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1971/05/31 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第18号
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1971/05/31 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 本会議 第18号

#1
第068回国会 本会議 第18号
昭和四十七年五月三十一日(水曜日)
   午前十時十分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十八号
  昭和四十七年五月三十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(農業基本法
  に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四
  十七年度農業施策並びに林業基本法に基づく
  昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度
  林業施策について)
 第二 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並び
  にその環境の保護に関する日本国政府とアメ
  リカ合衆国政府との間の条約の締結について
  承認を求めるの件(衆議院送付)
 第三 特定多目的ダム法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 義務教育諸学校施設費国庫負担法及び公
  立養護学校整備特別措置法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 道路運送車両法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 野上元君から病気のため十七日間、松井誠君から病気のため十一日間、浅井亨君から病気のため十七日間、黒柳明君から海外旅行のため十日間、山田徹一君から病気のため十七日間、青島幸男君から海外旅行のため十七日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(農業基本法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度農業施策並びに林業基本法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度林業施策について)
 農林大臣から発言を求められております。発言を許します。赤城農林大臣。
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(赤城宗徳君) 昭和四十六年度農業の動向に関する年次報告及び昭和四十七年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十六年度農業の動向に関する年次報告について申し上げます。
 わが国の農業は、内には、長期を要する構造改善の過程において米の過剰、物価問題等に直面し、外には、経済の国際化に早急な対応を迫られるなど、きわめてきびしい局面に立ち至っているのであります。
 このような情勢のもとにおいて、農業の他産業に対する比較生産性の格差は、前年度に引き続き拡大しております。これは、農業の生産が米の生産調整の実施等により前年度よりわずかに低下し、また、農産物生産者価格が停滞的に推移したことがおもな要因であります。
 しかし、農家の生活水準は、農外所得の増加等により向上を続けており、勤労者世帯と比較してほぼ遜色のない水準に達しております。
 次に、農業の構造について見ますと、農業就業人口の減少にもかかわらず、農家戸数の減少は緩慢で、耕地規模の拡大による農業経営の発展は必ずしも順調な進展を見せていないのであります。このような中で、多くの農家は、兼業により農外所得に依存する傾向を強めておりますが、農業に意欲のある専業的農家は、土地の制約の少ない中小家畜、施設園芸等の部門において規模拡大を志向しているのであります。
 以上のような農業の動向のもとにおいて、今後、経済の成長とその国際化の進展に対処して、農業の均衡ある発展をはかるためには、何よりもまず、わが国農業が国際競争場裏において競争できるようその体質改善をはかることが肝要であり、そのため、農業生産及び流通加工等の体制を団地的に再編整備し、生産性の向上を通ずる高能率な農業の展開をはかることが必要であります。また、農業、農家及び農村においては、その役割りをあらためて見直すべき時期に来ており、農村地域の整備開発につきましても、農村地域住民の福祉の向上、自然環境の保全等の総合的視点でこれを推進する必要があるのであります。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部におきましては、昭和四十六年度を中心として、講じた施策を記述しております。
 最後に、昭和四十七年度において講じようとする農業施策について申し上げますと、以上のような農業の動向に対処するため、農業基本法の定めるところに従い、諸情勢の推移を織り込みまして、農政の本格的展開をはかることとしております。このため、四十七年度におきましては、わが国農業の体質改善と農業生産の再編成をはかることを基本とし、農業構造の改善、農業団地の形成、農業生産基盤の整備、価格、流通対策の強化、農村の整備開発など各般の施策を推進することといたしております。
 以上をもちまして概要の説明を終ります。
    ―――――――――――――
 次に、昭和四十六年度林業の動向に関する年次報告及び昭和四十七年度において講じようとする林業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十六年度林業の動向に関する年次報告について申し上げます。
 わが国林業は、資源的な制約、生産基盤の整備のおくれ等の構造的要因に加え、昭和四十五年秋以降の景気後退の中にあって、木材需要の停滞、木材価格の低迷等、きわめてきびしい事態に直面しております。
 木材の需給の動向を見ますと、その需要は、昭和四十五年には一億立方米に達しましたが、国産材の供給は前年に引き続き減少し、一方、外材の進出は、わが国林業・林産業に一そう大きな影響を及ぼすに至っております。
 造林等の林業生産活動は、材価の低迷による伐採の停滞、林業労働力の減少等の影響を受け停滞的に推移し、このため、一般的に林業所得も伸び悩んでおります。
 また、自然環境の保全その他森林の持つ公益的機能の維持増進については、保安林制度の充実、その他従来から行なってきた森林の公益的機能の発揮の努力に加えて、木材生産機能との調和の上に立った森林の多角的な機能の最高度の発揮をはかることが必要となっております。また、近年、特に国民の自然参入の場としての森林の利用が急増したことに伴い、森林の保護、地域住民の生活及び林業生産活動との調整の問題が生じており、森林管理の強化等の必要性が高まっております。
 なお、このような国内林業のきびしい情勢は国有林野事業にもあらわれており、国有林野事業としては、国有林野の公益的機能の維持増進をはかるための諸施策の充実強化、各種事業の徹底的な改善合理化等、事業全般にわたって改善を行なうことが必要な事態となっております。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部におきましては、昭和四十五年度及び四十六年度において林業に関して講じた諸施策を記述しております。
 最後に、昭和四十七年度において講じようとする林業施策について申し上げますと、以上のような林業の動向に対処するため、政府といたしましては、昭和四十七年度におきまして、林道等の生産基盤の整備開発及び森林資源の維持増強、林業構造の改善、林産物需給の安定及び流通加工の合理化、林業従事者の養成確保及び福祉の向上、森林の持つ公益的機能の維持増進等の各般の施策を推進することといたしております。
 以上をもちまして概要の説明を終わります。(拍手)
#7
○議長(河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。工藤良平君。
   〔工藤良平君登壇、拍手〕
#8
○工藤良平君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま報告のありました昭和四十六年度の農業及び林業白書につきまして、総理並びに関係大臣に対して質問をいたします。
 総理、まず農業の現況は、統計やあなたの耳に入る情報よりも事態はもっと深刻化しているという認識に立っていただきたいということであります。
 都市近郊では、農地はもはや農業の生産手段としてではなくて、財産として保有するという傾向が一般化しています。
 七〇年代の社会的休耕地は百万ヘクタールともいわれております。大気や水の汚染によって、耕作しようとしてもその耕地は汚染され、せっかくでき上がった太陽と緑の結晶も商品価値を失い、そればかりか、人間の健康をむしばむ原因となっているのであります。一歩山村に入れば、静かな谷合いの村には人気はなくなり、廃屋の数は年々ふえております。つい先ごろまでにぎやかな声のしておりましたなつかしい小学校の校庭には雑草がおい茂り、子供たちの声は聞こえないという悲しい農業の現実のきびしさを知らされるのであります。
 いまここに、あらためて農業政策への反省と新たな政策の樹立が痛感されるのであります。
 そこで、まずお伺いいたしますが、過去、高度経済成長の中で果たした農業の役割りと構造的適応についての理解についてであります。
 農業の構造的適応のおくれを端的に示すものが、農工間における労働生産性の比較であります。白書は、昭和三十五年から四十二年にかけての労働生産性が年率七・二%上昇したことを示し、製造業の年率九・七%に接近していましたことを示しています。しかし、四十三年度以降、その差は拡大し始め、製造業が年率一二ないし一五%と加速化しているのに対しまして、農業のそれは、四十四年三・五%、四十五年においては三・七%と、格差は拡大の一途をたどっているのであります。また、比較生産性は、四十二年度三九%まで縮まったものが、再び三〇・八%と拡大をしておるのであります。高度成長の過程で、両者のたどったわだちのあとを振り返ってみますと、まさに高度成長を遂げた工業の身がってさと、それに引きかえてりちぎな農業、貧乏くじを引かされた農業の実態があまりにも歴然とするのであります。
 いま、かりに、非農業の上昇率が欧米並みの四ないし五%程度であったとすれば、豊かな均衡ある社会への前進を続けられたであろうと考えられるのでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。
 二番目の問題は、これほど精を出した農業がなぜ年々格差が拡大していくのであろうかということでございます。
 今日、農業就業人口は一五・九%と大幅に減少しましたが、農業総産出額は四十年の三兆円に対して、四十五年度は四兆五千八百億円を生産し、先進西欧諸国のそれを上回るものでありました。米、果樹、蔬菜、畜産と各部門において、戦前四十年かかった生産量をわずか十五年間に達成するという急テンポで進んだのであります。しかし、一方において、小麦、大豆、飼料等、輸入農産物に対する依存度を高め、需給率は七六%と低下し、食糧需給構造の変化に対応する農業の構造的適応のおくれを生じ、国内生産者価格と輸入価格との開きを大きくするという結果を招いたのであります。これは現在の農業政策が、長期の見通しはあったとしても、それを改善し得ない政策に終始したことにほかならないのでありまして、これこそ、まさに七年余にわたって政権を担当してこられました佐藤総理自身の責任であると思うのでありますが、この点についての御見解を伺います。
 三番目の問題として、拡大する農業、非農業間の格差是正のために、出かせぎという農外所得に活路を求めている現状に、どのような手だてを行なうべきかということであります。
 四十五年度の農家一戸当たり所得百五十九万六千四百円のうち、農外所得は八十九万八千五百円と五〇%をはるかにこえているのであります。出かせぎによる家計収入の増加は、一見、農家所得の増加となって、勤労者世帯との所得均衡が保たれているかのごとき統計があらわれていますが、しかし、そこには百万出かせぎ農家におけるかぎっ子や、あるいは別居生活から起こる家庭不和、悲劇という大きな犠牲の上に成り立っているということに目を向けなければなりません。それは物価や税金、公害などに優先さるべき重要な基本的人権にかかわる問題であります。実質一〇%をはるかにこす高度の経済成長は、農業部門からの大量の労働力の補給によって達成され、新規雇用をも確保し得たのであります。しかも、その農家が、季節的な人口の流出はあっても農家戸数の減少の伴わない、挙家離村ができないでいるという日本農業の構造的特質の上に立っての政策であって、日本農業の体質を根本的に改革しようとする熱意をうかがうことはできないのであります。現状をこのまま放置すれば、農業労働力の劣悪化がさらに進行し、日本農業は根底からくずれ去ると思われますが、その対策について伺います。
 さらに、それと関連をいたしまして、農業就業人口の女性化、老齢化について一言触れておきたいと思います。
 産業別の全有業人口の男女比率は、一九六五年で、男子二千九百三万人に対して女子千八百六十一万人で、六対四の割合で、将来において女子の職場進出がふえたとしても、男子比率の優位性は変わらないと推計されております。ところが、第一次産業においては、産業一般の趨勢とはかなり異なった様相を示しております。このことは、農業後継者の不足を意味するものでありまして、新しい農業改革の要請に対応し得ない大きな要因ともなっているのであります。新規後継者対策とともに、女子・老人対象の福祉優先の対策が必要であると思いますが、具体的方策をお示しいただきたいと思います。
 四番目の問題は、貿易自由化と日本農業に与える影響と対策についてであります。総輸入額に占める農産物輸入は、一九六〇年代の前半においては、小麦、粉乳をもって代表されたのでありますが、七〇年代に入った今日では、総額において三十二億五千万ドルとなっております。輸入の傾向としては、小麦など主食用穀類は、停滞傾向にあるとはいえ、依然一位を占めています。とりわけ飼料の輸入増が目立ち、昭和四十年の六百四十七万トンから四十五年には千二百二十一万トンと、わずか五年間に二倍に増大をいたしているのであります。さらに、消費傾向の多様化から、コーヒー、ココア、冷凍エビ、食肉、高級魚介類、バナナ、チーズ、かんきつ類などの増加が目立ち、大量の木材の輸入、さらに輸出の目玉商品でありました生糸までもが輸入の主座にのし上がりつつあるのであります。加えて円の切り上げによる農業への影響は、内外農産物の内外価格差をより一そう拡大をしております。それは、日本農業の国際的な視点からの対策のおくれが主因であることは、当然責められなければなりませんが、自由化の波から国内農業を守る対応策として、EECなどでも、農産物に自由貿易の原則を貫徹することは無理だという認識が大勢を占めておるといわれ、アメリカの農産物自由化の強要をできるだけそらすための残存輸入制限品目を残そうとの対策がとられているといわれていますが、わが国の場合どのように対処されるか、お伺いをいたします。
 五番目の問題は、以上の置かれた諸問題を解決をし、農家に働く場所と安定した生活を与えるためには、農業を日本経済の中にどう位置づけるかということを問い直す必要があると思います。すなわち、六〇年代の地域開発は、工業重視と生産能力増強を目標として進められましたが、それは、結果として、驚異的な高度成長をもたらしたとはいえ、一方において、住むに住めない環境破壊をつくり出したのであります。農業の持つ任務が国民食糧確保という大前提に立つことは論をまちませんが、いま新たな任務についての認識をしなければならないときだと考えます。
 新全総にうたった日本列島の有効利用、国土の再編成は、七〇年代に入って、有限である国土資源の利用という観点から総点検され、成長追求型から福祉追求型への転換を迫られていると思います。高密度社会からの逃避としての国民のレクリエーション傾向からして、水、土地、空気、緑が従来よりも一そう貴重なものとなり、空と海、都市空間の環境悪化とともに、国民の目は広大な農村の自然環境に向けられ、失われたものを求めようとする傾向は高まっております。都市化の中で押しつぶされ、外国食糧依存を強めつつある農業の高度経済成長への対応について、その基本的考え方を明らかにしていただきたいと思います。
 六番目の問題は、以上の基本の上に立って、農業の改革、農業の振興がどのようになされるかということであります。
 国土の合理的利用と農業の振興を目的とし、都市化の侵食から農業を守る領土宣言ともいわれて発足をいたしました農振法は、農地の転用を防ぎ、地価の抑制、農業の発展を約束するものではありましたが、「各県の基本計画は画一的、抽象的で新鮮味なし」と批判されておりますように、その運営の先行きはきわめて不安なものであります。農振法が新全総や新都市計画法に従属していたのでは、農業の本来の目的を達成することはきわめて困難であると思われますが、今後の積極的運用についての見解を伺いたいと思います。
 七番目の問題は、農政の基礎をどこに置くべきかという問題についてであります。
 農業におけるもろもろの矛盾点を解決し、新鮮にして低廉な食料品を安定的に供給し得る農業を創造するためには、まず農業生産力増強の原点に返らなければならないということであります。もちろん、価格、流通などの諸政策をあわせ行なうことが必要なことは申すまでもありませんが、ともあれ、農業生産力増強の基本、すなわち、農業の基盤整備を短期に、大量の社会資本の投入によって行なうべきであると思います。ことに手持ち外貨が大幅に増加した今日、それは容易であると思うのであります。
 農業生産力の向上には、機械化、経営規模の拡大、土地生産性向上の三つがその三要素でありますが、今日まで投入された農業基盤整備の資本投下は、最も進んでいる水田地帯において区画整備三二%、水田の道路条件が一八%、基幹的用排水の条件完備が二〇%にすぎません。畑地においては、農道の完備しているものは一一%にすぎないのであります。狭小な面積に依存するわが国の農業においては、土地の立体的利用、畑地及び急傾斜地の利用による農業の新たな展開がより必要であると思いますが、いかがでありましょうか。
 また、土地の問題と関連して、相対的に低下傾向にあります農業用水の確保と水資源との関係についてであります。
 高密度経済社会における水の利用度はますます逼迫の度を加えています。とりわけ企業活動が活発化するに及んで、工業用水、生活水準の上昇によって都市用水に対する需要量は増大しています。一方、水の供給は、自然流水の利用からダム開発へ、さらに河口ぜき、淡水湖の利用へと拡大はされましたものの、ダムサイトの減少、地価の高騰、水の汚染などによって水のコストは高まり、容易ならざる事態に立ち至っております。事、水に関する限り、わが国におきましては、国際的にもきわめて恵まれているとはいえ、年間六千億トンの雨量のうち、六・六%の四百億トンしか活用されているにすぎないのであります。逼迫する水需要の長期対策と農業用水との調整、水源地域の保護対策等についてお伺いをいたしたいと思います。
 八番目の問題は、過疎についての問題であります。
 過疎地域の日本農業における地位は、農家戸数、農業粗生産、農用地面積等では全国平均を上回ってはおりますけれども、土地生産性と労働生産性では二〇ないし三〇%も下回っているのであります。自治省の過疎白書によれば、七〇年からの五カ年間に一兆五千億をこす振興計画が樹立されつつありますが、全国市町村数の三〇%、面積において全国土の四〇%を上回るといわれる過疎対策は、いまこそ、食糧基地としての先行的な、しかもユニークなアイデアに富んだ振興計画が必要であると思いますが、いかがでございましょうか。
 九番目の問題は、土壌汚染対策についてであります。
 工業用排水、都市排水、廃休止鉱山等による農業用地の汚染の実態が逐次明らかにされつつありますが、これが食糧生産に直接関係しているだけに、その対策を急がなければなりません。とりわけ土壌汚染地域の指定、対象物質の拡大、さらに、土壌復元対策事業に対する被害者負担の解消等、万全の対策を行なう必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
 十番目の問題は、脱米作農業といわれる米の生産調整、過剰米対策等についてであります。
 一兆二千億をこすといわれる過剰米処理、さらに、年間二千億円に近い生産調整対策費を投入しての米作転換政策、しかし、野菜の供給にしろ、それを安定化し得ない現状でありますし、輸入食糧は増加の傾向が強まっております。このことは、米の生産調整による農家の生産意欲の喪失に影響するところがきわめて大きいと言わなければなりません。四十七年産米価の値上げはその意味において重要でありますが、この際、生産者米価並びに消費者米価についての見解を伺います。
 最後の問題として、日本の林業政策について触れたいと思います。
 本来、森林は用材の確保とともに国土の保全、水源の涵養、国民の生活環境保護の立場から、大切な任務を持つものでありまして、一そう森林の公益機能の充実が求められなければならないと思います。
 しかしながら、林地の荒廃は進み、国内生産は木材需要にはるかに及ばず、木材の輸入は、昭和三十五年の七百五十四万立方メートルから四十五年には五千六百四十四万立方メートルと八倍にふえ、外材依存率は五〇%をこえるに至りました。林政の危機は深刻であります。抜本的対策についてお示しをいただきたいと思います。
 さらに、環境汚染、森林の乱伐による自然破壊など、山に対して自然を守るという国民の関心も高まっているのであります。このときにあたって国有林野の位置づけは一段と強化されなければなりません。しかし、国有林野の運営において経済合理性を追求するあまり、公益的機能の維持増進において問題が提起されております。国有林野の果たさなければならない重要性にかんがみ、資源の有効的利用と環境保護、国土保全のための森林の保護について、公益的機能の維持増進のため国民の信頼にこたえる運営をはかるとともに、山林労働者の雇用の安定と処遇の改善等、根本的な改善をはかることにつとめなければならないと思いますが、いかがでございましょうか。
 以上、きわめて要点のみについてお尋ねをしてまいりましたが、農業の諸矛盾は累積をし、いま、どうにもならない事態に立ち至っていると思います。ドルショック以降、発想の転換が唱えられています。それが社会資本の充実を意味するならば、大きく開いた都市と農村の格差をなくするために、自然保護に沿った林地、農用地、河川、用水の改良と近代化のため、短期間に思い切った投資を行なうことを提案をいたしたいと思います。国民食糧の生産に意欲を持った心ある農民はそのことを心から望んでいるのであります。それが失われた農民の生産意欲をかきたて、国民に低廉にして新鮮な食糧を確保し、汚された環境保全の重責を果たし得るものだと信じます。
 誠意ある回答を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(佐藤榮作君) 工藤君にお答えをいたします。
 いろいろ工藤君からは、広範な問題について御意見を交えながらお尋ねがございました。私からは基幹的な、基本的な問題についてお答えをいたします。その他の点については、関係大臣からお答えすることをあらかじめ御了承願っておきます。
 まず、私は、農業の健全な発展なくしては日本経済の調和ある発展はなく、また、健全な農村と農民を育てていくことは、わが国社会全体の健全な発展にとっても、きわめて重要であると考えております。
 農業基本法施行以来、わが国農業は、食料需要の高度化、あるいは多様化に対応した農業生産の選択的拡大を進めるとともに、欧米に比較して遜色のない生産性の向上を遂げながら、農業従事者の所得と生活水準の向上を果たしてまいりました。今日のわが国農業の生産性及び農家の生活水準は、農業基本法制定当時に比して著しい向上を示しておりますことは御承知のとおりであります。すなわち、労働生産性はこの十年間に二倍近い向上を示し、また農家の世帯員一人当たりの家計費で見た生活水準は、勤労者世帯のそれに対して九五%の水準に達しております。しかしながら、最近のわが国農業をめぐる内外の諸情勢は、米の生産過剰や、経済の国際化など、まことにきびしいものがあります。
 このような事態に対処してわが国農業の健全な発展をはかり、農業従事者の所得及び生活水準の向上をはかるためには、何よりもまず、わが国農業を、国際競争にたえられるような近代的な農業として確立することが必要であります。このような考えのもとに、その体質の改善と、需要の動向に見合った農業生産の再編成をはかるため、農業団地の形成をはじめとする生産構造、それにまた、出かせぎ問題を含むいわゆる兼業農家の問題、流通、価格等の各般の施策を強力に推進する考えであります。
 次に、農産物の自由化の問題でありますが、かねてから申し上げているように、自由化の推進は政府の基本方針であります。したがって、農産物といえどもその例外ではありません。ただ、わが国農業は、国際競争にたえ得るよう、生産性の高い近代的農業の確立を目ざして、各般の施策を強力に推進している最中であります。かように考えますと、オレンジ等、わが国農業の基幹となるべき品目については、当分自由化を考えておりません。政府としては、自由化を進めるためにも、農業の近代化を急がなければならない、かように考えておるのでございます。
 次に、水の問題につきましては、経済社会の発展に伴う各種用水の需要増加に対処するため、政府といたしましては、水源地域対策及び自然環境保全等に十分配慮しながら、ダム等の水質資源開発施設……ダム等の水資源開発施設等の建設を推進し、水源を確保してまいる考えであります。ことばが不足したのでおわかりにくかったと思います。ただいま説明したとおりでありますから、御理解をいただきます。
 また、新規の水利用につきましては、関係都道府県等地元の意向を十分尊重しながら、各用途別水需要の長期見通しに立って、その総合調整に遺憾なきを期することといたしております。
 最後に、林業と環境保全の関係についてのお尋ねがありましたが、工藤君も御承知のように、林業はその適切な生産活動を通じて、森林の環境保全等の公益的機能の維持増大がはかられるという特性を持っております。今後も健全な森林の造成維持を通じて、環境保全等の公益的機能の向上をはかるという基本的な考えのもとに、森林計画制度、保安林制度の改善強化及び造林事業の拡充等による森林資源の充実をはかり、森林の持つ多面的な機能を最高度に発揮させるよう、つとめてまいりたいと考えております。
 以上、私からお答え申し上げます。御了承願います。
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(赤城宗徳君) 私のほうから御答弁申し上げます。
 第一番は、農業と工業との格差是正ということを目標としているにもかかわらず、格差は依然として広がっておるじゃないかと、これをどうするかということでございます。これはもう、御承知の、原因は、私から申し上げるまでもなく、格差は相当是正すべく、労働の生産性も上がり、あるいは農業の生産も上がっておるんでございますが、一方において、工業のほうの伸びが非常に多かったので、その関係で農業との格差が依然として広がっておると、こういうことでございます。しかし、先ほど総理からも御答弁申し上げましたように、労働の生産性も農業のほうは上がっておるのでありまするし、所得のほうもふえてはおるわけでございますが、しかし、この面では、やはり農業そのものの体質改善といいますか、組織化しないと、なかなか格差の拡大というものを阻止できないということでございまするから、農業全体として、やはり農業を組織化するというか、個人的の経営規模拡大というような面が十分行なわれておりませんが、団地的に、団体的に、経営が大きくなるというようなことによって生産性も上げ、あるいは国際競争力にも耐え得るような方向に持っていく、団地的な農業の方向に持っていくというふうにして、この格差をだんだん是正していくと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 同時に、農業政策として国内面から見ますると――第二の質問でございますが――選択的拡大が進まないじゃないかということでございますけれども、やはり日本の農業、国内的な農業から言いまするならば、需要と供給のバランスをとるようにしていかなくちゃならぬと私は考えております。そういう面で、米は生産過剰でございます。でございますので、米の一部分はやはり抑制するということによって米の供給と需要とのバランスをとる。その他の農産物につきましては、むしろ供給が不足しておるようなことでございまするから、これはやはり日本の国内の自給度を維持しあるいは高めるという方向によって――供給を需要とバランスをとるような方向へ自給率を維持しながら高めていくということによって進めていきたいと思います。そういうことから考えまするならば、従来の選択的拡大というような面の果樹あるいは畜産という方向に相当力を入れるということで予算措置などもしておるところでございます。
 それから出かせぎと農業の女性化、老齢化、これをどうするかということでございますが、これは、白書にも申し上げているように、日本の農業が非常に兼業化している、専業農家が少なくなりまして八五%程度が兼業化している、こういうことでございます。これは、農業そのものが、その結果、女性化して老齢化しているということでございますが、私は、むしろ日本の農業は女性でもやっていけるというような農業に持っていくと、これがほんとうは筋道だと思います。だから、農業の重労働的なものを排除して、女でもやっていけるというように農業の体質を改善していかなければ、ほんとうに農業の体質改善はできないと思います。そういう意味におきまして、いまの機械化あるいは土地改良等によりまして、農業が女性でもやっていけるというような方向へ改善していかなくちゃいかぬ。それには、団地化あるいは土地改良と、こういうものに力を入れて、機械化もでき、あるいは、土地改良も、水田の土地改良に力を入れてきましたが、これからは畑地農業というものが相当やっていけるような方向へ土地改良もしていかなくちゃならぬ。
 それから老齢化等につきましては、いままでもやっておりますが、後継者対策とか、あるいは農業年金とか、あるいは工業の導入、こういうようなことを農業と調和をとるようなことにいたしまして、出かせぎというものを地元で消化できるというような方向へ持っていきたいと思うのであります。
 農産物の自由化につきましては、総理から答弁がありましたように、日本の農業が国際競争力に耐え得るような方向へ持っていきますから、それができるまでは重要な農産物の自由化は差し控えたいと、こう思っております。
 水資源の問題等、水の需要はますますふえていくと思います。こういう面につきましては、やはり水の需要の合理化、こういうものを建設当局などともよく相談しながら合理化をしていく、あるいは水資源の確保、こういうことが必要でございます。これは林野のほうでの質問もございましたが、森林の公益的機能というものは非常に強く認識されてきましたが、大体森林は公益的機能が強いと思います。でございますので、森林の問題につきましては、やはり公益優先と、こういうことで進めていかなくちゃなりません。そういうときに、その公益的機能のうちに水資源の問題もございます。森林そのものが私はダム的機能を持っておると思います。そういう意味におきまして、森林をどういうふうに扱っていくかといえば、公益的機能をますます発揮させるということでございますから、やっぱり伐採はできるだけ差し控えていきたい。そうして造林を進めていきたい。それで造林もいま言うように、水資源の涵養になるわけでございまするから、そういう方向で造林も進めていく、あるいはまた、森林労働者の対策といたしましては、やはり過疎地帯の対策も講じながら、あるいは林道とかあるいは農道、こういう方面の開発もある程度し、労働力もそこに収容できるようなことにしていかなくちゃならぬというふうに考えております。詳しくは白書等においても、四十七年度において講じようとする施策、こういうものを強力に進めていきたい。
 それで、最後に、農業に対する何といいますか、予算あるいは投資、投資が少ないじゃないかということでございますが、これはやはり日本農業というものを滅ぼすわけにはまいりません。そういう意味におきましては、どうしても財政的な裏づけが必要でございまするから、そういう面では、極力この日本全体の情勢から考えて、農業に対しての財政的な投資、あるいは金融的な措置、こういうものを十分に裏づけしていくように推進いたしたいと思います。(拍手)(「農林大臣、米価」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣渡海元三郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(渡海元三郎君) お答えいたします。
 過疎対策として、過疎地域の教育文化施設あるいは生活環境の整備がもとより必要でございますが、何と申しましても、産業の振興による雇用機会の拡大、また、所得の向上が必須要件であると考えます。過疎地域の主要産業が農林漁業でございますので、農業の振興をはかるということが最も重大な課題であることは、工藤議員御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、恵まれない条件のもとにあります過疎地帯でございますので、従来のような方法のみにたよっておっては、その振興は困難であろうと考えます。このため、地域に応じたきめこまかい施策が必要でないかと考えておるのでございます。関係各省とも十分連絡の上、生産基盤の整備、経営近代化施設の整備、土地の流動化、これらをはかるとともに、経営の多角化、特に安定的兼業機会の増大をはかる等、総合的な抜本施策の充実のために、一そう努力してまいりたいと考えます。(拍手)
   〔国務大臣木内四郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(木内四郎君) 先ほどの御質問のうちで、土壌が汚染しておるが、環境庁はどうしておるかというような御質問でございました。
 御案内のように、有害物によりまして、たとえばカドミウムとかあるいは銅、こういうものによるところの土壌の汚染が、最近非常に顕在化してまいりました。そして、その結果として、そのために人体、人の健康に害のあるような農畜産物が生産されている、あるいはまた、農作物の育成を阻害する、こういうようなふうな影響がありまするので、環境庁といたしましては、昨年、カドミウムを土壌汚染防止法の特定有害物質に指定しまして、そうして全国的に調査を進め、また対策を講じておるようなわけでありますが、銅につきましては、これもやはり有害な影響を及ぼしまするので、これを特定有害物質に指定したいと思いまして、ただいま、この土壌汚染防止法によるところの農用地の土壌汚染対策地域に指定したい。その条件をただいま中央公害対策審議会のほうで審議しておるわけでありまして、その結果によりまして、特定有害物質に指定いたしたい、かように思っておるわけであります。
 それから、さらに、PCB、あるいは砒素、これにつきましては、その農産物に対する影響、あるいはそれによるところの汚染の実態、農産物に対する影響、また人体に対する影響等のこのメカニズムがどうもまだ十分明らかになっておりませんので、これを詳細に調査をいたしまして、必要に応じまして、特定有害物質に指定したい、そうして取り締まりをしてまいりたい、かように思っております。
 その他、亜鉛その他の金属物質につきましても同様でありまして、今後さらに引き続いて調査を進めてまいりたい、かように思っております。
 それから国有林野の部分につきましてもちょっとお触れになりましたけれども、総理からも、また農林大臣からもお話がありましたように、国有林野は、これは環境保全の上におきまして大きな役割りを果たしておるのでありまして、林野庁におきまして施業計画を立てられるにあたりましては、必ずや私はこの点について十分に考慮を払っていただくものと思うのでありまするけれども、環境庁としましても、その立場もありまするし、また意見もありまするので、林野庁当局と十分に連絡をとりまして、遺憾のないように取り計らってまいりたい、かように思っておる次第であります。(拍手)
#13
○議長(河野謙三君) 農林大臣から答弁の補足があります。赤城農林大臣。
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(赤城宗徳君) 米価問題につきましての答弁が漏れておったということでございますので、御答弁申し上げます。
 私は、先ほど申し上げましたように、工業面と農業面との格差が拡大している、こういう御指摘、私もそのとおりに思います。私から申し上げるまでもなく、工業と農業と比較しますと、農業は生産性が上がらぬ。一年に、米でいえば一回しか収穫がとれません。工業では毎日生産できる。こういう差もございます。あるいはまた、工業においては大量生産といいますか、マスプロもできる。ところが、農業においてはマスプロはできません。こういうことでもございます。それから、機械化といっても、工業においては、機械は使いようによって毎日使えますが、農業においては季節的に使うだけで、機械の償却というものはなかなかできない。こういうふうに、工業と農業と比較すれば、たいへんこの農業というものは生産性を上げようとしても、工業と同じような生産性を上げることはできません。そういうような関係でございまするから、どうしても工業の面と農業の面と比較しますと、農業面というものは工業と比較すれば不利でございます。そこで、どうしても国がこれに対して相当の援助というか、バックアップをしなければ農業というものはなかなかもつていけない、こういう性格を持っているわけであります。そこで農業政策として、やはり価格政策として、農業の生産物の価格を支持する政策をとっています。あるいは農業の生産に対する生産対策もとっています。あるいは農業の構造政策もとっています。そういうことでありますが、やはり、何としても農業の体質を改善しなくちゃなりませんが、しかし、その価格政策というものを捨てるわけにはまいりません。そこで、米の価格というような問題も出てくるわけでございます。そういう意味におきまして、現実的には生産者米価というものを押えてまいりました。これは米の生産が過剰であるというような面がありましたので、生産調整の面もあって押えてきました。しかし、いまこの物価も相当上がっている。あるいは、政府としてもまあ公共料金なども上げざるを得ないというようなかっこうでやっている。あるいはまた、労働賃金、この賃金なども上がっておる。こういうような状況で、米への生産者米価だけを押えておくということは、これはやっぱり国全体として不公平じゃないか、こういうふうに私は考えるわけであります。そういう意味において、やはり米の価格は、ことしは相当弾力的にこれは考えていくべきじゃないか、具体的にはまだ米価審議会に諮問してきめなくちゃなりませんし、生産者米価をただばく然とつかみで上げるというわけにまいりませんから、やはり資料を整えて、その資料によってやっていかなくちゃならぬということで、資料をいま集めて、米価審議会に諮問をしたいということでございますが、結論的には、私は、弾力的に――押えるということではなくて、弾力的に米価というものは決定すべきだ、こういうふうに考えているわけであります。
 消費者米価につきましては、これは物価対策から見て、できるだけ押えていきたい、こう思っていますが、やはりこれは財政当局から見ると、なかなか生産者米価と消費者米価との間の赤字問題というようなことで、いろいろ検討しなくちゃならぬというような議論もありますから、その面も幾ぶんこれは押えるという方針ではいても、いま消費者米価は直接私どもがきめるんじゃなくて、物統令が廃止されましてから、払い下げ価格によってきめるわけでございますから、払い下げ価格が、いままでの消費者米価と必ずしも一致するということになるかならないかは、これはまだわからないのです。しかし、払い下げ価格をなるたけ消費者米価に影響しないように、払い下げ価格を決定すると、こういうような態度でいきますが、幾ぶんはこれは弾力的にならざるを得ないと、こういうように考えておるわけでございますが、方針としてはそういう方針で進めていきたいと、こういうふうに考えるわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(河野謙三君) 塩出啓典君。
   〔塩出啓典君登壇、拍手〕
#16
○塩出啓典君 公明党を代表して、ただいま説明のありました農業白書並びに林業白書について質問をいたしたいと思います。
 まず、農業問題についてでございますが、昭和三十六年、農業従事者と、他産業従事者の生活水準の格差をなくすことを目ざして農業基本法が制定され、以来今日まで、農業経営の規模の拡大、あるいは農地の集団化など、合理化、近代化の方向に進められてきたわけでございますが、しかし、現実には、先ほど説明のありましたように、農業の近代化、合理化は思うように進まず、農業基本法の目ざす目標とは反対に、農業と他産業との生産性の格差というものはますます増大をし、そうして農業の将来に対する夢と希望も大きくくずれていることは明らかな事実であります。そういう中で農業者は、生きるためには農業外の収入を求め、いわゆる兼業や、出かせぎの道を選ばざるを得なかったわけでございます。
 農業白書が示すとおり、昭和四十五年度のいわゆる農業所得は、前年度に比べて減少をしております。一方、農業外所得は増加をし、それによって農家所得全体として増加しているわけでございます。すなわち、専業農家に近いほど、所得の対前年度の伸びが悪く、第一種兼業農家から第二種兼業農家へと、農業の依存度が少ないほど所得の伸びが大きい、そういうような結果でございます。これは換言すれば、農業に主力を置けば置くほど所得も少なくなるという、そういう結果でございますが、こういうように、やはり農業に希望が持てなければ、白書が示すように、やはり専業農家は減少の一路をたどり、一方、農業を兼業とする第二種兼業農家が増大している現実も、必然の結果と言わなければなりません。農業基本法に示された政府の意図から大きくはずれ、ここ十年間の日本の農政は、まさに事志と大きく食い違ったと言わなければならないと思うのでございます。この現実を農林大臣はどのように考えているのか、お伺いをしたい。
 また、政府はさらに、農村地帯にどんどん工業を導入し、日本農業を総兼業化し、農業はまさに総副業化しようとしているのでございますが、政府は一方では、自立農家育成と言いながら、また一方では、先ほどのお話しのように、農業は女性、じいさんやばあさんでやればいい、そういうような話もあるわけでございますが、政府の目ざす日本農業の将来というものはどういうものを考えているのか、あわせて御説明を願いたいと思うのでございます。
 政府は、今年度よりいわゆる農業団地――高能率生産団地構想という方針を打ち出したわけでございます。農地がなかなか流動化がスムーズにいかず、したがって農業の経営規標の拡大ができず、生産性の向上もなかなかはかばかしくいかない、そういうような現実を反省し、政府の、農地は各人が所有しても、農作業あるいは生産、流通、そういう面で共同作業によって高能率を発揮させようという、そういう考えがこの農業団地構想のようでございます。このような農業団地構想というものも、やはり農業者の団結と協力なくしては実践は不可能でございますが、農林大臣は、そういう団結あるいは協力を得るためにどういう対策を考えているのか、お伺いをしたい。
 また、現在のように、農業の将来に夢と希望がない、すなわち、農業に力を入れれば入れるほど収入もよくないという、そういう現状では、農業者の協力、なかんずく、農村の青年の協力を得られることは私はできないと思うのでございます。
 そういう点から考えて、政府は、すべからく米だけではなく、果樹や野菜等についても、常に、最近はコンピューターもあるわけでございますから、そういうものを使って需給の見通しも的確に把握をし、農産物の地域分担、あるいはまた作付面積の指導等を計画的に行ない、一方、生産費に見合う生産者価格を保証する等の責任ある農政を行なうべきであると思うのでございます。現在のように、米以外の農作物の選択は個々の農民にまかせられ、その結果、一方では過剰生産、価格暴落、あるいはまた、一方では品不足と非常な高騰、そういうような姿を繰り返している現状、農政なき現状を私は改めるべきであると思うのでございます。そういう点で、農業に本気で取り組んでも取り組む人は損はないと、そういうような状態にすべきである、このことを申し上げたいわけでございますが、総理並びに農林大臣の所信をお聞きしたいのでございます。
 また次に、農畜産物の輸入自由化の問題でございますが、先ほど総理及び農林大臣から、日本のやはり国際競争力の体制ができるまでは自由化はしないと、そういうようなお話でございますが、過去におけるいわゆるレモンあるいはグレープフルーツの自由化の場合におきましても、政府はそのように自由化はしない、しないと言いながらも、アメリカの圧力の前に屈して抜き打ち的な、だまし打ち的な自由化をやってきた、私は、こういう点ははなはだよろしくないと思うわけでございます。もちろん、世界は自由化の方向に進んでおり、これを全く回避することもできない。また一方では、国内の農業生産育成のために自由化を延期すべき点もある。そしてまた、こういう問題はやはり大局的立場から、国益を第一として判断されるべきものであります。また、自由化に備えての準備体制づくりにはやはりある程度の時間が必要でございます。そういう点で、先ほどおっしゃったその発言をしっかり守っていただいて、レモンやグレープフルーツのときのように、やらない、やらないと言いながらも結局寄り切られて抜き打ち的にやると、そういうようなことは非常に政府に対する農民不信を増大いたしますので、こういう点についても、しっかりもう一回確認をしておきたい、そのように思う次第でございます。
 それから、今後の団地構想――農業団地構想の推進においては、やはり農業協同組合の果たすべき役割りは私はまことに大きいと言わなければならないと思うのでございます。しかし、現在、農協は本来の協同組合の精神から大きく逸脱をする方向にあり、たとえば金融あるいは購買のみに重点が置かれていると言わざるを得ない状態でございます。政府としては、今後のやはり農業政策を進める上においても、農協の果たすべき役割りが重大であることにかんがみ、農協のあるべき姿についてはどのように考え、今後どのように指導していくつもりであるか、この点については総理、農林大臣の考えをお聞きしたいと思います。
 次に、先ほども質問のありましたいわゆる公害問題についてでございますが、環境庁長官より、近く銅を土壌汚染の種目に指定をするというお話でございますが、砒素等につきましても、わが党の調査によりましても、現実に明らかに被害を受けている、そういう姿がはっきりしておるわけでございます。そういうところは、休廃止鉱山であるために、農民は泣き寝入りの状態がほとんどでございます。私は、政府としては、早急に全国的にこういう、特に、休廃止鉱山からの排水等による農業の被害、そういうような実態を掌握し、すみやかに対策を立てるべきである、このことを農林及び環境庁長官に要望いたしたいと思います。
 次に、林業白書の問題について質問いたします。
 白書が示すとおり、昭和三十五年には国内使用材のうち八九・五%が国産材で、外材はわずか一〇・五%にすぎなかったのでありますが、以後、年々外材は急激に上昇し、昭和四十五年では、外材のほうが五五・九%で、もう半分以上突破しておる、国産材は四四・一%となっておるのであります。政府は、昭和四十一年四月閣議決定の「森林資源に関する基本計画」においては、国産材の自給率の目標を昭和五十年度において七一%と、そのように立てておったわけでございますが、もう現在すでに四四・一%となって、大幅な狂いを生じているわけでございます。このような外材の輸入量の急増のために、国内の木材価格は低迷をしております。木材価格が非常に安いということは非常に好ましいことではございますが、そのために、いわゆる森林経営者の造林意欲を大きく減退させていることは、私は、まさに大きな国家的損失と言わなければならないと思うのでございます。
 森林の機能は申すまでもなく、単なる木材生産だけではなく、水源涵養林として都市の水資源を確保し、また、洪水調節の働きもし、また、環境保全あるいは空気清浄等の国民全体の利益につながっているわけであります。政府は、これら森林経営者の造林意欲減退の現状に対して、どういう対策を立てるのか、これは、総理並びに農林大臣にお聞きしたい。
 林業白書が示すとおり、最近の造林事業は停滞をしております。先般、私は、広島県下の山地をずっと歩いてまいりましたが、過疎地域の山は、雑木のまま放置されているところが非常に多い、かなり目につく現状でございました。これらは人手不足、そういうようなことが原因でございますが、私は、政府は、公社造林等の採択基準を大幅に緩和をし、国の力で、造林を強力に推進すべきであると思うのでございますが、農林大臣のお考えをお聞きしたい。
 また、白書は同じく、林業就労者の減少と老齢化についても述べております。すなわち、昭和四十年と比べて昭和四十五年はどうなっているかといいますと、林業就労者は、全産業の中で鉱業における三五%の減少に次ぐ第二番目の減少で、一七%減という高い減少率を示しております。しかも昭和四十年には、四十歳以上が四六%でありましたが、五年後の四十五年には、四十歳以上は六〇%となり、老齢化が急速に進んでおり、今後の森林経営の前途は、まことに暗いと言わなければなりません。このような老齢化あるいは減少化の現実について、農林大臣はどのような対策を立てるのか、お伺いしたい。
 山村振興法あるいは過疎地域対策緊急措置法が成立しても、過疎化はとどまるところがないのでございます。これらの法律は存在しても、現実はまさに反対の方向に向いておるわけでございます。新幹線が先般、岡山まで開通し、東京−岡山間はスピードアップいたしましたが、一方においては、ローカル線はスピードがダウンし、列車本数は大幅に減少し、赤字バス路線は廃止され、電話一つつけるにしても、都市は早くつくけれども農村や山村はきわめておそく、二年も三年もかかる現状でございます。山村振興法等の法律があっても、現実になされている政府のこのような施策が過疎化を促進し、その結果が林業意欲の低下をもたらしていると言わなければならないと思うのでございます。政府はこのような姿勢を改めるべきである、そのように思うわけでございますが、佐藤総理の考えをお聞きしたい。
 次に、林野庁は今年二月、新国有林施業基本計画を発表し、国有林の伐採方法について、時代の要請にこたえて伐採を減少させる方針を発表したわけでございます。伐採を減少させることは好ましい方向であると思うわけでございますが、問題は、国有林野事業特別会計の赤字対策をどうするか、これがやはり大きな問題ではないかと思います。現在、林政審議会で検討しているとのことでございますが、いずれにしても、独立採算制は改めるべきときと思いますが、総理、大蔵大臣の考えをお聞きしたいと思います。
 また、国有林の伐採計画は林野庁のみできめるべきではないと思います。最近、各地で林野庁の伐採計画に地方自治体が反対している事件が相次いでおりますが、自然保護、環境保全、治山治水対策の上からも、やはり関係する地方自治体ともよく相談をし、それらの意見が十分反映されるよう、法制化すべきであると思います。環境庁が提出しようとしております自然環境保全法案との関連において、私はさきに述べたような点がどうなるのか、この点については、農林、環境両大臣にお伺いをしたいと思います。
 また、国有林の伐採の減少に伴いまして、山元でこれらの仕事に従事していた森林労働者の仕事が減少をいたします。山村においてはかわるべき新しい仕事も少ない。そういうわけで国有林の伐採の減少は、このような山元の森林労働者に大きな影響を及ぼすわけでございますが、こういう対策をどうするのか、農林大臣にお聞きをしたいと思います。
 また、森林労働者の間に非常に問題となっている白ろう病の問題についても、万全の対策をとるよう要望しておきます。
 それからこの際、総理に質問を追加してお伺いをしたいわけでございますが、昨年広島県呉市におきまして山林火災がございまして十八名のとうとい生命を失ったことは総理も御記憶に新しいことかと思います。とうとい人命を守り、国民の財産である森林資源を確保するために、山林の消火体制が重要であることは論を待たないところでございます。最近、マイカー族等で山林を訪れる人は非常に多くなり、一方、山村は過疎化、老齢化に伴い、いざ山火事というときに、民間の協力を得られることは、なかなか不可能に近い現状になっているわけでございます。まあ、そういう点から考えて、やはり消火の原則というものは初期消火、できるだけ早く消火するということが肝心であるという点から考え、広域的な、飛行機による空中消火隊、山林火災に対する空中消火隊を設置すべきである。そういうことが昨年の呉市における山火事のときも問題になったわけでございますが、この点については、その後全く遅々として進んでいないように思います。諸外国では、すでにこのような空中消火による森林警備隊、そういうものが実現されている現在、私は、政府としても早急にこのような空中消火隊の設置を検討し、実施すべきである、そのように思うわけでございますが、総理の考えをお聞きしたいと思います。
 それから次に、大気汚染の進行は森林を非常に弱らせ、昨日発表の資源調査会の報告によりますと、あと五十年で東京の木は全滅するのではないか、そのようなことが報道され、警告されております。総理は、けさそういう記事を読まれたと思うんでございますが、こういう問題についてもどのように考え、またどう対処するつもりか、その点をお伺いしたいと思います。
 また、近年、全国的に松にマツクイムシが異常発生し、全国的にますますひどくなっている現状でございます。あの風光明媚な瀬戸内海の宮島、日本三景の一つである宮島も松が一面に紅葉いたしまして、まさに全滅の危険にあるわけでございます。それに対する現在の林野庁の対策としては、そのマツクイムシに食われた木を切ることが対策でございまして、それ以外には何ら対策がない、そういう現状でございますが、松の全滅の危機にあることにかんがみ、政府としても早急に原因と対策について推進すべきである、そのように思いますが……。
#17
○議長(河野謙三君) 塩出君、だいぶ時間が超過しておりますが……。
#18
○塩出啓典君(続) 農林、環境両大臣にお聞きしたいと思います。
 最後に、林業はいま大きな曲がりかどに立っており、一方においては、森林の重要性は増大の一途をたどっております。かかるときに、林野庁のあり方について種々の批判があることは、まことに残念と言わなければなりません。秩父の営林署のごとき不正事件は、断じて二度と再び起こさないよう、入札方法等にも検討をし、万全を期していただきたい、このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(佐藤榮作君) 塩出君にお答えをいたします。
 わが国の農業についての私の基本的、また基礎的な考え方は、先ほど社会党の工藤君にもお答えしたので、できるだけ重複は避けたいと思いますが、御指摘のように、今日、わが国農業をめぐる内外の諸情勢はいよいよきびしいものがあります。このような状況に対処して、わが国農業を近代的農業として確立するためには、その体質改善をはかるとともに、需要の動向と地域の特性に応じた農業生産の再編成をはかることが必要であります。政府といたしましては、適切な見通しによって生産を誘導するとともに、農業団地の形成をはじめとする生産構造政策を強力に推進し、また、価格政策につきましても、需給事情、生産費その他の経済事情に十分配慮して生産者価格の安定をはかるなど、今後一そうの努力を傾けていく考えでございます。
 農産物の自由化につきましては、これまた先ほど工藤君にお答えしたばかりでありますが、国内農業への影響を十分に考慮して、慎重に対処する方針であります。この点では御心配のないように願っておきます。
 また、最近の農業協同組合のあり方について、その果たすべき役割り、またあるべき姿等についてもいろいろ注意、御意見を交えての御注文があった、かように私は承ったのでございますが、これは、農林大臣からその詳細についてはお答えをいたしたいと思います。
 次に、塩出君の御指摘のように、外材の輸入増大等により木材価格が低下し、森林経営者の造林意欲にも影響を及ぼしていることは、まことに憂慮すべきことであります。将来におけるわが国の木材需給を考えると、どうしてもわが国森林資源の整備と国産材供給の増大をはかっていくことが必要であります。このため、政府といたしましては、今後造林事業に対する助成の強化、林業構造改善事業の充実等、国内林業振興のための各般の施策を充実強化する考えであります。
 次に、全国的な都市化の進展に伴い、人口流出の激しい山村地域等におきましての過疎問題に触れられましたが、まことに深刻な事態にあると思います。このような過疎問題に対しまして、地域の特性に応じた産業開発や観光開発を進める必要があることは言うまでもありませんが、それらの地域におきましては、教育、医療等の面で生活条件が阻害されているということもありますので、集落の再編成を含めて、特に生活環境の積極的な向上をはかることが必要であり、今後とも、過疎地域、山村地域等の施策の強化をはかっていく考えであります。
 また、御指摘の新幹線等による全国的なネットワークの形成は、基本的には、地方分散の促進を通じて国土利用の再編成に資するものであると考えておりますが、これが過疎対策に結びつくためには、このような全国的なネットワークの形成に合わせて、新全国総合開発計画に示されているような広域生活圏の形成をはかることが必要であり、今後とも各地域の特性を十分考慮した開発整備をはかってまいりたいと考えております。
 最後に、御指摘のように、国有林野事業は、最近における林業を取り巻くきびしい情勢の変化により、その経営収支は急激に悪化してきております。加えて、国有林の公益的機能の発揮のための伐採量の減少が、その経営収支に影響を及ぼすことも考えられます。このような、経営の全般にわたって抜本的な改善をはかることが必要であり、目下林政審議会において検討を進めているところでありますが、この検討にあたっては、森林の持つ各種の公益的機能を重視しつつ、国有林の持つ多角的な機能が総合的かつ効率的に発揮できるようにすることが必要であると考えております。
 以上、私から基本的な問題についてのお答えをいたしました。
 なお、呉の山林火災についていろいろな御注意があり、ことに山火事についてはその初期消火が必要だ、そのためには空中消火等も考えてしかるべきではないか、この提案はしたけれども政府のほうの検討は非常におくれておる、こういう、おしかりを含めての、さらにあらためての御提案だったと私は伺っております。この点は、お説のとおり、こういうことについてさらに政府が万全の対策をとらなければならないと思います。
 また、最近の大気汚染について、今朝の新聞に出ていた記事等から、もっと公害と積極的に取り組め、こういう御注意がございました。これまた私は十分考慮しなければならないことだと思います。
 また、あの緑の松、これをマツクイムシ――これは宮島の例を引かれましたが、宮島ばかりではありません。至るところにおいてマツクイムシにやられる。ただ伐採するだけがこれの対策であるかのような現状はまことに貧弱ではないか、こういうような御指摘でありまして、私も、もっと何か積極的にマツクイムシに対する対策があってしかるべきだ、かように思って、農林省にも検討を命じておる際でございます。ただいまの御指摘は、しごくもっともな、また適切な御注意だと思いますので、ありがたくお礼を申し上げて、検討することをお約束いたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(赤城宗徳君) 農業と他産業との所得の格差につきましては、先ほど工藤さんにも申し上げたとおりで、日本の経済全体として、高度成長下におきまして、農業の生産性やその他は上がってはきましたが、他産業と比較して格差が縮小しないということは、私もまことに残念でございますが、そういうような、ほかとの原因があったわけでございます。でございまして、私は農業としては、農業だけで農業者としての生活ができるように、そうしてまた、農業は食糧生産でございまするから、他の人々、消費者等につきましてもその食糧を供給できる、こういう立場でなくては農業というものはならぬと、こう思います。そういう点から考えますと、農業が自立できるような、自立農業というようなものでなくちゃならぬと思いますが、残念ながら、基本法にも自立経営農家の育成ということを強調しましたが、これは御指摘のように、いま専業農家というのは非常に減って、兼業農家が八五%というふうになっておる。こういうことで、自立経営農家の育成ということは、残念ながらなかなか事志と違って、御指摘のとおりうまくいっておりません。
 そこで、しかし、日本の農業が国際競争力に弱いという原因の一つの大きなものは、これはアジアの農業そのもの、全体そうでございますが、非常に零細性ということが国際競争力にも劣っておるということだと思います。でございますので、自立経営農家で経営規模を拡大するという方向は、私は間違っておらぬと思いますが、しかし、これは志と違って、なかなか実現できません。経済の高度成長下にありまして、土地の価格も非常に上がってきました。でありますので、その土地を、所有権を買収して、それで土地を広げていく、あるいは経営規模を拡大させることも非常に困難な現状でございます。でございますので、御指摘の兼業農家がふえたわけでございますが、兼業農家をどうするのかという御質問でもございます。そこで私は、所有権を集めて経営規模を拡大するということはなかなか困難でありますから、所有権でなくて、利用権といいますか、土地を利用する面におきまして、これを集めて経営規模を拡大するというような方向へ持っていかざるを得ないのじゃないかと。これは日本ばかりじゃございません。ヨーロッパ等においてもそういう傾向が非常に強うございまして、そういう意味で兼業農家も含めて利用権を集中して経営規模を拡大すると、こういうような方向に持っていく。もっとも、経営規模は、土地の面だけで経営規模を拡大する必要もございませんものがあります。たとえば施設園芸だとか、あるいは養鶏、こういうものは別に土地の広いことを必要としませんで経営規模を拡大することができます。それはそれで同一型の農業者を団地的に集めていくと、こういうこと。あるいはまた、土地の広さを必要とするものは、やはり利用権を一緒にするような形で団地的に経営規模を拡大していく。それには兼業農家もそれに含めて団地的な経営をやっていくというような方向へ持っていくべきであるというので、そういう予算も計上いたしましていま進めつつあるわけであります。そして、それに団地経営というようなことになりまするというと、それは米作農業もそうでございますが、畑作農業である果樹あるいは畜産、野菜、こういうものもそういうふうに持っていくということにいたしますならば、これは選択的拡大という方向にも合致するわけでございますが、そうすると、どうしても御指摘のように、地域分担が必要でございますので、地域分担をなお強く進めて、そうして自給性を維持していくという方向で、団地的に農業の経営を進めていくということで、兼業農家の対策も、あるいはまた選択的拡大の方向も、あるいは需給のバランスもとるという方向へ持っていきたい、こう考えておるわけでございます。
 そこで、自由化の問題でございますが、この自由化につきましては、もう総理からも、私からも工藤さんに答弁いたしましたように、重要な農産物につきましては、こういう米の生産調整もして、いま選択的拡大の方向も進めておるさなかであり、日本の農業も国際的にたえ得るような方向へ持っていこうということでございまするが、しばらく、この自由化の方向は差し控えていきたいということでございます。
 それから農業協同組合の役割りをどういうふうにさせるかということでございますが、御指摘のように、農業協同組合は、農業生産者の組織団体でございますが、金融あるいは購買の方向に相当力を入れてまいってきましたことは御指摘のとおりでございます。しかし、これは農業者という生産者団体の組織でございますから、どうしても農業の生産の方面に力を入れるべきだと、その生産のほうに力を入れるということに最近非常に力を入れてきたようでございます。たとえば営農団地とか、私どもの考えております団地農業という方向へも、非常に力を入れてきております。そういう面によりまして、この農業協同組合も、金融とか、あるいは購買、販売という方面ばかりでなく、一そう生産の方面、ことに団地的な農業の方面などに協力してもらわなければならぬということで、これら農協中央会等とも話し合っておりますが、その方面に力を入れるということに進めていきたいと思います。
 それから林野の問題につきましては、総理大臣からもいま懇切に方針を御指摘されたようでございます。特に私から申し上げるのは、過疎地帯における造林事業でございますが、それにつきましては、地域振興対策の面からも、従前からその推進につとめてきたところでございます。しかし、最近の御指摘のような木材価格の低迷、造林費の高騰等、造林事業をめぐる客観条件は急激に悪化しておりますので、本年度から、拡大造林、再造林とも、助成内容の強化をはかったところでありますが、これらの地帯におきます造林公社等公的機関による造林の果たす役割りは、今後ともさらに重要となりますので、その積極的な推進をはかってまいる考えでございます。
 そこで、伐採を国有林につきましても非常に少なくして、何というか、全体的に伐採することをやめてきましたのが、それでなくても国有林会計は赤字が出ておりますので、その対策をどうするかということでございますが、一つは、申し上げるまでもなく、国有林野の会計の合理化でございます。それからもう一つは、御指摘のように林野の、国有林野におきましても公益的機能が非常に多くなってきております。でありますので、この公益的機能を持っているものに独立採算で、そして国有林の木を売って支出をまかなっていけばいいということになりますと、どうしてもその伐採を多くしたりいろいろ問題を起こします。でございますので、この国有林野の会計というものは独立採算制ではありますが、公益的機能を相当発揮していく、こういうことになりまするならば、一般会計からも相当この経費を入れていくという方向でなくてはならぬと思います。本年度におきましても相当額を入れましたが、これが公益的機能を発揮するということになりますれば、なおそれはふえていくと思います。まあそれが私の考えから見れば当然だと思います。そういう方向にこれを閣内でも協議しながら持っていきたい、こう思っております。
 森林労働者の対策でございますが、これはやっぱり過疎対策全般として対処していきたい。
 それから最後には、林野庁のいろいろな、何といいますか、好ましからざる事件が新聞等にも、あるいはその他にも出ておりました。私どもまことに遺憾だと思います。まあ責任をのがれるわけじゃございませんが、一面におきましてはこの独立採算制の面で伐採を急ぐと、そういう面でこういうことも出てきたと思いますけれども、まあ綱紀の弛緩ということにあろうと思いまするので、こういう林野庁における好ましからざる事件等につきましては、綱紀を粛正して、世間からこういう非難を受けないように十分注意していきたいと、こう思っております。(拍手)
   〔国務大臣木内四郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(木内四郎君) 塩出議員からお話のありました休廃止の鉱山から出ますところの排水による土壌汚染、こういうものはどうしても防止しなくちゃならぬ。これは非常に重要なことでありますので、環境庁におきましては、四十七年度の予算によりまして、全国の主要な休廃止鉱山の周辺の地区の水質、あるいは土壌の状態、あるいはまた農作物に対する影響、こういうものをあわせまして総合的な調査を進めることになっておりますので、その結果を見まして適当な対策を講ずることにいたしたいと思います。
 お話しの砒素の問題、この問題につきましては、先ほど工藤議員にもお答えしたのでありますけれども、この実情がいままで十分に把握されておりませんし、それの土壌に対する影響、農作物に対する影響、ひいては人間の健康に及ぼす影響等のメカニズムが十分に解明されておりませんので、それを急速に解明いたしまして、そうして、これを特定有害物質のほうに加えることについて検討してまいりたいと、かように思っております。
 それから国有林野の伐採計画を林野庁だけにまかしておくのはけしからぬじゃないか、環境庁においてもひとつ発言をしてやったらどうかというお話であります。これまた工藤議員にお答えしたとおりでありまして、時代の要請に応じまして、いま農林大臣からもお答えがありましたように、伐採の計画等について、環境保全、自然保護、こういう点を十分考慮になるようでありまするから、十分に御考慮願い得ると思っておるのですが、環境庁の立場もありまするし、また意見もありますので、十分に連絡をとって、遺憾のないようにやってまいりたいと思っております。
 それから地方自治体の地元の意見を十分聞いたらどうか、こういうことであります。ごもっともな次第でありまして、この点につきましては、現在におきましても地元の所管の営林局長が地元の意見を十分聞いておると私は聞いておるんですけれども、今回、自然環境保全法案を近く環境庁で出したいと、かように思っておりますので、その際には、そのうちに適当な規定を入れて、いまお話しになったようなことについて注意いたしたい、かように考えております。
 それから瀬戸内海の環境保全に対する問題ですが、これは瀬戸内海環境保全対策推進会議というのがありまして、その中に自然保護関係の小委員会というのがありまして、そこにおきまして研究してもらっておるんですが、所管庁である農林当局と十分に連絡をとって、このマツクイムシの防止、またそのあと始末、そういうことについて十分な対策を講ずるようにいたしてまいりたいと思うのでございます。
 以上は、環境庁長官の臨時代理としての答弁でございます。
 昨日、お話しの大気汚染に関する科学技術庁のほうの資源調査会から私に報告が出まして、けさ新聞に大いに書いてありますので御案内だと思うのですが、その問題につきましては、有能な学者の方々が多数お集まりになって貴重な研究をなさっていただいた結果でありますので、貴重な資料としてそれを関係各省に回しまして、今後の行政面にできるだけ取り入れていくようにいたしたい、かように思っている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(水田三喜男君) 国有林野事業特別会計の収支は非常に悪化しておりまして、本年度の収支では約百億円の赤字を出す見込みでございます。
 収入の大部分は林産物の販売収入でありますので、御指摘のように、林野庁の基本計画によって国有林の伐採量を減らされるということになりますと、それだけ経営収支を悪化することになりますが、その場合、かりに悪化分だけを国費で援助するというようなことを考えてみましても、そういう部分的な改善策で打開される経営状態では現在ございません。歳出中に占める人件費の比率も六〇%近くなっておるという状態でございますので、この際、各種事業の合理化と、それから経営の管理体制そのものの刷新というように、国有林野事業全般にわたる抜本的な解決策をもう必要とする事態になっておりますので、ただいま林政審議会の中に国有林部会を設けて、この部会でいまこの問題と取り組んでもらっておるところでございます。したがいまして、この部会におきまして、今後の独立採算制のあり方というようなものも十分審議していただいて、急速に妥当な再建策を得たいと私ども考えておるところでございます。(拍手)
#23
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#24
○議長(河野謙三君) 日程第二 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長八木一郎君。
   〔八木一郎君登壇、拍手〕
#25
○八木一郎君 ただいま議題となりました渡り鳥等の保護に関する日米間の条約につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 この条約は、昭和四十三年以来日米両国間で専門家会議を開催する等話し合いを進めてまいりました結果、本年三月四日署名されたものでありまして、その内容は、日米間を往復するアホウドリ、マガモ、マガンなど百八十九種の渡り鳥の捕獲を規制すること、絶滅のおそれのある鳥類の輸出入を規制すること、これらの鳥類に関する研究資料などを交換するとともに、その生息環境の保全及び改善につとめることなどを規定したものであります。
 委員会におきましては、鳥類の保護に対する国民の関心、鳥類の保護のための国内体制の充実、海洋汚染防止等の問題につきまして熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 昨三十日、質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#26
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#27
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#28
○議長(河野謙三君) 日程第三 特定多目的ダム法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長小林武君。
   〔小林武君登壇、拍手〕
#29
○小林武君 ただいま議題となりました特定多目的ダム法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案の内容は、第一に、緊急に多目的ダムの建設に着手する必要がある場合、都市用水にかかるダム使用権の設定予定者が特定していない段階であっても、建設に関する基本計画を作成し、また変更して建設に着手することができること、第二に、多目的ダムの建設に要する費用のうち、特定していない都市用水にかかるダム使用権の設定予定者の負担金相当額の財源に充てるため、治水特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定に借入金制度を設けること、等であります。
 委員会においては、きわめて熱心なる質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願うことといたします。
 質疑を終了、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#30
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#32
○議長(河野謙三君) 日程第四 義務教育諸学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長大松博文君。
   〔大松博文君登壇、拍手〕
#33
○大松博文君 ただいま議題となりました法律案について、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、市町村が設置する小学校の校舎及び都道府県が設置する養護学校の建物の新・増築費について、国の負担割合を引き上げるなどの改善を行ない、公立文教施設の整備の促進をはかろうとするものであります。
 委員会におきましては、過密地域における学校の施設及び用地の確保のための施策、養護学校の設置計画、過疎地域における学校統合のあり方等の問題について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#34
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#36
○議長(河野謙三君) 日程第五 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長木村睦男君。
   〔木村睦男君登壇、拍手〕
#37
○木村睦男君 ただいま議題となりました法律案は、最近における軽自動車の普及の実情にかんがみ、その安全性の確保及び公害の防止をはかるため、軽自動車に対して昭和四十八年十月一日から検査を実施することとするとともに、これを行なうことを目的とする政府全額出資の軽自動車検査協会を設立しようとするものであります。
 委員会におきましては、自動車の検査体制並びに自動車公害の防止対策等について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと思います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行ないました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#38
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。本日はこれにて散会いたします。
  午後零時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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