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1971/05/24 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
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1971/05/24 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号

#1
第068回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
昭和四十七年五月二十四日(水曜日)
    午後一時十六分開議
 出席委員
   委員長 岡崎 英城君
   理事 奥野 誠亮君 理事 鍛冶 良作君
   理事 久野 忠治君 理事 吉田 重延君
   理事 堀  昌雄君 理事 伏木 和雄君
   理事 門司  亮君
      赤澤 正道君    白浜 仁吉君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      古川 丈吉君    松浦周太郎君
      阿部 昭吾君    阪上安太郎君
      西宮  弘君    山本 幸一君
      貝沼 次郎君    青柳 盛雄君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 渡海元三郎君
 出席政府委員
        自治省行政局選
        挙部長     山本  悟君
    ―――――――――――――
 委員の異動
五月二十四日
 辞任         補欠選任
  松沢 俊昭君     西宮  弘君
同日
 辞任         補欠選任
  西宮  弘君     松沢 俊昭君
    ―――――――――――――
五月十七日
 政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正す
 る法律案(西宮弘君外九名提出、衆法第一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月二十三日
 公職選挙法の改正等に関する陳情書(飯田市飯
 田上二五三四明るく正しい選挙推進協議会長奥
 村与象)(第二八三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。貝沼次郎君。
#3
○貝沼委員 初めに定数是正の問題についてお伺いしたいと思います。また時間があればその後恩赦の問題や、また政治資金規正法の問題にまで触れたいと思いますけれども、初めに定数是正について、自治大臣は現在の定数は非常に妥当だとお考えですか。
#4
○渡海国務大臣 このことはたびたびの委員会でも申させていただいておるとおり、現在、人口の都市集中等の現象によりまして非常に不均衡な部面も生じておる、かように考えております。
#5
○貝沼委員 私もこの定数の問題は非常に重大な問題だと思います。分科会のときも自治大臣にこのことについて伺ったわけでありますけれども、時間の関係で実は詳しく議論することができなかったのです。そこで、今回はそれについて少し議論してみたいと思うのですけれども、この定数の是正という問題は、自治大臣の感触としてはすぐにやらなければならないものという感じですか。それともこれはゆっくりとやるものだという感じですか。
#6
○渡海国務大臣 現在すぐにやれるような状態でございましたなれば、いま申しましたとおり、不均衡な点があるのでございますから訂正すべきは当然でございますが、御承知のとおり、現在の選挙区制におきまして定数をいかに是正するかということになってまいりますと、結局は総定数の問題あるいは選挙区制の問題等、選挙の根本に触れるような問題に当然かかってまいります。そういった点もございますので、現在選挙の改正につきまして制度審議会におきまして抜本的に御検討を賜わっておりますが、あわせて定数是正のこともお考えを賜わりたいということで、審議会におきましてもそのような点も含めて御検討を賜わっておるようなところでございまして、その答申を待って私たちといたしましても処置をいたしたい、このように考えておるのが現在の私たちの立場でございます。
#7
○貝沼委員 答申を待ってということですけれども、じゃいつごろまでに答申をするのか。それからまた自治大臣としては、たとえば今国会に間に合うように答申を受けたいというような意思表示があったのかどうか。もしないとすれば、いつごろを予定されておったのか。その点についてお答えいただきたい。
#8
○渡海国務大臣 任期が十二月までで、急いでやっていただいておりますが、衆議院の点につきましては小委員会の段階は終わりまして、いま第一委員会で結論を急いでおる段階であるということを聞いております。その段階におきましても、定数等の問題もあわせて御協議賜わっておるという姿でございますので、できるだけ急いで御結論をいただきたい。このように考えておるような次第でございます。
#9
○貝沼委員 そうしますと、今国会には間に合わせたいというような切々たる気持ちは、自治大臣にはなかったのですか。
#10
○渡海国務大臣 もし今国会に間に合うような姿でございましたなれば、何と申しますか、参議院選挙までの分をあわせて答申をいただくのが順序であろうかと思いますけれども、中間答申という形ででも、あるいはと考えておったのでございますけれども、いまのところ一週一回審議を継続してやっていただいておるというふうに、ほとんど全精力をあげて打ち込んでいただいておるというふうでございますが、今国会には間に合いかねるのでなかろうか、かような判断を現在ではいたしておるような次第でございます。
#11
○貝沼委員 そうすると、今国会にはまず間に合わない。そこで、実は私は、この問題はただ定数のアンバランスだけではなく、時間的な緊急性があると思うのです。場合によってはこれは法律違反になるのじゃないかという感じもいたします。たとえば、申し上げるまでもないことですけれども、憲法の選挙権の平等というところから考えて、議員一人当たりの人口など調べてやっておる次第でございますけれども、大阪三区と兵庫五区、これは四・八倍もの開きがあるということは有名な話でありますが、こういう全国単位の話は、まだまだある程度抽象的なにおいもするわけですけれども、一つの県内、同じ県の中においてアンバランスがある、こういうことは非常に重大な問題ではないかと思います。特に、いつも出される千葉の一区、二区、三区の例を見ますと、千葉一区は議員一人当たりの人口が、いつもの数字ですけれども五十一万三千六百九十三人、それに比べて千葉二区、三区は十四万そこそこ。そうして、しかも十四万九千九百三十九人という千葉三区に至っては、一区よりも定数が多い、こういうふうになっておるわけですね。こういうような場合、相当離れておる場合はこれは地域の関係もあるでしょうし、いろいろとまた要素もあるかもしれません。それとてもほんとうは問題なんですが、しかし、同じ県の中でこれほど違うということはこれは問題だと思うのです。たとえば、同じ県の一人が一区に住んでおる。そうして今度は選挙前になって二区に移った。ちょっと引っ越しをしたというだけでも、選挙権が移った場合にはその人の発言権というものは実は四分の一に減ってしまう。こういうようなへんてこりんなことが起こると思うのです。
 こういう場合に、私はずっと歴史を見てみたのですけれども、日本の選挙制度ができた昭和二十二年の場合には、県別に見ましてもせいぜい福井、香川あたりで一・一九倍。それから区別に見ても鹿児島二区、愛媛一区で一・五倍、ほとんどこれは同じだということなんですね。ところが、現在は県別には二・八倍である。区別では四・八倍にもなる。しかも同じ県の中で非常に違っておる。こういうような場合、非常に問題であり、むしろこれは法律違反ではないか、私はこう思います。この点はいかがでしょうか。
#12
○渡海国務大臣 定数をいかにきめるかという点につきましては、できるだけこれを不均衡の少ないようにきめなければならない。地域を重視して定数をつくるのか、人口に比例するのか、これらは考え方がそれぞれの問題としてあろうと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、いま御指摘になりましたようなアンバランスが生まれておることは事実でございまして、できるだけすみやかに定数を是正しなければならない。いま御指摘になりましたのは、県が離れておったらいいけれども、一県内の不平等があるじゃないか。御指摘のとおりでございまして、私もよく存じております。しかしながら全国的に通じましての、全国を代表する代議員でございますから、全国を通じた平等性というものを考えていかなければならないのじゃないかと思います。
 いま例にあげられました千葉でございますが、千葉県全部の数を見てまいりましたなれば、ほかの県と比べてふやすべき姿であるかどうかということになりましたら、千葉県全体としましたならぼ必ずしも現在の定数が他有県と比べて多いということになっていない。しかしながら、千葉県の中の一部の区は定数が他と比べて非常に少ない、県内のものとはむしろ逆になっておる、こういう現象があらわれておる。これは戦後に起きた都市集中の人口移動によって起きた現象そのものでなかろうかと思っております。それだけ今回の定数是正ということはむずかしい問題でありまして、区制並びに総定数等の根本的な問題に触れないことには解決することが考えられないというふうなところに、定数是正のむずかしさがあるということ、先ほど答弁させていただいたとおりでございますが、そのようなこともございまして、現在幸いに選挙制度審議会で根本的な区制を含めての選挙法の改正を御審議賜わっております。これとあわせて御審議を賜わっておるというのが現在の実態でございますので、一日も早くその答申をいただき、その答申の結果を待って善処いたしたい、かように考えておるような次第でございます。
#13
○貝沼委員 それで現在の定数の配分の方式でございますけれども、これはどういう手順によってきめられたものでしょうか、あるいはきめるべきものでしょうか、この点についてお伺いします。
#14
○山本(悟)政府委員 衆議院の定数の各選挙区に対する配当のしかたでございますが、公選法の別表にもございますように、国勢調査の結果によりまして直すということを例とするというような規定がございますが、できました当時は、御指摘のとおりに、戦後におきますところの最初の国勢調査によります人口を基準にいたしまして配当がなされておると存じます。また、三十九年に一部定数の改正が行なわれたわけでございますが、その際には、選挙区ごとに偏差上下三分の一というようなかっこうでの再配分が行なわれまして、その結果、増加するところにつきまして増加の定員が認められた。また、それに応じ必要とする場合には分区が行なわれた、かようなかっこうで現在の選挙区別の定数ができておると存じます。
#15
○貝沼委員 それは国勢調査によるということですね。何年にこうやった、こうやったと言われますけれども、あなたのいまおっしゃったことをせんじ詰めると、国勢調査によるということでしょう。要するに、原則的に、たとえば日本の定数というものはどういう基準があるのか、この基準に照らした場合にこうあるべきであるという結論が出なければならぬと思いますけれども、それは公職選挙法にきめてありますか。
#16
○山本(悟)政府委員 公職選挙法におきましては、別表におきまして、それぞれ選挙区別の選挙区の区域と定数等が規定されておるわけでございますが、その最後に、その表は「直近に行なわれた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」というぐあいに、一番最後のところに表の中に含まれておるわけでございます。そういう意味から申しますと、国勢調査による人口というのが基礎になりまして、その間にどれだけのバランスをとるかということの原則は別といたしまして、定数の基礎というものは国勢調査による人口ということになっているのは御指摘のとおりでございます。
#17
○貝沼委員 ですから、人間が生活する社会において選挙をするわけでありますから、人数を基準にするのは私は当然だと思います。ただ、その人数がどの人数を境にするかということには、国勢調査が一番正確であると思いますから、それを基準にするのは私は当然だと思います。しかしながら、その人数をもとにして、どうして定数というものをきめるべきなのかというのが重要な問題じゃありませんか。それについての規定は何かありますか。
#18
○山本(悟)政府委員 衆議院に対しまして、その定数につきましてその他の規定は一切ございません。公選法上には規定はございません。
#19
○貝沼委員 自治大臣、こういう基準がないというのに数字ができ上がっているというのはふしぎだと思いませんか。各国の公職選挙法というのはすべてそうなっておりますか。あるいはこういう規定がないのは一体どこの国がございますか。
#20
○山本(悟)政府委員 各国の規定はつまびらかにいたしておりませんが、そういった選挙法におきまして、規定の根拠といいますか、配当の根拠というのを置いている国も相当数あるようでございます。ただ一発で、何人ということでもってずっと書いてしまっている国もあろうと存じますが、全部はつまびらかにいたしておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
#21
○貝沼委員 わからないじゃ困るんですよ。要するに、それならば自治大臣、あるべきものとお考えですか。なくてもよろしいものとお考えですか。
#22
○渡海国務大臣 私は基準をきめるとなれば、きめることも適当であろうと思います。しかしながら、状況の変化、その他のこともございますし、区をどうするかという過去の経験から、各区制に応じましてその数をできるだけ公平に案分がなるようにきめられておる。何人であったならば何ぼ。しかしながら、おのずからそれには一定の改正のつどの人口に合わしての基準というものが、総定数その他をにらみ合わして、改正ごとの基準というものを改正のルールとしてはっきりと定められる。そのときの改正は、その現状に合わして適切なものを基準としてきめられたものである、かように考えております。人口等によりましてぴしゃっときまるものでございましたら問題はございませんけれども、現在の中選挙区におきましても、三名から五名という数字でございますし、総定数をいかにするかという問題がからんでまいりましたら、なかなか基準そのもののほうでもってはっきりきめてしまうということがよいのであるか、それともそのつどに一定の、最もそのときに合った基準というものに、原則に基づいて各区に当てはめて従前のようにきめるのが適切であるか、これは、私はいずれが善であるか非であるかということは申し上げかねるのじゃないか。実情に合わして法が規定されておるというのが現在の姿ではないかと考えております。
#23
○貝沼委員 いまの政府側の答弁を総合いたしますと、要するに、現在きまっておる定数についての説明はできないという結論になるのですね。当時の理由、そういったものは何もないんですね。また、いま自治大臣は人数ということだけを取り上げて言いましたけれども、人数だけでまずければほかの要素も考えるとかいろいろな方法で、いずれにしても定数という問題は、こうこうこういう原則に従って変更あるいは決定をすべきものであるということがこの法律の中にないことが私はふしぎでなりません。どういう法律でもその基礎というものはきちんとあるのです。ところが、いまのようなアンバランスになっても一々審議会にかけて、それを待っていなければならないというような状態が起こっているのは、私はそういうようなことの結果ではないだろうかと思うのです。もちろん審議会にかけることは必要だと思うのですけれども、しかし、その以前に何らかの判断の基準というものがあってしかるべきだと思うのです。ところがそれがどうも見当たらない。これもどうもふしぎだと思いますが、自治大臣は、文章あるいはその基準というものがどういうものであるかは別といたしまして、そういうような方法で法律の中に盛り込んでいくべきだと私は思うのですけれども、そういうようなお考えはありませんか。
#24
○渡海国務大臣 何と申しますか、人口だけできめずにほかのものの要素を入れたらよいのではないか。地域割りにある一つの地域に対しては必ず一名は置く、あとの残された定数を人口割りにするというふうな基準もあり得ると考えますが、そのたびごとに区制とともに合わせて考えなければならないような、人口だけのものに持っていくほうがよいのかどうか、そういう意味において、いま申されたような標準的な定数のきめ方を法定でかちっとしてしまうほうがよいのか、あるいは現在の各区ごとの区のとり方も、全体を考えまして、ほんとうにその地域を通じて選びやすいという地理的あるいは歴史的条件等から区がつくられておるのではないかと思います。そのような状態から現在三名から五名という中選挙区をとり、その中選挙区制内における定数是正は、そのときの人口状態に合わせまして、最も適切であるという基準を選んでそのつど改正が行なわれてきた、これが現在の姿ではないかと思いますが、そのほうが実情に合い、より公平であるかどうか、いずれが正しいか、選挙区制との問題等もからみまして、必ずしもきめておかなければならないというように限定された問題でない、こういうような答弁をさせていただいた次第でございますけれども、この前の選挙法の改正、何らよりどころがないということでございますが、三十九年の選挙法の改正の際にもおおむね人口の平均点をとりまして、下は何名上は何名というふうな点を考慮に入れてされるのが最も現状に合うた改正であろうというのできめられたと記憶いたしております。その三十九年にきめられました基準は、事務当局から報告さしてけっこうでございますけれども、そのつどとられた基準が必ずしも適当にやられたものではない、このように考えられるわけであります。
#25
○山本(悟)政府委員 三十九年当時の改正の際にとられました基準は、総平均は大体定数一人当たり二十万でございます。上限はプラス七万で二十七万、下限はマイナス七万で十三万、その十三万から二十七万の間に入りますように定数の各選挙区ごとの是正をいたしました。それで、減少のところは実際上法律改正としては成立いたしませんで、プラスのところだけができ上がったというのが現在の状況でございます。
#26
○貝沼委員 私は、いまの中選挙区制度が悪いと言っているのではないのです。これはそれでいいと思いますけれども、定数の問題を言っているわけです。
 そこで、たとえば日本の場合は民族が一つでありますからあまりそういうことはやかましく言わないんだろうと思いますが、外国の場合は、多民族国家というようなことになりますと、こういう基準がやかましくなっているわけです。いわばそういうような国においてかっちりと選挙法というものがきめられておるのに、文化国家といわれる日本の国が何となくそこまでいってしまうと、ぶっつけ本番でやっているみたいな感じが実はしますのでこういうような質問をしたわけであります。それだったら何らかの方法で条文にうたい上げる必要があるのではないか、こういうことなんであります。
 それで、最も不幸なことは、私はさっき千葉の例をあげましたけれども、千葉に住んでおるいわゆる有権者の人たちが、自分たち一区の人あるいは二区の人、三区の人にはこれだけの差があるんだということを認識しておるとお考えですか。あるいはそう認識させるようなPR的なもの、あるいは報告的なもの、これは政府として何かやっておりますか。
#27
○渡海国務大臣 別に政府といたしまして、人口の不均衡を選挙民に徹底さすというふうなPRはいたしておりませんけれども、選挙のとき、その他等、マスコミ報道機関等におきましてアンバランスのあることはよく報道されたとおりでございますし、そのようなアンバランスがあることは有権者の方もよく認識があり、できるだけこのようなことのないように徹底しろというふうな御意見のありますのも、そういったところから生まれてきておるのじゃなかろうか、かように存じます。
 先ほど申されました、はっきりと人種等が違っておる国では定数もちゃんと法できめておるではないかということですが、私もユーゴスラビアに参りましたが、あそこは五つの民族からなっています。しかし定数という点では各民族間の人口は非常にアンバランスでございますけれども、あそこは五院制でわれわれの議会の制度とは違いますが、最も重要視されるところの、何という言い方か忘れましたけれども、一番有力なところでは民族の人数の差はございますけれども、それぞれが同等の数でできておるというふうなきめ方もいたしておりますし、いろいろ各国によりましてそのような基準によってきめなければならないという理由のもとに生まれたんじゃないか、かように考えます。しかしわが国がそのような基準をきめてないからといって、これはおくれておるんだとかという考え方は私は直ちに同意しがたいのであります。
#28
○貝沼委員 自治大臣の考えはわかります。
 それで、特にPRもしておらない。はっきり言って、おれの入れた票はこれくらいの発言権なのかとわかるのは、たとえばある区において有名な人が落選したりしたときに大体わかるんです。一般にはデータを持っている人はそう多くいるわけではありませんからよくわかりません。しかし民主政治という立場から考えると、これを有権者は知る必要があると思うし、また政府としては知らしても私は決しておかしなことではないと思う。むしろこれは知らせるべきであると思う。そうするとすぐ官報とか、こうなるわけですけれども、官報を読む人は非常に少ないわけでありますから、そこに何らかの基礎資料というか、有権者の一人一人にこういうものが理解されるような方式というものが必要ではないかと私は思います。これは時間があれば、また選挙管理委員会の性格という問題で私は大臣の考え方を聞きたいと思っておるのでありますけれども、何かそういうようなことは必要と考えませんか。
#29
○渡海国務大臣 絶えず公正なる選挙が行なわれるために、選挙民に選挙制度の実態あるいは選挙制度のあり方等を知っていただくということは非常に必要なことであろうと思いますが、私はこれにも限度があろうと思います。特にいまのような、人口の不均衡な点、マスコミ等のなにもありまして、それ以上に啓蒙運動と申しますか、私たちのなにとして特別に取り上げて必ずやらなければならない問題であるというふうには私考えません。しかしながら、法律にも、できるだけ国勢調査によって変えていけということが訓示規定として入っておりますし、そのようなことから、私たちも選挙制度審議会にあわせて検討を願っておるという努力をいたしておるのでございまして、決しておろそかにしておるものではございませんので、あえてその啓蒙と申しますか、特にこのことをぜひともやれ、やらなければならないことだというふうな意味での啓蒙等を行なっておりませんけれども、私たちは十分それにこたえるべく処置しなければならない、こう考え、努力いたしておるのが現在の状態でございます。
#30
○貝沼委員 この定数の問題は非常に大事であるから、野党としても早くこれを是正すべきである、こういうことを何回も主張しているわけですけれども、今国会においてどうもそれが危ぶまれておるわけでありますが、私はそれは非常に残念であり、遺憾なことだと思います。
 そこで、もしこのままたとえば総選挙が行なわれたといたします。そうするとこの選挙の結果、こういうアンバランスというようなところから公正でないというような議論が出、むしろ選挙無効論なんかが飛び出してきたり、いろいろなことがひょっとすると起こるかもしれませんけれども、そういうような場合は一体どういうふうに言いのがれをなさるのか。また、そういう場合には一体責任はどこにあるのか、この点についてお伺いします。
#31
○渡海国務大臣 選挙がいつ行なわれますか、これは予測を許さぬことでございますけれども、私たちは、いま申しましたように、定数の是正はしなければならないものと考え、しかしながらその定数の是正をいたしますには、ただ単に定数の是正さえやればよいのだということでなく、現在の定数是正のためには根本的な選挙の制度の問題に触れなければならないという状態でございますので、せっかくその審議をいただいております審議会にあわせお願いしておるというのが実情でございまして、選挙制度審議会におきましても、このために全精力をあげて取り組んでいただいておるというのが実情でございますので、私たちはその答申をいただき次第善処をしなければならない。答申をいただいておきながら、次の選挙により間に合わすことができなんだというような姿であってはならぬ、そういうふうに感じ、現在審議会に御審議をお願いし、また、その審議会の答申によって直ちに処置できるよう研究さしていただいておるといろのが現在の私たちの姿でございます。
#32
○貝沼委員 それでは、自治大臣の決意のほどを伺いたいわけでありますけれども、次の選挙まではどうしても間に合わせようという決意がおありですか。
#33
○渡海国務大臣 選挙はいつありますか、予測を許さないところでございますが、私は少なくとも次の選挙には間に合わせたい、また間に合うように答申をいただく、そのように現在御努力願っておる、かように選挙制度審議会の御努力を現在認識いたしております。
#34
○貝沼委員 この問題は非常に重大な問題でございますので、自治大臣の責任のもとに早急にひとつ解決をしていただきたいと思います。
 次に、恩赦の問題に移りたいと思います。もうすでにこの恩赦が行なわれておるわけでありますけれども、この恩赦の行なわれた状況その他を見まして、いままでの恩赦と違う点があると私は思います。
 それはどういう点かと申しますと、たとえば去年の選挙の時点において沖繩の復帰を大体予測された人が多かった、こういう時点であったと思うのですけれども、そういう場合に、沖繩が復帰すればどうせ恩赦があるだろうというような計算のもとに選挙違反が行なわれた、こういうように推察できるところがあります。こういうような点が実はほかのところと違った点であると思うのですけれども、こういう場合にはやはり選挙違反というものは恩赦をすべきでない、私たちは実はこういう意見を述べてきたわけでありますけれども、残念ながらそれが行なわれておる。
 そこで、いろんな人たちの意見を集めてみたわけでありますけれども たとえばある選挙管理委員長などは、恩赦は選挙違反を救うためにある、こう発言したとか、こういうようなことでは一体何のために選挙法があるのかわからないという状態になってしまいます。それからまた、たとえば公明選挙連盟、理事長は高橋さんでありますが、あるいは明るく正しい選挙の推進全国協議会、名前はちょっと違うかもしれませんけれども、理事長は小島さんでありますが、こういうようないわゆる政府がやっておる啓発の機関でありますけれども、五億五千万円もの補助金を出してやっていると聞いておりますが、この人たちが一生懸命やっても結局恩赦で救われてしまうんではもうどうしようもない、こういうふうな憤りをぶつけておるわけですね。最近の若年層の投票率の低下あるいは脱政党化とかいろいろいわれておりますけれども、政治不信の問題等もありますが、その根底はやはりこういう恩赦のやり方、ここに私は問題があるのではないかと思います。政府が一生懸命公明選挙というようなことをやっておきながら、一方では選挙違反者を一生懸命恩赦でもって釈放しておる。こういうことでは、公明選挙連盟なら公明選挙連盟その他の協議会などがやっておることをひっくり返していっているのはだれなのか、要するにやりにくくさせておるのはだれなのかと考えてみると、これは政府自身である、こういうような矛盾があると私は思います。こういう恩赦のあり方というのは正しくないと私は思うのでありますけれども、自治大臣はどうお考えですか。
#35
○渡海国務大臣 公明選挙の団体にそういうふうな御意見のありますことも、私もよく承知いたしております。それなりにそれらの要望等も直接私は担当者として、また恩赦を行ないます責任者の所管の大臣とか、関係者あるいは最高の責任者である総理にも意見等を述べていただくというふうな機会を私もつくらしていただいたことも事実でございます。しかし、直ちに沖繩の恩赦が大体予測されるからというので、前の選挙に、いま御指摘になりました選挙に恩赦というものが行なわれたなれば、選挙法があってもそんなものは意義がない、そういったものではなかろうと私は存じます。大体恩赦というものは刑事政策でございまして、それはそれなりに理由のあることでございます。しかし、いまのような点がないように、私たちといたしましては啓蒙運動、公明選挙運動というものは必ず今後とも続けてやっていかなければならないことであろうと思いますが、恩赦が行なわれたことによりまして、いま言われた意見もあることは事実でございますが、そういったことを最小限に防ぐように今後ともに努力するのが私たちの立場ではないかと思って努力させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#36
○貝沼委員 それから、実はこの恩赦の制度自体に問題があるのじゃないかと思うのですね。昔のいわゆる全体主義みたいなそういう考え方があるのじゃないかとい生感じがするんです。したがって、恩赦の法律自体を云々すべきところがあるのじゃないかと思います。これはもう法務大臣の範囲でありますけれども、自治大臣からも、やはり選挙制度に関する問題についての意見具申というものはあってしかるべきだと思いますので申し上げるわけでありますけれども、この沖繩恩赦の基準の中に、特別復権の基準二項「社会のために貢献するところがあり」というところですね、なぜこういうことが必要なのかですね。たとえば同じ罪、選挙違反になっている人であった場合に、例をあげますと、特別身寄りも何にもなくてどうということのないそういう人の場合と、それから市長であったという場合とではこれは差があるということですね。そういうことになりますか。この場合「社会のために貢献するところ」ということなんですけれども、同じ選挙違反をやった人の中で、いわゆる市長であるとか町長であるとかいう人とそれから天涯孤独の人と、ここには差があるという意味でございましょうか。もしそうだったとすれば、私はこれは平等という精神からちょっとうなずけない点があるんですけれども、この点はいかがでしょう。
#37
○渡海国務大臣 基準の中にあげられた問題でありまして、私も所管の大臣でございませんので、的確なことをお答えしかねるのでございますが、「社会のために貢献する」ということが、直ちに、いま申されました公職的な立場に立っておる人だけが社会のために貢献するものでないと考えますので、いまあげられましたような例が直ちにこの場合に当てはめられますかどうか、私は疑問に思いますし、現に権利を持っておられない方が市長であるとか議員であるとかあり得ないのでございますから、私はいまあげられましたような例につきまして、直ちにお答えはいたしかねるのでございますけれども、社会のために貢献するということは、少なくともいろいろな場合で社会のために貢献するということを意味しておるのでなかろうか。単にいまあげられたようなことだけの問題ではない、かように考えます。
#38
○貝沼委員 いろいろな意味でしょうけれども、どうも同じ選挙違反の人で、恩赦によって個々に差があるということは、これはちょっと前時代的な考え方のにおいがするわけです。こういうようなことも含めて、私はこれは洗い直しをする必要があるのではないかという感じを持っているわけです。今後また、自治省としましてもその面をよく研究されまして、言うべき意見があるならば、また法務省のほうにもあるいは総理大臣のほうにも意見の具申をお願いしたい、こう思うわけであります。
 それから次は、政治資金規正法の問題であります。時間がありませんので一問だけ質問いたします。政治資金規正法の問題、これはもう前からずっといわれてきていることでありますけれども、歴史を申し上げるまでもなく、総理大臣から何回も何回もやるという御発言があった。しかしながら、先日の自民党の国会対策委員長のことばによれば、通常国会が終わった後に、どうも総理引退みたいな感じがする発言があったようでありますけれども、私は、いよいよもってここで佐藤内閣はとうとう国民をだまし続けてしまった、こういう感じがするわけであります。今国会にちょっとは顔でも出しておればまだしも、全くそれが出てこないわけでありますから、これは政府の重大責任であると思いますけれども、この点についての自治大臣の御見解を承って終わりたいと思います。
#39
○渡海国務大臣 政治資金規正法の件、御指摘のような御意見もあろう、私もかように存じます。しかしながら、担当いたします自治大臣といたしまして、過去三回提案しまして廃案となった経過等から考えますと、次に私として提案さしていただく以上は、いま貝沼さんから、少なくとも顔を出しておったらというふうな御意見もございましたけれども、成案を期し得るというだけのものでなければならぬと思います。また、いろいろ両輪論等がございますけれども、選挙制度と政治資金という問題は少なからず関連のあるものであり、あわせ考えるのが適当ではないかとも考えます。幸い、いま選挙制度審議会等で金のかからない選挙という意味で、抜本的な対策を講じていただいておりますので、これらの推移等をながめ、各党の合意を得られるような成案を得ることができてから私は提案すべきものでなかろうか、かように考え、またそのようなことを期待しておるのでございまして、いまのような御意見もあろうと思いますが、責任者である私といたしましては、そのような心持ちで臨んできた次第でございます。
#40
○貝沼委員 それでは終わります。
#41
○岡崎委員長 西宮弘君。
#42
○西宮委員 私は委員部を通しましていわゆる明正選挙、明るく正しい選挙、この問題を中心にして、恩赦の問題にも触れてお尋ねをしたいということを申し入れをしておったわけであります。
 そこで、まず伺いたいのでありますが、明るく正しい選挙という運動には、どういう理念を持ってどういう計画なり運動が行なわれているか。したがって、これに伴う予算なりあるいは事業の実績なり、そういったものをまず第一にお知らせ願いたいと思います。
#43
○渡海国務大臣 選挙は民主政治の基本でございますので、絶えず正しい選挙が行なわれねばならない。それの啓蒙運動がいわゆる明るく正しい選挙の運動でございまして、常時そのような選挙が行なわれるように私たちはつとめなければならないのが、選挙を担当します自治省といたしましての重要なる任務でないか、かように考えておるような次第でございます。なお、いまどういうふうな具体的な運動が行なわれておるかというふうなお尋ねがございましたが、それは事務当局から答弁さしていただきます。
#44
○山本(悟)政府委員 御案内のとおり、公職選挙法の第六条に、選挙に関する啓蒙、周知等の責務というのが自治大臣、中央選挙管理会、都道府県選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会について規定をされましたのが昭和二十九年のことでございます。それ以来、自治省あるいは各府県、市町村の選管といたしまして、明るく正しい選挙の推進ということで、常時啓発というかっこうで、大きな選挙の際だけでなく、常にそういうふうな運動と事業とを執行をしてまいっておるわけでございます。
 本年度の予算で申し上げますと、総額六億一千五百万円の経費が選挙に関する常時啓発に必要な経費として計上されておるわけでございまして、予算の方面から内容をちょっと申し上げてまいります。
 その約過半は補助金で、都道府県並びに市区町村の選管に対する補助でございます。これが約三億九千七百万、約四億弱でございます。補助の方法といたしましては都道府県は二分の一補助、補助金の額で一億一千百万、市区町村は三分の二補助で二億八千五百万、こういう数字が計上をされておるわけでございます。
 それぞれの事業の内容といたしましては、都道府県は市町村の選管と緊密な連絡を保ちながら、市町村の選管に対する指導、助言それから啓発事業等の共同実施あるいは指導者研修会の実施、いわゆる社会教育というような立場での各種学級、講座、講演会、そういうようなものの開催、あるいは啓発資料の提供、報道機関への積極的な協力、こういうようなことを担当いたして、それぞれの各府県の選管ごとに事業計画をつくりまして、この補助金とそれから啓蒙経費とを合わせまして事業を執行いたしているわけでございます。また市町村のほうにおきましては、これは第一線といたしまして、具体的な、主として話し合い活動の実施、これは地区なりあるいは職場なりというところでのいろいろな話し合い活動、小規模の座談会、講習会、講演会というようなかっこうになるわけでございますが、そういったものの実施、あるいは各種の公報の利用によります宣伝、それから社会教育と共同いたしましてのいろいろな講演会、講習会というようなものも市町村の選管としても実施をいたしているわけでございます。
 こういうのが補助金のことでございまして、そのほか委託費といたしまして、これは主としていわゆる民間の明るく正しい選挙関係の実施団体につきまして国費を委託いたしまして、事業の実行をお願いいたしているのでございますが、その一つは、御案内の公明選挙連盟、この団体が活動をいたしておりまして、この団体に対しまして、政府といたしましては四千七百万の委託費を予定をいたしております。それから、明るく正しい選挙推進全国協議会というのがやはり民間団体としてございますが、これに対しまして約三千六百万の委託費を予定をいたしておりまして、この二つの団体はそれぞれ民間の団体といたしまして、民間の立場から、公明選挙連盟のほうは主としてある程度学問的といいますか、研究的な啓発なり選挙制度等につきましての研究、それから各団体その他で実施されますところの講習会等におきます講師のあっせんといったようなこと、あるいは啓発資料の作成、こういうことをいたしております。
 それからもう一つの全推協というほうは、主として実践活動ということで、各府県市町村に民間の方に委嘱いたしました委員を持っておりまして、この方々に、それぞれの立場から啓発活動の実践をお願いをいたしておる、こういうようなことをいたしているのが実情でございます。
 簡単でございますが、ただいま実施されておりますものを申し上げました。
#45
○西宮委員 ここ何年か、最近の予算の伸びぐあいはどういう状況であったのか。それからいまお話しのような、たとえば自治団体に対して三億九千七百万の金を上げた、こういうお話でありますが、これが一都道府県ないしは一市町村、こういうことになると平均どのくらいになるのかということをお尋ねします。
#46
○山本(悟)政府委員 常時啓発関係の経費の各年度別の状況でございますが、一番最初にこの関係の経費が国の予算に計上されましたのは昭和二十七年からでございます。公明選挙連盟の設立がこの年にありまして、二十七年に五百万、これに対する委託費というようなかっこうから出発をいたしているわけでございます。その後次第に増加をいたしてまいりまして、地方団体等に対しまして委託をいたしましたのは昭和三十二年からでございます。このときは約一億四百万円の経費が常時啓発ということで計上いたされております。その後次第にふえてまいりまして、昭和四十年で五億五千万、ここのときに例の明るく正しい選挙推進全国協議会というのが発足いたしました。この発足いたしました四十年では、全体を合わせまして五億五千万、その後多少の増減がございますが、現在、また次第にふえてまいりまして、四十五年が五億六千万、四十六年が五億八千万、四十七年が六億一千五百万、こういうかっこうで着実に増加をいたしておるというような予算的な関係になっております。
 各都道府県でどのくらいになるかということでございますが、大体、配分をいたします際には、ある程度有権者数というようなものを考慮いたしておりますので、大きい団体、小さい団体、いろいろ違ってまいります。県で申しますと、大きい団体で五百万強、少ない団体で百三、四十万というようなところが補助金の額でございます。これに伴いますところの地方負担のほうは、交付税のほうで単位費用の中で財源措置されておるというようなかっこうになっております。
#47
○西宮委員 私は、金額についてお尋ねをいたしましたのは、去年でしたか、おととしでしたかの夏、国勢調査が一回りしたわけであります。行った先々でこの問題が指摘をされて、とてもこういう程度では手も足も出ない、こういうことで強い訴えを受けて、帰ってきてからの最初の当委員会において、私もそのことを発言をして善処を要求したはずでありますが、いま聞いてみると、都道府県で多いところで五百万、少ないところが百三十万、こういう程度では全く地方で訴えるとおり、ほとんどやりたいことがやれない。ほんとうにただ何かおざなりなことをやって、報告書をつくって報告をするという程度にとどまっておるというのがおそらくは実態だろうと思う。もちろん金だけの問題ではありませんが、おそらく実態はそういう程度に終わっておる。ちょうどわれわれが視察に行った場合と同じような状況が、なお今日も続いておるのじゃないかという懸念がするわけであります。
 そこで大臣に伺いますが、いま国がやっておるこの仕事、あるいはさらにいまお話しの民間の仕事、あるいは民間に委託しているとおっしゃったそれらがあるわけでありますが、それらを合わせて、選挙の啓蒙いう点についてどれほどの成果があがっておったかという点について大臣の見方をお聞きします。
#48
○渡海国務大臣 いま御指摘になりましたように、私も各県に配付しておる金が大県で五百万、小県で百三十万ないし百四十万という程度では、啓蒙運動が金額的には必ずしも十分でないというよりも、いま西宮委員御指摘のとおり、やらないにひとしいのじゃないか、こういうふうな金額じゃないか、こう思いますが、こういった社会運動というものは、むしろほんとうに中心になっていただきます方が、すりこ木と申しますか、棒を回していただくことによって、そこにおのずから一波が万波を生むというのが社会運動の姿でないか、かように考えます。各種公共団体等を通じてその認識を喚起していただく、その中心となって明るく正しい選挙運動に専念していただいておる方々に、そのすりこ木のかわりとなって働いていただく。そこに共鳴を願うというような姿で、今後啓蒙運動、正しい選挙のあり方というものを徹底させていかなければならない、かように考えておるような姿でございます。現在、犯罪件数は微々たる姿でございますけれども、四十六年の選挙におきましては、前の選挙と比べまして数字的には減っておるということでございますけれども、必ずしもまだまだ徹底をしていないというのが実情でございまして、今後とも努力を続けていかなければならない問題である、かように考えております。
#49
○西宮委員 私がお尋ねをいたしましたのは、役所並びに民間を合わせてやっておりますこの選挙の粛正運動が、どのような成果をあげたかというふうに大臣は評価をしておるか、こういうことをお尋ねしたのです。いまの程度ではやらないにひとしいともいえるというような見方では、全く心細い限りだと思うのですが、どれだけの成果をあげた、もちろんこれを何か数字的に測定をするということは非常にむずかしい問題であります。しかし、自治省という役所におられて、常時そういう関係者に接触をしておられるわけですから、おそらくそういう面からも、これは数字で測定をするということはできないにしても、最近公明選挙が非常に成果をあげておる、あるいはまた非常に停滞をしておるというようなことをいわゆるはだで感ずる、こういうことは十分にあり得ると思うのですよ。そういう点から見て、大臣は、せっかくやっております官民合わせてのこの運動の効果はどの程度にあがっておるか、その成果の評価についてどう考えておられますか。
#50
○渡海国務大臣 現在やっております運動が相当な成果をあげておるとまでは、私、現在のところまだそこまで確信を持つことはできませんが、現在やっていただいておる運動が必ずしも、金額的にはやらないにひとしいような金額でございますけれども、私は、現在やっていただいておる運動がそんなものでない、微々であるが浸透を加えておる。その成果が、参議院選挙に例をとりまして、四十年と四十六年と比較した場合、はたして、犯罪が隠れたためにあがっていないのかどうかということかもわかりませんけれども、統一選挙におきましても、四十二年と四十六年と比べまして、数が減っておるというのもその一つの効果じゃないかと思います。また、これは国民のこういった問題に対するところの教育その他一般的な問題にも触れてくる問題じゃないか、こう思いますが、マスコミ等の御協力も得まして、わずかな金でも明るい選挙運動の旗上げをしていただいておりますことが、それらあらゆる直接の問題ではございますが、間接の運動を通じまして、微々たるものでございますが、徐々にではございますが、私は成果をあげ、浸透しておる、またこういった問題はそのような根強い忍耐をもって推し進めていかなければならない、これが民主主義の育っていく根本の問題である、このように考え、今後とも努力を尽くしていきたい、かように考えておるような次第でございます。
#51
○西宮委員 それでは、こういうふうにお尋ねをいたしましょう。この明正選挙を推進している各地の団体があるわけでありますが、そういう団体は現在非常に士気が上がっているかどうか。きわめて士気旺盛である、そういう状態であるかあるいはそれとも非常な挫折感、無力感というようなものを持っているという状態であるか、その点はいかがですか。
#52
○渡海国務大臣 挫折感といいますか、そういったものは、あるいはその下部の中におきまして一部にそういうふうなところがあるかもしれませんけれども、私は、全体といたしましてこの運動をじみちに続けていただいておる、かように存じておるような次第でございます。
#53
○西宮委員 私は、特に先般行なわれた沖繩恩赦、先ほども他の委員から質問がありましたけれども、あの沖繩恩赦に関連して非常な挫折感におちいっていると思うのですよ。一体、あの沖繩恩赦に対しては、この政府のいわば官製の団体、さっきの委託費を支給してやっているこの団体は、どういう行動をとりましたか。部長でもけっこうです。
#54
○山本(悟)政府委員 先般申し上げました団体のうち、特に、明るく正しい選挙推進全国協議会のほうにおきましては、総会のありました際に、恩赦の中から選挙関係を除いてもらいたいという決議をいたしたわけでございます。それから各地におきます、県あるいは市町村におきますやはり同様の組織がございますが、そういうところでもそういうような決議をいたしまして、電報等でそういう意思表示をしたという団体が相当数ございます。かように存じます。
#55
○西宮委員 いわばお役所が金を出してやらしている官製の民間団体、ここにおいてもいま部長の報告のとおり、今回の恩赦からは選挙違反は除外してくれ、こういう運動をしたそうですが、これに対して自治大臣はどのような態度をとられましたか。
#56
○渡海国務大臣 これは、西宮委員、選挙制度審議会等におきましても御自身からも発言されたことでございますし、よく御承知であろうと思いますが、私、あの選挙制度審議会のときの会長の御処置に基づきまして、あわせて明るい正しい選挙の団体の会長であられる小島さんとともに、総理にお会いしていただくというふうな機会をつくらしていただき、また私自身、当時あのような意見が出ましたあの場の状態、あの場の発言等を、政府のそういった部署である官房長官あるいは法務大臣等にもお伝えしたというふうな姿でございまして、私なりにあの運動に対しまして、そのような趣旨、陳情等は反映させていただくように、各担当者につとめたような次第でございます。
#57
○西宮委員 と言われますと、要するに沖繩恩赦に選挙違反を含めるということは適当でない、それは要するに明正選挙に妨げがある、こういう立場で大臣は行動されたわけですね。
#58
○渡海国務大臣 あそこに出されました御意見を、そのまま各種団体の決議文の姿としてとらえていただくという姿をそのまま申させていただいたのでございまして、直接お会いしていただいたのでございますから、私自身、総理にお会いしましたときも立ち会ったものではございません。ただ発言をさせていただいたのです。どういうふうな陳情をされたかということはわかりませんが、あのときの意見も聞かしていただきましたので、おそらくそのままをお伝え願ったのじゃなかろうか。また私自身、あの審議会で出ました決議をそのまま関係各所にお伝えさせていただいたという姿でございます。
#59
○西宮委員 もう一ぺん重ねてお尋ねをしますが、つまり、自治大臣として、恩赦からは選挙違反を除外してくれ、除外するのが適当だ、あれを含めるということは明正選挙に妨げがある、こういう立場をおとりになったのかどうか、こういうことをお尋ねしているわけです。
#60
○渡海国務大臣 現実におきまして恩赦が行なわれ、それに対して私も閣僚の一人として署名をいたしました一人でございます。除かれていないのでございますから、立場それぞれございますが、そういうふうな意見もあることは十分考えられることでございますし、これは刑事政策の問題でございますが、刑事政策として、いま言われますような意見を十分反映していただいて、恩赦が行なわれる場合には実施をしていただきたいということを申し上げたと、これが私の現在とり得ることでなかろうか、こう考えております。
#61
○西宮委員 ちょっとことばですが、恩赦が行なわれるときには実施をしていただきたいと申したというのは、何を実施をしていただきたいと申したのですか。
#62
○渡海国務大臣 現実に私は賛成しておるのでございますから、恩赦から必ず抜いてくれ、こういうことをそのときに申し上げておったなれば、私は閣僚の一人として今日とどまっておらなかったであろうと思います。しかしながら、こういうふうな御意見があるということを御了承の上、これは刑事政策でございますから、刑事政策を行なう際に十分御配慮を賜わりたい、こういうことをお願いした次第でございまして、その配慮も含まれて行なわれたものなんだ、かように考えまして私も閣僚の一人として今回の恩赦に署名をさせていただいたような次第でございます。
#63
○西宮委員 恩赦に署名をされたことはもちろんわかっております。すでに実施をされているのですから、それはわかっていますが、簡単にお尋ねをいたしますが、自治大臣はせっかく明正選挙を推進をされているわけです。これは冒頭にお話があったように非常な力を入れてこれを推進をしておられるのであります。その大臣は、あの恩赦に選挙違反を包含するということは明正選挙に妨げになるかならぬか、こういう点については大臣自身はどういうふうにお考えですか。
#64
○渡海国務大臣 これは明正運動をやっておられる方の御意見もあることでございまして、私もこれは十分考えられることであるということは承知いたしております。しかしながら、そのことが、だからこれは除かなければならないのだということにつきましては、必ずしも私はそのままそれだけが正しい、全然入れてはならないんだという立場でなかった、それが署名をさしていただいておりますので、そういう立場である、こう御了承賜わりたいと存じます。
#65
○西宮委員 くどいようですけれども、署名をしたことはわかりますよ、もうすでに実行されているんですから。それはちゃんとわかっている。ただ、大臣は明正選挙なるものを推進しておられながら――明正選挙の団体はこぞって選挙違反を除外してくれ、こういうことを主張しているわけですね。要請をし、嘆願をしているわけですね。その際に恩赦に選挙違反を含めた、こういうことは、せっかく彼らがやろうとしている明正選挙の連動に水をぶっかける、こういう結果にならないかということを私どもは非常に心配している。彼らはそれを除外してくれと言うて一生懸命に要請しているのですから。しかも大臣は、助成金を出してそれをやらしているわけですよ。その大臣が、彼らのやっているこの明正選挙の推進の妨げにならぬか。大臣はそういう意見を強調したけれども、他に法務省なら法務省、その他の意見がいろいろあって、ついに最後の閣議の決定はやることにきまったというんならそれはいい、けっこうです。ただ、私が繰り返しお尋ねしているのは、渡海自治大臣はこの問題についてどういうお考えを持っているか。つまり、要するに選挙違反を恩赦で救うということが明正選挙運動の妨げにならないか、その一点なんですが、どうですか。
#66
○渡海国務大臣 そのような運動をしておられることは事実でございますので、それにもかかわらず、恩赦の対象の中に入れられるということは、運動の妨げになると申しますか、いま申されました冷や水をぶっかけると申しますか、挫折感におちいっておるのではないか、私はそのようなものでないと認識はいたしておりますけれども、運動をやっておられる方々の御要望どおりにまいらなかったということは、それ自身その運動を後退させると申しますか、その運動に対するマイナスになったものであるということは認識はしておりますが、今後とも刑事政策の問題と、いまの私たちのやっております明正選挙の妥協点の問題点をよく認識していただきまして、要望どおりに実現いたしませんでしたが、今後とも明るい選挙の運動に対しましては、力を入れてやっていただくように、努力をしていただくようにしなければならないのが私の立場でないか、また、それが私の責任でないか、こう考え、努力をいたしたい、このように考えておるわけであります。
#67
○西宮委員 私のお尋ねしたことに簡単に答えていただきたいのですが、私が繰り返し申し上げていることは、選挙違反を恩赦に含めるということが明正選挙運動の妨げにならないとお考えか、なるとお考えか。
#68
○渡海国務大臣 いま申しましたとおり、マイナスになることを認めたのでございますから。しかし、西宮さんが言われるように、挫折感を感ずるとか何とかというふうなものでない。現にその後、私も実は非常に気にいたしまして、選挙制度審議会等がございましたものですから、その後において、選挙制度審議会でそのような抗議が来たかどうかというふうなことも、私、国会がございましたので直接出ることができなかったものですから、選挙部長等にも聞いたのですが、特にそういったこともなかったというふうな報告も聞きましたので、できるだけ、一ぺん小島先生等にも会わしていただきまして、政府の最終的に決定さしていただきました事情等もよく御報告して、マイナスになりました点を補い、今後とも啓蒙運動に努力していただきますように、下部組織まで浸透していただきますようにお願いを申し上げたい、このように考えておる次第であります。
#69
○西宮委員 同じことを繰り返してくどくてたいへん恐縮でありますが、一言だけ伺ってこの点については終わりにしたいと思いますが、そうすると、大臣のお考えは、この選挙違反を恩赦に含むということは明正選挙運動にはマイナスになる、こういうふうに繰り返し言われましたけれども、そういう認識なんですね。それ以外のことはおっしゃらないで、そこだけひとつお答えください。
#70
○渡海国務大臣 そういうふうな要望をされておったのでありますから、それに反したのでございますから、マイナスになることは事実であると私は認めたのであります。
#71
○西宮委員 マイナスになることは事実であるということを認められた、こういうことでありますから、私はこの問題についてはこれで打ち切りにいたしたいと思います。
 先ほど、大臣は冒頭に、私の質問に対して、明るい正しい選挙というのが民主政治の基本である、こういうふうに言われたのでありますが、選挙違反というものはこの点から言うと、大臣のおことばを借りると、民主政治の基本にそむくわけですね。あるいは基本をくずすわけですね。その点は私と同じような認識であるかどうか、もう一ぺん伺っておきたいと思います。選挙違反という問題に対する大臣の見方です。
#72
○渡海国務大臣 選挙違反というものにも種々な、法を知らざるための欠陥、それらがあろうと思いますが、少なくとも、選挙が正しく行なわれることが民主主義の基本である、かように私は考えておるものでございます。それが、選挙違反をやった者が民主主義の違反であるかどうか、これは疑問ですが、しかし、正しく選挙が行なわれることは民主主義の基本でなければならない、こう考えております。
#73
○西宮委員 私がいまの点をあえてお尋ねをいたしましたのは、実は、先般私は法務委員会で質問をした際に、関連質問としてわざわざ発言をされた自民党の高橋委員という方がいるわけでありますが、もちろん、私はこの方が自民党という党を代表されて発言をされたというふうには考えませんけれども、この方の御意見は次のようなものであります。
 「国事犯というのは古いことばですが、昔から国事犯は恩赦の対象に常になりますし、これが第一に対象になるべき問題だというふうな社会通念といいますか、国家通念といいますか、そういうものがあるわけなんです。社会情勢や国家情勢の変化によって政治犯とか国事犯とかいうふうなものは影響を受ける、そういうふうなことで、これは第一の対象になる。それからまた恩赦の形式も、」この辺は少し飛びまして、「選挙違反を恩赦の対象として取り上げることがいけないというふうなことが盛んに言われておるのが、私どもはふしぎでございます。」「それはなぜかと言いますと、何といいましても選挙違反というのは、御承知のように政治的な関心の深い人、政治的に熱心な人、国家のため地方のために一生懸命やらなければならないという、そういうふうな国事に熱意のある人たちの勇み足であるというのが現状でございます。」以下たいへんに長い御論でございますが、この辺がこの方の中心的なところでありましょう。したがって、要するに選挙違反なるものは、政治に関心が深い人あるいは政治に熱心な人、国家のため地方のために一生懸命働いている人、こういう人の、こういう国事に熱意のある人たちの勇み足だ、そういうふうに考えて、したがってこれは当然に大赦をもって処遇すべきである、こういうふうに結論づけておるわけですが、こういう点について、大臣は選挙違反なるものをどういうふうにごらんになるか、もう一ぺんだけ伺っておきたいと思います。
#74
○渡海国務大臣 何と申しますか、恩赦に対しまして、私はしろうとでございますけれども、恩赦の対象とする事柄が昔から国事犯と申しますか、そういったものをまず第一にすべきであるという議論があることは事実でございます。その理論の立て方を、いま言われました方の理論がどうであるか、私、拝聴いたしておりませんので申し上げかねますが、少なくとも正しい選挙が行なわれるようにせなければならない、かように考えます。選挙違反と申しましてもいろいろな内容があるんじゃなかろうか、私はかように思います。いま西宮さんが、正しい選挙が行なわれることが民主主義の根本であるから、そのルールである選挙違反は民主主義に反しておるのだとか、敵だとか、直ちになにするということは、その犯罪にもいろいろ類型がございましょうからなにでしょうが、少なくとも、正しい選挙を行なうことが民主主義の根本である、私はこのように考えております。
#75
○西宮委員 ちょっといまの御発言は気になるのですけれども。そうすると、選挙違反にはいろいろな類型がある、あるいはまたいろいろな原因がある。したがって、選挙違反を民主主義の敵である、あるいは民主主義を破壊するというふうにきめつけてしまうことは間違いだ、こういう御意見ですか。
#76
○渡海国務大臣 選挙違反そのものを一般的に申しましたら、これは民主主義を害するものであると私は言える。個別の者に対しまして、具体的な選挙違反の者に対しまして、その事件を起こしたからといって、おまえは民主主義の、何といいますか決定的なものである、そういうふうなものではなかろうというのが私の認識でございます。
#77
○西宮委員 選挙違反になるかならぬかは、これは警察なりあるいは司法当局が判断することですよ。だから、選挙違反という扱いを受けた者をさらに分類をして、その動機なり類型なりに従って、これは民主主義に反する、これは民主主義には一向差しつかえない、こういうふうに選挙違反に問われた者をさらにその中で細分しようというわけですか。
#78
○渡海国務大臣 現在の選挙法と申しますか、それの中に、一般的に考えまして、法を知らざるをもって罪なしとすることを得ずということもございます。ですから、そういった、非常にむずかしいのが現在の選挙法の問題でないか、状態でないか、かように感ずるものでございます。中には犯罪の刑罰は受けられましてもそういうふうなものでない者もあられるのじゃないかと思いますから、一般的に選挙違反は民主主義を害するものだ、こう考えられますけれども、いま西宮さんが、もうこれは許しがたき犯罪者なんだと、個別的なものにつきましてはそう申されるかどうかということに対しては、そういうふうな概念で臨むのが選挙違反と現在の選挙法の実態に照らしましてのものじゃないか、かように考えておるような次第でございます。
#79
○西宮委員 どうも大臣の御答弁で私はすっきりしないのでありますが、とにかく選挙違反なるもの、それはいろいろありますよ。問題にされるのはあるけれども、それは捜査当局なりあるいは司法当局なりが最後に判定を下すわけです。それが公職選挙法違反ということになるわけですから、そういうふうになった者は、これはもう明らかに犯罪者であるわけですよ。その動機が何であろうと、もう明らかにそれは犯罪者として扱われるわけですね。だから、選挙はあくまでも正しく明るく行なわれなければならぬということを大臣は繰り返し言っておられるわけですね。だから、それに違反するものとして選挙違反なるものが問われているわけです。明るい正しい選挙が民主主義の原則だ、民主主義の基本だと大臣は冒頭に言われた。したがって、それに違反するということになったならば民主主義に違反する、これに背反するということだけは明々白々だと思うのですよ。それをさらにそういうふうに、選挙違反になった者にもなおかつその原因なりその他によって区別をしようというようなことは、私はとうてい許し得ないことだと思う。しかし同じことを繰り返してもしかたがありませんから、もう少し伺って終わりにしたいと思います。
 今回の沖繩恩赦も、これは世間で言っていますが、新聞等が詳細に解説をしておりますから、それで十分わかっておりますように、これは選挙違反を救うための恩赦であるということだけはまず断言をして差しつかえないと思うのですね。まず復権令でありますけれども、政令による復権令、これは復権といっても、その復権の効果を受ける者は選挙違反の場合には直ちに受けるわけです、停止された公民権が回復をするわけですからね。それ以外にはほとんど皆無、絶無に近いのです。たとえば交通違反とかあるいはそういうので権利を回復するというのはたくさんありますけれども、そのためにたとえば弁護士になれないとか、あるいは助産婦になれないとか、古物商になれないとか、たくさんありますけれども、交通違反で罰金を食ったからといって、そっちのほうまで権利を奪われているような例は、これは絶無、皆無に近い。したがって、復権令によって実質的に救われるというのは、実は選挙違反で公民権が回復をする以外にはないわけですよ。ないというか、一人、二人あるかもしれないけれども、ほとんど絶無であるということは、これはもうすでに――大臣御承知でなければ調べてみてください。もしそういう例があったら、具体的にそういう人があったら、私にそれを教えてください。おそらく大臣はそういう例を御提示できない、示してもらえないと私は思います。だから、これはあくまでも選挙違反が実質的にはねらいであるということだけは明らかであります。
 さらに、今回の特徴としては、罪種、犯罪の種類を限定しなかったというのが一つの特徴です。従来は、戦後の恩赦を振り返ってみると、たとえば終戦直後ならば戦時法規に触れた者、これを赦免したわけです、もう戦争は終わったんだからというので。たとえば軍事機密に触れたとか、そういう人を全部赦免したわけです。罪名は百二十種類にわたっておりますけれども赦免しておる。あるいは、その後、たとえば経済統制がもう必要なくなったというので、経済違反に問われた者を赦免する。あるいはまた、食糧が潤沢になったというので、食糧管理法に触れた者を除外する。あるいは、たとえばこの前、明治百年のときに初めて採用した交通違反ですね。これは従来は犯罪として扱ったのだけれども、いまや犯罪ではなくなったわけですね。反則金という行政的な処分で済んでおる。ということで、もはや交通違反なりあるいは駐車違反なり、そういうものを犯罪として扱う必要はなくなったというので、これを対象にした。この数はたいへんな、一千万件をこえる数になっているわけです。もうその必要がなくなったので、そういうふうに、そのときどきにおけるそれに従って赦免をし、解除をしてきたわけです。だから、そういう点からいうと、今度の恩赦も、たとえば沖繩関係の特殊な犯罪、沖繩が外国であったために密出入国になってみたり、あるいは密貿易になってみたり、そういういろいろな犯罪があったわけです。そういうのを赦免するというのはこれは当然だと思う。ところが、それらだけではなしに、一般の犯罪を、罰金については全部罪種を限定しないということになった。それからさらに、これは明治百年のときも行なわれたわけですけれども、それ以前は全部恩赦は、いわゆる基準日を限定して、たとえば講和恩赦ならば、あれは昭和二十七年の四月の二十八日に講和条約が成立をしたわけですから、四月二十八日という日を限定した。あるいはまた皇太子の御成婚ならば四月一日と、どんぴしゃりその日を指定してやったわけですね。この前の明治百年のときにその例を破って、さらに三カ月先まで、そこで刑が完了した者は該当するという道を開いたわけですけれども、今度また同じことをやっているわけです。これは明らかに解散近しということで、できるだけ選挙違反に問われた人を救っていこう、こういうことから始まっていることはきわめて明瞭だと思うのです。こういうことを繰り返していると、これが定着化してしまうという危険性が多分にある、そういう点で、選挙の関係から見て今度の恩赦は非常に心配だ。あるいはまた特別恩赦でいうならば、罰金以上の恥も該当しているわけです。そういう点で非常に問題があるわけですが、しかし、私の時間が一ぱいになりましたので、大臣に、それでは一つだけ、これは自治大臣の御所管ではございませんけれども、自治大臣はどのようにお考えでありますか、伺って終わりにいたしたいと思います。
 それは、そもそも恩赦はこういう政令による恩赦というのがよろしいのか、あるいは個別恩赦がよろしいのか。法務大臣は個別恩赦が刑事政策としては適当だ、こういうことを私どもの質問に対して何回か述べておられたわけであります。しかし、最後には、これは党内の力に押されたのかどうか知りませんけれども、復権令だけではありますが、政令恩赦を実施されたわけです。そういうふうに政令をもってする恩赦、それからいわゆる個別恩赦、これは常時、一年三百六十五日やっておるわけですから、その常時恩赦、個別恩赦ですね、願い出た人について一人一人事情を審査した上で恩赦するものは恩赦していく。こういうやり方とこれとどちらがよろしいと思いますか。あるいはもう一つ、恩赦は総理大臣の専権事項になっております。これはかつては天皇の大権、あるいは天皇の恩恵だといわれておったわけですね。しかし、今日は事情がすっかり変わったわけであります。ということになりますれば、恩赦するかしないか、こういう問題についても、私は審議会にかけて決定する。これは実は恩赦制度審議会というところで、そういう審議会をつくりなさいという答申をしているわけです。それが残念ながら今日までまだできておらないわけです。私は当然にそういうものにかけて大方針を決定すべきだというふうに考えるわけですけれども、この二点について、もし自治大臣にお考えがありましたならば伺って、終わりにいたします。
#80
○渡海国務大臣 政令恩赦と個別恩赦とある、また大赦もあるということは私も承知いたしております。刑事政策上個別恩赦と申しますか、各個人個人によりまして、いろいろ千差万別のものがございますから、恩赦を行なう際、個別恩赦ということでやるのが最も刑事政策上恩赦としても適切に行なわれるということは、法務大臣もそうお答えになったそうでございますけれども、私、いま西宮さんの御意見のとおりであろうと思います。しかし、政令恩赦と個別恩赦との違いは認めますけれども、この際において政令恩赦を個別恩赦だけにとどめるべきだったのだという御意見については、私は必ずしも同意しかねるものでございます。
 なお、いまの審議会の問題につきましては、いま答申等もあり、十分検討もさせていただいておるというのが法務省当局の状態じゃないかと思いますので、私、意見を述べることを差し控えさせていただきたいと思いますので、お許し賜わりたいと思います。
#81
○西宮委員 私が冒頭申しましたのは、要するに、選挙違反を恩赦に含めたということは、民間の団体等からそれは除外してくれというたいへん強い要望があったわけです。それをあえて無視して行なったということで、そういう運動に携わっている人たちに非常に大きな失望を与えている。云うこれでは幾ら公明選挙運動を一生懸命やってみても、結局最後はそういうことになってしまうならば、もうやってもしようがないじゃないか、こういう気持ちにおちいっているということはよくわかりますし、あるいはまた、現に取り締まりをする警察官とか、あるいは裁判に当たる裁判官とか、こういう人たちもほんとうに挫折感におちいっていると想像ができる。単に想像ができるというだけでなしに、私はもうこれ以上申し上げませんけれども、これは下級審でありますけれども、判決の中に堂々とそれを書いているものがあるわけです。つまり、もうこれ以上やってもしようがないじゃないか――もう少し上品なことばでいっておりますけれども、こういう恩赦でやられてしまうのならば、もうまじめな裁判をしてもしようがない、やったってしようがないのだ、こういうことを判決文の中に堂々と書いておる人がある。そういうふうになってきているわけですよ。これは前回の恩赦の際の判決でありますが、私はそういうのを見ると、いかに自治大臣が公明選挙運動を声を大にして叫んでも、結局最後は全部パアになってしまうのだということで、だれもまじめにやる人がなくなってしまう、こういうことを私どもは非常におそれるわけであります。
 もちろん、恩赦はそうたびたびあるわけのものではありません。また、この次の機会にどういうものがあるのかないのか、それは全く予想がつきませんけれども、ここ最近はきわめてひんぱんに繰り返してやっているわけです。したがってここ何年間かは、もうほとんど全部恩赦で救われてきているわけです。昭和三十四年の皇太子成婚恩赦以来、ほとんど恩赦で救われてきておる。救われないのが例外という状況です。そういうことではだれもまじめに選挙運動をやったり、あるいはまた公明選挙運動をやったり、あるいはまたさらにそれを取り締まったり、あるいは裁判をしたりというような人もなくなってしまう、こういうおそれが十分にありますから、公明選挙を担当する大臣としては、その点は十分に認識をしておいていただきたいということを最後に申し上げて、終わります。
#82
○岡崎委員長 青柳盛雄君。
#83
○青柳委員 私は、前回に引き続きまして、定数是正の問題について少しく補足的な質疑をいたしたいと思います。
 前回の当委員会は五月十日に開かれました。それから二週間ばかりたっておるわけでありますが、その間に選挙制度審議会の第一委員会というのが十九日に開かれたそうでございます。そこで、将来区制を改正した場合の衆議院議員の総定数のあり方について検討したというふうにいわれておりますが、これは、この第一委員会で、総定数のあり方について、これまでその委員会で出た意見に基づいて、事務当局がまとめた五つの例をもとに討議をされたということでございます。そういういきさつもございますので、まず最初に、事務局がまとめた五つの例というのはどんなものか、簡単に御説明いただきたいと思います。
#84
○山本(悟)政府委員 選挙制度審議会の第一委員会に先般提出いたしまして御議論されました御指摘の五つの例と申しますのは、それまでに各委員のほうからいろいろ御議論になっておりまして、それの御議論に基づいてまとめろという命令に従って、機械的に計算いたしたものでございます。
 簡単に申し上げます。
 第一例と申し上げましたのは、全国平均二十一万三千百六十七人、これの上下三分の一偏差ということで、最大が二十八万四千二百二十二人、最小が十四万二千百十二人、この範囲に各府県単位がございます。府県単位でこの範囲におさまるようなかっこうにしたらどうかということであります。ただいま申し上げましたことでやりますと、総定数がプラス十三で、現行が四百九十一でございます。プラス十三でございまして五百四、増加いたしますのは埼玉一、東京二、神奈川六、大阪四、これが第一例であります。
 第二例は、全国平均の上下三〇%以内ということでございます。最大が二十七万七千百十七、最小十四万九千二百十七、こういたしますと、増加いたしますのが四県で十五人、減少いたしますのは一県で一名、差し引き十四名の増、あわせますと五百五ということでございます。もしも減員をしなければという数字も出しておりますのが五百六でございます。
 第三例、これは全国平均の上下二五%以内ということでございまして、最大が二十六万六千四百五十九、最小が十五万九千八百七十五、こういたしますと、増員が二十名、減員が十三名、差し引き七名のプラス、合計四百九十八名、減員をしなければ五百十一名、こういう数字でございます。
 第四例は、全国平均の上下二〇%以内、最大が二十五万五千八百、最小が十七万五百三十四、そういたしますと、増員が二十七、減員が二十二、差し引きプラス五名、合計四百九十六名、もしも減員をしなければ五百十八名。
 第五例といたしましたのは、二十万というものを置きまして、その上下五万とする。したがいまして、最大が二十五万、最小が十五万、この範囲内におさめますと、プラスが二十九名、マイナスが一名、差し引き二十八名のプラス、合計が五百十九名、減員をしなければ五百二十名。
 こういう五つの案を提出した次第でございます。いずれも、それまでの間に各委員の間からいろいろ御議論がありましたところに従いまして、機械的に計算をいたした数字でございます。
#85
○青柳委員 新聞の報道によりますと、そのうち幾つかにしぼって討議されるであろうということでございますが、定数を減らさない案というのが一番無理なくいくであろうという常識的な報道になっております。ですから、まだ一案は定数を減らさない、いまの御説明ですと第四案も――定数を減らさないのではない、要するに現行から減らないという意味ですね。第一案は減らさない、第五案も減らさないで済みそうだという。いずれにいたしましても、区制がきまったときに配分される都道府県の衆議院議員の数というものは、いまのような案の中のどれかに落ちつくということでございますが、それを踏まえて、前回大臣の御説明では、もし区制が全会一致とかあるいは非常にまとまったものとして答申できないような事情、ちょっと複雑な事情がある場合に考えられることはそれはできないにしても、暫定的に、区制についてはそのままにしておいても、定数だけは是正するというような趣旨の答申が出るのではなかろうかという、これは御希望のような推察のようでございましたけれども、それを受けてできるだけ早く定数是正を行なうというような趣旨も、本日の委員会で他の委員の質問に対するお答えの中に出てきたように私は理解したのですが、この点、区制のほうは現実問題といたしましてなかなか簡単にまとまるものではございませんけれども、是正のほうは、現在の状態を減らさないという、ある意味においてはたいへんに保守的な考え方ですけれども、減らさないでふやすということであれば抵抗が比較的少ない。滅らされる県などにとってみると、やはりそれはやめてくれという反対議論、あるいは選挙区を統合するなどということについては、またたいへんな複雑なことが出てまいりますけれども、現行の三人ないし五人の中選挙区のままで、定員も現在のままで、アンバランスのひどいところだけ、いま選挙制度審議会で区制に合わせてその程度まではふやしてもいいのではないかという意見も出た。それを参照にして定数是正だけを行なうということの緊急性といいますか、そういうことについて大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
#86
○渡海国務大臣 現在の段階で、いま言われましたように区制はおそらく無理であろう。したがって、その際は定数是正の緊急性からやるのかというふうな御議論でございましたが、私は、いま選挙制度審議会で鋭意この問題を御研究賜わっておりますので、あくまでも審議会の答申を待って、その答申の結果に基づきまして、その際にいかにすべきかということを判断するのが私たちのとるべき態度ではなかろうか、かように考えます。たとえば、いまあげましたけれども、もし暫定的に行なうといたしましたなれば、具体的に千葉一区のごときは、いま貝沼委員からも御指摘がございましたが、いらわなければならない尤たるものでございますが、いま申しましたように、試案として出ておりますときに千葉県そのものをふやすということになりましたら、相当大きな定員の増を見なければふやすことはできない。しからば、一たん区制ができないからといって暫定的にふやしてしまったものを、今度区制を変えるときに減らすことができるかどうか、そういったような問題も起きてくるのでなかろうか、かようなことも考えられますので、いろいろな場合が想定されるのでなかろうか。また、委員会自身におきまして独自の見解を持つ、そのようなときはまた委員会としての――この前私も出席いたしておりましたときには、特別委員の方々からぜひ定数是正をやれ、学識経験者の方々は、これは一貫して考慮すべき問題であって、いまやるべき問題でないという意見に分かれまして、そのような姿で現在作業を進めていただいておるというのが現状でもございますので、いろいろなそれらに対する御意見も拝聴できるのでなかろうかと思います。いま申されましたような点につきましては、この際の発言は控えさしていただきまして、答申の結果をながめて善処いたしたい。また、その責任は自治大臣としての私に負わされた責任でなかろうか、かように考えておるような次第でございます。
#87
○青柳委員 私、前回の会議録を拝見して読み直してみた一わけですけれども、大臣の御答弁はいまはたいへんに慎重にかまえた内容になっておりますが、答申について、ある仮定的なものではありますけれども、推察をされて、たとえば「あるいは区制がおくれたような場合であっても、将来の区制のことも考えながら、暫定的な定数是正をすべきであるか、こういったことの判断の上に立って、私は答申をいただけるというふうな状態で、委員の皆さん方はそういうお考えのもとに審議を急いでいただいておるのでなかろうか、私はこのように判断しております。」それで「少なくとも中間答申といったような形で衆議院のやつを出していただけるようなテンポで進めていただき、」というようなことも言っておられるのです。答申はもちろん審議会でおきめになって出すわけですから、こちらで推察する以上のことはできませんけれども、やはりこの暫定的なものも区制に関連する定員数の答申と決して矛盾しない形で、そういうもののじゃまにならない形で暫定的なものも考えて出されるのではなかろうかというふうに私も期待をするわけです。それであって初めて審議会の任務も果たせるのじゃないか。選挙制度審議会設置法第二条を読んでみますと、二号のところに、「国会議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める基準及び具体案の作成に関する事項」というものがございまして、これは例の衆議院議員の、別表第一の末尾の国勢調査による更正というような作業にも関連することになると思いますけれども、そういうことを今度の答申の中にも出してくる可能性があるし、またすべきではないかというふうに私は考えるわけですね。前回も大臣は、委員の中には、もしそういうことが行なわれると区制のほうがおくれるのじゃないかというお考えを持っている方もあるような感じもするというお話がありましたけれども、それはそれとして、やはり緊急なものは緊急なものとして答申をされる。そしてまた、政府もそれを受けて直ちに実施のための措置をとるということが要請されるのじゃなかろうかと思うのです。だから、ここは見送りますというような、答申を見るまでは私のほうは何にも白紙の状態でございますというのでは、ちょっと前回よりも後退した御説明のような感じがするのですが、いかがでしょうか。
#88
○渡海国務大臣 前回も、私は、審議会の審議の最中でございますので、決定的なことばで申していない、こう思いますが、いまお答えいたしました答弁は、前回の答弁より慎重になっておるのではないかという御指摘がございました。後退ということばもございましたけれども、私の気持ちとしては変わっておりませんけれども、慎重になっておることは私認めます。それは率直に青柳さんにお答えいたしますけれども、前回のときは、実は私も担当者となりまして初めてでございますので、運営委員会の方と審議会という席を離れまして一席御招待を申し上げ、御懇談をさしていただいた。その中におきまして、いろいろ個人的な御意見として雑談さしていただいたような点もございまして、私の考え方と申しますか、正式な意見じゃなしに、ほんとうに懇談的に話さしていただきまして、そのときの心境から審議会の空気その他を得て述べさせていただいたのが前の意見でございます。その後、それからまたこの定数の問題につきまして、その扱い方につきまして、各委員の方々の発言を総会の席上におきまして正式に聞かしていただいたような状態でございまして、それらの総会の空気等、私責任者といたしまして十分頭の中へ入れて今日発言いたしておりますから、あるいは慎重になったという御表現も、確かに私認めなければならないと思います。
 それともう一つ、現実的に私自身もそのようなことは起こり得ない。たとえば、私自身おぼろげな知識ながら、現在定数是正するといって何が必要かといいますと、定数是正をするときは減らす選挙区もこしらえぬことにはあくまでも定数がふえるばかりである。いま青柳さんもたまたま、なかなか減らすことはできぬだろう、暫定的にはふやすほうだけでやるということだったらできるのじゃないかという御指摘がございましたが、もうここまできてしまったなれば、総定数ということもございますけれども、ふやすことも考えなくちゃいけない、こうも考えてみたのでございますけれども、現実に現在の中選挙区として一番少ない兵庫五区が――私の選挙区ではございませんけれども、兵庫県でございます。ここを減らすということは二名になる。二名ということは、法的には規定はございませんけれども、まあ現在の中選挙区というものは三名から五名ということで、この前二十九年も、中選挙区の三名から五名という中で処置しなければいけないというところからいろいろの御議論がございましたが、非常なる無理を重ねて委員の方に御苦労願いまして、超党派的な公職選挙委員会の方々の御努力によりましてむずかしい区を割るということが行なわれ、現在の制度を維持したのでございますが、減らすということになりましたら兵庫五区を二名にする。そうすると、中選挙区を維持するということになりましたらどこかへこれをひっつけなければならぬ。これを統合し得る区があるかということを地理的、歴史的にながめたら、選挙の実態としてそのようなことはあり得ないのだ。そうすると、特別区を設けなければならないというような問題にもぶつかりまして、これは根本の問題に触れなくちゃならないのだということだけ私も実感として持っておったのでございます。
 その後、いろいろ審議を進めておられますことを事務等から聞きまして、いま例にあげましたように千葉県、これなんかは当然暫定的に行なう場合は定数是正の対象になるところでございますが、県自体として考えた場合においては、相当な場合でないと千葉県が一名ふえるというようなものは出てこない。したがって将来のことを考えた場合、暫定的につくったなれば、これは減らすということもあり得るのだ、区を変えるときに。そのことを覚悟した上でないと、そうでなかったなれば、千葉県全部の選挙区というものの区制そのものまでいらうと申しますか、現在の中選挙区の中においていらうというふうな操作をしなければならない難問題が介在しておるというのが、現在の選挙区の是正に対して内蔵する困難さの問題であるという認識を、その後の事務当局の調査等から私自身も知識を得ました。そのような意味からも、慎重になっておるというのが事実じゃないか、こう思います。
 私、いま率直にお答えさせていただいたのでございますが、そのような気持ちが、いま青柳さんが表現されました後退になっておるというか、慎重になっておるというふうにお聞き取り願ったのじゃないか、かように思っております。
 いずれにいたしましても、そういうふうな点も十分御考慮の上、答申をいただけるものと思いますから、これを待ちまして、私の持っております責任を果たせるように、絶えざる研究をし、答申を得ました以上は、直ちにこれを実行に移せるような体制で進めていかなければならないと現在考えておる次第でございます。
#89
○青柳委員 たいへん詳しい御説明をいただいたわけですが、いまの御説明の趣旨は、非常にむずかしいということを基礎に置いておられる。確かにむずかしいといえばむずかしいことで、あとあとのことも考えれば、かってに各都道府県の総定数を動かす結果になるような部分的な定数是正も、将来に禍根を残す場合もあり得るというようにも聞こえるのです。
 私は、区制を小選挙区に直すのかどうか知りませんけれども、どうせ現在の中選挙区の区制でなしに、この区制を動かすということになれば、言ってみると一応御破算にして、ゲリマンダーみたいなことでない合理的な区割りをしていくということになろうかと思うのです。そういう中で、県としては現行よりも減るということがあり得たところで、これは現職の議員あるいは次期選挙を目ざして営々と事前運動をやっておられる人々にとってたいへんだということで、抵抗があり得ようはずがないと思うのです。結局は、どういう形になるかわからないわけですから、かりに千葉で定数が二、三名ふえる結果になってしまう。しかし、減らすべき県だというようなことであったとしても、それは御破算のときには、その県としてこれだけのワクがあるのに、何で減らすのだというような抵抗は別にそう起こり得ないのじゃないか。むしろ一番抵抗の起こりやすいのは、現行の中選挙区の中で、五名であったのが四名あるいは三名に減らされるとか、三名が二名に減らされる。特別区ができるとか、あるいは隣の区とくっつけてどうこうするとかいうような作業が行なわれるときに、大問題が起こるのじゃないか。だから、その摩擦は定数是正の際ですから避けて、やはり減らすのはやめてふやしていく。それもむやみとふやせして六百名にもしてしまうということは、ちょっと諸外国の例から見てもどうかと思われる面があるでしょうが、しかし、いまわが国の政治情勢からいって、五百名から六百名の間を動く程度ならば、決して過剰な議員の数ではないというのが世論だろうと思うのです。国会の議席を少し物理的に直さなければいけないとかなんとかいうことは、これはささいなことで、知恵を出せばどうでもなることだと思うのです。議事堂をつくり直さなければならなくなるとかいうのは下の下の話で、そうではなくて、民意をほんとうに代表するような議員数はどのくらいであり、その配分はどうあるべきかという、そこにこそ重点を置くべきだと思うのです。だから、定数是正をして、議員数が多少ふえるであろうというようなことは決しておそれる必要はないと思うのです。第三者などは、そういう点で何か議員の数が多いということをよく問題にする人があります。それは国会議員の場合であれ、あるいは地方議会の議員の場合でもそうだと思いますけれども、これは民主主義のあり方が、必ずしも一般の方々が見ておるような状況でないものだから、いわゆる議会制民主主義に対する幻滅というようなものを感ずるものだから、反発として減らしてしまえというような議論のほうへどうしても行きがちですけれども、それは決して前向きの議論ではないと思います。だから、政党本位の選挙制度を実施するじゃまになるかもしれないからという理由によって定数是正を見送る、そして結局は政党本位の選挙制度なるものは、たとえば小選挙区制というようなものが基本であるということになれば、国論は当然ながら二分いたしまして、これは外交問題あるいは軍事問題、憲法問題にも劣らない大問題になると思うのです。ですから、決してそうやすやすと国会で議決できるものではないと思います。そうすると、それと無理心中の形で定数是正もいつまでたっても実現しない、悪循環でございまして、議会制民主主義に対する不信頼、政治不信というものがその中からまた出てくる。これは知恵のないやり方だと私は思うのです。
 大臣は、前回の御答弁の中でも、選挙制度審議会のほうからある答申が出た場合に、区制の問題も含めてでございましょうけれども、各党で話し合うことがあるならば何とか合意に達することができるのではないかという構想を打ち出されております。選挙制度を改正するということは、どの党も党利党略によって左右さるべきではなくて、すべて合意のできる妥協を見出すべきではないか。どうも新聞などでも、党利党略でこの問題を政治家は考えておるらしいということを先入主にしているらしくて、たとえば五月二十三日の朝日新聞によりますと「衆院選挙区の定数是正今国会は見送り」 「野党が断念」そういうことで、野党のほうでは非常に熱心に自民党に対して申し出たのだけれども、「政府・自民党の態度には野党側に有利な定数の増員をわざわざ急いでやる必要はないという考えが強く働いている。」というコメントをしておるわけです。自分のほうは減らされる形にはならないけれども、野党側がふえるようなことはやることはないのだ、もしこういう考え方が自民党の中にあるとすれば、それはまさに党利党略以外の何ものでもないわけなんで、いま非常にアンバランスが出ておるということが、議会制民主主義を破壊するような状態にまでなりかかっておる。党利党略などということは絶対にあり得ないことだ。だから、これは大臣の構想のように各党が話し合うという形をつくり出していって、そして答申を受けない前にそれができればそれでもいいのですけれども、国会のほうでそんなことをやってしまうと、選挙制度審議会の委員さんが消極的になってしまって困るということであれば、次善の策としては、答申を待って直ちにその部分については実施するという作業に取りかかるべきではないか、そのときに各党が話し合ってもおそくはないとも思います。なるべくならばそれよりも早くやったほうがいいと思いますけれども……。そしてそのイニシアチブをとるのがやはり政府ではないかと思うのですよ。議員立法にしてもらうようにというので、政府は答申があってもそのことについて消極的であるというようなことはあってはならないと思います。この点、慎重であられるのは先ほどの長い御説明でもわかったように思いますけれども、慎重は慎重として、いま私申し上げたような観点から、答申を受けて直ちに作業に入る。その場合、臨時国会も開かれるかもしれませんけれども、臨時国会に必ず上程するというくらいな心がまえで定数是正問題はやっていただかなければなるまいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#90
○渡海国務大臣 答申を得たならば、その結果に基づきまして措置をせなければならないということは前にも述べさしていただいたとおりでございます。
 いま私、慎重であるという言で二、三の例をあげさしていただいたのでございます。定数は、国会の構成上、民主主義として少なくとも六百名くらいまでは上げてもいいじゃないかという御意見、これは一つの御意見として承らさせていただきます。またそういうふうな御意見も当然あろうと思います。ただ、千葉県の例を私があげたのに対しまして、区制が変わるときには減らすことも、与えられた権利としてなにすることは困難ではないじゃないかということでございます。私もそのとおりであろうと思いますが、しかしながら、私が申しておりますのは、それだからやらないというのでなくして、すべてのことを知っており、来たるべきものに対して、いまの青柳さん御自身のような判断に立って処置すべきであれば処置するというふうなことを行なうべきであって、知らずにそれをやる、先のことも考えずにやるという姿であっては責任者でない、私はこのように考えておる次第でございまして、いまも申されました、答申が出てまいりましたときには、それにこたえましてできるだけすみやかに措置できますように、今後とも私たちも研究を重ね、その答申の姿を待ちたいというのが私のいまの心境でございます。御了承賜わりたいと思います。
#91
○青柳委員 もうおしまいにいたしますが、要するに私は、現在第七次選挙制度審議会に諮問してあります政党本位の選挙制度はどうあるべきかということ自体は、ぜひ推進しなければいけないと思うのです。しかしそのことが即小選挙区制、純粋の場合、併用制、併立制いろいろございましょうが、小選挙区制につながるというふうなことについてはまた議論が分かれるところでございまして、それはこれからも、答申が出た段階においてこの委員会で相当論議されなければならないと思います。それはそれとして、やはり是正の問題だけは、切り離すというといかにも機械的な感じがしていけませんけれども、暫定措置という意味において、ぜひ今後ともこの委員会では討議を続け、そして政府も決しておくれをとらないように対処していただきたい、かように考えます。
 終わります。
#92
○岡崎委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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