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1971/05/18 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第16号
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1971/05/18 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第16号

#1
第068回国会 法務委員会 第16号
昭和四十七年五月十八日(木曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 憲一君
    理 事
                後藤 義隆君
                原 文兵衛君
                佐々木静子君
    委 員
                岩本 政一君
                木島 義夫君
                平泉  渉君
                吉武 恵市君
                加瀬  完君
                鶴園 哲夫君
                矢山 有作君
   国務大臣
       法 務 大 臣  前尾繁三郎君
   政府委員
       法務省矯正局長  羽山 忠弘君
       法務省保護局長  笛吹 亨三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       厚生省社会局生
       活課長      蝦名 真一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○佐々木静子君 先日来議題になっておりますこの犯罪者予防更生法について、更生保護という問題についてかなりいろいろと質問をさしていただいたのでございますが、さらに続けまして、この更生保護のうち重要な部分を占めているものが保護観察ではないかと思うのでございますが、この保護観察について質問さしていただきたいと思います。
 この保護観察を行なっているのは保護観察官と保護司というものが中心になって行なっていると思うわけでございます。この保護観察官というのは国家公務員であり専門官である。また、保護司さんというのは民間の篤志家である。そういう方方がおのおのの特色を生かして保護観察をしていられるわけでございますが、この保護司制度というものについて相当問題点があるのではないかと思うわけです。まず、保護司の選任方法及びその任期について伺いたいと思います。
#4
○政府委員(笛吹亨三君) 保護司のまず使命でございますが、保護司は社会奉仕の精神で、犯罪をした者の改善、更生を助けるという使命を持っておるのですが、そのほかに犯罪の予防のための世論の啓発につとめて、地域社会の浄化をはかるという使命を持っておるのでございまして、これは保護司法の第一条でその点を明記いたしております。そこで、保護司が、ただいまのお説のように、保護観察官とともに保護観察を行なう機関でございまして、これはやはり非常勤で国家公務員という形になっております。
 この任命の方法でございますが、この保護司はそういった非常に重要な使命を持っておりますので、人格、行動、そういったものについて社会的な信望を持っておられることが必要である。それからこの保護司の仕事、たいへんむずかしい仕事ではございまするけれども、職務の遂行に必要な熱意とそれから時間的な余裕のある方でないとなかなかおやりいただけないので、そういう熱意と時間的な余裕を持っておられること、それから「生活が安定していること。」「健康で活動力を有すること。」これが保護司になっていただくための一つの条件でございまして、これも保護司法の第三条で現定いたしているわけでございます。保護司の委嘱の方法でございますが、これは、委嘱は法務大臣が法務大臣の名前で委嘱することになりますが、その法務大臣が委嘱をいたしまするまでに、まず保護司の候補者を地域のほうから選びまして、それを保護観察所長が一応まとめるわけでございますが、「保護司選考会」というのが保護司法の第五条によって設置されているのでございまして、この保護司選考会といいますのは、委員十三人以内をもって各都道府県に一つずつあるわけでございます。都道府県といいますが、北海道では四つになっておりますが、それぞれ保護観察所の所在するところにこの保護司選考会を設けているわけでございまして、保護司選考会の委員におなりいただく方は、裁判所長とか検事正、あるいは弁護士会長、それから矯正施設の代表の方、それから保護観察所長、保護司の代表の方、その他都道府県の公安委員長とか教育委員長、そういった方々、学識経験者などからなっていただいているのでございまして、この保護司選考会で、この保護司の候補者がどういう方がいいかということを選んでいただきまして、その推薦を受けまして法務大臣が委嘱する、こういう手続になっておるのでございます。それから任期は、ただいまのところ二年ということを保護司法の第七条で規定いたしております。ただしこれは再任を妨げません。
#5
○佐々木静子君 いま御答弁にもございましたように、この保護司の仕事というものは非常にむずかしい仕事ではないか、また大切な仕事ではないかと思うわけでございます。結局この保護観察の対象者の改善、更生ということは、これはなみなみならぬ仕事であって、まあ保護司の方々のお話を伺いますと、就職の世話にかけずり回ったり、あるいは家庭内のトラブルの調整にも乗り出して、それを解決するために骨を折らなければ、とうていこの犯罪者の更生がはかれないというふうなたいへんな仕事のようにお聞きし、またかつ、そう思うのでございますけれども、こういうふうな保護司さんのお仕事に対し、この保護司の待遇はどのようになっているのでございましょうか。
#6
○政府委員(笛吹亨三君) 保護司は、先ほど申し上げましたように、社会奉仕の精神をもってやっていただいておりまして、これに対しまして非常勤国家公務員の形をとらせてもらっておりまするけれども、報酬としては差し上げていない。これは保護司法にも保護司には報酬を出さないという規定があるわけでございます。報酬は差し上げておらないのでございますが、いろいろ保護をやっていただく上において実費が要りますので、この実費弁償金という予算の形で実費を支給することにいたしておるのでございます。
#7
○佐々木静子君 この実費の弁償について、一応この実費弁償の補償費についての基準があると思うのでございますが、これはどのようになっておりますか。何か聞くところによりますと、最近ごくわずかながら値上げになったというような話も聞いているのでございますが、具体的にどうした場合にどのくらいの補償が払われているのか。
#8
○政府委員(笛吹亨三君) 実費弁償金の中で多少分かれておるわけでございまするけれども、いわゆる対象者を受け持ってそれを、保護観察によって起きまする直接の経費というので補導費というのがございます。おそらくいまお尋ねの件は、その補導費ではないかと考えるわけでございますが、補導費は昭和四十七年度予算で一件当たり――三段階ございまして、Aが千四百円、それからBが八百五十円、Cが七百五十円、この三つになっておるのでございます。一件といいましても、これは一人の対象者を一カ月間見たことに対する実費ということでございます。ですから一カ月一人千四百円、あるいは八百五十円、七百五十円、こういうふうになっておりますが、これはいまおっしゃいましたように、最近は毎年増額をしてもらっておるのでございますが、ことしはAについては、昨年が千三百円のところを千四百円と百円上がり、それからBとCは、Bが去年八百円、Cが七百円のところをそれぞれ五十円ずつ上げていただいた、こういうことになっているのでございます。
#9
○佐々木静子君 昨年はAが千三百円であったところを千四百円、まあごくわずかですが五十円ないし百円上がってきているということは、これは法務大臣やまた保護当局の方々のたいへんな御努力によることだと思うのでございますが、いま御答弁にもございましたように、まあ額とするとこれは常識的に見てもたいへん少ないのではないか。といいますのは、これは現実に保護司をしていられる方々などからの話を伺いますと、たとえば対象者が職場につとめている、その人に会いに行くため――保護司だと言うわけにはいかないので、親戚の者がたずねてきたというようなかっこうで職場をたずねて行き、そして中で話をするわけにはいかないから職場から外へちょっと出てもらう。しかし、これは対象者の更生をはかるという重大な仕事でございますので、道路で立ち話をしてその効果があげられるものでもないので、これは最低の場合でも、付近の喫茶店に連れていって少なくともコーヒーでも飲みながらでないと、これはいろいろと話をして聞かせることができない。最近でございますと、これはお茶代といっても全然ばかにならないというようなことで、一回行けば行ったでたいへんな出費であるということを、これは保護司の方々が非常に嘆いて言っているわけなんでございます。特に、人によると、場合によると軽い食事ぐらいはさせてやらなければ年長の者としてまた激励もしてやれないというような場合もあって、どうしても一生懸命になればなるほどポケットマネーをはたかなければならない。保護司の仕事を手を抜いておればこれはお金もかからないが、良心的に熱意をもって一生懸命やろうということになれば、やればやるほど足が出ていくということでたいへんにこれは困った問題だということを、これは現実に保護司の仕事をしていられる方々が、その点を何とかもう少し現実に近い実費弁償の線へ持っていただけるようにぜひとも御努力いただきたいということを強く要望していられるわけなんでございます。また、つとめている対象者に会いに行っても、この勤務時間に引っかかっている場合には、これはなかなか会うことができず、また保護司だと名乗り上げることもできないから、一回会いに行くのに、場合によると何度も、一度会うためにたずねていかなければならないこともあるし、いろんな問題があって、何とか実費弁償というのか、あるいは補導費というのか、実際にこの補導のための名実ともに実費弁償がいただけるよう、何とかそのような活動ができる状態に持ってきていただきたいということを強く要望しているわけです。特に受刑者が仮出獄などして出てきた場合に往々あることですが、その受刑者の奥さんが、生活のためその他などで、ほかの男と一緒になっている、そういうふうな場合に、この対象者の更生のためにはどうしてもこの三角関係をうまいぐあいに円満に解決してあげて精神的に安定をはからなければならぬ。これはたいへんな努力と、そして一々報告もできないような出費をかなり要しているというのが現実の話で、これがいまも重ねて申し上げるように、現実に保護司の大きな悩みになっているわけでございますので、良心的に熱心にやることができるようなまあ保護司の財政的な活動の裏づけということについて、ひとつぜひとも当局としても前向きな姿勢で取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、その点に関しまして大臣とそれから保護局の御意見をいただきたいと思います。
#10
○政府委員(笛吹亨三君) お説のように、保護司の保護観察に関する補導費の実費が、なかなかこのごろのことでございますから経費もかかってくるのでございます。この点私たちも十分認識いたしておるのでございまして、年々予算要求の際には、これは相当な増額の要求をいたしておるわけでございます。ことしもこの点で保護司関係の経費につきましても増額を重点に取り上げて要求をいたしたわけであります。保護司の実費弁償金、ただいまの補導費の関係だけで申し上げますと、ことしは前年よりも八千百万円ばかり増額になっております。前年は、これは先ほども申しましたように、Aが千三百円ということでございますけれども、前年度よりもぐんと大きく三百円アップしてもらった経緯がございました。ことしは千三百円から千四百円という百円のアップにとどまったわけでございます。これで決して十分だと思っているわけではありませんので、今後ともこの増額には努力をいたしまして、保護司の活動が十分円滑にやれるように努力したいと思っておるのでございます。
 なお、補導費だけのいまお話がございましたが、そのほかに保護司が、仮出獄、仮退院などをする人たちの帰住予定地について前回までもいろいろ御説明申し上げました環境調査調整という形で居住予定地付近に行きまして、いろいろと刑務所その他施設から出てきた場合に、今後の更生をはかる上にも準備をいたすわけでありまして、そういった関係の経費につきましても、これはやはり保護司がそれぞれ自分の金でそういう経費を負担するということでは申しわけないので、この点につきましては、やはり実費弁償金の中に環境調査調整費という目を細分をいたしまして、そういったものを設けて、それの実費を弁償いたしておるのでございます。この分につきましても前年よりも、前年が二百七十五円のところを三百二十五円とするように五十円のアップをいたしておりますけれども、これも非常に単価から言いますと少ないので恐縮でございますが、そういうとにかく年々増額のほうにもっていくという努力をいたしておりますが、その点はひとつ御認識いただきまして、御了承願いたいと思うのでございます。
 そのほか保護司の関係の経費でいろんな出費もございますし、それから研修の経費、それから保護司の教育といいますか、勉強されるためのいろんな雑誌「更生保護」という雑誌を出しておりますが、そういった雑誌を全部十二カ月分国のほうで負担するというようにことしからいたしまして、そういったいろんな関係で保護司関係の予算につきましては、前年よりもトータルいたしまして九千六百万というアップをいたしております。しかし、これでも十分ではございませんから、来年度以降もっと増額に努力してまいりたい、このように考えております。
#11
○国務大臣(前尾繁三郎君) 率直に申しまして、私昨年就任した当時には、保護関係の問題につきましては申しわけないんでありますが、全くのしろうとでありました。概算要求するときにはいろんな問題の実態がよくわかっておりませんでした。だんだん考えてまいりますと、保護司並びに保護観察官という制度は、できるだけ外に、刑務所に長いこと置かずに、社会に接しながら社会の中でやはり矯正をしていく、こういう考え方であって、むしろ刑務所の処遇も大事でありますが、それ以上に大事な問題ではなかろうかということにだんだん気づいてきたようなわけであります。そういう意味合いからいたしまして、ことに保護司さんの問題につきましては、御承知のように、だんだん世の中が変わってまいりまして、いわゆる名誉職という考え方が、これは市町村の議員さんについても言えることでありますが、むしろ以前のような名誉職というような考え方がだんだん薄れていく、そこに一つ問題点があるわけで、地方におきましては名誉職の考え方でやっていただけますが、都会になりますとなかなかそうはいかない。また、そこで一つの問題点は、地方のいわゆる名誉職ということで熱意を持ってやってくださる方から言いますと、いろんなむしろ報酬をもらうことは、かえって皆さんの考え方から言いますと、はずれておるというような御意見もあるわけであります。と申しまして、実際に金がかかるようだったら、ことにだんだん交通が便利になりまして自転車で行ったのが現在は自家用の自動車をお使いになったり、あるいはタクシーをお使いになる、こういういま時代になってきておりますが、そういう点から考えますと、いまの実費弁償というようなものは全くどうも実情に沿わないものじゃないか。そこで考えますことは、やはり実態をもっと調査して、大蔵省にしましてもなかなか実情はわかりませんから、従来の一割アップとかあるいは百円上げというような安易なやり方をしてきておるわけです。しかし、これはやはり大蔵省と法務省が一体になって実態を調査して、そしてそれに実際に適合した、しかも最も有効な支払い方法あるいは金額ということを考えていかなければならないということを、実はもう概算要求を出しましたあとで気がついたわけであります。したがいまして、私は来年度の予算を要求するにつきましては、やはりまず前提として実態調査をやる、そしてそれに一番適合したこと、また今後の長い見通しからいたしますと、むしろだんだんこれは保護観察官に切りかえていかなければならないんじゃないか、そういうような考え方を持っておるわけであります。
 ただいま私は、来年の予算要求あるいは将来の見通しというような点につきましては、そういうことでひとつすっかり従来と考え方を変えて、新しい構想のもとにいきたい、かように考えておるわけでありまするし、そういう覚悟で今後臨みたいと思っております。
#12
○佐々木静子君 いま大臣から、たいへんな前向きの姿勢で今後この保護対策というものにお臨みいただけるということを伺いまして、たいへん希望が、前途が明るくなったように思うわけでございますが、どうぞ鋭意そのように御努力をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 いまも御答弁ございましたように、私の接している保護司の方から受ける印象でも、かなりの年齢以上の、もちろん明治生まれの保護司さんでございますし、そして生活に余裕もあってこういうことを非常に世話好きで、私財を投げ打って一生懸命やろうという方がいらっしゃることは、確かに何人もいらしゃるわけですが、その方々の年齢が次第に高齢化してきて、そしてそれからもう一つは、下の若い層になってくると、なかなかそういう方が、そういう意味の篤志家が少なくなってきている。また、世の中が忙しくなっているし、そういうことばかりにかかり切れないというふうなのが実情ではないかということで、いまおっしゃいましたように、保護観察の制度につきましても、抜本的な対策というものを御検討いただかなければならない時期にきていると思うのでございます。そしていまこの財政的な面につきまして、これは一例でございますが、大阪市南区の保護司会の場合、どういうふうなことで財政がまかなわれているかということをちょっと調べてみたわけでございますが、それは地域の篤志家の協力によって助成金を毎年――毎年というか、昨年は五十五万円の助成金を集めている。これは大体大阪の南区というところはわりに裕福な商店の多いところでございますのでお金が集まりやすい。一口大体年間六千円の篤志家の出費を仰いでいる。しかしこの六千円の篤志家の出費というのは、現実には一年に一度、保護司の施設見学、たとえば矯正施設の見学を貸し切りバスで行くというようなことを計画を立ててやっていると、それに大体六千円のうちの半分三千円が費消される、一人当たり。それから年に一度打ち合わせ会を兼ねて新年宴会のようなものをやっていると、その費用にいってしまうということで、こうして集めた費用につきましても、さしあたり現実の保護観察の活用にということにも十分にまかなわれておらないというような状態なんだそうでございます。また特にいま一例をあげました大阪の南区の場合は大きな百貨店などがありまして、そこからそうした足らない分の大口寄付を仰いでいるというような状態だそうでございますが、こういうふうな大きな商店をかかえている地区は、こういうふうに何とか大口寄付をかき集めることができるけれども、そうでない地区においては、この財政はたいへんに苦しいということを保護司の方々がこもごも訴えておられますので、どうぞひとつ今後とも、この問題につきましてはよろしく前向きの姿勢でお取り組みいただきたいと思うわけでございます。
 それから、先ほど保護局長の御答弁にもございましたこの研修に要する費用というのも、ケース研究費として現在では一人当たり二百七十五円というふうに保護司会のほうからは聞いているのでございますが、二百七十五円ではともかく一つ資料を整えればもうお茶を飲むこともできないような経費でございまして、何とかやはり現実に要する費用に近い研修費に補っていただけるように、特に御配慮をいただきたいという要望が強く出ているわけでございます。
 それから、この保護司の方々がそういうふうにたいへんな犠牲を払って、社会のため、あるいは犯罪者の更生のために努力していられるわけでございますが、このほか保護司の方々の労に報いるような意味で、何か法務省として考えておられることがあるか、その社会的な評価を高めることとか、その他何か法務省としてお考えになっていらっしゃることがあれば、その点についてもお述べいただきたいと思うわけです。
#13
○政府委員(笛吹亨三君) まず、ケース研修等出席実費、これも保護司の実費弁償金の中に入るものでございますが、確かに少ないわけでございます。昨年度単価が二百七十五円でございましたが、四十七年度におきましてはこれを三百二十五円、これも五十円だけアップしてもらうようにいたしました。これでもなかなか少ないものでございますので、これも先ほど申し上げましたと同様、今後もっと増額に努力してまいりたいと思う次第でございます。
 それから、保護司の実費弁償金以外に、いろいろ保護司の経費も予算の中に入れてもらっておりますが、その全部、とにかくこれら全部入れまして、保護司関係の予算といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたが、あれはトータル実費弁償金の九千六百万と申し上げましたので、全部のトータルということになりますと、一億八百万という御答弁にしていただきたいと思います。
 それから、実費弁償金以外の保護司の労に報いるのに対して何か考えておるかということでございますが、実は先ほど来お話のありましたように、保護司の皆さん非常に奉仕の精神でやっていただいておりまして、先ほど大臣もおっしゃいましたように、報酬なんというものは当てにされないで、とにかく犯罪者が、非行を犯したものが今後立ち直って健全な社会人としてりっぱに更生していってくれることをたのしみにしてやっておられるわけでございまして、そういったことに対しまして報いるにはやはりそういった金銭的なものもさることながら、それよりももっと精神的なといいまするか、表彰などの制度を活用するのが最もふさわしいのじゃないかとも考えておるわけでございます。そういった意味におきまして保護司さんに対して叙勲の推薦をいたしておりまするほかに、藍緩褒章などもいただいてもらうようなことにも私たちのほうで努力をいたしておりますし、それからまた叙勲、褒章でなくとも、法務大臣からその功労のあった人に対しまして毎年一回、相当数の方に対しまして表彰をいたしております。法務大臣表彰というのをいたしております。これは保護司だけではございません。更生保護会の役職員の方も一含めてでございますが、大部分は保護司の方でございまして、大臣表彰をいたしております。それから大臣表彰を受けるまでに至らなかった、まだそこまでの功労といいますか、そういうことがあったと認められない方でございましても、地方更生保護委員会の委員長が表彰するのもございますし、それから保護観察所長の表彰というようなものもございます。それぞれ段階がございまして、功労のあった方たちに対しまして表彰をいたしている、そういった面において皆さんに非常に喜んでいただいておるのでございまして、今後この表彰の制度につきましてももっと活用していきたい、そのように考えております。またこの保護司に対する表彰などの経費につきましても、したがいまして表彰状と若干の記念品といいますか、そういったものを差し上げるだけの、まことに経費はわずかではございますが、こういった経費につきましても、年々増額要求をいたしておるのでございます。これも予算額から申しますと、わずかな、百二十万円ばかりのものでございます。わずかでございまするけれども、毎年増額要求いたしまして、少しでも功労のある人に広く表彰して喜んでいただきたい、このように考えております。
#14
○佐々木静子君 いろいろと御努力いただいていることはよくわかりますが、特に保護司の方々が、その保護司の地位を少しでも高めていただきたいということで、いま全国保護司協会というものがございますが、この全国保護司協会の中には各都道府県あるいは市町村などの保護司会の会長といいますか、その各単位体が加盟できるというふうな組織になっているようでございますが、それを弁護士会あるいは税理士会のような個人も加入できるような組織、特別法人にしていただきたい。そうすることによって保護司の人一人一人が非常に努力しているところが、その地位も多少社会からも認識していただけるのじゃないかということで、そういう要望も強く出ているわけでございますが、そうしたことについて法務当局はどのようにお考えでございますか。
#15
○政府委員(笛吹亨三君) 社団法人の全国保護司連盟というのがあるわけでございまして、これは全国の保護司さんが先ほど申されましたように、それぞれ地区で保護司会をつくる、これは別に人格のある団体じゃありませんが、地区の保護司会をつくる、その地区の保護司会がそれぞれまとまって府県単位の保護司会をつくる、これがさらにまた、地方ブロックでございますが、地方更生保護委員会単位のブロックで保護司会をつくる、それからそれが全部集まって全国保護司会連盟というのをつくっておられるわけですが、これはもともと人格のなかったものでございますが、三年ばかり前にそれを母体にしたような形でございまして全国社団法人の全国保護司連盟というのをつくられたわけでございます。それには個々の保護司さんが会員になられるというんじゃなくて、いまおっしゃいました府県単位の保護司会というものを会員という形にしまして、その会長が社員という形になっておるのでございまして、いまのところ、私、そういった保護司連盟のほうでどういう御希望を持っておられるか、ちょっと聞いておりませんので、その点につきましては、保護司連盟のほうによく聞きまして、皆さん社員の方々がどういうような考えを持っておるか、社員でない府県のそれぞれの保護司の方々がどういうような考えを持っておられるのか、そういった点をもっと十分研究いたしまして、善処していきたいと考えております。
#16
○佐々木静子君 いま御答弁いただきましたが、この問題も、大ぜいの保護司の方々が非常にいままでも努力をしておられ、また今後も、本来政府がやらなければならない仕事までも、民間の保護司が奉仕の精神に燃えてやっていこうということで、一生懸命に努力していられるような実情なども御勘案いただきまして、ぜひとも保護司の方々の要望に沿うように、ひとつ当局としてもお取り組みいただきたいということを特にお願い申し上げる次第でございます。
 それから、ここでちょっとお聞きしたいのでございますが、この保護観察の対象となっているような者は幾種類もあるようでございますが、どういう人が対象者になっているかということをちょっとお述べいただきたい。
#17
○政府委員(笛吹亨三君) これは前回も申し上げたのでございますが、保護観察の対象者となるのに五種類あるわけでございまして、一つは、家庭裁判所で刑事事件その他非行をいたしました少年が、家庭裁判所において保護観察の処分を受けた者、これが一つでございます。
 それから二番目が、家庭裁判所の審判を受けて少年院に送られた少年が、満二十歳になりますと、少年は満期になるわけですけれども、その満二十歳になるまでに成績がいいというので、地方更生保護委員会が決定をいたしまして仮退院をさせます。仮退院をいたしますと、その仮退院の期間保護観察に処せられるわけでございまして、これが二番目の型でございます。
 それから三番目が、先日来いろいろ問題になっております刑務所その他矯正施設ですが、刑事事件によって刑務所で刑に服しておりました者で、満期までに成績がいい、それから改俊の状がある者、それから一定の刑法で定める有期刑であれば刑期の三分の一を経過したといったような者、無期刑であれば十年を経過した者、こういう者について、成績がいいというので地方更生保護委員会が仮出獄の決定をいたします。仮出獄いたしますと、その仮出獄の期間保護観察に付せられるわけでございまして、これが三番目の型でございます。
 それから四番目が、犯罪を犯しまして起訴されて、刑事裁判所で判決を受けた際に、執行猶予になって、その執行猶予に保護観察つきの執行猶予になる場合がございます。そういった保護観察つきの執行猶予になりました者は、その執行猶予の期間保護観察に付せられるわけでございます。これが四番目の保護観察の型でございます。
 それから五番目が、主として売春婦でございますが、売春防止法によりまして、起訴されて刑事処分に付せられた者で、売春防止法の第五条の罪を犯した者、しかもこれは満二十以上の者でなければなりませんが、これを補導処分に付する場合があるわけでございます。その補導処分に付せられた者は婦人補導院に収容されるわけでございますが、この婦人収容補導院に収容されて、これは執行猶予の期間、補導処分は六カ月でございますので、六カ月過ぎますと、これは婦人補導院から退院するわけでございますけれども、それ以外において、成績がいい、むしろ社会内で処遇したほうがいいというような人がありますと、これは地方更生保護委員会におきまして決定いたしまして仮退院を許すわけでございます。この仮退院いたしますと、この六カ月に満たない期間は保護処分に付せられるわけでございまして、これが第五番目の保護処分でございます。
 以上の五つの型があるわけでございます。
#18
○佐々木静子君 いま伺いましたように、結局保護司の方がその職務を全うするためには、矯正施設に収容されている人たちをたずねていき、そうしてその収容者たちと出会って、いろいろとその人たちの今後の生活についての相談に乗ってあげなければならないということがいろいろ多いようでございますが、保護司の方々からのお話では、保護司がたずねていったときの矯正施設においての保護司の取り扱いということが、その施設において個々まちまちである。これはたとえば大阪の保護司会から伺った話でございますけれども、まず大阪府下の矯正施設では、大体において保護司をいわゆる丁寧に扱ってくれる、すぐに面会もさしてくれる、それからまた、いわゆる面会所ではなくて、別室で面会さしてくれるなど便宜をはかってくれているようでございますが、たとえば大阪の近辺では加古川刑務所、あるいは広島県の尾道刑務支所などへ行った場合には、全く普通の家族の面会と同じ取り扱いで長いこと待たされる、そうしていわゆる一般面会の取り扱いをさせられるために、十分に受刑者の人たちの話を聞いてあげることもできない。これでは保護司としての仕事を十分に果たすことができない。そういうふうに矯正施設によっていろいろと取り扱いが違う点が、保護司の活動に支障を来たすということが往往あるようでございます。
 これは矯正局のほうにお伺いしたいのでございますが、保護司に対して矯正局としてはどういう取り扱いをしておられるか、特に受刑者との面接についてでございます。
#19
○政府委員(羽山忠弘君) 一口に申し上げますと、できるだけ便宜をはかるような指導をいたしておるのでございます。と申しますのは、昭和二十六年以来、保護司が環境調査等のために矯正施設に面会に参りましたときは、一般の接見、つまり面会でございますけれども、一般の接見の順序によって保護司さんを待たせるというようなことではなくて、優先的に面会をさせる、あるいはそのための適当な場所を提供するとか、保護司が受刑者についてのいろいろな資料、たとえば刑務所の中の記録等を見せてもらいたいと申されたときには、できる限りそれをお見せするというような便宜をはかるべきであるという指導をいたしておるのでございます。これは保護司ばかりでございませんで、宗教教戒師さんでも、あるいは篤志面接委員と呼ばれる方々でも、これは来ていただきましていろいろ本人に面接していただきますことが、単に本人の改善、更生のために有益であるというばかりでなく、本人の改善、更生のために有益なような面接をしていただきますことは、やがてひいては本人の心情が所内におきまして安定いたしまして、施設側の本人に対する取り扱いもきわめて容易になると申しますか、非常に見通しが明るくなるという事実があるわけでございまして、保護司さんが何も保護司さん個人のために、あるいは収容者個人についてのみ面会に来るという考え方ではなしに、広い刑事政策、全体的な立場において協力すべきであるという考え方がこの指導の基本になっておると思うのでございます。したがいまして、指導はそういうことになっておりまして、御質問の中にございましたように、一部の施設におきましては大体そのようなふうにやっておるという御指摘でございますが、若干の施設におきましてそうでないという御指摘をただいまいただきましてまことに恐縮に存じておるのでございます。これは十分至急に調査いたしまして、全国的に調査いたしまして、あらためて周知徹底をはかりたい。と申しますのは、何ぶんにも二十六年の通達に基づくものでございますし、ときには新規採用の職員などの中には勘違いをする人間がいるのかもしれないというようなこともございますので、十分に調査いたしまして、ただいま御指摘のような点は至急に是正するようにいたしたいと思います。
#20
○佐々木静子君 いまの御答弁を伺いまして、ぜひともこの矯正局長の御趣旨を全国の矯正関係へ徹底するようにお取り組みいただきたいと思うわけでございます。
 それからもう一つ、これは大臣のお時間の御都合がおありのようでございますので、先に大臣のほうにお伺いしたいのでございますが、いま保護局からお話のありました売春防止法による婦人補導院の問題でございますが、これは今度復帰いたしました沖繩における売春防止法の施行が数日前から現実に施行されるようになっているわけでございまして、現実に本土におきましてはこの売春防止法の対象になっている、売春防止法第五条に触れて処罰されている婦人というものの数はいま激減していると思うのでございますが、それに引きかえていま沖繩におきましては、長い間の米軍支配、また現実にいまも続いております米軍に対する基地提供などのような状態から、これは本土とは比較にならないような多数の売春婦がおられるということを聞いておるわけでございます。そういうことで、今度この売春防止法が施行され、それによって処罰される御婦人がでてきました場合に、保護局長が御指摘になりましたような、第五条による保護観察の対象になる人が急にふえるのではないかと思うのでございますが、そういう対策について法務大臣はどのようにお考えでございますか。
#21
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しのとおりに、沖繩は本土とはちょっと様子が違うのではないかと思っております。ただ、刑事問題として取り扱われるのは半年とか一年先になりますので、ただいまのところ施設としては九州あるいは大阪もほとんど現在使っておりませんからそういうところで間に合うとは思っておりますが、しかし、いずれにしましても刑を犯したあとの保護観察なり、あるいはいろんな問題についてこれは相当綿密に、また十分な手当てをしていきたいと考えておりますが、まだ半年なり一年余裕がありますから、十分御趣旨に沿っていきたいと、かように考えております。
#22
○佐々木静子君 これはさきの沖繩国会のときにも大臣にちょっとお伺いしたと思うのでございますが、この沖繩県に婦人補導院が設けられなかったということを、私実は非常に遺憾に思っているわけなんでございます。と申しますのは、いま福岡あるいは大阪というお話があったのは、これは婦人補導院が福岡あるいは大阪では、施設はあるが、現在ではあまり収容される人が少ないので、そうした施設を利用すれば事足りるというようなお話ではないかと思うのでございますが、非常にこれ問題になりますのは、この売春婦が婦人補導院に収容されるにつきましては、これは売春防止法第二十二条によって収容状に基づいて強制収容されるのがたてまえじゃないかと思うわけであります。沖繩という遠い島から収容されて、そういう人たちを船に乗せ、かつ汽軍に乗せて長い距離を収容所に運ばなければならない、私これは現実に犯罪を犯して護送された人の話、特に出入国管理法違反に問われて東京あるいは大阪から大村へ護送された人の話などを聞きますと、これは施設に収容されるということの何層倍か護送されるということ、強制収容されて長い旅をされなければならないということがいかに屈辱に満ち満ちたつらい思いをしたかという話をよく聞きます。
 これは売春防止法が決して軽微な犯罪とは申しませんけれども、一般の人たちが、この収容所の方あるいは検察事務官に連れられて、身体を拘束されて船とか汽車に乗りますと、これはもう凶悪犯人が乗ったようにみんなたいへん白い目を向けて騒ぐ、それからまたいろいろその収容所に運ぶ間におきまして、たとえば大村収容所に収容された人の話などによりましても、たとえば東京からですね、強制処分を受けて大村へ連れていかれるとすれば、その間汽車の中で大ぜいの人に人殺しでもしたかのように白い目で皆さんに見られて、しかもその間にトイレへ行くにしても、これは表をあけたままでしかささないというようなことで、その収容している人に聞くと、規則でこうなっているのだから戸を締めるわけにいかないというようなことで、これは死にまさるような屈辱を味あわねばならぬということをいつも聞くわけなんであります。
 特にこの婦人補導院へ収容される人は全部が婦人でございますので、そういう人が沖繩から福岡あるいは大阪へ連行されるということは、これはたいへんなことだと思います。しかもこれ連行されて、一番最大の期限で六カ月でございますから、またそうしてもとへ戻らなければならない、これは本人を更生させるどころか、非常に屈辱を味あわされてその婦人の人格を侮辱されることになると思いますので、ぜひともこれは福岡あるいは大阪の婦人補導院を利用するということについて、もう一度検討していただきたい、これはほんとうに心からお願いしたいと思うわけなんでございますが、そういう点について何とか沖繩県でその婦人の補導を行なうような方法、これは大臣としてもあるいは矯正局長としても御検討なさる御余地はありませんですか。
#23
○政府委員(羽山忠弘君) 実はこの沖繩に婦人補導院を置くか置かないかという問題を検討いたしましたときに、非常に困りましたのは、沖繩に婦人補導院を、売春防止法に規定しておりまする補導処分というものが沖繩で運用された実績がないということがまず第一点であったわけでございます。すなわち、売春防止法の補導処分に関する部分は沖繩に施行されてなかったということがまずあるわけでございます。したがいまして、沖繩でどのくらい――もし沖繩が返りましたときに、売春防止法の規定によりまして、まず第五条違反というものがどのくらい出てくるであろうかということがまず問題になるのでありますが、五条違反と申しますのは、わかりやすく申しますと、客の袖を街頭で引っぱったというような客引きというようなのが違反になるわけでございますが、その引っぱった者がすべて補導処分になるわけではございませんで、引っぱりました者のうちで年齢が二十、それから執行猶予になります者でさらに裁判所が補導処分相当ということで認めた者がなるわけでございます。最近の内地の統計を申し上げますと、昭和四十五年に百三十六人売春防止法で処罰を受けておるのでございますが、このうちで新たに婦人補導院に入りましたのはきわめてわずかでございまして、当時の一日平均収容人員が約三十人ということになっておるのでございます。これが最近はこの婦人補導院長さんたちの共通の嘆きでございますが、この売春婦の人たちがそのやり方がうまくなったのかどうかわかりませんが、なかなかつかまらなくなってまいりまして、非常に検挙の数が減ってきたということでございます。したがいまして、補導処分が減りまして、今日現在におきまして福岡の補導院に入っておりますのは三人でございます。こういうようなことで、内地の状況にかんがみまして、一体沖繩が返りましたときに、はたして沖繩の人たちもかつての日本の本土の売春婦のように多数つかまるであろうかどうかということが見通しが立ちませんで、今日、福岡にいたしましても東京にいたしましても、東京は本日十数名入っておるようでございますが、いずれにいたしましても、職員のほうが圧倒的多数でございまして、収容者の数が非常に少ない。職員が髀肉の嘆にたえないというような実情にございまして、役所の士気も非常に阻喪するというような現況になってまいっておるのでございます。したがいまして、沖繩に婦人補導院をつくりますにつきましては、この点が非常に問題になりますので、その見通しがつかなかったために一応このたびは見合わせたのでございますが、もしこれが相当数入るということになりますれば、ただいま御指摘のように護送の弊害というようなことがもし起きるというような問題が起きますならば、さしあたり代用少年鑑別所というような制度を沖繩に置きまして、少年鑑別所の支所のようなものをつくっておりますが、そういうような措置もできないわけではない、そういうような点はまた今後検討させていただきたいと思うわけでございます。
#24
○佐々木静子君 売春防止法の第五条に抵触する人が本土においてたいへん減ったということは、これは法の効果があがった結果としてたいへん喜ばしいことだと私も思っておりますが、特にこの沖繩における売春防止法第五条に抵触する婦人について、この婦人補導所収容についての人権問題については特段の御配慮を考えていただいて、人権侵害にならないように特に御配慮をいただきたいと思うわけです。
 そして大臣のお時間の御都合もあるようですから、大臣に一点をお伺いしたいのでございますが、あとでまだちょっと質問も残っておるわけでございますが、全体的にこの保護観察というような問題、先ほど来の御答弁を伺っておりましても、これは何といっても非常にその予算の裏づけがなされておらない。本来、刑余者の保護ということは、これは政府が取り組まなければならない重大な仕事であるにもかかわらず、それがほとんど民間の篤志家の資金によってまかなわれ、また一般篤志家の労力によって事が運ばれているということ、いまの法務行政といたしましても、この点非常に遺憾に思われるところなんでございます。法務省の中でもこの保護問題あるいは先般来、矢山委員が御質問になった人権擁護局などというようなところがどうも資金面の裏づけが乏しくて、その効果が、非常に制度としてはりっぱなものでありながら、実際の運用において資金がないために、予算がないために十分に、十分というよりもほとんどその持っている意義を活用できないということをたいへん残念に思いますが、先ほども大臣が前向きで取っ組んでくださるということを伺ったのでございますが、大臣としてさらにこの問題についての御所信を承りたいと思うわけでございます。
#25
○国務大臣(前尾繁三郎君) とかく治安の維持というような問題は、空気と同様に非常に大切なことでありながら、半面はなやかなものではありません。そういう意味では予算は非常に取りにくい予算であり、ことにこれは人間なりあるいは物件費にしましても何ぶん所掌事務そのものが公共事業的な色彩が薄いものでありますから、非常に予算が取りにくい、これはもう現実であります。しかし、この治安の維持が日本は非常に保たれてきた。諸外国というよりも先進国においても特段にいいということが、現在の経済成長なんかにつながっておる問題であります。したがってこの際、ことに福祉予算といわれるような時代になれば、当然私は法務行政、ことに刑の執行、要するに判決を受けました以後の処遇ということが非常に大事な問題だと、かように考えておりますが、この点は十分大蔵省当局にもわからし、そうして今後そういう点において重点を置いて予算をつけるということにいたしたい、まあ予算編成方針におきましても、治安の維持なり、法の権威という問題を一本の柱に取り上げてもらったわけでありますが、今後それを積み重ねていくということで、あくまで今後十分な予算のもとにりっぱな法務行政をやりたい、かように考えておるわけであります。
#26
○佐々木静子君 どうぞぜひとも大臣にこの問題を前向きに取り上げていただいて、刑余者問題という問題は日の当たる場所にぜひとも出していただいて、大いに法務行政の効果をあげていただきたいと、特にお願い申し上げる次第でございます。
 きょう、厚生省の方もお越しいただいておりますが、この沖繩売春問題について、これは売春防止法の抵触者に限りませんけれども、売春婦対策として厚生省としたらどのように今後取り組んでいかれるのか、その御姿勢なり具体策を承りたいと思います。
#27
○説明員(蝦名真一君) 厚生省の場合には、犯罪者でもそうでない婦人も一緒に考えておるわけでございますが、これはもう転落しあるいは転落するおそれのある婦人の保護更生ということをはかっておるわけでございます。具体的にはこれらの婦人のいろいろな相談に応じ、これらの婦人を指導する機関といたしまして婦人相談所というのを設置いたしてございます。これは県が設置いたすわけでございますが、厚生省はこれへの補助金を交付しておるということでございます。さらに婦人相談員、これは非常勤の職員でございますが、婦人相談員を置きまして、この相談員がやはりこれらの要保護婦人の相談に応じるという仕分けをしているわけでございます。さらに要保護婦人の中にはやはり施設に収容して保護したほうがよろしい方もございます。これらの要保護女子を収容する施設といたしまして婦人保護施設、これはすでに昭和四十六年度の日政援助ということで、母子――子供連れの婦人や、それから授産といいますか、手に職を与えるという目的を持った収容施設二カ所分の補助金を計上いたし、さらにこういう婦人にはやはり精薄――精神薄弱の方も多いというようなことで、四十七年度では精薄用の施設もつくるべく予算措置を講じているところでございます。また、この施設に入らない、非常に能力がありまして自活したい、この際正業につきたい、それについてはさしあたり金が要るという方のためには、婦人更生資金というのを用意いたしまして、これは低利で長期の資金を融通するというような仕組みを講じているわけでございます。これは厚生省のいわばプロパーの保護更生の補助の措置のおもなものでございますけれども、やはりこういう婦人の保護更生をはかってまいりますためには、いろいろな関係機関、いま申しましたような保護司さんとかあるいは職場関係、婦人相談室とか、あるいはその他社会福祉関係あるいは教育関係あるいは警察関係方面との連絡を常に密にいたしまして、これらの要保護女子の更生をはかっていきたい、そういう仕組みにいたしております。これは県が実施いたしまして、厚生省としてはこれらの費用につきまして補助金を交付するという仕組みになっておるわけでございます。
#28
○佐々木静子君 この沖繩の売春問題、私も非常に関心を、たいへんな問題だと思いまして実はこの復帰前にも、直前に二度ほど沖繩に参りまして、売春婦の方ともいろいろとじかにお話もお聞きして、その立場なども伺ったのでございますが、売春というものに対する違法の認識というものが本土における場合とだいぶ違ってきている。それと、この売春婦がかなり高年齢であって、子供などをかかえておって、一家の生活をささえている人が多い。しかもこれが、本土で売春防止法が施行されたときと比べると、人口比率が十倍ほども従事していられる方がいる。しかも、現実に米軍基地がまだ存続し、外国軍人がたくさんまだ今後もいる見通しであるというふうないろんな事情から考えますと、これはたいへんな問題であり、また、特に売春婦に暴力団が介入してきて、なかなか売春婦が思うようにならない、足が洗えないというたいへんに深刻な問題を投げかけているように思うわけでございます。そういう意味において、いまおっしゃった、厚生省が婦人の売春問題に取り組まれるということは非常にたいへんなお仕事だと思うのでございますが、ぜひとも前向きな立場でお取り組みいただきたいと思います。
 それから、保護司さんの仕事も沖繩ではそういう意味では強化されなければならないと思うのですが、保護局としますと、この沖繩県における保護司の強化というものについてどのようにお考えでございますか、この売春問題に関連して。
#29
○政府委員(笛吹亨三君) 沖繩の保護司の問題でございますが、復帰前沖繩にもやはり本土と同じように保護司が置かれて、保護観察官とともに保護に当たっておったわけでございますが、復帰前は沖繩は保護司の定員が二百人でございます。現実には百九十五、六人の方が委嘱されておった実情でございます。ところが復帰後、本土の大体類似県と比べてみますと、二百人ではとても足りないということで、復帰したときにこれは定数を五百人にふやしました。これは倍以上にふやしたわけでございますが、実際の保護司を委嘱するのには少し時間が要しますけれども、五百人まで持っていきたいと、こういうふうに計画しておるわけであります。これはまあいまの売春関係だけじゃなく、すべての犯罪を対象にして五百人と見ておるわけでございますが、沖繩にはいろいろな犯罪もあるようでございまするから、内地の類似県よりは少し多目になっておる次第でございます。
 それから売春の関係につきましては、復帰まで沖繩では売春防止法も実は罰則のほうが施行されていない状況でございまして、実際上売春が公娼制度なんというものがあったようでありますので、これはやはり問題としては大きく取り上げていかなければならないということで、こういった面でも、またそういう婦人が沖繩で社会人として正業につけるようにするということもありますので、その点については十分配慮していくつもりでおります。
 いずれにいたしましても、復帰前よりはぐっとふやして、保護観察の力を強めていくつもりでやっております。
#30
○佐々木静子君 これは問題が変わりますが、この保護観察の問題については、保護司の仕事を助けるという意味になると思いますが、BBS運動というものがあることを法務省も御存じですか。
#31
○政府委員(笛吹亨三君) BBS運動といいますのは、これはビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズ・ムーブメントというものを略してBBS運動と称しておるわけでございます。これは法務省がこのBBS運動といいますか、BBS会というものをそれぞれ育成していっておるわけでございます。現在全国で一万人以上の会員を擁しておるようでございます。
#32
○佐々木静子君 このBBS会員約一万人の方々が非行少年のお友だちとなってこの非行防止活動に参加しておられるということは、これは非常に貴重な活動であると思うのでございますが、その点で二、三お伺いしたいのですが、このBBS会の連絡事務所というものは、これは全国的に全部保護観察所の中にあって、事務局もそこに置かれておるわけでございますか。
#33
○政府委員(笛吹亨三君) BBSは全国的な全国BBS会というのがございます。それから先ほどの保護司の場合と少し似ておりますけれども、地方のBBS会、それから各府県単位のBBS会というものがありまして、そういった府県単位のBBS会が、その事務所といいますか、その連絡場所というものを観察所の中に設けて、そこで事務も若干とっておりますし、連絡の場所にしておるのでございます。これはなぜかと申しますと、BBS会というのはほんとうにこれも任意の団体で、ほんとうに善意な青年が集まっておる会でございます。したがいまして、ほかにそういったものを設けるということもなかなか困難でございますので、観察所のほうで便宜をはかっておるわけでございます。
#34
○佐々木静子君 この会員の行なっておるお友だち活動というものは、たいへんむずかしい、また大切なお仕事ではないかと思うのです。一人の会員が結局一人の非行少年のよいお友だちになって非行を防ぐようにするということは、口で言えばやすいですが、実際にその効果を発揮するということになればたいへんにむずかしくて、かつ責任が重い仕事であると思うのでございますが、このBBS会の会員の人選などは法務省はどのようにタッチしておられるのですか。
#35
○政府委員(笛吹亨三君) 人選というものにつきましては、直接法務省はタッチするということはできませんが、これはいき過ぎになりますからタッチいたしておりませんが、それぞれの地区のBBS会において、先輩といいますか、会長はじめBBS会の幹部がおりますが、そういった人たちがその会員をそれぞれ適当な青年をさそって、勧誘して会員に入会さすというようなことをいたしておりまして、それについて保護観察所が何か相談でも受ければ相談に応じるという程度でございまして、直接その勧誘とかそういったものにタッチはいたしておりません。
#36
○佐々木静子君 それはまあ自発的な活動にまかしていらっしゃるという御様子でございますが、これは、たとえばこの会員に人を得なければ1人を得ないばかりではなしに、もしあまり好ましくない人がかりに入ってきた場合には、これは相当いろんな影響を与えるんじゃないかということが心配されるんですけれども、そういう点についてのチェックというようなことは全然お考えになっていられないわけですか。
#37
○政府委員(笛吹亨三君) 確かに、好ましくない青年といった人が会員になることは重大な問題ではございます。このBBS運動――「ともだち活動」の対象となる者が、やはり非行少年、非行少女といったような者たちでございますから、BBS会員が、その非行少年少女と友だちのようにして、大きなにいさんになりねえさんになって善導していくというのでございますから、そういう者が、何かその者自体が犯罪性のあるような者でございますと、これは、全然効果があがらないというよりむしろ逆の効果を導きますので、そういったことは絶対に許されないものでございます。
 そこで、この点についてはBBS自体で非常に気をつかっておりまして、全国のBBSの会長も常にこの点は非常な配慮をされておるようでありまして、毎年全国的な代表者会議などもやっておりまして、そういった点についていろいろ研究もされておるようであります。まあ法務省といたしまして、先ほど申しましたように、ちょっとこれは直接タッチすることはできません。しかし、明らかにそういう犯罪性のあるような人が中に入ってきたという例はちょっといままで聞いておりませんし、もしもそういうことがありますれば、私たちのほうは、気がつけばやはり当該BBS会のほうに一応の連絡はして、向こうの自主的な処置によって排除するなり何なりの措置はしていくことになると思います。
#38
○佐々木静子君 いまおっしゃったように、実はこのBBS会員、私も知っている人の中には、非常に気持ちのいい青年ばかりですので、あまりそういうことを勘ぐる必要もないのではないかと思いますが、事柄の責任がたいへんに重大なことから、重い責任であると思いますので、お伺いしたわけでございます。
 それで今後そういう点につきましても十分に御配慮いただきたいと思いますことと、それからこのBBSの運動のパンフレットを拝見いたしますと、「この「ともだち活動」は保護観察になった少年達を対象として、保護司に協力するかたちで行なわれるのが普通ですが、そのほかにも、家庭裁判所とか学校・警察などの機関から依頼をうけて行なったり、少年院にいる少年の更生のため協力して行なったりする場合もあります。」というふうになっているわけです。こういうふうに、保護司さんに協力して、いろいろと家庭裁判所やあるいは警察でごやっかいになった少年の善導に当たるということになれば、これは勢い、この少年のいろんな多くの秘密を知らなければ相談に乗ることもできないというわけでございますが、BBS会員が非行少年の人権を守る意味から秘密を守る義務というものが保障されているのかどうか。かりに保障されているとすると、どういう根拠で保障されているのか、その点を伺いたいと思います。
#39
○政府委員(笛吹亨三君) BBSの会員は、これは保護司に協力いたしまして、非行いたしました少年少女の善導に当たるのでございますが、これは、保護観察の責任は全然負わないわけでございます。保護観察の責任は、あくまでも保護観察官あるいは保護司が負うべきものでございまして、BBS会員は、事実上保護司に協力いたしまして、その青少年の更生を助長するということになっております。そこで、このBBSの会員が、そういった保護司に協力して非行青少年の善導に当たる際に、何か個人的な秘密を知ったといった場合に、その秘密を守らなきゃならないということは、法律的には何にもございません。これは、一般の人としてのまあ制裁を受ける場合には制裁を受けますが、そうでなく、BBS会員だからということで特別にどうということは規定いたしておりません。これは、BBSそのものが何ら法律に基づいてできておるものではございませんので、先ほども申しましたように、奉仕の精神でやっておる任意にできたもので、ただ法務省が、その運動が非常にりっぱな運動でもあるし、また非行した青少年にとって有益な運動でもあるということを考えて、助長育成しておるだけでございますので、この秘密を漏らすということになりますと、それ自体で特別な制裁というものはないわけで、一般の制裁があるだけであります。
 御承知のように、BBSの起こりといいますのは、これは外国は別といたしまして、日本では、昭和二十二年に京都で大学生が、戦後の混乱にあたって非行をしたりまた犯罪に走る少年たちがあまりに多いもんですから、これを何とか正しく導いていってやりたいということで、だれからも言われないで、ただ大学生が数人あるいは数十人ほど集まってきてこういうような運動をしたというのが起こりでございますので、そういったほんとうの奉仕の精神ということから出たこのBBSは、やはりそういう精神を貫いて育成していきたいと思いますので、そういう点について、国家的に法律をつくるとかそういったことはしない方針で育成いたしておるのでございます。
#40
○佐々木静子君 これ、制度としては、保護局長のおっしゃるとおりたいへんにいい制度だと思いますのですが、ちょっと気になる点を特に申し上げたわけです。
 それともう一点ですが、保護司の活動に協力する意味でこういう非行少年の更生のためにBBS会員が働いているときに、何か事故が起こったような場合、こういうときには、その責任の所在ですね、法務省として責任をおとりになるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#41
○政府委員(笛吹亨三君) 実はこれも、いま申し上げましたように、ほんとうの任意、ボランティアの運動でございまして、法的に何の根拠も持っておりませんし、また仕事が、そういったように保護司に対する協力という形で、あるいは危険な場合も予測されないわけではないのでございます。しかしながら、いまのところ、何か事故があったときに、それでは国として何かの補償をしてあげられるかといいますと、これは法律上やれないたてまえになっております。事実上は、これは別に、いろいろまた保護司会とかそういったものが見ていくことになるわけでございますが、法的にはそういう制度になっておりません。去年ですか――一昨年でございますか、全国の更生保護大会におきまして、――まあ更生保護大会といいますのは、ただ集まるだけではなく、いろいろなことを研究をしておるわけで、保護司、それから更生保護会、BBSその他保護関係のものが集まりまして研究するわけでございますが、そのときにもこれが話題になったことがあるわけでございます。保護司についてはこれは補償の道があるわけでございますけれども、BBS会については補償の道がないので、それをどうすべきであろうかということで一つの問題が出たことがありますが、その際に、BBS自体から、やはりそれはBBSの性格上、国からそういうような面で補償を受けるものではない、BBS自体で解決すべきであるというような意見にまとまったということを聞いております。
#42
○佐々木静子君 それでは、話がまた変わりますが、犯罪者予防更生法の本題に返して、中央更生保護審査会のことでございますが、本日、歴代の委員長並びに委員の名簿をいただいたわけですが、さきにお伺いしたと思うんですが、もう一度はっきり伺っておきたいのは、現在の各委員、これは国家公務員で、国家公務員法でいう非常勤の特別職に当たるというお話しだったわけでございますね。
#43
○政府委員(笛吹亨三君) そのとおり、非常勤の特別職国家公務員でございます。
#44
○佐々木静子君 すなわち、国家公務員法の第二条の第三項第九号に当たるわけでございますね。
#45
○政府委員(笛吹亨三君) そのとおりでございます。
#46
○佐々木静子君 恩赦その他の更生保護の問題についての秘密のことが、前回の委員会でも話題になったわけですが、この審査会の委員に秘密を守ることが法的に要求されているのかどうか。また、要求されているとすれば、その法的根拠をお示しいただきたいと思います。
#47
○政府委員(笛吹亨三君) 特別職の国家公務員というものは、御承知のように、国家公務員法そのものの適用はございませんので、その面における秘密を守るための規定というものは適用になっておりません。また、現在のこの委員の任命その他を規定いたしておりまする犯罪者予防更生法におきましても、特にその秘密という面については規定はいたしておりません。しかし、実際の場合におきましては、事柄の性質上、個人のいろんな個人的な問題にも関係いたしてまいりますことでございますので、これは秘密は守るということに運用されておるのでございます。
#48
○佐々木静子君 これは、そうすると、秘密を守る義務というのは法的にはいまの審査会の委員には負わせてないわけでございますか。
#49
○政府委員(笛吹亨三君) 法的には、直接それを規定している条文はございません。
#50
○佐々木静子君 これは、どういうわけで、なぜそういう規定を設けておらないのか。先日来、恩赦については、特に秘密秘密ということを法務大臣は、私どもちょっと理解できないくらいに秘密を強調されておられるわけですけれども、どうしてこの審査会には秘密に関する規定を設けられなかったのですか。
#51
○政府委員(笛吹亨三君) その点を申し上げます前に、ちょっと、先日来のお話は、恩赦の審議会といいますか、政令恩赦といいますか、記念恩赦といいますか、そういった一般的な恩赦をやる場合に、恩赦の審議会を設けられて云々という改正案に対する法務大臣の意見といいますか、問題点を指摘されたことでございます。あれは、確かに、たとえばもしも大赦令が出るといったようなことになりますと、それが漏れるとたいへんなことになりますから、特に秘密ということを言われておるわけであります。この中央更生保護審査会のほうは、これはそういった一般的恩赦には関係のないところでございます。これは、まあ御承知のとおりでございまして、個々の個別恩赦について審査するところでございますので、これから恩赦の政令が出るんだとか出ないんだとかということに、これは、全然中央審査会関係はないわけでございまして、これは今度の恩赦についても、中央審議会の委員たちには何の関係もなかったわけでございます。
 ところで、それでは中央更生保護審査会の委員が職務上知り得る秘密というものは何だということになりますると、当該審査事件の内容でございます。これはそれぞれの個々の対象になる、出願その他によって審査の対象になっている人の個人的ないろんな秘密、人に知られたくないような経歴だとか、犯罪状況、こういったものでございます。こういったものは当然その委員としては他に漏らすべきもんじゃございません。したがいまして、本来委員が職務上守らなければならない義務でございます。したがいまして、特に秘密という形で規定はいたしていないわけであります。そのほかに中央更生保護審査会の委員であることからいろいろな義務が出てまいりますが、そういったものと同様に、そういった意味における秘密を守るということも職務上の義務でございます。職務上の義務というところでとらえておるだけでありまして、特別に秘密ということを守らなければいかぬとか、守らない場合にはどういう罰則があるとか、そういう規定のし方はこの場合はしていなかったのでございます。
#52
○佐々木静子君 個別恩赦につきましても、いまも御指摘ございましたように、個人個人については重大な人権問題を含んでいる刑事裁判の記録も全部ごらんになることですし、また身上調査書なども全部ごらんになるわけでございますから、重大な人権問題を含んでいるわけでございますけれども、これは審査会の委員としての義務から当然そういうふうなことを他に漏らすというようなことも、わざわざそういう規定を設けなくても十分にまかなえるという御趣旨でございますね。
#53
○政府委員(笛吹亨三君) そのとおり、委員として職務上の義務の中に入りますので、職務上の義務に違反した場合には委員を罷免するというような規定がこの犯罪者予防更生法の第八条で規定されておりますから、そういった面において全般的な義務違反ということで取り上げられるべき問題だという考えから秘密だけを取り上げなかったわけでございます。
#54
○佐々木静子君 それから個別恩赦の常時恩赦の対象になっているいままでの事件のうちで、死刑の判決を受けた人が恩赦の対象になって、減刑その他の御処分をいただいたというようなことはいままで例がございますか。
#55
○政府委員(笛吹亨三君) 死刑の判決を受けた者で恩赦の対象になった者はございます。
#56
○佐々木静子君 それはいままで中央更生保護審査会の制度ができてから、大体何名ぐらいがそういう対象になっておりますか。
#57
○政府委員(笛吹亨三君) 死刑だけでございますか。
#58
○佐々木静子君 死刑の判決を受けた人です。
#59
○政府委員(笛吹亨三君) 個別恩赦だけで申しますと十名ございます。
#60
○佐々木静子君 これは先般の委員会でも申し上げましたが、終戦直後の混乱で、アメリカの占領その他による混乱の事態から、いろいろと裁判を受けるに至って死刑になったお気の毒な人たちが現在もまだ拘置所に若干残っておるわけでございます。今度のいわゆる沖繩恩赦の対象には無期懲役あるいは有期懲役の人が対象になっておりますが、死刑の人は今度の恩赦では対象からはずされておりますけれども、先般来申し上げておりますように、昭和四十四年七月八日の衆議院法務委員会における再審特例法案の経過などもございますので、ぜひともこういう問題につきまして、常時恩赦におきまして積極的なお取り組みをお願い申し上げたいと思うわけです。こういうふうな、いまも大臣から前向きの姿勢で保護観察というような問題あるいは刑余者の保護というような問題に取り組んでいただけるということを、前向きの御答弁をいただいたのでございますが、じみな仕事でございますが、この更生保護の問題につきましても今後法務省としてぜひとも前向きの姿勢で取り組んでいただいて、この刑事政策的な効果を大いに発揮していただきたいということを特に要望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
#61
○委員長(阿部憲一君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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