くにさくロゴ
1971/04/07 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第6号
姉妹サイト
 
1971/04/07 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第6号

#1
第068回国会 外務委員会 第6号
昭和四十七年四月七日(金曜日)
    午前十時二十二分開議
 出席委員
   委員長 櫻内 義雄君
   理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君
   理事 正示啓次郎君 理事 永田 亮一君
   理事 山田 久就君 理事 松本 七郎君
   理事 西中  清君 理事 曽祢  益君
      池田正之輔君    石井  一君
      宇都宮徳馬君    鯨岡 兵輔君
      小坂徳三郎君    野田 武夫君
      福田 篤泰君    豊  永光君
      勝間田清一君    黒田 寿男君
      三宅 正一君    中川 嘉美君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        外務政務次官  大西 正男君
        外務省条約局外
        務参事官    穂崎  巧君
        食糧庁次長   中村健次郎君
 委員外の出席者
        議     員 藤山愛一郎君
        外務省アジア局
        中国課長    橋本  恕君
        外務省経済局外
        務参事官    手島れい志君
        外務省経済協力
        局外務参事官  鹿取 泰衛君
        大蔵大臣官房審
        議官      植松 守雄君
        外務委員会調査
        室長      吉岡 俊夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三日
 辞任         補欠選任
  渡部 一郎君     正木 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  正木 良明君     渡部 一郎君
同月四日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     松本 善明君
同月五日
 辞任         補欠選任
  石井  一君     毛利 松平君
同日
 辞任         補欠選任
  毛利 松平君     石井  一君
    ―――――――――――――
三月二十四日
 国際民間航空条約の改正に関する千九百六十二
 年九号十五日にローマで署名された議定書の締
 結について承認を求めるの件(条約第三号)(
 参議院送付)
 国際民間航空条約の改正に関する千九百七十一
 年三月十二日にニュー・ヨークで署名された議
 定書の締結について承認を求めるの件(条約第
 四号)(参議院送付)
 国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千
 九百七十一年七月七日にウィーンで署名された
 議定書の締結について承認を求めるの件(条約
 第五号)(参議院送付)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とフィンランド共和
 国との間の条約の締結について承認を求めるの
 件(条約第一一号)(参議院送付)
同月二十三日
 世界連邦建設の決議に関する請願(齋藤邦吉君
 紹介)(第一八七三号)
 核兵器の完全禁止等に関する請願(土橋一吉君
 紹介)(第一八九六号)
同月三十一日
 世界連邦建設の決議に関する請願(櫻内義雄君
 紹介)(第一九九〇号)
 同(竹入義勝君紹介)(第二一七六号)
 日中国交回復実現の決議に関する請願(小林進
 君紹介)(第二〇二〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月二十九日
 永世中立宣言に関する陳情書(鹿児島市田上町
 二九九六の二永田義成)(第一五二号)
 旅券発給常務に対する財源措置改善に関する陳
 情書(十都道府県議会議長会代表東京都議会議
 長春日井秀雄外九名)(第一五三号)
 尖閣列島の領有権に関する陳情書外一件(沖繩
 石垣市長桃原用永外一名)(第一八二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 千九百七十一年の国際小麦協定の締結について
 承認を求めるの件(条約第一号)
 税関における物品の評価に関する条約の締結に
 ついて承認を求めるの件(条約第六号)
 原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とオーストラリア連邦政府との間の協定
 の締結について承認を求めるの件(条約第七
 号)
 原子力の平和的利用に関する協力のための日本
 国政府とフランス共和国政府との間の協定の締
 結について承認を求めるの件(条約第八号)
 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の
 改正の受諾について承認を求めるの件(条約第
 九号)
 北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正に関
 する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第一〇号)
 国際情勢に関する件(中国問題)
     ――――◇―――――
#2
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 千九百七十一年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件及び税関における物価の評価に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題として、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本七郎君。
#3
○松本(七)委員 最初に、小麦協定のほうから質問したいと思います。
 七十一年の国際小麦協定となっておるのですが、これが穀物協定になったり小麦協定になったり、変わるのはどういうわけでしょうか。
#4
○手島説明員 お答え申し上げます。
 戦後、一九四九年から小麦の貿易についての国際協定というものがずっとございまして、この名称は常に小麦協定という名前できておったわけでございます。ただし、一九六七年の協定に関しましては、この協定の基礎をつくる交渉をケネディラウンドの交渉のワク内でやりまして、そのときの交渉に参加した国の目的は、小麦だけでなくて、それ以外の穀物についてもこれを含めた協定をつくりたい、そういうことを目的として交渉を始めました。そのために、この名称も穀物協定というふうにしようということで合意ができたものでございます。ただし、この一九六七年の穀物協定におきましても、実質的な内容につきましては、小麦のみについて合意ができまして、そのほかの主要穀物につきましては特別な権利義務の関係ができなかったわけでございます。その後今次の協定をつくる段階におきましては、もともと小麦だけを交渉の対象としてつくりましたので、また名称も前の国際小麦協定というものに戻ろうということになったのでございます。
#5
○松本(七)委員 それから今度の協定で一番の特色というか、従来と違う点は、結局、いままでの上限価格、下限価格のいわゆる価格帯というか、そういうものが今度なくなったというのが一番特色だろうと思うのですが、いままでの、今回までの協定の実効というか、すでに小麦の過剰時代に入って、いわゆる国際小麦戦争というような激しい競争状態が出てきて、フランスがかなり問題を起こしたというようなことも聞いておるのですが、いままでの協定におけるこの協定の実効というか、実績というか、そういうものを少し御説明願いたいと思います。
#6
○手島説明員 お答え申し上げます。
 小麦協定に参加しております輸出国の大宗は、米国、カナダ、豪州というように非常な先進国が大きな部分を占めておるのでございますが、戦後の一九四九年以降の動きを見てまいりますと、一九四九年の協定の時代には、一応供給不足の事態がございました結果、一時最高価格を上回るというようなこともございましたけれども、そのほかの時代は、先生御指摘のとおりに、確かに小麦戦争というようなことがありまして、最低価格を守るということ自体もなかなか困難な状況にあったわけでございます。通じて見ますと、ほぼ価格帯内での安定的な供給をわれわれ受けることができておりましたけれども、六七年の協定について申しますと、これが発効しましてから次の年にすでに小麦の生産が過剰であるというような事態が起こりまして、この結果輸出国の間での競争が激しくなり、御指摘のとおり、フランスもございますが、そのほかカナダ、アメリカ、豪州、その他で競争を始めました結果、最低価格は守られなかったという事案ございます。
 ついでに申させていただきますと、最近も小麦の生産の過剰状況が続いておりますために、今次の七一年の小麦協定の交渉の段階におきましても、小麦の価格帯をいかに定めるかというようなことについて輸出国の間でなかなか話がまとまらなかったために、今回は価格帯を抜かしたような協定ができ上がることになった次第でございます。
#7
○松本(七)委員 価格帯があるからこそこういう協定の意味が出てくるので、肝心の価格帯をなくしたこの協定が一体どういう意味があるかということを、特に日本にとってしからば価格帯なしのこの協定に入って一体どれだけのメリットがあるかということをもう少し具体的に説明してほしいと思います。
#8
○手島説明員 ただいま申しましたように、今回の協定を結果的に見ますと、価格安定の機能のおもなメカニズムとなる価格規定ないし輸入国として非常に関心を持っております供給保証というものが削除されたものであるのは事実でございます。しかしこの協定にもございますように、理事会等の場において関係国間の協議を通じて安定的な供給を確保することは可能でございますし、また理事会における小麦問題の討議を通じて各種の情報の資料を入手することも可能でございます。また、これは協定の二十一条にございますけれども、将来、価格ないしこれに関連する権利義務問題が討議される場合には、最初からこれに参加するということが可能になるわけでございます。そうしてそれによりわがほうの立場を新しい話し合いにおいても反映させることができると思うわけでございます。
#9
○松本(七)委員 その肝心の価格帯をはずしたということは、結局最初からはずすつもりで交渉したのじゃないと思います。できればやはり従来どおりの価格帯をつくるということがもちろん目的だったと思うのです。それにもかかわらずその肝心の点をはずしたということは、特に輸出国の間で意見が一致しなかったからはずしたのだと思うのです。そうすると、さっき言われたようなカナダ、オーストラリアその他の輸出国の間で一体どういう交渉をしてどのような利害関係の対立があったから価格帯をはずさざるを得なかったか、こういうことをもう少し詳しく説明していただかないと……。
#10
○手島説明員 お答え申し上げます。
 従来、小麦の価格帯をきめますときには、世界で最も品質がいいといわれておりますカナダのマニトバ・ノーザン一号というものを基準にして、それからほかの品質、銘柄の小麦についての価格帯をきめてきておったのでございます。これが、六七年の穀物協定における価格帯の決定はアメリカのガルフ湾岸港を基準地点にいたしまして、そこから積み出される小麦のFOB価格をまず基礎にいたしまして、それからそのほかの各種の品質、銘柄の小麦に価格帯を計算して写し直すということをやったわけでございます。ところが今回の交渉におきましては、輸出国相互間に小麦の生産過剰というものを前提としたおそらく今後の競争ということを考えまして、各輸出国とも自分の国の輸出する小麦の価格帯をまず厳格に定めて、それを基礎にして価格帯を運用するというようなことに対してきわめて消極的であった模様でございます。自分の輸出する特定の小麦をまず表面に出して価格をきめるのを好まない。そういったことで話が輸出国間でまとまらなかったというふうに聞いております。
#11
○松本(七)委員 そういう状況で、結局輸出国が好まないからはずすんだということになると、それはただはずしただけでなくて、今後やはり市場の獲得競争というものがいままで以上に激化すると考えなければならないですね。そういう見通しは一体どうなんですか。一体どこの国がどこの国に進出しようという傾向が強いのか。そういう将来の見通しというものもある程度当然立っているだろうと思うのです、これがはずれたにもかかわらずこの協定がなお意義があるとなれば。一体そういう点が野放しになって市場獲得競争というものが無制限に激化するものか、何らかこの価格帯をはずしてもなおチェックする可能性というものが残されておるのか。そういう点はっきりしなければ、野放しになるならこういう協定は要らないんだから、そこのところをもう少し説明していただかないと……。
#12
○手島説明員 確かに輸出国の間では競争をいたしまして、各自国のシェアをふやしたいということはあると思われます。しかしながらこの協定の第六条におきまして、市況に関する協議を行なうということもございますし、これにこの協議を行なうために市況に関する諮問小委員会というものをつくっておるわけでございます。ここにおきまして、「市場に不安定な事態が生じており若しくは直ちに生ずるおそれがあると認める場合」にはこの小委員会が開催されまして、これに対応する策を相談するということになっております。
#13
○松本(七)委員 小委員会で意見を出して、それに対応する対策を相談するといったって、これは価格帯がないのに――今度は価格を相談で価格帯にかわるような価格の協定というものを新たにつくるのですか。価格帯がない以上は、単なる希望意見を出すというにとどまるのじゃないかと思うのですがね。
#14
○手島説明員 お答え申し上げます。
 ただいま協定の六条のことを申し上げたのでございますが、その六条の中にもございますけれども、このような不安定な事態が生じました場合には、その委員会は「直ちに執行委員会に対して当該事実を報告する。」またその報告にあたりまして「市場に不安定な事態」、これには「価格の変動を含む。」とございますが、これを「もたらし又はもたらすおそれがある事情を特に考慮する。」「執行委員会は、」この報告を受けました場合には、「事態を検討するため及び相互に受諾することができる解決に達することが可能であるかどうかを考慮するため、五市場日以内に会合する。」ということになっております。また執行委員会は、適当と認める場合には、さらに上の理事会の議長に通報し、理事会で事態を検討することができるということになっております。
#15
○松本(七)委員 ですからそれは単なる検討であって、価格帯をはずしたが、それにかわるだけの拘束を持った運営ができるとは期待できないわけでしょう。そこのところをもう少しはっきり説明してください。聞いている質問の要旨に答えるような答弁をしてもらわなければ……。
#16
○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。
 食糧庁は小麦の一手買い付けをやっておりますので、主たる輸出国でございます米国、カナダ、オーストラリア等と常に取引をいたしておりますので、そういった経験からかんがみまして、先生のおっしゃいますように、最低価格なり最高価格の規定がないということでございますと、この協定による価格の調整ということはできないわけでございますが、実際に先ほど外務省からもお答え申しましたように、価格が非常に競争が激しくなって、どこかの国が価格を下げてくるというふうなことが間々ございます。そういう場合にはこれの価格を支配しておりますアメリカ、カナダ、豪州等が、先ほどございましたような小委員会等を通じましてよく話し合いをいたしまして、むちゃな価格競争はやるまいというふうなことを話し合って、協定では縛られませんけれども、実効として安定した価格を維持するということが行なわれております。輸入国でありますわれわれの立場といたしましても、安く買えるということはけっこうなんでございますが、しかし、輸出国における生産が安定し、輸出が安定した価格で、常にほしいものが買えるという状態が維持されることが非常に大切でございますので、必ずしも激しい価格競争によってそれが生産に悪影響を及ぼすというようなことがございましては、やはり長い目で見て、輸入国の不利益にもなると思います。そういう意味で、こういった協定の場を通しまして、秩序のある輸出、あるいは生産の抑制なり輸出量の規制なり、そういったことが話し合いの中でやれる場があるということは、この協定の非常な意義であろう、このように思っております。
#17
○松本(七)委員 食糧庁の方にもう一度伺いたいのですが、私の言わんとするのは、価格帯のある協定のときでも、いまも言われたようにかなりいろいろこの協定違反上の問題が起こる。ましてやこの価格帯をはずした協定で、いま言うような意見を述べる機会は与えられても、従来ほどの規制はできないだろう。そこのところをまずはっきりしていただきたいのと、それから価格帯をもった従来の協定の場合でも、さっきちょっと出ましたように、フランスが問題を起こした。そういう問題のいきさつをもう少し具体的にお話し願いたい。それからもう一つは、さっきも質問しましたが、今回の協定をつくるにあたって、価格帯をできればつくりたいと輸出国も思っていたでしょうが、その協議のいきさつですね。どういう利害関係が対立して価格帯をはずさざるを得なくなったかということ、もう少し経過を御報告願いたい。
#18
○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。
 もちろん先生のおっしゃいますように、価格帯が規定されておりましても、それが守られないという過去の事態の起こったこともございます。いわんや、価格帯がないという場合に、話し合いだけではそういったことがなかなか実効があがらないだろうということはそのとおりでございますが、したがいまして、価格帯の協定ができることが望ましいのでございますけれども、いろいろな各国の利害関係その他によりまして、価格帯がつくられなかったという状態でございますので、できるだけそういった価格帯のできるような協定に今後なるように、われわれとしても望んでおるという以外に申し上げるあれがないのでございますが、しかし協定にそういったものがなくても、一応需給事情その他を反映いたしまして、ある程度話し合いによって価格の安定をはかるということは、現在行なわれております。特に最近の需給事情は生産調整その他のアメリカ、カナダ等の努力が若干実を結びまして、在庫がかなりございますけれども減少の傾向も見えてまいっております。そういった事態を踏まえて、秩序のある輸出が行なわれるということを期待いたしております。
#19
○松本(七)委員 価格帯を挿入した協定をつくろうという努力はした、しかしそれができなかったということは、最初から私も質問しているようにわかっているわけです。輸出国の利害関係の対立でできなかったのでしょうから、その交渉の経過を具体的にもう少し説明してくださいというのです。それを全然つかんでないならつかんでないでいいですよ、それをさっきから聞いているのです。
#20
○手島説明員 お答え申し上げます。
 先ほどちょっと申し上げましたように価格帯を決定するときに、基準となる小麦の銘柄を定め、それからどこを積み出し地とするかということで、その積み出しの場所をきめることになるわけでございますけれども、今回の交渉の過程におきましては、特にアメリカとカナダが意見が対立いたしまして、この調整が不可能となったものでございます。それぞれアメリカ、カナダとも自分の国の小麦及び自分の国の港を基準とすることに強い反対を唱えたのでございますが、交渉が成立不可能となりました原因は、価格帯の水準自体につきましてもアメリカがブッシェル当たり一ドル五十セントという低い水準を主張いたしましたのに対して、カナダは少なくとも前の水準の一ドル七十五をほしいといった、価格帯水準自体についても意見の対立があったように聞いております。
#21
○松本(七)委員 そうするとやはり今後はこの価格帯なしの協定ということになると、かなり輸出国間に競争が激しくなると見なければならぬと思いますね。その点は間違いないでしょう。だから先ほどもお話があったように日本としてはできるだけ安く買えば有利だ。しかし野放しでできるだけ安いところと、輸出国は投げ売りでもしようということになれば全体の秩序が破壊されるから、したがって輸入国としてもやはり何らかの調整は望ましいのだ、こう言われるわけでしょうから、しからば価格帯をはずしたこの協定で、調整の機関がいわゆる意見は述べるということに期待を持たれておると思うのですけれども、はたしてどの程度の期待をしたらいいかということを、やはり交渉された者、それから実際に担当されておる食糧庁の皆さん方の見通しというものを少し聞かしていただきたいですね。紙の上に書いた意見を述べるだけでは話にならない。
#22
○手島説明員 お答え申し上げます。
 先ほど食糧庁のほうからも御答弁申し上げましたように、また先生も御指摘のとおり、私ども輸入国としては安い小麦が人ってくることが望ましいわけですけれども、また同時に長期間にわたりまして安定的な供給ということも確保したいわけでございます。そのためには、やはり世界の小麦経済というものが乱れるということになるのは、日本にとっても非常に不利であろうという考えでございます。ただ、具体的な価格がいかにどの程度であるべきか、あるいはこのような価格帯のない協定をつくり、単に協議だけで各国との間で話し合いをした場合に、どの水準で落ちつくであろうかという具体的な数字につきましては、実は私ども特に持っておるわけではございません。ただ、この協定に小麦の世界貿易の八割を占める輸出国が入っておるわけでありますし、この輸出国及びわれわれ大規模な輸入国との間の話によって、価格水準は下降傾向にはあるとしても、実際としては非常な変動ということではなく、ほぼ安定していくのではないかというふうに考えた次第でございます。また、最近の数字を見ておりましても、確かに安い水準でございますけれども、ほぼ安定し、今後もさしあたっては安定を続けていくだろうという見通しが現状でございます。
#23
○松本(七)委員 そうすると、価格帯の交渉経過からいうとむしろ競争は激化しそうだというあれがありながら、いまの見通しでは、それにもかかわらずそんな激しいあれは起こらないだろうということですが、どうも見通しが矛盾するような気がするんですがね。いままでの価格帯ができなかった経過からいうと、かなり見通しが暗くなるだろうと思うのだけれども、そういう価格帯なしで、しかもそれを拘束するだけのものはない。意見は述べられるが拘束はできない。そういう中で、それほど激しい、先ほどカナダとアメリカの意見対立ということも出ましたけれども、かなり国際市場に争奪戦が出てくるだろうと私は思うのですがね、価格帯に関する交渉の経過から言うと。それでも特に輸入国である日本それから全体の情勢からいえば、価格帯なしでもこの協定で何か実効があがり、運営ができるという説明ならわかるんですよ。だけれども、全体の見通しが、それほど必要が出てない、そんなに激しい競争も起こるまい、だから価格帯はなくてもいいというんじゃ、いままでの交渉の経過、価格帯を設定できなかったいきさつと相反するような気がするんですね。ばかに楽観的な見通しを立てておられるような気がするんだけれども、実態をどういうふうに把握されての結論かというそこのところを――これはただ紙の上のことじゃないんだから、商品協定ですからね。もう少しそこを実態に即した説明をしてもらわないと……。
#24
○中村(健)政府委員 現存の麦の需給事情、価格の動向、その他の実態、今後の見通し等につきまして、若干最近に変化が出ておりますので、お答えを申し上げたいと思います。
 先生のおっしゃいましたように、一九六九年−七〇年あるいは六八年−六九年ごろまでは、非常な勢いで在庫が増大しておりました。ちょうどそのころこの協定の交渉が行なわれたわけでございまして、その当時の価格というのは非常に安く実勢はなっておりました。アメリカのガルフにおけるNO.2ハードウィンターの価格で申しますと、六六―六七年がトン当たり六十七ドル二十四センントでございましたものが、六七―六八年には六十二ドル四十二セント、六八―六九年には六十三ドル二十セント、六九―七〇年が五十三ドル二十七セント、こういう激しい価格の下落競争が行なわれておりましたが、その後アメリカにおきましても相当強力な減反政策がとられておりますし、特にカナダにおきましては昨年非常に大きな減反政策がとられまして過剰在庫も減少してきておりますので、そういったことが需給事情に反映いたしまして、七〇―七一年では六十ドル二十六セントというふうに市況が持ち直してきております。特にフランス等の安売りも、在庫が解消いたしまして、最近ではわれわれテンダーをいたしましてもフランスからのオファーはないという状況になっておりますので、大体激しい価格競争が現在は行なわれないような事態になりつつございます。ただ、こういった小麦の価格なりの動向は、かかって需給事情、生産と需要との関係で出てまいりますので、そういった今後の見通しにつきましては、現在のような輸出国の生産対策がとられております限りにおいては、そう極端な過剰、極端な価格競争が行なわれるようにはならないであろうというふうな見通しをわれわれは現在のところ持っております。
#25
○松本(七)委員 そういうことだとすると、輸出国の生産政策及び在庫の減少ということからそれほど激しい競争にはならないだろうということになれば、価格帯を設けたってよかったはずだと思うのです。各輸出国の今後の生産政策、それから在庫も減ってきたという状況になってきたのならば、何も価格帯をはずさなくたって、各輸出国の政策がそういう方向へ今後いくとすれば、価格帯設定に意見が一致するはずなんです。いまの食糧庁の見通しのようにはいかない要素があるから私は価格帯の設定ができなかったと思う。そこのところは一体どうなんですか。
#26
○中村(健)政府委員 その問題は、まさにこの問題が討議されました段階におきましては、将来の需給に対する見方がアメリカとカナダとでは非常に食い違っておった。アメリカの主張は、過剰な在庫がたくさんある、そういった需給事情のもとでは、かなり低い水準に最低価格を置かなければ、そういった価格帯を設けても守られない事態になるということで低い価格帯を主張し、カナダは、この前とりましたように、大きな生産抑制といった手段によって需給バランスを回復していくという考え方を持っておりましたので、そういった点からあまり低い、大過剰のもとにおける不当に低い市況のもとにおいて価格帯を設けることは長い目で見て好ましくないというふうな意見の対立であったと思います。そういうことで、現段階では価格条項ができなかったわけでございますが、しかしこの協定の中には、価格条項の扱いについて交渉の会議を持つこともできるようになっておるのでございまして、そういったことの努力が今後も続けられる、こういうふうに考えております。
#27
○松本(七)委員 そうするとカナダとアメリカの見通しなり主張にかなり対立があった。しかし食糧庁の見通しでは、その当時の対立が今後の輸出国の生産政策その他でかなり緩和するというお見通しですか。そこはどうでしょう。
#28
○中村(健)政府委員 その点につきましては、この協定のできました当時よりは現在は事情が緩和してきておると思います。しかし根本的にアメリカの考え方は、需給事情に応じた価格という主張が、いまでもわれわれ折衝してみましても強い考え方が流れておりますし、カナダはやはりある一定の生産費等から考えた輸出国としての妥当な価格を設定すべきだという考え方が強いようでございます。したがって、カナダのほうが生産抑制等の手段もアメリカよりはかなり思い切ったことをやっておる。こういった両方の国の考え方の違いがございますから、すぐに一致した考え方になるかどうかは問題でございますけれども、少なくともこの協定ができたときよりは、現在は両国の価格に対する考え方は開きは小さくなっておる。現実にわれわれが買っております麦の毎週のテンダー等を見ましても、出しておる価格もそう大きく競争をしていない、妥当な価格差で大体出てきておるというのが現状でございます。
#29
○松本(七)委員 入り口の質疑でかなり時間をとりましたからその程度にして、あと少し具体的な項目別の質問に入りたいと思います。
 四九年の国際小麦協定の発足以来、六七年の穀物協定に至るまで、小麦の輸出国、輸入国の平等の表決権といいますか、発言権をできるだけ確保しよう、こうして生産と貿易の調整をはかりながら、その特定の価格でもって需要の充足をはかることを目的にきたわけですけれども、商品協定という、こういう協定の性質からいっても、今度の小麦協定では、こういった従来からとってきた目的とかあるいは小麦の価格、当然それに関連する権利義務規定といいますか、そういうものが削除されて、いわば商品協定としてはあまり意味のないほどの骨抜きになっているのじゃないかという感じが全体にするのです。商品協定としての性格が失なわれていると断定せざるを得ないほどに変質しているような気がするのですが、この点はどうでしょうか。
#30
○手島説明員 お答え申し上げます。
 確かに先生の御指摘のとおりに、価格安定のおもなメカニズムであります価格規定等が削除されたもので、確かに従来のいわゆる商品協定というものの概念から見ますと後退したものであって、商品協定というよりは商品問題の研究会というような性格が強くなってきていることはいなめないと思っております。
#31
○松本(七)委員 それから小麦の主要輸出国による七一年の小麦在庫持ち越し量といいますか、これはどのくらいでしょうか。
#32
○中村(健)政府委員 七〇年―七一年までの資料は入手いたしておりますが、まだ七一年−七二年は出ておりません。七〇年―七一年の在庫持ち越しは、これもある程度見込みが入るわけでございますが、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランス、アルゼンチンの五つの主要輸出国の在庫の合計は、約四千五百八十四万トン程度というふうに推定をいたしております。
#33
○松本(七)委員 現在の世界の食糧事情を、食糧庁としてはどういうふうに把握されておるのですか。
#34
○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。
 世界の食糧事情、いろいろ統計がございまして的確には把握できないのでございますが、一応FAOの資料等から見ますと、一九八〇年の農産物の見通しは、これは一九七一年のFAOの作成したものでございますが、いろいろな前提条件が入っておりますけれども、小麦、粗粒穀物、米につきましては、世界全体として若干の余剰となるであろうというふうにいわれております。しかし現在は、小麦につきましては先ほど申しましたようにかなり余剰が出ておりますが、米等につきましては、いまだ特に東南アジアの諸国において不足をいたしておりまして、アメリカあるいは日本がただいま過剰米がございますので、そういったものの輸出によって補われておる、こういう状況でございます。
#35
○松本(七)委員 FAOではかなり食糧の過剰問題にこれから取り組まなければならぬというような意見が強いと聞いておるのですが、どうでしょうか。FAOの最近の意見の動向と、それから日本政府としてこれに対してどのような態度で臨まれる方針か。
#36
○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。
 FAOの米穀研究部会が一九六九年にマニラで開かれました際には、米の貿易量の減少とか在庫量の増大等、過剰な傾向について議論が行なわれました。しかし現在では、その後東南アジア諸国の米の輸入量はなお増大をいたしておりまして、必ずしもこのときの議論のように出産が伸び、急速に過剰になるというふうな状態にはなっておりません。
#37
○松本(七)委員 小麦の世界全体の生産高に対する輸出量の割合というのはどの程度でしょうか。
#38
○手島説明員 お答え申し上げます。
 世界の生産は、六九年−七〇年度以来三億トンをこえております。なお輸出量で申し上げますと、一九六五年−六六年度においては六千二百万トンという数字に達しましたけれども、その後若干減りまして、六八―六九年度には四千五百万トンとなっておりますが、六九―七〇年度五千百万トン、七〇―七一年度五千三百万トンというふうに、大体五千万トン程度を上下しておると言えるかと思います。
#39
○松本(七)委員 それに対して米の生産量とそれから輸出量はどういうことになるのです。
#40
○中村(健)政府委員 米の生産量は、もみの数量でございますが、一九七〇年で約三億トン、三億七百万トン程度でございまして、輸出量は七〇年が、これは精米トンでありますが約七百万トン程度というふうになっております。
#41
○松本(七)委員 生産量はいつのですか。
#42
○中村(健)政府委員 一九七〇年でございます。――失礼いたしました。いま申し上げましたのは輸入量でございまして、輸出の統計によりますと約七百万トン、大体同じようなことになっております。
#43
○松本(七)委員 インドネシアに対する穀物協定で食糧援助として日本米が充当されてあるわけでしょう。これはどの程度の量ですか。
#44
○鹿取説明員 インドネシアに対しまして食料援助をいたしました際に、タイ米またはビルマ米を日本米とまぜて日本米と別に供給しております。
 昭和四十三年度の食糧援助に基づきましては、インドネシアに対する援助は総額で五百万ドルでございますが、そのうち日本米が百万ドル、それからタイ米が三百万ドル、それからその他百万ドルは米でございませんで肥料とか農業機材を提供しております。
 それから翌年、会計年度で申しますと四十四年度におきましては、インドネシアに対しまして合計一千万ドルの食糧援助をいたしまして、そのうち日本米は四百五十万ドル、タイ米は四百五十万ドル、あとの百万ドルは農機具でございます。
 それからさらに四十五年度におきましては、インドネシアに対しては総額一千万ドルで同額でございますが、そのうち日本米を三百万ドル、タイ米を七百万ドルといたしたわけでございます。
 さらに四十六年度におきましては、インドネシアに対しまする総額は一千万ドルで同額でございますけれども、日本米は二百万ドル、タイ米六百万ドル、ビルマ米二百万ドルでございます。
#45
○松本(七)委員 これは食糧援助として日本米を出したことで、インドネシア市場というのはかなりタイ米が主力を占めているのでタイをいずいぶん刺激したという話を聞いているのですが、その間の事情を少し説明してください。
#46
○鹿取説明員 先ほど私が申し上げました数字でもおわかりいただけたかと思いますけれども、最初の四十三年度の五百万ドルのうちタイ米を三百万ドル入れたわけでございますけれども、漸次、翌年一千万ドルに増加しました際にはタイ米も四百五十万ドルにふえております。で、その後もそういうことでタイ米はさらに翌年には七百万ドルにふえたわけでございますけれども、確かに先生御指摘のとおり、もし食糧援助で全額が日本米であるという場合には、タイの伝統的な商業的な市場であるインドネシアに対するタイ米の輸出が減額されることになる、しかも日本とタイとの貿易バランスでいうとタイのほうが非常に入超であるというような問題を提起されまして、したがって私どもも十分にタイの主張も考慮に入れまして、こういう数字にきめたわけでございます。
#47
○松本(七)委員 この配分というかそれはタイ国と話し合ってやるのですか。
#48
○鹿取説明員 基本的に申しますと、日本とインドネシアの援助の問題でございますから日本とインドネシアが合意すればいいわけでございます。しかし先ほどのような事情がございますので、事前にタイの意向などを参酌いたしまして、この程度タイ米を入れるならば、タイとしても伝統的な商業輸出を害さないというようなタイのほうの感触を得まして、そういうことを考慮に入れて決定するわけでございますけれども、最終的といいますか基本的にはやはり日本とインドネシア間できめるわけでございます。
#49
○松本(七)委員 インドネシアのほうも当然比率に対してはいろいろ希望があるでしょうからね。ですからこの問題は、タイ国からの異議というか、問題が起こってからタイの意見を聞くようにしたのか、元来そういうタイの意見というものを一応聞きながら配分をきめてきたのですか。
#50
○鹿取説明員 タイの側から問題を提起いたします前に、もうすでに食糧援助の問題といたしまして開発途上国の輸出を阻害してはいかぬという精神がございますので、私どもとしてはタイ、そのほかにビルマも最近そういう問題に逢着していると思いますので、タイとビルマの事情がどうかということを私どものほうでも問題として取り上げ、そしてタイのあるいはビルマの意向を参酌して先ほどのようにきめた次第でございます。
#51
○松本(七)委員 それにもかかわらずタイ国からあとで問題が出てきたのですから、よほど関係国との意見の調整というものをやらないと、これはせっかく援助しながら第三国からにくまれるというようなことになりますからね。それで聞いているのですが、今度の小麦協定による食糧援助にしても、主力はどこにあるのですか。農業物資に重点を置かれるのですか、そういう内容を少し……。
#52
○鹿取説明員 日本が食糧援助協定に入ります際に、日本の主張といたしましては、食糧という形で援助をするよりもむしろ開発途上国の農業生産を増加するほうが長期的に見ても真の援助になるのではないかという主張をいたしたわけでございます。したがいまして六七年の協定に参加いたしました際も、また七一年の協定に参加いたしました際も日本は特に留保いたしまして、日本としては米かまたは援助受け入れ国のほうで希望する場合は肥料とか農機具とかそういうもの、すなわちこれを農業物資と申しますけれども、そういう形で出したいということを特に留保した次第でございます。したがいまして、われわれとしては将来ともそういう農機具あるいは肥料あるいは農薬というようなものを提供いたしまして、開発途上国の食糧増産に寄与するという方向で進みたいわけでございますけれども、現実の姿といたしましては、現に開発途上国の中に今年度の食糧がないという現実が存するわけでございまして、先方の希望も、食糧の形でほしいという希望が圧倒的に多いわけでございます。したがって、現在はまだ食糧の形で出す援助が多いけれども、今後なるべく農機具というようなものでもって発展途上国の食糧増産に寄与していきたいと考えております。
#53
○松本(七)委員 そのいわゆる農業物資を受け入れる方向に今後受け入れ側もその希望を深めていくのには、やはり技術の向上の問題とかそういうものが関連してくると思うのですが、そういう点はどうなりますか。
#54
○鹿取説明員 先生御指摘のとおりでございまして、単に農機具とかあるいは肥料を提供するだけでは開発途上国の真の食糧増産が助長されないわけでございますので、われわれといたしましては、それと並んで農業技術協力という形で日本の専門家をその国に送るとか、あるいはその国に農業技術の普及センターを設けるとか、あるいはそういう国から研修員を受け入れて日本で技術を教えるとかということをともどもにやっております。
#55
○松本(七)委員 従来どういう計画をなされたか、そしてその実績、効果というか、そういう点を少し。それとあわせて、特に開発途上国との関係を今後発展させるには、やはりその国の国情にとけ込む、特にことばの問題とかそういうところまできめこまかく取り組まないと、決して援助がほんとうの援助にならないと思うのですが、そういう具体的なきめこまかい計画がおありなのか、過去において、いわゆる開発途上国にいろいろ援助をやられたその追跡調査というかそういうものをどの程度なされておるのか、また、いままで足りなければ、今後される計画があるのか、そういう点、少し説明してください。
#56
○鹿取説明員 先ほど私が申しました農業技術協力という形の援助につきましては、実はわが国の援助量はほかの援助国に比べまして、金額などまだ非常に低調でございまして、七〇年の実績で申しますと、技術協力全体の額が大体二千万ドル程度でございます。しかしその中で農業技術協力というものは、比重におきますと、計算の方法にもよりますけれども一番多い比率になっております。そして具体的に申しますと、私どもの農業援助は何といっても米の増産、日本は米の増産技術に非常に長じておりますので、米の増産の技術援助というものが圧倒的でございます。そのほか、最近になりますと、もちろん病害虫の問題とか、さらにかんがいの指導までする、あるいはマーケッティングの指導までするというところまでいっておりますけれども、圧倒的には米の増産そのものの技術を教えるというのがいままでの中心でございました。
 それから形あるいはその対象国でございますけれども、従来日本の農業技術協力が非常にはっきりとした形で行なわれておりましたのはインドとインドネシア、それから最近ではネパール、それからラオス、それからセイロンでございます。それぞれの国におきましては、地域を相手国と協定いたしまして、その地域を一つのモデル地区として、そこにまた専門家を導入いたしまして、そこで現地の農業技術者を訓練するというようなやり方でやっておりましす。このような農業のプロジェクトの形の援助というものは今後ともも強化していく所存でございますけれども、幸いインドにおきましては、私どもの技術協力だけが効果をあげたわけではございませんけれども、最近、緑の革命というようなこともございまして、食糧を自給するに近い程度にまで状態が進んできたということでございますので、われわれといたしましては、もちろんインドにつきましても急激に援助協力を停止するということではございませんけれども、むしろインドネシアとか、あるいは最近食糧の不足を訴えておりますフィリピンとかあるいはセイロン、それからバングラディシュというような国に対して農業技術協力を強化していきたいという考えでございます。
#57
○松本(七)委員 問題がいろいろ多いのでたいへん時間をとりましたから、最後に一つだけ伺ってこの小麦協定のほうは終わりにしたいと思います。
 この食糧援助規約のたてまえが、これは二条の八項ですか、FOB建てによる援助になっているわけですが、運賃だとか保険料その他の経費は、これは被援助国の負担になるのかどうか。日本がこれを負担した場合の経費、支出分ですね、これは食糧援助委員会の報告経費に計上されるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
#58
○鹿取説明員 援助規約では、先生御指摘のとおりFOB建てになっております。したがって、原則として運賃、保険料は被援助国のほうが負担する。現に日本の食糧援助につきましても、運賃、保険料は被援助国が負担しております。それではかりに日本のほうがこの運賃、保険料を負担する場合どうなるかという御質問でございますけれども、これはこの食糧援助規約に基づく食糧援助という金額の中には算定されません。
 ただ一つ、これに関連いたしまして、最近バングラディシュにこの食糧援助規約に基づいて日本が米の援助をいたしましたけれども、この場合、日本の食糧援助協定から申しましても、それから予算のたてまえから申しましても、運賃、保険料を日本として負担するわけにはいきませんでしたけれども、バングラディシュがまた負担する能力がないことを考えまして、国連の援助機関に要請いたしまして、国連の援助機関のほうで運賃、保険料を負担するというようなケースが最近ございました。
#59
○松本(七)委員 まだまだかなりありますが、たいへん時間をとりましたから、小麦はこの程度にしておきたいと思います。
 次は税のほうに移りますが、これももうなるべく簡単に済ませたいと思います。
 最初の点は、関税協力理事会を設立する条約ですか、一九六四年、それから一九六六年には関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約、これにはそれぞれ入ったわけですが、今度の条約の加入に今日までその手続がとられなかったのはどういう理由でしょうか。
#60
○植松説明員 税関の行政を預かっております大蔵省の立場から御説明をしたいと思いますが、実はわが国の関税の評価の規定そのものは関税定率法四条というところに定められておるのですけれども、その関税定率法の規定は、ベーシックには今度の評価条約とそれほど変わっておりません。
 それで、さらに沿革的なことを少しつけ加えさせていただきますと、実は昭和四十一年に申告納税制度というのをとりまして、それまでは税関が課税価格を認定をするという仕組みであったのですけほども、それをインポーターがみずから申告をするというたてまえに改められたわけでございます。そこで、それに伴いまして当時国内法を詳しく整備をいたしまして、この評価についてのし必要な規定をこまかく盛ったわけでございます。そのときに大体この評価条約をモデルにつくったものでございますから、実際問題としては、この評価条約に入っても入らなくても評価の実務そのものにはそれほど差がないという状況であったわけでございます。そこで国内法で今日まで運用してきたということでございます。
 ところが、わが国の関税の行政につきまして、国際的な信頼感を高める意味において、この際やはりこの条約に加入したほうがいいのではないかというふうに思ったわけでございます。と申しますのは、やはり日本の関税法規は日本語で書いておるものでございますから、われわれ一生懸命公正にやっておるつもりでもちょっとしたことで誤解を生みやすいのでございます。それで、関税の評価でございますから、中にはインボイスがそのまま認められないで評価が引き上げになったりする場合も間々ございます。その場合にことばの問題、あるいは関税法規が十分に周知されておらないというような点から、関税当局が恣意的にやっておるのではないかというような誤解を持っておる向きがございまして、やはりこの際評価条約に入って、国際的なルールに従ってわれわれやっているんだということをはっきりり示したほうが、最近のような情勢がございますから望ましいのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
#61
○松本(七)委員 そうすると、特にこれに加盟しなくても、いままでどおりでもいいが、いろいろな疑惑を完全に払拭するにはこれにきちっと入ったほうがよろしい、こういうことですね。
#62
○植松説明員 関税の実務においては大体そういうことになろうかと思いますが、しかしこれに加盟することによることのわが国の税関行政についての国際的な信頼感を高めるという意味は相当あるのではないか。それから、もちろん完全に統一された関税制度が採用されることになるわけでございますから、そこで今後の関税交渉等におきましてもお互いに共通のベースで関税交渉が完全にできるという意味ではもちろんプラスでございますし、さらにこの条約に加盟いたしますと、今度は日本側が輸出者のサイドに立った場合に、輸入者側から関税の評価についていろいろ問題があるような措置がとられた場合に、この条約の機構を通じて、その紛争の解決をはかることができるといったようなメリットもございますし、いずれにしても従来よりは加盟したほうがはるかにプラスであるというように判断をいたしております。
#63
○松本(七)委員 いままでの経済の高度成長過程の税関における関税の特色、日本における特色はどちらかというと原料に安く加工品に高い、こういう特色があると思うのですね。外貨もずいぶんだまった、円の切り上げも行なわれた、こういう状況で、しかもなお輸出は少しもスローダウンはしない、こういうときにおいて、いままでの原料に対しては安い、加工品に対しては高いという、そういうものを今後調整される方針はお持ちですか。
#64
○植松説明員 いま御指摘の点は今後における関税政策の一つの大きな問題だろうと思います。いずれの国の関税体系においても、やはりその国でできるだけ製造工程を留保しておきたいという気持ちがございますから原材料品には安く、半製品にはそれに次ぐ水準の関税率を課して、完成品には高い関税率をかける。これは俗にタリフエスカレーションということばで呼ばれておりますが、どこの国の関税体系もそういう形式をとっております。しかしわが国の場合にはそのタリフエスカレーションの程度がいささかティピカルに、シャープに出ておるという面が指摘されておるわけでございます。そこで、御指摘のような情勢でございますので、これにつきましては関税体系の見直しをしなければならないというふうに思っております。ただし、関税体系と申しますとこれは長年の経緯を経て現在のような形になっておるわけでございまして、それを前提にわが国の産業が営まれておるわけでございますから、そう簡単にこれを右から左に変えるわけにもまいりません。しかし必要なものから徐々に手をつけてまいるということをいたしておりまして、たとえばことしの関税率の改正におきましても、従来酒屋さんが酒造用のアルコールを製造する場合に、すべてこれは糖密を輸入いたしまして糖密から加工してアルコールをつくるというような仕組みをやっておったわけでございます。そこで、アルコールを半製品の段階で、粗留アルコールの形で輸入するとほとんど禁止的な関税がかかる仕組みであったわけでありますが、これは低開発国の立場から申しましても、できるだけ向こうで加工して日本に輸出したいという気持ちもございますし、日本の立地条件の制約もございます。公害問題等もございます。そこで、その点につきましては今回の改正によって一定の限度まで無税で粗留アルコールを入れることができるという仕組みを設けたのは、その一例でございます。
 今後、大蔵省に置かれております関税率審議会に企画部会というのが設けられておりまして、そこで関税体系の見直しに本格的に取り組みたいというふうに考えております。片や、来年度から、例の国際ラウンドが開始されるというような情勢でございますから、それに備えてせっかく勉強をしていきたいというふうに思っております。
#65
○松本(七)委員 そうすると、これはいま言われたような傾向に今後は調整される、こう理解していいですか。
#66
○植松説明員 実は国内法の関税の格差――原材料、半製品、製品の間の関税格差というのは相当高いのですけれども、これが例のケネディラウンドによりまして五〇%カットされておりますから、その限りにおいて、最恵国待遇が与えられる国からの輸入品については関税格差は往年よりは縮まっておるということでございます。
 そこで、それをどんな形でやるかと申しますと、先ほども申しましたように国内産業の各種の条件を考えなければなりませんから、あまりここで早急に具体的なことを申し上げるのはちょっとむずかしいわけでございますが、方向としてはそういうことは十分考えたいというふうに考えております。
#67
○松本(七)委員 国際的に日本の関税制度に対する批判というか、あれはやはり、高関税とそれから輸入数量制限という二重のきびしい規制、そういうことに対する批判がかなり強いのと、それからもう一つは、何と言ったって日本の税関のいわゆる関所といわれるくらいのあの空気ですね。空気ばかりではなくて、実際に荷物を一々あけさせる。外国へ行って、あれをやるところはほとんどないでしょう。こういうところの改善というのはどの程度考えておられるのですか。
#68
○植松説明員 最初言われました自由化の問題は、もう先生方は御承知のように、ここ二年くらいの間に急ピッチで進んでおるわけでございます。たしか、一昨年の初めには百十八輸入制限があったわけでございますけれども、現在ではそれが三十三に減っておるということでございます。関税も、先ほどのようにケネディラウンドで相当下がっておりますし、特恵関税につきましては日本はEECに次いで二番目に、昨年の八月から実施をするということでございますし、さらに国内法的にもいわばユニラテラルに各国とのネゴシエーションを待たずに国内法措置で相当の関税の引き下げを行なっておる。ことしも七十三品目の生活関連物資から関税引き下げを四月一日から実施しているという状況でございますが、そういうように、全体として、この関税の面でも輸入制度の面でも開放体制に向かっている、それが急ピッチに進んでいるということは事実でございますし、それだけ従来の貿易政策に対するイメージアップにもなっているというふうにわれわれは考えております。
 そこであとの、いまの関税の関所のお話でございますが、これにつきましては、確かに従来の関税法規は検査を、すべて悉皆検査をやるというような仕組みになっておったわけでございます。それで四十一年に、先ほど申告納税制度ということを申し上げましたけれども、これは実は輸入貨物についての従来の悉皆検査体制を改めまして、できるだけインポーターを信頼するという形で検査を個々のランダム的な検査に変えていこうというような試みで制度改正をいたしたわけでございます。そこで通関日数もはるかに短縮されておりますが、現在実際に現物をあけて調べているのは、先生ひとつ税関を御視察願えればいいと思うのですけれども、前のような状況ではございません。必要な検査に限って幾つかのランダムサンプリングで検査をするという仕組みが中心になっております。
 それから旅客の検査でございますが、これにつきましては、確かにヨーロッパ等へ参りますと、これもやはり国によってだいぶ差があるようでございます。私自身の経験でも、たとえばイギリスとかスウェーデンとか比較的税関が独占的な地位を持っておる国は、そのことによって別に旅客が減るということもないということでございましょうか、わりに厳重にやっておるわけでございます。ところがヨーロッパの国は、お互いの間で道路が四通八達をしておりますし、どこへ上陸しようがどこの空港におりようが自由に、またそれぞれ必要なところへ行けるわけでございますから、お互いに税関が一つの、その港、空港のサービスというような感じになっているようでございます。そこで確かにその点は相当リベラルな検査体制になっているように私も思うわけでございます。
 しかしこの場合に、そこの大きな違いは、その国の居住者である場合とそれから単なるトラベラーである場合と差があるのではないか。居住者でございますと、いろいろみやげ品その他の手荷物の問題もございますし、やっぱりわれわれはトラベラーとしてその国の税関の検査の状況を見ておるわけでございますけれども、その国の国民の立場に立ちますと、やはりそれなりに検査をされておるというようなことでございます。日本の場合も、その点につきましては、やはりそれぞれの旅行の行程といいますか、どこからの旅客であるとか、あるいはその場合に全体のお客が居住者であるとかあるいは単なる一時の観光客であるかということを考慮に入れまして、その検査についてはある程度チェックをするものとできるだけすみやかに通関をできるものというように区別をしておるといったような状況でございまして、その辺もひとつ御注意をいただきたい。しかし、おっしゃるようにその点につきましては、できるだけひとつ前向きにわれわれの検査体制も前進していかなければならないというように思っております。
#69
○松本(七)委員 制度が変わったことは事実でしょうが、しかしいま言うように、それじゃやり方なりお客さん側から見てかわりが十分理解できる措置に改善されているかというと、私やっぱりそうじゃないと思うのです。ずいぶん変えた、こうおっしゃることを、そのつもりでいましょうけれども、お客さん側から言うと、日本の居住者にしろ外国の評判を聞いても、外国と比べて雰囲気が少しは気持ちのいいほうの、通りやすくなったとは決して言えないですね、現在でも。だからもっともっと、これは経済状況が変わると同時に税率の点も変えなければなりませんが、同時に、やっぱりあの空気というものをもっと変える努力を今後、いま前向きということばがありましたけれども、通関する人は多くなるばっかりですから、今後はなおさらひとつ改善を強く要望していきたいと思います。
 これでおしまいにします。
#70
○櫻内委員長 中川嘉美君。
#71
○中川(嘉)委員 まず最初に小麦のほうからお聞きしたいと思いますが、国際穀物協定による小麦の最低価格条項ですね。これにつきましては、フランス、オーストラリアあるいは米国、カナダ等、このいわゆる主要小麦輸出国の値引き競争でもってこれは有名無実化したことは、先ほど来いわゆる国際小麦戦争として知られておるわけでありまして、このために六九年十一月、国際農業生産者連盟は、その総会のときに国際穀物協定の再建強化、このことについて各国政府へ勧告すべき旨の採択等がなされたのでありました。しかしながら今回の国際小麦協定、これを見ますと、そうした意向というものが全く無視されておる。そして価格条項、これを削除る。むしろ、言ってみれば穀物協定よりも大幅に後退をしたものになってしまった、私はこういうふうに言えるのじゃないかと思いますけれども、まずお聞きしたい点は、じゃ一体その原因は何によるのか。先ほど来いろいろ議論が同僚議員からの質疑によりまして展開されておるようでありますけれども、私も先ほど来聞いておりまして、この辺でもう少しまとめてわかりやすく御答弁をいただきたいと思うわけです。要するに、わが国としてはこの件については一体どういう態度をとったのか。小麦等の輸入国であるために、あるいはその強化策については興味を示さなかったのかどうなのか。この辺がどうももう一つはっきりしないようなんでありまして、一応最初にこの点お答えをいただきたいと思います。
#72
○手島説明員 御答弁申し上げます。
 先ほども申しましたように、今回の小麦協定の中に価格帯の条項を中心とします経済関係の条項が入りませんでした根本的な理由は、やはり輸出国相互間で話がつかなかった結果でございます。これを日本のほうから考えてみますと、従来の形の価格帯協定ができるということは、日本のような輸入国にとりましては安定的な供給を保証してもらえるという意味におきまして望ましいことであるという考え方のもとに価格帯をつくり、かつまた特に輸入国として最高価格における供給の保証を得たいということで努力したわけでございます。しかしながら、先ほども申しておりましたように、輸出国間の話がどうしてもつかないということで、輸入国側からいろいろ知恵を出してやるというような状況にもなりませんので、遺憾ながら価格帯の交渉はあきらめざるを得なかったというのが実情でございます。
#73
○中川(嘉)委員 そこで、六〇年代の後半における世界的な農産物過剰の重圧ですね、これと小麦戦争のいわゆる苦い反省から、各国の利害を調整して、そして小麦等の過剰問題については穀物協定によって合理的に処理しよう、こういうふうにつとめたと思うのですけれども、その成果が得られなかった。むしろ、欧米諸国はむろんでありますけれども、わが国も含めて、いわゆる主要農産物の過剰の重圧からここで抜け出せなくなってしまったのじゃないかということですね。これは先進諸国の高度経済成長政策のもとにおけるいわゆる農業に関しての共通の悩みじゃないか、このように考えるわけですけれども、この点、その原因ですね、ここでもまた原因になりますが、どこにあると考えられるか、お答えをいただきたいと思います。
#74
○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。
 六〇年代後半における非常な過剰在庫ができましたことにつきましては、いろいろな原因があると思いますが、主として米国、加州、豪州等の主要国の生産が非常に順調に進みましたことと、それからソ連、中共の生産が安定増加した、さらにインド等一部の輸入国におきましても生産の増加が見られた、こういったことによりましてこのような過剰が生じてきた、このように見ております。
#75
○中川(嘉)委員 いまおっしゃられた国々の生産の増加ということに御答弁がしぼられているように感じますけれども、やはりこれは肥料であるとか農薬、それから機械あるいはまた品種改良等、農業関係技術面の進歩、あるいはまた国民生活水準の向上ということも言えるのじゃないか、あるいはまた物価の急上昇ということも当然これは考えなければいけない。こういうことによって、先進諸国における農民はいわゆる食糧農作物の増産に追い込まれていった。そのひずみとして過剰問題を引き起こしているのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、いまいただいた生産物の増産についてのお答え、これも当然だと思いますが、御答弁としてはただ単にそれだけを取り上げられておるように思いますけれども、この点はどうかということ。
 そして、ここでもう一つついでに伺っておきますが、小麦等の価格条項が削除されまして、その調整機能を失った今回の小麦協定は、需給のアンバランスを底流とする小麦戦争を鎮静化することができない、むしろその傾向を激化せしめるのではないかという、先ほど来いろいろ御意見も出ておったようであります。私もそのように当然考えるものの一人でありますが、この点を含めて御答弁をいただきたいと思います。
#76
○中村(健)政府委員 お答え申し上げます。
 各国における生産が進んだということについての原因につきましては、先生御指摘のような要素が働いたということであると思います。しかし、各輸出国におきましては、したがいまして過剰生産の問題を非常に重大な問題といたしまして、カナダ、米国等の輸出国では非常に極端な作付制限をいたしております。特にカナダは七〇年、七一年に相当思い切った作付制限をいたしまして、作付面積が約五〇%になるというふうな休耕の措置をとっております。その結果、生産も前年では千八百万トン程度ありましたものが、約九百万トンに半減をするというふうな政策をとっておるようでございます。そういったことで、各国とも努力をいたしておりますけれども、御承知のように農産物につきましてはそれぞれ各国におきまして国内問題として困難な問題をかかえておるわけでございますので、この効果が必ずしも各国において十分発揮されておるというふうには考えませんけれども、そういった効果が徐々に出てまいっておりまして、最近ではかなり過剰在庫が減少をしてきておる傾向が出てまいっておりますので、先生御指摘のような、六九年当時のような極端な小麦価格戦争というものは起こらないのではなかろうか、このように考えております。
#77
○中川(嘉)委員 それでは、小麦生産輸出国であるオーストラリアとかカナダ、こういった国々が、いわゆる小麦買切促進の措置だけでは十分な効果が期待できないということで、小麦輸入国の国内生産自給率というものを抑制するために、その国の農業政策に対して国際的な干渉を認めさせるべきだという主張をしているようですね。将来こういった主張が小麦協定の中に導入されてくる可能性がはたしてあるかどうかという問題ですが、この点はどうでしょうか。この小麦協定の中の第八条の一項の(a)にも出ておりますように、こういったものが将来義務化されていく可能性があるのではないかと私は思いますけれども、この点を御答弁いただきたいと思います。
#78
○手島説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生おっしゃいましたとおり、小麦協定の八条には、国内農業政策、国内価格政策については完全な行動の自由を持つと書いてございますが、小麦協定においてはこの点につきましては伝統的に自由というふうにされてきております。しかし、他方、ほうとうに世界的な小麦の過剰というものを抑制していくためには、いわゆる小麦戦争などということを回避するためには、国際的な協調が望ましいということもだんだんと認識されておりまして、この協定の中にございますいろいろな協議の目的も、直接の義務ということではなくて、そういう世界的な事情を参考にしながら国内政策を運用するようにという趣旨とも解釈できるわけでございます。ただ、今後この小麦協定がはたして国内政策までを統制しようという協定になっていくかどうかということについては、私どもはいまのところはそういうことはないのじゃないかと考えております。
#79
○中川(嘉)委員 要するに、小麦等の過剰問題の処理は一国だけではなし得ないという時代がもう到来しておると思いますけれども、一国の農業政策にいわゆる国際的な干渉を認めるような規定が導入されることになりますと、どういうことになりますか。これは当然締約国は脱落し、あるいは減少を招くことになるのではないか。そうなりますと、協定そのものがくずれてしまうおそれも出てくると私は思いますけれども、いまその点に関しては、いまのところははっきりとお答えができないというような御答弁が返っておりますが、私は、こういった見通し等についてどのように政府が真剣に考えておるのか、その辺を実はここでもう一回お聞きしたかったわけです。
 要するに、私は、協定そのものもさることながら、内政干渉的なこういう形を将来とるべきでは絶対ない、このように考えます。この点も明確な御答弁が残念ながらいただけないわけです。ひとつ今後とも将来の大きな課題としてこういうことのないように慎重に取り組んでいただきたい、その点を強く御要望したいと思います。
 次に、アメリカは小麦についても生産性が非常に高い。そのために、穀物協定に取りきめたところの下限価格水準が高いとして、割り安な米国小麦の国際競争力が発揮できない、むしろ小麦市場をアメリカとしては失っているとして、小麦の下限価格取りきめの撤廃を望んでいるということも聞いております。元来この協定はどういう協定かといいますと、むしろ穀物は将来不足をするのだという想定のもとに作成されているために、現在のような小麦等の過剰時代には全く適応し得なくなっているのじゃないかと私は考えますが、この点はいかがでしょうか。
#80
○手島説明員 お答え申し上げます。
 小麦の協定は、輸出国と輸入国とが集まりまして一定の実態を反映した価格帯というものをつくり、その範囲において権利義務を守っていくというのが伝統的な考え方でございまして、私どももそういう趣旨でこの協定にずっと参加してきているものでございます。
 なお、小麦が今後不足するのではないかという前提でこの協定ができたのではないかという御質問かと思いましたが、私どもは必ずしもそうではなかったんじゃないかというふうに考えております。
#81
○中川(嘉)委員 このことに関連しまして、小麦の輸出ということについて、いま中国の小麦需要市場、これは小麦生産輸出国にとってはきわめて関心の強い存在になっておると思います。カナダなどの例を見ますと、一昨年の十月、二百二十万トンですね、カナダとしては、これまでにない最大量の中国向けの小麦輸出契約の締結を発表しておるわけです。今後、小麦協定による小麦貿易市場拡大化のために、中国の貿易市場等も大いに受け入れていくべきではないか、このように思いますが、そうした努力は現在なされておるのか、おるとすればどういう形でなされておるのか、この点を御答弁いただきたいと思います。
#82
○手島説明員 先生御指摘のとおり、中華人民共和国は一九六〇年以来、小麦の大きな輸入国として登場しているわけでございます。それで毎年五百万トン前後の買い付けを行なっておるわけでございます。そうして、他方こういった商品協定というものが世界的な需給を安定的に確保しようということであるとすれば、この中華人民共和国のような大口の輸入国が入ってくるということは、その面から見る限り、世界的な需給状況を把握するという意味においては、意味のあることであろうというふうに考えております。しかし、この協定に入りますと、いろいろ資料を出したりその他の義務もつくわけでございますけれども、現在中華人民共和国はこの小麦協定に参加という意向を表明しておりませんし、また事実どういうふうに考えているかということについては私どもとしては承知いたしておりません。
#83
○中川(嘉)委員 その点についても、国連における中国の承認というような問題、そういったものを踏まえてこれからは当然これは取り組んでいかなければならないと思いますが、ここにあります協定の五九ページ、ここに「中国」と書いてありますね。この「中国」と書いてある中国はどこをさすのですか。
#84
○穂崎政府委員 お答えいたします。
 いま御指摘の五九ページ、附表Bの「中国」は、原文はチャイナでございます。チャイナを「中国」と訳したものでございます。
#85
○中川(嘉)委員 中国論議をいまここで持ち出すつもりはありませんけれども、署名のところを見ますと「中華民国」と書いてありますね。これはどうして「中華民国」、こっちはどうして「中国」になっているのか、こんなことをここでがたがたするつもりは私は本来ないわけですけれども、ここでは「中国」になっている、ここでは「中華民国」、いまの御答弁がチャイナ、何かさっぱりわからない。もし中華民国ならば、これははずさなければ中国は入れないじゃないですか。その点はどうでしょう。
#86
○穂崎政府委員 まず第一に、附表Bで「中国」と書いてございますが、この票数は、中国の――現実には、この場合には台湾でございますけれども、その輸入量というものを見て計算するわけでございまして、ここに「中国」と書いたのは、おそらく中華民国のほうとして、自分は中国を代表するという考え、ただその数量は台湾の必要とする数最だけを現実の計算の基礎としておる、そういう意味合いで、この附表のBに「中国」と書かれたのではないかと存じます。
 それから「中準民国のために」と書いてございますのは、これは中華民国は中国を代表する政府であるという意味合いからここに「中華民国」と書かれておるのではないか、そのように考えます。
#87
○中川(嘉)委員 それならばよけいに私最後にお聞きした点にこだわらなければならないと思いますけれども、中華民国であれば、先ほどの御答弁は一応ここでは別として、それなら中準人民共和国という国との輸出契約というようなことの将来締結を考えた場合に、これは中華民国がはずれなければ入れないのではないか、この点を私はお聞きしたのです。しかしここで外務大臣もいらっしゃるわけではないので、先ほど申し上げたように中国論議そのものを展開するつもりは私はありませんけれども、何かこの辺、もしこれが中華民国でこのままおさまっていったときに、将来一体どうなっていくかという不安が残るわけです。この点については、また中国問題の論議のときにそういったことは当然しなければならぬと思います。この協定そのものの論議をいまやっておるので、それで最後にもう一回、そういう将来に対するこの国名をどういうふうに考えておられるか伺いたいと思います。
#88
○穂崎政府委員 お答えいたします。
 この小麦協定ができましたときは、ちょうど去年の初めでございまして、まだ国連でも中華民国が中国を代表しておったという時期でございます。そういうこともありまして、ここには「中華民国のために」というふうに書いてあるわけでございます。ただ、いま御指摘の中華人民共和国がこれに入る場合はどうなるかという問題でございますが、国際小麦協定は、もちろん国連の機関ではございません、別の機関でございますし、中国の代表権の問題につきましては別途この理事会できまる、そのきまった結果に基づいてやる、それで今後新しい協定ができます場合は、ここはどういうふうになるかということは、その結論によってきまるものというふうに考えます。
#89
○中川(嘉)委員 それでは次に進みます。
 DAC加盟国から供与される二国間援助は、全体の一八%が食糧援助からなっておる。この事実は食糧援助がかなり庫裏であるということを示しておると思いますが、小麦による食糧援助のうち、アメリカの果たしておる役割りというものは確かに大きいと思います。これはアメリカだけに限定されるものではもちろんないわけで、カナダ、オーストラリアもそれぞれの計画を持っておるわけですが、現在進められている開発途上国の農業開発計画が現実のものとなると、わが国も含めて、開発途上国に対する食糧援助政策そのものの転換が必要になるのではないか、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。
#90
○鹿取説明員 ただいまの問題は、先生御指摘のとおりでございまして、先ほど申し述べましたとおり、食糧援助というよりは農業援助のほうが望ましい形でございまして、現に食糧援助と同時に、DAC諸国は農業技術援助をやっておるわけでございます。特に、日本はこの援助協定に参加いたしますときも、強く食糧援助よりも農業開発援助のほうが有意義であり、将来にとってさらにこれを増大すべきものであるということをはっきり主張いたしまして、その主張に基づいて、わが国といたしましてはこの援助協定に基づく援助を、米または受け取り国の希望する場合は農業物資ということを、明らかに留保いたしまして、現にその方向で援助を進めているわけでございます。ただ、現実の問題といたしましては、世界的には食糧は増産されつつあるわけでございますけれども、一部の国、特に東南アジアの開発途上国におきましては、依然として食糧不足が続いておりますし、むしろ最近の情勢ではフィリピンとか、あるいはセイロンとかバングラディシュというような国は食糧事情が悪化しつつあるわけでございまして、本年度の米が足りないということで要求がきておるわけでございます。したがいまして、私どももやはりその現実の火急の要求をまず満たし、それとともに将来の増産のために農業物資の援助を合わせていくという考え方をとっております。しかし、将来の問題といたしましては、先生御指摘のとおりに、食糧援助よりも農業開発援助という方向に向かって進むべきであると考えております。
#91
○中川(嘉)委員 私がお聞きしたのは、別に食糧がないところに対して云々ということを申し上げておるのじゃないので、これは当然援助していかなければならない。ただ、たとえば韓国の例のように、わが国が安い米を出して相手国を困らせるというようなことがあってはならないということも当然考えなければいけません。そこで、いま御答弁のあった食糧援助規約の第二条の留保しというところがあります。他の国とは異なる方法で援助をすることが認められておるわけですが、わが国として食料援助を実施する場合に、主として東南アジア地域の国を対象国とするのか。いま御答弁の中に東南アジア云々ということばも出ておりますが、まずこの点はどうか。で、ここでは中火の難民等に対する食糧援助については日本米等を充当してもいいのではないか、このようにも思いますが、この辺の地域的な問題について、ひとつお答えいただきたいと思いいます。
#92
○鹿取説明員 ただいままで日本が行ないました食料援助の大半は東南アジアに行っておりますけれども、先生がいまおあげになりました中東の国にもわずかでございますけれども出しております。たとえば、昭和四十四年の一月の協定では、中東三国、ヨルダン、シリア、エジプトに対して、金額は非常に少ないけれどもスペイン米を三万ドル、この援助資金を利用して供与したことがございます。それからアフガニスタンには翌年の――これは会計年度でいきますと翌年になりますけれども、暦年でいいますと同じ四十四年の十月に五十万ドル、これは飼料をアフガニスタンに提供しております。それから四十五年になりますと、国連のパレスチナ難民救済機関がございますけれども、この機関に対しまして三十万ドルの日本米を提供しております。それから同じ年四十五年に、アフガニスタンに対しまして同じく三十万ドルの日本米を提供しております。したがいまして、主として日本の援助は東南アジア諸国に行っておる実情でございますけれども、協定の上から申しましても、予算の上から申しましても、特に東南アジアに限るということになっておりませんので、そういう国々から非常に火急な要求があり、その理由が妥当だと考えられるときには、この食粗援助基金を利用いたしまして援助する方針でございます。
#93
○中川(嘉)議員 この協定では食糧不足国の定義というものは必ずしも明確でないと思うわけです。ですからかりに小麦生産輸出国であったとしても、そこの国民が米を常食としている国民に対しては、わが国として米による食糧援助はしてもいいのではないか、このように思いますけれども、この点はどうですか。
#94
○鹿取説明員 先生御指摘のとおり協定の上から申しますと食糧不足国ということが定義がはっきりしておりませんので、ただ開発途上国に対する食料援助ということでございますので、開発途上国に対してであれば、この協定に従って、またこの協定に基づく予算に従って援助ができるわけでございます。ただ現実の問題といたしましては日本が持っております年額の計画は千四百三十万ドルで、きわめて限られているわけでございます。しかも各国からの要請はこれをはるかに上回っておりまして、現在のところは食料が米も麦もまぜて絶対的に足りないという国から要請が来ておるわけでございますので、現状におきましては、麦の生産がかなりあって、ただ麦よりも嗜好の上で米がほしいというような国に対しては、この協定に基づく援助をするというような問題にはならないかと考えております。
#95
○中川(嘉)委員 現在のバングラディシュ、これは非常に食糧難であるわけです。先ほども日本米を輸出したという意味の御答弁もしておられたようですけれども、いままでにバングラディシュの場合どういったものをどれだけ輸出をしたのか。またこれからさらにこのバングラディシュに対する援助というものをどのように考えておられるか、この点をひとつ聞いておきたいと思います。
#96
○鹿取説明員 バングラディシュに対しましては、四十七年、本年に入りまして五十万ドル、日本米の援助をすることを約束いたしました。さらに百万ドル、これは肥料を提供することになっております。これがこのKR食糧援助協定に基づく援助でございますけれども、今後バングラディシュに対する食糧の援助についていかに考えるかという問題がございます。バングラディシュはまだ国が建設されたばかりございますので、さしあたっては借款というようなものを出す段階にはなかなかこない。なかなかというのはちょっと表現が大き過ぎたと思いますけれども、もうちょっと世銀のグループに入るというようなことになってから借款を提供できるというようなことになるのではないか。したがって、さしあたってはやはりこういうようなグラントの形の援助をすべきであるということで、先方の要求をも考慮しながら、最も急な問題といたしましてはゴラサールというところに日本の円借款で建てた肥料工場があります。これがとまっておるわけでございますので、その補修をグラントの形でやることを考えております。
#97
○中川(嘉)委員 それではこの協定に関しては最後に一つだけお聞きして、条約のほうに入っていきたいと思いますが、小麦規約の十九条で分担金を票数によって配分する方法がとられておって、この分担金を滞納した場合には、投票権、これが剥奪されることになっておるわけです。この穀物協定の運用当時、投票権剥奪の問題がやはり起きていたというふうに聞いておりますが、その実情はどういうものか。また、今回の小麦協定が実施される場合に、そうした問題の起きることは予測されないかどうか、この点を最後にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#98
○手島説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生の申されました第十九条に規定する投棄権の剥奪と申しますのは、分担金の不払いを防止しようとすることを目的といたしまして、単に小麦協定だけでなく、そのほかの商品協定にも類似の規定がある標準的な規定でございます。したがって、その分担金を払ってもらう趣旨から申しますと、この条項が発動されるということはきわめて好ましくないものでございますけれども、最近は開発途上国の中で、若干分担金を滞納している例が見られております。現在小麦理事会においてはエルサルバドル、ボリビア、ペルー、コスタリカ、ベネズエラ、この国々が分担金滞納のために投票権を停止されている現状であります。なお、これらの国々は、票数も少なく、したがって、分担金の額も一般的に申しまして比較的少額でございますので、いまのところまだ理事会の運営に支障を来たすというような事態にはなっておりません。
#99
○中川(嘉)委員 それではきょうは二本ありますので、最後に二、三点、関税のほうの御質問をしていきたいと思います。
 わが国経済の先進国化に伴って、輸入制限ワクの拡大要請、これは国際的にますます強まってきておるわけであります。これに対処するために今後関税制度の果たす役割り、これの比重が一段と高まるのじゃないか、このように思いますが、政府として各種関税機能をどのように活用し、国際的要請に対する調整をとっていかれるか、この点について伺いたいと思います。
#100
○植松説明員 先生御承知のように、関税の本来の機能は、保護関税と申しますか、国内産業の保護というところにあるわけでございます。わが国が、今日見られるように、ほとんどあらゆる産業分野において十分な競争力を持った産業を確立するに至ったその背後には、関税の保護機能というのも相当重要な貢献をしておるというように思うわけでございます。しかし、いまおっしゃいましたように、いまや経済が大きく変わってきておるわけでございまして、ただ関税は保護するだけか、そうではない、むしろ、関税保護に伴う過保護という問題が、経済にいろいろのひずみを来たす原因にもなっているかと思います。そこで今後の関税政策におきましては、そういう意味での保護機能ということよりも、むしろ、関税を引き下げていくというところに重点が置かれなければならないのではないかというように思います。
 そこで、全般的には関税水準の問題という形で現在の関税を全般的に下げていくという問題があろうかと思います。しかし、これにつきましては、やはり各国との関税交渉を通じて下げていくということがやはり重要でございますから、その意味において、来年度からの国際ラウンドというものに、われわれも大きく期待しておるということでございます。しかし、何もすべて国際ラウンド持ちというわけにはまいりませんので、やはり国内法の措置におきましても、それぞれ必要なことはやっていかなければならない、毎年関税改正をやっておるわけでございます。これはある意味で、日本の関税改正というのは、世界にもあまり例がないように、年々手直しをいたしておるわけでございます。最近は、当然のことながら、関税の引き上げよりも、引き下げというのが中心になっておりまして、特に物価政策というような観点から関税を下げていく、ことしも、生活関連物資七十三品目について関税の引き下げを行なっております。
 それからまた、最近の経済問題に対応する措置としましては、公害対策というようなことで、たとえば原油を輸入してまいった場合に、これから石油製品を精製するわけですが、その際に一定限度以上の脱硫をした場合に、その原油に対する関税を軽減するとか、あるいは低硫黄の原油を輸入してきた場合に、その関税を差別して安くするとかといったような措置も講じておるわけでございます。ただ、最近でも先生御指摘になりましたように、まだ輸入制限品目が残っておりますので、それを自由化いたしました際には、本来の関税の保護機能と申しますか、ある程度プライスメカニズムの上で今後の輸入が行なえるわけでありますから、その意味において適正な関税率というものを見直して、場合によれば引き上げなければならないという事例も若干見られるわけでございますが、いまのようなことになっております。
 それから最後に、関税は、何と申しましても、国際経済の領域における重要な政策用具になるわけでありますから、いろいろその分野において果たす役割りが大きい。一つは例の特恵問題でございまして、低開発国からの輸入促進、ある意味では援助ということの面を持っているかと思いますが、この準恵供与ということ、これにつきましては、御承知のように、昨年の八月からわが国では特恵を実施しております。
 その他中国問題の状況から、中国格差というのがありまして、中国がガットに入っておりませんから、中国から入ってくる産品については関税が一般よりも高かったわけでございますが、これはできるだけ格差を解消するように、国内法で、中共から輸入される物品についての関税が割り高の部分を下げるといったようなことをいたしております。また各国との間でそれぞれ関心品目の関税について、随時国内経済の情勢をも考えながら引き下げをはかっていくといったような措置を講じておるわけであります。
#101
○中川(嘉)委員 特恵の問題が出ておりましたので、ついでに伺っておきたいと思いますが、発展途上国に対する特恵関税供与ですね、これが去年の八月一日から実施されておるわけですが、その実情はどうなっておるか、特恵関税のワクがあまりにも窮屈である、こういった声が開発途上国から出ておるというふうにも聞いております。せっかく実施したにもかかわらず、苦情が出るようなことでは、先行きが心配されるように私は思います。この点はどうか、これが一つ。
 それから特恵関税の実施によって開発途上国からわが国への輸入はどのくらいふえる見通しであるか。
 第三番目には、特恵関税の実施によってわが国産業へ悪影響は出ているかどうか。
 特恵関係について、この三つをあわせてお聞きしたいと思います。
#102
○植松説明員 特恵を昨年の八月から実施いたしましたときには、何ぶんにも初めての試みでございますから、国内の産業、ことに中小企業に対する影響ということを考慮いたしまして、特恵スキームについてはいろいろな条件がついております。その意味で御指摘がございましたように、日本の特恵の内容が十分ではないではないかというような批判があるのではないかというふうに思うわけであります。確かにその意味でシーリングのワクが十分でないという批判があります。昨年実施いたしまして、すでにシーリングを突破して特恵供与が停止されておる品目も幾つかあるわけであります。しかし昭和四十七年、今年度におきましては、相当なワクの拡大になっておりまして、円ベースでも大体三割近くワクがふえることになっております。またそれをドルで換算いたしますと、円の切り上げの関係がありますから、四九%くらいふえるということで、相当の増しワクになっておるように思います。しかし今度UNCTADでこの特恵問題は大きな論議を呼ぶわけでありますから、さらにこの特恵スキームの改善につきましては、国内産業の問題を考慮しながら、できるだけ改善をはかっていくべく、われわれとしても十分な検討をして臨まなければならないというふうに考えておりまして、各省といませっかく協議をいたしておるところでございます。
 それから特恵による輸入促進の効果でございますが、これは確かに輸入促進の効果はあるのでございます。特恵が開始されましたところの去年の八月からことしの二月までをとりまして、その前年度同期と比べますと、輸入額が一六四%というように六割以上ふえておる、これは御承知のように、最近の景気の停滞で一般の輸入が非常に低調でございますから、それから比べますと、相当顕著な輸入の増加をしておるのではないかというように考えるわけでございます。
 それから最後に、特恵に対する国内産業の保護のためにどういう手を考えておるかということでございますが、これにつきましては、昨年特恵が実施されましたときに中小企業特恵対策臨時措置法という法律が制定されまして、この特恵によって影響を受ける中小企業に対して税制、金融上の措置を講ずるということになっておるわけでございます。しかしいままでのところ、まだ日本の主要輸出市場であるアメリカが特恵を実施しておらないというようなこと、それからわが国の特恵実施後まだ日が浅いというようなことから特に表立った現象は出てないようでございます。ただしことしの、現在御審議願っております予算におきましても特に財投でございますが、中小企業振興事業団あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫、それぞれ数十億の特別のワクを用意をいたしておるということでございます。
 大体以上のような状況でございます。
#103
○中川(嘉)委員 それでは最後に一つだけ伺いたいと思いますが、世界経済に占めるところのわが国の地位というものが非常に向上した結果、世界貿易市場に与えるわが国の影響というものはかなり大きいものがあると思います。すなわちわが国の輸出量の拡大に見合う輸入量のバランスがとれなければならないわけですが、国際市場の需給事情によっては特定時点において大量の物資の集中的流入、こういったことの可能性もあるのではないかと思いますが、そうした場合に何か歯どめをかけ得る関税機能を活用する用意はあるのかどうか。そしてまた過去に緊急関税を発動したようなことはあるのかどうか、この辺を最後にお伺いをして終わりたいと思います。
#104
○植松説明員 いま先生御指摘のとおりでございまして、今後だんだん開放経済体制が一そう促進されてくるということになりますと、輸入制限も逐次撤廃されていくし、関税の障壁も低くなってくるということになりますと、当然輸入品に対して時に緊急関税を発動して緊急的な措置を講じなければならないというような事態が起こる場合もあろうかと思います。これにつきましては、一つは緊急関税の制度でございますが、これはわが国の関税定率法にその制度が十分に整備されておりまして、いつでも発動できるような状態になっております。また関税の役所相互の間で取りきめをいたしまして、価格の動向を十分にウォッチする、そして随時打ち合わせをするというような仕組みがとられておるわけでございます。ただし幸いなことに、まだいままでその事例を発動しなければならないというような事態は起こっておりません。まだ発動の事例はございません。ただ一つ生糸の問題がございまして、生糸の輸入が非常にふえておる。そこで生糸の市況が非常に不調であるというような状況がございまして、これにつきましては最近の議員立法で特別の措置が講ぜられたことは御承知のとおりでございます。
#105
○中川(嘉)委員 以上で終わります。
#106
○櫻内委員長 曽祢益君。
#107
○曽祢委員 税関における物品の評価に関する条約、これに関連してちょっと伺いたいと思います。
 税関に関してこういう条約ができ、あるいは関税協力理事会にわが国が加わっている、このメリットというのはいろいろあると思うのですけれども、日本の輸出品目が各国においてフェアに取り扱われるということが何といっても非常に大きなメリットだと思うのです。そういう意味で、今回の税関における物品の評価に関する条約で、わが国の最大輸出先であるアメリカが、これに北米、合衆国が入っていないわけですね。これはどういう理由で入っていないのだろうか。これは外務省のほうかと思いますけれども、お知らせ願いたいと思います。
#108
○手島説明員 お答え申し上げます。
 この関税評価に関する条約によりますと、関税の評価は、言ってみますとCIFベース、つまり輸入国の港に来たときの価格が中心になって定められることになっております。これに対しましてアメリカの法律によりますと、アメリカは原則としてFOB、つまり輸出国の積み出し港におけるときの価格を基準にして関税をかけることになっております。したがってアメリカはこの評価条約に入っていないものだと思われます。
#109
○曽祢委員 形式的の議論としてはそうだと思うのですけれども、実際上こういう条約にわが国が入るメリットが相当減殺される。それは確かにこの条約を見れば、CIFに課税する、それを基準にして関税の評価をするということになっておりますが、FOBシステムはシステムは違うかもしれない。アメリカ及びアメリカ以外にもそういう関税体系をとっておる国があるかと思いますが、単なるCIF形式あるいはFOB形式だけで行き詰まりになって、CIFのグループだけ入ってみても、これはメリットがないわけじゃないけれども、大きなメリットとしては何か欠けるものがある。そこら辺にもう少し何とかやる余地はないのかあるいはなかったのか、この点についてどうですか。
#110
○植松説明員 いまFOBを採用しておる国はアメリカ、カナダ、オーストラリアでございます。これは実はそれらの国にもそれぞれ心情がございまして、非常に地域が大きいわけでございますから、もしCIF価格をとりますと、それぞれの輸入品の輸入価格が、輸入の港々で違ってくるという状況が生じます。そこでどうしてもFOBをとらなければならない、CIFをとりにくいという事情がございます。
 それからもう一つは、もしこれをCIFにいたしますと、当然そこで自動的に増税という問題が起こりますので、それに伴う関税の税率の調整が全価的に行なわれなければならない。これが非常にむずかしい、こういうような事情ではないかと思います。
 それから、この問題につきましては、アメリカは実は関税協力理事会には、もちろんそのメンバーとして入っておるわけでございます。それで評価の問題でもオブザーバーとして出席しておりますから、この全体の精神につきましては、十分そこでの議論を彼らにも周知させることができるということがあると思います。
#111
○曽祢委員 その点はわかりました。しかし何かもうひとつ努力すべきじゃないか。やはりFOBシステムをとっておる国が非常に大きな日本の輸出国でありまするから、何かそれは両方を貫いた関税の評価に関する国際基準ができるようにもっと考える必要があるのではないかという気がします。
 それに関連しまして、これは大臣からでも事務当局からでもよろしいのですけれども、アメリカがただFOBシステムをとっていることだけ、したがってこれに入れないということだけでなくて、アメリカは非常に恣意的な関税評価をやっているわけですね。つまりアメリカン・セリング・プライス、ASPというような方式で、われわれから見れば恣意的な課税基準をきめている、これはガットの精神あるいは規約にも反するかと思います。要するに反ダンピングという名目でガットが許す以上のこれまた恣意的な反ダンピングのいろいろな措置をとっている。こういう問題について、これはこの条約直接から出る問題じゃありませんが、関連してそういう問題についてアメリカにもっと交渉してそういう点を是正させる。むろんそれに対応して日本側のほうとしてもいわゆる開放体制とか、特に関税ばかりでなくて関税外の障壁の問題等についても合理的な改正をすべきことは言をまたないと思うけれども、関税の評価に関するアメリカのやり方について、いまの二点について、ASPの問題、それからダンピング防止に関するアメリカの恣意的なやり方に対してどういうふうに是正させる方向で話が進んでいるのか、これは実情は事務当局からでもけっこうですし、外務大臣から方針を伺いたいと思います。
#112
○福田国務大臣 わが国はアメリカに対しまして関税外においていろいろな要請をいたしておるわけです。アメリカからもわが国に対して要請をしておる。そしてわが国の要請は約二十項目ばかりある。アメリカ側からも申し出ておる。そして日米合同委員会あるいはその下部機構におきまして論議をしておる、こういうことで逐次お互いに改善されていくという方向に動いておるのでありますが、これは何といっても自由貿易体制というものは両国にとって大事な問題でありますのでこの上とも努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
#113
○曽祢委員 御努力願います。
 それからごく最近の新聞報道によれば、今度はアメリカのほうで日本の陶器の輸入に対してやはり自主規制といいますか、場合によったら金属食器のような割り当て制度、一定量をこえたものには高関税をかけるというような制度を考え、すでに日本側と協議を始めたという情報がありましたが、その事実並びにこれに対処する日本政府の方針をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#114
○手島説明員 お答え申し上げます。
 アメリカの国内において先生御指摘のような動きがあるのは事実でございます。これに対して私どもはそういうことにならないようにアメリカの政府に対して申し入れを行なっております。
#115
○曽祢委員 その点に関して、これはサンクレメンテにおける明確な協定とか合意ということとは言えないかもしれないけれども、大体いわゆる繊維問題の妥結に伴い、もうそういったような対日関係の自主規制等の問題は少なくとも今年はやらぬというように一種の紳士協定が、その時点ですか、サンクレメンテの前かもしれませんができたやに聞いているのですが、外務大臣、その点はどうなんですか。
#116
○福田国務大臣 サンクレメンテでは、日米間の大きな交渉はもうやめようじゃないか、こういう合意でございます。しかしこれは政府間というか、閣僚レベルというか、そういう大きな交渉になるような案件は避けましょう、こういう趣旨でありまして、外交ルートを通じて行なうところのこまかいと言っては語弊があるかもしれませんけれども、その程度の問題を排除しておる、こういう趣旨ではございません。いずれにいたしましても、いま対米輸出が相当また伸びておるわけなんです。そこでアメリカ政府あるいはアメリカ財界、こういう方面の神経をいらだたせるいろいろな問題が起きておるということは事実でありますが、なるべくおだやかに話し合って解決していきたい、かように考えております。
#117
○曽祢委員 終わります。
#118
○櫻内委員長 松本善明君。
#119
○松本(善)委員 時間の関係もありますのでごく簡潔に基本点だけお聞きしておきたいと思います。
 まず小麦のほうでありますが、いま日本の農業は非常に困難な状況に置かれ、減反その他で農民の不満は非常に強まっております。私は農業の保護政策をむしろとるべきである、この小麦協定などはそういう方向とは違った方向にいくのではないかと思います。この小麦協定の締結ということによる日本の国内の農業への諸影響、そういうものについて政府はどういうふうに考えているか、お話しをいただきたいと思います。
#120
○手島説明員 お答え申し上げます。
 木協定の第八条の第四項に「この条のいかなる規定も、加盟国が国内農業政策及び国内価格政策の決定及び運用について有する完全な行動の自由を害するものではない。」という規定がございますので、私どももこの協定の加入に際しましてはこの条項があるということを当然念頭に置いて入りたいというふうに考えた次第でございます。また御承知のように麦はわが国では食管制度の対象となっておりまして、国際市場と国内市場とは切り離されておりますので特に問題はないというふうに考えております。
#121
○松本(善)委員 この規定が、いま説明された八条の規定にもかかわらず農業の保護政策と違った方向のものであるということは言うまでもないと思いますし、また小麦のみならず米、全体への影響というものをわれわれは十分考えなければならない。私どもはそういう観点で政府の考え方には賛成できないということを言って、もう一つお聞きしておきたいと思いますのは、この援助がやはりおもに反共諸国、インドネシア、ラオス、韓国、南ベトナムなどそういうところが中心になっているのではないかと思いますが、いままでの援助の実態について御説明をいただきたいと思います。
#122
○福田国務大臣 対外経済協力援助のことかと思いますが、これは限られたわが国の財力を世界のおくれた国々に対しまして供給をする、こういうことでございまするから、そこに順序というものが出てくるんです。それで私どもは地域的な配慮をしておるわけですが、東南アジア諸国にまず第一だ。次いで他の特殊な地帯、アフリカあるいは最近では南米等にも及ぶわけでございますが、そういう配慮をする。それから同時に国交が開かれておる国と開かれておらない国、これは格別な差異が出てくる、これはまた当然だろう、こういうふうに思うのです。主義主張が違う、イデオロギーが違う、そういうことで区別はいたしておりません。たとえばソビエトロシアというようなところとの間におきましてはかなりの経済開発協力が行なわれておる。また東ヨーロッパの国々とも逐次そういう協力関係が結ばれつつある、こういうようなことなのであります。ただ国交がない、こういうことはそういう経済協力を与える上において重大な支障がある、こういうこともまた御理解を順いたいと思います。
#123
○松本(善)委員 外務大臣の御説明、一応形ができているように見えますけれども、結果はやはり私申しましたように、反共諸国の援助になっているということの指摘をし、この小麦協定には私ども反対であるということを申し上げると同時に、この税関における物品の評価に関する条約でありますが、これは実際上は、先ほど来の答弁を聞いておりましても、日本には直接的な影響はないわけですけれども、事実上日本の独占資本の利益を促進する貿易の自由化を進めるということになりますので反対だということを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
#124
○櫻内委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#125
○櫻内委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、千九百七十一年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#126
○櫻内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、税関における物価の評価に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#127
○櫻内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#129
○櫻内委員長 次に、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件及び北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件、以上四件を議題として順次政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務政務次官大西正男君。
#130
○大西政府委員 ただいま議題となりました原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件及び北西大西洋の漁業に関する国際条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件の四件につきまして提案理由を御説明いたします。
 まず、政府は、オーストラリアとの間の原子力の平和的利用における協力のための協定を締結するため、かねてより交渉を行ないました結果、昭和四十七年二月二十一日にキャンベラにおいて、わがほう斉藤駐豪大使とオーストラリア側ボーウェン外務大臣との間で、この協定に署名を行なった次第であります。
 この協定は、本文十カ条からなり、原子力の平和的利用を促進し及び開発するための協力方法、協定に基づいて入手された資材、設備等が平和的目的にのみ使用されること並びにそれらの資材、設備等に保障措置が適用されること等について規定しております。
 この協定は、日豪両国が相互協力の基礎の上に立って協力することを可能ならしめるものであり、両国の原子力の平和的利用の促進及び開発に資するものと考える次第であります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、政府は、フランスとの間の原子力の平和的利用に関する協力のための協定を締結するため、かねてより交渉を行ないました結果、昭和四十七年二月二十六日に東京において、わがほう福田外務大臣とフランス側ド・ギランゴー駐日大使との間で、この協定に署名を行なった次第であります。
 この協定は、本文十カ条からなり、原子力の平和的利用を促進し及び開発するための協力方法、協定に基づいて受領された資材、設備等が平和的目的にのみ使用されること並びにそれらの資材、設備等に保障措置が適用されること等について規定しております。
 この協定は、日仏両国が相互協力の基礎の上に立って協力することを可能ならしめるものであり、両国の原子力の平和的利用の促進及び開発に資するものと考える次第であります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、世界保健機関は、一九四六年の世界保健機関憲章に基づいて設立された国際連合の専門機関の一つでありまして、世界の保健衛生の向上に重要な役割りを果たしており、現在、わが国を含む百三十二カ国がこれに加盟しております。
 同機関の執行理事会は、世界保健総会の決定及び政策を実施すること等の重要な任務を有するものでありますが、その構成につきましては、世界保健機関憲章の新加盟国の増加により同機関の加盟国全体を衡平かつ適切に、反映しがたいものとなっております。そのため、一九六七年五月二十三日、第二十回世界保健総会は、本件憲章第二十四条及び第二十五条の改正を採択し、執行理事会の構成員の数を二十四から三十に増加することとしました。
 この改正により、従来同理事会に十分に代表されていない地域からも理事が派遣され、世界の各地域が衡平かつ適切に代表されることとなります。
 わが国は、一九五一年五月に同機関に加盟して以来、同機関の活動に積極的に参加してまいりましたが、本件改正は、同機関の円滑な運営をはかる見地から妥当かつ有意義なものでありまして、わが国がこの改正を受諾することは、同機関を通じて保健衛生の分野における国際協力を推進する上に有益であると考えられます。
 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 次に、北西大西洋の漁業に関する国際条約は、北西大西洋水域において国際的な資源保存措置をとるため一九四九年に作成されたものでありまして、現在、わが国を含む十五カ国がこれに加盟いたしておりますが、同条約には条約の改正手続を定める規定がないことから、条約を改正する議定君は、条約のすべての締約国による批准、承認または加入が行なわれない限り効力を生じないため、条約の改正が長い期間にわたって効力を生じないという事態が生じておりました。この議定書は、このような事態を是正するため、一九七〇年の北西大西洋漁業国際委員会の第二十回年次通常会議において採択されたものでありまして、条約の改正が、条約のすべての締約国の四分の三によって承認されれば、他の締約国から異議の通告がない限り、すべての締約国について効力を生ずるとの趣旨の改正手続を定める新たな一条を条約に置きますことを主たる内容といたしているものであります。
 この議定書は、条約の改正の効力発生を促進するものでありまして、わが国がこれを締結いたしますことは、条約を通ずる国際協力を推進するとの見地から妥当であると考えられます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上四件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#131
○櫻内委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 以上の各件に対する質疑は後日行なうことといたします。
 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
   午後一時二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三十四分開議
#132
○櫻内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 本日は、中国問題について藤山愛一郎議員に当委員会に御出席をお願いして御意見を拝聴いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 藤山議員には、約二週間にわたり米中首脳会談後の中国を訪問され、一昨五日に帰国されました。本日当委員会において御意見を拝聴いたしたいとお願いいたしましたところ、快く承諾せられて、ここに御出席に相なりました。藤山議員に対し、一同を代表して厚く御礼を申し上げます。
 それでは藤山議員にお願いいたします。
#134
○藤山議員 本日は、外務委員会に出席をして、そして中国に参りましたお話を申上げる機会ができまして、私としても、まことに幸いな機会をお与えいただいたことだと思いまして、委員長をはじめ委員の皆さん方に厚く御礼を申し上げます。
 私は、去る二十二日に羽田を立ちまして、そして二十四日の夕刻に北京に着きまして、それ以来ちょうど八日間北京におりまして、周総理、郭沫若先生、あるいは廖承志先生、王国権先生、劉希文先生等の先生方と会談をずっと続けました。そして三十日に北京を立ちまして、そして上海のいろいろな、労働者住宅でありますとかあるいは少年宮でありますとか、あるいは御承知のとおりあそこにあります商品陳列館でありますとか、その他各所の施設を見せてもらいまして、杭州に参りまして、そして一日ニクソンさんのあとを追ったというとおかしいんですけれども、見物されたような場所を見まして、そして杭州に一晩泊まりまして、広東のほうの広州に一晩泊まりまして、そして五日の夜に東京に帰ってきたわけでございます。幸いにしてニクソン大統領訪中後の情勢等につきまして私の見てきたことを御報告申し上げる機会ができまして、私としてもまことにしあわせな次第だと、こう思うのでございます。
 なお、いろいろお話につきましては、向こう側との会談の内容でございますから、できるだけ詳細にお話しすることになりますと、この会を公開にしていただかないような希望を持っておりますので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
#135
○櫻内委員長 この際、先刻理事会で御協議願いましたとおり、懇談の形式で調査を進めたいと存じますので、御了承を願います。
 それでは、これより懇談に入ることとし、暫時休憩いたします。
   午後一時三十八分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト