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1971/05/23 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第17号
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1971/05/23 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 外務委員会 第17号

#1
第068回国会 外務委員会 第17号
昭和四十七年五月二十三日(火曜日)
    午前十時十七分開議
 出席委員
   委員長 櫻内 義雄君
   理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君
   理事 正示啓次郎君 理事 永田 亮一君
   理事 山田 久就君 理事 松本 七郎君
   理事 西中  清君 理事 曽祢  益君
      石井  一君    左藤  恵君
      田川 誠一君    西銘 順治君
      福田 篤泰君    福永 一臣君
      黒田 寿男君    堂森 芳夫君
      三宅 正一君    渡部 一郎君
      松本 善明君
 出席政府委員
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        外務政務次官  大西 正男君
        外務省条約局外
        務参事官    穂崎  巧君
        外務省国際連合
        局長      影井 梅夫君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  柏木 輝彦君
 委員外の出席者
        通商産業省公益
        事業局原子力発
        電課長     武田  康君
        外務委員会調査
        室長      吉岡 俊夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十三日
 辞任         補欠選任
  木村 武雄君     左藤  恵君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  恵君     木村 武雄君
    ―――――――――――――
 五月十九日
 世界連邦建設の決議に関する請願(南條徳男君
 紹介)(第三四七四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関
 する協定の締結について承認を求めるの件(
 条約第二号)
 原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とオーストラリア連邦政府との間の協定
 の締結について承認を求めるの件(条約第七
 号)
 原子力の平和的利用に関する協力のための日本
 国政府とフランス共和国政府との間の協定の締
 結について承認を求めるの件(条約第八号)
     ――――◇―――――
#2
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 国際電気通信衛星機構に関する協定の締結について承認を求めるの件、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を議題として審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤恵君
#3
○左藤委員 私は、国際電気通信衛星機構に関します協定につきまして政府の見解をお伺いいたしたいと思います。
 一九五七年に史上初めて人工衛星のスプートニクが打ち上げられましてから、人工衛星を利用して行なう通信方式が急速に進んでまいりました。米国は、国際通信はこの方式を取り入れて実用化しようということで努力をしてまいりました。そして六二年に通信衛星法を制定して、いわゆるコムサットを設立いたしまして、各国に対しまして世界的な通信衛星系を設立しようということで、わが国にもまた豪州、カナダ、そしてヨーロッパの各国に対しまして数次にわたって呼びかけを行なって、その結果いろいろ交渉を行ないました結果が、暫定的な制度として従来の暫定協定が生まれたわけであります。この協定の中に、一九七〇年一月を目途としてこの恒久的な制度への移行ということを規定しておったわけでありますが、その前の六九年の二月から数次にわたって、九回ですか、会議が非常に何回も、そしてまたその期間も非常に長期にわたりまして、激しい交渉の連続ということで、その結果生まれ出たものがこの本協定である、このように承知しておるわけであります。
 そこで、最初に外務政務次官にお伺いいたしたいと思いますが、従来暫定協定であるということでこの暫定協定は国会の承認事項になっていなかったわけでありますが、今回恒久的な協定に至りまして政府は国会に対して承認を求められているというその理由につきましてまずお伺いいたしたいと思います。
#4
○大西政府委員 今度の協定は法律事項を含んでおるわけでございます。したがいまして国会の御承認を得なければならないわけであります。
 法律事項と申しますと、たとえばインテルサットは法人格を有しておる、それから特権、免除といいますかそういう規定もございます。そういうわけでございます。
#5
○左藤委員 いま政務次官のお話の中にありましたが、この新しい衛星機構、すなわちインテルサットは従来のインテルサットと違って法人格を持つというお話でございます。確かにこの条約の四条にそういった規定が、法的な性格というものが明らかになっておるわけであります。明示されておりますが、その法的性格というのは法律的に申しましてどういうふうにお考えになっておるか、この点は条約局長からお伺いしたいと思います――いなければ国連局長でも……。
#6
○影井政府委員 お答え申し上げます。
 今度の新しい協定におきまして一つの特色と申しますか、これは政府代表で構成されます機関と、それから電気通信企業を行なっております、署名者と呼んでおりますが、この両立てになっているという点が前の協定と比べまして法的に相違している点かと考えております。
#7
○左藤委員 そうでしょうか。私はその理解はちょっとおかしいと思います。いま私のお伺いしているのは、今度は四条にはっきりと「インテルサットは、法人格を有する。」と書いてありますが、その法的な性格はどういうことかといういとです。
 それから、いま国連局長お話しになった点は、前にも政府間協定ともう一つは事業者間の協定というものが二段がまえで暫定協定にもあったわけでありまして、その点については立て方と申しますか変わりがないと思いますが、いまのその問題は別といたしまして「法人格を有する。」と書いてありますこの法的な性格についてお伺いをいたしたい。――それでは私あとでその法人格の法的な性格についてお答えをいただくことにいたしまして、協定はたくさんいろいろな新しい問題を含んでおると思いますが、現行のインテルサットのいわゆる暫定協定から見まして、今度新しく恒久化されましたこの協定を締結することによって現行のインテルサットはどのように変化するかという点についてお伺いいたしたいと思います。
#8
○影井政府委員 インテルサットの事業、これが主として国際公衆電気通信業務のため電気通信衛星を商業的に提供する、また各国の電気通信事業体が実際の出資等によりましてこれに参加する、こういう点は暫定協定それから今度の新しい協定、共通でございます。
 ただ相違点といたしまして、今度の新しいインテルサットが法人格を有しまする政府間の国際機関となるということ、それからその機構におきまして締約国総会及び署名当事者総会、これが設けられますほかに一種の国際化されました事務局が設けられるということ、また出資率の算定が、インテルサットの使用実績を基礎といたしまして毎年行なわれる、こういう点が新しい変更でございます。
 またそのほかに、資本限度額が従来三億ドルでありましたものが五億ドルまで引き上げられる、またこの新しい協定におきましては、インテルサットの業務範囲が明確に規定された、言いかえますと国際電気通信業務のほかに余裕がある場合には国内公衆電気通信業務及び特殊電気通信業務のためにもこの衛星の回線を提供することができる、それからまた地域通信衛星の打ち上げに関しまして加盟国が要求されております手続、これに関する規定が設けられた、こういう点が暫定協定にない、新しく加えられた点でございます。
#9
○左藤委員 いまお話しの幾つかの点につきまして、新しく入った問題がある。それによって恒久協定としてはかなり落ちついたものになってはきたわけでありますけれども、それにいたしましてもこの協定が私冒頭に申しましたとおり非常に数回にわたる交渉が行なわれて、その中におきましていろいろと問題を含んでおり、論争になった点があるように伺っております。そこで、この論争の問題につきまして、おもな争いのあった点、特にアメリカなり南米諸国それからもう一つはヨーロッパ、こういった国々との間で、協定をつくり上げます交渉の段階においてかなり論議があったと思いますが、その点について御説明をいただきたいと思います。
#10
○影井政府委員 この協定の作成交渉の間におきましていろいろ問題点がございましたが、大体大きく申しまして四点あったのではないかというふうに考えております。
 最初に第一点といたしまして、この新しい組織の構成といたしまして、総会、理事会、この両機関を設ける、これにつきましては意見の一致があったのでございますが、そのほかにどのような種類の機関を設けるべきであるか、また各機関の任務、またその投票権等についてもいろいろ争いがございました。
 まず総会につきましては、加盟国政府によって構成されます締約国総会、これのほかに実際の出資等に当たりまする署名当事者によって構成されまする総会をも設けるべきである、この意見がアメリカ等から表明されまして、結局、総会を締約国総会それから著名当事者総会、この二本立てにすることによりまして落着を見ました。
 次に第二点といたしまして、理事会、これの構成、それからその投票権、これをめぐりまして大国と小国との間に対立があったということでございます。小国の側からいたしますると、出資率の大きさにのみ基づいて理事会に代表されることになる、こういう構成では小国側といたしましては理事会に代表される機会がないのではないかという議論がございました。このために出資率の大小には無関係に五名以内のいわば地域代表、これを加えるということにいたしまして落着いたしました。また理事会の投票権でございますが、これは現行のままでは出資率の関係でアメリカが五〇%以上の票数をいわば独占するということになっておりますが、これを改めまして、いわばアメリカ一国による拒否権的なものの存在を避けるという意味におきまして、一理事国が投ずることができる票数の最大を四〇%ということに限定いたしました。
 それから第三点といたしまして、この管理業務をどのように行なうか。これは組織に関する最も重要な問題でございまして、アメリカ側は現在の管理者でございますコムサット、これを引き続き管理者とすべきであると主張いたしましたが、これに対しまして、固有の事務局を新たに設けましてこれに管理業務を行なわせるべきであると主張いたしまするヨーロッパ諸国、このアメリカ対ヨーロッパとの対立が相当に深かったのでございますが、結局両方の妥協案といたしまして、最初の六年間に限りましてはインテルサットの技術業務及び運営上の管理業務をコムサットに対しましてインテルサットとの契約によって行なわせる。この期間が経過いたしました後、六年を経過いたしました後は事務局がすべて管理業務の遂行につき責任を有する。この妥協案で問題点が落着した次第でございます。
 それから第四の問題点は、この加盟国によりまするインテルサット衛星とは別個の衛星、いわゆる地域衛星を打ち上げることの可否についての論争でございました。わが国及びヨーロッパ諸国は地域衛星の開発、これに積極的な関心を有している次第でございますが、米国また開発途上国、これらの国は、インテルサットは世界的な衛星組織で、これを一元的に運営すべきである、したがって、地域衛星の打ち上げは押えるべきであるという対立がございました。結局、妥協案といたしまして、技術的、経済的な両立性につきましてインテルサットと協議するということを条件にいたしまして、つまり打ち上げにつきまして一定の手続きを経るならば、この地域衛星を打ち上げることは差しつかえないということで、この問題点についての妥協がはかられた、こういう次第でございます。
#11
○左藤委員 いま、四つの論争があった点につきましての御説明があったわけですが、これは外務省のほうにお伺いしたいのですが、印象といたしまして、最近のいろんなアメリカの世界的な国際外交における地位といいますか、そういうものが少しずつ変わってきておる、そういう変化の問題、そしてこの交渉の過程において、いまお話があったように若干の妥協というものを順次やってきたという、そういう一つの変化、これがやはり一つの同じような線をたどっておるかどうか、方向をたどっておるかということについて、これは御感想でいいのですが、そういうことをお伺いいたしたいと思います。
 と申しますのは、最初の段階におきましてはアメリカは、まずこの衛星そのものを打ち上げる力というものがアメリカでなければできなかったという点について非常に大きな発言権を、六〇%に近い五〇数%という出資率を持ち、投票権を暫定協定においては持っておったのを、まあ五〇%以下にそういうものを押えられるとかいうふうなことで、いろいろと変わってきたと思います。また、あれだけ非常に執着いたしておりましたコムサットの問題も六年後には新しい事務局、固有の事務局を持つことに妥協してきたというふうなこともあったわけでありますが、そういうことにつきまして、アメリカの国際外交における地位とこの問題について同じような方向をたどっておるかどうか、少しずつ国際外交の中におけるアメリカの地位が低下しているということばがいいかどうかわかりませんが、変化しておることについて、その交渉と軌を一にしておるかどうかについて御感想を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#12
○影井政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、もしお許しをいただけますならば、最近五年間、私、米国に在勤いたしておりましてアメリカの内部から見ておりました、これは全くの印象と申しますか感じでございますが、ただいま先生御指摘のとおりに、かつてアメリカ合衆国は政治、経済、それから技術その他において世界で圧倒的な優位な地位を占めていたということは事実であったと思います。しかし近時それが他の国がいろいろ追い上げてきたと申しますか、したがいましてアメリカのいままでの絶対的な優位というものが相対的に狭められてきておると申しますか、そういう感じは少なくともアメリカの中におりますとそういうものを感じてまいった次第でございます。したがいまして、ただいま先生のおっしゃいましたような点、本件交渉を通じましてアメリカの非常に圧倒的と申しますか絶対的な優位というもの、それがだんだん狭められてきたと申しますか、追い上げられてきたという感じはあったのではないかというふうに想像いたします。
#13
○左藤委員 いま御感想を伺ったのは、実は私、この問題に関連いたしまして、ソ連をはじめとする共産圏の諸国がいままでこの暫定協定に参加していなかったのはどういう理由であろうか、そしてまたいまやソ連圏だけでスプートニクという一つの、自分らだけといいますかそういうソ連圏だけの通信衛星系というものを持っておりまして、このインテルサットのほうにも逆に呼びかけをしておる、インテルサットのほうからはそういうソ連をはじめとする共産圏諸国に対して呼びかけをするけれども、その間にまだお互いに入ろうとする動きもない、こういうことであると思いますが、これに関しまして、どうした理由で入らないだろうか、また将来も入らないだろうかということについての見通しといいますか、そういうものについて御見解があれば伺いたいと思います。
#14
○影井政府委員 この将来の見通し、これは非常にむずかしいことと思いますが、少なくとも現状について見ますと、ただいま先生おっしゃいましたとおりに、インテルサットに対しまして、インタースプートニクということで、ソ連圏と申しますか、社会主義国、これが別の通信衛星組織をつくろうとしておる。インタースプートニク、これを打ち上げて、別個の組織をつくる、これにはたいへんな技術、資本もかかっていることと考えますので、これが非常に近い将来に、インテルサットの組織と申しますか、系統と一緒になるということは、政治的な理由もからみまして、ごく近い将来にそれが実現するということは、その可能性は比較的少ないのじゃないかというふうな見通しを持っております。
#15
○左藤委員 昨晩、アメリカのニクソン大統領がモスクワを訪問されたわけでありますが、その空港に到着される模様が宇宙中継でわが国のテレビにも入ってきたわけでありますが、このルートにつきまして、どういった衛星系を使って報道されたかについて御説明いただきたいと思います。
#16
○柏木政府委員 このたびのニクソン大統領のモスクワ訪問の状況の番組中継でございますが、これはNHKがNBCの番組を受けて、それを全国中継をしておるというふうに聞いております。
 このルートでございますが、御承知のように、これはソ連からドイツのライスチングの一流局を経由しまして、大西洋衛星を経由した宇宙中継で、まずアメリカに映されまして、それをさらに太平洋衛星、現在両方とも四号衛星でございますが、これを通じまして日本の茨城地上局で受けた番新を、KDDの回線を通じましてNHKのセンターに伝えられたという系統で来ているわけでございます。
#17
○左藤委員 これは一つの番組を取材しますルートの問題ともからみがありまして、そしてどのルートの衛星を使って電送されるかということになろうかと思いますが、いまかりにわが国が、たとしえばNHKならNHKが直接にソ連の国営放送局と契約いたしまして、そしてインタースプートニクのモルニヤ衛星を使って直接に受信しようとすることができるかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
#18
○柏木政府委員 それには技術的な問題と、それから現在のインテルサット条約、現在暫定協定でございますが、その関係と、二つの問題があろうと思うわけでございます。
 インテルサットの暫定協定関係では、メンバー外が打ち土げた星、衛星組織の利用についての条件が明らかにされておらないわけでございます。これは恒久協定におきましては、第十四条に、その利用の際には、インテルサットに協議をするという条項があるわけでございますが、まずいまの暫定協定の状態におきましては、この点については一応拘束はないというふうに理解しております。ただ、技術的な問題につきますと、一方は、インテルサットは静止軌道に配置された衛星を地上の受信局で受けるわけでございますが、インタースプートニクの星は静止衛星でございませんので、長楕円形の雄の軌道に乗るということでございまして、これを受けます受信局の設備も相当違う設計に基づいたものになりますし、また、これに使用します周波数の問題も相当違うものを現在使っておりますので、その辺にかなり技術的な問題があると考えます。
 御承知のように、現在インテルサット並びに先ほど申し上げましたようなユーロビジョンあるいはインタービジョンという東欧諸国並びに西欧諸国を通じます番組ネットワークの交換のための組織がすでにかなり長い期間運用されておりますので、ソ連と日本との間の番組の交換ということは、これらのネットワークを通じまして十分にその目的を達しておりますし、また今後もこの目的には十分沿い得るものと考えております。
#19
○左藤委員 それでは、この問題についてもう一つだけ、この協定を承認して批准することをいたしますと、もうインタースプートニクには加盟でできないかどうか、また、加盟できるとした場合には、そういう検討をして、技術的な問題について将来、両方に加盟することは通信政策上適当だと思われるかどうか、適当だと思われるかということばが妥当かどうかわかりませんが、そういう可能性があって、それを十分検討して、いいとお考えになっておられるかどうか、この辺の二点をお伺いしたいと思います。
#20
○柏木政府委員 一つは、ソ連を含めます東欧諸国との通信事業の将来の予測、どの程度かという問題があると思いますが、御承知のように、日本の国際通信はアジア地域内あるいはアメリカ地域とも非常に量が多いのでございますが、それを含めまして東欧全域での電信電話その他の通信量は、現在国際電電の取り扱っております通信量の一%前後というものでございます。また、この通信の疎通につきましては、御承知のように数年前日本海海底ケーブルという非常に進んだ海底同軸ケーブルを経由しまして、日本からモスクワを経由し、東欧諸国並びに西欧諸国と直接通信の連絡が設定されておりまして、非常に円滑な運用が行なわれているわけでございますので、今後、当分の需要量から見ましては、現在のルートのままで、特にインタースプートニクを利用するというような必要性はまずないかと思います。
 また、インタースプートニクの協定に一つ問題があるのでございますが、この協定の構成員といたしましては電気通信事業体が参加する国際機関でございますが、これはインタースブートニクの場合には政府のみを構成員とするという条項がございまして、これがたいへんさわりになるかと存じます。
#21
○左藤委員 それではもとに戻りまして、本件の協定を批准することによりまして、一体わが国が得る利益はどういうことか、またわが国が負わねばならない義務というのはどんなものであるか、本件が暫定協定から恒久協定に移行するわけでありますから、その移行に伴いましてのわが国の利害得失というものについて、これは外務省のほうから御説明いただきたいと思います。
#22
○影井政府委員 本件協定へ移行することによりまして、わが国にとりまして利益となる点、これは次のようなものが考えられる次第でございます。
 第一は宇宙の開発利用におきまして、衛星通信、これは重要な地位を占めておりますが、この分野におきまする国際協力機構が設立される。また、国際通信等におきまして、安定したサービスの提供を受けられる。第二点は、わが物の現行のインテルサットにおきます使用実績、これは約四・五%でございまして、米、英に次いで第三位でございますが、現行と申しますか、暫定協定のもとにおきましては一・七%の割り当て率に相当する発言権を与えられているのみであった。この新しい協定へ移行いたしました後におきましては、わが国は理事会におきまして、使用実績に応じました四・五%の発言権が確保されるということになる次第でございます。それから第三点といたしまして、日常の業務運営、これは現在コムサットが行なっておりまするが、これが新しい協定に移行いたしました後は、国際化されました事務局が行なうということになりますので、わが国からも実力に相応いたした参加ということが期待できる。また、インテルサット衛星を利用いたしますとともに、必要に応じましては、インテルサット衛星とは別の地域衛星、これを打ち上げる権利、この権利が確保されたということもあげられるかと存じます。なお、この新しい協定への移行に伴いまして、わが国がこうむるべき不利益ないし損失というものは、現存のところ予見されていないという次第でございます。
#23
○櫻内委員長 左藤君にちょっと申し上げます。
 先ほどの答弁の保留した分、政府側から答弁がございます。穂崎条約局参事官。
#24
○穂崎政府委員 先ほど左藤先生から御質問のございましたインテルサットが法人格を持つということはどういうことかということについてのお答えを申し上げます。
 協定の第四条を見ますと、「インテルサットは、法人格を有する。」と書いてございますが、この意味はインテルサットの法的な行為能力を国際的に認められるという、各国ともインテルサットの法的な行為能力を認めようということでございまして、そこにもございますように、この能力がございますと、国または国際機関との協定を締結するとか、契約をするとか、財産の取得、処分、訴訟当事者等になることができるわけでありまして、この条約によって、法人格を認めるという規定がございますので、日本の国内におきましては、その第四条の第二項を見ますと、「各締約国は、この条に規定する事項を自国の法律において実施するため自国の管轄内で必要な措置をとる。」と書いてございますが、日本ではすでに民法の第三十六条、外国との条約がございますればそれによって法人を認められたものについては日本において外国法人としての行為能力を認めるということになっておりますので、この条項があることによりまして、インテルサットは日本においても法律行為をすることができるということになるわけでございます。
#25
○左藤委員 いまの点はよく了解いたしました。
 先ほど御説明がありました中で、地域衛星の問題について若干お伺いしたいと思います。
 この協定の十四条を見ますと、地域衛星を打ち上げることができるということがありまして、そのことにつきまして十四条の(d)の規定をめぐりまして米国と欧州諸国との間のやりとりが非常に激しく行なわれておる。アメリカのほうはこの地域衛星を打ち上げのことにつきまして協議を受けた場合、締約国総会で三分の二の多数の賛成がなければこれは認められない。三分の二以上の賛成があって初めて打ち上げを認められる、こういうふうな解釈をいたしております。ところが、ヨーロッパのほうは締約国総会はその三分の二が否定的な投票を行なわない限り、打ち上げを否認する認定を表明しない。三分の二が否定的な投票をしたときに初めて打ち上げることができないというような解釈をしております。それで、この点につきましては、この協定を締結するまでの段階におきまして、最終的な結論が出ていないと伺っておりますが、その後何か話し合われたことがあるかどうか、この辺についてお伺いいたしたいと思います。
#26
○影井政府委員 ただいまの点につきましては、左藤先生御指摘のとおりでございまして、最終的に明確な解釈についての合意というものはないままに終わっております。
#27
○左藤委員 いまそういうことで欧米間の対立があるということは、将来この運用をめぐって、やはりこの地域衛星の問題についてやはりあとを引くと申しますか、わが国が地域衛星をいよいよ打ち上げるというような段階になったときには、これが非常に大きな問題になろうと思います。それまでの解決を、欧米間で話し合いがつくようにわが国も積極的に努力していただきたいと思います。
 ところで、通信衛星を打ち上げる必要がわが国にとって一体あるかどうか。これにつきまして、科学技術庁にちょっとお伺いをいたしたいと思いますが、たとえばアジア地域におきまして、共同受信方式によるような直接放送を行なうとか、あるいは放送番組みの交換を目的として通信衛星を行なうというふうないろいろなプランがあろうと思います。また現に科学技術庁としては宇宙開発を一つの政府の基本的な施策としてとっておられますが、その場合通信衛星をどのように考えておられるか。さらにまた、地域通信衛星というのはどのような宇宙開発における位置づけを現在考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
#28
○千葉政府委員 実はこの宇宙開発の基本的な考え方でございますが、現存のところは、もう御案内のとおり宇宙開発委員会が政府にございまして、そこが長期計画を出しております。決定いたしております。これは一昨年の十月に決定いたしております。それに明示しておるわけでございます。要するに基本的な考え方につきましては、これはわが国の生活の環境の改善と、それから産業、経済の発展に画期的な利益をもたらす、そういったような方向で開発をすべきであると考えております。それでもっと具体的に申し上げますと、そういった内容をまず実用と科学と二つに分けまして、いまの先生の御指摘は実用的な面だと思います。この実用的な面につきましては、通信衛星とか、気象衛星とかその他資源の衛星、それから測地の衛星とかそういったような衛星を通じての宇宙開発の利用を促進していこう。それでその内容といたしましては、まず打ち上げのロケットを開発していく。これをN型ロケットを開発する。それで静止衛星に、百キログラム程度の衛星を打ち上げまして、そういう力を持って、この衛星を利用して開発していこう。衛星につきましては、さしあたり五年間ぐらいのところは四個上げるべきである、それでその中のどういったものかといいますと、まず試験衛星、いろいろな打ち上げの内容をあげて、いろいろデータをとろうというような試験衛星の1型、2型、それから電離層衛星、最後に、いま先生のおっしゃるのに近づくのでございますが、電気通信衛星関係の実験衛星、これは静止軌道に打ち上げまして、それでそのあとに来る通信その他の衛星の実験的な役割りをここでさせるというようなのを昭和五十二年に上げようというような計画に相なっておるわけでございます。それではいま先生御指摘のような通信地域衛星を上げるような方向じゃなかろうかという点でございますが、実はそういった点につきましては、今年度予算が取れまして、いわゆる五十二年から先のいろいろな計画をどういうふうに組み込むかという点は、この委員会におきましていま部会をもって検討中でございますけれども、この宇宙開発計画をつくりますおりのいろいろな議論からいたしますと、先生いま御指摘のとおり、地域通信衛星、それから国内の放送関係の衛星とかというようなものは当然考えておるわけでございます。それだけではございませんで、いろいろな気象の観測もいま国際的にやろうじゃないかというようなことで進めておりますし、これも調査団を出そうとしております。そういったようなことで、いま御指摘の点につきましては、当然そういったところを見ながら、具体的な計画の中には、いま申し上げたような四つの衛星を考えておりますというような状況に相なっております。
#29
○左藤委員 いま御説明がありましたような地域衛星を打ち上げるということにつきまして、この条約との関連におきましては、十分事前に、今度の新しい事務局とも連絡をとって、いざ打ち上げるときになってから、そういったことについてクレームがついたり、インテルサットの中において問題を生じて、打ち上げることができない、そういうふうなことにならないように、十分の配慮をしていただきたいと思います。
 それからもう一点、条約の中のことでございますが、十条の(a)の(xi)、ここにあります「非標準地球局」というのは一体どういうことですか。実は、過日ニクソン大統領が中華人民共和国を訪問されましたそのときの実況をするために、アメリカから地球局を持ってまいりまして、上海に設置して、それでニクソン大統領の訪中模様を報道されたわけでありますが、この場合の地球局は標準地球局なのか非標準地球局なのか。それからこういった問題、臨時使用に関しましては、これはやはりインテルサットの中で承認を与えて、そして使われると思いますが、将来中華人民共和国はこの協定に参加すると考えられるか、また実際現在あるものは臨時使用ということであれば、これは将来どういうふうなことになっていくであろう、この辺についての予測をお伺いしたいと思います。
#30
○柏木政府委員 インテルサットの通信衛星は、これは世界じゅう多くの事業局が同時にこれを受けるというために、最もこれを有効に効率的に使用せねばならぬというような技術的な条件があるわけであります。また、この地上局から発射します電波は、他のいろいろの種類の地上局あるいは他の宇宙局等との関係におきまして、混信等の問題が生じないような特性がいろいろ要求されてまいります。それでこれらの、たとえば平たく申しますならば、地上局の受信感度でございますとか、あるいはその発信の特性というようなものにつきましての事業局の一種の作動特性、作動基準というものをきめることになっておりまして、それを満たすことが要求されているわけでございます。それでこの作動基準以上のものが承認されれば、これは標準局となるわけでございますが、たとえば地上局の開発実験のため、あるいはごく臨時的な使用というような場合におきましても、いま申し上げましたような、他の局に対します妨害等のないというような条件を満たすことを条件といたしまして、この標準の作動基準を満たさないものでもこれを承認することがございます。これが非標準地球局ということでございまして、これは現在暫定協定に基づきまして設けられておりますICSC、いわゆる理事会がこの判定をいたしております。先ほど御指摘のニクソン訪中の際の北京並びに上海の事業局は、いずれもアンテナも小型でありますし、作動特性がやや劣る非標準の地球局でございまして、これらの使用につきましては、それぞれ条件を付しまして、ICSC、理事会のほうでこれの承認をいたしているわけでございます。
#31
○左藤委員 幾つかの点まだお伺いいたしたいと思いますが、最後に、このインテルサットの協定につきましては、そういう意味で、暫定協定よりも一歩前進した恒久協定、ただその中にいろいろの、先ほど来御説明もあり、私もまたお伺いいたしました点で明らかになりましたように、かなりの妥協点と申しますか、協定をつくります段階におきます妥協点がある、それが将来の禍根にならないように、一応の結論は出ておりますけれども、そういった問題を含んでおるという意味におきまして、今後ともインテルサットの中において、わが国が欧米間のいろいろな間の積極的な仲介をするというふうなことによって、一そうインテルサットが安定的な通信機構になって、わが国の国際通信もそれによって飛躍するというようなことができるように期待をし、またそのことを御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#32
○櫻内委員長 石井一君。
#33
○石井(一)委員 私はただいま議題になっております中で、原子力の平和利用の問題について、政府の見解をお伺いしたいと思います。
 まず現在締結されようとしております、また承認を求めておられますこのフランスとオーストラリアとの平和利用に対する協定に関して、まことに基本的な問題でございますけれども、この締結によって今後の両国の協力関係に具体的にどういうものを期待しておられるのか、簡にして要を得た御回答でけっこうでございます。
#34
○影井政府委員 御高承のとおり、天然ウランの確保、これは今後世界的に困難になるだろうというふうに見通されております。他方、日本の原子力発電の規模は急速に拡大してまいる見込みでございまして、ウラン資源の確保は重要な政策課題となっております。今回の日仏及び日豪両協定の締結は、このウラン資源を確保する対策の一環でございまして、フランス及びオーストラリア両国からのウランの入手を可能にすることになります。言いかえますると、ウラン入手源の多角化をはかる、これによりまして、ウランの安定的かつ経済的な供給の確保に資するという恩義が大きいかと存じます。さらに、フランスからは設備、施設、役務等の提供を受けまして、また日本からも設備、施設の輸出を行なうことができる、オーストラリアからは役務の提供を受ける、また日本から設備等を輸出することができるということで、この協力関係が一そう密接になっていくということがこの両協定締結の大きい意義かと考える次第でございます。
#35
○石井(一)委員 すでに締結されました原子力協定の、いわゆるアメリカ、イギリス、カナダの現在までの実施状況はどういうふうになっておるか。たとえば期待したとおりに原料物質の供給というものがなされてきたのか、あるいはこれらの三つの国との協力で足りないところを補うために今回の二国との協定がさらにつけ加えられようとしておるのか、これまでの協力関係についてひとつお話をいただきたいと思います。
#36
○成田政府委員 現在締結されておりますところの原子力協定は、日米、日英、日加の三つの協定であります。
 日米協定のもとにおきましては、これは日本が必要な濃縮ウランは全部この日米原子力協定によってアメリカからだけもらっている状態でありまして、大体来年までに着工に着手する原子力発電に必要な濃縮ウランは、その炉の寿命のある限りこの日米協定で供給が保障されておる状態でございます。そのほか天然ウランとかプルトニウムとかあるいは再処理サービス等も受けている状態でございます。それから研究協力につきましても、原子炉の安全性とか保障措置等に関しては政府間の協力もなされ、動燃事業団、原研等とアメリカの原子力委員会との間で高速増殖炉あるいは情報交換等の協定も結ばれております。
 それから日英につきましては、最初のコールダーホールがイギリスからもらっている状態もありまして、燃料の天然ウランあるいはその原子炉の供給を受け、また使用済み燃料については英国で再処理サービスを受けている状態であります。
 それから日本とカナダにつきままても、カナダは非常に天然ウランの埋蔵量の多い国でありますので、日本も天然ウランの供給を受けておる、あるいは動燃とカナダの原子力公社との――カナダは重水炉の研究が進んでおりますので、その重水関係の研究協力協定を結んでおる。そういう意味におきましてこの三つの原子力協定は非常に順調に運用されてまいっておるというふうに考えております。
 それから、いま御審議願っておりますところのオーストラリア、フランスとの原子力協定は、当然日本の原子力発電が今後非常に大きく増加してまいりますので、これに必要な天然ウランあるいは濃縮ウランがアメリカだけ――アメリカの工場も二九八〇年になりますと、濃縮工場の能力が一ぱいになるという情勢もありますので、そういう将来のことを考えると、やはりアメリカ、カナダ、英国以外の国とも原子力協定を結んで、天然ウランなり濃縮ウランの供給を確保しておく必要があるということ、それから、やはり将来の安定供給を考えますと、一国だけから濃縮ウランを受けるよりは、いろいろ多角的に入手源を分散するほうが安定供給上もプラスであるというような配慮から、日豪、日仏協定の御審議をお願いしている次第でございます。
#37
○石井(一)委員 オーストラリアとの協定の前文に、「日本国がウラン資源を必要としていること、及びオーストラリアがそのウラン産業を発展きせることを希望していること」という、他の協定には入っておらないこういう前文が挿入されておりますけれども、ここにアクセントが置かれたというのには、オーストラリアとの協定において何か特別な意味があったのかどうか、この点はいかがですか。
#38
○成田政府委員 日豪協定の前文では、御指摘のとおり、従来の原子力協定では例のないような文言が入っておりますが、これは先ほど言いましたように、日本の原子力発電が飛躍的に増大していく、そのためにはウラン資源を十分確保しておく必要があるので、そういう世界でも最も伸び率の高い原子力発電、また最も所要量が多くなっているウラン資源を必要としているという事情を指摘したわけでございます。
 それから豪州につきましては、最近まではウラン鉱の埋蔵量が二万トンぐらいといわれておったのでありますが、この一、二年の探鉱活動によって、これは去年のジュネーブ原子力会議での報告によりますと、十五万一千トンの埋蔵量があるという、これは一ポンド十ドル以下という非常に品位の高いものでありますが、そういう意味で、この埋蔵量が、今後の探鉱活動によってさらに増加していくという状況を考えますと、オーストラリアとしては、恵まれておるウラン資源を十分開発して、それに基づいてウランの加工、製錬、そういう関連事業を豪州において、燃料ウラン産業を発展させていきたいという要請がありますので、この両者の必要性並びに政策的な要請をここでうたって、そうして両国の原子力関係の協力関係を強めていこうという趣旨でございます。
#39
○石井(一)委員 次に、協定の三条に「三者間協定」ということが規定されておりますけれども、これはこの協定の発効と同時に締結されるべき筋合いのものなのかどうか、その内容において、アメリカ、イギリス、カナダとわが国が国際原子力機関と結んでおる内容と同様のものになるのかどうか、この点についていかがですか。
#40
○影井政府委員 日仏協定、それから日豪協定、それぞれにつきましての三者間協定、その保障措置を国際原子力機関に移管いたしますためのいわゆる三者間協定、これは現在ウイーンにおきまして、わが国と、それぞれフランス及びオーストラリア、それに国際原子力機関を加えまして交渉中という段階でございます。
#41
○石井(一)委員 だから、これはかなり重要な問題でございまして、結局、この協定によって原子力技術の軍事利用への歯どめになるかどうかという問題でありますから、月並みな従来の形でここに挿入され、自動的にこういう協定が結ばれるのか、もう少し具体的にお答えいただきたいと思います。
#42
○影井政府委員 この保障措置の適用、これは国際原子力機関の一定の制度に基づいて行なわれることになっております。したがいまして、日仏及び日豪、この両協定に基づきます三者間協定、これの内審は、従来の日英、日米、日加それぞれの三者間協定と大体同様のものになるのではないかというふうに考えております。なお、従来わが国が締結をいたしておりまするこの原子力協定、これに基づきましてわが国が受けております保障措置につきまして、過去におきまして運用上に問題がなかったわけではございませんので、この運用の簡素化、合理化等につきましては、国際原子力機関側との折衝等を通じて努力してまいっておりますが、その結果、将来につきましては、おそらく問題はないだろうというふうに見通しております。
#43
○石井(一)委員 いま御指摘になりましたその運用上の問題点というのが私は非常に大きな問題だと思いますが、一体過去にわが国が査察を受けてきた場合に、どういう問題点が具体的に出てきたのか、この点いかがですか。
#44
○成田政府委員 日米、日英等によって従来日本の発電所なり原子力施設が査察を受けてまいったのでありますが、ここで一番大きな問題がありましたのは、一昨年の秋だったと思いますが、日本原子力発電株式会社の敦賀の発電炉につきましてIAEAの査察が非常にきつくて、そして実際の発電炉の運行、運転に支障を来たすというような事態が発生しまして、これは政府も取り上げて厳重にIAEA等にも注意を促して、そして改善を迫ったわけでございます。したがいまして、その後も常時いろいろな施設にIAEAの査察官が来て立ち入り検査をやっておりますが、それを見ますと、非常に簡素化、合理化されておる。そして具体的には産業機密に属するような情報の提供は実際は査察官は要求しておらない。あるいは運転上非常に問題になる場合としましては、発電用原子炉の燃料交換時の査察でございまして、これが実際中へ入ってまいると、運転上の支転があるという場合も考えられますが、これは最近は機器の搬入口にカメラを設置しまして、そして査察員が実際に内部に入らぬでも状況がわかるような、そういう合理的な方法をとって一昨年の敦賀のような問題が回避されるような合理化が行なわれております。それから企業機密に対して査察官は、これは厳重なIAEAの憲章によって秘密情報は漏らさないということになっておりますが、これも日本の原子力発電所等に対しては十分励行されておるということで、原子力発電の運行にも支障なく、また企業機密も漏らされておらないという点では十分改善されて現在に至っております。
#45
○石井(一)委員 IAEAから派遣されておるその査察官というのは、一体どういう構成で、常時駐在しておるのか、原子力関係のみに査察が許されて、一体どういうふうな活動をしておるのか、これは簡単でけっこうですから、ひとつ同時に関連としてお答えいただきたいと思います。
#46
○成田政府委員 IAEAの査察官は国ごとにグループができておりまして、日本を担当する担当官も数人おります。ただその査察官の任命については日本の同意を求めてまいりまして、日本が好ましくない人物であるとか、そういう人なら拒否もできるということになっております。それから常駐ではなくてそのつど本部から参っておるということであります。去年、昭和四十六年一年間で大体約十回ほど参って百三十三の施設をIAEAの査察官が査察をやっているという状況でございます。
#47
○石井(一)委員 日本人の査察官は含まれていないのですか。
#48
○成田政府委員 IAEAの査察官として日本人も登用になっておりますが、自国の施設はその国民は――日本人は日本の施設はやらないということになって、日本に関しては外国の人で構成されておる状態でございます。
#49
○石井(一)委員 次にこの間の新聞報道で、これは次官会議で決定されたようでありますが、わが国が欧州原子力機関へ正式に加盟することをきめた、こういうことでありますが、その経緯と、それからこの欧州原子力機関というものは一体どのような機能を果たすのか、わが国がこれに加盟することによって得るメリットというものはどういうものなのか、御答弁いただきたい。
#50
○成田政府委員 欧州原子力機構、ENEAと申しておりますが、従来は日本はメンバーでなくて、準メンバーとして必要に応じて出席等しておったのでありますが、今度OECDの、原子力関係の外郭機関みたいなかっこうでできておりますが、最近ENEAも運用方針を変えて非常に政策問題に取り組もうということになって、ことしからそういう方向に方向転換をする。そして実質的ないろいろな原子力の安全性の研究とかあるいは放射性廃棄物の処理の問題とかそういう具体的な政策問題に取り組んでいこうというような政策の方針の転換もありまして、事務局から去年も日本の原子力委員会等あるいは外務省を通して参加を働きかけてまいりました。政府といたしましても十分検討して、日本もこれに積極的に参加して、原子力をめぐるいろいろな問題はやはり国際協力によって解決すべき問題が多々あるのでありまして、そういう意味では積極的に参加して、その検討に十分参加していくほうが原子力の今後の発展上望ましいという考えから予算等をお願いして参加になったわけでございます。
#51
○石井(一)委員 この機構に参加するための参加の分担金というのはわが国が一番高く支払おうとしておるということをちょっと伺ったわけですが、これが事実かどうか。また事実であるとすれば、なぜそういうふうになったのか。
#52
○成田政府委員 分担金の計算は、国際機関等が従来やっておりますように、国民所得の比率等を基準としてやっておるようでございまして、そういう計算でいきますと、アメリカ等がまだ入っていない状態においておそらく日本が分担金は一番大きくなるのじゃないかと思います。そういう意味で分担金が一番大きい日本としては、この機関に十分大きな発言力を持つように、職員等を日本から派遣する等についてもいろいろ交渉中でございます。
#53
○石井(一)委員 私はこの原子力機関、IAEAとそれからいまの機関との関連から査察の問題はどうなっておるのか、この点についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#54
○成田政府委員 査察関係はIAEAだけがやる仕事でありまして、ENEAのほうは査察は入らず、いろいろな原子力の政策的な問題に取り組むということになっております。
#55
○石井(一)委員 欧州外の国として日本が最初に入ったようでありますし、今後オーストラリアその他が加盟をするようでありますが、アメリカが加盟しておらないといういま御発言のようでありましたが、それらの国が加盟しておらない理由はどういうことなんですか。
#56
○成田政府委員 アメリカが入らない理由というのは、いろいろ国際的あるいはアメリカの事情等があると思いますが、ただ原子力問題として考えますと、ヨーロッパ諸国の原子力事情と日本の原子力事情というのは非常に似ている。悩むところは同じ問題が非常に多いのでありますが、アメリカのように非常に広大な領土等を持っている国の事情とは非常に違う点もあるということが、あるいは日本が踏み切ってアメリカがまだ踏み切っていない、まだ準メンバーにとどまっている事情というのはそういうところにもあるのかと思います。
#57
○櫻内委員長 関連質問を許します。正示啓次郎君。
#58
○正示委員 いま石井委員との質疑応答を聞いておりまして、前にはたしか核拡散防止条約のことに関連して、国際原子力機構の査察を受けなければならぬ、これは大きな問題でありますね。ところが、ヨーロッパはヨーロッパだけの原子力機構があるから、この査察をもって国際原子力機構の査察にかえるんだ、こういうことをわれわれは聞いたんですね。そこで、日本にはそれがないので非常に困ったということを聞いておるのですが、いま成田局長はそれによって影響を受けないんだという説明でしたけれども、ほっておけばそうだろう、わかるんですよ。しかし、ヨーロッパとのバランスからいって、このヨーロッパ原子力機構に加盟した以上は、そこの査察をもってかえるというふうなことも私は要求していいんじゃないか、こういう感じを持つんですが、それで国際分担金、これは外貨が余っておるんだから、分担金をうんと払うというのは外貨減らしにプラスになるんだから一向差しつかえないですから、原子力の関係なんかでは大いに分担金は出すべきは出していいと思います。しかしこれはやはり国民の税金を使うわけですから、使った以上はそれの効果があるようにするのも必要だと思いますから、ヨーロッパ原子力機構に加盟する以上は、この査察をもって国際原子力機構の査察にかえるんだというふうな努力を外務省も大いにやるべきであるし、科学技術庁も大いにやるべきだと思うのですが、その点はどうですか。もう一度念を押しておきます。
#59
○成田政府委員 日本が今度入りましたのはOECDの外郭的な原子力機構であるENEAでございまして、査察でヨーロッパ諸国が問題になっておるのはユーラトム、これはECの外郭機構でございます。それで、ヨーロッパ諸国、ユーラトム参加国がユーラトムの査察でIAEAの査察にかえるというような動きも前にありましたが、今度IAEAのモデル協定案、これは各国の査察に適用する協定案ができておりますが、これはユーラトムの加盟国も日本と同じように国際原子力機構の査察を受けるということでは、形式的には平等性が確保されておりますが、モデル協定案によりますればこれは当然いいことでありますが、その自国といいますか、その査察を受ける国の自主管理体制が十分信用できるものであれば、国際原子力機構の査察が非常に簡略にされるという規定があります。したがって、ユーラトム加盟国はユーラトムの査察が非常に整備されておるという考え方に立ちますと、IAEAからの直接の賢察が非常に簡単になるという実際上の問題、アジア、日本等においてはそういうユーラトムのような機構がありませんので、日本は日本の国内でやる。国内管理体制を十分確立して、そしてIAEAから日本の内部にまかせても信用できるというような信頼を得た場合には実際の査察が相当簡単、合理化されるということになって、実質的にユーラトムと日本との平等性はこれから具体的に詰めていく問題だと思います。
#60
○石井(一)委員 それではその次で、フランスとは協定の八条、それからオーストラリアとは七条に規定されております、明文化されておる「公開の情報」とはどのようなものをさすのか。これがわが国の原子力基本法第二条とどのような関係になるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#61
○穂崎政府委員 ここにございます「公開の情報」とはフランス、オーストラリア、それぞれ規定が違っておりますが、フランスの場合は「「秘・防衛」又は「極秘・防衛」の秘密底分に属さしない情報」オーストラリアの場合は「部外秘、秘又は極秘の秘密指定を受けていない情報」それぞれその国のやり方に従って秘密指定を受けてないものが公開の情報というふうになっております。日本は御承知のとおり原子力基本法によりまして三原則がございまして、情報は全部公開するということになっておりますので、ここにあります公開情報という定義は、日本の場合には現実には適用にならない、かように考えております。それから公開の情報を交換するということがこのそれぞれの協定の目的でございますので、公開でない情報の交換ということは、この協定では全然考えておりません。もしそれが行なわれる場合があるとしますれば、それはこの協定外でございますけれども、日本の法律のたてまえからいきまして向こうのいうところの秘密の情報、いわば国家機密というような形で話をするということは日本ではできないわけでありますから、その点についての先方との話というものがはっきりつかない限り、公開でない情報がそれぞれの国から日本に来るということはないものと考えます。
#62
○石井(一)委員 その問題でもう少しお伺いすべき問題もございますが、次に、これも最近の新聞情報その他で、日米共同の濃縮ウラン工場の建設プロジェクト、こういうことが現在検討され、企画されておるということが報道されております。その一つは、この間の米下院におけるいわゆる公聴会で、日本の核武装を阻止するために、米国は日本とウラン濃縮装置の共同建設を行ない、その平和利用を日本に考えさせてはどうかという提案を、コロンビア大学のモーリー教授がなしたということが報道されております。それから続いてワシントンポストも、非公式初歩的段階であると指摘しながらも、同じような濃縮ウラン工場をつくる構想があるということを報道しておりますけれども、この開発の構想というものは一体どの程度まで進んでおるのか、これはひとつ御両所から簡単にお答えいただいたらと思います。
#63
○影井政府委員 米国の下院外交委員会におきまする参考人の発言、これは私人としての提言でございまして、米国政府の提案であるというふうには考えがたいと思います。昨年の七月にアメリカの国務省から、日本をはじめといたしまして、カナダ、オーストラリア、イギリス、EC諸国に対しまして、ウラン濃縮技術提供のための話し合いを始めてもよいという申し出を受けまして、昨年十一月にワシントンにおきまして予備会談が行なわれた次第でございます。予備会談の以後、濃縮ウランの国際合弁事業、これにつきましては国際的には具体的な発展を見ておりませんけれども、一九八〇年ごろには自由世界の需要、これが米国の濃縮工場の生産能力を大幅に上回る、需要に達するだろうということが見込まれておりますので、各国ともその対策を急いでいる次第でございます。わが国といたしましても、アメリカ、フランスから提案のありました技術提供、これを基礎にいたしまして、多国間による国際合弁事業の形でウラン濃紺工場を建設いたしまして、この需要の逼迫に対する対策をはかるということが適当と考えまして、大体このラインで検討を進めている段階でございます。
#64
○成田政府委員 アメリカから提案のありました、日本と共同で濃縮工場をつくらないかというお話は、先ほど外務省から説明したとおりでございます。ただ、そういう意味で、現在原子力委員会が中心になって、アメリカの技術を使った国際濃縮共同工場に参加すべきかどうかという検討をいろいろ重ねておるところでありますが、この目的は、当然原子力委員会が聞いておる範囲でございますが、将来日本の発電所がどんどんふえてまいりますと、濃縮ウランの需要が、飛躍的に必要になってくるわけでございます。それで、昭和六十年度で六千万キロワットの発電所を考えておりますが、その際、分離作業量で一年間八千トンの濃縮ウランが必要でありまして、現在のアメリカの工場の能力が、三つの工場を合わせて一万七千トンでありますから、いかに日本が一年間で必要とする量が大きいかという点がおわかりと思いますが、そういう意味で、原子力発電所、当分は軽水炉が中心でありますので、濃縮ウランをいかにして確保するかという問題、日本でも、動燃事業団等の研究機関で国産化の技術開発もやっておりますが、非常に時間もかかって、一九八〇年ごろにはもちろん間に合わない状況でありますので、これはどうしても、技術を持っておる外国、フランス、アメリカ等が持っておるのでありますが、そういうところと共同で濃縮工場をつくる、そして資本参加、金も出して、そのかわりでき上がった濃縮ウランを確保するという形でこの問題を解決していかなきゃいかぬという考え方、そういう意味で、発電用の濃縮ウランの確保という見地からいまその検討を急いでおるところでございます。
#65
○石井(一)委員 御両所の御意見は、両方ともその提案に対して、まだ非公式であっても、客観情勢から前向きに取り組まなきゃいかぬ、こういうふうに拝察いたしましたが、この工場を米国内につくるという利点は一体どこにあるのか、この点をひとつ御説明願いたい。
#66
○成田政府委員 現在、濃縮工場をつくる場合は、ガス拡散法という技術による方法でございます。したがって、この場合は電力使用量が非常に多い、コストの半分近く電力費がかかるという計算でありまして、したがって、電力費の安い地点で工場を興さないと、この新しい濃縮工場も十分経済性に合わないということが考えられるわけであります。したがって日本の電力代というものは国際的にどちらかといえば高いほうでありますので、日本につくるということは経済的に当面は成り立たないということは、これは常識的にいえることでありまして、そうしますとアメリカは非常に安い石炭等の資源がある、あるいはカナダ等では安い水力資源があるというような、そういう点から、カナダ、豪州は、これも安い石炭があるということ、そういう意味で、アメリカ以外にカナダ、オーストラリア等の立地地点が考えられるのでありますが、日本、アメリカ以外にたくさんの国が参加する場合は、あるいは太平洋及び豪州等の地点も考えられるかもわかりませんが、アメリカと日本だけでつくる場合は、日本は電力コストで高いのでアメリカのほうがベターであるということはいえると思います。
#67
○石井(一)委員 機密保持というふうな観点から、こういう技術に対して米国内にとどめようという、そういう発想もあるんじゃなかろうかと思いますが、この点はいかがですか。
#68
○成田政府委員 私たちが聞いている範囲では、機密保持の面からアメリカにとどめるという考えは、アメリカは持っておらないんじゃないかと思います。といいますのは、去年の七月のマルチナショナルプロジェクトの提案のときには、サイトは電力費の安いところを、どこであるとを問わないという考え方も示されておりますので、たとえば豪州とかあるいはカナダとかも考えられるという話がありまして、そういう意味では、機密を守るためにアメリカということの考えはないと思います。ただアメリカとしましては、当然濃縮技術は最高の軍事機密でありますので、各国と共同でやる場合も、この機密を守る措置を各国が、参加国がとることを要請してくると思います。ただ、日本の場合は、御承知のように原子力基本法がありまして、三原則によって公開の原則というものが一つの大きな柱になっておりまして、そういう機密を守るための国内的な法的措置はとれないのでありまして、したがってアメリカがいうような機密を守る措置は国内的にとれないということになりますと、国際濃縮工場へ参加のしかたが、これはこれから詰めるべき問題でありますが、非常に軍事機密に属する点はそのプロジェクトの全体の二割とかあるいは非常に少ない分野だと思いますが、そこはあるいは日本があまりタッチしないというかっこうで濃縮工場を共同でつくるとか、そういう方法もあるんじゃないかというので、これは今後詰めるべき問題だと思います。
#69
○石井(一)委員 そこで、その電力事情が悪いというお話が先ほどございましたが、日本で原子力の平和利用というものを計画を始めてかなりの年月がたっておるわけでございますけれども、実際にそこまでの実績があがっておるかどうかということに、多少私は疑問視しておるわけでありますけれども、現在わが国において総発電量に占める原子力発電の発電量は一体何%なのか、それからまた世界の先進国あたりの原子力発電と比較してかなりおくれておるんじゃなかろうか、その対比は大体どういうふうになっておるのか、これは科学技術庁かもしれませんが、通産省の方お見えでございますけれども、この点いかがですか。
#70
○武田説明員 お答え申し上げます。
 現在原子力発電が日本の国内で占めておりますウエートは、大体全設備が五千万から六千万キロワットでございまして、原子力発電所が百三十万キロワット程度でございます。したがいまして約二%あるいは二%をほんのちょっとこしておるところ、こういうようなかっこうでございます。ただ、現任建設中のもの等もありまして、これから十年、十五年たちますとウエートがかなりふえてまいります。昭和六十年ごろ、十五年近く先でございますが、そのころまでには設備的にも二五%程度になろうかというような想定がされておるわけでございます。それから第二の、諸外国との比較でございますが、現在動いておりますものだけに着目いたしますと、アメリカあるいはイギリス等が日本よりはるかに上でございます。ただ、長期的にながめてみますと、アメリカに比べますとやはりあとを追っかけるかっこうにはなりますが、たとえばイギリス等と比較いたしますと、これまた将来計画の話でございますので、不確定要素がたくさんございますが、十年、十五幸先には、設備、量的にはあるいは追い越すようなことも考えられるというようなことでございます。いま申し上げましたのは、日本の電力の需要の伸びがイギリス等に比べて高いわけでございますので、そういうことで全体が大きくなってまいりますので、その中の一部を占める原子力発電についても追い越すようなことが考えられる、こういうことでございます。
#71
○石井(一)委員 御答弁にありましたように、まだ二%前後であるということですが、これはやはり当初予想したよりも非常に低いシェアしか占められないという、こういう勘定のようでありますけれども、そういう低迷をたどったという根本的な理由は、現在までの、将来の展望は別として、どういうところにあったのですか。
#72
○成田政府委員 現在原子力発電所は百三十二万キロワットでありますが、これは原子力発電を採用した当初の値でありまして、われわれは計画を下回っておるというふうには考えておらないのであります。ただ、従来考えておったよりも建設費が高いとか、あるいは燃料費等もまあウラン鉱はいま無常に安くなっておりますが、濃縮費等も値上がりしているというような、価格上、コスト上の変化もありますが、百三十二万キロワットは、いまの時点で考えますと、当初の計画より下回っているというふうには言えないと思います。ただ、むしろ将来の問題として見ますと、先ほど言いましたように、昭和六十年度においては六千万キロワットを電力需給上からの計算では必要だということになっておりまして、昭和四十一年に原子力委員会がつくった長期計画によりますと、これが三千万ないし四千万キロワットという水準であったわけであります。これが五年間で六千万、倍ないし五割増というふうに原子力発電に対する期待が非常に高まっている。しかも、経済性も電力会社から見ますと、十分火力に匹敵し得るという見通しのもとに、将来の計画としては、従来の計画を上回った見通しを持つに至っております。
#73
○石井(一)委員 要するに過去の実績からは非常に低い。しかし、それは大体そういう予想であった。しかし、その低い実績を踏まえながら、将来の展望に対しては非常に高い、四十二年の長期計画を出された時点よりもはるかに大きな予想というものを、たとえば六十年度末には想定されておる。ここに多少の矛盾を私は感じるわけですけれども、こういう数字が出てきた根拠、実績を踏まえてそういう数字がなぜ出てきたのか。ただ希望的観測というわけなのか、あるいはそれだけ今後は急激に原子力発電というものを推進しようという、そういう政策の転換なのか、この辺はいかがですか。
#74
○成田政府委員 いま稼働中は四基でありますが、現在政府の許可をもらってすでに建設に入っておるものが十二基で八百二十万で、近くどんどん稼働される情勢になっておりまして、実績は非常に低いけれども決して計画が非常に大きいという情勢ではないというふうにわれわれは考えております。
 それから、なぜ将来原子力発電がこんなに大きい計画になっているかと言いますと、全体の電力需要が非常に、従来五年前の需給見通しよりも全体の消費量見通しが大きくなったということも言えると思います。それから火力発電と原子力発電を比べた場合、火力発電につきましては、公害防止等のいろいろな施設費がかかってコストが非常に高くなっていく、あるいはOPEC等の原油産油国の政府の政策によって、原油は一昨年の暮れから原油代が上がっております。そういう意味で石油というのは将来どんどん上がる傾向をどうしてもたどる。しかもかなり大幅に上がっていくのじゃないかというのが一般の見方でございます。それに比べまして原子力発電は、これから非常にたくさんの炉が生産されるようになりますと、メーカーとしても非常にコストも下がっていく、あるいは大型化によってコストも下がる。しかも石油は資源からとるのでありますが、原子力というのは科学技術の力によってどんどん今後もコストを下げていく要因が技術開発によってある。そういう期待から見まして、現在は火力発電よりも原子力発電のほうが若干高い情勢にありますが、これは早晩原子力発電のほうが火力よりも安い。しかも原油が安定供給できるかという問題、安定供給の面から多少の不安もあるのでありますが、ウラン資源、ウラン濃縮は工場等をつくっていけば十分確保され得るというような、安定供給上のメリットもありまして、これはエネルギー計画としては原子力発電の依存度を高めていくというのは日本として当然であるし、また世界各国ともそういう計画を持っていると思います。
#75
○石井(一)委員 それはその問題で終わりまして、原子力の安全性ということに関して、だんだんと国民世論の間では疑惑が高まっておる、反対運動というようなものもどんどん起こっておるということでありますけれども、原子力開発計画というものがそういう運動によって修正されようとしておるのかどうか。いまの政府委員の御答弁だと、これからが原子力の時代だ、どんどん進めるのだ、こういう意向のようでありますけれども、そういう世論に対して何かコメントがございますか。
#76
○成田政府委員 原子力発電の見通し、非常に大きくなっておりますが、一方で発電所のサイトの反対運動もだんだん強くなっていることも確かな事実でございます。それで反対の理由を見ますと、一つは原子力発電というのが安全だといわれておったが、いろいろたくさん集中化するとか、あるいは大型化してはたして安全であるかどうかというような、安全性に対する心配が一つあります。それから、温排水、これは火力発電も同様でありますが、六度ないし七度ぐらいの温度の高い水が排水として相当な量出るのでありますが、これが魚とかあるいは水産物あるいは環境等にその影響がどういう影響を来たすか、そういう点の不安感が一つあると思います。それから第三番目には、原子力発電所が来て、地元が経済的にどれだけ潤うか。地元に対するメリットがあるのかという問題、こういう地域開発の関連の問題でありますが、こういう三つの要因で反対運動があると思いますが、われわれは安全性に対しても十分、これは安全性の追求というのは、原子力行政として一番大事な問題として原子力委員会も取り組んでおりますが、温排水の問題も環境庁と一緒になっていろいろの施策をいま進めております。地域開発の問題も、これも通産省と一緒になって、いろいろ税金の問題等、若干でありますが改善しておりますが、今後もその方向を強めていきたいというふうに考えております。それで、こういう反対運動があるので原子力発電計画を修正するという考え方でなくて、六千万の計画をいかにして、こういう安全とか環境とかあるいは地域開発の調整の問題等の立地問題の問題を詰めて、これを政府の対策によっていろいろ解消していって、そうして六千万キロワットを円滑に実施すべきかというところが、いま作成中の原子力長期計画の要点でもありまして、六千万を下げるのではなくて、六千万キロワットを達成するために、こういう問題をいかに対応策を立てていくかというところに、今後の原子力施策の重点を置いていきたいというふうに考えております。
#77
○石井(一)委員 まことに名答弁で、この安全性の問題なり、一言で言って、原子力公害という問題について二、三の質問を用意しておりましたが、これはもう時間の関係で省略をいたします。ただ、私がいま申しました目的を達成されるための努力は大いにけっこうですけれども、反対連動に対する対処、納得のいく説得、それからまた放射能の管理というふうな問題に関しても、やはりそういう世論というものに対しても、十分な慎重なる対処をされつつこの開発計画をひとつ進めていただきたい、こう思います。
 環境庁のほうにもお伺いをするべきこの内容の問題ございましたが、それを省略いたしまして、時間が参りましたので、一番最後に、ひとつ核兵器の不拡散条約に関して、一昨年三月発効し、八十一カ国ですか、七十一カ国ですか、当事国になっておる、こういう現状ですが、政府の批准の時期、またそれに対するわが国の主張というものはどういうものなのか、それから、現在までに核保有国その他からわが国に対して批准を急いでほしいという、要請を公式、非公式に受けたかどうか、この点について、これは重要な問題でありますが、大臣の御答弁をいただきたいと思っておった一つの問題でございますが、大臣なり総理に対する質問は別の機会に譲りまして、事務的な責任者として明快にひとつこの点をお答えいただきたいと思います。
#78
○影井政府委員 この問題につきましては、軍縮交渉の進捗状況、それから国連の安全保障理事会による非核兵器国の安全保障のための決議の実施状況、これに注目いたしますと同時に、この核不拡散条約に基づきます保障措置協定の内容におきまして、わが国が原子力平和利用上諸外国と比べまして、実質的に不利な取り扱いを受けることがないか、こういう点を十分考慮いたしまして、条約の批准について検討を進めていくということを考えております。その時期、これを現在の段階におきまして、はっきりした見通しをつけるということは、まだ困難ということでございます。またこの核不拡散条約を日本が批准することにつきましての圧力と申しますか、そういうものは現在までのところ、一言に申しまして、強い圧力を感じていないというのが現状でございます。
#79
○石井(一)委員 大西政務次官に、ずっと問答をお聞きいただいておったわけでございますけれども、現在の不拡散条約に対する政府答弁、非常に抽象的でございます。もう少し何か政治的な御判断からこの問題に対する御見解がありましたら承りまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
#80
○大西政府委員 いま局長からお答え申し上げましたこと以外に、特別なことを考えているわけではございません。これは政府与党とのいろいろな関係もございます。それらの点で十分検討が尽くされた後にこの問題に対する態度が決定してくる、かように考えております。
#81
○櫻内委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明二十四日に開会することとし、これにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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