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1947/08/07 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第6号
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1947/08/07 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第6号

#1
第001回国会 厚生委員会 第6号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價格撤廃に関する陳情(第
 二号)
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
○兒童の福祉増進に関する法令制定の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廳職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死、戰災遺家族並びに傷病者の更
 生に関する陳情(第五十号)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○傳染病予防法等の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○保健所法を改正する法律案(内閣送
 付)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青少年禁酒法案(小杉イ子君発議)
○恩給増額に関する請願(第三十九
 号)
○大学等への死体交付に関する法律案
 (内閣提出)
○大正十二年勅令第五百二十八号司法
 警察官官吏及び司法警察官吏の職務
 を行うべき者の指定等に関する勅令
 の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
○災害救助法案(内閣送付)
○医療制度に関する調査承認要求に関
 する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月七日(木曜日)
   午後一時二十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○医療制度に関する調査承認要求に関
 する件
○大学等への死体交付に関する法律案
○大正十二年勅令第五百二十八号司法
 警察官官吏及び司法警察官吏の職務
 を行うべき者の指定等に関する勅令
 の一部を改正する法律案
○青少年禁酒法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。日程に入るに先立ちまして、藤森委員から医療制度を調査するための小委員会設置の動議が出ております。藤森さんの御説明を伺います。
#3
○藤森眞治君 動議の提案の理由を申上げます。我が國の医療制度は今いろいろな方面から見て十分研究されなければならん状態になつております。厚生省におきましても、すでに医療制度審議会といふものを設けられまして、いろいろな方面から審議しております。曾てこの審議会には貴衆両院からこの審議会委員が出ておられましたが現在は國会法第三十九條の規定によりまして、議員が行政各部の委員その他になることができないということになつております。而もこの医療制度の研究ということは、これは我が國の現状といたしまして非常に重大な事柄でありまするので、我々は國会の立場においてこれを研究して見る必要があろう、こういうふうに存じます次第で、ここに動議を提出したわけでございます。尚この問題は勿論厚生常任委員会において研究されるものでありまするが、この運用の便宜のために小委員会を設けて、そうしてこれの研究をするのが便宜ではないかと、かように存じますので、医療制度の研究、これを小委員会において行いたい、こういう動議を提出した次第でございます。
#4
○小川友三君 只今の藤森委員からの動議に賛成する者であります。尚小委員の選挙方法は、委員長に御指名を一任したいと思いますが、皆様に御相談申上げます。
#5
○安達良助君 只今の小委員会結成につきましては、未だ委員長よりそれを採上げるか、採上げんかということを決定しておりませんので、そのことを決定しましてから、人数の件について御審議をお願いしたいと思います。
#6
○委員長(塚本重藏君) 藤森さんの動議に皆さん御賛成でしようか。
#7
○委員長(塚本重藏君) それでは参議院規則の第三十四條によりまして、このことを議長に承認方を要求しまして議長の承認がありましたならば、委員の選定を行いたいと思います。
 尚、この機会に念のため、小川委員から動議がありました委員長指名の十名の委員選定の件は、御一任願つて差支えないでしようか。
#8
○委員長(塚本重藏君) それではそのように、三十四條の規定に從いまして先ず議長の承認を得ることにしまして議長の承認を得ましたならば、委員の指名を行いたいと思います。さように御了承を願います。議長に承認を求めまする案文等についても、私に御一任願えましようか。
#9
○委員長(塚本重藏君) さように決定いたします。
 それでは、政府委員の都合がありますので、青少年禁酒法案を後にしまして、次の大学等への死体交付に関する法律案、大正十二年勅令第五百二十八號司法警察官吏及び司法警察官吏の職務を行うべき者の指定等に関する勅令の一部を改正する法律案、この二件を一括議題といたしまして、政府委員の説明を求めます。
#10
○政府委員(金光義邦君) 只今議題となりました大学等への死体交付に関する法律案の提案理由について御説明申上げたいと存じます。
 医学及び歯学の教育及び研究のためには、死体の解剖は不可欠のものでありますが、從來は医学又は歯学に関する学校において、死体の入手が困難な実情にありまして、学校によつてはその為に教育にも支障を來しておる状況であります。
 幸いに連合軍総司令部の指令に基きまして、本年一月厚生省令第一号が公布され、主要都市に監察医が設置せられ、死因不明死体について檢案又は解剖を行なつて、その死因を明らかにすることに相成つたのでありますが、今般更に右の指令に基きまして、監察医が死因調査を済ませた死体であつて、引取者のないものを、医学又は歯学に関する学校に交付して、解剖又は標本の材料に用いることを認め、以て前述の死体入手難を緩和すると共に、從來医学又は歯学に関する学校における死体解剖の適法性について多少の疑義のありました点を明確にいたしますために、本法律案を提出することといたしたのであります。以下この法律案の内容の大略を申上げます。
 この法律案の要点は、都道府縣知事は、前述の厚生省令第一号に基いて、監察医が檢案又は解剖した死体であつて、引取者のないものを、医学又は歯学教育の向上のために、医学又は歯学に関する学校の長に交付することができることとし、その交付を受けた学校長は、監察医の檢案開始後四十八時間以内に引取者が現われなかつたときは、その死体を解剖させ又は標本とすることができることにしようというのであります。ここで交付と申しますのは、学校長は解剖又は標本の材料とするという範囲内においてのみ死体の処分権を有するという意味であり、從つて事後において死者の相続人その他から引渡の要求があつたときは、その全部又は一部を引渡す義務を学校長に課しているのであります。尚この法律によつて交付される死体は、一應行旅死亡人又はこれは準ずるものでありますから身許調査のための公告並びに運搬、埋火葬等に関する費用負担等について、行旅病人及び行旅亡人取扱法との関係を、第五條及び第七條において定めております。
 本法律案の内容は、大体以上の通りでありますが、本法律案が実施の運びと相成りますれば、我が國における医学又は歯学教育の向上発達のため裨益するところが少くないと存ずる次第であります。何卒愼重御審議の上可決せられんことを希望申上げます。
 次に、大正十二年勅令第五百二十八号司法警察官吏及び司法警察官吏の職務を行うべき者の指定等に関する勅令の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申上げます。
 麻藥に関する犯罪の搜査は、檢事、司法警察官によつて行われておるところでありますが、麻藥に関する搜査には、麻藥に関する高度の特殊知識を必要といたします関係上、取締強化の方法といたしまして、從來の搜査機関とは別個に、麻藥に関する取締の專門家である都道府縣の麻藥統制主事の中、優秀なる者を選び、これに麻藥に関する犯罪について、司法警察官と同一の権限を有する独立の搜査権を與えんとするのが本法律案の趣旨であります。
 搜査を行う麻藥が統制主事は、知事が檢事正と協議をいたした上、搜査を行うに適当なる者を選んで、これを厚生大臣に推薦することとし、この者に対して厚生大臣が搜査を行う者として指命することにいたし、その搜査指揮権は厚生大臣の所管に属することとし、從つてこれらの者に対しましては、知事は勿論、檢察官においてもこれが指揮権を有しないことにいたしました。
 この麻藥統制主事の行う搜査の土地管理は、地方自治体の公吏たる本來の身分に拘わらず、全國に亘つて機動的な活動を行い得るようにし、又その事物管轄は、單に麻藥取締の行政法規違反のみならず、麻藥を客体とする刑法財産犯、刑法阿片煙に関する罪及び麻藥の経済事犯を含むことにいたしました。
 尚、麻藥統制主事は独立の搜査権を有するのでありますが、固より公訴権はこれを有しないために、自己の裁量により、徴罪処分又は不起訴処分を行う権限は持たないものであります。而して檢察官との関係は前述の通り、搜査につき檢察官が指揮権を持つておりませんから、事件の送致等に関し、司法大臣において特別の定めをいたしてこれによらしめることとし、本法において、司法大臣の定むる処により、速かに檢察官に事件を送致する義務を負わしめておるのであります。
 尚、搜査を行う麻藥統制主事の人員は、全國を通じて二百名以内とし、その限度において右の権限を行使し、麻藥取締の完璧を図らんとするものであります。何卒愼重御審議の上、速かに可決あらんことを希望いたします。
#11
○委員長(塚本重藏君) 今、政府委員の説明があり、各種の参考資料の配付があつたわけであります。引続いて質疑に入ることにいたしますか、それともこの参考資料等を目を通すことのために、質疑を次囘に譲ることにいたしますか、お諮りいたします。
#12
○安達良助君 質疑に関しましては、一應この参考書類を熟読いたしまして而して質疑に入つた方か便宜じやないかと考えますので、一應申上げます。
#13
○委員長(塚本重藏君) 只今の安達委員のお説に御賛成ですか。
#14
○委員長(塚本重藏君) それでは質疑を次囘に譲ります。
 それでは青少年禁酒法案提出者、小杉イ子さんの御説明を承ります。
#15
○小杉イ子君 青少年禁酒法案提出者小杉イ子でございます。
 もと、二十五歳禁酒法案として大正十四年に衆議院を通過いたしましてから二十三年目の今日では、反対議員の入替えや、闇取引もしないで審議せねばならんことになつたことは、新憲法のお蔭だと深く感謝いたす次第でございます。
 実は、その間、昭和四年に、衆議院の最長年者熊谷五右衞門先生が委員長の際、あちこちの子供や母親たちから酒から起る悲劇を訴えられて泣かれましたとき、どうしてもこの案を通過させなければならんと努力されました結果、委員会を通過いたしましたのであります。そのとき、私共同志は札幌に大会を開きまして、長い行列で先生をお迎えいたして壇上に奉り上げて伏し拜んだ者でございます。ところがその後、先生から、帰つて見たら酒屋たちが次期選挙には決して当選ささんからさよう覚悟せよといつてひどくいぢめられたから、今後は一切、この問題にはかかり合わないという悲鳴をあげられたのであります。それでも同志は屈せず、二十三年の間提出を続けて來ましたが、殆どもてあそばれの形で今日まで取扱われて來たのであります。
 ときに、この度新内閣が、酒と食糧と風紀問題を含む高級料理店に休業を命じたことは、徳川時代以後の一大勇敢政令で、北條時頼の執権法に近いものと、大いに敬意を表し、深く信頼いたす者でございます。ここにおきましてこの際青少年禁酒法とは手ぬるい、禁酒断行通過に努力してくれと各方面からの声頻りでございますが、勿論これが理想であり、根本目的であります。併しながら、それには今多額の費用と労力を費やさずとも、自然に消え行き時が解決してくれるのであります。今までの議会での反対論は、何らの指導愛護方法も考えずに、ただ法の権威を失するではないかと言ひ、又昔から酒と煙草は非常時に最も増税し易いという國民保健の無視論、又酒は労働者の疲労を医する百藥の長という錯覚、交際商賣掛引中毒者に必要だという損害と加病、又酒はお神酒と讃えますが、三百年前までは清水を供えたものでありました。今でもシロキ、クロキを供えてある神社もあります。又三、三、九道にさらい込む酒を、酒がなくては三三九度の目出度い結婚式が挙げられないではないか等々の、尤もらしく聞える迷論でありました。ところが、或る釀造家では、養子は絶対禁酒家であることを條件として、前商工大臣星島二郎先生を迎えております。尤も我が子と雇人に禁酒を切望する者は酒屋さんでございます。又救済事業を廣く行つている人も醸造家でございます。故にこの際あえぎの國家を救い、米を放出してくれる人も釀造家であると思います。私は今政府が酒を造れと申しましても、今は、造れませんと申出る人が近ぎ將來に現れることを予感しております。今鑛山、工場、農家に生産督励用として配給される酒でも、米と換えて欲しいと申しております。又酒が來ない先から闇屋と約束して飲むものは一割二、三分しかいないのであります。諸々の統計を見ましても八割五分ぐらいはあつてもなくてもよい、飲めるが今は飲まない、絶対禁酒、全然嫌いというふうで、後は嬰兒幼兒兒童小兒で、約一割五分がどうしても飲むという割であります。
 ここで政府が司令部からの「主食を潰して酒を造ることは止したらどうかアメリカでさえビール醸造を削減して小麦節約に努めているのだから」という申入れを政府が聽き入れて、米に換算しまして百八十五万石をそのまま配給しますなら、お乳の足らん赤ん坊もお米の重湯が飲めます。泣く子供等を残して闇買出しに出掛けましたが、三拜九拜の歎願の効もなく、力なく帰つて來る痩せた母親たちの様々の哀れな姿を見ます。又次代國民に働きを與えるべく研究を続けているが、食券量では痩せるばかり、今のうちに引取つてくれと追い返される多数の優良学生達がおります。診断の結果、藥はいらん、二日分でも三日分でも食わせさえすればよいとのこと、それでも人格的家庭では恥かしい、惜しい、工面も盡き果てまして、今はその子ばかりには食べさせられんという有様であります。このような人々がまだ幾千万人いるか分りません。これには二合五勺はただ寢て生きるだけのカロリーとは知らず労働を続けていたため、しまいには七貫五百目となつて、胸はやけ、喉はこわばり、腰も立たず、這うことさえもできなくなつた私のような体驗者でなければ、買える人、食える人たちには到底心底なし、これらの苦しさを察することは出來ませんために、禁酒断行の必要なぞも感じないのであります。又一つは、酒に代るべきよき飲料のできん間は、禁酒断行は不可能であります。その代り親の名誉を保ち、財産を守り、健全な社会を組織して、近き將來に世界優秀國と肩を列べる日本國を出現さす人は即ち男女青少年である。この混乱の國情を切拔けて貰うためには、一方ならぬ克己努力を願わねばならんことを思いまして提案者は涙を以てここに青少年禁酒法を提出いたした次第でございます。
 最後に対策を申上げたいと思います。今日その対策といたしまして、今日まで青年に配給した酒を、原料主食のまま、正確に男女青年に加配して貰うこと。運動具の二割引購買券及び映画、諸演藝、観覧券等の二割引券を配給して貰うこと。それから病原菌の発生を防ぐことになりますが、台所の食料廃物、その他の飼料による養豚を生かしまして、養豚肉と、それからでるところの上等の肥料を以て蔬菜を盛んに作りたいと思います。これを先ず一隣保から、次ぎは一区からと進んで特配する。これは又市や町の援助によつて個人的にか或いは会社的にこれをすることを考えております。
 それから教育方面では、先ず教科書に入れて貰わなければなりません。それは一つは、天皇陛下が欧洲御漫遊の際、諸國が競つて捧げた銘酒を、ただお受けになるだけで、一適もお召上りにならなかつたことは、科学者であらせられるからでもありましようが、この場合、從來普通の人ではできないことであることや、又日本には未成年者飲酒禁止法があると申された、みずから國法を違法されたことを、欧洲諸國では、日本の天皇樣はお偉い方と讃美しておる原因でございます。これを入れて頂きたいと思います。又釋迦は、たとえ草の葉の露の一滴ほどでも酒を飲む者は我が弟子となることを得ずと言はれ又酒を飲む者よりも、酒を進めるものは五百生年なからんと重大な後生の崇りのほどを教えております。これを入れて頂きたいと思います。それから活動寫眞を以て教育したいと思います。それはアルコールが血管をどういうように循環するか、その有樣、それによる臓器の変質は実物で、そして精虫が酒に醉うと同時に白血球の殺菌作用が失われ、ために傳染病に罹り、特に性病に罹り易い。ために白痴、犯罪者若しくは病人、劣等兒を産み、これに対する政府の負担は造石税の幾倍くらいかの統計を知らせます。そうして世界中の各保險会社が、晩酌する者は十三年早死すると称しておりますところなども知らせます。そして酒を飲めば、道徳観念を司る大脳を先に犯されるために、酒を飲みますと直ぐににこにこし、笑つたり、踊つたり、歌つたりする者又はすごい眼をして怒つたり、叩いたり、殺したりする有樣、酒が原因の投獄者数を示し、断頭台の受刑なども見せる必要があると思います。私は司法は慈法であることを切望するものであります。しかし惡性に対しては親であらうが、子供であらうが、自分であらうが重刑に処してもいいと思つております。監獄は陰氣な所でない。花もあり映画もあり、氷屋もある一大産業所であらせたい。ただ娑婆と交渉のできないのが罰であればよいと思つております。
 終りに、これが通過いたしましたならば、第一番に家庭訪問をすること、させること、して貰うことであります。又小学校先生から子供に教えて頂き、子供の口から両親に傳えて貰うことが非常に有效と思います。それから飲食店、旅館には注意のポスターを貼つて貰うことであります。そして國法を傷つけず、本当の意味で、この法律はあつても、なくてもいいと言われるまでに青少年を育て上げるためには、今後は大いに宗教家、教育家、社会教化運動家の慈愛深いところの御援助と御協力をお願いしなければなりません。
 この頃の輿論観察を一言申上げて置きます。私がこのビラを二十年前に作つたときなどは、沢山できましたから沢山撒きましたが、その時分の青年は皆これを取つて丸めて捨てました。中には帰つて來てステツキで叩く、痰唾を吐く、そうして机をひつくり返したものでございます。それがこの頃では決してそういうことはございません。私は神戸の三宮のガードの下の若者ばかり集まつておるところでお話をいたしました。そうして何か小石でも投げるのかと思つたら、瓦かけなどを積んで私の場所を拵えてくれたのであります。そうして私は申しました。私を投票などすると酒は飲めなくなりますぞと申したのでございます。けれどもそれでもよろしい、よろしくお願いいたします、私共は米が欲しい、そう申すのでございます。又東京でもバスの乗り場などでちよくちよく申しますが、少年も、青年も、中年も皆喜んでおることがみられまして、こういう意外な時代が來たことを私は驚いております。
 以上の通りでございますが、よろしく愼重檢討御審議の上、國民愛護法として青少年禁酒法を決定されますように、委員御一同樣の御一層の御協力をお願いしたいのでございます。これで終ります。
#16
○委員長(塚本重藏君) この機会に、青少年禁酒法に関します政府当局の御所見を伺うことにいたします。
#17
○政府委員(金光義邦君) 議題となりました青少年禁酒法案について政府の所見を申上げます。
 本法案の趣旨は、現下の我が國の情勢に鑑み、次期時代を担当する青少年を酒害から護り、その健全な発達を期するために青少年の禁酒に関する法律を制定する必要があるので、未成年者禁酒法を廃止し、二十五年未満の青少年に飲酒を禁止しようとするものであります。そもそも過度の酒精の引用が心身に種々の惡影響を與えるということは言うまでもありませんので、酒類の濫用を防止することは國民保健上極めて重要なことであります。依つて政府は未成年者に對し、この未成年禁酒法により飲酒を禁止したのでありますが、尚心身発育の途上にある二十歳以上の青年に對しても、未成年者に準じて飲酒をしないように指導をいたし、又酒害に對する知識の涵養を図つて來た次第であります。
 併しながら、本法案に對しましては法案の精神には深く敬意を表するものでありますが、立法といたしましては実施上多大の困難が予想されますと共に、年齢満二十歳以上の者は民法上も完全な能力者であり、公法上は選挙権を有し、國政に参與いたしておる者でありまして、これら青年に対しましては思想の啓発に努め、その自覚に俟つことが最も適当であり、立法を以て禁止することは妥当を欠くのではないかと考えておるような次第でございます。
#18
○委員長(塚本重藏君) 法案についての質疑をお願いいたします。
#19
○草葉隆圓君 今の提案の理由の説明についての質疑でございますが、よろしうございますか。提案者の説明に対する質疑ですが……。
#20
○委員長(塚本重藏君) よろしうございます。
#21
○草葉隆圓君 青少年の禁酒法の制定につきまして、小杉議員が永らくこのために奔命これ努め、殊に今囘参議院議員として御当選になりましたが、その主要なるスローガンとして掲げられて從つて当選直後にこれを本院に御提出になり、今審議にかかりましたことは私共衷心より敬意を表する次第であります。この問題につきまして、いろいろな意味から、青少年の禁酒ということが、誠に必要でありますることは、御説明の通りでありますが、御説明に対しまして、私尚二、三了解に十分でない点がありまするから、この機会に御質問申上げたいと存じます。併し私御質問申上げますることが、先程申しましたように、提案者が長い間の御苦心と御努力と、又この案を纒めて御提出になりましたことに対しまする衷心よりの敬意を、決して冒涜するものではないという前提で、一つ十分御答弁を願いたいと思います。
 第一は、御説明を伺つておりますると、青少年禁酒法を御提出になつたことは、現在の食糧事情の解決のためという印象を強く受けるのであります。併しこれはむしろ便宜主義であつて、そうではない、本質的なものの上に立つて御提案になつたのではないかという点であります。從つて御説明によりますと、この酒を廃止したために生ずる主食を、青少年に加配するというお話でありまするが、然らば一体どの位の加配ができるかということを承りたいのであります。
 又次には、二十五歳までの青少年は次期時代の担当者であるからというお話でありますが、併し御説明の中には更に國民活動の根幹をなするものであるからというお言葉も只今あつたのであります。そうしますと、少くとも未成年者禁酒法案の対象になつておる年齢層は別といたしまして、今囘の狙つております年齢層は、一方においては次期國家を担当する、次期時代を担当する者のためという意味と、一方においては國民活動の根幹であるからという意味と矛盾しておるのではないか、後の方の御説明の用語を以てしますと、二十歳から二十五歳くらいまでの者は、國民活動の根幹であるからむしろ飲ませないという意味を仰せになつておるし、先の方の條文では、次期時代を担当する者という御説明であるしその辺の説明上の根本的喰い違いが主観的にあるのではないか、かように考えます。先程政府委員からお話がありましたように、現在少くとも三十歳以上二十五歳は、提案者の御説明の中にもありましたように、今の超非常時の日本におきましては、國民活動の根幹をなすと我々は考えるのでありまして、從つて國民活動の根幹でありすべての点において、國家を現在担つておる、それ以上の年齢層とも同等の地位にある者であるから、ということをむしろ強調したいのであります。御説明の中においてその二つの矛盾を感ずるのであります。
 第三には、立法によつて、さような意味において、むしろ現在の國家を双肩に担つておる青年が、立法によつて禁酒をいたすことは非民主主義ではないかということであります。その人の相当なる自由を奪つて、そうして法律によつてこれを束縛するということはむしろ憲法の精神に逆行するものではないか。併し政府委員から説明をされましたように、過度の酒精の飲用濫用の防止という点については、或いは社会教育或いは教育上から、これを十分指導啓発すべきものであるけれども、ただ法律によつてこれを万遍なく禁止をすることは、むしろ新憲法とは違つた意味において、いわゆる非民主主義的な傾向を帯びて來るという議りを免かれんことではないかという点について提案者の御答弁を伺いたいと存じます。
 次に、本條文によりますると、本人に対する処罰は勿論、その外或いは親権を行う者、又は親権者に代つてこれを監督する者に対してまでも、処罰の方法を講じてありまするが、かくのごときは実際上の取扱いとして、立法の実施について、現実の問題として、相当困難であると同時に、一方におきましては、この年齢層の者に対する独立性をむしろ阻害しておるものであつていわゆる独立者としての性格を認めないという印象を強く與えるものではないか。かように存ずるのであります。
 それから最後に、この法律はあつてもなくてもいいようになることを、宗教家、教育家の今後の努力に俟ちたいというお言葉がありましたが、結局我我が深く感じますことは、提案者と同じく、飲酒、濫酒、或いは過度の酒精の害惡といふものは、同様いろいろな意味から感ずるのでありますけれどもこれを教育上、或いは社会教育上、或いは宗教上の取扱いを別にした一片の法律によつて実施するということは妥当なりやという問題であります。以上であります。
#22
○小杉イ子君 私共の本旨は、科学的に生理上、心理学上心身の完成は二十五歳以後にある。これを固く信ずる者でございます。ただ表面的に社会的に二十五歳は成人であるからと申しましても、心身はまだできていないのでございます。それただ形のものであつて、本当ではない。この心身が完成するまでは体を擁護する、アルコールというものは藥物の中には毒藥となつております。この毒藥の一部分でも飲ますことは惜しいことであると、こう思いまして、この二十五歳法はどこまでも完成するまでは擁護したいと思うのでございます。
 それから米と禁酒法と申されますけれども、どうしても昔から米というものは大事なものでございまして、この米によつて社会がどんなにでもなるのでございます。その点から申しましても、酒を飲んでおる時期ではない、本当に今は最もそれが当嵌まる時が來ておる、勿論続けては参りましたけれども、その時期におきまして米と青年禁酒法と一緒に結び附けたからとて、何ら不思議はないと思います。
 それから根幹としてと申されますけれども、根幹となるのであると訂正させて頂きたいのでございます。
 それから法律を以て処分するということはいけない。若しも人間にばくちを打つてもいい、姦通をしてもいいというようなことで、法律がなかつたならば、どうなりましようか。人のいない所ではばくちを打ちましよう。様々の方法で発展するに違いない。ただ法律があるばかりに、今ばくちをしようと思つたけれども、人が來た、又しようと思つたら見附けられたということで……そういう方法でこれを逃して行きたいと思うのでございます。何も法律を以て罰せよとか、罰に処せよとかいうのではございません。そのためには様々の対策を申上げてある通りにして、成るべくそういうことがないように、そうして擁護して行きたいと思います。それには酒の害というものを深く知らしめる必要があります。どれくらい社会を乱しておるか、その統計などを御覧なさいましたならば、必ずこれは賛成して頂ける問題であると思います。
 私は金と時間がございましたならば日本國中を戸別訪問して、片端から、賛成せよとは言わないが、どう思うかということを言つたならば、七千万のうち三千万の家庭があるとしても、二千万の賛成は受けることができるという確信を持つております。それだけ申上げて置きます。
#23
○委員長(塚本重藏君) 草葉さん、もう少し足らん点がありますか。
#24
○草葉隆圓君 大分質問の重点を違つておると思います。私は先程も申上げましたように、これに対する御努力とお進み方に対しては、本当に滿腔の敬意を表します。私が御質問申上げることは、賛成するか反対するかは、この後の問題であつて、我々の納得するように、又國民が納得するような意味において私は質問をいたしておりますから、決して感情なんかは交えずに、一つ十分、学問的といいますか、いわゆる委員会の本來の使命の上からの一つ御答弁を願いたい。こういう意味でございます。
#25
○委員長(塚本重藏君) あなたの質問をもう少し……。小杉さんに呑み込めない点があるのでないかと思いますが……。
#26
○草葉隆圓君 私の質問いたしましたことは、第一にはこの提案の御説明に……。
#27
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて……。
#28
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
#29
○姫井伊介君 先程政府からこの法案に対してお考えを述べられましたが、この立法的な処理として、二十歳以上二十五歳未満の者に対しては非常に困難な点があり、適正を欠くのじやないかということがありましたが、それをもう少し詳しくお話が願いたいと思います。どういう点において妥当でないか、どういう点が困難であるかという点につきまして詳細の御説明をお願いたします。
#30
○委員長(塚本重藏君) ちよつとお諮りいたしますが、金光さんは衆議院の委員会の方に出られまして、それから三木公衆保健局長も差支えがあつて御出席がないようでございますが、政府委員ではありませんが、楠本正康さんが代つてお見えになつておりますので発言を許して差支えありませんか。
#31
○委員長(塚本重藏君) それではすぐに……。
#32
○姫井伊介君 若し御都合ならば次会でもよろしうございます。
#33
○委員長(塚本重藏君) 主管の課長でありますから……。
#34
○姫井伊介君 それではお願いいたします。
#35
○説明員(楠本正康君) 代つてお答え申上げます。只今実施困難とはいかなるわけであるかというお尋ねでございますが、私共行政の事務を担当いたしております者といたしましては、立法府におかれまして、お定め頂きましたことにつきましては、最も忠実に、而も容易に実施が行われることを念願いたしておる次第でありまするが、假りに本法が立法せられたと假定いたしますると、我々その実施の事務を担当いたしまする者といたしますると、いろいろな実施面に困難が手傳うであろうと存じます。何分にも先程政務次官からも申上げましたごとく、二十歳以上二十五歳までの間は、すでに公法人として人格を認められておる者でありますし、且つ又酒は害もある一方、考え方によれば利益……多少扱い方によりば生産意欲を昂揚するというような理窟も立ちますので、而もこれには罰則が附いております等の点を見ますと、假りにこれを我々が実施いたしましてもなかなかその通りに行われずに、空條文に了るのではなかろうか、若しも空條文に終るようなことがありますればこれは法の威信上甚だ遺憾であるばかりでなく、我々事務をいたします者といたしましては、困難で多くございまして、却つて一方に皆さんの折角の法文を空條文化せしむるという責任を感ずるわけでありまして、かような点で先程政務次官がお答えしたのであります。
#36
○姫井伊介君 そうしますと、法の運営上の問題の困難性であつて、さつき草葉さんが言われましたように、さつき公法人云々とありましたが、それは非常に軽い意味のように考えましたが本質的には何か外に意味がありますか。單に法の運営上困難だという点でありますか。もう一度お願いいたします。
#37
○説明員(楠本正康君) お答えいたします。私共は命ぜられました仕事、特に國会におかれまして立案せられました事項を、忠実に実行することが建前でありますので、主管を離れまして、專ら事務の面から実施が困難だということを申上げた次第でございまして、ただこの際これについて意見を言えということになりますれば、これは又別でございまするが、私は別にこれに関しましては、特に意見を申上げませんで、專ら皆さんの御意見に從つて、假りに立案されますれば、それをたといできないながらも、忠実に実施に努める以外になかろうと存じております。ただ我々の事務当局の意見というものは勿論ございまするが、これをお尋ねになるのでございますか。
#38
○姫井伊介君 意見ではない。今の点でよろしうございます。分りました。
#39
○宮城タマヨ君 この條文の中に、第三條のところに入れてございますかしら、いろいろございますが、教唆した者に対する罰則というものは必要はないわけでございましようか。それは何かわけがあつてお拔かしになつておるかどうでございましようか。
#40
○小杉イ子君 第三條の三番目でございますが、「営業者で、その業態上酒類を販賣又は供與する者は、青少年の飲用に供することを知つて、酒類を販賣又は供與してはならない」。これに今の意味が含まれておると思います。教唆という文字は書いてございませんけれども、知りながらそういうことをしたという意味でございます。
#41
○宮城タマヨ君 私の質問は、販賣するということでなくて、不良少年や、それから不良青年なんかの問題のときによくあることでございますが、嫌いでも好きでも、どうしても飲まなくちやならんということを教唆するという問題が随分社会問題としてあるので、そういうことを改めてここに謳つてないのは、何かわけがあつたのかということを伺うのでございます。
#42
○小杉イ子君 それは説明申上げます前は、ここに明らかに、書いておりませんけれども、それを勧める者は、ということにしてございましたのですがわざわざ教唆ということは、ここに書いておりませんのです。
#43
○服部教一君 私はこの際申上げておきたいのでありますが、この会にいつも出られるか、ひよつとしたら欠席するようなことになるかも知れないと思うておりますので、今私の意見だけ申上げて置きたいのであります。
 実は今日これを続けてやつて貰いたいと思うのであります。それは速記などせんでも要点だけ書いて下さる人があればそれでよかろうと思うのです。これは私の意見でありますが、私はこの青少年禁酒案というものは大賛成であります。敗戰國の日本がこんな問題をかれこれいうておるときじやなかろうと思います。そんな小さい問題にこだわつて、そうして二十五才までの青少年に対する禁酒法について、かれこれいうべきものでなくして……。
#44
○委員長(塚本重藏君) 服部さん、その意見は質疑の後、お互いに自分の意見を述べる機会がありますから……
#45
○服部教一君 それでは意見はよします。質問にして置きます。そういう考えでありますから、そこで私はこの案は是非とも衆議院も全部通過させたいと希望しておるのであります。それが故に、この案に対して私は一遍に二十五歳までやるということでなしに、毎年一年ずつ延ばして、今日二十歳までのやつがあるから……
#46
○服部教一君 いや、それを言つてなぜこうしたかということを聞くのです。質問の前提ですから、かれこれ言わんでおいて下さい。私は五分くらいで終るつもりでいても……これは質問の前提ですから言わなければ分らない質問するのです。毎年一年ずつ延ばして二十五歳に至らしむる、こういうようにしたならばよかろうという考えは初めから私は持つておつて、小杉さんにも度々申上げたのであります。それをさつきも、酒を飲んでおる者に酒を飲まさんと元氣が出んから生産に差支えるとかなんとかいうような話も出るようなわけで、そういう反対が出ますにも拘わらず、何故に二十五歳と一遍にやらなければならんというようにやられたのであるか、これが質問の第一であります。
 次に申上げたいのは、これまで科料に処すということに罰則はなつておつたのでありますから、それでよかろうと思うのです。それも私は度々御注意を申上げたのであります。いろいろの罰則は、その弊が起つた時にいつでもできるのであるから、執行する人が困るというようなことの声が出ております。禁酒に反対の人はよくそういうことを言うのです。反対する理由がないからそういうことを言うのです。それだから初めから罸則は止めてしまつて、そうして参議院も衆議院も一日も早く通過するようにしたいという考えであるのであります。然るに私が申上げたにも拘わらず、それを固執されて罸則をいろいろと入れられましたが、その理由、この二つを承わりたいのであります。
#47
○小杉イ子君 政府委員のおつしやることも、又質問の中にもございました通り、科学者が二十五歳までは心身が完成せんと言うことに了解がなければ何にも言えないのでございます。何にも論ずることはできないのであります。これさえ思つて頂きましたならば自分の子供たちがそこまでまだまだできてない、ただ名称だけができていて、身体はできていないにも拘わらず、これでできたものとして決定してしまわれる、それがあるのでは何も議論の余地はございません。又政府でもそういうことをお考えにならんことは、非常に冷淡なことであると私は思うのであります。今日の青年たちがいかにこの酒のために國家を乱しておるか、これなどを思つたならば、ただ我が子ではない、次代の國民のことを思つたならばそういう御返事はできるはずはないと私は思います。
 それからなぜ一年ずつ繰り上げる方法を採らなかつたかとおつしやいますが、これは本当は妥協的にいろいろと案を作り上げたものであります。一年一年延ばして行くのでは四年かかります。その間にも酒はできます。この四年というものは大きい問題でございます。それから二十の人が二十一だ、二十二だ、二十三だと言つても分らない、こういうことで取締るということになつては非常に不徹底でございます。それで二十五歳であればはつきりいたします。そのために取締の上からこれを二十五歳にしなければならんということを、私はどこまでも主張いたすのでございます。
 それから罰則は、何も罰するのが目的じやございませんけれども、何遍申してもそういうことをする者にはやはり罰則がなければならんのです。アメリカあたりではきつく罰する、それを励行する。そうしてアメリカからでも世話をやかれて、罰則が薄いために、いろいろ罰せられて免職になつた者がある。人間は甘やかすばかりが利口になるものではございません。國民は甘やかすばかりが発展するものではございません。この意味において私は罰則を置くのでございます。尚その罰則はできないような予防法をいろいろと考えて來たのでございます。
#48
○内村清次君 発議者に御質疑申上げますが、第一点といたしましては、青少年禁酒法の問題は、相当以前から社会問題として論議されたのでありまするが、この二十五歳以下の適用者に対するところのこの禁酒法というものは相当当時から世論の反対があつたのであります。そのために今日まで実施ができなかつた、こういうふうに思うがこれに対するところのお考えはどうであるか、この点を第一点としてお伺いいたしたい。
 第二点としては、青年禁酒法案の第二條には、年齢を二十五歳と限定されたのでありますが、この二十五歳ということの法的論拠は、これはどこに目的があるのであるか。
 それから第三点といたしましては、第四條に刑罰規定が設けられてありますが、この適用範囲というものは、青少年は勿論、親権者又は親権者に代つてこれを監督する者、こういうふうに非常に範囲が拡大されている。この拡大されたところの範囲を十分今後取締によつて徹底し得る見込があるかどうかということ。
 それから第四点といたしましては、刑罰を伴うところの法律というものはこれは國家の秩序を乱す、即ち公安を乱す、或いは公共の福祉に悖るというようなもの、こういうようなものは止むを得ないといたしましても、この案の本旨といたしましては、ただ本人の健康を守るというような目的を以てなされているものに対して、なぜ刑罰を以てこれに臨まれたか、その理由。それから年齢の限定、又刑罰の適用に対して非常にこれは不公平ではないか。その点について御質問申上げます。
 それから第五点といたしまして、提案者が言わるるような害毒がある、即ち酒害があるというようなものであるとしたならば、これはなぜ國民全般に適用するような禁酒法案としなかつたのか。この点。
 それから第六点といたしましては、酒類を飲用すると直ちに健康に対して害になる。そのために直ちに刑罰を科するということになつておりまするが特に泥醉をしたという者とか、或いはこれから誘発的に犯罪を構成したというような者に対しましては、この泥醉の事実、或いは誘発したところの犯罪の事実で以て、犯罪の摘発が比較的容易でありますけれども、ただ飲んがことによつて罰するというようなことが本当に取締ができると認めらるるかどうか。この点を一つ。
 この六点だけお尋ねいたしたいのであります。
#49
○小杉イ子君 なぜ二十五歳に限定したかとおつしやいますけれども、何遍申上げるか分りません。それは科学者の言う二十五歳までは心身共に完成しないこと、これだけでございます。その人に対して酒害を負わすこということは、大変いけないことである。何も親切なことではないと、こう思うからでございます。
 それから刑罰も度々申上げておりますが、刑罰をするのが目的ではございませんけれども、刑罰があるということを頭においてそれを一つ教育材料とする、そのためにこの刑罰を置いているのでございます。これは又審査の上で、もう少し軽くするか、中にはもつと重くせよという人もございますけれども、もう少し軽くするかどうかということは、皆樣の御協議によつて又どうにかなると思います。
 それから、どうしてもこれをやめるかとおつしやいますけれども、これは宗教によつて、教育によつて、家庭の教育によつてこれを、なさんとして、さまざまな努力をしてこれをやりたいと思う希望でございます。併しながら今日の政府の言葉を聞きますときに、もう到底絶望であると私は考えております。もう全然これは見込はない、どうなるであらうが、こうであらうが構わない。取締はできない。賛成はするけれどもなかなか不可能々々々ということで誠に絶望しましたが、そうしてこれが今日まで通らないとは何事かとおつしやいますけれども、そこには大きな反対者がありまして、金権の反対者がありまして、どれくらい今まで闇取引をされましたか、どれくらいこれがいろいろな目に遭いましたか、二百七十人の衆議院議員が賛成しておりながらも、これが通過しない。片山先生が提案されても流れる。そこには大きな闇のさまざまなものが潜んでおる。これが最も有力なために通過しないことを申上げて置きます。
#50
○安達良助君 私は、この禁酒法案に対しましては、非常に衷心から感謝をするものであります。併しながら、一部におきまして年齢の問題がございまするが、二十五歳ということは非常に疑義を抱く者でありまして、これは徴兵令の施行時代におきまして、日本は二十一歳を以て成年というように謳つておることも過去において聞いておりますし、又今囘新憲法によるところの公法人といたしまして、二十歳を認めておるということについては、両方を考えますときに、非常に我々は常識的にまあ二十歳か二十二歳までが即ち心身共に完成しておるのじやないかということを私は考えてるのであります。それで先ずこの年齢につきましては、この科学界の大会でしばしば研究をお願いいたしまして、まあその点がよく納得の行つた場合に、我々はこれに対しまして檢討したいというような考えを持つておる一人であります。
#51
○委員長(塚本重藏君) 本案に関する質疑は次囘に続行することにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。
   午後二時四十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
   委員
           内村 清次君
           中平常太郎君
           草葉 隆圓君
           安達 良助君
           小林 勝馬君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小川 友三君
           小杉 イ子君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
  政府委員
   厚生政務次官  金光 義邦君
  説明員
   厚生事務官
   (公衆保健局保
   健課長)    楠本 正康君
ソース: 国立国会図書館
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