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1971/05/09 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第23号
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1971/05/09 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第23号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第23号
昭和四十七年五月九日(火曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 森山 欽司君
   理事 小沢 辰男君 理事 谷垣 專一君
   理事 橋本龍太郎君 理事 増岡 博之君
   理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君
   理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
      秋田 大助君    有馬 元治君
      伊東 正義君    大野  明君
      大橋 武夫君    梶山 静六君
      小金 義照君    斉藤滋与史君
      澁谷 直藏君    田中 正巳君
      高鳥  修君    竹内 黎一君
      中島源太郎君    中村 拓道君
      林  義郎君    別川悠紀夫君
      向山 一人君    渡部 恒三君
      大原  亨君    川俣健二郎君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      山本 政弘君    浅井 美幸君
      二見 伸明君    古川 雅司君
      西田 八郎君    寺前  巖君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        労 働 大 臣 塚原 俊郎君
 出席政府委員
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        厚生省児童家庭
        局長      松下 廉蔵君
        厚生省保険局長 戸澤 政方君
        社会保険庁医療
        保険局長    穴山 徳夫君
        労働省労働基準
        局長      渡邊 健二君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 展子君
        労働省職業安定
        局長      道正 邦彦君
 委員外の出席者
        議     員 後藤 俊男君
        議     員 田畑 金光君
        大蔵省主計局主
        計官      渡部 周治君
        厚生省公衆衛生
        局保健所課長  岩城 栄一君
        農林省農政局生
        活改善課長   矢口 光子君
        林野庁職員部長 山下 一郎君
        運輸省船員局労
        働基準課長   栗山 昌久君
        日本専売公社副
        総裁      泉 美之松君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  島本 虎三君     阿部未喜男君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部未喜男君     島本 虎三君
同月九日
 辞任         補欠選任
  古寺  宏君     浅井 美幸君
  渡部 通子君     二見 伸明君
    ―――――――――――――
四月二十八日
 食品衛生法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七七号)(参議院送付)
五月一日
 全国全産業一律最低賃金制の法制化に関する請
 願(赤松勇君紹介)(第二八二五号)
 同(横山利秋君紹介)(第二八二六号)
 同外一件(木原実君紹介)(第二九四二号)
 通勤途上の交通災害に労働者災害補償保険法適
 用に関する請願(赤松勇君紹介)(第二八二七
 号)
 同(横山利秋君紹介)(第二八二八号)
 同外一件(木原実君紹介)(第二九四三号)
 同(山本政弘君紹介)(第二九四四号)
 結核対策の拡充強化に関する請願(黒田寿男君
 紹介)(第二八二九号)
 ガダルカナル島及びセントジョージ島における
 旧日本兵の遺骨収集並びに生存者救出に関する
 請願外一件(田中六助君紹介)(第二八三〇
 号)
 同(池田禎治君紹介)(第二八八二号)
 同(桑名義治君紹介)(第二八八三号)
 同(松本七郎君紹介)(第二八八四号)
 同(三原朝雄君紹介)(第二八八五号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第二九一六号)
 同(田中昭二君紹介)(第三〇二三号)
 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改
 正する法律案反対等に関する請願(堀昌雄君紹
 介)(第二八三一号)
 同(吉田之久君紹介)(第二九五〇号)
 同(阪上安太郎君紹介)(第二九六六号)
 要指示医薬品に係る厚生省告示第四百八号の撤
 廃に関する請願外十八件(宇都宮徳馬君紹介)
 (第二八六九号)
 同(奥田敬和君紹介)(第二八七〇号)
 同外四件(鯨岡兵輔君紹介)(第二八七一号)
 同外四件(和田耕作君紹介)(第二八七二号)
 同外二件(田中榮一君紹介)(第二九〇八号)
 同(稲村利幸君紹介)(第二九二六号)
 同外三件(田中榮一君紹介)(第二九二七号)
 同外一件(田中榮一君紹介)(第二九六七号)
 同外三件(小山省二君紹介)(第三〇二〇号)
 同外二件(田中榮一君紹介)(第三〇二一号)
 海外引揚者の福祉施設建設等に関する請願(鹿
 野彦吉君紹介)(第二八七三号)
 同(中曽根康弘君紹介)(第二八七四号)
 同(中山利生君紹介)(第二八七五号)
 同(丹羽喬四郎君紹介)(第二八七六号)
 同(福田赳夫君紹介)(第二八七七号)
 同(三原朝雄君紹介)(第二八七八号)
 同(粟山ひで君紹介)(第二八七九号)
 ソ連長期抑留者の処遇に関する請願外四件(江
 藤隆美君紹介)(第二八八〇号)
 同外二件(進藤一馬君紹介)(第二八八一号)
 ソ連長期抑留者の援護に関する請願外一件(中
 野四郎君紹介)(第二九二八号)
 医師、看護婦の増員に関する請願外一件(藤本
 孝雄君紹介)(第二九二九号)
 難病患者等の医療及び生活保障に関する請願
 (田邊誠君紹介)(第二九四五号)
 健康保険法改正反対等に関する請願(田邊誠君
 紹介)(第二九四六号)
 老人福祉の充実に関する請願(田邊誠君紹介)
 (第二九四七号)
 柔道整復師試験の受験資格に関する請願(倉石
 忠雄君紹介)(第二九四八号)
 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改
 正する法律案反対に関する請願(寺前巖君紹
 介)(第二九四九号)
 同(大橋敏雄君紹介)(第三〇一七号)
 同(山本政弘君紹介)(第三〇一八号)
 健康保険法改正反対及び医療保障の拡充に関す
 る請願(島本虎三君紹介)(第三〇一九号)
 リウマチ専門病院等設立及び治療費の公費負担
 に関する請願外一件(田中榮一君紹介)(第三
 〇二二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公聴会開会承認要求に関する件
 委員派遣承認申請に関する件
 勤労婦人福祉法案(内閣提出第八一号)
 緊急雇用安定臨時措置法案(田邊誠君外六名提
 出、衆法第二四号)
 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法
 の規制に関する法律を廃止する法律案(田畑金
 光君外三名提出、衆法第二六号)
 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改
 正する法律案(内閣提出第四六号)
     ――――◇―――――
#2
○森山委員長 これより会議を開きます。
 勤労婦人福祉法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#3
○森山委員長 提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣塚原俊郎君。
#4
○塚原国務大臣 ただいま議題となりました勤労婦人福祉法案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、近年、婦人の職場進出は著しく、雇用者総数の三分の一、約一千百万人に達し、特に、既婚婦人がその過半数を占めるに至っており、今後とも勤労婦人の経済及び社会に果たす役割は大きくなるとともに、婦人の生涯における職業生活の意義もますます高まるものと思われます。
 これら勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和をはかるとともに、その能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むことができるようにすることは、勤労婦人自身のためばかりでなく、国家・社会にとりましてもたいへん重要であると存じます。
 政府といたしましては、これに対処するためには、勤労婦人の福祉に関する立法措置を講じ、勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるための諸施策を推進する必要があると考え、婦人少年問題審議会にはかり、その答申に基づいて、この法律案を作成し、提案した次第であります。
 次に、法律案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的は、勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、勤労婦人について、所要の措置を推進することにより、勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるものであることを明らかにいたしました。
 第二に、勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにするために、勤労婦人の福祉の基本的理念及び関係者の責務について規定いたしました。
 すなわち、勤労婦人の福祉の基本的理念といたしまして、勤労婦人は、次代をになら者の生育について重要な役割りを有するとともに、経済及び社会の発展に寄与する者であることにかんがみ、勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和をはかることができるように、また、職場において、母性を尊重されつつその能力を有効に発揮して、充実した職業生活を営むことができるように配慮されるべきであることを明らかにいたしました。
 他方、勤労婦人は、勤労に従事する者としての自覚を持ち、みずから進んで、その能力を開発し、これを職業生活において発揮するようにつとめなければならないことといたしました。
 さらに、事業主、国及び地方公共団体がそれぞれ勤労婦人の福祉を増進する責務を有することを明らかにしております。
 第三に、国及び地方公共団体は、勤労婦人の福祉について国民の理解と関心を深め、かつ、勤労婦人の勤労に従事する者としての意識を高めるとともに、特に、勤労婦人の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消をはかるため、必要な啓発活動を行なうことといたしました。
 第四に、勤労婦人の福祉に関する施策を総合的に推進するため、労働大臣は、勤労婦人福祉対策基本方針を定めることといたしました。
 第五に、勤労婦人の福祉に関して、国、地方公共団体及び事業主が講ずる措置について規定いたしました。
 その一は、国、地方公共団体は、勤労婦人について、職業指導の充実、職業訓練に関する啓蒙宣伝及び職業訓練の受講を容易にするための措置の実施、職業生活と家庭生活との調和を促進するための指導、相談、講習の実施等福祉増進の措置を講ずるものとしたことであります。
 その二は、事業主は、その雇用する勤労婦人が妊娠中及び出産後の保健指導等を受けることができるよう時間の配慮を行ならとともに、勤労婦人が当該保健指導等に基づく指導事項を守ることができるようにするため、必要な配慮をするようにつとめなければならないものとしたことであります。
 その三は、事業主は、その雇用する勤労婦人について、必要に応じ、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうようにつとめなければならないものとしたことであります。
 第六に、勤労婦人のための福祉施設について規定いたしました。すなわち、地方公共団体は、地域の勤労婦人の福祉増進活動の拠点として働く婦人の家を設置するようにつとめなければならないことを明らかにしております。また、働く婦人の家には、勤労婦人に対する相談及び指導の業務を担当するにふさわしい指導員を置くようにつとめなければならないこととしております。
 その他労働大臣が行なら調査研究等に関する規定を設け、また、船員及び船員になろうとする者に関しては、運輸大臣が所管することとするため所要の規定を置くことといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容の概略につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
     ――――◇―――――
#5
○森山委員長 次に、田邊誠君外六名提出の緊急雇用安定臨時措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。後藤俊男君。
    ―――――――――――――がある。これが、この法律案を提出する理由である。
    ―――――――――――――
   本案施行に要する経費
 本案施行に要する経費としては、約二百二十億円の見込みである。
    ―――――――――――――
#6
○後藤議員 私は、提案者を代表して、緊急雇用安定臨時措置法案の提案の理由を説明いたします。
 ドル・ショックに続く円の大幅切り上げ、これを契機とする不況はわが国の社会、経済にさまざまの影響をもたらしました。
 通産省の発表によりますと、生産・出荷の大幅な減少、企業収益の低下が顕著であり、また産業界は、全体的に生産調整に入り、鉄鋼産業に代表されるように、不況カルテルの結成によって減産体制をしいた業界も出ているのであります。
 産業界における生産調整の方式は、大要、老朽施設における生産を中止し、新鋭設備生産に振りかえるという型をとっております。日本鋼管が京浜製鉄所の二高炉を休止した例、また化学肥料メーカーの三井東圧化学が大牟田、北海道の工業所を閉鎖し、大阪、千葉の新鋭工場に生産を集中したことは代表的な事例であります。
 このような産業界の動向に対応しまして、政府の側におきましても、「知識集約型産業への転換」あるいは「経済のぜい肉をとる」という型で、産業構造の転換をはかるという政策方向を示しているところであります。
 このような産業界、政府の動向は、当然雇用面に強い影響を与えずにはおきません。
 労働省の統計によりますと、ドル・ショック以来、日を追うごとに労働力の需給はゆるみ、昨年十二月に至り、ついに求人数と求職数が同数になるという、近年の労働力不足とは全く異なる現象が出てまいりました。もちろんこのような統計の裏には、具体的な人員整理等があるわけでありまして、新規学卒者の採用取り消し、電機・化学・繊維などを中心とする大量人員整理など雇用情勢はまさに悪化していると申せましょう。
 雇用情勢の悪化は、現在の量的失業も問題でありますが、今日むしろ重視しなければならないのは、産業界のスクラップ・アンド・ビルド、政府の産業構造改善政策の進展は必然的に、現在、職についている労働者の雇用を不安定化させるということであります。この、雇用に対する不安感が労働者の間に広がっていることを見のがすことはできません。
 このような雇用情勢の悪化及び雇用不安の拡大に対しまして、わが国の雇用諸制度は著しく立ちおくれております。公共職業訓練は、訓練を受けても再就職に必要な技能を修得することができないというのが実態でありますし、職安は単に職業の紹介にとどまり、雇用の安定について国が何らかの責任を負うという形は全くないのであります。失業は、労働者にとりましては、生存にかかわる問題であることを深く認識し、雇用諸制度は早急に改善されなければなりません。
 次に、法案の概要について説明いたします。
 第一に、政府の政策の転換等に伴い雇用情勢の悪化した業種については、労働大臣が指定した場合、当該業種の失業者について、手帳を交付することといたしました。
 第二に、手帳を交付された者について、労働省は、就職指導、職業訓練等を行なうとともに各種の手当を給付することとし、手帳の有効期間は三年といたしました。
 第三に、緊急雇用安定委員会を設置し、この施策の運用の円滑をはかることといたしました。
 慎重審議の上、御賛同いただきますよう御提案申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○森山委員長 次に、田畑金光君外三名提出の電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律を廃止する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。田畑金光君。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#8
○田畑議員 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律を廃止する法律案につきまして提案理由を御説明いたします。
 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律は、昭和二十八年に三カ年の時限立法として制定されたのでありますが、その後、昭和三十一年に本法を存続する議決がなされ、今日もなお効力を有し、電気事業及び石炭鉱業の争議行為に対し適用されているのであります。
 しかしながら、電気事業及び石炭鉱業におきましては、本法制定当初に見られましたような極左的労働運動は今日では全く微弱となり、また暴力的な争議行為も影をひそめ、本法の目的とする公共の福祉を擁護するために電気事業及び石炭鉱業における争議行為を規制するという法の積極的意義は、今や消滅したのであります。
 そればかりか、本法は憲法第十四条に規定する法のもとの平等並びに憲法第二十八条に規定する労働基本権の保障、さらには、ILOの精神にも反するものであり、特別に規制する必要性が消滅したと思うのであります。もし国民生活にとって重要なエネルギー源なるがゆえにこれらの産業に従事する労働者のスト権規制を存続せしめるとするならば、いまや国民生活にとって大きな熱源となっております石油、ガス等の分野にもスト権規制を行わなければならないということになるのでありまして、全くもって他の民間産業と差別して電気事業及び石炭鉱業における争議行為のみを規制するのはまことに不当であるといわざるを得ません。
 また本法第一条の目的が憂慮しましたような事態は、労働関係調整法第一条及び第二条によって十分調整できるのであります。本法第二条の電気事業の争議行為の規制につきましては、労働関係調整法第八条、第三十五条の二、第三十六条及び第三十八条等の条項によりまして、その目的が十分達成できるのであります。さらにまた本法第三条における石炭鉱業の争議行為の規制につきましても、鉱山保安法第四条、第五条及び十二条によって、鉱山の安全の確保について、労使が順守しなければならないことが明記されておりますし、万一石炭鉱業の争議によって、国民経済が著しく阻害されたり、公衆の日常生活を著しく危うくする場合には、労働関係調整法第八条によって公益事業として指定し、これを十分規制し得るのであります。
 すなわち、本法が憂慮しましたような事態が現実に惹起するおそれはきわめて微少となり、またそのような事態が万一発生した場合も、労働関係調整法等の適用で十分対処し得るのであります。このように法理論並びに実態論の双方から見まして、本法を存続させておくことは、単に電気事業及び石炭鉱業に従事する労働者に対し、いわれのない不当な規制をしいるものであり、これら労働者に法に対する不信感を抱かしむるのみであり、民主的な労働運動の発展をさまたげ、労使関係の近代化に逆行するものであります。
 かかる見地より、本法は今や百害あって一利なく、それが現実にそぐわなくなった以上、これをすみやかに廃止すべきであると信じます。
 何とぞ、本案につきまして慎重御審議の上、御賛同あらんことを希望いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#9
○森山委員長 次に、勤労婦人福祉法案を議題とし、質疑を行ないます。別川悠紀夫君。
#10
○別川委員 ただいま議題となりました勤労婦人福祉法案につきまして、労働大臣並びに関係の皆さん方に御質問をいたしたいと思います。
 先ほどの大臣からの提案理由の御説明にもございましたように、職場で働く人の三分の一は婦人であり、しかも既婚者がその過半数を占めるに至りました今日、勤労婦人の福祉に関する立法措置を講じ、勤労婦人の福祉対策を総合的に推進することは評価すべきものと考えます。そこで、まず本法案の意義及び特徴ということにつきまして、労働大臣から御説明をお願いいたします。
#11
○塚原国務大臣 現在雇用関係にある者が、総人口の中で約三千万、それから先ほど申し上げ、またいま御指摘をいただいたように、そのらち一千百万の方が勤労婦人であります。しかも五一%が既婚婦人であり、またその半分が中学生以下のお子さんを持っているというような数字が出ておる今日、今日の経済発展のために婦人の果たす役割りはきわめて大きなものとなっておることはいうまでもありません。今後の人口問題その他から考えましても、また、日本が現在は不況下にありましても、今後の経済発展というものを考えまする場合に、いわゆるいままでも問題になりました中高年の方々のお仕事と同時に、婦人の果たすべき役割りはきわめて大なるものがあると私は考えます。しかも、婦人はわれわれと違って家庭を守らなければいけない。同時に、先ほど申しましたような趣旨からも見られるように、お子さんも育てなければならない。育児と家事という二つの大きな責任と義務を負っておるわけでございまして、こういう働く御婦人のためにそのよりどころを与え、そして、この社会において大きな貢献をしていただくためにはこういう立法措置が必要であろう、言うなれば一つの基本法的性格を持ったものとして提案いたした次第であります。
#12
○別川委員 この法律案を作成をなさいます過程におきまして、婦人少年問題審議会の答申に基づかれたということをお聞きをいたしておるわけでございますが、その審議会で論議をされましたときに特に議論となったというふうな点がございましたならば、御説明をお願いいたしたいと思います。
#13
○高橋(展)政府委員 私からお答えさせていただきます。
 お尋ねのように、この法案の立案にあたりましては、婦人少年問題審議会にいろいろと御相談もいたしましたし、また正式な諮問をいたして進めてまいったところでございます。この婦人少年問題審議会は労働大臣の諮問機関でございまして、労働側委員、使用者側委員、公益委員の三者構成の審議会でございます。この審議会に昨年の十二月に、この法案の骨子となるような基本構想について大臣から諮問をいたしたわけでございます。で、その後審議会におきましてたいへん慎重に、またたいへん熱心に御審議をちょうだいいたしまして、二月中旬に答申をいただきました。そして、この答申を尊重して立案いたしましたのが本法案でございますが、お尋ねのこの審議会の審議過程で特に問題となりましたこと、あるいは強調された御意見の二、三をお答えさせていただきたいと思います。
 まず第一に審議会におきまして強調されました点は、この法案の立案は、そのねらいといたしまして、あくまでも勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるという、その婦人の側に立った見地から進められるべきものであって、いわゆる家庭婦人のかり出しであるとか、そのような立場から進められるべきではないというようなことが非常に強調されました。
 それから第二には、勤労婦人というものにつきましてこの際基本理念を明らかにしていくという意味合いから、勤労婦人の特質というものを明らかに規定していくようにということが強調されました。その中身といたしましては、勤労婦人というものは次の世代を成育するという非常に大きな役割りを片や持っており、また同時に、社会経済の伸展をささえるものとしての役割りをあわせ持つという特質があるということを明らかにすべきである。したがいまして、この法案におきましては、婦人の特性としての母性が尊重されて、婦人の職業生活と家庭生活の調和がはかられるべきであるということ、そしてまた、婦人がその能力を職場において有効に発揮して、そして充実した職業生活が営まれるように配慮されるべきであるということが強調されております。
 また第三に特に論議の焦点となりましたことの一つといたしましては、一般に社会あるいは職場におきまして、いま申し上げたような勤労婦人の姿、あるいは勤労婦人というものに対する考え方というものがあまり十分に認識されていない、そのためにしばしば偏見と思われるようなものも見られて、そのために婦人の能力の発揮がはばまれているのではないか。したがいまして、そのような偏見あるいは理解の不足、これらを改めるということがいろいろな施策を進めていく上の非常に先決的な重要な問題であるので、啓発活動がまず先行すべきでもあろう、このようなことも強調されております。
 それから、特に勤労婦人の家庭生活の中で最も負担の多い育児の問題につきましても、熱心な御審議がございまして、育児休業の実施、その他の育児に関する便宜の供与を、これは勤労婦人を雇用するところの事業主の努力義務として要請するべきであるということが強調されました。
 それから、勤労婦人の福祉に関する施策というものは元来非常に広範多岐にわたるものでありますから、この法案の施行にあたりましては、関係する法律、関係の施策との連携を密にし、また、憲法に規定するところの男女平等の趣旨を生かして、総合的な効果をあげるべきであるというようなことが熱心に討議されまして、全会一致で御意見の答申をちょうだいした、このような経過でございます。
#14
○別川委員 次に、本法律案の第二章第六条によりますと、「労働大臣は、勤労婦人の福祉に関する施策の基本となるべき方針を定めるものとする」となっておりますが、この基本方針を作成する目的は何か。また、どのような内容のものを考えておられるのか。そうしてこの基本方針というものは何年ごとくらいにつくりかえをされるのか、そういったことにつきまして、これは局長さんですか、お願いいたします。
#15
○高橋(展)政府委員 基本方針につきまして、お答え申し上げます。
 この法律によりまして「労働大臣は、勤労婦人の福祉に関する施策の基本となるべき方針を定める」ことが義務づけられているわけでございます。これは、この法律自身が基本法的なものでございまして、具体的な施策の展開はこの基本方針の中で定めていく、このような仕組みをとっているわけでございます。この基本方針を定めることによりまして、福祉のための諸施策を総合的、計画的に推進してまいる、こういうたてまえでございまして、そしてこの基本方針の中身でございますが、これはこの法律案の中にも規定してございますように、まず「勤労婦人の職業生活及び家庭生活の動向」というものについての分析等をまず行ならことが求められております。そしてそれに基づきまして、展開すべき施策の基本的な事項を盛り込んでいくということになるわけでございます。その盛り込むべき事項につきましては、この第三章の「福祉の措置」以下に書いておりますところの具体的な措置をどのように展開してまいるかということが中心でございますが、この第三章以下に書かれております措置に限ることはございませんで、勤労婦人のために進めるべき措置を広く書き込んでいくということに相なるわけでございます。それで具体的には、法律制定後また婦人少年問題審議会の御意見を聞き、また都道府県知事の御意見を聞きながら作成してまいるということに相なるわけでございます。
 また、何年ごとに作成するかという点でございますが、これはこの方針ができますと、その方針に定める期間は、その方針に基づいて施策が展開されることになりますので、やはり勤労婦人の動向あるいは問題の推移に関する展望で、どのくらいが適切であるか、非常に目まぐるしく変動する社会でございますので、あまり長期の基本方針ということでは硬直してしまいますので、適切な期間を定めていくべきであると思いますが、おおむね三年あるいは五年といった期間で考えるべきではないかと思っておりますが、具体的には婦人少年問題審議会に再びおはかりするということに相なるかと思います。
 なお、勤労青少年の福祉についての基本方針におきましては、その運営の期間を五カ年といたしております。
#16
○別川委員 本法律案は勤労婦人の福祉に関する基本法的な性格を持っておるわけでございます。したがいまして、この法律をつくっただけでは意味がないわけでございまして、要はこの法律を出発点にいたしまして、今後具体的にどのようなりっぱな施策をどんどん推し進めてまいるかということこそ大事であるわけであります。そういう点から考えてみまして、大臣、それから局長、今後どういう具体的な施策というふうなものを考えておられるのか、できるだけひとつ具体的にお答えをいただきたいと思います。
 さらに局長に対しましては、もちろん予算を伴うことでもございますし、いろいろむずかしい問題もあろうかと思うわけでございますが、あなたがこの仕事に精魂を打ち込んでおられまして、そして今度こり法律をつくられたわけでございますから、今後これに基づいてどういうことがやりたいのか、どういうことをしなければならないのか、そういう夢が私はおそらくあなたにはたくさんあろうと思うのでございます。したがいまして、そういうことについてできるだけひとつ具体的に御抱負をお聞かせを願いたい。と申しますのは、国民は今度のこの法律が出まして、そういったことを非常に大きく期待をいたしておるわけでございますし、ただ抽象的な字句を並べた法律だけでは国民は何ら納得をしないわけでございます。そういう夢を国民に与える、勤労婦人に与える、そういう面において、少々脱線してもかまわないわけでございますから、そういう点についてひとつ御意見をお聞かせ願いたい。まず、大臣からひとつ基本的な問題について……。
#17
○塚原国務大臣 この法律は、言うまでもなく、勤労婦人の福祉に関する基本的理念を定めております。具体的にその理念はどういうことであるか、詳細な点については局長からも答弁があると思いますが、その理念としてわれわれが考えておるのは、労働保護、職業指導・訓練、それから母子保健、児童福祉等々、勤労婦人の福祉に関する諸施策について指針を与え、これらの施策の総合的推進をはかることを期しているものであります。したがって、勤労婦人の福祉に関する施策は、今後勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和をはかることができるように、また母性を尊重されつつ、その能力を有効に発揮して充実した職業生活が営まれる、そういうことができるように配慮されるべきであるという、共通の理念によって展開されることが期待されるわけであります。労働省といたしましては、この問題につきましても、また法律の立法の過程におきましても関係各省、特に農林、通産等とも十分打ち合わせ、その協力のもとにこれらの施策が一体的に実施されるよう今後とも対処していかなければならない、このように考えております。
 なお、詳細につきましては高橋局長から答弁させます。
#18
○高橋(展)政府委員 この法案の施行を基礎として将来どのように対策を発展、展開させていくかということでございますが、それは事務的に申し上げますと、先ほど御説明いたしました勤労婦人福祉対策基本方針というものを定めて、その中にその施策の展開を盛り込んでいく、こういう順序になるわけでございますが、先生、夢を述べよというようなことでもございますので、多少展望的に考えを申し上げますと、施策を展開していくにあたりましては、まず第一には私どもは、これからの働く婦人の姿といたしまして、婦人が広い職業分野でそのそれぞれの能力を生かして、生きがいといいますか働きがいといいますか、そういうものを持ちつつ職業生活を送る、こういう姿の実現に近づけたい、このように思います。そのためにはいろいろな施策が総合的に進められなくてはならないわけでございますが、特に職業指導あるいは職業訓練あるいは職業講習等を広範に、またきめこまかく展開してまいりまして、婦人の能力を高めてまいるとともに、婦人の職業分野の拡大ということをはかっていかなければならないと思っております。また、特に婦人を使用する事業主が十分な理解を持って婦人の勤労を評価し、その適正な管理を行なってまいりますように、特に事業主に対する指導、援助を強化してまいりたい。そしてその結果婦人がそれぞれの能力、希望に応じて生きがいのある職業生活を送るという姿の実現に近づけてまいりたいというのが一点でございます。
 もう一つの点は家庭生活との調和という点でございますが、特に育児という非常に大きな役割りを持つ婦人の場合に、婦人がその育児という役割りを喜びを持って果たしつつ、しかも長期にわたって職業生活を続けていくことができるというような姿を実現してまいりたいと思います。そのためには育児休業の普及というようなことが一つの大きなかぎにもなってまいるわけだと思います。その二つの姿の実現ということを一つの大きな夢として描いているわけでございまして、具体的な施策の展開につきましてはまたこれから鋭意検討をさせていただきまして、効果のある施策をいたしたいと思っております。
#19
○別川委員 相変わらず抽象的な御答弁で幾らか失望落胆いたしたわけでございますが、こういうことではいかぬのであって、やはり具体的に労働省なりあるいは政府は、勤労婦人に対して将来こういうことをやります、こういうことをしたいんだ、こういうアドバルーンを上げて、そして勤労婦人の士気を鼓舞していく、将来に夢を与えていくというふうな施策こそ、私はほんとうにあるべき政治の姿であるというふうに考えます。したがいまして、今後ひとつ皆さん方大いにそういった面についての御勉強をお願いをいたしたいと思うわけでございます。
 それから次に本法律案の対象でございますが、もちろん労働省の所管でございますので、勤労者婦人すなわち雇われて給料をもらって働いている御婦人、こういうことになるのであろうというふらに思うわけでございますが、事実私それでは非常に不満足でございまして、非常に心さびしい感じがするわけでございます。と申しますのは、一方におきましては、たとえば商売やあるいは小さな工場なんかをやっておられます中小企業の主婦、それからまた農家の主婦がおります。それからまた一般の家庭におきましても、もう最近ではずいぶん主婦がうちで内職をやっておるというふうな事例も非常に多いわけでございまして、こらいった人たちはなるほど雇用関係というふうなものはございません。したがって社会的にあるいは身分的に、時間的に雇用者のほらから拘束を受けるというふうなことはたてまえとしてはないわけでございますけれども、しかし実際にはやはり家事と育児と、そうしてまた収入をあげなければならないという職業労働の両面を受け持っておりまして、勤労婦人にも劣らないほどの過重労働と申しますか、そういったもので苦しんでおられる、苦労しておられるというのが非常に多いわけであります。そういう人たちが一体どうなるのかという心配がまず出てくるわけでございまして、一体労働省のほらでは、このような御婦人というものに対してどのように考えておられるのか。
 お聞きをいたしますと、大体婦人政策の一般というふうなものは、政府の担当から申しますと労働省の婦人少年局がその責任官庁だというふうに私は聞いておるわけでございますが、もしもそれに間違いがないということであるならば、こうした一般的な婦人の問題に対しまして、所管大臣としての労働大臣はどのような御見解を持っておられるのか、まずそれをお聞きをいたしたい。
#20
○塚原国務大臣 先ほど高橋局長の答弁に対しまして夢が少ないというようなお話でございましたが、高橋さんは女性であるのでちょっと控え目に答弁したのではなかろうか。実はこの法案を作成するにあたりまして、私も、大きな夢を持ってやっていただきたいという強い要請もいたしておりますし、いろいろと事務局を中心として考えもあるようでありますが、御指摘をいただきましたように、単なる夢に終わったのではいけないのでありまして、まあ、だからこの法案も決してベストとは言えない、しかし私はベターであると考えておる、基本法的な性格を持ったこの法案を中心としまして、今後大いな夢を現実の社会にこれを具現化していくということが必要であろう。御指摘の点は十分意を体しまして今後対処してまいりたいと考えております。これは先ほどの補足でございます。
 それからただいま御指摘の点につきましては、この法律案が新聞その他で解説などされておりましたのでしょう、私のところにも個人的に、われわれ農村婦人は労働基準法も何もあったものではない、朝から晩まで働いておるんだ、それから中小企業、零細企業の方も、われわれは一体身分はどうなるんだというようなおしかり、御批判、御指摘等もたくさんいただいております。私はまことにもっともであろう、当然のことばであると考えております。
 ただこの勤労婦人福祉法案、この法律案は主たる対象は女子雇用労働者ということを対象といたしておりますが、基本的な理念としては、いま別川委員の御指摘になりましたように、一般の婦人、ことにお困りになっている農村あるいは零細企業、中小企業の方にも及ばなければならない、これを基本理念として考えなければならない、私はそのように思っております。
 しかも最近大きな政治問題となっている出かせぎ等、季節労務者等、こういうものが大きな問題となっている地域において御婦人の御苦労は非常に多いものがあると考えておりますので、この法案を作成の過程においても、先ほど申しましたように農林省その他と打ち合わせばいたしましたが、今後とも関係各省と打ち合わせて、基本的理念というものに終わらせずに、これが一般の人にも及ぶような法律である、基本法ではあるが、今後これを出発点としてそういう方々にも恩恵が施されるようなものにしていかなければならない、このように考えております。ただ、今日の段階におきましては、先ほども申しましたように、勤労婦人ということに限定されておりまするので、一例をとりますると、「働く婦人の家」、これは十三条にございまするが、勤労婦人の福祉を総合的に推進させるための地域の拠点としての性格を持っておるものでございまするが、これは何も勤労婦人だけが使うものであってほかの人には使用させない、そいういけちな考えではございませんで、それこそ一般の御婦人方がどんどんお使いになってもいい仕組みにもなっておりまするし、事実またそういった慣行が各地において行なわれつつある。知らない方にはどんどんそういう宣伝も啓蒙もいたさなければならないと考えております。いま一例をあげたにすぎませんけれども、そういうもので事足れりとする考えではありません。基本的な理念としては、いま別川委員御指摘のように、全婦人に及ぶような措置を考えなければなりませんが、目下労働省としてはやはりそののりを越えないという程度においてこの福祉法というものを勤労者を対象として提案した、こういう点についての御認識をいただきたい、このように考えております。
#21
○別川委員 最近、ただいま大臣が言われましたように、農家の主婦が農外収入を得るためにどんどん働きに出るといろ風習が非常に広まってきているわけでございます。その中にははるばる遠く国元を離れまして、遠方へ出かせぎに出るというような形もございます。ところが自分の村におりながらも近所の職場に働きに行くというようなことが多いようでございますが、その中でも特に私が心配をいたしておりますのは、いわゆる建築工事場あるいは土木工事、そういったものの力仕事をやります関係にこれらの婦人労働力が非常に使われておるというふうな姿が出てきておるわけであります。特に冬なんか雪の降っておる、そういう中で河川工事とかあるいは農村の水路関係の改修工事、そういったものに御婦人の方がずいぶん働いておられる姿をわれわれは見るわけでございまして、非常に胸をつかれる思いをいたしておるわけでございます。そういった面についてのいわゆる労働省の御配慮というものはどのようになっているのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
#22
○高橋(展)政府委員 ただいま先生が例としておあげになりました農村の主婦の働く姿でございますが、工場等に働きに出る、あるいは出かせぎにまで出かけるというその姿は、これはまさにこの法律でいいますところの人に雇われて働く勤労婦人そのものに相なるかと思いますので、もちろんこの法律の直接的な対象としてとらえられることに相なるかと思うわけでございます。
 それからまた、必ずしも人に雇われて働いているのではないにしても、その近間のいろいろ土木的なことで、これはその共同体におけるお互いの互助的な作業としてなさる場合もあるかと思いますが、そういう場合にも婦人にとって望ましくない状態があるのではないか、あるいは夫が出かせぎに出てその留守の家庭が非常に混乱するのではないかというような問題等があるわけでございまして、このような近年の農村の非常に激しい変動ということに対応いたしまして、労働省といたしましては、かねてから特にこれらの農家の主婦たちの御相談に応じ、あるいは出かせぎ先の夫との連絡についてお手伝いをするといったような非常に多面的なお手伝い役といたしまして婦人少年室協助員という、民間の有識者でございますが、こういう方々を一千名委嘱いたしまして、これらの農村地区に配置をいたしましてもろもろの御相談に応じ、必要な場合には各行政機関と連絡をとりまして具体的な御援助を申し上げるというような制度を進めているところでございます。
#23
○別川委員 なおこの問題と関連をいたしまして、御婦人の健康管理と申しますか、からだを守る、健康を守るというふうな立場から、厚生省のほうでもかなりいろいろと施策を講じておられることと思うわけでございます。特に農業関係におきましては農林省の生活改良普及員、特に女の生活改良普及員の皆さん方が非常に献身的な仕事をしておられるわけでございますが、ひとつこれから厚生省と農林省の関係の皆さん方から、現在やっておられます施策の内容、それからまたさらに今後やりたいというふうに考えておられます事柄につきましてこの際ひとつ率直に、これまた夢を持った説明と申しますか、御報告をお願いいたしたいと思います。
#24
○岩城説明員 一般の家庭婦人に対しましては、現在行なわれておりますものとしましては、たとえばまず結核対策といたしまして一般住民検診、これはその中心が家庭の主婦の方でございます。これが非常に広く行なわれております。あるいはまた四十歳以上の方については成人病検診、あるいはまたガン予防対策としての胃ガン検診とか子宮ガン検診、こういったことを実施しておりますし、また母子保健対策の一環といたしまして、妊産婦に対しましては健康診断と保健指導というようなことを実施しておるわけでございます。
 今後の方向としましては、これまでのどちらかといえば個々の疾病中心の対策ということでなくて、もっと総合的な、それぞれの年齢層に応じましてそれぞれの年齢層にふさわしい総合的な健康管理の対策を進めていく必要があるというふうに考えております。特に非常に多忙な、あるいはいろいろな点で時間的に不規則な仕事をしておられ、また拘束されておられる家庭の婦人というものを対象にしてまいります場合には、それにふさわしいような形の方策を考えませんとなかなかこらいったものに参加していただけないというようなことがございまして、そこでたとえば誕生日検診というような形をもちまして一定期間ごとに健康診断を受け、健康管理が進められていけるというような方策を考えてまいりたいと私ども考えておるところでございます。
#25
○矢口説明員 お尋ねのように四十五、六年ごろから農業の構造が変わってまいりまして、主婦農業が非常に多くなったわけでございます。それでただいま主婦農業の農業の基幹労働に占める割合は主婦が六割でございまして、男子の方が四割でございます。そういうことにかんがみまして四十年度から主婦農業のいろいろな結果の、いろいろなあらわれ方に対しまして健康管理特別事業を実施し始めまして、四十二年度にその結果が出たわけでございますが、約半数の方が農夫症を起こしているというようなことでございます。それから貧血が非常に多い。三分の一の農家の主婦に貧血があったというようなことで、年々この健康管理事業を行なってきておりまして、警鐘を鳴らすことによって農家の方々が注意をしてくださいまして非常に効果をあげたと思います。
 それから、四十二年度から労働適正化事業をいたしまして、これでは、ただいまのところ、四十代の御婦人よりも三十代の御婦人のほらが、年齢に比較して体力が劣っているという結果を見ております。そういうことで、三十代の年齢の農家の主婦は、子供の教育とかあるいは家族全体の世話、それと基幹労働を一身に背負っておるというようなことで、一番体力的には極限に来ているというような状態でございますが、これについても、続けて本事業の実施をはかっていきたいと思っております。
 ちょっと長くなりますけれども、またお尋ねの新年度からの事業といたしましては、高齢者の生きがい事業を一つ起こしております。大体日本の老人の自殺率は世界一でございますが、この中でも、農村と都市と比べますと、農村のほらの自殺率が五割高いわけでございまして、つまり世界で一位が日本の農村の老人の自殺率でございます。そういうことから、老人の生きがいをどういうふうに求めるかということで、農山村の老人の生きがい、これは若い方々が将来の自分の姿をイメージアップするというとで、老人が持っておる特技を交換するとか、あるいは出稼ぎの家の留守番をし合うとか、あるいは緑化、森林の植樹を行ならとか、郷土を守る、きれいにする、豊かにするという役割りを老人にしていただくということを新規に考えております。
 以上でございます。
#26
○別川委員 それでは次に、本法律案のねらいとするものの一つが、勤労婦人が能力を有効に発揮をいたしまして充実した職業生活を営むということであるわけでもあります。ところで、勤労婦人は男子に比べましてまだまだ能力を十分に発揮できるチャンスが少ないというふうに思われるわけでありますが、最近では男子にかわって婦人が次第に各分野でいろいろと活躍をされつつあることも事実であるようであります。
 そこで、現在勤労婦人の就業分野というようなものがどのように変動してきておるかということについて、ひとつ御説明を願いたいと思います。
#27
○高橋(展)政府委員 御指摘のように、近年におきましては、婦人の就業する分野が次第に拡大しつつある傾向にございます。特に目立ちますのは、その就業分野の中で、たとえば最近の十年間をとりましてその拡大傾向の著しい分野といたしましては、たとえば事務従事者といった分野が非常にふえております。これに反しまして、生産現場の者の数が減っております。それからまた専門的、技術的職業といわれるところの分野も非常に増勢が大きいのでございますし、さらにまた、管理的職業といった分野への増勢も強くなっているわけでございます。このように全体的に見ますれば、女子の職業の分野といいますか、就業の分野が次第に拡大いたしまして、従来男子が主として占めておりました分野への女子の進出ということは、かなり大きな趨勢であるといえるかと思います。
 また、労働省が調査いたしましたところによりましても、企業においても女子を活用しようという動きがかなり見られまして、たとえば調査時点から三年前までさかのぼって、その間に男子から女子に切りかえた仕事というものがあるというような事業場あるいは今後男子から女子にかえていく予定であるという事業場、これらを合わせますと、半数の事業場が従来は男子のみが活躍できるとされていた分野に女子を活用していくという動きが出ているようでございます。そしてその切りかえの理由といたしましては、やはり女子の能力が高まってきておるし、女子にできるということがわかったから大いに積極的にやってまいりたい。特に、教育訓練や昇進の機会を与えることによって、女子の能力の開発ということが期待されるというような前向きの意見がかなりあったわけでございます。
#28
○別川委員 それでは次に、育児休業の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 本法案が、去る三月十四日に国会に提出されますと、非常に各界からの関心を集めておりまして、中でも、育児休業などというものは非常に注目を浴びておるところであります。言うまでもなく、育児は勤労婦人の家庭生活の中で最も負担の大きいものでございまして、次代の国民の育成という観点から国家、社会にとりましてもきわめて重要なことだと考えます。本法律案が勤労婦人の職業生活と家庭生活の調和をはかるために、育児休業の実施について初めて法律をもって規定いたしましたことはまことに有意義でございまして、今後の適正かつ円滑な普及を期待するものであります。
 そこで二、三点について御質問を申し上げたいと思います。
 まず育児休業に関しまして、この法律の策定をされました皆さん方は、この育児休業に関して、これを有給にすべきかあるいは無給にすべきかというふうな議論でございますが、どのようにこの点をお考えになっておられるのかお聞きいたしたいと思います。
#29
○塚原国務大臣 育児休業につきましては、事業主の負担のもとに有給というふうに規定いたしますることは、育児休業が事業主の責任に帰さない事由によるものであり、また勤労婦人自身の自主的選択に基づく休業であるということ、これが一つであります。
 二番目に有給といたしますと、現状においては、事業主の雇用に関する逆選択という状況が出てまいります。そういう傾向も出てくるでしょう。また勤労婦人の就業分野の縮小を招くおそれもないわけではございません。これは確かにあると思います。
 それから第三に、現在までの育児休業の実施例を見てみますと、ほとんどが無給である、こういうことから妥当でないと考えられ、また労働基準法上の産前産後休業についても、休業中の給与について何ら規定していないことにかんがみ、本法案における育児休業についても、有給とも無給とも規定せず、これは労使の自主的な話し合い、その決定にゆだねるということが適当であろうということから規定いたさなかったわけでございます。
#30
○別川委員 それでは次に、今度の法律によりますと、「育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうように努めなければならない。」こういうふうな規定があるわけでございます。なるほどこういう規定を設けられたこと自体に、非常に大きな飛躍というふうなものを私も感ずるわけでございます。しかし問題は、こういった抽象的に「努めなければならない」というふうな書きっぱなしでは、これまたいかがかと思うわけでございまして、今後労働省とされましては、この育児休業というものを現実にどう推進していくのか、また、これをどうして普及啓蒙していかれるのか、そういういわゆる具体的な考え方、方法論というものについてどういうふうに考えておられるのか。たとえば、それぞれの職場へおりますと、実際にこのことが論議をされ討議をされます場は、たとえば就業規則というふうなもの、あるいは労働協約というふうな形で労使の間でこのような話し合いが進められていく、こういうふうに考えるわけでございます。そこで、これは一つの例でございますが、たとえば労働省のほらで就業規則の模範例というふうなものをおつくりになられまして、そういった中にこういうふうな規定を入れられる、あるいはまた労働協約の模範例というようなかっこうで、そういったものの一つのひな形をつくってやるとか、これも一つの方法ではなかろうかと思うわけでございますが、そういった問題を含めまして、一体どのような推進方法を考えておられるのか。ただ単に法律の上で書きっぱなしでは、はなはだ心もとないわけでございます。これは非常にむずかしい問題であろうと思うわけでありますが、局長、どのようなお考えを持っておられるのかお聞かせを願いたいと思います。
#31
○高橋(展)政府委員 この法律案におきましては、育児休業につきましては、大臣からも申し上げましたように、労使の自主的な話し合いで進め、これを実施していくということをたてまえとしているわけでございます。で、これを御指摘のようにもっと強くできないかという点でございますが、実際の問題といたしまして、私どもは、この育児休業という制度は、勤労婦人が乳幼児をかかえております際に、その雇用関係というものを継続しながら一定期間休業いたしまして育児に専念し、再びまたもとの職場で活躍するというために非常に有効な制度であると思いますが、これをいま一律に、全産業の全事業主にこれを必ず採用せよということを強制することは無理であると考えたために、ここで、事業主にその実施方を要請するという形をとっているわけでございます。したがいまして、その内容は労使の話し合いということでございまして、その際、御指摘のとおり、その話し合いは具体的には労働協約、就業規則といったものの中で具現されてまいる、具体的化されてまいることになるわけでございますが、労働省といたしましては、この育児休業を普及させてまいるために、まず、この法律に定めておりますところの育児休業というものの明確な内容を周知させるための情報提供活動を行ないますとともに、御指摘のようなこの模範的な労働協約等のサンプルをつくるということも取り入れてまいりたいと思います。そして、私どもの下部機構でありますところの婦人少年室等を通じまして事業主あるいは事業主団体に呼びかけまして、この育児休業の自主的な実施というものを進めてまいる、このような所存でございます。
#32
○別川委員 それでは第三点目でございますが、最近女子教員の育児休暇制度というふうなものの創設、法律化ということが問題になっておることを聞いておるわけでございます。と同時に、一体女子教員のみにこういった特典を認める理由がどこにあるのかという議論もあるようでございます。また、もしも女子教員にこらいった制度を認めるということになりますれば、あわせまして、これと同じような職場環境、職種的な機能を果たしておられます看護婦さんとかあるいは保母さん、あるいは社会福祉施設等において日夜苦労しておられます寮母さんというふうな、そういう非常に似通った、場合によっては女の先生以上にたいへんな仕事をやっておられる職種がたくさんあるわけでございまして、そういった人たちをも同時にその対象とすべきではないかと、こういう議論も行なわれておるわけでございます。そこで、ひとつ、こういった問題と関連をいたしまして、今度たまたまこの法律にこのような非常に前進的な規定があらわれてきたわけでございますが、この問題と今度の規定との関連において、労働大臣は、この女子教員の育児休暇というふうな問題についてどのような御見解を持っておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#33
○塚原国務大臣 何回も繰り返すようでありまするが、この法律は勤労婦人の福祉に関する基本法的なものでありまして、育児休業の実施につきましては、公務員の場合は国また地方公共団体、それから事業主一般、こういうものに対しまして努力義務を課することにいたしておるのがこの法律案の趣旨であります。いま女子教職員の御質問でありまするが、これは、私の記憶するところでは、教特法が通りまするときに、参議院の文教委員会においてこれが問題になりまして、自今、与野党の間に参議院の文教委員会、それがまた党同士の話し合いになったというふうに私は承知をいたしております。自民党におきましても、前厚生大臣の内田さんが委員長になり、参議院の宮崎さんが小委員長でありまするが、政調におきましてこの問題についての検討が加えられ、これが野党の諸君にも提示され、そしていま論議が進められておるというふうに私は聞いております。また一方において、教職員のみに限定することはどうかと思う、だからこの際看護婦と保母ですか、こういうものも加えるべきである、いやこの際は教職員、学校の先生だけに限るべきであるというような議論がいまかなり活発に展開され、その調整に苦慮しているのが現状ではなかろうか。私たまたま国会対策委員長をいたしておりました当時、教特法の審議をめぐりまして参議院におきましてこういう問題ができ、いまに尾を引いておりまするだけに重大な関心を持っておりまするが、この法律案は、先ほども申しましたようにあくまでも国または地方公共団体、事業主に対しまして一つの努力目標を義務づけたものでありまするので、いまどの辺がどうであろうというようなことは、私としては申し上げにくい立場にあります。
#34
○別川委員 今度この法律ができまして、いよいよこれから労働省のほらにおかれましては勤労婦人の福祉向上を目ざしていろいろと活発な前進を開始をされると、かように期待をするわけでございますが、そういう中においてひとつ御質問をいたしたいのは、今日労働基準法という法律がございまして、この中にいろいろと勤労婦人の立場を守る、健康を守り、その地位を守る最低の一つの基準というふうなものが示されておるわけでございますが、今後勤労婦人の福祉対策をさらにより強いものにしていくという前提に立ちまして、現在の労働基準法の中の諸規定、これをさらに一歩前進さしていくというふうなお考えというふうなものがあるかどうかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
#35
○渡邊(健)政府委員 労働基準法には、ただいま先生御指摘のように、働く婦人の方々につきまして、労働時間の面だとかあるいは生理休暇だとか、あるいは危険有害業務に対しまする就業制限であるとか、いろいろな保護のための規定があるわけでございます。しかしながら、これにつきましては、基準法が制定されましてからすでに二十数年たっておるわけでございまして、その間いろいろな職場の状況あるいは社会的な事情等も変わってきております。そういうことから、いまの基準法のそれら女子に関する規定は、実情に必ずしも沿わない面もあるのではないかというような点が、各方面からいろいろの立場で御意見も出ておるわけでございます。そこで労働省といたしましては、基準法全般についてそういう問題がございますので、二年ほど前から、学識経験者に労働基準法研究会というものをつくっていただきまして、それに、基準法の現在までの運用の実情とその問題点について御検討を願っておるわけでございます。現在まですでに、安全衛生の問題だとかあるいは労働時間等の問題については報告書が出され、それについて、安全衛生等もうすでに国会に法案改正の御審議をお願いしているような面もあるわけでございますが、なおこの労働基準法研究会は、残った問題につきまして引き続き検討をされております。その中に、ただいまおあげになりました基準法中の女子の保護規定等も非常に大きな重要な問題の一つとして、引き続き御検討を続けておられるわけでございますので、私どもといたしましては、同研究会から今後出されますでございましょう御報告を待ちましてそれらの点について検討してみたい、そのように考えておるところでございます。
#36
○別川委員 もう時間が来ましたので、これで終わりたいと思うわけでございますが、最後に、今度このような法律ができたということは、私は一つの大きな労働行政における前進であろうというふうに評価をいたしておるわけでございます。ただしかし、問題は、今後この法律をもとにいたしましてどんどん積極的に前進されるということを期待するがゆえに私は評価をいたすわけでございますので、どうかひとつ今後、さっき申し上げましたように、ほんとうに働く婦人の皆さん方に胸のふくらむような夢を持たせていく、希望を持たせていくというようなことを考えられまして、ひとつ積極的な施策の推進をお願いいたしたいと思うわけでございますが、そういったことにつきまして、最後に労働大臣の御所見を承りたいと思います。
#37
○塚原国務大臣 先ほどの御質問にも政府側からお答えいたしまして、御不満の御様子もよくわかりました。繰り返すようでありますが、決してベストではないが、やはりベターであり、これを中心として、別川委員御指摘のような夢を持たせる、その夢を現実の社会に具現するという形で進んでいかなければならない、このように考えております。働く勤労婦人のために、この基本法を中心として、今後よりよい環境ができ、そしてまた日本の経済発展のために御婦人の力が大きな働きをなすよう、それを念頭に置きながら今後の対策を進めてまいる考えでございます。御激励をいただきましたことにつきまして、厚く御札を申し上げます。ありがとうございました。
#38
○別川委員 では終わります。
#39
○森山委員長 次に、島本虎三君。
#40
○島本委員 この勤労婦人福祉法が提案になり、この内容等につきましても一応説明をいただきました。しかし、まず二つの点だけを先に伺っておいて、それに基づいてあとは大臣に質問したい、こう思うのです。
 その二つの点というのは、これは勤労婦人福祉法案であります。これを所管するのは労働大臣であります。勤労と労働とは違うものでしょうか。婦人のほうが勤労福祉法であって大臣は労働大臣、この労働と勤労というのはどういうふうなお考えでございましょう。
 それと、勤労婦人というのはどの程度までを考えておられたのか。先ほどの御質問で、確かに農村婦人は家庭の婦人というよりも勤労婦人に該当するのじゃないかと思いますが、勤労婦人といってもほとんどが家庭婦人にもなるでしょう。この勤労婦人というものの考え方、それとあわせて福祉というものの意義、この三つを先に事務当局のほうからはっきり伺っておいて、それから次に大臣にお伺いしていきたいと思うわけです。
#41
○高橋(展)政府委員 まず用語の問題で「勤労婦人」ということばをなぜ使ったのかというお尋ねでございます。勤労婦人という用語は、これはその内容といたしましては婦人労働者と異なるものではないと考えます。ただ、若干のことばのニュアンスといたしまして、たとえば婦人労働者対策と申します場合には、労働条件であるとかその他職場内における事項が主たる対象となって考えられてまいるようでございます。それに反しまして、勤労婦人対策あるいは勤労婦人問題と言いますときには、働くという役割りを持っている婦人というわけでございまして、職場外の問題も含めた、つまり家庭生活であるとか市民生活等も含めた生活者というようなニュアンスが多少加わってくるのではないか、そのような違いが若干あるようでございまして、いままで使われております例といたしましては、勤労者財産形成法というような場合にも、このことばが用いられておるようでございます。
 この用語につきましては、審議会の審議過程でもいろいろと御論議のあったところでございますが、この法律案が職場の内外の生活を通じて婦人の福祉を進めようというものでありますために、この勤労婦人福祉法という名前がよりベターではないか、こういうことに相なりました。また、この法律案自体が、一昨年成立を見ました勤労青少年福祉法のいわば姉妹編的なものという位置づけが一つあることもございまして、勤労婦人ということばに落ちついたという経緯でございます。
 それから範囲といたしましては、この法律の主たる範囲は、人に雇われて働くいわゆる雇用労働者でございますが、基本理念に掲げられておりますようないわゆる原理というものは、これは就業形態のいかんを問わず働く婦人すべてに及ぶというように考えてよろしいのではないかと思います。
 それから「福祉」ということばでございますが、たいへんに哲学的なあれになってしまいましたのですが、私どもは福祉という場合、これは幸福というような意味合いのものと考えております。勤労婦人が働く者として享受する幸福というような意味合いに考えております。福祉と言う場合、いわゆるハンディキャップを持った者を助けるというような意味合いに使われることもあるかのようでございますが、私どもはより積極的に幸福というふうな意味合い――まあ福祉国家などという用語もございますが、前向きな意味合いの福祉という意味に使っているつもりでございます。
#42
○島本委員 まあ、説明の範囲にわかりました。福祉は幸福という意味であるという、まことに格調の高い答弁でありまして、勤労婦人の福祉、幸福のためにこれがすべて益するものであるということで、私はその点では大いに期待いたします。
 それと同時に、その期待の上に立って、大臣、憲法が実施されてからもうすでに施行二十五年を迎えております。その憲法には、主権在民と基本的人権、こういうようなものをはっきりうたっておるわけでありまして、まさに民主主義と平和主義に徹した現行憲法、それが施行二十五年もたってなお男女の差別、この是正さえもできない。そしてもう関係の諸法が制定されているにもかかわらず、なお本法をなぜ必要としなければならないのか。こういうようにして見る場合にはやはり、いま聞いたように、幸福を追求するためにこの法律は出した、はたしてそうであるかどうか。いままでそれの理念に徹して日本国憲法が施行二十五周年記念を迎えた、こういうようなことになってもまだ何も行なわれておらない。関係諸法律ができてもいまだなお幸福の追求をしなければならないような状態に置かれているということは、これはやはり政府の姿勢にかかっているのじゃないか。法律をつくってやってもさっぱりやらないから、またこういうような法律が要望されるのじゃないか、こう思うのです。憲法の中身もはっきりこの問題をうたっているはずなんですが、それをうたってもなおかつ今回幸福を希求するようにこれが生まれざるを得ない理由、これを私ははっきり大臣に伺っておきたいのだ、こういうように思うわけです。
#43
○塚原国務大臣 憲法十四条と二十四条には、いま島本委員御指摘のような点がはっきり明記されております。にもかかわらず、この法律案のようなものをなぜ出さなければならないか、その間における政府の怠慢というようなお話もございましたけれども、戦争に負けた日本が新しい憲法のもとにここまで来る間においては、やはり私はいろいろな問題があったと思います。それについては十分な反省はいたしておりまするが、その反省の上に立ってやはりこういう婦人の立場、まあその福祉が、幸福である、ウエルフェアということばが私は一番いいという気持ちを持っておりまするけれども、そういう立場であえてこの法律をつくらなければならなかったという今日までの事態については、反省する点が確かにございます。しかしこれは戦後の日本、ここまで伸びてくる過程において受けた一つの事実に基づいたものであると考えておりますが、いずれにせよ、よきものをつくるための努力は今後とも皆さんとともにやっていかなければならない。その一つとしてこの勤労婦人福祉法を提案した次第でございまして、その間についてどうこうというような論議をいま私はいたしたくはございません。ただ現実のわれわれはどうすべきか、また婦人というものが雇用関係の三分の一を占め、しかも育児と家事というものをこれからやっていかなければならない、そこに社会的な生活環境、働く喜び、幸福を求めるためにどういう指針を与えるか、どういうよりどころを持たせるかということが、今後日本の社会福祉全般の上にも、また日本の経済発展のためにも、明るい職場で働く婦人のためにも、私は非常によいことだろう、そのためのこの法律案が提出をされた、このように御理解をいただきたいと思います。
  〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
#44
○島本委員 現在、実体法としてそれぞれの法律が出ております。あるいはこの関係においても児童福祉法、こういうようなものも出ております。児童憲章、こういうようなものさえはっきり出ております。しかしあえて、こういうようなものが幾ら出ても、再びいま言ったような幸福追求のために、働く者としての幸福を追求するためにこれが必要なんだ、こうなりますと、いままであった法律、このものが稼働していないことになる。いままでの法律はそのままにしておいて、これをおっかぶせて、これでもって画竜点睛を欠くことのないような発動をするというようなことになるかもわからない、これはまことに、その時点ではいいのですけれども、どうももう憲法しかり、その他の実体法しかり、そして再びこういう問題が置かれる、こういうようなことになってみますと、やはり考えざるを得ません。それで結局は、この基本理念を結果において押しつけて、勤労婦人の負担、こういうようなものがよけいになって、そしてこの法律ができたけれども依然としてまだ遠いものである、こういうようなものであってはならないと思います。この法律はそういうようなおそれがあるのかないのか。いわばこれは単なる、こういうような理念を押しつけて、訓示規定にとどまって、ヤマブキの花がなれるごとくにして実は一つだになきぞ悲しいような、こういうような女性を泣かせるような法律案であってはならないと思う。私はいままでの実態からして、いままでの答弁からして、どうもそういうようになるおそれがないかどうか心配であります。大臣、この点は確たる信念を持って、全女性のためにひとつ解明を願いたい。
#45
○塚原国務大臣 世の中は日進月歩であります。それに適合した法律というものをどんどん出され、また皆さん方からも十分御審議をいただいて、いままで数々の政府の出した法案について修正なりあるいは附帯決議なり、そういうものをして今日まで来たっております。その日進月歩に対処するには、いままでの法律が絶対いいものであるとは限りません。その足らざる点を補い、一部改正も行なうとともに、やはり新しい立法措置もとらなければならないことは言うまでもないのであります。いま厚生省関係の法律の話も出ましたが、われわれは関係各省、特にこういう問題につきましては厚生省、この法案は特にまた農林省、通産省とも十分連携をとりましてつくったものでございまするけれども、いま御指摘のような何か婦人かり出しというような、ちょっと聞き捨てならぬようなおことばがありました。かり出しですか。(島本委員「それはあなたの考え過ぎだよ」と呼ぶ)そういう意図は毛頭ございませんから、婦人は家庭にあるべきか、また職場に出て働くべきか、それはあくまでも婦人の主体性にまつべきであって、われわれがとやかく口をはさむべき問題ではない。われわれはあくまでも中立の立場であります。しかし勤労につく方に対してわれわれができるだけの手を差し伸べるということは、これは当然の処置であろう。決していま、私のことばが間違っていたかもしれぬが、その、何か押しつけるとか、婦人を金縛りにするというような意味の御発言のように――もし私が間違って受け取ったら訂正いたしますけれども、そういうふうにとれましたので、この際はっきり申し上げますが、そういう意図は毛頭ございません。全女性のために私はあえて申し上げます。
#46
○島本委員 それでは先ほどの、福祉という意味は幸福という意味であり、働く者として享受する幸福を意味するのであるという、まことに格調の高い哲学的な解明をここに承ったわけです。そのためにこの法律を必要とするというならば、この法律をかぶせてすべてがよくなるような関係立法も、実体法も、そういうような関係がなければならないはずじゃないかと思って、これを先ほどから言ったのです。ところがもうそういうような関係は別になっておって、これが一つぽかんと出てきている。それだったらヤマブキの花のように、花はこれでぱっと咲いたけれどもさっぱり実がない、こういうようなことになっては困るぞ、こういうようなことなんであります。しかしそうではないというわけですから、これから順次ひとつそれを解明していっていただきたい、こういうように思うわけであります。
 まず一つ、この点については――念のためにもう一つだけ言っておきますか。これは、「充実した職業生活」とはどういうような状態をいうのか。これが一つ。これは局長です。
 それから「職業生活と家庭生活との調和」、これは調和というのはどういうようなことをいうのか。産業と生活の調和ということばがあって公害が増大したのですよ。調和ということばは、半分でがまんせいという意味なのか。ここにもまた、優秀なる幸福追求の規定の中に、調和が出てきている。いままでは公害対策基本法の中で、りっぱにできても実が一つも結ばない、こういうような状態をかもし出したのはあの調和だったということで、あれは取れちゃったのです。いまはない。ところが、幸福追求のための格調高い本法案の中に再び職業生活と家庭生活との調和、こういうようなことが出てきているわけです。調和とは一体どういうことか。半分でがまんせいということか。充実した職業生活とは、職業生活と家庭生活との調和、この辺はどうなんでございましょう。これは、二律反することを出してきたならば、二つ足して二で割れ、どっちにもつかないようなことになるおそれがないかどうか。これはせっかく幸福追求のためにこれを出しながら、こういうような中途はんぱなことを初めから基本理念としてうたってしまったら、これはとんでもないことになるおそれがある。私は第二の公害対策基本法にならないでほしいと思うから、これを言う。この調和とはどういうわけですか。字句の解明を願いたいと思います。
#47
○高橋(展)政府委員 「充実した職業生活」ということが第一のお尋ねでございますが、私どもはこれは婦人自身が主体的に自分の働いている生活に生きがいを感じ、意欲を持って生活を営む、そういう状態と考えております。
 それから「調和」の点でございますが、調和といいます場合には、これは職業生活と家庭生活、その双方を同時あるいは長期的に見て両立的に果たす、そういう状態というように考えておりまして、両方を半分ずつというような意味の調和ではございませんで、両方にそれぞれ十全の力を発揮できる状態というように考えております。
#48
○島本委員 それは基本理念として承っておきます。相反する二つの点が調和することは、半分でがまんするということになるのだが、そうじゃない、幸福追求のために両立するというのですから、社会主義社会にならなければそれはもう実施できない。それをあなたが出してくれたということはうれしいきわみです。あとからもう一回この問題については聞きますけれども、いまのところはその基本理念だけ承って、では次にまいります。
 この法案の適用範囲をどういうふうにお考えでございますか。全女性か、勤労婦人か、病気療養中の婦人も入るのか。
#49
○高橋(展)政府委員 この法律で勤労婦人と申します場合には、先ほども申し上げたと思いますが、主として雇用されて働くところの婦人を対象として考えているわけでございます。
  〔小沢(辰)委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕
具体的な措置等はそれらの婦人を対象とする措置が書かれている次第でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、基本理念としては働く婦人すべてに及ぶ、このように考えてもおりますし、また地方公共団体等の行なうサービスとしてはその範囲は、雇用婦人に限らずいろいろな形態で働く婦人を対象に含めた、このように考えておりますが、病気で寝ている婦人というのはどういう意味合いかちょっと御質問の意味がわからないわけでございますが、病気で寝ている婦人、あるいは家庭の主婦の方というものを直接対象としては考えておらないといえるのではないかと思います。
#50
○島本委員 農村の婦人や、いろいろ生活に疲れ果てて、そして現在療養中である、こういうような人だってないわけではありませんが、それは勤労婦人の延長でしょう。その中で病気と戦っている、これも幸福追求のために戦いつつ毎日過ごしている。これはもう肉体的勤労ですね。勤労婦人でしょう。闘病中、幸福を追求している、こういうような人をこれからはずそうということになると、少し私たちは困るのです。
 それはそれといたしましても、これは民間関係に主体を置いてこれを考えられておられますか、それとも官公庁、こういうようなところに働いておられる人たちを主体に考えておりますか、そのいずれをも考えておられるわけでありますか。
#51
○高橋(展)政府委員 最後におっしゃられました、そのいずれをも対象として考えるということでございます。
#52
○島本委員 そうなりますと、体系が別々でございまして、民間の場合にはこれだけのものを押しかぶせてやっても、強制力を持たせなければ何にもならないおそれがないか。罰則規定もないのにそのままやらせて、一般に実を結ばせる、花を咲かせることができるのかということで、これはやはりヤマブキ法案になるおそれがないかどうか、私の心配なところなんです。これは激励する意味で心配しているのです。おそらくこういうようなところは、強い組合あたりだったらもうすでに団体交渉その他によってこれくらい取っているところだってある。民間のほうで弱いところなんか、これを押しつけてやったって、就業規則無視もあれば労働協約なんかあってないようなところもございましょう、御存じのとうり。そういうようなところだった場合には、これはやはり強制力を持たせなければ何もなりませんし、罰則規定がないのにこんなものを実を結ばせるのだなんていって幾ら考えたって、これは格調の高い考え方かもしれませんが、現実的ではない。いままで実例がずっとある。それは労働大臣に聞いてみたらよくわかる。こういうような状態の中でこういうようなものをつくっても、何か顔はいいけれども内容がないのでは、ほんとうにどうにもならないのじゃないかと思われるわけです。なおこういうようなことは、民間では賃金やその他で協約、協定をつくらして、こんなものを入れて運用しているところがあるわけです。弱いところがまだない、ことに民間なんかまだないところが多いのだから、そういうようなところに対してはもっと拘束力をはっきりしてやらなければ何にもなりませんよ。これでもちゃんとやっていけるという確信をひとつお示し願いたい。大臣にお聞きします。
#53
○塚原国務大臣 この法案は、何回も繰り返すようでありますが、基本法的性格を持ったものであるという御認識を持っていただきたいと思います。したがって、その間に強制規定と申しますか、罰則規定というようなものはあえて入れなかったわけであります。この基本法の御審議を願いまして、そして逐次その情勢に応じていろいろな問題の検討をしていかなければならない時期が来ることは、まず間違いないでしょう。それからやはり労使、また地方公共団体または国、その地方においては企業者と労働組合、その労働協約その他話し合いによって、いま島本委員も御指摘のようにすでに、かちとったというおことばがございましたけれども、円満な解決を見たところもありますし、またそうでないところもあることは、これは御指摘のとおりであります。しかし、われわれは一つの努力目標といたしまして、最近の労使関係というものは従来と比較いたしますと私はたいへんよくなってきつつあると思うから、よくない面はわれわれ行政指導でよくしていかなければならない、そういう立場に立って、あえて罰則規定をこの法律に盛り込まなかった。そうしてわれわれは、行政指導でそういうものの前進というものを考えていくことが妥当であろう。いまヤマブキ法案ということを盛んに言われましたが、これはベストではないがベターである。これは非常にいいものである、しかしベストではない。しかしこの法律案を御審議願って、いろいろの御意見も伺うでしょうし、またおしかりも受けるでしょう。御批判もあるでしょう。これがもし皆さん方の御賛同を得て通ったならば、今後あらゆる問題というものに対処して、新しい立法措置その他も考えていかなければならないという考え方を、私は強く持っておる一人であります。したがって、強制力というようなもの、罰則規定というようなものは、基本法的な性格である以上、あえてこれに盛り込まなかったわけであります。
#54
○島本委員 やはり実体を求めるならば、実情に応じて幸福追求のために効果があがるような法律でなければならない。これはやはり基本的な考え方であります。基本法的にやったのだからあえてそれをつくらなかった、あとは行政指導でやっていく、こういうようなことのようであります。
 私は、これは体系的に見まして、確かに政府が四十五年に勤労青少年福祉法を制定した、さらに自民党の勤労婦人福祉対策五カ年計画が策定された。その内容は、「若年労働不足に対応するため、労働力対策として、中高年婦人の有効活用をはかる。そのため、「勤労婦人福祉法」の制定が急務である。具体的には「事業内託児所の設置によりパートおよび一般婦人の就業をうながす」「働く婦人の家の増設」「中高年婦人職業センターの設置」「家庭内職就業の援助」。」この自民党の勤労婦人福祉対策五カ年計画の内容がぴたり合ったような感じがするわけですが、これは関係がございません法律ですか、ある法律ですか。
#55
○塚原国務大臣 それは自民党が発表しておるのですか――私が聞いておりますのは、この法律案は婦人少年問題審議会、田辺繁子先生が委員長で、各界の方がお入りになって、満場一致でお話し合いがまとまって、それに基づいてこの法案はつくられたものでありますから、いま御指摘のような点は私は承知いたしておりません。
#56
○島本委員 意外に似たような結果になっているものですから、それとの関係を聞いたのです。そういうことではないとするならば、あくまでも福祉の理念、幸福追求の理念に立ってこれを行なったものである、こういうふうにして、私はもう一歩を進めてまいりたい、こう思うわけであります。
 では次に、これはもう女子の定年制、それから賃金の男女差別、それから母性保護の権利抑圧、それからフルタイムの婦人労働者の解雇、こういうような中で、パート対策の意図がまことに強いのじゃないかと思われる法律案でありますが、ほんとうにこれが勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるという立場であるならば、これはあくまでも勤労婦人に関するILO条約の批准、それから労働基準法の抜本的なる改正、適用、そして国際労働基準にまで引き上げるという考えのほうが先行すべきじゃないのか、こういうふうに思うわけであります。ことにまた労働基準法の最低基準引き上げの改正だとか、婦人関係のILO条約の百二号、百三号、八十九号、百十一号などの批准促進による、労働条件を国際水準まで引き上げる、こういうようなことこそが、この婦人の幸福追求のためには花を咲かせ実をならせる一番大もとじゃありませんか。これをやらないで、単にいまのような法律を出して幸福追求になるのだというなら、これはヤマブキのおそれがございませんか。そうじゃない、ほんとうにここに格調を高く盛り上げた勤労婦人の福祉の増進と地位の向上なんだというならば、なぜにこのILO条約の批准促進、これをやって国際水準まで女性の地位を引き上げることを明記しないのか、この点あたり私は疑問なのでありますけれども、この点等についていかにお考えなのでございましょうか。
#57
○高橋(展)政府委員 まずこの法律案を準備いたしました前提といたしまして、私どもは近年婦人労働と申しますか、婦人の働く姿が非常に変わってまいった、そこに着目しているわけでございます。すなわち従来は、婦人は若い間短期間だけ働くという姿が非常に多かったのでございますが、近年は非常に長期にわたって婦人が働く、あるいは結婚しても働く、子供ができても働くというような姿が非常に多くなってまいりましたし、また婦人自身の働く動機にも、みずからの能力を生かして働きたいというような内面的な欲求が強まっております。あるいは社会参加と申しますか、そのような意欲が強まってきているわけでございまして、そういう社会参加というような要求が婦人の中にも高まっております。そのように婦人が働く姿というものが変わってまいり、それに伴いまして婦人労働の問題にも新しい面がたくさん出てきたというわけでございます。それでそれらの新しい面を集約いたしますと、やはり婦人が能力を生かして働きたい、また家庭生活との調和をはかりたい、このような要求が非常に強まってまいったわけでございまして、これはとりもなおさず行政の課題となってまいったわけでございます。そして、このような新しい婦人側の要求あるいは行政の課題というものに対応いたしますためには、従来のいろいろな労働関係の法律がございますが、それをもってしてはこれらの新しいニードに対して対応し切れない、そのようなことから新しいジャンルと申しますか、新しい領域においての新たな立法措置を考えたのが、この法律をつくりましたところの動機でございます。したがいまして、この法律は福祉という面での婦人施策を進めるということで、従来の基準法であるとかその他の法律と相まって、勤労婦人の問題、婦人労働の問題の前進をはかってまいろう、こういう趣旨でございます。
 したがいまして、いまお尋ねのILO条約の問題、あるいは労働基準法の問題等は、これは当然にそれぞれの問題として存在しているわけでございまして、ILO条約等につきましては、御存じのとおり現行のわが国の国内法令では、いまおあげになりましたような条約を直ちに批准するように国内の法令の規定がなっていない点があるわけでございます。あるいは疑義があるというような点がございますので、直ちに批准ということはできない状態でございますが、しかしこれらの問題を含めまして、基準法研究会で基準法の施行の実情、問題点の調査研究をお願いしているところでございます。基準法の内容についても同様でございます。
#58
○島本委員 局長の答弁は正直でいいのですよ。けれども、じゃあ、この百二号、百三号、八十九号、百十一号、こういうようなものの批准を促進し、批准して国際的にレベルを上げることは、婦人の幸福につながらないのか。それともまた、働く者として享受し得る幸福につながらないのか。つながるのであるならば、この方面の促進を政府としても促進してやりながら、これもその上に立って法律を整備するというほうが、当然花を咲かせて実を取ることになるのじゃなかろうか。こちらのほうをそのままにしておいて、そうして罰則規定もない、訓示規定にのみすぎないようなやつをじゃんじゃんと押しかぶせていく。それから、他の法令と相まって――相まってというのはどういう意味でしょうか。相まつというのは、お互いに待つというのですか、それとも……。その辺がどうもはっきりしない。他の法律に対してはもうそのままにしておいて、向こうがこっちへ来るのを待っているのですか。相まってというのは、どういう待ち方なんですか。
#59
○高橋(展)政府委員 たとえば労働基準法におきましては、職場における労働条件の最低基準の明示とその確保ということが基準法の内容でございますが、婦人につきましても、婦人が働くことによってその健康を害することのないよう、ことに母体、母性を害することがないようという意味で、いわば生理的な面に立脚した配慮ということが、かなりウェートは強いと思われるわけでございます。そのような面の配慮ということは、近年既婚婦人も非常にふえ、したがいまして働きながら出産する者もふえている現状にかんがみまして、母性の保護ということはますます重要になってきていると私どもは認識いたしますが、その点につきましては、最低基準の確保という点につきましては、これは基準法の領域でもって進めるべき問題でございますし、またその基準法の規定をどのように考えるべきかという点につきましては、しばしば申し上げております基準法研究会で、いま御検討が行なわれているところでございます。そして、この福祉法は、そのような職場における働く婦人の健康の維持というようなことのほかにと申しますか、先ほど申しましたように、職場の内外の生活にわたって家庭生活との調和をはかる、あるいはその能力を発揮するというような領域におきましての婦人の福祉を高めてまいろうというわけでございますので、まさに両々相まっていくということ、こういうことでございます。
#60
○島本委員 まず調和ということばは、どうも二つ足して二で割って、がまんしなさいというような意味にとれて、あなたがさっきおっしゃったような格調の高い福祉の意味に通じないような気がします。
 それともう一つ、せっかく皆さんのほうが本法案を作成するためには、大臣がおっしゃったように、婦人少年問題審議会会長田辺繁子さん、この方面から出された「勤労婦人の福祉に関する立法の基本構想について」の答申、これによられたんだろうと思うのです。そうでしょう。もしそうだとするならば、この一番うしろのいわゆるなお書きというか、ただし書きというか、この中にははっきり「勤労婦人の福祉に関連する施策は広範・多岐にわたるので、この答申に基づく法律の施行にあたっては、憲法に規定されている男女平等の趣旨を生かし、労働基準法等関連法律の施行及び関連施策との連けいを密にし、総合的な効果をあげるよう特に要望する」とあるわけであります。
 そうだとすると、やはりこれ、問題点が一つ出てくるんです。この点では先ほど言った労基法研究会の結論、出ましたか、まだですか、基準局長。
#61
○渡邊(健)政府委員 基準法には、婦人勤労者につきましても、たとえば労働時間の制限の問題であるとか、あるいは生理休暇であるとか、あるいは危険有害業務に対します婦人の就業制限とか、いろいろ保護のための最低基準が設けられているわけでございます。これらの規定は、基準法ができましてから二十数年すでにたっておりまして、その間社会もいろいろ進展してまいっておりますし、職場の状況なども変わっておりまして、そういう観点から必ずしもいまのままで実情から十分とは言えないのではないか、実情にそぐわない点があるんではないかといったような御意見も各方面から出されているわけでございます。同様な問題、基準法全般についてございますので、先生御承知のように一昨年以来、それら現在の基準法の運用の実情と問題点につきまして、学識経験者の方々に労働基準法研究会という場で御検討を願っておるわけでございまして、基準法研究会からすでに一部、たとえば安全衛生だとか、労働時間、休日、休暇といったような問題については、研究の結果が報告されておるわけでございます。ただいま問題になっております基準法上の女子の保護に関する諸規定につきましては、まだ御報告はいただいておりませんが、昨年の暮れに労働時間、休日、休暇を出されました第二小委員会におきまして、昨年の暮れの報告に引き続きまして、現在女子の保護の問題等を引き続き御検討をいただいておるところでございます。
  〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕
#62
○島本委員 このなお書きにちゃんと書いてあって、なお書きを、局長、これは尊重する意思がおありでしょうか、尊重しないお考えでしょうか。
#63
○高橋(展)政府委員 当然尊重いたしまして、法律の施行に当たりたいと考えております。
#64
○島本委員 このなお書きの部分を尊重する意思がおありのようでございますが、そうならば、この法律を提案する前に労働基準法の研究会の結論も待たないで、そして労働基準法と重複しない程度の施策でこれを幸福追求の手段として出してきたということでは、少しお茶を濁したんじゃないかと思われやせぬかということを私は心配いたします。総合的な効果のあがる施策をもっと強く打ち出すべきじゃないか。そのためにはこの研究会の結論をはっきり待った上で、そしてそれに上乗せをして婦人の場合の生活や環境や、またいろいろな労働条件を守ったらどうですか。それをそのままにしておいて、研究を待たないで、そして別に出して、罰則規定もない、ただふわっとしたバラ色の幻想を与えるような感覚で出しても、これは実効をあげないおそれがあるんじゃないか。ほんとうにあげたいならば、ほんとうに答申案のなお書きを尊重するというならば、もっともっとこれに対してはこの法の研究並びに内容の整備、こういうようなことは総合的な効果のあがるように考えるべきでなかったか、私は声を大にして言うわけでございます。私の言い方が間違いですか、局長。
#65
○高橋(展)政府委員 この審議会の答申のなお書きでいわれております趣旨は、この答申に基づく法律の施行にあたってこのような態度で臨むようにと言われているように解釈いたしておりますので、法律が成立いたしました暁には、この施行にあたって、ここにあげられておりますような趣旨は十分に尊重して進めてまいるつもりでおります。
#66
○島本委員 これは先ほど言ったように、婦人の能力を生かして家庭生活の向上もはかっていく、こういうことであるならば、やはり真に勤労婦人の生活向上を考えて、勤労婦人の能力を発揮するための立法であるならば、地域保育所の大量増設であるとか、内容の充実であるとか、労働時間の短縮であるとか、社会保障制度の充実であるとか、こういうようなものがいま不足であるがために婦人に負担が過重になっておりますけれども、こういうようなことを先に考えてやってしかるべきじゃないのか。いまの障害になっている点は、こういうようなところじゃございませんか。ほんとうに能力を生かして働かしたい、ほんとうに家庭生活の向上をはかりたい、そして福祉の向上をはかりたいというのならば、地域保育所の充実と労働時間の短縮、それから社会保障制度の充実、こういうような重荷になっている問題に対して、婦人のために解決をする、これを先にやってあげないのですか。それと並行してでもいい、こういうようなことを十分に解決してやらないのですか。やはりこういうようなところに抜けたところがないかということが心配なんですが、こういうような点は心配ないのですか。
#67
○高橋(展)政府委員 考え方といたしましては、この法律は関係するところの各法律あるいは関係するところの各施策と、相互に緊密に連絡して総合的な効果をあげていこうというものでございますので、御指摘のいろいろの施策とは十分に連絡をとりながら進めてまいりたい、そのように考えております。
#68
○島本委員 各省からそれぞれ来ておられるのですが、大臣、いまここで出している法律、これによって婦人労働者、勤労婦人に対して地位の向上や福祉の充実をはかりたいんだ、こういいながら各省でははたしてこれと並行するような動きがあるのかどうか、婦人労働者に対して。これはやはり十分に監視し指導するような状態をつくらなければならないと思うんです。私はここに若干あげたいのは、どうもそういうような方面と逆行しているような動きがある、こういうようなことに対して、これは局長も考えていかないとだめですよ。これはこの次にずっと一つずつあげてまいりますから……。
 その前に、これはいかがなものですか、さっきちょっと出たのでありますけれども、この問題を解決して次に移りたいと思うのですが、育児休暇といい育児休業といい、これは内容は同じだと思いますが、しかし育児休業の実施について賃金などの保障を取りつける制度の推進、これは当然はかるべきじゃないか、これをはからないでこのままやって押しつけたならば、この点等についての考えはちょっと逆にうしろ向きになるおそれがあるのじゃないかと思いますが、これは十分考えておられますか。これは将来のための一つの大きい礎石になる問題であります。
#69
○高橋(展)政府委員 育児休業につきましては、本法案におきましては、いま御指摘の有給、無給ということには全然触れておらないで、すべてこれは労使の自主的な決定にゆだねるという立場をとっているわけであります。また育児休業はこの法律におきましては、すべての産業のすべての事業主にその実施を強制するという趣旨ではございませんで、その実施方を勧奨する、このような立場をとっているところでございます。
#70
○島本委員 この育児休業についてですが、これはあくまでも選択制、有給制、原職復帰の三原則を明示しない限り、三原則による制度化要求を逆に押える役割りを果たすのじゃないかと懸念いたしますが、この点どうです。
#71
○高橋(展)政府委員 ただいまおあげになりました三つの点でございますが、選択制ということは、これは婦人自身が選択するという意味であると思いますが、この法律におきましても、この育児休業につきましては勤労婦人の申し出によってこれを与えるというたてまえをとっておりますので、当然に選択制ということは含まれておるわけでございます。
 それから原職復帰という点でございましたが、この法案におきまして育児休業と申しますとき、これは休業でございまして、その休んでおります間は雇用関係は継続する、そのような考えに立っているわけでございますので、その期間を経過しました際は、原則としてもとの職場に戻るということに相なることは予定されているわけでございます。(「書いていない」と呼ぶ者あり」休業ということからそのような概念が出てくるわけでございます。
 それで、三つ目におあげになりました有給という点でございますが、この法律ですべての企業に、育児休業をする場合に事業主負担の給付を行なえということをきめますことは、これは現実問題として非常に問題が大きいのではないか。したがいまして、労使の自主的な話し合いでそこは決定することが現実として一番可能であり、また合理的ではないか、このように考えております。
#72
○島本委員 休業ということばを使うから、休業の間は、おまえ休むんだから無給だという概念だ。法律で休業の綱をかぶせたならば、それが先行する。先行してしまうならば、当然今度は無給が原則になる。日教組が長年にわたって取っ組んでいる、有給制を含めて前向きにいままで検討されてきた教員の育児休暇法案、これがやはり勤労婦人の福祉法案とのかかわりあいで今後大きく後退し、無給の方向が強力に打ち出されるのではないか。そうなれば結局逆行するのじゃないか、こういうように思われますが、この点についてはいかがでございますか。これは大臣のほうがいいと思います。
#73
○塚原国務大臣 先ほど別川委員からもその質問がございましたのでお答えしたのですが、教特法が衆議院を通過し、参議院を通過する際に、参議院の文教委員会でこれが大きくクローズアップされたということは、私、当時国会対策委員長をやっておりましたので、その報告を受けました。それに基づきまして各党間の折衝が今日までも行なわれ、それからまた自由民主党でも前厚生大臣の内田君が委員長として委員会がつくられ、また小委員長に参議院の宮崎さんでございますか、この方が選ばれて、その成案を得て野党との折衝に入っておるというふうに私は聞いておるのであります。したがって関心は人一倍持っておりまするけれども、いま御指摘のように教職員の育児休暇法案のためのこれがすりかえであるというような考え方は、私は毛頭持っておりません。その点はどうぞひとつ島本委員は誤解のないようにお願いをしたい。今日までの経過を端的に申し上げれば、そういうことでございます。しかもその当時、参議院でお話し合いがあったということは私は国会対策委員長として承りましたので、人一倍この問題については関心を持っておる一人であります。その後、看護婦あるいは保母等の問題も問題になっておるということは聞いておりまするが、話し合いがまとまることを祈っておる一人でございます。
#74
○大原委員 関連して。この十一条の条文で、「勤労婦人が育児のため一定期間休業することを認める措置をいう。)の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうように努めなければならない。」この便宜の供与の中には給与とか手当とかいうふうなものの便宜を含めておるのかどうか。そういう問題を含めて、やってもよろしい、こういう意味かどうか。いまの島本委員の質問に、法文に即して逆に質問するわけです。便宜の供与という中には、給与あるいは手当を給付することを含めて便宜を供与するという意味に解してよろしいか。
#75
○高橋(展)政府委員 私どもがここで育児のための便宜の供与という文言を盛りまして予定しておりますことは、たとえばその事業所に働く婦人が自分の子供を地域の保育所に預けて働いているということもあるわけでございますが、そういう際に保育所への送り迎えということのために、保育所が遠隔にある場合なぞにはかなり時間的にもかかるわけでございますので、たとえばそういう時間の配慮について考えていただくとか、あるいはこの法律では妊娠中及び出産後の健康管理については母子保健法に定める健康診断でございますか、それを受けるような配慮を求めております。さらに子供がもう少し大きくなりましても、母子保健法によって三歳児の健診であるとか、いろいろまた子供に対するところの健康診断等があるようでございますが、乳幼児にそういう診査等を受けさせるために母親が随伴するというようなことも現実問題としては相当な負担になると思われますので、それらについてもやはり定められた時間にその保健所なりに行かせるような配慮もしてほしいと思いますし、あるいはまた、小さな子供がいる間は超過勤務の少ないところの職場に配置することも含まれましょうし、あるいは地方都市なぞでは子供を授乳のためにおばあさんが連れてくるという場合なぞもありますでしょう。そういったときに、安心して落ちついて授乳ができるような授乳室といいますか、それを整備することなぞも期待したいと思っております。あるいは育児用品の販売施設等の設置等も、事業主の配慮として便宜の供与と考えているわけでございますし、あるいはそれら児童用品を購買するために金銭の給付が必要であろうという配慮を事業主が行なうということもあり得ることではないかと思われます。
#76
○島本委員 せっかくいまそこまで入りましたから、じゃ十一条に限りましてまたちょっとお伺いいたします。
 「その雇用する勤労婦人について、必要に応じ、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうように努めなければならない。」「努めなければならない」というふうになると、つとめなければならないのでしょう。しかしながら、具体的に事業主にこれで責任を持たしたことになるのですか、ならないのですか。訓示規定なんですか。さぼってつとめないような事業主には、これはどうすることになるのですか。それはやはり見のがしですか。
#77
○高橋(展)政府委員 これはまさに訓示規定でございまして、事業主がつとめるように要請をしているわけでございます。したがいまして、その事業主がここに期待されることを行なわない場合、それが罰則をもって処するというような意味の法の違反にはならないわけでございますが、国の意思として要請するところの事業主の努力義務、それに対する違反とは言えると思いますので、行政指導を通じてこれは指導してまいるということに相なるかと思います。
#78
○島本委員 その指導を聞かなかったらどうなりますか。
#79
○高橋(展)政府委員 やはり説得といいますか、指導につとめるということであるかと思います。
#80
○島本委員 説得、指導を聞かなかった場合はどうしますか。
#81
○高橋(展)政府委員 やはり説得を続ける。また政府としての説得のほかに、世論というものもいろいろと期待されるのではないかと思います。
#82
○島本委員 結局、あなたまかせ、あとは泣くだけだということになるのですか、それではやはり少し弱い。もう少しここに具体的に、事業主に責任を持たせるならばその点は持たせていいのです。せっかくいいことをやるのだから、なぜそうあいまいにして、結局行政指導、説得、世論、こういうようなものをまってやるのなら、何もないのと同じことなんです。どうもこの辺になると依然として弱い。これは所管が厚生省になるから、そのために弱いのですか、労働省として。そんなことはないですか。
#83
○高橋(展)政府委員 この点は所管の問題ではございませんで、私どもの考え方といたしまして、育児休業を、すべての産業のすべての事業主に現在強制的にその実施を求めるということは無理である、こういう判断でございます。つまり、現在の日本の社会におきますところの育児休業の普及の状況等を見ますと、全事業所のうち、この制度と申しますか、育児休業を採用しておりますものの割合が三%程度でございます。また、特に中小企業等におきましては、これらの福祉のための制度の実施ということにいろいろの難点がございますので、一律に強行法規で、すべての事業所がこの制度を実行しなくてはいけないというようにこの法律できめるということは、私どもとしてはとらないところでございます。しかし、この制度が非常に勤労婦人の福祉のために重要で、また有効な制度であると思いますので、その推進をはかり、また事業主には必要に応じてこれを採用するように勧奨してまいる、この程度にいたした次第でございます。
#84
○島本委員 この中ではっきり進歩的であると思われるのは、第三章の(職業指導等)並びに(職業訓練)、こういうような点においては、やはりなかなかこれは進歩的だと思う。それと、いまの(妊娠中及び出産後の健康管理に関する配慮)、九、十、十一条、これあたりはこの法の目じゃありませんか。この目に当たる重要な場所が、結局は最後になったら泣き寝入りしなければならないというのじゃ、これはマヤブキの花、実も葉もないような状態になってしまうおそれがありませんか。ですから、女性は泣くのになれているからといって、こういうようないい法律を出して泣く手はないのですよ。せっかくそこまでいったならば、この目玉商品、この目玉に当たる条項、こういうものに対して、はっきりと具体的に事業主に責任を持たせることを規定して――これはやらなくてもいいなら、これは載せなくてもいい。せっかく、三%しかいってないのを必要によってやらなければならないなら、必要な場所には責任を持たしてやらせる、これぐらいの強い配慮がないとだめです。それでなくても、法律を守りたくない人たちが多いのですから。その場合には、これでやって、これはほんとうに目玉商品であり、りっぱだ、こう考えるのはまだまだ私は甘過ぎると思う。これはあなたを思うがゆえに言うのです。ですから、こういうようなことに対してははっきり考えておいていただきたい。何にもならないですよ。訓示規定、その訓示規定がきかなくても行政指導、行政指導がきかなくても説得、説得に応じなければ世論操作、世論操作に応じなくても何もできない、こんなのじゃだめです。これは全女性のために言うのです。
 では、七条、八条、これは福祉の措置、幸福追求の措置ということになります。これはどういうようなことでございますか。現在職業安定機関ではこういうようなことをやっておらないのですか。職安局でやっていないからこれが必要なんですか。職安局長、この辺は少しはっきりさしていただきたいと思います。
#85
○道正政府委員 安定局といたしましては、先ほど来御議論がありますように、現在の雇用状態からいきまして婦人の占める地位が非常に重要である。しかし一方、婦人についてはいろいろ男子と違った事情もございまして、適職というものもおのずからあろうかと思います。そういう意味で、安定所におきましては婦人の職業指導あるいは職業紹介につきましては、たとえば特別のコーナーを設ける等のことをいたしまして適職にごあっせんをするということをやっている次第でございます。
#86
○島本委員 では、やっているのに、七条、八条は、局長、どうして必要なんでございますか。
#87
○高橋(展)政府委員 第七条の職業指導あるいは第八条の職業訓練の条文に関しましては、もちろんすでに職業安定法によって一般的な職業指導が行なわれ、また職業訓練法によりまして一般的に職業訓練が行なわれて、女子も配慮されぬわけではないのでございますが、特に女子に対してきめこまかな職業指導あるいはきめこまかな職業訓練というものを今後展開してまいりますために、この法律において特にここに職業指導と職業訓練の条文を設けまして、入念にそのことを規定いたした次第でございます。
#88
○島本委員 では、これがなければ、職安局ではこういうようなことをいままでやらなかったのですか。
#89
○道正政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、安定所におきましては婦人に適した職場にごあっせんするように従来ともいたしておりますが、今後ますますその福祉が充実される、特に婦人の福祉をこの際大いに抜本的に向上しようという趣旨から、この勤労婦人福祉法案におきましてさらに一そうの努力をするという趣旨で規定されたものと考えます。
#90
○島本委員 それでは答弁にならないのです。これがなければやらないのか。いままでやっていても不足なのか。どうも要を得ない。これがなければやれないのか。いままでやらなかったのか。法的にやらなくてもいいからやらなかったのか。こういうきめこまかい規制を受けなければやれないのか。どうもそうでもなさそうでもあり、ありそうでもあり、どうなのか、私のような凡夫にはちょっとわかりかねるのだ。ですから、それを聞いているのですよ。これを上乗せしなければやらないのですか。上乗せしなくてもやれるのですか。だから、やれるのだったら、いままでやらなかったのはあなたの怠慢ですか。こうワクをかけられたら、今度一生懸命やるということですか。前と同じ態度ですか、どうですか。
#91
○道正政府委員 先ほど来お答えいたしておりますとおり、従来ともやっておりますが、今後、婦人福祉が重要であるという意味から、さらに一段とやるという趣旨でございます。
#92
○島本委員 では、そこはわかりました。そこはわかったけれども、これで終わったんじゃありません。福祉の措置はやはり必要であって、いまの答弁はその場のがれでしょう。そうでなければ、上乗せをしなければやれないものでもないとするならば、予算をとるのに都合がいいということになるのか、それとも、いままでやらなかったのは怠慢だったのか。とにかく、これは現在の職安法に上乗せをするわけでしょう。そうしてきめこまかくする、こういうようなことになって、あなたはこの規定と職安法の規定と両方受けるわけですね、局長。
#93
○道正政府委員 第七条に明文の規定がございますように、職業安定機関はこういうことをやるというふうに書いてありますから、当然法律の施行後は、職業安定機関としてきめこまかな指導をするということになろうと思います。
#94
○島本委員 わかりました。しかし、これはやはり、職業安定機関としてふだんから、こういうようなことをあえて指摘されなくとも、ちゃんとやっておかなくてはだめです。この上乗せ規定をやらないと動かないなんていけない。ことに、女性を擁護するために上乗せ規定を置くなんというのはもってのほかである、こういうように思いますから、十分気をつけて今後もがんばってもらいたい。
 それと同時に、職安局に聞きますが、政府が港湾労働法に基づいて雇用を保障している登録日雇い港湾労働者について、特に勤労婦人の福祉を十分配慮すべきであると思うのですが、まず就労の実態についてこれを解明してもらいたいのです。現在登録されている日雇い港湾労働者のうち、女子の占める割合はどうなんですか。これらの女子の労働者はどのような仕事に従事していますか。福祉の実態はこれによって上がっておりますか。
#95
○道正政府委員 港湾労働法が施行されております六大港におきまして、登録日雇い労働者のうち女子は約八百名、一三・五%となっております。六大港の中では、特に関門あるいは名古屋港等が多くなっております。
 これらの女子労働者が従事している職種でございますが、いわゆるばらものを袋詰めする作業のうち、これも港湾関係の用語でございますが、受屋、針屋、あるいは船内・沿岸の入鍬その他雑役作業を行なっております。
 ただいま先生御指摘の、女子の福祉との関係はだいじょうぶか、こういう御質問でございますが、職業紹介にあたりましては、労働基準法あるいはそれに基づく規則等に定めるたとえば重量制限等の規定は十分守るように、法令あるいは就労制限の規制を課せられている職場には使用しないように指導しておるつもりでございます。
#96
○島本委員 女子港湾労働者が、就労が禁止されているような重量物の取り扱い業務にも就労しているということをちょいちょい仄聞するのですけれども、これは基準法の精神から見ても、こういうようなことはあってはならないはずです。労働省としては、女子の日雇い港湾労働者の職業紹介にあたっては、女子の特殊性を十分考慮して、女性に適した職場というようなものをまず考えてやる、こういうようなことでなければならないと思うのです。特に、重労働的な仕事に従事している、一人で三十キロも四十キロもあるようなものを持ち上げるというような作業に従事している、もうすでに法律によってもこういうようなことはしてはならないことになっているものも現にやっているというようなことを仄聞しておりますから、これはやはりこの法律の精神からいっても、これから十分注意して指導すべきであると思いますが、この点等手抜かりはございませんか。
#97
○道正政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては今後とも十分留意いたしまして、かりにも法令違反の職場に就労する、勤労婦人の福祉に反するというような事態がないように、今後とも十分配意してまいりたいと考えます。
#98
○島本委員 それで専売局のほうでは、今後二交代制にして、朝の六時から二時まで、二時から十時までというふうにして婦人労働者を受け入れる準備をして、十月からこれを実施するかのように聞いているわけでありますが、これはやはり婦人福祉の関係とあわせてこの勤労婦人福祉法の精神にのっとると、このやり方は少し逆行していませんか。この内容をお知らせ願いたい。
#99
○泉説明員 専売公社におきましては、現在全国に製造工場が三十八工場あるわけでございますが、それらにつきまして労働組合と協議いたしまして合理化を進めております。
 お話の二交代制というのは、その三十八工場のうち、いわゆる私どもで北三工場、南三工場と申しておりますが、北の三工場と南の三工場につきまして二交代制を導入したい、こういうことで組合と協議いたしまして、一昨年二月から協議いたしまして一昨年の十月に意見の一致を見まして、北三工場につきましては本年の十月から、また南三工場につきましては明年の十月から二交代制に移る、こういうことを考えておるわけでございます。
 お話しのように、二交代制にいたしますと早出組とおそ出組ができまして、早出組は夏の期間は六時半から十四時二十九分まで、おそ出組は十三主五十一分から二十一時五十分まで、そういうふうに勤務することになりますが、婦人少年労働者の深夜業禁止の規定には反しない範囲でこういう二交代制を実施したい、こういう考えでおるわけでございます。
#100
○島本委員 それをそのまま実施すると、育児の問題や保育の問題については十分配慮してございますか。
#101
○泉説明員 お話しのようにその問題が起きますので、専売公社としましては、製造工場におきましては現在託児所を設けておりますが、普通の工場でございますとおおむね五時で終業いたしますので、託児所もそれまででございますけれども、二交代制を導入する工場におきましては就業時間中に託児所を設けておく、こういうふうに考えております。それから、普通の工場でございますと託児施設に三歳児までを預かることにいたしておりますけれども、二交代制の工場におきましては六歳児まで、就学するまで預かる、こういうことを考えておるわけでございます。
#102
○島本委員 そうすると、その工場の近所にいる人たちばかりならばよろしゅうございますが、ラッシュの中を子供を抱いてきてその保育所に預けなさるのですか、それともそういうような人に対しては預からないということになるのですか。その点、晩の十時ということになると、あるいは早出だと午前六時以降ですから、この点は保育状況、婦人の肉体的な影響も考える場合には、やはりこの勤労婦人福祉法の趣旨に少し反するようなことに相なりやせぬかということをおそれるわけですが、その点等については配慮してございますか。
#103
○泉説明員 お話しのように、そういった点が問題になりますので、まず二交代制勤務に従事することができないような女子職員が出てまいります。これらの女子職員につきましては、昼間の日勤作業につかせる、あるいはその工場の近くの日勤のできる事務所へ配置転換する、そういった考慮を行ないますと同時に、二交代制勤務に従事するそうした職員につきましては、通勤バスを運行いたしましてそういうことの便宜をはかっていく、こういうことを考えておるわけでございます。
#104
○島本委員 そういうようなことに対しては労働省は、この勤労婦人福祉法を実施する上で何か考えなければならない点があると考えますか。その措置等、それでよろしゅうございますか。
#105
○泉説明員 勤労婦人福祉法の趣旨を考えますと、現在組合との間で労使協議中でございますけれども、たとえばまだ専売公社としては育児休業制度を設けておりません。この育児休業制度を設けたいということで、目下労使協議中でございます。
 それから妊婦の健康診査制度は労使で協議の結果、二交代制移行に伴いましてこれを導入することにいたしました。そのほか、勤労婦人福祉法の趣旨を体しまして、今後いろいろ努力してまいらなければならない点もあろう、このように存じております。
#106
○島本委員 どうですか高橋局長、いまのようなのが同じ官庁の中で行なわれんとしておるのですけれども、それに対する十分な配慮はお考えですか。
#107
○高橋(展)政府委員 一般的に申しまして交代制勤務であるとか、あるいは特殊な時間帯の勤務を設けます場合には、やはり勤労婦人の家庭生活との関係について事業主は十分な配慮をしていただきたいと考えます。その場合労使で十分に話し合いをされることが何よりではないかと考えております。
#108
○島本委員 もう少しその間に一本、これだけは犯してはならない基本的な問題であるということを何かうたっておいてもらいたいですね。
 それから、なお最後に、これは十時までつとめる人だったら、その保育所は十時まであるのですね。
#109
○泉説明員 正確には九時五十分で終了することにいたしておりますが、九時五十分までつとめますので、そのつとめる間は保育所を開いておる、こういうことでございます。
#110
○島本委員 くどいですけれども、やはりその場合バスでやっておるのでしょうね。そのまま子供を連れてお帰りなさいなんということにならないでしょうね。
#111
○泉説明員 先ほど申し上げましたように、通勤バスを運行する考えでおります。
#112
○島本委員 では、次に林野庁あたりはいかがですか。林野庁あたりでもいまいろいろと、山の人とそれからいわゆる事務に当たる方と人数がほぼたいたいになっておるようです。そしてこのうち女子労働者も相当数おられるようでありますけれども、今度それを、考え方によると、これは漏れ承りますと全部一般の請負に回してしまうのだ、こういうようなことを聞くわけですが、これあたりになると勤労婦人福祉法に相反するようなことになりはせぬかということをおそれますけれども、これはどういうようなことになりましょうか、林野庁のほうからこの解明を求めます。
#113
○山下説明員 林野庁におきます作業員の中で現在女子は総数から見まして約二四%、四分の一弱程度婦人の方が働いておられます。いま先生が御指摘になりました国有林野事業の今後の経営のあり方につきましては、御承知のとおり現在林政審議会において御審議を願っておるところでございますけれども、まだこの林政審議会の国有林部会において鋭意御検討を願っておる過程でございまして、今後のあり方についての方向をまだお示しいただけるまでには至っておりません。しかしながら現に雇用しております国有林労働者の雇用安定に配慮しながら合理的な事業実行ができるように、林政審議会の御審議も通じながら鋭意検討しているところでございます。まだ、御指摘のように請負の方向を出しておるというところではございません。
#114
○島本委員 やはり山に働いておられる人の数は意外に多いのです。約五千人ほどだと承っておったのです。そうだとすると、もっと多いかもしれませんが、以前から直営直用の原則、こういうようなことで努力されておったのですけれども、造林までは林野庁で、伐採関係は別なんだという考えもおありのようで、その部分を全部切り捨ててしまう、請負に回すというような方向をとるとすれば、勢い婦人労働者に対して今度は労働強化を来たさせることになります。やはり初めから国会できまったとおりに、その事項の運営に対してはまじめにやってもらわないといけないと思うのです。この点、特に勤労婦人福祉法案を通して林野庁にこれは要請しておきます。少なくとも国会の場合は国権最高の機関でありますから、官庁といえども国会できまったこと、きめられたことは守らねばなりません。直営直用の原則、これを約束され、それをはっきりさせながら、審議会にゆだねられて、その結果が、向いている方向ははっきり部長もわかるだろうし、われわれもわかる。そのしわ寄せを今度は一般労働者、婦人労働者のほうへ向けてはならない。このことだけははっきり要請しておきたい、こう思うのですが、この点よろしゅうございますか。
#115
○山下説明員 林政審議会においてどのような検討結果をいただくことになりますか、私どもまだわからない現状でございますから、いかような方向になりましょうとも、国有林に働いております労働者の雇用安定につきましては、当然、先生御指摘なさるまでもなく私ども今後十分留意をしてまいりたい。ことに、それとの関連におきまして婦人労働者に過重労働がいくというようなことにならないように十分配慮してまいりたい、このように考えております。
#116
○島本委員 そういうふうにして十分配慮してやっていただきたいと思います。
 次に、運輸省関係では現在でも婦人の船員――この婦人の船員の場合は、すべてこれは労働省を離れて皆さんの単独立法によって、運輸省関係の法律になっているように承っておりますが、この婦人の船員の労働条件、その他福祉に関しては、この法律によって、その関連においてどうでしょうか。何か考えがはっきりございましょうか。
#117
○栗山説明員 船員のうちの女子船員につきましては、船員数約三十万人おりますけれども、そのうち女子船員が約千五百名程度ございます。それのほとんどがいわゆるカーフェリーのサービス部門として乗り込んでおられる女子船員でございまして、その他の船につきましてはタンカーに百名程度、それから貨物船にやはり百名程度、これはほとんど船の運航業務ではございませんで、船内での家庭生活に近いようないわゆるサービス部門の職種がほとんどでございます。ただ船員の職場につきましては、陸上労働と違いまして、職場と住居が一緒になっているということから、いわゆる家庭婦人が船員という業務につくというのは非常に困難性がございます。乗り組んでおります船員も独身女性の方々がほとんどでございます。そういう面からある程度、勤労婦人福祉法と全く同じではないけれども、同じような必要な点についてはいろいろな福祉施策というものが必要だというふうに考えているのでございます。
#118
○島本委員 その点に関しても、ソ連あたりでは、港に船が入ってくると往々にして見受けますけれども、やはりわりあいにそこは洗練されて、何の不自由もなく女子船員が乗り込んでやっておる。そういうような場合が日本ではあまりないようですけれども、福祉もそういう対策も十分考えられておるようでありますから、今後この勤労婦人福祉法が出たのを契機にしてその点等に対しても再点検をやっていただきたい。このことを強く要請しておきます。
 それで、これは先ほど言った中で、児童福祉法その他勤労婦人の福祉に関連する法律との関係はどうなっているんですか。同じ福祉に関する法律の関係、これはどういうふうになってございますか。
#119
○高橋(展)政府委員 勤労婦人福祉法といいますか、勤労婦人福祉という問題は、労働関係の法律、施策に限りませず、厚生行政における児童福祉その他と密接な関係があるところでございますので、それらの関係する法律あるいは施策と相まって福祉増進つとめてまいる、そのような関係でございます。
#120
○島本委員 そうすると、これは厚生行政と本法案に基づく施策との関係はどういうふうに理解しておいたらよろしゅうございますか。
#121
○高橋(展)政府委員 この法律を施行するにあたりましては、厚生行政と密接な連携を保ちながら進めてまいりたい、このように考えております。
#122
○島本委員 先ほどの各省からのいろいろな事業計画や実態でおわかりのとおりなんです。今後保育所というものに対しては地域保育所の充実ということが相当重要視されるのじゃないか、職場だけを重要視しては、通勤その他の面でなかなか困難な点もあるので、婦人の福祉を考えるならば、保育所の整備充実、こういうような計画が最も重要なのじゃないか。こういうふうな点については一体どういうふうにお考えでございましょうか。この際ですから十分配慮した御答弁を願いたい。
#123
○松下政府委員 いま御質問の地域保育所の点につきましては、現段階におきまして四十六年十二月一日現在で約一万五千カ所、定員が百二十八万人という数になっております。ただ先生先ほどから御指摘のように、勤労婦人特に結婚しております勤労婦人の数が著しく増加してまいりまして、現在の数でもなお相当の不足を来たしておるということは私どももよく承知をいたしておりまして、昭和四十六年度を初年度といたしまして百六十二万五千人を目標といたします五カ年の緊急整備計画を策定いたしまして、すでに二年目に入っております。四十六年度実績を見ましても、大体計画どおりの進捗を見ておりまして、五十年度までに地域の保育所を充実いたしまして、保育にかける児童につきましてはそういう保育所でお世話できるようにということで、勤労婦人福祉法の趣旨を生かしまして、いま高橋局長お話しのように相提携いたしまして、婦人と子供の福祉に遺漏のないよう進めてまいりたい、そのように考えております。
#124
○島本委員 相提携し、相まってというのは、さっきから盛んに言っているんだけれどもどうなのか。相提携するのはわかった。相まってというのはさっきから何回聞いてもわからぬのだけれども、相まって連携してというのは、これはこの法律をよくするのじゃなくて、よくなるのを待って婦人の福祉の向上をはかるというのですか。相まってというのがどうもその点ではまだ疑問になっているわけです。相まってというのはどういうことなんですか。今度はあなた言ってごらんなさい。
#125
○松下政府委員 私はただいま提携してと申し上げたつもりなんですが、ことばは同じことだと思いますけれども、相まってということばを申し上げたとすれば、それは両方で努力いたしながら、なおかつ他省庁の施策の内容を十分理解いたしまして、両方が理解し協力をいたして相ともに進めていくという意味で申し上げたつもりでございます。
#126
○島本委員 先ほど私はほんとうにいい答えを初めにもらったと思うのは、福祉という考え方で局長はかってないような格調の高いりっぱな答弁をなさったのです。ですから、職場の婦人に対して、働く者として幸福を享受させるということ、ここにあるのですから、少なくとも福祉という観念に対しては、これを指導するか、そうでなければ足らざる点を相まってじゃなくて、進んでいってそれを直させるか、いずれかにしないと、本来の趣旨が泣いてしまうのではないかと思うのです。相まってというのは、何か相手が出てくるのを待っている、相手を待つから相まってじゃないですか。ですけれども、そういうのじゃなくて、ほんとうに福祉を追求するためならば、働く者としてのしあわせを享受させるためのものであるならば、そういう施設が不足ならそこへ出ていって強化させる、充実させる。そうして行政的な措置が欠けているならば、それを全うさせる。こういうようなことは相まってじゃないですね。進んで、積極的にという積極姿勢が本案にはないのじゃないですか。答弁の中からも引き出せない。私はこの点に対しては今後一そうの奪励努力を期待したい。それと同時に先ほどの幸福、この意義はわかりました。よりベターになる。わかりました。けっこうです。したがって憲法に基づいていろいろ男女の差別的な扱い、こういうものの禁止を含めて、労働基準法、児童福祉法、母子保健法、こういう関連法をよくするかまたはそれを上回るような内容が盛り込まれていく、これがほんとうの勤労婦人福祉法案の実体でなければならぬと思うのです。相まって相まってといって、悪ければ悪いようにこっちのほうが待っておって、その相まってではさっぱりわからない。私はほんとうに画竜に点睛するというような一つの指導力、また相手がそうしなければそれに対して罰を加える。これに盛らなければ内閣に大臣を通して持ち出していって、この問題に限ってはすぐ閣議できめて強力な行政権を発動させる、こういうことぐらいあってしかるべきであって、そういうことぐらい考えているかと思ったらそれもない。これではほんとうに私としては残念なんです。
 もう一つ最後にこれだけは指摘しておきたいのですが、母性がいま一番心配しているのは子供でしょう。児童福祉法第二条に「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」これははっきりきめられているでしょう。それから児童権利宣言の前文の中には「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負うものである」これにもきめられている。にもかかわらず現在児童の置かれている立場、それから児童の福祉法というようなものに対しての関連、こういうようなものが相まってというような関連で行なわれるならば、せっかくこの勤労婦人福祉法というようなものができても、何にもならない。
 実例を出しましょうか。児童福祉の危機が叫ばれているのでございますけれども、いま行政の貧困が――局長、指導すると言いますけれども、行政の貧困がまだまだ子供や母にしわ寄せされているのが現状なんです。本年度も厚生省は、全国の児童福祉施設に対して、措置費、事務費支弁について、暫定定員制を実施した。この施策は、わが国における児童福祉全体を後退させるばかりでなく、児童福祉法の基本理念にも反する結果を招来するものである。こういうことを指摘されている。肝心のこういうような問題をそのままにしておいて、いかに指導しようとしても、罰則もない、指導を聞かなくてもそのままだ。最も重要な母、最も重要な子供、この子供に対してでもまだまだ不十分な児童福祉法そのままの状態に放てきされてある。それに対してはっきり手を差し伸べて、よくするための行政指導でもあるのかと思ったら、それもない。相まってと待っている、こういうような状態ではほんとうに私は残念なんです。まして昭和四十二年八月一日現在、厚生省による全国の母子世帯調査、これでは、母子世帯数五十一万五千三百世帯、うち母子寮の入寮希望者が七%に当たる三万五千九百世帯、それから母子寮の全国定員は一万百九十九世帯、定員の三倍近い世帯の入寮が必要なんだ、こういうようなことになっておるわけです。そしてだんだんこの情勢も変わってきて、現在のところでは、この母子関係の不幸が毎日、新聞にもう出ないこともないほどです。大きい問題では、四十六年十二月十三日に長野県中野市で、交通事故の後遺症を苦にして父親が寝室にガソリンをまいて一家心中をはかり、母親と九歳、三歳の子供を焼死させて、父親自身は重体になっておる、こういうような状態を招来させるような社会状態なんだ。それだけじゃない。これまた四十六年十二月二十日、東京都の渋谷区で、父親の運転する車の助手席にいた生後一カ月半の赤ちゃんが車からころげ落ちて即死している。なぜそうなったか。アパートでは子供ができたら立ちのくという条件で入れられている、そして赤ちゃんが夜泣きをするので困るということを苦にして連れ出した運転中の事故だ。これはただ単に不注意だけでは済まない社会問題なんだ、母子関係の問題なんです。まだまだ実態をあげればたくさんある。まだこういうような児童福祉法そのほかの状態をそのままにし、法の中の欠陥をそのままにしておいて、そうして勤労婦人福祉法、罰則もない、ほんの訓示規定、なければならないというようなことであっても、結局はやらなくてもどうにもしようがないようなこの勤労婦人福祉法に画竜点睛を加えるように運営するためには、おそらくは相当今後の決意と重大なる関心を持って臨まなければ、これはとんでもない、何にもならないものになってしまうおそれがある、このことを私はおそれます。したがって、これは発想としていいところにできているでしょう。いいでしょうけれども、しりが抜けている。技けているところを、今度ていさいを合わせることによって表面だけよくして、あと見たならばからっぽである、こういうような法律案では何にもならない。私はもうこれに対して、今後審議の過程において十分ほんとうの名にふさわしいような法律にし、実行にあたってはほんとうに世の勤労婦人の福祉とは、幸福にすることである、この基本理念にのっとって、ほんとうに画竜点睛を欠くことがないように運営をする、こういうようなことにしてもらうことを私は心からお願いして、私の質問をこれでやめるわけであります。
#127
○森山委員長 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後直ちに再開いたします。
   午後一時三十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時四十五分開議
#128
○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 まず、公聴会開会承認要求の件についておはかりいたします。
 ただいま当委員会において審査中の健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について公聴会を開きたいと存じます。
 つきましては、公聴会開会について議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお、公聴会の開会日時、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#131
○森山委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。
 ただいま当委員会において審査中の健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について、委員を派遣し、審査の参考にいたしたいと存じます。
 つきましては、議長に対し、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#134
○森山委員長 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。
#135
○山本(政)委員 前回の質問で、国庫の負担金をめぐって、五%の問題をめぐって、これを国保それから日雇健保、あるいは政管健保、これを給付費ベースに直してみて一体おのおの国庫負担が何%になるか、あるいは総医療費ベースに直して、国保、日雇、政管の各健保がパーセントにして幾らになるかというお尋ねをいたしたわけであります。
 そこで、お伺いいたしたいのですけれども、せんだって大蔵省のほうから御説明がありましたけれども、まずお伺いしたいのは、国保に限ってのみ、なぜ総医療費ベースで計算をなさっておるのか、まず第一点にお伺いしたいのは、そのことであります。
#136
○戸澤政府委員 健康保険、日雇健康保険に対する国庫補助のやり方と、国保に対する国庫補助のやり方が違っているわけでございまして、健保、日雇健保のほうは給付費に対して補助をするというのに対しまして、国保は総医療費に対して補助をしておるのでございます。
 この仕組みの相違は、沿革的な理由に基づくものでございまして、健康保険は、最初は被保険者本人だけに対しまして十割の現物給付をしておったわけでございます。それが途中から家族に対しまして、付加給として現金給付をいたしまして、五割を償還するといういき方をとっているわけでございます。それに対しまして、国保のほうは、本人と被扶養者の区別なく、全部を被保険者としてとらえておるわけでございます。
  〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕
したがいまして、国保は本人も家族も十割給付というたてまえのもとに、そのうち三割を自己負担させておるという制度の仕組みになっておるわけでございます。いうなれば、健保、日雇のほうの家族は給付率が五割でございますが、国保のほうは全部が十割給付で、そのうち三割を自己負担させておるというたてまえの相違もあるわけでございます。そういうことで、これに対する国庫負担もまた、実際に給付している政管健保、日雇につきましては、給付費に対して負担をし、国保のほうは総医療費に対して負担をしておるということになっております。
#137
○山本(政)委員 渡部主計官にお伺いしますけれども、いまの保険局長のお答えで間違いございませんか。予算のことですから、経過的な、沿革的ないきさつというものは、主計官のほうも御存じじゃないかと思うのですよ。ですから、そういう意味からいえば、保険局長のいまの説明で間違いないかどうかということを実は確認をしたいわけです。
#138
○渡部説明員 お尋ねの点につきましては、ただいま戸澤局長おっしゃいましたとおりでございます。
#139
○山本(政)委員 そうすると、お伺いしたいのですけれども、国保よりか要するに日雇健保というのは、何と申しますか、被保険者というのは、はるかに条件が悪いはずであります。そうすると、国保に対して被保険者総員、全部に対してそういうふうに考えておるというならば、なぜ日雇健保に対しても、そういうふうな考え方が出てこないのだろうか。つまり条件が悪いのだったならば、日雇健保に対しても当然国保に対してと同じような考え方が出てくるはずだと思うのですけれども、日雇健保の場合には給付費ベースになっている。これは一体どういうわけですか。その辺は一体どう説明していただけるのでしょうか。
#140
○戸澤政府委員 日雇健保は、たてまえが政管健保と同じたてまえになっておるわけでございまして、つまり本人に対しては十割の現物給付、それから家族に対しては、いわゆる五割の償還制度をとっているわけでございます。したがって、これが国保に比べて国庫補助が少ないかどうかということは、この負担率が適当であるかどうか、三割五分という負担率が適当であるかどうかという問題であろうかと思うのでございまして……。
#141
○山本(政)委員 違うのです。私はあなたがたてまえ論だと言うから、実態論として、実際には国保よりか日雇健保の被保険者というものは、条件として悪い条件にあるだろう。そうすると、国保に対しては、総医療費ということで全部の被保険者に対して考えた結果が、国保の給付はそういうふうになったのだというお話だった。とすると、日雇健保はより条件が悪い人たちが受給しているわけですから、給付を受けているわけですから、そうすると、そういう考え方からすれば、実態論としては総医療費ベースとして考えるのがほんとうの考え方ではないだろうか。つまり率からいえば、なるほど日雇健保というものは国保の負担率よりは高いですよ。国保よりかは高い。しかし、考え方としては、そうあるのがほんとうではないだろうかという質問なんです。
#142
○戸澤政府委員 そういう制度の沿革からしまして、給付費に対する補助のしかたと、総医療費に対する補助のしかたというふうに分かれておるわけでございますけれども、これがどちらが適当であるかということは、その沿革あるいはその保険集団の性格、対象、そういったものから見まして、一がいにどちらがあるべき姿であるということも言えないのではないかと思われます。
#143
○山本(政)委員 いいですか。あなた方は保険というものを将来一本化させようというお考えを持っているわけです。そうして、当面出てきているものは職域保険、地域保険、当初においては――そうして老人に対する保険というふうなお考え方が出てきているわけです。そうして、あり方からするならば、健康保険というものは一本化されることが望ましいというお考えを持っていると思うのですよ。その場合に、それじゃ国保については総医療費ベースでやります、日雇健保については給付費ベースでやります、政管健保についても給付費ベースでやりますということには、将来なっていかぬのじゃないか。結局は総医療費ベースか、あるいは給付費ベースか、どちらかに一本化しながら、そうして将来のあなた方の構想からすれば一本化、あるいは地域保険、あるいは職域保険というふうに、ずっと統合されていくというお考えに当然論理的になっていくと思うのですよ。その統合されたときに、片一方は給付費ベースでまいります、片一方は総医療費ベースでまいりますということにはぼくはならぬと思うのですよ。そうでしょう。主計官、どうですか。それは当然筋からいったら、そうなるはずなんですよ。
#144
○渡部説明員 将来の姿がどういうかっこうになっておるかを想定してみなければ何とも言えませんが、これはいま戸澤局長がおっしゃいましたように、一応制度は別でございまして、沿革的に違うたてまえで制度が仕組まれておるということによって、片や給付費ベースの国庫負担、あるいは片や療養費ベースの国庫負担ということになっておりますが、かりにこれが今度制度が統合されまして、一本の健康保険制度になりますれば、当然これはどちらかのかっこうのものになるだろう、こういうふうに考えます。
#145
○山本(政)委員 そうすると、前回の私の質問で、給付費ベースによるのか、あるいは総医療費ベースによるのか、いずれでもいいから、率というものを一本化して一ぺんお示し願いたいということで、実はお示し願って、最後の主計官の御答弁というものは給付費ベースの御答弁をいただいたわけです。それじゃ総医療費ベースの御答弁を実はいただきたいと思うわけです。
#146
○渡部説明員 総医療費ベースで、この前もお話しいたしましたように、事業主負担分といわゆる国庫負担分と合わせましたもので比較いたしますと、政管健保の場合は総医療費ベースでは四三・六%になります。日雇健保は六三・五%になります。国民健康保険は、これは療養給付費補助金で四〇%、財政調整交付金で五%、合計四五%ということになります。
#147
○山本(政)委員 それじゃ主計官にもう一ぺん伺います。
 将来の形として、いずれにしても一本化しなければならぬとするならば、現在もしそれをとり縛るとするならば、あなたとしては給付費ベースのほうをおとりになるつもりなのか、あるいは総医療費ベースとしてのほうをおとりになるのか、その辺はどうお考えになるのか。
#148
○渡部説明員 これはかなりむずかしい問題でございまして、療養費を支払う仕組みをどのようにするかということにもよろうかと思います。
 先ほどお話がございましたように、健康保険の場合は、いわゆる自己負担分を除いた保険給付を原則的に十割なら十割、それから家族の率は五割分も含めて、それを保険給付と見て、そして自己負担は保険給付とは別途の負担と見ておりますから、保険給付をもとに国庫補助をしておるということになります。片や国民健康保険の場合は、十割の給付をやって、そのうち実は三割分は患者から取るということになっておりますから、したがって療養費をベースに国庫負担を計算しておるということになっておるわけでございまして、そのたてまえのいずれを統合したかっこうの姿でとるかということにつきましては、これはまだ制度的にかなり検討しなければならないと思いますが、いずれの方針ということはちょっと申し上げかねます。
  〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕
#149
○山本(政)委員 いま総医療費ベースでお話がありましたね。国保の場合、総医療費ベースでいけば四〇%ですね。それから日雇でいけば六三%、そうして政管でいけば四三%、そうですね。
 それじゃひとつお伺いいたしますよ。厚生大臣のせんだっての御答弁では、国民健康保険というのは政管健保に比べて条件がはるかに悪いのだ、そうおっしゃいましたね。だから、給付率については差があるのだ、つまり国保のほうが給付率がいいはずである、こうおっしゃりたかったのだろうと思う。そうじゃございませんか。それをちょっと確認したいのです。
#150
○斎藤国務大臣 ちょっとすみませんが、もう一度。
#151
○山本(政)委員 私が国民健康保険と政管健保と比べて、国民健康保険に比べてみて、政管健保というのは条件的には、つまり給付を受ける人たちの被保険者の状態というのは、ほとんど変わっていないじゃないか、こういうお話をしたはずなんです。そうしたら大臣のお答えは、国保の被保険者のほうが実は条件的には悪い人たちが多いのだ、こういうお答えをいただいたと私は思うのです。そうでしたね。したがって、国保のほうが国庫補助の率というのは高いのだ、こういうお答えをいただいた、こう思うのですよ。そうじゃございませんでしたでしょうか。
#152
○斎藤国務大臣 私は補助率まで触れて申したかどうか知りませんが、私の感覚としては、健保にいる人よりも国保にいる人のほうが所得水準が、平均すれば低いのじゃないかというように確かに私は申しました。
#153
○山本(政)委員 私はいま確認いたしましたように、渡部主計官からお答えがありましたけれども、国保は四〇%ですよ。そして日雇は六三%、そして政管は四三%ということになると、政管のほうが、少なくとも医療費のベースからいけば、国庫補助率が高いということになるのです。そうしたら、あなたのお答えとは違う結論になってくるわけであります。それは調整金が入ってくるから、そういうことになるので、実際は四〇%ということです。これは主計官がお答えになっているのです。それは違うじゃありませんか。少なくとも医療費ベースからいけば、大臣の御答弁と、実際に出てきた医療費ベースにおける国庫補助率とは違うのですよ。この点、一体どうなんです。それは大臣の答弁ですよ。
#154
○斎藤国務大臣 五%の調整金もやはり国保の補助金のうちだと思うのです。そうすると、国保は総医療費に対する四五%になるわけですね。そうじゃありませんか。政管は医療費ベースにして四三%になるのかどうか私は検討していません、主計官はそうおっしゃっていますけれども……。そして、それだから補助助がどうだこうだというのじゃなくて、私の感じとしては、これは計算が非常にむずかしいと思うのです、国保の加入者の平均所得というものと、それから健保の加入者の平均の所得と比べますと……。そういう意味で考えると、国保のほうが、加入者の平均所得は政管に入っている人よりも――私は健保全体を通じて言ったのじゃないかと思うのですが、政管のほうが高いと私は思います。
#155
○山本(政)委員 私は速記録をちゃんと参考にしながら申し上げているのですから……。
#156
○斎藤国務大臣 それは意識して政管と言ったかどうか存じませんが、平均したら、そうじゃないだろうか、これは私の想像ですと言っただけのことです。数字ははっきりつかんでおりません。
#157
○山本(政)委員 だから、私はちゃんとこの前の速記をもとにして御質問しているのですから……。あなたのお答えがそうであるということを速記が証明しているわけですよ。しかし、いずれにしても五%というのは調整金なんですからね。これは市町村の段階にまでずうっと散布せられるわけです。
#158
○斎藤国務大臣 調整金も国保全体に対する補助金の一部であって、それをどう使うかということであって、総医療費の中の四五%というのは、全体としてはこれは補助金になっている、私はかように思います。それは調整金だから補助助じゃないというわけではないと思います。
#159
○山本(政)委員 総医療費ベースというのは、保険料プラス患者負担ですね。そうじゃございませんか。
#160
○斎藤国務大臣 総医療費というのは、保険料でなしに、保険給付に要した保険から給付されるものと患者負担を合わしたものが総医療費、さように了解をいたしております。
#161
○山本(政)委員 答えはそれでいいのですか。保険給付プラス患者負担でいいわけですね。それじゃ、その患者負担というのを入れることの是非論ですよ。医療費ベースで計算するほうが正しいのか、あるいは給付費ベースでやるのが正しいのかという議論になってくるとぼくは思うのです。
#162
○斎藤国務大臣 それはどちらが正しいとかいうのじゃないんじゃないでしょうか。やり方が両方ある、どちらでもやり方があるというわけであって、どちらが正しい、どちらが間違うているというのじゃないだろうと私は思います。
#163
○山本(政)委員 それじゃ、どちらでもいいのだというのだったら、あなたのおっしゃるように給付費ベースでいきましょう。給付費ベースでいくと、この前のお答えは、国庫負担は国保の場合が五七%、日雇の場合が六七%、政管の場合が五二%、政管の場合は五%の国庫補助でそうなるわけですね。かりに一〇%国庫補助にしますと五五%にしかならぬわけですよ。五%の国庫補助の場合には五二%、正確には五二・五%、一〇%の場合にしてすら五五%にしかならない。そうしたら、この前の質問に戻りますけれども、なぜ一〇%ということにできないのだろうか、定率国庫負担を五%というみみっちい数字じゃなくて、なぜ一挙に一〇%ぐらいのことには引き上げられないのだろうか。それにしても、なおかつ国保と政管の間の差というものは、かなりあるはずです。そうでしょう。これはお答えに主計官のほうからお伺いしたほうがいいかもわかりませんですね。
#164
○渡部説明員 おっしゃるように、計算を、たとえば政管健保を一〇%の国庫補助にいたしまして、給付費ベースで事業主負担と国庫補助を加えますると、五五%になろうかと思います。国民健康保険とのバランスで政管健保の国庫補助をきめる――きめるといいますか、そのバランスをとって考えるべきであるという御議論はあろうかと思います。
 われわれも、いろいろな社会保険の各形態の中でそれぞれの保険の実態に沿って、被保険者の実情なり、あるいはその制度の実質的な仕組みの差というようなものを念頭に置きながら、バランスのとれたかっこうの国庫補助にすべきであろう、これは確かにそう思っております。ただ、それを計数的に、それじゃ国民健康保険の国庫補助率、給付費ベースに対しまして療養費補助は五七・二%になりますが、それでは政管健保が五二・五で低いということになるのか、あるいは、それは五七%に合わすべきであるかどうかということになりますと、これは両者の性格が、被保険者の実態も違いますし、そこら辺をなかなか数字的に、それじゃどこら辺の率でバランスがとれているかということになりますと、必ずしもわれわれとしては明確な結論は出しにくい、かように考えておるわけでございます。
 今回五%の国庫補助をきめました経緯といたしましては、従来の定額国庫補助の場合の率に対する割合等を参考にし、かつ、今後の措置としましては、これに加えて、累積損失のたな上げ、赤字国庫負担というような措置、それらを総合勘案いたしまして五%の率にした、かような次第でございます。
#165
○山本(政)委員 いまのお話でお伺いしますけれども、総医療費ベースでいったときには、どなたかが、四五%だ、こういうお話であった。そして厚生大臣も、四五%、五%の調整金が入っているから、こういうお話であった。では四五%でやってみましょう。国保の場合には四五%の補助、政管の場合には四三・八四%。そうしますと、ここでは一・一六%ぐらいの差しかないわけですね、両者のパーセンテージの差というものは。そうでしょう。給付費ベースでいけば、このままで五%の国庫補助でいくということになれば、五%の差があるわけです。そんなに差のつくものだろうか。一〇%にしたときに初めて二%という数字が出てくるのですよ、給付費ベースでは。そうしたら、比率からいって妥当かどうかということははっきりきまっているでしょう。少なくとも一〇%にするということは妥当じゃありませんか。そうなりませんか。少なくとも数字というものだけの比較からいけばそうなるでしょう。
#166
○戸澤政府委員 現状の国庫負担率を数字的に比較すればそういうことになるわけでありますけれども、国保の国庫負担につきましては、基本的に、事業主負担がないというところが被用者保険と違っておる。それからもう一つは、一人当たりの所得を比べてみますと、国保のほうが政管健保よりも低いというような事情もありまして、従来、国庫補助のつけ方としては国保のほうに手厚いような傾向があったことは事実でございます。それで、国保は三十六年に皆保険になりましたときに二五%の国庫補助であったわけですが、その後、結核、精神について七割給付するとか、あるいは全体を七割給付するというような給付改善のたびごとに、これがだんだんふえてまいりまして、現在の四五%になったというような経緯があるわけでございます。したがいまして、これを数字的に比較して、現状から見てどちらが高い低いというようなことは、理論的になかなかすっきり割り切れないのではないかというふうに考えられます。
#167
○山本(政)委員 それではお伺いしますけれども、いま私が申し上げたのは、各保険の制度の事業主負担と国庫負担のこれを足したものの相当分の比率の比較なんですよ。ですから、事業主負担のある、なしの問題ではないわけなんです。私は何も、国保に対して国が手厚くやることはけしからぬ、そう言っているんじゃないのですよ。あなたのおっしゃるようなことからいけば、少なくとも総医療費ベースからいくならば、非常に薄いのですよ。手厚くないのです。どこが手厚いということが言えますか。かりに四五%とっても、政管は四三%ですから、どこが手厚いということが言えるのですか。
#168
○戸澤政府委員 私は国保のほうが手厚いというふうに申し上げたわけでありまして、国保については事業主負担がない、その分を国が見ているということでございます。それじゃいまの国保の国庫負担四五%のうち事業主負担分にかわるものがどれだけかというようなことは、必ずしも数字的にはっきりしているわけじゃございませんので、そういう事業主負担がないというような事情も加味して、また、一般に政管健保に比べて低所得が多いというような事情を考慮して、国保のほうが比較的手厚い結果になったのであるということを申し上げたわけであります。
#169
○山本(政)委員 だから、国保が手厚いのはけしからぬと言っているのじゃないですよ。比率だけからいえば、国保はもう少し国庫負担があってもよさそうなものだ、こう言っているのですよ。あなたは手厚いとおっしゃっているのだけれども、私は、この比率からいけば手厚くないと言うのですよ。つまり、国庫負担プラス事業主負担という比率からいけば、相当分ということで比率を出したわけだから、そこからいくならば、手厚くないではないかと言っているのです。どこが手厚いのですか。あなた方は手厚いとお思いになっているのですか。事業主負担分だけ出しているから、それだけ手厚いというのだったら、それはおかしな話ですよ。こんがらかさないでください。もう少し整理して答弁してください。
#170
○戸澤政府委員 これでもって完全に十分であるとは申せないかもしれませんけれども、調整交付金も含めました四割五分というものをもとにして考えますれば、給付費ベースでは六四%の国庫補助になっているということでございまして、これは各社会保険の国庫負担の均衡から見まして、そう低くはない負担ではないかというふうに考える次第でございます。
#171
○山本(政)委員 話をもとに戻しましょう。
 そうすると、このあとに抜本改正というものが出てくる。将来、厚生省の考え方からいけば、三本の柱にした保険体制というものをつくろうというお考えがあるようです。そのときにあなた方は、そういうことに対して給付費ベースでやるのか、あるいは総医療費ベースでやるかということはお考えにならないで、ただ頭の上で三つの柱にするというふうにお考えになって話を進めているのですか。そんなに定見のないお考えというもので今後の健保の制度というものをおやりになっていこうとされているのか。まだ先のことだから検討しておりませんというのか。そういう柱を三つお立てになるのだったら、当然出てくるのは、給付費ベースでやるのか、あるいは総医療費ベースでやるのかというぐらいは、当然頭の中から出てくるはずだと思うのです。そういうものが裏づけがなければ、健康保険制度というものは出てこないはずでしょう。それを何もお考えにならぬで、ただ職域保険、地域保険、そして老人保険というふうに抽象的にお考えになってきたわけですか。その点はどうなんですか。
#172
○戸澤政府委員 確かに御意見のような考え方でもって整理をする必要もあろうかと思いますけれども、各種保険の給付率をどういうふうに見るか、それと自己負担をどういうふうに考えていくかという、制度のあり方にもいろいろ関連する問題でございまして、自己負担というのは、まあ十割現物給付の中でもって、そのうちの一部を自己負担させる。中の問題でございます。それから、現在政管健保でやっておりますような療養費払いの方法、これは給付率を五割なら五割、七割なら七割ときめて、そのうちの何割を償還するかという問題でございまして、この制度のたてまえにはいろいろ考え方があるわけでございます。
 今度の抜本改正の考え方としましては、従来の各保険の制度のたてまえをそのまま踏襲して考えているわけでございますけれども、将来の問題としては、確かに検討すべき問題であろうと思う次第でございます。
#173
○山本(政)委員 実は私はきょう質問したいほんとうの本旨というのは、総医療費ベースということで考えるということの妥当性ということもちょっと疑問に思っているからお伺いしているわけですよ。つまり総医療費ベースにいった場合には給付費プラス患者負担、こう言っているけれども、その患者負担の中には三割とか五割とかという負担が保険によってありますね。そのほかに当然一部負担というものもあるでしょう、そのワク外にもう一つ。そうじゃありませんか。そのワク外にあるはずだ。たとえば初診料とかあるいは入院時の負担とかというものがあるはずなんですよ。そんなものを一緒にひっくるめて、そして保険料プラス要するに患者負担ということで総医療費としてそこに定率で引き直して出すことが、つまり総医療費ベースとして出すことが正しいことなのかどうなのか。ベースとして考える場合には当然給付費ベースでいかなければならぬのではないだろうかというのが私のばく然とした考えなんです。その点を固まっていないというのだったら、固まっていないということで、大体もう一ぺんあなた方のお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。それをお伺いして、私は次に進みたいと思うのです。
#174
○斎藤国務大臣 先ほども申しましたように、どちらが正しいかどうかという、これは考え方の問題だと思うのですね。いまおっしゃいますように、保険で負担をする給付のうちで幾ら国が負担をするかという考え方のほうがわかりやすいと思うのです。そのほうがわかりやすいと思うのです。総医療費のうちで幾ら国が負担をして、そして保険から幾ら負担をして本人に幾ら負担をさせる、この考え方もあります。ありますが、しかし普通考える場合には、保険者に対して負担をするという考え方をとれば、保険者の必要とする総金額の幾らをあるいは何%を国が見るかという行き方のほうがわかりやすい、私はそういうように考えるのですけれども……。
#175
○山本(政)委員 それは違うと思うのです。単にわかりやすい問題じゃない。単にわかりやすい問題だけで要するに負担をかけられるとか、あるいは国庫の補助率が違ってくるというのは困ると思うのです。少なくとも総医療費ベースでいけば、国保と政管の問い。パーセンテージの幅は非常に違ってくるわけですよ。少なくなってくるわけです。ところが給付費ベースでいけばかなりな差が出てくるわけです。だから、いずれをとるかということによって国庫の負担率というものは、国庫の補助の率というものはかなり違うのですよ。そこに問題があるでしょう。ですから、国民がわかりやすいとかわかりやすくないとかということじゃないのです。国が負担をするかしないかということが、まさに問題なんです。国が負担をしないで、そうして被保険者に負担をかぶせる、そのことが問題なんです。だから給付費ベースでいくならば、五%ではきわめて少な過ぎるという数字がそこに出るわけなんです。そして定率は少なくとも一〇%以上にしなければおかしいという数字が出るわけですよ、数字的には。しかしそれを、厚生省か大蔵省かどちらか知りませんよ。結局どこかでやっちゃって、そして御自分のほうに都合のいいベースだけおとりになって計算をされるということは、ぼくは納得いかないというのです。給付費ベースでいけば、当然あなた一〇%していいはずじゃありませんか。――ちょっと待ってください。主計官もいまさっきさようにお答えになった、当然考えられ得る。厚生省じゃないのです。問題は大蔵省が金を出さぬからそうなってくるのです、ぼくに言わしたら。もし総医療費ベースでいくなら、国保というものは非常に手厚くないという結論が出てくる。給付費のベースでいくならば、要するに五%の定率負担などというのはまことにみみっちい国庫負担という結論が出てくるわけですよ。なぜ一〇%以上の国庫負担というものができないのかというのです。
 だから渡部さんにたいへん失礼でありますけれども、総医療費ベースをおとりになるのだったら、要するに国民健康保険のことについては大蔵省としては無視しているんです、国保の人たちに対してはあまり考えていないんです、こういうお答えが出るはずだと思うのです。給付費ベースにするならば、もう少し政管にはパーセンテージを上げて国庫負担をしますというお答えが出るはずなんです。一体どちらをおとりになるかということをぼくは聞きたいわけです。
#176
○渡部説明員 先ほどもお答え申し上げましたのですが、政管健保と国民健康保険の国庫補助率のあり方をどうやって数量的に比較するかという非常にむずかしい問題でございまして、われわれも従来からあまりこういうことをやったことはないわけでございます。別にそういう意味でどういうベースに直して、総医療費にするか、あるいは給付費ベースにするかということは考えておりません。たまたま片一方は給付費ベースになっておるものだから、医療費ベースで数字的に出してみるというだけの問題でございます。
 そこで問題は、それじゃこの数字を見て一体どういうぐあいに評価するかということであろうかと思いますが、これは確かに社会保険の中の各種の保険の中で、一体それに対して税金負担からどれだけの国庫補助をするかという問題は、それぞれの保険の中身をじっくり検討して実質的なバランスをとるということになるわけでございまして、そうなりますと、それを数量的にどのように評価するかというのは非常にむずかしい問題であろうかと思います。もちろんそれは検討しなくちゃならないわけでございまして、それらを念頭に置きながら国庫補助の率をきめるべきだと思いますけれども、しかしながら直ちにいま出ておりますこういう数字をもとに、したがって国民健康保険の補助率がどうだとか、あるいは政管の五%がどうだというふうに、そこに直ちに結びつけることは若干困難ではなかろうかというふうに考えております。
#177
○山本(政)委員 大蔵省からいま答弁があったのですけれども、大臣、医療費ベースでいくのか給付費ベースでいくのかということについて将来、それじゃ厚生省としては検討する用意がありますか。お考えいただけますか。そうしないと将来にわたって混乱したことがずっと重なっていくわけですよ。そして私の賛否は別として、かりにあなたのおっしゃるような職域保険とかそういうことをあなた方がお考えになったときに、一体どこに基準を置いてそれをやるかということができなくなるはずなんです。そうすると、要するにそういう問題について、給付費ベースでいくのか総医療費ベースでいくのかということについての基準というものをお立てになる考えが将来おありになるのかどうなのか、そのことを聞かせておいていただきたい。
#178
○斎藤国務大臣 いわゆる国保とそれから健保、被用者保険、この均衡をはかるという際には、やはりどちらかに統一して考えて均衡をはかっていかなくてはならない、かように考えます。おっしゃるとおりだと思います。
#179
○山本(政)委員 そうするとこの段階では、重ねてしつこいようですけれども、給付費ベースでやるか総医療費ベースでやるかということは、いまのところは、まだわからぬというわけですね。
#180
○斎藤国務大臣 さようでございます。それは、ただいま健保のほうでは給付費ベースでやっておりましたから、そこでただいまお出ししているのは、まずその赤字対策の問題でございます。いままで定額であったものを少し増して定率にすれば、いままでよりも手厚くなるのじゃないか、その程度の考えでいま財政対策として、赤字対策としてお願いしておるわけでございます。
#181
○大原委員 関連。いままで赤字問題を何回も議論してきて、そういう認識はおかしいですよ。大蔵省もおかしい。つまり、いままでの保険制度が成立した経過の中には、いろいろな問題があるのですよ。あるのだけれども、保険料の負担と給付についてバランスをとっていこうという考え方が一貫して抜本改正の中にあるはずなんです。これは形式的なものではなしに、実質的なものとしてあるべきはずです。
 そこで私は関連質問ですが、集約的に質問いたしますと、あなたは医療保障の問題はまた別の角度から議論しなければならぬけれども、つまり保障的なものと保険的なものとをミックスしていくのだ、調整をとっていくのだ、こういう話です。保障的なものというのは、所得の再配分です。つまり三兆円の総医療費をどこで負担するかという問題です。公費で負担する医療費の比率をどうするかという問題です。保険制度の自主運営する点をどういうふうにまぜ合わせていくかという問題であります。そうすると、保障的な面というのは何かといえば、つまり所得の水準とか、年齢構成とか、疾病構造とか、そういうものを頭に置いた考え方です。そうでしょう。そういうものを基礎にして公費を導入していくのでしょう。公費導入も、皆保険がずっと経過をたどっているけれども、皆保険になった今日においては、公費で負担する面はどういう原則で負担をして底上げをしていくか、保険料負担と給付の均衡をはかっていくか、こういうはっきりした観点でもって、一貫性のある制度をつくるべきである。これが、これからの一つの大きな課題である。この中で赤字対策も考えるべきである、医療費の負担も考えるべきである、こういう考え方でやることが私は正しいと思うのです。
 そういうことについて行きあたりばったりのようなお答えがあったけれども、これで赤字対策云々、公費負担は、五%は改善です、こういう不見識な議論は私はないと思うのです。そのことを議論するのは国会のつとめである。このことに対して大蔵省や厚生大臣もはっきりした答弁をすべきである。私の集約的な見解に対して大蔵省から先に答弁してもらって、厚生大臣ひとつ……。
#182
○渡部説明員 社会保障の中において、医療に対してどういう考えで臨むべきかというお尋ねでございますが、社会保障の中におきます国庫負担のあり方というものはいろいろ議論のあるところでございまして、われわれがいろいろな審議会あたりの意見も見ておるわけでございますが、社会保障では最低生活の保障といいますか、そういう意味で救貧的な社会保障給付というものを最も優先的に税金財源から投入すべきである。そういう意味で生活保護、そういうふうな救貧的な措置がまず公費で支弁すべき最優先のものであると思います。それから続きましては、いわゆる社会福祉施策と呼んでおりまするが、防貧的な措置がこれに当たるわけでございまして、いろいろな施設をつくるとか、そういうような措置がこれに当たろうかと思います。さらに社会防衛的な意味で、公衆衛生といったような点につきましても、大いに公費を投入して社会防衛をすべきである。
 問題は、社会保険につきましてどういう考え方で臨むかということでございまして、医療につきましては、これは日本のみならず、諸外国におきましても保険制度というものを導入いたしまして、いわゆる社会保障をやっておるわけでございますが、その場合に保険料負担と、いわゆる国庫負担、税金財源からどのように給付の財源を生み出していくかということにつきましては、いろいろな考え方があろうかと思います。
 先生よく御存じだと思いまするが、ヨーロッパにおきましても保険料に重点を置いておる大陸型の医療保障の制度と、あるいはイギリスのナショナル・ヘルス・サービスのような税金、一般財源から保障するというやり方と、いろいろございます。わが国の場合は、これは沿革的に保険制度というものは原則的には保険料を自主財源といたしまして、いわばヨーロッパ型に近いようなかっこうでいままで運営されてきておったと思うわけでございますが、しかしながら、その途中におきまして、国民皆保険の要請のもとに、いわゆる国民健康保険制度のようなものが生まれました場合には、先ほど来議論になっておりますように、かなり高率の国庫負担が行なわれているというようなこともございまして、一がいに型がわが国の場合、大陸型であるということも言えませんし、将来それがどういうかっこうに行くべきかということにつきましては、いろいろ議論のあるところだろうと思います。
 いずれにしましても、保険料で負担してもらうか、あるいは税金で負担するかということにつきましては、これは非常に議論のあるところでございまして、われわれとしましても、そこら辺につきましては、十分将来の日本の社会保障のあり方、あるいは他の社会保障給付の優先度というようなものを総合勘案しながら検討しなくちゃならない、かように考えております。
#183
○斎藤国務大臣 私も大体いま大蔵省からお答えのあったとおりに考えております。
#184
○山本(政)委員 前回の質問で私は差額ベッドの質問をいたしました。差額ベッドが一般化していることは、もう実質上の差額徴収制度である。そうしてこれは法違反であるということを指摘したつもりであります。同じように保険医療機関でありながら付添看護をつけなければ入院できないという現実がある。これは私は問題であると思うのでありますけれども、厚生大臣にお尋ねしたいのですが、基準看護の指定を受けた病院でありながら、患者負担の付添看護をつけなければ入院ができないという現実、そういう事実についてどうお考えであるのか、まずこの点を質問いたします。
#185
○斎藤国務大臣 基準看護の病院で付き添いをつけなければ、病院では看護できませんということはあってはいけないことだ、かように考えます。
#186
○山本(政)委員 それじゃお伺いいたしますけれども、大臣が直接管轄をしておる国立の大病院の、たとえば国立東京第一病院にたくさんの付添看護がおりますが、これは承知しておられますか。
#187
○松尾政府委員 先ほど大臣おっしゃいましたように、基準看護の承認を受けておる病院でございますから、付き添いをつけるということは、これは保険法のたてまえからいっても違反であります。ただ実態といたしまして、非常に重症化いたしましたときに、いわゆる看護ということではございませんが、家族等がそばにいたい、これはやはり認めなければならぬ場合があると思います。そういうような形は国立病院の場合でもございまして、国公立の場合では、そういうケースはどうしてもあると思います。
#188
○山本(政)委員 患者が、家族じゃありませんよ、職業の付添看護を依頼した場合には、どれほど自己負担をしているか、医務局長でけっこうでございます、御存じでございますか。あるいはその他の方でも、どれだけ負担をしているか御存じの方があれば教えていただきたい。社会局長でもけっこうです。
#189
○加藤政府委員 これは四十六年九月の調査でございますが、看護補助者、専門の看護婦ではございませんが、看護補助者をつけるという場合に平均の一日の料金が千八百二十八円という数字がございます。
#190
○山本(政)委員 社会局長のお答えの千八百二十八円というお話ですが、東京都における付添看護料の基準というものを申し上げます。看護婦の資格者が一日三千五百二十円であります。准看護婦の資格者が一日三千八十円、無資格者が二千七百五十円であります。重症の場合には、ほかに割り増し金がつくというのがいまの東京都の実態ですよ。あなた方は何にもそういう点について把握しておられないのですか。もう一ぺん社会局長お答えください。
#191
○加藤政府委員 いま私が申し上げましたのは全国平均でございまして、これは地方によりまして看護料金というのは非常に区々でございます。これは四十六年の四月でございますけれども、安い地方では、たとえば熊本あたりでは、これは看護助手でございますけれども、一日千五百円というようなところもございます。高いところは神奈川の二千二百円、東京も大体そのくらいでございます。そういうように非常に全国で区々でございます。さっき申し上げましたのは、それを平均いたしまして千八百二十八円という数字が一応あるわけでございますが、先生御指摘のとおり、たとえば東京だけということになりますと、これより相当高いだろうと思います。
#192
○山本(政)委員 ですから、そういう費用を払わなければならない。そして現実にそういうことが起こっているんですよ、大臣の直接管轄されておるところで。これは一体どうなるんです、大臣。
#193
○斎藤国務大臣 基準看護の認定を得ながら、そして基準看護料をとって、そして看護婦をつけなければ入院させませんというようなあり方があってはならないわけでございますから、そういうことがもしあれば、ないように是正をしていきたいと思っております。
#194
○山本(政)委員 いま私は東京の場合の金額をあげたが、付添看護料が一日三千数百円ですから、高い場合ですね。そうすると一カ月十万円ですよ、十万円こえるわけであります。この改正の中で保険料が上げられる、特別保険料がとられる、標準報酬の上下限が変わる、そういう負担の中でもう一つ、実際に一般の勤労者が月に十万円の金を何カ月もずっと払っていけるのかどうだろうか、私はそういう点でたいへん不審に思うのです。どうやってその人たちは払っていけるのかどうか。保険医療機関ですよ。そうして基準看護です。そうして患者負担の付添看護を必要とするというのは一体どういうことなんでしょうか。先ほどの話じゃありませんけれども、それじゃ付添看護料というのは保険で負担をするのですか。それが第一点。
 それでなければ、基準看護を取り消す以外に私はないと思うのです。あなた方がせっかくおつくりになっておる基準看護というものは取りやめる、これしかなくなっちゃう、しゃくし定木に言えばですね。そうなるほかないでしょう。いまの二点をお伺いしたいと思います。
#195
○戸澤政府委員 保険のほうで基準看護を認めている、承認を受けている病院につきましては、付添看護料というようなものは払えないわけでございます。ただ、その付き添いがどういうような実態で行なわれているか。先ほど医務局長が答えましたように、本来の看護業務以外のことでもって家族が付き添うというのと同じような意味で、いろいろな雑用に使うというようなことでもってつけられる場合には、これは保険給付外の問題でありますが、別に特に問題にすることはなかろうと思います。その付き添いの実態がどのようなものであったかという内容によりまして、保険の立場からの処分というものはケース・バイ・ケースでもって考えているわけでございます。
#196
○山本(政)委員 たいへん抽象的な答弁です。いいですか。基準看護というのは付添看護がいないことが原則でしょう。もし付き添いがいれば、これは基準看護を受けられないことになる。基準看護の指定を受けていなければ、付添看護料というものは保険で給付しなければならないわけですね。そうですね。ところが実態はそうじゃないということ。それからもう一つは、先ほど申し上げたように、そういう直接管轄しておる中で、看護料というものをとられながら付添看護をつけなければならないという実態があるということを私は申し上げているのです。あなたが抽象的にそういうことをおっしゃっているけれども、現実にこれはあるから私はお伺いしているんです。看護業務というものの、そういう要するにワクというものが、ある意味では非常に微妙な点があると私は思います。だけれども、少なくとも看護婦の資格者の人に三千五百二十円も出しているという実態というものは看護業務をやっているわけでしょう。そうしてそこは基準看護は行なわれておるというところなんです。そうしたらおかしいじゃありませんか。現実に行なわれている事実をあなた方はどうなさろうとするおつもりなのか。
#197
○戸澤政府委員 お話のとおり基準看護を認める場合というのは、その病院の看護婦でもって本来の看護業務が遂行できるという見通しのつけられるところについて承認しているわけでございますから、そういうところでもって付添婦に看護業務をやらせるというようなことは許されないことでございます。ただ患者の希望あるいは病態によりまして雑用的なことをさせるために手助けの人を置いているというケースは、これはたくさんにあろうかと思いますけれども、本来の看護業務をそういう付き添いの人たちがやっておるということになれば、これは当然基準看護の取り消し、そういったような処分をしなければならぬと思います。
#198
○山本(政)委員 付添看護をやっているという人は、単なる日常的な身の回りの世話だけじゃないでしょう。いわゆる看護というのは、ある意味では実際には拡大して解釈してやらなければならぬのが運用の実態じゃないのですか。基準看護では付き添いは置けないことになっている。
 それならば大臣のほうにお伺いいたしますけれども、あなたは保険者の立場です。それで国立病院というものを統轄している立場にある。それじゃ国立病院に付添看護が要るということについて、保険者の立場として国立病院の基準というものをお取り消しになるのかどうか。まさかそんなことはできないだろうと思うのです。それじゃ基準看護をそのままとするならば、付添看護料というものを国立病院で負担するのか、どちらなんでしょう。
#199
○斎藤国務大臣 基準看護をやるというたてまえになっておれば、そうすれば付添看護婦を雇わないで入院をさせなければならない。ようございますか。しかし病院の看護婦だけではもの足りないから、派出所から看護婦を自費で呼んで置かせますというような場合に、それは保険の立場からは禁止する必要がないわけであります。それはしかし保険からは払わない。問題は付添看護婦を雇わなければ入院させませんよということであれば、これは不都合である。そういうことのないように、基準看護という看板をかけている以上は、付添看護婦なしに入院はさせなければならない。本人がつけたいという場合には、それを拒否するかしないか、これは病院の診療のあり方だと思います。診療のあり方としてそういうよそ者を雇ってくれては困るというて拒否をするか。しかし、それを黙認して認めているかどうかというのは病院の診療のあり方だ、かように思います。
#200
○山本(政)委員 それじゃお尋ねいたします。
 過日、国立の小倉病院に入院の患者が、基準看護の国立病院でありながら付添看護料というのを個人負担するのは不当だと厚生大臣に訴えた。一カ月くらい、これは厚生大臣が握りつぶしたのか、だれが握りつぶしたのか知りませんが握りつぶした。しびれを切らして総理大臣に訴えた。そうしたら初めて取り上げられた。厚生大臣にその訴えを発送したのは三月一日、御返事がないので総理大臣に四月一日に発送した。それじゃ、なぜ四十日近くも患者さんに答えるのをほっておかれたのか、この辺私は理解がつかないのですよ。どうしてほっておかれたのか。
#201
○松尾政府委員 生活保護法問題もからんでおりますけれども、御指摘の国立病院に関連する問題でありますので、経過を一括して私から御答弁申し上げます。
 患者さんのお入りになったのは昨年の十月でございますけれども、ほかから転院をしてこられた。それで当初におきましては、病院内で全部やるということでございますけれども、御主人のほうがどうしても家族を付き添わしてくださいということで、三月までは家族の方々が了解を得ておったわけでございます。ただ、その間に家族の方にも支障が出てきたということで、病院側としては自分のほうでやりますという姿勢であったようでありますけれども、やはりいままでもあったので、これは何とか公費でやれないか、こういう話であった。それで大臣あてのお手紙をいただいておるわけでありますが、医療扶助を受けておられる方でありましたので、社会局の保護課のほうにそれが回りまして、すぐ県のほうに実態の照会をいたしております。そのあと保険と医務と社会、三機関におきまして、この問題につきましていまの実態について検討いたしております。その中には、やはりこういうような場合に、何か特例として認めていただけないかというような御趣旨の手紙も入っておったということもございまして、具体的にこの家族の付き添いができないということに対してどうするかということと、そういう特例についてどうするかということと、両面で検討しておったようでございます。率直に言いまして、そういう段階で少なくともこれは病院が責任を持つべきだという意見が出かかっておったのは当然のことだと存じます。
 率直に申し上げますと、実は私の耳にこれが入りましたのは四月十四日でございます。私ははっきり申し上げまして、その場でこの問題についてはすべて国立病院の側の責任でもって看護をやるべきであるという判断を下し、その日のうちに連絡をとりました。病院側の責任でもって、体制でもって、この看護をやるということを決定いたしたわけでございます。その間、ただいま申し上げましたように、いろいろ検討の時間が課の段階でありまして、おくれましたことは、私も残念だと思います。しかし私どもが聞きました範囲では、直ちに即決いたしまして、その後その付き添いの方がなくて済むような体制をとったわけでございます。
#202
○山本(政)委員 国立病院課長がおわびの手紙を出している。その中に「厚生大臣の指示により、」として、「病院の医療の一環として十分な看護を行なうことが最善の方法であり、国立小倉病院においては患者負担による付添いを廃止し、奥様の看護に万全を期する措置をとることといたしました。」こう書いてある。これに間違いありませんか。
#203
○松尾政府委員 そのとおりの文面を出したと思います。
#204
○山本(政)委員 これは大臣の御指示でございますか。
#205
○斎藤国務大臣 病院課長がどんな手紙をどこへ出したか私は知りません。それから私は、こういうことがあってなかなか解決していないようだ、そこで総理のところへそういう手紙を出したということを聞きましたから、その前に私のところへそういう手紙が来ているということを私は聞いておりません。関係のところで、これは生活保護の関係だから生活保護のところでいろいろなことをやっていたようです。聞いてみたところが、こういう検討になっているということでしたから、いま結論は、こういうように出かかっているということで、半分指示したような、もう指示したときには結論が出ていたような、というような状況でございました。
#206
○山本(政)委員 そうすると、大臣が御指示をなさったことは間違いないわけですね。
#207
○斎藤国務大臣 私が聞いたときに、大体こういうように解決しようと思っていますということでありましたから、半分指示であったのか、指示しなくてもそうなったのかわかりませんが、そんな状況でございます。
#208
○山本(政)委員 そうすると、重ねて私お伺いしますけれども、付添看護というのは病院の医療の一環であるということ、これが第一。第二は、患者負担による付き添いを廃止するということ。これは大臣は全く御存じないわけですね。御存じないわけですね。
#209
○斎藤国務大臣 私は、基準看護であるなら付き添いをつけなければ入院させない、そういうようなあり方をやっているなら、これは違反じゃないかと言ったところが、そのとおりです、そうでないように解決をいたすことになっていますということでございました。
#210
○山本(政)委員 私は手紙は持っているのですよ、実は。重ねてお伺いいたしますけれども、病院の医療の一環であるということ、患者負担による付き添いを廃止するということ、この点については、それじゃ大臣は、すでにやっておったかやっておらぬかということは別として、御指示をなさったとかなさらないとかいうことは別として、この二点については、当然そうあるべきだということは間違いないのかどうか。
#211
○斎藤国務大臣 それは間違いございません。付き添いは医療の一環である。基準看護は全部病院でその付き添いをつけて入院をさせるということ。基準看護でない場合には、これは付き添いは患者が別にあれをする。その場合には保険として――手術後その他でどうしても付き添いをつけなければならないという場合には、それは保険で認める、こういうことでございます。これは基準看護でない場合です。
#212
○山本(政)委員 そうすると、それは約束していただけますね、くどいようでございますけれども。
#213
○斎藤国務大臣 約束というよりは、それは法律のたてまえですから、守らせなければならないと思います。
#214
○山本(政)委員 それじゃお伺いいたします。大臣のいまおことばがありました。それじゃ国立小倉病院で、付き添いを廃止して看護に万全な措置をとったかどうか。具体的にどういう措置をおとりになったのか、これをお伺いしたいのであります。大臣のいまのお約束が実は守られておらぬわけですよ。国立小倉病院でとられた措置というのは、先ほどの患者さん、名前は松下さん、この人の付き添いをはずしただけじゃありませんか。私はここにちゃんと資料があるのです。とってないですよ。おとりになったというのだったら、どういうふうに現実におとりになったのか聞かしていただきたい。
#215
○松尾政府委員 少なくともこのケースについては、私どもはもうすぐに――ほかのケースは存じませんでしたので、少なくともこのケースについては国の責任でやれ、そういう指示を出したわけでございます。直ちに病院内でも準夜勤、深夜勤の回数を、人員をふやしまして、しかもその患者さんについても十五分おきのパトロールをする、私はそういう体制が病院の中でとれるはずだという信念で、そういう強い指示を出したつもりでございます。したがいまして、私は、その後そういった点について、さらに不十分な人手であれば、病院は賃金職員等をカバーしてやるべきだ。これは病院の判断にいろいろまかせたい、こういうことでございました。その後五月に入りまして、若干そういう賃金職員を入れたということは報告を聞いております。
 そういうことで、少なくともこのケースについては、私は指示どおり行なわれたと思いましたが、いま先生の御指摘によりますと、先ほど御質問のように、一般論として病院全体がその指示に従ってないじゃないかという御指摘のようでございます。この点は、先ほど来大臣がお答えになっておりますように、私もそういう事実を承知してない点は、さらによく調べて善処いたしたいと思います。
#216
○山本(政)委員 だから私は確認したのです。付添看護は病院の医療の一環であるかどうか。間違いないというお答えがあったわけです。患者負担による付き添いを廃止する。これを何回も確認したわけであります。
 いまのお話に出た患者さんの病棟の状況というのは、これは国立小倉病院の西の二病棟、外科病棟です。定床四十八床中、入院が四十名。看護体制は病棟の婦長さん以下九名で、付き添いは、専門の付き添いが二名、家族名義で五名、付添看護が――小倉病院全体の付添看護というのは、病院の発表で専門の付添看護が十名、家族が四十名、そのうちに家族名義の人が半数近くいる。どこに大臣のおっしゃったようなことがありますか。看護婦さんも少ない。完全看護じゃないじゃありませんか。そして保険料は上がる。こういうことをきちんとやらないで、あなた方は赤字財政対策だけだ、こう言って、この法案というものは審議できますか。そして完全看護をとられますか、これで。看護婦さんだってオーバーワークですよ、もしこれをやらせようとするならば、それじゃあなた方の約束した、いま私が申し上げた二項目というのは守られてないということになります。
 つまり具体的な改善策は何もとられていない。だから松下さんという人は言っていますよ。私だけでなくて、ほかの人にも適用するようにしてほしいということをちゃんと言っている。しかし実態はそうなっておらぬ。付添看護は松下さんをはずしただけ、あとはそのままであります。看護力を増加した事実というものはないでしょう、病院自体として。つまり付添看護というものをとっただけ。とれば今度は看護力が低下することは目に見えている。そして看護婦さんにオーバーワークさせることは目に見えているわけでしょう。看護婦さんが労働強化になることも目に見えているのですよ。それじゃ、どこにあなた方の間違いないとおっしゃったのが実現できますか。
 私がお伺いしたいのは、同じ病棟に患者の負担の付き添いがおるわけです。訴えた松下さんだけが付き添いをはずされている。じゃほかの人はどうなるのか。松下さんをはずしたことは、けっこうなことだと私は思うのです。それじゃほかの人たちはどうなるのか。国立小倉病院にはほかに十名以上の専門の付き添いの方がおられるわけです。そうしたら、大臣のさっきのお話の国立の小倉病院では患者負担の付き添いを廃止しますということはないわけでしょう。守ってないわけでしょう。それじゃほかの国立病院はどうなるのだろう。ほかの国立病院の付き添いは一体どうなっているのだろう。答弁してください。
#217
○松尾政府委員 私どももたてまえ上付き添いをつけるということでもって入院を認める、こういうことをやるべきじゃないという大臣の答弁のとおりの方針でございます。したがいまして、実際にいまここに何名おりますか、的確にそういうものをつかんでいるわけじゃございませんが、ただ、いまこの小倉の例にもございますように、やはり看護力の増強をしなければならないと存じます、そういう実態があるとすれば。そのために四十七年度でも、千百名強の増員の措置をとるようになっており、すみやかにこの定員の配分ということもやって現実に看護力の増強をはからなければならないと思います。
 また同時に、いま外科病棟というお話もございましたが、病院全体の配置と申しますか、その傾斜配置ということについても、まだまだ私ども自身が研究をして改善すべき問題がたくさんあると思います。そういったことも含めまして、看護体制自体のさらに合理化をはからなければならないということで、御趣旨の線に沿うように私どもは努力してまいりたいと思います。少なくともたてまえ上、置いていかなければならないというところに、家族はいざ知らず、病院側が、これは置かなければならぬという態度でやるということは、私は絶無にしたいと存じます。
#218
○山本(政)委員 今度の改正をすることによって給付がよくなる、こうあなた方は少なくとも言っているのです。しかし現実に給付はよくなる可能性どころか、二重に患者が負担をさせられているという現実がここにある。しかも月に最低でも三万から五万くらいの負担を家族はさせられる。大きいところでは十万円くらい負担をさせられるという現実があるわけですよ。こちら側では給付の改善が若干やられるかもしれない。しかし片一方の側には、依然として大きな給付をされてないというか給付が欠けている面がある。その中で政管健保を改正をしようとしている。もしそういうことが全部改善された上なら、私は一応あなた方の話は話として理解できる。できていないじゃありませんか。しかも調査をなさると言っているけれども、小倉病院では、この事件で松下さんの付き添いをはずしただけで、看護婦は増員されてないのですよ。しかもいま申し上げた病棟の看護婦の夜勤をふやしていこう、こうなすっておる。ですから組合と病院側とが対立しているわけですよ。
 それじゃどのように解決していくのです。看護力を増強させると言うのですが、何年先になるのです、それは。ただいまそれは改善されるという見通しはないわけでしょう。大臣はいまお約束なすったけれども。約束じゃありません、断言なすったけれども、そういう実体がないじゃありませんか。そういうところで法案を審議せよ、こういってあなた方は改正案を出されておるのです。これじゃ審議できっこないでしょう、大臣答弁してください。
#219
○斎藤国務大臣 ただいま御審議願っておりますのは、これで給付がよくなるということは一言も言っておりません。給付はいままでどおりでございまして、いままでどおりの給付で、これだけの赤字で苦しんでおりますから、こういうようにいたしとうございますというので、いま御審議を願っておるわけであります。
 それとは別個に、いまの完全看護と銘打って完全看護をしていないというのは、それはいけませんから是正をさせます。そこで、看護婦が足りない、あるいは雇うこともできない、ほんとうの基準看護ができないというなら、看護婦が整うまで入院患者を減らすしか道がない。どちらをとるか、それは実情をよく知りませんから、実情をよくきわめまして、そして基準看護というものをやめるか、基準ということをやっていくなら基準看護でまかなえるだけの入院患者を入れるべきだ、かように考えます。
#220
○山本(政)委員 これで給付の改善がならぬというのだったら、なおさら悪いでしょう。保険料を上げることによって収奪する、しかも看護については、付添人に対して金を患者が負担をしなければならぬ。それならやらずぶったくりということになりませんか。看護力の増強をしますということは、抽象的にはだれだって言えることですよ。
#221
○斎藤国務大臣 基準看護と言うていながら、その基準看護が看護婦の不足で実際できないということであれば、これはベッド数を減らすしかしょうがないということを私は申し上げておるのでありまして、この法案で今度給付の内容をよくいたしますということは、これは実際言えません。現在給付をいたしておりますその給付が保険料でまかなえなくて、赤字が累積二千億、本年ほっておけば三千億になるということをお訴え申し上げて、そしてその善処をするためにこういうことをいたしたいということを出しておるわけでございますから、その点はひとつかみ分けていただきまして、そして給付をよくするということ、あるいは実際やるべき給付をしていないというものについては、やるべき給付をするようにいたさせる、こう言っておるわけでございます。
#222
○山本(政)委員 そうすると、悪いところについては抽象的に看護力を増強しますということで一応ほったらかしておく。そしていま当面赤字だから、政府はそれが困るのだから、赤字だけとにかく埋めるためには、ひとつこれだけを法案を改正してくれ、こういうことになるのだったら、(「異議なし」と呼ぶ者あり)異議なしということばがありましたけれども、私はまことに身がってな政府の態度だと思うのですよ。私はいまの大臣の答弁では不満足であります。
#223
○田邊委員 ちょっと委員長、関連。
 いま具体的な例を出して、山本委員から質問がありましたけれども、一般論として大臣の答えは、あなた方の考え方を述べているかもしれないけれども、具体例に対して、どう対応していくかという面に対する答弁としては、きわめて不満足であると思うのです。しがって山本委員も不満の意を表明したわけですから、ひとつ次回でもう一度これに対する統一的な、しかも親切な答弁をすることを私ども求めたいと思います。そういうふうに取り計らってください。
#224
○森山委員長 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#225
○森山委員長 速記を始めてください。
 次回は、明後十一日、木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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