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1971/12/29 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第1号
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1971/12/29 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第1号

#1
第068回国会 本会議 第1号
昭和四十六年十二月二十九日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第一号
  昭和四十六年十二月二十九日
   午前十時開議
 第一 議席の指定
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、特別委員会設置の件
 一、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案
  (第六十七回国会内閣提出衆議院送付)
 一、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する
  法律案(第六十七回国会内閣提出衆議院送
  付)
 一、沖繩振興開発特別措置法案(第六十七回国
  会内閣提出衆議院送付)
 一、沖繩における公用地等の暫定使用に関する
  法律案(第六十七回国会内閣提出衆議院送
  付)
 一、国家公務員法第十三条第五項および地方自
  治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人
  事院の地方の事務所設置に関し承認を求める
  の件(第六十七回国会内閣提出衆議院送付)
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 議席の指定議長は、本院規則第十四条により、諸君の議席をただいまの仮議席のとおりに指定いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(河野謙三君) この際、特別委員会の設置につき、おはかりいたします。
 沖繩及び北方問題に関する対策樹立に資するため、委員四十名からなる沖繩及び北方問題に関する特別委員会を、
 災害に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名からなる災害対策特別委員会を、
 公害に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名からなる公害対策特別委員会を、
 交通安全に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名からなる交通安全対策特別委員会を、
 当面の物価等に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名からなる物価等対策特別委員会を、
 公職選挙法改正に関する調査のため、委員二十名からなる公職選挙法改正に関する特別委員会を、
 また、科学技術振興に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名からなる科学技術振興対策特別委員会を、それぞれ設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、沖繩及び北方問題に関する特別委員会外六特別委員会を設置することに決しました。
 本院規則第三十条により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。
     ―――――・―――――
#6
○議長(河野謙三君) これにて休憩いたします。
   午前十時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後九時三十八分開議
#7
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案
 沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案
 沖繩振興開発特別措置法案
 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案
 国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件
  (いずれも第六十七回国会内閣提出、衆議院
  送付)
 以上五件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。沖繩及び北方問題に関する特別委員長長谷川仁君。
  〔長谷川仁君登壇、拍手〕
#9
○長谷川仁君 ただいま議題となりました法律等五案件につきまして、沖繩及び北方問題に関る特別委員会における審査の経過及び結果を御告いたします。
 まず、五案件の要旨を申し上げますと、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案は、沖繩の復帰に伴い、住民生活の安定に配慮しつつ、従前の沖繩の諸制度の本邦の諸制度への円滑な移行をはかるため、本邦の法令の適用に関し、所要の特別措置を講じようとするものであり、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案は、沖繩の復帰に伴い必要とされる関係法令の規定の整備をはかろうとするものであります。
 沖繩振興開発特別措置法案は、沖繩の特殊事にかんがみ、総合的な沖繩振興開発計画を策し、計画に基づく事業を促進するとともに、産業振興のための特別措置等を講じようとするものあります。
 次に、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案は、現に米軍が使用している土地等のうち、復帰後も引き続き米軍及び自衛隊の用に供するもの、並びに、現に水道、電力、飛行場及び道路等の用に供している土地で復帰後も引き続きこれらの用に供するものについては、国などが権原を取得するまでの間、五年をこえない範囲内で暫定使用し得るよう特別措置を定めるとともに、その手続、損失補償、原状回復の義務等について定めようとするものであります。
 最後の、国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件は、当分の間、人事院沖繩事務所を那覇市に設置することについて、国会の承認を求めたものであります。
 以上の政府提出五案件は、さきの第六十七回国会において、衆議院議員提出の沖繩平和開発基本法案外一件とともに、沖繩及び北方問題に関する特別委員会に付託され、沖繩に本院から議員団が派遣されて意見を聴取し、また公聴会を開くとともに、名古屋市に委員派遣を行ない、さらに内閣、法務、文教、逓信、建設、地方行政、農林水産、大蔵、社会労働、商工、運輸の十一の常任委員会と連合審査会を開く等、慎重審査に徹して審査が進められましたが、五案件については継続審査となり、昨日も質疑が続行されたのであります。
 また、本日設置されました本特別委員会においても、引き続いて熱心な質疑が展開されました。
 その間のおもなる質疑を申し上げますと、沖繩における非核三原則の問題、米軍基地整理の問題をはじめ、期限を設けてVOAを存続せしめる理由、三百六十円レートによる通貨の即時交換問題、教育委員会委員を任命制とすることの是非、沖繩振興開発特別措置法案と憲法第九十五条との関係、公用地等の暫定使用についての公示の法律的効果及び憲法第三十一条との関係、請求権補償の立法化問題等でありますが、そのほか地方自治の振興、産業開発のあり方、住民福祉の向上、自衛隊の配備問題等、広範多岐にわたる問題が取り上げられました。それらの詳細は会議録によって御承知願います。
 以上のような経過を経まして、本日質疑を終了し、五案件について討論に入りまたしところ、日本社会党を代表して松井委員、公明党を代表して矢追委員、民社党を代表して栗林委員、日本共産党を代表して渡辺委員よりそれぞれ反対、自由民主党を代表して楠委員より賛成の意見が表明されました。討論を終局し、四法律案について一括採決を行ないましたところ、四法律案は、賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、承認案件は、これを承認すべきものと決定いたしました。
 なお、大橋委員より、日本社会党を代表して、各案件に対し、少数意見の報告をしたい旨の発言がありました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#10
○議長(河野謙三君) 五件に対し、大橋和孝君から、成規の賛成者を得て、少数意見の報告書が提出されております。
 この際、少数意見の報告を求めます。大橋和孝君。
   〔大橋和孝君登壇、拍手〕
#11
○大橋和孝君 私たちは、二十六年間異民族の支配という、世界でも類例を見ない異常な状態のもとに置かれ、本土の経済成長からも取り残され、生活のあらゆる部面で著しい差別と弾圧のもとにしいたげられてきた沖繩百万県民を、ここにあたたかく迎え入れ、平和で豊かな沖繩県を築き上げるか、はたまた、太平洋のかなめ石として、日本軍国主義を一そう強化していく道を選択するか、日本の将来を決定する岐路に立っていると言っても過言ではないのであります。私たちは、このことを深く心に刻み込んでおかなければなりません。
 私は、日本社会党を代表いたしまして、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案と沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案及び人事院の地方事務所設置に関し承認を求めるの件に対して、いずれも否決さるべきであるとの少数意見留保の理由を説明したいと思うのであります。
 言うまでもなく、沖繩百万県民は、苦難と差別をしいられる中で、悲願とも言うべき本土復帰を希求し続けてまいったのであります。この本土復帰は、ただ単に施政権が返るだけではなく、沖繩県民百万が、不当に奪われた土地と日本国憲法で保障されている基本的人権を完全に取り戻し、沖繩県民の心と身体、社会生活の上に受けたあらゆる損害を補償し、本土との一切の差別、格差を解消し、真に本土並みとなる返還、復帰でなくてはならないのであります。本土政府と国民は、沖繩県民の痛みをわが痛みとして受け取り、真の復帰を保障する責務を持たねばなりません。
 ところが、実態はどうでありましょう。屋良主席が先般、沖繩県民の心からなる願望を盛り込んでその最低保障を取りまとめたあの建議書の内容の大部分が、本土政府によってまたも踏みにじられてしまったのであります。佐藤総理以下各閣僚は、口を開けば、沖繩県民の苦労は十分に理解している、あたたかく本土に迎え入れたい、と述べられております。しかしながら、政府提案の沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案を見てみますと、総理、山中総務長官、各閣僚のことばがいかにその実態とかけ離れ、むなしいものであるかということが歴然としているのであります。米軍用地施設は六千六十六万坪、地主数は約三万八千人という膨大な広さにわたっているのであります。特に、基地内は測量できず、現状確認の方法もなく、接収前の地目で押えられていること、さらに、部落一括基地化のバンド地域のようなものもあるなど、全く不合理の一語に尽きるのであります。こうした巨大な米軍基地をこの法律案で長期固定化させ、また、米軍の返還する基地は自衛隊がその用地として肩がわり的に占拠するものであります。この現実を放置して、何で平和で豊かな沖繩を建設することになりましょう。まさにこの法案は悪法中の悪法なのであります。返還協定の了解覚書C表は、復帰までに返還される三十四施設をあげておりますが、そのうち十施設はすでに開放済みのものであります。また、キャンプ久場崎やシールズは開放予告面積が覚え書き面積と違っておりますし、十坪ほどの民間アパートの部屋が憲兵隊詰め所として三カ所ももっともらしく返還リストに載せられているのであります。即時返還個所は、ほとんど内容のない、多数の基地が戻るかのように見せかけたごまかしなのであります。
 さらに重大なことは、米軍が恒久的に使用する施設・区域としてA表八十八カ所に、これまで軍用地として使用されていなかった七つの訓練場が、安保条約の地位協定第二条4の(b)の一時使用演習地として加えられていることであります。つまり、基地は返還協定で減るどころか増大されていること、きらわれている自衛隊の演習地先取りとも見られることであります。このようにして、沖繩県民が父祖伝来の土地を公権力の名のもとに再び半ば暴力的に奪われることになるのであります。
 さきの大戦において沖繩は二十万余というとうとい生命を失うという犠牲を払ったのであります。そして二十六年という長い間の異民族支配、またその上に、この法律案によって土地を奪われるという犠牲をしいられる。なぜこのようにしてまで沖繩県民だけしいたげられなければならないのか。沖繩県民の心を心として、佐藤総理の先ほどのことばをそのことばどおり実現するのであれば、直ちに軍事基地を撤去し、自衛隊の配備を取りやめるべきであります。
 憲法十四条は、「すべて國民は、法の下に平等であつて、人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、経済的又は社會的關係において、差別されない。」と規定しておりますが、この法律案は憲法違反の疑いが濃厚であります。すなわち、この法律案は法理論上あいまいな公共用地ということばを使って、本土においては自衛隊用地ははずされているにもかかわらず、沖繩だけは土地強制収用を行なえるようにしようとする全く不当不法な法案であります。
 また、憲法二十九条は、「財産権は、これを侵してはならない。」「私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」としているのであります。しかしながら、この法律案は、使用しようとする土地を告示し、所有者、関係人に通知するだけというもので、慎重な手続や正当な補償はどこを見ても出てこないのであります。
 以上、繰り返し述べてまいりましたように、との法案は多くの点に憲法違反の疑いがあり、われわれは断じて認めるわけにはいかないのであります。
 次に、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案を見てみますと、米軍の謀略放送であるヴォイス・オブ・アメリカ――VOA放送を存続させることであります。この放送は、日本語放送、英語放送、中国語放送を行なってきており、特に北京語、広東語、アモイ語の三種類に分けて放送していた中国語放送は、謀略放送以外の何ものでもないのであります。返還後は中国語の放送は中止させるとはいえ、国内法規をねじ曲げてまでVOAを存続させることは、どこに意味があるのでありましょう。軍事優先第一主義であることは明白なのであります。
 沖繩振興開発特別措置法もまた多くの問題点を含んでいるのであります。沖繩では、水資源の多くは米軍基地内にあり、そのため、ここでも軍事優先の論理が貫徹していることは明白であります。その上、水質、水道料金など問題があり、生活の基礎的な条件の一つである水でさえこのありさまなのであります。これで、何が平和で豊かな沖繩振興開発となるのでありましょうか。
 沖繩はその地理的条件の上で離島がきわめて多く、台風常襲地常であり、季節的条件が県民生活を著しくゆがめているのであります。この県民生活の下ざさえとしての社会保障制度はきわめて貧困であり、医療制度は未熟であり、年金制度もまたしかりであります。社会福祉施設は名ばかりのものであり、生活保護は本土三級地の六八%の水準でしかありません。こうした条件の中で無医地区は多く、医師をはじめとする医療担当者の数、医療施設はお粗末の一語に尽きるのであります。このこと一つを見ましても、県民の生命と健康がいかに大切にされていないかがわかるのであります。あすをになう青少年の教育環境、生活環境もまた著しく悪環境のもとにあることは言うまでもありません。しかしながら、県民の努力して築き上げてきた教育制度は、本土並みの名のもとに、これまた、民主教育制度は全く一方的に廃止されようとしているのであります。このほか、米軍政下のもとで、あらゆる犯罪に対し、県民はただ泣き寝入りするしかない、無法地帯とも言える中に生活権を奪われてきたものに対して、米軍占領下で行なわれてきた屈辱的な刑事裁判を引き継ぐに至っては、主権在民の大原則はどこに存在するのか、日本国民として断じて認めるわけにはまいらないのであります。
 一昨々年、私も党の沖繩派遣団の一人として現地の状況をつぶさにこの目で見、この耳で聞き、はだで感じてきました。沖繩の現状がいかにひどいものであるかは、とうてい筆舌には尽くせないのであります。
 佐藤総理、あなたはいかに口先で平和で豊かな沖繩の建設を唱えても、現実に戻って実態を見てみるとき、そのことばがいかにむなしいか、あなたは御自身が一番おわかりであろうかと思うのであります。
 沖繩県民の魂の底からふき出している本土への完全復帰は、ここに上げられた法律案の中身とは全く違うものであり、こうしたまやかしの返還は、二重、三重に沖繩百万県民の心を踏みにじることを銘記されるべきだと思うのであります。
 アメリカのアジア侵略のかなめ石として位置づけられてきた沖繩は、アメリカのアジア侵略が敗北の一途をたどり、また、一方で国連における中国加盟が実現した現在、直ちに基地を取り除き、自衛隊の配備計画は取りやめて、真に平和で豊かな沖繩県の建設実現のために本土が一体となって立ち上がらなければなりません。
 佐藤総理、繰り返して提言を申し上げます。
 世界の主要国の多くが、この日本の歩もうとしている道に一そうの疑惑を投げかけている現実を率直に受けとめて、平和への大道を指向する努力を、この際こそ、勇気を持って行なうべきではないでありましょうか。
 私は、ここに沖繩と本土国民の平和への希求の心を心として、少数意見の留保を行なうものであります。(拍手)
#12
○議長(河野謙三君) 五件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。稲嶺一郎君。
   〔稲嶺一郎君登壇、拍手〕
#13
○稲嶺一郎君 私は、自由民主党を代表し、さらに沖繩選出国会議員の一人といたしまして、ただいま議題となっております沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案外三件の法律案及び一件の承認案件について、賛成の意を表明するものであります。(拍手)
 沖繩の施政権返還に関する協定は、去る二十二日の本院の承認により、批准書交換の手続を残すばかりとなっております。
 ただいま議題となっております四件の法案は、協定を円滑に実施する上にぜひとも必要な事項を盛り込んだものでありまして、協定と一体不可分のものであります。
 米国政府は、わが国で国内法が成立しなければ批准書の交換は行なわない方針であると伝えられております。その意味でも、これらの法案はぜひとも成立させねばなりません。それこそが沖繩百万の同胞の熱望にこたえるゆえんであります。
 以下、賛成の理由を申し述べます。
 賛成理由の第一点は、沖繩百万県民の大多数は、一日も早い祖国復帰を切望しているからであります。沖繩県民の大多数が沖繩返還協定並びに関連法案に反対であるかのごとく述べている者がありますが、もしそれが、沖繩は本土に復帰しなくともよいという意味であるならば、それは事実に反するのであります。去る九月二十七日の朝日新聞の世論調査によりましても明らかなとおり、復帰希望の者は、沖繩県民の六一%、不満だから復帰は延びてもやむを得ないと考える者はわずかに一七%にすぎません。このような調査の結果から見ても、沖繩県民の多くは、異民族の支配から一日も早く離れて祖国日本への復帰を待ち望んでおります。
 賛成理由の第二は、関連法案には沖繩県民の要望が十分に取り入れられ、かつ、いずれも今日の段階においては適切かつ妥当な措置であると考えるからであります。
 関連法案は四件、三百三十四条にのぼる膨大なものでありますが、政府においては沖繩・北方対策庁を、また、自由民主党においては沖繩問題特別委員会を窓口として、さらに沖繩選出の与党三名の議員を中心にして、三次にわたる対策要綱を策定し、三百余件にのぼる現地沖繩からの陳情案件の大部分を同要綱に盛り込むことに成功したものであります。したがいまして、法案の一条一条に沖繩県民へのあたたかい思いやりの血が通っているのであります。しかも、各条項の実現にあたっては、沖繩の発展と県民の福祉を重点として誠心誠意努力する旨、総理並びに関係閣僚から繰り返し約束されているのでありまして、今後の沖繩の振興発展については大いに期待が持てるものと信ずるものであります。
 沖繩戦においては、わが国だけでなく、米兵士も含めて約三十万人のとうとい生命が南海の弧島に散っているのであります。これら地下に眠るみたまに報いる唯一の道は、地球上に永遠の平和を築くことであります。今後の世界は憎悪と復讐によらず、愛情と英知によって社会の進歩を促すものでなくてはならないと思います。その意味において、戦いに敗れた日本が、米国との友好的な話し合いにより沖繩の祖国復帰が実現いたしますことは、きわめて意義深いことであります。
 今回の沖繩国会において最も問題となったのは、沖繩における米軍基地についてであります。沖繩百万県民の願いは、その一日も早い整理縮小であります。この実現のために今後とも政府の格段の努力を要望するものであります。
 終わりに臨み、この歴史的偉業の達成を目前にして、私は、佐藤総理をはじめ政府当局並びに沖繩の祖国復帰に努力された各位に対し、今日までの御労苦に対し深く感謝の意を表するものでございます。
 沖繩の祖国復帰は、新しい沖繩県の出発点であります。同僚議員並びに一億本土国民の方々、どうか、長い異民族の統治から離れんとする沖繩を、明るく、豊かな、平和な、たくましい沖繩県とするために、今後とも一そうの御協力と御支援を切望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(河野謙三君) 森中守義君。――御登壇願います。森中守義君。
   〔森中守義君登壇、拍手〕
#15
○森中守義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法案、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件の四法案並びに一承認案件に対し、反対の立場から討論を行ないたいと思います。(拍手)
 私は、討論を行なうにあたり、政府・自民党が、これらの法案の根拠をなしている琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定、いわゆる沖繩協定を、きわめて不法不当、かつ、議会制民主主義の根底をくつがえす強行採決という暴挙によって自然成立を意図し、参議院における審議権を否定したことにあらためて強く抗議をし、政府・自民党に猛省を促すものであります。(拍手)
 去る十一月十七日の衆議院協定特別委員会における強行採決は、この沖繩国会に重大な関心を寄せ事態の推移を見守ってまいりました百万沖繩県民の心をさかなでにし、いかに沖繩県民の心を深く傷つけたでありましょうか。それは、沖繩現地公聴会における那覇市長平良良松氏をはじめ公述人各位が怒りを込めてこもごも述べられたとおりであります。この沖繩協定の強行採決こそ、沖繩国会七十三日間を端的に物語っていると言わなければなりません。沖繩県民は、この七十三日間、怒りと屈辱と幻滅の連続であったと私は思います。
 戦後二十六年余にわたるアメリカの不法不当な軍事支配のもとで筆舌に尽くしがたい犠牲と差別を強制されてまいりました沖繩県民は、その長い苦しい戦いの到達点を祖国復帰に求めたのであります。長く苦しい差別と屈辱の歴史を持つ沖繩県民、そうであったればこそ、不当な異民族の支配に生命をかけて対決をし、一切の戦争政策に断固として反対し、平和を求め、真の人間回復をかちとる戦いを発展をさせ、核もない、基地もない平和の島として祖国復帰を求めてまいったと思います。佐藤総理は、沖繩の祖国復帰なくして日本の戦後は終わらない、沖繩をあたたかく迎えたい、このようなことを繰り返してこられましたが、そのことばとは逆に、一九六九年十一月の佐藤・二クソン共同声明によってアメリカの沖繩占領を正当化し、固定化し、沖繩県民のかけがえのない反戦平和を基調とする祖国復帰の願いを踏みにじってしまったのであります。(拍手)それでも沖繩県民は、その意思と要求を復帰の諸施策に反映させるために忍耐強く必死の努力を重ねてまいりました。だからこそ、この沖繩国会に大きな期待と関心を寄せたのは当然であります。しかし、協定の強行採決を境に、佐藤内閣と自民党に対する期待と関心は、いまや怒りと幻滅に一変したのであります。佐藤総理が繰り返して述べてこられた沖繩県民向けの美辞麗句ももはや信用する県民はございません。沖繩県民は、沖繩協定を衆議院で可決した昭和四十六年十一月二十四日を第三の琉球処分につながる屈辱の日として永遠に忘れないでありましょう。(拍手)本土国民にとりましても、日米平和条約で日本政府が沖繩をアメリカに売り渡した昭和二十七年四月二十八日とともに、戦後日本史に消しがたい汚点として深く刻み込まれたことも銘記すべきであります。
 しかも、政府・自民党は沖繩協定の自然成立を意図しただけでなく、サンクレメンテでニクソンと会う手みやげとして、関連法案の強引な成立をはかって会期を延長したのであります。しかし、自民党は、会期内成立という至上目的に到達することができませんでした。これは私たちが主張してきた慎重審議が世論に支持され、自民党がこれまで繰り返してきた強行採決を参議院において行ない得ないほど追い詰められたからであります。廃案は射程距離にありました。しかし、私たちは、不満ながら継続審査を受諾いたしましたが、それは法案の問題点をさらに究明をし、沖繩県民の平和と生活向上をかちとるためであったからであります。私たちは法案の問題点を徹底的に追及いたしました。しかし、追及すればするほど疑惑は深まるばかりであります。
 わが日本社会党は審議を通じて重大な疑問点を再三再四にわたり指摘してまいりました。けれども、政府側の態度は不誠意きわまるもので終始いたしました。欺瞞に満ちたものでありました。解明されない問題点は、審議以前よりもだんだんふえてまいったと言っても過言ではありません。
 以下私は、国内関連法案と一承認案件に反対する基本的理由を述べることにいたします。
 第一の反対理由は、この四法案と一承認案件は、戦後二十六年間米軍が一貫してとってまいりました軍事優先政策を合法化し、正当化し、復帰後も米軍基地の維持を絶対条件にしている点であります。これらの法案を認めることは、戦後二十六年余にわたるアメリカの不法不当な軍事支配を追認するものであって、われわれは絶対にこれを容認できません。これらの問題について基本的重要事項を数多く見ることができます。
 まず、核問題であります。沖繩の辺野古及び知花弾薬庫に核兵器が貯蔵されているという疑問、及び本土の岩国等の米軍基地に核兵器が貯蔵され、核部隊が存在するという疑問は全く解明されていません。
 二つは、毒ガス問題であります。米軍の完全に撤去したとの発表にもかかわらず、十月下旬より十一月上旬にかけて毒ガスの移動が行なわれ、レッド・ハット・エリアの標識のある貯蔵庫が知花に新設された疑問は解明されていません。
 三番目は、沖繩の米軍基地の密度、機能は本土と質的に全く異なっており、しかも、各種の特殊部隊が残されることによって事前協議が骨抜きになることは明らかであり、これは明白に日米安保条約の変質と言うべき性質のものであります。そのほかに、軍用地の範囲について疑問点が数多くあり、疑惑はさらに深まっております。
 第二の反対理由は、米軍基地の維持存続に加えて、新たに自衛隊の配備を取りきめた点であります。あの悲惨な戦争体験を持つ沖繩県民の大多数がこれに反対していることは、沖繩現地と本土において開かれた公聴会において、軍公用地法案に最も鋭い批判が集中した点からも明らかであります。また、日中国交回復をサボってきた政府側は、自衛隊配備の目的、任務等について、米中接近、中国の国連加盟など、極東新情勢の緊張緩和と関連して何ら明らかにするととなく終わっております。
 第三の反対の理由は、いわゆる屋良建議書の五原則、すなわち、地方自治の確立、反戦平和の理念、基本的人権の確立、県民本位の経済開発、県民福祉の向上という基本要求を全く無視している点であります。屋良建議書は、単に屋良個人のものではなく、琉球政府が県民の総意に基づいて作成した復帰措置に対する要求書であり、これを否定することは、沖繩県民の存在を否定するものと言わなければなりません。
 強行採決の暴挙が行なわれたその瞬間に、建議書を持った屋良主席が羽田空港に到着された一事をもってしても、政府・自民党が、いかに沖繩県民の心をないがしろにして、ただただアメリカの言いなりになっているかがよくわかるのであります。(拍手)
 以上の基本的立場から四法案を検討するならば、悪法中の悪法は軍公用地使用法案であります。この法案は、銃剣とブルドーザーでもって容赦なく強奪してきた沖繩県民の土地、財産を、復帰後もその所有者に返すことなく、米軍と自衛隊によってそのまま強制使用していこうというもので、とうていこれは容認できません。また、法理上幾多の違憲事項を含んでいる点でも、かつてない違憲立法であります。
 以下、その問題点を列挙いたします。
 その一は、明治憲法下の旧土地収用法では、国防、軍事目的が収用の第一でありましたが、昭和二十六年の全面改正の土地収用法では、国防、軍事は土地収用の対象である公共事業から除外され、今日までただの一度も自衛隊用地に土地収用法は適用された事実がありません。平時における自衛隊のための土地等の強制収用、使用の根拠はないのでありますが、この法案では、純粋の公用地である道路、水道等に軍事基地を抱き合わせるため、「公用地等」というあいまいな言い方をして、使用する主体が国、自治体なら使用の目的を問わないとしております。これは明らかに憲法第二十九条財産権、第三項の「公共のため」という限定を大きく逸脱をし、違憲の法律であります。
 その二は、米軍用地の使用については、日米安保条約に基づく土地等の使用等に関する特別措置法があり、沖繩の場合も日米安保を適用するというならば、この特別措置法で十分足りるはずであり、特別立法はもとより不要であります。また、自衛隊はまだ配備されていないのであり、継続使用、暫定使用の概念に全く当てはまらないのであります。
 その三は、法案では暫定使用期間を五年以内としていることは、地位協定による特別措置法が六カ月以内であるのと比較いたしまして、あまりにも著しい財産権の侵害であります。これは「暫定」という名に値しないと言われなければなりません。
 その四は、特に沖繩の本土復帰の過程で重要な点は、沖繩の地籍が不明確なままに放置されていることであります。旧日本軍による接収、戦禍、さらに米軍の占領により、いまだに未解決用地が多いことからしても、この際は沖繩全域における地籍調査を実施し、土地の所有関係を明確にするのが先決であります。
 その五は、土地収用にあたっては慎重な手続が要求されていますが、この法案では、復帰前に告示し、復帰後、土地の区域と使用方法を所有者、関係人に通知するだけの手続で暫定使用ができることになっています。しかし、復帰前の沖繩には官報の告示は有効な手続とは言えないのであって、これは法定の手続の保障に関する憲法第三十一条違反であることは言うまでもありません。
 その六は、道路、水道、電気事業など純粋の公共用地の使用について、全く異質の軍用地と抱き合わせて立法措置を講じていることは不当きわまりないものと言いたいのであります。
 公共用地の強制使用については、必要に応じ本土にある土地収用法及び公共用地の取得に関する特別措置法を適用すればその目的は達せられるのでありまして、協定に基づき米軍に継続的に基地を提供するための形式も手続も全く無視した強制使用措置の適用は誤りであります。
 その七は、この法案は、以上で明らかなように、本土で現に適用されている土地収用、使用に関する諸法規よりも、はるかに沖繩県民にとりましては不利な内容の法案であり、法のもとにおける平等を規定している憲法第十四条に反し、沖繩県民に差別を強制するもので、絶対に容認できません。
 その八は、政府は、この法律は憲法第九十五条の住民投票に付する必要はない、さように言っておりますが、本土法と比較して著しく不利な内容であればこそ、沖繩の住民の納得を得るための住民投票の洗礼は最低限度必要であります。しかも、沖繩全面積の一二・五%に及ぶ軍用地面積の実態から見て、これらの軍用地をそのまま存続させるためのこの法律が、沖繩県民及び県内市町村の経済開発や都市計画等を阻害することは火を見るより明らかであり、地方自治体の運営を根本的に破壊する性格のものであります。だからこそ住民投票は必要不可欠なものと言わなければなりません。
 以上述べましたように、これは問答無用、なりふりかまわぬ無理な法律であり、憲法第九条をはじめ、第二十九条、第三十一条、第三十二条、第九十五条等に違反する、まさに違憲立法であると断定をいたします。
 問題は、法律の目的、性格だけではありません。佐藤総理がニクソン大統領との会談のために、しゃにむに国内法案の成立を進めているのは、実は、この軍・公用地使用法案が沖繩返還協定批准書交換の最大の条件になっているからであります。基地の現状維持、自由使用こそ、日米両政府の沖繩返還の基本姿勢であり、だからこそ、政府・自民党は違憲を承知で軍・公用地法案の成立に狂奔しているのであります。
 次に、特別措置法案及び改廃法案についてであります。
 この二法案は協定の前提であり、反対せざるを得ません。まず、VOAを五年間も存続をさせることは、全く違法、不当であります。VOAは、米国国防総省の秘密報告書によりますと、CIAと関係している謀略放送であり、その放送内容を事前にチェックする保証はないのであります。また、米国の第七心理作戦部隊と深い関係のある極東放送を外国企業と言うのは問題であり、愛知書簡によりましてその継続を認めているのは、まさに国会軽視であります。さらに、外資企業の利益保護を優先していることも見のがすことはできません。
 さらに、沖繩県民が戦後全く無権利の状態の中から戦い取ってまいりました教育委員の公選制や市町村職員のスト権などの諸権利や既得権を剥奪することは、将来に大きな禍根を残すことになり、これまた断じて許せません。労働問題においては、たばこ産業、塩製造業、通関業者など、転廃業を余儀なくされる労働者及び業者に対する保護対策は不十分であり、県民の復帰不安を具体的に解消していくための法案とは認めがたいのであります。また、医療、年金、社会福祉など社会保障についても琉球政府の要請は全く無視されています。また、復帰後の重要な問題として税制、通貨問題がありますが、これについても県民の要請は無視されています。しかも、多くの重要事項を政令に委任しているのは、立法権への侵害であり、不当であります。
 第三に、沖繩振興法案についてであります。まず、振興開発計画は、原案を知事がつくり、総理大臣が最終決定することになっていますが、これでは県民本位の開発計画とはなりません。しかも、計画決定に重大な影響を与える審議会の構成は、過半数が政府機関の職員であり、県民不在の計画作成となるおそれが十分にあります。
 さらに、沖繩開発庁設置法案による沖繩の総合事務局の設置、沖繩振興法案の道路、河川、港湾等の特例によって、沖繩県民の自治権が大幅に侵害されるおそれがあります。また、政府の答弁や財界の意向では、アルミなどの公害企業の沖繩進出を企図していますが、沖繩振興の美名のもとに沖繩を公害の島にすることは断じて容認できません。
 最後に、繰り返し指摘してまいりました密度の高い基地の存在が続く限り、沖繩の振興開発は不可能であることを指摘いたしたいと思います。米軍基地の撤去、整理縮小計画が示されない限り、振興計画とは言えません。
 第四に、人事院の地方事務所設置に関し承認を求めるの件は、沖繩協定並びに関係国内法の一環をなすものであります。
 以上、四法案並びに一承認案件について、重要な問題点を指摘しながら反対討論を行なったところでありますが、沖繩国会と銘打たれた第六十七国会は十二月二十七日で終わりました。しかし、沖繩の反戦・復帰の戦いはこれからであります。沖繩を軍事目的のために日米両国で利用し、施政権返還とすりかえに自衛隊を配備して、再び沖繩を日本の最前線基地にしようとする沖繩協定及び国内関連法案にあらためて強く反対の意思を表明いたしまして、私の反対の討論を終わる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(河野謙三君) 原田立君。
   〔原田立君登壇、拍手〕
#17
○原田立君 私は、公明党を代表いたしまして、政府提案になる沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案外三法案、一承認案件に対し、反対の討論を行なうものであります。(拍手)
 政府は、かねてより、核抜き・本土並み・一九七二年返還の三本柱を立てて、その実現を公約いたしてまいりました。しかるに、いままでの審議過程で明らかになったことは、全くのごまかしであるということであります。沖繩県民はもとより、国民全体が最大の関心を持って注目していた核抜き返還について、政府は、撤去費の七千万ドルを入れてあるからなくなるとか、米高官が復帰時にはないようにすると言明しているから信用する以外ないと主張しておりますが、全くナンセンスなことであります。たとえば、核は、いつどのような方法で運搬されるのか、撤去後の点検確認はできるのか、返還された後再び核持ち込みはないのか等については明確にされないままにされているのであります。また、本土並み返還ということも、本土と同じような規模にまで米軍基地を縮小されなければならないはずでありますが、わずか一八%の返還は、沖繩本島に実に本土の二百八十倍もの基地機能を残すことになっております。中でも、沖繩本島中央部にある知花弾薬庫、嘉手納飛行場の返還がなされないことは、沖繩復興のために最大の障害となっております。このような状況にしておいて何で本土並み返還かと言いたいのであります。核抜き・本土並みになっての返還こそ真実の県民希望であります。私は言いたい。ものごとは返還に臨んでの出発点が大事だということであります。沖繩県民の多くの方々は、今度の返還を喜ぶべきか、悲しむべきか、不安と不満に迷っておるのであります。
 去る六月に行なった琉球新報による世論調査によると、「復帰不安を感じる者」実に六四・八%、不満とする者四七・六%。不満の理由として、「核抜き・本土並みになるとは思えない」が三四・九%、「基地の縮小・撤去の見通しがない」と言った者二三・五%。さらに、「協定調印で平和で豊かな時代へ第一歩を踏み出せるか」との問いに対しては、「沖繩は今後も苦難の道を歩む」とした者四三・二%、「これですべてよくなる道が開けた」とする者はわずか一〇・二%であります。また、「本土政府の復帰対策をどう思うか」との問いに対しては、「もっと調整が必要である」とした者が四四・八%、「要望が全く取り入れられず一方的に処理されている」というのが一九・二%と、不満を感じる者が実に六四%にもなっているのであります。「沖繩の要望が全部受け入れられている」と答えたのはわずかに一・二%であります。どれをとってみても、不安と不満とを持っているのが沖繩県民全体の偽らざる心境であります。
 終戦後二十六年、やっと沖繩の同胞が心待ちにしてきた本土復帰が実現しようといたしております。長い間の異民族支配下の屈辱、軍事基地という恐怖におびえながらの毎日の生活、働く場所もなく、やむなく基地労務者として働かなければならないつらさ、また、特殊な第三次産業の発達等々、これらの御苦労は言語に絶するものがあったでありましょう。一日も早く本土に復帰し、平和で豊かな沖繩に明るい楽しい生活を築こうと願ってきたのに、現実はあまりにも沖繩県民の心を踏みにじっているということであります。米軍事基地の存続、VOAの継続使用、銃剣を突きつけて取り上げた土地を、返すどころか、法律をもって合法化し、そのまま使おうとするがごときは、病人をむち打つやり方であります。政府の意図する返還は、見せかけの返還であり、その内容はあまりにも欺瞞的なものと言わざるを得ないのであります。沖繩県民が真に望むものは、平和で豊かな島としての返還であり、基地のない、だれにも抑圧されない島としての返還であります。ところが、政府・自民党は、沖繩を極東軍事戦略の重要基地として機能を強化させようとしており、戦争の恐怖、原爆のおそれを与えようとし、あまつさえ、復帰後は自衛隊六千八百人を沖繩に派遣しようとしているのであります。沖繩の出発は、あの忌まわしい戦争につながるものであっては断じてならない、反戦平和の出発でなければならないと思うのは私ばかりではあるまいと思うのであります。
 私は、この基本的な姿勢において、政府提案になる四法律案、一承認案件に対し、失望と怒りの思いをもって、以下五点にしぼり反対の理由を述べるものであります。
 まず、反対理由の第一点は、公用地暫定使用に関する件であります。
 先ほども申し述べたとおり、終戦後銃剣でおどし取った土地を、今回再び地主の許可を取りつけられない状況のもとで、強制的に五年間にわたって使おうとすることであります。政府は、三万五千余の地主と交渉するのが困難だという理由で、一方的に憲法違反の軍用地確保法案を押しつけたのであります。これは全くのごまかしであり、不法であり、断じて認めるわけにはまいりません。一日も早く土地を返してくれと叫んでいるのが沖繩県民の心からの願いであります。第二条第一項では、土地の所有者や関係者の意向とは全く無関係に、本土政府が強制使用の対象となる土地、施設などをきめれば、返還協定発効と同時に、自動的に一方的にその土地などの使用権は国に取り上げられることになっているのであります。また、同じく第二条第二項では、通知、公示がきめられているが、これも通知もしくは公示してから土地などを収用するというのではなく、あらかじめ使用すべき土地などを法律によって強制的に確保し、基地として使用することを前提としていることも納得のいかないところであります。これはまさしく憲法第二十九条で保障された財産権を侵すものであり、また、法のもとに平等を規定した憲法第十四条違反であります。
 反対理由の第二点は、沖繩復帰特別措置法案についてであります。この中には、VOAの設置がきめられておりますが、これは明らかに米軍の反共謀略宣伝放送であるとの疑いが濃厚であります。そのため、中国や北朝鮮を刺激し、極東の緊張を高めるようなことになれば、これこそ国益に反することになるのであります。ニクソン大統領の来年二月訪中により新たな緊張緩和を示し、刻々とアジアの情勢は流動しております。このようなときに何でVOAを存続させる必要があるのか、その理由を全く見出すことができません。いわんや、日本国内においては、電波法により外国の放送を禁止いたしております。それをあえて踏みにじろうとすることは断じて許すわけにはまいらないのであります。
 反対理由の第三点は裁判権の問題であります。民事裁判はさておいて、刑事裁判についていえば、これは国家主権の直接の発動により国の法秩序を維持することに目的があるのでありますから、外国の裁判の効力をそのまま承継するということは、わが国の主権と独立を著しく侵害するものであります。その姿勢は、わが国の司法権の基本理念の崩壊を招き、また、米軍の植民地的不当支配をできるだけ合理化して承認しようとするものであり、さらに沖繩県民の人権を否定し、一方的に不利益を押しつけるものであると言わざるを得ません。沖繩の刑事裁判の実態は、それは一種の軍事裁判であり、支配者の利益のみが貫徹され、被支配者たる沖繩県民の人権が全く無視されており、手続的にも、内容的にも、日本国憲法下の裁判に比して劣悪であり、とうてい民主主義国家の裁判の名に値しないしろものであります。その意味で、法のもとの平等を規定した憲法第十四条違反であり、みずからの手で人権擁護の堅塁を破壊することになり、断じて容認しがたいものであります。この観点からも、奄美大島が復帰してきたときの奄美方式を先例とすべきであります。この再認識があってこそ、沖繩県民が長い人権闘争の過程で最終目的として指向してきた日本国憲法下の復帰がなるのであります。
 次に、対米請求権の放棄についてであります。対米請求権は当然県民の有するものであって、政府のかってな判断にゆだねられるべきものではありません。これも、日本国政府がこれまでの米軍の不法の占領支配を合法化し、県民に対する数々の人権侵害を免責し、正当化しようとするものであり、断じて認めるわけにはまいりません。したがって、政府は対米請求権を放棄した責任をとり、琉球政府の要望である沖繩県民の請求権処理に関する特別立法を行なって、国の責任において処理すべきであることを強く主張するものであります。
 反対理由の第四点は、沖繩振興開発特別措置法案における不満足な沖繩復帰計画には反対であります。第四条には、振興開発計画の決定及び変更についてきめられておりますが、これは沖繩県知事に振興開発計画の原案作成権を持たせながら、計画の最終決定権は内閣総理大臣となっている点であります。このことは、計画原案作成を沖繩県知事の権限としながらも、最終的には意見を聞きおく程度のものとなり、大きく沖繩県民の意思を曲げられるおそれが多分にあるのであります。さらには、この計画決定に重大な影響を持つ振興開発審議会の構成についても、当初は過半数を関係行政機関の職員で占めようとし、この不当性を追及されるや、その委員数を二十五人より三十人以内と改められておりますが、そのやり方についていえば、まさしく陰険であり、言わなければそのままほっかむりし、県民の意思や声を聞こうとしないがごとき姿勢は絶対に許せません。結局は地方自治の権利を大きく制限し、国のかってなやり方を強圧をもって押しつけようとする意図は明瞭であります。沖繩にはこれまでにも外国資本の導入が無計画に実施されたため、自然と資源の蚕食が目立ち、公害はいよいよ深刻化しつつあります。それにもかかわらず、政府は、住民の反対運動などで本土では立地困難となった石油、アルミなどの公害企業を沖繩に誘致するかまえであります。緑濃き美しい沖繩に押しつけようとすることはとうてい忍び得ないものであります。こうしたことは、住民の利益無視、国、大企業主体の開発につながる危険がきわめて大きいのであります。二十六年も放置した沖繩を一体十年たったらどれだけのものにするのか、青写真はどうなのか、また、財政的な援助にしても、地盤沈下した沖繩経済を浮揚させるためにどれだけの抜本的処置をするのか等の重大な問題があまりにも不明であります。このようなずさんな振興開発法を認めるわけにはまいりません。
 反対理由の第五点は、今回の沖繩関連国内法案は、根本的に地方自治を侵害する憲法違反だと強く主張するものであります。憲法第九十五条には、「一の地方公共團體のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共團體の住民の投票においてその過中数の同意を得なければ、國會は、これを制定することができない。」として国民の権利を定めております。今回の沖繩法案は、「一地方公共團體」の沖繩県に適用するものであり、そのときには「その地方公共團體の住民の投票」をする必要があり、「その過牟數の同意」、すなわち住民の賛成を得なければ「國會は、これを制定することができない」と解釈されるのであります。しかるに政府は、手厚い処置をしてあるからその必要はないと言って、この国民の基本権利を踏みにじっているのであります。おそらく住民投票をすれば過半数の賛成を得られぬことを政府・自民党はみずから知っているがゆえに国会審議のみで終わらせようとたくらんだのでありましょう。このことは明らかに自治地方の本旨にそむき、憲法第九十五条の権利を踏みにじる憲法違反の悪法であると強く指摘するものであります。
 最後に、屋良琉球政府主席が本土政府に提出した「復興措置に関する建議書」の採用であります。この中には、沖繩開発のあり方について、県民福祉の向上、自治権尊重、平和で豊かな県づくりという基本理念に基づいた人間主体の開発でなければならないと強く訴えております。復帰にのぞむ沖繩の人々の基本的な願いが、心がここに集約されていると言えましょう。この切なる願いを政府は十分に取り入れるべきであることを強く要望して私の反対討論を終わります。(拍手)
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#18
○議長(河野謙三君) 高山恒雄君。
   〔高山恒雄君登壇、拍手〕
#19
○高山恒雄君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま上程されております沖繩関係四法案及び一承認案件に対しまして、反対の討論を行なうものであります。
 反対の理由を具体的に申し上げる前に、四法案の土台と言うべき沖繩返還協定と沖繩返還に対するわれわれの基本的な考え方をまず申し上げたいと思います。
 わが民社党は、去る四十二年八月、沖繩のいわゆる核抜き・本土並み返還を提唱して以来、その実現に邁進いたしてまいりました。幸いに、これが国民の世論となり、政府もついにこの方針で沖繩返還協定を結ばざるを得なくなったことは周知のとおりであります。しかしながら、返還協定は、核抜きが不明確であると同時に、確認することすら不明確であり、基地の整理縮小についてそのスケジュールが明らかでないことと、木上法のワクをはみ出してVOAが存続すること等の重大な問題をはらんでおり、決して核抜き・本土並みとは言えない内容であることは、これまでの審議を通じて明らかなとおりであるのであります。
 ただいま上程されております四法案は、この沖繩返還協定に根を発する関連法案にほかなりません。しかも、結論から言って、これらの法律案によっては沖繩の本土並み返還が保証されないのみならず、総理の主張される平和で豊かな沖繩建設は、まさに実現性は乏しいと言わざるを得ないのであります。
 その根元にある理由を申し上げますならば、政府の立場は、日米両国間に深い友好関係が保持されているからこそアメリカが善意をもって沖繩の返還に応じてくれるという、いわば恩恵的な考え方のようでありますが、はたしてそうでありましょうか。
 わが党の主張は、確立された国際法に照らして、沖繩の返還は日本の権利として堂々と要求すべき問題であると考えるのであります。この根本的な相違のいずれが最も国益に合致するかは論ずるまでもないのであります。
 まず、復帰特別措置法案については、何よりもVOAの存続に合理性を付与せんとしており、このため、電波法の特例を設けるなどの屈辱性を発揮するほか、米軍施政下で行なわれた刑事裁判の効力をそのまま承継すること自体に問題があり、これは私が強く反論する理由の一つであります。
 まして、農業委員会の委員の選挙または教育委員会の公選制の廃止を予定していることなどの重大な問題を有しているのでありますが、沖繩の教育委員公選により、今日まで二十数年間、日本人であるという、本土にひとしい教育を守り抜いてきた事実を無視し、直ちにこれを廃止することは、まだまだ問題を残す危険性があるのであります。
 次に、沖繩振興開発法案について申し上げますならば、最大の問題点は、たとえば嘉手納村では全面積の八〇%、コザ市では七〇%、浦添市では八〇%以上も米軍基地に接収されているごとく、沖繩本島だけを見ても全体の二三%という膨大な面積の返還なくして何の振興開発と言うことができるでしょうか。この法律案の目ざすものは、まさに実体を伴わない名前だけの振興開発だと言っても過言でないのであります。
 さらに、公用地等の暫定使用法案についてであります。この法律案に関しましては、すでに本院の本会議並びに沖繩北方特別委員会の審議を通じてその違憲性が明らかにされ、まさに史上類例のない悪法としての内容が衆参両院で繰り返し究明されたところであります。
 そもそも、同法案は、沖繩返還協定と不可分一体の性格を持ち、特に本土では地位協定の実施に伴う土地等に関する特別法によって強制収用が六カ月に限定されているにもかかわらず、今回の法案では、これが実に約十倍の五カ年に延長されるというのであります。また、本土法では認められていない自衛隊基地についてまで強制使用の対象を拡大すること、さらに道路、水道、電気事業などの純粋な公共用地についても、これとは全く異質の軍用地とを抱き合わせるという形で、本土土地関係法の体系を混乱におとしいれているものでありまして、断じて容認することができないのであります。このことは、やがて本土法の改悪、変質にまで及ぶおそれなしとしないのであります。
 しかも、この法律案に基づく土地利用の前提となるべき沖繩の地籍調査を、米政府との話し合いで行なうことができたにもかかわりませず、いままでこれを行なわなかったのみならず、今後もこの調査計画が明らかにされていないことなどが主要な問題であり、この法律案は、どの角度から見ましても、悪法の典型と言うほかないのであります。先ほども指摘したごとく、きわめて違憲性の高いものであって、決して容認できないのであります。
 以上を総括いたしまして結論的に言うならば、これら沖繩返還協定と密接に関連する四法案は、VOA存続の特例法の容認や公用地暫定使用法案に見られるごとく、沖繩の返還が何ら本土並みでないばかりか、本土並みとはおよそかけ離れたものであり、もはや多言を要しないのであります。すなわち、これは本土並みとは似ても似つかぬしろものであると言っても過言でないのであります。平和で豊かな沖繩建設を何ら保障するものではないということを、私は重ねて主張するものであります。これでは、沖繩百万県民はもとより国民の長年の念願であった沖繩返還は、形の上では実現されたものの、沖繩県民の意思を無視し、しかも将来に禍根を残すものにならざるを得ないと私は痛感するのであります。
 かかる見地から、私は、ただいま上程されておりまする四法案に対しまして強く反対の意思を表明するものであります。
 最後に、私は、一言政府に要望いたします。沖繩国会と銘打った本国会が、七十日で審議を満たすことができず、さらに三日間の会期延長をせざるを得なかった事実に照らし、いかに重大問題であるかを認めざるを得ないのであります。したがって、問題は今後にかかっています。沖繩百万県民の二十数年にわたる言語に絶する苦難を耐え抜いてきた同胞を、精神的にも財政的にも本土以上の内容で迎える今後の努力を強く要望して 私の討論を終わるものであります。(拍手)
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#20
○議長(河野謙三君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#21
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、沖繩関係法案に対する反対討論を行ないます。
 反対理由の第一は、これらの法案が、すでに両院の審議を通じて明らかにされたように、きわめて侵略的、屈辱的な日米沖繩協定と密接不可分の関係にあり、協定の実施を国内法で裏づけようとするものだからであります。沖繩百万県民はもとより日本国民大多数の意思に反した沖繩協定とその関連法案が、十分な審議も尽くさず、自民党だけの賛成で強引に成立させられることは、日本民族の将来にとって、特に沖繩県民の今後にとって重大な禍根を残し、足かせをはめることは明白であります。
 政府は、沖繩協定と土地強制使用法によって、施政権返還後も極東最大の米軍基地を引き続き存続させ、新たに大規模な自衛隊の駐留をも進めようとしているが、これまでの審議を通じても、核問題や沖繩米軍の自由出撃を事前にチェックするなどの問題については、何一つ国民に納得のいく解明はされておりません。しかも、わが党が一貫して追及してきたように、この協定は、日米共同声明を基礎とすることによって安保条約の目的、範囲を極東全体に広げ、事実上安保条約を改悪し、ニクソン・ドクトリンに基づきアメリカの侵略的な極東戦略に日本を深く組み込もうとするものであります。
 さらにこの協定は、対米請求権の放棄、沖繩県民に無償で引き継ぐべき資産の買い取り、占領中の米軍裁判の引き継ぎ、電波法にまっこうから違反するVOAや外国企業の特権の存続など、わが国の主権侵害を進んで容認した、きわめて屈辱的なものであります。
 このような重大な内容を含んだ沖繩協定実施を保障した関連法案は、核も基地もない沖繩の全面返還をひたすら要求し続けてきた沖繩県民をはじめ日本国民の願いを踏みにじるものであり、われわれのとうてい容認できないものであります。
 反対理由の第二は、米軍基地の継続使用、自衛隊沖繩配備のために県民の土地を強奪する公用地暫定使用法案が憲法の諸条項をまっこうから踏みにじる違憲立法であり、県民の権利を奪うものだからであります。すでに日米両政府が、この法案の成立が協定批准の前提条件だと公然と言明していることからも明らかなように、この法案はポツダム宣言、へーグ陸戦法規などに違反し、米軍の占領下、銃剣で奪い取った不法不当な土地取り上げを合法化し、今後も引き続き使用させるためのものであります。
 わが党をはじめ、野党側の追及で浮き彫りにされたように、この法案は、何の行政手続もとらずに、問答無用でいきなり使用権が設定できるという、戦時立法にもなかった乱暴きわまる法案であり、世界でもまれに見る悪法であります。これは、国民の財産権の尊重、すべての国民は法のもとでの平等が保障されるという原則と国民の裁判を受ける権利などを保障した憲法の各条項をじゅうりんするものであり、さらに、土地収用法など、わが国の土地立法と根本的に相いれないものであります。これらの重大な問題点の追及に対し、政府自身も、施政権下でありやむを得ない暫定措置という以外に何の答弁もできなかったことを見ても、この法案の不法、不当性が証明されているではありませんか。
 反対理由の第三は、政府は、沖繩協定で沖繩県民の賠償請求権をすべて放棄しているにもかかわらず、この関連国内法案では、県民の損害を何ら補償する措置をとっておりません。それのみならず、米軍占領下の不当な刑事裁判権を有効として引き継ぐという、協定の屈辱性をそのまま特別措置法で法制化している点であります。これは四半世紀の長きにわたり米軍の軍事的、植民地的支配下で筆舌に尽くしがたい苦しみを受けてきた沖繩県民を保護しなければならない政府の重大な責任放棄と言わなければなりません。しかも、主権の重要な内容である裁判権について、占領下の異民族裁判を引き継ぐということは、憲法下の法体系と根本的に矛盾するものであり、主権と国民の権利に対する重大な侵害として断じて許すことのできない問題であります。
 反対理由の第四は、政府の目ざす経済開発が県民の要望に全く逆行するからであります。沖繩では、農地を含む広大な土地が米軍に取り上げられ、農業の発展や合理的な町づくりの大きな障害となっております。この基地を存続したままでは、平和で明るく豊かな県づくりもできないことは明らかではありませんか。しかも政府は、向こう十五年間の基地存続を前提としてアメリカに支払う軍労働者の退職金を計算しているではありませんか。
 また、振興開発特別措置法案は、石油、アルミなどの公害産業を特別に優遇して工場立地を助け、国と地方自治体の資金をその基盤づくりにつぎ込むなど、アメリカと日本の大企業の利益を優先する開発をはかるものであります。これは、県民に必要な土地や水、電力を大量に取り上げ、逆に人はあまり雇用せず、公害や過密過疎現象を激化するなど、基地による苦しみに加えて、県民に二重の被害を与えるものであります。しかも、農業や中小企業、地場産業の振興と開発については見るべき具体的な計画もありません。その上、開発計画の決定権は総理大臣、おもな道路、ダムの権限は建設大臣に与えるなど、県知事の権限を大きく制約しております。これは県民の自治権の侵害であります。
 最後に私は、政府・自民党が日本の進路と民族の運命を左右するかかる重大案件の審議に対してとった議会制民主主義のじゅうりんについて強く抗議いたします。政府・自民党が参議院での自然成立を前提として衆議院で行なった沖繩協定強行採決の暴挙は、国会の法規、慣例、国会の審議権を否定した不法不当なものとしてきびしく糾弾されなければなりません。また参議院の審議においても、国民が深刻に憂慮している核や基地問題、国民の主権侵害をはじめとする数々の疑惑の解明について、政府は何ら納得のいくまともな答弁もできず、不誠意きわまるその場のがれの態度に終始しました。さらに、臨時国会の会期末、一方的に会期を延長したにもかかわらず審議が尽くされなかった関連法案は、当然廃案とすべきものであるのに、本日の通常国会召集日に異例の採決を行なうということは、今後に悪例を残すものであります。このように、政府・自民党が議会制民主主義をじゅうりんし、しゃにむにゴリ押ししてきた審議のやり方の中にこそ、沖繩協定並びに関連法案の持つ危険な本質が浮き彫りにされておるのであります。佐藤総理は、これをもってサンクレメンテヘのおみやげができたと内心喜んでいるかもしれませんが、それはとんでもないことでございます。核も基地もない平和で豊かな沖繩の祖国復帰を切望する沖繩県民をはじめ、平和と日本の真の独立を求める日本国民は、このような危険な道を許さず、国の政治の真の革新を必ずやり遂げるでありましょう。このことを強く指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(河野謙三君) 喜屋武眞榮君。
   〔喜屋武眞榮君登壇、拍手〕
#23
○喜屋武眞榮君 私の与えられた時間は五分でありますけれども、たれか故郷を思わざる、たれか祖国を愛せざる。愛するがゆえに、私は第二院クラブを代表し、また特に沖繩県民の立場に立って、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案外関連法案に対する反対討論を述べます。(拍手)
 沖繩県民は、二十数年間の長きにわたりアメリカの軍事的植民地支配の重圧下にあって、祖国への復帰を求め、たび重なる苦難を乗り越えつつ粘り強く戦ってまいりました。戦後なお荒廃した山河のもと、支配者米軍によって人間扱いをされない環境の中で、はるかに伝え聞く祖国の新しい憲法に私たちは涙が出るほどの感激を覚え、復帰に対して大きな期待と希望とを寄せたのであります。ところで、施政権返還後の沖繩では、県民が長きにわたって望んできたように、平和と人権と自治がはたして回復され、格差が是正されると言えるでありましょうか。率直に申し上げて、多くの点においていまだ満足すべき措置がとられる態勢になっていないのであります。沖繩の振興という名のもとに、他府県に見られない沖繩総合事務局という巨大な権限を持つ機関が新生沖繩県の頭上にのしかかって、中央集権の波がストレートにかぶさってくる懸念が十分に予想されます。今後は、中央の巨大な行政権力によって沖繩の本土化がすべての分野で推し進められるでありましょう。だが、すべての分野で画一的に本土化することが沖繩にとって必ずしもプラスにはならないのであります。たとえば「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」という教育基本法の理念が沖繩では脈々と生きてきたのであります。一方、教育の国家統制をはかる手段として任命制の教育委員が利用されつつある本土においてさえ、教育行政のあり方があらためて問われ、真の国民のための教育を実現するため教育委員公選制の復活が強く要求されているのであります。沖繩に対する任命制の押しつけは、教育委員制度本来の趣旨である教育行政の民主化、自主化、地方分権化に逆行するものであると言わねばなりません。
 この例のほか、関連法案では、請求権の補償、刑事裁判の洗い直し等、琉球政府が沖繩県民の声を最終的に集約した建議書の内容が、その重要部分においてほとんど顧みられていないのであります。
 私は、また、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案について特に次の点を指摘したいと思います。
 第一に、この法案は、告示のみによって復帰と同時に使用権を発生せしめるものでありますが、その告示は目的物の特定という面であいまいであり、また、沖繩在住の地主等にとっては無縁とも言うべき本土の官報に掲載されるなど、不服申し立てを事実上著しく制限するものであること。
 第二に、その期間が五年という長期であって、暫定使用の名をかりて事実上新たな使用権を設定するものであること。
 第三に、米軍による不法不当な土地取り上げを日本政府の名において合法化、正当化するものであること。
 第四に、防衛出動以外には認められない自衛隊による土地等の強制使用を認めるほか、新規使用に先立つ暫定使用という法理を無視した措置をとるものであることなど、わが国はじめ民主国家の土地法体系とはなはだしく性格を異にし、憲法上重大な疑義があるものであります。かような法律を一地方のみに押しつけることは差別にほかならず、まさに新たな琉球処分と言わなければなりません。そして、この憲法軽視の精神が軽々に看過されるような政治的不感症とも言うべき風潮が次第次第に蔓延するとき、やがては日本国民全体の上に不幸が重くおおいかぶさってくることを私は憂えるものであります。
 最後に、私はこの際、沖繩県民の根強い反自衛隊感情について触れたいと思います。
 沖繩は、古来武備なきことを誇った土地柄であります。過ぐる大戦末期、十万余の日本軍が配備されましたが、この旧日本軍隊に対する悪夢の思い出は決して好ましいとは言えません。新聞社による世論調査で、自衛隊配備に反対が五割をこえ、賛成は二割にすぎないという事実を政府は直視すべきであります。ましてや、復帰と同時にこの法律により無理やりに進駐をするという印象を与えることになれば、不測の事態すら生ずることを私はおそれるものであります。そしてまた、この法律が、沖繩に限らず、わが国の将来に暗い影を落とすことを私は憂えつつ私の反対討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。
 まず、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、及び沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。四案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議事閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#25
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#26
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#27
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十二票
  白色票            百三十票
   〔拍手〕
  青色票             百二票
   〔拍手〕
 よって、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、及び沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百三十名
      久次米健太郎君    亀井 善彰君
      川上 為治君    熊谷太三郎君
      温水 三郎君    濱田 幸雄君
      森 八三一君    小山邦太郎君
      棚辺 四郎君    中村 禎二君
      橋本 繁蔵君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    志村 愛子君
      竹内 藤男君    高橋 邦雄君
      柴立 芳文君    古賀雷四郎君
      黒住 忠行君    小林 国司君
      大松 博文君    玉置 猛夫君
      永野 鎮雄君    山崎 五郎君
      石原慎太郎君    長田 裕二君
      菅野 儀作君    石本  茂君
      佐田 一郎君    鬼丸 勝之君
      安田 隆明君    藤田 正明君
      源田  実君    長谷川 仁君
      二木 謙吾君    河口 陽一君
      木村 睦男君    土屋 義彦君
      栗原 祐幸君    木島 義夫君
      米田 正文君    津島 文治君
      徳永 正利君    丸茂 重貞君
      平島 敏夫君    江藤  智君
      鍋島 直紹君    新谷寅三郎君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      杉原 荒太君    上原 正吉君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      古池 信三君    安井  謙君
      重宗 雄三君    細川 護煕君
      岩動 道行君    上田  稔君
      佐藤  隆君    中山 太郎君
      川野 辺静君    河本嘉久蔵君
      金井 元彦君    片山 正英君
      梶木 又三君    若林 正武君
      長屋  茂君    増田  盛君
      矢野  登君    山本敬三郎君
      渡辺一太郎君    鈴木 省吾君
      山崎 竜男君    高田 浩運君
      佐藤 一郎君    中津井 真君
      寺本 廣作君    久保田藤麿君
      園田 清充君    鹿島 俊雄君
      植木 光教君    玉置 和郎君
      町村 金五君    橘直  治君
      高橋文五郎君    大森 久司君
      岡本  悟君    吉武 恵市君
      大谷藤之助君    塚田十一郎君
      小笠 公韶君    前田佳都男君
      堀本 宜実君    柴田  栄君
      大竹平八郎君    平井 太郎君
      塩見 俊二君    剱木 亨弘君
      青木 一男君    迫水 久常君
      西田 信一君    増原 恵吉君
      赤間 文三君    斎藤  昇君
      林田悠紀夫君    船田  譲君
      今泉 正二君    嶋崎  均君
      稲嶺 一郎君    世耕 政隆君
      初村滝一郎君    星野 重次君
      山本茂一郎君    山内 一郎君
      柳田桃太郎君    宮崎 正雄君
      楠  正俊君    高橋雄之助君
      内藤誉三郎君    西村 尚治君
      後藤 義隆君    伊藤 五郎君
      白井  勇君    平泉  渉君
      田口長治郎君    八木 一郎君
      山本 利壽君    山下 春江君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百二名
      塩出 啓典君    喜屋武眞榮君
      野末 和彦君    山田  勇君
      内田 善利君    藤原 房雄君
      栗林 卓司君    藤井 恒男君
      中村 利次君    青島 幸男君
      原田  立君    中尾 辰義君
      木島 則夫君    柴田利右エ門君
      上林繁次郎君    矢追 秀彦君
      三木 忠雄君    阿部 憲一君
      松下 正寿君    萩原幽香子君
      峯山 昭範君    田代富士男君
      柏原 ヤス君    黒柳  明君
      田渕 哲也君    沢田  実君
      山田 徹一君    鈴木 一弘君
      宮崎 正義君    向井 長年君
      高山 恒雄君    渋谷 邦彦君
      二宮 文造君    多田 省吾君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      中村 正雄君    村尾 重雄君
      田  英夫君    上田  哲君
      工藤 良平君    竹田 現照君
      戸田 菊雄君    前川  旦君
      沢田 政治君    田中寿美子君
      松永 忠二君    森中 守義君
      野上  元君    西村 関一君
      阿具根 登君    森 元治郎君
      瀬谷 英行君    羽生 三七君
      加藤シヅエ君    藤原 道子君
      鶴園 哲夫君    鈴木  強君
      片岡 勝治君    辻  一彦君
      佐々木静子君    須原 昭二君
      加藤  進君    水口 宏三君
      小谷  守君    神沢  浄君
      鈴木美枝子君    宮之原貞光君
      杉原 一雄君    竹田 四郎君
      安永 英雄君    和田 静夫君
      塚田 大願君    大橋 和孝君
      川村 清一君    中村 波男君
      鈴木  力君    森  勝治君
      村田 秀三君    星野  力君
      林  虎雄君    佐野 芳雄君
      松本 賢一君    小林  武君
      茜ケ久保重光君    松井  誠君
      渡辺  武君    須藤 五郎君
      矢山 有作君    占部 秀男君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    戸叶  武君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      加瀬  完君    吉田忠三郎君
      小野  明君    成瀬 幡治君
      野坂 參三君    春日 正一君
     ―――――・―――――
#28
○議長(河野謙三君) 次に、国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#29
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十一時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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