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1971/01/29 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第2号
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1971/01/29 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第2号

#1
第068回国会 本会議 第2号
昭和四十七年一月二十九日(土曜日)
   ○開 会 式
 午前十時五十八分 参議院議長、衆議院参議院の副議長、常任院長及び議員、内閣総理大臣その他の国務大臣及び最高裁判所長官は、式場に入り、所定の位置についた。
 午前十一時 天皇陛下は衆議院議長の前行で式場に入られ、お席に着かれた。
   〔一同敬礼〕
 午前十一時二分 天皇陛下は衆議院議長船田中君は式場の中央に進み、次の式辞を述べた。
   式 辞
  天皇陛下の御臨席をいただき、第六十八回国会の開会式をあげるにあたり、衆議院及び参議院を代表して、式辞を申し述べます。
  全国民多年の願望であった沖縄の復帰がいよいよ実現をみますことは、喜びにたえません。
  現下内外の諸情勢は、なお極めて多端であります。このときにあたり、われわれは、外に対しては、激動する国際社会に即応する方策を確立して、ますます諸外国との強調を深めるとともに、内においては、社会福祉の増進、産業・経済の調整発展をはかり、国民生活の安定向上にいっそうの努力をいたさなければなりません。
  国会は、今年をもって、発足以来二十五年を迎えるのでありますが、われわれは、議会の果たすべき役割りにあらためて思いをいたし、国民諸君の求めるところをはかり、議会政治の権威を一段と高めなければなりません。
  ここに、開会式を行うにあたり、われわれに負荷された重大な使命にかんがみ、日本国憲法の精神を体し、おのおの最善をつくしてその任務を遂行し、もって国民の委託にこたえようとするものであります。
 次いで、天皇陛下から次のおことばを賜った。
   おことば
  本日、第六十八回国会の開会式に臨み、全国民を代表する諸君と親しく一堂に会することは、わたくしの喜びとするところであります。
  このたび、国民の願望である沖縄の復帰が、いよいよ近く実現の運びとなったことは、まことに喜びに堪えません。沖縄同胞の労苦を思い、暖かく迎えたいと思います。
  現下の内外の情勢は、きわめて流動的であり、多端なものがあります。この間に処して、外にあっては、世界の平和のため、内にあっては、国民生活の安定向上に、全国民が相協力して、今後いっそう努力することが必要であると思います。
  ここに、国会が、当面の諸問題を審議するにあたり、国権の最高機関として、その使命を遺憾なく果たし、国民の信託にこたえることを切に望みます。
   〔一同敬礼〕
 衆議院議長はおことば書をお受けした。
 天皇陛下は参議院議長の前行で式場を出られた。
 次いで、一同は式場を出た。
   午前十一時八分式を終わる
     ─────・─────
昭和四十七年一月二十九日(土曜日)
   午後二時八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  昭和四十七年一月二十九日
   午後二時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 一、故議員中村喜四郎君に対し弔詞贈呈の件
 一、故議員中村喜四郎君に対する追悼の辞
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 西村関一君から海外旅行のため十日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) この際、おはかりいたします。
 逓信委員長横川正市君から、常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
#9
○瀬谷英行君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#10
○山崎五郎君 私は、ただいまの瀬谷君の動議に賛成いたします。
#11
○議長(河野謙三君) 瀬谷君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、逓信委員長に杉山善太郎君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#13
○議長(河野謙三君) 議員中村喜四郎君は、昨年十二月二十一日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は議員正五位勲三等中村喜四郎君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ―――――・―――――
#14
○議長(河野謙三君) 大松博文君から発言を求められております。この際、発言を許します。大松博文君。
   〔大松博文君登壇、拍手〕
#15
○大松博文君 私は、皆さまのお許しを得まして、議員一同を代表し、昭和四十六年十二月十一日逝去されました参議院議員正五位勲三等故中村喜四郎君のみたまに対し、つつしんで御冥福をお祈りするとともに、君の生前の御功績をしのびつつ、心から追悼のことばを申し述べたいと思います。
 君は、明治四十三年十一月五日茨城県に生まれ、よわい六十一歳、参議院議員として、また行動する政治家として、今後いよいよその御活躍が期待されておりましたのに、不幸病魔のおかすところとなり、その生涯を閉じられたのであります。
 私は、君の訃報に接しましたとき、平素剣道によって鍛え抜かれた体力と精神力の持ち主である君の死など、とうてい信ずることはできませんでした。しかし、いまや君の元気なお顔を再び見ることはできないのであります。私は、惜しい男を失ったと、暗然として悲しみの胸に迫るのを禁じ得ません。六十一年の生涯を通じ、教育の振興、地方の開発などに尽くされた君の情熱と崇高な精神に対し、深い敬意を表しますとともに、ここにつつしんで哀悼の誠をささげるものであります。
 君は、茨城県師範学校、東京高等師範学校卒業後、郷里の小学校訓導、島根県師範学校教諭を歴任するとともに、さらに現在の東京教育大学の前身である東京文理科大学に進み、昭和十五年同大学卒業後は中国に渡り、北京日本中学校教諭、北京工業大学教授を奉職、その上昭和二十年祖国日本帰還後は茨城県立境高校教諭を勤務するなど、戦前戦後を通じ、まさに君は教育一筋の道を歩まれたのであります。
 昭和二十二年、地方政界進出を決意し、茨城県議会議員当選以来、連続五期十八年間にわたり、県議会議員として活躍され、この間県議会各種委員長及び県議会議長に選ばれ、茨城県政の発展、地方開発などに、持ち前の行動力をもって懸命の努力を尽くされたのでありまして、その残された御功績はまことに大なるものがあるのであります。
 君と私は、ともに体育、スポーツの振興を信条としていた関係上、特に親密な御交誼を願うとともに、先輩議員としての君から、私は種々御指導、御鞭撻を賜わったのであります。
 君は、剣道の達人であり、一面、硬骨漢としての性格の持ち主でありましたが、親しく接しますと、親身にあふれ、人間味豊かな方でありました。あるとき、君と私が話をしておりましたところ、君は、「大松君は世間でよく鬼の大松といわれているようだが、ぼくはどちらかといえば仏の中村だな」と申されたので、私はさっそく「それは全く逆だ」と反論したことを思い出します。ところが、君は、今次太平洋戦争中戦死しいまだに南の島のジャングルに眠っている将兵の遺骨収集団長としてしばしば現地を訪れ、発見された白骨に、携帯したふるさとの水を手向けその霊を供養した事実はあまりにも有名であります。この事実から見ますと、君が「仏の中村」であったことは、真実だと思います。
 君はまた「剣道の中村」でありました。現在、範士号の資格を持つ剣道の実力者であり、一日二千回剣の素振りを行ない、登院中も会館地下の道場において剣道に励む君の姿を見受けました。君と剣道のつながりは、幼少のころからだが弱かったので、からだを鍛えるために剣道を始めたことが動機であるということであります。自来四十数年間剣道にいそしんでまいりました。君のたくましい精神力、果敢な行動力は、この剣道による修練から生まれたと言っても過言ではありません。
 君の国政参与の足取りを見ますと、昭和四十年茨城県から第七回参議院議員通常選挙に当選、引き続き昭和四十六年第九回通常選挙にも当選、経験を積まれた第二期参議院議員として今後大いになすところあらんとしたのに、任期開始後幾ばくもなくして逝去されましたことは、返す返すも残念でなりません。この間、法務、決算、文教、建設等の常任委員を歴任されましたが、文教委員としての期間が長く、昭和四十三年には文教委員長に選任され、教育立法の審議制定、教育、学術、文化の振興に尽力されたのであります。君の文教委員長在職中は、わが国に大学紛争が多発したときであり、君は、教育に対する理念、情熱に基づき、紛争解決の道を求めて奔走されました。特に、君の母校である東京教育大学の紛争につきましては、いたく心痛され、大学側、学生側に積極的に接触し、紛争打開に尽瘁されたことに対しましては、頭の下がる思いをいたしました。
 もう一つ忘れることのできないのは、「開発の中村」として、議員活動を通じ、あるいは建設委員となり、首都圏整備副委員長に就任するなど、地域開発のために意欲的に行動したことであります。特に、筑波研究学園都市及び水戸−日立百万都市の建設は、君の最大の念願でありました。筑波山ろくに、わが国の教育及び学術研究の水準を高めるため理想的な研究学園都市を建設しようとする計画の実現には、政治的生命をかけて活躍されました。計画実現の遅延は、一に政府の怠慢によるものだと国会において政府を鋭く追及したり、建設促進法案を立案したり、八面六臂の奮闘努力を傾けたのであります。この結果、すでに一部の政府機関の筑波地区への移転が実現し、研究学園都市建設の第一歩を踏み出したことは、まさに君の御功績と言うべきでありますが、その前途には、まだまだ幾多の難関が横たわっており、今後一そう君の行動力にまつところが大でありました。しかるに研究学園都市建設完成を見ることなく、この世を去らなければならなかったことは、君はさだめし無念に思っていることでありましょう。
 いまやわが国の教育は新時代を迎え、初等中等教育及び高等教育改革の重要な課題をかかえております。このときにあたり、君のような学識経験ともに豊かではつらつたる行動力を持つ有為な人材を失いましたことは大きな損失であり、惜しみても余りあります。
 しかし、われわれとしてはありし日の君をしのび、わが国の教育の刷新につとめるとともに、私としては君と共通の信条である体育・スポーツの振興に尽力する決意であります。
 また、君の念願でありました筑波研究学園都市及び水戸−日立百万都市の建設につきましては、必ず地域住民が君の御遺志を体して邁進することでありましょう。もって、君、瞑されよ。
 ここに、君の御逝去に対し、心から哀悼の意を表しますとともに、君の御冥福と御遺族の御健康を祈り、追悼のことばとさせていただきます。(拍手)
#16
○議長(河野謙三君) これにて休憩いたします。
   午後二時二十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四十八分開議
#17
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件
 内閣総理大臣から施政方針に関し、外務大臣から外交に関し、大蔵大臣から財政に関し、木村国務大臣から経済に関し、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。佐藤内閣総理大臣。
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(佐藤榮作君) 新しい年を迎え、第六十八回国会が開かれるにあたり、所信を申し述べたいと存じます。
 まず、戦後二十有余年の長きにわたって、米国の施政権下に置かれてきた琉球諸島及び大東諸島は、本年五月十五日、わが国に復帰することになりました。ここにつつしんで御報告申し上げ、国民各位とともにこれを喜びたいと思います。(拍手)
 沖繩の本土復帰は、長期にわたる民族的宿願の達成を意味するものであり、わが国の歴史上きわめて大きな意義を有するばかりでなく、戦後の国際関係の推移にとっても、一つの時期を画する重大なできごとであると考えます。これをなし得たのは、沖繩県民をはじめ一億国民の英知と努力によるものであり、さらには戦後一貫してつちかわれてきた日米間の友好信頼関係のたまものにほかなりません。
 顧みれば昭和三十九年、私は政権担当の重責をになうにあたって、沖繩返還の実現をみずからの大きな政治目標の一つとして掲げました。翌四十年沖繩現地を視察して、沖繩同胞の祖国復帰への切なる訴えを聞き、いよいよその決意をかたくいたしたのであります。自来七年余にわたりこの問題に真正面から取り組んでまいりましたが、ここに復帰の実現を見るに至りましたことは、まことに感慨無量なるものがあります。沖繩の祖国復帰は、一九六九年の日米共同声明並びに沖繩返還協定にあるとおり、核抜き本土並みの原則のもとにその実現を見るのであります。この点について米国政府は、返還に際し、沖繩には核兵器が存在しないことを確認するとの意向を明らかにしております。また、沖繩における人口密集地帯及び産業開発と密接な関係にある地域に存在する米軍の施設・区域については、復帰後できる限り整理縮小することについても米側の理解を得ております。このような形で、沖繩が自由を守り平和に徹するわが国の不可分の領土としてその施政権が返還されることは、アジアにおける緊張の緩和を促進し、新たな安定と秩序を築くことを可能にするゆえんでもあると信ずるものであります。
 沖繩百万の同胞は、戦中、戦後を通じて大きな犠牲を払ってこられました。われわれは沖繩同胞の苦悩を忘れてはならないのであります。国民各位とともに、沖繩県民の御労苦を深くねぎらいたいと思います。そのためには、平和で豊かな県づくりに全力をあげなければなりません。私は、今後とも沖繩の緑の島としての環境を保持しつつ、その開発と発展をはかり、県民の福祉の向上に最大の努力を傾けるとともに、沖繩国際海洋博覧会が成功裏に開催されるよう、各界の力を結集し、国をあげて取り組んでまいる所存であります。
 次に、サンクレメンテにおけるニクソン米国大統領と私の会談について申し述べます。わが国にとって、米国との関係は、他のいかなる国との関係にも増して重要であります。今日、国際関係がいかに多極化したとはいえ、この事実にはいささかの変化もないものと考えます。私はこの基本的な認識のもと、これまですでに四回訪米し、米国首脳と日米間の友好と協力関係の維持増進について話し合いを行なってきたのでありますが、今回は、沖繩返還協定が両国国会で承認されたこと、多国間の通貨調整が成功したことなどの新しい事態を踏まえ、新たな日米関係並びに国際関係全般について、率直な意見の交換を行ないました。その結果、日米両国の信頼と協力の関係が、日米両国のそれぞれにとってのみならず、アジア、ひいては世界全体の平和と繁栄にとってもきわめて重要なものであることについて、重ねて意見の一致を見ました。また、米国はわが国との緊密な協力なくしてはアジアにおける緊張緩和の達成をはかることは困難である一方、同様に米国との協力によってこそ、わが国はみずからの平和と繁栄を確保し、アジアの安定と発展のために寄与することができるという点について、共通の認識を深めた次第であります。昨年九月の日米貿易経済合同委員会以来、日米間の貿易及び経済関係の改善について大きな進展が見られつつありますが、かかる緊密な経済関係を一そう円滑にすることは、両国の友好親善関係の強化のみならず、世界全体の経済発展にとってもきわめて重要であります。また、日米両国は他の諸国とともに、通貨制度の改善、世界貿易の拡大及び発展途上国に対する援助について、さらに努力を重ねる必要があります。この点は今回の会談においてもあらためて強調されたところであります。
 今後日米両国は、高度先進工業国家としての共通の基盤の上に、新たな角度から、深いつながりを持ち続けることになります。文明の進歩に伴う諸種の課題、すなわち都市問題、公害問題、情報処理の問題などの分野で、両国間にはすでに緊密な協力関係が存在しているのでありますが、今後とも相互に、技術、知識、情報などを交換し合って、問題解決のため物心両面にわたって助け合うことがますます重要となってまいります。また、日米間の学術、文化の交流に力を注ぎ、長期的に安定した日米関係を樹立するため、両国関係の調整に今後一そう細心周到な努力を払う決意であります。
 昨年は、世界情勢が激動し、特にわが国をめぐる国際環境がきびしさを加えた年でありました。このような状況のもとで、国民の中に不安感や焦燥感の高まりがうかがわれたことも、決してゆえなしとしません。国際政治がいわゆる多極化の様相を呈し、国家関係が従来にも増して複雑なからみ合いを示すに応じて、わが国の外交も客観情勢の変化に十分対応し得る姿勢を整えてゆかなければならないことは申すまでもありません。同時に、このような多事多難な時期においてこそ、国際関係の実体を適確に把握し、事に処するにあたって、国家百年の計を誤らないように期することが肝要であります。
 アジアの情勢は、中華人民共和国の国連参加、ニクソン大統領の同国訪問計画、米国のベトナム和平提案など、緊張緩和に向かっての動きがうかがわれます。また、東南アジアには地域協力の推進など自主自立への道を探る動きも見られます。他方昨年末のインド・パキスタン間の武力による衝突など、不安定な様相をも残していることも見のがせません。これらの動きは、多極化の方向に向かって激しく流動している国際情勢のもとで、諸民族、諸国民が、新たな安定と秩序を求めて模索を続けていることのあらわれとも申せましょう。私は、アジアの諸民族が自国の置かれた立場を見きわめ、冷静に事態の解決と正常化につとめることを望むものであります。同時にわが国といたしましても、アジアにおいて真の恒久的平和が一日も早く達成され、諸国民が相携えて、発展と繁栄への道を進むことができるよう、あらゆる努力を惜しまないものであります。
 中国はわが国にとって、最大の隣国であるのみならず、日中間には二千年にわたる交流の歴史があります。日中両国の関係が長期的に安定したものになることは、アジアの平和はもとより世界の平和維持にとっても重要な意義を持つものと考えます。戦後わが国は、中華民国政府との間に日華平和条約を結び、自来二十余年にわたって、貿易、経済、文化などの各面において密接な関係を維持してまいりました。一方、中国大陸との関係は、民間貿易を中心に交流を重ね、日中間の貿易総額は年間すでに九億ドルに達しようとしております。
 政府は、昨年、中華人民共和国政府が国連総会の議席並びに安全保障理事会の議席を占めることになったことにかんがみ、かつ、中国は一つであるという認識のもとに、今後、中華人民共和国政府との関係の正常化のため、政府間の話し合いを始めることが急務であると考えております。国際関係の現実に立脚し、相互の立場を尊重するというたてまえのもと、双方が関心を持つあらゆる問題について率直な話し合いを行なうべきものと信じます。わが国の真意について中国側に誤解や不信感があるなら、政府としては、あらゆる努力を払ってこれを解消したいと考えております。日中間の諸問題は、正常化交渉の過程でおのずから解決の道が見出されるものと確信いたします。政府は、一日も早く日中間に善隣友好関係を樹立し、相携えてアジアの平和と繁栄に寄与する日の来ることを衷心より希望するものであります。
 日ソ関係は、去る昭和三十一年日ソ共同宣言に署名して以来、年々友好親善の度を厚くしております。しかしながら、両国関係の長期的な安定をはかるためには、日ソ平和条約の締結が必要であることは申すまでもありません。政府は、今般、グロムイコ・ソ連外相が定期協議のため来日したのを機会に、平和条約問題をはじめ、両国間の友好親善関係の増進並びに国際間の諸問題について話し合いを行ないました。平和条約の締結についてはソ連側もその意義を認めており、本年中に交渉を開始することに合意いたしました。また、国際間の平和維持及び両国間における貿易、経済、文化などの相互関係を一そう活発化することについてもきわめて意欲的で、わが国との緊密な協力を期待していることがうかがわれました。今回の会談を通じ、相互に理解を深め合ったことは、まことに有益であったと考えます。
 私は、国際社会における戦後体制の推移を見きわめつつ、北方領土問題を解決して、日ソ平和条約を締結するために全力をあげる決意であります。さらに、通商関係の増進等、両国関係の発展につとめるとともに、安全操業をはじめ両国間の漁業に関する諸問題について引き続きソ連の理解と協力を求めてまいる所存であります。
 わが国の防衛については、国民の国を守る気概のもと、国力国情に応じて自衛力を整備し、日米安全保障体制と相まって、国の安全を確保するという基本方針を堅持してまいります。
 昨年の末、通貨の多国間調整が実現し、国際通貨危機が一応の収束を見るに至ったことは、国際協調のたまものであり、これを歓迎するものであります。しかし、世界経済の円滑な発展には、今回の通貨調整を第一歩として、新しい国際通貨秩序の建設と自由な通商の拡大とに引き続き努力しなければなりません。米国、西欧及び日本は、ともに世界経済の拡大と安定のために、大きな責任と役割りを有しているのであります。しかし、国内になお種々の経済的問題をかかえている米国や、なお統合の過程にあるヨーロッパ共同体は、ともすれば内部の問題にのみ傾くおそれなしとしません。このようなときであればこそ、わが国は自由貿易の拡大を念願する立場から、率先して保護主義の台頭と戦っていかなければならないと信じます。政府は、ガットその他の場を通じて、自由化の促進、関税率の引き下げ、非関税障壁の撤廃を強く呼びかけるとともに、国際主義のもと、ますます共存的かつ開放的な対外経済政策を推進してまいりたいと考えます。同時にまた、今日の世界が直面している大きな課題の一つである南北問題の解決に寄与するため、経済援助を従来よりも一そう積極的に拡充していきたいと考えております。
 政府は、今回の多角的通貨調整の一環として、円を一ドル三百八円に切り上げました。この切り上げ幅は、先進国通貨中最大であります。わが国としては、大幅切り上げを行なうことによって、当面の国際通貨危機打開に重要な貢献をしたわけであります。新レートへの適応を進める過程では、種々の困難はあるものと思いますが、日本経済は早期にこれを乗り越えて発展する力を持っていることを信じて疑わないのであります。もちろん、この過渡期における調整上の困難を極力小さくしていくため、政府はできる限りの措置をとってまいります。特に、景気停滞の長期化によって、輸出圧力が高まり、輸入の伸び悩みが続き、せっかくの通貨調整にもかかわらず、国際収支の均衡回復がおくれたり、国内の産業調整が円滑に進まず社会的緊張が高まる事態を招くことは避けなければなりません。このため、積極的な財政規模の拡大など、政府の総力をあげて景気の回復に取り組んでまいります。このような政策を通じて、おそくとも四十七年度後半には経済を順調な安定成長の軌道に乗せたいと思います。また、沖繩に対しては、生活安定のための諸施策を引き続き実施し、県民福祉の向上に資するようつとめてまいります。
 この際特に重要なことは、景気回復のための財政政策の展開が、同時に、豊かな社会建設への資源配分に通ずることであります。国民福祉充実への重点的な資源配分は、景気回復のための単なる手段ではなく、今後の財政金融政策の指向すべき目標であります。言いかえるならば、現在の景気浮揚政策は、設備投資主導型の超高度成長への復帰を意図するものではなく、この機会に高度福祉国家建設への軌道を設定するものであることを、ここに強調したいのであります。すなわち、道路、鉄道、港湾、空港、通信網の整備、工業の再配置の促進など国土の総合開発をはかるとともに、公害対策を充実し、住宅、下水道、都市公園、ごみ処理など、生活環境の改善を強力に進めるべき時期が到来しているのであります。また、民間企業の経営力や資金の活用をはかるなど、公共事業に新風を吹き込みたいと考えております。しかしながら、福祉社会の建設は、施設をつくれば足りるというものではありません。国民の一人一人が心豊かに暮らせるよう、社会保障を拡大し、充実し、自然環境の保護につとめなければなりません。来年度予算において、老齢福祉年金の大幅引き上げ、老人医療費の無料化をはかることといたしましたのもそのあらわれであります。
 物価の安定は、福祉社会を目ざす政策においても最重点課題の一つであります。当面の景気浮揚策の実施にあたっても、物価の騰勢を招かぬよう十分配慮するとともに、消費者物価安定のための構造的諸問題の解決について、一そうの努力を注いでまいる所存であります。このため、低生産性部門の近代化、競争条件の整備等の施策を積極的に推進するほか、特に生鮮食料品については、食品流通局の新設、野菜価格の安定対策の推進など、その安定的供給の確保につとめてまいる所存であります。また、今回の通貨調整を物価の安定に役立たせるため、食料品等を中心とする輸入の増大をはかり、これら輸入品の価格低下とも相まって、高まった円の対外価値と輸入力を国民生活の上に活用してまいる所存であります。公共料金については、従来どおり極力抑制する方針でありますが、国民経済全体の均衡と公的サービスの円滑化をはかるという見地から、その一部を改訂することといたしました。国鉄運賃については、経営の健全化をはかるため、必要な財政的援助を行ないつつ、利用者にも応分の負担を求める方針のもとに、これを引き上げることとしております。
 わが国農業は、依然として内外ともにきびしい情勢に置かれておりますが、国際競争に耐え得る近代的な産業として確立されるよう一段とその体質改善をはかってまいります。すなわち、米の生産調整と転作の推進を通じて地域の特性と需要の動向に即応した農業の再編成を行なうとともに、生産、流通等の体制を総合的に整備する農業団地育成事業を強力に推進し、その健全な発展をはかってまいります。中小企業については、内外にわたる困難な経済環境の中にあって、その健全な発展をはかるために、業種業態に応じた近代化施策を基本として、需要構造の変動に適応するための事業の円滑な転換を促進するほか、小規模企業者についても十分配慮をするなど、国際経済体制の進展に対応し得るよう財政、金融等各般の施策に万全を期してまいります。
 わが国は、これまでの高度成長の結果、ほぼ完全雇用を実現いたしました。また、教育の普及、余暇の増大、都市化、情報化の進展によって、職場や地域社会での権利の自覚が高まり、ことに若い世代に大きな意識変革が生じつつあります。これらの動きはわが国における民主主義の定着を示すものとして高く評価できるのでありますが、反面、個人なり集団なりの権利のみが主張される場合において、これを国民全体の利便といかに調和させるかについて困難な問題を引き起こしがちであります。空港やごみ処理施設など社会資本の建設をめぐっての紛争はその例であります。個々の権益と全体の福祉との緊張した関係を合理的に処理することなしには、真の豊かな社会の建設はむずかしくなっているのであります。私は、福祉社会建設への政治指導の機能を高めて、行政の効率化、土地利用の改善、医療保険問題の解決、労使関係の近代化につとめ、国民生活に安定した環境をつくりたいと考えております。
 まず、行政のあり方については、新しい社会の要請にこたえ、その効率化を進めることが必要であります。流動する内外情勢の展開に機敏に適応することができるよう行政の進め方に改善を加えたいと考えております。政党政治に発する英知が行政に十分生かされるよう、官庁間のセクショナリズムを打破し、行政の第一線をはじめ各部門を刷新強化する必要があります。土地対策については、都市開発等のため公共用地の先行的確保を容易にする措置を講ずる必要があります。このため、憲法の許す範囲で土地の私権に制限を加える場合も生じますが、納得のいく計画を前提とするなど手続面で十分な配慮を払ってまいります。医療保険問題については、真に安定した国民医療制度を確立するという見地から、その抜本的改正をはからなければなりません。そのためには、関係者の理解と協力が何よりも必要であります。政府は、それぞれが互譲の精神に立ってこの問題に取り組むことを強く要請するとともに、近代的福祉国家にふさわしい医療保険制度を実現するようつとめてまいる所存であります。また、経済、社会の広範な構造的変化が予想される中にあって、近代的な労使関係の確立が望まれております。さらに、生産性の向上と賃金、利潤などの上昇が均衡のとれた形でなければならないことは申すまでもありません。政府は、このような機運の醸成につとめ、安定した労使関係の形成に寄与してまいりたいと考えております。
 次に、今日世界の先進諸国は教育と学術、文化の持つ重要性を再認識し、国力をあげて教育の普及充実と科学技術の振興に取り組んでおります。わが国も今日までの成果に安住することなく、教育の質的向上をはからなければなりません。教育改革の推進は今後の最も重要な課題であります。政府は目下、中央教育審議会の答申に基づき教育の制度、内容の両面にわたって積極的な改革案を打ち出すため、鋭意準備を進めております。時代の要請に照らし、国民の期待にこたえ得る教育改革を実現するとともに、文化の国際交流に一段と努力する決意であります。
 最後に、治安問題について一言申し述べます。法秩序の尊重は民主国家の基盤であります。戦後わが国が達成した繁栄も、現在の国際社会における高い評価も、わが国が民主主義的法秩序の上に民族の力を結集させたことによるものであります。われわれが享受している自由は、その背景に規律と責任という無言の道徳律が厳然として存在することを忘れてはならないのであります。しかるに一部過激派集団は、最近、その凶悪性、反社会性をむき出しにし、相次ぐ交番の爆破、爆発物の郵送などによって、警察官のみならず、一般市民をも殺傷するに至っております。このような集団の存在をこのまま放置することは、やがて平和な市民社会の崩壊を招くことにもつながるおそれがあります。政府は今後とも、このような暴力に対し断固たる態度で臨むとともに、教育者、マスコミ関係者をはじめ各界各層の理解ある御協力のもとに、暴力の芽ばえるような風潮を排し、社会の健全化をはかってまいる決意であります。
 以上、私は、内外の情勢が激変する中で、わが国の向かうべき針路について所信を申し述べました。いまこそ、発想の転換を行動に移すべきときであります。社会開発への前進をはかり、人間性豊かな社会をつくることは、私のみならず、全国民の願いであると確信し、国民各位の御理解と御協力を切望してやみません。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野謙三君) 福田外務大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(福田赳夫君) 第六十八回国会の冒頭にあたりまして、わが国をめぐる現下の国際情勢を概観し、あわせて、わが国外交の基調について所信を申し述べたいと存じます。
 顧みますると、過ぐる昭和四十六年を通じ、世界情勢には数々の大きな変化が見られたのであります。アジアにつきましては、米中関係が対決から対話へ移行する傾向と相まって、ニクソン大統領の訪中計画が発表され、次いで中華人民共和国の国連参加が実現いたしました。朝鮮半島におきましては、依然緊張した情勢が続いておる反面、南北間の話し合いが開かれるなど、緊張緩和へ向かっての模索も、また、うかがわれるのであります。インドシナ半島の戦火は、不幸にして、いまだおさまることなく続いておりますが、東南アジアにおきましては、四囲の情勢の新たな展開を背景として、地域内協力の推進など、自主、自立への道を探る動きが開始されております。南西アジアにおきましては、インド、パキスタン両国の間に武力衝突が生じ、その後、幸いに停戦がもたらされたものの、なお解決すべき多くの問題が残されておるのであります。また、中東におきましても、いまだ紛争解決の見通しが立たず、不安定な様相が続いております。欧州におきましては、東西関係に緊張緩和の趨勢が見られると同時に、英国等の欧州共同体への加入が決定され、統合の進展にはまことに目ざましいものがあるのであります。
 ひるがえって、経済面につきましては、米国の新経済政策などにより、世界経済に大きな動揺と混乱が生じたのでありますが、幸いにして先進諸国間の国際協調により、現在一応の安定と均衡を回復しつつあるものと見受けられるのであります。
 これら一連の変化を通じて明らかなことは、第一は、戦後の国際秩序が、いまや一つの大きな転換期に差しかかっており、国際関係の基調は、かつての東西対立の時代から、いまや多極化へ向かっての転換が示されつつあることであります。
 第二は、かかる多極化の趨勢の中にありまして、諸国民、諸国家の間で、緊張緩和の方向へ向かっての努力が進められていることであります。近く行なわれるニクソン大統領の訪中、訪ソは、この潮流を端的に示すものであり、この成果が期待される次第であります。もちろん、地域によりましては、情勢の流動化とともに、かえって不安定が増大したり、あるいは不幸武力衝突が生じたりしている例も見受けられます。しかしながら、大きな流れといたしましては、いまや武力による対決ではなく、話し合いによって問題の解決をはかり、かつ、そのための環境をつくり上げようとする動きが、全世界を通じてうかがわれるのであります。
 第三は、新たな秩序と安定が、国際的連帯感のもとで、徐々にではあるが、諸国間に形成されつつあることであります。貿易や通貨の面における国際協調は、戦後一貫して維持されてきた国際経済体制を、より一そう現状に即応したものに改めようとする努力のあらわれであり、また、その成果は、新たな秩序の形成のために、一つのいしずえを築いたものにほかならないと思うのであります。国際政治の面におきましても、安定と均衡を求める動きがあらわれており、東南アジアにおける地域内協力への動きや欧州共同体の拡大と進展等も、このように見ることができましょう。
 以上のごとき国際情勢の流れは、今後一そう顕著となるものと予測され、多極化の現象の進行と相並んで、緊張緩和への模索と、新しい国際秩序と安定を求める動きは、ますます活発化していくものと思われます。
 このような変化と流動の時にあたりまして、わが外交に課せられた使命の重大なることは言うをまちません。いまや、わが国は、多極化する世界の中で、新たな基礎の上に立って、みずからの方途を探り、国益を確保しつつ前進すべきときに直面しているものと信ずるものであります。
 以上、私は現下の国際情勢の概観を試みましたが、次に、当面のわが外交の重要施策について所信を申し述べます。
 わが国にとりまして、米国との関係は、他のいかなる国との関係にも増して重要なものであります。日米両国間の緊密な友好協力関係を維持することは、引き続きわが外交の基本的政策であります。
 わが国の戦後の歴史を振り返ってみますと、今日の繁栄が達成されたのは、国民全体の英知と努力によるものであることは申すまでもありません。しかしながら、これとともに、米国との協力関係が、わが国の平和と安全を確保し、わが国経済の繁栄を実現する上で大きな役割りを果たしてきたことは明らかであります。今後世界の情勢には種々の変遷が予想されますが、米国は、世界平和の維持と人類の福祉増進をはかる上において、なお引き続き大きな比重と役割りを持ち続けるものと考えます。このような米国とわが国とが緊密な協力関係に立たねばならないことは言うまでもありません。国際社会が多元化し、複雑化すればするほど、また、わが国の国力が充実すればするほど、日米両国の世界に対する責任と役割りは重きを加え、日米両国の提携は一そうその必要性を増すものと考えられるのであります。また、日米両国が確固たる協力関係に立つことは、単に日米両国にとってのみならず、アジア、ひいては世界全体の平和と繁栄にとっても、すこぶる大きな意義を持つものであります。このように考えますれば、わが国が多極化時代の要請にこたえて、外交の充実と強化をはかるにあたり、日米協力の基礎は、決してゆるがせにできないのみならず、むしろその上に立ってこそ、真に実り多い多面的外交の展開が期待しうるのであります。
 さる一月六、七日の両日、米国サンクレメンテで行なわれました日米首脳会談に、私はこのような認識を持って出席いたしたのであります。この首脳会談においては、国民が長い間ひとしく念願していた沖繩返還の期日が本年五月十五日に確定いたしました。同時にその際、返還時において沖繩が核抜きである旨を確認すること、返還後において、米軍の施設・区域をできる限り整理縮小するよう十分の考慮が払われること等の諸点もあわせて合意されました。
 戦争によって失われた領土が平和的な話し合いによって返還されるということは、歴史上ほとんどその前例を見ないところであります。話し合いによる沖繩の施政権の返還という、この歴史的なできごとが可能となったのは、沖繩県民をはじめ、日本国民全体の営々たる努力のたまものであるとともに、今日までの日米友好関係のもたらした偉大な成果にほかならないと考えるのであります。
 私は、このような成果を踏まえ、日米両国の友好と協調の関係を今後ますます発展、強化していくとともに、その基礎の上に立って、さらに広くアジア地域全体の安定と発展のため、積極的に寄与していかなければならないと信ずるものであります。
 中華人民共和国は、わが国にとって最も重要な隣国の一つであり、同国との関係を正常化することは、わが外交の将来にとって最も重要な問題であります。
 日中両国は、アジアの平和と繁栄にとって重大な責任を有するものであります。このような両国の間に正常な国交がないことは、日中両国民にとり不幸であるのみならず、アジア及び世界全体にとっても遺憾なことであります。中華人民共和国が昨年秋国連に参加し、国際社会の一員となった現在、日中両国が一日も早く正常な関係を樹立することは、単に両国にとって利益であるのみならず、国際社会全体の安定と秩序のためにも、大きな意義を有するものと考えます。
 政府といたしましては、中華人民共和国との間に相互理解の増進をはかるとともに、日中両国がともに加盟国として尊重すべき国連憲章の諸原則にのっとり、主権の平等、内政不干渉、紛争の平和的解決、武力の不行使、平和、進歩及び繁栄のための相互協力等の基礎の上に立って、日中両国間に安定した関係を樹立したいと念願するものであります。
 もとよりこのためには、日中両国政府が直接に話し合い、相互の主張と言い分を率直に述べ合う機会を持つことが、必要不可欠と考えます。
 私は、中華人民共和国政府も、このようなわが国の誠意ある呼びかけにこたえまして、両国関係の正常化に真正面から取り組むことを切望してやみません。
 次に、日ソ両国の善隣友好関係の進展は、ひとり日ソ両国にとって利益となるのみならず、将来の極東の平和と安定にも資するものと考えます。政府といたしましては、今後とも、通商、経済、文化、科学技術等の幅広い分野において、両国関係の発展をはかり、相互の利益の増大につとめる所存であります。これとともに、国際政治においてソ連が大きな比重を占め、特にわが隣邦としてアジアの平和に少なからぬ影響力を持っていることにかんがみ、従来にも増して、広く国際関係全般にわたり、同国との間に率直な話し合いを進め、もって両国間の意思の疎通をはかるべきものと考えておるのであります。これがまた、多極化時代におけるわが外交に課せられた要請にこたえるゆえんである、かように考えます。私は、このような観点から、グロムイコ外務大臣の訪日を迎え、二国間の諸懸案について討議し、また平和条約締結の交渉を本年中に開始することに合意するとともに、国際情勢全般について、意見の交換を行なったのであります。
 わが国をあげての強い願望である北方領土の問題が、なお未解決のまま残されておりますことは、近く沖繩の本土復帰が実現することを考えるとき、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。日ソ関係を真に安定的に発展させていくためには、この問題を解決することが不可欠であります。政府といたしましては、今後とも国民各位の強い支持のもとに、忍耐強くソ連との間に折衝を続け、わが国固有の北方領土の返還実現をはかり、もって一日も早くソ連との間に平和条約を締結したいと考えておるものであります。
 ヨーロッパにおきましては、西欧諸国の経済力が伸長し、また欧州共同体が拡大するなど、注目すべき動きがあり、これに伴ってその国際的発言力も高まってきております。また、いわゆる東西関係の面におきましても、ベルリン問題に関する交渉が妥結し、欧州安全保障協力会議の開催や、均衡的相互兵力削減が検討されるなど、緊張緩和へ向かっての幾つかの重要な動きがうかがわれるのであります。
 わが国といたしましては、これらの新しい動きに着目し、拡大欧州共同体を中心とする西欧諸国との関係を従来以上に緊密化し、歴史的にわが国と西欧との間に存在してきた長い友愛と協調のきずなをあらためて強化するとともに、わが外交の多面的展開をはかっていきたい所存であります。
 わが国と西欧諸国とは、いまや米国とともに世界に大きな責任を有するに至っておるのであります。このときにあたり、日、米、西欧諸国が、相互の意思疎通を密にし、協調して歩むことは、世界の平和と発展のために大きく寄与するゆえんであると考えております。
 さて、申すまでもなく、アジアは、わが国にとって最も重要な地域であります。この地域におきましては、緊張の持続と、その緩和の傾向が互いに交錯し、複雑な様相が見られるのであります。その中にあって、各国がそれぞれに、また、地域内協力を通じて、政治的、経済的に、自主、自立の方途を探求するという動きも顕著であります。わが国は、同じアジアの同胞であるこれら諸国の求めるところに、深い理解と共感を持つものであり、これら諸国の努力が実を結ぶよう、あとう限りの支援と協力を惜しまない考えであります。
 インドシナ地域の情勢は、依然として流動的に推移しておりますが、わが国といたしましては、何よりもまず和平の実現と緊張緩和に寄与し、各国が一日も早く平和と安定を取り戻すよう、今後とも積極的に努力する所存であります。これとともに、この地域の住民の民生安定と福祉の向上のため、引き続き援助の手を差し伸べ、さらに平和回復の暁におきましては、政治、社会体制の相違を越えて、当該地域の振興と建設のために、できる限りの寄与を行なう所存でございます。
 アジア地域の平和と発展のためには、域外関係諸国の協力が不可欠であります。特にこの地域に大きな利害を有する太平洋諸国の協力を得ることが、従来にも増して肝要であり、政府といたしましては、アジアの諸問題解決のため、これら諸国と緊密に協力してまいる所存でございます。
 わが国は、戦後一貫して、国連に対する協力を、外交政策の主要な柱として重視し、また国連の場を通じて、各国との国際協力を推進してまいりました。今後ともわが国は、国連の機能の強化のために力を尽くすとともに、その事業に積極的に参画していかねばならないと信ずるものであります。
 昨年末のワシントンにおける先進十カ国の蔵相会議により、円平価の切り上げを含め、多角的な通貨調整が行なわれたのであります。今後は、国際協力によって打ち立てられたこの新しい基礎の上に立って、世界経済が調和ある発展と拡大を遂げることを念願してやみません。
 しかしながら他面、最近世界の各地で、ややもすれば保護主義の台頭や、閉鎖的な地域主義への動きもうかがわれることはまことに憂慮すべき現象であります。世界経済が今日の発展をなし遂げ得たこと、また、その中にありましてわが国が現在の繁栄を達成し得たことは、一にかかって、自由貿易の原則によるものであることは、疑いをいれないのであります。政府といたしましては、このような認識に立って、わが国の貿易と資本の自由化をさらに推進するとともに、自由、無差別の原則に基づく世界経済の拡大と安定を目ざして、今後ともあらゆる努力を傾けてまいる所存であります。
 いわゆる南北問題につきましては、開発途上国が自立と発展への基礎を確立するため、一致して活動を行ないつつあり、いまや国際関係において、いわゆる第三世界として無視しがたい力となっていることが注目されるのであります。わが国といたしましては、このような諸国の立場に深い理解を示し、その努力に寄与しなければならないと思います。また、世界各国も、この分野におけるわが国の役割りに大きく期待をいたしておるのであります。
 わが国は、年々開発途上国に対し経済協力の規模の拡大に努力してまいりました結果、すでにその総量においては、米国に次ぐ地位に達し、GNP一%の国際的な目標の達成も、目前に迫るにいたりました。今後はこの実績の上に立ち、援助量の拡大をはかることはもとより、政府開発援助の拡充、技術協力の強化、借款条件の緩和等、その質の面における改善にも重点を置いて施策を進め、もって国際的にも誇るに足る成果をあげるよう、つとめてまいる所存であります。また今後は、アジア諸国はもとより、中近東、アフリカ、中南米の地域に対しましても、それぞれの地域的特殊性に見合った経済協力を進めていきたいと考えております。
 私は、このようにして質量ともに充実した経済協力を実施し、もって開発途上国との間に、真の友好信頼関係を築き上げることこそ、わが国の長期的国益に資するゆえんであると信ずるのであります。
 最後に私は、人的、文化的交流の飛躍的拡大の必要について触れたいと思います。
 近年、海外諸国における対日関心は、とみに高まっておるのでありますが、同時に、諸方面にゆえなき警戒心や不当な誤解も台頭しつつあるやにうかがわれるのであります。わが国の対外活動が経済的利益の追求に偏するとする批判や、さらには、日本軍国主義の復活を懸念する声すら聞かれる状態であります。このようなときにあたり、平和国家、文化国家を志向するわが国の正しい姿を海外に伝え、誤った認識の払拭につとめることは、わが外交にとっての急務であります。特にわが国の場合、独特の文化的伝統と言語の障害のため、外国との意思疎通が困難なことを考えれば、このことは、一そう必要かつ緊急を要すると思うのであります。わが国民が国際社会において縦横の活躍を行なうに至った現在、世界の中の日本人として、世界の実情をより深く理解することも、また必要となっております。政府といたしましては、このため、新たに国際交流基金を設立すべく、明年度予算案において、それに対する支出を要請しておるのであります。私は、今後とも国民各位の幅広い支持と協力のもとに、この基金をさらに拡大発展させていきたい所存であります。このようにして、広く諸国民との間に、心と心が触れ合う相互理解の増進につとめることこそ、わが外交に課せられた大きな課題の一つであると考えるのであります。
 以上、私は、国際社会の現状を概観するとともに、わが外交の当面する重要問題についていささか所信を申し述べたのであります。
 今後の世界は、いわゆる多極化の趨勢のもとに、国際的に影響力を持つ諸大国、諸地域相互間の提携と角逐、競争と共存を軸として動いていくものと予想するのであります。この間に伍して、わが国がみずからの方途を探り将来の発展を期するためには、まず、何ものにもとらわれない柔軟かつ現実的な態度を失わないことが肝要であると考えるのであります。これとともに、変転する国際情勢の流れの中で、何がわが国にとって基本的国益であるかを冷静に把握し、確固たる信念と長期的展望をもって前進することが肝要であると考えます。
 わが国は、世界に誇るべき、平和で豊かな社会の建設を志向しておるのであります。人口棚密で資源に乏しく、海外諸国との交流と交易を必要とするわが国が、このような豊かな社会を建設するためには、何よりもまず平和のうちに繁栄する世界がなくてはならないのであります。
 世界の平和なくしては、わが国の平和はありません。世界の繁栄なくしては、わが国には繁栄はあり得ないのであります。相手国の利益を増進することによってわが国の利益を求め、他国を生かすことによってまたわが身を生かすこと、これこそがわが国の選ぶべき方途であると考えるのであります。いまやわが国は、新たな連帯に向かって前進しつつある世界の潮流を正しく把握し、世界の発展の中にこそ、日本の発展の可能性を探り求むべきだと信じます。
 わが国は、諸国民の公正と信義に信頼してその安全と生存を確保しようとの理想を掲げ、経済上その力を持ちながらも、軍事大国への道は選ばないことを決意しておるのであります。これは史上類例を見ない実験への挑戦であります。この実験の行く手にはなお幾多の困難が横たわっておるのであります。しかし、私は、戦後の荒廃の中から立ち上がり、今日のわが国を築き上げたわが日本国民の英知と努力をもってすれば、このような困難は、必ずや克服し得るものと確信をいたす次第でございます。わが国がこの難関を乗り越え、平和で豊かな文化国家として、世界の中で名誉ある地位を占めるよう、その道を切り開いていくこと、これこそが日本外交の使命であると信じます。
 国民各位の支持と協力をお願いいたす次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(河野謙三君) 水田大蔵大臣。
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(水田三喜男君) ここに、昭和四十七年度予算の御審議をお願いするにあたり、その大綱を説明し、あわせて今後における財政金融政策について、私の所信を申し述べたいと存じます。
 新年を迎え、過ぎ去った激動の一年を回顧してみますと、国の内外にわたり、いわゆる戦後体制がその歴史的な役割りを果たし、いまや、われわれは新たな発展と飛躍のための大きな転機を迎えていることを痛感いたします。
 まず、国際経済面におきましては、戦後四半世紀にわたり、米国の経済力にささえられてきた国際経済が大きな試練を受け、新たな秩序の確立に向かって脱皮しようとしております。昨年八月以降の国際通貨体制の動揺と十二月末の通貨の多国間調整の実現は、まさにこのような変化を象徴するものであります。
 また、昨年における一連の国際交渉を通じて、われわれは、今後の対外取引については、節度と自制を持たなければ、国際的摩擦を招くおそれのあることをあらためて認識いたしました。との意味におきまして、今後の経済運営にあたり、幅広い国際的視野に立つことがより一そう要請されるのであります。
 次に、国内経済面に目を転じますと、わが国経済は数年前までは、一人当たり国民所得において西欧諸国の水準をはるかに下回り、国際収支の天井の低さに悩まされていたのであります。このような時期におきましては、社会資本の整備や、社会保障の充実など、国民福祉向上のための各般の施策を推し進める場合に、景気過熱のおそれや、国際収支の赤字の増大という制約要因を意識せざるを得なかったのであります。
 しかしながら、いまやわが国の経済力は、国民総生産において自由世界第二位を占めるほどの充実を見せ、国際収支の面においても、そのゆとりを活用し得る段階に立ち至ったのであります。これとほば時期を同じくして、成長と福祉との調和をめぐって国民の関心は高まり、今後の経済運営のあり方に対して、発想の転換を求める機運が高まってまいりました。これは、経済成長に伴って、国民の意識に大きな変化が生じたことによるものと考えます。
 このような内外諸情勢の変化を顧みますとき、私は、本年こそは一九七〇年代を展望する長期的な視野のもとに、財政金融政策の転換の第一歩を踏み出すべき重要な年であると痛感しております。
 私は、以上申し述べましたような現状認識と未来への展望のもとに、財政金融政策の基本を、内にあっては、わが国の充実した経済力を活用して、福祉社会の建設に、外にあっては、国際経済との調和に置き、もって均衡のとれた成長をはかりたいと考えております。
 福祉社会を実現するために、次のような施策を講じてまいりたいと存じます。
 まず第一に、国民の日常生活にゆとりと安らぎをもたらすために、住宅をはじめ、上下水道、公園、緑地等の生活環境施設を中心とした社会資本の整備を積極的に進めていくことであります。
 国民は、物質的な豊かさだけではなく、さわやかな空気、澄んだ水、明るい太陽、緑に包まれた自然など、住みよい生活環境を求めており、政府がそのような新しい国づくりに主導的な役割りを果たすことをますます強く期待するようになりました。われわれは、社会資本の蓄積不足をできるだけ早く取り戻すべきであるという国民の強い要望に対し、十分にこたえなければなりません。
 第二に、経済成長の成果が社会のすべての階層に対して、十分に行き渡るようにするために、国民各層の強い連帯感にささえられた社会保障を充実していくことであります。わが国の社会保障の水準は、西欧諸国に比べて低位にあるといわれますが、その反面において、わが国の租税や社会保険料の負担が相対的に軽いことも事実であります。福祉社会の建設はわれわれの志向すべき国民的課題であり、政府は、このため一そう努力してまいる所存でありますが、国民各位におかれても、適正な負担を通じて、これに寄与されんことを期待しております。
 第三に、消費者物価の上昇、公害の発生など、これまでの成長過程において生じてきたひずみ現象を是正していくことであります。昨年末に行なわれた円の切り上げは、物価の安定に対して好影響をもたらすことが期待されますが、消費者物価の安定のためには、輸入政策を積極的に活用する一方、低生産性部門や流通機構の近代化、合理化を含め、経済活動の能率を一そう高めていかなければなりません。産業公害の防止につきましては、企業の社会的責任として推進すべきものでありますが、政府も、税制上、金融上の優遇措置により、企業の努力を支援してまいりたいと考えております。
 戦後のわが国経済は、ガット、国際通貨基金等を中心とする国際経済体制のもとで、世界経済との深いつながりをもちながら発展してきましたが、いまや、世界経済の中で大きな比重を持つに至ったわが国経済は、今後国際経済との調和をはかってまいるごとが肝要であります。
 このためには、まず第一に、国際通貨体制の安定強化のために積極的な役割りを果たすことであります。昨年末ワシントンで開催された十カ国蔵相会議における合意に基づいて、わが国は、これまでの一ドル三百六十円の対ドル基準レートを改定して、一ドル三百八円にいたしました。今次の多国間の為替レートの調整の結果、世界各国は対外取引の安定を取り戻すことに成功しましたが、これによって、国際通貨問題が最終的に解決されたわけではありません。わが国としては、関係諸国と相協力して、国際通貨体制の残された諸問題の根本的な解決のために努力してまいる所存であります。
 第二に、ガットその他の場を通じて、自由無差別な貿易の促進を強く呼びかけると同時に、わが国の経済力や国際的地位にふさわしい経済の国際化を一そう推進し、保護貿易主義や経済ブロック化の傾向を牽制し、世界の平和と繁栄をはかることであります。
 第三に、開発途上国との間の経済交流を深めていくことであります。このような観点から、昨年八月には特恵関税の供与を開始したところでありますが、今後一段と経済協力の拡充につとめるほか、開発輸入などを通ずる貿易の拡大にも配慮していく必要があると存じます。なお、このような国際協調の推進にあたっては、経済的な面にとどまらず、広く人的交流を含めた国際交流の強化についても力を注いでいく必要があると考えます。
 昨年後半以降、金融市場は、外国為替資金の大幅払い超等による企業の手元流動性の増加や民間設備投資の伸び悩み等による資金需要の落ちつきを反映して、これまでのほぼ慢性的な資金需要の超過基調から一転して、本格的な金融緩和の様相を呈しております。このような情勢のもとで、国内景気の現況と海外金利の動向を勘案して、十二月二十九日に〇・五%の公定歩合の引き下げが実施されました。この結果、公定歩合は四・七五%と、実質的に戦後最低の水準となりましたが、今後とも、内外経済環境の変化に即応した妥当な金利水準の実現をはかっていくことが重要であると考えております。また、今後予想される内外資金の流出入の増大など、通貨調整後の新しい情勢に適応し得るよう、準備預金制度の改定等金融調節手段の整備拡大に努力してまいる所存であります。同時に、最近におけるわが国資本市場の国際的な地位の向上、金融環境の変化、公債政策の積極的活用等の事態に対応し、公社債の円滑な発行、流通をはかる見地から、引き続き資本市場の整備育成に一そう配慮してまいりたいと考えております。
 昭和四十七年度予算の編成にあたりましては、以上申し述べました財政金融政策の基本的方向にのっとり、財政の健全性を保ちつつ、積極的に有効需要の拡大をはかり、かつ、国民福祉の向上を強力に推進することを主眼といたしております。
 その特色は、次の諸点であります。
 第一は、通貨調整に伴う国際経済環境の新たな展開に即応しつつ、当面する国内経済の停滞をすみやかに克服するため、予算及び財政投融資計画を通じて積極的な規模の拡大をはかったことであります。このため、公債政策を活用いたし、建設公債、市中消化の原則を堅持しつつ、一般会計における公債発行規模を一兆九千五百億円に拡大しております。また、財政投融資計画における政府保証債の発行額は、四千億円を予定しております。
 第二は、国民福祉の向上のための施策の充実をはかったことであります。すなわち、各種社会資本の整備、社会保障施策の充実、物価対策、公害対策など国民生活の充実向上のための諸施策の推進に特に重点を置いております。
 第三は、租税負担の軽減合理化をはかったことであります。所得税につきましては、さきにその減税を特に早めて昨年秋に行なったところでありますが、昭和四十七年度には、個人住民税を中心として負担軽減を行なうことといたしました。これらの改正による減税額は、昭和四十七年度では約三千五百億円と見込まれます。
 かくして、昭和四十七年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも十一兆四千七百四億円となり、昭和四十六年度当初予算に対し、二兆五百六十一億円、二一・八%の増加となっております。また、昭和四十七年度財政投融資計画の総額は、五兆六千三百五十億円でありまして、昭和四十六年度当初計画に対し、一兆三千五百四十六億円、三一・六%の増加となっております。
 以下、政府が特に重点を置いた施策についてその概要を申し述べます。
 まず、税制の改正であります。
 個人課税の一般的軽減につきましては、さきの臨時国会において、千六百五十億円の所得税の年内減税を行ないましたが、これは、昭和四十七年度におきましては、二千五百三十億円程度の減税となるのであります。昭和四十七年度の税制改正におきましては、これに引き続き、地方税について個人住民税、個人事業税を中心として、千億円に及ぶ減税を実施することといたしております。そのほか、所得税におきましては、老人扶養控除の創設、寡婦控除の適用範囲の拡大をはかっており、また、相続税におきましては、配偶者及び心身障害者に対する負担軽減を行なうことといたしております。
 企業課税につきましては、法人税の付加税率の適用期間を二年間延長することとし、また、当面の経済社会情勢に即応する措置としては、輸出振興税制を大幅に整理縮減するほか、住宅対策、公害防止対策、中小企業対策等の措置を講ずることといたしております。さらに、空港施設等の整備充実に資するため、航空機燃料税を創設することといたしております。
 次に、歳出について申し述べます。
 第一は、社会資本の整備であります。経済動向に即応し、有効需要の積極的な喚起をはかり、国民生活の質的向上を期するため、住宅及び上下水道、公園、環境衛生施設等の生活環境施設の整備を重点的に推進するほか、道路、港湾、空港その他の交通施設の整備、治山治水等の国土保全のための施策についてもそれぞれ大幅な増額をはかっております。
 なお、治山事業、治水事業及び都市公園の整備につきましては、それぞれ昭和四十七年度を初年度とする新規五カ年計画を策定することとしております。さらに、廃棄物処理施設につきましても、新たな五カ年計画の策定を予定いたしております。
 また、新幹線鉄道等の建設を円滑に進めるため、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する出資を大幅に増額するほか、日本国有鉄道の財政再建をはかるため、国からの助成を強化し、あわせて所要の運賃改定等を行なうことといたしております。
 第二は、社会保障の充実であります。まず、今後予想される老齢人口の増大に対処し、老人福祉の充実強化をはかるため、老人医療の無料化の実施、老齢福祉年金の大幅改善その他老人対策の飛躍的な拡充を行なうことといたしております。さらに、社会福祉施設の充実、障害福祉年金及び母子福祉年金の改善、生活扶助基準の引き上げ、身体障害者、児童、母子等の福祉対策、特殊疾患対策の充実など各般の施策に配意し、福祉の向上に遺憾のないことを期しております。
 なお、健康保険財政の健全化のため、所要の改善合理化措置を講ずることといたしております。
 第三は、物価対策の推進であります。消費者物価の安定をはかるため、昭和四十七年度におきましても、低生産性部門の生産性の向上、流通対策、労働力の流動化、競争条件の整備、生活必需物資等の安定的供給、住宅及び地価対策等の各般の物価対策を積極的に推進することといたしております。特に、近年価格上昇の著しい野菜をはじめとする生鮮食料品の安定的供給と円滑な流通をはかるため、生産、出荷、流通の各面にわたる施策を大幅に拡充することとしております。また、関税面におきましても、生活関連物資を中心に関税率の引き下げを行ない、物価の安定に資することといたしております。
 第四は、公害の防止及び環境保全のための施策の推進であります。より豊かで快適な国民生活の実現をはかるため、上下水道、廃棄物処理施設等の生活環境施設の大幅な充実、水質保全、大気汚染防止、騒音防止等のための諸施策の推進、公害防止事業団、日本開発銀行等の公害対策関係融資ワクの大幅拡大、税制面における公害防止準備金制度の創設、公害防止施設特別償却の範囲の拡大など、各般の施策を講ずることといたしております。
 また、国立公園内の民有地の買い上げを進めるなど自然環境の保全にも配意しております。
 第五は、農林漁業及び中小企業の近代化であります。農林漁業につきましては、生産性の向上をはかりつつ、需要の動向に即応した農政を推進するため、野菜をはじめ果樹、畜産等の振興、稲作転換対策の推進、農業基盤、漁港、林道等の整備、構造改善の推進、農林漁業金融の充実、農畜水産物の流通改善等各般の施策を講ずることといたしております。また、米の需給の実態に即応し、引き続き生産調整措置を講ずることとし、米価水準を据え置きとして所要の経費を計上いたしております。
 中小企業対策につきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業振興事業団等の融資規模の拡大、小規模事業対策の強化等の施策を講じ、あわせて政府関係中小企業金融三機関等の貸し出し金利の引き下げを行なうこととしております。なお、最近における繊維産業の状況にかんがみ、繊維工業の体質改善、離職者対策等についても十分配慮を行なっております。
 第六は、文教及び科学技術の振興であります。文教につきましては、公立文教施設整備の拡充、幼稚園教育の振興、育英事業の推進、私学助成の強化、医学教育の充実、社会教育施設及び体育施設の整備等各般の施策を講じております。
 科学技術の振興につきましては、新しい原子炉の開発、宇宙開発、海洋開発等を進めるほか、電子計算機技術の振興にも配意しております。
 第七は、海外経済協力と貿易対策であります。新しい国際経済環境の展開に即応しつつ、海外経済協力基金及び日本輸出入銀行の事業規模の拡大、経済開発特別援助、技術協力の充実などにつとめております。
 なお、原油等のエネルギー資源の安定的な確保についても、所要の措置を講ずることといたしております。
 第八は、沖繩振興対策であります。本年五月十五日、本土に復帰することとなりました沖繩の振興に遺憾のないよう、県民の生活と職業の安定、福祉の向上、教育の充実、各種社会資本の整備、産業経済の振興等各面にわたる施策に十分配慮いたしております。
 第九は、防衛力の整備と基地対策の推進であります。防衛関係費につきましては、引き続き防衛力の整備をはかるほか、本土及び沖繩を通じ基地関係諸施策を推進することとしております。
 最後に、地方財政対策について申し述べます。昭和四十七年度の地方財政につきましては、景気の停滞による地方税及び地方交付税の伸びの鈍化、住民税、事業税等の地方税の大幅減税の実施等を考慮し、次の措置を講ずることといたしました。すなわち、昭和四十七年度限りの特例措置として、一般会計からの臨時地方特例交付金の繰り入れ及び資金運用部資金からの借り入れを行ない、また、沖繩の県及び市町村に交付する必要があると見込まれる地方交付税の財源につきましても、昭和五十年度まで経過的な特別の措置を講じ、既定分を合わせて、交付税及び譲与税配付金特別会計から総額二兆四千九百三十九億円の地方交付税交付金を地方公共団体に交付することとし、さらに、小学校校舎整備費補助金の補助率の引き上げ等による地方負担の軽減、地方債の増額等を行ない、地方財政の健全な運営を確保することといたしております。
 以上、昭和四十七年度予算の大綱について御説明いたしました。
 財政金融政策の究極の目標は、国民福祉の向上にあることは申すまでもありません。しかし、そのためにどのような政策手段を優先すべきかは、経済の成長段階に応じて変化すべきものであります。
 いまや、内外経済の大きな転換期にあたり、今後の経済運営の課題は、現下の景気停滞をすみやかに克服して均衡のとれた成長を確保し、国民のはつらつたる創意を生かしながら、新たな国づくりを通じて生きがいのある福祉社会を建設することであります。政府はこのような国民福祉向上のための路線に沿い、今後とも着実に施策を講ずる決意でありますが、国民各位におかれても、この新たな国づくりに積極的に参加され、その輝かしい成果を次の世代に伝えることができるよう、格別の御協力をお願いいたしたいと存じます。
 各位の深い御理解を切望する次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(河野謙三君) 木村国務大臣。
   〔国務大臣木村俊夫君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(木村俊夫君) わが国経済の当面する課題とこれに対処する所信を明らかにし、国民各位の御理解と御協力を得たいと存じます。
 わが国経済は、昨年、景気停滞下における国際通貨の動揺という困難な局面に遭遇いたしました。幸い、昨年末に実現した多角的調整の成功により、通貨に対する不安感は取り除かれ、国際経済の均衡回復のみならず、わが国の景気の先行きにつきましても、次第に明るさが取り戻されることが期待されます。しかしながら、当面の国内経済情勢は、なお低迷の傾向を続けており、昭和四十七年を迎えて、国内景気の早期回復をはかることは急務であります。このため、まず、政府といたしましては、公債政策の活用を中心とする積極的、かつ、機動的な財政・金融政策を推進することにより、景気の浮揚をはかることとしております。したがって、これらの効果が浸透し、さらに、新しい為替レートに対する企業の適応努力が実を結べば、年度の後半には景気も回復し、経済成長率は、実質七・二形程度になるものと考えられます。この結果、昭和四十七年度の国民総生産は、沖繩を含め、九十兆五千億円程度となり、一人当たりの国民所得は、二千ドルのラインを越えることとなりましょう。
 国内需要面では、個人消費支出は底がたい伸びを示し、民間住宅投資もかなり伸長し、民間在庫投資も次第にゆるやかな回復過程に入るものと見込まれます。これに対し、民間設備投資は、製造業における不振により低い伸びにとどまるものと想定されますが、総じて、民間総需要は次第に回復するものと思われます。一方、政府支出は、景気振興と国民福祉の充実を目ざした政府の強力な施策を反映して大幅に増加し、その国民総生産に占める比率も、近年最高の一九%台となりましょう。
 国際収支につきましては、円の切り上げ、世界貿易の停滞、景気の回復などの要因によりまして、輸出の伸びが鈍る一方、輸入の水準は回復に向かうことが期待されます。この結果、貿易収支や経常収支の黒字幅も、次第に縮小する方向をたどるものと考えられます。
 物価につきましては、卸売り物価はほぼ横ばいに推移するものと見込まれますが、消費者物価は、依然その騰勢が根強いものと予想されます。政府といたしましては、まず、円切り上げの効果による輸入価格の低下を消費者物価の引き下げに結びつけ得るよう、輸入品の追跡調査を行ない、その監視・指導体制の強化につとめます。同時に、消費関連物資の積極的な輸入拡大と輸入物資の流通機構の整備簡素化を進めてまいりたいと考えます。今後、関税政策や輸入制度等の運用にあたっても、物価対策の観点から十分配慮することが必要であります。
 また、日常生活に密接な関連のある生鮮食料品の価格問題につきましては、野菜生産の合理化、秋冬期を中心とする重要野菜の価格安定事業などの対策を画期的に充実いたしますとともに、食品流通局の新設を通じ、その実施体制の確立をはかることとしております。
 次に、公共料金につきましては、物価全般に及ぼす影響を考慮し、引き続き極力抑制する方針でありますが、同時に、長期にわたる固定化によって国民経済全体の適正な資源配分に支障を来たしたり、公共サービスの量的不足と質的低下によって国民の福祉が阻害されることのないよう配慮していくことも必要であります。
 国鉄運賃の改定につきましては、国鉄自身の合理化努力と千百億円を上回る財政措置を前提に、その再建のため真にやむを得ない範囲にとどめることとしております。消費者米価につきましても、物価統制令の適用廃止と関連いたしまして、小売り業者の新規参入の促進と営業区域の拡大などによる競争原理の導入、標準価格米の常時店頭販売措置などを通じて、消費者米価水準の安定を期することとしております。
 私は、昨年十一月、第二十七回ガット総会に日本政府代表として出席し、各国の指導的立場の人々と親しく意見を交換してまいりました。その際、私は、世界の戦後経済体制の動揺と変革に続く新しい時代の幕あけにあたり、わが国に対する世界の期待がこれまでになく高まっていることをはだに感じたのであります。わが国が、関税引き下げに関する新たな国際ラウンドの提唱を行なったのも、こうした世界の期待を背景としたものにほかなりません。いまこそわが国が、その充実した経済力を背景として、高まりつつある保護主義的機運の打開につとめ、先進諸国と相携え、率先して、自由貿易の擁護、積極的な経済協力の推進等に全力を傾注すべきときであります。このことは、同時に、わが国経済構造の改善と転換とを強く迫るものであります。農業や労働集約型の産業をはじめとして、わが国産業全体が、開放経済のもとにおける国際競争に耐え得る体質を持つことができるよう、政府と国民が一丸となって努力していくことが強く要請されるのであります。このような施策の推進によって、はじめてわが国が国際経済社会の重要な一員としての責任と役割りを果たすとともに、わが国経済の長期的な発展をはかることが可能となるのであります。
 顧みますと、戦後四半世紀、わが国では産業の重化学工業化と結びついた高成長経済が形成されてまいりました。その結果、いまでは世界の経済大国といわれるまでになり、一人当たり国民所得でも英国の水準に到達したのであります。経済社会のあらゆる分野において西欧諸国と肩を並べるという多年の目標は、いまや経済面ではようやく達成されたかに見受けられます。
 しかしながら、急激な成長はわが国の経済社会の多くの部門に幾つかの問題を残したのであります。その第一は、高度成長のもたらしたひずみであります。特に、公害や自然破壊など人間環境のバランスをそこなう深刻な問題のほか、民間設備投資に比較して社会資本や福祉面での立ちおくれが目立っております。
 第二に、今後のわが国の発展の前に立ちふさがる幾多の制約条件がきびしさを増していることであります。経済の大型化に伴う労働力、資源、土地の制約や海外市場における制約がそれであります。
 さらにまた、一つの目標の達成によって新たに生じた課題があります。所得水準の向上に伴う国民の価値意識ないし価値体系の変化があげられます。単なる所得の増大よりも、きれいな空気に代表される快適な生活、危険から解放された安全な生活、社会保障によって裏づけられた不安のない生活、さらには、週休二日制に見られるような余暇の増大とその充実など、国民の価値観の多様化によって、個性的で実りある生活が求められる時代を迎えたのであります。
 経済運営のあり方について、以上のように基本的な問題が提起された今日、政府といたしましても、わが国経済社会の発展の方向と仕組みに大きな修正を加える必要があると考えます。そのためには、まず福祉と成長との関連をこの際基本的に考え直してみることが必要であります。
 国民の福祉の向上は、経済成長のみによって達成できない面が多々あります。福祉が経済活動の大きさのみによって表現されるものでないことも、また明らかであります。経済企画庁といたしましては、単なる経済活動の指標としてのGNPを越えて、国民福祉のものさしとも言える新しい指標の開発に取り組むこととしております。
 このような考え方に立つとき、資源配分のあり方や国土の利用方法についても大きな変更が要請されます。それは、国際的広がりを前提に、各種の制約条件を克服し、過去のひずみを正し、多様化した価値観にこたえるものでなければなりません。
 政府といたしましては、国民福祉の画期的拡充を内容とする新しい長期計画を、本年中にも策定することといたします。これにより、わが国の発展の具体的な方向を明らかにするとともに、今後の政府の諸施策の基本として、その内容を実現する決意であります。
 また、昭和四十四年に策定された新全国総合開発計画は、流動化し拡大した現代社会の人間活動に対応し、自然環境を配慮しつつ、人間尊重の視点から望ましい環境を創造することをねらいとした国土利用の画期的な基本計画であります。しかしながら、わが国経済が新しい発展の時代に向かって第一歩を踏み出すべきときにあたり、とみに高まった国民の自然環境保全の要望と価値観の多様化をも踏まえ、政府といたしましては、この際、国土利用のあり方について総点検を行なうことといたします。
 具体的には、地方の中核都市を周辺農村地域と有機的に結びつけながら、機能的に整備された、豊かで魅力ある地域社会を育成してまいりたいと思います。また、大都市に集中し過ぎた産業の再配置を促進し、居住環境の積極的改善を進めることが必要であります。
 全国土の総合的利用をはかり、住宅、交通あるいは生活関連施設などの社会資本を充実するためには、土地対策は欠くことのできない重大な問題であります。われわれは、この土地問題について、所有権のあり方を含めた基本的対策を早急に確立する必要があると考えます。
 多年にわたってつちかわれた経済社会発展の仕組みを変えようとすれば、そこには障害や抵抗の多いこともまた事実であります。しかしながら、われわれは、従来の行きがかりにとらわれない発想と行動の転換を通じ、福祉と成長との調和を目ざした新しい目標を実現するため、勇気と英知をもって、これらの問題に取り組んでまいらなければなりません。
 以上、私は、昭和四十七年度のわが国経済の見通しと今後の経済運営のあり方について所信を述べた次第であります。
 国民各位の御理解と御協力を切望いたします。(拍手)
#25
○議長(河野謙三君) ただいまの演説に対し質疑の通告がございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十三分散会
     ―――――・―――――
  出席者は左のとおり。
       議     長  河野 謙三君
       副  議  長  森 八三一君
    議 員
      塩出 啓典君    松岡 克由君
      喜屋武眞榮君    山田  勇君
      内田 善利君    藤原 房雄君
      栗林 卓司君    藤井 恒男君
      中村 利次君    原田  立君
      中尾 辰義君    木島 則夫君
     柴田利右エ門君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    三木 忠雄君
      阿部 憲一君    松下 正寿君
      萩原幽香子君   久次米健太郎君
      亀井 善彰君    峯山 昭範君
      田代富士男君    柏原 ヤス君
      黒柳  明君    田渕 哲也君
      中沢伊登子君    川上 為治君
      熊谷太三郎君    沢田  実君
      渋谷 邦彦君    鈴木 一弘君
      宮崎 正義君    向井 長年君
      高山 恒雄君    温水 三郎君
      濱田 幸雄君    山田 徹一君
      二宮 文造君    多田 省吾君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      村尾 重雄君    小山邦太郎君
      棚辺 四郎君    中村 禎二君
      橋本 繁蔵君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    志村 愛子君
      竹内 藤男君    高橋 邦雄君
      柴立 芳文君    古賀雷四郎君
      黒住 忠行君    小林 国司君
      大松 博文君    玉置 猛夫君
      永野 鎮雄君    山崎 五郎君
      石原慎太郎君    長田 裕二君
      菅野 儀作君    石本  茂君
      鬼丸 勝之君    安田 隆明君
      長谷川 仁君    二木 謙吾君
      河口 陽一君    木村 睦男君
      土屋 義彦君    栗原 祐幸君
      木島 義夫君    米田 正文君
      津島 文治君    徳永 正利君
      江藤  智君    鍋島 直紹君
      新谷寅三郎君    植竹 春彦君
      木内 四郎君    杉原 荒太君
      上原 正吉君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    古池 信三君
      安井  謙君    重宗 雄三君
      細川 護煕君    岩動 道行君
      上田  稔君    佐藤  隆君
      中山 太郎君    川野辺 静君
      金井 元彦君    片山 正英君
      梶木 又三君    岩本 政一君
      若林 正武君    長屋  茂君
      増田  盛君    矢野  登君
      山本敬三郎君    渡辺一太郎君
      鈴木 省吾君    山崎 竜男君
      高田 浩運君    佐藤 一郎君
      中津井 真君    寺本 広作君
      久保田藤麿君    鹿島 俊雄君
      植木 光教君    橘  直治君
      高橋文五郎君    岡本  悟君
      吉武 恵市君    大谷藤之助君
      塚田十一郎君    前田佳都男君
      堀本 宜実君    柴田  栄君
      大竹平八郎君    平井 太郎君
      塩見 俊二君    劔木 亨弘君
      迫水 久常君    増原 恵吉君
      赤間 文三君    船田  譲君
      伊部  真君    田  英夫君
      今泉 正二君    嶋崎  均君
      稲嶺 一郎君    上田  哲君
      工藤 良平君    世耕 政隆君
      初村瀧一郎君    星野 重次君
      竹田 現照君    戸田 菊雄君
      前川  亘君    山本茂一郎君
      山内 一郎君    柳田桃太郎君
      宮崎 正雄君    杉山善太郎君
      田中寿美子君    楠  正俊君
      内藤誉三郎君    西村 尚治君
      松永 忠二君    野上  元君
      後藤 義隆君    伊藤 五郎君
      白井  勇君    中村 英男君
      阿具根 登君    瀬谷 英行君
      平泉  渉君    山本 利壽君
      山下 春江君    羽生 三七君
      加藤シヅエ君    鶴園 哲夫君
      鈴木  強君    片岡 勝治君
      辻  一彦君    佐々木静子君
      須原 昭二君    加藤  進君
      水口 宏三君    小谷  守君
      神沢  浄君    宮之原貞光君
      小笠原貞子君    杉原 一雄君
      竹田 四郎君    安永 英雄君
      松本 英一君    塚田 大願君
      大橋 和孝君    川村 清一君
      中村 波男君    鈴木  力君
      森  勝治君    村田 秀三君
      山崎  昇君    星野  力君
      林  虎雄君    佐野 芳雄君
      松本 賢一君    小林  武君
     茜ヶ久保重光君    松井  誠君
      渡辺  武君    須藤 五郎君
      矢山 有作君    小柳  勇君
      戸叶  武君    河田 賢治君
      岩間 正男君    加瀬  完君
      吉田忠三郎君    小野  明君
      田中  一君    足鹿  覺君
      成瀬 幡治君    藤田  進君
      秋山 長造君    野坂 参三君
      春口 正一君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  前尾繁三郎君
       外 務 大 臣  福田 赳夫君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       文 部 大 臣  高見 三郎君
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
       農 林 大 臣  赤城 宗徳君
       通商産業大臣   田中 角榮君
       運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君
       郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君
       労 働 大 臣  塚原 俊郎君
       建 設 大 臣  西村 英一君
       自 治 大 臣  渡海元三郎君
       国 務 大 臣  江崎 真澄君
       国 務 大 臣  大石 武一君
       国 務 大 臣  木内 四郎君
       国 務 大 臣  木村 俊夫君
       国 務 大 臣  竹下  登君
       国 務 大 臣  中村 寅太君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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