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1971/06/08 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号
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1971/06/08 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号

#1
第068回国会 外務委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号
昭和四十七年六月八日(木曜日)
   午後三時五分開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
   外務委員
    委員長         八木 一郎君
    理 事         石原慎太郎君
    理 事         佐藤 一郎君
    理 事         山本 利壽君
    理 事         森 元治郎君
                木内 四郎君
                今  春聴君
                佐藤  隆君
                杉原 荒太君
                塚田十一郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                加藤シヅエ君
                田  英夫君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                黒柳  明君
                渋谷 邦彦君
                中村 正雄君
                星野  力君
   科学技術振興対策特別委員
    委員長         渋谷 邦彦君
    理 事         津島 文治君
    理 事         平島 敏夫君
    理 事         辻  一彦君
    理 事         矢追 秀彦君
                江藤  智君
                大谷藤之助君
                長田 裕二君
                剱木 亨弘君
                源田  実君
                中山 太郎君
                永野 鎮雄君
                鍋島 直紹君
                西田 信一君
                大矢  正君
                小林  武君
                沢田 政治君
                森 元治郎君
                中村 利次君
                星野  力君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   外務委員会
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                佐藤 一郎君
                山本 利壽君
                森 元治郎君
    委 員
                杉原 荒太君
                塚田十一郎君
                増原 恵吉君
                田  英夫君
                羽生 三七君
                星野  力君
   科学技術振興対策特別委員会
    委員長         渋谷 邦彦君
    理 事
                津島 文治君
                平島 敏夫君
                辻  一彦君
                矢追 秀彦君
    委 員
                大谷藤之助君
                長田 裕二君
                剱木 亨弘君
                源田  実君
                西田 信一君
                中村 利次君
   国務大臣
       外 務 大 臣  福田 赳夫君
       国 務 大 臣  木内 四郎君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      井上  保君
       科学技術庁原子
       力局長      成田 壽治君
       外務省条約局外
       務参事官     穂崎  巧君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       原子力委員会委
       員長代理     有沢 広巳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とオーストラリア連邦政府との間の協定
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○原子力の平和的利用に関する協力のための日本
 国政府とフランス共和国政府との間の協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
  〔外務委員長八木一郎君委員長席に着く〕
#2
○委員長(八木一郎君) これより外務委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○辻一彦君 私社会党のほうから、きょうは原子力の平和利用における協力のための日豪協定、原子力の平和的利用に関する協力のための日仏協定、この二件についてしばらく質疑を行ないたいと思います。
 まず第一に、きょうは木内長官まだお見えにならないので、まず有沢原子力委員長代理にお伺いいたしたいと思いますが、それは原子力開発利用の長期計画が六月一日に発表されました。それによりますと、長期の利用計画で、昭和五十五年には日本における、わが国における原子力発電は三千二百万キロワット、六十年には六千万キロワット、六十五年には一億キロワットの計画であると、こういうことが発表されております。私はこれをざっと拝見をして、通産省が、通産大臣のエネルギー諮問の委員会が前に発表したものとほぼ同じでないか、そこで、通産省の場合にGNP至上主義といいますか、そういう経済成長率を延長して、それがために将来どれだけ電力が要る、その中で原子力発電の割合はこれだけだ、こういうことが通産省の計画で出ている、これを私は原子力委員会が独自の立場でわが国の電力の需要あるいはその中における原子力発電の割合、あるいはいま問題になっております環境の問題、こういうものを検討して独自の立場において原子力委員会が長期利用計画を発表したのかどうか、一覧しますと、どうも独自性が乏しいようにも思うのでありますが、その点の見解をまずお伺いしたいと思います。
#4
○説明員(有沢広巳君) ただいま御質問のありました原子力平和利用長期計画で予想しております原子力発電が昭和六十年にざっと六千万、この線でございますが、これはたいへんいろいろ議論のあるところでございますけれども、いま各方面の一応の見通しとして出ておる数字が大体六千万、四千万から六千万、こういう数字になっていると思います。それで、私どももこれにつきましては多少の検討を加えましたけれども、私どもの独自の調査に基づきましてこの数字が出たわけではありません。と申しますのは、この数字をはじき出すだけでもたいへんな作業が要りますし、またかりにそれが得られたといたしましても、それが六千万という正確な数字がちょうどわれわれのそのままのターゲットになるとは考えられません。しかし、原子力発電が今後十年なり十五年の間に相当大きく伸びるということは否定できないと思います。
 で、いま御指摘のありました日本の経済成長率をかなり高目に見て、それに見合うような発電量を予想したのではないかと、こういう御疑問、御疑念もあろうかと思いますが、まあ成長率もある程度低くは見ておりますが、その成長率に対する発電の、何と申しますか――発電事業の弾性値と申しましょうか、つまり成長率が一%ふえるときには電力需用はどれくらいの%ふえるかという比率でございますが、これは日本の国民生活がだんだん向上すればするほど、家庭、民生用の電力の需用が非常にふえる。産業用のほうは幾らかふえ方が減るということはあろうかと思いますけれども、この民生用の電力がふえるという観点から考えますと、全体としての電力需用はかなり大幅にふえると、こういうふうに考えられます。その中で、まあこれは電力発電一般でございますけれども、一方ではわが国におきましてはもう火力発電、石油をたいて発電をする火力発電と、それから水力と、それからいまの原子力発電、まあ石炭のほうはだんだんウエートは非常に落ちていくものと考えられます。水力は、御承知のようにいま揚水発電なんかを加味しておりますけれども、そう大きく伸びることはむずかしい。あとは火力、石油火力と原子力発電の関係でございます。石油につきましても、いろいろ問題があります。公害の問題はむろんのこと、供給そのものにつきましても問題があると思います。で、原子力発電につきましても、御承知のように環境の問題であるとかあるいは立地の問題というふうな問題があることは確かでございます。けれども、日本の経済の成長率と、それよりももっと高い弾性値をもって伸びる電力の需用というものを考えますと、火力にしろ原子力発電にしろ、相当大幅に伸びざるを得なかろう、そういう観点からおおよその線を出してみますと、四千万ないし五千万の原子力発電というのがおおよその線であろう。ただし、これはどうしても原子力発電六千万キロを確保しなければならぬというふうな政策上の任務と申しましょうか、むしろ責任でございますが、責任は原子力委員会には私はないと思います。ですから、原子力委員会としては、それだけの原子力発電が今後必要になるとするならば、おおよそ四千万ないし六千万というふうな、これでもかなり大きいのですが、そういうものに対してどういう今後手段をとっていくべきか。それを計画的にとるとするならば、どういう計画的な手段が考えられなければならぬかということを、その点にむしろ力点を置いてつくったものが長期計画でございます。ですから、長期計画の中にむろん六千万キロという原子力発電が予想されておりますけれども、その予想されている六千万の発電というものは、そう非常にリジッドに目標値として考えられたものではないということを御承知おき願いたいと存じます。
#5
○辻一彦君 それではああいう長期計画を発表されて、六十年度六千万キロワットを推進する政策上の責任はまずどこが持つのか、あるいはどこが推進するのか、これをひとつ伺いたいと思います。
#6
○説明員(有沢広巳君) まあ八五年――六十年度の六千万ということについての責任を持つところは、いまのところないんじゃないかと思います。むしろ何といいますか、電調審ですか、発電の調整をする審議会、そういうところが五年とかあるいは七、八年のところを見越してやっていると思います。ですからそのほうから出てくる数字もわれわれはむろんいまの六千万キロの中には取り入れております。ですから五十五年ですか、一九八〇年のときの数字が三千二、三百万キロワットになっておったと思いますが、これはおおむね妥当であると私どもは言っておるのは、それは大体正確な数字、われわれの目標としても正確な数字であると、正確という意味はぴしっと合うという意味じゃありませんから、われわれがそれをターゲットとして考えてもいい数字であろうと、こういう意味であります。八五年の六千万キロになりますと、いまのところその数字に対する責任はだれが負うかといわれても、私はいま持てる人はないのじゃないかと思いますが、以上でございます。
#7
○辻一彦君 まあ全般の計画をもうちょっと明らかにして、具体的な質問に入りたいと思うのです。
 いま有沢委員の御発言を聞いたのですが、原子力委員会は、片面においては原子力発電のいわゆる開発推進の役割りをもちろん持ちますし、また片面においてはこれを規制していく役割りを持っていると私は思う。ところがどうも通産省の数字だけを丸のみにされて、そういう面の片方の役割りが十分果たされていないのじゃないかと、こういう感じを持つのですが、そこらの点についてどうお考えになるか、もう一度伺いたいと思います。
#8
○説明員(有沢広巳君) 原子力委員会は、その設置法の上から申しまして、原子力の平和利用を推進するという一つの任務を持っておることは確かでございます。しかしこれは平和利用の点でございまして、したがって、ただ原子力を推進するというわけじゃなくて、この原子力が平和目的のためにのみ推進されるということが一つ。もう一つは、御指摘のようなこれは原子力というのは本来放射能、核分裂を何といいますか土台にして、その熱なり、熱を利用しようという、あるいは放射線を利用しようというたてまえでございますから、初めから放射線問題、これがあることははっきりしております。したがって、これを一般の人々に障害を与えないようにちゃんと規制していかなければいかぬ。それで規制法ができておるわけでございます。ですから一方には推進、一方には規制と、この二つの両輪をうまく操作していかなければ原子力委員会の任務はつとまらないと私は考えております。
#9
○辻一彦君 まあそれについてはあとでもう少し触れたいと思います。
 そこで、昭和五十五年に三千二百万キロワット、昭和六十年に大体六千万キロワットと、六十五年に一億キロワットといいますが、大体この長期計画のそれぞれの年次において、現在の大型化、あるいは集中化の典型的な一つの例と見られるたとえば福島地区あるいは若狭湾地区あるいは将来の柏崎地区、こういうところは一応どれぐらいを想定をされて六千万キロワットと計算されておるのか、これをちょっと参考に伺いたいと思うのです。
#10
○説明員(有沢広巳君) ただいま御指摘のありました問題でございますが、まあ先ほど私はちょっと年度を間違って申し上げたかもしれませんからもう一ぺん重ねて申し上げますと、昭和五十五年が三千二百万キロワット、昭和六十年が六千万キロワット。それでこの長期計画におきましては、二十年ぐらいの将来を見通して、長期に見通して、いろんな計画を立てる場合に、その見通しをある程度計画の中へ反映させるという考え方もありますけれども、しかし、何といっても二十年というような後のことはなかなか見通しもつかないところもありますので、長期計画は大体十年のところを考えております。ですからまあ大体八〇年、昭和五十五年ごろまでのことならばかなりはっきりしたことが言えるだろうというので、先ほども申しましたように、昭和五十五年の原子力発電量が三千二百万キロになるのはおおむね妥当であろうと、こういうふうに見ております。
 そこで、こういうふうな発電量を発電するについてはどういうふうにサイトを考えているかという御指摘で、たとえば福島地区なら福島地区、あるいは若狭湾地区なら若狭湾地区にどれくらいの規模のものを考えているかというお尋ねでございますが、はっきりしたことは私どもは考えておりません。むろん過度の集中はいけない、こういうふうな考え方は持っております。ですから、若狭湾地区にしましても、福島地区にしましても、そうそう一つの地区にどんどん原子力発電所がふえる、こういうふうには私どもは見ておりません。したがって、いまの三千二百万キロというふうなことになりますと、一基当たり百万キロにしましても三十二台の発電炉が要るわけでございます。まあそれよりもう少し大きくなるかもしれませんけれども、いずれにしましても三十ぐらいの発電所が要るわけでございます。それがどういうふうに全国的に散らばるか。それは地元の関係もあります。他方から申しますと、われわれがいま推進しております放射線の低レベルの研究の成果にもよります。そういう問題と何といいますか、相関連してだんだん行なわれていくべきものだと思いますので、いまどの点にどれだけのものを考えるかと言われても、実際は私どもは頭の中にはそういう一つの地図と申しましょうか、地図はでき上がっておりません。これはアメリカの原子力委員会におきましては、いまちょっと年代を忘れましたけれども、たぶん一九九〇年ごろのアメリカの原子力発電所がどういうふうに散らばったほうが最もいいか、合理的かという、その観点のみから考えた地図ができておるようでありますが、しかしそれも私どもには、その地図を下さいと言っても、くれませんでした。といいますのは、まだそれはほんの試案で何ともいまからそういうものを公にすべきものではないという趣旨のようでございます。まあ以上のようなお答えで申しわけありません。
#11
○辻一彦君 それはかなり計画はあろうとは思いますが、きょうは時間の点もありませんから、これ以上触れません。
 そこで私は、長期計画におけるウラン資源確保の見通しがどうなのかと、こういうことを少し尋ねようと思うんです。これは科学技術庁から出してもらった資料でありますが、日本におけるウランの必要量、あるいは西欧諸国の主要国のウランの必要量、主要諸国のウランの埋蔵量、こういうものを考えますと、大体ごく大まかな数字でありますが、日本では昭和五十五年までに累積で六万五千トンのこれは精製ウラン鉱が必要であると出ておりますし、昭和六十年では九万九千トン、六十五年では十七万トンの精製ウラン鉱物が必要であると、こういうように出ております。それから世界における、たとえばアメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、オーストラリア等のこれを見ますと、まあここにずっと出てはおりますが、これらを全部合わせたのと、それからこれに日本を加えて、さらに西欧諸国のおもな国における、あるいはアフリカ等におけるウランの埋蔵量を考えた場合に、いまのような原子力発電の伸び方というか、拡大計画でいくと、どのくらいウランの世界の資源があるのか、あるいはその資源の確保する見通しがあるのか、この点を伺いたいと思います。
#12
○説明員(有沢広巳君) 天然ウラン精鉱でございますが、これに対するわが国の所要量は、いま御指摘のありましたように昭和五十五年度で年間八千トン、それまでの累積で四万八千トンということになります。昭和六十年度になりますと年間で一万二千トン、それから累積で九万九千トンになります。それで世界のウランの所要量、これは自由世界でございますが、自由世界のウランの所要量は五十五年で年間で七万三千トン、累積で四十三万トン、一九八五年でございますが、六十年度になりますと年間で十三万トン、それから累積で九十六万トンと、こういうふうになります。それじゃあ一体世界の埋蔵量がどれくらいあるか、埋蔵量ということになりますと、これは確認埋蔵量でございますが、しかもまだポンドあたりの値段が十ドル以下、安いウランでございます。ざっとそれが世界でいま確認されておりますのは百二十万トンばかりである。ですから、そのほかに十ドル以上、十五ドルとなりますと、いまのところでもなおかつ七十五万から八十万程度でございます。それで全体としてはいまのところでは二百万トン近くありますし、それ以上のもっとポンドあたりの値段が高くなればもっと出てくると、貧鉱処理をしてつくればもっと出てくるということは言えます。むろんウランの値段はそれだけ高くなってまいります。それでございますが、そういう地下資源の問題につきましてはインセンティブが、探鉱に対する刺激が多ければ多いほど相当ウランが、地下資源の開発が行なわれるものと私は考えております。と申しますのは、たとえばオーストラリアの話を聞きましても、オーストラリアはいままで二万トンぐらいしかないと言われておりまして、そしてそれがために輸出を規制するというふうなことをやっておりましたけれども、ここ一、二年の間でオーストラリアの北方地域におきましてたいへんあちこちからウラン鉱山、ウラン資源が開発されまして、現在では十五万トン程度はある、なおあちこちで開発は進んでおるように思いますが、そういうわけでございますので、オーストラリアもウランの輸出規制をやめる。むしろいままで発見されました十五万トンのウラン資源をもっと広く利用してもらうようにしよう、こういうふうな時勢になってきていると思います。要するに、地下資源というものは、石油の場合も同様でございますが、もう枯渇する、枯渇するというふうなことが言われながらも、ますますたくさんの油田開発が進んでおりますと同様に、私はこの地下資源につきましても、インセンティブが出てくれば出てくるだけ相当たくさんの発見が行なわれるものと考えております。それが一つ。もう一つは、いずれ軽水炉、つまりウランを使う軽水炉の増加というものもだんだん頭打ちになってまいります。かわりまして、たとえば高速増殖炉が使われるとか、実用化してくるとか、それは一九九〇年の始めにはだんだん実用化してくるだろうと、こういうふうになってまいります。そうなってまいりますと、濃縮ウランを使うかわりにプルトニウムを燃料に使う、こういう形になります。それでわが国におきましてもATRを開発しておりますのはこれは濃縮ウランを節約するためでありますけれども、プルトニウムを使ってそれにかわろう、こういう考え方になっておりますので、まあ将来はだんだん天然ウランに対する需要も、いまあげましたように急速に上昇するということではなくて、だんだん頭打ちになってくる時期が必ずあると考えております。それと同時に、ウランが不足すれば値段も上がりますから、それがインセンティブになりまして、探鉱開発がもっともっと進むことになるだろうと、そういうふうに考えております。
#13
○辻一彦君 まあ数字は伺いましたが、この大まかな数字でいえば百十六万トンのうち、大体八五年には九十数万トンが使われるというわけですね。そこでこの表によってもアメリカは一九八五年に累積四十万トン、それに対して日本は十七万トンと出ておりますね。こうなりますと、まあ世界の九十万トンの中に占める十七万トンの割合も非常に私は大きいと思いますが、アメリカが四十万トンの累積に対して日本が十七万トン、いうならば四十数%というこの数字というのは私はかなり大きな数字ではないかと思います。
 そこで、私は外務大臣にもお伺いしたいんですが、いままで日本の資源確保のやり方というものを見ますと、このGNP至上主義といいますか、経済成長第一主義というものによって石油や鉄鉱石と、こういうものを世界中から、ある意味ではこの鉄鉱石なんかかき集めると、こういうやり方が世界的にもかなりあるいは強く批判をされて、資源問題があろうと思うわけです。そこで、世界的に言ってやはりウラン資源の枯渇という問題もあるでしょう。それは貧鉱を幾らお金がかかってもいいからかき集めるということになれば、これはまだありますが、しかし採算点があるわけですから、そうそのパーセントの低いのを使っておったんではとうてい採算が合わぬと、おのずからどこかに線が引かれると、そうなりますと国際的なウラン資源の枯渇の問題もあろうし、日本からいえば世界の資源配分の中でウラン資源を世界からかき集めるというようなやり方になると、私はこれはまたいろんな批判といいますか、行き過ぎが、行き詰まりがあるのではないか、こう思うんですが、アメリカ累積四十万トンに対して日本が十七万トン、四十数%を占めるというこの計画は、私はかなり大き過ぎるのではないかと思うのですが、この点資源確保の考え方についてひとつ外務大臣からも、また有沢委員からもお伺いいたしたいと思います。
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに御指摘の問題があります。まあウランに限らず、その前にわれわれがいま動力源といたしまして一番依存しておる油にもそういう問題があるわけなんであります。いま九割以上の原油をアラビアに依存をいたしておる。これは私は健康な状態じゃないと思うのです。やっぱり資源獲得、配分をもう少し均等化しなきゃならぬと、こういうふうに思う。そういうようなことでたいへんまあ原油の問題につきましても心配をいたしておるどころでございますが、なおまたこの原油がどうしてもこれからのわが国の経済の成長、そういうことを考えまするときに、どうしても順調に調達し得るか、こういう問題があるわけです。資源の配分、それを直しても、なおかつ足らないというような事態が起こってくるんじゃないか。そういうことに対しましては、どうしてもわが国は現在の状態とすると原子エネルギーにこれを求めなきゃならぬ。そこでまたこの原子エネルギーの資源をどこに求めるかと、こういう問題にぶつかる。今回まあオーストラリアまたカナダ、フランス、そういうところに着目をいたしましてウラン資源の配分、また原子力資材の獲得、そういうものについてのアメリカだけへ依存するという状態の是正を求める。こういうふうなことを考えるに至っておるわけなんであります。しかし、それだけでまた一体わが国のエネルギーが充足されるかという問題に到達する時期がやがてやってくるだろう。その原子エネルギーで調達されないこのエネルギーを一体どういうふうにするか、これももういまから考えておかなけりゃならぬ問題である、こういうふうに考え、これはわが国の当面する非常に大きな経済問題だ。かたがたわが国においても経済の成長の速度、そういう問題につきましても、よほどこれは慎重な配慮を必要とする。私はもうこの成長の速度という問題、これはあまり早過ぎると公害というような問題も起こってくる。これの克服、成長からのひずみ、それとの調整、そういうものも困難になる。同時にエネルギー源でこの成長が壁に突き当たる、こういうような事態をよく考えておかなきゃならぬ。このエネルギー源の見通しとともに成長の速度というものが考えられなけりゃならぬ、常々そう考えているのです。そういうためにこそ今回御審議を願っておる協定はそういう意義を持つものである、かように御了承願います。
#15
○辻一彦君 時間の点がありますので、私、一点だけ要望して次に入りたいと思います。
 やはり節度ある資源の調達といいますか、これがどうしても私は大事だと思うのですね。この点のひとつ対策といいますか、考えをしっかり立てていただきたいと思うのです。
 そこで、二つ目に、原子力の平和利用についてでありますが、長期計画によると大量のウラン精鉱あるいは濃縮ウランが将来入ってくる。そうしますと、それが再処理のあとには大量のプルトニウムをはじめとして核物質が蓄積をされてくる。これはスイッチを一つ切りかえれば容易に軍事利用に、あるいは核武装に動くという懸念が――スイッチがすぐ切りかえるというわけじゃないのですが、そういう懸念が私は十分あると思うのですよ。そういう点で平和利用というものに徹する考え方ということが何といっても原子力のこういう大規模な開発にあたって非常に大事だと思う。そういう点で軍事利用に転用しないという保障措置が特にいまやかましく言われておる。そういう中で、私は福田外務大臣、また木内長官から、この平和利用にほんとうに徹する、将来どんなことがあっても軍事利用には使わないんだという、この基本的な考えと決意を、これは簡単でけっこうでありますが、まずお伺いをいたしたいと思う。
#16
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、有沢副委員長の問題というよりは、むしろ政府自体の基本的な問題だと思います。この点につきましては、つとに政府は原子力についての三原則、こういうことを明らかにしておるわけです。核兵器はこれを製造せず、核兵器はこれを保有せず、核兵器はこれを持ち込まずと、こういうことを宣言をいたし、かつ国会におきましても、この点につきましては御決議がある。これがとにかく最大のかなめになっておると、こういうふうに存じます。私どもはあくまでも原子力は平和的に利用すべきものであって、これを兵器化しては相ならぬ、これはかたくそう考えておるわけであります。
#17
○国務大臣(木内四郎君) いま外務大臣の申し上げたことに尽きていると思うのです。原子力基本法によりましても、平和利用以外にはやらないということになっています。
#18
○辻一彦君 そこで、外務大臣にお伺いしたいんですが、その場合に、原子力潜水艦ももう持たないということは、いまのお話しの中に含まれるのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
#19
○国務大臣(福田赳夫君) 憲法上というか、法規的な立場ですね、これと実際政策上の立場と、こういうことがありますが、わが国といたしましては、ただいま原子エネルギーによって推進される潜水艦、これを保有しないと、こういう方針をとっております。この方針は堅持する考えであります。
#20
○辻一彦君 しかし、一部この問題については原子力推進が、船の推進が原子力によって一般化した場合にはその限りではないというような解釈も政府部内にあると聞くのですが、この点もう一度重ねて伺いたいと思います。
#21
○国務大臣(福田赳夫君) そういう時勢が来、そうして国会がそういうふうなことについて御承諾をくださるというような事態になりますれば、これは私はそういうことが絶対にないんだというふうには考えません。これはまあ時勢の流れによって、国民がみんなそういうふうにしようじゃないかというようなことになりますれば、それはそのときの問題だと、ただいまは原子エネルギーによって推進する潜水艦、これは保有しないというのは、これは政府のかたい方針でございます。
#22
○辻一彦君 軍用機の場合にも足の長いのは攻撃型になる、まあ考えてみればですね。それから原子力潜水艦の場合には、一つの大きな特徴は酸素が燃焼するのに要らない、だから長時間海の底をくぐっていけるという非常な特徴があるわけですね。そうすれば沿岸の防御には短い潜水でも可能でありますが、長期にくぐる場合には、この酸素が要らないということは重要な特色になる。そうすれば私は、将来かりに原子力がこの推進力として使われるようになったとしても、商船等になったとしても、原子力潜水艦というものは足が非常に長くなる。言うならば世界じゅうをくぐって、一年でもくぐっていける、極端に言えば。そういう可能性を持つのでありますから、防衛といいますか、沿岸防御という点からいえば、将来にわたってもこれは持つべきではない――攻撃性を持つと思うのですが、その点いかがですか。
#23
○国務大臣(福田赳夫君) まあそれは時勢の流れの問題であって、私は足が長い短いの問題じゃないような気がします、これは。卒爾としてのお尋ねでありますので、私の感じを申し上げるわけでありますが、原子力エネルギーがばかに安いと、これが世界じゅうの流行になっておるという際に、何も高い他のエネルギーを使う必要はなかろうじゃないかという感じもいたしますが、まあこれは将来の問題として検討さるべき問題であると、かように考えます。
#24
○辻一彦君 とにかく当面は原潜は持たないと、こういうことを確認されたと思いますから、その点だけ確認して先に入りたいと思います。
 そこで、原子力平和利用の保障措置についてでありますが、この原子力協定に関連して二、三質問いたしたいと思うのですが、一つは、国際原子力機関の問題ですが、これが行なう保障措置は、国際査察はかなりきびしいと、こういうようにまあ言われておったのですが、どういう点が問題なのか。私も敦賀の原子力発電所を見ると、大型のカメラをつけて三十分おきに撮影をしておるというような状況も見たのでありますが、どういう点が国際原子力機構における査察の問題点となっているのか、全体の時間が非常に限られておりますので、要点だけひとつお願いしたいと思います。
#25
○政府委員(成田壽治君) IAEAによる国際査察が非常に厳重過ぎるという問題は、一昨年の秋、原電の敦賀発電所について起こったわけでございます。これは定期検査の際に非常にまあ立ち入り検査を査察員が要求しまして、非常に仕事が妨害されたという事件でありまして、これに対して厳重な、政府もまた事業者も抗議をやりまして、非常に改善になっております。したがって、現在はそういう場合はカメラ等、あるいはテレビ等を利用して、非常に機械化によって実際の運転等の仕事が妨げられないような仕組みになっておりまして、去年一年間で十回ほど査察が来ておりますが、そういう問題は一回も起きておらない、現在は円滑に行なわれているというふうに考えております。
#26
○辻一彦君 次に、ユーラトムについてでありますが、欧州各国では欧州共同体の地域査察、あるいは自己査察と、こういう形でまかされているというのですが、その実態はどうなのか。これは国際査察と比べてユーラトムにおける欧州各国の査察の実態はどういう点が違うのか、この点も簡単に要点をひとつ聞きたいと思います。
#27
○政府委員(成田壽治君) ヨーロッパの原子力機構のユーラトムの保障措置が、これはIAEAの保障措置といろいろ違う点がありまして、たとえばIAEAの場合はこれは国際的な場合で、国際機関による場合であって、日米とか日英等の二国間の協定に基づいて委任された場合に働くわけでありますが、ユーラトムの場合は、その圏内の軍事利用以外のすべての原料物質とか核物質が対象になるわけであります。それからIAEAの場合はその国が査察の対象になるのでありますが、ユーラトムの場合はその資材を所有しておる個人とかあるいは企業が直接に対象になっております。それからユーラトムはヨーロッパにおける多国間がおのおの協定によって行なうそういう国際的な内部的な査察機構であり、IAEAは個々の国家からの移管協定等によって国際機関が行なうということであります。したがいまして、日本の場合はユーラトム等の国際的な地域的な協定がありませんので、IAEAから直接の査察を受けております。そういう意味で、まあたてまえは非常に違いますが、平和利用を守るという趣旨では同じように考えております。
#28
○辻一彦君 要点だけでけっこうですが、日本に対する国際査察と欧州諸国の自己査察のきびしさといいますか、差別というものがあるのかどうか。
#29
○政府委員(成田壽治君) この点は実情をいろいろいま調査中でありますが、まあユーラトムは仲間同士の査察だから、日本がIAEAから受けているよりは実際上かなり厳重でないのじゃないかという意見も聞いておりますが、現在いろいろヨーロッパ、ユーラトムの実情について調査中でございます。
#30
○辻一彦君 まあ私の少し調べた範囲内では、欧州における自己査察というものは、日本よりもやはり条件がゆるいといいますか、日本のほうが特にきびしい状況があると、こういうように言われておりますが、それは調査中であれば調査の結果を報告していただく、こういうことにして、NPT、核防条約が昨年の三月に発効したわけですが、これに入ると保障措置の優先、保障措置はこの核防条約の規定が優先すると、こういうふうになっております。政府は核防条約に調印をしましたが、これの批准をしていない。そこで政府のほうはこの核防条約調印当時に、いろいろな問題点があったと、こういうことを――これはまあ私たちのほうもこの趣旨に必ずしも反対するものではないが、非常に公平性を欠くとか問題点があるということを指摘しましたが、そういう問題点があるということを取り上げておったのですが、その後そういう問題がどういうふうに変化をしておるのか、これも変化しておるのであれば伺いたいと思います。
#31
○国務大臣(福田赳夫君) 核防条約につきましてはこれはまあ調印したのです。でありまするから、調印をいたしました以上、これに批准を行なうということは当然のことになってきます。ただ、あの調印の当時、政府は、いまお話しのように声明を発しておる。声明の要旨は、これは平和利用、わが国のこの核エネルギーの平和利用、これをそこなうというような性格のものであってはならない、こういうことであります。実際問題といたしますと、その後、この核防条約につきまして、国際原子力機関――ユーラトムとの間で保障措置協定を交渉しておるわけです。それとの均衡ということが大きな問題になるだろう、こういうふうに思っておるのです。その均衡が一体どうなるのか。この辺をよほどよく見詰めて、わが国の立場が不利にならないようにということに配意をする。これは非常にいま私どもが重要視しておる点なんです。
 で、この批准問題は、この保障措置協定、その前提としての保障措置協定、これは交渉に入りましてから十八ヵ月たちますと発効する、そういうことになっておりますが、いまわが国といたしましては、その予備交渉にもまだ入らない、こういう状態であります。まあユーラトムがどういうことになってくるか、その辺をよく見詰めた上で予備交渉に入る、そういう方針を持ってこの交渉を見詰めておる、こういうのが現段階でございます。
#32
○辻一彦君 ユートラムとの間に均衡がポイントである、こういうことでありますが、伺いたいのは、一点は、その交渉の中でユートラム並みの保障措置が大体なされるようになったのかどうかということ。それから第二は、この四月に民間の核物質管理センターが発足しておる。これは政府が承認したと思うのですが、この核物質管理センター発足ということは、核防条約を批准するという国内保障措置に見合うものとしてこれを発足させたのかどうか。その点をお伺いしたい。
#33
○政府委員(成田壽治君) 査察におけるユーラトムとの平等の問題につきましては、査察委員会、IAEAにおけるこれは昨年モデル協定案をつくりまして、各国とも加盟国がNPTに加盟した場合には従う基準の協定案ができております。したがって、ユートラムの加盟国もこれに従うという意味で、骨組みとしましては、平等性はそれで確保されたのでありますが、ただ実際の運用におきましては、いろいろそのモデル協定の運用において、実際どこまで平等性が確保できるかは、これからいろいろ予備折衝、その他の折衝によってその実現がはかられるということになっております。
 それから、ことしの四月に財団法人核物質管理センターができましたが、これは決してNPT加盟を前提にしてつくったのじゃなくて、現在のIAEAによる査察等を電力会社とか事業者等のいろいろ手間を省いて簡素化をはかるために核物質管理センターをつくっていろいろ機動性を発揮しようと、決してNPT加盟を前提にした機構ではないのであります。
#34
○辻一彦君 まあ、それを前提にしているか否かは、もう少し聞いてみたいと思いますが、あとの関連で尋ねてみたいと思います。
 そこで私は、平和利用の保障措置というものが、この査察は、方向としては国際査察がかなり自己査察、国内保障措置という方向に移ろうとするような傾向があると思うのですね。そうなりますと、片方においては大量の核物質が国内に蓄積をされていく。片方では自己査察というか、国内保障措置というものがかなりウエートを置きつつある。こうなりますと、どうしてもわが国で平和利用に徹するためには、大きな国家的あるいは国民的な私は努力が必要でないか、こう思う。そこで、核物質管理センターにしましても、そういう点から考えると、民間に私はそういうものを設置をするというよりも、当然少なくも国が自己査察の責任といいますか、そういうものを持ってやっていくというのが必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、民間に移すよりも国がやるべきである、こういうことについてどう考えられるか。これもひとつ要点でけっこうでありますが、伺いたい。
#35
○政府委員(成田壽治君) IAEAの国際査察が、その国の国内管理体制が十分確立されると、それを信用してだんだんそれにまかせていくというのは、これは日本もいろいろ主張して、かなりモデル協定案においてもその旨取り上げられております。したがいまして、国内管理体制が非常に大事な問題となってまいるのでありますが、これは御承知のように、原子力基本法による原子炉等規制法によりまして、法律的にいろいろな平和利用に徹するための検査、許可、実施等なされておりまして、そういう意味で、政府の査察機能、政府の規制機能の強化というのが一番たてまえでございます。したがって、核物質管理センターは大体査察を受ける民間側の委託、かわりの仕事がいまのところは重点だろうと思います。ただ政府がやる場合でも、いろいろ非常に雑務的な仕事がかなりあるので、あるいはそれは手伝ってもらうこともあると思いますが、権原的な査察行為は厳重に政府がやるべきであって、そういう意味で政府の機能の強化をはかっていきたいというふうに考えております。
#36
○辻一彦君 私は民間に、再処理工場にしても、第二次再処理工場は民間に移したいというような原子力委員会の報告が出ておりますが、こういうものや、あるいは査察に関連する機構というものは、これはやっぱし末端まで国が責任を持つ、そういう体制をとるべきじゃないかと思います。これはその問題だけ指摘しておきたいと思います。
 そこで第二に、これだけの大量の核物質をこれから日本に蓄積するとすれば、私は国民査察というか、あるいは国民の参加によるガラス張りの監視体制、こういうものがもっと強化をされることが大事じゃないか。原子力は、私は国民的な合意といいますか、コンセンサス、こういうものが成立をしなければ、これからの平和的な開発や、あるいは前進ということがむずかしいんじゃないかと思うのです。そこでその点について基本的にまず外務大臣どうお考えになるか。もう一つは、私はその場合に具体的に資料を公開をするということがどうしても必要だと思うのです。ということは、資料を公開をして、たくさんの人がそれに参加をし、よくわかるという、こういうようになれば、これは私は国民の合意、コンセンサスというものがだんだんと形成されていく、こういう点を考えますが、簡単でけっこうでありますが、外務大臣、いかがでしょう。
#37
○国務大臣(福田赳夫君) 私も、原子力の平和利用というものがこれからだんだんと盛んになっていく、そういうような際において、国民が平和利用というものを前提にいたしまして深い理解を持つということは非常に大事になってくる、こういうふうに思います。そのためには、やはり原子力平和利用の安全性、これについて政府がもうほんとうに確立した体制というものを持たなきゃならぬ。何か間違いがどっかで起こったというような疑いが起こるとか、そういうような状態でありますれば、これはとても平和利用について理解を求めると、こういっても国民のほうは理解しようがない、こういうふうに思うのです。ですから平和利用に伴う安全性という問題これは徹底的に追及されなければならない問題だと、こういうふうに思います。そういう方向で努力をしておる。その前提に立って国民にも協力を求めるということではあるまいか、さように考えます。
#38
○辻一彦君 いまの御発言は、資料等は大いに公開をして、広い国民の合意を確立するということが大事だと、こういうように確認していいですか。
 そこで私は、若干具体的な問題で、いかにこの日本の原子力委員会あるいは科学技術庁が資料の非公開性であるかと、こういうことを申し上げて、いまの基本的な考えに基づいて具体的にどうされるか、若干伺いたいと思います。で、これは時間がないのであまり詳しくは入れませんが、一、二回この資料を持って見せたことがあるので知っておられる方もありますが、たとえばアメリカに、いま日本で一番大きな原子力発電所はこの若狭湾に百十七万五千キロワット、一号、二号炉が安全審査をパスして、原子力委員会ではいままだいろいろ問題があるということでまだ保留になっている、こういう段階にあります。そこで私はアメリカの、いわゆる日本で最大という百十七万五千キロワット、アメリカもこれが最大のクラスでありますが、それへの資料がないかということをいろいろ調べてみたところ、いろいろなことをして、これは企業が提出した資料が、申請という資料というのがこれだけあるわけですね。これは表にアメリカの原子力委員会の判が押してあるコピーでありますが、これだけある。ところがこれだけじゃなしに、調べてみるとこれは二十一冊あるんです。二十一冊ですね。これは企業の申請からそして討議の過程、環境の問題、いろいろなものを通した記録として国会図書館にマイクロフィルムで保管をきちっとされております。あるいは日本の原子力研究所にもある。ところが、私は政府に要求して同じ資料を出してもらいたいと、こう言ったところ、出されたのはこれ一冊ですね。いま大臣は、この原子力の平和利用のためには資料の公開というものが非常に大事だと言われましたが、これを一つ見ても、これは二十一巻というとこういう高さになりますが、これとこれとは私はあまり違いが大きいんではないか。
 それから第二点として、これは私は、政府のほうにこれがないかというと、あるんですね。大飯の原子力発電所に説明に行かれた、安全専門審査会の内田会長外三名行っておられるわけですね。そのときにいろいろ質問に対しての説明に、これはこういう答弁がされています。私のところに手紙がまいっておりますが、たとえばあそこの取水の問題、冷却水の問題についてただしたときに、いろいろ紛糾したらたいへん分厚い資料を持ってきて、そしてそれを読み上げた。そこで質問した人は、それは、その資料は国会に、参議院か衆議院の委員会に出しましたかと言ったら、これは出しておりませんと。あることは事実ですねと言ったら、あることは確認しますと、こういうことですね。かなり厚いですね、やはり大飯原電のこの申請書が用意をされておるんですね。私にはこんなものしか、成規の国会の委員会の要求に対してこの程度しか出されていないわけですね。それから、まだまだこれはありますがね。たとえば福島の三号炉についてここに添付資料があります。私はこれは科学技術庁に幾つかの原電の企業の出した申請書を出してもらいたいというと、ほとんどこの程度ですよ、何冊も出ましたが、こういう程度です。しかし福島三号炉についてこれと、この程度と、ここに添付資料だけでもこれだけのものがあるんですね、全部で。あるわけですね。これが第二。
 それから第三に、この安全審査についてどういう論議がなされたか、資料を公開をせずして、審査した内容が公表されなければ、われわれはこれは質問のしようがないんです。ある程度追及しても、これは国民の知る権利は私は防衛庁や外務省だけではない。科学技術庁にも厚い壁があると思うんですよ。そういう点で、たとえば敦賀の原子力発電所のこの原子炉の安全専門審査会の議事録を要求したら、これが出たですね。要旨といいますか、二冊ですから一冊ですね。これだけ出ましたですね、これが。しかし、私がほかから入手した敦賀原電の議事録、安全審査の議事録は、これを読み上げればどなたの委員がどういう御発言になったかということは全部載っておるわけです。これが全部じゃないと思いますよ。何々委員がどうお話しになったかということは、ここに内田さんから皆あります。ありますね。これを私は見たときに、これは安全専門審査会の記録、これは企業の添付資料、これはいわゆる企業が安全専門審査会に出した申請書、こういうものを見たときに、一体原子力の平和利用というものの三原則にいう自主・民主・公開の、公開・民主の原則は一体どこに私は貫徹をされているか、こういうように思うのですが、この点についていま外務大臣、まあ総裁候補でありますから、それについてひとつ私ははっきりした御見解を承りたいと思います。
#39
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、この原子力のこまかい技術問題についてはわかりませんけれども、これを政治的な立場から言いまして、この平和利用を進める上におきましてこの原子力の安全性、これについて国民がほんとうに自信を持つと、もうほんとうにこれは安全なものだということについて一点の疑いも持たぬ、こういう状態を現出するということは絶対必要である、こういうふうにいま思っておりますので、その方法論の一つといたしまして、まあ資料のお話ですが、この資料のお話のほうは、原子力委員長にひとつお答えしていただきます。
#40
○辻一彦君 じゃあ私は、時間も迫っておりますから、有沢原子力委員に、六月の二日朝日新聞に、原子力公開の原則を貫くために原子力委員会は資料室をつくって安全専門審査会の内容を公開すると、こういうあれがありましたが、この実態を見られて、どういう方法で三原則、平和利用の公開の原則を貫徹をされるか、具体的にどうされるのかひとつ聞きたいと思います。
#41
○説明員(有沢広巳君) 資料の公開につきましては、かねがね私どもも考えておりましたし、特に辻先生からたいへん強い御要望もございましたので、この際原子力委員会のどこかの部屋を、一室に、たとえばいまの申請書、企業から出てきました申請書、そのほかの付属資料、これも全部展示して、いつでもごらんになりたい方にはごらんに入れたいと、まあその他の記録もそこに収集しておいて展示したいと、こういうふうに考えております。
 ただ一つ、これはこの前もちょっと御議論になりました点でございますが、いわゆる企業秘密の問題でございます。その企業秘密までも一般に公開できるかどうか、ここが非常にむずかしい点でございます。しかし、企業秘密といってもどの程度までが絶対にその企業にとって秘密にしなければならない点であるか。これはまあいろいろ限界があろうと思います。それで、この長期計画のときの専門部会長の向坊氏も私どものほうに意見書を出されまして、その中で公開の原則というものと関連して企業機密の問題があると、そのことを十分検討するようにと、こういう何というか、意見書がついております。その点も勘案いたしまして、どこまではこれはもうどうも絶対に企業機密としてこれを保持しなきゃならないか、あるいはどの程度までは普通は企業機密といっていても、まあ国民のコンセンサスを得る上からいってもこの程度は発表してもいいじゃないかというようなそこの限界を討議、検討した上でそれに応ずるように私どもは処理いたしたいと、こういうふうに考えております。
#42
○辻一彦君 私はまあ原子力委員室の一部あたりにそんな資料展示というようなそういうスケールじゃなしに、これは先ほど私言いましたが、もう一つ、たとえばアメリカのクリスタル・リバー・ユニット八十五万キロワットの原電ですね。これ国会図書館に二十五冊ありますよ、これが二十五冊。それぞれの原子炉ですね、みんな。それを見ればね、そんな原子力委員会の片すみに並べ切れるようなものじゃないと私は思うのですよ。それぐらいの少なくも私は資料を用意をされるならば公開をして、そうしてまあそれはいろいろ機密の問題もあるでしょう。これは論議のあるところです。しかしこれはきょうは時間の点もありますからそれは触れませんが、しかし、そういう資料を意見の違った人も十分見、意見の違った見解を持つ科学者もそれを見て、その科学的な批判にたえなくては私は国民的合意というものは成立をしないと思う。そのためには、どうしても大事なのは私は資料の公開だと思う。だから、片すみではなしに、あんな広い建物があるのだから、でかいところをうんと使って、しっかり私はこれをやっていただきたいと思いますが、その点もう一つ確認したいと思いますが、いかがですか。
#43
○説明員(有沢広巳君) 私は原子力委員会の部屋と言いましたけれども、そうじゃなくて、あの科学技術庁の中の一室をとって展示する室を設けると、こういう意味でございまして、そこにはできるだけたくさんの資料を収集しておきまして、まあアップ・ツー・デートのものはそこに展示しますし、あとはちゃんと保管をして、要求があればその古いものも出すように、出せるようにいたしたいと、こういうふうに考えておりますので、どうぞ御疑念のないように。
#44
○辻一彦君 原子力局長にお尋ねしますが、三月十日、私はこの資料要求を委員会の名において行ない、一ヵ月後にはこれが出た。そのときにあなたに私は、委員長が確認されたが、大飯原子力発電所についても同様の資料を用意をして、そしてあなたはそのときに、企業機密の場合は、これは空白にしてコピーを出すとおっしゃったけれど、こんなものを一枚持ってきて、そしてこれは判も押してなければ何でもない。これは会社の資料にすぎぬと私は思うのですが、そのあと始末をどう国会答弁においてされるか、それが一つ。まあそれを一つ伺いましょう、もう簡単でけっこうですから。
#45
○政府委員(成田壽治君) いま、付属資料につきまして、どの点が厳密な意味で企業機密に属するか、その点をチェックしておりまして、でき次第早急にお届けしたいと思います。
#46
○辻一彦君 それでは私は、まあ私のほうへ出してもらうと同時に、ひとついま原子力委員会で用意をされる資料室に十分陳列をして公開をされるようにしてもらいたいと思います。
 そこで、最後に一点でありますが、これは公聴会の問題であります。これは六月二日、参議院の本会議において私は総理並びに木内長官に質問いたしまして、総理の御答弁もありました。長官の御答弁もありました。まあだいぶ物議を、問題をかもし出しまして、あの長官の御答弁は、おとついの議運の理事会で一部は問題があるということで削除になったということでありますから、その点について私は触れません。
 そこで木内長官も今後、私は今後という問題、いろいろ具体的にやらなくちゃならぬことがありますが、それは触れませんが、原子力委員会において公聴会の開催の手続を検討すると、こういう御発言があって、本会議においても確認をしたのでありますが、有沢原子力委員から、どのような方法でどういうように御検討になるのか、そのことをひとつ伺いたいと思います。
#47
○説明員(有沢広巳君) 大臣のほうから公聴会を開くことについて問題点を十分取り上げて、それについて、たとえば公聴会をやる場合はどういう場合か、それからどういう方式でやるか。そこで、まあこれなかなか問題がたくさんあります。
 それで、いま一つは、局のほうでその準備をさせております。いずれ局のほうからある程度案ができましたら、その案についてわれわれで十分検討いたすつもりでございます。
 もう一つは、われわれのほうで安全環境問題の専門部会というものがございます。そこでも、いまのこの地元の納得を得るのにはどういう形ですべきか。たとえばモニタリングシステムも一つですが、そのほかに、いまの公聴会式のものも、ひとつ考えられるだろう。そこでも検討してもらうことになっております。とりあえずは、私どもとしましては、その専門部会のほうはそっちのほうで案が出てくると思いますけれども、われわれのほうではいま局のほうでその準備の作業をして、素案ができましたらそれについて検討したい、こういうふうなことになっております。
#48
○辻一彦君 十五分の予定がまいりましたので終わりますが、先ほどから私は幾つかの問題を若干具体的に申し上げました。大量のこれから核物質が日本に入ってくる、蓄積をされる。これに対して私は何としても国民的な参加によるところの平和利用の貫徹ということが期せられなくてはいけないと思います。そういう意味でどうしても最終的には資料の公開やあるいは公聴会の開催ということは欠くべからざる原子力の平和利用についての要件である、こういう点でいま御答弁になった内容を具体的に実現をしていただきたい。そのことを要望して質問を終わりたいと思います。
#49
○矢追秀彦君 先ほども少し問題が出ておりました核不拡散条約、核防条約のことについて外務大臣にお伺いしたいのですが、批准の問題にも少しは触れられましたが、最近の動きとして、この条約に入っている国からわが国に対して批准を急げと、こういうふうな要請とか圧力といいますか、そういうふうな動きはございますか。
#50
○国務大臣(福田赳夫君) 私はことしになってからソビエトのグロムイコ外務大臣に会っております。その際、ソビエト外務大臣からこの核防条約になるべく早く参加、つまり日本として批准措置を終了してもらいたいと、そういう旨の強い要請を受けました。その他の国々からはありませんです。
#51
○矢追秀彦君 今回、ニクソン大統領がソビエトを訪問いたしまして、御承知のようにコミュニケも出ましたし、またいわゆるSALTの調印も行なわれました。そういういまのソ連の外務大臣からの要請、また今回のニクソン訪ソとからみ合わせまして、わが国としてこの条約の批准に対しては何か大きな変化といいますか、そういうことをお考えになりますか。要するに批准を急ぐという姿勢をおとりになりますか、その点はどうですか。
#52
○国務大臣(福田赳夫君) ニクソン大統領のソビエト訪問によって、わが国の核防条約に対する方針が影響されたというふうには考えておりませんです。先ほども辻さんにお答え申し上げたとおり、わが国はすでに調印をしておる。ですから終局的にはこれは批准をしなければならないという立場にありますが、わが国の平和利用が、これによって阻害されるというようなことになっては困るのでありますから、その点については十分に配意しなければならないと。そこでわが国といたしましては、核防条約への批准につきましては慎重に対処していかなければならないと、こういう考え方であり、この考え方は、米ソ会談によって影響されるところはなかったと、かように御理解願います。
#53
○矢追秀彦君 あの共同コミュニケの中にも軍縮問題について触れられておりますが、いまの批准は慎重にするという御意見には、私も賛成でありますけれども、このニクソン大統領の訪ソによって軍縮問題が、特に核軍縮ということはかなり積極的に進むと、こういう判断をされておるのか。しかし、また一方においては、米ソが依然として核を独占をして、そしていわゆる弱小国といいますか、そういった国に核を持たさないで、あくまでも外交面において、そういう米ソ二大強国が世界を動かしていくと、そういうような考えであるという向きが非常に強いわけでありますけれども、その軍縮という問題について大きく前進をしたと見ておられるのか。今後また日本の政府として、この軍縮問題についてはどういうふうに臨もうとされておるのか。
#54
○国務大臣(福田赳夫君) 米ソ両国がこの会談を行なったと、その会談に先立ちまして、ベトナム戦争の推移から見まして、この会談はあるいは流れるのじゃないかというような見方も一部にはあったというくらいな、険悪な状態であったわけであります。それがベトナム戦争の背後勢力である両国がこの事態をあえて踏み越えてそして会談を持つに至った、これは何であるかと、こういいますれば、私は両国の間の核兵器競争、これに両国とも非常に困っておる、こういう状態がそうさしたんだと、かように見ておるのであります。つまり幾ら競争してもこれは果てるところがない。しかも、それが両国の経済を非常に圧迫する。どこかで歯どめをしようじゃないかという利害がたまたま一致した、それがベトナム戦争の現況にもかかわらず米ソ会談を実現させた。そしてその両国が期待したとおり、経済問題につきましてはさしたる進展はなかったが、しかしSALTの交渉におきましては所期の目的に到達した、こういうことになったんだろうと、こういうふうに見ております。したがいまして、この交渉は攻撃的核兵器、これにつきましては量的制限を行なう、こういうことになり、またABM、防御的核兵器につきましては、これは二ヵ所ずつに両国ともこれを制限をするということになった。私はこのSALTの交渉の成功ということ、つまり米ソ会談というものはそういう意味におきましてたいへんこれは世界の核兵器の恐怖に対する大きな改善である、世界平和に向かって大きな前進である、こういうふうに見ておるんです。しかし、今回のSALTは主として両国の核兵器の量的制限の問題にとどまっております。そういうことでありまするから、質的競争という場面は残るんですが、とにかく両国における一つの制限の道が開かれた、そしてさらに将来を展望すれば第二次SALT交渉も開かれるであろう、こういうようなことでありまするから、私はこの両国の今回の協定、また交渉というものは、世界の核軍縮に対しまして大きな影響を持つものであると、そういうふうに見ておるんです。
 それから、わが国の核兵器問題に対する考え方はどうかというと、先ほど申し上げましたように、わが国は非核三原則を守っておるわけでありまして、その姿勢を堅持してまいる。しかもこの姿勢を堅持するということは、これは世界の核軍縮について相当貴重な姿勢であるというふうに見ておるんです。つまり、わが国は持たんとすれば強大な核兵器を持てる、その力を持ちながらあえてそういうことをしない、そういう国が世界に存在する、わが国だけじゃないかと言っても過言ではない。そういう日本の存在ということは、これは将来の世界の核軍縮という上におきまして非常に貴重な立場に立つ日本国である、こういうふうに見ておるのでありまして、そういう貴重な立場をこれからフルに活用するということがわが国の立場として世界の平和、これに貢献するゆえんであると、かように考えております。
#55
○矢追秀彦君 いまの大臣のお話であると、核軍縮に対して非常に前進的な今回の米ソ会談であると、こういうふうに見られておりますが、しかし現実問題として量の制限はあっても質の制限もない、あるいはこれからもまだまだいろいろな開発が行なわれる可能性も出てきます。経済的な面であるから、経済的な問題として両国がただここでこれ以上やるのはやめようじゃないかという話であって、まだまだ私は核軍縮という面に非常に大きな前進とは想定できないのではないか、したがって、わが国としてはいま大臣が貴重な立場であると言われたんですから、軍縮委員会等でいろいろやられてはおりますけれども、もっともっと強い姿勢での行動ということが必要ではないか、こう考えるんですが、その点は具体的にことしのこれから後半の国連を中心とした外交でどういうふうに展開をされようとしておるのか、その点重ねてお伺いしたいと思います。
#56
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたような方針をもちまして、あらゆる機会、あらゆる場におきましてわが国はそういう主張は展開いたしておるわけであります。特にジュネーブ、ニューヨーク、これは重要な場であります。ニューヨークにおける国連総会、これはそういうわが国の貴重な使命を実現する非常にいい場である、こういうふうに考えておりまして、何とかそういうわが国の立場が世界各国にいい影響がもたらされるように、また同時に、わが国の立場が理解されるようにという努力は常々いたしておりますが、基本的には私どもは国連総会におけるわが国の地位というものがもう少し重要であるという立場において定着してくる必要があるように考えます。つまりいま国連を動かすのは何といっても安保理事会であり、その安保理事会の常任理事国が五つとも全部核装備を持っておる国である。核装備を持っておる国が逆に今度は全部国連の安保理事会の常任理事国である、この状態は私は世界の核軍縮、またひいては世界の軍縮、そういう面からみて非常に不幸な機構である、こう考えておるのでありまして、わが国は常々軍縮について熱意を持っていると同時に、この国連のさような不自然な機構というか、あまり合理的でない国連機構、あり方ということにつきましても批判を持っておるわけですが、今後とも国連のさような機構の改正、またその機構の改正の件においてわが国が平和姿勢を貫き得るような立場そういうものを進めていかなければならないのではないか、そういうふうに考えております。
#57
○矢追秀彦君 それから核防条約の署名の際の政府の声明の中にあります「フランス共和国政府及び中華人民共和国政府が速やかに条約に参加して、核軍縮のための交渉を誠実に行なうよう希望するが、それまでの間でも、この条約の目的に反するような行動をとらないよう希望する。」と、こうありますが、この中国に対して今後政府としても、いろいろ現在も接触されておるようでありますけれども、まだ国交正常化というまでには至っておりませんが、この中国との交渉をいろいろやる過程においても、ただこういう声明だけではなくして、具体的に中国に対してこの問題についても話し合いはされるおつもりですか、このテーブルの中で。
#58
○国務大臣(福田赳夫君) 日中交渉、これはもとより戦後処理の問題を片づけなければならぬ、こういう問題はあります。その中の大きな問題は台湾処理の問題、矢追さんなんかたいへんこの問題に御熱心でありますが、しかし、より以上に大事な問題は、今後のアジアにおける平和を、さらにその中においてアジアの二大国であるところの日中間の平和の保障を一体どういうふうにしていくんだという話し合いですね、この辺は非常に私は大事な問題ではないか、そういうふうに考えるんです。つまり、いままでの諸問題を片づけるといういわばうしろ向きの問題、これに議論が大体集中しておるようでありますが、それも大事です。やっぱりその関門はくぐらなければならない問題ですが、より大事なことは、これから日中両国はアジアの平和のためにどういうふうな姿勢をとるべきか、どういうふうな態度をとるべきか、あるいはどういうふうな措置をとるべきか、そういうふうなことのほうがむしろより重要な問題じゃないか、そういうふうに考えるのです。そういう論議の際におきまして、中国の核の問題これの話なんか当然持ち上げられなければならぬ問題の一つである、そういうふうに考えます。
#59
○矢追秀彦君 しかし、中国の態度というのが、御承知のように非常に米ソ二つの大国に対する一つの反対といいますか、とにかく中ソ対立という現状下において、はなはだそういった点は、この共同声明の中国の評価等からもうかがえるわけです。非常にこういうむずかしい情勢の中にあって、いま大臣はそういうふうにおっしゃいますけれども、現実問題としてはそこまでの問題を中国とやることは非常にむずかしい。日本の姿勢というのが非常にはっきりしていかなければなかなかむずかしい問題が出てくるのじゃないかと思うのですが、その点をどういうふうに考慮されておりますか。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) 日中国交正常化ができないということであればもとより何をか言わん、こういうことだと思いますが、しかし日中両国が国交を結ぶ。そして相携えてアジアの平和に貢献しよう。さらにひいては世界の平和に貢献をいたしましょう。こういうことになれば、相互理解の上において他の核保有国に対して日中両国はどういう態度をとるべきか、こういうようなことも当然私は論じられると思うのです。まあその論議の結果、あるいは合意が得られるかもしらぬ、こういうふうにも思う。そういうことを考えますと、私は日中間で核問題を論議する、これは重要な問題の一つである、そういうふうに考えます。
#61
○矢追秀彦君 次に、今回のこの二つの協定でありますが、まあいままでいろいろな国ともこういった意味の協定は結ばれてまいりましたが、今後新しくこういった協定を結ぶ計画はお持ちでしょうか。もし具体的にあれば、どの国と協定を次はやっていく、こういうお考えがありますか。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのところ、この種の協定はこれで終わりでございます。
#63
○矢追秀彦君 次に、この協定の中に二つとも出てまいりますが、いわゆる秘密に関する問題、この点について少しお伺いしたいと思いますが、これは衆議院においてもいろいろ議論が出ておりましたが、先ほども少し公開の問題が出ておりますが、非常にこういった点からいいましても、これはまあ前の日米原子力協定にいたしましても非常に不平等な感じを受けるわけですけれども、その辺はどうですか。
#64
○政府委員(影井梅夫君) 現在におきましては、アメリカ合衆国、これが核燃料を世界各国に供給しているまずほとんど唯一の国ということがいえるかと思います。したがいまして、わが国もアメリカ合衆国からこの燃料の供給を受けるという状況にございまして、したがいまして、ただいま御指摘のような規定ぶりになっている次第でございます。ただ、今後の問題といたしましては、核燃料の入手先、これの多角化をはかりたいというのが私どもの方針でございます。その方法といたしましては、これは多少将来の問題になるかと思いますけれども、わが国独自に核燃料の確保を考える、あるいは他の国と共同して核燃料の確保を考えるということを考えております。したがいまして、現在の日米の協定、この協定におきまして不平等な規定があるということは事実でございますけれども、ただいま申し上げましたような方法によりまして、アメリカだけにはたよらない。ほかにも入手先を求めるということで考えてまいりたい、このように考えております。
#65
○矢追秀彦君 いまのアメリカとの不平等な問題がありますけれども、この日米原子力協定そのものも、もし核防条約の批准が行なわれた後においては、これは廃棄をされるのか、あるいは改定をされるのか。現状のままでいってさしつかえないのか、その辺はいかがですか。
#66
○政府委員(影井梅夫君) 現行の日米協定そのままで放置すべきではないというふうに考えております。まあ相手のあることでございますので、どういうことになりますか、私どもといたしましては改定交渉しなければなるまい、このように考えております。
#67
○矢追秀彦君 それはやはり核防条約の批准が終わった後に考えていかれるのですか。それともいまから、そういった面については、批准後の段階においてはこういうことをするという点の主張はいまからおやりになるのですか。すでにそういう交渉はされたことがあるのか、あるいは批准後にその交渉はやるのか、また現在でも進めているのですか、その点はいかがですか。
#68
○政府委員(影井梅夫君) 現在までにはまだその交渉は始めておりません。また具体的にどの時点にこの交渉を開始するか、これはまだ何とも予測がつかないと申しますか、今後の、特に核防条約その他の情勢を見まして、時期を選定しなければならない、そのように考えております。
#69
○矢追秀彦君 いま言った秘密の問題、公開の原則の問題でありますが、一つの具体的な面からちょっと質問したいと思いますが、これは科学技術庁になりますが、この高速増殖炉の技術協力に関する契約書、それから米国原子力委員会と動力炉・核燃料開発事業団との間の高速増殖炉に関する協力協定、この二つの文章を見ておりますと、公開をしないということが非常に強く出ている。いろんな問題があるかと思いますが、いわゆる基本法で言う公開の原則というところから考えると、非常にこの内容については私はかなり逆の方向のように思うわけです。もちろんその企業秘密ということもあるでしょうし、またアメリカの意向ということはあると思いますが、それにしても私はこの文章の立て方というものが非常に何か制限がされている。そういう感じを受けるのですが、その点について具体的にお伺いしたいのです。
#70
○政府委員(成田壽治君) 動力炉・核燃料開発事業団とアメリカのAECとの高速増殖炉に関する協定、それに関連して動燃と原研との委託契約等におきまして、動力炉開発に関する技術情報について、まあ公開が原則でありますが、公開、開示の制限の規定があります。こういう場合には、特定のもの以外には開示しないようにする扱いの規定があります。どういう場合かと言いますと、たとえば特許出願の対象になるものであって、出願手続未了のもの、これは特許出願ということは公開になりますが、そのまだ手続をとっておらない直前のもの、未了のもの。あるいは二番目として学会等に発表前のものである、この成果を学会で発表する予定でありますが、それがその前に出ないように、学会で成果を発表する予定の場合でございます。
 それから三番目として、技術内容の正確性についてまだ十分確信を持てないもの、これももうちょっといろいろ研究調査をやって、そうして確信のあった段階で発表する。それから外国との協定等によって公開、開示制限されたもの等でありまして、まあわれわれは公開の原則、これは一般的な大きな原則でありますが、ただ成果、原子力の開発利用研究の成果の公開ということは、ある成果まで行く段階のある段階においては公開を、まあ必要やむを得ざる場合には制限するとか、あるいは工業所有権の申請直前のものとか、あるいは外国等との協定によって企業機密を要請されたもの等については、まあ例外的な扱いをせざるを得ないというたてまえでありますが、しかしこういう必要性がなくなった場合には、当然公開の原則に戻って極力早く公開するような方針になっておるのでございます。
#71
○矢追秀彦君 この最初の協力協定のほうは、この制限つき報告書のところを読みますと、「事前の書面による承諾がない限り受領者はそれを公表してはならない」、この程度になっておるのですが、私が非常に指摘をしたいのは、高速増殖炉技術協力に関する契約書、これは一九六九年四月二十一日の改定の分ですが、その中にこういう項目が出てくるのですが、五番目のところです。「技術情報の取扱い」、その中で、「乙は、甲から提供を受けた技術情報のうち、インフォーマル・レストリクテッド、コマーシャル・コンフィデンシャル等の公表制限の標記のあるものについては、その内容の外部への漏えい、または、関係者以外への供覧を防止するよう万全の措置を講じなければならない。」、「万全の措置」ということ。これは五番の二ですが、その次に五番の六の中にも、「本契約が終了した場合においても、契約期間内に甲から提供を受けた技術情報のうち、公表制限等の標記のあるものおよびこれらを複写、複製したものの取扱いについては、五・一、五・二、五・三各項に準じ万全の措置を講じなければならない。」「万全の措置」、それから「関係者以外への供覧を防止」、非常に何といいますか、公開の原則とはおよそ逆コースな強い表現が出てきております。これはどういうふうな理由でこういうふうになってきたのか。それから「万全の措置」とはどういうことなのか、この点をお伺いしたい。
#72
○政府委員(成田壽治君) 動燃と原研等との高速増殖炉技術協力に関する契約書との第五条に御指摘のような文言が出ております。ここでありますように、「インフォーマル」、あるいは「コマーシャル・コンフィデンシャル等の公表制限の標記のあるものについては、」とありますが、これは大体この前提になっておりますところの、動燃とアメリカの原子力委員会との協定によってそういう指示があったものが、ここでこの扱いになると思うのであります。実際見ますと、非常に、アメリカ側からこの制限のあったのは、まあ全体でもらった情報のわずか三%ぐらいで、非常に実際はケースは少ないということになっております。それから動燃自体が判断するのは、先ほど言いましたように非常に限定的なケースでありますので、まあ、ああいう例外的な場合だけについての原研等に対する要請になると思います。「万全の措置」というのは、これは具体的にどういうことか。まあはっきりしないのでありますが、ただ実際は、上司に伺いを立ててどうかというような、そういう上司の承認を受けるとか、実際原研等の内部においてはそういう措置をとっておると思いますが、原研等の扱いにおいても、先ほどの動燃の内規等の扱いと同じように、そういう必要な期間だけに限定して、そういう必要性がなくなった場合には公開の原則に立ち戻って公表になると。実際この公表制限の指定になったものも半分ほど解除になっておりまして、ある期間が過ぎると公開の原則に戻るというたてまえは励行されているというふうに考えております。
#73
○矢追秀彦君 実際こういう高速増殖炉の技術に関する交換ですから、むしろアメリカのほうが日本に対して協力的に技術を提供するものというものの中には、そんなに秘密はないんじゃないか、いま三%と言われましたが。実際もしアメリカのほうが日本よりうんと先にこれをやって、非常に世界で早くこれをつくって、そしてどんどんやりたいとなれば、むしろ日本にそんな技術は提供しないんでありまして、そういう協定の中で出てくる、いわゆるそういった秘密に属するものというのは非常に私は少ないと。少ないのにどうしてこういうかなりオーバーなことをやっておられるのか、その辺が非常に理解できないのです。しかもこの協力協定自身のこの文書自身も、いま公開といいますか、私要求していただきましたけれども、もとはこれは取り扱い注意という判を押してあるわけで、これ消してあるわけです。だからこちらが要求しなかったらやっぱり取り扱い注意またはあるいはマル秘文書になっておったんじゃないかと、こう思うわけですけれどもね。そういう点で私が言いたいのは、公開というものをはっきりきちんと規定づけ、そして何かかなり大げさなこういうことをする必要はないのじゃないかと。ほかの問題ならいざ知らず、これは軍事が関係しているとか何とかの場合なら別ですけれども、これは高速増殖炉の技術に関する問題ですから。この点について私はちょっと表現を見ていると、やはり先ほど辻委員からも質問がありました、結局何か公開をしたがらないという姿勢、そういうところを非常に強く感ずるわけでして、そういう点についてどうお感じになりますか、重ねてお伺いします。
#74
○政府委員(成田壽治君) その点につきましては、アメリカ等のこういう公表制限条項というのは、やはり研究途上のもの、あるいは工業所有権を出願前のもの、これが実際対象になっていると思います。したがいまして、むしろ研究途上のものが日本のほうに情報がこない、あるいは工業所有権取るまではこないという事態よりも、むしろこういう例外的な公表制限の期間を置いても早目に動力炉の開発に必要な情報の交換をお互いに行なったほうがこの促進の上でベターではないかという考えからとられた制度だと思いますので、ただ、たてまえは公開の原則、これは日本では一番の大原則でありますので、今後運用についてはそういう趣旨が十分守られるよう厳重に指導していきたいと思っております。
#75
○矢追秀彦君 それからこれに関連して、フランスとわが国との間のウラン濃縮の技術の検討のためのワーキンググループが設けられておりますが、このワーキンググループの現在の活動状況、また今後こういったワーキンググループというものを他の国とも行なう計画はあるのか、その点についてお伺いしておきます。
#76
○説明員(有沢広巳君) フランスとわが国との間に、フランスの技術を土台にしましてウラン濃縮の事業を将来やろうではないか、しかしそれについては十分の技術評価といいましょうか、技術評価、経済的な評価、そういうものを前提にした上でなければならないだろうから、とりあえずはワーキンググループを設けて技術情報に関するチェック・アンド・レビューといいましょうか、評価をやろう、そしてあわせて経済性の評価もやろう、こういうことになりまして、これは昨年のたしか八月ごろ、フランスのほうから申し入れがありました。そしてわが国のほうからもグループ、調査団が向こうへ出まして、フランスのピエールラットの工場もたいへんよく見せていただきましたので、それでいよいよ日本としましても、ワーキンググループをつくろうということになりまして、その第一回がことしの三月フランスのほうからグループのメンバーの連中がやってきまして、わが国で第一回を行ないました。そうして第二回はこの六月の初めにフランスで行なっております。まだ帰っておらぬようでありますけれども、この六月の初めに第二回の会合をやっております。そして引き続いて、おそらくこの九月ごろにはまた日本で開かれるようになろうかと思います。そして一応まあその結論を、第一段階の結論をおそらく今年か、まあおそければ来年の春ごろまでには出そうと、こういうところになっております。で、ほかの国とこういうワーキンググループを持つかというお話でございますが、これにつきましては、いま日本の場合に考えておりますのは、昨年の十一月にアメリカ原子力委員会がアメリカの技術を土台にしてマルチナショナルプラントをつくるような考えはないかということで、各国に招請状を出しまして、それでアメリカのAECの意見をわれわれに示されたわけであります。その後、その会合に出ました国はヨーロッパの国をはじめ太平洋のカナダ、オーストラリア、日本を入れますと十二、三ヵ国になりますが、その後いろいろアメリカの提案に基づくマルチナショナルなプラントについてはどうかということにつきまして情報を交換いたしておりますけれども、いまのところは、まだヨーロッパの諸国、特にヨーロッパの諸国はあまり積極性を見せておらないように思います。御承知のように、ヨーロッパではフランスの技術をもってヨーロッパの六ヵ国でいまやっぱりテクニカルフィージビリティーに関するワーキンググループができております。またフランスはオーストラリアとも同様のワーキンググループをつくって検討を加えておるような状況でございます。まあそういうわけでございますが、日本としては、ほかの国とワーキンググループをつくって何か技術的な検討でも始めようというふうな考え方はいま持っておりません。
#77
○矢追秀彦君 時間がまいりましたので、最後に一つだけ質問して終わりたいと思いますが、まあいまこの二つの協定の中にも原子力公害、いわゆる原子力公害と言われるものの対策というのは入っていないわけです。で、この長期計画が新しく出ましたが、その中における放射性物質の問題、あるいは温排水の問題についても触れてはありますけれども、まだまだ十分なものとは私は言えないと思います。したがって、今後政府としてこういった協定を結ぶ場合、またそれとは別にいわゆる安全性の問題、こういういわゆる原子力による公害、この問題についての技術協力協定、そういったものを結んでいくべきであると私は思いますが、その点についてはどういうふうなお考えを持っておられるのか、その点をお伺いして終わりたいと思います。
#78
○政府委員(成田壽治君) 原子力の安全性の研究は非常に重要なことでありまして、アメリカとの日米原子力協定におきましても、原子炉の安全性の研究の会議が定期的に行なわれて、この協定に基づいて行なわれて進んでおります。それから先ほど御指摘の動燃事業団とAECの高速炉に関するアメリカ、イギリス、フランス等の協力の協定もありますが、その中でも安全性の問題について規定しておりまして、取り上げられておるのであります。今後日仏、日豪の協定におきましても、これは各国の安全性の研究の進捗状況等にもよりますが、当然安全性研究の協定というのが取り上げられて、お互いにその促進につとめるということは当然必要なことだと考えております。
#79
○中村利次君 私は時間が非常に短いですから、できるだけまとめて質問をしますので、ひとつその点お含みの上お答えを願いたいと思います。
 まず最初に、オーストラリアとフランスとの原子力の平和利用に関する協力協定を締結された。これはまあアメリカ、イギリスその他とはすでに締結されていたわけですけれども、この両国とあらためて締結されたその意義ですね。
 あわせてニジェールにおいてはウランの探鉱、採鉱が日本とフランスとそれからニジェール政府との合弁事業として行なわれておるようでありますけれども、あるいはまた、先ほどこれは原子力局長からお答えがございましたが、動燃がフランスの再処理技術を導入しまして、再処理工場をいま建設中であるということであります。こういうものとの関連があるのかどうか。こういうものをオーソライズする意味がこの協定に含まれておるのか。あるいは協定がなくてもそれは関係ないのだと、こういうことなのか。
 もう一つは、オーストラリアとの協定には、ほかの国との協定にないような前文に特殊なものがございますけれども、これはどういう理由を持つのか、まずお尋ねします。
#80
○政府委員(影井梅夫君) 御質問の最初の点、この両協定締結の意義はどういうことであるかということに関しましてお答え申し上げます。
 御承知のとおりに、わが国のエネルギー源といたしまして、従来たよっておりました石炭であるとか石油というもの、これはだんだん逼迫していく、これにかわり得るもの、これは原子力であろうということ、これが根本にあると存じます。先ほど来わが国の電力の需要と、その電力需要の中に占めます原子力発電の重要性ということが再三指摘されておりまして、いろいろ数字について御意見があったようでございますが、たとえば昭和六十年には大体六千万キロワットぐらいの電力は原子力発電によらなくてはならないようになるのじゃないかという状況があるわけでございます。そこで、今回のこの両協定締結の意義でございますが、現在におきましては天然ウラン資源の状況と申しますか、これは買い手市場であるように見えますけれども、これがやがて逼迫するであろうということは大体意見が一致しているようでございます。そういう事態に備えまして、わが国といたしましてウラン資源の入手先を少しでも多角化と申しますか、方々に求めたいということがこの協定締結の大きな意義でございます。
 なお、こういう協定を締結いたしますことによりまして、フランスとの間においては先方の技術であるとかその他をこちらに入れることができると、またこちらの施設その他を相手国に出すということも可能になるかと考えております。これは日豪間の関係につきましても同じことが言えるかと考えております。
#81
○政府委員(成田壽治君) 外務省のほうから説明のあったとおりでございますが、御指摘のニジェールでフランス原子力庁と日本のウラン資源会社とそれからニジェール政府の三者でウラン鉱の探鉱、基礎調査をいまやっております。非常に有望だという途中の成果が出ておりますが、これは厳密には協定がなくても、この共同作業はやれるのでありますが、協定ができることによって非常にいろいろな意味で円滑に促進される。しかも、非常に有望で、でき上がった天然ウランをフランスの分まで日本に持ってくる場合も考えられます。非常に協力関係が促進されるということは言えると思います。
 それから動燃の再処理工場は、これはフランスの技術、サンゴバンの技術、あるいは主要設備等も入ってまいるんでありますが、これも、協定がなくても契約によって入ってまいりますが、今後、保障措置の関係その他協定の成立によって、非常に、十分協力関係が円滑になっていくということが言えると思います。
 それから、豪州からのウラン鉱を輸入したり、開発したりする。今後非常にこれは、日本として期待している点でありますが、豪州は、そのウラン鉱の輸入先において平和利用に限られるという保障がある場合には、もちろん価格の問題もありますが、そういう場合は、輸出の規制の運用において大いに出してもいいというような方針も出ておりますので、日豪のこの協定によって平和利用の保障がはっきり打ち立てられますので、この点のウラン資源の開発あるいはウラン鉱の輸入促進という意味で、非常に大きく期待できると思うのであります。
 それから、ちょっと言い落としましたが、日豪の前文におきまして、「日本国がウラン資源を必要としていること、及びオーストラリアがそのウラン産業を発展させることを希望していることを認識して、次のとおり協定した。」という、ほかの原子力協定には例のない前文が出ておりますが、これは、先ほど言いましたように、日本が原子力発電を積極的に拡大していく場合の必要なウラン資源を豪州に非常に今後期待するところが大きいということと、豪州は天然資源であるウラン鉱の開発あるいは精錬等の関連産業を今後豪州において開発させていきたいという方針がありますので、両者の政策なり要請がここで合致しまして、ひとつこの協定をつくって、協力関係を促進していこうという趣旨でございます。
#82
○中村利次君 そうしますと、たとえば豪州にはウラン資源がある。日本にはどうもたまり過ぎて困ると少し心配されるくらいの金がある。日本が金を出して、そしてオーストラリアと日本との合弁会社をつくって開発をするという、そういう具体的な計画がありますか。そういうことになっていくという見通しがありますか。
#83
○政府委員(成田壽治君) まあ現在は原子力協定がない事情もありまして、ウラン鉱の買い付け契約、これは商社等がいろいろ交渉をやって、まだ商談中――仮契約に達したものも若干ありますが、そういう段階でありまして、協定ができますとこれが本契約になるだろうと思います。
 それから共同開発の問題は、これは相当長期を要する問題で、協定ができ上がった場合には相当具体的な話し合いになると思うのであります。たとえば鉄鉱石とか、それから石炭、製鉄用の石炭等の開発につきましては、日本の資本あるいはアメリカの資本等が現地資本と合弁でいろいろな事業が、合弁会社ができて、実際やっておりますので、ウラン鉱についても、協定成立後はそういう具体的な合弁事業による共同開発の構想が具体化してくるものと考えております。
#84
○中村利次君 これはウランの開発だけでなく、たとえばウランの濃縮の問題にしましても、どうも最近アメリカも、フランスも、盛んに日本に対して何というんでしょうかね、秋波を送ってきておるということが言われておるんですけれども、とれもやはり日本で非常にたまり過ぎるといわれている金を使って、合弁事業で、濃縮工場等――これは先ほど何というのですか、濃縮ウランの確保あるいはウラン鉱の確保等については原子力委員長代理からのお答えがございましたけれども、しかし、どうも話があっち飛びこっち飛びしますけれども、やはり軽水炉の時代というものはまだ今後ほとんど十年程度は続くと見なければならない。ところがアメリカの設備容量をもってして、はたして憂いがないのかどうか。濃縮工場の建設にしても相当の年月がかかるのだそうですから、したがって、濃縮ウランの安定供給のためには、相当やはり思い切った対策が打たれなければならないと思いますけれども、やはりこの協定等は、濃縮ウラン技術、これは現在もうアメリカオンリーでしょうが、輸出国は。アメリカあるいはフランス等と提携をした合弁事業というものを予想されているのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#85
○説明員(有沢広巳君) 濃縮ウランの需給につきましては、自由世界全体で申しまして、大体現在アメリカが三工場大きな工場がありまして、稼働もまだ一〇〇%でなくて六〇%ぐらいかと思います。いまのところはまだ余力がありますが、自由世界において軽水炉による発電所がたくさんできるようになりますと、いま供給先はアメリカ一国でございますから、大体いまの状況で申しますと一九八〇年ごろ、一九七九年という人もおれば、八一、二年という人もおりますが、大体八〇年ごろには自由世界の濃縮ウランに対する需給は全く窮屈になって、供給不足になるということが、これはもう各国とも認識がほとんど一致しておると思います。わが国もむろんそれであります。それで日本はいまのところアメリカ合衆国から一辺倒といいましょうか、供給を受けておるわけです。が、アメリカのほうから申しますと、いまのアメリカの三工場にいろいろ改良、増産設備を加えても、八〇年ごろには足りなくなる。そこでアメリカは、しかし国内の需要もありますから、アメリカとしては第四工場、新しい工場をつくらなきゃならないでしょうが、しかしそれをいつどういうふうにつくるかということは一九七五年でなければ決定できないのだと、アメリカとしては。それですから、マルチナショナルの形でアメリカの技術を使って皆さんひとつ新しい工場をおつくりになったらいかがですかというのが去年の十一月のアメリカのAECの、アメリカ原子力委員会の話でございました。それで各国ともその点においては認識は共通しておりますので、各国ともそれぞれいろんな形でウラン濃縮の工場をつくろうということになりまして、先ほど申しましたように、フランスでは欧州の六ヵ国とともにいまワーキンググループで研究を始めております。それでわが国といたしましては、むろんそういう工場を何とかしてつくる、あるいはつくられるものに参加したいと、こういうふうに考えております。それでできればアメリカのAECがいったマルチナショナルのプラントを、各国が集まって国際共同の濃縮事業をやりたいと、こういうふうに考えておりますが、まあこれは組む相手がなきゃいけませんので、組む相手がどういう気持ちであるかということを、情報をいま集めております。が、どうもヨーロッパのほうはちょっとそれが少し消極的なような感じを私はいま受けているところでございます。しかし、そういって、それじゃ日本はどうするかというと、それにもかかわらず、日本としては濃縮工場を何かの形でつくるか、あるいはそれに参加するかしなければならないところでございまして、それでいまわが国におきまして民間に国際ウラン濃縮事業調査会というような、たしか――ちょっと名前ははっきりいたしませんが、とにかくそういう調査会が民間にできまして、その民間にいま政府も委託費を出しまして、どういう、たとえば立地をどこへ置いたならばどれぐらいの安い工場になるか、まあ電力費その他のこともありますから、そういうような調査をいま進めておるところでございます。で、いずれにしましても、日本としてはおそくとも来年中には何かひとつそういう国際濃縮事業をつくるか、あるいは参加するか決定しなければならないと思います。この工場をつくるには早くて六年かかると思います。
#86
○中村利次君 これはもっと質問したいところなんですけれども、もう時間がなくなってしまいそうでありますので、IAEAによる保障措置がこれはどうしてもやはり問題になると思うんですが、特に運用の問題ですね、どうも公正であって、なおかつ平等でなければならないのが、必ずしも運用の面ではそうなっていない。あるいは技術上の問題も、これもなかなかたいへん重要な問題であると思うんですけれども、そういう問題に対して――時間がなくてこまかい質問ができませんが――今日以降日本がどう対処されようとしておるのか、あわせてこういう協定をオーストラリアとそれからフランスと結んだわけですから、したがって、この両国がこの保障に対してどういう方針を持っておるのか。これは協定の中にちょっとございますけれども、あんまり言い過ぎてると時間がなくなりますから、これは簡単にひとつお答えを願いたい。まだほかに質問したいことがあるんです。
#87
○説明員(有沢広巳君) 保障措置は確かに重要でございまして、平等であって公正にやれると、そのフレームワークはもうできておるわけです。ただ、その内容を具体化の場合に、先ほどもちょっとここで問題になりましたユーラトムのやり方と日本のやり方とは違うかどうか、どういうふうな違いが出てくるか、こういう問題があると思いますが、いまユーラトムのほうでIAEAと細目の折衝をやっているところです。近くそれがおそらく結論が出ると思います。その結論が出ましたら、大体それが一つの標準値になって、わが国のほうの細目協定を始めても一つの見本があるわけです。わが国といたしましては、しかしこの査察はなるべく合理的に、合理的だという意味は、軍事目的に使っていないということがはっきりするように、そういう意味の合理的で、しかも簡単に、なるべく単純なものがいい、そういうふうに考えております。
#88
○中村利次君 これはあとのほうのお答えはなかったんですが、もう時間がありませんからね。
 このユーラトムの査察交渉ですね、これを待ってこれが一つの基準になるといいますか、そういう考え方が実は私非常に不満でありまして、少なくともいままで保障措置の改善については、西ドイツは日本に少なくとも最も同調国であったはずですね。それがユーラトムの一員としてこの査察交渉が、保障交渉ができ上がってしまう。私はこれはどうしても日本には決して有利になるものじゃなくて、むしろ逆に不利になるものなんです。したがって、そういう情勢に対して日本がどういう手を打っていくのかということは、非常にこれは大事な課題ではないかと思うんですよ。もう時間がございませんから、最後にもう一つ。核防条約、これは外務大臣から先ほどお答えがございました。調印をして、しかしながら、わが国の平和利用に障害にならないようにしなければいけないので慎重にこれは批准の態度をきめる、しかしこれは批准をするのだ、こういうお話でございましたけれども、平和利用に障害にならないような、これはもう当然そういう措置というものは必要だと思いますけれども、逆に、どうも日本がこれを批准をしないのは、あっちこっちから、これはまあ自由主義諸国においてすら、日本が軍事大国になるんではないかというおそれが言われておるし、あるいはアメリカからですら将来日本は核保有国になるんではないか、あるいは自民党の中にも熱心な核保有論者もいらっしゃらないわけではないようでありますけれども、しかし逆の意味でそういうことが、やはり世界からこの批准を非常に慎重にやっているということがどうも日本の核に対して信頼性を失うことになっては、これはまことにどうも好ましいことではないと思うんですけれども、大体批准は外務大臣のお見通しとしていつごろまでにおやりになるお見通しですか。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) 私は核防条約にわが国が批准をしないということをもってわが国が核軍事大国にならんとしておると、そういう見方をしておるという人は、私はまあそう方々にあるような気はいたしません。いたしませんが、先ほども申し上げておるとおり、調印をしたものに批准をしないと、こういうことはあり得ないわけですから、これはもう批准をしなけりゃならぬ立場にある。ただ先ほどから申し上げておりまするとおり、わが国はこの原子力には命をかけているといってもいい国かと思うんです。もう石油資源もそうこれに依存するわけにもいかぬ。そういう際にはどうしたって原子力にこれを依存する。そのとき手足を縛られるというような形になりましたんじゃ、これは私どもほんとうに命の問題になってくる、そういうふうに考えまして、わが国が平和利用ということにつきましてはフリーハンドというか、どうしてもこれを他国と差別されるというようなことのないようにいたしたいと、それには慎重でなければならぬと、そういうふうに考えているんです。もう非核三原則というものはこれは天下に公表し、また国会でもこれを御決議されているんです。ですから、これにつきましては一点の疑いもお持ちくださらぬように切にお願い申し上げます。
#90
○中村利次君 いまの外務大臣の答弁との関連もありますから、ひとつ積極的にその査察制度、保障制度もですね、積極的な対処といいますか、対策について……。
#91
○説明員(有沢広巳君) 先ほど私、ユーラトムの査察交渉を見てと、こう申しましたが、ユーラトムは御承知のようにリージュナルな査察が行なわれております。日本はナショナルな査察でございます。そこでリージュナルでございますから、先ほど辻さんのお説明の中にもありましたように、自己査察になっているのじゃないかと、日本は直接の査察になっている、いままでは。核防条約の場合においてもそういう状況じゃまずい。核防条約自身が不平等条約で、査察がさらに不平等であるということはまずい。ですから、査察につきましても、リージュナルシステムとわが国のナショナルシステムとが同じである、こういうたてまえで話を進めたいと思っています。で、そういうふうに外務省に私どもはお願いしてあります。それが進めば、査察に関するこの核防条約の障害というものは一切なくなると、こう私は思っております。
#92
○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。よって、本連合審査会は終了することに決定いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後五時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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