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1971/03/16 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第7号
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1971/03/16 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第7号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第7号
昭和四十七年三月十六日(木曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 森山 欽司君
   理事 伊東 正義君 理事 小沢 辰男君
   理事 谷垣 專一君 理事 増岡 博之君
   理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君
   理事 田畑 金光君
      有馬 元治君    大野  明君
      大橋 武夫君    藏内 修治君
      小金 義照君    斉藤滋与史君
      田川 誠一君    竹内 黎一君
      橋本龍太郎君    箕輪  登君
      向山 一人君    山下 徳夫君
      渡部 恒三君    川俣健二郎君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      山本 政弘君    古寺  宏君
      古川 雅司君    寺前  巖君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
 出席政府委員
        法務省人権擁護
        局長      影山  勇君
        厚生政務次官  登坂重次郎君
        厚生省公衆衛生
        局長      滝沢  正君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省薬務局長 武藤き一郎君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        消防庁次長   山田  滋君
 委員外の出席者
        議     員 中村 重光君
        厚生省医務局医
        事課長     新谷 鐵郎君
        厚生省保険局医
        療課長     松浦十四郎君
        運輸省自動車局
        保障課長    西村 英一君
        日本電信電話公
        社副総裁    秋草 篤二君
        日本電信電話公
        社厚生局長   大守  坦君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
三月十四日
 勤労婦人福祉法案(内閣提出第八一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一
 部を改正する法律案(中村重光君外八名提出、
 衆法第四号)
 麻薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一六号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○森山委員長 これより会議を開きます。
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#3
○森山委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣斎藤昇君。
#4
○斎藤国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者につきましては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、健康診断及び医療を行なうほか、本法により、各種の手当の支給を行ない、その福祉の向上をはかってまいったところであります。
 今回、これら被爆者の福祉の一そうの向上をはかるため、原子爆弾の放射線を多量に浴びたいわゆる特別被爆者で、原子爆弾の影響に関連がある疾病にかかっている老齢者等に支給される健康管理手当について、その支給の対象となる老齢者の範囲を六十歳以上の者から五十五歳以上の者に拡大するとともに、手当額を月額三千円から四千円に引き上げ、その療養生活の安定をはかることといたしました。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
     ――――◇―――――
#5
○森山委員長 中村重光君外八名提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#6
○森山委員長 提案理由の説明を聴取いたします。中村重光君。
#7
○中村(重)議員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、社会、公明及び民社三党を代表し、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月六日、人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして、広島の人たち、続く九日は長崎の人たちと、三十万の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。幸いにして一命を取りとめた人たちも、この世のものとは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、原爆の被爆という一生ぬぐい去ることのできない宿命を背負わされ、あるいは原爆熱線による痛ましい傷痕のゆえに悲歎にくれ、あるいは放射能の影響による造血機能障害、原爆後遺症に悩まされるなど、病苦、貧困、孤独の苦痛にあえぎながら今日まで生きてまいったのであります。そしてこの二十七年、毎年何人かが原爆の被爆ゆえに生命を失っていく中で、白血病、貧血症等の発病の不安、生命の不安と焦燥におののきながらも働かなくてはならないというのが、原爆被爆者の実態であります。
 この悲惨な現実をもたらした原因が、原爆の被爆に基づくものであることにかんがみ、昭和三十二年、主として原爆病の医療について原子爆弾被爆者の医療等に関する法律、そして昭和四十三年、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律が制定され、内容改善も行なわれてまいりました。しかしながら各種手当に対する所得制限、対象範囲の限定等によりいまなお多くの原爆被爆者は不十分な対策のまま置かれており、激しい消費者物価上昇のもとでその生活の苦しみを訴える声は、依然として高いのであります。したがいまして、これら被爆者の置かれている心身上、生活上の不安を除去するために、被爆者に対する措置も、その健康面及び精神面の特殊な状態に適応させ、かつ生活援護をはかるべく、一そうの拡充がはかられるべきであると考え、本法律案を提案する次第であります。
 次に、この法律の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、援護手当の支給であります。認定被爆者はもとより、特別被爆者、またはそれに近いボーダーライン層も含めて、これらの人々が被爆によって生じた身体障害のための労働力減退による収入減に対し、政令の定めるところによりまして、月額三万円を援護手当として支給することにしたのであります。
 第二は、障害年金の支給であります。被爆に起因する身体障害のある被爆者に対し、それが外的、内的障害たるを問わず、年額三十万円を限度とする障害年金を支給することにいたしたのであります。なおこの障害年金は、国民年金の無拠出年金を除き、他の増加恩給その他障害年金に相当する給付とは併給することはできないものとしております。
 第三は、医療手当の月額の引き上げと所得制限の撤廃であります。現在、医療手当は、特別被爆者を対象として、入院、通院おのおの三千円、五千円の二段階で支給されておりますが、被爆に起因した疾病につき、医療を受けているすべての被爆者に月額一万五千円の医療手当を支給することにしたのであります。さらに医療手当にかかる所得制限を撤廃することにより、これらの被爆者が、安んじて医療を受けることができるようにしたのであります。
 第四は、被爆に起因する疾病により介護を要するすべての者に月額三万円の介護手当を支給することにいたしたのであります。
 第五に、認定被爆者はもとより、それに近い特別被爆者及びその介護者につき、日本国有鉄道、自動車または連絡船に乗車または乗船する場合には、政令に基づく身体障害者福祉法にならって運賃を無料とすることにいたしたのであります。
 第六に、被爆者が原子爆弾の傷害作用に起因して死亡した場合に、その葬祭を行なう者に対し、葬祭料として五万円を支給することにしたのであります。
 第七は、以上のような措置を講ずることにより、いわゆる特別措置法から援護法へ移行するものとし、法律の題名を原子爆弾被爆者援護法に改めたことであります。
 以上のほか、原子爆弾被爆者医療審議会の名称及び権限を改め、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び、この法律の施行についての審議機関とすること、また新たに、被爆者の被爆後に出生した子、孫に対し健康診断を実施し、原爆に起因すると推定される疾病、障害を有する者についても本法を適用することにいたしました。その他、原爆孤老、病弱者、小頭症等の被爆者の収容保護施設を国の責任で設置することにいたしたのであります。
 原爆の被爆という悲惨な災害をこうむった被爆者の苦境を救済することは、人道上も決して放置することのできない問題であり、被爆後四半世紀以上を経過した今日、救済さるべき被爆者は、国による援護の手が差し伸べられないままに、あるいは死亡し、あるいは老齢化して、肉体的にも、精神的にも、また物質的にも苦痛と困窮にある人たちに対し、高度の経済成長を遂げた今日、国家財政上救済が不可能であるとは、とうてい考えられないことであり、被爆者に対する右のような措置を講ずることは、むしろおそきに失したものであると確信する次第であります。
 なお、この法律の施行は昭和四十七年十月一日であります。
 以上が、この法律の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#8
○森山委員長 次に、麻薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#9
○森山委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣。
#10
○斎藤国務大臣 ただいま議題となりました麻薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 沖繩の麻薬犯罪につきましては、現在その取り締まり体制が弱体でありますため、麻薬事犯が多発するとともに悪質化しつつあり、強力な麻薬取り締まり体制が要請されているところであります。
 このような事態にかんがみまして、沖繩の復帰と同時に九州地区麻薬取締官事務所沖繩支所を設置し、沖繩における麻薬の取り締まりに当たることといたしておりますが、これに伴い現在麻薬取締法において定められている麻薬取締官の定数を十名増員する必要があり、今回、この法律案を提出した次第でございます。
 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
     ――――◇―――――
#11
○森山委員長 次に、内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び中村重光君外八名提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。増岡博之君。
#12
○増岡委員 本日は、政府提案の一部改正につきましてお尋ねいたしたいと思うわけでございます。
 法律の改正そのものは非常に簡単なものでございますけれども、それ以前に、あるいはそれ以上に、毎年毎年改善されなければならない事項が数多くあるわけでございます。まず、本年厚生省として重点的に改善をされた柱となるようなものを一応御説明をいただきたいと思います。
#13
○滝沢政府委員 原爆対策につきましては、四十七年度においては、四十六年度に比しまして二十八億七千万の増でございまして、約百十五億六千万に達します。
 その内容につきまして申し上げますと、健康管理手当が従来三千円でございましたものを四千円、医療手当が五千円を六千円、葬祭料一万円のものを一万六千円といたします。
 そのほか、健康管理手当の支給対象となる老齢者の範囲を拡大いたします。これは四十六年度に引き続くものでございまして、六十歳から五十五歳に引き下げます。
 各種手当の支給にかかる所得制限につきまして、所得税額を従来二万九千二百円でございましたものを四万八千四百円に引き上げ、その緩和をはかることといたしております。
 そのほか、広島、長崎の原爆養護ホーム等の増床をそれぞれ百床いたします。
 以上が、四十七年度のおもな対策の内容でございます。
#14
○増岡委員 今回は、これまでの例年の改善に比べるとやや大幅であり、前進をしておると思うわけでございますけれども、これはむしろ従来からの改善がおくれておったものを取り戻すというようなかっこうのものも含まれておると思うわけでございます。ただいまの健康管理手当その他の金額にしましても、数年間据え置かれたということであるわけでございまして、したがって今後ともこの額の引き上げその他のことについて一そう充実をしていかなければならない。野党から御提案の御趣旨も気持ちの上ではそういうことであろうと思うわけでございます。これをぜひ大臣から御答弁願いたいと思います。
#15
○斎藤国務大臣 ただいまの増岡委員の御意見はごもっともと存じます。今後日本の福祉全体を充実していくという観点から考えましても、いままでの原爆に被爆をせられた方々に対する処遇は必ずしも十全とはいえませんので、ただいま中村重光先生代表で御提案になりました趣旨の点もあり、今後さらに充実に努力をしてまいりたい、かように考えます。
#16
○増岡委員 この各種手当の中で、一番多数の人がいただけるというのは健康管理手当であります。その年齢制限が昨年に引き続いて、ことしも五歳引き下げられようといたしておるわけでございます。そのような支給対象の拡大充実ということは非常にけっこうなことであります。むしろ年齢制限などはないのがあたりまえではないか。いわゆる被爆者であって、しかも厚生省が認定をする、あるいは県が認定をする疾病にかかっておる人、それがなおかつ年齢制限を受けておるわけでございます。毎年下げるということは、政府内部の事情としては非常にむずかしかろうかとは思いますけれども、そのことを含めて、後ほど特に所得制限の問題についてはお尋ねいたしますけれども、厚生省当局が前向きであるという姿勢をひとつお示し願いたいと思うわけでございます。
#17
○滝沢政府委員 法制定当時六十五歳で実施してまいりましたが、原爆被爆者の加齢現象といわれていますように、一般の老齢者よりもやはり身体の不安を踏まえて老齢化が早いであろう、こういうようなことも踏まえて昨年六十歳に引き下げましたが、われわれは五十五歳を引き続きはかるのは当然である。そのままにしておきますと、だんだん自然に老齢者に繰り込んでいくということだけを待つようなかっこうになりますので、やはり積極的な施策としては、年齢引き下げをなるべく御質問のように促進したいわけであります。しかしながら、現在の五十五歳というのが、大体共済組合等のいろいろの支給される年齢が五十五歳というものでございますので、一応の線は達したと考えておりますけれども、やはり私たちは健康という問題と、疾病がすでにある者に対して支給すべきことでありますから、本来は年齢制限がなくていいというお考えもごもっともでございますが、一応諸般の内容の充実ということを踏まえまして、五十歳程度まではなるべく早い機会にこれを改善したいというのが当面のわれわれの考え方でございます。
#18
○増岡委員 そこで所得制限の問題でございますけれども、この法律で税額が書き込まれておるわけでございます。したがいまして、所得が向上するにつれて減税が行なわれれば、両方が並行しておれば自然にといいますか、それでもそのままのカバー率になってしまうわけでございます。ところが、現状は減税よりも、むしろ所得の向上のほうが進んでおるというのが実情であるわけでございます。今回そのことについて手をつけられておるはずでございますけれども、それにしましても、私の試算をしたところでは、大体健康管理手当、特別手当を含めて七割ないし八割くらいの人が受給して、有資格者のうち、所得制限にひっかかる者が二割ないし三割あるように思うわけでございます。
 ところで、今度老齢福祉年金あるいは老人医療無料化ということを取り上げてやられようとしておられますけれども、これは所得のみの制限で、それによってその恩典を受けないという人は一割以下で、おそらく七、八%であろうと思われるわけでございます。そのギャップを、政府はこの特別措置法並びに医療法が、社会福祉の精神からやっておられるように言っておられるのだけれども、同じ社会福祉法の中でも、そういうギャップがあるわけでございます。この点について今後どういうふうに対処をせられようとするのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#19
○滝沢政府委員 この所得制限のことにつきましては、おっしゃるとおり、今回の所得制限が従来の支給率を落ち込まないで維持できる、数字的には八〇%程度の支給率でありましたものを維持する、一応結果的にはそういうことになりまして、福祉年金、扶養等と確かに金額、数字の上では差がございますけれども、若干御説明申し上げますと、この原爆の健康管理手当は今回四万八千四百円という所得税額できめられておりまして、これは本人所得がない場合の扶養者の場合も金額が同様に適用されます。福祉年金の場合は、御存じのように扶養の場合は二百五十万と今回の予算がなっておりますが、あれは六人家族の場合でございまして、これを四人家族に引き直しますと、二百二十万程度になります。それから福祉年金の場合、本人の所得額にしますと百十二万。今回の四万八千四百円を所得額に直しますと百六十五万というような数字になります。百十二万という数字あるいは四人家族の扶養の場合の二百二十万という数字、こういうものを踏まえて、その中間程度に設定されておるというようなことでございます。もちろんこの作業は、四十年の所得税の基本的な考え方を、逐年改善されたものを積み上げて直しまして数字を出したものでございます。
 結論的に申しますと、確かに今回は年齢の引き下げ、手当額の増額、所得制限の緩和もあわせて、三者あわせてやりましたということにはなりますが、やや私は積み残しの感がありましたのは、所得制限の緩和がやはり宿題になっておるという感じは率直にいって残っておりますので、できるだけこの点につきましては、引き続き改善をはかってまいりたい、こういう気持ちでございます。
#20
○増岡委員 ただいま御説明のように、老齢福祉年金あるいは医療無料化の二百五十万円というのは扶養義務者の額である。この分は、被爆者の所得制限は、本人の所得もそこまでいくんだということで、立て方は違うわけですけれども、ところが考え方によっては、老人のほうはおそらく所得がこちらできめている金額までいく人はほとんどいないだろう。老人の原爆の人は、扶養義務者のほうでしぼられてしまう。ところが、片一方の無料化のほうは扶養義務者二百五十万円だということになると、その人たちの格差はやはり歴然と残るわけです。そこで、今後そういうことが行なわれないように、またそういうことの実行がむずかしいということであれば、なぜそういうことになったかという、これまでの政府内部のいろいろな折衝の歴史的な過程がおそらくあると思いますけれども、その点をひとつお答え願いたいと思います。
#21
○登坂政府委員 増岡委員の御質問のとおり、できれば所得制限は、私どもとしてはなるべく大幅に緩和したい、そういう意向で今後財政当局と折衝してまいりたい、そういう考えでございます。
#22
○増岡委員 その点を特にお願いをしておきたいと思うわけでございます。
 そこで問題は次に移りまして、今度医療審議会の中に福祉部会を設けて、被爆者の社会福祉問題を充実させるべくスタートされるようでございますけれども、この部会の構成、内容等の構想がございましたら、御発表願いたいと思います。
#23
○滝沢政府委員 昨年の原爆被爆者の法律を御審議いただきましたときに、御質問の先生方から、従来の医療審議会だけでは不十分であって、きょう御提案のように、援護的な援護法の考え方に基づく審議会がつくれないかということは前々からの御要望でございまして、当時の内田大臣から、福祉部会を来年はつくって福祉の向上をはかりたいというお答えを申し上げまして、それを受けまして、われわれが四十七年度の予算要求に、審議会の内容の充実について折衝いたしましたところ、十名の委員の増員が認められたわけでございます。
 ただいまの考えとしては、今回医療部会と福祉部会に審議会を分けまして、原爆症の認定が従来非常におくれているという御批判がございましたので、これも医療部会によって、毎月少なくとも一回は開催できるという仕組みにして、予算も十二回開催が認められております。福祉部会につきましては予算上は四回でございまして、予算の編成、あるいはすでに四十年に行ないました実態調査に基づく諸施策の実施をどうするか、あるいは予算を新たに要求する内容についていろいろ検討していただくというような問題を含めまして、福祉部会を関係者、学識経験者等を交えまして新たに発足させたいという考え方でございまして、福祉の向上のために、一そうこれが行政に反映してまいりますよう実施してまいりたいという考え方でございます。
#24
○増岡委員 わかったようなわからないような話でありまして、この福祉部会が被爆者から要求があり、また当局が取り上げようとしたその気持ちの中には、おそらく現在生きておられる被爆者はもちろんでありますけれども、被爆二世、三世の問題をどうするかというような気持ちが陳情の側には常にあったわけでございます。もっともこれは、部会がそういうところまで御審議になるのかどうかという態度で厚生省側がおるのか。これはぜひとも、もっとほんとうにりっぱな福祉法として体系づけられるようなかまえを厚生省が持っていなければならない。ただ、福祉部会をつくって、そこで御審議いただけなかったから何もしませんというわけにはまいらぬと思うわけです。したがって、ただいまの答弁ではたいへん不満足であるわけでございます。しかし、まだ予算も通ったわけではありませんし、今後の問題であろうかと思いますが、その点については十分に腰を入れたかまえをつくっておいていただきたいと思うわけでございます。
#25
○登坂政府委員 仰せのとおり、原爆の被爆者の皆さんは、多年精神的にまた肉体的に非常に苦痛をいたしておる。また私どもとしても、これらの方々に安心願えるような、そういう医療措置なり社会福祉政策を遂行することは、当然の義務と考えておりまして、この福祉部会を通じまして、被爆者の考え方を十分生かして、そして皆さんの御期待に沿うような、そういう部会のあり方であってほしい、厚生省としてもそういうふうに指導してまいりたい、かように考えております。
#26
○増岡委員 この福祉部会のできた背景と、それから今回の予算措置で調査研究費を倍額以上に大幅にふやしておられるわけでございます。これはまだきまっておりません、要求でございますけれども、この二つをあわせて考えますと、従来からやっておられる、いわゆる現存被爆者そのものではなくして、そのあとにおられる二世、三世――私は別段、二世、三世に対して遺伝があるという確固たるものを持っておるわけではありませんけれども、しかしながら遺伝をするかもしれない、またそういうことから縁談に差しつかえがあるということで、被爆者の氏名は公表しないのがたてまえになっておるわけでございます。そういう気持ちを考えた場合に、もう一ぺん、厚生省がこの二世、三世の人たちに対してどういうふうに考えておられるのか、あるいはまた福祉部会に対して、二世の問題のみならず、ほかの問題も具体的に例をあげて、こういう問題を審議してくださいという諮問の形式で出されるおつもりであるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
#27
○滝沢政府委員 福祉部会に対する諮問の形ということでございますが、これにつきましては、まず福祉部会を開催いたしまして、当面どういうようなこと、たとえば四十年に実態調査を実施しまして、健康面についてはいろいろの見解が出ておりますけれども、受療率が高い、あるいは身体障害率あるいは保険薬を常用しておる率も高い、そのほか社会的な要素としての失業の問題等いろいろございまして、これが広島県、市あるいは長崎の県、市では法外援護的にいろいろ実施しておられます。そういう面をとりあえず議題にし、またこれを踏まえて、将来の実態調査というものの必要なり、あるいはその持っていく角度なり、そういうような問題も御審議願い、その内容によって諮問する必要がある場合には、諮問申し上げて御検討いただきたいというふうに考えておる次第でございます。
 二世の問題につきましては、先生おっしゃるとおり、従来も国会等で御答弁申し上げておりますように、当時二世に対し、比較的被爆後早い機会に生まれた子供を対象にいたしまして五万三千人、特に白血症というものが、放射能の影響が学問的に根拠がございますので、それらについて研究が行なわれましたが、その発生率、その発生したところの白血球の型の分類等の面から見ましても、一般的な白血病の発生率と変わりない。これは遺伝の問題はその後も引き続き行なわれまして、白血球の培養という方法による遺伝の研究もなされましたが、これによりましても異状の発見はなされておらない。したがって、二世としての遺伝学の上からの新しい遺伝学の解明の方法が開発されれば別といたしまして、現状では当時比較的早い機会に生まれた子供についての遺伝学的面の異状というものについては、学問の上では異状を認めがたいとなっておる次第でございます。したがって、福祉部会が一般的に二世の方々の不安というような問題をどういうふうに考えていくかということについて、研究の段階では確かにわれわれも一応検討してみましたけれども、従来四百万の厚生省関係の研究費が今回一千万に増額はされましたが、これは内容的には、前々からガンの発生に関する研究と、生活機能に関する研究と、健康管理の方式をどうするか、たとえば健康管理の中で造血臓器の障害、肝臓障害等がどういうふうに進展して認定患者あるいは健康管理手当の支給対象になるような状態になるか、こういうことをやってまいりまして、一応このすでにあるものを新たに発展させていく費用だけで一千万必要だということになりまして、その点について、二世の方々の健康状態の研究というものに手をつけるということになると、学者の皆さんの御意見を十分拝聴する必要がございますが、現段階においては、関係の方々の御見解としては、よほど新しい解明の方法が見つからない限り、現状の医学の健康診断方式程度では、研究に入ること自体に非常に問題意識を持っておられますので、研究という姿は、遺伝のあるなしが従来の焦点になっておりまして、一般的な意味の健康状態の把握という点には、医学的にも、また方法論としても、また地元の皆さま方のこれに対するいろいろの考え方を踏まえまして、福祉部会でも当然話題にはなると思いますが、医学的な研究者の御意見としては、当面予算上これをすぐ実施するという段階に至らなかったということを、この機会に申し上げておきたいと思います。
#28
○増岡委員 やはり社会的な問題が起こり得ると思うのです、あまり軽率に遺伝するということを結論づけることは。
 そこで考えられますのは、せっかく健康診断の制度があるわけですから、自分のほうから進んで二世の方が診断してほしいというようなことがあれば、これはひとつそういうことができるように考えていただきたいと思います。その点いかがでしょうか。
#29
○登坂政府委員 はっきりした症状はなくとも、そういう二世の方が、遺伝性あるいは自分の健康について不安があるというような御心配のあるときは、積極的に政府もこれに対処し、本人の御安心のいくような、そういう医療体制をしくのが当然であると考えております。
#30
○増岡委員 話はもとへ戻りまして、年齢制限のことでありますけれども、一般的には、被爆者は、被爆者でない人よりも十歳程度早くふける、加齢現象があるというふうにいわれておるわけでございます。それで、私は年齢制限はないほうがいいという議論でありますけれども、百歩譲って、もしあるとしても、実際加齢現象があるとすれば、老人というものは何歳か、そのマイナス十歳になる理屈になるわけであります。老人の何歳という定義づけはないようでありますけれども、参考までに申し上げますと、老齢福祉年金は七十歳でありますが、そのほかの共済組合、国家公務員をはじめ年金を受けられるのは大体五十五歳から始まるわけです。
 そういうことを考えますと、今回五十五歳になりますのを、もっともっと下げていっていただかなくてはならない。そうすることによって、いわゆる一般手帳と特別手帳との関係もあるわけでありますけれども、救済される方々がだんだんに広がってくると思うわけでございます。
 それともう一つ、いま特別手帳、一般手帳の区別をなくしてほしいという要求が強くあるわけでありますけれども、事実はもう被爆者のうち九割までが特別手帳になっておりますから、ついでに残りの一割もと、われわれは言いたいわけです。全部特別手帳にしたらどうか。これは人数が一割ですから、大ざっぱにいって、予算が一割ふえればいいというふうにも考えられるわけであります。今回は総額において三十数%、あるいは諸手当の面からいいますと八〇%近いアップをしておられる。それだけの努力を重ねていかれれば、この問題も解決がつきやすいのではないかというような気持ちがいたしておるわけでございますけれども、その点はいかがでございましょう。
#31
○登坂政府委員 年齢制限については、御説のとおり私どももなるべく御趣旨に沿うような方向で検討したい。
 また、原爆手帳に関しましては、今後諸般の研究を進めて結論を得たい、こういうふうに考えております。
#32
○増岡委員 最後に、沖繩が今度本土に復帰いたすわけでございますけれども、これは従来から当委員会においてもいろいろ議論をされ、措置が講ぜられておると思うわけでございますが、二カ月後に迫ったその瞬間において、何ら内地といいますか、現地の被爆者の方々と差別ができないか、あるいはできるか、その措置はどうするかという点について御説明願いたいと思います。
#33
○滝沢政府委員 沖繩の被爆者の問題につきましては、特別措置法ができまして以後、琉球政府並びに米民政府、日本政府の三者で協議覚え書きが了解事項としてできておりまして、結論を申しますと、現在二百七十名の原爆被爆者がおりまして、うち一般被爆者が十九名、特別被爆者が二百五十一名というのが現状でございまして、認定されておる患者、いわゆる原爆症の患者は二十名でございます。過去にこの方々が医療を必要とする場合、本土に迎え入れて入院治療等をいたした例もございますが、最近二、三年はその例がございません。そのほか、毎年長崎、広島等の専門の方々を沖繩に派遣いたしまして、法に基づく健康診断を実施しておりますが、その参加率も七〇%程度で、百四、五十名程度のものを毎年二回実施いたしております。
 沖繩復帰に伴いまして、現在の医療法あるいは特別措置法ともに即時適用になりますが、ただこまかい点として、沖繩が医療機関に恵まれない、あるいは健康保険の制度がないというような部分につきまして、療養費払い制度でこの問題を見ておりますので、その手続その他今後の沖繩の医療機関の充実に伴いまして、全く本土と同様の仕組みが実現することを期待しておりますけれども、そういうこまかい点で、沖繩の原爆医療の問題あるいは措置の問題等に若干問題を残しております。
#34
○増岡委員 時間でございますから、最後にお願いをいたしておきますけれども、ただいままで申し上げました問題、あるいは現地において行なわれております復元調査の問題がどの程度進捗しておるか。ほぼ聞いておりますけれども、その問題を含めまして、実はきょう大臣がいらっしゃらないので、政務次官からよくこの問題について――大臣は御承知でありますし御理解がございますので、これは復元調査だけでなく全般的な問題でございますが、復元調査を含めてよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#35
○登坂政府委員 原爆問題については、政府といたしましても、できるだけ被爆者の安心のいくような措置、また今後ともそういう医療体制及び社会福祉問題については、御期待に沿うような懸命の努力をいたします。
     ――――◇―――――
#36
○森山委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
#37
○後藤委員 きょうは電電公社の副総裁、さらに厚生局長それから厚生課長、公務多忙なところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 実は電電公社関係の、特に厚生福利の中でも宿舎関係につきまして、お尋ねをいたしたいことがございますので、ひとつお願いをいたしたいと思う次第でございますが、先般資料も公社のほうからいただきました。まず第一番には、公社職員の福祉対策についてどういうような方針で現在進められておるか。特に住宅問題を中心に、簡潔でけっこうでございますので御説明いただきたいと思います。
#38
○秋草説明員 私ども電電公社の従業員の福祉対策としての住宅対策という意味でございますが、これを広い意味にとりましての、まず一般の住宅対策としての考え方なり、現状というものを申し上げてみたいと思いますが、私どもの住宅対策、多数の従業員を擁しておりますので、非常に苦労して毎年計画も進めて、またこの管理にも慎重を期しておりますが、大ざっぱに申しまして、こうした政策なり予算なり、実行配慮する場合の考え方といたしましては、住宅の目的に合わせて業務用の社宅、それから厚生用の社宅、こういうふうに考えたいと思っております。
 業務用と申しますのも厚生用と申しますのも、広い意味になれば、やはり一つの福祉対策にはなりますけれども、狭くこれをとりますると、業務用と厚生用と考えられると思いますが、その中の業務用社宅としては、まず管理者の人事上の配置を完ぺきにする。これは事業が非常に拡大し、また流動いたしますので、この業務の流動にマッチするような目的から当然考えなければならない。
 それにもう一つ、従業員の配置転換も一般の他企業に比べますと、かなりきびしく行なわれのでございまして、これを円滑にするという目的がございます。
 それから最後には、昨今御案内のように、新規採用者、あるいはまた新規採用者でなくても、六、七年という者は独身寮の激増が非常に必要となってまいります。この独身用の社宅、こういうものも、やはり十二分に配慮しませんと、業務の円滑なる遂行には非常に困窮を来たすということを考えております。
 残された厚生用社宅でございますけれども、これはいわゆる厚生と申しますと非常にぜいたくのようでございますが、いわゆる一般の持ち家の対策。社宅に対する要望というものは、毎年毎年多くなってまいりますので、こうしたものに対して少しでも満たしてあげるということでございますが、これまた、しかし先ほどの業務用社宅とダブる点はもちろんございますから、一応の観念としては、そうしたたてまえで計画し、実行にあたりましては、これがそれぞれの用途にまた混然としてくるということは、結果からは出てくると思います。
 そこで、数字的に申しますると、ただいまのところ社宅の保有率というものは、従業員の数と、それから社宅の数というもので割りますと、まだ二〇%になっておりませんので、一九%ちょっとでございます。数で申しまして四十五年度末で社宅の総数は、独身寮も一人分といたしまして五万三千二百人分の社宅がございます。そのうち独身者の使用するものは一万八千五百人分でございます。
 なおまた詳細な御質問がございますれば、厚生課長等も列席しておりますので、お答えいたします。
#39
○後藤委員 いま副総裁からかなり詳細に御説明いただいたわけですが、若年労働者の住宅の確保、これにつきましても、いまお話がございましたので、あえて重ねて質問する気持ちはございませんが、大体電電公社の住宅は建設が主になっておるのか、あるいは借り上げが主になっておるのか。電電公社の宿舎というのは、公社費で建設したものと、さらに共済組合で建設したものと、共済会で建設したものと、この三種類あると思うのです。その三種類で建設したものもございますけれども、それで不足だから借り上げという分もあるのではないかと私、思うわけでございますけれども、そうなってまいりますと、宿舎対策として建設が主になっておるのか、借り上げが主になっておるのか、この点お答えいただきたいと思います。
#40
○大守説明員 お答えいたします。私どもの社宅の建設につきましては、まず社費を使って建設することが望ましいと考えておるわけでございますが、現状におきましては、所要額の全額を社費で措置することができませんので、残余のものにつきましては共済組合、それから財団法人電気通信共済会の資金によりまして建設いたしまして、これを公社が借り上げるという措置をとっております。この場合、借り上げると申しましても、通常の借り上げとは若干性格が違っておりまして、宿舎の耐用年数が満了いたしましたときは、その宿舎の所有権は公社に移転をしてもらうというふうな方式で契約をいたしております。したがいまして、毎年の借料の中には元本部分の償還額も入っておるわけでございます。そういった借り上げ方式をとっておるわけでございます。
 したがいまして、考え方としては社費による建設というものが原則でございますが、先ほど申し上げましたように所要額の面から見ますと、むしろ金額の面では社費によるものはここ数年、共済会資金あるいは共済組合資金等の三分の一程度というふうになっております。
#41
○後藤委員 いま御説明がございましたが、おそらく電電公社も入居を希望する人を一〇〇%充実しておるとは私、思わぬわけですけれども、この点いかがでしょうか。
#42
○大守説明員 お答えいたします。四十五年度末の資料でございますが、世帯用社宅あるいは独身寮合計いたしまして、社宅に入居したいという申し出がございまして、なおかつ四十五年度末現在で入居できておらない職員が約一万一千名あります。
#43
○後藤委員 では重ねてお尋ねします。いま副総裁なり厚生局長さんから御説明があったのですが、その住宅につきまして一般職員に重点を置いておられるのか、管理者のほうの住宅に重点を置いておられるのか、いずれに重点を置いておられるのでしょうか。
#44
○大守説明員 お答えいたします。
 先ほど副総裁から申し上げましたように、私どもといたしましては、業務上必要とする社宅に重点を置いておるわけでございまして、したがいまして、その中におきまして管理者の人事異動用もございますし、一般職員の配転用もございますし、あるいは職員を新規に採用いたします場合の独身寮もございますし、いずれも特にこれを重点ということではございませんで、そういった業務上のものは、重点といたしましては同様に考えております。
#45
○後藤委員 そうしますと、管理者であろうと一般職員でありましょうとも、業務上ということを中心に考えておるから、いずれとも甲乙つけるわけではなしに、同じように重要に考えて対策を立てておるんだということだと思うのです。ところが地方へ参りますと、局長さんなり、さらに管理者の人の住宅というものは充足されておるけれども、一般の職員の住宅が不足しておる。これは私確実に握っておるわけじゃございませんけれども、こういうことをときどき聞くわけなんです。この点はいかがでしょうか。
#46
○大守説明員 お答えいたします。
 ただいまの御質問でございますが、管理者の場合の充足率と申しますか、そういったものは、確かに全国的に見まして、一般職員の場合よりは高いと思います。しかし、これは管理者の場合に、人事異動で全国的に広域人事を実施しております関係で、行き先で社宅に入居するという機会が多いということでございまして、一般職員の場合につきましては、配置転換等で転勤をいたしました場合には必ず社宅の提供をいたしておるわけでございまして、その辺は、業務上の必要によるものについては区別をいたしておりません。
#47
○後藤委員 それで、先ほどから御説明のございましたように、社費で建設する分、共済組合、共済会で建設する分と、昭和四十六年度におきましても建設計画が約三千戸余りある。これは資料をいただきましてわかっておりますので質問はいたしませんけれども、いま申し上げましたような、社費なり共済組合なり共済会ですか、ここで建設した住宅だけでは不足をしておる。その場合に借り上げをするんだ、こういう御説明もあったと思うのです。
 それじゃ一体宿舎を借り上げする場合に、本人の負担というのは一体どうなっておるのか。たとえば東京のこの近辺でございますと、かなり高いと思うのですね。その高いところへ宿舎が不足ということで入る。入った職員は一体どれだけ負担するんだ、何に基づいて本人負担分がきめられておるのか、何か規則があると思うのです。金額の高いところと金額の低い住宅と、本人負担分が違うのか違わないのか、どういう規則によって本人負担分がきめられておるのか、この点の御説明をいただきたいと思います。
#48
○大守説明員 お答えいたします。
 現在、社宅は先ほど申し上げましたように、社費によるもの、あるいは共済組合、共済会の資金によるもの、それから例外的にはではございますが、一般の借り上げによるものと、この四通りあるわけでございますが、職員が社宅に入居いたします場合には、こういった資金別の区分にかかわらず所定の額を社宅使用料として徴収しておるわけでございます。したがいまして、借り上げの場合も公社の社有の場合にも、同じ基準に基づきまして社宅使用料を徴収しておるわけでございまして、根拠といたしましては、私どもの総裁達で社宅規程というのがございまして、これに基づきまして平米当たり幾らというふうなことで基準をきめておるわけでございます。
#49
○後藤委員 そうしますと、いまあなたが言われました借り上げ社宅の家賃ですか、それについては公社のほうから支払うのだ。ただし、本人負担分といたしましては、公社の社宅と同じように負担をしていけばいいんだ、不足分については公社が負担をするんだ、こういうふうに解釈していいわけなんですか。
#50
○大守説明員 そのとおりでございます。
#51
○後藤委員 そうしますと、現在におきましても電電公社で借り上げの社宅があると思うのですが、本人負担分と公社負担分とどれくらいな差がございますか。
#52
○大守説明員 借り上げ社宅につきましての本人負担分というものの集計資料を現在持っておりませんので、後ほど提出させていただきたいと思います。
#53
○後藤委員 その前にあなたは説明されましたね。借り上げ住宅の家賃の本人負担分については、一般の社宅に入っておる者と一緒である、社宅が不足しておるから借り上げて、そこに住んでもらっておるんだ、こういう御説明をされたと思うのです。そうすれば一般の社宅と職員は一緒でございますから、これは簡単にわかると思うのです。
#54
○秋草説明員 こまかい資料をただいま用意しておりませんのですが、管理者を含めた私どもの職員に対する基本的な家賃の負担の考え方を申し上げます。
 住宅は先ほど申しましたように、建設する途上において公社の社費で建てるものもあれば、共済組合で建てるものもあれば、共済会で建ててもらうのもあります。全部これは住む人から見れば、全く同様だと思います。社費で建てるものは安くていいんだということにもならぬと思います。これもまた非常に大きな金がかかっておるわけです。そこでまた一面東京のように、非常に住宅の確保が困難であるという見方もあれば、東京などは一戸の社宅を建てるのに非常にコストが高いという見方もあるかと思います。いなかなどはわりあいに安く家が建てられるという事情もあると思います。そういうことを全部考えませんで、何平米のものは幾ら、鉄筋は幾らと、そういう一つのルールをつくっておりまして、それを適用しております。
 ただ大ざっぱに申しまして、資料はございませんけれども、実際世間相場の家賃よりは非常に安いものを管理者を含め、従業員から徴収しているということだけは明快に申すことができます。
#55
○後藤委員 だいぶん前だったと思いますが、東京都内で公社の幹部の人、管理者ですが、転勤があった。前任地の宿舎を出ない、転勤先で宿舎に入る、いわば宿舎を二つ持っておったというようなことで、国会でも批判されたことがあったと思うのです。現在そういうことはございませんか。
#56
○大守説明員 ただいま御指摘の点につきましては、私ども十分平生注意をいたしておるわけでございまして、私の知っておる限りにおきましては、そのようなことはございません。
#57
○後藤委員 ないとおっしゃいますから、きょうはないということでお聞きいたしておきます。
 それから、さらに管理者が自分の家を建てて、建てた家を公社に高く貸して、自分は安い家賃のところで住んでおる。これはかなり投書が来ておるわけなのです。こういうケースはありますか。
#58
○大守説明員 お答えいたします。
 たとえば管理者が東京で自分のうちを建てて地方に転勤をするというケースはかなりあるわけでございますが、その場合に、東京でつくりましたうちというものを公社が借り上げをするということはいたしております。ただ、この借り上げの価格は市場価格よりもかなり安く決定をいたしておりまして、私、その価格の算定につきましては、所管でございませんので、つまびらかでございませんが、市場価格よりも安く決定をいたしまして借り上げをしておる、こういう事例はございます。
#59
○後藤委員 そうしますと、たとえば電電公社の理事になりますと、退職金をもらって、役員になるわけですね。もらった退職金で東京に家を建てる。そうなりますと、その家を、東京ですからかなり家賃が高い、電電公社のほうで借り上げ住宅ということで家賃をごっそりもらう。自分は安い家賃のほうで住居をする、役員の中ではそういうケースはございませんか。
#60
○大守説明員 私の承知しておる範囲では、そういったケースはございません。
#61
○後藤委員 それではもう一つお尋ねしますが、いま申し上げましたこの公社の幹部で、いわゆる電電公社の社宅に入るのをきらって、高級マンションに入っておる、そういう人はございませんか。
#62
○大守説明員 私ども、役職員につきまして、社宅面での管理はいたしておりますが、それ以外にどの方が市中のどんなマンションに入っておるという点につきましては、調査をいたしておりませんです。
#63
○後藤委員 それではあなたの説明はおかしいじゃないですか。私は個人の持っておる住宅のことを言っておるのじゃないのですよ。借り上げ住宅のことを言っておるのです。
 たとえばこの付近で高級マンション、月にどのくらい取るか知りませんけれども、それを電電公社が借り上げる、本人からは、先ほど言われた一般の社宅と同じ並みの家賃しかもらっておりません、こう言われるのですから、その差額というのは電電公社の財政から出るわけなのです。そういうことをやっておる電電公社の役員は全然ございませんかということを私お尋ねしておるわけなのです。あなたは知らぬとは言えませんよ、この問題は。
#64
○大守説明員 たいへん失礼いたしました。先ほど高級マンションというお話でございましたので、実は一般のものであって、私どもの社宅ではないというふうに承知をいたしましたので、先ほどのような答弁をいたしたわけでございますが、御指摘のような高級マンションを公社が借り上げをいたして、社宅として使用して、しかもそこに役員を入れておる、こういうケースは私の承知しておる限りではございません。
#65
○後藤委員 これは重ねて念を押しますが、私全部資料を持っておるのです。全部資料があるから私はお尋ねをしておるわけなのです。
 ただ私が調査したところによりますと、電電公社の役員の中に月、二、三十万の高級マンションに入っておる、場所も全部わかっております。本人は大体一万円から一万五千円しか負担しておらない、残りは全部電電公社のほうで負担をしておる、それが役員の中にただ一人そういうことをやっていらっしゃる方がおられる。その場所も知っておれば、写真も私持っております。全部調査した上で、あなたにお尋ねしておるわけなのです。
 だから役員の中で高級マンションに入って――少なくとも赤坂付近の高級マンションですから、かなり家賃は高いわけなんです。それが私が申し上げるまでもなく、えらい失礼なことになりますけれども、いまの賃金というとおかしいのですが、役員の報酬というのは総裁が五十五万でございますか、副総裁が四十五万、一般の役員の人が四十万と私は聞いておるわけなんです。
 そうしますと、その人が高級マンション、三十万のマンションに入っておる。四十万のうちから毎月毎月三十万支払ってしまうと、一体どうなるのですか。あなた適当にごまかそうと思っても、これはごまかせる問題じゃないのです。あなた、ここで絶対そういう人はいないということを言い切れますか、はっきりそれだけのことを言うだけの自信がありますか。場所から何もかも私は全部調査した上で言っておるわけなんです。
#66
○大守説明員 私先ほど申し上げましたのは、私の承知しておる限り、そういうことはございませんと申し上げたわけでございまして、ただいま重ねて御指摘がございましたので、調査をいたした上で、別途お答えしたいと存じます。
#67
○後藤委員 それは調査しなくても、私、はっきり知っていると思うのです。そこには副総裁もおいでになるし、厚生局長もおいでになるし、厚生課長もおいでになるわけです。全然無関係な人じゃないと思うのです。しかも役員の人が十数名おいでになる中で、だれがどこへ住んでおる、だれがどこへ住んでおるというくらいのことはわかると思うのです。はっきりしておると思うのです。しかも私は場所から全部見てまいりましたけれども、家賃の点につきましても、先ほど私が言ったのと大差ないわけなんです。
 大体本人負担分は一万五千、二十万、三十万というと、おそらく高級マンションだと私は思うわけですが、その差額というのは電電公社から支出されておるではないか、いわば電話の加入料でそういう高級マンションに入っておるということも、これは回り回って言えるわけなんです。もしそんなことがあったとしたら、私はたいへんだと思います。今度の国会におきましても、電信電話拡充法でございますか、これもやはり建設資金不足のために十年間延期云々という問題が出ておるわけなんですね。しかもまた電信電話公社法の法律によりましても、理事というのは、場合によっては総裁の代理にもなるわけなんです。これは私が言うまでもなく十分御承知だと思うのです。これほど重大なことが、調べないことには返答できないというのは一体どういうわけですか。調査しなければわからない、そんな小さい問題ではないと私は思うのです。はっきりお答えください、副総裁。
#68
○秋草説明員 お答えいたします。
 後藤委員のお話を承りまして、大体御趣旨はよくわかりました。公社の役員も含めまして、管理職の社宅は昨今ではほとんど鉄筋でございます。木造など新しくつくるということはございません。やむを得ず借りるということは間々ございますが、地方の通信局長とか、本社におきましても、入っておるうちというものは、世間から見れば、かなり私は恵まれたりっぱなものだと思っております。しかし非常にぜいたくであるかどうかということは、その実態をもう少し検討しなければなりません。
 私ごとを申して恐縮でございますが、この問題は、よく住宅手当の理論構成の場合にも一つの大きな問題点となって、自分の家を持ってずっときている者と社宅に入る者との比較を見ますると、かなり割り切れないものがございます。それで、いまの幹部の入っている社宅というものは、いま先生のおっしゃったように、マンションというふうにおっしゃいましたけれども、私どもの幹部が入るような鉄筋の部屋で四部屋、五部屋あるというようなものは、世間から見れば、これはかなり高級なマンションだと私は思うのであります。
 いま私は、ここで具体的な一つのある理事ということを聞かされておりますけれども、詳細なことは存じておらなかったのですけれども、これも公社で必要に応じて所有し、それを本人にあてがえば、特にデラックスなマンションだと言ってみましても、地方におきましての局長とか、あるいは東京都内におきますところの木造のかなり大きな住宅でも、そのマンション以上の経費を公社としては払っているわけでございます。本人にはやはりそれに相当する、さっき申しましたような基準に基づきまして、その何分の一かの負担を徴収させる、こういうことになっておりますので、場所とか、あるいは一般のマンションの中に位しておるものを借用し、あるいは借り上げておれば、いかにもまたそういうふうにぜいたく千万なように見えますけれども、実態は必ずしもそういうものでは私はないと思っております。
 ちょっといま初めてその問題点を指摘されましたので、資料を持っておりませんけれども、原則的に私は一応御説明申し上げておきます。
#69
○後藤委員 いま副総裁の言われたことと私が言っておるのと、ちょっと違うわけなんです。ただ私は電電公社の社宅、これがりっぱ過ぎるとか、りっぱ過ぎないとか、そんなことを言っておるわけじゃございません。ただ、私が最終的に聞きたいのは、約三、四十分にわたって御質問いたしましたように、まだまだ若年労働者等の住宅は不足をしておる、先ほどからの説明がそういう説明なんです。まだまだ住宅は充足しておらない、公社費で建てる、あるいは共済会で建築する、共済組合で建築しておっても、まだまだ不足しておるのだ。不足しておるということは、職員に迷惑をかけておるのだ、さらに新規採用につきましても、住宅事情のために新規採用が非常にむずかしい、こういうような情勢が先ほどから説明があったと私は思っておるわけなんです。ところが、最終的に私が指摘しましたのは、やはり電電公社には総裁がおられ、副総裁がおられ、理事が十数名おられると私は思うのです。その中のただ一人が電電公社の社宅に入居することをきらって、月二、三十万円という膨大なる家賃の高級マンションに入っておる。はたしてこんなやり方が妥当であるかどうか、しかも、私は先ほども言いましたように、電信電話拡充法にいたしましても、やはり建設費が不足だという面から考えるならば、これは重大な問題になると思うのです。
 それから、さらに、電電公社法で読んでみましても、明らかに、役員というのは何をすべきか、これははっきり書いてあるわけなんです。
 職員の模範になる勤務をする、これはもう当然のことだと思うのです。そういう点から考えるときに、私の申し上げましたことが全面的に間違っておる、事実でないということなら、これは別でございますけれども、私も思いつきや、いいかげんなその辺で聞いてきたところで、この問題を指摘しようとは思いません。その高級マンションのある場所から、家賃が幾らであるか、本人が幾ら負担しておるか、その人だけが役員の中で電電公社の社宅に入るのをきらって、そこで生活をしておる。しかもその人が将来電電公社を背負って立とうかというりっぱな人だということも聞いておるわけでございます。そんなことがこのまま放置されまして継続していくというと、これは非常に重大なる問題になろうと思うのです。
 ただ、副総裁に言いますけれども、私は電電公社の社宅がりっぱ過ぎるとかりっぱ過ぎないとか、そんなことを言っておるのじゃございませんから、その点だけはひとつ誤解のないように聞いていただきたいと思うのです。いま申し上げましたような意味に立ちまして、最後に私は質問をいたしたようなわけでございますから、重ねてもう一ぺんお尋ねいたしますけれども、そういうものは一切ないのかあるのか、ノーかイエスか。私は全部ここに持っております、何もかも。そのお答えをいただきたいと思います。
#70
○大守説明員 お答えいたします。
 先ほど赤坂の高級マンションという御指摘でございましたが、確かに、赤坂のマンションに私どもの役員が一名入居いたしております。しかし、これは公社がマンションの借り上げ費というものを払っておるわけではございませんで、このマンションの一室を買収いたしまして、これを社宅といたしておるわけでございます。
#71
○後藤委員 そうしますと、赤坂の高級マンションは十数名の役員の中でただ一人だけがそこに入居しておられる、これは事実ですね。
#72
○大守説明員 そのとおりでございます。
#73
○後藤委員 それじゃこの問題につきましては、もう重ねて申し上げませんけれども、赤坂といえば東京でもこれは一番高いところだと思うのです。そこの高級マンションに二十万、三十万、高い家賃を出して、しかも役員の中でただ一人だけがそこで住居しておられる。これは社宅か自家か知りませんけれども、しかも電電公社の社宅に入ることをきらってそこに入っておられる。その約九〇%以上が電電公社負担ということになっておると思うのです、先ほどの説明からずっと推していきますと。なぜ一体そういうことをやらなければいけないのでしょうか。そんなことを総裁、副総裁が許しておること自体が私はおかしいと思うのです。それはいつからそういうふうなことになっておるのか、私は知りませんけれども、私が調べた限りにおきましては、厚生局長ですか、お答えになりましたように、高級マンションに入っておる、しかもただ一人。
 ところが、全国で電電公社に入っておられる職員の人は一生懸命汗水たらしながら、まだ家がない、あるいは小さい社宅で住んでおられる。東京に来てみると、役員がそういういわばやりたいほうだいのことをやっておる。これは事は重大ですよ、こんなことをやらしておったのじゃ。これが事実とするなら、副総裁、一体どう処置されますか。
#74
○秋草説明員 先ほどもるる申し上げましたように、社宅というものが、マンションであれば非常にぜいたくであるというのは、一がいに私はきめつけることはできないと思うのです。私どもが社費あるいは共済会の金でいろいろつくって、管理者あるいは幹部が入っているものにも、マンションとしてもお粗末なものもございますし、マンションという意味が、実態が非常にぜいたくであるかどうかということ――その程度のものが理事としてふさわしいかどうかということは大事な問題であって、ただ赤坂とか、あるいはまた一般の何十軒かある大きなマンションの中で一人だけがそこに、特に一般の公社の提供する管理者社宅をきらって入ったかどうかということは、もしそういうことがあれば私どもは非常に遺憾だと思っておりますけれども、見方によっては、どうしてもそういう必要が起きた場合に、適当な社宅がなければ、また坪数とか、そういうものを適当に考えてマンションを分譲していただきまして、そこに管理者を居住せしめるということは、今後もあり得ると思います。ただ、場所とかあるいは程度の問題で、ほかの一般に比較して非常にぜいたくに見えるものがございますれば、今後改めたいと思っております。
#75
○後藤委員 先ほど厚生局長が、何か役員の中で一人おられると言われましたね。それはどういうお名前の人でしょうか。それだけちょっと参考までにお聞きいたしたいのです。
#76
○大守説明員 ただいまの赤坂のマンションに入居しております役員の名前をということでございますが、この点につきましては、早急に調査いたしまして、別途お答えをさせていただきたいと思いますので、名前の点につきましては、御容赦をいただきたいと思うわけでございます。
#77
○後藤委員 それで、さっき言いました、高級マンションに入っておる人が一人ある――一人あるということは、あなたも十分御承知なんです。私も知っておるわけなんです。だれかといえば言えぬことはないわけです。だけれども、副総裁なり厚生局長もそこまで言っておられるのですから、ぜひひとつこの問題については、軽く考えずに、電電公社そのものの全体から考えますと、これは私は重大な問題だと思うのです。
 ですから、先ほどから私が言っておりますように、私の言わんとするところの趣旨を誤解せずに、私が言わんとするところは、副総裁なり厚生局長も十分わかってもらったと思いますから、その点を十分調査をしていただいて、この問題をどう処理するかということについては、社会労働委員会の委員長を通じてこちらに報告をいただきたい。そうして、不十分であれば、私も十分資料を持っておりますから、重ねてまたこの委員会で、あるいは関係委員会で追及をする、こういうことで、この問題については、きょうのところは打ち切っておきたい、こう思います。
#78
○森山委員長 次に、島本虎三君。
#79
○島本委員 ただいま後藤委員のほうから高級マンションの、いわば日の当たるすばらしい環境の質問があったわけでありますが、私の場合は、いまどき一つの国の中で、少数先住民族をいまだに公式に土人として呼ばわっているような、こういうような文明国はまずないはずなのに、それが現存する。その状態打開のために、厚生大臣はじめ法務省の皆さんに、これから若干の質問を展開したい、こう思うわけでございます。
 それで、北海道をはじめとして、アイヌの数はどれぐらいございますか。
#80
○加藤政府委員 大体二万人程度だと思います。
#81
○島本委員 あるいは二万という答え、あるいは一万六千といい、あるいは九千、こういうふうにいわれてさえおる。人数さえはっきりしないのであります。もし二万だとすると、はっきりしたデータもおありだと思います。二世、三世になって、純粋な人も少なくなってきているのが現状でありますが、所得は大体幾らくらいでございましょう、生活状態はどういうふうな状態ですか、その対策等はどういうふうにしてございますか、この点をまとめて伺います。所得、生活状態、その対策。
#82
○加藤政府委員 所得の状態ははっきりした資料はちょっと手持ちがございませんが、一般の家庭、国民全体の平均からいうと相当下回っているということがいえると思います。それは一つの例といたしまして、たとえば高等学校の進学率、それが昭和四十五年度ではウタリ関係では二四・八%でございます。それに対しまして、一般の平均は六九・一%というような数字が出ております。また大学に対する進学率も一般の一九・八%に対して、ウタリ関係は、これも四十五年でございますが一〇%と約半分である、そういうような数字から推計いたしますと、一般の生活に比べて相当の格差があるということがいえると思います。
 これに対しまして国あるいは北海道庁等が中心になりまして、昭和三十六年度から不良環境地区の対策の一環として、このウタリ地区の環境改善というものを取り上げたわけでございます。主として生活館でございますとか、共同浴場、下水、排水路、地区道路等の整備を中心といたしまして、生活環境の改善をはかるということと同時に、また世帯更生資金の貸し付け制度の活用、そういうことと、場合によってはまた生活保護をフルに活用するということによって、ウタリの人たちの援護を行なっているというのが現状でございます。
#83
○島本委員 これは現在貧困の中に置かれているウタリ、これの救済ということがいまやはり重大な一つの目的であることがわかりました。しかしそのままにしておいて、ただ救済のほうにだけ目を向ける。その前に、どうして貧困をもたらすのか、そのもたらしているものは何なのか。これに対処するにはどういうふうにすればいいのか。低いレベルのウタリを浮かび上がらせるように国や道が行政の面でまず積極的に取り上げなければならないはずであります。しかしいま北海道環境整備事業によって、生活や道路その他の改善をはかりつつある、こういうようなことであります。それだけはかっているならばもうすでに改善されておらなければならないはずなのでありますけれども、生活状態は依然として低い、その対策はいまだにはっきり確立されておらない、こういうような状態でありますが、これあたりではほんとうに困ったものだといわざるを得ません。いま私どももそれを心配しているわけでありますが、この具体的な今後の対策というものは、はっきり確立してございますか。このとおり、いま厚生省ではいままでどおりに進めようとしておりますか、そのいずれでしょう。
#84
○加藤政府委員 ウタリ対策につきましては、先生御指摘のとおり、まだ私どもの対策は十分であるとはいえないというぐあいに考えております。したがいまして、今後はさらにこのウタリ対策に対して力を入れてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございますが、具体的に申し上げますと、四十七年度におきましては、先ほど申し上げました生活環境の改善、施設整備費の補助金、これが大体ここ数年来四、五千万円程度でございました。それを四十七年度には倍にして一億くらいのものをこのウタリ地区に補助しようということを考えております。
 それからもう一つは、来年度予算要求のときに、ウタリの人たちの強い要望によりまして、ウタリのための基金を設けたいという御要望が非常にあったわけでございます。大体要求としては国が一億、北海道庁が一億、それから自転車振興会というような民間資金一億ということで、合計三億でウタリの生活改善をやるための基金をつくりたいという御要望、予算要求があったわけでございます。これは私ども大いにこういう方向では検討する必要があるということで、種々大蔵省とも折衝いたしましたが、結局まだその計画の内容について不十分な点がある、それから北海道庁も、何が何でも四十七年にこの計画で押しまくるというよりは、もう一年検討して、もうちょっと完全な案というものを考えたいということで、四十七年度には実現は見なかったわけでございます。ただ、そのために調査費として百万円を大蔵省はつけまして、それで一年かかってさらにウタリ対策としてもっとしっかりした対策の計画を立てて、できれば四十八年度からそれを予算上も実施に移したい、大蔵省もウタリに対してある程度の予算を組むということは反対ではございませんので、計画さえしっかりしたものを持っていけば、これは実現可能だと思います。そういうことで、四十七年度はとりあえず補助金を倍にするということで、四十八年度以降さらに抜本的に考えてまいりたいということでございます。
#85
○島本委員 それならば、計画がないからいま、北海道一億、国一億、民間一億、これらの基金ができないのであって、今後その運営等についてもあわせて四十八年度十分な計画のもとに運営させるのだ、こういうような意向のようであります。なぜいまごろまでになってもそういうような計画や見通しがないのか、問題はその辺にあるのです。
 法務省のほうにお聞きいたしますが、これの北海道旧土人保護法という法律があるのであります。私はこの北海道の先住民族、それを公式に土人呼ばわりする文明国は、まず珍しいんじゃないか、こう思っておるのでありますが、日本には北海道旧土人保護法という法律があるのでありますが、これはいつできた法律でございますか。それは現行法ですか。
#86
○影山政府委員 この法律は明治三十二年に制定されまして、その後累次の改正を経ておる法律でございます。
#87
○島本委員 明治三十二年に、なるほど三月二日に法律第二十七号としてこれが制定されております。「朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル北海道旧土人保護法ヲ裁可シココニ之ヲ公布セシム」こういうような前文で、これが全部で当時十三カ条、その後改正されて条文は若干減っておるようであります。こういうようにして、いまでも北海道旧土人保護法があるのですが、旧土人というのはどういう意味でしょう。また、この法律によって、アイヌはどの点で保護されているのでございましょう。これをひとつ厚生大臣のほうから明確に解明願いたい。
#88
○斎藤国務大臣 御承知のように、おそらく島本委員一番よく御存じだろうと思いますが、ここでいう旧土人と申しますのは、当時アイヌ人種といわれておったのが主でございます。ところで、これらの人たちは以前狩猟生活をやっておられて、そうして北海道が次第に開発されるに従って、当時は内地人といわれておりましたが、これらの人たちがどんどん入っていく、そこでアイヌの方々がその生活をだんだん脅かされて、そしてだんだんと減っていくのじゃないかというようなことから、旧土人保護法というものが制定せられたものだと考えております。私が役人生活を始めて内務省にいました当時、昭和の初めごろ、この旧土人保護法というものを所管する課におりました。そしていかにもこの法律の名前もいかがなものであろうかという感じを若いときに抱いておりまして、今日まだそのままになっておることを、これでいいのかなという感じがいたし、その後北海道へ参りました際も、ただいまおっしゃいましたアイヌの方々の生活力、それからだんだんとふえていくのか減っていくのか、いわゆる和人といっておられましたが、和人との間に混血が起こってまいって、純粋なアイヌの方々が減っていく、だんだん混血し、そして密着してくるということになれば、この法律の目的も達したのであろうかと――一番初めの問題は、農耕に親しませるという意味から、土地を無償で提供してやるということが主になって発生したものだと思います。その後だんだんと、全体の北海道の開発、またアイヌの方々が和人と溶け込んできたというようなことから、この保護ということばは適切でないかもわかりませんが、保護のやり方がだんだんと変わってまいりまして、先ほど局長が申し上げましたように、まあ部落の改善であるとか、少しでも生活に役立つようにというふうに今日やっておるというのが現状でございます。もっぱら北海道庁が主になりましてこの法律の施行をやっているというのが現状でございます。
#89
○島本委員 いま厚生大臣が申されましたことは一応常識的で、それはもうわかっておるのです。ただ、いまだに明治憲法のもとに制定された、三十二年三月二日制定された北海道旧土人保護法という名称がまだ残っておるということなんです。先住民族であって、文化的にも、いろいろな遺跡を見ても、決してこれは大事にしても粗末にはできない民族のはずです。旧土人とは何事ですか。この名称でいいのかどうかということが一つです。
 それともう一つは、いままでこういうようになっている法律、この法律によってどのような恩恵をいまのアイヌ民族は受けておりますか、このことを聞いておるのですよ。ほとんど国内法によってやられて、旧土人保護法というものがあっても、これによってどのような恩恵を受けているのか、それさえもはっきりつかめないような状態なのに、このような名称の旧土人保護法というものが存在する。これは北海道の先住民族に対してあまりにも侮べつした法律ではないのか、名称じゃないのか、ここをわれわれ北海道に生まれた者としてほんとうにいま責任を感じているのです。厚生大臣、あなたは前からこれを知っていらっしゃるので、したがってそれを聞いておるわけです。通り一ぺんのことを聞いておるわけではないのであって、この二点を聞いておるのです。
#90
○斎藤国務大臣 先ほど私が申し上げましたように、こういう名前の法律でいいのかどうかという問題は、もうずっと前からあると思うわけでございます。そこで先般もこういった法律を他に変える、名称を変えるとかいう方法がないものだろうかということを省内においても協議をいたしました。御承知のように、ウタリ協会というような協会もできております。これらの方々の御意見をも伺っているわけでございますが、この法律をやめてしまってこういうものに変えてもらいたい、あるいは名称をこうしてほしいというような統一的な御希望というものがまだ伺えないような状態でございまするので、それらの方々の御意見も伺って、そして近代的な、いまおっしゃるようなものにできればけっこうじゃないだろうか、かように考えております。
 それから、いろいろ生活保護のやり方につきましても、先ほど局長が申し上げましたように、基金を設けて、そしてウタリ協会というような協会で自主的にやっていきたいという御希望もあるようでございます。そういったような自主的な方向に進んでもらうほうがいいのか、まあ国やあるいは道が補助金等を出してやっていくというやり方がいいのか、そういった意味から調査費百万円をつけまして、今後のあり方を検討いたしたい、かように思っております。
#91
○島本委員 そうすると、北海道旧土人保護法というこの法律はまだ現存をしておるのです。しかし、もうすでに現行法がたくさんできておって、旧土人保護法によって保護されなければならない、適用を受けなければどうにもならないというような、こういうようなものはほとんどない。したがって、もしあるとするならば、生活保護法の適用を受ける場合はどうなりますか。これはアイヌ民族が病気その他の災害によって不具、廃疾になる、就労不能のため、これは生活が困難ですから、当然土地その他を他に売却しようとする、その場合には売却に困難性さえあるでしょう。逆に困難になってくるのです。日本人なら自由なんだ、アイヌ人なら売却するのが困難なのだ。すなわち土地その他を所有しておっても、旧土人ということでそれができない。長期の廃疾または災害等によって就労不能になった場合、生活に困った者は当然財産を処分して、そして生活のかてとする、こういうようなことになるのがあたりまえです。ところが、それができないのです。公的扶助を受けることも、これはもうこの法律があるために自由に土地も売れない。そういう金で生活もできない。ほんとうに困ったから生活保護を受けようとすると、土地があるじゃないか、財産があるじゃないか、こういうことになるのです。すなわち旧土人保護法の名で保護されていいものが、逆に貧乏、治療し得る病気も治療することが困難になる、こういうような状態に上のせさせられているのです。こういうような実情だということを大臣も十分知っておかなければならないと思うのです。生活保護法でもそのとおり。そのほかに七条、八条に今度は教育の問題があります。教育の問題では一体どういうような恩典、どういうようなやり方をしておりますか。
#92
○加藤政府委員 いま先生御指摘の条文は削除になって、いま私の持っております法律にはそういう教育関係の規定はございません。したがって、これは全く一般の日本国民と共通の教育ということになろうと思います。
#93
○島本委員 それはほんとうに間違いないですか、もう一回聞きます。
#94
○加藤政府委員 改正前では七条に「北海道舊土人ノ貧困ナル者ノ子弟ニシテ就學スル者ニハ必要ナル學資ヲ給スルコトヲ得」という規定、それから七条ノニには、これは教育ではございませんけれども、「北海道奮土人ニシテ其ノ不良ナル住宅ヲ改良セントスル者ニハ必要ナル資金ヲ給スルコトヲ得」、これが削除になって、現在はこの規定はなくなっております。
#95
○島本委員 それならば、育英資金を受ける場合にはどういうふうになっておりますか。
#96
○加藤政府委員 これは一般の日本国民と同じ立場で育英資金が受けられるということだと思います。
#97
○島本委員 この北海道旧土人保護法によって、育英資金はどういうようになっておりますか。
#98
○加藤政府委員 先ほど申し上げましたように、改正前の七条で「必要ナル學資ヲ給スルコトヲ得」というようなことで、育英資金なんかに関連しても何か特別措置の該当ができるような形になっておったようでございますが、ほとんどその例もないというようなことで削除になっている。したがっていまは全く一般の日本国民と同じ立場の処遇を受けるということのようでございます。
#99
○島本委員 これはいままでは月額三十円とあるのです。月額三十円、これは、いまはもうないのですね。
  〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
もしなければ、一般と同じだとすると、この北海道旧土人保護法による恩典というか、これによって保護されるものは何だということになるのですか。
#100
○加藤政府委員 したがいまして、現在の北海道旧土人保護法で、これには先生御承知のように、一条に「北海道旧土人ニシテ農業二従事スル者又ハ従事セムト欲スル者ニハ一戸ニ付土地一万五千坪以内ヲ限り無償下付スルコトヲ得」という規定がございますが、これは昭和十年ころまでそういう事実があったようでございますが、十年以降は事実上行なわれていないということで、実質的にはその効果は、昭和十年以降におきましても、法律としていえば、やろうと思えばこういう法律が一つの根拠になるというメリットはあると思います。しかし現実に運用されていないという点においては、そのメリットはいまのところないということでございます。
 それからあと、さっき先生御指摘になりましたように、こうやって土地を持った場合に、それを譲渡するような場合には「北海道庁長官ノ許可ヲ得ルニ非ザレバ其ノ効カヲ生ゼズ」したがって知重の許可がなければ売れないという規定があるわけでございますが、これは要するに内地人がだましてウタリの人たちから土地を巻き上げるというのをチェックしようという規定だと私どもは解釈しておるわけでございますが、それが先生御指摘のような生活保護を受ける場合には、これは知事が生活保護をやるわけでございますから、その場合には当然直ちに許可がおりるということで、実質的にはこれは支障にはならぬと思いますけれども、そういうだまされるというような関係をこれからはずしますと、あるいはチェックになっているかもしれません。しかしこの法律をつくった趣旨は、要するにウタリの人たちを守ろうという趣旨だったと思いますので、そういう意味ではある程度メリットが残っているんじゃないかという感じがいたします。したがって、これは先生御承知と思いますけれども、ウタリの人たちの間でも、この法律を廃止しろという御意見もあると思いますが、同時に、廃止する必要はないというような御意見もあるというぐあいに私どもは伺っておるわけでございます。
#101
○島本委員 依然として現在残っているのはそこだけなんです。転業して住宅資金にする場合の手続、給与地を売る場合、こういうのをやってみると、北海道旧土人保護法と農地法と二重の束縛を受けるということになっているでしょう。北海道旧土人保護法、これは土地の制約面だけいま生きていて、あとは何ら価値がないのですよ。これでもって保護しているなんというのは、ちょっとおかしいじゃないかというんだ。残っているのはもう、土地の制約面だけが生きている。あとはほとんど他の法律によって代行されている。これで保護している、こういうふうにあなた言うなら、それはまさに前時代的な考え方だ。北海道旧土人保護法という法律、これは干渉と社会的差別状態、こういうようなもの以外に何もないのです。
 もしこの法律をそのままにしておくということになると、これはもう、アイヌという名前はない、北海道旧土人、それは外国人でもない、日本人でもない、旧土人ということになったら、これはどういうようなことになるのですか。いよいよもってこの法律の存在がおかしいということになるじゃありませんか。もっともっとここを考えて、ほんとうにやるならば、もっと具体的な施策、そうしてほんとうにあたたかく迎えるならば、この北海道旧土人という名称は使うべきじゃない。もっと使うものがあるはずだ。厚生省は、北海道のこのアイヌ民族に対してはさっぱり研究しておらぬじゃないか。いま百万円をつけてそれから検討するんだ、こういうような話がありますが、どうもこの辺はわからない。
 それでいいというならしようがありませんけれども、昭和三十八年に行政管理庁から勧告が出ているはずです。そうして昭和三十九年に、本法を廃止すべきである、こういうようにいわれているはずです。厚生省では調査のため検討するということになって、四十一年度をめどに調査完了したはずなんです。こういうような歴史的な過程を踏んまえて、これは現在どうしているのですか。
#102
○加藤政府委員 この件につきまして、昭和四十三年に厚生省のほうから北海道庁に、この保護法存続の可否について問い合わせをいたしたわけでございますが、北海道の民生部長のほうからの返事では、確かに名称その他については問題がある、しかしこの法律については、いま先生の御指摘のように唯一のメリットと言われましたけれども、そういう点も勘案してなお当分存続し、ウタリを保護する必要があるというような見解が出されております。
 私どもといたしましては、一応それに基づいていままでこれについて廃止とかいうような措置をとらなかったわけでございますが、これはその後でさらに北海道その他の意見も聞きまして、あるいは特に北海道が意見を出す場合は、当然ウタリの人たちの意見を総括して出てくると思いますが、そういうもので、ぜひこれは廃止したほうがいいということがウタリの人たちの大多数の意見でありということであれば、これは当然考えるべきだと思います。したがってこの問題については、私どもといたしましては、北海道庁ともさらによく相談をして処理をしてまいりたいと思います。
#103
○島本委員 この法律によって国有未墾地の下付をされたという対象は、戦後何件ありますか。
#104
○加藤政府委員 先ほどちょっとお答えいたしましたが、昭和十年までには相当多くの土地を下付した。合計で七千六百町歩ということでございますが、十年まではそういうことがあったようでございますが、その後はないというぐあいに聞いております。
#105
○島本委員 現在、共有財産というようなものはどういうふうになっておりますか。
#106
○加藤政府委員 法律の十条に基づく共有財産につきましては、ほとんど処分されてしまいまして、現在、現金が二十八万五千円ばかり残っているというのが現状でございます。
#107
○島本委員 共有財産の収益でもってこの事業の行使に充てる、もし不足ならば国庫からこれは支出する、こういうふうになっておるが、二十八万円ぐらいだったらこれはほとんど不足であって、国庫をもって充てなければならないはずじゃありませんか。いままでどういうふうな状態でやっていたのか。この問題に対しては全然触れないでおったというような実情じゃないですか。こういうような状態が、厚生省の一つの行政の中で日の当たらない隠された面として存在しているということが、これがやはり問題なんです。厚生省そのものは日を当てるための役所です、サービス機関ですから。こういうような点でも、日本国人ですから、先住民族としてわれわれが尊敬しなければならないはずのアイヌ民族ですから、文化性においてもあるいは高いものがある、こういうようなものに対して、旧土人なんて言ってみたり、いま二十八万円ほどしかないものを、ほとんど国庫補助によってこれはやらなければならないものを、いままでこれを全然やらないでおった、こういうようなことに対してはほんとうに遺憾であるということを表明せざるを得ないわけであります。
 それで、現在いろいろいわれておりますけれども、私どもとしては、それに対して法務省は人権擁護の立場からも十分この問題に対しては考えがあるのじゃないか、こう思っているわけです。おそらくはこの問題に対する現地の意見がいろいろ開陳され、運動も分かれておるようであります。こういうようなものにたよってでも自分らは保護されたいという考え方、あるいはすでに日本人として完全に自分らはそういうような覊絆を脱して、いままで持っていたこの文化性を高めていきたいという考え方、それぞれあるわけであります。もし厚生省がほんとうにやるのだったら、二つに分かれた運動を一つにして、それに対して意見を聞きながら手厚くこれを保護しなければならないはずじゃないかと思うのです。分かれているものをそのままにしておいて、運動が一つにならないからといって、二十八万円くらいしかない財産、足らないものは国庫が補助をしなければならないというのにいままで何もしていない、こういうような一つの残酷な処置を改めて、今後完全にこれに対して対処をしていかなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、厚生大臣、これに対してどういうふうにお考えでしょう。
#108
○斎藤国務大臣 ただいまおっしゃいます御意見もごもっともだ、かように考えます。私もこういった前時代的な法律はないほうがいいのじゃないだろうかという感じを持っております。ことに土地の問題は、保護するというよりもむしろ拘束をするというようなことになっているのじゃなかろうか、かように考えておりますので、したがって、いま島本委員のおっしゃいますような御意見に大体統一されるということであれば、そういう方向に持っていきたい、かように考えているわけであります。
#109
○島本委員 最後に要望して、私はその成果を心から期待しております。ほんとうにこの法律を生かすならば、なぜわれわれが困っている税金なんかに対する配慮がないのだという切実な声さえ聞こえます。それと同時に、アイヌ民族の生活の向上のため、特に低家賃住宅の建設であるとか進学育英資金の適用であるとか、こういうような点については十分配慮してほしいのだという声もあります。しかしながら、いまだに生かされておらないわけであります。少数といえども先住民族、高い文化性を持っております。日本人が明治時代になってからその中に入り込んで、いわばわがもの顔にふるまって、あとはかまわないのだという行き方、これはいまやたいへん反省しなければならない時期だと思うのです。
 したがって、こういうような意味においては北海道旧土人保護法、こういうようなものがいまだにあるということに対してでも、私はほんとうに疑義を感ずるのです。この法律の中に、「朕帝国議会ノ協賛を経タル」こういうようなことばさえ残っているわけであります。こういうようなのがまだ頭に冠せられているということは、われわれ日本人としてもじくじたるものがあるわけであります。厚生大臣もこの点に対しては十分配慮して、同一の考え方の上に立って、ほんとうに困っているならばそれを進んで救い上げて、その優秀性を生かしていくように今後大いに努力してもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思います。
#110
○伊東委員長代理 次に、山本君。
#111
○山本(政)委員 時間が少ないので問題をしぼって、時間が残ればあとの問題に入りたいと思いますけれども、私のところへ一つの訴えが来ました。
 これは治療費の水増し請求というよりも、むしろもっとひどいケースだと思うのでありますけれども、自動車事故で病院にかつぎ込まれた。ところがその人は、六日ぐらいおって、治療費を請求に来たものですから、行ったところが、思ったよりもたいへん高いものですから、明細を見せてほしい、こう言ったところが、看護婦さんが来て、その病院のふとんをたたんでいって、あなたは帰ってください、お金を出してもらえぬということになれば帰ってもらう以外はない、こういう話だったそうであります。
 それでその治療費というのは、実は私、病院からとっていらっしゃいと言って、ここにありますけれども、その被害者は六日ぐらい入院したそうであります。そして自分の記憶では、ブドウ糖か何か、そういうものをやったわけでしょう、それだけだと言うのです。ところが請求は十一日間の請求がきた。取られた金は九万七千四百五十円であります。そしてこの明細は、初診料とかそういうものは別といたしまして、検査料としてレントゲン、本人はとっていないと言うのですが、それに八千四百円取られておる。それから尿の検査とかあるいは血液の検査とかコレステロールとか血清蛋白とか、こういうものをやったことになっておる。それから眼底カメラ撮影もやったことになって三千円、超音波脳診断三千五百円となっている。薬はという話をいたしましたら、薬という薬はもらったことがありませんという本人の説明であります。ところが、この中ではたいへん高価な薬が入っておる。私しろうとですからよくわかりませんけれども、出ておる。たとえばキモプシン七百円、十一日間の計算で七千七百円、これは注射であります。投薬としてはキモーゼ、五百円のやつが十四回で七千円。注射の中にはもっと高いのがあります。マンニトール百CCというのが二万円となっている。こういうことが実際に救急医療病院で行なわれておるのではないだろうか、こういう感じがするわけであります。
 したがって、まず第一に厚生省にお伺いしたいことは、この請求書には十一日間と書いてあります。しかし本人は六日だったと思います――要するに六日で出されたのですから、九万七千四百五十円という金額が治療費として妥当な金額であるかどうか、まずその点をお伺いしたいと思うのです。
#112
○松尾政府委員 ただいまおっしゃいましたような治療の内容が、おそらくリンゲルか何かの点滴をやったんだろうと存じますけれども、それだけであって、ほかの検査等がないという、そういう実態から見て、六日間というものから割り出しますと、この請求というのは非常に高いというふうに私は感じます。
#113
○山本(政)委員 運輸省の方おいでですね。自動車損害賠償再保険というのがありますね。これの累積赤字というのは、いままでどれぐらいになっておりますか。
#114
○西村説明員 お答えいたします。
 昭和四十五年度末でございますが、累積は自賠特会でいいますと千二百九十三億でございます。なお四十四年度でございますと、千三十八億でございます。
#115
○山本(政)委員 私もこれは公の資料で調べたつもりでありますが、四十三年度末の累積赤字が千七百十三億、四十四年度の赤字が八百二十四億、合計二千五百三十七億になっておりますけれどもこれは間違いでしょうか。
#116
○西村説明員 ただいま先生のおっしゃいましたのは契約ベースと申しましょうか、政府がやっておりますのは保険の再保険をいたしております。六割分の再保険でございますから、私が先ほど申し上げましたのはその六割分の収支じりでございます。ただいま先生がおっしゃいましたのは、六割を含めました十割に相当する分の結果であろうかというふうに私は考えます。
#117
○山本(政)委員 あなたのおっしゃるのは、昭和四十四年度は千三十八億でしたね。それから四十五年度は千二百九十二億。いずれにしても四十四年と四十五年の間に二百五十四億の赤字が出ておるわけです。おそらくこの赤字というのは毎年多くなってくるだろう、こう思うのです。そうすると、先ほどの話じゃないけれども、不当に高い治療費というものが請求をされて、それが自動車損害賠償再保険として出されておるわけです。そうすると、その赤字の中に当然赤字として出なくても済むものが含まれてある。つまり、私をして言わしむるならば、不当な赤字が出ておると思わざるを得ないわけであります。
 そこで御質問したいのは、厚生省とそれから運輸省にお伺いしたいのですけれども、健康保険の給付条項と自動車損害賠償保障法の第三条ですか、賠償責任条項との関係、このことがあるだろうと思うのです。要するに、交通災害を受けたときに健康保険で治療ができるはずだと私は思うのだけれども、一体そういう指導をやっておられるのかどうか。あるいは運輸省のほうはそういうことに対しては、保険だからどんどん出すだけ出したほうがいいんだというふうなお考えを持ってやっておられるのか、これが第一点であります。
 第二点には、自動車損害賠償再保険に対して請求があった場合に、健康保険であれば支払い基金というチェック機関がある。自動車損害賠償再保険に対してはそういうチェック機関があるのかないのか、この点をひとつ聞かせていただきたいと思います。
#118
○西村説明員 交通事故の被害者に対しても保険給付は行なわれるというふうに伺っております。それから私どもも私どもの関係の保険会社等を通じまして、交通事故の場合にも保険が使えますということを伝達いたしておるような次第でございます。ただ、交通事故が起きますと、被害者の方といたしましてはいつときを争うというような問題もございまして、お医者さん側が自由診療がいいかあるいは健保でいくんですかというふうに問われました場合に、被害者側がどちらでもいいから早くやってください、こういうようなのがどうも実情でございまして、その場合に往々自由診療サイドが強く働く、こういうふうなおそれがあるのではなかろうかと思います。自賠責といたしましては、当然のことながら、保険のほうで安い点数でカバーされることが保険収支に貢献いたしますので、私どもといたしましては健康保険が利用されるということを強く望んでおる次第でございます。
 それから第二点の、自賠責のほうには医療のチェック機構がないのかというお尋ねでございますが、現段階ではございません。ただし、実は保険会社サイドに医療費の調査室というものを設けておりまして、そこで昭和四十五年、省令を改正いたしまして、自賠責の医療費の請求に際しましては、診療報酬明細書の提出を義務づけております。そういう義務づけによりまして出されました診療報酬明細書というものを、その医療費の調査室でもってただいま分析にかかっております。分析いたしました結果は、いままでのところわずかに一年の実績でございますから、まだ十分とは申しかねますが、ある程度同種の治療に対しまして標準偏差の二倍を離れるような、やや飛び抜けたような医療費がかかるということになりますと、当然のことながら、どういうわけで同種態様についてその病院が高いのかということを問い合わせさせまして、その限りにおきましてはある程度チェックがきいておるというふうに私どもは判断いたしておるような次第でございます。
#119
○山本(政)委員 逆じゃないのですか。あなた方は最終的に金を払うほうですよ。最終的に金を払うほうがチェック機関を設けなくて、民間の保険会社がそういうことをやるということのほうがまさに逆でしょう。
#120
○西村説明員 政府は保険につきまして再保険をいたしております。先ほど申し上げましたように、再保険といいますのは、その運用から申し上げますと元請側にフォローする、こういうような運用をいたしております。まず第一次的には元請側が判断をいたしまして、保険給付をいたします。保険給付を一〇〇%いたしました上で、その六割を政府に保険会社側が請求をいたしてまいる、こういうふうな運用を法律的にはいたしております。
#121
○山本(政)委員 だから、六割の金というものは、請求されたら要するに国のほうで出すわけでしょう。そうじゃないのですか。
#122
○西村説明員 さようでございます。
#123
○山本(政)委員 四十四年の自動車損害賠償再保険の保険勘定の八百二十三億九千三百万円というのは、単年度の赤字でしょう。そうじゃありませんか。
#124
○西村説明員 御指摘のとおりでございます。
#125
○山本(政)委員 単年度の赤字が八百二十三億になる、そして現実に私がお話しをしたような事実があるときに、何らチェック機関を政府として設けないということにあなたは疑問を感じませんか。そういうことをしないでもいい、チェックをしないでもいいのかという疑問を感じませんか。
#126
○西村説明員 昭和四十五年の十月に、大蔵大臣の諮問機関で自賠責審議会というのがございます、そちらで自賠責に関する重要問題を御審議いただくことになっておりますが、その答申でも先生御指摘のような問題点が実はうたわれておるわけでございます。ただ医療問題というものは、非常にどうも私ども医療のしろうとでありまして、むずかしゅうございます。そういう機構をつくるということになりますと、どうしてもお医者さまの御協力をいただかないといかぬわけでございます。それで、私どもこの問題について厚生省側のアドバイスもいろいろいただいたわけでございますが、日本医師会側に交渉を持とうと思って申し込みをいたしましても、問題は救急医療だけではない、これは医療保険の根本問題があるのだということで、全然相手にされないというのが実情でございます。くどいようでございますが、お医者さまの協力を得ないと医療のチェックはできない。ところが、お医者さまの御協力はどうもいまの段階ではなかなかむずかしいということで、この機構の問題はさておきまして、当面の対策は別のほうに向かわざるを得なかったということでございます。御了承いただきたいと思います。
#127
○山本(政)委員 厚生省はきょう出すのかあす出すのか知りませんけれども、健康保険法の改正を出す、これは日本医師会の協力を得られない、私はこう思うのです。しかしなおかつ出している。私はそのよしあしを論じているのではありません。私の考えからいえば、健康保険法の一部改正というものは反対であります。しかし、それをやっている運輸省が医師会の協力を得れないからということでそれにタッチしないということは、私は職務については怠慢だと思うのです。そうお思いになりませんか。
#128
○西村説明員 私どもも公正な支払いチェック機構ができるということを望んでおるわけでございます。しかしながらどうも、その方面の専門家はどうしても日本医師会側の系統に属するというふうに私ども考えておりますし、医師会側から独立いたしました、何といいますか、私どもにそういう点で積極的に御協力をいただくというような形がなかなか得られないわけでございます。得られるということになりますれば、私どもも当然これの所管である大蔵大臣のほうとよく打ち合わせをして、そういう方向に向かうことになると思います。先ほど来申し上げましたように、いままでの実績では、遺憾ながら蟷螂の斧というような感じでございますので、まことに遺憾に存じている次第でございます。
#129
○山本(政)委員 つまり治療とかなんとかということに対して、現実に公的な医療機関において救急医療をやるとか、あるいは私的な医療機関において救急医療をやるとかということならば、あなたのおっしゃるようなことがあるかもわからぬ。しかしあなたが先ほどおっしゃったように一つの標準をつくるとかなんとかというのだったら、大学病院があります。りっぱな研究機関を持っておる公的な医院が幾らでもあります。そこでおやりになればいいじゃありませんか。日本医師会というけれども、何も日本医師会に所属するお医者さんたちが救急医療をやっているからということではないでしょう。あなたのおっしゃるように、標準を一つつくってそして何とかしたいということだったら、考えれば幾らでもそういうことができるはずですよ。なぜそれをおやりにならない。いつまでたっても蟷螂の斧だということになったら、やれないということになるでしょう。しかく政府、運輸省はそのことに対して見識がないのですか。
#130
○西村説明員 医療の根本問題に私は触れることになると思いますので、先生の御叱正もございますので、今後関係機関と緊密に連絡をとりまして、前向きにこの問題と取り組んでいきたいというふうに考えます。
#131
○山本(政)委員 それでは運輸省のほうでは、患者及び関係者が健保の使用を希望した場合にそれを受けるようにというような指示、通達というものを関係各方面に通達というのですか、そういうことをなすったことがおありになるのかどうか。それから同時に、厚生省もそういうことをなすったことがあるのかどうか。
#132
○松浦説明員 厚生省の保険局でございますが、私どもとしましては、患者が保険診療を希望した場合は必ず保険診療でやるようにということを、各都道府県を通じまして各医療機関にPRするということは必ず、毎回全国の会議をいたす場合には強く各府県の保険関係の担当部局に申しております。そのようなことをPRするようにということを言っております。
#133
○山本(政)委員 問題は具体的にそういうPRをしたということを、あなた方として実証として確認をされているかどうかということです。通達をして、全国の課長会議というのですか、そういうものでこうしなさいと言うだけでは私は実効があがらぬと思う。被害を受けるのは国民全般ですよ。国民にわかるような方法をやったことが一体おありになるのかどうか。
#134
○松浦説明員 一つは、これは各府県によってやり方が違っておりますが、医師会へ申し入れをいたしまして、医師会のほうから各界にそういうことを伝えていただくということをやっておる県もありますし、それから各事業所等に社会保険担当の事務所がございますので、そういうところを通じてそういうふうなPRをいたすということで、必ずしも一律ではございませんが、それぞれにそういうふうなことをやっているというふうに私どもは考えております。
#135
○山本(政)委員 大臣にお伺いしますが、つまり事業所なり保健所なりにそういうことをおやりになって、中央から地方にそういう通達をお出しになることはけっこうだと思うのです。しかし今度は地方の下部の機関がそのにとに対して、国民に対してこういういい方法があるのですからという通達というものを、私は残念ですけれども聞いたことがあまりないわけです。私はいまそのことをする必要があるだろうと思うのです。いまにこの自賠責の累積赤字というものは、おそらく三Kと同じように膨大な赤字が出てくるだろうと思う。しかもその膨大な赤字が、つまり正規な、われわれが常識的に考えて至当だというふうな形で赤字が生まれてくるならば、これは私はやむを得ないことだと思う。しかし先ほど申し上げたように、中にはこういうケースがあるのですよ。そしてこの病院について、私は一つだけではない、二回聞いたからお話しをしておるわけです。やはり別の患者さんが同じ病院に行って、そして三カ月くらいかかってなおらぬというケースも聞いたのです。ところが私が公的な病院、大きな病院に行って診察してもらってごらんなさいと言ったら、精密な検査の結果一ぺんに患部がわかったわけです。その人は三週間くらい仕事に出ておりますよ。そういうことがあってはいかぬから私は申し上げておる。この赤字というものが常識で考えて、やむを得ないという赤字ではないはずなんです。おそらくこの中の半分といったら言い過ぎかもわかりませんけれども、三分の一かそこらの赤字というものは、不当な金額として請求された結果が赤字になっておるのじゃないかと思うのです。しかも救急病院の中には、関西医科大学ですか、これは私は患者さんから送ってもらったのです。私的な救急病院で診察をして、そして私の手には負えないからということで添え状をつけて、関西医科大学の病院に持っていったところが、救急病院の緊急の患者さんですよ、それが、診察券を買わなければ診察ができませんからといって、赤ん坊です、母親を並ばして、ちゃんと診察券を買わして、そして受けたというのです。これを至急病室に入れてほしいと言ったところが、病室が満室だと言っているわけだ。私的病室についてはそういう疑いがある。公的病院は今度は満室だということで救急患者を救わない。まさに医療の退廃じゃありませんか。そして運輸省は速急にと言っているけれども、速急にと言ってもこういう結果が出てきたのです。簡単に病室に入れてもらえないという状況が出てくるわけだ。だからすぐ救急病院に行って手当てを受けるということが、ある場合にはできないということです。ある場合には、受けたけれども、今度は不当な料金を請求されたということが出てきているわけです。しかも損害の再保険については膨大な赤字が累積をされてきている。
 消防庁の方おられますか。交通事故による搬入件数が四十年以降一体どういうふうになっておるのか、搬入回数はどのくらいになっておるのか、搬入人員はどのくらいになっておるか、聞かしていただきたい。
#136
○山田(滋)政府委員 救急出場、これは現地の消防機関が現場へかけつけます件数でございますが、救急出場件数は、四十年が三十二万八千、約三十三万件でございます。四十一年が四十三万件、四十二年が約五十万件、四十三年が約六十万件、四十四年が約七十二万五千件、四十五年が八十七万二千件、四十六年度は約九十九万件に達しております。そのように歴年非常に累増をいたしております。
 それから実際の人員を搬送いたしました数は、大体それに比例しているのは当然でございますが、いま申し上げた数字より若干少なくなっておりますが、四十年が三十一万七千人、四十一年が約三十八万四千人でございます。四十二年が四十五万八千入、四十三年が五十五万一千人、四十四年が六十八万五千人、四十五年が八十三万人、四十六年が約九十六万人、かように相なっております。
#137
○山本(政)委員 要するに、搬入件数からいっても搬入人員からいっても、これだけ交通事故がふえているわけですよ。それで厚生省は整備五カ年計画を立てて、四十七年は最終年度だと思います。救急医療センターということで、百十二カ所お建てになった。そしてあとは、ことしはたしか三カ所を残すだけだ、こうおっしゃっておる。この次はサブセンターをつくっていかれる。たいへん私はけっこうなことだと思う。しかしながら、できた救急医療センターというのは、実情は一体どういうふうになっているだろうか。府中病院はたしか救急医療センターになったと思うのです。だけれども、四十六年の五月、四十一です。四十六年の九月は三十六、四十七年の二月は九十、こういう状態です。つまり私が申し上げるのは、私的な救急医療機関のほうに圧倒的に多く患者が行かれておる。しかも場合によっては、そこは非常に設備としては十分でないというところもあり得るだろう。局長は、救急医療はファーストエードだとおっしゃっておるけれども、しかし実態は、先ほどの話じゃありませんけれども、本人はけろっとして歩いて帰っているのですよ、六日たったときは。入院するときも歩いて入院しているのですよ。そういう状態の中で、故意に日にちを延ばしながらやっているという実態があるわけですよ。そういうことになると、もっと公的な救急医療というものを整備拡充しなければならぬだろうし、そして満床だから困りますというようなことがないようなことをしなければならぬだろうと思うのです。差額ベッドはたくさんある。差額ベッドはあいておる、しかし救急医療の病室はないという形態は、やはりノーマルなあり方ではないと私は思うのです。
 時間が来たそうですから、あと一問か二問で私はやめたいと思いますけれども、その点について一体、大臣、どうお考えになるのか。まずその点ひとつ聞かせてください。
#138
○松尾政府委員 救急センターは、私どももやはり特に公的機関ということを中心にいたしまして、先ほど御指摘のような百十二カ所、計画を立てたわけでございます。したがいまして、今後のサブセンター等におきましても、やはりそういう方向で整備をはかるということを基本の方針としているわけでございます。
 ただ、先ほどもお話がございましたように、それだけですべてというわけにはまいりませんで、やはり救急医療というものの性格から見まして、できるだけ救急を、消防との関係でも、連絡をとれる施設が多くあるということは、やはり好ましい方向であろうというふうに考えておりますが、中心になるものは、相当高度のものは公的を中心にしてやらなければならぬ、こういう方針でございます。
#139
○山本(政)委員 それでは最後に、救急医療の予算、昭和四十七年度要求額というのがここに出ておるのです。しかし、その中で、救急医療施設の医師の研修費が予算として組まれておる。四千三百四十七万三千円。そして、救急医療施設の医師の研修の委託費というものがここに出ておる。これは二千六百八万八千円です。そして委託先が都道府県。研修者数が千四百人。頭割りになると二万円ないのです。一万九千円に満たないもので一体どれだけの研修ができるのだろうか、どうだろう。あるいは、救急医療センターの医師の研修の委託費というものがやはり予算として組まれておる。千百五十五万三千円。委託先は日本脳神経外科学会、日本麻酔学会。研修者数、これは四十二人であります。しかし、これも一人頭にするならば二十七万そこそこです。一体それでどれだけの研修ができるだろう。脳神経あるいは麻酔。ちなみに申し上げますと、私設の救急センターで麻酔というものがあるところはゼロですよ。脳神経の外科医がおるというところは、私設の救急病院では一名しかないはずです、私の調査では。それで一体救急医療というものができるのかどうか。しかも、そのウエートが私設に全部かかってきている。一体どうするつもりなんです。これは厚生大臣にお伺いしたい。
 最後に、消防庁に私は申し上げたいことがあるのです。「東京都特別区内における交通事故による死亡者の調査。」岡村正明さんという人が追跡調査をやった。たいへんりっぱなもので、私は拝見させていただいた。時間があればこのことについても申し上げたいと思う。この資料を要求したところが、自治省は何と言ったか、消防庁は何と言ったか。東京消防庁のことですから資料はそっちからおもらいください。これ一体、外部に出して悪い資料なのかどうなのか。二回目、私は政府委員のほうにお願いをした。東京消防庁は東京都の関係だから、あなた方のほうで取っていただけばいいでしょう、こういう御返事なんです。自治省は、このことに対して何と心得ているのかということです。あなたは、消防庁の次長としたら、東京消防庁というのはあなたの管轄下でないのかどうか。私はめったにそういうことについて言わない。しかし、そういうやり方というのはたいへんに自治省としては不親切ですよ。二人の答弁をお願いします。
#140
○斎藤国務大臣 脳外科あるいは麻酔関係の医療要員の少ない現状にかんがみまして、少しでも増していくように努力をいたしておるわけでございますが、御指摘のように、予算がまだ必ずしも十分とは申せませんので、今後さらに努力をいたしてまいりたい、かように思います。
#141
○山田(滋)政府委員 ただいま御指摘になりました岡村医師の資料は、昭和四十六年の五月二十一日に、財団法人日本交通科学協議会の第七回総会において発表した資料でございまして、これは非公開のものでも何でもありません。したがいまして、私実は全然その事情を存じませんので、お伺いいたしてたいへん恐縮いたしておりますが、特別な事情があってそういうことを申し上げたのではないと思いますので、今後十分注意いたしまして、さようなことのないようにつとめたいと存じます。
#142
○山本(政)委員 終わります。
  〔伊東委長代理退席、増岡委員長代理着席〕
#143
○増岡委員長代理 次に田畑金光君。
#144
○田畑委員 二、三スモン病についてお尋ねをしたいと思うのですが、昭和四十四年九月に厚生省が委託されたスモン調査研究協議会が、三月十三日の総会で、「患者の大多数はキノホルム剤の服用によって神経障害を起こしたものと判断される」こういう結論を出しております。この問四十五年九月に厚生省が、疑わしきは罰すという考え方でキノホルムの販売を中止して、それ以降患者の発生は激減した、こういわれておるわけです。
 ところで、この協議会の結論が出て私たちが感ずることは、患者が発見されたのは、ずっと早く出ております。昭和三十年すでにそうであります。三十九年には、内科学会が全国の調査をしたときは、患者は八百五十人にも達していた。ところが厚生省が三十九年に研究班を発足させ、予算の関係で四十二年打ち切った。その後四十年から四十五年の上期において患者が非常にふえてきた、こういわれておるわけであります。したがいまして、四十二年の段階で調査を打ち切らないで、もっと早く、研究を続け、そうして結論を得ていたならば、今日一万名前後の患者といわれておりまするが、これだけの大事に至らないで解決し得たのではなかろうか、こう考えますが、この点については厚生省として大いに反省してもらわなければならぬ、こう私は思っておりますが、まずこの点について大臣の考え方を承っておきます。
#145
○滝沢政府委員 研究費等のことでございますので、私のほうからお答え申し上げます。
 先生おっしゃるように、ボートレースがオリンピックのときに行なわれました戸田町に三十七年ごろから三十九年にかけましてスモン――後ほどスモンという病名がついたわけでございますが、スモンの病気が発生いたしまして、それを三十九年の内科学会で、特性な病気ではなかろうかということで、とりあえずスモンという名前をつけたわけでございます。それで三十九年から四十一年までの研究費につきましては、研究を続けたのでございますが、当時の見解としては、ビールス病ではなかろうかというようなことで、伝染性の疾患ではないかというようなことで研究を続けておりましたが、一応国立病院のほうで引き続き四十二年から研究を継続しまして、大学関係の研究者の研究は確かにその機会には一たん打ち切られた形になっておりました。その後新たに多数の発生がありまして、四十四年度三千五百万、四十五年度五千万、四十六年度一億という研究費をもちまして実施いたしたわけでございまして、おっしゃるように、当時の研究体制というものが、いわゆる伝染病というような感覚でなく、他の疾患も含めた体制がしかれておることが確かに望ましかったというように思われますけれども、研究者の御意見によって、自然に戸田町の流行も三年くらいで消えましたものですから、そのまま研究というものが一たん打ち切られたような形になり、国立病院においてこれが継続されたという事実は確かでございます。
#146
○田畑委員 私は大臣に、研究費の関係で打ち切られて、そしてスモン病の原因の究明がおくれて今日に至ったことについては、あなた方としてはどのようにお考えになっておるか、この点をお聞きしておるわけで、反省するのかしないのかも、いまの局長の答弁には何も言われていないわけで、これでは私の聞いたことに対する答えになっていないが、大臣の考え方はどうですか。
#147
○斎藤国務大臣 確かに、おっしゃいますように、研究をさらに打ち切らないで続けておったならば、もっと早くわかったかもしれないということは考えられると思います。ただいま局長が申し上げましたように、四十一年、二年の段階で一応増加の傾向もない、そしてもっぱら国立病院で研究しようという体制になったわけで、これは研究費を惜しんだわけではないであろうと思います。当時のスモンというものに対する考え方について、国立病院で研究していけば大体よかろうというその判断が甘かったといわれればそれまでだ、私はかように思いますが、私は四十三年暮れに大臣を拝命をいたしまして、そしてまだスモンがだんだんふえていく様子を、いろいろな状況を見、国立病院も私は視察に参りました。これではとても済むまいというので、年度の途中ではありましたが、特に科学技術庁から三千万の予算をつけかえてもらって、そして四十四年の九月から研究をさらに始めたわけでありますが、厚生省が怠慢であったと申しますよりも、スモン病に対する判断というものを、当時の情勢によって国立病院でやればいいのではなかろうかという判断に立ったということが、誤りであったといえばであったのかもわかりませんが、こういった医療の問題は非常にむずかしい問題でございまして、いまになってみれば、もっと早くから大々的にやればと――しかしながら早くやっておっても、ああいう発見はそう早くできなかったかもしれない、研究費は、なるほど特別な研究班というものは一応打ち切ったかもしれないけれども、各病院あるいは医療の専門家の方々はそれぞれ検討をしておられて、その検討の結果持ち寄ったのが最後の、先般の三月十三日の結論ということであったわけでございますので、研究費をずっと続けておればもっと早くわかったかもしれないということはいえるかいえないか、直ちには断定できないであろう、かように私は思っております。
#148
○田畑委員 現在、二月末のスモン病患者は九千百三十一名、こう伝えられておりますが、これはしかし今後また症状を診断することによってもっと多発しているのではなかろうか、このようにも考えられますが、カルテの不備で認定を受け得ない患者もたくさんあると聞いておるわけであります。今後このスモン病患者の認定機関あるいは認定体制をどうするか、これは非常に大きな問題だと私は思うのです。水俣病の場合のように、公的な権威のある専門機関が認定するというようなことにならなければ、私はこの問題の公正な患者の把握等々はできないんじゃなかろうかと思う。もし医師や病院が協力しない、こういうことになってくると、患者の発見というものもむずかしい。こういうことを考えてみますと、認定機関なり、認定対象をとらえるということは一番大事な問題だと思うのですが、この点についてどう考えていらっしゃるのか。
#149
○滝沢政府委員 おっしゃいますように、患者数は九千百という数字でございますが、この中身を学会の報告に基づきましたものとして見ますと、約五千七百名くらいが確実例となっておりまして、もう一つが、容疑例の患者が三千三百ほどある、こういうようなこともございます。それと今回の学会の最終のまとめの中にございますように、キノホルムの服用と関連しない患者の問題を残しておるというような点もございますし、スモンの発生機序そのものはなお不明の点が多いというような点がございます。しかしながらやはり、患者を確実例と容疑例でつかんでおるというには、一つの診断の基準が研究班としては示されておるわけでございます。そういう点からこのような結果になるわけでございますが、認定という問題、認定するということの機関については、確かに先生おっしゃるように医学的に医師の検査ができる機関が必要でございますので、一般的な診療所等ではなかなかむずかしい問題がございます。したがってこれを公的に限るべきか、あるいは私的も入れて一つの病院の機能として見るべきかという問題もございますが、スモン病の診断そのものに、いま申し上げたように非常に限界を引くことのむずかしい実態がございまして、確実にスモンであるというものだけを認定するということであれば可能性が出てまいりますが、しかしこのような病気の認定には常にその限界をどうするかという問題がございます。それだけにまた認定機関というものが必要だ、こういう議論にもなるわけでございますので、この点につきましては、その認定の必要性が、現在は患者としてはっきり先生の診断がついている方と、疑わしいといわれたり、あるいは先生としては統計に疑わしいと載せている人とございますが、これが認定の必要があることであれば、あらためて研究班等で御論議いただいて、この問題を討議いたしませんと、われわれの行政の判断だけでは、ただいまこれらの点について具体的に御回答申し上げる段階にないということを申し上げておきます。
#150
○田畑委員 認定機関を設ける、あるいは認定体制を整備するということについて、厚生省としてはいまの研究協議会等に対して要請する用意があるかどうか、その点をお答えいただきます。
#151
○斎藤国務大臣 私はこういった特殊の、大部分の原因から起こってきた疾病に対する多額の治療費というものは、やはり公的に何らかの方法を考えなければならない、かように思います。そのためにはどうしても認定ということが必要である、かように思いますので、ただいま局長が述べましたように相当むずかしい点はございますが、しかしこれを研究協議会のほうに諮問をいたしまして、そうして認定の方法、認定機関というようなものを一応考え方を示してもらうということが適当である、かように考えますので、さようにいたしたいと思っております。
#152
○田畑委員 このような医原病についてどこが責任を負うのか。すでに五百七十一名の患者が製薬会社や国や医療機関、医師を相手に慰謝料の請求訴訟を起こしておるわけです。法的な責任の所在というのは、これは裁判の結果を待たなければならぬということでありましょうけれども、先ほど来の局長の答弁を聞いておりましても感ずることは、古くから外国で使われていたからだいじょうぶだというような考え方でずっとキノホルムが大衆薬として今日まで使用されてきた、このことについて一体行政上の責任というものはないのかどうか。これは政治的なものだと思いますが、大臣はどのように考えておいでであるか、承りたいと思います。
#153
○斎藤国務大臣 この責任ということになりますと、その責任の内容によって非常に違ってくると思うわけでございますが、総括的に申しますと、当時の科学技術等の研究からは無害である、かように考えられておったものが、その後のいろいろな研究からそうでないということになってきたということになりますと、そうすると、当時の科学技術その他の関係から考えて、やるべき手段は十分尽くしてやったということでございますから、そういう意味においては責任がない、こう言えるでございましょう。ただ日々進歩してくる科学技術をしょっちゅう追っかけておらなかったという一種の責任みたいなものがある、かように考えます。いつも政府、医療担当機関はそれを追っかけていなければならないわけでありますが、しかしこれはある意味においては無限の責任とさえも言い得る問題であろう、かように考えるのであります。ただ、ただいまのキノホルムの使用のしかたにつきましては、一定限度の使用方式があるわけでありますから、それを越えてむちゃくちゃに投与したというものがあれば、それはやはり投与した者の責任ということになろう、かように考えます。個人差によりまして、普通の投与量であっても神経障害がひどくなったというのもありましょうし、またよほどの投与量によって初めてなったというものもございますので、個々についてはなかなかむずかしい問題だ、かように考えます。だから一言で申しますと、そういう事柄は、社会全般のあれといたしまして公に責任を果たすという意味ではありませんが、少なくとも治療等については心配のないようにするというのがやはり国の責任であろう、かように思うわけであります。
#154
○田畑委員 いまの大臣のお答えの中身で、国の責任として治療の分野等については考える、こういうことでありますから、その限りにおいては了といたしますが、スモン病の原因がほぼ確定をした。
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
そうなってくると、やはりこれからの問題は責任論の問題だ、こう考えるわけです。やはりこのような薬のためにこれほどたくさんの患者が発生したということは、私は薬務行政の責任、これは免れないと思うし、あるいはまた、製薬会社の売らんかな主義についてもその反省と責任は免れないし、またいま大臣の答弁にもありましたように、このような薬を多用し、そしてそのために慢性疾患を発生させたという意味において、最近の医療の乱診乱療、こういう面における医療担当者の責任もこれは免れない、こう思うのです。
 大臣は十四日に記者会見で、スモン病患者は非常に気の毒なので、公害患者に準じた救済制度を設けていきたい、このようなお話がございましたが、この点はどういう救済制度をお考えになっていらっしゃるのか。公害被害者救済法によれば、いまの法律のもとでは、この法律の適用を受けるためには、地域の指定あるいはその公害についての指定があるわけでありますが、そういう既存の法律を越えて、スモン病患者についてはいろいろ公害患者に準じて救済措置を施していきたい、こういうことだと思いますが、具体的に大臣のお考えはどういうことなのか。そしてまたわれわれは、こういう問題については時期を失してはならぬと考えますが、実施等についてすみやかに大臣が考えていることを実施すべきだ、こう思うが、この点等についても承っておきたいと思います。
#155
○斎藤国務大臣 私は、公費で何とかと申し上げましたのは、先ほどから申しておるような理由で、やはり政府が何とかめんどうを見るべきであろう。今日、御承知のように医療保険では、家族の分になりますと健康保険は五割、国保は七割が負担されますが、あとの五割なり三割は自己負担ということになりまして、これがスモン病のようなものになりますと、非常に多額なものになる。そこで保険の抜本改正におきまして、やはり医療保険としてはそういう高額医療を保険をするということこそが必要でありますから、今度保険法の改正によってそういうものは保険で見れるようにというように改正をいたしたい、こう考えているわけであります。したがって費用自身につきましては、そういうようになれば保険でカバーできるわけでありますが、しかしこのスモンのごときものはその発生なりあるいは神経症状を高めたという原因が、一般の社会的な普通の疾病発生原因とは違ったところにあるわけでありますから、そこに着目をいたしまして、こういうものは公費でめんどうを見るべきであろう、かように考えているわけであります。
 したがって先ほど申しますような認定基準あるいは認定機関というものも考えて、そうしてそれによって少なくとも治療費に属するものは公費で見てはどうであろうか、そういう方向で検討をするようにということで、いま事務的に、類似の他のものもございますからそれらのものとあわせまして――私が公害病に準じて、こう申しましたのは、ただ何とかしなければならぬという意味で申したのでありまして、その費用負担等はさしあたっては私は公費で見ていくべきであろう、これをだれに負担をさせると言うことはいまの段階ではできない、かように考えております。
#156
○田畑委員 こういう難病の治療ということになっていきますと、勢い長期に及ぶわけであります。したがって直接的には医療費をどうするかというような問題、あるいはまた、神経の障害その他病気が重いがゆえに働けない人方も多々あるわけでありますが、こういう人方の生活費をどうするかというような問題等も、当然これは今後の対策の範疇として考えていくべきだ、こう思うのです。このような医原病を今後なくするために、あるいはまた、現に起きている患者に対してはどう救済するかという問題を進めていくという点から見た場合に、四十七年度の予算など考えてみますと、一体これでいいのか、私はこういう疑問を持つわけです。確かに四十七年度予算としては特定疾患対策予算五億三千八百万が計上されておりますが、その中が調査研究費そしてまた治療研究費、こう二つの部門に分かれていて、この治療研究費の中にスモンを含む四つの疾患については三億一千万、この研究費の名目でスモン病の重い患者等については、いま大臣のお話のいわゆる医療費の自己負担分に相当する分を公費負担で、こういうようなことできておるわけであります。ことしのこの予算というものはいま申し上げたように一応五億三千八百万が計上されておりますが、スモン病について一応の結論が出た以上、そしてまた行政上の責任ということも十分考えなくちゃならぬということを思いますと、この予算で一体やっていけるのかどうか、こういう問題も当然出てくるわけであります。いま大臣は公費負担によって云々というお話でございますが、予算との関係においてこの実施について大臣の考え方をさらに承っておきたい、こう考えます。
#157
○斎藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず認定の方法、認定機関、そうしてそれらによってどの程度費用を要するかということを考えまして、私はおそらくいまおっしゃいました特別疾病の研究費では足りないであろうと思います。したがいましてその場合に予備費で要求ができるか、どういうようにやっていくかという予算手段もあわせて考えてまいりたい、かように思います。ただいまどこからどうということは申し上げる段階ではございませんので、御了承いただきたいと存じます。
#158
○田畑委員 私は、これは特に大臣にひとつ希望として考えていただきたいことは、スモンの報告書によりますと、一〇%が日常生活に支障を来たしておる、就労率は六五%、こういわれておりますが、神経細胞をおかされて回復困難な人方、こういう難病の患者に対してこの救済策を講ずることは、これは当然のことだ、こう考えるわけで、この点さらに御努力を願いたいということ。また、先ほど来私が申し上げた認定基準、認定機関をつくる問題、あるいはまた、予想されるいろいろな医原病があるわけでわけでありまするが、臨床診断指針を設ける問題、あるいはまた、このような患者の医療の救済、あるいはさらには生活の援護、リハビリの施設の整備等々、こういう問題等についても、私は、今後ひとつ厚生省が真剣に取り組んでいくことを強く希望するわけでありまするが、この点について、局長なり大臣からいま一度ひとつ御答弁を願って、私の質問を終わります。
#159
○斎藤国務大臣 田畑委員の御意見のとおりに考えております。できるだけ精力的に検討をいたしまして、御意見のようにやってまいりたいというのが私どもの考え方でございますので、さよう御了承をいただきたいと存じます。
#160
○森山委員長 この際、暫時休憩いたします。
 本会議散会後、直ちに再開いたします。
   午後一時五十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時五十四分開議
#161
○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。古寺宏君。
#162
○古寺委員 最初に、去る十三日にスモン調査研究協議会の研究総括、及びスモン病はキノホルムが原因であるというような結論が出たわけでございますが、これに対して、厚生大臣はどのように受けとめていらっしゃるか、承りたいと思います。
#163
○斎藤国務大臣 先般の研究協議会の総括的な御意見といたしまして、スモンの患者の特に神経的な症状を促進したのは、やはりキノホルムが大きな原因であろうというように推定をされております。
 したがいまして、まだスモンの原因がそれで全部解明されたというわけではございませんので、これからさらにまだ研究をしていただく分野も残っておると思いますが、しかしキノホルムが大きな要因をなしているということは疑うべくもない、かように考えておりますので、したがって、すでにキノホルムの販売あるいは患者に使用することはとめておりますが、これによって起こりました患者の方々の医療費その他の救済につきましては’国として公に何か考えなければなるまい、かように思って、いま検討をいたしておる次第でございます。
#164
○古寺委員 この研究総括によりますと、「大多数はキノホルム剤の服用によって神経障害を起こしたものと判断される。」こういうふうに報告をしているわけでございますが、これがキノホルムであるということがはっきりした場合には、当然厚生省にも、国にも責任があると思いますが、その点については、どういうふうにお考えでしょうか。
#165
○斎藤国務大臣 責任というおことばの解釈のしかたでございますが、とにかくそういうことで起こった疾病に悩んでおられる方々に対しましては、少なくとも治療その他について公費でめんどうを見るのが当然ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#166
○古寺委員 いま厚生大臣が治療のほうもおっしゃったわけでございますが、このキノホルムの責任というのは、もちろん医療行政あるいは薬務行政の責任者である厚生省、またこのキノホルムを製造している製薬会社、またこの薬を使用した医師、こういうところにそれぞれ責任があると思うわけでございますが、その点については、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#167
○斎藤国務大臣 キノホルムにつきましては、当初これは海外で開発された薬でございますが、御承知のように、副作用はないということで多年使用されておった薬でございます。したがって、そういう意味におきましては、研究が不足であったということは、当時としては言えなかったであろう、かように考えます。また、厚生省の薬務行政も怠慢であったということは、私は言えないと思うわけでありますが、その後諸般の情勢から、そういうものが起こってまいった。これは研究の進んだ一つの結果であろうと思いますが、そういう研究を絶えず続けていなかったという責任を問われれば、それはさようであるかもわかりません。しかし、諸外国どこにおいても、これは安全であるということでやっておったわけでありますので、研究不足の責任を関係者に対して問うというのはいかがであろうか、かように思うわけであります。
 ただ、キノホルムを使用するについては、連用するのにはこの程度という基準がきめられております。その基準をどの程度越えて投薬をしたか、あるいは患者が無視をして飲んだかという点が残された問題であろう、かように考えますが、いずれにいたしましても、そういった副作用が起こるということをだれもが予測していなかったわけでございますから、そういう意味におきましては、まず無過失であった、かように言わざるを得ないのじゃなかろうかと考えます。
#168
○古寺委員 このキノホルムにつきましては、古い昔の「内科診療の実際」とかいうような医学書の中には、連用をすべきではない。一週間から十日ぐらい服用したならば一週間ぐらい休みなさい、こういうようなことが書かれてあったわけでございます。あるいはアメリカの医学雑誌において、かつてこのキノホルムの使用に関して警告された記事が掲載されておるのを、今回のスモンのキノホルムの問題についていろいろと報道されておりますが、そういうようなことを知っていながら、なぜ厚生省は今日までキノホルムの使用を野放しにしてきたのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
#169
○武藤政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたお話は、四十五年のこの問題が起きました時点におきましては、厚生省としては承知しておりませんでした。
#170
○古寺委員 当然毎月の保険診療の請求があるわけでございますので、この請求の中には相当のキノホルムの請求がなされておったと思うわけですが、そういうふうに大量にキノホルムが使用されているにもかかわらず、それに対して全然チェックしなかったというのは、どういうわけでございましょうか。
#171
○武藤政府委員 先生がいま御指摘のように、薬の使用量が保険請求資料によりましてわかるはずではないか、こういう御意見でございますが、そういうふうな薬の使用量のチェックということは、現在でも行なうような仕組みになっておりません。
#172
○古寺委員 そういたしますと、現在使われている薬の中には、このキノホルムのような薬害のある薬がたくさん現存している、こういうふうに考えて差しつかえございませんでしょうか。
#173
○武藤政府委員 薬害の問題につきましては、使用をなさる医療側によっていろいろ患者を診察いたしておられるわけでございますから、医療機関側から副作用の問題を情報を得まして、いろいろ薬害の防止をはかる。そのほか外国の学会、あるいは国内の学会等で薬の問題の副作用、使用上の注意につきまして、いろいろ発表があるわけでございますが、そういうものに基づきまして、いろいろな行政措置なり製造中止、あるいは回収命令その他の措置をとる、こういうことは諸外国でも同様だと思います。
#174
○古寺委員 今後、こういうような薬害を防止するために、厚生省としてはどういうような対策をお考えでしょうか。
#175
○武藤政府委員 サリドマイドあるいはキノホルム、こういうふうな薬害問題が昨今起きまして、薬の承認につきましては厳重な審査をやっております。特に本年度新しい問題としましては、WHOの副作用モニター制度にこの四月から加入をする準備を進めておりまして、そのほか私どもとしては、現在二百の国立あるいは大学病院から副作用の報告をとるようにしておりますが、これの拡大を新年度からいたしたい、かように考えております。
#176
○古寺委員 現在の国立衛験の施設あるいはスタッフをもってしては、薬の毒性をテストする場合に非常に貧弱過ぎるのではないか、こういうふうに前からいわれているわけでございますが、これの整備充実については、どういうふうにお考えでしょうか。
#177
○武藤政府委員 国立衛生試験所の毒性部等につきましては、従来ともその拡充につとめておりますけれども、今後ますますこの重要性がありますので、予算あるいは人員等の増加をはかりたいと考えております。
 そのほか医務局のほうでいろいろ国立病院に副作用の調査をお願いしておりますけれども、なかなか多忙のため、体制その他が十分でないという話も聞いておりますが、今後国立病院その他につきましても協力方をなおお願いしたい、かように考えております。
#178
○古寺委員 もう一度お尋ねいたしますが、スモン調査研究協議会の資料によりますと、アメリカの医学雑誌に、十日以上キノホルムは連用すべきではない、こういうように警告をされたことがあるということが載っているわけでございますが、この点については厚生省はおわかりになっていないわけでございますか。
#179
○武藤政府委員 先生のおっしゃったアメリカの情報につきましては、この問題が起きました時点では、厚生省は承知しておりませんで、最近その事情を知ったわけでございます。
#180
○古寺委員 そこで大臣にお尋ねしたいのですが、このスモン病でいままでに自殺あるいは死亡なさった方々が約五百人いらっしゃる。去る十二日ですかにも、スモン病ということで悲観をして自殺をした方がいらっしゃるようでございますが、これらのなくなられた方々に対する補償、あるいは家族の救済等については、大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
#181
○斎藤国務大臣 これは非常にむずかしい問題だと思いまして、いま直ちにどういうようにすべきであるかという考えが、ただいまのところまとまっておりませんので、御了承をいただきたいと存じます。
#182
○古寺委員 先ほど、患者の救済については公費負担をして、これを救済しなければならぬということをお考えになっていらっしゃるという御答弁がございましたが、先日の新聞記事によりますというと、公害病に準じた救済を考えている、こういうようなことも報道されておりますが、この点について、大臣のいわゆるお考えなるものは、具体的にどういうような扱いをなさるお考えか承りたいと思います。
#183
○斎藤国務大臣 私の申しましたのは、まあ、厳密な意味で公害病に準じるということでなしに、一種の公害みたいなものだからと、こういう俗的な考えでことばを使ったわけでございます。したがって、公害病患者の救済というあの法律に当てはめてというほどのものではございませんので、その点は御了承をいただきたいと存じます。
#184
○古寺委員 その点をひとつはっきりさしていただきたいのですが、公害病というふうにこのスモンをお考えになっていらっしゃるのかどうか、公害病に準ずる措置というふうにおっしゃっておられますので、このスモンを公害と同じようにお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点をはっきりさしていただきたいと思います。
#185
○斎藤国務大臣 一種の公害みたいなもんだと、さように考えているわけでございます。
#186
○古寺委員 そうしますと、その公害の原因は、原因物質はキノホルムである。そういうような公害が、何によってそれでは引き起こされたというふうにお考えでしょうか。
#187
○斎藤国務大臣 先ほどからお述べのように、キノホルムが一番大きな原因になっている、かように考えます。
#188
○古寺委員 そうしますと、その公害の責任の所在はどこにあるわけでございますか。
#189
○斎藤国務大臣 そこで、そういったキノホルムが、いま結論が出されたようなものの原因をなすであろうということを、だれも知らずにやっていたわけでありますから、したがって、その原因を与えた者、まあ薬をつくった者、これを売った者、あるいは投与した者というようなものが中に介在するわけでありますが、そういう者にその費用の負担を負わせるかどうかというところには問題があるのじゃなかろうか、かように思うわけであります。
#190
○古寺委員 現在このスモンの患者さんには、昨年の七月から治療研究費の一部として毎月二万円かの謝金が出ておりますが、この数は一体どのくらいでございますか。
#191
○滝沢政府委員 約四百名でございますが、当初六百名の入院患者を予定しておりましたところ、健保本人あるいは生活保護というような本人負担のないものを除きまして、医療機関が協力して、県も協力して実施してくださるという実行に入りまして、いまの時点で約四百名でございます。
#192
○古寺委員 そうしますと、今後もこのような形で患者の救済を続けていくお考えでしょうか。
#193
○滝沢政府委員 この治療研究費につきましては、今回のスモン研究協議会の御意見も、まだ治療を、特にリハビリテーション等の問題について続ける必要があるので、引き続きこの治療研究予算は必要である。それから一般的な調査研究につきましても、先ほど大臣からもお話のございましたように、まだ解明できない問題点については、調査研究協議会の若干の改組なり、あるいはメンバーの変更等を考えて継続したいという御希望は承っております。
 したがって、治療研究費につきましたは、年度の変わりも打ち切らずに、引き続きスモンについては治療研究費の支給を続けていきたい、こういう考え方に立っております。
#194
○古寺委員 ところが、現在のこの謝金の支給は、重症で、かつ一カ月二十日以上入院をしている方と、こういうふうに限られているわけでございます。したがいまして、一万人の中で、現在入院したり、あるいは通院している方もいらっしゃいますし、さらにはまた、この現在の一万人の中に、統計の中に入っていらっしゃらないスモンの方々もたくさんいらっしゃると思うわけでございますが、そういう方々には全然こういうような恩典は与えられていないわけでございますが、今後も、この一カ月二十日以上入院の重症患者に限ると、こういう考え方でお進みになる考えでございますか。
#195
○滝沢政府委員 この点につきましたは、当初の計画としては、初めての年度でもございますし、一応研究協議会の御意見を聞きまして対象をしぼったわけでございますけれども、たとえば、入院しておった患者が今度は退院して外来へ通うということについて、ある程度治療効果なり研究を継続する必要がある。それを、まあ研究に協力していただくという形で費用負担をすれば研究が続けられるということであれば、私はやはり研究対象にする、外来のものもその対象にするという考え方に発展させるべきじゃないか、こういう考え方を持っておりまして、研究協議会等に御相談をして、この可能性を見出したい、こういうふうに考えております。
#196
○古寺委員 昨年からのずっと謝金の対象者の数を見ますと、宮城県の場合は百七十四名の患者さんに対して、わずかに二名でございますね。あるいは茨城県、栃木県、福井県、それから鳥取、こういうような県においてはゼロでございますが、こういう県にも当然スモンの患者さんはいらっしゃるわけでございますが、どうしてこういうふうにゼロになっているのか、その理由についてお尋ねしたいと思います。
#197
○滝沢政府委員 資料ではそのようになっておりますが、実は福井と茨城は調査時点において、過去に入院患者がございましたけれども、健保本人であったり生活保護であったりして、この対象患者にあがらないという実態として、茨城、福井がこの数字ではゼロという形になります。鳥取と栃木につきましたは、実態として入院している患者が、いま申し上げたように健保本人であったり生保であったりというようなことを踏まえまして、存在しない。福井と茨城には、過去にはありましたが、ある時点の調査ではゼロということになっておる、こういうことでございます。
#198
○古寺委員 この現在受けておられる対象者の数からいっても、ほんの一部分の人しかこの恩恵を受けていないわけでございますが、いま局長さんから、通院の患者さんも全部公費で負担するように考えておられるというようなお話があったわけでございますが、これに対して、大臣は全部のスモンの患者さんを公費で負担してあげたいというふうに私は先ほど承ったわけでございますが、その点については食い違いがあるようですが、いかがでございますか。
#199
○斎藤国務大臣 局長のお答えをいたしておりますのは、いままでの研究費はこういうように出しておりました、いままでの制度であればこうでございます。しかし、私が申し、また事務当局にいま検討させておりますのは、全部の患者に対して治療費を公費で見るように、それにはスモン病という認定をどうするかということから始まって、その出し道も考えて一つの制度としてやってまいりたい、その方法をいま検討をいたしておるということでございます。したがって、食い違いはございません。将来そういうようにいたしたいというふうに、いま検討を始めておる、こういうことでございます。
#200
○古寺委員 そうしますと、昨年のスモンの調査研究協議会に対する予算は一億ございました。そのうちの五千万円が謝金として使われているわけでございますね。そうしますと今後は、この治療費については、公費負担の分については、そういう研究費とは切り離して、いわゆる患者を救済するための予算としてきちんと計上して、患者さんのめんどうを見てあげる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#201
○斎藤国務大臣 将来そういうようにいたしたいというので、こちらの検討が済みましたら、大蔵省と話をいたしまして、そうしてその出し道を考えたい、こう思っておるわけでございます。
#202
○古寺委員 そこで、現在訴訟が行なわれているわけでございますが、この訴訟に加わっている方も加わっていない方もあるわけでございますが、これらの方々については、訴訟には関係なく、スモンと認定された方々に対しては、当然そういう公費でめんどうを見てあげるべきであると考えますが、その点については、そういうふうにお考えでございましょうか。
#203
○斎藤国務大臣 私はさように考えております。しかし、訴訟をやっておられる方は、おれは訴訟をやっているんだからそんなものは受けない、訴訟の結果を待つんだといってお断わりになれば別でございますが、そうでなければ、一般的にそういう区別はしないでやるべきである、かように考えております。
#204
○古寺委員 そこで、この患者を救済する新しい制度を一日も早く実現するためには、患者を認定する機関なり、あるいは認定する制度というものが目下の急務である、こういうふうに考えられるわけでございますが、その点についてはどういうふうに準備を進めておられるか承りたいと思います。
#205
○滝沢政府委員 スモンが、当初実態を調べる上にも、また患者の把握の上にも、研究協議会が一つの臨床診断指針というものをきめたわけでございます。それをもとにして、今回の研究の結果と患者数が出されておるわけでございますが、ある程度軽症になった、いわゆる治療効果が出て、時間が経過して回復しているというような問題を含めて、この認定ということにつきましては、大臣の御下命もあり、検討に入るわけでございますけれども、先般、この十三日の日に研究協議会の一部の方と接触して、この問題等が話題に出ましたが、非常に診断というものがむずかしい。おもな症状が知覚の障害でございます。しびれというようなこと、あるいは何か物が足に張られているような感じだ、こういう知覚障害は自覚するものでございまして、他覚的にこれを把握することが非常にむずかしいというようなことも含めましたけれども、しかしながら基本的には、やはりスモン病として確実に――その範囲というものはかなり広いと思いますけれども、確実にスモンとして把握されたものは約九千百名の患者のうち六千五百程度でございますので、やはり確実例というものは、ある程度認定できるんではなかろうかというふうに考えますが、いずれにいたしましても、あらためて認定するという形をとったならば、患者の治療経過あるいは病状の変化等もございますので、技術的にこういうものはどうできるものかということについては、研究協議会なり専門家の御意見を固める必要があると思いますし、相当時間と、またこれを実施する計画を立てるには、かなり詳細な計画が必要ではなかろうか。
 したがって、私のところで担当いたしております予防接種の事故の審査を一つ見ましても、やはり審査にはたいへんな時間を要しておる実態であります。そういうことを踏まえまして、具体的に検討いたしたいと思っております。
#206
○古寺委員 現在診断の基準にしております指針というのは、キノホルムがまだはっきりする以前のこれは診断指針でございまして、原因がある程度究明されたわけでございますので、今後新しい診断基準というものを当然急がなければならないと思うわけですが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#207
○滝沢政府委員 確かに診断基準というものについて、研究協議会の先生方の間には、やはり基準を考えるならば診断の指針、基準も検討する必要があるという御意見が出ておりますので、私もそのように理解いたしております。
#208
○古寺委員 その新しい診断基準ができて、そしてスモンの患者さんを認定する機関ができないうちは公費負担の制度が適用にならない、そういう措置ができないというのであれば、再び自殺をしたり、いろいろな悲惨なことを繰り返すことになると思いますが、そういう点については、現在スモンというふうに診断をされている方々については、早急にまず公費負担をもって救済をすべきである、こういうふうに考えますが、大臣はいかがでございましょうか。
#209
○斎藤国務大臣 まあ、大体そういう考え方に立って、なるべく早く救済の手を伸ばしたい、かように思います。
#210
○古寺委員 そこで、一応原因もわかってきましたが、しかしながら、一番大きな問題は、よりよい治療法を一日も早く確立してあげるということが患者さんに対する一番大事な大きな問題じゃないかと思うわけです。患者さんもそういうようないままでより以上の、できれば完治できるような治療法の確立というものを一日千秋の思いで待っていらっしゃると思いますが、その治療法の確立については、どういうふうにお考えでしょうか。
#211
○滝沢政府委員 先ほど申し上げましたように知覚障害の、いわゆる神経障害が本質的な病気でございますので、治療法の確立にはこの病気が――当初スモンという名前が亜急性、ちょっとゆるい急性の病気だ、こういうためにSという字が出たわけでございますけれども、事例によってはかなり急性のものもあるということがわかってまいりまして、今回の発表の八〇%程度は治癒し、六五%程度は就労しておる、こういうように比較的早い時期に治療した者に効果があがっております。一〇%程度の障害を残しておるというのは、やはり慢性に経過し、なおかつ診断その他がおくれたケースじゃなかろうかと想像されるわけでございます。
 しかしながら、今後スモン病が一応発生することが少なかろうという見地に立ちますと、いまの患者さんの治療法の確立は、いまの治療研究費等を使いまして早急に進めたいと思いますが、今回研究協議会も治療指針――診断指針のほかに治療指針というものを定めましたが、この中にリハビリテーションの問題がまだ含まれておりませんので、そういう意味でも治療研究を継続してまいりたい、こういうふうに考えております。
#212
○古寺委員 そこでお尋ねしたいのですが、スモン調査研究協議会は今後どういうような形で、どのくらいの予算でこれを継続していかれるお考えか、承りたいと思います。
#213
○滝沢政府委員 この点につきましては、外来を研究対象に取り入れるということによる治療研究費の若干の増額は考慮しなければならぬと思いますけれども、調査研究につきましては、これは従来の研究協議会の先ほど申し上げましたように改組なり、あるいはポイントをどこにしぼって継続するかということによりますので、いまの段階でおおよそといえども、ちょっと金額は見当つきませんで、私は調査研究のほうはあまりふえる要素はないんじゃなかろうかというふうに考えておりますが、治療研究のほうについては若干の増が考えられる。総括的に四十六年度の予算程度で間に合うかどうか、その辺のところがおおよそのめどじゃなかろうかと考えております。
#214
○古寺委員 大臣は一日も早く公費負担の制度を確立して患者さんを救済してくださる。当然これは相当の医療費が必要でございます。現在公害病の患者さんの場合でも、五千人ちょっとでもって年間十億近い予算が計上されているようでございますので、これが一万人となりますと、約二十億くらいは自己負担分だけでもおそらく必要になるんではないか、こういうふうに考えるわけですが、一方この研究費につきましては、いままでキノホルムの蓄積によってある程度わかったわけでございますが、今後非常にわが国にだけスモンが多いとか、あるいはお年寄りの女性に多いとか、いろいろと残された問題がたくさんあるわけでございます。こういうような問題を究明していく、治療法を確立していく、あるいは新しい生化学的な診断法も開発していかなければならないと思います。そういたしますと、当然いままでより以上の研究費によってこの研究を進めなければならないし、さらにまた、そういうような必要な先生方、関係者の方々も協議会のメンバーとして新しく加わっていただかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、その点については、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#215
○滝沢政府委員 先生のおっしゃるとおり、決して予算の上で内容をチェックするという形はとらずに、必要なものは、スモンがここまで研究が進んでまいりまして、わが国のこういう行政面からの研究としては非常に大きな成果をあげていただきましたので、そのように必要なものを重点的に、金額というものにこだわらずに取り上げてまいりたいと考えております。
#216
○古寺委員 次に、このキノホルムは非常に長期間にわたって体内に蓄積をしておる。それが何かの要素によって再発、再燃と申しますか、スモンになる場合があるというふうに承っているわけでございますが、そういたしますと、いつ国民がスモンにならないとも限らないわけでございますが、そういう面に対する対策というものは、厚生省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
#217
○滝沢政府委員 一応動物実験等の成果を見ましても、蓄積するということはございますけれども、症状のあらわれてくることも、また投与との関連もございますので、したがって理論的には、確かに蓄積して症状をあらわさないものが、何かその個人のからだの条件によって発病してくるというようなことも否定はできませんけれども、一応われわれが動物実験等の成果その他を拝見いたしましても、あるいは患者の実態、研究の実態等を拝見いたしましても、やはりキノホルムの投与と発病、神経症状の増、あるいはキノホルムの投与をやめると、こういうふうになるというような研究発表がございますので、必ずしも蓄積が将来ともいろいろ発病の原因になるというふうには、私は受け取っておらないわけでございます。
#218
○古寺委員 私がお聞きしている範囲では、相当に長い間蓄積をされている。この治療を開始しまして、そのために急に失明したり、いろいろな症状が起きる場合がある。それと同じように、相当長期に体内に蓄積をしておりますので、現在発病していらっしゃらない方、あるいは現在一応治癒している方にも再発、再燃の危険性は多分にあるんだ、こういうことを実は承っているわけでございますが、その点については、局長さんのお考えとどうも違うようでございますが、もう一度その点についてお答えを願いたいと思います。
#219
○滝沢政府委員 再発あるいはいわゆる波を打って、一たんよくなったものがまた悪くなってくる。これはベーチェット病には非常に特徴でございますが、私はキノホルムが原因であるということと蓄積ということを関連して考えましても、いままでの私の受け取っている研究の成果からいきますと、キノホルムが、むしろ再発ということなり、今後どこかの地域にまた戸田病と同じように、キノホルムを禁止しなくも――三十九年のときの戸田は三年ぐらいで流行が終わっております。そうしてあの戸田のものをもとにしながら、スモン病という学界の研究が発表され、スモン病という名前がついたわけでございます。私は、自然に流行し自然に消えていった戸田病というものと、キノホルムとがどういう関係にあるか、私、必ずしも納得のいく結果を聞いておらないわけでございます。そういう意味も含めまして、再発ということとキノホルムとの関係、あるいはその再発がまた新たな一つの別の意味のスモン病、あるいは特殊の神経障害を起こす疾病として考えるべきかどうか、この辺についてはたいへんむずかしい問題であると思いますので、私もここで先生の御意見を否定するわけではございませんが、一応われわれとしての行政の立場からの判断も率直に申し上げておきたいと思うわけでございます。
#220
○古寺委員 新しい治療法の治療指針の中には、リハビリがまだ入っていない、こういうようなお話でございましたが、現在この一万人の中でリハビリを受けていらっしゃる方は何人ぐらいでございますか。
#221
○滝沢政府委員 ちょっとリハビリという抜き出した資料はございませんで、また調べられましたら先生にお答えいたしたいと思いますが、そう多くはない。ただ今度の研究協議会で、からだに障害を残しておる者が一〇%という統計が出ておりますので、およそのめどは、それ以上であることは間違いございませんけれども、かなり広い範囲のものをリハビリと考えた場合には、それ以上と思いますけれども、ちょっと数字を申し上げる資料を持ち合わせておりません。
#222
○古寺委員 そこで、今度の総括の報告の中で、キノホルムを販売中止いたしましたのが四十五年の九月だったと思いますが、ずっとこの資料を拝見いたしますと、実際にスモンの患者さんが減少したのが三月からでございますが、この点については、この総括の報告には具体的には報告されていないわけでございますが、どのようにこれは厚生省のほうではお考えでしょうか。
#223
○滝沢政府委員 この点につきましては、一部の研究協議会の関係者の疫学担当の部門の方々にだいぶ議論があった点であると聞いております。
 先ほど戸田病の例を引きまして、流行が三年にわたって約四十名の患者の発生がございましたが、その後自然にあの地区でスモン病というものがなくなっております。一部にはこのような現象は必ずしもキノホルムでなくて、いわゆる免疫学的な流行現象の一つの型であるというふうに主張する方もありますけれども、今度の協議会の結論としては、やはり九月に禁止して以来、特に四十七年、本年度になりましての患者の発生等を踏まえて、あるいは四十六年の患者の発生状況等を踏まえて、やはりキノホルムが有力な原因であるという結論になっておるように思います。そういう面も含めまして、あるいはなぜ夏に比較的発生が多いのか、あるいは先ほどもお話しの男性、女性の発生率の関係、あるいは地域的にある程度流行があって、それがまた過去には自然に終息したような事例がある。こういうような問題点については、必ずしもキノホルムと結びつけるだけでは解明のできないむずかしい問題があるというふうに理解いたしております。
#224
○古寺委員 現在もキノホルムは販売中止にはなっているようでございますが、医療機関では必要に応じて使用されているわけでございます。この許容量はどういうふうになっているか、お尋ねしたいと思います。
#225
○武藤政府委員 現在キノホルムにつきまして例外的に認めておりますのは、腸性末端皮膚炎という子供についての特殊な病気のようでございまして、例は非常に少ないわけでございます。許容量は、医者が必要な判断でおそらく使用をされている、かように考えます。
#226
○古寺委員 それは許容量は幾らというふうに厚生省ではお考えですか。
#227
○武藤政府委員 従来の局方では、おとなは一日〇・六が許容量でございます。これを子供に使いました場合に、その子供の症状なり、それから体格等によって医者が使うことだろうと思いますが、腸性末端皮膚炎につきまして、現在ここにどの程度が使われているかということにつきましては、ちょっと私わかりません。
#228
○古寺委員 そういたしますと、過去に販売されたキノホルムは全部回収をされたわけでございますか。
#229
○武藤政府委員 四十五年の九月に製造並びに販売中止をして、全部回収をいたしております。
#230
○古寺委員 現在スモンのための、いわゆるリハビリを受ける施設は何カ所ぐらいございますか。
#231
○滝沢政府委員 スモンが知覚麻痺をもたらす神経障害でございますので、もちろん筋肉等にも障害のある例もございますし、一般的に、特にスモンのリハビリのために特定な用意がなければいかぬというよりも、やはりわが国のリハビリテーションということに対する医療機関、機能全体が不足しておるということとからみます。
 ただ、社会復帰、いわゆるリハビリテーションの関係については、この研究班の東北大学の温泉研究所の杉山教授が班長になってやっておられまして、温泉療養の問題、それからあと電気その他による物理的な刺激の問題、あるいは薬剤投与による問題それから高圧酸素タンクに入れると非常に治療効果があがるというような報告、これはきわめて限られた報告でございますが、そのような問題もございまして、私はスモンのためのリハビリテーションの施設数を、必ずしもその特定的なものとしてはつかんではおりませんが、全体として医療機関で今後リハビリテーションの問題がますます必要になり、充実されていく一環として、このスモンの患者がそれぞれの状態に応ずるリハビリテーションの問題に、むしろ本人がかなり積極的に努力するようにはかっていくことが、あるいは投薬その他の治療と相まって大事ではなかろうかというふうに考えている次第であります。
#232
○古寺委員 現在、東京都の府中病院の神経科を母体にして神経病の専門病院をつくっているようでございますが、これについては当然政府も援助してあげるべきじゃないかというふうに考えますが、このことについて大臣は御存じでしょうか。
#233
○斎藤国務大臣 ちょっと私、その東京都の神経病院ですか、このことについては詳しく存じておりませんので、後刻よく調べまして、お答えをいたしたいと思います。
#234
○古寺委員 きょうはスモン病をいろいろ御質問申し上げたわけでございますが、このほかにネフローゼあるいはベーチェット、筋ジストロフィーとかいろんな難病ですね、社会的に防衛しなければならない成人病も当然入りますが、こういう病気が非常にたくさんふえているわけでございます。これはいままでの厚生省の機構では非常に複雑で、非常に対策がおくれるという傾向があるように考えられるわけでございますが、この際、社会病対策本部、いわゆるこういう特定疾患、いろんな難病を救済するための社会病対策本部をつくり、そして厚生省に社会病対策局をつくるということが、今後必要になるというふうに私どもは考えているわけでございますが、こういうことについて大臣はどのようにお考えでございましょうか。
#235
○斎藤国務大臣 厚生省といたしましては、みずから研究するということが、ちょっとただいまのところ不可能でございまするので、したがって行政的にそういうことを扱う、さしあたっては特別疾患対策室というものを設けまして、そこが中心になりまして、関係の医療担当あるいは研究をしておられる方に委員になっていただいて、そして全国のそういった研究開発というものを促進してまいるというように行政的にはあんばいしてまいりたい、ただいまではさように考えております。
#236
○古寺委員 まだ十分に私の考えていることがよく大臣にはおわかりになっていないと思うのですが、現在いろんな各局とか課に分かれておりまして、一つの病気をとらえる場合にも、そこにいろんな問題があるわけでございます。年金の問題から、あるいは保護の問題から、施設の問題から、いろんな問題がございます。こういうものをもっと効率的に社会病全体を、難病全体を救済する意味で、新しいこういう時代に対応した、いわゆる社会病対策局というような、そういう機構の改革でございます。こういうものが差迫っているのではないか、そういう必要があるのではないか、こういうふうに考えられているわけでございますが、その点について、もう一度お尋ねしたいと思います。
#237
○斎藤国務大臣 さしあたりましては、ただいまおっしゃいますような考え方で、局ではございませんが対策室というものを設けまして、そしてそこで、いまおっしゃいますような難病、奇病というものの発生原因、治療方法というものを一元的に研究をする室を設けたい、かように考えております。
  〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
#238
○古寺委員 こういうスモンであるとかベーチェットという病気は、非常に専門的な治療が必要になってくるわけでございますが、こういうような神経病専門の病院というものを、やはり全国的に増設をしていく必要があると思うわけでございます。先ほど東京の例をお話しでございましたが、東京だけではなしに、各都道府県にこういういろいろな難病対策のための総合病院、こういうものを設置をする必要があると思いますが、この点については、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#239
○斎藤国務大臣 この点につきましては、将来そういうように、あるいは発展をしてまいらなければならないかと考えておりますが、ただいまの段階で、計画的にどこにどうという計画はまだできておりません。将来、構想等の場合に、そういうことも念頭に置きながら医療対策を考えてまいりたい、かように思います。
#240
○古寺委員 それでは次は、国立視力障害センターの問題についてお尋ねしたいと思います。
 国立視力障害センターの問題でございますが、東京の場合は一部制と二部制がございますが、地方のセンターでは二部制がないわけでございます。今日ではほとんど高卒の人が多いわけでございまして、地方のセンターでは、東京しか二部制がないために、大学卒あるいは高校卒の重度失明者も東京のセンターで教育を受けている、こういうような実情でございますが、今後これを増設するお考えがあるかどうか承りたいと思います。
#241
○加藤政府委員 国立の視力センターでございますが、これは御指摘のとおり、あんま、はり、きゅう、マッサージにつきましては、一部と二部とございまして、一部は中学卒で五年のコース、それから二部は高校卒で三年のコース、こういう二つのコースがあるわけでございますが、御指摘のとおり高校卒の三年コースいわゆる二部のコースは、東京の視力障害センターにしか設置されてないという現状でございます。国立の視力障害センターは東京を合わせまして五カ所ございますが、したがって残りの四カ所には中学卒の五年コースだけということで、高校を卒業した者が三年で、あんま、はり、きゅう、マッサージの技能を修得するコースがないわけでございます。これは先生御指摘のとおり、最近は高校の進学率も非常にふえてまいりまして、そういう高校卒の二部コースを東京以外にもつくってもらいたいという要望があることは事実でございます。これにつきましては、文部省所管の盲学校におきましても、これと同様に高校卒の三年コースというのをいま盛んに増設をしておるというような現状でございます。
 具体的に申し上げますと、四十五年におきましては文部省のこういった盲学校の、いわゆるこちらの二部に匹敵するコースが十一校だけであったわけでございますが、現在ではそれが十八校になっている、七校もふえておるというような現状でございます。
 したがいまして、それとの見合いで、私どもといたしましても、なるべくいま先生の御指摘のような線で、この増設のほうに努力してみたいと思いますが、教官の確保とかその他いろいろ問題もございます。また文部省とどういうぐあいに調整していくかというような問題もございますので、今後そういった線におきまして、さらに文部省ともよく話し合いをいたしまして、必要に従ってほかの東京以外の視力障害センターにも、それによって二部コースを設置するということを考えてみたいと思います。
#242
○古寺委員 全国五センターあるわけでございますが、この五センターの――二部制は東京だけでございますが、一部制の場合はどのくらい希望者がございますか。
#243
○加藤政府委員 全国のあれはちょっといま手元にございませんが、たとえば東京視力でございますが、これは二部で定員が六十名のところを四十六年度は六十九名の応募、四十五年は九十二名の応募でございます。
 一部につきましては、大体平均いたしまして定員の一・二倍程度の応募だそうでございます。
#244
○古寺委員 この視力障害センターが非常に少ないために、東北の場合には北海道の函館あるいは東京まで出てこなければならぬわけでございますが、こういう視力障害センターの全然ないブロックに新設をしていただかなければならないし、さらにまた先ほども申し上げましたように、東京だけに高卒の人が入れるわけで、非常に限られた人しか入ることができない、こういうような問題がたくさんあるわけでございますので、今後この国立視力障害センターの増設並びに地方の各センターに対する二部制の増設というものについて、政務次官はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねいたします。
#245
○登坂政府委員 お説のとおり、心身障害者、中途失明者、そういう方々に対する今後の措置はますます強化しなければならぬと思います。全国的に調査いたしまして、どういう趨勢にあるか、そういうものを研究して、善処するような計画を将来研究して、御趣旨に沿ったような方向で進めたいと思います。
#246
○古寺委員 この視力センターに入所している方々の健康管理あるいは事故が起きた場合のいろいろな医療保障、こういうような問題については、かねがねいろいろな御要望があったようでございますが、安心して入所者が訓練を受けられるような、そういう体制をとってもらいたい、こういうふうにいろいろ希望しているわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。
#247
○加藤政府委員 入所者の健康管理についてでございますが、これは確かに理想を申せば専任の眼科の医者並びに内科の医者というものを置くのが非常に理想でございますけれども、なかなか給与問題その他の問題等もございまして、現在では遺憾ながら専任の医者は置いてないというのが現状でございます。ただ、内科並びに眼科の医者の嘱託医をきめまして、そして定期的に診療をしてもらっているというのが実情でございます。予算的に見ますれば、嘱託医につきまして、昭和四十六年では、眼科のお医者さんは大体週に三回くらい、それから内科は週に一回という予算上の積算になっております。しかし、単価が非常に安いとか、あるいは入所の際に一度にたくさんのお医者さんに来てもらうというようなことで、実行はこれをだいぶ下回っておりまするけれども、一応嘱託のお医者さんで、現在診療に当たってもらっているというのが現状でございます。
 なお、いろいろな障害が出てきたというような場合には、必要に応じまして、地域のその近所の病院、診療所と連携を保ちまして、必要な治療を行なうということで、入所者の健康管理につきましては、今後ともできるだけ配慮をしてまいりたいというぐあいに考えております。
#248
○古寺委員 東京の場合も函館の場合もそうでございますが、非常にボイラーの容量が小さいために暖房が十分さいていない、非常に寒い、こういうふうにいわれているのですが、東京の場合は何か設計のミスで、函館の場合は容量が小さい、こういうふうに聞いておりますが、今後これをあたたかくしていくような措置をお考えでしょうか、どうですか。
#249
○登坂政府委員 そういうことがあるとするならば、できるだけ早く、早急に改善させます。
#250
○古寺委員 次に、いろいろな教材がございますね。まあ教科書でございますか、こういうものは全額これは無償で当然支給すべきものと考えるのでございますが、千円くらい、食事を免除されている人が、何かこの教科書代を取られている、こういうお話を聞いたのでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#251
○加藤政府委員 確かに食事の免除を受けているという者につきましては、教科書代を一部負担させているという事実はあるようでございます。
#252
○古寺委員 これは食事を免除しているのですから、教科書も当然免除すべきじゃないかというように考えるのですが、どういう理由なんでしょうか。
#253
○加藤政府委員 被保護者につきましては、これは要するに技能習得費ということで年間一万五千円支給をされておりまして、この中から教科書代が出るということになっておりますので、そういう関係で教科書代を負担させておる、こういうことになっておるわけでございます。
#254
○古寺委員 私もいろいろお尋ねしたのでございますが、結局光熱費が少ないために、現在寒くてしょうがないわけでしょう。暖房が寒くてしようがない。ところが、その暖房や電気、光熱、水道、こういうものの予算が少ないために、さらに入所者から、しかも食事を免除されている人から教科書代を取っている、それによって何とか予算をやりくりしているということをお聞きしたのですが、どうもこういう点はちょっと理解に苦しむのでございます。今後そういうような、光熱水道料が少ないために、食事の代金は免除しているけれども、そのかわり教科書代は徴収するというような、こういう矛盾したことはやめていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#255
○加藤政府委員 暖房が不十分で非常に寒くて困るという実態は、私どものほうにはまだはっきり入ってきておりませんが、先生のほうにそういう声が入ってくるということがあるとすれば、やはりそういう事実もあるかとも思うわけでございます。そういう点につきましては早急に調査をいたしまして、実際にそういう暖房が不完全であるという場合には、これは早急にその予算的な措置等も講じまして、そういったことのないようにいたしたいと思います。
 なお、光熱水道料その他につきましては、十分ということはいえませんけれども、今後ともそういった面の予算獲得には努力してまいりたいと思います。
#256
○古寺委員 次に、経穴人形というのですか、いろいろさわってみる人形、あるいはつぼを覚える人形だそうですね。それから解剖の人体模型、こういうようなものがありませんと、目が不自由なんですから、なかなか思うように実習ができないわけです。ところが、それが数が非常に少ないのですね。しかもあまりさわるとこわれるといかぬから、なるべくさわらないようにさしている。こういうようなことでは、何のために養成所へ入っているのか、意味がないと思うのです。それでよそから寄付してもらわなければ模型をふやすことができない。これは当然必要な教材でございます。こういうものはもう各教室に完備をしてあげて、そして目の見えない方々でございますので、十二分に実習できるような体制というものを整えてあげるべきである、そういう御配慮が必要であるというふうに考えますが、この点については、政務次官、いかがでございましょうか。
#257
○登坂政府委員 そういう事実があるとするなれば、さっそく調査いたしまして善処するように努力いたします。
#258
○加藤政府委員 いまの点でございますが、確かに私もそういった教材が不十分であるということは聞いております。四十六年度は、そういった教材に対する予算が百六十七万でございましたが、四十七年度は四百五十万に増額いたしております。これで十分というわけではございませんが、今後ともできるだけそういう予算をふやしてまいりたいと思います。
#259
○古寺委員 次に、おふろでございますが、公衆浴場法違反になっているそうでございます。浄化装置がなくて、もうずっと皆さんがお入りになると、くさくて入られないくらいお湯がよごれる。しかも函館の場合なんかは非常に湯の量が少なくて、思うようにお湯につかれない、ボイラーも小さい、こういうふうに皆さんおっしゃっているわけでございますけれども、思うようにスポーツもできない、外出もできない方々でございますので、せめてお湯にだけは十分に入浴できるような体制が必要じゃないかと思いますが、この点はどうでございましょうか。
#260
○登坂政府委員 そういう事実があるとするなれば、さっそく手当てをいたしまして改善いたします。
#261
○古寺委員 次に、こういうようなセンターを出まして、就職する場合でございますが、世帯更生資金をお借りして開業する、あるいは就職支度金をお借りしてどこかの病院につとめる、そういう場合に、金額が非常に少ないために開業ができないとか、あるいは就職をするにしてもアパートも借りられないとか、いろいろな問題があるようでございます。こういう方々に対しては、卒業後も安心して就職できるような御配慮が必要じゃないかと思いますが、この点はいかがでございましょう。
#262
○加藤政府委員 世帯更生資金につきましては生業資金、これは通常二十万でございますが、特に必要があると認めるときは最高限度四十万円ということで、特に視力障害者の方々には、フルの限度の四十万円という生業資金をお貸しするように措置をいたしております。
 なお、この四十万円でも、いまの段階では不足だということも考えられます。これは、四十五年度に最高限を三十万から四十万に引き上げたわけでございますが、今後、これの引き上げということも検討してまいりたいと思います。
 なお、視力障害者を含めた身体障害者の方々には、世帯更生資金の中でも、たとえば償還期限を、普通は六年であるけれども、八年まで延ばすというようなこともやっております。また、資金ワクにつきましても、毎年、身体障害者に渡る分をふやしているという現実もございます。たとえば、昭和四十一年度には世帯更生資金のワクのうち一三%を視力障害者を含めた身体障害者のほうに回しておったのでございますが、昭和四十六年度では約二〇%にふやしているというようなことをいたしております。ただ、御指摘の金額につきましては、この引き上げにさらに努力してまいりたいと思います。
#263
○古寺委員 いま御説明があったように、現実に合わない金額で開業したり、あるいは就職をしなければならぬという立場に現在あるわけでございますので、今後はやはり、何かこういう方々に対しては特別の制度をつくって、安心して開業ができるように、あるいは就職ができるように――県によってはプラス五十万あるいはプラス百万というふうに、世帯更生資金やそういうものに上のせをしてやってくだすっている都道府県もあるようでございますが、それは非常に限られた都道府県でございます。しかし、実際にセンターを卒業なさる方、出られる方は非常に数も少ないわけでございますので、厚生省としても、こういう方々に対する特別の対策、特別の制度をぜひひとつ今後考えてあげるべきでありますし、また社会に出て開業をなさいますと、そういうような借金はたちどころに返せるんだ、こういうふうにも申しておりますので、ぜひ、最初のスタートのめんどうだけは見るような制度をひとつ考えていただきたい、こう思いますが、政務次官、いかがでございましょう。
#264
○登坂政府委員 せっかく身につけた技術を世の中に出す場合、またこれから生活に向かう、こういう方々のためにもそういう不安があってはいけないので、特にケース・バイ・ケースもありましょうから、そういうことのないように極力、行政措置でできるものはさっそくいたします。
#265
○古寺委員 それから、視力センターの入所者は、ベーチェット氏病をはじめとして、中途の失明者でございます。したがいまして、先天的な盲人と違いまして、生活訓練というものが非常に大事になってくるわけでございますが、生活指導というのが行なわれていない。そのために、わざわざ別の施設へ行きまして生活指導を受けなければ結婚もできない、あるいは就職もできないというような例もあるようでございますが、この施設の案内書の中にはちゃんと、生活訓練も行なうと、写真入りで宣伝しているわけですね。ところが、行ってみますと全然やってないわけなんです。中途失明者で、途中で見えなくなりましたので、どうしても生活訓練が、最初から見えない人とは全然違うわけでございますから、特にこういう点については、今後力を入れていただきたいと思いますが、この生活指導についての厚生省のお考えを承りたいと思います。
#266
○加藤政府委員 確かに中途失明者というのは、先天的な当初からの失明者よりもいろいろな点で勘が悪いというような事実があるようでございます。そういった面で、生活指導といいますか生活訓練というのを――先生は全然やってないとおっしゃいましたが、不十分ではございますけれども、全然やってないということではないと思います。現に生活指導員というものを、たとえば東京の国立の視力障害センターには十一名、その他のところには大体五、六名程度置いてやっておるわけでございます。必ずしも十分とは言いませんけれども、こういった職員を置いて、できるだけ生活訓練あるいは感覚訓練というものをやるように指導をさせておるところでございます。
#267
○古寺委員 たとえば東京の場合で申し上げますと、掃除をさせるんですね。ところが、電気掃除機がない。ごみがもうもうとしている中で掃除をやっていらっしゃるものですから、掃除をしてもきれいにならぬわけです。掃除をしても、ちっともやってないじゃないか、こういうようにしかられるらしいのですが、これからは電気掃除機でも買ってあげて、そして出所後には文化的な生活ができる――これも生活指導になるわけでございますので、今後は、そういうごみがもうもうとしているような掃除でなくて、近代的な、生活に密着した掃除の方法を取り入れていただきたいし、また用務員もふやさなければいけないんじゃないかと思いますが、この点については、局長さんはどういうふうにお考えでしょうか。
#268
○加藤政府委員 いまの掃除の点でございますが、これは生活訓練の一部として入所者に掃除をやってもらっておるという事実はあるようでございます。一部では電気掃除機を買っておる施設もあるようでございますが、まだそこまで手が届かないという施設もあるようでございます。これはできるだけすみやかに電気掃除機にかえるように指導してまいりたいと思います。
 なお、その他の職員につきましても、やはり目の不自由な人というのは、私も身体障害者をいろいろ見ましたけれども、身体障害者の中では一番気の毒な部類に属すると思います。そういう意味で、できるだけそういった職員の増員等についても努力してまいりたいと思います。
#269
○古寺委員 それから、残存視力、残っておる視力を大事にする意味において、やはり照明が非常に問題になっているわけです。非常に薄暗い電気をつけていると、そこから出所する場合には、もう視力がほとんどゼロになっちゃう、こういうような例が多いわけでございますので、残存視力を保持するためにも、やはり照明とか、そういういろいろなものを特にお考えになっていただきたいと思います。
 それから国鉄の割引の問題でございますが、傷痍軍人の人は割引になっております。きちっとあれは厚生省のほうで予算を国鉄に差し上げるのかどうか、予算が計上になっておりますが、こういう身体障害者の方には全然割引がないわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えでしょう。
#270
○加藤政府委員 最初の照明の点でございますが、東京の視力障害センターはまだ不十分だそうであります。先生の御指摘になった点は、おそらく東京だろうと思いますが、その他の施設については、照明についてはほとんど整備されている。東京につきましては、今月中にその整備をはかりたいということでございます。
 それから鉄道の割引でございますが、これは身体障害者全般につきまして、大体五割引きということを国鉄のほうで特別の規則を設けてやっておるわけでございます。そういうことで全然割引がないということではございません。
#271
○古寺委員 割引があるわけでございますか。もう一回お尋ねします。
#272
○加藤政府委員 特急券とかそういうものはないようでございますけれども、一般の急行券、それから乗車券については、五割の割引があるということでございます。
#273
○古寺委員 これは制限がございませんか。
#274
○加藤政府委員 非常に重度の身体障害者については制限がないようでございますが、比較的軽度の者については、本人が、――百キロ以上ですから、近距離に行くときには割引がない。遠くへ旅行するときに、百キロ以上の場合に割引がある、そういうような制限はあるようでございます。
#275
○古寺委員 それから、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等中央審議会というところから、四十五年の七月三日に答申が出ているわけでございます。この答申を受けて、厚生省は何々を答申どおりにおやりになったか、今後どの点をおやりになっていくのか承りたいと思います。
#276
○新谷説明員 四十五年の七月に出ました中央審議会の答申のおもな点でございますが、あんま、マッサージ、指圧師の免許、業務内容等につきましては、現行どおりとすることが適当であるという意見でございますが、資質の向上という見地から修業年限の引き上げをはかるべきであるということがおもな内容になっております。なお、そのほかに新しい行政のほうの問題として、盲人の福祉の増進をはかっていくべきであるという二つの点が、この答申のおもな点であるというふうに理解をいたしております。
 その前段のほうの問題でございますが、ただいま答申に基づきまして方策をいろいろと検討中でございますが、この答申の出たあと関係の各団体の意見をいろいろ聞いてみましたところ、答申の線につきましても、いろいろ団体によりまして意見が違う点がございまして、その調整をはかっておる段階でございます。
 なお、そのほかに先ほどちょっとお話が出ましたが、文部省のほうで特殊教育のほうの盲学校の教科課程の改正内容を検討中でございまして、その結論と私たちのほうの措置とがたいへん関係がございますので、そういうことをいろいろ考え合わせまして、最終的な結論を出すには、なおしばらく時間をおかりしたいというふうに考えております。
#277
○古寺委員 この答申の中にも、養成施設の入学資格は原則として高校卒業者とすることが望ましい、こういうこともきちんと出ておるようでございますので、今後この答申に沿って、これらの中途失明者の方々の更生のために、ひとつ厚生省としてもあたたかい御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。
 この問題と関連いたしまして、現在毛呂病院にベーチェットの中間訓練をするセンターがございます。こういうところから視力障害センターに入所する場合にも、ベーチェットの人は非常に差別をされて、視力障害センターのほうになかなか思うように入所できない。二十名くらいおっても、やっと四、五名しか入所できないというふうにいわれておるわけでございますが、こういう点については、どういうふうにお考えになっているでしょうか。
#278
○加藤政府委員 ベーチェットの病気を持っておられる人につきましては、確かに応募者全員を入れてないという事実はあるようでございます。たとえば、四十六年度はベーチュット関係の応募者四十二名のうち入所した者が二十一名、半分でございます。これはやはりその病気が安定した上でないと、入所された上でも施設のほうでも非常に困るということで、ベーチェットの方であっても、ある程度その病状が安定したというような方は入所してもらう。そういうことで特にベーチェットだから制限するということでなく、そういう措置をやっておるようでございます。
#279
○古寺委員 ベーチェットの中間センターというものは毛呂病院にしかないわけでございますが、全国的にベーチェットの方々が非常に困っていらっしゃるわけでございますので、もう少し中間センターというものをふやして、国立病院とか国立療養所に併設するとかそういうものをつくって、それから視力障害センターに入所ができるようにしてあげたほうがいいのではないかと思いますが、今後ベーチェット氏病の中間センター、こういうものに対して厚生省としてはどういうふうに取り組んでいくお考えか承りたいと思います。
#280
○加藤政府委員 先生の御指摘の点は、公衆衛生局の所管に属する問題だと思います。ただいま責任者がいませんから、先生の御趣旨はよく伝えたいと思います。
#281
○古寺委員 政務次官いらっしゃるのですから、政務次官……。
#282
○登坂政府委員 技術的な問題と思っていま控えたのですけれども、そういうふうな事実をよく検討しまして、そういう身障者の障害のないように、できるだけ厚生省としては前向きで検討しなければいけない、さように考えております。
#283
○古寺委員 実は、私昨日も身障者の基本法をもう一ぺんずっと読んでみました。そうしますと、厚生省がおやりになっていることは、現実は基本法とは非常にほど遠いわけです。たとえばいまの列車の割引の問題にいたしましても、基本法の中に、きちんと国鉄が努力をしなければならぬというふうになっておりますけれども、全く努力をいたしておりません。そういうようないろいろな面で身障者の方々が、基本法ができても、いろんな面でまだ十分救われていないわけでございますので、先ほどいろいろとこまかい点まで申し上げましたが、こういう問題については、今後一日も早く善処をしていただきたいと思います。
 最後に、委員長にお願い申し上げたいのですが、スモン病の問題でございます。
 スモン調査研究協議会の総括の報告も出たようでございまして、キノホルムであるということがおおよそわかったわけでございますので、ぜひ一度委員会に参考人をお呼びするなり、あるいは公聴会を開いていただきたいということを特に御要望申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
#284
○増岡委員長代理 古寺君にお答えいたしますけれども、ただいまの件は理事会ではかりまして善処をいたしたいと思います。
 次に、寺前巖君。
#285
○寺前委員 大臣がおくれてお見えになるようなので、ちょっと残念なんですが、きょうは私は、この間の大臣の所信表明の第一番目の項目に、ことしは特段にお年寄りの問題について厚生省としては力を入れてやっていきたいというお話がございました。しかし同時に、ことしの国会の冒頭において問題となったのは、前の労働大臣原さんの、あの人のことばをかりるならば、養老院の問題といいますか、これが世間を騒がして、閣僚ともあろうものが何たることを言うんだということになった事件がありました。それで、ついにおやめにならなければならないという事件があっただけに、それではほんとうにあの事件以後において、大臣もしくは政務次官がこの老人ホームの問題について、どのようなその後の考えを持っておられるのかを、きょうはぜひ聞かしていただきたいということで、老人問題についての質問をしたいと思います。
 実は私の手元に、ある農村地方の定員八十名の養護老人ホームの職員の人から手紙が来ております。おそらく先生方のところにも、いろいろ問題波紋を及ぼした話だけに、いろいろ陳情が来ていると思います。
 私は、きょうは自分の意見をできるだけ避けて、この人からいただいたお手紙を披露して、これについてどのように真剣に御検討いただいているかをなまで、大臣もしくは政務次官のおことばとして、その人に聞かしてあげたいというふうに思いますので、率直に、私は手紙を読みながら御回答いただきたいというふうに思うわけです。
 この人は最初にこういうふうに言っています。
 「老人の一般生活費は一人当り月額一万七百七十円(乙地)で、大部分の施設は六・三・一の割合で、食費が月約六千五百円、共通経費が三割、小遣銭等個人直接還元が一割、月約千百円位の割合で運営されております。私はまず、ぜひお願いしたいことは、お年寄りの方の食事の問題です。今度の予算でさぞかしよくなるかと思って期待をしております。しかし、聞くところによると、五・九%しか食費が上がらないということを聞いているのですが、ほんとうでしょうか。物価の上昇はその程度ではないはずです。生活保護の予算の上昇は一四・何%かと聞いておりまするけれども、それではなぜ老人ホームに限ってこのような扱いがされるのでしょうか。私どもがいま運営しているのは、一日当たり二百十円から二百二十円でまかなっております。朝夕は御飯で、お昼は週のうち、パンが二回、御飯が二回、うどんが三回の給食です。ほんとに何とか味のある手の込んだ料理でもしていきたいと思うのですが、あまりにも少ない予算で、期待しておりました今度の予算アップというのもどうも当てはずれのようですが、どのようにお考えいただいているのでしょうか。」これが第一番目の問題です。
 ちょっと率直にお聞きしたいと思います。政務次官、どういうふうに思われるでしょう。
#286
○加藤政府委員 確かに食費の点につきましては、たとえば特別養護老人ホームの例でございますが、四十七年度、一カ月六千八百十六円、前年度の四十六年度が六千四百五十円でございます。食費につきましては、そのアップ率は確かに五・八%でございましたか、これは結局米代を除きまして――米は米の値段が上がりますと、あとでそれを補正予算へ組み入れるということにいたしております。したがって、米は除きまして、その他の、米以外の飲食物費、これの過去二年間のアップ率をとりまして、そして四十六年度の食費に加えた、これが五・八%、こういう数字でございます。
 そういった点で六千四百円でございますから、一日にいたしますと、大体二百二十円程度でございます。これは必ずしも十分とはいえないとは思いますけれども、一応必要なカロリーのとれる程度の食費であるというぐあいにわれわれは考えておるわけでございます。
#287
○寺前委員 それでここからは政務次官にちょっと話をしたいのですが、二百十円から二百二十円で一日やるということで、いろいろ考えてみますと、おっしゃっているけれども、これで一日の生活費を出せというのは、食事はちょっと酷な話じゃないでしょうか。いや私は、ここは事務的な話じゃないのです、いまの話は。せっかくお手紙で言っておられるのですから。
 そこで、この人自身はこういうことも言っておられます。どういうことかというと、いま局長さんのお話にあったように、カロリーはこれでいけると思いますと、こう言う。現に、県かどこか知らぬが、えらいさんがお見えになって監査をして、この食事はもう少しカロリーがあるようにしなさいという指導をされるそうです。
 カロリーを上げるということをしようと思ったら、それは油けのものを入れればカロリーが上がるわけですよ。それは措置できる。しかし、お年寄りというのは油けを上げてカロリーを上げるというやり方だけでは、その結果は残飯となって出てくるという。だから、やはりお年寄りだから、好みに合うように、年寄りらしい好みを持たしながらカロリーを上げるということを考えてあげようと思ったら、せめてもう百円のところをほしいのだというのが、率直なここの人のお話なんですが、政務次官はそういうことをお感じになったことはございませんか。なかったら御検討いただくということで、私は手紙は、この第一番目の問題は終わりたいと思うのです。
#288
○登坂政府委員 確かに先生のおっしゃるとおり、一カ月六千何百円というのは、いまの時世に合わないような感じもいたします。
 ただ、この予算措置というのは、いいか悪いかは知りませんけれども、こういう何%増というのはあながち実態に即してないので、こういうのは今後とも大いに検討し、それは老人の福祉のために改善しなければならぬ、こう思う次第であります。
#289
○寺前委員 大臣がお見えになりました。どうもえらい中途はんぱで悪いですけれども、大臣ちょっと解説さしてもらいます。
 さっきちょっと言いましたが、この間原労働大臣の問題もあったので、この間大臣は、老人問題を今度のことしの重点で第一番目におあげになったし、それだけに老人ホームの問題について、ぜひきょうはお聞かせいただきたい。
 私の手元に老人ホームで仕事をしている人から手紙をいただきましたので、大臣の態度を非常に期待しておられますので、私は率直にこのまま読んで、どういうふうにお感じになるかということをお答えいただきたいということで、第一番目に食事の問題について、いま聞かしていただいたところです。これは食事の問題では、一日二百十円から二百二十円で、これではほんとうに大切にしてやれないという話なんです。
 そこで、第二番目の問題に移るわけですが、あわせてこの人は食事の問題のところで、こういう問題を提起しておられるわけです。ほとんどの養護老人ホームでそうなんですが、合成樹脂の食器を使っている。これは職員の側からいったら、割れるようなものはかなわぬという要素があります。だけれども、お年寄りの身になったら、年がいけばいくほど味のある食器で、味のあるはしでもって食べるという生活を送らしてあげたいという気持ちも私は一ぱいです。といっておるのです。だから食器ぐらいのことは知れているんだから、せめて合成樹脂じゃなくして、ちゃんとしたお茶わんで食べさせるように、消耗したって心配するなというくらいのことをやってほしいというのが、その食事のあとにちょんと出てくるんです。大臣、どういうように思われますか。
#290
○斎藤国務大臣 感じとしては、まことにもっともと思います。私もそういうところで合成樹脂のあれであれば、まことにあじけない気持ちがするであろう、かように思います。
#291
○寺前委員 それじゃ、それも改善していただくということにして、次に、私はこの手紙のまま読ましていただきます。
 第二に、お願いしたいことは、
 「一番切実なことは小遺銭の不足です。七十歳以上の場合は老齢福祉年金月二千三百円を頂いておりますが、七十歳未満は無収入です。当施設としては、一般生活費より月千五百円を支給しておりますが、四十五年度より県単で七十歳未満に日用品費として月六百円支給されており、七十歳未満は現在合計月二千百円の小遣銭となっております。タバコを吸う人、酒の一杯も飲みたい人などいろいろですが、嗜好品で約三千円、文化教養費などと交際費、親戚へ行ったりするときのおみやげのお金など考えると、月に四、五千円は欲しいところです。」何とか考えていただけませんでしょうかというのが、第二番目の問題として出されているんです。どうでしょうか。
#292
○加藤政府委員 老人ホームにつきましては、先ほど食費の点を申し上げましたけれども、たとえば特別養護老人ホームでは、四十七年度といたしまして、日常諸費といたしまして約六千二百円ばかりの予算を組んでおります。この中から必要な経費と、また一部の小づかいというようなものが出るというぐあいに考えておりますが、これも施設によって個々別々でございます。
 確かに先生御指摘のように、また、いまのそのお手紙にありましたように、福祉年金がもらえる人ともらえない人というのは、確かに七十歳を境にして、そこに非常に違和感が生じておるということは、これは老人ホームに関係しておる人たちが非常に悩んでおるところでございます。それにつきましては、それぞれの老人ホームでいろいろ知恵をしぼりまして、七十歳未満の方々の違和感をできるだけやわらげるように、いろいろな寄付金などの出た場合の配分の問題とか、そういう問題で苦労しておるということのようでございます。制度的な問題でございますので、老人ホームに入って七十歳未満の方にそういう福祉年金に準じたものを差し上げるというわけにまいらないわけでございますが、施設運用上の問題といたしまして、できるだけその違和感を縮めるように私ども施設関係者に指導いたしたいと思いますし、またそういった努力をしてもらいたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#293
○寺前委員 それでこの問題は、だから現に施設関係者の人たちは違和感を持たさないようにいろいろ手を打っておるわけですよ。その手がもうほんとうにたいへんだ。ほんとうに、そんなことでなくして、率直に同じように扱ってもらえぬかという問題提起で、制度的に矛盾があるのだったら、制度的に直していただけないだろうか。
 ある人は、こういう提案を私のところにしてきておる人がおるのです。六十五歳の人は十年国民年金がもらえる。ところが、六十六歳から六十九歳までの人はその十年年金すらも当たらないのだ。七十歳以上になると福祉年金がある。七十歳以上の人は福祉年金制度はあるけれども、六十五歳から六十九歳まではない。その中でかろうじて六十五歳の人には十年年金がある。全く何にも、福祉年金もなければ十年年金の恩恵にも浴さない六十六歳から六十九歳の者に対して、特別な措置を国家的に考えてもらえぬのだろうか。ある人は、遡及して納めたら、それに適用ができるとかいう意見を出しておる人もおります。いずれにしたって、ここは確かに制度的矛盾で、お年寄りにほんとうに最後和気あいあいとして終わらしてあげようというならば、私はどうしても処置を考えてもらわなければならない問題だと思うのですが、大臣御検討いただけるでしょうか、どういうものでしょう、御見解をいただきたいと思います。
#294
○斎藤国務大臣 ただいまの問題は、老人ホームに入っておられるとおられないにかかわらず、実は存在しておる問題でございます。ひとつ将来ぜひ検討いたしたい、かように考えております。
#295
○寺前委員 先の長いいうたら悪いんですけれども、人のことじゃございませんので、将来ということでなくして、即刻ひとつ御検討いただきたいと思います。
 第三に、次に、こういうお手紙です。
 「老人ホームは人生最終の地であり、死亡したときは施設で葬祭を行なうわけですが、現行の基準は乙地で一万六百円、その他の加算を入れても一万四千五百円になっております。」これは県か何かで加算するんだと思います。「葬祭は死亡者のためだけでなく、残っている老人が死後どのように取り扱われるかという最大の関心をもっている行事であり、社会通念上の最低の経費に節約しても、約二万五千円くらいが最低の費用となっております。」これは早急に御検討いただけないでしょうか。これはもう行政の話じゃございませんので、大臣の態度をお聞きしたいと思います。
#296
○加藤政府委員 葬祭費につきましては、確かにいままで非常に安いということで、単価を四十七年度予算では一万六百円から一万七千円に引き上げております。
#297
○寺前委員 大臣、それだけでは実際には残った人の気持ちを――老後の取り扱いの問題として、ほんとうに社会常識上の取り扱いにしてくれぬかという問題について、大臣はどういうふうにお考えになるでしょう。
#298
○斎藤国務大臣 多々ますます弁ずるということであろうと思いますが、このたび約七千円ほど本年は上げたわけでございますので、引き続いてさらに考えてまいりたいと思いますが、四十七年度七千円、これはいままでの例からいえば、相当思い切って上げたわけでございます。そういう方向に将来も進んでまいりたい、かように考えます。
#299
○寺前委員 いまのお葬式の話は、多々ますます弁ずの口じゃございませんので、せめて社会通念上の扱いにしてあげてもらいたいということですから、これは社会通念上、これでいけるのかどうか御検討いただきたいと思います。
 その次にこの人が出しておられる問題は、
 「老令になれば病気にかかり易く、施設内診療所で内科や、老人病については、一応嘱託医が居り、施設内の治療薬品代などが事務費の中に見込まれて居りますが、症状が重い場合は生保の医療扶助で治療に当たります。たゞ内科や老人病以外の診療は、外来患者として専門医に通院することになりますが、その際の交通費と付添職員が不足して困っております。交通費は生保の移送費で請求することになっていますが、金額が多い場合、気がひけて通院回数を減らしたりする事があります。又、付添職員も現在の職員定数では仲々困難であり、その結果通院回数を減らす場合もあります。出来れば、各施設に車と運転手を配置していただけたら、どんなに助かる事でしょう。」この点についても御配慮いただきたい。こういうお手紙なんです。どうでしょう。これはもう全部事務問題じゃないので、大臣から率直に答えてもらったほうがいいのですよ。
#300
○加藤政府委員 老人ホームに入っている御老人が病気になった場合に、いま先生の御指摘のように、外来に通うという場合に必要な移送費につきましては、医療扶助の中へ組み入れております。それで気がねされまして、なかなか使えないということがあるようでございますが、ほんとうに病院に通うことが必要であるということであれば、それに伴う必要最小限度の移送費というものは医療扶助のほうで見ているというのが現実でございます。
#301
○寺前委員 大臣は、この問題についてどうでしょう。手紙に対する返事として御感想を率直にお述べいただいたら、ありがたいと思います。
#302
○斎藤国務大臣 ただいまの点を含めまして、老人ホームの経営という面から、いろいろ施設費あるいは職員のあれというものをはじいておりますが、おそらくそれだけでは十分の経営はむずかしいのじゃないだろうか。それに足して、老人ホームをやっていただくためには、ある程度の基準をもってやってもらわないと、なかなかむずかしいというのが現状であろうと存じます。そこで本年もいろいろ初度調弁費というようなものも前に比べて増額をいたしたはずでございます。まだこれでは十分でないと思いますが、全般の経営の中から、そういったあたたかい心配りのできるようにやりたいものだ、かように考えます。
#303
○寺前委員 この手紙はまだ長うございますので、私は一番最後のところに飛ばして提示したいと思います。この人は最後にこういうことをいっておられます。
 「老人の居室は大体、一人当たり畳二枚と押入れ三尺というのが全国的な標準になっております。個人のプライバシーはもちろん守れないし、共同生活にもむかない老人もおります。出来れば個室や、夫婦部屋などの設置を促進していただきたい。
 又押入れは三尺しかなく、本人の所持品を最少限にして入所してもらっているが、仏ダンや備品類は他に預ってもらったり、処分したりしているのが現況です。一人くらしの老人が施設に入りたがらない理由の一つに居室が狭く、道具に対する愛着から、入所を嫌うという場合が多いので、」せめてお仏壇くらい持ってこられるように、個人のプライバシーを守れるようにしてやる、そういう施設の改善に向かってもらえないでしょうか。これが最後のお手紙なんです。
 これはもう大臣の率直なお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
#304
○斎藤国務大臣 できるだけ個室をつくれるように努力いたしてまいりたいと思います。ただいまでは十分でないと思いますが、今後さらに進めてまいりたい、かように思います。
#305
○寺前委員 私は、いま一人の老人ホームにおつとめになっておる方からいただいたお手紙、このお気持ちを率直に受けとめていただいて、そして積極的に、ことしの春の事件がほんとうに老人に対して済まなかったという態度を、その行動でもって示していただくことを要望して、発言を終わります。
#306
○増岡委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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