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1971/05/25 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第18号
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1971/05/25 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第18号

#1
第068回国会 地方行政委員会 第18号
昭和四十七年五月二十五日(木曜日)
   午前十時三十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     高橋 邦雄君     迫水 久常君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     迫水 久常君     高橋 邦雄君
     二宮 文造君     藤原 房雄君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     二宮 文造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         玉置 猛夫君
    理 事
                寺本 広作君
                増田  盛君
                占部 秀男君
                河田 賢治君
    委 員
                片山 正英君
                高橋 邦雄君
                原 文兵衛君
                神沢  浄君
                小谷  守君
                杉原 一雄君
                和田 静夫君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       自 治 大 臣  渡海元三郎君
   政府委員
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       建設大臣官房審
       議官       小林 忠雄君
       自治政務次官   小山 省二君
       自治大臣官房長  皆川 迪夫君
       自治大臣官房審
       議官       立田 清士君
       自治大臣官房審
       議官       森岡  敞君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
       自治省行政局公
       務員部長     林  忠雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       自治省行政局振
       興課長      砂子田 隆君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公有地の拡大の推進に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査
 (地方行財政等の当面の諸問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十四日、二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(玉置猛夫君) 公有地の拡大の推進に関する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○上林繁次郎君 土地の先買いについては昨年の秋ごろからいろいろな構想があったようです。その中で今回の法案が出てきたわけですけれども、今回出てきた先買い制度、これは根本構想、根本元建設大臣、この構想の変形である。こんなようなこともいわれているわけですけれども、この根本構想と今回の先買い制度との違いですね、建設省のほうからひとつお話し願いたいと思います。
#5
○政府委員(小林忠雄君) 法律的な法律案の内容につきましてのおもな点は三点ほどあるわけでございますが、その違いの出てまいります基本は、法律案のねらいといたします公有地拡大というものについての基本的なねらいが少し違うということであろうと思います。今回提案されております法律案は、公有地拡大と申しましても、地方公共団体が直接公共用地に使うというものをあらかじめ先行取得をする。そのために先買いの制度をつくる、こういう趣旨のものでございます。根本構想は、もちろんそういう点は入っているわけでございますが、さらにもう少し広く、一般に市街化区域の開発あるいは地価の安定対策というもう少し広い範囲のことを考えている。ですから、さらにもう一歩直接公共団体が使う用地以外のものにまで先買いの対象を広げている、こういうところでねらいがやや広いと申せるわけでございます。内容の違いの第一点でございますが、したがって、先買いの対象が、本法律案におきましては将来公共用地になるという予定地を先買いするということでございますが、根本構想におきましては、市街化区域の中にございます農地山林等の土地一般の売買について広く先買いをしようということで対象が非常に広くなっております。
 それから第二点は、法律の強制力の問題でございますが、本法律案におきましては、届け出をいたしましたあと公共団体がその土地を先買いいたしますのは、あくまで協議によるわけでございますから、本人の意思に反してこれを取得するというところまでは考えておらないわけでございます。根本構想におきましてはその先買い権に強制力を持たしている、最後は収用と同様な効果を持つような先買い権というものを考えているというのが第二点の相違でございます。したがいまして、そのうらはらといたしましての片方で強制的な先買い権がございますので、土地所有者のほうには買い取り請求権というのを認めているわけでございます。この法律案におきましては、第五条の買い取りの申し出と申しますのは、これは買い取り請求権ではございませんで、あくまでこれも協議によって買い取るということになっております。したがって、この第一点の買い取りの法律的な強さは、公共側も強いし土地所有者側のほうも強い、いわゆる先買い権も強いが買い取り請求権も強い。ところが、本法律案におきましては、公共団体側の先買いもあるいは土地所有者側の買い取りの申し出も、ともに協議によって成立するということで法律的性格が弱いわけでございます。
 それから第三点の対価の支払い方法でございますが、この法律案におきましては、原則としては必ず現金で払うということを予想しているわけでございます。根本構想におきましては、土地所有者の意思にかかわらず交付公債を強制的に交付するということを考えております。大きく申しまして、法律案と構想の内容的な相違は以上の三点でございます。
 そういうような三点の相違が出てまいりますのは、根本的にやはり公有地拡大の構想が、この法律案では直接の公共用地に限られているのに対して、根本構想におきましてはもう少し広い先買いを考えている。したがって、買い取りましたものを必ず公共用地にだけ使うというんではなくて、これを場合によりましては民間の住宅建設に払い下げるということを通じまして、住宅供給を直接ふやすとか、あるいはその際に地価のコントロールを入れるというような思想があるわけでございます。
#6
○上林繁次郎君 お聞きしていますと、いずれにしても根本構想というのはもう少し幅が広かった、こういうこと。もう一つは強制力があるということ。こういう問題からしても、何となく後退しているんじゃないか、こういう感じがするんです。ある一面からいえば相手の立場を尊重する、そういう意味からいえば後退とは蓄えないかもしれない、いろいろ見方があるだろう。いずれにしましても、一応いまの説明からすると何となく後退するという感じがするわけなんです。その辺をゆるめて今度出してきたという、そのいきさつといいますか、この法律をゆるめて出してきたその経違についてひとつ御説明願いたいと思います。
#7
○政府委員(小林忠雄君) これは根本構想の土地対策に対する効果についていろいろ議論がございまして、この構想を完全に実施いたしますと、いわば市街化区域の中におきます自由な土地の相対売買というのが全部なくなってしまうわけでございます。いかなる売買におきましても、市街化区域の中の一定の土地についてはすべて先買い権が行使される、あるいは、届け出義務ができるということになりますと、結果といたしまして、土地の売買というのが必ず公共を一ぺん通じてなされるということになるわけでございまして、これは結果として、米において行なわれております食糧管理法を土地において適用するようなかっこうになり、市街化区域に限りましては、いわば土地売買の公的管理が行なわれるということになるわけでございます。これがはたして宅地供給の増大にプラスであるかどうか、地価の安定にプラスであるかどうかという点につきまして必ずしも評価が定まらないということが一つございます。
 それからもう一つは、憲法上の問題がございまして、これは必ずしも不可能ではないという意見も相当有力でございますが、いわば根本構想というのは実質的には収用に通ずるわけでございます。憲法の二十九条三項によりますと、法律の定めるところによりまして公共の利益のためには収用できると書いてあるわけでございますが、そこで、公共の利益というのが、直接公共団体が何か公共施設の用地に充てるということについては問題ないわけでございますが、一般の地価対策として、すべての売買について介入をして、これを強制的に取得するということが公共の利益といえるかどうか。このような宅地なんでございますから、そのぐらいのことは当然公共の利益といえるんじゃないかという説もかなりございますけれども、従来、土地収用の概念がかなり厳格に解されておりましたので、直ちにそこまでこの際踏み切るのには問題があり過ぎるということで、まず憲法上の問題を避けた範囲内において問題のない範囲で提出をしたということでございます。
#8
○上林繁次郎君 この法律案によりますと、届け出、申し出、こういったことで、したがって、土地の動きということについてはこれは掌握できる、こういう利点はありますね。しかし、地主と地方公共団体の協議が成立しない場合は拘束力がないわけですね。ですから、そういう場合にどうするかという問題があるわけですね。これはあとで出てまいりますけれども、税の措置によってそれをカバーしようという、こういうねらいがある。その税以外に何かそういった点についての措置がなされる必要があるんじゃないか、こういうような感じがするわけです。税だけでは弱い、そのほかの何か対策を考えているのかどうかという点、その点をひとつありましたらお聞かせ願いたい。
#9
○政府委員(小林忠雄君) ただいまのところは協議によって、ととのった場合に買う。その裏づけといたしましては、一定の減税をするという範囲でございまして、それ以上のことはこの法律案の内容としては考えておりません。
#10
○上林繁次郎君 あとで税のことにつきましてはお尋ねしたいと思うのですが、そういう点で非常に弱いという感じがするのです。
 この買い取りにあたりまして、協議が成立したあとの届け出ですね、この場合に二週間以内に相手に知らせなければならない。こういったことなんですが、その事務上の手続上の問題。それが二週間ということですが、これはほんとうに二週間で処理できるかどうかということです。こういう問題は、実際にこの法律が施行された場合、実際に起きてくる問題ですから、その点どうかということ、その点どうですかね。
#11
○政府委員(小林忠雄君) 土地の譲渡の際の届け出義務及び先買いについて規定しております場合としまして、法律案第四条の第一項に第一号から第四号まで四つの場合を規定しておりますが、このうち一号から三号までにつきましては、具体的にどの土地にどういうものをつくるという計画があらかじめ法律的に公示をされているものでございます。したがいまして、そういうものを都市計画できめ、あるいは道路法、都市公園法等で公示をし、あるいは土地区画整理法に基づきまして公示しているという場合には、事業主体が大体きまっている場合でございますので、このような事業計画なり事業の予定地が確定しております分につきましては、届け出がありましたら、これは市がやる、あるいは県がやる、あるいは公社がやるということがわかっておりますので、その場合問題になりますのは、県が直接買う余裕がない場合に、それじゃ県の公社がかわりに買っておくか、あるいは市に予算がないから市の公社で買っておくかという判断だけでございますので、これはあまり時間的に問題はないと思います。
 問題は、第四号の面積が二千平方メートル以上の土地でございますが、この土地につきましては、事前にいかなる計画があるか、これはそれぞれの公共団体では持っておられましても、法律的なかっこうで確定をしておらないという場合でございますので、この際に、県、市あるいは公社間で計画が競合して、あるいは取り合いになるというようなことがありますと、その間の調整が二週間でできないというおそれもあるわけでございます。しかし、この買い取りの主体になりますのは、第二条の第二号で、「地方公共団体等」といたしまして、「地方公共団体、土地開発公社及び政令で定める法人」となっておりますが、ただいま政令で定めるものと予定しておりますのは、地方住宅供給公社、地方道路公社、日本住宅公団、この三つだけを予想しておりますので、結局主体が県、市、それから土地開発公社、これも県、市ございます、それにその他の公社、公団でございますので、数はおのずから限られている。そこで、届け出がありましてから、さてそれを何に使おうかということを裏のほうにそれぞれ照会をして希望をとっておるということでは間に合わないおそれがございます。しかし、届け出の窓口はこれは知事一本でございますので、それぞれの開発計画を、あらかじめそれぞれの公共団体、市町村あるいは公社というようなところから知事部局のほうへ希望なりあるいは将来のもくろみを登録しておきまして、こういう届け出があったので、これなら大体これに適当だろうと、面積、位置等から見てこれで適当だろうということを知事のほうで判断できるようにリストをつくっておく、こういう措置を講じてまいりたいと思います。
#12
○上林繁次郎君 今度のこの法律がもし施行されますと、買い取り価格は公示価格を基準にするんだと、こういうことになっているわけですね。公示価格はその時価の半分ないしは三分の一ぐらい、そのくらいの評価しか公示価格はしていないというんです。そこで、こういう状態では、私は目的はよくわかるけれども、現実の問題として、いわゆる公示価格が時価の半分あるいは三分の一ということでは、これはとうてい不動産業者に対抗することはできない、こういう心配があるわけですね。この点についてどういうふうに対処するか。一番最初にお尋ねしたのもそういう意味も含めてなんですけれども、どう対処するか。現実の問題として、非常にここのところはこの法律を施行する場合に大事な問題で、施行したけれども効果があがらないのでは何にもならない、その点ひとつ。
#13
○政府委員(小林忠雄君) ただいま公示価格が時価の申分ぐらいではないかというお話がございましたのですが、地価公示法によります公示価格というのは、自由な取引が行なわれました際に成立するであろう価格を公示価格として決定をするということでございますので、価格決定の際におきましては、近傍類地の取引価格から算定される推定価格、それから同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用、あるいは近傍類地の地代等から算定される推定価格、いわば三面から推定しているわけでございます。
 そこで、一般的に申せますのは、土地という商品の特殊性からいたしまして、ほかの商品のように一物一価という原則が成立しがたい。きわめて特定されておりますためにそういう原則が成立しがたいので、通常売り進みの場合と買い進みの場合、売り手が進んで売りたいと考えている場合と、どうしてもその土地を取得したいと買い手が思った場合との価格の差がその倍あるというようにいわれております。そこで、ただいまお話の時価と申しますのは、通常呼び値と称されるものでございますが、この通常呼び値と称されますものは、ある地域の中で買い進み価格の一番高いところが呼び値としていわれているのが普通でございます。たとえば非常に収益力の高い事業を営みます場合には、たとえば、銀行の支店をある特定の地域にどうしても建てたいとか、あるいは非常に交通の便利のいいところにガソリンスタンドを経営したいという場合には、その企業の収益から計算いたしまして、このぐらい出しても十分採算が合うという価格で買われる場合が多い。こういうような民間企業の場合には、もちろん収用権がございませんから価格で勝負をするよりしかたがない。そこで採算のとれるぎりぎりのところまで出して買うという例が多いわけでございます。そういたしますと、あそこが十何万で買ったということが付近一般の呼び値となりまして、これが時価と通常いわれておるわけでありますけれども、しからば、ほんとうに地主が土地を売る場合に、ほんとうにその価格で売れるかと申しますと、その値では売れない。そこで、地価公示の価格と申しますのは、売り進み、買い進みのほぼ中間のいわゆる中値を公示しているわけであります。そこで、土地を買いたいという公共団体とか公共側からいたしますと、まあ少し高過ぎるという批判も場合によってはあるわけでございますが、今度は、地主さんのほうから見ると安過ぎるじゃないかという両面の批判が現在あるわけでございます。
 そこで、実際問題としてどうであるかということでございますが、これは地価公示の価格を決定いたします際に、近傍類地の取引価格を調査しまして、これを一つのよりどころにするわけでございます。そこで毎年毎年同じ地点の公示価格を決定いたします際に、その周辺の取引価格というものを調べるわけでございますが、これは不動産の鑑定評価法によりまして、職業上知り得た秘密ということで外部へ公表できないことになっておりますが、われわれが地価公示価格を決定する際に知り得る範囲におきましては、地価公示の価格を中心とした評価で大体取引が行なわれている。しかし、こういうように物価がどんどん上がっている状態でございますから時点修正というのが当然あるわけでございます。大体その時点修正の範囲において取引が行なわれているというのがわれわれ調査した実態でございます。間々その時点修正をいたしましても、それよりも著しく高いというのがわれわれの調査したところで一件ほどございましたけれども、これはたとえばマンションを建設する場合に、まわりの土地は全部買ったけれども一人だけ反対していたというような場合に非常に高い例が一件ございました。大体ほかの事例を調べますと、公示価格に時点修正を加えた程度におさまっているということでございます。
#14
○上林繁次郎君 いまおっしゃったこともわからないわけじゃないですがね。現実に、法律は、その理屈のようにはいっていないのが現実であると思う。ごく最近現地の地方公共団体とも話をしてみたけれども、結局、その声は、公示価格というのは大体時価の二分の一あるいは三分の一くらいだと、こういう声なんです。ですから、とてもこれでは対抗できないという、こういう考え方を地方公共団体側では持っているわけですね、それが現実である。これは私の聞いた範囲ではそういうことである。そういうことですね。ですから、そこに心配が起きるわけです。そこで、そうなりますと、とてもこれは不動産業者等に対抗できるものではないと、こういう私なりの結論を出したわけですけれども、それはさておきまして、今度土地税制の減免措置、いわゆる特別措置を行なうということがこの法案に盛られているわけですけれども、それが三百万と千二百万である、こういうことです。で、三百万とした根拠といいますか、千二百万とした根拠、いわゆる三百万と千二百万の相違、どうしてそういう相違をつけたのかということではなくて、三百万円という根拠、それから千二百万円にした根拠ですね、それをひとつ聞かしていただけませんか。
#15
○政府委員(立田清士君) 御承知のとおり、現在の租税特別措置法におきましては、一番譲渡所得の特別控除の大きいのは、いま御指摘の千二百万円でございます。それ以外に六百万円、あるいは三百万円、あるいは百五十万円とか百万円とか、そういう段階がございます。そこで、今回の届け出によりますこの先買いの関係の特別控除につきまして三百万円ということになったわけでございますが、先般の租税特別措置法の改正で、すでにそういう点が定められておるわけでございますけれども、この点につきましては、やはり先ほど来お話がございましたとおり、現在の税制から見まして、対象になるその事業そのものの一番収用対象事業でありますものが千二百万円になっておりまして、そこで、今回の先買いにつきましては、先ほどお話がございましたとおり、一つのそういう届け出義務をされる、それに伴って、届け出によって実際の土地を持っている方のそのまあ強制力の程度と申しますか、そういうことを勘案されまして、それで現在ございますような三百万円のランクに位置づけたい。こういうことになっておるわけでございます。
#16
○上林繁次郎君 私がお尋ねしているのは、そういうことじゃないんですよ。それは、この間神沢先生のほうからもお尋ねがあって、それでお答えがあったんで、ある程度わかる。私の言っているのは、いわゆる三百万円、一千二百万円という、これを税制上の措置をするということは、それは言うならばこの法案の効果というものをねらっているわけです。そこで三百万円と千二百万円というランクができた。その三百万円とした――だから千二百万円を考えなくてもいい、一つだけにして、三百万円とした、届け出の場合には三百万円、申し出ですか、いずれにしても、こういう三百万円というふうにきめた算出根拠といいますかね、これはどういうところにあるのかと、こういう点についてお尋ねしているんです。
#17
○政府委員(小林忠雄君) 私は、大蔵省でございませんので正式に正確な根拠を御説明する立場にございませんけれども、沿革的に申しまして、この公共用地の取得についての税の減税措置というのは、オリンピックの際に道路用地を大量に取得をする、それをまあ促進するための政策的な手段として考えられたことでありまして、初めは、たしかいまの千二百万円に当たります部分が六百万円から始まったように記憶しております。そのときにまあ六百万円にいたしました根拠というのは、表においては必ずしもはっきりしてないわけでございますが、当時いろいろ議論をいたしました際には、いわゆるその立ちのかされる人が通常の住宅を東京都内で再取得する場合には、著しくぜいたくな大邸宅でない普通の家を取得するにはどのくらいかかるだろうというようなことが一つの目安になりまして、音時の物価から申しまして、まあ六百万円あれば一応のものが再取得できるだろうというようなことが一応根拠になって始まりまして、それがまあ物価の変動等によりまして千二百万円までだんだん上がってきたわけでございます。ところが、初めは収用の裁決があったものについてだけ認められてきたわけでございますが、この前の御質疑にもございましたような、最後までがんばって裁決まで持っていかれたものだけが優遇されるのはおかしいじゃないか、もっと前の段階で協力したものについてもこの範囲を及ぼすべきじゃないかということになりまして、だんだんその範囲が広まってくる、土地収用法の手続のもう少し前の段階まで広げる。それがだんだん広がってまいりまして、土地収用法の事業認定を受けた後のものはみな適用してもいいじゃないかというようなぐあいに範囲が広がってまいりましたのですが、今度は、それと対照的に、土地収用のようなそういう強権ではないけれども別途の意味の強制が加わっておる。たとえば区画整理のような場合でありますとか、あるいは古都保存法等によりまして、非常に事実上宅地としての利用が全面的に禁止されるような制限がかかっている。これについて、買い取り請求権を認めている場合というようなものにも似たような、本人の意思で何も好きこのんで売るのじゃないじゃないかというようなことにだんだん広がってまいりましたんですが、その際に、強制力の度合いを勘案いたしまして、それじゃ千二百万円だから半分の六百万円というランクができました。それよりももう一つ弱い範囲のものにさらに拡大をするということで、またさらにその半分の三百万円というようなランクが租税特別措置法で一応できたわけでございまして、その範囲にどういうものを入れていくかというのは、それぞれのケースの強制力の強さ弱さというようなものに比例をして大体当てはめるというようになっております。
#18
○上林繁次郎君 その辺のところは、いろいろと理屈がつけられると思うのです。そこで、先ほどから言っているように、この法律をつくる目的ですね。それはいわゆるいまの土地の値上がり、こういうものに対処して早く公有地を確保していきたい、こういうことです。しかし、先ほどから言ってきているように、公示価格の問題と時価の問題、そういった点からなかなかうまく進まないじゃないか、こういう心配がある。そこで、やはりこの効果をあげなきゃならぬですから、効果をあげるためには、いまお尋ねしたその三百万円の根拠は別としまして、けれども、その売る側としては、これはいずれにいたしましても、いわゆる公共用地として提供するという立場は変わりがないということですよね、そうでしょう。で、その公共用地を取得する側としても、これは何とか確保しなければならないわけですね。そうでない限り、法律要らないわけですからね。ですから、そういう効果の点からいうならば、また、同じように売る側とすれば、いわゆる公共用地として提供するんだと、おれのところの土地は。だから、そういう立場なんだから、これはあえて三百万円と千二百万円という、そういうその差別を、私は理屈をつけてそういう差別をつける必要ないじゃないか。全部千二百万円なら千二百万円でいいじゃないか。そのほうがいわゆる取得するにしても取得しやすいじゃないか。いま市街化されたところで、簡単にそれじゃ私のところは売りたいと、買い手がないから申し出しておこうというようなことで、こちらが考えているような、そういうなまやさしいものではないと思う、いまの土地問題は。ですから、その点は私はあまり効果ないと思う。そうだとするならば、やはり税制面での配慮があるというならば、その税制面に差額をつけるべきではない。千二百万円なら千二百万円出すということであるならば、そのところは、この法律によるいわゆる先買いについてはこれは一律に千二百万円にすべきである。そうあってこそ初めてこの法律の効果があがってくるんじゃないか、私はこう思うわけです。その点、どういうふうにお考えになっておるかですね。この間からも法律的なこういういわゆる解釈または説明というものは聞いておりますから、そういうことでなくて、いま私が申し上げましたことについての考え方について。
#19
○政府委員(小林忠雄君) 公有地を拡大するという政策のために税制を活用するという立場から申しますれば、したがって自治省なり建設省の立場から申しますれば、先生御指摘のような方向が望ましいと考えております。しかし、いまの租税特別措置法の背景が三段階に分かれておりまして、この場合だけでなく、いろんなケースが三段階に分類されておりますので、いまの税制の中にぶち込むといたしますと、そのいずれか一つに当てはめるということになろうかと思うわけです。その際に、まあいままでの考え方から申しますと、一番強制力が弱いというところで届け出の分が三百万ということになっております。しかし、毎年度の税制改正の例を見てみますと、変な言い方でございますが、三百万が六百万になり、六百万が千二百万になるというような年々増額するケースが毎年幾つかあるのが例でございます。われわれとしましては、この実施の状況等によりまして、さらにそういう方向について自治省と御相談いたしまして努力をしてまいりたいと思っております。
#20
○上林繁次郎君 申しわけありません、大臣どうですか、その点。
#21
○国務大臣(渡海元三郎君) ただいまの税制の面でございますが、税の制度から申しますならば、いま建設省のほうからお答えがございましたとおり、ランクがあるというのもいままでの経過等から考えましてやむを得ないと思いますが、公有地拡大というふうな場合を考えますと、できるだけ千二百万、いま上林委員御指摘のように買わせる。地主の立場に立ってみましたならば、どのような目的に使われようと、目的のいかんにかかわらず地方公共団体が使用する公共の用地として売ったんだということでございますから、私は、当然公有地を獲得する地方団体にとりましては減免措置の多いほどよいということになろうと思います。事実問題といたしましても、結局その特典等が、地方公共団体がどうしても買いたいという場合は、売り手、買い手の中で税の問題によって価格が左右される。その分は、地主のほうがまあ近隣の土地の例等を引きまして、同じ公共団体に使用されるんじゃないか、前のときはこれだけのものをもらっているが、自分のときはこうでないといったような観点から、結局地方公共団体が、減免の措置が少ないときにはその分と申しますか、当の価格の決定の際の要素になっておる。こういった実例を私たちもたびたび味わってきたのでございます。また、いままででも学校用地に使用する分をまだ県の段階では土地を買うことができない。市町村に委託され、布町村が委託を受けてやると、その場合は減免措置が当てはまらないというふうなときさえございます。それらの不公平と申しますか、売る側、協力する人にとっての分をだんだん、いま建設省からお答えありましたように地方公共団体の立場を考えながら税制組織の中に取り入れてきていただいておるというのが今日までの実情じゃなかろうか、かように考えております。そのような意味からいいまして、私たちの立場といたしますれば、不特定の使用目的であっても将来地方公共団体が使うんだということで先買い権を与えられ、その届け出によって獲得する土地というものに新しく三百万円という制度をとっていただいたのでございますが、実際の買い取りの際にあたりましたならば、できるだけ用途をその際に決定することによって、おそらく上のランクでの減免措置ができるような運用を行なえる場合が多いのじゃないか、こういうふうに期待いたしております。そのような運営の実情をながめましたならば、そういったむずかしい運用によってやっと高いほうの減免措置にかかるというよりも、法本来の趣旨であるところの三百万円そのものを広義に解釈していただくという実情に合わしての今後の努力をしていかなければならない。前にもお答えいたしましたように、特にこの際は申し出に対する減免措置がございません。協力する者がむしろ冷遇される不公平きわまりないというふうな形になっておりますが、本法案を提出するときには税制議論の立場もありまして協議ととのうに至らずに御審議を仰いでおりますような次第でございます。今後は少なくともすみやかに申し出による分も減免措置の対象に入れていただきたいというふうなこともあわせて努力いたしたい、このようなふうに考えておる次第でございます。
#22
○上林繁次郎君 そうしますと、これからこの法律が施行されますと先買いが始まるわけです。そうしますと、学校用地あるいは幼稚園用地ですね、こういうふうに使用目的、事業目的といいますか、これがはっきりしているものについては税制上の減免措置をすると言っておりますね。しかし、その使用目的が明らかでない場合、こういうことが出てきますね。そういうものの先買い、この二つのケースが出てくる。今後どちらのケースが多くて先買いされていくかという見通し、その見通しについてひとつどういうふうに見通されているか。
#23
○国務大臣(渡海元三郎君) 見通しの問題でございますから確たることは申されないのでございますけれども、先買いされる届け地の分は、いま申しましたとおり、この法文にありますところの二千平米というような、除いた部分は大体計画の示されたところが対象になっておりますので、おそらく予算の関係で県なり市町村なり現在は予算には上がっておりませんけれども、使用目的ははっきり、できるだけ安く買う、あるいは反面から言いましたならば、個人に対して税の恩典をできるだけ多く与えるという意味から使用目的をきめられるのではなかろうか。不特定の場合でありましても、いろいろの計画を地方公共団体は持っておりますけれども、現実に予算の関係その他でおくらしているのでございますから、目的その他は、現実の土地をながめながら、自分らの有する計画の中にこれを当てはめるべきではなかろうかというふうな配慮が行なわれるのではなかろうかと思います。そのような結果、私はおそらく高額の減免措置を適用される場合のほうのは相当多く出てくるのじゃなかろうか、このように予測いたしているのでございます。
#24
○上林繁次郎君 そうしますと、まあ先買いのケースとしては、いま申し上げたように二つある。そこで、当初使用目的がはっきりしなかった、そういうもののための先買いが行なわれている。その後にいろいろなケースがあると思うのです。当初はそういうことで先買いをやったけれども、相手を納得させて一応土地開発公社が、これが買い込んだ。そうしますと、しばらくして目的が明らかになった。これは学校用地となる、あるいは公園用地となる、こういうふうに使用目的が明らかになった。これは十年先にそういうふうになる場合もあるかもしれない。いまの時点からいえばそんなことはちょっと考えられない、十年先ということはちょっと考えられないかもしれないけれども、そうだとするならば、比較的早い機会に、使用目的が明らかでなかった、当初買うときは。だけど、尽日とは言わないかもしれないけれども、何年か後に、一年ないし二年後にいわゆる学校用地になった、あるいは公園用地になった、こういう場合には、この税の減免措置ですね、税の減免措置というのはどういうことになるのか、この点どうですか。また、あとで差額等を考えてあげると、そういう点について何か特別な考え方があるのかどうか。
#25
○国務大臣(渡海元三郎君) 大蔵当局が専門的に答えるのでございませんから何ですけれども、売買の時期におきましてそういうふうなことを含めて価格がきめられるのでなかろうか。したがって、後にきめられましても私は税の恩典はそれだけ浴するということは現在の法制上ではないと思います。また、なくても、おれの土地はこれだけの減免しかしてもらわなかった、しかしながら学校用地になった、あのときに学校用地になったのにこれだけだというようなことになりますと、そのときの減免がそれだけであったならば、またおのずから価格が違っておったのではなかろうか。こういうこともございますので、それに対する、何と申しますか、いざこざという点は私は比較的少ないのではなかろうか。これは私は、これらの具体的な問題を処理さしていただくことに対して、地方公共団体等いろいろ陳情等を受けました経過、それらの実態からいたしまして、大体それらを含んでの価格決定がなされるという姿でございますから、税の特典というものが買い手にとっての地方公共団体のためにあるのか、いま先生が言われましたように、地主そのものに与えられた特権と考えられるのかという点から考えましたら、むしろ価格の決定においては、地方公共団体そのものがいま申されました公共の目的に使用するために買いやすくするということのほうが大事じゃないかと思いますが、そういうふうな価格決定の姿からながめましたなれば、そういったいざこざは比較的起こることが少ないんじゃないか、かように考えます。
#26
○上林繁次郎君 まあ法律上でそういうふうに二つに分かれているわけです、いわゆる使用目的が明らかなもの、明らかでないもの。そこにおいていわゆる減免措置は変わってくるわけですからね。ですから、いまそういった意味で、この法律の上ではっきりしているものだからお尋ねをしているわけです。まあ大臣の御答弁で大体趣旨はわかります。わかりましたけれども、あえて申し上げておくならば、この使用目的が明らかでないというもの、そういうもののないようにするべきだと、そんなに長期に、十年も二十年も先のことを考えて買い込んでたらいいと、そんなゆうちょうなことはできないと私は思う。したがって、法律ではこういう二本立てのような形になっているけれども、買うときには、これは将来、いますぐではないけれども、学校用地あるいはまた公園用地という、そういうふうにいわゆる使用目的というものを明らかにして、そうしていわゆる地主との交渉をしてあげる、こういうやはり私は配慮が必要だろうと、こう思うんですね。そういう配慮があれば当然いま私がお尋ねしているような心配はなくなるわけですから、その点を、まあ大臣がお答えになったことで含まれているかもしれませんが、その点ひとつ。
#27
○政府委員(小林忠雄君) 法律案第六条の「(土地の買取りの協議)」でございますが、その第一項におきまして、地方公共団体等は買い取りの目的を示して買い取りの協議を行なう旨を当事者に通知するということになっておりますので、何だかわからないで買うということはないわけでございます。まあ公園に使うとかあるいは学校に使うということは言うわけでございます。しかし、先のことでございますから、用途変更、目的が変わった場合に、それじゃ買い戻しの請求権を認めるのかというような問題もございますので、法律案第九条におきましては、先買いいたしました土地をいかなる用途に供さなければならないかということで、九条の一項に一号から三号まで買い取りました土地の用途を限定いたしております。したがいまして、買い取りの際にできるだけ買い取りの目的を示すわけでございますが、将来事情変更によりまして、学校のつもりだったのが、いろいろな状態から見てむしろ公園のほうがよかったというような、公共目的間の流用というものは認めると、こういう仕組みにしているわけでございます。
#28
○上林繁次郎君 話は変わりますが、現在地方公共団体ですでに既存の土地開発公社あるいは協会みたいなもの、こういうものがあります。これは民法上の法人ということなんで、一般の市中銀行から自由に金を借り入れると、こういうことができるわけですね。それで、今度この法律によってできる土地開発公社、これもいわゆる事業資金の借り入れというような問題について、これもやはり自由にそういうことが行なわれると、こういうふうに考えていいですか。
#29
○政府委員(立田清士君) 御指摘のとおり、今度の公法人になります土地開発公社につきまして、やはり民間資金の活用ということがはかられるわけでございますが、そういう意味では民間資金の借り入れば公社自体できるわけでございますが、ただこの法律案にもございますとおりに、民間資金を借り入れる場合におきまして、地方団体との関係において債務保証ができるという規定も実は置かれておるわけでございます。したがいまして、そういう債務保証を行ないます場合を通じて、地方団体と土地開発公社との関係もいろいろお話し合いというものが、別に借り入れの総体についてのいろいろなお話し合いはあろうかと思いますが、たてまえとしては公社自体も民間からの潜り入れができると、こういうことになっておるわけでございます。
#30
○上林繁次郎君 現在の地方開発公社ですね、既存の、これは地方公共団体の業務を代行している、こういう形になっておりますね。だけれども、これは議会やまたその長の意向に全面的に沿わなければならないという、そういうものではないわけです。ですから、まあそういう姿は地方自治のあり方としてあまり好ましくないのじゃないか、こういう批判もあるわけですね。今回この法律によってできる土地開発公社というものはそういう批判を受けるような心配がないかですね、批判を受ける心配はないか。
#31
○政府委員(立田清士君) その点でございますが、この法律の中にもございますとおり、今回の土地開発公社は公法人として位置づけるわけでございまして、その地方団体の一つの――表現が適切かどうかわかりませんが、分身として土地関係の仕事を行なうということになるわけでございます。そういうわけで、ひとつの地方団体との関係を明確に位置づけまして、そうしてその公社自体に対します監督等につきましても、設立しております地方団体のほうで監督権を持つというかっこうになりますので、運営の面等におきましても地方団体とその公社との関係というのは明確になっておる、こういうことになろうかと思います。
#32
○上林繁次郎君 いま、それに関連しまして、今度法律によって土地開発公社ができたと、こうなりますと、その場合にこの当該市町村の起債のワクですね。この起債ワクというのはどういうことになりますか、これは変わりはない……。
#33
○政府委員(森岡敞君) 地方公共団体自身が土地を先行取得いたします場合には、御承知のように地方債計画で先行取得債というワクがございます。これはこれで従来からも拡充してまいりましたが、本年度も拡充いたしております。同時に、この土地開発公社等による先行取得を並行してやっていく予定でございますが、先行取得債ワクをどうこうということは全然ございません。
#34
○上林繁次郎君 その辺で私はちょっと納得できない。ということは、いわゆるこの法律によってできる土地開発公社ですね。これは、この土地開発公社におけるいわゆる債務ですね、この債務保証というのはいわゆる当該市町村で行なうんだと、こういうことでしょう。それで、そうなりますと、この土地開発公社にはこれは一銭も金はないわけですよ、実際には全部借り入れるわけでしょう。借り入れて、そしてそれによって事業を行なう、これもちゃちな金では土地のいわゆる先買いなんというのはとてもできるものじゃありません。私は相当膨大な金が必要だと思うんですよ。その場合に、それを保証するのはだれが保証するのか、当該市町村である。で、当該市町村は、いわゆる開発公社が借りた金についてこれは利息も払わなければならぬでしょうし、元金も返済しなくちゃならぬでしょうし、それが地方財政のいわゆる一般財源の中で、一般会計の中にそれがしわ寄せとなって必ず私は出てくるだろうと思うんです。その辺の配慮をしておかなければ、これは土地開発公社ができたって、たいした事業はできやしないという心配を私は持っているわけなんですけれどもね、そういう点をどういうふうに考えておられるかということですね。
#35
○政府委員(皆川迪夫君) ごもっともな御質問であろうかと思います。この点は、土地の先行取得をどういう形で行なうことがいいか、非常に議論のあるところでございまして、従来は、なるべく正規の起債ルートに乗せて、このワクをふやしていって土地の需要を確保していきたいと、こういう努力、考え方をしてきたわけでございます。しかし、御承知のように、適債事業として起債の対象になるためには、ある程度事業のめどが立っていなければならない、先行取得といってもある程度の事業のめどが立っていなければならないわけであります。ところが、現実の地方団体におきましては、将来のその地域における公共事業を想定をしていろいろな自主的な準備をしておるわけであります。これが将来公共事業として取り上げられてだんだんまいるわけでございますけれども、そういう準備の段階において、すでに土地を取得しておったほうがいいと、こういう判断のもとに発生したのがこの民法法人による土地開発公社でございまして、これが、いままでの実績から見ますと、かなりの土地を取得して公共事業の促進に相当の働きをしてきたと、こういう実態を私たちも見まして、この際、これをむしろ法制化していったほうがいいじゃないかと、こういう判断に立ったわけでございます。もちろん、先行取得というものが全部正規の起債ルートで処理できるならば、このほうが財政制度としては正しいだろうと思いますが、これは許可制度の限界というものがございまして、どうしてもその前段階になりますと、地方団体が独自の判断で処置したほうが合理的であると、こういうことになるわけでございまして、したがいまして、私たちは、この公社をつくりましたあと、これをどういうふうにして運用していくか、なかなか問題があろうと思います。いたずらに大量の土地をただ買い込むということであってはならない、同時に、その地域の整備計画というものを頭に置いてかなり果敢に土地の取得をしていかなければならないという面もあろうかと思います。その点は、地域の問題は議会等とも十分に判断をされて運用をしてもらうならば、この公社によって相当の前進を見るんじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#36
○上林繁次郎君 官房長が言われることはわからないことはないんですよ。ところが、現実問題としまして、たとえば人口急増都市、こういうところなんかは学校用地も公園用地も、とにかくあれもこれもほしいというのが実情なんですよ、実際は。ですから、いま官房長が言われたような考え方でこの土地開発公社を発足させれば、これは形はできても私はたいして効果があがらないと思う。そういう一例としてこの人口急増都市、これを例にあげてあるわけですけれども、もう相当な土地を必要としておるわけですよ。しかし、あまりにもいわゆる高過ぎる、だから買えないわけです。事業はやりたい、やりたいけれどもなかなか高くて手が出ない、こういうのが実情です。ですから、それをいわゆる公社ができて公社がそれにかわって買う、それは確かに買うことはできるだろう、その買うということ、それ自体については私はできると思う。しかし、それはただでは買えない、買う以上は膨大な金がかかる。そのかかった金はだれが保証するかといえば市町村が保証するのだから、市町村は年々これに対する利息を払わなければ、あるいは元金を返済しなければこの土地開発公社はパンクするということですから、そうでしょう、ですから、そういうケースが私は必ず出てくるということです。また、そういうケースが出てこなければ、この開発公社つくってもあまり効果あがらないんじゃないか、やはり相当な土地を買わなければならないようなケースが出てくると私は思う。その場合に、いま申し上げたような問題が起きてくるであろう、それについてどう手当てをするか、起債のワクを広げるとか、あるいはそのほかの何らかの方法を講ずるとか、財政面の。それでなければほんとうの効果はあがらないんじゃないかというのが私の心配なんです。
#37
○政府委員(皆川迪夫君) もちろん、先ほど森岡審議官のほうからも申し上げましたように、先行取得債そのほかの土地の取得債というものを、この公社ができたからといって、それに肩がわりしていこうという考えは毛頭いたしてないわけでございまして、いまお話のありました急増地域等におきましては、さらに先行取得あるいは補助制度というものを活用をしていかなければならぬ。しかし、そういたしましても、お話のように、この公社によって取得をした土地の金利という問題が起こると思います。この点は、建設省からも御答弁申し上げたと思いますが、将来の金利負担を公共事業費においてこれは見ていく、補助対象となる分はまた断然補助金として見ていくということでございますので、一時期地方団体の負担になるわけでございますが、これは将来は解消されていく。こういうことになってまいりますと、御承知のように、現在公共事業の状況を見てみますと、土地の取得ができないために事業をやりたくてもやれない、繰り越しになっていくという事態がたくさんございます。私は、この公社によりまして土地の取得が進んでまいりますと、これはなかなか国の予算全体との関係がありますからそう簡単にはまいらないと思いますが、むしろ公共事業を促進していく、土地の面から促進をしていくということにもなろうかと思いまして、もちろん、そうかといってむやみに買い込むわけにはまいらないといいますか、その辺のかね合いは、現実の行政の上においてある程度妥当な解決ができるのではないかと考えております。
#38
○政府委員(小林忠雄君) ただいま皆川官房長から御説明したとおりでございまして、昭和四十七年度の予算で建設省関係の公共事業費総額は三兆三千億円でございます。そのうち、いわゆる用地補償費に該当いたしますものが二三%余、約七千七百億円でございます。したがって、政府全体の公共事業費で用地補償費に充てられるものは、おそらく一兆円近く四十七年度は予想されるわけでございます。こういうものにつきましては、比率におきましても絶対額におきましても今後ともますますふえるのじゃないかと考えます。そこで、これだけの事業をいたしますのにどのくらいの面積が要るかといいますか、大体建設省の関係事業で四十七年度の事業をいたしますために一万二千ヘクタールの土地が要るのでございます。ところが、これだけの土地を予算がついてから、その年になってから買い始めたのでは予算を消化できませんから、現在では大体その土地の半分はその年に買いますけれども、年度の上半期におきましては、前年度以前においてすでに手持ちをしているものを充てるというのが実情でございます。そこで、後年度の公共事業である程度の約束をしたものにつきましては、半年複利の七分五厘に事務費を加えたものというのを補助金対象額に加えておりまして、現実に土地開発公社が先買いをしておられますものについては、現在建設省関係では全部そういうような金利負担をしているわけでございます。
#39
○上林繁次郎君 そうしますと、昨年、昭和四十六年度人口急増都市に対して学校用地買収資金の補助金を、これは国として六十億円だったですか、出しましたね。そういった六十億円を出したからといって、これはそれで十分であるというわけではないわけですよ。特にこういう土地関発公社をつくって、そして土地の先行取得をしていこう、こういうことになると、ますますそういう面での需要というものが大きくなってくる。そこで昨年は六十億という、これも学校用地買収資金ですね、として、それのみですね。問題は、ですから、その幅を広げてやはり補助金を出すという、考えるという、そういう考え方も必要じゃないか、こう私は思うのです。その点どうですか。昨年はいわゆる学校のための買収資金ですね、それに対して六十億円でしょう、補助金。今度はこの法律によると、学校だとか公園だとか、そういうものが入るわけですね。ですから、そういう面からいうならば、この六十億という補助金、それももっともっとふやして、法律にかなった、法律の効果があがる方向で考えた場合には、六十億ということでなくて、もっともっと補助をふやしていかなければならないのじゃないかと、こういう考え方をするわけですが、その点、どう考えられていますか。
#40
○政府委員(森岡敞君) 学校用地につきましては、御指摘のように、昭和四十五年度まではまあいわば市町村の財産取得だということで、全く国の財政援助はなかったわけでございますけれども、人口急増地域におきましては一挙に何校も建てなければならぬということで、それではなるまいということで新たに昨年から国庫補助制度を創設したわけでございます。本年は引き続きそれをさらに増額していただいたわけでございますが、御指摘のように、それだけでは十分とは考えておりません。引き続き、さらに大幅な拡充をしていかなければならぬと思います。同時に、先ほどお話がございました地方債の拡充なども通じまして、校地取得の円滑化をはかっていくということは引き続いてやらなければならぬ、かように思っております。
#41
○上林繁次郎君 まあ土地開発公社ができ、その資金の関係として事業資金の借り入れ、これはまあ公営企業金融公庫、ここからも貸し出すことになるわけですけれども、そのワクはどのくらい見込んでいるのか、その事業費に対する何%くらいの率で増加しているのか、あるいは金利の問題、また期限の問題、こういう点については、どういうようなことになっていますか。
#42
○政府委員(森岡敞君) 公営企業金融公庫から、新たに土地開発公社及び別途御審議をいただいております地方道路公社に対しまして四十七年度から融資をするという制度改正をお願いしているわけでございますが、融資額といたしまして、両方合わせまして六十億円という金額を予定しております。六十億円の内訳は、地方道路公社分に五十億円、土地開発公社分に十億円というふうな予定に相なっております。十億円という金額はこれはまことに些少でございます。ただしかし、土地開発公社は、先ほど来御指摘があり、また御答弁申し上げておりますように、民間資金の活用ということを主軸に考えているわけでございます。この改正案でも書いておりますように、一般の金融機関の融資を補完するというふうな形で公営企業金融公庫から融資をさせたいというのが第一点。それから第二点に、公営企業に相当するような事業を対象にしていきたい。第三点といたしまして、法律案が成立いたしまして、土地開発公社が発足いたしますのが年度半ばでございます。ことしは芽を出したというふうなことで、明年度以降その充実を考えていきたい、努力してまいりたい、かように思っております。なお、償還条件でございますが、土地開発公社分につきましては七年、うち二年据え置き程度で考えていきたい、七年間の償還期間で考えていきたい。金利でございますが、金利は、公営企業金融公庫の基準金利と申しておりますをもって貸し出してまいりたい。基準金利につきましては、昨年の政府保証債の発行及び縁故債の引き受け条件からいたしますと、七分四厘でございますけれども、御案内のように本年当初から金利がかなり下がってまいっております。したがいまして、七分四厘ではなくて、それをいま少し下回ったところで本年度の基準金利をきめ得るものと思いますけれども、政府保証債などの発行条件もなお流動的でございますので現在のところまだ確定はいたしておりません。
#43
○上林繁次郎君 あれはどうですか、事業費に対して何%くらいのあれを見込んでいるのか。
#44
○政府委員(森岡敞君) 先ほども御答弁の中で申しましたように、公営事業に相当するような事業というようなものを融資対象にしてまいりたいと思っておりますので、現段階ではその事業に相当するのはどの程度になるかということは十分予測しがたいのでございます。各地方の報告を求め、申し出を求めました上で、その見通しを立ててまいりたいという段階でございます。
#45
○上林繁次郎君 公社ができましても、何といっても公営企業金融公庫等金融公庫から貸し出すもの、これは言うならば良質なものであって、金利の安い、期限の長い、そういうものをこの地方公共団体としては、いま始まったことではないけれども前々からそれを希望しているわけですね。いわゆる事業費に対してどのくらいの率で貸し出すかという問題、これは一つの大きな問題点だろう、こう思います。ですから、この率が高ければそれだけいわゆる事業をやるにもやりやすくなるわけです。民間の資金をいま借りるようになっているという話がありましたけれども、それはわかるのだけれども、民間の資金というのは高いということで、それで何とか制度の金を借りたいというのが地方公共団体のいままでの願いです。ですから、これだけのいわゆる法律をつくって、そのまた効果をあげていこうということであるわけですから、当然その辺の貸し出し率というか、いわゆる事業費に対する何%を貸すのだ、この道路の場合には大体二〇%くらいじゃないですか。それをいわゆる率を高めれば高めるほど地方公共団体は大いに助かるわけです。そういった配慮をしてあげる必要がある、こう私は思うのです。その辺のところ、これから先の問題ですけれども、いまの御答弁ですと結論が出ないわけです。考え方としてはそうあるべきだと私は申し上げたいわけなんですけれども、その点、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#46
○国務大臣(渡海元三郎君) 四十七年、地方道路公社に対しまして初めて公営企業金融公庫から貸し出しますように、いま御審議を公庫法で願っておるようなわけでございますが、大体本年度、四十七年度の事業予定が二百二十億前後と聞いておりますが、それに対して五十億でございますから、約いま言われましたような額になると思います。それに対しまして土地開発公社――現在あります公法人でない分が現実に実施しております価格にいたしましても、四十五年度の決算で四千五百四十三億ですか、というふうな膨大な数になっております。私たち今回の法案を提出するにあたりまして、一方では、現在ありまする民間の法人を公法人としての土地開発公社というものに切りかえる。他方では、これに供給いたしますところの民間資金を、土地開発金融公庫とでも申しますか、公営企業金融公庫のような、これに供給するところの民間資金を、そういった全国的な民間資金の吸収機関を持つことによりまして、公営企業金融公庫が実際現在行なっていただいておりますような機能を発揮させるというふうなことも考えておったのでございますが、そこまでは至らず、行ないます事業のうちの公営企業に相当する部分、すなわち、土地の造成とかあるいは整地とかいったような公営企業に相当する部分を、現在あります公営企業金融公庫の中から土地開発公社にもするんだということで十億という芽を出したのでございますが、いずれにいたしましても、いま上林先生御指摘のような、市町村に対するできるだけ安定した、しかも低利なものを供給するという意味から、民間資金の活用の方法を地方公共団体にかわって一元化するようなものをまあつくりたいと、こういう希望には変わらないのでございますが、現実面といたしましては、現在金融市場相当緩和いたしておりますし、また、地方公共団体が現在直接民間から借り入れてます金利もそう高いものでなく、いま建設省あたりから答弁のございました、将来の公共用地として買い上げていただくというふうな、一般会計に乗せますところの予算の面と、十分手当てをし得るような価格で民間資金を活用できるというのが現状でなかろうかと思っておりますが、将来ともに安定した低利なものを私たちが弱小公共団体にかわりまして供給し得るような道を開かなければならないと、かように考えております。
 その一助といたしまして、一番現在金融の面で市町村になじみやすいいわゆる農協関係の資金、これの員外制限、この公社に貸し出す場合においては員外制限というものを取り払うんだということによりまして、機関にはなっておりませんけれども金融緩和の措置等をとらしていただいたというふうな次第でございまして、今後そういった特別の機関を必要とするか、あるいは公営企業金融公庫の業務内容を改正することによってそれを充実するか、あるいは、いまありますような員外制限の撤廃というような点、また、現在の金融状態のほうから公庫といった制度を設けなくても十分それらの資金需要を地方公共団体の手において直接民間から受け入れることができるかどうか、今後の推移をながめながら今後ともに努力してまいりたいと、かように考えております。
#47
○上林繁次郎君 いずれにしましても、いろいろ大臣お考えになっているようですけれども、政府の資金、これほど良質なものはないということ。ですから、考え方としては、そういった良質なものを多く出してやるべきであると、こういうことなんです。それがやはりどういう形をとっても、民間からのものは、確かに金利が下がってきておるということで比較的に安く借り入れができる、こういうことはわかる。しかし、期限の問題、こういう問題になってきますと、非常にこれが短期である、こういうことが言えるわけです。そうすると、短期で相当な金を借りた場合、これはやはりそのしわ寄せば、先ほどの起債の話ではないけれども、必ずそれが地方公共団体のほうに響いてくるわけです。そういう悪循環といいますか、そういうような形が予想されるわけですね。ですから、そういう意味でもこれは、大臣はいまお話のようにお考えになっているようだけれども、結局は政府資金を多く出してあげることが一番いいことだと私はそう思う。ですから、その点でひとつ御配慮を願いたいと、こういうわけです。
#48
○国務大臣(渡海元三郎君) 庶民の貯金、その積み立てになっておりますところの財政投融資におけるところのいわゆる運用部資金――政府資金、これが直接生活関連施設に使われる、これが最もふさわしい用途でございますし、そのために私たち毎年地方債計画でその部面の増額というものにつとめてきたところでございまして、ことしは相当地方債を出しておりますから、総額といたしましては、パーセントは下がっておりますけれども、絶対額におきましては昨年と比べて政府資金は三千億をこえる総額になり、ふえました。ふえ方にいたしましても四八%、これは現在の財政投融資、国の平均額三三%と比べまして相当大幅に上回っておるという状況で、現在の地方財政計画内における分はできるだけこれをふやしていくと、こういうふうに考えなければならぬと思いますが、私は、ここにあります土地開発公社、これらはいわゆるいままでの考え方によります財政投融資資金、政府計画、それだけの資金では現在のおくれております社会資本の充実、これはとうてい満たすことができない。要は、現在国の経済全般の中で民間に使われます資金を、今後の財政運営のあり方として、むしろ国の経済の全般の中で民間に使われておった資金を公共部門に多く振り向けていただく、これによって社会資本をふやしていく、これが今後の行き方でなかろうかと、こう思うのでございます。その意味から言いましたならば、この土地開発公社、地方道路公社、そういったものが、むしろ政府債というよりもその民間資金を大きな国の財政のワク内であって受け入れていただくということによって、おくれております社会資本が充実されていくんじゃなかろうか。また、それが現在の自然発生的な要求ともなって公法人というものが、自然発生的に民法上の公法人が生まれた、これが姿になっておるのでなかろうか。ただ、その民間資金の活用のしかたをできるだけ計画的に、しかも、各市町村の財政力の差あるいは財政運営力の能力によりまして差が生じないように、弱小団体に対して民間資金を公営企業金融公庫のような仕組みによりまして供給していくと、こういうような方向で今後研究していくのが私たちの立場でなかろうか、土地開発公社に対する資金の供給の道でなかろうか、このように考えておりますので、そういったような方向で今後とも努力していきたい、かように考えております。
#49
○上林繁次郎君 いずれにしましても、この効果をあげなければならないと思うのです。で、現在の地方公共団体で、その土地の取得、いわゆる公共用地の取得ということについては、もうほんとうに目の色を変えて、どうしたらこれが確保できるかということで非常に悩んでおるわけですよ。ですからそのための、今回の法律が、その効果をあげるための一環としてこの法律ができたと、こういうことなんです。
 そこで、自治省が最近行なった土地需要の緊急調査、こういうのがございますね。それによりますと、昭和四十七年から昭和五十一年度までの五カ年間で約三十三万ヘクタールの土地を地方公共団体等で取得する必要がある、こういうように見込んでおります。そうしますと、単年度においては六万数千ヘクタールの需要ということがねらいです。いわゆる五カ年で三十三万ヘクタール、単年度で六万数千ヘクタール、こういうものが必要だ、膨大なものです。これはいわゆる考え方としてはわかるけれども、しかし、考え方というよりも実際に調査の結果、地方公共団体ではこれだけのものが要るのだという調査の結果、こういったものが出てきた。これを確保できないということは、地方公共団体の事業がそこに支障を来たしてくる、こういうことだろうと思うのです。ですから、実際にこれだけの膨大なものを五カ年間でいわゆる確保していくだけの、この土地開発公社等の設立によってこれだけのものを確保していくだけの確信を持っておられるのかどうか、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのですがね。
#50
○国務大臣(渡海元三郎君) 確保しておるかと、もちろん予測でございますからわかりませんが、いま、四十五年の決算でも四千億をこえるような土地を私法人であるところの開発公社がやっておられる、その後の経過からながめましても、たしか四十六年度でも、大かた地方公共団体とそれから公社と合わせまして相当額の、一兆八千億ぐらいの買い取りをやっておるのではなかろうか。そのうちの公社の買い取り分が七千億以上のものに達しておるという実績をあげております。おそらくもう四十七年度では二兆円を地方公共団体直接と公社とで行なわれるのではなかろうか、おそらくそのうち一兆円ぐらいがこの公社によっての買い取り取得という姿になってくるのではなかろうかと、こう思います。そのような経過からたどりましたなれば、今日出ておりますところの、各地方公共団体からこれは直接要望を集めたものでございますが、この数字は、それほど計画は膨大になっておる。むしろ、これが実態というよりも、これだけは確保せねばならないという分でございますし、過去の実績から認めましたなれば、現在の民法上の公社でも行なっておったのでございますから、これをなお一そう、地方公共団体が必要に迫られ、無理をしてやっております事業を円滑に、しかも低利な資金の利用によりまして円滑に公共事業が推進し、これらの土地の確保ができるようにいたしますのが、むしろ今回の御審議賜わっております公法人にいたそうとする土地開発公社の意義でございまして、そのためにも、ぜひとも地方公共団体が必要とするこれらの土地をほんとうに計画的に買い取ることができますように今後とも努力いたしてまいりたい、これが私たちの本法案に対する期待であり、今後せねばならない努力である、かように考えておる次第でございます。
#51
○上林繁次郎君 いまの大臣のお話を伺っていますと、大体まあ可能性があるのだと、こういう感じなんですがね。で、昨年度ですかな、あの一兆八千億ですか、買い取ったあれがありますですね。こういうお話なんですけれども、したがってその可能性は十分あるんだと、こういう回答が出たわけですが、そこで私は、大臣がお考えのように全く可能性があって、そうしてこれが確保される、それを望みます。またそうでなければいかぬ。そういうことなんですけれども、そこで、金額の面からいいますと非常に低く評価されているのじゃないか。昨年度一兆八千億の買い入れをやったということなんですけれども、それはどういうところの土地を買ったのか知りません。資料をいただいておりませんからわかりません。少なくとも、いまどんどん発展しているような都市では地価というのは相当なものです。ですから、そういうものが私はあまり入っていないのじゃないか、こう思います。ということは、たとえば単年度で六万数千ヘクタールの土地を、三十三万ヘクタールに対して。そうすると、その資金としては一応二兆円が必要であるというお話、こういうことです。そうすると、二兆円ということは、いまお話がありましたように一兆八千億なんですから、そういうところから二兆円の考え方が出たと思う。ところが、私がいま言っていることは、どういう土地を買われたのか知らないけれども、ほんとうにいわゆるあれですね、いまどんどん発展しているようなところでは相当な地価であるという、そういうことを考えた場合に、私は二兆円という計算をはじいた、六万数千ヘクタールの土地を買い入れるのに二兆円というものを用意しなければならぬということ、こういう考え方、この二兆円という考え方がどういうところから生まれてきたのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
#52
○政府委員(立田清士君) ただいまのお話の点は、四十七年度から五十一年度まで五年間につきまして昨年調査をいたしました地方団体の土地需要のことであろうかと思いますが、この調査自体は都道府県と市町村全部の調査でございまして、それぞれの地方団体である程度の将来を、この五カ年間を予測いたしました数字でございます。したがいまして、実は先ほど御指摘の五カ年間に三十三万ヘクタール、あるいは金額にいたしまして十一兆円というような地方団体から出てきた数字でございまして、それでその数字を単純に五カ年間で割りますと、いま御指摘のとおり二兆二千億、こういうことになろうかと思います。そこで、地方団体のほうでこの調査をされます際に、実際に御自分のところでいろいろ将来の公共施設等の各種の計画をお持ちになっているところもございますし、それから、ある程度そういう具体的な土地を着目して、そこの状況を見て、いろいろこういう予測を実は立てておられると思います。したがいましてその土地は、先ほどお話のとおり、いろいろな土地がございまして、市街化が進んでいるところ、あるいは、そうでないところ、いろいろございますが、それを全部ひっくるめてこういうような数字になっておる、こういうことでございます。したがいまして、昨年の時点の予測でございますので、今後五年間の過程におきまして、具体的なそれぞれの年度において、また、その土地の価格等の問題は、具体的な問題としては、さらに価格がどうなってくるかという問題はあろうかと思いますので、そういう意味で、現段階では昨年調査しましたこの数字が一つのよりどころになるわけでございますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたとおり、この公有地を拡大していくという観点からいたしまして、それぞれ今後の五カ年間におけるいろいろなそういう実際の取得、これができるようにするような措置というものは、あわせて、その具体的な取得する場合の価格の状況あるいは面積等を勘案して考えていかなきゃならないという点は今後の課題としてはあろうかと思います。
#53
○上林繁次郎君 私がなぜこんなことを聞くかと言いますと、こういった計画といいますか、地方から吸い上げた資料によってこういう結論が出たんだと、それによって、もし誤りがあった、いわゆる考え方に非常に甘さがあったことになりますと、この実現というものは非常に困難になってくる、こういうことを憂えるわけですね。そこで、非常に雑な、わかりやすい計算をはじいた。先ほどどういう地域の土地を買って、一兆八千億というような土地を、どういう土地を買い込んだんだろうか、こういうことをさっき申し上げました。それはこういうことなんですよ。たとえば、発展しているところでは、都市ではそう簡単に一万や二万の土地はないんです、実際問題。そうしますと、これをごく下目に見て、たとえば単年度六万数千ヘクタール要るんだと、六万ヘクタールとしましょう、わかりやすく。それで六万ヘクタールというと一億八千万坪ということですよね。そうすると、一坪一万や二万という計算がほんとうにできるかできないか。それで私は、現時点において、この情勢からいって五万ぐらい考えてみようということで、五万で計算をする。そうすると、これは坪五万ということになると九兆円ということになっちゃいますよね。ですから、そんな非常に単純な計算のしかたですけれども、しかし、いまのいわゆる土地の値上がり状態からいって、このぐらいは見込まなきゃならぬだろうというふうな考え方は私なりに持っているわけですよ。そうすると九兆円、単年度で九兆円という金が必要じゃないかと、こういうことなんです。それは二兆円というふうに踏まれているというところに私は甘さがあるんじゃないかと、こういう心配があるわけですよ。そこでいまお尋ねをしているわけでございますけれども、この点どうでしょう。
#54
○政府委員(皆川迪夫君) 確かに土地の価格、場所によって非常に違いますので、この取得難といわれるような土地は非常に単価が高いであろうと思います。そういう点を十分に区分をしてあればいろいろ御参考になるお話も申し上げられるだろうと思うんですが、実は資料が全国一本になっておりまして、その点は、単価の高いところは面積が非常に少ない、単価の低いところをたくさん面積を買っていると、こういうことのために出ている数字であろうと思いますが、昭和四十五年の実績によりますと、地方の公社が買いました土地の単価でございますが、先ほど総額として四千五百億で、一万八千ヘクタール、平米当たり二千五百円ぐらい、二千四百円ぐらいであると、こういう実績が、四十六年にはちょっと百円くらい上がっておるようであります。これに対して、五カ年間の見込みとして出ておりますのは平米当たり三千三百円になっておる。したがって、これで買えるかどうかということになりますと、若干の値上がりは見込んでおるようでありますが、その点、土地の上昇率からしますと若干問題があるかもしれませんが、なおこの点は、非常にいま粗雑な資料でございまして、ことに、これを調査いたしました段階では、まだ景気振興のために公共事業をうんと拡大しようというような空気も十分に浸透してない時期でございましたので、この事業量そのものがかなりふえてくるんじゃないだろうか。また、その土地を取得する場所も非常に高額の市街地が対象になってだんだんふえてくるのじゃないかというふうに考えますので、まだそういう点御指摘のような資料上のなお検討を要する点があろうかと思いますので、これから先も十分注意をして、資金等において万全の備えをしていきたいと考えております。
#55
○上林繁次郎君 その点わかりました。で、先ほど申し上げたように、そういう心配もあるわけですよ。実際に地方公共団体から出てきた、吸い上げた、いわゆる資料によって一応計算すると、こういうことになると、まあそれでそのままうのみにして、国のほうはそのままうのみにした場合に、この非常にそごを来たしてくる。そういった心配があったものですから、まあこういった話をしたわけなんですがね。なお、この実態ということについては、特に必要なのはあれですからね、学校用地だとか公園用地、それは市街地の中に求めていくというのがほんとうの姿だと思うのです。とんでもない山の中の山林ばかり買い込んだって、これはほんとうに公共用地として役に立たぬということが言えると思いますね。ですから、こういう地方公共団体から出てきたその資料についての実態というものについて私はもっともっと深く検討するものがあるのじゃないか、こういうふうに申し上げておきたいと思いますね。
 そこで、問題変えますが、三十三万ヘクタール、五年間で必要だと、で、これはもう当然民間から買い入れるという、こういうものもあるでしょう。まあいろいろなケースがあると思う。そこで、私がお尋ねしたいのは、この三十三万ヘクタール必要であるというこれを充足させるために、国有地あるいは県有地、市町村有地、こういうものをどのくらい見込んでおるのか、その点ひとつ。
#56
○政府委員(立田清士君) 御指摘の点は、この調査におきまして、国有地どのくらい、あるいは公有地その他の土地をどのくらいというふうな調査は実はいたしておりませんので、この面では実は出ておりません。と申しますのは、この三十三万ヘクタールの五カ年の予測というものは、一つの地方団体として必要とする土地の需要ということでございまして、それをどういう面から供給を受けるかという点までの予測というのは非常に立ちにくい問題もございまして、この面では御指摘の点は出ておらない、こういうことでございます。
#57
○上林繁次郎君 まあお答えを聞いていると、調査をしておらぬと、出ておらないと、こういうことです。私は少なくとも、先ほどもお話がありましたけれども、この法律ができたいわゆるその憲法上の問題を配慮して根本構想よりも下回ってきたのだ、こういう答弁もあった。そこで、やはりどれだけかは民間のその権利というものを圧迫するという可能性がある。ですから、そういうこの民間にだけしわ寄せをするのではなくて、やはりこの三十三万ヘクタールの中には、これを充足させるためにはまず手っとり早いこの国のいわゆる土地が、国有地がどのくらい、あるいは県有地、あるいは市町村有地がどのくらい見込まれるのだ。そうすれば、あとはこのくらいのところでいわゆる民間から買い入れればいいのだ、こういう計算、まあそういう配慮というものが、私はこの法律が施行されてこれを効果をあげるためにはあらゆる角度から配慮をしていかなければならぬ、こう思うわけですね。そういう意味で申し上げたわけなんですが、今後ですね、まあ調査をしていないということならば、やはりその点も十分に調査をして、少しでも民間に圧力のかからない、しかも効果をあげていくという、そういう最大の方法を国としては考えていかなきゃならぬと、またその責任があると私は思うのですね。なお、このほか、たとえば不法に占拠されておる土地、こういうものも相当あると、こう思います。そういったものに対してどう手を打っていくか、それはやっぱり国有地あるいは県有地、市有地という、そういう言うなれば公共の公有地である、それをまず優先的にどう解決していくのだという、やっぱりこういう考え方が私は必要だと思うのですね。そうでなければ、いつでも民間にしわ寄せがくるというような行き方というのは、これは絶対にうまくないし、許されない、こう思います。その点についてどういうふうに考えられるか。
#58
○政府委員(皆川迪夫君) 公有地の拡大の考え方にあたって、その前提として、特に、既存の国有地あるいは不法に占拠されている公有地の活用をはかるべきであるというお考えについては私たちも全く同感でございます。ただ、土地の利用関係は非常に複雑でございますので、直ちにどれだけのものを地方団体として国有地に期待をするか、あるいは不法に占拠されておる土地の排除によって期待をするかというような資料をいま持っておりませんけれども、考え方としては、まさにお話のとおりであろうと思います。この法律におきましても、そういった土地の管理について特に注意しろというような精神規定を特に入れてあるのも、これから先における土地の取得、管理に対する地方団体に対する一つの考え方として示してあるわけでございます。お話のような趣旨に沿いまして、私たちもなるべく詰めた話をこれからだんだんと展開していって地方団体等指導していきたいと考えております。
#59
○委員長(玉置猛夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#60
○委員長(玉置猛夫君) 速記を起こして。
 両案に対する本日の審査はこの程度にとどめます。
 午後二時まで休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四分開会
#61
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#62
○委員長(玉置猛夫君) 地方行政の改革に関する調査のうち、地方行財政等の当面の諸問題に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#63
○和田静夫君 最近、公共企業体などにおいていわゆる不当労働行為というのがたいへん問題になってきておることは御存じのとおりでありますが、触れるまでもなく、国公法なりあるいは地公法では不当労働行為ということばは出てきません。労働組合法に規定しているような不当労働行為といういわゆる観念は現行公務員法体系下でどのように処理されているのか、まずお聞きしたい。
#64
○政府委員(林忠雄君) 国家公務員法、地方公務員法の体系は、通常の労働法の体系と違っておりまして不当労働行為という概念は法律上はとられておりません。これにかわるといいますか、これにあたるものといたしまして、たとえば不利益処分の審査請求とか、それから行政の措置要求というような形で、人事委員会なり行政委員会などで処置するということとなっておりますので、その体系に乗って取り扱っております。
#65
○和田静夫君 それで、現行公務員法に組合活動を理由とする不利益扱いの禁止規定は言われるとおり存在をいたしますが、労働組合法七条に規定する支配、介入の禁止やあるいは団交拒否を不当労働行為とする規定は存在をしません。そうしますと、これは公務員については使用者が不利益取り扱い以外の不当労働行為を行なうことを法的に容認しているということではなくて、この前提には、官は悪をなさずといいますか、そういう前提的な思想があると思うのです。そうすると、国や地方公共団体が、憲法二十八条の団結権の保障に当然含まれている不当労働行為禁止の趣旨をみずから侵すはずがないという前提、それでこうなっているんだと理解をいたしておりますが、この理解は共通ですね。
#66
○政府委員(林忠雄君) おっしゃるような趣旨と考えております。
#67
○和田静夫君 そこで、大臣に一言だけお聞きをしますが、いま福岡県庁で起こっている労使紛争について、いま二問やりとりをした前提の上に立って、どのように理解をしていますか。
#68
○国務大臣(渡海元三郎君) 人事管理という問題は、今日の行政を行なう上において最も重要な問題でございます。いま御指摘のとおり、不当労働行為という問題につきましては、法的には国家公務員法、地方公務員法にはございませんけれども、昇給、あるいは何と申しますか人事等を行ないますときに、人事管理をします面におきまして、これが最も公正に行なわなければならぬことは当然のことであろうと考えます。御指摘になりました福岡の件、どのように考えるかということでございますが、率直に申しまして、私も福岡でそのようなことが問題にされているということは、調査団等が参られ、国会議員の方々も多数参られたその際に、面会というふうなこともありまして、議員から直接、こういうふうな状態であるから面会できるように自治大臣としてあっせんしてはどうかというふうな御依頼がございました。私は、自分が国会議員と違って、こういう立場で、お会いしていただくように、あっせんと申しますか連絡をいたしましたことも事実でございます。そのような関係もあり、この問題につきまして一応いろいろな点を県等から事情の話は聞いておりますが、あるいは考え方によっては、そのような点で見解の相違と申しますか、そういったことがあり得るということはございますが、本来私は、具体的な問題につきましては個々の自治体でそれぞれで御判断願える、善処願えるという方向でございます。私たちが、疑問とされております点につきましては一応の答弁資料を得ておりますが、その具体的な事項について、私がこの席でいまのような意見につきまして、それが両方あります見解に対して、いずれが正しいかどうかということの意見の開陳は差し控えさせていただきたい。ただ、一応の状況等は、詳細ではございませんが、県当局からもお聞きし、また、一般的に私たちは常々いま申しましたような趣旨で人事管理が行なわれるよう各自治体に対しまして要望をしておる、こういう姿でございます。
#69
○和田静夫君 その福岡県で行なわれているいわゆる福陽会運動というのがあるわけですね。これは知事による不当労働行為かどうかということになりますと、これは自治省としても即座には断定をしがたい面があるとは思う。そこで、福陽会というものについて、私とあなた方との問でまず共通の認識をその前提に持ちたいと思うのです。そういう意味で、できるだけ主観的な判断を避けまして、客観的な事実を通して、あるいは客観的な事実に基づいて、以下、それを行なっていきたいと思います。
 まず、構成員ですが、福陽会の会則の第4条によりますと、「この会の成員は次に掲げるもので、この会の主旨に賛同し、所定の手続を経たものとする。」とあるわけです。「1、福岡県職員」「2、福岡県に勤務する国家公務員」「3、前各号の退職者」、こうなっております。で、そのほとんどは県の職員であるわけです。この点は確認できますね。
#70
○政府委員(林忠雄君) そのとおりでございます。
#71
○和田静夫君 次に、会長をはじめ、この福陽会の役員の中心に、課長補佐、次長クラスの管理職が入っています。このことはどうですか。
#72
○政府委員(林忠雄君) 入手しております名簿によりますと、会長一人、副会長三人、幹事が二十人近く、相当たくさんございます。そのうちで、管理職におられる方は数人見えられるように見ております。
#73
○和田静夫君 これも客観的な事実ですから確認はできます。
 それから、さらにこの福陽会は「ふくほう」という機関紙を出しておりますが、その四十五年七月一日号は、こう述べています。「県職労幹部の独善によって、暗くゆがめられ沈滞している県庁を「明るく正常なものにしよう」と立ちあがったのが「福陽会」である。」、このことばにはっきりしていますように、この団体は、県の職員の内部にできた県職労批判団体である。これも客観的な事実として確認できますね。
#74
○政府委員(林忠雄君) この「ふくほう」というものが福陽会の機関紙であるかどうかということにちょっと議論があるようでございます。というのは、福陽会の名前で出されているものではなくて、これは何か古川とかいう人の発行しているいわゆる新聞でございまして、ところが、この主張と申しますか論調が福陽会の考えているものと近いのかどうか、これを福陽会が大量に買い上げて会員に配布している。そういう意味で会報的な機能を果たしているようでございますが、福陽会自体が出しているものではないというふうに、これは情報として聞いておる次第でございます。それから福陽会が設立された目的については、いまおっしゃった日付にそういうことが書いてあるかどうかは存じませんけれども、大体おっしゃったような趣旨で、――趣旨と申しますか、福陽会は、現在の福岡県の職員団体のあり方に対してそれを批判するという立場に立っているようにも聞いております。
#75
○和田静夫君 そういうように確認ができますと、県の職員の内部にできた県職労批判団体ということになりますと、第二組合ではないかという疑問が当然起こります。はっきりそう断定できないにしても、少なくとも一面そういう性格を持っていることは否定できないと思いますが、これはいかがです。
#76
○政府委員(林忠雄君) この構成員が、先ほど先生の御指摘のあったように、福岡県の職員あるいは福岡県に勤務する国家公務員という、公務員あるいはその退職者ということでございますが、いずれにせよ、これは一つの任意団体のように拝見いたします。そうすると、その任意団体がどういう主張を持ち、どういうことを言うかということはいろいろな議論はございましょうけれども、地方公務員法にいう職員団体とはとうてい考えられないというふうに考えております。その任意団体の主張としては、福岡県庁の職場を明るくするということのようでございます。その明るくするということの中に、多分に福岡県の現在の職員団体の行き方に対する批判的な空気があったように伺っております。
#77
○和田静夫君 御存じのように、福岡県にはれっきとした県職労以外の職員団体、第二組合があります。その機関紙である新県職新聞のことしの一月十二日号で、樗木三郎という新県職の前委員長が福陽会について次のように語っております。「組織拡大について考え苦労した。」――いわゆる第二組合の組織拡大について苦労した。「いまの福陽会のようなものを作ろうという動きになったのが奥委員長時代の後半からで、それを私の時代に具体的に進めるということになった。しかし、それを新県職がやる私がやるということはできないので、当時の書記長であった薦野君(現福陽会幹事長)がやることになった。」。私はこの委員会で愛媛県における不当労働行為問題で質問したことがございます。その際、自治省の山本明前公務員部長は、かなりはっきりと、現にある職員団体の脱退工作、すなわち第二組合づくりを通じての人事管理は好ましいものではないと、この場所で明確に返答されました。福岡の新県職が当局の手による脱退工作によってつくられたかいなかについての実証はこれはかなり困難でありましょう。しかし、この新県職が組織拡大に苦労をして、その結果、管理職も含めた、法的には職員団体とは、いま答弁されましたとおりに言えない、そういう福陽会の運動に移っていった。このことは、いまの新県職の前委員長の発言で、読み上げたとおり明らかであります。したがいまして、実質的にはこれは当局の手をかりた第二組合づくりである。人事管理という当局サイドからの見方からすれば、第二組合的なものを通しての人事管理ということになります。大臣も答弁されましたように、これはやるべきことではない、そういうことになる。これは客観的に見て好ましい形ではない、こういうふうに思いますが、これは大臣、いかがです。
#78
○国務大臣(渡海元三郎君) 実は私、福陽会というものが、また福陽会のことについて議論が出ておる、それに対する県の、何と申しますか報告等は事務当局から報告を受けまして、ある程度概観的でございますが、承知をいたしておりますが、いまの第二組合の新県職と申しますかその存在、実は申しわけなかったのでございますが、いま御指摘になりまして初めて承知したような次第でございます。それの組織拡大という意味で福陽会をつくった、これは当局の人事管理だ、これは私は事実を聞きますのはいま初めてで、詳細に調べませんと、私がここでお答えすることは差し控えさしていただきたいと思いますが、いま申しましたように、お聞きしましたのは初めてでございます。ただ、第一組合、第二組合というふうなものが二つに分かれてあるよりも、人事管理上は、一体となって、正しい姿の理事者と職員組合という姿であってほしい、それが好ましい、このように考えるものです。
#79
○和田静夫君 公務員部長どうです。
#80
○政府委員(林忠雄君) いま先生の御指摘になられました第二組合の委員長でございましたか、だれかの談話というのは、あるということは情報として聞いております。もちろん私確認したわけじゃございませんが、しかし、第二組合が組織拡大に非常に苦労して、それから新しい道を求めたという推察も、おっしゃるように、文書からできるのかも存じませんけれども、そこへ当局の手がどれだけ入ってきたかということに対しては全く確認の方法がございません。報告としましては、当局は全くこの第二組合の組織拡大に、もちろんこの福陽会の結成その他には当局は関知していないという報告をこちらは受けておりますので、全く任意にできました団体が、任意にどういう目的をもって動こうとそれ自体には問題がない。そこに当局があと押しをしておるとか援助しておるとかいうことが明らかでございます場合は、おっしゃるとおり問題が生ずると思いますが、少なくとも、現在聞いておる限りは、当局はそのことについては知らない、こういう報告を受けております。
#81
○和田静夫君 この福陽会の事務所は福岡市天神四丁目一番二十八号久我ビル一階にあります。福岡県に勤務する国家公務員や退職者も少し入っています。四十五年十月二十四日、この前の知事選挙を控えた福陽会第二回総会で亀井知事はこういうあいさつをしておるわけですね。これは「ふくほう」に亀井さんの写真入りで載っていますが、「久しぶりに福陽会の皆さんの元気あふるる姿に接して心強く頼もしく思います。昨年、県職労の妨害を排除して福陽会が結成大会を開いてからもう一年にもなる。まったく月日の経つのは早いものです。亀井県政も軌道に乗り、実績を挙げて参りましたが、これも福陽会の諸君の協力のお蔭であり、困苦、圧迫にめげずこの会をここまで育て上げた竹内会長や幹部の皆さんに厚く御礼申し上げます。私がいまでもよくいうのですが、四十二年四月の初登庁に当っては〃敵陣の中にただ一人、落下傘で下りて行く〃感じだったのですが、いまでは私は一個師団の応援隊を持つに至った。私の心を心とし、公務員の本務に徹して県民に奉仕する福陽会三千の同志こそ私の親衛隊と確信し、誇りに思っています。庁内正常化は無論まだ百パーセント出来てはいません。が、峠は越しました。あとの峠はもう一度私が知事になることです。」、こう言っておる。
 この辺の「ふくほう」をめぐる選挙宣伝的なにおいの問題については、すでに私は四十六年度国家予算編成のときの予算委員会第四分科会で秋田自治大臣、あるいは前公務員部長の山本さん、あるいはいま北海道副知事である当時の選挙部長である中村さんと幾つかのやりとりをしておる。そして自治省は別室で協議までして、そしてその約束をされて、そしてこういう事態が起こらないような状態というものを第四分科会ですでに約束をしたわけです。私は、当然こういうものはやっておられるものだと思ったから、三月一日、二日、調査団がつくられて、先ほど自治大臣が言われたような形の調査におもむいた。そこで、私も加わって行ってみて、一年間何も予算委員会で約束されたことがされてないことに気づいた。これは、いまの大臣じゃなくて前の大臣のときですから深くは言いませんが、ともあれ、いま読み上げたような形で言っているわけです。この事実は疑いを差しはさむ余地がありません。ここから、この福陽会という団体は知事の後援会的な性格も一面兼ね備えていると言える、こういうふうになりますね。客観的に、私は主観も何も交えずに、こうやっているんですから、その事実関係については、共通のできる後ほど論議の広場を持つために確認をしておきたい。
#82
○政府委員(林忠雄君) 先生のおっしゃる知事の後援会的なという、その後援会の意味でございますけれども、昨年の先生の予算委員会での御議論は速記録を拝見いたしまして一生懸命勉強したわけでございますけれども、選挙に際してやはり知事の応援をするという、そういう目的を持った団体のように受け取り、また、そういうことがないようにという御指摘だったと存じます。それに関しましては、選挙の場合には選挙法の規定があり、あるいは地方公務員の政治的行為の制限のうちでも選挙に触れるような問題は、そういうことがあっては相ならぬということで、それに関して私の前任者あるいは秋田前自治大臣がお約束になったと思います。その後は選挙はないのでございますけれども、したがって、その選挙に関して知事の当選を目的として大いに活動する団体であるというような解釈は、いまとるかとらないかと言えば、その点については私もよくわからない。それで県政の運営方針についての施策を支持する、そういう意味の後援ということであれば、はたして後援という意味、活動がどういう具体的な動きとしてあらわれるかは別としましても、どうも福陽会の主張、活動は、知事の施策には賛成をするというような性格を持っておると、会則なりそれから行動なり見れば多分にそう思えるわけです。選挙に関する後援団体ということにきめつけるわけにはいかないように思うわけです。それからなお「ふくほう」という新聞が、亀井知事について常に知事の施策の支持をし、選挙にあたっては相当亀井さんを支持するような記事を出しておることは事実でございます。この「ふくほう」というものと福陽会というものの関係も、さっき申しましたように、直接福陽会の機関紙ではなくて、ただその主張が非常に福陽会に似ているというので、福陽会が買い上げて会員に配付しておるということで機関紙的役割りをしておりますけれども、この「ふくほう」の記事そのものは「ふくほう」の責任において報道し論評しておるのではないか、そういうふうに考える次第でございます。
#83
○和田静夫君 「ふくほう」の記事そのものよりも、言ってみれば、先ほど申し上げた亀井談です、亀井知事のいわゆる演説ですね。これはテープもあることですが、いま活字になっているものを読んでみましたけれども、同じようにテープがあるんですけれども、これは客観的には確認ができるわけです。そうして、いかに抗弁されようとも、私がもう一ぺん知事になることです、このもう一ぺん知事になることですということは、次回にも亀井さんとは共通の意見を日常的には持っておる、したがって、政策を支持をし、それに協力の約束をする、そういう意味での後援活動もあるだろうし、四年間を通して亀井知事選挙のための後援活動団体でもある、こういうことです。そういう性格を持っておるということは、まさに亀井知事その人の発言の中から浮き彫りになっておる。これは客観的にながめてのことですから、何もそこでことさらに否定をしなければならぬことじゃないでしょう。
#84
○政府委員(林忠雄君) その点に関しては理解のしかたが多分にいろいろあると思います。心情的に知事の施策に同感し、それを進めようということで県職員が言っているといたしましても、それは一向差しつかえないのでございます。それが四年間を通じて、次の選挙のための、具体的などういう動きをするというところまで発展をいたしますと、その動きいかんによっては問題が生じますけれども、そこまでのものではないんではないかというふうに考えております。
#85
○和田静夫君 ではないんだということになりますと、これはたいへん問題がありまして、そうであるがゆえにここで問題にしているわけですよ。ではないということは、まさに知事側あるいは県側の一方的なものをあなたは受け売りしているだけですから、それはそういう答弁はいただけないです。
#86
○政府委員(林忠雄君) おっしゃるとおり、ではないんだというふうに断定したら多分に行き過ぎであったかと思います。そういうことがあってはならないと思いますので、そういうことがあってはならないという気持ちがむしろそういうことを言わせたのでありますから、そう断定はできないんだというふうに訂正をいたします。
#87
○和田静夫君 そこで大臣、一つの後援会という性格を持った団体が、管理職を含めて県庁職員の中につくられている。これはいわゆるスポイルシステムを生むおそれが出てきていますね。これは好ましいものではない。ありませんでしょう、好ましいものではないでしょう。現に、福陽会への勧誘はどういう形で行なわれるかと言えば、加入すればよいポストにつけますよ、そういう形でそれぞれの福陽会員である管理職を通じて行なわれるわけですよ。この辺が非常に問題なわけですね、いかがですか。
#88
○国務大臣(渡海元三郎君) いま和田委員御指摘のように、後援会だということに解しましたら――私たちが受けております状態は、あくまでもこれは任意団体であり自発的な団体である、こういうふうな答弁を得ておるような次第でございます。先ほども申しましたように、その意味におきまして、そういうふうな県側のほうからの報告、また、これに対しては、そうじゃないという御意見もある。ただいまお話のことについて、議会等で意見が分かれておるということだけを承知しておるというような現在でございまして、これは、先ほど一般的な問題として答えさしていただいたとおりでございます。後段の、いま申されました、そのような団体に加入すればいいポストにつけてやる、私は、一番最初にも申しましたように、人事管理というのは、ある団体に加盟しておればいいポストにつける、そういったものによって左右されるものでない。あくまでも公正なる識見、能力によって行なわれるべきものであるということは先ほども申したとおりでございまして、もしそのようなことがあるとすれば好ましくない人事管理の方法であると、かように考えております。
#89
○和田静夫君 ちょっと労働省労政局長急いでおるようですからね、労働省にちょっとお尋ねをいたしますが、去る四十六年の十月十六日の県南ブロック居住者協議会のいわゆる亀井知事のあいさつがあるのです。それで、これはもう一つたいへんな問題を実は含んでいると思うのですがね。四十六年十二月十五日付の「ふくほう」に載っています。これで知事は三井三池の闘争を振り返りながら幾つかのことを述べているわけですけれども、「第三の決断は労働省の労政局長時代、三井三池の大争議のときに致しました。私は辞表を懐ろにして当時の柏村警察庁長官に会い、一万二千人の警官を動員しよう、血を流してもやむを得ない……という方針を語りました。警察庁でも私の決意に協力してくれ、動員計画もでき、当時の最高装備であった発煙筒の数万本の綿密な配備計画がきまりました。ところがその五日前に池田内閣が誕生致しまして、池田首相の特使として小坂善太郎氏が私のところに参り、〃亀井君、池田内閣の発足早々に血をみるのでは縁起が悪い、何とか流血の惨だけは避けてほしい〃との要請を受けました。私共は涙をのんで計画を取りやめましたが、三井三池争議はその後中労委の舞台において」云々と、そして以下述べているんですがね。これですがね、この「血を流してもやむを得ない」という判断は、亀井光個人のものですか、それとも当時の労働省のものですか。
#90
○政府委員(石黒拓爾君) 三池当時の詳しいいきさつにつきましては私は存じませんが、そういうような、亀井知事がそうおっしゃっておられるのですから、亀井知事個人としてそういう御判断をなすったこともあると存じますが、労働省の方針として決定いたしましたことは、御承知のような経過をたどって中労委を経て解決したということでございます。
#91
○和田静夫君 亀井さん個人だ、こういうことですね、率直に言えば。
#92
○政府委員(石黒拓爾君) 亀井さんの純粋に個人的な行為でありましたのか、それが労働省部内でどの程度相談されましたのか私は詳細に存じません。
#93
○和田静夫君 これは、少なくとも当時は、福岡県の知事鵜崎多一をはじめとして、関係者は流血の惨を避けるために全力を続けていました。それから炭労自身も、総評ももちろんそうでありました。それで、それを労働省は力による制圧という形で、亀井さんが言っているような形でもってきめているとすれば、これはたいへん表にあらわれていることと違っている。しかも、取りやめになった、この流血の惨事が回避されたことが残念であったと言っておられるわけです。これは亀井労政局長、いわゆる労働省というものの代表的な見解として述べられている。私はいたずらに過去を振り返ってみて質問をしているつもりはないのです。今日を含むところの今後の労働行政のあり方が、この機会にやはり明確にされなければならないから申し上げているのでありますが、どうですか。亀井さんの述べられていることというのは、あまりにも労働省の見解とは違っている、あまりにも専断的なそういう発言である、こういうふうにあなたは思いませんか。
#94
○政府委員(石黒拓爾君) 労働争議に際しまして、ときに違法行為が行なわれ、それに対して警察官が導入されるというようなことがございますが、こういう事態はできるだけ避けることが最も望ましいというのが私どもの基本的な考え方でございます。三池争議につきまして、亀井さんがどのように最近言っておられますか詳細には存じませんけれども、三池争議がああいう形で収拾されたということは私ども幸いであったと考えております。
#95
○和田静夫君 したがって、その亀井氏が、流血の惨事を招くべく用意をして、警察庁長官もそれに合意しておったのに、そういう事態が起こり得なかったというのはたいへん残念だという無謀な覆い方ですね。こういうような言い方というのは、言ってみれば労働省の見解ではない、こういうことに承っておいていいですか、今後の労働行政上。
#96
○政府委員(石黒拓爾君) 流血の惨を望むというようなことは、労働省としては今後とも絶対ございません。ただし、警察官導入ということは今後とも絶対ないかどうか、これは別問題でございますが、そういう事態は私どもできるだけ避けたいというのが労働省の態度でございます。
#97
○和田静夫君 そこで、ちょっと一言多い答弁ですが、警察官導入ということは絶対あり得ないかということについて、これは正当な労働行為、いわゆる労働運動そのものについて警察官の導入があってはたまったものじゃない。このことははっきりしておいてもらいたいと思います。
#98
○政府委員(石黒拓爾君) おっしゃるとおり、警察官が争議に介入するのは最も慎重であるべきでありまして、正当な労働組合の行為につきまして警察官は介入すべきではないと思います。
#99
○和田静夫君 労働省、それでけっこうです。
 そこで、前にちょっと戻りますけれども、先ほど大臣の答弁にもありましたように、三月の一日、二日に国会議員十五名を含む調査団が福岡におもむきまして、そうして調査をいろいろいたしました。そういう結果、幾つかの問題が出てきていますが、特徴的なことだけ、もう大臣時間ありませんから申し上げておきたいと思うんですが、昭和四十三年の九月に大規模な人事異動が行なわれ、このときの異動基準としては「原則として五年以上同一職場に勤務している者」とあった。これを無視して、平均在勤年数二年六カ月ぐらいの三名の組合活動家が転勤をさせられた。それから昭和四十三年、新採用の者に対して、福陽会所属の上司から福陽会に入れという勧誘が行なわれた。同君が、その後組合のビラを門で配ったところ、ビラ配りをするなと言われた。そうして四十三年十月から四十六年八月までの間にこれは四回異動させられておりますね。それから四十六年の八月に農政部で機構改革が行なわれて参事室が廃止をされました。そこにいた黒田副支部長、それから矢野部会長、松延班長、それから東というこれは専門技術員の資格を持っている人ですが、それから深川という、これまた五人の組合員が、各課長がそれぞれ一人ずつとるようにという、そういう農政部課長会議の決定に基づいて異動がさせられた。こういう状態があるわけです。それから四十六年の九月十三日の人事異動で、当局は秘密裏に「新採用者で本庁勤務三年以上の者は出先に出す」という異動基準をつくって、そして大平洋司君というこれは当時青年部長、それから伊藤正輝君という青年部書記長、それから佐藤君という、松山君というこれは農政部の班長であり、あるいは総務部の運営委員をやっていた諸君を配置転換、不当に配転をした。いわゆる基準からはずれている状態で配転をしている。あるいは七月十五日の県職労の統一行動――これは全国統一行動――に参加をしたそれらの西福岡財務にいる二人の人、一人は係長、一人は支所長、それが八月二十日付で降格をさせられた。こういうような人事があった。それから本庁支部の関係では、農政部各課長、係長人事について一〇〇%福陽会員で占めている。いままでの役付職員というのはこれらの人にかわって出先または企画主査、参事補佐の補職名で配転をさせられた。さらに昭和四十二年にさかのぼってみますと、職場交渉が三月三十日に行なわれた。その活動家を含めて職場役員の九〇%が福祉事務所を中心に直接顔を合わせることができないような形での配転があった、出先に向かって行なわれた、こういうようなたくさんの事実関係が出てまいりました。これらの状況というのは地公法十三条、十五条、これに明確に違反をしていると思われますが、いかがですか。
#100
○政府委員(林忠雄君) 御指摘になられたような異動が――異動が行なわれたのはもちろん事実と思いますが、その異動が御指摘になられたような理由で行なわれたとすれば、まさに公務員法上の問題が起きようと存じます。しかし、はたしてそういう理由であったかどうだかということは、私のほうではちょっと確認いたしかねます。もちろん、これに関しては、県側の報告としては、個々の場合について、この場合はああだ、この場合はこうだという報告だけは受け取っておりますが、それらを総括していえば、一応基準はあるけれども、本人の適性いかんによってはその基準に達しないので動かすことがあり得る、あるいは適材適所でもって動かした、おっしゃったような理由で動かした者はない、こういうふうな報告を受けております。ですから、異動自体がほんとうにそういう理由によって行なわれたかどうかということが確認できない限り何とも申し上げられません。事実そういう理由であれば、おっしゃるとおり公務員法上の問題であると思います。
#101
○和田静夫君 これは、私たちの調査の理由どおりであれば、いま明確になりましたように地方公務員法の違反であります。そこの部分、ちょっとあとへ残します。
 それから、山崎総務部長、自治省から行っていらっしゃる人だそうですが、この人が新聞にいろいろと発表いたしました。三月一日、二日、多くの国会議員の諸君に亀井さん会おうとしなかったわけですね。で、自治大臣先ほど言ったように、たいへん自治大臣努力をしたけれども、結果的には県知事は自治大臣の意向に沿わなかった。それは、彼に言わせれば自治だと、こうなるでしょうしあれですが、その状態をつかまえて、「この種の調査は国会議員による地方自治の侵害だ」と、こういうことを山崎総務部長発言をしておるんです。国会議員が自治体で何か起こったときに調査におもむくことが地方自治の侵害である、そんなふうに教育されて自治省から天下りさせたわけですか。
#102
○政府委員(林忠雄君) そんなことはないと思います。それから、そういうことが、はたしてそういう意味で言われ、また、どういうふうに受け取られたかは私のほうでつまびらかにいたしませんけれども、同じような趣旨の、福岡県議会において、山崎総務部長の発言というか、新聞の記事をとらえて質問をされたのに対して、知事の亀井さんは、それは自治体内部の問題であるから自治体自体が解決すべき問題であるという趣旨のことを言ったのだろうという答弁を県議会でしておられることを情報として受け取っております。当方がそういう教育をして地方に出すということは全くあり得ないことでございますから御了承いただきたいと思います。
#103
○和田静夫君 国会議員が持っている調査の権能といいますか、そういうものからいって、そういう調査活動、調査の行為というものが自治の侵害になるというのは、これは論理が少し間違っていますからね。この辺のところは、いまそういう趣旨ではないと言うんだからあれですが……。
 そこで委員長、これは提案でありますが、いまのやりとりでおわかりのとおり、地公法十三条、十五条違反は明確であります。しかしながら、自治省の側は、福岡県の側からはこういうふうにしか聞いていません、こういう答えでしかありません。この辺は詰めなければなりません。よって、この当委員会として福岡県に対する正式調査団の派遣を要請いたします。
#104
○委員長(玉置猛夫君) それは後刻理事会で決定しますから……。
#105
○和田静夫君 決定しますというのは、わかりましたと、メンバー、構成、日時を決定しますと……。
#106
○委員長(玉置猛夫君) やるかどうかということをまず理事会で決定します。どうぞ質問続けてください。
#107
○和田静夫君 いまのいきさつで明らかなとおり、委員会として事実を確認しませんと、地公法十三条、十五条違反問題が確定をいたしません。一方通行です。向こうのほうはこうだ、われわれのほうはこうだと言う。だからこれはぜひ、論理的にいったならば明確になりましたように、その事実があれば地公法違反でありますから、そこで調査団の派遣というものを私は強くこれを要求します。まあ取り扱いは理事会にまかせますから。
 で、同時に、自治省の側にあれですが、大臣いなくなってしまいましたが、現地の事情について報告を受けてる部分というのはかなり限られていますね。たとえば、先ほど私が新県職労と福陽会のつながりの問題を客観的な事実を中心にしながら述べたことは、大臣はおわかりにならなかった。この辺は公務員部長少し怠慢なわけだけれども、その辺のところを含みながら、いま私が申し述べたようなことを頭に置いて積極的にもう一ぺん博調査を自治省の側もされる、そしてその上に立って、まあこちらの調査団がどういうふうにきまるかの問題もありますが、強い行政指導といいますか、何らかの行政指導をやられる意思をお持ちですかどうですか。ここはまあ判断の問題ですから次官。
#108
○政府委員(小山省二君) いま御指摘のように、私ども自治省としては十分調査をいたしまして指導に当たることについてはもちろん、今後もそういう考えでいたすわけでありますが、事福岡県内の問題でございますから、まあできるだけ県が自主的にこういう問題はみずからの手で解決するというような方向でいかなければならぬというふうに考えております。いずれにしても、できるだけ私どもとしては、そういう問題がいつまでも県内の今後の自治行政に悪影響のないように、早期にこういう問題を円滑に片づけるように指導に当たりたいというふうに考えております。
#109
○和田静夫君 ともあれ私は、福岡県における労使紛争のおもな原因というのは、先ほど来労働省側ともやりとりをしましたけれども、ああいう考え方にあらわれている亀井知事の基本的な考え方といいますか、体質といいますか、この方が労働省出身なるがゆえにたいへん私は残念なんですがね。こういうような考え方でもって日本の労働行政というものが進んできておったのかと思ったら、まありつ然とせざるを得ない、そういうふうに思うんですが、ここに大先輩おすわりでありますが、おそらく自由民主党の理事として、これは調査団の派遣について協力してもらえる立場にあると思う、そういう意味で。人事管理制度といった他に類を見ない組合活動スパイ制度、過酷な処分、組合活動に対するきびしい規制、不当労働行為、こういうものがね、あげつらうと、たくさんできるんですね。言ってみれば、労働行政の裏の裏を知り尽くしているというその人、その人がさか手にとっていまやっているのですよ、こういうことというのは許せないですね。同じ官僚の立場にあった人として、あなた方もこういうけしからぬことは許せる状態でないと判断をされていると思う。したがって、私どももさらに綿密な調査を通じて具体的な事実というものをなお明白にしていきます。
 私は、二、三日前に再度福岡に行ってまいりました。きょうは警察を呼んでおりませんが、県警の警備部長との間で幾つかやりとりをしたことで、そうして向こうは取り消されましたが、たいへん重要な言質を持って帰りました。で、向こうがいま約束を守るかどうかということで、これを委員会に出すか出さないか私は判断をいたしますけれども、ともあれ、それはどういう形でもって県警察、そして福岡県が動いているかということがやりとりの中で大体明らかになってきています。それらの問題についても明確にするつもりです。したがって、自治省としても強力なやはり行政指導というものを、いま次官がお約束になったような形で労使慣行の円滑化という方向に向かって努力をすべきだ、これは意見として強く申し述べておきます。
 で、その一つのあらわれとして、このことを一ぺん指導されたらいかがかと思うのです。遠賀福祉事務所において藤――これは四月の異動ですでにさっと動かしてしまって、その辺は実に亀井さんたいへん巧みなんです。で、本庁にいま帰していますが、この所長が組合員に対して暴力行為を行なったことがあります。それが係争中であります。検察の手にゆだねられていますけれども、そうすると、三月一日に行きました調査行為、このうちの一、二の職員が、事前に県側との話がついて、明日調査団が来る、したがって私はその水先案内になります、これは正常な組合運動のルールに従ってやりますから、オーケー、これはもう所長として調査に応じて会います、こういう形で、言って見れば通常の組合活動をした。そのときは何でもなかった。ところが、後刻ですね、この地検に預けられている係争中の事件の言って見れば反対的な一つの告発を行なうということで、三月一日のその調査行為というものに加わった組合員は藤という所長に対して――遠賀福祉事務所長に対して暴力事件を起こしたなどというような形で折尾警察にこれを告発をした。そして、いまこの遠賀福祉事務所は非常に不正常な職場の状態にあります、県民サービスという状態から見て。この告発を取り下げさせるような指導をすべきだ。そうして福岡県警は、実は二十三日の委員会が予定をされていましたが、しかし、法案の審議に入るというのできようまで延びたのですが、その委員会の成り行きを見守りますという約束を私としているのでありますが、ともあれ、そういうことを一ぺんやってみたらどうだ。これは藤氏の意思でなされた行為でないことは明らかであります。県の幹部との協議に基づいて、しかも、たいへん戦術的な考慮が払われて、福岡地検にではなくて、折尾警察に告訴を出させる。そして、あとから出た告訴のほうを先に進ませるということによって一定の政治的効果をねらうというところまで配慮されています。実に巧みです、これも。で、こういうことは私は許せないと思う。藤さんの発想でもって、藤所長が自由な意思でやったというのならまだ考える余地がありますけれども、こういうふうにやりましたという形のことを県の上層部が新聞記者を集めて発表しています。県の意思であります。しかも、この県の意思は、それぞれ捜査当局との結びつきにおける意思であることも、きょうはこれ以上そこの部分は突っ込みませんが、明らかになってきつつあります。そういう点についてどうです。調査の上、先ほどの次官の答弁と同様に指導をされる意思ありやいなや。
#110
○政府委員(林忠雄君) この遠賀福祉事務所においてあまりよくない事件、不祥事件があったということはもちろん存じております。告訴合戦というとちょっとことばが悪いんでございますけれども、双方から、所長が暴力をふるった、あるいは組合員が暴力をふるったということで告訴をされている事実も聞いております。いずれにしましても、これは現在告訴をされておりまして、その取り調べは司直の手にゆだねられているようでございまして、私は、警察当局という、福岡県ではもちろん福岡県警でございますけれども、司直の警察当局というものはその間の取り扱いは当然公平に行なうべきであろうと思うし、また、公平に行なっておると信頼をしておりますので、この告訴になった事件につきましては、そちらの取り調べの進展を待って処するのがいいんではないか。これに関する言い分というのは、実は私も県側あるいは組合側両方から伺っておりますが、たいへんお互いの言い分がそごをしておりまして、一体事実がどうであったかということは私のほうで正確にはつかみかねますので、その点は専門家の手にまかせるのがいいんではないかと、こういうふうに考えております。
#111
○和田静夫君 この告訴問題というのは、その事件は違いますからね。後者の藤所長がやっているのは、そんなものは事件になりませんからね。たいへん乱訴のきみがあります。したがって、この辺はもう一ぺんもう少し正確に調査をしてもらいたい、いいですか。
#112
○政府委員(林忠雄君) 私のほうでは、地方団体のこういう問題についてはできるだけ正確な情報を入手いたしたいと考え常に努力をいたしております。ただし、やはり調査には私のほうも限界がございますので、先ほど先生が御指摘になった人事異動の理由などにつきましても、これは調査しようということで聞いてみましても、おそらく言い分は常に一〇〇%違うであろうということがございますので、まあこちらの指導としての限界というのはやはり常にあるわけでございますので、地方団体のことでもございますし、特に地方団体の労使関係というほんとうの内部問題につきましては、これはできる限りこちらの介入を待たずに労使双方の話し合いできめていただきたいという気持ちは常にございます。それに及ばぬ部面について、できるだけ私のほうが両方の言い分を聞き、事実をできるだけ正確につかむための努力をするということは、いままでもしてまいりましたし、今後としてもいたしたいと、こう考えております。
#113
○和田静夫君 もちろんそうです。労使問題を当事者同士が解決するのは当然のことです。それから自治省にも限界があると思う。したがって、委員会として調査団が行くのが一番至当だと、こういう結論に私は立ち至っているし、賢明な地方行政の委員長は、そのことを了として後ほど理事会できめられると思いますが、この福岡というのは何といっても異常なんですね。なぜ異常かといいますと、正当な労働組合運動に対してすぐ一一〇番ですよ。このまた訓練も行き届いているんですよね。どの理事者もどの理事者も少し――たとえば二時間という約束が二時間二十分ぐらいになってくると一一〇番です。こういうことなんですね。これはもうとにかく話にならぬですよ。この辺は強く、警察は軽挙盲動するな、一一〇番で動くなと言ってこの間話をしてきましたけれども、ともあれ、たいへん異常な状態で、そういうものが基本に流れているということ、この辺はやっぱり排除していく努力を、客観的に見えるものから注意をしていくことを続けませんと、異常な状態がますます異常になると、そういう感じがいたします。
 そこで、三月一日に、先ほど言ったような形で正当な組合活動をやったのを賃金カットすると言い出してきたわけです、報復手段として。こういう問題がある。で、賃金カットの問題については、もうすでに判例があるところです。より近い賃金支給日、そこでカットができなかったなら、もうカットするほうが不法ですから。ところが、これまたいろいろ考えて、誤払いがあったから返してくれ、こういう形になって、しかもそれは四月段階においては、いや一応まあ、ということで話がついた。そうしたら、今度はまた五月段階に、三月にさかのぼってもらう。これの違法性は明確だと思うのですが、これは自治省の見解はどうですか。
#114
○政府委員(林忠雄君) まず、賃金を差し引くという問題につきましては、これは組合活動であればやはりその間の賃金は払えないことになっております。賃金を受けながらやれる組合活動の範囲は一応条例その他できまっておりまして、それに該当しない場合は賃金は払えない。それで、その払えない賃金はできるだけ近い月から引くのがたてまえでございますから、すぐその間の事情その他の調査がつけば、次の月給から引くというのが通常のやり方でございますが、その間の調査その他がおくれて次の月給、さらにその次の月給を払ってしまった場合は、今度はその翌々月ぐらいから引くことは引きます。ただし、賃金を払うべきものでないのを払っておりますから、それを返してくれという返還要求という形になるわけでございます。したがって、この際返還要求をするのは法的には問題はないというふうに判断しております。
#115
○和田静夫君 ペイされるべきものでないものをペイしたんなら話は別ですよ。しかしながら、その人の行動というのは条例上許されるところの行為であった。したがって、問題にならなかったわけですよ。ところが後ほど、さっき言われたような形のことが起こってきたから、あわてて作業に入る、こういう状態でしょう。それなら、三月一日の問題なら三月のペイするときに初めから引くつもりなら引けるわけですよ。しかし、当初はそういう空気ではなかった。ところが、だんだん交渉でもってその人の問題が問題になり、組合の中で問題になっていったら、管理者側は非常に異常になってきまして、それじゃ報復措置としてということで――三月一日の事件じゃない、当日のことに思いをいたして、そこに手を入れる、こういう形になっているわけです。この辺は十分に調査をして対処をしていただきたい、強く行政指導をやってもらいたい。なぜ、こう言うかといいますと、私は現地の所長、新しい所長と会ってきました。現地の所長もかつて第二組合で運動をやられた人のようであります。しかし、この所長は、いまの状態というものは不正常な状態であるということを、まさにこれは紳士的な話し合いの中でお認めになりました。それから正常さが取り戻されなかったならば県民に対するサービスということができないという事態も認められた。また、私が調査に来たということを上司に報告をすると。その報告をするときに、所長としては最後に、ともあれ、藤前所長の告発は県の意思でもあったと理解できるからそれを取り下げるように、現場の新しい所長としては職場の正常化を取り戻すためにそういう上申をいたしますと約束をいたしました。したがって、客観的な立場に立てる状態にある人はすべてそう思うんです。しかし、当事者たちはもう頭にきてしまっていて、そういう判断ができない状態になっていますから、客観的な立場に立って、もちろん限界はありましょうが、そういう形の自治省としての調査を通じながら、やはりあるべき姿についても検討してもらいたい、そういうことが私は好ましいと思うのであります。
 この問題の最後に、最後といってもどうせ委員会はずっと続きますが、きょうの最後として、財政力の弱い自治体における労使紛争、その裁判等の費用ですね。ちょっといま賃金カットの問題について、もしあなた方の見解が私の言うように改まらないとするならば、私ども残念ながらどこかで一ぺん判例をつくる以外にないでしょうから、どこかで争う、賃金カット。言ってみれば、純粋な解釈をめぐって争うということも考えなければいかぬと思いますが、労使紛争で裁判等の費用ですね、これを特別交付金という名目で見ている事実はありませんか。
#116
○政府委員(林忠雄君) 賃金カットの問題につきまして、そのカットの命令が、たとえば県の当局が報復的だとか、おこってやったとかというお話でございましたが、その間どういういきさつがあったかは存じませんけれども、純粋に法的に見る限り、組合活動に従事している間は賃金は払えないというのが正しいわけでございますから、調査に立ち会うのが組合活動であればやはり賃金カットをするのが正しいのではないか。カットが間に合わない場合には、あとで払い過ぎの返納をいたすのが正しい措置であるというふうに考えます。
 それから、特別交付税で財源手当てをするかということでございます。実はこれ財政局所管の問題でございますので私のほうからでは筋じゃないかもしれませんけれども、まあ財政局に問い合わせてみましたところ、特にそれを取り上げてということでやることはない、やはり全体的な財政需要の中にそういう金がかかったという事実は考慮するということは必然あるという話でございます。
#117
○和田静夫君 これは前細郷財政局長時代にも、私はここで広島県の庄原の例をあげて実は同様の質問をしたんです。ところが、そういう事実はないというお答えがあった。ところが、いままあ考慮しているという答えになってきました。で、事実これは好ましい状態じゃないんじゃないですか、これは。こんなことで、言ってみれば、さっきから自治の問題、自治の問題ですと、こう言ってるわけでしょう。当然労使間でやりなさいと、そう言ってるわけでしょう。それは裁判問題になる、そしたら、財政力については自治の問題じゃなくて自治省全体が配慮をするという立場に立つ。財政の問題で配慮をするという立場に立つなら、何で行政の問題についてあなた方もっと強い指導できないんですか。そんな片手落ちはないでしょう。財政の問題では理事者側の一生懸命しり押しをしておいて、行政の面からいったならば、全然それはかってにやりなさい、こういうことになるんじゃないですか。とにかく自治省の中でいま飛び切り上等の公務員部長ですからね。
#118
○政府委員(林忠雄君) 特別交付税という制度は、一つの財源調整という制度でございまして、それぞれの財政需要に対して地方税の分布がアンバランスであるために、その間を調整するのが交付税制度でございます。で、通常のルールに乗るのが普通交付税としていき、それから通常のルールに乗らないものを、その他一体どういう財政需要があったかということを考慮した上で特別交付税の配分をきめている、全く財政だけで受けとめているものでございます。しかも、かかった財政需要をまるまる全部一銭も余さずにそのまま認めるということでは当然ございませんで、その団体の財政力、それから、特にその年災害を受けたとか、特に金がかかったとかという財政需要全体を見渡した上で、この程度の財源措置が必要だという純粋な財政上の立場からやることでございますから、これによりまして労使紛争の片一方のあと押しをすると、そういう意味ではございませんし、純粋の財政問題として、税源のアンバランスと財政需要との間を埋めるという作用もやってるんだと、こっちのほうは承知しておる次第でございます。
#119
○和田静夫君 たとえば、あなた方がそう言っておっても、青森県の鯵ケ沢の町長、これは有名ですがね、これは町の職員組合の現職の委員長を消防署の第二分隊長に発令した。もちろん当然拒否した。そして免職処分になった。裁判になった。これはめちゃくちゃの免職ですから、組合が勝つのはあたりまえです。そうしたら職員組合長が勝った。そのときの言いぐさがふるっているんですよ。町長は、町民の血税を裁判費用に充てない、県地方課、自治省で十分配慮されることになると、こういうふうに言っているんです。まああなた方、敗訴したほうに対して十分な財政的配慮をしてやったということになる。これは長崎市の江迎町といいますか、ここの事件でも同じです。そういうような発言があるんです。この辺はやはり私は十分な検討を必要とすると思うんです。
 ともあれ、委員会としての調査団派遣問題というのが、いま理事会が開かれるまで結論が出ませんから、この問題について預けながら、福岡県のいま起こっている異様な労使紛争の問題について、やはり客観的な立場に立ち得る者がそれぞれ強い努力をしているということも側面的になければ、この異常さは異常さを生んでいくということになりますから、この辺はひとつ十分にわきまえた努力というものを求めておきたいと思いますが、次官いかがですか、その点は。
#120
○政府委員(小山省二君) 十分今後の指導に当たりたいというふうに考えております。
#121
○和田静夫君 五月二十二日の朝日新聞に、「北陸電力がはじめて計画した能登原子力発電所建設に対する賛否を建設予定地地元民の住民投票で決めようという、全国でも珍しい石川県羽咋郡志賀町赤住地区の住民投票が二十日行われたが、投票終了の直後、約一カ月も事態を傍観していた石川県が開票ストップを働きかけ、同夜の開票は中止となった。」、その辺のいきさつをちょっと詳細に……。
#122
○政府委員(宮澤弘君) 私どもも新聞で見た限りでございまして、それ以上の詳細な事情をいまここで申し上げる資料を持っておりません。
#123
○和田静夫君 これは、新聞で見られたら当然行政局長、行政局振興課長の談話も載っておりますから調査をされたと思うんですが、約一カ月も事態を傍観していた石川県が、投票の終了の直後に開票にストップをかけた理由というのは一体何ですか。
#124
○説明員(砂子田隆君) 実は、私の談話のことであろうと思いますが、私も新聞を実は非常に注意して見たつもりですが、そういう記事があがっている新聞、私の手元に現在ございませんし、何版かの配達によって載っているのと載っていないのがあるのだろうと思います。私が開票の中止について申し述べた事実については、そのときの朝日新聞の記者からお聞きしましたが、その後、県からの連絡もございませんし、調査もいたしておりません。
#125
○和田静夫君 これはその辺の理由一ぺん調べてみる必要があると思うんですがね。そうですか。これはぼくは大阪駅で買って、あの日持ってきて見た朝の新聞ですよね。東京の版にもおそらく、毎日新聞も書いておりましたが、朝日も大きく書いておりましたがね。
#126
○政府委員(宮澤弘君) ただいま振興課長申し上げたとおりでございまして、私も東京の新聞で見たわけでございますが、振興課長の談話でも載っておりますれば私ももっと注意をしたかと思いますけれども、私の見ました新聞には載っておりませんでした。新聞等から推察をいたしました限りでは、なぜその開票をストップをしたかという理由は、まあ開票をいたしますと黒白がはっきりしてしまう。そこで、ただいまおっしゃいましたように、これは町のうちのある地区のようでございますけれども、何地区というのでございますか、私名前をいま存じませんが、その地区としては、まあいままで地区住民として円満にやっていたものが、開票の結果非常に黒白がはっきりしてしまうということは、今後の地区住民のまあ一体感と申しますか、ということからいって問題ではないか。もう少し開票をしないで地区で話し合いをしたらどうかというような意味合いで、県当局が、開票をやめたらどうか、こういうアドバイスをしたというふうに私は印象を受けております。
#127
○和田静夫君 ともあれ、住民投票はこの、原発の設置に賛成か反対かで行なわれました。しかるに、石川県の調停案というのは、「(1)開票は取りやめる、(2)地元は地区民の意思を尊重し原発建設について北電と具体的話合いにはいる、(3)北電との交渉代表選任は県と志賀町に一任」、こういうことなどです。これは住民の意思を踏みにじったことになりましょう。
#128
○政府委員(宮澤弘君) 事情は十分承知をいたしておりませんけれども、住民の中にもおそらく賛成、反対両派がございますから、そういう事態になったのだろうと思います。県がその辺の賛否の勢力と申しますか、その辺をどのくらい考えているかわかりませんけれども、おそらく反対の人にとりましては、自分たちの意向というものがそういう調停案では実現できないという気持ちは持つであろうと思います。
#129
○和田静夫君 この記事によりますと、お読みになったと思うが、「投票は志賀町赤住地区が四月二十日の臨時地区民総会で決めた。賛成派の一戸一票の主張を退けて同日現在の地区有権者(三百四十三人)全員に投票権を持たせ、さらに賛成、反対どちらにせよ三分の二以上を占めた場合に限り地区の総意とすることにした。住民投票は法的な根拠にはよらないが、町も結果を尊重すると約束していた。」、こうなっているんです。湯浅吾一石川県企画開発部長は、「住民の意思を踏みにじったとの批判もあるが、開票の効用がないと判断したのが最大の理由だ。」と言っている。しかし、開票の結果、賛成三分の二以上となれば設置がきまり、反対三分の二以上となれば町として設置拒否ということになり、ともに三分の二以下であれば、初めて県や町の調停のいわゆる効用といいますか、そういうような状態というものが出てくる。そうでしょう。それを開票しない前からその開票の効用がないと即断する。そんなことを即断されたらたまったものじゃないじゃないですか。それは行政局長、そうお思いになりませんか。
#130
○政府委員(宮澤弘君) どうも私もたいへん地元の事情がわかりませんので、ただいまの御質問に対してイエスともノーともお答えできないわけでございますが、しかし、ただいまお読みになりましたことが事実であると、こういう前提で私の感想を申し上げますれば、初めに、投票をするときに、どちらでも三分の二以上あったらそれに従おうではないかということを地区民の人たちが全部できめて始めたことが途中でストップになっているということは、やはりこれはちょっと、私考えますと、普通の運営ではなさそうな気がいたします。
#131
○和田静夫君 普通の運営ではないですよね。私はこれはすぐれて自治的な取り扱いだと実は判断をした。したがって、この新聞読んでびっくりしたんです。で、たとえば、しこりが残ると言うんですね。しかし、この段階になって県が入ってきたところで、もうしこりというものはできてしまっているんですよ。むしろ開票してそのしこりに決着をつけるというやり方こそが、それはもうフェアなんですがね。これ、次官、そういうふうにお思いになりませんか。
#132
○政府委員(小山省二君) こうした地区の問題は、数によってすべてを解決するという、そういうあり方だけでは私はやはり済まない面があるのではないか。できるだけやはり住民間の話し合いによって解決する、また、そういう方向でありたいというふうに考えておりますので、おそらく県当局もそういう配慮から、むしろ、はっきりして結末をつけたほうがいいでないかという、こういう考えもございましょうが、そういうことをしないで、なるべくそういう対立的な気分を表面に出さないで解決したいという考え方も一つの考え方でありますから、私は、県当局がそういうほうをとって、言うならば、表面化させないで円満に片づけたいという考えで調停に入られたものと理解しております。
#133
○和田静夫君 まあ、次官は事実関係がおわかりにならないでの答弁ですから、その答弁でしかたないと思うんですが、一カ月間もほっぽらかしてあったんですからね、その間住民は十分に話し合ったわけです。十分に話し合った結果、それじゃ投票できめようじゃないか、一番意思がはっきりするから。そうして、しこりにしこってきたものを、住民投票行為を通じて、その結果を尊重する。そのあとにはしこりが残っていかないと、こういう全く自治の原則の上に立った行為、それが投票が終わって開票の寸前になってつままれてしまう。こういうようなことは、これは先ほど行政局長も述べましたように、決してフェアな状態じゃない、こういうふうに思うんです。しこりといいますと、たとえば鯵ケ沢の町長選挙をめぐってもありましたよね。たくさん報道されました。で、選挙のたびにしこりが残るといった状況というのは、これは町村段階にはまだまだあるのではないでしょうか。で、そのたびに県が介入していたら、かえって地方自治が育たないことになると私は思う。何はともあれ、地域の問題はその地域の住民がみずからの意思で処理するというところに地方自治の初発の原理が私はあると思う。その住民の総意の形成のされ方として、議会における議決というものが一般的であるということはわかるが、住民投票という方法も当然予定されていいのではないかと私は思うんです。ましてや、町の一地区にかかわる問題での意思形成においては、住民投票はむしろ好ましい方法であると私は言える。その際、しこりが残ろうが残るまいが、私はこうした決着のつけ方のほうが、先ほども言ったように、むしろしこりが残らないと思っていますけれども、ともあれ、残ろうが残るまいが、それこそそれはその地域の住民自身の問題であって他から介入すべき筋合いのものではない。それこそ地方自治の、すぐれて地方自治の問題だと、こう思うんです。これはいかがです。
#134
○政府委員(宮澤弘君) ただいまおっしゃいますように、地域開発等をめぐって最近いろいろ問題がございますが、その場合に、個と全体と申しますか、一地域の問題、それからその地域を含みました全般の振興開発の問題、この個と全体の問題というのは、常にと申しますか、ある場合には衝突をするということが少なくないのでございまして、その間の調整をどうするかということが、現在においてはおそらく一番大きな問題ではなかろうかと、私はそういうふうに感じます。
#135
○和田静夫君 先ほど新聞見てなかったと言われますが、新聞見ていようが見ていまいが、しゃべられたんだから、しゃべられなかったら記事に載らぬのだから。あなたは、「地方自治法上も、こうした形の住民投票は好ましくないと思う。」と、私の見解とあなたの見解と全く別の立場ですが、それは、あなた自治省のお役人としてはいただけないと思うんですよ。あなたはそういうふうに言われていますが、みずからの地区の意思を住民投票によって明白にしようという行為がなぜ自治法上好ましくないんですか。
#136
○説明員(砂子田隆君) その話の前提を少し申し上げなければその新聞記事の内容が私はおわかりにならないだろうと思いますから、前提から多少申し上げたいと思います。
 朝日新聞の記者から夜電話がございまして、いまお尋ねの住民投票の措置につきましてお尋ねがあったわけでありますが、電話のことでもありますから、その間のやりとりを正確に私は記憶しておるわけじゃありませんが、私といたしましては、所管事項でもございませんし、地域の実態も事実もよくわからないし、そういう状態の中でお答えをするのはいかがかと思うということをお答え申し上げましたところ、ぜひ話を聞きたいんだということでございましたので私から申し上げましたが、そのときに私は、これは私の私見としてお答えをいたすのであって、正確にはやはり所管の課長にお聞きを願いたいという形で申し上げてあるわけです。
 一つは、そういう地域の住民投票に対する法律的な規定の問題がございましたから、現行の地方自治法上は住民投票の制度はないんだというお話を申し上げただけでありまして、住民の意思決定というのは、議会を通じてのみ行なわれる仕組みになっているのが現行地方自治法であるということをお答え申し上げたわけであります。もう一つは、それだったら、いまの住民投票についてはどういうふうな考えかということでございましたので、賛成と反対が何か非常に感情的に高まっておるという話でもございましたので、そういう中で、住民投票に習熟していない現行の地方団体の中で住民投票を行ないますと、先ほど局長が申し上げましたようないろいろなトラブルが残ります。しかも、しこりとなってあとを引きます。そういう段階では、むしろもう少し住民と積極的に当局が話をされるということのほうが望ましいんではないかというお話を申し上げたのがそういう記事になったのでありまして、私は、住民投票についての云々の議論をしたわけではございません。
#137
○和田静夫君 あなたは、最後に、「県や町も、住民がこのような感情的になるまで放置していたことは、きわめて遺憾だ。」と、こういうふうに言われておるわけですね。ほんとうに遺憾ですよ。あなたが言われるような趣旨なら早くやればいいんです。ところが、どたんばにいって、このように、すぐれて住民たちが自治の原点に立ち返って、自治の発想に基づいて、そして解決への投票、意思表示を行なったら、それを行政がチェックをする、こういう形になったわけですから、そういう意味ではあなたの論法というのは私は誤っていると、こう思う。あなたと論争するつもりはありませんが、行政局長、自治法九十四条というのの存在する趣旨は何ですか。
#138
○政府委員(宮澤弘君) 九十四条は町村総会の規定でございます。申し上げるまでもなく、一般的に現在の地方制度は、住民が議員を選びまして自分たちの行政をまかせる、信託をする。こういうたてまえになっておりますけれども、きわめて小規模の町村というようなところで、住民のいわゆる直接民主制と申しますか、直接民主制というようなものが可能な場合には、そういうことも考え得るということがこの第九十四条の規定の趣旨であろうと思います。
#139
○和田静夫君 言われるとおり、九十四条というのは、私も町村段階における直接民主主義の可能性を示唆したものだ、こういうふうに思います。したがって、まさに石川県のここの場合がすぐれて直接民主主義的に結論を出そうとしたわけです。これに対して、それまでずっと黙っておったほうが、県が待ったをかけるという形は、これはもういみじくもこの中の論説的な部分でも触れているように、一方の側に加担をする、いわゆる建設促進の側、原子力発電所建設促進の側に加担をする行為、こういうふうになっていっているわけです。この辺は先ほど来十分に調査がなされていないようであります。もう少し十分な調査をしてもらって、そして一定の見解を出してもらいたいが、よろしいでしょうか。
#140
○政府委員(宮澤弘君) 御要求がございましたので、県当局のほうからもその辺の事情をよく聴取をいたしたいと思います。
#141
○委員長(玉置猛夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#142
○委員長(玉置猛夫君) 速記を起こして。
 本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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