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1971/06/08 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第23号
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1971/06/08 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第23号

#1
第068回国会 地方行政委員会 第23号
昭和四十七年六月八日(木曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任
     中沢伊登子君     向井 長年君
 六月八日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     中沢伊登子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         玉置 猛夫君
    理 事
                寺本 広作君
                増田  盛君
                占部 秀男君
                河田 賢治君
    委 員
                片山 正英君
                柴立 芳文君
                高橋 邦雄君
                原 文兵衛君
                神沢  浄君
                小谷  守君
                杉原 一雄君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       国 務 大 臣  中村 寅太君
   政府委員
       警察庁長官    後藤田正晴君
       警察庁長官官房
       長        土金 賢三君
       警察庁刑事局保
       安部長      本庄  務君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       警察庁刑事局防
       犯少年課長    川崎 幸司君
       厚生省環境衛生
       局環境衛生課長  加地 夏雄君
       自治省行政局行
       政課長      遠藤 文夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○警備業法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨七日、中沢伊登子君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(玉置猛夫君) 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○杉原一雄君 最初に、モーテル営業の現状並びに対策ということでお伺いいたしますが、その第一点として、各県別営業所の数と、同時に、それがかなり都道府県の人口比とか産業別、いろいろなことでばらつきがあるようでありますから、そうしたばらつき傾向についての当局の分析、判断、そうしたものを御披露いただければ問題の本質を究明する手がかりになると思いますので、きわめて形式的なことでございますけれども、それをお伺いしたいと同時に、いま私たちが手元にいただいている資料によると五千百という全国総トータルは、それは昨年の分でございますね。その後、報道等いろいろ見ておりますと、月百くらいの急増の状況にあるということを伺っておりますから、ごく最近の数字ですね、それを、確定的でなくてもようございますから、ものの本質を見きわめるために非常に大切だと思いますので、その軒数もあわせて御報告をいただければ幸いだと思います。
#5
○政府委員(本庄務君) 現在――現在と申しましても、これは御指摘のように昨年の数字でございますが、約五千軒、これは昨年の九月でございます。その後正確な調査はいたしておりませんが、約五千四百から五百というふうに考えております。
 府県別に見ますと、かなりばらつきがございまして、二百営業所と申しますか、要するに二百軒以上にのぼる府県が静岡、埼玉、愛知、千葉、茨城、群馬、栃木、岐阜、こういう順番になっておりますが、逆に少ない府県は長崎、岩手、秋田、奈良等でございまして、確かに全国的に見ましてばらつきがあるわけでございます。これは地域的に見ますと、関東地方が約二千軒で圧倒的に多いようでございますが、ついで中部が約八百、近畿及び九州が約四百と、こういう状況になっております。いま申しましたように、地域別あるいは府県別のばらつきがかなり大きいのでございますが、その社会的な要因といたしましてはきわめて一般的な話でございますが、モータリゼーションと享楽的な風潮に関連するものであると指摘できると思いますが、さらにこまかい、特定のどの府県においてはなぜこんなに少なくて、たとえば長崎県はなぜこんなに少なくて、隣の何県はどうしてそれが多いかということにつきましては、簡単にずばりこうだと原因として指摘することは困難ではなかろうかと考えております。あえて申しますならば、大都市の周辺でいわゆるレジャーの開発途上にある、そしてまた土地の値段がまだ必ずしもそう高くない地域に多数設置されておると、こういうふうなことは一般的な傾向として言えるのではなかろうかと思います。
 先ほどお話のございました人口比では、大阪が約十二万五千人に一軒、神奈川が十一万四千人に一軒、東京が八万人に一軒、それから少ないほうでは山梨、群馬、栃木あたりは約七千人に一軒と、こういうふうに人口比で見ましてもかなりばらつきがあるという状況でございます。
#6
○杉原一雄君 いま指摘があったように、たとえば長崎が昨年度の九月では十六ですから、こちらから見れば非常に距離の遠いところで私たちに理解できませんけれども、観光地帯ということになると、長崎はその意味ではかなり観光地帯だと思いますが、そういうものとこうした営業との関連が私はあると思うのですね、常識的に。それが極度に少ないということは、それが旅館でその種の需要供給がバランスがとれているという分析もあるだろうし、また私が心から祈念いたします県民のモラルの確立ということになるのか、その辺のところをやっぱり奇異に感じますからね、こういう中から問題の本質をえぐっていくことは可能だと思いますので、最後に私が問題提起をいたしますけれども、そういう観点から警察当局でわかる限りの分析をお聞きしたいと思うのです。私は自分の県のことあまり恥ずかしくて言いたくないのですけれども、私の県は、いつも言うように行政指数等から考えて百分の一、つまり五十一軒あれば大体世間並みなんですが七十一ある。なぜ富山だけこんなにふくれ上がっているのか。私は比較しないとわかりませんけれども、本県の事情はわかるわけです。そんなことはどうでもいいんですが、いま申し上げたように極度に落ち込みと言っていいかどうか知りませんが、数字の面で非常に違う現象が出ている。関東方面の多いというのは私千葉の視察等でわかります。だが長崎が少ないことはわからない、そこに何か問題がある。数字から見た推測でありますから間違っておれば御指摘いただければ幸いです。端的におわかりになっていることだけ申して下さい。
#7
○説明員(川崎幸司君) 全国的に見ました場合には、御指摘のとおりに東京周辺で非常に多いわけでございまするけれども、しかし神奈川県では昨年九月現在で百四十六程度にすぎない。それからもっと少ないところを申し上げますと、奈良のようなところも四十五にすぎないというふうなかっこうで、これは最近の数字でございますが、そういうふうなかっこうで府県別のばらつきが非常に強いということが言えるわけでございますが、全体として見ました場合には、この府県別のばらつきが現在仮定的なものであるか、あるいは終局的なものであるかという点が一つの問題点として残るのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。一般的に関東地方で非常に早くからたくさんつくられておって、西のほうに行くに従いまして比較的設置がおくれておるというふうな段階でモーテルの数の増加が出てきているように思われるわけでございます。そういうことから、現在の数字をもって必ずしも府県別の要因というものはこうであるというふうには断じがたいのではなかろうかというふうに思っているわけでございまして、県民のモラルとか、そういうあるいは生活意識なりあるいは享楽についての対処のしかたとかいろいろの要素が複合しておる面もあろうかと思うわけでありますが、現状におきましては、先ほど部長が説明いたしましたような、大都市周辺でレジャーの開発途上にあって地価が比較的安いというふうなところで多く設置されておるというふうなことであろうというふうに思うわけでございます。
#8
○杉原一雄君 御案内申し上げました大きな項目のところへまだ入るつもりではございませんけれども、いまの御説明を通じて、市町村段階において条例その他規制をしているという事実はデータでもいただいておるわけですが、そういう行政努力との関係は全然ないわけですか。それはやっぱり精密に分析すれば、行政努力がやはり効果をなしているということも中央ではセンターとして把握して、しかもその後の指導の中でそれを生かすということもあり得るわけですから、その辺のところが断絶してしまっているのかどうか。断絶しているとすれば非常に問題が起こっているわけですから、今度の法案改正の問題につきましても、法改正の努力から行政努力への期待は出てくるわけですから、今日だってすでに条例が幾つかの県で市町村条例があるわけですから、そういう行政努力といまの数との関係がないのかどうか、その辺のところわかる限りにおいて説明してください。
#9
○政府委員(本庄務君) 御案内のように、すでに幾つかの市あるいは町でモーテルの規制を目的とする条例、これは中身はいろいろございますが、できておりますが、その条例が効果を生じて先ほどのようなばらつきになっておるかどうかということにつきましては、効果がある程度は発生しているのではなかろうかと思われますが、その辺につきましてはにわかに断じがたい面があると。と申しますのは、この条例をつくりました市町では、その市町においてモーテルの増加率が非常に著しい、これでは困るというので急速つくったところが多いわけでございます。また、その条例ができましたのは大体四十六年から四十七年、ことしにかけてできておるところが多いわけでございまして、市町村条例が十分な効果をあげてまいるのは、むしろこれから効果をあげてくるのではなかろうかということも考えられますので、直接この条例がいまのばらつきにたいへん効果がある。すでにいままで発生しておるかどうかということにつきましては、私はむしろ今後発生していくんではなかろうかと、そういうふうに見たほうがいいんじゃなかろうかというふうに判断をいたしております。
#10
○杉原一雄君 これは質問ではないけれどもね、いまの理解のしかたの中に、とにかく非常に多いので条例をつくって規制をしていくというのは一般論的にはすんなり通りますけれども、事実そうでないところが逆にあるわけですね。たとえば私の県では滑川市という一市だけ昨年の十月一日に条例をつくったわけですが、モーテル規制条例という形ではないんですけれども、旅館業の問題ですけれども、しかしマスコミの伝えるところでは、これはモーテル規制だと言っているわけです。ここは御承知のように国道八号線が走っているのですが、国道八号沿線には各市にまたがってモーテルがたくさん存在する。なかんずく富山には多いわけです。ところが隣接する滑川市にはゼロであります。ゼロのところにいま条例をつくったわけですから、今後に備えているわけでございますから、そうしたところがあるという意味において、また、あるということを、いまのお話では例外でありましたけれども、認識の基礎においていただきたいと思います。
 そこで、次の問題でありますが、いただいた資料の中に犯罪発生の状況等について昭和四十六年度のが出てまいっておりますが、これによりますと、窃盗が一千七百八十七、強姦が二百六十七、その次は、その他がかなり多いわけですね、その他。このその他が非常に気がかりになるわけですけれども、きのうも千葉の習志野の「関所、」このモーテルを見聞してまいりました。いろいろ経営者とお話をして参りましたが、たとえば窃盗というのは何をとられますか、テレビも自動車のうしろへ積んで逃げたという話もあるがどうかね、そんなことはありませんと、その経営者ですね、モーテル「関所」でありますが、そういう話も実はしております。また逆に、中華のどんぶりを注文してお金を払わないで帰ってしまった、そのお客さんがまたやってきて、実は先般の中華のお金を払わなかったのですみませんでしたと言って払っていった人もありますと、きわめて美しい話が逆に出てくるわけですが、いま私はお尋ねしたいのは、そうした発生件数の多いものから全部にわたらなくてもいいわけですけれども、それぞれをどうチェックするか。モーテルの構造体の中で、あるいは運営の方法の中で窃盗をどうチェックするか、強姦をどうチェックするか、強制わいせつなんかはこれは一番問題だと思いますが、件数がわずかに二十一件になっておりますが、これは可能性からいったらこれが一番大きい可能性であります。こうしたものについて、いまの立法の側では、構造上の規制ですね、ワンルームと車の置き場というものの切断、切り離すというところに主眼が置かれているわけですが、私はそれだけで始末のできる問題かどうか、その辺のところ問題がありますので、こうした犯罪発生の状況等について、それに対応する警察当局の取り締まりといいますか犯罪検挙の問題等含めてお考えになっていると思いますし、なかんずく今度の法律は単純な改正でございますけれども、しかし、どうした配慮が、あるいは政令その他のところで配慮しておいでになるのかどうか、そうしたことを庁内で御検討なさっておられるものがあるならば、そういったことをひとつ御披露いただきたいと思います。その点について。
#11
○説明員(川崎幸司君) 発生いたしました犯罪の罪種について申し上げますと、総数が二千七百八十二件、窃盗が千七百八十七件、強姦が二百六十七件、暴行傷害六十三件、強制わいせつ二十一件、強盗十三件、それからその他三百十五件の刑法犯、これは主として無銭飲食でございます。それから特別法犯につきましては、売春防止法違反七十四件、旅館業法違反五十六件、薬事法違反二十八件、青少年の保護条例違反八十五件、それからその他七十三件、その他の主たるものは保健衛生違反でございます。かような犯罪状況になっておるわけでございますが、かような犯罪状況をモーテル営業について見ました場合に、このただいま申し上げた件数は、約五千軒という開放型のモーテルも密室型のモーテルも含んだ数字でございます。これを開放型とそれから開放型でないモーテルとに区別して申し上げますと、犯罪総数におきましては、おおむね密室型のものが開放型のものの倍数発生いたしておる。それから強制わいせつ、強姦等の性犯罪につきましては、この倍率がもっと大きくなるというような状況になっておるわけでございまして、それで私どもが考えております防犯対策につきましては、この改正によりましてもっと密室型のモーテル営業がなくなる。つまり車庫と個室が切断されるということになって、車庫も開放型の車庫になり、個室の出入り口も車庫と直結しない。またそういう通路のものの個室の出入り口というふうな構造のものになりますならば、ただいま申し上げるような犯罪の防止に非常に効果があるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 なお、そのほかに純粋に防犯的な処置といたしましては、防犯診断なり非常警報装置の取りつけなり、あるいは自動車ナンバーの記録なりというふうなことをするように指導いたしておるわけでございます。まあ本来的には、モーテルは、御案内のようにどういう形態のものでございましても旅館業でございますので、旅館における犯罪防止ということになりますと、旅館の管理業務の充実ということをはかるのが一番基本じゃなかろうかというふうにも考えるわけでございます。そういう点につきましては、関係当局ともよく連絡を密にして当たってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(玉置猛夫君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#13
○杉原一雄君 現在のモーテル営業について、それぞれ自主的に都道府県、市町村の善良な風俗環境を保持するというので、国の指導等もあって努力されていると思われる点があります。たとえば条例の制定等があるわけですが、そうした行政努力を今日まで諸立法、改正以前の問題としてすでに行なわれておる県等があるならば、どういう努力がされて、それがどういう結果的な効果を生み出しているかということについて集約点検があったらお聞きしたいと思います。
#14
○政府委員(本庄務君) 現在まで各市あるいは町で条例をつくって、いわゆるモーテルの規制を行なうこととしておるのが全部で十七市十九町二村――三十八の市町村、これはことしの四月二十日現在でございます。そういう状況でございまして、一番古いのが四十五年の九月二十六日、あとは全部、先ほど申しましたように四十六年から四十七年、ことしにかけてです。ごく最近でございまして、そういう意味におきまして、どういう効果が具体的に発生したかということにつきましては、まだその効果測定を科学的にやる時期にも達しておらないのでして、しかしそれ以後につきましては、現実にこの条例によってチェックされておるというふうに承知しておるわけでございまして、その条例のきめ方も各市町によって変わっておりますが、一番最初にできました大宮市の条例、まあ俗に大宮型と言っておりますが、これは「旅館業を目的とした建築の規制に関する条例」、こういう名称でございまして、この中身のポイントといたしましては、「旅館営業を目的とする建造物を建築する場合は予め市長の同意を得なければならない。」ということになっておりまして、市長が建築主からこの条例による同意を求められた場合には、「その位置が」、建築しようとする位置が「次の各号に該当する場合は同意をしてはならない」、もちろんこれは原則でございますから、ただし書きで例外を認めておりますが、その内容といたしましては、「次の各号」というのは全部で七つございまして、「住宅密集地」、「教育文化施設の附近」、「主として児童生徒等が学校へ通学する道路の附近」、「公園、児童遊園地の附近」、「風致地区の区域内」、「区画整理施行地または施行中の土地」、「その他市長が不適当と認めた場所」、合計七つでございますが、「ただし、社会教育上、ならびに市民生活の静ひつを害しないと認められる場合は同意をしなければならない。」と、こういうただし書きがついております。で、市長は、こういう建築主から同意を求められました場合には、旅館建築審査会にはかって決定をするということになっております。この審査会は構成員五人以内、市長が任命するということになっております。で、「建築主が市長の同意を得ずに建築しようとしたときは市長は中止を命ずることができる。」と、こういうことでございまして、これにつきましては罰則はございません。かように七つの、まあ具体的には六つと言っていいかもしれませんが、六つの地区を具体的に明らかにいたしまして、その地区には原則として建てさせないということで目的を達しようということでございますが、これは必ずしもモーテルだけを特に対象としたものではございませんで、当然モーテルは旅館の一種でございますから含まれるということで、モーテルの建築をさせないことについてまあ相当な効果があるものと考えられます。これがまあ代表的な例でございます。
 あるいは、ほかの府県、たとえば全然変わった地区でございますが飯田市、これをもう一つだけ例に取りあげさせていただきたいと思います。これは大宮と違いまして、モーテルということをはっきりうたっております。「モーテル建築の規制に関する条例」ということになっております。で、モーテルの定義をきめまして、この「市内においてモーテルを建築しようとする者は、建築基準法に基づく確認の申請書および建築の届け出の提出前にその建築について市長に届け出なければならない。」、まあ通常は御案内のように建築基準法に基づく確認の申請でいいわけでございますが、その前に市長に届けなさい。で、市長がその届け出を受理いたしました場合には、そのモーテルを建築しようとする場所が、モーテルの建築によって当該地域の清純な環境が著しく害されるおそれがあると認めた場合には、建築主に対しましてその計画の中止または変更を勧告する、あわせて知事にその旨を要請するものとすると、こういう規定になっておりまして、この場合も、勧告を行なうときにはモーテル建築審査会の意見を聞かなければならない。まあこの辺より大宮市と軌を一にいたしております。審査会は委員十六人以内で組織されておりまして、地域住民あるいは市の議会の方々、学校の先生、そういった人が委員に選ばれることになっておりまして、まあそういったような仕組みで、これは明らかにずばりモーテルを規制しよう、こういう条例でございまして、代表的なものを二つばかり例をあげて御説明したわけでございます。あと大体大同小異と申しますか、こういったものが多いようでございますが、まあどちらの内容がいいか悪いか、これはその地域によりまして違うことでございましょうけれども、一概には申せないと思いますが、いずれにいたしましても、こういう条例をつくって努力をしておる。また、これが施行されて間もないようでございますから、どの程度効果をあげておるか、先ほど申しましたように具体的な科学的な効果測定というものはまだできておりませんが、かなりの効果を逐次あげていくものというふうに考えております。
#15
○杉原一雄君 その次、三点に移りますが、現行法によるモーテル営業の指導、監督の実態ということなんですけれども、まあ法改正を前にしながら、改正前の処置として、先ほどあげられた犯罪件数等をも念頭に置いて、従来それはモーテルといえども旅館業法に、昭和二十三年の立法でありますが、第一条の法律の目的ということがございますが、そういうことの線に従って取り締まられてきたものだと思います、立ち入り検査等もあることですから。そうした点について犯罪件数、犯罪傾向ですか、その傾向を踏まえながら旅館業法によってどの程度のことが可能であったか。しかも、それではちょっと困るから今度は改正だということに風俗営業のほうに話が移ったのだろうと思いますから、現行法のほうではどうにもならなかったかどうか。先ほどのいろいろな犯罪の傾向等をにらみ合わせて、それに対する今日までの警察の努力の経過について、抽象的になると思いますけれども一応お聞きしたいと思います。
#16
○政府委員(本庄務君) 現行法のもとにおいて警察がモーテルに対してどの程度の取り締まりといいますか措置が行なえるかということにつきましては、残念ながら、旅館業法の規定につきましては警察に特別の権限がございません。これは厚生省の系統、まあ知事が機関委任をされて、実際には知事がやっておるようでございますが、すべての行政上の規制、取り締まりの権限は厚生省系統の仕事でございまして、そういう意味におきまして警察官の立ち入りということもございませんし、もちろんそれ以外の行政的な権限はございません。しかし、犯罪防止という観点から、いわゆる防犯指導という方法で最大限の努力はもちろんしてきております。環境衛生関係の同業者組織を通じまして、あるいは、状況によりましては個々に個別的に防犯指導、先ほど課長が申しましたような防犯ベルの設置といったような方法でできるだけの指導はやってきております。それ以外のいわゆるモーテルの風俗的な面における規制、これにつきましても、現在の旅館業法では現状以上に打つ手がないというので、今回の御審議をお願いしております風営法の一部改正、風営法の場において風俗上必要な規制をいたしたいというのが実情でございます。
#17
○杉原一雄君 厚生省はだれかお見えになっておりましょうか。――いいですか、厚生省は手をこまねいておるわけではないでしょう。
#18
○説明員(加地夏雄君) 御承知のように、モーテル問題が非常に社会的な批判、非難を受けまして、旅館業法上――現行法は御承知のように旅館業法でございます。まず、旅館業法上どういう手当てをしたかということから申し上げます。
 御承知のように、昭和四十五年、一昨年の改正の際に、これはやはりモーテルの規制をねらった、中心にした旅館業法の改正を行なったわけでございます。その際の法律改正の中身は、これは一つは配置規制の問題がございます。昭和三十二年の改正の際に、学校の周辺ということでございましたのを、社会教育施設とかあるいは児童福祉施設の近くに広げまして、配置規制を加えたわけでございます。それからもう一つは、モーテルの許可にあたりまして、旅館の許可でございますが、風俗保持上の条件を付すことができる。旅館業法は、御承知のように、主として公衆衛生上の公衆衛生の保持、こういう観点から成り立っておったわけでございますけれども、そういった善良の風俗といいますか、環境整備的な形の条件を許可にあたって付すことができる、こういう改正が行なわれたわけでございます。なお、この法律改正を受けまして、四十五年の七月の政令の改正では、新たに構造設備の条件といたしまして、玄関帳場、そういったものの設備をしなければいけない、こういう改正をやったわけでございます。通常旅館業法の趣旨でいきますと、玄関帳場その他の設備は当然の設備でございまして、あらためて構造上の条件に入れるまでもなかったわけでございますが、やはりこれもモーテルを頭に置きまして、玄関帳場の条件をつけたわけでございます。現実にこういったモーテルの指導につきましては、御承知のように、保健所単位に環境衛生監視員というのが置かれております。これは現在のところ全国で約五千四百人ぐらいおりますけれども、そういった環境衛生監視員が、これは旅館、モーテルのみならず環境衛生全体の営業指導でございますけれども、そういった指導をいたしておるわけでございます。現在旅館業法上モーテルに対してやっておる措置というのはそういう状況でございます。
#19
○杉原一雄君 そこで、いま答弁ありました玄関の問題ですね、入り口の問題。これは旅館業法の本法では、宿泊者名簿の問題が第六条に規定されておるし、それから施行令の第一条の四号ですね、「宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を有すること。」ということで、課長も施行令にかなり力を入れていま答弁があったわけですが、きのう私ら見た限りにおいてはここが問題ですね。非常にモーテルの場合はここが問題です。いわんや何の何がしというふうに夫婦という形で偽称すると思いますが、この間の赤軍派の片割れのような者は偽称すると思います。偽称してもいいから書いてもらうということは、かりに警察当局が活動する場合には筆跡その他が非常に重要な手がかりになるわけですが、それさえも今日の状況ではなされていないんじゃないかというふうに思いますから、旅館業法の取り締まりの観点から見ても、これはかなりのチェックができるのではないだろうか。私はそういう経営者になったためしがないものですから、取り締まりをなさる厚生省では、そうしたことが今日までかなり徹底していたかどうか、もし徹底していないとすれば、その問題はどこにあるのかというようなことですね。それらのこと、これは厚生省サイドで私はいいと思うのですが、あとは警察のほうがお手伝いすることになりますから、そっちのほうからひとつはっきりしておいていただきたいと思います。旅館業法のたてまえから、なかんずく施行令その他のほうからかなりのことがチェックできると思いますが、その辺のところを今日までどのような指導あるいは行政努力が行なわれておるか、その事実をちょっとお聞かせ願いたい。
#20
○説明員(加地夏雄君) 先ほど申し上げましたように、特に玄関帳場の関係は四十五年改正の際に入ったわけでございますが、宿泊者名簿は当然法律の六条に入ってございます。そこで、いままで厚生省としましては、こういったモーテル規制につきまして、制度上の手当てとしましては、いま申し上げましたように、いままで手当てがあったわけでございますし、現実には保健所を中心にやります環境衛生監視員の指導を通じまして、旅館業法の趣旨に沿ったような運営がされるような指導を実はしておるわけであります。ただ、御質問のように、現実問題として、それでは玄関帳場とかそういった構造上の設備条件がはたして一〇〇%行なわれておるかどうか、こういう御質問でございます。これは、いやしくもその四十五年の改正の際にむしろモーテル規制の一つのポイントとして設けた規定でございますので、私どものほうとしては、こういった構造上の設備の条件を守らせるということについては強力に指導をしてまいったわけであります。ただ、四十五年の改正の際に、附則でございますけれども、一年間の経過措置というのがありまして、一年間のうちに既存の場合は整備しなさい、こういうこともございまして、その間環境衛生監視員を中心に非常に努力を重ね指導しておりますので、おそらくこういった構造上の設備の条件が満たされていないというような事実はないのではないか、こういうように考えております。
#21
○杉原一雄君 次に、施行令の第三条「利用基準」ですが、「営業者は、営業の施設を利用させるについては、次の基準によらなければならない。」とあって、一と二とあるのですが、「善良の風俗が害されるような文書、図画その他の物件を営業の施設に掲示し、又は備え付けないこと。」、その他「広告物を掲示しないこと。」ですね。こうしたことについて、いままで相当長い歴史の中で問題をかもし出したことがあったと思いますが、古い昔のことは別として、最近、このようなことでこの旅館業法の違反事例としてあがったようなことがございますか。というのは、きのう見たあるモーテルのことで、公安委員長がおられますが、一ぺん公安委員長にピンク映画を見てほしかったのです。公安委員長も私も相当年配ですから、河田委員も言っておりましたが、あまり扇情されなかったという実感を漏らしておりましたが、確かに年齢の問題がありまして、若い人が見るとどえらいことになるというようなことを感じて帰ってきたわけですが、これはどこがどう、どこがどうということになると、これはまたいろいろな問題になるわけでありますし、それが私は目的でありませんから、一般的にいって、今日までそうした施行令第三条についての違反件数がほんとうにあったものかどうか。その辺のところは厚生省の指導の中で具体的な問題があったらお知らせください。
#22
○説明員(加地夏雄君) この施行令三条の問題でございますけれども、二つに分けまして考えられると思うんですが、一つは密室の中の問題と、それからもう一つは、宿泊者全体、不特定多数の宿泊者が行き着くたとえば応接間であるとか廊下であるとか、そういった密室外のところのそういった器具その他の問題がございますけれども、少なくとも一般の不特定多数の宿泊者の目にとまるような形の、善良な風俗を害するような物品の陳列、そういったような問題は当然これはないことだと思っております。当然この規定によりまして、そういうことはできないというふうになっておりますし、そういう指導をやっておるわけでございます。ただ問題は、密室の中で、密室の中にたとえばカセットであるとか、あるいはおそらくごらんになったと思いますが、回転ベットであるとかあるいは鏡間であるとか、そういった密室内の器具の問題が一つございます。これを構造設備上の条件として規制するかどうかという問題、実は私どもはかつて旅館業法の改正としても考えた例はあったんでございますけれども、実はこの問題は、密室内の設備問題の規制というものは非常にむずかしいということで、現実にそこまでの規制は実現しておらないわけでございます。そうなりますと、問題は、確かにそういう構造設備とか、そういった基準的なものをかぶせていく必要は大いにあるわけでございます。また、それを通じて指導をするということも必要でございますが、もう一つの問題は、やはり最後はそういう旅館営業なりモーテル営業の営業施設といいますか営業態度という問題に非常にかかってくる面もあるわけでございます。よけいな話になりますけれども、旅館業を含めました環衛業につきましては環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律――環営法と言っておりますが、環営法がございまして、そういった環衛業につきましては、まず環境衛生同業組合という組織をつくりまして、その組織の中における業界内の自主規制なり自粛なりということが一つの柱になっているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、その一方、そういった法令上の規制なりあるいは環境衛生監視員の指導なりそういうものにあわせまして、もう一つの面としては、そういった業界内の自粛とかそういった問題も十分行政指導としてやっていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。その点、実はモーテルにつきましては、確かにそういった組合内における自粛なりそういった規制面の指導というものが十分ではなかったということはまことに残念でございますけれども、今日までの現状ではそこら辺は不十分であっただろう、こういうふうに考えております。
#23
○杉原一雄君 その他幾つかの質問を通告してありますが、同僚議員の皆さんから後ほど続いて質問があると思いますから、私は通告したことをこれでカットしてしまいます。
 そこで、各委員のところへも四十七年五月三十日の日付で西日本モーテル防犯連合会から請願書がきていると思いますが、この請願書の中で、モーテルとは、それは「ワンルーム・ワンガレージ形式」という定義づけを規定さしておいて、中身として、「国民として我々は非常に理解に苦しむと共に逆効果であり時代に逆行するものであります。」、この請願書に書いてあることです。「ワンルーム・ワンガレージ形式は車が国民の足であり又大切な財産である事を認識し利用者の利便と要望にマッチした構造であります。」、この主張でありますと、いまはこの立法にはまっこうから対決をしているわけであります。しかしながら、あるいは非常ベルの問題とか玄関帳場の問題とか、あるいは成人向け映画、回転及びローリングベッドなどのこと等については自粛、反省をやっているということもここに述べておるわけです。そうしますと、この請願書をまともに受けますと、この法案は、つまり国民の要望にこたえない非民主的な立法ということになるわけですが、公安委員長、どうですか。国民の一部の声ですから、私はある程度考慮したいと思うのですが、どうも私わかりにくいのです。公安委員長、お聞きになってどうでございますか。
#24
○国務大臣(中村寅太君) 私は、国民の大部分の方の良識は、やはり現在のモーテルのそういうものは改正をしたほうがいいと、こういう見解であるという認識に立っております。
#25
○杉原一雄君 きのう現地調査の合い間合い間にわれわれ議員同士がいろいろ話をしておりましたが、私、こうしたものを初めて見たうぶな議員であります。ただ、この西日本モーテル防犯連合会が主張しているように、国民の切なる要望である、いわんや車は利用者のものであって、この利便をはかるためにワンガレージそのものが必要だと力説をしているわけです。そこで、根底になるものは何かというと、需要と供給の問題になってくるわけであります。需要というのは国民の側であります。営業者の側は供給の側であるから論ずるまでもないわけですが、需要というもの、国民が、この種の営業この種の施設に求めているものは何かということですね、何か。このことに、基本的な問題に私はやはり触れないと対策が出てこないんじゃないか。だから、西日本の皆さんのように、これは国民の要望だ、だから、われわれはそれにこたえるようなワンルーム・ワンガレージの形式をとったのだ、こう言っているわけですから、国民の求めているものは何だ。でありますから、結局、普通の旅館、レジャー施設その他で満足のできない、つまりモーテルでなければ満たし得ないものは一体何なのか、このことをやはり突き詰めてみる必要があるのではないか。しかもそれは、きのう、きょう出てきた問題じゃなくて、アメリカ等にもあり、日本にもそれが移ってきたかなり歴史があるように思われます。二十年内外の歴史があると思います。この二十年来の歴史というものは、何かしらほかの経済、政治情勢とのからみ合いが実はある。私はここでそのことをいま指摘しませんが、だから国民が求めている本の、モーテルに求めるものは何だということを、回りくどい言い方を私はしておりますが、はっきり言うとぐあい悪いですから言いませんが、一体何だと、警察当局は一体それは何だと理解しておりますか。その辺のところを明確にしないと、きのうの最後の施設にありますように、ぶったり、なぐったり、縛ったりするような道具まで備えつけてあるわけですね。それは私は映画で見ているから知っているのですが、きわめて変態的な性行為の道具でしょう。そういうものさえも備えられている。それは犯罪のほうから見れば暴行になるわけですが、双方合意でやった限りにおいては、それは正当なとは言わぬけれども、性行為の一つの姿でありますから、そういったようなことまでが施設の内容に――中沢さんびっくりしてはいかぬですよ。(笑声)そういうような施設があるんです。「サド侯爵」という名前ですからサディズムの典型的な施設なんですよ、これは。そこにやっぱり国民が求めているものは何だということと、もう一つは、その背景と申しますか、そういうものを求めざるを得ない状況になっている社会環境とか、そういうものの背景をどのように考えておいでになるか。これを一つ最後にお聞きして、そういうものをしっかり踏まえていかないと、これに対する対策はガレージと部屋を離しただけでは私は解決にならない、こういう結論を持っているわけです。だから、杉原の言っているのは間違っているのだ、実はこうなんだということであればきわめて幸いであります。だから、それはなかなかむずかしいから、公安委員長のお答えを求めたいところだが、公安委員長、どうですか。むずかしければ長官のほうからでも、防犯少年課長ではちょっと無理ですから長官のところでひとつやってください。
#26
○政府委員(後藤田正晴君) 最近の享楽的な風潮は御案内のとおりでございます。したがって、国民の一部の中に、やはりいま御指摘の業者が言っているような用具があることもこれは事実であろうと思いますけれども、私は国民多数の要望はそういうことではないと。今日のモータリゼーションに伴って国内旅行のひんぱんになったこと、これに対応して、やはり自動車利用の旅行者が手軽に宿泊休養のできるようなものを私は望んでいると思います。したがって、今日、私どもはこのままではどうにもならぬではないかと。また、国民多数の方々からもいろんな意見があり、一年間で数百件にのぼる何とかしてもらいたいという要望、請願が私どものところにきておりますが、こういった実情を見ますと、今日のようないわゆるモーテル営業のあり方というものは、何とか正常化して、そしてほんとうの意味で国民の多数が望んでいるような自動車旅行の簡易な宿泊のような形態に持ち込んでもらいたいと、こういう私は要望があると思います。逐次、私としては、この法案をお認め願えれば、そういった線に法の運用にあたって十分指導をして国民の多数の要望にこたえてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
#27
○杉原一雄君 終わります。
#28
○藤原房雄君 ただいま議題となっております風俗営業等取締法の一部を改正する法律案につきまして二、三お伺いしたいと思いますが、ただいまも同僚委員からいろいろな質問がございましたので、一部ダブる点もあるかもしれませんがお聞きしたいと思います。
 最初に、いま警察庁長官からお話ございましたけれども、確かにモーテルの本来の目的といいますか、こういうモータリゼーションの普及という社会情勢の中にあって、必要があってこういうものがどんどんつくられていったんではないかと思います。これは社会の大きな変化の中にあって当然なことであろうと思うのでありますが、それが提案理由の説明の中にもありますけれども、享楽的な社会の風潮を反映し云々とありますが、こういう方向にだんだん流れていった。本来的な目的ならば、これは社会的な必要として当然そういうものも必要であったろうと思うんでありまするけれども、少なくとも現在の情勢から見ますと、これは非常に歪曲したものになっておる、このように認識するわけであります。しかし、これはモーテルそのものだけのことではなくして、この社会の病的風潮というものは、もっと多角的な大きな問題としてとらえなければならない現実にあるというふうに私は思うのであります。きょうは風俗営業等取締法の一部改正でありますから、問題はモーテルということにしぼって考えていかなければならないのでありますけれども、この社会的な病的風潮の原因といいますか、この大きな観点に立って、現在の風潮というものをどう認識していらっしゃるか、この点についてまずお聞きしたいと思うんであります。
 さらに、モーテルのような存在は外国にもあるわけでありますし、そしてまた健全な営業がなされておるということ、こういう西欧の事実等についてもいろいろ聞いておるのであります。こういう観点から、モーテルの本来の目的、そしてまた西欧における現況ですか、これらの点につきましてもあわせてお伺いしたいと思うのであります。
#29
○政府委員(本庄務君) 最初に御質問いただきました現在の風潮ということの関係につきましては、これはなかなか大きな問題でございまして、一警察官が軽々しく申し上げるべき事項であるかどうかその辺若干問題があろうかと思いますが、簡単に、私個人のあるいは考え方になるかもしれませんが申し上げます。
 御案内のように、戦後急激に復興いたしまして、日本の経済、文化というものが発展をしてきております。一方、日本につきましては直接戦争というものの被害がない、いわば平和と繁栄というものが戦後二十六、七年の間に飛躍的に伸びてきておる。そういった物質文明と申しますか文化と申しますか、そういうものの発展、一方精神的な、メンタルな面におきましても、戦前の封建的な考え方というものが払拭されて、新しい民主思想にはぐくまれてきておる。そういったようなことが相まって非常に民族の発展のためにいい面が出てきておると、これは確かに事実であると思います。また、そういった面がきわめて広範囲であるということ、これも事実であると思います。しかしながら、その平和と繁栄との陰に、古いことばで言えばあだ花と申しますか、そういった現象があちらこちらに出てきておるというのもこれもまた現実の姿であろうかと思います。ものごとにはすべて表と裏があるようでございますが、その裏の面が出てきておると。私たち警察の仕事というのは、まあどちらかと申しますれば、その表の面よりも裏の面に対処して、少しでも社会の平和、繁栄というものを維持していくことに役立とうということではなかろうかと思っております。
 で、このモーテルというものも、先ほど長官が申しましたように、本来は、自動車がだんだんふえていくに伴って自動車旅行者が増加していく、遠距離に旅行できるわけでありますから、その途中において簡易に泊まれる旅館というのがそもそもの発想だったと思います。アメリカ等におきましてもそれが発想でありまして、現にアメリカにおきましては、いまでもそういったモーテルが大部分であって、日本のようないわゆる連れ込み式のモーテルというのはないというように聞いております。ところが、日本の場合には、日本の特殊の事情といたしまして、日本的なモーテルと申しますか連れ込みモーテルが非常にふえてまいりました。それに反しまして、本来の意味の健全なモーテルというのはほとんどない。まあ極端なことを言えば、一つもないと言っていいぐらいじゃないかと思われるわけでございます。先ほど西欧における現況というお話がございましたが、実は正確に世界各国について調査をしたわけではございませんが、私たちが承知しておる限りにおきましては、アメリカにおけるモーテルは、先ほど申しましたような健全なモーテルである。しかし、それ以外の国におきましては、そういったモーテルの存在するところはあるようでございますが、日本にあるような連れ込みモーテルというものが存在するところは国としては承知いたしておりません。これは日本だけの特殊な形態ではなかろうかと、かように考えております。
#30
○藤原房雄君 そこで、私もいろいろな方々のお話を聞きますと、最近新婚の方々が旅行にいらっしゃるときに、自分の疲れたところで休んで、また次へ行くというようなことで、非常にまあ便利だったというような、これはいい面だけの話でありますけれども、そういうことを耳にしています。悪い話はたくさん聞いておりますけれども、いまお話ありましたように、また長官からも先ほどお話ありましたけれども、まあ本来の目的はもっと健全なものだっただろうと思うんですけれども、また諸外国においては、いまお話ありましたように、あまり問題がないようであります。日本がなぜこんなふうになったのかということがこれは一つの大きな問題だと思いますが、それはもっと根本的な大きな問題でありまして、あれでありますけれども、それらのことにも意を注いで今後の問題にも対処していかなければならないんじゃないかと、まあひとつこれは今後の検討事項として考えていかなければならない問題だと思います。しかし、このヨーロッパにおける、西欧におけるモーテルがどんなに健全であったかと言っても、現在日本にあるモーテル自身は、モーテルということばから受ける感じというのは決してよいイメージが残らない、こういうことでございます。それでまあこのたびの法律案が出たと思うのでありますけれども、全体を通じまして私ども感ずる点は、現況を認識するならば、もっときびしくやってよろしいのではないかと思う点が多々あると思うのでありますが、順次そういう点につきまして二、三御質問申し上げたいと思います。
 最初に、厚生省の方にお聞きいたしますが、どうしても旅館業法と風営法の関係がありますので厚生省の方にお聞きするわけであります。先ほどちょっとお答えがあったと思いますが、いままで旅館業法で取り締まりの対象になっておったので、モーテル営業に対する指導、監督というのは、どちらかというと厚生省管轄であったように思うのでありますけれども、具体的に風俗上の問題に対する指導というものはどのようになされておったのかということですね。先ほどもちょっとお話あったようでありますが、ちょっとまたお聞きしたいと思います。
 それから、先ほどもお話ございましたが、宿泊者名簿の規定ですね、モーテル営業の施設に対しては実際はなかったと私どもは理解しておるわけでありますけれども、この点についても具体的に知っておったのかどうか。現実的な問題についてお聞きしたいと思うんでありますが、最初にまずその二点だけお伺いしておきます。
#31
○説明員(加地夏雄君) 風俗関係の行政指導上の問題、指導としてはどういうふうなことであるかというお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、直接指導しておりますのは環境衛生監視員でございます。その環境衛生監視員が指導の基準にいたしておりますのは、当然のことながら旅館業法あるいはその政令でございまして、先ほど申し上げましたように、まずモーテルについての問題につきましては、本来旅館業法のたてまえから申しますと、これは主として宿泊者の保健衛生上の保持というのが実は主たる法律のねらいでございまして、旅館業法自身は実はそういう形でできておったわけでございます。たまたま一昨年の四十五年の改正と、もう一回前にございますけれども、三十二年の改正と、これが改正ございまして、風俗上の問題の法令上の手当てを若干申し上げますと、たしか三十二年の改正のときは、ことばは適当でございませんけれども、旅館の中の、一名、連れ込み旅館の問題、これが非常に社会的な問題になりまして、あのときに初めて旅館業法の中に「善良の風俗」という規定が入りまして、それに伴いまして利用基準の問題であるとか構造設備の問題であるとか、そういった一連の手当てもやったわけでございます。設置場所ということも学校の周辺というのが入ったのが三十二年の改正のときでございます。そういう風俗上の問題が入ってまいりまして、現にああいった旅館につきましては、非常にけばけばした宣伝とかネオンでありますとか、そういう問題は非常に自粛をしてまいったわけでございますし、それから道路に面したところでは囲いをつけるとか、あるいは樹木を植えるとか、そういった環境整備的な指導をやってきたわけでございます。それが一昨年の四十五年の改正で、さらにモーテルを主眼に置いた改正が行なわれまして、そこで先ほど申し上げましたような旅館の許可の際に、やはり従来の保健衛生上の条件のみならず、善良の風俗の条件を付す、こういう形にしてきたわけでございます。現実には、そういった意味で旅館の許可の場合にそういった条件をつけておるわけでございます。ただ基本的には、やはり旅館業法というのは保健衛生上の保持というのが非常に主たるあれでございまして、この善良の風俗についての規制というものをやっていくには非常に限界があるというところでございます。
 それから宿泊者名簿の問題でございますが、これは旅館業法の六条にございますけれども、まさに法律上の義務でございます。これに違反をした場合には、当然のことながら都道府県知事が営業の停止とかあるいは取り消しとか、そういった行政処分がまず行なわれまして、そういった処分にさらに従わないという場合には罰則の規定もあるわけでございます。したがいまして、現実にその旅館、モーテルの場合に、宿泊者名簿が備えつけられておらないということはまずなかろうと思います。ただ現実に、たとえばそれが玄関帳場に置かれておるものなのかあるいは個々の室にあるのか、そういった問題については不備のようでございまして、たまたま居室の中にはない場合もありますけれども、旅館としてはこれはもう当然備えておるはずでございます。
#32
○藤原房雄君 これは実際現場をよく検討しなければならないことでありますし、また、いま厚生省の課長さんも断定的なことはおっしゃらないようでしたけれども、モーテルはなぜこれが問題になるのかというと、一つは、密室的な状況のために犯罪の行なわれやすいところであり、現実にまあ五千のうち二千五百、こんなにもたくさんの犯罪が行なわれておるという、それからもう一つは、風記上の問題から地域を規制しなければならない、大きく分けて二つの問題があるだろうと思うわけでありますけれども、厚生省としましては、犯罪そのものについてはまあ直接の担当じゃないかもしれませんけれども、名簿につきまして、それが今後のいろいろな犯罪のときの手がかりになる、まあ後々の大きな資料といいますか、そういう点ではこれはきちっとしなきゃならぬと思いますし、これは旅館業法からいきましても、ここで定めるところがありますから、その点がきちっとしておるということが密室的状態を破る一つの行き方だろうと思います。どちらかというと、やはり開放的じゃなく閉鎖的な状態を好むというそういうことからいたしまして、だんだん、だんだんこういう名簿を記載するなんということも行なわれなくなっているのが現状であろうと、私どもはこう思っておる次第であります。そういう点につきましては、今後また十分な調査をいただきたいと、こう思うわけであります。
 しかし、先ほど環境衛生監視員ですか、全国に五千四百人おって十分――まあ十分とは言いませんですけれども、監視をしておるんだということでありますけれども、これはまあ旅館全体のことでありましょうから、全国的といいますと相当な数を監視することになりますので、現在問題になっておりますこのモーテルなんかにつきましてもまあ十分な目が届いておるかどうかという、実際にはこの職員の数、所掌事務というようなことを考えますと、十分に行なわれていない状況ではないかと思いますけれども、現在厚生省としては、この環境衛生監視員の現況、この点につきましてはどのように掌握していらっしゃるか、その間の事情をちょっとお聞きします。
#33
○説明員(加地夏雄君) 実は環境衛生監視員、先ほど申し上げましたように五千四百人でございますけれども、もう少しこまかく申し上げますと、専従職員というのは実は五百三十名ぐらいであります。その他の方はこれは兼務者でございます。したがいまして、それはたとえば食品衛生監視員を兼ねているとかそういった兼務者でございます。したがって、実際に監視する範囲は、これは旅館、モーテルだけではもちろんございません。環境衛生関係全般を通じての問題でございまして、たとえば、私ども昨年の実績で申し上げますと、環境衛生監視員が実際に動いた、活動した実績でございますけれども、全体で年間約十三万八千件ぐらいの監視をして歩いているわけでございます。したがいまして、施設の数からいきますと、確かに十分に監視が行き届いているということは言えないと思います。旅館そのものをとりましても、約十万近くあるわけでございまして、そういう意味で、御指摘のように環境衛生監視員の活動状況が十分ではないという点は確かにあるわけでございまして、私ども実は環境衛生監視員の仕事は旅館、モーテルのみならず、非常に重要性を帯びてきておりますので、例年これはそういった増員関係につきましては関係省庁にお願いしておるわけでございますけれども、現状はそういう状況でございます。
#34
○藤原房雄君 逐年ふやして十分に対応できるようにしているということでありますけれども、いまお話をお聞きいたしましても、またちょっと考えてみましても、だんだんこの仕事が多角的になりますし広範になっておりますので、こういう点については今後十分に検討をしていただきたいと、このように要望を申し上げておきたいと思います。
 次は、警察庁にお伺いいたしますが、いままでモーテルは旅館業法の範囲の中にあったわけでありますけれども、今度の風営法の中で、一部このようにこのたびの改正案で改正されるようになったわけでありますが、このモーテル営業というものが風俗営業というふうにみなされるような形になるのかどうかという、そうであれば当然この風営法の第六条の警察官の立ち入り権というものが出てくる、ここの関係につきましてちょっとお伺いしたいと思うのです。
#35
○政府委員(本庄務君) モーテル営業、風俗営業等取締法の中で規制をすることになるわけでございますが、法律的には風俗営業そのものになるわけではございません。風俗営業と申しますのは、御案内のように、法律ではっきりといわゆる飲食関係の料理屋とかマージャン屋とかずっときめておりますが、それ以外の業種でございまして、これは風俗営業そのものではございません。したがいまして、風俗営業等取締法に基づく立ち入りの対象にはならないわけでございます。
#36
○藤原房雄君 そうなれば、先ほどちょっと議論があったかもしれませんけれども、旅館業法の改正の範囲内で今回考えているようなことならばできるんじゃないか。どうして風営法の中へ入れてやらなきゃならなかったのかという、より規制を強めて、先ほどもいろいろなお話がありましたように、これらのことを防犯やいろんなことを勘案して進めるということであれば、もっと強くなければならない。そうすれば、当然風営法の中に入れて考えていくような考え方がどうしても出てくるのじゃないかという、今回のこの法律案の改正の範囲内のことならば、旅館業法の範囲内でできるんじゃないかというような、このような感じがしてならないわけですけれども、この間のことについて。
#37
○政府委員(本庄務君) 確かにごもっともな御質問、御意見でございまして、私たちも実はその点につきましていろいろ検討をいたしたわけでございますが、純法律的に考えますならば、現在の旅館業法で今回お願いしておるような改正ができないということは私は言えないのではないか、法律的には可能であるのではないかというふうに私たちは考えております。しかし、法律的に可能であるということと、実体的にそういう措置をとったほうがいいかどうかということとは別問題でございまして、そういった面から検討いたしますと、このモーテル営業は確かに旅館業の一種でございますが、先般来お話が出ております風俗上特殊な問題をはらんでおる営業でございます。そういう意味におきまして、旅館一般を規制する旅館業法でそういった特殊な風俗面についての規制をやるよりも、これはやはりそういったものを規制するために設けられておる風俗営業等取締法の中で法律的に規制できるならば、実体的にもそのほうがベターではなかろうかという判断でございまして、すでに御案内のように深夜飲食店、これは飲食店は衛生という観点から厚生省系統で規制を受けております。それからさらに、たとえば興行場、興行場法はこれも厚生省系統です。それからトルコぶろ、これは公衆浴場法、これも厚生省のほうの系統の法律ですでに規制を受けておるわけです。そういったものはいずれも、母法と言ってはおかしいですが、本来興行場なり飲食店なり、あるいは公衆浴場なりを規制する法律がございまして、その法律の規制対象ではございますが、それぞれ特殊な風俗的な問題をはらんだ業種でございますので、こういったものにつきまして、これは風俗営業そのものではございませんが、風俗営業等取締法の分野におきましてすでに規制をしておるという前例もございまして、そういったことをいろいろ考えあわせまして今回のような措置をお願いした次第でございます。
#38
○藤原房雄君 いろいろなお話ございましたけれども、実体的にというそういう観点からして、これは前例等も勘案いたしましてということでございますが、その点についてもわからないわけじゃ決してありませんけれども、やはりここまで、統計を見ましても五千何百軒、年々相当な伸び率で、経済成長とともに伸びておる現在のこの営業所の数、また犯罪件数、こういうことを見ましても、また各市町村における条例等つくって規制しようとする現況の中にありまして、そういう世論の上に立って考えるならば、やはりもう一歩きびしいものであってよろしいじゃないか。このようにも思いますし、それでなければ、このたびのこのモーテルに対する対策というか考えというものは非常に弱いものになってしまうというような気がするわけです。そういう点から、もう少し規制のきびしいものであってもらいたかったというのが私どもの考えでありますが、特に、当初「風営法の一部改正」として保安部の試案が出されておりまして、その当時の考え方からいたしましてもだいぶ後退しておる。こういうことを強く感ずるわけですね。一つは、この中の法定禁止地区にいたしましても、学校とかそういうものの「周囲二〇〇メートルの区域内に」云々とありますが、二百メートル、それから「警察官の立入り」ということも考えておったようでありますけれども、これも大きく後退するという、また構造規制につきましても、条例によって構造規制ができるというような考え方も当初あったようでございますが、これも現実のこの法案では大きく後退しておる。私は当初の考えられたくらいのものがなければ今回出されたこの法案の意味がないじゃないかという気がしてならないわけですけれども、こういうふうに後退しなきゃならなかった理由といいますかね、その間にはいろんな事情があり、いろんな検討がなされたと思うんですけれども、その間の経緯についてお伺いしたいと思います。
#39
○政府委員(本庄務君) 先ほどの保安部試案と比べて変わった一番大きな点は、構造設備に対する規制がなくなったということであろうかと思います。この点につきましてはいろいろ法律的に検討をいたしたのでございますが、構造設備につきましては、すでに旅館業法で一般旅館としての規制を、規定がなされておりまして、旅館業法のワク内において措置をするのが最も適当であるという判断で、そちらでお願いをしようと、この点につきましては厚生省と協議中でございます。
 それから立ち入りの問題につきましては、構造設備の規制を入れますと、立ち入り権がないと仕事ができないわけでありますが、構造設備の規制を行なわないということになりますと、警察官の立ち入りにつきましてはその必要性がないということになりますのでこの規定がなくなる、かように御理解いただきたいと思います。
#40
○藤原房雄君 構造規制ですね、これ大きな問題なんですが、厚生省といまいろいろ打ち合わせ中ということであります。現在検討した段階における何かお考えなり、現状として、現在の段階で何かお話なさってきまったことの経過ございますか。
#41
○政府委員(本庄務君) この点につきましては、具体的にこういうこの点についてどうする、あの点についてこうするということではございませんので、この風営法の一部改正をやります際に、ずっと厚生省といろいろ協議をいたしておりまして、そうしてこういった地域規制をとりあえず風営法の一部改正で行なうということで厚生省と完全にまあ合意に達したわけでございまして、構造設備の点につきましてはこの法律の審議あるいは成立と並行して相談する。むしろ私たちのほうから率直に申しますれば、具体的に案をつくって厚生省に要望する、あるいはお願いする。こういう段取りになろうかと考えております。
#42
○藤原房雄君 それから、この地域の問題、営業所の地域別のいただいた資料を見まして、居住地区にあるものが非常に多いわけですね。それから風致地区、文教地区というのは二カ所しかない。これは去年の九月の状況でありますからあれでありますけれども、これは文教地区が非常に少ない数になっておるわけですが、これはやはりこの各市町村における条例等ができてから、そういう規制を受けてこういうふうになったんでしょうか。各地の状況を見ますと、やはりこの文教地区にあまり近づけない。近くにあるというところ、むしろ近づけないでもらいたい、文教地区という立場からの要望というのは非常に多い。それからまた居住地区に近いということに対しても非常に不満があるわけです。あと、その他の地域にあるもの。これはいろんなことが考えられると思いますけれども、その他の地域の中で、おもなものは大体どんなものがあるのか、この間の地域別の状況ですね、これもちょっと詳しく説明いただきたいと思います。
#43
○説明員(川崎幸司君) お手元に差し上げております資料で、住居地区とか風致地区、文教地区、自然公園、その他というふうな分け方をしているかと思うわけでございますが、ここで掲げております住居地区、風致地区、文教地区と申しますのは、都市計画法でいっておりますそれぞれの地域のことでございます。したがいまして、モーテルは、御案内のように町の中央にできるということはまずまずございませんでして、都市の近郊でございますとか、いなかのほうにできるというのが実態になっておるわけでございますが、都市計画法でいっております文教地区というのは、都市地域のある一定の学校の集合している地域を指定するというかっこうで指定されておるものでございますので、現在都市計画法で指定している文教地区というものの中には二軒しかないという現状になっておるわけでございます。なお、そういう関係でございますので、その他の地域というものは、五千軒の中の約三千七百軒というふうな圧倒的な数になっておりますが、これはこの地域につきましては、いわゆる都市計画法を施行されていない地域、農村の住宅地域であるとかその他のものが入っておるわけでございます。そういう意味で実態的な区分として申し上げてみました場合には、ただいま正確な資料を持ち合わせておりませんが、いわゆる住居のある地域、住宅のある地域というもの、あるいはその近郊というものの中に五千軒、三千七百軒の大部分が入る。あるいは五千軒の中の大部分が入るという実況でございます。
#44
○藤原房雄君 今度の法律案、いろいろ規制がございますが、おもなものは、この地域の風紀を健全化するという、こういうことから、一つ、柱は車庫と部屋と分離するという、まあこういうことだろうと思うわけでありますけれども、確かにこのことも大事なことでありますけれども、先ほどからこの保安部の案が大きく後退した、当初の考え方がいろいろあったようであります。また社会の要請もある。こういうことからいたしまして、今回のこの法律案というものは、確かに今後のモーテルのあり方に対する取り締まりの第一歩といいますか、そういうふうに私どもは考えて、やはりもっと今後の社会のいろいろな動向の中にあって、強化するところは強化していくべきものであるだろう。まあ最終的なんということはあるわけないですけれども、今回の取り締まり案でワンステップではないかというふうに考えるわけでありますけれども、その間についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
#45
○政府委員(本庄務君) 御指摘の点は確かにごもっともだと思います。で、今回の立法の内容が秘匿性のと申しますか、あるいは密室性と申しますか、そういった要素の強いものにつきまして地域規制を行なうということでございますから、俗に言う、いわゆるモーテルそのものが全部禁止されるわけではございませんで、その意味におきまして不十分ではないかという御意見だと思いますが、今回考えておりますこの秘匿性の強いものにつきまして地域規制を行なうことによりまして、私はモーテル規制の目的の大半を達成できるのではないか。もちろん完全というわけにはまいらないと思います。何ぶんにもこの規制は営業の自由の制限でございまして、やはり重要な憲法上の権利の制限でございますから、そういった角度からも検討しなければならない。それやこれやいろいろあらゆる要素を総合勘案いたしまして今回のような内容にいたしたわけでございます。私はこれで相当な効果はあがるものというふうに考えます。
#46
○藤原房雄君 大きな期待をかけていらっしゃるようでありますが、現実に市町村等におきましては、まあ特に最近どんどん建ちつつあるところにつきましては、このたびの法律案で私どもの希望がかなえられるかどうかという一まつの不安を訴える市町村が非常にありますので、この動向をしっかり見きわめて対処していっていただきたい。こう思うわけでありますが、さらにこのたびの法律案によりまして、ワンルーム・ワンガレージのモーテルにつきましては禁止区域を設けることができるということになるわけでありますけれども、しかし、構造を変えるということだけで、現在までの地域住民の方々が非常に風紀上好ましくないといわれているその希望にかなえられるかどうか。また、モーテルそのものももちろんでありますけれども、それに類似するような、通俗的に言えば連れ込み旅館などといわれておりますけれども、こういうものがますます住宅地域内にふえつつあるという、こういうことも住民は非常に訴えているわけであります。ですから、モーテルの規制とともにこの風俗上好ましくない旅館のことについても片手落ちにならないように、こういう点もよく見ていただきたい。こういう市町村の要望も非常に強いわけなんです。結局各市町村によりまして条例で、いろいろ先ほど御説明ありまして、非常にまあ地方的に市町村ごとにそれぞれの規制が考えられておるようでありますけれども、やはりここは営業の自由という基本的なものはあるといたしましても、年々増加しつつあるモーテルのこの現況からいたしまして、やっぱり地域社会健全化のために、モーテル営業とともに、こういういかがわしい旅館の存在等につきまして、建築または営業というものにつきましても十分な規制というものが必要であろう。こういう声が非常に強いわけなんでありまして、ただいま市町村におきましては、こういう施設を建設または営業するときには十分な規制をするようにしてもらいたい。こういうことを言っているところがあるわけなんでして、まあ今回のこの構造を変えるということをもう一歩前進さしてはどうか、いろんな現実に合った、実態に即したものに発展さしていただきたい。こういうことを強く要望したいと思うのでありますけれども、それらのことについてどうお考えになっていらっしゃるか、ちょっと。
#47
○政府委員(本庄務君) 善良の風俗保持上の立場から申しますと、今回考えておりますような車庫、いわゆる車庫直結のモーテルに限らず、もう少しオープンのモーテルあるいは連れ込み旅館等も規制すべきであるという御意見だと思います。善良の風俗の保持という観点からいたしますと、確かにその点につきましては同感ではございますが、しかし、一方先ほどから申しましたような営業権の制約、あるいはそういった営業がどの程度社会に実害を流しておるか、その実害の程度、これらもいわゆる連れ込みと申しましてもいろいろあるようでございまして、かなり千差万別のように見ておりますが、そういったものを引っくるめて単に善良の風俗保持という観点だけから一切禁止する、あるいは制限をするということにつきましては私は少し慎重な配慮が要るのではなかろうか。しかも、この点につきましては、単に警察だけの問題ではなくして、もっと多角的な社会風教上の面あるいはその他いろいろな角度から検討されるべき事項ではなかろうかと考えておりまして、したがいまして、今回は先ほど申しましたような理由によりまして、このいわゆる車庫直結のモーテルについての地域規制、これだけはぜひとも今回やりたいということでお願いをしたわけでございまして、いま先生から御指摘のございましたような問題につきましては、確かに同感に感ずる点もございますので、今後の検討課題とさしていただきたいと考えております。
#48
○藤原房雄君 この都市計画法によりまして市街化区域の線引きがなされ、現在あまり住宅が建っていないところにつきましても建つだろうという、線引きから予測をし、そういうことから現在はまああまり住居はないのでありますけれども、市街化区域内にあるということから、先にそういうものが建つ、住宅がどんどんあとからいくような形になるわけでありますけれども、結果的に見ますと住宅の中にあるということになる。それで、こんな住宅の密集したところにモーテルがあって好ましくない、あとからそういう問題が起きるわけなんでありますけれども、そういうことからいたしましても、そういうことはわかり切っていることでありまして、市街化区域内の問題についてはある程度事前に考慮するような考え方でなければ、ものごとはあとあと、後手後手になって一向に成果が表に出てこない。これはいままでいろいろな問題考えましても、そういう経過をたどっております。このたびの問題にいたしましても、そういうことが当然考えられることでありまして、高度経済成長の中で三年先、五年先が予測できないような今日でありますから、そういう点も十分勘案した上に立って今後のことにつきましても十分の配慮を、きびしく言えば、市街化区域内のこういう現況については特別考慮するぐらいの考え方でなければ結局もう後手後手になる。そういうことを言いたかったわけでありますが、今後の対策として十分にそういう点も考えていくというお考えのようでありますけれども、どうかひとつ今後の都市化されていく、こういう一つの流れといいますか社会の動向の中にあって、この問題も真剣に取り組んでいくべきではないか、こう思うわけであります。それに伴いまして、やはり今度の規制を受けまして、現在ある施設につきましては転業なり改善しなければならない、こういう方々に対する経済的な助成なりということにつきましても、陳情なんかもありましていろいろな話も聞いているわけでありますが、何といいましても個人経営が多いわけでありまして、こういうことに伴う善後策といいますか善後措置もとらなければ片手落ちになると思いますが、この点については何か話し合いが出ているのか、お考えがあるのか、どうでしょう。
#49
○政府委員(本庄務君) 確かに転業あるいはこのモーテルの規定に該当しないように一部改造するということが今後出てくると思います。そういった場合に大小にかかわらず費用が当然要るわけでございまして、この点につきましては国として補償はするということは考えていないわけでありまして、やはり公共福祉のための制限でございますから、それは自弁をしていただく、費用は負担をしていただく。しかし、その費用の捻出につきましては、融資等につきましては、これは警察の所管ではございませんので、関係の行政庁と話し合いをいまいたしておるところでございます。
#50
○藤原房雄君 最後になりますが、大臣に一言所見をお伺いして終わりたいと思います。
 最初に申し上げましたように、西欧におきましても、健全な状態で現在もあるわけでありますから、日本のみが非常にこういう風俗上好ましくない方向に流れた、こういう社会情勢というものにつきまして、私どもも十分にその根本的な問題についても考え合わせなければならないと思いますし、また、先ほども申し上げましたように、どんどん都市化されていく、こういう社会情勢の中にありまして、やはり今後に対する十分な配慮がなければ同じことを繰り返すような結果になるのじゃないかと思います。先ほど部長のお話だと、相当期待をかけているようでありますけれども、実はそんな甘くないというふうに考えるわけでありますので、その間につきまして、現状、日本の現在のこの姿の中にあって、法律の規制だけで片づけられることでは決してないと思いますが、それらの大きな観点からひとつお考えをお聞きしたいと思います。今後についての考えといたしまして、また流動的な社会の中にあってどうあるべきかというような、そういう観点について所見をお伺いして終わりたいと思います。
#51
○国務大臣(中村寅太君) この規制立法につきまして、藤原委員からいろいろ御意見等を交えて御質問がございました。私も拝聴いたしておりまして、いろいろ重要な点に触れていらっしゃると考えるものでありますが、こういう規制法律というものは、できるだけ小範囲の小規模なものにして、健全な社会風教をつくり上げていくという総合的なあらゆる面からの努力によりまして、こういうものがなるたけ成り立たないような形になって、自然のうちに世の中から、国民の大部分の人からきらわれることのないような形で細まっていくことが私は好ましい。こういうふうに考えますので、この一つの基準によって、あらゆる努力をいたしまして、ある程度の効果はあげ得ると思いますが、御指摘のようにこれで満点とは私は考えられません。しかし、それはやはりいま申しますように、あらゆる総合的な国民の健康的な良風が盛んになるような施策をいたしまして、そうしてこの法のねらいをさらに効果をあげていく努力をしてまいりたい、かように考えるものでございます。
#52
○委員長(玉置猛夫君) 本案に対する午前中の審査はこの程度とし、午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十六分開会
#53
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#54
○中沢伊登子君 先刻来お二人の同僚議員からそれぞれ御質問がありましたが、きょうは地方行政に女性議員がいてよかったなと、こんな感じがしながら御質問を申し上げるわけでございます。
 杉原委員の御質問を半ばごろから私は伺ったわけですけれども、昨日の視察に女性の私が御遠慮申し上げたので、ずいぶんあけすけに十分な御視察ができたのではないかと私御想像をしているわけです。二年前のちょうどいまごろでした。ちょうどイチゴをいただくころでしたが、女性議員だけで視察に参りましたときは、先ほどの杉原委員のお話にもありましたけれども、サド的なひもや何とかおっしゃいましたけれども、何かいろんなそういった道具、そういったものは全然見せていただけませんし、その当時あったのかどうかそれもわかりませんが、まして女性議員にはピンク映画を見せてもらえませんでした。こういうことは、女性がいなかったからそういうことをあけすけに見せてくださったのか、それとも私どもは二年前に見たわけですから、二年間の間にますますそういったようなエロチックになってしまったのか、どっちでしょうか、その点まず伺いたいわけでございます。
 それからモーテルの弊害については、先ほど来いろいろなお話がありましたが、まあ強姦とか暴行とか、あるいは窃盗とかいったような刑法犯や特別法犯があるわけです。それは私はわかりますけれども、私の耳にしたところでは、賭博場になっているのではないかというような話もありますが、その辺はいかがでしょうか。
 あるいはまた、そういったモーテルが暴力団の資金源になっている、こういう話も伺いまして、昨年のちょうど予算委員会のときもこのことを御質問申し上げたわけですけれども、そのときには御返事がありませんでしたので、お伺いしたいと思います。
#55
○政府委員(本庄務君) ただいま御質問のうち、二年前と比べて現在、いわゆるピンク施設と申しますか、そういった問題の中の設備――施設というより設備の比較でございますが、これは実はそういった面で必ずしも正確な調査をいたしておりませんので、私断定的なお答えはできませんが、いま御指摘のような施設は、あるいは二年前にもどこかにあったかもしれませんが、しかしそういうものが一般化してきた――一般化してきたというのは、要するに、世人の口でモーテルに行けばこういうものがあるというのがいわゆる常識化してきたというのはやはり最近でございます。
 それから二番目、モーテルが賭博場になっているということはないかということにつきましては、モーテルが一般的に賭博場化しているということは、それはございません。たまたまそのモーテルで賭博が行なわれた。それを検挙したという事例はございます。
 それから次に、暴力団の資金源となっていないかということにつきましては、モーテル営業の経営者が暴力団であって、その有力な資金源になっているということにつきましては、現在のところそういう状況はございません。
#56
○中沢伊登子君 私は、昨年予算委員会で質問したときには、昭和四十五年の九月現在で、いわゆるモーテルが三千九百五十八軒ということになっておったようです。一番最近のモーテルの営業戸数はどれぐらいでございましょうか。
#57
○政府委員(本庄務君) けさほどお答え申しましたように約五千四百でございます。
#58
○中沢伊登子君 五千四百……。
#59
○政府委員(本庄務君) はい。
#60
○中沢伊登子君 やっぱりどんどんふえていっているわけでございますね。先ほどからもいろいろお話ありましたように、モーテルというのは、そもそも簡易宿泊所というので、こんなおかしな営業をやるべきところではなかったのに、現在日本ではこれが歪曲されてたいへん利用者が多いし、しゃれことばで言えば、モーテルはもてるのだ、こういうことで利用者がたいへん多いと、こういうことで最近はもうけ主義の場になってしまった。これも私は多少エコノミックアニマルの一面を表現しているんではなかろうかと、こう思いますけれども、何でももうかるといえばもう何が何でもそっちへいってしまう。こういう風潮の中でモーテルがずいぶん多くなっている。まして、それが性の享楽化をあおるような興味本位の出版物や映画、そういったものと何かタイアップしたような感じで、しかもそれはおとな本位につくられている出版物や映画なんですけれども、そういうものもどんどんはんらんをしてまいりまして、さらにモーテルというものが繁盛しているのではないかと、こういうふうに思います。
 そこで、皆さんは男性でいらっしゃいますけれども、私、週刊誌というようなものをあまり自分で買っては読んではいないのですが、最近の週刊誌というのはずいぶん、昔はエロチックみたいだったものが、だんだん形が変わってまいりまして、性問題をずいぶん書いております。最近は性問題を書かないと週刊誌が売れないと、こういわれているほどでございますけれども、パーマ屋さんなんかに行ってドライヤーに入りながら渡されるいわゆる女性週刊誌、これを見ますと実にひどい。むしろ一般の方が読まれるよりも、もっともっとひどいことがあらわに書いてありまして、ちょっと顔が赤くなるような、そしてまた外国に行っている日本の女子大学生なんというものは外人の学生のセックスの対象になっているのかと思われるほどのことが事大げさに書かれているのですけれども、そういったものですね、そういったようなものを皆さんはごらんになったことがおありになりますか、どうですか。私は何べんもこういうことを申し上げておりますけれども、もう文部省では表現の自由、言論の自由ということがあるから、こういうものを取り締まることはできないと。私もその言論の抑圧をしてほしい、あるいはそれを取り締まってほしい、こういうふうなことを申し上げるわけではありませんけれども、もう文部省では何べん質問してもそういう答弁しか返ってまいりませんが、それでも公共の福祉を優先させるという立場からはやっぱり何らかの、あんまりえげつないものは少し警察庁のほうで注意を喚起するとか何かそういうふうなことはできないものかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
#61
○政府委員(本庄務君) 先ほど来、出版物、映画とモーテルとのタイアップの問題あるいはもうけ主義、どんどん悪いものが出てきておるということにつきましては、これは私も同感でございます。
 次に週刊誌、女性週刊誌その他、週刊誌はたくざんございますが、あまりにも内容がひどいじゃないか、ひどいものについて警察で注意喚起といいますか、何かやっぱり措置がとれないかと、こういう御質問につきましては、週刊誌の内容がひどいものがあるというのは、これは私も週刊誌をなるべくたくさん目を通すようにいたしておりますから承知をいたしております。しかし、そのひどさかげんが道義上のものでとどまっておるか、あるいは道義の範囲を越えて法律的な問題、要するに、法のワク内にまできておるかという点につきましては、これはものによって違いますし、またその限界というのは非常に微妙でございますから慎重に判断をする必要があると思います。御案内のように、刑法百七十五条にそういったわいせつ文書を取り締まる規定がございますから、それに該当すると認定された場合には規定に基づきまして所要の取り締まりを行なうことになっておりまして、現に、昨年も一昨年も――現在手元にはこまかい資料はございませんので数字はちょっと申し上げられませんが、相当数のそういったわいせつ文書の検挙をいたしております。それから警告といいますか注意喚起につきまして、これは御案内のように、やり方を慎重にいたさないと検閲的な意味で見られるおそれもございますので慎重に検討いたさなきゃならないと思いますが、ものによりましては、そういうこともやる必要があろうかと考えております。
#62
○中沢伊登子君 昨年の一月、お正月号だったと思います。これは週刊誌でなくて、ある女性の雑誌でございますけれども、それはもう頭にしらがのはえたようなわれわれでも、それこそどぎもを、抜かれるようなとじ込みが実はございました。そういうものをうちへ置いておきますと、それはおとなだけが見るものじゃなくて子供も見るものですからね。それは実にあざやかに図解がしてありましたし、それからいろいろの体形ですね、そういったものが実に事こまかに書いてございまして、二、三、例は読みましたが、あほらしくてよう読まなかったんですが、そういったものもありますので、言論統制になることはたいへん私もいやですけれども、たまたま国会でもこの間から言論の自由の問題が取り上げられたようですから、私はそういうことをやってほしいと言いませんけれども、その点は青少年にも相当私は問題を与えるのじゃないかと思いますので、たいへんいろいろのものに目を通していただいていることを伺いまして、うれしく思いましたけれども、その辺を何とか今後も御注意をしておいていただきたいものだと、このように思うわけでございます。
 それからもう一点の、営業に対して、モーテルの設置に対してずいぶんあちこちで反対運動が起こっておりますね。私どもも車であっちこっち歩きますと、もうモーテル絶対反対とか、この土地はモーテルに売らないでおきましょうとか、いろいろな立て札も出ているのをよく目にするんですけれども、一番最近に、私どものところにはがきで陳情がずいぶん参りました。こんなにきましたかしら。それは兵庫県の相生市から参っておりました。それはおかあさんだけでなくて、おとうさんからもずいぶんはがきがたくさんきておりましたけれども、その相生市のように市民がこぞって反対をしている、ここへ建ててもらっては困る。こういうような運動が起こっていますが、そのほかにもこういったような反対運動が起こっていると思いますが、その状況を聞かしていただきたいのと、私その後忙しくて、相生市のそれが建ったのか、建たなかったのか、その辺を存じておりませんが、もし御存じでしたら教えていただきたいと思います。
#63
○政府委員(本庄務君) モーテルの設置に対する反対運動の状況でございますが、先生がいまおっしゃいましたようないろんな反対の陳情、請願等が出ておるわけでございまして、必ずしも全部私たちのほうで網羅しておるかどうかわかりませんが、当庁で承知しておるものにつきましては、昨年、四十六年中でございますが、地方公共団体の関係機関あるいは議会等に対して行なわれた陳情、請願等、全部で二百一件ございます。そのほかに、ちょっと順序が逆になりましたが、昨年国会の衆議院、参議院、両院に対しまして請願がございまして採択されております。これは請願としてはあるいは一件として処理されておるかもしれませんが、請願者の数は多数にのぼっておったと、かように記憶いたしております。
 それから、いまの相生市の件につきましては、建設されたかどうかちょっと目下承知しておりませんので、調査いたしまして後日御返事いたしたいと思います。
#64
○中沢伊登子君 私もまた向こうに聞けばわかることだろうとは思いますけれども、とかく陳情というのは、言うときだけは言っても、あとどうなったかということを知らしてもらえないものですから、私どもちょっとうっかりしているわけですけれども……。
 それから次に、個室に自動車の車庫が接続をしていないモーテル営業もこれは風俗上問題があるのではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
 それから先ほどと、ひょっとしたら重複するかもしれませんけれども、今回のようなワンルーム・ワンガレージだけの規制内容では効果が期待できないのではないかと思いますが、この二点について御答弁いただきたいと思います。
#65
○政府委員(本庄務君) 今回ワンルーム・ワンガレージのものにつきまして規制をすることにいたしましたのは、モーテルが御案内のようにここ数年急激に増加しております。その増加しております原因はいろいろあろうかと思いますが、一番大きな要因といたしましては、そのいわゆるワンルーム・ワンガレージの施設が持っております秘匿性と申しますか、あるいは密室性と申しますか、この要素が多分に利用者の心を引きつける、それでそういったところへどんどん人が集まってくる、したがってモーテルが急激にふえてくるというのが主たる問題点であろうかという理由で、今回はいわゆるワンルーム・ワンガレージの構造のものを規制するということにいたしたわけでございますが、しからばそれ以外の車庫と個室とがセパレート、いわゆるオープンといっていいかもしれませんが、そういったもの、あるいは昔からありますいわゆる連れ込み旅館、温泉マークといったものが風俗上問題がないかと申しますと、これは決して問題がないわけではございません。やはり風俗的な見地からいたしまして幾つかの問題がありますし、かつて地域住民の方々が騒いだ――騒いだといってはおかしいですが、問題にされたこともございますが、先ほど申しましたワンルーム・ワンガレージのものに比べますと、その程度におきましてはかなりの差があるのではないか。とりあえずと申しますか、今回はワンルーム・ワンガレージのものに限定したわけでございますが、将来それ以外のものにつきまして関係の行政庁ともいろいろ協議をし、特に午前中の質疑の際にも申しましたように、これは営業の自由の制限という大きな憲法上の権利の制限になりますので、そういった点を慎重に考慮しつつ対処してまいりたい。行政的な措置でうまくいかない場合、いわゆる行政処分でうまくいかない場合、将来また所要の立法の必要性ということも、これは場合によっては考えられるのではなかろうか、しかし現在の段階では今回お願いしておる法律でまいりたいと、かように考えております。
#66
○中沢伊登子君 一番初めの御答弁にありましたように、最近はモーテルに行けばピンク映画も見せてくれると、こういうふうなことが普通になっているように伺いましたけれども、そういったようなモーテルの営業はたいへん社会的な非難も強いので、そういったような構造設備等の規制もすべきではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
 それと、いまの連れ込み宿のことでございますけれども、今度のモーテルなんていうのも人目につかないように連れ込むわけですね。ところが現状は、外観は人目につきやすい、たいてい人目につくのです。こういうことで、善良な風俗維持の見地から将来この連れ込み宿も規制する考えはおありにならないかどうか、二点質問いたします。
#67
○政府委員(本庄務君) 最初に構造設備の点でございますが、午前中の御質疑でも出ておりましたように、当初の試案といたしましては構造設備の規制も検討しておったのでございますが、その後いろいろ詰めました結果、確かに構造設備の中でいかがわしいものがございまして、これは純然たる内部でございますからある限度まではやむを得ないと思いますが、限度を越えているものも実際にはあるようでございますが、そういった旅館の内部の構造設備につきましては、旅館業法におきまして規制ができるというたてまえになっておりまして、また、現に一部の規制があるようでございまして、必要であればこの旅館業法の規定によりまして規制をするのが妥当であるという結論になりまして、この点につきましては、先ほど来申しましたように、むしろ私のほうで実態を調べまして、所要の規制を厚生省のほうでやっていただくように要望あるいはお願いをする、こういうことになろうかと思います。
 それからもう一つ、将来連れ込み旅館を法律で規制するつもりはないかということにつきましては、先ほどの御質問の際ちょっとお答えいたしましたが、連れ込み旅館が風俗上問題がないかと申しますと、先生おっしゃいましたように、これはもう連れ込みで行くのは外からよくわかる、そういったような実態からいいまして問題がないということは言えないと思います。しかし、先ほど申しましたように、私たちが今回規制をいたしたいと考えておりますモーテルと、それからいわゆる連れ込み旅館、温泉マークと比べますと、風俗上の観点から申しますとかなり程度の差があるのではなかろうか。したがいまして、現在直ちに連れ込み旅館を法律で規制するということは考えておりません。問題点があるものにつきましては、関係の行政庁とよく相談をいたしまして、現行法規の活用あるいは行政指導で所要の措置をとってまいりたいと考えておりますが、これが程度が高じまして、そういった行政措置ではどうもうまくいかないという場合には将来立法ということもこれは考えられる場合があると、かように考えております。
#68
○中沢伊登子君 厚生省にお伺いをいたしますが、このモーテルというのは、一日に六回転一七回転すると私ども聞いております。それはまあ一回転するたびに使用している敷布だのまくらカバーだのそういったようなものは取りかえているのでしょうか、どうでしょうか。
#69
○説明員(加地夏雄君) 本来、旅館業法の規制の対象はそういった保健衛生上の問題でありまして、当然そういう場合には取りかえるようになっているわけであります。
#70
○中沢伊登子君 なぜこんなことを聞くかと言いますと、モーテルというのが性病の温床になっているわけですね。それでこういったところから性病を家庭に持って帰ったりしたらたいへんなことになりますので、性病をどのように防ぐか、そういったような措置をモーテルに関して厚生省では考えていらっしゃるか。実際に性病を防ぐ処置を講ずることができるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
#71
○説明員(加地夏雄君) 性病の予防的な措置として、モーテルなり旅館の構造設備の中でどういうふうに考えておるかという御質問だと思いますけれども、もともと旅館業法、いま申し上げましたようにそういった保健衛生上の点から相当きびしい規制も考えておりますし、環境衛生適正化法ですか、環適法からも、そういった面から衛生設備の保持、衛生水準の保持という意味からいろいろと助成策を考えておりますし、そういう意味で、一般的にはそういった対策を当然講じているわけでございますけれども、具体的にたとえば性病対策として、その面からの具体的な手段なり具体的な方法をやっているかと言われますと、ちょっと具体的な問題としてはないわけでございます。
#72
○中沢伊登子君 私はその点がやはり一番大事だと思うのです。それを将来何とか考えていただけないものかどうか。厚生省に特に御要望しておきます。研究してみてくだざい、一度そういうことを。
 それから次に、ついこの間、私バンコクに何時間か寄ってみたのですが、そうしますと、一番目抜きの通りのところに大きな看板がかかっておりましたのが目についた。それには漢字で「牡丹大浴場」という字が目につきました。それで主人に、あれは一体何かと聞いたら、もう日本人というのは、じきにああいう商売を始めるので困るな、国辱ものだよと。こう言っていましたが、聞いてみますと、それはいわゆる国内にあるトルコぶろみたいなものだと、こういう話を聞きましてたいへんびっくりしたわけです。向こうにおりましたときに、たまたま八カ国の人が集まって、女性は私一人だったもんですから、たいへん皆さんから、日本は女性を来させてもらってよかったといっておほめをいただいたとたんにテルアビブの乱射事件がありまして、これで私ども実際外国におりました者は、そのときぎゃふんとなってしまいまして、特に私のすわっておりましだ席は、両隣がイスラエルの方で、警察庁長官がすわっておったわけです。あわてふためいて帰られましたけれども、その前の晩までは片言の英語で一緒に食事をしたり、冗談を飛ばしたりしていろいろお話をしておったのですが、翌日コンファレンスホールに行ってみたら、記者会見だということで実にびっくりしたわけですけれども、そういうことで実にたいへん、ああいう問題が起こりましたときに外国におりますと、内地におられる方以上の大きなショックと恥ずかしさを感ずるわけですね。そしてバンコクに行ってみて、まあこういったようなトルコぶろが目抜きの通りに大きな看板を出しているわけです。こういうことがあるので、とにかくもうかるならばどこへ行ってでも、何をやってでもいいと、こういうふうな考え方がどうも日本人の中にあるような感じがしてたいへん残念でならないわけですけれども、日本人と外国人とはいろいろまた違う点がありますし、法律も違いますから、よその国のことを私は云々するわけではありませんけれども、警察庁は映倫に対して最近相当意見を申されたことがございましたし、新聞で拝見をいたしておりまして、私は、これは党としてではなくて、私個人として大いにあの問題には拍手を送ったつもりでございます。ですから、こういったトルコぶろみたいなものに対しても、こういう業者が向こうに行かれる、そしてそういうものをつくる、こういうことに対して、これは日本の警察の管轄外なのか、そういうことを監督するわけにいかないというのかどうか。その辺をひとつ聞かしていただいて、まあこれから日本の国も世界じゅうから環視、注目の中にあるわけですから、そういったような何か国辱的のものは、映画が日本に入ってきてそれがポルノがどうとかこうとかというだけでなくて、日本から出ていくものに対しても多少、どう言ったらいいでしょうか、何か監視というわけにいかないでしょうけれども、そういったような問題に対してももっと煮詰めておいていただきたい。それが日本の警察では管轄できないのかどうか。その辺も引っくるめてお答えをいただきたいと思います。
#73
○政府委員(本庄務君) 外国において日本人が好ましくない営業をやっているということについて、日本人として恥ずかしい気持ちがするということはこれは私も同感でございます。気持ちとしては全くさようでございますが、事、法律的な問題になりますと、外国でやっておる日本人のトルコぶろ営業につきまして、私たち警察で監督するとか、要するに措置をするということは、これは残念ながらできないと申し上げるよりほかございません。むしろこういった問題につきましては、余分な言い方かもしれませんが、やはり良識によって措置されていくべきものではなかろうか。個々の業者個人の良識ということもございますが、やはり国民全般の良識というものが力となってそういうものを抑制していくということが必要ではなかろうか。その意味におきまして、私はむしろ中沢先生のような国会議員という地位にあられる方々に、そういう点はむしろ私のほうからお願いをしたいという気持ちでございます。
#74
○中沢伊登子君 それでは、最後に一つ要望を申し上げたいと思います。
 先ほど藤原委員からもいろいろ私と同感の意見を言っておられたわけですけれども、まあ旅館業法と風俗営業法との違いの一つに私こういうことを聞いたことがあるのです。それは旅館業法で取り締まるというものは寝具ですね、寝具を使用するかしないか。風俗営業法で取り締まるものには、その寝具を使用しないのだ、こういうような話を私聞いたことがあります。それが当たっているかどうかはよくわかりませんけれども、だからモーテルなどというものは、やはりベッドを使うし、ふとんを使うからこれは旅館業法でなければしようがないのだ、こういうような話をどなたかがおっしゃっていたのを聞いたことがあるのですがね。お金もうけをしようと思えばその寝具を使おうが使うまいがとんちゃくはなくて、その裏をかくというような方法は幾らでも業者は考えるわけですね。それですから、私は当然今度の改正で、ほんとうならばこのモーテルならば風俗営業法を適用すべきだ、こういうふうに思っておりましたけれども、今度一部改正で終わってしまうわけですけれども、先ほど藤原委員もはっきりおっしゃいましたけれども、とかく何かといえば後手後手に回っている。こういうことでございますから、営業の自由ということがありますから、そう手きびしく取り締まるわけにはいかないのでしょうけれども、そういったような気持ちをわれわれ持っているということもお察しいただけるかと思いますが、今後ともまた何らかの改正のときにはひとつわれわれの気持ちもくんでいただいて、こういったようなものが、それはなかなか良心に恥じないようにとか、あるいは良識でこうしろとか、あるいは、たとえば先ほど申しましたような出版物もどうとかということでは、なかなか自発的にはおさまらないものでございますから、今後とも国家の公安を守る意味からも、国家公安委員長の決意をもう一度伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#75
○国務大臣(中村寅太君) 中沢先生の御指摘になりました諸問題については、私も政治家として全く同感でございます。ただ最近、日本の国内、国民的といいますか風潮として、いろいろの問題を規制されることを非常にきらう傾向があります。いろいろ立法措置を考える場合も、先ほどから藤原委員の御指摘の中にもありましたが、良識から考えればもう少しと思うようなことも、なかなかいろいろの問題に関連をもってだんだん所期のねらいというものが弱まってくるという傾向があります。われわれも非常に遺憾と思いますけれども、やはりこれを根本的に直しますのには、国民の良識と節度というようなものがもう少し表に出るような風潮ができてこなければ非常にむずかしいのではないかと思っているのですが、警察といたしましては、与えられた法を最高度に運用します。皆さん方の期待にこたえてまいりたいと、かように考えておるものでございます。
#76
○河田賢治君 多少重複するところが出るかもしれませんが、ごかんべん願いたいと思うのです。
 この法律の改正案は、御承知のように旅館業法が一方にある。これで一定の営業の許可は都道府県の知事ということになっておりますね。風俗営業ということになりますと、これは第二条に定義がありますが、モーテルの定義はない。しかし、これの許可、認可ということは公安委員会、こういうふうになっているんですね。このつまりあいのこのような、あるいは特別なような、旅館であって旅館でないようなものが要するにモーテルとして出たわけですね、新しく。どうも体系からいいますと、最初に旅館などは、旅館とホテルと区別する、あるいは簡易宿舎に区別して定義づけているんですね。風俗営業では、いろいろそれぞれの風俗営業に関するものを定義づけておりますが、このモーテルというのはどこにどうなんだということの定義がないわけですね。そしてやっと新しく挿入される中に、個々の個室とガレージということで入っているわけです。どうもこの点で一貫性を欠いた、扱いができないじゃないかという気がするわけですよ。法律はいろいろの方面から厚生省関係あるいは警察関係もありますけれども、やはり特殊なものは特殊なものとして一つの法体系をつくり上げる。そうして、特にこういう風俗営業のほうに重点があるならば、これに対するいろんな警察と監視や指導ということもできますし、また規制もこれによってできるわけですね。この辺がどうも私今度新しい法案を見まして、あちらにも首を突っ込み、こちらにも首を突っ込む、こういう形になっていると思うのですが、一体この辺はどうなんです。
#77
○政府委員(本庄務君) まことにごもっともなお話でございまして、旅館業法にも首を突っ込み、風俗営業等取締法にも首を突っ込むということは、これは突っ込み方の程度は別といたしまして、両方に引っかかっておるということはこれはもまぎれもない事実でございます。したがいまして、これは立法技術の問題に主としてなると思いますが、立法技術といたしましては、モーテルというものだけを別に抜き出したモーテルの単独の規制立法というものもこれも不可能ではないと思います。ところが、モーテルの実態を見ました場合に、やはりこれは旅館としての設備をちゃんと整えておる、そういう意味におきまして、まず旅館と言ってよかろうと思います。ところが、非常にたくさんある旅館のうちの一部が特に風俗上の問題のあるものになっている。そういった地域、風俗上の問題になっておる一部の――数が五千ですから一部とは言えないかもしれませんが、やはり旅館全体の数から見ればごくわずかでございますから、目下のところは一部と言ってよかろうと思いますが、その一部のものについて風俗上の見地から所要の規制をする必要がある。したがいまして、先ほども申しましたように、旅館業法の中で規制することは法律的には可能であると思います。しかし従来の、先ほども申しましたが、たとえば深夜飲食店、トルコぶろ、興業場、こういったようなものにつきまして、それぞれの本来の規制法律はあるにもかかわらず特殊の風俗的な要素を持っておる部分について風営法の分野で規定をしておる、こういう例もございますので、今回もその例にならって風営法の分野で規制をしようということでございます。しかし、風俗営業そのものにしたわけではございません。
#78
○河田賢治君 旅館業法で最初私はよかったと思うのです。特に、私京都ですが、御承知のとおり、旅館はたくさんありますけれども、しかし最近道路がよくなり、それからまた自動車がだんだんふえてきた。そうすると自動車を持って旅館に泊まることはできないわけですし、置く場所が非常になくなってきている。そうしますと、やはり遠くから来られた方が、どっかモーテルがあれば、それは正常な夫婦関係の人であれば旅館の代理をするわけですね。ところが、そういう点で一応旅館として役立ちますけれども、しかし、最近御承知のとおりモータリゼーションも増加するし、またこういうモーテル業者がどんどん競争し出す。そこで最近、私、二、三材料を集めてみたのですが、非常に一方ではモーテルがだんだんとふえまして乱立する、経営難におちいる。そうしますと、この転落したモーテルが結局暴力団と組んで売春をやっておる。これは去年の四月十八日の毎日新聞の記事なんですけれども、とにかく昼夜交代で三十人の女性、その中には農家の主婦なんかもまじっている。こういうのがずっとモーテルを利用して、そうしていろいろな連中を置いて盛んに売春をやっている。これは同時に暴力団が、その辺の幹部が中心になってやっているということでいわれているのですね。ですから、乱立すればどうしてもこうなります。一方、またそういうことは、少しでも金もうけをよくしようと思ってデラックスないわゆる空中回転のベッドだとか、だんだん客を集める上でエスカレートするわけですね。ですから、こういう状態の中で、結局非常に悪くなれば売春なんかどんどん栄えるでしょうし、他方においてはエスカレートをした室内の装飾なんか、いろいろな中を、これは夫婦の中であれば別に問題ありませんけれども、そうでない場合は非常に問題になるようなそういう設備になってきつつあるように特に思うのです。そこでそういう点については、規制については相当やはりきびしくしてもらう必要があるのじゃないか。私、きのう一緒に行きましたけれども、係の方もついておられましたけれども、ああいうところでは犯罪が起きるのですけれども、このときに、女の人が強姦されたような場合に、電話で通知すればいいけれども、電話をとれば相手はその電話をひったくって取られるのはわかっているのですね。部屋の中にちっとも非常ベルというのがないのですね。火事のときには非常口というのがありますが、室内でもやはり非常ベルで管理者のほうへ通報する、管理者が出てこなければ警察を呼ぶとか、何か非常ベル的なものを、どうせ部屋は密室ですから、大体がそこにちゃんと表示もし、そういうものを設けて、暴力行為が起こらぬとは思いませんけれども、起こるのを多少でも防ぐとかいうような方法を講ずる必要があるのじゃないかということを私感じたのですが、この点はどうでしょうか。
#79
○政府委員(本庄務君) モーテルにおける各種の犯罪防止、これはモーテルを離れましても、旅館業一般でも同じでございますが、いろいろな方法でいわゆる防犯措置を講じているわけでございますが、これは法律に基づく事項というよりも、行政指導という形で各府県の警察署が個々に業者と接触をして実はやっているわけでございまして、特にモーテルにつきましては、いま先生御設例のような事案もございますので、特別にそういった警報装置も必要だろうかと思います。現にこれはつけつつあります。全部約五千四百のものについているかどうか、そこは確認いたしておりませんが、逐次つけている状況というふうに承知しております。
#80
○河田賢治君 私がきのう行って見た限りでは、ないわけですね。室内電話で管理者のほうへは通知できますが、そういうものがないと、少し気の弱い人は電話もかけられぬという場合も、非常ベルを押せば、これは多少防衛にもなるのじゃないかということで、銀行なんか御承知のとおりいつも非常ベルで、最近は銀行強盗多いのだから、金融機関ではそういうことをどんどんやっているわけですから、特にこういう怪しげな人々が集まるようなモーテルなどは、特にそういうことが必要じゃないかと思って私いま申しているわけです。
 さらに犯罪ですが、私、秘書に調べさしたのですが、京都の旅館業者が義務づけられておる宿泊者名簿ですね、備えつけていないというのが多いんですね。それでこの間、五月十三日ですが、京都でやはり女子大生が車で襲われてモーテルに連れ込まれて暴行を受けた。これに対して男を猥褻略取、婦女暴行致傷、窃盗の疑いで逮捕して、あと仲間の一人も同容疑で指名手配したという記事がありますが、そのときにわかったことなんですが、旅館業者が全然義務づけられた名簿をつけていない。こうしますと、名簿はおそらく皆さんのほうから行ったときになければ、これは届け出はしょっちゅうしないわけですからね。大ぜいの人を毎日毎日届けるというのは何でしょうけれども、相当こういう犯罪の多いときには何らかの手法を使って、名簿を一応出さすとか、そうすれば、これによって車のナンバーなんかも、必ずしもうまく当たるとは言いませんけれども、そういう犯罪者がこういうところで何かやっていやしないかということもわかるわけですね。だから、普通の旅館業よりもこういうところはそういう余地は多いのですから、それに対する名簿などは完全に出さす、あるいは定期的に検査させるとか、こういうような方法で規制する必要があるのじゃないかというふうに考えますが、これはどうでしょう。
#81
○政府委員(本庄務君) 犯罪防止の観点から宿泊者名簿についてときどき提示させることを認めていただくというのはたいへんありがたい御趣旨でございまして、そういう意味におきまして、たいへんうれしく思うのでございますが、宿泊者名簿を提示させるということになりますと、やはりいわゆる立ち入り権ということが関係してまいります。これは厚生省のほうからむしろ御説明いただいたほうがいいかもしれませんが、旅館業法で関係の職員、これは厚生省系統の職員になりますが、立ち入り検査権もあるようでございます。厚生省のほうは当然そういうことをおやりになれるわけでございまして、あえて警察官にさらにそういった権限を付与するかどうかということにつきまして、私たちといたしましては、そういう立ち入り権があれば非常に好都合で犯罪防止には役に立つかと思いますが、その問題については、ただその観点だけからきめられない面もございますので、厚生省のほうで十分宿泊者名簿の励行をおやりいただくということを期待しておる次第でございます。
#82
○河田賢治君 だから、私が最初に申しましたように、一般的な旅館業法と、それから風俗営業を、これはある程度きちんとモーテルあたりは風俗営業なら風俗営業にずっとして、そしてその中にいろいろなことを十分書き込むというようにすれば、比較的犯罪の予防やあるいは犯罪を捜査する上に便利があるのじゃないかというふうに考えているわけです。そういう意味から言ったんですが、御承知のように犯罪は、ここであげておられますけれども、京都あたりの公安委員会のほうで聞きましても親告罪が多いのですからね。そうしますと、おそらく十倍くらいはあるだろうと言っているのですよ。そうすると、ここでは強姦が二百七十件とか強盗が十六件とか強制わいせつが二十一件とかありますけれども、これは実際からいいますと、親告ですから、親告でないものを入れれば、十倍はともかくとしまして相当な数にのぼるのじゃないかと思うのです。そうしますと、この辺の取り締まりやあるいは立ち入りということが、かなり警察のほうは犯罪の予防から、また起こった場合にでも直ちにこういうところをどんどん調べるということは私必要だと思うわけです。
 そういう意味でひとつ申し上げますと、可能な限りやはりいろんな面からこれに対する措置が、あなたのほうで法律として手続や公安条例が必要なものは行政的に指導するというふうにして、いろいろこの辺はやってもらいたいと思うわけです。さらにこれは都道府県の条例が、これによってまた新しく出てくるわけなんですが、そうしますと市町村にも、さっき話がありました三十八の市町村でつくっている。しかも市町村でつくったのは、もうやむにやまれずつくったところが多いわけです。これは昭和四十五年の六月、東京都の大和町ですか、ここではもう町ぐるみ「モーテル・旅荘絶対反対」ということを立て看板を出して、そうしてもう町の当局、議会、PTA、婦人会など、町のあらゆる団体を網羅して「大和町生活環境を守る会」というのをつくって、そうして運動していた。厚生省へもお願いしたということを書かれている。ここでも今度の条例をつくった中に入っておりますが、この場合、都道府県の公安条例で都道府県のこの種の取り締まり、あるいは業者に対する問題でかなり一般的なことが規定されると思うのですけれども、市町村でつくっている条例はこの場合どうなりますか、この辺を伺いたいと思います。
#83
○政府委員(本庄務君) 今回お願いしておりますいわゆるモーテル規制法に基づいて都道府県がつくります条例は、規制地域の指定だけでございまして、その他のいわゆる一般的な条項はございません。一方、現在すでに市町村で制定されております条例につきましては、けさほど代表的なものを二つばかり取り上げて御説明をいたしましたように、いろいろ建築する前に手続を必要とするというようなもの、大体そういったようなニュアンスのものが多いわけでございまして、こういった条例と、それから今回の法律に基ずいて規定される都道府県の条例とその中身がかりに抵触する場合には、その条例は法律的には無効ということに理論上はそうなるわけでございます。しかしながら、いま申しましたように、現在制定されております市町村条例について検討いたしましたところ、規制の目的あるいは規制の対象あるいは規制の内容、いずれもが今回の法律に基づいて定められるであろうと思われる都道府県の条例と違っておりますから、この法律が制定され、この法律に基づいて都道府県条例が制定されても、直ちに無効となる市町村条例はないというふうに考えております。ただし、今後都道府県条例で定める地域の指定のしかたによりましては、具体的な指定の内容によりましては、その指定された地域内におきましては、市町村条例に基づいての規制が意味を持たなくなる、そういうことはあり得ると思いますが、しかし、抵触して直ちに市町村条例を廃止しなければならぬとか、あるいは改正しなければならぬ、こういうものはないと考えております。
#84
○河田賢治君 自治省の方にちょっと聞くんですけれども、これはおもに都市計画の問題と関連するわけですけれども、昨日行きまして二番目に見ました「関所」というモーテルがあったんですけれども、ここは非常に人家から離れてぽつんと畑の中に一軒あるわけです。ですから、旅館業法にいう百メートルとか等々はこれにかかっていないわけです。しかし、やがて成田空港へ行くインターチェンジが近くにできるというところなんですね。そうしますと、都市計画について実際にまだ計画も十分練られていない。それで、そういう大体住宅地になるであろうと思われるところなんですが、そういうところに土地が先取りされてしまう。そうなりますとモーテルの、先取りしたんだからこれは文句は言えないんでしょうけれども、都市計画から考えまして、人家の密集地帯、あるいはまたいろんな学校なり幼稚園なり、その他こういう公共のいろんな建設をやらねばならぬ、そういうところができると思うんですね。そういう場合に、やはりこれがあまりむやみに先取りされますと、そうすると都市計画と、どこまであれがなっているのか知りませんけれども、非常にまた問題を起こすんじゃないか。これから建てるにはみんな反対する場合がありますけれども、先につくられてしまうと、これはまた立ちのけと言うわけにもなかなかいかぬでしょう。こういう問題については、自治省あたりは、こういうモーテルなどかなりの地方が反対をして、そうして条例をつくって、できるだけ早く規制していこう、少々モーテルがつくられても、あまり人家のないような、将来にわたってできないようなところにつくろう、こういうようなことをやっているわけですが、そうすると、こういう地方自治体の町づくりといいますか環境づくりと、こういう先取りされる問題について何かお考えがありましょうか。この点ちょっとお聞きしたいと思います。
#85
○説明員(遠藤文夫君) 結局、狭い意味におきますと都市計画、あるいは広い意味におきましては、都市に限らず、都市、農村をくるめての国土全体の土地利用計画ということの問題として検討すべき問題かと思いますが、モーテル自体について言うならば、今回制定されますところの法律の運用を通じてそういう問題に対処していくべきだろうと思います。ただ現実に、すでに建設されておるというものをどう思うかということでございますが、先生も御指摘ありましたように、すでに適法につくられているものということでございますと、やはり財産権の尊重という問題と関連もございましょうし、そのような問題と、それから具体的な都市計画という問題との関連において、具体的なケース・バイ・ケースの問題として処理されていくということかなという気がいたしております。
#86
○河田賢治君 これは今後公安委員会が主として許可されるわけですから、そうしますと、できるだけそういうモーテルなどをどこに建てるかという、いろいろ業者が出てくると思うんですけれども、大宮あたりは「その他市長が不適当と認めた場所」で全部押えることができるわけですね。人家の密集しているところはもとよりのこと、区画整理の施行中のところとか、こういうふうにかなり規制をしております。非常に山の中に入って人目につかぬところならいいだろうということですか、とにかく私は、都道府県の条例で、単に場所ですね、公共的な建物から何メートル離れたとかいうぐらいのやり方ではまずいんではないか。したがいまして、やはり市町村に相当今後都市計画が、市街化区画はなおさらのこと、その他におきましてもかなりずっと計画が立てられるわけなんですか、それがおくれているところが多いわけなんですからね。だから、許可にあたっては、その町の要望といいますか、それから市長なり、あるいは市当局なり、あるいは市議会等々、町村でもそうですが、こういうものの意見を十分聞き、そうして都道府県の公安委員会が許可するというふうにしていただかぬと、あまり先取りをどんどんされて、これからさらに発展していこうというところを先に取られちゃどうにもならぬと思うのです。その辺が、これからこの問題を承認するにしましても、公安委員会は単に建物だけとか場所がどこだというだけでなくて、やはり全体の日本の都市の発展や、あるいはまた娯楽設備、あるいは環境なんかを十分考えて行政指導を強めてもらう必要があると思いますね。ですから、こういう点、私たちこの法案には賛成なんですけれども、とにかく内容をそういう建設にあたっては十分に注意してもらうということ、それから規制においては、先ほど申しましたように、警察が必要な場合は、相当立ち入り検査して犯罪を予防して、あるいは犯罪の結末をきちんとつけられるように、そういう点について、あまり厚生省のほうの旅館の営業ばかりを考えずに、公安委員会が許可権を持っているのですから、そうしてそれに対しては、大体公安委員会がやれるような姿勢で取り締まりは私は強化していただかなければならぬと思う。そうしないと、犯罪はふえる一方ですし、またますます、さっき申しましたモータリゼーションとデラックス化によって、こういうところから受ける市民の害といいますか、そういうものがはなはだしくなると思うのです。その点を十分今後とも指導していただきたいということを要望して終わります。
#87
○委員長(玉置猛夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(玉置猛夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#92
○委員長(玉置猛夫君) 警備業法案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○中沢伊登子君 それでは、続いて警備業法案のほうに質問を移していきます。
 第一点、まずこの法律案の立法の趣旨を説明してください。
#94
○政府委員(本庄務君) 立法の趣旨について簡潔に御説明をいたしたいと思います。
 まあ俗にガードマンといっておりますが、ガードマン業につきましては、むしろ沿革から少し述べさせていただいたほうが御理解いただけるかと思いますが、約十年前に日本で初めて発足いたしまして、それから逐次ふえてまいりました。この仕事は、御案内のように、事務所とかあるいは事業所、そういった特定の施設におきまして盗難その他の事故の発生を防止する。あるいは工事現場等で通行の危険のある場合に、その危険のないように、事故のないように警戒、防止する。あるいは現金輸送の際に盗まれないように警戒する。または何か危難にあう、そういうおそれのある場合にその身辺を警戒する、いわゆるボデーガード。こういった仕事を、これは本来人間が生まれながらにして持っておる固有の自分を守る、自分のからだあるいは財産を守る権利ということかと思いますが、それを第三者に委託する。その第三者が営業としてそういうことをやる。これが大体いわゆるガードマンの内容であろうかと思いますが、そういった業態というものが三十七年にできまして以来、いろんな原因があると思いますが、一つは経済的な要素、自分が守衛を雇ってやるよりも、そういういわゆるプロに委託したほうが経済的にも安くつくし、それから技術的にも効果があると、こういうふうな点からだんだんと発達してまいりまして、約四百五十社、これは兼業のものとそれから専業のものと両方ございますが、両方合わせまして約四百五十社というふうに数がふえてまいりました。それからガードマンの数、これはレギュラーと臨時とありまして正確にはつかみにくいのでありますが、レギュラーの者が約三万五千、これも必ずしも正確な数字でございませんが、そういうふうに非常な発展をしてまいりました。こういうふうに業者の数がふえて、またガードマンの数がふえるに伴いまして、先ほど申しましたような仕事をやっておるうちにそのガードマン自身が犯罪を犯す。たとえば警備対象のものを盗むというような事案、あるいは先ほど申しましたような警備の仕事をやっております間に第三者、つまり一般市民、国民に迷惑をかけるような行為をやる、そういったような依頼者との関係におきまして、または一般市民との関係におきまして、ときには不法な事案、あるいは不法といかなくても不当な事案が発生するというふうになってきました。また一般市民から、どうも警察官と似た服装をしておってさっぱり区別がつかないと、警察官だと思って拾ったものを届けたら、それは実はガードマンだった、ネコババしてしまったと、そういうのはこれまた服装を何とか警察官と区別がつくようにしてもらいたいというような声も出てまいりまして、本来営業というのは自由営業が一番好ましいわけでございますが、完全な自由営業にしておいたのではまずいと、この際何らかの最小限度のそういった不法、不当な事案が起こらないような規制をする必要があるのではなかろうかと、そういう趣旨からこの営業者の欠格事由、いわゆる資格でございますね。それから営業者にやとわれるガードマン、法律では警備員といっておりますが、それの資格。それからやはり実態を把握する必要がございますから、営業については届け出をさせる、そういったような事柄。さらにその警備を行なうにあたって守ってもらうこと。たとえばいろんな団体の活動、特に労働争議なんかの場合に不当介入をしてトラブルを起こした事案もございます。それ以外に、先ほど申しましたような他人の権利あるいは自由を侵害しているような事案もあります。そういうことのないように、また、いま申しました服装について警察官その他の法令上の公務員と区別ができるような服装にしてもらう。それから仕事の性質上護身用具を持つことは当然考えられますが、これにつきましても限度を守る、あるいはこういったもろもろのことにつきましてよく警備員に対して業者が教育を行なうように、こういった幾つかの最低限、最小限度の規定を設けて、先ほど申しましたような不当あるいは不法な事案の発生を防止する、そうしてひいてはガードマン業務の適正実施ということを期待をいたしたい。もちろんそのためにはいろいろな監督権あるいは懲罰規定等も当然つくわけでありますが、そういった趣旨のものが今回の立法の警備業法でございます。
#95
○中沢伊登子君 たいへんよくわかりました。私どもしばしば新聞紙上でガードマンが反対に問題を起こしている、こういうような記事を散見しますと、このガードマンのことに対してだいぶ私ども不信を抱いておったわけでありますが、今回のこの法律案で、これがまたガードマンに対するいろいろな自覚を促したりあるいは教育になることはたいへんけっこうなことだと思います。ところが私、東京都警備会社連絡協議会というところからこの「警備業法案に対する意見要望」という陳情書をいただいているわけです。おそらくこれはそちらにも行っているでしょうし、委員にも全部行っていると思いますが、これに対して今度のこの警備業法案は、法案の内容が「警備会社不信の上に立って、規制のみを目的とした法案」であると、もしもこの法律が施行されると「警備員の士気に及ぼす影響は甚大であり、ひいては社会の安全保持に寄与している警備活動にも影響があるものと憂慮される。」と、こういうふうに意見要望があったわけです。それからなお詳しくは、「第一に警備員は保安要員であるが労働組合の結成もできるし、従って罷業を行なうことも可能である。もしそのような事態が起きたときは、警察、消防職員が行なったと同じ社会的影響を及ぼすものである。」、こういうふうなこともいろいろ書いてありまして、法的の保護がないとか、あるいは「警備員は警察、消防職員と同じく生命、身体の危険にさらされながら日夜勤務に従事しており、すでに職に殉じた犠牲者もでている」、こういうふうなことも書かれてあり、あるいは「警備業務遂行のための車両の駐、停車や緊急事態発生時の現場急行についても道交法の適用をうけてその活動が著しく制約されているが特別の取扱いをうけていない。」、こういうふうなことも書かれているわけですけれども、今度のこの法律案が、先ほどお話の中にありましたように、警備会社の不信の上に立って規制ばかりを目的とした法律であるとすれば、やっぱり士気にも影響を与えるかもしれないということは私ども察せられるわけですけれども、その辺についていかがお考えでございましょうか。
#96
○政府委員(本庄務君) いまの東京都の警備会社の組織から出ておる要望書につきましては私も一読いたしております。今回の法律が規制立法である、これはそのとおりでございます。しかし、警備会社不信の基盤の上に立ってこの法律をつくったというのは、これは全くの間違いでございます。警備会社約四百五十ございます大部分の会社、それから三万人余の大部分のガードマンの方、これはまじめに適正に仕事をやっておられる、かように存じております。ところが、先ほど申しましたように、ごく一部にまあ不心得な営業者あるいはガードマンがおりまして、依頼者に迷惑をかけ、一般市民に被害を及ぼしておる、そういう現実の事態がだんだんと起こってきておるわけでございますが、営業者なりガードマンの数がだんだんふえていく状況におきまして、こういう事態をこのまま放置しておきますと、さらにその不当、不法な行為というもの、事案というものがふえていくおそれがある。したがいまして、そういったことを防止するために、好ましいことではございませんが最小限度の規制をしなければならないというのが今回の法律の趣旨でございます。したがって、規制立法でありますから、もちろんいわゆる保護、助成ということは直接には出ておりません。しかし、この法律が実施されまして、まあよくない業者、よくない警備員が排除され、あるいは、よくなかったものがよくなるということになりますと、結果的には警備業者全体あるいは警備員全体としては向上するわけでございまして、そういう意味においてはやはり警備業の健全なる育成という結果にはつながると、まあ少し回り回った論理ではございますが、大きな立場で考えますとそういうことが言えるんではなかろうかと。で、私たちもこの立法をいたしまして、国会に提案いたしましてから、そういう関係の業界の方々とは何回も話し合いをいたしておりまして、立案の趣旨につきましてはほぼ理解をしていただいてきておりますが、何ぶんにもまだ新しい業者が多く、業界の組織化ができておりません。ようやく五月の二十五日に全国組織が一応結成されたことになっておりますが、そうした組織化を機会に、さらにそうした組織を通じてこの立法の趣旨を十分のみ込んでいただいて誤解のないようにいたしたいと考えております。
 それから次いで、こまかい各論的な問題、たとえば身の危難にさらされてすでにいわゆる殉職した者もおると、それに対する手当てがないじゃないかと、あるいは駐停車の場合の特例といいますか、特別のそういった措置がとられてないじゃないかということにつきましては、これは私先ほど申しましたように、この警備業務の本質からいたしまして、これは警察業務ではございません。一見、ちょっと見ますと、あるいはちょっと法律読みますと、警察業務に非常にまぎらわしいような感じを受けるのでございますが、私たち警察が公権力によりまして一般の公共の秩序の維持に当たるのと違いまして、これは他人の需要に応じまして特定の者の生命身体あるいは財産を守るという仕事でございまして、警察業務ではございません。殉職されたということはこれは非常にお気の毒な事案でございますが、やはりそういったような場合には、これはまあそのときの状況がわかりませんので私一がいに言えませんが、警察にどんどん通報していただく、そして警察官を呼んでいただく、そしてそういう危急な事態の措置は警察官が当たるというのがこれが正しい姿であろうかと思います。また、駐停車云々につきましても、法律に違反をして緊急に行かなきゃならぬというような場合、これはやはり特別な場合でございますから、そういう場合には二〇番を利用するなり何なりして警察の出動を即刻要請していただく、そして警察官がかけつけて所要の措置をとると、こういう姿が正しいと思っておりますので、その点につきましても業者のほうに若干の誤解があるようでございますが、十分に説明をして理解をさせたいと考えております。
  〔委員長退席、理事寺本広作君着席〕
#97
○中沢伊登子君 先ほどのお話のとおり、最近このガードマンの営業というのはずいぶん増加しております。そして私どもも現に知っておりますのは、いままでに交通事故を起こしたりスピード違反でつかまったり、あるいは窃盗をしたりした人が堂々とガードマンになっている実例を私実は知っておるわけです。それからもう一つふしぎでならないのは、私ども普通の常識から考えて、この人のお金もうけのやり方は多少正常ではない、つまりもう明らかに何か脱法行為みたいなことをしてそのお金もうけをやっている、そういう人がむしろこのガードマンを雇っているというような例も実は知っておるわけです。こういうことでガードマンの営業がどんどん増加していく状態にございますけれども、そして今後においてもなおこれが発展をしていくでしょうけれども、この種の営業が増加することについて、警察庁のお考えはいかがでございますか。
#98
○政府委員(本庄務君) 警備業の性格と申しますか、警備業というものはどういうものかということにつきましては先ほど来申し上げております。現実に社会の需要に応じて急速に増加しておると、これも事実でございます。で、この種の営業がどんどんふえるということについて警察の立場から申しますと、ふえることが非常に好ましいとも考えておりませんし、そうかといって、これは減らなければならないとも考えておりません。やはり私は社会の需要に応じて自然に増減する姿、それはそのまま率直に認める、と言うとおかしいですが、それはそれでいいんではなかろうか。私たちといたしましては、その状態がふえようが減ろうが、いずれも適正に業務実施されるように所要の措置をとってまいりたいと、こういうことに尽きるかと思います。
#99
○中沢伊登子君 ちょっと私の質問をしたことにお答えがいただけなかったんですが、それはそういうガードマンの営業がふえてまいりますね。たとえば、いままで交通事故を起こしたり、スピード違反を起こしたり、そういったような人までもどんどんふえていくと、雇われるままにそれに応じていかれる方があるわけですね。だから、それはやはり警備会社が、そういうガードマンの会社がよほど正しくないと、そういう人もどんどんガードマンとして雇ってしまう。そういうところにも私は一つ問題が起こってくるんじゃなかろうか、こういうようなことに対してどういうふうにお考えになられますか。
#100
○政府委員(本庄務君) たいへん失礼いたしました。いまの御指摘の件につきましては、確かにそういった者がガードマンになると、ガードマン業をやるということは好ましいことではございません。その意味におきまして、この法律の中では、営業者につきましては第三条に「警備業者の欠格事由」として、それから雇われるガードマン――警備員につきましては、第七条に「警備員の制限」という項目で、いずれも所要の規定を設けておりますが、営業者につきましては、「禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して三年を経過しない者」、それから「法人でその役員のうちに前号に該当する者があるもの」、これは警備業を営んではならないというふうにはっきりとうたってございます。それから警備員につきましては第七条に、「十八歳未満の者又は第三条第一号に」、これはただいま申しました営業者の欠格事由と同じでございますが、「第三条第一号に該当する者は、警備員となってはならない。」と、それからそれを受けまして、「警備業者は、前項に規定する者を」、つまり十八歳未満の者、または先ほど申し上げました欠格事由に該当する者を「警備業務に従事させてはならない。」と明確にいたしまして、一定の限界を設けて、先生がおっしゃいましたようなもの全部入るかどうかわかりませんが、ある限度で排除すると、こういう措置を講じております。
#101
○中沢伊登子君 それでは次にまいります。
 この法律が制定されることによって警備業者は国によって公認されることになりますね。警察でない警察が誕生するおそれはないかどうか、その辺を伺いたいと思います。
#102
○政府委員(本庄務君) この法律ができることによりまして、警備業者というものが国によって公認されるかどうかということ、これは用語の問題もありますが、法律的な意味において公認されたというふうに解してはおりません。もともとこれは自由営業として現実の姿で存在しておったわけでございますが、先ほど申しましたように、最近の不法、不当な事案の発生を防止するために必要な規制を設けるわけでございまして、その意味におきまして、何か国がお墨つきを与えるという意味での公認ではございません。で、先ほど申しましたように、この警備業務の内容も、他人の需要に応じまして生命、身体あるいは財産の保護に任ずる。その内容も具体的に二条に一号から四号まできめてございますが、こういったものに従事する。これが警備業の内容でございまして、警察の業務と一見似たような感じはいたしますが、法令によって権限を付与されて、一般的に人の生命、身体、財産の保護に当たる警察の業務とは性格的に別個のものでございますから、第二警察といったような性質のものではないと、かように御理解いただきたいと思います。
#103
○中沢伊登子君 一般の営業規則法ですね、これは許可制になっているものが多いのですけれども、これを届け出制にしたのはどういう理由でございますか。
#104
○政府委員(本庄務君) これは幾つか理由はございますが、一つは、法律論になってたいへん恐縮でございますが、許可制というのは、御案内のように一般的に営業を禁止する、つまりそのもの自体が非常に危険性を持った業務であるとか、あるいはその他いろんな技術的な面、あるいは経済的な事由、そういった幾つかの事由によりまして、一般的に営業を禁止して、特定の要件を具備した場合に、その禁止を解除して営業を認めるというのが許可制でございます。したがいまして、一般論といたしましては、やはり営業はなるべく自由であるというのが現行憲法上からしても望ましいわけでございます。その意味におきまして、いままで警備業につきましても全く何らの規制をしておらなかったのでございます。で、規制をする必要は先ほど申しましたような事情で出てまいりましたが、しからば、この業態につきまして一般的に禁止をかけるほどの必要性があるかということにつきましては、それほどの弊害といいますか必要性が現在のところはないと、したがいまして届け制をとる。やはり届け出はしていただかないと、どこでだれが営業をしておるか、そしてどの程度のガードマンを雇っておるか、その営業内容はどうかということの把握すらもできませんので届け出は最小限していただく。そして法律に基づいて所要の監督をしてまいりたいというのが、これが一つの事由でございます。
 それからもう一つは、これも法律論になりますが、許可制をとっております場合は、全部が全部そうではございませんが、大部分のものは人的な要件、あるいはそのほか一定の技術要件、あるいは資力の要件、資本金は幾ら以上とかあるいは事業の規模、そういったような幾つかの要件をきめておるわけでございます。この警備業につきましては、たとえば資本金は幾ら以上なければいけないとか、あるいは警備員は何人以上なければいけないとか、そういう制約を課する必要はいまのところはございませんし、またそういう理由もございません。したがいまして、目下のところ技術面、資力面、規模、その他の点につきまして縛る必要がございません。ただ、先ほど申しましたような、やらせたくない人間、あるいは雇ってもらっては困る人間、これだけは押えたい、そういうことでございますので欠格事由だけをきめました届け出制としたわけでございまして、現行の法律制度の中ではやや異例と申しますか新しい一つのタイプではなかろうか、かように考えております。
#105
○中沢伊登子君 それでは警備員が携帯する護身用具ですね、それの内容を伺いたいと思います。
#106
○政府委員(本庄務君) 護身用具につきましては、政府原案の第十条に、「警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたっては、法令の規定により禁止されているものを除き、必要な護身用具を携帯することができる。」、二項で、「公安委員会は、公共の安全を維持するため必要があると認めるときは、都道府県公安委員会規則を定めて、警備業者及び警備員に対して、護身用具の携帯を禁止し、又は制限することができる。」となっておりましたが、衆議院におきまして、御案内のように第十条といたしまして、「警備業者及び警備員が警備業務を行なうにあたって携帯する護身用具については、公安委員会は、公共の安全を維持するため必要があると認めるときは、都道府県公安委員会規則を定めて、警備業者及び警備員に対して、その携帯を禁止し、又は制限することができる。」、こういうように修正をされておりますので、この修正案に基づいてお話をいたしたいと思っておりますが、護身用具につきましては、これは御案内のように法令で禁止されているもの、たとえば鉄砲、法令で一般人が持つことが禁止されているものを除きましてだれでも持てるわけでございます。もちろんガードマンも持てるわけでございますし、またガードマンは仕事の性質上護身用具を持つ必要がある場合が多いのでございます。現実に持っている場合が多いわけでございます。日本の社会環境といたしまして、だれでも護身用具は持てるわけでありますが、現実には一般の人は護身用具は持っておりません。しかし、ガードマンだけは唯一の何といいますか例外として常時――常時ではございませんけれども、多くの場合持っている例があるようでございまして、これは先ほど申しましたその仕事の性質上当然必要であろうと思います。しかし一方、ガードマンが護身用具を持つ機会が多いということからいたしまして、やはり携帯、使用につきましては慎重にやっていただかないと間違いを起こす、無用の被害を第三者に与えるというおそれもございますので、公共の安全を維持するため必要であると認めるときは公安委員会が、都道府県公安委員会規則によりまして、護身用具の携帯を禁止し制限することができる。こういうようになっておるわけでございまして、しからば現実にどういった護身用具を考えておるのかということにつきましては、目下のところは、現在警察官が警棒を持っておりますが、おおむねあの程度のものを夜間警戒、警備のために業務に従事する場合は持ってもらおうか、この程度の考え方です。
#107
○中沢伊登子君 そうしたら、ピストルみたいなものは持たさないわけですね。
#108
○政府委員(本庄務君) ピストルについては全く考えておりません。
#109
○中沢伊登子君 それでは最後に、警備員に対する教育の内容はどのようなものを考えていらっしゃるか。
#110
○政府委員(本庄務君) 教育につきましては、十一条に規定がございまして、「総理府令で定めるところにより教育を行なう」ということになっておりますが、この教育の中身といたしましては大別二つになろうかと思いますが、一つは、何よりもこの警備業法というものを勉強していただく必要があるわけでございますが、警備業法だけでなくその他警備業務の実施に関して必要とされる法律が幾つかあると思います。刑罰法令その他幾つかあると思いますが、そういった法令上の知識、これが一つでございます。もう一つは、先ほどお話が出ました護身用具につきましての適正な使用法、それ以外に警備業務の適正な実施に必要とされる技能といいますか技術的な事柄、大体大別いたしまして、この二つになろうかと思います。
#111
○中沢伊登子君 それではこれで、私いままで用意した質問終わらせていただきます。
  〔理事寺本広作君退席、委員長着席〕
#112
○委員長(玉置猛夫君) 本案に対する本日の審査はこの程度にとどめます。
 この際、御報告いたします。
 運輸委員会との連合審査会は、来たる十日、土曜日、午前十時から開会の予定でございますので御出席願います。
 なお、次回の委員会は、来たる十二日、月曜日、午前十時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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