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1971/05/12 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第20号
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1971/05/12 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第20号

#1
第068回国会 商工委員会 第20号
昭和四十七年五月十二日(金曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 鴨田 宗一君
  理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君
   理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君
   理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君
   理事 吉田 泰造君
      稲村 利幸君    内田 常雄君
      神田  博君    北澤 直吉君
      坂本三十次君    田中 榮一君
      前田 正男君    増岡 博之君
      松永  光君    山田 久就君
      石川 次夫君    岡田 利春君
      加藤 清二君    松平 忠久君
      岡本 富夫君    広沢 直樹君
      川端 文夫君    西田 八郎君
      米原  昶君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  田中 角榮君
 出席政府委員
        外務省経済局長 平原  毅君
        通商産業政務次
        官      稻村左近四郎君
        通商産業省通商
        局長      山下 英明君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    佐々木 敏君
 委員外の出席者
        国税庁直税部法
        人税課長    垣水 孝一君
        通商産業省通商
        局国際経済部通
        商関税課長   寺田 恵一君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 加藤  孝君
        自治大臣官房審
        議官      石川 一郎君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  川端 文夫君     西田 八郎君
同日
 辞任         補欠選任
  西田 八郎君     川端 文夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第五二号)
     ――――◇―――――
#2
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。
 先ほどの理事会で御協議願いましたとおり、本案審議のため、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#5
○鴨田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。樋上新一君。
#6
○樋上委員 最近の国際情勢は大きく変化してまいりまして、きのうの毛織物、ポリエステル混における米国の関税評価差しとめ、昨年の政府間協定、発展途上国の追い上げ、国内的に見ても、労働力のコストの上昇、構造改善による導入工事の大型化、導入設備の高額化等、わが国の繊維工業界を取り巻く環境はますます悪化しております。このような状況を考慮するとき、よほど思い切った構造改善資金を投入しなければ、今後二年間において当初の目的を完遂することはできないと思うのですが、この点はどうお考えになっていますか。
#7
○佐々木(敏)政府委員 先生のお話のように、最近の繊維産業をめぐる国際情勢の悪化は非常にきびしいものがございます。繊維産業は元来中小企業を主体にする産業でありますし、また産業構造的に非常に複雑な業種でありますけれども、従来とも繊維産業の構造改善、体質の近代化等につきましては、特繊法の構造改善措置とか、近代化促進法等の近代化措置によりまして体質改善をはかっておった次第でありますが、特に昨年の日米政府間協定の実施に伴いまして、非常な影響を及ぼしておる次第であります。したがいまして、昨年来、自主規制に伴う対策あるいは政府間協定に伴う対策といたしまして、政府といたしまして二千四十六億円にのぼる救済対策を実施しておる次第であります。今後とも近代化、構造改善あるいは国際環境に対応するもろもろの措置につきましては、強力に実施をするつもりでございます。
#8
○樋上委員 二年間延長されました。またこの計画は何を根拠にして作成されたのか。いわゆる繊維工業審議会あるいは産業構造審議会の答申によると思いますが、しかしその答申といえども、国の基本計画、いわゆる新全国総合開発計画あるいは新経済社会発展計画をもととしているわけであると思いますが、この国の基本計画すら現在手直しをされていると聞いておりますが、単に二年間延長するというのではなく、じっくりと長期的な展望に立って計画を作成すべきではなかったか。この点はどうお考えになりますか。
#9
○佐々木(敏)政府委員 ただいまの特繊法の二年間延長でありますが、実はこれにつきましては、通産省にございます産業構造審議会もしくは繊維工業審議会によりまして、一昨年の暮れ、昨年の九月、御答申をいただいたその御答申に基づきまして策定をしておる次第であります。しかしながら昨年の自主調整あるいは政府間取りきめ、もしくはドル・ショックというような新しい事態に遭遇しておる次第であります。それにつきましては、ただいま申し上げましたように別途多額の政府資金を出しまして、繊維業界の救済に当たっている次第であります。したがいまして、こういった一連の政府救済、政府対策、それと今回の二年間の構造改善とあわせまして、二年後におきましては繊維産業の体質は一応改善される、かように考えておる次第であります。
#10
○樋上委員 普通一般に構造改善ということ、また設備の近代化でありますが、今後二年間で構造改善を達成するためには、金融におきましても税制も新段階で考えなければならない。それが必要ではなかろうか、こう思うのでございます。この点について、金融、税制上どのようなお考えを持っていらっしゃるか、産業構造の転換について、金融対策をどのように考えておられるかということをお伺いします。
#11
○佐々木(敏)政府委員 ただいま申し上げましたように、今回の政府対策によりまして、自主規制におきましては総額六百億円の長期低利融資をいたしておりますし、政府対策では七百五十億円の長期低利対策を実施いたしております。なお、構造改善関係あるいは近代化促進法関係、それぞれ長期低利の融資を用いまして、繊維産業の近代化あるいは運転資金の潤滑化等を促進してまいりたいと思っております。
#12
○樋上委員 繊維産業が石炭の二の舞いにならないように、私は必要以上におそれているのでございます。今後の産業は知識集約型産業の方向である、こういうぐあいにいわれているのですが、繊維産業はファッション型産業であるのが傾向であるといわれておるのですが、こういった産業構造の転換に伴って、繊維産業に対して一体どのような位置づけをしていくのか、こういう点をお伺いしたい。
#13
○佐々木(敏)政府委員 先生おっしゃいますようにまさにわが国の繊維産業は発展途上国の追い上げもございますし、また先進国の輸出の、保護主義の制限もございますし、今後の繊維産業の方向は、まさに知識産業、高級化、ファッション化あるいは高付加価値産業に転進すべきであろうと考える次第であります。つきましては、今回の特繊法の改正によりまして、繊維工業構造改善事業協会の基金といたしまして、振興基金を設けまして、政府は十億円の出資をいたす予定であります。その十億円の出資のほかに民間企業から出指金をちょうだいいたしまして、将来は五十億程度の振興基金をつくりまして、その振興基金でもってただいま先生おっしゃいましたような繊維産業の高級化、ファッション化、高度の需要に応ずるような繊維産業の質的改善を促進してまいりたい、かように考えておる次第であります。
#14
○樋上委員 低開発国の追い上げに対しまして、デザイン開発、また技術開発など強力に推進していかねばならない。関連産業の協力が必要であるし、このため育成指導をはからないと、この二年間では構造改善は達成することができない、こう私は心配するのですが、この点、だいじょうぶでしょうか。
#15
○佐々木(敏)政府委員 構造改善の柱といたしましては三本ございまして、過剰設備の処理、設備の近代化、それと生産規模の適正化、要するに三本の柱で繊維産業の構造改善を進めていく予定でございますが、そのうちまず過剰設備の処理を中心にいたしまして、極力繊維産業全体の規模の適正化をはかってまいりたいと思います。それと同時に、現在、ただいま申し上げましたような質的な繊維産業の施策を講ずる予定でありますが、特にそのような高付加価値、高級化等の質的な繊維産業施策につきましては、四十九年度以降抜本的な対策を講じたい、かように考えておる次第であります。
#16
○樋上委員 前回、四十二年から四十六年までの構造改善計画の目的は、一は過剰設備の処理、二は設備の近代化、三は企業規模の適正化であったのですが、その目的が達成されておらない。今回の改正により特定精紡機の処理にかかる規定が削除されるが、今後構造改善を進めて高能率の設備を導入していく過程で過剰設備が生ずるおそれはないのか。この点はどうかと思うのです。これは御承知だと思うのですが、昭和四十三年百十二万錘の精紡機の廃棄が行なわれ、目標を達成したともいわれておるのですが、この点はどうですか。
#17
○佐々木(敏)政府委員 御指摘のように、昭和四十三年におきまして、特繊法に基づきまして、綿スフ紡績業につきまして過剰設備の一括廃棄を実施した次第であります。その段階におきましては、一応適正規模に紡績業はなった次第でございますけれども、その後における国際情勢の変化等によりまして実は今回過剰紡績業につきまして精紡機の政府買い上げを実施する予定になっております。ただこれは政府が特に中小紡績業につきまして希望者から法律に基づいた綿スフ、合繊紡以外にさらに毛紡、麻紡につきましても買い上げをするということでございまして、法律の共同行為で一括処理するという趣旨ではございませんから、法律から落とした次第であります。
#18
○樋上委員 かりに精紡機が過剰を生じた場合はどのような処置を講ぜられるか、その点をお伺いしたいのです。
#19
○佐々木(敏)政府委員 現在の情勢、すでに精紡機につきましては綿紡から麻紡まですべての精紡機につきまして過剰の状態でございます。したがいまして、今回政府間取りきめに基づく対策によりまして、精紡機をただいまのところはほぼ五十万鍾程度買い上げるべく予算を措置しておる次第であります。
#20
○樋上委員 五十万ということでだいじょうぶだろう、こう言っておられるのですけれども、それでは、織布業において織機の上乗せ廃棄を行なっているのですが、現在いわゆる未登録機が多数存在し、構造改善事業の推進を阻害しているようですが、現在未登録機についてどう把握していらっしゃるか、その点についてお伺いしたい。
#21
○佐々木(敏)政府委員 織機につきましては、申すまでもなく中小企業団体法に基づきまして織機設備制限規則で、一切の織機につきまして設備制限、登録制の実施をしておる次第であります。しかしながら、その登録を受けておらないいわゆるやみ織機が現在まだ撲滅されずにある次第であります。正確な実態につきましては、現在来月上旬までにかけまして正確な実態を確認する予定になっておりますけれども、従来から業界方面の推計によりますと、綿スフ、絹人絹織機、毛織機によりまして合計八万台程度あるいはそれ以上存在するというような業界の推定になっておる次第であります。
#22
○樋上委員 それでは、現在ある未登録やみ織機は認めていくのですか。
#23
○佐々木(敏)政府委員 もちろんやみ織機は、ただいま申し上げましたような法律違反の織機であります。したがいまして、従来とも通産省といたしましてやみ織機の取り締まりにつきましては強力な対策を講じておる次第であります。昨年八月以降、特に各通産局を督励いたしましてやみ織機の撲滅につきまして大いに努力をしておる次第であります。
#24
○樋上委員 特に、やみ織機の保有者は零細機業者が多いと私は思うのでございますが、この人たちにどのような指導をしていくのか、具体的に御答弁願いたいと思います。
#25
○佐々木(敏)政府委員 ただいま申し上げましたように、やみ織機台数はほぼ八万台以上ございますが、おおむね持っております業者は比較的零細機業であろうかと存ずる次第であります。したがいまして、従来ともやみ織機の取り締まりにつきましては厳重に指導しておる次第でありますけれども、零細な一台、二台という生業的な機業につきましては、できるだけ登録権のあっせん等をいたしまして無籍の解消につとめておる次第であります。
#26
○樋上委員 これはなかなかむずかしいことでございまして、非常にその商品などがやみに販売されておるということもうすうすわかっておいでになると思うのですが、これらの未登録機により四十八年度末における織布業のあるべき姿、いわゆる構造改善後のあるべき姿について見直すことが必要ではなかろうかと私は思うのです。構造改善を進める中でこれらのやみ機械をどう扱うのか、また今後やみ機械の取り締まりの方針はどうなっているのか、二年延長後の過剰織機についてどう見ていくのか、こういう点についてもう少し具体的にお答え願いたいと思うのです。
#27
○佐々木(敏)政府委員 一つの業界の構造改善は、申し上げるまでもなく、法律的に認められた登録設備のほかに、現に動いておるやみの設備も含めまして、業界の需給関係が成り立っておる次第であります。したがいまして、私どもは、まず登録設備につきましては、先ほど申し上げましたように、過剰の織機を政府ができるだけ買い上がる。もう一つは、やみ織機につきましては、現在ございます八万台以上の織機を極力計画的に縮小せしめる。その両方の方法によりまして、四十八年度における織布業界の適正規模の水準を達成したいと考えている次第であります。
#28
○樋上委員 この四月二十五日付の新聞で「通産省の稻村政務次官は二十三日、自民党石川県連定例大会に出席のため金沢を訪れ、記者会見で次のように語った。」というところがあるのですが、「無籍織機保有者は零細機業が多いので、第二区分登録ということで現在の無籍織機を一応認めてゆく。しかし、今後の取締まり体制は厳格にやるつもりで」、そこでどういうことをやるかというと、「一、産地監視委員長による無籍設備の廃棄、二、産地監視委員長による戒告公表、三、通産局長による戒告の公表、四、通産局長より戒告業者の取引先に対する取引き停止の勧告およびその旨の公表、五、通産大臣による一年以内の期間の事業停止命令、六、産地監視委員長による刑訴法に基づく告発、七、政府系金融機関による融資の繰上げ償還などを行ない業界の秩序ある発展に寄与させたい。正直者がばかをみる現象は取り除かねばならない。」こういうように稻村政務次官がおっしゃっているのですが、これはこのとおりやられるのですか、どうですか。
#29
○稻村(佐)政府委員 御指摘の無籍織機の取り扱いについては、これはいろいろ議論が出ておるところではございますが、今後無籍織機――今度の特繊法改正にいま御審議をいただいておるわけでございますが、そういった等々も踏まえまして、やはり将来の無籍という問題についてはここで思い切って今後の歯どめを考えていかなければならぬと思います。そういう意味合いから、これは正直者がばかをみるというような形から期限を切るとかあるいはいろいろな議論も出ておると思いますが、これは私のあくまでも私見ではございますが、一応ここで洗い直しをいたしまして、第二次登録、そのことばがいいのか悪いのかわかりませんが、一応第二次登録という形で、無籍という、やみという、こういうことばをなくしていくことが将来の歯どめになるのではないか、こういうふうに考えております。
 そこで懲罰規定の問題については、あるいは大臣の一年の営業停止命令とか、こういういろいろなことが、発言をいたしてはおりますが、はたしてそういったものができるものであるかどうか、今後法制局等々といろいろ相談の上にやはり決定をしていかなければならぬ、こういうように考えております。
 問題はせっかくの政府の救済対策、政府の施策、二千億にのぼる対策等々考えた場合に、やはり合理化、近代化を進めて日本の伝統ある繊維業界というものを、むずかしいことではございますが、永遠に位置づけていかなければならぬ、こういうような意味合いから過剰設備の買い上げ等、国民の税というか国庫負担によっていたしておるというような関係から、やはり無籍者に対しては厳然たる態度で臨むことは当然ではなかろうか、こういうふうに考えております。
#30
○樋上委員 いま第二期分登録とおっしゃいました。そうすると、いま現在ある第一期、それはどうされるのですか。それはそのまま認められて、これがまた第二期分というようなことに発展してこないかと思うのですが、この点どうでしょう。
#31
○稻村(佐)政府委員 現在の登録はそのままでございますから、第二次登録というのは、これは一つのやみ織機という名前を第二次登録ということで形をよくしたにすぎないわけです。これは買い上げにも応じませんし、また権利の譲渡もいたしません。そういう意味合いから、今後それでは第三次登録ができるかという議論はここですべきではないと思います。今後は絶対無籍というものはふやさせてはならぬし、ふやすべきではない、こういう議論の上に立つべきだ、こういうふうに考えています。
#32
○樋上委員 なぜやみ織機のことについて私はこういうようにこまかくお伺いするかといいますと、このやみ織機の実態を確実に把握しておかないと、今後二年間の延長計画におきましてもかなりの誤算が生じることと私は思うのです。ですからこういう実態を執拗にお伺いするのです。零細企業の業者を守っていかなければならぬ立場にある私たちでございますから、こういうことがあってはならないのですけれども、登録票ですか、あれをもらうのに非常に苦心をして、それが高額なところで買わされておる。そういうことは悪いこととはわかっていながらも、買わなければやっていけないというように、中間の業者が非常に得をしておるというようなこともよく私は聞くのですけれども、こういう点はどうでしょう。
#33
○稻村(佐)政府委員 御指摘の問題につきましては、各産地ごと業界を通じまして協力を要請いたしております。また通産省といたしましても、各担当官を各産地に派遣をいたしまして、実態調査ということに取り組んでおるわけでございますので、全く近日中に正確なデータが出てくるものと期待をいたしておりますし、また出てきてもらわなければならぬ、こういうふうに考えております。
#34
○樋上委員 十分零細企業のためにも、また正直者がばかを見ないようにしていかなければならぬとあなたがおっしゃったように、それを私は強く要望しておきます。
 この問題はこれで終わりますが、次に振興基金についてでありますが、この特定繊維工業以外の繊維工業を含めた理由はどうでしょうか。
#35
○佐々木(敏)政府委員 繊維産業はあらゆる繊維別業種あるいは糸から最終製品まで一体になりまして質的な向上をはかっていくべき産業であろうと考える次第であります。かつ今回の日米政府協定によります対策も全繊維産業を対象に対策を講じておる次第であります。したがいましてその一環の振興基金対策でありますから、これには特繊法対象業種の四業種のみならず、あらゆる業種をその対象にいたしまして、繊維産業の質的向上をはかってまいりたい、かように考えたのが理由であります。
#36
○樋上委員 四十七年度振興基金として十億円国から出資されるようになっていますが、業界からの出資金はどの程度を予想しておるのか、また将来どのような計画をしていらっしゃるのか。
#37
○佐々木(敏)政府委員 政府の出資は四十七年度十億円でございます。それに加えまして業界の出捐金を合わせるわけでございますけれども、これはあくまで業界の自主的な今後の自分たちの質的向上をはかっていくという意欲に基づく性質のものでございます。したがいまして現在のところは正確な見通しが立てにくいのでございますけれども、私ども業界とただいま話し合っておる見通しといたしまして、今後七年間にほぼ三十数億円の業界の出指金を期持する、かような立場でございます。したがいまして、政府出資合わせまして、将来におきましては五十億円近い基金になるかと存ずる次第であります。
#38
○樋上委員 基金の運用についてですが、どのように運用され、その助成措置等をどのように考えているのか、また助成対象、特に海外における調査の場合はどうなっているのか、この点をお伺いします。
#39
○佐々木(敏)政府委員 振興基金は業界が行ないます繊維産業の質的向上に役立つもろもろの事業に対して補助をするわけでございますけれども、私どもただいま考えております振興基金による助成対象といたしましては、新しい商品の開発、たとえば耐熱性繊維等新しい糸を用いた織物の試織というような、新規商品の開発あるいはまた新技術の開発、また新しい市場、海外の新しい市場を開拓するためのいろいろな展示会、見本市の開催、あるいはまた海外市場の需要動向とか、諸外国の繊維産業の現状とかいうような調査、それと新技術の普及あるいは労働者の技術向上のためのコンクールの開催等々、それぞれの業種の産地組合になり団体等が行なう事業に対しまして振興基金から補助をする、かような方策を考えておる次第であります。
#40
○樋上委員 振興基金の業務は五十七年、本法は四十九年で廃止される。かなり差があると思うのですが、本法廃止後振興基金についてどのような処置を講ずるのか、この点お伺いします。
#41
○佐々木(敏)政府委員 特繊法の構造改善事業は、先生おっしゃいましたように、四十九年六月末をもって廃止するということでございますが、振興基金はその四十九年六月末におきまして、さらに本年から十年間延長できる、そのような措置を法律できめることになっておる次第であります。
#42
○樋上委員 私は、その振興基金の今後のことについて、法律で十年間延長するということになるというのですけれども、その点、この運用方法についてお伺いしているのですが、まあいいでしょう。
 それでは評議員についてお伺いします。振興基金の創設に伴い、五名の評議員が増員されるが、どのような人選を考えておられるのか。
#43
○佐々木(敏)政府委員 評議員は現在二十名をもって構成されておる次第でありますが、今回特繊法によりまして、ただいま申し上げましたように、特繊法対象業種の四業種以外に、特に振興基金関係におきましていろいろな業種が参画するわわけであります。したがいまして、構造改善事業協会の運営におきまして、従来の四業種に関連する方のほかに、その他の業種の専門家の方々を五名ほど追加して選任したい、かように考えておる次第でございます。
#44
○樋上委員 五名の評議員を増員されるのはわかるのですけれども、人選は、いま何とおっしゃったのですか、どういう方法でされるのですか。
#45
○佐々木(敏)政府委員 五名の人選はまだきまっておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、繊維業界全体が振興基金の対象になるわけでありますから、今後事業協会の理事長が通産大臣の認可を受けまして、振興基金に対して出損をする業界代表を主体にいたしまして、さらに広く繊維問題に関して学識経験を有しておられる方も含めて五名人選する予定であります。
#46
○樋上委員 次に、信用基金の対象拡大についてお伺いしたいのですが、特定紡績事業者にまで拡大した理由、またその中に大手九社が含まれるのか、含まれないのか、この点どうですか。
#47
○佐々木(敏)政府委員 紡績業につきましては、今回の政府間協定の対策で、中小紡を中心にいたしまして設備の買い上げをいたすことになっておる次第でございます。したがいまして、紡績業の出損は、形式的には紡績業のそれぞれの団体から出損することになっておりますけれども、実質的にはただいま申し上げましたような買い上げの対象になります中小紡績が実質的な負担をすることになろうかと存ずる次第でございます。
#48
○樋上委員 大手九社は含まれないのですね。
#49
○佐々木(敏)政府委員 たいへん失礼いたしました。先生の御質問が振興基金かと思いまして申し上げましたが、信用基金につきましては、もちろん信用基金の性格からいたしまして、資金調達力の弱い中小紡が対象になるわけであります。今回の政府間協定対策の融資も、中堅企業を含みました中小紡がその対象であります。したがいまして、信用基金の対象としては、中堅企業を含んだ中小紡績ということであります。
#50
○樋上委員 大手九社は含まれないのですね。
#51
○佐々木(敏)政府委員 はい。
#52
○樋上委員 わかりました。これは含まれると問題ですから念のために尋ねておくのです。
 染色、メリヤス製造業についても、目下本法による構造改善が進められているが、その進行状況はどうなっていますか。
#53
○佐々木(敏)政府委員 構造改善の対象業種は四業種でありますが、まず染色業につきましては、構造改善の柱といたしまして、グルーピングと設備の近代化を実施している次第であります。グルーピング、企業の集約化につきましては、現在までグループの数が、目標は八十グループに集約する目標でありますけれども、現在まで十五であります。また設備近代化につきましては、これまで五百四十億円程度の融資をいたしておる次第であります。
 メリヤス業につきましては、これも企業の集約化でありますが、現在一万三千企業ございます企業を、九百程度のグループにする目標であります。ただいまのところ、うち三百五十ばかりグループ化が行なわれておる次第であります。
  〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
また設備の近代化につきましては、グルーピングをいたしました組織に対しまして振興事業団から融資をするのでありますけれども、現在、融資によるメリヤス業の近代化率は四〇%程度であります。
 染色、メリヤスはいずれも四十八年度まででございまして、四十六年度は三年目でありますから、若干進捗率は低いという程度でありまして、今後の努力によりましては目標どおり達成できるかと考えている次第であります。
#54
○樋上委員 以上で私の質問を終わります。
#55
○橋口委員長代理 西田八郎君。
#56
○西田委員 まず、今度の特繊法の期間延長についてですが、今日まで四十二年から五年間行なわれてきた繊維産業の構造改善事業が、どの程度進捗しているのか、その進捗率等についてお伺いをいたします。
#57
○佐々木(敏)政府委員 構造改善業種は四業種でありまして、紡績、織布、メリヤス、染色の四業種でございます。
  〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕
うち紡績と織布につきましては五年間経過した次第であります。メリヤスと染色につきましては三年間経過して、まだ途中でございます。したがいまして、進捗率はそれぞれの業種によって異なっておる次第でありますけれども、紡績業につきましては、構造改善の第一の柱であります過剰設備の処理、一括行為によります過剰設備の処理は、四十三年度で計画どおり完了いたしております。しかしながら設備の近代化、企業規模の適正化につきましては、遺憾ながら、五年経過いたしましたが、目標どおりに現在達成いたしておりません。
 織物業につきましては、全国九十一産地のうちで生産量の八〇%を占めます四十一産地が参加しておる次第でありますけれども、設備のビルドにつきましては、当初計画に対しまして、現在ほぼ投資額におきまして七〇%程度でございます。過剰設備の処理につきましては、これは日米繊維の救済対策を別にいたしますと、当初目標に対しまして二十数%というふうに、非常に少ない状態であります。ただ、これは政府対策の過剰設備買い上げを含めますと、もちろん当初の計画をほぼ達成できることになっておる次第でありますけれども、構造改善の法律に基づく過剰設備の処理は非常に少ないという状況であります。また、企業の集約化につきましても、一企業五十六台平均を目標にしておった次第でありますけれども、現在のところ三十八台と、まだ非常に低い数字でございます。
 メリヤス業につきましては、ただいま三年目が終わったところでありまして、全企業一万三千の企業を九百のグループにする目標であったのでありますけれども、四十六年度末までにおいては三百五十程度であります。設備近代化につきましては、グループをつくりましたものをその対象にいたしまして事業団から融資をするのでありますけれども、ただいま四十六年度までの融資は百十五億円程度でありまして、近代化率は四〇%というような状況であります。
 なお最後に染色業につきましては、四十八年度までにグループを八十ぐらいに集約化しようということでございますけれども、現在までのところ十五にとどまっておる次第であります。設備近代化につきましても、五年間でほぼ一千億程度のビルド資金を目標としておるわけでありますけれども、ただいまのところ五百四十億円程度の実績でございます。
 以上でございます。
#58
○西田委員 こうして伺ってみますと、紡績の設備処理だけが大体完了して、あとはまだまだこれから、こういうところであるわけですが、紡績にいたしましても、設備処理はしたけれども、その後の五年間での技術革新あるいは近代化の進捗等によりまして、かなりまた生産過剰になる状況が生まれてきているのではないかというふうに思うわけですが、そうした面も含めて、あと二年間で、この残されている部分がすべて大体、まあ完全とはいえなくても、ほぼ達成できる見通しがあるのかどうか。そして今日までのその進捗度合いが非常に低い、そのおもな原因は一体何にあるのか、そうした点についてお伺いをいたします。
#59
○佐々木(敏)政府委員 紡績業の構造改善の進捗率は非常に低いわけでございますが、これは四十七年度、四十八年度、二年間におきまして極力設備の近代化、企業規模適正化につきまして努力する予定であります。ただこの法律に基づきます設備の近代化、企業規模の適正化のほかに、政府買い上げを、ただいま約五十万錘程度買い上げる予定で作業を進めている次第でありますが、これを合わせまして、四十八年度までにおきましては、紡績業の構造改善がほぼ終了するであろう、かように考えておる次第であります。
 なお、お尋ねの構造改善がこれまでおくれてしまった理由でありますけれども、私どもやはり残念ながら、最近における内外の経済環境が当時の予想を上回って変化しておるのは事実でありまして、特に発展途上国の追い上げとかあるいは先進国の保護主義の台頭とか、きわめてきびしい状況が、四十二年当時見通しをいたしました経済環境とはるかに違った様相を含んでおるのであります。もう一つは、このような国際環境の変化、特に近年における景気の変動といいますか、低迷といいますか、ということによりまして、やはり業界サイドの設備投資の意欲が一昨年、去年あたり非常に低下した。設備投資の手控えといいますか、そういった状態があったことも事実であります。さらに、紡績業におきます紡機の技術開発の点といたしまして、特にオープン・エンド紡機とかその他の新しい紡機が技術の革新期に入ったというような時期でありまして、業界におきまして、過渡的に精紡機の機種選定に悩んだというようなことも一昨年当時あったのであります。以上のような三点から構造改善がおくれたかと思うのでありますけれども、今後はこのような見通しの間違いをすることなしに、二年間において構造改善を達成したいと考えておる次第であります。
#60
○西田委員 昨年締結されました日米繊維の毛、化合繊に対する輸出協定、貿易協定ですか、こうした問題が起こってきたのは、ハプニングといえばハプニングかもわかりませんが、私は、決してハプニングではない、そういうことが当然予想されたことであるし、カナダとの間における自主規制におきましてもすでに行なわれておることですし、ECに対しましても行なわれておるというような情勢の中から、さらに、開発途上国の追い上げというようなことはもう理屈にならぬのではないか、そういうことが考慮されるから、構造改善に取り組もうということになったわけで、それが理由であったということにはならないと思うし、さらに産地の景気の動向が非常に低迷をしたのでということもいわれるけれども、それならばなおのこと、やはりこの構造改善を進めなければならなかったのではないか。問題はもっと深いところに根があるのではなかろうか。と申しますことは、やはり繊維工業はきわめて少ない資本投下で操業ができるし、さらに繊維というものは、最近アフリカへ行きましても南米に行きましてもニューギニアへ行きましても裸で暮らしておった人が衣類をつけるようになってきたわけです。最近私も中国へ行ってまいりましたが、中国等ではまだ綿布の制限をされておるようであっても、とにかく七億という人民が服を一着ずつつくったとしても、十何億ヤールという衣料を必要とする。そういうことに目を先に向けてしまって、そしてみずからの生産の体制の立て直しをしようという根本的な構造改善そのものの理解がなされていなかったところに問題があると思うわけですが、そういう面について、ただ産地組合なり構造改善事業協会なりだけにそういう問題をまかしておくということではどうにもならぬのではないか。織布につきましても、九十一産地のうち四十一産地、全体の大体八〇%の生産量を占めるところはかなり進んでおる。ほとんど、ほぼ完了に近い状態になってきておるということですが、あとの残る五十産地、この二〇%が問題なんですよ。ですから、そういう点に対する指導というものもやはり非常に必要ではなかったかと思うわけでありますが、そうした点に対しての欠如について、一体どういうふうに通産省としてはそれをとらまえておられるか。さらにはこの二年間で、それでは急速に意識の変化を起こさして、この目標を達成することがほんとうに可能なのかどうか、その辺について局長どうお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
#61
○佐々木(敏)政府委員 織布業の特繊法に基づきます構造改善に参加しておりますのは、ただいま申し上げましたような全国の全部の業界ではございませんけれども、ただ、別途中小企業近代化促進法に基づきまして、それぞれの産地におきまして施策を受けておる次第であります。もちろん私ども繊維産業全体が今後きびしい国際環境の中にあるということでございますから、この二年間でわが国の繊維産業が抜本的な体質改善、構造改善が達成されるとは考えておらない次第であります。ただ、繊維産業というものは今後構造的にきわめてきびしい国際環境の中に入るのは必至でございまして、私ども業界の自発的な自覚、きびしい状態を自覚するということにつきまして、極力指導をしておる次第でありますし、さらに今回の特繊法の終了以降におきましては、繊維産業の質的な高級化、ファッション化、高付加価値、先進国型の繊維産業に脱皮するための長期ビジョンにつきまして、今後通産省としては積極的に一つのビジョンをつくりまして業界を指導してまいりたい、かように考えておる次第であります。
#62
○西田委員 質問した要旨が十分わからなかったので、何か誤解をされたようでありますが、私は先ほど例を申し上げたのは、織布の九十一産地ということを申し上げたので、業界の各業種全体にわたってこの特繊法が適用されておるということを申し上げたのじゃないので、その点はひとつ誤解のないようにしてもらいたい。そのことは承知をいたしておりますが、その特定としてあげた業種でこういう問題が残っておるということを申し上げたわけです。
 そこで私は、この構造改善がどんどん進められていってもなおかつ問題になってくるのは、繊維産業全体の業種別のバランスというものをどうしても保っていかなければならないというふうに考えるわけです。そうしますと、織機のほうも現在無籍が八万台もあるというふうに聞いておりますし、さらに紡績のほうも過剰な設備は整理したといいながら、なおかつ技術の革新であるとか改善、向上によって生産性が非常に高まってきておるというような点から、織機と紡機のバランス、さらに合成繊維の生産量とのバランス、それとニット等のメリヤス業界との流れ、そのいうようなもの全体を考えてみますと、はたしてこれで均衡のとれたバランスになるかどうか、非常に問題になってくると思うのですね。そういう点に対して、四十九年まではこの法律に基づいての構造改善を進められるとしても、四十九年以降は一体どうなるのかということが非常に憂慮されるわけであります。その四十九年以降を一体どのようにするのか、何か特別にお考えはあるのか、お伺いしたいと思います。
#63
○佐々木(敏)政府委員 先生おっしゃいますように、繊維産業は、糸から織物、染色、加工、縫製、一連の段階を経まして繊維産業全体の構造改善をはかっていくべきであるのは当然でございます。したがいまして、今回の政府間協定に伴う政府の買い上げあるいは構造改善もしくは中小企業近代化促進法の近代化、いずれも糸、織物、メリヤス、縫製、染色、バランスのとれた形で推進してまいりたいと考えておる次第であります。ただ政府間協定に伴う買い上げにつきましてはやはり中小企業に対して非常に影響を与えておるわけでありまして、その点は若干織物等に買い上げのウエートが高まっておるかと思いますけれども、他のもろもろの施策を講じまして、糸から最終製品の段階までできるだけ量的なバランスをとった構造にしてまいりたい、かように考えております。そうなりました暁におきましては、量的な繊維産宋の規制ではなくて、むしろ高度化、ファッション化に伴う質的な繊維産業の方向というようなビジョンをつくりたいと考えておる次第であります。ただいま、近く繊維工業審議会、産業構造審議会にそのような将来における繊維産業の質的長期ビジョン、これをおはかりをいたしまして、今後の対策を講じてまいりたいと考えておる次第であります。
#64
○西田委員 きわめて重要な国の施策ということになるわけですから、これはいずれまた後ほど大臣が御出席のときにお伺いをすることに、質問を留保しておきます。
 いまの答弁の中でやはり一番問題になるのは、繊布の構造改善が現在進められておるわけですが、八万台あるといわれておる無籍の織機をどうするかということが非常に大きな問題になってくると思うのです。特に無籍が綿織布関係について二万台、絹、人絹関係で二万台、そして毛工連が三万台という大幅な無籍を残しておるわけですね。そういうものに対して一体どういうふうに処理していかれるのか、これは構造改善にまじめに取り組んできた産地等に対して非常に過酷な存在になってきておるわけであります。これに対して一体どういう処置をしていかれるのか。その八万台の無籍織機というものは、二年間でこれは完全に処理し切れないと思うのです。そこで、通産省のほうで新しくまた有籍化しようという動きもあるように聞いておるわけでありますけれども、そうした点は実際やられるのかどうなのか、この辺のところをひとつ聞かしていただきたいと思います。
#65
○佐々木(敏)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、残念ながら無籍の設備が現在八万台程度、もしくはそれ以上存在しているわけであります。通産省といたしましては、これは明らかに中小企業団体法に基づく織機制限規則の違反でありまして、従来とも厳重な取り締まりを実施いたしてまいったのであります。特に、昨年八月以来自主協定に基づきます救済対策が出されました以上、政府が買い上げをするというような措置をとります以上は、このような無籍を放置するわけにはまいらない、かような観点から強力な無籍解消施策を講じてまいったのであります。簡単に申し上げますと、昨年八月、全国的に各通産局に商工部長をチーフにいたします無籍監視委員会を置きまして、また各産地ごとにも監視委員会を置きまして専任の監視員を任命いたしまして取り締まりを強化しておる次第であります。無籍の実態を、取り締まりの強化と併行いたしまして、現実にいかなる地域にどういう状態で何台あるかということを、現在全国的な確認調査を実施しておる次第であります。今後とも無籍の取り締まりにつきましては、従来にも増して強力な対策を講ずる所存でありますが、ただ先生おっしゃいましたような有籍化というようなことにつきましては、有籍化ということは考えておりません。問題は、現在なおかつ発生しつつあるといわれております無籍――これはもちろん厳重に取り締まる必要があるわけであります。それと同時に現在まで残念ながら発生してしまった八万台、企業にいたしまして、ほぼ二万企業程度あろうかと思いますけれども、この八万台をいかに計画的に減少さしていくかということが大きな問題であろうかと思うのであります。したがいまして、今後新しく発生する無籍の厳重な監視と現在ある無籍を二つに分けまして、それぞれ対策を違えたい、かような考えを持っていることは事実であります。
#66
○西田委員 非常に強い態度で――私ここに去年の八月二十五日の繊維局発五百七十号という通達を持参しておるのですが、かなり強い態度でその取り締まりに臨んでおられることはわかるのですが、どうも監視委員会制度というものに私いささかの疑問を持つわけです。そうなければいいがと思うわけでありますけれども、かつて紡績が自主操短をいたしましたときに操短監視委員というのを置きました。ところが、お互いに機業の中から出ておる人が監視委員をやっておるわけですから、自分のほうでも多小悪いことをしておるので、他人の悪いことは見のがそうという、こういうジャの道はヘビで相通ずるところがあるわけです。ですから、監視に行く一日前に、あした監視に行きますからといって連絡をするわけだ。連絡がいって、向こうではちゃんと準備しておるわけです。そして、行ったところで監視をしてきて異常ございませんでした、完全に実施しておりましたという報告が返ってくる。ところが、実際はそうではない。場合によると、おまえのところは行かぬでもいいだろうというので、事務所でお茶だけ飲んで帰ってくるというようなことが往々にしてありました。今度の監視委員会でもおそらく産地組合で監視員を雇って監視させるということになりますと、親分にはどうしてもものが言いにくくなりますよ。そんなことで、はたして厳正な監視ができるかどうか私は一つの疑問を持つのでありますが、局長、これはきわめてきびしい態度で臨めるのかどうか。そうして八万台ですか、いまおっしゃるように一ぺんに二年間でやってしまおうとすれば年四万台ずつですよ。一台当たり〇・八人としても大体三万二千人、合わせて五万六千人の人が失業していくわけですからね。そういう点、家内工業であったとしてもどこかに転業しなければならぬという問題が起こってくるわけです。数字的にも非常に膨大になってまいりますが、そういう点について、とにかく厳正にやり得るのかどうか。そうして、厳正にやるとおっしゃるでしょうけれども、その場合に一体八万台というものが何年かかるか。逆にいえば一年で大体どれくらいの取り締まりと入れかえができるのか。そうした点についてひとつ見通しがあれば聞かしていただきたいのと、繊維局長の決意のほどを聞かしていただきたい。
#67
○佐々木(敏)政府委員 これまで、各産地の監視委員会で、あるいは先生のおっしゃいましたような事実があったかと思うのでありますけれども、今回、八月二十五日付で実施をいたしております取り締まり要領に基づきましては、ただいまのところ綿スフ六十四、絹人繊二十七、毛十一の各産地におきまして、それぞれ監視委員会を設置いたしまして、元検査所の職員あるいは警察官約三百人程度、織機の監視だけをするという選任をいたしまして現在実施をしておるわけであります。そのほかに、これは従来とも同じでありますけれども、三工連合計いたしまして千人にのぼる相互監視委員を任命しておる次第であります。ただいま先生おっしゃいましたようなそういった実態のないように、私ども通産局に置かれております通産局ごとの監視委員会の長に対しまして厳重に指導をいたしております。なお、今後の問題につきましては、今後発生するやみ織機はもちろん厳重に取り締まるのでありますけれども、現在までに過去十数年間のいろいろな経緯から発生いたしております八万台にのぼる二万企業以上の中には非常に零細な企業も含んでおります。現在までのやみ織機につきましては、できるだけ実態を把握いたしまして、実態に即して逐次計画的に縮小につとめたい、かように考えております。
#68
○西田委員 局長、大体一年にどれくらい取り締まりをしてなくすることができるのかと伺ったのですが、そのほうの答弁が抜けております。
#69
○佐々木(敏)政府委員 ただいま実態の精密な調査を実施しておる最中でありまして、やみ織機台数、企業の数、企業のそれぞれの規模あるいはやみ織機を設置いたしました実情、実態等々厳密な調査をいたしまして、それによって逐次計画的な縮小をはかってまいりたい、かように考えている次第でありまして、ただいまのところ、毎年何万台というような計数は算出いたしておりません。
#70
○西田委員 これは非常に急がれることでありますので、ぜひともひとつ進めてやってもらいたいということと、そうした織機を持っている人に対して買い上げるというようなことはとうてい考えておられないでしょうし、またそういうことが是か非かというのは論議のあるところであります。私は少なくともそのことによって失業をする、あるいは転業をするというような事態が必ず発生してくると思うのです。そういうものに対して、これは労働省との関係になろうかと思いますけれども、問題の起こらないように一そうの処理を期待したいと思います。
 次に、先ほどの織機と関連をして、さらにこれから天然繊維の紡機の設備数量と、それから化合繊の設備の数量とのバランスというのをとっていかなければならぬわけですね。特に技術革新で生産性が高まってきておるわけですから、紡機を一千万錘と規定いたしましても、従来一錘当たりの生産量がかりに一とした場合に、二年間にはその技術革新が進んで、年率大体一〇%程度向上したとしても二〇%近い。やはり生産量の面においては設備の数はそのままであっても、量の面ではふえていく、こういう傾向になるわけですよ。したがって、それとのかね合いというもの、バランスというものを考えていかなければ、私は繊維産業のあるべき姿というものが出てこないように思うわけですが、そうした点についても今後考えていくのかどうか、この点をお伺いしたい。
#71
○佐々木(敏)政府委員 紡績業と、その糸を需要いたします織物業、メリヤス業等々設備バランスを考えるのは当然でございます。私ども紡績業の設備も全体の繊維の需給バランス、特に織物業、メリヤス業の設備規模等々を勘案いたしまして、現在政府間取りきめの対策に基づきまして設備を買い上げしておる次第であります。ただこのほかに、やはり今後の紡績糸の発展途上国からの輸入状況とか、あるいは紡績糸の日本からの輸出見通しとか等々もまた考慮に入れなければならない次第であります。さらに先生おっしゃいましたように、精紡機の最近における超近代化、リング方式とか、あるいはオープン・エンド方式の技術革新の趨勢も考慮に入れまして、さらにまた三交代制の実施程度等も考慮に入れまして、全体的の観点から糸と糸以降の需要面における需要との関連を考慮いたしまして、全体的なバランスをとりたいと考えておる次第であります。
#72
○西田委員 ぜひひとつそうしていただきたいと思います。
 次に、その関係からいいまして、現在の日本の繊維の輸出は、アメリカの規制のあったことも関連をいたしまして、逐年減少傾向にあるわけであります。それに反して輸入のほうは現在増加の傾向をたどっておるということは、結局輸入をしたほうが安くつくという、そういう業界のお考え方も出てこようかと思うわけであります。全くいままでとは逆の方向へ繊維産業全体が動きつつあるわけでありまして、これはきわめて重要な問題ではなかろうか。これは私再々申し上げるわけですが、日本の繊維産業は中小企業が多くて、そうして構造も非常に複雑である。しかしながら、少なくとも明治以来日本の工業界の先駆者として繊維が社会的役割りを果たし、かつまた終戦後の日本の経済復興についても、平和的基幹産業として繊維産業が今日の経済成長に寄与した貢献度というものはきわめて高いものがあると思いますし、日本の気候、風土なりあるいはこうした貿易を中心とした国柄、国の体制からいって、当然繊維産業というものは今後も日本の重要産業の一つとして私は位置していくものと考えますので、それらの点について、こういうような傾向があらわれてきていることに対して、やはりそれに対する対応策というものは常に考えていかなければならぬというふうに考えるわけでありまして、繊維政策そのものを担当しておられる通産省繊維雑貨局の一そうの奮起をお願いをしておきたいと思います。
 そこでそうした観点から、今度新しく振興基金というものを設けられて、その振興基金によって、今後の新商品の開発、海外市場の動向調査、新規市場開拓、経営指導・技術指導を行なう、こういうものに対して助成をしていこうというようなことになるわけでありますけれども、十億の政府出資と、そして三十八億と聞いておるわけですが、関係業界からの出指金その他を合わせて四十八億の基金で運用しようというわけでありますが、はたしてその程度のものでこのようなきわめて膨大な、調査活動であるとかあるいは研究が可能なのかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
#73
○佐々木(敏)政府委員 ただいまのところ、振興基金への出資、出指金は政府十億円、民間業界三十数億円、この三十数億円は今後七年間程度に分割出損をお願いする予定になっておる次第であります。したがいまして、七年先におきまして五十億円弱でございまして、私ども決してこれで十分であるとは考えておらない次第であります。今後の繊維産業の質的向上をはかるためには、この振興基金に対する業界の熱意と意欲に期待いたしまして、この振興基金がますます拡大をして繊維産業全体のために寄与するということをただいま願っておる次第でありまするけれども、現在のところは、ただいま申し上げました金額の規模で出資の発足をしたい、かように考えておる次第であります。
#74
○西田委員 特にこの基金はそうした事業を行なう者に対して助成金を交付する、こういうことになっておりますから、交付をされるということになると、だれもかれもが、おれもやるからおれもやるからということになってぶんどり合戦というものが始まったのでは、私は、せっかく基金設置をした効果というものがあらわれてこないと思うのです。御承知だろうと思いますが、私の選挙区であります滋賀県の大津市には東洋レーヨンの中央研究所というのがあります。そこの従業員でも、二千八百人ないし三千人の人が常時機械とか商品その他、一切の研究をやって、年間約三十億くらいの予算を組んでおるというふうに聞いておるわけです。一つの企業でさえそうしたことをやっているのに、国全体が、しかも各種の業界でやられるそのものに対する助成としては、あまりにも少なきに失するのではないか。むしろ、こうした基金を置いて、それを総合的に、一カ所で助成するのではなしに、そのことを主体とした事業というものを行なうことのほうが、全体の産業業種のためになるのではないかというふうに私は考えるわけです。と申しますことは、御承知のように繊維は糸から製品までの間に幾つかの工程を経るわけでありまして、その工程ごとに技術開発なり商品の研究というものが行なわれる。特にいままでは普通のものをつくっておったらいいという、素材だけでよかったという時代でありましたけれども、これからはファッション化の方向に来るわけであります。御承知のように、そのためにこの特繊法が設けられて構造改善を進めようということになったわけでありますから、それだとすればよけい私は海外調査等が重点になった活動というものが必要になってくるのではないかというふうに考えますので、将来やはりそういう方向へ変えていく必要があるのではないか、できればこの設置の時期からそういう方向で活動を開始していただければと、こういうふうに思うわけですが、この点についての見解はいかがでございましょう。
#75
○佐々木(敏)政府委員 ただいまこの振興基金のいろいろの助成対象項目につきましては、私ども、業界とも真剣に検討をしておる次第であります。特に海外市場開発につきましても、今後繊維産業の伸びる大きな方向であろうと考える次第でござまして、先生の御趣旨の線に沿いまして、今後検討を重ねてまいりたいと思います。
#76
○西田委員 さらに私が要求をしておきたいことは、この中に労働市場調査であるとか、いわゆる労働者のそうした条件整備等についての調査、研究というものが入っていないのは、わざと抜かされたのか、それともどこかに関連をして行なうということでそれが含まれているのかどうか。
#77
○佐々木(敏)政府委員 実はその項目の大きな柱といたしまして、労働者の技能向上、技術コンクールとか研修会とか、そういった項目も入っておる次第であります。
#78
○西田委員 最後に、労働省の方お見えになっておると思うのですが、日米繊維交渉によって労働者に特別の離職の手当を支給されるということになりまして、予算化されました。それについて、昨年の十二月末ではまだそう顕著にあらわれてきていなかったと思うのですが、三月一ぱいでかなりの制約を受けるようになりましたので、もうすでにぼつぼつそうした犠牲者が出てきておると思うのですが、労働省のほうでその実勢について把握しておられたらひとつお伺いをしたいと思います。
#79
○加藤説明員 私のほうで本年の二月以降の繊維産業離職者につきまして把握しておりますものは、一事業所当たり二十人以上の離職者のあったものについての数字でございますが、十五事業所、千八百人の離職者が出ておるわけでございます。このうち、四十六年度におきまして離職一時金の支給対象者として該当いたしました離職者は三社で二百六十九人を数えております。それから四十七年度に入りまして、これからそういう離職一時金の措置をすることが予定されておりますのが、地方からいろいろ入っております連絡を合計いたしますと、八件の約千二百名がこれから離職一時金の対象になるものとして見込まれるものでございます。
#80
○西田委員 千八百人のうち二百六十九人でまあ三百人、あとの千五百人が対象にならなかったというのはどういう意味なのか、これは全く該当しなかったのか。
#81
○加藤説明員 私どもでこの離職一時金の対象にしておりますのは、買い上げ契約の締結に関連するものでございまして、そういう関係がないものにつきましては離職一時金の対象になっておりませんので、その関係のものが落ちておるということでございます。
#82
○西田委員 これは特に要望しておきたいのですが、あのとき離職一時金を支給する条件というものが設定をされまして、その条件に基づいてこの申請をしてくるわけでありますが、その事務手続が非常におくれる傾向があって、離職すると同時にということにならないというので、労働者のほうから多少の苦情も出てきておるわけです。その点については出先の機関に特に督励をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。具体的にちょっと事例を持ってきておりませんが、二、三そういう例が出てきておりますので、特にそうした点について厳重に指導をしていただきたいと思います。
#83
○加藤説明員 率直に申しまして、私どももその辺の声を聞いており、できるだけすみやかにその辺の措置をとりたいと考えておりますが、実は予算の成立が暫定の形になりました、あのこととも関連がございまして、事務手続が実際上おくれたという面もございます。その辺の事務手続につきましては、通産省のほうの証明の関係などとも関連がございますので、よく連絡をとりまして、できるだけすみやかにやるように努力したいと存じております。
#84
○西田委員 あと二、三、大臣に質問したいことがございますが、後ほどに残しまして、これで質問を終わります。
#85
○鴨田委員長 午後三時再開することにし、暫時休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時八分開議
#86
○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。樋上新一君。
#87
○樋上委員 午前のトップに加藤先生が質問になりますのを、私がトップに質問しまして午前が終わったのですけれども、大臣に一問だけ質問するためまた午後、のっぴきならぬ急用ができましたので、先にやらしていただくことになりましたので、御了承願いたいと思います。
 簡単に一言大臣にお伺いするのですけれども、五月十日米国関税局が発表した日本からの輸入品の毛織物とポリエステル混紡との関税評価差しとめは、まさに青天のへきれきというべき事件であるが、これについて大臣は一体どういうふうに考えていらっしゃいますか。もうこのことにつきましては、この新聞報道によりますと「繊維協定にダブル・パンチ」、こういうぐあいに報道されておるのです。「米財務省は十日、日本から輸入している毛織物と毛・ポリエステルの混紡織物が公正価格以下の安値で販売されているため、関税評価を差し止めると発表した。今のところ、最終的にダンピングの裁定を受ける公算がきわめて大きいが、もし、それが決定すれば昨年のテレビに次ぐ大規模なダンピング規制となる。また、両織物は昨年十月から実施された毛・化合繊の日米政府間協定で、対米輸出に数量規制がかけられているので、今回のダンピング容疑認定で、ダブル・パンチを受けたことになり、同協定のあり方にも大きな疑問を投げかけている。」そのあと続いているんですが、まず一番私が危惧していた問題は、こういう報道をしたときに、地元愛知県では、繊維協定を無理やりにさせられた、そうして、またまたこんなことがあるならば、全くやりきれないことであるというぐあいに、地元繊維業界は大きな不安を持ち、どうなるのだろうというようなことになっていると思うんです。日米政府間協定の際に、当時すでに毛織物、ポリエステル混紡織物が、財務省によってダンピング容疑で調査中であった。そのときにこの問題を検討すべきではなかったかと私は思うんですが、大臣の御見解を承りたい。
#88
○田中国務大臣 御指摘のように、ポリエステル混紡の問題が起こっておるわけでございまして、政府はその成り行きを見ておるわけでございます。一月のサンクレメンテ会談でも、このような問題が起こりますので、事前に日米両国政府の専門家会議で十分話し合いをして、これを表に出して法律的な措置をなるべくとらないように、両国で話をしようということになっておるわけでございますが、本件については、三カ月以内にこの結果が明確になるわけでございますので、事態の推移を見ながらこれに対処しなければならないというのが、現在の政府の状態でございます。
#89
○樋上委員 そういうときに、協定が調印されれば何とかなるだろうというような甘い見通しがあったのではないか。また他産業にこれが拡大するおそれはないのか、こういったことも考えまして、そういう点を心配するあまり、私は大臣に申し上げておるんですけれども、そういう甘っちょろい考えであるためにこうなってきて、もしこれが黒と判定された場合にはどうなっていくのか。今度は向こうのほうは価格差だけではなしに、損害まで出しているのかということを、こちらは言いたい。価格差だけで言っているのかということも考えられるのですが、大臣が推移を見ようというような時期ではもうないと私は思うんですが、どうでしょうか。
#90
○田中国務大臣 アメリカに保護貿易主義が台頭しつつあることはもう御承知のとおりでございまして、去年の九月の日米経済閣僚会議の時点から、日米間において、これらの問題に対しては事前に両国で十分話し合いをしようということを議題にし、話を詰めておるわけでございます。この間の陶磁器に対する関税の引き上げ等、この種の問題が幾つか出ておることは、はなはだ遺憾でございます。そういう意味で、一月の会談でも専門家会議の設置を行なったりして、日米間でなるべく摩擦を起こさないように、またこのような措置が一方的にとられるということになると、日米間の貿易経済の交流にも暗影を投ずるという心配がございますので、これらの問題に対しては、なるべく日米間で事前にいろいろ折衝したり意思の疎通をはかろうということでやってきたわけでございます。しかし、本件に対しては、いま御指摘のような状態でございますので、事態の推移を見ながらということでございますが、甘い考えではないのです。甘くはないのですが、向こうのほうが少しきびし過ぎるということで、この問題はどうも、何でもかんでもすぐ法律的に訴えるということは日本には向かないんだから、日本の実情にも合うような状態を考えてもらって、日米間で――アメリカは法律でもって結末をつければいいんだ、出てくるものはみんな、法律的な処置をすれば何らか結論が出るんだというようになっておるようだが、日本はもう法律的に訴えるということはたいへんなことなんだ、特に私は日米繊維協定をやったために、憲法違反の疑いで二つも裁判が起こされておるんだ、これは代議士としては致命的なんだ、そういう意味で日米間はもっと深刻に、かかる問題は事前に調整しよう、こういうことを言っておるわけでありますが、近年アメリカで特にこのような状態が起こっておることはほんとうに遺憾であります。だから、本件自体に対しては、事態の推移を見ながら適切な措置をとらなければなりませんが、その他かかる問題が頻発をしないように、ひとつ十分両国の間で意見調整をしてまいりたいと思います。
#91
○樋上委員 甘く見ておらないと言われるけれども、甘く見せたんじゃないかと思われる。アメリカのほうは、最終的には、ぐっと押し込んでいけばもう何でも通るんだということで、向こうがこちらを甘く見ておるのであります。ですから、米国はことしになって、すでに大型変圧器、漁網、アスベスト・セメント・パイプの三つにダンピング徴収税を決定した。ところが、これに対して今度はダンピング税をかけるかどうか、その場合、もしダンピング税を今度かけてきた場合はどうなるか、ひとつ御所見を承りたいと思うのです。
#92
○佐々木(敏)政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、最近、米国におきましては保護主義の動きが非常に強うございまして、米国のダンピング法の運用につきましても非常にきびしい態度でございます。昨日毛織物が関税差しとめになったのでありますけれども、わが国といたしましては、このようなダンピング法のきびしい適用につきましては、常時米国側に対しましで反対要望をいたしておるわけであります。先月末アンチダンピングのための日米専門家会議も開催いたしまして、米国の非を訴えたのであります。さらに今後他の品目に拡大いたしませんように、専門家会議あるいはOECDの場等を通じまして米側に改善要求をしたい、かように考えている次第であります。
#93
○樋上委員 最後に、大臣に一問だけお尋ねして終わりたいと思いますが、最終判定が黒になるおそれは十分考えられると思うのです。かりにそうなった場合、愛知県などの織物産地は多大な被害を受けることになるのですが、政府はどのような対策を講ずるのか、また毛製品輸出カルテルについてはどのような姿勢で対処していかれるのか、最後に大臣の見解を承りたいと思います。
#94
○田中国務大臣 三カ月間過ぎますと判定されるわけでありますが、そのときに黒にならないということは、これは申し上げられません。黒になった場合どうするか、これに対応する措置をとらなければならぬわけであります。そうすれば、産地に対して、もっと価格を上げるとか、品質をよくするとか、高級なものに転換するとかという指導をしなければならぬわけでございます。なるべくそういう判定が出ないようにわれわれも努力したり、実情を説明したり折衝しなければならぬと思いますが、出た場合どうするかというと、御指摘のような状態がないというわけにまいりませんから、その場合には業界を指導したり、必要な面があれば助成をしたりいろいろなことをしてまいらなければならない、こう思います。
#95
○樋上委員 業界のためにしっかり損害のないように要望して終わりたいと思います。
#96
○鴨田委員長 加藤清二君。
#97
○加藤(清)委員 繊維構造改善の二年延長の件につきましては、すでに私予算委員会においても要望したことでございます。したがって、基本的には賛成でございます。ところがただ賛成するだけでは真の目的は達成されません。二重苦ということばがありますが、繊維業界はいま三重苦、四重苦でたいへんな苦労をいたしております。それを永遠なるものに定着させぬための努力はわれわれの任務だと思っております。その任務を十分に遂行し、本法案の目的とするところの業界の再編成、これが完全に遂行されるために、私は以下要点をかいつまんで御質問申し上げたいと存じます。
 第一番。通産大臣、田中ざん、お暑いでしょうね。あなたはいまに総理コースを行かなければならぬ人で、すでに旗あげなさったという。しかしそういうやさきに、あなたはこの繊維問題で憲法違反の疑いで提訴されている。訴えられている。かてて加えて今回また違反で訴えられるような材料がここに出来してきた。それが本件なんです。いま御指摘になりましたところのアメリカの毛織物とポリエステル混紡織物の関税差しとめ事件、これは明らかに協定違反の疑いがあるわけなんです。すでにあなた御存じのとおり、この協定自体がガット第十一条、数量規制制限の一般廃止、この違反であることはもう明らかな事実なんです。このガット違反の取りきめを輸出承認の基準にするということ、これ自体も憲法九十八条二項の違反なんです。こういう違反を積み重ねてき、しかも本取りきめは国会の承認を得ない限り私は有効であるとは思っていない。有効でない。すなわち憲法七十三条第三号の違反を犯しつつもなおこれを実行に移そうとしている。無効な取りきめの内容をもって輸出基準とするということは権限の乱用なんです。しかも本件の取りきめは貿易管理令の範囲を最も逸脱した行為なんです。こういうことをあえておやりになるのだから暑いはずですよ。何もせぬでも暑いですよ。これは暑くてかなわぬですわ。しかしこの問題はすでに提訴されておりまするから、司法当局のほうにまかせるとしまして、私はこの過酷な内容ゆえに受ける日本の業界の甚大な被害、これを救済しなければならぬ、その救済にしぼって質問します。
 その第一番がこの関税評価差しとめなんです。そこで様子を心配してながめていたといういまのお答えでございますが、お尋ねします、四月の下旬に専門家会議が行なわれたはずです。そのときに本件を取り上げられたか、られないか。
#98
○佐々木(敏)政府委員 四月の二十七、二十八日の両日にわたりまして、特に毛織物ということだけではございませんけれども、最近における米国のダンピング法運用の強化という問題につきまして日米間でアンチダンピングの専門家会議を開催した次第であります。
#99
○加藤(清)委員 そのときに日本側は何と言って、アメリカ側は何と答えたのですか。
#100
○寺田説明員 通商関税課長でございます。
 そのときにわれわれが主張しましたことは、現在のアメリカのアンチダンピングの規制のやり方は、国際コードの精神から見ますと、だいぶ恣意的にやっておる点が多々あるわけでございまして、これらの点につきましてアメリカはもっと公正な判断に基づいてアンチダンピング規則の運用をするようにという申し入れをしたわけでございます。これに対しましてアメリカ側は財務省としてはできるだけ国際コードに沿いまして公正な取り扱いをしたい、かつそのように努力している、ただダンピングのもう一つの問題でありますところの被害条件につきましては、これは財務省の所管ではなく関税委員会の所管でございますので、財務省としては何ら権限は持っておらないというふうに答えました。
 以上でございます。
#101
○加藤(清)委員 あなたがいまおっしゃったことはアメリカ側の代表のだれが答えましたか。
#102
○寺田説明員 関税局のダンピング関係の責任者でございます。
#103
○加藤(清)委員 そういうあほなことをやっておるからいけないのだ。本件はまだ関税委員会の問題じゃないのだ、これは何を言っているのです。政府側の調査段階ですよ。まだ関税委員会で決定はしていないのです。本件はすでに去年三月提訴されておる問題なんです。どこへ提訴されておるかといえば、政府側に提訴されて、政府側が調査している段階なんです。なぜ関税委員会の者をそんなところに呼ばなければならないのか。関税委員会になぜそんなことを聞かなければならないのか。あたりまえの話だ、そんなことは。答えないのがあたりまえなんですよ。政府が決定しない先に関税委員会がどうして答えられます。冗談じゃないですよ。それじゃ通産大臣、あなたはそのことをどのように受け取ってみえた。報告はどうなっておったのです。
#104
○田中国務大臣 あなたから御指摘ございましたとおり、本件、ダンピング調査の件について四十六年三月三十一日米業界が提訴したわけです。それから五月、財務省の調査が始まる。それから六月には十五メーカーの質問状を受理する。六月八日十九商社の質問状を受理する。八月には上記の質問状に対する回答を提出した。十一月十六日には在京米関税部による回答書が出された。それから五月十日米財務省の関税評価差しとめということになっておるわけでございますから一年有余の時間がたっておるわけです。そういう意味で私も一月には、こういうことをしょっちゅうやられては困る、こういうことで専門家会議というものを提唱し、向こうはそれをのんだわけでありまして、その会合がもう先般行なわれたわけであります。ですからここでは財務省の役人だけではなく、アメリカ側としてはいろいろな専門の政府関係の役人が出てくるわけでしょう。こちらもまたこういう会議があれば通産省だけではなく大蔵省もその他の省からも出まして討議をするわけでございますので、まあ財務省以外の代表者が出たということは異例ではないわけでございます。こちらは先ほど申し上げたように、どうも国際コードに違反するような、アメリカの恣意的な、アメリカだけの考え方で運用されておるということに対しては強く非難というか、こちらの主張を述べておるわけでありますから、これはこれだけではなく、ほかにもこのようなケースがたくさんあるわけでありまして、これから起こってもまいります。そういう意味で、こちらとしては本件に対して日本側の意向を十分述べておいたということでありますから、あとは三カ月間、決定が出るまでの間、公には事態の推移を注視しつつと、こういうことになるわけでございます。
#105
○加藤(清)委員 私は、専門家会議にあなたの部下が臨まれるときにあなたがどういう指示をされて、その結果会議が行なわれて、行なわれたあとの報告ですね、これがどう受け取っておられるかということを聞きたかったのです。
#106
○田中国務大臣 これは参りますときには、一月のサンクレメンテ会談でこういうものを設け、事前に両国でできる限り調整をしよう、こういうことで設けられた専門委員会であるから、日本側の意向を十分述べるように、向こうが日本政府に対して何らかのものを求めてきたならばそれは聞いてくるようにということを申して出たわけでございます。帰ってまいりまして、こちらの主張は、先ほどから述べましたとおり、こちらもアメリカのやり方そのままを認めるわけにはまいりません、どうも少しやり方がひど過ぎますよということは述べておきましたと、しかし向こうとの間には意見は交換しましたが結論は得ておりませんという事態を、そのまま報告を受けたわけであります。
#107
○加藤(清)委員 対象に関係ないとは言いませんけれども、目下の対象外の関税委員会の何がしの連中に話を聞いたって答えが出るはずはない。この際はまだ関税委員会の手に渡る前の問題を政府側がどう考えているかということを尋ねるべきなんです。
 そこでお尋ねするけれども、これは去年の三月バーリントンのキャラウエーが提訴した問題なのです。これはあなた御存じのとおりニクソンの金主もとです。ペプシのケンドールと一緒でニクソンの金主もとなんです。同時にインターナショナル・ウール・トレード・オーガニゼーションの世話役をやった男なんです。これがリンコルン・エンド・スチュワート法律事務所に提訴してその法律事務所から政府側に渡った案件なのです。日本側としてはこれに対して、すでに御案内のとおり、経団連の顧問弁護士をやっているところのスティッツ・オフィスに頼んでいままで交渉を続けてきたわけです。私はここで心配することは、もしこれがここでアメリカの思うつぼへ追い込められますと、次に合繊に参ります。次に鉄に参ります。そういうおそれが十二分にある。日本側としてはまた鉄もそれらも同じスティッツ・オフィスにお世話になっているわけなんです。私はかつてここでこういうことを申し上げたことがある。財界の一部に、繊維ががんばっているから、それで次から次へとあれこれに制限問題が起きてくるのだ、この際繊維さえ目をつぶってくれたら他の案件はスムーズにいくようになる、そういう攻撃を受けないで済むようになる、だから繊維は犠牲になれ、人柱になれ、こういう意見があるが、この人身御供論、人柱論はすでに私はアメリカで関係の方々とよく話し合って、東洋哲学の中にはそのような観念があっても、アメリカにはそういう観念はありません、次々と二の矢、三の矢がつがえられるであろうということを聞いてきておりまするから、そのことをここで述べたことがある。もう一度述べます。いまここにして、これをほんとうにダンピング容疑濃厚ということで、ダンピング課税、ダンピングマージンをもし取られるようなことになったとするならば、第二の犠牲、第三の犠牲が次々と出てくる。これは明らかにあなたの総理コースに対するたいへんな衝撃になる、障害になるということを私はいまここで断言しておきます。私はあなたのような腕のある、腹のあるりっぱなまれに見る人物は、ぜひあなたの総理コースの目的を達成してもらいたいと思えばこそ申し上げることなのです。ぜひひとつこの点は慎重にかまえて、もしなったらじゃないんです。そんなことを考えておるときじゃない、まだそうならないのですから。もしそうなったらでなくして、そんなことをいまこちらで言う必要ない。アメリカの思うつぼになっちゃう。ならないようにいま緊急対策をとるべきだと思うのです。当然のことなのです。
 そこでお尋ねする。いままで日本側が相手国に対して弁明をしている案件がたくさんございます。本件についてその弁明の案件は一つもいれられておりません。しかも相手方の要求は、先ほどあなたからの話もございましたように、全部アメリカベースの話なんです。二国間の貿易を行なうのに、二国間のコストを調査するのに、なぜ日本の慣習が認められずにアメリカの慣習どおりにいかなければならないのか、私にはわからぬことなんです。確かに日本ではある程度高く売られ、アメリカへは安く売られておるという向きはあるかもしれません。しかしこんなことは日本製品だけじゃなくてへたとえばジョニーウォーカーは特にイギリスだったらこれは千円程度のものなんです。ジョニ赤だったら五百円程度のものなん下す。それが日本においては五千円に売られる。ジョニ黒は一万円に売られておる。だからというて、小売りで売られているのが日本は非常に高い、だからそれと同じ値でアメリカに売らなければならぬという義理合いは、世界の国際法の中にも、商習慣の中にもどこにもないはずなんです。なぜそのくらいのことが向こうに反駁できないのですか。したとおっしゃるなら、何を反駁したか言ってください。しなければしないで、それじゃ私は、この問題はどう、この問題はどう、こう聞いていきますから……。
#108
○田中国務大臣 アメリカに保護主義的な台頭がある、これはよろしくない、こういうことはもう強く申し述べております。
 それからダンピング法の運用にあたっても非常に一方的である、アメリカ式である、国際コードを逸脱しておる、これは言ってあるのです。しかもその国情が違うということも慎重に考えなければいかぬのだ。アメリカは小さい問題でもみな裁判の判定にまてばいいのだということで、紛争はお互いが解決するよりも、そのために裁判機構があるのだということで、簡単に裁判機構に持ち込むが、日本はそうじゃないのだ。日本は裁判に持ち込むということは相当深刻な状態にならなければ裁判所の手はわずらわさないということであるので、アメリカ式にぽんぽんとやられては困る。困るだけではなく、日米間にどうも理解を欠くような場合があっては困るので、これが運用に対しては十分配慮が願わしい。そのためには専門家会議などをつくって十分検討しましょう。また業界同士も意思の疎通をはかりましょう。それでもだめならガットとかOECDとかそういう国際の場でアメリカに対して反省を求めざるを得ない、こういうところまで言っておりますから、ものを言わないわけじゃないのです。これは非常に言っております。それで、特に日本の国内で売られておる価格よりも安いものはすべてダンピングであるというばかな話があるもんかという話で、私はいろいろな専門家が来たときに、一体そんな考え方を持っておるのか、外国へ行っても、われわれお互いスイスへ行って、スイス製の時計を買えば、スイスの国民よりも安い価格でもって買えるのはあたりまえである。これは物品税や消費税が免除されておれば当然のことじゃないか。そんなことがわからぬでダンピング法を発動されたら、これはめちゃくちゃになってしまうということまで言っておるのですから、私も外交儀礼よりもはるかに逸脱するような強い口調で言っておるのです。まあ日米の友好という基本をくずさない程度、限度一ばい以上に私も主張しておるということだけは事実でございます。
#109
○加藤(清)委員 たたかれながらもその手にすがるという程度のことならわかりますけれども、たたかれてもたたかれてもなお友好ということばの前には何にもものが言えないじゃ、もはや外交じゃないのだ。屈辱なんだ、屈従なんだ。そこで申し上げますが、本件は基本的におかしな点がたくさんある。第一番、これは過去の案件なんです。なぜ過去の案件か。提案されたのが一九七一年三月三十一日ですね。そしてその内容はといえば、そのまた以前の一九七〇年十一月一日から一九七一年五月三十日にわたる期間の案件なんです。そうでしょう。繊維局長わかっていますか、いいですか。この案件については、次が大事なんです。それ以後に日米の繊維協定が結ばれた。それ以後に自主規制が行なわれた。自主規制だけでいけなくて、なお協定を結べばあとの問題は片づく、すべてが落ちつくというのがあなたの意見であった。落ちついていないじゃないか。しかし落ちつくと言うたあなたのことばのほうが正しいのであって、落ちつかないほうが間違っておる。なぜ間違っているか。協定の指定品目にこれは包含されておる案件なんです。協定に包含されておる案件を個別に出して、個々審査をして全部いけねえ、いけねえということを言っておったら一体どうなるのですか。協定の案文は、協定品目全部に適用されるはずなんです。どこの何法によって別扱いされなければならぬのですか。そんなばかげた話がどこにありますか。
 第一番、時期的におかしい。それから数量の問題でもまたおかしい。どうしてラッシュしておるのですか。どうして被害を与えておるのですか。一九六八年をピークに、そこで両三年はもう半分に減って、ことしは三分の一以下になっておるのですよ。日本の毛織物、テト関係の混紡もの、一体何ぼその間にあったのですか。その数量は何ぼと押えてみえますか。その数量はアメリカの総消費量の何ぼですか。わかっていますか。わかっているでしょう。
#110
○田中国務大臣 はい、わかります。
#111
○加藤(清)委員 これは時間にすると、アメリカ消費量の一時間分か二時間分ですわ。一日分にもならないのです。これでいけないと言うなら、ニクソンさんのお好きなペプシコーラの会長であるケンドールさんに聞きたい。あなたのほうのコカコーラやペプシコーラは、日本のミカン水やサイダーやラムネを全部駆逐しちゃったじゃないですか、全部駆逐しても、なお日本が文句をよう言わぬじゃないですか。三百六十五日の一日分以下の、数時間と言いたいけれども、一時間分にもならぬような、そんなこまかい数字が何で被害を与えておるのですか。被害があると言うなら承りたい。
#112
○田中国務大臣 加藤さんの言うことはよくわかるのです、あなたの言うことと同じことを私はアメリカ側に言っておるのですから。(加藤(清)委員「言っていないからこんなことになる」と呼ぶ)言っておるのですが、これはちょっとよくわからぬのですし、またあとで激励されて、こちらもアメリカへそういうことをどんどん言っているということになるのです。同じことを言っておるのです。実際において、もうその後本件は時間がかかっております。何か気の抜けたビールのようになっておるのです。それで実質的には三分の一にもどんどん減っておる。こんなものを出してきたときは、まだそれでも少しいまよりも数量も大きかったから、こういうことを業界が出してくる価値があったかもしれませんが、もう三年後ぐらいになって、今日になって、これは三カ月後にならなければ正式にどうなるかわかりませんが、よしんばダンピングであるという認定を受けたにしても、また気の抜けたビールのようになってくるのじゃないか。しかしそれは実害がなくても、日本とアメリカとの間に実は非常によろしくないことである。こういうことのマイナス面だけが起こりますから、そういうことのないように専門家会議等をつくって、うまくやろう、こう言ったのですが、やはり制度上の問題として実効があがらなくても、取り下げない限り判決は行なわなければならないというような状態で、こうだらだらと来ておる。まあしかし本件に関してはたいしたことはないということになっても、これはやはり次々と同じようなケースが起こることは、日米間に非常に問題がありますから、そういう意味では、この推移を見守らなければいかぬし、アメリカ側にも注意を喚起したり、日本の意思が通ずるように努力を続けなければならぬということは事実でございます。
 それからもう一つ、あなたも十分承知をしておられることでございましょうが、念のために申し上げておきますと、もうこの問題を提訴してから後に、日米間には繊維協定が行なわれておるのじゃないか、にもかかわらず何だ、こういうことでありますが、それもこっち側から言うとよくわかるのですが、しかし平たく言うと、繊維の協定は数量の問題でありますし、これは質の問題、質の問題というよりは、もちろん金額の問題、値段の問題だ。そういうこと、値段ももう三年もたったら何とおかしなということでございますが、それはよくわかるのです。ですから、私もあなたと同じことをアメリカ側に相当強く述べ、その結果専門家会議というものができたというのですから、言うだけメリットはあったのですが、やはりこれからもこういうようなアメリカ式のやり方で制度運用をされれば、これは日米間非常にまずいことになりますし、業界もやはり被害を受けるわけでありますので、これはひとつ、あなたがいま私を激励されておるように、私自身もアメリカ側には同じことを強く述べます。
#113
○加藤(清)委員 大蔵省、来てみえますね。ほんとうは私は責任ある政治答弁のできる人に聞いてもらいたかったのですけれども、ここのところを、大蔵委員会ではいままで出ておりません。いずれ私大蔵委員会へ行ってするつもりですけれども、よく聞いておってください。
 これは一つには、日本の流通機構の誤り――誤りというよりは慣習ですね。それから日本の金融、税制のあり方がここへしわが寄ってきておるということなんです。どういうことかと申しますると、高いか安いか、ダンピングがあるかないかというのは、コスト計算をしなければならない。日本流に考えますと、第一番、ダースになったら安うなるという考え方なんです。一口一括大量生産して売ればコストは安うなるのです。そういう考え方なんです。ところが、それがアメリカじゃ受け取ってくれない。もっと受け取らない問題があります。それは何か。歩積み両建てなんていったってわからないのです。手形サイト、決済が平均百五十日で、二百日の余になっている、糸へんは。こういうことは全然わからない。しかし、日本のメーカーとしては、正直で、どんぶり勘定すればいいのに、あのアメリカさんはまず倒産はない、決済も早い、だから、コストを安うしましょう、こうやってつくるわけなんです。しかも、アメリカ輸出のものはといったらレディメード品が多うございますから、一括大企業がつくって売るんだ。だから安うなるのです。ところが日本のウーステッドの場合はどうかといえば、下請のまた下請にどんどんどんどんと、こう下へ下へとやらして、それを持ってきてデパートへ納めたころには、大体日本の原価計算の、最低もので五倍。五倍で驚いたらあと鼻血が出るのです。十二、三倍になっておるというのがあるのです。それをデパートで見ていって、日本は内需で毛織物を高う売っておりながら、アメリカへは安う売りつけておるから、これはチープレーバー、レーバーダンピング、ソシアルダンピングである、こういう評価をしておる。向こうの原価計算の範疇の中には、日本流の商習慣や流通機構の問題は一つも入っていないんだ。ここがまた何度要求しても認識してもらえないんだ。何度要求しても認識してもらえないということは通産省の弱腰かもしれぬけれども、こういう世界に類例のないような歩積み両建てとか、手形サイトの二百日以上とか、台風手形とか、お産手形だとか、こういうことが許されておるからいけない。そういう商習慣に従って日本に納めるもののコストは高くせざるを得ないんだ。これは政府の責任なんです。同時にそれは、大蔵省も専門家会議に代表が出られるであろうから、そういうことをよくわきまえた者を代表に選んでいただきたい。通産大臣、専門家、専門家と言ったって、名前だけが専門家で内容がしろうとが行ってくれたら何にもならぬ。そういうことをよくわきまえて、それを相手に認識させなければいけない。関税委員会の相手が出てきたらそういうことをやればいいのであって、関税委員会の連中におかど違いの話をしておったって、それは無理なんです。これをひとつ大蔵省、私は答弁を要求しようとは思わぬ。政治的答弁のできない人ではやむを得ない。あとでそのものずばりで質問します。
 次に、大臣に申し上げておきますが、こういう前例は日米間にあったかなかったか。
#114
○山下政府委員 こういう実例というのは……
#115
○加藤(清)委員 こういう実例とは、米関税評価差しとめの実例。
#116
○山下政府委員 これは従来もございました。
#117
○加藤(清)委員 その場合にどういうふうになりましたか、結果は。
#118
○山下政府委員 御承知のように、去年から再三にわたってアメリカの財務省は制度を改正してきておりますから、また最近も改正して、関税評価差しとめ後の調査期間等を短縮したり、いろいろやっておりますが、手順としては、そこで評価を差しとめまして、そして関税委員会のほうで被害がありなしという判断を待って、そして最後のダンピング課税をきめるわけでございます。
#119
○加藤(清)委員 私のお尋ねしておるのは、特に繊維に限ってこういう前例があったかなかったかということを聞きたかったけれども、時間がかかりますから私のほうで申し上げます。
 前例がたくさんあります。アメリカへの繊維輸出は、戦後長年にわたって調べてみれば、全部これ制限の歴史なんです。制限と、その制限を緩和する戦いであった。そこで、先代大統領のジョンソンさんのとき、先々代のケネディさんのとき、同じバーリントンの会社から同じように提訴されて、話し合いができて取り下げた件があるのです。取り下げなければ、訴えられたほうは結論を出さなければならぬと大臣はおっしゃったけれども、かつての通産大臣、あなたの先輩の通産大臣は取り下げるように努力をなさったわけでございます。そのときには繊維の協定もないときでございました。いわんや自主規制もないときでございました。いわんや円の切り上げもないときでございました。いまのほうがなおやりやすいときです。そうですね。同時に、本件に関する限りは、もう提訴の目的を十二分に達しておるのです。その提訴の目的は何であったか。日米協定を無理やりにのませるための援護射撃であったわけなんです。そんなことはうそだとおっしゃるなら、私はここに論説をたくさん持っております、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ以下各紙の。ですから、すでに目的はもう達したのです。しかもなお、以後政府側はどうしたか。取り下げなくとも、これから後の輸出の価格を自主的に原価計算をよくして――自主的とは日本の自主的にだ。で、上げていけば無罪放免ということになっておる。ところが、今度これをもしやられるとするならば、これは応報主義であると同時にこれは報復手段といわなければならぬ。もし相手がそのつもりであって、また、この次に合繊と、その他次には鉄、コールドミルの板、その他、こうなってきたら、これは日本のアメリカに対する国民感情が、友好はおろか、ますます反米思想をかき立てることになると思うのです。私は日米友好上まことに遺憾なことであると思うのです。したがって、すでに目的は達したのですから、協定のプレッシュアというところの目的は達したのですから、この際ケンドール氏にも会い、同時にキャラウエー氏にも会って、そうして話をつけるというぐらいの御努力はなさるべきであると思うし、どうしても行けないとおっしゃるなら、私を使いに出してください。私はケンドールさんと会います。そうして、それならばあなたのところのペプシコーラをお断わり申し上げますよ、そのくらいのことを言えなくてどうして日本人でしょう。通産大臣はアメリカ日本出張所の所長ではないはずなんです。アメリカ・ガバメント・オフィスの従業員でないはずです。それをやることが国益だと思うのです。ほんとうの国益だと思うのです。いかがですか、大臣。
#120
○田中国務大臣 前にはいろいろな弁護士を立てたり、またコンサルタントを使ったり、アメリカに非常に近しい人たちを使ったりしていろいろな工作をした、そして事前に取り下げさせるということで実効があがったことがあります。今度の分はもっと、もうその実効のないものだから、もっと下げさせたらどうですか、こういうことで、これはよくわかります。よくわかりますが、いまはもうそういうことをさんざんやってみたんです。やってみたというのは、その会社に日本の大臣が頭を下げていってやめてくれと言うことではなく、アメリカは、あなたがいみじくも述べられたように、こういうことでは日米間の感情もどうもよくなくなるから、おやめになったほうがいい。だから、まあこれがやめられないにしても、これはひとつ将来、あまりにぼんぼんやるということじゃ困るので、専門家会議をつくって、ひとつ事前に調整しましょうということで専門家会議の設置にこぎつけたわけであります。だから、前向きにはなっておるんです。しかしこれは制度があるんですな。だから民間がその制度でもって提訴をすれば、何とか結論を出さなければならぬという制度があるわけです。日本でも別に制度がありますから、私が日米繊維協定をやればこれは告訴する、裁判で結末をつけるということになればこれはどうしようもないでしょう。もう私が幾ら国会で、これで御了解願いますと言っても、やはりこれは裁判をやるということになる。これはまあ日本ではちょうどアメリカと逆でございまして、アメリカから品物がうんと入ってくるときにはこっちも何かするのです。ですから、中国大陸から生糸が一ぱい入ってこようとすれば、さっと衆参両院でもって法律をつくる。立法手段に訴えるということができるわけです。ですから、こういう制度があると同じように、アメリカはこの提訴権というものを簡単に行使をする。そういう結果、日米間でこんな問題が起こるわけですから、これはまあアメリカにも、あまりやらぬでくれ――これが率直にいって、アメリカと日本との輸出入のバランスがばんととれておればこんなことはないのですが、日本のほうが年間二〇%も六〇%も、場合によっては倍も行くものだからこういうことが起こる。いろいろなことがあるのですから、やはり実情を十分ひとつ調べながら、日米間の共通の利益を守るように行動したい、こう思います。
#121
○加藤(清)委員 私の尊敬する大臣のことばじりなんかはつかみたくない。大ものですから、あなたは。しかし二倍になる、三倍になる、だからラッシュするという、そういうことばが流行語のように使われるから、それはあやまちであるということを申し上げておきたいのです。なぜかならば、貿易が伸びるときには、タケノコ経済というのです、これは。ある一定時期まではずんずんと伸びるのです。それは去年の実績から比べたら何十倍になるのです。しかしお互いに強制するものじゃないのです。好みがあるのです。変わるのです。竹がある程度のところへ成長をすれば高原状態になるのです。ある時期がくれば、これはまた枯れていくのです。それを、ずば、ずばっと伸びる、五月、六月の竹の伸びる時期にだけ、伸びるでいかぬ、伸びるでいかぬといったって、これはそんなことはあたりまえの話で、そういうことだったら、今後労働集約的製品だとか新製品をつくって、この構造改善で開拓しますなん、といったって、またそれでひっかかってくる。そういうことを、財界の中にもあほうの一つ覚えみたいに言う人がある。たいへんな大間違いで、こめ論理は、すでに下院の歳入委員長もちゃんと認めてくれました。ワシントン・ポストの編集長もちゃんと認めてくれました。それはあなたの言うとおりです、というんだ。わがほうからあなたのほうに輸出しているあまたあまたの加工材料品もそうだと言う、ある程度まではぱっぱっと伸びたけれども、それから伸び悩みです……。これはひとつ将来のために申し上げておく。
 そこで、外務省にお尋ねする。アメリカの法律だからやむを得ぬ、やむを得ぬという話ですけれども、条約局長出ておられますか。
#122
○鴨田委員長 経済局長が来ています。
#123
○加藤(清)委員 まあいいでしょう。答えられる人に、と言うておきましたから……。
 国際間の法律がございます。国際間の法律に準ずる協定がございます。それと国内法と矛盾した場合、競合した場合、いずれが優先しますか。第一点。
 第二点。自分の国内法を他の国に強制することができますか、できませんか。
#124
○平原政府委員 第一番の点でございますが、国際法と国内法の関係、国際法が優先いたします。御質問の件に関しましては、もう御存じのとおり一九六八年ですか、ガットの場におきましてアンチ・ダンピング・コードがあります。アメリカの国内法は一九二一年、五十一年前の国内法でございまして、この点につきましては、私たちといたしましてもかなり疑義がございます。その点が先月の日米間の専門家会議のときも問題になった、このように私、承知をいたしております。
 第二番目の国内法を他の国に強要することができるかどうか。私、これは条約局長でございませんので、どうも有権的なお答えができません。申しわけございません。
#125
○加藤(清)委員 はい、けっこうです。そのとおりです。これはソ連大使をやっておられました中川君が条約局長のときにも、予算委員会の総括質問で再三答えて、これはもう世界の定説ですね。
 それなら通産省に承ります。いまや本件は、日米協定の特定品目に掲げられ、そこで別個な制限を受けている案件でございます、それをアメリカの国内法なるがゆえにというて、アメリカの国内法をこれに適用して、そうしてこれを別個に制限、取り締まるということが国際法に合致しているかいないか。
#126
○山下政府委員 そもそも協定品目でございますから、先方に急増することもない、被害を与えることもないという趣旨でいたした協定でございますから、私どもとしては、かりに今回評価差しとめがありましても、ダンピング課税の要はないという主張でいくつもりでございます。ただ、先生御指摘の法律論になりますと、協定そのものが価格ないしはダンピングについては触れておりませんで、若干、ダンピング法と数量協定との法域は違っておる面が多い、こう思っておりますが……。
#127
○加藤(清)委員 ダンピングで二〇パーになるか三〇パーになるかは知りませんけれども、制限する、あるいは関税評価を差しとめるということは、その間の関税が何ぼになるかわからないので、先行きの注文は全部ストップになりますよ。全部ストップということは、その間の貿易がとだえるということであり、その結果は、やがて、与えられた数量ワクは消化できないという結果になって、貿易制限という結果になるでしょう。そうでしょう。それなればこそみんな一生懸命になって、公明さんも民社さんも一ばい質問しておるわけです。そうでしょう。結果は完全に数量制限になりますよ。そうでしょう。ゆえにこれは協定に違反する結果になってくるんだ。
 そこで大臣、いま退席中にこういうことを外務省から聞きました。国際法と国内法と競合した場合にいずれが優先するか。当然国際法が優先する。それから自国の法律を相手国に強要することができるかできないか。こんなことは当然なことなんです、強制することはできない。その観点に立って話を進めてくださいね。アメリカの法律があるから、国内法があるからそれで困りました、それで困りましたと言っておったら、そんなことを言ったら世界じゅうどこへ行ったって法律のない国はありませんよ。さて、そこでお尋ねする。今度の協定の内容が構造改革に及ぼす影響は大きいです。構革を二年延ばそうと何ぼ延ばそうと、輸出は消費とイコールであり、生産と連結しておる問題なんです。したがって設備をどれだけ制限してみたって、消費が減っていけば設備が余るというかっこうになるわけです。だから関係大ありですから申し上げますが、TQベースというのはどういうものですか。
#128
○佐々木(敏)政府委員 米国のTQ統計、通関統計の品目分類がございまして、その米国の品目分類に基づいて輸出数量制限をするということでございます。
#129
○加藤(清)委員 御説明のとおりでございます。TQベースというのは一九六一年にアメリカの関税分類表としてあらわれたものであり、農産物の輸入制限をする場合の、いわば監視用の統計としてできたものですね。それがなぜ繊維協定の統計に使われなければならぬのですか。
#130
○佐々木(敏)政府委員 先生おっしゃるどおりでありますが、米側が極東四カ国に対しまして米国のTQ統計でもって輸入数量制限をしたいという申し出があった次第であります。
#131
○加藤(清)委員 しかもアメリカがこれをしたのは、いわゆる農業法二百四条、それの援用としてこれが必要となって監視用の統計としてつくった案件なんです。合成繊維は農業製品でございますか。
#132
○佐々木(敏)政府委員 合成繊維は農産物ではございませんけれども、現在のTQ統計は商務省の繊維統計といたしまして天然繊維以外に化合繊等につきましてもTQ統計ができておる次第であります。
#133
○加藤(清)委員 私はこの際、繊維局長は非常によく勉強してみえてりっぱな局長でいらっしゃるから、局長さんをいじめようなんて思っておりませんから、どうぞ御心配なく安心して答えてください。ただ私は、あまりにもアメリカのやりよれが不当きわまることである。それをなぜのまされなければならないかということが言いたいだけなんです。この日本の繊維を制限しようとしたときに、最初は農業法を適用しようとしたのです。ところがそれはいけないという良識派の意見が勝って断わっておる歴史があるのです。その次にそれじゃというのでミルズ法案なるものができた。これは農業法案をアウフヘーベンして、それにちょっと色をつけた。それでもなお今度上院に行きまして、ニクソン派のスコット上院幹事長のところで握りつぶされてしまった。こんなことをやったら国際的にアメリカは一そう非難を受ける。それで私はスコットさんのところに行って、私は米帝国主義はきらいですけれども、あなたのような良識派がいらっしゃるということについて非常に敬意を表しますといっておじぎをしたことがあるのだ。そうしたら、私も日本の議員の中に君のような男があることを非常に多とするといって、私に名誉市民章じゃないけれども、上院のフリーパスがありますね、あの金メダルをいただいたことを覚えている。これがほんとうの友好だと思うのです。そういう経緯があって生まれてきたこの日米協定に、なぜ、法律をつくることさえもいけないといわれたようなそういう規則がここへ適用されなければならぬか。あなたのおっしゃるように、アメリカが言い出したから聞きましたでは、あまりにも芸がなさ過ぎると思うのですが、どうです、これを変える勇気はありませんか。なぜこんなことを言わなければならぬかというと、そういう抽象的な問題だけじゃございませんです。これが適用されますと、いまさっき申し上げましたアメリカ方式でコストの計算をやらされるでしょう。そうするとここにトラブルが起きて、気につかぬものが出てきたということは、この米関税差しとめの案件でおわかりでしょう。これから輸出するときにこういう問題が次から次に出てきますよ。やってみましょうか。たとえばニット生地はポンド当たりどれだけに換算するのですか。――それじゃ私が答えていきましょう、いじめたと言われたくないから。ニット生地はポンド当たり七・八スクエアヤールに換算するのです。これが世界共通の原理なんです。ところがこのTQベースでいくと、この生地は二・三スクエアヤールです。二・三スクエアですよ。繊維局長よく御存じですね。そうなるとどうなるか、三分の一に減る。だから大臣、あなたがワクを広げるだの余剰があるだの弾力条項があるだの言っても、最初きめたものが三分の一に縮小されてしまったらどういうことになるか。この計算はどうやってやって、しかも向こうの港でやるのではなしに、こっちのシッピングのところでこれをやるのですよ。アメリカの法律が日本の港でまかり通るというそんなばかな話がどこにあります。法律でもないのだ。法律でさえも適用できないのに、法律でない向こうのかってにきめたかってな規約が日本の港で通用するといったら、これはどういうことになる。日本は植民地ですか。
#134
○佐々木(敏)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたTQ統計はあくまでも品目分類でございまして、わがほうといたしましては、日本の輸出制限は日本の輸出管理方式で律するわけであります。したがいまして品目分類のいろんな双方の食い違いにつきましては、逐一専門家会議で協議をすることになっております。
 もう一つ、先生のおっしゃいましたニット生地についての換算率でありますけれども、実は先生おっしゃいましたとおりの非常に大きな開きがございます。しかしながら基準年次におけるその換算率をたとえば二・三というふうにいたしますと、基準年次における平方ヤードが非常に減ってしまうということでございまして、結果的には同じようなかっこうであろうかと思います。
#135
○加藤(清)委員 大臣、これでトラブルが起きないように事前に考えておかなきゃならぬのですが、これについてどうお考えですか。
#136
○田中国務大臣 それは日米繊維協定のとびらに書いてございますとおり、これは対米輸出を規制するものではない、日米間の正常な貿易を続けていくための協定である、こういうふうに書いてございますから、この運用については四角四面に運用したりして、両国間のこの協定の目的が阻害されることがないように運用するということになっております。その一つの例としては、去年は、日米間の対米向けの繊維輸出はたいへんな激減をすると言ったわけでございますが、激減しないで対前年度二〇%増しということで、一年間は終わっておるわけでございますし、今度の日米の会議における折衝でも去年あたり心配しておったものが、両国の合意はしごく円満についておるということでありますから、これからもまだまだある期間この協定が生きるわけでございますので、あなたがいま御指摘になったような対米繊維輸出規制協定にならないように十分の配慮をもって運用をしてまいろう、こういうことであります。
#137
○加藤(清)委員 次に、同じ時期に同じように極東四国と協定が結ばれておりまするが、日米間の協定と米韓の間、米台の間、米香港の間の協定と比べてみまして、日本のほうが非常に不利である、不平等がある。それは、不平等のあった場合には、これを是正することができるという条項が協定の中にすでにある。したがって、以下その不平等を是正してもらいたいという点を申し上げてみますが、いま繊維局長から話がありましたように、一番はあの初年度のワクでございます。日本の総ワクは五・八%増ですね。韓国は一四・八、台湾は一二・一、こういう調子で一番多いのは八五・八%になっていますね。日本のほうは、この場合、ウールは一・八%です。日本は一・八%なのに、韓国は同じ時期において八五・八%ふえておる。これはどういうことですか。
#138
○田中国務大臣 極東三国と比べて、不利にならないように運用しようということになっております。ただ数字的に比較をしますと、確かに米韓、米台等に比べては、いま御指摘のように不利のように感じられます。しかし、実態を見ますと、必ずしもそうじゃないんです。それは、日本とアメリカとの間と、韓国とアメリカとの間を比べてみても、日本は伸びるだけ伸びてしまって、ある程度のシェアを確保しておった時期と、韓国や台湾は日本よりもシェアの伸び方が非常に小さいというときがスタートになっておるわけでございますので、そういう意味では日本はベースの大きいものの二倍、ベースの小さいものの四倍ということはあり得るわけであります。しかし、日本は、あなたがいま言ったようなことをアメリカに言っておるわけです。それはそうでも、まあ韓国の伸び、台湾の伸び、香港の伸びを下回らないように、日本との間に協定をしたいというようなことで、お互いに話し合いを進めていますから、比較的円満にものがおさまっておるということでありまして、あなたは私よりもはるかに専門家でありますから、そういうことはもう十分、昔の対米制限の問題も全部御承知でありますから、これ以上申し上げませんが、数字だけで見るよりも、いま申し上げたような状態があるので、必ずしも不利でないともいえるわけであります。不利でないとは申し上げませんが、数字だけで不利だという断定をすべきではないと思います。
#139
○加藤(清)委員 私はこれを冷静に読んでみました。そうすると、数字だけで不利だと断定すべきでないとおっしゃられますけれども、ウール製品のごときは、いま、アメリカへ輸出された最盛期の三分の一以下になっているのですよ。あなたのおっしゃるように、伸び切っているから、それでまあ伸び率を少なくする。さっきのタケノコ経済の筆法でいけば、一九六八年の数字であれば、それはある程度やむを得ぬ。あなたのおっしゃるとおりでございます。しかし、その初めの時期がどん底に落ち込んだときの一・八%、これはおかしいでしょう。
 それから、ほんとうは一つ一つ聞いていきたいのですけれども、もう与えられた時間がだんだん迫っておりまするので、まとめて申し上げますが、今度はその初年度でなくて次年度からの向こう五年間の伸び率ですね。日本の伸びは五%、韓国は二年目九%、三年目八%、台湾は二年目九・五%、三年目九%、香港は七%から七・五%、こういうふうで、これも大体日本が一番不利。次のグループの問題でございまするが、このグループ品目は仕分け数の少ないほど輸出しやすいのですね。多いと、これは仕分けが多いから、シッピングに間に合わなくなって難渋しなければならぬ。その難渋するほうの場合だけはどうなっているかというと、日本のほうが数字が多いのです。特恵が六グループでしょう。片っ方は五から、少ないところは二グループなんです。今度特恵品目のほうは、日本は十五プラス二、サブリミットになっておる。相手国――相手国といっちゃ悪いね。他の極東三国は十から、少ないのは二になっている。そうでしょう。それから今度はシフト。あなたは努力して、シフトがある、シフトがあるとおっしゃられた。これは多いほど輸出がしやすいわけだ。ところが、この多いほど輸出がしやすいというほうに限っては、今度は日本のほうがずっと少ない。こういう調子なんですね。これは一体どういうことでございましょうか。先ほど甘く見られたということばが出ておったようですが、甘く見られたのか、ばかにされたのか、それとも敵視政策が数字の上にあらわれたのかと、こうだれしも受け取っておるのです。
#140
○田中国務大臣 ばかにされてはおらぬと思います。そういうことではなく、加藤さんも十分御承知だと思いますが、数字で見るとそんな面もあるのです。ただ、加藤さんは、日本が損のような面だけずっと、半面述べられましたが、今度いいほうをひとつ、半面私が述べてみれば、弾力条項は三国にはありません。第二は、特恵品目の総ワクに対する割合は、日本は五〇%でありますが、三国は八〇%でございます。三つ目は、特恵品目と一般品目間のシフトは、日本は自由でありますが、三国は自由がない。四つ目には一般品目についての協議は、方式が異なるため断定できませんが、トリガー協議の先般の実績等を見ますと、日本は非常に有利になっておる。五点目を申し上げると、期間は日本は三年ですが向こうは五年です。それは私も、ただあなたがマイナス面だけをずっと数字を並べられたから、こっちはプラス面をずっと並べるという意地の悪いお答え方をしておるのではないのです。こういうもの全部ひっくるめて最後にしぼりが一つかかったのです。日本とアメリカとの間に、これは極東三国との協定に比べて不利にならないようにお互いにコンサルテーションを十分行なってこの協定の精神を生かしましょう、こういうしぼりをかけてございますから、数字上では指摘されるような面があるかわかりませんが、これは対米輸出というものが同じ状態でスタートし同じ状態で来たものではありませんから、やはり極東三国といっても同じ品物を同じく出しておるわけではないし、事情も違うので、やはり実績を見て翌年の問題に対しては両国が協議をするということでお互いが納得をする、納得のできないようなことは絶対にないようにしなければならない、このようにひとつ理解をいただきたいと思います。
#141
○加藤(清)委員 大臣、数字だけではございませんよ。あなたがそういうふうにお答えになるなら、私は、こんなことはやめておこうと思ったけれどもお尋ねします。ジャパン・アイテムって何ですか。
#142
○佐々木(敏)政府委員 ジャパン・アイテムとは日本の特殊な和服とか工芸品とか柔道着とかはっぴとか、そういった日本だけの織物、繊維製品でございます。
#143
○加藤(清)委員 朝鮮には朝鮮の独特の衣装がありますね、香港には香港の独特のものをつくっておりますね。それがアメリカに輸出されるときには除外品目になって、ジャパン・アイテムだけがなぜ制限品目になっておるのですか。こんなことは一番きびしいきびしいといわれておったLTAの中にもないことなんですよ。LTAの中に綿製品は許されておる。ところがここでジャパン・アイテムを一括して品目に入れられますると、いまおっしゃる着物はおろか、柔道着までやられるということになりますね。なぜこれは譲らなければならぬか。
#144
○佐々木(敏)政府委員 先生御指摘のように、極東の他の三国につきましては、たとえば香港の手織りカーペットあるいは台湾、韓国の場合の掛け軸等につきまして特殊な美術工芸品等を適用除外いたしております。また日米綿製品協定におきましても、先生御指摘のように、ジャパン・アイテム、和服、柔道着、はっぴ等々除外になっておる次第であります。私どもこの協定の交渉にあたりましては、覚え書きの段階あるいは昨年十一月、本年三月の専門家会議の場所におきまして、ジャパン・アイテムにつきましてはLTAと同じように除外すべきである、要するに強力な交渉をしたのでありますけれども、ただ、米側といたしましては、ジャパン・アイテムのものがその名前で若干変えた形でもって入ってくることを非常に心配しておりまして、まだ除外ということになっておらない次第であります。
#145
○加藤(清)委員 大臣、美術工芸品に関税がかかるという例は、先例がございます。ところが美術工芸品に税金を余分にかけたり数量を制限するなどというような前例は、ほかに一つもございません。これをもって嚆矢とする。私は、その前例の歴史を破るということだけではないのです。私の心配するのは、これがひっかけられるおそれが十二分にあるのです。どうぞ耳打ちをやってください。――いいですか。これは乱用されるおそれがある。それはちょうどいまの冒頭に申し上げましたところの合繊、ウールの関税評価差しとめと同じことになる。とすれば、あれが通用するならばこういうことがいえるのですね。絹の着物は除外ですね。ところが合繊の着物はいけないということになる。そうすると絹でつくられた着物、そこへ合繊がほんの少々入っておったらどういうことになるかということです。通産大臣の郷里でつくってみえますナイロンタフタ、ふとん側にしますね、このナイロンタフタでつくったところのふとん側が羽二重との混織になっておったら、これは一体どういうことになるか。それが適用適用で援用されていきますると、前にごらんいただいた人形はどういうことになるか。人形の着物がいけないからからだの中のゴム製品までが、これは綿織物だ。チャックはどうかといったら、ふちにくっついておるところの綿がいけないから、全部目方で計算して金属の目方まで、これは綿だ、こういうことが過去に例があるのですから困っちゃうんですよ。どうするのです。ゆえに、幾ら数量制限するの何のといったって、ほとんどが美術工芸品やその国の様式に従ってアメリカにいる日本人が使う品物なんです、ジャパン・アイテムといえば。それにまで制限を加えるなどということは、これは行き過ぎもはなはだしいと業界は受け取っておる。どうなんです。
#146
○田中国務大臣 あなたは専門家でございまして、私も協定をする前までいろいろあなたの御意見を拝聴したわけでございましたが、なるほどそうだ、これはほんとうにわれわれがただ簡単に考えられるようなものではない、むずかしいものだということは私もよく理解いたしました。そういう意味で協定を行なうまでには相当慎重にやったのです。やったのですが、いまあなたが述べたように、制限をするということになると、チャックにくっついておる布も混紡であって三分の一が綿であり三分の一がポリエステルであるというような、ものによっては、これは見分けがつかないじゃないか。まさにそのとおりなんです。つかないじゃないかといって全然制限をする規定をしないというわけにまいらない。ですから、日米間の協定にはいろいろなものが入っておりますが、これは裁判じゃありませんから、いずれにしても日米間の正常な貿易を拡大していくための手段の一つとして繊維協定を行なおう、こういうことになっておりますからお互いが十分協議をして、この協定が実効あるようにそうして再国の利益が守られるようにということでありますから、理論的には、あなたに述べられると非常にめんどうなことになることは事実でありますが、あなたが指摘するような状態ではこの協定は運用しない。過去にあった、ちょっと窓口の人がきつくやれば、そういう問題確かに起こり得る問題であるし、過去にあったことも承知しております。おりますが、今度の日米の繊維協定の運用にあたってはそういう問題を起こさないように両国が十分協議をしてやる。そのためには、今度の四十七年度の問題に対しても、もう協定が大体両国の打ち合わせができましたが、これはまあ去年の協定を締結する当時から考えるとなるほどうまくいっている。両国間においてあまり摩擦がなくものが進められておるということが御理解いただけるように、一々条文を指摘されるとめんどうな問題もありますが、しかしこの運用に対しては万全を期してまいろうということでございます。
#147
○加藤(清)委員 運用にあたって万全を期すというよりは、気がついたところで、発見されたところで悪い点は除外していくようにしないと前進はしないと思うのです。ぜひそのことを、幸いに毎月一回ないしは隔月ごとに一回の会議があるのですから、そのための専門家会議があるのですから、そこで改定を要望するような措置をとってもらいたいと思う。いかがですか。
#148
○田中国務大臣 そういう非常にむずかしい問題が存在しますので、毎月やろう、毎月でなくとも隔月やろうということになっておるのですから、そういう意味では、この運用に関しては、いま御指摘になったような問題の解決のために全力を尽くしてやらなければならないと考えております。
#149
○加藤(清)委員 次にお尋ねしたいことは、人を責めるばかりでもいけません、おのれみずからえりを正さなければならぬ、それが繊維の構造改善。秩序ある輸出のルールをつくらなければならない。これは大事なことだと思います。その場合にあたって、私どもは長年にわたっていろいろ検討を進めてまいりました。そこで、いままでも私、各大臣ごとにわれわれの提案と称して差し上げておる。菅野大臣、三木大臣、大平大臣、宮澤大臣、田中大臣。最初のものがこれでございます。二回目がこれでございます。三回目がこれでございます。四回目はこの間予算委員会で差し上げました。本日ここへ持ってまいりましたのはあとで田中大臣に差し上げます。ここに、今度の構造改善にあたってはこうすべきではないかということがこれだけあります。あと与えられた時間がもうほんの少しですから、これを全部読み上げる時間がありません。ですから差し上げますので御参考にしていただきたいのですが、特にこの中から一、二点だけ取り上げて、あと与えられた時間で始末したいと思いますが、通産大臣にお尋ねします。やみ織機というものの存在を大臣は認めていらっしゃいますか。
#150
○田中国務大臣 これは現に存在をするということだけは事実でございまして、これはひとつ調査をいたしております。
#151
○加藤(清)委員 やみ織機に対して通産省としてはこれを表向き認めることはできないわけなんですね。できないから、したがってこのやみ織機に対しては登録織機と同じような権利は与えてないわけですね。
#152
○田中国務大臣 やみ織機とは無籍織機でありますが、無籍織機は中小企業団体法に基づく織機設置制限規則というのが通産省令でございます。この通産省令に違反しているものであります。やみというのですから、確かにそうです。通産省としては、これはもう法律的には認めておらないものでございます。
#153
○加藤(清)委員 ところが現実には、いま大臣がおっしゃられましたように、登録といい、確認、認定といい、未登録といい、そういう熟語が流通しているのですね。熟語が流通しているということは、現存しておるということなんです。
 今度は大蔵省にお尋ねしますが、このやみ織機に対して税金はどうしてみえますか。
#154
○垣水説明員 やみ織機に対する税金という御趣旨がよくわかりませんけれども、やみ織機によって繊維が織られまして所得があればもちろん課税をいたしますし、やみ織機につきましてそれを廃棄したために収入があればやはり課税になることになりますが、ただその場合には非常に資産価値、帳簿価額が低いと思いますので、その廃棄するような場合には実際問題としては課税の問題は起きてこないかと思います。
#155
○加藤(清)委員 自治省にお尋ねします。このやみ織機に対する固定資産税は年間どれほどありますか、収益が。財政収入。
#156
○石川説明員 やみ織機に対して固定資産税を課税するかどうかということになりますれば、事業の用に供しているという実態がございますれば課税になると思います。
 なお、いまお尋ねのそれによってどの程度の収益が得られるかということは、現在私どものところではわかっておりません。
#157
○加藤(清)委員 それは怠慢です。私は想定のことを聞いておるのじゃありません。それはだから答弁のできる人に出てもらいたいと言ったんです。想定を聞いているのじゃないのですよ。現に固定資産税を取っているのですよ。だからやみの織機を持って仕事をしている人たちが何と言うかといったら、私どもは固定資産税も取られております、営業して収益があればそれも取られております、おまけにこれを大織屋のほうから借りている、その借り賃まで取られます。権利金も取られております。にもかかわらず、義務だけはしょわされるが、登録織機と同じように与えられる恩恵、すなわち国民の権利はゼロです、こんなばかな話がありますかと、こういうことなんです。
#158
○田中国務大臣 私からちょっとお答えしますが、やみ織機とは通産省方面から言うとやみ織機ということになるのです。これは中小企業団体法に基づく織機設置制限規則、通産省令に違反しておるからやみ織機ということになるわけでございますが、これは税法上からいうと、やみであろうが何であろうが、稼働しておれば固定資産税の対象になる。これはもうこういう中小企業団体法から見て違反であろうが何であろうが、これは違反建築であっても、建築基準法の許可を得ないものであっても、現に住居の用に供せられておれば固定資産税の対象になるということでございますから、これは税法上は当然固定資産税は賦課されるということでございます。それは、いまも私、答弁を聞いておりましたが、自治省にやみかどうかということを求めるのはちょっと無理だと思うのです。これは自治省は、やみであろうが何であろうが、稼働しておる織機には一切固定資産税を同じ税率で、一台幾らということでかけておるのでございますから、これは区分けしてやみかどうかということを計算するとすれば、通産省が計算をしなければならぬわけでありますが、やみですから、通産省もよくわからぬというのが実情でございます。それから所得税とか法人税、これはやみであろうがやみでなかろうが、所得が存在するところには税法は適用されるということでありますので、課税対象からのがれるわけにはまいらないということであります。
#159
○加藤(清)委員 私は、税金を取るなと言っているのじゃない。取っている現実を認めさせたかったからです、とそういうことになりますね。本省は、通産省はその存在を認めない。しかし、大蔵省と自治省はその存在を認めている、認めていればこそ税金を取るのですから。死んだ幽霊だったら税金は取れないのですから。同じ本省でありながら、認める省と、これを認めない省がある。これは矛盾です。だから、これはこの際整理統合の必要があると思いますが、では、大臣はこのままのスタイルでいいとお思いですか。
#160
○田中国務大臣 これは矛盾はないのです。これは法律の目的が違うということでありまして、所得税法及び固定資産税法とか地方税法という場合は、これは無籍であろうがなかろうが、そういうことには関係なく税法は適用されるように法体系がなっておるのでございます。無籍であるか無籍でないかが問題なのは、通産省の中小企業団体法によれば、これは無籍と無籍でないものには厳重な区別がございます。これは政府が買い上げるか買い上げないかということにもなりますし、いろいろな恩恵的な政策を適用するかどうかという場合には、無籍か有籍かという問題が非常に区別をされるわけでございますので、いまの有籍か無籍かによって税法等の解釈を統一をしなければならないということにはなりません。問題は、有籍なるがゆえに制限を受ける、制限を受けるだけ恩恵もまた受けるというような部面と恩恵は受けないというところが無籍と有籍との差でありますので、法律のたてまえが違うということで御理解いただきたい。
#161
○加藤(清)委員 あなたは、スコラ哲学方式によってそういう立論をされれば、それで事は足りるでしょう。しかし、耐えられないのは、やみだやみだと言われるほうなんです。隣の人には、登録なるがゆえに政府からの恩恵がいただける。隣の小さい家は、登録でないがゆえに恩恵は受けずに、工賃までが切り下げられている。そうしてなお別な税金を取られる。にもかかわらず、やみだと、こうなれば、おこるのも無理もない。下世話でまことに失礼な言い分ですけれども、もし学校の生徒が、あれは二号の子だからいかぬとか、三号の子だからいかぬと言われたら、その親の身になってみたらどうなるのです。同時に子供の身になってみたら、それは親の罪かもしれませんけれども、自分の罪ではないと言いたくなるのは、これは世の常ではございませんか。そこで、私は、この際、整理統合をされる必要があると思う。その整理統合で、特に私が申し上げたいことは、なぜ生まれたかという過去にさかのぼって云々すると、また時間が来ますから、それはまた別な機会にして、いませねばならぬことをしてもらいたい。それは何かといったら、検査員やら調査員というものをたくさんおつくりになりましたね、千人の余も。それでは、その人の報告書があるはずですね。私らのような者でさえも、調査に行きますとこういう報告書をつくるのですから、レポートがあるはずなんです。そのレポートを集約すれば、台帳ができなければならぬ。通産省が監督していて、そして片やこれはいい子だ、本子だ、これは二号の子だ、これは三号の子だといって区別しておきながら、その籍がないのですね、登録台帳がないのです。これはおかしいです。業界にだけまかして、それをうのみにする、そこにやみの生まれ出てくる一つの原因があるのです。だから、ここらの交通整理をすると同時に、この際、田中大臣ならできる勇断をもって、この始末というとことばが悪いのですが、交通整理と申しましょうか、整理をすることが、構造改善の一つのポイントになると思うのです。これをやらずに構造改善、構造改善と言ったって、画竜点睛でなしに、かご抜け法律をつくると同じことになると思うのです。お考えいかがですか。
#162
○田中国務大臣 有籍か無籍かという問題でございますが、無籍は、これは通産省は認めませんというのは、通産省の立場で法律的に認めないというだけでございまして、現にあることは承知いたしております。認めなくとも承知をしておるということは、これはまあ同じようなことでございますが、あることは現にあるわけです。ですから、その意味で、それをいつまでもこういう状態で置くことは非常に構造改善には支障があります。現実問題で支障があるのです。また、このままにしておけばいつの間にやらまた無籍ができる。無籍はいつの間にか有籍になるのかならぬのか、これはやはりけじめをつける必要がある。ですから私は、無籍は認めませんという法律的な立場から、現に存在をするということでありますから、これはやはりある時期に、できるだけ早い機会に整理をして、そしてもうそういう変なものはないようにしなければなりません。しかし、それをやるときにはまた無籍が出るという、さいの川原のようなやり方には確実な歯どめをする、こういうことでないと、これは無籍のほんとうの対策、整理はできないわけであります。だから、有籍なものは政策の対象になるわけです。構造改善事業をやっていく場合に、有籍のものはちゃんと対象になって、新しい政策が付加されていきます。無籍のものにはそういうようなメリットがないということであります。しかも、そうでありながら、無籍を退治をしないと無籍が常に構造改善の支障になってくる、現実的に支障になるということでありますから、やはりどこかでけじめをつけるということが必要であるということだけは申し上げておきます。
#163
○加藤(清)委員 そのけじめはいつおつけになりますか。
 それで、もうこれで私、質問を終わりますから、あとで一括してやってもらいたい。そのけじめをこの構造改善の法案とともに行なう、これならばまだ話がわかる。けじめをいつまでにつけろなぞとは言いません、それは容易なことでありませんから。しかし、そのけじめをつける操作を始めなければならぬと思う。そうしないと、まあきょうは新聞のほうがあまりたくさん見えませんでいいですが、実は新聞の各社がこれに目をつけて、すでにテレビあたりでも相当これを特集をしておられます。中には、その見方を変えまして、国費の乱費であるというふうに持っていって、これを決算委員会の問題として取り上げるべきである、こういう論まで出ているわけでございます。私は、そういうことが行なわれますると、今後の構造改善にけちがつけられると思う。このことはこの商工委員会だけで円満に解決すべきだ、わざわざ決算委員会のお力を借りなくてもこの始末はできると思う。その努力をすべきだ。それがやがて日本の繊維を永遠に導く第一歩の手段になる、こう思えばこそ――私も繊維を愛します。大臣も繊維の産地の出身です。次官もそうです。特に米とお酒と繊維は、徳川時代からどの国にも発展してきた産業でございます。私は繊維は永遠だと思っております。その永遠なるものを一そう位置づけるために、ぜひこの際、画竜点睛を欠かないように、いまからこの点を始めていただきたいと申し上げまして、最後にします。
#164
○田中国務大臣 無籍の解消には万全の対策をとるべきであるということは申し上げておきます。具体的なものは、いま三百名も調査員を出して実態調査を行なっております。中には八万台もあり、七万台もあるというごともございますが、実態調査をし、実態把握がまず先決でございます。六月一ばいぐらいには実態把握はできるのではないかと思います。そういう実態を把握してから、これは通産省、業界も一体にならなければできる問題じゃございませんし、財政当局の立場もございます、そういう意味で、政府部内としては本件を最も合理的に結末をつけたい、こう考えております。
#165
○加藤(清)委員 終わります。
#166
○鴨田委員長 西田八郎君。
#167
○西田委員 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部改正に関連をして、午前中に繊維雑貨局長から、こまかい点については質問をし、いろいろと説明を承りました。しかし、これは国のきわめて重要な施策の一つでもありますので、ぜひこの機会に大臣に二、三お伺いをしておきたい点がございます。あまり時間をとらせませんから、ひとつ含蓄のあるところで御答弁をいただきたいと存じます。
 先ほど加藤委員の質疑の中でも、大臣みずからも認めておられますように、昨年の日米繊維交渉、これは結ばれたものでありますからしかたがないとしても、あとから非常にいろいろの問題が出てきております。事ほどさように非常にむずかしい国際情勢になってきていようかと存じます。けさほどのニュースで、長い間強く反対をしておられましたガットの中に設けられる作業部会にも賛成をするというような意向をお示しになったようでありますが、これからの繊維産業におけるところの国際環境といいますか、国際情勢というものは、どういうふうに変化するというふうに大臣は把握しておられるか、まずその点からひとつ伺いたいと思います。
#168
○田中国務大臣 繊維産業は長い歴史の中にも各国でもたいへんな問題でございました。日本においては特にそうでございます。いま各国で一番に取り上げられる問題は繊維の問題だと思います。特に、先進工業国間においても、また東西の間においても繊維問題というのは問題になっているわけで、端的にいうと、日本とアメリカの間に問題になっておる。同時に、今度、日本と韓国、日本と中国との間にも問題になっておるわけであります。また将来は日本と東南アジアのいろいろな国国との間にも問題になってまいります。これは繊維の多国間協定というものはいますぐやってはならないし、これも反対でございますと言っておりますが、何か外交的に国際間でそのままでは済まない、やはり二国間、多国間、いろいろな状態で勉強しなければならない問題で、非公式折衝をしなければならない問題である。だから、いまも御指摘がございましたが、カットの中で――日本が参加をするというのではありません一協定をつくるとか何かではなく、お互いが意思の疎通をはかったり、意見交換をしたり、そういうことなら出席をいたしましょう、こういう考え方でございまして、やはりほんとうに意思の疎通を十分はからなければならぬ問題だと思います。
#169
○西田委員 結局、大臣も認められますように、これからの国際環境というものは非常にきびしくなってまいりますから、当然そこには何らかのコントロールというものが必要になってくるのではないか。そういたしますと、当然それは国内における生産調整なり設備規制なりというような形においてのコントロールというものも必要になってくるのではないかと思うわけです。ところが、先ほどもやみ織機の問題が出ておりましたが、さらに午前中にも御質問申し上げたわけですが、大企業におけるところの繊維業界の技術革新、設備改善というものは相当急テンポで進んでおるわけであります。それは単なる省力投資ということでなしに、もっと付加価値の増大という方向へも進めておりますし、同時に量産から質への転換というものも考えられておるわけであります。そうしますと、必然的に日本の繊維産業の国際的に占める地位というものは、これは国際分業というものを推し進める中において何らかの位置を確定をし、その中において日本の繊維産業政策というものを進めていかなければならないというふうに私は考えるのですが、大臣、それについてどうお考えになっておりますか。
#170
○田中国務大臣 これは方向としてはいま述べられたような状態であります。特に量的拡大という面で一番ぶつかるのです。アメリカでも数量規制が主になっております。数量が変更されないで質に転換をする、値段が高くなるというものであるならば、もっと摩擦は少ないわけであります。ですから、そういう意味で、やはり繊維というものはほんとうに――もっとも開発途上国でも繊維はできますし、そこへも量的には流れ込んでいくわけであります。またそういう意味では、もっと高い水準の先進工業国同士でも問題を起こしておりますが、やはりヨーロッパからでも優秀な織物は入ってくるということで、やはり量から質への転換、国際分業――まあアラビアでも特別の織物は世界にシェアを持っておるわけです。特産品という非常に優秀な技術を持っておるものは世界的に何百年もシェアが小さくならないということでありますから、やはり日本も量的にやるとどうしても摩擦が起こる、やはり質的にやらなければいかぬ。その場合に、百七十万、非常に多様化している。日本は輸出も輸入も多様化しなければいかぬが、繊維は少し多様化し過ぎているので、やはり構造改善をやったり新しい将来の展望に立った繊維業界の再編成というものは転廃業さえも避けがたいということを、おそるおそる述べておるわけでございますが、やはりそういうようなことまで考えながら質への転換ということで整理統合を行ない構造改善を進めていくことだと思います。
#171
○西田委員 その場合に、現在中小企業で非常に資本投資効果のあらわれてこない企業に対する構造改善という形で、グルーピングなりあるいは集中生産方式という形において構造改善を進められてきておるわけでありますけれども、私は、これは一定の段階に来たときにさらに新しい方向というものを見出さなければならないのではないか。それはいま大臣もおっしゃるように、世界で特産物といわれておるものは、その国の民芸品、こうしたものが相当各国に流れ出ておるわけであります。わが国もつむぎであるとかつづれであるとか西陣であるとかいったような特殊な工芸品に該当する繊維製品、それから消費財としてのいわゆる国民衣料の主体をなす衣料品の繊維、さらには工業の材料となる繊維というふうに大別できょうかと思うわけであります。そのいずれをどういうふうに重点を置いてどのような形で繊維産業全体の構造をつくり上げていくか、きわめて重要な問題であると思うのです。ことに、この法案によりますと、現在の特繊法そのものが二年間延長されるということでありますが、午前中の質疑の中でも、二年間で十分なる構造改善というものは進められないだろうし、さらにメリヤス、染色等はまだ三年しかたっていないわけでありますから、あと二年で五年間、しかし見通しとしては非常に暗い状況にあります。そして最終段階の加工である縫製等におきましても、あるいは縫製と織布と一緒にしたニット等につきましても、これは相当な改善を行なっていかなければならぬというふうに考えますと、この二年間では非常にむずかしいので、そのむずかしいものをほんとうにやり切れるのかどうか、大臣の所信を聞きたい。
#172
○田中国務大臣 いままで続けてまいりましたものに対して一応二年間で一つのめどをつけようという積極的な姿勢であることは間違いありません。ただ、私もこういう政策を出し御審議をいただいておりながら恐縮なことでございますが、率直に申し述べれば日本の繊維産業の将来というものはしかく簡単ではないと思うのです。もっともっと非常に長期的な目で見る場合には、世界各国の状態、将来の世界繊維産業の中に占める日本の地位というようなものを明確に示さないと、いまやっている構造改善ですべて事足れりとは考えておりません。もっと率直に言いますと、いま織機も非常に新しいものになっておりますが、ヨーロッパ諸国に比べてみると、私はしろうとでありますが、全部スクラップだというくらいにいわれている。相当能力はあります。能力はありますけれども、量的には拡大し過ぎて困るといわれておりながらも、ヨーロッパの諸国等に比べればこれは全くみなスクラップにしなければならないというようなものであります。それからいま広幅に全部織機を直しておりますが、いまのところ四、五年後にという目標で転換しなければならない。そういう状況をじっと見てみますと、繊維産業の構造改善というものはいまよりよくなるということは事実でございますが、これでもうすべて終わったというふうには考えておりません。御質問で、これでいいのかと言われると、二年間で全力をあげてそれなりの構造改善をやります、がしかし、その後もなお完ぺきな繊維の構造改善のために努力を続けたいと申し上げる以外にないわけでありまして、そのように御理解願いたい。
#173
○西田委員 そこでやっぱり問題になってきますのが、四十九年以降どうするかという問題ですよね。いま大臣の答弁の中にも出ておりましたように、確かに東洋紡等で研究開発をいたしました紡績機械については初めてアメリカへ輸出するというようなことになったわけですけれども、繊維千国日本といわれながら、繊維機械その他についてはほとんど外国からの輸入品であります。織布一つとりましても、新しい機械だといって騒ぎましたユニフルにしましても、すでに四年前にイタリアで開発されてイタリアで使われておった。それがアメリカにいって、かなり欧米諸国において量産体制のできる機械として定着をしてきたころに初めて日本に入ってきておるわけであります。最近の撚糸機械にしましても四十万回転くらいのものが最高のものだと思いますけれども、イタリア、西ドイツに行けば六十万回転あるいは七十万回転がもう開発されておるかもしれないというように、機械の技術革新というのはどうも外国から行なわれてきて、そしてその特許を買うことによって、そしてそれを日本で使用するというような形になっておる。そのことが、実際やはりあらゆる面で繊維産業そのものの立ちおくれということになるのではないか。そういたしますならば、四十八年までの二年間に、構造改善を一方で進めつつ、一方におきましてはかなりなそういった技術革新なりあるいは市場調査なりあるいは消費動向なりというものを当然考えていかなければならないと思うのでありますが、そうした点について、大臣、四十九年以降、一体そういう問題にどう対処していこうとしておられるのか、差しつかえなかったら聞かしていただきたい。
#174
○田中国務大臣 それは先ほど述べましたように、いま二年間構造改善を延長するということでございまして、これは所期の目的を達成するためにということでございますが、先ほど述べましたとおりそれをもって終われりなどという簡単なものではありません。これはあなたがいま述べられたとおりであって、これは実際において日本の繊維業界というものが世界各国の中でどう位置しておるかということまできめなければならないわけでありますし、そういう方向をきめながら育てていかなければならぬ、その場合にはスクラップ・アンド・ビルドも出てくるわけでございます。だからそういう問題も十分考えながら絶えず検討を進める、これはもうアメリカといま日本との間に繊維協定を行なっておりますが、これは日中の国交回復がもしできるとすれば、日本と中国大陸との間の一番大きな問題は何かといえば、これは繊維の問題になります。糸がちょっと入ってくるだけで超党派で立法しなければならぬというので、あっという間に立法ができまして、私もちょっと驚いたわけでございます。実際そういう問題を考えてみましてもほんとうに深刻な問題です。そうして繊維という問題は、これからまだまだ相当高度な産業が興っても、繊維はなくならない。これ一は絶対になくなりません。これは繊維産業というものは非常に摩擦を多く持ちながらも各国でやはり発達させていかなければならない産業であるという面から、二年で事足れりなどとは考えておりません。将来とも通産省の繊維局というものは堂堂たる繊維局――繊維雑貨局なんていわず、繊維局が必要であると思っております。
#175
○西田委員 大臣特有のなにで、繊維雑貨局なんかだめだ、繊維局というのだ、非常にうれしい答弁をしていただくのですが、実際私はやはり意識革命をやらなければだめだと思うのです。これは企業に携わる企業主そのものの意識もやはり変えていかなければ、ただガチャガチャ織機さえ動かしておればもうかるんだという考え方、さらにそういうところへ、自分たちでやれないものをたたいてやらせるというような、そういうものの考え方自体、やはり今日の近代的産業ではないと思うのです。したがって、そうしたことも当然一方で意識革命をやりながら片一方で国の施策としての技術革新への取り組み、こういう問題も考えていかなければならない。それは単に繊維だけではなかろうと思うのです。造船にしても鉄鋼にしても自動車工業にしても家庭電気製品にしても同様だと思います。ただそれらの企業で大きなところはみずからの研究所を持ったりしておるから、これが何とか立ちおくれにならないように、特に弱電関係ではダイオードとかあるいはトランジスターとかICとかいうようなものは、日本特有の、独特の技術によって開発されてきまして、いまや世界的水準にあるわけですけれども、しかしそれらの技術にしてもやはりそれは追い越されるということを考えていかなければならぬわけであります。そういう意味でまず意識の革命をやると同時に、技術革新、そうして体質の改善を十分はかっていかなければならない問題ではなかろうかというふうに思うわけであります。そういたしますと、これは単に通産省だけでこの問題を処理するということは、きわめて荷が重過ぎるといえば言い過ぎかもわかりませんが、非常に大きな問題ではなかろうか、したがって、そうした点を、やはり何らかの機関を設置するかあるいは現在ある産構審なり構造改善小委員会なりの、そういう場所を拡充強化する中で、やはり恒久的にそうしたものの施策を立てていくという必要が生じてきておるのではなかろうか。ただ、いまの段階ではまだその自主規制であるとかあるいはある程度の数量を制限するような協定であるとかいうようなことで済まされるにしても、私はそういう段階はそう長く続くものではないというふうに見た場合、これはやはり日本はどうしたって原材料を持たない、資源を持たない国でありますから、貿易にたよらざるを得ないとするならば、やはり国際的な自由化を促進する中において、国内的にはそうした経済的なコントロールのもとに全体の産業の発展というものをどうはかっていくかというバランスの上に立たなければならないと思うのであります。そういう意味で、私、これを最後にいたしますけれども、大臣の決意のほどをひとつ聞かしていただきたい。場合によっては内閣総理大臣になられるかもしれぬ田中大臣のことでありますから、ひとつ思い切った発想でお聞かせいただければ幸いであります。
#176
○田中国務大臣 明治初年から、一次産業比率が九〇%というときから、日本が海外に市場を求めたその先駆となったものは繊維でございます。同時に、日本が第二次戦争に敗れた直後ほんとうにどうにもならなかったときに細々ながら海外に道を求めて、今日の繁栄の基礎をつくった先駆の商品も繊維であります。そういう意味で、繊維というものが百年余、日本産業の中のほんとうに重要な地位を占めておったということを考えますと――まあそういうものに石炭もあります。米もあります。いろいろなものがありますが、石炭などは、これはある意味においては、ヨーロッパにおいてもエネルギーの中でいままでのような石炭のウエートを維持することはなかなかむずかしいような状態になっております。しかし、その中で繊維産業というものはいまの百四十カ国の世界の国々が産業革命をずっとやっていく過程においても、これは衣食住の衣でありますから、着るものというもの、この産業というものは絶対になくならない。これは滅亡する産業ではないということで、私は日本の拡大する長期的展望に立った産業の中でも繊維工業というものの位置というものは確立をしなければならないものだと思います。そういう意味で、いままで自然発生というたくましさを前提にしてきたものを、さらに合理的な総合的なものにしなければいけないということで、いままでは手の器用さとか、日本人の民族的優秀性で機械のおくれをちゃんとカバーして、規制を受けるほどの輸出力になっておりますが、安かろう悪かろうから、安かろうよかろうになったんですが、これからは適正な利潤を得られる日本の適正な製品というもの、しかも特徴あるもの――これは私は繊維の日米交渉をやったときに、かつてのアメリカの洋服生地のように、ある一定期間でも日本の特徴ある、特定なものを持てないだろうか。テレビでもって空を飛ぶアラビアンナイトの毛布もそうでありますが、何か日本的な代表的な産業というものを夢見ておるわけでございますし、そのために今度は協会に振興基金なども設けたわけでありまして、通産省だけでやれるなどという問題じゃありませんので、これはもう国民全体の英知を結集して、新しい日本の繊維産業というものの青写真をかいてまいろうということを申し上げておきたいと思います。
#177
○西田委員 最後だと言いましたが、一つ積み残しましたので、お許しをいただきまして、一つだけ簡単にお伺いしたいのですが、やはり繊維産産業全体の構造を生産工程で改善すると同時に、やはり流通過程における構造改善というものは当然必要じゃなかろうかと思うのですが、そうした点について、何らかの形でこの問題に取り組まれる意思があるかないか、それだけお伺いして終わります。
#178
○田中国務大臣 繊維も知識集約化とかファッション化とか、いろいろなことを考えておるわれでありますが、確かに製造過程の合理化もさることながら流通過程、特に流通過程と簡単に言いますけれども、流通過程というものに非常に注意しなければならぬのは、答弁書にもありますが、ファッション加工、しかしこれもみな摩擦を起こしやすいことであります。ですから、摩擦を起こさない日本の特産品というものが考えられれば、これは流通過程というものは非常に合理化されるけであります。これはきわものですと、季節商品でありますと、時を失うと半値になってしまう、そういうために非常に無理をするということになりますが、これが品物のいい特定なものをくれるとするならば、時期や大きな制約も少ななるわけでありまして、御指摘のような製造過にだけ目を奪われないで、流通過程その他、国際的市場のバランスという中の位置というものを十分考えていかなければならぬと思います。
#179
○西田委員 終わります。
#180
○鴨田委員長 次回は、来たる十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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