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1971/05/16 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第9号
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1971/05/16 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第9号

#1
第068回国会 外務委員会 第9号
昭和四十七年五月十六日(火曜日)
   午前十一時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
    今  春聴君      橋本 繁蔵君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                石原慎太郎君
                佐藤 一郎君
                山本 利壽君
                森 元治郎君
    委 員
                杉原 荒太君
                塚田十一郎君
                橋本 繁蔵君
                増原 恵吉君
                加藤シヅエ君
                田  英夫君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                黒柳  明君
                渋谷 邦彦君
                星野  力君
   国務大臣
       外 務 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        吉田 健三君
       外務省アメリカ
       局長       吉野 文六君
       外務省欧亜局長  有田 圭輔君
       外務省条約局長  高島 益郎君
       外務省条約局外
       務参事官     穂崎  巧君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       外務省経済局外
       務参事官     手島れい志君
       水産庁生産部長  大場 敏彦君
       労働省労働基準
       局監督課長    吉本  実君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○航空業務に関する日本国政府とメキシコ合衆国
 政府との間の協定の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の
 改正の受諾について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正に関
 する議定書の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (沖繩返還協定に関する件)
 (日米安全保障条約等に関する件)
 (国連人間環境会議に関する件)
 (米軍チャーター機搭乗の日本人スチュワーデス
 の雇用問題に関する件)
 (当面の日ソ問題に関する件)
 (ベトナム問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八木一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 航空業務に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)
 以上二件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。福田外務大臣。
#3
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま議題となりました航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び航空業務に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 まず、ビルマ連邦政府は近い将来に同国国営航空企業の本邦乗り入れを強く望んでおり、わが国もわが国航空企業の東南アジア路線及び南回り欧州路線の一環としてビルマ連邦に乗り入れを確保し、同国との友好関係の緊密化をはかることが望ましいと考えまして、昭和四十五年二月以降同国政府と航空協定締結のための交渉を行ない、その結果合意が成立いたしましたので、昭和四十七年二月一日にラングーンで協定の署名を行なったのであります。
 この協定は、わが国とビルマ連邦政府との間の定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続及び条件を規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容ともにほぼ同様のものであります。
 この協定の締結により、両国の航空企業は、安定した法的基礎の上におきまして相互に乗り入れを行なうことができることになるのみならず、わが国とビルマ連邦との間の友交関係も一層促進されることが期待されるのであります。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、わが国は近い将来にわが国の航空企業による中南米路線を開設することを希望しており、同路線の一環としてメキシコ合衆国に乗り入れを確保し、同国との友好関係の緊密化をはかることが望ましいと考えまして、昭和四十六年七月以降同国政府と航空協定締結のための交渉を行ない、その結果合意が成立いたしましたので、昭和四十七年三月十日に東京で協定の署名を行なったのであります。
 この協定は、わが国とメキシコ合衆国との間の定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続及び条件を規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容ともにほぼ同様のものであります。
 この協定の締結により、両国の航空企業は、安定した法的基礎の上におきまして相互に乗り入れを行なうことができることになるのみならず、わが国とメキシコ合衆国との間の友好関係も一層促進されることが期待されるのであります。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。なにとぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(八木一郎君) 引き続き補足説明を聴取いたします。穂崎条約局参事官。
#5
○政府委員(穂崎巧君) ただいま提案理由の説明のございました二件につきまして簡単に補足説明をさせていただきます。初めにビルマとの航空協定でございますが、この協定の付属書により、東南アジアの諸地点を経由する本邦とビルマ間の路線を相互に供与することとなっております。ビルマには、ユニオン・オブ・パーマ・エアーウエイズという国営の航空企業が一社のみございまして、現在バンコック経由香港までの路線を週三便運航しております。ビルマ側は、この路線を延長して本邦乗り入れを近い将来に実現することを強く望んでおります。他方、わが国の航空企業は、現時点におきましてはラングーン線開設の具体的計画を有しておりませんが、ビルマ政府が近年に至り観光産業振興の見地から外国人観光客の誘致政策をとり始めており、また、わが国とビルマとの関係緊密化に伴う人的交流も増加しつつありますことにかんがみ、ビルマ乗り入れの権利を確保しておきますことは有意義と考えられます。
 次に、メキシコとの航空協定でございますが、協定の路線表にございますとおり、わがほうは、ヴァンクーヴァー及びホノルル経由メキシコ・シティへ及び以遠ブラジルまでの路線を得、一方メキシコに対しては、ホノルル及びヴァンクーヴァー経由東京へ及び以遠三地点の路線を与えております。
 わが国とメキシコとの間の人的往来は、経済関係の発展を背景に最近とみにひんぱんになっております。また、わが国は近い将来にブラジルまでの中南米路線の拡充をはかりたいと考えております。これらの点から、日本−メキシコ間の航空路の開設は、意義深いものと考えております。なお、日本航空は本年四月三日より東京−ヴァンクーヴァー−メキシコ・シティ間の運航を開始いたしましたが、これはメキシコ政府が両国間の直通航空路が早期に開設されることが望ましいとして同政府の行政権の範囲内で認め日本航空の四月乗り入れを可能にしたものであります。
#6
○委員長(八木一郎君) 以上をもって二件についての説明は終了いたしました。ただいまの二件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(八木一郎君) 次に、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件
 北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件
 以上二件を便宜一括して議題といたします。二件につきましては、前回趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○森元治郎君 二、三点伺います。これは単に新しい加盟国がふえたので、したがって、機関の執行委員会の数をふやそう、ことに地域的にアフリカですか、そういう多くの国々のためにこの理事の数をふやそうということでけっこうなことだと思います。
 ところで、この資料ちょうだいしたのですが、これは外務省の資料、ただ四ページに「中国」とありますが、西太平洋地域加盟国十三、「中国」というのはどこですか。北鮮とか、あるいは新たに入った中華人民共和国などは加盟する意思があるのか、手続をとっているのか、そこらをひとつ。
#9
○政府委員(影井梅夫君) お答え申し上げます。あの資料に書いてございます「中国」、これは中華人民共和国の意味でございます。WHOにおきましては、今年の一月か二月であったと思いますが、昨年の国連におきます中国の代表権の変更に伴いましてWHOにおける中国、これも中華人民共和国を意味するということで、ここに出ております「中国」の意味は中華人民共和国の意味でございます。
 それから、ただいま次にお尋ねのいわゆる分裂国家につきまして、これは現在加盟国になっておりませんし、それから、私どもの承知しております範囲では、加盟申請は出ていないというふうに承知しております。
#10
○森元治郎君 これに中国が入った場合、国府と交代する、この交代はいつやるのですか。理事の選任はいつやるのですか。任期、何年で交代するのでしょう。
#11
○政府委員(影井梅夫君) これは、毎年の総会におきまして、全理事国の三分の一ずつが交代していくという仕組みになっております。
#12
○森元治郎君 待ちに待ったる中国の国連加盟ですが、中国はどれだけの職員というか、千八百三十二名ぐらいの職員がきているように聞いている。日本は十八名、中国はどのくらい出しているのですか、あるいは出そうといっているのですか。
#13
○政府委員(影井梅夫君) これは、実はまだ私どもわかっておりません。調査いたしまして、わかり次第御報告する、そういうことにさしていただきたいと思います。
#14
○森元治郎君 それから専門職員、いわゆる日本人が有能だそうで、十八名ではなくて、もう少しほしいのだという声もあるようだが、またふやそうという計画がありますか。
#15
○政府委員(影井梅夫君) これは、WHOに限らず、国連そのもの、それから各専門機関につきまして、できるだけ日本人職員を送り込みたいということで、私ども現在その具体策をいろいろ研究しておる段階でございます。率直に申し上げまして、いままではどういう地位があきそうかという情報の入手、これはなかなか困難であった、この困難にかかわらず、できるだけ一種のアンテナと申しますか、これを張りまして、そしてどの機関のどういう地位があきそうであるかということを、なるべく事前に情報入手につとめる。また、それに対応いたしまして、これに送り込み得る資格を持っている日本人、これがどういう人がいるかということを体系的にひとつ常に手元にリストを持っていたいということで、現在そのための具体的な手段を関係各省まじえまして研究を始めた段階でございます。WHOにつきましても、ただいま先生御指摘のとおり、日本はまだ職員の送り込みが足りないと考えております。ただいま申し上げましたような趣旨、これをなるべく早く具体化いたしまして、なるべく多くの有能な日本人職員を送り込み得るようにしたい、そのように考えております。
#16
○森元治郎君 よくこの問題は出るのですがね、国連でも引っ張り回そうと思ったら、伏勢を十分事務局へ入れて置かぬと幾ら代表が演説ぶったってだめなんですよ、これは。だから銭金の問題もあるだろう。WHOの場合は、ジュネーブに行く人は、厚生省のお役人に一万二、三千ドルというのじゃ、ちょっと少ないし、語学の問題もあるだろうし、向こうへ二年か三年か行っているうちに、自分のポストはだれかに取られてしまって、帰ってから容易じゃないということがある、これはあなたのおっしゃったように、系統的にやってくださることを期待して、答弁要りません。
 北大西洋の漁業に関する国際条約、これはこの委員会でも審議したのですが、ここでちょっと伺いたいのは、四万二千百トンぐらいの漁獲高、ラスパルマスを根拠にして、十七隻ぐらいの船がいってとってくるのですが、金額に直して幾らということが一つ。
 それからここに書いてある水産庁からもらった資料の魚の名前はあまり聞いたことも見たこともないのですが、これはどんな魚で、どこへ持っていって売れるのか。
 これからせっかく条約加盟して四万二千トンくらいとってきた。これくらいならこっそりとっても、とってこれそうな感じもするのですがね、四万二千トン、ニシンは三千三百トンか。金額、どこへいって処理するのか。あんな遠いところから、北大西洋、アメリカ、カナダ沿岸までとりにいったのでは容易じゃないと思う。商売になるのだが、それで収支が償うか、そんなことを聞くことと、もう一つは、四十二年にできてから、この条約改正が多いのですね、加盟国も少ないくせによく改正ばかりしている感じがする。その二点について。
#17
○説明員(手島れい志君) わが国がとっております魚の金額につきましては、いま調べておりますので、後ほどお答え申し上げますが、ここでとれましたものは全部日本に持って帰りまして、日本で消費しておると聞いております。
 それからもう一つの御質問の点でございますが、いままで何回か改正が行なわれておるが、これはどうしてこういうふうに改正の度数が多いのかという御質問であると思いますが、これはもともと最初から完全なかっこうで条約ができていなかったということもあるかとも思います。これはたとえば今度の条約改正をする場合の手続が入っていなかった、これは必ずしもその条約自体の瑕疵ということではございませんけれども、やはり新しい時代に即応して改正することが現実に必要になってきたために、ひとつ条約の改正自体をどういう手続でやるかということについて、各国間で合意をしようということでございますし、これからそのほか漁獲が、その実態が変わってまいりますと、たとえば最初はアザラシにつきましては、これはこの条約の対象になっていなかったわけでございますけれども、あとで追加をしよう、そういうふうなこともございます。したがって、一般的に申しますと、やはりその時代に即応して最も合理的な条約の運用ができるようにするために、各国とも改正に合意をして改正をしてきたというのが実情ではないかと思います。
#18
○森元治郎君 もう一回、四万二千トンばかりの漁獲で十七隻の船を年間動かしてこれペイするのかな。
#19
○説明員(大場敏彦君) 途中でおくれて参りましたので、質問の趣旨必ずしも正確に私ども承っておりませんが、御指摘のとおり、約四万トン程度のキャッチでございますが、その金額は、いま、ただいま手元に金額を持っておりませんので、照会中でございますので、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
 ペイするかどうか、こういうお尋ねでございますけれども、これはこの水域におきます漁獲の状況は先生御承知のとおり、ほかの国は非常に多い。それに対してわが国は非常に少ないといったことでございますが、ただ魚の種類からいたしますと、わが国は大体ほかの国はとっていない、つまりほかの国はおもにタラ類というものをとっているのでございますが、とっていないニギスとかヤリイカあるいはニシンだとか、そういった比較的わが国の市場では高級のものをとっている。わが国は逆にそういったタラ類は北洋の海でとっておるといったことでございますので、あの遠隔な水域で、他の国が現在その水域でとっておるタラ類、そういったものについては比較的少なく、むしろ高級な惣菜ものとしての漁獲をあの水域において期待している。こういったことでございますので、比較的そういった高級な魚を冷凍にして内地に持ち返ってきているといったことで、経営は、主として大手の水産業者がそこに出漁しておりますが、経営状況はつまびらかにはいたしておりませんけれども、ペイは十分しておる、経営は成り立っている、こういった状態のように聞いております。
#20
○森元治郎君 それから外務省関係に聞きますが、条約の改正の効力発生促進のための議定書といったようなものはいままでありましたか。
#21
○政府委員(穂崎巧君) これと同じような趣旨の改正ではございませんが、条項がやはり漁業関係の条約にございまして、たとえば南東大西洋の生物資源の保存に関する条約、これはもちろん日本も入っておりますが、これは提案国の四分の三が受諾した後、九十日で改正を受諾した国についてのみ効力を生ずる――これは違います、失礼いたしました。
#22
○森元治郎君 そういうのはあるけれども、特に条約を調印してこれで批准していきましょうというのに、また同じメンバーが集まって批准効力の促進をやりましょうなんという議定書は珍しいでしょうと聞いているんです。
#23
○政府委員(穂崎巧君) 申し上げます。独立の改正の議定書としてはございません。条約をつくったときにすでに必要がある条項はすべて入ってございますが、独立の議定書として改正を促進するためにつくられたものはこの条約だけでございます。
#24
○星野力君 私、世界保健機構憲章の問題について簡単に質問をいたしますが、加盟国のうち中国については、いま森委員から御質問がございましたが、ベトナムはどのようにWHOに代表されているわけですか。
#25
○政府委員(影井梅夫君) ベトナムは南、北、いずれも加盟申請をしておりません。したがって、WHOの加盟国になっておりません。――ただいま申し上げましたのを訂正させていただきますが、南ベトナムは加盟国になっております。北ベトナムは加盟申請をしておりません。したがいまして、WHOの加盟国になっていないというのが現状でございます。
#26
○星野力君 そうしますと、ベトナム共和国はいつWHOに加盟したんでしょうか。
#27
○政府委員(影井梅夫君) ベトナム共和国がWHOに加盟いたしましたのは一九五〇年五月十七日でございます。
#28
○星野力君 私も正確なところは実は知らないけれども、一九五〇年五月にベトナム共和国は存在しましたか。ジュネーブ会議の前ですね。
#29
○政府委員(影井梅夫君) ただいまお答え申し上げました根拠は、これはWHO事務局からの回章に基づいてお答えしているわけでございますが、ただいま御質問の点につきましては、実は私所管外でございますので、おそれ入りますが、ちょっと時間をかしていただいて、所管の部局について調べてお答え申し上げたいと思います。
#30
○星野力君 私は、ベトナム共和国というのは、ジュネーブ会議のあとで、一九五五年の十月に選挙みたいなことをやりまして、ゴ・ジン・ジェムが出てきて共和制を宣言して大統領に就任した、きっとあのときじゃないかと思うのです。
 ベトナムというのは、ジュネーブ協定以前に幾つか国連の専門機関に加盟を認められておると思うのです。世界気象機関、WMOが一九四七年、それからWHO、ILO、FAO、国連食糧農業機構ですか、これら三つが一九五〇年、ユネスコ、国際電気通信連合、ITU、これらが一九五一年。こうなっておりますと、外務省の見解ではどういうことになるでしょうかね。そのときはベトナムとしてたしか加盟を承認されておる。WHOでは、ベトナム共和国がベトナムというものにかわって加盟国となった、こう解しておられることになりますか。
#31
○政府委員(影井梅夫君) この点も所管の部局につきまして調べましてお答えさしていただきたいと思います。
#32
○星野力君 私があらかじめもっとよく連絡していなかったのも手落ちだったと思います。
 私は、ベトナム共和国、あるいはその政府であるサイゴン政権というのは偽国家であり、偽政権であると、こう見ておるのですが、その論はさておきまして、ベトナム共和国がベトナムを代表するというのは、国連で台湾が中国を代表すると言ってきたのと同じような虚構であると思いますが、そういう虚構はぜひ正されなければならないし、早晩これは正される日がくると思うのです。
 私がお願いしたいのは、国連の資料によると言われましたけれども、中国のところは中国と書いてあるのですね。ここにベトナム共和国とあるのは正しくないので、これは訂正されなければいけない。ここもベトナムが正しいと思うのです。
 いま御答弁のように調査してくださるなら、ひとつ調査して、その結果を知らせていただきたいし、私の意見に同意なさるならば、同意なさるのがほんとうだと思いますが、ここを訂正してもらわなければいけない、ベトナムというふうに訂正していただきたいと思います。
#33
○政府委員(影井梅夫君) いまの点、調査をいたしましてお答え申し上げます。
#34
○星野力君 それでいいです。
    ―――――――――――――
#35
○委員長(八木一郎君) この際委員の異動について報告いたします。
 本日、今春聴君が委員を辞任され、その補欠として橋本繁蔵君が選任されました。
#36
○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
#37
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより二件について便宜一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにして選べ願います。――別に御発言ないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#38
○委員長(八木一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#39
○委員長(八木一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、二件についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#41
○委員長(八木一郎君) 引き続いて国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は御発言を願います。
#42
○森元治郎君 大臣に三点伺います。一つはロジャーズ長官からの核の問題に対する大臣あての書簡、それから事前協議、基地縮小、この三つを要約してお伺いしたいと思います。
 きのうから沖繩の施政権が返還をされたことは非常に私もうれしいことだとは思います。普通ならば全国民あげて歓呼の声を上げるような喜びに包まれたと思うのでありますが、現実は御承知のとおりであります。そればやはりこの返還交渉にあたって、いろいろ非常に国民、沖繩の現地の方々の満足とは全く遠いものであったというところからきているのだろうと思います。ただ政府、与党、一部の人の乾杯乾杯で喜ぶだけでは済まない問題だと思うんですが、一夜明けた外務大臣の現実の沖繩の情勢をごらんになった感想、これを伺ってから問題に入りたいと思います。
#43
○国務大臣(福田赳夫君) いよいよ昨日をもちまして沖繩の施政権がわが国に返ってきた、ここで日米間の戦後処理は一切終了した、こういうことになるのでありまして、これはいろいろ立場もあり、誤解もある方もありましょうが、とにかく私は戦後日本の再建問題といたしまして画期的なことが行なわれた、こういう理解を持っております。しかし、問題はこの沖繩で一体どういうふうにこれから民生を向上していくか、こういう問題だろうと思います。この問題は言うべくしてそう簡単な問題ではない。よほどの精力を傾注いたしませんと、沖繩の民生の向上、またこれが本土並みまですみやかになっていくということは容易ならざる問題だと。沖繩、いわば里子に出しておった、それが帰ってきた、この子供をほんとうに名実ともにりっぱなものにし上げるということ、これがきょうからスタートされなければならない問題である、こういうふうに考えております。
#44
○森元治郎君 民生を向上するといわれましたが、やはり返還という以上はきれいに沖繩が、どこでも自由に国民が歩ける、のぞける、往来できるという状態がほんとうの返還でありますから、そちらのほうのこの根本を変えない限り、限られた範囲での民生安定ということでは、なかなかこの問題を解決しない限りできないと思います。
 そこで伺い、かつ期待したいのは、核の沖繩撤去の問題、去る沖繩国会でも野党こぞって、あるいは国民、新聞そういう方面もはっきりしたものをとりたいという希望もあり、質問も、政府の答弁も苦しい、むずかしいながらも何とかはっきりして皆さんに不信が残らないようにしたいという答弁であったと思う。野党も攻撃したけれどもそういうまじめな、苦しいながらも何とかやろうという気持ちを察しつつほこをおさめてきたのでありますが、ロジャーズ書簡という形で出たものが答えになったわけです。このロジャーズ書簡というものは六九年の日米共同声明と、これを引用した沖繩返還協定、これをさらに援用して、変わったところは、大統領の指示と許可のもとに確認したにとどまった。おかしなことは、一番重い法律的な力のあるものは条約、協定である。大臣の談話というものは批准を要しない行政的な方法、弱い形式で強いものを補足するということはこれはおかしなことであると思う、形式上。どんなふうな御努力をされたかお伺いしたいと思います。アメリカとおそらく折衝されたでしょう、きっと。ただ国会で御答弁するのではなくて、日本の国民はこんな状態であるということでサンクレメンテの会合の際にもお話があったようで、一つでも多く、一つでもはっきりさせるような御努力をされたと思いますが、どんな交渉をされたかお伺いしたい。
#45
○国務大臣(福田赳夫君) 森さんのお話のように、まさに私どもは国会の議決を受けまして、サンクレメンテ会談を頂点といたしまして最大の努力をいたしたというふうに御理解を願いたいんです。サンクレメンテ会談では私が総理のそばについており、総理と大統領が話し合いをされた。それを聞いておりますと、実に総理は事こまかに日本の国会の状況を説明されるんです。ヤギの話まで持ち出し、大統領のほうではぴんときたかこないかわからないけれども、そういうこまかい質疑応答まで持ち出されるということで、この会談において総理は核に対しまして日本人がどのくらいのアレルギーを持っているか、これをアメリカの最高首脳部に話したいというための最大の努力をされたというふうにみてとったわけであります。それに対しましてアメリカの大統領は、これは、核については非常に慎重なかまえをしておるのでありまして、また、そばにおるロジャーズ長官の話を聞いておりましても、核は全くその扱いがもう大統領の専管事項であるということをまことにあざやかに印象づけるようないろんな話をしておる、こういうような状態であります。その会談におきまして、その会談の結果といたしまして、アメリカが五月十五日の時点において核抜きということについてできる限りの配慮をすると、こういう結論になり、これも共同新聞発表に盛り込むということもまた了承されたわけなんです。その結果に基づきまして、事務当局間で両首脳の会談をどういう形で実現するかということを協議して今日に至ったわけでありますが、結局、ロジャーズ国務長官から福田外務大臣あての書簡とする、こういうことになり、その内容といたしましては、御承知のように、一九六九年の共同声明第八項及び沖繩返還協定を引用いたしまして、「これら諸島に対する施政権が日本国へ返還されるこの機会に、沖繩の核兵器に関するアメリカ合衆国政府のこの確約が、完全に履行された」――ここに重点があるわけです。「この確約が、完全に履行されたことを、アメリカ合衆国大統領の指示と許可の下に、閣下に通報する」と、こういうことで、いままではいろいろ交渉の過程におけるところの議論でありましたが、昨日の五月十五日、その時点におきましては、核に関するアメリカの日本政府に対する約束が完全に履行されましたということを厳粛にわが国に通報してきた、ここに一つの大きな意味があると、こういうふうに御了承願いたのであります。
 それから第二に、これもずいぶん私どもがアメリカに対して苦心をした点でありまするが、これは皆さん方からずいぶん本土についての問題がある、大体本土、沖繩含めまして将来についての危惧を持たれる。そういう点につきまして、わが国といたしましてはこの機会にアメリカの立場を明瞭ならしめる必要があると、こういうふうに考えました。これは国会の御決議にも――ほかの問題でありまするけれども、その点をこの際明らかにしたいというのにアメリカは対応いたしまして、書簡第二項におきまして、「なお、この際、本長官は、閣下に対し、日米間の相互協力及び安全保障条約の下における事前協議にかかる事項については、アメリカ合衆国政府は日本国政府の意思に反して行動する意図のないことをあらためて確認いたします。」、こう言っておるわけであります。これは、私は大きな内容を包含しておると思うんです。つまり、わが国が非核三原則というものをとっておる、この政策につきまして、アメリカ合衆国が日本国政府の意図に反して行動する意図のないことを明言をいたしたわけであります。私は、今後、国民各界各層が核について考えること、また御心配されることにつきまして大きな回答が与えられたと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#46
○森元治郎君 核も、ニクソンさんと総理、福田大臣は十分お話ししたが、私はその内容は知らない。お話のうちから核撤去をするだろうなという感触を感じ取られたかもしらぬけれども、それは最高首脳間のお話で、国民というものはやはりもっと具体的な措置、わかりやすいやり方、こういうものを期待していたわけですね。したがって、それがないから、この返還にあたってもこの問題は非常な不信がどの新聞を見ても書いてあるということになり、今後なお尾を引くだろうと思います。そこで伺いたいのは、総理が非常に詳しく御質問されたそうだが、わきに外務大臣は聞いておったが、事務当局の折衝はないんですか。国民はこれじゃ満足しない。従来の協定、声明のああいう抽象論ではだめなんだ。核兵器は完全に撤去いたしましたというような、ずばりとした表現、もっと、外交的じゃなく日常会話のようにやわらかい、やさしい、だれが読んでもわかるようなものにしたいという御努力を事務当局はやったのかやらないのか。
#47
○国務大臣(福田赳夫君) これは、そういう方向の話はずいぶんしたんです。しかし一アメリカとしますと、核がどこにあるとかどこにないとか、そういうようなことは、これは最高の戦略機密に関する問題であるということで、なかなかそういう直接的な表現には応じない。しかし、この書簡を見ておりますれば「この確約が、完全に履行されたことを、アメリカ合衆国大統領の指示と許可の下に、閣下に通報する」ということで、文章は非常にかみしもを着ておりまするけれども、意味するところは、これはもう沖繩に核はないんだということは、きわめて私はこれで明瞭であると、こういうふうに思いまするし、なお、それにつけ加えて、もう日本の非核三原則、そのとおりにいたしますと、それに協力いたしますと、こう言っておる。そういうことで、外交文書でありまするから、どうも回りくどいことを言いまするけれども、これは解説の立場にある人、また、あるいは外交文書等について御理解のある方が読まれればこれで一目りょう然である、こういうふうに私は理解をするわけであります。
#48
○森元治郎君 一目りょう然、ちょうどこれを見ていると、信心の深い人が信ずれば助かるんだと言ったって、一般の人、宗教心のない人は、ただ信ぜよと言うだけではちょっと――いろいろな例を引いて牧師さんなどは御努力されるんですよ。入信ということはどういうものかということをやっぱり知らせる。そこで初めて幾らかわかったような気もするんですが、ただお祈りして信ぜよ、信ぜよ。福田さんも佐藤さんも、みんな信者になっていたんでは、われわれは及びもつかない。ただ、あなたの答弁で気にかかるのは、事務当局もずいぶんやった。吉野先生もずいぶんやったかね、経過を言ってください。
#49
○政府委員(吉野文六君) その点につきましては、先生御指摘のとおり、われわれも先方に対しまして、すでにロジャーズ国務長官及びレアード国防長官がアメリカの議会に対して、返還のときには沖繩には核がないんだということを明言している以上、それをどうしてわれわれの手紙にそのまま入れられないのか、こういうように強く主張したわけでございまして、先方もわれわれの議論の論理はよくわかったわけでございますが、結局、先方は、先ほど大臣が御指摘のとおり、これは外交文書である、したがって、やはり先例となってはいけない。それから他国に波及するようなことであっては困る。そこで、こういう範囲内で最大限のことは現在の文書のようなものである。しかも、それでは現在の文書で意味が通じないかと申しますと、これは先生御指摘のとおり、十分わかるじゃないか。そこでまあぜひこのラインでひとつまとめてほしい。こういうのが先方の主張でございました。
#50
○森元治郎君 だれが、しろうとが考えても、去年の沖繩国会の、アメリカの上院でロジャーズ長官が核撤去の問題を明らかにしてから、核の問題というのは、そんなにむずかしい問題ではない。いままでは話題にすることも、核兵器という字句を使うことさえ避けながら、奥歯にものが詰まったような話をしたのが、あれ以来核という問題の処理についてはそんなに秘密でもないんだということがはっきりしたわけですよ。これは福田大臣もわかるでしょう。だから、アメリカのあのロジャーズ長官の上院における証言をそのまま文書にして出せないのかというのは、これはだれが考えても当然の話なんですね。そこをうまく、外交文書の先例になっては困る云々ということで引き下がったのでは、ずいぶんやったというふうには感じないのです。一言伺ったらけっとばされたというので、ずいぶんやったというのは、私はちょっとそういう感じは受けない。というのは、NATOの諸国は置いてくれというぐらいの、希望しているほうですよね。全然先例にならないのですよ。置かないでくれというのは、わが国ぐらいですから、これは先例にはならない。これはもっと突っ張ってやるべきだったと思う。そこで大臣ね、これはふしぎですよ、もう忍術みたいなものですね、核兵器というものは。影も形もにおいも何にもないうちに撤去した、これはふしぎ、ここがふしぎなんですね。毒ガスの場合はあの騒ぎをして、沿道の住民をどかしたり、逃がしたり、補償したり、まあたいへんな騒ぎでした。こういうふうだと、住宅街やその辺に置いたって一向におかしくないのです、影も形も重さも何にもないんですから。こういうことがいよいよふしぎなんです。一体いつ――内々、これは外務大臣は安全保障協議委員会のメンバーですから、おととい持ち去ったというような話はないのですか。
#51
○国務大臣(福田赳夫君) 核につきましては、先ほどから申し上げまするとおり、どこに核があるとかないとか、あるいはどこに運搬したとか、そういうことはもう最高の機密とされておるわけなんです。そういうようなことで、私ども核をどういうふうなプロセスで処置したか、これは知るべくもないことであります。私はアメリカのそういう態度、これは理解できます。ただ、これは沖繩とは関連ない、一般的な軍事知識というか、核知識でいいますると、私どもが承知しておりますのは、核の貯蔵といのは、核兵器の貯蔵というのは、これは飛行場のすぐそばにある、こういうふうに言われております。で、飛行機がくる、そうするとそのすぐ近辺にある核がその飛行機に搭載される、そういうことでまあ運搬等が行なわれる。こういうので、目立つような現象、こういうものは起こらないんだと、こういうふうに聞いておりすす。これは沖繩の問題を私は言っているのじゃないのです、一般的なことなんです。こういうようなことから類推いたしまして、まあ沖繩における核、これの撤去、これがそう目立たない形で行なわれておるんではあるまいか、そういうふうに考えております。なお、いろいろな話はまあ聞いておりまするけれども、これは核の問題でありますので、それ以上のことは申し上げられません。
#52
○森元治郎君 政府のほうの説明では、安全保障条約は、日本の平和、極東の平和と安全に寄与するためにアメリカが日本に駐留する、そのために日本は施設区域を提供すると、こうなっているのですね。そういうふうな関係にあるならば、平和と安全のために必要で向こうは置いておいたのでしょう、従来は。これが引き下がればそれだけ持っているのが減るわけですね、戦力といいますか、が。それは当然、最高機密であろうと、こちらの最高の人に通告を私はすべきものだと思うのです。外交文書とおっしゃいましたが、ロジャーズ長官の書簡では、どうも、たとえ合衆国大統領の指示と許可のもとに日本に通報するといっても、弱いと思うのですね。大統領から佐藤総理への文書ならば、まだ同じ形式でもより強いのじゃないか。協定と共同声明の説明を、国務長官−外務大臣の一片の手紙でこれが確認をするというのでは、私は非常に、なめられたと言っては言い過ぎでありますが、軽過ぎると思うのですが、どうでしょう。
#53
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、一九七一年六月十七日の沖繩返還協定でまあ協定上明らかになっておることなんです。この書簡で何を言うかというのは、新しいことを言うわけじゃないのです。その協定がそのとおり実行されておるかおらないかという点について、実行されましたと、約束が実行されましたということを通告する。ですから、これは新しい合意でありますが、これは大統領とかなんとかという形でされるのかもわかりませんけれども、そうではない、協定に基づくアメリカの合意がなされたかなされないか、この点の通告でありまするから、別に協定より重い形が必要であるというふうには私は考えません。また同時に、その内容自体につきましても、第二項にひとつ御着目を願いたい、こういうふうに思うんです。第二項は、もうはっきりと、アメリカは「日本国政府の意思に反して行動する意図がない」と、こういうことを言っておるわけであります。これを合わせ考えますれば、もうこの書簡において、核抜きであるということ、第一項のほうの内容もきわめて明瞭になってくるのではあるまいか、そういうふうに考えております。
#54
○森元治郎君 もう私は、吉野政府委員が答えられたように、まあ努力したが、結局こちらのほうには向こうを引きずることができないで、遺憾ながらこのようなものになったということですね。
#55
○国務大臣(福田赳夫君) まあいろいろ議論がありましたが、この第二項が加わったということにひとつ着目を願いたいと思います。この第一項、第二項、両項を合わせ見るときに、わが国としては満足すべきですね、その結果をかちえておる、こういうふうに考えております。
#56
○森元治郎君 そこで、私はいつか本会議でこの協定についての御質問を申し上げたときに、施政権が返るんだから、返ったものは、自分のものに返ったものは再確認をする必要があるんじゃないか、自分の財産ですから。ですから、基地でもどこでも見て回り、そして山が削られている、穴が掘られている、形状が変わった、二十七年、戦前から三十数年どうなったのか、こんなになったのかと、感慨無量な思いをして福田外相巡視をして、そして、ここからここまでは八十七カ所、きょう現在八十七の施設を一わたり見て、ここは貸すんだな、こうやって歩くべきだ、確認すべきだ。そうでなければ、向こうが占領したままでわれわれはのぞくこともできない。用事があるときにちょっと入れる。どろぼうした兵隊をちょっと追いかけていくことはできるけれども、全体は見られない。こういうことはおかしいので、自分の国の財産に戻ったのだから、歩いて回るべきだ。回って歩けば、おのずから、いま大臣がおっしゃったように、おのずから飛行場のわきに貯蔵庫があるでしょう、原爆があるでしょう、向こうは口に出すかどうか知らぬが、にやっとして説明するかもしれぬ。こういうところはぜひやるべきだと思うが、今後ともおやりになるかどうか。提供をしたって紙の上で提供をして、どうなっているかだってどなたも知っていない、日本の政府も、責任者はやっぱり中を見てもらう、一通り。そうすればおのずから核の貯蔵庫なりあるいは発進基地なんというふうなものも、私は、それを聞けとはちょっと申し上げても実行はできないでしょうが、おのずからわかってくるんだ。実行、どなたでも、山中長官であろうともだれであろうと、自分のものを捨てておいたものをよく再確認をするという行動はおとりになりませんか。
#57
○国務大臣(福田赳夫君) 米軍にわが国は基地を提供しておる。これは本土でも沖繩でも同じこととなりますが、この米軍の基地に権利として査察なり調査を行なう、点検を行なう、こういうことを私はできないことである、こういうふうに思うのです。ただ国民の中には、核問題については特に御心配の向きもあります。そういうような状況でありますから、どうも核抜きというか、核がどうもないのかあるのか、疑問があるんだというような外形でもありますれば、これは適当な方法で調べてみる必要がある。またそういうことをいたしたいと、こういうふうに考えますが、いま直ちにこれだけのアメリカ政府の約束が実行されたという旨の通告を受けておる、そのやさきですね、いま直ちに点検を行なうとかあるいは査察を行なうとか、そういうようなことはいたしたくない、こういうふうに考えております。
#58
○森元治郎君 基地にあらさがしに歩けというふうにおとりになるんじゃなくて、自分の完全な主権のもとに返ったものを提供したわけでしょう。返ったものを自分でもって見て歩く。何もあらさがしをやって、どこに隠されてんだなんていったって、ずっと奥まで行ったっていいのだし、見七歩かなければ何の、国民に対して知らないというような答弁が出てくると思うのですね。自分のものになったんだから、なったものを貸したんですよ。ただ形式上は午前零時から基地提供の形にはなりましたが、これはぜひ実行すべき問題だと思うのです。権利の侵害にも何にもならないと思うのです。ぜひやってもらいたいと思う。やるべきだと思う。もう一回御答弁をお願いします。
#59
○国務大臣(福田赳夫君) 何か問題がある、疑問があるということを発見いたしますれば、先般岩国に自衛官を派遣した、こういうようなこともありますが、権利として査察を行なう、点検を行なうという立場にはわが国はありませんけれども、疑問に対しましてできる限りの解明を行なうように足る措置はとる、こういうことは私ははっきり申し上げておきます。
#60
○森元治郎君 私は査察、点検というおっかないような、おまえ何やってんだというような意図を持ってインスペクトするといったような意味で言ってなくて自分のものだから、自分のものをどうなっているか。それを見るときに全部を歩き回る必要があるんじゃないかということを申し上げておるんです。そこで、大臣は国会答弁には……。
 次の問題に入りますが、基地の縮小に着手する。おそらく外務省はこの沖繩返還が実行された暁、もうスケジュールはおありになると思うのですね。どういう順序で基地縮小の話を進めるのか、これは吉野政府委員のほうでも、どことどことどこというようなことでお話しするんだろうが、いつごろに始めるつもりか、その準備のほど、心がまえのほどを伺います。
#61
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、きょうからいよいよ基地問題についてアメリカ政府と話し合いのできる立場にあるわけでありますが、その方向で進めたいと、こういうふうに考えております。私どもは、基地については返還協定の調印された後において交渉をするという立場には事実上なかったわけでありますが、それにもかかわらず、いわゆるA表、つまり提供する基地、八十八カ所になっておりますが、その中で返還の可能性を考えられるものはどういうものであるかというようなことにつきましては、ぼつぼつと話を始めておったわけでありますが、きょうから正式にそういう話のできる立場にあるわけでありますから、事務ベースから始めましてそういう問題の討議を始めていこう、こういうふうに考えております。
#62
○森元治郎君 そうすると、いつごろから始めようかという、少なくもつい最近の将来では基地縮小の話をあらためてテーブルの上に乗せて折衝するという準備はまだできてないわけですね。
#63
○国務大臣(福田赳夫君) 内々はいろいろの検討もし、また、ものによっては米政府のほうと話をしているものもあります。これはいつ第一回の交渉が始まるのだというような性格のものだとは見ておりません。もうすでに事前においてのかなりの話をしておる、その引き続きの話し合いをやっていく、こういうことになろうと思います。
#64
○森元治郎君 この協定ができたばかり、施設、区域を提供したばかりで、今度はもっとチェックしろというのはおかしいということはないので、こういう問題は前々から大臣もおっしゃっているし、アメリカも承知なんですから、こういう委員会を設置してやろうというステップをおとりになって決して悪くないと思います。理由は話をして時間がかかりますから、きょう話をしてあした返そうというわけじゃありません。ですから、こういうことに取り組むべきだと思うし、そこで日米安保協議委員会は六、七月に開かれるだろうという答弁があったかと思うのですが、それは事前協議の問題でだいぶん質問を受けたときに、そういう問題を含めて六、七月近くと言ったか、当時は。後に新聞記事で六月ないし七月ごろになるだろうという安保協議委員会の開催の予定のめどはつきましたか。
#65
○国務大臣(福田赳夫君) 私は国会における答弁で返還後数カ月を要する、こういうふうに申し上げておるわけであります。まだその数カ月というのは三、四カ月なのか、五、六カ月なのか、その辺につきましてはまだ検討しませんが、とにかく五月十五日に返還される、それから数カ月の準備を要する、こういうことを申し上げたわけで、六、七月ということを申し上げたことはございませんです。
#66
○森元治郎君 数カ月というのは、沖繩返還協定でも、一両年とか両三年とか、日本独特な表現がありますが、福田さんも若いときロンドンに駐在されたのですから、数カ月というのはもっと具体的にはっきりおっしゃっていただきたいと思うのですね。二、三、四、五、いろいろありますよね。
#67
○国務大臣(福田赳夫君) 数カ月は数カ月なんです。三、四カ月ということもありましょうし、あるいは四、五カ月ということもある。それは多い場合には六、七カ月ということもある。まあ、しかしその辺だと、これは準備が要るのです。私どもはこの事前協議条項の適用問題につきましては、国会における論議をずっと洗ってみなければならぬ、そういう問題もある、アメリカ側のまた国会におけるところの論議も洗ってみなければならぬ。アメリカ側にはアメリカ側の準備がある。しかも、先般も申し上げたのですが、アメリカ側の代表である太平洋軍司令官が更迭する。それから二カ月前になりますが、アメリカのもう一人の代表である大使の更迭もある。こういうような点もあり、また、わがほうにおいては国会に忙殺をされておるという事情もありまして、とにかくわがほうとすると、国会が終了しないと、そういうむずかしい調査、それになかなか入りにくい。そういう状態にありますので、そこで五月十五日返還後数カ月、こういうことを申し上げておるんですが、できる限り取り急いで準備をいたしたい、かように考えております。
#68
○森元治郎君 これは、一般的感じですから、そんな感じ受けるのですよ。総裁選挙だの何だの、国会の四次防先取りだなんというごたごた、後継総裁、会期延長など、問題がうんと詰まって、十年に一ぺんぐらいの騒ぎをしているものだから、外交あたりもとぎれちゃって、小休止、中休止ぐらいをしている感じを受けるのですよ。準備が要りますから、秋になるでしょう。何か核の問題も、かっかとなって外務大臣やっている様子を受けないんですが、これは心すべきことなので、自分の職務だけばっしりやっていってもらいたいと思いますね。
 ところで、事前協議のお話が出ましたが、これは日米安保協議委員会でも、いろいろお話するんでしょうが、その前にひとつ伺いたいのは、アメリカ側から、今度引き揚げて、不自由になるわけですね、いままで自由があったから、ずっと基地に押し込められて、核兵器作戦行動などについて、ベトナムの問題もあり、向こうもこうしたいということを申し込んでくる可能性は十分あると私は想像するのですがね。どうでしょう、ありませんか。
#69
○国務大臣(福田赳夫君) この間、アメリカの大使も、新しい大臣とも、こういうわが国の政治情勢である、国会において、私は事前協議の問題についてレビューをしたいのだ、こういう話をしてアメリカ側にも協力も要請いたしておいたのですが、まあそのときの感触では、アメリカ側もレビューについては、これはもうけっこうである、しかしレビューの内容につきまして、事前協議をゆるやかにせい、そういうような話を持ちかけてくるという、私は可能性がありそうな感じは受けませんでした。まあ私どもは、とにかく日米間で運用問題についての解釈で食い違いがあったら一番困るのだ、こういうことを力説して、その辺少し打ち合わせしておこう。それから、また国会でいろいろむずかしい質問なんかに接する、こういうケースについてのケースバイケースの問題の判断を下すわけにはいかぬけれども、そういうことを参考にしながら、運用問題をどういうふうに考えていくべきか、そういう点について意見の交換をしよう、こういうことを考えているのだということをごく非公式に話をしてみました。
#70
○森元治郎君 そこで、その事前協議の運用に食い違いがあっては困るので、この際沖繩返還を機会に、情勢も変わりましたし、相談もしよう、これは日米安保協議委員会だと思うんですね、場は、一番権威のある公式的な場は。そこで、ひとつ伺いたいのは、事前協議の中ではいろいろ問題、作戦行動もあれば、配備、装備もありますが、配備の点でちょっと伺いたいのだが、政府委員でけっこうです。空軍に関してはどう、海に関しては一機動部隊とか、陸に関しては一個師団とか何とか、政府の答弁ありましたね。あれを繰り返してみてください。
#71
○政府委員(高島益郎君) 先生の御質問は、合衆国軍隊の日本国への配置に関する従来の日本政府の見解はどうかということかと思います。従来政府で申しておりますのは、陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置を交換公文によります配置の変更と考えておると申しております。
#72
○森元治郎君 これは大臣、日米間で話し合ってきめたんですか。これはもう当然長くなっちゃって、ずっとお経読むように言っているのですが、これはいつ、どこで、文書か口頭か、どうしてこんなものができたのですか。
#73
○政府委員(高島益郎君) これも従来政府が答弁しておりまするのは、藤山・マッカーサー両代表間の口頭の了解でこういうふうにきまっておるということでございます。
#74
○森元治郎君 口頭の了解というのは、何も文書でやっていない。何ウイングスがどうだということはやっていない。およそお話ですから、これは大臣、だんだん抗議して、答弁が苦しくなって防衛庁の政府委員だの、大臣だの、あまり慣れないのがああだこうだと言っているうちに、こういうふうに政府案が固まったのです。それでけっこうしのげるものだから、今日まできているのですね、しのげると思って。これは一つも了解事項になっていないのですよ。ですから、これも時代おくれの、一機動部隊がわあわあ親方が子分連れて港に入ってきませんよ。そろって出ていく、作戦命令を持って舳艫相ふくむ、組んでずらずら出ていく機動部隊なんてありません。変わっている。飛行機だって翼を連ねてというのは、いまはやらないのです。ベトナム戦争ごらんなさい。一日に千波、五百波出るといったって、五百機も六百機も一ぺんに飛んでいくわけじゃない。いま非常に変わりました。十数機、二十機、三十機、そういうのが一つの波になっていっているときに、まだ一機動部隊だの一個師団だの、こういう一つも了解事項でないものは、この際再検討されるべきだと思いますが、どうですか。
#75
○国務大臣(福田赳夫君) 事前協議の対象といたしましては、お話の米軍の配備、それから装備の問題それから本土の基地からの出撃の問題、この三つがあるわけでありますが、私の関心事項は最後の出撃の問題なんです。その際の事前協議をどういうふうにするか、こういう問題なんです。第一の問題、つまり、いま森さんの御指摘の配置の問題、これはどういうふうにまあ理解いたしましても、もう相当これから米軍は日本に新しく駐屯するという部隊がふえる、そういう情勢には私はないと思います。これは減ればといってふえることはないような情勢。そこでその辺であまり議論をいたしましても、これは益なき議論である、こういうふうに考えておりまして、その辺にはあまり私はウエートは置いてないのです。問題は第三の出撃の問題にある。この辺で十分話し合ってみたい、これが私の考えであります。
#76
○森元治郎君 出撃するにしても、陸海空ですから、やっぱりこの問題も当然十分の等価値を持って検討されるべきものと思うのですね。そこで、大臣はこれは日米安保協議委員会でやっぱり問題として取り上げておくべき問題だと思う。配備の陸海空については、いまの答弁のようなものがいま時代おくれで、通用しない。そんなもので国会ほうかむりしておったのでは、あぶなくて見ておられませんから、これは時代に合ったような内容に改正しなければならぬ。本土を基地とする作戦行動、大臣がいま一番御心配という外との国際紛争を起こすおそれのある行動、これは沖繩が日本に返還された以上は、従来と違って常時の協議でもなければあぶなくてしかたがないと思うんですね。出るとき出るといったって、いままでの国会答弁はみんな日本から飛び立つときには命令でなくて、日本から領海外に行っちゃってから命令もらったものはいかんともしがたいというようなことでは、答弁としてごまかすことはできるかもしらぬが、非常に危険なものである。これをなくす道は常時協議を要求する。出入りには日本に協議をする。国会でよく航空母艦が来たんじゃないかというと、来たようですなんということを防衛庁長官は言いますが、そうじゃない。自分の領土、領海にいるものの存在はネズミ一匹でも知っている。出て行くときはどこに行くんだと、夜遊びに行くんじゃないと、これはやはり言わなくてはならぬでしょう。直接日本を守るための行動ではないんだから、これは事前協議じゃなくて常時協議。だから彼らの行動が何やっているかということは、国会でもずばり答えられる――ちょっとそこへレクリエーションに行くんだということがいつも明快にパッパッと答えられるようにならぬと、いままでのようなことがあったら、外へ出たい、ようござんすなんというのんきな事前協議みたいなことでは私はいけないと思うんですね、沖繩が返ってから事態が違うんだから。常時協議をもっと強いものにする。もちろん核兵器を入れることに反対はアメリカ政府も知っておるだろうし、政府もけ飛ばすんだから、いままでの事前協議というもの、核兵器持ち込みを考えていたころの事前協議といまとは少しく違うんじゃないですか。もっと緊密なる状況に展開する……。
#77
○国務大臣(福田赳夫君) これはたとえば航空隊について言いますれば、もうしょっちゅう演習のためとか、そういうようなことで移動しておるわけでありまするから、そのつどこれを協議の対象だというのは、私はこれはむずかしいんじゃないか、そういうふうに思います。まあ要は、事前協議の制度のその目標、目的というものをよく理解することにあると、こういうふうに思うんです。私どもは森さんと違って、日米安全保障条約は、これは必要であると、こういう立場に立っておるわけなんですが、しかし、この日米安全保障条約は必要である。ありますが、この運用を誤りますると、日本が他国の戦争に巻き込まれる危険なしとしない。そのときの歯どめ、それがまあ事前協議なんですから、それに関連のない平時の移動、そういうようなもの、そういうことについて一々これをチェックすると、これはアメリカといえどもその煩にはたえないだろうと、こういうふうに言うであろうし、私どもとしてもそういう必要のないことである。そういうふうにまあ考えられますので、そこまでその協議対象にするということはいささか私どもはよけいなことじゃあるまいか、そういうふうに考えております。
#78
○森元治郎君 終わりの質問として、沖繩が返る前はアメリカの思うとおり、自国の領土の延長として何でもできたが、今度は本土と同じように制約を受けることになったわけですね。そうすると、その間の相違がなくちゃならないわけです。ベトナムの出撃をいままで正々とやっていたけれども、今度は向こうも、日本の政府に向かって気がねをしてもらわなければ困るし、日本も、ちょっとどこへおいでになるんですかということも、従来と違って注意が向こうに向くと思うんですね。アメリカの占領下にあったときと日本に入ったときの、このアメリカの作戦行動に対する態度というものは非常に違った立場になると思うが、どんな心がまえで臨むつもりですか。
#79
○国務大臣(福田赳夫君) お話のとおりでありまして、きのうから沖繩の米軍基地の性格は全く変わったわけであります。つまりいままでは米軍基地といえば、米軍が自由に使用し得る立場にあった。今後は安全保障条約の制約下にある、こういうことです。それはアメリカももう十分もちろん知っておるわけでありまするから、アメリカもその立場を踏まえまして沖繩基地の使用に当たると、こういうこと、これはもう申し上げるまでもないことであります。わが国といたしましても、アメリカがそういうふうな理性的な立場をとるということであれば、もう別に何ら問題はないところでありまするが、もし、そういうような私どもの想定に反するようなアメリカの行動が見られるというようなことがありますれば、これはアメリカに対しまして十分その点をさらに指摘いたしまして是正を求めると、こういうことだと思います。
#80
○加藤シヅエ君 私は、来たる六月五日からスウェーデンのストックホルムで開かれる予定の国連人間環境会議につきまして、大臣の御所見を少し承りたいと思います。
 この会議につきまして、日本国政府の窓口は外務省と承っております。しかし、問題の内容は環境庁が一番おもな所管でございますし、そのほか、厚生省、運輸省と、いろんな多岐にわたっているように思っております。
 それで、この環境会議に各国の代表がそれぞれ構成されているようでございますが、その内容は私は詳しく聞いているわけではございませんが、各国では国会議員もその構成メンバーの中に加えられている国がたくさんあるというふうに聞いているのでございますが、日本の場合には、いまだ国会議員がこれに参加するというような話を聞いていないのでございます。その理由は、これは政府間レベルの会議であるから、それで国会議員を日本では入れようと思わなかったというような、そんな説明もちょっと聞いたことがあるんでございますが、そうなんでございましょうか。
#81
○国務大臣(福田赳夫君) やはり加藤さんおっしゃるように、この会議は政府間のレベルの会議であると、こういうことから、わが国といたしましては政府の関係者、これを中心といたしまして、若干の専門家というか、政府外の学識経験者、たとえば地方団体の長であるとか、そういうような方の御参加を願ったらどうだろうと、こういうふうに考えております。
#82
○加藤シヅエ君 いま環境の問題は地方自治体の長は非常に関係が深いのでございますから、そういうところから行かれるのもたいへんけっこうでございます。そのほか、お名前のあがっております学識経験者は、それぞれたいへんけっこうなメンバーだと思いますけれども、中には特にある問題についての学識経験者、権威ある方であるという方も入っていらっしゃいます。しかし、地方自治体の長が一、二加わっているという、それは必ずしもいま日本が置かれています環境問題で地方自治体の全部の意見を代表するというような意味はないというふうに私は理解いたします。しかも、地方自治体の長というのは学識経験者ではございませんから、そういう方がそこに入るというのは何を代表するんでございましょうか。
#83
○国務大臣(福田赳夫君) 地方自治体の長は、これはその地域の公害問題につきましてかなりまあ突っ込んだ経験、またその知識、そういうことを持っているわけでありまして、こういう方がこの会議に参加される、こういうことはこれは必要というか、そういうようなことではなかろうかと、そういうふうに考え、地方自治団体の長の方にも学識経験、、こういうようなことをとらえまして、これの見地から参加をお願いしようと、こういうふうにいたしたわけであります。地方団体と申しましても、公害の全くない地方団体もありますれば、ほんとうに公害に朝晩悩まされているという団体の長もありますから、地方団体の全体を代表する、そういうことではないと思います。最も切実に公害問題、人間環境問題について日夜思いをめぐらしておると、そういう方の御参加を願うことが妥当ではないかと、そういうふうに考えております。
#84
○加藤シヅエ君 地方自治体の長が参加されるような、そういうような意味でございましたら、国会の公害対策及び環境保全の特別委員会というのもございまして、国民の声を始終いろいろ取り上げて、それぞれ所管の長にいろいろと質問し、またその善処をいろいろと要求いたしておりますことは、御承知のとおりでございますから、そういうような意味では、当然、国会議員も、そういう立場にある国会議員というのは、これに参加することが適当じゃないのでございましょうか。
#85
○国務大臣(福田赳夫君) いろいろ会議の性質にもよりますが、国会議員の御参加を正式にお願いするということになりますと、なかなか、いろいろむずかしい問題七ありまして、なかなか決断がつかないのですが、その状況は御理解願えるのじゃないかと思います。
#86
○加藤シヅエ君 むずかしい問題というのはどういうことか知りませんけれども、国会議員というのは口がうるさいですから、そういう意味でございますか。それとも、いま私が申し上げました公害対策及び環境保全特別委員会の委員長が、たまたま、衆議院も参議院も、社会党がそのポストを持っているので、社会党の衆参両院議員が二名入ったのでは都合が悪いと、こういう意味でございますか。
#87
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことじゃないと思います。やはりこの会議の性質が政府レベルというか、政府の方が中心になって討議をするという性格であると。そういうことから、政府中心にやる、立法府がそれに参加する、正式に参加するというのはいかがであろうかと、こういうことでありまして、いま何か公害委員長が野党だからというようなお話でありますが、私も初めてそういうことを承知したようなことで、他意はございませんから、そういうような点についての他意はございませんから、御了承願います。
#88
○加藤シヅエ君 ほかの国は、やはりどこの国でも、いま、公害及び環境保全については、これはもうどこの国でもたいへんに身近な問題で、また、非常にいろいろの問題で急に取り上げ、あるいは決定をしなければならないような問題が多いのでございますから、それではほかの国では国会議員もこれに参加なさる。日本は、特に公害ではそれこそナンバーワンぐらいの国だと言われるのは決して名誉なことではございません。そういうような場合には、やはり国会議員というような立場の代表も加わったほうが、全体の意見の調整のバランスの上で、私はよろしいのじゃないかと思います。政府だけだって、決して、いろいろの、こういう議題になるような問題について意見が統一されているわけではございません。現在でも役所と役所の中でいろいろ対立して、少しもまだきまっていない意見が一ぱいございます。地方自治体と政府との間でもきまらない問題が一ぱいございます。でございますから、これは決して、日本の政府が代表して、これはこうでございますというような意見を述べるようなことは非常に不可能であると私は思っておりますから、そういう意味では、国民の声をより広く取り上げている国会議員が、やはりそういうところに入っているということのほうが、バランスの上からいってもよろしいんじゃないかと私は思っております。それは外務大臣にもう少しこのことについて――いま、委員長がたまたま社会党だということを、初めてお聞きになったそうでございますが、どうぞ、そんなことに関係なく、ひとつもう一度考え直していただきたいと思うわけでございます。
 それからもう一つは、ここでいろんな問題が、日本でいまやっている問題と、それから世界で、大体、こういうような傾向になっているというような問題と、ずいぶん違いがたくさん出てくると思います。たとえば、法で十年間これをやめろというような意見が出てきた場合に、日本は、政府として、どういう意見をお出しになるのですか。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) 今度のこの国連人間環境会議ですね、これにはわが国はその首席代表として大石環境庁長官をいま一応予定をいたしておるわけです。そのほか、代表として、あるいは現地の、ヨーロッパに滞在する大使の中からそれに関連のある人を加えるとか、あるいは国連派遣大使、これを加えるとか、そういうような構成を考えておるのですが、いずれにしてもこれは政府を代表し、この会議に日本国の責任をもつ者は大石環境庁長官になると、こういうことなんです。ですから、その体制を変える、こういうわけにはなかなかいかぬだろう、こういうふうに思いまするが、加藤さんのおっしゃるのは、おそらく、顧問団とか、そういうものにいろんな人を加えたらどうだろうと、こういうようなお話しかと思います。そこで、これから顧問団とか、そういうものをきめるのですが、いまのところ、どうも、そういう性格の会議でありますので、国会議員が参加されないほうがいいのじゃあるまいか、そういうふうに考えておるわけなんですけれども。
 それから現地でいろいろ実質的な問題が起こる、それについて何か取りきめをする、こういうようなことは私ども予想はいたしておりませんですが、何か万一そういう事態があるということになりますれば、大石長官が本国政府、日本政府に請訓をいたしまして、そうして日本政府代表としての意見をきめる、こういうことになろうかと思いますが、まず、具体的、個々の問題についての話、それはただいまのところは予想はしておりませんです。
#90
○加藤シヅエ君 私が一番疑問に思い、かつ心配しておりますのは、外務大臣は、国際交流基金というような構想を今度お持ちになりまして、こういう面で日本が今後国際的に大いに理解されようというふうに努力なさっておる。これは私はいま日本にとって非常に必要なことなので、これはよほどよくいたしませんと、いわゆるエコノミックアニマルといわれて、あるいは貿易の面でも、いろんな面で、日本がある程度そねまれ、憎まれる。金だけよけい持っているというような行き方で見られるということは、将来の日本の国際関係について非常に不利だと思って心配いたします。したがいまして、こういうような交流基金の面から、大いに国際的に日本が理解され、また、日本がいまやっていることが何でも正しいという立場ではなくて、世界的なレベルで日本が立ちおくれている、あるいはたいへん違う考え方を持っているということが発見されました場合には、世界各国のたくさんのおもな考え方に日本も歩調を合わせるようにしなくちゃならない、私はこういうふうに思うのでございます。そういう意味で、この人間環境会議というのは、非常にこれは重大でございます。日本はこうなんだというような、政府の立場というようなものを、こんなところで突っぱねたりなんかするということは、逆に、日本という国は公害に対して非常に関心の程度が低いとか、公害についてちっとも考えてなくて貿易だけを先にやっているんだというような非難が日本に降りかかってくるんでございます。そういう意味で、この環境会議というものが十分によく理解され、日本がいろいろほかの世界の国よりおくれているような問題に対しては十分にここで世界の空気を吸収して、そして日本が国際的によく理解され、歩調を合わすためのこれを一つのいい機会に利用していただきたい、そういうような態度でこの環境会議に出席していただきたい、私はこう思っているわけでございます。で、外務大臣はいままで沖繩の問題やなんかで非常にお忙しくて、環境の問題は御担当ではございません。しかも、この窓口だけが外務省であるというところにちょっとむずかしさがあるんでございますけれども、結局は日本が国際的によりよく理解されて憎まれない日本になっていくという意味でこの環境会議に日本の代表が出席なさるように、また、その構成もそういうふうであるようにと、こういうように私は非常に希望いたしますので、そのことを申し上げたいと思うわけでございます。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) 環境会議に臨む日本の姿勢、これはもうまことに加藤さんのおっしゃるとおりのことを考えておるわけです。まことに遺憾なことでありまするが、わが国は公害先進国でもあるわけでございます。この公害問題というのは、わが国の努力、これももとよりでございまするけれども、国際的な知識を広く吸収をするということでないと解決できない、そういう問題であるという考え方を持っておるのであります。したがって、この環境会議につきましては、もう過去二年間にわたりましてわが国も準備のために十分協力をいたしておるわけでございます。また、この会議において、将来こういう環境問題についての国際協力を大いにやろうというような趣旨から人間環境基金というような構想がまとまれば、わが国もそれには参加いたしまして、基金に出資もいたしましょうという政府の態度もきめておるというようなことです。わが国は公害問題特に社会問題、政治問題として非常に重要な問題でありますので、この会議をフルに日本の立場からという小さい立場から見ましても活用しなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
#92
○黒柳明君 時間の制約もありますので、若干断片的になるかと思いますが、まず初めにちょっと人命の安全に関係のある問題で、大臣に聞く前に労働省に一、二お伺いしたいと思うんですが、米軍に雇用関係がある、そして米国の民間航空会社が横田の米軍基地からベトナムに乗り入れている、これは四、五年前からやっているわけですね、そこに日本人のスチュワーデスが搭乗してベトナムに行っている、マックというんですか、MACというんですか、こういう問題があるわけですけれども、私もちょっと調べてみたところ、ちょっと特殊な例みたいに感ずるんですが、そういう観点、あるいは何か状況を把握していらっしゃる点があったら、まずお知らせいただきたいと思います。
#93
○説明員(吉本実君) ただいまの御質問でございますが、現在私どもが把握しておりますところでは、ノースウエスト航空株式会社で、これは東洋支社で東京にその営業所があるわけでございますが、そこでただいま先生の御指摘のようなMAC、米国の労務関係機関で要員なり軍属の輸送機関としているところの、いわゆるチャーター契約に基づきまして航空会社がそういった任務を持っておる、その場合に日本人のスチュワーデスがそれに従事しているというような事情を聞いております。それからまた、ほかのところでも若干あるやに聞いておりますが、現在のところはまだ十分把握はしてございませんが、そういう実態のあることは事実でございます。
#94
○黒柳明君 こういう、聞きますと、ミリタリートリップ、軍事旅行なんということばをつけているらしいんですけれども、国際的にもこういうケースというのは、特殊な例みたいに思うんですけれども、こういうことがしばしば過去、現在あるんでしょうか、あったんでしょうか。
#95
○説明員(吉本実君) 私どもの承知している範囲では、あまりこういった事例はないように聞いております。
#96
○黒柳明君 そこで私この一週間ばかり、いわゆるスチュワーデスの方から陳情を受けまして、大臣、問題は当然いまのベトナムの現状でありますから頻度が多いわけです。かっては週二回くらいです。ここにありますが、先月は十四便行っているわけです。しかもサイゴンですと私が言うまでもなく、民間航空会社が羽田から十社フライトで乗り入れしているわけです。ところがサイゴン空港ではなくて、ダナン、ビエンホア、カムラン、これはダナンの場合には民間に若干関係しているように聞きますけれども、ビエンホア、カムランというのは完全軍用空港です。こういうところに横田から日本人スチュワーデスを搭乗させて行っている民間航空会社の雇用関係、当然民間人を乗せていくわけじゃございません。軍人、軍属です。米軍の横田基地から出るわけです。嘉手納でも同じシステムがあるわけですけれども、それに対してもいうまでもなく非常に不安である危険であるということなんですよ。五月の初めのときにはダナン、これはもう完全な軍事基地じゃないのですけれども、これでも着陸するときには空軍戦闘機が離陸するので方向変更しろとこういうサインが出た、こういうことなんです。それからビエンホア、カムランなどというのはこういうことがしばしばだろうというのですけれども、いま言いましたように、かってはミリタリートリップといっても、南ベトナムに民間会社が乗り入れることにはそんな不自然なことはなかったのですが、現在は非常に危険である。そういう中で、しかも非常に特殊な空港に着陸する、離陸する、当然また行って帰ってくるわけですね。飛行場に着きますと、危険だからすぐそばの防空壕に待避しろ、こういう指令を受ける。現実にここに名前が出ていますけれども、当人に名前だけは言わないでくれ、こう言われております。具体的なフライトナンバーみんなわかっていますけれども、こういう事態というのは許されるのだろうか。
 その前に労働省の方に、この雇用関係ですけれども、ILO条約あるいは具体的に労働基準法にはこういう雇用関係というものが許されるのか、もっと具体的な、どういうふうな契約を結んでいるとかなんとかということがわかりませんとイエスかノーかというお答えできないと思いますけれども、私も調べておりますけれども、あるいはそちらで何か事情知っている範囲でお答えがいただければ、こう思いますけれども……。
#97
○説明員(吉本実君) 一般的に申し上げますと、採用の際にどこのところへ出かけるかというようなことについて、十分本人の同意を得て行なわれたり、あるいは採用後においてそういう仕事を、本人に納得の上でそういった仕事をさせるということであれば、特段の問題はないように思う次第でございます。
#98
○黒柳明君 そこで大臣、本人の同意があれば特段の差しつかえがない……。本人の同意があるのです。試験の際にいわゆるミリタリートリップ、イエスかノーか答案に答えを書かせる。イエスというのが合格の基準なんです。ノーと言ったら当然合格できません。この目的でスチュワーデスを採用するのですから。それから今度は正式に合格してからその書類にサインさせるということなんです。ところが、かってLSTでこういう問題がありましたね。危険な地域にみずから行って事故にあったあの場合とこの場合は非常にケースが違うわけです。ミリタリートリップというのは、戦火のもとにさらされた人命の危険さえあるという覚悟で行くわけでもないのです。そうだったらこんなところ合格したからといって何の喜びもありやしません。命をさらして、しかも聞くところによると特別な手当ても何もない、通常のノースウエストのスチュワーデスと同じようなレベルの雇用関係、条件でペイで出すらしいのですね。やっているのです。ですからLSTに乗務して、みずから事故にあったというケースとは全然違う。あれは米軍の直接ハイアーですから。これはあくまで民間の会社ですから。
 それから、聞くところによると――労働省で聞いたのですが、かつて、電電公社で何か朝鮮海域でケーブル敷設をするときに、朝鮮事変のときに、危険だからと拒否して、それで首になったのが四十三年に最高裁が不当解雇であるというケースもあると、こういう事例も聞いておりますけれども、非常にいまの――いままで言いましたように、十四便。一日にはダナン、同じくビエンホアに三便行っているのです。それから十日にはダナン、ビエンホア、十一日にはビエンホア、十五日にビエンホア、十六日にダナン、ビエンホア、十七日にカムラン、同じく十八日にカムラン、その次に十九日にはダナン、こういうふうに、いうならば、通常週二回フライトくらいが、いま言いましたように十四回、こういうふうにひんぱんに行っているわけです。まあそれに対しての機上における労務状態がこれはいろいろあるのですけれども、外務大臣に聞くようなことではないと思います。当人たちはいろいろ苦情を申しています。私も現に見てきましたけれども、非常に過酷です。それはともかくとして、そういういま言ったような軍事基地、目的の空港に寄って、そこで一晩ないし数時間降りて、それでまた横田に帰ってくる。こういうところに日本人のスチュワーデスが雇用関係、しかもその雇用関係というのは現時点、現在の客観情勢というものを十二分に考慮しての条件でも何でもない。ですから、確かに、本人の同意があればその労働条件で従事しなければならない。それを拒否すれば首になるでしょう。首になった時点で告訴すれば、また違った事件として問題になるかと思います。しかしながら、これは事故が起こったあとで、あるいは当人が会社とトラブルをやるほど組織は強くありません。労働組合はないんです。そういうところでもんもんとして働いている。ベトナム戦争の、ある意味においては犠牲になろうとしている。現在、そういうフライトのたびに心理的な脅威にさらされている。こういう問題について、客観的な情勢ですけれども、大臣、どのようなまず御判断に立たれておるでしょうか。
#99
○国務大臣(福田赳夫君) なかなかお答えのむずかしい問題ですが、まあ非常にざっくばらんにお答え申すと、これはやはり雇用契約が一体どうなっているのか、こういう問題じゃなかろうか、そういうふうに思います。もし雇用契約の態様をこえた危険にさらされるいろいろな労働をしいられるとか、そういうことでありますれば、これは法律問題ということになるのじゃないかと思いますが、それがかりに、もうベトナムというような事態を予見されるというもとにおいての契約だということになると、これはノーウェスト会社ですか、あるいは米軍になりますか、この場合は。スチュワーデスとその両者の当事者間の問題、こういうふうな感じがいたすのですがね。
#100
○黒柳明君 いまの雇用条件、ここに書類を持ってきてお示しするほどのことでもないので私は持ってこないのですけれども、確かに、みずから入社試験のときにイエスと書いて、それでそのあとにサインするのです。そのための雇用ですから。これは横田からのフライトに乗るための。米軍のスチュワーデスはそういう雇用関係を成立できないわけです、アメリカのスチュワーデスは。だからこそ横田で日本人のスチュワーデスを乗っけていくわけですよ。それで日本人のスチュワーデスは、そういう個人的な雇用関係を結ぶわけです。ですけれども、その雇用関係は、ともかくこれも特殊なんですよ。この雇用関係は非常に、雇用関係自体特殊なんです。例がない、こういう雇用関係は。ですから、そういう雇用関係について、さらに今日の情勢というものを判断しての雇用関係でもないのです。ですから私は、それじゃあこれを全部やめてしまえばいいじゃないか、当人がみんな団結してやめてしまえばいいじゃないか――これは簡単でしょうね。それほど一つは力もない。それほど、どこにそういう問題を取り上げてもらうところもない。非常に右往左往しているだけであって、それで偶然私のところに来たというケースなんですけれども、個人の問題で、それでやめてしまえばいいという、そこまでふん切りもつかないというか、現実にこれで食べているわけですから、生活をしているわけですから、現実危険だとわかっておっても、ここにも陳述書がありますけれども、危険だとわかってもやはり自分の身にならなければなかなかそうならないものだと、こういうことなんです。ですから私はノースエストと個人という問題、雇用関係なんというむずかしい問題じゃないのです。簡単なんです。そのフライトに乗る、乗らないか――乗ります、こういうことだけなんです。しかしながら、現時点で考えて、こういうベトナム戦のエスカレート、しかもそれが特殊な軍事専用の空軍基地の離着陸、こういうことを考えた場合には、これは大臣、聞かない前はこれはまあ当人の問題だ、こういうことも成り立つかと思いますけれども、こういう国会の場で、少なくとも一応の審議の対象になったからには、やはりこういう問題、日本人の人命、雇用関係の問題について、さらにこういう危険なところに行くことについても、何らかのこれは処置も講じなければならないのじゃなかろうか。私はこう思うのですけれどもこれは大臣はあくまでも本人の関係である、こういうお考えでしょうか。
#101
○国務大臣(福田赳夫君) どうもむずかしい問題の御提起ですが、やはりこれは当事者間の問題のような気がしますね。これを、政府がこれに介入する、そういうようなことはなかなかむずかしい問題じゃあるまいか。何か黒柳さんいい方法があるのですか。
#102
○黒柳明君 特別――私はいろんな諸情勢を勘案して、まあ労働省あたりに一回お調べいただいて、その過酷な労働条件、それから十五時間ぶつ続けのフライト勤務、こういうものについてそんなにむずかしい雇用関係はないのです。ただフライトに搭乗することだけのイエスのサインだけなんです。ですからそういう問題についても一回当然お調べいただいた上で労働省、これはもうわが国の労働基準法を適用するかしないか、そこも問題でありますし、あるいはあれを、ILO条約でこれをどうできるか、当然こうなりますと外務省もまた何らかの関係でタッチせざるを得ない問題です。私はそういう調査での判断なんです。きょうの時点において外務大臣にこういう事実を知っていただいて、私はひとつ労働省、これはすぐ問題にタッチしていただいて、くどいようですけれども、非常に特殊な場合であるということ、雇用関係を結んで、当人がイエスといっていても、しかもその特殊の例に、いまの時点においてはさらに特殊な国際情勢、現地の情勢がある。さらに加わっているということ、さらに当人たちの意思表示というものは、非常にこれは危険である、たいへんであるという意思表示がある。ただ、まとまってとか、正式にということが残念ながらできないという情勢にあるということ、さらにその雇用問題がそういうただ一片のイエスとかノーとかいうもので、そういう危険な職務に従事させられる、しかも日本人がそういう勤務に従事させられる、こういうことがいいのか悪いのか、こういう問題も含めてひとつ課長さんのほうで至急実情を調査していただいて、しかるべき手を打っていただければと、こう思いますが……。
#103
○説明員(吉本実君) ただいまの先生のおっしゃるとおり、私どもとしましても至急調査をしまして善処するようにいたしたいと思います。
#104
○黒柳明君 すみません。大臣の問題じゃなかったと思いますけれども、ひとつこういう問題がありまして、私まだもうちょっと調査しまして問題にしなければならないと思いましたものですから――。
 話題は変わりますけれども、秋ごろから日ソの平和条約についての話し合いを行なう、こういうような話も聞いております。次には北方領土だというふうなことも活字では出ておりましたけれども、平和条約の問題、さらに北方領土の返還の問題、むずかしい。ただし、ソ連側も従来のようなかたくなな態度でもなさそうだ、こういうようなことで、きょうから新しい次元の国際問題、中国問題を含めまして当面また大きな問題だと思いますので、秋のその平和条約に対しての話し合い、それと北方領土返還の問題についての、現時点における外務大臣の感触をお聞かせいただければ幸いですが。
#105
○国務大臣(福田赳夫君) まさにわが国とすれば領土問題で残された問題は北方領土というとにきのうからなってきたわけです。そこでこの北方領土問題につきましては、歴代政府がずうっと、国後、択捉両島以南の島々はわが国の固有の領土である、つまり平和条約によって放棄した島々には含まれないという立場において、ソビエトのこれらの島々の領有は不法なものである、こういう立場でソビエト側と折衝をしてきたわけであります。
 で、あらゆる機会をとらえましてこの態度をソビエト側に表明したわけでありますが、ソビエトロシアは、問題はすでに解決済みである、こういう態度で終始応答してくる、こういう状態でありましたが、まあ久しぶりにことしの一月、グロムイコ外務大臣を迎えまして日ソ定期協議が東京で行なわれた。その際に両国の間で、とにかく平和条約締結交渉をしようじゃないかということに合意し、かつ、その交渉を年内に始めるということにしたわけなんです。この平和条約交渉というのは実体は何であるかというと、領土確定交渉であると、こう言って過言でないかと思うのです。ほかにも、あるいは文化の問題、経済の問題、いろんな両国の諸問題がありますが、実体は何といっても領土問題である。その領土問題が実体である平和条約交渉に応じます、こういうところは従来とはなはだ違った傾向を示すものである、こういうふうに思うのです。つまり領土問題につきましては、ソビエト側では何か微妙な変化を示しておるやにも受け取られるわけでありますが、私この問題の将来を展望いたしまするときに、しかしそう甘い見方もできない。国後、択捉以南の諸島の日本側の要求をそのままにソビエトロシアが応ずるかどうかということについては、なお今後かなりの紆余曲折があるところではないか、そういうふうに予想をするわけでありますが、まあソビエトとの間に平和条約を締結したい、私はそれを念願いたしております。しかし、その前提といたしまして、その交渉内容たる領土問題につきましては、これは国後、択捉以南の諸島の全面的返還ということを踏まえまして、この線は一歩も譲らない、こういう姿勢で交渉に臨みたい。まあ秋から暮れにかけての時点で第一回交渉が開始される、こういう見通してございます。
#106
○黒柳明君 当然次期内閣の課題になるのではなかろうか、現内閣ではちょっとこの問題、取り組めないのではなかろうかと、こう思いますけれども、私もあのソ連のほうといろいろ折衝した範囲では最近のこの柔軟姿勢、なかんずく何かこちらが譲歩すれば向こうもさらに返還に対して積極的に前向きになるのじゃなかろうか。ただ単に返せとこちらの領有権を主張するだけでは、向こうはやはり従来どおりあるいは柔軟になっても返還という現実の問題にはならないのではなかろうかと、こういう気がするのですけれども、まあ平和条約、領土問題の解決と、こういうことでありますけれども、領土問題の解決即平和条約の締結ということになるわけでございまして、こちらの一方的主張だけで解決できるものか、あるいは何らかの話し合いの中で、ギブ・アンド・テークというか、若干の向こうに受け入れられる条件を示して、そういう姿勢でこれから解決するのがいいのか。まあこういう話もさらに煮詰めるのだろう、積極的にやるのだと思うのですけれども、大臣の、最近はやわらかくなった、そういう中でのソ連側の領土問題に対する態度はどういうふうになるだろう。あるいはこちらも、いま言ったような、ただ単にストレートに返還要求だけしてはたして解決するものであるかどうか、ここらあたりいかがでしょう。
#107
○国務大臣(福田赳夫君) これからいよいよ交渉を始めますのに交渉に臨む態度、これを一々公開してというわけにはなかなかいかぬかと思いますが、とにかく領土問題につきましては、わが国は国後、択捉以南の諸島については、これはあくまでも主張する、こういうたてまえであります。しかし、日ソ平和交渉というものは、これはまあ領土問題が重大でございまして、これが実質的には最大の問題でありますが、しかし、そればかりじゃない、いろいろな問題がある。文化の問題、経済の問題、科学、技術の問題、いろいろあります。そういうものを総合しての話し合いということになろうかと、こういうふうに思いますが、まあわが国の主張が外交交渉だから一から十まで全部貫かれるということになればこれはいいことではありまするが、そういうこのまま交渉ができるわけではございませんから、その辺はその辺で、現実的な考え方はとらなければならぬと思いますが、とにかく、事領土につきましては一歩もこれを譲ることができないというのがただいまの私の考え方でございます。
#108
○黒柳明君 ニクソンの訪ソで、SALTが何らかの形で調印されるだろう。三木外務大臣のころから核防条約の問題はがたがたありまして、いま調印はされたけれども批准はされない、こういうことですが、世界的に大きく核問題が軍縮のほうに向かっているわけです。将来この条約の中身に対しては、私たち不平等条約である、こういうことですけれども、世界的にはやっぱり核に対しては軍縮だ。中国だって必ずしもアメリカ、ソ連に対抗してという考えじゃないと思いますけれども、まだ批准はされていないわけですけれども、大臣、ニクソン訪ソで相当SALTを中心にして米ソが核について引き締めていこうという、現実にそういう行動も行なわれるであろう。これが一週間後に迫っているわけですけれども、わが国は調印しただけでまだ批准されていない。こういうことについてのお考えはいかがでしょう。
#109
○国務大臣(福田赳夫君) 米ソ会談で最大の議題となるのは、お話のSALTの問題ではないかと思います。これは両国とも核競争につきましては、これは財政上の負担の問題もある、そういうようなことで何か歯どめがほしい、こういうことを考えておるようでありますので、まあ国際社会全体の見方では、SALTについては、今度何らかの前進した結論が出るのではないかということは予想されております。私ども大体そういうふうな見方をいたしておるわけです。それに関連してというか、わが国の核拡散条約の批准をどうするか、こういう問題でありまするが、この条約につきましては、わが国といたしましては、この条約の調印をいたしました際に声明を発表いたしておるわけでございます。つまり、わが国の核の平和利用への立場を害するということがあっては絶対にならない。そのためのいろいろな仕組みというものを考えていかなければならない、こういうふうに考えておるわけですが、その中で一番大きな問題は、何といっても査察問題です。これにつきましては、いまユーラトム諸国が国際原子力機関との間で話し合いを始めておるのです。それなんかに比べまして、わが国が不平等な扱いを受けるというようなことは断じて受け入れることができないというのが私どもの立場であります。その帰趨等も見ましてわが国の態度をきめる。そしてこの問題は原子力兵器開発の査察問題、これにつきまして正式の事前交渉を開始してから十八カ月後に協定を結ばなきゃならぬと、こういうふうになっておりますが、わが国の現在の状況は、まだその正式な交渉の場に至らないんです。正式の交渉の場に至るその前の状態にあるわけであります。ただいま申し上げましたようなユーラトム諸国と国際原子力機関との関係がどうなるかというような推移を見ながら事実上の事前の交渉態勢をとろうかと、こういうふうに考えておるのですが、その成り行きをまちましてから正式の交渉に入るという段取りをいま予想しておる、こういう状態でございます。
#110
○黒柳明君 最後に一言。先ほども基地の縮小問題が出ましたけれども、百歩譲って言っても、使っている基地はアメリカとしてもいろんな事情があるかと思いますけれども、使ってない基地が日大でも沖繩でも私たちの調べではあったわけです。一番最たるものが横浜の岸根基地。三年間も遊んでいる。市長あたりは告訴しようかと、こういうようなことであります。沖繩でも、要するに既得権というものをあくまでも、返還後も保持するための目的であろうと、私たちはこう疑わざるを得ないような――メースB撤去あとの基地というものも、既成の基地とは全然関係のないところにある。そういうようなことがあるわけですから、百歩譲って言っても、本土に百、沖繩に八十七、百八十七カ所の基地が、相当やはり事実的にも数の上でも縮小できるという感触が十二分にあるわけなんです。ですから、先般戦略的、戦術的ないしは返還後の用途的なものまで含めてここで調査する、こういう決意をしたわけですけれども、沖繩国会でも当然海水浴とかそういうところはすぐ返させる、こういうような話もしましたけれども、いま現在時点において沖繩がまだ八十七残る、本土でも百残っていると。その中ですらも現実的に使ってないところがある。少なくともそういう個所についてだけは、私たちよりも施設庁を通じて外務省あたりのほうが詳しい事情をつかんでいるわけですから、ですから返還後になったわけですし、現実にそういうところについては安保協議会あたりを通じまして、もっと強く返還を要求をしてしかるべきではなかろうか、こういうふうに思うのですけれども、先ほどの基地に対しての大臣の御所見の中にも若干述べられておりましたけれども、これはもっともっと前向きにやらないと、三年間もほっといて、幾らクレームつけたってなかなか現実に返還という方向にいかないわけですから。それを向こうの事情ばかりを考えていたんじゃ、現実の返還がおくれるのじゃなかろうか、口ばかりになってしまうのじゃないかと思うのですけれども、実際に使ってないところ、しかもひどいところは三年も使っていないまま放置してある。そういうところを含めて強い姿勢で臨んでいただきたいと思うのですが、いかがですか。
#111
○国務大臣(福田赳夫君) 基地問題については、黒柳さんのほうと私のほうとは立場が多少違うのです。多少というか、違うのですね。違いますからその点はお含みおき願いたいのですが、それにいたしましても、いま不用じゃないかというようなものとか、あるいはこれはレクリエーションだというようなことで、少し行き過ぎではないかというような問題もあります。あるいは将来の沖繩の開発上、これは重大な支障になるというような性格のものもあります。そういうような点を十分とらえまして強力な交渉をしてみたいと、こういうふうに考えております。必ずまあ成果はあげ得るものであるというふうに考えています。
#112
○星野力君 私、十二日の本会議の緊急質問で、わずか七分でございましたので、たくさんのことも質問できなかったのですが、それにもかかわらず、総理、外務大臣からお答えがなかったような問題もありますので、そういうことにも触れながら、二、三のことをお聞きしたいと思います。
 先ほどのニクソン大統領のベトナムに対するいわゆる強硬措置、さらにはジョンソン大統領の時代にもあえてできなかったような北べトナムの全港湾に対する機雷敷設による封鎖というようなこともあるわけでありますが、このような措置を日本の政府は、アメリカが主張しておる国連憲章第五十一条に基づくところの集団的自衛権の行使であるということでそれを正当視し、支持しておるように思われますが、その点をもう少し論証できる根拠をお示し願いたいと思うのです、まず。
#113
○国務大臣(福田赳夫君) まあ二つに分けてもらいたいのですがね。一つは、アメリカのベトナム政策、これはもちろん軍事行動も含めてのベトナム政策です。これは南ベトナム人が自由にその将来を決定すると、こういう環境づくりをする、それを南ベトナム政府の要請に従って行なう、こういうことであり、これは多数の国々から支持されておる見解であり、わが国もほんとうにそのことについて理解を示しておると、こういうことであります。
 それから、いま星野さんの指示される問題は、その問題とは別な問題であろうと思います。つまり機雷敷設という行為、これが国際法上とか、あるいは国連憲章のたてまえとか、そういうことからいって行き過ぎのある行為であるかどうかということじゃないか、まあそういうふうに思うのですが、そうじゃなくて、前のベトナム政策全体として日本はどういう態度をとるかということになりますると、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、機雷敷設行為、そういう具体的な行為がどうかということにつきましては、アメリカはこの行為は国連憲章五十一条に基づく集団的自衛のための行為であると、こういうふうに国連安保理事会に対して通告をいたしておるわけであります。これは通告を受けた国連は平和を守るその機構である、そういうようなところから、いずれ国連が、その行動自体を行き過ぎかどうかというような点につきましては、これは結論を出すべき問題である、こういうふうにお答えをいたしておる。それで御理解を願いたいと思います。
#114
○星野力君 国連安保理事会がこの機雷敷設の問題なんかについて結論を出すと、こう言われますけれども、国連安保理事会として別にその義務はないのではないかということも私質問したのでありますが……。
 それからまた、いま南ベトナム人が将来を自由に決定できるようにというおことばもあったわけですが、この問題に引っかかっておりますと時間なくなるあれもありますが、一言、南ベトナム人というのはどういう概念で言っておられるのかをお聞きしておきたいのです。
#115
○政府委員(吉田健三君) これはジュネーブ協定からも出てくるわけでありますが、長い経緯がありまして、結局休戦協定ができましたときに、南のほうは南のほうとして一つのベトナム国をつくったわけでございまして、なおこの休戦協定そのものの各種の宣言に関しましては、南ベトナムは一つの独立エントリーとして態度を表明しておる。国際的にもこれが認められた。なお御存知のように、サンフランシスコ平和条約には、ベトナム国として南ベトナムが調印に締約国の一つに参加しておる、こういう実態から見ましても、また各国がこれを承認しておる実態から見ましても、南ベトナムは一つの国家としてその人民が自分の運命を決定する立場にあるものと了解するわけでございます。
#116
○星野力君 ジュネーブ協定のどこから見ましても南ベトナムに新しい国家をつくる、それが正統視される根拠はないと思うのです。南ベトナムという呼称からして、これはジュネーブ協定に基づく臨時軍事境界線というものから出たところの一時的な便宜的な呼称でありまして、ここに国家がつくられてしかるべきだという結論は出てこないと思うのですが、この問題に立ちどまっておりますと時間たちまち過ぎてしまいますので、この問題はあらためて機会があったら外務大臣とゆっくり話し合ってみたいと思いますが、先へ進みます。
 この機雷敷設による海上封鎖の問題については、日本政府としては結論が出せないというようなお考えのようでありますけれども、あの海上封鎖というのはずいぶんこれはひどいものだと思います。北ベトナムに入る軍需物資を押えるのだというようなことをニクソン大統領は言っております。これは言うまでもなく、ベトナムに入る船あるいは鉄道によって送られてくるものというのは軍需物資だけではない。軍需物資はその一部分に過ぎない。いろいろな貿易が行なわれているわけであります。いわばあの海上封鎖というのは経済封鎖であるわけですね。たとえば北ベトナムでは乳牛がほとんどいままでのところ育っておらないので、これは国営農場などで試験的にはやっております。牛乳の生産というのはほとんどゼロですよ。しかも、乳児には制度としてミルクを配給しておりますから、これはみな外国から粉ミルクなりコンデンスミルクを輸入してやっておるわけです。そういうものまで今度の措置でもって封鎖してしまうということでありますが、こういうような非人道的なやり方まで、しかも宣戦布告もやっておらない国がやって、それが集団的自衛権の行使の範囲に入るのだ、こういうようなアメリカ政府の言い分というものは私は不当だと思いますがね。だれが考えてもこれは不当だと思いますが、大臣、そうはお思いになりませんですか。
#117
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように、わが国といたしますと、アメリカ政府がベトナムにおいてとっておる行為については、行動については、政策については、わが国はこれを理解をいたしておるわけなんです。ただ、いま問題は個々の行動が行き過ぎなのかどうかということのようでございますが、行き過ぎであるかどうかということにつきまして、私どもは実態を何も承知できないわけです。戦争の当時国でもございません。そういうようなことで、どういうことをどんなふうにやっておるのか、こういう点が全然把握されておらぬ、また何もそれを把握しなきゃならぬという立場にもない、こういうように考えるわけであります。いずれにしても、国連にアメリカは国連憲章五十一条による行動である、こういうふうな主張をしておるのですから、国連で結論を出す、そういう性格のものである、こういうふうに考えます。
#118
○星野力君 日本とベトナムの間の貿易というのは額はたいしたことはございませんが、私、おそらく資本主義国の中では日本との貿易額が一番多いのじゃないかと思いますが、それをさらにふやすことは、外務大臣としても、日本政府としても、いわば方針としてお持ちだったのではないでしょうか。どうでしょうか。
#119
○国務大臣(福田赳夫君) それは、そういう考えを持っております。
#120
○星野力君 ホンゲー炭については、御存じのように思いますが、主として練炭、豆炭の原料になっているようでありますが、そのほかアルミニウム、電極とか、あるいは特殊鋼なんかについては日本の業界としては、これはいわば必需の無煙炭で、炉なんかもそれに合わしてつくられているそうでありますが、これも今年度は五割くらいふやして六十万トンくらいの輸入の計画ということも考えられておりますが、日本から化学肥料のほうを買いたいというようなことで、この間の貿易経済視察団の来日というようなこともありまして、今後両国間の交易がふえることが期待されておったのですが、こういう事態になると非常な困難が起きる。業者も困る。中にはこれでは見殺しされるのじゃないかという声も出ておりますが、アメリカの政策一般について、かれこれ言えないという立場にしても、直接日本の国民が、それから日本の経済の上に困難な被害の出てきている問題について申し入れをする考えもございませんか。
#121
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのところ、そういう考えは持っておりませんです。
#122
○星野力君 それでは別のことを聞きますが、ここに一つの新聞記事がございます。これは九日の外務省筋のあの機雷による港湾の封鎖、ああいうことがもしも日本の基地から出動してやられる。これは理論的に考えられるところであるが、そういう場合、これは、事前協議の対象になるのかならないのかという問題についての見解を示されたものであります。これはたまたまある一つの新聞の記事でありますが、ほかの新聞も大体同じような報道をいたしております。肝じんなところを読みますと、「外務省筋によると、機雷敷設はいってみれば敵の攻めてきそうな戦場に鉄条網をはると同じようなもので、戦闘作戦行動の部類にははいらず、従って事前協議の対象にはならない」、こういう記事でございますが、「外務省筋」となっておりますが、外務大臣、この見解はお認めになりますか。
#123
○国務大臣(福田赳夫君) 必ずしもそれは正確に報道されておらない。少なくとも私の考え方とは若干の違いがある。こういうように御理解願っていいと思います。つまりいまわが国の基地から発進をいたしまして、そうして北ベトナム諸港を機雷封鎖したという、こういう事実はございませんです。ございませんから仮定の問題になります。万一そういうことがあり得る場合、これが事前協議の対象となるか、こういいますと、その機雷投下の態様というものをよく調べてみなければいかぬ。しかし、これがわが国の基地から機雷を積みまして、そうしてベトナム水域に向かった。それが戦闘作戦行動と見られるような、この投下行為をやったということになりますれば、やるということになりますれば、これは事前協議の対象となる、こういうように考えておるのでありまして、このことは、先般の本会議におきましても申し上げたとおりであります。機雷投下がわが国から発進されるという際に、それが事前協議にすべての場合ならないのだというふうには考えておりません。
#124
○星野力君 外務大臣のお考えとこの新聞報道とは若干違う。いま御説明がありましたからわかりましたが、大臣の見解と違うことが報道されておる。その原因がどこにあるか、外務省筋と大臣の見解が違うのか、それとも新聞のほうが間違って報道したのかということを考えますと、どの新聞も同じことを書いておる。としますと、これは外務省筋の見解であると、こう考えざるを得ないのでありますが、そうとすると、日本の外務省の発想というのは、ずいぶんこれは奇妙なものであると考えざるを得ないんですね。この新聞記事は非常に世間に反響を呼んでいるんですよ。私も教えられてこれを見たわけですが、どろぼうを防ぐために鉄条網を張ると、自分の屋敷内に張るならまだ筋が通るけれども、人の家の玄関の前に鉄条網を持っていって出入りもできないようにして、これでどろぼうを防ぐといっても、これは世間には通用しませんね。外務省の考え方は、これは一体どうかと、どういうものかということなんですが、それもそうですけれども、これですと港湾封鎖なんていうのは、大臣は態様によって、実態によって違ってくるんだと、こう言われますけれども、とにかくよその港の前に持っていって機雷を敷設する。これが防衛的な自衛行為ということになるんですね。こういう考えでいきますと、これは私は非常に危険だと思うのです。日本は専守防衛ということを言っていると、専守防衛の立場から機雷敷設を相手の国へ行ってやると、こういうことにもなってまいりますが、大臣、こういう外務省の考え方についてどう思いますか。
#125
○国務大臣(福田赳夫君) それはいま私が申し上げたとおりなんです。それで外務省の見解だというふうに御理解願いたいと思います。外務省事務当局がどういうことを話して、それがいまお読み上げのような記事になったのか、そのいきさつは私承知いたしませんけれども、事務当局におきましても同じような考えを持っておるということを申し添えます。
#126
○星野力君 こういう危険な考え方を発表する外務省というものについて、大臣として、よくよく考えていただきたいということを申し上げておきます。
 それから、いまのこのニクソンの措置というものが長く続いたら、これは世界的に重大な事態を引き起こすだろうと私は心配しております。どうも外務大臣のお考えは、いろいろ御答弁聞いておりますと、まああの程度のことをやったって日本が戦争に巻き込まれるおそれがないんだからというように安心しておられるような感じを私受けるんですが、どうなんですか、これは。もうニクソンの強硬措置が実施されましてから一週間たちます。いろいろ外務省としても事態について検討なさっておられるだろうし、情報もお持ちだろうと思いますが、こういった事態が長く続くものと考えておりますか。その辺の感触はどうでございますか。
#127
○国務大臣(福田赳夫君) その辺は私もよくわかりませんけれども、これがただ単にエスカレートしていきっぱなしであるというふうには考えておりません。アメリカもちゃんと平和への道を行動の中に開いておる。つまり全面停戦をしようじゃないか、そうすれば封鎖もやめましょう。さらに四カ月後には米軍が全面撤退もいたしましょう。こういうことまで言っておる。ですから、アメリカの願うところは、やっぱりもういくさはやめよう、そしてテーブルにつこうじゃないかということじゃないか、そういうふうに思います。しかし、北にも北の立場がありますから、アメリカの思惑どおりにいくとは限らぬ、そういうふうに思いますが、とにかくあのアメリカのとった措置というものが絶望的なものじゃなくて、かなり平和への道を開いておる措置でもある、こういうふうに思います。まあどういうふうに展開していくか、その辺のことにつきましては、私はどうもはっきりした見通しを申し上げることはできない。希望といたしましては、南北双方が武器を捨てて、そしてテーブルについてもらいたいということでございます。
#128
○星野力君 私、実はきょうは大臣、事前協議を洗い直すというのはどういう方向に洗い直しを行なうか、運用面ということを言っておられましたけれども、そのことについて実は聞くつもりでおったのですが、時間がなくなってしまいました。
 いままでお聞きしたことに関連するのですが、ニクソン大統領特別補佐官のキッシンジャー氏が日本に来るということになっておりまして延びておりますが、あの来日は、形の上では財界から招待するということでありますけれども、もちろん、外務大臣とも総理とも会談し、非常に大きな政治的意味のある来日と、こういうふうにわれわれも受け取っておりますが、キッシンジャー氏の来日の問題はどうなったでしょうか。
#129
○国務大臣(福田赳夫君) キッシンジャー氏は、かねてから対日知識が非常に少ないので何とかして早い機会に日本を訪問し、まあ日本の風土にも接して日本への理解を深めたい、こういう希望を持っておりました。特定の交渉案件というものは持ってくるような考え方はいたしておりません。ですから、来日の形にいたしましても、まあ岩佐氏の招待だというような形でやってまいります。しかし、アメリカでは大事な方でございますので、この機会に、わが国としても一般的な意見の交換をしておいたほうがよかろう、こういうふうに考えまして、総理との会談、私との会談等はぜひその場をつくりたい、こういうふうに考えておりますが、まあベトナム戦局の新展開というようなことかと思いますが、訪ソ前に日本を訪問をすると、こういう段取りでございましたが、それが延期になっております。おそらく大統領訪ソ後には実現をするんじゃあるまいか、そういうふうな、これは見通しでございます。
#130
○委員長(八木一郎君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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