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1971/03/21 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第8号
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1971/03/21 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第8号

#1
第068回国会 大蔵委員会 第8号
昭和四十七年三月二十一日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 齋藤 邦吉君
   理事 木野 晴夫君 理事 丹羽 久章君
   理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君
   理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
   理事 竹本 孫一君
      上村千一郎君    奥田 敬和君
      木村武千代君    倉成  正君
      地崎宇三郎君    中川 一郎君
      中島源太郎君    原田  憲君
      坊  秀男君    松本 十郎君
      三池  信君    毛利 松平君
      森  美秀君    吉田 重延君
      吉田  実君    阿部 助哉君
      佐藤 観樹君    藤田 高敏君
      堀  昌雄君    山中 吾郎君
      貝沼 次郎君    二見 伸明君
      寒川 喜一君    小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  田中 六助君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省国際金融
        局次長     林  大造君
 委員外の出席者
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
三月十八日
自動車損害賠償責任保険料の据置きに関する請
願(徳安實藏君紹介)(第一七三六号)
元満鉄職員等の共済年金通算に関する請願(三
池信君紹介)(第一七三七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三五号)
     ――――◇―――――
#2
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。阿部助哉君。
#3
○阿部(助)委員 せっかく大臣がおいでになっておりますので、いろいろ準備した問題に入る前に、ひとつ医師の診療報酬、この問題について大蔵省の見解をお伺いしたいのでありますが、租税特別措置の中で社会的に非常に関心の高いのに、医師の診療報酬に対する所得控除がございます。いずれ機会を見て詳しくお伺いをしたいのでありますけれども、この特別措置は、まあ厚生省あたりの医療行政の怠慢というか、不手ぎわというか、それを税制でしりぬぐいしているようなかっこうになっておるわけであります。税負担の公平を害しておるということは言うまでもないことであります。しかし問題は、わが国の医療政策にかかわる内容を持っておる。それだけに、まあ現在大蔵省でこの必要経費の削減を主張しておるようでありますけれども、いまどのようなお考えに立っておるのか、一応見解をお伺いして、次に入りたいと思います。
#4
○水田国務大臣 御承知のように、この制度は昭和二十九年からというのですから、もう二十年近く行なわれておる制度でございますが、当時診療報酬についての単価アップという問題でいろいろ問題がございましたが、十分医師側の要望に沿えなかったというような事情から、税制においてこういう優遇措置を講ずる措置がとられたといういきさつがございますので、この診療報酬が改善されるに従って、この制度も改善されてしかるべきであって、毎年税制調査会においてもこれが問題となり、また政府部内におきましても、この制度についての非常な批判があって、何らかの措置をとりたいということは考えながらも、とうとう今日まで実際問題としてこれが解決できませんでした。そこで、税制調査会におきましても、何回これを政府に対して意見を述べても解決されないということは、税制調査会の権威にも関することでございますし、とにかく政府はこの問題について今度こそ真剣な解決をしてもらいたいという要望がございました。それについては、ただ、この制度が不合理であるということを指摘するだけではいけないと思うので、特別の部会を自分たちがつくって、こういう形でこれを改正したらどうかという現実的な案を独自に考えたい、もし自分たちのそういう案ができた場合には、今度は政府は尊重してくれるか、従来のように、せっかく意見を出しても、これが実現しないようであっては困るという話が再三ございましたので、私が税制調査会に出て、それなら独自に現実的な具体案を研究してくれてけっこうです、それができたら、政府はこれを尊重するというお約束をして、いま税制調査会にもうこの具体案の検討をお願いしているという段階でございますので、ここから具体案が提案されることになりましたら、今度はその意見を尊重して、長い間の懸案でございますから、この問題の解決をはかりたいというふうに私はいま考えております。
#5
○阿部(助)委員 そうしますと、税調が具体案を出したらやります、こういうことなんですね。だけれども大臣、どうなんです。税調、税調とおっしゃるけれども、大蔵省自体はどういう考えなんだ、こう私は聞いておるんでして、何か課税当局として他人まかせな感じを受けるんです。私は、税調のお考えは大体聞いておりますが、大蔵当局としては、最高責任者の大臣としてはどうなんだとお伺いしておる。その点はどうなんですか。
#6
○水田国務大臣 大蔵省としては、最初からこの特例はむしろ廃止したいという考えで今日まできましたが、これは常に一つの政治的な問題になる税制でございまして、与野党、国会の同意を得られるところまで毎年なかなかいきませんでしたので、常にこの改正を見送っているというのが実情でございます。大蔵省としては、この税制は、この際ぜひ変えたいというふうに考えております。
#7
○阿部(助)委員 次の問題を用意してありますので、私はこの問題にあまり深入りしようと思っていないんですが、改正しようと思っているなら、こういうふうに改正しようと思っているというくらいのことが出てこなければ、課税当局として主体性がなさ過ぎるじゃないですか。
#8
○水田国務大臣 大蔵省としては、こういう特別措置はもう一挙にやめたいというところまで考えておりますが、現実問題として、なかなかできませんでした。したがって、これをやめるについては、やはり実際的にやりいい方法を考えるのがいいだろうと考えます。そういう意味の研究を税制調査会でしてくれるのでしたらこれに従うということが、国会の同意を得るのにもやはり一番いい方法だと信じて、税調に特にお願いしている、こういう事情でございますので、これを一挙にやらなくても、漸進的に解決する方法があれば、私はそれでもいいというふうに思っております。
#9
○阿部(助)委員 私、いまの答弁、たいへん不満でありますけれども、実は私、租税特別措置の基本的な問題をお伺いしたいと思って用意してまいりましたので、次に移ります。
 私は、この数年間、この委員会で租税の問題について質疑を行なってまいりました。なるほど大蔵当局は、計数的なあるいは技術的な面については非常によく勉強しておられるのでありますけれども、私から見ると、近代民主主義国家の政府としては、どうも民主主義の姿勢に疑わしい感じがするわけであります。つまり、勤労庶民の生活の擁護、権利を守るという原則が欠け過ぎておるのではないか。そこで私、本日は租税特別措置法の案件について質疑を行なう前に、まず、租税法律主義に関する政府の見解を承っておきたいのであります。
 政府は租税法律主義の原則を貫こうとしておられる、こう思っておるのでありますが、その点はいかがですか。
#10
○水田国務大臣 租税法律主義の原則は、政府は貫くつもりで、いままでもこれはくずしていないつもりでございます。
#11
○阿部(助)委員 では、高木局長も、その点は御異存ありませんね。
#12
○高木(文)政府委員 大臣の言われるとおりでございます。
#13
○阿部(助)委員 租税法律主義というのは、税の新設、改廃は、国民の選挙によって選ばれた国会の審議を経て、法律によって行なう。何人もこれ以外の方法によって課税、徴税することは許されない。われわれが税法を制定、改廃するにあたって一切の課税案件、つまり、だれが納税するのか、いかなる物件、要件が対象になるのか、どういう標準税率で課税するのか、逆にいえば国民及び納税者に明確にわかること、これが租税法律主義のたてまえだ、私はこう思うのですが、違いましょうか。
#14
○水田国務大臣 そのとおりだと思います。
#15
○阿部(助)委員 ところが、政府は、経済社会の発展の現段階において、一口に租税法律主義といっても、なかなか厳格に実行ができない、こう思っておられるんじゃないかという感じが、私はいろいろな税法等を見てするわけであります。それとも、この原則は厳格に守らなければならないと思っておやりになっておるのかどうか、もう一ぺん確かめておきたいと思います。
#16
○水田国務大臣 租税法律主義は守らなければなりませんが、ただ、その場合、税の仕組みについての基本的事項というようなものは、むろん法律によって規定されますが、他面、課税関係にたくさん見られる専門的、技術的な事項とか手続ということになりますと、法律で全部きめるんじゃなくて、法律でその骨子をきめた後に、内容の詳細を政令で規定するというようなことも必要であり、またそれが国民にもわかりやすい法令体系ということになりますので、そういう点について一から十まで法律できめなければならぬというものではないと思います。その大筋の基本的な事項を法律できめるということでいいんではないかというふうに考えております。
#17
○阿部(助)委員 専門的、技術的ということでお逃げになるようでありますけれども、そこはやむを得ない。そういう技術的な問題は、私もわからぬではないのであります。しかし、何か形式的なところだけやっておって、実質的なところはみんな政令だ、あるいはまた大臣告示だ、こう逃げられては、これは租税法律主義の原則がくずれてしまうということで私は申し上げておるのであって、その点は大臣、異存がないと思うのであります。
 そこで一つ、これは具体的な事例でありますが、これは三月十五日の新聞でありますけれども「合併優遇税制の適用」という見出しで、今度は自動車ははずす、そして新たに紙パルプ、紡績をこれに入れる、こういう新聞が出ておるのでございますけれども、これはほんとうでございますか。
#18
○高木(文)政府委員 特定合併のどういう業種――特定合併というのは、合併をすることが現在の産業界、当該産業界のみならず全般として望ましいという場合に割り増し償却あるいは登録税法上の登録税の軽減を行なうものでございますが、その場合にどのような産業について合併を奨励すべきかということについては、現在の規定では租税特別措置法の四十六条の三に基づきましてその範囲を行政府にまかしていただくという形になっております。確かにただいま御指摘の特定合併の範囲をきめるというような分野、それを直接法律で定めるべきものか、あるいは政省令を通じて行政府に一応この判断をまかせらるべきものかという限界の問題になろうかと思います。ただいま御指摘ありました業種の指定の問題につきましては、鉄につきましてはすでにその必要はないのではないかと考えられますし、それから紙パルプ業界等につきましては、いままでは特定合併の対象とはしておりませんでしたけれども、近来いろいろ業界の実情等からいって合併が望ましいということが判断されておりますので、あわせて近々のうちに指定をするということで予定をいたしておることは事実でございます。
#19
○阿部(助)委員 いろいろ言われるけれども、この新聞に出たこの方向で進んでおることは間違いがないんですね。――これはなるほど法律を見ると、政令に委任をしておるのであります。だから、それ自体があまりにも大幅に政令に委任していたんでは、国会審議というものは全くこれは形骸化してしまうんじゃないか。しかも、こういう問題が新聞では早くわかるけれども、国会議員が租税特別措置の審議をやっておる最中でも、国会のほうではあとでわかる、審議の実際の問題にすらなり得ないような形で処理されていく。これはあとでお伺いをしますけれども、これをやられたんでは租税法律主義ということにはならぬのじゃないですか。
 これにはいろいろ見ますと、明確の原則なんというものは、おおよそ縁が遠いでしょう。どれを見てもそうなんですけれども、合理化機械等の特別償却なんかについていうと、何でも政令で定める期間内に云々、政令できめると、こうなっておる。次のページをめくってみますと、企業合理化促進法六条に規定する政令で定める重要産業に属する云々とある、二は政令で定める云々となっている。もうとにかくこの法律を見ると、みんな政令に委任しておるといってもいいくらいです。それでは、こうなると今度はその政令は、皆さんの直税関係法規集(II)の三三二ページ、三三三ページを開いてごらんなさい。今度は政令に委任したものが大臣の告示というか大臣が指定するものということで、これがべったりあるわけであります。私の赤いしるしをつけたのは、みんな大臣の指定になっておるのです。
 これを見てもなかなかわからない。しかも、それは大臣、政府当局の一方的な判断で幾らでもワクを広げられる。それは大ワクは法律できまっておるとおっしゃるだろうけれども、これでは皆さんが言う租税法律主義なんというものは全く形骸化されたものにすぎないじゃないですか。大臣、その点で私はどうしても技術的なものはあるいはやむを得ない問題もあると思うのです。だけれども、こういう形で法律がしり抜けになって、特にほかの法律と違って租税という税法にこれだけ大きなしり抜けにしていくということにやはり大きな問題があるのじゃないか。しかも特に特別措置というこの法律が、大臣御承知のように、税の公平を害してもその時点における産業の振興であるとかあるいは経済の動向にそれなりに即応しようという考え、私たちはそれには反対なんでありますけれども、政府のほうではそういう判断に立っておる、こういたしましても、それだけにこれはなるたけ厳格な法律主義をとるというのが、私は民主国家の税制のあり方だろうと思うのでありますけれども、大臣はいかがですか。
#20
○水田国務大臣 この特別措置は、いまおっしゃられたように、公平の原則についての例外でございますので、したがって、これこれの政策目的のためにこういう例外的な特別措置をとりたいという税の仕組みの基本事項が法定されておれば、その他の、どの業種を適用するかというような本のは、ある程度政令にまかせなかったら、この特別措置がもともと産業政策の一環を税制を通じて行なおうとするものでございますから、経済界の変動とかいうようなものに応じて弾力的に運用ができないということでございますので、私はそういう点、基本的事項が法定されておれば、これはある程度政令に譲らなければ弾力的な運用ができない。同時に問題は、この改廃を常に見直すという、このことが必要であって、慢性化されないようにすることが大事で、その点が十分気をつけられるのでしたら、これを適用するときには、ある程度政令で行なえるという弾力性を持つことが、制度の性質上やはり必要じゃないかというふうにも私は考えます。
#21
○阿部(助)委員 私は大臣のいまの御答弁は、実際答弁にならないと思うのであります。私も全部法律できめられるとは言っていないのであります。しかし、法律できめなければいかぬ問題が常にあるわけであります。そうして大臣がきめようと思えば、まだ法律できめる範囲はうんとあるわけであります。それをできるだけ政令に委任し、政令は大臣告示、大臣の指定にまかせるということになってくれば、全く法律は骨抜きで、ざるであります。政府の一方的な見解によって業種が次々とふえていくのであります。
  〔委員長退席、丹羽(久)委員長代理着席〕
そうして毎年常にこれを見直すと言うけれども、あとでゆっくりとお伺いをいたしますが、一体皆さんはどのような見直しをされたのか、われわれにはわからぬのであります。
 それならばお伺いしますけれども、大臣、もちろん皆さんに提案権はありましょう。だけれども、最高の判断する機関は一体どこなんです。国会じゃないですか。
#22
○水田国務大臣 税法の最後の判断者は国会でございます。
#23
○阿部(助)委員 それならば、見直しだとか、見直していくその判断もまた国会がこれは担当すべきだと私は思うのであります。その国会に皆さん資料を提出したことがありますか。局長、そのとぎにどういうふうにこれは見直した、またどう見直していく、このことについて、皆さんはわれわれに判断の素材を出したことがありますか。ないじゃないですか。それで国会は判断をしろと、こうおっしゃっても、実際はこれはできないじゃないですか。最高機関だと皆さんがおっしゃるならば、最高機関にまず判断の素材を出すべきだ、こう思うのですが、どうですか。
#24
○高木(文)政府委員 かねがね、政省令についての内容が随時国会に示されなければ、税法関係の実態が把握できない、よって税法の審議等にも支障があるという御議論は、当委員会においてかなり前からございました。そこで従来からのいわば事実上の慣例では、毎月政府のほうで出します政省令につきましては、出しました月の翌月に当委員会の理事会に御報告をする、御連絡する、こういう取りきめになっておるわけでございまして、そういう形で実行上どういうふうに改廃が進んでいるかということを見ていただくということで、今日まで進んでいるというふうに了解をいたしておるわけであります。
#25
○阿部(助)委員 それは事後報告でしょう。
#26
○高木(文)政府委員 何を政令で定めるかということは法律でおきめいただくわけでありますが、政令をきめるのは閣議で定められるということで、行政府の権限ということになっておりますから、当然事後報告になります。
#27
○阿部(助)委員 だから、そういうものをおきめになる、それは政令にまかしてしまえばそうなるから、法律をつくるときにある程度そこで予見をされる政令の要綱ぐらいは当然国会に出すのが国会尊重というか、国会の審議、国民のための審議をする要件だと、私は思うのですよ。それを全然しないで、法律はまあまあしろうとだから目をごまかしておけばいいやということなら、これは私は問題があると思うのです。
 それなら具体的にお伺いしますけれども、今度もいろいろと修正をしております。これは一つ一つやっていけば一週間もかかります。局長、この電子計算機の特別償却で、五分の一から四分の一に変更しましたね。これはどういう理由で四分の一にしたのか、五分の一ではなぜいかぬのか、四分の一にしたらこれはどういう経済効果があるのか、その検討をされて変更されたのだと思うのですが、その変更の討議の資料、効果、そういうものをひとつ出してもらいたい。一つずつやります。
#28
○高木(文)政府委員 資料として御提出いたします。
#29
○阿部(助)委員 ほか、多少続けますけれども、その資料を見てからこれはまた質問することを認めていただきたいと思います。
#30
○丹羽(久)委員長代理 はい。
#31
○阿部(助)委員 船舶は五分の一から三分の一に大幅に引き上げている。これはどういうわけですか。
#32
○高木(文)政府委員 従来から船舶の特別償却の率がいかにあるべきかということについては、関係行政庁と私どもの間にかねがね議論がございましたが、これまでは私どもとしては、通常の償却率に対し、特別償却の基準的償却率である三分の一まではどうかという主張をしておったわけでございます。ただ償却率は機械と船舶とではだいぶ違いまして、船舶のほうは、御存じのように、機械に比べますとたいへん長いわけでございますので、その趣旨からいいますと、機械等の特別償却を認めます場合の標準の償却率が三分の一であるからといって、船舶についても三分の一にすることは、他の償却とのバランス上、少し甘過ぎるのではないかという私どもの主張であったわけでございますが、今回、御存じのように、各種の輸出奨励税制が廃止されることになりました。輸出奨励税制が廃止されることになりますと、輸出関係の業種としては、いろいろな意味で経理面で影響を受けるわけであります。最近、外貨が非常に多くなり過ぎるということが問題にはなっておりますが、かねがねわが国の輸入輸出物資の日本船による引き取り率が低いということが問題になっておりまして、なお一そう海運の振興をはかる必要があるということは一方において問題があるわけでありますので、一方において輸出振興税制を整理すると同時に、海運業界の体質を弱体化せしめないという配慮が必要であろうという要請が認められますから、かねがねの船舶の償却率についての両側からの議論というものをこの際われわれとしても考え直して、いままでよりは償却上若干有利な扱いにすることもまたやむを得ぬではないかという考え方をとったわけでございます。
#33
○阿部(助)委員 この船の関係、佐藤さんの造船汚職の時代から融資は特別なめんどうを見て今日まで続けてきているわけですね。開発銀行、毎年毎年たいへんな額、たしか昨年も一千億近い金を出したはずであります。そういうふうにやっておる。それで五分の一から三分の一にしたら、それならばどれだけの金額――私は個々の問題に入りたくなかったわけだけれども、皆さんの行きがかり上しようがない、入りますけれども、それならば、計数をちゃんと示して国会審議のできるように、皆さんはなぜその資料を出さないのです。それくらいのものは当然出すべきじゃないですか。いまのあなたの説明だけでは、国民はちっともわからない。国民のわかるように、ひとつその資料を出してください。
#34
○高木(文)政府委員 ただいまの五分の一と三分の一の差額の問題は、いずれにしても特別償却率は非常に重要な問題でございますから、法律に規定しておるわけでございまして、それは先ほど来御指摘の政令委任事項ではないわけでございます。
 次に、それらによりますところの軽減の額につきましては、これは先般来御提出いたしております租税特別措置によるいわゆる減収額、あの一覧表の中に計上されておるわけでございます。
#35
○阿部(助)委員 高木さんどこであれしておるのですか。
  〔「一つもわからない」と呼び、その他発言する者あり〕
#36
○丹羽(久)委員長代理 お静かに願います。
#37
○高木(文)政府委員 「租税特別措置による事項別平年度減収見込み試算」の第四項目に「技術の振興、設備の近代化」その中の四番目の「合理化機械等の特別償却」この中に包摂をされておるわけでございます。
#38
○堀委員 ちょっと関連。いま局長が前段で答えられた、今度輸出割り増し償却を廃止をしたから、それのある程度の見合いとして、船舶の特別償却を五分の一から三分の一にしたと言われるのですが、輸出割り増し償却に関連しておるというならば、そのものが輸出業でなければおかしいのですから、造船会社の話というなら、私は輸出割り増し償却をなくしたために、それにかわる何らかのフェーバーを与えようというならわかるのだが、ここには十二として、「政令で定める海上運送業を営む法人」「当該事業の経営の合理化に資するものとして政令で定める船舶」、こうあるわけですから、輸出割り増し償却には無関係ですね、このこと自体は。だから、それはいまの後段であなたが、邦船による積み取り比率を高めたいと言われるそのほうは、私は了解をするけれども、前段の輸出割り増し償却の関連は、これは関係がないと思いますが、どうですか。
#39
○高木(文)政府委員 海運会社といままでの輸出奨励税制との関係は二点ございまして、輸出割り増し償却とそれから技術等海外取引の所得控除と二点ございます。割り増し償却は、最も典型的には物を輸出をいたしました場合に、その輸出に基づきますところの所得について、その企業が持っておりますところの設備の償却率を割り増しをするというわけでございますが、海運のように外貨手取りがあります場合にも、物の輸出と役務の輸出という概念から、外貨手取りがありました場合には、それを普通の物の輸出の場合と同じように、やはり持っております、ただいま船と申しましたが、船以外の設備全体について割り増し償却が働いておったわけでございまして、その割り増し償却が働くとともに、技術等海外取引の所得控除が働くということで、今回なくなりました――輸出奨励税制のうちの大体七割ほどなくなったわけでありますが、海運関係は全部なくなった、こういう関係でございます。
#40
○堀委員 そうしたら、おっしゃった割り増し償却のどこのところに書いておりますか。私もこれを読んだけれども、その中に規定してあるところが見当らなかったのですが、法律の関連するところをちょっと読んでください。
#41
○高木(文)政府委員 今度改正になってなくなりますが、現行法の四十六条の二が法人のほうでございますが、「青色申告書を提出する法人の」これこれからこれこれまでの「期間内の日を含む各事業年度の直前の事業年度」カッコを飛ばしますが、「の総収入金額のうちに」――そのところが問題なんですが、「海外取引及び技術等海外取引による収入金額がある場合には、」この「海外取引」というのは普通の常識でいう輸出でございますが、「技術等海外取引による収入金額がある場合には、」この「技術等海外取引」の中に、海運の物の輸送による外貨を手取りをした部分が入ってくる。「技術等海外取引」の概念はまた別の項で定義づけておる。こういう関係でございます。三項で「第一項に規定する技術等海外取引とは、次に掲げる取引をいう。」それの五号に、「外国航路において行なう輸出貨物の運送」という事項がございます。この五号によって、この三項で、船で物を運ぶという行為が「技術等海外取引」の中に包摂され、その技術等海外取引による収入金額がある場合には、割り増し償却があるということは、先ほど冒頭に読みましたことでございます。
#42
○堀委員 了解。
#43
○阿部(助)委員 まあいまのように、局長もよくわからないみたいなものを国民にわかるわけがないですね。しかも見直し、見直しといって、大臣もおっしゃっておるけれども、いまの話のようにどういう見直しをして、どういう経済効果があるのかというものをはっきりしないまま次から次へと特別償却を大きくしていっているわけですね。見直しというのは、大体公平の原則を害しておる特別措置は見直して、だんだん減っていくのだと思っておったら、皆さんのほうの見直しというのは、毎年検討して見直しておるということは、これはだんだん特別措置の数はふえていくわ、内容は大きくなっていくわというのが、これが見直しということになるわけですか。
#44
○高木(文)政府委員 四十七年度に限って申し上げますと、輸出関係のもろもろの特別措置を大体七割ないし八割程度整理をする、それから貸倒引当金について、引き当て率を下げるということをいたしたわけでありまして、一方において、ただいまの御指摘のようないろいろの処置をとることにしたわけでございますが、全体として見ますと、たとえば住宅対策であるとか中小企業対策であるとかということにも十分考えたつもりではございますが、なお御指摘のように、いろいろの産業関係の特別措置には全く何らの措置をしないということも、現実問題としてなかなかできないわけであります。全体の数字の出し入れを見ていただきますと、従来から比べますればもっぱら産業向けに機能して曲った額を減らして、そしてその相当部分を直接産業向けとはいえないほうに向けたということでありまして、さらにそれを新しく産業向けに向けることをしないで、全部その他のほうへ回すべきではないかという御意見かと思いますが、方向としては漸次そういう方向に向くとしても、一挙にそれをやるということは私どもとしても非常に困難であると思うわけでございます。
#45
○阿部(助)委員 じゃ、そのだんだん産業向けの分を減らしてどうのこうのとおっしゃるけれども、それならば、これはほんとうは租税特別措置じゃなしに、税法の改正でおやりになるのが原則的には私は正しいと思うのであります。そうして、いまもっぱら産業向けのものを減らしてとおっしゃるが、金額においても件数においても、私はだんだん産業向けのものが多くなってきておるのじゃないか。局長のお話がありましたから例をあげますと、特に私は佐藤内閣になってから、ほんのわずかな特殊な大企業向けの特別措置がどんどんふえておるということだけは間違いないのじゃないですか。
 たとえば電子計算機の製造会社は大体六社であります。これが活用しておる電子計算機の買戻準備金、しかもこの買戻準備金を企業で見ますと、日立製作の場合には四十六年九月期の純利益が二百八億、電子計算機の買戻準備金、これが八十億ある。これだけ大きなものを、この電子計算機の買戻準備金なんというものは全産業の中でたった六社でしょう。こういうものをおつくりになった。原子力発電の工事の関係、設備の特別償却、これを見ますと、関西電力の例をあげますと、四十六年九月期の純利益が百十億であります。原子力発電工事の特別償却が百億であります。これだけよけいなものを活用しておる会社は、関西電力と東京電力の二社くらいじゃないですか。ぜいぜいこれから出てきて九電力に原発くらいなものなんです。十社くらいなものなんです。そういう特殊な大企業に対してのみ恩典を与えるという特別措置が次から次へと出てきておる。特にこれは佐藤内閣になってからの特徴的な特別措置です。まだあるのです。株式の損失、これは株屋さんだけです。
 こういうものをあげてまいりますと、次から次へと数々あるのです。これは税調でも、「特に租税特別措置については、個々の政策目的の合理性の判定を厳格にし、その効果に不断の検討を加えることにより制度の流動的改廃を行なうこととし、特別措置の既得権化や慢性化を排除する方針を堅持することが必要である。」こう述べておるけれども、皆さんは見直した、見直したと言いながら、さっきのように償却はどんどん上げていく。一般の国民のために新しい何とか特別措置をつくったようなことをおっしゃるけれども、そうではなしに、金額の面においてはべらぼうに大きい、そうして活用するのはごく限られた何社というような特殊な大企業だけが恩恵を受ける、こういう特別措置が次から次へとつくられて公平の原則を害しておるということをまず皆さんは認識をしないのですか、どうです。
#46
○高木(文)政府委員 特別措置がそもそももろもろの政策の誘引措置であるというところからしまして、どうしても特定の産業あるいは特定の企業に片寄る傾向を持つことは否定できない事実でございます。まさにただいま御指摘がございましたように、電子計算機の問題であるとか原子力の問題であるとかいうのは、わが国が産業界全体として見た場合に最も立ちおくれておる分野であり、そして最も早く追いついていかなければならない分野であるということからいたしまして、むしろある意味ではそこに奨励措置が導入さるべきであるという考え方があるわけでございまして、そういう原子力なり電子計算機なりについての奨励措置というものを否定されるということになりますと、おっしゃるとおりでございますが、それを何らかの形で進めていくべきだという前提に立ってものを考えるのであれば、税制としてもある程度公平の原則といいますか、そういうものを多少犠牲にしてもやむを得ないというのが、租税特別措置の性格ではないかと思うのでございます。
  〔丹羽(久)委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、一方において、ただそれが慢性化してはならぬということでございまして、その意味からいきますと、すでにそれより以前に設けられました、五年、十年前には意味がありました政策的な措置でその後残っておるものをやめていく。そのかわり、新しい時点において必要なものを起こしていくということがこの際としても最も重要であるというふうに認識しておるわけでございます。
#47
○阿部(助)委員 どうも局長はこじつけられておるみたいですけれども、それじゃ、幾つなくして幾つつくりましたか。
#48
○高木(文)政府委員 これは数の勘定のしかたがいろいろあるのですが、創設しましたものが十二、廃止しましたものが十一、これは四十七年度改正分でございます。
#49
○阿部(助)委員 局長、税務当局としていまの発言は私はおかしいと思うのですよ。たとえばごく少ない電子計算機の会社六社のために、この電子計算機の企業の発展、技術の開発が必要だ、だから税法でやるんだ、こうおっしゃるけれども、これぐらいの数のものでどうしても政策的に必要ならば税法だけじゃない、ほんとうならばこれは明確な補助金で出したらどうです。そうすれば、そのかわり会計検査も受けなければいかぬだろう。国会で予算の審議もあるでしょう。国民の目にこれは明確にわかってくるわけであります。ところが税金でやられれば、会計検査もない。企業の側からいけばこれはたいへんに都合がいい。しかし国民の側からいけばこれはたいへんに困ったことであります。私はそういう点で、いま局長がおっしゃるように何らかの形でこの企業を育成しなければならぬというならば、これぐらいの数の少ない会社の場合には明確な補助金でやったらどうです。何も税制を、体系を乱して、そうして税制の一番大切な原則でありますところの公平の原則を乱してまで税制でおやりになるなんという立場は、主税局長の立場からいっておかしいと思うのですが、どうです。
#50
○高木(文)政府委員 おことばではございますが、電子計算機の問題というのは、この一年間非常に重要な問題として議論したところでございます。御存じのように、電子計算機の自由化ということについてはアメリカからは非常に強く求められたわけでございますが、私どももよくわかりませんけれども、先端産業である電子計算機を日本が持って、産業界として自分自身で高い水準を推持するということは非常に重要なことだという前提に立って、自由化の時期も本体分については若干おくらすということでやっておるわけでございまして、きわめて短期間に追いつけ、追い越せということでいゆいろやっておるものと思います。措置といたしましては、まことに申しわけありません、詳しく存じておりませんが、税制上だけではないはずでございまして、開銀等の融資なども含めてかなり電子計算機にはやっているはずでございます。
 なお、ただいま御指摘の電子計算機の買戻準備金につきましては、これは私どもは税制上必ずしも特別措置の中で非常に異例、特別のものとは実は考えていないのでございます。電子計算機は次々次々新しくなってまいりますから、新しくなってまいりました場合には、ユーザーのほうはさらに新しい機種のものを求めることになってまいりますので、機種の更新に伴いまして買い戻しの必要が起こってくるということで、従来の準備金の率を若干引き上げたいということでございます。企業会計上慣習がまだ完熟をしていないということで、企業会計のほうでは引当金として認められておりませんけれども、引当金にかなり近い性格のものでございますので、他の準備金等と比べましても、他の租税特別措置と比較した中で、決してこの電子計算機の買い戻しの準備金が、税の公平の概念からいって著しく租税特別措置の中でもいわゆるお行儀の悪いものだということではないと私どもは考えているのでございます。
#51
○阿部(助)委員 局長、私は原則的にできるだけ税制は公平の原則を乱さないようにという基本的な姿勢をとるべきだ、こういうことをいっておるのでして、個々の問題まだありますけれども、そういう基本的な姿勢を私は要求しておるので、そのことでどうかということなんです。
#52
○高木(文)政府委員 実は、租税特別措置に関しましては、いろいろと各方面から新しい措置をとってほしいという御要求、主として関係行政官庁からございます。その中で、一面におきましては租税の立場からいたしまして、まさに先生御指摘のように、公平の概念から見て著しく公平を害するということにならないようにということには常に配慮をしているわけでございます。もちろん一面において政策上の現時点における重要性ということも必要ではございますが、私どもは私どもなりに税制上の公平を著しく害してはならぬということでございまして、ただいま御指摘ありましたようなことは日ごろから心得ているつもりではございますが、今後ともそのような心がまえで臨んでいきたいと思います。
#53
○阿部(助)委員 皆さんの「昭和四十七年度租税特別措置による減収額試算」ですか、これを見ましても、異質な増収分を除くと六千億にもなる。そこへ地方税のはね返りなんて入れたら、これは七千五百億ぐらいになるのじゃないですか。申告所得の三分の二にも達する大きな金額をここへまけてやっておる。そして物価の上昇する中で所得減税はいたしませんなんていって、これは増税ですよね。納税人口を見ても、これは明らかに大衆課税、増税なんです。そういうものを勤労者大衆にはかぶせておいて、そうして特殊の大企業だけが恩恵を受けるようなこういう特別措置を次から次へとつくっておる。もちろん産業界は自分の利益のためにはできるだけ税金をまけてもらったほうがいい、あたりまえのことであります。しかし問題は、課税当局としてどういう基本姿勢をとるか、どういう姿勢をとっておるかということが一番大切だと私は思うのですが、いま最後の局長の答弁は、基本的にはなるだけ公平の原則を守りたい、こうおっしゃったけれども、それまでの答弁は何かやむを得ないというような形、しかもその判断は国会が最後の判断をする場所だと私は思うのです。しかしその判断をする場所に対しては皆さんはさっぱり資料も提出しない。これはどういうことなんです。一体、国会をどういう機関だと考えておられるのですか。私はそこが一番不満があるわけでして、これは次官、どうです。政務次官にひとつお伺いしたい。
#54
○田中(六)政府委員 たびたび、阿部委員御指摘のようなこともあるかもわかりませんけれども、私どもといたしましては、税制は一つの産業にだけ片寄ってこれを保護するということではなくて、たとえば公害対策とかあるいは寡婦あるいは老人、そういうような対策についても税の面で住宅とか、そういうことも配慮して公平の原則には反しないような基本的な考えを持っておるわけでございます。
 国会を無視してないか、最後の判定を下すのは国会なのにということでございますが、私どもは、手順といたしましては税制調査会とかあるいは各党のそれぞれ税に関係する審議会あるいは会議で資料を要求されて社会党にも出しておるわけでございまして、別に皆さんに資料を提出するのを手を抜いておるつもりはございません。要求されればいつでも出すつもりでございますし、また法案を出した場合は、国会で納得のいくように審議をしていただくという方針はさらさら変わりはありませんので、そういう気持ちでずっとやってきております。
#55
○高木(文)政府委員 多少補足して申し上げさせていただきますが、ただいま御指摘がありましたように、特別措置による減収額としてお示ししました数字は四千七百三十億でございます。阿部委員がおっしゃいましたように、交際費非課税の問題をマイナスしておりますから六千億になるではないかというのは、そういう見方をすれば確かにそういう数字になります。ところで、この四千七百三十億という数字は大体五六%くらいが企業関係外で四四%が企業関係ということができるかと思います。企業関係のうちでは大企業と中小企業とどっちが多いかということになりますと、これはそもそも特別措置のメリットの計算が困難である、非常にたくさんありますので、そういう区分は非常にむずかしいわけでございますが、数が多い関係もありますけれども、全体としてはやはり大企業よりは中小企業のほうがメリットをよけい受けておるということでございます。それから長期に見ますといろいろ問題はございますが、昨年とことしとを比べますと、輸出振興税制を整理をしたという関係上、大企業のほうに対するメリットは減って若干中小企業に対するメリットがふえておるという関係になっております。従来からも、また本日も御指摘のように、確かにいろいろ問題がございますし、御指摘のような観点を十分織り込んでわれわれ日ごろ特別措置に対処していかなければならないと考えるのでございまして、残念ながらそう顕著に一年でこういうふうに急に変わりましたということは申し上げかねるのでございますが、方向としてはそういう方向で私どもも努力をしているつもりでございます。
#56
○阿部(助)委員 皆さんも主観的にはいろいろ努力をしているようにおっしゃるのですし、資料も要求があれば出す、次官はこうおっしゃるのですけれども、法案を制定を願うときには皆さんのほうでいままでいろいろ使った資料くらいは当然出してくるべきじゃないですか。それはわれわれもできるだけの勉強はします。国民の負託にこたえたい。しかし、そう何もかにもどういう資料があるかなんというのは、大蔵省へ行っておるわけじゃないのだからそんなものはわかるはずがないですよ。出せといってもなかなか渋って出さないじゃないですか。こういう検討をいたしましたという資料くらいは、あるものは当然お出しになるのですね。要求があれば出すのではなしに、皆さんのところにある資料は出しますね。次官の、要求があればというのは私、気に食わないのです。
#57
○田中(六)政府委員 大蔵省が検討しておる資料を全部出せというようなことになりますと、いろいろ極秘事項もあるでしょうし、それは保証しかねるのでございますが、やはり要求もないのにどうしろ、こうしろということもちょっと困難ですけれども、要求があれば全部出すということだと思います。
#58
○阿部(助)委員 しかし、実際要求されてもいままで資料は出てこないじゃないですか。この委員会で広瀬委員からもあるいはほかの委員からもいつでもそのことで問題が出ておるわけであります。私、予算委員会のときも言ったら、大臣のほうは、償却の関係は税務署で全部把握はしておるけれども集計はしてないと言うし、局長のほうは区別がつかないのだから出てこないのだ、しかしこれから努力しますとこう言う。さらに税調等へ出しておる資料くらいは当然国会に出すべきではないですか。それすら出してこないのです。税調よりも国会のほうが最終的な最高の判断をする機関だということは皆さんも認めたわけでしょう。またこれは当然なことでしょう。税調へ出しておる資料すらわれわれに出さないということは一体どういうことなんですか。これは当然出しますね。
#59
○高木(文)政府委員 いまちょっと正確にお答えいたしかねますが、税調に出している資料で国会に出さないことはあり得ないだろうと思います。
#60
○阿部(助)委員 それは要求をしたときに出すのですか、要求しなくても出すのですか、出しておるのですか。
#61
○高木(文)政府委員 税調に出した資料と申しましても、税調の各委員の個人的資料だとかいろいろなものがございますから、全部が全部どういうふうに――あるいはまた出したといったのにこういうものが出てないといってあとでしかられても困りますけれども、税調の審議過程において出しておる資料は当然当方から出すべきだと思います。
 もう一つお答えしておきますが、実は四十六年八月のいわゆる長期答申のときの前に税調でたいへん勉強をしていただきまして、膨大な資料が本来あるわけでございますが、その後年内減税等の事務がいろいろ重なったりいたしましたために、実は税調へ提出しました資料そのものの編集、整理が今度はできていないということになっておりまして、私ども自身も内部で早くつくれということを急いでおるということで、あるいはそういう事情から税調先生方にいつも出してきておるものをまだ持ってきてないじゃないかという印象でお受け取りになっておられるかもしれませんけれども、今回の場合はいつもに比べますと資料の整理が事務的に内部でおくれておるという事情があることを付言させていただきます。
#62
○阿部(助)委員 その目録くらいはひとつ出してもらう。同時に法案審議の前にできるだけその資料は出して、私たちも国民の負託に少しでもよけいこたえたいということで勉強するつもりでおるのだから、それをあとで出されるというのでなしに、国会審議の前に出すということくらいは皆さんの当然の義務だと思うのですが、そういう点で努力をしてもらいたい。
 もう一つは、いま局長は中小企業云々とおっしゃったけれども、中小企業なら中小企業だけにやるというなら私はわかるのです。しかし、日本経済がまた円の再切り上げなどといわれておる今日、私はこれからあげますけれども、大企業にこれだけ大きなめんどうを見る必要が一体どこにあるんだ。しかも一方、農業を見てごらんなさい。米価の三年続きの据え置きだ、作付減反だ。私は全国はわかりませんけれども、新潟県だけで見た場合には、据え置きのときに、直前の四十三年に千七十九億の米代金があった。ところが昨年は八百五十五億。しかしこれを実際の物価指数でデフレートしていきますと、四割くらいの収入減なんですよ。そういう問題に対して何も手当てをしない。財界や大きな企業に対してはめちゃくちゃにめんどうを見ておるといっても過言じゃないと思う。先日の藤田委員の質問でも、今度の為替差損の問題一つとって見たところで、税金の面におけるメリット、輸銀の面のメリット、こういうものであれだけ大きな金額をまけてやっておるじゃないですか。そうしながらいまの農業はどうなんです。そうして農産物の自由化とくれば、まさにどうしようもない。いま皆さんは中企企業云々と言うけれども、中小企業なら中小企業対策でおやりになればいい。少なくともいまのようなドルがたまって困るなんというこういう段階で、大企業のめんどうをこれだけ見る必要があるのかどうか。大体今日の高度成長政策、経済社会発展計画、このものはもう再検討すべき段階だと思うのですが、この点はいかがなんですか。これは次官にお伺いします。
#63
○田中(六)政府委員 いままでは、いままでというか、数年前までですが、高度成長政策で、国際収支が四、五年前まで二十億ドルで足らぬ、足らぬということであったわけでございますので、それに焦点を合わせるということもあったと思います。そういう政策でやってきたわけで、現在百六十億をこす外貨が蓄積された以上、方向転換、軌道修正するのは当然でございます。したがって、私どもも昨年から特に社会資本の充実、社会保障制度、そういうような面で政策を進めておるわけでございまして、公共事業の拡大、そういうようなことをやっておるわけでございます。したがって、今回の予算もそういうこと、あるいは輸入の優遇制度につきましても大幅に改廃を行なっておりますし、考え方あるいは行動のやり方としてはそういうことでやっております。
#64
○阿部(助)委員 大幅に改廃したと言うが、どこを大幅に改廃しましたか。
#65
○高木(文)政府委員 これは考え方でございますが、輸出振興税制については非常に長い歴史を持っておったわけでございますし、先生のようなお考えもございますけれども、ここにおいては、わが国の経済体質からいって、今後とも引き続き存続すべきだという意見の方も決して少なくはないわけでございます。それを四十六年度の税制改正で大体四割くらい整理をいたしました上で、本来ならば三年延長するということで昨年の春の国会で御承認願っておるところを、まだ一年たつやたたずのところで、さらに七割ないし八割というものを今回整理するということにいたしましたのは、額の多寡という点からいえばあるいはなお御異論もあろうかと思いますけれども、かなりその姿勢を示すもの、方向を示すものということで評価をしていただいていいのではないかと思うのでございます。
#66
○阿部(助)委員 皆さんは輸出割り増し償却の廃止をおっしゃったのだと思うのですが、どっちかというと皆さんは、ガット等から文句が出たりアメリカあたりから文句が出たときには、まことに簡単に直すようであります。しかし、国内の批判に対しては全く耳を傾けないというのが私は今日までの佐藤内閣の姿だ、こう思うのであります。なるほど今日まで一方では輸出第一主義をとってきた、そうして高度成長政策をとってきたけれども、輸出第一主義のほうでは、確かに輸出の割り増し償却を廃止したというような点で、私は何がしか改正をしたと思うのですが、高度成長政策の面については全然といっていいほど手直しはしていないじゃないですか。これは皆さんの資料で私が集計をしたのですから、あるいは数字で間違いがあるかもわかりません。しかもこれはあの貸倒準備金なんという金融機関の数字がここへ入っておりません。それで見ましても引当金、準備金、特別償却、こういうものの増加の割合というものはたいへんな勢いで大きくなってきておるわけであります。四十二年には七千五百五十三億だったのが四十五年度には一兆二千七百七億、これはもうたいへんな伸び率であります。これこそ高度成長であります。そして民間設備投資の金額との割合を見ますと、四十二年度ではこの準備金、引当金、償却というものが占める割合は三五・三%、四十三年には二九・一%、四十四年には三九・一%、四十五年には二七・五%と、日本の産業の設備投資のおおむね三〇%にあたる膨大な金額が、各年ともこの準備金、引当金の金額になっておるわけであります。まさに私は高度成長をささえてきた一つの大きな柱だ、こう思うのであります。それはもちろん金融政策もあるでしょう。だけれども、この引当金、準備金、こういう特別措置というものが日本の高度成長をささえてきた大きな柱であることだけは間違いがないのじないか。この数字もまたそれを示しておるわけであります。そういうことを考えると、今日高度成長の行き過ぎ、安定成長に移ろうということになるならば、まずこの特別措置の全面的な見直しをすべきだ、私はこう思うのでありますけれども、これは政務次官からまずお答え願いたいのであります。
#67
○田中(六)政府委員 高度成長政策に大きく寄与した特別措置を全面的に見直せということでございます。この特別措置を全面的に洗い直して見直しているのは事実でございますが、それをどの程度どのように改廃するかということは、政策目的あるいは政策手段によっていろいろ変わってくるわけでございます。私どももそういう観点から、あまり成長政策が行き過ぎるとたいへんだということは、私どもがいま現実に体験しているわけでございます。しかし、といって日本の産業は、「ひよわな花・日本」というのでブレジンスキーあたりが指摘しておりますように、他国と同じような考えがはたして日本に当てはまるかどうか。つまり資源がないのに小さな島に一億の国民がおる中で、高度成長政策はいけないということが言えるかどうかということは根本的に大きな問題でございます。したがって、いままで一〇%以上の成長率を持っておったのを急速に五%前後に持っていくことが、国内の経済の均衡上いいかどうかということは疑問でございますので、やはり産業を成長さして、その果実、余ったのを社会政策に持っていくという考え方が基本的になければならない。この高度経済成長政策を否定し去るというのは、政府としてはやはり疑問があるわけでございまして、必ずしも阿部委員の御指摘のとおり、全部直ちにこれをストップして、そうしてほかに振りかえるということは責任のある政府としては疑問の余地がございますので、この特別措置の改廃につきましても税の負担の公平ということは基本的には考えておりますが、やはりそのベースに流れるものは、責任ある政府といたしましては全面的にいまの政策を否定し去るということは疑問の余地があろうと思います。
#68
○阿部(助)委員 何か私がたいへん無責任なような話をされるのだけれども、それならば私も少しそれは考えを改めてもう一ぺん追及し直さなければいかぬことになるのです。私は、見直し見直しと言うけれども、いまこれを全部一ぺんに廃止できるとは思っておりません。だけれども、見直し見直しと言うけれども、一体何を見直してきたのか、その見直してきた実態を国会に出せといっているのです。それをいまの次官のお話はちょっと私は合点がいかないのは、当初は高度成長を安定成長に直すというふうに私はお伺いをいたしたのでありますけれども、いまの答弁は高度成長は直すわけにはいかないんだということに私は受け取ったわけであります。そうすると、前の御答弁といまの御答弁とは、これは矛盾をしておるのではないか。この二つをまずお伺いをしたいのであります。
#69
○田中(六)政府委員 安定成長ということの定義もございますが、これをどの程度が成長か、どの程度が安定成長か、あるいはどの程度が高度成長かということは、経済学者、エコノミスト非常に議論のあるところでございますが、私どもは、いままで行き過ぎた、つまり一二、三%の成長率を維持しようということはこれはもう考えておらないわけでございまして、つまり五%前後がいいのかどうかという疑問、というのはやはりいままでの半分あるいは三分の一程度の成長率をもしも維持した場合は、当然失業率というような問題にもはね返るでしょうし、かえって社会政策をやらなければならないような社会問題を惹起するということも起こってくるわけでございますので、私の言うのは安定成長、つまりいままでの高度成長政策はいけない、しかし安定成長あるいはそれに準ずるものの成長政策、つまり産業の振興政策というものはやっていかなければならないというのが私の趣旨でございまして、これは最初から言っております安定成長だという場合と少しも矛盾しないというふうに考えます。
 それから、見直したということでございますが、やはり私どもは毎年租税特別措置法につきまして、たくさんある法律でこれをどうしたらいいか、ああしたらいいかということは洗っているわけで、そういう意味で見直しということを言っているわけであります。
#70
○阿部(助)委員 まず、この安定成長というのが、学者の意見でどうのこうのと言うけれども、それなら佐藤総理が安定成長というのは、わけがわからぬけれども、まあ高度成長いかぬから安定成長だわい、こういうことでスローガン的に上げた、そのようなあいまいなものなんですか。佐藤さんの話は、ときどき約束を破るからあまり信用できないけれども、皆さん自体、これは閣僚並びに政務次官とおっしゃる方々までが安定成長というものは、高度成長がいかぬから、学者の意見もいろいろあるんでわかりませんなんということで、これは安定成長を国民に約束されたのですか。
#71
○田中(六)政府委員 安定成長という定義がむずかしいということは先ほど私も指摘したとおりでございますが、安定成長というものをもしも定義づけるとするならば、いろいろな方法がありましょうが、私は国際均衡を維持しあるいは国内均衡を維持し、両者の均衡が維持できた経済政策じゃないかというふうに思います。したがって、国内の均衡を維持するということは、やはり国民のすみずみまである程度生活も安定し、社会保障制度もある程度他国に、近代国家に劣らぬような政策もでき、それ以上また対外的にも輸出輸入で安定できるというようなことじゃないかと思います。そういう経済政策を遂行するということは、非常にバランスのとれた経済政策を遂行するということは、国際的にも国内的にも非常にむずかしいのは現実でございまして、といってそれを避けては通られませんので、私どもはそこに苦心の余地があるわけでございまして、そういう意味の安定成長というならば、私どものいまのやっておる経済政策並びに四十七年度予算に盛り込んでおる諸政策はそういう線で行っておりますので、それが私は安定成長のいまの政策だというふうに考えております。
#72
○阿部(助)委員 ことばじりをとらえるようで恐縮でございますけれども、ほかの大臣、次官とは違って大蔵政務次官でありますし、安定成長はこういうものじゃないかと思いますなんというあいまいな態度で臨んでおるところにこれは問題があるわけであります。これがほかの省なら私はあえてそれを責めませんけれども、一番経済の中枢を握る大蔵省の政務次官、それが総理大臣の安定成長もわからないで、じゃないかと思いますというような答弁をここでされては困るのであります。私は、見直した見直したと言うけれども、一体その見直しと基本的な姿勢を先ほどから聞いておるのでして、私たちから見れば、なるほどいま輸出関係、ドルがたまって困る、輸出が国際的に云々されておるとき、しかも皆さん自体が、あの円の切り上げを回避しようというためではありましょうけれども、八項目の閣議決定をされたあの中でも、輸出振興税制はこれを廃止の方向で検討する、廃止したい、こうおっしゃっておった。しかも見たところが、当然割り増し償却だけではなしにまだほかのこの問題も整理をするだろう、財界もまたそれを覚悟しておったわけであります。新聞等によればもう覚悟しておった。しかしこの割り増し償却だけを廃止をした。そうして先ほどの局長の話じゃないが、それを廃止したので今度別のほうをあちこちみんなふくらまして、大体財界のほうは差し引き損なしという対策をとっておる。これが皆さんの見直しでは国民は納得をしないんですよ。私は安定成長に移行しようというならば、やはり高度成長政策の基本をなしてきたこの準備金、引当金というものも当然検討をしただろうと思う。その検討したある程度の資料、それは紙きれの一枚一枚まで全部とは言わないけれども、こういう検討をしたというならば、ある程度その検討したしるしをここへ出してみろ、われわれもまたそれを検討します、判断の最高機関は国会だと、それならばわれわれにも判断の素材を提供しろ、こう要求しておるのであります。それなしに法案だけぽっと出してこられても、われわれは国民の負託に十分にこたえるわけにはいかぬじゃないか。ことに局長以下は公務員なのだから、たてまえは中立の公務員なのだから、これは国会に当然そのくらいのものは資料を出して、そうしてここで検討を願うということが正しいあり方じゃないか。それがまた、一番冒頭に私が強く言いましたところの租税法律主義という大原則、そしてわれわれは公平の原則にできるだけ税制を近づけたいという立場でこれが論議ができるのであります。その点はどうです。
#73
○高木(文)政府委員 御質問に対するお答えとちょっとはずれるかもしれませんが、四十七年度の税制改正といたしまして私どもが最も集中的に力を入れましたのは、輸出振興税制の整理ということが一つと、それから貸倒引当金の引き当て率の引き下げと、もう一点は法人税の臨時付加率の期限が参りますのを維持することに仕事の焦点を合わしておったつもりでございます。ただいま御指摘のように、いろいろと準備金がございます。引当金につきましては、これは企業会計なり何なりの考え方で、いわば公認されたものでございますので、やや趣が違うかと思いますが、準備金はまさに税制上の特例といいますか、恩典措置でございます。したがいまして、準備金は当然毎年期限が来ようと来まいと、そういうこととは関係なく、いわば十分検討いたすべき事項でございます。
 もろもろの準備金につきましては、本年もある程度の検討をいたしたわけでありますが、最も中心になりましたのは、やはり輸出に関連があります海外市場開拓準備金についてであります。海外市場開拓準備金については、ただいま御指摘がございましたように、八項目の中でも取り上げられておった問題でもございますし、私どもといたしましても最後までこれは検討いたしたわけでありますが、最終的には通貨の調整幅が非常に大きいということがあり、その調整幅が大きいことによって、今後の日本経済の受けます影響がどういうふうになってくるかということの見通しが十分つきかねる、今日でもそうでございますが、なお四十七年度の予算編成段階というのは非常にそれがつきかねる状況にあったわけでありまして、今後とも無秩序な輸出は退けられるべきでございましょうけれども、資源のない国でもございますから、いわば秩序ある輸出は続けられるべきでありましょうし、また、特定国に集中した輸出はいかがかと思われますけれども、いままで輸出していない地域に対する輸出ということも考えられてしかるべきであろうというような見地から、海外市場開拓準備金については、なお様子を見ざるを得ないという結論に到達したわけでございまして、その点がなまぬるいではないかという御意見はあろうかと思いますけれども、私どもとしては、一応そういう結論から海外市場開拓準備金については、期限も来てないことでもあり、なおしばらく存続ということにした次第でございます。
 その他のいろいろの準備金がございますが、そのいろいろの準備金につきましても検討はいたしましたものもあります。それから検討するには、先ほど申しましたようなことでいろいろあっちに手をとられ、こっちに手をとられてございますので、あまり手を広げ過ぎてもうまくないということから、むしろ四十八年度に集中的に検討すべきだということで譲ったものもあるわけでございまして、実は弁解になって恐縮でございますが、一つを整理するのもなかなか時間がかかることでございますので、そう一挙にはいかぬ、今後とも、その制度の趣旨、できました当時の事情、その後変わりましたかどうかということは一つ、一つ洗っていきたいと思っております。
 資料を出すか、出さぬかというお話でございますけれども、実はもろもろの準備金について検討しましたもので、もし何ぶんか、なるほどこれは勉強したなといって見ていただけるものありとすれば、海外市場開拓準備金かと思いますが、それ以外のものにつきましては、さほど集中的に勉強をいたしておりませんので、お出しすべきものもあまり十分整っていないということでございます。
#74
○阿部(助)委員 海外市場の話にきたのでお伺いしますけれども、これは予算委員会でもお伺いしたのでありますけれども、これは確かに円の切り上げの直後でございまして、大幅な切り上げがどうなるかということで見通しがつかなかった、こう皆さんおっしゃるのでありまして、その点は私もあるいはそうかもわからぬと思います。しかし、今日の事態を見れば、あれだけ切り上げたけれども、日本の輸出は依然として伸びておる、そうしてドルはたまって困る、何とか処理せなければいかぬ。そうして昨年の暮れにこの通貨調整をやって何カ月もたたないうちに、今日もうすでに円の再切り上げが云々されておるというのを見れば、これは見通しが立たなかったと言うが、いまの時点だったならば、当然この海外市場開拓準備金も廃止をしたのだろう、こう私は好意的に見るのでありますが、これはいまの時点で判断されたら当然廃止の提案をすべきだったと、こうお考えになっておられるのじゃないですか。
#75
○高木(文)政府委員 たいへんデリケートな問題でございますのでお答えもしにくいわけでございますが、確かに現時点と当時とはだいぶ事情が違いますので、現時点であればどのような論議が展開されたか、違う論議の展開過程をたどったのではないかと思われるところもあるわけでございます。
 ただ、一方におきまして、通貨調整の影響といいますか効果といいますか、それによりまして輸出が若干抑制されてくる、あるいは輸入が進んでくるというのにはどんなに短く見ても一年以上の経過を見なければならぬというような議論も一方にございますし、それから一方において、ごく最近におきまして、現時点の輸出は決してまだ衰えていないけれども、最近における成約はなかなか困難になったというようなことが、まあ商社筋等からしきりに伝えられておる状況でございます。私どもとしましては、昨年来の経緯もございますから、今後とも海外市場開拓準備金の制度につきましては、特に四十八年度の税制改正にからめてよく勉強をしてまいりたいと思っておりますが、そちらの輸出関係者を中心としてどのような反論が出てまいりますか、注視していかなければならぬところだと思っております。確かに御指摘のように、これを判断する時点が昨年の暮れ、あるいはこの正月でなくて現時点であれば事情が変わっていたのではないかという点については、私もそう思います。
#76
○阿部(助)委員 もう時間のようでありますからあれしますが、先ほど局長のほうから特別償却は中小企業によりよけいとるのだ、恩典を与えておるのだ、こうおっしゃるのでありますけれども、特殊な会社に特殊な利益を与えるようなものはもう少し私は規制をしてしかるべきではないか、こう思うのであります。そういう点で、私が有価証券報告書ででかい会社をいろいろ見て感ずることは、あまりにもこれは甘過ぎるのではないかということであります。たとえば新日鉄の場合に、特別償却引当金というのですか、溶鉱炉の修繕の金だと思うのですが、これが――四十六年九月期の純利益が二百三十億です。ところが特別償却がそのおおむね倍、五百四十二億七千七百万円あるのです。これはたいへんな金額であります。三菱重工の場合には、海外市場開拓準備金が五十八億、当期の純利益が百九十四億であります。日産自動車の場合には特別償却引当金が三百五十六億、九月期の純利益が二百九十三億であります。当期の純利益をはるかに上回るものをやっておる。不況だ、不況だといいながら、昨年よりもまたよけいに積み増しをしておるわけであります。日立の電子計算機は先ほど申し上げました。三井物産の海外市場開拓準備金が百四十六億であります。当期の純利益百九億、当期の純利益をはるかに上回るような膨大な金をこの特別措置によって内部留保しておるわけであります。これだけ大きな、しかもこれだけの利益をあげておる会社、こういうものになぜこんなに至れり尽くせりの手当てをしなければならないのか。いままでのお話からいくと、何か経済界からの圧力、経済界からの強い要請があって、皆さんの手では負えないようなお話ばかり聞くわけであります。皆さんは財界の番頭ではないのでありまして、国民のための公務員であります。これは国民のための政府であります。なぜ一部、わずかの財界のために皆さんはそれだけ動かされなければならないのか。だから、それは国会へ出して、国会議員の審議の中でこれを制定していく。だから初めから申し上げるように、租税法律主義の原則をまず立て、そこでこれをおやりにならなければ、これは大きな政治力のあるものに皆さんは曲げられていくことは当然のことなのであります。私はそのことを初めから申し上げておるわけなのであります。これがいま困っておる勤労者あるいは困っておる農民、この人たちにこの数字を示したら、一体どう言います。国民の大多数はこんなことを納得すると思いますか。これが民主的な税制だと、皆さん胸を張って国民の前に言ってこれを示すことができますか。その責任の一端はわれわれ国会議員にもあるのです。われわれはこんな数字を出して、国民の前に、これが正しい税制のあり方だなんということを言えるわけがないじゃないですか。もっと真剣に特別措置の問題は考えないと、私は、ほんとうにずっと聞いておりまして、財界からの要請が強いとか、いろいろなことをおっしゃられるたびに、何か財界と財政当局とが癒着をしておるのじゃないかという疑念すら持たざるを得ないような御答弁であります。国民のための税制、公平の税制というものをお考えになるならば、こんなでたらめな、こんなめちゃくちゃな恩典を与えてまで、輸出振興あるいは企業の体質改善、いろいろな理屈はあるでしょう、あるけれども、こんなものは国民大衆の前には通用しない理論だと私は思いますが、いかがですか。
#77
○高木(文)政府委員 本来、租税特別措置がいろいろの目的のためにつくられた経過があるわけでございますが、それがいろいろ重なって特定の企業に非常に大きなメリットとして働くということはあり得ることでございまして、その点についての反省がなお行なわれなければならない点は御指摘のとおりでございます。さればこそ、特別措置についてはなおしょっちゅういろいろな角度からの見直しをしていかなければならないと考えております。それで、いま御指摘のありましたように、たとえば企業別に見るべきだという意味のあれかもしれませんが、そういう意味からの検討もまた行なわるべきことは御指摘のとおりでございます。今後ともそういう点について十分配意してまいりたいと思います。
#78
○阿部(助)委員 私は、大蔵当局が資本蓄積のために次々と特別措置をおつくりになってきた。ことに先ほど述べたように、最近は巨大特定企業だけが恩典を受けるような特別措置がつくられる傾向にあるわけであります。私は、現行特別措置に三つの大きな問題があると思うのであります。
 その第一は、租税法律主義をくずし、国会を軽視し、財界と大蔵官僚の結託をほしいままにし、大企業の税負担を軽減して、そうして財政民主主義の原則を踏みにじっている。これが第一であります。
 第二には、高度成長政策を推進してきたおもな原因の一つであります。今日の日本経済の混乱をつくり出した原因となっておると思うのであります。
 そうして第三には、大企業に集中的な減税を行ない、実績主義でありますから、大きな企業、大きな利益をあげるものほどより大きな特別措置の恩典を受けることは当然なのであります。そうすると、その公平の原則を踏みにじり、一般国民に対する重税の原因となっておると思うのであります。片方まけるだけで、国民には無縁のものではないのであります。片方に大きな税金をまけるということは、今度必ず国民大衆にはそれだけ大きな重税になっているということでありまして、これは国民の重税を誘因しておる。私はこういう点で、皆さんがかりに日本の企業そのものを考え、そうして税のワクだけを考えていった場合、あるいは善意かもわからぬけれども、知らず知らずのうちにこれは資本の大きな集中独占、そうして日本の、これは海外での批判、そうして日本の軍国主義、帝国主義の路線を進む税制におちいっていくという不安を持つわけであります。そういう点で、私は特別措置を一挙に全廃を希望はするけれども、そうはならぬでしょう。しかし、ほんとうにこれは真剣に見直すべきときに来た、私はこう考えるのであります。特に日本の経済の現状を踏まえるならば、大きな再検討の時期に来たと思うのであります。私たちもこれは真剣に取り組みます。
 ちょうど時間のようでありますから、私の特別措置の総論を終わりまして、次に各論のほうに、また委員長から時間をさいていただくということにして、きょうの質問を終わります。
#79
○斎藤委員長 本会議散会後直ちに再開することといたし、この際暫時休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時二十二分開議
#80
○藤井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松尾正吉君。
#81
○松尾(正)委員 大臣にお伺いします。
 今度の租税特別措置の一部改正の理由説明によりますと、当面の経済情勢、社会情勢に即応した改正である、こういうふうにいわれておりますが、当面の改正であるということはそのとおりだと思います。
 そこで、この問題に入る前に大臣に考えを伺いたいのは、すでに経済企画庁等におきましても、新全国総合開発計画の総点検、洗い直しをやらなければならない時期に来ているということで、年内じゅうに中間報告を目ざして開始をしております。さらにまた通産省等におきましても、円対策の柱として総合輸入政策ビジョン、こういうものを手がけ、すでに一部発表しておる、こういう段階にあるわけでありますが、先般行なわれたサンフランシスコの日米経済協議会等において、この席上で米側からは日米間の貿易収支の不均衡の改善がなされていない、こういう点や、それから日本の外貨準備がもう百六十億ドルをこえて、このまま行けばたまる一方だ、こういうことで非常に不満な態度を示すと同時に、円の再切り上げということは、ことばにはあらわれておりませんけれども、それを示唆するような意味の発言が非常に強かった、多かったということは大臣もよく御承知と思うのです。そこで、現在の一部改正は、当面に即応するものとしてやむを得ないと思いますけれども、こういった新全総の洗い直しや輸入政策等の総洗い直しというこういう状態とかみ合わせた税体系全般の洗い直しの時期にはもう絶対に当面している、こういうふうに私は判断しているわけです。したがって、税調もすでに四月から出発をすることが予定されておりますけれども、これに対して新しい税体系の洗い直しの方向を大臣はどう考えておられるか。税全体についてのお考え方をまず冒頭にただして、それから入りたいと思います。
#82
○水田国務大臣 御承知のように、租税特別措置につきまして、いままで日本の産業体質を強めるということ、それから輸出を増進するということの必要性が強かったために、そういう政策目的からなされた特別措置が多かったのでございますが、当面の経済情勢が変わってきましたので、したがって今後はそういう方面の見直しがなされると同時に、福祉政策への転換という方面からの必要な措置がまた新たに出てくることと思いますので、そういう中身をだんだんに変えていく見直しの仕事というものをここらで全面的にやらなければならない時期に来ているということは、私ども全く同感でございます。
 これをどういう形でやるかという問題でございますが、これを税制調査会にその仕事をお願いするか、大蔵省自身においてその問題の研究をして、一定の結論が出たときに税制調査会にこれを諮問して意見を聞くというようなことをやったほうがいいかという方針については、まだきまっておりませんが、やはり税制当局がまずこの問題と取り組んで相当の方向と結論を出してから税制調査会に諮問することのほうがいいのじゃないかというふうに私自身は考えています。
#83
○松尾(正)委員 財政についても税制についても水田大蔵大臣は非常に積極的な考えを持っている人というふうに私理解しておりまして、いまの方向については、税制調査会に全然まかせっぱなしということはあり得ないと思うのです。当然大蔵大臣が中心になって、基本的な方向がまず示される、こういう方向が当然しかるべきだと思うのです。ただここで、先般の本会議でも、二分二乗方式等もかねてから問題になり、相当論議されましたし、付加価値税というような問題についても相当論議されてまいりました。こういうことについて前々回からの税調の答申を見ましても、高福祉、高負担ということが中心になりまして、政府では高福祉を実現するという名分でもって相当租税負担を強化されるのではないかという強い関心を持っているわけであります。したがって、輸入政策等が相当検討されて、こういった方向ということも発表されているのですし、新全総等についてもかかる点は改正しなければならないという方向もはっきりしている。したがって、この経済政策に今後大きく影響を持つ税体系のあり方について、いま大臣が何にも考えてないでこれから方向を選んでいくのだということはあり得ないと思うのです。ですから、円の外圧を受けている、ことしの不況はどうなるんだということについて、国民は相当不安を持っている。その中で今後税の方向というものが国民に対してさらに強化されるというようなことがあってはたいへんだということに非常に強い関心を持っているわけです。
 したがって、いま方向を聞いたならば、税調にまかせるか大蔵省で取り組むかということでなしに、方向等についてはもう少し大臣の考えているものがあるのではないかと思いますので伺ったわけですが、本会議においても、二分二乗というのも非常にむずかしいのだ、付加価値税についても相当検討を要するのだということで、さっぱりどうなのか見当がつかなかったのでもう一回伺ったわけですが、二分二乗でなくて、直間比率という関係はこのままでいいのかというような具体的な問題について、大臣から積極的な発言等も前にあったことを私は記憶しておるのです。したがって、そういうことも含めて考えを示してもらったならば、次にただいま提案になった租税特別措置に移ってまいりたい、こう思うので、もう一度お願いしたいと思います。
#84
○水田国務大臣 税制調査会の答申におきましても、将来の税制の方向というようなものは答申されておりますので、その線に沿った作業をいま私どもでやっておるわけでございますが、その中でいわれますことは、今後の福祉政策の推進に伴って、国民の負担というものが、やはりそれ相応にある程度上がらなければならないという方向は、これは経済社会の発展計画の中でも二%程度の税負担増というようなものはいわれておりますので、国民負担のあり方は、先進諸国に比較しまして日本が明らかに負担が低いことははっきりしておりますので、これは社会福祉政策が進んでいくに従って、ある程度負担がふえていくということはやむを得ないことだと思います。
 そのときに、どういう形で国民負担がふえていったらいいかということになりますと、基本的にはやはり国民の所得水準が上がらないと負担はしにくいということが一つございます。同時に、今度は税の体系問題でありまして、直接税と関接税の比率から見まして、今後は間接税の比率がもう少し直っていくという形で、体系を直していくということが必要であろうと思います。と同時に、税の負担がかりに大きくなっても、間接税による負担というものが税負担感をそう伴わないでいくものでございますので、先進諸国においてはみなやはり間接税の持つそういう有利性を利用しておるのが現状でございますので、したがって、一般消費税というようなものを中心にする税のあり方というものは、やはり今後の税の問題として検討すべきであるというので、長期的な課題としてこの問題を取り上げて、いまこれと取り組んでおるところでございますが、まだすぐに結論は出ておりませんが、早晩その方向の結論は出したいと私は思っております。
#85
○松尾(正)委員 まあ新全総等で一応の形が出れば当然税体系についても構想がまとまると思います。いまと言っても無理でしょうから、その時点でさらにこれはただしてまいりたいと思うのです。
 そこで、今回の租税特別措置法の一部を改正する法律案についてでありますけれども、この当面の経済並びに社会情勢に即応した改正である、こういう説明でございますが、当面の経済情勢について大臣はどうお考えか、この点をひとつ御説明いただきたいと思います。どうも私が見る限り、今回のこの租税特別措置法の改正については、現在の経済情勢並びに社会情勢については相当手広く手をつけなければならないものが多かった、こういうふうに考えておるわけです。また、従来もそういう論議をしてきたわけでありますけれども、今回の特別措置の改正においては、経済情勢に即応した改正をやったとはいっているのですけれども、経済情勢に対応するための根本的な産業優先あるいは輸出優遇等の根本をどうもぼかしている。社会情勢に一応対応しているという名目だけは見られるわけでありますけれども、その本質的なものが大きくゆがめられているように見受けておりますので、現在大臣はどういう経済情勢を考えておられるのか、その点を伺いたいと思います。
#86
○水田国務大臣 やはりいま対外均衡の問題が国際的には経済問題として一番むずかしい問題になっておるときでございますので、従来の輸出振興税制については見直しをする時期であることははっきりしておりますので、今回はまずこの問題から解決していくことを考えたということでございまして、そのほかたくさんの問題がございますが、今度の措置で一番大きい問題は、やはり輸出税制の見直しということであったろうと思います。
#87
○松尾(正)委員 対外的な経済情勢に対応したというのですけれども、その問題については少し後段で触れたいと思うのですが、基本的な問題から先に伺ってまいります。
 まず一つは、この租税特別措置全体について、先般私が本会議で質問したときに、総理大臣はいままで年々これが漸増を示してきた、しかし、清勢に即応して漸次減らしていく方向をとるべきである、こういう質問に対して、総理大臣もそのとおり検討を進めていく、こういう答弁をしております。したがって、大蔵大臣も総理大臣と考え方は違わないと思うのですけれども、この租税特別措置のいままでの経過を見ますと、昭和四十三年度に二千六百四十八億、四十四年が三千二百二十六億、四十五年が三千八百四十一億、四十六年が四千三百九十四億、四十七年度が四千七百三十億円という見込みで、これを見ると、四十三年から四十五年までは五・五%ずつ増加しておりますし、四十六、四十七年度は五%増、こういう傾向を示しておる。これを、総理大臣の答弁ですと、今後四十八年以降漸減の方向で検討し、進めるということですが、その考え方と比率について、どういう方向で減らしていこうとされるのか、これを伺いたいと思います。
#88
○水田国務大臣 これはむずかしい問題で、漸減方針をとりたいということは間違いございませんが、いままでの動きを見ますと、昭和四十四年、五年、六年と見たら、平均して毎年二〇%ずつ金額はふえていく。四十七年は一〇%ですから、金額の伸び方はいままでよりも半分になっているということは言えると思いますが、金額そのものは非常に大きくなっているということでございます。これは経済がどんどん大きくなっていきますので、たとえば生命保険料控除の対象額とか、あるいは価格変動準備金の対象となるたなおろし資産などというものは額がどんどん大きくなりますので、したがって、減収額というものはどうしても増加を避けることができないというような事情がございますので、したがって、問題は金額というよりも、特別措置についての数といいますか、できるだけ政策目的を達したものはもうこれをやめるというようなことで漸減するというような方向がいいのじゃないか。金額を減らすということは、額が大きくなるので、なかなかむずかしい点がございますが、全体としてとにかくふやさないことに苦心しているつもりでございます。統計の上では遺憾ながら金額はふえております。しかし伸び率というものを減らすということは今後十分可能であるというふうに考えます。
#89
○松尾(正)委員 あのとき総理も、漸次減らしていくということは、結局四十三年以降の比率をあげまして、こういう方向であるから減らさなければならないであろうという質問に対して、これは減らしていく。減らしていくということについて、単に項目を減らすとか金額を減らすということは言わなかったのですけれども、減らしていく方向でいくという答弁があったわけです。そうすると金額は、一つ一つの内容が、経済が大きくなっていくに従ってふくらんでいくのだから、金額は減らせないのだと言う。これでは総理と大蔵大臣の答えがまるっきり違うと思うのですよ。あのときは、項目のことは一切触れないで、こういうふうに金額がふえているけれども、これではいまの政策転換には合わないだろう、したがって、これは減らすべきである、こういう質問に対して、減らすという答弁があった。もちろん、これを減らしていくためには、項目も整理して減らしていかなければなりませんけれども。ですから、大臣の考え方が漸減の方向をたどるとしても、項目を減らそうとするのか、あるいは確かにいままでの伸び率よりも、五・五%ずっと四十五年まで伸びてきた。それを四十六年から四十七年にかけて五%、さらに来年度以降は大幅に見きわめて三%ぐらいにまで持っていくのか、これがほんとうの、いままでの租税特別措置が政策に合わなくなったから変更するのだ、減らしていくのだ、こういうことになると思うのですね。いまの水田さんの答弁では、これは全然減らす方向での真剣な努力をするのじゃなくて、まあそういう質問が出たから、方向としてはこうだぐらいにしか聞き取れないのですけれども、その点はどうですか。
#90
○水田国務大臣 いま申しましたように、たとえば四十四年が二〇%四ふえておるし、四十五年が二一%二ふえている。四十六年が一九・四%というふうに、平均して二〇%ぐらいずつの伸び率でありましたのを、本年は一〇・一というのですから、一〇%ぐらいの伸び率で半減はしておりますが、金額は昨年よりふえているというようなことで、たとえば生命保険料の控除は要らない、ここらでこれをやめようということになったら、これはもう対象額は非常に大きいのですから、これはすぐに金額を減らすことはできますし、やはり項目が相当影響することだろうと考えます。
#91
○松尾(正)委員 本会議の答弁というのはこうやりとりできませんから、それじゃ、総理大臣があそこで答弁したことは、ほんとうにこの税というものがわかっていないでああいう答弁をしたのだ、わかっておれば、これは現実的には来年度何%というようなことは示せないのだというように解釈していいのですか。これは非常に意地の悪い聞き方で、こんなことを言いたくないのですけれども、総理大臣がこういう額を減らしていく方向でと言うのに対して、生命保険控除をとればという、そういう国民に結びついた問題をまずあげていくというようなことは、これは非常に納得できない答弁です。
#92
○高木(文)政府委員 本年度の特別措置の額につきましても、私どもといたしましても、まさに御指摘のとおり、あまりふやしたくないという気持ちももちろんあったわけでございます。いま一〇%ほど伸びておるではないかという御指摘でございますが、実は先般来問題がありますように、特別措置による減収額試算表のつくり方にも問題があるわけでございまして、これは御存じのように、金融機関の貸倒引当金の引き当て率というようなのは、特別措置としては従来からあげておりませんものですから、各方面から御指摘を受けて、いわば少し甘いではないかということ、何か考えたらどうかという御指摘を受け、今回の税制改正についてかなり中心的課題の一つとなっておりました貸倒引当金の整理をやったわけでございますが、その整理そのものはこの減収額表には全くゼロにしか計算になっておりません。したがって、この四十六年と四十七年と比べました場合にも、そういう意味ではこの減収額試算表では減収額がふえて、さっぱり整理しなかったじゃないかというような表になっておりますが、それは昨年まで貸倒引当金の制度そのものが本法の制度でございまして、これは実態は特別措置的なものではないかという御指摘もしばしば受けてはおりますが、本来、本法の制度であるということもありまして、特別措置減収額に入れておりませんものですから、それをこの表に入れるわけにはまいりませんので、そこでそういうものをのけて表をつくりますと、いま言ったようなことで、昨年よりはやはり減収額はふえるというような表になります。しかし、そこらも実は考慮して考えていただきますれば、ことしはかなり経済の大きさが大きくなるにつれて、どうしてもほうっておけば特別措置がふえるというような傾向があるのに比べて、相当これを食いとめる努力をした、こういうことであろうかと思います。五百億足らず、四百八十何億という増収になるわけでございますので、そこらも見ていただきますれば、先ほど来御指摘がありました特別措置的なものをだんだん減らしていこうという総理、大蔵大臣のお指図については、私どもその線に沿ってやったつもりなのですが、いまお示しがありました表は、先般来参考としてお示ししております減収額試算表からの御指摘でございますので、その食い違いがあることもお含みを願いたいと存じます。
#93
○松尾(正)委員 しかし、試算表については先般堀委員からありましたから、私、触れたくないのですけれども、いただいた試算表で見れば、当然こういう結果になったわけです。したがって、努力をされたということについては認めて、時間がありませんから、次に進めたいと思います。
 まず、輸出振興税制、これは大幅に整理をしたというのですけれども、この中で海外市場準備金等、これが減収額五十七億、それから技術等海外所得の特別控除、これが約百三十億余りだと思いますが、これを今回の税制改正では残されております。私は、いま外圧が非常に高い、輸出政策を根本的にやりかえるというときには、むしろこの輸出割り増し償却とあわせて、もうわが国の税制の中から、あとまた状況が変われば別ですけれども、輸出振興税制という税の優遇措置は全部取りはずすべきじゃないかと思うのですけれども、大臣、残した理由と、やはり名前は残しておかなければならない必要があるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
#94
○水田国務大臣 この円の切り上げということによって相当業界にも影響のあるときでございますので、輸出振興税制の本体である割り増し償却や税額控除という制度は整理いたしましたが、あとの問題は、たとえばこの技術の海外取引所得の問題、こういうものはひとり輸出という問題だけじゃなくて、国内の技術開発のためにも影響があることでございますし、また、海外からの技術を輸入しようというときには、こちらからの技術を提供しなければならぬというような問題が最近は実際上出ておる問題でございますので、この問題については次の問題として、税制改正のときの問題としてこれは検討することにしようということにしましたし、また市場開拓準備金のほうは、これは特別償却の対象になる償却資産が非常に少ない商社とかあるいは中小企業というようなものはむしろこちらのほうを非常に利用しておるというのが実情でございますので、中小企業に急激な変化を与えないというような意味もあって、この問題の検討をもう一期延ばして、とりあえず中心であるこの二つの制度の整理をしようというようなことで、この二つを見送ったというのが実際のそのときの実情でございますが、しかしこれは次の改正のときまでに検討することにいたしております。
#95
○松尾(正)委員 この制度が設けられたのが昭和二十八年、技術輸出特例は三十九年、それから海外市場開拓準備金は三十九年とそれぞれもう十年余りこういう状態でやってきておるわけですけれども、当時は確かに外貨が少なかった。外貨を何とか獲得しなければならぬという政策目的で設けられたことはわかるのです。けれども、いまこの輸出の問題が相当日米経済会議でも問題になっておるときですから、外圧に対する災いの原因になっているこういう制度は、もし中小企業を守ってやるとしたならば何らか別の方向で検討するとして、とにかく輸出を振興するための優遇策だというのはいまのわが国の税制にはもう削除すべきが適当である、こういうふうに私は考えておるわけであります。今回、次回の税調で、改正のときに検討するということですから、ぜひそういう方向で、輸出優遇というものはもう取ったほうがむしろいいんではないか。くだらぬところに円の外圧を招くようなことは政策的にもまずい、こういう意味で私は全廃する方向をこの際提案しておきたいと思います。
 それから次に、交際費の合理化ということについても私はこの場で何回かやりましたし、大臣にも触れましたが、今回はなぜこれが見送られたのか。四十五年度にもうすでに一兆円をこしておる交際費。これは当然全廃なんということは考えられません。これは政策的に交際費というものが必要なことは認めておりますけれども、あまりにもこの取りきめ方が――まあ、むずかしい面もありましょうけれども、いままで何回か検討したい、検討したいという方向でさっぱり手をつけないところにこういう批判が集まっているのだろうと思います。今回どうして手をつけなかったか、その理由を説明していただきたい。
#96
○水田国務大臣 いつも私はこの問題では同じ答弁をしておるようですから、きょうは局長に答弁させます。
#97
○松尾(正)委員 だめだよ、大臣に聞いているのだから。
#98
○水田国務大臣 これはもう御承知のように、四十六年度にとにかく一応の改正をいたしまして、改正したばかりでございますので、この結果を見たいということと、現行法の適用期限が来年の三月までときまっておりますので、どうせそのときには何らかの改正案を考えなければならぬだろうということでございますので、本年度すでに六〇%、この否認割合を一〇%上げるということは、民間の会社には相当影響のあることだろうと私は思いますので、これがどういう形をこの改正以後とっているかということは今度十分見たいと思いますし、それを見た結果次の交際費についてのはっきりした案を立てることがいいというので、四十六年度に改正したばかりでございますので、今年度は見送ることにしたということでございます。
#99
○高木(文)政府委員 多少補足して説明させていただきますと、ただいま大臣が申しましたとおり、四十六年度改正で否認割合を六割から七割に改められました。その際に租税特別措置法上の期限が四十八年の三月三十一日までということになっておるわけであります。有効期限二年ということで改められたわけであります。確かにその後も、法の改正後においてもいろいろ交際費については御批判があり、かついわゆる財源不足の事情にだんだんなっておりますから、そのようにきめられたからといって四十七年度改正でそれを検討対象にする価値は十分あるわけでは。ございますが、一方におきまして租税特別措置法において一応期限をきめておるということの意味ということもやはりありますので、まあせっかく期限がきまっておりますものをさらに途中においてそれを直しますということは、今回輸出についてやったわけでございます。三年間のものを途中で手直しをするということはやったわけでございますから、絶対できないということはないわけではございますが、しかし、なるべくならば、やはり期限がありますものは期限の途中であまりいじりたくないということが私ども事務的な考え方でありまして、もちろんしかしそうだからといって絶対いかぬというわけではありません。ありませんが、そういうようなことも一つの参考にしていただいて上司の御判断を願ったわけでありまして、私どもといたしましても、ちょうど来年は期限が切れますからそのときにはなお検討させていただきますが、ことしの事情は、多分に事務的にはそういうことに引っぱられる面が強かったということを申し上げておきます。
#100
○松尾(正)委員 来年度時期が切れるときに手をつけるということで了解をして次に進めます。
 あなたがさっき、今度のこの租税特別措置については項目の削減をはかっていきたいということでありますけれども、現在租税特別措置が、これは非常にむずかしいのですけれども、所得税の上で何項目あるのか、法人税の上で何項目あるのか、それから純然たる租税特別措置で幾つあるのか、一体この資料を数えたらわからないのです、いろいろな資料を。どうしても主税局からはっきりその数を聞いて、どういう方向で減らしていくかをあと伺いたいと思います。これは事務局に……。
#101
○高木(文)政府委員 ちょっとただいまの御指摘の点に正確にお答えできませんのは、たとえば特別償却の場合でも、法人と個人と両方に適用になる制度がたくさんございます。それを二つに数える――条は違っておりますが、全く同じ規定が両方にありますものですから、それを二つに数えることは従来やっておりませんでしたもので、たとえば合理化機械なら合理化機械の特別償却は個人にも法人にも適用になりますが、それは一つということで私ども実はいつも計算をしているわけでございます。そういう計算方式でいたしますと、四十六年度で百四十七項目でありましたものを、四十七年度では一項目ふえまして百四十八項目になっております。と申しますのは、四十六年度に百四十七、新しくできましたのが十二、廃止いたしましたものが十一、プラスマイナス項目数として一増加、よって百四十八ということになっております。
#102
○松尾(正)委員 これは、二つにまたがるものは一つに計算しておる、こういうことですね。
#103
○高木(文)政府委員 そのとおりです。
#104
○松尾(正)委員 はい、わかりました。
 それで、これをどういう方向で削減する方向に進めていくか、こういうことについてですが、私、もう時間が切れてしまったので、大臣の考えを先に伺ってからと思ったんですけれども、私の考えておる点を申し上げて、それで大臣の考えを伺いたいと思うのです。
 まず、主税局自体で、現在の人員でこれを総点検をやるということは物理的に不可能だと思うのですね。しからば、この百四十八項目を税調にそっくりやって公正中立な意見を求めるということも、これも企業代表等もあるんですから、おそらく決着は見出せないであろう。したがって、むしろこの際、学識経験者等を含めた中立厳正な税調の特別部会をつくって、そうして、ここでこの百四十八項目一つ一つについて徹底的な洗い直しをする、そういう方向以外には無理であろう、こう思うんです。まあ時間があればもう少しこの点を洗いたかったんですが、現在この百四十八項目の中に、昭和二十年ごろ創設され、あるいは三十年代、四十年代、創設された時期は違いますけれども、創設の時期から今日まで期限なしにそのまま適用されているものが相当あるわけですね。これも百近くあるんじゃないかと思う。そういったものが、いまから二十年前ないし十年前の経済情勢と現状とはおそらく大きく相違がある。したがって、この創設目的から、当時この租税特別措置を創設した意図を洗い直してみたときに、これは必要ではあるけれども、現状は改めなければいけないというものが相当数出てくると思います。明日、この項目一つ一つについて主税局長に私はただしていきたいんですが、いま私が幾つか見た範囲でも、これは検討してみていいんではないかというのもありますので、こういった方向は主税局でやるのか、あるいはいまの税調でやるのか、あるいは特別部会等を設けてこの際徹底的に洗い直しをするのか。私はこの際厳正な特別部会を設けて洗い直すべきであるという考えを持っているのですけれども、大臣から伺いたいと思います。
#105
○水田国務大臣 税調では、診療報酬についての特別部会は、これだけはできましたが、これは税調としては例外的なものであると思っておりますので、いまの税調にそういうことをやってもらうかどうかについては問題があろうと思います。したがって、とにかくこういう問題についての見直しということは必要でございますので、どういう形でそういう作業をしたら一番いいかというようなことは、ひとつもうちょっと研究させていただきたいと思います。十分研究してみたいと思います。
#106
○松尾(正)委員 だいぶ先を読んだような答弁で、きわめて私としては不満です。もう少し待っていれば、水田さんは大蔵大臣でなくなってしまうでしょう。ですからここで、百四十八項目というものの中に相当問題点があるのですから、時間がないからいまただせなかったのですけれども、一つ一つを洗ってみればこれは相当問題があるのです。しかし、私が聞いた範囲で無期限に、ずっと創設をされたときからそのまま手をつけないで今日まできているというのも相当数ありますし、では税調でその無期限のものについてはそのつど提案しているのかというとそうではない。おそらく主税当局として、税制改正時は非常に繁忙をきわめますから、したがって主税当局自体でも、この百項目をこすものについて一つ一つ手を加えて洗い直すということは物理的に不可能だ。そういう意味では、この際方向を減らす方向でいくというから、ではその方向はというともう少し時間をかしてくれという。こういう場当たり、その場さえしのげればいいというような答弁はきわめて不満であります。ですから、主税当局でやるのか、あるいは税調ではできないと私は判断するのですけれども、大臣としては主税局で何とかできると判断しているのか。それから税調でもって特別部会を設けるのは例外中の例外だというのですけれども、これだけの大作業をやるのですから、例外中の例外の手段を講じない限りこれは不可能だ、そういう意味でいま私案を提案したわけですが、もう一回はっきり伺って終わりにしたいと思います。
#107
○水田国務大臣 少しく研究させていただきたいと申しましたことは、一番最初に私が申しましたように、私自身としてはいまの大蔵省の主税局というのは十分見直しの能力ありと思っておりますので、主税局でできるんじゃないかというふうにも考えておりましたのでそう申したのですが、しかし税調においてそういう部会をつくるということは悪いことじゃございませんので、そこらの点について、この得失をもう少し考えたいと思って申したことでございますが、能力としては、私、いま大蔵省の主税当局にりっぱに能力を持っておると思います。
#108
○藤井委員長代理 藤田高敏君。
#109
○藤田(高)委員 私も、前回委員会で質問した関連事項並びにいま松尾委員から質問がありました点についてまず質問をしたいわけですが、今日通貨調整に伴う為替差損の税制上の特別措置、これに代表されるように、いわゆる円の切り上げの問題から起こりましたいろいろな条件に対して今回こういう措置をとっておるわけでありますが、通貨調整、円の切り上げをやらざるを得なかった理由には、国内的な条件あるいは対アメリカとの関係、さまざまな条件があると思うのですけれども、一つの大きな要因としては、やはり日本の輸出量が異常な形で増大をした。その原因は何かということになっていきますと、税制上の問題としては大企業、なかんずく輸出産業等に対してきわめて寛大な税制上の対策、措置がとられてきた。いわゆるこの租税特別措置によって、大企業、輸出産業等に対する税制上の優遇措置が円切り上げの一つの要因になっているんじゃないかという観点からいけば、この際権威ある第三者機関によって租税特別措置全般の洗い直しをやる絶好の時期に到来しておるのじゃないか。先ほど松尾議員が税調の中に特別委員会をつくってと、これも一つの案でしょう。しかし私は、この種の問題を論議するときに、一つの参考として意見を聞くことは、これは大事なことでありましょうけれども、労働問題の解決ではありませんけれども、直接の利害を持つ団体なりそういう関係者が入った機関において、その種の洗い直し、租税特別措置の根本的な改革について検討するということは、これは実際問題として利害関係が伴って、適正な改革案、改正案というものができないのじゃないか。そういう事情からいけば、ここに新たな権威ある第三者だけの機関をつくって租税特別措置の根本的な改廃を検討することが必要ではないかと思うのですが、そのことについての見解をまずただしたいと思います。
  〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
#110
○水田国務大臣 いまおっしゃられるような意味で第三者の検討が必要だという意味でございましたら、私はやはり役所が、主税局がこの問題を検討することが最も公平な結論を出すことになるんじゃないかというふうに考えます。
#111
○藤田(高)委員 私は主税当局を悪者にするわけではありませんけれども、租税特別措置だけではなくて、今日までの税制全体の制度、税制そのものは大蔵省の主税局がほとんど十中八、九イニシアをとってやってきたことだと思うのですよ。ですから、今日の段階で予期せざるような円の切り上げという問題が昨年来起こってきた。こういう情勢の中では、そういう主観的な立場でなくて、むしろ客観的にこの租税特別措置についての是非を論じ得る権威ある学者とか専門家とかそういうものだけで根本的な洗い直しをやってみる必要があるんじゃないか。むしろ大蔵当局、税務当局自身から離れた一つの根本的な改革案というものを出す時期に来ているんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#112
○水田国務大臣 これはむずかしい問題ですが、税務当局はむしろ規律公平でございますが、税務当局が立案しても、現実に税制になるまでにはいろいろな意見が入って、そうして現実の税制になっていくことを考えますと、むしろほんとうの公平な意味の見直しというようなことについては、税制当局自身の判断のほうが最も公平なものになるというような気が私自身もいたします。ここの意見だけがいま政治として通っているわけではございませんで、いろいろな関係から最後は調整された案となって国会を通るものでございますから、いまの税制当局でこの見直し能力というものはりっぱにあると私は思っております。
#113
○藤田(高)委員 そういうことになりますと、見解の対立も生まれてまいりますから、この点は一応今後の私自身の検討課題、要求課題ということにして保留しまして、次に進みます。私の立場としては、そういう第三者の機関を設置してやるべきだということを強く要求しておきたいと思います。
 具体的な内容について、前回の委員会との関連質問をいたしますが、今回の通貨調整に伴う為替差損に対する特別措置としては、実質的には、この法律は、本会議の質問でも指摘いたしましたように、その法律的効力というものは十年間にわたって及ぶわけですね。いわゆる十年先の為替差損を会計処理上からいえば十年繰り上げてでも決算処理ができる、こういうたてまえになっておるわけですから、そういう観点からいけば、これは実質的にはこの租税特別措置というのは、十年ものの租税特別措置だ。しかし本来、この種の租税特別措置によって特別な税制上の対策を講じる必要が政策的な観点からあるとしても、それはきわめてごく短期間、いわゆる租税特別措置法の本法の趣旨からいえば当分の間と、いわゆる当分の間という法律的概念は、約二年ないし三年と、こういうふうに理解することがごく常識的であって、実質的に十年もこの法律効果の及ぶような特別措置を講ずることは、特別措置法本来の趣旨に反するものではないかという見解を持つものですが、それに対する見解を聞かしてもらいたい。これが一つ。
 いま一つは、あとでこれは質問をいたしますが、円の再切り上げの問題が非常にやかましくいわれておる。国際通貨の不安な状態が依然として強まっておるような条件の中で、この種の十年ものといわれるような長期にわたる租税特別措置をつくるということは、これは今日の情勢下から判断しても適切な措置ではないと、このように私は考えるわけですが、大臣の見解を聞かしてもらいたい。
#114
○高木(文)政府委員 先にちょっと技術的な点をお答えいたします。
 長期の外貨建て金銭債権及び金銭債務の処理の問題でございますが、先般もちょっとお答え申し上げましたが、企業会計審議会の答申によりまして、外貨建ての金銭債権及び金銭債務につきましては、決算日の為替相場による円換算額を付するということが原則になっております。ただし、長期に限りまして、長期の金銭債権及び長期の金銭債務については、取得時または発生時の為替相場による円換算額を付することを妨げない。つまり換算がえを行なわなくてもよろしいということで、かりにこの原則によることを本文方式、ただし書きによることをただし書き方式と俗にいっておるわけでございますが、今回御審議をお願いしております租税特別措置の規定は、企業が本文方式によった場合は全く関係がございません。企業がただし書き方式によった場合に限って租税特別措置法の適用を認めましょうということでございます。でございますから、この特別措置はあくまで昭和四十六年十二月二十日を含む事業年度に限ってそういう措置が認められるわけでございます。ただ、藤田委員御指摘のように、そのようにして繰り上げて損を税務上計上いたしました場合に、その損をいつ、課税時期の調整でございますから、いつ益金としてまた計上してくるかという期間として十年ということにしておるわけでありまして、御指摘のようにこの措置は十年のメリットがあるではないかということは全く御指摘のとおりでございますが、ただ、この条文を使ってそういう措置をとるかとらないかは、四十六年の十二月二十日を含む事業年度一回限りでございまして、十年間いつでもそういうことができるということではないので、一回限りの措置であるということでございます。そういう意味におきまして、この措置法の十年もの長いのはどうかという御指摘がございますが、従来もいわゆる硫安の赤字処理のときにも同じようなことがあったわけでございまして、私どもといたしましては、その処理は一回限りのものでございますから許されるものというふうに事務的には考えておる次第でございます。
#115
○藤田(高)委員 これは本文方式でいこうとただし書き方式でいこうと、法律行為としては、たとえば本文にどのように書いておっても、ただし書きで本文が殺されてしまうこともあるわけですから、そういう点からいけば、会計処理の方法として、十年先の為替差損を、ことしのたとえば三月期決算の中に入れて損として処置することもできる。しかし、十年先の為替差損は、そのままにして十年先に処理しようとすればそれができるわけでしょう。できるということは、この法律自身は実質的には十年間法律の効力が及ぶということですから、そういう長期のものをなぜつくる必要があるのか。そして、しかもこれはあとで質問しますけれども、再切り上げになったときはどうなるのかという問題ですね。そこらとの関連を含めてひとつ答弁をしてもらいたいと思います。
#116
○高木(文)政府委員 損が具体的に実現する、つまり決済日が来たときにそれをあげるという自由がある、それは十年間いつでもいいではないか、こういう御指摘でございますが、それらの是否につきましては、これは企業会計原則の是否の問題でございまして、税務上の処理の是否の問題ではないのでございます。税務上の特例は何かというと、企業会計のほうでは、任意にというか、決済日にいま一挙に本文方式によって評価がえをして損を立てませんで、現実に決済を行なわれますときに企業会計のほうでは損を立てることにしておきながら、税務調整をいたしまして、税務申告上は一挙に損を立てるというのが租税特別措置法上の例外でございますから、十年間に自由にできるということは税務のほうでは全くないのでございます。十年間にあとになっても自由にできるというおことばがありましたが、その点は企業会計のほうの問題でございまして、税務上の、税制上の特例としてはないわけでございます。ただ、そのことにつきましては、企業会計で原則をどうきめるかはさんざん議論いたしましたが、所得に比べてあまりにも今度は損失が巨額なものがあるということから、従来の企業会計の考え方とやや異なりまして、短期の外貨建ての債権債務については、従来の考え方どおり一挙に全部換算がえをして損を出すべきである。しかし長期のものについては必ずしも出さぬでもよろしいということで、若干弾力的な処置をとることになったわけでございます。
 なお、何度もこういうことがあった場合にどうするのかという御指摘でございますが、これは、今回の企業会計審議会でいろいろ議論いたしました過程におきましても、わが国経済としては全く初めてのことであるということで、今回の企業会計審議会では、何度も慎重に各方面の方が議論をされて、こういう原則を出されました。しかも、今回のように調整幅が非常に大きいということを前提にしてこういう結論を出されたやに聞いておりますから、もし万一将来こういうことが何年か後にありました場合に、また企業会計審議会で、その際の処理としてどのような答申をお出しになることになるのかは、ちょっと私どもの予測できないところでございます。よって、企業会計審議会がどのような処理を答申されるかが予測できない事情にあります以上、税のほうの立場といたしましては、その上に乗っていろいろな措置が税制上とれるわけでございますから、私どもといたしましても、次のような場合にどんなことをするかという御質問ではございますが、いまのところどういうことになろうかということは、私ども自体何とも見当がつかないと申し上げるほかないと存じます。
#117
○藤田(高)委員 いまの答弁を聞いていると、どこか第三者が何とかかんとかこう言っているらしいというようなことで、この法律自身を提案してきている大蔵当局の責任ある答弁のしかたではないですね、いまの言い方は。私は端的にお聞きしますが、限られた時間ですから、それでは大臣に、この間も私委員会でその点を御質問したのですが、経団連の副会長格の人が、ここにも幾つかの資料を持ってきておりますが、決定的に、早ければことしじゅうにも円の再切り上げが起こるぞ、円の再切り上げがなくとも、第二の変動相場制を採用せざるを得ないぞ、個々の商取引はそういうことを覚悟して輸出貿易の面については取引をすべきだ。実にこれは責任ある公式の会でそういうあいさつをしておるわけですが、どうですか、アメリカとの関係を含めて円の再切り上げの見通し、それはないというふうにあなたは断言できますか。それとも、その危険性が非常に強い、たとえばこの年末一ぱいになるのかあるいは来年早々になるのか、きわめて近い時期に円の切り上げというものは、十分いまの状態が続く限り考えなければいかぬというふうに見通しをされているのかどうかということを、これは大臣から聞きたい。
 それで、時間を合理的に使うために続いて聞きますが、さっきの十年ものというのは長過ぎるじゃないかということに関連するわけですが、たとえば、いまここで法律審議をしているのは、三百六十円と三百八円の五十二円の差損が起こった部分について税法上の特別措置を講じる、こう言っておるのですね。ところが、この法律行為は十年間続くとすれば、これは仮定ですよ、仮定として、来年の三月時点、たとえばちょうどまる一年たった四十七年の十二月二十日、第二回目の円の切り上げがことしの十二月二十日になされたとする。それが、仮定として、現在三百八円のものが二百七十円になったとしましょうか。第二の円の切り上げになった場合に、この法律はどういう働きをするのですか。もう一回こういう法律をつくって二重に差損の税制上の特別措置を講じるのかどうか。大体これは特別措置、為替差損のこの問題だけではなくて、むしろいま政治論、政策論として論議しなければならぬことは、いま置かれている今日のこの国際通貨の情勢の中でそういうことが起こり得る可能性が十分あり得るのじゃないか、そのことを含めて政府はどういう措置を講じていくのかということがここで考え方として出てこなければうそだと思うのですね。そのことが期限の問題とも関連をするのでありますから、この種のものは、もし政策上つくるにしても、できるだけ短期間のもののほうが望ましいのじゃないか、こういうことを申し上げておるのですが、そのあたりの見通しを含めて政府の見解を聞かしてもらいたい。
#118
○水田国務大臣 それはいろいろ御想像されることは御自由でございますが、私は、円の切り上げというものは当分ない、これだけは断言していいと思います。そういう各国の情勢には現在もうございませんし、各国はこの間の多国間調整をお互いに守るということで、それぞれ為替管理の問題にしろいろいろそのほうへ共同して共同の対策をとっておるときでございますので、円の再切り上げというようなものを迫られる事態というものはあり得ない、当分あり得ない、そのことはもう考えなくていいことじゃないかと私は考えております。
#119
○高木(文)政府委員 大臣がないとおっしゃっておるのにお答えするのはどうもぐあいが悪いのですが、あくまでも仮定の論だというような御質問でございますから仮定の論としてお答えいたしますが、いずれのときにかそういうことがありました場合に、税制上どうなるかといいますと、今回の措置は、昭和四十六年十二月二十日の措置に対応するものでございますから、それ以後、何らかのことがございましても、この規定は働かないわけでございます。よって、何らかの変化がありました場合に、今回と似たような措置が必要になるかどうかということは、これまた予測困難でございますが、まず第一に、その際に、今度はまた企業会計審議会を中心として、企業会計原則をどのように立てるかということになろうかと思います。もしまた、かりに企業会計原則が今回と同じような答えを出しました場合に、しかも長期外貨建て債権債務がそのときの状態で、今回と同じように非常に巨額な、大きなものでありますという場合に、税務上何か特例措置をとる必要があるということが起こりましたならば、あらためて税法上措置を講ずる必要があるわけでありまして、今回の御審議をお願いしております規定では動かないということになります。
#120
○藤田(高)委員 これは事務当局の答弁になろうかと思うのですが、なるほど、いまの時点では仮定の論議になるかもわかりませんが、私は、この円の再切り上げをしないような方策を政府に迫るつもりでありますけれども、いまの状態のままであれば、少なくとも対アメリカとの関係では、私は円の再切り上げというものは必至だと思うのですよ。これは、私はそう思う。そういう観点からいけば、今回こういう措置をとった以上、業界なり、この為替差損を生じた企業集団からは、その差額だけをまるまる、利子補給じゃないけれども、何かの差額補給金という形で政府に補償してもらいたいという強い突き上げがあったくらいですから、政府はそれを回避した形で税制上のこういう措置を講じたということになれば、私は第二の為替差損対策としての特別措置をとらざるを得ないところに政府は追い込まれるんじゃないかと思うもので、そこの見通しを含めた見解をもう一度聞かしてもらいたいのと、大蔵大臣は絶対ない、こう言われますが、私はここでひとつ大蔵大臣にも注文しておきたいのです。
 それは、福田前大蔵大臣とあなたは人格が違いますから、同じことは言われないと思うが、あなたは私のなにで顔をそむけたけれども、その瞬間に前の大蔵大臣がこの円切り上げの問題でどういうことを言ったのかということが頭にひらめいたと思うのです。この大蔵委員会で、あれだけ私どもが入れかわり立ちかわり円の切り上げの問題について質問した。そうしたら、あなたがいまはしなくも私に、ほんとうに木で鼻をくくるような言い方をして、もうその円の切り上げなんか心配する必要ない。それと同じようなことをまあ前の大蔵大臣が言ったわけです。そうして、例の金解禁以来の歴史的な経過やあるいは西ドイツの専門家の意見等をここで開陳をして、円切り上げはない、こう言って答弁しておいて、それで今度本会議ではどう言ったかというと、委員会でなんかまともにほんとうのことなんか言えますか、こう開き直った。こんなことが、わが国の国会の中でそういうことが大蔵大臣の口から出るような国会であったり政治だから、国民から非常に政治不信が生まれるのです。前大蔵大臣と同じような姿勢でもしいまの答弁がなされておるとするなれば、私はこれは審議できないし、あなたがそこまで心配する必要はないと、いまの議事録を見てもわかると思うが、あなたはないということを断言すると、こうおっしゃったんだが、あなたがそこまで経済閣僚として、大蔵大臣として責任もって御答弁なさるのであれば、いいですか、これは近い機会に円の再切り上げになったときに、あなた代議士でもやめて責任とりますか、どうですか。そこまでの責任をもってあなたが答弁されるかどうか、その点を私はだめを押しておきたいと思う。
#121
○水田国務大臣 私は、その点であやふやなことを言いたくなかったので、自分の信念をはっきり言ったわけでございますが、私は円の再切り上げというものは当分ないというふうにいまではもう確信しております。と申しますのは、この通貨調整の問題は、私は身をもってこの問題を処理してきたものでございますので、したがって、こういう通貨の調整というものがそう簡単にできるものではないということが一つと、それから、まだ依然として日本の黒字基調は続いているじゃないかということが非常に問題になっているようでございますが、それはもう各国間の共通の認識になっておって、この通貨調整ができたからといって、これが国際収支に影響を及ぼしてくる、この効果があらわれてくるためには、少なくとも一、二年を要するんだ、そう短時日にこの通貨調整の効果というのは出ないんだということは、各国とももうみんな承知しておりますし、先般パリへ集まったときの会合でも、この認識は各国がみんな一致しておった。したがって、日本にはまだ黒字基調は続くであろう、同様に、あれだけ通貨調整で助けられた米国のドルも、よし米国経済が上向きになってきても、米国の赤字基調というものはまだ当分続くであろう、したがって、この短期的現象を見てお互いがどうこうすることはしない、むしろこのきめた通貨調整を守るようにみな各国国内政策において一致して協力しようという方向をきめているのが現状でございます。したがって、いまの日本の一時的な黒字基調によって、各国から円の再引き上げを迫られているというような事実は全く政治的にもございませんので、私はそういう事態にはならないということは確信しております。
 問題はしかし、そうであるからといって、この対外不均衡というものは急速に日本自体として直す努力をしなければなりませんので、そのためには、何といっても不況の克服が一番先であって、これによってすべてが解決する問題でございますので、そういう意味で私どもは、ちょうどこの間企画庁でも発表になりましたが、去年の補正予算がいま非常に有効に働いておるので、在庫の調整についてもいい影響が出てきているというような発表がございましたが、この調子で新しい予算との間に断絶をなくすることが当面一番必要だと、この点だけを私どもは特に心配しておりますが、そういう一連の、前からきめたいわゆる八項目対策というものを強力に推進していくことによって、私は円の再切り上げは避けられるというふうに思っております。
#122
○藤田(高)委員 円切り上げの回避策として例の八項目なるものが提唱されたわけですけれども、その実質的な効果というものがどの程度あがっておるかということについての論議をする時間はありませんけれども、結果的に十分な効果を発揮することができずに、円の切り上げがなされたということは事実ですからね。ですから、私はそういう経過を踏まえて、いまの大臣の答弁を聞いておりますと、それを強力に進めることであるという政府のいまの立場ですね、立場としてはそういうものであると言いますけれども、それではやや具体的にお尋ねしますが、ことしの貿易計画あるいは国際収支の計画から見ますと、大体、総合収支で約三十億ドルから三十五億ドル程度の黒字と、現在百六十五億ドル程度の外貨の準備高があるわけですけれども、この年末ぐらいまでには、このテンポでいけば二百億ドルからの外貨の準備高になってくるということになれば、そういう外貨事情からする外圧といいますか、主としてこれは私はアメリカとの関係だと思うのですけれども、アメリカは実質的には、せっかく十カ国蔵相会議であれだけ論議をし合ったことについても、アメリカ自身は、日本との関係でいえば、円の再切り上げをやらさないようなそういう努力をアメリカの国内ではやっていないわけですよ。そういう一つの事情から見ても、私は円の再切り上げというものは非常に濃厚だ、こういうふうに思うわけです。たとえば世間でいわれておる、二百億ドルからの手持ち外貨の状態が起こってきても再切り上げの心配はないというふうに大臣は見通されておるわけですか。また、特定な人の言質だけでどうこうするものでないかもしれませんけれども、やはり経団連あたりの副会長クラスがあれだけはっきりしたことを言明する以上は、それなりの根拠がかなり具体的にあると思うのです。そうすると大臣としては、経団連の副会長の言ったようなことは、これはもう誤りである、経済的な見通しからいっても、これは全くとるに足らないんだ、こういうふうに否定されるというふうに理解してもよろしいですか。
#123
○水田国務大臣 まあ国際会議の席上でもずいぶん出ましたが、日本の見通しとして経常収支で四十七億ドル、基礎収支で二十七億ドル程度のことを一応予想しておるが、日本の円がもっと切り上げられることによってこの数字は改善されるかというとそうじゃないんだ、むしろ円の切り上げ幅が多かったら、逆に日本の不況によって輸出ドライブがかかって、この国際的不均衡はもっとひどくなる、こういう説明を日本側もずいぶんいたしまして、外国もその点は認めておったところでございまして、そうしてそういういろいろ、もう各国の事情がお互いに検討された後にできた今度の調整でございますので、私は、日本がこの通貨調整ができたあとですぐに不況が立ち直れば問題ないのですが、不況が続くという限り、しばらくこの国際収支の黒字基調が続いていくということについては、私は各国ともそうみなこれを問題にするということは大体ないんじゃないか。米国自身もこの討議ではわれわれと熱心にやった問題でございますので、決してそういう事態が来たからといって世界が騒ぐようなことは私はないだろうというふうに思っております。しかし、そういうふうなことにしないようにすることがこの際は大切だと思いますが、かりにそういう事態になっても、これはもう各国とも大体みな予想しておる方向であると思っております。
#124
○藤田(高)委員 私は、十カ国蔵相会議を含めて、それ以降の事情も勘案してああいう答弁をされておると思うのですけれども、少なくともアメリカがドルの交換性回復のために向けての努力をほとんどしていない。アメリカの現在の経済事情の中から、そういうことが実質的にできない面もあるでしょうけれども、ドルの交換性回復のために向けての努力をしていない。そうすると、日本のほうがこの対アメリカとの関係でどんどん黒字基調で、そうして二百億ドル台にも手持ち外貨がふえてくる。この間、参議院の予算委員会でしたか、水田大蔵大臣が、適正手持ち外貨といいますか、手持ち外貨の適正量というのは約六十億ドルだというふうに答弁されておりますが、そういうことであれば、非常に異常な形で手持ち外貨がふえてくる。そういう状態になっても、アメリカ及びその関係国から円の再切り上げを要求されることはないかどうか。今度は外圧の問題ですが、その見通しはどうか。そういう圧力があっても、それを十分政策的にも政治的にも排除するだけの自信がおありかどうか。この点を今日段階の事情としてぜひ確めておきたいと思う。
 なお、この機会にお尋ねしておきますが、手持ち外貨の適正量六十億ドルというのはどういうものを基準にしているのか。たとえば輸入量の何カ月分とかそういうものを基準としているのかどうか。そういう根拠について明示されると同時に、それが適正量であるとすれば、その三倍以上もの手持ち外貨を持つことが十分予見される段階において、そういう手持ち外貨を少なくしていくきき目のある具体的な対策というものはどういうものを考えておられるのか。従来どおりの八項目を除いて新たなものが幾つか論議されておるようでありますけれども、たとえば第二外為制度をつくってはどうかとか、いろいろありますね。その種のことについて、政府の新たな施策、方針というものを聞かしてもらいたい。
#125
○水田国務大臣 アメリカはまだ努力していないということでございましたが、なかなかアメリカ自体むずかしい問題があると思います。しかし、アメリカ経済が少し上向いてきて、アメリカの金利が上がってきたということによってドルの還流が若干始まっておると思いますので、アメリカの国際収支の改善も、私は今後少しずつはなされていくことだろうと思っております。
 それから、いまの六十億ドルの問題ですが、これは別に特別の基準はございません。いま金とかあるいはSDRとかあるいは長期に運用をしている外貨を除いて、現在の手持ちが百十何億ドルある。大体この半分前後は流動性を確保するという見地からこれを保有して、あとのもの、今後ふえるものは、これは有効に外貨の活用策を考えたいというので、外貨活用策の、その活用金額の幅を一応そういうふうに考えておるということを申しただけで、特に六十億ドルというのに計算の根拠を持っているわけではございません。
#126
○藤田(高)委員 やはりこの段階で必要なことは、わが国の貿易事情を中心に外貨の手持ち量というのはどの程度あれば十分なのかというものを、国民が安心するものを明示する必要があるのじゃないか。というのは、円の切り上げ、円の再切り上げというような事態になれば、これまた日本の産業界に非常に大きな影響が起こってくる。労働者の立場からいっても、新規採用の停止だとか、やれいろいろな形の合理化が、便乗合理化を含めてなされるわけでして、そういう一連の事情からいけば、わが国の経済力をもってすれば、手持ち外貨量はこの程度だ、それ以上は政府の責任において手持ち外貨を持たないように、ふやさないようにやっていくんだ、そういう具体策というものが当然今日の段階で明示される必要があると思うのですが、どうでしょうか。
 そのこととも関連をしますけれども、大臣は、アメリカとの関係においても円の再切り上げはない、こう言われるわけですけれども、四、五日前でしたか、コナリー財務長官がやはり国際通貨の問題について演説をしておりますが、あの基調の中には、円の再切り上げの問題は、十分これまた含みとしてあるように私は分析をしておるのですけれども、大蔵大臣は、その心配はない、このコナリー財務長官の演説の基調にはそういう要素というものはない、こういうふうに見られておるかどうか、そのあたりの見方について見解をただしておきたいと思います。
#127
○水田国務大臣 円の再切り上げを迫っておる様子は、コナリー演説の中で私はないと思っております。
#128
○藤田(高)委員 前段の質問はどうですか。
#129
○水田国務大臣 適正外貨量というものは世界に全く通説もございませんし、これが適切だということを示すということは、これはむずかしいことだと思います。
#130
○藤田(高)委員 まあ、むずかしいことだということで逃げられればこれは取りつく島はないわけですけれども、そういうものの定説はないにしても、それぞれの国の経済実態から見て、一つの手持ち外貨の適正量と申しますか、手持ち外貨高というものはこの程度がベターだというものは、これは当然あってしかるべきだ。それがあれば、これだけ外貨が幾らふえても円の切り上げの問題等について外国からとやかくいわれる理由もないと思うのですね。しかし、実際的には外貨がどんどんふえていくということが一番大きな条件になっておることは事実ですから、そういう条件の中からは、当然その種のことは考えられてもいいんじゃないか、こう思いますが、それに対する見解はどうでしょうか。
#131
○林(大)政府委員 補足的に私から御説明いたしますが、適正外貨量が幾らがよろしいかという問題につきましては、いままでも各方面で論じられているところでございまして、いろいろ説もございます。まあ比較的わかりやすい説明といたしましては、たとえば輸入の三、四カ月分くらい持っていたらというような説もございます。それによりますると、昭和四十七年度の経済見通しは、輸入が約百八十二億五千万ドルでございますから、その三、四カ月分をとれば五、六十億ということになるわけでございますが、しかし私どもは、そのような論拠で五、六十億ドルが適正外貨量であるというふうに公式に見解を表明する自信はございません。これは適正外貨量と申しますのは、非常にむずかしい問題でありますから、したがいまして、適正外貨量幾ら、それを越える分は政策でしかるべくどうこうしろというような論議になじまない性格のものでございます。
 ただ、大臣が申されましたのは、今後外貨を活用するにあたってのめどとして、大体どのくらいの感じを持っていたらよろしいかということで、二月末の外貨準備が百六十五億ドルでございますから、そのうちから金とかSDRあるいはIMFに対するゴールドトランシュというものを除きまして、残りが約百十億ドルある、その約半分くらいは外貨活用の対象として考えてよろしいのではなかろうか、それに今後の増加分を合わせまして、外貨活用というのを考える一つのめどにしたいということを申しておりますだけでございます。技術的なことを御説明申し上げました。
#132
○藤田(高)委員 次の質問者が帰りましたので、これで終わりますが、最後に別の項目で二つだけ一括して質問したいと思います。
 その一つは、これは長年問題になっておりますが、租税特別措置の関係で企業交際費の問題ですけれども、これは約二十日くらい前の新聞記事に誤りがなければ、大蔵当局部内におきましても、交際費のいわゆる四百万プラス千分の二・五ですか、この基準を下げる、たとえば四百万を二百万にするとか三百万にするとか、そういうふうに減額していく案が検討されつつある、こういう記事を見ております。またそういう計算で残った残額に対する七〇%を、たとえば八〇%にするとかあるいは一〇〇%にするとか、これは思い切って交際費の減額措置については手を打たなければならぬと思うわけですが、今日段階における政府の交際費に対する考え方及びこのことに関連をして、新しく広告税を創設してはどうかという意見も具体的に出ておるように承っておるわけでありますが、広告税の創設についての見通しですね、その見解を聞かしてもらいたい、これが一つであります。
 いま一つは、租税特別措置の審議はまだ継続されるわけでありますが、私の質問の時間との関係もありますから、あえてお許しをいただいて質問をしたいわけですけれども、公害防止施設に対する今回の措置ですね、これは、公害防止関係についてはいろんな準備金だとかその他の措置がなされておりますが、公害関係についてここまで新たな準備金制度というものをつくる必要があるのかどうか。これは私の見解ですけれども、これも公害防止をやるという準備金制度の創設というものに名をかりて、実質的には税負担の軽減策に充てることのほうが中心のように考えられてならないわけです。私はこんなことを、ほんとうに公害を防止するということがねらいであれば、それぞれの企業が公害防止施設をつくったというこの事実に基づいて、公害防止施設に投資をしたいというその実態に基づいて措置を講ずればいいのであって、二年も三年も準備金として積み立てていくというようなやり方は、これは先ほどの特別措置ではありませんけれども、これだけ非常に租税特別措置がやかましくいわれておるときに、大企業に対する税負担の軽減に通ずるような優遇措置ではないかと思うのです。そういう意味で、公害防止のためにいろんなことを考えるということは私は必要だと思うのですけれども、このやり方については問題があると思うわけですが、これまた見解を聞かしてもらいたい。
 このことに関連をしてお尋ねをしておきますが、今回の税制改正では景気の影響度に応じて千分の三とか千分の六というふうに、その適用基準を二つに分けております。少なくとも公害防止が中心であれば、私は、景気がいいから悪いからとかいうことによってその適用の基準を変えたりする性質のものじゃないと思うのです。幾ら景気が悪くとも、ヘドロ公害を出しておる、亜硫酸公害を出しておるという企業に対しては、これはもうどんどん公害防止の取り締まりなり行政指導をやらなければいかぬわけですから、そういうたてまえからいけば、やはり今度の法律改正の中にも企業優先の考え方というものが非常に強く出ておるのじゃないか。そういう立場からいって、この千分の三と千分の六の適用業種、これは私の理解に誤りがなければ、千分の六を適用するのは鉄鋼とかセメントとか非鉄第一次精錬とか、そういうものですね。千分の三の適用は電力とかいわゆる紙パ関係だというふうに理解を――石油化学なんかもこちらへ入ると思いますが、むしろ一番いまやかましくいわれておるのはヘドロ公害であったり電力を中心とする亜硫酸ガスの公害防止がやかましくいわれておるんじゃないかという段階からいけば、なるほど鉄鋼やセメントの関係ももちろん大事ですけれども、同じようにこの種の基準を適用するのであれば、むしろ電力や紙や石油化学等こそ当面の公害防止の問題として条件のいいものが適用されてしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、以上の見解について政府の考え方を聞かしてもらいたい。
#133
○水田国務大臣 だいぶ技術的な問題も入っておるようでございますから局長に答弁させます。
#134
○高木(文)政府委員 交際費の問題につきましては、先ほど松尾委員の御質問に対して大臣からも御答弁がございましたように、今年度は見送るということであったわけでございますが、各方面からいろいろ御批判を受けておりまして、いま問題になっております点は主として三点であろうかと思います。
 一点は、藤田委員から御指摘がありましたように足切り限度の四百万円というのが低いかどうかという点でございます。第二点は、否認割合の七割というのはもう少し高めたらどうかという点でございます。三番目には、交際費といいますが、実はいま非常にいろいろなものが交際費という概念の中で処理をされておるわけでございまして、交際費の中にも必ずしも俗にいう社用経費というのに当たらないものも便宜上交際費として扱われているものもございます。そこで、交際費についてはいろいろ仕分けを要するかと思いますが、その交際費の中には、場合によりましては七割否認ということでなしに、もう少し強い否認割合であってもいいものがあるのではないかというような点が問題になろうかと思います。主として問題点は三点であろうかと思いますが、来年度期限切れということもございますので、私どもといたしましては交際費の内容の実態といいますか、そういうものをこの際もう少し分析をしてみたい。それを手がかりにいろいろ検討の材料といたしたいというふうに考えております。
 第二点の御質問の広告費でございますが、広告費も従来から交際費とともにやや似て非なる性格のものであるということから税制上何らかの扱いをしてはどうか。現在法人あるいは個人の課税上は損金扱いになっておりますし、間接税の上でも何ら触れてないわけでございますので、広告費の中には若干過剰広告と申しましょうか、あるいはむだなようなものもないわけではございませんところから、交際費と同じように抑制税制の趣旨から何らかの対策を講じてはどうかという議論があるわけでございまして、かなり古い時期でございましたが、税制調査会等においても議論されたことがあるわけでございます。ただ、このほうは交際費と非常に違います点は、いわゆる社用的な点が非常に少ない。つまり交際費の支出のはね返りとしてだれか個人が何か利得をするという分野が広告費の場合は非常に少ないということが一つあり、それからもう一つは、売り上げ単位当たりの広告費支出は諸外国に比べて非常に少ないという現状でございまして、その点は交際費の場合とやや趣を異にしておるのでございます。そういう点を考慮し、かつもう一つ問題点は、何かの課税が行われるということであります場合にも、交際費と同じように所得課税の面で何らかの対策をとるべきか、それとも間接税的なものとして何らかの考慮をすべきかというような問題がありまして、先ほど申しました交際費の場合と比べますと、広告費の問題はわれわれが勉強すべき分野がまだ若干フィールドが広いと申しますか、もっと広い面から多角的に研究しなければならぬ問題が多々残っておるという現状でございます。
 第三番目の公害防止についての租税特別措置について申し上げますが、租税特別措置のいずれの政策にも多少ともそういう性格がございますが、公害防止という美名に隠れて企業の所得を減らし、税負担を減らすということに役立っておるのではないかという御指摘でございますが、租税特別措置には裏側といいますか、派生的なデメリットがそういう点で出てくるのは否定できないのでございまして、このものについてもそういう点は全くないということはいえないわけでございます。
 ただ、御質問の中にありましたように、設備等をした場合にそれをまともに認めて、その設備等をしたものについての何か優遇措置を考えてはどうかという御指摘でございましたが、この点におきましては一昨年の秋のいわゆる公害国会といわれましたあの国会におきまして、いろいろ措置されました新しい法律がございますので、その法律を受けまして四十五年度の税制等を中心にいたしましてすでに処置済みでございます。企業がいろいろ公害防止のために特別の設備をいたしました場合の特別償却等の制度は、すでに四十六年度までの税制改正においてかなりの処置をいたしておるわけでございます。
 今回、公害防止準備金という制度が設けられました主たる理由は、むしろそういう設備というよりはランニングの公害防止費用の対策でございます。ランニングのものであれば、本来ならば年々の経費として落としていけるわけでございますから、何も事前に準備金を積む必要はないじゃないかということが一応常識的に考えられるわけでございますが、いわゆるPPP原則といいますか、公害費用はまずもって企業が負担すべきであるという原則が、最近は一般的に承認されるに至っております。そうしますと、公害費用は結局価格を通じて消費者負担ということになっていくわけでありますが、企業がいろいろ採算を考え、そして価格体系を考え、そして公害防止対策をとりますというときには、やはりその三者を組み合わせて計画を立てる必要があるわけであります。その場合に公害の態様、防止事業の性質のいかんによりましては、設備費はあまりよけいかからないけれども、経常経費が非常にかかるという場合があるわけであります。そこで経常経費につきまして毎期毎期の損金として、あるいは必要経費として処理するだけで十分ではなくて、ある程度所得のあるときに用意をしておくことが必要になってくる場合があるということが今回主張されたわけであります。
 一般的に、景気がいいとか悪いとかいうこともありましょうけれども、一般的な景気でなくて、その企業によりまして所得変動がございますので、ちょうど所得変動の谷間に来ましたときに公害防止費用がかかるということになりました場合に、それが企業にとっての異常なる負担になることはあり得るということが考えられます。そこで公害防止のランニングの費用につきましても、ある程度期間をまたがって調整できる制度を考える必要があると認めたわけであります。つまり所得の変動があるということ、それから税務につきましては期間を区切って税務計算が行なわれるということ、一方費用のほうはどうしても経常的に必要になるということがございます。そこでその間の調整のために売り上げの一定割合を所得が比較的多いときに積んでおいて、所得が比較的少ないときの公害費用に充てるという趣旨のものでございます。したがって、千分の三と千分の六という二段階がございますが、この千分の六をどのような企業について認めるべきか、また千分の三はどの程度の企業について認むべきかということがございますが、一般的な考え方は、千分の三は公害費用が一般の企業よりも非常によけいかかるという企業については、何らかの意味で公害防止費用の設定が認められてしかるべきであろう。しかし、所得変動の大きい企業と小さい企業とあった場合に、所得変動の大きい企業については若干大きい方の率、千分の六のほうの適用があってしかるべきではないかというようなことで、いまこまかいことを検討いたしております。公害防止費用の絶対額が大きくても、それが所得そのものあるいは売り上げそのものが安定的であります場合にはそれは負担が可能でございまして、準備金は本来あまり必要がないという関係にございます。そのような事情で私どもは考えておるのございます。
#135
○斎藤委員長 次回は、明二十二日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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