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1947/08/22 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第10号
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1947/08/22 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第10号

#1
第001回国会 厚生委員会 第10号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價額撤廃に関する陳情(第
 二号)
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉依復に関する陳情(第四号)
○兒童の福祉増進に関する法令制定の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廳職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死、戰災遺家族並びに傷病者の更
 生に関する陳情(第五十号)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青少年禁酒法案(小杉イ子君発議)
○恩給増額に関する請願(第三十九
 号)
○災害救助法案(内閣送付)
○兒童福祉法案(内閣送付)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第五十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十一号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十三号)
○恩給法の改正に関する陳情(第百五
 十三号)
○國民健康保險組合の振作促進に関す
 る陳情(第百五十五号)
○國民健康保險制度の更生に関する請
 願(第八十二号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第八十七号)
○恩給増額に関する陳情(第百九十三
 号)
○最低生活の保証に関する陳情(第二
 百十八号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十二日(金曜日)
   午前十一時三十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○医療制定調査に関する小委員の数を
 一名増加に関する件
○兒童福祉法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。
 最初に厚生委員会に医療制度調査会に関する小委員会を設けることを皆さんから決議なさいました。これに対する十一人の委員を決定したわけでありますが、更にもう一名増加いたしまして、草葉隆圓君を加えることに御異議ございませんか。
#3
○委員長(塚本重藏君) 草葉君を加えて十二名といたします。
 それから本日の本会議で議長から報告がありましたように兒童福祉法案の審議に対しまする実地視察といたしまして、山下義信君、小川友三君、宮城タマヨ君、草葉隆圓君、河崎ナツ君、木内キヤウ君、三木治朗君、以上の七名の方に明二十三日から二十八日まで御視察をお願いいたします。
 これより兒童福祉法案についての質疑を行います。
#4
○宮城タマヨ君 兒童福祉法案について、先に厚生大臣から御懇切な立案の趣旨も伺いましたし、それから條文も私は暗記するくらいたびたび読んで見まして、そうしてこの兒童福祉法案が兒童福祉法として、非常に廣範囲に亙ります子供の福祉についての随分至れり盡せりの行き届いた法律となりまして、これがいよいよ出ました曉に、そうしてこの最下部の方の機構にまで本当の運営がされましたら、私は今まで困つておりました母親なり沢山の氣の毒だつた子供達が、どんなに仕合せになるかということを思いますときに私共としてこの法案を立派なものにして纒め上げたいという私なりの希望を持つております。一昨日の晩私は夢に見まして、どうも言いたいけれども、言われないで汗じつくりになりまして目が覚めましたような次第で、私は母親の立場としてとにかく微力ながら一生懸命にやりたいと思つております。
 それでいろいろ沢山の質問を持つておりますが、皆さんの御迷惑にならないように小出しに少しずついたしたいと思います。今日第一点だけの質問をいたしたいと思いますがこの兒童福祉法案の兒童という言葉でございますがこれは立案者の方で何か法的の根拠があつてお使いになつたかということでございます。兒童ということは常識的に考えますと、子供と私共はすぐ考えますけれども、この條文の第四條の三項に、小学校の就学の初から満十八歳に達するまでの者という年齢の制限がいたしてございますが、この十八歳までの者を兒童という中に入れることが適当かどうか、これについて立案なさいました方でいろいろ御研究があつただろうと思いますので、伺いたいのでございます。
 一体兒童という言葉は、私共今まで常識的に使つておりましたのは、小学校の学齢の子供にたいしては兒童という言葉を使つておりました。それから中等学校、女学校になりますと、女学校の兒童、中学校の兒童と言わないで生徒と言います。生徒という言葉は中学校から専門学校の者にたいして生徒という言葉を使い、大学に参りますようになつたら学生という言葉を使つております。このことについてもう少し法的のものがあるか調べたいと思いましたが、まだ今日その準備ができておりませんけれども、とにかく普通に言われております兒童とは、子供という意味に使われておりますので、この法案の表面と、それから内部、つまり十八歳の者までを兒童の中に入れるということに、私は非常に齟齬があるように思つております。今度の改正されます民法によりますと結婚年齢は男は十八歳で女は十六歳ということになつておりまりますが、まあ十八歳や十六歳が結婚年齢とされておりますときに、この兒童という中に含めて宜いかというこの問題でございます。私は兒童という以上は、法の内容においても、まあ少くとも小学校の学齢兒童までに止めて頂いたらどんなものか。満十四歳まで、そうすると今までの教護法によります少年というもの、教護法の第一條にその年齢が決めてございますが、これは十四歳未満の者ということになつております。それが十八歳までに上げなければならないというその十八歳までを兒童としなければならないという必要がどこにおありになりますかということ。年齢のことで申しますと、この兒童福祉法の第四十二條に、「教護院は、不良行為をなし、又はなす虞のある兒童を入院させて、これを教護することを目的とする施設」と書いてございますが、そうするというと、やはり今までの教護院法によりますと、十四歳までございましたが、それが十八歳まで今度のこの法律では延びておりますことになります。そうするというと、少年法の第四條かと思いますけれども、それによりますというと、少年法でも少年法で申します年齢も十八歳未満ということになつておりますが、この少年法を今度の福祉法との関係が、又どういうことになるか。これは年齢においてでございますが。でここに不良行為をなし、又はなす虞のある兒童と書いてございますが、少年法の方には、この少年法の四條に一刑罰法令に触れる行為をなし、又はなす虞ある少年とございます。一方では不良行為をなし、又はなす虞のある者、一方では刑罰法令に触れる行爲をなし、又はなす虞のある者というように、教護院と少年法との間の法律の関係でございますが、今まで十四歳未満の者でございましたら、なにも抵触することはないのでございますけれども、年齢から申しますというと十四歳までの子供はこれは子供という、言葉を使うそれこそ兒童でございまして、普通の教育の対象といたしましても、平たく申しますというと、これは母に撫でられて育つ年齢でございます。それから十四歳以上になりますというと、普通教育におきましても、普通教育殊に家庭教育においても、それ以上の者はやはりただ母の愛、母の手に撫でられるだけということでなくて、そこに父性の嚴、つまり父の教育というものを加えなければならない年になつて、この十四歳という時が私は教育の段階をなすものじやないかというふうに考えるのでございます。極く卑近なことを申しますというと、子供の着て寢まず蒲團なんかでも、十四歳以上になりますと、教育の中で一番違つて來ることは、セツクスに対する教育でございますが、一枚の蒲團を母親が考えるときでも、それまでは柔らかい蒲團でよいけれども、もう十四歳以上中等学校程度になりますというと、蒲團の側も木綿で固いもので綿も固い蒲團を作つて著せなければならんということで、一番そこに教育のやり方も違う。いろいろ扱い方も違う。それが普通の子供でもそうでございますが、今度は不良行爲をなし、それから犯罪行爲をなしますというような子供に対しての取扱というものは、これは又普通教育以上に格段とそこに違つたものがなければならないことで、それを教護法によつて、十四歳から十八歳までの者を一緒に教護院に入れてしまう。昔の感化院に入れて、そこで教育をして行こうという立案をなさいましたところには、何かそこに根拠がございますか、私はできるなら十四歳未満の者についての取扱とそれ以上の者についての取扱と、どうしてもここに区切りを立てなければ、殊に不良の行爲をなす者、或いはなす虞のある者というものについて、同じ所に收容するというようなことは、これは余程考え物じやないかと思います。だからむしろこの十四歳という、十四歳までの者にしておけば、この法律の年齢、つまり兒童福祉という、この兒童ということと、それから内容とが私は一緒になるかと思つております。
 私はこの少年法、つまり少年審判所なんかの仕事についても三十年來私の持論としているところは、どうしてもあすこに女の審判官を置きたい、女の審判官を置きたいという一つのその狙いどころは、十四歳未満の者、つまり今までで言いますというと、地方長官から送致されます。つまり小さい子供が入りましたような場合には、どうしても女の人が母親の立場で審判をします方が効力があるだろうということを常に考えております。それで婦人の審判官を置きたいというのが私の年來の希望であります。そういうところから考えましても、やはり私は十四歳未満と、十四歳以上というものとの区別を立てていただきたい。だからこの年齢を第四條でございましたが、満十八歳とするということについて、もう一遍お考えを願いたい希望でございますけれども、十八歳となりましたその点について、立案者の御意見が伺いたいと思います。
#5
○政府委員(米澤常道君) 宮城委員の御質問にお答えいたします。非常に專門的なお立場からのお尋ねでありますが、先ず十八歳に引き上げました理由につきまして申し上げたいと思います。この現行法令その他今までの普通の実情から申しまして、年齢を或いは十四歳或いは一六歳、又は一八歳、二十歳、いろいろな角度からこの年齢を区切つております。お話の通り、少年教護法におきましては今まで十四歳で区切つておつたのでありますが、今般兒童福祉法を制定立案するに当りましてこの年齢をどうするかということは大きな御指摘の通り問題であつたのであります。それで御承知のように、労働基準法におきましては十八歳を以て一つの……日本人のあらゆる社会的な條件、或いは生理的な條件、その他の観点から十八歳というものを一つの保護年齢と申しますか、十八歳以下の労働少年につきましては詳細な保護規定を設けておるのであります。いろいろ研究いたしました結果、やはり十八歳以下というものがあらゆる観点から保護を要する。勿論普通の子供でありますれば、今日の情勢からいたしまして何らそんな心配もないと思いますけれども、一應十八歳以下というものにつきましては、國としてあらゆる保護乃至は面倒をみるという態勢が是非とも好ましいという点から、この福祉法で対象とする者は十八歳まで引き上げようということにいたしたのであります。それから更に今日の情勢からいたしまして、或いは浮浪兒でありますとか、一般不良児、こういつた年齢層をみますと、十八歳程度の者が非常に、特に終戰後の今日におきまして、多数巷においていわゆる問題の子として問題にされておるのであります。こういつた客観的な情勢を考えまして、兒童福祉法においては尠くとも十八歳までの者を一應全部対象とするこういう見解から十八歳まで年齢を引き上げた、つまり少年保護法の関係におきましては引き上げた、こういう関係に相成るのであります。それで只今御指摘のように、兒童という言葉が非常に不適当ではないか、從來の用語例、その他から申して不適当ではないかという御説でありますが、これは全く私達も同感なのであります。何かいい言葉がないかということでいろいろ研究をいたしたのでありますが、どうも平たく申しましてこの法律は御指摘の通り子供の福祉のための法律という考え方であります。併し法律用語といたしまして考えましたところ、なかなか適当な言葉がどうしても見附からないのであります。仮にこれを少年福祉法というふうに考えますというと、最も肝腎な対象でありますところの兒童に相当する部分がなんとなく感じがぼけて來る。それで極めて止むを得なかつたと申しますか適当な他に宜い言葉が見附からないというのが消極的な理由でありまして今一つはこの法案の対象とする者が兒童、いわゆる普通に謂う兒童というものが一番対象として多いのである。こういうような消極、積極の両方の意味から、多少十八歳のものを兒童と言うということはどうかという懸念があるのでありますけれども、止むを得ずこういう言葉を使つたのでありまして、この点は御了解を願いたいと思うのであります。
 次に少年法との関係でありますが、御指摘のように少年法は犯罪刑罰行爲に触れる行爲をなすいわゆる犯罪少年虞犯少年ということに相成つております。これは司法当局とも極めて緊密に研究をいたしたのでありますが、この法律的な建前といたしましては、二十四條の「保護者のない兒童又は保護者に監護させることが不適当であると認める兒童を発見した者は、これを兒童相談所又はその職員に通告しなければならない。但し、少年審判所の保護処分をなすベき兒童については、この限りでない。」という但し書きをつけまして、少年法との技術的な面におきましてははつきりいたしておるのであります。つまり少年法に基く保護処分を要するものは、少年審判所という法律上の技術的な関係といたしましては、二十四條と少年法との関係からいたしますと、はつきりいたして來るのであります。ただ表現の言葉の上から申しますと、少年法は刑罰法令に触れ、又触れる虞れのあるというような字を使つておりますし、本法におきましては御指摘の通り四十二條において不良行爲という字を使つておるのであります。そこでこの字句の解釈といたしましては、結局犯罪程度の強い者は、結局少年法の処置を持つということに相成るかと私は解釈いたしております。
 以上申し上げましたようにこの言葉としましては確かに兒童という字にやや疑問を懷くのでありますけれども、本法の対象とするものがいわゆる世間に言う兒童という部分が一番多くを占めておる。そういう点に着眼いたしまして兒童という文字を使つたのでありますし、十八歳まで延ばしましたのはいろいろ他の法令等の関係、或いは今日の実際の実情等から考えまして、十八歳までの子供のうちの或部分につきましては、やはり福祉の観点から相当保護を要する。こういう理由で引き上げたようなわけであります。少年法との関係につきましては、只今申し上げましたように技術的にははつきりいたしております。又実際上の問題といたしましては犯罪性の強い者は少年法によつて処置されますし、その他の不良というものが本法或いは教護院というふうなもので処置をされるこういうふうに考えております。
#6
○谷口弥三郎君 只今の質問とよく似た名称のことについて私もお尋ねする次第でありますが、兒童福祉法が今囘できるということにつきましては、我我の多年の希望が実現するという時機が來たと思つて誠に喜んでおる次第であります。尤も只今の御説明で、兒童が主であるから、幼兒が主であるからというお話でございますから、そうすればそれでも結構でありますが、御承知のように子供を立派に育てる、立派な子供を持とうといいます場合には先ず結婚から注意をして行くことが必要であると思いますので、個々の場合では妊産婦、或いは分娩後一年とかいう母性も入つてはおりますけれども、結婚というところまで遡つておりませんために、生れる子供に対する心配が可なりありはせんだろうか。從つて兒童福祉というよりか、母子福祉法として頂いた方が、この案にはお最も適当じやなかろうかと思つておつたのでございますが、これは今の御説明で大体分りましたが、なぜ母子という名前を附けられんのでありますか、その点について同じような質問で恐れ入りますけれども、お答え頂きたいと思います。
#7
○政府委員(米澤常道君) 御趣旨はお尋ねの通りでありまして、我々といたしましてもこの法案におきましては、母性の問題というものを今日の日本の情勢からできるだけ取り上げたいということでいろいろ研究もいたしたのでありますが、御覧のような程度のことに相成つておるのであります。併し母性、更に結婚というものにつきましても、保健指導その他いろいろ規定もありますし、できる限りの努力をしたいと考えております。ただこの母子福祉法ということになりますと、以前母子保護法というのがありまして、これが生活保護法の制定の際に廃止に相成つておるのでありますが、この母子福祉だけでは少し狭い点がどうしても出てまいりますので、母性の問題も結局子供の問題と非常に社会的に重要性があると考えられますので、兒童福祉法という名前でその氣持を含ませたのでありまして、母子福祉法という字を氣持の上においては多分にもつておりますけれども、表面としてはこれを使うことができなかつたのであります。
#8
○中平常太郎君 只今の御説明で兒童という字をお使いになつたことのあらましは分りましたが、実際に十七、八歳になると兒童とは言わないのでありますから、これは差支ないものであれば兒童少年福祉法となさつたらいかがでしようか。この点そういうお考えはないのでありますか。只今谷口さんの言われたように、妊娠から始つて十八歳までを取り扱うというのでありますから、このままですと名前が少年を閑却されるように聞えますから、兒童少年福祉法案となさつたらどうでしようか。この点がいけないので兒童だけにするというならその理由をお聽かせ願いたい。
#9
○政府委員(米澤常道君) 只今の御質問にお答えいたしますが、兒童少年法というふうに仮に書きますと、法律の件名といたしましても少し冗長に亙るような氣もいたしますし、それに御承知のように新憲法の二十七條第三項におきまして、兒童はこれを虐待してはならないという字を使つているのであります。この兒童という新憲法に使つてある字句には年齢をどこまで指すのかはつきりしたものは勿論ありませんが、この新憲法の兒童というのはつまり子供、それと相対したと言いますかそれと同じような氣持でこの法案を兒童福祉法とこういうふうに名づけていきたいと思つております。
#10
○河崎ナツ君 宮城さんの質問も御尤もで、又説明の意味もよく分つたのであります。それで大変宮城さんが兒童にこだわるところの……法案の提出者である政府は一般的に見て兒童が多いからそこに中心をおいて名前をつけたというわけでありますが、私は兒童という問題にそうこだわらないで、今仰しやつたように今までの教育、兒童或いは学生或いは生徒という言葉は非常に社会通念になつておるかのごとくでありますが、それは学校教育においてのああいう解釈に言葉が分れておつた。それが明治初年から長年私達の頭にこびりついて、兒童というとあの十四歳、これは六年ですか、義務教育が四年のときにはもつと小さいときに当るわけですが、六年になりましたら十四歳までを兒童と、すぐぴんと頭にきたのであります。私は政府の御説明と同感で、日本人は十八歳くらいまでは心身共に徐々に段々に成熟していつてそうして一人前に男女共に人間の基本ができる。それまでは保護すべきだというこの新らしい問題は、これからのこういう福祉の問題においても、教育の面においても、労働基準法においても非常に大事なことだと思います。私はこれは各方面に対してこれから大事にして貰わなければならん問題と思つておりますが、その意味において労働基準法においても今日までそこまでいつていなのを残念に思つております。その意味で兒童という言葉には或いははずれて十八歳まで入れておりますがこれは十四歳で切るべき問題でなくて兒童にこだわらないで、十八歳までこの問題の範囲を拡めて取り上ぐべきだということと、新らしい意味で、既成兒童にこだわらないで、新らしく兒童という象徴の意味において人間としての或基礎のできるまでという問題を、そういうふうな意味に徐々に考えて直して行くというぐらいの意味において兒童福祉法という言葉で、範囲は十八歳までというふうになさることはちつとも困ることではないと私は主張したい一人であります。
#11
○中平常太郎君 第四條に「この法律で、兒童とは、満十八歳に満たない者をいい」とあつて、それから兒童を三つに分けてありますから、分けた上においてはその点は差支ないのであります。少年があつても差支ありませんが「この法律で、兒童とは、満十八歳に満たない者をいい、」という定義が下されておりますから、この定義が普通の通念では十八歳迄は兒童とは言わないのでありますが、これは学術語、その他定義を付ける場合に、十八歳に満たない者は兒童と言うのでしようか、その点を伺います。満十八歳に満たない者を兒童と言う定義が認められるかどうか。
#12
○政府委員(米澤常道君) それは先程からも申し上げた通り、今までの用語例から申しますと、やはり十八歳までの者を兒童と言うことについては、多少社会的な通念から慣れていないということは勿論同感であります。ただここに法律上の定義として書くことについては別に差支はないと思います。
#13
○山下義信君 兒童の福祉でございますが、この法案でどこまで福祉を與えてやろうとなさるお考えでありますかその点を伺います。ちよつと拜見しますといろいろな種類に分けて、差当りその施設にそれぞれ入れる。つまり一口に申しますと收容をするというだけのところに止まつておるようである。それで仮に十八歳になつたならばそれから先をどうしようとなさるのでありましようか。もう十八歳になつて、この法案で保護する年齢が過ぎましたならば、そこからどこへでも行けということにするのでありましようか。もう十八歳まで本法案によつて保護を加えたならば、いつでも一人前になることができるというようにお考えでありましようか。積極的にこういう保護をいたします兒童の將來に向つてのこの法案は、何を考えておるのでございましようか、その点を伺います。
#14
○政府委員(米澤常道君) 福祉の字の範囲でありますが、これはこの法律におきましては保護救済、それだけに止まりませんで、保健指導或いは一般の兒童の健康保險、そこまで含めてある積りであります。それからこの十八歳以上の者についてはどうするかというお尋ねでありまして、これは実際子供を扱う場合におきまして最も大事な問題であろうと考えます。併し法律といたしまして一應の年齢を区切る必要がありますし、例えばこの法律の中におきましても、精神薄弱兒の施設でありますとか、或いはクリツペの施設等におきましては、むしろ二十歳、三十歳、一生涯でも置かなくちやならんというようなことも考えられるのであります。併しこれは法律といたしましては一應限界を区切る必要がありますで、十八歳以上の者につきましては、特殊な場合に二十歳まで延ばすことも條文の中に考えてはありますけれども、実際問題といたしましてはやはりアフタケーヤー兒童保護の施設と申しますか、こういつたものが將來実際行政上の措置として考えていかなくちやならん問題であろうかと考えておるのであります。
#15
○山下義信君 ちよつと私の……まあ只今の御答弁も誠に参考になりましたが、私の伺いたいと思いますのは、このいろいろな各種の施設にそれに対し保護を加えて入れたというだけではその兒童の福祉に本当になりますか、將來その子供が救われて行くか、この十八歳までの間に一つはいろいろな施設の中での子供に対するやり方というものにより、且又十八歳過ぎた後の行き方も何かこの法案の中に含みがありますか、こういう意味なんで、つまり申しますと例えばこの保護施設の中で心身を健やかに育て、それに教育も施し、いろいろして行くというこの前書にもありますようなことを本当にやらなければならんが、それがこの法文の上には現れておらん。これは各施設のやり方を細かく命令か何かで細則のようなものもお決めになりますか、例えばその躾などはどういうふうにしてやるとか、或いは職業はどういうふうにつけさせるとか、教育はどういうふうにやらせるとかいうふうに、この施設の内容がしつかりしておりませんというと、本当の子供の一生涯の福祉をこの法案でこの年齢の範囲内で與えて行くということの目的が私はできんだろう、こう思いますので、その辺に対しまするこの法案はどの程度御用意があるのでございましようかということを伺うのであります。
#16
○政府委員(米澤常道君) 御質問に御答えいたします。勿論我々といたしましても、兒童福祉という点からこの施設に入れることのみを勿論考えておらんのであつて、いろいろなその他の社会的な環境、社会教育、いろいろな面から指導の問題をできるだけ考えて行きたいと思つております。それからこの施設の中のことにつきましてどうするか、私これは勿論御指摘の通り最も大事な根本的な問題であろうかと考えるのでありますが、この施設の運営等につきましても、運営或いは設備についても最低基準というもので或程度是非考えたいということを今考えております。果して最低基準というものでそういうことまで考えられるものかどうかということには、いささか疑問もあるのでありますけれども、この法律ができまして、中央地方にそれぞれ福祉委員会を作る、專門の方々にお集りを願いまして、各それぞれの施設について、その施設の特色を十分考えて、その施設の運営という中には或いはやはり一日の日果と申しますか、プログラムというようなものも入つてくる予定でありますが、そういうものにつきまして実際におやりになつておる方方、その他の御意見を十分拜聽いたしまして、最低基準の面でできるものは是非そこで表して行きたい。こういうふうに考えております。
#17
○山下義信君 他の委員の方の御質問も随分あるようでございますから、私はこれで打ち切りますが、どうも徹底的にそういう点がこの法案には実は現れていない。例へば学校教育をつまりどうするかというようなことは、ただ單に四十六條のところで一ヶ條さつとお示しになつてありますが、つまりいうと、これは生徒に学校に皆行かすというようなことになつておりますのですなこの法案では……。ただその特殊の今言うた不具者でございますとか、ああいうような教護院、ああいうところでの中の学校は認める、こういうことでございますが、教育ということも非常に大切なことで、そうすると例えば百五十名、三百名と收容しております施設は中で教育をすることができるのか、外の学校に通わさなければならんのかというような点が明確でございませんが、教育の與え方、これは一例でありますが、法案はそこはどういうふうに考えておいでになりますか。
#18
○政府委員(米澤常道君) この教育の問題は勿論御指摘の通り最も大事な問題であります。その点は教育をどうするかということは明確にはされておらん点もあるように見受けますが、四十六條の第一項で、結局教育は学校教育法によつてやるのだということを強いてここに言う必要もないかとも思うのでございますけれども、ともかく学校教育法において定めるところでやるのだということをはつきりいたしておるのであります。ただ特殊な教護院とかその他につきまして、普通の学校に來たためにその学校が困るというようなものについてはこういう特殊な規定を設けておるのでありますが、普通の子供についてはできるだけこの区別をしませんで、学校教育法の根本精神でやつていきたいというふうに考えておるのでございますが、只今山下議員のお話の通り実際問題といたしまして、その沢山の兒童が一緒におるような場合に、学校に通うよりもそこでやつた方がいいという御意見も勿論あり得ると考えるのであります。そういつた場合におきましては、この学校がこちらの方に延長して分教場と申しますか、こういうような形でいきたい。原則としてはすべてこの学校教育法という建前でいきたい。こういうように考えておるのであります。
#19
○小杉イ子君 私は先日質問いたしましたきりでおりましたのでございますが、第三十三條の第五項でありますが、満十五歳に満たない兒童に酒席に侍する行爲と業務とさせてはならないという点でありますが、この点は未成年者禁酒法があるのでありますから、まだまだこれを記入せんでもよいとこう思うのであります。若し記入するならは満十五歳は削除する方がよい。どうしてもわざわざ兒童のために念のために記入するとするならば、十八歳までと修正しなければいけないということを提唱いたします。修正すべきことは修正するのが委員会で、削除すべきところは檢討して削除するのが委員会でありまして、殊に宮城先生のお説などは、大いに修正の必要があると私は思つております。
#20
○政府委員(米澤常道君) 只今の小杉委員の御質問にお答えいたします。未成年者禁酒法その他の関係と関聯いたしまして、三十三條の五号が不必要ではないかというようなお尋ねでありましたが、これはこの三十三條の何と申しまするか、罰則が非常に重くなつておりますので、特にこういう十五歳に満たない兒童を保護する必要上、こういう行爲を嚴重に禁止したいというのが、特にこの五号を書いておる趣旨であります。尚十五歳にしないで十八歳にすべきではないかというお尋ねでありますが、これは勿論福祉法は十八歳までを兒童とはしておりますけれどもここに三号、四号、五号に掲げておりますのは、それぞれ十五歳で年齢を区切つておるのであります。これはやはり今日の社会情勢等を考えまして、又この労働基準法なんかと揆を一にする必要もありますので、こういつた三号、四号、五号というような場合には十五歳で年齢を区切つておるのであります。
#21
○井上なつゑ君 第十九條でございますが、十九條の「都道府縣知事は、妊産婦又は乳兒若しくは幼兒の保護者に対して、保健所又は医師、助産婦若しくは保健婦につき、妊娠、出産又は育兒に関し、保護指導を受けることを勧奬しなければならない。」それで「妊産婦及び乳兒又は幼兒の保護者は、保健所又は医師、助産婦若しくは保健婦につき妊娠、出産又は育兒に関し、保健指導を受けなければならない。」と書いてございます。この保健指導を受けなければならないという意味を少しお伺いいたしたいのでございます。國によりますと、妊娠が分りまして登録いたしますと全部妊娠保健手帳が渡る。そうすると、赤ちやんが生まれますと、赤ちやんが生まれましてから二週間くらい助産婦が附きまして指導をいたしておりますが、それからまあ一ヶ年乃至三ヶ年くらいまでは保健婦が月に一囘家庭を訪問するとか、月に一、二囘保健所へ参りますとかして、赤ちやんを全部保健所において指導いたしておるのでありますが、それもこうした法律で定められて何囘來なくちやならないというふうになつておりますが、そうしたような強い意味ではなくて、「勧奬しなければならない」という意味でございますから、これは又育兒の保健指導を受けなければならないということでございますから、そうしたように決まらなくて、任意的に來るという意味でございましようか、それとも乳兒から幼兒へずつとかけて目を離さないで保健指導をしてやりまして、そうして幼兒期が過ぎまして学校へ行きますと、学校の手へ子供を渡して、学校におります間は学校が子供を受取つて教育する。それから学校が済みましたら又この法律によつて何と申しますか、十八歳まで見てやるという意味でございましようか、それとも任意に保健指導を受けに來るという意味でございましようか、ちよつと承りたいのでございます。
#22
○政府委員(米澤常道君) 十九條は第一項と第二項とが実は我々といたしましては裏腹と申しますか、相対した規定というふうに考えておるのであります。第一項におきまして知事ができるだけこういうことを勧奬する。俗に申しますならば、衞生思想の普及その他いろいろな機会を利用いたしまして、こういうことを勧奬しなくちやならないというふうに、知事の方からこういう規定をいたしたのであります。第二項におきましてはこの妊産婦、乳兒の保護者、その自発的な側から又これを受けるようにしなくちやならないということで、これに法律上の義務を附けたわけであります。勿論義務と申しましても、これは強制的にやるというふうな取締上の規定も勿論附いておりませんが、道徳的な義務に過ぎないというような場合もありますけれども、小くとも法律上においてもこういう義務を課しておるんだ。一項と二項とが裏腹と申しますか、相関連してそういうふうな氣持で書いておるのであります。以上簡單に……。
#23
○中平常太郎君 お伺いいたしますが、補助に関する問題も、國並びに縣市町村に対しましては明らかに分つておりますが、個人の篤志者等の特に一般にやられております施設に対しての法規が極めて明瞭を欠いておると思うのでございます。この第三章の兒童福祉施設という所の第三十四條に「國及び都道府縣は、命令の定めるところにより、兒童福祉施設を設置しなければならない。」これはよく分つております。それから「市町村(特別区を含む。以下同じ。)その他の者は、」とありますが、「その他の者」というのが全國一般の篤志家を指しており、又私設社会事業者を指しておると思うのでありますが、ここに「その他の者」ということがある以外に、どうも一般に明らかに、熱情を持つて、人類愛の立場に立つて敢闘するところの、日夜働かれるところの篤志者の場合をどこで謳つておるか。ただ「その他の者」で、誠に被告扱か、要らん者が出て來たかのように、「その他の者」というたつた三文字で、五千何百に垂々とする私設社会事業を「その他の者」で片附けられておるのであろうか。この点をお伺いいたします。
 それからそれに対する補助の問題、激励的の問題がどこにあるか。大いにやつて貰いたいという希望が、この法案のどこに示されておるかということをお伺いします。
#24
○政府委員(米澤常道君) 只今御指摘の通り、三十四條の「その他の者」、これはこの中にいわゆる個人の方、私人の方が入つておるのであります。併しこれは今お話がありましたが、いろいろなこの法律上の用語例がこういうふうによく使つておりますので、この「その他の者」の中に個人の篤志家も含んでおるのであります、
 尚経費の問題でありますが、仮に個人の方でありましても、市町村の経営に係るものでありましても、すべてこれが本法により兒童福祉施設と相成りますれば、その福祉施設に入つておる子供その他につきまして、公私を問わず委託費という形で全部出すという形になつておるのであります。
#25
○小川友三君 時間もありませんので簡單に伺います。第三十六條の乳兒院ですが、十五箇所しか大臣は乳兒院はないというお話を聽きましたが、何人の入院する力があるかということをお尋ねする。何人入院できるか。政府委員の御答弁を願います。第二條に書いてありますこれによつて、國家賠償法という法律が今度できますが、大いにこれから政府は賠償する義務が沢山できたわけでありますが、この不完全なるところの兒童福祉法によつて國家賠償法と睨み合わせてこれを作つたかどうかということをお伺いします。
#26
○政府委員(米澤常道君) 乳兒院へ現在入つておりますのは四百五十七名、これは今年の六月の数字でありますが、四百五十七名入つております。
#27
○小川友三君 収容力は……。
#28
○政府委員(米澤常道君) 実は定員が二百九十七でありまして、それを超えて入つておるという恰好になつております。それから第二條に関聯して國家賠償法についてのお尋ねがありましたが、これは後程研究して又お答え申し上げます。
#29
○宮城タマヨ君 第四十二條のところでございますが、私はこれにこだわるようでございますけれども、ここにございます「不良行爲をなし、又はなす虞のある兒童」ということと、それから少年法にございます「刑罰法令ニ觸ルル行爲ヲ爲シ又ハ刑罰法名ニ觸ルル行爲ヲ爲ス虞アル少年」この区別はどういうことになるのでございましようか。この線はどういう所で引かれるのであろうかということをお答え願いたいのでございます。先程も私は年齢のことで申しましたが、非常にこだはつておるようでございますけれども、司法省との間にどういうお話合があつたか、そんなことを私は伺おうという意味でもなんでもございませんが、そういうのではなしに、本当に子供の仕合せという意味から考えて、どうしても頑張られなければならないところは頑張らなければならんと思うのでございますが、教護院に容れられます子供は、一体十四歳以上十八歳までを容れられますときに、その中の組織はどういうふうになつておりますか分りませんけれども、不良行爲のある者又虞のある者を一緒に容れるということになりましたら、私は子供のために大変これは問題じやないかと思うのでございます。丁度大人の監獄の中に泥棒の子供を一緒に容れて、それがどんなに悪影響があるかということと同じように、小さい子供と大きい子供と、而もこれが泥棒の癖のあるような子供を一緒に入れておるということは、これは由々しい問題になりはしないかということを恐れるのであります。もう一つは泥棒の問題でなくて、これは先程も申しましたけれども、セツクスの教育ということから言うと一番大事な年なので、殊に家庭の子供でも中学時代になつた子供については、うつかりしておりますと、親は氣が付かずに済んでしまう。済んでしまつて事がなかつた子供については、これはもう問題はございませんけれども、隠れたところに非常に問題がある。而もこういう子供たちに対して若い子供と、それからつまりなんと申しますか、少しすねかけて來た子供とを一緒にして置く、つまりすねかけて來るということは、性に目覚めて來るのでございますが、その者を一緒にして置くということは、泥棒をするしないということよりもつと大きな問題がありはしないかと思います。どうしてもいわゆる子供というものと、それから大人になりかけの子供というのは、保護する上でも区別をして頂きたいと思うのでございます。でございますから十四歳ということを、十四歳以下、以上ということで一つお考えを願いたいという希望を持つのでございます。希望を持つのでございますけれども、ここに私の伺いました少年法と申しますのと、教護院法で申しております不良行爲、犯罪行爲ということについての筋を、先ずどこで線を引くかということを伺いたいのであります。
#30
○政府委員(米澤常道君) この第四十二條の不良行爲という字句の解釈からいたしますと、これは不良行爲という字の範囲から申しますと、勿論虞犯少年というものも普通の解釈からは入つて來ると思います。併し法律的に申しますと、この兒童福祉法と少年法とそれぞれ一緒にして、これは綜合解釈をされなければならんということに相成るのでありますから、俗に言う不良行爲というのには勿論虞犯少年というものも入りますけれども、この両方の法律を綜合して解釈するということになりますれば、この少年法で申します虞犯少年と申しますのは、いわゆるこの刑罰法令に触るる行爲或いはその心配のある子供、更に又少年法の保護処分をなす必要のある兒童、こういうことにあるのでありまして、線を引くと申しますが、これは年齢とかなんとかいうことでは線は引けません。今までと違いまして十八歳まで引上げました関係上、年齢によつて線は引けませんけれども、観念上明らかに虞犯少年、犯罪を犯した少年或いは犯罪を犯す虞のある少年につきましても、少年法におきましては特別保護処分をするということになつております。それですから保護処分をなす子供或いは犯罪少年であつて刑を科すべき子供が少年法ということになつておると思います。それから教護院等におきまして、子供の分類という問題は、御指摘の通り非常に大事な問題でありますし、むずかしい問題であるのでありますが、これはできるだけ今後は科学的にこの分類收容ということを研究いたしたいと思います。できますればその一つの教護院におきましても、子供を十分に分類いたしまして收容、保護したいと考えておるのであります。
#31
○委員長(塚本重藏君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時三十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
   委員
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           三木 治朗君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           木内キヤウ君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小川 友三君
           小杉 イ子君
           波田野林一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           山下 義信君
           千田  正君
  政府委員
   厚生政務次官  金光 義邦君
   厚生事務官
   (兒童局長)  米澤 常道君
ソース: 国立国会図書館
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