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1971/04/20 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第7号
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1971/04/20 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第7号

#1
第068回国会 外務委員会 第7号
昭和四十七年四月二十日(木曜日)
   午前十一時七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                石原慎太郎君
                佐藤 一郎君
                山本 利壽君
                森 元治郎君
    委 員
                杉原 荒太君
                塚田十一郎君
                増原 恵吉君
                加藤シヅエ君
                田  英夫君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                黒柳  明君
                中村 正雄君
                星野  力君
   国務大臣
       外 務 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       外務大臣官房長  佐藤 正二君
       外務省アジア局
       長        吉田 健三君
       外務省条約局外
       務参事官     穂崎  巧君
       外務省情報文化
       局文化事業部長  加川 隆明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       外務大臣官房人
       事課長      松永 信雄君
       外務省経済局外
       務参事官     手島れい志君
       大蔵省関税局輸
       入課長      片山  充君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外務公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○千九百七十一年の国際小麦協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○税関における物品の評価に関する条約の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
○国際交流基金法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八木一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 外務公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、去る三月二十一日趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○森元治郎君 この休暇帰国というんですが、昔、賜暇休暇とかいうことばがあったんですが、いま使われておりますか。事務当局でいいですよ。
#4
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと政府委員のほうから。
#5
○説明員(松永信雄君) 御説明申し上げます。
 賜暇休暇ということばは、いまは使っておりません。臨時休暇帰国制度が昔の、以前の賜暇休暇制度に該当するものであります。
#6
○森元治郎君 いままでに四年に一ぺん帰ってきたのが、今度は三年、一年短かくしたようですが、何人くらい毎年あるものなんですか、いままでやってきたんですか。
#7
○説明員(松永信雄君) 現在まで大体年間百八十名前後でございます。この改正によりまして、約三十名の増を見込んでおります。
#8
○森元治郎君 これはえらい公館長とか、あるいは大公使ばかりでなく、参事官、書記官、だれもこの恩典に浴するのでしょうね。
#9
○説明員(松永信雄君) さようでございます。
#10
○森元治郎君 この不健康地というところはどの辺を言うのですか。
#11
○説明員(松永信雄君) 現在、在外公館約百四十個所にございますが、このうちの約半数、七十数館でございますが、不健康地に指定されております。その大部分はアジアの一部、それから中近東、アフリカ及び中南米でございます。
#12
○森元治郎君 そこの不健康地で、給与ではよほどめんどうは見てやってるの、給与の面で。
#13
○説明員(松永信雄君) いわゆる在勤手当の中に不健康地手当に対する考慮を含めて在勤手当を決定いたしておりますので、不健康地在勤についての考慮が払られております。
#14
○森元治郎君 何かこう私ら、まあ目につくせいか、館長みたいな立場の人は、よく会議とか何とか言って、休暇帰国以外に帰っているようだが、したがって、四年に一ぺんでなくても、四年に二、三回も帰ってきているんじゃないかと思う。むしろそういう重要任務などで本省と打ち合わせなどのない、下のほうの人のほうが何回も帰してやりたい立場の者があると思うんですがね。上の人なんかしばしば帰ってきてるでしょう。四年間一ぺんも帰ってこないなんというのはないでしょう。
#15
○説明員(松永信雄君) ただいま御指摘がございました事情はございます。したがいまして、休暇帰国制度の運用にあたりましては、大使等については、たとえば大使会議が東京で開かれます。このために用務帰国で一時帰国いたしますので、その際に若干日数を延ばしまして、本邦における滞在を延ばすことを認めまして、この休暇帰国制度をそれに取ってかわらせるようにしております。したがいまして、その分をそれだけよけいほかの館員のほうに実際上は回しております。
#16
○森元治郎君 これは家族同伴も許すんですか。身分の低い一等書記官とか、もっと若い人の家族も均てんするんでしょうね。
#17
○説明員(松永信雄君) 扶養家族として同行しております家族は、配偶者及び子供を含めて休暇帰国制度の旅費を支給しております。
#18
○加藤シヅエ君 関連。
 その帰ってくるのは健康ということが理由なんでございますか。健康だけが理由で、ほかには何にも理由がないんですか。たとえば、長いこと外国に行っておりますと、自分の国のいろいろの情勢が目まぐるしく動いているというようなことに対しまして、やはり外交官というものは自分の国の変化に対しても十分に認識を持っていなければいけない。そのまた認識の上に、自分がいる在勤地におけるそういう問題、純粋の外交的な問題以外の認識というものに対しても、十分に交流を広めて情報を集めておかなければいけない。私は、まあ方々参りましたときにいろいろお話し合いをしたところを見ますと、どうもそういうことには少し足りないのではないかという感じを持つんでございますが、こういうような帰ってこられるようなときには、特に健康の問題のほかにもそういうような問題、自分の国の一般の情勢の変化に対する認識をさらに改めていく、深めていくというような目的をも加えていらっしゃるのかどうか、それを伺いたいと思います。
#19
○説明員(松永信雄君) ただいま御指摘がございましたように、休暇制度は、在外職員の長期滞在に伴います健康管理のほかに、国内事情の勉強把握でございますね――のためと、それからさらに事務的に本省といろいろな打ち合わせ等をいたしまして、帰任後十分能率をあげて職務に従事することができるようにという目的が含まれております。
#20
○森元治郎君 飛ばして、この待命制度の話ね、待命というのは、昔は、任ず大使館参事官、待命仰せっけらるなんというと、あれはあれでもう首だったんですが、いまの待命というのは、次御用があるまでまだ生きられる望みがあるんですか、いまの待命は。(笑声)昔の待命は、ばっさりだったんだよ、待命というのは。それはどうなんですか。
#21
○説明員(松永信雄君) 戦前は、御指摘のように、一般職の者も含めまして、待命制度がございましたわけでございますが、戦後は、この待命制度は特別職であります大公使のみに適用されるということになっております。
#22
○森元治郎君 これは在外高官あたりが大使で帰ってくる、このプールしておくところには大臣官房審議官なんという場がありますね。あんなことでつないでおけば、特にこういうことに手をつけないでもまだ使えるんじゃないですか。
#23
○説明員(松永信雄君) 現在は大使、公使で帰ってこられますと、そのまま待命というステータス、地位になるわけでございますが、これは官房審議官等の一般職に振りかえることは法律的技術的には可能でございます。しかし他方、定数の問題がございますので、その運用はかなり限定されているわけでございます。
#24
○森元治郎君 そうすると、大公使で帰ってくる、待命になっている。で、一年だね、待命一年。一年過ぎればやめ、黙っていられれば、大臣からお呼びがかかなければ、それでさよならですね。
#25
○説明員(松永信雄君) 手続的には、一年たちました時点で退職願いを出していただくことになっておりますけれども、法律上は、一年経過すると職を失うという規定になっておりますから、一年で大使としての地位が失われるわけでございます。
#26
○森元治郎君 そうすると、やっぱりこれはお役人さんだから、首切られるのはいやだし、長くつとめたいだろうし、上の人はかわいそうだというのもあるだろう。そうすると何か用事こしらえちゃ全権委員とか、何とか代表とかいっちゃ、こうやってこう首を延ばしていくのに使っているんじゃないかと思うんだが、これは……。
#27
○説明員(松永信雄君) 現在までそのような事例はございません。また今度開成いたしましても、その用務が終了するまでという限定をつけておりますので、それは無期限に延びるということは考えられないと思います。
#28
○森元治郎君 大体その待命なんという名前くっつくのは、これはもう将来があまりない立場ですよね。次から次へと行きそうなやつは待命というのはつかないでしょう。
#29
○説明員(松永信雄君) まあA国からB国に転任で行かれる大使の場合もございますが、非常に多くの場合、一時一たん帰朝発令になりまして、東京に帰ってこられて待命になるわけでございます。次の任地に行かれるまでの間、前任者等の関係、あるいはアグレマンの関係がございますので、一がいには申し上げることはできませんけれども、何カ月か東京で待命のままで滞在するという例はかなりございます。
#30
○森元治郎君 待命というのは、大体年輩者、もうっとめ上げたというくらいのところですね、待命にひっかかる人は。そうでもないんですか。
#31
○説明員(松永信雄君) いま申し上げましたような例で、次にまた新しく任国に赴任される前に東京で待命のままおられるという大使もかなりございます。
#32
○森元治郎君 そうすると、この人事異動をやると――福田大臣もいろいろ国会で問題があるんだから、今度やろうという場合、ちょっとこう呼び返しますね、何かに使おうと思って。そういうのはみんな待命ですか、次にきまるまでは。
#33
○説明員(松永信雄君) 帰朝を命ぜられれば待命になるわけでございます。
#34
○森元治郎君 公使ということばがこれありますが、公使って、幾つくらいあって、どんな仕事しているんですか。
#35
○説明員(松永信雄君) ここで申します公使は、いわゆる特命全権公使、特別職としての公使でございます。現在定数上は四名でございますが、実際にはワシントンとロンドンに一名ずつ置かれております。
#36
○森元治郎君 私はまあ公使というのは非常に好きでね、これはこう若くてぱりぱりやっているような感じがする。大使というと、もう終わりが近いような感じがするんだなあ。(笑声)OECD大使の森治樹君が、パリに公使でいた。いかにもいま働き盛り。ところが、いま省内の人を、黙って歩いて、においをかぐと、とにかく大使になりたい、大使という名前ですね、それをつけてからやめたいと。どんなことがあってもへばりついていこうという空気があるんですよ。よほどいいと見えるんだ、これは。もっとも、終戦後小さな国がたくさん独立して、みんなが大使という制度でやっていくんで、やむを得ず日本もしたのだろうが、「大」なんという字を使うより、公使というふうに逆に世界をリードしていく、黒人国でも公使がいいんだと、大使はロートルで無能で、もう定年前なんだと。こういうふうにやっぱりリードしていったほうが元気が出ると思うんだがね。これはまあ参考までに。
#37
○星野力君 私は、議題の案件に関連しで、外務公務員の国会における態度についてお聞きしたいのです。
 四月十日の参議院予算委員会で、吉野アメリカ局長が、私の昨年の発言は不穏当であり、問題を起こしたことを遺憾に思う、深くおわびしますと、こういうふうにおわびしておられる。発言が不穏当であり、という抽象的な言い方で言われておりますが、これはどういう理由であやまられたのか、大臣あるいはどなたか、お聞きしたいのです。
#38
○国務大臣(福田赳夫君) これは、沖繩国会におきまして、実は電報漏洩事件に関連する質問があったわけですが、その時点では、まだ電報漏洩まで至らないんです。しかし、その電報をちらつかせながら委員のほうから御質問がありまして、愛知・マイヤー会談の内容としてこういうことがあったのかとか、あるいは、ロジャーズ・愛知会談、これについては記録はあるのかないのかとか、そういう問われ方をしたわけです。それに対しまして、吉野政府委員が、そういう事実はありませんと、あるいは愛知・ロジャーズ会談につきまして、これは記録というものは一切とっておりませんと、まあ電報で大体パリから本省に報告をすると、そういうような形でありましたというような発言をしたんですが、これは、その交渉の過程の問題でありまして、お尋ねがありましても、実はお答えのできない性質のものであったわけであります。ですから、率直に、せっかくのお尋ねではございまするけれども、これは交渉の過程の問題でありますので、お答えすることができません、というようなお答えをいたしますれば、それは問題はなかったかと思うんでありますが、それを、そういう事実はありませんと、あるいは記録――あとでまあ電報というような記録の一種が出てきたわけですが、記録はありません、というような答え方をいたしておると。それは妥当を欠くお答えであったと、深く遺憾の意を表しますと、こういう趣旨でございます。
#39
○星野力君 委員長からいま、何かあなたのほうから申し出があったわけでしょう。私は、あと回しにするという。
#40
○委員長(八木一郎君) 続けてください。
#41
○星野力君 公明党さんのほう、先おやりになりたいという……
#42
○委員長(八木一郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#43
○委員長(八木一郎君) 速記を始めて。
#44
○星野力君 いま大臣からお答えがございましたが、吉野局長は、昨年の沖繩国会で、要するにうその答弁をされたということになると思います。十日の参議院予算委員会でも、質問者は、吉野局長が十回もうそをついておる、こう述べております。十回もうそをつくというのは、思い違いで間違った答弁をしたということではなくて、故意にやったということになると思います。で、政府委員が国会で故意にうそをつく、当然それは案件審議に当たっておる議員の判断を誤った方向へ導く意図をもってそういうことがやられたことは明らかであるといっていいと思うんですが、これでは国権の最高機関としての国会を、官僚がばかにしておるというのは言い過ぎかもしれませんが、少なくともひどく軽んじておることになると思います。政府委員が国会で故意にうその答弁をした場合の責任問題の処理はどうすべきものと思うか、外務大臣から御答弁願いたい。
#45
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまお答え申し上げたように、御質問をいろいろ受けたわけですが、その当時は、交渉の経過なもんですから、お答えができない。そういう性格のものだったんです。ですから、そういう性格なんだから、お答えができないと言うべきところを、そういう事実はありませんと、こういうような答弁をいたした。これは、まあ事実に反する答弁をいたしたわけでありますから、そういう意味合いにおいて、まあ吉野政府委員も深くこれを遺憾とし、また統轄の責任者であるところの私といたしましても、これを深く遺憾としておると、こういうふうに存じておるわけでありますが、この間、外務省におきましては、一つの問題、つまり機密を漏洩した問題につきましての部内における公務員法に照らし、あるいは、部内の内規に照らしての処置をしたわけであります。つまり、重い方は懲戒免職、次いで減俸、次いで戒告、次いで訓戒と、こういうようなことをやったわけであります。吉野局長も、その戒告処分を受けておると、こういうことでございますが、これはあくまでも機密漏洩に対する監督責任の立場です。
 それから、いま国会においての妥当な答弁がなかったということに対する問題、これは国家公務員法の問題というよりは、これは政治的な問題であると、こういうふうに考えまして、これから私が行なおうとする人事措置によってこの問題の決着をつけたいと、かように考えております。
#46
○星野力君 この責任に対して、人事措置によって大臣がこれから処理されるということでございますが、それは私、別に吉野局長をどういうふうに責任をとらせろと、処分をしろということを申し上げておるのではなしに、また、どういう人事措置をとられようが、それは別の問題でありますが、吉野局長が国会で故意にうその答弁をやったと、これは事実であります。ところで、吉野局長がどういうような状況で、そういううその発言をされたかといえば、国会の審議の場で、外務大臣や、ときには総理の前でそれをやられたということは、外務大臣の承認のもとにそのような答弁をしたということであると思うんです。いわば大臣御公認のうそ答弁をやられたということだと思うんですが、大臣を助ける立場でのうその答弁、そうではないでしょうか。
#47
○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員の発言は、政府を代表しての発言でありまして、私は、しばば政府委員をして答弁いたさせますと、こういう。ですから、私は、政府委員の責任は、ひと政府委員の責任だけの問題ではない。私自身の問題でもあり、また、政府全体の問題でもある、そういう理解です。
#48
○星野力君 大臣の御答弁わかりました。まあ、政府委員に責任をとらせるということは、いわば、これは末節の問題であって、大臣がまず責任をとらなければならない性質の問題だろうと思います。大臣や政府委員が国会審議の場で平気でうその答弁をする。平気でとい言ってはまた反論があるかもしれませんが、さっき言われた答口えられないというのは、これはいい悪いは別として、うそじゃない。ほんとうのことをそういう場合に言うという習慣といいますか、それがなくて、うその答弁を言うという習慣のほうがより普及しておると思われる点があるんですが、そういうことで事が済んでしまうのでは、国会の権威などあり得ようがないのであります。問題は、一政府委員の答弁の問題ではなしに、議会制民主主義の根本にかかわる問題だと思います。政府や各省の責任者、大臣、ここがうそをつく必要を認めないならば、政府委員がうそをつくはずはないのであります。そういうこともなくなると思う。だから、政権の地位にある人たちが、よくよくこのいま起きたような問題について今後心していただきたいと、こう思っておるわけでありますが、国会の権威のために、議会制民主主義のためにもそれをやってもらわなければいけないと思うんですが、その点について、大臣の御見解を聞いて私の質問を終わります。
#49
○国務大臣(福田赳夫君) 私もまことにさようなとおりに考えておるわけですので、自今、国会の発言につきましては、総理大臣以下各閣僚も政府委員もできるだけというか、今回のようなあやまちを犯すことのないように気をつけてまいりたい、かように考えております。
#50
○加藤シヅエ君 しまの問題に関連してちょっと一言。
 秘密漏洩のことについてちょっと伺いたいのでございますが、秘密ときめられた重要な事項に対しては、きめられた以上は秘密が漏洩しないように、外務当局として十分な注意を払われることは当然だと思いますが、秘密が漏洩しないように具体的にどういうふうにしていらっしゃるかということについて、新聞で見ただけでわからないのでございますが、新聞に報道されましたところによりますと、秘密文書を封筒に入れてホチキスでとめて、そしてそれを持ち回っている、それを保存していらっしゃる。そうすると、もし何かその秘密を漏洩したいと思うような人が出ました場合には、そのホチキスをそうっとあけて中を見て、あるいはコピーをとって、またもとどおり納めておくということは、これはわりあいにやさしくできることじゃないか。だれにも知られないでできるんじゃないか。もし非常に重要な漏れてはならないものでしたら、昔なら何か封ろうを押して厳重にしたというようなことも伺っておりますけれども、そういうようなめんどうなことを一々なさるほうがよろしいのか。いまみたいな新聞に伝わったホチキスのような方法で今後ともおやりになるのか。もしそうなら、それは非常に簡単過ぎて、ほんとうの秘密を守っている態度とは私には思えないのでございますけれども、それはどういうふうになさるのでございますか。
#51
○国務大臣(福田赳夫君) いま外務省には秘密文書取扱規程というものがありまして、それによって秘密を確保するということにしておりまして、そしていま加藤先生がおっしゃるように、それによりますると、機密文書の取り扱いが事こまかに規定してあるわけなんです。私、今回の機密漏洩事件につきまして、在外公館等も含めまして、外務省全体で総反省をしなければならぬというふうに考えまして、次官を長とするそういう綱紀の粛正のための委員会をいま設けております。どういうふうに改革するか、前提としてどうも機密文書の多過ぎるという問題もあるのです。この辺の整理、そういうことも考えなければならぬ。しかし、そういうふうにしてしぼった大事な機密というものが漏れるというようなことがあったら、これまた問題であります。ことに第三国に陰微の間に情報が漏れているというふうなことになりますると、これは非常に大きな問題になってくるだろう、そういうふうに考えまして、あらゆる手を尽くして、ほんとうに機密なものは、これは機密が保持されるようにという努力をいたしていこうと思っていますが、いずれにいたしましても、やっぱり外務省全体の気持をそういうふうな方向に持っていくことが先決だというふうに考えまして、この間も、在外公館を含めて全省員に対しまして私は士気振興というか、綱紀粛正というか、それについての訓示をいたしたというようなわけでございます。いろいろこまかい具体的な問題は考えてみたいと思います。
#52
○加藤シヅエ君 そういたしますと、いままではやっぱりみんなホチキスでとめた封筒と、そういう方式だったわけでございますね。そうなんでございますね。
#53
○説明員(松永信雄君) 必ずホチキスでとめて持って回るということではございません。一部そういうことが慣行的に行なわれていたことはございます。
#54
○加藤シヅエ君 今後十分にそういうふうなことでも引き締めておやりになるように希望いたします。
#55
○国務大臣(福田赳夫君) はい。
#56
○黒柳明君 いまの秘密文書、機密文書のことですけれども、先般官房長官御出席いただきまして、各省庁全般にわたって、国益は何か、あるいは知る権利、あるいは知らせる義務等と、非常にむずかしい問題で、中期的将来まで、議論は相当かかると思うのですが、私は役所の内部にそういう書類の何が秘密であるか、だれがきめるか、そんなことをいろいろ調べまして、官房長官とお話したわけですけれども、四十年の五月に、時の官房長官が事務次官を集めていわゆる秘密、マル秘文書は少なくしようじゃないかと申し合わせをした。当然その大多数が外務省にあるわけです。十二万五千のうちの外務省が十万ぐらいですね。ですから、四十年以前と四十年後と、まずここら辺で外務省の秘密、マル秘文書の扱い方、件数上からいってどういう傾向があったのか、いわゆる官房長官はマル秘は公開することが原則であると、四十年の五月は私は副官房長官でその席にいた。しかしながら、今日非常に多過ぎると、いま外務大臣おっしゃったように。そうすると、四十年五月、政府全体にそういう申し合わせを最高のトップレベルでやったその時点、その以前と以後において、特に外務省がマル秘文書の数においてどういう形になっておるか、いま材料お持ちないでしょうか。
#57
○説明員(松永信雄君) いま手持ちにその資料ございませんので……。
#58
○黒柳明君 感覚的にどうでしょうか、以前と以後と、四十年ですね。
#59
○説明員(松永信雄君) 多少ふえていると思います。
#60
○黒柳明君 ふえていると。ひとつその数字を教えていただきたいのですがね。そうじゃないと、先般事務次官会議をやりまして、四十年五月十四日の原則に立ち戻れと、こう言ったところで、またいつの時点かこういう事件があったときに、またさらにふえてますでは、これは非常に困る問題ではなかろうかと、こう思いますもので、ひとつこの時点の前は、四十年五月十四日、この時点が全政府に対しての号令がかかった時期でありますから、その以前、すべてのマル秘文書の中心である外務省がどのくらいのマル秘を持って、それからその以後今日十万数件ですけれども、それとの対比を一回しませんと、官房長官が全般的に公開の原則を打ち出したわけですから、さらに外務大臣が検討しているとおっしゃるわけですから、それが今後どのように推移していくか、いつの時点かこれはまたやっぱり審議をする必要があるのではなかろうかと、こう思いますものですから、いまおっしゃったふえているのではなかろうかと、そうするとこれはちょっとうまくないような気がしますね。具体的に数字の上でどのくらいふえているかということがわかりますと非常にけっこうなんですが、大体ふえているのではなかろうか、そうなりますとこの次もふえる傾向にあると、こうなると非常にうまくない。こういうことでひとつその数字をお示しいただきたいと、こう思います。
 それからついせんだってですか、各事務次官集めてマル秘は公開の原則と、その前に要するに内規の問題ですね。まあ外務省の内規はマル秘ですけれども、これはもう公開されないと。ところが各省庁のまあ公開されている部分、全部公開されている。それで見ますと、防衛庁なんか要するに日米安保条約のもとで相当やっぱり秘密に属するような扱いをしている文書があるわけです。しかしながら、内規は別に秘密じゃないわけです。まあ外務省の場合には暗号電報や何かあるから秘密がある。これはわかるんですけれどもね。少なく、ともこの秘密じゃない部分、官房長官もその部分は言うことができる。ただ後半はですね、後半はどうも公開できないんで、内規全体が公開できないんだと、こういう発言だった。すると外務省はその内規ですよ、国会の場に公開できない文書。全体の公開できる部分ね、これは口答でどういうふうになっているか、ということは、私は各省庁全部とった場合には、大同小異なんですよ。変わりないんです。秘密の段階を五段階に分けているか、二段階に分けているか、そこらの違いはあれ、大体課長さん以上が秘密の文書をつくっている、こういうことなんです。ですから、外務省の場合も大体そんなことで間違いなかろうかと。というのは、四十年五月の事務次官会議で政府全体、にそういう呼びかけがあって、一応内規をつくったし、整備をしたわけです。だからその前半の部分は外務省の内規どうなっているのか、ここらあたりはお知らせいただけますか。
#61
○国務大臣(福田赳夫君) まあ第一に件数の問題でありますが、これはまあ外交活動がもうこの数年間で非常にふえてきております。世界じゅうを相手にして交渉が行なわれるというようなことになっておりますから、その数字は明らかにしますが、これを御理解、御評価いただくときには、そのことも頭に置いていただきたいと、こういうように存じます。
 それから外務省の秘密文書取り扱い規程、これはもうずいぶんこう分厚なものでありまして、このくらいの厚さに実はなるわけなんです。これはまあマル秘になっておる。なぜかというに、それが世の中に出る、ことに第三国が知るに至るということになりますと、それをたどってまたいろいろの情報をというような事態にもなりかねない。そういうようなことをまあ考えまして、秘密だと、こういうふうにいたしておるわけなんですが、まあ理事会あたりで御相談くださいましてね、たとえば秘密理事会だというようなときでありますれば、その原本を持ってきまして、皆さんにごらんいただくというようなことを考えてもいいんじゃないかと、かように存じますが、また、どうか委員会のほうでひとつどういうふうにされますか、そういう性格の規程文書でございますので、それを扱うのはどういうふうにしますか、私どもは何も外務省の立場でやっている、そのマル秘というふうにやっているんじゃないんです。これは国益という立場でやっておりますので、その辺をお考えくださいまして、どういうふうにされるか。
#62
○黒柳明君 委員長、ぜひ次回のこの委員会で検討していただきまして、私たち拝見さしていただきたいとこう思うんですが、よろしくお取り計らい願いたいと思います。
 私は、別に国家の機密がないとは思わない。もうあることが当然だと思うし、したがって、それが漏れることがうまくないというような考えも当然一部にありますけれどもね、いまの問題は大問題だと思う。国家の大きな責任だとこう思うんです。しかしながら、私はそのそういう問題にいく前に、事務的な問題、先ほど申しましたように官房長官と煮詰めてやったわけなんですけれどもね、非常に事務的問題がルーズなんだ。だから外務省の場合には、各省庁と前半は大同小異ではなかろうか。いわゆるランクのきめ方、それから課長さん以上がきめる、官房長、局長が極秘ときめるとか、課長がどうするとかというのでなかろうか。その部分はね、口頭でいま言っていただいたように大体大同小異だとこう思うんです。その点はどうですか。
#63
○国務大臣(福田赳夫君) これは理事会で外務省の代表出しますから、まあ御相談くださいますように。できる限り御要請に応ずるようにいたしたいと思います。
#64
○黒柳明君 わかりました。前半の部分は、私は各省庁とそう変わりはなかろうと、こう思うんです。そこで、具体的に官房長官が、大臣よりも事務次官の責任範囲じゃないかと思うんですけれどもね、事務的にマル秘は公開であれ、少なくしていくと、これから検討だと思うんですけれども、検討といっても何にも目標がなくて、マル秘文書といえば当面は外務省であり、これからも外務省の大きな仕事だと思うのですけれどもね、何も目標がなくて公開するとか少なくするなんということにいかないわけですし、先日第一回の会合、政府レベルで各事務次官がやったわけですし、その後、外務省としての検討もあるいはやったんではなかろうかと、こう思うのですけれどもね。その経過において、こうしなければならないとか、こういう面はありますか。私は事務的な手続、このことを言うんです。これがやっぱり問題だから、だから外務省のお役人の人が、どれがマル秘か何だかもう神経が麻痺しちゃっていますからね。機密を守らないで、必要がないものを守っている。こういうような一つの悪い傾向にもあるんではなかろうか。マル秘をつくるのに非常にばらばら行政、乱雑なきめ方、そういうようなことがある。ですから、そこらあたり。やっぱり事務的にきちんとしませんと、ほんとうの機密が守られない。機密じゃないものを各省庁が取り扱いに困って、それで右往左往するというようなことになりかねない。あるいは国会審議の阻害をするというようなことにもなりかねないというようなことから、まずいま論じられている大きな問題、その大きな問題をつくった一番の入り口は、そういう外務省の内規にある秘密文書をだれがきめ、どういうものを機密とするかといういろいろなことがある。それが事務次官会議で、マル秘は公開、それから整理しよう。こうなると、外務省として、これだけの大きな問題をかかえた当面の当事者として、今後どういうふうにしていこうかというようないづもりなり、一つの目標か何かあって、これから整理していこうというお考えに立たなければうそじゃないか。また、そういう考えをお持ちじゃないかと、こう思うのですけれども、その点いかがでしょう。
#65
○説明員(松永信雄君) いろいろ御指摘がございました点は、秘密のものは必要なものに限定するということが一つと、もう一つは、必要性がなくなった場合は、その秘密の指定の解除と申しますか、して公開するということかと思うのでございます。この点につきましては、先ほど大臣がお答えになりましたように、現在内部におきまして鋭意その具体的な方策を検討中でございます。
#66
○黒柳明君 これ、いままで秘密の期間が切れて公開されたマル秘文書というのは、何件ぐらいあるのですか、過去。
#67
○説明員(松永信雄君) それはやはり具体的な数字を私いま手元に持っておりませんが、かなりございます。
#68
○黒柳明君 大体いまマル秘以上が十万数千件あるわけでししょう。それが公開されない分ですか。
#69
○説明員(松永信雄君) 秘密文書の十万件と申しますのは、昨年、四十六年の一月から十二月までの間に作成された秘密文書でございます。!
#70
○黒柳明君 それは全部公開されてない。
#71
○説明員(松永信雄君) その中で公開されたものがあるかという御質問ですか。
#72
○黒柳明君 それは公開されないのか、され得なかったものか。あるいはその中で公開されたものがあるのか。
#73
○説明員(松永信雄君) その中で公開されたものはあると思います、その後にですね。と申しますのは、あの件数は、秘密文書として作成されたものでございますから。
#74
○黒柳明君 もう一回整理しますよ。昨年作成されたのが十万数千件だと思いましたね。それは昨年作成された。その中で公開されたものはどのぐらいあるか。それが一つ。
 それから昨年以前です。毎年つくりますわね。これは相当膨大なものになっておるわけでしょう。ストックされておるわけです。毎年十万だったらそれこそ何十万、何百万、それがどのぐらい公開されてきているのか。数字、具体的にお持ちなければ、ひとつ感触、また乃至次回にひとつ数字をお示しいただけばと思いますけれどもね。いまのどうでしょうか。
#75
○説明員(松永信雄君) この点、じゃあ調査いたしましてお答え申し上げます。
#76
○黒柳明君 大体どんな感触をお持ちですか。当然そういうことをお調べになっているんじゃないかと思うのですけれどもね。毎年十万くらいマル秘がつくられる。それはどのくらいずつ公開されていくのか。
#77
○説明員(松永信雄君) 秘密指定いたしますときに、できる限りその秘密を保持する必要な期間を指定することには努力しているわけでございます。したがいまして、その期間が過ぎましたときには、それがまあ秘密指定解除になりますから、公開ということになるわけでございます。その数は相当あると思いますのですが、いまちょっとどのくらい……。
#78
○黒柳明君 相当程度ということで、それではこの次にひとつ資料を出していただいてお教えいただきたいと思います。
#79
○説明員(松永信雄君) 調べましてお答えいたします。
#80
○黒柳明君 それで、外務大臣、結局その外交の秘密というのは、十八、九世紀にいわゆる同盟条約なんかが裏切られるとかなんとか、そういうようなことからこの外交上の秘密は保たれなければならない、国家の安全のために、こういう概念がやっぱり世界的にあって、それがやっぱり外交機密の保全保持と、こういうことなわけですけれども、わが国の場合にはちょっとそれが何かこう変わった外交機密の保持みたいな気がするわけですよ。要するに、国家の機密の保持というのは必ずしも同盟関係とか、そういうものが破られるとか、そういうことではないにしても、初めは十八、九世紀はそういう考えだったわけですよ。それで国家の機密を保たなければならない。ところが、いまのこの機密を保持するということは、国益のためなのか、一外務省のためなのか、あるいは日本の国のためなのか、日本の国民のためなのか、非常にまちまちである。なぜかなれば、きめる人が、それは失礼ですけれども外務大臣じゃない。これはもう外務大臣がきめるわけにいきません。そのために課長に権限与える、局長に権限与える、官房長に権限を与えるわけですね。それで機密なり極秘なりきめるわけですね。そうすると、機密ときまった書類ですけれども、それは全部外務大臣が裁決するわけですか、一番最高機密というのを。きめるのは局長ですね、官房長ですね。
#81
○国務大臣(福田赳夫君) 外務省の書類で、機密と部局長がきめますその書類が、私のところへ全部来るかと、こういいますると、そうですな、ごくもう一部しかこないのではないか。私が知らない機密文書というものがまあ大部分というような状態です。そこで、その文書で一番多いのは、おそらく外務省の役人がほかの国の人と話し合ったことだろうと思います。つまり、情報の交換ということがあるわけでありますが、あるいは意見の交換、それが一々世に漏れるということになると、相手方はざっくばらんに話をしなくなる。そういうようなことになったらもう外交はできないのです。その辺に世俗的な意味におきまして見ますると、まあ秘密にせぬでもいいじゃないかと、こういうようなものを秘密にしなければならないと、こういうようなことがある。たとえば、キッシンジャーの訪日問題、これは大したことでもないわけですが、キッシンジャーが、これが事前に漏れたら私は行きませんよと、こういう注釈をつけておるわけなんです。そうすると、それがきまる時点までとにかく秘密にしておかなければならぬ。それがかりにどういう拍子か漏れたということになると、キッシンジャー来日ができなくなると、こういうようなことになるわけであります。そういうような事情がありまして、まあ人と人との対話を漏らさない、そういうことが非常に定着した日本の外務省であるということになると、かなり突っ込んだいろいろな話が外国の人とできると、こういうことになるわけなんですがね。
 それからもう一つは、交渉の問題なんです。交渉ですから、たとえばA国、AというのはABCのAですが、A国との間において日本が何らかの問題で交渉する、そういう際には、お互いがお互いの立場があるものですから、まあ吹っかけるというか、そういうようなこともありますわね。そういうことからだんだん話し合っていって、ある妥結点に到達するわけですが、その過程がぼろぼろ世の中に出るというと、これまた複雑な反応がありまして、どうもできないし、あるいはこういう交渉をしているが腹のうちはこうだというような訓令を交渉当事者にいたしたと、その訓令が漏れましたということになったら、ほんとうにこれは交渉も成り立ちませんし、いろいろの秘密事があるのです。しかし、いま申し上げましたように、秘密事項は整理しようと、また期限をひとつ検討しようということで、まあ機密事項をなるべく少なくする。そのかわり、少なくなったその機密につきましては、厳重にこれを機密性が守られるように努力しようということにいたしたいと思います。
#82
○委員長(八木一郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#83
○委員長(八木一郎君) 速記を始めて。
 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 外務公務員法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#85
○委員長(八木一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#87
○委員長(八木一郎君) 次に、
 千九百七十一年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件
 税関における物品の評価に関する条約の締結について承認を求めるの件
 国際交流基金法案(いずれも衆議院送付)
 以上三案件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。福田外務大臣。
#88
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま議題となりました千九百七十一年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件、税関における物品の評価に関する条約の締結について承認を求めるの件及び国際交流基金法案の三件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 まず、千九百七十一年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件につきまして、この協定は、一九六七年の国際穀物協定にかわるものとして、昨年一月から二月にかけてジュネーヴで開催されました国際連合小麦会議において採択されたものであります。
 この協定は、一九六七年の国際穀物協定と同様、小麦規約と食糧援助規約との二部からなっております。小麦貿易規約は、小麦の価格並びにこれに関連する権利及び義務についての規定が削除されております点を除きましては、ほぼ一九六七年の国際穀物協定の小麦貿易規約の規定を踏襲しておりまして、小麦の市況の安定化等について規定しております。食糧援助規約も、ほぼ一九六七年の国際穀物協定の食糧援助規約の規定を踏襲しておりまして、開発途上にある国に対する食糧援助について規定しております。
 この協定を締結いたしますことは、小麦の安定した供給が期待されること、開発途上にある国の食糧援助の解決に貢献することとなること等の見地から、わが国にとりまして有益であると考えられます。なお、わが国といたしましては、この協定の食糧援助規約に基づく援助を米または農業物資で行なう方針でありますので、同規約にその旨の留保を付しました。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、税関のおける物品の評価に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして。
 この条約は、西欧諸国の代表から構成された欧州関税同盟研究団による検討の結果、一九五〇年十二月にブラッセルで作成されたものでありまして、この条約の目的は、価額を課税標準として関税を課する場合の物品の価額の定義を定めることによりまして、税関における物品の評価方式の統一をはかり、もって関税交渉及び貿易統計の比較等を容易にすることにあります。
 近年におけるわが国の貿易活動の拡大及びそれに伴ってわが国の関税制度に対する諸外国の関心が高まってきているという事実に照らしますとき、わが国がこの条約の締約国となりますことは、関税制度の国際的な統一と貿易活動の円滑化をはかる見地からきわめて有意義であると考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、国際交流基金法案につきまして。
 今日、わが国をめぐる国際環境を考えますと、国と国との長期的な信頼関係の基礎づくりが何よりも肝要でありますが、そのためには、国民相互の間の心と心の触れ合いをつちかう人物交流を中心とする海外との文化交流を安定した財政的基盤と機構の上に強力に推進することが急務であるのであります。かかる観点から、この法律案におきまして、わが国に対する諸外国の理解を深め、国際相互理解を増進することとともに、国際友好親善を促進するため、国際文化交流事業を効率的に行なうことを目的とする特殊法人国際交流基金を設立いたします。
 この基金に対しましては、政府から百億円を出資いたし、また、民間からの出資をもあわせまして基金の資本金とし、その運用益等をもって前述の目的達成のために人物の派遣及び招聘、日本研究、文化的催し、文化資料の作成等の業務を行なうことといたしております。
 この基金は、外務大臣の監督を受け、役員として理事長一名、理事四名以内、監事一名を置くほかに、基金の運営上の重要事項審議のため、運営審議会を設けることとしております。
 以上三件につき、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#89
○委員長(八木一郎君) 引き続き、補足説明を聴取いたします。穂崎条約局参事官。
#90
○政府委員(穂崎巧君) 千九百七十一年の国際小麦協定につきまして若干補足説明を申し上げます。
 わが国は、伝統的に小麦の大輸入国でありまして、昭和四十五年度のわが国の輸入量は、約四百六十二万トンでありますが、これは、英国に次いで世界第二位を占めるものであります。したがいまして、わが国といたしましては、小麦に関する商品協定に当初から大きな関心を抱いており、一九五一年以来引き続いてこれに参加してきております。
 今回のこの協定を前回の一九六七年の国際穀物協定と比較いたしました場合に、最も大きな相違は、この協定の小麦貿易規約におきまして、小麦の価格並びにこれに関連する権利及び義務についての規定いわゆる経済条項といわれておりますものが削除されていることでありますが、この主たる原因は、輸出国間、特にアメリカとカナダの間で、価格帯決定のための代表的小麦及び基準積み出し地点の選定をめぐって折り合いがつかず、また、小麦の最低価格の水準につきましても妥協に至ることができなかったことであります。そのため、会議の時間的制約もありまして、経済条項を削除した形の協定となるのもやむをえないこととなった次第であります。しかしながら、この協定におきましては、小麦貿易規約二十一条において国際小麦理事会が経済条項に関する問題を検討し、成算のある交渉が可能と判断される場合には国際会議の招集を要請することとなっており、他方、わが国を含む主要輸出入国が従来同様小麦の国際市場の安定のために努力いたしますことは、有意義であると考えられます。
 なお、食糧援助につきましては、わが国は、前回の一九六七年の国際穀物協定の食糧援助規約との関連におきまして、米または農業物資の形態で、主として東南アジア諸国に援助を行なってまいりましたが、この援助は、東南アジア諸国により高く評価されている次第でありますので、今回の協定の食糧援助につきましても、この方向で援助を行なってまいる所存でございます。
 次に税関における物品の評価に関する条約につきまして補足説明を申し上げます。
 この条約は、すでに提案理由として御説明がありましたように、税関において輸入物品の評価を行なう場合の評価方式の統一をはかることを目的としたものでありますが、具体的に申し上げますと、輸入物品に関税をかける場合には、その物品の輸入港における価格、すなわちCIF価格を課税標準とすることを規定しております。
 わが国が従来実施しております評価方式は、ほぼこの条約の原則に沿ったものでありますが、厳密な意味では、条約の規定との間に若干の相違点もあります。近年におけるわが国の貿易の拡大に伴いまして、わが国の関税制度に対する諸外国の関心が高まってきておる事実にもかんがみ、わが国としてもこの条約に加入し、他の締約国と同一の評価方式を採用することが望ましいと考えられます。
 なお、この条約に加入するために必要な国内法の改正は、関税定率法等の一部を改正する法律案として今国会に提出され、すでに可決成立しております。
#91
○委員長(八木一郎君) 加川文化事業部長。
#92
○政府委員(加川隆明君) 国際交流基金法案について若干補足説明をさせていただきます。
 本法案により設立が予定されておりますところの国際交流基金は、昭和四十七年度予算政府原案におきましては、五十億円の政府出資と約三億円の補助金が計上されており、十月一日に発足、事業を開始する予定となっております。このように、昭和四十七年度におきましては、基金は十月一日から半年事業を行なうわけでありますが、その事業資金といたしましては、前述の五十億円の政府出資及び民間からの出資金の運用益と政府補助金約三億円、合計額約五億円が想定されております。
 基金は、当面の事業の重点を人物交流に置き、できるだけ多くの学者、文化人を招聘して、よく日本の実情を理解してもらうと同時に、わが国からの海外への派遣をも行なう等、深くかつ幅広い交流を行ないたいと考えております。そのほか、日本文化紹介の図書の作成、伝統的な、あるいは現代の芸術及び芸能の交流、海外の大学、研究所における日本研究への援助等に力を入れる予定でございます。
 また、基金の運営にはできるだけ民間の創意を生かすよう、各界、各層の代表者からなる運営審議会を設けまして、その意見を十分尊重しつつ、その積極的活用をはかるよう配慮いたしたいと考えております。
 なお、基金の発足に際し、これまで政府の補助を得て各種の文化交流を行なってきた国際文化振興会、これはその中に発展的に解消することとされております。
 以上がこの法案につきましての補足説明でありますが、御審議の上、すみやかに採択いただきますようお願い申し上げます。
#93
○委員長(八木一郎君) 以上をもって三案件についての説明は終了いたしました。
 ただいまの三案件中、国際交流基金法案についての質疑は後日に譲り、千九百七十一年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件、税関における物品の評価に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上二件についてこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#94
○森元治郎君 もう一回、六七年の国際穀物協定と、今度の協定と、名前も違うし、一番の違いを教えてください。
 それから小麦の安定した供給をやるために価格のあれ、上限とか、下限とかいう制度がありましたね。もうこの国会でも何回かやってきた、小麦協定は。そういうことを忘れちゃったのだが、それはどういうようになっているか。廃止されたというようですが、どうなっているか説明していただきたい。
#95
○説明員(手島れい志君) お答え申し上げます。
 「千九百六十七年の国際穀物協定」につきましては、まず対象となる穀物の内容が単に小麦だけでなくて、そのほかの粗粒穀物、たとえばトウモロコシですとか、大麦、オート、その他のものが含まれていたわけでございます。それら穀物のうちで小麦につきましては従来の小麦協定におけるのに似た仕組みで価格帯をつくりまして、その価格帯に基づいた輸出国及び輸入国の権利、義務の関係がつくられておったわけでございます。で、その他の粗粒穀物につきましては、当初交渉に入りますときのねらいは、その他の穀物についても同じような権利、義務関係をつくろうということであったんでございますけれども、結果的には、単に検討の対象にすることだけで終っておったわけでございます。これに比べまして、七一年の協定につきましては、まず、対象が小麦一本に戻ってきたということがございます。しかも、その小麦だけを対象とすることになりましたんですが、ただいま先生の御指摘のとおりに、まず価格帯、これについては交渉を始めるときには価格帯を設け、かつ、それに伴う輸出国及び輸入国の権利、義務関係を規定するというところを考えて始めたわけでございますけれども、結果的には、その価格帯をつくることに合意が成立しなかったために、まあ言ってみますと、本来の意味の商品協定というものからは若干後退したようなかっこうで、新しい協定ができたわけでございます。かつ、前の協定が穀物協定という名前でありましたのに比べまして、今度は小麦を中心にしてやろうということで、昔からある小麦協定という名前に戻ってきたわけでございます。
 で、なぜ価格帯の規定ができなかったかということになるかと思いますけれども、この点につきましては、先ほどの補足説明のときにも申し上げましたように、まず、価格帯をつぐるためには、基準となる小麦を選びまして、また、基準となる小麦の積み出し港を選びまして、そこから各違った国の、違った銘柄の小麦について価格をきめるわけでございますが、今回の交渉の時期におきまして、特にアメリカとカナダとの間で、それぞれ自分の国の小麦を基準の小麦とすることに対して両国とも消極的であり、また自分の国の港をその基準の地点にするということについても消極的でありましたほかに、価格帯の水準をどの程度にするかということについて意見がまとまらず、結果的に価格帯及びそれに伴う権利、義務の関係が規定されない協定ができ上がったという次第でございます。
#96
○森元治郎君 いまは、この小麦に関してはもう生産過剰と言ってもいいんですか。
#97
○説明員(手島れい志君) 一般的に申しますとそういうことが言えるかと思います。まあ主要な小寺生産国、たとえば米国でありますとか、カナダでありますとかは、生産過剰抑制のためにいろいろ措置をとっておりますけれども、それに見合うといいますか、あるいはそれ以上に生産の能率が上がりまして、生産はふえております。そのほか、まあソ連でございますとか、中華人民共和国のあたりも、生産もふえているようでありますし、また、インド等の低開発国においても、かなりふうておりますので、一般的に申しますと、価格はまあ下のほうに張りついてほぼ安定しておるというような実態だと思います。
#98
○森元治郎君 ソビエトは小麦輸出国ということでずっときたんだが、ときに輸入国になったりするんですか、協定上輸出国、輸入国という厳然たる区分けして論議しているんでしょう、立場をはっきりして。ソビエトの場合は、両刀づかいみたいなんだが、どうなんですか。
#99
○説明員(手島れい志君) ソ連は確かに国内の生産も非常に多くて、東欧のほうにもかなり出しておりますが、他方御指摘のように、カナダあたりから輸入もかなりしておるわけでございます。しかし、全体的に見ますとこれは輸出国ということで、小麦協定には輸出国として六二年の協定以来参加しております。
#100
○森元治郎君 関税のほうはとてもこれはむずかしくて、福田さんが私なんかよりもよっぽど知っているんで、攻めようもないんですが、もう少しわかるようにだれか説明してもらいたい。関税方面の説明、わかるように。とてもこれはこまかい問題で、こんなことやっていたらとても……。
#101
○説明員(片山充君) 簡単に御説明いたしますのは非常にむずかしいわけでございますけれども、税関における物品の評価、あるいは関税評価とも申しますが、これは貨物を輸入いたします場合に、輸入国のほうで関税を課税いたします。その場合に、まあ大ざっぱに申しまして、一キログラム幾らとか、あるいは一リットル幾らとか、そういった一定の量を基準にして税金を計算するものと、それから輸入品の価格をベースにいたしまして何%というふうに税金を計算いたします場合と、二つあるわけでございます。問題になりますのは、うしろのほうのいわゆる従価税品と申しておるものでございます。で、従価税品につきましては、その関税額を計算いたします場合に、課税標準としての輸入品の価格をどういうふうに見積もるかという問題があるわけでございます。まさに評価条約というのは、その見積もりのしかたをできるだけ世界的に統一したやり方をやろうではないかというのが趣旨でございます。
 それで、ブラッセルの問題になっております評価条約には、加盟いたしておりますのは現在二十六ヵ国でございますけれども、加盟はしていないけれども、この方式によっておる、現実のやり方をこの方式によっておるという国は七十数ヵ国にのぼっておるというように聞いております。わが国も昭和四十一年の関税法の改正以来大体やり方はこの方式に従っておるわけでございます。
 そのやり方についてごく簡単に申し上げますと、たとえばアメリカなりヨーロッパなりから貨物を輸入いたします場合に、運送に必要な運賃あるいは保険料を課税価格の中に入れるのか入れないのかというような大きな問題がございます。入れない場合がFOBといわれる方式でございます。入れる場合がCIFといわれる方式でございます。ブラッセルの評価条約も、われわれのいまやっております方式も、うしろのほうのCIFによっております。アメリカ、カナダあたりはFOBによっておるわけでございます。
 まあそういうことでございまして、もう一つさらに申し上げますと、評価条約がねらっておりますのは、現実にはまず輸入国、輸出国共通のそういった課税標準の見積もりの基準をきめることによって、税関でのいろいろなトラブルを避けて、貿易そのものを円滑にしていこうというのがまず第一にあると思います。
 もう一つは、貿易統計を各国ともつくっておるわけでございますが、その統計に計上いたしますものさしをひとつ同一のものにしていこう、そのことによって貿易交渉その他においても正確な議論はできるようにしていこう、まあ二つのねらいがあると思うんです。もちろん今度入りますのもそういったねらいを含めて入るわけでございますが、先ほど申し上げましたように、わが国としては、四十一年以来大体やり方は同じようなCIFをベースにした方式をとっておるわけでございます。条約に加入いたしますことによって大きくやり方が変わるわけでございませんけれども、先ほどちょっと申し上げましたが、税関で関税の賦課にからみましてよくトラブルが起きますのは、やはり評価を中心にしてが一番多いのでございます。まあ従来われわれは先ほどから申し上げておりますように、ブラッセルの基準と同じ基準でやっておるんだと説明いたしておるわけでございますけれども、そういうような場合には、むしろはっきり条約に入りまして、条約に基づいてやっておるんだというふうな説明をいたしますほうが何と申しますか、説得力も大きくなるわけでございます。そういうような観点から、わが国の関税の評価方法を明確にいたしまして、そういったトラブルを避ける。あるいは国際経済関係の円滑化に資する、役立てようと、そういったねらいで配意をしておるわけでございます。
#102
○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより二案件について一括して討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、千九百七十一年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#104
○委員長(八木一郎君) 多数と認めます。よって本件は、多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、税関における物品の評価に関する条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#105
○委員長(八木一郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、二案件についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後零時二十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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