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1971/03/17 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号
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1971/03/17 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号

#1
第068回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号
昭和四十七年三月十七日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 田中 武夫君
   理事 始関 伊平君 理事 林  義郎君
   理事 藤波 孝生君 理事 山本 幸雄君
   理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君
      伊東 正義君    梶山 静六君
      久保田円次君    葉梨 信行君
      浜田 幸一君    村田敬次郎君
      阿部未喜男君    加藤 清二君
      古寺  宏君    米原  昶君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 大石 武一君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       城戸 謙次君
        環境庁企画調整
        局長      船後 正道君
        環境庁自然保護
        局長      首尾木 一君
        環境庁大気保全
        局長      山形 操六君
        環境庁水質保全
        局長      岡安  誠君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        厚生省児童家庭
        局長      松下 廉蔵君
        通商産業省企業
        局参事官    田中 芳秋君
        通商産業省公害
        保安局長    久良知章悟君
 委員外の出席者
        環境庁企画調整
        局公害保健課長 山本 宜正君
        環境庁水質保全
        局企画課長   河野 義男君
        外務省経済局国
        際機関第二課長 渡辺 幸治君
        厚生省薬務局参
        事官      豊田 勤治君
        厚生省児童家庭
        局企画課長   木村 政光君
        水産庁調査研究
        部長      松下 友成君
        通商産業省公害
        保安局参事官  森口 八郎君
        通商産業省化学
        工業局化学第二
        課長      小幡 八郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案(内閣
 提出第八〇号)
 公害対策並びに環境保全に関する件(ポリ塩化
 ビフェニール汚染問題等)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。大石環境庁長官。
#3
○大石国務大臣 ただいま議題となりました特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 野生鳥類につきましては、近年における生息環境の悪化等により、タンチョウ、トキ、コウノトリ等に見られるように絶滅の危険にさらされているものも少なくありません。
 御案内のように、鳥類は自然環境の重要な要素であることはもちろん、レクリエーション等生活をより豊かにする上からも大きな価値を有するものであり、絶滅のおそれのある特殊鳥類についてその保護繁殖をはかることはきわめて重要、かつ、緊急を要することであると考えられます。
 幸い最近、鳥類の保護については、国内はもちろん、国際的にも著しい関心の高まりを見ており、さきに日米間において絶滅のおそれのある鳥類等の保護をはかるための条約が調印されたところであります。
 わが国における絶滅のおそれのある鳥類については、すでに鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律により非狩猟鳥としてその捕獲を禁止するほか、鳥獣保護区を設定する等の保護措置が講じられているところでありますが、絶滅のおそれのある鳥類の保護を一そう推進するため、日米鳥類保護条約の調印を機会に、以上のような措置に加え、今回、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案を提案し、アメリカ合衆国などわが国以外の地域における絶滅のおそれのある鳥類を含めて、その譲渡等を環境庁長官の許可にかからしめるとともに、輸出入を規制する措置を講じ、特殊鳥類の保護の徹底をはかろうとするものであります。
 以下、この法律案の内容について概略を御説明申し上げます。
 第一に、この法律案におきましては、絶滅のおそれのある鳥類の種の保存をはかることの重要性にかんがみ、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に定めるもののほか、絶滅のおそれのある鳥類の譲渡等を規制する措置について定めることをその趣旨としております。
 第二に、この法律について「特殊鳥類」とは、本邦またはアメリカ合衆国など本邦以外の地域において絶滅のおそれのある鳥類で総理府令で定めるものをいうことといたしております。
 第三に、特殊鳥類は、環境庁長官が学術研究、養殖その他の事由により特に必要であり、かつ、適切であると認めて許可した場合を除き、譲渡し、譲り受け等をしてはならないことといたしております。
 第四に、特殊鳥類は、国際協力として学術研究、養殖を行なう場合その他輸出することが特にやむを得ない場合であって政令で定める要件に該当する場合を除き、輸出してはならないことといたしております。
 第五に、特殊鳥類は、輸出国の輸出許可書または適法捕獲証明書を添付したものでなければ、原則として輸入してはならないことといたしております。、
 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○田中委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
 本案の質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#5
○田中委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
#6
○島本委員 まず環境庁の長官出ておりますが、最近問題になってきておりまして、その対策等も国民から大いに期待し要望されておりますPCBの公害について対策を伺いたい、こういうように思うわけであります。
 前回も、前々回も、私どもは、すでにこのPCBにつきましてのいろいろな現象を取り上げ、その対策を要望してまいりました。通産省では、その製造については十分考慮するようになり、害のあると認められるものについて製造の禁止、抑制、これに踏み切ったようであります。しかしそのあとでその滞貨並びに製造中のものに対してはまだまだその対策は不十分である、こういうふうなことになっておるのでありましたけれども、残念ながら今回再び高濃度のPCBが大阪で母乳から発見された、こういうような状態を私どもは報道によってそれを知ることができて、実はあ然としているのであります。以前にも、京都の衛生研究所の調査によって、PCBに日常接しない人十九名を調査した結果のデータを発表いたしました。平均が四・七PPMだった。最高が二二・三PPM検出された。このこともこの場所から強く皆さんに報告したはずです。そしてカネミ油症の検出で、死亡した者のPCBの最高値は一三PPMだったことからして、もうすでに危険の度合いにあるということもこれははっきり申し上げておりました。東京都の衛生研究所においても、二月二十二日にまとめたデータによっても、東京湾その他の魚、ボラ、セイゴ、アイナメ、こういうようなものからそれぞれ最高一九・一PPM最低一・六五PPM、平均五・四九PPM、こういうようにして検出されておるわけであります。こういうような状態の中で人体に与える害というものは、すでにこれは脂肪の中に蓄積されますから、油症の認定患者一人から三人の赤い赤ちゃんが生まれた、昭和四十四年と四十六年に。こういうような例さえあるのでありまして、これは一日もそのままにしておくわけにはまいりません。まして母乳からこれが発見されたということになりますと、これは厚生当局のこれに対するはっきりした行政の手おくれがここに指摘されておるのと同じじゃないか、こう思うのであります。一体これはどういうようになっているのか、この行政について厚生当局の報告を求めます。
#7
○木村説明員 児童家庭局長が商工委員会のほうに出ておりますので、私厚生省の児童家庭局の企画課長の木村でございますが、お答え申し上げます。母乳中のPCB汚染の実態につきましては、私途中でございますがお聞きしましたところでも、大阪におきまして最高が〇・七PPM、平均〇・二PPMというふうになっておりまして、大阪府の母乳汚染濃度は、西ドイツや米国と比較いたしましてかなり高い状態にございます。もちろんこの程度の数値では、直ちに授乳を取りやめるというふうな措置は必要とするものではないわけでございますが、今後十分に実態調査を大阪府を含めましてやりまして善処していきたい、こういうふうに考えております。
#8
○浦田政府委員 PCBの環境汚染関係につきまして、環境衛生局の関連の部分についてお答えいたします。厚生省は、PCBの食品への汚染につきまして昨年来その問題の重要性にかんがみまして、厚生省のみの問題としてでなく、政府として全般的に対応すべきものということから、特に科学技術庁のほうに要望いたしまして、関係の諸官庁と連絡をとりつつ科学技術庁の研究費をこれに充当いたしましてその実態究明につとめてきております。厚生省環境衛生局といたしましても、その一環として食品、ことに魚介類及び乳肉製品のPCBによる汚染の状況について研究班を組織いたしまして、その実態の究明につとめておるところでございます。それに先立つものといたしまして、PCBは御承知のように非常に多種多様の混合体からなっておりまして、その分析方法というものは非常にむずかしゅうございます。したがいまして、本年一月統一的な分析手法の解明をいたしまして、それに基づきまして全国的に統一された分析方法でもって現在調査を続行中でございます。したがいまして、この調査のデータが集まり次第、それぞれ専門家の御意見を聞きながら効果的な対応策を立てていこうという段階でございます。
#9
○島本委員 これが発見されてからもうすでに一年以上にもなっておるわけであります。しかしまだ対策をこれから立てていかなければならないという行政の手抜かり、これはやはり十分戒心しなければならないと思います。当然これはもう公害という一つの規範になりますから、環境庁長官もこの点は――通産省は製造の過程においてこれを禁止することははっきりしております。しかしながら、やはりそれがいろいろと広がっておる、この状態から母乳にまで広がっておるというこの現状は、もう汚染が極端に広がっておることになるわけであります。したがって、厚生省がこれに対しましてのはっきりした対策をもう持っていなければならないはずだと思いますが、まだないようです。これはやはり通産省もこの点ではもっときびしく行政指導しなければならない立場にあるのじゃないか、こう思うのです。PCBの製造、使用についてはきびしく規制するのだ、これははっきり答弁があるのですから、いままで出回っているもの、それから過去においてこれを使用し、あるいは害悪がそのまま残っているものがあるいは水にあるいは空に、こういうようなものがいまやもう母乳にまであらわれてきている、こういうような状態なんです。したがって、PCBの許容量について科学的データはあるのかないのか、この点をはっきりさせておいてもらいます。
#10
○浦田政府委員 あるいは環境庁のほうからお答えしたほうがいいかとも思いますが、食品衛生上から体内に摂取するPCBの安全基準というものはあるかないかということでありますが、私ども非公式ではございますが、アメリカにおきまして牛乳、魚、卵などについて指導基準を定めているということを承知いたしております。なお、これらの指導基準を定めた根拠につきましては必ずしもさだかではございませんので、現在外務省を通じましてその詳細について照会中でございます。
 また、わが国の食品に関しての基準をどうしようかということでございますが、先ほども御説明いたしましたように、現在統一された分析方法のもとに実態を調査中でございます。過去のデータも、必ずしも統一された分析方法で測定されたデータでございませんので、測定者によりましてのいろいろとばらつきもあろうかと思います。したがいまして、それらも見直しまして実態を十分究明して、たとえば日本は食生活が違いますので、日本の実情に合ったそういった指導基準を設けたいという方向でもって、現在鋭意その究明につとめておるところでございます。
#11
○島本委員 そうすると、赤ちゃんについてはこれだけの汚染母乳を飲んでも安全だというような基準はいまないのだ、現在のままそれを飲ましても何ら危険がないのだ、こういうようなことに受け取られますが、それでよろしゅうございますか。
#12
○浦田政府委員 私の所管ではございませんが……。
#13
○島本委員 所管はだれですか。
#14
○浦田政府委員 児童家庭局長でございますが、私もこの問題について、十分にいろいろと協議を受けておりますので、便宜かわってお答えしたいと思います。
 母乳の中から検出されましたPCBの濃度は最高〇・七PPMということでございますが、例の御案内のカネミ油症の場合でございますが、この場合には非常に濃度の濃い、たとえば二千から三千PPMという非常に高濃度のPCBが含まれた油を、非常に短期間に摂取した結果起こったいわば急性の中毒でございます。この場合の発症量は平均二グラム、中には〇・五グラムから発症したものがございます。これは急性の中毒症でございますが、しからば、非常に濃度の低い〇コンマ以下のPPMの濃度のPCBによって汚染された食品を非常に長期間にわたって摂取した場合にはどうなるか。いわば慢性の毒性でございますが、これについてはいままで確とした文献も研究も実はございません。あってもはなはだ不十分でございます。現在、昨年末から国立衛生試験所においてこれは研究中でございます。ただ、一般の毒性について申しますと、DDTなどに比べますとPCBのほうはかなり毒性としては弱いということはいわれております。
 結論から申しますと、専門家の御意見もお聞きいたしまして、〇・七PPM程度の汚染は確かに驚くべき事実でございます。しかしながら、この濃度をもって直ちに現在の母乳によって保育しておるその母乳の摂取を中止するというふうな濃度ではないというふうに、専門家の御意見としては私伺っておる次第でございます。カネミ・ライスオイル事件との関連で申しますと、〇・五ないし一グラムの蓄積量に達する、かりに全然乳児の体内から物質が排せつされない、全部蓄積するというふうに仮定いたしましても三年余かかるわけでございまして、これらの点から考えましても、現在直ちに授乳を禁止するというレベルではないというふうに、専門家から結論をいただいておる次第でございます。
#15
○島本委員 いま局長がおっしゃったように、確かにそれは人間に有害な物質であるけれども、一度体内に入ったものは体内で分解も排せつもされないままに中枢神経等の脂肪に蓄積されて、そしてこれが不治の病になってしまうものであり、排出されるならいいけれども、排出されないでそれが体内に蓄積されるのである、こういうことになった場合には、いま安全だからこれでよろしいのだという結論を厚生省として出すことは一体どういうことですか。それは蓄積されて、小さい子供にそのまま一年、二年、三年後に蓄積されたものはそのまま被害となってあらわれるじゃありませんか。その点に対してはっきりしたデータがあるのですかないのですか、これも聞いておるのです。またその対策はどうなっておるのですか、これを聞いておるのです。さっぱりこの辺の答弁がないのであります。一体ないのですかあるのですか。
#16
○浦田政府委員 PCBが体内に摂取された場合の行くえでございますが、これは全然排せつされないということではございません。またその排せつのしかたも、摂取したPCBの濃度あるいは量、またそれの摂取の速度といったようなものに左右されるということのようでございます。御指摘の〇・七PPMの安全という根拠についてはどうかというお尋ねでございますが、専門家のいろいろな御検討によりまして、また乏しゅうはございますけれども、いろいろな過去の科学的なデータ、知識によりまして、一応授乳を禁止するレベルではないというふうに判断されたものと解釈しております。
#17
○島本委員 局長、ほんとうにそれが害がないというなら心配しないのです。しかし、いま専門家ということばが数回出ましたが、それでは専門家がどのようにいままで検討していたのですか。それと同時に、過去の科学的データということもありますが、過去にどのような科学的データがあったのですか、この二つについて解明を求めます。
#18
○浦田政府委員 お答えいたします。
 PCB急性毒性あるいはいわゆるLD50というものが、一キログラム体重当たり大体一・二ミリリットル前後でございます。これはDDTその他に比べますとけた違いに毒としては弱いわけでございます。それからこれは非常に不幸な例でございますけれども、カネミ・ライスオイル事件というものは一つの大きなわれわれとしての判断する手がかりを与えるものでございます。それから、これはほかの、たとえばBHCとかあるいはDDTといったようなものが体内へ摂取された場合それによって起こるいろいろな障害、それらのことを参考にして判断されたものと私は理解しておりますが、おっしゃるように、ずばりPCBの慢性毒性についての安全基準はどうかということについては、残念ながらいまのところはないというふうに承知しております。
#19
○島本委員 これはほんとうに危険きわまりないのです。大臣、こういうような状態です。
 もう一つついでにお伺いしておきますが、この原因は何ですか。それと同時に、いままでにはっきりしているデータが出ておるのは、福岡では〇・〇〇四PPMから〇・〇二PPM、それから大阪では〇・一PPMから〇・七PPMまで、こういうように検出されております。その以前にも、京都にもこれが検出されておることは、さっき言ったとおりです。東京都でも衛生研究所で二月二十二日にもうすでに魚から検出されて、これはもうすでに公表されておるからおわかりのとおりなんです。こういうように見ると、では原因は何なんですか。その原因がはっきりしたときにその対策は考えなければならないわけですけれども、やはり専門家というものに対して、検討したといいながら、また、過去の科学的データによったといいながらも、ずばりと言って、これがないんだ、こういうようなことのようであります。そうすると、毒性があるかもしれない、また危険だといわれながらも、対策はない、こういうようなことになってしまうのです。これはもうほんとうに通産省、それから厚生省、両方あわせて――人畜に重大なる被害を与えることになるのです。これに対して対策は急がなければなりませんが、長官、いまのような実態ですが、一体これに対して今後どのように行政の指導をしていこうとお考えでしょうか。この際意見の開陳をお願いしたいと思います。
#20
○大石国務大臣 いまPCBの被害につきましていろいろと議論を巻き起こしているようでございますが、これはまことに残念なことでございます。このPCBが人体に対してある程度の被害を与えるということは確かなようでございますが、どのような機転で、どのような機序によって、どのような量で人間に一体どのような障害を与えるかということは、まだはっきりはわかっておらないようでございます。また、これに対する対策もまだ何ら考えられておりません。これは確かに行政面からいって手ぬるいことでございます。おしかりをいただいても当然のことと思いますけれども、現段階では、現実としてその対策も何にもできてはおりません。しかし、あのカネミ油症ですか、あの事件を考えましても、とにかく何らかの大きな影響を与えることは間違いございません。したがいまして、早急にこの対策を立てることが、あるいはこの治療法その他を考えることが大事な段階と思います。
 で、御承知のように、いまいろいろな報道やいろいろな話を聞きますと、至るところにこのPCBが散在しておるようでございます。これは、どこに、どのような経路でいったかわかりませんが、少なくとも過去十年以上の長い間の無秩序な無意識的なPCBの使い方が、このような各地にめちゃくちゃに散在されるような結果になったと思います。ですから、一体どれだけのPCBがどういうものに入っておるかということは、ほとんどいまわからない段階でございますから、ほんとうのことを申し上げますと、まことに情けない話でございますが、どうしていいかわからないのはそのとおりであります。しかし、わからないからといってほっておくわけにはまいりません。ですから、まず最初にしなければならないことは、PCBというものが何にどれだけ入っているかということを調べ得るような分析の手段を一日も早くつくり出すことだと思います。幸いに、いろいろな、科学技術庁その他の努力によりまして、あるいは厚生省の努力によりまして、分析の方法が大体統一されてきたようでございます。しかも、これは食物とかあるいはきれいな水であるとか、そういうものの分析は、大体方法はきまったようでございますから、これを用いまして、できるだけ早くいろいろなもののPCBのあり方、いろいろなその分布のしかた、そういうものを徹底的にこれから調べてまいることが必要と思います。それからもう少し早くこの技術を進めて、いろいろな汚水その他よごれたもの、そういうようなものの中に含まれるPCBも十分に分析、測定できるような手段を早くつくること、これが一番大事だと思います。同時に、そのPCBというものがどれほど人体に影響するのか、どれだけの毒性があるのかということは、一日も早く生体実験をどんどん進めなければならないと思います。そういうことが、人体に対する被害の程度あるいは許容量というものをはかり得る一つの手段だと思います。この二つを私はまっ先に対策としてつくらなければならぬと思うのです。もちろん今後PCBの製造をどうするか、使用をどうするかということは通産省がたびたびいっておりますから、それを現実に守ってもらいまして、なおいま出回っておる製品の回収、そういうものもできるだけきびしく取り締まってもらわなければならないと私は思いますけれども、その二つをまっ先に考えることが必要だと思います。幸い、このPCBは非常に安定性が強くて分解しがたい物質であるとは申しますけれども、体外に排出されるのでございます。と申しますのは、いまいろいろな報告がありますように、母乳の中からPCBが見出されたということは、とりもなおさず、それは体外に排出された一つの証拠でございます。そういうことで、確かに排出もされますから、私は、そういうことを十分に土台として、一日も早くその治療なり対策の手段を見つけることが大事であると思います。ただPCBはこのとおり日本至るところに散在してどう手をつけたらいいかわからないような様子でございます。しかし幸いに、いまだ大きな被害が、カネミ油症以外は出ておらないのはしあわせでございます。これはおそらく、われわれが口から取り入れたものの中に含まれるPCBそのものが、全部直ちにわれわれのからだに蓄積されるものではないだろうと思うのです。そういうところにただ一つ救いがあると思いますから、その救いのある間に、できるだけいまのような原則を早く忠実に実行いたしまして対策を立ててまいりたい、それが必要だろうと考えております。
#21
○島本委員 やはり対策を立てることが、いま最高の、一つのわれわれの義務であり責務である、こういうように考えております。ましてこれは、若干の排出があるにしても体内にとどまる。母体の場合には胎児にそれも移っていく。胎児に移っていって、したがって有機水銀の胎児性の水俣病、こういうものと同じように子供に濃縮されて蓄積さるるというおそれも十分あるということも例証されているんです。そういうようなことからして、この物質が日本人の大切なたん白資源の中に入って、それをわれわれが常に摂取しておるということですから――水の中にもこれは当然ある。それからまた空気の中にもある。したがってそれが蓄積されていく。若干排出されても、それは、蓄積される量がよけいだった場合は必ずからだに被害が及ぶ。したがってそうなった場合には、異常児だとか小児ガン、こういうようなものさえもその一因ではないかということさえいわれておるわけでありまして、これは、お医者さんであり博士である環境庁長官一番よくおわかりのことだと思うのです。ましてこういうような点については、いますぐわからなくても、将来推定されるんです。無過失から推定規定を取ったにしても、この場合には完全に推定されるんですから、こういうようなことに対しては、もうはっきりしたその対策を練っておかなければだめだと思っております。これはやはりゆゆしい問題でありますから、通産省、厚生省ともに、この問題は対策を緊急に立ててもらいたい、こういうように思います。ことに一つ注意すべきことは、これはもう規制措置を通産省でとっておりますね。規制措置はとっておるけれども自主規制であるということ、そして自主規制であるからして、これはあまり――すぐ外にあらわれる、顕在するようなものに対しましては、これはもうそのまま禁止しても、いままで製造したもの、またストックされているものはそのまま。その処理さえも、今後急ぐといっても、まだ手をつけられない。また製造中のものもあるという状態であります。しかし、かわってくる物質そのものも、また再びこういうような被害を及ぼすような物質であることは許されないのであります。したがって、今度これをかえるにしても、その場合には通産省がかえる。それで安全性がある、こういうようなことになりませんので、厚生省のほうでは今度は毒性を十分調べてからこれを許可するというような、こういうような態度でないとだめだと思うのです。ものはすぐかえたが、通産省のほうの仕事であるから厚生省のほうはそのものに対しては触れない、こういうようなことであっては次から次へこういうようなものが起こってくるのです。これは通産、厚生両省ともにこの問題に対してははっきり対策を持って当たってもらわなければだめだ、私はそう思うのです。この毒性を調べて許可するというこの態度、それから通産省のほうではストック、現在あるものに対してもこれを企業の責任において処理させるというこの態度、これは両々相またなければこれがまた無限大に国民に及んでいくということになりますが、この辺の見解についてはっきりしておいてもらいたい。
#22
○久良知政府委員 PCBの代替品の問題からお答え申し上げたいと思います。
 閉鎖系、開放系ともに非帯に広い範囲に使われておったものでございますので、通産省といたしましても、その代替品の開発ということにはかなりな力を入れまして現在指導をいたしておるわけでございますが、現況におきましては、これはむしろ昔に返るわけでございますが、いわゆる鉱物性の油、それからかなり高価なものになるわけでございますが、シリコーン系の油に切りかえるということを進めておるわけでございます。
 それから熱媒体用としてかなりな用途があったわけでございますが、(島本委員「それは禁止したでしょう」と呼ぶ)はい、PCBを中止いたしましてその代替品の開発に努力をいたしておりまして、現在サームエース、SKオイルというふうな媒体用の代替品の開発、実用化に近づいております。
 それから感圧紙用にいたしましても、アルキルナフタリン、アルキルジフェニール等の物質によります代替が進んでおるわけでございますが、先ほど先生御指摘ございましたように代替品の毒性というふうな問題、これは大いに関心を要する問題でございますので、今後とも関係官庁とも連絡をとりまして、PCBの前の問題を教訓にいたしまして、間違いのないように努力をいたしたいと思います。
#23
○浦田政府委員 厚生省といたしましても関係の各省、ことに通産省あるいは農薬の関係でございますと農林省、これらの各省とも、厚生省の、人間の健康というものを守る立場から、たとえば食品が汚染されて、それによって人間の体内に摂取されるといったようなおそれのある新しい化学製品あるいは農薬等につきましては、事前にそういった点の、ことに慢性毒性などのチェックを十分にして、安全性を確かめた上で工業化してもらうというふうにやってまいりたいと思っております。これにつきましては、農林省の新しい農薬を許可するという場合には、この方式がすでにスタートいたしております。今後通産省のほうとも十分にその点連絡をいたしまして、新しい化学製品でいやしくも食物連鎖の果てといたしまして、人体に摂取されるというおそれのあるものにつきましては、事前に十分にその安全性について確かめた上で工業化するというようにやっていきたいと思います。
 また、既存の現在すでに出回っているいろいろなものにつきましては、やはり疑わしいものから逐次緊急に点検をしていく、そういった目から見直していくということをやっていく必要があるというふうに考えております。
#24
○木村説明員 母子の健康審査につきましては従来から保健所を中心といたしましてやっておるわけでございますが、今後PCBの関係に視点を合わせまして十分にその徹底をはかっていきたい、かように考えております。
#25
○大石国務大臣 これはまあ他省庁のことでございますが、先ほど浦田局長は、母乳からPCBが出ておるが、いまの段階ではこれを哺乳するのは差しつかえないという見解であるというふうに申されております。私もそのとおりと思います。しかしいろいろと心配をしなければならぬことがございます。安心も与えなければなりませんから。それで、母乳はできるだけ哺乳させないように、まあ別な牛乳か何かで補っているだろう。児童家庭局はそのようにしていると私は思うのでございますが、そのような発言を忘れたんじゃないかと思いますので、一言私から申し添えておきます。
#26
○島本委員 大体意見はわかりましたが、なお重大な点が一、二ありますので、これを指摘して、今後それに対してひとつ全行政を集中して解決に当たってもらいたいと思うのです。
 確かに、いま答弁がございましたように西ドイツでは〇・一〇三PPMであり、英国は〇・〇六PPM、アメリカは〇・〇三PPMでありますが、大阪の場合には、北の母親十五人に対して調べた結果〇・一から〇・七PPMが検出をされて、この数値が異常に高いということがわかったわけです。しかし、他の国がこれだけ低いということは、規制手段がその国によってきちっとしてあるからこれが低いのであります。向こうでできないから日本へ来て、こういうふうな害毒を国民に与えながらも日本ではこれを製造し得るのであります。そういうふうなところも政府内の行政の一つの欠陥じゃないか、こういうふうに思うわけであります。それに対して、いまいろいろ聞いてみたところが専門家といろいろ検討してみたとか、過去の行政データによったとか、こう言いながらも、そういうようなことは一つもないということであります。これから新たにやらなければならないということであります。これだけ諸外国より手おくれになっているというこの行政の実態からして、まあ通産、厚生両省はこの点の対処は完全はしておいてもらわなければなりませんし、環境庁長官もその点は強く指導してもらわなければならない、こういうふうに思う次第ですから、これは強く要請しておきたいと思います。
 ただ、いままではあがったデータだけを申し上げましたが、しかし東京湾付近で、これも同様にひどいのですが、これだけのデータがまだあがってきていない。おそらくわかった瞬間にまたぎょうてんするのじゃないか、こう思います。したがってそういうようなことがないように、いまからでもその対策を早く樹立するように心から要請しておきたいと思います。
 また川魚、こういうようなものに対してのいろいろなデータもそれぞれあがっておりますが、昭和二十九年から四十五年までにかけてのデータはいろいろありまするけれども、PCBは一万一千トン近くも排出されておる、それがアメリカの三分の一ぐらいだ、こういわれておりますけれども、日本はアメリカの面積から比べたら狭いのですから、その稠密度合いからすれば、被害の状態からすればとうていアメリカの比じゃないのでありますから、こういうような点から考えて、あくまでも国民の保健という立場からこの点の行政は完ぺきを期してやってもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思います。最後に環境庁長官の決意を伺って、私は次に移りたいと思います。
#27
○大石国務大臣 このPCBにつきましては、先ほど申しましたように非帯に手おくれではございますけれども、このような安定性のある物質でございますから、今後長いこと問題が残ると思いますので、したがいまして、できるだけ早くこれに対する解明の方法なり手当てなりを考えまして十分に国民に安心を与えるように関係省庁とも十分に協調しながら努力してまいりたいと考えております。
#28
○島本委員 次に移ります。まずOECDが原則採用したPPPの問題ですが、これがいろいろ今後日本の経済にあるいは産業に影響がもたらされるであろう、こういうようなことを私どもは常に考えてございます。OECD、これは経済協力開発機構ですか、この中の環境委員会できめられたPPPの原則、これは満場一致で採択されておる。しかしながら同時に今度日本をはじめとして、それに対する例外、こういうようなものを持ち出していろいろ協議されたように聞いておりますが、この原則と例外、これがどうなっておるのか、関係者にこの辺をはっきりと解明してもらいたいと思います。
#29
○森口説明員 お答え申し上げます。いま御質問がありましたPPPの原則は、正確に申しますと、環境政策の国際経済面に関する指針という中で、PPPの原則がうたわれておるわけでございます。この指針の中では、汚染者負担の原則と環境基準の両者について言及されております。汚染者負担の原則については、公害防止の費用は汚染者が負うべきであるという原則はきわめて望ましい。というのは、結局公害防止の費用が製品の価格に反映されることによりまして環境資源の合理的な利用がはかられるという趣意でございます。ただ、汚染者負担の原則には、各国は同意しておるわけでありますれども、この原則の適用に関しては非常に厳格に解釈すべしとする国と、非常にルーズに解釈しろという国と意見が非常に分かれておるわけでございます。そういう趣旨を受けまして、この指針の中では、国際貿易に重大なひずみをもたらすような補助を公害について行なってはならないというように規定されておるわけでございます。重大なひずみという意味を受けまして、先ほど先生が御指摘になりましたような例外は、一体何であるかということの議論が行なわれておるわけでございまして、この例外につきましては、この一番下の下部機構の小委員会でも若干の議論は行なわれておるわけでございますけれども、現在まだ例外が何であるかということについては、明確な結論を得ておらないというのが現状でございまして、今後どういう場合にその例外を認めるかということはさらに内部で詰めていこうというような申し合わせになっておるという現状でございます。
#30
○島本委員 報道によりますと、外務省の公害担当の審議官、日本代表である大田正己さんが、この原則は閣僚理事会に採択されても日本としてはすぐ公害対策に影響はない、こういうように言っているようであります。そうすると、これはどういうようなことになりましょうか。PPPの原則を満場一致で認めた、これはやはり公害防止のためには企業援助ということで政府は補助金などを出すべきじゃないということだと思います。これに対して例外措置も当然提案されておる。それによると、外務省ではこれは現在の日本のやり方に対しては何ら抵触しない、こういうようなことのようでありますが、これは事実そのとおりですか。
#31
○渡辺説明員 御指摘の汚染老負担に僕する原則につきましては、去る二月のOECDの環境委員会において採択されたわけでございますけれども、これがOECDの正式の決定として発表されるためには、OECDの意思の最高決定機関でありますOECDの理事会の決定を必要とするわけでございます。現在のところこの決定は、ことしの五月二十四日から開かれますところの閣僚理事会において決定されるのではないかと見込まれております。
 この指針は、わが国としてはすでに公害対策基本法に盛られているところでございまして、かつ先生御指摘の例外の点については、今後OECDの機構の内部においてさらに検討していくということになっておりますので、われわれ政府としては、この指針が現在の日本政府の公害対策に支障があるというようには解釈していないわけでございます。
#32
○島本委員 そうすると、いま言ったPPPの原則は、あくまでも公害防止のために補助金を出さないで、その負担は企業自身の責任において行なうべきである、こういうようなことのようであります。同時に今度その例外ということが提案されて、過渡的というのは一つの期間から一つの期間に移る間だと思うのです。過渡的な状態が過ぎたならばこれが許されないということになるのじゃないかと思うのですが、過渡的手段は永久効果ということになって認められるように話し合いがついたのですか、そうじゃないのですか、この辺が少しばく然としているようでありますので、この点も解明してもらいたいと思います。
#33
○渡辺説明員 先生御指摘のとおり、例外措置については過渡期間認められるということが一つの原則でございます。他方もう一つの原則は、先ほど通産省から御指摘がありましたように、国際貿易に重大な影響がある例外については過渡期間認められる。したがいまして、重大な影響があるということはどういうことかという点あるいは過渡期間とはどのくらいの年限をさすかという点については、現在までのところOECDの内部で意見の一致あるいは詰めが行われていない段階でございます。
#34
○島本委員 今後その詰めを行なうのは、五月に開く予定のOECDの関係閣僚理事会でいろいろ行なわれるようにいま伺っておりますが、それには福田外務大臣が代表として参るのですか、田中通産大臣が参るのですか、それとも経済企画庁長官が行くのですか、また環境庁大石長官が行くのですか、これはいずれがこれに臨むようになるのか、この点もあわせて知っておきたいと思います。
#35
○田中委員長 これは説明員ではちょっと無理だな。――それでは国務大臣としての大石環境庁長官。
#36
○大石国務大臣 閣僚会議にどなたが出席するのかまだ聞いておりません。申しわけございませんが、そういう段階でございます。
#37
○島本委員 外務省並びに環境庁、いま言ったように、ここでいわゆる日本の公害対策のいわば対外的な一つのルールが過渡的であろうともきまるわけであります。大事なのはその五月であります。そうなりますと、これは外務省といえども、通産省といえども、環境庁といえども、これに重大な関心を持たなければならないということは当然でありまして、この点がだれになるかわからないと言われるのはどうも心外でありまして、進んで私が行きます、佐藤内閣総退陣しようとも私だけが残って行きますというあなたの気概を示すべきじゃないか、こう思うわけなんですが、これはまだ依然としてわからない、こういうようなことであるならば、困ったことだと思います。したがってもう一回やりますが、PPPの原則、これは満場一致で確認されていますね。それからいま言った貿易に重大なる影響というような点と過度的な期間というような点、この点だけは五月の閣僚会議というのですか、関係閣僚理事会ですか、この中でこれが取りざたされる、こういうようなことになると思うのです。
 そうすると私がいま言ったようにして、ここにあるこの法律案の中で工業再配置促進法案というのが出されているでしょう。それと同時に、工業の再配置促進対策というような点も通商産業省からこれははっきり出されてございましょう。そうなりますと、この中にはっきりと環境保全対策として補助金の使途、これは環境保全の施設等に限る、こういうようにしてこのためにはっきり補助金もこれに出すことになっているわけです。それと同時に融資等についても十分これは配慮する、これが五項目にはっきりしているわけであります。そうするとこの決定があくまで基本線でいくとすると、日本のこの出した法律、こういうようなものはまた再び世界から指弾をされる、こういうようなことになるのでありまして、やはりこの辺は十分考えておられるのじゃないかと思いますが、これはPPPの原則に抵触するおそれがないのかあるのか、通産省のほうからこの見解を表明してもらいたいと思います。
#38
○田中(芳)政府委員 御指摘の工業再配置促進のために私どもといたしまして四十七年度下期から、移転企業に対しまして工業の立地条床面積平米当たり五千円を限度といたしまして、工業再配置促進補助金を交付したい、このように考えておるわけでございます。この補助金は地元の受け入れ態勢をも含めまして、工場の移転の円滑化をはかろう、こういう趣旨に出るものでございまして、細目につきましてはなお検討中でございますけれども、その使途といたしましてはその企業によりますグリーンベルト、緑地帯あるいは公園などの造成、それから運動場、体育館などのレクリエーション施設の整備、こういったものを対象とする考えでございまして、そこにお手元の資料にあるいは環境保全という形が書いてあろうかと思いますが、考え方といたしましてはもっとより広い形のもので補助をやってまいりたい、このように考えておるわけございます。
#39
○島本委員 いま言ったように街路、グリーンベルトそれから体育施設、こういうようなものは現行公害防止事業団で環境庁が所管してございますが、その中で公害対策として中小や普通の企業に対して法の命ずるところに従って貸し出せるようになっているわけです。今度はこれだけは別にそういうようなものに対しては補助してやる、こういうようなことになります場合には、これはやはりPPPの原則にひっかかるおそれがあるのかないのかということなんでありますけれども、この点外務省、どうですか。
#40
○渡辺説明員 汚染者負担の原則、いわゆるPPPの原則につきましては、先生御指摘のとおり閣僚理事会において採択され決定されていくと思いますけれども、実際の御指摘の過渡期間とはどういう期間をさすかあるいは例外とはどういうものだということはおそらく閣僚理事会においては決定されずに、閣僚理事会において決定されるのはPPPの原則というものが大切なものであるという精神を決定する。したがいまして、過渡期間はどのくらいかあるいは例外はどういうものを認めるかという点はさらに閣僚理事会のあとにOECDの機構の中で検討されていくものだというように考えております。したがいまして、御指摘の法案について、これがPPPの原則に抵触するかどうかということについては現在のところはっきり申せないわけでございますけれども、先ほど御指摘がありましたように、PPPの原則を採択したOECDの各国の中にかなり考え方の開きがございます。したがいまして、この点については、今後ともわが国の公害行政あるいは公害問題の特殊性等について機構内部で立場を明らかにし、御指摘のような法案についても十分納得のいくような説明を行なっていきたいというように考えておるわけでございます。
#41
○島本委員 政府もそういうような立場にあり、今後の貿易を含めまして、いろいろPPPの原則そのものが確認された原則の上に立って今度はきちっとやらなければ、逆に公害ダンピングということで日本がまたいろいろの点、関税の問題その他で不利益な状態に追い込められるおそれがあるので、外務省、通産省それから環境庁ともにこの問題に対しては指導を含めて十分に今後検討しておいてもらわなければならない大きい問題だと思います。まあひとつ今後の問題もございますから、これは特に検討して、このためにまた世界から指弾を受けることがないように十分配慮すべきである、こういうふうに思いますので、ひとつ閣僚としての大石長官の御意見を伺って最後にしたいと思います。
#42
○大石国務大臣 このPPPにつきましてはいまの島本委員の御意見に同感でございます。われわれはやはり国際社会の一員としてお互いに協調してまいらなければなりませんので、やはりわが国だけが公害の防止事業を怠ったり、その結果ソーシャルダンピングといわれるようなことがないように万全の注意をする。それはやはり当然いま言ったようなポリューターの負担が原則である。これはそのような国際的な規約をするまでもなく、国内においてもそのような精神と方向は確立していかなければならない、こう考えております。
#43
○島本委員 終わります。
#44
○田中委員長 次に、古寺宏君。
#45
○古寺委員 最初に厚生省にお尋ねをいたしますが、現在スモンの調査研究協議会の総括報告で問題になっておりますところのキノホルムに添加をいたしました乳化剤についていつごろから乳化剤を添加したのか、この点についてお尋ねをいたします。
#46
○豊田説明員 お答えいたします。
 CMCという乳化剤を添加を許可をいたしましたのは昭和三十一年一月の十七日付の許可でございます。
#47
○古寺委員 その乳化剤はどういうような働きを持っておるか、お尋ねします。
  〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
#48
○豊田説明員 お答えいたします。
 体内へ入りましたときに腸管内におきまして、キノホルムは先生も御存じのとおりに殺菌消毒剤でございますので、腸管内で乳化作用をさせやすいというふうな働きのものでございますので、腸管内へ入りましたときにキノホルムとともに乳化現象を起こして広く腸内に分布するという作用のものでございます。
#49
○古寺委員 この乳化剤は界面活性剤であるということをお聞きしておりますが乳化剤を他の薬剤で添加しているものはどういうものがございますか。
#50
○豊田説明員 乳化剤を使用しておる薬剤は非常に多うございまして、CMCは食品添加物におきましても許可されておるものでございまして、他の薬剤にも広く使われておるものでございます。
#51
○古寺委員 スモンの調査研究協議会の総括報告によりますと、この乳化剤がキノホルムの毒性を助長してスモンの発生を促進したというように私どもは受け取っているわけでございますが、そういう点について、乳化剤を添加した場合の毒性試験についてはどういうふうにおやりになっておりますか。
#52
○豊田説明員 先生もすでに御存じのとおり、この間のスモン調査研究協議会におきましても、キノホルム部会で、札幌医大の先生が「CMCが経口投与したキノホルムの血中出現に及ぼす影響」という課題で雑犬とビーグル犬につきましての発表をされておるわけでございますが、私どものほうにおきましては、昨年度から、乳化剤とかそういうようなわれわれ申しております医薬品添加物に関するものについて配合した場合の吸収、排せつというようなものについての実験データを要求いたしておりまして、当時につきましてはCMCを添加したキノホルムについての吸収、排せつ等のデータは要求しておりませんでした。
  〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
#53
○古寺委員 現在までに乳化剤を添加している薬品については、当然これは全部洗い直してみる必要があると思いますし、さらにこの界面活性剤についてはいろいろな危険性が潜在しているわけでございますので、今後乳化剤を添加している薬品については一応この添加を禁止すべきであるというように考えますが、いかがでございますか。
#54
○豊田説明員 お答えいたします。
 医薬品添加物と申しますのは非常にいろいろなものがございますが、特に先生御指摘の乳化剤につきましては、非常にいい面と悪い面とがございます。いい面と申しますのは物理的な面あるいはまた化学的に申しますとその薬剤が長期保存にたえ得るような作用もいたしますし、あるいはまた錠剤なら錠剤というものの形をつくる上においてもいい作用もいたしておりますし、いろいろな面で乳化剤そのものの効果というものは、われわれにとりましては非常に有意義なものであると解しておりますが、先生御指摘のようにキノホルム等においてそういう非常に悪い作用があるという面から考えまして、昨年度からそういうものに対する吸収、排せつ等のデータを要求してまいっておりますし、今後、私たちのほうは四十六年度から薬品の再評価という点で全面的に再検討に入っておりますので、各薬剤についてのデータに基づいてさらに詳しく検討してまいりたいと思っております。
#55
○古寺委員 後ほどCMCを添加している全薬剤のリストを提出をしていただきたいと思います。次に水産庁にお尋ねをいたしますが、先日の新潟沖のジュリアナ号の事件で、処理剤を相当使ったわけでございますが、この毒性の調査はどういうふうになっているか、お尋ねしたいと思います。
#56
○松下説明員 ジュリアナ号の油処理剤によります水産生物の影響につきましては、調査の結果によりますと、海水中の油処理剤の有効成分、そういったものが〇・四PPM程度の値が見られたわけでございますが、この値は魚介類を致死せしめるような影響にはないというふうに考えられております。
#57
○古寺委員 魚介類や水産物が死亡しないといたしましても、いろいろな危険性が考えられるわけでございますが、そういう点についてはいかがでございますか。
#58
○松下説明員 ジュリアナ号の調査におきましては蓄積の影響を直接研究はいたしておりませんが、過去におきますいろいろな調査結果によりますと、この程度の濃度のものであれば蓄積その他にも影響はないだろうというふうに推察されるわけでございますが、これは先ほど申しましたように、直接ジュリアナ号につきましては調査いたしておりません。
#59
○古寺委員 十二月に官房長官から、PCBあるいは油の処理剤、さらにまた家庭用化学用品あるいは加鉛ガソリン等についての管理取り締まり体制を強化するための通達が出ているわけでございますが、この油の処理剤についてのその後の検討はどういうふうに進められておりますか。
#60
○岡安政府委員 いまお話しの、昨年十二月の二十四日に官房長官から各省に通達が出まして、油の処理剤等につきましては、運輸省が事務局となりまして、関係省庁は厚生省、農林省、通産省、労働省、自治省、科学技術庁それから環境庁等が寄りまして、これらにつきまして、油の処理剤等の、まずどういうようなものを今後使用すべきか、特にその前に、現在の処理剤についての化学的性質を分析する、それから今後やはり環境の汚染の影響のないものを使わなければいかぬわけでございまして、それらにつきましての検討をそれぞれ分担して行なうということになっておりまして、その後寄り寄り事務的な会合をやっておるというのが現段階であります。
#61
○古寺委員 いま申し上げましたキノホルムの乳化剤あるいは油の処理剤、これはいずれも界面活性剤でございますが、われわれが日常使用しておりますところの洗剤も同じくこの界面活性剤でございます。この点について、厚生省は界面活性剤の毒性、慢性毒性等についてどういうふうに安全性を確認されているのか、承りたいと思います。
#62
○浦田政府委員 洗剤の使用法につきましては、昭和三十七年の十一月に行なわれました食品衛生調査会で、洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限り、人の健康をそこなうおそれはないという意味の答申がなされまして、それに基づきまして適正な使用が行なわれるように指導してきているところでございます。これに加えまして、本国会に提出いたしております食品衛生法の一部改正法案の中で、さらに消費者の不安を除去するために洗剤の成分の規格及び使用の基準を定め得るように改正いたしたいと考えておるところでございます。
#63
○古寺委員 その答申だけではなしに、どういうような科学的根拠に基づいて厚生省は現在まで使用基準もなしに使用さしているのか、承りたいと思います。
#64
○浦田政府委員 さきに申しました食品衛生調査会の答申は、それまでに科学技術庁の特別調査研究費あるいは厚生省自体の持っております研究費その他を使いまして、ことに中性洗剤の慢性毒性あるいは催奇形性、そういったものにつきまして十分に、あるいは十二分にと申してもいいかと思いますが、調査し検討した上、さらに各国の文献等を参照としましてなされた答申でございます。またその後も引き続き、たとえば河川等のABSによる汚濁の状況等につきましても再三調査をし、検討をしているところでございまして、またその後の新しいいろいろな治験につきましてもそのつどチェックしているところでございまして、現在食品衛生調査会の三十七年になされました答申、つまり通常の使用方法から著しく逸脱しない限りは人体の健康には支障がないということは、私どもとしてはおろしてないわけでございまして、これらにつきしまては、商品の表示に十分に使用上の注意はいまなされておるところでございます。しかしながら、単ABSに限らずいろいろと新しい種の洗剤も開発されてきておるという現状でもございますので、ABSももちろん含めまして、新しくさらにそれを徹底させるために食品衛生法の一部改正を行ないたいということでございます。
#65
○古寺委員 確かに科学技術庁あるいは衛研等でやった毒性試験、それはそれなりに私はそれだけの効果があったと思いますが、しかしながらこの界面活性剤の持っている性質からいいまして、いろいろな問題が出ているわけです。たとえば催奇形性の問題、あるいはこの界面活性剤、中性洗剤を実際に使った場合に、われわれの舌の中にある味蕾が破壊されて、そして知覚麻痺が起こるとか、いろんなそういうような研究が行なわれているわけでございます。そういうものについては全然無視して、いままでの、かつて公害がまだ盛んにいわれていない時代のそういう試験結果に基づいた安全性というものを厚生省は強調しているわけでございますが、実際にそれでは逸脱した使用法というのはどういうことでございますか。
#66
○浦田政府委員 通常の使用法という点から申し上げますと、これは元来洗浄が目的でございますので、原液をそのままで使わずに適当に、たとえば一リットルの使用水に対しまして一ないし二cc程度の中性洗剤を使用しなさいといったように、またそのあと十分に水道水で洗浄しろといったように、洗浄の目的ということでもって使われるものというふうに解しているわけでございます。それが原液のままで使うとかあるいは食器の洗浄あるいは食品の洗浄以外に使うとかといったような場合には、つまり使用目的とそれから使用の濃度、そういったものを守らない場合に逸脱するというふうに考えております。
 それから先ほど催奇形性云々のことをおっしゃいましたけれども、私どもも一々そういったデータについては深甚の注意を払っておるつもりでございます。その催奇形性の点につきましては、私どももデータを取り寄せ、また御本人の説明などを聞きまして、この点はいまでは否定されておりますので、念のために申し添えさせていただきたいと思います。
#67
○古寺委員 それでは現在、この使用方法、十分に洗い落とすとかあるいは水に希釈をして使用するとかそういう指導というものが実際に守られているとお思いでございますか。
#68
○浦田政府委員 通常の場合には守られているというふうに考えております。
#69
○古寺委員 それが実際には守られていないのです。家庭の主婦はほとんどが皮膚炎を起こしておる。あるいは学校給食等の現場へ行ってみましても、そういうふうないわゆる使用基準と申しますか、十分な指導というものが守られておりません。したがってスモンの場合に、乳化剤というものが、界面活性剤というものが重要な役割りを果たしているように、タールがわれわれの体内に吸収されるとかあるいはまたいま問題になっておりますPCBが体内に吸収しやすくなる、そういうようなことが当然考えられるわけでございます。こういう点について、なぜいままでこの使用基準なりそういうものをつくらなかったのか、あるいはもっと徹底した指導をしなかったのか、これは私は厚生省の怠慢であると思いますが、いかがでございますか。
#70
○浦田政府委員 ABSの使用方法につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、食品衛生調査会の答申のとおりに私どもは、通常の使用をしておれば健康上の支障はないというふうに考えまして、製品に表示する。その旨注意書きを加えるということで対処してきておったわけでございますけれども、一部やはりその注意書きをよく読まないといったような形で皮膚の障害を起こすといったような例もあるやに聞いております。これらにつきましては、厚生省としてどのようにその使用上の注意を徹底させるかということについては非常に苦心しているところでございますけれども、なお不十分な点があったことは、私はやはり認めざるを得ないと思っております。したがいまして、これらの点も踏まえまして、やはりある程度法に基づくそういった規制ができるというふうにしたほうがさらに徹底するのではないかということでございますので、今後そういった点を踏まえまして、できるだけ消費者の立場に立って安全に使用ができるように、その徹底方に努力してまいりたいと考えております。
#71
○古寺委員 いまいろいろと質問をしてまいりましたけれども、スモンの問題あるいはこういうような洗剤の実情、それから油の処理剤の問題、全部これは同じような性質の化学製品でございます。こういうものに対して十分な安全性の確認がなくして、今日野放しの状態で使われているわけでございますので、こういうものについては今後厳重に毒性試験あるいは催奇形性の問題、そういう問題についての安全性のチェックということが必要になると思いますが、この点についての大臣の所見を承りたいと思います。
#72
○大石国務大臣 ただいまの古寺委員の御意見に私も全く賛成でございます。私もかねがねそのように考えておりますので、実は先ほどお話のありました昨年の十二月の二十四日でしたか、閣議におきまして、いろいろな、ことに化学製品を中心として、こういうものの製造なり発売なり使用につきましては、厳重な毒性試験とかあらゆることをして規制して、再検討して、安易なことはしてはいけないということを申し合わせいたしまして、それによって、これを各省庁によって、いろいろそのような措置を講じておるような実情でございますが、あれは私が閣議で主張いたしましてああいうような手段をとらせたわけであります。まだいままでの経過では必ずしも十分な成果をあげたとは思いませんが、やはり今後は各省庁において必ずこのような、ほんとうに毒性があるかないか、有害であるかないかということを、あらゆる検討をしまして、あるいは出ているものは再検討し直して、そして絶対安全を期さなければならぬと考えております。
#73
○古寺委員 厚生省は外国ではABSを全部LASに切りかえをしておりますね。わが国ではこういう点については全然無関心のように思うのでございますが、この点についていかがでございますか。
  〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
#74
○浦田政府委員 わが国におきますABSいわゆるハード型でございますが、これにつきましては、アメリカあるはヨーロッパあたりで下水道の汚水処理の上から、場合によりましては浄水技術の上から問題がありますので、ソフト型、先生おっしゃったLASですか、それに切りかえる、中には法でもって規制しているところもございます。日本でも三十六、七年代から化繊のABSによる汚染状況、また下水道処理場の処理以外に及ぼす影響ということについては調査をいたしてきております。そして、やはり問題であるということでもって、通産省にその段階でもってソフト型に切りかえるように要望いたしておるところでございます。したがいまして、あと通産省のほうから、そのほうの状況については説明をお聞き取り願いたいと思います。
#75
○古寺委員 そこで、厚生省に申し上げておきたいのは、非常に危険な界面活性剤、これを薬品に添加をしておる。また、油の処理剤にも使われておる。そして、洗剤にも使われているわけでございますので、今後この毒性というものを新しい時代に対応した考え方でもって試験をして、安全性を確認して、その上で人命尊重の立場で使用の許可をする方針で進んでいただきたいということを特にきょうは要望申し上げておきたいと思います。
 次に、先ほどのPCBの問題でございますが、母乳から相当量のPCBが分析されたわけでございますが、これを現在のところでは心配がない、こういう発表をしているわけでございますが、その科学的な根拠、裏づけは何かということについてお尋ねしたいと思います。
#76
○松下政府委員 ただいまのお尋ねの大阪で十五人の授乳中の婦人の母乳の検査をいたしまして、PCBの含有量が〇・一PPMから最高〇・七PPM、平均〇・二PPMという数値が出ております。母乳につきましては、先月の初め福岡でも検査がなされまして、この際は、一オーダー低いと申しますか、〇・〇という単位で平均が〇・〇一四PPMという程度の含有量でございまして、地域によりまして汚染がかなり異なっておるという状況が見られたわけでございます。それできのう発表されましたデータは、前回に比べましてかなり高い含有量と認められましたので、前々から母乳の汚染問題につきまして、私どもでお願いいたしております研究班の専門家の先生方に直ちにお集まりいただきまして、今後の対策を協議した次第でございますが、その先生方の御意見といたしまして、ただいま先生から御指摘がありましたように、今回の程度の汚染、いままでのデータに比べますと高い数値でございますけれども、全般的に見て母乳というものの性格から見て、これを乳児に飲ませることをやめるというような程度のものではないという一致した御意見が出ておるわけでございます。
 それでその考え方でございますが、まず乳児にとりまして母乳は他の栄養食品に比べましても、格段に栄養的な効果が、これは乳児の健康上いろいろな意味を含めまして、先生御案内のように特にすぐれた食品でございます。したがって、乳児につきましては、できるだけ母乳をもって育てるということが望ましいという小児科の専門家としての一つの前提がございます。それといままでのデータといたしまして、実際に健康障害が起こりました例はカネミ・ライスオイルでございますが、このときの含有量は、先生の御案内のように、二千ないし三千PPMという、これはああいう事故でございますので、ちょっとけたはずれのデータでございます。ああいうときのデータから類推いたしますと、相当量の蓄積がなされなければ、水銀量で〇・五グラムというようなことがいわれておりますけれども、そういう蓄積がなされない限りは、健康障害はまあ起こらないであろうということが言われておる。そういう両面から考えあわせまして、乳児の健全育成ということを考えました場合には、現在発表されております程度の汚染につきましては、やはり乳児の養育は母乳をもって行なうほうが総合的に見て、望ましいというのが学者の一致した見解ということでございます。ただ、ただいま先生から御指摘がございましたように、慢性毒性につきまして、まだPCBにつきましては十分な検討がなされておりません。そういう意味におきましては、確かに絶対これでどこまでが安全というような基準がなお確立されていないわけでございまして、そういう意味も含めまして、授乳は続けるほうが望ましいけれども、さらにそういった子供さんあるいは全般の乳児につきまして、今後健康診断を励行いたしまして、その健康管理をあわせ行なって、万一異常が発見された場合にはすみやかな手を打つというような体制をあわせ行なう、そういう二とも含めましての結論だというふうに私ども了承しております。
#77
○古寺委員 アメリカでは一九六九年の十二月に、牛乳中のPCBを〇・二PPM以下、それから翌年の二月には、魚の食用部分を五PPM、七一年の一月には食用鳥類を五PPM、八月には卵を〇・五PPMとして規制しているわけでございます。確かにそれは母乳にまさるものはないということはわかります。しかしながら、現在からだに異常がないからといって、このまま飲ましてもよろしいとか、あるいはまだ慢性毒性の試験の結果が出ていないのにこういう危険なものをそのまま乳児に与えるということは非帯に危険性があると思う。先ほど大臣は、こういうような母乳は飲ませなくて別なもので代用することを厚生省では考えているのじゃないかという御答弁がわざわざあったわけでございますが、もう一回大臣から、大臣のお考えをいただきたいと思います。
#78
○大石国務大臣 私はPCBにつきましては、たいした見識もありませんので、はたして的確なお答えができるかどうかわかりませんけれども、私はやはりこういうものは、ことに小児でありますから、赤ん坊でありますから、ある程度の反応が出てからやめるというのではおそいと思います。当然そんなことは考えない、初めからそのような変化の出ないようなことを考えることが一番大事じゃないかと思います。そういう意味ではやはりまだまだその毒性の実態がわからない、あるいは慢性中毒のあり方がわからない現状におきましては、できるならば私はそういう危険は避けたほうがよかろうと考えます。
#79
○古寺委員 大臣がそういうふうにおっしゃっておるわけですね。しかもおとなの場合と乳児の場合では全然違うと思うのです。カネミ・ライスオイル事件の要領を持ってきて、それを乳児に当てはめようとするところに非帯に非科学的な考え方が基礎にあると私は思います。そこで、一体それでは治療法については厚生省はどう考えておりますか。
#80
○浦田政府委員 乳児の場合に、まだ症例がないからわかりませんが、カネミの油症事件の経過から申し上げますと、現在的確にPCBのみを体外に排せつさせるといったようなそのものずばりの薬、治療法は発見されていない段階でございますが、いままで対症的にいろいろと治療を進めておるところでございます。たとえば、皮膚に塩素の座瘡、にきびのようなものができますが、そういったようなものにつきましては、やはり皮膚科的な治療法あるいは肝臓などの障害につきましては肝臓の治療といったようなことで、対症的な療法をやってきておるところでございますが、現在までのところ症状は逐次軽減してきておりまして、またカネミのPCBそのものも体外へある程度は排出されてくるといったようなことがわかっておる段階でございます。
#81
○古寺委員 いま生れたばかりの赤ん坊が〇・七PPMの母乳を三年間飲み続けると、ちょうどこのカネミオイル事件と同じような状況になる、こういうふうに先ほどおっしゃっておりましたですね。そいたしますと、われわれ国民は毎日のように魚や野菜、いろいろなものからPCBをとっているわけです。いつ国民がPCBによって病気になるかわからぬでしょう。そういうものに対する治療法もまだ確定していない。治療法の開発も進めていない。現在あるのは対症療法だけです。そういうような現状でもって、子供に母乳を飲ませることについては心配がないというような非帯に安易な考え方、これをまず改めていただきたいと思います。
 次に、現在分析法が統一されたわけでございますので、排出の基準というものを当然つくらなければならないと思いますが、この点についてはどうでございましょうか。
#82
○河野説明員 御指摘のように分析方法につきましては、一応水、食品については見通しを得たわけでございますが、環境庁といたしましては、排出基準あるいは環境基準を設定する上に必要な資料を得るために、汚染の著しい水域あるいは工場排水につきましての分析方法を開発する必要があるわけでございます。そういった意味におきまして、現在調査研究を進めておるわけでございます。その結果を待ちまして、できるだけ早く基準の設定を行ないたい、かように考えておるわけでございます。
#83
○古寺委員 アメリカでこういうふうに指導基準をつくっているわけですから、暫定的にでも残留基準なりそういうものをいますぐつくれるわけでございますが、なぜこういうふうに調査してからとか実態がわかってからというようななまぬるいことをおっしゃるのでございますか。これは大臣からもう一ぺんお願いします。
#84
○大石国務大臣 いろいろな基準をつくりまして、それを規制するということにつきましては、何らかの科学的な判斯の根拠がなければなりません。それはおわかりのことと思います。
  〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
 ただ残念ながらPCBにつきましては、できるだけ早くそのような基準をつくって厳重な規制をしたいと考えておりますけれども、いままでは御承知のように分析の方法が確立しておりませんでした。ですから根拠がないのです。ようやく今回水とか食品についての分析方法が確立されましたけれども、まだ汚水とかそういったものにつきましては正しい数字が出るようなところへいっておらない。もう少しでできるそうでございますが、そういう状態でございますが、そういう状態でございますので、できるならば確実な根拠によりたいということで、分析の方法の解析を待って、その結果きめたいというのがわれわれの願いでございます。
#85
○古寺委員 くどいようでありますが、アメリカに一応こういうような基準があるわけですから、分析方法は一応統一されたのですから、そういう暫定的な残留基準あるいは暫定的な排出基準というものをきめておいて、さらに実態がわかった上でもっと規制をきびしくするものであればそれをきびしくすればいいと思うのです。なぜそういうような――一応販売を中止するとか製造を中止いたしましても、いままで出回ったものをそのまま放置しておきますと、われわれの健康以外にも環境汚染というものがどんどん進行していくわけでございます。そういうようなものに対する対策は当然環境庁として考えなければいけない。通産省には製造中止、販売中止ということを要請しておきながら、片一方ではそういうものを環境汚染から守っていく対策というものが当然必要だと思うわけです。そういう考え方に立ってもう一度お願いします。
#86
○大石国務大臣 古寺委員の考え方よくわかります。ごもっともだと思います。ですが、くどいことを申すようですけれども、たとえば〇・二とか〇・三PPMで規制の基準を一応きめたとします。その場合にはたしてその実行をしているところが基準に合っているかどうかという判定の土台がございません。いまの段階では、私は守っているといわれてもそれが正しいかどうか判定する、測定する方法がない。ですからやはりある程度の規制が完全にできるような、それが証明できるような方法を早くつくり出すこと大事だと思います。しかしいまお話しのように野放しにする手ははないということは全くそのとおりだと思います。ですから十分に考えてみなければなりませんが、いまひょっと考えてみたところでは、法的な強い根拠はないにしても、何らかのこれを規正し得るような指導措置は必要だと思います。そういうことでとりあえずできるだけの強い規制、指導を行ないまして、早い機会に測定方法なるを確定して、そして的確な基準をきめてまいりたい、これがいいのではなかろうかといま考えた次第でございます。
#87
○古寺委員 次に、通産省は行政指導でいままで規制をしておりますけれども、今後閉鎖系のものについてはどういうような規制をしていくわけでございますか。
#88
○小幡説明員 先生ただいま御指摘のありましたように、開放系につきましては、すでに感圧紙が昨年二月をもって出荷停止をいたし、その他の塗料、可塑剤等に用いますPCBにつきましては、昨年一ぱいで出荷及び使用の停止を行政指導によって行なったわけでございます。残るところは電気機器あるいは熱媒体等の閉鎖系の用途でございますけれども、これにつきましては、やはり将来それが廃棄される場合に問題を生じるということでございますので、将来これが廃棄され、要らなくなったときにPCBを確実に解消できる用途についてのみ今後出荷を続けさせる、それ以外の用途については出荷をしない、こういう方針を立てまして、現在具体的に検討しておる段階でございますけれども、早急に結論を出して、これもとりあえず行政指導によってその実施をはかってまいりたいと考えている次第でございます。
#89
○古寺委員 これは行政指導でなくて、法的に規制すべきであるというふうに考えますが、いかがですか。
#90
○小幡説明員 ただいま行政指導によりすでに規制を行ない、またとりあえず閉鎖系については行政指導によりこれも取り締まりを行なう、こう申し上げましたけれども、それによりましてほぼ取り締まりの目的は達成できるというように考えております。しかし、さらにその確実な実効を担保する手段として、法律の制定ということも必要かと思いますので、昨年の十二月の官房長官通達に基づき設置されました各省連絡会議におきましても、立法措置も含めてただいま検討しておる段階でございますので、その結論が出次第、しかるべき措置をとりたいと考えております。
#91
○古寺委員 このPCBの汚染は、これは全国的に広まっているわけでございますが、水とか食品の分析方法が統一されたわけでございますので、全国的な実態調査というものを、早急に政府としてこれをやる必要があると思いますが、この点についてひとつ大臣から、政府はどういうようにこれを今後進めていくお考えか、承りたいと思います。
#92
○大石国務大臣 いまお話しのように、全国的な調査をすることは私も必要だと思います。これはどのような手だてでございますか、具体的なことは申し上げられませんが、やはりこれは当然やらなければならないと考えております。
#93
○古寺委員 実際問題として、このPCBの問題が起きてから、地方ではいろいろ衛研その他に分析を依頼してもなかなかやってもらえない、あるいはガスクロも少なくて分析ができない、技術者もいない、こういうような体制になっておりますので、今後こういう面の体制を環境庁のほうで強力に推進をするようにしていただきたいと思います。
 次に、PCBによるところの水産動植物に対する影響について、水産庁はどういうふうに研究を進められる考えですか。
#94
○松下説明員 PCB様物質によります環境汚染につきましては、先生御承知のように、科学技術庁を中心といたしまして、関係各省庁それぞれ分担をいたしまして、組織的に研究を進めておるわけでございます。先ほど統一されました分析方法によりまして、水産庁関係の研究機関、この中には東海区水産研究所、南西海区水産研究所、淡水区水産研究所、それと水産大学校が含まれております。こういった研究機関及び関係の都道府県の水産試験場等の御協力を得まして、魚類、貝類、藻類、そういったものの汚染の実態、それからこういった魚類、貝類、藻類におきますPCB様物質の蓄積、濃縮、排せつといったような、いわゆる汚染機構の解明のための調査研究を現在実施中でございます。
#95
○古寺委員 その対策はどういうふうになっておりますか。
#96
○松下説明員 対策につきましては、そういった調査結果を得ましてから十分検討いたしまして、必要あれば関係各省庁と協議してまいりたいというふうに考えております。
#97
○古寺委員 そういうことでは日本国じゅうの魚がPCBで汚染されて、やがては食用に供されないというような結果になると思うわけでございますので、対策のほうも早急に進めていただきたいと思います。
 いま海洋汚染防止法の政令によって廃棄物の投棄海減の問題が検討されておるようでございますが、例の北海道の苫小牧の日軽金の赤どろの投棄の問題については、その後どういうふうになっているか承りたいと思います。
#98
○大石国務大臣 これは環境庁でも陸上処理を原則として、その方針を進めてまいりましたが、先日ようやく北海道全体の北海道庁を中心とする考え方並びに会社の考えも固まりまして、陸上で処理する、埋め立てで処理するということに方針がきまりました。これでこの問題は解決したわけでございます。
#99
○古寺委員 最後に、委員長にお願い申し上げたいのですが、このPCBの問題は非常に重要な問題でございますので、科学技術特別委員会との連合審査会を要望申し上げたいと思います。
 また、この問題につきましては、ぜひ参考人をお呼びいたしまして審議を進めていただきたいということを、特に御要請を申し上げておきたいと思います。
#100
○田中委員長 古寺君に申し上げます。
 ただいま御提案の科技特との連合審査並びに参考人招致の件につきましては、後刻理事会で相談の上、御希望に沿うようにいたしたいと思います。
 次に、岡本富夫君。
#101
○岡本委員 最初に長官に、昨日わが党の林君が予算委員会で聞きました無過失の法案につきまして、これは最初の長官の考え方、要するに環境庁の考え方からずいぶん後退したのではないかということで、確かに推定規定を抜いたということは非常に後退しておるということで、昨日も長官に答弁いただいたわけですけれども、いずれにしても、聞くところによると、これはまあ新聞報道ですが、業界やあるいはまた自民党さんのほうから圧力がかかったというようなことも聞いておりますが、ただいまの心境をひとつお聞かせ願いたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#102
○大石国務大臣 大体来週の火曜日、二十一日でございますが、この日の閣議でこの法律案の提出を決定することに大体方向がきまりましたので、私としてはようやく懸案の一つが解決の緒についたことを喜んでおるわけでございます。
 その内容につきましては、いずれこの委員会において御審議を賜わるわけでございますから、くどいことは申し上げませんが、私としては、いろいろな新聞その他の御意見、皆さまのあれもございますけれども、まあこの法案を出してよかった、そういう気持ちでございます。
#103
○岡本委員 確かに最初に出されたのは、まあわれわれいま三党で対案をつくっておりますけれども、それから見ると非常にあれですが、最初に発表されたこれから推定規定が取れたということは非常に後退しておるわけであります。出してよかったと、その分はわかりますけれども、そこを削らなければならぬというそのところの心境をひとつ……。
#104
○大石国務大臣 初め私どもは、二の無過失の制度を法律にいたします場合には、まずとにかくこの制度を早く法律の中に打ち立てたいというのが基本的な願いでございます。そしてそれによっていろいろな患者の救済の大きな一つの基盤にいたしたい。と同時に、またこのような法律のあることによって企業側にもいろいろな注意をもっと強くして、そしてそのような公害の発生の防止にもしようという気持でおったわけでございます。その内容につきましては、前の国会からいろいろ問題がありますように、いろいろ考えましたが、人間の健康ということを中心にしてわれわれは範囲を限定したわけでございます。これはいろいろと新しいものの考え方、民法の大きな例外でございますので、やはりそれらをあまりむちゃくちゃに範囲を広げますといろいろなむずかしい事態が起こると思いますので、最初でございますので、慎重にかまえまして、まず範囲を必要な一番最小限度に限定いたしました。そして人間の健康被害に限定いたしました。またこれに関係のある有害物質にしましても、できるだけわれわれが完全に実態の把握できるものを中心といたしました。そうして御承知のような、皆さまから御希望のありました複合汚染、硫黄化合物であるとか窒素化合物であるとかあるいは粉じんのようなものを取り入れましてこれをきめたわけでございます。
 それからもう一つは、いまお話しのことは因果関係の推定の規定だと思いますが、これはなるほど、私どもは初めの構想ではこれを入れるという考えを持っておりました。しかしその後いろいろと現実的な面にぶつかりまして、こういうものは日本の国の中におけるいろいろな人たちのこの法律の理解なり関心なりあるいは安心するか不安であるかといういろいろなことを考えなければなりません、法律でございますから。そういうことをいろいろ考えました結果、やはり現段階においては、この規定を取ることが一番この法律が制定される上でやりやすい、こう判断いたしましてこれを取ったわけでございます。私としてはこれが取れたことは少し残念でございます。ことにこの法律が目的を達成する上においては、この因果関係の推定の規定はなくとも十分にその機能を果たし得ると私は考えます。ですから、このことによって患者に大きな不利益を与えたとは思っておりません。おりませんが、ただ、やはり環境庁としての強い公害に対する姿勢というものは、これを内容に盛り込むことによって私は十分に示し得ると思いましたので、その点は多少後退したといわれれば後退した感じでございます。いずれ、この法律ができまして、このような無過失に対する一つの橋頭堡ができますれば、次第次第にこれを総合的に強化してまいる予定でございますから、必要な段階においてはこのような規定も入れ得るものと考えておる次第でございます。
#105
○岡本委員 私は、長官の就任されたときの所信演説のときに、特にその所信表明のように絶対後退しないでひとつやってもらいたい。特に人命尊重をうたっている佐藤内閣が、ほとんど人命尊重でないというところでもってたった一人万丈の気を吐いているのは環境庁長官だ、こういうふうにいわれておるわけですからもう公害あるいはまたそういったものを解決するのは環境庁長官しかいないのだという国民の一番大きな期待をになっているわけですから、ひとつ後退をしないようにやっていただきたい。まあこの問題はまた次の法案が出ましたときにもっと詳しく御答弁いただきたいと思いますので、きょうはこのくらいにしておきます。
 それで先ほど来話題になっておりますところのPCBについて、いま私も一言聞いておきたいのですけれども、これは許容基準というものを、先ほど同僚古寺委員からも話が出ましたが、早急にきめなければならぬと思うのです。先ほど長官の答えの中ではまだいろいろと検査方法、そういうものがわからぬからおくれておるのではないかというようなことでありますけれども、これは分析方法というのはわかったのだ、こういうことが先ほど答弁がありました。そこで、カドミの水の許容限度というのは〇・〇一、これは世界保健機構でつくったものをそのまま適用しておるわけであります。これも決してきちっと解明してできたものではない。したがって同じように、先ほど古寺委員から要望をしたように、一つのアメリカならアメリカの基準に合わしてまずやってみる、そういうようにしなければ、私は今度は排出基準というところも出てこないのではないか、こういうように思うのですが、これはまず厚生省の環境局長から聞きたい。
#106
○浦田政府委員 食品中への残留の安全基準でございますが、アメリカはたしか一九六九年から七一年にかけまして次々に一応指導基準というものをつくってやっておるということは非公式に承知しております。これをそのまま使うかどうかということでございますが、現在、先ほどから水産庁のほうからも御報告がございましたように、統一された分析方法でもって約二百品目についての残留量の調査をただいま続行中でございます。したがいまして、これは日ならずして、まあ数カ月以内に一応この結果はまとまるのではないかといった段階でございまして、もちろんいまの段階でそのままアメリカの指導基準というものを取り入れることもできないわけではございませんけれども、しかしそれにはやはり専門家の御意見を聞かれなけばならないといったようなことも考えますと、いましばらくすれば日本の実態もかなり明らかになってくるわけでございますので、その段階までしばらく待っていただいて、そして専門家の御意見を徴してきめていくという手続をとったほうが、いま現在ではかえって適切な対応策がとれてよろしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#107
○岡本委員 私、長官に申し上げたいことは、基準をきめるときに、要するに、産業界あるいはそういった排出するところの企業が守られるような基準にいままでしておる。やはりまず住民のサイドのほうから基準をきめないと――何か基準をきめようとすると、そんなものを守っておったのじゃ企業はつぶれてしまうからだめだ。昔よく出た話ですが、そういうことでどんどん基準がおくれてしまう。また、アメリカのような、あるいは各国のような、きちんとしたほんとうの基準が出ないおそれがなきにしもあらずということがしばしばあったように思うのです。したがって、このPCBにつきましても一日も早く基準をきめて、それを守らせるようにいろいろの装置をつくっていくというようにしないと、たとえばまず守れないようなものをつくり、それからまたさらに強いものをつくるということになりますと、企業のほうは二重、三重の設備投資になるのですね。ですから、まずぴしっとしたものをきめてくれというのが企業のほんとうの――特に中小企業なんかそうですよ。いままできめてもらった、その次はこうなんだ、そのたびにたくさんな設備投資が要るんだ、こういうようなことをずいぶん言っておりますので、その点について、基準をきめるについてはきちとしたものをまずきめていただく、これをお願いしたいのですが、長官のほうからまず御意見を伺いたいと思います。
#108
○大石国務大臣 いまのお話にありましたように、基準がしょっちゅう変わった、はっきりしない、これはやはり企業がみな迷惑をいたします。あるいは国民も迷惑をすることがございます。したがいまして、やはり基準というものは的確なものであって、できるならば必要最小限度のものをきめるのが必要だと思います。ことに排出基準につきましては、そういう意味でわれわれは慎重を期しておるわけでございます。したがいまして、いま浦田局長の話もありましたように、あとしばらくの努力さえすれば、一つの標準といいますか、基準的なものは考え得るという段階でございますから、これはもう少しがまんしてがんばって、ことにいま通産省からもお話がありましたとおり、PCBはできるだけその辺に散らばせないように努力いたしておりますので、そういう努力もしながら、この基準をやはりもう少し的確なものに――たとえばアメリカのまねをして、アメリカのものを取り取り入れても、一時、こっちの基準がきまるまでの間は私はけっこうだろと思います。アメリカのまねをしたといったって、思想的、政治的なものでなければ、科学的なものはどこのまねをしてもいいのですから、これはいいと思いますけれども、しかし、もしもかりにあと数カ月すればできるわれわれの考え方、基準がアメリカのものと違っておると、またかえって混乱するおそれがございます。アメリカのほうがきびしくてわれわれのほうがゆるやかなものであれば、それはそれでけっこうですが、かりにアメリカのほうよりわれわれのほうがきびしい基準をつくるとしますと、非帯に混乱が起こると思うのです。なぜかといえば、アメリカのいまのそれをそのまま取り入れて、それを一応の基準のようにみんなで考えてまいりますと、もしかりにわれわれのほうでもきびしい基準をつくった場合には混乱が起こると思う。そういう意味で、もう少しですから、これが一年も二年もかかるというならば、やはりどこかの、アメリカのものをすぐ借りてきてもいいですけれども、あと数カ月というならば、もう少しみんなで行政的に注意をしながらこれをやったほうがいいんじゃないかと考える次第です。
#109
○岡本委員 まずその点については、まだ新しい問題で、これは参議院の小平先生がさがしていたわけですけれども、早急にこの研究班をつくってきめてもらいたい。
 次に、現在土壌の中にある、あるいはまたいろいろなものの中にあるPCBの処分の方法、焼却をしたらいいのか、あるいはまた土中に埋めたらいいのか、こういう点についての解明はできておるのですか。
#110
○河野説明員 PCBにつきましては、昨年の九月に施行されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく政令で、その処理基準が定められたわけでございます。PCBは、その廃棄物の分類におきましては廃油としてとらえておるわけでございまして、これにつきましては、廃棄物の処分は原則として埋め立て処分、それから海洋投入処分、二つ考えられるわけでございますが、海洋投入につきましては、油については禁止する、こういう立場をとっております。それから埋め立て処分につきましては、焼却して処理する、こういうふうな処理基準がかかっておるわけでございます。
#111
○岡本委員 長官いまのところ、われわれもいろいろ調査いたしました。焼いても残るのですね。またたとえばどのくらいのところに埋めるか。埋めると今度地下水が出てくるのですね。そういうような、何といいますか処置なしというような状態なんですよ。ですから、いまおきめになったのははたして的確なのかどうか、どうも私疑問を抱くのですが、いかがでございますか。
#112
○大石国務大臣 いまの河野課長の申しましたのは、これは一般論でございます、一般論の廃棄物処分の方法でございます。PCBのことは厚生省かどこかにいまお聞き願いたいと思いますが、私もよくわかりませんが、いま岡本委員のお話しのように、いまのところはお手あげなんです。どうにもこうにも手がつけられない状態でございます。しかしわれわれの社会はこのような問題の解決について必ずそのような方法が考え出されると思います。近いうちにPCBを分解させることができるか何かする、これをどうするか、毒性をなくするか、そういういろいろな解決方法が必ず私は考え出されると思います。それまでの間はやはりお手あげ、ことにいまどこにどのように散在しているのか、どのように蓄積されているのか、全然わからない状態でございますから、そのような新しい解決の方法が見出されるまでは、やはり対症的なことでやっていくほかありませんけれども、その前に、いま申しましたようにいろいろと分析方法の新しい方法を使いまして、一体どこにどの程度の汚染があるのかというような、そういう全国的な実態を調査することが一番大事だと思いますので、いろいろと仕事がございますが、そういうことを積み重ねた上で対症的な方法を考えていく以外に道はないんではないかと思う次第でございます。
#113
○田中委員長 通産省の担当の課長から発言を言うてきておるのですが、聞きますか。
#114
○岡本委員 けっこうです。
#115
○田中委員長 それでは通産省小幡化学第二課長。
#116
○小幡説明員 PCBそのものの処分についてでございますけれども、これを焼却する場合に、はたして分解するかどうかという点でございますが、モンサントの実験データによりますと、千九十度で炉内滞留時間二・七秒、フルーガス中のPCB濃度一時間当たり七・九グラムという条件で燃焼させますと、破壊されないPCB濃度は〇・〇〇一四%というデータがございます。これはPCBのうち、三塩化のものについてでございます。また滞留時間を一・七三秒、ガス中の濃度を〇・三九グラム・パー・アワーで分解いたしますと、分解されないPCBは〇・〇〇〇〇六九%というデータもございます。それから五塩化のPCBにつきましては、千九十度で滞留時間二・〇七秒、濃度は四十三グラム・パー・アワーということで分解いたしますと、分解されないPCB濃度は〇・〇〇七六%、こういうデータがあるわけでございます。現に、鐘淵化学におきましては、焼却炉を設置いたしまして、ハイPCBの焼却をいたしておりますけれども、これは安全をとって千三百度で焼却しております。この場合、煙道ガス中からはPCBは検出されないという報告を受けております。
#117
○岡本(富)委員 そうすると、そういった設備あるいはそういうものをつくれば何とかできるという見込みがついたのであれば、全国の一万一千トンというような多量なものを、今度は実際にそれを焼却してなくしていくということになると、これは相当な費用とそれから労力というものがかかると思うのですがね。これについてどういうように考えておるのか。私は環境庁として、長官はいま初めてお聞きになったようで、私も初めて聞きましたけれども、まだ対策というものは全然立てられていないと思うのですよ。ですから、そういう研究データが出たら、さっそくこれに着手していくということが、このおそろしいPCBの毒性から国民の健康を守る大きなあれになると思うのですが、そんな予算なんかどうしますか。予算がなかったらこれはできないと思うのですが、いまだったならば、今度の予算の中にそういうものは組み込まれておらないと思いますね。そうすると、また来年、こうなりますと、いつできるかということなんです。これは公害におかされていく国民として非常に不安でならない。こういう点について、ひとつどういうようにやっていくかという、今後もいろいろ研究も必要でしょうし、またいろいろな組み立ても必要でしょうけれども、そう詳しいことは私、聞きませんが大体いま考えていらっしゃることを述べてください。
#118
○大石国務大臣 いまの通産省の話を聞きまして、まだ初期の段階でありますけれども、一つの対策ができているわけでございます。ですから、いまのように焼却することによってある程度の処分ができるならば、これは初めのうちはそう大きい費用は要りません。その焼却炉をある程度つくりまして、そうしていま言ったように、つまりいろいろの散らばっておるものを回収する、あるいは生産したものはいま回収を急いでおる、そういったものですな。あるいは使い残したもの、交換したものか知りませんけれども、そういった処分できるものは、当然ここで焼却して処理する、そういう一つの方法ができたらけっこうだと思います。ただ、問題は、土壌の中にしみ込んだもの、あるいはトイレットぺ−パーの中にあるものとか、どこか知りませんが、全国至るところに散らばっておるという、いまのわれわれのものの考え方でございますが、そういうものに対してはどうしたらいいか、ちょっとこれはいまの法は直ちに適用はできませんけれども、先ほど申しましたように、ですからいまの焼却のような、温度とか何かの方法によってできるということが見つかってくれば、やはり今後は新しいこれを分解する方法が何か私は必ず見つかると思うのです。そういうときまでやはり努力しながら、まず全国的にどのような汚染度があるかということを調べることが、私は一番大事な対策の初歩ではないかと思うのですけれども、そういうことをやっていかなければならぬのではないかと思います。
#119
○岡本(富)委員 これはひとつ早急に全国の総点検をして、そうして対策をはっきり立ててもらいたい。いま私が聞いてもわからないと思いますから、このぐらいにしておいておきます。
 そこで次に、イタイイタイ病の集団検診、これの要領につきましてちょっと私が疑義があることをひとつお聞きしたいのですが、生野の付近の和田山保健所長の話によりますと、四十六年の四月に集団検診を行なったときに、一つの地域の三十人の尿を集めて、そうしてそれを一緒にしてしまいまして平均値を出すというのが厚生省の調査基準だ、こういうことを言っておりますが、間違いありませんか。これはいま環境庁に移っているのですね。
#120
○船後政府委員 兵庫県におきましては、生野鉱山周辺のカドミウム汚染の健康調査を実施いたしました際に、まず初めに予備調査を行なうわけでございますが、この予備調査でもって汚染地域をしぼっていくということになるわけでございます。このような過程におきまして、いま御指摘のように、たとえば尿中カドミウムというものを三十人平均たとえば九マイクログラム・パー・リットル以上のものというふうなめどでもって選定いたしたわけでございますが、この段階におきましてはいま御指摘のような調査方法をしたわけでございます。
#121
○岡本(富)委員 これは兵庫県だけでなくして、全国的にそういう指示が出ているわけですか。
#122
○船後政府委員 ただいま申し上げましたのは、兵庫県が汚染地域を選定する予備調査としていたしたわけでございまして、厚生省が作成し、環境庁が引き継ぎました暫定対策要領では、別途の手続になっておりますが、なお技術的な点でございますので、担当課長からお答え申し上げます。
#123
○山本説明員 お答えいたします。
 兵庫県が独自の考え方で、一つの地域の選び方として、プリテストといいますか、事前調査の形で、三十人グループを一緒にして検査をするということをやりまして、一応その予備調査地域を考え、それからその次にいわゆる暫定対策要領に基づく第一次検診、第二次検診、第三次検診をやっていったわけでありまして、一応第一次検診以降の方式は厚生省の当時指示をした方式に従う、こういうぐあいにいたしました。
#124
○岡本(富)委員 そうすると、この和田山の所長さんが言った厚生省の調査基準ではないわけですね。兵庫県でかってにきめた、こういうことなんですね、これは。その点をもう一ぺん……。
#125
○山本説明員 かってにきめたと申しますとあれでございますが、従来、普通の暫定対策要領に従うやり方は、一次検査からやっていくわけでありまして、兵庫県はそれについて独自のやり方をその前につけ加えてやった、こういうぐあいに理解いたしております。
#126
○岡本委員 和田山の所長は、厚生省の調査基準に基づいてやったのだ、こういうふうに答えているわけですよ。そうすると、和田山の保健所長がいいかげんなことを言ったかもわかりませんけれども、いずれにしても、私はいままでの経験としまして、三十人一からげにまとめて平均をとるというようなやり方、これはやるべきではないと思うのですよ。やはり移住してきた人もいるだろうし、あるいはまたおそくお嫁に来た人もいる。富山県の例を見ましても、そこに長く住んでいる人と、それから他の部落から嫁に来た人とは全然差があるわけですね。ですから、そこに長く住んでいた人一人、あとはお嫁に来た人、他の地域から移ってきた人、こうだったら何と言いますか、うんと差が出てくる。その平均値をとるというのは、こういうことは私はやるべきではないと思うのですが、その点について。
#127
○船後政府委員 暫定対策要領によりますと、まず環境汚染調査を実施いたしまして対象地域をしぼる。しぼられた対象地域につきまして、健康調査を一次、二次三次と実施していくわけでございます。問題は、この汚染地域のしぼり方でございまして、やはりこれは兵庫県におきましては予備調査といたしまして非常に広範囲の地域につきまして、どこを汚染地域として選び、そして一次検診を実施していくかということにつきまして、三十人の尿を平均するというような調査方法を実施したものと解しております。
#128
○岡本委員 こればっかりやっているとあれですから、次に、昨日県の衛生部長とそれからほかの人たちが一緒に見えて、そして環境庁と話し合ったと思うのです。萩野先生は私の党でもいろいろ調べましたけれども、中立だというところを強調するようにと言っておきましたから、あの人はほんとうに学問的な調査をやっていますから、いろいろな話があったと思いますけれども、いずれにしても、きのう持ってこられたデータを、初めてですから一ぺん当委員会に発表してもらいたいと思うのです。
#129
○船後政府委員 兵庫県が発表いたしましたデータは、第三次検診になりますか、十三人の方々につきまして、もちろんこれは氏名はふせておりますけれども、それぞれ年齢別、居住期間、職業、米の種類、飲料水の種類、既往歴、自覚症状、診所察見、あるいは尿の検査といったようなものを個別にデータとして発表しているのがございまして、非常に長いものでございますから、ここで一つ一つ朗読するわけにまいらないと思いますが、資料といたしましてはお手元にお届け申し上げます。
#130
○岡本委員 もう少し要領よく発表できるようにならないかな。その中に、尿中カドミウムが三十マイクロリットル以下である、こういうのがありますけれども、要観察地域においては十マイクロリットルということになっておるのではないですか。その点ひとつお聞きしておきたい。
#131
○山本説明員 今回の発表されました十三名の中には三十マイクログラム・パー・リットルという、尿中のカドミウムが基準をこえている者はございません。九マイクログラム・パー・リットルという数字がもう一つの別な基準でございますが、これはいわゆる健康的な調査をやる中での一つの基準でございまして、三十マイクログラムというほうが、いわゆるいままでの神通川のデータ、そのほかの地域のデータから見ましても、それをこえるものがカドミウムが多量なんだこういうぐあいに判断するようにされているわけでございます。
#132
○岡本委員 きょうは約束の時間がありますので、あまり時間がなくてあれですが、これはもう一ぺんきっちりやらぬといかぬ。それについては一つ一つまたお尋ねするようにしますけれども、この兵庫県の発表、第二次検診の分は持ってこなかったですか――第二次検診の分と第三次検診の分を見て、いまの感触では――感触というてはおかしいけれども、どういう判断をなさいますか。
#133
○船後政府委員 やはりこれは感触をもって判断をすべき問題ではないと考えております。厳密に医学上の検討をすべきものでありまして、兵庫県といたしましては委員会でもって一応の結論は出しているわけでございますが、これにつきましてはなおそうではないというような御意見もあるわけでございまして、その点につきまして国の鑑別診断研究班にさらに検討をゆだねるという方法が考えられるわけでございますが、兵庫県に折衝いたしまして、この十三名のケースにつきましてはさらにそのような取り運びをいたしたい、かように考えております。
#134
○岡本委員 そうすると長官にお聞きしたいのですが、私、この前の委員会のときに、国の鑑別診断班の方々の中に非常にまずい評判のある方がいらっしゃる。そういう鑑別診断班では、ちょっと国民の側は納得しないだろうということで、あなたは再検討いたします、こうお約束をしていただいたわけでありますけれども、どのような配慮に基づいて検討していただけるのか、これをひとつお聞きしたいと思う。
#135
○大石国務大臣 きのうの御質問の中でもそのような御意見ございました。私どもはその節申し上げましたように学問的な意見の問題につきましては必ずしも統一的な同じような考えを持った人だけを集めようとは考えておりませんということを申し上げました。ただ、もう一つは人格的な問題でどうかというお話がありましたけれども、それならばわれわれは考えなければなりませんということで、私はきのう一応調査いたしましたけれども、別にそれほどの人格的に疑われるような方はいらっしゃらないように感じました。そこで今月の二十二日に診断の会議が東京で開催されます。その節にはやはりわれわれの側から各委員を選んで、いろいろと議論して正確な結論を導くように努力してもらいたいと考えますが、その中にはもちろん富山県の萩野医師も鑑別診断班の一員として入っていただくことになっておりますので、この診断班につきましては別に御心配のないものと考えております。
#136
○岡本委員 現在富山県で裁判を行なわれております。その会社側に立って反証しておる、そういう中立でない人も診断班の中にいてもいいわけですか。
#137
○大石国務大臣 私は、学者として、医学者としての信念と見識をもっておやりになることでありますから、別に反対の意見を持った方でもかまわないと思います。
#138
○岡本委員 要するに、企業の代弁をしているというのですが、代弁するというとおかしいけれども、企業側に立って国がきめた、また、鑑別診断班できめたイタイイタイ病、それを今度は自分たちで鑑別してきめておいたものの反証に立つというような、どうも私は解せない態度をとられるような先生、そうした学者が鑑別診断班の中に入っているということは、どうもみなさんがやはり国民の感情としてこれはひとつやはり考えなければならぬじゃないか、こういうことを申し上げておるわけですが、長官がやはりどうしてもそれはそうではないのだ、こういうふうにおっしゃるのか、それともやはり再検討するのか、もう一ぺんひとつ……。
#139
○大石国務大臣 私が直接鑑別診断班の人々を指名するわけではありません。これはしかるべき庁内の機関においてきめるわけでございますが、その場合に、会社側の手先になったとかなんとかということはあり得ないと思います。ですから、そういうことは、もしそれがほんとうに歴然たるものであるということなら別でありますけれども、そのような人は初めからこの中に入っていると思いません。ただ、学問上の意見を異にします人が入るのはけっこうだと思います。必ずしも一つのものでなくても、国会におきましても、いろいろな場合に少数意見というものも提出されますし、そういう人がいろいろな意見を出すということも、私は一つの正しい行き方だろうと思いますし、その少数の者によってすべてのことが左右されることもないでしょうし、左右されるくらいならば、みなしかるべき日本の権威が集まっていることですから、それが根拠があることになるわけですから、そういうとこで、別に反対意見の者が一部入ったから悪い、どうのこうのというとこは、学問の社会においては考える必要はない、そういうことはあまり心配する必要がない、こういうふうに考える次第でございます。
#140
○岡本委員 別の機関で定められたとおっしゃっておりますけれども、この鑑別診断班はどこの機関できめられたのですか、この点は厚生省ですか。
#141
○船後政府委員 鑑別診断班は、国の委託費によって活動しているわけでございますから、公衆衛生協会を通じてこれを行なっておるわけでございます。この班員を選定するにつきましては、各界の権威を網羅する必要があるわけでございまして、班長であらせられる高瀬先生その他種々権威の方々がお集まりの上、この人選を御依頼になった、このように私どもは厚生省からお話しいただいておる次第でございます。
#142
○岡本委員 どうももうひとつはっきりしませんですね。これはどんどん議論を展開していきますと、公衆衛生協会のことも、いろんなことも出てくるわけですけれども、これはもう一ぺん次の機会に私はもっと詳しくあれをしたいと思いますが、きょうはこのまま押し合いしておっても結論が出ないので、もうちょっと待っておりまして、次にこの一つだけをお聞きしておきたいのです。
 環境庁の事務次官の通達の、大体水俣病ですが、これもこの前ちょっと聞いたわけですけれども、この範囲の拡大をして救済をしようというような、非常にあたたかい長官の心があらわれておると思うのです。そこでイタイイタイ病の認定基準につきましても、第一期から第五期というようにこれをずっと取り扱ってきた萩野先生の文献がありますけれども、いままで厚生省ではカドミウム中毒の第四期からしかイタイイタイ病にしない、一期、二期、三期、これはカドミウム中毒であるというようなことになっておるのですか。この前長官は、そういったカドミウムの中毒の慢性によってイタイイタイ病が起こるのだ、厚生省の発表のとおりである、こうおっしゃったのですが、そうしますと、この認定基準というものをやはりもう少し範囲を広げなければならぬ。要するに、先ほどもPCBでも乳児に与えて被害が出てからではおそいと長官から話があった。同じように骨折があっちこっちにできてからだったら、これは救うのがたいへんである、こういうようなことで、初期の徴候のときにカドミウム中毒であるということがはっきりすれば、これはやはりイタイイタイ病としての救済をしてあげるのが、現在の長官の心境からはかって同じではないか、こういうように思うのですが、この点についてひとつ……。
#143
○大石国務大臣 先ほどのPCBの幼児の哺乳の問題につきましては、またこれは適当な判断の方法がない限りにおいては、予防的にそのような方法をとってもよかろうということでございまして、これと公害病患者の認定とは、ちょっと性質が違うと思います。私は公害病患者の認定にあたりましては、御承知のように、公害病の患者救済法の精神に沿いまして、一人でも公害病に悩む者が残ることがなく、全部救済されることを願っておりまして、そのような方針からあの通達を出したわけでございます。これは別に範囲を広げるとか、適当な感情の上でこれを拾ったらいいという意味ではございません。疑わしきものは全部救済しなさいということ、疑わしいということは、私はいつも申しておりますとおり、われわれが俗に使う疑わしいということではなくて、医学的に疑わしいということで、大体病気であろうけれども、まだその段階においては症状がそろっていない、また必ずしもどこから見てもこれはこうだという議論の余地のないものではない、多少議論はあるけれども、まずまずこれは否定できない、だろうというのが医学的に疑わしいというのでありますから、そういう患者は全部網羅して拾いなさいという方針でございます。そういう方針でございまして、医学的な見地からのそういうことでありますので、それはいろいろな患者に対する医療、治療、予防するということと公害病患者の認定ということは、私は別個なものだと思います。そういうふうに私は考えてまいりたいと思います。
#144
○岡本委員 これは医学的に大体はっきりしてくると思いますけれども、それならば、きょうは一歩退いて、生野鉱山の下流の市川には、そういった患者がぼつぼつ出てきておるわけですよ。こういう人に対する救済と申しますか、医療費を出してあげるとか、早くやってやれば非常に早くよくなる、カドミウム中毒のイタイイタイ病に類似したもの、これを早く救ってあげることも大事だと思うのです。それでその点に対する対策をお考えいただけますか。
#145
○大石国務大臣 ちょっと恐縮ですが、もう一ぺん御質問の何を……。
#146
○岡本委員 生野鉱山の下流の、要するに市川流域のいま問題になっているカドミウム中毒、それでもう少し進んだらイタイイタイ病、あるいはもうイタイイタイ病になっている人もいるかもしれぬ、こういう人たちをまだ認定できなければ、まずその人たちに対しての医療の救済というもの、これは感情的でなくて、医学的に解明して、そして救済するところの費用、そういうものを出してあげることができるのかどうか、これをひとつお聞きしておきます。
#147
○大石国務大臣 公害病患者に認定されてもされなくても、患者はみな医療を受ける権利がございますし、そのような機会に恵まれております。したがいまして、おそらく病気の人、からだが悪い人はみんな手当てを受けておられることと思います。また、そのようなことで県も指導してやっていると思います。ただ、公害病患者と認定するしないということは別な問題でございまして、公害病患者と認定した場合には、いろいろな医療手当を出すとかいろんなそういうことが行なわれるだけでございまして、医療の内容につきましては、公害病患者だからああする、違うのはこうするということは私はあり得ないと思うのです。そういう意味で、公害病患者でたとえばイタイイタイ病とはっきり認定されれば、もちろんそのような法律の内容を十分適用することにいたしますけれども、医療の内容は、私は別に認定患者であろうとなかろうと違うはずはないと思うのです。ただ、お医者さんがどのような手当てをするかという場合に、公害病、イタイイタイ病であるかないかということは、まずお医者さんの判断――それは認定とはっきり確定するまでは、やはりお医者さんの判断によってやることでございましょうから、われわれが治療の内容にとやかく差し出口をする余地はございませんが、そういうことで、そのいろいろな鑑別、診断、反応、これからいろんな会合もございましょうし、そのような手続を経てなるべく早く認定あるいは結末が出されるように願っておりますが、かりにいま病気でおられる方々に対しては、みんなそれぞれ手当てを受けられたはずでございますから、別に公害病患者と認定するしないとに関係ないことだと私は考えております。
#148
○岡本委員 どうも長官、前に言ったこととだいぶ後退してしまって、無過失みたいな答弁で私は非常に気になるわけですけれども、先般私どもが認定につきましての範囲の拡大について申し入れを行なったときに、これは早急に事務官のほうに検討させるというような話が一つありました。それからもう一つは、いまあなたおっしゃっている病気の患者は診断を受けたりあるいは治療を受ける権利がある、こんなことはあたりまえなことですよ。そんなわかり切ったことを聞いておるのと違う。いま現にそういった人たちがおる、そうした人たちに対してはやはりあたたかい手を差し伸べてあげる、こういうものがなければならない。私は、実は富山県の場合にも、まだ公害病、イタイイタイ病ということでない時分に、何とかひとつ救済してやってもらいたいということで、あのとき厚生省にお願いして、研究費の一部から出してもらって、そして県から出したのとでまかなって何とか救ったのです。それがあとになって認定されましたけれども、やはりそういった配慮が、何といいますか、国民の一番輿望をになっておるところの環境庁長官の決意、あるいはまた対策、あるいはまた救済してあげようというあたたかい親心というのが必要ではなかろうか、私はこういうように思うのですが、これについて……。
#149
○大石国務大臣 すべて政治はヒューマニズムの基盤の上に立たなければならないことは、おっしゃるとおりでございます。しかし、それにはやはり順序と秩序がございます。気の毒だから何でもしていいとしていうわけにはまいりません。気の毒な場合に、それが医療手当を受けられないような場合には、しかるべき国のいろいろな方法なり自治体の手段によってそれを救済する方法はございます。それを初めから、まだ公害病患者であるかないかわからないうちに、公害病患者として扱えということは、私は妥当な行政ではないと思うのです。ただし、医療に事欠かせないように、医療費が困るなら国のしかるべき医療費の処置なり県の処置なりがございます。そういうことについてはあらゆる努力をいたしますけれども、まだ確実な認定を受ける前にそういう扱いをすることは、私は妥当ではないと思うのです。ですから、医療を十分に行なうということ、それはもちろんあらゆることをしなければなりませんけれども、認定をするしない以前にやるのはだめである。やはりできるだけ早くそのような認定をするか、そうでないということを判定するかということを急ぐことはあたたかい行政と思いますけれだも、まだきまらない前からそのような扱いをすることは、私は妥当ではないと考えます。
#150
○岡本委員 時間ですから、長官、さっきおっしゃったこと、あとで議事録を見ますとずいぶん矛盾があると思いますから、また次の機会に、私あらゆる次の根拠を出してきて討論しますけれども、私のお願いしたいことは、何といっても現在そうやって苦しんでいる人たちを、認定を受ける前に認定と同じようにせよとは私は言いません。しかし、たとえ幾らでも出して、それを誘い水として、県にも出さして、そうして早く救ってあげる、こういうような――いまならまだ助かるのですよ。ですから、そういった面の強い配慮をまず要望して、きょうは時間ですから終わります。
#151
○田中委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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