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1971/05/17 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第15号
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1971/05/17 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第15号

#1
第068回国会 本会議 第15号
昭和四十七年五月十七日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十五号
  昭和四十七年五月十七日
   午前十時開議
 第一 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再
  建促進特別措置法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 第二 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十
  五条の改正の受諾について承認を求めるの件
  (衆議院送付)
 第三 北西大西洋の漁業に関する国際条約の改
  正に関する議定書の締結について承認を求め
  るの件(衆議院送付)
 第四 土地改良法の一部を改正する法律案(第
  六十五回国会内閣提出、第六十八回国会衆議
  院送付)
 第五 小規模企業共済法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 石油開発公団法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第七 道路交通法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 浅井亨君、山田徹一君からいずれも病気のため、十日間請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) 日程第一 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について、提出者の趣旨説明を求めます。丹羽運輸大臣。
   〔国務大臣丹羽喬四郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 国鉄は、過去百年間国内輸送の大動脈として、国民生活の向上と国民経済の発展をささえてまいりましたが、今日その役割りは、都市間旅客輸送、大都市通勤・通学輸送、中長距離大量貨物輸送等の各分野におきましてますます重要性を増しており、総合交通体系確立の観点からも、将来にわたってその使命の遂行が強く期待されるところであります。
 一方、国鉄財政は、経済社会の変動と輸送構造の変化に伴い、昭和三十九年度に赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどり、国鉄が今後国民経済及び国民生活における使命を全うすることができなくなるおそれが生じてまいりました。このため政府といたしましては、第六十一回国会において成立した日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度以降十年間を再建期間として、各種の財政再建対策を鋭意推進してまいった次第であります。
 しかしながら、その後の推移を見ますると、自動車輸送の発達等による輸送量の伸び悩み、ベースアップ等による人件費の大幅な上昇等のため、国鉄財政は、さらに悪化し、現状のまま推移した場合には、昭和四十七年度には大幅な償却前欠損を生ずるというきわめて憂慮すべき事態に立ち至りました。
 このような実情にかんがみ、政府といたしましては、現行の財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省し、昭和四十七年度以降十年間を新しい再建期間とする抜本的な財政再建対策をあらためて策定し、これを強力に推進する必要があると考えております。
 このため、国鉄自身が増収と業務運営の合理化について最大限の努力を行ないますとともに、政府におきましても、今後十年間にわたり政府出資、工事費補助の増額、過去債務についての財政再建債及び同利子補給金の対象範囲の拡大、地方閑散線に対する補助の新設等、財政措置の大幅な拡充を行ならことといたしておるところでありますが、なお、長期にわたる国鉄財政の健全化をはかり、国鉄の使命の遂行に遺憾なきを期するためには、あわせて国民各位の御理解と御協力のもとに、国民生活への影響を勘案しつつ、必要最小限度の運賃改定を行なうことも真にやむを得ないものと考えた次第であります。
 このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することにいたした次第でありますが、これらの措置が相まって初めて、国鉄財政の再建の基礎を確立することができ、ひいては国鉄をして将来ともわが国の基幹的公共輸送機関としての使命を全うさせることができるものと信ずるものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 まず、国有鉄道運賃法の改正の内容について申し上げます。
 第一に、鉄道の普通旅客運賃につきましては、その賃率が現行では営業キロ一キロメートルごとに五百キロメートルまでの部分については四円二十銭、五百キロメートルをこえる部分については二円五銭となっておりますものを、遠距離逓減制の是正をも考慮しまして、六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルをこえる部分については二円五十銭に改定することといたしております。
 第二に、航路の普通旅客運賃につきましては、近傍または類似の民営航路の運賃等をも勘案しながら、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行なうことといたしております。
 第三に、貨物運賃につきましては、制度の合理化をはかるため、車扱い貨物運賃の等級数を現行の四等級から三等級に圧縮するとともに、その賃率をおおむね二五%引き上げることといたしました。
 また、小量物品輸送の合理化をはかるため、小口扱い貨物を小荷物に統合するとともに、近年飛躍的な増加を続けておりますコンテナ貨物の運賃につきまして、従来は小口扱い貨物運賃の一種とされておりましたものを新たに国有鉄道運賃法上の貨物運賃とすることといたしております。
 次に、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の改正の内容について申し上げます。
 第一に、昭和四十七年度予算案作成を契機とし、今後十年間にわたり助成策の大幅な拡充をすることといたしましたこと等を勘案いたしまして、昭和四十七年度以降十年間を新たな再建期間とし、あらためて国鉄財政の再建に関する基本方針及びこれに基づく再建計画を策定することといたしております。
 第二に、国鉄が今後新幹線鉄道の建設、在来主要幹線の改良工事等、その輸送力の増強及び輸送方式の近代化のための工事を推進し、その体質の改善をはかられるよう、政府は、再建期間中の毎年度、国鉄に対し、工事資金の一部に相当する金額を出資するものといたしております。
 第三に、過去債務の利子負担を軽減するため、財政再建債及び同利子補給金の対象を、現在の昭和四十三年度末政府管掌債務から昭和四十六年度末政府管掌債務及び政府が保証した鉄道債券にかかる債務に拡大いたすことといたしております。
 第四に、工事費の利子負担を軽減するため、工事費補助金の対象工事年度を昭和五十六年度まで延長し、その交付年度を昭和六十三年度まで延長することにいたしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
#7
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。森中守義君。
   〔森中守義君登壇、拍手〕
#8
○森中守義君 私は、日本社会党を代表して、ただいまの二法案について、総理及び関係閣僚にお尋ねいたします。
 まず、二法案審議に関する総理の見解でございますが、いかに政権末期とはいえ、相次ぐ失政のため予算成立は大幅におくれ、法案審議は進まず、会期は八日を残すのみであります。しかるに、このとき、国民生活に重大な脅威を与える二法案の趣旨説明とは、全く了解できません。事ここに立ち至った総理の政治責任をきびしく追及いたします。
 ちなみに、四十四年本院でこの法案が審議されたとき、日数で三十日間、時間で五十三時間を費やし、なお審議が尽くされず、強行採決が行なわれました。今回は、法案の内容、また世論の動向からして、前回よりさらに審議の充実を期するため大幅な日程が必要であり、残余の会期をもってその決着をつけることは、良識の府としてとうてい不可能であります。総理は、この道理を十分御存じのはずでありますし、当然、二法案の成立をいさぎよく放棄されたものと解しますが、どうでございましょうか。ただ、念のため、本朝の新聞紙上で、問題が会期延長に触れられておりますが、与党総裁としてどういう考えでおられましょうか。
 ここで私は特に総理に耳をかしていただきたい。現在佐藤総理みずからの立たされている政治環境を、総理みずからが十分自覚されるならば、まさか総理が、その手で会期の延長など、政治見識を踏みはずすようなことはなさってはなりません。世論調査によりますと、現内閣発足当時、その支持率は四九%、最近では一九%になり、歴代内閣に比べてもちろん最低であり、もはや国民は佐藤内閣を捨て切ったと見るのが定見となっています。このように世論に背を向けられた佐藤内閣に、何の権威と能力があるでありましょうか。
 一方、今会期中における一連の失政に対して、衆議院予算委員会での総理の態度表明は、総理の胸中がどのようなものであったにせよ、早期退陣の意思を国民に約束されたものとだれしもが判断をしています。そしてその時期は、予算成立のあとか、沖繩返還のあとだと期待し、予測されてまいりましたが、ついに何の反応も示されず、またまた国民をして大きく失望させました。このことは独裁に通じ、議会民主政治に対する危険な挑戦であります。またそのことによって、政局はますます混迷を深め、国民の政治不信をさらに高める作用をしております。よって、私は、これ以上節度を失うべきでないと、このことを総理に直言をし、この際、総理が退陣の時期を明示されるよう強く要求し、総理に答弁を求めたいと思います。
 第二の質問は、総理の交通政策の基本姿勢についてであります。
 総理は、かつて「池田内閣には経済あって政治なし」と池田総理を批判されましたが、いま、批判をした当の佐藤総理が、学者、経済界等各方面から「佐藤内閣には経済なし」とらく印を押され、また、変化を読み取り、政策を先取りしようとする基本的姿勢に欠けていると、手きびしい批判を受けています。総理、顧みてじくじたるものがございませんか。
 ところで、これらの批判は、交通政策においてもそっくりそのまま当てはまります。何となれば、高度経済成長政策に先行すべき交通政策が、逆に交通需要に追随しようとするので精一ぱいで、先行的、抜本的政策の確立と展開がどこにもなく、そのために生じた今日の交通事情の大混乱は、あげて佐藤内閣がもたらしたものであると言うべきでありましょう。たとえば、過去十年間の交通需要の伸びは、交通社会資本の伸びに対し、何と一・八四倍に達し、著しい悪化の要因をつくり、加えて、社会構造の変化に伴う過密過疎現象がさらに拍車をかけています。過疎地域では交通機関の維持そのものが困難になり、その対策は、交通政策の域を脱して大きな社会問題に発展し、また、大都市における通勤・通学の混雑はもはや物理的限界を越える深刻さであります。このことを一言にして言えば、佐藤内閣の交通政策不在といろことに尽きるのであります。しかも、その始末をつけるため安易に運賃値上げ、利用者負担とは言語道断であり、何人も同意できる筋合いのものではありません。この際、あらためて総理の交通政策の基本理念とは何であるのか、承知したいと思います。
 次に、総合交通政策について運輸大臣にお尋ねいたします。
 さきに述べましたような交通事情を背景に、最近総合交通政策論が急激に台頭しています。昨年三月末本院予算委員会で当時の蔵相は、国鉄再建問題で総合交通政策が間に合っていれば非常によかったと思う。そうすれば、その中で国鉄の役割りを位置づけ、抜本的対策をとることができたが、それが間に合わず、四十六年度は暫定措置をとらざるを得なかったと述べ、当時の運輸相も同趣旨のことをしばしば発言をし、あたかも、総合交通政策ができると、国鉄の再建はもちろん、わが国の交通問題が直ちに解決できるかのごとき期待を強く抱かせました。しかし、昨年十二月決定を見た総合交通体系は全く期待を裏切りました。その基本的考え方の中で「競争原理を活用しつつ、各交通機関の機能に従って望ましい交通分野を想定し、これがガイドポストとして交通需要を調整し、誘導していく」としております。それを見まするならば、文字どおり抽象的で、具体的政策の裏づけがなく、しょせんはまぼろしの交通政策にすぎないのであります。もし運輸大臣がまぼろしではないと言われるならば、輸送分野の中で、少なくとも国鉄の置かるべき位置及び役割りが決定された総合交通体系の中から、どのように判断し、そして今後の施策の中でどのようにワク組みされていくのか、運輸大臣の具体的説明を求めます。
 第三の質問は、国鉄再建についてであります。
 四十四年、本二法案の趣旨説明の中で当時の運輸相は、「国鉄財政の現状は、三十九年度以来大幅な欠損を続け、四十三年度では一千四百億円に及ぶ膨大な欠損が見込まれ、国鉄財政は遠からず破局的な状態に立ち至るものと憂慮されるので、国鉄、国、国民、三位一体となった抜本的財政再建策の推進をはかりたい、そのために運賃値上げをしたい、そして十カ年後の五十三年度には黒字になることを明らかにする」、こういう趣旨を力説をされましたが、わずか三年を出ずして計画はもろくも崩壊いたしました。まことに無責任のきわみであります。そして、先刻の趣旨説明では、いままでの十カ年計画を白紙に戻し、四十七年度を初年度とする十カ年計画に変更し、あわせて実質一五%の運賃値上げをしたいとのことであります。
 総理が前回の二法案審議に際し、運輸委員会において自信と確信を持って国鉄の再建を約束された経緯に照らし、当時の記憶を新たにしながら次の諸点をお尋ねします。
 その一は、いかなる理由をもって計画の変更を行なうことになったのか、理由と責任を明らかにされたいこと。その二は、当時の議案では、運賃値上げは四年に一回、上げ率は一〇%、第一回目は四十八年度であったものが、値上げの時期を一年早めたばかりでなく、一五%の大幅値上げは、全く国民に対する背信であり、政策後退であり、総理の政治責任はきわめて重大である。よって、その理由と、総理並びに運輸大臣の責任をこの際明らかにされたいと思います。
 次に、国鉄財政再建の具体的構想についてお伺いします。
 国鉄財政は三十九年以来毎年赤字経営を続け、四十六年度の累積赤字は八千八十六億円に達し、長期債務は実に二兆円となり、再建は容易ではありません。にもかかわらず、今回の提案の中にも具体的再建構想は全く明らかにされておりません。なぜ内閣として責任ある十カ年計画の青写真を国民に示し協力を求める姿勢をとらないのか、私は了解に苦しみます。ところが本年一月、大蔵大臣、運輸大臣、自民党政調会長、国鉄再建懇談会座長の四者により決定された国鉄財政再建要綱なるものがありますけれども、あたかもそれが今日の国鉄財政再建の指針のごとく取り扱われているようでありますが、これはあくまでも政府と与党との申し合わせにすぎず、政府が責任をもって示した再建構想とは認められません。しかし、その中にはきわめて重要な事項を含むものがあります。この際、その性格を明らかにしておく必要がありますので、次の二点をお伺いします。
 一つ、閣議決定に基づく正式の内閣の方針となっているかどうか。二つ、閣議決定ではないが、今後の内閣の方針として扱うのかどうか。運輸大臣からお答えを願います。
 さて、政府の独自の具体的再建構想が示されておりませんので、この場合、やむを得ず趣旨説明の範囲をもって、重要な諸点をお尋ねいたします。
 その一は、十カ年間における政府助成策は具体的にどうなるか。その二は、十カ年にわたる運賃値上げの実施はどのようになるのか。また、運賃値上げによる十カ年間の増収見込みはどのように推定されるのか。その三が、国鉄の合理化、企業努力等による金額をどの程度と推定されるのか。以上三点について、それぞれ金額を明示し、運輸大臣から責任ある答弁を求めます。また、政府の財政助成策について、大蔵大臣から約束できる答弁を求めます。
 以上三点は、十カ年計画の中における利用者、国及び国鉄の負担についての構想を求めたのでありますが、再建要綱なるものによれば、利用者負担分は、四十七年、五十年、五十三年において実収一五%、五十六年においては一〇%の運賃値上げが最小限の条件となっており、その推定額は六兆数千億といわれます。これに比べ、国及び国鉄負担分ははるかに少なく、しかも、五十六年度単年度において黒字に転向したとしても、当年度の累積赤字は、依然一兆七千数百億円に達すると見るべきでありまして、一体、このような計画をもって国鉄財政再建と言えるかどうか、運輸大臣の所見を伺います。
 また、前述のごとく、利用者は三分の二、国と国鉄はそれぞれ三分の一とは、三位一体、三方一両損どころか、一高二低であり、納得できません。受益者負担の原則とは何であるか、これもお聞かせいただきたい。また、これだけの多額な負担を利用者にしいながら、一体、国鉄は国民に対し、いかなる交通サービスを提供することができるのでありましょうか。十カ年間の投資計画を具体的に運輸大臣から伺います。
 また、国鉄の旅客、貨物の需要をどのように想定されておりますか。かつて池田内閣が、所得倍増計画のとき、長期需要の想定を行ないましたが、その実績は計画と著しく食い違い、正しい交通政策の指針とはなり得なかった経験があり、長期需要想定のむずかしさを認めざるを得ません。運輸大臣は、再建計画の中の収支計算の基礎ともなるべき国鉄の需要想定を、どのように推定されているかを聞かせてください。
 以上、四点について、再建十カ年計画の基本的事項をただしましたが、本計画は、需要想定そのものが不安定であり、それに基づく収支について確実な見通しが立つはずはありません。この十カ年計画はきわめて不安定なもので、計画途中において崩壊するのは、過去数次の国鉄の長期計画から見ても明らかであり、そのしわ寄せは、また大幅な運賃値上げとなって利用者の負担にかかってくるのは必至であり、しかも、十カ年計画の初年度において、運賃値上げの実施遅延、そのための収入減はすでに三百億円をこえ、仲裁裁定が実施されるとすれば、そのための支出増も加え、初年度から長期計画は崩壊するきざしを持っております。総理と運輸大臣は、間違いなく、五十六年度において国鉄財政を黒字にするということを、確信を持ってお約束できますか。両者からの所見を伺います。
 また、大蔵大臣は、四十七年度国鉄予算に対しどのような処置をとろうとなされるかをお答えください。
 次に、再建上の重要な問題である地方閑散線廃止について見解を問います。さきに述べた四者間の再建計画では、五年以内に三千四百キロの閑散線廃止をきめ、本年度百二十五億円の予算を計上していますが、単に、閑散線というだけの理由で廃止することはきわめて重要な問題である。国鉄総裁は、二万キロのうち地方線一万キロは、輸送量でわずか九%、合理化も限度にきており、幹線系一万キロとは違った性格のものであり、根本的検討が必要であるとしばしば述べました。したがって、さきに申したとおり、総合交通体系の中で国鉄の役割り、使命を明確にし、それと国鉄の持つ公共性の中でナショナルミニマム的使命をどのように位置づけるか、これらの基本的事項についての方針を確立した上で広く国民の協力を求めるべきであって、単に閑散線であるという理由で安易に廃止することは許されません。この際、閑散線の廃止の基準及び廃止についての基本的考え方を運輸大臣から伺います。
 また、企画庁長官に運賃改定と物価の関連についてお尋ねします。
 国鉄運賃二四%の値上げが消費者物価に及ぼす上昇寄与率は〇・三四%とされていますが、本年になって郵便料金、タクシー等、公共料金の値上げが相次いで行なわれ、今後値上げが予測されるものを含めると、公共料金引き上げによる消費者物価への総合上昇寄与率は相当の高率になると思いますが、数字をお示し願います。政府は、このような状況のもとで、本年度消費者物価上昇見込み五・三%を堅持できるとの確信をお持ちであるかどうかもお答え願います。
 また、国鉄運賃値上げを契機として、私鉄、航空運賃等、便乗値上げ的公共料金の値上げが予想されますが、経企庁長官はどのように対処されるおつもりでありますか。公共料金主導型の物価上昇の幕あけの傾向はいよいよ深まっていますが、長官は歯どめをする意思があるかどうか、そして歯どめに対する具体策とは何か、お聞かせ願いたいと思います。
 最後に、重ねて総理にお伺いいたします。
 国鉄財政は、今後なお十年間赤字経営を続けていくことになります。一方、交通市場における競争、近代化の波は強く押し寄せてきており、国鉄は過去の独占の夢を求める時代ではありません。わが国輸送分野における国鉄の使命は重要であり、国民は、国鉄財政再建の達成とその健全な発展を期待しております。確かに、今年度は、出資の増額等を含め、千百八十四億と増加していますが、この程度の助成では根本的解決にはなりません。いずれまた、国鉄の財政事情は破局的に悪化したとして大幅な運賃値上げを提案してくることは明らかであります。しかし、そのパターンを繰り返すのは政策とは言えません。総理、あなたは、運賃値上げによらず、来年度以降、国家助成の大幅増額を断行し、すみやかに政府みずからの抜本的再建策を確立し、もって十年を待たず国鉄の再建をはかるとの決意の表明こそ必要であると思いますが、いかがでございましょうか。
 また、再建を急ぐあまり、国民の意思にそむく三月十五日のダイヤ改正やあるいは不当労働行為を必然的に伴うマル生運動等のごときは、厳にこれを行なわしめないとのかたい約束がいただけるかどうか、総理の答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(佐藤榮作君) 森中君にお答えをいたします。
 森中君からは、広範にわたり、同時にまた、御意見を交えてのお尋ねでございますので、なかなか聞き取りにくかったのでございますが、できるだけ要点をはずさないでお答えをしますから、御意見の点については触れないことにいたします。御了承願っておきます。
 まず、森中君から、残る会期はわずかで、本二法案を審議するのにはどうも時間が足らない、御意見をまじえてのこういうお尋ねがありました。
 本二法案は、いずれも国鉄再建のために必要な法案でありまするので、その成立にぜひとも御協力願いたいと思います。私のほうからお願いいたします。法案の審議がおくれ、残る会期が短くなったことはまことに遺憾でありますが、まだ会期も残っておりますので、どうか精力的に御審議をいただくようこの際、お願いいたします。
 なお、会期の延長や延長期間につきましては、これは国会でおきめいただく問題であると心得ておりますが、政府といたしましては、提出した法案をできるだけ多く成立させることを希望いたしております。また、総理でなくて、総裁としていろいろ御意見もただされたようでございますが、私は、ただいまは総理として期待、国民に対する希望を率直に申し上げておきます。
 また、私の退陣時期につきましては、いままでもお答えしてきたように、この問題は私におまかせを願います。
 次に、森中君から、交通政策の基本理念についての御質問がありましたが、私は、各種の交通機関がそれぞれその特性を十分に発揮し、国民の受ける交通利便を最大にするよう施設整備並びに政策誘導を行なうことであると、かように考えております。また、このような理念に基づいて具体的に施策を進めるにあたっては、国土の均衡ある発展及び生活環境の保全に資するものであること、将来の需要の高度化、多様化に対応し得るものであることなど、十分配慮する必要があると考えます。
 次に、交通公共サービスの量的不足と質的低下によって国民の福祉が阻害されないようにするという観点からも、運賃料金は、合理的な経営を長期にわたって運営し得る水準のものでなければならないと、かように考えております。
 次に、今回の国鉄再建策では、前回の計画と運賃値上げの時期及び値上げ幅が違うという御指摘がありましたが、これは長期収支の見通しの前提となる支出の伸び、輸送量の想定等の基礎的条件が異なってきたことによるものであり、今回は、前計画の反省の上に立って、収支見通しの確実を期したものでございます。
 次に、森中君からは、値上げの実施がおくれたための収入減及び仲裁裁定のための支出増などにより、すでに再建計画はくずれたときめつけられましたが、政府といたしましては、そのような事態を招かないよう、国鉄運賃法のすみやかな成立を期待するとともに、国鉄に対し、最大限の増収や経費節減につとめ、これに対処するよう指導する考えであります。
 最後に、国鉄の持つその使命の重大性にかんがみまして、私は、国民に対して、量的にも質的にも十分の交通サービスを提供するように、最善の努力をしたいと、かように思います。この点はすでに触れた点でありますが、最後にまとめてお尋ねがありましたので、私どもの決意を御披露申し上げて、御協力をお願いする次第であります。
 この際に、マル生運動についても、お答えをいたしておきます。本来の趣旨による生産性運動は、企業体として当然の措置でありますが、その名をかりて不当労働行為を行なうことがあるとすれば、これは厳に戒めなければなりません。国鉄におきましても、今後このような行為が行なわれないよう政府としても指導してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、ただいま提供しておる国鉄の国民へのサービス、これはまことに重大であります。そのまた経営の基本、それすらただいま動揺しておるという際でありますから、これは労使双方一体となりまして、本来の使命達成に最善を尽くしていただきたい、その意味において政府はなすべきことを十分尽くしたい、かように考えますので、どうぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
 なおまた、その他の件については、それぞれ所管大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣丹羽喬四郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私に対する御質問は、総合交通体系、これの確立をして、そして国鉄の使命というものを、地位というものをはっきりするべきではないか、こういうことでございます。
 実は、総合交通体系につきましては、昨年の六月、運政審におきましてその決定を見ている次第でございますし、また、昨年の十二月の末に閣僚協議会におきまして、総合交通体系の決定を見ている次第でございます。それらにおきまする、その昨年の暮れの総合交通体系におきまする国鉄の位置づけというものは一応きまっている次第でございます。もうすでに御承知のとおり、都市間旅客輸送の増強、そして大都市通勤・通学輸送の整備、そしてまた、中長距離貸物大量輸送の確立というもの、また、閑散線の撤去というようなことが述べられている次第でございまして、私ども、その趣旨に沿いまして、その点を具体的に生かしてまいりまして、都市間輸送につきましては、国土の均衡ある発展をはかるために、いわゆる新幹線網の確立ということをまず第一の目当てに置いている次第でございます。
 また、大都市間通勤・通学輸送につきましては、すでにいままでも実行しておりますが、複々線化、あるいはまた電化、その他の方法によりまして、極力通勤・通学輸送の増強をはかりまして混雑化を緩和をしてまいりたい、こういう方針で進んでいる次第でございまして、新しい計画におきましても、それを強くしている次第でございます。
 また、貨物輸送につきましては、中長距離大量輸送の特性を生かすために、あるいは小駅の統合であるとか、あるいはヤードの整理であるとかいうようなこと、また具体的にはフレートライナーの増発というようなこと等をいたしまして、そして大量輸送の特性を生かしてまいりたい、こういう方法で進んでいる次第でございます。
 次に、私に対する御質問は、国鉄再建の具体的内容でございまして、ことに昨年の予算編成のときに、大蔵大臣と私と、また自民党の政策の首脳とのいおゆる覚え書きについて、これがはたして根拠があるかというお話でございますが、これは予算編成に際しまして、今回のいろいろの改定につきまして御審議を願います場合に、十年間の計画を立てまして、この十年間の計画におきまして、ことしはそれをもとにいたしましての予算編成でございますが、十年間に国としてどのくらい助成をするかということをはっきりといたしますことが一番大切であるということで、異例な大蔵大臣と私との覚え書きを作成をした次第でございまして、少なくとも最低限度はこれだけの国は助成をすべきであるという確信を持ちまして、予算閣議に臨んだ次第でございまして、閣議におきましても、その趣旨を十分了解をいたしまして、今回の予算編成になったものと私はこれを考えている次第でございます。
 また、十年間の三年ごとに一五%ずつの国民協力、また、十年目の一〇%の御協力ということは、これはまあ御承知のとおり、あくまでも試算でございまして、この運賃の値上げは、国会の慎重なる御審議を経まして初めて実現する次第でございますが、私どもといたしましては、どういたしましても、年間それだけの御協力を願い、政府も大幅な出資をするということによりまして、そしてまた、もちろん国鉄も企業努力をいたしますことによりまして、できるだけ年間におきまして償却前の黒字を出してまいる、十年後におきましては、償却後も黒字になる、それで累積赤字を十年後におきまして漸次これを解消するほうに向かう、しかも、その間におきまして大きな良質サービスを提供することによりまして、国民に対するところの義務を果たす、こういう方向で進んでいくつもりで試算を出した次第でございまして、具体的内容といたしましては、先ほど御質問にございました運賃値上げにつきましては、十カ年で六兆八千億、それから国鉄自身のいわゆる人員整理その他の企業努力によりましての額におきますと、十年間で二兆五千億、そしてまた国の助成その他の措置は、再建債等も含めまして二兆八千億、こういうことになっている次第でございます。
 それから、次に受益者負担の点でございますが、この問題は、御承知のとおり、輸送料金は大体におきまして原則として受益者負担でございますが、しかしながら、国鉄の公共性にかんがみ、また最近のいろいろの財政需要にかんがみまして、ただに受益者負担だけをしましたならば、とうてい国鉄のいわゆる使命を達成することはできぬ。この際は、思い切ってひとつ国家におきましても助成をいたしまして、相まちまして、そうして国鉄の本来の使命を達成しなければならぬということでございまして、いわゆる今回は国民の御協力、企業努力、そうして国家の大幅な助成、この三つが相まちまして、国鉄が真に国民の陸上の足の大動脈としての使命を達成したい、こういう目的で今回出した次第でございます。
 それから、国鉄のサービスの問題はどうかということでございますが、これは今回は私ども、いわゆる今回の施政方針におきまして、総理の所信表明におきましても、発想の転換ということを言っておりますが、国鉄自身の問題につきましても、ただに赤字財政の解消ということでなくて、国鉄自身が、ほんとうに今日の国鉄の特性を発揮できるように、国民の期待も非常に大きい次第でございますので、思い切った良質サービスを提供する。その間におきまして、財政の再建をはかるというふうに、私は、発想の転換をはかったものと考えている次第でございまして、したがいまして、今回は十年間に七兆円の、あるいは新幹線あるいは在来線等の敷設をいたしまして、そのうち大体におきまして新幹線につきましては一兆五千から二兆円の間、あとの残りは在来線の、これは山陽新幹線も含めましてでございますが――設備投資に充ててまいる。そのほかに鉄建公団をいたしまして、新幹線並びに在来線につきまして、大体におきまして一兆円を上回るところのサービス、設備投資を行なってまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 次に、五十六年度において、はたして黒字になるかという御質問でございますが、ぜひともひとつ、これは国鉄の努力、皆さまの御協力ということによりまして、国鉄が真に国民の国鉄といたしまして、りっぱな更生をするように私ども強く期待し、それを指導する次第でございまして、この点におきましては、諸先生の一そうの御鞭撻と御協力をお願いする次第でございます。
 次に、地方閑散線についてでございますが、地方閑散線というものは、私どもは赤字線であるから閑散線というわけではございません。国鉄の特性にかんがみまして、公共性にかんがみまして、やはり地方の路線でありましても、交通需要が非常に変わってまいりまして、そうして国鉄の輸送によらなくても、バスの輸送によっても十分その目的を達する、国民経済から見ましても、費用のかかる国鉄より、バス代替輸送でもって十分やっていけるというようなもの、このものをやはり閑散線と認定をいたしまして、そうして地方の皆さまの御協力を願いまして、これをやはりはずしてまいるということの措置でございます。これらは御承知のとおり、運輸政策審議会におきましても、あるいは鉄道審議会におきましても、また今回の総合交通体系におきましても、ことごとくいつも指摘をされているところでございまして、こういったようなものをほうっておいて、そうして国鉄の企業努力があるかという世論にもこたえていかなければならないということでございますので、私ども、この点は強い決心をもって推進をしてまいりまして、国鉄が真に合理的な経営ができるように進んでまいりたい、こういうふうに思う次第でございますので、御了解をお願いしたい、こう思う次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(水田三喜男君) 国鉄に対する国の財政助成についての本年度の、四十七年度の予算額についての御質問でございましたが、まず、工事費の補助金が三百二十一億円、合理化促進特別交付金が十億円、再建債の利子補給金が百六億円、地方閑散線の補助金が百二十五億円、政府出資金が六百十六億円、合計千百七十八億円が本年度の助成額でございまして、昨年度の三百四十三億円に比べて三・三倍の額となっております。このほかに、財政再建債を一千百十八億円発行することになっており、これは財政資金をもって充てる計画でございます。
 この再建策に基づきまして、今年度を起点にして向こう十年間、昭和五十六年度までの国の財政助成の予定はどうかという御質問でございましたが、概数で申し上げますというと、鉄道工事に対する工事費の補助金は六千六百億円、再建債の利子補給金が約三千四百億円、合理化促進の特別交付金と地方閑散線の補助金というようなものが約五百六十億円、政府の出資金が約一兆億円、合計いたしますと、二兆四百億円というのが大体の政府の予定の概数でございます。このほかに、先ほど申しました財政再建債は、総額七千二百億円の発行ということが予定されております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣木村俊夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(木村俊夫君) 私に対する御質問は、国鉄運賃をはじめ一連の公共料金引き上げによる四十七年度の消費者物価への影響いかんということでございます。
 私どもは、当初これを〇・七三%と見込んでおりましたが、国鉄運賃及び国立大学授業料改定の実施時期が、当初予定の四月よりおくれることになりましたので、現時点におきましては、その影響は〇・六六%程度と、こう見込んでおる次第でございます。今後予定されておりまする公共料金につきましては、御承知のとおり、公共料金は、それぞれ企業の収支や、合理化努力の状況等を個々に検討いたしまして、必要最小限度に決定されるべきものでございますので、まだ具体的な検討審査を行なっていない現段階におきましては、その消費者物価に与える影響を計数的に申し上げかねますことを御了承願いたいと思います。
 なお、今後私鉄、航空あるいはガス等の公共料金につきましては、その引き上げが国民生活に及ぼす影響を十分勘案いたしまして、特に慎重に取り扱ってまいりたいと考えております。
 このほど、昭和四十六年度の消費者物価上昇率が五・七%に確定いたしました結果、四十七年度の消費者物価上昇見込みにおけるいわゆるゲタが、当初見込みの二・三%を下回りまして、一・九%となっております。四十七年度の消費者物価上昇率を政府見通しの五・三%にとどめるために、今後さらに一そうの政策努力を傾注してまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(河野謙三君) 田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#14
○田代富士男君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま提案理由の趣旨説明がありました国鉄関係二法案につきまして、総理並びに関係各大臣に若干の質問をいたします。
 さて佐藤総理、あなたが総理に就任した昭和三十九年十一月には、東海道新幹線が開業してすでに二カ月たっており、たいへん好評を博しておりました。鉄道出身の総理としても、まことに鼻高々ではなかったかと思います。しかし、同時に昭和三十九年は、国鉄が今日のようなばく大な赤字を生み出した第一歩の年でもありました。以来総理は、在任八年近くになりますが、その間、国鉄財政はついに好転することができなかったのであります。現在では国鉄の累積赤字は八千億円をこえ、長期借り入れ金は実に三兆円となり、その一日の支払い利子が何と六億円以上という、まことに信じられないような数字が示されております。もしこれが民間企業であるならば、すでに倒産のうき目にあっていることは間違いありません。国鉄がこのような財政危機を招いた根本原因は何か、また、労使の相互不信や、たび重なる踏切事故、あるいは新幹線反対運動等は何を意味するのか、このような国鉄問題の本質にメスを入れることは、そのまま、今日の佐藤政権の体制にメスを入れることになると確信するものであります。
 国鉄に関する問題点を大きく二つに分けるならば、一つは、わが国における総合交通体系との問題であり、二つには、国鉄自身の内部問題であります。
 今日、国鉄の赤字財政の最大の原因は、モータリゼーションの著しい進展があげられます。一般道路や高速道路の発達と関連して自動車が何の規制も受けないまま野放し状態で増加しております。中でも、トラックの性能はすばらしく向上し、鉄道輸送に比較して迅速性に富み、小回りがきき、相当の大きさの荷物まで鉄道にかわって輸送できるようになりました。そのため国鉄は、戦前、戦後を通じてすべての輸送機関に対して優位を誇ったいわば鉄道万能の時代がありましたが、現在の国鉄は、次第にその首位の座を引きずりおろされてしまったのであります。しかも戦後の民間航空の発達は目をみはるものがあり時間、距離を大幅に短縮し、国鉄に大きな脅威を与えました。こうした現象は、昭和三十年代、国鉄が黒字を続けていたころからすでに予想されておりました。先進諸国においてもその例が見られたのであります。しかしながら、政府は、今日まで日本全体の輸送体系の中における鉄道、自動車、航空機、内航海運、カーフェリー等のバランスを考えず、特に国鉄に対しては無為に過ごしてきたことは明らかであります。その結果招来した赤字は、あくまでも、政府において解消すべき責任があると思うのであります。
 政府は、陸、海、空、それぞれの輸送機関の特徴を十分に生かし、その中に占める鉄道の役割り等、輸送体系のあり方をもっと明確に示すべきではないでしょうか。その一つの考え方として、政府は、さきに「総合交通体系について」と題し、その大綱を発表したのであります。ところが、これと表裏一体の関係にある新全総が再検討を求められているおりから、この際、政府は、現在の総合交通体系を改め、より具体的で説得力のある総合交通政策を確立すべきではないかと考えるものであります。その総合交通政策の中には、今日の国鉄がかかえている財政問題をはじめとする諸問題をも十分に考慮すべきであると考えますが、総理並びに運輸大臣の方針をお尋ねいたします。
 次に、さきの国鉄財政再建推進会議によって、鉄道の将来の方向として示された三つの分野、すなわち、都市間旅客輸送と中長距離大量貨物輸送、さらには大都市通勤・通学輸送についてであります。国鉄は、この三つの方向に、この三年間どれほどの伸びを示すことができたというのでありましょうか。中でも大都市の通勤・通学者が毎日悩まされているラッシュについては、一体どのような対策を立ててきたのか全く疑わしい限りであります。これらの点について、運輸大臣はいかがお考えでありますか、お伺いいたします。
 また、特別措置法の改正についてお伺いしたい。
 この法律が三年前に成立したとき、政府は、この法律を基本に昭和五十四年度を目標年度として、今後の十年間の政府と国鉄の経営努力を国民の前に約束したのであります。ところが、今回の改正に至っては、三年前よりも国鉄にとって諸条件はよりきびしいものになっているにもかかわらず、現状の認識はおろか、発想の転換においてすら、進歩のあとが見られないのであります。これでは、また三年たったら同じ改正を繰り返すことは必至であり、これによって私は、佐藤内閣に政策なしの感を一そう深めるに至ったのであります。
 そこで政府にお伺いしたいことは、財政措置法改定の真の意味は何か、また、改定せざるを得なくなった政府の反省とその責任をどう考えておらられるのか、また、三年前「これで再建のめど立った」と言明した政府の発言を三年後の今日どのように考えておられるか、総理並びに運輸大臣にお伺いいたします。
 次に、国鉄の内部問題についてであります。
 まず第一に、国鉄自身の合理化とは何をさしているのか、また、それはどのようなスケジュールで実行されるのか、昨年はマル生運動で労使間にさらに大きなみぞを生じ、ついには職員局長の更迭にまで発展したのであります。最近においては、国民に多大の迷惑をかけたATS闘争についてもきびしく世論の批判があったばかりであります。経営危機の国鉄にとっていまが最も大事なときであり、何よりも労使の団結と協力がなければ、この危機を乗り越えることは不可能なはずであります。こうしたときに、人員の削減については、労働組合との間にいかなる協力体制を組むつもりなのか。また、赤字線については、今後どのように考えていくのか、総理並びに運輸大臣にお伺いいたします。
 次に、わが党の調査によっても明らかになったように、国鉄の所有地には、全国に数多くの未利用地がありました。また、先日の参議院決算委員会においてわが党議員から指摘があったように、不法に占拠されたまま二十数年にわたって放置されていた土地があります。しかもその額は、時価数百億円というばく大なものであります。これは、国鉄が明らかに財政問題について真剣に考えていない証拠ではありませんか。国鉄は土地問題に限らず、みずからが真剣に財政問題に取り組んでいかねばならないと思います。総理並びに運輸大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
 次に、国鉄運賃が値上げされると国民生活が著しく圧迫されることは間違いありません。今日の国鉄の財政危機は、どこまでもその原因をつくった政府と国鉄が責任を負うべきであります。なぜかならば、経営をまかされているのは国鉄自身であり、それを監督すべき立場にあるのは政府だからであります。その政府は、物価高に悩む国民にいかにしてこの運賃値上げを納得させるつもりなのか。また、値上げは、乗客の利用を抑制し、所期の収入があがらないのは過去の例からも明らかであります。値上げが再建にあまり寄与できないのではないかと考えるが、総理並びに運輸大臣にお伺いいたします。
 この三年間、国民は高い運賃を負担してきました。この国民が果たしてきた責任分担に対して、政府として報いるためにも、そしてまた今後の運賃値上げを抑制するためにも、政府は抜本的な財政援助の増額をすべきであります。しかし、国鉄並びに政府は、この三年間にどれほどの努力を払って国鉄再建のために尽くしてきたでしょうか、総理並びに運輸大臣にお伺いいたします。
 また、国鉄財政がこれほどまでに疲弊したその責任はどこにあるのか。政府が財政援助をしなければならなくなったことは、むしろおそきに失したのではないか。なぜもっと早い段階で財政援助に踏み切ることができなかったのか。現在、国鉄において関係企業への進出等についていろいろ検討されていると思いますが、このことについて政府が何らかの援助をしていくべきではないか。また、総合交通政策確立の上からも、財政援助こそその推進力となるのではないかと考えるものでありますが、大蔵大臣並びに運輸大臣にお伺いいたします。
 鉄道に対する政府の財政援助については、たとえばフランス国有鉄道においては、政府が欠損の全額を補てんする方針をとっております。わが国にこうした政策が確立されていないこと自体、政府の大きな責任問題でもあると考えるものであります。少しばかりの援助をもって事足れりとするような考えを改めるべきであると思いますが、総理並びに大蔵大臣にお伺いいたします。
 次に、受益者負担についてお伺いします。
 運賃は、あくまでも国民生活の安定を大前提に、その負担能力に応じおのずから限界を設けてしかるべきであると考えるものであります。それを受益者負担ということで説明しようとするのは、明らかに不合理なものと言わざるを得ないのであります。なぜならば、直接の受益者だけでまかなわれている施設あるいは企業は少なく、運輸に関するほとんどの設備なり基本的施設は国の力によって建設、維持されているのが通例であります。空港、港湾、道路、その他幾らでもあげることができるのであり、受益者負担をたてにすることがいかに不合理な論理であるか、これほど明々赫々たるものはないと強く訴えるものであります。受益者負担に関する限界について、総理並びに大蔵大臣の所見をお伺いしたい。
 次に、並行私鉄との格差についてお伺いします。私鉄との著しい運賃格差を生ずる今回の運賃値上げは、いまでさえ混雑のひどい私鉄にますます乗客が殺到し、ラッシュ時におきましては、もはや殺人的な混雑度になることは火を見るよりも明らかであります。また逆に、こうしたことが私鉄運賃の再値上げにつながることも明らかであり、その他の交通機関においても値上げの要求があり、国民生活は苦しくなる一方であります。政府は、国鉄の運賃値上げが及ぼす影響について、直接、間接にどのようにあらわれてくると考えておられるのか。また、それらについてはいかなる対策を持っておられるのか。総理並びに経済企画庁長官にお伺いいたします。
 次に、新幹線についてであります。
 今月初めには、鉄道建設審議会も開かれ、これによって全国新幹線時代の第一歩を踏み出したと言っても過言ではありません。しかし同時に、新幹線にはさまざまな問題が未解決のまま残されております。新幹線公害といわれるものであります。政府は、地域に及ぼす振動、騒音、電波障害、地盤沈下、また都市計画の変更等に対して、いかなる解決策をもって臨まんとしているのか。また、次の問題は、いわゆる建設費とその後の経費のあり方であります。経費のかさむ新幹線を健全に経営し、安全快適な旅行を保障するには、どうしても政府が十分な援助の手を差し伸べていかなければならないことは言うまでもないことでありましょう。政府は、この二つの問題点について、すなわち、公害と建設並びに経営について、明快なる方針を持っておられるのかどうか。総理並びに運輸大臣に御所見をお伺いいたします。
 以上、幾つかの問題点を指摘いたしましたが、問題はこれにとどまりません。まだまだ考えなければならないことも多々あると思いますが、政府の明快にして、真摯なる御答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(佐藤榮作君) 田代君にお答えをいたします。
 私並びに関係大臣と重複する点もあろうかと思いますが、私から一応お答えをいたしまして、不足の分はそれぞれ関係大臣から補足してお答えをいたします。
 まず、総合交通体系のあり方につきましては、すでに昨年十二月、政府としての基本的考え方を明らかにしたところであります。
 国鉄の位置づけにつきましては、モータリゼーションの進展を十分考慮に入れており、都市間旅客輸送、中距離大量貨物輸送及び大都市通勤・通学輸送におきまして、その特性を十分発揮できると考えております。
 次に、現行の再建計画が三年間で改定のやむなきに至った理由は、基本的には、わが国輸送構造の変化が予想以上に激しかったということであり、具体的には、輸送量の停滞と人件費の上昇等であると考えております。今回の新再建対策ではこれらの点を十分反省し、輸送量、人件費の上昇につきましても見直しを行ない、一方、財政措置の大幅な拡大を行なう等により、再建の実効を確保することといたしております。
 次に、国鉄の姿勢のあらわれであるとして御指摘のありました、あるいは組合のあり方、あるいは人員整理等の問題、また資産の管理、適正な利用等につきましては、国鉄が今後一そうの合理化努力を傾注するよう措置、指導してまいるつもりでありますし、国鉄の一体化をはかる、労使双方の一体化をはかる、これまた当然でございまして、これらの点で国民の理解を得るように処置をとらなければならない。その危機に当面すればするだけに、国鉄労使双方の責任はまことに重大だと言わなければならないと思っております。
 次に、国鉄への財政援助の増額を行なえとの御意見がありましたが、今回の新財政再建対策では、債務のたな上げと同様の効果を持つ財政再建債利子補給金の対象債務の拡大や、政府出資の大幅な増額などを行なうこととしており、政府といたしましては、最大限の努力をしたものと考えております。
 なお、受益者負担の限界、これはどういうように考えておるかとか、あるいは私鉄運賃の値上げ等を誘発するのではないか等の点については、それぞれ所管大臣から補足いたします。
 最後に、新幹線鉄道は、国土の総合的開発のため最も重要な役割りをになうものであるとともに、大量性、高速性及び安全性におきましても国民の要望にこたえ、鉄道としての特性を最高に発揮できる輸送機関であると考えております。今後の国鉄経営の目標は、田代君も御指摘のとおり、この新幹線鉄道を中心として輸送体制を確立し、国民に良質な輸送サービスを提供し得る近代的輸送機関に脱皮することであると思います。ただ、新幹線の公害として騒音、振動、電波障害等がありますので、沿線の環境保全につきましては、いままでも技術的に可能な限り善処しているところでありますが、今後もさらに研究、開発を進め、環境保全に一そうの努力をさせる考えでございます。
 以上私からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣丹羽喬四郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 総理からすでに御答弁ございましたが、私から御答弁を申し上げることにつきまして申し上げます。
 実は、運賃の値上げをすることによりまして利用者が減り、財政再建に役立たぬじゃないかという御質問でございますが、御承知のとおり、運賃の値上げによりましてやはり利用者が減ることは事実でございます。この前の運賃改定、いつも運賃改定いたしますると、その当座におきましては利用者は減ってまいります。これは旅客、貨物ともに通じてでございます。その点は十分今回は勘案をいたしまして、それゆえに、たとえば旅客におきましては、実収一五%におきましても名目二二・四%、また貨物におきましては二三・四%、名目におきましては二四・六%、こういうふうにいたしまして、やはりその点も昨年までの収益減を見ましてやっている次第でございます。
 また、その点の関係におきまして、並行区間におきまして私鉄が非常に混雑化するのではないか、そして私鉄のほうにばかり行くのではないか。これはすでに御承知のとおり、並行路線といたしましても、発着点、また着地点、違った点もございます。その間におけるところのアクセスの利用量等を勘案いたしますと、必ずしも一がいにいかない次第でございますが、しかしこの点につきまして、御承知のとおり、ただいまの混雑率はやはり国鉄のほうが非常にまだ多いということでございます。大体二四〇の混雑率、これをできるだけ早く混雑を緩和をいたしまして二〇〇までにしたいというので、ただいま鋭意努力をしておりまして、今回の計画におきましても、それらの点につきまして複線化、複々線化、また編成長、時間の短縮、そういうようなことも勘案をいたしまして、できるだけ混雑緩和を進めてまいりたい。また、私鉄につきましても、それぞれの助成をしてまいりたい。今回鉄建公団法の御改正を願いましたのもその一つのあらわれと御承知を願いたいと思う次第でございます。
 また、イコールフッティングの問題につきましていろいろ御質問がございました。あるいはモータリゼーションを放てきするんではないか、いろいろの問題がございましたが、御承知のとおり、重量税を新設いたしました。単に車から取りましたものをやはり鉄道の新線の財源に向けるというようなことも一つのイコールフッティングのあらわれと御承知願いたいと思う次第でございますが、将来ともそれらの点につきまして、道路輸送方面とも勘案いたしまして、その均勢のあるところの交通運輸が適正に行なわれるよう配慮してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
 また、受益者負担の限界でございます。これは御承知のとおり、各学者の間におきましても、どの程度を受益者負担にするかということが非常に大きなむずかしい問題でございます。また、開発利益をどのくらいそういったような料金その他に還元をするかということも、実は抽象論で言われておりますが、課税方法その他につきましてなかなか難点がある、これを具体的にするととは非常にむずかしいというような問題もございまして、それゆえに、私どもはそれらを総合的に勘案をいたしまして、今回は大幅の政府出資あるいは利子補給、工事費補助というようなものを認めた次第でございますので、その点につきまして御了解を願いたい、こう思う次第でございます。
 それから新幹線の公害につきまして、これは確かにただいま公共事業を推進してまいります上におきましては、この公害の問題というのは一番の大きな問題でございます。この新幹線によりまして、国土の均衡ある発展をはかる、そうして生活圏を非常に広げてまいるということは国民の要望でございますが、一面におきまして、それによりまするところの受ける被害の立場にある方々の苦痛というものも十分考えていかなければなりません。もうすでに先生御承知のとおり、山陽新幹線につきましては、東海道新幹線と異なりまして、あるいはレールの重さを五十キロから六十キロに伸ばすとか、振動数を減らすとか、あるいはまた鉄橋をことごとく改めてコンクリートの橋にするとか、あるいはまたパッドを設けるとか、あるいはまた騒音壁を設けるとか、いろいろなことをいたして、くふうをしておる次第でございます。いま国鉄の持っておりまするところの最高度の技術を十分に活用いたしまして、くふう研さんをいたしまして、それらの公害をなくなすよう、これは鋭意私どものほうでつとめる次第でございますので、御了承願いたい、こう思う次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(水田三喜男君) 私への質問は三つございましたが、全部関連しておる問題でございますから、まとめてお答えいたしたいと思います。
 今回の鉄道再建、財政再建策は、三つの方針を基礎にしてあんばいされ、勘案整備されたものでございます。一つは、やはり公企業といっても企業ではございますし、独立採算制という基礎をはっきりとくずさないで維持するということ、そうして鉄道自身の合理化を求めるということ、それから、交通機関は利用者がはっきりしておりますし、利用回数もはっきりしておるものでございますので、これは、受益者負担という原則はやはり守るべきである。そうして、これを不当に国民の税に転嫁するということはいけない、この原則はやはり守ろうということ、それからもう一つは、鉄道はたくさんの公共負担もしておることでございますし、また、採算だけで運営することができない公共的な性質を持っておりますので、この公共性に対応する国の助成策は適正に拡大するという、この三つを土台にしていろいろ勘案されたものでございます。
 まず、受益者負担の限界という御質問でございましたが、一般の企業と同様のコストによる負担ということでございましたら、これは当然受益者が負担しても不当なものではないと、それをもし、全然鉄道を利用しない一般国民の負担にこれを転嫁するということでありましたら、この限度をこえるということになろうと思います。じゃあどういう場合に、その限度をこえないように、コストの点において合理化したらいいかということになりますというと、結局、国の助成をどういう方針で、どの範囲の助成を国がすることが合理的であるかということになろうと思います。そういう観点から見ますというと、鉄道経営を圧迫しているものは過去の累積赤字であるということは、これははっきりいたしております。この赤字の累積の責任がどこにあるか、少し対策がおそかったか早かったかというような問題はもう別にいたしましても、少なくともここで累積赤字が鉄道経営を圧迫するようなこの事態は除かねばならないということを考えますというと、まず債務について国はどの程度までの援助をしたらいいかということになろうと思いますが、その場合に、鉄道債がたくさん、現在三兆円もございますが、そのうちで、債務を帯びてもこれに見合った営業資産というものができていくんでしたら、営業収入をそこから生むことでございますので、これは健全な債務であって、この点は別に国が特別の助成をする必要はない。累積赤字については、これは経営への圧迫を避けるために国が見なければならぬというふうに一応考えますというと、この債務はわりあいに少なくて済むわけでございますが、しかし、この際は鉄道のことを考えまして、さっきもお話がありましたように、累積赤字に影響する債務が八千億円あったにしましても、この際、政府管掌の債務とそれから政府保証債の債務約二兆円については、これは再建債発行の対象として国が見よう、そのかわり、一兆円ぐらいのあとへ残った民間債務は、これはどこの企業でも持っている健全な債務でございますので、そこまでは国が助成することはないだろう。この債務のたな上げという、事実上たな上げになることを国がやればということがまず一つと、それから、今後の工事に対するいろんなことを考えまして、十年間に一兆円の出資を国がする、これによりまして大体鉄道の債務が軽減されることを計算しますと、やはり三千七百億円くらいの利子の軽減になるというようなことを計算いたしますというと、大体国が二兆円前後――助成金として一兆円、出資として一兆円、大ざっぱに二兆円くらいをもって再建債の発行八千億――七千何百億円を引き受けるという程度が妥当な国の助成幅ではないか。そうしますというと、あとは企業の努力と国のこの助成によって残りのいろんな鉄道経営のコストを計算して、これはやはり利用者に負担してもらうのが適切だという、この三つのことから、今回の運賃の値上げということをやはりきめたものでございまして、どこを限度とするかということでございますが、限度は、一般の交通機関の現在の料金を見ても、国の料金が不当でないというところがやはり限度という、その限度にするためのコストを国と企業体が共同でこれは解決するというよりほかにしかたがないんじゃないかというようなことから、いろいろ勘案した結果、今度のような再建策になったという次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣木村俊夫君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(木村俊夫君) 私に対する御質問は、今回の国鉄運賃の値上げが国民生活にどういう影響があるか、こういうことでございます。
 消費者物価指数のうちで国鉄運賃の占めるウエートは一万分の百五十四になっております。かなり高いものでございます。今回の国鉄運賃の改定が消費者物価指数に及ぼす影響は、平年度ベースでは〇・三四とこういうことになっております。一般的に申しまして、現在の物価環境が必ずしも悪くはございません。不況の影響も浸透してまいっております。また円切り上げ等の諸条件がございます。こういう諸条件を十分活用して、物価安定のために各般の努力を推進していきたいと、こう考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野謙三君) 中村利次君。
   〔中村利次君登壇、拍手〕
#20
○中村利次君 私は、民社党を代表して、政府提案の二法案について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 私は、国鉄が膨大な赤字をかかえ、かつ、その再建策が喫緊の問題となった根源を、まず究明する必要があると思います。なぜならば、国内輸送の中に国鉄の独占性が強かった時期には、赤字も再建策も国鉄にとって無縁であったのみではなく、社会政策、文教政策あるいは物価政策等、国の政策に対し、運賃上の負担を負って国有鉄道としての役割りを果たしてきたのでありますが、昭和三十年代から四十年代に至り、国内輸送の分担割合が激変し、輸送機関としての国鉄の独占性が完全に失われた結果、赤字や再建が問題となり、総合交通体系の抜本的対策とともに、国鉄に対する対策自体が見直されてしかるべきときを迎えているわけであります。
 ここできわめて重要なことは、このような輸送分担の割合の変化に対して、国が、国の政策として大きな役割りを果たしてきたという事実であります。海運に対して、また空の輸送に、そしてまた自動車輸送に対して、政府は国の政策として、国の負担でいろいろな手を打ってまいりました。かりに、そのことが正しかったという前提に立ったとしても、結果として起きた国鉄の経営不振に対しては、国がはたしてどのような手を打ったのか、また今日以降どのような手を打とうとしているのか、問題はまさにこの点にあると思います。それが過去何回かの運賃値上げであり、今後の十カ年計画に、今回を含めて四回もの運賃値上げを伴うものであるとすれば、これはもうお粗末の一語に尽きると言うべきであり、はたして政治の責任はいずこにありやと言わなければなりません。これでは、国有鉄道という名が、政府の無策ゆえに泣かなければなりません。
 そこで、政府は、この際きびしい反省の上に立って、総合交通体系の抜本的対策に加えて、国鉄の輸送分野を明確にし、あわせて国鉄に対して、時代に即した思い切った発想の転換を行なう意思がおありかどうか、総理並びに関係大臣の所見を承りたいと思います。
 次に、政府案によって国鉄運賃が値上がりをするとすれば、国有鉄道の運賃が民有民営のそれよりもはるかに高いところが出てくるわけでありますが、いかなる理由があっても、こんなばかげたことを国民が納得するはずはありません。国民の納得が得られないものを国会の数によって押し通す暴挙をあえてなさるのかどうか。また、国鉄運賃の値上げは、必然的に私鉄その他の運賃の値上げを呼び、政府が行なった他の公共料金の値上げと相まって、物価高を招くことは必定であります。そして、その原因が国鉄に対する政府の対応の誤りと無策ゆえだとすれば、まさに、その責めは重大というべきです。
 そこで、政府のいう物価対策は、ただ単なるから念仏なのか、はたまた、物価対策に本気で取り組む体質のお持ち合わせがないのか、国鉄運賃の値上げが物価に与える影響を十分踏まえた上で、物価対策上の所見をお伺いしたいと思います。
 第三点以降、私は、国鉄再建の対策として具体的に問題を提起して質問をいたします。
 まず、赤字線の問題であります。私は、赤字線を二つに分けて質問をしたい。
 国民は国鉄に政治駅ができたり、政治停車駅ができることに政治不信を持ち、政治的赤字線に至っては、痛烈な非難を政治に加えていると思いますが、赤字対策と再建策が重要な課題となっている現在、どうでしょう。運輸大臣、ここで政治的赤字線は絶対にりくらないと、国民の前に明確にお約束いただきたいのですが、いかがでしょう。
 次に、過疎地域開発、国土総合開発等々、国の政策として必要であって、かつ経営上赤字となる路線については、当然国庫負担によって国鉄経営の圧迫を取り除く必要があると考えますが、関係大臣はどうお考えでしょうか、所見を伺います。
 第四に、学割りの見直しと適正な対策についてであります。
 現在、戦傷病者に対する国鉄運賃の割引きは、厚生省の予算によって国庫負担となっているはずであります。国の前途を託する青少年学徒の学割りの意義は、決してこれに劣るとは考えられません。そこで、各種学校のうち、批判の対象となるようなもの等に対し、国民的合意を得られるような見直しを行なった上で、学割りは文部省予算による国庫負担にすべきだと考えますが、運輸大臣と文部大臣の御所見はいかがでしょう。
 第五に、冒頭申し上げましたように、国のてこ入れもあって、国内の輸送分担率は大きく変化し、国鉄はそのしわ寄せによって膨大な赤字をかかえるのみでなく、その再建計画が重大な課題となっています。この際、政府は、国鉄の建設費の全額を国庫負担とし、国鉄に対し現物出資の方法をとるべきだと思います。それでこそ、国有鉄道の名にふさわしいものとなるのでありますが、関係大臣の御所見はいかがでしょうか。
 第六に、当面する赤字対策のきめ手として、いま大蔵大臣の御答弁にもございましたけれども、赤字の原因となり、国鉄再建のガンとなっている三兆一千億円にのぼる累積債務をこの際すべてたな上げして、この問題の解決に資するおつもりはないかどうか、政府の御見解を伺います。
 以上、私は六点にわたって問題点を提起してまいりましたが、要約しますと、すべて、今日の交通体系の中で占有率が激減し、経営難に苦しみながら、国有鉄道としての役割りを果たさなければならない国鉄に対し、政府は何をなすべきかを指摘したつもりであります。そして、それは決して利用者大衆に負担を押しつけることでもなければ、物価値上げに通ずる道を選ぶことでもありません。もし、政府にこれにこたえる姿勢がないならば、本来国民のためにこそあるべき国鉄が、国民怨嗟の的になりかねないのですから、いま一度原点に立ち返って、もはや国鉄が、独立採算制を押しつけられた公共企業体としての経営を続ける限り健全な運営は不可能となっている現実を認識して、この際、きっぱりと公共企業体としての運営をやめて、国営に切りかえるべきだと思いますが、御所見はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 最後に、国鉄自体の経営努力についてお伺いします。
 民有民営の企業等が料金、運賃の値上げを行なう場合は、あらゆる企業努力を尽くした上で値上げを考えるのが常識であります。問題の多い国鉄に、はたして企業努力のあとがどこに見られるのか、今後の計画の中に企業努力がどう発揮されるのか、全く納得のいかないところであります。わが党は機会をとらえて、国鉄の経営努力、特に職場規律の問題を取り上げてまいりました。しかし、残念ながら、職場規律の紊乱は現在もなお続き、暴力事件はあとを断ちません。総理は四月二十八日、予算委員会でのわが党議員の質問に対し、断固暴力を排除しなければならないとしながらも、国鉄に複数の組合があるところに問題があるのではないか、単一な組合活動が展開されるような情勢をつくることが何よりも必要ではないか、派生しておる問題の一つ一つをつかまえてとやかく言うより、基本路線を引くべきで、現象だけでものごとを批判しないで云々という、まことに重大な発言をされました。
 そこで私はお伺いします。総理の発言は、暴力は否定するが、その発生原因のいかんによっては、暴力を問題にするよりも、その原因の除去につとめるべきだという、まことに奇々怪々なものになります。このことは、たとえば連合赤軍の暴挙は許せない。しかし、彼らの凶悪な犯罪をとやかく言うより、政治不信をこそ解消すべきだという、さかしげな意見と共通していることを総理自身お認めになりますか。よって起こる原因はもちろん究明されるべきであります。しかし、そのことと暴力行使という事実は、それが現象であっても、断じて許さるべきものではありません。原因がいずれにあろうとも、民主国家、法治国家日本において暴力が是認されるはずは断じてありません。私は総理のことばじりをとらえるのではない。不用意としても、いやしくも現職の総理が、わが国にとって絶対不変の暴力否定をそこねるような発言をされたのは、断じて聞きのがすわけにはまいりません。会議録を読み直しても、ここで訂正される御意思があるかどうかお伺いをしたい。
 あわせて、暴力行為あとを断たず、職場規律紊乱その極に達しておる国鉄の経営姿勢をこのままにして、運賃値上げの筋目がはたして通るものかどうか、とくと御思案の上、所信を承って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(佐藤榮作君) 中村君にお答えをいたします。
 まず、総合交通体系との関係でありますが、今回の国鉄再建対策は、さきに取りまとめました総合交通体系、この考え方の趣旨に沿ったものであります。もちろん、これはきびしい環境、そのもとにおける反省からできておる。これはこの機会にはっきり申し上げておきます。すなわち、この対策は、その趣旨に沿って国鉄の役割りを十分に考慮し、国土の均衡ある発展を促進する施設として、新幹線鉄道の整備や在来線についての近代化、総合化、合理化を行なうことにより、国鉄の競争力の増大をはかり、近代的輸送機関への脱皮をはかるものであります。
 次に、物価の問題また私鉄運賃等は経企庁長官からお答えをいたします。
 次に、赤字線の建設についての問題。これは政治路線は、私もはっきりさようなものは否定いたします。このことははっきり申し上げておきます。さらに詳細については、これは運輸大臣からお答えをいたします。
 また、学割り等については文部大臣からお答えをいたします。その他、大蔵大臣から答えるものもあろうかと思います。
 次に、この公共企業体である国有鉄道を、公社を国営にしろと、非常にわかりいい表現で、これは完全国営、こういうことが考えられないか、こういう御提案でございます。ずいぶん、国鉄のあり方について、国営がよろしいか、いまのような公共企業体がよろしいか、あるいは民営ではどうか等々基本的な問題を考究してこれは戦後まいっておるのであります。しかし、現在のところ、現在のような経営形態が望ましい、こういうことで一応終止符を打ったと、かように私は考えております。したがいまして、いまの御提案は新しい問題だと、かように考えますので、そういう観点に立って、機会あるごとに、そういう基本的な問題も考究すべきだ、さように御了承をいただきたいと思います。
 最後に、国鉄労使間において不信感が存在し、職場規律の破壊等が見られるに至ったことはまことに遺憾なことであります。悪化した国鉄財政を再建し、公共的使命を遂行していくためには、労使が協調し、全職員が一体となり、現在の危機を乗り越えていかなければならないと私は考えておるものであります。申し上げるまでもなく、国民の期待に沿う、こういう意味から申せば、労使双方がその職分を十分考えて、その使命に徹することが必要だと思っております。政府といたしましては、今後、このような問題が起こらない、また批判を受けるようなことがないように、一そう国鉄当局と職員とが十分話し合いを行ない、業務の円滑な遂行が確保されるよう、指導していく考えでございます。原因のいかんを問わず、また理由のいかんを問わず、暴力は否定するものであります。これは排除されなければならない、かように私は思っております。私の委員会における答弁を引き合いに出されまして、ことに連合赤軍の例まで出されて、同じような考え方ではないか。これはとんでもないことでございます。私は国鉄出身でもあります。私も、すでに戦後の組合発足当時のことを思い出しながら、何とかして、労使双方で十分の話し合いができるような、そういうような状態をつくりたい。当時のよき時代を思いながら、私がみずから反省し、それを率直に御注意申し上げたような次第でございます。誤解のないように。どんな理由によろうと、いかなる原因によろうと、暴力は否定されなければならない。そのことは間違いありません。御安心いただきたい。(拍手)
   〔国務大臣丹羽喬四郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私に対する御質問、一番のあれは、ただいま総理から御答弁もございましたとおり、政治路線、政治駅はつくらぬ、絶対につくらない決心で邁進したい次第でございます。
 それから、学割り、あるいは通学定期の問題でございます。これは、先般、今回の運賃改正にも、総理の御指示もございまして、据え置きました。いわゆる公共負担の是正はしないことにしている次第でございます。しかしながら、今日国鉄の財政が非常に赤字でございます。一般の公共負担の問題も是正に向かっておりまして、運輸政策審議会その他におきましても、強くこれを指摘されておるところでございますが、将来、ただいまお話がございましたような方向で、ひとつ検討してみたいと、このように思っておる次第でございます。
 大体、私に対する御質問は以上であります。(拍手)
   〔国務大臣木村俊夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(木村俊夫君) 私に対する御質問、二つあると思いますが、今回の国鉄運賃による消費者物価への影響、これは先ほどお答えしましたとおり、平年度ベースで〇・三四%程度でございます。今後、さらに物価安定のために各般の努力を推進いたしますほか、私鉄その他の便乗値上げは、厳にこれを抑制する方針でございます。
 第二は、国鉄経営悪化の原因については、いろいろ考えられますが、お説のとおり、国鉄の輸送分担率の低下から収入が伸び悩んでおります。また、人件費の大幅な増高から、経費の著しい増大を見た等が大きなものと思われます。国の基幹的な輸送手段としての国鉄本来の役割りを遂行させるためには、他の輸送手段との関連を十分考慮しながら、鉄道の特性を発揮すべきであると考えております。このような観点に立ちまして、すでに、昨年十二月に、総合交通体系についての基本的な考え方を明らかにし、漸次これを実施に移していきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(水田三喜男君) 国鉄再建の措置として、いまある累積債務全部のたな上げが必要であると思われるという御意見でございましたが、これは、先ほど申し上げましたように、累積赤字による債務というものに限定することが実際は理屈に合うことだろうと思いますが、この際は、国鉄の全債務の約三分の二、六六%に及ぶ政府管掌の鉄道債と、それから政府保証の鉄道債と、この二つを合わせますというと、ちょうど一兆九千五百億円、約二兆円に近い債務でございますが、これに対して事実上たな上げの措置をとったと同じような効果を与える措置をとるならば、私はこれは再建に対する助成措置としては相当思い切った措置の部類になるのではないかというふうに考えます。全体の債務といいましても、さっき申しましたように、運賃収入の根源になる営業財産をつくるための債務でございますので、これはもう健全な営業債務であって、そこまでほんとうは助成策の範囲を広げるということは、むしろ国民の負担を余分に増させるということにもなろうかと思うのですが、しかし、そういうことを言わないで、赤字という範囲に限らないで、国鉄債務の約三分の二、六六%をこの際措置するという措置で私はある程度十分であって、この上に国鉄の再建ということについて国鉄自身が努力してもらえるなら、これはりっぱに十年たったら赤字を出さなくても済むような事態になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣高見三郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(高見三郎君) お答えいたします。
 中村先生御指摘の学割り定期割引、これにはいろいろの問題があると思います。ことに各種学校等につきましては考えなきゃならぬ問題があると思いまするが、私は、この学割り制度が五十数年にわたる歴史を持っておりますし、ことに父兄負担の軽減という見地から、文部大臣という立場で申しまするならば、相なるべくは存続をしていただきたい。ただし、御指摘のいかがわしい各種学校につきましては、制度の改正等によりまして、新しい考え方を出していきたいと考えております。この点につきましては、国鉄当局とも、運輸大臣とも十分相談をいたしまして、前向きに前進をいたしたいと存じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(森八三一君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#27
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、国鉄関係二法案について総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 今日、ますます重大となる物価問題に対し、政府が責任ある態度をとっているかどうかは、政府自身が決定権を持つ公共料金に対する態度によって明らかになることは、議論の余地のないところであります。
 政府が今回、この公共料金の中心である国鉄運賃を大幅に引き上げ、みずから物価値上がりを促進しようとすることは、政府の不誠実さを明白に示すものと言わなければなりません。政府は、消費者物価への影響は〇・四%にすぎないなどと強弁しておりますが、これこそ不誠実さを重ねて裏書きするものであります。国鉄運賃の大幅引き上げが、利用者に直接の打撃を与えるだけでなく、私鉄その他の交通料金をはじめ諸物価の値上がりを激しくするものであることは、過去の実績に照らしても、また名古屋鉄道などに早くもあらわれている大幅値上げ申請の動きに照らしても明らかであります。政府は、物価安定のために、国鉄旅客運賃の引き上げをやめるべきだと思うが、その誠意があるかどうか、答弁を求めるものであります。
 特に重要なことは、政府が国鉄財政再建計画において、今後十カ年に四回の値上げを見込むなど、運賃値上げを制度化しようとしていることであります。これこそは、公共料金についての物価安定政策会議の最近の提言や、これと同趣旨の経済企画庁の方針とも相まって、政府が公然と公共料金引き上げ政策をとり始めたことを物語るものであり、絶対に許すことはできません。政府は、公共料金だけを据え置くと、公共企業の経営が悪化するなどと宣伝しておりますが、これは、政府みずからが、その物価政策の破産を認めたことばと言わなければなりません。総理、あなたはそれでも恥ずかしいとは思いませんか。物価安定の実効ある方法は、公共料金据え置きを堅持し、さらに進んで、インフレの抑制と大企業製品の独占価格引き下げを断行することであり、また、こうするならば、公共企業の経営を悪化させないで済むと考えるが、このような政策をとる意思がおありかどうか、真剣な御答弁を求めます。
 次に、国鉄の財政再建政策についてであります。
 政府は、国鉄の赤字や累積債務がばく大であることを口実として、わずかの財政措置と引きかえに、運賃値上げで六兆三千億円、国鉄職員十一万人の整理などで二兆四千億円、ローカル線や小駅の廃止、自治体への負担強要などで数兆円の収入を見込むなど、主として国民の負担によって将来の設備資金さえもまかなおうとしております。しかし、国民には、このような犠牲を負わされる理由は何一つございません。
 国鉄の大幅な赤字の根本の理由の第一は、政府・国鉄当局が、国鉄法第一条、二条に定められた公共企業としての性格を踏みにじり、国鉄を少数の大企業に奉仕させているところにあります。公共企業としての国鉄の最大の任務は、広範な国民に、低廉、安全、便利、快適な輸送を提供するところにあります。ところが、政府、国鉄は、国民に対しては、旅客運賃をこの六年間に六七・二%も引き上げ、通勤・通学ラッシュ、さきの船橋の大惨事にもあらわれている安全無視の過密運転、ローカル線や小駅の廃止、国鉄労働者へのマル生運動や低賃金などを押しつけながら、鉄鋼、自動車、電気製品、セメント、石油などの大企業の貨物輸送に対しては、採算無視の安い料金、特別列車、専用線の費用負担など、至れり尽くせりのサービスにつとめております。これこそ国鉄が四十五年度に旅客輸送で五百億円の黒字を出しながら、貨物輸送で実に千八百億円もの赤字を出しているように、国鉄赤字の最大の原因であります。政府は受益者負担なるものを宣伝していますが、大企業こそ正当な負担もしない最大の受益者ではありませんか。政府は、国鉄財政の再建のために、大企業奉任の運賃体系を改め、旅客運賃を据え置いて、大企業の貨物運賃を適正な水準に引き上げるべきだと思うが、御見解を伺います。
 また、国鉄経営難の第二の要因は、政府が当然なすべき財政措置を怠り、国鉄に過大な財政負担を押しつけているところにあります。本来、国鉄の公共性を維持するためには、必要な資金について国が財政上の措置をすべきことは、国鉄法第五条にも明らかであります。ところが政府は、資産三兆六千六百億円の国鉄にわずか八十九億円の出資をしているにすぎず、逆に独立採算性を押しつけて、過大な財政負担を国鉄に負わせております。現在、国鉄の累積債務が三兆一千億円にもなり、年間千八百億円もの利子、すなわち、今回の運賃引き上げによる年増収見込み千七百七十八億円を帳消しにするばく大な利子を大銀行その他に支払わされているのは、政府の無責任きわまる政策の結果であります。政府は、何よりも、政府管掌債務の利子の全額はもとより、民間からの債務も財政資金で肩がわりして、その利子の全額をたな上げにすべきだと思うが、実行されるかどうか。また、独立採算制をやめ、政府出資を大幅にふやし、さらに設備資金、改良資金についても大幅な財政支出を行なうべきであると思うが、見解を承りたいと思います。
 さらに、国鉄のいわゆる赤字の第三の要因は、国鉄当局の過大な減価償却、不公正な入札など、乱脈をきわめた経理、経営にあります。政府は、国鉄の理事、監事の任命を国会の承認事項として、利用者代表、労働組合代表を参加させ、また、長期計画、再建計画を国会の議決事項にするなど、国鉄の管理を民主化すべきだと思うが、御見解を伺いたいと思います。
 最後に、今後の交通政策の根本について一言いたします。政府は、自動車、船舶などの競合を口実に、国鉄の今後の生きる道として、大企業本位、出血サービスの貨物輸送の増強と、高い料金、営利本位の新幹線の増強に設備投資の重点を置いております。しかし、独立採算制のもとで、旅容運賃値上げ、普通列車の間引き、ローカル線廃止、労働者首切りなど、国民の犠牲によって強行されるこのような交通政策が国鉄の真の再建になり得ないことは、現在の事態に照らしても、また、新しい十カ年計画がその最終年度に累積債務八兆円、十年間の支払い利子三兆三千億円を予想していることからも明らかではありませんか。
 わが党は、さきに述べた財政再建政策とともに、今後の国鉄の交通政策は、その重点を通勤・通学輸送の根本的な改善、過疎対策の柱としてのローカル線の改善、増強などを中心とする低廉、安全、便利、快適な公共大量輸送に置くべきであると思うがどうでしょう。また、国鉄、地方公営交通など、公共大量輸送機関を優先する総合交通政策を実施し、自動車優先、私鉄優先などの大企業本位の交通政策を改めるべきだと思いますが、御見解をただしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(佐藤榮作君) 須藤君にお答えをいたします。
 政府は、従来から物価の安定、これを経済運営の最重点課題の一つとして、各般の施策を講じてきたところでありますが、最近、消費者物価の基調は比較的落ちつきを示しております。なお、公共料金につきましては、物価安定政策の一環として、従来からその引き上げを極力抑制的に取り扱ってまいりましたが、今後ともこの基本方針には変わりはありません。しかしながら、その長期にわたる固定化によりまして、公的サービスの質的低下や、量的減少を招き、国民の福祉を阻害するおそれのないよう配慮していくことも必要であります。このような考えのもとに、政府は、今回国鉄運賃など、その一部について財政措置を大幅に拡充することと合わせて、必要最小限度の改定を行なうこととした次第であります。したがいまして、国鉄運賃の値上げを取りやめる、さようなことはいたしません。
 また、いわゆる管理価格問題につきましては、独占禁止法の厳格な運用等により、競争条件の一そうの整備につとめるとともに、現在関係行政機関におきまして行なわれている実態調査の結果に即しつつ、対策のあり方について検討していく考えであります。(「検討ばかりじゃないか」と呼ぶ者あり)十分検討いたしますから、御了承願います。
 次に、須藤君から、今後の国鉄の使命についてお尋ねがありました。意見を交えてのお尋ねがありました。須藤君も御承知のように、モータリゼーションの進展を初めとし、最近における輸送構造の変革は目ざましいものがありますが、私はそうした中にあって、大量公共交通機関としての国鉄が、国民生活及び国民経済に果たす役割りは、今日もなお高く評価されていると考えております。国鉄の使命は、そうした国民の期待と負託にこたえ、鉄道がその特性を発揮し得る、新幹線をはじめとする都市間旅客輸送、中長距離大量貨物輸送及び大都市通勤・通学輸送の三つの分野に重点を置いて、たえず発展する社会の需要に即応し、安全、便利、快適な輸送サービスをできるだけ低廉に提供することであると思っております。この点は、須藤君御指摘のとおりであります。
 また、総合交通政策としても、国鉄、地方公営交通等の大量公共交通機関が、基幹的な交通手段として、その特性に応じたサービスを提供し、全体として効率的で、安全かつ公害の少ない交通体系の確立をはかるべきであると、かように考えております。
 以上、私からお答えいたしましたが、なお、運輸大臣から不足分を補足さしていただきます。さらに、十分意見交換のできなかった点は、委員会等において十分明らかにしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣丹羽喬四郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私に対する御質問は、貨物料金をもっと引き上げるべきではないか、大資本に非常にやはり楽にさしているのではないか、こういうような御質問でございます。
 実は、貨物料金につきましては、今回は、貨物収入が非常に悪化しております。それらも勘案をいたしまして、普通の旅客運賃の引き上げより一・二%上の二四・六%にいたして、大幅な引き上げをしている次第でございます。しかしながら、ただいま御指摘がございましたが、貨物収入の悪化の原因というのは、申しわけない次第でございますが、国鉄の貨物輸送の輸送方式がやはり現在の需要に適応しないというような点もございまして、そのために、その需要がよそへ逃げるという点もございましたので、むしろ抜本的に輸送方式を改革するということが一番重点なんです。先ほども私、申し述べましたとおり、あるいは拠点間輸送を十分にするために、小駅の統合であるとか、ヤードの整理であるとかというようなことをいたしまして、直通貨物列車を増発するというような方式によりまして、需要を増していくことが一番いま大切なことでありますというふうに考えておる次第でございまして、そっちのほうにおきまして貨物収入の改善をはかってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
 また、もう一つは、減価償却が過大過ぎるのじゃないかということでございますが、減価償却につきまして、これは、私どもは、国鉄は公社でございますが、公社の、一般の他の二公社の減価償却の方法だけでなく、民間の会計の減価償却の方法等とほとんど同じ程度の減価償却をしておる次第でございまして、それらの点につきましては、過大な見積もりをしましてことさらに赤字を出すという原因をつくっている次第ではございません。
 御承知のとおり、今日におきましては、過疎過密の状況が非常に進んでまいりまして、過密都市におきましては、通勤、通学をはじめといたしまして、輸送力の増強を強く叫ばれておる次第でございます。また、過疎の点につきましては、需要の減小によりまして収入の悪化が非常に強く叫ばれておる次第でございます。その間をいかに勘案をいたしまして、国鉄としての陸上の国民の大動脈としての使命を達成するかということで、せっかく今日、政府におきましても思い切った出資あるいは助成をする、また、国鉄におきましても企業努力を懸命にする、そうしてまた国民の御協力を願うということで、今回の審議をお願いしている次第でございますから、よろしく御審議のほどをお願いする次第でございます。(拍手、「答弁漏れがありますよ。監事や理事の任命に対して国会の承認を求めるということですよ。国鉄運営の民主化の問題が抜けていますよ。」と呼ぶ者あり)
 失礼いたしました。
 国鉄の民主化で、国鉄の理事、委員等に消費者代表も入れたらどうかというような御指摘と思う次第でございますが、それらの点につきましては、政府が責任を持ちまして総裁を任命し、また、理事その他の任命につきましても、極力適正なる人選を行なっている次第でございますが、具体的の民意の反映につきましては、あるいは国鉄諮問委員会、あるいは運輸政策審議会等におきまして、利用者その他の皆さま方の意見が十分に反映するように心がけている次第でございますが、将来ともますますその方面の御意見を十分尊重いたしまして、そうして適正なる運営をしてまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。(拍手)
#30
○副議長(森八三一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#31
○副議長(森八三一君) 日程第二 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第三 北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長八木一郎君。
   〔八木一郎君登壇、拍手〕
#32
○八木一郎君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、世界保健機関憲章の改正は、近年、世界保健機関の加盟国が増加したことに伴って、機関の執行理事会の構成に関し、地域的配分が不均衡となりましたので、これを是正するため、理事会の構成員の数を現行の二十四から三十に増加することをおもな内容とするものであります。
 次に、北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正議定書について申し上げます。
 この条約は、北西大西洋の漁業資源保存のため一九四九年に作成され、わが国を含む十五カ国が加盟しておりますが、改正規定を欠くため、これまで必要な改正がなかなか実施されないという事態を生じていたのであります。そこで、条約に新たに改正手続を明記して発効を容易にしようというのが、本議定書の内容であります。
 これら両件に対する質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。
 五月十六日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#33
○副議長(森八三一君) これより両件を一括して採決いたします。両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#34
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#35
○副議長(森八三一君) 日程第四 土地改良法の一部を改正する法律案(第六十五回国会内閣提出、第六十八回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長高橋雄之助君。
   〔高橋雄之助君登壇、拍手〕
#36
○高橋雄之助君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果について御報告申し上げます。
 この法律案は、農業をめぐる最近の諸情勢の変化に対応するため、農業生産基盤の整備を計画的かつ効率的に推進し、土地改良制度全般について、その改善合理化をはかるため、換地制度における非農用地の取り扱いの改善、土地改良事業の統合化、農業振興地域整備計画に基づく基幹事業の実施方式の改善、農業用用排水施設等の利用関係の調整、農地保有合理化、法人に対する土地改良事業の実施資格の付与等、所要の改正をしようとするものであります。
 委員会におきましては、岡山県下に現地調査を行ない、参考人の意見を聴取する等、熱心な審査がなされたのでありますが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入り、塚田委員から、日本共産党を代表して反対の討論があり、次いで採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、全会一致をもって附帯決議を行ないました。
 以上報告いたします。(拍手)
#37
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#38
○副議長(森八三一君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#39
○副議長(森八三一君) 日程第五 小規模企業共済法の一部を改正する法律案
 日程第六 石油開発公団法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長大森久司君。
   〔大森久司君登壇、拍手〕
#40
○大森久司君 ただいま議題となりました二法案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、小規模企業共済法の一部を改正する法律案は、最近における経済事情の変化に対応し、小規模企業共済契約の掛け金月額の口数の限度を二倍に引き上げるとともに、小規模企業共済事業団の行なう貸し付け業務を円滑に行なえるようにするための必要な規定等を整備しようとするものであります。
 委員会におきましては、小規模企業共済事業団の業務について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
 次に、石油開発公団法の一部を改正する法律案は、石油及び可燃性天然ガスの安定的かつ低廉な供給を確保するため、石油開発公団の業務の拡大等をはかろうとするものでありまして、そのおもな内容は、第一に、石油開発公団の業務に可燃性天然ガスの探鉱資金の供給に関する業務を加えること、第二に、石油開発公団みずから石油及び可燃性天然ガスの探鉱に必要な地質構造調査を行なうこと、第三に、石油開発公団は、当分の間、原油備蓄の増強に必要な資金の貸し付けを行なうこと、等であります。
 委員会においては、今後の石油政策のあり方等について熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#41
○副議長(森八三一君) これより採決いたします。
 まず、小規模企業共済法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#42
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#43
○副議長(森八三一君) 次に、石油開発公団法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#44
○副議長(森八三一君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#45
○副議長(森八三一君) 日程第七 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事増田盛君。
   〔増田盛君登壇、拍手〕
#46
○増田盛君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故を防止し、その他交通の安全と円滑をはかる等のため所要の改正をしようとするものであります。
 おもな内容を申し上げますと、まず第一点は、普通免許の技能試験を路上において行なうこととし、普通免許の受験資格に、仮免許を現に受け、かつ五日間以上路上練習をした者であることを加え、仮免許を受けた者が路上練習をするときは、一定の資格を有する者の指導のもとに運転しなければならないこととする等、路上試験の実施のための規定を整備しようとするものであり、第二点は、指定自動車教習所の指定基準等に関する規定及び普通免許の免許経歴が一年未満の者は、当該自動車に一定の標識をつけて運転しなければならないこととする等、初心運転者の順守事項とその保護に関する規定を整備しようとするものであり、第三点は、免許証の有効期間の末日をその者の誕生日に合わせるため必要な規定の整備を行ない、運転免許事務の適正化をはかろうとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、各派共同提案の附帯決議を付することに決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#47
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#48
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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