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1971/06/02 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第33号
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1971/06/02 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第33号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第33号
昭和四十七年六月二日(金曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 森山 欽司君
   理事 小沢 辰男君 理事 橋本龍太郎君
   理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君
   理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
      秋田 大助君    井出一太郎君
      伊東 正義君    大野  明君
      大橋 武夫君    藏内 修治君
      小金 義照君    斉藤滋与史君
      澁谷 直藏君    田中 正巳君
      竹内 黎一君    中島源太郎君
      中村 拓道君    別川悠紀夫君
      向山 一人君    渡部 恒三君
      川俣健二郎君    八木  昇君
      山本 政弘君    古寺  宏君
      古川 雅司君    寺前  巖君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
 出席政府委員
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        厚生省児童家庭
        局長      松下 廉蔵君
        厚生省年金局長 北川 力夫君
        社会保険庁年金
        保険部長    八木 哲夫君
        労働省職業安定
        局長      道正 邦彦君
 委員外の出席者
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内 閣提出第九三号)
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第四八号)
 公的年金の年金額等の臨時特例に関する法律案
 (大原亨君外六名提出、衆法第二〇号)
     ――――◇―――――
#2
○森山委員長 これより会議を開きます。
 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案、国民年金法等の一部を改正する法律案及び大原亨君外六名提出の公的年金の年金額等の臨時特例に関する法律案の各案を議題といたします。
 質疑の申し出があります。順次、これを許します。古川雅司君。
#3
○古川(雅)委員 私は、ただいま議題となっております諸議案の中で、特に国民年金法等の一部を改正する法律案と、それに関連をいたしまして年金制度の一般的な問題点について若干質問を進めてまいりたいと思います。
 今日まで数々の議論がございましたが、多少重複はあると思いますけれども、この際、厚生大臣も来年は年金の年であるということを非常に強調していらっしゃる点もありますので、わが党の考え方等も含めまして政府のお考えをさらにお聞かせをいただきたいと思います。
    〔発言する者あり〕
#4
○森山委員長 静粛に願います。
#5
○古川(雅)委員 最初に、わが国の年金制度が遺憾ながらまだ過渡期にあるということは政府としても十分お認めになっているところでありますが、これが欧米諸国の年金水準の域に達するのは大体昭和六十年代と予測していらっしゃるのではないか、これまでの御発言や政府関係者の各方面での発言等を通しましても、私そのように認識をいたしておるわけでございます。どうもその内容が、いわゆる無拠出制の老齢福祉年金の受給者がピークに達する昭和五十年には、拠出制の老齢年金が厚生年金保険において八十万人をこえ、国民年金も八十五万人を大幅にこえますし、さらに昭和六十年には両制度合わせて五百万人以上になる見込みであるというような内容が、いわゆる昭和六十年代に欧米諸国の年金水準に達するという予測の中心をなしているようでありますが、これはこれだけの説明から受け取りますと、何か受給者の数がそれだけの人数に達するから欧米水準に到達するのだというふうに受け取れるわけでありますが、当然これにはそのほかのいろいろな要素も含めて相対的な水準のアップがはかられなければならないと思います。たとえば年金の実質価値等の問題もこれには含まれると思いますが、政府としては、現在のこの過渡期からいわゆる年金が完全に成熟をして少なくとも欧米諸国水準並みに達するのは、はっきり大体何年ごろと推定をしていらっしゃるのか、またそれはどういう理由によるものなのか、まずその点から御説明をいただきたいと思います。
#6
○北川(力)政府委員 わが国の年金制度は、前回の四十四年改正によりまして、国民年金並びに厚生年金ともに、制度上のレベルといたしましては一応いわゆる二万円年金ということで、国際レベルに比べてそんなに遜色のない段階に来ております。ただし、ただいまもお話のございましたように、何ぶんにも制度の発足後日が浅く、かつまた受給者が少ない段階でございますので、そういった意味では現実には制度は未成熟でございまして、今後の趨勢を考えますと、やはり受給者というものが被保険者すなわち加入者に対して相当程度の割合にまでならないと、制度全体の姿といたしましては成熟をしないと思います。しかしながら、なお、そういった自然的な成熟を待つというふうなことそれだけでいいかどうかという問題は、現在の非常に激動いたします社会経済条件のもとにおきまして老人問題というものが非常に大きな問題でございますので、やはり現在いる老人、さらにまた今後の老後の問題というふうなことで、年金の実質価値をどう維持するか、あるいはまた現在のレベルをさらにどのように引き上げていくか、またこれに伴ってどのように費用負担の問題を処理していくか、こういうむずかしい問題が多々あるわけでございます。そういったことを含めて十分検討いたしまして、はたしていま先生がおっしゃいました六十年代ということでそれが達成されるのか、あるいはまた七十年ごろになるのか、その辺十分慎重に検討する必要がございますけれども、できるだけ早い機会にそういった問題を十分に検討いたしまして結論を出して、欧米諸国並みの現実の姿に近づける、こういう努力を続けてまいりたいと思っております。
#7
○古川(雅)委員 ですから、私がお伺いしましたのは、無拠出の老齢福祉年金の受給者それから拠出制の老齢年金の受給者、これは厚生年金、国民年金を含めて大体昭和六十年代には両制度を合わせて五百万以上に達するという一つの予測がなされているわけで、受給者の人数がそこまで達するから大体この辺で欧米諸国水準並みの年金水準の域に達するんだという考え方が厚生省部内、政府部内にありはしないかということをお伺いしたわけでありまして、そういう考えはお持ちなんでございますか。それを確認さしていただきたいと思います。
#8
○北川(力)政府委員 大体先進諸国の例を見ますと、受給者の割合が、受給者が被保険者、加入者の二割あるいは二割五分程度までいっている、そういう段階がいわば成熟というサイドから見て安定した段階じゃなかろうか思っております。そういう意味合いで申し上げますと、ただいま御指摘になりました六十年という時点はまだ必ずしもそこまで、受給者が十分成熟する段階まで至っておりませんので、私どもは六十年代でもって自然的な成熟ができ上がるというふうには考えておりません。まだなおしばらく、いま申し上げましたように七十年以降までかかるのじゃなかろうか、このように考えております。
#9
○古川(雅)委員 そうすると、昭和六十年代と予想されているというような政府関係者の説明については、一応早計であると判断をしてもよろしいかと思いますが、局長のほうから大体七十年ころになるのではないかという慎重な御答弁をいただいたということで一応了解をいたしたいと思います。六十年代ということは何も私が申し上げたわけではありませんで、政府の関係の方がある出版物にそれを掲載していらっしゃったので、私はたまたまそれを引用したわけでございます。それに御異存がありましたら、あらためてまた御説明をいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、局長の御答弁の中でも年金の実質価値ということにも触れておられまして、これは今後慎重に検討していかなければならないという、そういうお話がございました。今後というよりもすでに慎重な検討は重ねられてきていると思いますけれども、これについていわゆる対物価比と対賃金比という両面があると思いますが、物価の上昇に伴う年金の実質価値の低下、それと賃金の上昇に伴う年金の実質価値の低下、これはおそらく今後五年後、十年あるいは十五年、二十年後について一応の予測を立てて年金制度の抜本的な改革については当然検討に着手していらっしゃると私は理解しておりますけれども、この点いかがでございましょう。
#10
○北川(力)政府委員 確かに年金の一番大事な問題は、その実質価値をいかに維持するかという問題だと思います。で、次期改定におきましては、ただいま申し上げましたけれども、やはり現在の年金額は何と申しましても不十分でございますので、この年金金額を相当大幅に引き上げるということが最も緊要の課題と思っております。したがって残る問題は、相当程度引き上げました年金額というものを、ただいまもお話のございましたように、なお相当続くであろうと見込まれる社会経済的な諸条件の変動という中で、いかにして実質的にその価値を保存していくかということが大切な問題でございますので、こういう問題を今度の制度改正でどういうふうに取り入れるか、どう組み入れるか、これがただいまの問題に対するお答えであろうかと思います。なおその場合におきましても、厚生年金の場合と国民年金の場合とでは制度の仕組みも違いますし、どういう仕組みをとるか、きわめてむずかし問題でございますが、そういった御指摘のような問題意識は、いま申し上げました年金額のレベルアップと実質価値を維持する、その二つの観点から十分に検討いたしたいと思っておりますし、関係審議会等におきましてもそういう立場でいろいろな議論がされているところでございます。
#11
○古川(雅)委員 この年金の実質価値の低下につきましては数々の変動の要素がありますから、一がいに決定的なものをお出しになることもむずかしいと思いますけれども、しかしこれは厚生省がすでに厚生年金また国民年金につきまして、財政の再計算の時期を繰り上げまして昭和四十八年度に実施することをめどにいたしまして準備を進めている、このように新聞報道もされております。決してそれは誤りではないと私は思いますけれども、そうした政府をあげて、経済企画庁も含めて年金部門に重点を置いて長期計画の再検討を始めているということを伺いますと、やはりある程度の年次的な推移については予測をしていらっしゃるんじゃないか、私はそう考えるのでございます。先ほど二点あげました物価の上昇、賃金の上昇について、それに伴う年金の実質価値の低下をどの程度に見込んでいらっしゃるか、これは経済企画庁等ともすでに連絡をとって、この辺の計数はお持ちになっていると思いますけれども、できればこの際ここで御表明をいただければ幸いだと思います。
#12
○北川(力)政府委員 年金問題の処理、年金制度の改善のいわば前提になります社会経済全体の推移につきましては、現在経済企画庁のほうにおきまして新経済社会発展計画を練り直している段階でございますので、そういう中に年金の問題をどのように反映させるか、これは私どものほうでいろいろ検討をいたしまして、年金局のみならず、ほかの問題にも関連がございますので、厚生省として意見を取りまとめて、そのほうに逐次連絡をして反映をさせるようなことになっております。したがいまして、現段階におきましては、ただいまお尋ねのような、具体的に今後十年間あるいは五年間どのような推移になるかというふうなことは数字としては持ち合わせておりません。しかしながら、今後制度を改正いたします場合には、いま申し上げましたように、そういった専門的な官庁の意見というものを十分聞きまして、その中でこういう問題を間違いなく、誤りのないように処理していくつもりでございます。
#13
○古川(雅)委員 大臣に伺いますが、そうしますと、厚生年金、国民年金における財政の再計算期を繰り上げた昭和四十八年に実施するというめどをつけていらっしゃることと、さらに、いま非常に強く叫ばれております年金額の実質的価値を維持するためにいわゆるスライド制を導入しなければならない、ぜひこれを実現すべきであるというその議論、これは当然今後の年金の実質価値の低下の予測を踏まえて、どちらをとるか。今後その財政の再計算期をどんどん縮めて、そしてスライド制にまで移行をしていくという一つのプログラムなのか。あるいはまた、この際再計算期の繰り上げにとどまらないで、やはり思い切ったスライド制の導入というものを近い将来、すなわち昭和四十七年にでも四十九年にでもはっきりと導入することを、その見通しを立てられるのかどうか。経済企画庁からの検討の結果を待ってというようなことでは、これは進まないのじゃないかと思いますけれども、この辺のかみ合わせをどうお考えになっているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
#14
○斎藤国務大臣 スライド制を四十八年度から実施するかどうかということに対しましては、私は結論から言いますと、四十八年度からスライド制そのものを実施させるということは困難であろう、かように考えます。いま関係審議会等におきましても精力的に検討をしてもらっておりますが、これは他の制度にも影響いたしまするし、またその検討の結果直ちにできるということは非常にむずかしいのじゃないだろうか、率直に言ってそういう感じがいたします。そうかといってスライド制の検討をおろそかにするわけではございませんが、見通しといたしましてはやはり、財政再計算期をできるだけ縮めて、そして物価給与というものの上昇におくれないように改善をしていくというようなやり方になるのではないだろうか。私は、これはまだ想像というか、いまのばぐたる見通しでございます。
 年金問題は、まあ来年は年金の年だと申します意味はおわかりいただけると思いますが、そういう意味で年金の大幅な改善を福祉年金を含めてやりたい。そして年金というもののあり方をもっとはっきりさしていくという必要があろう。それにはいろいろの問題点がありますことは昨日も申し上げたとおりでありますが、具体的にどうという点はまだ検討中でございますので、ここで申し上げる段階ではございませんが、スライド制についてはそのような、これは私個人の見通しでございますが、まだ十分審議会の答申もいただいておりませんし、いろいろ問題が多いという程度しか私はただいま考えておりません。
#15
○古川(雅)委員 私がお伺いしているのは、いわゆる年金額の実質的な価値を維持していくということは、これは年金制度において最も大事なことであるし、従来これが維持できなかったことに国民の大きな不満が集中しているわけであります。この際これはもう大英断をふるって、政府としては大幅な発想の転換をはからなければならない点だと思います。しかも、これはもちろん何にど、スライドさせるかという大きな問題もまだ未解のまま残されておることも私了解しておりますし、先ほどの物価の上昇あるいは賃金の上昇についても正確な予測一つなされない、そのデータをあげることができないというような大きな難点があることも理解はいたしますけれども、少なくとも今日恩給や共済組合年金等につきましては毎年のように引き上げられておりますし、それに比べまして厚生年金やこの国民年金が、少なくとも財政再計算期を待たなければ年金額の引き上げをできない。その額についても十分であるかどうかという議論は、それはまあ別にいたしましても、その辺の不公平といいますか、その辺の格差については非常に納得のいかないところでありますし、厚生年金が四十六年の十一月に初めて暫定的に平均一〇%引き上げられました。国民年金についてもことしの改正の内容で一部その考え方が取り入れられておりますけれども、これはやはりこの際はっきりと制度化していくことが適正なスライド制の導入への足がかりになるのではないかという感じを持つわけであります。いま二点お伺いいたしましたけれども、その点についてのお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#16
○北川(力)政府委員 大臣から申し上げましたように、スライド制という問題は非常に大切な問題でございます。いまも申し上げましたように、年金の実質的な価値を維持するという面で大切な問題でございますけれども、世上いわれておりますいわゆる自動スライド制というふうなものを導入することについて非常に問題点が多いのではなかろうかということが大臣のお答え申しました中心点であろうかと思います。なおかつ、スライドということは給付の面でスライドするだけではなくて、当然これは負担の面でもスライドということが出てくるわけでございますから、そういった給付関係と負担関係の両方のスライドである。さらにまた、スライドの指標をどこに求めるかというようなこと、さらに年金以外のいろいろな制度にも相当大きな影響を及ぼすというふうなこと、そういったことを考えますると、この問題はきわめて重要な問題でありますと同時に、これを煮詰めました場合には、各方面から十分慎重な考慮を必要とする、こういうふうに考えております。
 ただ、私ども現在の段階で申し上げられますことは、いまもお話がありましたように、従来のような五年目ごとの再計算期の改正ということではなくて、厚生年金につきましては昨年の十一月、また国民年金につきましては障害、母子の最低保障でございますけれども、ことしの十月から一〇%アップということを行ないまするので、こういった措置はいわばやはり政策スライドということでございまして、財政再計算期ごとの改正の幅を、改正の内容は別といたしましても縮めていく、こういう方向を指向いたしておりまするから、いずれにいたしましても、今後社会の変動に伴いまして改正のインターバルというものを縮めていく。その縮めていく際に、いま話題に出ましたスライド制という問題をどういうかっこうで取り入れていくか、こういうことをあわせて検討していく、こういうところが現在の私どもの考え方でございます。
#17
○古川(雅)委員 お話を伺っておりますと、すべて今後に対する検討事項でおさまってしまうわけでありますが、事はそうゆっくりかまえていられる問題ではないということ、これはいまさらつけ加える必要もないと思います。特に先般の予算委員会でも、私厚生、大蔵両大臣にお伺いしたところでありますが、特に老人に対する年金制度については、はたしてこれが拠出年金にしてもあるいは福祉年金にしても、いわゆる福祉政策といえるかどうかということも伺った記憶があります。しかも現実の問題としては、いわゆる生活保護世帯が年々老齢化しておりますし、生活保護世帯の中でいわゆる老人世帯が占める割合も最近に至って急増いたしております。どうしても救貧的な生活保護制度で、老後の生活の最低所得を保障するということ、そのこと自体がいま大きな社会問題になってきているわけでありまして、いわゆる防貧的な年金制度の充実をはからなければならないということを私申し上げたと思います。いずれにいたしましても、福祉年金はさておきまして、他の老齢年金につきましては一定期間を経ないと一定水準額の年金受給権がないということで、今後受給権者が数の上で多少ふえていったといたしましても、いわゆる受け取る年金額のその時点における実質価値そのものが最低生活を保障する水準にまで達していないということも大きな問題であり、さらに将来にわたって、物価の上昇や経済の変動によってその実質価値が大幅に下がっていくことが予想される。しかもその実質価値を少なくともいまの時点よりも下げないという保障はいま何もないわけでありまして、ここに現在の年金制度に対する不満が私はあると思います。したがって今後の検討事項である、これから検討いたしますというだけでは、いわゆる発想の転換による制度の大幅な改革というのは望めない、私はそういう気がしてならないのであります。その辺はいかがでございましょうか。
#18
○北川(力)政府委員 スライドの問題を中心にいたしました年金の実質価値という問題でございまして、きわめて重要な問題でございます。私どもはただ検討するということだけを申し上げているわけではなくて、四十八年度をめどとする改正の際にどういう決着をつけるかという具体的な問題としてこの問題に取り組んでおるわけでございます。しかしながら、検討ということを申しておりますのは、やはりスライド問題が先ほど申し上げましたようなむずかしい問題をはらんでおりますこと、年金制度というものは非常に長期にわたる観点から処理しなければならない問題でありまするから、かりにも、性急にこういう重要な問題を十分な検討なしに取り入れまして、将来制度が崩壊をするような仕組みをとるようなことがありとするならば、これは非常に不幸なことでございまするから、そういう意味で行政当局といたましては、将来にわたって健全な制度の維持をはかるということを前提にいたしまして、しかもいまお話に出ましたような変動する条件を取り入れながら実質価値の維持をはかっていく、こういう命題を何とか解決をしたい、こういう気持ちでやっておりまするから、そういう意味も込めて慎重な検討を重ねておる、こういうふうにお答えを申し上げたような次第でございます。
#19
○古川(雅)委員 そこでお伺いいたしますが、いわゆる年金制度について、特に老後の生活保障という問題にしぼって考えてまいりますと、現在困っているお年寄りを救うのが先か、あるいは足元はともかく、計画的に将来に備えるのが先かということがたびたび議論をされてまいりました。この両方であるとお答えになる場合もあると思います。そうした国民の声の中で、いわゆる日本の年金制度は厚生年金の出発点等から考え合わせてきてもけっこうでございますけれども、年金の保険料の積み立て方式から少なくとも現在修正積み立て方式へ移行してきております。さらに賦課方式をこの際採用すべきだという議論もありまして、これは完全な賦課方式へという議論から、さらに、積み立て方式に近いいわゆる修正賦課方式をとるべきであるという議論まで数々の議論が出ているわけでありますけれども、少なくとも、足元はともかく計画的に将来にも備えなければならないのだということについて、従来まで政府がとってきた積み立て方式が妥当であったかどうか。その辺に一つの大きな反省の時期が来ているのではないかという点、そしてまた、現在困っているお年寄りを救うのが先だという考え方に立てば、急進的に完全な賦課方式をとることが妥当であり、これまでの保険料の積み立て金を取りくずしていくという考え方も出ると思いますけれども、長い将来に備えるということを考え合わせれば、それを多少修正したいわゆる修正賦課方式への考え方ということもこの際十分な検討の余地があると思います。その辺の目標をはっきりさせた上での年金制度の検討でなければ、いわゆる検討のための検討に終わってしまいますけれども、その辺をいまどのような作業で、将来性と、あるいは現実に困っているお年寄りに対する救済策のための年金制度をお考え合わせになっていらっしゃるか、お考え方をお示しいただきたいと思います。
#20
○北川(力)政府委員 厚生年金あるいは国民年金の財政方式につきまして、逐次賦課方式へ移行するということにつきましては、やはり年金制度の一番基本的な問題が、老齢人口の構成と申しますか、人口構成の老齢化という観点から見た姿だろうと思います。そういう意味から申しますと、現在の段階はちょうど老齢化社会への入り口でございまして、昨日もお答え申し上げましたように、あと大体三十年程度たちましてやっと欧米並みの人口構成に達する、こういう時点でございます。したがって、現在直ちに賦課方式というものに移行するといたしますならば、現在の時点における状態、すなわち受給者が少なく費用負担者が多いという状態におきましては全体の受給者に相当大きな給付をすることが可能であるかもしれませんけれども、受給者が激増をいたします二、三十年後を考えますると、その時点におきましては老齢人口が生産年齢人口に対しまして相対的に大きくなるわけでありますから、少ない生産年齢人口で非常に大きな負担をして、またしたがって非常に大きな給付をしなければならない。こういう状態を迎えるのでございまして、どうしても世代間の非常に大きな負担の不均衡という問題が生じてくるだろうと思います。
 現行の状態はそういったことを考えまして、積み立て方式といっておりますけれども、いわゆる修正積み立て方式でございまして、厚生年金については必要保険料の大体七〇%程度、国民年金にありましては五〇%程度の保険料しか取っていない状況でありまして、残った部分は後代の負担に送っているわけでございます。そういう意味では、送っている限りにおいては後代に対する賦課という問題でございますから、すでに修正積み立て方式から実態的な方向としては賦課方式への方向に移行しつつある状況が現在の状況であると思います。そういう問題を、いまお話にございましたが、いわゆる修正賦課方式と申しますか、そういう賦課方式というものにどういう計画を立てて移行をするか、こういう問題が一つあろうと思います。したがって、私どもはこの財政方式の問題は、いろいろ議論はございますけれども、賦課方式あるいは修正賦課方式、積み立て方式あるいは修正積み立て方式、どういう議論をいたしましても、しょせん現在の修正度の深い日本の年金の状況から申しますといわばコインの表裏という状態でございまして、どちらから議論いたしましても、実情に即したかっこうで今後の制度の運営をはかっていく、こういうことが今後の課題だろうと思います。そういう意味合いにおいて、私どもはいま申し上げましたような実情を十分に見きわめながら、次期改正におきましてどの程度の保険料負担を考え、またそれに見合ったどの程度の給付を考えるかといったようなことを十分に検討をし、その過程でその賦課的な問題をどういうかっこうで処置したらいいかということも十分に検討してまいりたい、かように考えます。
#21
○古川(雅)委員 これは私、先日も申し上げましたけれども、特に純粋な積み立て方式で日本の年金制度は出発したわけであります。この積み立て方式というのは、事実上はいわゆる経済開発資金の調達方式、もっと極端にいえば、これは経済成長のための国民に対する一種の強制貯蓄方式であるといっても過言ではないと思いますし、今日では中南米とかあるいは東南アジアの開発途上国において採用されているにすぎない方式であります。したがって今日、いま局長が御答弁なさったように、多少修正が加えられて賦課方式に移行しているわけでありますけれども、きのうも大原委員の御指摘にもありましたとおり、今後さらに漸増してまいります累積積み立て金が一体将来の年金給付にどれだけ用をなすものであるかという、そういう一つの不安もあるわけでございます。先の物価の上昇あるいは賃金の上昇に対する予測もまださだかでないときに、一体これまで積み上げてきた積み立て金がどれほどのメリットをもって年金制度の将来計画に用をなすもりであるか、この辺の大きな疑問があると思います。すでに、政府の資料によりましても、四十六年度末で積み立て金が六兆三千九百八十三億円と推定されておりますし、四十七年度においては七兆八千五百六十七億円にも達するというふうに伺っております。最盛時には四十四兆円にもなるというような御答弁も先般お伺いしました。これがほんとうにいわゆる老齢人口の急増に伴う勤労世代の負担の軽減にどれだけプラスになるか、効果があるものであるか、あるいはまた、現在の実質的な年金価値を維持するためにどれだけの効用があるものか、詳細にはわかりませんけれども、はなはだこの点は大きな疑問を含んでいる点ではないかと思います。したがって、むしろ、今日まで積み上げてきた六兆あるいは七兆に達するこの積み立て金はともかくとして、今後国民から預かる保険料等については、これは大幅にその面についてだけでも完全に近い賦課方式を採用して、そして現在取り残されている困っているお年寄り等を救うための政策的な配慮というものが必要ではないか、このように考えるのでございますが、この点いかがでございますか。
#22
○北川(力)政府委員 ただいま、積み立て方式というものは発展途上国のとる方式であるというようなお話がありましたけれども、欧米先進諸国におきましても、年金制度の発足の当初はやはり積み立て方式でスタートいたしております。それが人口構成がある程度老齢化が安定いたしました状態で賦課方式に移行するというのが、年金制度の一つの歴史的なパターンであろうかと思います。そういった意味で、現在の日本の制度はいろいろ問題点を含んでおりまして、また、老齢化の入り口ということでは一つの曲がり角にあろうかと思います。しかしながら、現在まで積み立ててまいりましたファンドは、先生も御承知のように、やはり福祉重点に運用されているわけでございまして、大体八〇%程度は国民の生活を向上する厚生福祉施設とか、あるいは病院とか老人ホームとか住宅とか、そういったものに運用されており、かつまた残りのものもそういった基盤育成に活用されておる、そういう状況でございまして、決して現在のファンドがただ経済発展だけに寄与しているというふうな状態ではございません。
 今後の問題といたしまして、ただいま先生から、今後のファンドはできるだけ押えて、直接これを給付の改善に回してはどうかという御提案がございましたけれども、この問題も先ほどから申し上げております問題と関連いたしますが、なるほどそういうふうな一つのお考え方もあろうかと思います。しかしながら、やはり今後受給者が激増いたしますということと、それから給付そのものはやはり、極端にいえば毎年改善をしていく必要があろうと思いますから、そういうことになりますと、近い機会に非常に大きな負担を伴うような制度ができてくる、そういう状態にもなりますので、この問題は帰するところ、やはり積み立て金とか、あるいは今後そういったものをやめて賦課方式に移行するとかいう問題だけではなくて、結局は賦課方式あるいはスライド問題あるいは年金額の引き上げと、全体の問題を含めた制度全体の改善として考えていかなければならない、このように考えております。先生の御提案も一つの考え方として十分に今後検討いたしてまいりたいと思っております。
#23
○古川(雅)委員 いまの御答弁の中で一つ確認をさしてもらいたいのですが、確かに現在賦課方式をとっている欧米諸国におきましても、発足当時はいわゆる積み立て方式から出発した、それは私も了解いたしております。ただし、諸外国においては、制度発足の当初からきわめて完全な形での給付が行なわれている、老後の生活を保障するだけの価値を持った年金の給付が行なわれていたということも、これは大事な問題点ではないかと思います。その点は日本とは大きな差異があるわけでありますが、この辺はどのように認識されていらっしゃいますか。
#24
○北川(力)政府委員 これも国々によりまして、必ずしも先生がおっしゃいましたような完全な給付であるかどうかということは私ども確認はいたしておりませんけれども、日本の制度の場合でも、国民年金で申しますと、昨年の春から始まりました十年年金制度、さらにまた前回の改正で設けました五年年金制度、こういったいわゆる経過的な短期的な年金給付というものをつくっておるわけでございます。厚生年金の場合にも、二十年というふうな標準の資格期間がございますけれども、これも四十歳以上十五年というような短期の仕組みを取り入れておりまして、それぞれ制度といたしましては、発足の当初からあるいはその途中で、若干のそういったいわゆる制度成熟のための配慮をしておるわけでございます。しかしながら、たとえば厚生年金で申しますと、被保険者が非常に急増いたしましたのは、いわゆる経済の高度成長が始まりました三十二年でございまして、三十二年に被保険者は一千万を突破して、四十三年に二千万を突破しておる。こういった状況でございますから、何ぶんにも制度の加入期間が短いという、そういう問題があるわけであります。そういうところは、日本の場合は制度上手当てをしておるとはいいながら、実態関係は必ずしも十分なところまでいっていない、こういうことが言えるだろうと思います。
 もう一つ、一番大事なことは、やはり老齢福祉年金あるいは障害福祉年金、母子福祉年金といったような福祉年金という制度をつくっておりまして、こういう点は、先ほども申し上げましたが、現在でも受給者が一番多い制度でございますから、この福祉年金という制度は、やはり年金制度全体から考えますと、拠出制を補完する非常に大きなウエイトを持っておる、そういう点では私どもは先進諸国に比べて決して劣らない制度のシステムをとっておるのではないか、年金制度全体としてはそのように考えております。
#25
○古川(雅)委員 時間が許せばもう少し詳細にわたって聞くわけでありますが、もう少し根本的なことを二、三お伺いしておきます。いわゆる年金制度と財政方式の問題でありますけれども、制度が現在非常にばらばらな形で成長してきておるわけであります。これは将来年金行政の一本化というようなことも考え合わせて、制度全体を一本化していくというような方向はお考えになっておるのかどうか。これは給付の公平化というようなことも含めて、さらにまた、年金制度を一つの生活保障制度という前提に立って考えた場合にも、当然一つの作業として今後検討されていかなければならないと思いますが、ばらばらである現在の制度を今後どう取りまとめていくか、あるいはこのまま放置して各制度内での成熟だけを期していくものであるか、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#26
○北川(力)政府委員 わが国の年金制度は、御承知のように厚生年金、国民年金をはじめといたしまして、共済制度を含めて八つの制度があるわけでございます。それぞれ制度の沿革もございますし、歴史も違っておりますし、そういった関係から、負担の面あるいは給付の面からかなり違った点がございます。そういう意味合いで今回三党共同で提案をされております法案といたしましては、これを被用者年金とそれから国民年金の二つに一元化するということ、これも一つの考え方だと思います。また、公明党のおっしゃっておりますような、五年間くらいの間に制度をほんとうに一元化していくということを検討していく、これも一つのお考えだと思います。しかしながら、なかなかいま申し上げましたような過去の経緯あるいは歴史、沿革、現在の現実的な相違ということを考えますと、そういう問題が早い機会に処理されるかどうか、この点も非常に問題だと思います。しかし現実の面といたしましては、たとえば障害あるいは母子、そういった年金の最低保障額を統一いたしますとか、あるいは資格期間の短縮をいたしますとか、いろいろな面で制度間の内容につきましては逐次統一をはかっておりますわけでございまして、なかなかにむずかしい点がございますけれども、政府といたしましても公的年金連絡調整会議というふうなものをつくりまして、その中でできるだけ制度の実質的な内容の均一化ということをはかる方向に努力していることを御了解願いたいと思います。
#27
○古川(雅)委員 いわゆる医療保険制度のほうでも、ばらばらな制度を一本化していく、あるいは二本立てにしていくというようないろいろな考え方が出てきているわけでありますけれども、年金の制度におきましても確かに数々の障害があると思いますけれども、基本的な考え方においてはやはり将来一本化をとっていきたい。これはひとつとっていきたいという願望だけではなくて、いま具体的な一例として、最低保障額等において水準をそろえていくというような方法をお示しになりましたけれども、その点大臣、将来の方向としてはっきりこれは検討の作業に入るべきだと思うのでございます。その際、やはりいわゆる財政方式からいえば、修正賦課方式をとった最低生活保障年金という一つの部分と、そしてまたそれに加えていわゆる修正積み立て方式を継承した所得保障年金、この二つの柱によって、少なくとも生活保障年金によって、最低生活の保障はなされる。あとはその人の能力においてあるいは職能において、能力に応じていわゆる所得比例部分としての保障年金の部分を残していくという、そうした大きな基本的な考え方をもとにしていけば、かなり近い将来に制度の一本化もはかれるのじゃないか。国民全体に対して非常に公平な年金制度というものが確立するのではないかと私は考えるわけでございます。当然大きな数々の障害は、これは医療保険制度に見えるとおり、あると思いますけれども、来年から年金の年だとおっしゃっていることも踏まえて、当然この辺の基本的な大きな発想の転換は求められてくると思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#28
○斎藤国務大臣 私はやはり、ただいま古川委員のおっしゃいますように、将来は被用者の年金制度、それから被用者以外の国民年金制度、この二つの方式に統一をしていくべきものだ、かように考えます。したがって来年、年金に取り組みます際には、そういうことを頭において、そしてそれに一歩でも近づきやすい方向をとっていくというふうにいたすのが至当ではなかろうかという考えを私は持っております。いま直ちに被用者保険の一元化ということはむずかしいのですが、しかし将来、それを頭に描きながら、そしてそれに近づけるように発足をするということが大事ではないか、かように考えております。そのやり方は、ただいまおっしゃいました最低保障、それから所得の何といいますか付加保障というようなものも加味してやっていくという行き方は、これは当然そういう歩み方になるのじゃないだろうかという考え方を、ただいまのところは持っております。
#29
○古川(雅)委員 時間がございませんので少しこまかい点にわたらせていただきますが、国民年金法の二十七条でございますけれども、従来年金額というのは、「三百二十円に保険料納付済期間の月数を乗じて得た額」というふうに示されてまいりましたけれども、この三百二十円という定額部分ですね、これは先ほど指摘いたしましたとおり、福祉年金はさておきまして、一定期間を経ないと一定水準額の年金の受給ができないという一つの結果になってあらわれているわけであります。これを究極的に申し上げれば年金額幾ら幾らにする、二十四万円なら二十四万円にするとはっきり規定することが、少なくとも最低生活保障年金としての性格を帯びることになると思います。これは今後の検討部分として残されるにしても、少なくともこの三百二十円という設定でありますが、これは大幅に引き上げられていく性格のものであること当然と思いますけれども、現段階においての三百二十円というのはあまりにも低い。これは今後どういうお考えで順次引き上げていかれるか。複雑な要素があると思いますけれども、お考えをお示しいただきたいと思います。
#30
○北川(力)政府委員 現在の立て方が、国民年金におきましてはいまお話のありましたように、三百二十円で二十五年間の納付で、夫婦で八千円、所得比例を加味いたしまして二万円年金、こういう仕組みになっております。これは厚生年金のほうは、ただいまのお話も関連いたしますが、いわゆる定額部分と所得比例部分とからなっておりまして、定額部分が四百六十円の二十年分、こういうものとの関連上、それとのバランスをとって三百二十円というふうにきめられておるわけでございます。今後のこの三百二十円の処理のしかたにつきましては、何と申しますか、次期改正の厚生年金と国民年金とのバランスをとった入れ方という中で、かなり保険料負担と申しますか、歳入面で弾力性のある、厚生年金のほうでどのようなレベルを設定するか、またそれとの関連で保険料負担のほうにおいて相当問題の少なくないこの国民年金法においてどのようなバランスをとっていくか、そういうかね合いで、この三百二十円をどう引き上げていくか、そういうことを十分に検討してまいりたいと思ております。
#31
○古川(雅)委員 それから課税の問題でありますが、老齢年金、それから通算老齢年金についても非課税とすべきであるということが盛んに求められてまいりました。この点は当然大蔵省と検討を進めておられると思いますけれども、今日までの経緯とあわせて、今後どうおとりはからいになるか、方向をお示しいただきたい。
#32
○北川(力)政府委員 従来の経緯から申しますと、この問題は両三年来一つの問題点として私ども取り上げているところであります。ただ老齢年金のほうは、障害あるいは遺族の年金と異なりまして、いわば障害、遺族年金が偶発的な事故に対するものであるのとは違っており、また保険料そのものを拠出の段階で社会保険料として控除しておるということもございまして、課税の対象になっているわけでございます。そういうことと、さらにまた全部非課税といたしました場合には、相当に高額な所得者については優遇をされるというようなアンバランスも生じてくるわけでございますので、そういった問題点がいろいろ議論されまして、現在までこの非課税問題というのはまだ実現をいたしておりません。しかしながら、やはり年金は、申し上げますまでもなく社会保障給付として非常に重要な性格を持っておりまするから、そういった観点から非課税の要望も非常に強いわけでございます。今後の一つの重要な検討課題として、引き続いて十分関係当局にも折衝をいたしたい、このように考えております。
#33
○古川(雅)委員 こまかい点ばかりでありますが、国民年金の比例部分についてであります。いわゆる所得に応じた所得比例部分については現在一つの段階しかないわけでありますが、これを数段階に分けた定額制にするというようなお考えはございませんでしょうか。
#34
○北川(力)政府委員 所得比例の制度は前回の改正で組み入れました新しい制度でございます。現在、できるだけこういった所得比例制度というようなものを普及するというつもりで推進をいたしておりますが、何ぶんにもまだ制度ができましてからわずかな期間しかたっておりませんので、今後、いま御提案にございましたような所得比例部分というものについて段階をふやすかどうか、こういう問題は実は今後の改正問題の一つの検討課題でございますけれども、現在の状態としては、できました制度、発足いたしましたばかりの制度の普及に現在つとめておる、これが偽らない現状でございます。
#35
○古川(雅)委員 福祉年金の中のいわゆる老齢福祉年金でありますが、先ほど局長は、諸外国の年金制度に比べて、むしろこの福祉年金制度については誇るべき制度であるということをおっしゃいました。まことに自信満々であると思いますが、国民年金審議会福祉小委員会の中間報告が昨年の七月二十四日に発表されました。福祉年金制度の改善についての提言をしているわけでございます。これをお受けになって政府としては、福祉年金、なかんずく私は老齢福祉年金についてお伺いしたいわけでありますが、考え方をどういうふうにお持ちになっているか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
 まあこの点につきましては、老齢福祉年金が全額国庫負担のいわゆる経過的な、補完的な措置であるという一つのハンディはありますけれども、非常に引き上げのスピードがおそかったということ。これはこの中間報告の中でも、いわゆる「拠出系統の年金と対比するとき、福祉年金の給付改善のとりあげかたにはかなりの遅れがあることを卒直に認めないわけには行かない」と冒頭に示しているとおりでありまして、今回いわゆる大幅に千円の引き上げを老齢福祉年金についてははかったとはいえ、なおかつまだ非常に低額にとどまっているわけであります。予算委員会等の審議を通しても、来年度は少なくとも五千円程度にという政府側の御答弁もいただいておりますが、この福祉年金制度のいわゆる全面的な再検討には、昨年の七月のこの報告を受けて以来、当然はっきりした検討の結果というものはもうお持ちになっていらっしゃると思うので、それをお示しいただきたいと思います。
#36
○北川(力)政府委員 この中間報告は福祉年金の専門家の方々が半年以上かかって御審議をいただきまして、その結果出されました非常に専門的かつ意欲的な御意見でございまして、今後の福祉年金の改善充実の方向づけを行なう上で、また老人対策を積極的に推進をしていきます場合に、私どもといたしましても貴重な指針といたしまして十分に尊重をいたしておるところでございます。先生も御承知のとおり、このレポートは、具体的な提言といたしましては、さしあたり昭和五十年ごろをめどに大幅な改善をしてみてはどうかというふうな中期の展望に立った提言でございます。そういうことと、それから拠出制年金の改善というものをにらんで、それとのかね合いで福祉年金の改善も行なうべきである、こういった内容にもなっております。したがいまして、私どもは長期的には、明年度に予定をいたしております拠出制年金の相当大がかりな改正というふうなものの中で、それとの関連で、どういうふうな、どの程度の改善をするかということが一つございます。
 さしあたっては、この報告にもございますように、当面改善の項目はたくさんございますけれども、やはり年金額の引き上げと、それから所得制限問題の処理ということが最も重点であるというふうなことを言っておりまするので、そういう意味合いで、今度の法律改正でお願いいたしておりますのは、老齢福祉年金の千円アップという、かつてない大幅な改善でございまするし、また所得制限の緩和も、前年度の百八十万から二百五十万へというふうなかなり思い切った改善をいたしまして、当面、この中間報告の線に沿った処理をいたしたつもりでございますが、長期的には、先ほど申し上げましたような線に沿って、十分この内容を次の改正に組み入れてまいりたい、このように考えております。
#37
○古川(雅)委員 いまさら申し上げるまでもありませんけれども、老齢福祉年金については、昭和三十四年に月額千円で発足しているわけですね。最初はもう四年間据え置かれて、昭和三十八年になって千百円、二年据え置かれて二百円上がって千三百円、一年たって四十一年に千五百円、四十二年に、一年間たって百円、四十三年に千七百円、これも百円しか上がっていませんね。四十四年に百円、四十五年に、一年たって二百円上がって二千円、四十六年に三百円上がって二千三百円、今回一年間に大幅に千円と、こういう、いわゆる政府のいう大幅な引き上げをしたわけでありますから、特にこの老齢福祉年金については今後大幅な増額をはかっていこうという、その意気込みと姿勢は認めますけれども、すでに昭和四十七年度において、老齢福祉年金は五千円程度が妥当であるという意見も出されているわけですね。厚生省としても予算要求の当初においては、この際もう思い切って五千円までにすべきであるというお考えを持っていたのではないかと思いますけれども、この報告書の中にも、当然その報告の内容に意図が見えるわけでありますが、少なくても昭和四十七年度において、すでにこの老齢福祉年金は五千円の支給が決定している段階であります。したがって、来年度には、少なくても五千円前後ということでは、この報告に照らしてみてもむしろおそきに失した措置ではないかと思うわけでありますが、来年度といわず、いわゆる早期実現、途中で補正予算を組んででも五千円に引き上げるべきであるという意見が、われわれ野党だけではなくて、与党の諸先生方の間ですら強い意見としていま起こっているわけであります。政府としては、この老齢福祉年金の、五千円前後なんていわないで、はっきり五千円以上の支給についてどうお約束いただけるか、この際、大臣にはっきり御答弁いただいておきます。
#38
○斎藤国務大臣 政府としての約束というわけにはまいらぬと思いますが、厚生省といたしましては来年度五千円を実現するように最大の努力をいたしたい、かように考えております。予算委員会当初からずっとそういうように考えて答弁をいたしておるわけでございまするし、本年度の予算要求の際に五千円を二カ年で実現をいたしたい、こういうことで、実はざっくばらんに申しますと、予算要求は千五百円アップということで要求をいたしました。それが千円アップになりましたが、しかし当初の考えのように、四十八年度には五千円をぜひ実現いたしたいと、厚生省といたしましては考えておるわけでございます。
#39
○古川(雅)委員 国民の側、また老齢福祉年金を受給している皆さんの側からすれば、政府が――政府というよりもむしろ厚生省が一生懸命努力をしてくださった、五千円まで大蔵省に対して主張した、要求をした、しかし努力をしたけれどもだめだったということでは、これはおさまらないわけでありまして、いま大臣もおっしゃったように、二年にわたって、二段階にわたって五千円にするという一つのはっきりした既定方針もあるわけでありますし、なるべく一生懸命やってみようということではなくて、やはり老齢福祉年金の五千円についてははっきりとこの際政府を代表して、早期実現をいたしますとお答えになったほうがいいのではないかと思います。その点いかがでございましょう。
#40
○斎藤国務大臣 大体予算委員会それから当委員会におきましても、来年度五千円実現ということは各党とも意見が定着しているように私は思います。与野党ともそういった御意見であるということは、政府も必ずこれに従わなければならぬだろう。厚生省はその要求をする、また大蔵省も聞いてもらえるものと、私はただいまの段階では判断をいたしております。
#41
○古川(雅)委員 時間がありませんのでもう一点だけお伺いいたしますけれども、国民年金におきましてはいわゆる十年年金の支給が開始されたわけでありまして、対象者は大体二十万人ぐらいでございますか、ここにまだ大きな問題が残されていると思います。と申しますのは、昭和三十六年四月に国民年金が発足いたしましたが、当時の五十歳から五十五歳未満の人々、こういう人たちに対して任意加入が認められたわけでありますけれども、五十五歳から六十歳未満の約三百万人の人々、これはいつも問題にされているところでありますけれども、この国民年金制度に加入することのできない、したがって七十歳に達するまでは全く年金の恩恵に浴さない、いわゆる年金の谷間に埋没している方々、これをいまどのように掌握していらっしゃり、どう対処していかれるのか。
 また今日、皆年金制度といいながら、いわゆるサラリーマンの妻等で諸年金制度からはみ出ている、そういう人たちがかなりいるということがいわれておりますが、この辺は数字的にどの程度に掌握をしていらっしゃるか。
 その二点と、時間がないので取りまとめてお伺いいたしますが、第三点としては、老齢福祉年金の中で従来から問題になっております本人並びに扶養義務者の所得制限の問題、それと年齢制限の問題がございますけれども、少なくとも、この老人の置かれた環境、核家族化とかあるいは老人家族の急増等の事情から考えても、扶養義務者の所得についての制限、この項目は全面的に削除すべきではないか。これが大きな障害になって、いわゆる国民皆年金というたてまえをくずしているのではないかという議論が非常に強いわけであります。年齢制限の引き下げ、それからまた本人並びに扶養義務者の所得制限につきまして、特に後者は直ちに撤廃すべきであるという要望を添えて、今後の政府のお考え方を伺っておきたいと思います。まとめて三点伺いましたが、局長と大臣から所感をお伺いしたいと思います。
#42
○北川(力)政府委員 第一点の、年金に加入できなかった人々あるいはまた高齢任意加入しなかった人々、こういった方々は現在両方合わせまして大体二百九十万前後と推定をいたしております。これについて従来から御主張がございますように、福祉年金の支給年齢を引き下げて処理すべきである、こういう御意見もございますけれども何ぶんにも福祉年金は先ほどから御指摘のあったとおり、いろいろ改善すべき項目がたくさんございまして、それがすべて全額国庫負担というふうな実情にございますので、どういう選択をしてどれを優先するかというような、現実的になかなか困難な問題もあるわけでございます。しかしながら、さればといってこの階層の人々を全く放置をする、特にその高齢任意加入の機会が与えられなかった方々についてどういう処置をするかということは、むしろ現在的な問題点でございますので、非常に困難な問題でございますけれども、この次の改正の際に何らかのくふうができないものかと思って非常に苦慮を重ね、検討を続けているような実情でございます。
 第二点の被用者の妻で国民年金に任意加入をしている方々の実情でございますが、非常に大ざっぱな推計でございますけれども、現在、被用者の妻で国年加入の対象になる方々は大体八百万人というふうに予測をいたしておりまして、現実にはこの中で任意加入をされておる方々は約三百万人程度、四〇%弱というふうに見込んでおります。
 それから第三点の扶養義務者等に対する所得制限の撤廃の問題でございますが、これもたびたび大臣からお答え申し上げておりますとおり、今年度大幅な改善をいたしましたけれども明年度はこの撤廃を目ざして努力をしていきたい、かように考えております。
#43
○斎藤国務大臣 ただいま局長から御答弁を申し上げたとおりでございます。六十五歳から六十九歳までの者の扱いをどうするかというのは、来年度の一つの柱でございます。
 それから所得制限、特に扶養家族の所得制限、これは撤廃の方向で努力をいたしたい、かように思います。
#44
○古川(雅)委員 時間ですので終わります。
#45
○森山委員長 次に、田畑金光君。
#46
○田畑委員 まず局長にお尋ねしますが、身体障害者の推移でございます。この資料によれば、昭和四十年の八月百四万八千名、人口千名に対して十五・七名、四十五年の十月には百三十一万四千名、人口千名に対して十七・九名、非常なふえ方です。四十六年度はどれくらいの見通しなのか。同時にまた、このように急激に身障者がふえておるが、その中身は何なのか。
#47
○加藤(威)政府委員 先生御指摘のとおり、身体障害者の数が相当増加しているわけでございます。厚生省におきましては五年ごとに身体障害者についての調査を実施いたしておりますが、四十年が百四万でございましたのが、四十五年百三十一万、二五%ふえているということございます。
  〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
 その増加の原因でございますが、一つは老齢人口の増加に伴いまして障害者――障害者はやはり若い者よりもお年寄りに、年齢の高い方々に発生する確率が非常に多いわけでございますので、人口の老齢化に伴うものが一つ。それから、医学の進歩によりまして、以前ならば生命を長らえることができなかったのが、障害を残しながら余命を延長するというようなケースもふえてきているということ。それから事故、ことに交通事故、それから労働災害等の社会生活上の事故による障害者が相当ふえておるわけでございます。たとえば交通事故による身体障害者は四十年は三万三千人でございましたが、四十五年は五万八千人で七五・八%の増加でございます。労働災害につきましても、四十年には九万人でございましたのが、四十五年には十一万七千人ということで三〇%の増、こういうようなことで増加しております。それから特別な理由といたしまして、実は四十年の調査のときには結核とか心臓の内部障害者は身体障害者の中に加えておりまんでしたが、四十二年に内部障害者を身体障害者の中に入れるという改正を行ないましたので、それによりまして六万六千人ふえている、こういう特殊な理由はございますけれども、ただいま申し上げましたような理由で身体障害者がふえております
 四十六年度はどのくらいふえるかということでありますが、四十六年度はまだはっきりした数字はございませんが、毎年大体四%ないし五%の増というぐあいに私どもは見ておるわけでございます。
#48
○田畑委員 このように身障者のふえ方というものが、たいへんな勢いでふえていっておるわけですが、身障者の更生援護施設の整備状況、これは身障者施策の充実という観点から当然大きな課題であろうと考えておるわけです。ところで昭和四十七年四月一日現在の身体障害者の更生援護施設の現状を見ますると、収容施設と利用施設とあるようでございますが、収容施設は二百十九カ所で一方三千八百二十二名、こうなっております。百三十一万という数に対して一万三千八百二十二名というのは算術計算によってもわずか一%、こういうことを考えてみますと、この施設の整備というものが急速な問題ではないか、こういうことになると思います。社会福祉施設緊急整備五カ年計画、これは昭和四十六年から五十年までの計画で施設の整備、充実。しかしこれは社会福祉施設全体を考えておるようでございますが、その中で身体障害者の更生援護施設の整備状況というものはどうなっておるのか。きのうあたりの質問で、ことしの社会福祉施設整備の予算は百十五億であるというようなお話等があったようでありますが、その中で身障者の更生援護施設に振り向ける予算などはどの程度の額なのか。昨年は幾らであるのか、ことしは幾らであるのか。福祉施設整備五カ年計画ということで年度計画を立ててやっておる以上は、おおよそ五年後については需要に対して供給側もほぼ需要を満たし得る、あるいはそれに近い施設の整備ができ上がる、こういう想定で計画はできておると思いますが、このあたりについて説明を願いたいと思うのです。
#49
○加藤(威)政府委員 身体障害者の更生援護施設につきましては、現在の実情は先生御指摘のとおりでございまして、現在二百十九カ所、一万三千八百人ということでございます。それで四十六年から五十年までの五カ年計画におきまして、私どもといたしましては特に重度の身体障害者の更生援護施設の充実ということに重点を置いて整備をはかってまいりたいというぐあいに考えております。それで一応五カ年計画におきまして、最終的には全体といたしまして身体障害三万二千人の収容能力を持つようにいたしたいというぐあいに考えております。現在約一万三千でございますから、今後約一万八千の収容能力に持っていきたいというぐあいに考えております。全体の百三十一万という数字から見ますと確かに数が少ないようでございますが、ただこの更生援護施設というのは、それに入りきりという施設は比較的少ないわけでございまして、二年更生訓練をしてまた入れかわってもらうということで相当回転いたしますので、そういう点も勘案しながら施設の整備をはかってまいりたいというぐあいに考えております。
 国庫補助につきましては、四十六年度は社会福祉施設整備が全体で八十七億でございますが、それに対して五億五千万という予算を身障者の施設に計上いたしております。四十七年度は百十五億、沖繩を入れて百二十億でございますが、そのうち幾らをやるかということは、現在老人ホームにどのくらい振り向けるか、あるいは身障者にどのくらいやるか、あるいは保育所にどうするかという点は検討中でございまして、まだ最終的に至っておりませんけれども、最低七億ぐらいのものは確保いたしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#50
○田畑委員 昭和五十年の収容目標が三万二千名、現在のそれを約一万八千名ふやしたいということですが、今度のこの改正法の一つの柱が身体障害者療護施設、治療と養護を行なう施設としての療護施設を整備する、こういうことになっておりますが、既存の更生援護施設の中にも、重度身体障害者更生援護施設というのがあって、二十三カ所に千六百三十名収容しておるわけでありますが、今度できる療護施設というものと、現在ある重度の障害者更生援護施設との関係というものはどうなるのか。
 特にいま局長の答弁にありますように、審議会の答申を見ても、重度の障害者に対する措置が緊急な問題である、このように指摘されておるわけですが、いまの厚生省のやっておることは、この答申に沿っておるのかどうかですね。
#51
○加藤(威)政府委員 今度御審議いただいております法案の改正の一つの問題点として、御指摘のとおり重度の身体障害者の療護施設というのを今度新たに援護施設の中に加える、こういう改正があるわけでございますが、従来あります重度身体障害者更生援護施設と、どう違うのかという御質問でございますが、従来あります重度の身体障害者の更生援護施設は、たとえば両足がないとか、あるいは両手がないという非常に重度の障害者、そういう方々を収容いたしまして、そしてその機能回復訓練あるいは若干の職能訓練を加えたような訓練をやる、そうして社会復帰できるように援護するというのが設置の目的であったわけでございます。
 今度御審議願います、今度新たにつくろうといたします療護施設というのは、これは特に、たとえばダブルハンデみたいな方、手足も非常に不自由である上に盲人であるとか、あるいは精簿が加わっておるというようなことで、極端なことをいえば、寝たきりというような身体障害者の方々、こういう身体障害者はリハビリテーションの余地もほとんどない、更生して社会復帰をしたいと思っても、その能力すらない。こういう非常にお気の毒な重度身体障害者の方々が相当おられるわけでございます。そういう身体障害者というものは、どうもいままでの更生援護施設では必ずしもなじまない。したがって、そういう重度の身体障害者の方々は、むしろ特別の施設をつくって、そこで終生めんどうを見る、こういう施設が必要であろう、こういうことになったわけでございます。
 それで、従来あります重度の身体障害者の更生援護施設はやはり長くても五年くらいで退所していただいて、また回転する、そういう行き方をとっておるわけでございますが、今度の療護施設は一生そこでめんどうを見ていく、こういうことで従来の重度の身体障害者更生援護施設というものとは異なる、こういうことで新たに法改正をいたしまして、こういう施設を設置してまいろう、こういうことでございます。
#52
○田畑委員 非常にけっこうな施設だと思うし、この身体障害者福祉審議会の四十五年八月の答申を見ましても、一番最後に、「重度身体障害者療護施設 リハビリテーションの余地が少なく自力で日常生活の維持が困難で、常時介護、または医学的管理を必要とする寝たきりの重度身体障害者を収容し、必要な医療及び保護を行なう重度身体障害者療護施設を新設すること。」これにこたえたものだと思いますが、今度の予算措置を見ますると、施設運営費として、三億六千五百十五万八千円の補助を八施設に対してする、こういうことになっておりますが、この重度の身体障害者の療護施設に収容を必要とする人々というのは、幾らくらいいるのか、この八施設に収容できるというのは、ごく限られた人々だと思うのですが、どれくらい収容し、今後これも五年計画なら五年計画として整備をしていくものだと思いますが、これはそこに収容しっぱなし、一生そこで終わるのだ、こういう施設だと思います。たとえば特別養護老人ホームみたいな、ああいう性格のものだと思うのですが、一番みじめな人々であるだけに、こういう面については年度計画でもって必要量を確保する。
 これこそ一番大事な社会保障の政策の柱であると私は考えておりますが、今後の計画なり現状なり、将来にわたる方針があれば、お聞かせを願いたいと思います。
#53
○加藤(威)政府委員 この療護施設につきましては、四十七年度で八カ所、収容人員は五百六十名でございます。
 それで、今後こういう施設に収容する必要のある重度の身体障害者の方はどれくらいあるかということでございますが、これは大体四千三百人ぐらいという計算になっております。したがいまして、今後も相当精力的にこの施設整備を行なっていく必要があるということだと思います。五カ年計画の中では、もちろん今後御審議をいただきました後におきましては、四十七年度は八カ所でございますが、早急にこの重度の身体障害者の療護施設の整備というものを五カ年計画の中に取り入れまして、実施してまいりたいと思います。
 この五カ年計画も一応三千五百億というワクでスタートしたわけでございますが、現在経済企画庁のほうで新社会経済発展計画の計画の練り直しをやっておるようでございますが、当然こういった新社会福祉施設整備の長期計画というものもその中に組み入れてもらうということになろうかと思います。その場合には、やはり従来の計画をもう一度検討いたしまして、そうしてできれば、私どもはさらにこの規模を拡大して、新しい経済企画庁の経済計画の中に織り込んでもらいたい、こういうぐあいに考えておるわけでございますが、そういう点も勘案いたしまして、今後この療護施設の拡充に努力をしてまいりたいと思っております。
#54
○田畑委員 社会保障制度審議会が答申の中にも指摘しておりますように、事故、疾病の発生による身障者の数は、先ほどのお話を聞いても毎年四%以上ふえておる、こういうお話でしたが、できるだけそのような障害者を社会復帰せしめるという機能訓練なりに、それに必要な施設の整備なり、あるいはまた医師を中心として必要なパラメディカルの職種の養成確保というのが一番大事な問題だ、こう考えるわけなんです。
 そういう点から見まして、私は、このリハビリに必要な施設の整備であるとか、あるいは要員の確保であるとか、こういう点というものが常におくれておると思うわけです。専門医師の問題、理学療法士や作業療法士の問題、あるいは職業指導員、生活指導員、看護婦等、この種リハビリについては、特にチームワークが必要であると考えるわけでございますが、こういう問題等について、当然やはり五年計画とか、一つの年度計画のもとで整備されていると思います。私は、今回のこの身障者の法律等を見ますならば、そういう面等について、もっときめこまかな裏づけが必要であると考えておりまするが、これはあなたの所管なのかどうか知りませんけれども、こういう点についても、ひとつ御説明を願いたいと思います。
#55
○松尾政府委員 身体障害者等の対策に関連いたしまして、ただいま先生御指摘のような各種の専門家というものが必要でございます。すでに御承知のとおり、特に医師等につきましては、いろいろな養成の増加計画もすでに動いておるわけでございますが、やはり欠陥といたしまして一番足りませんのが、理学療法あるいは作業療法に従事いたします専門家でございます。現在のところ理学療法の免許を持った人がわずか千二百四十八名、作業療法士も三百五十五名といったような段階でございまして、この大きな医療機関及び社会福祉施設を含めました需要に対しましては、はるかに低いと思います。したがいまして、ただいま御指摘のように、われわれもいろいろな医療機関及び社会福祉施設を通じまして、こういう職種がどの程度必要かということについていろいろ試算をいたしております。いまのところ、昭和五十一年末におきます必要数は、理学療法士、作業療法士ともほぼ七千人台、多少端数がございますが、それくらいは必要である、こういうぐあいに一応見込んでおりまして、早急にこの線に持ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 現在の養成数のままでいきますと、理学療法士は約二千四百名、作業療法士も約八百名弱というような程度しか到達をしないというように見込まれるわけで、したがいまして、ことしから特に、従来になかったことでございますが、理学療法、作業療法につきましては国立の施設を二カ所新設いたしますとともに、都道府県の補助金をもちまして、県立の養成施設をつくる。とりあえず、ことしは新設二カ所ということでスタートいたしました。
 この問題につきましては、すでに御承知のように、いろいろな教官その他の確保の問題等がございまして、施設だけをいたずらに最初からふやすというわけにもなかなかまいりませんような隘路がございます。しかしながら、とりあえず、ことしからそういうふうなことにいたしまして、次第に教官の層の厚さというものを加味しながら、逐次あとになるほど養成施設をふやす、こういうことで、できるだけ充足をはかりたい、かように存じておるわけでございます。
 また、その他看護婦等につきましても、従来から指摘をいただいております点でございまして、こういうような施設の増設ということにつきましては、今後とも身障というものの観点から見ましても、努力をいたしたいと存じております。
 さらに、今後まだまだ新しい領域といたしますものが必要になってくると思います。たとえば、現在は視能訓練というようなところまでは制度化していただいておるわけでありますが、言語治療でありますとか、あるいは難聴訓練といった領域における専門職種の確立という問題が残されておるわけでございます。この問題、かなり検討を進めてまいっておりますので、できるだけ近い将来に、そういうものについて正式の制度化をはかっていただくようにお願いをしたいと考えております。
#56
○田畑委員 大臣、私はいまのお話を聞いておりますと、社会福祉整備五年計画であるとか、あるいはその中の身障者の分野についてはこういう計画でいきたいとか、特に問題となっておる重度身障者の養護を必要とする人方についても、対象者は約四千名おるが、当面八施設に収容するとしても、これを収容するだけでもたいへんなことだが、一番大事なことは、やはり人の問題じゃないかと思うのです。いま医務局長お話しのように、理学療法士、作業療法上等は昭和五十一年には七千名必要であると算定されるけれども、いまの養成のテンポでいくと、理学療法士が二千四百名、作業療法士が八百名弱というわけで、人の面から整備計画自体が足を引っぱられる、目標の達成に及ばない。
 こういうことになってきますと、一番大事な問題は、医師の養成であるということは、かねがねあらゆる機会に出ておりますが、理学療法士、作業療法士の養成、あるいはまた看護婦等の養成について、これがなされなければ、幾ら施設の整備を唱えても、絵にかいたもちにすぎないという結果になるわけで、この点についてはじみであるだけに、ひとつ御努力願わねばならぬ。大蔵省を呼んでおくのを失念しまして、残念でございますが、ぜひひとつ一番大事な社会保障の問題として取り組んでいただきたい、こう考えますが、大臣の所見を承っておきたいのであります。
#57
○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、施設をつくりましても、要員を確保することが一番大事でございます。したがいまして、いまおっしゃいましたような医師をはじめパラメディカルの医療従事者、看護婦も含めまして、この養成には全力を注がねばならぬ、かように考えております。今後も一そうこれに努力をいたしたい、かように考えます。
#58
○田畑委員 それから、これは医務局長にお尋ねしますが、すでにきのういろいろ質問があった上うに、今回の改正の一つの大きな柱が、心臓または呼吸器の機能障害にある者は内部障害として、昭和四十二年ですか、身障者の範囲に取り入れられたが、今回じん臓の機能障害を新たに加えた。いろいろな角度から質問をされたわけでありますが、専門的な事項なので、なかなか理解のしにくい点もございます。社会保障制度審議会が諮問に対する本年二月二十四日の答申の中で「この対象となる患者のすべてに、ただちにゆきわたるかどうかには疑問もあり、その間における優先順位の公平な確保については、十分検討する必要がある。」こういっておりますが、これに対してどうこたえておるのか、今後の見通しなり計画等について、ひとつ御説明を願いたいと思うのです。
#59
○松尾政府委員 人工透析をいたします患者さんの対象をどの程度に把握するか、そこから問題が出てくるわけでございます。昨日も申し上げておりましたように、私どもわが国のじん学会の方々と十分相談をいたしまして、一応の目安といたしましては、一年間のじん疾患による死亡患者、これを基礎にいたしましたときに、その三割というものが、わが国ではこの透析の対象として必要である、かような見解に達した。この点は、昨日も申し上げておりますように、アメリカ等では二〇%だ、こう言われておるものでございますけれども、わが国のじんの形態というようなものから考えて、われわれは少なくとも三割、こういうことでじん学会の御了解もとったわけでございます。
 したがいまして、その方々を一応その年に全部ともかく網羅しなければならない、これが人工じん臓の整備の基本になる計画でございます。これは制度審議会でも、その「優先順位の公平な確保」ということばをお使いになっておりますことは、おそらく、この一人の人が人工じん臓の機械にかかりますと、一週に一回なり二回なり必ず定期的にやらなければならない。そうしますと、一台の機械に固有に患者さんの数がきまってしまう、こういうことになりまして、ほかの人をその場所に入れるというわけにいかない、こういう問題が起こってまいります。そういったことを優先順位というようなことばで表現されたものと私は理解いたしておりますが、しかし、そういうように機械がないために受けられない、こういうことでございますと、極端に申し上げれば、死を待てという宣言にひとしいわけでございまして、私どもはその点がやはり漏れがあっていけない、こういうことで、アメリカよりも少なくとも高い基準でスタートした、こういったことであります。
 そういった点から見まして、ことし整備いたす必要な台数の千四百三十七台、その中で現有のものを引きまして、全部ことしで整備したい、こういうことでございます。三百三十六台の整備というのは、現在持っておりますものを差し引いたことしの必要台数ということで、トータルといたしましては千四百三十七台というもので約三千六百人という対象患者をカバーできる、こういう計画でやっておりますので、少なくとも大体のことは、この程度でカバーできる。しかも、多少この中には、計画の上に多少のゆとりを持っておりますので、おそらく受けられないというようなことが全体としてはなかろう、かように私は考えておるわけでございます。
 ただ、今後のこの整備につきましては、実は人工じん臓自体が非常に特色のある整備計画になるわけでございますが、ことしかかっておられる方は、一部はおなくなりになるとは思いますけれども、来年も引き続き、またその透析を受けなければなりません。そういたしますと、ことしかかっておる方の大部分、まあ少なくとも現在のところは、七割以上というものは来年も引き続き透析を受ける。そうすると、来年は来年といたしまして、また新しい患者さんが発生をしてまいります。したがって、その方々を全部来年度の計画の中では受け入れなければならない。ことしの繰り越しと来年の新規、こういうものを全部来年の計画ではカバーする。さらにその次の二年目、三年目になれば、さらにことしから来年、来年からさらに繰り越す方々、こういったようなものの繰り越し、すべて前の年からの繰り越しというものを常に考慮しながら、この方々は全部受けます。しかし、同時に新しく起こってこられる方々もちゃんと整備しなければならぬ、こういうことで組み立てていかなければなりません。
 したがって、普通の整備計画でいわれますように、五年計画というようなことで、五年たてばすべてのものが完了しましたというような計画とは性質が違うわけでございまして、絶えずその辺の出入りをながめながら、必要な台数をそろえていく、こういう必要がある、こういうことでございます。
 私どもは、そういう観点に立って、整備計画を少なくともこれから五年間につきまして一応の見通しを立てております。それは、四十八年にはおそらく二千二百台の人工透析を必要といたしましょうし、四十九年には二千八百九十八台、昭和五十年には二千五百二十六台、五十一年には四千九十台というように、いまの段階として考えられるのは、予定を立てておるわけであります。もちろんこれは、年々の治療成績なり、患者の動向なりというものを見た上で修正をしていかなければならないものでございまして、ただいま申しましたように、前の年の繰り越しとその年の発生というものを見きわめながら、常にそこで必ずすべての方に提供できる、こういう計画で整備計画は基本として立てたい、かように存じております。
#60
○田畑委員 今回、じん臓機能の障害者が、この身障者の範疇に取り入れられた。そして、こういう人方が、この更生医療の適用を受けるようになったということは非常な前進だ、こう思うのですが、今後内部的疾患等において、同じようにこの身障者の法律の範疇にこれは入れるべきではないか、そういう検討課題というものはどういう病気があるのか、こういうような点が一つ。
 それから、これは医療の抜本改正の中で給付の改善措置として、高額医療について自己負担とされておるもののうち、一定額以上について、これを公費負担にする、こういうような改正案が出ておりますが、この場合の高額医療、長期医療というもの、これはどのようなものを考えておるのか。両者の間に関係があるのかないのかということをお聞きしたいわけですが、この点ひとつお答えを願いたい、こう思うのです。
#61
○斎藤国務大臣 医療保険の改正の中で高額医療と申しておりますのは、ただいまの考え方は、自己負担が月額一定限度以上のものは、その限度をこえるものを給付をする。その一定限度とは、大体二万円か三万円ということを念頭に置いて考えております。したがって、月額自己負担が二万円以上かかる、あるいは三万以上かかるというものは、疾病の種類を問わず、すべてその超過部分は保険で支払う、こういう考え方でございます。
#62
○加藤(威)政府委員 この身体障害者の内部疾患、内部障害者の中に、今度新たにじん臓を加えたわけでございますが、現在のところ結核と心臓が入っておりまして、今度じん臓が加わったわけでございます。
 いまのところ、当面、このあとに続いて、すぐ内部障害の中に取り入れるという疾病は、現在のところ考えていないわけでございますが、ただ問題は、たとえば肝臓の障害等につきまして、更生医療になじむような療法が新たに開発されたというような場合には、これは内部障害者として、肝臓の疾患というその疾患が取り入れられるという可能性は出てくるのではないかというぐあいに考えておりますが、現在のところは、一応じん臓ということで、それ以外のものを直ちに取り入れられるという疾患は、いまのところはないというぐあいに考えておるわけでございます。
#63
○田畑委員 じゃ次に、私の時間も少ないものだから、労働省にお尋ねをしたいのですが、これもきのうの質問にも出ておりましたが、身障者の就業状況を見ますと、昭和四十五年の調査でございますが、百三十一万の中で五十七万九千名、四四・一%仕事についておる。これが国民全体の就業率は六八・八%、こうなっております。また、就業者全体に占める常用雇用、この割合を見ますと身障者の場合には三八%だ。その他の国民一般について見ると五九・六%。雇用が非常に不安定だということが、この数字を見ても明らかですが、特に最近の経済事情を見ますと、身障者の就職というものは一そうきびしいのじゃないか、こういう感じを持つわけです。
 そこで、身障者の求職であるとか、あるいは就職の状況というものがどのように推移しておるのか。これは民間と、官公庁に、公社関係あるいは特殊法人とかいろいろあるようですが、分かれるけですが、最近の傾向は大ざっぱにいって、どのようになっておるのか。
#64
○道正政府委員 御指摘のように、心身障害者は一般の健常者に比べまして、就職が困難でございます。就業率あるいは雇用率は、だいぶ低くなっております。身体障害者雇用促進法によりまして一般の非現業の官庁、現業の官庁、民間ということで率がきめられておりますが、非現業の一般の官庁の場合は、全体としては一・七%の雇用率を達成いたしております。それから現業の部門におきましても一・六%の雇用率を達成いたしております。問題は民間でございますが、これは一・三%ということで低くなっておるわけでございます。全体としては一・二六%ということで未達成の事業がかなりございます。特に問題だと思いますのは、大企業のほうが人が採りやすいということもございまして、雇用率の達成状況が低いわけでございます。しかし大企業は、経済的にも余力もあるわけでございますので、われわれといたしましては大企業中心に民間の雇用率を少なくとも一・三%、諸外国に比べますと、必ずしも高くない率でございますので、その率は早急に達成していただくように行政指導を強化してまいりたい。
 なお、政府といたしましてやるべき施策、特に重度の心身障害者は特に困難でございますので、重度心身障害者を中心に各般の施策を強化してまいる考えでございます。
#65
○田畑委員 労働省としても、身障者の雇用促進については、昭和三十五年に身障者雇用促進法ができて雇用率が定められておるわけですが、その雇用率について昭和四十三年十月一日に〇・二%引き上げをした。四十五年度までに達成するよう事業所に対し指導する。この努力目標を立てて身障者の雇用率引き上げのために努力をされたことは多とするわけですが、いまお話しのように、特に民間の事業所が目標達成をなしていないということ。また別の面から見ると、官公庁や公社等が達成をするということは、また当然のことだと思うし、目標達成のために協力を願わなければならぬ性格のものだと思いますが、民間企業体が、特に大企業になればなるほど身障者を雇いたがらない。これに対して一体どういう行政指導をするのか。
 私は時間もないけれども、中高年齢者雇用促進法において中高年齢者の雇用率を民間企業等に課しておりますね。あの雇用率を達成しない企業に対しては、求人の申し込み等に対してチェックする機能というものを確保しているわけで、われわれは中高年齢者雇用促進法の審議のときには、もっと強くこれを規定したらどうか、こういうようなことを述べたわけです。
 これは雇用の問題について昭和四十五年に、議員立法として心身障害者対策基本法というものをつくって、その十五条には(雇用の促進)ということを一番大きな柱にしておるわけで、われわれは、この百二十万もいる身障者の中には、交通事故その他いろんな事故から、あるいは労働災害等々から発生しておる身障者がたくさんいるわけで、初期の段階で治療あるいは機能回復訓練等をやるならば、相当身障者の能力開発ということは可能性がある問題だし、またこれをやらなければ身障者問題の解決にならぬと思うのです。
 そういう意味において労働省の役割りは大きい、こう思うので、こういう点について法の整備の問題、行政指導の問題等について御意見があれば聞かしていただきたい。
#66
○道正政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、私どもも重度身体障害者を中心に、いろいろ年々施策も拡充してまいっておるつもりでございますが、まだまだ足りませんし、特に民間の大企業が達成率がよくないというのは問題だろうと思います。そういう点たとえば、いろいろ全国におきましても、正当の理由なくして身体障害者の雇用を達成していない企業については、求人の申し込みを拒むというような規定もございますし、あるいは身体障害者の雇用計画を提出させるようにきめることもできます。そういういろいろの規定を活用いたしまして、重度身体障害者を中心に、大企業に対する指導を中心に、今後とも拡充してまいるつもりであります。
#67
○田畑委員 職業訓練の問題ですが、昭和四十四年十月一日の労働省告示第三十五号によって、北は北海道から宮城、東京、南は鹿児島に至る間、十一校の身体障害者職業訓練校というのができておるわけです。これは身障者という本来不利な肉体的な条件を備えておる人方の職業訓練の機関として、地域の分布度から見た場合に、これでいいのかどうか、こういう疑問も持つわけでありまするが、実際の運営を通じ、労働省としてはどのように考えていらっしゃるのか。
 さらに職場適応訓練等を見ますると、委託を受ける事業主等に対して、たとえば一人一カ月七千百円であるとか、あるいは訓練手当を支給するとか等々の措置も講じられておるし、また身障者を新しく雇用する事業主等に対しては、雇用奨励金等々の支給措置も講じられておるが、このような措置を講じても、なおかつ身障者の就職という問題については努力をしなければならぬ面が相当あると私は考えておるわけです。
 このような職業訓練手当とか雇用奨励金とか等々、これらについては炭鉱離職者、その他駐留軍離職者、中高年齢者等いろいろな場合がありますが、そのようなものともやはり均衡をとりながら、毎年きめこまかく増額措置、内容の充実等をはかられておると考えておるわけだが、この辺について労働省はどういう考えを持っておるのですか。
#68
○道正政府委員 第一点の職業訓練校でございます。これは御指摘のとおり十一校ございますが、そのほかに県立の訓練校が愛知にございます。さらに四十七年度予算におきましては、兵庫に重度身体障害者に重点を置いた訓練校を増設する予算が入っております。そういうことで、訓練行政が非常に身体障害者の雇用促進に重要な関係を持ちますので、今後は重度身体障害者を中心に訓練校の充実をはかってまいりたいと考えております。
 それから手当類のことでございますが、御承知のとおり職場適応訓練と申しまして、一定期間事業主に身体障害者を預けまして、職場にあって訓練をしてもらう。その場合に二万八千二百円の手当を労働者に出します。それから事業主には七千百円を出すわけでございます。こういう金額は必ずしも十分だとは思いませんが、今後は福祉優先ということでもございますので、抜本的に上げるように努力してまいりたいと思います。
#69
○田畑委員 私は、時間もきたことだし、これで質問は終わりますが、特に私は大臣に希望することは、先ほども取り上げました身体障害者福祉審議会が昭和四十五年の八月に身体障害者福祉施策の推進に関する答申を事こまかに提案しておるわけです。その中には現行の施設の分類を、たとえば訓練施設であるとか、授産施設、作業施設、療護施設、利用施設等々に、機能別に整理することを提唱しておるわけで、その中には、たとえば福祉工場の創設を提唱をし、療護施設の設置を提唱しており、福祉センターの創設を提唱しておる。幸いに療護施設については、この改正案で具体的な解決が提案されておりまするが、その他の問題等については、今後の課題として残されておるわけです。こういう問題については、すみやかにこの答申の実現のために努力を払っていただきたい。
 特に、四十五年の身体障害者が百三十一万名を突破する。ますますこれがふえていくということ。やはり大事なことは、このような事故であるとか疾病の発生を事前に予防するということが一番大事なことなんです。これは医療保険の問題等々から見ても、事前の予防ということが一番大事なことだ。しかし、疾病あるいは事故の事前予防のためには厚生省だけでなく、関係各省にまたがることだし、これは政府全体の努力としてやってもらわなければならぬことだが、こういう問題に政府として、さらに一段の御努力を願いたい。
 ことに先ほど指摘したように、やはりこれらの人方については、リハビリ施設を充実強化することにより、不幸な人方の社会復帰を一日も早からしめる、能力の再開発等を通じ、この人方が社会的な適応をできるように進めることが大事だ、こういう点においては労働省にお尋ねした職業訓練の問題等々就職促進等について格段の努力を払うことが大事だ、身障者もその身体的な不遇な条件にかかわらず、一人の不幸者もなからしめるように国、政府が最善の努力を払うことが一番大事な問題だと思うので、そういう意味において、ひとつ大臣におかれても、格別の努力を払われることを私は強く希望申し上げて、質問を終わることにしておきます。
#70
○小沢(辰)委員長代理 次に、寺前巖君。
#71
○寺前委員 じん不全の皆さんが今回の法改正によって更正医療の対象となる、身障者福祉法の対象になって、金の切れ目が命の切れ目となるような、こういう分野において、特段の措置がつくられるということを、私はほんとうに心から喜んでいるものです。これをほんとうに患者さんの期待に沿うものにしていく上においての二、三の点について、私は聞きたいと思うのです。
 この間身体障害者福祉法の一部を改正する法律案が提出されたときに、大臣の説明の中で気になる点があるのです。こういう点なんです。「今回、身体障害者の範囲に新たにじん臓の機能に障害のある者を取り入れることとし、必要な場合には、人工じん臓による人工透析医療につきまして身体障害者福祉法による更生医療の給付の対象とすることとした次第であります。」私は釈迦に説法みたいなことをここで質問するわけじゃございませんが、人工じん臓による人工透析医療だけが、いまのじん臓治療にはなっていないということです。すなわち、腹膜灌流というやり方が必要になっているということです。人工じん臓による人工透析、それをやるために一定の期間腹膜灌流というのを、ならすという意味においてやるということもあります。心臓やあるいは血圧の高い場合など、その場合にはこういう腹膜灌流というのを考えなければならぬことが生まれてきます。あるいはまた、あの人工じん臓の人工透析をやるときに、外シャントと内シャントに切りかえるときにも、一定の間、静脈と動脈の結び目のために腹膜灌流という処置をとらなければならないという場合があります。
 私は、患者さんにすれば、そのときの健康状態によって、あるときには人工透析というやり方をやり、あるときには腹膜潅流というやり方をやらなければならないというそういう状態に置かれているのに、なぜ人工透析の場合だけを更生医療の対象として、腹膜灌流の場合には更生医療の対象にしないのか、理由がわからないのです。私はもう長時間、お医者さんのようなお話は要りません。患者の側からすれば、一緒にやれるものが何で取り扱われないんだろうか、ふしぎでかなわないので、お聞きしたいと思います。
#72
○加藤(威)政府委員 私ども人工じん臓による血液透析医療を更生医療の対象とするということにつきましては、身体障害者の審議会がございますが、そこに専門のお医者さんがおられます。そういう先生方の御意見を聞いて一応取り入れたということでございますが、先生御指摘の腹膜灌流というものにつきましては、私も詳しく承知いたしませんけれども、これはじん臓治療の対策として医学的にも相当有効であるということが認められているということでございますので、これは今後前向きに検討してまいりたいと思います。
#73
○寺前委員 前向きに検討するということは、当然これは省いたということは、やはりどうも現実的に合わぬということをお考えになったというふうに理解してよろしゅうございますね。そうでないと、患者さんの立場から見て、私は理解に苦しむのですよ。医務局長さん、この問題どういうふうに思われますか。
#74
○松尾政府委員 じん不全の場合においては、いま先生、例をあげられましたように、腹膜灌流という方法、これは血液透析が普及してまいりましたときには、血液透析ほどの非常に大きなケースは、たくさんはないと存じますけれども、しかし血液透析以外に、たとえば水分を除去するとかいうような作用といたしましては、非常にすぐれた面がございます。したがいまして、いま御指摘のように併用する場合もございます。また単独で、それ自体が適用される場合もある。しかし、いずれにいたしましても、このじん不全の場合の有力な対策。したがって、いま社会局長が言われましたように、これはやはりじん対策として更生医療の対象として、当然私は考えるべきだと思います。いま社会局長のお話のように、十分具体的に詰めてまいりたいと思います。
#75
○寺前委員 それではお願いします。その次に今度は更生医療の対象になるわけですが、更生医療の対象になった場合に、これは所得制限という問題がこれに伴ってきます。この間おたくのほうから、所得制限の水準について、どういうふうにお金を取るのだという表をもらったのです。私は、これを見て実はまた驚いたのです。なぜかというと、大体人工透析をやって費用は四、五十万はかかるだろう、こういわれるのです。健康保険にかかっている人の家族は、そうすると月に二十万余りのお金は持たなければならぬということになるわけです。一年間にすると、二百数十万円持たなければならぬということになるわけです。更生医療の対象になった、これで救われるかいなと期待をしているのです。
 ところが、この表を見ると、徴収基準額というのがある。これを見ると、税金の対象が十五万六千一円以上の人については全額本人持ちだ、こうなる。この十五万六千一円の税金の人というと、調べてみたら、大体二百万円余りの人が、それだけの税金の対象になるわけです。そうすると、一年間に収入が二百万円入っている人の家族が病院に行ったときに、この人は、あなたは更生医療の対象にしたとしても、全額持ってもらう人ですよということになってしまったら、その人は半額負担で二百万円出さなければならぬ。二百万円収入があって、二百万円病院に払うということは、だんなさんのもらってきた月給を全部出しなさいということですよ。これではせっかくつくったところの更生医療、国民の期待に沿わぬじゃないですか。そういうように思いませんか。私はこの所得制限の分類のしかたというのは、せっかくの期待をつぶすのではないか、これはすみやかに改善する必要があると思うのですが、どうでしょう。
#76
○加藤(威)政府委員 この更生医療の費用徴収の基準でございますが、これは先生の御指摘のような状態になっておりますけれども、透析医療のような高額の更生医療というものは、いままでなかったわけでございます。更生医療の平均が大体十六万円ぐらいというところでございまして、しかもそれが今度の透析医療みたいに一生続くというようなのは、非常にまれでございます。たとえば、大体一回の手術で更生医療というのは終わるというケースが、非常に多かったわけでございます。そういうことを前提にいたしまして、従来の徴収基準というものはつくってあったわけでございます。
 御指摘のとおり、最高額が所得税額で十六万六千円と、収入にいたしまして二百数十万くらいの人、それ以上の収入があった場合には全額負担ということになるわけです。ところが、今度透析医療という非常に膨大な費用のかかるものを更生医療として指定したわけでございますから、これの実効を期するためには、確かに先生御指摘のとおりいまの最高額の人が年額の収入二百数十万、これは健康保険の家族が、この医療を受けるという場合には、ほとんどその収入が全部飛んでしまう。そういう現象になろうと思うのです。
 そういうことで、この法案の御審議をいただきまして、これが通過いたしますれば、私どもは早急にこの基準表を手直しいたしまして、大幅にこれを引き上げまして、そうして相当高額の所得のある方は、ある程度の自己負担をしていただきますけれども、しかし、その自己負担をしても、とにかく生活がやっていけるというぐらいの基準にまでこれを引き上げたい。また、その具体的に幾らという線はまだ出ておりませんけれども、そういう方針で早急に再検討いたしたいというぐあいに考えております。
#77
○寺前委員 それはけっこうです。そういうふうにぜひやってください。
 それからその次に、いま人工透析をやっている範囲というのが、まだ部分です。整備はこれから急がなければならないという事態にあります。しかも、国公立だけでこれを対処しようとしても、対処できないというふうに見ておられるのか、厚生省自身の計画の中にも、民間施設においてこれをやってもらうということも計画の中にあります。そういうように考えてきた場合に、従来この更生医療の指定病院というのですか指定医療機関、すなわち、この指定をするというのは、その病院の申請に基づいて、かなりきびしい審査のやり方になっているというふうに聞いているのです。いま患者さんが、それぞれの病院で透析をやってもらっています。国公立、民間とあります。その場合に、自分は、今度は更生医療の対象になると喜んでその病院にかかっていたのに、ところがこの審査がきびしいために、あなたのところの病院はあきませんでしたということになったときに、患者さんがまた戸惑いをすると思うのです。なぜかというと、医療の場合は、かなり系統的にそのお医者さんにたよっている。お医者さんが移動したら、それについてまでいっているというのが、この分野のいまの実態です。
 そういうように考えた場合に、現在この透析をやっている病院に対して、これが更生医療の対象となるように十分援助を当局自身がやって、患者さんの期待にそむかないようにしてもらうことが、私は重要じゃないかと思うのですが、その点十分対策をとられる用意があるのかどうかをお聞きしたいと思うのです。
#78
○加藤(威)政府委員 更生医療の指定医療機関につきましては、身体障害者福祉審議会の中に審査部会がございまして、専門のお医者さんばかりの部会でございますが、その部会で申請のありました医療機関につきまして、これは更生医療の指定医療機関にしていいかどうかというのを個々に審査をされておるというのが現状でございます。
 更生医療は相当大がかりな手術その他を行なう場合がございますので、先生御指摘のとおり、具体的には相当厳重な審査をしておるというのが実情でございます。透析医療につきましても、これは審査部会の先生の御意見によってきまるところでございますが、一方において、確かにいままで透析医療を受けておった医療機関がはずれるということになれば、よくよくの理由がない場合には、これはやはりその患者さんにとっては、非常に困るという事態も生ずるであろうと思います。したがいまして、そういった事情もよく審査部会の先生方にもお話しいたしまして、患者さんがあまり困らないようなかっこうで、しかも指定医療機関としてなるべくふさわしいものを選ぶ、そのかね合いの問題でございますが、先生の御指摘の点については、十分留意をいたしまして、審査部会の先生方とよく連絡をとって指定をしてまいりたいというぐあいに考えます。
#79
○寺前委員 その次に、ことしの二月ごろでしたか、厚生省が各地にじんセンターを設置するような連絡を各府県にやっておられると思うのです。すなわち、血液センターのように、その地方におけるところの総合的なじん対策をやっていく上において、じんのセンターをつくっていこうじゃないか。おそらくこれは強制力を持っていないやり方だと思うのです。ところが、各都道府県が、それではどこをじんセンターにするかという問題になってくると、じん体制については、全体として国公立が責任を持っているという体制になっていません。現に国公立機関で全然じんの機械を持っていない県が三カ所ほどある実態ですから、こういう実態に基づいて、たとえば私が知っている範囲でも、有名な愛知県の場合においてじんセンターはどこが設けているかというと、やはり権威のある中京社会保険病院ということになっております。あるいは近くの埼玉県や千葉県を見ても、社会保険病院としての埼玉中央病院や千葉社会保険病院、こういうふうになってきていると思うのです。これはその他の府県を見ても、必ずしも国公立病院でないところがじんセンターの役割りを背負っております。
 こういうふうに見てきたときに、今度の予算の配分を見た場合、国が幾つかの療養所や病院に対して、国立には自分の責任において施設、設備をつくっていきます。公立の病院に対しては、三分の一の助成をやるという措置をとっております。ところが、そうでないところの機関に対しては、何らめんどうを見ないということになっております。一方ではじんセンターというのが必要だ、この行政指導をやっている。ところがじんセンター自身、民間にたよらなければならないという実態になっておる。こういうふうに考えてきた場合に、私は、じんセンターに対する対策なり、民間に対する対策を国として、もっと積極的に手を打つ必要があるんじゃないか。実態は国公立でないところに期待をかげながら、財政的なめんどうも見ないというやり方は問題ではないかと思うのですが、これは医務局長さんですか、お答えをいただきたいと思います。
#80
○松尾政府委員 御指摘のとおり、私たちもじんの対策を国立あるいは公立だけでやろう、そういうつもりはございません。従来からの保有台数等を見ましても、当然民間の機関あるいは公的機関、いろいろな機関で持っております。したがって、そういうところで総合的に、体系的にじんの治療の体制を整えたい、そういう意味のことばが、いわばじんセンターということばで表現されたと思います。
    〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
 これは決して国立のもの、公立のものを法律的、制度的にセンターとして指定しようというところまでいっておるわけじゃございません。各機関がばらばらにかってにやってもいけない。たとえばいまお話しのように、中京病院というものが非常に実績があるといたしましたならば、そこと必ず連絡をとるような整備計画というものでなければいかぬ、そういうつもりで、ことばを使っておるものでございます。したがいまして、そういう実績のあるところは、国の機関あるいは公立以外であっても、それが中心になる。技術の指導もございますから、いろいろな点で中心になってほしい、こういうつもりで申し上げておるわけでございます。
 ただその場合に、国あるいは公立の公的機関につきましては、御指摘のように補助がございますけれども、純民間のものにつきましては、従来から育成補助金というものは出せない、こういうたてまえでございまして、昨日もお答え申しておきましたように、いわゆる純粋な民間機関につきましては、医療金融公庫からお世話申し上げるということしかないわけでございます。
 ただ私どもが描いておりますじん対策は、現在スタートしたところでございますけれども、今後はいろいろなじんの問題につきましては、じん移植の問題等もからんでまいりまして、いわばじん臓に関しますいろいろな情報の集中、たとえば血液型の問題、じん移植をいたしますところの型合わせの問題、そういったことがまだ組織化されていない点がございます。私たちの今後のじん対策といたしましては、各医療機関が提携いたしまして、そしていろいろな情報の提供をやる。そこでじん移植等が必要になっても、すみやかに行なわれるような体制をつくっていく、そういうつもりでおりまして、そういう段階で、ただいま御指摘のようなほんとうの意味のじんセンターというものをどういうふうに育てるか、これは今後私たちは留意してまいりたいと思います。
#81
○寺前委員 歴史的な経過から見ても、かなり民間施設が権威を持ってじんの世話をやってきていると思うのです。そういうふうに考えてきた場合に、日本の場合、第一線にあるところの開業医の性格なども諸外国と比べて非常に大きなものがあると思うのです。それだけに民間施設に対する援助というのは、具体的にもう少し検討してもらう必要があるだろう。特にじんセンターを設定していく場合に、国公立ばかりが能ではないという実態がこの分野には現実的に生まれているだけに、私は、これはぜひとも御検討いただきたいというふうに要望します。
 ついでに、この分野について、もう一つお聞きしたいのですが、これはどちらにお聞きしたらいいのか知りませんが、患者の側からするならば、週に二回透析にいかなければならない。その時間は六時間から八時間ほどしなければならない。腹膜潅流の場合であったら、八時間から十時間しなければならないから、その日は仕事をやめるという条件を保障している職業についている人でないと、命を長らえさせることができないという問題になっていると思うのです。そういうふうに思うとき、職業を守りながら命を守っていくという処置をやるためには、夜間透析というのは不可分の問題だ。私は少なくとも国立機関や公立機関は、先頭を切って夜間透析を可能にする条件整備を至急にやるべきだと思いますが、これについての見解を聞きたいと思います。
#82
○松尾政府委員 御指摘のように、この場合にケースによりましては夜間透析というものが必要な場合があると思います。ただ、私は前々から申し上げておりましたように、夜間透析を原則とするというようなことは、相手が患者さんでもございまして、いろいろな病状というものがございます。したがって、すべてに夜間透析を原則とするのだということは、やや言い過ぎになるかと存じますけれども、昨日もお答え申し上げましたように、そういうケースについては当然夜間透析も必要である。したがって、そういうものも決していかぬというわけではございませんで、患者さんの実態と病院との関係ということで、私ども十分ひとつ考えていきたいと思います。
 ただ、今後次第にじん透析の効果もあがり、いわば比較的軽症のうちからどんどんやれるようになってまいりますれば、おそらく御指摘のような夜間透析の比重は高まってくるだろうと存じます。そういう意味におきまして、われわれの国立等におきましても、こういう点について、さらに人の問題、勤務体制の問題、こういったものがみんなからんでくると存じますので、そういう点については今後十分検討させていただきたいと存じます。
#83
○寺前委員 大臣に、この問題についての最後の質問を総合的にしたいと思います。
 先ほどから私が御指摘申し上げましたように、計画段階で私は幾つかの問題を明らかに含んでいると思うのです。腹膜灌流が対象に入っていなかったとか、患者の側からの問題が幾つか出てきた。そういう意味において、この案が出された段階から発展させて、確かに金の切れ目が命の切れ目になるという性格を持っている治療対策だけに、私は全面的にもう一度再検討して、新たな気持で十分こたえていくという体制をつくってもらいたいと思うのですが、御所見を聞きたいと思います。
#84
○斎藤国務大臣 初めてこういう制度をやるわけでございますから、いまおっしゃいましたような事柄、またそうでない事柄につきましても、まだ考えが足りなかったという点がいろいろ出てくるだろうと思います。そこらにつきましては、できるだけ万全を期してまいるように、要すれば、また制度の内容も改めてまいりたいと思います。
#85
○寺前委員 それでは国年を一言やりますので、担当者ちょっとお願いします。
 一千万人をこえるところの六十歳以上のお年寄りの老後の生活の安定をはかるということで、この問題は国政上きわめて重要な問題だと思いますので、私は全面的にやりたいところですけれども、時間もございません。私たちの立場からいうと、国と資本家負担による無拠出の総合的年金制度を一日も早くつくり上げていきたいというふうに思っているわけですが、きょうはほんの一部分、小さいところをお聞きしたいと思います。
 大臣にまず第一に、私が端的に御所見を聞きたいと思うのは、たとえば現在東京の一級地で六十五歳のお年寄りは生活保護一万八千円ほどの支給になっております。老人福祉年金というのは、せめてこういうふうに二万円前後のものは、今日の時点においても生活保護水準にはする必要があるんじゃないだろうかというふうに思うのですが、その関係についてお聞きしたいと思います。
#86
○斎藤国務大臣 この点は、私は生活保護は最低生活を保障するという意味でやっているわけでありますから、それに対する福祉年金は、それに上積みになるわけです。したがって生活保護の保護基準と、それから福祉年金の額との関係は、生活できない人はその基準までは生活を保障する。そしてその上に福祉年金ということになるわけでございますから、金額的には関係がないのじゃないだろうかと存じます。
#87
○寺前委員 いや、私は生活保護の中に二千三百円の老人加給がつくということですから、いまの独立した生活という場合に、そのことをとやかく言うわけではなくして、福祉年金というものは、そういうものでありたい。少なくとも社会生活上最低の生活というのは、こうだという生活保護を出しておったら、その程度のものを水準と考えるというのは常識的に見て、みんなが期待しているのではないかということを提起しているので、これはひとつ基本的に御検討いただくということにして一応おいておきます。
 それで私はきょうは時間がないので、本部分の矛盾点についてちょっと聞きたいと思うのです。
 というのは、いま各都道府県で国民年金の保険料のお知らせということで、あなたはこれこれの金額の未納になっていますよという通知がかなり積極的にやられていますし、たとえば東京なんかでも東京都だよりというのですか、あれなんかにも書かれて私たちの家にほうり込まれております。かなり気ばって宣伝をされているわけですが、いよいよ期限が六月末で切れてくる。ところが、かなりの人が未納金の問題について知らなかったという問題もあるし、あるいはそれじゃ六月期限末ということになって、かなりの金額を納めなければならないというような問題なども含まれて、いま権利を奪われようとしている問題を持っております。特に明治三十九年の四月二日から四十四年の四月一日までに生まれて、すぐにでも十年年金なり、五万円年金なりもらえるという対象者が十万人くらいからおって、実際上いまその権利を取得できる状態というのは三分の一くらいじゃないかというような事態になってきている。それで六月末がこれで迫ってくるという状態にあるけれども、これでもう六月末で切られてしまって、さあ終わりだということで、しゃあないんだということで放置されるのか、これは何らかの手を打つべきものだというふうにお考えになるのか、この点について一点お聞きします。
 それからもう一つは、これは私の地方で起こったことなのですが、京都の農村の美濃山というところで、ある人がなくなったのです。この人の生まれは明治四十年の三月十五日なのです。それで六十五歳の誕生日というのが、ことしの三月十五日なのです。なくなったのが三月三十一日。そうすると、現在の国民年金支給のやり方によると、その死んだ、誕生日の月は給付を受けないことになるんですね。だから、この人が四月一日に死んでいたら一カ月分の年金がもらえる。ところが三月三十一日に死んでおったら、権利は三月十五日でもって期限が来ているのだから、その前日で権利はあるけれども支給はされないという実態になっている。
 そこで私は、この件に関して、どういう実態になっているのだろうかということで調べてみたら、こういうことになるのですね。この人は十年年金として納めているのは二万五千八百円なのです、いままでに。この人がことしの三月十三日までに、すなわち有資格者になるまでに死んでいたら、死亡一時金が一万四千円もらえた。ところが、この三月の十五日から三十一日ですか、十四日から三十一日ですか、この間に死んだときには全然給付はないのです。そして四月一日以後に死んだら、今度一カ月分の五千円がもらえる。そうするとおかしな話ですけれども、二万五千円からのお金を納めておって、早う死んだら一時金がもらえて、死んだその月に生まれておったら、なしになって、あくる月になったら、一時金より少ない五千円になる。これはどう考えても、家族にとっては理解できない姿になっておるのです。だから、ここのところはほんとうに現実的に考えて整理をする必要があると思うのです。いままでこんな問題あったと思うのですが、私は年金がきわめて少ないだけに、よけいこういう問題については検討されるべきだと思うのですが、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
#88
○北川(力)政府委員 前段の問題は、いわゆる保険料の特別納付の制度でございまして、前回の四十四年の改正の際に制度ができました当時に、被保険者のほうでの理解の不足があったというふうな事情も考えまして、すでに当時時効で保険料を納付することができなかった方々につきまして、四十五年の七月から四十七年の六月、つまり今月の末日までに限って特例的に設けた制度でございます。
 現在までこの規定を活用いたしまして、先生のお話にございましたように都道府県、市町村等を督励いたしまして、相当なこの制度の適用者があらわれておりまして、すでに約百万人程度が納付をいたしております。しかしながら現実は、まだことしの三月の末で三十万人をこえる程度の者が納付をいたしておらないような実情であります。こういったことで二年間という期間を限って過去の時効の特例を設けたわけでございますので、しかも中央地方を通じて相当に努力をしてまいりましたので、あと一カ月足らずでございますけれども、私どもといたしましては、さらにこの期間の間にできるだけの努力をいたしまして、この制度が十分に活用できるようにつとめてまいりたいと思っております。
 ただ、六月が終わりました時点で、しからばどうなるというふうなお尋ねと思いますけれども、これはいま申し上げましたような努力をいたしました結果でございますから、その結果を見ました上で、実情がさらに別途の措置を講ずべき必要があるというようなことでございましたら、その時点において、しかるべき措置を考えるように検討いたしたい、このように考えております。
 それから、第二点の問題でございますが、確かにいまおっしゃいましたように、現在の制度は老齢年金の受給権を取得いたしました月に死亡いたしました場合においては、老齢年金も死亡一時金も両方とも出ない、こういうような仕組みになっております。年金制度といたしましていろいろな面をながめながらつくったものでございますので、これも一つの割り切り方かもしれませんけれども、受給者が非常に多い現状あるいはまた、できるだけ多くの方々に年金を支給するのが好ましい現状から見まして、こういった御要望は先生のお話のみならず、ほかにも相当程度ございますので、どういうふうな割り切り方をしたほうがいいか、今後の検討課題として早急に検討を続けたい、このように考えております。
#89
○寺前委員 終わります。
#90
○森山委員長 これにて、ただいま議題となっております三案中、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#91
○森山委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#92
○森山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#93
○森山委員長 この際、山下徳夫、田邊誠君、大橋敏雄君、田畑金光君及び寺前巖君より、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 その趣旨の説明を聴取いたします。山下徳夫君。
#94
○山下(徳)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。
   身体障害者福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、身体障害者福祉法の精神及び審議会の答申にのっとり、次の事項についてすみやかに改善を図るべきである。
 一、身体障害者福祉対策全般の拡充に努め、総合的、計画的な施策を講ずること。
 二、身体障害者福祉対策の充実にあたっては、家庭奉仕員制度の充実等在宅障害者対策の強化が必要であるので、その対策の充実を図ること。
 三、身体障害者のリハビリテーション推進のため、リハビリテーション実施体系の確立等必要な措置を講ずること。
 四、身体障害者の特性にかんがみ、身体障害者向け公営住宅の増設等身体障害者をめぐる環境の改善のために必要な措置を講ずること。
 五、身体障害者の就職の機会の拡大及び職業訓練の充実を団るため必要な措置を講ずること。
 六、身体障害者の就学、就労の促進を図るための有効な対策を講ずること。
 七、万やむを得ず人工じん臓の夜間透析を行なわなければならない場合も予想されるので、その受入れ体制についても十分配慮すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#95
○森山委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求 めます。
    〔賛成者起立〕
#96
○森山委員長 起立総員。よって、本案については、山下徳夫君外四名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。
 この際、厚生大臣より発言を求められております。これを許します。斎藤厚生大臣。
#97
○斎藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力をいたしたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#98
○森山委員長 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#100
○森山委員長 次回は、来たる六日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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