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1971/05/23 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第17号
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1971/05/23 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第17号

#1
第068回国会 法務委員会 第17号
昭和四十七年五月二十三日(火曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十三日
    辞任        補欠選任
     吉武 恵市君     中村 禎二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 憲一君
    理 事
                後藤 義隆君
                原 文兵衛君
                佐々木静子君
                白木義一郎君
    委 員
                岩本 政一君
                木島 義夫君
                中村 禎二君
                林田悠紀夫君
                平泉  渉君
                吉武 恵市君
                加瀬  完君
                鶴園 哲夫君
                野々山一三君
                矢山 有作君
                松下 正寿君
   国務大臣
       法 務 大 臣  前尾繁三郎君
   政府委員
       法務省保護局長  笛吹 亨三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       法務省矯正局総
       務課長      平井 清作君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 犯罪者予防更正法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○鶴園哲夫君 この中央更生保護審査会、これの委員長を常勤にすると。そのためにたいへん中が変わってくるわけなんですけれども、この委員長を常勤にするについて理由があがっておるのですけれども、特に問題として伺いたいのは、ここにありますように、「すべての審査対象事件について刑事事件記録その他関係記録を精査し、あるいは、審査会の指名により審理を担当している主査委員との間に事前の協議を行なっている」、それともう一つは「審査対象事件が近時著しく増加し」、この三つが掲げてあるわけですが、ここにあります精査すると、それから主査委員との間に事前の協議を行ない、それと審査対象事件が近時著しく増加してきた、この三つについて御説明を願いたいと思います。
#4
○政府委員(笛吹亨三君) 審査事件の、まず精査でございますが、御承知のように、恩赦、個別恩赦の事件が中央更生保護審査会にまいりますルートは、まあ大体本人が出願いたしまして、検察官あるいは刑務所など施設の長、あるいは保護観察所の長を経由いたしまして、それらの機関が意見をつけて中央更生保護審査会に上申してくるわけであります。したがいまして、その場合には、すでに本人からの出願並びにそれぞれの機関で一応調査いたしました結果の記録があるわけであります。さらにまた、いずれも刑事事件でございますので、確定しまた執行を終わったのが大体のような、みなそういった刑事記録がございますので、それらの刑事記録並びに上申いたしてまいりました恩赦そのものの事件記録といったものをすべて目を通すわけでございます。これは先ほどおっしゃいました主査委員というのがございまして、主査委員がもちろん精査して目を通しますが、これとともに委員長もすべての事件について目を通すということにいたして運用しておるのでございます。といいますのは、主査委員は五人の委員のうちの一人が主査委員に任ぜられるのが大体普通の場合でございまして、特別の場合は複数のことがあり得ますけれども、普通は一人だけが主査委員として指名されるのであります。そしてその主査委員が詳しく調べてそれを審査会の場合に主査委員から五人の委員の合議の報告をするという形をとるわけでございますけれども、主査委員のほかに委員長がこの事件をよく見ていて合議にかけるのに適当な時期というものもやはり考えなければなりません。それから主査委員が、審理している過程において、いろんな記録だけでなくさらに関係者にも状況を聞くということも必要な場合がありますので、そういったことをすべきかどうかということの相談もいたします。そういったことから委員長もやはりその事件全体をよく知っていなければ運用できないということで、委員長が事件一般について精査しておるわけであります。それからいまの主査委員との事前の協議ということもいまちょっと触れましたけれども、そういったことから主査委員との間でこの事件の取り扱いについて協議いたしまして、いつ合議にかけるか、結局主査委員の審理が終わった段階で合議にかけなければいけませんから、そういったときがいつであるかということも協議して合議に持っていくわけであります。
 それから事件の数でございますが、これは先般来も申し上げておりますように、個別恩赦でございますので、一つの事件ごとに審査会が審査しなきゃならないわけでございますが、その事件の各年度の審理の件数、その年度に新しく受理いたしました事件の件数を申し上げます。最近四十三年からの四年間の統計を前に申し上げたのですが、新しく受理いたしましたのは四十三年が百八十二件、四十四年が百九十六件、四十五年が二百三十二件、四十六年が二百八十三件、このようになっておりますが、ただし、四十四年と四十五年には明治百年記念恩赦の何といいますか、影響を受けておるといいますか、明治百年恩赦で形式的には取り上げられていなかったのが個別恩赦として入ってきたのがそのほかにございます。その件数を申し上げますと、四十四年にはいま申し上げました百九十六件のほかに六百四十件ございます。それから四十五年には二百三十二件のほかに三十九件ございます。そういった状況で近年だんだんとふえてまいっておるのが現在の状況でございます。
#5
○鶴園哲夫君 いま伺っておりますと、主査委員と委員長が事前に協議をするというそのことは、そうめんどうなことじゃない、非常に簡単なことのように聞きとれたわけです。それからもう一つ、すべての記録を、その他の記録を精査するというのですが、これは主査委員が責任を持って取り扱っていらっしゃるわけですから、しかも合議制の委員会であるわけですから、私はこのことは特にどうという、またよけいなことになるかもしれませんが、そもそも精査、精査ということでもないのじゃないか。事前協議というものも簡単なものではないかというふうに思います。なおこのことはこの委員会ができたときからこれはずっとそういうやり方をやっていらっしゃるわけですか。急に二、三年の間にこういうふうになったのか、この仕事のやり方ですね。精査並びに事前に協議をするというこの仕事のやり方ですね。これがこの二、三年のうちにこういうふうになったのか、あるいはずっと前からこういうやり方をやっておられるのか。合議制という立場から言いますと、そう、いま言ったようなことが義務づけられておるといいますか、というふうには受け取れないわけです。それらの点について若干伺います。
#6
○政府委員(笛吹亨三君) 中央更正保護審査会ができました当時は、まあそういった委員長が事件を精査するということは、法的には別に要求されてもおりませんし、実際上もそれほどなかったものだと思います。しかし、やっておりますうちにどうしても委員長がそうしなければ合議体をうまく運用をしていくことがむずかしいというようなことに相なったんではないかと思うのでございますが、ここずっとそういうふうな状況でございます。で、との主査委員がよく精査しておれば委員長はそんなに見なくてもいいじゃないかという御意見でございますけれども、これはもちろん主査委員は十分調べて審理を尽くしたあとでないと合議にかけませんですけれども、やはり一人では若干判断に誤りが、まだ足りない点があったりすることもあるかもしれません。そういうようなことからこういうふうなことになって運用をされてきたものだと思います。これはちょうど合議制の裁判所で主任の裁判官のほかにやはり裁判長が全部見ておるような状況でございますから、やはりそういった合議の中でそういうことが、ほんとうに事案を正しく把握し、適正な判断を下そうと思えばやはりそういうものが自然に必要となってきたんじゃないかと思っております。
#7
○鶴園哲夫君 私は個人としましては、従来合議制のこういう行政委員会的な審査会運営について全部委員長が精査しなければならない、あるいは主査委員との間の協議に非常にめんどうなことがあるのじゃないかという感じがするのと、これはいま委員長がどういう方なのか全然知らないわけですけれども、委員長の仕事のしぶりもありましょうし、あるいは合議制の委員、あるいは行政委員会的な審査会としての委員の選び方にもやはりいろいろあるだろうと思いますけれども、どうも私はこの点だけでどうだこうだということにならぬのじゃないかという気持ちがしてならないのです。もう少し、私はこういう常勤にするということは、これは言うならば外局を一つつくるようなものじゃないかという感じがしておるわけなんです。局を新しくつくるということではなくて、外局をつくるくらいのものになってくるのじゃないか、という感じもするものですから、しかしながらこれはあとにいたします。
 それからもう一つ、お話しのございました、件数が著しく増加してきておるという点については、いまお話しのございました新しく個別恩赦の受理の件数が出ております、まあ四十二年、四十三年、四十四年四十五年と。それからもう一つ、審査会の仕事の内容であります。地方更生保護委員会が決定した審査請求事件に対する処理状況――受理ですね、これは特にそうですけれども、二けたですけれども、十台の数字です。特にこの三、四年というのは減少をしてきている。一けたになっているといっていいほど減少してきているというふうに言えるんじゃないかと思います。ですから、いま御説明がありました、これを常勤にしなければならない理由というものが、やはり私の受け取り方としては薄弱のような気がする。
 そこで伺いますけれども、現在委員長というのは、それから委員ですね、それはどの程度の……非常勤だそうですが、出勤をなさっていらっしゃるのか。それから一日の手当が出ているのか。衆議院の法務委員会の議事録で教えてもらったんですが、それによりますというと、委員長は月に平均十五日出勤している、一日八千百円という説明を局長がしていらっしゃるんですが、それと委員は十一日平均だと、そして手当としては日当として七千五百円というお話だったんです。この局長の答弁から見ますと、そう常勤ということでもないんじゃないかという気がするんですが、そこら辺、この説明少し予算上こう組んであるのかどうかという点がありますが、これを御説明いただきたい。
#8
○政府委員(笛吹亨三君) 現在の委員長、委員の出勤状況といいますか、役所へ出てきて仕事をする日のことと手当のことでございますが、衆議院で申し上げましたのは、確かにそのように申し上げました。委員長が現在日額八千百円、それから委員が日額七千五百円でございまして、委員長の十五日分、委員の十一日分といいますのは、これは予算上の問題でございます。まあそれに制約されますから、勢い平均しますとそういうことにならざるを得ないわけでございますが、実情を申し上げますと、審査会というものは、これは五人集まって開かなければいけません。この審査会が開かれるのは、最低一週間に二回開いております。必要があれば、またそのほかに開きますが、最低二回開いております。そのほかにいろいろ準備活動がございまして、その他にも役所へ出て参って仕事をされるのがございますので、そしてそういうような、先ほど申しました十五日あるいは十一日ぐらいということになっておるのでございます。これがだんだん事件がふえてまいっておりますが、これは先ほどおっしゃいました地方更生保護委員会で仮釈放、仮出獄の取り消しなどをいたしましたその処分に対する不服の申し立ての審査請求事件というのは、おっしゃいましたとおり、確かに最近そうふえておるわけでございません。その年その年によりましてぽっと事件が出てきたり、それからまた減ってきたりいたしまして、これはふえる傾向というものはちょっと認められないのでございます。
 ただ、恩赦の事件になりますと、個別恩赦、私たちはこの個別の恩赦というのは、これはやはり犯罪者に対する更生保護の最後の仕上げだと考えておるわけでございます。矯正教育をし、また家庭裁判所で少年を――少年のことはちょっと間違えました。取り消しますが、裁判所で執行猶予になったりして、仮出獄になって保護観察になる者がございますが、そういった矯正教育なり、また保護観察になって保護の教育をいたしまして、最後にやはりその人が健全な社会人として更生していくためには、あるいはその仮釈放の、仮出獄期間を、まああとの執行の免除をする必要もある場合もございますし、また、減刑をしてやるべき場合もございましょうし、さらにまた制限され、停止されておる人の資格というものを回復させる必要もあります。そういったような恩赦によって、犯罪を犯し、しかし、ほんとうにもう改心し、更生していっている人たちは、この恩赦によって完全な更生をする機会が生まれるということを考えております。そのために、そういうことがだんだんと一般にも認識されてまいってきまして、恩赦の事件というものもやはりふえてきておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。そういった意味からいきまして、今後個別恩赦の事件というものは年々ふえていくのじゃないかと、こういうふうに考えております。現在、昭和四十六年で受理件数が二百八十三件ございますが、これが四十七年になりますると、またもっとふえるんではないかと思っております。そういたしますと、まあ非常勤という形で現在相当忙しくやっておるわけですが、それではやはり十分なこともできないのではないかと思って、せめて委員長だけでも常勤にしていただいたらということで、この改正の法案をお願いした次第でございます。
#9
○鶴園哲夫君 この審査会というのは前は三人だったのですね、委員三人。違いますか。それが五人になって……。
#10
○政府委員(笛吹亨三君) これは初めから五人でございます。
#11
○鶴園哲夫君 いまの中央更生保護審査会になってからは五名ですが、その前の、これは中央じゃなくて、何とかという名前になっていましたですね、改正をしましたですね。そのときは三名ではないんですか。
#12
○政府委員(笛吹亨三君) 現在の中央更生保護審査会になる前には、当時の法務府の外局として中央更生保護委員会というのがあったわけでございます。それは事務局を持っておった、相当、地方支分部局も持つという形の大きな外局であったわけでございますが、その場合の委員会の構成はやはり五名でございます。
#13
○鶴園哲夫君 私はその前の保護委員会、そしてそれが審査会に変わったという点も実は問題にしたいわけなんです、前にさかのぼりますけれども。それはあとほど申し上げるとしまして、初めは委員の定数は中央更生保護委員会のときは三名、それが二十九年に五名になるわけですね。これは御存じないわけですか。中央更生保護審査会の委員の、三人を五人に改めるというのが二十九年に出ているのじゃないですか。
#14
○政府委員(笛吹亨三君) ちょっと、私まことに申しわけございませんが、その点うかつに、存じていないのでございますが、いま確かに、お尋ねのような経緯があるのではないかと思いますので、ちょっとこれはあとで調べさせていただきたいと思いますが、いまちょっと、即答いたしますと、間違うかと思いますので、あとで調べてお答えしたいと思います。
#15
○鶴園哲夫君 これはここに参議院の議事録があるのですけれども、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案といたしまして、「審査会の委員の数三人を五人に改める」というような提案がなされておりますですね。そして、論議が行なわれておるわけなんです。それで、しかし、こういう委員長を常勤にするという提案をなさるのに、その前はどうだったのかという点の調査がないというのはどうも不可解ですね。私なんかこれ見ますと、前はどうなっておったんだろうかという感じをすぐ持つわけですけれどもね。それがどういうことでこれを常勤にしなければならないのかという、何か簡単に常勤にしなければならぬというふうに受け取れるような感じがするのですけれども、これはいずれにしましても、すぐお調べを願えませんですかね。この審査会の三人を五人にしたというのは、これはたいへんな事件だと思うのですけれども、――審査会の委員を三人を五人にしたということも非常に大きな事件だと思うのですけれども、そのことがわからぬのじゃ、ちょっと不可解のような感じがするのですけれども、わかりませんか。
#16
○政府委員(笛吹亨三君) まことに申しわけございません。私、前から五人と思い込んでいたものですから、その点ちょっと調べるのをうかつに落としまして、まことに申しわけないと思います。おわびいたします。いま調べておりますので、すぐわかると思います。
 昭和二十九年の改正で定数三人を五人に改めるということがあったように、ちょっといま資料から見ておりますけれども、そのいきさつについてちょっと私わかりませんので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
#17
○委員長(阿部憲一君) 保護局長、もう少しと言いますけれども、まだかかりますか。
#18
○政府委員(笛吹亨三君) いま電話で聞いております。
#19
○鶴園哲夫君 これは重大な問題ですよ。
#20
○政府委員(笛吹亨三君) まことに申しわけございません。昭和二十九年四月一日に犯罪者予防更生法の一部が改正されまして、審査会の委員の定数三人を五人に改めるということが定められたのでございます。確かに、先生おっしゃいましたとおりでございまして、私ちょっとうかつに落としておりましたので、訂正させていただきます。
#21
○鶴園哲夫君 昭和二十九年に、予防法の一部改正が行なわれまして、いまお話しのあったように、三名を五名にするという改正が行なわれたわけなんですけれども、それで三人を五人に改正する理由がこの議事録に載っているわけなんですよ。それを見ますというと、こういうふうに載っているんです。政府委員の説明なんですけれども、これはやはり非常勤なんですね。三人を五人に改めるときの理由が述べてあるわけですけれども、その一番大きな理由は、七百何十名という戦犯が残っている。これはオランダとか、イギリスとか、いろいろ各国との交渉もある。すぐにこの七百何十名という方々を、ひとつ釈放といいますか、そういう折衝をする必要がある。したがって、ここで三名を五名にしたいという提案がなされておるわけですね。同時に、その執務の状況が出ているわけです。その三名の執務の状況は、政府委員の説明ですというと、これは日当としては十五日分しか差し上げられないのだけれども、三人は毎日出勤せざるを得なくて、その三人のうちの一人は、古い関係もあって、古くから大学に関係しておられるけれども、大学の関係以外は毎日出て来る。もちろん残りの二人は毎日出勤せざるを得なくて――こういう説明があるわけですね。そうして七百何十名、こういう残った戦犯の早急な釈放の折衝を外国との関係でやらなきゃならないというような説明がありまして、まあ三人が五人になったわけですね。その五人も非常勤です。
 そこで、そのことと、いまの局長のその一人を常勤にしなきゃならないという理由の説明等を考えてみますと、それは私は非常な差があるように思うんですよ。差があるということは、いまの考え方が、最近、非常勤のこういう委員会の委員を常勤にするというような傾向もありますけれども、しかし、何か非常に差があるように思えるわけなんですね。ですから、たとえば私の率直な考え方でいいますと、五人じゃなくて、七人にしたっていいじゃないか。私はこれは非常に重要な仕事だと思うんですね。そして慎重に取り扱っていかなければならないたいへん重要な仕事だと思うんです。そうしたら七人にしたっていいじゃないか。九人にしたっていいじゃないか。それで五名の委員の名簿を見てみましても、私はそのほうがより合理性を持つというふうに思います。非常に重要な役割りを果たしている、任務を持っている。それだけに五名じゃなくて、非常勤七人というふうになさったほうがよりいいのではないか。行政委員会的な合議制という立場からいいましてもそのほうがいいのではないかという感じがするんですが、ですからいま私が申し上げましたように、昭和二十九年に改正になって、五人の合議制でやってきたものをここで委員長を常勤にするというのが、私は考え方としては相当大きな変化じゃないかというふうな気がするものですから、大体私はこれは非常勤として七人にしたほうがいいじゃないか。かつてと同じように、二十九年のときと同じように非常勤を二人ふやし、七人にするというほうがより合理的であるというふうに私は思います。
#22
○政府委員(笛吹亨三君) この中央更生保護委員会というのが、先ほどおっしゃいましたように、昔、昭和二十四年ですか、から法務府の外局としてあったわけでございます。その当時の委員は五人でございましたのですが、それが昭和二十七年に大改正いたしまして、法務府が法務省になったりなどいたした機構上の大きな改革がございました。そのときに外局であった中央更生保護委員会が外局としてはなくなり、中央更生保護審査会と、それから法務省保護局、それから地方更生保護委員会、保護観察所といったような法務省の地方支分部局としての地方委員会、観察所といったものに分かれたわけでございます。そのときに中央更生保護審査会の委員が定数三名ということになったわけでございます。その後、先ほど御指摘がありましたように、昭和二十九年の四月から施行されました改正法によりましてまた委員が非常勤で五人ということになったわけでございます。
 この委員を七人にしたらいいんじゃないかというお話でございます。確かに事件もふえておりますから、そういったお説もごもっともだと思います。事件のふえることと、さらにまたただいまおっしゃっていただきました仕事の内容が非常に重要な仕事でございます。そういった意味もございまして、この非常勤というのではやはり十分まかなえないのではないか。事件数もさることながら、事件の質的な問題からいきましてやはり非常勤ではまかなえないのではないかという考えから、せめて今回は、委員長だけでも常勤にしていただいたらということでお願いしておる次第でございます。
#23
○鶴園哲夫君 私は中央審査会の、先ほども申し上げたように、委員三名、それを仕事の量が非常にふえるというところから五名にされたと、その考え方が私はいいと思うんですよ、この審査会の仕事の内容からいいまして。ですから今度も、これは一人だけ常勤にするのではなくて、私は五名を七名にふやすというやり方のほうが審査会という非常に大きな、重要な役割りを持っているわけですから、合議制には私は七名にしたほうがよろしい。今度委員長を常勤にいたしますというと非常に変わってきますね、内容が。残りの四人は、これは非常勤で日当で支払うということになる。そうしていままでは五人の委員で互選をして委員長は出しておった。これは私は合議制としてはそのほうがすっきりしていると思う。前は五人の互選でやっていた。しかし今度はそうではない。互選じゃなくて、法務大臣の任命という形できまるということから言いましても、これは非常に大きな二度の制度的な変わり方になるんじゃないかと。私はこの審査会には、これはつくったときの経緯から言って、これは常勤にすべきである、仕事がふえたから七人にする、そのほうがいいと思いますがね。大臣はどうお考えですか。
#24
○国務大臣(前尾繁三郎君) 先ほど来いろいろお話を伺っておるわけでありますが、実は私、予算要求のときにはまだ法務省の仕事の実体がわかりませんでした。昨年十月ごろだんだんわかってまいりますと、いわゆる判決というのは一般予防でありまするから、これはかなり厳格に判決が下される。しかし刑の執行をやります場合には、これはその人その人、個別的に最も適正なその人に見合った処遇をして、そうしてできるだけ早く社会に復帰させ、保護観察によって社会に復帰しながらできるだけ再犯を防ぐというたてまえで考えてまいりますと、どうも中央更生保護審査会というものがあまりにもいままで軽視され過ぎておるんではなかろうか。さらにまた率直に申しまして、非常勤というのはいかにも片手間なような感じで受け取られやすいのであります。何しろ裁判の効果を変更するわけでありますから、裁判以上にむしろ重要な仕事である。それがただ片手間のようなことでやっている感じでやっていいのであろうかどうか。できたらやはり中央更生保護審査会のメンバーは全部常勤にすべきではなかろうか。また実際の仕事を見ておりましても、委員長はやはり半分ではなしに、ほとんど出ておられるようであります。またそれだけの仕事があるにかかわりませず、率直にどうもこの更生保護審査会の仕事の進捗が悪い、ぜひ審査してやってもらいたいといわれておりますものが、最近はだんだん判決の書類や何かが多くなりまして、それをお読みになるのに長いのは一年もかかるというような状態、したがってこれは常勤にすべき問題だというふうに考えましたが、もうすでに概算要求を出したあとであります。それで委員長ともう一人の委員を常勤ということにさらに追加要求を出したわけでありますが、大蔵省で、委員長だけにしてくれ、こういうことでありました。今後さらに私はいろいろ実態調査を大蔵省に要求して、そうしてこの充実をはかっていくのが今後の法務行政として非常に大事なことであるというふうに考えておるのでありまして、委員長だけを常勤にするという形でいろいろな面が出てまいりますが、私は、将来は専門家、常勤になる、またこの制度をできるだけ活用していく、こういう考え方に立っておるわけでありますし、いわゆるそうしていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
#25
○鶴園哲夫君 大臣がいまお話しの、審査会の任務からいいまして、しかしまだこういう裁判の効果を、判決の効果というものを修正するというような役割りからいたしましても、どうもいままで軽視され過ぎておるという感じを持っていらっしゃるようですが、その点については全く同感です。あまりにも軽視され過ぎているというふうに思います。しかし、そのことと委員長を常勤にするということとはつながらないと考えております。そういう重要な役割りならばこそ私は常勤にして、そして――常勤じゃなくて人格、識見等の高い人を非常勤で数をふやしてやるほうがこれははるかに大きな役割りを果たし得る、ふさわしい仕事ができると思います。いまの審査会にふさわしい仕事ができる、私はそう思っております。
 それでいまの五人の委員の任命の状況を見ましてもいろいろ考えなければならぬ点があるんじゃないかと思いますけれども、しかしいずれにしましても大臣がそういうお考えでいらっしゃるとすれば、これはいままでのやり方では完全に間違いです。もっと私は正確な論議をしていただきたいと思うのです。創設以来の問題、審査会できて以来の問題です。ですから私はそういう何か、どうもお役人の発想ですよ、大臣。私に言わせますとお役人の発想だと思いますね、というふうに思います。もっとそうでないものを、いまの法務省が、中に私は入れていく必要があるんじゃないか。ですから五人の委員の中の二人は裁判官と検察官を定年でやめられた人なんですが、あと――まあ大臣どうですか、発言願います。
#26
○国務大臣(前尾繁三郎君) とにかく非常勤でいままでのあれでありましたら、別に仕事をお持ちにならなければいかない、こういうことになるわけです。私はこの問題についてはやはり専念していただく、こういうことが必要だと思います。したがって、私は全員常勤でいってもらいたいという考え方を持っておるわけでありますが、まあ本年はそういうような関係がありまして、先ほど話が出ておりますように、委員長はどの案件につきましても全部書類を見ていただかなければならぬのでありまするから、まあやるとすれば全員ができないとすれば、やはり委員長だけでも専任にしてもらいたい、これがやっぱり一つの突破口で、今後この審査会が新しい行き方と言いますか、そういうような方向で進むまあスタートになるんではなかろうか、こういう考え方に基づいております。
#27
○鶴園哲夫君 大臣にそういうお考えがあるなら私はもう一つ大臣の考え方もわかるような気がする。それならその前の状態に返して行政委員会の状態に返したらどうですか。行政委員会のときはこれは三人は常勤です。外局で行政委員会であった場合にはこれは三名とも常勤。それをいまのような審査会に模様がえをしたわけでしょう。非常に大きな改革、たいへん大きな改革です。そしてこれを全部非常勤にした。そんなに数が足りなかったらそれを五名にふやしたらどうか。今度の、大臣は、全部常勤にしていきたい、ことしがその第一番目、こういうお話しです。それなら私は前に戻しちゃって、行政委員会のような形にしたらどうですかというふうに思いますが、それは一応、ひとつおきましょう。
 次に入ります。ですから私の考え方としては、先ほど私が申し上げたようなことがいいのではないか、それを八千円じゃ足りないならふやしてよろしい、いいじゃないか、一日一万円ずつ出したっていいじゃないですか、そのほうが私は有能な能力のある、あるいは識見の高い人を持ってくることができるのじゃないですか。常勤にしますと、もうその仕事に専念するということになりますから、私はこの委員会が今日までずっと運営されてきた人はそうじゃないのじゃないか、非常勤ということはそうじゃないのじゃないかというふうに思っております。それでこの法案が出ておるのだと思います。
 そこでもう一つそれじゃこのことについて伺いたいと思いますけれども、審査会と高等裁判所があるところにあります地方更生保護委員会、その関係、それで八カ所高等裁判所があるところに地方更生保護委員会というのがございますですね。これを見ますというと、委員長が一名おって三名から何名かの委員会ですね、これは合議制になっておりますね。そうして任期が三年ということなんですね。それについてちょっと伺いたいと思うのですよ。つまり、個々の地方更生保護委員会、下にある地方更生保護委員会というような委員会制度をとっているわけですね。そうしてそれは委員長と委員がおって、そうしてそれは三年の任期だというのです。この組織についてちょっとお聞きしたいわけです。私の知っている限りでは、どうもこういう行政組織というのは聞いたことがないのですね。聞いたことがないからおかしいというのじゃなくて、初めて見たものですから、委員任期三年、そうして委員長がおって委員がおって行政委員会で合議制のものになっておる。一般の行政職としてはちょっと異様な感じを受けるものですから、この点について三年という点は、こういう現実の意味を持っているのか、こういうことが残っているのはどういう理由か。
#28
○政府委員(笛吹亨三君) 全国高等裁判所所在地八カ所にあります地方更生保護委員会でございます。これは性格から言いますと法務省の地方支分部局になっております。したがいまして、委員会自体が行政事務をいたしておりますとともに、仮釈放の審理をいたしておるわけでございます。委員会の構成はそれぞれの委員会の規模によって違いますが、いずれも三人をもって一つの部を構成する合議体で、仮釈放関係の審理をいたすわけでございます。関東地方更生保護委員会につきましては四部ございます。したがいまして委員は十二名でございます。ところが四国になりますと、これは委員三名で一つだけでございます。そうしてこのいま申しました仮釈放関係の審理はそれぞれの三人で構成する部で協議して決定するわけでございまして、その他の行政事務がございます。その行政事務はそれぞれの委員会における委員全部で構成する委員会で行政事務をいたしております。したがいまして、この地方委員会は、仮釈放関係の審理と別に行政事務をやっておる一つの地方支分部局としての行政機関でございます。それでこの委員会には、委員がそれぞれの数、三名のところが一番少ないわけですけれども、それから十二名の関東というようなところもございます。その間に段階があるわけでございます。そのうちの一人が委員長に任命されております。それから各部には部長というものが任命されておるのでございます。こういった合議制の委員会、ほかに事務局が置かれております。この事務局は、一般の職員がかなりおるわけでございまして、保護観察官もおれば法務事務官もおるわけでございます。事務局の下には総務課、調査連絡課、審査課というものがあるわけでありまして、それぞれ課長ないしその下の行政組織としての職員を配置いたしております。
 この委員長の任期が三年でございます。これは確かに少し珍しいといいますか、ほかにちょっと私も地方支分部局としての委員会の委員で、任期三年というのは、私もまだほかにはちょっと見ておりませんですが、これは私、この任期三年という形の存在意義というものは、やはり人材をいろんな方面から得たいということから出たのではないかと思うわけであります。といいますのは、大体保護観察所などの保護の職員で非常に経験豊かな、りっぱな者を委員にするように、大部分は考えておりますけれども、そのほかの役所からも、やはり優秀な人はこの委員になっていただいて、これは数はわずかでございますが、そういった外からも入っていただいて、この委員会の審理というものを適正な、しかも公正な、間違いのないものにしていくという考えから、この任期三年ということでしていただいておるわけでございます。そういった事情だろうと思っております。
#29
○鶴園哲夫君 とにかくこの地方更生保護委員会は委員長と委員で構成されている合議制の委員会である。そしてこの人たちは一般職の国家公務員ですね。これは特別職でも何でもない。あるいは非常勤でも何でもない。一般職の国家公務員。それが三年の任期といういまおっしゃるような話では、どうも納得できないですね。本来はあるいは三年任期によって身分保障するという、身分保障というのは、外部からの身分保障をするという考え方があるいはあったかもしれない、三年ということで。しかし、それは国家公務員としまして、これは身分は保障されているわけです。それ以上のものが必要であるかどうかという問題もあるかもしれませんが、ただ私は、こういう更正保護委員会というような委員長と委員で構成して合議制になっておって、そしてそれが三年、しかもそれはいずれも一般職国家公務員であるという組織は、珍しいものですから、えらいトカゲのしっぽみたいに残ったんじゃないかという感じもするんですけれども、まあ法務省にはしっぽはだいぶ残っているということを聞くのですが、いずれにしましても、これは上部機関としましては法務大臣並びに保護局ということになりますね。保護局が上部機関になっているんですね。そして地方更生保護委員会と審査会との関係はどうなんですか。仕事の面でいま言いました地方委員会とそれから保護局との行政組織的な関係はどうなんですか。
#30
○政府委員(笛吹亨三君) ただいまおっしゃいましたように、地方更正保護委員会の上部機関というのは法務大臣でございます。保護局はもちろん法務大臣の所掌事務の一部を分担いたしております関係で、地方委員会との関係があるわけでございます。上部機関は法務大臣でございます。
 それから中央更生保護審査会と地方更生保護委員会との関係でございますが、これは行政的には何も関係はないわけでございます。ただ、先ほども問題がありました地方更生保護委員会で仮釈放の取り消しなどの処分をいたしました不服の申し立ての審査を地方更生保護審査会ですることになっております。その関係におきまして、地方更生保護委員会におけるそういったいわば対象者に対しての不利益処分というか、それに対する不服の申し立ての審査をするという機関で、その関係があるだけでございます。
#31
○鶴園哲夫君 そうしますと、その合議制の委員会できめましたことを保護局なり法務大臣が修正をしたり改めたりすることはできるんですか、改めさせることはできるんですか。
#32
○政府委員(笛吹亨三君) これはできないわけでございます。地方更生保護委員会は仮釈放関係の審理をいたします場合に、先ほど申しました三人をもって構成する部で行なっておりますが、この部でやりました審理による決定につきましては、法務大臣からそれを訂正しろとか、こうしろという指示はできないたてまえになっております。
#33
○鶴園哲夫君 それで行政組織ですか。大臣、それで行政組織ですか。私は、ですからこの地方更生保護委員会というのは、これは中央審査会につなげたほうがいいと思います。法務大臣の指揮下に行政組織としてはあるというんだが、そこできまったことは法務大臣は何も口ばしをはさめない。それは行政組織としては問題があるのじゃないか。おかしいという感じも持つし、問題があるのではないか。ですから、これは中央審査会につなげたほうがいい。もともとは中央審査会につながっておったわけですね、のに私はおかしいと思ったからちょっと調べてみますと、もともとは中央審査会の下部機構になっておったようですね。そうしますとつながるんです。ところが切り離しちゃった。切り離しちゃって、法務大臣の指揮下にしちゃった。行政組織としては法務大臣の指揮下にある。しかし、法務大臣は、ここできまったことについては変えることはできない。しかも、これは一般職の国家公務員がやっていることです。それを法務大臣は口ばしを出せないで、変更できない。これは私は行政組織的にちょっとおかしいじゃないかという気がしますね。つなぎ合わせたらどうですか。法務大臣、どう思いますか、恐縮ですけれども。
#34
○国務大臣(前尾繁三郎君) 中央更生保護審査会というものは、これは率直にいって大臣は別に監督をやっておるわけでもありませんし、ただその決定でいろいろ審査を行なうべしという意見が出ますと、閣議がこれを決定し、天皇が認証をされるわけであります。その取り次ぎをやっておるだけなんです。ただ、お話の地方更生保護委員会につきましても、何もやはり大臣の指揮下にあるわけではない、そこで裁判所と同じような考え方、まあ事務の点ではいろいろお世話しますが、組織としてはやはり裁判所と同じような考え方のもとに、したがってそれに対して、地方更生保護委員会でやりました決定に対して不服があれば、その上級審である中央更生保護審査会がやると、こういう関係で、いわば行政と司法とチャンポンにしたような組織ということになるんじゃないか、そういうふうに私は理解しておるんでありますが、それらのよしあしについてはこれはいろいろとあると思います。私も今後検討してみたいと思います。
#35
○鶴園哲夫君 局長、どうですか。
#36
○政府委員(笛吹亨三君) 先ほど申しました関東委員会であれば十二名の委員、この十二名の委員でもって合議でもってきめていきます行政委員会としてのいわゆる行政事務、純然たる行政事務、これについては法務大臣の監督を受けますので、それについては、法務大臣はその委員会としてきめたことも、それは間違いであるからどうということで指揮するわけでございます。しかしながら、三人をもって構成しておる各部、これはまあ仮釈放の決定をしたり、あるいはその取り消し決定をしたりする決定を行なうわけでございます。これはいわば裁判所における判決に類似するようなものでございまして、事実、裁判所で懲役何年ときめて、服役している者を仮釈放で何年か早く出し、あるいは何カ月間か早く社会に出すと、そういう非常に重大な決定をするわけでございます。これは、行政的に利用されてはやはりどうかと思う点がございますので、やはりこれは裁判所に準じた、独立した権限を持たすべきではなかろうかと、こういうことからこの組織ができておるのでありまして、政治的にあまりいろいろ動かされるということは避けたいということでございます。したがいまして、先ほども申しましたように、委員会には二つの機能がございますので、どちらも委員会、委員会といっておりますために、非常に混同しやすいのでございますが、非常に裁判的な、司法的な色彩の強い委員会の機能と、それから純然たる行政機関としての機能と、この二つがあるというところに、いま大臣がおっしゃいましたような事情があるわけでございます。
#37
○鶴園哲夫君 私は、一般職国家公務員がやるものとしては、これはやはり裁判所がどうだという問題じゃないですよ。一般職国家公務員の問題としては、非常に変わった形、いびつなものじゃないか。これは、審査会につながればこれははっきりしていると思いますね。しかも、いまお話しのように、ある場合には法務大臣の指揮命令の下にある、ある場合には独立しているということになるわけですね、一般職の国家公務員が。
 それでは一体、一般職の国家公務員として、法務大臣との関係はどうなるのかという問題も、私、よりあれじゃないか、問題じゃないか。ですからもともと、私の感じでは、中央審査会というやつが、これは行政委員会であったと、外局にあったと、そしてその下部機構としていま問題になっている中央更生保護委員会というのがあった、それは行政委員会が外局みたいになっておったものが単なる審査会になってしまう。下のほうは切り離しちゃって、そして保護局をつくってそこにつながったというところに、非常に理解のしにくいといいますか、混乱した問題が残っておるんじゃないかというふうに思いますけれども、そして今度はほんとうは、審査会の委員長を常勤にすると、これは外局長官と同じだと思うんですね。私は、ある意味では、外局長官と同じようなものになりますが、そういう常勤を置くということになりますと、これは審査会そのものが、大臣がおっしゃる、あと残りの玉名も、これは常勤にしていくんだということになれば、これは外局と同じになっちゃう。外局にしなさいと、することは、いま政府が言っている特に局の簡素化というものとは全く反することになりませんかという私は考えを持つんですけれどもね。大臣、少し早過ぎましたよ、あなた、全部常勤にするなんという話をされるのは。私はそう思いますがね、伺います。
#38
○国務大臣(前尾繁三郎君) 外局ということになれば、これはいわゆる司法的な要素は全然抜けてしまうわけで、私はそこまでいくべき問題ではないと思います。そういう意味におきましては、現在の制度でいいんじゃないかというふうに思いますが、常勤、非常勤という問題は、何も常勤になったから外局、あるいは大臣の指揮監督を受ける、こういうものではないのでありまして、現在の制度でいきましても、結局やはり外局ではなしに独立した機関であるというふうに考えるのであります。そうして仕事が、先ほど申しましたように、従来は片手間で、恩赦という名前から、もうすでに恩恵を与えるんだというような感じでありますが、私は、これはやはり裁判は一般的に威嚇的な役目を持っておりますが、今度は個々の人を矯正していこう、その一環としていろいろ裁判の効果をくつがえさなければならぬということでありまするから、そういうような意味でこれをもっともっと活用すべきだと、それにはいわゆる片手間のような感じでやってもらうんじゃなしに、専念してやってもらいたい、そうして個々の人にあたって、その人の更生をはかっていくというのについて、できれば全員がその直接本人を見ていただいてそしてあるところまでやるべきではなかろうか、そういうような考えを持っておるわけであります。そういう意味合いで、私はまあ常勤にしていただきたい、こういうような考えを持っておるのが中途はんぱなかっこうであらわれましたが、ただこれを機会にして、この中央更生保護審査会あるいは地方の更生保護委員会にしましても、もっともっと重点を置いて考えていってもらいたい、こういう気持ちを持っておるわけであります。
#39
○鶴園哲夫君 こういう審査会というものが、大臣がおっしゃるように、もっと活発にといいますか、もっとよく動いていく、そしてまた法務行政の中でこれがもっともっと地位をつくっていくということについては、これはもう全面的に賛成です。しかしそのためには、私はいまの組織では不十分だと、一言で言いますと。私の構想でいきますれば、保護局というものは要らない。前のように、外局と言いましたからちょっと誤解を受けましたけれども、中央更生保護審査会、これが行政委員会的なものになって、そして下部機構として地方更生保護委員会というものがあるというようなすっきりしたものにして、そのことは刑事行政とはわかれた形で存在をするという、そう言いますと前の組織になるわけですよ。そのことが、私は非常に大きなこれからこの問題、この事業なり政策が積極的に動いていくにふさわしい任務を果たしていくことじゃないかと、こう思っておるものですから、まあそういう考え方を持つに至ったわけです、見ているうちに。で申し上げたわけですが、いま大臣のほうの答弁がございましたので、それだけお願いします。
 次に、この保護司の問題につきまして、私もこの委員会で何度か話を伺ったのですが、保護司の年齢がたいへん上がってきている。四十歳以下というのはほんとうに微々たるものになっている。それで六十歳以上の方がたいへん多いというようなふうに聞いておるわけですが、ただ、しかし、事件そのものは非常に若い人が多いということ。そしてまた、いろんな意味の社会経済情勢というものもたいへんな変化をしてきているというような条件から考えました場合に、この保護司の年齢がたいへん高くなっているということは非常に大きな問題じゃないだろうか。あるいは、非常に年齢の高いところのそういう層の考え方で保護観察の対象の人たちを誘導していくというところに一つの意義があるのかもしれませんですけれども、しかし私は、そうではなくて、そういう保護対象になる人たちが社会の一員として復帰していくための援助、保護をするのがこの保護司の仕事であり、また任務だと思いますけれども、そういう点から言いますと、たいへん年齢が高くなってきている、しかも年々高くなっていくということは非常に大きな問題じゃないかと思いますけれども、そういう問題についての対策なり考え方をお示しいただきたい。
 それからもう一つ、保護司の中の婦人ですが、特に婦人の保護司を何とかして確保していきたいという気持ちが保護司の中でも非常に強いようですね。また実際、少年がたいへん多いわけですから、観察の対象としては少年が非常に多いという伝統からいいましても、この婦人の保護司を積極的に任命をしていくという検討についての考え方なりを伺いたいと思います。
#40
○政府委員(笛吹亨三君) 保護司の老齢化の問題でございますが、現在全国に保護司の実人員は大体四万六千六百人ぐらいおられるわけでございます。そのうちで六十歳を与えた人が五〇%をちょっとこえるわけでございます。平均年齢にいたしますと六十歳にはならないのですけれども、六十歳をこえた人が五〇%以上おられるということは、確かにいま御指摘のように、対象者が少年が多いという点からだけでも問題があるかと思います。それで、年をとられたから保護観察をする能力がないかというと、これは一がいに言えないと思います。人生経験豊かな方がやはり若い人を指導していく力をお持ちの方が多いわけでございますから、これは老齢の方だからといって一がいには言えないのでございまするけれども、やはり対象者に少年が相当多いということから考えますると、もう少し平均年齢を若くしていくという必要はやはりあると思うのであります。
 それで、私たちといたしましても、その点は十分検討いたしておるのでございますが、なかなかその保護司になっていただく方がそう簡単に得られないという非常に苦しい面もあるわけでございます。これは、保護司になっていただくためには、保護司法に規定いたしておりまするように、非常に人格のりっぱな方で、しかもそういう保護観察をやっていただく時間的な余裕のある方でないといけませんですので、若い、各界で盛んに活躍して、といいますか、そういう方になりますと、なかなか御自分の仕事が多いものですからそこに時間をさいていただけないという事情もあるのだろうと思いますが、なかなかそういう保護司の候補者が得られないという悩みを持っておるのであります。しかしながら、そう言っておったのでは、だんだん保護司になっていただいている方が、一年たてば一つ年をとっていかれますから、やはりだんだん老齢化する傾向がそういう点にあるので、これはやはりある程度お年を召した方につきましては、なるべく再任のときに、ひとつ今度は一応新しい、若い人にかわっていただくような措置を何とか講じていきたい。
 それからまた、新しく保護司に委嘱する場合の選考でございますが、そういったときにもやはり初めからあまりお年を召した方にはなっていただかないで、若い人を選ぶというような選考していくということの努力を続けておるわけでございます。先ほど申しましたように、候補者がなかなか見つからないので、こういう私たちの努力にもかかわらずあまりはかばかしい効果はあがっておりませんけれども、今後とも努力を続けて、少しでもまあ若いといいますか、年をとっておらない保護司の方をふやしていきたいと、このように考えておるのでございます。
 それから婦人保護司の問題でございます。現在婦人保護司、これは昨年の七月現在の数字で恐縮でございますが、婦人保護司が七千八百二十人おられるわけであります。全部の保護司の中の一七%を占めることになっております。婦人の保護司は婦人特有の母性愛といいますか、そういったもので少年に対する保護観察に非常にプラスになる面があると思います。そういったことで、婦人保護司の中に非常に熱心な方もおられまして、保護の効果をあげておられるわけであります。一方、保護観察は少年も多いわけでございますけれども、少年の中にも非常な凶悪の者もおりますし、また成人の中には相当、まあ婦人の手には負えないような対象の者もおるわけであります。あまりまた婦人保護司をふやしていくということも問題があろうかというような点も考えておるのであります。しかしながら、最近におきましては、婦人保護司はだんだんふえてきております。試みに申し上げますと、私のほうの資料では、昭和二十八年には婦人保護司の比率が全国で七%しがなかったのであります。それが十年ほどたちました昭和三十七年には一四%まで上がっております。最近ではただいま申し上げましたような一七%に上がっているというように、やはり年々婦人保護司の比率は上がっておるわけであります。これはどの程度――これからまだ若干上がるのではないかと思いますけれども、先ほど申し上げましたような一つの仕事上の制約というものもあるので、あまりふやすということも問題があろうかと考えております。
#41
○鶴園哲夫君 去年の十月に開かれました第二十回の全国更生保護大会、約二千名の方が集まって、二日間の会議をやっていろんな論議が行なわれておりますが、その前の四十五年の秋に持たれました第十九回の全国更生保護大会でのそういう問題についてのちょっと論議を見てみますと、やはりこの老齢化問題については再検討すべきだという非常な意見が出ておりますし、婦人の保護司の問題につきましては、特に婦人の保護司の問題についてふやしていく必要があるという意見が出ております。それと、私はこう見ておりまして、保護司を新しくつくっていくというのですがね、保護司になるという人が非常にむずかしくなっているのだということが、この二回の論議を見ますと非常ににじみ出ていますね。それこそ社会保護司だという考え方、あるいは名誉職だという考え方ではもうどうにもならぬぞという感じですね。それと何といいますか、まあ従来の保護司の三条件というのは、時間に余裕があるということと、健康であるということと、生活に支障がない、この三つの条件が保護司の条件だったのだということが出ていますね。しかし、まあどうも昔みたいな考え方で、恩給が出る、年金が出ればあとは働かないでも食えるという時代とは全然違っちゃっておるのですね、あり方が。情勢が変わってきているわけで、したがって、こういう問題では時間に余裕がある、生活に困らぬ、そして健康であるというような話では、これはどうにもならないという感じがしますね。
 それで一方、この保護司の論議の中の結論みたいなものを見ますと、たいへん実費弁償についても積極的な意見が出ていますね。これはまあごく内輪な意見だと思うのですけれども、それでも非常に積極的な意見が出ている。あるいは保護司の事務所を市町村に設ける必要があるのじゃないか、事務所を設けてくれ、その経費その他についても国が援助すべきじゃないかというような意見がまとまったりしているんですね。そういう点からいいますと、どうも私は人権擁護委員会の委員もそうですが、この保護司の場合においても、これは発想を転換しなければならないようなところにきているのじゃないかというふうに思いますですけれども、その点についてちょっと伺いたいと思います。
#42
○政府委員(笛吹亨三君) 全国の更生保護大会でいろいろ、これは大会といいましても研究協議会がありまして、いろいろ研究するわけでございます。その中で毎年そういう意見が出て、熱心に研究しております。しかしこの保護司さん自身も、若い保護司の獲得には努力してくれているわけです。各地域で、それぞれの自分の所属する地区の中で適任者を獲得するのに努力していただいておるわけでございますが、先ほど申しましたような状況でございます。特に都会地におきましては、いわゆる地域の社会連帯といいますか、そういった感覚がだんだん薄れてきておりますためか、それから先ほど御指摘のように、また時間的な余裕もないしというようなことから、なかなかこの候補者を得られないというようなことが痛感されておるのでございます。それはしかし、先ほど申しましたように、少しでも若い人たちを候補者として選ぶということに私たちも努力いたしておりますし、現在の保護司さん自身にも最大の努力をしてもらっておるわけであります。
 それからこの保護司の待遇という問題になりますと、これは保護司に対して給与を支給しないということになっておりまして、保護司さん自身もこれは社会奉仕の精神でやられる。まあ保護司法の第一条にも書いてあるとおりですが、社会奉仕の精神で私たちはやっておるのだから、報酬というものは全然当てにしないというふうにおっしゃっていただいている方が大部分でございます。中には若干異見をお持ちの方もあるようでございますが、むしろ報酬などをいただきますと、自分らのボランティアとしてのほんとうの仕事ができなくなるのじゃないかというふうにおっしゃっていただいておりまして、だからいまのところ報酬というものは考えておらずに、そのかわりに、まあわずかでございますけれども、実費弁償していこうということで、実費弁償金というものを出しておるわけでございます。これが予算的な問題もありまして、初めのいきさつもございまして、そうなかなか一度に増額ということができなかったものですから、現在のところでは補導費というのがございますが、補導費の最高が一人一カ月の対象者を持って千四百円ということになっております。前年度の千三百円を百円引き上げてもらったわけでございます。こういうような状況でございまして、これは予算的には毎年少しずつ上げてもらっていっているわけでございます。したがいまして、この実費弁償金を少しでも上げていくという努力をしながら、保護司の待遇というものも少しずつ実際に見合うようにしていくということを考えております。
 そのことと、それから保護司さんは先ほども申しましたように、報酬というようなものを全然お考えにならない方が多いわけでございますので、それに報いるためにはやはり褒賞の制度が必要だと思いまして、地方では保護観察所長の表彰もあり、地方更生保護委員会の委員長の表彰もあり、また中央では法務大臣の表彰ということもやっております。さらに藍綬褒章、勲章のことについても特段の配意を払っておるわけであります。そういったようなことから、保護司さんに報いる方法を考えておるわけであります。
 この保護司の功労ということを根本的に考えなければならないということもございまして、保護司さんに相当負担もかけておるわけです。事件の負担でございます。物質的なものでございません。事件の負担をかけておりまして、いま全国で九万近い対象者があります。保護司の方が五万足らずでございますから、したがいまして一人当たり一・八倍人くらいの負担量になっていると思いますが、したがいまして、これをやはりもう少しその負担を軽くするということになりますと、これは保護観察官を根本的にはもっとふやさなければならないのじゃないかと私は思っております。保護観察官が非常に少ないために、したがって保護司のところに一・八人平均の負担がもろにかかってくるということがありますので、保護観察官の処遇をもっと厚くしたいということで、これは毎年の予算要求の際にいろいろ努力いたしておりますが、なかなかいまのような情勢で、思ったようなとおりにはまいりませんです。ことしは二十二名の増員がございましたが、しかし定員の削減が、計画削減で二十名削減されますので、純増わずか二名というような状態です。しかしこれも毎年努力を続けて、少しでも保護観察官をあるべき姿に近寄せてふやしていきたい、そういったことが保護司さんの負担をある程度軽くして、あるいは一人の保護司で対象者が一人ということになれば非常にいいんではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
#43
○鶴園哲夫君 私、この法律を少し勉強しまして非常にふしぎに思ったのは、毎年仮出獄者とそれから満期出獄者の数が出ておりますですね。毎年の仮出獄者というのが大体一万九千名くらい、満期で出ました者が一万四、五千名という数字がある。そしてこの仮出獄した人について、保護観察を援助をしていらっしゃるわけですね。それでそのあと追跡が行なわれているわけですね、仮出獄した者が一体五年の間にどうなっているか、それから満期で出獄した者は五年の間にどうなったか、満期で五年なら五年の任期を完全に終えて出る者は、大体五年の間にまたその五割が舞い戻っているという数字になっておりますですね。それで今度は保護観察をした人は、まあ三割くらい、三分の一はまた舞い戻るというようなことになっておりますが、そういう事実から、そういう仮出獄をしている者が毎年約二万名いる。それに対しては、保護観察官約一千名、それに約五万近い保護司の人たちがおって、いろいろな意味で保護司が援助をしていかれる、その間はですね。しかしその人たちは、これは刑務所におるときには優秀な人たちなんでしょう。いい成績の人たちなんでしょうね。ですから早く仮出獄をさせてもらう。それには、いま言ったように、五万近い保護司と一千名の保護観察官がおって、いろいろ援助をして、保護もしておられる。しかし成績が悪い者になりますと、ぎりぎり満期で出ました者ですね。がんこの、強い連中ですね。強いといっても、成績のよくない連中が満期で出るでしょう。その人たちをほうり出して、連中のことはおれは知らんというのがいまのやり方ですね。
 こう見ておりますと、どうもそこのところ非常に疑問を感ずるんですけれどもね。入っている中で三万人ですね、毎年出るのが。そのうち二万人というのが最後まで成績がよくなくて満期で出てくると、それは出ちまったらおれは知らぬと、そして四年ぐらいの間には、もう出た年を入れて四年、五年目にはまた半分は舞い戻ってくる。おれは知っちゃいないという、何かつかまえて刑罰を科して刑務所に入れてしまって、出たらあとは知らぬという感じすらするんですね。そして成績のいい者についてはというか、まじめにやっている者についてはいま言ったように早く出してやって、そしてたいへんな人数の保護司を使って援助している。それにしてもまだ三分の一ぐらい舞い戻るという形なんです。そうしますと問題は、刑務所におる間に満期で出る者に対してはどういう矯正をしていらっしゃるのかというのが非常に疑問に感ずるんですけれどもね。これのほうも刑務所に入れちまえばそれだけのことで、あとはどうとも、野となれ山となれ。あとは悪いやつはほうり出してしまえという形になっているんじゃないか、少し誤解し過ぎかもしれませんけれども。そしてまたそういう者についての研究というものが行なわれているんでしょうか。
 私はこの法務省の研究所というのを機構図で少し見てみました。この行政官庁を出しているやつ、これ一目でわかりますから、どういう研究所を持っていらっしゃるのか見てみますと、矯正研修所というのがある。これは五十二人。そしてこれは全国に八カ所に分かれていますね。八カ所あるんで、それで五十二人というんですが、五、六人一カ所におるという。あと法務総合研究所というのが、これも七カ所に分かれて支所があるんですね。そういう意味で私は矯正についての研究というようなものが非常に不足しておるんじゃないかという感じがするんですけれども、常識論でよろしゅうございますからちょっと説明をしていただきたい。
#44
○説明員(平井清作君) お答えいたします。
 満期者について野放し的に釈放するということが刑事政策上問題があるということは、先生おっしゃるとおりいろいろな学説などで言われておることでございますが、刑期というものが懲役何年とか禁錮何年ときめられておる以上、その期間まで収容した限りにおいては、その以後において人権を制限するような、あるいは人権の制限の最も最たるものは拘束でございますが、制限に関するようなものはできないと、人権感覚上できないというのがやはり通説でございます。したがいまして、刑事政策的にいろいろ論議され、研究はされておりますが、やはり満期以後は国家権力といいますか、そういったものによる制限というのは好ましくない、こういうふうに言われております。もちろん矯正のほうにも府中というところに矯正研修所がございます。その支所が全国に八つございまして、矯正職員のみならず矯正職員の処遇理論といいますか、処遇指針といいますか、そういったものについてまでいろいろ研究はしておりますが、いま落ちついておる理論というものは申し上げたとおりでございます。
 それから若干ふえんさしていただきますと、満期者に対して刑務所は何にもしないのかと、こういうお尋ねかとお聞きしたわけでございますが、刑務所というところは御承知のように、犯罪を犯して懲役とか禁錮とか、そういった刑に処せられて入ってくる施設でございますが、そういった収容者につきましては、どこに収容して、どういう処遇をすべきかということをまず考えております。そういたしまして、収容者の、つまり収容される者の性別、年齢はもとより、資質、人格というようなものを科学的な方法を用いまして調査いたしまして、そして幾つかの分類級というものに分けまして、原則としてその分類級ごとに収容する施設を異にしております。たとえば犯罪性が非常に進んでおるような者についてはB級というような符号をつけまして――符号というとたいへん誤弊がございますが、ひとつ級別を設けまして、そしてそういう人たちだけを入れる施設を設けましてそれなりの処遇をする。分類級に合ったところの、つまり、そういった受刑者に対応した処遇をするというたてまえをとっております。
 そういたしまして、同じ受刑者の禁錮につきましては、刑務作業というものを原則として科するわけにまいりませんけれども、懲役受刑者ということになりますと、刑法の規定で定役に服するということに義務づけられておりますので、刑務作業を科することになります。この刑務作業には、本人の希望であるとか、将来の生活設計とか、こういったものを勘案いたしまして科することにしております。そのかたわら、社会復帰ということがどうしても考えられなければなりませんので、社会復帰ということを念頭に置いて、生活指導、規範意識の涵養とか、あるいは教化教育の必要なものにはそういった教育をする。あるいは社会に出てからなるべく職業につけるようにということで職業訓練やら、職業指導というような職業教育をしておるわけでございます。
 そういうふうにいたしまして、なるべく早く、できればなるべく仮釈放で釈放することによって、そして社会における保護観察というものをつけまして再犯におちいらないようにという考えでやっておるわけでございますが、いろいろな受刑者がおりまして、刑務所側の望むような成績をあげてくれない、それから職業もなかなか身につきそうにないというような者につきましては、どうしても仮釈放ということにならないということになりましてとうとう満期まできてしまうと、こういうわけでございます。
 したがいまして、刑務所、矯正といたしましては、できれば仮釈放に付して、そして保護観察に付して再犯におちいらないようにと、こういう配慮でやっておるわけでございますが、実情は残念ながらすべてがそうはいかない、こういうふうに理解いただきたいと思います。
#45
○鶴園哲夫君 ただいま私の伺い方がちょっとまずかったんですが、私は、満期になってそのあとどうせいという考えは全然ないわけでして、満期になったら自由。これは当然そうです。そのことじゃなくて、何か簡単に言いまして、つかまえて刑事罰、刑罰で刑務所に入れる中側の矯正というものが非常に問題があるのじゃないかという感じが非常にしたわけですね。ですから、中の矯正というものについて、これは本格的に刑事罰を科するよりも、もっと大きな力を注いで正常な社会に帰れるようなそういう努力がなければならぬのじゃないか。で、毎年大体二万名が仮釈放になる。それで釈放した年を含めて五年目には約三割という者がまた刑務所に舞い戻る。満期で毎年出る者が約一万五千。その一万五千名も釈放満期になった年から五年目には半分はまた舞い戻ってくる。これでは一体どういうことなんだという感じを非常に強く持つわけですね。ですから、中における矯正というものについて、私はもっと大きな努力が要るのじゃないかという気がするものですからその点を聞いたわけです。
 時間もまいりましたようですが、私は衆議院の法務委員会でこの審査をしましたときに大久保清の問題が例に出ておりました。私もちょっと調べてもらったんです、大久保清のことを。で、ちょうどいまごろ盛んに新聞で報道されたわけですが、あれからちょうど一年になるわけですね、調べてもらいましたら、これ。まあ婦女子に対する暴行で四回検挙されているわけですね。恐喝もありまして、最後は短大生に対する乱暴で三年という刑役を受けて刑務所に入った。そして成績が優秀だ、いいということでこれは四十六年の三月二日に仮釈放になった。仮釈放になってわずか二カ月ぐらいの間に十一名というものを暴行殺害するというたいへんな事件があって、そのときに新聞等が報道した仮釈放とは一体何だということですね、保護観察官、保護司は一体どうしたのか。
 そのときの新聞の報道を見ますというと、保護司のところに出獄したあくる日には来ているわけですね。そして四回二カ月足らずの間に保護司のところに来ている。保護司は五回行っているというんですから一生懸命やられたんだと思いますよ。ただその保護司の年齢が出ておりまして、八十一歳ということです。ですから非常に元気なんでしょう。五回も本人を訪れている。それから本人も来ているというんですけれども、どうも一体どういうことなんだという、せっかくこれだけの、十回ぐらい接触して話をやっているんだが、わずかちょっとの間に十一名を暴行殺害してしまうということが行なわれるというのは、一体保護司の保護というのは一体どういうことなんだということと、こういう成績優秀だということで仮出獄さしてしまう、出獄して一週間くらいで車を買ったらもう始まっておる。そのときに大学の先生が新聞に記事を載せているんですけれども、大学の先生が新聞に書いているのは、こういう保護援助活動というのが民間の保護司にすべてたよっている。これはそのとおりだと思いますよ。すべてたよっている、民間の篤志家にたよっている。中には熱心な人もいるんだが、ほとんどがおざなりになっておる、こういう言い方をしておりますね。
 私はこの事件で、一体こういう者が仮釈放されて、そしてわずかの間にたいへんな事件を次から次に引き起こしてしまう、しかも保護司との関係は全く理想どおりに行なわれている、保護司と犯人との間は九回も連携はあるわけですから、話し合いは行なわれているわけです、出獄したあくる日から来ている、九回も。これは一体どういうことなんだ、そういう問題についてのことをちょっと伺いたいんですよ。
#46
○政府委員(笛吹亨三君) 大久保清の事件でございますが、昨年仮釈放になってすぐああいった事件を起こした――保護観察中にああいった事件を起こしたということは、まことに私たち責任を感じておわび申し上げている点でございます。なぜああいったことになったのかということは、その後検討いたしまして一つの教訓にして、今後ああいった事件を起こさないように、全国の地方支分部局に徹底さしておるわけでございます。あの大久保清のケースにつきましては、確かにただいま御指摘のように、刑務所の中でも反則などはほとんどなくて、成績もいいほうであったようでございますので仮出獄の決定を見たわけでございますが、何ぶん前歴が、ああいった強姦の前歴が三回もございますから、やはりその点については仮出獄審査の場合に十分検討はしておったようであります。ところが、前の事件がわりあい年数がたっておるということで一応改俊しておるものと、こう見て仮釈放したのでありますが、その際も懸念いたしまして、この大久保清の妻と別居の状態になっておりますので、これはできるだけ早く同居させてそしてそういった性的な問題について問題の起こらないようにしたいという配慮をして、環境調査調整をいたしておったのでありまするが、これもなかなか、細君のほうが、やはり出てきてからの状況を見て、戻ろうというようなところがあったのか、仮出獄時には細君はこの大久保の家には戻っていなかったのであります。この点、あとから考えますと、やはりこういった前歴のある者ですから、この点は細君と同居できるというようなところまで解決してから仮出獄許可をすべきではなかったか、おそらくそうしていきますと満期になってしまいますので、おそらく保護観察をつけられないような状況に相なったかもしれませんけれども、この事件が起こって結果的に言うわけじゃありませんが、やはりその点ちょっと反省すべき問題があろうかと考えております。
 それからこの保護観察になってからでございますが、確かにおっしゃいました保護司さんが八十一歳でございまして非常に高齢の方でありますので、これだけを見ますと、こんなお年寄りにどうしてあんなやつをつけたのかというようなおしかりを受けたわけであります。しかしながら、この保護司さんはお年のわりに非常にお元気な方でありまして、現在も幼稚園の園長さんをやっておられまして、その地域における社会的な信望がある方で、社会的な活動を十分にやっておられるわけであります。また保護司さんの経歴も二十年持っておられまして保護司としてはベテランでございますので、こういう人ならこういう前歴のある者には非常に適した保護をやっていただけるのではないかと期待して担当をお願いしたわけであります。
 ところが出てからすぐ大久保が自動車で乗り回しておるのですが、これもあとで考えてみますと、自動車で本人が室内装飾の仕事、商売をするということで、親にもそう言って、また保護司に対しても何回も接触した過程でそういう商売をやっているのだと言っておるわけであります。親も保護司もみんなそれを信じたわけであります。この保護観察はやはり人と人との信頼関係だというわけですが、ここに若干疑問を持ってもいいのではないかとあとで反省しているわけであります。毎日室内装飾の品物を売りに行くという、商売に行くと言って出ておるのですから、結果がどうであったのか、どのくらいもうかったのか、どこへ行ったのかということをもっとやはり聞いておれば、本人もなかなかそう、うそばかりも言っておられないで、若干もう少し早くわかったのではなかろうかというようなことも考えまするけれども、その点、本人の言うのが間違いがないのだろう、こう思って、また本人が保護司に接触する場合に非常に表面まじめな改俊したような様子であったわけであります。接触も確実にいたしますし、保護観察の成績はむしろいいほうだという評価を保護司が持ったようであります。ここに間違いがあったわけであります。そういった点、非常に結果的でございまするけれども、やはり反省すべきところは十分反省しているわけであります。
 それから保護司さんは先ほど申しました仮釈放になる前に問題となりました細君との同居の問題これに相当力を入れたわけであります。細君の別居先といいますのは細君の実家ですけれども、細君の実家から大久保の家に連れてきて同居させるように相当な努力をいたしておるのであります。もう少しでこれが実現するような段階になっておったように聞いておりますが、それができないままにこういった事件の発生を見て、非常に残念に思うのでございます。
 そういったいろいろな点で、保護観察として反省すべき点十分反省して、今後こういったことが起こらないようにということで戒心しておる次第でございます。
    ―――――――――――――
#47
○委員長(阿部憲一君) この際委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉武恵市君が委員を辞任され、その補欠として中村禎二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#48
○委員長(阿部憲一君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#50
○委員長(阿部憲一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後二時まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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