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1971/04/28 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第12号
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1971/04/28 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第12号

#1
第068回国会 外務委員会 第12号
昭和四十七年四月二十八日(金曜日)
    午前十時十二分開議
 出席委員
   委員長 櫻内 義雄君
   理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君
   理事 正示啓次郎君 理事 永田 亮一君
   理事 山田 久就君 理事 松本 七郎君
   理事 西中  清君 理事 曽祢  益君
      池田正之輔君    鯨岡 兵輔君
      西銘 順治君    福永 一臣君
      豊  永光君    堂森 芳夫君
      三宅 正一君    中川 嘉美君
      松本 善明君
 出席政府委員
        外務政務次官  大西 正男君
        外務省条約局外
        務参事官    穂崎  巧君
 委員外の出席者
        議     員 三木 武夫君
        外務省アジア局
        外務参事官   中江 要介君
        外務省アジア局
        中国課長    橋本  恕君
        外務省アメリカ
        局外務参事官  伊達 邦美君
        大蔵省関税局監
        視課長     市川廣太郎君
        通商産業省重工
        業局航空機武器
        課長      山野 正登君
        運輸省航空局審
        議官      寺井 久美君
        外務委員会調査
        室長      吉岡 俊夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第一二号)
 航空業務に関する日本国政府とメキシコ合衆国
 政府との間の協定の締結について承認を求める
 の件(条約第一三号)
 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその
 環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆
 国政府との間の条約の締結について承認を求め
 るの件(条約第一四号)
 国際情勢に関する件(中国問題)
     ――――◇―――――
#2
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について、調査を進めます。
 本日は、中国問題について、三木武夫議員に当委員会に御出席をお願いして御意見を拝聴いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 三木議員には、北京に約一週間滞在され、中国首脳との会談を行ない、去る二十四日に帰国されました。本日当委員会において御意見を拝聴いたしたくお願い申し上げましたところ、快く御承諾せられてここに御出席に相なりました。三木議員に対し、一同を代表して厚く御礼申し上げます。
 それでは、三木議員にお願いいたします。(拍手)
#4
○三木(武)議員 委員長の出席をするようにというお話がありまして、喜んで出席をいたしたものでございます。
 いま委員長からお話もございましたように、四月の十五日から二十二日まで、一週間ではありますが、到着の日は夜おそく着きまして、出発は午前中であったので、正味六日間の短い滞在でございました。しかし、短い滞在ではございましたけれども、周総理をはじめ中国首脳と率直な意見の交換をする機会を持つことができまして、私には非常に有益であったわけでございます。周総理との会談内容は非公開という約束になっておりますので申し上げられませんが、きょうは私の印象を申し上げることにいたしたいと思います。
 私は、かねがね日中関係に対する私の見解は今日まで述べてまいったわけであります。そして一日も早く日中関係を正常化しなければならぬと申してまいったのでありますが、一そうその必要を痛感して帰ってまいったのでございます。しかし、国交回復を促進するためには、やはり政府与党が中国政策に対する今日の政策を転換する必要があるということでございます。野党の皆さん方はつとに国交回復促進派であるわけでありますから、いまさらここで私が申し上げる点はないのでありますが、問題は自民党であります。自民党の論点が分かれておることは御承知のとおり、これをまとめなくてはならぬということでございます。自民党の大勢がまとまらなければ問題を具体化することはできないのであります。それで、自民党の態勢が一つの共通の認識の土に立つことができますよう、私も努力を傾けてこれからもまいりたい。昨日も自民党の中国問題調査会にも出席して、午前中いろいろそういう意図のもとに努力をいたしてきたわけでございます。
 私が言う共通の認識というのは次の三点についてであります。
 第一点は、中華人民共和国と法的に戦争状態が終了していると思うか思わぬかということであります。
 第二点は、台湾が中国を代表する資格を持っていると思うか思わぬかという点であります。
 第三点は、台湾は中華人民共和国の不可分の領土であると思うか思わないか、こういうことであります。
 これに対するイエス、ノーをはっきりするということ、これが私の言う共通の認識というものの基礎であります。これに対して共通の合意点というものが見出し得られるならば、自民党の中国政策に対する基本的な認識と基本的な態度が初めて明白になるということであります。
 私は、一の点については、まだ法的に戦争状態は終了していないという立場であります。中華人民共和国と戦争のあと始末について話し合ったことは一ぺんもないわけです。法的に戦争状態は終了していない。
 二については、中国を代表する唯一の正統政府は中華人民共和国である。これは国連の決議に徴しても、今日世界あるいは国民の常識になっております。したがって、台湾は中頃を代表する資格を持ってない。
 三については、中国を代表する唯一の正統政府は中華人民共和国であるとするならば、しかも、中国は一つであるという以上は、台湾はその不可分の領土であるといわなければならぬと思うのであります。
 二の三点を認める以上に、日華平和条約に存在し得ないことは当然であります。さらに、右に申し述べたような諸点について、基本認識が明白になって、それを実行せんとする人間的信頼性があるとするならば、たいした大きな障害なく、国交回復のための政府間交渉は進んでいくと私は信じております。そんなにむずかしいとは思わないのです。問題は、やはり政府与党、政策決定に対して一番大きな力を持つ政府与党の中国政策に対する基本的な認識、基本的な姿勢というものが明確にならなければ、具体的に進んでいかぬということであります。まあ、日中関係をこのような不自然な状態をいつまでも続けていきますことは、日中両国のためにもアジア太平洋地域の緊張緩和のためにも、これはやはり障害になることはだれの目にも明らかであります。一日も早く国交回復を実現するためには、やはり国交回復というこの本筋に戻って、横道に入ったり、これを感情問題に発展させたり、どろ仕合いにならぬよう超党派的な協力が必要であるということを感ずる次第でございます。
 簡単でございますが、私の考えておる中国問題、国交回復を促進するための基本的な考え方は以上のとおりでございます。(拍手)
#5
○櫻内委員長 引き続き三木議員に対する質疑がございますれば、これを許します。
 正示君。
#6
○正示委員 最初に、三木先生がたいへんお忙しいからだでありながら、非常にお元気に一週間にわたって中国を訪問されまして、お元気にまたお帰りになり、きょうはさっそくこの委員会で私どもに、たいへん簡明でございまするが、非常にポイントをついたお話をしていただいたことを厚く御礼申し上げます。
 実は昨日の自民党の調査会には、私、都合によりまして出席することができなかったのでありますが、ただいま先生のお話を伺って、たいへん明確に先生の御信念を伺ったわけであります。そこで私も実は基本的にはもはや先生のおっしゃるいわゆる基本的な認識という点において変わらないところへ参るべきであるという信念を持つのでありますが、問題は、いま先生のおっしゃられたことが、先生が非常にインフルエンスの強いお立場にあられるだけに、これは日本国内だけじゃなくしてアジアにあるいは世界に非常な影響を及ぼすのではないか、こういう点から一、二の点について先生の御見解を明確にしていただきたい、かように考えましてお尋ねいたしたいと思います。
 これは先般のニクソン訪中の際もわれわれとしては非常に心配をした点でございますが、要するに、日中国交の正常化といい、あるいは多極化時代の日ソの国交の親善強化といいますが、これはいずれも日本を中心に考えまして、アジアの平和、世界の平和あるいは緊張緩和というものを増進していく、こういうことが一番のねらいでなければならぬと思うのであります。そこでいま先生がおあげになったこの三つの基本的認識事項、これについては私はそういう方向で行くべきであるという点については、いま申し上げたとおり異論はございませんが、しからばこれが、たとえば現在の台湾というものに対する影響は一体どういうことになるのであろうか。これは単なる評論家、単なる批評家としての発言ではなくて、日本の政治を、外交をどう持っていくかというお立場にあられる三木先生でございますので私はあえて伺うのでありますが、それは中国の内政問題ではないかというふうに簡単にここで言い捨てるわけにはまいらないのじゃないか。特にいわゆる中華民国、台湾との間には、終戦後、非常に深いつながりを持ってきた日本であり、今日なおはっきりとした条約関係を持っておる日本でございますから、いまのような点をまず第一にどういうふうにお考えになっての、これから先生はおそらく政治生命をかけてそういう問題と取り組んでいこうとしておられるのでありますが、そういうときにそれをどう見通され、またどういうふうにその関係を維持しつつあるいは改善しつつ進まんとしておられるか、二の点についてまず最初に伺いたいと思います。
 それから第二にはやはり日ソの関係、これは私、大事だと思います。日米関係はもう言うまでもございません。しかし日米の間には、先生がいまおあげになったようなことから言いますと、中国との関係、これにおいては、私は相当の隔たりがすでにできておるということは否定できないことであって、アメリカはもう日本よりはずっとおくれておる。したがって日本としては中国との関係は、いま先生がおあげになったくらいの考え方で進むのがもう当然であるという御認識において、私もよくわかります。ただ日ソの間の関係も、御承知のようにグロムイコ外相の日本訪問あるいはこれから日本の首脳とソ連の首脳との会談、そして平和条約の締結、こういう日程が予定されておる今日、私見をちょっと差しはさむことをお許しいただければ、私はソ連と中国に対して日本はいまや等距離外交をやるべき段階にあるのではないか。それが不等距離になってどちらかが進み過ぎてもまずいのじゃないか。実は最近の多極化時代の国際情勢を静かに考え、日本の置かれておる立場から言いますと、どうもそういう感じがいたすのでありますが、先生がいま申されたような対中国基本認識の点に与党、政府は一歩大きく踏み出し、あるいは政策の転換をすべきだというときに、日ソの間の関係をどういうふうに見通されておるか。
 この二つにつきまして、たいへんほかの委員の先生方もいろいろ御質疑があると思いますので、私は先生の御見解をお伺いしたいと思います。
#7
○三木(武)議員 台湾に対する国民の心情的なものは、私はよくわかるのです。しかしいまニクソンの訪中などをおあげになって、アメリカは米台の相互援助条約をそのままにしておいて、そしてパリにおいては大使級会談で貿易とかあるいは人事の交流、ジャーナリストの交換、文化の交流、いろいろな取りきめをしておりますね。だからニクソンの訪中は事実上の承認にひとしい行為だと私は思うのであります。だから日本の場合も何か台湾との間の一つの平和条約をそのままにしておいて、北京との間にも一つの国交回復の条約を結んだらどうかというお奪えがあるとするこ、私は賛成はできないのであります。
 それはなぜかといえば、アメリカと日本とは中国に対する関係が非常に異なるのであります。アメリカは朝鮮戦争があるまでの間はそんなに敵対関係になかったわけでしょう。その朝鮮戦争による敵対関係は、ニクソンの訪中によって一応それを解消したわけですからね。そこでそういうふうな現実の事態と戦争中のことを考えれば、同盟国ですからね。日本は戦争の当事国でありますから、台湾との関係を現状にしておいて中国との間の国交回復をしようとすることは不可能であります。日本はアメリカ方式はとれないということである。やるときには、やはり日本と台湾との平和条約を清算して、そして中華人民共和国との平和条約を結ばなければならぬ。そういう戦争をめぐる一つの背景の違いがある。それは割り切らないと、アメリカ方式を日本が適用できるということにはならないのでございます。
 それから日ソ関係については、こういう日本の外交は平和外交の推進ということですから、どこの国とも友好関係を維持しなければいけない。平和の基礎の上に日本の経済的な繁栄も成り立っておるわけですから、正示さんの言われる意味はよくわかるのでありますが、しかしどこの国とも友好関係といっても、問題を解決しようという重要の度合いは違いがある。ソ連の場合においては、平和条約は結んでいないにしても国交は回復されておるわけです。しかし、いまだに、戦後二十七年ですか、日中の間には国交は回復されてないのですから。だから、日ソも、あるいは他の国々とも友好関係を維持したいという一つの多面的な外交政策には私は異存はない。そうしなければいかぬ。しかし、問題を片づけようという懸案解決には、おのずから重点を置かなければならぬ。それはやはり中国問題である。どこの国ともみな戦争のあと始末はついておるわけでしょう。戦争で最も被害を与えた相手は中国でありますから、それといまだに戦争のあと始末もついていないという以上は、外交を処理する場合に懸案に対する重要の度合いというものはおのずからつけなければならぬ。そして中国問題、中国との国交回復ということに取り組んでいくべきである。ソ連との間にも、だからといってソ連との間に対して平和条約の交渉を進めるなというのではない。進めてよろしい。しかし両方をてんびんにかけるような、中ソの対立を利用しようという外交政策では日本は矛盾が起きる。そんな器用な外交は日本にできるとは私は思わない。やはり問題を整理して、まず中国との国交回復――もっともソ連が択捉、国後をいま返そうといったら、それはソ連が先になるでしょう、領土問題だけですから。そういうことならソ連を当然先にすべきでしょうが、私はそういういますぐ領土問題が解決できるという見通しを持ってないんですよ。そういう限りにおいては、ソ連もやっておるから中国もしばらく急ぐ必要はないという説は私はとらない。この懸案を解決すべきである。
 またアメリカとの関係は、日本の外交はアメリカとの友好関係を維持するということが基本であることは間違いない。したがって、中国問題、いわゆる日中関係と日米関係は両立をさせなければならぬ。自民党というものの外交の使命は、日中、日米の両立外交にあるわけだ。どちらかを犠牲にする外交は、きわめて日本のために、国益にも沿わないし非常に危険な外交である。これをやるために、やはり自民党というものは非常な大きな使命を持っておると思いますから、日米関係を犠牲にするという考え方は私は全然ない。しかし、日中関係を改善することが、ある意味において日米関係も日ソ関係も健全にすると私は信じておる。いまのような状態でおるよりも、この関係を改善することが、日米関係、日ソ関係を健全にして日本の外交の基盤を強くする、こう考えておる次第でございます。
#8
○正示委員 先生がいま言われた結論は私も全く同感でございまして、日中及び日ソの関係をますます一方は正常化し、一方は善隣友好を深めていくことによって、基本の日米関係もより一そう健全になっていく、こういう御認識において私も全く同感であります。ただちょっとお答えがなかったのですが、私のお尋ねしたのは、日中、日ソ、こういう外交の展開がアジアの平和あるいは世界の平和、特にアジアですね、そういうものに何らの心配なしと先生は見通してやっておられるか。そこに私どもとしては、現状を急激に変更するということが、一つの緊張緩和じゃなくて緊張激化へ移るということはたいへん困ったことだ、たとえばニクソン訪中によって緊張緩和したということは、日本の国内のもう非常な共通の認識だったと思うのですね。ところが、あにはからんや、ベトナムにおいてはああいうことが今日起こっておる。そういう事態について、非常にインフレーショナルな立場にあられる先生としての御意見あるいは見通しをもう一回伺い、これだけお伺いして私の質問を終わります。
#9
○三木(武)議員 日中関係をいまのような不自然な状態で――お互いに北京と東京とで反発し合っておるような状態でしょう。何としてもアジアの国の中で、アジア諸国に影響を与えるのは日本と中国ですからね。その二つの国がこういう不自然な状態であることが、アジアにとってそのほうがいいんだとは言えないでしょう。これからはやはり日中の国交回復をして、新しい和解と協力の関係を打ち立てることが、アジア近隣諸国に対して脅威を与えず、また安定のために資するように持っていくことは中国の責任でもあるし、日本の責任でもあるわけですね。国交回復というのは入り口ですから、国交回復後における日中関係がアジアの安定に資するものでなければ意味はないですからね。中国も平和五原則というのをあげておるのですからね。これは忠実に守ってもらわなければ困りますよ。やはり大きな世界政治のルールというような形において、ニクソン大統領でもこれをもっともだという表現をして共同声明にも言っておるようなわけです。その旗を掲げる限り、またこれをわれわれが、日中両国が協力して、その原則のもとで――あの原則というものはだれが見てもみな賛成し得る原則でしょう。そういうことでこれから築きあげるものだ、その中にはやはり自分の責任も入っておる、日本政治、灘本外交の責任も入っておる、こういうふうに考えませんと、いまからこれはもう非常にたいへんなことになる、たいへんなことになるというのでなくて、たいへんなことにしない責任は日本にもあるんだ、中国にもそれを求めなければならぬ。そのための和解であって、両方が国交を正常化して、アジアの緊張が激化するためにわれわれは中国と和解しようとするものではない、これはやはりわれわれの責任も大いにあるということでお答えにしたいと思います。
#10
○正示委員 どうもありがとうございました。
#11
○櫻内委員長 松本七郎君。
#12
○松本(七)委員 基本的にはもう全く同感なんです。問題はいま三木先生の述べられた基本的な態度が日本の現実の政治にどう実現されてくるか、そこにかかってくると思うのです。冒頭に先生の指摘されたように、結局は政府・自民党がはっきりした意思統一をしてそれを現実化するというところですから、私どもそこに一番関心もあるし、国民もおそらく期待を持ちながら不安を抱きながら関心を深めつつあるのが現状だと思うのです。
 そこで、私どもがいままで外務委員会なりその他を通じて政府の答弁から察すると、依然として変わらない。それはいま先生の指摘された基本的な態度の意思統一がない限りは、私はいつまでもこういう状態が続くおそれがあると思うのですが、政府の言い分は、とにかく中国と接触し、交渉を始めようじゃないか、その過程でいろいろな問題、おそらくこれは台湾問題を含めてのことだろうと思います。もう正示委員の指摘されたような不安が確かに一部、特に自民党の中にある。そういうものが一挙に解決はむずかしいだろうから、中国との話し合いの中でそういうふうな問題の解決をはかっていくんだ、こういう言い方なんですね。私は、実際に中国の三原則なり五原則なり、それからいままでの長い間の戦後の日本の外交政策というものをはっきり認識しておる者からすれば、先生の言われる点に早く政府・自民党も意思統一すべきだという意見が強くなると思うのですけれど、一般の国民は、やはり政府の言い分に俗耳に入りやすい面があるのですね。ですから私どもに言わせるならば、その基本的な態度をはっきりさせれば、初めて政府間の接触も実を結んでくるが、いまのような状態では接触することそのものも非常に困難だし、かりに接触できてもそれは単なる形式的な接触で、決して実質的には国交回復に向かって一歩も前進しないと私は思います。そこのところは政府は、あくまでも接触第一だ、交渉の過程でやるんだ、こう言って少しも進歩が見られない。そういう状況の中で、先生の指摘される基本的な態度についての政府・自民党の意思統一というものが可能だろうか。それを可能にするには今後どうしたらいいだろうか。私どももちろん野党としてはこのことを長年要求し続けてきたのですから、政府に対してももちろんそれも要求しますし、また国母運動を背景にしてこういう運動を高めることもますます必要になるだろうと思いますが、やはり何といっても一番影響力の強い政府・自足党の中がこれに向かって今後どういうふうな動きをしてくるかということをこの機会に私どもも十分認識を深めたいと思うのですが、直接こうやって先頭を切って戦っておられる三木先生のこれに対する御意見と、それから見通しですね。これらを少し率直にお聞かせ願えたらと思うのです。
#13
○三木(武)議員 それは、いま私が申し上げたこの三点ですね。基本的な認識というもの、中国政策の基本的な態度というものはそこできまるわけでしょう。いまあげたこの三点に対しての考え方を整理することによって初めて中国政策に対する基本認識、基本姿勢というものがきまるわけで、それをきめなければ中国と交渉するったって話し合いに入れませんよ。こちらの考えがどういう考えかわからぬのに政府間交渉に入るというのは、話し合いの過程でと言っても話し合いに入ることができない、これは。もしその基本的な一つの認識と私があげた点が非常な中国のペースで、国民の納得もなかなか得られないようなことでは、これはそういうことはできません。中国には中国の立場があると同時に日本には日本の立場があるわけですから、どちらのペース、日本ペースでもいかぬし、中国ペースでもいかぬわけですよ、この問題は。大問題ですからね。そういう点で、私はそんなに不可能ではないのではないかと思う。佐藤さん自身でも、国会の答弁の経過を見ておりますと変化を私自身感ずるのであります。皆さんどういうようにお考えになるかわかりませんが。前の速記録なんかを調べてみるとやはり変化を感ぜざるを得ない。だからこれは、自民党は変化しないというそういう頑迷な政党でもないと私は思う。かなり柔軟性を持っておる政党でありますから変化の可能性はある。正示さん自身も私のあげた三点、あれには大体賛成だとこう言われるのですからね。そういう意味から考えてみて、松本さんはなかなかできないんじゃないかとお考えになるかもしらぬけれども、非常に可能である。この激動の中に政党が外交政策の大きな転換に対して、その外交政策に柔軟性を持たなければなかなか今日の外交を担当する政党にはなれませんから、私は自民党を、それだけのやはり適応性ありという信頼を持っておるものでございます。
#14
○松本(七)委員 私、予想していたよりも三木先生のいまの自民党、それから佐藤政権に対する評価が甘過ぎるのでちょっとびっくりしたのです。あれだけ先頭を切ってやっておられるから、相当これはむずかしいという認識の上にやっておられるのかなと思ったのですが、いま言われるように、この三点についての基本的態度がはっきりしなければ交渉は不可能だと私は思います。それならば、いまの政府の態度は、ことばでは確かに佐藤総理でさえあるときには少し前向きになったかなと思うようなことばを出しますが、しかし党内のいろんな御意見とか、結局落ちつくところは依然として同じなんですよね。それは交渉が先だというこの点なんですよ。交渉の前に、いま先生が指摘される態度の確立をやろうというような運動が、ほんとうに自民党や政府の中に起こっているとは私は思わないのですよ。先先は、どこのペースでもないんだ、わが国ペースでやるんだ、これで説得すればおそらく意思統一はできる、こういうお見通しなんだろうと思いますが、私はそれはちょっと甘いような気がする。新聞にもちらほら出ていますが、少なくとも佐藤政権では交渉自体もだめだ。この点はおそらく先生も御同意なんだと思うが、私は、佐藤政権が変わってもなかなかそう簡単にいかないような気がするんですよ。いまの御説明聞くと、いまのところ、佐藤さん引退後なら相当急速度にいま御指摘のような方向に自民党はまとまるというお見通しなんでしょうね。ちょっとその点が甘過ぎるような気がするんですがね。
#15
○三木(武)議員 はっきりしておることは、お答えしましたように基本的な認識がはっきりきまらなければ交渉はできないんだ、これはもう私はここで断定をしておきます。(松本(七)委員「それをどうやってまとめるか」と呼ぶ)それはやはり自民党の中でももっと本格的に――いままでは何かこう話が横道にそれた感もあるんですよ、実際は。やはりもっと中国問題の本質に入って、自民党がこれから自民党のコンセンサスを得るように努力をすれば、これはみなが――基本的には私の言ったようなことは無理なことではないんですからね。無理なことをみなで承知しよう、みなでひとつ合意しようではないかということはむずかしいですけれども、考えてみれば無理なことでないんですから。まあ私は甘いのかも――大体私は人間が少し甘くて、今日まで苦労をしておるわけでございますが、しかし、だれが考えてもそれは妥当なんであるということは、私に一つの確信を与えるんですよ。これくらいのことで自民党を説得できないようなことではだめだという感じで、少し甘いのですけれども、甘いとおっしゃられるかもしらぬけれども、これはやってみようという一つの意欲ということを申し上げたんで、結果に対してはそういうふうなお感じを受けられるかもしらぬけれども、そういう意欲を持っておるんだということを申し上げるわけです。
#16
○櫻内委員長 三宅君。
#17
○三宅委員 私は発言する機会はなかったのですが、いまの話を聞いておりまして一言だけ三木君にお願いをしておきます。
 それで、ある意味において私は、ちょっと大ぎょうですけれども、幕末における開国と鎖国との争いのような、歴史的に見るとそれの一つの小型版と申しますか、それがいま戦われておることだと思うんです。それぞれの立場で、それぞれの世界観でいろいろ争ってきておりますけれども、訪中された議員が自民党の中でも非常に多い。それから財界などからも非常に行かれたということが――われわれの陣営はもう前から行っておりますから、現地を見ておりますし、わかっておることですけれども、自民党の中も私は相当に変わってきておると思うのです。
 それで、私がぜひひとつ成功してもらいたいと思いますることは、これが日本が変わって、そしてこの立場で中国と和平ができまするならば――私はアメリカだって、ベトナムにどろ足突っ込んで、ちょうど日本が、満州事変以来のどろ足と同じであって、いわゆる中国封じ込め政策や、大国が、その国がどういう体制になろうと、軍事で干渉するなんてことやもしくはかいらい政権をつくるなんてことがいかにばかげたことであるかということは、三木君にしてもわれわれにしても戦前の苦い経験を持っておりますから、私はこの関係ができてきて、しかも日本が友人の立場でアメリカの先進分子と申しますか、アメリカにおけるこういう行き方は間違いだという考えを持ったものを、ひとつほんとうにその体制を、またアメリカにも攻め込んでつくらせるということになれば、世界史の大きな転換だと思いまするので、そういう意味で、私は決して自民党の三木君と思っておらぬ。われわれ、世界の平和のための大きな戦士だと思っておりますから。しかしあなたの言うほど簡単なことではない。その意味においては、そう思っておられるけれども、しかしもう大勢がきているから説得できるという確信を持っておられることは非常に私はとうといと思うのであります。大いにがんばっていただきたい。御答弁要りませんけれども、もしあれば聞きます。
#18
○三木(武)議員 大先輩三宅先生から御激励を受けまして、私はこれは大問題ですけれども、幕末、そんなに考えてないのです。これくらいのことを解決できないで、日本の外交がこれからできるのだろうかという大問題ではありますけれども、いま御指摘になったようなそれほどには考えない。これは大問題ではあっても、これくらいの問題を解決する能力を日本の外交が持たなければ、将来、こういう複雑な困難な多極的な時代になかなかやっていけない。そういうことで、困難なことは困難ですけれども、これくらいのことはやり遂げなければならぬということを私は考えるものでございます。御質問というよりはむしろ御激励であったわけで、お答えする必要もないのかもしれませんけれども、大先輩に敬意を表して一言申します。
#19
○櫻内委員長 曽祢君。
#20
○曽祢委員 実は秘密会であったらむしろ御質問しなくてゆっくり伺っているだけにしようと思ったのですけれども、公開のあれで、三木さんが重要な使命を果たして帰ってこられて、われわれ外務委員の、人としては、御質問しないほうがおかしいし、むしろそれがかえって失礼にあたるのじゃないかと思うので、ごく簡単にほとんど一点にしぼって御質問申し上げたいと思います。
 前提として私は、三木さんが言っておられる、いまや中華人民共和国政府、が中国におけるただ一つの正統政府、つまりほんとうのあと継ぎだという意味で、唯一の正統政府である。それから台湾はかつては中華民国の領土であったけれども、いまやこれは中華人民共和国の領土と認めるべきである。築三には、日華・平和条約なるものはできたときからああいう経緯があったので、いまや中華民国政府が中国全体を代表する資格は全然、もう二十年の歴史がこれはなくしているのですから、これで、戦争状態は日本と大陸中国との間に実際上ありませんけれども、しかし法律的にはまだ戦争状態を終結する正式の手続は済んでない。だから、そういう意味で、この日華平和条約という歴史的産物にもかかわらず、むしろこれにかわるような一つの国交条約というか平和条約というか、いろいろございましょうが、、正式の外交文書によって国交を樹立することは必要である。その場合に、どういうふうに、破棄とかなんとか、ことばはあるいは語感は別として、これはとってかわられる、新たな条約に、よって。そういうものである、そういうふうに理解して、全くその基本認識は、絶対にこれはもう常識であるし、私は、その認識に立っていまやいろいろな団体、個人が行かれて、中国側とのあれでいろいろ打診していたけれども、そんな時代ではなくて、舞台はどうしても日本政府あるいはそれにかわるものが正式の国交調整の交渉に乗り出さなければいかぬ、こういうことだと思うのです。
 それからもう一つ、私全く同感なのは、これはあたりまえのことですけれども、米中関係と日中関係、これは根本的に違うのだ。したがって、アメリカのほうは、この前中米会談によって、いきなり法律的の承認にいかない、時間をかけて、いまのところはいわゆるデ・ファクト、事実上の承認みたいなところに、政治的の効果は大きいけれども、いきなりデ・ユーレの承認にいかなかったということは、これはよくわかる。わが国の場合は、もうデ・ファクトの関係は大陸と実際上貿易その他あるわけですね。いまや正式の関係、つまりデ・ユーレの関係を、正式の交渉によってどういう形でどういう関係でするか。いずれにしても、日本の場合は、アメリカのようなのんきな、台湾がいずれは海峡の両方の住民の円満な話し合いによって、それで台湾問題そのものが平和的に処理される、これは日本としては望むところだけれども、しかしそれを待ってデ・ユーレの承認というか国交樹立を延ばすわけにはいかぬ、私はこういうことです。
 そこで問題は、よく国民の知らんとするところは、そこまでは人によって議論はあってもまあわかったというところだと思うのです。ただ、それでいった場合に、実際問題として台湾との関係はどうなるのだ、ほんとうの心配はこういうことだと思うのです。これは私は、アメリカ以上にそういう経済その他の関係からいったらもっと深い。アメリカは要するに外部からの武力攻撃に対してそのときは守ってやるということだけです。ある意味では日本みたいにかつては何十年間もいわゆる日本の臣民として取り扱った場所であるとか、経済関係もアメリカよりずっと深い。ずいぶん違います。
 そこで、こういう形でもしお答えできれば願いたいのです。
 ですから、中華人民共和国と日本との間に、交渉によってデ・ユーレの関係が成立する。その場合に、おそらくは、こっちが急いでやればやるほど、米中の話し合いから見ても、まだ台湾問題そのものが解決してない時期があると思う。そういう場合、日本と台湾との関係はどうなる。やはりデ・ファクトの関係しか残らぬじゃないか。日本の国民、おるでしょう。経済もあるでしょう。そこら辺のことをやはり国民は当然に心配し、政治家もそれを考えて、こっちのことだけでなく、その結果としての日本と台湾との少なくともデ・ファクトの関係はどうなるのだということが私は問題。そういうことについて、私は、どういうお話し合いがあった、そんなやぼなことは一切申し上げません、お聞きしません、しようと思いませんが、どういうインプレッションでおられるか。三木さんは、この三つの基本認識さえ日本がしっかりしており、その前提として、執政の党である自民党のコソセンサスを得られて、日本政府の代表が行く場合には、国交調整の話し合いは比較的スムーズにいくのではないかという楽観論を述べておる。私は、信頼の問題と姿勢の問題だから、そういう姿勢がとられていけばいくんじゃないか。よく、中国は原則の国だけれども適用はわりあいにゆるい、そういうことを正面から聞くと、そんなことをしたら原則というものはどこかへすっ飛んでしまう、から回りしているようなきらいもなきにしもあらず。したがって、基本認識と姿勢ができれば、国交調整の話し合いは、そうくよくよしないで、やれ条約の入り口論だ出口論だという手続論は必ずしも重要でないと見るほうが私は正しいと思うのですよ。ただ、その場合も、いま言ったような台湾問題について国民が安心し得るようなことで考えておいていいのかどうか、これは三木さんのお考えだけでもよろしゅうございますし、もしお答えを留保されてもけっこうですが、その点だけを伺って私の質問を終わります。
#21
○三木(武)議員 いま私が申したように、まず基本的な認識をはっきりする、そしてそれを実行するという人間的信頼感、これはどうしてもやはり外交の大きな根底になりますね。そして向こうと政府間交渉をすれば、台湾というものに対して政府がいろいろないままでの関係もあるわけですから、そういう実務的な話はとことんまですべきですよ。また、そういう話というのは何らかの合理的な、現実的な解決は私はできると思う。また、それをやる責任がやはり政府にもある。ただ、その前に原則をぼかして話し合いの結果いろいろということではいけない。原則さえはっきりして、そしてしかもそれに信頼性があれば、それは話し合っても、とことんまで実務的な話し合いは可能である。これは向こうとの話し合いじゃないのです。私自身の印象で、またそうでなければ、やはり全国民の信託を受けている政府が責任を果たしたと言えないですから、それは当然にやらなければならぬことである。私の考え方を申しておく次第でございます。
#22
○曽祢委員 ありがとうございました。
#23
○櫻内委員長 西中君。
#24
○西中委員 三木先生、たいへん御苦労さまでございました。
 先ほどから委員の方がお聞きになりまして、その意図されているところは非常に敬意を表しておるわけでございます。特に、またたいへんな決意を持って政府与党説得をしていきたいというお考えもうかがわれまして、私たちも先ほど先生のお示しの原則というものについてのお考えは全く同感の立場にいるわけでございます。いま私が聞こうと思っておったことに曽祢先生からもお聞きになりまして、ダブるようでございますが、やはり問題の一つの大きな点は、台湾の問題であろうというように認識をいたしております。こまかい問題になるわけでございますが、先ほど先生おっしゃいました日華平和条約は清算すべきだという話ないしはまた三点の基本的な確立をした上ではこれは存在しないんだというようなニュアンスのお話があったように思います。ということは、帰国されましてからの新聞報道の中で、若干今日まで各種団体並びに野党が行きましての報告の中で、これは入り口であるとか出口であるとか、その他廃棄であるとかいうような点でいささかニュアンスが違っているというような報道もございましたので、その点もう少し詳しくお話しいただければ、このように思うわけであります。ひとつよろしくお願いいたします。
#25
○三木(武)議員 西中さんにお答えをいたしますが、私が申しておるのは、いまの三点について認識が、もし共通の認識を持てるなれば日華平和条約はもはや存在し得ないんだということを言っているのは、それはことば、用語はいろいろありましょう。廃棄と言われてもいいし、また解消と言われてもいいし、私はそれはことばの表現よりも問題の一つの本質というものは、日華平和条約をそのままにしておいて、そして新しく中華人民共和国とどういう形になりますか、平和条約という形になりましても両立するわけにはいかないでしょう。いま私があげた三点さえみなが基本的な認識をはっきり明白にすれば、日華平和条約というものはどうすべきかということは当然の結論が出るわけです。三点を認めて日華平和条約が存在し得るのだという論拠はありません。そこで、やはりその問題は国会の問題でもあるわけでしょう、日華平和条約は国会の批准を得ているわけですから。したがって国会でやはりきめなければならぬ問題でもありますので、ある意味においてこの問題は条約に関する問題だから、中国の問題よりも一本の国会の問題だという意識が私にあるのですよ。しかし、きめなければ、日華平和条約を廃棄するとか解消するとか、ことばはともかくとして、これをなきものにする、この方針は明らかにしないと、それは交渉に入ることもできないんだ。それにどういう手続でやるかということは、やはり国会の問題でもある。中国自身の問題ではありません。しかし方針だけははっきりしておけば、やはり国会においても皆さんの意見のコンセンサスが得られるならば、この問題については研究すべき課題の一つではないでしょうか。そういうことを言っているので、私の言っていることと、ほかの方が行っていらっしゃってのあれは、日華平和条約に対する本質論としてはあまり変わってないと思うのでございます。ただ、私の意識の中には、それは日本の国会の問題であるという意識が強いものですから、そこに西中さんのお考えになってニュアンスが違うように思われるのは、私にはそういう意識が非常にあるということでございます。日本の問題であるという意識がある。
#26
○西中委員 どうもありがとうございました。
#27
○櫻内委員長 御質疑ありますか。――鯨岡君。
#28
○鯨岡委員 三つの条件をあげられたのですが、二つ目に、台湾は全中国を代表する資格を持っていると思うか思わないか、イエス、ノー、これは従来北京が全中国を代表する資格を持っていると思うか思わないかというような言い方がされてきたのとちょっと違った、逆から言ったような感じがするわけですが、何か意味がありましょうかということです。これが第一点。
 それから第二点は、中国問題はたいへんな問題だというふうに三木先生もいましばしば言われましたが、国民的に解決していかなければならない大問題だけに、これに関する著書が、ずいぶんたくさん出ております。それらの著書の中には何かタイミングをねらったようなあまり内容のないものもあります、が、なかなかおもしろいものもあります。最近読んだものの中に、ロシアで生まれたドイツ人でクラウス・メイネルトという人が書いた「嵐のあとの中国」というのがあるのですが、その中でこんなことを書いてあるのです。それを抜き書きしてまいりましたが、短うございますから、ちょっと読んでみます。
 最近日本に対する中国の敵対感情についてよく書かれている。周総理がアメリカのニューヨークタイムズ、ソテニース・レストンと一九七一年八月五日インタビューしたとき、周総理は、日本から生まれつつある危険について長々と語っている。しかし、私としてはこの話を額面どおり受け取っていない。なぜなら、私は中国でこのような心配には一度も出会わなかった。私の印象では、中国人は日本の驚くべき経済的奇跡が不安定な基礎の上に立つものであり、日本の青年と知識分子が世界で最も急進的な反体制的な連中に数えられるものであることを十分承知で、これは周総理のことばをいわゆるはさみ状作戦の一部であると受け取る。これは一方ではワシントンの保護者」――「保護者」というのは日本の「保護者」という意味だろうと思うのですが「保護者で、北京と取引することによって日本を孤児にし、傷つきやすい立場に置いたことに対する日本人の対米疑惑を高めると同時に、他方で日本人に対し、北京が日本政府をアジアの平和に対する重大な危険と考えて」これに対して北京がかんかんにおこっているということをアジア諸国に知らせようとしたものであって、その結果、日本という国を非常に反米的、親中的にしようという、そういうはさみ状作戦だということを書いておいて、一番最後に、いずれにしてもこれは私の印象にすぎないがということを言うているわけであります。これを読んでそんなふうに考えている人もずいぶん多いんだろうなという感じを私はいたしますのですが、前に私、周総理とお目にかかったときに、日本は資源が何もないのに大工業国になった、だから資源を求めてどんどんやっていけば当然軍国主義にならざるを得ないというようなことを言われたのを思い起こしまして、クラウス・メイネルトのこういう印象に対して三木先生、どういうふうにお考えになりますかということ、この二つをお聞かせいただきたいと思います。
#29
○三木(武)議員 最初の質問は何も特別な意図はありません。それは鯨岡さんの言われるような、占い方をしても同じことですから。しかし台湾問題というものはいろいろな議論の中心になるものですから、そういったほうが理解しやすいということで使ったにすぎません。意味はありません。
 第二の軍国主義の問題は、中国ばかりでないのですね。世界各国ともこれだけの工業力を持っておる国がやがて軍事力に転化しやしないかという不安はやはり中国のみならず世界各国の中にあるんですよ。たいてい世界の歴史というものは、経済大国が軍事大国になった歴史ですから、そこに日本も行くのではないか、ことに鯨岡さんの御指摘になったように、資源を持たぬですから、日本は資源確保という点から考えてもそういう危険があるのではないかということが一点。もう一つはやはり過去の戦争、過去の軍国主義に対するイメージというものがもう全く消えてしまったとみることは私は事実に反すると思います。こういう二つの目がねをかけて日本を見ておりますから、そういうふうなことが単に中国ばかりでなしに世界各国においてそういう警戒の議論というものはあるわけですよ。ただわれわれ自身としても、軍事主義化することにはからだを張って戦わなければならぬ、皆さんも同じだと思いまするから、これはそういう意味において日本人の考えておる決意というものが将来外交の上において単なる決意だけでなしに日本の平和愛好国としての実績をこれからは積んでいかなければならぬ面はあるでしょうね。しかし決意は、国民の大多数が軍国主義化することに対して反対であることは明らかですから、もう少し世界の目に映るような、実績として日本の平和愛好国の姿が出てくると、軍国主義化というような非常な世界の警戒、不安というものがなくなっていく。これは一つの外交の課題だと思います。将来の大きな外交の課題である。
#30
○櫻内委員長 山田君。
#31
○山田(久)委員 もう時間もあれですから、ちょっと所感を申し述べて、先生のお考えをひとつお聞きしたいと思うのです。
 それは、いま基本的な原則についての認識問題というものを取り上げられたわけですけれども、つまり具体的な外交上の手段、方法の問題として、よく入り口論か出口論かということを言われておるけれども、私はそう簡単に考えていい問題だと思っておらない。第一点。これは先生自身が指摘されましたように、これら取り上げられた問題の中で条約的にいままで日本がとってきた法律的な立場というものがある。これについては、先生自身が御指摘になられたように、つまり国会というものの手続、あるいは憲法上の問題、そういうものを経ないで、アシュアランスというものをあらかじめはっきりした形で与えろというなら、アシュアランスの与え得ない種類の問題があるということは先生もおわかりの点じゃないかと思うのです。
 第二には、先ほど台湾の問題が取り上げられましたけれども、あの中における歴史的なおい立ちでずっと今日に至ったわけです。この問題は、将来における既得権あるいはそういうものの保障、将来の取り扱い、これは話し合いを十分やるということを必要とする。つまりそれによってわがほうがいろいろの態度を考えていかなければならないファクターもそこに含まれている種類の問題である。話し合わないですぐ結論を出し得ないものもそこにあるということも御理解いただける点じゃないかと思う。
 それから第三には、およそ外交交渉というものは、対等岩間の問題においては、これらの問題がすべての討論のサブジェクトに上がるということはけっこうでしょう。またその上がった結果というのは、大体の腹の中ではどういうようなものがあるかということで、非公式的な意見の交換というものが先立っていてもふしぎはないけれども、これをはっきりした条件に、あらかじめのコンデイションにしなければ会議そのものを開かない、交渉そのものに入らぬというふうな、政治的に見て対等者間における政府間交渉のあり方としては不自然な点を与えるという、従来の事例、先例からいってそういう政治問題がからんでくるのではないかと思われる点があるので、以上のような点はもうちょっと突っ込んでこれを考えていく必要があるのじゃないか。そういう私の見解であり印象でございますので、その点について先生の御意見を承わりたいと思うのです。
#32
○三木(武)議員 いまお話しのあった先へ方針を明らかにするのはどうかというお話ですけれども、中国との過去の不幸な歴史の経緯から考えてみてやはり――そういっても私はそういう反省の上に立って何でも中国のぺースでものをきめるという考えではない。日本の立場で考えることは当然ですけれども、何にも原則を明らかにせずして政府間交渉に入ろうといっても、それはやはりこの段階で、山田さんも外交のベテランとしてお考えになっても中国との間に無原則で入れるとお考えになるでありましょうかね。あなた事情をよく御承知でしょう。それで原則を何もきめないで、日本の政府の基本的な姿勢をきめずに、中国と政府間交渉をやろうといっても、これはなかなか実現をしないですね。その原則が日本の国民が考えてもまあ妥当であるという原則かどうかということは検討を必要といたしますよ。しかし方針も何もきめず中国と政府間交渉をやろうとしても、それはなかなか政府間交渉にも入れないのではないか。それでまた日台平和条約をそのままにしておいて北京と平和条約を結ぶというような考え方はとてもとれません。それは私が三点というものを強調したのは、その三点をみながこれに対して当然のことだと考えるならば、これは日台条約の処置というものはおのずから明らかですからね。それだからそういう点で初めにやはり原則をきめなければならぬ。
 次に述べられたことは、みなやはり実務的なものですからね。これは政府がこの条約というものをもし中華人民共和国と結んでも、その条約は国会の承認を受けなければならぬわけですからね。ただそれで条約が発効するわけでないのですから、それははいろいろな国民の考え方もそれを背景にしながら、政府間交渉の中で実務的な話し合いをしていくよりほかないんで、いまの段階でいろいろこまかいことをきめてかかるというのは政府間の接触もないんですからね。これは政府間交渉の場において実務的な問題は話し合いをすべきである、こういうことだと思うのです。
#33
○山田(久)委員 誤解があるようですから……。私は無原則で話をするということを申し上げているわけじゃないので、ただ先ほど申し上げているように、ものによっては政府間交渉のレベルで突っ込んでみなければ、向こうがほんとうにどれほどそういうものについて考えようとしているかということがわからない種類の問題がある。それらをひっくるめてやらないうちに、全部相手との関係において条件づけるということをしなければだめかどうかというような問題については、これはいろいろな角度からやはり検討してみる余地があるのじゃないか、そういうことを申し上げたわけで、わがほうの条件というものを、ちゃんと腹案として持っていなければならないことであるし、それが何らかの形において、たとえばいろいろ意見の交換というものが行なわれるということを、これは外交上の常識で、ちっともそれを妨げようとするものでないけれども、しかしながら政府間交渉がある種のはっきりした条件を、つまりわがほうでいうならば、従来の態度をはっきり変えますというアシュアランスというものを前提とするという意味の原則承認というようなこと、つまりそういうような形でいくべきかどうかという点は、非常に検討を要する点があるじゃないかということを申し上げただけですから……。
#34
○三木(武)議員 それを原則承認というふうに考えなくても自民党の、政府与党の中国に対する基本的な認識、基本的な方針、こう言ってもいいのじゃないでしょうか。やはり外交交渉をする場合に、相手が中華人民共和国を一体どういう政府であると認識しておるのか、向こうと、先へいろいろな条件を示して、何か日本がひけ目を感ずるように考えることは私はとらないのです。日本の政府がこういう考えであるということは、交渉の条件を先へ示して交渉したら身動きがならぬ、ようになるといこうとは考え過ぎでないでしょうか。政府間交渉ですからやってみなければどうなるかわからないですが、そうしてその結果に対しては国会の承認を受けなければならぬわけですから、いろいろな場面でやはり国民の意思というものが反映する場合があるのですから。しかし必要なことは、政府・自民党としての中国に対する基本的な認識、姿勢ということだけはきめてかからないと、なかなか政府間交渉にも入れないということを言っておるので、そのことで、あまり外交がそういうことではできぬといっても、中国との国交回復をするときには政府・自民党の基本的な態度をきめないと交渉には入れない、これを率直に申し上げておるわけです。
#35
○櫻内委員長 松本善明君。
#36
○松本(善)委員 三木さんのお考え、いろいろ伺って大体わかったわけですけれども、そういう考えでやっていかれますと、私どものように日華平和条約、日台条約にずっと反対という態度できている場合には矛盾はありませんけれども、いままでの自由民主党の政策等を考えますと、全く変わるというような、そういう性質のものであろうかと思います。三木さんのお考えとしては、過去の自由民主党の政策についてはどういうふうに考えるのか、あるいは場合によってはその責任というような問題もあるかもしれません。
 それから、先ほどちょっと国会との関係の問題ということを言われましたけれども、日華平和条約、日台条約をどうするかという問題は、方針というだけではなくて、やはり当然論議の中で問題になってくるのではないか。
 そういう諸点について三木さんはどういうふうにお考えになっておるか、この点を伺っておきたいと思います。
#37
○三木(武)議員 松本さんの言われる自民党の政策ですね。いままでの政策があって、大きな転換ではないか。転換だと思いますね。また、今日の時局がみな転換を必要としておると私は思うのです。冷戦構造の上に乗ってきた外交というものが――冷戦構造というものがやはりくずれつつあることは事実ですね。これからの外交というものは、今日やはり転換を必要とする時期に来ておるということで、やはり世界的な情勢の変化に外交は適応していかないと、いままでこうきめたからといって、その上に乗っかって、惰性で動いていったのでは、これは日本が孤立してしまう、そういうことだと思うのです。
 また日本と台湾との平和条約については、いま私があげておった点は、この三点というものがそうだということになれば、そのままに置ける性質のものではないですね。三点の原則に反するわけですからね。だからそこにおいてこの条約というものは存在し得なくなるわけだ。これはどういうふうな手続によるかということは、やはり国会の問題としてこの問題は研究もし論議もしなければならぬ、こう言っておるわけでございます。
#38
○櫻内委員長 三木議員には、たいへん有意義なる御意見を御開陳を賜わりまして、まことにありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
#39
○櫻内委員長 次に、航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を議題として審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本七郎者。
#40
○松本(七)委員 三件のうち、本日は航空協定に限って御質問したいと思います。
 外国との航空協定については、去る四十年の五月十一日に決議案が出されております。その前には四十年四号二日に委員会で可決されておるし、その決議案が本会議全会一致で四十年五月十三日になされておるというような、いろいろいきさつがあるわけでございますので、本協定の審議にあたって、少し広範囲にわたりますけれども、大急ぎで御説明を少し願いたいと思います。
 最初に、日本航空の現状ですが、特に職員、パイロット、スチュワーデス、事務職員、エンジニア、整備、そういうものを分けて、現在の構成へ員その他の状況を御説明願いたい。
#41
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 本年三月末現在の資料によりますと、日本航空の全職員が一万六千九百三人でございます。そのうち運航乗務員、これが千七百二十三名、この中にはパイロット、エンジニアが入っておりますが、そのうち外国人の運航乗務員が二百四十一名おります。それから客室乗務員、スチュワード、スチュワーデス等が二千四百三十九名。整備関係の職員が三千九百七十名。その他のうち地上勤務員、これが八千七百七十一名おります。八千七百七十一名のうち外地勤務をいたしております者が三千三百三十一名、このうち現地雇いの外人職員が二千七百九十九名おります。
#42
○松本(七)委員 それから、それに関連しますが、日本航空の国際的な航空界における地位、特に外国諸国の日航に対する評価はどのようになっているかという点。
#43
○寺井説明員 まず外国諸国の評価について申し上げますと、日本航空の企業としての伸びが、各国の航空企業に比べまして非常に急速であるという点が注目されておりますが、同時にその経営が非常に堅実であるということ並びに高い技術水準につきまして非常に高く評価されております。
 なお、最初の御質問の、どういう地位にあるかという点につきましては、これはいろいろ統計がございますが、一例といたしましてICAOの統計によりますと、一九七〇年の統計しかございませんが、輸送トンキロ、これは人間も目方にかえて計算しておりますが、七位になっております。一位がパン・アメリカンで、これの三分の一弱という状態でございます。
#44
○松本(七)委員 航空企業は国際的にだんだん激しい競争になってくると思われますが、日航として今後どういう点を整備増強する必要があるかという点。
#45
○寺井説明員 まず日本航空といたしましては、将来の需給の見通しというものを大体五年くらいの期間にわたりまして立てまして、それに基づきまして機材計画、乗員の訓練計画等を立てております。いわゆる五カ年計画というものは毎年、その年々の情勢によって手直しをいたしておりますが、たとえば機材の計画につきましては、四十六年度にボーイング747、いわゆるジャンボジェットが六機それからDC8が四十七機、ボーイング727が十二機、合計六十五機ございますが、これが五十年度になりますと、ジャンボジェットが二十八機、その他にエアバスあるいはDC10というようなワイドボデージェットが八機、それから現在ありますDC8は現状のまま四十七機、727がなくなりまして、合計八十三機という計画を立てております。
#46
○松本(七)委員 先ほど外国人の乗員の御説明があったのですが、外国人とそれから日本人の比率はどうなっているでしょうか。
#47
○寺井説明員 これは四十六年度で日本人乗務員が九百四十三名、外国人が二百四十一名でございますから、大体二割五分、五十年度になりますと、日本人乗務員が千六百五十人、外国人が百四十人程度になりますので、一割程度に下がると考えております。
#48
○松本(七)委員 今後はどういう方針でしょうか。外国人に一割はたよっているというのですが、完全に日本人乗務員でかわるという構想、計画がありますでしょうか。
#49
○寺井説明員 計画といたしましては、日本人乗務員によって完全に外国人乗務員を取りかえていくという方針でございますが、何ぶんに養成計画というものが需要に追いつきませんので、申し上げましたように、五十年になってもある程度の外国人乗務員が残るというのはやむを得ない状態でございます。
#50
○松本(七)委員 それからビルマ、メキシコに対する問題に入りますが、この両国に対する日本人の入国状況はどういう状況ですか。
#51
○中江説明員 お答えいたします。
 一般にビルマへの外国人の入国状況というのは伝統的にきびしかったわけでございますが、日本人のビルマへの入国状況は在日ビルマ大使館の発給しました査証の件数から見ますと、昭和四十三年に三百七十一、四十四年に千九十一、四十五年に千百九十八、四十六年に二千七十一、毎年増加の傾向にございます。これはビルマ政府が観光産業育成の見地から、観光客の入国を比較的ゆるめるという努力をしておりますので、その結果がこういう数字の増加にあらわれておりますとともに、日本の対ビルマ経済協力に伴います技術者等の渡航、各種プロジェクト建設のための渡航者、こういうものも入っておる、こういうふうになっております。
#52
○伊達説明員 メキシコについてお答え申し上げます。
 両国のいろいろな分野におきます近年の交流の活発化を反映いたしまして、わが国からメキシコを訪れます者、先方よりわが国を訪れます者、それぞれ過去五年ぐらいを見てみますと、昭和四十一年にメキシコを訪れました邦人は、端数を落としますけれども、一万、四十二年一万三千、四十三年二万、四十四年二万五千、四十五年四万というふうに着実にふえております。
 一方、メキシコからわがほうを訪れております旅行入国者、これは同年度それぞれ追いますと、四十一年に二千、四十二年二千、四十三年三千、四十四年四千、四十五年七千、約八千近くの七千人台でございますが、それぞれこのように着実に交流が益んになっております。
#53
○松本(七)委員 ビルマからの日本への入国はどうでございますか。
#54
○中江説明員 ビルマからわが国への入国者は、昭和四十三年に二百四十七、四十四年に百九十六、四十五年に二百九十六、こういう数字でございまして、大部分は留学生、それから技術研修生、こういうふうになっております。
#55
○松本(七)委員 先ほど中江参事官の御説明にもありましたが、ビルマへの入国許可というのは非常に厳格だったのですね。最近は観光のあれで緩和しているといわれるけれども、一般の渡航者がビルマに入国する場合、在日ビルマ大使館に入国査証を申請し、受け付けてから、向こうの木国政府の訓令を仰ぐとか、ずいぶん時間がかかっているようです。しかも、入国許可が出てから、たとえば商社員なんかは三カ月か六カ月しかいられないというような、その上、向こうのスポンサーの保証状とかあるいは推薦状を求められる、こういう非常にきびしい条件があったと聞いていますが、最近はどうなんですか。
#56
○中江説明員 ビルマは、ただいま松本先生もおっしゃいましたように、入国の条件がきびしいのでございますけれども、これは基本的にビルマ政府が、ほんとうにビルマの国に役に立つ人間だけに入国を認める、そういう一般的な政策をとっている結果としてそういうふうになっておりまして、これは外国から見ますと、もっと緩和してほしいということになるのですけれども、相手国がそういう政策をとっております以上、これを抜本的にどうするということはできないのでありますけれども、先ほども申し上げましたように、観光目的の者については最近緩和されてきた。今後、日本とビルマとの間も、だんだん経済協力などが進展していきますと、先ほどの数字にもございますように、増加の傾向にあると言えると思いますが、その手続に関しまして、いま生先御指摘のような、他の国に比べて時間がかかるとか煩瑣だとかいう点は確かにまだ改善してほしい面があると思います。この点につきましては引き続き、それがスムーズに行くようにという努力はいたしたい、こう思っております。
#57
○松本(七)委員 それは他国のことであっても、こういう協定を結ぶ以上は、そういう点の改善については、かなり強く日本政府側から要望すべきだと思うのですね。それで、こういう機会をつかまえてやることが必要だと思いますが、そういう御方針をとっておられるのかどうか。
#58
○中江説明員 外務省といたしましては、引き続き努力をいたしますし、また、いま御指摘のように、こういう機会をとらえてさらに努力していきたい、こう思っております。
#59
○松本(七)委員 それからビルマ、メキシコとの貿易通商関係の現状を御説明願いたいのですが、特に技術協力、経済協力一般ですね。文化交流等も含めてちょっと御説明願いたい。
#60
○伊達説明員 最初に、メキシコのほうからお答え申し上げます。
 ただいま御指摘のございました順を追ってまいりますると、日・メキシコ間の貿易関係も着実に数量的に往復ともふえておりまして、たとえば四十二年にはメキシコへのわが国からの輸出が九千二百万ドルでございます。これに対しましてメキシコから日本への輸入は一億七千二百万ドルでございましたが、昨年、昭和四十六年度を見ますと、メキシコへの輸出は一億二百万ドル、これに対しまして先方よりの輸入は一億六千七百万ドル、総額にいたしまして二億七千万ドルの往復貿易量を示しております。
 経済協力関係でございますが、これもそれぞれ従来、メキシコの電力開発計画にすでに過去三回にわたりまして約四千万ドルをわが国はコミットいたしておりますし、近く第四次分につきましても、ただいま前向きに検討をして引き続き協力をしていく態勢にございます。また、ラス・トルーチャスと申します国立の製鉄所の建設計画に対しましても、すでに過去約八千万ドルの融資をわが方はコミットいたしておりますほか、先生もまだ御記憶に新しいように、先般のメキシコ大統領一行の訪日を機会にいたしまして、わが方といたしましては、メキシコの太平洋岸の一、二の港湾整備計画への資金技術協力というものを取り進めていく段階になっております。
 メキシコは、その国の国策といたしまして、輸出を目的といたしますメキシコにおける合弁事業へのわが国からの積極的な資本、技術両面にわたります参加を希望いたしておりますし、御承知のように、わがほうから、民間業界を含めまして活発な進出が続けられております。
 それから、特に重点を置かれて御質問になりました技術協力関係でございますが、これはメキシコに特にきわ立って大きな計画といたしましては、昨年度から実施しております日・メキシコ双方から毎年百名ずつの研修生、学生を送り合います交流計画、これは技術協力のみならず、先ほどおっしゃった文化交流にたいへん資するものだと存じますが、この計画が緒についておりまして、本年も引き続き同種の規模でもって実施を続けていく非常に画期的なものであろうと存じます。
 関連いたしまして、昨年末現在で、政府ベースによります研修員の受け入れ総数は百五十七名、また、専門家の派遣は五十一名になっておりますし、この点は他の地域等へのわれわれの協力から申しましてかなり高い数字を出しております。
 同じく政府ベースの調査団等も、メキシコの鉄鉱山の開発計画調査団あるいは港湾の整備計画予備調査団等を出しておりますし、昭和四十二年の十二月に開所いたしました海外技術訓練センターの専業の一つとしてのメキシコ電気通信技術訓練センターというようなものが、それぞれ所期の業績をあげております現状でございます。
#61
○中江説明員 それでは、続きましてビルマについて御説明いたします。
 ビルマの貿易額の中でわが国が占めている比率が高いことは、先生も先刻御承知のとおりでございますが、ビルマが輸入する額のうちの大体二割内外というのはわが国が占めておりまして、過去十年間、ずっと日本からビルマへの輸出、つまりビルマから見まして日本からの輸入が常に第一位であったわけでございます。ビルマから外国への輸出につきましては、その四%ないし七%というものが日本向けでございまして、これは諸外国の順位からいきまして大体五、六位を占めております。
 貿易額で申し上げますと、一九六九年に日本からビルマへの輸出が三千七百万ドル、それからビルマからの輸入が一千三百万ドル、往復で五千万ドル、一九七〇年は、日本からビルマへの輸出が三千九百万ドル、ビルマからの輸入が一千三百万ドル、往復で五千二百万ドル、昨年はビルマへの輸出が五千九百万ドル、ビルマからの輸入が一千七百万ドル、往復で七千六百万ドル、こういう数字になっております。
 経済協力、技術協力の面でございますけれども、政府ベースの技術協力は、御承知のビルマ賠償が二億ドルございまして、その賠償に引き続きまして現在実施中の無償経済技術協力が一億四千万ドル、それから一九六九年以降三回にわたって約束しておりますいわゆる円借款というものがございますが、これの合計が百九十八億円となっております。研修員の受け入れとか技術専門家の派遣というような技術協力の面も若干ございますけれども、これはまだそうたいしてりっぱな水準までにはいっていない、端緒についたところ、こういうふうに見ております。
#62
○松本(七)委員 冒頭に申し上げました決議案のことですが、これは主として日米航空協定の不平等是正を趣旨とした決議案、こういった決議案が昭和三十九年八月に運輸委員会、四十年の四月に外務委員会で採択されております。それから四十年五月十三日の本会議の日米不平等航空協定改定についての決議、これはその後日米間のそれぞれの路線が改定されているようですが、その後の改定の年月日と改定された路線を御説明願いたい。
#63
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がありましたように、決議等によりまして御支援をいただいたわけでございますが、その後航空交渉によりまして、特に日米間の不平等の是正について努力を続けておりますが、まず、四十年の交渉におきまして、ニューヨーク経由世界一周の路線を獲得いたしております。それから、四十四年の交渉におきまして、アンカレッジ経由ニューヨークという路線と、サイパソ、グアムの路線を獲得いたしております。少しずつこの不均衡が是正されておりますけれども、まだ日本側の路線の以遠権に対する制限、たとえば中南米路線に対する制限等がございます。また、念願といたしておりますシカゴへの運輸権の獲得という問題も残っております。鋭意これらの不均衡是正に努力を続けておる状態でございます。
#64
○松本(七)委員 対米関係でなお交渉中の懸案といったら、いまのほかにどういうものがあるんでしょうか。
#65
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 日本側といたしましては、一番重点を貴いておりますのが、シカゴへの乗り入れ権の獲得でございます。このほかにロサンゼルス以遠の南米線あるいはサンフランシスコ以遠の中米線というような問題につきまして、制限を受けておりますのを解除するのが、当面の目標でございますこれ以外にと申されましたが、当面ございません。
 ただ、アメリカ側からは、チャーター協定によるチャーターの乗り入れを要請してきておりまして、これが日米間の大きな懸案の問題となっております。
#66
○松本(七)委員 この協定文の中にも、二国間の運賃決定にはIATAの運賃決定方式によるという規定があるんですが、このIATAの運賃決定方式はどういうふうになっているでしょうか。
#67
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 IATAにおきましては、運賃会議というものがございまして、これが世界を三つの地域、つまり南北アメリカ、ヨーロッパ・アフリカ、アジア・太平洋に分けて、地区内の運賃並びに地区相互間の運賃をこの運賃会議で定期的に検討いたしております。そして、運賃の改定そのものは、これらの運賃会議に参加いたしました参加者の全会一致によって決定されておりますが、決定されました運賃を関係各国が認可をいたしまして、初めて発効いたしております。
#68
○松本(七)委員 一般には、この国際線の運賃は非常に高過ぎるというような評がもっぱらあるのですが、この点は日本政府としてはどう見ておられますか。
#69
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 ただいま申し上げましたような仕組みで運賃が決定されておりますが、基本的には、運航の経費あるいは合理的な利潤、その路線の特殊性等を考慮して決定されております。この場合、各国の航空企業の経常能率というような問題もからんでおりまして、それが同一路線同一運賃というたてまえになっております関係上、現実には多少矛盾もあろうかと思われる点もございますが、こういうふうにして決定されました運賃を各国政府が尊重するというたてまえに立っております。
 そこで、現在の運賃が高いかどうか、これはなかなか判断がむずかしいところでございますが、路線によりましては、あるいは割り高である、あるいは割り安である、そういう感じを持つような路線もございますけれども、世界的に見まして国際航空会社というものは経常上いまたいへん苦境に立っております。このような現状から判断いたしますと、この運賃が一がいに高いとは言いにくいのではないかと考えております。
#70
○松本(七)委員 このIATAに入っていない国というのはあるのですか。
#71
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 航空会社といたしましては、IATAのメンバーでないものも現実にございます。たとえば日本に乗り入れておりますアエロフロート、キャセイ・パシフィックあるいはマレーシア――シンガポールですか、こういう航空会社はIATAのメンバーではございません。ございませんが、IATAの運賃というものを尊重いたしまして、それと同一の運賃を適用して運航いたしております。
#72
○松本(七)委員 それは、それぞれIATAのに入っている国と航空協定を結ぶ場合に、いま言われた事項を契約の中に入れるわけですか。
#73
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 この航空協定そのものとのIATAメンバーであるかないかということは一応別の問題でございまして、航空協定におきましては運賃条項というのがございまして、運賃が不当に高いあるいは不当に安い、そのために相手国企業に不当な影響を与えるというような場合には政府間で協議をする。ただ、この一つ前に、前提となっておりますのは、IATAで決定された運賃があればそれを尊重しましょう、こういう取りきめになっております。
#74
○松本(七)委員 国際線の運賃は必ずしも高いとは思っていないという御説明でしたが、国内線の運賃の決定のしかたはどういうふうになっておりますか、それから現行運賃についてどういうふうに考えておられますか。
#75
○寺井説明員 国内線の運賃につきましては、航空会社からの申請を運輸大臣が審査して認可することになっております。この基準は航空法百五条に定められておりますが、それを申し上げますと、まず、適正な経費に適正な利潤を含めたものであること、第二に、提供サービスの性質が考慮されているものであること、第三に、特定の旅客等に対して不当な差別的取り扱いをするものでないこと、第四に、旅客等が当該事業を利用することを著しく困難にするおそれがないもののであること、第五に、他事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがないものであることと定められておりまして、運輸大臣はこの申請を運輸審議会に諮問いたしまして、その答申を尊重して認可することになっております。
 付言いたしますと、現在航空会社から国内運賃の値上げの申請がなされております。旅客運賃につきまして平均二三%、貨物運賃につきまして二一%、この申請の理由は航空燃料税が本年四月から課税されましたこと、それから航行援助施設利用料の徴収が昨年の八月から行なわれておりますこと、その他一般的なコストの値上がり、こうした理由に基づきましてこのような申請が行なわれておりまして、この申請は現在審査中でございます。
#76
○松本(七)委員 現在日本航空と全日空が沖繩に乗り入れておるわけですが、たとえば国内の札幌等の運賃に比較すると、キロ数の割りには値段が高いということが以前から指摘されてきたわけです。これはどういう理由によるのですか。
#77
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 現在までのところ沖繩−東京間の運賃は二万六千七百円でございまして、この運賃と東京−札幌間の運賃を比較すると割り高であるという御趣旨かと思いますが、まず現状ではこれが国際線になっておることがございます。ただ、それをキロ当たりに換算いたしますと、東京−那覇間のキロ当たり運賃が十五円五十銭、東京−札幌間が十三円六十銭と確かに割り高になっておりますが、今後運賃が改正されますと、東京−札幌間が十六円四銭というようなことになりますので、大体バランスのとれた運賃になるかと考えております。
#78
○松本(七)委員 それは沖繩の復帰後バランスがとれるという意味ですか。
#79
○寺井説明員 さようでございます。
#80
○松本(七)委員 それから、ソ連がわが国に対してモスクワ、東京、台北、マニラ、サイゴンまたはバンコクといった路線を要求してくるのではないかということがもっぱらいわれておりますが、これは事実でしょうか。
#81
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御質問の点につきまして私どもはまだ何ら伺っておりませんが、協定上の権利といたしまして、ソ連側は日本以遠三地点を使うことができますので、そういうこともあるかも存じません。
#82
○松本(七)委員 日本側は、ビヨンドモスクワは新たにどこを要求するのですか。
#83
○寺井説明員 日本側といたしましては、現在御存じのようにビヨンドモスクワはパリ、ロンドン、ことしになりましてコペンハーゲン、この三地点を運航いたしております。今後、日本側としてソ連側に要求する可能性のある地点といたましてはフランクフルト、あるいはローマ等が考えられております。
#84
○松本(七)委員 あとはちょっと大臣にお聞きしたいことがありますが、メキシコとの間の漁業協定が四十三年ですか、通商協定が四十四年、ビルマとの間に今後通商協定とかあるいは租税条約といったものを締結する考えはあるのですか。
#85
○中江説明員 ただいま御質問の点につきましては、日本とビルマとの関係がだんだん深まっていくにつれましてその要望も出てくるかと思いますけれども、現段階では具体的にどういうものでいつごろからどうしようという話はございません。
#86
○松本(七)委員 諸外国の例を見ますと、国際航空企業に対して相当の補助金を出しているようです。かなり保護、育成々をやっているのですが、日本の場合は、今日日本航空に対して出資金その他でどの程度の援助をしているか、また今後の支援の計画等がおありでしたら御説明願いたい。
#87
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のありましたように、日本航空に対しては出資金、あるいは航空機を購入いたします際の融資に対する保証等を行なってまいっております。購入の際の融資の実態について申し上げますと、時期によって多少の差はございますが、大体総額の四〇%を米国輸出入銀行、残りの四〇%を米国市中銀行から調達いたしております。そして四十七年三月末におきます航空機購入関係の借り入れ残高は双方合計いたしまして千百五十四億で、四十七年度中の返済金額は百八十三億となっております。今後の計画につきましては出資金、あるいはこのような借り入金に対する保証という形で援助をしていく考えております。
#88
○松本(七)委員 けっこうです。
#89
○櫻内委員長 中川嘉美君。
#90
○中川(嘉)委員 まず前半は一般的な質問になるかと思いますが、わが国と航空協定を締結している国は現在のところ何カ国くらいあるか、またその中でわが国から乗り入れをしていない国及び先方がわが国に乗り入れてない国はどことどこであるか、この点をまずお答えいただきたいと思います。
#91
○穂崎政府委員 お答えいたします。
 わが国が航空協定を締結しております国に現在総数で二十七カ国でございます。
 そのうちわがほうが乗り入れを行なっていない国はスイス、ベルギー、ブラジルの三カ国であります。それから先方だけが乗り入れてない国はございませんが、クウェートは現在のところ双方とも乗り入れておりません。これは最初クウェートがわが国に乗り入れておったわけでありますけれども、機材の関係上乗り入れを中止しておるものであります。
#92
○中川(嘉)委員 ちょっと確認したいのですが、スイスから日本へは来ているけれども、日本からスイスへは乗り入れていないということ、ちょっと確認だけしておきたいのです。
#93
○穂崎政府委員 そのとおりでございます。
#94
○中川(嘉)委員 航空協定を締結していながら乗り入れをしていないというようなケースですね。これはどういう理由によるものか。わがほうの理由はおもにどういう理由か、そうして先方の理由はどういうものか、この辺をお聞きいたしと思います。
#95
○穂崎政府委員 航空協定を締結いたしましてわがほうが乗り入れていない理由は、まず第一に、おそらく一般的に申しますと、締結した相手が日本に乗り入れの希望を持っている。それに対しまして日本のほうは現在の段階では、旅客の需要がないとか、企業採算が合わないとかいうようないろいろな理由、それから第二番目には、やはり飛行機がたくさんありますればできるわけでありますけれども、飛行機の数の観点等から、ほかに、有利な方面に使っているという理由に基づくものであります。
#96
○中川(嘉)委員 今後、すなわち近い将来においてですけれども、わが国が航空協定を締結するための交渉を行なっている国があるか。また交渉を行なう予定の国はあるかどうか。この辺の将来の見通しはどうでしょうか。
#97
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 現在交渉を行なっておる国は、ただいま現在では、ございません。ただ、今後航空協定締結交渉をいたしたい考えております国につきまして二、三申し上げますと、たとえばギリシアあるいは南米のペルー、チリあるいはアフリカの国々、これは今後の日本航空の発展計画に基づきまして逐次協定を結んでおきまして、その実施ができる段階に至りましたらば運航開始に入れるように準備をいたしたい、かように考えております。
#98
○中川(嘉)委員 それでは、わが国の今後の国際航空業務のビジョンといいますか、あるいは構想といったほうがいいかもしれませんが、こういったものがあればここで教えていただきたいと思います。とりあえず、ここ数年中にどのような計画を持っておられるか、この点を御答弁いただきたいと思います。
#99
○寺井説明員 お管え申し上げます。
 将来の計画といたしましては、まず現在メキシコまで参りました線を南米に延ばしたい。これはそのまま延ばすという方法と南太平洋を通って延ばす方法とございますが、いずれにしても南米に入りたいというのが当面の目標でございます。
 それから、これはまだかなり先になるかもしれませんが、アフリカ諸国への航空路を開設いたしたい、こういう当面の目標でございます。
#100
○中川(嘉)委員 四月十九日の新聞報道によりますと、成田空港の騒音に対する新東京国際空港公団、ここの態度に不満を持ってIATAのハマーショルド事務総長が五月に日本へやってきまして、そうして日本側の発着規制に対して二十四時間運用を主張して、佐藤総理に直接談判するという記事が出ておったようですが、この点の詳細について運輸当局からひとつ伺ってみたいと思います。
#101
○寺井説明員 IATAのハマーショルド事務総長が成田の運用時間問題に関連いたしまして来日するという新聞報道もございましたし、われわれもそのように通報されております。このIATAの目的といたしますところは、国際空港というものは本来二十四時間運用されなければその機能が十分達せられないという立場に立っておりまして、これは原則といたしまして国際空港というのは二十四時間運用である。国際線は御存じのように時差の違う国々から運航されておりまして、各国が制限をいたしますと実際に飛行機が飛べる時間というもの、離発着できる時間というものが非常に限定されるというようなことから、こういう主張をいたしております。外国にも、通用時間を制限いたしております空港はございますが、この場合にはそれの代替空港というものが設けられておるというようなことで、成田につきまして運用時間を制限するということに外国企業が非常に反対しておる。その声を代弁してハマーショルドが来るというふうに了解いたしております。
 しかし反面、新空港の周辺、現在は民家がかなり少ない状態でございますが、いずれにしても住民がおりまして、これらの住民に対する騒音防止対策というものについても十分配慮せざるを得ませんので、深夜の飛行制限というものについては何らかの処置をとらざるを得ないと考えております。
#102
○中川(嘉)委員 いま何らかの措置というふうに御答弁があったようですが、やはり国際空港の機能というものをそこなってしまうというここにもこれは問題があるかとも思います。しかしながら、付近に住む住民の意思というものはこれはやはり当然尊重されていかなければならないし、一番大事なことだと思います。そういった意味でこの点を十分勘案して、いま言われた万全の対策を講じていただきたい、こういうふうに言いたいわけですが、とりあえずそれでは、何らかのというおことばですけれども、どういう措置を考えておられるか。何らかの補償による措置であるとか、何かもう少し具体的に、いま当局としてこういうようなことを講じてはどうかというような案でもあれば、ひとつ教えてもらいたい。
#103
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 さしあたりは、やはり深夜の運航制限というものを行なわざるを得ないと考えております。この時間については、羽田で現在行なっております程度のことはどうしてもやらなければならない。それから付近の公共施設の防音施設、防音施設工事等につきましては、すでに大阪、東京で行なっておりますのと同じことができるかと考えておりますし、さらには住宅に対する防音施設工事の補助というようなことも検討中でございます。
#104
○中川(嘉)委員 わが国においてときどき大きな航空事故、航空機の事故が発生しておりますが、この事故発生防止について運輸当局は当然対策を講じておられると思いますけれども、具体的にどのような対世を講じておられるか、この点を伺いたいと思います。
#105
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 航空機事故をなくすということは航空行政の究極的な目的であると考えておりまして、当局といたしましても全力をあげて努力をしております。航空機材の大型化、高速化に対応いたしますために、飛行場並びに航空保安施設整備に対する五カ年計曲というものを策定いたしまして、これを中心にいろいろな施策を講じております。また同時に施設のみならず、企業自身の体制の改善にも注意を払う必要がございますので、航空機の安全性の検査、運航従事者の資格審査あるいは運航するにあたってよるべき基準としての運航規程の認可、さらには企業全体の事業の遂行能力というようなものも審査いたしまして、免許制度等を通じて航空機事故の絶滅のために努力を行なっている次第でございます。
#106
○中川(嘉)委員 事故発生に関して、先ほどの御答弁では企業の体制の改善ということも述べられておりますが、その前に言われた設備とか施設等に関する五カ年計画、これももちろん大事だと思いますが、企業の体制の改善ということに関して、やはり自然的あるいは技術的、その他いろいろの要因が私は考えられると思いますが、特に乗員の不足であるとかあるいは過労ですね、それから技術の未熟等も大きな原因の一つじゃないか、このように考えます。そこで、乗員の教育あるいは訓練、員数の獲得等について当局としてはどのように対処しておられるか。特に、人間の数が少なくて非常に過労におちいったり、無理が生じたりしてこういった事故に結びつくということを考えると、この点どういうふうに対処しておられるか、この点を伺っておきたいと思います。
#107
○寺井説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたように、運航従事者の資格の問題につきましては十分な審査等を行なっておりますし、また運航事業者に対しましても、その就航基準等を通じまして無理のないように指導をいたしております。
 最後に御質問のパイロットの養成等につきましては、主として国としてこれに当たっておりますのは航空大学でございますが、ここの養成人員を増加せしめることによって今後の需要に見合うように計画いたしております。
#108
○中川(嘉)委員 御答弁の意味はよくわかりますが、政府としてこのような乗員の教育であるとか訓練あるいは員数の獲得等に関しては、できればもっと長期的な計画というか、そういうものを持って臨むのが当然ではないか。いまの御答弁も、大体こういうような年数でこういうふうに持っていきたいというような、もう少し時間的な、そういう長期性というか、そういう計画をもう少し御答弁をいただければと思ったわけですか、これから先はちょっときょうは――先ほどこの委員会も十二時半ごろというお話もございましたし、だいぶまだ私の質問も残されておりますので、きょうのところは一応この辺で質問を留保いたしまして、私の質問を一たんここで打ち切っておきたいと思います。
#109
○櫻内委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる五月十日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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