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1971/05/25 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第18号
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1971/05/25 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第18号

#1
第068回国会 法務委員会 第18号
昭和四十七年五月二十五日(木曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     鶴園 哲夫君     阿具根 登君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     阿具根 登君     鶴園 哲夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 憲一君
    理 事
                後藤 義隆君
                原 文兵衛君
                佐々木静子君
                白木義一郎君
    委 員
                岩本 政一君
                木島 義夫君
                平泉  渉君
                鶴園 哲夫君
                野々山一三君
                矢山 有作君
                松下 正寿君
   国務大臣
       国 務 大 臣  江崎 真澄君
       国 務 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       真田 秀夫君
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
       外務大臣官房長  鹿取 泰衛君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (外務省の機密漏洩問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○国務大臣(竹下登君) 去る五月二十三日、秘密理事会をお開きいただきまして、その際、私から申し上げました事項について、当委員会において申し上げます。
 まず、従来秘密の基準があいまいであるとの野々山委員の御指摘に対し、内閣官房で取りまとめた秘密の基準について申し上げます。
 秘密の内容は多岐にわたりますので、その具体的な基準を示すということはなかなかむずかしい問題であります。また、さまざまの観点からの分類のしかたがあると思います。しかし現に、ある秘密についてできるだけ内容を的確に把握、表現するという見方で分類をいたしますと、おおむね次の四項目に分類できるのではなかろうかと思います。
 すなわち、第一には、国の外交、国際経済及び防衛に関するもの、次に、個人の秘密に関するもの、第三に、職務上の特殊性に由来するもの、最後にやや観点を変えて、一定期間秘密にする必要があるもの、このように考えられるわけであります。
 第一の、外交、国際経済及び防衛に関するものといたしましては、たとえば外交交渉の過程における訓令、報告等とか、国際通貨問題に関する国際会議の議事などのように、秘密が保たれなければ、外交交渉にあたってみずからの交渉上の立場を不利にしたり、あるいは関係諸国の利害に重大な影響を及ぼすため、国際信義上も秘密を守らなければならないという性格を持つものと、そして防衛に関するものといたしましては、武器等の性能諸元などがこれに当たるものと考えられます。また秘密維持のためにはその手段方法である暗号などもこうした意味では秘密にせざるを得ないところでございます。
 第二の、個人の秘密に関するものにつきましては、厳密な意味での個人に限らず、私的な団体、企業等の秘密にかかわる場合も含むことは言うまでもございません。この分類の例といたしましては、たとえば特殊な病気、具体的に申せばハンセン氏病患者の方に対する療養所入所通知とか、公庫などが貸し付け業務に関して得た企業の財務内容とかいったもので、こうした事項が公にされると患者の方など当該個人の名誉をそこない、家族の方々にたいへんな苦痛を与えたり、企業の信用を危うくしたりするおそれが大なるものなどがあげられるわけであります。
 第三番目の、職務上の特殊性に由来するものといたしましては、たとえば捜査関係資料でございますとか、事業所等への立ち入り検査の計画あるいは日程。こういうものがもし事前に漏れることがございますと、対象となる者が対策を立ててしまい、所期の目的を達成できなくなってしまう例などがございます。また、発注工事の予定価格などのように、契約当事者としての利益を守るために秘密にしなければならないものがございますのは当然のことでございます。
 最後の、一定期間中あるいは一定時期の到来まで当然に秘密とされなければならないものといたしましては、すでに当委員会で御審議のございました試験問題のほか、円切り上げ決定とか、特許出願書類のように、一定時期前に公表されることによって特定の者が不当に利益を得たり、逆に不測の損害をこうむる者が出るおそれのあるもの、これらのことが考えられるわけでございます。
 なお、この内容は、表といたしまして、秘密理事会の際お約束を申し上げましたので、お手元にお配りいたしてございます。
 二番目は、外務省文書管理規則を資料として当委員会に提出していない理由について、これは外務省当局より後ほどもう一度あらためて御説明を申し上げます。
 それから三番目の問題といたしましては、外務省及び防衛庁より秘密理事会において申し上げ得る秘密文書の内容及び秘とする理由について、それぞれ二、三の実例に即して御説明いたした次第でございます。
 次に、期限がくれば秘扱いを要しない試験問題等につきましては、今後、秘扱い期間を厳に励行するよう、内閣において各省庁に指導を徹底すること等を御説明申し上げた次第でございます。
 したがいまして、秘密理事会におきまして申し上げた中で、公にできるもの、また特に秘密理事会をお開きになり、そしてそこで説明し得た問題できょうこの公開の場で申し上げるわけにいかないものといたしましては、いわゆる先ほど申しました二、三の実態例について御回覧なり御説明申し上げたこと、これだけは公開の場で申し上げるわけにはまいらない、このように思うわけであります。
#4
○野々山一三君 質問に先立って、きょう四回目ですけれども、私が求めておりますもの、資料提出ですね、これはあらためて申し上げておきたいと思いますけれども、国会法百四条及び議院における証人の宣誓及び証言に関する法律に基づいて資料の提出を求めたもの、こう委員長は、私の質問を、求めておる資料の提出及びその内容について御審査をいただいておる、こう解してよろしゅうございますか。
#5
○委員長(阿部憲一君) そのとおりです。
#6
○野々山一三君 はい、わかりました。
 官房長官に、最初に率直な気持ちを申し上げながら伺いたいんですけれども、先ほど第一におっしゃられた「国家機関における各種の秘密の基準」、試案というものですね、これはたしか五月十一日の委員会だと記憶をいたしますけれども、この委員会で、即座にここでは答えられないので、内閣法制局で検討した上で、この委員会に提示し、御意見を徴する意味で審議をしていただきたい、こういうように申されたわけですが、記録どおりの表現ではないかもしれませんが、記録どおりであれば、ということが必要ならば、記録で確認したとおりのことでございますけれども、そういう意味で御提示をいただいたものと解してよろしゅうございますか。
#7
○国務大臣(竹下登君) 私も速記録を読み返してみましたが、野々山委員の御要望にどんぴしゃりこれが当たっているものであるとは率直に申せないと思います。と申しますのは、いわゆる秘密の定義というものにつきまして、法制局等でもいろいろ議論をいたしておりましたが、今日まで国会のやりとりの慣行の中においてお答えし得たものはある程度浮き彫りにできるわけでありますが、一字一句、秘密の定義というものについての定義づけを行なうということには、いささか時間を要すると。そういう意味から、逆な、別の角度からとらえましても、言うなれば、いわば秘密というものの分類という形の中で、おのずからある程度の御理解がいただけることを期待しながら、先ほどのようなことを申し上げた次第であります。
#8
○野々山一三君 そうすると、いまのお答えによれば、まだ十分なものじゃないが、その私の指摘している趣旨に基づいて検討した過程における素案である、こういうことだと解しますが、間違いないでしょうね。それが一つ。
 それから、もう一つ、済みませんが、ついでに伺いますけれども、そういう意味で、あなたが前回の委員会で御答弁なさった、委員会に法制局の考え方をまとめて、提示をして、意見を徴する意味で審議をいただきたいと思っている、こう答えられたわけですけれども、第二の段階としてはそういう段階があるとあなたも考えて御答弁なさり、そういう作業の過程として、この間秘密理事会等、先ほど公にその考え方を示されたもの。したがって、私のほうとしては、あるいは委員会としては、あなたの提示されたものはまだ万全でないにしても、後ほどまたこれを補強してもらいたいとか、こうしてもらいたいとかという意見があるかもしれませんが、それも私は否定をしません。同時に、私どもも審議をさしてもらうと、あなたは審議してもらいますと言ったわけです。私どもも審議をさしてもらう立場で伺っているわけですから、その点については、そういう場があるということをあなた自身御承知でしょうねということお伺いたい。この二つ。
#9
○国務大臣(竹下登君) 野々山委員の御質問に対し私がお答えいたしました趣旨に沿って、種々くふうをしてお出ししましたものが、申し上げましたものが、いまの分類の中において秘密の問題を浮き彫りにするというようなお答えになったわけでありまして、で、私が法制局においていわゆる秘密というものの定義づけというものを行なうような努力をすることを約束しましたが、この点につきましては、私のいまの時点の感じとしては、法制局で秘密というものの定義づけをするということに、これはいろんな法令上の問題もあるし、また学説もありますし、どんぴしゃり、こうでありますというものを出し得るのは少し無理じゃないか。したがって、言うなれば、野々山委員にお約束いたしましたことは、キャンセルというと、ことばは悪いんでありますが、そこまでは要望に応じかねますと、すなおにそう答えざるを得ぬではないか、このように考えております。
#10
○野々山一三君 そう言われると、わしも困るんですがね。あなたの答弁を読み上げます。
  「○国務大臣(竹下登君) いわゆる野々山委員のおっしゃったことに対して私の印象を申し述べましたが、その印象を踏まえてそれなりに整理したものを、私の責任で内閣法制局に作業をさして提出をいたします。」
 そうしてこの前後に、先ほど申し上げたように、審議を求めたいということを述べられたわけでしてね。その後、何日かを回ったら、キャンセルということばをかってにお使いになるんですけれども、それじゃ委員会を無視されるんですか。開き直りますよ。
#11
○国務大臣(竹下登君) これは私の印象として申し上げたことについて種々努力いたしまして、現段階においては、こういう分類の中でそれを浮き彫りにしていくという考え方で、これはお出ししたわけであります。が、さらに野々山委員の御質問から受けとめておった私が、これはもよとり、したがいまして首席参事官あるいは法制局等で検討さしてつくったものでありますが、さらに野々山委員御指摘の中で私自身が感じたいわゆるがっちりとした定義を書いてこいと、まあ言うなれば。それについて私が作業をしてみましたが、その定義というものについては、キャンセルということばは、これは適切でなかったと思いますが、定義というものについてがっちりしたものを書いてお出しするということについては、その後検討した結果、私自身まあ自信を失っておる。が、野々山委員の御質問に対し、私が印象を受けた問題については精一ぱい考えてここでお出しをしておるというような心境を申し述べさしていただきたい。
#12
○野々山一三君 委員会について進行上、委員長並びに官房長官に率直にお伺いしたいわけですけれども、官房長官の場合、基準というものについて検討をした、私もそれは努力をしたことについて認めていいと思います。けれども、いま、まだがっちりしたものがないので、これで審議をしてもらうということ、ないしはこれですというふうには言い切れない気持ちなんだとおっしゃるわけです。その気持ちは、私にとっては、非常に二回にわたってあなたが委員会、そうして秘密理事会で確認された趣旨とは違ったことをおっしゃったわけです。たいへん残念です。遺憾です。もっとことばを強く言えば、責任を取ってもらいたい。同じ案件で、同じ論議をしておる、調査をしておる段階で、あのとき三回も言ったことを、それはキャンセルということばは訂正しますと言っても、ことばだけ訂正されても根性が訂正されなければだめですね。そうでしょう。ですから、非常に遺憾です。それはそれとして、なお引き続いてあなたのほうも検討されることになるやに承りますので、段階を経て、可及的すみやかにこの委員会に、それぞれその段階に応じたものを提示して、審議を求めますといったことを実行する気持ちがありますかということをもう一回聞きたい。
 それから、委員長にも、それは先ほど申し上げたように、二回の委員会、秘密理事会でも官房長官あのとき確認をされた。そうしてこの委員会で審議されているから、私はいま内容について入ろうとしておるわけです。そういう意味で、そういう機会を与えていただくようにおはかりをいただけるかどうか聞きたいと思います。そうでないと、ああいうやりとりだけで時間が過ぎたらおしまいになっちゃったというのでは非常に残念で、私自身も長時間ほかの委員の皆さんに時間をいただきながら議論をしていただいて、最後におしまいだったというのではまことに申しわけない。しかし、いま責任上も使命上もそういうことを痛感するので、ぜひともいま申し上げたように、審議の機会を与えてもらいたい、そのことを委員長に確認をしてもらいたい、こういうふうに思います。お答えをいただきたい。
#13
○国務大臣(竹下登君) まず私からお答えをいたします。
 一応野々山委員の御質問に対する私の答弁等から整理いたしまして、まあお手元に配付いたしましたものは「国家機密に関する各種の機密の基準」と、こういうことでお手元へお届けいたしたのであります。これはそこで例示的に申し上げまして、それと秘密にする理由というものを書いてあるわけでありますが、これを総括して秘密というものの定義、基準というものを文章としてあらわすということに非常な困難を感じておる。だからそれは秘密の内容が具体的には非常に多岐にわたりますので、その基準というものを一々総合して文書に書き得るということが非常に困難な作業である。だから、これはしたがってそういう趣旨については十分なものであると私は思いませんが、精一ぱいのものとして、今日時点でこの「各種の秘密の基準」というものを一応資料としてお届けいたしましたので、これに基づいて御審議を賜われば幸いであるというふうに考えております。
#14
○委員長(阿部憲一君) いまのあれですが、官房長官の御説明でよろしゅうございますか。
#15
○野々山一三君 はい。官房長官はこれを素材にして審議をしてもらいたいということですから、委員会として審議の機会を与えていただきますならば、これはこれで了解をしておいて次に進みたいと思います。念のために申し上げておきますが、よろしゅうございますか。
#16
○委員長(阿部憲一君) それから先ほど野々山委員からのお申し出がありましたのですけれども、これには国会法百四条及び議院証言法の規定に基づく資料の要求というふうに発言されたように承りましたが、これは現在の段階におきましては、国会法第百四条に基づくものでありますので、さよう御了承願いたいと思います。ちょっと私もうかつで……。
 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#17
○委員長(阿部憲一君) 速記を始めて下さい。
#18
○野々山一三君 官房長官も何か、それから防衛庁長官も何か一時間という制限ですか、何かお忙しいようなんで、これだけこう一ぱいありまして、二ふろしきございます、ようやく出てきたものが。しかし、その資料は私に言わせると六十五点ぐらいです。しかも、官房長官は何回も前の委員会でおっしゃられたけれども、各省庁が誤差がないようにということを考えて処理をしたい。それで先ほど提示された試案ですね、これに基づいて指導したい、措置したいという御趣旨のようですが、それと照らしてみても非常にアンバランスでございます。それから事実、たとえば非常に境い目になる取り扱い注意というやつは、実態に基づいて刑罰の保護を受ける、罰則の適用を受けると刑事局長ですか、この前述べられた。そうすると、これは公務員法上の百条にいう秘密であるということに及ばなければ罰則の適用を受けるということにはならないわけですね。ところが、この取り扱い注意というものについて、事実現に出しているにかかわらず、規則、それから運営、実態、解除されたならば解除されたものという角度の四点から、かいつまんで言えば四点から私は資料の要求を求めて、全部それを適合しているかどうか合わしてみましたよ。そうしますと、規則にはないが秘密取り扱いというものがあるところもある。それから、規則にはないが秘密取り扱いがあって、実態として刑罰の保護を受けているものがある。それから実態として行政処分を受けているものがある。まさに公務員がこれに対して漏らしたか漏らさなかったか――たとえば自分の私利私欲のためにというのなら別ですよ――そのすっと出したというたものでも、資料としては出てきてない。つまりうその資料をつくっている。こういうことを簡単に申し上げます。だから何ぼいっても六十五点か四十五点か五十五点かということになるので、合格ということにはなりにくいわけですが、これについては一体どういうふうにお考えでしょうか。
 これを含めてもう一ぺん念を押しますけれども、このお出しになった第一の基準――まだいまは審議過程だとおっしゃるけれども、何かきのう、おとついですか、新聞によると外務省は機密を相当制限するというような趣旨の、少なくするというような趣旨の、テレビでもいっておりましたけれども、趣旨のことが報道されましたね。それは何か因果関係があるんでしょうか。あるならばあなたのここでの議論と結びついているかなと思うことですけれども、それはそれとしてずっと縮小していくべきである、減るべきである、秘密なんというものはどこにも世の中にあるべきじゃない、こういうお考えなんでしょうか。そこのところ二つ、ちょっと。
#19
○国務大臣(竹下登君) まず最初の資料の問題でありますが、率直に申しまして、事務次官会議の申し合わせでは、秘密文書の資料を原則として極秘及び秘に分類しているが、これ以外に部外秘、取り扱い注意、人秘等の分類を行なっておる省庁のあることは、野々山委員御指摘のとおりであります。このうちの人秘は人事に関する秘文書でありますので、まさに秘の分類に入るものでありますが、部外秘、取り扱い注意は、省庁の実態によって必ずしも一様ではございません。おおむね秘文書には至らないが、文書の取り扱いを慎重にすることを目的とした観点で分類されたものが大部分であります。そこでまあ言うなれば、たとえこれを外部に漏らした場合でも刑事罰の対象にはならないというふうに考えられるわけでありますが、部外秘、取り扱い注意と指定した文書の中で、実質上秘文書として取り扱うべきものについては、そういう分類をやめて、次官会議申し合わせの趣旨に沿って統一するように、各省庁を指導してまいりたい、これは重ねて申し上げるわけであります。いずれにしても、今後部外秘といったまぎらわしい名称はなくして、取り扱い注意は秘密文書ではないものとして取り扱いを統一するとかいうことで具体的な検討をしてまいりたい、このように思います。
 まあ六十五点ちょうだいをいたしまして、私、なかなか百点満点の答弁もまた資料の提出もできませんが、まあ六十五点をちょうだいをいたしますということは、社会通念上合格したんじゃないか。これは私の印象として申し述べておきます。
 それからただいま外務省で、私も拝見をいたしましたが、直接私はまだ報告を受けておりませんが、秘文書というようなものをだんだん少なくしていこうという傾向は、それこそ当委員会等において、政府に対して御鞭撻をいただいたその考え方を踏まえて、外務省がそういう行為に出ておるというふうに御理解いただければしあわせである、このように思います。
#20
○野々山一三君 防衛庁長官も間接的関係があるんでよく聞いておいてください。たとえばこのお示しをいただいておる資料です。この表示は秘密の種類別一覧表、それの第二分類に属するもので、たとえば日本国有鉄道――私、日本国有鉄道に長いこといた関係がありますから、例を申し上げますが、秘密というのがあるということですね。秘というのが一年間で三十件です。一年間で三十件。あなたがこの委員会で何回も言った、たとえば入札の際の予定価格を持っている、そういうものは秘密である。それで一例だけ具体例が出てきました。新幹線の何とかいう工事価格、日本国有鉄道では何十万件、あなたの言われる、たとえば入札前の予定価格、予定見積り書といいますか、それを持ち、入札するものは山ほどある。それがこの文書では三十件、秘密が三十件。この秘密とは何です。国家公務員法百条による秘密及びそれに準ずる扱いをすると日本国有鉄道法に書いてある。その秘密だ、そうでしょう。それが三十件です。どうです。あなたが調べるも調べぬもないんです。あなたが行政の責任の地位に立たれてから約十年、副長官以来。そうしてあなた、先ほど合格したと言って喜んでいたけれども、合格した人間が、この資料はあなたの手元によって出したんですよ、内閣参事官によって。三十件なんてありますか。そこに御商売でよく御存じの先生もいらっしゃる。いかがです。私の言うことはうそでしょうか。たとえば住宅金融公庫、秘密というのは一件です、この表によると。いかがです、信じますか。こういう資料を出してきた人間の――人間のって、この省庁の責任者の態度は疑わしい。それを通してきた責任者である政府のスポークスマンであるあなた、官房長官、見たんですか。目玉があるんですか。日本語がわかるんですか。数字がわかるんですか。いかがでしょう。これは官房長官及び防衛庁長官をいま呼んでますから、二人にこの二つの問題について率直な見解を聞きたい。間違っているのなら間違っていると思うと、すぐに補正するならすると。私はこの間秘密理事会で、電電公社――外務省が第一に悪い。資料出さない。秘密規則くらいは読むかと思ったら読まない。秘密理事会があるというのに読まない。電電公社が悪い。そのときにはちゃんとこの資料は私の手元に戻ってきた。時間がないから言わなかった。国鉄で三十件というのは、防衛庁長官、あなたはどうです、頭を振っていらっしゃるが、縦だからうんということでしょうね。二人に率直な見解を聞きたい。こういう資料を出して、委員長から言われるように、委員会の求めた国会法百四条による資料の要求だということを忠実にやっているんですか。
 翁君、君、そこにすわっているけれども、そこに君がすわるどういう資格があるんだ。官房長官にぼくは質問しているのに、一々しゃべる資格はどこにある。官房長官は内閣を代表する国務大臣、行政の長官じゃないか。知らないはずはない。ほかにもその関係の部長などが来ているけれども、ぼくの質問中にこちょこちょ言うなら、君たちは退席を要求するぞ。もっとえらい人たちなんだよ、この人たちは。もっと知っている人なんだよ。合格と言えば喜ぶ人なんだよ。そうでないなら、大臣ないしは行政の長官としての価値はないということになりますよ。だから君たちは横っちょでしゃべることはやめなさい。そのことを注文をしながら、先ほどの二つについて見解を求める。
#21
○国務大臣(竹下登君) 翁首席参事官が率直にいって私の足らざるところを補うために絶えず資料等を見せてくれるわけでございますので、それはひとつ御寛容いただきたいと思います。
 さて、なるほどいまのお話を承りますと、国鉄で昨年おそらく工事入札等がたった三十件行なわれたとは私の常識でも思えません。あるいは鹿島建設でももっとよけい請け負うておられるかもしれません、いまのお話ではございませんが。しかし私の推測でございますので、正確を期するため後ほど調査の上何らかの機会に釈明をさしていただきますが、現にその時点まで秘密であって、秘密でなくてもよろしい、言うなれば解除をしたものを除いて基本となるもののみの数字があるいは出ておるのではないか、これは私の想像でございますので、正確には後刻調査の上答えさしていただきます。
#22
○国務大臣(江崎真澄君) 官房長官が答えられたとおりでありまするが、秘密というのは元来少ないほうがいいと思います。しかし、たまたま国鉄とか防衛庁とかという比較対照になりますと、防衛庁の負っておる任務の性格上どうしても秘密が多くなる、しかし、これも極端に多いということは決して好ましいことではありませんので、先般来秘密文書の問題が表ざたになりましてから防衛庁においても直接次官に命じまして、秘密の区分、秘密書類の指定をみだりにしない、やはり必要不可欠なものを秘密にするというようなことを次官通達で出しまして十分実は協議をいたしておるような次第でございます。これは外務省においてもそういう方法がとられておるようでありまするが、私どもの防衛庁におきましてもやはり極力これを減らしていく、そういう方向で検討いたしております。
#23
○野々山一三君 あと本論がまだまるっきり残って、時間があれで十一時までと言われて困るのですが、あなたに一つだけ、非常に簡単な質問を防衛庁長官に聞きますが、憲法六十二条は何と書いてありますか、どういうふうに理解していらっしゃいますか。きみはごちょごちょ手を出すな。――あなた、行政の長官であると同時に国務大臣として、憲法六十二条というものの精神をどう考えますか。立法の趣旨、見解を明らかにしてもらいたい。それから国会法百四条をもう一回、――知ってますか、いかがですか。そしてその解釈を述べてください。
 第三に、あなたのところでは、秘密取り扱いというのは、取り扱い注意というものは全然要求しても出ません。解除されたものの中にぴょこぴょこと出てくるだけだ。そして警察当局、法務当局によれば、罰則によって保護されるという。あなたのいまの答弁は少ないほうがいい、そういう抽象的なお話ですけれども、年次別に申し上げましょうか、御存じですか、言ってください、十年前からずっと何年何年何年……、そして刑事罰になったものはどうなんだ、取り扱い注意はどうなのか、全部言ってください。
 その次、あなたのところの省庁では、防衛庁及び防衛施設庁には「準ずる者」というのがある。「準ずる者」が指定権者、「準ずる者」というのはつまり秘密指定権者だ。秘密指定権者というのは、国会議員及び国政の調査権というものとどういう均衡のとれた地位にあるのか、どういう資格があるのか。指定権者が判こを押せば国会に全部出せない。出したらそれが罰則に付せられる。私どもは国政調査権というものであなたの所管しておられる防衛庁、防衛施設庁などの問題について調べようとすると、まことに悪い表現ですけれども、盗んでくるかごまかして取ってくる以外にないですよ。そういうこととのかね合いにおいて、その第一の、国政調査権とこれに準ずる者が指定する秘密、それからその内容、経過、そういうものについて、二度と私に文句言われぬつもりで述べてください。何べんでも伺いますよ、これは。
#24
○国務大臣(江崎真澄君) 国政調査権は当然これは民主主義の国ですから尊重しなければならぬと思っております。したがいましてあとう限りわれわれ、国会に秘密書類でもなるべくならば出す。しかしどうしても、やはり国の利害の上からいいましても機密を守らなければならぬもの、これはしばしば秘密会をお願いして御相談に応じたという例もあるわけです。まあそのものそっくりは出せなくても、やはり国政調査権というものを尊重して、その概要そういったものに締めくくって出す、これは従来ともとってまいったところであります。しかし防衛庁というのはやはり国の防衛、特に専守防衛と言っております、したがって、守りに徹すれば徹するほど、ある程度はやはりこれは諸外国に知らせたくないということのあるのは、これは何も日本ばかりじゃなくて、国際的な通念であり、習慣であります。そうかといってこちらは他国を攻めたりするようなことはないわけですから、極力国会の御要望には応じていくという姿勢でおるわけであります。
 過去十年の資料はお手元にもお届けいたしましたが、まあここで、時間もとりまするので、あえて繰り返すことは差し控えたいと思いまするが、御要求があれば申し上げたいと思います。
#25
○野々山一三君 おっしゃることを聞いていると、秘密が国益上あるいは外交上必要な場合がある、したがって出せないものは出せないが、秘密会などで明らかにして御了解を得るというのがあなたの答弁なんですね。一九七〇年三月十八日の予算委員会第二分科会で、当時のお宅の組織で言うと防衛庁官房長ですね、これはこういうことを言っているのですよ。「秘密の文書につきましてどういう件名の機密文書があるかということは、これはやはり防衛の基本に関する問題に関連いたしますので、そういう意味におきましてはやはりこれを外へ出すということは適当でないというふうに判断をするわけでございます。」、件名も言わない。いいですか。中身、あなたの話だと中身の話だ。件名も機密ですから言わない、そして判断するということを、防衛庁なり防衛施設庁の官房長が判断しますと言ったらそれでもう国会は全然関与できないことの記録になっている。いまのあなたのお考えは、いま私が指摘した七〇年の三月十八日の当時の官房長であった諸君が答えたこととは違うわけですけれども、そういう意味でいうと、少なくとも件名、これは機密である、これは極祕である、これは祕である、これこれ、これこれ……、件名くらいは少なくとも言ったところでそれが国益と何の関係があるか。あなたの趣旨からいえば、内容は言えません――内容についても問題ですけれども、ということで少なくとも件名は明らかにすべきだ、公の場で。それから指定権者が判断をするということによってこれは一切国政調査権に干渉して制限を加える、これは憲法の三権分立の精神からいって反するわけでしょう。そういうことはしないかどうか。つまり判断なんというかってなことで、理由も疎明しないで判断なんていうかってなことで、しかも準ずる者――課長及びそれに準ずる者、そういう者が秘と言ったら、一切国会といえども干渉できない、そんなことはできないわけですけれども、資料要求として求められれば出さねばならぬということですね、そう考えていいかどうか。
#26
○国務大臣(江崎真澄君) 野々山さんのおっしゃる意味がだんだん私もよく理解できました。それは国会の調査権として正式に御要求があったときに課長であるとか、あるいは官房長といえども、これは拒否する――穏当でないと思います。したがって、国会から御要求があった場合にはやはり大臣が、これは出せる、出せないということを最終的にはきめていくべきものである。これはまあ大体現在でもそういう習慣に沿って、内局のそれぞれの責任者から協議があるわけです。だから、極力これは出してよかろう、もう少し具体的に出せないかという指図をしたことは、私しばしばでありまするから、一つの事務の習慣上、これはやはり国会を尊重する意味において大臣が直接指図をする、相談に乗る、決定権を持つ、これはやはり大事なことだと思います。
 それから件名。まあ件数等についてはこれは資料としてお届けしてありまするが、件名がなぜ言えないのか、これはなかなか問題のむずかしいところなんです。それは、件名自体にいかにも秘密の方向、そういったものが読み取れるような件名も中にはあるわけですね。これは、野々山さんは国鉄のかつての労組の首脳でいらっしゃったわけですが、やはりたとえば、国鉄労組が何か経営者側と意思疎通を欠いてどうしてもストに出なければならぬとか、いろんな作戦、戦術を練られる、そうするとそれは、勢い国鉄自体の秘密は三十件であっても――労組自体が何か経営者側と利害対立して事を争うという、これ一つの勝負のような形になりますね。そういう場合にはやはり一つの戦術といったもの、それからまたそれをどこでどういうふうに、どう展開するかということになりますると、これは野々山さん、どうでしょう。やはりマル秘扱いじゃなかったでしょうか。これが経営者側にそのまま右から左に抜けていいかどうか、その辺ですね。ですから、私ども防衛庁というものも、これは一つの国を守るという意味では、広義の勝負をかけておるわけですから、そういう点でですな、秘密がどうも防衛庁にあることを、これはひとつお認めを願いたいと思いますし、件名等についてもあとう限り国会の御要望に応ずることは当然でありまするが、中には右から左にそのままお出しできないようなものもあります。しかし、そういった件々について、私どもが直接判断をいたしまして、イエスと言えるものは極力お出しする、どうもこれはというものは情理を尽くしてその調査権を遂行されようとする議員さんに了解を求める、これは委員長さんを含んで、そういう形であるべきだというふうに思います。
#27
○野々山一三君 あなたに申しわけないですけれども、私が国鉄の組合の幹部をやっていた、国鉄の組合がどうこうやっている、あなたは御家庭で子供さんがおありでしょうが、子供さんにでも言えないことがあるということと、憲法の国政調査権、行政権とを一緒にして答弁する態度がおかしい、あまりわかったような顔をして、それこそ野々山というやつに網をかけている。取り消しなさい。取り消しなさい。本音じゃないでしょう、それが一つ。
 それから件名を言わないと、私これを――ちょっと申しわけないが、ここにあるのはあなたのところの分ですよ、全部。正当に、あなたにお見せするわけにいかぬし、理由を出すと、理由ははっきりしておるけれども、どっからとってきたのや、だれから出したのやということになると、公務員法上抵触するから、そういう罪人をつくりたくない。しかもこれは何も機密とか極秘とかいう部類に属するものじゃない。だから官房長官、先ほど部外秘といえどもこれはそんなものはやめにする、秘密じゃないようにする、取り扱い注意も秘密じゃないようにするというお話ですから触れるのですけれども、みんなこれ正当な要求に基づいて出てきたものじゃない資料ですよ。わかりますか。これだけじゃないですよ、お見せしましょうか。正当な要求に基づいて出てきたものは一つもない。あるのは、わしが買ってきたものです。これはみんな全部おたくの取り扱い注意などなどのものです。これは刑法上からいう刑罰によって保護されるというのですから、罰則の適用を受けるという可能性もある。
 こういうものを調べる――調べるといっちゃ、つまり政府監督の観点から憲法の六十二条による調査権に基づいて国会が審議するということ。ということは、官房長官にもこれは触れるかもしらぬけれども、たとえば外務省の秘密文書取り扱い規則を公開すると手段がわかる、わかるからこれを取りにいく、アプローチが起こる、だからそれを秘密にする、こういうふうにおっしゃる。同じことになりますよ。そういうことをやると一緒だ。だからあなたが学説的何とかおっしゃったけれども、そういうものは一方的ですよ、客観的じゃない。私は、何もちょっとも社会党の議員という観点から見ているのじゃない。国会議員としてどうあるべきか、憲法の護持者としての立場である、実行者としての立場である国会議員としてどうあるべきかという立場から聞いているのだ。だから、そういうことをよく理解して、あなたのほうの規則が二つありますね、訓令が。防衛庁関係とそれから施設庁関係、その中には山ほど課長に準ずるものとか、課長とかありますね。そういうものがやるべきじゃなくて、大臣が決断するという、大臣が決断するというふうに規則を直しますか。直しなさいよ。そうすると、あなたの言ったことが正直になって、百点ということになる、とまあ申し上げてもいいものになるわけなんです。先ほど言ったことばと違わないようにひとつ答えてください。
#28
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほど私がたとえ話として申し上げたのですが、それが不適当であるというなら訂正するのにやぶさかじゃございません。
 いまの私が申したのは、秘密の指定とか、そういうことは事務当局においてそれぞれの職制上きめられてありまするから、これを全部私がやるということを申し上げたのじゃございません。国会が調査権に基づいて、それこそ憲法に基づいて調査権を行使されようというときに、どの程度まで国会にお出しをするか。これについて出す、出せないの決定は、これは大臣が判断することが適当であり、また今後はそういたしますと、これを申し上げたわけですから、この点はひとつ御了解を願いたいと思います。
#29
○野々山一三君 そういうふうにきれいにおっしゃると、私もどうも素朴なことの好きな男ですから、きれいにおっしゃることはきれいにおっしゃることで音に入ります。耳が詰まっているわけじゃないです。
 中身を聞きますけれども、この委員会はこれで四回目です、資料要求。あなたの省庁から出てきたもの全部、それじゃあなたが相談してこれを出せと言った、出せと言わないと言ったということになるのですか。
#30
○国務大臣(江崎真澄君) そうです。
#31
○野々山一三君 「そうです」と、こう言うのですけれども、そんなことは、あなた、きれいごとをおっしゃらないほうがいいのじゃないですか。あなたのところだって、たいへんうそがあるのですよ。これ一々言うとまた切りがない、あなたがうそをやったということです。なぜそのうそということばを使うかと言うと、この前の衆議院で問題になった機密漏洩に関する蓮見君及び西山君が逮捕された事件、起訴された事件に関連する、沖繩返還に関する問題でね、ありませんと言っちゃいけない、言えませんと言ったほうがよかった、総理大臣がそう答えておけばよかったのにと、官房長官、二度も三度もおっしゃった。そういうことば、だからうそ々言いました、ほんとうはあったんです、今後はこういうことのないようにいたしますと言えば、それだけのことばでだれでもが納得する。あなたはいまの私のことばをそのまま実行しますか、見解を聞きたい。あとにあなたのところにも歴然と、ここにあります。これも全部コピーですけれども、あなたのところから出ている文書です。これをあんたにお渡しするわけにいきませんな。けれども語るに落ちるということがありますけれども、読み上げるのはやめにいたしますけれども、そういうものはありません、ありません、秘密です、全然そんな記録はありませんと言っておきながら、そういうことは書いてありませんのでとか、今度は逆に、かくかくと書いてありますので言えません、こういうふうになってくる。そういうことが日常茶飯事、あなた方の商売――商売と言っちゃ悪いけれども、仕事の中に横行しているところに国民の政治に対する不信感というものがあるんですね。するんですから、この際、思い切って秘密というものは局限する、国政調査権という観点から。それから官房長官の、法制局でつくったのと、官房長官がつくったとは私は思いません、一応お忙しいところをおつくりになったこれと、昭和四十年四月十五日の次官会議の規則とは相当違うものになると思いますよ。それを官房長官及び防衛庁長官は実行するかどうか、かりにこれがイエスとなったときにどうするかという思想をも含めて、考え方をも含めて、いまのことについてお答えをいただきたい。
#32
○国務大臣(江崎真澄君) 極力秘密は少ないほうがいいと思いまするが、なくすることは、これは残念ながらできません。したがって、やはり国の防衛というのは重要な問題でありまするので、私どもがこの程度は当然秘密にしなければならぬということについては、これはやはり秘密を守る、むしろ部内においてもこれを守らせる、そういう厳然たる態度で臨んでいかなければならぬというふうに考えております。官房長官がここに一つの方向としてお示しになったこの線には沿いたいというふうに思っております。
#33
○野々山一三君 念のために申し上げたいと思います、あなたに直接の関係のあることで。これは私、内閣総理大臣にも申し上げたいわけです。官房長官、あなたがいらっしゃるから、あなた方ひとつよくこの私の言おうとしている趣旨を体して善処して、総理大臣にも機会あるおりに見解を明らかにしてもらいたいと思う。たとえば昭和十六年の二月四日、第七十六帝国議会当時、国防保安法案委員会で政府委員が答弁したもの、そしてそこでできた当時の法律というのは、陸軍に関しては軍事機密と軍事極秘と軍事秘密、海軍については軍機、極秘、秘となっている。これがあなたのほうのあれによると――ここがあなたのところの役所が私は非常にまずいと思うのです。防衛機密、庁極秘なんていうへんてこな名前がついています。帝国議会当時、つまり旧憲法当時における用語をそのまま延長して使っている、規則において、と解する以外に道はない、いま申し上げたとおり。どういうふうに言っているかというと、会議録中には、その存在すること自体は公表されていないけれども、事実上世間にわかるというようなものがあります。しかしまた一面、存在自体を秘密にしなければならない、たとえば秘密内容はもちろん、その秘密の存在自体も秘密にしなければならない意思があります。そういう意思というのは国家秘密と軍事機密だ、こういうわけです。その国家機密と軍事機密が、先ほど申し上げたように、海軍は軍機、極秘、秘、陸軍は軍事機密、軍事極秘、軍事秘密、こうなっています。二つしかないというやつが、その当時でも五つにも六つにも八つにもなっているという点に問題がある。たいへんな激論を呼んでいるわけです。
 それから何をやりました。こういうことが何をやりましたか。日本という国家に対してどういうことをやりましたか。日本の国民に対してどういう結果をもたらしましたか、率直に聞きたい。たくさんの人間を殺し、たくさんの生命、財産を破壊し、日本は敗戦という結果を生んだ。それがこの国家機密です。軍事機密というものです。あなたのところでお使いになっている防衛秘密、防衛機密、防衛極秘、それと庁極秘、庁機密、庁秘などなどというものと、ずっと私は戦後の答弁をこういうものについて全部調べましたよ。全部調べましたよ。あなたの所管になっていらっしゃるMSA協定云々についても、当時の審議のときの記録も全部見ました。全部同じ考え方ですよ。私から指摘されて初めて官房長官もこの間、たいへん刺激されました、反省いたしました、善処いたします、縮小いたします、だからそういうことばだけを評して六十五点と、こう言ったのだけれども、中身はいま言ったことと違いますか。そのことをはっきり腹の中におさめてやるならば、法律上は秘密ということばがあることについては、私は、いろいろ議論がありますけれども、あなたの言われたように、秘密ということがあることもしようがないんではないかと言われる意味は多少わかる。
 そこで、あなたと、この基準をおつくりになった官房長官と二人に聞きたいわけですけれども、秘密というのは、秘密なんだ、機密とか、極秘とか、秘とか、部外秘とか、取り扱い注意とか、準秘とか、そんなやんちゃくさいと言ったら語弊があるけれども、一つの文字が六種類にもなって、それで犯罪者だといわれる人間ができて、それが監獄行きができたり、そのためにいろいろなものがアプローチされなければならない工作が起こったりするようなことのために、月給をもらっている諸君もたくさんいる、正直言って。そういう悲劇を構成しているのはあなた方じゃないでしょうか。一般的ですけれども、本質の問題ですから、もう一回あらためて、指定権者は局限さるべきである、かつての帝国憲法時代における国家機密というものと全く違った意味の、秘密というのは秘密なんだということなのかということを聞いているわけですから、それをはっきりしてください。
#34
○国務大臣(竹下登君) 戦前におけるいわゆる軍事上の秘密であるとかというそうしたものと、今日私どもが理解しておりますところの秘密というものは、おのずから、そのよって立つ日本国の基盤というものが変わった今日、それなりに異質なものに変化していると、このようにまず前提として理解をいたしております。そこでまた、この秘密というものは現実存在するということは、これは社会通念上肯定できることであると私は思います。ただ、しからばその秘密とはということになりますと、それがなぜ秘扱いしなければならないかということになると、たびたび繰り返すところの議論になりますが、これが国あるいは個人等々に損失を与えるかいなかという判断によって、それが実質上、形式上の秘文書と、こういうことになってくると、こういうことであります。したがって私は、こういう民主主義社会において、なかんずく行政府と、そうして国権の最高機関たる国会との間にいわゆる秘密というものが存在するということは好ましいことではない。しかし現実、実質上秘密というものがそこに存在する限りにおいては、これは国会側に対しわれわれがその実態を理解してもらうだけの努力をするならば私は理解いただけることではなかろうかと、このように考えます。したがっていわゆる防衛庁とかあるいは外務省とかいうところに、事柄の性質上それらのものが数として多く存在するということもやむを得ないし、またそれなりに理解していただけるところであろう。要は国政調査権に対応するところの行政府の姿勢として、可能な限りの努力をして国政調査権に対応していくという政治姿勢そのものが大切なことになりはしないか。それについては防衛庁長官からも申されましたように、防衛庁自体、国政調査権に基づく資料要求に対して判断に苦しむものは一つ一つシビルコントロールの責任者たる防衛庁長官自体が判断しておられるということが、私はそういう問題を通じて政治の姿勢としてあらわれておる現実の姿ではなかろうかと、このように思う次第であります。
#35
○野々山一三君 いま官房長官は見解を述べられたんですけれども、防衛庁長官は一体同じですか。考え方をあらためて聞きたい。
#36
○国務大臣(江崎真澄君) 官房長官が的確な答弁をされましたので、全く私同感であります。そればかりか、戦前いわゆる帝国議会当時につくられた機密と、今日の機密――極秘、秘密というものでは、これはやはりおのずと内容が違っております。当時は外に出て戦った軍隊であります。そればかりか、いわゆる政治をへいげいする軍隊であったわけです。自衛隊が今日非常に旧軍隊と歴然と違う点は、当時の軍隊というものは、国民に命令をする軍隊、一口に言いまするならば、今日の自衛隊というものは国民から命令される自衛隊、こういうふうに考えておりまするので、その内容においては大きな違いがおのずからあるわけでありますから、その点は御安心できると思います。
#37
○野々山一三君 前段の問題でもう時間がかかってしまいまして、何か時間の制限がお二人おありのようですし、私が求めておりますものの中の外務省関係は全然まだ触れられない、外務大臣もお見えにならない。で、残念ですけれども、ここで質問を保留さしてもらって、次回にさらに内容について見解を明らかにしてもらいたいと思う点がありますから、そういうような扱いをしていただけますか。
 そこで最後に、いまおっしゃったのは、お二人とも帝国議会当時における国家機密というものと性質が違うのでというお話ですから、お考えとお気持ちはわかりました。実効が伴っていないと判断をさしていただきます。それはなぜか、態様は実際昔と同じです、私の印象、判断、それこそ判断するところ。したがって、規則の上でも抜本的に防衛庁長官、あなたのほうの分について、せめてあなたもおっしゃられた、官房長官から示された機密基準に関する草案というものの線に沿って措置したいと言われるのですから、改正されるかどうかをお聞きしたい、それが一つ。
 それからお二人とも、そう言うのであるから、秘密というものがあることは社会通念上やむを得ない。けれども、国政調査権というものの尊厳は守らなければならないので、実際として秘密は秘密であるけれども、国政調査権という観点から、これが十分に理解されるように努力する、こういうふうにおっしゃられたわけですね――のように解しますが、間違いないかどうか、あらためて、れこは次にもう一ぺん聞きたいことなんで、きょうはお答えがなくてもけっこうです。
 件名まで――秘密、機密、極秘に対して件名までもないということがわからない、いまの状況では。件名を言うことだって私とあなたの役所の説明員とか政府委員の諸君のは違いますよ、件名だって。私は実物のコピーを持っております。そのことだって国会というところで聞いても聞いてもちっとも正式にこういう名前ですということを言わない。それはあなたのいまのお説の、件名も言えませんから、そうするとしようがないからぼくらはあらゆる手段をとってそれを取ってきて調べないと危険だ――と考えるのは、これはあなたも国会議員、私と同じ愛知県出身だ。豊臣秀吉、徳川家康、織田信長等々の系譜を受けていらっしゃる人だわ、りっぱな人だ。だから当然私が言おうとする、そういうものについてはアプローチして、正しい国政をつくろうとか、あるいはそれは困るとかということで、防衛しようというお知恵があるだろうと思うけれども、そういうあなたのお知恵ではかってなことはできないというのが、憲法にはっきり規定しているあなたに対する使命であり、私どもがおあずかりしている使命だ、こう考えます。
 ですから、そういう意味で、最後に検討して、次の機会に詳細に答えてもらいたいのは、どういうようなものがあって、どういうことについては、これは秘密なんで、件数はどうですということになったら、あなたがさっき言われたように、官房長官も言われたように、実際の問題として秘密なんだけれども、国政調査権の尊厳を守るという観点から同意を得るような手段を講ずるということができるグランドに立つことができるのじゃないでしょうか。そういうことについては検討、いま答えられてもいいです、考え方だけ答えられて、実際はあとからでもけっこうです。その三つ。
#38
○国務大臣(江崎真澄君) 官房長官が示めされたこれは、内閣としてこういうすべての事務の取り扱い、特にこの秘密文書についての基準でありますから、これはもう当然官房長官の見解ということで役所に示めされまする以上、十分検討をいたしてまいりたいと思います。
 それから、件名につきましては、これはまあ名は体をあらわすというたとえがあるように、いわゆる件名そのものがほぼ内容を推測させるというようなものについて、どうもこれはぐあいが悪い、これは私自身もなるほどと判断をした場合においては、これは調査権にそむくようなかっこうになるかもしれませんが、しかし、極力国会にはずばりそのものでなくても、せめて要旨だけでもとか、あるいは秘密会を要求して、その場面で申し上げるとか、なるべくそういうものが少ないことが望ましいというふうには思います。
 ただ私は、何度もお答え申し上げましたように、やはり国益をそこなうというようなものは、防衛という特殊な性格上お出しできないものもあります。これはひとつご了解を賜わっておきたいと思います。いまいろいろ御設問になりました点等については十分検討いたします。
#39
○野々山一三君 問題は本質問題ですから、政府委員の諸君だけでは、私ほんとうの気持ちがわからない、言って悪いけれども。官房長官の答えられる精神なり、防衛庁長官の補足された、というと語弊がありますけれども、せっかく時間をさかれて答えられたことと、数回にわたる質疑の経過からいって、食い違いが相当ございます。ですから、私はこの状態で、せっかくお忙しい時間をさいていだだいて延ばしてもらったことは済まぬですけれども、それだけに、ひとつ質問を保留さしてもらって、次の機会にさらに検討さしてもらいたいということを申し上げて終わります。
#40
○委員長(阿部憲一君) 速記ちょっととめて。
  〔速記中止〕
#41
○委員長(阿部憲一君) 速記を起こして。
 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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