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1971/04/11 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第8号
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1971/04/11 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第8号

#1
第068回国会 法務委員会 第8号
昭和四十七年四月十一日(火曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の移動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     岩間 正男君     野坂 参三君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     重宗 雄三君
     鈴木 省吾君     平泉  渉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 憲一君
    理 事
                後藤 義隆君
                原 文兵衛君
                佐々木静子君
    委 員
                岩本 政一君
                林田悠紀夫君
                加瀬  完君
                鶴園 哲夫君
                野々山一三君
                松下 正寿君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   矢口 洪一君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   牧  圭次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    小林  朴君
       法務省刑事局公
       安課長      近松 昌三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (外務省の機密漏洩問題に関する件)
 (二十四期司法修習生の裁判官任官に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 去る三月三十日、岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。また、同月三十一日、梶木又三君及び鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として重宗雄三君及び平泉渉君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(阿部憲一君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。佐々木君。
#4
○佐々木静子君 先日来、日本国内の世論をわき立たしております国民の知る権利というような問題をめぐりまして、外務省のいわゆる機密漏洩と、報道の自由の問題について、私はきょうその経過などを少しお尋ねさしていただきたいと思います。主として私の意見は差し控えまして、むしろ捜査関係のいままでの事柄の経過というようなものに重点を置いて少しお尋ねさしていただきたいと思うわけでございますが、まず警察庁のほうから先にこの蓮見喜久子さん――西山さんのほうは後ほど伺うことといたしまして――蓮見喜久子さんを本件の国家公務員法違反の被疑者として捜査を始められたわけでございますが、蓮見さんがこの被疑者となったいきさつ及びその後の経過につきまして、三、四分でけっこうでございますが、簡単に御説明いただきたいと思うわけです。
#5
○説明員(小林朴君) 国家公務員法の百条違反ということで、四月の三日の日でございますけれども、外務省のほうから、こういうような事案があるということで蓮見喜久子さん、四十一歳の方でございます、外務省の大臣官房安川審議官付の外務事務官をなさっておる方でございますが、この方につきましての捜査依頼というような形の連絡がございました。それに基づきまして四月の四日の日に蓮見喜久子さんが同じ審議室についておられます山田さんという方に付き添われまして警視庁のほうに出頭されました。その後の取り調べによりまして、御本人を四月四日の日に、当日でございますが逮捕いたしたわけでございます。そういたしまして四月の六日の日に事件を検察庁のほうに送致いたしてございます。同日付けで、今度勾留の請求が行なわれた、これは検察段階に入るわけでございますけれども、四月の六日の日、同日十日間の勾留というものが決定をしたわけでございます。以上でございます。
#6
○佐々木静子君 この四月の三日の日に外務省のほうから警察のほうに御連絡があったというのは、これは法律上正式な告発があったわけでございますか、どうですか。
#7
○説明員(小林朴君) 正式な告発というほどの手続ではございませんで、刑事処分を依頼するというような形のものでございますので、私どものほうは、捜査二課の事件は往々にしてそういうものが多うございまして、事件がこういうふうにあると、措置してくれ、口頭のやや告発に近いような形のものが多いわけでございます。その辺のところは、告発状によってなされたものとは見ておらないわけでございます。
#8
○佐々木静子君 そうすると、本件について法律上の告発というものはなされておるんですか、なされておらないんですか、現在に至るまで。
#9
○説明員(小林朴君) 現在に至るまで法律上の告発というような形の処理のしかたをしておらないのではないかと思います。
#10
○佐々木静子君 いま、四月三日に外務省のほうから御連絡をお受けになって捜査を開始されたということでございますが、これより前に検察庁のほうで、この外務省等の御連絡を受ける前に独自の立場で捜査をなさっておられたのですか、どうですか。
#11
○説明員(小林朴君) 私の承知しておる限りではそういうようなことはございません。
#12
○佐々木静子君 この四月三日の時点において、これは警察庁が独自の立場で捜査をなさったのか。このときは、もうすでに検察庁と連絡のもとに捜査をなさっておられたのか、その点伺いたいと思うのですが……。
#13
○説明員(小林朴君) 外務省より連絡がございましたのは、外務省が調査をいたしました結果によりまして警察側で検討しておると思います。外務省側との連絡でございますので、そういうことになろうかと思います。
#14
○佐々木静子君 そうしますと、この件について検察庁に送検されたのは四月六日と承ったんですが、それまでの時点で検察庁との連絡もあると思うんですが、いつの時点において検察庁と連絡をとるようになったわけですか。
#15
○説明員(小林朴君) おそらく四月の四日の日が最初ではなかろうかと思いますが、私詳しいことはちょっと存じませんので、警視庁のほうでこれは東京地検と連絡をとっておるわけでございますが、おそらく、この四月の三日の日の結果に基づきまして連絡をしておるはずでございます。
#16
○佐々木静子君 そうしますと、四月の四日の日に警視庁と東京地検とで連絡をとって捜査を進めているというふうにお思いになるわけでございますね。
#17
○説明員(小林朴君) はい。
#18
○佐々木静子君 この逮捕状を警察庁のほうが請求ざれたわけですけれども、この蓮見さんに対する逮捕状の被疑事実をはっきりしていただきたいと思うのですが……。
#19
○説明員(小林朴君) これは被疑事実はもうすでに御承知のように、国家公務員が職務上知り得た秘密、これを漏らす行為、こういうことになろうかと思うわけでございます。
#20
○佐々木静子君 逮捕状を請求されて、被疑事実どおりの逮捕状の許可が出たわけですね。この逮捕状を執行された場所及び時間を伺いたいと思うのです。
#21
○説明員(小林朴君) 警視庁におきまして、午後の四時四十五分に通常逮捕をいたしております。場所は警視庁でございます。
#22
○佐々木静子君 その後勾留状を請求されておられますが、これは警察庁からなされたのですか、検察庁からなさったのですか。
#23
○説明員(小林朴君) これは検察庁の職分になってございます。
#24
○佐々木静子君 この蓮見さんに対して強制捜査に踏み切られた理由を伺いたいのですか、その前に捜索令状を、被疑者を蓮見さんとする捜索令状を請求されたことがありますね。あるとすれば捜索場所と日時を説明していただきたいと思います。
#25
○説明員(小林朴君) 日時はちょっと詳しいことは私記憶ないのですが、四月の同日だと思います。場所は蓮見さんの自宅でございますが、これは浦和市にございまして、この場所と、それから蓮見さんのつとめておられます外務省の安川審議官付の部屋でございますが、ここに蓮見さんが使用されたロッカーがございまして、そのロッカーということになっております。
#26
○佐々木静子君 そうすると捜索場所は、自宅のほかは蓮見さんの外務省の中で蓮見さんが使用していたロッカーの中というだけでございますか。
#27
○説明員(小林朴君) そのように報告を受けております。
#28
○佐々木静子君 警察庁のほうが、これは強制捜査に踏み切られた理由ですね。本人が任意出頭していたのでございますが、それをあえて逮捕に踏み切られた理由、それをちょっと簡単に説明していただきたいと思います。
#29
○説明員(小林朴君) 証拠隠滅のおそれということでございます。
#30
○佐々木静子君 もう少し具体的に説明していただきたいのですが、これは蓮見さんがみずから外務省のほうにこの事実を告白され、しかも任意出頭されたわけですけれども、どういう証拠隠滅をされるということを心配されたのですか。
#31
○説明員(小林朴君) すでに新聞等で御承知かと思いますけれども、蓮見事務官とそれから西山記者との関係におきまして、この秘密漏洩事件というものが発生をしているように考えられるわけでございます。そういうことによりまして、両者の意見等が食い違うということにならないような形、真相が何だということを確めるためのものというふうに理解していただきたいと思います。
#32
○佐々木静子君 それでは警察庁のお態度として、蓮見さんのことにつきましての経過を承わりまして、次に西山太吉さんについての本件捜査を伺いたいのでございますが、同じ西山さんに対する逮捕状の被疑事実、及び逮捕した日時、場所をお聞かせいただきたいと思います。
#33
○説明員(小林朴君) 失礼いたしました。日時につきましては蓮見さんは四時四十分ございましたのでちょっと訂正さしていただきます。
 それで、西山記者でございますが、同じように四月の四日の日に蓮見さんの供述によりまして、結局公務員に対しまして秘密を――まあ公務上知り得た秘密でございますが、その秘密を漏らすことをそそのかしたいという容疑が発生をいたしてまいりました。で同日西山記者にも出頭を求めましたところ、午後の一時に警視庁、本庁でございます。そこに出頭をなさいましたので、取り調べの上、午後の四時四十五分に逮捕をしたというようなことになっております。
 で、これは御質問外のことでございますが、参考までに蓮見さんがお見えになりましたのは、午前五時三十分ということのように承っております。
#34
○佐々木静子君 これはさっきちょっと蓮見さんのときに聞き漏らしたわけですが、この蓮見さんに対する逮捕状を出した裁判所と裁判官の名前わかりますか。同じ裁判所、同じ裁判官ですか。
#35
○説明員(小林朴君) 私どものほうは承っておりません。
#36
○佐々木静子君 西山さんに対する送検は何日になっておりますか。
#37
○説明員(小林朴君) 四月の六日でございます。同じように六日の日に、両名が一緒に送致をされているというような状況でございます。
#38
○佐々木静子君 同じく西山さんを被疑者とした捜索令状が出されていると思うんですが、この捜索をした場所及びその日時を御説明いただきたいと思います。
#39
○説明員(小林朴君) 私どものほうで聞いておりますのは、同じ逮捕の日だろうと私は考えますが、そこで、この西山記者の住所が東京都の世田谷区千歳台でございますが、そこの自宅を捜索したということを聞いております。
#40
○佐々木静子君 次に、法務省のほうにお伺いをしたいんでございますけれども、いま警察庁のほうから一応警察庁としての経過を伺ったわけでございますが、同じく法務省としてこの事件を一番最初に捜査にかかられたのは、いつの時点でどういう端緒からですか。
#41
○説明員(近松昌三君) 検察庁からの報告によりますと、このたびの外務省におきましての文書漏洩事件につきましては、四月の六日、東京地方検察庁におきまして、被疑者蓮見喜久子、西山記者両名に対する国家公務員法違反被疑事件として送致されまして、受理いたして、同日両名につきまして勾留を東京地方裁判所に請求したというような経緯になっており、同日付で裁判所のほうから勾留状の発付を得て、勾留のまま取り調べを続けていたという報告を受けております。
#42
○佐々木静子君 これは検察庁の中のどういう部で担当されておられますか。
#43
○説明員(近松昌三君) 東京地方検察庁特捜部でございます。
#44
○佐々木静子君 まず蓮見さんについて伺いますが、蓮見さんの勾留請求をなすったのは検察庁ですね。検察官がなすったわけですね。これは何という検察官で、どういう理由で勾留請求をされたわけですか。
#45
○説明員(近松昌三君) 具体的事件でかつ捜査中でございますので、勾留請求をいたしました検察官の氏名のほうは申し上げるのを差し控えさしていただきたいことを御了承いただきたいのでございます。
 被疑事実につきましては、被疑者蓮見につきましては国家公務員法百条一項、百九条十二号違反、これが被疑事実でございます。勾留を請求いたしました理由といたしまして、証拠隠滅のおそれがあるというふうに判断をいたしまして勾留を請求いたしております。
#46
○佐々木静子君 蓮見さんに対する勾留を請求した理由というのは、証拠隠滅のおそれだけでございますね。
#47
○説明員(近松昌三君) そうでございます。
#48
○佐々木静子君 この蓮見さんに対する勾留の請求の理由になっている百条の一項、――いまお話しになりました――ここに「秘密を漏らしてはならない。」という条文があるわけでございますが、この秘密というものについて、当時捜査官憲とするとどのような考え方から秘密というものをお考えになったのか、その御見解を述べていただきたいと思います。
#49
○説明員(小林朴君) 今度の何といいますか、勾留を停止をしてもらいたいという準抗告の決定にも出ておるわけでございますけれども、その前にも、昭和四十四年の三月の十八日に東京高裁で出ておる、いわゆる外務省のスパイ事件等にも出ておるわけでございますが、秘密と申しますのは、行政官庁によりまして、秘密扱いの指定表示がなされておるというような形式的な面と、それからその実体が刑罰によって保護をするというものに値するような実体的な面、こういうものを兼ね備えたものということを私ども通説としていたしておりますので、そういう点からの検討をしておるわけでございます。
#50
○佐々木静子君 いまの御説明で、警察庁は秘密というものをどう考えておられるかということはわかったわけですけれども、この蓮見さんの件に関して、とすればいまおっしゃったような秘密に該当するかどうかというようなことは、どれだけの調査からあなたのほうでそのように認定をされたんですか。
#51
○説明員(小林朴君) 捜査の過程でございますから、詳しいことは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、外務省の係官等から事情を聞いておる、同時にこういう判例等の趣旨等を見て判断をするというようなことが重なっておると思います。
#52
○佐々木静子君 そうするとあなたのほうは、外務省の係官から事情を聞いたということで事実認定をされたわけですね。
#53
○説明員(小林朴君) それも一つの方法であろうと思っております。
#54
○野々山一三君 ちょっと関連。
 いまのお話をずっと聞いておりますと、それならば行政官庁は、これは秘密だと判こを押してしまえば秘密なんだと、こういうことですか。ここのところはっきりしてください。
#55
○説明員(小林朴君) 先ほども申しておりますように、秘密には形式的な要件と、それから実質的な要件とがあるわけでございます。で、実質的な要件と申しますのは、その実体が刑罰による保護に値するようなもの、こういうものをいうんだということが判例上明らかにされておるのでございます。
#56
○野々山一三君 実体が云々と、こうおっしやるんですけれども、実体が刑罰関係で保護ざれるというお話ですけれども、争いになったら一番最後は裁判でもやって結論が出ない限り、それは客観的に保護されたかどうかということは法律的にも存在しないわけでしょう。そうするとそれまでの間は、あなたがポンポンと判こを押したら、全部それは秘密だと、マル秘という判こを押したら秘密だと、こういうふうにあなた方の方うではお考えなんですか、あなたのお考えがそこんところはっきりしたら、また質問も、私も関連質問で、そこのところポイントですから、お聞きしたいんです。
#57
○説明員(小林朴君) 判こをポンポンポンと押せば秘密であるということを言うておるわけではございません。
#58
○野々山一三君 実際はね、私どももそういう仕事にずうっと関係しているからよくわかるんですけれども、こんなものを秘密という判こを押さなきゃならぬかというのは山ほどあるね。このごろ新聞に出ているように、何十万という秘密というものがあるんですけれどもね。あなたがいま胸を張っておっしゃるように、刑罰的に保護されるということをも考慮――考慮というか、そのものが秘密なんだと断定されたんならば、私は正式に要求しますけれども、外務省が出している全部をわれわれに一ぺん審査させてもらいたい。七十万通であろうと百二十万通であろうと、正式に要求しますからね。委員長、正式に要求して審査してください。そうしないと、これ議論にならないと思いますよ。いかがですか。お答えできますか。あなたができなければ法務大臣でも総理大臣でも要求しますよ。実体を議論しなければどうにもなりませんよ、抽象論では。お答えできますか。
#59
○説明員(小林朴君) 本件につきましては、私どものほうは答えることはできないと思います。
#60
○野々山一三君 私が関連して聞いているのは、佐々木委員から質問される本件の問題は秘密云々以前の問題として聞いているわけですよ。ですからね、秘密とは一体何かということが問題にならなければ、国公法の百条及び発展としての西山君の逮捕事件をも、いいとか悪いとかいって言ってみたって感情問題にしかならないんで、こんなことが許されていったら、お前目あいとるなということになるわけなんでね。うそはつきません、ありません、絶対ないと言い切った佐藤さんがうそついたんだから、ここに問題があるんですからね。これは、秘密という文言が法律上もあるいはことばの上でもいろいろ出ている。その秘密とは一体何かということを、証拠を事実をもって調べましようということなんだから、そのことを答えてもらいたいんだ。余分なことを言わなくてもいいんです。
 それから、ちょっと文句を言っとくんだけれども、あなた、一番最初に佐々木さんから簡単でいいという前置きもあったけれども、全く何べんも何べんも何べんも質問して補充しなければ、ものの全容がわからないようなこんなことで審議ができますか。あなた、一ぺんそのことについても見解をお述べなさい。
#61
○説明員(小林朴君) 捜査の経過は先ほど申し上げたとおりでございますので、私に対して問いになることは、それぞれ違っておるという形に私は考えておるわけで、段階を追って答弁をしたつもりでございます。
 それから、その秘密の問題でございますけれども、この問題につきましては私のほうで先ほどから法律問題として本件以前の問題ということでお話があるのについて答えておるわけでございますけれども、なお準抗告の際に一応裁判所が明らかにいたしております見解によりますと、秘密というものにつきましては、「単に行政官庁による形式上の秘密指定があることの一事をもって足るものではなく、行政目的を達するため必要かつ相当である実質を備えていることが要求されるものと解される」ということを言っておりまして、実質的な秘密というものを備えておることが必要なのであるという見解を出しておるわけでございます。
#62
○野々山一三君 実質的な秘密というのは、一体だれがどういう目的をもってきめるんですか。いま私は、よくわからないけどね、六カ月ばかり外からマスコミを通して聞いている事実を見てみて、ごくしゃばでわかることばで答えなさいよ。そんなむずかしいことを言ったってしょうがないんでね。実体が秘密だと、ああそうですかと言ってしまうと、何でも秘密だということになる。実体が秘密になる。だから、正式に私委員長に要求しますが、理事会ではかってください。この事件のもとは、この事件だけをもってしても、秘密というものは他の官庁にもいろいろありますけれども、極秘という判こを押した、これはいまの実体だとおっしゃるんですけれども、それがまるっきりうそであったものをも、あえて秘密といえば秘密なんだということになったら、これは国会の信頼にも、あるいは国政全体に対する国民の信頼を失うことになる。正式に要求しますから、私関連質問で悪いけれども、ほんとうに秘密とは何かということをわれわれに――実際小委員会でも精査していかなければ、秘密といえば世の中全部秘密になってしまうということになるんじゃありませんか。したがって、とりあえず秘密といっている外務省関係だけでもいいです。秘密といっているもの全部出してもらいたい、その必要なものについては理事にまかせますけれどもね、必要な扱いについても。しかし、少なくともそうでなければ、いまのお答えでは、だれに聞いても、どうですか、皆さんおそらく納得しないのじゃないかと思います。秘密ということばがあるということは、日本にそういう字があるからね、わかりますけれども、中身が問題ですから、あらためて事実を調べるために、正式な資料を出してもらいたいということを要求いたします。
#63
○委員長(阿部憲一君) 野々山君の御要求につきましては、後刻理事会において検討いたしますから……。
#64
○加瀬完君 いまのことは、委員長のおっしゃるようにお取り扱いをいただきたいと思います。
 そこで、警察当局に伺いますが、今度の身柄拘束は、警察独自でおやりになったかどうかということが一点。
 第二点は、結局、秘密条項に違反をするということが理由だとすれば、秘密条項の違反というものは、警察庁独自で判断をしてよろしいものではないと思いますが、どうか。警察が適当な判断で、これはもう逮捕の条件に当たっているとか、これは当たらないとか、そういう恣意的な判断というものが許されていいはずはないと思いますので、その点。
 それから三番目は、したがって、今度の問題で、あなたのおっしゃるように、指定表示があったかどうかということは明瞭だ。指定表示だけで判断できないで、実質を備えたものだと言うならば、その実質というのは蓮見さんの場合はどういうことなのか。それらが十分に説明されておらないので、佐々木さんの質問と答弁が食い違っているのじゃないか。実質を備えたものだと言うなら、実質というのは、こういう実質を備えたので私どもは身柄の拘束をしたんだと、事こまかに明瞭にひとつ御説明をいただきたい。
#65
○説明員(小林朴君) 逮捕の問題でございますけれども、これは警察が独自で逮捕状を請求いたしたわけでございます。
 それから秘密かどうかという判断でございますけれども、これは当然捜査当局が行なうものでございます。
 犯罪になるかならないかということの問題でございますけれども、秘密文書そのものではないんで、要するに、秘密が漏れるという犯罪に該当するかどうかということは、当然警察の捜査当局が行なう判断でございます。
 なお、本件が秘密文書かどうかということにつきましては、一応裁判所の見解によりましても、その中に秘密というようなものに該当する部分もあるということを言っておるわけでございまして、私どもは決してそれが現在捜査上非常に違法な行為であるというふうには考えていないわけでございまして、捜査上は妥当な判断であろうというふうに承知をいたしておるわけでございます。
#66
○加瀬完君 それ、あなたの弁解ですよね。あなた方の弁解だけれども、私はそういうことを聞いていない。警察独自でおやりになったというならば、逮捕に値する犯罪内容というものはどういう内容だというような把握のもとに行なわれたか、その内容を示されたい。裁判所がどうこうと言っているが、それはあとの結果で、裁判所の決定によってあなた方が行動したならばその理由はわかるけれども、あなた方は裁判所の決定の前に行動したのだから、当然、行動の裏づけがあるはずだ。それを明瞭にしろと申し上げている。
#67
○説明員(小林朴君) 現在捜査中でございますので、その判断そのものについて明らかにするというわけにはまいりません。どうぞ御了承願いたいと思います。
#68
○加瀬完君 個人の自由を束縛したり、財産権を侵害したりして、捜査の過程でありますからその理由は説明できませんということが憲法で許されておりますか。これから捜査する内容について説明しろと言っているのじゃない。どういう理由で逮捕したか、逮捕理由を明らかにしろというのに、明らかにできないようなことで逮捕したということになったら、これは大きな問題です。警察国家じゃないですか。警察の判断でかってなことができる、そういうことは許されておらない、憲法では。こういう理由の容疑がありましたから逮捕しましたということの説明ができないというばかなことがありますか。
#69
○説明員(小林朴君) 先ほどから申しておりますように、逮捕の理由というのは証拠隠滅であるということでございますし、その犯罪事実というのは公務員法の百条に規定されておりますように、秘密を漏らす、漏洩するという行為が公務員によって行なわれたということでございます。
#70
○佐々木静子君 いま、あなた、逮捕の理由が証拠隠滅だとおっしゃったけれども、あなたは先ほどから、逮捕の必要が証拠隠滅だとおっしゃったのじゃないですか。逮捕の理由は百条の一項だという話だったら、話が全然変わってしまっているじゃないですか。どうなんですか。
#71
○説明員(小林朴君) 逮捕の理由が犯罪事実でございます。おっしゃったとおりでございます。
#72
○佐々木静子君 そうすると、いまあなたが、この公務員法百条の一項、すなわち「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」という規定に違反したというふうに捜査官憲が考えられた、いろいろな状況を見て考えたという話がありましたけれども、そして先ほど、それについては外務省の係官の話を聞いて事実を認定したという話もありましたけれども、外務省の係官のほかからも事実認定の資料とすることを聴取されたかどうかということをお聞きしているわけです、逮捕するまでの段階で。
#73
○説明員(小林朴君) 現在捜査中でございますので、どういうような捜査をやっておるかということにつきましては、ここで明らかにすることを差し控えさしていただきたいと思います。
#74
○佐々木静子君 この問題はあとで追及するといたしまして、今度はもう一度法務省のほうに伺いたいのでございますが、この西山さんの勾留状を請求されましたが、その勾留請求の理由と必要性というものを法務省はどう考えて請求されたのか、お述べをいただきたい。
#75
○説明員(近松昌三君) 西山記者につきましては、先ほども御説明いたしましたとおおり、四月の六日に受理いたしまして同日付で東京地方裁判所に勾留請求をいたしております。勾留請求をいたします被疑事実は、西山記者が毎日新聞の記者として外務省内の記者クラブに勤務していた者であるが、秘密である電信文三通を、国家公務員である蓮見事務官に対して昭和四十六年五月ごろから六月ごろにかけましてその交付方を要求してそそのかした。罰条でまいりますと、国家公務員法百十一条違反である。これが勾留請求しました際の被疑事実でございます。この犯罪が成立すると疑うに足る相当な理由があるということで勾留請求をいたしております。
 なお、勾留の必要性につきましては、先ほどの蓮見事務官と同様でございまして、証拠隠滅するおそれがあるというふうに、諸般の状況及び証拠資料から認められましたので勾留請求したということでございます。
#76
○佐々木静子君 これはその翌日である四月七日に準抗告の申し立てが弁護人から出され、しかもこれが先日四月九日付で準抗告の申し立てが認められて、検察側の請求した勾留状が却下されていますけれどもね。この理由を読んでも、裁判所の判断によってもこの罪証隠滅のおそれは認められないということ、勾留しなければならないほど強度のものとは言えないということをはっきり書いてあるわけですけれども、あなたたち、この勾留状を請求したということを、この裁判所の判断一つ見ても非常に不当な、行き過ぎの、必要がないのに勾留したということを、これは東京地裁の決定ではっきりしているわけですけれども、その点について反省していられますか。行き過ぎの捜査だということを認められますか。
#77
○説明員(近松昌三君) 先ほど弁護人から、七日付の準抗告の申し立てがなされたという御説明でございましたが、これは八日付でございます。九日に準抗告が容認されまして、勾留の請求が取り消され、かつ勾留請求が却下された。これが裁判の主文になっております。私ども検察庁のほうといたしましては、証拠隠滅のおそれがあるということで請求をいたしたわけでございますが、検察側の主張とこの段階において異なりまして、裁判所のほうでは証拠隠滅のおそれはないということで、勾留請求準抗告が容認されたということになっております。この決定の内容を御検討いただきますと、捜査段階あるいは勾留請求をいたしました段階につきましては、被疑者が関係人らに働きかけをし、あるいはこれらのものと通謀して罪証隠滅をはかるおそれが多分にあるといわざるを得ない。これは裁判所の判断でございますが、原裁判が勾留を認めたことは、あながち不当とはいいがたい。しかし、準抗告請求がなされまして、その判断がなされる段階におきましては、被疑者は本件事実の主要部分について自白しており、また関係人の供述もある程度収集されている。そこで、なお細部において被疑者や関係人の間に供述の食い違いがあるにしても罪証隠滅のおそれはさほど強度のものとは言えない。今後さらに被疑者の身柄を拘束しておく必要性に乏しいものと言わざるを得ない。このような趣旨の決定でございまして、検察側といたしましては勾留請求の段階では罪証隠滅のおそれがあるというふうに判断したということでございまして、結論的には裁判所のほうで準抗告の申し立てを容認し、取り消されておりますけれども、勾留請求をいたしました段階で、検察側の何と申しますか、必要と申しますか、それはそれとして一応勾留の理由があったというふうに考えられるのではないかと思います。
#78
○佐々木静子君 いまあなたのほうの御主張どおりとして、勾留状を請求する時点ではあなたの主観では、捜査官憲の主観では勾留の理由があったということであっても、この十日間の勾留を裁判所が許可されたからといって、あなたのほうは許可された十日間拘束しておくのだという御見解でしょうか。どうなんですか、これは。勾留状の性質というものをどう考えているわけですか。十日間勾留許可のあったときに、検察庁とすると十日間拘束する権利があるというふうにお考えになっているのですか。その間においても必要性がなくなったら当然釈放しないといけないのじゃないですか。
#79
○説明員(小林朴君) お話しのとおりだと思います。
#80
○佐々木静子君 そうすると、裁判所の判断でもわかるように、この現時点ではこの少なくとも四月の八日の時点ではもう勾留するほどの罪証隠滅のおそれは強度でないというふうに判断しているのに、それをあなたのほうは、勾留が十日間許されたからといって拘束しょうという姿勢でいるということ自身が、非常に人権じゅうりんであり、捜査権の乱用が過ぎるんじゃないですか。その点どう考えているんですか。反省しておられますか。
#81
○説明員(小林朴君) その点は捜査当局側の判断と裁判所側の判断というものの、若干食い違うところであろうかと思います。
#82
○佐々木静子君 この検察庁が勾留の請求をし、裁判所が勾留状を出した。その後これが準抗告によって取り消された。準抗告その他の事由で取り消されたというようなことは、全体の裁判所から出ている勾留状の数から考えるとどのくらいの割合になるのか。それは最高裁の刑事局のほうでおわかりでしたら最高裁の刑事局のほうからお答えいただきたいと思います。一たん出された勾留状が決定されて取り消されたのが何%ぐらいになるか。
#83
○最高裁判所長官代理者(牧圭次君) いまお尋ねの点はちょっと資料ございませんので、もし御必要でございましたら後刻取り調べた上でお手元に届けたいというふうに思っております。
#84
○佐々木静子君 それでは後刻またその統計を出していただきたいと思いますが、刑事局長のまあ御体験から言いますと、一たん出した勾留状が、これが準抗告で裁判所の決定で取り消されるというのは、全体から見ると一%にもとてもならないんじゃないか、きわめて珍しい例じゃないんですか。
#85
○最高裁判所長官代理者(牧圭次君) きわめて珍しいと言えるかどうかわかりませんが、数としては少ないものだというふうに私の経験では考えておりますけれども……。
#86
○佐々木静子君 そうすると法務省に伺いますけれどもね、このように裁判所の全体の例から見ても、一たん出した勾留状が取り消されるということは、いまはっきりした統計がまだわかりませんけれども、これは最高裁の刑事局長も言っているようにきわめて少ないということは、きわめてこれは極端に権限が乱用された違法な捜査が行なわれたということを、これは裏返せば物語っていると思うわけです。あなたたちはそのことについてどのように反省しているんですか。どのように考えているんですか。先ほどからの御答弁をみますと、見解の相違とか何とかということを言っておりますけれども、これはあなたたちの持っている捜査権というものも国民から委託されたものであり、もちろん憲法、刑事訴訟法の精神にのっとって講じなければならないということ、それは百も御承知だと思うんです。ところが、こういうふうな非常に――例から見るときわめてまれな行き過ぎた捜査を行なったということについて、当局としてどういうふうに考えているのか。見解の相違じゃ許せない問題だと思うわけです。
#87
○説明員(近松昌三君) 今回の事件につきまして、特に西山記者について勾留請求をいたしましたところ、裁判所のほうで一応その検察官の勾留請求が相当であるということでありまして、東京地方裁判所の裁判官が勾留を実は認めてくれた、こういう事実、これはございます。その裁判官が勾留を認めましたその事実について、さらに被疑者側から、被疑者の弁護人側から準抗告の申し立てがあった。これについては当該裁判所は勾留の必要性がその時点においてないということの実は判断を示したということでございまして、検察官側といたしましては、被疑者の勾留の事案の真相を糾明して犯罪の成否を十分に明らかにしたいと、こういうことで証拠隠滅のおそれありと判断したわけでございまして、現在の訴訟法の制度におきましてそういう主張をなし、かつそれに対しまして裁判所が判断されるということで、たまたま結果的に検察官側の主張が排斥されたということでございまして、特にこの決定の趣旨からも私ども十分読み取れると思うのでございますが、現段階で捜査が行き過ぎであったというふうな点はなかったというふうに考えております。
#88
○佐々木静子君 これはあなたのほうがどう考えておられようと、客観的にですね、これはだれの員から見ても捜査の行き過ぎであると私ども思うわけですけれども、まあここで論争しておってもいたし方ありませんので、このあたりで打ち切りたいと思いますが、あなたのほうは蓮見さんに対してはまだ勾留をしておられるわけですね。
#89
○説明員(近松昌三君) 蓮見事務官の件につきましては、現在身柄を拘束したまま捜査を鋭意続けているという段階でございます。
#90
○佐々木静子君 接見禁止中でありますか。
#91
○説明員(近松昌三君) 勾留請求をいたしまして、勾留状が発付されました段階で、接見禁止請求も容認されております。したがいまして現在もなお接見禁止中でございます。
#92
○佐々木静子君 それはあなたのほうね、先ほどからの話を聞いておりますと、裁判所が容認した、それを一〇〇%あなたたちはそうしなければならないような言い方をされるけれどもね、容認というのは最大限の外側のワクであって、裁判所がかりに容認したところで、その時点においてあなたたちは必要なくなったと思えば、当然取り消さなければならない。それが捜査官の義務じゃないですか。
 それから伺いますけれどもね、現在あなた方が蓮見さんを勾留にしている現在ですよ、きょうの時点においてその勾留の必要性はどこにあるんですか。
#93
○説明員(近松昌三君) 具体的捜査中でありますので、具体的な事件のことでございますので、一般的、抽象的に申し上げることをお許しいただきたいのでございますが、一応蓮見につきましても関係参考人の取り調べ、それから証拠品の検討、いわば裏づけ捜査、さらには本人につきましてなお詳細な点についての事実関係を調べるということで、このような捜査を行なう上において、蓮見についてはなお身柄を拘束して取り調べる必要があるというふうに判断しているものと考えます。
#94
○佐々木静子君 この先ほど来確認しましたが、蓮見さんについて逃亡のおそれはないわけでしょう。罪証隠滅だけでしょう、理由は。そしてこれは蓮見さんに対してではないけれども、西山さんに対する勾留も、これは罪証隠滅のおそれは強度のものと言えず、この諸般の事情を考慮して身柄を拘束するほどの必要がないということを、これは東京地裁が示しているわけですね。蓮見さんにおいてもこれは同じことじゃないかと思うのですね。裁判所がそういう見解を示しているのに、あなた方が勾留の許可をとったからといって十日間勾留しようという、そういう意図がこれはおかしいじゃないですか。これは裁判所ではっきり西山さんに対する分ですけれども、これは同じだと思うのです。罪証隠滅のおそれも強度でないし、これ以上勾留をして調べなければならない理由はあると思われないということで、勾留は取り消されているんですから、これからいけば裁判所を尊重するという考え方があれば、これは同時に蓮見さんに対する勾留もこれは職権で取り消すべきではないですか。そのことについてどう思われますか。職権で取り消すということを当然なさらなければならないと思うのです。義務違反じゃないですか。
#95
○説明員(近松昌三君) 先ほども申し上げておりますように、まあ具体的事件でございますので、最終的な判断は捜査を行なっております検察庁が行なうかと思いますが、もちろん捜査は文字どおり流動的なものでございまして、十分証拠が収集される、したがいまして証拠隠滅のおそれがないということになりましたならば、もとより一般の例でございますが、検察庁は釈放するということにやぶさかではないんでございまして、先ほど来御指摘いただいておりますが、十旧聞の勾留が認められたからどうしても十日間は身柄を拘束しなければならないんだということではもとよりございません。十分捜査が進捗いたしまして、事案の真相が明らかになり、あるいはしたがいまして罪証隠滅のおそれがないというような判断が可能ということになってまいりました場合には、もちろん身柄の拘束を解くと、これは必ずしも検察庁でやっております捜査の実情から見ましても異例なことではございません。本件につきましては、何ぶんにも先ほど来申し上げておりますように、東京地方検察庁において鋭意捜査中でございますので、そちらのほうの判断ということで御了承いただきたいというふうに存じます。
#96
○鶴園哲夫君 いまお話を聞いておりまして一つ妙に思うのは、蓮見さんは外務省で十分上司が取り調べたわけでしょう。いろんな事情を聞いているわけですね。で、予算委員会でも官房長はその事情を説明しましたですね。たいへん詳しく事情は全部聞いている。そうして自首して出たという新聞報道なんですが、自首して出て、ですから、事情は十分調べてわかっているんじゃないかと思うのですよ。それが長い間逮捕されている、留置されているということがわからないのです。私は、これが四月の六日ですか、そして西山記者が逮捕されたという記事が出ましたときに、いろんな人が意見を新聞に載せましたですね。その中で私が非常に奇妙に思うのは、自民党の総務会長の中曽根さん、彼の談話みたいたものは、どうもこれはこんなことになってしまうと派閥争いみたいになってしまっている、遺憾だと、こういうようなことを言ったのですね。初め妙な話じゃないかと思ったのですが、奇妙な話があとすぐ出てきた。やれ西山記者がどうだとか、あるいは局長がどうだとか、審議官がどうだとかいうような話がだいぶ出てきて、それから自民党の派閥、何かその中に野党も、というような話が出まして、非常に妙な印象を受けたわけなんですよ。佐藤総理も政争の具に供したという言い方なんですね。その中には自民党ももちろん入っている。政争の具に供したというような言い方、だから、何か佐藤さんも断固戦うというような話をするし、何か非常にそういう政治的なものを強く感ずるわけですね。前にも記事が出て、こういう電報が国会の場で出まして、それが何か蓮見事務官を懲戒免職する、逮捕する、西山さんを逮捕するという形で、何か非常にすりかわったような印象を強く受けたわけです。ですから、私どもがこの問題を考える場合にどうしても政治的なものを強く感ずるわけなんです。まあ蓮見さんの場合は、これはもう自首して出ているし、外務省としてもこれは十分事情は聴取をしているし、ですから、これを逮捕していつまでも勾留しておくという必要はないんじゃないかと思うのですけれどもね。もう一ぺん、先ほど申し上げたような、何かこれからまださっきお話のようなことでは、捜査中というのですが、どうもはっきりしないですね。そうするとこれは今日まで留置しておくという理由がわからないのです。もっとそういう点はっきり答弁願えないでしょうかね。頼みますよ。
#97
○説明員(小林朴君) まあ捜査中の事件でございますので、その内容そのものについてはどうしてもここで公表するわけにまいりませんので御了承願いたいと思いますが、一般に捜査と申しますのは、たとえ自供がございましても、その自供が真実であるのかどうなのかというために裏づけをするというような行為が非常に残っておりまして、また、それによってはたしてそれが真実かどうかというようなことの判断を続けてまいるわけでございます。こういう行為が実を申しますとこうであったということを言われただけで終わるということでございませんで、非常に手間がかかるというようなことがございまして、捜査というのはそういう裏づけの捜査を含めまして活動いたしているわけでございますので、現在まだ勾留を続けていると、こういうようなことになっているわけでございます。
#98
○鶴園哲夫君 どうも何ですね、蓮見さん一人を調べるというのにあんな長いことかかっている。しかも自分から出頭してそうして話をしている。外務省は外務省で、官房長の話だと、何かだいぶ聞いているようですね。三日ぐらい聞いたといいましたかね。ですから、そんな一人の問題について要るのでしょうかね。内部の事情でよくわかりませんが、私の常識から考えますと、とてもこんな長いことかかることが必要なんだろうかという感じがしますですね。
#99
○説明員(小林朴君) 私どものほうでは、外務省でお調べになったということがございましても、それはまあ第三者の話でございますので、直接にやはり初めから御本人に事情を聞くというようなことになるわけでございます。いずれにいたしましても、そういうことで多少の時間はかかるというふうに考えるわけであります。もとより法律の精神というものは尊重すべきでございまして、常に捜査の必要な段階が終わりますと身柄というものにつきましてはできるだけ早く釈放するというのがたてまえかと思っております。
#100
○佐々木静子君 私はこの問題をもっといろいろとお尋ねしたいのですけれども、あとの問題もございますので、――いままでの捜査当局のお話を伺っていると、これは全く捜査権を乱用したことであって、少なくともこの西山記者に対する勾留状の請求もこれは権限乱用の行き過ぎであった。特に、もう西山さんに対する勾留が取り消された時点においても、同じような理由で勾留されている蓮見さんに対して、まだ勾留を現時点においても続けている。しかも、接見禁止というような、勾留のうちでも特にきびしい形における勾留を続けているというようなことに対して、私はこれは明らかに憲法違反、刑事訴訟法の精神に反するものだと思うわけでございます。一刻も早くこの時点においてでも早急にこの蓮見さんに対する勾留を取り消し、しかもこのようなあやまった捜査を、両名に対する捜査を全面的に撤回するということを特に要望いたしまして、この問題に対する質問を私のほうは打ち切りたいと思います。
#101
○加瀬完君 関連。
 最初のほうに返って恐縮ですが、検察側の考える秘密というのは一体何ですか。秘密文書だから犯罪を構成するという考え方ではないという御説明でしたね、さっきは。そうなりますと、秘密保護を必要とするのは、国家・国民に不利益をもたらしてはならないというこれは前提からでしょう。これはお認めになりますね。どっちでもいいですよ、警察でも、法務省でも。
#102
○説明員(小林朴君) 今回の勾留の準抗告の決定文によりますと、この秘密と申しますのは、そういうふうに形式的な面もございますけれども、実質的にはその行政目的を達成するために必要な行為、また相当であるというそういう行為だというふうに解されておると、こういうことでございます。
#103
○加瀬完君 行政目的を達するという前提には、国家・国民の利益を保護する、利益を増進すると、こういう観念が当然あるわけですね。そうなりますと、いわゆる通常いわれている国益に反する、あるいは国益を害すると、こういう内容がなければ秘密保護を必要とする概念は構成しないわけですね。これをお認めになりますか。――もう一回説明しましょう。行政目的をそこなうような内容であれば、これはいわゆるそういう秘密を解くことによって行政目的がそこなわれるということになれば、これは犯罪の対象だと、こういうことでしょう。行政目的というのは、これは通常いわれている国益の増進なり、国益の保護なりということですよね。そうであるならば、国益を害さない、あるいは国益をそこなうことでないと、こういうものが秘密保護の対象になり得るかということですよ。これは、この問題でどうこうということではなくて、法律概念として、一応前提の判断を聞かせていただきたい。
#104
○説明員(近松昌三君) まあ国益が何であるかということ、それ自体、概念が非常にむずかしい問題であります。さらにまた、国益が何であるかを最終的にだれが判断するかということも、これ非常にむずかしい問題があるかと思います。しかし、事行政に関しまして、行政上の目的を達成するためには、やはり国益と相反するものではなくて、むしろ国益に合致する場合が、これが多いと言えようかと思います。一定の、国家が行政目的を達成するために、秘密として秘匿することが国益に合致するというような場合におきましては、まさに国家公務員法上の秘密と国益とが一致するという場合であろうかと思います。まあ何が国益かの判断は、内閣あるいはその職務を分掌管理する大臣とでもいいますか――が判断しなければならない。ところが、国家行政組織に所属する職員についていいますと、その職務の執行についての判断も尊重されなければならないというようないろいろ問題もあろうかと思いますが、行政上の目的を達成するために秘密としたということは、むしろ国益に合致する場合が多いかと思われます。
#105
○加瀬完君 ここらが非常な見解の違いなんですよ。検察庁があって国民があるわけじゃないんだ。政府があって国民があるわけじゃないんだ。行政目的はいろいろあるけれども、大体が行政目的は国益に合致するものであろうという、そういう論理が成り立ちますか。行政目的というのは、国民なり国家なりの利益を目的とすること以外何もありませんよ。行政目的によって国民が被害を受けたら、これは当然争いの対象になるでしょう。あなたの説明だと、行政目的というのは大体国益に合致すると、こういう説明だ。それじゃ、国益に合致しない行政目的というものがあるのか。そんなばかなものの考え方がありますか。より国益に合致するように活動するのがこれが行政目的ですよ。そうであるならば、保護さるべき秘密というものは行政目的に合致するものであるから保護されなければならないし、そこなわれてはならないということになるでしょう。今度のような問題が国益を非常に害するかどうかという判断がなければ、これは秘密保護に値するか値しないかという前提が狂ってきますよ。形式的には蓮見事務官の行為というものはいろいろ問題がありましょう。しかし西山記者に至りましては、国益のためにということで取材を要求し、いろいろの材料を獲得をしたわけですね。これが秘密を、さっき言ったようにそそのかして、罪名上違法行為を犯したということになりますか。あなた方はさっき最終的判断は政府がするとかなんとかいろいろなことを言っているけれども、あなた方の責任で秘密保護に値すべきものを、違法行為を犯したというのでこれは逮捕したんでしょう。身柄を拘束したんでしょう。西山記者が取材をして、西山記者が公表したわけでもなんでもないでしょう。蓮見事務官の陳述によって西山記者に材料が渡ったということだけでしょう。それで秘密保護の違法行為をしたということにどうしてなるんですか、これ。
 だからあなた方の考えている秘密というのは何だか私にはさっぱりわからない。だから先ほどからそういう秘密というものは、検察当局なり、警察当局なりが独自に判断してよろしいものか、独自に判断していいということだったら、これは国民には一つも生命、財産を守る権利というものはなくなってしまいますよ。少なくも行為は検察庁なり、警察庁なりがおやりになるにしても、その基準というものはきちんと客観的になければいけない。それを明確にしておいてもらいたいと要求しておいたわけですけれども、その御説明が私にはまだ納得に至りません。国益を害さないものの一体秘密を保護しなければならない理由はどこにあるか。あの問題は当然知らせることのほうが国民の利益を守ることになるでしょう。あれを発表したって国民は何ら被害を受けませんよ。であるのに、これは秘密条項であるから保護しなきゃならないという理由はどこにありますか。それらの点を明確にひとつ御説明をいただきたい。いずれこれらの問題は後日またあらためて伺いますけれども、あなた方の法律的な解釈における秘密というものがはっきりしませんから、具体的にひとつ、くどいようですけれども御説明いただきます。
#106
○鶴園哲夫君 ちょっといま加瀬さんのやつに補足して伺っておきますが、行政目的が国益に合致する場合もあるけれども、合致しない場合もあるとおっしゃるのですね。ですから、それはそうだという、近松さんのお話だとそういうことだろうというように思います。その合致しない場合はどうなるか、私は蓮見さんの問題は合致しない場合になっているのじゃないか、そう思っているわけですよ。そこのところを含めて答弁を一つ……。
#107
○説明員(近松昌三君) 国益、あるいは知る権利、さらには報道の自由ないしは取材の活動、いろいろ非常に重要で、かつむずかしい問題であろうかと思いますが、私どもの本件捜査にあたりましては、国家公務員法違反が両名について成立するということで、そういう容疑のもとに捜査を続けている、いずれ捜査が完結いたしました場合には、その点につきましての最終的な判断もできるかと思いますが、この段階では具体的な事件、しかも捜査中であるということでございますので、具体的にどの点でどう、そういう判断が出てくるのかの、何と申しますか、御説明は差し控えさしていただければというふうに考えております。
#108
○加瀬完君 いろいろあとの御予定もあるようですから、説明にならない説明をいつまで聞いておってもしようがない。説明できる人を今度は出してくださいね。
 で、ひとつ警察側に一点伺いますが、いま法務省のほうがお答えになりましたように、重要にしてこれはむずかしい問題だというとらえ方は御同感ですか。
#109
○説明員(小林朴君) 同感でございます。
#110
○加瀬完君 そうすると、一課長や一局長が、あるいはまた警視庁という出先が単独で逮捕なり、身柄拘束なりというようなことをするはずはありませんね、重要にしてむずかしい問題だから。だれが指示したんですか。
#111
○説明員(小林朴君) むずかしい問題でございますけれども、犯罪捜査と申しますのは結局それを主管する課がやるわけでございます。警視庁全体としてそういうふうに事件を処置するということであるならば警視庁が判断をするということになるわけでございます。
#112
○加瀬完君 犯罪であるかどうかの判定がなかなかむずかしいということじゃないんですか。それから、逮捕することによっての影響力というものも非常に重要だということで、重要にしてむずかしいという御説明があったんじゃないんですか。そうすると、警視庁がだ、かりに犯罪を構成するんではないかというような判断を下したとしても、これ国家公安委員会に全然話なしにすぐ行動するということはあり得ないと思う。これは国家公安委員会の問題になると思う。
#113
○説明員(小林朴君) 当然それは報告はございますけれども、事件を指揮するという限りにおきましては警視庁が全責任を持ってやるわけでございます。
#114
○加瀬完君 それはそうだよ。しかし、事前に当然警察庁長官なり、あるいは国家公安委員長なり国家公安委員会なりに打ち合わせがあったはずですね。あったと考えてよろしいですね。
 警視庁が動いて、事後報告の形でこういうものがやれるはずはないとわれわれは判断するんだが、こう考えてよろしいでしょうね。
#115
○説明員(小林朴君) 私どもは事務当局でございますので、そういう連絡がどういうふうに行ったかということについては承知いたしておりません。
#116
○加瀬完君 おかしいな。あなた、警察庁の捜査第二課長でしょう。そうでなければ、あなたの所管の行為が行なわれるのにあなたが知らないはずがない。じゃ、これを知らないというのなら、いままでの御説明は、事前の話も受けなけりや事後の報告も受けないで、あなたいままで説明していたことになる。そんな説明は全く当てにならない説明だということになる。しかしながら、これはあなた御自身でおっしゃるように、それらの経過がわからないというのなら、今度経過のわかる者に出てきていただいてひとつ答えていただきましょう。
 保留します。
#117
○佐々木静子君 それでは、この問題は非常に重要な問題でございますので、この委員会において次にまたその問題を調査を進めさしていただくということで、本日のところはこの件については一応保留ということで、次の議題に移りたいと思います。最高裁判所のほうにお伺いしたいのでございますが、この三月、四月、これは司法関係者にとっては非常にうっとうしい季節になっているわけでございますが、これは例年のように、裁判官の再任拒否あるいは修習を終わった任官希望者に対する任官の拒否というようなものがこのところ相次いで毎年のように起こっているわけでございます。まあことしは、十年の任期がきた裁判官に対する再任拒否というものは、形の上では見られなかったわけでございますが、それも内実を調べますと、現実には再任拒否に近いようなかっこうで裁判官の再任願いを取り下げたというような人もあるわけでございますが、この問題はいまさておきまして、今度修習を終えます二十四期の修習生の中から裁判官を志望していた者が、これは四月六日の有力紙にも載っておりますが、三人不採用になったという事実でございます。
 今度の二十四期の修習生のうち、いわゆる二回試験を受験する時点において裁判官希望者が何人あったのか、お答えいただきます。
#118
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官希望者は合計で六十七名でございます。
#119
○佐々木静子君 結論的には何名を採用されたわけですか。
#120
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 結論的には五十八名を採用いたしました。
#121
○佐々木静子君 六十七名から五十八名、これ九名減っておりますが、これはどういうことで――これ簡単でけっこうですから――理由で合計九名が減ったのかということを説明してください。
#122
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 結局、採否の御決定を裁判官会議で御決定いただきます前に六名の方が採用願いの撤回をなさいましたので、結局六十一名につきまして採否の御判断をいただき、その結果三名の方が不採用ということになりまして、五十八名ということになったわけでございます。
#123
○佐々木静子君 この六名の方が二回試験を受ける時点では裁判官志望であったけれども撤回された。それはどういう理由で撤回されたのか、これは六名一人一人に詳しく述べていただいておりますと時間がかかりますので、簡単に述べていただきたいと思います。
#124
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まあ私、撤回をなさった方の各人について詳細にどういうお気持ちであったかというところまで承知できていない面があるわけでございますが、まず、その中で二名の方が法務省訟務検事あるいは検事を御志望になるということで、そちらのほうに御志望がえをなさったということでございます。また一名の方はどういうおつもりか、内心の御意思はわかりませんけれども、裁判官の希望を撤回するということでございました。残り三名でございますが、三名のうちの一名の方は任地等の関係で、どうも希望が必ずしもうまくいかないのじゃないかというようなおつもりであったと思いますが、これも正確にはお聞きしたわけではございません。そういうことで御撤回になりました。他の二名の方は、まあ直前になりまして裁判官志望を思いとどまったということでまた御撤回になったということでございます。
#125
○佐々木静子君 その最後の突然撤回されたという二名は、これは婚約者同士のカップルですか。
#126
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのように承知いたしております。
#127
○佐々木静子君 その前の任地の関係で取りやめたと思われるとおっしゃった一名は御婦人の裁判官ですね。
#128
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのとおりでございます。
#129
○佐々木静子君 二回試験が、筆記試験が終わったあとで面接試験がありますね。これはどういう方々が面接試験のメンバーでおられるわけですか。
#130
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 今回面接をいたしましたのは事務総局の局長六名と秘書課長、合計七名でございます。
#131
○佐々木静子君 そうしますと、いまお答えをいただいている人事局長も当然に面接試験の試験官であられたわけですね。
#132
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 所管でございますので当然でございます。
#133
○佐々木静子君 この最初の任地のかげんでやめたのではないかと思われると言われる御婦人ですけれども、これは任地の問題について面接試験のときにいろいろと試験官、いわゆる最高裁の局長ですね、任地の問題についてお話しになった御記憶はありませんか。思われるじゃなくて、あなた方が任地がなかなかうまくいかないということをはっきりおっしゃったんじゃないんですか。
#134
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 任地の関係で、大体こういうことを予定しでおるということは申し上げました。その結果、この方も実は御夫婦の方でございまして、御主人ともいろいろ御相談になったようでございます。まあこの際は希望を撤回するということでございました。
#135
○佐々木静子君 いまおっしゃったとおり、この御婦人、たとえばKさんとしておきましょう。Kさんの御主人は四国で裁判官をしておられますね。そしてKさん自身も御主人の任地である四国へ赴任したいという希望だったわけですね。それに対して四国には空席がないということを、これは最高裁の局長クラスの方々が志望者であるKさんに言われたんじゃないですか。
#136
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御夫婦であるということがわかっておりますので、御本人ができるだけ一緒に住みたいという御希望でございました。これはごもっともなことでございます。ただ、私どものほうとしまして、新任の判事補の方を補職いたしますにはやはりそれだけの定員のあきがないといけないわけでございます。四国にはそういうあきがないということを申し上げたわけでございます。
#137
○佐々木静子君 今度四国を任地として赴任される新任の裁判官はそれじゃ全然ないわけですね。
#138
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 四国というのは、少し広い言い方でございますけれども、特定の地方裁判所管内という、御主人のおられる特定の地方裁判所にはあきがないということでございます。
#139
○佐々木静子君 いや私がお尋ねしているのは、四国に赴任された新任の二十四期の裁判官はないんですかということを言っているわけです。
#140
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 四国に赴任される新任の裁判官がないわけではございません。
#141
○佐々木静子君 私のお聞きしているところでは、四国に今度二十四期の判事補が二人赴任される。そのうち一名は女性であるということを聞いておりますが、それは間違いないですか。
#142
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 四国に赴任される方は三名でございまして、一名が女性でございます。
#143
○佐々木静子君 これは三名も四国に空席があるのなら、なぜ面接のときに四国に空席がないというようなことをKさんに言われたのか。私これ面接に立ち会ったわけじゃありませんから断定するのはあるいは行き過ぎかもしれませんが、少なくともなぜ四国に空席があるんだということを、可能性もあるんだということをKさんに言ってあげなかったのか。まあKさんは、御主人が裁判官をしているので、自分もぜひとも裁判官として終生貫きたいということで、生涯の仕事として裁判官として取り組んでいきたい。ところが御主人の任地である四国、これは何も同じ管内であるということではない。これはやはり裁判官の定員が少ないのだからだれもそんなことは考えておらない。四国であれば週末にもちょいちょい会えるということで希望しておったので、四国はないぞ四国はないぞ、四国は全然空席はないと、それは試験官である最高裁の局長たちが言われたんでしょう。
#144
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのときにどういうふうに申し上げたかということとは別といたしまして、この女性の方の御主人の赴任先がどこであるかということは、もちろん私どもにはわかっておりますし、女性の方にもわかっておるわけでございまして、その裁判所に一緒におるための新任判事補のための席がないということを申し上げたわけでございます。
 それから四国は御承知のように四県ございますので、裁判所は四つあるわけでございますが、現に地理的な事情でございますとか、それからその裁判所の構成でございますとか、そういうことを考えましても四国四県をひっくるめまして今度の新任の、いまお尋ねの方を四国に赴任させることはできないということもあわせて申し述べたわけでございます。
#145
○佐々木静子君 そうしますと、面接のとき、いま言われたように、四国に赴任させることはできないということは、人事局長を含めて試験官が言われたわけですね、御当人に。それは認められるわけですね。
#146
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) いま御説明を申し上げたような経緯をたどって御説明をしたということでございます。
#147
○佐々木静子君 しかし、いまのお話では、現実に三名の同期の人たちが赴任したわけですね。それはどういうことなんですか。最高裁ともあろうものが、人をだまし討ちにしたようなことになるじゃないですか。
#148
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは特定の地域でお考えいただかないとちょっとおわかりいただけないのでございますが、たとえば松山と高知というようなことになりますと、隣の県ではございますが、そう簡単に行き来ができないわけでございます。それから徳島と松山というふうに考えますと、同じ四国でも時間がかかるわけでございます。まあ、問題をあまり抽象的に申し上げるのもかえっていけないかと思いますので率直に申し上げますが、御主人は松山でございます。松山に一番近いのはどこかということになるわけでございますが、私どもは、松山に案外地理が遠いように見えるけれども近いというところを十分勘案してそういったところを予定しておったということでございます。
#149
○佐々木静子君 これは私聞いているところでは、非常に任地の点で四国からことさら離れたところへ赴任させられるというようなこと、ちょっとやそっとで会えないようなところへどうしても任官するという場合持っていかれるというようなことで、これは撤回せざるを得ないというような面接の状態であったと聞いているのですけれども、そういう点はこれはどう考えられますか。事実上試験官のほうは大ぜいの相手であって、撤回せざるを得ないようなところに追い込んだつもりはないとかりに言われても、現実に裁判官志望で一生懸命やってきた人間がそういうことで撤回させられているわけです。それはやっぱり試験官とそれから修習生という、これは対等の立場じゃないわけですよ、やはりこれから裁判官になろうとする人間と、それから局長クラスといえば何十年も裁判官をやってきたベテラン中のベテランですね、大先輩ですね。それがそのような少なくとも受験する新任裁判官になろうという人間に強制された、あるいは非常に冷たくあしらわれた、もっと悪く言えばどうかつされたというような印象を与えるようなかっこうで面接試験を行なったということ、これは否定すべくもないと思うのですが、そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。これは一番の責任者の人事局長、どういうふうにお考えになりますか。
#150
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まあ、どうかつされたというふうにおっしゃるけれども……。
#151
○佐々木静子君 それはちょっと極端に言えばということです。
#152
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) どうかつをしているつもりは毛頭ございません。御主人が松山に実は赴任されるにあたりましても、御主人のその前の所属である裁判所のほうから、所長を通じまして、もし――一緒になりたいということが第一点でございます。これはもうごもっともなことだと思います、御夫婦でございますから。――しかし、どうしても一緒になれないような場合には、これはこういうところには考えてもらえないだろうかというようなお話も実はあったのでございます、一々そういうことは申し上げておりませんけれども。で、私どもはそういった御希望も勘案して、御婦人の赴任先というものを考えておった。ただ、それは一つのところに同居するということは先ほど来申し上げているように不可能でございますので、あわせてその点につきましてもしばらくがまんをしてくれないか。転勤は三年おきにするのが通常でございますけれども、御夫婦の裁判官について一年で同居できるような転勤をしていただいたという例も現にあるわけでございます。そういう例も考えて、しばらくがまんしてもらえないかというふうに申し上げたわけです。決してどうかつをするとか、よってたかっていじめるとか、そういうようなことはいたしておるわけではございません。
#153
○佐々木静子君 それでは、次伺いますがね、婚約者の方がおられますね。この婚約者の、奥さんになる人、この人が任官志望でありましたね、面接の時点におきましては。そのあとで御主人の一さんのほうに、研修所の事務局長から何回も執拗に面会を求めてきたという事実は御存じですか。四回自宅へ電話がかかってきて呼び出しがきたという事実を、これは一さんのほうから聞いているんですけれども、その事実は御存じですか。
#154
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 何回電話をしましたか、私そこまで確かめておりませんが、お尋ねでございますので、少し先回りになるかもしれませんが申し上げますが、裁判官会議で採否の御決定をいただきましたのが五日の日でございますから、四日の朝に婚約をしておられる二人の方に実は私のところまで来ていただきたいと思いまして、朝、御主人になる方のほうは自宅でございますので、そこにお電話をしたわけでございます。そういたしますと、何かお二人はどこか小旅行に出かけておられるらしくて連絡がつかないと、ただ夕方には帰ってくる予定で出かけておるんだという話でございました。そういうことで、もう連絡がついたかあるいはお帰りになったかということで事務局長のほうから何度かお電話したと思います。回数までは私、詳細には承知いたしておりません。
#155
○佐々木静子君 いまお話しになった四日の午後の十時になって、この二人を裁判所当局が呼び出された事実はお認めになりますか。
#156
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そういうことで、実は何時ごろでございましたか、七時ごろでございましたか、沼津まで戻って来ておられるということで自宅とお二人の連絡がつきまして、それじゃすぐ来ていただけないかということで来ていただいた。そして十時でありましか、少しちょっと前でありましたかちょっと存じませんが、大体そのくらいの時間にお二人で見えたということでございます。
#157
○佐々木静子君 そのときに二人に対して、いま言った婚約者の男性であるIさんに、Iさんがもう一人の女性の婚約者の裁判官志望を撤回さすならば将来の出世を確保しようという話、すなわち東京地裁へ最初の任地をきめる、そしてそれからあとは最高裁の事務総局へ入れる。いわゆるいま局長が歩んでおられる裁判所で言ういわゆるエリートコースですね、そのエスカレーターに乗せてやる。そのためにはIさんが婚約者である彼女に裁判官志望を撤回さすのが条件だというような、そういうことが話されたということ、それはお認めになりますか。
#158
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) それは少し話が違うのでございまして、私が主として来ていただきたかった理由は女性の方でございますが、ただお二人が近く結婚されるということを双方でおっしゃっておりますので、これはお二人の将来の仕事等にも関係する問題であるので二人に来ていただいた。御主人になる方のことを主として申し上げたわけでも何でもない。したがって、御主人にそういうようなことを申し上げたものではございません。
#159
○佐々木静子君 これは私、御当人たちから聞いているところでは、彼女のほうが判事補になることをあきらめて最高裁の事務官に甘んずるならば、主人のほうの将来は裁判所でめんどうを見よう、非常に優秀な人物であるから東京地裁に置き、かつ最高裁の事務総局へ入れてやるというような話がこんこんとあった。結果的には実はこれは男性の側もあきれはてて二人とももう裁判官はごめんだということで撤回した、そういうことをお聞きしているんです。そういう事実があったんでしょう。根も葉もないことを、そういうことを言うはずないじゃないですか。
#160
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 事務局の局付という話は御主人にしたのではなくて、奥さんになる方のほうにしたわけでございます。御主人にはそういう話を直接してはおりません。
#161
○佐々木静子君 どっちにしたって同じじゃありませんか。
#162
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 申し上げますが、このお二人をお呼びして、奥さんになる方に、民事局の局付の事務官を希望なさってはどうであろうかというふうにすすめましたことは事実でございます。その結果、夜中の十時ごろからもう地下鉄がなくなるということでございましたので、雨も降っておりましたし、それじゃあお二人で帰ってくださいということで二人とも帰っていただいて翌日来ていただくということをお約束したのがもう十一時半近かったのじゃなかろうかというふうに記憶いたしております。
 で、どうしてそういうことをおすすめしたのかと申しますと、それは翌日に控えておりました裁判官会議の採否の御決定の際に、御婦人の方が判事補には採用されないという公算がきわめて大きかったためでございます。御主人のほうは、まあ私ども事務的に見ましてもよくできる方でございましたので、当然判事補に採用される方であろうというふうに考えておりましたが、すぐ御夫婦になる方であって、しかも御婦人のほうも非常に裁判官を御希望になっておった方なので、御主人が裁判官に採用され御婦人が採用されないということはお二人にとって非常に不幸な出発になるのではないかということを私は心配したわけでございます。ただ、この場合救いでございましたのは、御婦人のほうが非常にまじめな努力家であるというふうに私どもには思えたわけでございます。そこで、すぐに裁判官には採用にならない公算がきわめて大きいけれども、その御婦人の方がそういったまじめな努力家であるということからいたしまして、事務総局の民事局で局付の事務官としてまあ研さんをしていただければ、それによって、何と申しますか、裁判官として採用される可能性というものも出てくるであろうというふうに判断いたしまして、そうされることが両方とも、結局において裁判官としておつとめになるということのために非常にけっこうなことではないか、また、かりにいま御主人のほうが東京またはその周辺の裁判官になられるといたしましても、一方が裁判官で一方が弁護士さんということも実際問題としては決して弊害のないわけでもございませんので、そういうようなことをすることによって双方に裁判所につとめていただくということになり得るという判断をしたことによるものでございます。まあ、そういう経過で、お二人に、時間はだいぶおそくなりましたけれども、翌日の裁判官会議を控えておりまして時間の余裕もございませんでしたので、お気の毒とは思いましたが、私もおそくまで残っておりましておいでいただいてそういう話を申し上げたというのが事実でございます。
#163
○佐々木静子君 いま局長のほうから、この御婦人の婚約者に、主人となる人の将来について話をしたと言われましたけれども、現実にそれをお認めになったわけですけれども、そういう話を聞かされた婚約者の女性にとって、この場合に、いえ、自分はどうあっても裁判官になるということは言えないでしょう。もう結婚をやめ、婚約を破棄してしまえば裁判官になるということでがんばることもできるかもしれないけれども、そうじゃなければ、これは自分のほうが裁判官になることをやめて、主人の将来の出世のために身を引くのは、昔の、まあ徳川時代の婦人訓であればそういうことは非常にりっぱなことかもしれないけれども、そうするか、あるいは婚約を破棄してでも自分が裁判官になってがんばるかしなければ、いままでの状態でそうして自分が裁判官になってがんばるということは、それには主人の将来というものがそこに担保のように裁判所の中に握られている。そういうことになるのは明らかじゃないですか。あなたのほうではしなくもそこまで言われたけれども、主人になる人の将来を婦人のほうにいろいろ話をしたということは、これは非常に卑劣な手段であります。
#164
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) どうも私、そこのところのおっしゃることがよくわからないのでございますが、そのままで御主人が判事補に採用され、奥さんが不採用ということになりますと、その場合を考えた場合に、むしろそれよりも御主人が判事補に採用され、奥さんが事務総局の民事局付の事務官として裁判所で仕事をされて、後日裁判官、判事補に採用されるチャンスを待つということのほうがお二人のためにずっといいのではないかというふうに考えたわけでございます。その点については、そういうほうがいいのではないかという考えは、いま佐々木委員、別の御意見の御指摘がございましたけれども、私はそういうふうに考えることが間違ってはいなかったというふうに思っております。
#165
○佐々木静子君 いま非常に奥歯にはさまったような言い方で、任官できない、裁判官不採用というようなことを言われましたけれども、これはIさんが青法協の会員で、この婚約者の女性がもと青法協の会員であった、そういうことからでしょう。その点はどうなんですか。
 それから、ついでに言いますが、先ほど言ったKさん、これも青法協に関係する、そういうことからあなたのほうが不採用とか、何とか言っているのでしょう。その点はどうなんですか。
#166
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) たびたび申し上げておりますが、青法協の会員であるかどうかということは、今回の修習生からの判事補採用にあたりましても、一切考慮をいたしておりません。と申しますのは、私ども、どなたが青法協の会員であるか、あるいはかつてあって、それで脱退された方であるかということもひっくるめまして、どなたが会員であるかということを存じ上げておりませんので、考慮の問題は起こらないということでございます。
#167
○佐々木静子君 これは裁判所に対する信用のために、私伺うのですけれども、青法協の会員がだれであるかということを知らない――人事局長、ほんとうに知らないのですか。あまりうそを、白白しいうそをおっしゃるもんじゃないですよ、裁判所というと、ほかの役所よりも一番正直なことを言われる役所だと国民は思っているのですから。ほんとうにどうなんですか。
#168
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 私ども修習生として採用にあたりましてもそういうことは一切聞いておりません。それから、現地の修習中におきましても、それが、あなたが青法協に入っておるのか、入っていないのかというようなことは一切聞いておりません。それはごく親しい個人的な方がそういう話をされたこともそれはあるのかもしれませんけれども、私どもは公式の御報告を私どもにいただくにあたりまして、青法協の会員かどうかというようなことは全然聞いていないわけでございます。また、私どものほうから青法協の会員であることを調べろというようなことを申したことも一度もございません。ただ、いままでわかっておったということがございましたが、それは青法協の側で会員名簿等をお出しになっておりますので、それによって私どももわかり、この方がそうであるかというふうに承知しているだけでございますし、積極的に裁判所において青法協の会員の有無と、入会の有無ということを調べたりしたことは絶対にないわけでございます。そういう意味で、正直申し上げて、私も裁判所の名誉のために申し上げますけれども、正直わかってないということでございます。
#169
○佐々木静子君 そうすれば、伺いますけれども、この面接試験のときに出題する問題が、どうして青法協の会員である任官希望者だけに問題が違うのですか。
#170
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 今回面接をいたしました際には、他の委員会等でもちょっと申し上げたことがございますが、法律問題等は一切聞かないで、御本人の、まあどうして裁判官を御希望になったかとか、そういったことを順次聞いたわけで、それも七名の面接する者が、別にはっきりとこの事項とこの事項とこの事項を聞くというようなことでやったものではございません。ある程度の時間、御本人の趣味でございますとか、志望でございますとか、尊敬する人物でございますとか、そういった御本人のお出しになった身上調書をもとにして、どういう方、どうしてそういう方を尊敬するのかとか、趣味はどういうことなんだとか、なぜ裁判所を志望されたのかというようなことを聞いておるわけで、どなたに対してどういうふうに差別して聞くというようなことは一切いたしていないわけでございます。ただ、聞きました相手で、そのときの話の都合でちょっと聞きたいというようなことで、時間が必ずしも一定しない面もあろうかと思いますけれども、特段に相手によって質問を変えたとか、そういったような問題は一切意識してやっておることではございません。
#171
○佐々木静子君 この任官の面接試験にはAクラス、Bクラス、Cクラスがある。Aクラスというのは大体五分以内、それも局長全員が発言しないで、一人の局長が質問する。Bクラスというのは十分ないし十五分、この中にはこれは二、三の局長が発言する。Cクラスというのは二十五分あるいは三十分くらい、そうしてそれは七人の試験官、局長全員が矢つぎばやに次々発言する。これにはいま何も御存じないと言われたですけれども、私どものほうで聞いているところでは、青法協会員は全部Cクラスの質問を受けている。何も知らぬものが全部Cクラスに入っているのはこれどういうことなんですか。国民はわかりませんよ、知らないと言われても。
#172
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) どうもどうしてABCというそういうクラスに分かれておるとおっしゃるのか、そのことがよく私にはわからないわけでございますが、そういうような観点から聞いたわけではございませんが、ただもちろん、その人によりまして、提出されております経歴あるいは家族関係、あるいは趣味、嗜好といったようなことから見ましても、特にあらためて聞くまでもないと思われる点ももちろんございますし、それからいろいろと伺ってみると、場合によりましてはちょっとそこのところの答えが気になったということで、いわゆる関連的に他の局長が尋ねるというようなこともございますし、決してそのこと以外にABCのクラスに分けてどうこうするとか、そうしてそれが青法協の会員はすべてCクラスであったというようなことは、私どもにはどうしてそういうようなことになるのか、いまお尋ねではございましたけれども、一向納得がいかないといいますか、身に覚えがないと申しますか、そういうことでございます。そういうような観点から、区別するもしないもない、わかっていないのでしょうがないわけでございます。わかっておってもするつもりはございませんけれども、わかっておりませんのでしょうがないというのが、これがほんとうのところ申し上げておるわけでございます。
#173
○佐々木静子君 話から関連してと言われますけれども、たとえば婦人の志望者に対しては、子供が病気で死にかかっているときにあなたは平静な気持ちで判決ができるか、あるいは主人が盲腸に限らず、手術を受けようというときに、あなたはそのときに平静な気持ちで裁判ができるかという質問を婦人の志望者に対して最高裁はしておられるようです。これは男の志望者に対しては同じ質問しておられますか、もししてられないとすれば、なぜ男は女と質問分けられるのですか。
#174
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) こまかにどういう質問してどういうことをしたということまで申し上げるのもいかがであろうかという気がいたしますが、御婦人の方で、この方が独身の方である場合にはそう変わった尋ね方はしていないと思います。ただ御婦人の方で、まあ今後結婚されるというようなことのはっきりわかるような方については、夫婦でつとめるということは非常にたいへんなことなんだということ、ことに女の方が一人前にうしろ指をさされないような形で仕事をされるには、よほどの覚悟がないとたいへんですよというような意味で、その覚悟はございますでしょうかということをお尋ねするような意味でもって、いろいろとお聞きしたことはございます。
#175
○佐々木静子君 これは、二年間の修習をやり、先輩の法曹にも、修習生、これは男でも女でも接しているのですから、これは裁判官を志望する以上は、その覚悟があるからこそ裁判官を志望する。ともかくその面接試験という場でそういうことを質問されるというのは、これはいまあなたのほうは差別はしてないと言われたけれども、これは明らかに試験官の意図とすると、女の人、まして子供のいる人、あるいは結婚する人、子供を近く生む可能性のある人、それは採用したくないということを明らかに物語っているじゃないですか。差別しないどころか、頭から差別した質問じゃないですか。子供が病気で平静な気持ちでおれるかおれぬかというのは、男でも女でも同じことじゃないかと思うのです。また、夫が手術をしようと、妻が手術をしようと、なかなか職業的訓練を経ないと心の平静を保ちにくいということ、これは男も女も同じことじゃないかと思うのです。それにもかかわらず、婦人にだけこういう質問をあえてするということは、それこそ裁判所の差別意識じゃないですか。
#176
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現実の夫婦でお仕事をなさる方、私どもにも十組の夫婦の裁判官の方がおられますが、そういった方々のこれまでのいろいろとお仕事をなさっておる様子というものも踏まえまして、その対象の程度に応じて、すでに結婚して夫婦として仕事をしてこられた方、あるいはそうでなくて、これから結婚をしてやっていこうとされる方、いろいろの対象の差がございますので、そういったものに応じて私どもは、そういう覚悟は十分でしょうねと、もちろんそれは覚悟はおありだろうというふうに思います。しかし、現実に仕事をしてみますと、そう並みたいていのものではない、これはもう佐々木委員などもよくおわかりいただけておるのではないかと思いますので、そういう覚悟はおありでしょうねということを尋ねることは、また面接の際に、これはある意味では当然私どもはすべきことじゃないかということで、そのすべきことをしたというだけのことでございます。
#177
○佐々木静子君 その問題はさらに私続けたいんですが、次の問題に移ります。
 この取り下げた六名のうち三人について、――いま申し上げましたが、新任を拒否されたこの人たちは三人おりますね。この新任を拒否された三名の人の拒否された理由というのはどういうものですか。
#178
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 新任の場合に、どうして採用されなかったかということは、これは当委員会等でもたびたび申し上げたかと思いますが、修習生から判事補になっていただくについていかがであろうかということで採用にならなかったということでございます。それ以上には具体的な事由を申し上げることは差し控えさしていただきたいと考えております。ただ、一般的な問題といたしましては、これも申し上げておることでございますが、二回試験に合格いたしますと、法曹三者になる資格というものは確かにできるわけでございます。しかし、その仕事の役割りと申しますか、職責というものを考えてまいりますと、弁護士になられる、あるいは検察官になられるという方と比べて裁判官になられる方は、私どもはやはり平均レベル以上の方でなければいけないんじゃないかというふうに考えております。そうすることが国家意思を形成する者として判断を下す裁判官としては、そうではないと、結局はやはり司法というものの独立ということも全うできないというふうに考えておるわけでございまして、そうした一般的な観点から私どもは考えておるということは申し上げられるんじゃなかろうかというふうに思っております。
#179
○佐々木静子君 「いかがであろうか」というようなことばでは、私ども全くいかがなものかわからないわけなんです。これは、会社が全然新しい人を募集して、そのうちこれというのを採用するというのと違って、この二年間、一年間に、調べましたら、一人当たり百万円からの国家経費をかけて修習生を養成しておる。そして国家が、修習を終わって裁判官の資格があるものと任用した人たちの中から、単にいかがなものであろうかということで三人の者が拒否された、これは非常におかしいではないか。
 それからいま、平均レベル以上でなくてはいけないという話をされました。私は、この平均レベルというものを、どういうものさしで平均レベルというものをきめるのかどうか知りませんが、これは最高裁の事務総局から見て、平均レベルという意味になるわけですね。そうすると、この三人の人たちは、最高裁の事務総局の尺度では平均レベル以下であった、そういうことですか。
#180
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 具体的な問題でございますので、その点についてお答えいたしますことは差し控えさしていただきたいと思います。
#181
○佐々木静子君 これは具体的な問題だから答えを差し控えさしていただきたいと言われたけれども、言うわけにいかないから言わずにおかしてくれという話じゃないですか。この拒否された人のうちの二名、これは明らかに青法協の会員ですね。これは御存じなかったんですか、その時点で。
#182
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 全然存じませんでした。
#183
○佐々木静子君 この方たちは修習生のクラス委員でした。修習生のクラスは十クラス、私が言うまでもなく御存じのとおりですが、その十クラスのクラス委員のうち、裁判官希望者でクラス委員をやっているのはこの拒否された二名だけ、すなわちクラス委員をやっていた裁判官希望者は全員拒否された、そういうことになるわけですね。そのことも御存じなかったんですか。
#184
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) クラス委員であったということは承知いたしております。クラス委員というのは、研修所側と修習生の間のいろいろな連絡をやっていただくためにお願いをしておる方でございまして、各組三名ずつの方が選ばれておるわけで、そのことは承知いたしておりましたが、そのことと採否の問題とは全然関係のないことでございます。
#185
○佐々木静子君 これはね、青法協の会員でクラス委員であって、そうして任官を拒否されたYさんという人は、これは東大の在学中に試験を通って、そして、本来ならば二十三期へ入る人だったけれども、東大生だけ特別扱いはいかぬということで、わざわざ一年延ばして二十四期の修習を受けた人です。そういうことはむろん御存じだったわけですね。
#186
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 私はそういうふうには承知いたしておりませんで、その点についてもその方に伺いましたが、テニスか何かをやるのでコーチとして残りたいということで、あらためて学士入学をしたというようなお話でございました。その程度に承知いたしております。
#187
○佐々木静子君 テニスをやるというと、どこでやるか、そして駒場でやるといえば、駒場の東大事件の紛争についていろいろとしつこく聞かれた。自分は運動のコーチをやるので、あまり東大紛争には関係していないということを何度も言っているにもかかわらず、関係しただろう、知っているだろうということを大ぜいの局長から矢つぎばやに聞かれた。それは一体どういうことなんですか。いま青法協の会員だということを何も知らなかったということをおっしゃったんですけれども、このYさんにだけなぜ、そう大ぜいの人が、これ、知らなければなおのことです、なぜそういうふうに東大紛争と――彼は東大紛争には全然タッチしていないんですけれども、東大紛争との関係をみんなで寄ってたかって追及されたのか、そこら辺の事実はないとおっしゃるわけですか。
#188
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ちょっと記憶が正確でございませんので、いまおっしゃったような意味で、各局長が矢つぎばやにしつこく聞いたというようなことは私はなかったというふうに思っておりますが、全然聞かなかったかどうか、まあ当時の駒場でずうっと生活しておったというようなお話でございましたから、そういうような問題に触れたかとも思いますが、その点はいま佐々木委員がおっしゃるような意味で、特にその点を問題として聞くというようなことはいたしておりません。問題は、テニスのコーチをするために残りたいんだということで、じゃテニスはどっちだと言ったら軟式のテニスだと言われたことは記憶しておりますが、どこでやっておるのかと言ったら駒場でやっておるということ以上に私は記憶としては残っていないわけです。
#189
○佐々木静子君 この、もう一人の拒否された青法協会員であるSさん、この人はSさん自身が裁判所から聞いているところでは、成績が悪かったというふうに聞いているんですが、それは事実ですか。
#190
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 具体的に各一人一人の方が、成績がよかったか悪かったかということはちょっとお許しをいただきたいと思います。
#191
○佐々木静子君 ところが、これはSさんのクラスを担任している、これは研修所の教官ですよ。Sさんはクラスのうちで、この二回試験の成績も三分の一以上であるということを言明されているんです。いま平均レベル以上でなければ困ると言われましたが、かりに二回試験の成績というものが最高裁のいう成績であるとするならば、これは明らかにレベル以上の方なんです。また彼の友人たちも非常に優秀な修習生である、これは修習生の中でもみんなの保証つきのように聞いているんですけれども、これは担当の教官自身がみずからの口で、二回試験の成績は三分の一以上であった、しかし、それが最高裁の手に回った時点では成績はどのように変わっているかわからないということを言うておられるわけです。そのことはどうなんですか。
#192
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは非常な誤解と申しますか、あるいは教官がそういうこと言うとは私にはちょっと考えられないわけでございます。その点につきましては、どういう教官でありますか、なお十分に教官にも話をすぐに伺って、そういう話をしたかどうかということを確かめたいと思っております。しかし、私どもが二回試験の成績と申しますのは、何も二回試験だけの成績、いわゆる修習生の成績と一般的に申しますのは、二回試験だけの成績ではございません。二年間の修習の研修所における修習から、もう実務庁における修習もございます。そういったものの修習の結果というものが私どものところにまいるわけでございます。それに二回試験の考試の結果というものを合わせましたものが、いわゆる二年間の修習の広い意味における成績でございます。そういったもので判定をされるわけでございまして、それが研修所から裁判所に来る間にすりかわるというようなもし御趣旨のお尋ねでございますれば、そのようなことはあり得ないことでございまして、そういった点にまでお疑いをいただくということは非常に残念だと考えております。ただ、そういう研修所の教官の発言があったとしますれば、私どもとしましても、それはよくそれを聞きまして、誤解を解く必要があると思いますので、早急にその点は調べまして、そういうことのないように教官にもお話をしたいと考えております。
#193
○佐々木静子君 これは、先ほどの外務省の機密漏洩じゃありませんけれども、これを言うた教官を調べるというのは、これは本末転倒ですよ。そのような疑惑を最高裁当局が研修所の教官あるいはこれから裁判官となって出発しようという修習生の人たちに広く持たれているということが問題なんじゃないですか。教官がどう言うた、こう言うたというような問題じゃないですよ。そのようなことが、私もこれ、非常に残念な話なんです。研修所の試験の成績は最高裁へ行くと変わってきているんじゃないかと、これはだれも見ておるわけではありませんけれども、そういうことを言われるということは、私も司法というものを信頼していきたい限りにおいて、非常にそういううわさが、しかも裁判官になろうかという大ぜいの社会的に見れば良識のある人たちの間で、これはもう半ば公然と流布されている。そういう事態をつくっている最高裁の人事局あるいは事務総局というものに対して私は非常に残念だと思う。そのことがどうであるとかこうであるとかということよりも、そのようなことが一般的にもううわさにのぼって、頭からもうだれも否定できない状態になっているということ、そのこと自身を私は悲しむわけです。いまの御答弁はこれ本末転倒ですよ。これは最高裁自身がかりにそのようなことがないならないで、もっとはっきりと姿勢を示されなければ、これは国民の信頼を大きく裏切ることになるのじゃないですか。ちょうどいま外務省の機密漏洩事件などの外相や首相の答弁とそっくりです。ちょっと考えていただきたいと思います。
#194
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 私、研修所の教官がけしからぬから研修所の教官を、まあ俗なことばで申しますと、とっちめるという意味で申し上げたことでないことはおわかりいただけると思います。そういうことはあり得ないことでございますので、どういうことからそういうような話が、かりに研修所の教官がなさったとして、そういうことになったのか、あるいはそこのところをよく教官にお聞きすれば十分教官にわかってもらえるという自信がありますので申し上げたわけで、これでこらしめるとか、とっちめるという趣旨で申し上げたものでないことはおわかりいただけるだろうと思います。
 それから、私の、そこまで申し上げるのもいかがかと思いますが、佐々木委員も法曹の一員としてどういうふうな研修所の生活であり、またそれをどういうふうに最高裁として修習生の方を扱っているかということは一番おわかりいただいていることでございますので、まあ佐々木委員から、かりにそういった疑問を修習生が持ちましても、そういうことはないと言っておたしなめをいただくことを、私は実は期待しているわけでございまして、ここで御質問をいただくということはそういう意味では私も残念でございますが、私どもの意の足りないところ等もあるかと思いますので、このような席で個人的な問題にわたって申し上げるということはどうも非常にぐあいが悪い面もございますが、もし御希望でございますれば十分御説明を申し上げることも決してやぶさかではございません。
#195
○佐々木静子君 私も修習生からそういう話があればそういうことはないのだという話をしたいわけです。それをするためにお答えいただきたいわけです。最高裁で言う修習生の成績というのはこれは何なのか。いま二回試験ばかりではないと言われましたが、そのことばの裏から見ると、二回試験も修習生の成績の中に入っていることは間違いないと思うのですよ。しかし、そのほかにどういうものが入っているのか。それを私はいまもおっしゃったように、私も裁判所を信頼してほしいと思うものですから、後輩である修習生に説得したいわけです。そのためにもその点をはっきりお述べいただいておきたいと思うわけです。
#196
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、研修所から修習中の二年間の成績の報告がございます。それで、その報告の中には研修所の所長が修習生を二年間預かってどういうものであるかという最終的ないわゆる広い意味における平常成績と申しますか、そういうものがあるわけでございます。もちろんその中には現地で実務修習をいたします場合の裁判所、検察庁、弁護士会からそれぞれの報告が添付されておりますが、そういうものを加味していわゆる研修所が二年間の修習期間の成績の御報告をいただく。それと、それから先ほど来問題になっております二回試験の成績、そういうものを合わせたものが全体といたしまして成績ということになるわけでございます。
#197
○佐々木静子君 実務修習庁でたとえば指導官に、裁判官に適か不適かというようなことが回ってきますね、教官に対して。そして適当かどうかというようなことを書いて答えますけれども、そういうふうな実務修習地の教官の答えというようなものが最高裁で裁判官任官のときの資料になるわけですか。どうですか。
#198
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 一般的には研習所からいただきます二年間の修習の成績報告の中には理論的には実務修習庁のそういったものも含まれておるわけでございます。そういうものを全部引っくるめて二年間の御報告を研修所長からいただくということで、この研修所長が二年間の修習生の身分を所管しておられるということになるわけでございますが、したがってどのように申し上げたら正しいことになりますのか、一般的なごく抽象的に申し上げれば研修所からいただく二年間の平常の御報告とそれから二回試験の成績と、これを総合したものが成績であるということになりますが、まじめにやっておったかどうかということを研修所と離れて現地の裁判所、検察庁、弁護士会がごらんになるということは十分参考になるわけでございますので、そういったものも参考にはさせていただいております。
#199
○佐々木静子君 それでは結局修習生の成績というものは、重ねて言いますと二回試験の成績、それからいままでの研修所から出てくる報告、これは実務修習地における成績及び研修所における起案その他に見られる成績それですべて尽きるわけでございますね。それ以外のものが介入するんですか、どうですか。
#200
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 成績といたしましてはその二つを総合したものに尽きるということでございます。
#201
○佐々木静子君 そうしますと裁判官を任官するかしないか、それもその成績だけで尽きるわけですね。修習生の成績以外のものが何かそこに介入するわけなんですかどうですか、そこをはっきりしていただきたい。
#202
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ということに尽きるかというふうに厳格なお尋ねでございますと、私ちょっとどういうふうに申し上げていいかと迷うわけでございますけれども、ごく常識的に申しますとそういうふうにお考えいただいてしかるべきではないかと思っております。
#203
○加瀬完君 答えは常識的じゃないな、わけわからないな。
#204
○佐々木静子君 どうもその点はすっきりしないわけですけれども、それではこれはやはり最高裁から見るとたくさんの判事補か知らないけれども、おまえは成績が――成績が悪いと言われないまでも、何か裁判官に適当ではないということが、拒否された人間にとってはこれはもう一生にとっての一大重大事ですから、それはどういうことであったのかそれは真剣になっていろいろ考えるのはこれは当然なことなんです。どういうわけで任官しないのか本人にだけでも知らせてやろうという気持ちはありませんか、また知らさないんですかどうなんですか、そこのところは。いまのお話のように、二回試験の成績と研修所から回ってくる起案、その他の成績、実務修習地からの成績、これは私も実務修習地のことは多少知っておりますけれども、五とか四とか優良可とかはっきり分ける形に出てきているものですから、これで見たらあなたはこの平均以下だとか、これはっきりわかると思うんです、いまのお話だったら、ほかのものが介入していないとすれば。それだったらそれはほかの人にみんなに言うのは本人にとってのプライバシーの問題があると思うんですけれども、その本人に、あなたはこうだったからこうだと、こう言ってあげたほうが親切じゃないですか。将来どの道法曹界に立つんですから、それは本人のためにも大きな参考になると思うんです。こう言ってあげるお気持ちはありませんか。
#205
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは一たん裁判官を御希望になりましてその方を不採用にするということになりますと、私どもも非常に心苦しいことでございますし、不採用になられた方も非常に落胆されるということであろうかと思います。まあそういうこともございまして先ほど問題がございましたけれども、ある女性の方にこういう道を選んでいただけないだろうかということを申し上げました。ところが申し上げてみますと、実は真意を御了解いただけなかった面があるんじゃないかというようなことで、本日佐々木委員からお尋ねをいただくような仕儀になったわけでございます。そういった点は私どもとしては努力が足りなかったんじゃないかという気もいたしますが、事の性質を申し上げますと、さらに、いやそういうことではないんだというような御反論をいただくというようなこともございますので、その点は十分やはり検討させていただいて適当な方法というものを考えさせていただくことが必要ではなかろうかというふうに思います。
 しかし現在といたしましては、おことばではございますけれども、はっきりと、どうでこうで、その結果こうなんだというようなことを申し上げるのはやはり場合によっては申し上げないほうがいいのではないだろうかと思われる場合もございますので、お尋ねではございますけれどもその点について、じゃ、そういうふうにいたしましょうとか、いや、とかいうようなお返事を申し上げるのはちょっと留保させていただきたいと思います。
#206
○佐々木静子君 もう時間がだいぶたっていますのでこのあたりで一応終わりたいと思うわけですけれども、これは裁判というものは軍なる法律の解釈じゃなくて、これ全人格的な判断作用であろうと思うのです。でありますので、これは男だけがやっていて国民のための裁判というわけでもない。女の人も裁判官の資格がある人はどんどんと志望する以上は裁判官にしてあげてほしい。しかもいまのお話では、結婚している人、子供を持っている人に対しては非常に冷たい。これはとりもなおさず母親のものの考え方、妻のものの考え方というものを裁判所の中から排斥しようということに結果的につながっていくと思うのです、意識的であるかどうかということは別として。それはやはり裁判所としては大いに反省すべき問題ではないかと思うのです。そして現実に今度事実上取り下げられた人たちの中に青法協の方がおられる。また、三人信任を拒否された方の中の二人までが青法協の会員でありクラス委員である。そういうふうなことを考えますと、私どもは、この裁判官の信任というものがはたして公正なものであるかということにこれは疑惑を感ぜざるを得ないわけなんです。毎年毎年これ同じようなことを言わなければならない。そういうようなことがこれが大きく国民に対して裁判に対する、裁判所というものに対する信頼感を大きく裏切られ、絶望的な気分を味わわされていると思うわけで、でありますので、これは何とかこの問題をもう現在の時点においてももう一度考え直してほしい。少なくともいまの時点においてこれはもう一度考え直していただいて、任官すべきであるものは任官していただきたい。いまのお話では本人について何も御存じなかったという御答弁でありましたからそれだったらいろいろ調べて、こういういろいろないいことが出てきているんですから、そういう人なら採用しようというふうにいま考え方を変えていただいてもおそきに失することばないと思うのです。
 それからついでに申し上げますが、ついでというと何ですが、昨年のこの修習生を罷免されました阪口さん、阪口さんはいまだ裁判官にも検察官にも弁護士にもなれずにいまおられるわけなんです。これは国が修習生としてたくさんの費用をかけて、しかも一人前の法曹としての十分の資格を備えて、試験にも合格された、その阪口さんに対して最高裁はいつまでもかたくなに法曹になる道を閉ざしておられる。これもどう考えても公正な取り扱いということは言えないと思うわけです。まあ、阪口さんの問題も含めまして、今度のこの任官を拒否した人たちに対して、もう一度最高裁として十分お考え直していただきたい。もう一度検討なさるおつもりがあるかどうか、そのことだけをお聞きしたいと思います。
#207
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 私ども裁判官に採用させていただくということについては十分に検討をしてやっておるつもりでございます。ただその点につきまして特定の団体の加入を理由にしたものではないだろうかというような御疑問、あるいは女性を差別したのではないかというような御疑念、そういったものが出てくるということは非常に残念なことでございます。
 特定の団体加入ということは先ほども繰り返し申し上げましたように、ほんとうに私どもにはわかっていないわけでございます。現在採用を決定された方の中に相当数のそういう意味では青法協の会員の方が含まれておるのではないかというふうに思います。しかしそれは何名、どなたであるかということは私どもにはわかっておりません。そういった点を御勘案いただきましても、団体加入というようなことで区別をするものではないということはおわかりいただけるはずでございます。また現に団体にだれが加入しておるかということはほんとうにわからないという実情でございますので、その点は重ねて申し上げておきたいと思います。
 で、今回の三名の方を採用しないという裁判官会議の御決定をいただきましたけれども、慎重に考慮、御検討いただいた上での御決定でございまして、事務当局といたしましては、この時点において重ねてその点についての御検討をいただくということは考えていないわけでございます。
 また、阪口氏の問題は、阪口氏のやはり行状等をそれとなく拝見いたしております限度におきましては、ただいま問題にする時期のものではないというふうに考えております。
#208
○佐々木静子君 この問題もまた重大な問題でございますので、また引き続いて調査を進めていきたいと思いますが、本日はこのあたりで質問を終わりたいと思います。
#209
○委員長(阿部憲一君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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