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1971/03/30 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第12号
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1971/03/30 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 大蔵委員会 第12号

#1
第068回国会 大蔵委員会 第12号
昭和四十七年三月三十日(木曜日)
    午後零時十九分開議
 出席委員
   委員長 齋藤 邦吉君
   理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君
   理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君
   理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
      奥田 敬和君    倉成  正君
      佐伯 宗義君    坂元 親男君
      地崎宇三郎君    中川 一郎君
      中島源太郎君    松本 十郎君
      三池  信君    毛利 松平君
      森  美秀君    吉田 重延君
      吉田  実君    佐藤 観樹君
      藤田 高敏君    堀  昌雄君
      貝沼 次郎君    小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  田中 六助君
        大蔵省主計局次
        長       長岡  實君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        厚生政務次官  登坂重次郎君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省保険局長 戸澤 政方君
 委員外の出席者
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三五号)
     ――――◇―――――
#2
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。堀昌雄君。
#3
○堀委員 この間から同僚委員の質問の中にも、現在行なわれております租特法の二十六条でありますが、社会保険診療報酬に対する課税の取り扱いについてだいぶ論議がされておりますし、この際、坊先生がおいでにならぬのは非常に残念でありますけれども、私は社会保険診療報酬の問題を含めて、医業課税の問題についての基本的な問題を少しお伺いをしておきたいと思うのであります。
 社会保険診療報酬の特例が設けられましたについては、実は経緯があるわけでございます。その経緯をちょっと簡単に申し上げておきますと、昭和二十六年に、日本医師会が診療報酬の改定、単価の引き上げを厚生省に要求をいたしました。その結果単価は引き上げられましたけれども、きわめて不十分な引き上げに終わりまして、当時の大蔵大臣でありました池田勇人さんが閣議申し合わせ事項ということで、この際診療報酬の引き上げが不十分であるので、それの見合いとして社会保険診療報酬については、その所得率を七〇%と当分の閲するという取りきめが行なわれまして、昭和二十六年、二十七年と実はこの閣議申し合わせ事項に基づいて取り扱いが行なわれたわけであります。二十八年の確定申告をいたします時期になりまして、当時の国税庁の長官は平田敬一郎さんでありましたけれども、全国の国税局に通達を流して、あの閣議申し合わせ事項は御破算とみなして所得税法の定めるところで税金を取れという通達が全国におりてきたわけであります。当時私は兵庫県医師会の税務対策委員長をいたしておりまして、あわせて近畿医師会連合の税務対策委員長をしておりました。そこでさっそくそれらの問題について大阪国税局と話し合いをいたしました。うしろにいまおいでになりましたが、また消えましたけれども松本十郎代議士が当時大阪国税局の直税部長でございました。その松本さんと私は数次にわたっていろいろと論議をいたしました。松本さんのほうの提案は、もうこの取り扱いがなくなったから医師の所得については五五%の経費率ということで処理をしたいという話が出てまいったわけでありますけれども、この間診療報酬には何ら変更がないときでありますから、もしそのような取り扱いが行なわれることになりますと、実は実質的な診療報酬の引き下げになるということになるわけであります。そもそもこの特別措置が今日までいろいろな問題を含みながら来ております中には、単にこれは課税上の問題ではなくて、一番当初にこれが池田大蔵大臣の発想に基づいて設けられたとき以来、診療報酬との実は見合いの形で処置が行なわれた。きわめて誤った処置を池田大蔵大臣が当時行なったと私は考えておるわけであります。
 大蔵大臣、その点はいかがでございますか。昭和二十六年でありますけれども、池田大蔵大臣の当時の閣議申し合わせ事項による措置というものが適当な措置であったのかどうかをちょっと伺っておきたいと思います。
#4
○水田国務大臣 適当な措置ではなかったと思いますが、私は、当時としてはまだ日本経済の成長の段階から見ましても、国民皆保険ということを政府は政策に掲げて踏み切ったものの、この経費が十分でなかったということから、適正な診療報酬というものをきめることができなかったために、その見合いとして税で何らかの優遇措置をとるからといって、こういう形をとった事情も私は当時承知しておりますが、適当な方法ではなかったと思いますが、あのときは何かやはりやむを得なかったような気もいたします。
#5
○堀委員 実はここに問題の発端があるわけですね。
 そこで、私は当時の大阪国税局といろいろ論議をいたしましたけれども、大阪国税局のときに松本さんは五五%の経費率をがんとして動かさない、こういうことになりました。私どもは一体それじゃ日本じゅうそうなっているのかと思って東京国税局を調べてみると、当時の東京国税局直税部長は岩尾さんでしたけれども、三三%、経費率六七%ということで、東京国税局管内は全部処理は終わっておる、こういう事実があったわけです。その後私どもは、同じ医師が国内において、片方は言うなれば六七%の経費率、片方は五五%、の経費率というのはおかしい、こういう問題提起をし、大蔵委員会の当時の大蔵委員でありました諸氏に事情を話して、国会が終わりましたあと大阪国税局に対する行政調査のときに、この問題を提起をした。最終的には当時の松本直税部長が尼崎税務署においでになって、ぜひ私に会いたいということで、東京並みに処理するから何とかして確定申告を出してもらいたいということで、実は当時三三%、六七%の経費率で落ちついたのが昭和二十八年の経緯であります。
 私どもはこういうように、診療報酬との見合いできめられたものが、診療報酬が動かないにもかかわらず課税上の処置として一方的な処置をされることは、これでは医療経営を安定的に運営するわけにはまいりませんので、それから私ども先頭に立って、実は現在の租税特別措置法を成立させるべく、昭和二十九年にたいへんな努力をした結果、全会一致をもってこの法律が昭和二十九年に成立をした、こういう実は経緯があるわけでございますね。
 ですから、私自身にとっては、私が国会に出てまいりました最大のモメントになった、この一連の経過が実は私が国会に出てくるモメントになったという経過もありますから、今日まではこの問題については触れることなくまいったわけでありますが、法律ができましてたいへん時間も経過をしてまいりましたし、あわせて一般的な国民からのいろいろな批判もあることでありますから、私もこの際これらの措置が改善されることについて特に反対をするものではありません。しかし、これを取りはずす場合には、やはりいま大臣がおっしゃったような経緯もありますし、同時にこの法律の附帯決議としては、本法律案は社会保険診療報酬の適正化の実現までの暫定措置であるから、政府はすみやかにこれが実現をはかるよう善処されたい、こういう附帯決議が実はついておるわけですね。その付帯決議は何かといえば、このような要するにうしろ向きの処置をしなくてもいい適正な診療報酬を実現してもらいたい、すみやかに実現しなさいというのが当時の附帯決議になっておるわけでありますね。ですから、私どもは、少なくとも現在昭和四十七年度で社会保険診療報酬に対する平年度分の減収額というものは八百億だというふうに主税局が計算をしておる、こうなるわけでありますが、八百億の租税特別措置による減収を医療費に積み重ねて、医療費に積み重ねると、これは今度また課税が起こるわけでありますから、結局それが八百億というネットで医師の所得として生きるためには一体幾ら医療費をふやせばよくなるのか。ただ八百億ふやしてもだめですね。これに対してまた課税がかかってくるわけですから、いまネットで八百億実は所得が軽減されておると主税局は出しておるわけですから、一体これははね返りを含めて医療費として見れば幾らになるのか。これは厚生省でも大蔵省でもけっこうですから、ひとつお答えをいただきたい。
#6
○高木(文)政府委員 申しわけありませんが、ちょっとすぐにはその数字は計算が暗算ができませんのでお答えいたしかねますが、かなりの額になるだろうと思います。
#7
○堀委員 まだ所得税、法人税等の審議もありますから、それまでにひとつ厚生省とも協議をして、これがはね返った分を含めて一体幾らぐらいになるのかを計算してほしいと思います。
 そこで、そういう問題が一つあるわけですが、きょうは政務次官その他もお越しいただいておりますのは、一体医師の所得、医業の課税というものはいかにあるべきかという問題からこの際考えておく必要があるんじゃないかというふうに思っておるからなんです。
 そこで、時間がありませんから少し私のほうから申し上げますけれども、現在の医療法は三十九条で医療法人という制度を認めておるわけであります。この医療法人という制度がなぜ生まれたのか、どなたかお答えできる方があったらお答えいただきたい。
#8
○松尾政府委員 当時の背景は詳しくは存じませんけれども、実際上数人の医者が寄り集まって一つの医療機関を経営する、こういう形を正式に法的にもいろんな面できちんとさせる、一言で申せばそういうような手続の問題その他を全部明らかにしておく、こういう趣旨でできたものと解釈しております。
#9
○堀委員 大蔵大臣、厚生政務次官もよくお聞きをいただきたいのであります。この三十九条の医療法人の制度ができたのは、医師に対する課税上の問題が主体になっておるわけであります。御承知のように、医療法人ができますためには医療法で、これは営利性のものでないという規定がされておるわけでありますね。医師法、医療法もちろん一連でありますけれども、その一つの中に医業等に関する広告の制限というようなものもありますし、いまの三十九条の医療法人というのは、民法三十四条を受けた公益法人でありますから営利法人ではないという規定、こうなっておるわけですね。ところが現実に、なるほど私どもも医業というものが営利を対象とすべきでないということは当然だと考えております。しかし課税の面から見ますと、それでは公益性が非常に高いというのなら非課税であっていいわけです。ところが課税の面では、所得税では、その他の営利を対象とする、所得を生むような業種と何ら区別されていないわけですね。大臣、いかがですか、どうお考えですか。常識論を聞いてるのです。
#10
○高木(文)政府委員 いまの公益性という問題と所得税の課税の問題は非常にむずかしい問題でございますが、所得税ではあくまで事業所得として把握されているということでございます。しかし、所得税で事業所得として把握されているものの中に他にも同種の問題はないわけではないと思います。ですから、いろいろな角度から、公益性のある事業であるものであっても、税法の上では必ずしもそれを特別配慮していないという場合がほかにもあるということでございまして、そこがまさにこの問題の非常にむずかしい点であるということは御指摘のとおりであると思います。
#11
○堀委員 そこで、医療法人を考えた方は、ちょっと私も名前をど忘れしましたが、谷口参議院議員でしたか、要するに参議院にいらしたお医者さんが実は考え出したのです。この方は病院の関係者ですね。
 そこで、医療法人は「病院又は医師若しくは歯科医師が常時三人以上勤務する診療所を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。」こういう制限を設けて、新たな医療法人というものをここにつくったのですね。憲法第十四条では「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」こうなっているわけですね。いま一般の事業の対象になっておりますものは、御承知のように法人成りについては何らの制限はありません。八百屋さんであろうと魚屋さんであろうとお菓子屋さんであろうと――八百屋をやっておりまして法人にしたい、株式会社何々八百屋店ということだってできることになっている。だから一般の事業については、個人、法人、所得税法と法人税法のいずれを選択するかはこれらの人たちの自由にまかされている。医師は、このような医療法人などという制度をつくっておいて、要するに法人成りをここで規制しておるわけです。三人以上でなければいけない。ここに非常に重大な問題があるわけです。ですから、いまの社会保険診療報酬のいろいろな問題の改定を議論するときには、まず土台となる医業の課税というもののあるべき姿というものを当委員会で十分議論をしてからでなければ、その先にあるべき医業課税にここから移行するのにはいろいろな問題が残されてくるのではないか、こういうふうな考えを持っているわけであります。
 そこでいま、医療法人という制度は、なるほど医療法に書いてあります。しかし、医療法に書いてあるけれども、その主体は実は課税問題なんです。何ら医療法の問題ではない。課税上の問題でがんじがらめの規制をして、こういうことならこういうふうに税金をまけましょう、これならこうしましょうということになっておるのが、いまの医療法人の本体なんです。裏を返せば本来は法人税法に書かなければならぬものなんですよ。それが医療法に書いてあるところにすでに問題がある、課税上の問題として見るなら問題がある、こう考えておるわけです。
 そこで、政務次官にもおいでをいただいておるのは、この際医業課税という問題を一から洗い直すためにはこれらの医療法その他を含めた要するに洗い直しですね。もし医療法人という形でものを認めるなら、それはそれでいいと私は思いますよ。しかしそれならば医師が一人だったって医療法人はかまわないじゃないか、こうなるんじゃないかと思う。三人だったらいいけれども一人はいかぬという理由はないと私は思う。だからここらのところからまず再検討を必要とする、私はこう思うのでありますけれども、厚生政務次官いかがでございましょうか。
#12
○登坂政府委員 医療法のできた当時のいきさつを先生詳細に御陳述のとおり、医療法は医師に対する所得の課税の問題から発している、まさしく私もそう思います。当時、昭和二十六年の単価時代に私も実はこれは耳にしております。現実的に保険の一点単価十一円を幾らにするかという問題、当時これを的確に把握しかねるし、医師の所得の上にも影響するというので暫定的な措置をとったことも承知いたしております。その後医師に対する課税がやや重過ぎるんじゃないかという医業界の話も私は承っております。そこで三人以上を医療法人にするか、あるいは二人でも一人でもいい、まさしくどなたでも法人にすることにおいて自由な意思決定でできるべきものであろうと思いますが、私はこの医療法人の人員の規定というのは、何人でなければならないというような特別な規定は、先生のおっしゃるとおり、いまの段階になってはそれを設けるかどうかということは再検討に値するものである、こう考えます。
#13
○堀委員 厚生省はしかしこの問題については、私はやや受け身だと思っておるわけです。これの実体的な力を持っておるのは、実は大蔵大臣あなたのところなんです。ですからこの際、いまの医業の問題というのは、かつて医師も府県税でございます事業税を取られておりましたけれども、これは昭和二十七年に改正されまして、医師は営利性の事業ではないということで事業税は減免になって今日に至っておるわけです。地方税の中でははっきりと公共性というものを認識をし公益性を認識をして課税の減免を行なっておる。非常にはっきりと問題がここに出てきておるわけです。
 そういうような側面が地方税にすでに現実に存在しておる以上、やはり医師のいろいろな特殊性があります、そういう特殊性を見て、まずこの問題を整理していくとすれば、医療法人というものがより一般的な業種における法人と同じような形で医師の選択によって、医療法人になりたい者は医療法人になれる、なりたくない者はならなくていいわけですから、そういう選択の道を開くべきだと私は思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。これはあなたのほうに主たる問題がありますから、大臣からお答えをいただきたい。――大蔵大臣、一々主税局長に聞かぬでも、これは政治論だ。行政の話じゃない。
#14
○水田国務大臣 先ほどから経過について堀さんからお話がございましたが、池田さんがあの処置をとったときの政務次官が私だったようでして、私は知っていますので、その後この問題について、いろいろ税制調査会から意見が出てきましても、今度は適正な医療報酬というものかどうかという問題とからんでくるために、この厚生行政のほうでもなかなかやっかいな問題を起こしやすいものでございますから、問題がむずかしいので、私はあまり――そういう意見が税調から出てもわりあい消極的な立場でやってきたものでございますが、ここまで来ますと、おっしゃられるように相当いろいろ批判もございますし、またはたして何が適正かということはむずかしいにしましても、この十年来診療報酬についての改善は、この数回にわたってもう行なわれて今日まで来ておるものでございますので、何らかの解決が必要だということで、その事実に基づいて、今度は税調が特別部会をつくってこの問題に結論をつけるということになったのでございますから、私はこれに全部まかせようということで、いま税調にも出て、ほんとに実施できる案、そして現実的で具体的なものを示してもらえるのなら政府はこれを尊重するというお約束をしましたが、税調がこの案をつくるためには、いま言ったような一連のいろいろな問題の検討にまで触れざるを得なくなるんじゃないかというふうにも思われますので、そういう意味で、私どもも研究いたしますが、税調がせっかくもうこの特別部会は検討を始めるというところに来ておりますので、少しこれにまかせて、その結果を見てから私どもの最後の結論をつけたいというふうに考えます。
#15
○堀委員 私がいま伺っているのは、租税特別措置のあれじゃないんです。医療法人の話を伺っておるわけですね。要するに医療法人のあり方というものが、憲法十四条にいう経済的な差別ではないのかということで、ここで申し上げておるわけです。よろしゅうございますか。一般の事業者は要するに社員が何人以上でなければ法人として認めるとか認めないとかいうことはないわけですね。ちゃんと民法の定めるところに従って届け出をすれば、法人成りが認められておるわけですね。ところが、医師についてだけは、病院または医師三人以上の診療所、こういう規定があるというのは、私から言わせれば、はっきり言えば憲法違反ですよ。十四条違反です。だから、そうじゃなくて、法のもとに経済的に平等であるというならば、医療法人をこういうようないびつな形じゃなくて、一人でも医療法人ができるという発想です。そういうものの考え方に立つことが、憲法十四条にいうところのものであるし、あわせて医師が公益性という問題でワクの中に入れられておるならば、その公益性の中においても、一人であったって三人であったっていいじゃないですか。いま厚生政務次官は私と大体同意見の見解を述べておられるわけですから、大蔵大臣も、これは政治論ですよ、一つの政治論であって、当然一人だって医療法人が成り立ってしかるべきだ、こういうのが私は基本だと考えております。
#16
○水田国務大臣 ですから、いま言いましたように、具体的にこの問題を解決しようとするためには、そういういろいろな問題までが税調の審議の過程に出てくると思いますので、そういう問題について解決すべき問題が出てくれば、これはひとり大蔵省の問題じゃなくて、厚生省の厚生行政の問題と関連しますので、厚生省とも相談して解決しなければ現実案というものが結局はできないということになろうと思いますので、その段階で私どもは考えをきめますが、いまのところどうこう、ちょっと……。
#17
○堀委員 いいです。それじゃ、いまあなたにするとかしないとかいうことを聞きませんから、理論的に考えて、大蔵大臣は、私がいま言っておるのは、憲法十四条を引いて問題を提起しているわけですね。八百屋さんやら魚屋さんだったら、法人成りが認められておるにかかわらず、医師だけが医療法人になるのは三人以上でなければならぬというのは、憲法上から見ても、その他の業種との権衡から見ても適当ではないと思うが、適当と思われるか、適当と思われないか、理論的に答えてください。
#18
○水田国務大臣 私は何か理論的にむずかしいような気がします。というのは、かりに適当でないとしましても、そういう事実の上に、今度税の特別措置の問題を片づけようとするには、それが適当でないというのならないことに基づいた税の処置のあり方も出てくるでしょうし、それは考え方がいろいろあろうと思いますので、もう少し税調の具体的な検討を待って、これを見たほうがいいと思います。
#19
○堀委員 あなたの個人的見解を聞きましょう。それでは個人的見解でいいです。要するに、いまあなたの言うように、これは税法に関係のある問題を、税調が審議しなければ大蔵大臣がものが言えないなら、大蔵委員会の審議はやめようじゃないですか。一体これは、立法府として、われわれ大蔵省に聞けないじゃないですか。何でも税調が審議をしたらそれによってきめましょう、きめましょう。冗談じゃないですよ。こういう基本的な概念について大蔵大臣が当委員会で責任のある答弁ができないようなら、もう大蔵大臣はやめなさい。それなら大蔵委員会なんか要りませんよ。税調だけでかってにやったらよろしい。答弁を求めます。
#20
○水田国務大臣 この問題は、特に私が出席して税調にこの具体案の作成をお願いしてある問題でありますから、税調から言ってきた問題を見て、こういう問題を解決する必要な問題については関係省と相談して一つ一つ解決していくということのほうがいいだろうということを言っているわけでございます。
#21
○堀委員 私は、社会保険診療報酬の特例をどうするかということをここで一言も聞いているのじゃないのです。よろしゅうございますか。いまの医療法の中には、三人以上でなければ医療法人になれないという規定はおかしいじゃないですか、税の立場から見たらおかしいじゃないですかということを聞いているのに、あなたが税調、税調というのはおかしいじゃないですか。税調で審議するかどうか、そんなことは別ですよ。私はいまここで税法の立場から、一般の業種のものなら法人成りが一人の社長でできる。要するに社長と専務と常務と三人いなかったらだめだ。それが一般の業種ならば奥さんがなったり、兄弟がなれるけれども、医師の場合には、医師の免許証を持った者が三名いなければならぬというきわめて強いしぼりをかけておるということは、税法の立場から見ると不適当ではないか、こう言っておるのに、あなたが税調をたてにとって答弁ができないというなら、これは予算委員会がおくれても、これがきちんとなるまでここで私はやらしてもらいます。
#22
○水田国務大臣 私の考えが違うかどうか知りませんが、私はそういうものがあるためにこそ、今度は、これからつくる特別措置についても、医師について特別な考え方を、一般の人々と違った特別の考え方を持ってもいいという、それが根拠になるかもしれませんし、そこらをもう少し考えたいということでございます。
#23
○堀委員 時間ばかりたちますから、いまの医療法人の問題は一応政務次官の答弁もありますから前へ進みますけれども、これは非常に今後の問題を考える重要なファクターの一つなんです。よろしゅうございますか。ですから、その点は十分わきまえておいてもらいたいと思います。
 その次に、いま大臣もおっしゃったように、この問題はあなたが政務次官を当時しておられたので、経過はよくおわかりでしょうから、この問題は、少なくとも何らかの変革が行なわれるときには、その変革によって、これまでの減収というのはその他の租税特別措置とちょっと違うのです、沿革から含めて。沿革から含めて、本来は報酬のほうに上積みすべきものをこっちへ積んだということですから、だからこの分だけは、やはりこれは相対的な関係にあるほかの租税特別措置が、減収額があるのをもとへ戻すときにこれを積むという話とはちょっと違うのですから、そういうことの沿革も含めて、これはいま計算してもらうことになるわけでありますが、計算をした場合の、今後の姿というものを含めた医療費というものが段階的に何らか――現在のいろいろな医療費というのは、租税特別措置があるという前提で医療費が考えられているわけですから、その前提で考えられている医療費がそうなっておるならば、これがもし半分になるというならばこの分はどうするかといえば、本来の物価上昇に伴う医療費、人件費の上昇に伴う医療費の改定分に、要するに租税特別措置法の改正に基づく部分がこっちからこっちへ転移をするということでなければこの問題はスムーズな改善につながらない、私はこう思うのですね。その点は大臣もさっきからのお話でよくおわかりだと思いますが、大蔵省というところは、そういう意味では税でありますと同時に財政を担当しておるところでございますから、財政担当の大臣として大蔵大臣の見解を承りたいと思います。
#24
○水田国務大臣 この問題は、そういうむずかしい問題を持つから、私どももやはり慎重にやってきたのでございまして、これに手をつけるというからには当然そういう問題も考慮されて改正されるということになろうと思います。
#25
○堀委員 時間があと十分しかありませんから、それでは一応いまの社会保険診療報酬に関する問題については、少なくとも今後税制調査会で論議をされる場合には、要するに医業とは一体何か、さっき申し上げました医業の営利性の否定であるとか、あるいは診療の義務を課しておる医師法十九条の問題であるとか、あるいは現行社会保険診療報酬の非常に複雑で手数のかかる診療報酬請求事務の問題、この問題については医業課税という全体的な問題を一個一個全部洗った上で、あるべき医業課税というものが確立され、そしてそのあるべき医業課税に進むにつれての段階的な処置というもの、そういう過程を含めてこの問題が税制調査会で検討されるように、ひとつこれらの論議を税制調査会に伝えてもらいたいと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
#26
○水田国務大臣 承知いたしました。
#27
○堀委員 あと七分くらいしかありませんから、ちょっとピッチを上げて要点だけを申し上げます。
 この間、関連質問で私、資料を要求をいたしました交際費課税の内訳を、皆さんのお手元にもきょう配っていただいたわけでございますけれども、時間がありませんから私のほうから申し上げますが、昭和四十五年度の交際費の支出総額は一兆七百一億となっておりますが、その中の基礎控除額として見られておりますものが六千三百三十七億で約六〇%になっておるわけであります。この六〇%の内訳というのは、四百万円までの定額基準に基づくものが五千九百五十億円、資本基準の資本金の千分の二・五のものが三百八十七億円、こういう内訳に現実はなっておるわけであります。
 そこで、これまで手を触れておりましたのは、この差し引き限度超過額四千三百六十四億の部分について実は否認の問題が処理をされてきておるというのが現実の姿なのであります。そこで今日の状態になりますと、もはやとの交際費支出の一番中心になっておる六千三百三十七億の基礎控除額のところに足を踏み込むことなくして、この問題は改善を進めることはできない、こう考えるのであります。
 そこで、この制度がこうなりましたのは、要するに昭和三十六年から三十九年三月三十一日までの租税特別措置による交際費の処置は、定額基準が三百万円、資本金の基準が千分の一であったわけであります。昭和三十六年から三十九年三月三十一日までというのは池田内閣における高度成長の時期なのでありますけれども、その時期は、三百万円と千分の一で三十六年、三十七年、三十八年、この三年間きておったわけですね。三十九年にいまのように改められて、四百万円と千分の二・五になってから急激に実はこの交際費が増加をしてきた。こういうのが歴史的な沿革であります。ですから、私はこの際、どうしても交際費課税の問題を処理するためには、この基礎控除額の分に手を触れることなくしては問題の解決にならないと思うのです。
 ちょっと主税局長に一つだけ聞きますが、昭和四十五年度で三百万円をこえて平均で支出をしておる企業の資本金というのは、一体幾ら以上の資本金か、お答えをいただきたい。――時間がかかるようだったら私のほうから言いましょうか。皆さんの資料によれば、一千万円から五千万円までの間のものは実は三百十五万円以下なんです。だから一つの企業として三百十五万円以上を交際費で平均して使ったという平均値で見るならば、実は資本金五千万円以上の企業しか三百十五万円以上を使っていないというのが実績なんです。間違いございませんね、ちょっと主税局長。
#28
○高木(文)政府委員 間違いございません。
#29
○堀委員 そういう実態でありますから、いまの四百万円という基礎控除額というのはたいへん大きな額であるということはおわかりいただけると思うのですね。で、この間予算委員会でわが党の阿部委員がこの四百万円を動かすのは中小企業が関係あるという議論をしておりますけれども、私は実は関係ないと思っておる。これらの客観的資料をずっとにらんで見るならば、資本金百万円以下、五百万円以下なんというものは、交際費なんてとるに足らない額しか実は使ってないんですよ。
 だから問題はこれから、大型の、中企業以上にこれが非常に有効に働くことになっているという事情を――これはすみやかに、一ぺんに四百万円から三百万円にできないにしても、三百五十万円にし、三百万円にするという処置が講ぜられて相当だと思います。もちろんこちらの千分の二・五のほうも、三百八十七億でありますけれども、実はどちらかといえば大企業が使っておる分が多いわけでありますから、これについても、昭和三十六年から三十九年当時の要するに千分の一のほうに漸次〇・五ずつでも動かして、千分の一に戻して相当じゃないか、こう考えるのでありますが、大蔵大臣、これは少し具体的に申し上げておりますので、やるという答弁はいただかなくてもけっこうですけれども、少なくともここで一歩踏み込むということだけは検討の課題としてお考えを願いたいと思いますが、いかがですか。
#30
○水田国務大臣 御承知のように、現行法が来年の三月三十一日までの期限でございますので、それまでには準備をしなければなりません。そのときにはこの四百万円を当然検討の対象にするという方針でいま検討しております。
#31
○堀委員 たいへん前向きの答弁をいただきましたので、この問題についてはぜひそのような取り扱いで善処をされたいと思います。
 あと時間がありませんから、もう一点だけ。
 実はこの間、私、予算の分科会で貯蓄の奨励の租税特別措置と、それから金利問題に触れました。そこで、これらの問題を含めて、政府の今後のいろいろな問題に対する発想の転換が求められておる時期でありますから、実はもっと時間をかけて私は各租税特別措置、引当金、準備金その他の問題を取り上げたいと思って来たのでありますけれども、時間がありませんからこれで終わりますけれども、この際ひとつ、租税特別措置法を昭和四十年における所得、法人税と同じように全部洗い直していただいて、たとえばいま特に必要なのが国民福祉優先ということでありますならば、土地であるとか家屋であるとか、あるいは公害であるとか環境整備であるとか、こういうものについての租税特別措置は当分の間は必要だと思いますけれども、今日ここまで日本の企業がいろんな意味で力を持ってきました以上、少なくとも企業に対する各種の準備金、特別償却、割り増し償却等については一回再検討して洗い直して、ここに新しい租税特別措置法というものを、いろんな角度から点検をして、できれば四十八年度の税制改正に間に合わしてもらいたい。私はかつて物品税をここで全部洗い直しを提案をしたけれども、なかなか皆さん御答弁がなかったけれども、この間予算委員会の分科会で大蔵大臣から前向きの答弁があったようでありますが、あわせて租税特別措置法の抜本的な改正についてひとつ御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#32
○水田国務大臣 本年度すでに相当大きい洗い直しの一歩を踏み出したつもりでございますが、引き続き洗い直しは十分いたしたいと思います。
#33
○齋藤委員長 次回は、来たる四月一日土曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時散会
ソース: 国立国会図書館
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