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1971/06/12 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第24号
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1971/06/12 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 地方行政委員会 第24号

#1
第068回国会 地方行政委員会 第24号
昭和四十七年六月十二日(月曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月九日
    辞任        補欠選任
     片山 正英君     橘  直治君
 六月十二日
    辞任        補欠選任
     橘  直治君     片山 正英君
     稲嶺 一郎君     古賀雷四郎君
     安井  謙君     金井 元彦君
     鍋島 直紹君     佐藤  隆君
     原 文兵衛君     内藤誉三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         玉置 猛夫君
    理 事
                寺本 広作君
                増田  盛君
                占部 秀男君
                河田 賢治君
    委 員
                片山 正英君
                金井 元彦君
                古賀雷四郎君
                佐藤  隆君
                塩見 俊二君
                柴立 芳文君
                高橋 邦雄君
                内藤誉三郎君
                神沢  浄君
                小谷  守君
                杉原 一雄君
                和田 静夫君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       自 治 大 臣  渡海元三郎君
       国 務 大 臣  中村 寅太君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       小田村四郎君
       警察庁長官    後藤田正晴君
       警察庁長官官房
       長        土金 賢三君
       警察庁刑事局保
       安部長      本庄  務君
       自治大臣官房長  皆川 迪夫君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
       自治省行政局公
       務員部長     林  忠雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部防犯少年課
       長        川崎 幸司君
       警察庁警備局警
       備課長      鈴木 貞敏君
       労働省職業安定
       局業務指導課長  加藤  孝君
       自治省行政局振
       興課長      砂子田 隆君
       自治省行政局公
       務員部公務員第
       一課長      大橋茂二郎君
       自治省行政局公
       務員部福利課長  佐野 政一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
 組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○警備業法案(内閣提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九日、片山正英君が委員を辞任され、その補欠として橘直治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(玉置猛夫君) 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案、二案を一括議題とし、順次政府から趣旨説明を聴取いたします。渡海自治大臣。
#4
○国務大臣(渡海元三郎君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由とその概要を御説明申し上げます。
 政府は、恩給の年額の増額をはかるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い地方公務員の退職年金制度についても、恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金の額を地方公務員にかかる年金の額の改定措置に準じて改定する必要があります。このほか公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額の引き上げ、年金制度施行前の職員としての在職期間で法の施行の日に引き続いていない期間の組合員期間への通算等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案を提出した理由であります。
 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
 第一は、恩給の年額の増額の措置に準じ、地方公務員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法の規定による退職年金等についてもその年金額を増額することとしております。すなわち、昭和四十五年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金等の額を昭和四十七年十月分以降一〇・一%増額するとともに、年金改定の方法につきましてもその簡素化をはかることとしております。
 第二は、恩給制度の改正に伴い、地方公務員等共済組合法の規定により支給する公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることとしております。
 第三は、日本赤十字社の救護員としての在職期間を組合員期間に通算する場合は、救護員として在職する前に退職年金権が生じていないこと及び通算される在職期間は最短年金年限を限度とする制限が付されておりますが、この制限を撤廃することとしております。
 第四は、地方公務員の年金制度施行前に職員として在職した期間で法の施行日に引き続いていない期間は、年金の額の算定の基礎期間とせず、年金権を発生させるためのいわゆる資格期間として取り扱っておりましたが、この取り扱いを改め、一定の要件を満たすものについては、年金の額の算定の基礎となる職員期間として組合員期間に通算することとしております。
 第五は、地方議会議員共済会が支給する退職年金等についても、地方公務員の退職年金等と同様に、給付の制限及び差し押え禁止等の措置を講ずることとしております。
 第六は、地方団体関係団体職員共済組合が支給する退職年金等について、その年金額を地方公務員共済組合が支給する退職年金等の年金額の引き上げ措置に準じて引き上げることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 次に、地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案について、提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
 地方制度調査会は、昭和二十七年に内閣総理大臣の諮問機関として設置されて以来、地方制度の改革について数々の貴重な答申を行ない、その内容は地方行財政の各般の面において現に生かされてきたところであります。しかしながら、激動する社会経済状勢の中にあって、地方公共団体がその行政需要の変化に有効に対処していくための各種の方策について、逐次根本的に御検討いただくためには、委員の任期が現在の一年という短期間では、十分審議を尽くせないうらみがあります。そこで、この法律案は、委員の任期を二年に延長しようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申しあげます。
#5
○委員長(玉置猛夫君) 両案に対する審査は後刻に譲ります。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(玉置猛夫君) 警備業法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○神沢浄君 最初に、審議の参考として、警察当局が把握をしておる全国の警備業の実態、業者数、それから就業警備員数、そのうち大規模業者、これは数例でよろしいですが、ちょっと説明を伺い
 たい。
#8
○政府委員(本庄務君) 全国の警備業者たくさんございますが、そのうち大規模といいますのは、特に大きいのが二つございます。御案内と思いますが、綜合警備保障株式会社、日本警備保障株式会社でございまして、これにつきましては実はまだ正確なガードマンの数その他、これは政府の調査権ございませんので一応会社側の協力を求めていろいろ聞いておるわけでございますが、大体両方とも五千人程度というふうに考えております。会社のほうでは、いわゆる臨時の者がおりますのでかなりシーズンによりまして増減があるようでございますが、大体私たちは五千人くらいではなかろうかと考えております。歴史的に申しましても、一番古いのが日本警備保障株式会社でございまして、これは昭和三十七年、日本の警備業者のはしりといいますか草分けでございます。それからもう一つの綜合警備のほうは、これはオリンピックのあと、昭和四十年にできております。いわゆる相撲でいう大鵬、柏戸の双壁と申しますか、この会社は全国的に営業所を持っておりますし、それから警備内容も、当初出発の当時の人間だけにたよる警備だけではなくして、機械警備と申しますか、たとえばアラーム、システムというような装置を依頼した会社に備えつけまして、科学的な施設によりまして効率をあげておるという近代的な会社でございます。特に警察的な観点からいきましても問題はないようでございまして、全般的に非常にまじめに能率をあげておるというふうに見ておる次第でございます。警備業者全体の数が専業、兼業合わせまして約四百五十。それからガードマンの数ですが、これはレギュラーだけで三万、若干増減がございますが、三万ちょっと上回っておると思います。三万二千くらいだと思います。
#9
○神沢浄君 そこで、過去三カ年くらいでよろしいですが、警備業なるものが犯したところの特徴的な犯罪または非行あるいはトラブル。端的にいうと、この法律案の策定をしなきゃならなかったような、動機となっておるような特徴的な犯罪、数例でよろしいのですが、ちょっとお示し願いたい。
#10
○政府委員(本庄務君) この立法の動機といたしましては幾つかあるわけでございますが、いま先生の御質問いただきました、ガードマン自身が犯罪を犯しておるというのも一つの立法の動機でございまして、当方で承知をいたしておるものだけでございますが、昭和四十三年ごろからの資料でございますが申し上げますと、最初全体の状況を申し上げますが、四十三年全部で五十一件、五十七人、それから四十四年が四十五件、四十二名、四十五年が百十件、八十一名、四十六年六十九件、七十二名、こういうような状況になっておりまして、その中身でございますが、凶悪犯も年に数件ありますが、多いのは数といたしましては窃盗が多いのです。窃盗につきまして申し上げますと、四十三年が二十三件、十三人、四十四年が十九件、十五人、四十五年が六十二件、三十人、四十六年は二十三件、十八名でございます。あとまあ知能犯、風俗犯その他ございますが、これはもうきわめてごく微々たるものでございます。それから交通違反、これも若干あるようです。で、全体の傾向からいたしますと、会社がふえ、あるいはガードマンの数がふえてくるに従って漸増の傾向はあったのでございますが、幸いにいたしまして、昨年は一昨年に比べますと、件数が百十件から六十九件に減っております。それから人員にいたしましても八十一人が七十二人に減っておりまして、こういう傾向でいけば今後だんだんよくなるんではなかろうかと考えておりますが、まあ勤務中の犯罪等もまだかなりあるようでございますから必ずしも楽観は許されないと思いますが、こういった状況を見まして、こういう事案を防ぐために最小限度必要な規制を行ないたいというのが今回の立法の趣旨でございます。
#11
○神沢浄君 これから順次質問も申し上げていくわけなんですが、いま説明を受けましたそれぞれ個々の強盗とか窃盗とかいう種の犯罪については、これは現行の法規でもって決して間に合わないことはないわけなんで、私がお聞きしたいと思いますのは、特にここに警備業法なるものを制定しなければならない警備業者がいまの社会との関連の中でもって生じてきておる、いわばこの法案制定の背景になるような情勢といいますか、そういうふうな点でもって特徴的なものがあったらばお伺いをいたしたいと、こう思ったわけなんですが、たとえば、チッソの会社などに生じた問題とか、あるいは那珂湊などに起きた問題とか、現状におきましても対労働組合などとの間のトラブルなどというものは、それこそもうあとを絶たないように出てきておるようなんですが、それらの状況等お聞きしたいと思っておりましたけれども、時間等の関係もありますから、これから質問を進めてまいる中でもってまたそのつどお聞きしてまいりたいと、こう思います。
 そこで、いまのお話にも出ておりましたように、この法案を見てみますと、法案のその目的としては、警備業についての必要な規制を行なう、それから警備業務の実施の適正化をはかりていくと、こういうことを目的としてあげておるわけです。ところが、この法案の実際の内容というものに入って見ますと、むしろ重点はそれよりも、まあ一つはこの警備業というものの公認をすることになる、これが一点。そのことのやがて発展は、私設警察的な団体というものの公然性を認めるような危険というものを包蔵しておるのではないか。第二には、警察の支配権力というものの拡大が内容になっている。それがやがて発展していきますと、何か警備業というものが警察に対する補助的な、従属的な関係というものが、これが生じてくることにもなりはせぬか。私はこの法律案を見て、目的に掲げてある必要な規制とか実施の適正化をはかるとかいうようなことよりも、むしろ内容的にはいまあげましたような、警備業というものを公認してしまう、私設警察的な団体というものをここではっきり法律の上でもって認めてしまう、こういう点と、それと警察とのかかわり合いというような点のほうが非常に問題に考えられると思うわけであります。したがって、そういう点からいたしますと、この法律のほんとうのねらいというものがどこに置かれておるのかというような点がはなはだ不明瞭なところが感じられます。したがって、私はこの法案審議の最大の問題点というものはその辺にあるのじゃなかろうか、そんなふうに考えておりますので、その辺を明らかにしていきたい考え方に基づいてこれから質問をしてまいりたいと、こう思うのです。
 そこで、まず第二条に、この警備業というものの定義のごときものが規定をされているわけなんですが、私はこう考えるのですけれども、大体警備業というものは、社会的な経済的な発展、推移に伴いまして、労務関係の上でもって企業や団体の管理上の警備の請負代行または個人の、おそらく法律的には正当防衛上の問題ということになるのでしょうけれども、正当防衛上の警護の請負業務、こういうようなものに基づいて発生をしてきているのではないか、こう考えるのですけれども、警察側の考え方はどうなんでしょうか。
#12
○政府委員(本庄務君) 発生的には、確かに先生のおっしゃったように、人がそれぞれ自分の身体あるいは財産を守るという、いわば固有の権利というようなものがあるわけでありますが、従来はそれを自力で、自分みずからがやっておった。会社であれば、会社が守衛を雇ってやっておったという状態でありましたが、いろいろ社会の発展につれまして、経済的な理由、その他技術的な理由、いろいろあると思いますが、そういう理由によりましてこれを第三者に委託する、そして、その委託されることを業務とする営業が出てきた。したがいまして、守衛さんのかわりの仕事を商売としてやるというのが発生の由来であろうかと思います。
#13
○神沢浄君 そこで私は、この警備業というものの本質というか、それはいま私の考え方というものについて別に御異論がなかった。そうであるとしますと、警備業というものの本質は、個人ないしは法人、団体でも、私人としての固有の権利以上のものであってはならない。こういう点がこれはひとつ明らかでなければいかぬと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
#14
○政府委員(本庄務君) 法律的な性格といたしましては、さように理解してよろしいと思います。
#15
○神沢浄君 そこで、それを基本にして考えることにいたしますと、第二条の規定するものは、どうもその範囲を逸脱するようなおそれがありはしないか、こういうことが非常に懸念をされるわけであります。
 まあこれは一つの事例として説明を受けたいと思うのですが、たとえば第二条の二号の場合、これは「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」と、こうなっているわけです。これは実際問題としてはどんなようなことになるわけなんでしょうか。まあ私は、これをやるのは、どうしたって、ある程度第三者を拘束しなければできない点が多いじゃないかと、こう思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
#16
○政府委員(本庄務君) 二号に該当する場合幾つかあると思いますが、一つ例示的に申しますと、よく道路工事をやっておる、あるいは道路工事でなくても土建の建設工事がございます。そうしますと、その間、そこで人夫さんがいろいろな工事をやる、あるいは工事の資材をトラックがどんどん運んでくる。そういう工事現場は、大体そういう工事をさせる人の管理地、所有地ですか、そういったところで工事をするのが多いわけでございまして、またマンションを建てるにいたしましても、一定の正当に所有あるいは占有しておる土地で工事をやるわけでございます。ただ、その工事をやる際に、一般の公道からその占有地に車が出入りするという場合は当然あるわけでございまして、あるいはその工事に若干の危険が伴うということも、これもいろいろ道具等を使っておりますから、あるわけでございます。その際に、この「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」、いま申しましたような状況でございますと、場合によっちゃけが人が出るというようなことも予想されるわけでございまして、そういう意味におきまして、一般の通行の人間あるいは車両に対して協力を求めるという意味で、ここは危険ですからちょっと待ってください、あるいは、少し向こうへ回ってくださいというお願いをして協力を求めるということはこれは当然あるわけでございまして、それはその工事をやる人のむしろ社会的、道義的なひとつの義務と言っては大げさかもしれませんが、責務と考えてもむしろ私はいいのじゃないかと思います。それを、その工事を直接やる人間がやらないで、第三者に委託をするというのがこの二号に該当する仕事であろうかと思います。その会社――会社というか、工事をやっておる会社の人夫なんかよくやっている例が実際にございます。そのこと自体は禁止すべき事項でもないし、むしろ、やることによっていろいろ危害防止ができるとすれば、これは当然やっていい仕事ではなかろうかと、かように考えております。
#17
○神沢浄君 御説明のとおりならそれはもう十分理解のできることなんです。ただ、私の非常に懸念をするのは、それはいままではそういう解釈でなされてきているわけなんでしょうが、ここではっきりと「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」と、こういうことに規定をされますと、これはやはり警察が行なうと同じようなことを、今度は法律によってきまっておるからということでもって、一つの権限としてこの解釈をして行なうようなおそれがこれは多分にあるような気がするわけなんです。したがって、そういうふうな行き過ぎを今度はチェックをするというこういうやっぱり規定が並行しませんと、そういうものが内容的にどうも整ってないと非常に行き過ぎのおそれがあるのではないか、こういうようなことを非常に感ずるわけです。
 そこで私は、まあ例示的にお伺いをいたしたいと思うのですが、私は山梨県ですけれども、もう三年ほど前になりますけれども、山梨県に山梨航空学校というものがありまして、そこでいわば教員組合との間に争議が行なわれて、その際、学校の管理者側がガードマンに依頼をしたわけです。聞くところによると、ガードマンなるものが日本同盟とかいう団体のまた別看板であるとかなんかで、質的にも問題があったようであります。これは労働組合との間に相当のトラブルを起こしました。それらは問題にならない、刑法上の対象になると思うのですが、その際こういうことがあったわけなんです。学校のそういう事態を非常に心配をして、いわばPTAが総会を持ったわけなんです。その総会の席上に、言うならば、この第二条に規定をされておる中であれば、「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」ということになるわけなんでしょうが、校長の身辺にガードマンなるものが数名立ちましてPTA総会が行なわれた、こういうことなんです。これはなるほど立っておっただけでもって別に何もしなかったようでありますが、しかし、まことに異常なことでありまして、しかも、いわばむくつけきともがらが校長の周辺に立っておるということになりますと、そこにかもし出される総会の雰囲気というものはこれはまことに異常なものになってしまう。総会は正常な形でもって運営ができなかった。こういう事例があります。そういう際には、これは「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」に基づいてやったということにもなりかねないのでありまして、そこに参集をしておったPTAの会員たちが受けた精神的な心理的な圧迫というようなものは、これはもうかなり大きなものがある。結果的にはやっぱりそのために総会は正常運営が不可能だった。こういうことに対する、いわば、この警備業法なるものがきまりますと、逆に何か警備員側のそういう行為への根拠を与えてしまうようなことになりはせぬか。私はその事例を知っておるだけに非常に懸念をするわけであります。そのことに対してこの法律との関係はどうなるんでしょうか。
#18
○政府委員(本庄務君) いまの山梨県の事例につきまして、事例の詳細は、もし必要があればあとから担当課長から説明いたしますが、一般的な話といたしましては、個人が自分の身に危難が起こる、危害を加えられるということを予想していわわゆるボデーガードを雇うということ自体は、これは別に法律で禁止もされておりませんし、やむを得ない場合があろうかと思います。したがいまして、その山梨県の場合、事前の状況からしてそういうふうな危害を加えられるおそれがあったのかどうか、あるいはまた当日そういうふうな情報でも入っておったのかどうか、その辺のところはよくわかりませんが、そういう危難というものを感じて雇うということ自体はこれは私はやむを得ない場合があろうかと思います。しかし、そういうふうにして雇われた者がその人の身辺を守る際の守り方につきましてはやはり限度があろうかと思います。その限度を越えてやった場合には、場合によっては違法行為になるかもしれませんし、まあ違法行為にならなくてもいわゆる不当行為になる場合もあろうかと思います。そういった場合には、今度この警備業法ができますと、第八条で「警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」、こういう規定がございます。そのいわゆるボデーガードのやり方の態様によりましては相手方の、まあこの場合はPTAなんですか、PTA側の権利あるいは自由を侵害し、そこまでいかない場合でも、PTAという一つの任意団体であろうかと思いますが、それの正当な活動に干渉したことになるのでございまして、この法律に基づく措置の適用ができるということになるわけでございまして、そういう意味におきまして、むしろこの法律は、先生がいま御懸念になりましたような、いわゆるボデーガードが違法あるいは不当な行為をやらないようにするためにこういう規定を設けているということでございます。
 それに関連いたしまして、やはり定義のところで、「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」ということをはっきりうたっておきませんと、この第八条に該当する場合がありましても、現実にこの法律の適用ができないということでございまして、この第二条の定義は、これを法律によって公認して特別の権限を与えるという意味ではございません。この法律の対象になる業務、この法律は規制法規でございますから、この法律の規制を受ける業務の内容を明確にしたという意味でございまして、決して御懸念のような公認とかいうものではございません。御八条の前段のほうにも、そのことをさらに明確にするために、「この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意」せよということを明記いたしておりまして、その身辺のいわゆる護衛に当たる者も全く一般私人と変わらないのだということを明確にしておるわけでございます。御理解がいただきやすいように御説明いたしますと、逆に、この二条の定義のボデーガードについて言えば、四号を削り、それから第八条を削ったと仮定いたしますと、先生の御懸念になるような事態がまさに防げなくなる。変な言い方でございますが、そういう削った場合を想定してお考えいただきますとこの法律案の意味が御理解いただけるのではなかろうかと、かように考えております。
#19
○神沢浄君 まあ私もこれを読んでみまして、いま説明がありましたように、二条におけるそういう懸念というものは八条でチェックをする、こういう関係になっておるようには認識をするわけなんですが、そこで私は八条が非常に問題になるような気がするのです。これを読んでみてもそうですけれども、「警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」、こういう規定になっておりますですね。この「正当な活動」ということはだれが判断をすることになるんですか。まあこれは警備業者、警備員ということになるだろうと思いますけれども、警備業者ないし警備員の現状というものから考えてみましても、そのような判断の能力というものが一般的に具備されておるのかどうか、こういうような点も非常に問題のところだと思うんです。もしそれが伴っていないということになりますと、この規定などというものは全くこれは意味のないことになってしまう。その辺の見解はどうなんですか。
#20
○政府委員(本庄務君) 法律的な意味におきます判断、これは公安委員会でございます。もちろん、国としての究極的な判断は裁判所でございますが、行政的な判断、行政上の法律的な判断と申しますか、それは公安委員会でございます。
#21
○神沢浄君 それはそうでしょうけれども、問題は、その場面におきまして結局判断をしなければならぬのは、直接的には警備員でありあるいはそれを指揮する警備業者である、こういうことになりますと、その警備員や警備業者が判断の能力に欠けていたということになりますとこれはたいへんな事態が起こって、あとからそれを公安委員会が是非当否を判断をしてみたところで、これは間に合わないということにならざるを得ないわけなんでして、私の懸念するのは非常にその点にかかわるものです。
 そこで私は、その点を審議をするために非常に好個の事例と思いますので、目下問題になっておる大阪日日新聞社に起こっておる問題をひとつ提起をしてみたいと思うんです。最近、ガードマンと労働組合との間に生ずるトラブルというのは、これはもう枚挙にいとまがないように生じておるわけでありまして、現在も、大阪日日の場合だけでなしに仙台市の本山製作所などにおいても、昨年来ガードマンが五十人からして何か実態的には臨時操業みたいな形になっておって労働組合との間のトラブルが続発しておるようなことも聞いておりますし、この際は、この大阪日日新聞社に起こっております事例をひとつあげて、それを素材にして検討いただきたい、こう思うんです。
 私が調べたところによりますと、大阪日日新聞社の中でもって労働争議が行なわれたわけであります。その際、これは四月二十五日ということになっておりますけれども、労働組合側は団体交渉を求めて、それらの要求などを表示するステッカーを四月二十五日に張ったわけであります。ところが、そこに東亜警備保障会社という警備業者なんですが、これはなるほど登記済みの団体です。ここに書類がありますけれども、東亜警備保障株式会社ということでもって登記がされております。明らかに警備業者の資格を持っているわけですけれども、目的は「建物、施設等の警備の請負、前号に付帯する一切の業務」というようなことで登記をされておるんです。この東亜警備保障会社に所属するところのガードマン三名が、服装は私服だったようですけれども、その会社のバッジを帯びておりまして、これは識別できた。これが社に入ってきまして、しかも会社側と一緒になって、張ったステッカー全部破いてしまった。それだけでは済まなくて、その夜、組合側が会議をしようと思ったんですけれども、彼らがそれを妨害をしまして、施設を貸さないと称して相当暴力的な姿勢を示しながら、労働組合員は端的にいえばみんなつまみ出されてしまっているわけです。それから、その翌日の二十六日には朝から正午にかけて労働組合側が会議をやっておりましたところが、その会議場の中に乱入をしてまいりまして暴行を行ないました。その結果、組合員の男性一人、女性一人がそれぞれけがをいたしまして、ここに診断書がありますけれども、それぞれ全治五日間ぐらいのけがをしておる事実があるわけです。そのときの状況を写真にとってありまして、ここに利が送ってもらって持っておりますが、これは明らかに胸ぐらをとっておる。これは羽がい締めにしておるんです。こういうような暴行が、これは写真に残っておりますから明瞭ですけれども、明らかに行なわれたようになっておるわけです。しかもその翌日、二十七日に及びまして、組合側は、結局こういうような事態の上から身辺の危険を感じたのかもしれませんけれども、ストは解除をしまして就労をしたわけであります。ところが就労させないというので、会社側はロックアウトをしまして、このガードマンなるものが社側にがんばって、そして就労しようとするところの組合員をつまみ出すと同時に、ここに二葉ばかりその状況の写真がありますが、放水をしまして、火事と間違っているようなんですけれども、放水をしまして、そして就労しようというその組合員を全部追い払っているわけであります。こういう事実があるんですが、調べたところによりますと、大阪日日新聞の経営者は笹川了平という人でして、笹川良一氏の弟になるんだそうですけれども、この経営者と東亜警備保障株式会社というこの業者との間には日常的な関係があるようであります。しかも、他の資料によりますと、この東亜警備保障株式会社というのはただ単なる警備業者だけでなしに、登記しておるのは、さっき申し上げましたように建物、施設等の警備の請負だと、こういうことになってはおりますが、ところがその警備業者が行なっておりますのは、何か借金の取り立てだとかあるいは手形、小切手などの不渡り問題の解決だとか、そんなものを他の業務として新聞広告などもしておるようでありまして、まことに内容的に問題のある実態になっておるようでありますけれども、私はこの大阪日日に起こっておるところの労働組合とそれから警備業者との間のトラブルというものをながめたときに、何といいますかこれが今日の警備業者というもののすべてであるとは思いません。しかし、今日の警備業者というものの持っている体質の一部であるということは言えるのではないかと思うわけであります。ちょうど何か警備業者というものをこの事件は解剖的に診断をしてみせたような結果になっておるのではないか。
 そこから私どもが引き出せる問題は、ひとつのやっぱり最も懸念をするこのガードマン業なるものの本質。まず第一点としては、暴力的な体質、それから第二点といたしましては、私的警察的な立場での企業との癒着関係というふうな点、それにもう一つは人入れ稼業的な本質。そういうものの上に立って、そうして企業の側からいたしますと、やっぱり労働問題というのは非常にこれは重要な問題ですから、申し上げましたようなそういう体質を、これをもとにして労働組合に対するところの不当な干渉、攻撃というようなもののすべてが私はこの事件の中に明らかにされておるような気がするわけなんです。こうなってまいりますと、私は、この警備業法なるものが必要な規制をして適正な実施ということをはかることを目的とする、それならば、そのことにこたえる内容のものでなければ意味がないような気がするわけであります。ですから、先ほど「団体の正当な活動」というものをだれが判断をし、だれがきめるのかという点が問題だということの指摘をいたしておるわけでありますが、したがいまして私は、この大阪日日問題について少し伺ってみたいと思うんです。警察のほうでも御存じであるかどうか、同時にまた警察当局として、今日、現状につきましてどのようなふうな対応をされておるか、この点を伺っておきたい。
#22
○政府委員(本庄務君) 最初に事実関係につきましては担当の課長のほうからお答えいたします。あとまたそれに引き続きまして私からお答えいたしたいと思います。
#23
○説明員(鈴木貞敏君) お答えいたします。
 御質問の大阪日日新聞の事件でございますけれども、御質問の中にもありましたように、四十五年の中ごろ以来からこういったケースが全国各地にございまして、警察としましても、もとより労働争議というものは同盟罷業なり怠業なり、あるいは企業閉鎖といいますか作業所の閉鎖、ロックアウト、こういった当事者がその主張を貫徹するためにいろいろの手を打ち、秘術を尽くしていろいろやるという実態でございます。それにつきましても、労働争議につきましては、いわゆる暴力をふるってそれで自分の主張を貫徹するということにつきましては、これは絶対労働争議のらち外の問題でございます。そういう面につきましてはケース、ケースに応じまして、会社側あるいはそういったガードマン会社側をそれぞれ呼びまして、ケース、ケースに応じまして幹部に、厳重にそういう暴力事犯のないように実は非常に心を砕いてやっておるというのが実情でございます。
 この大阪日日新聞の労働争議でございますが、これも先生先ほどおっしゃいましたように、賃上げあるいは傍系会社の内外タイムス、この企業閉鎖反対ということにまつわりまして、ことしの四月下旬から争議に入りまして、仰せの四月二十五
 に組合側が全面ストを行なったわけでございます。そのストの過程の中におきまして、社屋にビラを張るというふうなこと、また傍系会社の内外タイムスの組合員等と連携をとりまして会社の会議室を使用する、会社側に無断で使用するというふうな事例もございまして、この二十五日の際には、会社側の総務部長がそれに警告を発しまして、それに従って会議室から出たというようなことを聞いております。引き続いて翌日、二十六日でございますが、これも仰せのとおり組合側は引き続きまして全面ストを続けたわけでございますが、会社側は、翌四月二十七日の正午を期しましてロックアウト、作業所閉鎖と、こういうことを組合側に通告いたしまして、それで先ほどのガードマン会社から、ガードマンを昼間は五名、夜間三名をそれぞれ雇い入れまして、庁舎といいますか会社の警備に当たったということのようでございます。その二十七日のロックアウト実施の際に、ガードマンの暴行によりまして組合員二人が負傷したというふうな申告が組合側からございました。それで直ちに会社側の幹部、それから警備に当たっておりましたガードマンのほうから事情を聴取をした次第でございます。四月二十七日の正午過ぎごろのロックアウト実施の際に、会社側の退去要求に最後まで応じなかった組合の方三、四名につきまして、ガードマンが両側から腕をとってその会議室から外へ連れ出した。こういうふうな事実があるということは、会社側幹部なりガードマンからの事情聴取の結果判明したのでございますが、この際ガードマンが暴行を加えたとか、あるいは、それによって組合員が負傷するというふうなことは起きておらないと、そのときの事情聴取の結果ではそういうことでございますし、また組合側の、いろいろこちらのほうの捜査に対しましてもその必要はないというふうなことでございまして、こういう際には、告訴あるいは告発、あるいは被害申告、こういった例があるのが普通でございますけれども、そういうものにつきましても被害申告は出さないというふうなことで、事情聴取にも積極的な御協力を得られなかったというふうなことで推移したというふうに私どもは聞いておるわけでございます。現在会社側は、五月の十五日段階で東亜警備保障会社との契約を解除しておるということを聞いておりますが、依然としてロックアウトは実施中であるということでございまして、一方組合側としましても、毎日、朝に、会社側の正門前に二、三十名が集まりまして抗議集会、あるいは街頭での宣伝活動を実施しておるという状況が継続しておるということを聞いております。
#24
○神沢浄君 私もこの問題を深く追及しようという立場ではありませんが、簡単に触れておくわけですけれども、しかしいまの御説明だと、何かけが人もなかったと、こう言っておるんですが、けがをした人の写真もちゃんと残っておる。医者の診断書も私の手元にきておる。それは申告がなければというんですけれども、警察の立場というのは、申告がなくたって暴行が行なわれたというものをそのままにしておくべきものじゃなかろうと思います。それから従業員が建物の一部を使うのは、おそらくこれは法に基づくところの団体協約の中で使えるようになっておるだろうと思うんですが、その辺はお調べになっておりますか。
#25
○説明員(鈴木貞敏君) お答えいたします。
 いまのけがの点でございますが、そういうふうに聞いておりましたが、先生のおっしゃるように、そういう事情なり、けがを受けておるという事実がありますれば、私どものほうも再度第一線のほうに、捜査班のほうに指示しまして、その辺の実態を捜査して、何よりも被害者の方の協力が必要でございますので、そういう実態がはっきりすれば当然事件としてこれは捜査をし、そうして送致するという手続をとります。いまの段階、聞いているあれでは、被害者の方の協力もそういうことで得られないままに一応中断といいますか、そういうかっこうになっておると聞いておるわけでございますが、そういう事実をさらに踏まえまして、大阪府警のほうに十分にいま先生のおっしゃった点を伝え、事実をさらに詳細に調査する、捜査するように指示いたしたいと思います。さらにまた部屋の問題でございますけれども、これは一般的に組合の事務所とか、そういう利用する、組合員としての当然使える場所、こういったところをロックアウトで、そこへの出入りを禁止するということは、一般的には非常に違法であるといいますか、こういうことでございますけれども、普通の会議室、会社の会議室等を使うことにつきましては、必ずしも契約その他ではっきりいつでも使っていいということになっていないのが通常であろうかと思いますが、そのことにつきましても再度ひとつ調べたいと思いますけれども、おそらくこの時点、四月二十五日の時点において聞いておりますところでは、内外タイムスの社員の方を、会社の許可を得ないでそこに入って会議を開いた。こういうふうに私たちは聞いておるわけでございまして、そういう事実の上に立ちまして会社の総務部長等が、出ていただきたいということの警告をして、出てもらったというふうに聞いておりますので、契約あるいは約束でその会議室を使うということについては了解がなかったもの、こういうふうに実は理解しておった次第でございます。
#26
○神沢浄君 私の判断では、非常に悪質な不当干渉、抗議の内容になると思います。この問題については、いずれ後日この問題の追及をしなければいかぬのじゃないか、こう思っておりますが、本日のところはこれは警備業法の審議ですから、そのことはあとへ譲りますが、しかし警察のほうでもひとつ調べておいてください。いまの部屋使用の問題とか、傷害の事実の有無だとか、写真などで見ればこれは羽がい締めにしたり、それから胸ぐらをとったり、これは明らかに暴行の事実がはっきり残っておるのですから、そういうふうな点についてこれは十分な調べをしておいていただきたいと思います。
 そこで、労働省の方お見えになっておられますか。労働省のほうへちょっとこれに関連してお聞きをするのですが、これはもう明らかに何かストに入って警備業者が介入をしてきておるのです。当然企業の要請があったからということではありましょう。これは職安法の四十四条あたりとの関係はどうなんでしょうかね。私どもの理解をしているところでは、警備業者なんかは非常に人入れ稼業的な性格というものが現状において大きなものがあるわけです。そこで、その問題との関係からしますと、四十四条の援用解釈によって、争議行為にかかわって特に警備業者に委託をするというふうな点については、そのことを正当ではないというそういう認識のもとに対応されておるような承り方をしたわけなんです。その辺の関係は一体どうなりますか。
#27
○説明員(加藤孝君) いま先生の御指摘のございました職安法の四十四条におきまして、何人も労働者供給事業というものを禁止をされておるわけでございます。で、次の四十五条におきまして、労働組合だけにつきまして、労働大臣の許可を得て労働者供給事業を行なうことができる、こうなっておるわけでございます。したがいまして、もし警備業者がそういう労働者供給事業として警備の業務をやっておりますならば、これは職業安定法に違反するやり方であるわけでございます。で、職業安定法では、いま御指摘のございましたように、二十条で争議行為に対する介入を職業安定機関について禁止をいたしておるわけでございます。同じくまたこれを労働者供給事業におきましても、その労働組合が労働大臣の許可を受けて労働者供給事業を行ないます場合におきましても同様、やはり争議行為に対してはそういう労働者供給を行なってはならぬ、こういうふうになっておるわけでございます。で、いま問題になっておりますケースについて申し上げますならば、そういう労働者供給事業というような形で、もし警備のしかたが行なわれておりますならば、これは職業安定法にそもそも違反するやり方、こういうことになってくるわけでございます。で、今度の警備業法の立案の過程におきまして、もし、そういう警備業者が労働者供給事業というような禁止をされておるやり方で警備業をやるならば、これは私どものほうとしては職業安定法違反で措置をいたします。また、そういうものがあれば、これは私ども公安委員会に通報いたしまして、公安委員会のほうからも警備業の営業の停止を命じていただく、こういうようなことを確認し合っておるわけでございます。
#28
○神沢浄君 警備業であるか、それとも、まあ実質的には労働者の供給になっておるのかというような点は非常に微妙なところだと思うんですがね。この問題を一つの例にとれば、労働組合がストに入ったから、東亜何とかというんですか、これから警備員を派遣されているわけなんです。この警備員の行動というのは、この警備業者の指揮命令に従って動いていたというよりも、もう現場の状況を聞きますと、会社と一緒になって、そうしてさっき説明をいたしましたように羽がい締めにしたり、胸ぐらをとったり、暴行を行なったり、ロックアウトを会社側がやった、そのこと自体にもこれは掘り下げていくと問題があると思うんですけれども、いずれにしてもその際、放水をして、そうして従業員の入社をはばんだと。まさか放水をしろなどという指揮を警備業者はやるまいと思うんですよ。もしそんな警備業者があったら、これは問題なんでしょうね。放水をして、そうして……。ですからこれは、私は、まあ警備業者の指揮命令で動いたということよりか、むしろその会社側と一体となって行動をしたとしか思えないんですがね。そうなってまいりますと、これは明らかにただ人間だけを供給したということになるわけでありまして、おそらく職安法のたてまえからしてもこれは違法な行為になるんでしょうけれども、問題は、私はその行為自体はこれは法律上のいろいろな解釈によってきまると思いますが、今日の警備業者というものの体質の中にそういうようなものが多分にあるわけなんです。その辺がまた非常に問題の点であって、それらに対しては、労働省としては今後まあどんなふうに対応されていくか、その辺を伺いたいと思うのですが。
#29
○説明員(加藤孝君) 先生御指摘ございましたように、労働者供給事業であるのかないのか、もし労働者供給事業であるならばそれは当然違法なものでございます。こういうことでございまして、労働者供給事業であるかどうかにつきましては、いわばその判定基準のようなものを職業安定法の施行規則の四条というところで定めておるわけでございます。で、ここで定めておりますのは四つの条件がございまして、一つは、「作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。」ということでございまして、警備業者が、これが全部財政上の責任も負うし法律上の責任も負うのだということでなきゃならぬということになるわけでございます。それから第二番目の要件といたしまして、「作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。」という要件がございます。したがいまして、警備業者がその労働者を指揮監督するものであるということでございまして、派遣先の会社の指揮監督を受けるものではないということでございます。それから第三の要件といたしまして、「作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。」というのがございます。したがいまして、その警備業者がそのガードマンに対して賃金を払う、あるいはまた失業保険を払うとか、そういう使用者としての責任を負うものでなきゃならないという条件がございます。それから四番目といたしまして、「自ら提供する機械、設備、器材若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。」というのがございます。したがいまして、警備業の場合でございますれば、みずから企画、立案した警備計画に従いまして、みずから提供する警備器材を使用して警備の業務に当たるんだと、こういうことでなければならぬわけでございます。これらの条件に該当するような形で警備の業務が行なわれますならば、それは労働者供給事業に当たらない適法な警備業だということになると思いますが、これらの条件に反する形で行なわれれば、それは労働者供給事業だということになるわけでございます。したがいまして、先生御指摘ございましたようないろいろ従来の警備業者の体質といいますか、そういったような点の問題点を私どもは警察と一緒になって検討いたしまして、もしそういう警備業者が労働者供給事業に当たるような違法な形でやったならばそれは職安法としても措置をいたします。で、またそれを公安委員会にも通報いたします。通報を受けた公安委員会は、その警備業者に対しては営業の停止を命ずる、こういうような形のことを実は覚え書きの形で確認をし合っておりまして、この警備業法案の条文で申しますと、十五条に「営業の停止等」という規定がございまして、「警備業務に関し他の法令の規定に違反した場合において、」「営業の全部又は一部の停止を」公安委員会から「命ずることができる。」、この規定がございますので、「他の法令」という中に、特にこの職安法の労供違反についてお忘れなくこれは営業停止を命ずるなどの措置をお願いしておるわけでございます。
#30
○神沢浄君 法律上の解釈は承りました。いま御説明がありました施行規則の第四条に四点ばかりにわたって説明されておるようでありましたが、最後に述べられた「単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。」、この辺が一番問題なところですが、実際には今度の場合なんか単に肉体的な労働力を提供しただけのもののようであります。まあさっき述べたとおりでありまして、大体職安法の精神からいうと、国自体さえも労働争議には介入しないということで、労働争議のあるところへはあっせんはしないということは法律でもってはっきりきまっているわけなんですが、国自体がそういう一つの基本的な理念に基づいて法律をつくっている。ところが、この事例が示すように、実際には警備業者なるものがあって、ストが始まると、そこへ契約をすれば人を提供する。しかも大阪日日の問題が示しておるように、全くそれはもう警備業者の指揮命令を受けるものではなくて、企業側と一緒になって行動しておる。こういうことになりますと、これは法の精神からいっても全くもとることになってしまうわけでありまして、ですから私は、やはりそういう事例があまりにも多いという点から考えますと、この警備業法策定あたりを機会にして、ストといいますか、労働争議のケースについては、警備業者との契約というようなものについてもこれを規制をする、そういうふうな私は考え方が職安法の法の精神からいっても妥当じゃないかというふうに考えるんですが、その辺の見解はどうなんでしょうか。いまのままですと、それは全く何といいますか法律の空洞化みたいなものであって、現実にはせっかくの職安法も生きないというような形になってしまっておるように思うのですが、どうでしょうかね。
#31
○説明員(加藤孝君) 確かに国のほうは職業安定法二十条におきまして、そういう労働争議に対しては完全に中立的な立場をとるということを担保する意味で、労働争議の起こっている事業所に対して職業紹介はしないということを定めているわけでございます。ただその警備業者は、いわば民間の機関でございます。争議の際に労使それぞれが、それぞれの側においていろいろ秘術を尽くされるということはあろうかと思います。その場合に、私どものほうとして国と同じ立場をそういう民間業者について、民間のこういう警備業者に対してどういう立場をとらせるかということは、職安法のサイドの問題ではなくて、まさに警備業法の中においてどう適用させるかということの問題であろうかと考えるわけでございます。
#32
○神沢浄君 時間がありませんから、どうも深く入っていけないのですが、私が強調しておりますのは、せっかく職安法に規定して、法の精神がそこにあっても、警備業というものの存在によって、それが実質的には、実際的には全く骨抜きにされてしまう。警備契約と称して警備業のほうへ話さえすればどんどん人が供給されるという実態があるわけです。そういうような点をやっぱり労働省としても取り上げて真剣に検討してもらう必要があろうかと思うんですが、それはそういう一つの要請にとどめておきます。
 そこで、話を基本へ戻しますけれども、いまいろいろと論議がされたんですが、私は八条でただ「正当な活動」云々というような、「干渉してはならない。」というような点での抽象的規定では、警備業者の、いまの論の中に出ておるのはほんとうにわずかな側面にすぎませんけれども、しかし、その体質というような、また現状から考えてみますと、一片のこれだけの規定では私はほんとうにもう不安きわまるものだ、こう思われてなりません。したがって、この八条に関しましては、もっと具体的に細目的に、主として私は労働問題との関係というようなものを取り上げてみたのですが、たとえば組合活動ないしは労働争議については干渉してはならないというような、こういうような私は修正が必要だ、こう思われるのですけれども、その辺の見解をまずお聞きいたしたいと思います。
#33
○政府委員(本庄務君) 先般来先生から御意見承りました点につきまして、私たちもいろいろ問題点といたしまして、相当時間を費やして私たちの内部あるいは関係の行政庁といろいろ協議をいたしまして、案文の作成につきましても知恵をしぼったわけでございまして、その結果、先ほどから説明いたしましたような第八条の規定になったわけでございまして、先生の御懸念の点も私十分わかる気持ちがいたします。ただ法律の表現といたしまして、ここに書いてありますような「個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」、これはおそらく他に例のない新しい規定であろうかと思います。先ほど来の先生の御心配になるような事案もまさに考えまして、こういったような規定を新たに設けたわけでございますが、この「個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」と申しますのは、権利、自由の侵害とならない場合でありましても、正当な活動に不当に影響を及ぼす行為もしくは、たとえば刑罰法令に触れない程度の威嚇的な妨害行為を禁止する趣旨でございます。したがいまして、先ほど先生から設例のございました大阪日日新聞の事案、これは実はまだ捜査当局のほうで完全に客観的な事態をつかんでおりませんので、直ちにいま断定はできないのでございますが、先生のお話を聞いておりますと、おそらくこれに該当するような内容があるのではないかと私も考えております。それはとにかくといたしまして、いま申しましたような刑罰法令に触れるのはこれはもう問題外――問題外といいますか当然でございますが、触れない程度の威嚇的な妨害行為等を禁止する意味でこういう規定を入れております。この場合に、「団体の正当な活動」には、労働組合の正当な争議行為その他の合法的な活動が含まれることは言うまでもございません。したがいまして、警備業者及び警備員が労働争議に不当に介入いたしまして労働基本権を不法に侵害する場合、その行為が違法にわたらない場合でありましても、正当な争議行為その他の労働組合の正当な活動に干渉するということは明らかに本条に該当する、かように考えております。
 なお、ここに法律の条文ができただけで、はたしてうまくいくのかどうかというふうな御懸念もあろうかと思います。そういった点につきましてもいろいろと配慮をいたしておるわけでございまして、たとえばこの十一条で「教育等」ということをきめておりますが、この警備員が警備業務を行なうにあたって必要な最小限度の教育をやることを規定しておるわけでございまして、その教育の中身といたしましては、まさに先生の御意見のございましたようなこと、そういったことが起こらないように、この警備業法の正しい理解、あるいは運用と申しますか、運用と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、警備業務の実施ということについて重点的な教育をやらせるようにいたしたいと考えております。さらに警備業者そのものにつきまして、最近組織化されてきておりまして全国的な組織もほぼできつつあるようでございますが、そういった組織を通じて、法律問題を離れて行政指導も十分に行ないたいと思います。さらには、この法律の運用に当たる一線の関係職員、まあ警察官になろうと思いますが、そういった職員にも十分各種の方法を通じましてこの趣旨を徹底させて、先生の御懸念になるようなことの起こらないように最大限の努力をいたしたいと、かように考えております。
#34
○神沢浄君 時間ももうないようですから、そろそろ終わりたいと思いますけれども、そこで私は長官にお伺いしておきたいと思うんですが、まあいろいろ論議をしてみました。そしていま認められてもおるように、いずれにしても、不安で懸念されるような内容というもののあることは事実だと思います。したがって、八条で「正当な活動に干渉してはならない。」旨を規定しただけでは私は実際にはこれはむずかしかろうと思うんですよ。そこで、もっと具体的な細目的な規定というものが必要だというふうに私考えますし、得べくんば、そのようなやっぱり案文修正なども必要だと、こう思います。警察庁として、やっぱり運用の面におきましても、たとえば労働争議とか組合活動だとかいうもの等にはなおさらのこと、一番いま問題がある。私は今後の、この警備業法制定後の警備業というもののあり方について生じてくるだろう問題とすれば、大きく二つの側面が感ぜられます。一つは、やっぱり企業がこの警備業者を、利用か悪用か知りませんが、労働組合などの民主的諸権利への不当な介入や攻撃やというような事態が一番憂慮される面でありますし、さらにもう一つの側面は、やっぱり右翼、暴力団などとの癒着というような、私はこの二つがこの警備業というものの将来においての問題点だと、こう考えるところでありまして、したがって、そういうふうな点からしていろいろと論議をしてみたわけでありますが、そのような情勢が非常に懸念されますだけに、この運用の上で、たとえば組合活動とか労働争議とかいうようなものについては、やっぱり具体的に明確に通達等を通じて今後この運用の全きを期していくというような態度やお考えをお持ちであるかどうか、この点をひとつお聞きをしておきたいと、こう思うんです。
#35
○政府委員(後藤田正晴君) そのような態度を持っております。先ほど来の御質疑を承っておりまして、御懸念になっておる点は、この法律によって警備会社というものにある種の権限を与える、それを公認をすることになりはせぬか。その警備会社に警察が支配権力を持つ、そして第二警察的なものをつくるのではないかと、こういうところが根本的な御懸念の点だと思います。その設例としていろいろおあげになって、今日の警備保障会社の中には、多くのものはまじめにやっておるであろうけれども、しかし一部のものにとうてい認められがたい、よくない体質があるのじゃないかと、こういうことで設例をあげて御質疑になられたように理解をいたします。私はやはりそういう心配すべき体質が一部にあるということは承知をいたしております。また設例にあげられたような点、いろいろ双方に理屈はあると思います。しかしながら、私は必ずしも最近のこういう傾向を好ましいものとは思っておりません。これにはやはり何らかの規制が必要だということがこの立法の背景の一つになっておるんだということは、ぜひ御理解をしておいていただきたいと思います。
 そこで、まず法律的にはそういう御懸念のないように、いろいろ御質問ございましたが、実は第二条各号の柱をひとつお読み取り願いたいと思います。つまり「他人の需要に応じて行なう」んだと、その「他人」は、私人として持っておる権限以上のものではないわけですから、したがって、その「他人」が持っておる権限以上のものは初めから警備業者は行ない得ないんだと、文字どおり私人であるということをぜひとも法律的には御理解を願いたい。さらに、それだけではやはり不十分だろうということで、第八条に、権限はおまえさん方持っておらぬよということをさらに念押しで実は立法的に十分注意して書いてあるんだと。それからまた労働組合その他あるいは市民団体、こういうものの活動の際にいろいろ問題があることは事実でございます。そこで、そういった問題をすべてひっくるめて、ここに「個人若しくは団体の正当な活動」にはおまえさん方干渉してはいかぬよと、こういうこともまたうたったわけでございます。しかし、この規定が抽象的ではないのか、今日心配なのは、ガードマン会社を雇うほうの企業側に必ずしも好ましくない動きがあるんじゃないか、また業者それ自身の中に右翼とか暴力団とかいった好ましくない連中がやっていやしないのか、またそういう心配がこれからよけいに出てきやしないかという御懸念もございました。したがって、私たちは、こういうことを踏まえて、この法律をお認め願えますならば、これは長官通達によってそういう点については十分第一線に通達をする。指導もするし、同時に業者団体についてもこの趣旨をよく浸透さして、今日一部の方が御心配になっている動きがさらに拡大生産せられることのないようにやってまいりたいと、かように考えております。
#36
○神沢浄君 最後に、大臣にちょっと簡単にお尋ねをして終わりますけれども、いろいろ論議もわれわれ尽くしました。しかし、論議の中だけでは、これは将来の問題ですからここでもってすぐさま不安や懸念が解消できるものではありません。やはりこの法に沿って運用をする。今後においてはおそらくこの運用によってすべての問題が左右されることになるだろうと、こう思うわけでありますが、その点については、やっぱり所管する警察の責任というのは非常に重大なことになろうと思われます。そこで大臣の所信を最後に承って私の質問を終わりたいと思います。
#37
○国務大臣(中村寅太君) 私も警備業法の問題の基本になっております現在の警備業のあり方につきましてはやはり問題があると見ております。その問題点は、いま長官が申し上げましたように、ややもすれば警備業者が正当なる労働運動あるいは市民運動等に関与するようなことになるおそれがある。私はそういう点はきわめて好ましくないことで、それで労働争議というようなものは当事者同士でできるだけ合法的に片づけるべきものであって、これに第三者が介入するというようなことはやはり好ましくないことでございます。そういうことが将来起こらないようにやっていくということが政治の基本である。そういう点から、今回だんだんできてまいっております警備業者というもののあり方に問題があると、こう思いますので、やはりこれは一つの規制の一歩である。
 それから第二点の、やはりこれも長官が特に指摘しましたように、暴力団とかあるいは右翼とかいうものと結びつきやすい性格を持っている、これらも否定できない。そこで、そういうことにもならないようにやはり政治は注意をしていかなければならない、そういう意味から今回のこの規制は私は一つの第一歩である。もしもこれでやって心配されるような点が起こってくるとすれば、そのときにはさらにこれは皆さん方の手で立法が行なわれることになると思いますが、そういうことにならぬように、現時点で私は警察力が正当に動きまして、正当な指導をやりまして、皆さん方の御懸念の点が起こらないように力強く運営してまいりたいと、かように考えておるものでございます。
#38
○委員長(玉置猛夫君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#39
○委員長(玉置猛夫君) それでは速記起こして。
#40
○上林繁次郎君 いままでにいろいろと論議されたわけですけれども、したがって質問の範囲がずっと狭まったような感じがいたしますが、最初に、先進諸外国の警備業者、その業務の実態、そういったものがわかりましたらひとつお答え願いたい。
#41
○政府委員(本庄務君) 外国の警備会社の状況でございますが、外国で警備会社のある国が幾つあるか、これは必ずしも正確な数ではございませんかもしれませんが、国際警備連盟という一つの組織がございますが、これに加盟している国は十五カ国でございます。そのうち法的な規制のある国と、ない国がございますが、法的な規制を加えておる国は八カ国でございまして、アメリカ、カナダ、西ドイツ、イタリア、スウェーデン、オーストリア、フィンランド、スイスでございます。法的規制のない国が六カ国、イギリス、フランス、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、それから日本と、現在日本は法律ができておりません。八つと六つで十四、数が一つ合わないのでございますが、ベルギーが一つあるのでございますが、これはちょっといまのところまだ調査中でございます。この法律の規制のしかたもいろいろでございまして、アメリカ、カナダ等は、御承知のように州の法律によって規制をされておりますが、アメリカの州で、規制のあるところとないところと両方あるようでございます。
 それから次に規制の内容でございますが、これは国または州によって相当の差があるようでございまして、特にアメリカの場合は、日本と違いまして私立探偵業というのがたいへん発達しておるようでございまして、この私立探偵業を規制する法規の一部に、いわゆる制服のガードマン業務についてもあわせて規制をしておるというのが多いようでございますが、ドイツの場合はやや日本的な傾向という形になっております。さらにこまかい中身といたしましては、営業につきましての免許制、あるいは許可制、それから営業者あるいは警備員についての欠格事由、それから服装の規制、それから中には損害を与えた場合の賠償についての規定、そういったものを設けておるところもあるようでございますが、西独の法律では拳銃を持つことを認めておる、こういうような特異な例もございます。やっておる仕事の中身は、かなり国によって違っておるようでございまして、実態が必ずしも一様でございませんので、法規制もその実態に応じた規制がなされておるようでございます。したがいまして、現在の日本と比べますと法制的な中身はかなり差異がございます。
#42
○上林繁次郎君 大臣にお答え願いたいと思うのでございますが、この立法によって、この立法それ自体の精神というものが、いままでガードマンの行き過ぎだとかその犯罪であるとか、そういうものを規制していこう、こういうことでできたということであります。この法律が施行されることによってどの程度の効果というものをねらっておるのか、全く大きな効果がこれによってあるのだというお考えを大臣は持っていらっしゃるのかどうか、その点をひとつ、結論的な話になるかもしれませんが。
#43
○国務大臣(中村寅太君) 保安部長からひとつお答えさせてほしいと思います。
#44
○政府委員(本庄務君) この立法の趣旨は、先般来いろいろ論議が出ておりましたその中で御説明いたしましたように、警備業がだんだん発展するに伴いまして、あるいは警備業者の数がふえてくるに伴いまして、大部分の業者はあるいは警備員はまじめに警備業務をやっておる。しかし中には、一部不心得のものがおる、あるいはいわゆる右翼、暴力団的なものもおる。そういったのが警備業務に当たりまして不法なあるいは不当な事案を起こしておる。そういった不法不当な事案の発生を防止いたしまして、警備業務の実施が適正に行なわれるということを目的とした規制法律でございます。そのために、この条文にございますような幾つかの人的なあるいは行為的な面において制約を加えておるわけでありまして、私たちといたしましては、現在全く法規制がございませんが、今回新たに初めて、条文としてはわずかではございますが、主要な点を押えました法律ができますならば、私は、てまえみそかもしれませんが十分な効果を発揮できるのではなかろうか。もちろんその運用にあたっては十分配慮しなければならない面もあろうかと思いますが、運用のよろしきを得れば、現在発生しておるような不法不当事案というものはほとんど防止できるのではなかろうかと、かように考えておりますし、また、その方向に向かって全力を尽くしたいと思っております。
#45
○上林繁次郎君 具体的に何点かお尋ねしてみたいと思います。
 まず、先ほど神沢委員のほうからも問題提起されたわけですが、第二条の問題です。第二条の第二項というか第二号といいますか、「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」、これはあくまでも警察官の業務であると、こう私は考えるわけですが、その点どういうふうに考えられてこういう条項を載せたのか。先ほどどなたかからのお答えがありましたけれども、またお答えによって質問さしてもらいたいと思いますが、これはあくまでも警察官の業務ではないか、こういうふうに感ずるわけですが、こういったことを許すことは将来また行き過ぎを起こす、そういう原因になるのではないか、こういう心配があるものですからお尋ねするわけです。
#46
○政府委員(本庄務君) 先ほどの神沢先生の御質問に対する答弁とやや重複する面が出てくるかもしれませんが、なるべく重複しないようにいたしたいと思いますが、ここに書いております「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」と、これはまさに警察の仕事ではないかということでございます。ちょっと読みますと、そういうふうな感じを受けることは否定はできないわけでございますが、先ほど長官も申しましたように、この定義の柱といたしまして、定義の本文に「他人の需要に応じて行なうものをいう。」と書いてございまして、これは「他人」というのは私人でございます。私人の需要に応じて、いまの御設問の場合であれば、二号に掲げてあるような仕事を行なうものというわけでございます。先ほども申し上げましたように、たとえば工事現場で雑踏しておるというような際に、暫時人あるいは車の通行を待ってもらう、あるいはちょっと回ってもらう、そういったことについて協力を求める。これはあくまでも事故発生の警戒、防止の目的でなければなりませんが、そういう目的のためにそういった第三者に協力を求めるという趣旨でございまして、それに反しまして、反しましてといいますか、一方警察官のほうは、警察官の行なういわゆる交通整理、これは法律上の権限に基づく交通整理でございまして、何と申しますか、いわゆる公共の安全と秩序の維持をはかる、むずかしく言いますれば、まあそういった目的を持って行なわれるものでございまして、特定の私人の依頼に基づいて行なうものではございません。あくまでもガードマンの場合は、そういった私人の依頼に応じて行なう任意的なものでございまして何らの権限ございません。ですから、人をとめるということはこれはできないわけでございまして、ちょっと待ってくださいと、こういうお願いといいますか依頼といいますか、そういうことであろうかと思います。警察官の場合は、その場の状況によりまして完全にストップさせる、あるいは迂回させる。そういった法律上の権限を強制――ことばはちょっとかたいですが、強制力を持っておる、公権力を持っておる、そこに本質的な違いがあろうかと思います。
#47
○上林繁次郎君 まあお話を聞いていますと、雑踏しておると、それをちょっととめるというような程度であると、こういうことですね。それは常識的な問題じゃありませんか、私はそう思うんです。それは常識的な問題。したがって一そういう意味で、そんなことをわざわざここに――へたをすればこれが悪用されるというような心配が起きてくる、そういうような条項を、ごく常識的な考えで、そんなことはだれでもできることなのであって、あえて二条の二号にそういったものを一項麗麗しく掲げる必要はないんじゃないか、私はそう思うんですがね。
#48
○政府委員(本庄務君) 確かに書いてある内容は、先生のおっしゃるように常識的なことでございます。常識的なことが常識の範囲内において行なわれておるならば何も法律の分野には入ってこないわけでございます。ところが、先ほども申し上げましたように、警備業者がふえ、警備員がふえてくるに伴いまして、この常識的な仕事が、つまり一般私人として行なうという意味での常識的な仕事が、その常識の範囲を逸脱して行なわれておる事例がある、そういうことを今後はさせないと、そのために所要の規制を行ないたい。そういう規制を行なうためには、やはりこの対象というものはどういうものであるかということを定義として明確にいたさなければ規制はできない。先般申しましたように、かりに二条の二号の規定を削除いたしますと、そういう常識的な仕事を常識の線を越えてやっておる場合に規制ができない、そういった結果になるわけでございまして、そういう意味でひとつ御理解をいただきたいと、かように考えております。
#49
○上林繁次郎君 おっしゃること、わからないわけではないのですけれども、私から言わせると、いわゆる常識的に考えられないような行動がいままであったと、そういう状態だから、はたしてその業務に携わる人たちがそれを常識的に解釈して、それを常識を越えるという、その常識を常識として受けとめられなくてそれを越えるという、そういう心配はないかということですね。私の言っていることは、ややこしい言い回しかもしれませんけれども、あなたと反対のいわゆる考え方になるわけですがね。ですから、そういうことで、私はこういうものを掲げた場合には、行き過ぎというものが起きやしないかという心配を持つわけなんですよ。そういう心配はないんだと、八条等でなおその点について明らかにしておるのだからそういう点は心配ないのだ、こういうことになるのかどうか。まあ八条についてはまたあとからお尋ねいたしますが、そういう私はあなたの言っていることと逆の立場で心配になるんだということです。その点、心配がないかということですね。
#50
○政府委員(本庄務君) 御質問の趣旨私も十分わかります。そういった御懸念にこたえるために幾つかの規定を設けておるわけでございまして、たとえば警備員あるいは営業者の欠格事由等も、そういう常識の線を越えるような人間には営業させない、あるいは警備員にはならせないということが必要であろうという、これも一つの実は、もちろんこの二号だけではございませんが、そういったことを新たに考えまして、やはり欠格事由でも押えていこう。あるいは、いま先生からすでに御指摘ございました八条の「警備業務実施の基本原則」、これなんかは、常識の線を越えますと他人の権利と自由を侵害したり、あるいは個人もしくは団体の正当な活動に干渉するおそれがあるわけでございますから、それを防止する意味において明示いたしました。もちろんその前には、わかり切ったことでございますが、この法律によって特別に権限を与えられておるものではないと、つまり二条の二号の定義だけ読んでみますと、われわれはこれは大いばりで交通整理ができるのだ、警察官と同じようにすることができるのだと考えられると困りますので、そうではございませんというのを八条でくどくうたっておるわけでございます。さらに、服装なんかの規定も、これも警察官と明確に識別できるようにしなさいと。現在市民から、警察官だか警察官でないんだかわからないような男が交通整理をやっておるというような批判もございますので、警察官でないということがはっきりわかるようにしたい。それから十一条の「教育等」につきましても、この教育の内容といたしましては、警備員というもののやれる限度はこれが限界ですよというふうなことも十分教えなければならない。こういった幾つかの規定によりまして、先生の御懸念のようなことが起こらないように留意をしておるわけでございます。
#51
○上林繁次郎君 まあこれ以上あまり深く言いませんけれども、たとえば、一言だけ言っておきますけれども、雑踏の中で、警察官とは違った立場で、権限が与えられてない立場でこの程度のことをやるんだという先ほどお話がございましたね。この程度のことをやるんだということなんだけれども、それがたとえばチッソの問題だとか成田空港の問題だとか、ああいうふうな事態が起きてきたときに、そのちょっとが、ちょっと行き過ぎたというような場合が、非常にそこのところが微妙だと私は思うんですね。非常に微妙だと思うんです。それを、じゃ、だれが判定をするのか、こういう問題がある。ですから、そういって突っ込みだしたらきりがないかと思いますがね。ですから、まあこれ以上この問題については申し上げませんけれども、そういうような心配があるということを、私はその点について懸念をしておるわけなんですがね。
 そこで、第八条なんですけれども、この八条に掲げられている内容、まあ先ほどこの点についても神沢委員のほうからお尋ねがありました。非常に抽象的で不明確であると、こういうことなんですが、この条文に掲げられているケースとしては特にどういうケースがあると考えているのか。非常に抽象的なんですけれどもね、そうでしょう。読みましょうか、頭かしげているようですから。「個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」、これはどういうことなんですか、どういうケースをさしているのか、具体的にひとつ。
#52
○政府委員(本庄務君) 「個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」、この趣旨につきましては、先ほど御説明いたしましたので省略さしていただきますが、具体的にじゃどういうことかと、これは先ほど来論議がありました労働争議の場合が一番いいかと思いますが、たとえば組合が集会をやっておる。で、その近くでガードマンが、これはまあガードマンというのは本来会社の施設の警備等の目的で来ておるわけでございますが、そういうガードマンが大ぜい集まっていわゆる威迫的な行為をやる。その行為が、態様によりましては刑罰法令に触れる場合ももちろんあろうかと思いますが、しかし態様によりましては、具体的な刑罰法規に抵触する程度には至らないという、まあすれすれと申しますか、そういったデリケートな場合がかなりあるだろうと思います。また、そういうことが私はおそらく現実に問題になっているのだろうと思います。そういうふうに刑罰法規には触れない程度の威迫的な妨害行為、これらはまさに正当な活動に干渉すると、かように考えておるわけでございます。
#53
○上林繁次郎君 で、まあ争議の問題等いまお話ありましたけれども、これもいまお話があったのですけれども、私もこの神沢委員と同じように、あなたのほうである程度こういうケースが多いであろうという、こういう想定のもとにこういうものがつくられてあると、だとするならば、やはり最もいわゆる行き過ぎの危険性のある状態については、それははっきり労働争議なら労働争議というふうに明確にこれをうたったほうがいいんじゃないか、こういう感じがするわけですよね。そのほうがもう迷うことがない。非常に抽象的で、どこからどこまでなのかわからないというような表現のしかたよりも、あなたのほうで、いままでの事例からいってこういうケースが多いのだと、だからこういうものを規制していくためにこの条項は必要なんだと、こういうことならば、もっと明確に私は表現をしたほうがいいんじゃないか、労働争議なら労働争議というふうにはっきりと、幾つか具体的な問題があるわけです。起こりやすい問題があるとするならば、それをやはり掲げたほうがいいんじゃないか。そのほかは、それに続いていわゆる幅を持たすというふうな方法、これは話はわかるけれども、はっきり明確にそちらのほうでわかっているにもかかわらず、何となく抽象的、何かぼかしているような表現のしかたというのは私はうまくないんじゃないかというふうに思うんですよね。その点、どういうふうに考えますか。
#54
○政府委員(本庄務君) 私がいま例示として労働争議の場合を掲げましたのは、先ほど来労働争議についての論議が出ておりましたのであげたのでございますが、もちろんまた、ここ一、二年の事例を見ましても、労働争議に関連したトラブルが多いわけでございますから、労働争議を設例としてあげたのは当然でございますが、しかし、実際は労働争議のみならず、それ以外の場合もかなりあるわけでございます。ただ、事案が争議のように集団的なものでございませんので、あまり新聞等にも出ませんし、社会で大きく取り扱われることがないわけでございますが、個々の市民のほうからいえば好ましくない事案もあるようでございます。たとえば、いま先生から御質問いただきましたいわゆる交通整理の場合ですね。常識の線を越えてしまって、自分の雇われている、自分が委託をされておる企業の車を優先的に通行させる、そのために一般の車両を長時間にわたってとめてしまう。そういうふうな場合、これは場合によっては道交法違反、交通関係の違反あるいはほかの刑罰法令に触れる場合もありましょうし、そこまでにいかない程度の場合もあろうかと思います。そういうのも一つの例でございますし、それからデパートで警備を委託されまして、買いもの中のお客の中に不心得な万引きをやる者がおるわけでございますが、そういうものについて警戒をしておる。たまたまそれを見つけたと、そうすると別室に呼んで、本来ならば直ちに警察に通報をして、そして警察官に引き渡すというのが筋でございますが、警察にもすぐには通報しない、あるいは通報しても警察官が来るまでには若干時間がある、その間不必要な、いわゆる尋問と申しますか取り調べ的なこと、警察官がやるべき取り調べ的なことをやると、そういうようなこと、これも態様によりましては犯罪になる場合もありましょうが、しかし、その程度に至らない場合もございましょう。そういった個々の市民あるいは団体でございましても、労働組合以外の団体、たとえば文化団体、宗教団体いろいろあるわけでございまして、こういったものにつきましては、いまのところそう事例はございませんが、今後まあそういった各種の団体もふえてくると思いますけれども、今後の問題といたしましては、そういった労働団体以外の各種団体というものも当然これに関連した事案が発生することが予想されるわけでございまして、そういう意味におきまして、この「個人若しくは団体の正当な活動」という広い、日本国民全部、個人全部あるいは団体全部と、そういうものを包含しているという意味でございます。また、先ほどから再三申しますように、労働争議がこれに該当するということは、これは当然明らかでございますから、必ずしも私は例示をしなくても立法の趣旨は達成するのではなかろうかと、かように考えております。
#55
○上林繁次郎君 まあいまのお話ですと、将来のことを考えてという意味が含まれていると私は解釈するんですけどね、いまの御答弁は。まあいろいろな団体が、その活動というものがいわゆる多角的になる。そういったことで、こういった規制が必要になってくると、将来のことも加味されておるんだと、こういうような感じで私は受けとめたんですけれども、先ほどからお話を聞いていますと、これがいわゆる手始めで、まず第一歩なんだ、その時点において、そういう意味合いをもってつくられたものであるというお話もあったんですが、その点、ちょっと私は矛盾を感ずるのですね。ですから、将来のことを考えたならば、もっともっとこの幅を広げてつくるべきであるし、現時点だけ、まずいままで何にも、野放しの状態であったから、まずその手始めとして、第一歩として、とりあえずこれをつくったんだという、現時点を対象とした考え方だというお話がさっきあったわけですが、そのお話からすると、私はちょっと矛盾を感ずるのですが、いかがですか。
#56
○政府委員(本庄務君) ちょっと説明が不十分だったかもしれませんが、将来のことというのは主たる要因ではございません。あくまでも、いままで並びに現在の事態というものが考察の主たる要点でございます。現在でもすでに大ぜいの個人あるいはたくさんの団体がございます。そういったものを全部頭に置いての立法でございます。
#57
○上林繁次郎君 それでは次にまいりますけれども、この第四条ですが、「警備業の届出」のところですけれども、これはこの届け出をすれば、この法律でもっていろいろな規制がありますけれども、それ以外はだれでも営業ができる。この法律の規制外の者が届け出をすれば、だれでも営業はできるんだと、こういうことになるわけですか。
#58
○政府委員(本庄務君) この法律の規制に該当しない者につきましては営業できるわけでございます。それから、なお念のため申し上げますが、他の法令で、実は私全部ちょっと記憶しておりませんが、当然できないものがあるとすれば、これはできないと思いますが、少なくともこの法律では欠格条項をきめておりますから、この法律に関していえば、欠格条項に該当しない者は営業できる、かようになると思います。
#59
○上林繁次郎君 それで、将来の危険性というもの、現在の危険――現在までいろいろ問題があったのでこれができたので、将来の危険性ということを考えた場合、そのために、そういうものをなくすために、その点で効果をあげるためにこの法律をつくったわけなんで、そうなると、それの将来の問題を防ぐためにも届け出というあり方というのは非常に弱いんじゃないか。いろいろな問題が生じてきている、これからも心配であるという、そういう立場に立ってこの法律がつくられたにもかかわらず、なぜ、その弱い届け出ということにとどまったのか。私は、これは許可制にすべきである、こういうふうに感ずるわけですが、その点ひとつ御説明願いたい。
#60
○政府委員(本庄務君) ちょっと法律的な議論になって恐縮でございますが、許可制というのは、御案内のように、警察目的のために一般的に禁止する、この営業についていえば、営業を禁止する、そうして一定の要件を具備した者についてその禁止を解除して営業させる。こういう制度でございますが、この営業の禁止ということは、憲法に定められております基本的人権の大きな制約でございますからあくまでも慎重に考えなければなりませんし、また、なるべくならば、禁止しないで自由に営業させるのが本来としては好ましいわけでございますが、しかし、いろんな事情によりましてそうはいかないというので制約、禁止をするということになるわけでございます。しからば、警備業につきまして現在の状況はどうかと申しますと、先ほど申しました約四百五十社、それからガードマン、約三万二千ぐらいと一応踏んでおりますが、大部分の業者、警備員はまじめにその業務をやっておる。しかし、一部の不心得な者によって不当不法な事案があるという次第でございます。そういった現在の事態からいたしますと、一般的に禁止をするということの必要性はないのではないかというのが第一の理由でございます。
 それからもう一つは、まあ立法の通例といたしまして、一般的な禁止をかけて、特定要件を具備した場合に解除する。これは人的な要件だけをきめた許可制というものも、法律的にはこれは成り立ち得ますし、またそういう例が絶無ではございません。しかし、一般的な禁止をかけるのは、単に人的な要件だけではなくして、たとえば資力の基準あるいは技術の基準あるいは事業の規模、そういった、要するに一般的な禁止をかけるべき要因として幾つかの要素が入っておるのが通例でございまして、そういった立法の通例からいたしましても、一般的な禁止を意味する許可制をとる必要はないのではないか。しかしながら、やはり立法目的を達するためには、やらせたくない人間というものがございますから、それだけは押えたい。そういう意味で、人的な欠格条項だけをつけた届け出制という、やや立法としては新しい型に属するものにいたしたわけでございまして、一般論といたしましては、禁止より届け出制のほうがゆるやかなことは事実でございます。しかし、そのゆるやかな届け出でありましても立法の目的を十分達せられる場合には、私はあえてきびしい許可制をとる必要はないのではないか、さように考えておる次第でございます。
#61
○上林繁次郎君 それでは第三条、いま欠格事項の話をせられましたけれども、第三条ですけれども、ここには禁錮刑以上ということになっておりますけれども、禁錮刑以上としたその理由ですね、これをひとつお聞かせ願いたい。
#62
○政府委員(本庄務君) これは警備業の業務の内容からいたしまして、やはり犯罪を犯した者――犯罪を犯した者が必ずまた犯罪を犯すとは限りませんが、いままでの例からいたしましても、累犯というものはかなりあるわけでございますから、そういった者につきましては一定期間は遠慮していただこうというのがねらいでございまして、じゃ、なぜ禁錮としたか、懲役で切らずに禁錮にしたか、罰金を入れなかったかというふうな非常に詰めた御議論だと思いますが、これは実は他の法律と申しましても、これにずばり該当するような実は業態がないので、これそのものと直ちに比較できないのでございますが、似ていると思われるような法律あるいは他の一般営業法規を見まして、大体こういった禁錮以上の刑に処せられてから云々として三年というのが多いようでございまして、それからさらに、この法律の規定に反して罰金の刑に処せられる、一般的には禁錮以上、しかし当該法律については罰金だ、そして三年だというのが多いようでございまして、こういった立法にあたりましては、なぜ一年半じゃいけない、三年とか、あるいは三年半じゃいけない、そういう計数的な根拠を求められると非常に困るわけでございますが、やはり他とのバランスというのが一つの大きな要素であろうか、そういう意味での規定でございます。
#63
○上林繁次郎君 それでわかりました。で、私はこう思うのですよ。禁錮刑以上にしたということについては、いまお話があったとおりで過去のいろいろな例ですね、そういうものを踏まえた上で、この法律においても禁錮刑以上である、こうした、こういうことですね。特に禁錮刑以上とした具体的な根拠というか、これが明らかになったわけじゃないのですが、まあいままでの例からいってこういうふうにした。こういうことなんですが、ところが私たちから言わせれば、この法律の目的からいって、禁錮刑以上の刑を受けた者がその刑が終わって三年たった、三年たてば、はたしてそれではこの法律の精神を守るだけの資格が備わるのかどうか、実質的に。その点どういうふうに考えておりますか。
#64
○政府委員(本庄務君) 三年たてばこの法律を守る資格が備わるかどうかということにつきまして、これは禁錮刑以上の刑に処せられる人が相当年間おると思いますが、全部が全部、三年経過すればこの法律を守るような資格ができるということは、これはちょっとにわかに申し上げられないと思います。逆に、三年たたなきゃこの法律を守る資格が実際はできないかと申しますと、人によっては一年あるいは二年ぐらいでできる人もあるのじゃなかろうか。それで、そうしますと三年という数字の根拠ということになりますが、三年という数字の根拠につきましては、先ほど御説明いたしましたように……
#65
○上林繁次郎君 根拠ではないですよ、ぼくの言っているのは。
#66
○政府委員(本庄務君) 三年を経過した者は全部その資格が実質的にできるかどうか、法律的には与えられるわけでございますが、実質相伴うかどうかということにつきましては、これは相伴うとは申せないと思います。しかし大体三年ぐらい経過すればできるのではなかろうか。しかし不幸にして、三年経過してもまだ実質的に資格ができていない者につきましては、それが警備業を営んだり、警備員になった場合に、何か具体的に不法不当な行為があればこの関係法令によって措置する、かようになろうかと思います。
#67
○上林繁次郎君 これはそういうことをなくすためにつくるのです、この法律の趣旨は。なっちゃってから、もし悪いことがあったら法律に当てはめて、欠格事項に当てはめてまた処分すればいいんじゃないか、こういう考え方は私はあまり納得できませんね。やはりこの法律をつくる精神、法律の精神からいっても、その辺のところ私やはりもう少し厳格にしなければならない。そのために届け出の問題もいま持ち出したわけです。刑が終わって三年たてばあれですね、みんな善人になる、そしてそういう将来心配ないのだ、こうは言い切れないわけですよ。そこでいわゆる実質的に、はたしてその人がこの法の精神にのっとって、そしてこの業務を営むことができるかどうかという、そういうやはりこれをチェックする機関というか、そういうものが私は必要だと思うんですよ。その辺のところは、もしそういうものがないとするならば、この法律をつくっても抜け道になります、効果があがらない。もう一歩効果をあげるためには、やはりそういう機関がなければならないと私は思う。その点、私はそうあるべきだということを主張するわけなんですから、その点についてお答え願いたいと思います。
#68
○政府委員(本庄務君) 三年を経過した者につきまして、かりに許可制にいたしましても、たとえば古物営業法の許可法規の例でございますが、これも「禁こ以上の刑に処せられその執行を終り、又は執行を受けることのなくなった後、三年を経過していない者」、これが許可の基準でございまして、三年を経過しておれば一応許可をするということは、法律的な見方としては、三年を経過すれば順法精神ができると申しますか、法律を守り、資格も実質的にできるというふうに一応判断をして、こういう古物営業法をつくっているのだと思います。大体これと同じ考え方でございますから、その辺をひとつ御理解をいただきたいと思っております。
#69
○上林繁次郎君 それは法律的な立場からおっしゃっているわけですから、それはわからないわけじゃないですよ。そういうことをいえば、たとえば公安委員会でも、警察というのがあるのですから、警察の業務というのはさまっているのですからね、そのほかに公安委員会なんていうものがあるわけです。あるいは国会の中でもいろいろな委員会があるわけですよ。それはその事柄をもう一歩も二歩も効果あらしめるために、そういう一つの制度というものは生まれているわけですね。ですから、そういう意味からいっても、こういう危険性のあるものについてはもう一歩チェック機関があったほうがいいんじゃないか、こう申し上げているわけです。法律的な立場だけでなくて、実質的にですね、そういうものをつくる必要ないのだ、法律的に解釈すればこうなるんだからそういう必要はないと考えるのだ、こう言うならばそれまでですがね。
#70
○政府委員(本庄務君) これはそういう考え方も確かにできると思いますが、一応この法律のチェックをやっておいて、さらにこれ以上きびしいチェックをやるということがはたして、世の中では先生御案内のとおりにいろんな要素を考えてきめなければならないと思いますので、一般的な妥当性の点から申しまして、さらにこれ以上のチェックをするということにつきましては、ちょっともう少し検討する必要があるんじゃなかろうか、かように考えております。
#71
○上林繁次郎君 これ以上きびしくするということになりますと、その辺のところはもう見解の相違ということになるかもしれないけれども、そうすると変な意地の悪い言い方をするかもわかりませんけれども、これは完ぺきなものだ、こういうようなお話になるということだと私思うのですね。だから、私がいまお尋ねしておるのは、あえて言いませんけれども、二回、三回とは言いませんけれども、そういうやっぱり機関があったほうが、これは一面からいえば、あなたの言うように、きびしいという言い方もあるかもしれないけれども、やはりこの法律の趣旨というものははっきりしているわけなんですからね。ですから、それを防ぐためにやるわけなんですから、そこにあまりにも大きな穴があいていたんでは何もならぬと思うわけです。そういう意味でお尋ねしているわけなんですが、あくまでも法律的な見解でそういう必要ないのだ、こうおっしゃるならば、私はもうこれ以上何も申し上げませんがね、何かお答えをいただけますか。
#72
○政府委員(本庄務君) 先生のおっしゃった機関というのは、エージェンシーという意味の機関でございますね。日数という期間でなくして、さらに他の機関、さらに別の機関ということですね。
#73
○上林繁次郎君 日数のことでなくて。
#74
○政府委員(本庄務君) 私はそういう意味での機関であれば、この法律に基づくものとしては一応この程度ではなかろうか。しかし、機関に相当するものは別といたしまして、ここに雇う業者が、法律にはこう書いてあるわけですが、その業者の方針としてもう少しきびしく扱おうということをきめることは、これはあり得ると思います。しかし、それが営業の自由の制限とどういう関連になるかという問題もございますが、業者自体が自分の判断で、自分の内部の判断として、そういうことをやるということは考えられると思いますが、しかし、法律としてやはり明確に規定するのは、この辺が妥当ではなかろうか、かように考えております。
#75
○上林繁次郎君 あなたは、警備業を営む人がおって、会社があって、その警備業者というか、その会社のいわゆる経営者が雇う場合にはという、いま話だと、そういうことになるんですよ。ところが、いわゆる警備業を営む経営者それ自体が問題であるわけですから、ですからそうなってくると、私はそういった心配があるわけです。ですから、あなたが言ったような、いわゆる警備業を営む者が新たに雇う場合には配慮すると、そういうことは考えられますよ。だけれども、実際に、現在警備業を経営している経営者の中にいろいろ問題を持っておる者がいるわけです。そうでしょう。その人たちはだれがチェックするのか。これはチェックする期間は三年以上という、それだけしかないという、それを過ぎればだれでもいいんだ、実質的にそれじゃそれだけの資格ができるかどうか、そういったことで私は心配をして申し上げているわけなんでして、その辺ちょっとあなたの考えと私の考え方が違うところなんですよ。
#76
○政府委員(本庄務君) 最後に先生のおっしゃったことにずばりお答えになるかどうかわかりませんが、この規定にひっかからない者であっても、三年以上経過した者であっても、実質的にやることが不適当というような者があるんじゃないか、それをチェックする機関を考えたらどうか。私はその機関というのは、厳密にエージェンシーととっておりましたが、機関ではなくて、許可制にして、許可の要件の中に一つの自由裁量的なものを入れたらどうかというようなことにもつながろうかと思います。これも一つの先生が御懸念になられたことを防止するための方法であろうかと思います。しかしながら、そういった役所に自由裁量権というものを与えるということは、考え方として、一般論でございますが、なるべく避けたほうがいい、やはり法規裁量と申しますか、厳格にそういうぴしっとやっていくというのが一般的な考え方であろうと思います。将来先生の御懸念になるようなことが出てまいりました場合には、そういったようなまた仕組みというものも将来の問題として私は考えられるのじゃないか、かように考えております。
#77
○上林繁次郎君 その辺、ちょっとかみ合わない点がありますが、こまかい点が一ぱいあるんですよ。時間がだいぶ過ぎたわけですけれども、そういうこまかいことを省きまして聞いてみたいと思うんですが、営業をやる場合に、各都道府県公安委員会規則、こういったものに基づいていろいろなことが運営されるわけですけれども、そうなると、各都道府県においては統一されないということですね。各都道府県それぞれいわゆる規則を設けて運用といいますかのしかたについては、みんなまちまちである、こういうケース、状態も生じてくると、こういうふうに考えていいんですか、これは。
#78
○政府委員(本庄務君) 都道府県公安委員会規則をきめますのは、十条の「護身用具」のところで、都道府県公安委員会規則を定めて、護身用具の携帯禁止と携帯の制限という点がございますが、あとは全部総理府令できめるようになっておりますので、府県間のアンバランスということは避けられると思います。
#79
○上林繁次郎君 ことばが足りませんで申しわけなかったんですが、その護身用具、これは各都道府県でまちまちだということになりますね。
#80
○政府委員(本庄務君) 都道府県の公安委員会規則でございますから、その府県の公安委員会の判断でできるわけでございますが、やはり調整という必要もございますので、その指針的なものを指導いたしまして、要するにあまりアンバランスにならないように気をつけたいと思っております。ただ、都道府県のローカル的な事情によりまして、Aの県では入らないけれどもBの県では入るという規定は若干は出てくるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
#81
○上林繁次郎君 これはやはりいろいろなことが法律上でもってうたわれているわけですけれども、いわゆる護身用具、これがある県ではこういうものは認められた、ある県ではこういうものは認められなかったというような違いがかえって起きると思うんですね。そこでかえって国のほうでもって統一して、こういうものは許されるというような統一された見解というか、そういうものを明らかにすべきじゃないかという感じがするんですけれども、この点どうですか。
#82
○政府委員(本庄務君) 現在のところ、都道府県公安委員会規則で定める内容といたしましては、表現は別といたしまして、警察官が現に携帯いたしております警棒程度、あの程度のものを一応限界と、現在のところかように考えております。
#83
○上林繁次郎君 十一条の教育の問題ですが、この教育の内容はどういうようなことを考えておりますか。
#84
○政府委員(本庄務君) この法律に基づく教育といたしましては、大別して二つを予定いたしております。
 一つは、今度できるであろうと思われる警備業法あるいは警備業務に必要な関係法令、刑法、幾つかあると思いますが、そのうちの関係する部分、法律、法令上の知識、これが一つでございます。もう一つは、先ほどお話のございました護身用具についての何といいますか、留意事項といいますかそういったもの、あるいはさらに警備業務を行なうにあたって必要な技能と申しますか、いわゆる技能、技術的な事項、この二つを一応考えております。
#85
○上林繁次郎君 いまおっしゃらなかったと思うんですが、この法律がつくられるその前提といったものは、やはりガードマンという立場の人たちが非常に資質が悪い、そのためにいろいろな問題がたくさん起きてきておる。ですから、この教育の内容というのは、どうしてもこの職に当たる人たちの資質の向上ということが最も重要な問題じゃないか、こういうふうに思うんですね。その辺私は、当局では、資質向上のためにどうあるべきだ、どういう教育を施すべきであるかということをもっと考えなければいけないんじゃないか。それでなければ、こういう憂い、この法律で規定されている心配というものは将来長く尾を引くと思うんですね。やはりこれを防ぐためにも、何といっても資質の向上というものを第一義に考えてやっていくべきじゃないか、そういう教育の方針というものを考えていくべきじゃないか、こう思うんですが。
#86
○政府委員(本庄務君) まことにごもっともな御意見だと思います。ちょっとことばが足りなかったと思いますが、法令上の知識と申しましたが、これは法律の条文を条文として教えるという意味ではございませんで、いろいろな具体的な事例、そういったものに即して具体的に指導していく、のみ込ませていく、そういった教育を通じて資質の向上をはかりたいということを考えておりますが、なおそれ以外に、先生のおっしゃいましたようなガードマンの資質の向上のために所要なこと、どういうものがいいか。いわゆる情操教育的なものとかいろいろなものが考えられるわけでございますが、何せ、警察官の教育のようにそう長期間をかけるわけにもいかないと思いますので、なかなか効果は、即効は期待しにくいと思いますが、御趣旨の点も十分に盛り込みたいと思っております。なお総理府令については目下検討中でございますので、そういった御趣旨を盛り込んだ中身にするように努力をいたしたいと思います。
#87
○上林繁次郎君 この警備員が、いわゆる警備会社が依頼を受ける。その場合、依頼した会社に対して損害を与える、こういう場合があると思うのです。こういう場合どういうふうに処置されるのか。そういったものは法律には何にもならないのですけれども、そういった点についてはどういう考え方ですか。
#88
○政府委員(本庄務君) その点につきましては、現行の警備業法では何ら触れておりませんので、民事の一般原則と申しますか法令と申しますか、そういった関係で処理されることになるわけでございます。
#89
○上林繁次郎君 これは、最後になりますけれども、「罰則」の十九条に、「第四条の規定による届出をしないで警備業を営んだ者」、「第十四条の規定に基づく指示に違反した者」、こういう、これは十万円ですね。それから第二十条ですね、「次の各号のいずれかに該当する者は、三万円以下の罰金に処する。」と。第四条、それから第五条、第六条こういうふうにあるのですが、十万円と三万円という、こういうふうに分かれているわけですね。そこで、十万円と三万円に分かれたその根拠はどういうことなんですか。
#90
○説明員(川崎幸司君) 主として届け出のことについての御質問じゃないかというふうに承るわけでございますが一十万円と三万円に分かれておりますのは、十九条の「四条の規定による届出」というのは、この状態についての基本的な届け出、そういうものを怠った、そういう者についてはやはり違反の悪性の度合いというものが非常に高いと。それに対して二十条で掲げております事項につきましては、これは何といいますか、そういう四条の基本的な届け出に対して、部分的な届け出の違反態様である。そういう意味で、これについての違反の悪性の程度というものが非常に低いと。そういう差別でありますので、十万、三万と区別したわけでございます。
#91
○上林繁次郎君 これはやっぱり見解の相違と言われるかもしれませんけれども、これはあれでしょう、たとえばAという警備会社がある。それが千葉県で営業を開始した。その営業所が今度は茨城県にできるという場合には、これは千葉県の公安委員会の規則とかそういうものは通用しないわけですね。全部、茨城県に営業所ができれば、茨城県を対象にして、茨城県の公安委員会を対象にしてすべての手続をしなきゃならぬわけでしょう。ですから、これは営業所というけれども、制度的にははっきり分かれているという感じなんでしょうね。やっている行為は全部同じなんですからね、ですから、あえてそれを十万円と三万円というふうに差をつけるという考え方それ自体が私はおかしいと思う。基本的には、あなたの言ったことはわからないことはないですけれども、だけれども私はそういう感じがするのです。その点、どう考えていらっしゃいますか。
#92
○説明員(川崎幸司君) 四条の基本的な届け出の違反といいますのは、先生の御指摘のように府県別の営業の開始ということもありますけれども、まず、その府県別の営業の開始のいかんを問わず、ともかく警備業という営業を始めようという場合についての届け出でございますが、そういう届け出事項の中におきましては、やはり他府県に営業所を設けてやるというふうな場合も届け出事項の中に含まれるというふうにいたしておりますので、やはりこの四条以外の届け出の事項については性質上の違いがあるというふうに、かように考えているわけでございます。
#93
○上林繁次郎君 どうもわからないんだな。これは何回やったって同じことになっちゃうかもしれませんけれども、あれですよ、千葉県に初めて発足するAという警備会社が、これは初めて発足しようが何しようが、あらためて公安委員会に届けなければならぬわけでしょう。茨城県で営業ができるというけれども、それは営業所というものは、やはりそれは茨城県の中に入った場合には、茨城県の公安委員会を対象とするわけですよ。そうしてすべて、あらゆる問題についてこの公安委員会が対象になるんだから、別個のものじゃないか。だから、千葉県の中に営業所ができるというならば、いま言った考え方でいいと思うんです、あなたの言った考え方で。ところが、よその県の場合には私は同じだと思うんですよ、立場が全部別個なんですから。だから、そういう立場から言うならば、この法律に違反する――全部私は同じに見ていいと思うんですね。そういったところにもやっぱり今後いろいろな問題を発生する、そういった原因にならぬかというような感じもするんです、厳格に突き詰めていえば、その辺の解釈が、私のほうが間違っているのかあなたのほうがどうなのかわかりませんけれども、私はそう思うんですよ。まるきり別個なんですから。千葉県の中にAという警備業者の営業所ができるというならば、あなたの言っていることはわかるんです。茨城県あるいは新潟県というときには、もう全部別個なんですから、営業所といえども千葉県のあれは通用しないんですからね。そうだとするならば、一律でいいんじゃないかと、こういう感じがするんです。
#94
○説明員(川崎幸司君) 確かに先生がおっしゃるとおりに、その地域別、府県別に全部制度が分かれておって、そこでの営業であるから、分かれておりてしかるべきじゃないかというふうな御趣旨もよくわかるわけでございますが、何といいますか、普通のこれが届け出制じゃなしに、許可制というふうなことでお考えになりました場合につきましては、こういう場合につきましては、許可制におきましては、主務大臣が、二都道府県以上にわたる場合には許可をする、一府県の場合には都道府県知事が許可するというふうなたてまえの現行法が多いわけでございまするけれども、そうでない法律もございまして、かつての宅建業法のように、二以上の都道府県で営業します場合におきましても、主として行なう営業所を管轄するところの都道府県知事の、登録でございましたら登録を受ければいいというふうなシステムになっているわけでございます。
 そこで、この警備業法について見ました場合には、届け出につきましては、いろいろ目的があるわけでございますけれども、やはり実態の掌握といいますか、実態の掌握といった場合に一番ポイントになってまいりますのは、一つは、やはり欠格事由に該当するかどうかというふうな点であろうかと思うわけでございますが、そういうふうな点から考えました場合に、営業を始めるところの主たる営業所の所在地、最初の営業所の所在地の都道府県公安委員会に対する届け出を、基本的な営業の届け出と解すべきじゃないか。それから営業所支店を設けるというふうな場合につきましては、部分的な届け出に該当する事項であるというふうに解すべきではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
#95
○上林繁次郎君 十五条ですがね、これは営業の停止です。「当該警備業者に対し、六月以内の期間を定めて当該公安委員会の管轄区域内における警備業務に係る営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。」、それでこの場合、千葉県のいわゆる本店のほうが営業について規制――規制というか停止を受けた場合、茨城県の営業所はどうなりますか、これは。これはもう関係ないですか、全然。
#96
○説明員(川崎幸司君) 公安委員会の制度につきましては、御指摘のように、各都道府県別に分かれておって、そういう都道府県別の管轄区域内においての権限行使ということになるわけでございますが、当該千葉県に本社があって、茨城、新潟なんかに営業所を持っておるというふうな場合におきまして、千葉県におきます違反の態様というものが千葉県内だけにおさまっておる。それが新潟とか、あるいは茨城の当該会社の営業所の警備業務の適正な実施が害されるおそれがないというふうな場合におきましては、千葉県の処分は千葉県内だけにおさまるということになろうかと思います。
#97
○上林繁次郎君 私はその考え方はおかしいと思う。あなたはさっき営業所だから罰金は少なくて済むんだ、こういう言い方なんだよ、これは。そうだとするならば、営業所だって一つの会社なんですからね。そこからいわゆる茨城県なら茨城県に営業所ができているということなんですからね。だから、別個の立場ということをあなたはいま言っているわけですよ。別個の立場だったら、さっきのぼくが言っているあくまでも罰金分けるということはおかしいじゃないかというのですよ。
#98
○政府委員(川崎幸司君) ただいま公安委員会、十四条なり十五条についての処分権限について申し上げたわけでございますが、ただいま申し上げましたように、公安委員会の管轄区域内におけるそういう悪い警備業務、やり方というものが、千葉県の本社のあるところで行なわれた。しかし、こういう本社の中で行なわれておるそういう警備業務の悪いやり方、法律違反になるような悪いやり方というものが新潟や茨城の営業所に当然に及ぶというふうな場合におきましては、当該公安委員会におきましてそれぞれ処分が行なわれるであろうというふうに思うわけでございます。これは公安委員会の制度のたてまえからそうならざるを得ないというふうに解するわけでございます。ただ、それが千葉県内のある営業対象だけで行なわれた部分的な法律違反であって、新潟、茨城県のほうにまで及ばないという性格の、そういうふうな法律違反であるならば千葉県内だけの処分にとどまるということを申し上げたわけでございます。
#99
○上林繁次郎君 そうしますと、その会社が重大なミスを犯した、いわゆるこの法律に抵触すれば犯罪ですよね。そういう場合、その支店が、営業所が千葉県、新潟県にある、そういう場合に重大なミスだということであれば、当然新潟にも茨城の営業所にも私は影響してくると思う、同一会社だから。そういう場合にはこの罰則が、いわゆる営業の停止、こういったことが行なわれるのだ、こう考えていいわけですか。
#100
○説明員(川崎幸司君) まあ重大な法律違反という場合にもいろいろな態様が起こり得るであろうかと思うわけでございますが、そういう重大な法律違反というものが、本社が千葉県にあった場合におきまして、そういう本社の機能の中で茨城なりあるいは新潟にも及ぶというふうな、そういう意味での重大な違反があった場合におきましては、それぞれの当該公安委員会で適切な行政処分が行なわれるというふうに解すべきであろうというふうに思っております。
#101
○委員長(玉置猛夫君) 本案に対する午前中の審査はこの程度とし、午後二時半まで休憩いたします。
   午後一時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十四分開会
#102
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、橘直治君及び稲嶺一郎君が委員を辞任され、その補欠として片山正英君及び古賀雷四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#103
○委員長(玉置猛夫君) 休憩前に引き続き、警備業法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#104
○河田賢治君 他の委員がほとんど質問はもうされておりますので、できるだけ重複を避けて二、三の問題で質問したいと思います。
 御承知のとおり、この法案が提出された積極的な面は、つまりいま警備業務が性質上適正に実施されることが要請されると、そして、どちらかというと取り締まりに重点があるわけですから、世間の非難を受けるような、世人の非難を受けるような問題も起きておるということを言われたわけです。なるほど個々の個人のたとえばガードマンがいろんな犯罪を犯かしたとか、いろいろなことがあげられたわけですが、これは何もガードマンだけでなくて国家公務員にもありますし、地方公務員その他の公社関係にもあるわけですね。いろんな、個人として見れば。だからこれは何も全部を取り締まるということはできないんですが、しかし、ここで私が、この法案の提案としては世人の非難を免れるという方向へいかなきゃならぬわけですが、これがどうもこれまでの御答弁によりましても、いろいろ規制はしておるけれども、かなり不十分な不徹底なものがたくさんあるように考えられるわけです。その点、もう一度そのところをひとつお答えを願いたいと思います。
#105
○政府委員(本庄務君) この法案の提案理由につきましては、すでに何回か話が出ておりますのでやや重複する点があるかと思いますが、御案内のように、昭和三十七年に初めて日本にできました警備業というものが、その後社会の需要に応じまして業者の数もふえましたし、警備員の数も急増してまいりました。まあ大部分の警備業者及び警備員はまじめにその業務をやっているわけでございますが、だんだんふえてくるに従いまして幾つかの問題点が生じてきております。一つは、依頼者との関係におきまして、依頼者の信頼を裏切って警備中に物を盗む、あるいは第三者、一般市民との関係におきまして、警備業務を行なう際に行き過ぎ等がございまして、不法事案、あるいは不法といかないまでも不当な事案が発生するということが出てきておりまして、こういった状況でございますので、大部分の者はいいといたしましても、この状態をこのまま放置しておきますとだんだんそういった事案が広がってくる、そういう不心得者がふえてくるということになるおそれが多分にございますので、そういった不法不当な事案が起こらないように防止するために最小限度の規制をいたしたいというのがこの今回の警備業法の提案理由でございまして、いままで全く野放しといいますか法的な規制がございませんでしたので、現在の情勢の上に立って最小限度の規制をして適正な警備業務が行なわれるようにいたしたいというのが趣旨でございます。
#106
○河田賢治君 一つ伺いますが、それではこういう警備業者あるいは警備員が、この法ができていませんからかなりそういうところは野放しであり自由であったと、しかしこれまで行なった、たとえば株主総会へ出て若い人を傷つけたとか、あるいは先ほども労働争議で四日間か五日間の婦人なんかもけがをさしている、それから成田ではああいういろんな――大きな混乱のもとではありますけれどもガードマンが警棒をふるって無抵抗にひとしい少年の頭をなぐったとか負傷をさしたとか、こういう問題があるわけですね。最近のあなたのほうのお調べで、あなたのほうでも右翼の団体や何かは特にマークしておると、調査しておるということを書かれてありますね、新聞に。だから、そういう警備業法そのものはまだ実施されませんけれども、こういう団体なり警備員が、ここ一、二年のうちに何らかのそれらの活動によって法に触れるようなことがあったかどうかですね、そういうことはありませんか。
#107
○政府委員(本庄務君) 特に右翼だけということではなくして、警備員の中で、先ほど申したような不心得者がいろんな犯罪を犯して検挙されておるという事例はございます。午前中もちょっと申しましたが、昭和四十六年、昨年一年間だけを見ますと六十九件、人員にいたしまして七十二人という数字になっておりますが、これは一般の刑事犯あるいは交通違反、そういったもの全部含めての数字でございます。
#108
○河田賢治君 こういう警備会社があるんですね。これは昨年六月の新聞ですけれども、「インスタント・ガードマンに仕立て」、「ただ働きさせる」、「警備会社社長を近く送検」ということが出ております。たくさんいなかからの出かせぎや失業者を三、四カ月ただ働きさしていた。これは思想的には「皇国青年社」――右翼団体です。「児島現社長が再建に乗出した。」、トラブルが起きた、こういうように書かれているわけです。恐喝や何かもやっておりまして、非常に悪質なこういう社長がおるわけです。しかし、これは単にここだけではなく、自治省に伺いますが、私もよく調べてないんですが、来ておられますね。那珂湊ですね、あそこはどういうふうな事情で警備会社と連絡をとって入れたのか、その関係。
 それから最近の東京の保谷市、ここでもガードマンを採用して戸籍や何かの処置もさしている、こういう事件がございます。これはいろいろ考えますと、やはり職業安定なんかの関係にも触れるんじゃないかと思いますが、この辺のところを自治省のほうでおわかりでしたら、ごく簡単に警備関係のことを中心にひとつ御説明願いたいと思うんです。
#109
○説明員(大橋茂二郎君) ただいま御質問がありました那珂湊に関する問題につきまして私のほうからお答えいたします。保谷市のほうは振興課長のほうからお答えいたしたいと思います。
 新聞等で報道されましたように、四十五年の大体五月ごろから組合活動というものが非常に激しいという状態におきまして、二回にわたりましてガードマンというものを入れたというような実情が那珂湊にあります。初めの第一回の場合は、四十五年の八月三十一日から五日間というのがございますが、これは委託という形で国際警備保障という会社に出したものでございまして、これは支出としては一般の委託費の中で出しております。したがって雇用という形はとっておりません。二回目で問題になりましたのは、四十六年の一月十一日から十日間、特別防衛保障会社というところの職員を二十名ばかり採用したということでございます。事態はこのころになりますと、たいへんいろいろ紛糾しておりましたので、市長あるいは助役、あるいはそれを指導します県の人から聞きますと、必ずしも事情ははっきりいたしておりませんが大体話を総合いたしましたところでは、三カ月ぐらいの臨時職員というような形におきましてこの二十人を採用したということでございます。臨時職員につきましては、一般的に職員の採用につきましては、競争試験または選考によるということでございますが、この場合におきましては、選考という形で助役が面接して採用した。したがいまして、その給与につきましては、一般の賃金ということで支出されているというふうに承知いたしております。
#110
○説明員(砂子田隆君) 保谷市に関して私のほうからお答えいたします。
 保谷市の警備の問題につきましては、昨年の九月から宿日直業務を株式会社リンレイ・サービスに委託をするという形で行なわれております。この委託をいたしました直接の原因は、職員の勤務条件に関しまして、市の職員組合と市の執行部との間で意見の相違がございまして、組合が宿日直業務を拒否したということから始まっておるようであります。委託の内容については若干の不備等がございますが、要するに、市といたしましては、少なくとも住民に対するサービスというものを従前どおり引き継ごうということでこの会社に委託をいたしたようであります。ただ、この中に、ただいま御指摘がございましたが、宿日直をさせる段階におきまして、死亡届けであるとか、あるいは埋火葬の許可を与えるということが宿日直の業務として保谷市の規定の中にございましたので、それをそのまま引き継がしたというところに問題があったように聞いております。新聞もまたそういう報道をいたしております。私のほうも保谷市をさっそく呼びまして、いろいろ事情を聴取いたしたところ、そういう事実があったようでございます。私どものほうといたしましては、少なくとも事実行為の委託ということはかまいませんが、純法律的な行為、すなわち許可を与えるとか法律行為を受理するということは、少なくとも警備会社に委託する仕事ではないということを保谷市のほうに伝えておりまして、保谷市のほうでもさような処置をとるということを言っておりますので、すでに改善をされておるというふうに伺っております。内容としてはそういうことでございます。
#111
○河田賢治君 職業安定法によりますと、労働争議をやっているところへ人を雇っちゃならない、雇わしてはならないということになっている。職業安定所自身また民間の事業所も、これはやっぱり争議なんですが、こういうことが行なわれても、これに対して職業安定法の違反に全然なっていないというような問題が出ているわけですね。こういうもので、やはり現在いろいろな形でガードマンの扱い方についてほかの法律にひっかかるような問題でも、これがやられていないというような問題が相当あるのじゃないかと思うのです。ですから、この点で特に地方自治体などは――まあ労働組合も労働組合だと思います。いつまでもそんなことを半年以上も野放しにして、警備員が入っているのに知らぬ顔をしているようじゃ、ちょっと私ども労働組合も感心はできませんが、やはり市当局がそういう問題を解決する方向で努力しなければならない。自治省の方も、こんな形でどんどん事務を民間に委託していったら、自治体の仕事はみんなガードマンまかせになる、おそろしいことだといって新聞には書かれておりましたけれども、しかし、そういうふうに関連した法律で取り締まれば取り締まれるし、また取り締まらなければならぬ問題も放置されていることがしばしばあるわけですね。ですから、私たちは、今度のできます法律につきましても、また非常に抽象的でなかなか具体的な取り締まりをやるというようなことは書かれておりませんが、この点で非常な疑問を持つし、この法律の効果というものを疑うわけなんです。
 そこで、この役員の問題です。個人業者の問題としては、これは一定のあれがあるわけですね、禁錮以上の刑に処せられても三年経過すれば大体いいということになっております。それから会社の法人についてもそういうことになっております。会社法人では顧問なんかはどうなっておりますか。代表者にはなりませんけれども、役員ではあろうと思うのですが、これは問題はないのですか。顧問とか相談役とか、常務取締役以外は入りませんか、入りますか。
#112
○政府委員(本庄務君) 顧問は法律的にはこれに入らないということになっております。
#113
○河田賢治君 これはまあ衆議院の船田さんが顧問なんかされているので、ちょっとその辺も聞いておくわけなんです。
 御承知のように、この法律でこういうものを持ちましても、悪いことをする者は、表面には何ら刑罰に触れない人を立てる、しかし実際には裏から、つまり糸を引くといいますか黒幕といいますか、そういうものができ上がるわけですね。これを表面的に取り締まるということはなかなか困難ではあろうと思いますけれども、実際上はそういうことが行なわれるのじゃないかというふうに考えるわけです。この辺について、しかも、いま警備業者並びに警備員もそうでありますが、いろいろな法の中をくぐるというのはなかなか今日ではじょうずなやつがたくさんおりますからね、それで実効があまりないのじゃないかというふうに考えますが、どうでしょうか。
#114
○政府委員(本庄務君) 法律の規定の穴をくぐっていわゆる脱法行為をやるということは、いろいろな法律がたくさんございますが、これを絶対に防ぐということは非常に至難なことかと思います。したがいまして、この警備業法におきましても、先生御指摘のように、顧問であれば該当しないということになりますと、実際はあまりよろしくない人間が顧問という名目でタッチをして、実質的に陰で支配をするということはこれは理論的にはあり得ると思います。これは何も警備業法だけではなく、全部の法律についてそういうことが可能でございます。そういったものにつきまして、対策措置、これはこの法律だけで直ちにそれを排除するとかいうことはきわめてむずかしいかと思いますが、いろいろくふうをすればある程度の手段は講じられるのではなかろうか。また、そういう悪い人間がバックになっていて指図をしてやる場合には、その事業の実態面におきまして、やはり何らかのよろしくないことが現象面に出てくる場合が多いわけでありまして、そういったことが既存の各種の法令に触れる、そうすればその法令に従って処断をするという措置が一つとれるわけでありまして、他の脱法行為につきましても、そういったことでできるだけ実質的に排除をしていきたい。かように考えておりますし、この警備業につきましても同様であろうかと思います。まあそういう他の既存の法規を十分に活用することと、それからもう一つは、今度新しくお願いしておりますこの警備業法の規定も十分に活用いたしまして、その黒幕のさいはいによる警備業務がこの法律に触れるような、必ずまあまずいしっぽを出すことが私はあると思います。しっぽを出せば、この法律の規定を適用して処断をしていく、そういうことにいたしたいと思います。その顧問そのものは処断はできないにしましても、その顧問の事実上の指揮を受けて業務を実施する表向きの業者あるいは警備員はこの法律によって措置ができる。かようにいろいろな、いまいわゆるあの手この手を使って、先生の御心配のようなことがないようにやってまいりたいと考えております。
#115
○河田賢治君 では、さらに護身用具ですね、まあ先ほど来だいぶいろいろ話がありましたが、これはすべての警備員に一定の条件のときには持たしていい、こういうお考えなんですか。
#116
○政府委員(本庄務君) すべての警備員に積極的に持たせるという考え方は私たちにはございません。一般人が、法令によって禁止されたものを除いて護身用具を持つことは現在自由でありますから、それと同じ意味におきまして警備員も持てるわけでございまして、また警備員は、その仕事の性質上持つ必要があると思われる場合が多いでありましょうし、また現実には持っている場合があるようでございます。しかし私たちとしては、必要がないのに護身用具を持たせる、そういうようなことは全く考えておりません。
#117
○河田賢治君 まあ警察官のこういう護身用具、ピストルとか挙銃とか、あるいはこん棒ですね、これらについてはかなりきびしい規定をしているわけですね。そうしますと、これなんかに持たしても、ほんとうにそれを行使するのが、警察官にいわれているような、ああいうたくさんな法律がありますが、こういうものがこれらによって守られるかどうかということが一つ考えられるわけですね。この辺はどうなりますか。
#118
○政府委員(本庄務君) この警備員が持ちます護身用具につきましては、先ほど申しましたように、一般私人が持つのと全く法律的には同じ意味合いのものでございます。したがいまして、その使用に当たりましても、正当防衛とか緊急避難とか、自分の身を守るためにほんとうに必要な場合に限定される。つまり一般の既存法令によって律せられることになるわけでありまして、その限界を越えればこれは違法行為になる場合が多いと思います。したがいまして、警察官が法令に基づいて護身用具を携帯する場合と、その辺は異なる面があるわけでございます。
#119
○河田賢治君 最近、警備の業務というものがいろいろ発達しまして、ほんとうにはもう実際の建物を警備するというようなことはだんだん少なくなってきているわけです。それで、何というか、パトカーですか、ああいうものでずっと警備区域を回っているというようなことがあるのですけれどもね。この警備会社が発行しておりますものの中にも、これは警視庁が何されたらしいのですが、一九六九年ですか、「一〇八号連続殺人事件」、これは警備会社のシステムに写ってきてランプがついた。それでパトカーが行って、そして入って一一〇番を牛乳配達員に頼んだ。そしてそこで初めて現行犯とわたり合うわけなんですが、相手はピストルなんか持っておりますから、少々のこん棒くらいでは追っつかないかもしれませんけれども、いずれにしても、それで逮捕されたといわれておりますね。警備業につきましても、まあ今日のシステムによって、実際にこの建物の中にいて、おかしなやつが来やせぬかといって待っているようなことは少なくなっているのですね、これで見ますと。それは大きいところでは、あるいは待っているものもあるかもしれませんけれども。あまりそういうときに護身用具というものをかかえて歩くこともだんだん少なくなるのではないか。しかし一方、パトカーで追っかけていって犯人を現行犯でつかまえなければならぬ、警察官がくれば渡さんならぬというような場合には、なるほどパトカーに乗っている諸君のほうが何らか身に一物を持って防衛しなくちゃならぬというような事態も起こるわけですね。そういう点についてはどうなります。
#120
○政府委員(本庄務君) 警備業務というのは、先ほどから申していますように、私人の需要に応じて、要するに、委託を受けて依頼者の財産あるいは身体を守るという仕事でございます。」そのために特別の権限も何らないわけでございます。ところが警察官の場合は、御案内のように、そうではございません。一般公共の安全、いわゆる治安維持の責任がございまして、身の危険をおかして犯人を逮捕するというふうなことが要請されているわけでございます。しかし、警備員につきましては、そういったようなことは法律上ももちろん要請されておりませんし、社会通念上もそういうことを期待はしておりません。警戒、防止ということでございますから、まあ怪しげなものがきた場合には警察になるべく早く通報をしてもらって、そういうピストルを持ったような凶悪犯人のような場合には、警察官が現場に急行して逮捕するというのが仕事の筋であろうかと思います。もちろん、中には勇敢なガードマンがいて危害をこうむったということもあるようでございますが、私どもといたしましては、そこまでやるべきものであるとも考えておりませんし、また要請もいたしておりません。そういう意味におきまして、ピストルはもちろん、それ以外の護身用具につきましても必要はない。一定の限度、警察官のせいぜい警棒程度のものを持つというのが妥当な線ではなかろうか、かように考えております。
#121
○河田賢治君 一般にはそういうものは持たぬわけですからね、普通はあまり。こういうガードマンだからといって特別なあれをする、そのために警察があるのですからね。悪人がどんどん忍んでくるとか、あるいは強盗で悪いことをするとか、そのときにはガードマンじゃなくて、警察が主たる治安を維持し、身体と財産を守っていくという役目があるわけですからな。この点で私ちょっとお伺いするのですけれども、最近警察官などで、若い方がこういうガードマンなんかに、待遇上の問題で警察官をやめて、それでこういうガードマン会社におつとめになる方が多いんでしょうか。このガードマンなんかの、これには、年齢からいうと二十八歳ぐらいだということもいわれているんですね。比較的自衛隊、警察官、消防団員、これらが多いと書いてあるけれども、一方では右翼のおかしなのがありますが、そういうことが書いてあるのですが、その点はどうです。ちょっとお聞きしたいのです。
#122
○政府委員(本庄務君) 若い警察官が警察官をやめてガードマンに転職したという事例は、少なくとも私自身は一件も聞いておりません。
#123
○河田賢治君 それならそれでいいです。しかし警備会社の役員の方に、重要なところにかなり警察に関係された方がおられるわけですね。これはちょっと古いのですけれども、たとえば綜合警備保障会社、ここの社長さんは何ですか、村井順さんですか、これは内閣の調査室の室長もやっておられて、どこかの警察の本部長もやっておられた、こういう肩書きも持っておられるわけです。あと取締役、全部私知りませんけれども、それが出ております。それから日本警備ですか、日本警備になりますと、だいぶここには多いですね。取締役の吉田正一氏、この方は厚生省を経て警察庁東北管区警察局長をやっておられる。それからまた相談役の広岡謙二氏は、石川県知事をやり、警視総監もやり、内閣国防会事務局長を経て海外移住事業団の理事長もやっておられた、こういう警察畑の方もおられる。それから相談役の戸谷さんも、職歴は警察庁通信局長をやっておられた。それからまた相談役の杉本さんも、消防大学校長を経て日本消防検定協会の理事をやっておられた。ですから、こういう役員の方が、一般のガードマンはあまり関係がないとしても、役員の方は相当警察の古い経歴を持った方がおられるわけですね。この辺についてあなた方はどうお考えになりますか。
#124
○政府委員(本庄務君) 若い警察官じゃなくて、年輩といいますか、一応社会でいうと定年年齢に達した警察官が退職後警備会社に入っている事例、これは確かにございます。警察官でありましても、やはり一定の年齢になりますと、後進に道を譲って退職をするのはこれは当然でございまして、また、退職した以上は第二の新しい職場につかなければならぬ。そうしますれば、いろんな民間の事業に就職することはこれまた当然でございまして、その事業の一つとして警備会社があるということも、これまた自然な姿であろうかと思います。大体大部分の方が――村井さんの場合は、これは御自身が会社を始められたわけですからちょっと事情が違うかと思いますが、あと退職された人が請われて警備会社に就職されたという例は私も幾つか聞いております。このこと自体は、別にそう特別すすめることでもないし、そうかといってまずいことでもないし、ごく人生の自然の成り行きの姿ではなかろうか、かように考えております。
#125
○河田賢治君 この警備会社が、警備だけでなくて、ここに書かれておるが、それ以外にまあいろんな「綜合」ですから広い範囲の仕事をやっているわけですね。そうすると、ここでは綜合警備保障会社の調査部門のところを見てみますと、「個人、法人、各種事件などに対する調査」、「特殊調査」をまずやる。その中に「思想調査、特定人物、団体組織の思想動向、背後関係、運動目標の調査」、こうあるのですね。その次に、「行動調査、素行に関し尾行、張り込みなどの秘密調査」もやる、こう書かれているのですよ。だから、ここは相当興信所以上のいわば私的な、警察と同じような仕事をやっておられるわけですね、ここで。
 それからまた、もう一つ聞いておきたいことがある。ここの中の警察犬というのは、警察だけが持っているのですか。それともほかに警察犬という名のつく犬がおるわけですか。ここのところを聞いておきたい。
#126
○政府委員(本庄務君) 質問は警察犬でございますね。
#127
○河田賢治君 犬。
#128
○政府委員(本庄務君) 警察犬というのは、俗に警察犬と言っておりますが、別に法律上の用語ではございません。いわゆる警察的な何といいますか、犯人の品物をにおいをかがして、そして犯人の行動を探索すると、そういった性能といいますか能力のあるものを俗に警察犬と言っておりますが、府県によってはそういうのをしょっちゅうお借りしておるという場合に、何といいますか委託みたいなかっこうで警察犬という名前をつけておるのもあるようでございまして、別に法律上確定したものではございません。
#129
○河田賢治君 広告の中にこういう犬もありと、ちゃんとこういう説明もあるわけです。警察の犬を特に交換し合ってやっておるような感じを受けるわけです。
 そこで、先ほどいわゆる調査部門と、こういう私的ないろいろな問題を調査する機関があるわけですが、警察はこういう警備会社に、犯人の捜査あるいは犯人の逮捕に何か有力な協力を得る目的で、こういう会社にいろいろ金なんか出して協力してもらうというようなことはありませんか。
#130
○政府委員(本庄務君) 御質問のようなことはございません。
#131
○河田賢治君 そうすると、こういう調査もされたことはないのですね。
#132
○政府委員(本庄務君) いま先生がお読みになったのはどこの会社か知りませんけれども……
#133
○河田賢治君 綜合警備。
#134
○政府委員(本庄務君) いわゆる思想調査とかなんとか、そういったようなことについてはやっておりません。
#135
○河田賢治君 これははっきりしておきませんと、警察官のあなた方から見ると先輩ですね、そういうところと、どこでもこのごろ御承知のようにいろいろな管理職との癒着ということが問題になる。こういう警備会社は、一面こういう捜査にひとしいような調査もするということになれば、これはあなた方がこれを利用しようと思えば利用できるわけですね、いろいろな関係で。赤軍問題ではずいぶん協力者がつくられたけれども、将来こういう警備会社に対してあなた方のほうでは協力を求めるというような、金銭なんかを出して調査を依頼をするというようなことは絶対にありませんか。この点をひとつ聞いておきたいと思います。
#136
○政府委員(本庄務君) そういうことは毛頭考えておりません。
#137
○河田賢治君 以上で時間が参りましたから質問を終わりますが、いずれにしましても、この法案が、現在、特に右翼団体などがやっておりますガードマンなど、また会社なんかに対して、かなりわれわれから見れば違法と思われるような疑いのある行為もずいぶんしておるわけですけれども、あまりこれが有効に取り締まりもできていない。他の法律でやられなければならぬと思われるにもかかわらず、新聞によりましても、飯島さんという社長は逮捕歴が四回ある。そして「主婦と生活」ですか、三光自動車、東京発動機、日大芸術学部、こういうので、このうちでは懲役刑を受けてまだ猶予中であるときに、そういうまた問題に入っているわけですね。つまり紛争の中へ入っていわゆるガードマン的な行動をやっておるわけです。今度の法律でどうなるか知りませんけれども、こういうかなりいろんな事件に関与して、そして暴行を働くとか、あるいはそのほか威圧をするとかいうようなことが行なわれて、しかもこれがあまり問題にならぬようでは、今度は法律つくりましても、さっきから問題が出ておりましたように非常に抽象的な、第二条でしたか、雑踏のところの警備の問題それから第八条の問題、これなんかもかなり矛盾する内容を持つわけですね、厳密に解釈すれば。そういうふうにして、今度のこの警備の取り締まりということについては、内容的にかなり抽象的であるから逃げられるおそれもあるし、またこれまでの警察その他が、これらの仕事に対していろんな違法的な疑わしい問題を起こしておるにもかかわらず何一つ行なわれていないということを見ましても、あまり私たちはこの法案に対して大きな成果をおさめないだろうというふうに考えるわけです。この点で、私たちはやがて討論あとでいたしますけれども、とにかく問題は、ほんとうのいまの実情に応じた警備業法の取り締まり、まあ発展さすものは発展さすというやはり二つの道があるわけですから、一方においてはやはりきびしい取り締まりをして、ほんとうに警察官として、警察がいわゆる代行をするようなものをだんだんつくるというようなことは、これはもう警察自身にとっては私は自殺行為だと思うんですよ。だからその辺は十分注意して、この法案ができたときには、この運用に十分留意してもらいたいということを希望して質問を終わります。
#138
○委員長(玉置猛夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#140
○神沢浄君 私は、日本社会党を代表して、本法案に対する反対の立場から意見を申し述べたいと思います。
 もとより、現在、警備業の実態にかんがみまして、警備業に対する規制の必要は認めるものでありますが、本法案の内容は、必ずしも適切に対応していないという点をたいへん遺憾とするところであります。本法案は、「警備業について必要な規制を定め、もって警備業務の実施の適正を図ることを目的とする。」としているのでありますが、しかしながら、その内容とするところは、むしろ第一には、警備業を法律をもって公認をしているという点であります。しかも、それは人の身体に対する危害の発生をその身辺において警戒し防止すること、あるいは盗難、交通事故等の発生を警戒し防止すること等としているのでありますが、これは言うまでもなく本来警察の任務でありまして、このような業務を法律的に認知するということは、やがてはこの法律を根拠として、私設警察の公然性を許していくことになりはせぬかという民主主義への大きな危惧の存するところであります。
 第二には、一応法案の中で、警備業者はこの法律によって特別の権限を与えられるものではなく、「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」とされてはおりますが、すでに今日までの幾多の事犯が示しておるように、さらにはガードマン本来の体質からして、この程度の一片の形式的規定ではとうてい律し得ないものと思われます。すでに暴力による労働組合活動や争議への不当干渉や圧迫などの事例は枚挙にいとまがないほどでありまして、したがって、ただ単に業務実施の基本原則をうたうのみでは多くを期待することは無理だと思うのであります。より具体的より細目的に禁止すべき行為を規定すべきであると考えます。その点、本法案は大きな不安を残しておると考えます。
 第三には、本法案は、警備業者及び警備員に対し幾つかの警察的取り締まりの規定を内容としておりますが、しかし、その運用のいかんによっては、結果として警察支配を拡大することになり、警察への従属関係を強め、ひっきょうは、警察がそのことをたとえ意図することの有無にかかわらず、警察の補助組織化に発展していくことになりはせぬかという、これまた大きな疑問の存するところであります。
 以上の観点に立って本法案に反対をいたします。
#141
○増田盛君 私は、自由民主党を代表して、本法律案に賛成の意を表するものであります。
 本法律案は、民間の行なっている警備業について、その業務の現況にかんがみ、警備業者の届け出制度を設けるとともに、警備業者及び警備員が順守すべき事業等を定めることにより、その業務運営の適正をはかろうとするものであります。民間における警備業は人手不足、夜間勤務従業員の不足等、経済の高度成長に伴う社会情勢の変化に対応し、この十年くらいの間に急速に発達し、いまでは警備業者約四百五十社、従業員数約三万数千人に達するといわれ、その需要は今後も増加する傾向にあります。しかし、このような警備業の発展の反面では、業務の内容あるいは態様が警察事務等としばしば類似する点があるため、その業務の実施の過程で犯罪その他の不祥事が発生し、国民の危惧を招いたこともあったのであります。現在、民間警備業の規制は野放し状態にあり、その実態すら明確にできない状態にあることははなはだ遺憾であります。したがいまして、警備業に対し何らかの規制を望む声は、その利用者並びに一般国民の強い要請となってきているのであります。
 法律案は、警備業者及び警備員に何ら特別の権限を与えることなく、しかも届け出制度の実施によって適切な行政指導を行なう契機とするとともに、警備業者等の適格性を規定し、警察官等と見誤るような服装を規制し、不必要な護身用具の携帯を排除し、警備員の資質の向上をはかろうとしております。
 私は、本法律案は、国民の要請に基づき、警備業に対する需要の傾向を考慮しつつ警備業の行き過ぎを是正し、国民生活の守全を守る観点から立案されたもので、きわめて適切な措置であると考えます。
 以上の理由により、賛成の意を表するものであります。
#142
○上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております警備業法案に対して反対の討論を行ないます。
 最近の社会経済の進展により、各方面から警備業者の需要が激増し、急激な発展を見ております。それに伴い警備員の不祥事件も増加し、世間の批判が高まりつつある現在、これらを規制するための本法案に対しては何ら否定するものではありませんが、しかしながら、警備業が、今後の国民生活において悪影響を及ぼすおそれがあると考えられる現状において、本法案にはあまりにも多くの問題点を含んでおり、したがって、本法案に賛成するわけにはまいりません。以下その理由を申し述べます。
 その第一は、警備業務の定義に、人もしくは車両の雑踏する場所における事故の防止の業務を行なうことになっておりますが、本来これらの業務は、警察官及び交通巡視員が行なう業務であるにもかかわらず、警備業者にその義務の一端をゆだねるがごときあり方は好ましくありません。現在ですら、警備業者が権限を与えられているかのごときふるまいは、国民に多くの疑惑をもたらしているのであります。このような現状を考えるならば、さらにその疑惑を助長させることは明白であり、したがって、反対せざるを得ません。
 反対理由の第二は、人の身体に対する危害を防止する業務と規定されておりますが一本来、これらの行為も警察の業務であり、このような規定は警備員に対してますます特権意識を助長させ、さらにはこれを公認するような結果となりかねないのであります。いままで国民の非難を集めた事例として、那珂湊市の臨時職員問題、成田問題、チッソ株主総会における一株株主とガードマンの乱闘事件等々は、不当な介入と言う以外はありません。
 今後も予想されると思われる労働争議、学園紛争等における不当な介入を防ぐためにも、第八条の「個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」というような抽象的な規定でなく、労働争議等の規定を明確にする必要があると思うのであります。
 わが党は、警備業法の制定の趣旨には賛意を表しますが、しかしながら、ただいま述べたように、不十分な法案では将来問題が残ることは必然であり、したがって、本法案に反対するものであります。
#143
○中沢伊登子君 私は、民社党を代表して、警備業法案に対し反対の意思を表明いたします。
 反対理由の第一は、警備員に護身用具を公然と装着することを法律上許すことになりますと、全く私的に雇われた私的警備集団の武装化を促すおそれが生ずるのみならず、極言しますならば、このような警備集団が暴力団の経営する会社や事業所等に雇われた場合は、その外郭的役割りを果たすことにもなりかねません。したがって、これら警備員には、夜間警備の任に当たっている以外の一切の時間は、護身用具を手にさせないよう厳格にすべきものであります。しかるに、衆議院での修正によれば、都道府県の公安委員会が護身用具の携帯を禁止または制限することができるといった程度のまことに甘い規定しか加えておらないのでありまして、はなはだしく不満とするところであります。
 第二の理由は、現在デパート、大きなビルディング、その他工事場等で雇われている警備員は、雇用者の専管に属する区域以外の公道等においてまで交通整理を行なっておりますが、混雑する地域における交通整理は、私が言うまでもなく、本職の警察官でさえ特別の教育、訓練を必要とされているのに、何らこのような教育、訓練を受けていない警備員がそれを行なっていることに不審の念を抱くのは私一人ではありますまい。それが法律上も公然と今後行なうことができるのだということになりますと、公道等における公衆の安全確保は一体どうなるのか、危惧せざるを得ないのみならず、警察固有の業務を民間の警備業者にゆだねるということになり、統一ある交通警察行政を現場で崩壊させる以外の何ものでもありません。しかも、このような場合、交通整理の間違い、不手ぎわから事故でも発生した場合は一体だれが責任をとるのか、大きな疑問があるのであります。
 第三は、過去の例にも見られるように、労働者の労働基本権に基づく争議の際、あるいは地方自治の本旨に反する自治体の長が警備を雇い入れてきた事実があります。これらの事案について、今後も介入させないという厳正な規定がありません。
 以上のような理由によって、私の反対討論を終わらしていただきます。
#144
○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対するものであります。
 今回提案された法案は、きわめて相矛盾する問題をたくさん含んでおる。そしてたとえば第二条の第二項、第八条等々はその大きな例でもあります。しかもこの法案の業者並びに警備員のあり方、営業については、これは御承知のとおり一定の制限はありますけれども、これはもう実際上は空文にひとしくなるものであり、また警備業者が警備員に対して護身用具を持たせることは、これは明らかに今日あらゆる国民をいわば敵にした考えのもとにこういう用具を持たすのであって、しかも警察官自身も拳銃あるいはこん棒等の使用についてはかなり厳正な規制をされているのに、ところがこの警備業者については、そういう規定は、ただ持たすというだけであって、それらの使用については何一つ書かれていない。だから結局こういうことによって、今日の資本家が労働運動、あるいはその他市民運動や、そのほかいろんな今日公害反対闘争等で立ち上がっている人民に対して、今後ますますこれらが私設の警察官、私的な警察官として働く役割りを持つに違いありません。今日この業者並びに警備員に対する罰則等々を見ましても、何一つ基本的な問題でこれを押えていくという姿勢がないのでありまして、したがって本法案は、ますます警察官上層部と、それから警備業者との癒着ということが密になればなるほど、これは大資本家並びに警察、そしてこの警備業者、これらの三位一体のいわば支配を強めて、そして人民に対立するものであると考えるのであります。したがって、私たちは、この法案に断じて賛成するわけにはいきませんし、反対するものであります。
 以上。
    ―――――――――――――
#145
○委員長(玉置猛夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、安井謙君、原文兵衛君及び鍋島直紹君が委員を辞任され、その補欠として金井元彦君、内藤誉三郎君及び佐藤隆君が選任されました。
    ―――――――――――――
#146
○委員長(玉置猛夫君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。警備業法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#148
○委員長(玉置猛夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#149
○寺本広作君 私は、ただいま可決されました警備業法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#150
○委員長(玉置猛夫君) ただいま寺本君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#151
○委員長(玉置猛夫君) 全会一致と認めます。よって、寺本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中村国家公安委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中村国家公安委員長。
#152
○国務大臣(中村寅太君) ただいまの決議の趣旨を尊重いたしまして、皆さんの期待にこたえてまいりたいと存じております。
#153
○委員長(玉置猛夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#155
○委員長(玉置猛夫君) 速記起こして。
    ―――――――――――――
#156
○委員長(玉置猛夫君) 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#157
○小谷守君 この法律案の提案理由によりますると、「昭和四十五年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金等の額を昭和四十七年十月分以降一〇・一%増額するとともに、年金改定の方法につきましてもその簡素化をはかることとする」、こういう御趣旨のようでありますが、そこで、まず伺いたいのは、この一〇・一%の増額ということでありますが、その根拠を御説明願いたいと思います。
 加えて、改定の方法の簡素化ということでありますが、どのように簡素化をされたのか、そういう点についてまずお伺いをしたいと思います。
#158
○政府委員(林忠雄君) まず、一〇・一%の算出の根拠でございますが、これは一口に申し上げまして恩給に準じたものでございます。恩給が今年一〇・一%引き上げられるということになりましたので、従来すべてこれらの改善は、改革は恩給に準じて措置してまいりましたし、今後も恩給に準じた措置をとるということで恩給と同じ一〇・一%という数字を採用したわけでございます。しからば恩給の一〇・一というのは何の根拠で一〇・一%になったのかということでございますが、これはあるいはすでに御承知かと思いますが、四十五年度分における公務員給与の改定が一二・〇%だったわけでございますけれども、この一二・〇%のうちで七・三%は四十五年度の物価の上昇分というふうに定義つけられておりますので、この共済の年金につきましても、物価の上昇分はまるまる見るということで、まず七・三%をそのまままるまる積み上げました。一二%から七・三%を引いた残りの部分、これは公務員給与につきましては、その一部分は国民生活の平均的な水準の上昇に見合う分と、それからその残りの一部は職務の重要性の増加とか、職務における生産性の向上とかいう、公務員の現職としての必要性に基づいたもの、こういうふうに説明されておりますので、退職した公務員の年金についてはその前者、つまり国民生活の平均的な水準の上昇に見合うもの、これをやはり見るべきである。その後者の職務自体の重要性の増加とか、生産性の向上ということはすでに退職をした人であるから、これは見ない。こういう考え方のもとに物価上昇分をまるまる一〇〇%見、残りの部分のうちの六割が国民生活の平均的な水準の上昇分である。これを見る。それを合計いたしますと、一〇・一%になる。そこで恩給の改定率が一〇・一%である。こういうふうに説明をされております。その数字を地方公務員の共済年金についてもそのまま使う、そういう根拠のもとに今回のこの法案を御提出してございます。
 それから後段の御質問、年金改定の方法はどういうふうに簡素化されたかということでございますが、これは従来はやや複雑な方法をとっておりまして、昭和三十五年の三月三十一日に、それぞれの地方団体で施行されていた給与関係の条例がございます。その条例が本人の退職の時期がいつであるかにかかわらず、退職の時期までそのままベース改定も何にもなく施行されていたと仮定して、退職したとき、その条例によれば給与は幾らになっていたか、それを一人々々についてとらまえまして、それに一定率をかけて、仮定俸給といいますか、俸給の仮の金額を定める、それを根拠にしてはじき出しておりました。したがってこの方法によります場合は改定が非常に複雑でございまして、それぞれそれこそ一人々々について、しかも十二年前に施行されていた条例をそのまま適用して計算するというたいへん事務がやっかいと申しますか、事務が繁雑でございましたのと同時に、年金をもらわれる方のほうからすれば、自分が幾ら改定になるのか、何%上がるのかというのが計算してもらって見ないとわからない、こういう不便がございました。
 さらにもう一つの方法は、俸給表上、町村長さんのような特別職は昇給というものがありませんから、三十五年三月三十一日の月給がそのまま退職のときまであったというふうに計算される。つまり給与改定が非常におくれる。反面、技術職のような俸給表の俸給間差額と申しますか、一号ずつの上がる差額の多い職員はある意味では得をするという個人々々、一人々々によって非常に不均衡がある。したがって同じ年に、同じ月給で退職した人でも、一方はその後の上がり方が非常におそい、一方のほうはその後の上がり方が早い。年とともにその差は開いていくという不均衡があったわけであります。それを今回改めまして、今後は一口に言えば退職をしたときの月給に一定率を掛ける。しかもその一定率は恩給の上がる率と同じ金額にする。したがってもらうほうも予測がっく、大体今度は恩給も一〇%上がったならば自分の年金も一〇%上がる。ほぼ予測がつく。いまのような給料表が違うことによる損得がない。
 さらにいま一つは、こういうふうに改定しますことによって、退職をされまして今度給与改定になる期間が従来相当長かったのがだいぶ短縮になる、そういうメリットがある。そういう改正のしかたをいたしたわけでございます。
 そこで、ことしだけは、あるいはよけいな御答弁になるかもしれませんが、ことしだけは従来の方法で計算したのと新しいほうで計算したのとでは、従来の方法が有利な人はその従来の方法によって改定する。来年以降は全部一律に、もらっているものに何%掛けるという形で非常に簡素化する、そういう方法をとることにいたした次第でございます。
#159
○小谷守君 一〇・一%の問題につきましては、あとでスライド制の問題と関連して、重ねてまた意見を申し上げたいと思いますが、確かにいま部長の御説明のように、改定の簡素化の問題は大きな前進だと思います。そこで、この共済年金の改定は、毎年社会保障制度審議会等関係審議会から恩給の追随であるという批判を受けながらもここ数年一種のルールのもとに行なわれてきております。これは今度共済年金のスライド制を実施する場合の基礎となっていくものであるかどうか、また今回の改定方法の簡素化はスライド制の一環として位置づけていいものかどうか、そういう点について重ねてお伺いをしたいと思います。
#160
○政府委員(林忠雄君) 共済年金は御承知のとおり、従来全く恩給に準じた改定を重ねてまいりました次第でございますが、これらの制度発足後まだ日が新しいために、旧来の恩給部分との重なり合いが非常に多いので、たとえば最近、ことしならことしおやめになって年金をもらう方が旧法の恩給のほうが多い。つまり恩給の影響から脱し切れないまだ時期でございますし、したがって今年も改定の方法を簡素化したとはいいながらも、しかし一応それは恩給に準じたというワク内で実際は実施してまいっておる次第でございます。先々になりますと恩給年限と関係なく、入ったときから共済の人は十年、二十年つとめて年金をもらうということになりますから、恩給の影響からはずれることになると思いますが、現在は恩給部分の影響が強く、将来相当たたなければならないと、こういうことも現在はまだあると、こう考えております。
 そこでスライド制の問題でございますが、これは現在恩給が残っております以上、同様の前述の恩給とそれから国家公務員、地方公務員の共済、これらを通じて一つのスライド制をつくっていくのが妥当であろうと考えられまして現在そのいかなる形でスライド制に移行するかということで検討が続けられておる次第でございますが、完全な意味でのスライド制ではございませんけれども、恩給のほうはここ数年、両三年はさっき申し上げました一〇・一%の算出根拠、つまり物価上昇部分を一〇〇%見て、公務員給与のベース改定のうち残りの六割が国民の生活水準の一般的な向上部分だからそこを見ると、こういうルールによってここ両三年改定が行なわれておりますから、一つの法則ができております。この法則を毎年当てはめていく限りは、率にはいろいろ不満もございましょうけれども、一種のスライドに実質的に近いものが現在すでに行なわれているとも言えるわけでございますが、今回は改正方法を簡素化いたしましたために、地方共済のほうでも一そうそれに近くなりまして、来年度以降も一々二年先の物価と国民生活の上昇等を加えまして率をつくって、その率だけは年金をあげるという形は来年以降もあります。それからこれも実質的にはスライドを実施したのとだいぶん近い線まできていると言えるだろうと思います。法律もいじらぬで自動的に金額が上がっていくというスライドには達しておりませんけれども、いずれ先々完全な意味でのスライドを――これはあらゆる公的年金を通じて――達成すべきものだと考えておりますが、現在そこまでいっておらないにしろ、実質的には公務員年金グループはある程度のスライドの率をもってできるようになってきた。したがって一口に言えば、この措置が完全な意味でのスライドに移行するまでの暫定措置だと考えてよろしいのじゃないか。しかもその暫定措置は、実質的にはこのスライドの効果を持ち、年金受給者の方々の実質的な年金の価値を、物価の上昇や何かを追求して機能を果たしてまいるだろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
#161
○小谷守君 今回の年金額の改定によります経費でございますが、これはどの程度見込んでおられるのか、また現行の財源率への影響について自治省はどのように計算をされておるのか、その点をお伺いいたします。
#162
○政府委員(林忠雄君) 今回の法改正により、地方公務員共済が支給する年金の改定のために増加する費用は、四十七年度においては総額四十五億八千二百万円、これが平年度に直されますと百九億九千六百万円、こういうふうに見込んでおる次第でございます。ただし先ほども申し上げましたように、まだ旧来の恩給部分、あるいは地方団体であれば退隠料の部分、つまりまるまる地方団体が負担すべき部分が相当多くございまして、さっきの四十七年度において四十五億八千二百万円増加すると申し上げましたが、この法施行前にかかる部分が三十九億七千百万円、それから平年度に直しますと全体で百九億九千万円余かかると申し上げましたが、施行日以前のものは九十五億三千万円、こうなっております。
 したがって、制度施行日以後、つまり、全額地方公共団体負担ではなくて、三者負担でございますが、使用者と労働者と公的機関、この三者負担、つまり御質問の財源率に影響する部分はまだ比較的少ないわけでございます。四十五億中の三十九億は全部前のものでございますから、残りの五、六億しか財源率には影響してこない。だからこれは年が経ますにつれてこの影響率が高くなりますが、本年度分はまだ制度施行が新しいために割合に少ない、こういった結果、財源率に対する影響は千分の〇・二八四八という数字、つまり千分の一が〇.一%でございますから、それのさらに下の〇・〇二%、二八ですから〇・〇三%という程度で、財源率に及ぼす影響は今日のところ非常に少なくて、これに伴なって直ちに財源率を改定しなければならないという影響は直ちには起きてこないと思います。これは当然のことでございますが、だんだん五年、十年と経てまいって地方公共団体がまるまる負担する部分においては小さくなるにしても、この改定が財源率に影響する部分は高まってくるだろう、これは当然でございますが、現在はまだその影響は比較的少ないわけでございます。
#163
○小谷守君 年金のスライド制についてでありますが、これは毎国会決議をいたしまして政府に要望しておるところでありますが、また社会保障制度審議会から各種公的年金給付額の調整等についての申し入れが行なわれたのが昭和四十二年六月一日であり、その内容も一両年内に結論を出せというものであった、こういうふうに承知をいたしておりますが、その後おおむね一年以内に結論を得ることを目途に、総理府に公的年金制度調整連絡会議が設けられたのが昭和四十二年七月六日であると承知をいたしております。そのときからすでに五年の歳月が経過しておるのでありますが、一体これまでどのような討議が行なわれてきたのか、また結論の見通しについてはどういう状況であるのか、審議室長がお見えいただいておると思いますが、この辺をひとつお聞かせを願いたい。五年もたってまだできないということは、もうあなた方ではこれはおやりになることがむずかしいのではないか。めんどりが無精卵をぬくめておるように(笑声)いつまでたってもひなはかえらぬと、こういう気持ちさえするわけでありますが、一体累次にわたる国会の決議を、要望をどういうふうにあなた方はお考えになっておるのか、端的にひとつお伺いしたい。
#164
○政府委員(小田村四郎君) たいへんおしかりを受け恐縮に存じております。御指摘のとおり、公的年金制度調整連絡会議は四十二年の七月に設けられたわけでございます。以後、昨年の一月に至りますまでたびたびの会合を開き、問題点の検討を進めてまいりました。で、この会議の目的は、各種の公的年金制度の内容につきまして共通的な部分と個別的な部分とを検討し、物価あるいは生活水準の変動に基因する年金額の改定につきましてできる限り共通の基準と方式を求めたい、こういうことが目的であったわけでございます。それで十数回にわたります検討を通じまして、国民の生活水準あるいは物価あるいは給与その他経済的諸条件に著しい変動が生じた場合にも年金額を改定すべきである、またこれを行なう場合におきまして、できる限り共通の基準及び方式を求めることが望ましいという二点につきましては完全に意見の一致を見たわけでございます。ただこのすべての制度に共通いたしますところの年金額の改定基準あるいは方式というものを定めますことは非常に困難である、これはたびたびの会合を行ないますたびに必ず意見が対立してなかなかまとまらないという状況でございまして、まあこういう状況では事態の進展がなかなかはかれないのではないかという点を連絡会議として反省いたしたわけでございます。やはり各種の公的年金制度につきましては、それぞれの沿革があり、また目的も必ずしも同一ではございません。そこでこの制度の内容あるいは沿革等につきまして類似したものの中で一つの共通的なものを見い出していく、こういうことが望ましいという結論を得まして、実は昨年の一月に中間取りまとめを行なったわけでございます。
 で、その中間取りまとめに基づきまして、公的年金の目的あるいは沿革、あるいは給付体系、そういうものの類似性を見まして、四つのグループに分類いたしました。四つのグループと申しますのは、一つは民間グループでございまして、これは厚生年金、国民年金、それから船員保険、この三種でございます。それからもう一つのグループは公務員のグループでございまして、国家公務員共済、地方公務員共済、それから公共企業体共済この三種でございます。これと若干まあ性格を異にいたしますが、やや類似したものに私学――私立学校教職員共済及び農林漁業団体職員共済、この二つがございますので、これを私学・農林グループとしてまとめました。それからやや性格を異にいたしますが、やはりこれにまあグループ分けしたほうがよろしいと思われるものに災害補償のグループがございます。労務災害補償及び公務災害補償、このグループでございます。この四つのグループに分けてグループごとに検討を進める、こういうことにいたしたわけでございます。で、連絡会議といたしましては、その後各グループごとの検討状況につきまして相互に意見の交換を行ない、かつ今後の進め方についての検討を行なっておる状態でございます。
 問題のそのスライド制についてどういう進め方になっておるかということでございますが、先ほど自治省のほうから御答弁がございましたように、この公務員グループ及び私学・農林グループの関係につきましては、恩給の改定方式に準じまして年金額を改定していく、こういう方式がここ数年来とられております。で、この案がある程度ルール化したと申し上げてよろしいかという状態になっております。ただ、これを制度的にスライド制というものにするかどうかにつきましては、まだ必ずしもこの公務員グループあるいは私学・農林グループにおきまして踏み切れない点があるようでございまして、これはそれぞれのグループにおきまして今後引き続き御検討をいただくことになっております。
 それから一番大きな問題は民間グループでございまして、この年金はいわゆる公的年金の大半を占めておるわけでございまして、で、この厚年、国年のスライド制をどういうふうにするかという問題についてのある程度のめどが立ちませんと、他のグループにおきましてもこれをどういうふうに制度化していくかということについての答申がなかなか進まないという状況にあるのでございます。民間グループを所管しておりますのは厚生省でございまして、厚生省一省でございますので、厚生省におきましてこの問題を検討しておるのでございますが、厚生年金及び国民年金につきましては、それぞれ審議会がございます。社会保険審議会及び国民年金審議会でございますが、この両審議会におきましてただいまこの財政再計算期を四十八年に繰り上げたらどうか、こういう議論が起きております。その制度改善を行なうにつきまして、まあこれは非常に広範多岐にわたるものでございますけれども、この年金額改定の問題の重要な一環として検討したいということで、現在この両審議会におきましてその問題につきましての検討が行なわれておると、かように承っておるわけでございます。で、厚生省としては、この両審議会の審議状況に呼応いたしまして、自分の、その政府としての方針をいま少し掘り下げてまいりたいということでございますので、いましばらく、この民間グループの結論がどうなるか、これはもう少したたないとわからないかと思いますけれども、その結果を見まして、連絡会議といたしましては、その後の状況の御報告をいただき、各グループ間の調整を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#165
○小谷守君 問題のむずかしさもわかりますし、複雑さもよくわかるのでありますが、それにしてもまる五年の歳月をかけてまだできぬというふうなことはわれわれ納得できぬ。いつごろできますか、これは。見通しだけでも言ってください。私どもたくさんの人からこのスライド制の要望を聞くんですが、それらの方はほとんど年配者です。われわれが生きておる間にこれ、できるんでしょうかというふうに質問をされる。あなた方、どうもその審議室は、その対象が高齢者であるということをよく念頭に置いて御苦労願わにゃいかぬと思うんです。きょうもあれはあしたもある――そのうちだんだん死んでいくんです。いつごろこの作業は完了するか、見通しだけでもおっしゃってください。それがないのなら別な方法を大臣考えてもらわにゃいかぬ。こんなマンマンデでは困ったものだと、見通しありませんか。どうですか。
#166
○政府委員(小田村四郎君) たいへん恐縮でございますけれども、取りまとめに当たります審議室として、現在のところいつはっきりした結論が出るかということは実は申し上げられないのでございます。ただいま御説明いたしましたように、各グループごとの検討をしていただくように昨年からお願いをしておりますけれども、たとえば民間グループ一つとりましても、この結論がいつごろ出るか。厚生省としては、できればことしの秋ごろまでには何らかの結論を出したいと、こう言っておられますけれども、その結論が出てきた状況を見ませんというと、これをどういうふうに取りまとめていくということは、それぞれの年金を所掌する各省の問題もございますし、各グループの問題もございます。私ども取りまとめに当たる審議室といたしましては、できるだけ早くこの結論が出ることを期待いたしますし、各省にお願いしておるわけでございますが、はたしてこれが来年結論が出るとか、あるいはことしじゅうに結論が出るとかいうことは現在の段階ではまだ申し上げられな
 い状況でございます。
#167
○和田静夫君 関連。
 いま公務員グループと私立教職員並びに農林漁業団体職員グループですね。この順番で言われた、二で言われたグループと三で言われたグループ、このグループが検討をずっと進めてきている中でも、スライド制に踏み切れない、こういう答弁がありました。しかしながら私たちの認識は、この二と三のグループにおける検討の結果というのは、スライド制に踏み切る。ただ、もし踏み切らないという表現が次のようなものなら私は理解をしようと思う。いわゆる大蔵省がこのことを肯定をしない、したがって審議会のグループとしては踏み切ったけれども、大蔵省の壁が厚くて踏み切れないというふうにいまあなたの答弁を理解をしろというのなら、そういう意味では理解をする。が、グループごとの内的なその検討の結果というのは当然スライドの方向に向かうべきだ、こういうふうに少なくとも私たちは理解をしているが、それに間違いがあるのかどうか。
 二つ目には、ぜひ大臣にこの機会に伺いたいのですが、この二のグループがそのスライド制にとまどいを感じているということは私はないと思いますが、今日の経済的な諸条件、そこからくるところの退職公務員の家庭生活の実態、こういうものが、いわゆる年金受給者の生活の実態というものが満足させられているというふうに大臣はお考えになっているかどうか。これはたいへん全体的な問題ですから、ひとつ答弁をいただきたい。
#168
○政府委員(小田村四郎君) 公務員グループがスライド制に踏み切れない理由が財政上の問題にあるかどうか、こういうお尋ねであろうかと思います……
#169
○和田静夫君 ……ではないんですね。検討内容の結論としては踏み切っている。公務員グループにおけるところのスライド制、他との関係においては別ですよ、あなた方の中で他との関係において考える場合は別です、グループ単位におけるところの結論というのは出ているんじゃないですか。
#170
○政府委員(小田村四郎君) わかりました。これは私が会議で承っておる状況を御報告申し上げますと、先ほど申し上げましたように、恩給額の改定方式がここ数年来ルール化されております。公務員グループの年金額の改定は、恩給額の改定に準じて行なう、こういうことでやはり数年来行なわれておるわけでございます。先ほど自治省の公務員部長のほうからお答え申し上げましたように、ある意味で言えばこれは一種のスライド制になってきておるということも言えるかと存じます。ただ最終的に、それでは現状のままでもうスライド制が実現したと、こういうことが言い切れるかどうかということになりますというと、それは公務員グループとしてもまだそこまで言い切るだけの自信はないと、こういうふうに承っております。
 ただ、各グループごとの検討の内容につきましては、総理府審議室としては直接タッチいたしておりませんで、この公務員グループでいいますれば大蔵省、自治省、運輸省、この三省におまかせしておる状況でございますので、検討状況の詳しい内容につきましてはこの三省からお答え申し上げたほうがよろしいかと存じます。
#171
○国務大臣(渡海元三郎君) 昔の恩給制度と比べまして、私は、物価が安定せずに非常に経済も激動を続けておる今日でございますので、実質的にまたそういった意味で、生活を安心して計画立てることができないという不安、とともに、現在の退職公務員の恩給受給者にとって満足すべきものでないというふうな感じを私自身いろいろの方から、あらゆる方面から陳情を受けて感じており、少なくとも何と申しますか、それらの不安の解消をせなければならない、そのために努力しておりますのがいまのスライド制の問題じゃないかと、こういうふうに考えております。
#172
○和田静夫君 そこで、大臣言われるとおり、満足すべきでないという形をお認めでありますが、いま小谷委員が、五年間の歳月をかけてまさに何にも出てきていない、答弁はまず毎年繰り返しではないかと――言っていいような答弁です、結果的には。そこで私は、やっぱり抜本的にこの機会に、満足すべき状態にないんですから満足させなければならないと思うんです。そうさせるためには、何年も何年も結論が出ないような形のものにそういう協議にあずけておくのではなくて、思い切って大蔵大臣と厚生大臣と詰めをやるというぐらいですね、やっぱりこの公務員問題にはたいへんすぐれた見識をお持ちの渡海自治大臣ですから、閣議で提起をしていただいて、そしてこのスライド制問題について抜本的な検討に入る、これくらいの姿勢を示していただいてもいいのではないだろうか。もう私は、少なくともこの問題はそこまできている。なき山本伊三郎さんが何べんも何べんもこの委員会を通じて論議を積み上げてきているところです。で、彼が、まさに彼の生命をかけてこの問題に打ち込んできた。それに対する答弁は、これはたいへん前向きだったわけです。しかし、その前向きは、結果的にいま小谷委員指摘のとおり、結論としては出てこないのでありますから、ぜひこの機会に、渡海さんのひとつ見識にかけて、いま私が申し上げたような方向に踏み切っていただきたいと思いますが、大臣いかがですか。
#173
○国務大臣(渡海元三郎君) 本法案の衆議院段階におきまする審議の経過におきましても、歴代自治大臣ができるだけの努力をすると、こういう御答弁をされながら実現に至ってない、どうだというふうな御質疑がございました。私もできるだけの、国務大臣としての努力をいたしますということを答弁さしていただいた次第でございますが、私は、公務員グループに関する限り、いま事務当局からお答えいたしましたように、実質的にはある程度のルールというものがほぼ確立しかけておる、そういう意味におきましてはスライド制に切りかえ得るところの素地はできておると、このように考えております。しかしながら、おそらく、いま総理府当局からお答え申しましたように、民間グループあるいは災害補償グループ等におきましてどんな問題でなかなか実施がむずかしいのかという点、私も十分研究さしていただきまして、それらとの調整の上に立って初めてできる問題であろうと、かようにも考えますので、できるだけ衆議院でも答弁さしていただいたんでございますが、ただ単に公務員グループのことだけでなしに、他のグループともあわせての調整問題になろうと思いますが、国務大臣といたしまして、それらの点につきましてはできるだけ促進をはかるために努力することをこの委員会でもお答えさしていただきたいと存じます。
#174
○小谷守君 これはいま和田委員が仰せになりましたように、行政大臣としての渡海大臣ではなくて、国務大臣としてのあなたが、閣議の中で大きなひとつ推進力になって前進をさしていただかなきゃならぬと思います。もう事務の段階で五年間も低迷して、おそらく察するところ、きょうは大蔵省からも来てもらっておるようでありますが、もう主計局にいまいろいろ聞いてもむなしいと思いますのであえて質問はいたしませんが、おそらくこの問題は、これだけ渋滞することの背後には大蔵省のほうがいろいろと差し出口があったことに間違いないと思うんであります。ビデオテープはとっておりませんけれども、大体そういうふうに申し上げて間違いなかろうと思う。私はやはり、これは国務大臣としての渡海大臣がぜひひとつ大きな問題として提起をしてもらって、事務で解決できない問題を政治として解決をする姿勢をとっていただかなきゃならぬと思います。この点を重ねて強く要望しておきたいと思います。
 対策室のほうには少しきついことを申し上げましたが、あなた方の御苦労がわからぬわけではないんです。わかっておりますけれども、あまりにも長過ぎたではありませんか。国民の中には対象者――年寄りが死ぬのを待っておるのではないか、死に絶えるのを待っておるのではないかという悪口さえ聞こえる。そういう際でありますので、少しきついことを申し上げましたが、これは促進をするために申し上げたのでありますので、さよう御了承願いたいと思います。
 そこで、次の問題でありますが、断続期間の通算の問題でございます。年金の額の算定の基礎となる職員期間として組合員期間に通算する措置については、今回政令で一定の要件を満たすものについてのみ通算することとなっておるようでありますが、その具体的な内容についてお伺いをしたいと思います。特に私ども、この該当者はかなりな数ではなかろうかと思うんであります。今回の措置で対象として拾い上げられる方々の数はおよそどのくらいあるのか。また、その所要経費はどの程度をお見込みになっておるのか、その点をまずお伺いをしたいと思う。
#175
○政府委員(林忠雄君) 対象者は大体一万人ほどでございます。このうちで今回の措置でほぼ四割、四千人は救済されるわけでございます。なお六千人ほどがそれ以前の退職にかかる、あるいはそのほかの政令の要件に定めるものに該当しないということで、今回はいわば積み残しになるというように言っております。
 それから所要経費は、これによって平年度七千二百万円ほど必要経費はふえるということでございます。
#176
○小谷守君 この通算の要件の緩和ということは考えられませんか。たとえば、昭和十二年には日支事変が起こった、それからはずっと戦争続きだった日本の国としては、たいへんな動乱が二十年まで続いたわけであります。あるいはまた二十八、九年には町村合併法ができて約五、六年にわたって全国的に合併が進んだ大きな変動があったわけであります。そういう際の出入りについて、この通算の要件というものを少し緩和しませんというと、今度の政令で拾い上げられるものはよろしいが、残ったものはたいへんだと思うんですよ。もう少し何か緩和の方向はありませんか。
#177
○政府委員(林忠雄君) 一方においては、この共済制度というのは、やはり本人とそれから使用者と、それに長期であれば公的負担と、三者の掛金によって採算をもって運営していくという本来の保険制度自体の目的からいえば、やみくもに、いろいろな場合でも全部拾い上げるということについてはやや批判的な議論がありまして、できるだけやはり制限をしよう、つまり合理的な理由のあるものは拾っていくけれども、何でもかんでも前のものを全部拾おうということにはなかなか実際は踏み切りにくいという面があることは事実でございます。どうしても給付内容をよくし、あるいは大きく拾い上げれば、それに伴って財源というものは必要になってまいりますし、財源的な措置から考えてもある程度の限定は必要であろうということは、こういうことを考える場合に常に出てくる問題であります。それに合理的な理由があるものはできるだけ救おう、さらには政令で基準を定めましても、その運用にあたってはできるだけ幅の広い運用のしかたをしようということで救っていきたい、まあそういう両方の要請がございまして、関係省庁集まりまして、今年度は一体どこまでこれを広げるかということでまとまりましたのが一応こういう線でございますけれども、これにも全く問題がなくなったとは実は思っておりませんので、さらに協議は続けていかなければならないとは考えております。
 ただ先生の御指摘の後段にございました町村合併に伴う、合併いたしましたために職員が非常に多くなってやむなく退職をしたというような方々、これは今回の政令でも当然その範囲内に入る、むしろ代表的なものとして全部拾うという考え方でおりますが、町村合併が昭和二十七、八年ころから三十年にかけて多く行なわれましたので、今回の政令で予定しております二十四年十月一日以降の退職にかかるものというものは大体拾えると、こういうふうに考えております。
 戦前の問題は、言ってみればまだ未解決の問題でございます。これらについてはさらに関係省の間で協議は進めてまいりたいと思いますが、ただいま申し上げました保険という制度のたてまえを維持するということから無制限ということにはなかなかまいりませんので、理屈のつく限りということで、今後も協議を続けてまいりたい、こう考えております。
#178
○小谷守君 いま通算の問題はできるだけ、いま、理屈のつく限り、というお答えがありましたが、含蓄のあるお答えだと思うのです。できるだけ取り上げていくようにお考えを願いたいと思います。
 次は短期給付の掛け金率でありますが、一部に相当高率となっておる組合があると聞いておるのでありますが、その状況はどうでありますか。また当委員会の附帯決議にもありますように、掛け金率の一定限度をこえる場合においては何らかの財源措置をする必要があると思うのでありますが、この点についてはどういう検討をしておられますか。そういう点をお伺いしたいと思います。
#179
○政府委員(林忠雄君) 地方職員共済あるいは学校、警察というのは全国一本でやっておりますけれども、市町村は各県ごとに共済組合をつくっておりますので、その県の医療の状況あるいはその組合員の経済状況その他からいってやや掛け金の高いところ、低いところのでこぼこがあることは御指摘のとおりでございます。高いところといいますのが、掛け金率が最高は千分の百ということになっておりますけれども、九十一以上掛けておるのが現在十組合あるようでございます。これらにつきましては、たびたび当委員会あるいは衆議院でも、何とかできないかという意味の附帯決議をいただいておりますし、またこれに対する何とかすべきであるという前向きの考え方は事務当局のわれわれも常に持っておるわけでございますが、一方これは一つの保険制度でございますので、労使折半の原則の上に立つ共済制度でございますから、このたてまえはあまりくずすわけにはいかぬ。しかし政府管掌保険でも国庫補助という制度も定額から定率へというようなものが考えられている時期でもありますし、あまり掛け金率の高いところに関しましては何らかの措置を講ずべきではないか。たとえば関係市町村から補助金でも出すという方策も考え、あるいはその財源を心配するというようなことをいろいろ考えまして、何とか前向きに措置したいと思っておったわけでございますが、たまたま今回は健康保険に関する改正がこの国会で審議されておりまして、この改正が実施されますと、経費が上がるのか下がるのかといろんな見通しがございますけれども、本人の一部負担等の関係もあり、全体を総合して一部少し下がってくるようではないかという見通しもございますし、現実に年々この掛け金率の高い組合でも、わずかずつではございますけれども下がる傾向にあることも事実でございます。そこで、今回の改正の方向を見きわめてと実は思っておったのでございますけれども、方向としてはたび重なる国会の御決議、またこれに対する答弁も、何とかいたしますという答弁をいままで繰り返してまいりまして、まあその熱意をわれわれ持っておるわけでございますので、今後もその改正の結果を見きわめた上でぜひその方向で手を打ちたいと、こう考えておる次第でございます。
#180
○小谷守君 沖繩県の地方公務員の短期給付でありますが、復帰前は医療保険法のもとで千分の十五の掛け金で済んでおった。復帰後の現在は掛け金率が上がって相当の負担となるわけであります。沖繩県の医療供給事情は本土とかなり違っておるというふうにも伺うのでありますが、現在機械的に掛け金率を本土並みにいますぐ持っていくことについては実情に即さない、こういう感じがいたします。そこで一定期間、たとえば医療供給事情が本土と同程度に整備されるまでの間は、特別措置によって掛け金率を軽減すべきものである、このように思いますが、またこのことは、過日、衆議院の附帯決議にも出ておるように承知をしておるわけでありますが、こういう点についてはどういうお考えでありますか。
#181
○政府委員(林忠雄君) 確かに御指摘のように、沖繩については医療機関が未整備の状態であり、介補というような、本土でいえば正式の資格のないお医者さんも当分認めなければならないという事実も確かに御指摘のとおりであります。従来の沖繩の医療制度でいえば、確かに負担金が非常に少なかった一方、受診率も非常に少ないというような実情もあり、これが本土に返ったからといって一斉に全国並みは実情にそぐわないじゃないかということは、実は昨年の沖繩国会でたびたび指摘を受けているわけであります。また何らか経過的な措置を必要としないかということは、当の共済組合の内部でも議論がございまして、まあそういったことも検討を続けてまいったわけでございます。ただ一方においては沖繩県は現在現金給付でもって、一たんお医者さんにかかって自分で現金で払う、そしてあとで清算して現金を返してもらうということでございますが、今度は本土並みになると、現物給付で、お医者さんにかかってあとで金は基金から払うという現物給付にかわるわけでありますが、この現金給付から現物給付にかわりますと、やはり手軽に医者にかかれるといいますか、気分的にそうなるといいますか、受診率が上がる傾向があるようでございます。これは想像だけではなくて、昨年お医者さんがストライキをされたときに、従来現物給付であったのが、一カ月か、ところによっては現金給付にかわったとたんに受診率ががたんと落ちたという例もございまして、今度は比較的医者にかかれるということで、従来よりは受診率が相当上がるのではないかというような一方の心配もある。そうしてこれについては公務員の共済、それから国家公務員も地方公務員も共同歩調をとる必要もございますし、同時に政府管掌の健康保険についても、同じように沖繩の方たちがお医者さんにかかれるということであれば、片方だけまけるというわけにもまいらないので、関係省庁よりより相談しておったところでございます。たまたま衆議院でもああいう附帯決議をいただきましたし、こちらでもそういう要望についての御指摘があると思いますので、さらに関係省庁協議をしたいと思いますが、いま言ったように受診率が上がるのじゃないかというような心配も根拠なしともいたしませんので、すでに沖繩が復帰いたしまして、ぼつぼつ一カ月になるわけでございます。ややその傾向を見定めて、ひとつ必要とあればそういう措置をとるということに踏み切りたい、いまどういうふうになっておるかという経過を見守ってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
#182
○小谷守君 これは部長、つい先日、衆議院で附帯決議がされて、渡海自治大臣は、仰せのとおりいたしますというふうに約束をされた。あなたがこれから実情を検討して、というふうなことはどうですか。やってもらわなければいかぬ。大臣はうやうやしく委員会で誓約をしておられることでしょう。
#183
○国務大臣(渡海元三郎君) この問題も衆議院でいろいろ質疑が出ました。この問題に対しては私自身は答弁せずに事務当局に答弁をさせた、このように記憶いたしておりますが、附帯決議に対しまして、御趣旨を尊重し、ということは述べておるのも事実でございます。この問題もいまのスライド制のように関係各省にまたがる問題であろうと思います。これもまた同様に自治大臣としてでなく、国務大臣として、しかもスライド制で申しましたように、事務当局も各省間の連絡におきましてはむしろ推進役になってやっておるという報告も聞いておりますので、私もスライド制でお答えさしていただきましたような気持ちで、国務大臣として今後とも努力さしていただくことを御答弁にさしていただきたいと思います。
#184
○小谷守君 遺族年金の支給要件についてでありますが、現在在職中死亡した場合、組合員期間が十年以上なければ遺族年金の受給資格が発生しないということに相なっておるわけでありますが、厚生年金などの被保険者期間六カ月と比較いたしますとたいへん不利になっておる。この点は早急に是正すべきである。緩和すべきであるというふうに考えますが、どのように検討されておるのか、またこのような差を設けた理由と今後の実現の見通しについて部長からお伺いをしたいと思います。
#185
○政府委員(林忠雄君) 実はこの問題もたびたび御指摘をいただいて、それから事務当局は私たちのほうあるいは大蔵、厚生全部含めて何らかの措置が必要だということでよりより協議を進めておった問題でございます。ただ十年というのですが、前の恩給時代にはこれは二十年という要件があったので、この共済制度ができましたときに、それが一気に半減されたのです。だいぶ進歩的な改正はしたわけでございます。その後厚生年金の六カ月というものもできまして、さらにそちらとの間の不均衡も出てまいっております。何らか縮めようということは実は事務当局間でも一致した意見でございまして、どの程度どうするかということが相談がまとまらなくて、今回の改正にはこのことに触れていないのでございまして、それについては積極的な姿勢というものは事務当局にもございますので、できるだけ早く結論を得て次の機会に、というふうに思っております。
#186
○小谷守君 最後に、いま本院でも審議中であります健康保険法の一部改正案によりますと、従来の定額補助に加えて本年度七%、来年度からは一〇%の定率国庫補助が行なわれることに相なっておるようでありますが、また国民健康保険につきましては、四五%の定率補助が行なわれておる、こういうこと等から考えまして、短期給付に要する費用につきましても、国庫負担の導入をいま少し考える必要があるのではなかろうか、このように考えますが、お考えはいかがでございますか。
#187
○政府委員(林忠雄君) 御指摘のように、政府管掌保険につきまして、今回国庫補助、従来定額補助であったのが定率補助という形になったのは確かにそのとおりでございます。ただ現在の何か経済力の相違と申しますか、政府管掌健康保険につきましては、こういう補助によって財政的な基礎が確立されるということでありますが、現在の給付内容とそれから個人個人の掛け金の負担における――共済の場合は何と申しましょうか――割合と組合員になっておられる方の財政的な基礎が、政府管掌保険の方々よりもいいということでございましょうか、現在使用者と組合員との半々の負担によってまかなっております給付の内容は一政府管掌保険に劣らないと、しかも国庫補助が政府管掌保険のほうにあったとしましても、こちらになかったというところで比べてみましても、率としてはまだ共済組合員の負担率のほうがゆるい、軽いというようなところで、現在個人の負担としては不均衡はないと考えておりますが、まあ健康保険制度を今後いろいろ改正――今回も改正を加えられますし、給付内容も逐次改善をされているということは既定の事実だと思いますが――その改善のいかんによって、財政的な基礎が非常にむずかしいという問題が出ましたときには、公費負担という議論に及ぶかと思いますが、現在共済組合は、健康保険組合も同じでございますが、そういう心配がないということで現在まだその議が出ておらないわけでございます。もちろん補助をもらってその分負担が軽くなればいい、これにこしたことはございませんが、国民全体のバランスとしては、政府管掌健康保険に対する補助と、こちらは自前でいってもまだ全体的に不公平ではないという現在の段階で今後のことを考えてまいりたいと思っております。
#188
○和田静夫君 関連。
 通算の問題で一言だけ関連をいたしますが、どうしても二十四年十月一日以降の採用者ということではあまり救われない。特に本人の意思ではなくて、徴兵などでとられていった人たちが切れている例が非常に多いのであります。最近かなり一定年齢層に達しましてからおやめになった方がある。そしていまになって気がついてみると切れてしまっている、こういう事例が幾つかあります。したがって、厚生省と折衝しながらその間における資料を出させるとか、事務的に解決しているところもないわけではありませんけれども、そういう個々の条件に応じて解決するのじゃなくて、やっぱり昭和十八年四月一日ぐらいまでにこの適用がさかのぼる、そういう条件というものを真剣に考慮しなければならぬと思います。いつ幾日入営しますと言われればいつ幾日入営しますという段階で、町村なんかの場合で、おやめになってそれであいさつ回りしてそして準備をしてそして入営をしていく、こういう状態というものが非常にたくさんあったわけですから、これはまさに本人の意思でやめたわけでもない。まわりの意思でやめさした。しかもそれは何も悪い意味でやめさせたわけではなくて、善意でやめさせたわけですね、当時の環境からいえば。その辺のところで救われる措置というものをこの機会に考えるべきだと思うのですが、これはどうですか。
#189
○政府委員(林忠雄君) 今回の政令で一応拾う範囲の二十四年十月一日というのは、もちろん御承知だとは思いますが、国家公務員共済制度の発足に合わせたものでございます。国家公務員共済制度のほうが先に発足しておりましたので、国家公務員の場合は救われるが、地方公務員のほうが制度の発足がおくれたために国家公務員に比して不均衡ではないかという非常に強い要請がありまして、そこまでは関係省と話がまとまりまして、一応拾ったということになります。ですからそれ以前の方々にいま問題がないというふうに思っているわけではありません。戦時中ああいう特別な状態があって、気の毒といいますか、それを一般の責任のないものについて何とかしたいという気持ちはわれわれも多分に持っておるわけでございます。しかし、一方保険制度というたてまえがあり、それぞれの掛け金によって独立的にまかなっておる制度の中に、それ以前のものを全く無制限に取り入れるということについては相当慎重でなければならぬ。もちろん財源的な問題もありまして、これからさらに協議は続けていく所存でございますけれども、これからの場合は、今度は地方公務員独自ではなくて、国家公務員両方ひっくるめた問題として政府各省の間で相談していかなければならないことでございますので、御指摘のような事情をよく心得まして、さらに今後政府間の御相談は進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
#190
○和田静夫君 この問題、いまの公式な答弁としてはよく理解するのですが、この国家公務員の場合はそういう形で便宜的におやめなさいという形はあの当時多くなかったのです。町や村という単位で考えた場合に非常に大きな慣習が残っておりました。あいさつ回りがあるとか、あっちこっち祝いごとをしてくれるとか、当時そういう形で退職を余儀なくされていった人たちが非常に多かった。したがってこれは地方公務員の場合には多いのであって、この部分が国家公務員に準ずるということではある意味では共通性はないような気がするのですが、その辺のことも今日十分頭に入れておいていただいて前向きの努力をしていただきたいと思います。
 それは希望でいいのですが、もう一つは、市町村共済の連合会の組合会議員ですね、これを沖繩の復帰に伴って少なくとも二名くらい増員させる、選定・互選のですね、というようなことを考える必要があるような気がしますが、その辺のことはお考えになっておりますか。
#191
○政府委員(林忠雄君) 沖繩が復帰をしてまいりましたのに伴い、沖繩の意見を強く反映しろということで、あそこの沖繩国会からいまの御趣旨に近いいろいろ先生方の御指摘がございました。で、われわれもいろいろ検討したわけでございますけれども、いまの御質問にはなかったのでございますが、地方共済、府県の共済につきまして運営審議会の委員を現在法定が十六人になっているのを増してはどうかという御示唆もありましたが、ただあれは現在といえどもそれぞれブロックから代表を出しており、あとは中央といえども自治労と本部のほうで推薦という形で八人のうち六人がブロック代表、二人が本部ということになっております。そこで一県だけを代表するというかっこうがいままでないので、今回は沖繩についての意見はそれぞれのブロックの代表から十分反映してもらうと、さらにそれだけではなお不十分だということで、実際運営審議会が開かれる場合、年数回でありますが、オブザーバーというかっこうで沖繩の代表の方に必ず来ていただきまして、運営審議会の場に立ち会っていただく、そして大いに沖繩の実情について訴えていただく、そういう運用方法で解決するということで今回は処理しましたわけでございます。市町村につきましても、同様な措置で、沖繩が返りました後の特殊事情というものを十分反映してまいりたい。現在、総会では市町村側十一名の代表がおりますが、このほかに、沖繩からさらに一名実際に出席してもらっていろいろ意見を言っていただきたい、こういう方法で解決していきたい、こういう所存でございます。
#192
○和田静夫君 ぜひ、やっぱり現在の十一を十三に、はっきりされたほうがいいとぼくは思うのですよ。何も、いまここですぐしますという答弁をもらおうと思いませんけれども、そういうことで便宜的に処理をされるのじゃなくて、明確にされたほうがいい、こういうふうに思います。
 最後に、PTAの雇用との関係で、給食事業に従事する調理員、そういう方々がそろそろ退職期を迎える。ところが、ずっと通算が、御存じのとおり、昭和二十五年発足以来の経過がありますが、なかなかうまくいかないという事情があります。これらについても前向きで処理をしてもらうことを、この機会に尋ねておきたいと思うのですが、いかがです。
#193
○政府委員(林忠雄君) まあこの場で答弁を、すぐ入れろということは無理だとおっしゃったと思いますけれども、実際、法定の数を増すということについては確かにいろいろの問題ございますし、それからそれぞれのブロックで代表しているけれども、代表するバックの市町村の数が沖繩一県、九州ブロックということでたいへん違いまして、恒久的な数にしてこういうものを法定することはどうかということもいろいろ配慮しました。反面、現実に表に出てきていただいて、それでいろいろ発言をしていただけば、それに対する沖繩の要望は十二分に取り入れられると判断した次第でもございます。そこで、この問題につきましては、さらに引き続き十分検討さしていただきます。
 それで、PTA雇用の給食婦といいますか、戦後の混乱期で地方団体が雇わないで、実際にPTAが雇用した方が地方団体がやるべき給食の事務に携わっていたということで、これは通算について何とか考慮すべきではないかという御意見は、これは衆議院でも御指摘を受けておりますが、たびたびいろいろな方面からの御意見も承っておりますが、ただ、実際に勤務の形態が、この場合常勤でないケースが実は相当多い。土曜日は給食がないから出てきていないとか、その他の日も八時から五時までの常勤と違いまして、十時ごろから出てきて、給食を終わって、食器を洗って二時ごろ帰るというふうな、一日の勤務時間が常勤の職員の四分の三以下であれば非常勤になるわけでございますが、実態が非常勤であるということになりますと、これは実はどうにもしようがないわけでありまして、そのときの勤務の実態がほんとうに常動的であればそれは何らかの考慮の余地のある問題ではありますが、その辺をさらにもう一歩よく突っ込んで調べてみたいと思っております。
#194
○藤原房雄君 だいぶいままで議論もございましたので、ちょっと二、三点だけお伺いしたいと思いますが、まず最初は、総括をしまして一このたび、この地方公務員等の共済組合に関する改定というのは毎年行なわれるわけでありますけれども、全体の中で、このたびの改定によって、この法律案の提案理由の説明のところでおおよそどういうことかということはわかりますが、これが、質・量ともに、どのくらいの方々がどれだけの恩恵を受けるのかという、こういうことはちょっと私どもにはわからないわけなんで、このたびのこの改正によりまして通算をどう見るか、こういうことによってどのくらいの人たちが救われるのか、そういう全体的なことを通じましてのことをちょっとお伺いしたいと思うのですが。
#195
○説明員(佐野政一君) 今回の年金額の改定に伴いまして、年金のベースアップを受ける退職者の数は二十四万四千三百八十三人でございます。
#196
○藤原房雄君 次は、このスライド制度のことにつきましても、いまいろいろな角度からお話しがございました。とにかく、最近の年々の物価上昇、それからまた公務員のベースアップ、これを考えますと、まあ一年算定がおくれればだいぶ開きができるという非常に激しい昨今でありますので、なるべく近い範囲内での基礎がきちっと算定できるということが望ましいことはもう論をまたないと思います。その点につきましては、先ほどいろんなお話しがございましたし、スライド制度につきましてもいろいろな問題があって進まないということでありましょう。しかし公的年金制度調整連絡会議ですか、五年たっても今日まだ結論を得ないという問題につきましても、これはいろいろな制度とのからみ合いもあってあれだと思いますけれども、ぜひ早急にひとつ結論を出し、進めていただきたいものだと思うのであります。
 私どもも年金につきましてはいろんな個々の問題につきましてお話は聞きますし、いろんなこういう点をひとつ考慮していただきたいという、こういう問題につきましては、お話は個々には聞くことがあるわけですが、五年もなかなか結論が出ないということについて、具体的に何が問題になっておるのかという、こういうことにつきましては、なかなか経過とかいろいろなことを聞く機会がないので、先ほどいろいろお話しがあったようでありますが、私、最近ずっと年金のことについて調べましたら、四十四年の「地方自治」の中に、行政局福利課長さんの佐野さんのやつが出ておりまして、そこのところで、まあこう一部だけを取り上げてここでどうこうということを言うわけじゃ決してないのですけれども、非常に何か解決がつきそうな、解決がつくというか、こういう方法でこうしたらというような大体意見の調整が見られるのではないかという明るい一文がありますので、そのあとまたこれに対してなかなかむずかしいということばがついているのでありますけれども、ちょっと読み上げます。
 「スライドの方式として自動的または半自動的スライド方式が望ましいが当分の間は政策的スライド方式を併用することもやむを得ないのではないか等についてほぼ意見の調整がなされているが、」云々とあるわけですね。これは四十四年の段階でありますから、現在とはまた時期的にもあれでありますけれども、四十四年の段階でこういう意見が述べられておる。その当時と今日との時間的な差ももちろんありますけれども、この間のことについてちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、こういう考え方があって、しかもまだ結論が出ない。それにはやっぱりいろいろな理由があったと思うのですけれども、その間について経過とか、いろいろなことを引っくるめてお話を伺いたい。
#197
○説明員(佐野政一君) この原稿を書いた当時におきましては、公的年金制度調整連絡会議におきまして最初のたたき台を中心にして検討した時点でございますが、その当時におきましてスライドの実施については、自動スライド、半自動スライド、政策スライドがあるけれども、現時点においては各制度間の給付レベルの格差が著しい。そうした点からしまして、スライド制を実施するについては、自動スライドなり、半自動スライドというものが望ましいけれども、しかし当分の間はそれに政策スライドを加味いたしまして、給付水準の低い年金、特に厚生年金、国民年金のようなものについてはそうした給付の是正をしながら、スライドをやっていくことが望ましい、こういうような結論が出ておりまして、そこに書いた次第でございまして、その後におきまして、具体的にスライドをどうするかという点になりまして、各制度間におけるところの共通的な要素を取り上げるということについて、各制度におけるところの沿革、あるいは給付内容から見まして、なかなか調整が困難である。さらにそうした点からいたしまして、具体的にスライドのための指標というものを、どういうものを取り上げるか、あるいはそのスライドに伴うところの費用の負担というものをどうするかという点について、なかなか各省間の意見の一致を見なかったわけであります。そうした点で先ほど審議室長からお答え申し上げましたように、昨年の春から各制度間に、四つのグループに分かれまして、そして制度がある程度共通しているグループごとに、このスライドの内容を検討して、その結果が出た場合にはそれを調整して最終的な結論を出す、こういうふうな意見がまとまりまして、現在そのように審議しておる次第でございます。
#198
○藤原房雄君 それからちょっとこまかいことですが、年金額の算定ですが、この問題について、年金額の算定の基礎となる給料の問題、現在退職前三年の平均額ということでありますけれども、総理府で検討されているという公務員グループの仲間になる公企体共済ですね、これだけは最終俸給となっておるわけですね。それは冒頭に申し上げましたように、物価上昇や給与のアップのことを考えますと、やはり二年、三年の間には相当の開きがある。相当ということばがあたるかどうかわかりませんが、開きがあることは事実であります。こういうことから考えまして、やはりこれは同一に見るべきことではないかというふうに考えるわけですけれども、これにつきまして、こういう問題はやはり最終の俸給できめるという、こちらのようにするということが当然だろうと私どもは考えるわけでありますが、そういうことにつきまして検討をなさっていらっしゃるのかどうか、その点をちょっとお伺いします。
#199
○政府委員(林忠雄君) 公共企業体とそれから普通の国家公務員、地方公務員との間に差があることは御指摘のとおりでございます。明らかに最終俸給にしたほうが完全に有利である。ことにこの物価上昇、それに伴うベースアップがある今日におきましては、御指摘のような不利があることがはっきりしていることは事実でございます。それにつきまして常に検討をやっております。ただ公的年金の間に、全部同じ制度になるならば問題がなくなるのでございますけれども、いろいろ公的年金の間にはそれぞれ制度の違いがございまして、有利な点、不利な点がある。たとえば公共企業体が最終の月給を使うという点では有利ではございますけれども、半面退職手当制度あたりは、一般の国家公務員について算定したのの九割七分というのですか、三分落としで支給するという不利な面が残っております。厚生年金になりますと、これは生涯の俸給の平均ということで、三年どころではございませんで、採用されてやめるまでの俸給の平均額を使うという、これは言ってみれば国家公務員、地方公務員よりははなはだしく不利な点があるわけでございます。それでこれらの不利、有利をなるべくなくして、できるだけでこぼこを是正していこう、そしてその間に全体の給付水準を上げようというのを常にわれわれ考えておりまして、そのつど調整しておるわけでございますけれども、給付水準を上げれば、これは必ず財源問題にかかわるということと他制度との均衡、そういったものが、この給付水準を変えようという場合に必ず考慮しなければならない問題として出てまいります。いまの三年平均というのは、これが不利じゃないかという御指摘は、実はいままで何回も受けておりまして、これをどうするかということについて常に検討しておりますが、全体の給付水準を上げる一環として、今後も考えてまいります。給付水準を上げるには、この三年平均を最終号俸に直す方法もありましょうし、支給率を上げる方法もあるし、さらには若年停止とか、あるいはそういうものに対する緩和も考えられるし、いろいろな方法ありますけれども、その一環としてぜひ考えてまいりたいと思います。御指摘のような不利があることは事実でございますから、今後ともさらに検討を続けていきたいと思います。
#200
○藤原房雄君 発足時期にいろいろ違いがありますし、問題があることは事実でありますし、ひとつぜひそういう方向で御検討いただきたいと思います。
 それから次に衆議院でもお話があったと思いますが、また附帯決議にもありますけれども、このたびできました土地開発公社の職員のことですね。これは当然適用すべきじゃないかということは私どもも考えておるわけですけれども、これについてはどう思いますか。
#201
○政府委員(林忠雄君) まさに同じような仕事をする職員は、同じように扱うというのが本来原則だと思いますね。道路公社あるいは地方住宅公社の職員と今度できます予定の土地開発公社の職員というのは、仕事の内容としては、本来地方団体がすべき仕事をいわば肩がわりをしてやっておる、地方団体の代行的な仕事をするという意味では全く同じでございます。われわれもぜひ住宅や道路と同じような扱いにしてもらいたいとは思っておるわけでございますけれども、御承知と思いますが、住宅と道路を解決するためにも、実はだいぶ長い期間を要しまして、これは厚生省所管の厚生年金との関係がございまして、厚生年金のほうでは、そういう公務員に準じた人たちが抜けていくということによって、厚生年金の基礎が非常に弱くなる、それが非常に苦しいために、これに話をつけますのに、相当な期間と努力を実は必要としております。したがって、去年道路と住宅がやっと解決はしたのでございますけれども、そのときに口約束と申しますか、もう厚生年金から持っていくのはこれだけだと言わんばかりの約束といいますか、そういう折衝がなされたわけでございますので、今度土地開発ができましたから、直ちにこれを入れてくれということも、両省間には相当むずかしい問題が残っております。しかし、最終的には私もさっき申しましたように、同じようなものですから、同じ取り扱いにしてあげなければという、これはやっぱり最後まで貫いていくべきことだと存じますので、そういう点を踏まえて、今後関係省とさらに折衝してまいりたい、こう思っている次第でございます。
#202
○河田賢治君 共済組合のことで、年金の額の改定についての沖繩の問題について三問ありましたが、一問は和田委員が尋ねられましたので、二問だけにしぼっていきたいと思います。衆議院の特別委員会調査室の調査団の報告、つまり現地からの要望ということで、既恩給額の返還控除の異なる点についての措置として、「本土共済法では、共済組合期間中に受給した恩給金額を返還する場合の原則は、退職時の共済年金額から、その二分の一を控除することとしているが、沖繩の場合は年金額の十分の一を控除している。沖繩で十分の一とした理由は、本土と異なり、既恩給額が、共済年金受給額に占める割合が過大なため、本土並み控除をすると、給付額が過小となり、生活保障としての共済制度の意味をなさなくなることによるものである。配慮すべきである。」、こういう要望を現地の人が言っておるわけです。
 そこでお尋ねしますが、沖繩の市町村職員の中で現に職員としてつとめながら、恩給を受けている者はどの程度の数になっているか。また既恩給額は多い人ですね、こまかいことは言いませんが、総額どのくらいになるか、その点をひとつお伺いいたします。
 それから第二に、この人たちが復帰して後、実際に退職し共済年金を受給する場合、毎年の年金額の二分の一を恩給の返還金として差し引かれますことと、沖繩の現行公務員等共済組合法では、毎年十分の一ずつしか差し引かないことになっているが、退職後の生活保障をはかるという共済組合法の趣旨からみても、経過措置が必要ではないか、こういう問題です。これについてひとつ。
#203
○政府委員(林忠雄君) 御質問の前半の、現在恩給を受けながらつとめておる人の数がどれくらいあるかということは、実は琉球政府の資料が届いておりませんので、まだつかんでおりません。ただ、現在、恩給を受けながらつとめておられる方で、復帰後、従来と同じように十分の一しか控除いたしませんから、その意味では、従来のその方々の生活を危殆におとしいれる心配はないと思っております。復帰しまして後に、退職された方は、実は本土と同じように二分の一ということを、現在考えているわけでございますが、これは復帰をいたしまして、給与額が、内地の、本土の公務員と同じベースで計算をいたしまして、それだけは確実に保証される。そうして、現在、それよりも高い月給をもらっている方は、これは暫定手当ということで、現在もらっておるところまで保証するということになりますので、復帰後の待遇面については、本土より苦しいということはございません。本土並みか、あるいは従来高ければ、それ以上に給与がされるということになっておりますので、そこで、復帰後に退職される方は、本土で来年退職されるという方と経済的基礎は全く同じでございます。そこで、本土との均衡上、二分の一ずつ引いたといたしましても、沖繩の方が、特に沖繩の特殊事情で、本土並みでは困るという心配はないものと、こう考えております。従来、十分の一しか引かれなかった方は、そのまま十分の一で今後もやってまいりますので、復帰後、退職される方は本土と同じでございまして、本土で退職される方と、経済の面においても、待遇の面においても全く差異はございませんから、そうお困りになるという心配はないと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#204
○河田賢治君 それから、この同じ要望の中に、「本土と同様に昭和十八年四月一日から内務次官依命通達により設立された沖繩町村吏員恩給組合の組合員は約八百人と推定されているが、戦前何らの措置もされないまま、同組合は消滅状態となっている。これらの組合員は掛金の積立も行っていたものであり、行政分離がなかったとすれば、本土同様に共済制度に引きつがれていたものであり復帰措置で救済する必要がある。」、こういう要望が出ているわけですね。これについてはどうですか。
#205
○政府委員(林忠雄君) ただいまの御指摘の問題につきましては、結論として前向きに考えております。つまり、同じ沖繩の中でも、沖繩県と那覇市については、すでにそういうものは救済されておりますし、沖繩の中での権衡という問題もあります。ところが、実態は現在まだつかめてないわけです。そこで現在、しかし、復帰いたしましたので、実態をつかむように努力をしておるわけでございますが、実はこの要望が出てきたのが非常に最近でございまして、昨年、沖繩復帰の段階では、むしろ、御要望としては、何かもっとつつましやかと申しますか、そういう人は気の毒だから、一時金か見舞い金でもくれというような話が出てきた段階でございまして、そのときはそれなりに考えておったわけでございますけれども、趣旨といたしましては、そういうささやかな要求ではなくて、最近出てまいりましたのは、すでに年金の受給年限に従前から達しておる者は何とかすべきじゃないか。見舞い金や一時金でなくて、何とかすべきだという議論になりまして、そこでまた、沖繩の中でも、那覇市のように、すでにつくっているところもありますので、実態をもう少し調べました上で、それぞれ、関係町村にやってもらうか、あるいは共済にやってもらって、関係町村から財源を納入してもらうか、何らかの措置を講じたい、こう思っている次第でございます。
#206
○河田賢治君 同感なんですが、御承知のとおり、沖繩は沖繩県民がみずからの意思で共済組合がなくなったわけじゃないんですよね。沖繩がサンフランシスコ条約で分離されたということは、強制されているわけですね。もうそういう中で共済組合という制度がなくなった。本土では、一応町村はまたできたわけですが、やはり、その点で沖繩の県民というものは、そういう意味で非常に大きな被害を受けているのであって、したがって、たとえば、戦後農地改革で地主さんがだいぶ損をしたといって、地主は補償金をもらったですね。海外やなんかでも取っている人がある。ずいぶんいろんな、われわれから見たら理屈にならぬことまで、ある程度の補償をしたわけですよ。そうすると、沖繩県で、みずからの意思によらずして、そういう共済制度がなかったときのは、やはり本土がつくったときと同様に、多少の、掛け金の問題や、いろいろありましょうけれども、ここはやはり何といいますか、そういう特殊な事情のもとであったということを考慮して、やはり数にしたってそうたくさんじゃないと思うんですよ。だから、この点はひとつ早急に沖繩県の町村の諸君の、すでに退職した人なんかも一応調べて、そうして合理的な適切な処置を早くとってもらいたい、こう思うのです。
#207
○政府委員(林忠雄君) 沖繩に関する配慮については、まさに御指摘のような考え方で対処してまいりたいと存じております。
#208
○委員長(玉置猛夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#209
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#210
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#211
○委員長(玉置猛夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#212
○寺本広作君 私は、ただいま可決されました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。
 以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#213
○委員長(玉置猛夫君) ただいま寺本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#214
○委員長(玉置猛夫君) 全会一致と認めます。一よって、寺本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、渡海自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡海自治大臣。
#215
○国務大臣(渡海元三郎君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、善処いたします。
#216
○委員長(玉置猛夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#217
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#218
○委員長(玉置猛夫君) 次に、地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
#219
○神沢浄君 法案の内容は、委員の人数を一名から二名にするというようなことでありまして、なお、その趣旨の説明をお聞きをいたしましても、別に異論のあるところはございませんが、この機会に、調査会そのものについて少し勉強という意味からもお尋ねをしておきたいと思うのですが、しかしこれについてもこの委員会の中には調査会の委員の方々がおられるようでありますし、はなはだお尋ねしにくいようなかかわり合いもありますが、まあ失礼のところがありましてもどうか御勘弁を願っておきたいのですが、法律を見ますと、大体調査会の目的というのが、「日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加える」というきわめて高次元の目的が規定をされているわけでありますけれども、そこで、その目的に対して調査会発足以来どういうふうに機能をしておるかというふうな点を少し聞かしていただきたいと思うのです。つきましては、発足以来今日までの経過のあらましというようなものを、簡単でいいですから説明をしていただきたい、こう思います。
#220
○政府委員(皆川迪夫君) 地方制度調査会は、昭和二十七年の八月に設置をされたわけであります。委員を改選するたびに第何次という表現を使っておりますが、現在第十五次の調査会となっておるのでございます。この間に二十六回答申をいただいております。この中には二回中間答申がございますが、この答申をいただきました内容について簡単に申し上げますと、最初第一次の調査会におきましては、いわゆる占領体制からの脱却ということに伴いまして、新しい地方行財政のあり方を検討すべきであろう、こういう角度からかなり広範な御答申をいただきました。これに基づいてそれぞれの関係法律を改正する等の措置をいたしたのであります。その後、たとえば第五次の地方制度調査会におきましては、ただいま御論議になりました公務員の退職年金に関する答申、こういう御答申をいただきました。また、第八次の調査会におきましては、地方開発都市の建設に関する答申、それから同じく広域的行政の共同処理に関する答申をいただいております。また、同じ第八次の答申におきまして、これらとも相関連をいたしまして、国と地方団体及び地方団体相互間における連絡調整に関してどのような措置を講ずべきかというような御答申もいただいております。また、この八次の答申におきまして、特別区の合理化、これは主として都と特別区との関係でございますが、事務の配分でありますとか、あるいは区の統廃合というような関係について御答申をいただいております。それから第十二次、第十三次、この両調査会におきましては、広域市町村圏に関する御答申をいただいております。
 これらの点につきましては、若干まだ具体化していない点も一、二ございますけれども、おおむねこの御答申の趣旨に沿いまして所要の改正を行なっております。このほか、地方税財政に関してもしばしば御答申をいただいております。毎年度地方財政は非常に困窮することが多いものでございますので、そういう際に、当面の財政措置に関する答申というような形で、たしか十回あまり御答申をいただいております。そのほか、交付税制度の創設に関する答申、あるいは赤字団体の財政再建に関する答申、あるいは都道府県民税、たばこ消費税といったような新税の創設に関する答申、あるいは後進地域の開発に対する国庫の負担制度の改善に関する答申、そのほか地方税源、あるいは地方財源の充実、超過負担の解消等についてたびたび御答申をいただきまして、その趣旨に沿いましてそのつど措置を講じてまいったところでございます。
 ただ、こうした中で二、三のかなり大きな改正問題につきましては、御答申をいただきましたけれども、現在まだ実現をしていない点が若干ございます。それは一つは、地方制案という、いわゆる道州制といわれたものでございますが、府県にかわりまして地方制というものをつくったらどうであろうかという御答申、これは第四次の調査会でございます。これは今日まで、諸般の情勢から、実現をみておりません。それから府県合併に関する答申、それから地方公共団体の連合に関する答申、この二つにつきましてはこの国会に法案を提出いたしました。このような事情がございますのでこれは御承知のことであろうかと存じます。
 概要、以上のような経過でございます。
#221
○神沢浄君 わかりました。たいへん精力的な取り組みで続いてきていると思うのですが、ただ、まあ、そこで、これはたいへん恐縮な言い分でありますけれども、私などの耳にも入ってきている問題が相当ある。というのは、どうも地方制度調査会というのは自治省のPTAみたいなものじゃないかというようなことをいわれるのですね。というのは、御存じのように、法律の二条を見ますと、「内閣総理大臣の諮問に応じ、前条の目的に従って地方制度に関する重要事項を調査審議する」、こういうふうに規定されているのですが、しかし、一条のきわめて高い次元の目的が定められている点からすれば、ただ問われたものに対して答申をするというだけの機能ではこれはもう足らないのであって、むしろやはり建議的性格というようなものをこの調査会は持つべきではないかというふうな感じがするわけなんですが、何か、むしろ政府のほうが一つの方針を定める、自治省がいずれかを構想する、そういうものに対して諮問が行なわれる。結局それに応じたような答申がなされて今日に至っているというようなことよりか、政府の考え方がどうであろうが、自治省の構想がどうであろうが、そういう調査会は独自の立場に立って、まさに一条の目的に規定されておりますように、日本国憲法の基本理念に基づいて地方制度はいかにあるべきかというような積極的な、能動的な意見を建議をしていくというような、こういうようなものでなければならないのではないかというふうに考えるのですけれども、今日までの運営の上において、そういうような点でもってどういうあり方であったかというような点をひとつ聞かせていただきたい。
#222
○政府委員(皆川迪夫君) 確かに御指摘のように、法律上は諮問に応じて答申をするということになっております。ただ、諮問の内容はかなり広範な問題を提起をいたしておりまして、たとえば現在御審議をいただいております、最近における社会経済情勢の変化に伴う地方行政の変貌に対処する行財政上の方策、これはどういうものであるか、こういうかなり広範な諮問をしていただいておりまして、積極的に建議をなさるというようなことに実質上は等しいような御検討をいただけるものだろうと思っております。いま自治省との関係についてお話がございましたけれども、実は自治省は非常に手不足でございまして、十分な調査会のお手伝いもしかねるというようなむしろ実情でございまして、自治省が答申についてイニシアチブをとるというようなことは全くございません。できれば調査会の中に相当の機構なり予算というようなものでも持ちまして、もう少し時間を詰めた本格的な御検討をいただきたいという気持ちはございますけれども、現在のこういった調査会の一般的なあり方からして、なかなか思うようにはまいらないわけでございますけれども、お話のありました点についてはそのような御趣旨に沿って運営をしたい、こういうふうに前々から心得ている次第でございます。
#223
○神沢浄君 いま一点だけ。そこで今度一年を二年にするわけですけれども、いままでのところ任期一年ということにはなっておりますが、毎年実際にはどのくらいの交代が行なわれてきておるのかですね。これはポストによってかわる人たちは当然のことですけれども、そうでない方たちで、実際にはどのくらいの交代が行なわれているか、まず伺いたい。
#224
○政府委員(皆川迪夫君) 現在御審議をいただいております社会経済情勢の変貌に伴う行財政のあり方というのは、四十二年の第十二次の調査会に諮問いたしたわけでございますが、その結論がまだ十分出ておりませんので、その後はずっと、主として学識経験者の方には同じ方に引き続いて御依頼をしておるという状況でございます。そういうことでありますと、任期が一年でもいいじゃないかということにもなろうかと思いますが、実際の審議の状況を見ておりますと、本格的に検討を始めているうちに、だんだんと次の任期が切れるのが気になってまいりまして、中間報告でもまとめようか、こういうような早くも収束のことを考えなければならぬというような状況になりますので、これは法律的には任期が切れるものでございますから、やはりその点は、少なくとも二年程度は任期があるという前提で御審議をいただきたい、こういう趣旨で改正を提案した次第でございます。
#225
○藤原房雄君 この地方制度調査会の問題につきましては、いままでの経過等につきましてはいまお話もいろいろございました。私はまあ構成メンバーといいますか、またそのあり方についてちょっと一、二だけお伺いしたいと思うのでありますが、現在の地方制度調査会のメンバーの選出方法とか、そういう構成の状況をちょっとお伺いしたいと思うのですが。
#226
○政府委員(皆川迪夫君) 調査会の委員は五十人以内で構成をすることに相なっておりまして、そのうち国会議員の中から選出をいただきます方々が衆議院と参議院で十七名でございます。それから地方公共団体の連合体から互選をいただいております方が十二名、これでまず約三十名近くなるわけでございますが、そのほかに、一般学識経験者及び関係行政機関からの経験者の中から選任をいたしております。この学識経験者なり、関係行政機関のほうは、その職務の関係で出てくるわけでございますが、一般の学識経験者につきましては、総理大臣がいろんな角度からこれを御任命になるわけでございまして、特別な推薦の形式あるいは方法というものはとってございません。
#227
○藤原房雄君 確かに国会議員、それから地方公共団体から五十名のうちの半分以上ですね、二十九名。三十名近くの方が選ばれるわけでありますから、それはそれなりにわかるわけでありますけれども、どっちかというと、そのあと学識経験者または関係行政機関の方々につきましては、内閣総理大臣がきめるという。どうしてもこういうメンバーでいろんな審議をなさるということになりますと、行政側に立った意見というものが強く反映するような構成というような気がするわけですけれどもね。やはりこれは国民の声というものが十分に反映する、国民の側に立った審議というものがやはりこの委員会の中にも十分に反映できるような形、これは国会議員の方々がいらっしゃいますからあれでありますけれども、そういうことも十分に検討した上での構成メンバーにはちょっと欠けているのじゃないか、こういう気がするわけですけれども、この審議期間の全体を通じまして、構成メンバーのいまお聞きした範囲内から考えますとそういう感じがするわけですけれども、こういう問題について、まあ激動するこの社会の中にありまして、この委員の期間を一年から二年にしたということでありますが、これに伴ってこの構成メンバーのことについても検討する必要があるのではないかと思うのですけれども、こういうことについてどういうふうにお考えですか。
#228
○政府委員(皆川迪夫君) 確かに長年にわたって審議委員になっている方が非常に多いのではないかという御指摘もいただいております。そのほかいま御指摘のありましたような御意見も伺っておりますので、まあ私たちとしましては、なるべく広く各界各層の意見をここに反映させていただけるようにという気持ちでおるわけでございますが、具体的にこの実現が非常にむずかしゅうございまして、あるいはいまお話のような御意見が出てくるかと思います。今後御任命をいただくにあたりましては、なるべくそういう点を考慮をして選任をしていただくようにお願いをしたいと思います。
#229
○国務大臣(渡海元三郎君) いま御指摘のように、六団体の委員また国会議員のほうから出ております関係上、全体といたしましては行政ペースの者が多いのじゃないかということでございますが、学識経験者の中にはいま言いましたような、藤原委員御指摘のような民間の声を聞くということで、各界の方を網羅して学識経験者をお願いしておるという姿でございます。今回提案いたしております二年ということも、単に当面の問題を解決していただくようないままで答申ばかり、いま神沢委員から御指摘になりましたような運営に流れております。変動する社会情勢に応じた、少し抜本的なものを研究をしていただく時期にきておるのじゃないかと思いましてやっていただいておる次第でございます。今回、現在の委員をそのまま一年間延期するというふうにいたしましたのは、法律は送りますが、そういった気持ちでひとつ取り組んでいただきたいということを申し上げましたために、運営面においてはそのようなつもりでいま運営しておりますので、暫定的にそういうふうに一年延伸していただいておりますが、いま申しましたように、次回へ答申を譲るのだという気持でなしに取り組んでいただく。いましておりますような問題に一応の解決を与えていただきますとともに、残る問題についても、新しく構成されるときには、いま藤原委員御指摘のような方法でできるだけ民意を尊重するものを選択していただけるもの、かように将来は期待いたしておるような次第でございます。
#230
○藤原房雄君 ひとつ、こういう非常に激動する社会情勢の中にありますので、やはり五年、十年たちますと、非常にいろんな問題が変わってまいります。それ相応にこういう制度の改正も行なわれるわけでありますが、やはり構成委員の任期を延ばす、これも必要でありましょうけれども、これに伴って構成メンバーについても十分ひとつ検討していただきたいと思います。
 それから去年の委員会だと思いましたが、地方制度調査会のあり方につきまして、私、イギリスのモード委員会のことを申し上げまして、当時の秋田自治大臣から非常に前向きな答弁があったわけでございますけれども、その後自治省といたしましていろいろ検討なさったと思うのでありますが、その後どういう検討をなさったのか、また、今後のあり方についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、これらのことについて最後にお聞きしたいと思うのです。
#231
○政府委員(皆川迪夫君) イギリスのモード委員会、これに限らないと思いますが、いろんないわゆる王立委員会と言われますイギリスの委員会は、かなり、少数の方々に二年なり三年、たしかモード委員会は三年であったと思いますが、期限を与えまして、しかも毎週、午前午後にわたって二回あるいはそれ以上も開催をすると。それから、独立の事務機構を持つ、あるいは学者先生方等に専門的な調査に参加をしていただく、こういうような徹底した一つの機能を与えているようになっておるようでございます。
 日本の地方制度調査会につきましても、ほんとうに基本的に重要な問題について一つの案を立てるとすれば、確かにお話のようなことも一つの御意見であろうかと思います。ただ、日本の調査会、審議会等は、日本なりの、従来からのいろんな慣例といいますか、そういうものがございまして、なかなかそういう十分な委員会機能を与えてもらうことがむずかしいのでありますが、これは、運営の面におきまして、部会の構成とか、あるいは担当する問題の取り上げ方等によりましては、かなりそういった角度で突っ込んだ御検討がいただけるんじゃないかというように思いますので、実はまだはっきりした用意はいたしておりませんけれども、いまお話のありましたような形に近いような運営をしていきたい、かように考えております。
#232
○国務大臣(渡海元三郎君) わが国におきましても、前に行政改革の問題等で、特別の問題を精力的に、いま神沢委員御指摘のような行政ペースではなしに、ほんとうに第三者的な学識経験者の意見として取り上げてやるという姿でつくられたこともございます。地方制度調査会も、発足の当時におきまして、まあ日本の地方制度というものが、従来の制度の上に占領軍が入ってまいりまして、アメリカの占領軍のもとに新しい地方制度として発足したんでございますから、独立と同時に独立の体制に応じた地方自治体はいかにあるべきかということで、地方制度調査会が発足し、それなりの役割りを果たしてきたんじゃなかろうかと思います。
 しかし、その後の運営状態をながめましたら、いま神沢委員御指摘になられましたように、神沢先生、前に御質問ございましたとおりに、むしろ自治省のPTAじゃないかと、こう世間が言われておる姿であることは事実でございます。しかし、私、今度二年に提案いたしましたのも、単に当面の問題、PTA的な問題だけでなくして、移り変わります社会経済情勢に応じまして、何と申しますか、掘り下げての御審議をいただき、本来の地方制度調査会の意味での審議をしていただきたいと思いまして、任期をひとつ、もちろん当面のことも変動してまいりますので非常に重要でございますから、あわせて御審議いただきますために、二年にしていただいたというのが実情でございます。
 ただ、モード委員会の場合におきましては、わが国と違いまして、ある程度地方自治の制度が固まっているというのではなしに、英国の地方制度というのは非常に複雑な昔のままになっておると、これを何とか改革しなければならぬというので取り組んだのがモード委員会でなかったかと思います。
 わが国の地方制度におきましても、単に自治省的な考え方でなくして、国全般としてそのような検討を、国と地方のあるいは財政のあり方等を根本的に考えるべき必要があったならば、このモード委員会のようなものをつくるのも一案かと思いますが、現在の姿におきましては、一応その中間的なものとして、今度任期を二年にいたしまして、一方では長期的な今後の地方制度のあり方を御審議願い、片方当面の問題を社会の情勢に応じて答申していただくと、御審議願うという姿の運営をはかってまいりたいと、このように考えておるような次第でございまして、御趣旨の点を生かすような運営を今後ともしていただきたいと、このように考えておるような次第でございます。
#233
○委員長(玉置猛夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。−別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#235
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 地方制度調査会設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#236
○委員長(玉置猛夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#238
○委員長(玉置猛夫君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#239
○委員長(玉置猛夫君) 継続調査要求に関する件
 についておはかりいたします。
 地方行政の改革に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#240
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#241
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#242
○委員長(玉置猛夫君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#243
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。次回の委員会は、来たる十五日、木曜日、午前十時三十分に開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
  午後五時三十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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