事態が山ほどあるのですね。これは銀行ばかりじゃない。そういう場合に、行政官庁としてみだりに介入することはいろいろな部面で規制もし、みずから規制をしておられると思うのですけれども、こういう場合の不履行事態に対して、労働省は明らかに行政官庁の一員だろうと思うのですが、これはやはり正当な勧告なり労働者保護のために各般の行政指導というのはあっていいのじゃないか、経営者に対して。それは大分銀行の場合は、いま竹田委員がいろいろ御指摘をされましたように、これは悪らつですね。犯罪行為ですね、労働者に対する。こういう問題についてももう少しやっぱりきびしく行政官庁として何らかの手だてをとったほうがいいのじゃないかという気がするわけです。年限も相当長い。そういうことになっているのですから、そういう見解はどう一体持っておられますか。
#99
○説明員(岸良明君) 御質問の第一点でございますけれども、罰則を設けるように検討しているのかと、こういうお話でございますが、現在そういうような形ではまだ具体的には考えておりません。御承知のとおり、昭和二十年から二十三年までの間、こういうような直罰規定が不当労働行為にあったわけでございますけれども、それはいろいろの経緯から、御承知のとおりに現在の原状回復制度に改めたわけでございます。また、それに対しますところの労働委員会の判断についても、強制力を持たせるべきであるとか、いろいろな意見がございますけれども、やはり将来の円滑なる労使関係の存続ということを考えますと、そういう形ではなくて、できるだけ労使間の相互の合意によって問題の解決をしていくということが必要であろうということで、あまり強制的な形はしておらないわけでございます。ただ、御指摘のような問題点については、あくまでもこれは使用者側のほうにおいて労働委員会の命令あるいは中労委の命令等について、さらに裁判を続けていくと、そういうために労働者の保護が欠けるという場合に何らかの措置が必要かという点は、これは研究会のほうでもそれを指摘しておりますし、私どもとしてもそれについて何らかの措置をとるべきだということを考えておりますが、ただ罰則によってこれを強制すべきであるという点については、私どもそこまではいまのところ考えておらないという状態でございます。まあこれからより検討をいたして、どういう形にいたしますか、まだ研究会が継続中でございますので、今後の検討課題として私どもさらに慎重に検討を進めてまいりたいと思います。
 それからその間において行政指導をやるべきじゃないか。確かに私どもとしては、不当労働行為が起きるということは、これはもう法律上認められるべきことじゃございませんので、できる限り私どもはそういう面について労使に対しアドバイスをし、また両者において話し合いができる場をつくっていくような努力をしたいと思いますけれども、ただ、一方の当事者がどうしてもそれに対して法で許された制度で争っていくという場合についてまで、なかなか現在の制度では、これは労働省あるいは都道府県において介入ができない、あるいはそれに対して積極的な指導ができないということが現状でございます。決して労働者のいわゆる権利の保護をなおざりにしつつ、そのまま傍観をしておるわけぺはございませんけれども、制度のたてまえから見ますと、その限界があるという点は御了承いただきたいと思います。
#100
○戸田菊雄君 まあ行政官庁として、当面この経営者に対するアドバイスをやっていく、こういうお話です。現に起きている各種仲裁機関の一定の結論を得て、労使問題としていま残されているこの問題について、直ちにあなたのほうで適切なアドバイス、そういうものをやる手だてはありますか、どうですか。
#101
○説明員(岸良明君) 先ほど来申し上げておりますように、現在中労委で和解の話が進んでおります。むしろそういう形で、いままで、まあ相当長期にわたって問題がこじれてまいりましたけれども、せっかく労使の合意によって中労委の場で話し合いを進められておりますので、現在の時点では私、その状態を、やはり推移を見ていきたいと、こう考えております。ただ労働省といたしまして、その進展の状況に応じて必要があれば、所管の大蔵省ともよく御相談の上で所要な措置を講じていく、まあ私どもの許される限度におきましてできるだけの努力はしてまいりたい。かように考えます。
#102
○竹田四郎君 現実には労働委員会等でも頭取なんか出てくることないんですね、いままでの状況で見ると。ほとんど権限を持たないような人たちが出てきている。これじゃいつまでたったって結論出せないでしょう。で、いまの御発言、戸田委員の御質問の御答弁の中で、まあ何か労働省としても動くべき場所があったら動こうというように聞こえる御答弁があったわけですけれども、一応十五日ですか、中労委の和解があります。この和解が一体どうなるか、これは私も注目して見ているところです。もしこれが引き延ばされるような会合であれば、これは労働省としても、それは公式、非公式はいろいろ手はあると思います。労働省として両者を呼び、紛争の早期解決という形での説得ですね、こういうものは私やっても行政権の逸脱じゃないと思うんです。十五日の経緯によって、そういうこの十五日の中労委の和解の会議がいたずらに引き延ばされる、こういうような事態であるならば、労働省としてそういうふうに私は入っていいと思うんですが、そういうお考えはございませんか。
#103
○説明員(岸良明君) いま和解に入ったばかりでございますけれども、進展の状況に応じましては、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、労働省の立場といたしまして、労使双方から事情を十分聴取をして、何らかできる限りのことはしてみたい、かように思います。
#104
○竹田四郎君 まあここで論議していると、かなり平板なような、労使が対等のような感じの議論にいまのところなっちゃっているような気がしますが、これは会ってお話しすればわかると思います。私は非常にそういう点では対等ではないと思うんです、この問題は。対等な中で話が行なわれるということであれば、先ほど労働省のお話の一般論で私はいいと思います。そうじゃないんです。だからこそ私は、初めからこの事件の説明をしたわけです。まあそういう点ではひとつ十五日を見ております。それでも解決ができないということであれば、解決のめどが全然つかないということであれば、これはどうしたってそのままでおくということになれば、これは片一方に対して非常な不利を強要する、こういうことになると思うんですけれども、ひとつ労働省としても、それから銀行局としても、これは直接ではないと思うんですけれども、十年戦争をやらして、それを平然としているということじゃ私は困ると思うんです。これからの銀行の役割り、あるいは大分県の経済状況、こういう観点から見ても、こういう問題をいつまでも続けさせておくというのは決して銀行行政としても私はほめたものじゃないと思うのです。こういう点では両者の御努力をひとつ特に強く私は要請しておきたいと思いますが、いかがですか。
#105
○政府委員(船田譲君) ただいま竹田委員から御指摘になりました件につきましては、先ほど銀行局長が答弁申し上げましたように、労働問題そのものにつきましては銀行局が直接関与すべき問題ではないと思いますけれども、ただ、地方銀行で、大分県地方におきましては、非常に信用業務としては重要な機関でもございまして、労使関係の円満な慣行が行なわれますことが、銀行の本来の業務であります国民の与信、受信業務に対する非常に重要な要素であるという見地から、十分銀行局としても、大蔵当局としましても、注目してまいりたいと思います。
#106
○戸田菊雄君 ちょっと次官に。
 いま竹田委員が指摘されましたように、大分銀行でそういう紛争状態が十年間も続いている。これははたして経営モラルとして好ましいことですか、どうですか、見解は。
#107
○政府委員(船田譲君) 好ましいことではないと存じます。
#108
○戸田菊雄君 もちろん労使紛争ですから、みだりに監督官庁が立ち入るということは、これは好ましいことじゃない。まあしかし、いま言ったように、一定の手続を踏んで、労使双方が各般の仲裁機関を通じて、命令も出て、いろいろこの際きまっておる多くの要求事項があるわけですね。そういうものすら実行しないというのですが、この辺なんかは、私はやっぱり経営者の責任というものはきわめて重要だと思う。そういうものに対する、先ほど労働省の指摘もあったようでありますが、指導監督庁としては、それをいわゆる早期解決するための一つのアドバイスというのですかね、そういうものは当然あっていいじゃないか、経営者に対して。これはまさしく私はさっきも指摘したように、犯罪行為だと思うのですね。これは賃金なんというものは、労働者にとっては生活権の基本をなすものです。そういうものを、同じ年数の同僚と比較して二万円も違うということになれば、だれが見たって、これは常識的にいったって、たいへんなことだと私は思うのです。そういういわば経営上に含まれる管理上の諸問題について、常識を逸脱したようなそういう問題を、そのまま紛争の形で継続させておく、こういうものについては、経営者はもっと、何と言いますか、上からもう少し営業できないというくらいひとつやってもいいんじゃないか、そういうことすら考えるのですね。まあそこまで極端にいかなくても、何らかの形で早期決着がつくような手だてを労働省としても、あるいは大蔵省としてもやってみてもいいんじゃないか。その辺はどうですか。
#109
○政府委員(船田譲君) 承るところによりますと、この六月の十五日に中労委の和解を前提としての第三回目の審議が開かれるというふうに承っておりますので、この問題につきまして、大蔵当局がいま問題を労使の点に限って言及することは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、一般論といたしまして、銀行当局といたしましても、非常に重要な地方銀行の経営のあり方でございます、姿勢でございますから、いま言われました御意見を踏まえながら指導に万全を期していきたいと、こう考えております。
#110
○竹田四郎君 それじゃ銀行関係はここで一応終わりまして、税関問題に入ります。
 関税局長、きのう一日いろいろお調べいただいたと思います。横浜税関のほうからも通知をし、その他のほうからもいろいろ、まあ全税関の組合のほうからも、各税関からも、組合からも行っておると思います。お調べになりまして、結論としてどうお感じでございますか。
#111
○政府委員(船田譲君) ただいま竹田委員から御質問になりました件、一昨日、私どもの答弁、はなはだふできでございまして、たいへん申しわけなかったと思いますので、便宜私から答弁をいたしまして御了解をいただきたいと思います。
 一昨日、竹田委員からお尋ねのありました横浜税関の件につきましては、早速現地の税関局を督促いたしまして報告を徴したところでございます。
 まず、あのお見せいただきました通告書に書かれておりました現在の等級号俸につきましては、三名を除きましては誤りがないというふうに認められます。通告書に載っております四十人の方の勤務評定につきましては、これは総理府が昭和四十一年の二月十日に出しました総理府令四号というのがございまして、勤務評定は非公開の原則でございますので、個々人の方がどういう評点であったかということに言及することは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、全般的に申し上げられますことは、必ずしも良好であったとは申しがたいということだけ申し上げておきます。
 また、過去の人事上の処遇につきましては、これは人事管理のことでございますので、ここで公表申し上げることははばかりたいと思いますが、ただ御質問の重要性にかんがみまして、人事記録等を調べさせてみましたところ、この中のかなりの者が過去におきまして懲戒処分または矯正措置等を受けたことがあるようでございます。
 以上でございます。
#112
○竹田四郎君 勤評自体、人間がつけるものですよね。で、ある程度当時の、三十八年以降の――先ほどの大分銀行も三十八年、これも三十八年、非常に三十八年というのは符合するわけですが、その辺に私はおかしいところがあると思うんです。大分銀行と同じようにかなり職制という肩書きを使っていわゆる第二組合のほうに入っていかないかという勧誘をした実績というものはたくさんあるわけです。そういう中でつけられている勤評ということでありますから、これはその勤評が必ずしも公平なものだということば、私は言えないと思う。あなたのほうは公平だと思うだろうけれども、全体としてはそういう中で――先ほどの大分銀行も同じです。私はそれがBだとかCだとかいうようなつけ方というのは必ずしも客観性がある、こういうふうには思わない。そういう勤評によって昇任、昇格というものをやっていくということになりますと、これはやっぱりひずみが出てくる。だから、あまり勤評の表ですね、これのみをたよりにしていくということでは正確な人事というものは期せられないんじゃないか。これがそういう状態でない、まさに平常の状況のときなら、私はある意味でそれが大きな、しかも有力な昇任、昇格のめどになっていくということは思いますけれども、そうした異常な状況の中でありますから、それだけが一つの選考の基準になるということは、これは私はあまり信頼すべき基準とはちょっと思われませんので、その点はひとつ次官におことばを返しておこうと思う。
 また、過去にそういう事態が起きたということでありますが、そういう職場規律の問題自体で、起きた内容ですね、どういう事件、どれほどの事件かということでやはり考えてみなくちゃいかぬと思うんです。ただそういう何らかの罰則規定を受けたからという、その結果だけ見てはならぬ。
 たとえば最近もこういうことがあった。これは東京税関の話でございますが、組合の決定で、何か机の上に紙の筆立てを置いた。そして、税関長さん人事差別はやめてください。こういう小さな筆立てを紙でつくってテーブルの上に置いた。そして、その人は翌日休んで奥さんの実家へ何かそういう関係の用事で休暇をとって行ったそうです。そうしたらば、その所属の課長さんだかが、その奥さんの実家まで電話をかけて、出てきたのは奥さんだ。うちの主人はそんな悪いことをしたのか、実家まで追いかけてきてまで調べると、そんな悪いことをしたのか。それで御亭主が帰ってきて、どんな悪いことをしたんだというふうに聞いたそうであります。そういうことまで税関としてはやらなくちゃならないのか。やめたわけじゃないんですから、出てきてから聞いていいと思うんです。そこでそのうちはたいへん夫婦げんかになったそうです、実際はそのことによって。何か東京外語を出ているんだそうです。だから奥さんの実家のほうの家庭では、もう係長ぐらいにはなったんだろうと思っていたんだそうですが、それによって一ぺんに平の職員だということがわかってしまって、たいへん評価が実家で落ちてしまったということで、何てだらしのない亭主だということになって、夫婦げんかが現在起きているという話です。どうして奥さんの実家まで電話をかけなければいけないのか、そのくらいのことで。私は、そういう人事管理というものをやってたんでは、ほんとうに職員を信頼して仕事ができないと思うんですね。職員のほうも上司に対して常に疑いを持ちながら接していかなければならないと思うんです。それがものすごく仕事の妨害になったわけでもない。まあ最近のいろんな裁判所の判決でも、そういうものを処分の対象にするということは必ずしも認めていないような状況ですよ。
 そういう形で点数をつけていけば、これは悪くなるにきまっているんです。だから、もう少しそういうのはフェアな人事管理というものをやっていかなければ私はいかぬと思うんです。そういうことで差別すれば、何だって差別のしかたありますよ。私なんかの机の上なんていつもこんなにがたがたですからね。机の上を整理すること、それを整理してなかったらあれば庁舎管理規則に違反だ、ひとつあいつにCをつけてやれ、私はこういうことになっちゃうと思う。ばかやろうと書いてあったらおまえけしからぬ。だから、その辺の人事管理というものを私はもう少し血のある人事管理でいいと思うんです。そんなに長く休むわけじゃないんですから、もしそれが気に入らなかったら、出てきたときに呼んでおまえどうしてこれやったんだと聞けばいいことだ。私は、そういう人事管理を税関の中でやっているということになれば、とてもいまのようなこういう事態というのはいつまでたったって直りゃしないと思うんですよ。どうですか。もう少しそういう点はぼくは反省してもらいたいと思うんですがね。
#113
○政府委員(船田譲君) ただいま竹田委員から御注意のございました点につきましては、事実関係は私のところへまだ報告がきておりませんのでよくわかりませんですが、大蔵省としての態度といたしましては、職員がどの職員団体に属しましょうとも、それによって差別してはならぬという鉄則を貫いておるつもりでございます。ただ、人的関係というものはお互いに相手のあることでございますから、誤解を受ける行動ということもそれはないわけではないと思います。したがいまして、いま竹田さんより御忠告がございましたように、人事管理につきましてはこの上とも明朗にやって、よき人的関係で進められていくように指導してまいりたいと思います。
#114
○竹田四郎君 直接は関税局長ですがね、そういうようなやり方の人事管理でいいんですか。あなた、もう少しそういう点信頼をして、私は出てきてから聞いたっていいと思うんですよ、そんなもの。わざわざ奥さんの実家まで電話を入れてどうだこうだと聞く必要はないと思うんですがね。次官はおそらくそんな現場まではなかなか人事管理できないと思うんです。ここにいる中で一番人事管理のそういう点で責任の持てるのは局長だと思うんです。局長、そういう形の人事管理というものは、私は人間関係をこわすだけだと思う。つくり上げるんじゃなくてこわすだけです。出てきてから聞いたっていいじゃないですか。一々国費を使って栃木県の山奥まで電話をかけなくたっていいわけです。
#115
○政府委員(赤羽桂君) ただいま御指摘の点でございますが、奥さんのところへ電話をかけて云々というお話しでございますが、夫婦生活の中まで入りまして、夫のほうの仕事の有無についていろいろ言うというのは、もしそういう事実がございますれば、ややこれはちょっと逸脱をした話ではないかと思うわけでございますけれども、たとえば全然無届けで役所へ出てこぬ、それで奥さんのところで聞いた、これならよろしいわけですけれども、さようなのは、いささか極端な、もしそういうことがございますれば、はなはだ不合理ではないかという感じがいたします。ただいま政務次官からも申し上げましたとおり、さようなことで要らぬ誤解を招くというようなことは、全体の職場規律、全体の職場の空気をさらによく明朗化するという点から申しましても、これは避くべきととではないかと、さように感じております。
#116
○竹田四郎君 私はその一つの事件を調べろとか、それを処罰しろということで申し上げているわけじゃないんです。こういうようなやり方をやっていた中で、勤評がつけられるということになったら、これは私はいい勤評はその人にはつけないと思うんですね。ですから、過去にそういういろいろないきさつがあると思うんです。だから、たとえば処罰を受けたという場合もその処罰の行動、行為ですね、行為のいかんということがだいぶ問題になると思う。だから、過去にこういうことを受けたから、これはだめなんだ、こういう偏見というんですか、先入観を持って人事を扱っていけば、これはまた同じような差別が出てくると思うんです。だから、今回あなた方がほんとうにこの点について考え直すというなら、過去のそうしたものにあまりこだわられては、私は正当なものが出てこないと思うんです。いまのは一つの例ですよ。ここで私が言わなかったら、その人は訓戒を与えられるかなんかされるかもしれません、いまの例ですよ、ここで問題になったから私はされないだろうと思いますがね。そういうことが一つ一つ履歴にのってそれはけしからぬ、こういうふうにまたやられたんじゃ、同じような差別になると思うんです。ですから、あなたがごらんになられたように、かなりそうした昇任、昇格についてあなたも感ずるような差別がある。あなたが感ずるんですから私どももっと感ずる。そういうのは直していかれる。それもいま例で申し上げましたように、あまり過去にこだわると、私は同じような差別が出てくると思う。全然こだわるなとは言いませんよ、過去の問題に重点を置かないで、フェアな立場でやはりこの人事というものを見直してみるという段階に現在あるんじゃないか、こう思うんです。ですから、あえてあなたの勤評の成績はどうだったとか、過去にいろいろな処罰を受けていたとかいうことについては私は若干反論をしたい、こう思いましていまの事例をあげたわけですCだから、この事例をいまから調べろとは私は言いませんよ、そんなもの調べたってよくないことはわかっている。そういう意味で、この人事差別について、一回に直すというわけにはいかぬでしょうね、いろいろな定数もあるし、金額もきまっているから、一回に直すということはおそらく私はできないだろうと思いますけれども、そういう方針というものはやはりここで打ち立てていただく必要があるんじゃないかと私は思うんですが、そういう点どうでしょうか。
#117
○政府委員(船田譲君) まず勤評のことについて申し上げますが、勤評は結局第一次の勤評査定者と申しますか、評定者と申しますか、第二次評定者、それから最終評定者という三人の人を経ておりますので、個人偏差が著しく入るとは思われません。それからもう一つ、先生も御心配になっておられますように、過去の勤評等が現在のその人になおあとを引いてはいかぬという御心配でございますが、先ほど引用いたしました総理府令は、勤評の効果は二年を越えないということになっております。と申しますことは、たとえて申しますならば、昭和四十七年の三月に評定書がつくられますれば、前回の昭和四十六年三月の評定書は効力を及ぼさない。何らかの都合で四十七年三月の評定がおくれたというときは、その次の評定書ができるまでの間、その効力は残存するけれども、しかしそれも二年を越えてはいかぬ、こういう意味でございます。そういう意味のもとは、いま先生の言われたような趣旨が入っておると思います。
 それから、過去の記録につきましても、そういうわけですでに効力を失いました評定書の記録書をいつまでも保存しておくということはいかがかと思います。ただ国家公務員法上の戒告以上の処分を受けたものにつきましては、原因は書いてございませんけれども、人事記録表にどういう処分を受けたということは書いてございます。これはいわばメージャー・ペナルティで、マイナー・ペナルティは書いてございません。
 それから先ほど来御注意をいただきましたことでございますが、私どもの信じますところでは、これまでも差別が行なわれたとは考えていないわけでございます。しかし、私が先ほどちょっと申し上げましたように、労使関係というものは人と人との関係でございますから、こちらは差別を行なっていないというふうに確信をいたしておりますけれども、受け取られる方におかれましては、あるいは御不満があるかと思います。もちろん御承知のように人事院には行政措置要求というものがございます。たまたまここに出ておられました通告書の方々は措置要求を出しておられませんけれども、そういう道もあるわけでございますが、しかし、先ほど来例を引いて御注意になられましたことは、私どもも十分に、これはことばの上だけではなくて、これを整えてまいりまして、今後の人事管理の重要な参考にしていきたい、かように考えております。
#118
○竹田四郎君 いままで差別をしていないというお話だったんですが、これは私はそうは思わない、差別があった。これはなかなかあなたは公式の場ですから言えないだろうと思うが、もう少しうまくやっておけばよかったなと腹の中では思っているでしょう。七月が何か新しい年度の昇任、昇格の月ということですが、きょうの論議を踏まえていただいて、ひとつそういうふうなものを横行させないでやってもらわなければいかぬと思うんですがね。私もこれだけしゃべったことですから、特にその点については気をつけて今後の人事をやっていってもらいたいと思いますが、どうですか。
#119
○政府委員(船田譲君) 先日来竹田委員並びに戸田委員から十分な御注意がございましたので、私どもは従来も差別は行なわれていない、また大蔵省の鉄則としては、その所属する職員団体がいかなるものであろうと、それによって差別を受けないと確信はしておりますけれども、ごらんになられる方からごらんになりましたときに、いろいろと御意見が生じないように、かと申しまして、いまここに出ておりますところの四十名の方々が、どうこうということじゃございませんで、全体の姿勢といたしましては、いまの御注意は十分踏まえて考えてまいりたいと思います。
#120
○戸田菊雄君 関連ですからごく端的にお伺いしますが、局長、先ほどの竹田委員の質問に答えて、奥さまの実家に電話をした、こういう事実は避けるべきだという御回答です。このことは局長として知っているんですか。
#121
○政府委員(赤羽桂君) 東京税関の例につきましては聞き及んでおりません。具体的にだれがどうやって、そういうバックグラウンド、並びに事実はただいま初めて拝聴した次第でございます。
#122
○戸田菊雄君 それじゃ次回の委員会までに、その有無について調査をして、資料提出を願いたい。本件の問題これは明らかに不当労働行為です。のみならず私生活上に対する重大な侵害です。そういうところまで少なくとも管理者が立ち入る問題じゃないと思うんです。だから、その実証の有無について調査をして、次期委員会までに資料を提出してください。だれがやって、いつどこでどういう経路を通じて電話をやったのか、こういうことについて早急に調べてそれを出していただきたい。
 それから、これも竹田委員の質問で、抽象的ではあるけれども、次官のほうから答弁があったようですけれども、昇任、昇格の、あるいは昇給、これは七月に人事異動その他が控えているわけですから、大蔵省は。また当面遭遇するわけだと思う。そういう問題についてやはり通告書でも明らかなように、これは差別扱いやったことは事実なんですね、これは歴然と。これは俸給の実態、賃金の、いわば同僚ないしそういうものを比較してみても、明らかなんです。だから一定の選考基準というか、そういう人事評価というんですか、そういうものは当然あって、いろいろやられておるんだろうと思いますが、第一組合、第二組合ということになりますから、いずれにしても組合等の差別によって大体、十割程度とはいわないけれども、それに近いあれをネックにしてやられてきたんじゃないでしょうか。もしそういう選考基準というものがあるとするならば、これは一昨日からの質問でいろいろ個人のプライバシー問題等にも入るという意向でありますから、そういうことであるとすれば、私は委員長にお願いをして、本件の過去の人事取扱いの精査検討、こういうものについては秘密理事会で一定の資料提示を願って検討したいと思います。委員長にそのことをあとで理事会等でひとつ検討して取り扱い方をきめていくような指示をお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、どういう理由にしても、通告書で明らかなように、差別扱いがあったことは事実であります。今後の問題としては、いま次官の一定の表現があったのですけれども、絶対こういう差別扱いはやるべきじゃないと思うんです。この見解を確認をしたい。
 それからもう一つは、差別扱いをした者については、やはり一定の回復措置をとるべきだと思うんです。そういう問題についてどう一体考えておられるのか、この辺の三点について明確にひとつ御答弁願いたい。
#123
○政府委員(船田譲君) 昇任、昇格等の選考基準につきましては、人事院規則の八−一二の第四十五条に出ておりますことを私どもは基準として考えておるわけでございます。
 それからただいまお話のございました前段の東京税関の問題でございますが、ある意味では人事管理の個人的な問題もちろん公の職にある方でございますけれども、問題でもございますから、これも含めてひとつ理事会事項にしていただきたいと思うのでございます。
 それから先ほど来私が申し上げましたように、特に竹田委員の御質問に申し上げましたように、私どもの立場といたしましては、大蔵省はいかなる職員団体に所属しておられようとも、職員に対して差別待遇をしていないと信じておりますし、差別はないと考えております。しかし先ほども申し上げましたように、労使関係というのは、それぞれの人間の間の関係でございますから、私どもが差別をしていないと確信をいたしておりましても、あるいはそういうふうにお感じになる方もあるかと思います。しかし、そういう問題につきましては、いまも竹田委員にお答え申し上げましたように、いやしくも誤解を受けることのないように、われわれの今後の人事管理につきまして、十分御指摘、御忠告を踏まえてやってまいりたい、こう考えるわけでございます。
#124
○戸田菊雄君 回復措置についてはどうですか。それから、もちろん政務次官の答弁ですから、答えられた内容については、実務者というものは従っていくのはあたりまえであります。ひとついまの三点の内容について実務者の責任者としての局長にどういうお考えを持っておられるか、あわせて局長に答弁していただきたい。
#125
○政府委員(赤羽桂君) 三点につきまして、ただいま政務次官から御答弁申し上げました内容と全く同じでございます。御指摘になりました点につきましては、私といたしましては直接の担当者といたしまして、管理の責にあるわけでございますから、十分に注意してまいりたいと存じます。
#126
○委員長(前田佳都男君) ただいま戸田委員から御要求の資料の提出でございますが、次回の委員会ということになるとあしたでありますが、あしたまで間に合いますか。
#127
○政府委員(船田譲君) 少し余裕を置いていただきたいと思います。
#128
○戸田菊雄君 具体的に提案しますが、火曜日の理事会まで間に合いましょうか。
#129
○政府委員(船田譲君) 火曜日の理事会までに間に合うようにいたします。
#130
○戸田菊雄君 火曜日は公明党大会があって、委員会開かないということでございますから、その理事会、まだこれはさまっておりません。来週の一番最初の日に開かれる委員会の理事会、こういうことにしてください。
#131
○政府委員(船田譲君) いまの仰せのとおりにいたしたいと存じます。
#132
○委員長(前田佳都男君) それからただいま戸田君からお申し出のございました秘密理事会につきましては、その扱いにつきましては、理事会におきましてよく協議いたしたいと存じます。
#133
○竹田四郎君 関税局長、この前選考については基準はない、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、しかしこれはやはり――基準の程度というのはどのくらいがいいか、私よくわかりませんけれども、ある程度の基準というものはおつくりになって、そうしてそれに基づいてやっていくということが、わりあいそういう問題だとはっきりする。差別があるかないかということは、議論のあるところだと思うのですけれども、そういうものの差別感というものをなくしていく一つのものである。それから人事院規則の八−一二の九十条の一項の末端にも「任命権者が選考機関としてその定める基準により行うものとする。」ということでありますから、基準がないということはないと思うんです。そういう意味では、今後の人事管理について、やはり一定の部内できめる基準というものがあるはずだと思うんです。全然ないとは言えないと思うんです。さっき言った勤評の問題というのも、おそらく実際上は一つの基準になっていると思うんですよね。そういう意味で、全然私はないはずはないと思うんです。この前の御答弁では、ないと。そういうものは、たとえば勤評――これは一つの例ですよ、いいか悪いかは別ですけれども。まあ勤評も一つの基準になると。その他いろんなものが基準に、年次が基準になる、あるいは経験年数が基準になる、あるいは学歴が基準になると、そういういろんなものがあると思うんです。そういうようなものというのは、私は当然基準としてつくって、労使間で、ひとつこういう基準でやるんだということを明確にしてやらなければいけないと思うんです。どうですか、そういう点。この間はないと言ったんですが、私はそういう意味では、ある程度あるし、ある程度公表していい基準というものはつくり得ると思うんです。
#134
○政府委員(赤羽桂君) 基準はないと申し上げましたのは、つまりあのときの御答弁で、昇任、昇格につきましては、国公法の規定あるいはまた人事院規則によるところの詳細な規定に基づきましてやっておるのであって、それ以外に、つまりそういったものを受けてさらに施行細則的なものが紙に書かれて明文に文書になってあるかと、こうおっしゃられれば、それはないと、こう申し上げたわけでございまして、選考基準そのものがないという意味ではございません。
 その選考基準それ自体は、まさに国公法の三十三条の規定、あるいは三十七条の規定、さらにそれを受けまして詳細なる人事院規則が定められておるわけでありますから、それが基準でございますと、かような意味で申し上げているわけでございます。
#135
○竹田四郎君 それはもう当然なんですよ。そうでなくて、機関として私はある程度組合と話し合いができるような基準というものをつくらにゃいかぬと思うんですよ。それがマル秘だとかなんとかいうことでなしに――それはマル秘の部分もあるでしょう、その基準の中にね。私全然それまで否定してしまうという意味ではないんです。そういうものをつくることによって、民主的な人事管理というものが私はできると思うんですよ。そういう努力をひとつしてもらいたいと思うんです。
 あんまり私一人で時間とっては申しわけないから次に移ります。
#136
○戸田菊雄君 ちょっと関連。
 局長、非常に抽象的でうまい表現で答弁されているけれども、これは具体的にあるでしょう。それはあるはずなんです。たとえば公共企業体等、あるいは民間の組合、これは、人事協約で、明らかにそういう昇任、昇格、昇給等に対する協約を結んでいるわけですから、これがいまの労使慣行に基づいた人事運用です。それが、公務員だからないということは言えない。それは、必ずしも微に入り細にわたって公表せよということではありませんけれども、ある。そういう秘密文書と称されるものは少なくとも二年ないし三年は保存しておけということになるわけですから、だから、そういうものがあると思うんですよ。だから、これは、あとで秘密理事会等を通じて具体的に提示を要求していきますが、そういうものを、やっぱり公平に、もう少しガラス張りで表に出したらいいと思うんです。組合等との団交の中で、一つ一つ理解、納得のいくようなそういう人事運用というものが一番望ましいと思うんです。
 だから、今後の刷新方策としては、ぜひ局長、そのように、対組合との交渉体制というものをひとつ前向きで対処していくことが一番望ましいんじゃないかと、こういうように考えるんで、その辺の考え方だけ聞かしてください。
#137
○政府委員(赤羽桂君) ただいま申し上げましたとおり、基準はないわけでございます。人事院規則、公務員法以外の基準はないわけでございます。竹田先生も御指摘になりましたとおり、具体的に勤評もそうなるだろうとおっしゃられたわけでございますが、そのとおりでございまして、問題は具体的な人事――昇任、昇格を含めまして広い意味の人事、これはなま首一人一人の話でございます。そういうものは、たとえば本省におきまして一定の基準を立てるということは、これは事実上不可能でありまして、それであるからこそ、任命権というものは、それぞれ現地で実際に職員と接しておる税関長に与えられておる。かようにわれわれは了解をしておるわけでございます。そういったものについて基準というようなものをつくると、かえってほんとうに公平な人事ができなくなるんじゃないか。私らはそういうぐあいに考えております。
#138
○竹田四郎君 それじゃ、さっき言った人事院規則の八−一二の九十条の規定というのは、あなた方はどうこれは解釈しているのですか。私は当然、任命権者としてその定める基準によらなければならない――任命権者として基準をつくりなさいということをいっているんじゃないんですか。それもつくらないということになれば、それこそ恣意的な人事というのが行なわれる可能性がありますよ。
#139
○政府委員(赤羽桂君) 人事院規則の第九十条に、選考基準を別に何か定めるというようなニュアンスの規定があることは事実でございます。ただ、これにつきまして、われわれの運用といたしましては、ただいま何回も申し上げましたとおり、国家公務員法並びに人事院規則のこれは詳細な規定がいろいろあるわけでございますが、それ以外にはつくり得ないという前提で、これが基準であると、こういうようなことで、人事院当局とも一応打ち合わせて、そういうような運営をいたしておる次第でございます。
#140
○竹田四郎君 どうもそれ私納得できないんです。それは、いままでだって、公表するか公表しないかは別として、私はあると思う。それでなければできやしないですよ。
 たとえば、具体的に、今度五等級なら五等級に上げるのは、大体何年の入関から何年の入関と、大体この辺で幅をしぼろうとか、経験年数は大体どのくらいだとかいうものがなかったら、選考のしようがないですよ。そうしたら、もうほんとうにそれは任命権者の恣意によって私はいってしまうと思うんですよ。ですから、私は、これは、ないということ自体を言うことがおかしいと思う。あると思うんですよ。あるんだけれども、公にしたら問題になるから、ないと言っているだけじゃないですか。
#141
○政府委員(赤羽桂君) まさにそういった意味での人事院規則があるわけでございまして、一例をあげますと、ここに等級別資格基準表というのがございます。それでございますと、高校卒で初級で参りますと、一応の基準でございますが、これは、十三年たてば五等級というのが一応の標準ということで、こういう規則ができておるわけでございます。これ以上のものをまた別に、しかも基準といたしまして、各現場の具体的な人事を扱っておりますところの税関長の立場といたしまして、別にまたこれ以外に何かつくると、これは実際問題として不可能ではないかと、かように考えておるわけでございます。
#142
○竹田四郎君 もちろんその基準に違反することはできないでしょう、法律規則に基づいてやるのですから。私は、それ以下のことを言っているんですよ、それ以下のことを。
 まあ時間もたいへんだってしまいますから、私さらにそれを追及はしませんけれども、私は、そういうものをおつくりになって――その中にはさっきあなたが言ったような点というものもそれは触れられる面があると思うんですよ、この基準の中にね。そういうものをおつくりになってやっぱりやることが、人事の公平が期せられるし、そういうもので組合との間に話し合いをつければ一番これは民主的にいくわけですから、私はそういう努力をひとつやるべきだ、こういうふうに思うんです。
 で、あまりこのことで議論しているとほかの人に迷惑かけますから私はこれでやめますが、もう一つは、職員団体と税関長、これがもう少し話をする機会というものを持ったらどうですか。これは税関長忙しくないとは言いませんけれども、いろいろなその地域の社交的な会合にだって出ているのが実態でありますから、ですから、会うひまがないということは私はないと思うんです。それはもう少しそういう点も改善するように努力なさったらどうですか。
#143
○政府委員(赤羽桂君) その点はおっしゃるとおりでございまして、やはり職員全体として意思の疎通、感情の融和、そういった点から極力この会うということは――私どもといたしてそのとおりでございます。
#144
○竹田四郎君 それじゃ、おとといお調ベをお願いしといたんですが、東京税関の品川、越中島、世田谷の寮の管理人、これは調査の結果、どういうふうになっておりますか。
#145
○政府委員(赤羽桂君) 東京税関越中島の管理人のお尋ねが一昨日ございまして、その点につきまして調べましたが、ただいま管理人といたしまして、名前は別にあれでございますが、監視官をやっております四等級の職員が管理人をやっております。
#146
○竹田四郎君 どうしてここだけ四等級にしたのか。しかも、この方は寮生の数からいえば、品川寮が百九十名で、これは五等級で非専従ですね、管理人は。それから越中島は八十名で、四等級でこれは専従。世田谷寮は三十名で、一名でこれは五等級で週に一日寮にいる。どうして越中島は四等級で、しかも人数は八十名ですから、そう品川寮に比べれば半分以下です。そこへなぜ四等級で、しかも専従を置かなくちゃいかぬのか。あなたのおとといの御答弁では、大体寮の管理人というのは五等級である、こういうふうにおっしゃっているわけなんですが、越中島寮だけはどうしてこうなのかということが私は理解できないんですが、しかも専従ということで。
#147
○政府委員(赤羽桂君) 一昨日御答弁申し上げましたとおり、大体係長クラスがやっております、等級は幾らかというお尋ねに対しまして、それはまあ大体こういう高低はございますが、大体五等級でございますと、かような答弁を申し上げましたわけでございます。
 そこで、ただいま申し上げました越中島の管理人はこれは四等級でございます。高いわけで、おっしゃるとおりでございますが、これはこの越中島に入所いたしておりますところの職員が、採用後大体五年以上、まあかなり年を食っている。独身と申しましても、そういった者が多いということで、まあそれとの権衡というような意味もございまして、まあ四等級というあれを配置いたしておりますが、これは管理人というのはその同じ寮に起居を一緒にするわけでございますけれども、これが品川の寮のごとく、これは独身寮と世帯寮と一緒に、込みになっております。それで、世帯寮のほうの数もかなりあるわけでございまして、このほうの管理形態は、管理人が一応これは輪番ということになっております。それだけの世帯数があるわけです。部屋が十何室あるわけでございまして、これが輪番ということになりまして、常駐というかっこうをとらなくてもいいということが物理的に可能でございます。ところが越中島のほうは、これはそういう世帯の部屋が二つございまして、そこに入所をして、それで寮の管理に当たっておると、こういうかっこうになるものでございますから、物理的にほかに輪番をとれ得ない。そこに入っている人はどうしても管理人というかっこうで、常駐をするというかっこうにならざるを得ない、かようなかっこうになりまして、同じようなことは実は全国に大体三十八ぐらいあるわけでございますけれども、主としてそういう寮の構造に左右されまして、ここはどうしても常駐をしてもらわなければいかぬ、ここは複数だから輪番制で常駐の必要がない、かようなかっこうで、千差万別でございます。
#148
○竹田四郎君 どうしてここだけ四等級なんですか。おそらく総括監視官なんというのは、人数があり余って困るというようなものじゃないでしょうからね。
#149
○政府委員(赤羽桂君) ちょっと大事な説明が足りなかったようで、監視官で四等級と申しましたが、これは監視官というのは係長クラスでございます。係長クラスとしてわれわれは考えております。
#150
○竹田四郎君 そうすると、五等級は係長じゃないわけですか。
#151
○政府委員(赤羽桂君) 係長クラスとして四等級も――五等級がまあ大体多いけれども、それは高低があると、かように申し上げまして、四等級の係長クラスと考える者もあると、こういうような意味でございます。
#152
○竹田四郎君 まあ私はこれはおそらくここには全税関の人たちが多いということだと思う、組合員別に見れば。これだから四等級を置く。まあ専従、非専従の問題は、これは別といたしまして、私はそう思うんです。こういうことも私はやはり差別の問題に――いま給料が実際に差別されているんですから、差別の問題としてこれは映るわけです。こういう問題は私はそう改善するのがむずかしい問題じゃないと思う。改善しようと思えば改善できるし、この人も寮の管理人やっているよりは、おそらく仕事やったほうが楽しいと思いますよ。そういうものは私はかえるべきだと思うんですよ、これはほか並みに。どうでしょうか。
#153
○政府委員(赤羽桂君) 御指摘のようなことは全然考えておらないわけでございまして、四等級が五等級になったからそれでいいので、四等級だといかぬというのも、率直に申し上げましてちょっと理解がむずかしいところでございますが、さようなことは一切やっておりません。
#154
○竹田四郎君 まあここの答弁はそういう答弁をする以外にないでしょうね。しかし片っ方、世田谷のほうではそうではないというんだな、これは人数が違いますから。こっちは五等級で専従じゃないわけです。いまのお話だと、越中島のほうは比較的年をとっている人たちだというお話で、まあ独身で年をとっているといっても、そういっているわけではない。むしろそういう年をとっている人であれば、私は寮の管理だってむしろ楽だと思うんですよ。そういう重要な人であるとするならば、むしろそういうのは人数の多い若い人のところに、そういうところに置くのが私は普通の配置だと思うんですがね。年とっているところで、もう寮生活にもなれているし、仕事にもなれている、そういうところに四等級の人を置く、どうもその辺実際納得できないんですよ。こういう点もひとつ検討してみてください。私はそれ以上あんたの答弁聞き出そうと思いませんから、検討してみてください、正常なのかどうなのか。ほかのほうもそういうことがあると思うんです。ここだけじゃないと思う。こういう点はひとつ検討して、税関の人事管理自体もう少し明朗にやってくださいよ。私は、第一組合がいい、第二組合がいい、どっちがいいという差別はしませんけれども、できるならば、あなたのほうとしても、税関長としても、日本のいままでの労働組合の例として、やっぱり組合は一つにまとまってもらって、そこでやったほうがやりいいでしょう。それをわざわざ二つも三つも――まあ三つはないようですが、二つもつくってやるというのは、話し合いだって二回もしなければしようがないですからね。みずから自分の時間をつぶしているようなものだと思うんです。それで、しかも人事管理をやりにくいということですから、そういうあえて差別をするような形で、一つの組合と一つの組合をけんかさせるということじゃなくて、これはあなた方が直接介入して統一するということはできないでしょう。差別をなくして、同じように扱って、そうしてそれによって自然に組合が一つの組合になる、そういうふうに私はすべきだと思うんですがね。どうも大蔵省の管轄というのはおかしいですね。税金関係見ましても、各税務署というのは組合二つも三つもある。そういうこと自体は、外から入っていって非常に冷たく感じますよ。税務署自体決してあたたかいところだと私思いませんけれども、よけい冷たく感じる。これは大蔵省全体として、人事管理あるいは労働組合というような問題について、もう少し大蔵省は近代的であっていいと思うんですがね。大蔵省の某高官筋の発言でいいますと、日本の役人は、大蔵省の役人以外は仕事のできる役人はいないと、こういうように実は言っているそうですからね。そんなに先進的なりっぱなお役人ばかりそろっているわけですから、もう少し近代的な合理的な人事管理があって私はいいと思うんです。確かに皆さん頭もいいし能力もありますよ。私認めますよ。認めないというわけじゃない。それを認めるだけに、もう少しりっぱな人事管理、人から満足の得られるような、あるいは各方面からりっぱな対策だと思われるようなことを、大蔵省のお役人というのは役人の見本ですから、ですから、そのくらいのことはやってくれませんかな。どうも大蔵省の管轄見ていても、さっきの大分銀行の例同じ、税関同じ、税務署同じ、人がたくさん集まるところは全部割れちゃう。これはどうも私はふしぎだと思う。どうですか、政務次官、もう少し大蔵省関係のそういう人の扱いというのは――まあ皆さん、自分が東大を出ててえらいだろうから差別をするのかどうか知りませんけれども、もう少し差別をなくした人間的な――佐藤総理だって人間尊重と言っているんですから、もう少しその辺を私は反省してもらわなきゃ困ると思うんですが、どうですか。
#155
○政府委員(船田譲君) 私自身も東大ではありますけれども、農学部でございまして、あまり頭のいいほうではございません。決して大蔵省がエリートというものを意識しておるわけじゃございません。ただ、実によく働く役所だということは、私も就任十一ヵ月になりますが、感心しております。私のような者が何とか過去十一ヵ月つとまりましたのも、みんながよく働いてくれるからだと思っております。そういう意味で、先生の先ほど来の御注意は、先ほども私も答弁で申し上げましたけれども、私どもとしては差別をしてないと確信いたしておりますけれども、先生方に御心配かけておりますことは、これはやはり自分からも十分腹に入れまして、今後ますますより一そう明るい運営をしてまいりたいと、こう考えるものでございます。
#156
○栗林卓司君 関連で恐縮ですけれども、ただ、いまの議事録の問題としてやっぱり一言正確に申し上げておいたほうがいいと思って立ったわけですけれども、一切差別待遇はすべきではないし、厳正中立であるべきだという御議論は、私も竹田委員の意見と同意見なんです。ただ、一つ誤解を招きがちなのは、二つ以上組合があるというのはどうなんだというところから、一つになるように努力すべきではないかということについて、抽象的に受けられますと、これはやはり私は間違いだと思うんです。それは労働組合みずからきめればいい問題なんですから、そのことをあいまいにしては困ると思いまして、議事録の問題として、一言、このことだけ申し上げておきたいと思います。
#157
○政府委員(船田譲君) ただいまの栗林委員の御質問の趣旨につきましては、先ほどの竹田委員の御質問の中にも、自然にある組合を無理に当局が介入して一つにしろというようなことを私は言っているのではないというふうに記憶いたしております。もちろん、私どもも、現にございますところの労働組合運動は、その数が幾つでありましょうとも、またどの職員団体に属しましょうとも、それなりに私どもとしては公平に扱っていきたい、こう考えておるわけでございます。
#158
○鈴木一弘君 私は、一つは相続税、一つは郵便貯金の問題で伺っておきたいと思います。
 郵便貯金の預貯金の金利引き下げの問題から始まって、郵政省が郵便貯金の金利の引き下げに反対である、こういうことで、いまのところは郵政審議会の結論が出なければ、ということになっております。確かに私は、預金金利、貯金金利をここのところ急激にいじらなければならないかどうかという点は若干の疑問があります。そこで一つだけ伺いたいのでありますけれども、最初に主税局長に、所得税法第九条にある非課税所得――郵便貯金利子ということは、その扱いからいくとこれは全部免税ということになるわけですか。
#159
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるとおりでございます。
#160
○鈴木一弘君 少額預金の場合は、一人につき百五十万円というのが少額預金等の利子所得の非課税の法第十条でなっておるわけですね。そうすると、郵便貯金の場合には、貯金の限度額はあとで伺いますけれども、どこまであっても免税ということになるわけですね。
#161
○政府委員(高木文雄君) 郵便貯金につきましては郵貯法のほうに、郵便貯金はもともと百五十万円までしか預かりませんというふうな規定がございます。そこで、たてまえとしては世の中に百五十万円をこえる郵便貯金はないということになっておりまして、そこを受けて、ただいまの所得税法の規定で郵便貯金は全部非課税と、こういうことになっております。それに比べまして、銀行の場合は、各銀行を通じまして、金融機関全部を通じまして一人につき百五十万円ということになっておりますが、そこで、各銀行は相互には他の銀行に幾ら預金があるかということを銀行サイドから知り得ない。預金をしていらっしゃる御本人だけしかわからないということになっておりますので、法の立て方が変っておると。同時に、金融機関のほうは、預入限度は何もないので幾らでもお預かりできると、こうなっておりますから、その点で、郵便貯金と一般の金融機関と、預入限度があるかないかということ、それから片一方は郵便貯金という一種の預かり機関であるのに対して、他は不特定多数と言ってよろしいでしょうか、まあ非常に多数の金融機関の預かった合計のうち百五十万円までが非課税だということで、だいぶ仕組みが違っておるわけでございます。
#162
○鈴木一弘君 これは、預金のほうのいわゆる免税、少額預金の利子の非課税ということになっておる件数と総額はどのくらいになっておりますか。四十六年度でけっこうです。
#163
○説明員(垣水孝一君) 四十六年度の三月末で、件数にいたしまして七千五百万件、金額にいたしまして十六兆四千七百億余りとなっております。
#164
○鈴木一弘君 七千五百万件の十六兆四千七百億円というのがマル優の申告のあったものということですか。
#165
○説明員(垣水孝一君) そのとおりでございます。
#166
○鈴木一弘君 それで問題は、この銀行の場合はかなりな名寄せがあるということはわかっておるんですけれども、貯金の場合は、先ほどの答弁から伺っているように、はっきり申し上げて百五十万円が限度の金額になっておりますのであらためて申告をしなくてもいいわけですね。そうすると、擬装貯金ということで財産の秘匿をはかろうとすればできるわけであります。郵便局のほうで、郵政省で同一名義の郵便貯金については全国の貯金局から集めて名寄せをするということはおやりになっていらっしゃるのでしょうか。
#167
○説明員(滝本哲郎君) 現在全国の二十八の地方貯金局がございます。その名寄せにつきましは、預金者ごとに小票を作成いたしまして、これを住所地を管轄する地方貯金局に送付し、これを受けた地方貯金局において名寄せを行なっております。このように、地方貯金局相互におきましても預金者ごとの名寄せにつきましては遺漏のないよう措置いたしております。
#168
○鈴木一弘君 名寄せをした結果、いわゆる限度を越えているということになったと、そういうことで課税の対象になってくるわけです、そうなると当然。これは課税の対象になるのかならないのかどちらかわかりませんが、そういうのはどのくらいおありになりますか。
#169
○説明員(滝本哲郎君) 四十六年度で件数は、大ざっぱな件数でございますが、一万六千件ほどでございまして、その金額は約百五十億円でございます。この百五十億円と申しますのは、百万円をこえました、ことしの一月からは百五十万円をこえましたもので、減額措置をいたした金額が百五十億円でございます。
#170
○鈴木一弘君 百五十億円の預け入れ金額ですね。貯金の金額ですね。
#171
○説明員(滝本哲郎君) 百五十億円ということは、その前に百五十万円までの金額がございます、一月以降。それ以前は百万円までの金額でございます。それを超過した金額でございます。
#172
○鈴木一弘君 これは国税庁の問題だと思うのですけれども、この場合、こえた分についてはどうなるのですか、課税は。
#173
○政府委員(高木文雄君) 現在は、たてまえでは、郵貯法では百五十万円まで扱うということでございますので、そのこえた分については課税問題は起こらないというたてまえになっておりまして、そこは郵貯法のほうでそういうものについては解約をするとか、国債に切りかえる、そういうことをするのだということが郵貯法に規定があるわけでございます。
#174
○鈴木一弘君 結局だからぼくはこれ非常に心配なのは、百五十億円ですね。そうすると、これはこの法律からいえば、所得税法には金額の限度がないわけですから、そうすると百五十万円をこえたと、郵便局ではこえてしまったものは預かれないわけですから、これはいまのように国債にかえるとかいろいろな方法がある。大体どういう方向へ動くのですか、百五十億というのは、いままでの処分のしかたは。
#175
○説明員(滝本哲郎君) 金額の超過を発見いたした場合には、その地方貯金局から住所地にございます郵便局にあてて減額通知書を出されます。その減額通知書を郵便局から預金者に渡しまして、それで郵便局から減額をしてもらうようにまず慫慂いたします。これは現在の郵便貯金法にまず減額をするという規定がございます。この減額にいかにしても応じない場合には、国債購入保管という手続をとるようにということになっておりますが、現在の私どものほうの百五十億円につきましては、慫慂いたした場合に全部応じていただいております。
#176
○鈴木一弘君 四十六年は一万六千件、百五十億。四十五年度はいかがでございましょうか。おわかりになりましたら教えていただきたい。
#177
○説明員(滝本哲郎君) 四十五年度は超過件数が約一万七千件でございます。制限超過金額が百九十一億円でございます。
#178
○鈴木一弘君 これは名寄せを各貯金局ごとにやって、非常に大きい分についてはお隣の地方貯金局もおやりになると、そういうふうに先ほど承ったのですけれども、脱税のために貯金に逃げていくというのでは困るわけですね。これ百九十一億あるいは百五十億円とこうなった中身、これはどういう貯金ですか。両方あるのですか。貯金には二色あるわけですね。どちらが幾ら、一般貯金とかいろいろいわれておりますが、どちらが幾らぐらいになっておりますか。
#179
○説明員(滝本哲郎君) 現在それを分類したものを私手元に持ち合わせておりませんので、ちょっとお答えいたしかねますが、もし必要とあれば別途提出いたしたいと思います。
#180
○鈴木一弘君 それはあとでいただきたいと思います。
 そのほかに貯金に逃げて脱税しようというのを防止するという方策、これはどういうふうに今後とられるおつもりでございますか。
#181
○説明員(滝本哲郎君) 名寄せをさらに厳重にいたしまして、まず、その制限超過をするものがないように極力つとめることにいたします。それからそれで名寄せを厳重にいたしました結果、超過いたしておるものにつきましては、現在の法律の規定に従いまして、厳格に減額措置をとってまいりたいと存じております。
#182
○鈴木一弘君 架空名義の貯金が発見されたことはございますか。あったらそれをひとつ。
#183
○説明員(滝本哲郎君) 架空名義の貯金と申しますのは、私どものほうで発見はいたしております。現在幾らということは私どものほうのデータには載っかっておりませんが、貯金局で現在架空名義の防止のために、高額と申しますのは大体七十万円くらい以上ということで私ども基準を引いておりますが、それぞれの貯金がございましたならば、それに対してあいさつ状を郵便局から出しまして、あいさつ状を出すことによって相手の所在をよく確かめております。それが架空名義と判明した場合には、郵政監察局にその旨連絡をして、郵政監察局で調査をする、架空名義であれば規制していただくということで是正をいたしております。
#184
○鈴木一弘君 私は法律がこうありましても、こういうふうにはっきり申し上げてちょっと抜けているような気がするわけです。それが財産隠匿のために使われる、いまのように架空名義の場合も、はっきり各郵便局ごとに調べられているんでしょうけれども、これがはっきりとした数字はどのくらいなものかをまたあとでいただきたいと思うのです。それと一緒に、こういうようなことがあったのではちょっと心配なので、やはり今回もしも金利の引き下げが行なわれるとなれば、少額預金の非課税の利子、非課税の場合にも二百万円にしてほしいというようなそういう声も出ている。そうして貯蓄価値というものを減らさないようにしようじゃないかという銀行からの要求がある。そうなると、今度は郵便貯金のほうも当然また二百万円まではというふうな限度の引き上がりがあるだろうと思うのですね。何のことはない、はっきり申し上げればあまり金を持っていないほうは問題ありませんけれども、お金のある人は、子供が五人いて夫婦で七人、七人で銀行でもって二百万円ずつで一千四百万、郵便局で一千四百万、合わせて二千八百万まではかかってこない。そのほかに国債もありますし、株もあるということになれば、どう考えても私はこういう点で、郵便貯金の場合も、それから少額預金の場合も、へたをするとどこまでいってもお金持ちだけを優遇していくような、そういうものになりかねないのではないかという非常な心配があるわけです。こういう点は、これはどうしてもこれから先十分な検討をしてもらわないといけないんじゃないかと思うのですけれども、これは政務次官どうですか、その辺の考え方。
#185
○政府委員(高木文雄君) 事務的なことを先にお答えいたします。
 少額非課税の貯蓄の制度につきましては、御案内のように今年の一月一日から百万円のワクが百五十万円に広がったということでございます。この改正は、昨年度の税制改正でお願いをいたしたわけでございます。同時に、新しくできました勤労者財産形成貯蓄というものについて、別ワク百万円という非課税ワクがまた設けられたわけでございますので、昨年の十二月三十一日までは少貯が百万円と、それから別ワクの国債が五十万円と、それから郵貯が百万円ということで二百五十万円であったわけでございます。それが今年の一月一日から少貯が百五十万にふえました。別ワク国債も五十万円ふえまして百万円になりました。それから郵貯が少貯と同じように百万円が五十万円になりました。それに財形貯蓄が百万円と新しい制度ができましたということでございますので、非課税貯蓄のワクは二百五十万円から五百万円に倍になった。このように増額になりましたのは、これは実は財産形成貯蓄制度をどうするかということと関連して、もろもろの貯蓄手段とのバランスをとるということ等がありまして、こうなったわけでございますが、これでかなり、いわゆる非課税ワクが拡大をいたしましたので、各方面から現在預貯金の利子の引き下げということに関連して、非課税貯蓄ワクの拡大問題が、お話が出ておりますけれども、私どもといたしましては、なるほどそれに関連なくではありますが、この一月一日から一人当たり倍ということになったわけでございます。何も、別にそうだからといって、どの方もじょうずに、こういうふうにうまく組み合わせて貯蓄されているというわけではないと思いますけれども、いろんな選択になるとは思いますけれども、それにしてもたいへん非課税貯蓄ワクが拡大してきたということでございますし、それから現在非課税貯蓄ワクの利用状況を見まして、必ずしもこの限度一ぱいになっておるわけではないのでございます。またしばしばこの当委員会におきまして、租税特別措置法の制度について御議論があります際に、租税特別措置は整理すべきだという御意見があり、その場合に、産業関係の租税特別措置については特に整理すべきだという御意見と、およそ租税特別措置についてはやはり課税の不公平につながるから、整理縮小の方向で考えるべきだという御意見がありますので、貯蓄について租税特別措置についてどう考えるかということについては、各方面の御意見分かれているものとは思いますが、ただいまのような事情を考えますと、私ども主税局の立場といたしましては、たとえ預金金利引き下げの問題がありましても、非課税貯蓄のワクの拡大をすることはいかがかというのが現在の私どもの事務的な考え方でございます。
#186
○政府委員(船田譲君) ただいまの主税局長の答弁で尽きてはおりますけれども、せっかくお名ざしでございますから私の考えを若干申させていただきます。
 日本の経済が、フローからストックヘという考え方がございます。これは個人においても同様だと思います。個人の過去の勤労の蓄績というものをどの程度まで優遇すべきかという問題にかかってくると思います。その場合におきましても、架空名義預金によるところの脱税ということについては、あくまで厳にこれを取り締まってかいなきゃならと思います。その場合におきましては、私はいかなる金融機関において口座が設けられましょうとも、同等の、金融機関と申しましたのは、郵便貯金を含めましてですけれども、同等の扱いを受けるべきものであると思っております。
#187
○鈴木一弘君 一〇〇%というか、そういう利用は、これはなかなか、幾ら主税局長の答弁でもあり得ないと思うんですよね。一人五百万円で一億いるということで、五百万円かける一億人ということは、これはあり得ないんですね。しかし、はっきり申し上げて、資産を持っているところは、家族全体十人いれば十人分だけ預金できるわけですし、赤ん坊に至るまで。そういうことから考えると、やはりこれはある程度のところで考え直さなければいけない、そういうふうに思うわけです。それから郵便のほうも積極的に、はっきり申し上げて財産隠匿の脱税のために使われるようであってはならないのですからね、この点を厳重にしていただきたい。この辺でこの種の質問は終わりたいと思います。
 次は相続税の問題で聞きたいのですが、これはどうも私わからないんですが、妻の貢献度の問題です、奥さんの。奥さんが一体どこまで貢献しているということになってくるわけですが、その点の度合いがよくわからないので、ぜひとも一ぺん伺いたいと思うのですが、たとえて言うと、不動産が御主人の名義になっている、家なら家、畑なら畑と。それが農家であるとか、あるいは商家であるとか、そういうところで奥さんが長年にわたって真剣に自分も畑を耕したり、あるいはお店の仕入れから販売までやる、こういうふうにやってきているわけですね。そうすると、この協力度合いというものは非常に大きいわけです。したがって、その資産のうち、何分の一かは妻の寄与分としての権利として当初から取り除いておくべきじゃないか。これはまあ相続の問題とかかわってくるわけでありますけれども、それを控除した残りを遺産分割をして遺産相続をしていく、こういうのがまず私はほんとうではないかというようなふうに最初思うわけです。これはいまのところは税の問題で、相続それ自体の問題でありますから、この点法務省の見解いかがでございますか。
#188
○説明員(田代有嗣君) 現在の民法におきます法定の夫婦財産制におきましては、夫婦の一方が婚姻中自分の名前で得た財産は、その特有のその人の財産とするという規定がありまして、この規定の解釈が非常に問題になろうかと思います。確かに妻の内助の功というものがあって、夫が働けるという面があるわけですけれども、この規定は旧法の戦前からあったものと同じでございます。それでどうしてこういうふうな規定ができておるかと考えてみますと、やはり財産がだれのものであるかということは、非常に債権者等社会生活上、第三者にもわからなければならないということがありまして、それにはまず名義によるのが第一番であるという考えが一つあろうかと思います。したがいまして、夫が夫の名前で得たものは夫の財産とする、見るということが一つあろうと思います。
 それから第二点としましては、やはりそのように夫の名義で得るということは、やはりそれは実質夫が得たのだ、夫が対価として得たんだというふうに見ても差しつかえないのだということから、そういうふうに民法の規定はできておるように思うわけでございますが、しかし、最近問題になっておりますのは、いま御指摘がありましたように、やはり妻の内助の功があるのだというようなことが問題にされまして、そのような観点から妻の内助の功というものを考えていきます場合に、従来はそういったものは夫だけがやったと考えたわけだと思います。しかし、そういったことが言われますと、やはりこの内助の功の内容というものが非常に問題になるわけでして、たとえばいま御指摘がありました農家の場合、たとえば夫婦が土地を借りて二人で耕して収入を得るというような場合には二人が働いておるわけでございます。ですからこういったのを生産共同体と言うことができるかと思いますが、そのような、直接妻が寄与して、ただ供出代金は夫だけの名義になっておるというふうな場合があります。それからサラリーマンの場合は、実際はサラリーマンが働いているということで若干事情が異なります。それからまたいろんな作家の売り上げ――印税であるとかこういったことになると非常に形態が異なりますので、妻の寄与の問題をどこまで考えるかということが非常に大きな問題で、これは現在法務省の法制審議会で検討をされつつあるというところでございます。
#189
○鈴木一弘君 審議会でいま問題があるのでやっている最中であると。まあそれはわかるんです。いまの話のように、夫婦でもって畑を耕していた、そして財産ができたと。その名義がたとえ御主人の名義であっても、本来は共有財産というものじゃないですかね。それが主人の名義になったということで特有財産ということになったと。どうもわからないですね。それでなけりゃはなっから、奥さんの財産と御主人の財産とに分けるということがほんとうだろうと思う。だから、相続の際には、はっきり申し上げて、そうしたら、サラリーマンの場合のことを言われましたけれども、サラリーマンの場合であっても、奥さんの家事労働及び育児の労働、子供たちに対する教育の労働、そういうものの評価が、もし全然奥さんがやらぬということであれば貢献度はゼロでありますけれども、家事はやってもらう、子供は育ててもらうということになれば、これはやはり夫の収入のうちの半分は妻の収入と見なけりゃならないんじゃないですかね。そういう点から考えると、貢献度の度合いというものがわれわれにはほんとうによくわからないわけですけれども。家事労働とか育児とか、こういった分は一体どこへ入っていくんですか、そうすると。
 たとえば、サラリーマンが一生懸命働いて家を建てた。奥さんも一生懸命つとめて――つとめてというか、うちの中を守って家を建てるようなったと。いよいよ遺産相続することになった。本来は半分が妻のものであるべきものが、民法の上からいくと、子供がいると三分の一ぐらいになっちゃうわけですからね、ずいぶん変なふうになるわけでありますが、その点、育児の分とか家事労働の分とか、こういうものは一体どこへ入っちゃうんでしょうか。
#190
○説明員(田代有嗣君) ただいまの農家のような事例でございますと、夫婦がともに働いて供出代金の名義だけは夫がもらうというような場合につきましては、私は、現行法の解釈として、そういったものはやはり夫婦の共有として考える考え方が一つあろうと思います。
 それからもう一つの考え方は、やはり名義が夫になっておりますれば夫だという考え方が、あろうかと思います。
 そこで問題は、サラリーマンの場合ですけれども、サラリーマンが得た給与所得というものは、現行法の解釈におきましては、これは夫の特有財産と考えるのが通説であろうと思います。そこで、妻の寄与をどう見るかということになりますと、妻のみならず、寄与というもの、その名義者以外の寄与というものをどう考えるかということになるわけでございまして、直接的な寄与がありますと同時に、間接的な寄与もありますし、物質的な寄与もありますし、精神的な寄与もあるというようなことで、その寄与分の評価というものが、たとえば子供が非常にいい成績で学校に行ったから親が一生懸命働いたと、超勤までしたというような場合に、子供のその精神的寄与というものがあるのかどうか、そういったことが非常にむずかしいものでございますから、そのような場合につきましては、やはり名義だけで押し通すというのが現在の通説ではないかというふうに考えております。
#191
○鈴木一弘君 まあそれはそのとりでしょう、一面は。しかし私は、どう考えてもそうじゃないような気がするんですね。やはりいまの民法の上からいえば、夫婦財産共有制ということがおもになっておりますし、それから以後妻が遺産相続で得た場合特有財産になったり、いろいろございますけれども、しかし、やはりどうも非常におかしいのは、たとえば婚姻中に得た、夫がたとえ働いたにしても、奥さんがうちにいてまあ百姓多少やったにしても、そのときに得た財産を、妻の名義にする場合と、夫の名義にする場合と、二色あると思うんです。妻の名義にした場合には、これは贈与税の対象になるわけですね。この辺はどうですか。
#192
○政府委員(高木文雄君) まず所得がだれに帰属するかというところから始まりまして、所得が夫に帰属をしておる典型的な場合で、通常、サラリーマンの場合ですと、所得が夫に帰属する。従来の考え方ですと、先ほどから非常にこういった御質問があるわけですが、妻の寄与度というものが評価されていないということでございましたが、そこで、夫に帰属した所得でもって、たとえば貯蓄なら貯蓄がある程度できて、それをもって家を建てると。あるいは、貯蓄の形態で、夫の名前の貯蓄から妻の名前の貯蓄に名義を変えるということになりますと、それは贈与だと、こういう扱いに現在はなっておるわけでございます。それは、ある意味から申しますと、そもそも、財産の帰属の問題の議論の前に、所得の帰属の問題というのが基本的にあるというところに問題があるわけでございまして、そのあたりから、夫婦間の、夫が得た所得についての妻の寄与度をどう考えるかということが、先ほど来御指摘がありますように、明確でございません。そして、現在のところは、夫の所得として所有されておるということ、贈与税上の非常な、何といいますか、一般の方がお受けになるような疑問がいろいろ出てくるもとはそこにあるんではないかと思っております。
#193
○鈴木一弘君 所得が財産に転化したという場合のことですよね、結局。いままでのは、財産になった場合、一体この所得のもとはだれだと。夫がかせいだんだから、妻の名義にすればこれは贈与税の対象になるということですわね。だけれども、はたしてそうなのか。その中の寄与分は一体どこへ行っちゃうのかということなんです、実は。それは、税法上は寄与分は一体どこへ入っているんですか。
#194
○政府委員(高木文雄君) 夫は夫として本来特有財産を持っておる。妻は妻として、たとえば自分の父母からら相続したり、何らかの形で財産がある。そのほかに、結婚してから夫婦の間で得た所得というものがある。この三つのものがどういう形になっているか。大部分の場合には、実態は、妻の寄与によって得たであろう結婚後の所得は、夫の名義になる場合が現在の日本の慣行では非常に多いと。そこで、夫の本来の特有財産と、夫婦で得たものであるが、名義は夫の特有財産になってしまっているものとがこん然一体となっておるために、いまおっしゃるような、妻の寄与度というものが明確にならぬ状態になっているというのが現状でございます。
 ただこの問題は、ひとり税だけの問題でなくて、先ほど民法の問題も御議論になりましたし、いろいろ非常にむずかしい問題があります。また職業形態その他によっていろいろ問題があるわけでございまして、まさに御指摘の点は所得税、贈与税、相続税を通ずる一つの非常に基本的な問題でございます。また、世の中のものの考え方も非常に変わってきておるわけでございますから、税法上の考え方も漸次当然変わっていかなければならぬところでございますが、私どもも、それらについてこの際どういうふうに変えていくべきか、非常に、何といいますか、あまりにもバラエティーに富んだ問題でございますので、いわば模索をしているという状態でございます。
#195
○鈴木一弘君 これは私は、相続の問題としても、また贈与税、相続税の問題でも、同じだと思うんですね。奥さんの寄与度、妻の寄与度を全然見ない、貢献度がわからないということではおかしいので、やはり、婚姻後得たところの所得によってそれから財産を得ると、預金にいたしましても、土地家屋にしても。その場合、それは妻の名義だろうと、夫の名義だろうとかまわないじゃないかという感じがするんですよ。それが、いままでの慣行は、もうほとんど特有財産として夫の名義になっておる。そうでなくて妻の名義になる場合は、これは贈与税がかかってくるわけでしょう。そこのところが非常にふしぎでならない。この点はこれはひとつ法務省のほうから答弁いただきたい。
 それからもう一つ聞きたいのは、相続になった場合には三分の一ということになってくるわけです、お子さんがいればですね。ところが、それがいやな場合、贈与ということで年分少しずつ、毎年贈与でもってぎりぎり税金のかかるかかからないかぐらいのところでずっとやってきて、気がついたときは三分の二が奥さんのものであるということもできるわけです。あるいは、贈与税取られてもけっこうだということで、生きているうちにやれば、自分の貢献度として二分の一なりは税がかかってもかまわぬということであれば、そういうことも出てくるわけです。相続になったら三分の一になってくるわけです。そうでしょう。どうもそれ一貫性がない、そこに。どういうわけですか。この二つの点を伺いたい。
#196
○政府委員(高木文雄君) 一点お答えしておきたいのは、本来夫婦で得た所得であるのに、そしてそれが夫の名義になっているがゆえに、夫が妻に贈与したからといって贈与税がかかるのはおかしいではないかという御指摘があるわけですが、問題は、夫の名義のものはそれはすべて夫婦の結婚後の所得からできた財産であるかどうかということが一つ問題でありまして、本来、夫自体の財産であるものと、夫婦であるものとは一緒になってしまっているというところに問題があるわけであり、かつ日本の税法は諸外国の税法と非常に違います点は、相続税、贈与税につきましても、いわゆる簡単なことばで申しまする時効が五年になっておるわけでございます。で、一体相続税というように非常に長いもの、長期にものを見るべきものについて、五年の時効ということでものが片づくのかどうかというあたりは非常に問題があるわけでございますが、本来的にそういうことになっておるということもありまして、いろいろそのあたりには問題点が残っておるわけでございます。
 それから先ほどの贈与と相続で、贈与の場合は少しずつ贈与をしたり、あるいは贈与税を納めながら贈与をしていけば、三分の一とかなんとかいうことは起こらない。それに対して相続の場合は三分の一という問題があるということをおっしゃいましたけれども、この点は本来ならば贈与についてばまあ一生累積と申しますか、結婚後、御不幸があるまでの一生の間の贈与を全部累積をいたしまして、その累積と相続とのバランスを考えれば、これで一番公平にいくわけでございますけれども、これまた二十年も三十年もの間の期間の贈与を累積をするというのは現実として容易でありませんし、特に日本の場合は法人税、所得税と同じように相続税につきましても、いま申しましたように五年ということで全部、それ以前は問わないというのが税法上の精神になっておるところがありますものですから、累積課税ができないという悩みはひとつございます。で、さりとて、そこで累積課税できないものですから、実際贈与税を納められた場合でも、納められなかった場合でも、非常に古い時期から贈与されたものがあれば、いまおっしゃったように、まあ相続税でも実態的には軽くなってしまう場合もありましょうということになってくるわけでありまして、この課税の公平を一〇〇%期そうとするならば、累積課税制度に持っていかないと、うまくいかないという悩みを持っておるわけでございます。そのあたりで、ただその三分の一の議論につきましては、これはむしろ私どものほうでは三分の一がいいか、何分の一がいいかというのはひとつ問題があるわけでございますが、これはいまの民法の法定相続制度の上に一応乗ってものごとを考えておるというのが現在の相続税の仕組みになっておるわけであります。
#197
○説明員(田代有嗣君) ただいま御質問の第一点でありますが、まあ生きているうちには夫が財産を妻に二分の一でもやれる、贈与できると、死んだ場合には三分の一の相続になるということに一貫性がないという御指摘の点につきましてでありますが、生きているうちの、生前における処分というものは、これは自己の意思による、所有者の意思による処分行為であると思います。したがいまして、妻に半分やることもできますし、やらないこともできますし、全部やるということも可能でありますし、またあるいは第三者にやるということも遺留分を害しない範囲でできるわけであります。まあ死んだ場合にも、その意思を生かしたいということであれば、遺言をいたしますれば、その生前の夫の意思にかなうわけでありますが、遺言をしなかったというような場合には、これは意思による処分ということができませんので、まあ民法による、決定による帰属ということになりまして、まあそれが三分の一になるわけですけれども、これがなぜ三分の一になっているかということなんですが、まあこれは法律が、ものの本に書かれておるところによりますと、やはり死んだ人の意思は近親者にやりたいところであろうと、しかも、近親者の最も近いほうにやりたいであろうということ。それから第二点は、死んだ被相続人によって生活をしておった相続人の生活保障も考えなくちゃいけない。それから三番目に、夫名義の遺産であっても、その中には御指摘の妻その他子供の潜在的な持ち分もあるだろうと、こいつを表に出すのだという意味で、そういったことを考慮して法定相続人というものをきめたんだというふうに書かれております。したがいまして、従来の三分の一の考え方には、その妻の生前の寄与分が三分の一というふうに評価したのだということが言われております。ところが、最近の法制審議会委員の中におきましても、夫の遺産の半分はもともと妻のものであって、残りの半分の三分の一を妻が相続すべきじゃないか、こういう主張がされておりまして、これにつきましては、いろいろ問題もあるようなのですので、現在検討されているというところでございます。
#198
○鈴木一弘君 その半分が妻の持ち分で、あとの分の三分の一というと約三分の二になっちゃうわけですね。それで、三分の一を持ち分として取ってしまって、残りのうちの三分の一という手もあるわけですね。
#199
○説明員(田代有嗣君) それは約五〇%程度になるわけです。
#200
○鈴木一弘君 そういうことを、本気に考えていかないと、これは民法上の問題がはっきりしませんと、税法上どうにもならないのですから、まあ審議会の答申がどう出てくるかわかりませんけれども、それによって法改正というものをがっちりやっていただきたいと思います。
 それから、これは主税局長に伺いたいのですが、贈与の意思がなくて、一時財産管理という名前で女房の名前にしておいたという場合は、贈与税はかかりますか。
#201
○政府委員(高木文雄君) 本来、課税はたてまえは実質主義でございます。ただ、現実の行政ということになりますと、税の仕事は大量処分であり、かつ大勢の職員が同じような処理をしないと困る。一人一人の税務職員の判断でそれが違うということでは困るということで、一応名義主義での推定ということが原則になっております。そこで、第一原則はあくまで実質主義でございますが、実際の行政の運営は名義主義で動いているというのが実態でございます。そこで、何らかの意味で、たとえばまあよくあることでございますが、債権者の追求というようなことがありまして、そこで一時妻の名前に移すというようなことがあるわけでございますが、その実質が十分立証できるということになりました場合に、それは贈与税の対象にならないという扱いになります。ただ、現実問題として妻の名義にしましたものにつきまして、人の意思を税務署でどう考えるか、納税者の方にどうやってそれを証明していただくか、その証明手段の問題としてしばしば紛争が起こることがございますけれども、たてまえはあくまで実質が贈与したものでもない、仮想贈与であるということであるならば、それは贈与税の対象にならぬというのがたてまえでございます。
#202
○鈴木一弘君 結局遺産の問題、贈与の問題、まだまだ私は妻の座というもの、そういうものについては優遇されていない。明年度は非常にこれを優遇する方向へ持っていくというような感覚のようでありますけれども、四十八年度、新聞に報道された大蔵省方針では、引き続き優遇ということが出ているのです。実態はどうなんでしょうか。
#203
○政府委員(高木文雄君) 実は一部の新聞報道にそう伝えられておりますが、私どもの考えておりますところと若干食い違いがあるわけであります。今回三千万円まで実際の財産の分与額がそうであるならば、非課税にいたしましょうという考え方をとりましたのは、実は三つの考え方がございまして、夫婦間の相続については全く非課税にしてしまうという考え方と、それから先ほどの寄与率をどう推定するかはできないからということで、一応二分の一と見てしまうという考え方と、それから今回の案のように一定の額を限度とするという考え方の三つの考え方があるわけでございますが、第一の考え方につきましては、これは非常に巨額な財産をお持ちの方の相続が起こったという場合に、全部非課税でいいということで、社会的にそれが認められるかどうかということについては、若干問題がございます。二分の一ということで、大体の場合は済みますでしょうけれども、非常な御主人の企業家としての才能が巨大であるがゆえに、御主人の財産が大きくなっておる、何億、何十億となっておるという場合には、やはり妻が二分の一の貢献と見るべきかどうかというあたりになってくると、やや疑問があるというようなことから、いわばややおっかなびっくりでとりあえず三千万円までということにしたわけでございますけれども、こういうふうに制度を変えましたので、その制度をまたすぐ来年変えるというようなことは、いまのところは考えておりません。考えておりませんが、この制度でしばらく運用さしていただいて、その様子によって皆さまの御批判を得ると同時に、ただいま法務省のほうから御説明がございましたように、法制審議会のほうで昨年の二月以来、非常に御熱心に相続に関連する問題を、基本的に非常に深いところから御検討中でありますので、その御検討の結果をにらみ合わせながら、その結論があるいは出る時期がありましたならば、相続税についてももう一ぺん考え直すべき時期かと思いますが、それが出るまでの間に、何かいまの急に変えるということは考えておりません。ただ一般的には、今度の問題とは別に、基礎控除の問題その他の問題がございますし、かねがね各方面から御指摘がございます贈与税の問題などがございます。これらの問題については、本年度の改正点と異なる問題でございますので、そういう面について考えます場合に、今回の考え方と同じような考え方でいきますならば、やはり妻の地位というものは、いろいろ考えられてしかるべきものと思います。多少そういう考え方を持っておりますが、しかし、いずれにいたしましても、いまの段階で明年度において、こういう改正をいたしますというようなことを、いま腹案を持っておりますと申し上げます段階までは至っておらないわけでございます。
#204
○鈴木一弘君 その贈与税について、妻の座ということは、いわゆる財産、土地家屋というような不動産、あるいはそのほかの御主人の退職金とかそういったようなもの、こういうことを考えられておるんですか。
#205
○政府委員(高木文雄君) 贈与税における妻の問題はたくさんあると思いますが、一つは現在贈与税の基礎控除額と申しますか、一年間で四十万円、三年間累積で百万円までが基礎控除ということになっておりますが、この基礎控除の額は、妻も子供も、あるいは全く無縁の人との間においても、同じであるということで、この基礎控除の額に関する限りは、妻は何ら特別の扱いを受けていないということになっております。
 ただ一点、住宅の場合に限りましては、四十万プラス三百六十万、すなわち四百万円までは基礎控除ができる、住宅を贈与する場合に限ってそうなっておるわけであります。
 そこで住宅の問題につきましては、四十六年度の改正で三百六十万という額になったわけでございますが、最近における都市におきます土地の価格の高騰等にかんがみまして、はたしてその三百六十万プラス四十万、四百万円でいいかどうかというあたりに、問題が一つございます。
 それから第二には、いまは土地家屋ということだけに、妻の特別扱いはそこだけになっておりますが、かねがね事業用財産等についてもそれは考えられないか。たとえば農地あるいは農業用資産等についても、そういう問題がありますし、事業用資産等についてもそういう御議論が出ておるわけでございまして、ここらについてどうするかというあたりが問題になります。いずれにいたしましても、贈与税の問題は、一般的には物価が上がるとか、特に土地の価格が上がるとかいうこととの関連において、四十八年度ということはなかなかお約束いたしかねますが、早晩何か考えなければならない時期にきておりますので、そういう場合には、改正の機会には、妻のやはり問題というものは考えなければならないということは感じておるわけでございます。
 なお、私一点説明を間違えました。贈与の額は一年間で四十万円三年間で百万円と申し上げましたのは間違いでございまして、三年間で累積八十万円までが基礎控除額として、現行制度上なっております。
#206
○鈴木一弘君 それで所得税の場合でも考えられることは、夫の名義で、夫がかせいでくるわけでありますけれども、しかし、その所得がどこまでいってもやっぱり夫の名義である、そういうことでいままでなっていて、税制の中で所得税を見ても、妻については配偶者控除だけである、あるいはもし妻のほうに生産労働があった場合でも、専従者控除ということで、普通の場合配偶者控除ということになってしまいます。どうしてもやはり貢献度という点を考えると、所得税の場合も合算均分制度なりを考えていかなければいけないというふうに思いますし、そうでなければ、二分二乗方式をとらざるを得ないというふうに思うんですね。所得税の中では、あまりに私は十分な妻の貢献度が認められてないというふうにしか考えられないんですけれども、その点はどういうふうに見解を持っていらっしゃるか。
#207
○政府委員(高木文雄君) 所得税の場合は、またいろいろ別な問題がございます。現在の課税は、要するに夫婦とか、独身とかいうことでなしに、すべて所得税は稼得者単位ということで、所得をだれが得るかというところで、稼得者の単位で課税をする、したがって、夫と妻とが別々のところへつとめておって、そうしてサラリーマンでありましても、別々のところで収入があるならば、それぞれ別の単位で課税する、こういういわゆる稼得者単位になっておるわけでございます。それに対してサラリーマンのように夫が働いておりますが、妻は家で仕事をしておる、これは妻の働きがあればこそ、夫の所得があるわけでありますけれども、稼得者ではないからということで、夫だけに課税になる、こういう形になっておるわけでございます。
 そこで稼得者単位がよろしいか、むしろ消費単位に考えて、夫と妻の所得を合算して課税をする、稼得者単位には考えないという方式がよろしいかという問題があるわけでございます。かねてからむしろ消費単位に考えて、そのかわり夫婦に別々に所得がある場合には、それを合算をして、そうして、場合によったらそれで重くなるというなら、いわゆる二分二乗という考え方をしたらどうかという御議論があるわけでございますが、この二分二乗の問題につきましては、結局何らかの意味におきまして、一つには全体として所得税の負担を軽減しようではないかということから出てくる御議論でありますと同時に、どうも共かせぎの世帯と片かせぎの世帯のバランス論というのが非常にむずかしいことになってまいります。そういうことがありまして、昨年来欧米等の実情調査する等のことはやっておりますが、現在までのところ、諸外国のほうもいろいろ動いておりまして、この消費単位でやっております国が、逆に稼得者単位に変わってくるような国の例も出てきております。日本の制度がなかなかいいではないかということを諸外国でいっておる例がございます。いまこの問題は、なおいろいろな角度から研究しなければならないと思っております。現在のところ全くどちらに向かうべきか、特に変えなければならないかどうかということについて、私ども自身どちらの方向という、方向についてのある考え方を持っておるわけでないわけでございます。
#208
○鈴木一弘君 法務省に伺いたいんですけれども、民法にいう夫婦の共有財産というのは、どういうものですか。
#209
○説明員(田代有嗣君) 民法は夫婦の財産管理権に二つありまして、これは夫婦財産契約を結婚のときにするという制度が一つあります。これは夫婦の形態において、給料の三分の一を妻にするというふうにきめておけばそうなるわけですけれども、これは登記を見ますと、全国的に三年のうち一件とかほとんどありません。それでみな法定財産といって、民法の規定によるわけでございますが、これは夫婦別産制でございまして、それで皆別産になりまして、夫婦のいずれの所有に属するかわからないというものだけが、共有と推定するという規定になっております。ですから、原則は別産になっております。
#210
○鈴木一弘君 ですから、それが土地を買う場合も、家屋を建てる場合も、どちらのほうに属するかわからないといって、共有財産としての登記ということはできないですか。
#211
○説明員(田代有嗣君) その共有に二つあると思います。たとえば夫が結婚前から持っているお金、それから妻が結婚前から持っているお金で結婚しまして、半分出し合って家を買うということになりますと、これは当然共有になるわけでございます。こういう意味の共有と、いわゆる夫婦の一方が働いて得たものを共有にすると見るかどうかという共有はちょっと事柄が違うように思うわけでございます。したがいまして、そのいずれであるかによりまして、その共有のあり方が違いますし、あるいは税の、あるいは登記上の登記の登録税等も違ってくるのではないかというふうに考えるわけでございます。
#212
○渡辺武君 質問に先立って一言お断わりしておきたいと思います。先ほど委員長から税関研修所の問題についての理事会の取りきめなるものが発表されましたが、これは理事会の取りきめであって、委員会にはかって、委員会の承認を得たものではありませんので、私としてはこの手続き及び内容については別に了承しているわけじゃないということをはっきりお断わりしておきたいと思います。したがいまして、日本共産党の立場とは別の取りきめである、内容としても、手続きにしても、ということもはっきりお断わりしておきたいと思っております。その際、この問題についての質疑は打ち切りという御報告がございました。きょうは時間の関係もありますので、この問題については質問いたしません。しかし、いずれの機会にか質問をする権利を保留するということをはっきりと申し上げておきます。
 さて、先ほど竹田委員、戸田委員の質問に対して、政務次官及び関税局長の御答弁を伺っておりますと、全税関労働組合に対する差別は考えていないんだと、勤務評定に基づく選考の結果こうなったというような趣旨の答弁がございました。しかし私は、事実をはっきりと見るならば、このような答弁はまっかな偽りだというふうにしか考えられません。
 問題になりました横浜の税関、この問題は竹田委員も詳しく実情を申されましたし、四十名に近い人たちの通告書も出ております。その点についてははしょりますけれども、しかしこれは、横浜の税関だけの問題じゃない。神戸税関でも、これは前回竹田委員も申されましたけれども、念のために簡単に申し上げておきましょう。同じような差別が明確に行なわれている。昭和二十五年、この新しい高校ですね。または旧中学卒業採用者六十七名の中で、現在係長クラスに昇進している者五十四名、この中には全税関労働組合員は一人もおりません。主任になっている者が六名ある。うち全税関労働組合員はわずか二名であります。あとは全部平職員であります。これが七名あるうちの六名が全税関労働組合員、あと一人は女性、こういうことになっております。また昭和二十六年新高卒採用者百四十五名中、現在係長クラスになっている者百九名、このうち全税関労働組合員は一人もおりません。主任になっている者二十一名、この中も組合員は一人もいない。平職十五名、このうち全税関の組合員が十二名を占めているという状態であります。それからまた、昭和二十七年新高卒採用者七十一名中、現在係長クラスになっている者三十名、それから、また主任になっている者二十九名あります。この中にも全税関労働組合員は一人もいない。平職十二名あります。そのうち九名が組合員、一名が女性、こういうことになっております。昭和二十八年新高卒採用者七十六名中現在係長クラスになっている者が二十名、主任になっている者が四十二名あるけれども、この中にも全税関労働組合員はただの一人もいない。平十四名、全部が全税関労働組合員、こういう実情であります。大阪税関についても全くこれは同じことですよ。四十七年の四月現在の調査でありますけれども、昭和二十五年の高卒採用者四十二名のうち現在五等級になっている者三十六名、このうち全税関労働組合員は一人も一いない。六等級が六名ある。これが全税関労働組合員五名、女性一名、こういうことです。昭和二十六年の高卒採用者総数七十九名中五等級、つまり役付になっている者が六十七名あるが組合員は一人もいない。六等級すなわち平と見ていい、十二名いるけれども、このうち組合員が八名を占めている。二十七年高卒採用者、これが十九名ありますけれども、役付になっていると見られる五等級十三名、この中に組合員は一人もいない。平である六等級六名。このうち全税関労働組合員が一名、女性二名、こういう状況。二十八年高卒採用者二十九名のうち五等級十四名、うち全税関労働組合員はゼロ。六等級十五名中全税関労働組合員七名、女性三名。こういうことです。
 なおこのほかに、私の手元には門司、それから東京、それから函館その他のところがありますが、時間の関係で略しますけれども、ほとんど同じ傾向ですよ。昭和三十八年の分裂以来どんなにまじめにつとめても役付に昇任も昇格もすることができない。こういう状況なんです。普遍的傾向としてあらわれている。これは個々の人間の成績がどうかという問題でもないし、一つの税関だけに限って行なわれている問題でもない。これは関税局当局が、長期にわたって労働組合に対して不当な差別待遇をやってきたということを歴然と示す証拠だと見なければならない。これは昇任、昇格の問題だけじゃない。最近は多少是正されてきておりますけれども、しかし、つい去年あたりまでは定期昇給、これさえも全税関労働組合員に対してはずっと延伸されています。賃金の格差が非常に大きく開いているというのが実情です。しかも勤務成績が悪いからといって定期昇給も延伸させれば昇任も、昇格もやらせない。だったら研修に行って、その成績をもう少しよくするように研修させるかというと、そうじゃない。どんな研修にも全税関労働組合員はただの一人も参加させなかった。こういうことをあなた方がやってきて、それで組合差別の意図がないということがどの口があって言えますか。とんでもないことですよ、これは。
 きょうは人事院からおいでいただいておりますので、人事院に伺いますけれども、人事院規則の八−一二の第二条、ここに公務員の任免についての、いわば三つの原則ともいうべきものが書かれていると思いますけれども、これを御説明いただきたいと思います。
#213
○政府委員(岡田勝二君) 職員の任免につきまして定めました規則八−一二、これは公務員法と平仄を合わせまして、任免を行なうにあたりましていろいろな差別取り扱いをしてはならない、大まかに言えばこういうことを規定したのが第二条でございます。
#214
○渡辺武君 それちょっとあまり簡単で、時間がないから端的には御説明いただきたいのだが、あまりに簡単でむごいような説明と言っていい。私はだからわざわざ三原則とまで申し上げた。少なくとも三つの点については明確に御説明いただきたい。
#215
○政府委員(岡田勝二君) ただいまの八−一二の二条は公務員法の二十七条ということをまずいっております。公務員法の二十七条は、いわゆる平等取り扱いの原則ということで、この公務員法の適用におきまして人種とか信条とか性別あるいは社会的身分、門地、それから政治的意見、政治的所属ということで差別してはならないというのが一つの柱でございます。
 それから公務員法の三十三条と申しますのは、任免の根本基準としておるところでございますが、職員の任用につきましては、公務員法と人事院規則の定めるところによりまして、その職員の試験の成績なり勤務成績なり、あるいはその他の能力の実証に基づいて行なうということをきめたのが公務員法の三十三条でございます。
 それからもう一つ、公務員法の五十五条の三項と申しますのは、任免し、あるいは雇用し、いわゆる採用その他の任用の行為につきまして、この法律、あるいは法律規則、あるいはさらに人事院指令に要件を定めてある場合には、それに反したそういう任用行為はしてはならないということ。
 それから公務員法の百八条の七というのは、いわゆる職員団体、いわゆる組合の構成員であること、そういった関係でもって不利益取り扱いをしてはならない。この三つの柱、こういうことでございます。
#216
○渡辺武君 その三つの柱の相互の関連について伺いたいと思います。つまり具体的に申しますと、いまおっしゃった三つの柱のうち国公法三十三条、五十五条の三項、つまり成績に基づいて採用するという原則ですね。この原則は、第一の原則である平等取り扱いの原則及び第三の原則である組合員であるがゆえの不利益取り扱いの禁止、この条項と一体のものだというふうに見なきゃならぬと思いますが、どうでしょうか。
#217
○政府委員(岡田勝二君) この三つは、いい方はそれぞれの角度からいっておりますが、つまり組合員であるがゆえに差別してはならないとか、あるいは成績によってやれとか、あるいは二十七条のほうのさっき申しました第一の原則ということをいろいろの角度からいっておるだけで、結局せんじ詰めれば一つ事を違う角度からいっている、こういうことになろうと思います。
#218
○渡辺武君 そこが非常に大事な問題だと思うのです。関税局は職員の昇任、昇格にあたって、いま人事院から説明のあった三原則、これを忠実に守ってやっておりますか。一昨日ですね、局長の御答弁を伺っておりますと、公務員法三十三条の一項、三十七条の一項、二項、人事院規則の八−一二の第四十五条の精神に基づいてやっているのだ、こういうふうに言っておられる、一番肝心の、先ほど申しました国公法の二十七条「平等取扱の原則」それからまた百八条の七、組合員であるがゆえに差別をやっちゃいかぬという原則、そのことについては一言も触れなかった、つまり成績主義ということだけはあなたは取り上げて言っておられる。一体関税局は組合員に対する差別は当然のことだと思ってやっておられるのですか。
#219
○政府委員(赤羽桂君) お答えいたします。
 一昨日の私の答弁の際に、国公法三十三条一項、三十七条の一項、あるいは人事院規則八−一二というようなものを引用したわけでございます。職員の任用、選考の基準、こういう意味で申し上げたわけでございまして、ただいま先生のおっしゃいました国公法百八条あるいは二十七条、これは当然のことといたしまして、あえて前回の答弁においては引用しなかった、これだけのことでございます。
#220
○渡辺武君 当然のこととして守っているというならば、先ほど私が明らかにしたように、また前回竹田委員が具体的な資料でもって明らかにした横浜の実例、こういうようなことは起こりようはずがない。そうでしょう。平等の取り扱いの原則、もしこれが忠実に守られているならば、少なくとも同じ年度に採用されて、同じようにまじめに働いている人たちが、部内で著しく均衡を失している。全税関の組合員だけは平職にとどまっている。そのほかの人たち、特に竹田さんがこの前指摘された、第二組合を結成するときに中心になって活動したような人たちは一番昇進が早い、そういうような事実が起こりようはずがない。そうでしょう。あなた方は明確に、全税関労働組合員であるからということで差別をしている。これは個々の職員を勤務評定に基づいて選考した結果こういうことになったなんというようなものじゃない。明らかにこれは意識的な計画的な組合に対する差別、犯罪行為です、これは。こういうことは、先ほど四十名の通告者については検討するという御答弁がありました。ありましたけれども、これは横浜税関のことだけじゃないのです。いま申しましたように、日本全国税関のあるところ全部そうです。全面的に再検討する、こういう不正常な事態を改めるべきだと思いますけれども、どうですか、政務次官。
#221
○政府委員(船田譲君) 先ほど竹田委員並びに戸田委員にお答えを申し上げましたように、大蔵省といたしましては、これまでも、その職員がいかなる職員団体に所属しているかということによりまして差別を行なった覚えはございません。先ほど申し上げましたときは、特に私は一般論として申し上げたのであります。あの四十名の方をどうするということを申し上げたわけではございません。
#222
○渡辺武君 どうするおつもりですか。私はいま事実を申し上げているのだ、うそを申し上げているのじゃない。この客観的な事実をどうします。この不当な昇任、昇格についての差別、これやめますか。それとも従来どおり続けるおつもりですか、どうなんですか。
#223
○政府委員(船田譲君) 先ほどの竹田委員からのお話にございましたのは、横浜税関における四十名の通告者についてどういう考えかということを申されたわけでございますが、それについてはいま先ほどお答え申したとおりの気持ちでございます。したがいまして、いままでにおきましても、私どもは職員団体のいかなるものに所属しているかということを精査しておりませんから、したがって、差別しているわけでもございません。
#224
○渡辺武君 その答弁は全くこれは納得できませんよ。四十名については一応の答弁をやっておる。しかし、その四十名以外にも同じような事態が行なわれている。通告書を出すか出さないかの違いは多少あるだろう。しかし、事実は同じですよ。この差別はやめますか。やめるべきだと思う。大蔵省自身が明々白々たる法律違反をやっておる。とんでもないことです、これは。当然やめると率直に言うべきだと思う。どうなんですか。
#225
○政府委員(船田譲君) 先ほど来渡辺委員が御質問なさっていらっしゃいますところで、例にあげられましたいろいろな数字につきましては、私どもは先ほど申し上げましたように、どの職員団体でどういうふうになっておるかということを申しておるわけではございませんから、したがいまして、具体的な先ほどの竹田委員の御質問とはちょっと違うと思うのでございます。しかし私も、先ほどの四十名の方に対しまして、この方々をどうするのだというようなお答えはしたわけではございません。一般的に言いまして、私どもといたしましては、職員団体のいかんにかかわらず公平に扱っているつもりでございます。またその信念でおりますけれども、人事というものは相対的なものでございますから、主観的な見方で あるいはそこに誤解の入る余地もあるかと思いますが、そういうようなことがあってはならない、今後もさらに気をつけてまいりたいと、こういうことを申し上げたのでございます。
#226
○渡辺武君 組合員に対する差別というのが、あなた方は意識していないとおっしゃるけれども、客観的な事実としてもし存在するならば、それはどうします。改めますか。
#227
○政府委員(船田譲君) まあこういう仮定の質問に対しましてお答え申し上げるのは、はなはだ恐縮でございますが、控えさせていただきます。ただ、先ほどから申しておりますように、私どもといたしましては、今後におきましてなお一そう誤解の生じないように努力をしてまいりたいと、こういうことを申し上げました。
#228
○渡辺武君 誤解じゃないんですよ。あなた方、誤解だと思うなら、事実を調べるだけの誠意がありますか。この問題は、いまさらあらためてあなた方調べなくても、各税関ごとに労働組合が事実を突きつけている、横浜税関ではこういう通告書という形で。弁護士を代理人に立てて通告している。しかし、通告書という形で出さなくっても、いままでも団体交渉その他の中で、その事実ははっきりと明かるみに出して、こういう事実は是正すべきだという要求をしている。それをあなた方知らないはずがない。誠意をもって調査しますか。どうですか。
#229
○政府委員(船田譲君) 先ほど来繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、私どもは全税関の労組に所属しておられるかどうかということを一々調べるわけではございません。先ほど申し上げましたように、いかなる職員団体にお入りになっているかということは、むしろあまり私どもが調べないほうがよろしいのではないかとさえ思っているわけでございます。しかし、一般論といたしまして、大蔵省の関税局の人事に、もしもそういう御疑念が生ずるような結果があったといたしました場合、これに対しまして、私どもは、私どもの信念といたしましては差別をしてないつもりでございまするけれども、なお今後一そう注意をしてまいりたいと、こう先ほど来御答弁申し上げているわけでございます。
#230
○渡辺武君 私は、これは国会の委員会の席上だ。事実に基づかないことを事実だと言い張るつもりは少しもない。あなたは私がうそを言ってるとでも思っているんですか。国会のこの席上で、正式に事実を突きつけて、こういう事実がある、だから調査なさいますかと言っている。国会の委員会の議論を尊重するお気持ちがあるんですか。当然私は指摘されたならば、誠実に調査すべきだと思う。どうですか、それは。
#231
○政府委員(船田譲君) 先ほど来申し上げておりますように、所属団体のいかんによって差別をしていないつもりでございまするけれども、調査をせよというお話でございますから調査をいたします。
#232
○渡辺武君 その調査の結果を資料として提出していただきたいと思います。委員長、その点お願いいたします。
#233
○政府委員(船田譲君) 私いま調査をいたしますと申し上げましたけれども、これを各税関別に、各労組別にというようなことをいたしますことは、かえって私は円満な人事の管理に反すると思いますから、その点につきましては理事会の御指示を仰ぎまして善処してまいりたいと思います。
#234
○渡辺武君 とにかく、事実をひた隠しに隠そうとする態度はよくない、もし、あなた方がそういう組合差別をやった覚えがないと言うのだったら。はっきりと事実を調べて、ないならないと、それを客観的に証明する資料をお出しになるべきだと思う。卑劣な態度はおよしなさいよ。国会の場にすべての事実を明らかにし、そうして改めるべきことは改める、それが当然あなた方の義務じゃないですか。
 それから、なお次に伺いたいんですけれども、前回の答弁によりますと、関税局としては選考の基準はつくっていないと、先ほどもそういう御答弁がありました。そうして勤務評定に基づいて個々の人間について選考をしていると、こう言う。私は、これこそ関税局が組合差別をするための口実として勤務評定を持ち込んでいるというふうにしか思えない。なぜかと言えば、ここにほんの一、二の事例がありますので、あなた方に申し上げておきますけれども、だれが見ても勤務成績まことにいい、勤務成績がいいだけじゃない、関税局長や大蔵省から表彰状をもらっているような人たちまでが、組合分裂以後一回も昇任も昇格も行なわれていないという実態がある。ほんの二、三人について申し上げておきますけれども、横浜税関につとめている成尾衛君、これは全税関労働組合員。昭和四十三年三月十五日、関税法違反犯則摘発功労者として税関長の表彰とともに金一封をもらっている。それから同じ成尾君は、六年間を通じて、無断欠勤もなければ長期欠勤も一回もない、それどころか、昭和三十九年には人命救助をしたということで税関長の表彰を受け、水上警察署から金一封を受けている。なお、このときの税関長の表彰には、国家公務員として模範となるもの、というふうに評価されている。それからまたこの人は、かつて三回ないし四問も税関長から団体表彰を受けた課に属している。つまり団体表彰を受けた課の構成員であった。これが勤務評定であなた方が選考した結果一回も昇任も昇格も受けられない、こういう事態に置かれている。ほかに理由はない。全税関労働組合員であるというそれだけの理由、これがたった一つ残るだけです。
 もう一つ申し上げましょう。東京税関、ここにつとめている酒井保君、この人は、昭和二十六年三月旧高専を卒業して、人事院五級試験に合格して、昭和二十六年十一月十六日に横浜税関鑑査部に旧五級一号俸として採用された人、この人がいま東京税関にいるわけですけれども、昭和二十七年の通信研修の結果がきわめて良好であったということで税関長の表彰を受けた。それからまた、関税法違反にかかわる犯則事件摘発により、大蔵大臣表彰を一回と税関長表彰を二回も受けているこういう方、それが一回も昇任もなければ昇格もない、そういう状況ですよ。
 それからもう一つ、ここに大蔵事務官松永正己という名前で表彰状が出ている。表彰状を出したのは横浜税関長の川戸定吉という方。昭和三十二年七月八日付です。読んでみますと、「右の者昭和三十二年三月五日業務部為替課において執務中丸辰運輸株式会社勤務小杉豊司に係る輸出関係書類訂正変更許可書の有効期限変造事件を摘発する端緒をつくったことは平素より為替確認事務の重要性を認識し旺盛な責任感と細心の注意力の賜であり税関職員として模範とするに足るものであるよってここにこれを表彰する」、こういう表彰状を受けた人までが、ただの一回も昇任もなければ昇格もない。職場の同僚から聞けば、この人たちはまじめに働いている人たち、ただ全税関労働組合員であるということだけで、十年の長きにわたって一回も昇任もなければ昇格もないという状態、こんなこと許せますか。法律云々と言う前に、これは人道上の問題です。人権問題ですよ。よくそういうことで、組合差別をやってないなんてことをこの席上でもって言えますね。あきれ返ってもの言えないです。私はこの話を聞いたときに、組合の所属がどうであれ、こんな人道上の問題許すわけにはいかない。心の底から義憤を覚えました。人間の一生の中で、自分の一生をかけて働いているその職場で、労働組合員であるというだけで、昇任もなければ昇格もない。定期昇級も延伸させられる。年の給料がどれほど大きく違っているか、考えてもみなさいよ。勤務評定の中にいろいろなことがおそらく書き込まれるだろうと思う。さっきも竹田委員からお話がありました、労働組合活動をやったということで、組合活動を敵視している人間が、勤務評定を書き入れれば、当然これは勤務評定にはマイナスの点がつくことはこれは明らかだ。まさに勤務評定を参考にして、それに基づいて選考をやっているというこのやり方、ここにも組合差別を生み出す一つの根源があるんじゃないですか。最大の根源は、大蔵省なんです。その民主主義の根幹である労働組合運動を敵視しているというところにあると思うけれども、やり方自身の中にもその根源があると思う。その点どう思いますか。
#235
○政府委員(船田譲君) 給与法の八条の六項に昇給に関する規定がございまして、それを受けまして人事院の規則もあるわけでございますが、その中には、表彰云々ということのほかに、定期昇給の直前一年間におきます勤務の状況が良好であることというような条項が入っております。したがいまして、個々の例については私はつまびらかにいたしませんけれども、かりにたとえば一つの表彰がありましたことが、直ちにそれに該当するとは断ぜられないわけでございます。また、係長に昇任をいたすような場合におきましては、当然当人の適性等を勘案しなければなりませんので、そういう点も勘案をしていかなければならないところであります。また昇給が全然しないとおっしゃいましたけれども、そういうことはないんでございまして、昇給はさしておると思うのでございます。
#236
○政府委員(赤羽桂君) いわゆる勤務評定書を、この職員の昇任、昇格等、人事上の判断の基礎にするということ自体がおかしいではないか。それを組合差別対策の具として使っているのではないかというお尋ねでございますが、この勤務評定につきましては、これは先生も御存じかと思いますが、国公法第七十二条ではっきりとこの「所轄庁の長は、定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に応じた措置」を講じろと、こういうのがはっきり書いてあるわけでございまして、それに基づいて評定を、ただいまの人事上の評価の基礎にいたしておるわけでございます。それから、先ほど来国公法の三十三条あるいは三十七条、その他人事院規則の規定を引いておりますが、これをごらんいただきますと、おわかりになると存じますけれども、この勤務評定以外に、たとえば三十三条一項に「受験成績、勤務成績又はその他の能力の実証に基づいて、これを行う。」と、かように書いてあるわけでございますが、勤務評定それ自体が金科玉条、一〇〇%唯一の基準ではないということを申し上げたいと思います。
#237
○渡辺武君 政務次官の言われたことで、私の申し上げたことを曲解している点があるので一言訂正しておきます。昇給を全然やらなかったなんてことは私一言も言わない。定期昇給さえ延伸さしていると言っている。その点は、はっきり申し上げておきます。
 それで、あなた方は法律論をかつぎ出したので私も法律論で若干伺いますけれども、いま言われた国公法第三十七条、これに、昇任、昇格について勤務評定を使っていいとどこに書いてありますか。
#238
○政府委員(赤羽桂君) 三十三条並びに三十七条の規定と、それから最初に引きましたところの国公法の第七十二条の規定と、私らは相互に関連をするものと、こう考えておるわけでございまして、たとえばここに三十三条の一項に「勤務成績」ということばが入っておりますが、じゃその勤務成績は何に基づくのだということといたしまして、七十二条に基づきますところの「定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に応じた措置」云々と、かようにわれわれは考えておるわけでございます。
#239
○渡辺武君 それはあなた方がかってに関連づけているのです。法のどこに、勤務評定を使って昇任、昇格の選考をやれとどこに書いてありますか。どうですか、明確に示してください。法の条文で、あなた方の解釈ではなくて。
#240
○政府委員(赤羽桂君) 先ほどお答え申し上げましたところを繰り返すようでございますが、この三十三条、三十七条、七十二条の規定は、相互に関連したものというぐあいに考えております。
#241
○渡辺武君 そういうふうに、法に明記してもいないことをかってな解釈でもってやっている。しかも、その勤務評定の内容そのものが、これがまことに疑わしい。そういう事態では、当然職制の恣意的な判断、選考、これが行なわれる。そうして結果として生まれてくるものは、全税関労働組合員が、これが十年以上の長きにわたって昇任も昇格も一回もできないという事態となって出てくるのです。法にどこにも明記されてない。しかも、勤務評定を昇任、昇格に使うというようなことは、勤務評定そのものの趣旨からしたってはずれているのじゃないですか。
 人事院からおいでになっているから伺いますが、国公法の七十二条三項、これは勤評に基づいてどうする、こうするということが書いてあると思いますが、それと、人事院規則の一〇−二の第四条、これについて御説明いただきたいと思うのです。
#242
○政府委員(島四男雄君) 七十二条は勤務成績の評定についてのことを規定した条文でございますが、ただいま御指摘の人事院規則一〇−二の第四条には「勤務評定の結果の活用」について規定した条文でございます。その条文については、「所轄庁の長は、勤務評定の結果に応じた措置を講ずるに当つて、勤務成績の良好な職員については、これを優遇して職員の志気をたかめるように努め、」それから「勤務成績の不良な職員については、執務上の指導、研修の実施及び職務の割当の変更等を行い、又は配置換その他適当と認める措置を講ずるように努めなければならない。」と、そのようなことを規定しているわけでございまして、まさにこの勤評の活用については、いまこの条文にまさに書いてあるように、良好な者についてはこうしなさい、悪い者についてはこういう措置を講じなさいということを明示することによって、勤務評定の意義というものがここで明示されているというふうに思います。
#243
○渡辺武君 いま御説明のとおりです。これが昇任、昇格の選考の材料に使っていいなんということは一言も書いてない。勤務成績の良好な者についてはこれを優遇する、そうして職員の士気を高める。別のことばで言えば、特別昇給など、あるいはまたさっき言った表彰状だとか、こういうようなものがそれに該当する。それからまた勤務成績の悪い者、あなた方は全税関労働組合員を勤務成績悪い悪いと、そのために昇任、昇格をやらせない、しかし、そんなことをやっていいということは書いてないのです。執務上の指導をせよ、「研修の実施及び職務の割当の変更等を行い、又は配置換その他」をやれということは書いてある。その勤務成績が悪いと称している全税関労働組合員に、法に定めている研修さえもいままではやらしてこなかった。明らかにこれは不当な差別待遇。法律論争をあまりやっても何ですけれども、この点をひとつよく考えていただきたい。そうして労働者も、それから第三者も納得できるような選考のやり方、これを確立すべきだと思う。大蔵省としてどう思いますか。さっきも竹田委員から指摘がありました、これは関税局に一番ひどく出ているけれども、しかし、関税局だけじゃない。税務署の労働組合にもこういう問題が出ている。私はあらためてこの問題も取り上げたいと思う。とにかく大蔵省というのは頭が変じゃないかと思う。戦前と同じことを考えているんじゃないか。労働組合に対してどういう考えを持っているか疑わざるを得ない。しかしあまりそういうことを申し上げている時間もないんで、いま伺ったことをお答えいただきたい。
#244
○政府委員(船田譲君) 私ども大蔵省当局といたしましても、健全な労働運動につきましては十分理解を持っているつもりでございます。したがいまして、いかなる職員団体に所属いたしましょうとも、その所属によって差別をするというようなことは毛頭考えておりません。
#245
○渡辺武君 私の伺ったのは、昇任、昇格などについての客観的な、正当な基準をつくるべきだということなんです。
#246
○政府委員(船田譲君) 先ほどの竹田委員の御質問にも局長答えておりましたように、人事院規則において詳細に規定をしておられるところに従ってやっておるわけでございますから、選考の基準をそのほかに自分たちでつくるというようなことは必要でないというふうに実は考えております。
#247
○委員長(前田佳都男君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#248
○委員長(前田佳都男君) 速記起こして。
#249
○渡辺武君 あなた方はそう言っているけれども、それが守られていないところに問題がある、その点は率直に反省すべきだと思うんですよ。私は事実に基づかないことを言っているわけじゃない。国会のこの委員会の席上ではっきりとあなた方に事実を指摘して改善を要求しているんです。同じような答弁を初めから終わりまで繰り返してそれで事が済むと思ったら大間違いです、実際のところ。あまりにも無責任きわまりない態度です。大体国際的にも労働者の先任権ということがいわれている。早くその職場に就職した人は、これは格別な事情がない限りは、これは漸次早く就職した人から昇任、昇格していくという原則です。これはフランスでも西ドイツでもイギリスでも大体そういうことに基づいてやられている、先進資本主義国といわれているところは。そうしてそこでは、労働者も参加した適切な委員会をつくって、そうして公平にいろいろ検討をしている。つまり別なことばでいえば、組合差別をそこで排除できるような機構をつくって、先任権に基づいてやっているというのが普通の姿なんです。また同時に、これは一九六六年の第二十一回国連総会は人権に関する二つの国際規約を採択しましたけれども、そのうちの一つである経済、社会及び文化的諸権利に関する国際規約第七条、これの(c)項は、ここには、(すべてのものがその雇用内で適切なより高い職階に昇進する機会を平等に与えられること。ただし、昇進に関して先任権と能力以外のことを考慮してはならない。)と、はっきりうたっている。私は無理なことを言っているつもりはない。大蔵省が公平な人事をやりたいというんだったら、まさにこの先任権の原則、これに基づいて組合差別をやることを防ぎとめるような機構をつくって、この昇任、昇格問題を解決すべきだと思うんです。その点どう思いますか。
#250
○政府委員(船田譲君) 一昨日以来、当委員会で各委員から御注意のありました点につきましては、私どもも十分その意見を聞くことにやぶさかではございません。
 いまの先生の国際機関における決議等につきましての御教示もありがたく承っておきます。ただ、また繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもの姿勢といたしましては、いかなる労働組合いかなる職員団体に所属いたしておりましても差別をしないというのが鉄則でございます。
 また先ほども御注意のありましたように、健全なる労働運動をわれわれは積極的に認めていくということもその気持ちにおきましても大蔵省は決して人後に落ちるものではないと思っております。今後さらに明るい人事関係を確立するために努力をしてまいりたいと考えております。
#251
○渡辺武君 次に、大分銀行の問題について二、三点伺いたいと思います。
 先ほどの御答弁を伺っておりますと、労働省もそれからまた大蔵省も、できるだけ個々の労使関係には介入したくないんだという趣旨の答弁をしておられます。それは、政府機関が個々の労使関係に介入するということは原則的には正しくない、その点は明らかです。しかし同時に、大分銀行で行なわれている、先ほど竹田委員が詳しく申されたような、あの不当労働行為、これは単に個々の労使間の問題としてだけ片づけることのできない重大な内容を含んでいると思う。それは私が申し上げるまでもなく、労働組合運動の自由、労働組合に対する差別の禁止、これは日本の民主主義制度の根幹です。この根幹が守られて初めて日本の民主主義体制、これが維持できるし、そうしてまた国の平和、これも守ることができると私は思う。これがくずされたら再び戦前のような非民主主義的な、そうしてまた侵略戦争を事とするような国に変えられてしまう。これは国の運命にとっても非常に重大な問題だと思う。
 特に、この問題の責任者である大分銀行の頭取、これはどういう人か、大分県の経済同友会の代表幹事、それからまた県の公安委員長もやっている、こういう人です。社会的な要職についている人です。そうして銀行であるからして、その融資先にもいろいろ介入の便利もある。自分のところで不当労働行為をやって、それと同じようなやり方を、自分の融資先の工場や何かに押しつけて歩いているというのが実情です。
 大分県はいまは周防灘開発で日本の工業の一つの中心点になろうとしている。そういう重要な地域で、こんなばかばかしいことが行なわれている。これは、したがって、大分銀行の労使間のそれだけの関係だというふうに見るわけにいかない。当然監督官庁としてこれを適切に是正する方向を措置してもらわなければいかぬと思う。
 いま申しましたように、労働組合運動の自由、これを守ること、これは憲法にも、労働組合法にもはっきりとうたわれている。その点を原則としてあなた方が適切な措置をやるべきだと思うんです。その点どうなさるか、重ねて伺いたいと思います。
#252
○説明員(松川道哉君) 渡辺先生御指摘になるまでもなく、私ども大蔵省銀行局といたしまして、銀行を一般的に指導監督いたしております。これは大蔵省の財政金融全体に対しましてどういうふうに持っていくかという非常に重要な行政責任を課せられておる、その立場で監督しておるわけでございます。しかしながら、銀行という一つの企業体をとらえてみますと、ここには別な角度からのいろいろな行政というものが入ってきております。
 ただいま先生御指摘の労使間の問題この問題につきましては、私から申すまでもなく、御案内のとおり、非常に重要な問題であるとして、いわゆる労働三法をはじめその他の立法がございまして、それはそちらの面からまた監督されておる官庁があることも事実でございます。私どもといたしましては、金融面から広く監督する立場に立ちまして、労使間の紛争というものはあくまでも当事者の自主的な解決にゆだねられることが基本であり、解決されることが好ましい、このように考えております。
 そこで、ただいま先生がお話しになりましたような、たとえば不当労働行為であるとか、そういうものがいれば、それはそれなりにまた設けられております適切なる機関あるいは公平な第三者で構成されております機関、そういったところを通じて解決されるべきであり、またそういった公正な機関の決定に対しまして、当事者の一方がかりに不服があるということであれば、それはそれなりにその手続において定められた順序を踏みまして解決されるべきであろう、このように考えております。もちろん私どもといたしましても、冒頭に申し上げましたとおり、銀行におきましての労使関係が円満に行なわれていくことが好ましいと思っております。したがいまして、今回、御指摘のような大分銀行の例、これは非常に長期間にわたっております。その点につきましては、はなはだ残念だと思っております。ただ、しかしながら、そのためにすぐ私どもがどうするかということになりますと、これはかえって労働関係の労使どちらかに加担するということにもなりかねませんし、また公正な解決に対してかえって円満な解決を妨げることになりはせぬか、そういう考えがいたしますので、私どもといたしましては、これにいわゆる指導をする、介入をする、そういったことは考えておりません。
#253
○渡辺武君 労働省のほう。
#254
○説明員(岸良明君) 先ほども御質問に対して私からお答えをしたとおりでございますけれども、具体的な問題につきましては、先ほどの御答弁で申し上げましたとおりに、現在中労委で話し合いが進んでおりますから、その状況を十分注視しつつ、必要に応じて労働省の立場から労使双方から事情を十分聴取して、私どもの立場で許される限度において必要な指導を行ないたい、かように思います。ただ、私どももこの具体的な問題とは別にいたしまして、かねがね最近の情勢から見まして、合理化問題あるいは新旧労働組合の併存する場合のトラブルというものが相当ございますので、昨年私どものほうとしては労政課に対して、都道府県の課に対しまして、通牒を出しております。この際にも、私どもとしては非常に労使関係あくまでも自主的に解決されるベきであるというたてまえでございますけれども、しかし、特にこういうような健全なる労使関係の確立の観点から見まして、問題のある事案が生じた場合については、まず府県としては実情の把握に十分つとめて、必要のある場合には適切な指導、助言につとめていく。しかもこの場合におきましては、あくまでも労使関係に対して過剰な介入にならないように十分注意をせよという趣旨の通達を出してあるわけでございます。そういうことであります。
#255
○委員長(前田佳都男君) 渡辺君、簡単にひとつ願います。
#256
○渡辺武君 あなた方のお話を伺っていますと、一応は理屈が通っているように見えるけれども、しかし、その実態にちっとも合っていない。なぜかと言えば、先ほども竹田委員申しましたけれども、これは十年戦争と言われる紛争ですよ。そうして十回にわたって、地労委、それから中労委、それからまた地方裁判所、高等裁判所、こういうようなところで銀行側が負けているのです。ところが銀行側は、いわゆるそういう第三者機関といわれているような裁定に服さない。そうして上へ上へと持っていっている。なるほど地労委でこの命令に不服ならば、それは中労委に提訴することはできますよ。中労委のこの命令に不満ならば、これは裁判所に持っていくこともできましょう。形は合法的のように見える。しかし、こんなことを許せばどうなりますか。金とひまのあるやつが結局のところ勝つ。労働者は自分たちの言い分が正しいということを、いわゆる第三者機関からはっきりと証明されていながら、生活上その他の問題、銀行からの直接の圧迫、これで千八百名もあった労働組合員が、いまは五十八名に減るという惨たんたる状態です。組合の委員長なんかは、年収入百万円以上も、当時同じような地位にいた人と比べてみるともう差ができちゃっている。家庭の状況だって非常に苦しいですよ。こんな、いわば法を口実にした暴力ですよ、これは。こんなことを許せるかということです。そういう事態に立って、あなた方は憲法や法に基づいて行動するのが当然な立場だと思う。もし適切な助言や指導をやるとすれば、これは銀行当局側に、裁判所やあるいはまた中労委、地労委の裁定に服すべきだというふうに言うべきだと思いますが、そのおつもりがあるかどうか。
 それからもう一つ、先ほど中労委の和解を見守っているのだと言いますけれども、しかし、これも銀行がいままで十回にわたって出された地裁や高裁あるいはまた地労委や中労委の結論に従わないという態度をとっている以上、この和解だってうまくいくはずはないんです。労働者はこの和解について別に絶対反対の立場をとっているんじゃない。労働者は労働者としての立場から、この和解についての要求は持っております。しかし、銀行側がそういう立場をとっている以上は、この和解もうまくいくはずはないんですよ。ですから、ただ単に見守るというようなことじゃとうていこれは片づかない。どうしても銀行に対して、いままで各段階の労働委員会や裁判所で出した結論、これに従うということをやらせる必要があると思う。その点どう思いますか。
#257
○説明員(岸良明君) 先ほども申し上げましたとおりに、現在の法制の上から申しますと、初審命令はあくまでも効力がある、そして中労委に出しました段階で、必要に応じまして、これはこの初審命令の履行を勧告することができるわけでございますけれども、中労委の段階まででは、これはやはり罰則の強制がないわけでございます。そこで問題は、この地裁に出ます。裁判所に出た段階になりますと、地方裁判所におきまして、労働委員会の申し立てによって、この当該命令の履行を命ずることができる、これは緊急命令でございます。これは明らかに法的に罰則で強制をされているわけでございます。また法律的な筋道を申しますとこういうわけでございますけれども、私どもとしてはやはり労働委員会、中労委、地労委を含めまして、当該これは公正妥当な判断を下しておるものと私は信じております。したがいまして、労働者としては当該使用主のほうで、もちろん法的に許される範囲内のいわゆる控訴手続をおとりになると思いますけれども、私どもとしてはやはり当該命令の履行を強く期待をするわけでございます。ただ使用者側においてあくまでも法的な手続きをとって上訴をするというところまでは、やはり制度的には許されていることでございますので、そこまで労働省として強くこれに対して意見を申すということは、これは限りがある、かように思っております。
#258
○渡辺武君 大蔵省どうですか。
#259
○説明員(松川道哉君) 労使間の問題も、一般論として申しますれば、渡辺委員御指摘のように、せっかく設けられました公平な第三者の機関の決定に、しかもなるべく早い段階に、それに従うことが好ましいということは私どもも同感でございます。ただ制度的に、そこから上級審と申しますか、さらに上級の機関に提訴する道が開かれておるということは、そういった初めの段階での公平な第三者の決定でもあって、当事者の一方が、何らかの理由がございまして、それに服しがたい場合があるということを予想して制度も設けられておりますし、当事者の一方がどうしても納得できないということで、それを提訴する気があれば、やはり労働問題に設けられましたこういった特別のルールに従いまして、解決されるべきであろうと私ども考えております。
 ただ御指摘のように、この具体的な例におきましては非常に時間がかかったことは私どもとしても残念に思っておりますが、ただ時間がかかっているから、これは本来、金融行政一般の面で監督をすべき銀行局が何らかの形でこれに対し指導をいたし、あるいは助言をいたすということになれば、これはかえって労使関係に対する不当な介入になるのではないか、私どもそちらの面を非常に危惧いたします。したがいまして、私どもこの具体的なケースにつきまして積極的に助言いたしないしは指図するというようなことは差し控えたいと考えております。
#260
○戸田菊雄君 大蔵省に今後の審議の必要資料を要求しておきたいと思います。
 その一つは、補助金便覧の三四一ページですが、これに個人企業経済調査委託費、こういうのがあるんですが、この内容ですね。どういう会社でこの委託をしているのか。それから会社の性格並びに役員名簿はどうなっているか。それからいろいろな資料を作成するというんだが、その契約内容はどうなっているか。この内容についで、これは総理府所管になっておりますが、資料をひとつ提示をしていただきたい。
 それからもう一つは、同じように二四〇ページですけれども、これに輸出品意匠向上事業費補助金、この内容も同様にどういうものがあるか。さらに二四一ページにまいりまして、「軽機械、自動車部品、産業用電子機器、電気通信機器の輸出振興及び輸出工業品国際規格化の振興を図るため海外市場調査並びに紹介宣伝等を行なうため必要な経費の補助。」、こうなっているんだけれども、この内容は具体的にどういうものなのか、これが一つ。
 それからもう一つは、二三二ページですけれども、これに広告向上推進事業費補助金があるわけですね。これも内容としては一体どういうものがあるのか、この詳細についてひとつ次回の委員会までに資料を提示を願いたい。
 以上です。
#261
○委員長(前田佳都男君) よろしゅうございますか。
#262
○政府委員(船田譲君) ただいま御要望のありました資料は、補助金便覧そのものが主計局所管でございまして、きょう主計局の者が来ておらぬかと思いますが、できるだけ早く調達したいと思いますが、私も内容をよくわかりませんので、どのくらい時間がかかるかちょっとわからないものですから、直ちに伝えます。
 質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#263
○委員長(前田佳都男君) 次に、たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。船
 田大蔵政務次官。
#264
○政府委員(船田譲君) ただいま議題となりましたたばこ耕作組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近におけるたばこ耕作及びたばこ耕作組合をめぐる諸情勢の推移にかんがみ、たばこ耕作組合の運営の円滑化をはかるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 まず、地区たばこ耕作組合及びたばこ耕作組合連合会の地区について、その区域をそれぞれ拡大することができることとしております。
 次に、たばこ耕作組合連合会及びたばこ耕作組合中央会は、その会員に対し、一定の基準により二個以上の議決権及び役員の選挙権を与えることができることとしております。
 以上のほか、地区たばこ耕作組合の代議員会の設置条件及び総会における組合員を代理し得る人数の制限を緩和する等の所要の措置を講ずることとしております。
 以上、たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由と内容の大要を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#265
○委員長(前田佳都男君) 引き続き補足説明を聴取いたします。福間大蔵大臣官房日本専売公社管理官。
#266
○政府委員(福間威君) 最初に、本法律案の背景となっている事情について簡単に御説明申し上げ
 たばこ耕作組合法は、昭和三十三年五月に制定され、それまで任意団体として全国各地にありましたたばこ耕作者の団体は、本法に基づき法人格を有するたばこ耕作組合に改組され、たばこ耕作者の経済的社会的地位の向上及びたばこ専売事業の健全な発達に寄与してきたのであります。
 しかしながら、最近におけるたばこ耕作及びたばこ耕作組合をめぐる諸情勢は、著しく変化してきております。
 すなわち、農業労働力の流出等により、法制定時には約三十五万人おりました組合員が、昭和四十六年には約十七万人に半減し、また耕作者の中にも兼業化が増大している等の事情により、運営に支障を生じている組合が増大しております。
 政府としても、これらの事態に対処すべく小規模組合の合併促進をはかってきたところでありますが、現行法のもとでは種々の制約があり、抜本的な解決をはかることは困難でありますので、かねてからのたばこ耕作組合の要望に基づき組合の運営の円滑化をはかるため、たばこ耕作組合法の一部を改正することとしたものであります。
 次に、法律案の内容について簡単に補足して説明いたします。
 第一に、地区たばこ耕作組合及びたばこ耕作組合連合会の地区についての改正であります。
 現行の規定による地区組合の区域では、組合員数の減少によりその運営に支障を来たしている組合が増大してきておりますので、適正な規模の地区組合に再編成し得るようその地区を拡大することができることとしております。
 また、地区組合の地区の改正にあわせて、連合会についてもその地区を拡大することができることとしております。
 第二に、たばこ耕作組合連合会及びたばこ耕作組合中央会の議決権及び役員の選挙権についての特例であります。
 現行の規定は、一会員一票制でありますが、都市周辺地域を中心とするたばこ耕作者の減少等に従いまして連合会及び日中央会の会員である地区組合の組合員数に著しい不均衡を生じてきておりますので、このような状態を改善するため、連合会及び中央会は、一定の基準によりその会員に対し二個以上の議決権及び役員の選挙権を与えることができることとしております。
 第三に、たばこ耕作組合の総会における代理及び地区組合の代議員会の設置条件についての改正であります。
 最近における農業情勢を反映して、たばこの耕作者についても兼業化が進み、出かせぎが増加しております。
 また、組合員数の減少した小規模地区組合におきましては、隣接する組合との合併が行なわれておりますが、この結果、地区組合の地区が広域となったものもあります。
 これらの事情により、総会の開催が困難となっている組合が増大してきておりますので、次の二点について改正を行なうこととしております。
 まず、総会において他の組合員を代理し得る人数については四人を限度とし、五人以上代理することができないこととなっておりましたものを九人まで代理することができることとし、代理権の制限を緩和することとしております。
 次に、従来組合員が五百人以下の地区組合は代議員会の設置が認められておりませんでしたが、三百人をこえる組合について代議員会を設置することができることとしております。
 以上で法律案の主要な事項の説明を終わります。
#267
○委員長(前田佳都男君) 本案に対する質疑はこれを後日に譲ります。
 次回の委員会は、明九日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト