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1971/05/23 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第17号
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1971/05/23 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第17号

#1
第068回国会 地方行政委員会 第17号
昭和四十七年五月二十三日(火曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     若林 正武君     稲嶺 一郎君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     稲嶺 一郎君     平島 敏夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         玉置 猛夫君
    理 事
                寺本 広作君
                増田  盛君
                占部 秀男君
                河田 賢治君
    委 員
                片山 正英君
                塩見 俊二君
                柴立 芳文君
                高橋 邦雄君
                原 文兵衛君
                神沢  浄君
                小谷  守君
                杉原 一雄君
                上林繁次郎君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       自 治 大 臣  渡海元三郎君
   政府委員
       建設大臣官房審
       議官       小林 忠雄君
       自治大臣官房長  皆川 迪夫君
       自治大臣官房審
       議会       立田 清士君
       自治大臣官房審
       議官       森岡  敞君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第一課長    高橋  元君
       農林省農地局管
       理部長      堀川 春彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公有地の拡大の推進に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十八日、若林正武君が委員を辞任され、その補欠として稲嶺一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(玉置猛夫君) 公有地の拡大の推進に関する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を便宜一括議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○神沢浄君 私は、質問に入る前に、この法案に対する基本的な態度と、それから、これからの質問の主意を明らかにしておきたいと、こう思うんですが、現在、資本による土地に対する無規制の投機的な投資のために、土地の異常な値上がりによる土地の取得難で、地方公共団体の行なう公共事業等が漸次その水準を低下さしてきておるわけであります。あわせて、地方公共団体の低い財政力と相まって住民の生活環境は悪化の一途をたどっておるというのが現状だと思います。このような現状に対応する政策として、土地の利用権に法的規制を加えるということについてはこれは当然のことだと思います。とりわけ、地方公共団体の行なう公共事業について土地の先買権を確立をするということは、いわゆる憲法にいうところの公共福祉の概念に何ら反するものではなくて、むしろ、できる限りその徹底を期さねばならない時期と条件にあるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
 そういうふうな観点の上に立ちまして、まず第一点として、本案は、むしろその内容が非常に消極的に過ぎるではないかという点が問題だと思います。したがって、それらの点について論議をしてみたいと思います。また第二点としては、この法律が施行されてまいります場合には、当然問題の裏側として、私権制限に対する公正妥当な補償措置というようなものが必要になってくると思いますので、これらの点についての論議をしてみたい、こう思うところであります。それから第三点としては、本案と農林業との関係というのも非常に重大な点だと思いますので、その点につきましても若干の質問をいたしてまいりたい。いま申し上げましたような基本的な考え方、大体三点ぐらいを主としてあげたのですけれども、それらの問題についてこれからお伺いをしてみたいと思うんです。
 そこで、まず第一に、この法案によりますと、第三条の第一項及び第二項において、それぞれ「農林漁業との健全な調和を図りつつ」あるいは「農林漁業との健全な調和に配慮しつつ」と、こう特に二度にわたってその点を規定をしておるわけでありますけれども、ただ文章上の表現だけでは農林漁業との調和をどうはかっていくのか、どういうふうに配慮をしていくのかという点があまり明らかにわかりません。そこで、その点についてまず具体的な政策的な構想というようなものをどんなふうに持っておられるのかという点を、大臣いらっしゃっていただいておりますから、大臣からひとつお伺いをしたいと思います。
#5
○政府委員(立田清士君) 大臣の御答弁のある前に一応この法案における趣旨だけを私のほうから申し上げてみたいと思います。
 ただいま御指摘のとおり、この公有地拡大をいたしますために地方団体なり土地開発公社が土地を取得するわけでございますけれども、御承知のとおり、土地を公有地として取得しますという前提といたしましては、その土地をまた有効に利用をするという問題が、土地利用の問題がございます。したがいまして、地方団体なり土地開発公社が土地を取得するにあたりまして、周辺の農地等との関係におきます土地利用を調整するとか、あるいは産業としての農林漁業との十分な調和をはかっていくとか、そういうような点を考慮して、土地の取得あるいは土地利用というものに配慮する必要があるということを趣旨として法案には規定しておるわけでございます。したがいまして、現在、御承知のとおり、いろいろ無秩序な市街化が行なわれておりますが、そのために実際にいろいろ農業投資の行なわれております農林地区が、そういう意味でいわゆるスプロールの結果いろいろ蚕食されているという問題もございますし、それからまた逆に、市街地として整備されていく地域とされている地域があるわけでございますが、その辺における各種の投資との調整も必要になってくるということで、いわゆる農林漁業地区自身の土地利用の問題、それから市街地域における土地利用の問題、この両者をやはり合理的に十分利用の面でもあるいはその前提としての土地取得にあたっても配慮していく必要があるということで、法案ではこういう趣旨を盛り込んでおると、こういうことでございます。
#6
○国務大臣(渡海元三郎君) 公有地の地方公共団体の取得する目的というものは、大体都市的な利用をはかるというための公有地の獲得ということが主となると思います。したがいましてその獲得をはかるためには十分農業振興地域とかそういった制度との調整をはかって、あらかじめ有効に土地が利用せられるように、適切なる措置を常に講じていかなければならないという観点からこの規定を入れさせていただいたのでございますが、具体的には、現在の状態を見ますと、農業投資がされておる地区がまた侵食されて実際は都市的な事業に使われてしまったり、あるいは、そのような計画を持たれておる地域にすら農業投資がさらに行なわれようとするというような傾向がなきにしもあらずでございまして、今回のこの法案で公有地の確保の推進をはかると同時に、そのようなことのないようあらかじめ計画的に処置していかなければならないというふうな点を第三条におきまして明示をし、農林漁業との緊密なる連携をはからなければならないということによりまして、このことを入れたような次第でございます。都市計画法にも市街化区域と農業調整区域あるいは振興地域ということが明示されておりますが、現在の状態は必ずしもこれが何と申しますか、その法目的どおりになっておらないというのが実情でございますので、公有地の拡大をはかるこの法案をつくるに際しましては、このことを念頭に入れながら、農林漁業等の土地利用に対するところの計画的なしかも効率的な利用をはかることを重点としなければならないということを特に明記さしていただき、その間の連絡をさらに密にするように規定さしていただいたと、これが第三条にするものでございます。
#7
○神沢浄君 お話は観念的にはわかるわけです。建設省の方おいでになっていますね。大体この法案自体の土俵というのはやはり都市計画法だと思うのです。言われておる新都市計画法の思想、それから、それに関連している例のみなし課税というふうな問題も出てまいりましたが、あのみなし課税に特徴されるところの考え方、同じ国会に出されております新都市基盤整備の法案ですか、これらに盛られておるところの思想、これは農業を認めたんでは成り立たない思想じゃないでしょうかね。大体農地は宅地にみなすのだ、こういうことをひとつ伺っておりましてもそうでありますし、農業との調和をはかるというたいへんきれいな表現ですけれども、そうすると、その本来今日まで進められてきておるところの都市計画法に代表されるその考え方というものと、この法案にいま二度にわたって強調されておる農林漁業との調和をはかるというふうなことにつきましては、どこでどう具体的にかみ合うのかという点がちょっとわかりかねるのです。それはまた下部末端の一番の問題に考えておるところですから、この点だけは、ちょっとくどいような論議になるかもしれませんが、少し明らかにしておかなければならない点だと思います。一つの問題として、私は、むしろ農林業者にとっては無視、軽視だといわれるくらいに都市計画法から一連の考え方をもって進められてきておる点と、それから、この法案に強調する農林業との調和という点と、これはどこでどうかみ合っていくのかということを建設省のほうからお聞きをしておきたいと思うわけです。
#8
○政府委員(小林忠雄君) 現在のいろいろ問題になっております都市計画の問題あるいは土地の問題、この原因は、マクロ的に見ますれば人口、産業の都市集中、国家全体の産業構造の工業化あるいは社会的な都市化をいう現象に基本的に根ざしていると思います。そこで、農林漁業との調整というのは、マクロ的に見ますれば土地利用の調整ということになろうかと思います。少し古くなっておりますけれども、新全国総合開発計画におきましては、農用地につきましては、大都市周辺でこれが壊廃され新たにまたふえると、新規開発が行なわれて、昭和六十年と四十年で総面積において大体とんとんと、こういうように見ているわけです。これに対しまして、その宅地のほうにつきましては大体倍になるというような試算を新全国総合開発計画では立てているわけです。そこで、われわれの試算といたしますと、この間行なわれました昭和四十五年の国勢調査におきます市街地人口、これが五千五百万人でございました。これがあと十数年間の昭和六十年までに大体三千万人ぐらいふえるだろうというように見通されております。そういたしますと、市街地面積が大体昭和四十五年の実績におきまして六十万ヘクタール、これが大体少なく見積もりましても九十万から百二、三十万、ですから、五割から多く見積もりますれば倍と、こういうことがマクロ的に見られるわけでございます。これは就業構造の変化なり国全体の工業化、都市化という現象から見て避けがたいところでございまして、その場合に、しからば市街化するところはどういうところが市街化するかと申しますれば、現在宅地化していないところでありますので当然農地と山林、何らかの意味の一次産業用地が市街化するということも避けられないわけでございます。
 そこで問題は、いかなるところが市街化されるのがいいか、ほっておけば経済原則に従いまして虫食い状態に荒されるということでございます。そこで、これは農業サイドから申しますれば、農業投資をしたところが市街化されるというおそれがございますし、将来農業投資をいたします際にどこへ農業投資をしていいかわからないという点の欠点がございます。それから市町村の都市計画をやります場合に、道路、下水というような都市施設をどこへ投資したらいいかという目安が立たない。かりに投資いたしましても非常に効率が悪い、こういうようなことがございます。
 そこで都市計画法以来の一連のこういう土地利用計画と申しますのは、建設省と農林省がそういう意味で実は利害が相一致いたしまして、いわば領分の確定をする、両省協議いたしまして領分を確定いたしまして投資の仕分けをしようじゃないか。したがって、市街化区域として線引きをいたします際には、単にそのサイドだけでやるのではなくて農林サイドと協議の上に線引きをする。線引きをした以上は、市街化区域の中では、農地法の市街地への転用を原則として撤廃をする、農業投資は原則としてしない。都市サイドにおきましては、そういうところに都市の投資の集中をする。そのかわり、市街化調整区域におきましては農地転用は原則として認めない、それから都市計画サイドにおきましても開発は厳に抑制する。こういうような制度になっているわけでございまして、例の宅地並み課税の問題でございますとかその他一連の問題は、こういう土地利用計画に従った土地利用をあらゆる面で政策的に発揮していこう、こういうことであろうかと思います。
 そこで、この公有地の拡大法におきましても、第二章の市街化区域内の土地の先買い制定、これは市街化区域の中に限っておるわけでございます。これは市街化区域の中に限っておるわけでございます。これは市街化区域の中に公共団体が都市施設を優先的に整備する必要がある、こういうことのために市街化区域の中に先買いを認めたわけでございます。しかし、土地開発公社といたしましては、必ずしも市街化区域の中の先買いだけでなくて、自発的に先行取得をするということは市街化区域の外でもできるわけでございます。しかしながら、公共団体自身がそういう都市的な開発というものを市街化区域の外でむやみに行なうというようなことは問題がある。一論といたしましては、市街化調整区域の中で法人の土地買いあさりが非常に激しい、これに対して公共が手を打ったらどうか、むしろ公共が買ったらどうかというような御意見もございますけれども、この法律ではむしろ公共団体の公共用地の先行取得をする、こういう目的でございますので、市街化調整区域の中において公共団体なり土地開発公社が土地を先行取得して、そういうところを宅地開発するというようなことを公共みずからやるということは好ましくない、こういうようなことで第三条等ができている。こういうように了解しております。
#9
○神沢浄君 そこで、いまの御説明の中にも出ておりますけれども、私も実は市街化区域に住んでいるのです。山梨の出身で、甲府のすぐそばです。結局、いままでの市街化区域におけるところの農民に対する指導というのは、ごく端的な言い方をすると、市街化区域の中にはもう農業は成立をしない、したがって農業をやれない。調整区域ないしは振興法の適用の地域に代替地を求めてやるよりしかたがない。端的にいうと、こういう考え方というのが指導されてきておるわけです。ですから、そうなりますと、これは市街化区域の中の法律である以上、農林業との調和を考え配慮するということは、具体的には大体どういうことなのかという点が問題になるわけです。たとえば、いまの御説明からいうと、買い上げる場合には、どうしても農業をやっていこうという者に対しては積極的に代替地のあっせんでもするというような意味を持っているのか、それとも、最近農業者のほうから例の生産緑地の問題とかあるいは観光的農業の問題とかいうようなものが盛んに主張されるわけです。そういうような農業者の要望までかかえてそうしてこういう表現がされているのか、この辺を明らかにしておきたいと思うわけです。文章だけでは、具体的にはどうかということになりますと、まことにわかりかねる表現だということになる。その点をもう一度建設省のほうからお聞きしたい。それから農林省などはどのような考え方をされておるのか、農林省からもお聞きをしておきたい。
#10
○政府委員(小林忠雄君) この法律の第二章は、土地の先買いという制度は市街化区域の中だけで認められておるわけでございます。第一章、第三章の土地開発公社、その他の公有地拡大政策というのは必ずしも市街化区域の中だけとは限られてないわけです。
 そこで、第三条の農林漁業との健全な調和をはかるということばは、実は都市計画法の最初のほうに出ておりますことばと同じことばでございまして、その最大のものは、やはり市街化区域の市街化をむしろ優先する。市街化調整区域においてむやみと開発の前提となるような土地の先行取得をするというようなことは、農林漁業との調整を考えた上でやっていく、こういうようなことだろうと思います。ただいま御指摘の市街化区域の中におきます生産緑地等の問題は、むしろ都市計画の制度の問題あるいは税制の問題といたしまして今後どうしても検討しなければならない問題だと考えておりますが、まだその制度ができておりませんので、この段階で第三条がそこに入っておるかどうかということは、そういう制度等のできました上で考えてまいりたいと考えます。
#11
○説明員(堀川春彦君) ただいま小林審議官がお答え申し上げましたように、この三条の規定は市街化区域の中、並びに外にも地方公共団体なり土地開発公社の公有地の取得ということ、あるいは公有地たるべき土地の取得が行なわれるわけでございますから適用があるわけでございます。したがいまして、広くわれわれの施策の対象としております農用地、農地というものが、この土地取得との関係で調整をはかる必要があるということが出てまいるかと思います。御承知のように、農林漁業は土地なりあるいは水面を利用いたしまして産業として成り立つということでございまするが、さようなことでございますと、たとえば農業に例をとってみますると、用水の問題あるいは排水の問題、あるいは圃場整備をいたしまして、ある程度の広がりを持つ規模のところで機械を入れまして効率的な農業を営なむといったような問題、これはたとえばまん中に公有地取得というようなことで、かりにそういう利用関係が分断をされるとか、あるいは用水、排水の関係で影響が出てくるというようなことになりますと、これは公有地の拡大を一番望ましい形でやったということには必ずしもなりませんので、そこの調整をはかりまして、公有地の拡大の推進を農林漁業との調和の上に立って行なっていただくことが適当だと、かように考えてこういう規定が特に置かれておるものと理解をしておるわけでございます。したがいまして、公有地の拡大を行なうに際しまして、これは自治省、建設省とも農林省といたしましては十分御相談申し上げて、自治省、建設省からそれぞれのところを御指導いただくと同時に、私どもの行政等を通じましてやってまいりたい。特に農業につきましては、先生御承知の農業振興地域の整備に関する法律というものがございまして、これに基づきまして目下振興地域の指定をし、整備計画を立てるということをやっておる最中でございます。この整備計画におきまして、農地の利用についての土地の利用の区分あるいは利用の方法といいますか、そういうようなことにつきまして、区域を定めまして計画的にこれを行なうということになっておりまするから、したがいまして、公有地の確保にあたって、たとえばそういう整備計画で定められました農用地区域、これは原則として転用が許可されない区域でございますので、そういうところを避けてやっていただくということも必要になってくるんじゃないか。それらの点は十分自治省、建設省とも御相談を申し上げて、私ども農林担当の部局も指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#12
○神沢浄君 私は、率直な言い方をいたしますが、繰り返すようですけれども、都市計画法以来、一連のこういう関連する法律の中の思想というのは、市街化区域の中におけるところの農業というものは認めていないわけですよ、今日まで。認めていない姿でもってこれは進められてきているわけです。まあ私などは、むしろそれには異論を持ち、反対の考え方を持っておるんです。ところがその市街化区域の中で、農林漁業との調和というものを配慮するという表現が出てきたからには、私はこの政府の考え方というものにやっぱり若干の修正というものが生じてきたのではないかというような点が一点ですね。ちょっといやみのような言い方でございますけれども、私たちが聞き及ぶところによれば、この法案を出すについての、たとえば与党の中などにいろいろな意見などもあったようでございますけれども、どうのこうのという、この問題のときに展開されたようないろいろな情勢などもあっただけに、やはりそれらの情勢などを見合わせながらこういう表現が必要だったのではないかというような憶測さえもこれはせざるを得ないわけでありまして、ただ、法律の文章の上にだけ表現がされて終わってしまうというんだったらこれは意味のないことになる。その点を私は非常に懸念をするわけなんです。
 今日、都市計画法制定以来の、いわゆる新都市計画法以来の考え方というものは、とうてい市街化区域の中でもって農林漁業との調和をはかるなどということは許されぬようなものになっておるのではないか、であるにもかかわらず、こういう表現がなされる。実際にこの表現のとおりに今後配慮されていくというのであればいいけれども、私はなかなかそれは困難なことじゃないかと思うのです、都市計画の今日までの考え方の上からすれば。ですから、その辺を具体的にはどの程度までのものを考えておるのかということをひとつ明らかにしておきたいということがねらいだったわけでありますが、御答弁の中からは、どうもそう具体的に納得できるようなものにはまだ受け取れないのでありまして、したがって、これはまあ大臣にお聞きするというよりか、お願いをしておきたい点でありますけれども、ひとつこの表現には責任を持っていただきたい。先ほども触れましたように、農業者のほうからは生産緑地の問題だとか観光的農業の問題とか、いろいろな意見、主張などもあるところでありますし、同時に、この都市計画というものを私は見直す点もひとつ必要じゃないかと思うわけであります。今日までの都市計画の考え方というものは、どうしても工業を中心にして発展をしていくところの日本の社会情勢、やはりその土俵の上に立っておるわけでありますから、農業というものがどうしても度外に置かれてきていたことは避けられないところです。しかし、今日公害が云々され、環境保全が云々される際に、やはり都市計画の中にも住民の生活環境の保全、こういうふうな観点から、まあ一つには、この法でいうところの農林漁業との調和を配慮するというようなことともあわして生産緑地なり、農業者の主張するところの観光的な農業などというようなものを他の計画事業と少なくとも同列の比重において今後配慮していく必要があるのではないか、そうでなければ、法にうたうところの、幾ら美辞麗句でうたいましても何ら意味がない。こういうふうな点をやはり今後この法律を制定をするからには責任を持って考えていっていただく必要があろうかと、まあこう思うわけであります。そういう点で、この表現に今後ひとつ責任を持っていただきたい。そのための努力を、やっぱりこれはもう地方のたよりにしている自治省ですから、そういう立場でもって自治大臣の所見をひとつお伺いをしておきたいと思います。
#13
○国務大臣(渡海元三郎君) いま引き合いに出されました市街化農地に対する課税のときにも問題になりました点でございます。新都市計画法にも第三条のような規定がございますが、必ずしも規定だけでは、いま先生御指摘のように市街化農地、市街化区域というものは、農業というものはもうできないんだというふうな観点に立っての見方、むしろ、また農地を持っておられる方もそういった意味で現在は農業でやっておるが、土地そのものに対する今後の利用というものに、はたしてそういうふうなことに徹しておられるかどうか。これはまあ単に一つの法律でなくして総合的な都市づくりのあり方そのものに立って初めて市街化区域という中における、第三条と同じようにうたわれておりますところの農業との整備というものもあらわれてきたのじゃなかろうか、私たちはそのような意味から市街化区域の農地の課税に対しましても十分配慮して、段階的なあのような規定にしたのでございますが、その現実面としては、総合的な面があらわれないために非常な不安と混乱がある。議員立法の形で御修正を賜わったあの法律でも、一年間検討いたしまして措置いたすということにいたしておりますが、この法律におきます規定も御指摘のとおりの姿であろうと思いますが、目的とするところは、秩序ある整備、また、秩序あるところの今後あるべき姿の市街化区域あるいは調整区域のあり方というものを具体的にあらゆる社会環境に合わして成り立つように努力していかなければならない。もう訓示規定の形になり、また現状はそうであるということは御指摘のとおりでございますが、今後の都市計画法の進め方あるいはこの法律の進め方等につきましても十分御要望の点を取り入れまして、そのためには、新都市計画法あるいはこの法律だけでは必ずしも万全でない面もあろうと思いますが、総合的な考え方に立ちまして、そういった方面を今後ともに土地対策の重要なる一環として考えていかなければならない。その上に立たなければ、せっかく各党で規定願いましたいわゆる市街化区域内の税制等も考えることができないんじゃないかと思います。こういった総合的施策を計画的に今後ともに推進していくことによりまして本条に示された趣旨をほんとうに具体化し実現化してまいりたい、このように考えておるような次第でございます。今後ともに御要望の線に沿いまして努力さしていただきたいということをここでお答えさしていただきたいと存じます。
#14
○神沢浄君 それでは、次へ入っていきたいと思うんですが、都市計画に必要な公有地の取得、さらには、現在の情勢では土地が野放しに取引されておりまして、法人や不動産業者などの手に渡ってしまうことの多いというのが現状だと思います。したがって、それを防止して、また、やがて必要となるであろう公有地の先行取得をしていこうということがこの法案のねらいだろう。こう思うのでありますが、そうだといたしますと、現状におきましては、やはりこの法案の主たる対象というものはこれは農地ということになるのではないか、相手は農家ということにこれはどうしてもなるのじゃないか、こういう感じがするんですけれども、その点はどうでしょうか。これは建設省のほうからお答えいただきたいと思います。
#15
○政府委員(小林忠雄君) 法律的に申しますれば、第二章の「土地の先買い」の対象は、農地に限らず宅地、山林、すべてを含むわけでございます。しかし、市街化区域の中で先買いをするというところは、将来公共団体が公共施設を整備する用地の先買いでございますので、原則としては家が建っていないところという場合が多いのではないかと思います。家が建っていないと申しますれば、もちろんあいている宅地も入るわけでございますが、農地、山林がやはり相当部分を占めるということに結果としてはなるのではないかと思います。
#16
○神沢浄君 というのは、あいている土地といえば、それは農地もあいていますけれども、もうすでに法人、不動産業者の手に渡って値上がりを待っているような土地もみなあいているわけです。ですから、これは農地に限るとは書いてありませんから、すべてあいている土地はこれはもう対象になっているわけでしょうけれども、ただ、この法案を読んでみまして、私は、抜け穴みたいなものが多いというか、そういう点を非常に懸念をいたしますのは、たとえば法人や不動産業者の手に渡っておる土地が取引の対象になった場合は、これは当然法に基づいて届け出をしなければならないということになるんでしょうが、しかし、これによりますと、ある一定規模以下では免れることになっているようなんです。衆議院のほうの審議の内容を見ますと、その規模というのは何か三百平米、こういうことになっている。こうなりますと、三百平米以下にどんどん切り売りすることについては、せっかくこの法律をつくっても、これは何ら規制することができない。不動産業者あたりは当然三百平米以内ぐらいで実際には売り渡していくのでしょうから、この法律はそのことを対象とするについては全く無意味だということになると、やっぱりこれはもう結果的には相手は農家であり、対象は農地だということにならざるを得ないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#17
○政府委員(小林忠雄君) ただいまの規模でございますが、法律案の第四条で、先買いの対象として一号から四号まで列記しておりますが、このうち都市計画の道路用地とか、あるいは公園の用地、あるいは区画整理事業用地等におきましては三百平方メートル以上ということにしておりますが、四号の現在公共施設の計画がきまっていない土地につきましては、「二千平方メートルを下らない規模で政令で定める規模以上の土地」ということでさらに広くしているわけでございます。これは本来自由な取引に公共が介入するわけでございますので、あまりに煩瑣なことになってはいけないだろう、したがって、ある程度まとまった土地以上のものについて公共が介入するチャンスを与えたらどうかという趣旨でございます。二千平方メートルという規模につきましては、これは用途が確定しておりませんが、公共団体が取得をいたします際に、直ちに使える公共施設の最小規模ということを考えますと、たとえば児童公園でございますとか保育所でございますとかというようなものが大体最低基準が二千平方メートル程度であります。買ってすぐ使えるというような規模に一応限定したわけでございます。それから今度は、公共団体の用地の管理面から申しました場合に、非常にこま切れの土地をあっちこっちに散在して持っておるということになりますと、公有地の管理の上からも非常に不便があるのではないかというような理由から面積の限定をしたわけでございます。
 そこで、関係者がこういう届け出義務を免れますために、土地を分筆いたしまして売買するというような脱法行為は当然予想されるわけでございます。しかし、これは先ほど御指摘がございましたように、この法律案は、現在考えられます最小限度の私権制限でとにかく出発しよう、こういうような趣旨でございますので、したがって、その届け出がありましたあと、これを公共が強権をもって取得するという保障がないわけでございます。その点が弱いといえば弱いわけでございます。したがって、当事者が公共に売る意思を持たない限りにおいては公共に売らなくてもいいという、抜け穴といえば抜け穴がございますが、その程度になっておりますので、あえて分筆等の手続をやりまして脱法行為をやるというほどの実益が実は当事者にはないのではないかというふうに考えております。また、事実、かりにそういうことについて禁止規定を置きましても、置くまでの実益がないということで、まあ脱法行為というものはあり得るけれども、実際はそれほどまでして届け出義務を免れるというようなことはないじゃないかと思います。
#18
○神沢浄君 それは脱法じゃなくて合法ですよね。基準が設けてあって、その基準以下に切り売りをするということは法はいかんともできないんだから、まさに最初から抜け穴を用意したような法律ということにもならざるを得ないのです。
 それからもう一点は、話がついでですから入りますけれども、価格の点なんですが、結局届け出があった場合には協議に入る、その際の価格はいわゆる「公示価格を規準」とする、こういうんですが、「公示価格を規準」とするという意味は、公示価格なのか、それとも公示価格を今後基準にしてやる一定の幅というようなものをあらかじめ定めておるのか、それとも公示価格以下ではないということなのか、その辺はどのように考えておられますか。
#19
○政府委員(小林忠雄君) 地価公示法によりますと、その十一条におきまして「公示価格を規準とすることの意義」について定義しております。これはその売買の対象になります土地の価格を算定いたします際に、その土地と類似したようないわゆる公示地点の価格との、位置、地積、環境等の容観的価値に作用する諸要因についての比較を行なうということでございますので、公示価格そのものずばりではなくて、公示価格から算定をいたしました価格でございますので多少の幅はあるわけでございます。そこで、公示価格は昭和四十九年には市街化区域全域にわたりまして、最終的には一平方キロメートルに一カ所というまでふやすという予定でございます。これはあくまで三角点ということでございますので、一筆一筆の個々の価格の算定というものはそこから引っぱってきて計算をするということでございます。なお、この「公示価格を規準」とするという条文をこの法律案に入れておりますが、これは地価公示法第十条及び第九条におきまして、公共事業に土地を買います場合には「公示価格を規準」として買わなきゃならない。さらに、最後に強権を発動いたしまして土地収用法を発動いたしました際に、収用委員会が価格の裁決をするという場合に、やはり「公示価格を規準」とするということになっております。したがいまして、それに先立ちまして先行取得をする際にも「公示価格を規準」とする、こういうことにしたわけでございます。
#20
○神沢浄君 まだ、「規準」という意味はそう具体的にはきめられてはいないわけですね。基準として、たとえばそれを越える一割の範囲とか二割の範囲とか、こういうようなことでなしに、ばく然と基準として、あとは協議でやっていくんだと、こういうようなことでしょうか。
#21
○政府委員(小林忠雄君) 先ほど申しましたように、公示価格の公示地点はあくまで三角点でございますので、そこから具体の一筆の土地の算定をいたします際には多少の幅があるということは当然でございます。
#22
○神沢浄君 そこで、問題が出てくると思うのですが、これも抜け穴の一つになっちまうのではないかと思いますが、協議がととのわない場合にはどうにもならないのですか。協議がととのわない場合には、それがいかに公用地として必要と思われる適格な条件を備えた場所であろうともこれは手がつかない、こういう法律になりますか。
#23
○政府委員(小林忠雄君) 法律的に申しますれば、そのようになるわけでございます。
#24
○神沢浄君 そうすると、この法律をつくりましても業者などはどんどん切り売りをしてしまう。売らぬつもりならば、たとえば法外の値段を持ち込めば、これはまあ手がつかないということになりますと、この法律は抜け穴だらけでもって、実際には意味がないということになってしまうおそれがあると思うのですけれども、この辺についての見解はどうでしょう。
#25
○政府委員(小林忠雄君) 都市計画の道路とか公園とかきまっております土地につきまして、公共が買いたいといって協議に入りました際に、非常に高いことを言う、これは届け出でございますから、所有権移転の届け出価格を高く届け出るということであろうかと思います。それがもし公共に売りたくないために偽って非常に高い価格を表示したということになりますと罰則の適用があるわけでございます。しかし、現実に高い価格で第三者が買ったということになりますと、将来都市計画事業等で公共団体が買収に入りました場合、その際には公示価格を基準とした価格で買うわけでございまして、これが話がつかない場合に、収用委員会までいきました際に、裁決価格というのがまた公示価格を基準として行なわれるわけでございます。のですから、著しく高い価格で買いました場合には、将来事業化の際に買った人が逆に損をする、あるいは、損をしないまでも、もうけそこなうということが十分考えられるわけでございます。
#26
○神沢浄君 ぼくは少し甘いのじゃないかと思うのですよ。私どもは現実にそういう情勢の中に住んでおる立場なんですが、つい最近一つの例があります。これは都市計画の区域の問題じゃありませんけれども、私の県で保安林になっておるところを、ある町の共有林の売買の問題がありまして、その町では、町の何か整備の計画のためにどうしても資金が要る。したがって共有林を売りに出したわけです。買い手がつきまして、その買い手は坪二百円と、こう言うのですね。県のほうでは、将来この林道の計画とかあるいはその他の構想などまだ表に出ていないものでしょうけれども、そういう見地から県で買っておきたい、こういうことでもってその共有林を持つ町と交渉したのですけれども、いままで県の買っておるいわゆる基準の価格というのは坪五十円ですね、いろいろな点から買い上げ幅を検討しましたが、坪八十円以上は県としてはこれはどうしても出せない。これは八十円と二百円じゃ勝負になりませんね。大体そういうような状況になってくると思われます。そうなりますと、繰り返すようですけれども、せっかく公用地を先行取得をしておこうということでこの法律をつくりましてもあまり意味がないという、こんな言うならば消極的な姿勢で、徹底を欠いておるような法律内容では私は意味があまりないのではないかという点を実は論議をしたい点なんであります。
 そこで、関連がありますから次の問題へ入りますけれども、いわば届け出と申し出という二つの方法をとっているわけでありますが、届け出の場合には、何か税制上の恩典といったらおかしいのですが、特別措置というものがあるようですけれども、申し出の場合にはないわけなんですね。私は考え方が少しそこで逆になっているのじゃないかという感じがするわけです。公有地を先に取得をしておこうということについて自発的に申し出をするというこれは歓迎されるべき問題であって、むしろ恩典を考えるなら、先に考えなければおかしいような気がするのですがね。届け出の場合にはそれを考慮しながら、申し出の場合には全然考慮されていないという、これはもう私どもしろうとが考えるとまことに矛盾きわまることだと、そういうさか立ちの考えでは大体この法律自体が効をなさぬではないかという気がしてなりません。その辺の見解はどうですか。
#27
○説明員(高橋元君) ただいま御質問の公有地拡大法の四条の届け出の場合に、協議ととのいまして地方公共団体が買い取る場合には、三百万円の特別控除を認めるように今回特別措置法の改正によりまして措置ができたわけでございます。しかるに、その五条によります申し出による買い取りというものについては特別控除の適用がないではないかということでございますが、私どもが土地税制というようなことでいろいろな特別措置を講じております考え方が実は二つございます。一つは、宅地の需給を円滑ならしめたり、供給を促進し、あるいは過剰な需要をチェックする、こういうことでやっております関係の土地税制措置。もう一つは、公共の目的のために取得する土地につきまして、その公共の目的のために取得するということは、たとえば、土地収用、それから区画整理その他によりまして、所有者本人の意思に必ずしもかかわりなく譲渡所得について課税される、その場合の課税につきまして、特別控除等によって軽減することによって実は公共的な目的のための土地の取得ということを容易ならしめるという、この二つでございます。御指摘の場合はそのあとのほうでございまして、そういう場合につきまして、現在の土地税制では特別控除を幾つかのランクに分けておりまして、土地収用法によって、また土地収用がされる状態において買い取られた場合には千二百万円の控除、それから住宅公団が施行いたしますような大規模な土地区画整理事業というようなものにつきましては六百万円の特別控除、それから議題となっておりますところの公有地拡大促進法、それからまた別にございます収用の代償用地、いろいろな代替用地でございますが、こういうものを取得いたします場合には三百万円の控除、それから一般の土地を長期に保有しておりまして売却いたします場合には百万円の控除、こういうランクになっております。このようなランクになりましたのは、売り主が従来持っておりました土地をどういう売買についての意思の拘束のもとに売るかということによってきまってくるわけでございます。まあこの公有地拡大法によりますと、地方公共団体の先行取得は、先買いの場合には、本来第三者に一定の条件で売却をしたいという意思で都道府県知事に届け出る。都道府県知事が法律の施行上他の都道府県に売却したほうがいいとして協議がととのって、いわば本来売ろうとしていた方以外に売る、そういう場合に土地の先買い権に基づきます意思の制限というものが働きます。
 この意思の制限というものは、先ほど申しました、たとえば、土地収用それから大規模の土地区画整理というものに比べますと弱いというふうに私ども考えております。そこで三百万円の特別控除という制度を自治省、建設省とも御相談をして租税特別措置について手当てをいたしたいというわけでございます。ところで、五条の申し出の場合は、初めから地方公共団体に売りたいという形で契約が進行いたしまして、相ととのって売却をするわけでございます。そういう意味で、相手方が知事さんでありまた市長さんである、それが私人でないという意味で、公的な目的に供せられるということは御指摘のとおりでございますけれども、意思の制限がないということで申しますと、私人間の売買と税法の立場からいたしますと異なるところがない取り扱いをいたさなければならない、さように考えておるわけでございます。
#28
○神沢浄君 税金というたてまえからすれば、いまのような御説明になるのでしょうけれども、私ども一般国民の立場からしますとまことに矛盾を感じるわけでありまして、いまの御説明をごく端的な言い方をすると、届け出の場合は、他に売る相手があるのに市町村なり公社なりに売らせるのだからこれは恩典を考える。一方は、買ってもらいたいというのをそこを買い取ってやるのだからその必要はないという考え方にこれはなるのでしょうけれども、それならばこの法律はもっと強制的なものでなければおかしいと思うのです。私権を尊重しなければならないということでもって抜け穴が多いような形にならざるを得ないということになりますとやはりこの法律を実効あらしめていくには住民の協力がなければ、そこに基調が置かれなければ私は不可能だと思うのですよ。そういうような観点を考え直せば、やはり自発的に提供をしようというものに対して、これは少なくとも同等の措置は講ぜられなければわれわれ国民側からの理屈としては成り立たないということになると思います。そういう点で、法案の中にはこれは出てはいないのですけれども、今後の運用の上においてどんなふうに考えていかれますか、これはひとつ大臣からお伺いしておきます。
#29
○国務大臣(渡海元三郎君) いま、申し出の場合における税制度のあり方でございますが、私たちも実際問題といたしまして、すでに公共施設の用地として計画決定されたというようなときには、むしろ申し出によりまして協力を願うということが好ましい姿でございまして、そのためにもぜひとも特別減税のあり方は、いま言われましたように、その場合も同等にしたいと事実上努力をしたのでございますが、税制上のたてまえもありまして、協議至らず、このような姿で原案のとおりで提出をさせていただいておりますが、事実上の運営をながめまして、都市計画のこの法案の推進の上にぜひともこのことが必要であるという状況の実情を把握した上で、今後ともにこの点につきましては努力させていただきたい、そのように考えておるような次第でございます。
#30
○神沢浄君 いまの大臣の御答弁に対して、大蔵省どうですか。
#31
○説明員(高橋元君) 税制の上からの土地取得につきましての特別控除の考え方ということは、先ほどの御質問に対してお答え申し上げたとおりでございます。私どもは税制が有効な土地の供給促進ないし利用ということに役立つことは心からそのとおりに考えておるわけでございますけれども、しかし、税制だけで土地の有効利用の促進とか、それから土地の供給の増大ということがはかられることでもないことも、これまたあらためて申し上げるまでもないわけでございまして、実体的な土地の利用規制に関する法律ないし制度の運用というものに従って、まあ税制上税の公平を確保し得る限度というものを考えていかざるを得ないというふうに考えております。
#32
○神沢浄君 ほかの問題もたくさんありますから、ぼくはこれはもう少し論議を深めたいと思いますけれども、委員長、またあとのほうで機会をいただきたいと思います。
 次の問題へ移りますが、いわゆる届け出の場合に、凍結期間というのですか、一応の協議のための扱い上の期間が定められておるようです。これは最高は二週間、二週間で四週間というようなことになっていると思うのです。これは私は、まあ実際にはもうちょっと長くないとぐあいが悪いのじゃないかというような感じがいたしますが、大体都市計画法の五十七条ですか、これは一カ月というような規定になっておるわけであります。こんな点については、合わせても差しつかえないのじゃないかという感じが、むしろ合わせるべきではないかという感がいたしますけれども、その辺の見解はどうですか。
#33
○政府委員(小林忠雄君) 都市計画法五十七条の先買いの場合におきましては、先買いの主体というのがあらかじめ知事のほうで決定して告示しておりますので、だれを相手に話をしたらいいかということがきまっておるわけでございます。そのために三十日の譲渡禁止期間がまるまる協議なりあるいは公共団体側の余裕期間としてあるわけです。しかし、すでに第三者に売買契約を締結する寸前まで話が進んで届け出るわけでございまして、これがストップをされるという点におきましては、都市計画法の五十七条の先買いの場合におきましても、この法律案におきます先買いの場合におきましても、当事者間では同じわけでございます。この法律案におきましては、あらかじめ買い取り主体がきまっておらないわけでございますので、届け出がありましてから知事が買い取り主体を定めて協議に入るということになって、手続が二段になるわけでございます。そのために勢い全体の譲渡禁止期間を都市計画法の範囲内に合わせるということになりますと、二週間、二週間というような形に分割されるわけです。これは買い取りの主体のほうから見ますと、多少不便な点があるわけでございますが、売買をストップされるという取引の当事者の立場から申しますと、主体があらかじめきまっていようが、これからきめようが、これは公共側の事情でございますので当事者側にとっては関係がない。したがって、強い権利でございます都市計画法の権利よりも弱いこういう先買いの権利を、これ以上弱くするということは、取引の安全とか危険の保護の点から見て適当ではないということで、都市計画法の三十日に対しまして最大四週間ということに押えたわけでございます。ただし、この法律案におきます第六条の買い取りの協議及び買い取りの結果、ただいま問題になりましたような税制上の措置というようなことが買い取り禁止期間を過ぎたあとにおいても当然有効でございますので、かりに二週間以内に話がつきませんでも、さらに価格の点その他について続行して協議が行なわれるということは一向差しつかえないわけでございます。事実、土地所有者が公共のほうにいってもいいということになりますれば、おそらく売買禁止がかかっておりませんでも、二週間以降においても元の契約を締結するということはないんじゃないかと考えております。
#34
○神沢浄君 そこで、ついでにお伺いをするんですが、何かこれは仄聞することで別に自信のあるものではありませんが、申し出の場合は、市町村、公社でなくて、県ないしは国の出先機関に申し出をさせるように指導する、こういうようなことがいまいわれているんですよ。そんなような考え方があるんでしょうか。
#35
○政府委員(小林忠雄君) 第四条の届け出の場合におきましても、あるいは第五条の買い取り希望の申し出にいたしましても、都道府県知事に対して申し出をする上いうことでございますので、公共団体よりも先にほかの国の機関等に申し出その他が行なわれるということはあり得ないと考えております。
#36
○神沢浄君 以上、いろいろお聞きをしてきたんですけれども、その論議を通じて私どもの立場から判断をいたしますのは、繰り返した言い方になるかもしれませんが、とにかくこの法律ではその法の目的としておる公用地の取得は非常に困難ではないか。もう少し、法律を出すからには、実効の期せられるようなやっぱりこれは法律に変えることが一番望ましいですけれども、そうでなければ、この法律がほんとうに生きるようなやっぱり運用を考えていく必要があるのではないか、こう思います。そうなってまいりますと、それじゃ何で機能させるかということになれば、これは現行においてはもう税制とのからみ以外にはないだろうと思います。こんな感じがするわけでありまするけれども、そこで四条との関係がありますからお尋ねをするのでありますが、いただきました資料、「公有地拡大推進法案関係資料」というのがありますね。この四ページに「全国市街地価格および消費者物価の推移」、こういう欄がございます。これでいきますと、ここ十五年間にわたっての数字があげられておる内容ですけれども、消費者物価のほうはこの十五年間に約二倍以上、ところが、土地価格のほうは大体十五倍から十六倍ということに受け取れるわけですけれども、そういうように読んでよろしいわけですか。
#37
○政府委員(立田清士君) ただいま御指摘の「全国市街地価格および消費者物価の推移」の表でございますが、この数字自体は、市街地価格につきましては、この備考にございますとおり、日本不動産研究所が毎年三月の時点で調べておられます数字でございます。消費者物価につきましては、やはりそこに書いてございますとおり、総理府の統計局のほうの調査による総合の消費者物価の指数でございまして、いま御指摘のとおり、たとえば市街地価格につきまして、ちょうど右から三番目の欄に用途地域別の平均がございますが、三十年を一〇〇としまして、四十六年三月は一六一四ございますから十六・十四倍、それから消費者物価のほうが、四十五年まででございますが、一九〇・五でございますから一・九倍でございます。そのように御指摘のとおり御理解いただいてけっこうでございます。
#38
○神沢浄君 消費者物価のほうは二倍弱のところへ、土地だけはどんどん上がって十五倍から十六倍という状況になってきておる。私どもの聞いておるところでは、本年の当初で全国で法人所有の土地というのは、金額にして大体十二兆五千億円、国の予算額よりも大きなような金額になるわけです。法人の全資産の五・五%くらいになり、全国土面積の一・二六%に達しておる、こういう数字のようであります。これに民間の不動産業者の所有するようなものを合わせますと、そこまでの数字は合わせ切れなかったのですが、これは膨大な、驚異的なものになっているだろうと思います。そのために、つい先ごろの新聞で報道されていたところですが、四十六年度の億万長者番付の上位百人のうち九十五人までが土地成金で占められている、独占をされている、こういう実態であるわけです。したがって、税金の問題に及びますが、分離課税等を中心にしたこの土地税制というのは、本来は国民に安い土地をということをねらいにしてやったわけだと思いますけれども、事実は、土地は国民の手に入るんじゃなくて、法人によって買い占められて、結果としては、いたずらに土地成金を、いま申し上げましたような状況につくり上げていってしまった、こういうことになっていると思います。この間、何か四十六年度のトップになった億万長者も、自分の土地を自分の会社に売って、そして、いわば税制の操作をしている。こういう状況を見まして、私はこの法律も零細な国民に安い土地をというねらいであったにもかかわらず、いま申し上げますような結果になってきておると同じように、あるいは運用のいかんによっては何か思惑買いをあおったり、あるいは土地不足感などによって、かえって土地の値上がりを刺激している。公有地を取得するのが目的であるにもかかわらず、かえって取得難を助長するような結果になりかねないのではないかという感じもしてなりません。そうであるとすれば、なおさら、やっぱりこの法律をつくるからには実効が期せられるように運営というものをやっていかなければ、これは全く意味がない、こういうことになるではないかと、こう思うわけであります。したがって、よほど積極的な姿勢で取り組みをしていかなければ、とうていこの法律の目的の達成というのは無理になってくると思いますが、そこで、一つの私は意見を提起しておきたいと思うでありますけれども、さっきも触れましたように、価格の点で抜け穴が出ておる、あるいは、扱いの点で切り売りでもしてしまえばそれはどうにも手がつかない、こういうこの抜け穴をどうふさぐか、どう押えていくかというところに今後の運用上の一番問題点がかかってくるのではないかと思うわけであります。
 そこで、第一点としては、公有地の確保のための値上がり待ちをしておるような法人が持っておる土地とか、あるいは不動産業者が持っておる土地とか、こういうものに対しても先買権がとにかく実効をあげられるような対策という問題、これは考える必要があると思うんですが、そういうような点についての構想をお持ちであるかどうかという点についてのこれが一つ。
 それから第二点の問題としては、その一つの手段というようなことになると思いますけれども、協議の際に、これは公示価格を基準にした一つの常識的価格というものを買い側の市町村、公社のほうでは設定せざるを得ないだろうと思いますけれども、その示すところの価格で売らない、法外な値段を出して、そうして協議の不調を初めから目的とする、背後には不動産業者というようなものが介在をすると、こういうような法律があってもいまのままでは手がつかないということでありますから、こういうものを押えていくためには、税制で調整をするという方法以外にはないのではないかとぼくは思うわけなんです。税制調整というのは、私は行きと帰りとあると思うのですが、一つは、あえてその協議を不調にして、取引が行なわれて、法人等が取得をした場合には、これに対して相当の税金をもって押えると、あるいは、今度は帰りの側では、この調査に協力をした場合には相当税制上の恩典を配慮する、こういうような運用上の対策というものを持たなければ、私はこの法律をつくるばかりつくってもあまり効果があがらないようなことにいまの情勢からするとなると思います。たとえば周囲の実態というものを見て、実感としてそういう感じを持つわけであります。そういうような構想をお持ちかどうか、どういうふうにお考えになっておるかと、こういうふうなことと、それから、何といいましても現在のところ金がだぶついておりますから、法人の側などが土地への投機的投資というものは非常にしやすい状況だと思うんですよ。金融機関は利息は下げるというようなことでもって、銀行から金を借りて土地を買うということになれば、今度は売った側の金はどこへも用いようがないから銀行へ戻る、法人はその金を借りて土地を買う。繰り返していれば、さっきちょっと申し上げたように、どんどん法人の取得する土地などは大きくなると同時に、土地価格は法外に刺激をされて上がっていく、公有地の取得などはますます困難になっていく、法律の目的とは全く逆の現象が生じてきてしまう。
 これではどうにもならないわけですから、それで第三点とすれば、法人の土地取得などは何らかのやはり姿勢を、たとえば、私はしろうとですからわかりませんけれども、市町村などが許可制でもとるようなことは考えられないか。法律には、その「地域の秩序ある整備」をはかるためということがあるわけですから、都市計画に、そういうようなものに比準して、何か市町村の許可制というような、こういうようなものがとれないものかどうか。
 いま申し上げましたような、これは私の考えとして、この三つの点くらいをどうしても配慮していきませんと、私は法律は意味ないじゃないか、こういう感じがしてならないのですが、それらの点について建設省、自治省、それから、それに関連して大蔵省あたりのひとつ御意見をこの際お聞きをしておきたいと思います。
#39
○政府委員(小林忠雄君) ただいまの法人の土地買いあさりの問題でございますが、土地対策と従来いわれておりまして、そのために都市計画法とかこの法律案、あるいはいろいろな税制等が考えられたわけでございまするが、従来その土地対策という場合には、大都市地域におきます宅地の価格の暴騰、それから庶民の住宅の用地の取得がなかなか困難であるというような、いわば宅地対策という面が非常に強かったわけでございます。今回問題にいろいろなっております法人の土地の買い占め問題というものは、どうもその問題をもう一つ越えた先の問題として展開をしてきておるのではないか。すなわち、先ほどの市街地価格の問題と消費者物価の問題ございましたですが、これは戦前から不動産研究所がとっております特定の県庁所在地以上の市街地の価格のデータでございまして、土地の価格問題は、もっぱら市街地における宅地の価格の問題、あるいは宅地になるべき土地の価格の問題というとらえ方でございますし、政府のいろいろな施策もそういうような点に重点があったわけでございます。しかし、いま問題になっておりますのは、むしろその市街化調整区域、さらには都市計画区域の外の全国土における土地の買い占めというふうに展開しておるわけでございまして、これは、ある意味から申しますと、新全国総合開発計画でねらっておりましたような国土の開発可能性が、国土の全域にまで展開をするというような政策が展開をされ、そのための手段として高速自動車国道の建設とか、あるいは全国の新幹線鉄道網の建設、あるいは地方都市におきます投資の増大、こういうようなことが行なわれる、そういうような開発可能性の先取りというかっこうで問題をとらえるべき問題ではないか。でございますので、従来の市街地における宅地に対する価格対策とか、これに対する住宅用地の供給対策という点とは別途の観点で何か施策を講じなきゃならないかというように考えております。その際問題なのは、実態がどうなっているのかということでございまして、これが将来の何らかの実需に結びついた事業用の土地の取得であるのか、あるいは開発、いわば公共投資におきまして予想されます開発利益を法人があらかじめ先に手を打って独占しようとしているのか、そこら辺の実態がわからないわけでございます。
 そこで、先ほど先生御指摘の統計は、おそらく和光証券の調査であろうかと思いますが、あの調査におきましては、まず事業用資産だけが対象になっている。したがって、不動産業者のたなおろし資産が対象になっておらないということと、それから現状の保有土地の分析でございますので、過去数年間に法人がどういう土地を、どういう目的で取得して、現在それをどうしているかという、やや経年的なことがよくわかりません。そこで、建設省では、東京証券市場の第一部及び第二部に上場しております各法人に対しましてアンケート調査をいま実施しておりまして、現在四割程度回収ができております。来月半ばぐらいまでにはある程度の集計ができるかと思います。その結果をもちまして対策を考えたい。その対策として考えられますことは、先生御指摘のように、法律上の規制の問題あるいは税制の問題、金融の問題等々、政府各省全般にわたるもんでございますので建設省だけでできるわけではないわけでございます。まず実態を把握したい、こう思っております。
 そこで、一つ税制の問題といたしまして、この法律に直接関係いたします御提案があったわけでございますが、公共に協力をして土地を売ったという人に対して税金を優遇をするという面につきましては、ごくささやかでございますが、先ほど大蔵省から御指摘がございましたように、まず第一歩を踏み出したわけでございます。そこで、著しく高い価格で土地を売ってもうけるということに対して何らか押えがきかないかということでございますが、これはむしろ増税の問題になる。そこで、従来いろいろ提案されておりまして、一昨年の地価対策閣僚協議会の検討事項として考えられておりますのは、公示価格を基準とした評価を著しく上回った売買が行なわれました場合に、その標準価格を上回った部分について禁止的な高率の税を取ったらどうかという提案がございます。これは現在検討しておりますが、この前提になりますのは、標準価格というものを一筆ごとに設定をするということが先決問題でございます。先ほどお答えいたしましたように、そういうような一筆ごとの価格をつけるということは公示制度ではできないわけでございまして、公示制度は、最終の形におきましても一平方キロに一カ所の三角点を設定するということでございます。そこで、これを一筆一筆ごとの評価に移すということは、やはり固定資産税の評価とか、あるいは法人税、相続税の評価というようなこととリンクをしなきゃならないわけでございます。この点については、同じ一昨年の地価対策閣僚協議会の検討事項といたしまして、地価公示価格を基準として課税の評価の一本化をはかるということが前提でございます。そのためには地価区域公示が市街化全域に行き渡ることが必要でございます。これが四十九年と考えておりますので、その時点以後の問題になろうかと考えております。
 それから法人の土地取得についての規制の問題でございますが、これは宅地開発の規制条例というようなかっこうで、ある公共団体等におきましてはすでに単独条例を制定をしているところもございますし、近く制定しようかという動きもあるわけでございます。しかし、所有権の制限というのは、憲法上、法律をもって定めるということが原則でございますので、何らかのこれについて私権の制限を伴うような形の介入を公共がいたします場合には、何か法律の根拠が要るのじゃないかというように考えております。この公有地拡大法は許可制とかいう点までいっておりませんけれども、やはり初めて私的な取引に対して公共が介入するという端緒をなすのではないか。したがいまして、こういう届け出制等の運用を踏みました上で、さらにより強い形の公共介入が必要であるならばその介入をどう強くするか。それから、この法律案では市街化区域の中だけに限定しておりますが、法人の土地取引等が市街化区域の外で非常に行なわれていて、これについて何らかの公的な介入をしなければならないということでございますれば、何か将来法律の適用範囲を拡大するというようなことが今後の検討課題になろうかと思います。
#40
○説明員(高橋元君) 神沢先生から御指摘のございました土地税制でございますが、先ほどの御質問にお答えしましてちょっと申し上げましたように、現在の土地税制では、主として都市近郊における未利用地でございますか、それを宅地として供給を促進するために長期譲渡所得を段階的に軽課して順次上げていく措置、それから短期の譲渡所得につきましては重課するということを個人についてそれぞれ講じておるわけでございます。その結果、当初の一〇%という軽課税率が昨年の末で打ち切られますことになりまして、本年から一五労になりましたために、昨年の秋以降非常に土地の譲渡所得がふえまして、先ほど御指摘がございましたように、四十六年の高額所得者というものはそのあらかたが譲渡所得によっておるということになったわけでございます。これは土地税制そのものが、宅地の供給を促進するという観点から長期の譲渡所得を軽課いたすということでございますので、それはそれなりに効果を生んだというふうに思うわけでございます。御指摘になりますのは、その効果を生んで供給がされたその土地が、宅地として利用されない状態で中間にとまっておるのではないか、ことに、それが法人の段階でとまっておるのではないかということであろうかと思います。
 そこで、法人が投機的な形で土地を保有するということが多いといたしまして、そのような場合には法人税を重課すべしという御議論がございます。もう一つ、それといま建設省からお述べになりましたように、持っておりました土地を売り払います際に、地価公示価格を越えて売った場合にはその分について重課するという御提案もございます。さらには未利用地ないし空閑地というものについて特別の課税をすべきであるというお考えもございます。私ども四十五年の地価対策閣僚協議会のときに、土地の仮需要の抑制、有効利用の促進、投機的土地取引の抑制、今後早急に検討すべき課題として承っておりますので、そのような観点から、土地税制の改善につきまして四十五年税制調査会でいろいろ検討をいたしたわけでございます。先ほど申し上げましたような各手段につきまして、それぞれ難点がございます。
 法人が取得いたしました土地につきまして、それを売り払って得た利益を分離して高率の課税をすべきだということにつきましては、法人の所得というものは、これは理屈めいて恐縮でございますが、一体として収入から出すべきもので、一部の所得だけを分離して重課するということはあまり好ましい方法ではございませんことと、法人が持っておると申しましても、いわゆるデベロッパーというものが当初土地を仕込みまして、それを適正な宅地に造成いたしまして、適正な値段で売り払う、その場合また重課が及んでしまうのでは有効な利用目的を阻害することになるだろう。したがいまして、そういう場合を考えますと、デベロッパーにつきましては何らか通常の課税という範囲内に置いておかなければなりませんが、デベロッパーは現在のこれは建設省の行政ないし法制の問題であろうと思いますが、デベロッパーにつきまして、これは資格の取得というのが比較的容易になっておるというように伺っております。それから、いかなる土地で、いかなる地域で、いかなる形態で、いかなる価格の土地を供給するかという全体の詳細な土地利用計画というものについて、まだ税制をもって強制いたすというところまで展開されていないのではないかということもございましたので、この点については見送りという形になっております。
 それから高価譲渡所得税については、建設省からお述べになりましたように、地価公示が進んでまいります時点で考えていかなければならないことかと思っておりますけれども、これにつきましても、土地の公示価格がかりに高いといたしますと、その高価譲渡所得税の徴収される分がそれだけ少なくなるわけでございますから、平素から保有課税の基礎になりますような価格とリンクしておきませんと、高価譲渡所得税によって強制しようという目的がそれだけ減殺されるという難点がございます。それと、現在のように土地の需要が非常に強い場合には、高価譲渡所得税そのものが買い手に転嫁されるということではかえってマイナスの効果になるのではないかということも考えておるのでありまして、そのような問題を考え合わせながら、今後地価公示制度の、と申しますか、それを中心といたしました公的な土地評価の適正化と一本化ということの上に立って、将来の問題として検討すべき課題であるというふうに思っております。
 それから利用規制の問題というのは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、現在の土地利用は、おそらく建築制度の観点から最低の余裕スペースというものを要求しておるわけでございましょうし、それから税制というものは、これは全国の税務署が一率に施行いたすものでございますから、その場合に未利用地、空閑地等によりまして土地の所有スペースというものについて重課するということになりますと、かえって密集というものを税制によって促進することになるかもしれないということでございます。先ほど私申し上げたように、税制は、確かに一体の法制、土地利用に関する規制なり誘導なり、全体の制度の一環として今後とも検討を続けてまいらなければならないものだと思いますけれども、その際に、やはり中心になりますものは、そういった不動産の取得利用ということについての法律制度だというように考えておりますので、建設省、自治省とも今後とも御相談をしながら検討を続けてまいりたいと思いますが、いま申し上げましたように、いろいろ税制上の立場からいたしますと問題のあることが多いということであります。
#41
○国務大臣(渡海元三郎君) ただいま主管省である建設省並びに大蔵当局から御指摘の点述べられましたので、特に自治省といたしましてつけ加える点はございませんが、本法律は、元来が地価対策あるいは土地対策そのものの根本に触れる問題でなくて、私たちは、あくまでも地方公共団体の公有地の獲得ということを中心にした法律でございますけれども、これが一昨年の地価土地対策閣僚会議の中の一つの手段として示されておるように、間接的には土地対策となり地価対策とならなければならない、また、そうなるであろうと期待していることは事実でございます。しかし、税制の面にいま御指摘になりましたような点もございますので、この法律の運用には厳に注意をいたしまして、いやしくも目的に反するような、むしろこれが刺激となって一そう地価を上げるというふうなことのないように今後十分留意いたしますとともに、本法律の中にあります、協議の最も根本になります公示価格を基準とせなければならないという事項も、公示価格制度そのものの、何と申しますか、法が期待しておりますような運用その他の完備をまって初めて行なわれることであろうと思いますが、本法案の運用を通じまして、各地方団体にあらわれてまいりますものを直接に的確に把握いたしまして、今後とも必要な部面におきましては関係各省と協議の上法改正に尽力する。そのことによって全般としての総合的な土地対策、地価対策に資し得るものにしなければならないと、かように考えておるような次第でございまして、今後運用の面におきまして、きょうも実は閣議終了後に、本委員会が開催され参議院においても公有地拡大の法案を御審議願うことになったということを建設大臣に報告いたしました場合、土地開発公社の運用という面についてくれぐれも強力に指導をしていただきたいという建設大臣の要望もあり、私も話し合ったような次第でございますので、御趣旨に沿うよう運用の面においてぜひ留意してまいりたい、かように考える次第でございます。
#42
○神沢浄君 もう時間もないようですけれども、この際、いま大臣の御答弁の中に出てまいりました土地開発公社の問題について、時間の許す範囲で若干お尋ねをしておきたいと思います。
 今度、この法律が施行された場合に新しくつくられる公社の問題はしばらくおきましても、現在すでに全国的には八百四ですか、このうち市町村は七百四十一になっているようですけれども、公社が存在をしているわけでありまして、私などの聞いたところでは、きょうまでの公社というものは、やはり土地先買いの業務をも行なっておることとあわせて、市町村のこれは行政上の問題にからみますけれども、やりくりとして、やみ起債の機能といいますか、そういうようないわゆるトンネル機関というような任務を果たしてきている面も多い。中には不動産業みたいなことにまで及んでおるようなものもある。こんなようなことを聞かされているわけでありますけれども、この法律によると、法の定める土地先買いの分だけは法によってつくられる公社の任務になっておるのでしょうけれども、従来あった公社には、まあほかにもいろいろ業務があったと思うのですが、そうすると、これは整理をするといいましてもほかの業務の分はそのまま残ってしまう。全国、公社だらけみたようなことになって、かえって何か末端の行政を混乱させるようなおそれもありはしないかという点が懸念されるところですけれども、この法施行と同時に、既存の公社の吸収整理といいますか、こういう点についてはどんなような指導を考えておられるのか、この点をちょっとお伺いしておきたいと思います。
#43
○政府委員(立田清士君) ただいまお話の点は、現在地方に公社がございますが、その中でも土地関係を主としてやっております公社が八百四という数字になっておるかと思います。それでこれらの公社は、現在は、御承知のとおり、いわゆる民法等の規定によります私法上の公社になっているわけでございますが、その運営の内容につきましては、それぞれ地域の実情に応じてやっておられますが、いま申しましたとおり、私法上の公社でございますために、そういう意味のやり方というものにつきまして、なお地方団体との関係が必ずしも明確でない点もございます。したがいまして、実は今度の法律におきまして土地開発公社を公法人として設けるようにしておるわけでございますので、実は実体的にはこの公法人、土地開発公社は新設になりますけれども、実体としては従来のこういう土地関係の公社というものの組織がえが行なわれることが予想されるわけでございます。したがいまして、法律においてもそういう組織がえ等の規定等を附則等に設けておるわけでございますが、そうしますと、現在の公社の中にいろいろございまして、八百四の中には純粋に土地だけをやっておられる関係もございます。それから、いま御指摘のとおり、それ以外の業務をやっておられる面もあろうかと思います。したがいまして、今度新しく組織がえをせられる場合に、今度の公法人の土地開発公社は法律の十七条にございますとおり、いま御指摘のとおり、先ほどの第二章の先買い関係の買い取りの主体にも公社はなりますし、それ以外に、土地の取得なり、造成関係、処分等についても十七条によって業務とされるわけでございますので、そういう意味では表現が適切でないかもしれませんが、土地に関連した業務は一応この公社で、新しい公法人で行なわれることになります。したがいまして、それら以外の業務につきましては一応この公法人の土地開発公社からは切り離されてくるということになります。したがいまして、そういたしますと、指導上の問題といたしましては、やはりこの土地開発公社に現在の土地を主体にした公社というのをできるだけ切りかえていただくように指導する、そういうことを地方団体にも要請していくわけでございますが、その際に、従来のそれ以外の業務というものをどういうふうにしていくかという点につきまして、これもいろいろあろうかと思いますが、その従来行なっている業務というものをもう一回見直していく場合もございますでしょうし、必要によりましては、他の業務につきまして、従来の既存のものとあわせましてどういうように別な形でするかということもいろいろ地域地域の御判断としてはあると思いますが、その辺の関連については、具体的な指導におきまして、私らもただいま御指摘のような点も踏まえまして十分に地方の実情に合うように、そして全体的には地方団体との関係を、公社との関係が明らかになってくるような方向において指導していきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#44
○神沢浄君 委員長、ここで時間の関係もありますから、あと二点ほど公社問題についてはお尋ねをして本日のところは終わるつもりですけれども、しかし、公社の問題というのはいろいろありますから、先ほどの保留さしていただきました申し出、届け出と税制との関係の問題、それから公社問題等についてはたいへん恐縮ですけれども質問をさしていただいて、あと二点だけお願いをしておきたいと思います。
 それで、この規定によりますと、「国、地方公共団体その他公共的団体の委託に基づき、土地の取得のあっせん、」ができるということになっておるようですが、そこで明らかでないのは、「その他公共的団体」というのは何であるか。それから国の委託の範囲と、国から頼まれさえすれば何でもできるかということでもなかろうと思うんですが、国のしたがってその委託に基づいて公社が行なえるところの範囲ですね、これらをちょっと明確に説明をしておいていただきたいと思うんです。
#45
○政府委員(立田清士君) 第一点でございますが、十七条の中の「国、地方公共団体その他公共的団体」とございますその「公共的団体」でございますが、これはいわゆる国の公社や公団や事業団等のそういう公的な団体ということでございます。
 それから第二番目の、その委託のされる業務の内容でございますが、その十七条のところに「土地の取得のあっせん、」それから「調査、測量、その他これらに類する業務」と申しますのは、いまの土地に関係いたします調査なり測量なり登記とか、あるいは設計も入るかと思いますが、そういうような内容になってこようかと思います。そこで、私から申し上げるまでもないことでございますが、土地開発公社自体の主たる業務といいますのは、当然公有地の取得なり、管理なり、そういう点でございますので、ここに書いてございますのは、まあ表現が適切でないかもしれませんが、一種の付帯業務といいますか、そういうような関係の、土地に関連したそういうことでございますので、実際の運営におきましては、先ほど御指摘がございましたとおり、委託があれば、それを何といいますか、本来の業務にやはり支障のかい範囲内で行なっていくというやり方になってくるだろうと思います。したがいまして、あくまでも土地開発公社としては公有地の確保という点が主体になってきますし、その趣旨に適合するような意味におきましてこういうような委託業務が行なわれる、こういうことになろうかと思います。
#46
○神沢浄君 私がお尋ねしました後段の問題は、国から委託を受けてその土地の取得のあっせんをする、国から言われればその土地の使用の目的が何であろうとも取得のあっせんができるのかどうか。国とただいいましても、やっぱりその使途内容というようなものが、一応のこれは使途対象の範囲というものがこれは定められなければならかいのじゃないかということです。国から言われれば何でも不動産業者みたいに土地の買いつけをするということではこれはおかしなことになるのですから、その辺をひとつ明らかに説明を受けたい意味でお尋ねをしておるわけです。
#47
○政府委員(立田清士君) ちょっと私の説明が不足だったかと思いますが、御指摘のとおり、土地開発公社自身がやはり土地の関連、もちろん公有地、あるいはその委託によっていろいろ仕事をやる場合におきまして、やはりその地域における、先ほど法案の趣旨にもございますとおり、「秩序ある整備」というような観点からの土地の利用あるいは取得というようなことを、利用をねらいにしました取得なり造成なり管理を行なっていくわけでございますから、そういう意味では、やはりこの土地開発公社が「地域の秩序ある整備」に適合するようなやり方で運営をされていくわけでございますし、そういう限りにおきまして委託があり、それに、土地開発公社が委託を受けて行なう場合においても、そういう観点からの配慮がせられていく、そういうふうにわれわれは考えております。
#48
○神沢浄君 これは私は明確にしておくことが非常に重要なことだと思うんですが、国が依頼をする場合にも、一つの範囲というか限定されるものがこれはもう明らかでなきゃならないのでありますが、たとえば、土地収用法なんかの関係におきましても公益を目的とするわけですね。したがって、一つの言い方ですが、国の委託するものは土地収用法の対象にかかわるような、それ以外のものではないとか、こういうようなやはり明確な基準というようなものが明らかにされておる必要があると思うんですけれども、そういう点についてどうでしょうか。この土地収用法をそれじゃ一つの基準に考えて、国の委託するものは土地収用法の対象の範囲内だというようなことが明らかになりませんか。
#49
○国務大臣(渡海元三郎君) 法律的に土地収用法の範囲内であるというふうに限定いたしますかどうか、この点私は法律、土地収用法のどう限定されておるかという点つまびらかでないものですから、後刻、できましたら事務当局から補足さしていただきますが、私が衆議院でも答えさしていただきました観念から申しましたなれば、本来、開発公社はその地域の都市づくり、住民のための土地取得ということが目的でございますので、国から委託される業務にいたしましても、その国の行ないます業務そのものが、その地域の住民の公共的な利益になり住民に直接関係のあるというものを委託される、それに限るべきものであると、かように考えておるような次第でございます。
 なお、法律的なことにつきましては、事務当局から必要あれば補足いたさせます。
#50
○政府委員(皆川迪夫君) ただいま大臣からお答えいたしましたとおりに尽きるわけでございまして、法律上は限定をいたしておりません。国と公社との関係でございますのでそう厳格に制約はいたしておりませんけれども、その趣旨は、当然この法律の精神からいたしまして、いま大臣がお答え申し上げましたような事業用の土地である。したがって、結果的には土地収用法の対象になるものがほとんどではなかろうかと思いますけれども、それに限定はいたしておりません。なお、公社の事業としては、いろんな資金の量とかいうような関係からいたしましても、そうむやみにたくさんの事業をお引き受けできるという状況ではなかろうと思いますけれども、その状況に応じて国にかわってそういうあっせんの方法などとれる、こういう措置を講じておいた次第でございます。
#51
○神沢浄君 末端のほうで懸念するのは、国から委託を受けて土地の先買いをした。何ができるかと思っておったら、基地になったり兵舎が建ったなんということではこれは困るんです。そういう点が非常に懸念をされているんですから、したがって、それらの点をやはりある程度明確にしてやる必要があると思いましてお尋ねしているわけなんですけれども、まあそれは公益のためだと言われれば何かおぼろげながらわからぬことはないんだけれども、おぼろげでは困るという、こういう懸念があるんですよ。したがって、国の委託するものは大体この範囲だというような点を、いまむずかしければ、この審議はまだ続くでしょうから、あとからでもいいですけれども、これをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
#52
○国務大臣(渡海元三郎君) 先ほどもお答えしましたとおり、国からの委託されます土地の取得にいたしましても、その土地の取得が直接住民、公共に関係のある、利益になるというようなものに限定されるべきであるという私たちの考えでございまして、いま御例示になりましたような基地とかそういったものは、私がいま申しました住民と直接関係のある施設あるいは土地の利用という範疇には入っておりませんので、私たちはそのようなものの委託は現在考えておりませんし、またそのように運営をしてまいりたい、かように考えております。
#53
○委員長(玉置猛夫君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#54
○委員長(玉置猛夫君) それでは速記を起こして。
 両案に対する本日の審査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#55
○委員長(玉置猛夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、稲嶺一郎君が委員を辞任され、その補欠として平島敏夫君が選任されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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