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1971/03/17 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第7号
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1971/03/17 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第7号

#1
第068回国会 法務委員会 第7号
昭和四十七年三月十七日(金曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 松澤 雄藏君
   理事 小島 徹三君 理事 田中伊三次君
   理事 高橋 英吉君 理事 福永 健司君
   理事 畑   和君 理事 沖本 泰幸君
   理事 麻生 良方君
      石井  桂君    大竹 太郎君
      大村 襄治君    河本 敏夫君
      千葉 三郎君    中村 弘海君
      松本 十郎君    村上  勇君
      村田敬次郎君    綿貫 民輔君
      渡辺  肇君    河野  密君
      林  孝矩君    青柳 盛雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
 出席政府委員
        法務政務次官  村山 達雄君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 貞家 克巳君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  長井  澄君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  矢口 洪一君
        最高裁判所事務
        総局経理局長  大内 恒夫君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  西村 宏一君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  牧  圭次君
        法務委員会調査
        室長      松本 卓矣君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十六日
 辞任         補欠選任
  林  孝矩君     正木 良明君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  賀屋 興宣君     中村 弘海君
  鍛冶 良作君     渡辺  肇君
  中村 梅吉君     村田敬次郎君
  中村庸一郎君     綿貫 民輔君
  山手 滿男君     大村 襄治君
  正木 良明君     林  孝矩君
同日
 辞任         補欠選任
  大村 襄治君     山手 滿男君
  中村 弘海君     賀屋 興宣君
  村田敬次郎君     中村 梅吉君
  綿貫 民輔君     中村庸一郎君
  渡辺  肇君     鍛冶 良作君
  林  孝矩君     正木 良明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○松澤委員長 これより会議を開きます。
 おはかりいたします。
 本日、最高裁判所長井総務局長、矢口人事局長、大内経理局長、西村民事局長、牧刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○松澤委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑和君。
#5
○畑委員 私は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、またそれに関連する若干の予算関係等につきましても質問をいたしたいと思います。
 うちの党で、この前土井たか子さんがいろいろ詳細にわたって質問をいたしましたけれども、若干その落ち穂拾いというような意味で、順序というのにあまりこだわらず質問いたしますので、おもに最高裁のほうからお答えをいただきたい。私の質問が、結局きょうおいでになっている最高裁の方々のどなたの職責に関することか、いろいろ関係が違ってくるかもわかりませんけれども、適当に答えていただきたい。
 まず、最初に私が質問いたしたいのは、増員の関係の問題でございます。総務局長ということになると思いますが、この前の質問等でも触れられておりましたけれども、今度の増員の関係については、最高裁はどれだけ合計で増員の要求を出されたのか聞きたい。
#6
○長井最高裁判所長官代理者 増員の要求といたしましては、裁判官六十六名、裁判官以外の裁判所職員四百七十七名、ほかに沖繩関係四百九十六名でございます。沖繩関係の内訳は、裁判官五十五名、裁判官以外の裁判所職員四百四十一名となっております。
#7
○畑委員 沖繩関係は別といたしまして、判事補六十六名の増員要求をされていて、それに対して増員の実際認められたのが九名、それから書記官が八十一名の要求に対して九名、調査官が六十九名の要求に対して十五名、事務官二百九名の要求に対して七十五名、それから廷吏八名、それから行(二)関係八十一名、医(三)表の二十一名、こういう要求になっておるようでありますが、この三つともゼロ、合計して五百三十五名の要求で増員が百八名です。そのうち、例の定員削減による減員が六十八名と聞いていますが、結局実増は、総体として、沖繩関係を除いて全部の数字が四十という数字になっているようです。要求はこれだけされておるのでありますが、それに対する実際に通っだ増員は、先ほど申し上げたように百八名、五百三十五名の要求に対して百八名ということなんでありますが、裁判所のほうも相当努力はされたと思うのでありますが、その努力のあとは見られますけれども、総体としてやはり人員がとにかく仕事の割合に充足していないと、迅速、公平な裁判が行なわれないということでありまして、われわれはそれを心配しておるわけです。この辺の法務省を通じて、また大蔵省との折衝の関係、こういった点について大ざっぱにひとつ、どんな努力をしてどんなこととなったのかというようなことを、簡単でよろしゅうございますが、ひとつ触れていただきたい。
#8
○大内最高裁判所長官代理者 裁判所の増員の問題につきまして、たいへん理解のあるおことばをいただきましてありがたく存じます。
 実を申しますと、私どもが要求をいたしました時期は昨年の八月の末でございます。その段階において事件数でございますとか、事件数のことに伸びぐあいでございますとか、そこら辺をかなり予測しまして要求をいたしたわけでございます。特に今回の要求につきましては、特殊損害賠償事件でございますとか、業務上過失致死傷事件でございますとか、そうした事件に特にポイントを置きまして、その事件の推移並びに伸びぐあいというものを、かなりいろいろの角度から検討したわけでございます。予算の折衝は昨年の暮れないし本年初めまで継続をいたしましたが、最終段階におきまして、事件の伸びぐあい等種々勘案いたしますと、私どもの予想したような数字にも必ずしも達していないような点がいろいろございました。
 そこで、その段階におきまして、十分最高裁判所といたしましても所要の人員を検討いたしまして、最終的にただいま畑委員が仰せになりましたような数字に落ちついたということでございます。
 なお、予算の折衝につきましては、私どもといたしましても、これは人員だけに限りませんけれども、特に人員の問題につきましては、最終の段階まで最善を尽くして折衝いたしたつもりでございます。
#9
○畑委員 実際の裁判所の事件の進行などを、私、最近はあまり法廷へ出ないから必ずしも自分で実感したわけじゃありませんが、私のむすこなどの体験等を伝え聞いておるにすぎないのでありますけれども、最近は非常に事件がはけないということです。もっともそれは場所的な均衡がとれない点があると思います。しかし、必ずしも事件が多いところに急にたくさんふやすわけにもいかぬ。それでいて案外ひまな裁判所も実際にはある。そうかといって人員をぐっと減らしてしまうわけにもまいらぬというような点があって、その辺がうまくいかないのだと思いますが、人口急増地帯の東京あるいはその近郊、それから近畿方面等の人口の非常に多いところは依然として事件が多い、そのわりあいに人が足りなく、裁判官はじめ職員が足りないというような傾向が見えております。次回の指定というのはずいぶん先にいってしまう、こういうような話も聞いておるわけであります。
 こういう問題を解決するには、やはり相当思い切った増員が必要だと私は思うのでありますが、一方こういう定員削減の要求もありますし、その辺なかなかむずかしいと思うのでありますが、ほかの役所と違って裁判所でありますから、これはやはり相当思い切った人員関係の増員が必要だと思う。それについては、よく昔から二重予算の問題なども、われわれこの委員会でそのたびごとに実は申し上げて、しりをたたくようなかっこうでいままで来ました。そこまでやるぐらいな勢い、態勢でやらないと、結局裁判所がいつもそういう点で割りを食ってしまうというようなことがあろうと思います。今後とも十分、われわれもその点は支持いたしますから、定員の獲得等についてはさらに努力を続けてもらいたいと思います。これは要望です。
 そこで、この間土井委員からも質問がございましたが、検察審査会の減員の問題ですね。いま申し上げました差し引き増四十ということになっておりますけれども、そこに検察審査会職員の減員が五十というのが入っておる。そういうものが入っておるわけでありますが、結局ほかの増員の関係が審査会のほうにしわ寄せがきているというふうに私は思うのです。しかし、検察審査会という制度は、新しい憲法のもとに生まれた民主的な検察に対する民衆のチェックの機関だと思う。実際にはしろうとの人たちが選ばれていろいろ会議に参加をしてやるのでありますから、なかなかむずかしい点もございますけれども、しかし、この制度はやはり制度としていまの体制に合う制度だと思う。それがこれだけ、究極全部で五十ということで――四十でしたか五十でしたかこの辺はっきりしませんが、思い切った減員になっておるということは、ちょっと私、問題だと思っておるわけです。
 それで、法務省関係の立場といたしますならば、検察官の不起訴処分に対する一応のチェックであります。強制力はないといたしましても一応のチェックです。そういう点で、そちらの側からは望ましくないというような、なるべくこの機関を小さくしようというような考え方もあろうかと思う。また大蔵省のほうとしては何とかして削ろう、片方のほうの職員を何とかふやさなければならぬというので、そのかわりこっちのほうを減らせというので、検察審査会のほうが犠牲になったのではないかというふうに私は思っておるわけであります。そうであってはならぬと思うのでありますけれども、その辺について、これは刑事局の関係だと思うのです。局長おいでになっておるが、刑事局といたしましてもその辺は相当抵抗はされたのだろうと思うのだけれども、あえなく、その抵抗もとうとうそこまで至らずにどうも減員になったような感じがするのであります。四、五十名ということになりますと、各地方裁判所で大体一名ぐらいな平均で、あるいはそれ以上の数字が減っているんだろうと思うのでありますが、やはり少なくともこの制度だけは守り抜かなければいかぬのだろうというふうに思っておるわけです。この点について、今度の予算関係等をめぐってどんなことがあったのか、刑事局長その他関係者から、ひとつその辺のことについて聞かしてもらいたいと思うのです。
#10
○牧最高裁判所長官代理者 検察審査会制度は戦後発走いたしまして、諸外国にも例のない制度でございますので、発足当初これがどのように運用されるか、必ずしも見通しがつかなかったわけでございます。しかし、その後約二十数年を経まして、検察審査会制度の運用というものもほぼ定着いたしております。事件受理件数等もおおむね定着したと見てよかろうかと存じます。
 したがいまして、発足当初はどのように運用してまいったらよろしいか必ずしも明らかでなかったわけで、その間、これの運用に携わる検察審査会の事務局の者が非常な苦労をしたというように考えております。しかし、二十年間経過いたしまして、その間処理方法等についてもある程度定型化できるようになりましたし、事務の機械化というようなこともある程度取り入れられまして、検察審査会事務官の事務能率というものも向上してまいったということが言えるかと存じます。
 そういうような事態を見まして、片一方、裁判所のほうといたしましてはそれぞれ職員が非常な忙しさにあるということで、若干余裕の生じました検察審査会事務官を裁判所のほうに振り向けるということによって事務負担の均衡をはかり、また配置の適正をはかろうとした趣旨でございます。その趣旨に応じて、今回五十名の検察審査会事務官を削減いたすことにいたしたわけでございます。
#11
○畑委員 あまり何事もなかったような、まことに謙譲の美徳のようなもので、それは全体としてこういう形になったものだから、担当の刑事局としてはそういうふうに言わぬとかっこうが悪いということなのかもわからぬが、ぼくはこれはこのまますっとすんなりきまったわけじゃないと思う。やはり検察審査会の機能をそれだけあなたのほうでも認識していらっしゃるのだから、増員は増員として、当然ほかの関係は要求すべきものであって、検察審査会の犠牲においてほかの増員をすべきではないというふうに私は思う。そういう点で、もっともっと抵抗もあったら、もっと別の形の表現の答弁がされたと思うんだが、まことにすんなりと、あっさりとされた御答弁なんで、ちょっと意外だと思うのです。
 しかし、審査会のほうの事務などがだいぶ合理化もされたというようなことでそんなに支障はない、むしろほかのほうで非常に足りないところがあるから、そのほうに振り向けるということが妥当だということで、こういうことに落ちついたというようなお話の模様でありましたけれども、ほんとうは検察審査会のことをもっともっとPRすべきだと思うのですな。そうすれば、もっともっと民主的に大衆が考えて、こういった制度が、まあ定着ということばは必ずしも私は好ましいことじゃないと思うのですが、やはりそういう点で、大いにいまの民主主義の要素を取り入れた非常に貴重な制度でありますから、これの制度をやはり盛り上げていくということに向かうべきであって、定着しちゃってあんまりPRもしないから、したがって事件も同じような趨勢でいっているということで、どうやらこれならばということかもしれませんけれども、そういった形で、むしろこの機能を助成するというようなことが必要だと思うのです。これで一体検察審査会のほうはやれますか。やれますかと言ったら、やれますという返事になるのでしょうが、これだけ減ったことによって、私はそういう点で、やはり人数が減れば、仕事もどうしたってむずかしいし、むしろそう事件をふやそうという気もなくなるだろうし、そういう点で、総体として私はこの検察審査会の制度そのものが後退をする、運用の面で後退するように思うのですが、その点いかがですか。
#12
○牧最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、ある程度検察審査会の事務官のほうに余力を生じたのを、忙しい裁判所のほうに振り向けるということの趣旨でございますので、検察審査会の事務の運営がこれによって影響を受けることのないように考えたつもりであります。
 なお、先ほど畑委員から広報活動の点で不十分なのではなかろうかというような御趣旨がございましたが、運営に当たっております裁判所といたしましては、できるだけこの制度が国民に周知され、しかもその中で救われるべきものが救われる必要があろうかと存じて、広報には非常な努力を払ってまいりました。
 一例として、昨年一月から九月までに行ないました広報活動を簡単に申し上げてみますと、昨年一月から九月までに実施いたしました広報を種類別に申し上げますと、たとえば講演会を全国で七十五回、映画会が七十一回、映画会と講演会を含めましたような会が百五十七回、あるいは座談会というようなものが五十四回、その他候補者に対する説明会等を二百二十六回、あるいは新聞記事等に掲載いたしますことにつきましても努力いたしまして、普通の新聞については二百三十九回の原稿掲載をいたしております。その他ラジオ放送、テレビ放送、あるいはパンフレット、リーフレット等の配布等に努力いたしまして、広報活動については裁判所としてもできる限りの努力をいたして、この制度が周知されるようにいたしておるわけでございます。
#13
○畑委員 いろいろ広報活動等で努力されている話はいま承りました。それは認めるにやぶさかでないのでありますが、結局問題は、先ほど来私が申し上げておりますように、非常に世界にも例のない制度でありまして、実質的には強制力がないから、意見を出しても検察庁のほうでそれに従う必要はないということになって、そのまま前のとおりというようなことになる場合がほとんど多いということで、非常に形だけというような感じも結果的に見ればいたします。しかしこれは、そうであってもやはりその努力はすべきであって、それがいまの新しい民主的な裁判制度の一環でもあるわけですから、この辺をひとつ、一番抵抗の少ない検察審査会のほうの人数を減らして、ほかのほうのふえづらいところを、片方を減らしましたから片方をふやしてください、こういったようないじけた気持ちでやっちゃならぬと私は思う。これは何も刑事局だけのことではありません。ほかの予算関係の経理局長、総務局長の関係も大いに関係があると思うのです。まあひとつそういう態度でやってもらいたい。片方を減らして、抵抗の少ないようなところを減らして云々という普通の場合と違う。検察審査会はそういう制度でありますから、その制度の本質をよく考えていただいて、そういった機能を減らさないように、むしろ助長するようにひとつ努力をしてもらいたいというふうに思います。この点については、あまり長く申しましてもなにですから、以上でとどめるわけですが、そういうことを希望いたしておきます。
 それから、この間もちょっと問題になりましたが、管理職の数字の問題です。私も前年度にも申したつもりでありますけれども、最近非常に管理職が多くなってきておる。割合が多い。ほかの官庁に比べて多いのは、確かに三割方多いだろうと思うのですが、もっとも官庁によっていろいろ違う。裁判所の場合は、一部、二部、三部といったような一つの裁判体を構成する。おのおのそれにつれて書記官も、セクションが別になりますから、したがって、それに対する管理職がやはり要るというようなことになってくることはよくわかっております。ほかの官庁あたりとは違った、同じようなピラミッド型はなかなかむずかしい。仕事が違うのですから、これは私もわかります。わかりますけれども、管理職が割合が多くなってきますと、したがってまた管理されるほうの一般の職員のほうは、割合が少なくなるというのは当然であります。
 そうすると、やはり管理する側からすれば非常にいいかもしれない。しかし、管理される側のほうからいたしますと、ぐあいが悪いことにもなります。また同時に、職員の手当をよくするというような関係では、管理職になれば管理職手当もつきますし、そういう点のメリットはあるとは思いますが、それが同時にまたいろいろ組合あたりを操縦したり何かする一つの大きな役割りを占める。待遇の改善というような名のもとに、逆の立場の人が不利益をこうむるというようなことはなきにしもあらずであって、そういう点で全司法の組合あたりも、この点については相当神経質になっており、ほかの官庁に比べて管理職の割合が非常に多い。私もこの前何か例を出しましたけれども、図書室か何かで、三人かそこらしかいない図書室の人がみんな管理職だ、一体管理職でない人がそのところにいるのかということで非常に疑問をこの前訴えましたが、そういう例が相当あると思う。
 要するに待遇改善ということで、管理職にすればそれだけの待遇になりますから、仕事の関係とは別に、そういう観点から管理職をふやすという傾向なきにしもあらずというふうに思うのです。私がこの間例をあげましたそういう点も、一つのそれの大きな例証だと思うのですが、一つの部で一人管理職がおるということは当然でしょう。しかし、そういった裁判体じゃないほうの、裁判の部のほうじゃなくて、図書室や何かについて、あるいはほかの庶務その他についても、必ずしもそういう人が必要でないのに、よけいに管理職の割合が多いというようなことがどうもあると思うのです。この点はひとつ、待遇改善ということはけっこうな話だけれども、そういうデメリットもあるということも十分考えに入れてやってもらいたいと思うのです。この間土井さんからいろいろ聞きましたけれども、この辺、重ねてまた御見解を承りたいと思います。
#14
○矢口最高裁判所長官代理者 この間も土井委員にも申し上げましたように、裁判所の仕事の特殊性からまいりますある程度の管理職の増ということは、避け得ないところではなかろうかというふうに考えておりますが、それ以上に、職員団体をどうこうするというようなことは決して考えておるものではないということも、おわかりいただいておるのでなかろうかと思うわけでございます。
 それにいたしましても、裁判所には、裁判部門と事務部門とがございますが、この間も御説明しましたようなところからおわかりいただけますように、裁判部門の管理職の割合というものは勢い非常に高くなっております。現在で、裁判部門だけで見てみますと、大体一七%くらいが管理職ということでございます。それに対しまして、事務の部門では一一%台ということでございます。この一一%という数字は、それ自体決して高い数字ではないわけでございまして、畑委員も御承知かと思いますが、各省庁と比べてみますと、これよりもずっと高い管理職の割合を占めておるところが相当多数ございます。この二つを合わせまして全体として見ましたときでも一四%台の管理職でございまして、この数字も決して他の省庁に比べて高くない。お隣の法務省と比べても低い数字であるわけでございます。
 重ねて申し上げますけれども、決して単なる待遇改善――もちろんその意味も全然ないとは申しませんが、そちらの面から管理職をふやしておるというわけではございませんで、やはり裁判所の機構の特殊性というようなものから、その機構を整備していく上の必要上から、毎年ある程度の管理職をこれまでふやしてきておる。しかし、それも決して他省庁よりずば抜けて高いというようなものではないということについて、御理解をいただきたいと思います。
#15
○畑委員 ところで、管理職の数がふえておるいままでの経過、昭和四十五年度に比べて四十七年度、間が一年ありますが、その辺でどのくらいふえているか。私のほうの知った数字では、四十五年度に比べて二百七十三人ふえて二千九百六十五人となった、こういうふうに出ておりますが、大体そのとおりですか。
#16
○矢口最高裁判所長官代理者 これまでの管理職の割合が一四%台でございましたのが、今度予算的に、現在御審議をいただいております概算要求によりますと、七二名の管理職の組みかえということが行なわれるわけでございます。その結果管理職の割合は一五%台になるということでございます。
#17
○畑委員 金額の点についても四〇・九%ふえている、それで管理職手当が約六億計上されている、こういうのだが、それはそのとおりですか。
#18
○矢口最高裁判所長官代理者 四十六年度の管理職手当のトータル金額は五億五百万円という数字でございましたが、今度ふえましたのは、五億八千七百万円ということになっておりまして、割合で申しますと一六%の増ということでございます。しかし、その内訳は、ベースアップに伴いますものが大部分でございまして、約五千六百万円がベースアップに伴うものでございます。したがいまして、先ほど申し上げました今度の七二名の組みかえということによる増というものは、七百三十万円弱というごくわずかな数字でございます。
#19
○畑委員 結局、増員になってもどうも管理職のほうへ組みかえが非常に多いとなると、それによって一般の、管理職でないほうが若干しわ寄せを受けるというようなかっこうに相対的になるわけでありまして、そういう点で、一般の人たちからすれば、せっかくの増員がみんなそっちのほうに食われてしまうというようなことの考え方も出てくるのだと思うのです。そういう声が相当あるということを頭に入れておいてもらって、その辺も十分配慮をした人事をやってもらいたいというふうに希望いたします。
 それから、次に等級別定数の関係ですが、これは今度だいぶ改善をされたというふうに思っております。この前私はこの問題について質問をして、予算を獲得する前にいろいろ皆さんに要求したつもりでありますが、この点については、相当配慮がなされたような気がいたします。書記官の四等級の問題につきましても、今度は高裁の定数が三十二ふえて四十六に大幅に広がった。また地裁についても、十一の定数が初めてついた。こういうようなことは前進だと思っております。また、その他のものにつきましても前進のあとが見られる。廷吏五等級につきましても、これは大幅に前進をしておるというふうに思っております。その辺の配慮をひとつまたさらに続けてやってもらいたいのですが、この辺についてちょっと御意見を伺いたい。
#20
○矢口最高裁判所長官代理者 実は当委員会でも、その点につきましてつとに畑委員から御指摘を受けまして、私どもまことにごもっともな御意見だということで、今度の定数改定にあたりましては、いわゆる書記官の四等級問題、それから廷吏の五等級の問題、ここに重点を置きまして実は鋭意折衝をいたしたわけでございます。
 その結果、まあまことに不満足な点がまだまだございますけれども、何とかただいま御指摘いただきましたような程度の成果をおさめ得たわけでございます。このような道ができてまいりましたので、今後はさらにそういったものを十分整備していきたいというふうに考えておるわけでございます。決してこれで満足いたしておるわけではございません。第一年度といたしましては、この程度でおさまらざるを得なかったというのが実情でございます。
#21
○畑委員 まだまだ不十分とは思いますけれども、そういった点で改善のめどがつき始めたという点については、われわれの意見も聞いてくれた、それで努力をしてくれたというあとが見えております。この点は評価したいと思うのですが、ともかくそういった下級の人たちが意欲を燃やすことができるようなふうに、ひとつぜひ今後とも配慮してもらいたいと思う。くさり切っちゃっているような状態を、この前私は現実の例を取り上げて申し上げたのでありますが、そういった人たちが意欲を出すような形にしてやらぬと、公平、迅速な裁判にも影響してくると思いますので、その辺の配慮をさらに一段と強めていただきたい、かように思うのです。
 ついでに、廷吏の調整というのがありますね。あれはどういうことなんですか。その辺がだいぶ声が強いようですが、これは実現されなかったというふうに聞いておりますけれども、その辺ひとつ……。
#22
○矢口最高裁判所長官代理者 廷吏につきまして調整手当を支給するように努力いたしてまいりまして、本年で三度目の努力をいたしたわけでございます。ただ廷吏と申しましても、実は民事、刑事等、法廷における仕事の実質上の中身等も非常に違ってまいりますので、その全般を通じて一般的な調整手当という形で調整を行なうということはなかなか困難でございまして、鋭意折衝はいたしましたが、成果を得るに至らなかったということでございます。
 私どもは、廷吏の待遇を改善していくということは、先ほど御指摘の定数の改定等にもございますように、必要性を十分考えておるわけでございますが、調整手当という形で今後もなお要求を続けていくかどうかというようなことにつきましては、この際もう一度いろいろの観点から考え直して、やるべきものであるならばさらに今後も強力にやります。あるいは定数の改定というような形でいったほうが、結果において実現の可能性が強いということであれば、またそういう方法でやっていくというふうに、方向を変えていくことも考えざるを得ないのではないかというふうに思っております。根底には、廷吏の待遇の改善には十分努力しなければいけないということは、御指摘のとおりでございますが、方法といたしまして、この辺でもう一度あらゆる角度からよく検討し直すことも必要ではなかろうかと、現在考えておるわけでございます。
#23
○畑委員 廷吏の待遇について、いま非常に強い要求があるわけです。それにこたえて、最高裁のほうでもそうした努力を三年間にわたって続けてきておる。ところが、なかなか大蔵省がうんと言わぬというような事情があるようであります。したがって、組合あたりとの折衝の問答等も伝え聞いておりますが、もう言うべきことは大蔵省には言い尽くしておる、ところが、なかなか三年越しで言うことを聞いてくれぬ、したがって、この辺で次の、そういった形で続けてやるかどうかということを、いま検討しなければならぬ段階だというようなことを伝え聞いておりますが、そのとおりの御答弁でございますけれども、実態をよく大蔵省にも説明して、昇給昇格という形で要求も続けなければならぬし、今度廷吏の五等級についても特別の配慮ができたということはそれでいいのですが、同時にまた、全体としての要するに調整手当の問題は、さらに続けて大蔵省当局に強く要求していただきたい。その辺の考え方を聞きたい。
#24
○矢口最高裁判所長官代理者 決してこれであきらめるという問題ではございませんが、三年間の折衝を通じまして非常に困難な問題であるということを痛感いたしております。今後どのようにいたしていきますか、おことばもございますので、さらに十分検討いたしまして方針をきめさせていただきたいと考えております。
#25
○畑委員 それから、もう一つちょっと聞きたいのですが、これは予算関係ですけれども、旅費ですね。研修旅費、赴任旅費、これは今度は相当ふえているようです。いろいろな研修をすること、それはけっこうなことですが、また同時に見方によってはいろいろな見方があって、人事管理行政を強化するというようなことで、組合側あたりからはやはり相当警戒心をもって見られておるところだと思うのですが、これがだいぶん今度はふえておるようです。今度判事補も、採用したら四カ月訓練をするというような話も新聞にこの間出ておりました。研修することはけっこうだけれども、そういう見方をされないように、ひとつ十分注意をしてもらいたいと思うのです。また赴任旅費あたりは、広域配転がありますから相当ふえるというようなことだと思う。これもまた人事管理につながっておる問題だというふうに色めがねで見られる可能性もあるのですが、それのほうも相当ふえている。
 そのわりあいに裁判に行くときの旅費、これが非常に少ない。何か二百万円くらいの金額が、この前よりも金額は減っておるというようなことの実態があります。これは裁判を公平、迅速にやるためには、裁判官中心ですから、それのほうにはやはり相当金をかけなくちゃいかぬと私は思うのですが、この辺はだいぶん前よりも逆に減っていて、赴任旅費や研修旅費が逆に非常にふえておるというようなことも、ちょっとわれわれから見ましても、なるほどこれはやはり注意しなければいかぬなという感じがいたすのですが、この辺はいかがですか。
#26
○大内最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 まず裁判関係の職員旅費の関係でございますが、これは実は予算の積算の基礎が、事件数を基礎にいたしまして積算が行なわれております。そこで、私どもといたしましてもこの旅費につきましては、できるだけこれを増額するように、いろいろの要因をかみ合わせまして計数を詰めるわけでございますが、はなはだ遺憾なことでございますけれども、事件数の伸びが、先ほどもちょっとほかの問題で申し上げましたように、期待どおりの数に達しておりませんので、それで結果的には、先ほど畑委員御指摘のとおり、約二百万円ほど減ったということになっているわけでございます。
 しかし、これはあくまでも予算でございまして、四十七年度中にまた事件がふえるということもあるわけでございます。そうした不確定な要素を持っておる経費でございます。もちろん、そうしたことで実際に旅費を必要とするというような事態に相なりますれば、私どもといたしましていろいろの方法を講じまして、従来もやっておりますけれども、裁判のために支障のないように必ずこれは実行上配慮をいたしたいとかたく考えております。
 それから、ついででございますが、赴任旅費につきましては、実のところ申しますと、本土関係につきましては昨年と同額でございまして、全然ふえておりません。沖繩関係がありますためにふえたということでございます。なお、研修旅費につきましても、ふえているところの大部分が沖繩関係の経費でございまして、本土関係でふえましたものは、先ほどちょっとお話のございました裁判官の研修、それから公害事件担当の書記官の研修、この二つだけでございます。ほとんど大部分は沖繩関係でございまして、それが実態でございます。
 いずれにいたしましても、裁判関係のかような経費につきましては、それが不足するために実際の裁判の運営に支障を生ずるというようなことがあってはならないことは当然のことでございますので、私どもといたしまして、特にただいまお話もございましたので、一そうその点につきまして、心を新たにいたしましてそうした迷惑のかからないような配慮を必ずいたしたい、かように考えております。
#27
○畑委員 その点、わかりました。
 続いて、時間があまりありませんから職業病のことについて聞きたいのですが、前にも私、この点を質問したことがございますが、特に速記官などはこの職業病が非常に多いと思うのです。この辺はどういう趨勢になっておるか、それに対する対処はどうしておるか、その辺について承りたい。
#28
○矢口最高裁判所長官代理者 速記官の職業病でございますが、これまでに職業病ということで申し立てあるいは報告のございましたものが四十四件ございますが、その中で十五件が公務上のものであるというふうな認定を受けております。そして二十三件が公務外の認定を受け、現在審理中のものが六件という状況でございます。
#29
○畑委員 公務上の病気あるいは公務外とみなされた場合の数字をいま聞きますと、公務外とみなされたほうが多いわけですが、これは実際に調べてみてそれならしかたがないわけですが、非常に限界がむずかしい場合が非常にあると思うのです。間接的にはやはり公務が影響してそういうことになったというようなこともあろうと思うので、その辺はどうでしょうか。
#30
○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のように、いわゆる腱鞘炎でありますとか、頸肩腕症候群というようなものがその大部分を占めておりまして、それが公務に基因するものであるかどうかということの判定は、きわめてむずかしいところがあるように存じております。私ども一応の申し立てがございました場合には、その判定をいたしますには、そういった角度から同じような職場で同種同量の仕事をしておるような人との比較等も勘案いたしまして、慎重にきめておるわけでございます。何ぶんにも個人差というものは免れないところでありますが、そういうことだけから判定するということもできないものでございまして、そういった点きわめて慎重に行なっております。
 なお、この種の病気が必ずしも歴史の古いものではございませんので、臨床例といったようなものも必ずしも十分ではない。それで全国に専門のお医者さんが分布しておるというわけでもございませんので、その辺のところなかなか問題があろうかと存じておりますけれども、現在のところの医学のレベルにおいて考え得る最善の検討をさせていただいて、その結果が、いま申し上げたようなことになっておるというふうに御了解をいただきたいと思います。
#31
○畑委員 その辺の認定の問題についても、ひとつ十分働いておる人々の実情をよく考えて、その人たちの利益のためにひとつ考えられるものは考えていただきたい、そういうふうに思います。
 以上で大体終わるわけですが、最後にちょっとつけ加えて聞いておきたいことがございます。それは裁判官の判事補への新任の問題です。これが例によって毎年毎年その季節に――この間再任の問題は一応今年度は落ちついた。ああいう形で落ちついた。これは、いろいろ世間もうるさかったし、まあその辺最高裁のほうも十分考えられたのだと思う。いや、そうではなくて、これが当然なんで、一つも動かされたわけでも何でもないとおっしゃるかもしれませんけれども、とにかく金野君は先に撤回をしてしまったので、これはこの対象にならなかった。それ以外の人は、青法協の会員であっても再任をされたということでありまして、結果として最高裁のほうでも十分慎重に再任の問題に対処してこられたというふうに一応思います。しかし、これは今度で終わったというわけではない。毎年毎年あるのですから、こういった問題によって司法部がいろいろ不信の感を抱かれないようにお願いいたしたい。
 そういう意味で、再任の基準という問題がはっきりしないということが、残された問題としてあります。いまの法でいく以上は、憲法の規定、裁判所法の規定、これからすれば、十年で一応任期が切れるということで、再任するかしないかは、最高裁の意見によれば自由裁量に属する、こういうことのようですが、しかし、そうではないと私は思います。法律の形の上から見るとそういう形になるわけでありますが、その辺を、何かピリオドを打つことはないかということで、われわれも考えておるわけであります。
 その再任の問題はそれといたしまして、新任の問題。去年七名の者が願いを出したにかかわらず、希望を出したにかかわらずはねられた。その中に青法協に属する人が大部分であったというふうになっております。しかも、それらの人々は裁判所の修習の場合におきましても、主任の指導官から、裁判官が向いておるというふうにむしろすすめられた人たちが、私の記憶によりますれば、相当多くあったと私は思います。そういう点で、やはり青法協で活発にやっておったというようなこともまた相当事実でありますから、そういうことが、そうだとするならば原因である。まあそういうような者は、争いを起こしそうな者は、問題になりそうな者は、使いたくないという最高裁の考え方かもしれませんけれども、しかし、それであっては私はならぬと思うのでありまして、あくまで思想、信条、団体加入の点等については、それだけでは再任あるいは新任の基準にはしないと言うておられますけれども、相当部分これが占めるのじゃなかろうかというふうに思うのでありまして、そうすると、ますますやはりその辺の、再任の場合とは違った意味で、もちろん違いますけれども、やはりいろいろまた問題の種をまくことになると思うので、その辺を十分考えに入れて今度の新任の問題にも当たってもらいたい。この前のようなことのないように、ひとつできるだけ配慮をしてやってもらいたい。希望を出す人はでき得れば全部採用してもらいたいというふうに私は要望いたしますが、その辺の考え方についてもう一度承りたい。
#32
○矢口最高裁判所長官代理者 理屈は別といたしまして、修習生からの判事補の採用といいますことは、私どもの後輩を迎え入れる唯一の方法と申し上げても事実上差しつかえないものでございます。いい方に、できるだけ多くの方に来ていただきたいということは日夜念願しておるところでございます。
 ただ、判事補は、もちろんまだそれで十分の、一人前の人というわけでは制度上ございませんので、もちろん今後に期待するところ大なるものもあるわけでございます。そういう意味では、今後に十分の期待のできる豊かな素質を持った人、これに大量に来ていただきたいというふうに念願いたしております。採用にあたりましても、そのような見地からできるだけ慎重に検討をして採否をおきめいただくように努力をいたしたい、このように考えております。
#33
○畑委員 大体新任はいつごろ結論を出されるおつもりですか。
#34
○矢口最高裁判所長官代理者 現在まだ口述試験二回試験の口述試験を実施いたしてております。この月末に希望者の面接をいたします。したがいまして、来月の上旬に結論が出るのではないかというふうに考えております。
#35
○畑委員 新任の問題については、私の意見、希望を申し述べさせていただきました。
 続いてもう一つ、これは総務局長に伺いますが、この前私ここでだいぶあなたと議論をした例の一人制の特例の問題。あれは一般規則制定諮問委員会に諮問をして、もう二回目くらいやって、三回目を今度やるくらいのところじゃなかろうかと思いますが、これはあなたのほうの考え方と私の考え方が百八十度違うような感じがする。私は裁判のやり方の一つの新しい型だと思う。そうであるからには、やはり裁判所法の改正によってやらなければ、大きな間違いを犯すというふうに思って心配でならない。あなたのほうで、諮問委員会の結果がどうなるかわからぬけれども、相当程度の反対でもあれば、一応強力な反対でもあれば、これは実施すべきではないというふうに思っている。まあ十分に協議をして、無理押しをぜひせぬようにしてもらいたいというふうに思います。これは単に私たち野党だけの考え方じゃないというふうに私は確信しておるので、これは一つの大きな日本の司法制度のやはり根幹に触れる問題だと思いますから、今までの経験でこらしたことがよろしいということで、基本的にはあなたの発案かもしれませんけれども、ぜひこれは十分慎重に協議をして、四月から新しい判事補が入るから、それからまっ先に運用するというようなせっかちな態度をとらないように、十分にその辺を配慮をして、コンセンサスを得た上でやってもらいたい。基本に触れる問題だと思うがゆえに申し上げますけれども、その辺どういうふうな進行状況でどういうふうにお考えになっているか、また、そういう私の考え方に対しまして、あなたの考え方をひとつ聞かしてもらいたいと思います。もうだいぶ議論はしましたから、こまかい議論はさらにしたいと思いませんが、その辺のひとつ考え方を述べてもらいたい。
#36
○長井最高裁判所長官代理者 ただいま畑先生から御指摘、御教示のありましたように、制度というものは無理押しをいたしましても、その運用は円滑にいかないので、これは当然考えなければならない問題でございますから、十分に御意見を承って、運用上無理の生じないような形をとらなければならないことはよくわかっておりますし、その観点からも諮問委員会が審議を進めておられることと存じます。
 本日、第三回目の諮問委員会が開かれる予定になっておりますが、御指摘の点については十分にお伝えをいたしまして、今後の審議に反映させていただきたいと思っております。決して、私個人のとらわれた気持ちで無理押しをするというようなことは、これはとうていできないことでございますし、その点は御了承をいただきたいと思います。
#37
○畑委員 以上で私の質問を終わります。
#38
○松澤委員長 青柳盛雄君。
#39
○青柳委員 ただいま審議されております法案の内容の中に、判事補の定員をふやすという部分がございますので、それに関連いたしまして、ただいま畑委員からもちょっと御質問がありましたが、二十四期修習生から判事補へ任命するという問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 その前に、十四期修習生から裁判官になった方々の再任問題が一応片づきましたので、それを踏まえて、十四期修習生から判事補に採用された者の数をまずお尋ねし、それが今度再任をされた人の数と対比してどういう差異があるか、それを知りたいと思います。
#40
○矢口最高裁判所長官代理者 十四期の、修習を終わりまして判事補に採用された者は七十五名でございます。それで、今度いわゆる判事に任用すべき名簿に登載されるべく決定された者は、十四期で六十一名でございます。
#41
○青柳委員 そうすると、この十年間に十四名の方が裁判官、いや、正確に言えば判事に再任されることがなくなっているということを意味するわけですが、こういう十四名もの方が、十年間という月日はありますけれども、再任されることがなくなったという原因はどのようなものか、少なくともこの十四期についてだけでもおわかりになりますか。
#42
○矢口最高裁判所長官代理者 ちょっと十四期について正確なそういった調査の結果を持ち合わせておりませんので、この場でお答えいたしかねますが、私どもの一般的な人事運用上の常識といたしまして、裁判官がその勤続の過程において、最終的には、同期の者の中で二十名前後の方がおやめになるということは常識でございます。
 そういたしまして、おやめになる時期ということで考えてみますと、これは十年までの間に、その約半数に当たります十名前後の方がおやめになります。そのおやめになる理由は、転勤等に際して地方に行かなければいけないというようなことを契機にして、この際弁護士をやるというのでおやめになる方が大部分でございますが、しかし、中にはおとうさんが弁護士をやっておられて、もう非常に年をとられたので、この際親のあとを継がなければいけないというようなことで、異動期と関係なくおやめになる方もございます。要するに十年間で十名前後の方が、大体弁護士をやるからということでおやめになる。そうしてそのあとは、二十年目とか二十年から三十年に至る過程とかにぽつぽつとおやめになって、全体として、定年等まで見てみますと、二十名前後の方がおやめになる、そして大部分の方がやはり弁護士をなさるということでございます。
#43
○青柳委員 法曹一元制というものは望ましいということで、これは朝野とも異論がないところなんですが、現実にはなかなか理想どおりにいっておらぬ。したがって、修習生から判事補を採用し、その判事補からさらには判事を任命していく、こういうコースが、現状では裁判官の補給方法として最も確実なものだと考えられます。それがいまお話のように、十年間に平均十人ぐらいはやめてしまう、また判事になってから十人やめる、こういうお話で、その理由も、いまお話のようなことが主たるものであろうと私も理解できますが、もっともここ二年ばかりの間は、例の青法協問題が起こりまして、再任されそうもないからということを察知して、と言えば非常になめらかな話になりますけれども、むしろ抗議的な意味でやめた例が、十三期の場合もありましたし、またことしの十四期の場合もありました。それを一般化しないならばけっこうなことですけれども、いずれにしてもこういう人員の減が発生するということが避け得られないというのであるならば、それを見越して修習生から判事補への採用が毎年行なわれてしかるべきものだと思いますが、そのようにいたしておられるでしょうか。
#44
○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、裁判官の定員というものはそれぞれの官職に応じまして法律でおきめいただいておりますが、しかし、現実の問題といたしましては、判事のところは資格が非常に厳格でございますためにある程度の欠員がございます。また簡易判事等につきましてもある程度欠員がございますので、これまでのところ、修習生から判事補なり簡易判事になることを希望された方につきまして、その全員を採用するということにいたしましても、なおその余裕があるというような状況できておるわけでございます。
  〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
言いかえますと、定員のために採用ができないというような状況は、これまで一度もないというふうに、御了承いただきたいと思います。本年度もその点については同様でございます。
#45
○青柳委員 どうも裁判官全体が、わかりやすいことばで言えば端境期といいますか、新しく修習生から採用する直前の時期になっては百名前後の欠員が出る、そういうのがいままでの例のように聞いておりますけれども、もちろんこれは採用した瞬間には相当補充されるわけでございましょうが、それでもなおかつ、私の単純な算術計算でも、ことし判事補を希望する人が六十五名で、簡易裁判所の裁判官を希望する人が二名で、合計六十七名だと、これを全員採用いたしましても欠員にはとうてい及ばないわけでございます。もちろん欠員の中には判事補だけではないでしょうけれども、これが十年後には、六十七名全部採用いたしましても十名ぐらいは減るというわけでございますから、せっかく判事補の定員をふやしましても、この程度の希望者では足りないのじゃないか、またこの希望者の中からさらに何名かを採用しないということであるならば、さらに不足ははなはだしくなるのではないか、このように考えざるを得ないわけですが、それにしても六十名ないし七十名台の人々しか最終的に裁判官への採用を希望しないというような現状を最高裁として、これは別にそう憂慮すべき状態であるというふうには考えていないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#46
○矢口最高裁判所長官代理者 これまで、今度二十四期が終了いたしますので、二十年以上の年月を経てきたわけでございますが、いろいろの観点から考えてみますと、私、七十名の上十人、下十人の範囲における裁判官の採用ということは、結果論であるかも存じませんけれども、妥当な線ではなかろうかというふうに考えております。
#47
○青柳委員 現状のところで別にそう心配要らないのだという観点であれば、特に裁判官希望者を募集するような工作はあえてしなくともかまわないのだというようにもとれるわけでございますけれども、私は、そういう消極的な態度ではたしていいかどうか、どうも疑問を感ずるわけです。この間の当法務委員会で土井委員のお尋ねしたことに対するお答えの中でも、修習生に採用するときには裁判官希望者が百五、六十名あったのだけれども、いよいよ修習を終了して裁判官を希望するかどうかという段になると、とたんにいまのお話のように七十人前後の者になってしまう。これはきびしい状況を認識する結果であって、別にどういうことはないので、そこに狭き門に対しておそれをなしたものとばかりも言えないのだというような話でございますが、私は、ここ二、三年たいへん世間で関心を呼んでおります、いわゆる青法協問題がやはり相当重要な問題として出てくるのではないかと思います。
 それは、本来裁判官を希望したいのだけれども、どうも青法協に参加しているという理由で排除されそうだ、あえて希望を申し出てそれを固執するならば当然拒否される、拒否されてすぐ弁護士になるということも、どうも不法行為というか、裁判所の不当行為に負けたという感じがするというようなことで、あえて争いを続けるというつもりなら、そういう覚悟のもとならば別でございますけれども、そんなトラブルはあまり好ましくないと思う人は、最初から裁判官になることをあきらめてしまいまして、自由な弁護士のほうがいいということで希望しないとかいうこともあるでしょう。それから、それほど深く考えないで希望してしまったところが、案外にきびしいということで、年末までに申し出た希望書を、いよいよ終了して本格的な採否を決定するまでの段階においてみずから撤回する、金野裁判官と同じような形でございますけれども、そういう人もあるということを聞いているわけですね。だから、こういうような最高裁の態度を続けていく限りじり貧におちいっていくのじゃないか。裁判官に対する魅力というようなものは、もちろん若い人からは失われていくでしょうし、またそういう抵抗闘争まではやりたくないという人もあるでしょう。したがって私は、もういままで何べんも論ぜられたところでございますけれども、青法協を一つの採用の基準にする、それだけではないと言うけれども、一つの採用の基準にしているといういままでの態度を改めない限り、幾ら判事補の定員をふやしてみても、裁判官を充足させていく上においてあまり積極的な効果は発揮できないのではないか、このように考えます。だから私が言いたいことは、青法協を理由に裁判官に新任することを拒否するというような態度を改めなければならぬ。それは反憲法的でもあるし、また不法でもあるというふうに考えますが、この点は依然として改めるおつもりはないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#48
○矢口最高裁判所長官代理者 私どもは、判事補を採用するにあたりましては、先ほども畑委員の御質問に対して申し上げましたが、今後に期待できる豊かな素質を持った人、そういう人をほしいという観点から、採用のめどをつけて採否を決定させていただいておるわけでございます。ただ、裁判官を希望される修習生の方の中には、やはり何と申しましても裁判所がそういったきびしい基準を設けてやっておるということについて、自分はどうも少し成績が芳しくないからあきらめるというようなことで、希望をあきらめられる方もあるやに聞いておりますけれども、これはしかし、裁判官というものが争いをその自己の責任において判断していくというきびしい職責である以上やむを得ないものでございまして、裁判官の採用をあまり、俗なことばで申しますとルーズにいたしますと、結局それによって迷惑をされるのは一般の国民であるわけでございます。
 その辺を勘案いたしまして、いい方には幾らでも来ていただきたいとは思いますが、といって、無制限にどのような方でもということも申し上げかねるわけでございます。そういった態度は、本年も昨年と同様に一つも変わっていないということを申し上げるよりほかしようがないのではないかと考えております。
#49
○青柳委員 どうもいまのお答えは、私の質問に対してまともにお答えになっていらっしゃらないので、いま矢口人事局長が言われたこと自体は別にだれも反対する筋はない。ほんとうにそのようなことだけで人事が処理されているのならば、何もここでむだな時間を費やす必要はないわけなんですけれども、私の質問は、人格的には別にそれほど非の打ちどころはない、もちろんりっぱな人でも全然欠陥がないなどという人はありませんけれども、どちらと比較してみても、それほど裁判官としてふさわしくないというほどではないが、唯一の欠陥といえば、どうも青法協に加入していることだ。そういう場合に、青法協であるゆえをもって除外されるようなことが過去においてあったし、これからもあるのではなかろうか、それをやめる気持ちはないのかということをお尋ねしているわけです。
 再任の問題につきましては、あれが終身官か、あるいはそうじゃないんで十年ごとに官を失って、また新規採用と同じなんだということなのかという点は、法律論的にも制度的にも相当議論もあるようです。それは私はいま論じようとは思っておりませんけれども、新任の場合は、よく民間会社などと比較をされまして、どういう理由ではねるかなどということはどこでも公表はしないのだ、公表するなどということは必要ない、全く採用者側の自由な裁量に基づくものであるという議論が一般化しておりまして、人事の問題は、何か人事権を持っている者がオールマイティーであるかのごとき誤解があるわけです、ことに採用、不採用については。
 そこで私はお尋ねをいたしたいのですが、憲法二十七条の一項には、「すべて國民は、動勞の權利を有し、義務を負ふ。」とある。だから、われわれはどこへでも就職を希望するというチャンスを与えられなければならないと思います。それは憲法二十二条一項の、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移轄及び職業選擇の自由を有する。」というところから見ましてもそうだと思うのですね。だとするならば、新規採用だから、たとえば思想、信条を理由に拒否しようと、特定の団体に加入していることを理由に拒否しようと、それは採用者側のかってである。民間会社の場合などは多くそういう態度をとるだろうと思いますが、国家の場合であっても公共団体の場合であっても、全くそれは変わらないのだというようなことで何ら制約を受けないということであったならば、憲法の平等の原則などというものは全く空文化してしまうわけですね。思想、信条、団体加入を理由に、自分の希望する職業を選択することがあらかじめ不公平に拒否されることになる。十人十色でございますから、適材適所であるかどうかという点で拒否されるということであるならば、これは差別待遇ではありませんけれども、思想、信条あるいは特定の、別に非合法の団体でない、合法的な団体に所属しているというゆえをもって拒否される、それが政党であっても私は同様だと思いますけれども、そういうことを、何か裁判官は政治的に中立でなければならぬというような変な理屈を持ってまいりまして、事実中立でなんかあり得ないにもかかわらず、中立でなければならないというような理屈を持ってきて、しかも、特定の思想、特定の団体だけは差別的に拒否する、こういうようなのが青法協問題によって典型的にあらわれているように思うのです。この点を理論として最高裁はどう考えられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
#50
○矢口最高裁判所長官代理者 憲法の条項に触れたお尋ねでございますが、私は、四十五年四月八日に当時の岸最高裁事務総長が最高裁としての公式見解を発表いたしました字句を引用させていただきまして、お答えを申し上げたいと思います。その問題は、二十二期の修習生の判事補採否との関連におきまして、裁判官会議のお許しを得て公式見解として出したものでございます。「裁判官の任用について、差別待遇があると二十二期司法修習終了者の代表が主張しているそうであるが、裁判官志望の某君らが不採用となった理由は、人事の機密にぞくすることなので、一切公表することはできない。」そのあとでありますが、「ただ、同君らが青法協会員であるという理由からではない。」ということで、はっきりと青法協会員であるという理由は採否の問題ではないということを、その限度におきまして、理由の一端として、消極的ではございますけれども述べておるものでございまして、この態度は四十五年以前も同様でございますが、以後も貫いておるものでございます。
#51
○青柳委員 いま、当時の最高裁の事務総長の談話を引用されて、青法協の会員であるということは差別の理由にはならぬという趣旨のことであったそうでございますが、その後、昨年の国会における答弁では、だけではというのが出てまいりました。青法協の会員だけではというのですから、それでは裏から言えば、それも一つの理由かということになってしまって、いまの事務総長の談話とは必ずしも一致しないように思うのです。青法協の会員であるということは絶対に理由になっておらぬというのであれば、これは疑義を差しはさむ余地はないのですけれども、現実にそうかどうかは別問題といたしまして、公式にはそれで疑義を差しはさむ余地はないのですが、昨年の答弁のように、だけではというふうになってまいりますと、もうだいぶ趣旨が違ってくる。だから私は何べんもこの点はどうなんだと言ってお尋ねをしていると思うのですが、本日は、その点は談話だけを強調されておりますので、私は、やはり青法協ということを現実には拒否理由にしているのかもしれないけれども、公式にはそうではないのだというふうに理解したいと思うのですが、いかがでしょう。
#52
○矢口最高裁判所長官代理者 その後、青法協だけではというふうに事務総長も国会の委員会等で述べておりますが、これは、青法協を理由にした問題であるというふうな新聞紙の記事あるいはそういった意見等があまりに多くございますので、元来理由は述べるべきものではないという考えは堅持いたしておりますが、万やむを得ないものとして、最小限度消極的にその点を打ち消したという――打ち消したことによって理由を述べたことになるかも存じませんけれども、万やむを得ないものとしてその点の理由を打ち消したというものでございまして、積極的な理由を述べておるというものではないわけでございます。したがって、私は、いま申し上げましたことと、その後におけるだけではということの発言との間には、矛盾はないものというふうに考えております。
#53
○青柳委員 時間がありませんので、私もう一問尋ねようと思いましたが、これはもう次回に譲ることにいたします。せっかく西村民事局長見えておりますけれども、次回にいたします。
#54
○松澤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#55
○松澤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#56
○松澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#58
○松澤委員長 次回は、来たる二十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   正午散会
ソース: 国立国会図書館
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