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1971/05/25 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第11号
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1971/05/25 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第11号

#1
第068回国会 外務委員会 第11号
昭和四十七年五月二十五日(木曜日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十三日
     辞任        補欠選任
      岩間 正男君    星野  力君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                石原慎太郎君
                佐藤 一郎君
                山本 利壽君
                森 元治郎君
    委 員
                佐藤  隆君
                杉原 荒太君
                塚田十一郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                加藤シヅエ君
                田  英夫君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                渋谷 邦彦君
                中村 正雄君
                星野  力君
   国務大臣
       外 務 大 臣  福田 赳夫君
       国 務 大 臣  大石 武一君
   政府委員
       外務政務次官   大西 正男君
       外務省条約局外
       務参事官     穂崎  巧君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
       外務省情報文化
       局文化事業部長  加川 隆明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       環境庁自然保護
       局鳥獣保護課長  仁賀 定三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際交流基金法案(内閣提出、衆議院送付)
○渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその
 環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆
 国政府との間の条約の締結について承認を求め
 るの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八木一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 一昨二十三日、岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。
#3
○委員長(八木一郎君) 国際交流基金法案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○田英夫君 この国際交流基金の問題、前回も質疑ありまして、大筋のところの問題が出てきましたので、やや具体的な問題について伺いたいと思うのですが、この問題で一番気になりますのは、何といいますか、外務省、政府の息がかかり過ぎるとぐあいが悪いのではないか。やはりあくまでも民間中心にあってほしいということだと思うのですけれども、その点は理事長の人事なり、あるいは審議会の人事なりというところでお考えいただけるとは思いますけれども、基本的に民間中心ということをどういうようにお考えいただいているか、大臣から……。
#5
○国務大臣(福田赳夫君) まことにごもっともな御意見と思います。これは本来ならば、民間から盛り上がった形ということも考えられる。数年前一千億民間財団構想、こういうこともあり、たいへん私どもはそれに期待を寄せておったわけですが、金が集まらぬ、こういうことで立ち消えになったような次第ですが、今度できますこの基金につきましては、精神においては民間の英知を結集するというようなものにしたい。そこで人事につきましても、理事長は役人からの天下りということは考えません。これは皆さまの御意見もいろいろ承りまして、そしてこれはという方にお願いをいたしたいと考えておるわけであります。
 それからこの機構は、運営はもとより理事長を中心とする理事がこれを行なうわけでございまするけれども、私どもといたしましては、運営審議会の委員ですね、この方々にりっぱな方をひとつ御就任をお願いをいたしまして、この方々にこれの運営にほんとうに実質的に参加してもらいたい。形ばかりのことでなくて、ほんとうの活躍をしてもらいたい、こういうふうに考えておりますが、そういう仕組みを、これは実行いたしますると、田さんのおっしゃるように、民間の英知を中心にした運営というものが実現できるのじゃないか、そんなふうな感じがいたしておるのであります。ぜひそういたしたいと考えます。
#6
○田英夫君 もう一つは、民間ということのもう一つの意味で、お金のほうですが、先ほど大臣が言われたように、数年前に民間の基金を集めてということがあったようですけれども、今回の場合も、政府のほうからは百ということですけれども、プラス民間のほうですね、一体そういうめどがあるかどうか。できればそれを加えれば、大臣の前回言われた一千億構想というものに近くなるんじゃないかと思いますが、そういうめどはいかがでしょう。
#7
○国務大臣(福田赳夫君) 民間ではただいまの段階ではたいへんこの基金に対して協力の姿勢を示しておるのです。ただ、何ぶんにもいま収益状態が、おおむねの企業においてよろしくないものですから、現実の協力というものは、これはそう多くを期待し得るというわけにはいかぬと思いますが、景気が常道に戻るというような時期になりますると、ある程度のものは期待できるんじゃないか、そういうふうに思います。ただし、私が千億ということを二、三年のうちにといっておりますが、その主力は何といっても財政資金のほうでなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
#8
○田英夫君 何とか、やはり百億というのでは少し規模が小さいし。しかも、百億というと一見大きそうですけれども、それを使うわけではないわけですから、やはり一千億構想に一日も早く持っていかないと、せっかくつくっても、従来の国際文化振興会があまり何もできなかったと同じようなことになってしまうおそれがあるのじゃないかと思いますが、そこで今度は対象になる国ですね、これが当然欧米各国に日本のことを知らせる、あるいは東南アジア各国に知らせるという意味で、その辺の国は考えておられると思いますけれども、問題は共産圏といいますか未承認国、ソ連の場合は、これはあり得ると考えていいでしょうが、あるいは未承認国ですね。いま問題になっている中国というようなことは、どういうことになるのか、その辺いかがですか。
#9
○国務大臣(福田赳夫君) これは地域的にいいますると、まずアジア、それから経済的に非常に関係が深い、これを間違うとたいへん重大なことになりまするアメリカ、そういうようなところ、とにかくスタートの年でありますので、そう世界じゅうというわけにはまいりませんけれども、考え方の基本といたしましては、国の成りたち、そういうものにイデオロギー上の差異はつけないと、こういうふうにいたしたいと思っております。ただその中におきましても、承認国と未承認国、これは若干の違いが出てくるだろう。気持ちは交流という、そういう前向きの気持ちでありましても、国家を承認をいたしておるという相手方と、承認をいたしてないという相手方では、若干の違いが出てくると思いますが、脱イデオロギー、そういうような精神でやってみたい、そういう考えでございます。
 それからソビエトということでありましたが、これはもちろん交流の対象として重要な国であると考えております。
#10
○田英夫君 具体的にたとえば中国に歌舞伎を派遣、派遣といいますか、行って公演をするというようなことがあるとすれば、現実にはいまの中国の情勢で、いまの歌舞伎の出しものではなかなか受け入れられないかもしれませんけれども、先日も松竹の歌舞伎担当重役に会いましたら、実はこっち側としては行きたいんだ、ところが経済的に、もし向こうから許可があっても経済的にむずかしい、大世帯だし、そっちのむしろ難点があって、行きにくいという話をしておりましたけれども、もし、かりの場合ですが、中国に行く歌舞伎というような場合に補助金が出せるのかどうか、こういう場合どうですか。
#11
○国務大臣(福田赳夫君) それはたてまえとして出せない、こういうことじゃございません。ただ、歌舞伎を一体出すのがいいかどうか、そういうような別の問題がありますが、同じ金を使って文化交流をやる、そのための補助金を出すその優先度というような問題があろうかと思いますが、しかし、たてまえとして歌舞伎が優先的に考えられるべきものであるというふうな判断になった場合に、これに対して、補助金を出さないというようなたてまえにはならぬと思います。
#12
○田英夫君 さらに具体的な問題で、スポーツも当然この交流を行なう重要なテーマになると考えていいと思うんですけれども、現在体育協会をまかなっている資金というのは、実は競艇、競輪などからのいわゆる船舶振興会とか、自転車振興会の金ということが第一になるというようなことで、私なんかたいへん残念だと思いますが、そういう中で、スポーツ交流をやるときに、ちょっと大きなチームを呼ぶと、やはりそういう寄付金を仰いでやっているのがスポーツ界の現状であるわけです。もし、この交流基金の中でスポーツというものが考えられるならば、そういうようなスポーツ、たとえばサッカーの非常に優秀なチームを招聘するとか、中国からバレーボールを呼ぶとか、アメリカから何かを呼ぶというようなときに、やはり補助金を出す対象になり得るのかどうか。
#13
○国務大臣(福田赳夫君) この基金は、末はともかく、ただいまの段階におきまして、既存の交流事業の財政負担の肩がわりをするということは、これは極力避けていかなければならない。まだそれほど資力のない段階でございます。ですから、いまお話の体協が何かやろう、体協には体協の財政があるわけでございますけれども、それを今度は、そのツケを交流基金のほうに回すというんじゃこれはちょっと困るだろう。ケースバイケースですね。そういう場合は、体協のほんとうの臨時特別の事業であって、国際政情に非常に重要なものである、こういうようなものでありますれば、また考えようもありましょうが、肩がわりとかそういうような性質のものであると、極力これは避けていきたい、こういうふうに考えます。
#14
○田英夫君 もう一つこの基金を使う場合に、やはり考えていただきたいことは、マスを対象にするという問題ですね、せっかく交流――日本のことを外国に知ってもらう、あるいは外国の人を招聘して日本の人に外国のことをわかってもらうという意味のいろいろな交流をやるときに、従来国際文化振興会がずいぶん古い歴史がある中であまり知られてないといいますか、活動が知られてないのは、やはり文化人を呼ぶとか文化人を派遣するとか、わりあいこまかいことが多かったんじゃないかという気がするわけです。もっとマスを対象にして周知させる、日本のことなんかも知らせる、こういうことが一つ基本的に大事なことじゃないかという気がしますけれども、そこで、たとえば映画をつくるとか、あるいはテレビ番組をつくるとか、テレビ番組なんかは、これは欧米のテレビが発達している国に対して日本のドキュメンタリーをつくってそれを持っていくというようなことは非常にいい方法だと思いますけれども、この辺はどういうプロダクションならプロダクションに補助金を出すかということで、いろいろ問題が出てくるだろうと思いますが、こういうことは考えておられますか、テレビとか映画について。
#15
○国務大臣(福田赳夫君) これはそういうことも非常に大事なことだろうと、こういうふうに思います。ですから、この体制が整い、財力も整いますれば、これはそういうマスメディアですね、その活用、そういうことをやっていくべきだろうと、こういうふうに思います。もっとも外務省には文化事業部のほかに広報課というのがありまして広報活動をやっております。これは少し政治的な息のかかった広報、そういう意味合いもあります。そういう種類のものはそっちのほうでやる、文化交流の範疇に属するものにつきましてはこの基金が担当するということ、これは重要なことだと、こういうふうに思います。
#16
○田英夫君 いまちょっとお話が出ましたけれども、外務省の加川さんがやっておられる文化事業部の仕事ですね、そことこの交流基金との仕事の仕分け、つまりなわ張り争いみたいなことになってもいかぬし、それからいま大臣言われた広報課ですか、そこもやや確かに政治宣伝、政府の宣伝機関ですから、それとははっきり仕分けがないとぐあいが悪いと思いますが、そこのところはどういうふうになっておりますか。
#17
○政府委員(加川隆明君) ただいまの御質問でございますが、外務省には情報局と文化事業部がございまして、いま大臣から申しましたように、情報局のほうはある一定の政策目的がありましてそれを広報していく、こういう考え方、したがってショートレイテッドでございます。それから、私のほうはもちろん外国を知り日本を知らせるということが一つの大きな目的でございます。したがって、それはもっとロングタームの考え方ということ。それから、実際問題としてたとえば非常に対米繊維の問題が強くなった、それに対する広報というようなものはこれは情報局のほうでいたします。私のほうはもっとバックグラウンド的な広報というものをやっております。
 それから、お尋ねの基金と事業部との関係でございますが、基金はもちろん外務大臣の監督下にあるわけでございます。もちろん民間のそういうことを生かすことはもちろんでございますが、一応外務大臣の管轄下になっております。私たちとしてはそういう監督業務が一つ、ただし、日本の外交における文化政策というようなこと、それから各国際的な文化機関に対する協力の問題、それから各国とたとえば文化協定を結ぶ、この間ソ連といたしましたけれどもそういう問題これは外務省の私のほうでいたす、こういうふうになっております。
#18
○田英夫君 それと現在も何カ所かに日本文化会館というんですか、海外にありますね、ケルンだとかローマだとか、こういうのは一体この基金との関係はどうなるのか、これは非常に重要な拠点になると思うし、できればその基金から資金を出してもつとふやすということも考えていいのではないかと思いますが、その点いかがですか。
#19
○政府委員(加川隆明君) お説のとおり、ローマとケルンに現在ございます。これは所有権は外務省が持っております。国有財産でありまして、運営はいま国際文化振興会にまかせております。この基金が発足いたしますと、運営は基金がいたすということになるのでございます。その中で私たちの考えておりますのは、政府が現物出資の形でこれを基金に出資をして、そうして基金の何と申しますか、海外の拠点、こういうふうにしていきたい。名実ともに基金の海外拠点にすると同時に、お金がだんだんできてまいりますれば、ほかのところにもそういうものをつくっていきたい、こういうふうに考えております。
#20
○田英夫君 このケルンとローマというのはあまり必然性がないというか、なんでこの二カ所になったのか、不明にして知らないのですが、その問題と、近い将来どこか計画があれば、外務省なりあるいは基金としてやるとすればどういうところがいい、そういう計画があれば伺っておきたい。
#21
○政府委員(加川隆明君) 実はローマ、ケルンはいずれも吉田内閣当時、あるいは池田総理の当時でございますけれども、上のほうでいろいろなお話がございまして、おれのほうにひとつつくれ、おれのほうはただで土地を提供するというような話で、ただの土地をいただいたものですから、それじゃさっそくつくろうではないかということになったわけでございます。いまひとつ具体的に問題になっておりますのはフランスの問題でございまして、あそこには大屋さんがいま会長をされております日本館、これははじめあそこは政府が文化センターにしようと思ったがお金がなかった、結局プライベートのお金でこれをひとつ改組して、いろいろなアイデアがございますけれどもこれを政府の文化センターにしようではないかという動きがございます。これはまだほんの動きでございます。
#22
○田英夫君 やはりできるだけ多くのところに文化センターといいますか、文化会館といいますか、つくる必要があると思いますが、サンパウロにあるのは、日本の向こうの在住者がお金を出されてかなりりっぱなものができておりましたけれども、ああいうものも、あそこは日本の方が多いからできたでしょうけれども、在住者が若干の資金を出せばあとプラス交流基金から補助金を出してやらせるというような形もとられるのではないかと思いますが、そういうことはできますか。
#23
○政府委員(加川隆明君) まさにそういうことは私どものほうではいたすつもりで文化事業部門をやっております。いまトロントにそういうことで具体的に文化会館がございまして、これは在留邦人のつくったものです。そういうものにたとえば庭園をつくるとか、あるいは文化資料を整備するとか、そういう形、それから日本語講座をその中に含める、そういうことをサンパウロでやっておりますし、そういうような形で政府がそれを何といいますか協力してやる、こういうことはやっております。
#24
○国務大臣(福田赳夫君) いまお話のケルンは去年の秋私行ってみたんです。ここは場所はいいんですが、建物も内容もきわめて貧弱である、どうもつくってはみたが、はたして日本のイメージを正確に伝え得るに足るものであるかということを、これはいまお話もありましたが、相当これは内容を充実しなければならぬなというふうに考えてきたわけです。で、つくる以上はもうほんとうに国において目につくような、そういうりっぱな施設、内容、運営にしていかなきゃならぬ、そういうふうに考えます。そして重要なわが国の対象国、そういうものには逐次そういう、名実ともに備わった日本文化会館あるいは日本センターというようなものをつくっていきたい、こういうふうに考えております。今後も大いにひとつ意欲的に推進していきたいと思います。
#25
○田英夫君 もう一つ、全然別の問題ですけれども、KBSを吸収という形でしょうけれども、されることになるわけでしょうが、その場合、現在のKBSの職員はそのままそっくり、待遇もそのまま吸収されるのかどうかですね。
#26
○政府委員(加川隆明君) KBSにつきましては、衆議院等でも大臣及び部長から御答弁した次第でございますけれども、希望退職者を除いては一応一括これは新しい基金に引き継がれるように、新しい当事者能力のある理事長に外務省として引き継ぐ、こういうふうに考えております。
 それからただいま御指摘の労働条件と申しますか、就業条件というようなものは、これはもちろんいまのままがいくわけではございませんと思いますので、政府は、特殊法人にだいぶいろんなものがありますので、それとのバランスを考えてやっていくことになると、こういうふうに思います。ただし、これは新しい理事長の権限でございますので、外務省といたしましては、それをアドバイスしていく、こういう形になろうかと思います。
#27
○田英夫君 KBSの職員の待遇、必ずしもよくないようですね。それで特に海外駐在員、さっきお話出ましたけれども、これから文化会館またふえることもあり得るし、また海外駐在員も当然規模が大きくなる中で、KBSは大きくなるだろうと思いますが、現在のKBSの海外駐在員の待遇というのは外務省の人に比べると外交特権もちろんないし、あまりよくないと思うのですが、その辺は改善の余地はないんですか。
#28
○政府委員(加川隆明君) 改善を外務省といたしましては考えております。それからもちろん基金にKBSが引き継がれました場合に、いまの条件より不利になることはない、こういうふうに申し上げて差しつかえないと思います。
#29
○田英夫君 終わります。
#30
○森元治郎君 いまの加川君の答弁に関して伺うんだが、KBSに働いている連中、変わるとなると不安であることは当然だね。もっとあたたかくはっきりしたことを言ってもらいたいんですが、それはわかると思う、その立場になれば。衆議院の速記録読んだ、いまのお話も聞いていた。どうもことばづかい見ても、他の特殊法人とのバランスを考え、それからいまのままよりはよくなるだろうとか、不利にならぬようにと、こういう奥歯にはさまったようなことを言わないで、それをやめて労働条件、給与の格差是正、なるほど公益法人ですから、ほかの活発な特殊法人と比べるとだいぶ違いますよね。給与なんかだいぶ違う。八、九千円違うような特殊法人もあるね。それからそれについて十分めんどうをみる、この一言さえくれれば、私はこまかいことは言わない、十分めんどうをみる。私は外務省といたしましては、新しい理事長に引き継ぎます、アドバイスをしますということをいまおっしゃったが、そこらが情がないのだな。そうじゃなく、十分めんどうをみる、心配するな。それから希望退職者を除きまして、自分でやめたいやつまで心配することはないですよね。やめたものは来ないのだから、こっちへ来る人をどうするかというのが質問の要点だ。ところが衆議院の速記録を見てもおやめになる方はと、これはおやめになるのは自分のかってで、それの労働条件を考える必要はないのだから、十分めんどうをみる、約束するということを、十分めんどうをみるということを言ってもらいたいのです。やはりこれはあそこは前時代的な中小企業みたいな労使関係のようだから、これは大きくなるのだから、おそらく人員もふえるでしょう。いま五十五名の予算定員だけれども、この機会に、いまこれをのがれてはできないのですから、他の特殊法人でもやっているように、大蔵省の規制などなどというものが顔を出さないように、労使間でいろいろ話し合う、直接。そういうこともやはり確立しておいたほうがいいと思うのですが。スタートする、ストライキみたいなことをやる、それから私がいま申したような方向にいくのでなく、初めからぴしゃっとしたほうがそれは明確になると思うのです。この二点だけをあまりつべこべ要らないから御答弁を願いたい。これは大臣がいいなあ。
#31
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど田さんからも御注意がありましたが、民間運営にしてあまり外務省は介入するな、こういうお話もあるので、これはもう理事長の責任、理事会またこの運営審議会、こういう方々のこれは意図をフルに動かさなければいかぬ、そういうふうに考えておるのです。そういう考え方のときに、あまり外務省が指図がましいことをやるというと、またそういう方面でおしかりを受けるということになるので、加川部長の答弁もその辺を介意いたしておる、こういうふうに思うわけであります。が、お話の筋はよく承知しておりまするから、そういうふうな方向で、私どもは気持ちとしては善処したい、こういうふうに思っておるわけであります。
#32
○森元治郎君 これ、気持ちとしては善処したいなんという、その気持ちとしては善処すると、君の言うのはよくわかった、善処する、これをはっきり言ってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
#33
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、これはあくまでも理事長の責任できめる問題でありまするから、そこで奥歯に物のはさまったような申し方をいたしておるわけなんであります。私ども相談にどうせあずかる。あずかる際には、ただいま森さんのお話のような気持ちで応待をする、そういうふうに申し上げておるわけであります。
#34
○森元治郎君 今度私の気持ちにしちゃったのですが、いま大臣の気持ちで善処する話だったのだが、これはやはり理事長は大臣が任命するのだし また外務省自身がどうこうするということもできないことは私もわかりますがね。こうやって発展的に解消する人たちについて、十分善処する、私の質問の趣旨を体して善処する、これはいいんですな。
#35
○国務大臣(福田赳夫君) 外務省の立場におきましては、お話のようにあたたかい気持ちで善処いたします。
#36
○森元治郎君 大臣ね、このごろ大臣、初め大臣になったときはういういしくてよかったのですよ、大臣の答弁は。(笑声)だんだん愛知さんみたいになってきちゃって、こちんとして、外務省といたしましてはというただし書きがついたり、いまもう大政治家なんだから、まかしておけてなもんで、やはりしろうとになってもらわなければ困る。すっかり覚えちゃって、頭がいいのだか、みな覚えちゃって、おもしろくなくなってきちゃったですよ。これから大政治家になる人は注意してもらいたいと思う。
 それじゃそれはそのままで、あたたかい気持ちでいることは了承します。
 それでは理事長は民間人のほうに大体腹づもりされているようですが、理事ですね、民間を中心に、田君の質問に対して大いに民間人を起用するというが、どうも四名の理事、予算は三名ですが、さしづめ、各省から一人づつくるようにしたらどうですか。たとえば外務省とかあるいは文部省とか、そういうところから引いてきちゃったらどうでしょうか。
#37
○国務大臣(福田赳夫君) まだ理事のところまで考えておりませんですけれども、見込みとするとこれは混合形態というか、そんな形になろうかと思います。一部は民間の方、それから一部はこういう問題に経験を持った、まあ役所のキャリアを持った人ですね、こういう人の混合という形になるだろうかと、こういうふうに思います。
#38
○森元治郎君 理事長さんは財界みたいな人、そのような人がなりそうですが。
#39
○国務大臣(福田赳夫君) これは、理事長は純粋の民間人というふうに考えておるのです。実は、まあ総理とも話をいたしまして、予定しておった人がおるんですが、その方がおなくなりになって、そこで新しくまた話をしなければならないと、こういうことなんですが、これはもう純粋に、どこから見ましてもこれから伸びゆく重要な基金の理事長として、それにふさわしい人をということ、それを旨としてやっていきたい、さように考えております。
#40
○森元治郎君 加川政府委員、非常勤の理事はどんなふうなことを考えておりますか。
#41
○政府委員(加川隆明君) 非常勤の理事についても、いま外務大臣から申しましたように、まだ全く構想がないというのが現状でございます。
#42
○森元治郎君 それではこれも官民混合ですか。
#43
○政府委員(加川隆明君) これも私たちまだほんとうに考えていないわけなんでございます。
#44
○西村関一君 関連。
 基金の目的については、国際文化交流ということでありますが、これは先ほど来答弁があったと思うのですけれども一、文化の面におきましては、イデオロギーを越えた問題だと思うのです。いずれの国とも国際文化の交流という立場からやられるお考えだと思うのです。たとえば私はこの間もハノイへ参りまして、歴史と文化のあるベトナム民主共和国の、したがって、歴史学者や、考古学者や、いわゆる文化人、そういう人たちと接触いたしましたが、そういう人たちとの、そういう国との交流もいまはちょっと非常事態になっていますけれども、大臣、お考えのうちにお入れいただいてよろしいでしょうか。
#45
○国務大臣(福田赳夫君) まあ未承認国でありましても、文化交流でありますから、これはもう幅広い気持ちで考えて推進していく必要があると、こういうふうに考えております。
#46
○西村関一君 あそこに考古学の博物館がありますが、その館長なんかも一、何らかの機会に日本の考古学者と交流をしたいということを言っておりましたが、そういう機会があった場合に、日本政府としては文化交流という意味から受け入れる体制をお持ちでございましょうか。
#47
○国務大臣(福田赳夫君) これは交流基金がやることになりますか、あるいは文化庁あたりがやることになりますか、それは別といたしまして、政府としてそういう考古学の問題についての交流、これはもう一向私は支障がないものだと、かように考えます。
#48
○西村関一君 それから、私は関連ですから、たくさん尋ねたいことがありますけれども申し上げませんが、私が心配しておりますのは、文部省の所管であります留学生の問題これが必ずしもスムーズにいっていないというふうに考えておりますので、文部省所管あるいは科学技術庁所管のその他の問題につきまして、外務省が窓口になってまとめていく。この基金ができた場合、そういう指導をやっていかれるということが望ましいと思いますが、留学生の問題は外務省としても一無関心でないはずでございますが、そういう点が一点。
 それから外務省が従来やっておられます所管の文化交流、そういう問題があります。たとえば留学生の問題にしましても、国際学友会が外部団体として、補助団体としてございます。そういうもの、あるいは外務省が従来やっておる事業とこの基金との関係はどうなっておるのか、この二点だけをお伺いしたいと思います。
#49
○国務大臣(福田赳夫君) まあ国際交流という範疇に属する仕事が各省に多岐に分かれており、特に文部省、文化庁、そういうところと競合する問題があるわけであります。で、その総合調整を一体どうするか、こういうところに問題が確かにある。あるのですが、官庁のそういう権限の調整を行なうということは、なわ張りという問題は別といたしまして、かなりむずかしい問題があるわけなんです。そういうようなことで今回は、交流基金というものは、この権限、各省にまたがるところの諸問題と調整というものとは関係なく、一応交流基金の仕事というものを進めていくことにいたしますが、しかし、これはいずれどうしても総合的に見る必要が出てくるだろうと思う。そういうことはまあ当然考えていかなきゃならぬ問題であるし、また考えておるのです。逐次どういうふうにしたらいいのだろうかということを考え、この総合調整ができるような仕組みはぜひつくりたいと、こういうふうに考えておりますが、これは今後の問題といたしたいと思います。
 それからそういうような、まあ同じ意味もありまして、国際学友会はこれは外務省プロパーの仕事としてやってきておるのです。これは当面はそういう形でやっていく、総合調整についてはこれからの課題として考えると、その一つの問題であると、こういうふうに御理解願います。
#50
○森元治郎君 田さんの質問にもありましたが、例の一千億構想ですね。いま田君に対する答弁を聞いておりますと、だんだん後退をして、期待する財界は協力の姿勢にはあるが、当分は財政資金でやるほかないというような後退したあれですが、大臣が目ざした経過をこの際話してくださいよ。経団連に話したら、初めはしっかりやろうと言ったのか、しぶしぶだったのか。不況だの好況だの、好不況は商売の当然の高低の動きですから、やるのだという、やりますという強い返事があったのか。選挙資金なんというと、けっこうこれで五百億ぐらい、あなたの福田会だって相当入るのでしょうから、そんなものが入ってきて、何でこっちのほうはしぶしぶ一億だの二億だのと言っている。財界はどういう態度であるか。私は財界のことは知りませんから、植村甲午郎さんに話したのかもしりませんけれども、財界は一体どういう態度か。
#51
○国務大臣(福田赳夫君) これは五、六年前ですが、まあ数年前と申し上げたほうがいいんでしょうと思いますが、財界自体に、政府とは関係がなく、国際交流の基金を設けたいと、それが一千億財団ということで打ち出されたことがあるんです。これはもう政府と全然関係ない。ところがそれは構想にとどまりまして実現ができなかった、立ち消えになってきておるわけです。しかし、政府として考えてみますると、どうしてももう日本は経済的に非常に発展し、世界じゅうにいろんな関係を結ぶようになってきた。ところがどうもそれが物的なつながりにとどまっておって、これが民族の心と心との関係というところがないものですから、まあいろいろのしみも出てくるおそれを感ずるような状態です。もう日本は世界の中で、ほんとうに国際交流というものを真剣に考えなければならない立場に立ったというふうに考えまして、一度民間自身の発意で盛り上がろうとして消えた、その考え方をまた財界にこれを復活を求めると、こういうようなことでなくって、政府自身で一応やっていこうというふうにいたして、政府自身でやるからには、これは財界においても協力を願いたいと、こういう要請をいたしたわけです。それに対する財界の反応は、これは非常に積極的です。私どもも数年前からぜひこれをやらなけりゃならぬと考えておったんだが、できなかったことである。政府がやるにおいては大いにこれは協力しますというので、こういうことでかなり熱意を持った応答でございます。ただ、現実の問題とすると、いま景気情勢等があまりはかばかしくない、そういうことですから、金額にいたしますると、さほどのことはできませんというふうに言っておりますので、意欲的にはたいへん基金につきましては理解もし、またこれを支持し協力する体制にあると存じます。
#52
○森元治郎君 一千億は大臣の力で必ずつくってみせるということが言えますか。
#53
○国務大臣(福田赳夫君) 実は私は大蔵大臣の末期にこういう必要を痛感したわけでございます。これはどうしても処理しなけりゃならぬ。それでそういう考え方を大蔵大臣時代に打ち出しておるわけであります。私の考え方を率直に申し上げますと、これはまあ非常に大事な問題でありますので、これは異例な措置をとってしかるべきくらいなものである。それで千億財団を設定すると、いきなりです。そしてその資金は交付公債をこの基金に与える、一千億円。そういう形でスタートをするということを考えてみたんですが、その後私の考え方が、どうも性急に失すると、こういうことがだんだんわかってきたんです。つまり千億の初め財団といいますと、七十億円ばかりの金が使えるということになりますが、しかし七十億円の金を使うその準備体制、これはとても整わぬ、やっぱり初めは準備期間というものが要る。このスタートを間違うと、たいへんまた多額の金であるだけに、たいへんなことにもなりかねない。そういうことを考えて、まあさしあたり百億円台の基金で発足する。その間に十分このあり方、運営の方法というものを練って、そしてそれができ上がった段階でこれを拡大していくということにしたらどうだろうということに考えが落ち着いたわけです。少し私が大蔵大臣時代に考えたことはちょっと性急に過ぎたというような感じを持つに至ったわけであります。
#54
○森元治郎君 これで終わりますが、皮肉じゃありませんが、幸い準備もできていない、金も入っていないと、それで準備期間つくってスタートして、これから仕事もきめる、それから金を集めてもおそくない。いま、たくさんもらったってどう使うということもできないといったような状況と理解をします。それはこういうスタートには、財界の人は商売人ですから、いつ、どっちにいくかわからぬですから、やっぱりこれは支援する一つの委員会なり――委員会というか、大臣の諮問機関というか、つくって、これを組織して気をつけておかないと、そのときそのとき、これ、重役サラリーマンですし、どんなに変わってしまうかしれませんから、事務的なことをやりながら、がっちりとそういうサークルをつくられることも大事だと思うので、これは意見ですが、私は終わります。
#55
○渋谷邦彦君 まあ大体議論も尽きた感がありますが、私は、先回に引き続いてもう一ぺん整理をして一、二点申し上げたい。すなわち、この趣旨についてはおそきに失したけれども、大いに積極的に推進すべきであるということに私どもも異論はありません。ただ、この種の機関というものは、政府にいたしましても、あるいは政府関係機関というもの、趣旨まことにけっこうでありますけれども、その運営にあたってまことにうしろ向きになる、そういう危険性というか、そういう可能性がしばしばあるわけです。日本は、PRについては最もへたくそだという定評があるわけです。そうした点についていろいろとこれから運営審議会ですか、そういうものも設けられて具体的な対策、今後の方針というものがおきめになられていくんだろうと思うのですけれども、しかし、政府がこうして特殊法人としての機関をおつくりになる以上は、やはりそれらいままでのいろんな事実関係というものを踏まえて、これを円滑に運営するためにはどういうところに力点を置いて、そしてまた、とりあえず、この出発にあたってどういう仕事から手がけていくかというスケジュール等もおありになるのではないだろうか。やはりそうしたことが明確になってスムーズにこの種の基金というものが展開していくだろう、こう思われるわけです。いままでしばしば指摘されてきたように、ことのほかに、今後、啓発宣伝関係というものが非常に大きなウエートを持つだけに、そういう点をどうカバーしながら実効をあげていくかということをこの機会にお伺いしておきたいと、こう思います。
#56
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御審議を願っておるこの法案が成立いたしましたならば、そう時間をおかないで、すみやかに設立準備会議というものを開催してみようかと、こういうふうにまあ考えております。それでこの設立準備会議は、かなり各界のこういう問題の権威者というような方から構成すると、そしてこういう基金というものをどういう運営にいたしていくかという、これはまあ非公式の意見をまとめていただくと、こういうふうに考えておるんです。で、この設立準備会議、これは数十名の多数の方をもって構成しますので、やはりそこに小委員というようなものを置いたらどうだ、これもまあ十分慎重な選考をしてみたいと、こういうふうに考えておるわけです。そういう準備段階を経まして、十月一日にこの基金が発足をすると、理事長以下の役員等の任命も行なわれる、こういうことになるわけであります。同時に、おそらく国際文化振興会のほうはこれに先立ちまして解散を行ない、その業務を今度新しい基金が引き継ぐ、こういう形になる。こういうふうに段取りといたしましては考えております。
#57
○渋谷邦彦君 要綱を拝見いたしますと、「基金の設立に関する事務を処理するため、」「設立委員を任命する。」こうありますね。これは審議会のメンバーあるいは理事長その他役員等のメンバーとはやはり全然違うわけですか。同じような人がやはり設立委員のメンバ一の中にも加わるのでしょうか。
#58
○政府委員(加川隆明君) 二つございまして、運営審議会というものがあります。これは先ほど来大臣が申しておりました学識経験者等を含む二十名以内。それから設立委員というのは、この法律に書いてありますのは、これは特殊法人をつくるときに全部必ずある規定でございまして、各省事務次官、それから二、三名の学識経験者を含んだ会議をつくるわけでございまして、これは全く何と申しますか、特殊法人の設立に際して慣例的にある会議で、これは別に特に基金の方向を定めるというようなものではございません。
#59
○渋谷邦彦君 問題は、この設立準備会議ですか、この方々がどういう検討を加えられ――やはりここが一番軸になるとぼくは思うのですね。審議会のメンバーであるとか、あるいは新たに委嘱を予定すべき理事長だとかその他の役職員についてもここらあたりできまるのじゃないかという感じがいたします。それだけに、確かに法律に定められた規定に基づいて委員というものがきめられていくでしょう。ただその際に、しばしばいままでも注意を喚起してまいりましたように、一つのお手盛りみたいな、ただ機械的にいろんな人事をきめていくというようなおそれがないとは言えないという過去のいろんな経緯があるだけに、その辺は、設立準備会議の中でいろいろ検討された事項については、やはり福田さん御自身がチェックを最終的にはなされて、あらゆる面から網羅された態勢でもって臨むという最終結論をお出しになることになるんでしょうね。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) 設立準備会議は、これは私に対していろいろ意見をお述べくださる、そういう機構でございます。この委員会におけるいろんな考え方、これは私が十月一日に発足するこの基金に対する姿勢、これをきめる上においての重要な資料とするということは、これはもちろんそのとおりに考えております。
#61
○渋谷邦彦君 最後に一つだけお尋ねをしておきたいと思いますが、いろんな事業計画がここに列記されております。特に日本の事柄について、まあ外国の理解を深めること、それに伴う日本語の普及、教育、あるいは留学生等の問題、そこらあたりが相当大きなウエートを持つ課題だろうと判断されるのですが、まあ私の記憶必ずしもさだかでありませんけれども、つい数年くらい前の何かロンドンかどこかで発行された小学生向けの教科書ですか、あれを見ると、依然として東京あたりで馬車が走って、ちょんまげを結った人が歩いているというような、そういう絵入りの教科書がある。これはもちろん極端な例かもしれません。いずれにしましても、大体、まだ最近の時点になっても、相当戦後交流が進んだはずなんですけれども、日本に対する全般的な理解が足りない。まあいろんな点がそれはその障害としてあったろうと思います。いまその点についてとやかくどうこうということは言及を避けますけれども、一番そうした問題を通じてシャープに、しかもストレートに、何といいますか理解の判断を与えるという面では――ここにも視聴覚という問題が出ております、その普及というものが、おそらく映画だとかそういう問題だと思いますね。そうした問題について、特にこの基金自体が、どこか特別に依頼して、日本の文化、風物詩を取材して、それをどんどんあらゆる機会に紹介をするなんという方法が一番手っとり早い、日本をある意味でずいぶん深くとは言わなくとも、日本の現在置かれたいろんなレベルというものについても理解をさせていく一つの方途であろうということが考えられるのですが、われわれ単純にしろうとが考えまして、そうした点についてもおそらくこれからも積極的におやりになろうと思いますが、そういう個々の具体的な事業についても当然これからの審議会等において検討されると思いますけれども、われわれの要望としては、そういうまず可能性のある問題から直ちに手がけてもらいたい。これは要望を含めて申し上げたいわけであります。その点について、できることとできないこととありますね。できないということは時間がかかるということなんで、何といってもすぐできることから始めてもらいたい。その辺はどういうふうになっているかを尋ねて私の質問を終わりたいと思います。
#62
○政府委員(加川隆明君) お答えいたします。
 一番最後のフィルムの問題でございますが、これはオーディオビジュアルと申しますか。フィルムは外務省直轄でつくっているところが現在年間四本ございます。これは十六ミリでございますが、それから民間でつくったものを買うというのが約二百本くらいかと思います。これを全部在外公館に出しまして、これは日本の産業、いまおっしゃった風物、そういうようなものをこれを全部含めましてスペイン語、英語、フランス語、それからロシア語もつくっております、まあそういうふうなことをやっております。ただ、これはまだ非常に数が少ないものでございますから、こういう点は十分今度の基金でも考えたい、こういうふうに考えております。
 それから、今度の最もの重点はやはり人物交流でございまして、これは先ほど森先生、田さんから出たと思いますが、マスに対する広報というようなこと、これを考える。ただ単に文化人ということではなくて、若い青少年に向けるというような形を整えたいというのが大臣の構想でもございますし、私たちもそういうふうに考えております。
#63
○星野力君 これまで外務大臣や外務省の説明、答弁をお聞きしてきたんでありますが、この基金が何をやろうとしているのか、積極的な意義がどこにあるのか理解しかねておる状態であります。せいぜい財政の裏づけを強化することによって、これまで国際文化振興会がやってきたこと、あるいは外務省の文化事業部のやってこられたことをもう少し手広くやるというような構想なのではないかとも想像しているわけですが、その辺がどうかという問題が一点であります。
 それから相互交流をうたわれておるのでありますが、おもなことは、日本から出ていく、日本のものを見せる、日本を宣伝するということが主であって、諸外国についての理解を深めるということはあまりやられそうもない、一方的、一方交通的な仕事になるのではないかと考えられるわけでありますが、この基金の仕事は宣伝とかPRとかというものとは違うんではないかと思うんですが、違うのか、どういうふうに違うのか、この二点お答え願いたいと思います。
#64
○国務大臣(福田赳夫君) この基金の仕事は、在来外務省がやっておりまする宣伝活動とは性質が違うんです。つまり、情報文化局というものがありまして、そこで仕事をしておる。これは日本の政策のPR、そういう活動なんです。これは今後といえども必要なことでありますので、これも強化するという方向を考えておりますが、同時に、この基金を設置するに至りました理由は、わが日本と世界の各国との交流が頻繁になってきておる、非常に関係がどの国との間でも緊密化しておる。ところがそれは経済に偏しておる。そこで日本と諸外国との関係を経済偏重でなく、特に日本というもの自体の理解、幅広い理解、相互理解、そういうものにしていきたいということから、特に文化を中心にいたしました平和的な姿勢での交流、こういうものに大きく目を開かなければならぬだろう、そういうふうに考えるに至ったわけなんです。これはほんとうに私は必要なことになっておると、こういうふうに考えるんです。いわばいままでの外務省の行なってきた事業、これは国際文化振興会の仕事、これは継承をいたしまするけれども、考え方につきましては、ほんとうにこれは新しい日本外交の姿勢の一環である、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
#65
○星野力君 交流といいますと、どうしても人がやるんで、人が一番大事、それから機構の問題だと思いますが、先ほど来のお答えで理事長は民間人、それから理事は混合体、こういうふうにおっしゃっておる。私、理事もとりあえずはたいして大きくない世帯なんですから、四人もの理事は必要ないんで二人くらい民間からしっかりした人間を選んだらよかろうと思うんでありますが、問題はさらに運営審議会ですね、ここに民間の英知を結集するというお話もありましたが、どういう方面からこれ選ばれるのか。全部民間人でございますか。
#66
○国務大臣(福田赳夫君) これは全部民間人です。
#67
○星野力君 審議会、諮問機関ということになりますと、委員は手ぶらで会議に出て理事者側から示される方針を聞かされて思いつきを言うというのがどうも一般のように聞いておるんでありますが、大臣の言われる審議会中心の運営ということになりましても、この法案自体にはその裏づけがないわけでありますが、その辺の保証はどういうふうにお考えになっておりますか。
#68
○国務大臣(福田赳夫君) これは外務大臣がそういう考え方であればそれは理事長に伝わるわけです。理事長がそういう考え方になるということになりますればそういう運営が行なわれる。別にこれを法的にそれを明定しておくという必要はなく、事実実行できる問題だ、こういうふうに考えております。
#69
○星野力君 この基金を今後よく運営していく上ではその辺が一番問題だと思うんですが、権限がないことにはやっぱり理事者側の、あるいは政府の方針というものがまかり通ってしまうようになる危険があると思うんです。外務大臣が監督なさるということになっておりますが、日常的には大臣が別に目を光らせるわけにもいきませんから、どこかの部がこれを担当すると思いますが、どこがこれを担当いたしますか。
#70
○国務大臣(福田赳夫君) これは文化事業部でございます。
#71
○星野力君 文化事業部のどこでございますか。
#72
○政府委員(加川隆明君) 文化事業部全体であります。
#73
○星野力君 そうしますと、やはりいまのKBSと文化事業部の関係と同じような関係だと考えられるのです。せっかく大きな構想をもって、抱負をもってやられる事業なんでありますから、自主性がなければ創意的な仕事なんかできるはずがないのですよ。理事長、理事、それから運営審議会を含めてここの事業の企画、予算編成、人事、これが政府の制肘を受けないようにやられる必要があると思う。言ってみれば金は政府が出すが口は出さぬ、そういうふうにいたさなければいけぬと思いますが、大臣、どうですかその辺は。
#74
○国務大臣(福田赳夫君) 大体そういう精神で進めていきたいと思います。
#75
○星野力君 ここの職員はさしあたって五十五人でございますね。で、KBSのほうは希望退職者を除いて三十六人というふうに聞いておりますが、残りはどこから採用いたしますか。
#76
○政府委員(加川隆明君) KBSの職員は三十五名になります。それから希望退職を除きましてと申されておりましたが、希望退職者はまだ出ておりませんので――出ておらないと承知いたしておりますので、まあたとえばもし二、三人出れば三十二、三名ということになります。それから基金のほうはさしあたって五十五名、理事者を入れますと五十九名になりますが、五十五名であります。そこで残りの二十名前後については、ただいま大学等にお願いいたしまして、新しい人に働いてもらいたい、こんなふうに考えて着々準備を進めております。
#77
○星野力君 官庁から外務省、文部省などからここに出向するということは考えておられないわけですね。
#78
○政府委員(加川隆明君) これはやはり行政体でございますので、いわゆる文化というほうのエキスパートの方が必ずしも行政面で優れているという、御経験があるということでもございませんので、たとえば経理というようなもの、こういうようなものはやはりそういうところから出た人のほうが、こういう特殊な仕事を運営するには適しているのではないかと考えております。けれども、必ずしも具体的にだれをどういうふうにということを考えておりません。
#79
○星野力君 経理などの行政面にたんのうな人を官庁から出す、こういうお話なんですが、そうするとさしあたり二十人前後――何人もそう人は要らないと思いますが、どうですか。何人くらいですか。
#80
○政府委員(加川隆明君) 全くその点についてはパーセンテージを何名というふうには考えておりません、やはり適材適所でいく、こういうことを考えております。
#81
○星野力君 適任者、適材適所、こういうことばが出るのではないかと思っておったのですが、この問題、皆さん先ほどからもその点心配されておると思うのですけれども、この基金の仕事、やはりかなり高度の専門的な仕事になると思うのです。そういう場合に官庁の方が二、三年交代で出かける、あまり経験も文化交流などにない、しかもそういう人がどうせ出向いていくなり、これは幹部として、部課長としていくケースが多いと思うのでありますが、そういう腰かけ幹部でもって運営されるというようなことになると、これは自主的な創意的な仕事というものはうまくいかないじゃないか、こういうふうに考えておりますが、そういう腰かけ幹部の問題についてはどうですか。
#82
○政府委員(加川隆明君) 腰かけ幹部ということでございますけれども、まあ先ほども申し上げましたとおり、適材適所に置くと、こういうことでございますし、先ほど来大臣が申しましたように、運営審議会等を通じて、大きなラインはこれはもう全く民間の創意といいますか、そういう点で理事長は民間から出るということを考えておるわけでございまして、そういう形で運営をし、民間の創意を生かしたいと、まあこんなふうに考えております。
#83
○星野力君 いま言った腰かけ幹部もこれは悪いですが、もっと悪いのは、終身出向幹部というのは一番悪いと思うんです。これは官庁としてもあまり自分のところに必要のある人材は出さぬ。必要のない人を出すというようなことになりやすいと思うのですが、そういう人たちは幹部の位置にすわって交代なし、腰かけ幹部なら二、三年すれば帰って行くんですからまあいいんですが、これは交代なし、死ぬまでやる、退職するまでやるということじゃ、これは大いに基金の仕事を阻害していくことになると思うんですが、そういうやり方、まあ経理なんかの問題で、どうしても、必要のところまで私やめろというわけじゃありませんけれども、こういう出向幹部というのは原則としてやらぬ。そうして基金自身が独自に人材を採用していく、そうしてはえ抜きの専門家をつくっていく。そういう方向でもってこれは対処すべきじゃないかと思うんですが、ついでにお聞きしますが、管理職は何人ぐらいになるんですか。
#84
○政府委員(加川隆明君) ただいまのところ管理職をどういうふうに何名置くかというふうな組織上のことは考えておりません、ということはきまっておりません。ただし予算上は十二名。
#85
○星野力君 五十五人の職員のうち十二人が管理職ということでは、これはやっぱり多過ぎると思うんですね。少ないほうがいいと思います。
 それから労働条件のことについて先ほど質問もあり、お答えもありましたが、他の特殊法人、同じような対外的な事業をやっておるところのアジア研究所とかジェトロなんかに比べても、かなり給与は低いという数字が出ておりますが、その点は大体その程度まで、いまあげたような特殊法人のレベルまでは引き上げられるものと理解してよろしゅうございますか。
#86
○政府委員(加川隆明君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、特殊法人というのはたいへん数がございます。やはりそういうおのおののアベレージ、それから仕事の性質等を考えまして、新しいものを、新しいそういう給与等をきめていくことになると思います。ただし、申し上げますとおり、これは新しい理事者の権限でございまして、外務省といたしましてはそういうことを考え、また現在の状況よりは不利にならないようにということを考えております。ちなみに大体予算上で考えておりましたことは、少なくとも同種の官吏の給与より五%ないし一〇%高いということは当然考えております。
#87
○星野力君 まあその辺を配慮しないと人材は集まらぬ、養成もできないということになると思うんでありますが、まあKBSの人たちを引き継がれるということになるんですが、退職金なんかも計算もいままでの基準を引き継いでいく。それからボーナス基準なんかも引き継がれることによって、有利にはなっても悪くならぬというふうに考えますが、これはそうなら別にお答え要りません。
 それからあのKBSの海外派遣、それから先ほどもお話ありましたが、これは現地の事務所を持っておらないわけですが、何か現地の大使館の雇員というような身分だということですが、雇員というような身分でこの重要な事業を海外において遂行するというのはちょっとひどいと思うんですが、その辺はどうなるか。
#88
○政府委員(加川隆明君) ローマとケルンには文化会館ございまして、これは外務省の国有財産でございますけれども、運営を受け継がれる。
 それから、それ以外にサンパウロとニューヨークだったと思いますが、そこに派遣員が出ております。これは雇員ということではございませんで、国際文化振興会の職員として出ているわけでございます。ただ実際問題といたしましては、お金がないというので、職員を派遣するだけの費用で、事務所がないというようなことで、大使館の一部に入っておるというようなこともございます。また、ロンドンにもございます。そこで、そういう状況を直したいというのが、この国際交流基金を設立したゆえんと目的でございますので、そういう点を直していきたいと、こういうふうに考えます。
#89
○星野力君 ニューヨーク、ロンドンのほかに、ブエノスアイレスにも派遣が行っておるというようにわれわれは聞いております。われわれは雇員なんだということを言っておりましたが、それは是正するとおっしゃるんだから、それは信用して、その問題は打ち切ります。
 別の問題ですが、ひとつお聞きしておきたいのは、占領下に政府関係の文書がアメリカに持ち去られた問題ですね。記録と図書及び占領前の旧内務省関係、特に特高警察関係、言論取り締まり関係のもの、陸海軍関係の記録、戦後、占領軍検閲関係当局に納本されたもの、数十万あるいは数百万件などと言われておりますが、どういうものがどのくらい持ち去られたのか、時間がございませんから、ごく簡単でよろしゅうございます。
#90
○政府委員(加川隆明君) 本件については、昨日参議院の決算委員会で、総理に対する御質問がございましたのでございますけれども、全体のリストはできております。
 それから公文書あるいは図書、政府のものは、これはサンフランシスコの平和条約で、当然に――当然にというのは失礼申し上げました、アメリカ軍に持って行かれたというものに対しての損害賠償請求権も、それから請求権も、ともに放棄いたしておりますので、それから私文書と申しますか、私人の持っておるものについても、請求権を放棄いたしておりますものでございますから、現実としてアメリカ側に返してくれということはできないと思います。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) いま米軍に占領中押収された文書につきましては、答えがあったとおりでございますが、これはもう日米関係、沖縄返還も一済んだこういう段階でありますので、向こうに残っておるというようなものにつきましては、これは返してもらうというための話をしてみたい、そういうふうに思っております。
#92
○星野力君 これはぜひしつかり話をしていただきたいと思います。
 三月八日に、決算委員会で久保田国会図書館長が説明されておりますが、陸海軍の記録は大半返されて防衛庁の戦史室あたりにあるそうでございますが、いわば一部が返されて、その他は返されておらない。アメリカのワシントンの議会図書館に二十八万冊、その中には内務省関係、当時の治安関係資料、特高資料も含まれておるわけでございます。これらはいずれも重要な歴史的な資料であります。戦前のそういう問題を調べようとしましてもなかなか資料がない。たとえば特高月報なんというものがコピーされたものが古本屋で四十万円、五十万円で売られておるという状態、そういう資料がアメリカにごっそりあるということであります。また、GHQ、CIEの検閲官であったゴードン・W・プランジですが、かれは納本、検閲のゲラ刷りまでそっくり持ち返って、そうして御存じのようにメリーランド大学のマッケルディン図書館にプランジ・コレクションとして単行本六万冊、新聞、雑誌一万タイトルがあるというんです。しかも久保田国会図書館長の答弁では、一昨年四月の水害でだいぶいたんでしまっておるということです。こういう状態で、実際これは情けなくもありますし、このまま済ましていいことではないと思うのですが、ぜひ取り戻してもらいたいと思います。これはまあ請求権放棄したとおっしゃるのですが、陸戦法規などからしても押収できないような性質のものまでみんな持っていかれておる。そういうものに対してもやはり請求権は放棄したことになるんでしょうか。
#93
○政府委員(加川隆明君) このサンフランシスコの平和条約は特殊法でございまして、陸戦法規は一般法でございますので、特殊法のほうが優先する。それからまあ後法は前法に優先するということもございますので、外務省といたしましては、これはサンフランシスコ平和条約に基づいて処理すべき案件というふうに考えております。
#94
○星野力君 時間がきたようでありますから、もうこれで終わりますが、これも重大な戦後処理の忘れられておった問題だと思うんです。外務大臣がさっき言われたような立場で、これひとつしっかり交渉していただきたいということだけを申し述べておきます。
#95
○森元治郎君 ちょっと、たいへん大事なことを聞きそびれておったんだが、運営審議会の委員は全部民間人ですか。大臣もそういうふうにお答えになったように聞いていたんだが……。
#96
○国務大臣(福田赳夫君) これは全部民間人というふうに考えております。
#97
○森元治郎君 そうしますと、衆議院の附帯決議を見ると、あなた、ぬけぬけと御趣旨を体してなんて答弁しておりますけれども、「民間各界からの起用を特に考慮し、」と、こう書いてあるんですね。これは全部民間人ならば、こういうのを書かなくてもいいようなのを書いてあるんですね。大臣はこれを尊重してなんて言うのはおかしいと思うんですがね。黙っていれば通るんだから黙っていたほうがいいなんて……。
#98
○国務大臣(福田赳夫君) これは私のほうから言っているのじゃないです。国会のほうから……。
#99
○森元治郎君 そう、あなたが今度御趣旨を体してやりますと言っているから……。
#100
○国務大臣(福田赳夫君) 私の気持ちは、ただいま森さんにお答えしたとおりであります。
#101
○羽生三七君 こまかいことで一つだけ、簡単ですが、七、八年前私が成田さんと社会党から成田ミッションでソ連、東欧を訪問したことがあるのです。そのときに東欧の幾つかの国で日本語の話せる人がいなくて、しょうがないので夏休みにモスクワ大学から帰ってきておった学生を、へたな日本語でしたが、問題にならぬほど、それを使ってようやく、しかも先方は国家元首といったような人たちとの対談です。そういう場合でもそういうことがあったわけですね。その後数年たっておるわけですが、そういう諸国における日本語のできる人というのはどのくらい現在あるのか。それから日本では何かそういうことに対して配慮しておるのかどうか。
#102
○政府委員(加川隆明君) ちょっと日本語のできる人の数というのは、ただいま私承知をいたしておりませんけれども、在外における日本語の普及と、それから日本語教育をどういうふうにするかということは丁今度の国際交流基金の一項目に載っかっております。そして、いままでやはり足りなかったと思います。東南アジアはもちろん、それから東欧圏でも、向こうから来てもらって勉強する、それからこちらから講座といいますか先生を出すというようなことはいま考えております。おそらくこの基金でやれると、こんなふうに考えております。
#103
○羽生三七君 いまのはルーマニア等の例ですね。それ以外にも、もうほとんどしゃべれる人がいなくて、その後数年たっているからある程度できているかもしれないけれども、非常に行ってみて驚きました。こんなにも日本語を知っている人がいないのかという、しかも国家を代表するような人との会談ですらそういう状態ですから、普通のツーリストなんか推して知るべしなんですね。
 それからもう一つは、これは御答弁要りませんが、これは逆の場合で感心したことを一つ。河野議長と訪ソしましたとき、グルジヤ共和国へ行きました。そうしたら、贈られたのが啄木の歌百首、日本の古い歴史の物語りを書いた単行本、それぞれ二冊贈られましたが、ソビエトの連中は全然わからないのですね、グルジヤ語ですから。地方の人たちだけがわかる。そういう地方都市でそういうものをわざわざ出版をして、そして私どもに贈呈してくれて、いま会館に置いてありますけれども、非常に興味あることだったと思いましたが、先ほど日本のことだけの紹介でなしに、向こうのこともという御意見もありましたが、やはりすぐれた文化は日本のほうでも向こうのものを紹介する仕事も大事だと思う。これはまあ、ただ注文だけであります。
#104
○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#106
○森元治郎君 本案に賛成でありますが、基金の運営にあたっては、民間人をもって構成する運営審議会の意見を尊重して、その積極的活用をはかること、ひとつこの際発展的に解消する国際文化振興会の職員の処遇、すなわち人材の登用、給与など労働条件の改善、労使の自主的交渉などについてはあたたかく善処していくとの政府答弁を信頼して、本案に賛成します。
#107
○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。国際交流基金法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#109
○委員長(八木一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#111
○委員長(八木一郎君) 次に、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件つきましては、前回趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#112
○加藤シヅエ君 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約について、若干の質問をいたします。
 この条約を締結するにあたりましては、国内法の整備という意味におきまして、公害対策及び環境保全特別委員会におきまして、特殊鳥類の護渡等の規制に関する法律案を審議いたしまして、昨日附帯決議をつけまして審議を終わり、全会一致をもって可決いたしたわけでございます。環境庁長官に対しましては、その委員会の席で十分に質問をいたし、御答弁もいただいておりますので、あまりにたくさんの質問をいたすわけではございませんけれども、特に環境庁長官にここにおいでいただきましたのは、この条約を批准するにあたりましては、どうしても一環境庁長官と外務大臣と、そこに仲よく並んでいただきまして、こういうような種類の法律は、日本としてはたいへん珍しい、海を渡ってくる鳥というようなことについて条約を締結する、これは新しいことではないかと思います。しかし、こういうような問題は新しいというのがむしろふしぎでございまして、もっともっと早くからこういうものはできていなければならなかったにもかかわらず、いまごろようやくこういうものができたということは、ある意味におきまして、日本の文化の水準の低さというものがここに露呈されているのではないかと思うわけでございます。でございますから、私は福田外務大臣に、ただいま可決いたしました国際交流基金などの文化の交流ということにつきましても、いままでのような日本のいわゆる文学とか芸術とか、そういう面の文化ということ以外に、もっと範囲を広げまして、環境の保全、動植物に対する心がまえ、その取り扱い、深い研究、その発表というようなものが、やはりこれが国際文化の交流にたいへんな意味を持つものだと、むしろこのほうが現時点においてはより世界に向かってアピールするところが多いのではないかと、こんなふうに考えますので、まあこの協定の成立につきましては、外務大臣といたしましても、今後どうかそういうような意味をお持ちになりまして、いろいろとお考えになっていただきたい。ことに環境庁長官はこの六月に開かれますストックホルムの人間環境会議に日本を代表して出席されますので、その途次モスクワに寄って、今度はソ連ともこの渡り鳥協定について話し合いをさらにお進めになるというようなことも承っております。また環境会議に、ストックホルムの会議にお出になれば、いろいろの国際人にお会いになります。で、そのときには、アメリカとこの協定ができたらどうしてもカナダともつくらなくちゃならない、あるいはメキシコともつくらなくちゃならないかもしれない。それから今度は南のほうの国々、そして中国、いろいろの国ともだんだんとつくっていかなければならない。これはぜひどんどんと進めていただかなきゃならないことでございますし、また進めていただくことが日本の文化についておくれを取り戻す努力でもあり、またエコノミックアニマルの汚名をそそぐ一助にもなるのではないかと、こういうふうに考えまして、外務大臣にもそういうような御認識をさらに深めていただきたい、こういうことをお願い申し上げるわけでございます。ここにこれはたいへん古い話でございますが、一九三六年にアメリカ合衆国とメキシコとの間で渡り鳥及び狩猟哺乳動物の保護に関する協定というのが締結されております。で、その締結されますときなんかにはこれを非常に重要視いたしまして、この法律締結のためにそれぞれ全権委員を任命して、そしてそれの締結をなすった、そして大統領の宣言というものがそこに発表されているわけでございます。ですから、まあその例にとればこの初めての渡り鳥協定に対しては、環境問題についての一番本部長でいらっしゃる総理大臣の宣言ぐらいあってもいいんじゃないか、そのくらいの気がまえで日本もこういうものに取り組むんだという姿勢を示してよろしかったんじゃないか、こういうことを申し上げたいのでございます。そしてもう一つは、この協定の前文でございますが、「日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、鳥類がレクリエーション上、芸術上、科学上及び経済上大きな価値を有する天然資源であること、並びに適切な管理によってこの価値を増大することができることを考慮し、」云々という、こういうたてまえでございますが、これはいままでのメキシコとアメリカとの協定その他の先例によってつくられたもののように見られるのでございます。で、私はいまはそういうような先例によるのではなくて、あれから時代がずっと変わっておりますので、もう少しほかの次元からこれを取り上げるべきではなかったかと、いまから申しましてもおそいのでございますが、次にまたいろいろな国ともおつくりになるということでございますから、そのときの御参考にしていただきたいと考えまして、もう少し人間環境というようなものの大事なこと、かけがえのない地球の上の大事な資源であるということで、これは世界共通のたいへん大切な財産であると、それをみんなでそれぞれの分野において保護しよう、こういうような大きな気持ちを持って取り組むというような、そんな気がまえをこういうような条約の前文にも示していただきたかった、こんなふうに考えるわけでございます。
 たいへん長いこと申し上げたんでございますが、外務大臣、ただいま私が申し上げたことに対しての御所見を聞かしていただきたいと思います。
#113
○国務大臣(福田赳夫君) 加藤さんのお話、私も全く同感でございます。この条約前文の表現について御意見がございましたが、このこと自体、人間環境ということを、包括的にいいますると人間環境の改善推進と、そういうことだろうと思います。若干従来の字句等も参考にしてありますが、そういう人間環境問題が非常にいまきびしくなってきておる、そういう際、人間環境ということばは出ておらぬという点に御着目のようですが、趣旨はそういう趣旨なんです。御意見は深く傾聴いたして今後の参考にいたしたいと、かように考えております。この今回御審議を願っておりますこの条約は、もうわが国といたしますると全く画期的なものでございます。しかし、いま御評価いただきましたように、たいへん大事な措置でございますので、ちょうどこういうものができたこの機会に、これを各国との間に取り広げていくということを考えてみたい、さように考えておりますので、どうかひとつ御協力のほどをお願いいたします。
#114
○加藤シヅエ君 各国というのは、いま考えていらっしゃるのはどこでございますか。
#115
○国務大臣(福田赳夫君) いまさしあたりはソビエトであります。これはソビエトは二百数十種の鳥がわが国との間で往来をしておる、こういうことでございますので、まあこのソビエトロシアをまず相手として話し合いを遂げさしたい、これは現にこの正月グロムイコ外務大臣が来日いたしましたその際に私のほうからお話を切り出しております。まあグロムイコ外務大臣はそのときこの問題について予備知識がなかったものですから、イエス、ノーという返事はできなかった状態でありますが、ちょうどいまお話しのように、ストックホルムの人間環境会議、それに出席されるわが代表大石長官が――あれは帰りになりますか、行きがけにモスクワに立ち寄りましてその話を進めると、こういうふうになっておるわけでございます。次にまあ大事な国は中華人民共和国であります。おおよそ二百種類くらいな鳥がわが国との間を往来をしておる、この間にも考えていかなきゃならぬ問題がある、こういうふうに考えます。ただ、いま国交がありませんものですから、その国交正常化と、話の過程においては当然取り上げなければならぬ問題と、こういうふうに考えております。また御指摘のカナダ、これもアメリカ同様わが国との間に鳥類の往来があるわけでありますが、これもいずれ話は始めなければならぬ問題である、こういうふうに考えておる次第でございます。
#116
○加藤シヅエ君 大石長官に伺いますが、いま外務大臣が外務省としても次々にいろいろ御準備をなさっていらっしゃることで、ぜひそういうふうに進めていただきたいことでございますが、直接の鳥獣の保護を扱っていらっしゃいます長官といたしまして、今度アメリカとできる、そして次にはソ連とできる、さらにほかの国ともどんどんと、きっと向こうの国からどんどんと申し込みがあるでありましょう、そうしたら受けて立たなければならない。それでこの仕事は非常に忙しくなるわけでございますが、その中でも研究、調査というようなことが入っているわけでございます。そういうようなことに対しまして日本の環境庁のことしの予算なんかを見ますと、そんな予算で外国との協定がどんどん結ばれて、資料の交換、報告なんていうのが書いてございますけれども、そういうようなことがはたして十分におできになるのか。将来はどういうような抱負を持っていらっしゃるのか。どうしても予算やなんかのもっとなければいけないことがたくさんあるのじゃないか。そういうようなことについて御報告があったら承りまして、この機会に外務大臣にも、そういうときには大蔵省がちっとも理解がないようでございますから、ひとつ加勢していただかなくちゃならない、こういうふうに私は思っておりますので、長官どうぞお願いいたします。
#117
○国務大臣(大石武一君) いま非常に加藤委員から激励のおことばを賜わりまして、非常にうれしく思った次第でございます。
 おっしゃるとおり、ようやく外務省その他皆さまの御努力によりまして、初めて海を越えて二国間の渡り鳥保護条約ができたわけでございまして、なるほど条約そのものは画期的なものでございます。世界で初めてでございます、海を渡ったのは。しかし、まだその内容につきまして、あるいは国内の体制につきましては、おっしゃるとおりまことにさびしいものがございます。われわれはこれで決して満足するものではございませんで、何せいままでの国のものの考え方、行政の中へこの鳥獣をどのように保護するか、どのような守り方をするかという基本的な方針もあまりきまっておらなかったと思うのです。ですから、日本全体の鳥の保護につきましても、わずか千七百万の予算ということでございますから、これはもう民間の小さな一研究所の予算にも劣るくらいでありまして、これで日本全体の鳥の問題をめんどう見ようといっても、これは無理なことは当然でございます。幸いに、ことしはようやく大蔵省もいろいろな面で理解をしてくれまして、御承知のように一億二千万ほどの金がついたわけでございますが、これも七倍半にはなったというけれども、ほとんど絶対額はきわめて小さなものでございます。しかし、このような予算が何倍かにふえたということは、やはり日本の行政がいろんな自然保護、あるいは鳥類の保護ということに対して理解を持ち始めた、こう私は解釈していいと思います。ですからここに新しい日本のそのような考え方の行政の基礎ができたと思いますので、今後はこのような方向でいろいろと予算の面でも多く獲得できましょうし、それに従いましていろんな研究とかいろいろな対策を立て得るものと――われわれはもちろんそのようなことに進めたいわけでございますが、ようやく基盤ができたという感じで、あすからの明るい先の見通しを考えておるわけでございます。そういうことで、今後一生懸命に努力してまいる考えでございます。
#118
○加藤シヅエ君 外務大臣にちょっと知っておいていただきたいんでございますが、日米間にこういう協定ができまして、いま大石長官が申されましたような環境庁の陣容で日本ではこれに当たるわけでございます。これは序の口でございますからやむを得ないかと思いますけれども、それにいたしましても、相手のアメリカではどのくらいの予算を取ってこういう問題を取り扱っているか、御承知かと思いますけれども、内務省のフィッシュ・アンド・ワイルドライフ・サービスという役所でこういう問題すべてをカバーして取り扱って、そして役人の数が三千人、日本の環境庁鳥獣保護課は十一人というような開きでございます。その予算はいま長官が申されましたけれども、アメリカの予算は年間四百億ドルというようなわけでございます。これで向こうはどんどん調査をいたしまして、それで報告なんか、一緒に研究しようとかなんとか言ってくれば、そのつき合いはもうほんとうに日本としてはずいぶん苦しい立場に置かれるのじゃないかと思うのでございます。特に、絶滅に瀕している鳥類をこの協定で取り上げた、これも一つの画期的なこの協定の新しい面だと思います。これは非常にまあ重要なポイントでございますが、絶滅に瀕した鳥類というのは、こういうような協定がもっと早くできておりますれば絶滅に瀕しなくてもよかったわけでございます。これがおくれたばかりに、絶滅に瀕するような状態になったわけでございます。でも、まだ少しばかり残っているトキとかタンチョウヅルとか、あるいはほんとうに少ししか残っていないアホウドリとか、そんなものも何羽いるかということでみんな数えられておりますから、そういうようなものを減らしたりしたならば日本の信用にも関することで、こういうことに対しては十分に協定の手前も、忠実に協定を順守しているという形を示さなくちゃならない、こういうことを考えておりますが、その点もどうぞお考えくださるよう御考慮を願いたいのでございます。
 さらに、この問題につけ加えまして、この第一条の中に「適用地域は、次のとおり」という中に、(b)項で「日本国については、日本国の施政の下にあるすべての地域」とございますが、尖閣列島はこの中に含まれておりますでしょうか、外務大臣。
#119
○国務大臣(福田赳夫君) これはもちろん尖閣列島を含む趣旨でございます。
#120
○加藤シヅエ君 それはもちろんそうだと思っておりましたけれども、特にこれを確認する必要があるのは、尖閣列島は絶滅に瀕する鳥類がいるところで、非常に注目されているところでございますので、やはりこれが日本国の地域であるということになれば、ここに絶滅に瀕する鳥がおりますので、これに対しても配慮しなければならないということでございますから、それもひとつ覚えておいていただきたいのでございますが、いま絶滅に瀕する鳥ということで、私が、もっと早くこういうような条約ができれば絶滅に瀕さなくてもよかったということは、これは日本だけではございませんで、アメリカでもそうでございます。けれども日本の場合には、そういうことについて非常に注意が足りなかったし、関心も薄かったために、あたら大事な天然資源を絶滅に追いやっているわけでございます。それは日本人の鳥とか花とかというものに対する態度というものに少し問題があるんじゃないかと思います。日本人は花を愛し、鳥を愛し、自然を愛し、いろんな文学の上にそういうことがよく表現されているということで世界から知られているわけでございます。にもかかわらず、国全体の財産であって国の子孫にこれを伝えていかなければならないという考えに乏しくて、自分だけがこれをとってこよう、自分の家の床の間にいけてしまう、自分のこれを産業の一つとしてこういうものを使うというような考えにそれがつながっているというところにたいへんな日本人として反省すべき点があるんじゃないか。現に、けさちょっとニュースを聞いておりましても、どういうニュースがあるかと言えば、北海道であの美しいエゾリンドウと申しますか、美しい花でございますが、あれが観光客やいろんな業者にとり尽くされてしまって、全部絶滅に瀕そうとしているというようなことが一つのニュースとして出てくるわけでございます。そういうようなことは、これは環境庁のほうで自然保護の上からおやりになると思うが、次から次へこういう問題が起こってくる。日本人がそういうような態度であるということが、ことに絶滅に瀕する鳥の問題については不名誉な印象を国際的に与えているということでございます。この不名誉はこれは今後挽回していかなくちゃならないのでございますが、いま尖閣列島のこと伺いましたのは、尖閣列島はアホウドリが少し残っているという報告があるわけでございます。それから日本の伊豆七島の一つの鳥島にも少し残っている。ところが鳥島なんかには、昭和の初期の一つの視察の記録なんか見ますと、たいへんたくさんの数のアホウドリがここにいたわけでございますね。これを羽毛産業にするために取り尽くしてしまって、ほとんど、いまでは非常に少ない数しか残っていないので、繁殖するためにも非常に骨を折らないと数が少なくなるので繁殖もむずかしい。まあ、その世話をしなくちゃならない。また報告もしなくちゃならないということが義務づけられているわけでございます。このアホウドリなんかに対してどんなことをしてきたかということなんでございますが、ここに、これはアメリカの、アメリカン・ナチュラル・ヒストリーでございますが、その中にアホウドリの歴史が書いてあるのでございます。それでハワイの島から少し離れたところのレイサンという島にアホウドリがたいへんたくさんいたんだそうでございますね。それでこの島は全部アホウドリでもってカバーして、三十万羽くらいの鳥がそこにいたんだそうでございます。ところが、アメリカの欲の深い業者が目をつけて、このアホウドリの羽毛が非常に羽ぶとん、羽まくらによろしいのでこれをとろうということを考えた。ところが、こんなにたくさん狭いところへ一ぱい群がっている鳥を殺してとるということはたいへんなことらしいんです。どうしようかと考えた末に、それには冷血漢の日本人を頼むのが一番いいと、こういうことに結論がついたんです。それがちゃんとここに書いてあるんでございますね。それで二十三人の冷血漢が雇われて、そして数カ月の間に三十万羽のアホウドリを全部殺してしまった。それがひどい殺し方をして、それに気がついてアメリカの海軍の船がそこへ行ってキャプテンがすぐにそれをとめるために行ったんだそうでございますけれども、到着したときにはすでにおそく、その島は、鳥でカバーされていた島は全島が骨でもっておおわれているという写真がここに出ているんで、実にこれは鳥の歴史の中の残虐な歴史の一ページなわけです。それが冷血漢の日本人によってなされたと、こういうふうに書かれているのでございますから、こういうふうなことは、これに関係した人はこれをみんな読んで知っておりますので、どうか冷血漢の日本人というような、鳥に対してこんなところに利用されるというようなことの汚名をぬぐうためにも、この協定につきましては十分な、日本人がほんとうにりっぱな態度をとっているというふうにしていただかなくちゃならない、こう思うわけでございます。
 それから、アホウドリはちょっと手おくれのようでございますが、天然記念物のタンチョウのツル、これが釧路のほうにいるわけでございます。このタンチョウのツルはまだ二百羽、それくらいの数が残っているそうでございまして、これも危険に瀕している種類なんでございます。ですから、これはやはりアメリカで非常に目をつけて、どうなっているかということを目をつけておりますし、日本でもこれをこれ以上数を減らさないように保護していかなくちゃならないので、これについてはどうなっておりますかといろいろ調べてみましたところが、最近になりましてアメリカのコーネル大学を卒業なさいました若い鳥の専門家の方が釧路においでになって数カ月滞在して、自分の費用でヘリコプターを雇って、上からこのツルがどういうふうに巣をつくっているか、どんなふうに分布されているかというふうな、そんな実情を全部自分の費用でもって調べて報告書をつくっていらっしゃるそうでございます。そして問題は、昨年あたりだいぶ、三十三羽ぐらいのツルが高圧線に接触して死んだんだそうでございます。昨年は特別に多かったんだそうでございますが、相変わらずちょくちょく高圧線に触れている。これはたいへん困ったことだから、絶滅に瀕する鳥類を保護するというこの法律の手前、これはどうやって保護するんだろうか、それでアメリカ人の方は、この高圧線を埋没して、ツルがそれに引っかからないようにすべきではないかという意見をラジオで述べられました。で、私もちょっと聞いたのでございますが、二百キロにわたる高圧線全部を埋没するのにはたいへんお金がかかるので現実問題としてはできないので交通危険信号を高圧線につけてタンチョウヅルに気がついてもらうのが精一ぱいのいまのやり方なんでございますが、日本の現状では困難でございますが、こういうようなことを一々これから報告していかなければならないわけでございます。こういうような報告とか研究とかいうことについては今後どんなふうにやっていらっしゃるのか、それをちょっと聞かせていただきたいと思います。
#121
○説明員(仁賀定三君) いまの絶滅に瀕した鳥の調査でございますが、本年度から新しく一斉にその調査をすることにいたしました。本年度とりあえず十の島につきまして調査を予定いたしております。今後その絶滅の鳥の環境並びに生態調査の報告が出てまいりますれば、それに即しまして保護対策というものを早急に立ててまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#122
○加藤シヅエ君 外務大臣にもう一つ伺いたいのでございますが、この第六条に、「これらの鳥類及びその環境に係る被害(特に海洋の汚染から生ずる被害を含む。)を防止するための方法を探求し、」ということがあるのでございますが、この海洋汚染という問題に対して方法を探求するということはどういうことでございますか。
#123
○説明員(仁賀定三君) この条約をつくる過程におきましても、まだ両国とも確実な形というものが、こう規制すべきだというものに至りませんで、努力規定という形で表現されておる次第でございます。海洋汚染の中でもこの鳥類の保護上最も過去の歴史で害が出ておりますのは、船舶の廃油だとかあるいはタンカーの事故等によって原油が海上に流出してその生息の地帯をおおったというふうな場合に、その水鳥が窒息してしまう、あるいはからだが油で汚れて飛しょう能力を失なってしまって大量死に至っておる歴史があるわけでございます。このようなことから、私どももこれらの鳥の保護につきましては海洋汚染の防止ということに非常に関心を持っておる次第でございまして、関係各省と緊密な連絡をいたしまして、海洋汚染防止法等の適切な運用によりまして今後ともその面の調査研究を進めると同時に、適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
#124
○加藤シヅエ君 調査研究という御答弁でございますけれども、これは現実の問題としては、もうあっちでもこっちでも海洋が汚染されて、鳥が一度羽がよごれると飛べなくなってどんどん死んでいく実例を始終新聞でも報道されております。調査研究の段階でなくて、実際にすぐに対処しなければならない問題でございますけれども、これも非常に手おくれをしております。これは環境庁だけの責任ではございませんから、環境庁を責めるわけではございませんけれども、外務大臣に知っていただきたいのは、この海水汚濁の問題にしても、外務省はずいぶんとスローモーションで考えていらっしゃったのでございます。ここに昭和四十二年七月の参議院外務委員会の記録を私持ってまいったのでございますが、ここで発言いたしましたときに、ここにいらっしゃる森さん、羽生さん、山本先生、杉原先生なりみんな御列席の委員会だったのでございます。ふだんあまり文句を言ったことがないんですが、ここでは相当文句を言いました。それはそのときには三木外務大臣のときでございましたが、ILO条約の批准が問題になりましたのですけれども、そのILO条約が勧告されてから批准されるまでに十六年経過しております。もう実にゆっくりしたものでございますね。これは男女平等の立場から考えましたら全く無視されてきて、やっと十六年目に外務委員会でこの問題が決議をされた。それで海水汚濁の条約も一九五四年にロンドンで締結されましたのが、それがやっと昭和四十二年になって初めてこれを問題にすることになった。そんなふうにおそいのでございますから、これはすでにスタートがおそかったということが、今日やっぱり鳥の問題についてもこれが非常に関係があって、英国やなんかではこういうことに対して非常によく手が回っているように聞いておりますが、日本もやはり国際的な立場から、信用の問題でもございますし、条約に忠実に対処するという立場からも、ひとつ外務大臣、こういうところにも大いに関心を持っていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
#125
○国務大臣(福田赳夫君) 批准に十何年もほうっておくこと、こういうことはどうも非常な異例なことかと思います。批准は調印をしてから――調印をするときには当然批准ということを前提にするわけでありまするから、これは慎重に検討いたしまして調印をする、調印をした以上そう批准までに手間をとるということになりますと、これは国際信用にも関する問題でありますから、よほどこれは気をつけなければならぬ、今後気をつけることにいたしたいと思います。
#126
○加藤シヅエ君 残余の質問はまた次の機会に譲らしていただきまして、本日はこのくらいにとどめたいと思います。
#127
○渋谷邦彦君 ちょっと一点だけ関連をして聞いておきたいのです、次のときの質問のこともありますから。
 いまの質疑を伺っておりまして、大石さんおれば大石さんに伺いたいと思った点が一つあるんです。われわれが常識的に考えてこの渡り鳥の保護、それはけっこうなことだと思います。ただ、日本の今日のように公害が激しくなってきますと、一体どういうふうにこたえていくことができるのだろうかというたいへん素朴な疑問が出てくるわけですね。いま答弁された中でも、海洋汚染で大量に死んでいる水鳥の話もある。あるいは海洋汚染のみならず、農業公害等によってあるいは絶滅のおそれがもう刻々迫っているのがあるかもしれない。そういったことを、ただ国内法の規制だけでもって一体防げるのかどうか。そうして罰則だけきびしく設けて最高刑が一年以下でしょう、懲役、罰金刑が五万円、そういうことでもって拘束しながら、ほんとうに一体保護だとか絶滅のおそれのあるものについて防げるのだろうか。防除対策ができるのだろうか。まず基本的にそうした問題を並行的に、当然考えていらっしゃるのだろうと思うのですけれども、進められない限り、せっかく条約を結んでもどうなんだという、その効果が一体どういうふうにあらわれるのだ。いままでわれわれの頭の中にある限りにおいても、アメリカから日本ですか、それからシベリアから日本に渡って、あるいは東南アジアに行くいわゆる分岐点みたいなところですわね、ここは。しかし、鳥類にとってはまさに現在の日本の列島は公害列島ですから、あるいは死にに来るみたいなものじゃないか、極端なそういう見方も出てくるのじゃないか。そういう点を根本的に洗い直して考えてみないと、いま申し上げたように、何となくすっきりするみたいな、すっきりしないみたいな――この中身が別にどうこうと言うわけじゃありませんよ。そうしたことを、これからどういうふうに対外的にいろんな話し合いを進め、環境庁は環境庁としてその責任においてこういう問題を整理しながらその保護に当たっていくのか、防除対策を講じていくのか。この問題だけ伺っておきます、きょうは。
#128
○説明員(仁賀定三君) 環境問題と鳥獣の生息でございますが、私どもも鳥獣の保護には、その生息環境の保護というのが何よりも重要だというふうに考えております。ただいま御指摘の公害物質等による汚染と鳥獣との関係、これも非常に大きな問題でございまして、過去の公害物質が話題になりました歴史も、どちらかといえば鳥が次々死んでいく、それはなぜだというふうなところから公害物質が議論され、規制基準の対象になってきた。何か環境のバロメーターのような役割りを鳥が果たしてくれておるというふうなことがあるわけです。私どもとしましては、そういう面の資料が実はまだ非常に不足しておりますので、本年新しく研究費を計上いたしまして、森林地帯、田畑地帯、それから水面地帯、三つに区分いたしまして、それの代表的な鳥につきまして各種公害物質の残留毒性の及ぼす影響につきまして研究を早急に開始することにいたしておる次第でございます。
 なお、環境庁全体といたしまして、この種の公害問題に全力をあげて取り組んでおりまして、それらの規制が整備されていくに従って、これはもちろんいまのところ人間の環境という形においていろいろな規制を整備しておるわけでございますが、それが反射的に鳥獣の保護に好結果をもたらすというふうなことを考えておる次第でございまして、今後、鳥獣の保護につきましてそのような研究、調査と同時に、いま先生の御指摘のような点につきまして適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#129
○委員長(八木一郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#130
○委員長(八木一郎君) 速記を始めて。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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