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1971/06/09 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第31号
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1971/06/09 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 法務委員会 第31号

#1
第068回国会 法務委員会 第31号
昭和四十七年六月九日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 松澤 雄藏君
   理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
   理事 田中伊三次君 理事 高橋 英吉君
   理事 羽田野忠文君 理事 中谷 鉄也君
   理事 林  孝矩君 理事 麻生 良方君
      石井  桂君    大坪 保雄君
      鍛冶 良作君    河本 敏夫君
      千葉 三郎君    松本 十郎君
      村上  勇君    河野  密君
      米田 東吾君    沖本 泰幸君
      青柳 盛雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
 出席政府委員
        法務政務次官  村山 達雄君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 貞家 克巳君
        法務省入国管理
        局長      吉岡  章君
 委員外の出席者
        法務省入国管理
        局次長     江幡 修三君
        法務省入国管理
        局参事官    岡田 照彦君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  牧  圭次君
        法務委員会調査
        室長      松本 卓矣君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月九日
 辞任         補欠選任
  石橋 政嗣君     米田 東吾君
  山田 太郎君     沖本 泰幸君
同日
 辞任         補欠選任
  米田 東吾君     石橋 政嗣君
同日
 理事麻生良方君同月七日委員辞任につき、その
 補欠として麻生良方君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第一〇九号)
 出入国法案(内閣提出第八七号)
     ――――◇―――――
#2
○松澤委員長 これより会議を開きます。
 理事補欠選任に関する件についておはかりいたします。
 去る七日、理事麻生良方君が委員を辞任され、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。
 先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に麻生良方君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○松澤委員長 おはかりいたします。
 本日、最高裁判所牧刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#6
○松澤委員長 内閣提出、刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林孝矩君。
#7
○林(孝)委員 刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案について、今日まで十分審議がされてまいりました。したがいまして、私は質問の重複を避けて、一点にしぼってお伺いしたいと思います。
 最初に、裁判所と国選弁護人の選任の関係について、まず根拠法を明示していただきたいと思います。
#8
○貞家政府委員 国選弁護人の選任につきましては、刑事訴訟法の第三十八条でございます。それを受けまして、刑事訴訟規則二十八条、二十九条に規定がございます。
#9
○林(孝)委員 そこで、その刑訴法三十八条、また規則二十八条以下の内容から考えまして、裁判所が弁護士会に今日まで、ある通達をもってその選任を委託している形をとっているということがあるのですけれども、その経過について御説明願いたいと思います。
#10
○牧最高裁判所長官代理者 国選弁護人制度は、現行刑事訴訟法によって非常に拡大せられたわけでございまして、従前のは、それに類するものがきわめて範囲の限られたものでございましたので、裁判所において選任するということがわりあいに簡単にできたわけでございます。しかし、現行刑訴法になりましてから非常に拡大をされて、国選弁護人が付せられる数がきわめて数多くなってまいりました。それを、各裁判所がそれぞれ独自に選任されるということになりますと、勢いその選任の方法が片寄ったり、あるいは事務が非常に繁雑になるということもございますので、弁護士連合会と御協議いたしました結果、一応各弁護士会に推薦を御一任いたしまして、その推薦されたのに基づいて裁判所が選任するという実務の取り扱いをいたしておるわけでございます。
#11
○林(孝)委員 各弁護士会が推薦した国選弁護人が行なった弁護の内容について、いろいろな批判が起こった場合に、その責任はどこにあるわけですか。
#12
○牧最高裁判所長官代理者 憲法によりますと、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する辨護人を依頼することができる。」ということになっておるわけでありまして、裁判所が国選弁護人として選任する場合も、資格を有する弁護人という要件を満たさなければならないと思うわけでございます。ところが、現状といたしましては、一応きびしい試験制度をとり、修習期間を終えてすべてが弁護士としての登録を受けておるわけでございますので、これらについては、いずれも資格ある弁護人ということが言えようかと存じますので、そういう意味で、弁護士会から推薦があった人を裁判所のほうとして選任するということによって、資格ある弁護人を付するという憲法の要請は、一応満たされているというふうに考えるわけでございます。
 いま林委員から、あるいは国選弁護人の中には、必ずしも十分な弁護活動をしない者があるのではなかろうかという御批判がございましたが、確かに発足当初から、そういうことの例が絶無であったとは申せませんけれども、弁護士会と裁判所と毎年協議その他いたしまして、できるだけ弁護活動を十分にしていただくようにお願いいたしますし、また、弁護士会のほうでも十分その点に意を用いられておりますので、現在では一応、私選弁護人にまさるとも劣らないような弁護活動をされておられるのが一般ではなかろうかというふうに存じておるわけでございます。
#13
○林(孝)委員 最近、私の手元に届いた資料によりますと、一つは、大阪弁護士会が初めて規則をつくって、国選弁護に関して公正にやらなければならない、また親切にやらなければならないという、みずからの戒めをきめたということであります。こうした自戒といいますか、みずからの戒めをきめるという背景には、貧しい被告人のために裁判所から国費で選任される国選弁護人のあり方について、一つの疑惑といいますか、あるいは反省といいますか、そうしたきびしい態度をうかがうことができるわけです。
 こういう大阪弁護士会のみずからの規則というものと他の弁護士会との関連、それから、こういうみずからの規則というものを設けてやっていることと裁判所との関連、これはどういうふうに解釈されるのですか。
#14
○牧最高裁判所長官代理者 林委員から御指摘の、大阪弁護士会の国選弁護人の運営規則というものが制定されたように私どもも伺っております。これはそれぞれ各単位弁護士会が、自主的に運営の適正をはかるという趣旨でつくられたものでございまして、なおその他の単位弁護士会でも、これと同じような規則をつくられているところがございます。
 その背景につきましては、先ほど林委員から御指摘のございましたように、国選弁護活動が必ずしも十分でないと考えられるような例も、過去には一、二あったということに対する反省で出ているものだと存じますが、裁判所としても弁護士会と十分連絡をとりまして、できるだけ国選弁護活動が有効に行なわれるように、いろいろ御配慮願い、また裁判所のほうとしても訴訟指揮その他の面で、そういう点についての弁護士の御努力をお願いしているところでございます。
#15
○林(孝)委員 先ほど根拠法が明らかにされましたね。憲法三十七条、それから刑訴法三十八条、それを受けてできた規則二十八条以下、この法律によりますと、あくまでも国選弁護人というのは裁判所が任命する、こういうことじゃないかと私は思うのです。であるならば、大阪弁護士会と他の弁護士会との格差といいますか、どこの弁護士会も平等に同じ規則でもって弁護士会が運営されている場合に、国選弁護人によって保護される被告人は、平等に安心して弁護の対象となれるというふうに私、考えるわけですけれども、その点はいかがですか。
#16
○牧最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、すべて登録された弁護士は、東京、大阪を問わず全国一律に同じ試験を受け、同じ養成課程を経て登録されているわけでございまして、一応それぞれ法の要求する水準は十分満たしているというふうに考えるわけでございます。したがいまして、東京であるあるいは大阪であるということで国選弁護活動が十分行なわれ、地方における国選弁護活動は十分でないということではございませんで、全国同様に国選弁護活動としては十分に、有効に行なわれているというふうに拝見いたしております。
#17
○林(孝)委員 ところが、大阪弁護士会のこうした規則をつくった背景の具体的な例ですけれども、たとえば年間二百数十件もの国選弁護を一人で引き受けて、そしてろくに被告人と打ち合わせもしないで、一日に数件も法廷をかけ持ちするという無責任弁護士らへの批判が出てきたため、大阪弁護士会ではこうしたみずから反省し戒める規則をつくったというような報道があるわけです。
 そういうことになりますと、将来の問題として考えても、事件の増加あるいは弁護士と国民という関係は、これからの時代はますます密着していくと思います。そういうふうになってきますと、よけいこういうことが心配になってくるのじゃないか。そして都会になれば都会になるほど弁護士の数も多いわけですね。東京と大阪では東京のほうが多いわけです。扱っている件数も多いわけです。大阪弁護士会にこういう規則があり、東京の弁護士会にはまた別の規則があるということになってきますと、そこに一つの差が現実にあるということですね。それから、裁判所が憲法並びに刑訴法によって国選弁護人の選任を依頼している。そうしますと、こうした被告人は、直接裁判所から選ばれた国選弁護人ではなぐ、弁護士会によって選ばれた国選弁護人によって守られておるわけです。
 ところが、裁判所が依頼しているということでもしこういう問題があった場合、裁判所はそれには全然責任がないものかどうか、それは弁護士会の責任になるのかどうか、こういう点を私は先ほどからお伺いしているわけなんですけれども、いかがでしょうか。
#18
○牧最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、各弁護士会に裁判所のほうが依頼いたしておりますのは、国選弁護人の推薦を御依頼申し上げておって、その推薦に基づいて最終的には裁判所が選任いたしておるわけでございます。したがいまして、その選任については裁判所としても十分責任は持たなければならないと存じます。
 したがいまして、訴訟活動を通じましてそういう例は必ずしも多くはないと存じますけれども、弁護活動として不十分だと考えられるようなことがございますれば、その弁護人に対して裁判所のほうからの働きかけもいたしますし、また弁護士会のほうを通じての、今後の弁護活動についての一そうの御努力をお願いするようなことにもなるわけでございます。ただその場合でも、一番ぎりぎりの場合には、やはり弁護活動が十分でないということによって、裁判所のほうとしても、あるいは他の方にかえたほうがいいという場合には、解任し、新たに適当な国選弁護人の推薦をいただいて再選任をするというようなことも、十分考えなければならないというようなことが出てくるかとも思います。
#19
○林(孝)委員 約束の時間がありますので、最後に要点をしぼって質問しますけれども、いまの御答弁の中に、裁判所の弁護士会への働きかけということがありました。適当でないというふうに判断された場合、その判断をされるという基準といいますか、どういう場合が適当であり、どういう場合が適当でないかという判断の基準と、それから、適当でないというふうに判断された場合に働きかけをされる、具体的にこういう働きかけの種類があるというそういう問題それから、これは弁護士会の中で、たとえばその弁護士に対して訓戒とかいろいろそういう処置もあるということを伺っておりますが、その関連もあると思いますので、裁判所からの働きかけの具体的な内容について、この二点をお伺いしたいと思います。
#20
○牧最高裁判所長官代理者 働きかけと申しますと非常にことばがきついわけでございますが、訴訟手続の中におきまして、この事件について弁護人のほうとしては情状の立証、こういう点においてお考えいただいておりますかとか、そういうような意味で、ある程度弁護人に訴訟指揮上弁護活動をしていただくことを促すというような面がまあ一つ、これは通常の場合ですがございます。それがもっとひどくなりまして、ほとんど弁護らしい弁護活動がないということでありますれば、あるいはそれによって十分な訴訟の進行がはかられないということでございますと、刑事訴訟規則の三百三条によりまして所属弁護士会にこの旨を通知して、弁護士会の適当な処置を促すという規則がございます。それを活用するということになろうかと思います。もっとひどくなれば、弁護士会の自治の問題ではございますけれども、弁護士会内部でのあるいは懲戒とかそういうような問題が出てくることも、あるいはあるかと存じます。裁判所として行ないますのは、一番強いものといたしましては、刑事訴訟規則三百三条、弁護士会に対する通告ということであろうかと思います。
 それから判断の基準でございますが、判断の基準と申しますとなかなかむずかしいわけでございまして、具体的にそのために訴訟が全然進まないとか、あるいは被告人の利益が全然法廷に顕出されないというようなことを抽象的に申し上げるよりほかないんじゃなかろうかと思います。弁護活動と申しますのは非常に総合的な活動でございますので、それの評価ということは、裁判所のほうとしては非常にむずかしいわけでございまして、具体的な訴訟において、非常に訴訟遅延の結果が生じたとか、あるいは被告人の利益が全然守られないというような事情が出たときに、そういうような行為に及ぶということで、そういう慎重な態度が、裁判所としてもやはり必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#21
○林(孝)委員 終わります。
#22
○松澤委員長 青柳盛雄君。
#23
○青柳委員 ただいま問題になっております刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、この法律はごく最近に制定せられた法律でございます。それをもうたちまち一部を改正をしなければならないというような何らかの事態の変化が起こったのかどうか、この前のときにうかつにもその点に気がつかなかったので、別にそのときといまと事態の変化があったとは思えないけれども、間違いは早く訂正したほうがよろしいからそれで訂正をするというのか、そのいずれであるか、御説明いただきたいと思います。
#24
○貞家政府委員 御指摘のとおり、刑事訴訟費用等に関する法律は昨年成立いたしました新しい法律でございます。実はこの法律は昨年の通常国会で御審議いただいたわけでございますが、長年にわたる民事、刑事の訴訟費用制度が非常に不備であった。民事訴訟費用の制度につきましては明治二十三年から、刑事訴訟費用につきましては大正十年からの古い法律でまかなっておりまして、いろいろ体系的に不備があったわけでございます。
 そこで、昨年の立法におきましては内容の明確化、体系的な整備を加えるということが眼目でございまして、なお幾多の不備な点が残されていたわけでございます。もちろん国選弁護人の待遇をさらによくするということは、昨年の段階でも考えられていたわけでございますが、法律面に出てまいります今回の改正は、ごくわずかな船賃だけに関係することでございますけれども、その他いろいろの、たとえば宿泊を要しました場合の宿泊料をどうするかというような点につきましても、これは最高裁判所の規則に委任したわけでございますけれども、内容的にはいろいろ問題があったわけでございまして、幸いそういったような国選弁護人の待遇改善の問題は、裁判所当局においても非常な努力をされまして、本年度からは、たとえば日当でありますとか宿泊料のようなものにつきましては、かなり従来に比べて厚遇されるようになる予定であるというふうに伺っているわけでございまして、そういった待遇改善の一環として数年来努力してきたわけでございますけれども、昨年の段階では、なお財政当局その他との完全な意思の一致を見るに至りませんでした。ところが、今回そういった問題が、不十分ではございますけれども、一そうの前進を遂げることになった。そこで、そういった問題の一環といたしまして、法律にあらわれてくるものがこの船賃の改定ということになったわけでございます。
 以上のような経過でございます。
#25
○青柳委員 証人等に支給する船賃などにつきましては、この法律の三条の二項に、船賃とは書いてないけれども、等級が三つに分かれる、そのときは中級以下だ、こういうふうにあって、そしてそれがそのまま国選弁護人に準用されている。そういう形態だったわけですが、証人等に支給する旅費について、運賃の等級が三階級に区分するものについては、中級以下だというふうにすること自体問題があると思うのです。
 参考にお聞きしたいのですけれども、裁判官とか検察官の場合の旅費の支給は、やはり三等級に分かれたときに、中級以下あるいは何とかというようなことがかつてあって、それが直されたというような経過があるのかどうか、お尋ねいたします。
#26
○貞家政府委員 公務員が出張いたします場合の旅費につきましては、国家公務員等の旅費に関する法律に定められているわけでございますが、これによりますと、いろいろ公務員の等級を分けまして、それによりまして待遇が分かれているわけでございます。
 そこで、たとえば三階級に区分いたしまする船賃の場合について申しますと、内閣総理大臣と、それから指定職俸給表の適用を受ける者、それから行政職俸給表(一)の一等級の給与を受ける者、これが船賃の上級を受けるということになっております。二等級から七等級までの者は中級を受ける、八等級の者が下級の船賃を受けるということになっておるわけでございまして、したがいまして、上級を受けますのは一等級以上ということになります。したがいまして、普通の行政官でいいますと本省の局、次長、部長、主要課長以上の段階、そういうところで分かれているわけでございます。裁判官、検察官につきましても、最高裁判所長官が大蔵大臣と協議をいたしまして、それに準じて定められることになっているわけでございますが、おおむね判事補の二号以上の段階では上級を受ける、それ以下の者は中級を受ける、かようになっているようでございます。
#27
○青柳委員 そうすると、この点では判事補の上のほうの人並みの旅費を受けるということに国選弁護人はなる可能性が、改正することによって出てきたというわけですね。
 さてそこで、もう時間もありませんから簡単にいたしますが、前々から国選弁護人の待遇について、日弁連その他から強い要望が出ております。四十六年度でも「国選弁護人の報酬増額の要望書」というのが出ておりますし、また四十七年度も全く同趣旨の同じ題名の要望書が出ております。これは裁判所でよく見ておられるとは思うのですが、その中で、技術的な点はこれはお読みになっているでしょうから説明はいたしませんけれども、少なくとも予算措置として、国選弁護料の予算としては十億円以上を計上してもらいたい。それから旅費、記録謄写費等弁護活動のため支出される実費を支弁し得るように予算上措置をとられたい。それから国選弁護料を裁判費から分離し、独立の項として予算に計上されたい。私どもから見て、これはいずれも理由のあることだと思うのですが、時間がありませんから、これについてどういう検討をしておられるかお尋ねいたしたいと思います。
#28
○牧最高裁判所長官代理者 国選弁護人に対しての報酬というものは、従来必ずしも十分ではないと存じます。しかし、これについては一挙にということではなかなかまいりませんので、できるだけ改善してまいりたいと裁判所も考えておる次第でございますが、過去数年、年間約一〇%ずつの平均的な引き上げを行なってきておりますが、もちろん今後もこういう方針で、できるだけ報酬の増額に努力いたしたいというふうに考えております。
 それから費用の問題でございますが、いわゆる通常の国選弁護人に対する費用で考えられますのは、被告人あるいは証人等に面接するための旅費、あるいは記録謄写のために要した費用ということになろうかと存じます。ただ、それらの分は最高裁判所が出している通達にも、十分考慮して報酬を算定するようにというようになっておりますので、通常はそういうものも報酬に含まれて計算されているというふうに申してよろしいかと存じます。一々、被告人あるいは証人等に面接したというような場合に、これを費用として支給するということになりますと、それぞれ非常に繁雑な手続にもなりますし、また、それらの活動自体は単純に面接したということではなしに、面接することに伴っていろいろの弁護活動が行なわれているということになろうかと思いますので、それらをまとめて、全体として弁護活動の報酬として考えるほうが適当ではなかろうがということで、現在は報酬ということに含む取り扱いにしておるわけであります。
 なお、国選弁護人に対する報酬等の増額ということについては、最高裁判所としては今後とも努力してまいりたいと思っております。
#29
○青柳委員 いまの御説明、あまり時間がありませんからここで押し問答的にやりませんけれども、記録謄写費などというものは、それは弁護料の中に含まれているのだとおっしゃいますけれども、私選弁護人の一般の弁護料として収入できる、また弁護士会あたりで最低限をきめたのもありますけれども、それと比べて、あまりにも少ないということが、この要望書にるる記載されておるわけですね。ですから、いまのような御答弁でとめてしまうのではなくて、抜本的にこれは再検討していただかないと、人権を守るために弁護士はたいへんなサービスをしているわけですから、それに報いるだけのものが裏づけになければ、これはやはり問題だと思います。決して名誉職でやっているわけじゃありません。
 その点だけ申し上げまして、終わります。
#30
○牧最高裁判所長官代理者 前回、国選弁護人のついた被告人のうち、必要弁護と任意弁護の割合ということでお尋ねがございました際に、必要弁護が非常に少ないのではなかろうかというふうに申し上げましたが、統計を正確に調べますと、大体地方裁判所で平均いたしまして八一・九%、簡易裁判所で平均いたしまして九二・五%が必要弁護事件でございますので、その点おわびして訂正さしていただきます。
#31
○松澤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#32
○松澤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#33
○松澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#35
○松澤委員長 内閣提出、出入国法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
#36
○中谷委員 出入国法案についで、われわれの見るところとうてい了承できないし、納得できない、許容できない主たる点については、委員長のお許しを得て米田委員のほうから若干の質疑をいたしたいと思いますが、私は、まず出入国法案の提案に伴う次の諸点について、本日、事実関係と問題点を明確にしておきたいと思うのであります。
 まず、事実関係を確かめたいと思いますが、自由民主党、与党の政調会作成にかかる「新しい時代の出入国制度」サブタイトル「「出入国法案」について」この資料を法務省が関係方面に配布をしたということ、このことによって、多くの団体からわれわれ法務委員のところに苦情と抗議が寄せられてまいりました。したがいまして、その間の事実関係をまず入管局長から、どのような目的で、どのような理由でということはあとでお聞きをいたしますが、入手された部数、そうしてそれが配布された部数、それらについてまず御答弁をいただきたいと思うのであります。
#37
○吉岡政府委員 御指摘のパンフレットに関しましては、法務省といたしまして四千五百部を入手いたしております。そのうち千五百部は自由民主党からの寄贈を受けておりまして、残りの三千部は出版元から購入いたしております。
 それから配布先でございますが、配布先につきましては、入管局関係が二百三十四部でございまして、入管局以外の法務省の内部で百六十四部でございます。それから報道機関でございますが、これは主として法務省詰めの記者クラブの諸君を主たる対象としたものでございますが、六十八部ございます。それから観光、運送その他東京にあります外国の大使館その他の関係団体に六十二部配布しております。それから国会議員の方たちに百六十八部でございます。それから国会の調査室等に五十部、地方の入国管理事務所その他出張所を含めまして千三百六十部ということで、手元に残っておりますのが、未配布でございましたのが二千二百三十部でございます。
#38
○中谷委員 未配布、すなわち残部二千二百三十部については、どのような処置をおとりになりましたか。
#39
○吉岡政府委員 未配布につきましては、配布いたしましたものの中で回収を試みたものがございますので、その回収を待って処置を決定いたしたいと存じております。
#40
○中谷委員 未配布、残部二千二百三十については、どのような処置をおとりになるつもりでありますか。回収方を指示したものと相まってということでありますが、その点についてはあらためてお聞きをいたしまするが、残部の処置はどのようにされる御所見でありますか。
#41
○吉岡政府委員 残部につきましては、もともとこの印刷物を入手いたしましたのは、法案の説明資料といたしまして関心をお持ちの向きに配布するつもりでございましたが、この残余の部分につきましては、もはやそういった目的で使う目的がございませんので、これは将来廃棄したいと存じております。
#42
○中谷委員 回収を指示をした、そういうことで回収努力中のものがあるということでありますが、それは何部であるかあらためてお尋ねをいたします。
#43
○吉岡政府委員 地方入国管理事務所に配布いたしました千三百六十部について回収を試みております。
#44
○中谷委員 地方入管事務所関係千三百六十について、回収方を指示された理由はあとでお尋ねをいたしますが、回収状況についてお答えをいただきたいと思います。
#45
○吉岡政府委員 現在のところまだ確定した数字は出ておりませんが、およそ九〇%に近い数は回収できるのではないかとわれわれは判定いたしております。
#46
○中谷委員 そこで、問題の内容に入って政府の見解を明らかにしていただきたいと思いまするけれども、その前に事実関係、四千五百部のうち千五百部は寄贈を受け、したがって三千部は購入したというお話でありまするけれども、購入金額は幾らということになっておりましょうか。
#47
○吉岡政府委員 三千部につきましては、出版元から購入いたしました。金額は六万円でございます。
#48
○中谷委員 出版元は自由民主党広報委員会出版局であることは、このパンフレットによって明らかな事実であります。これはお答えをいただかなくともそのとおりでありますが、間違いございませんね。
#49
○吉岡政府委員 失礼いたしました。印刷所から直接買っております。
#50
○中谷委員 この出入国法案の審議をしようと思って出入国法案についての質問を始めたのですが、印刷所から買うというのは、著作権法違反その他の問題が出てくるんじゃないでしょうか。印刷所というのは印刷をして、それがとにかく普通の出版ルート、これは麻生先生一番詳しいけれども、卸へ行ってそして小売りに出る。印刷所から買うというのは、一体いかなることなのかということです。著作権者、これは与党の自由民主党です。著作権者の了解なしに印刷所から買うということは、これは一体何ということでしょうか。印刷所から買う、これはどういうことなんでしょうね。
#51
○吉岡政府委員 自民党政調会の了承を得て、印刷所から直接買っております。
#52
○中谷委員 安く買ったということを言いたいのですね。そうですか。
#53
○吉岡政府委員 事実関係を率直に申し上げたわけでございます。
#54
○中谷委員 そこで、この点について回収を指示された。そして見通しとしては九〇%の回収を見越しておられる、こういうことであります。要するに特定の政党が、特定の法案についてみずからの政党の立場をPRする、これは政治活動としては当然のことであり、あるべきことであります。しかし、私が申し上げたいのは、法務省というのは最も政治的な中立を保つべき役所、こういうものであろうかと私は思う。回収を指示されたというのは、私は、そういう点についての問題点をお気づきになって回収を指示されたと思うのであります。
 まず、回収を指示された、回収努力を現にしておられるその理由いかん、これをお聞きいたしたい。
#55
○吉岡政府委員 自民党が全国的に配布いたしました資料と同一の資料を私のほうで配布いたしましたために、一般に、そのものまでも法務省が配布したとの誤解を生じましたので、資料を配布した趣旨について、関係者の間に一部誤解を生じたという情報がありましたので、地方入管事務所に送付したものを中心といたしまして回収を指示した次第でございます。
#56
○中谷委員 あなたのほうでつくられたものと与党がつくられたものとが全く同一で、その点で誤解を生んだとおっしゃいますが、お配りになったのは、これでございましょう。要するに、もし法務省がつくられたものであるならば、ここに法務省入管局とあらなければならない。自由民主党とあって、しかも編集は、自由民主党政調会、発行は、自由民主党広報委員会出版局、こういうふうにこれは相なっておる。同一のもので、これは明らかに、著作権法の立場からいっても、表題そのものからいっても、これは法務省のものではなしに、与党、自民党のものではありませんか。いまの答弁は私は納得ができない。いかがでしょう。
#57
○吉岡政府委員 私が御説明申し上げましたのは、自民党でつくりましたパンフレットを入管局のルートで配布いたしましたが、その入管局のルートで配布いたしましたそれ以外のものまでも、入管局で配布したのではないかという誤解等も生じたので、一応再検討をするという意味で回収を命じた次第でございます。
#58
○中谷委員 じゃ、基本問題をお尋ねいたします。特定政党のパンフレットを大部購入し、特定の法案についての解説、特定の政策、これらのものを配布するということが、法務行政の立場から許されることだとお考えになっているのですか。
#59
○吉岡政府委員 われわれといたしましては、出入国法案を今国会に提出いたしておりまして、その法案の通過につきまして努力をいたしますことはわれわれの本分だと存じておりますが、たまたま自民党でこしらえられたパンフレットが、この法案の内容等につきましてきわめてわかりやすく説明してございましたので、このパンフレットを入手いたしまして、この法案に関心を持っておられる向きから御要望がありました際等に、これを配りたいということで準備した次第でございます。
#60
○中谷委員 あなたのそういう答弁をお聞きしているのではないのです。ある役所が、今回の場合は法務省が、特定政党の作成したパンフレットを配るということは、法務行政の中立性、政治的中立性の立場から見て許されることなのですか。それがたまたまいいものであったとか悪いものであったとかということは別です。そういうことが許されるのですかと聞いているのです。
#61
○吉岡政府委員 今回の行為は、政治的目的をもって行なった行為とは全く性質を異にするのでございまして、公務員の政治的中立性に違反したものではないと考えております。
#62
○中谷委員 国家公務員法百二条にはどうありますか。
#63
○吉岡政府委員 国家公務員法の百二条の関係から申しまして、かりに形式的に人事院規則の一四−七の第六項第七号に該当するといたしましても、同規則に定める適用除外規定により許されるものであって、公務員の政治的中立性を侵すものではないと考えております。
#64
○中谷委員 人事院規則一四−七の六項の問題をお引きになりました。じゃ、しからばその点についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、人事規則の六項の七、私のほうから読み上げます。「政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。」こういうことになります。そこで第五項は、前提として、「政治的目的をもつて」ということになっているわけでありまするけれども、客観的に、まずこの人事院規則のどこに、この構成要件のどこにまず触れるわけですか。要するに政治的目的云々という点について排除したいんだと、こういうふうにおっしゃりたいんでしょうけれども、どこに触れますか。あなたはまず、形式的に触れるとおっしゃったんだから、それを答えてください。
#65
○吉岡政府委員 人事院規則一四−七の第六項七には形式的に触れる形態となっております。
#66
○中谷委員 七のどれに触れるのかと聞いているんです。
#67
○吉岡政府委員 政党の「機関紙たる新聞その他の刊行物」を「配布し又はこれらの行為を援助すること。」だと思います。
#68
○中谷委員 要するに政治行為の七の、政党の刊行物を配布しまたはこれらの行為を援助した、配布行為があり、援助行為があった、こういうことをまず言いたいわけですね。
#69
○吉岡政府委員 いま申しました中で、「配布」するだけでございまして、「これらの行為を援助すること。」は、取り消させていただきます。
#70
○中谷委員 政党の刊行物は、それを売って、そうしてそれによって収入を得る。買うということは援助じゃないんですか。また援助という意味は、単なる財産的援助を含むのではないというのは、人事院規則一四−七の法定解釈によっても精神的援助も含む。この点については、多くの国家公務員が政治行為制限によって、ずいぶんきびしい取り締まりを受けている。国公の諸君というものは、これによってずいぶん懲戒免を受けたり刑事罰に問われた。一四−七については、私は、少なくともこの問題についてはもう十何年来研究している。援助でないという理由を言ってください。
#71
○吉岡政府委員 本件パンフレットを購入いたしました際は、印刷所から直接原価で購入しておりまして、発行者の収入にはなっておりませんので、資金援助にはなっていないとわれわれ考えております。
#72
○中谷委員 宣伝行為をする、宣伝目的のパンフレット、とにかくそういう宣伝の便宜をはかる、そういうことが援助に当たるのだ、単にそれが財産的なものに限らないのだ、これが有権解釈であると私は申し上げている。この点についての見解いかんということを聞いている。局長、その点について答弁してください。
#73
○吉岡政府委員 われわれは、そういう見解はとっておりません。
#74
○中谷委員 この問題についての質問をするということは、もうあなたのほうはかねてから覚悟しておった。ずいぶん想定問答集もたくさん持ってきておられる。そこで、それは人事院その他と打ち合わせされましたか、それとも法務省の法律専門家に聞かれましたか。われわれと言われるが、あなた自身人事院規則ということについて詳しくお調べになった上でのお答えですか。これは人事院との間における食い違いはありませんか。
#75
○吉岡政府委員 特に人事院の意見は求めておりません。
#76
○中谷委員 一四−七の第六項の七、これにまず当たる。そこで、適用除外をされるのだと言いたいのは、どの点なんですか。
#77
○吉岡政府委員 人事院規則一四−七の第七項に、「この規則のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止又は制限するものではない。」この項でわれわれはそう解釈いたしております。
#78
○中谷委員 そうすると、もう一度お尋ねいたしまするけれども、「この規則のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止又は制限するものではない。」事は私は重大だと思いますよ。もう一度お聞きします。自民党という与党のパンフレット、社会党、公明党、民社党、共産党という野党のパンフレット、そんなものを配るということが、国民の全体の奉仕者である職員の本来の職務を遂行するために当然行なうべき行為と言われるが、国民が聞いたら涙を流すのじゃないですか。与党のパンフレットを行政機関の組織を通じて配る、しかも出入国法というのは非常に激しい対立をしている法律、まさにそういうところの政治的中立を保たれなければならぬときに、それが一体何が理由で職員の本来の職務の遂行になるのですか。法務省というのは、特定政党のための法務省でないはずです。あたりまえのことです。何が本来の職務の遂行なんですか。では、そうすると、ある特定政党の政策がたまたまある役所の政策に合致をしたという場合、その政党のパンフレットを配るということが許されることなんですか。常識の問題でしょう、そんなことは。一体それが本来の職務なんですか。どうかしているのじゃないか。じゃ、一体回収するということとどう結びつくのか。いまの話は重大だ。
 委員長、私はこれで質問を終わろうと思って、法務大臣の御見解も承ろうと思ったけれども、官房長官をひとつ呼んでいただきたいと思う。こんなことで入管局長の見解というものが至るところで、農林省でも、防衛庁でも、そして外務省でも行なわれるということになったら、たいへんなことです。特定政党のパンフレットを配ることが公務員本来の職務だなんということを、私はいまだかつて考えたことがなかった。私は、たまたま言いたいのは、政治目的はなかったのだくらい言いたいのだろうと思った。水腹を突き出した答弁じゃないですか。本来の職務の遂行です、やったことは悪くないのです、いいことをしたのですということで、不適当だとも言わない。本来の職務の遂行です。こういうふうなことを言われるというのは、全く私は納得もいかないし、これはもう全く法務行政のあり方について、法律家の一人として非常な義憤を感じます。
 もう一度だけ、その点について伺いたい。適用除外、条文の七項、「この規則のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為」というのは、本件の場合どんなことであったのか、この点をひとつ局長から御答弁をいただきたい。
#79
○吉岡政府委員 われわれは、出入国法案を今国会に提出しておりますので、その法案の内容、法案の問題点などを解説した資料を配布いたしまして、この法案についての認識を一般に深めていただくことは、職務遂行上当然必要な行為と思っておりまして、たまたま自民党の政調会で発行したパンフレットが、この法案の必要性と内容を、的確かつ非常にわかりやすく解説しておりましたので、これを入手して配布いたしたものでございます。
#80
○中谷委員 そうすると、法案についての説明、PRをしなければならないという、そういうことについての法務省の役割りというものはあるというのを認めるとする。それが同時に、そのパンフレットが――あとでパンフレットの内容について、同僚委員のほうから質問がありますよ。日華条約の問題日朝の関係、これらの問題について、外交政策上非常に先鋭的に対立している問題についてのことを疑わせるような文言もある。私は、その点はきょうは同僚委員の御質問に待ちたいと思って、あえて言わないけれども、法案のPRをするということが、同時に特定政党の政治目的を助けるという場合、一個の行為が他の目的にも当たるという場合、これは当然政治行為の禁止の条項に当たるじゃありませんか。まさにこの大前提は一体何か、この七項の大前提は何かというと、政治活動をしないという前提がある。そうですね。そういうものをしてはならぬのだという前提がある。そういう前提があってこそ初めてそういうことが成り立つわけなんだ。法務省がたまたま与党と法案に対する同じ意見を持っておった、そういうことでその法案についてのPRをしたことが、間接的に与党の考え方がいいと国民が支持をするという場合、そういう場合をこの七項はいっているのであって、自民党のパンフレットを配ったというふうなことが、公務員本来の職務だなんということは、その手段において、方法において、明らかに政治目的を持ったところの、政治的中立を害するところの行為になる。これは当然のことです。この点について、局長、いかがですか。
#81
○吉岡政府委員 われわれが入手いたしまして配布いたしましたのは、大半は部内の執務参考用でございまして、その他一般に説明資料として配布しようというつもりはございましたが、いろいろな誤解もあるようでございましたので、これは大半回収するということにいたした次第でございまして、われわれといたしましては、特定政党を支持するという政治目的は全く考えておらなかった次第でございます。
#82
○中谷委員 いずれにいたしましても、配布については、部内配布、部外配布を問うような、限定するような、部内配布であればいいというようなことは、この人事院規則にはどこにも書いておりませんぞ。私は、これは政治の姿勢の問題だと思う。行政と特定政党が癒着するというようなことがあってはいけないというようなことは、政治のあり方としては、私は厳重にこれは言われておる問題だと思う。私は、尊敬する法務大臣にこれらの点について御見解を承りたいと思うけれども、いまのようなことが人事院規則のあり方としてまかり通るなら、これは内閣全体の問題だと思う。
 そこで私は、委員長に対して、同僚委員から若干の関連質問があろうかと思う。それで関連質問を待って、一応委員会をストップしていただきたい。また、関連質問のあと内閣官房長官を呼んでいただきたい。いまのような局長答弁というものがまかり通るとするならば、これは日本の政治のために、またあえてこの私をして言わしむれば、法務行政のために遺憾きわまりない。だから、官房長官とそうして人事院の総裁、この二人を呼んでいただくというようなことを、ひとつ休憩のあとの理事会で御討議いただくということで、一応私の質問は中断いたしたい。あまりにもきょうの答弁というのは、公務員の政治的中立、全体の奉仕者としてのあり方、こういうものに対して誤ったところの考え方、しかも、回収ということとの間の結びつきは全くない。こういうふうな答弁については私は納得しません。
 同僚委員の関連質問の希望があるようでありますので、一応私は質問を中断いたしたいと思います。
#83
○松澤委員長 一言、中谷君に申し上げます。
 官房長官あるいは人事院総裁というお話がありましたけれども、御承知のように、前尾法務大臣はすなわち同時に国務大臣であります。したがって、政府全体に対する責任は前尾法務大臣もお持ちになっております。あえて官房長官をお招きしなくとも、また、前尾法務大臣の御意見をお伺いした後でも、おそくないのではないかというような気がいたしますので、そのことだけを申し上げておきます。
#84
○麻生委員 いまの中谷議員の質問に関連して、ちょっと御質問します。
 問題は、これは非常に重要な問題であります。特に法務省が、いま中谷質問が出たような面において人事院規則に違反をして、そして政治活動を行なったということになりますと、これは単に法務省だけの問題ではなくて、政府全般の政治姿勢の問題につながってくるわけでありますから、慎重にひとつ答えていただきたいのですけれども、先ほど御答弁の中で印刷所から買っている、こう言われましたね。印刷所に交渉して直接買われたのですか。
#85
○吉岡政府委員 自民党の政務調査会と連絡いたしまして、直接印刷所から購入いたしております。
#86
○麻生委員 連絡をいたしましてということは、自民党のほうの出版元の了承を得て、じゃ一応印刷所から直接引き取ってくれ、こういうことなんですか。
#87
○吉岡政府委員 お説のとおりでございます。
#88
○麻生委員 そうすると、これは少なくとも定価がついておる本ですね。無料配布の本じゃないのですね。したがって、定価がついておる本ということになれば、その版権がどこにあるかということは御存じでしょうな。どこにあるのですか。
#89
○吉岡政府委員 自民党にございます。
#90
○麻生委員 自民党にある。つまり、ここにある出版元に版権がある。版元の、版権の了承なしに印刷所がかってに印刷物を他に配布することは、できないことも御承知でしょうな。知っておるか知っていないか答えてください。
#91
○吉岡政府委員 したがいまして、自民党の政調会の了解を得て出版元から直接購入した次第でございます。
#92
○麻生委員 自民党の政調会というのは、これは編集責任者ですよ。出版元ではないのです。出版元というのは発行所をいうのですから、出版局ですね。自由民主党広報委員会出版局、こうなっておるわけです。この出版局の了承を取りつけましたか。
#93
○吉岡政府委員 政調会を窓口として出版局の了承をとったわけであります。
#94
○麻生委員 そうすると、この出版局の責任者はこれを了承したわけですね。あなたのところでこれだけ買って配布するということを了承したのですね。間違いないですね。
#95
○吉岡政府委員 了承したと了解いたしております。
#96
○麻生委員 そうしますと、これは自由民主党全般の問題に及んでくるわけですね。いま中谷代議士が質問したような点で、もしこの行為自体が人事院規則できめられている政治活動に違反すると判定されれば、自由民主党全体が違反の共犯者になるということは、御承知の上でしょうな。
#97
○吉岡政府委員 その点につきましては、御指摘の点まではわれわれは詰めておりませんでした。
#98
○麻生委員 詰めていなくても、そういう結果になるということは御承知でしょうな。もし違反しているということの判定が出れば、自由民主党もその共犯者だということになるという結果については、おわかりでしょうな。
#99
○吉岡政府委員 私どもは、その前提において御意見が違いますが、もし前提がそうということになれば、そういう結果になるかと思います。
#100
○麻生委員 私どもは、公務員の政治活動が禁止されておる、特定の政党に役所が加担してはならぬことも知っておるがゆえに、私どものほうの党でもたくさんのパンフレットを出しておりますが、そのパンフレットをあえて役所に持ち込んで、それを配布してくれとか買ってくれとか頼まないゆえんは、資料としてむろん差し上げることはありますが、そのことをやれば、当然それは違反になるということを知っておるから、そういうことをいままでやらないできたわけだ。これは社会党といえども、公明党といえども、民社党といえども同じであると思います。
 しかし、もし自由民主党だけがこういう事実を知りながらやっているとなると、これは問題は単なる法務省だけの扱いの問題ではなくて、自由民主党の責任者を参考人として呼んでもらわなければ事態の解明はできない、問題は政府ばかりではない、そういうことになると私は思いますけれども、いまの答弁、そのまま了承してよろしいですな。
#101
○吉岡政府委員 党のほうの御見解は、われわれとしてはわかりませんが、われわれに関する限りはそういうことでございます。
#102
○麻生委員 もう一つお伺いしておきたいことがありますが、法務省が今度この資料を買ったということは、私は実はきょう初めて中谷議員の質問によって知らされたわけです。こういうことがあるとすれば、私は要求したい資料があります。それは、従来まで法務省が資料を購読しているこの二年間の資料、購読の現状及びその会計報告を全部出していただきたい。これが一つです。
#103
○吉岡政府委員 入国管理局だけでなしに法務省全体ということになりますと、私の所管外のこともございますので、麻生委員の御希望は官房に伝えたいと思います。
#104
○麻生委員 これは法務大臣に要求をしておきます。あとで理事会で正規の手続を経て、資料要求として要求をいたします。
 それからもう一つは、このパンフレットを買った経路は、いま中谷議員の質問によって明らかですが、それに関連する会計その他帳簿、それから入手経路を明確にする領収証の資料を全部提出をしていただきたい。これも法務大臣に要求して、あとで理事会の手続を踏ましていただきたい。それで、いま中谷議員が言われるような人事院規則に違反をする結果になるかどうか、そのことについては、これまたさらにあとの理事会の議を経て質問が続行されると思いますから、私は、その点についての質問は後刻に譲らしていただきたいと思いますが、この点だけ念を押しておきます。
#105
○林(孝)委員 先ほどからの中谷委員と入管当局との議論を伺っておりまして、答弁の中に、私自身納得できない点があります。
 それは一つは、当然正当の行為であるというそういう主張と、非常に誤解を招いた、そういう行為についてまずかったという意味の答弁と、こういう二つの答弁が出てきておるわけです。一体入管当局の考え方は、こうした事実に対して、どういう見解を持っておるのかということがまとまっておるのかどうか、ほんとうはどうなんだとわからないわけです。もう一回整理をしてはっきりさせておいていただきたいと思います。
#106
○吉岡政府委員 この種のパンフレットを部内の執務参考用に入手するということは、過去においてもしばしばございまして、これは党のいかんを問わずわれわれはやっておる次第でございますが、今回は、部外者に対しまして説明資料としてこれを使用いたしたいという意図のもとに入手した分につきましては、先ほど来申し上げましたように、外部でも誤解がある向きがあるということがわかりましたので、これの配布を差しとめて、回収することにつとめた次第でございます。
#107
○林(孝)委員 よくわからないのですがね。PRをするために、法務省がこのものを配布したわけでしょう。当然それは正当の行為である、そういうふうに考えておったわけですね。ところが、結果的に当局として、いまでも正当の行為であるとするならば、なぜ回収をするのか。どういう条件が起こったとしても、それは正当の行為であるならば、回収をする必要がないのではないか、ことばを返せば、私はそうなると思いますが、その点はっきりしておきたいと思います。
#108
○吉岡政府委員 自由党の配布されたものとわれわれの配布いたしましたものとは、意図的には違ったものがあろうかと存じますが、われわれといたしましては、出入国法案に関心を持って、それに対する何らかのわかりやすい解説資料がほしいという向きに、これを配布したいと考えた次第でございますが、それが誤解を招くということであれば、これは望ましくないということで、配布をやめた次第でございます。
#109
○林(孝)委員 私の質問は、正当な行為であるという主張と、正当な行為でないという意味合いを含んだ答弁が先ほどからあったもので、はっきりしておきたいということですよ。その一点、まず入管局長に答えてもらいたい。
 それから、これを作成する過程で法務省は関知していなかったかどうか、この点です。原稿作成から資料の提供、そうした面に関して、法務省はそのことに対して全然知らないで、でき上がったものを初めて法務省が知ったのか、この点が一つ。
 それから、最初から法務大臣はこのことを御存じであったかどうかということ、その三点を質問して関連を終わります。
#110
○前尾国務大臣 この問題について、こういうものを配布しておるということは知りませんでしたが、しかし、執務の参考上にこういうものを配布することは、私はそんなに政治活動とも考えません。現在におきましても、これは執務の参考のためにはいろいろなものを購入して配布するということは、別にたいして私は差しつかえるようには思っていないわけです。(「われわれもみんな買ってもらうぞ」と呼ぶ者あり)どうぞ。(「ばかなことを答弁するな」と呼ぶ者あり)これはいろいろな事情を知るために、役人が勉強することについては、別に……(「新聞記者にも配っているじゃないか」と呼ぶ者あり)新聞記者の方にこっちが積極的に配ったかどうか、その点はよく事実を調べないとわかりませんけれども、いろいろ書いたもので、こういうものがいいということであれば、こういうものがあるというので差し上げたり何かすることは、ずいぶんあると思います。
#111
○林(孝)委員 いま法務大臣の答弁を聞いておりまして、法務大臣はこの事実関係というものを全部御存じかどうか。御存じでないのに、軽々な判断をされたら困るということです。すべて御存じなんですか。作成の段階から配布の先まで、全部法務大臣は知っていま答弁されたのですか。
#112
○前尾国務大臣 そういうような事実関係については、私、知らなかったわけであります。しかし、このパンフレットが出ておることは知っておりますし、前回、昨年作成されておるものもあるので、おそらく昨年作成されておるものが資料になって、これができておるのじゃないかというふうに推測いたしておる次第です。
#113
○林(孝)委員 いまの答弁に対して、私は関連質問でありますから、中谷委員に質問を戻しますけれども、非常に不満な点がありますから、保留させていただきます。
#114
○中谷委員 いまの大臣の答弁は、非常に私は重大だと思います。ある意味では、私は特定政党に行政が癒着をしているというふうなことは、民主政治のもとにおいて一番避けなければならない。たとえば、そうすると、安保について社会党、公明党、民社党、共産党、それぞれ見解を持っている、外務省と与党の考え方は全く一致しているというふうな場合、そういうふうなものを配るということを、一体国民が承知するでしょうか。中国問題についてもそうでしょう。
 出入国法というのは、これは非常にとにかくいろいろな経過を経て、またいろいろな時間的な流れの中において対決法案だと言われている。そういうものについて、原案作成した法務省が、法務省のパンフレットを配るということは許されるでしょう。それを、全くそこに書いてあることはわれわれ野党にとっては意に満たない、非常にその点について反対意見がある、そういうふうなものを、特定政党の見解がたまたま法務省の意見と一致したからといって、それを配るというふうなことが許されていいことなのかどうか、このことなんです。もっと極言して、私は法務省のために言うなら、この内容についても、どうしても許されない部分が若干ありますけれども、これは法務省の入管局製とそうしてあるなら、私はそれは許容できる面があると思う。与党、特定政党の名前を書いたものが配られておるというようなこと、そんなものを大体執務用にしていいのかどうか。執務のためにといっても、どんなものでも執務のためにとしてよいというものでは私はないと思う。私は大臣の答弁は納得もできないし、大臣らしくない答弁だと思うのです。この点、いかがでしょうか。
#115
○前尾国務大臣 私は、執務の参考としていろいろそういうパンフレットを配布するということについては、それがいかぬとは考えておりません。ただこれが、先ほどの入管局長の話から考えますと、一般に出されておる自由民主党のパンフレットと、要するに宣伝用のものと混同される、そういうことで、李下に冠を正さずという考え方のもとに回収しておるというのでありまするから、その点についてはそれでよかったんではなかろうか、かように考えておるわけです。
#116
○中谷委員 そうではないので……。
#117
○松澤委員長 中谷委員に申し上げます。
 この際、暫時休憩し、理事会に入りたいと思います。
#118
○中谷委員 一点だけ質問さしていただきます。
 大臣にお尋ねいたしますけれども、法務省が配ったのはこれなんです。これですよ。自由民主党のものを配ったわけなんです。そうして法務省はまた別に若干のものを配ったという事実がある。これを配ることがいけないと、私はそういうことを申し上げているのです。私は、もう法務省のことについては、とにかく若干の事情等を存じておりますけれども、各政党のものをといったって、これは一部か二部、そんなものを、とにかく国会答弁のために入手するというようなことがあっても、四千五百部なんというものを購入寄贈を受けて配るというようなことは、これは特定政党を支持し、特定政党の政策を支持する以外の何ものでもない。そういうことを考えてみますと、これはもう全く政治的中立、全体の奉仕者としてのあり方、要するに、大臣とそうして秘書官と政務次官以外は政治活動ができないのですけれども、かりにこれが万一法務大臣という名前で配られてあっても、私はたいへんな問題があると思う。ましていわんや、そういう配った人間、配った人が入管局の人だ、法務省だということになれば、これはまた問題にも何にも私はならないと思うのです。
 そんなことを考えてみまして、もう一度私はお尋ねをしますけれども、執務用ということで、自由民主党のパンフレットを執務用とするというようなことが、あっていいことなんですかどうですか。この点大臣、いかがでしょうか。
#119
○前尾国務大臣 その内容にもよると思います。率直に申しまして、この内容は、まあわかりやすく、いままで法務省の言っておること、また前面に出しておるもの、そのものをかみ砕いたようなかっこうで出しておるのではなかろうかと思いますが、あるいはこの自由民主党というのを消して配布するとかいうところまでの配慮をすればよかったのではなかろうかとも思いますが、それらの点は、もう少し事実関係がはっきりしませんと、何ともお答えはできませんし、あるいは見当違いのお答えをしておるかもわかりません。
#120
○中谷委員 そうです。休憩前にもう一点だけ。大臣は事情を御存じない。まさに大臣のお話は自画自賛、そういうことです。内容がわかりやすくていいことが書いてある。法務省の立場は当然でしょう。岡田君、これは君が書いたんでしょう。岡田参事官がほとんどこれは書いたのでしょう、資料を提供して。ほとんど君が柱を書いたのでしょう。そんなことだから入管局長は大臣に報告して、わかりやすくていいこと書いてあります。それを自画自賛というのですよ。そんなものは、私に言わせれば自画自賛の典型だ。それがたまたま一致した。一致するのがあたりまえですよ。法務省の入管局の連中――失礼、連中というのは。入管局の諸君が書いたのだから、自分のところの気に入るものを書いたのはあたりまえだ。
 そんなことだから、大臣はもう少し事実関係を調べていただいて、公明党の林君、民社党の麻生君、それぞれこの問題については疑義を提起をしている。ひとつ大臣の答弁も、あらためて私は明確な答弁をいただくことをお願いしたいと思います。
#121
○松澤委員長 この際、暫時休憩し、理事会を開会いたしたいと思います。
   午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時七分開議
#122
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 出入国法案について質疑を続行いたします。鍛冶良作君。
#123
○鍛冶委員 毎度国会ごとに何回も出まして、たいへん論議の的になった出入国法案も、このたびようやくここで審議が行なわれることになって、私は最初に質問させてもらうことに、まことに感慨深いものがございます。
 そこで、まず承りたいことは、この法案はこれで国会へ前後三回出ておると思うのでありまするが、そのたびごとに大なる反対意見のあったことは、法務省において十分御承知だと思うのであります。しかしながら、その反対をも押し切ってなおかっこの国会にお出しになりましたのは、よほど深い考えを持ってお出しになったのであろうと思いますので、これほどやかましい反対があってもどうしても通さんならぬという信念のもとに出されたものと思うのであります。
 そこで、どういうわけでこの法案は出さなければならぬのか、そのおもなる理由をまず承りたいと思うのであります。
#124
○前尾国務大臣 ただいまお話しのとおり、すでに二回も提出して反対が多い法案にかかわらず、今回出しておりますゆえんは、現行の出入国管理令は、申すまでもなしに昭和二十六年に制定されたポツダム政令でございます。これは占領下の行政で、それが前提となった政令であります。
 ところが、また時代が非常に変わってまいりまして、昭和二十五年にはたしか一万八千人の入国者、昭和三十五年には十五万、それが昭和四十五年には七十七万の入国者というような、非常に出入りが多くなってまいっております。それは言うまでもなしに交通が非常に便利になり、あらゆる経済情勢、社会情勢がすべて国際的になってきたということでありますし、ことに、この現行令が制定された当時は、御承知のように船舶によってみな来たわけであります。ところが、現在は飛行機である。それもジャンボとか非常に大型の飛行機でどんどん人が出入りをする。したがって、そういう点におきまして、現行の手続というのは、いわゆる船舶で人が来た当時に適用するような手続で、もっと敏速に人がどんどん参っております、また大量に人が出入りしておるという手続には、全くふさわしくないのでありまして、そのために、非常に旅行者に不便をかけておるということが一点であります。それからもう一点は、在留します期間が短期に、商用あるいは国際会議、そういうようなことでどんどん人がやってまいりますときに、一々個別的に、またそれに応じた在留という制度が、すっかり適応しなくなって、したがって、多くの人に不便をかけておるわけであります。
 それで、先ほど申しましたように、これはまだ占領下ということが前提になっておりまして、ほんとうの独立した日本の法律というような体をなしていないのであります。そういう点から考えますと、ぜひとも現在の日本、独立した日本の立場を保ちながら、国際的にもっともっと経済交流あるいは文化交流、あらゆる面で便宜のある制度に直していかなければ、とうていこれに対応もできませんし、非常に多くの旅行者に不便をかけておるということであります。したがって、何といたしましてもこの改正はやらなければなりません。
 そこで、いままでのいろいろ批判を受けております点をできるだけ是正をし、また名称まで、そういういわゆる従来の管理ということをやるのではなしに、もちろんこれは当然出入国の管理たる本質を持っておりますが、しかし、この時代に即応した、ほんとうに旅行者の便宜を考えた法案であるというような意味合いからいたしまして、名称も変えまして提出したわけであります。
#125
○鍛冶委員 政治的の理由は大体わかりましたが、私は事務的の方面から、いまの大臣の言われたような考えから、どういう点とどういう点とを主として改めて制定しようとせられたか、この点を指摘をして述べていただきたいと思います。
#126
○吉岡政府委員 六十一国会と六十五国会に提出いたしましたこの法案は、その名称を出入国管理法といたしておりましたが、まずこの法案の名称を改正いたしたのでございます。その理由は、外国人の出入国在留の許可等に関しまして、その処遇が公正に行なわれるように、基準、手続等を定めたものでございますが、出入国管理と申します際には、その名前が、あたかも規制ないし取り締まりを主とした法律であるかのごとき印象を与える懸念がございますので、内容とは違った誤解を生じないように、今回法案を、ただ単に出入国法と改めたのでございます。
 それから、内容的に改正の主要点を申し上げますと、第一点は、まず出入国の手続につきまして、思い切った簡易化と申しますか、簡素化をいたしました。また第二点は、外国人の在留制度の合理化をいたした次第でございます。
 第一点の出入国手続の点につきまして具体的に申し上げますと、二、三カ月滞在する目的で日本に参ります外国人は、今度の法案ではきわめて簡単に入国できるようにいたしてございます。過去の統計によりますと、わが国に入国しました後、二、三カ月以内の滞在で出国する外国人の数は一大体全入国者の九五%を占めておりますが、現行の管理令のもとでは、短期間の滞在者を一律に取り扱うような制度がございませんので、外国人に上陸許可をする場合に、その入国目的を個別に審査いたしまして、入国目的相当の在留資格を決定しなければならないという繁雑な手続がございます。そこでこの法案では、短期滞在者という新しいカテゴリーの在留資格を設けまして、スポーツとか、親族訪問であるとか、見学であるとか、会議参加あるいは業務連絡等々の目的で短期間日本に入ってくる外国人は、この短期滞在者という在留資格で一律に受け入れることができるようになりましたし、それらの外国人の入国手続を、現在の観光客並みの最も簡易なものにすることにいたしました。この結果、出入国の容易さは西ヨーロッパ諸国の場合とほぼ同じようになりまして、国際的に要請されております出入国手続の簡易化、簡素化の要請に、大いにこたえるものと存ずる次第でございます。
 次に、外国人は査証がなくとも十日前後の日本の観光ができるようになるということでございます。国際旅行の途中に日本に立ち寄って、数日間の上陸を希望する外国人の数は激増しておりますが、現行の令によりますと、無査証の外国人の一時的な上陸を許可できますのは、その外国人が乗ってきた同一の船舶あるいは同一の飛行機によって日本から出国する場合に限られておりまして、しかも、上陸できます期間はごくわずかでございます。そこでこの法案では、たとえば羽田空港におり立った外国人が、査証なしに一週間前後の上陸を許可されまして、東京あるいはその近傍を見学しまして、別の飛行機で羽田から出国していくことができ、あるいは箱根だとか京都の観光を楽しんだ上で、伊丹の空港とかあるいは神戸の港から、飛行機や船舶に乗りかえて出国することもできるようなことにいたした次第でございます。
 現行制度のもとでは、寄港地周辺に上陸します船舶あるいは飛行機の乗員や乗客が、四十五年度の統計によりますと約百八十万人にのぼっておりまして、今度の法案で手続が改正されますと、観光旅行をする外国人にとっては非常に便利になるということで、国際旅行の簡易化ということが望まれておる点に、大いにこたえることができると存ずる次第でございます。
 それから、二点の外国人の在留制度の合理化について申し上げますと、今度の法案では、まず在留資格の制度を実情に見合うようなものにいたしました。すなわち、外国人がわが国に在留する場合には、原則といたしまして、在留資格と在留期間がきめられるわけでございますが、日本には最近アジア各国をはじめといたしまして、その他中南米諸国、アフリカ諸国、いろいろな国から技術研修生がたくさん入っておるのでございますけれども、現行の出入国管理令のもとにおきましては、この技術研修生をそのものずばりで受け入れる在留資格がございませんので、そういった不備がございましたので、これを現状に即したものに改めた次第でございます。
 それから次に、在留外国人が入ってきますが、いろいろ多様になっておりますので、わが国の国民の利益が不当に侵害される面もふえてくることが懸念いたされますので、日本で興行を行なう者、あるいは貿易、事業などをする者、それから技術研修を受ける者、熟練労働者などの在留資格で入国しようとかいう外国人に対しまして、日本人の職域が不当に侵害されることを防ぐため、あらかじめ入ってくる外国人の職種や活動場所の指定をすることができることといたした次第でございます。
 それからまた、日本に入ってまいりました外国人は、日本の政治に参与する資格はございませんので、当然慎んでもらわなければならない政治活動というものがございますが、これを規制することといたしまして、これの違反を是正するために、中止命令という制度を設けたことでございます。
 以上が、今度の法案の、前の法案と比べまして、改正したおもな点でございます。
#127
○鍛冶委員 改正のおもなる点は承りましたが、私がいまここで特に聞かんとするのは、いままで過去二回にわたってこの法案が国会へかかりますたびに、たいへんな反対がありました。われわれもその点を十分しんしゃくし、質問をし、勉強もしたわけですが、あなた方のほうでも反対の理由は十分おわかりになっておったことと思うのであります。したがって、いま新しく出されます以上は、いままでこのような反対理由のあったことを前提として、その反対理由はとり得べからざる反対理由であれば、これは何ら考える必要はないが、反対に相当のくみすべきものがあるとするならば、これにくみして出すのは、新しい法案を提出せられる主眼であろうと思うのです。
 しこうして、このたび出されたこの法案にも、これらの点を考慮して改正して出された点があると、先ほどからずいぶん問題になっておりますパンフレット等にも出ておるのですが、その点ありますれば、こういう主張に対してはこのように改める、この点はいま新しくやったんだ、こういうことを、ひとつできるだけ詳しく述べてもらいたいと思うのです。いま言われました名称の変更も、これは考えられた一つの大きな理由であると思いまするが、そのほかいま述べられた諸点について、反対理由を取り入れて改正されたというならば、その点をひとつお述べいただくことを希望いたします。
#128
○吉岡政府委員 ただいま御説明申し上げましたのは、出入国の手続の面と、それから在留管理の面について主たる点を御説明申し上げましたが、特に昨年の六十五国会に提出されましたものと、今度提出いたしましたものとの相違点、御質問の趣旨も、過去に提出された法案に対して諸般の反対があって、その反対の中で傾聴すべきものは傾聴して、法案を修正するなりした点があるのではないかという御質問かと了解いたしますので、その点について御説明申し上げます。
 まず第一点は、法律第百二十六号該当者及びその子につきまして、昨年の法案におきましては、一定の政治活動等をしておる者に対する中止命令をかぶるということでございまして、除外されることになっておりませんでしたが、昨年以来の諸般の国会内外における御議論等をしんしゃくいたしまして、このたびはこういった法律第百二十六号該当者及びその子を、一定の政治活動を規制する中止命令の対象からはずしたということでございます。
 第二番目には、退去強制の手続が、昨年の国会に提出されました法案では三段階をとっておりましたが、こういった外国人が日本から退去させられるといったようなことは、本人にとっては一身上のきわめて重要なことであり、また人権を尊重するたてまえから、三段階では簡単に過ぎるのではないかという御批判もございましたので、現行令どおり四段階というふうに改めた次第でございます。
 それから第三点は、再入国許可を受けて海外に出た外国人が、再入国許可の有効期間を延長する場合に、永住者だけにその延長許可を認めておったのでございますが、このたびは、再入国許可を受けたそのすべての者に対してこれを許可するといった、こういう修正点も加えて今度の法案といたした次第でございます。
#129
○鍛冶委員 この法案を読みますと、あなた方の苦心もわかりますが、大体いまあげられた点でとくと承ります。あなた方がせっかく苦心をして改正してお出しになりましたが、一部の人からのわれわれのところへ送られたる文献を見ますると、これは改正したというけれども、なお改悪だ、こんなものを通されてはたいへんだ、こういうので、せっかくのあなた方の苦心は、かえってわれわれ外国人に対して不便を与えることを考えているんだ、こういう議論が出ております。これは出ておるから露骨に申し上げなくちゃなりません。イデオロギーの相違その他国情の違い等で出てくるものであるかもしれませんが、いまここでこの法案を通そうとするならば、こういう反対に対して、あなた方はそうじゃないんだ、こういう堂々たる理由がなくちゃいかぬ、苦心されたんだから。それらの点について、今後私に与えられた時間の限り、実例をもってお聞きしたいと思うのです。
 第一番に、いま言われた法律第百二十六号の該当者を中止命令条項の適用から除外したという点でございますが、さらに退去強制対象者からも除外されておるようでございまするが、これに対しては一部の人々は、かように除外したとは書いてあるけれども、これは附則第十六条第五項及び第六項によって当分の間適用しないとなっておる。当分の間とは一体いつまでなんだ。いまこういうふうにして除外するとは言いながら、いつでも復活してこれを適用し、中止命令を食らわせるという考えだろう、こういうことを言っておりまするが、これはそういう意味でやられたのか、また、どうして附則にこれを入れられたのか、この点に対してひとつ確固たる弁明を承りたいと思います。
#130
○吉岡政府委員 御案内のとおり、法律第百二十六号の二の六該当者と申しますのは、戦前から日本に在留しておりました朝鮮半島並びに台湾出身者の方々でございまして、これらの人たちは、法律的には講和条約発効まで日本人であった人たちでございまして、講和条約発効の瞬間に、自己の意思によらずして外国人となられた方々でございまして、したがいまして、日本に在留する外国人の中でもきわめて特別のステータスを持っておられる方でございまして、昭和二十七年でございますか、法律第百二十六号によりまして、別に法律で定めるところにより、在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、日本に在留することができるということがきめられておりまして、特殊な地位に立っておられる方々でございます。いま申し上げた方の、もちろんその子を含むということでございます。
 したがいまして、政府といたしましては、遠からずこういった人たちの処遇をはっきりさせるために、別に法律をつくりまして、その在留資格及び在留期間を定めるということを予測いたしておりますので、その別個の法律ができるまでの間ということを考えて、附則で当分の間ということを規定した次第でございます。
 私から申し上げるまでもなく、附則に規定されたことでございましても、法律の一部を構成するものでございますから、かりに法務省当局が、この点が都合が悪いからということを考えて変更を加えようと思いましても、これは議会におはかりしまして、国会で御承認を得た上でなければ変更ができないものでございますから、法務省だけの一存で、これが安易に修正あるいは変更されるということは絶対ないことでございますから、その点、一般の方々の誤解も多々あったようでございますし、われわれといたしましても、この点の誤解の払拭に努力しておる次第でございます。
#131
○鍛冶委員 まことにどうもよい答弁を得たと思うのでありまするが、文字がどうも当分の間というものだから、いつでも変えられるのじゃないかということだが、いまあなたのおっしゃったつもりであるならば、だれも了解すると思う。しかし、これは重大なことでございまするから、大臣としてももちろん同様の意見であろうと思うが、そういう意味で、当分の間とはあるけれども、法律のできるまでということだ、いつでも変えるという意思ではない、またそういうことはできるものでない、こういうことに対して、確たる大臣の御返答と申しましょうか、所見をここで承っておきたい。
#132
○前尾国務大臣 経過規定であり、また当分の間というので、いかにも安定性のないような感じをお持ちになる方もあるかと思います。しかし、当分の間というのは非常に長い期間を考えて、国と国との関係でありまするから、安定性のないような考え方は絶対に持っていないわけで、むしろ、永久的と言うと非常に語弊がありますが、かなり半永久的なくらいの考え方をもって臨んでおるわけであります。
#133
○鍛冶委員 新しい法律をつくろうという考えという、この点も、大臣、御同感でございますか。
#134
○前尾国務大臣 これは、もし確たるものとする必要がある場合には、当然これは法律でやるべきでありますし、現在われわれが考えておりますことは、当然そこに盛り込まれていくものと考えております。
#135
○鍛冶委員 まことにそれははっきりした答弁で、いろいろ主張する人も納得してくれることと思います。
 次に承りたいことは、再入国の許可についてでありまするが、旧令と申しましょうか、それでは、単に「本邦に在留する外国人」とあるのです。しかるに、新法案では「在留資格を有する外国人」となって、一般の外国人といっておったものを、特に「在留資格を有する外国人」こういうふうに指定されている。これは、この再入国許可についての範囲を狭めたものと解釈される、こういう主張があるのであります。これは私はよく調べてみましたが、どうもよくその趣旨がわかりませんが、ここでひとつあなたのほうで明白にしてもらいたいと思うのです。
 附則を読んでみますと、第十七条一項で、特別在留資格者は、「新法第二条第二項第十一号の在留資格を有する者とみなす。」と書いてありまするから、これらの者は在留資格と書いてあっても全部入るから、それほど心配のないものだと思うのですが、人によって、これをながめると、特に在留資格を有すると書いたから狭められる、こう言うのだが、この点に対してはあなたはどういうお考えでしょうか、これはむずかしいことですが、ひとつわかりやすく御説明を願いたい。
#136
○吉岡政府委員 現在の出入国管理令におきましても、また現在提出いたしました法案におきましても、日本に在留する外国人はすべて在留資格を有するということがたてまえになっておるのでございますが、一時上陸者などを除く、一般に適法に在留する外国人という意味で「在留資格を有する外国人」ということばを使ったわけでございますが、先ほど申しましたように、法律第百二十六号二の六に該当する人たちは、在留資格を有することなく当分の間在留することができるということになっておりますので、再入国のこの規定におきまして、在留資格を有する外国人だけということに規定いたしますと、百二十六号該当者の方々がはずれるおそれがある。それで百二十六号該当者の方々も、在留資格はないけれども、この再入国の規定には当てはまるのであるということを明示するために、こういう附則においてなお書き的なものを規定したものでございます。
#137
○鍛冶委員 それは百二十六号の該当者はそうでありまするが、そのほかにこれによって影響を受ける者がありませんか。この点は……。
#138
○吉岡政府委員 協定永住者は附則第十七条、百二十六号の該当者は附則第十六条で、この人たちも含まれるということに規定した次第でございます。
#139
○鍛冶委員 これはずいぶんむずかしいものですから、機会あるたびにそれこそ、こういうパンフレットででもわかりやすくこの点は指摘されぬと、私は、いまあなた方がおっしゃったような意味で附則ができておると解釈するのですが、そうでないと言って主張している方があることを頭に置いて、十分わかりやすくやってもらわなければいかぬ。なかなかむずかしい問題ですから、特に申し上げておきます。
 次に、法案第三十七条の退去強制の対象者についてでございますが、その二十二号に、「日本国の利益又は公安を害する行為を行なったと認定する者」としております。そこで、これに対してずいぶんいろいろの問題が出てくるのですが、第一番は、これは法務大臣が行為を行なったと認定するんだから何でも認定できる、法務大臣の任意で認定できる、そういう意味で、法務大臣は気に入らぬ者は認定したということでこれを禁止する、こういう意味でできたのでないか、こう言うのです。これはどういうわけで行為を行なった者ということばに変えられたのか、その意味をひとつはっきりさせてもらいます。
#140
○吉岡政府委員 三十七条の第二十二号の利益公安条項につきましては、法務大臣が日本の国益に反した行為をしたかどうかということを認定して、その上でこの条項を発動することになっています。
#141
○鍛冶委員 認定と、こういうんだから、何でもかんでも認定されちゃかなわぬじゃないか、こう言うのですよ。あなた方、そういう意味でこの条文を入れたのかどうかということを言っているのですよ。
#142
○江幡説明員 強制退去事由の一つとして利益公安条項があるわけですが、これは現行令にもございます。別に新しい規定ではございませんが、これまでは非常に慎重にこの利益公安条項の発動が行なわれておるということでございます。利益を害するか、公安を害するかという点を非常に慎重に考慮されて、法務大臣が認定されるということになるかと存じます。
#143
○鍛冶委員 これもやはり、これを適用される者から見るといやな気持ちがするのだ、こういうことを頭に置いてもらいたいと思うのですよ。あなた方決してさような意味でないということは私はわかっている。だが私に言わせれば、書き方が悪いということかもしれぬが、こういうものがあるとそういう疑いを生ずるから、その点で、いまここでそういう意味でないということをはっきりしてもらうと同時に、今後においても、そういう意味はないことを十分公表、鮮明されんことを希望しておきます。
 その次は、同じことですが、これを全面的に運用したら、在日朝鮮公民の全面的追放になるおそれがある、そういう意味でこれをつくったものと思う、こういうことを言っておるが、この点はいかがですか。
#144
○吉岡政府委員 この利益公安条項は、ただいまも次長から御説明申し上げましたように、現行令にあるものと同一の規定でございますが、出入国管理令が施行されまして二十年余を経過した現在までに、これに該当すると認定された件はわずかに一件でございまして、過去においても、その運用は慎重に行なっておりますし、また将来この規定によりまして、在日朝鮮人が全面的に追放される、あるいは追放するための意図が隠されておるというようなことは、全く事実に反することでございます。
#145
○鍛冶委員 もちろんそうであるに違いないと思いまするが、これは結局、国民的イデオロギーの違うところ、それから外交関係が開始されておらぬところから、こういうことが疑問になって問題にされるのだと思いますから、この機会にあなた方のほうから、決してそういう意味はないんだ、こういうことをはっきり鮮明しておいてもらおうと思って質問したわけでして、そのことはよろしゅうございますね。
#146
○前尾国務大臣 これな包括規定でありますから、要するに前に書いておることに包括されない場合もあるかもしれぬ。しかし、ここに列挙されておるものと大体において同じだということでなければ、私はこれを認定するということはできない、こういうように考えます。
#147
○鍛冶委員 その次は、同様の規定についての問題ですが、法案第二十六条第一項第二号に、「日本国の機関において決定した政策の実施に反対する公開の集会若しくは集団示威運動」をした場合に中止命令が出せる、こういうことになっております。これもずいぶん範囲の広いものであって、先ほどから言うように、在日朝鮮公民を、この運動をやった、この運動をやったと中止命令を食わせ、さらにまた退去命令を食わせるという意味で出ておるものじゃないか、こういう疑いを持っておるわけですが、これはどういう意味でこういう文句が出たのか、この点をひとつ明瞭にしていただきたい。
#148
○吉岡政府委員 二十六条第一項第二号は、政治活動に対する中止命令でございますが、これは一般に日本に在住する外国人が、本来慎むべき政治活動をやった場合に、ある場合には処罰あるいは退去強制ということも考えられるのでございますが、あるいはことば、あるいは風俗習慣等の違いから、一挙にそこまで持っていくのは、あるいは無理ではないかという事態も想像されますので、その一歩前の段階といたしまして、二十六条第一項第二号に規定されますような行為を行なった場合には、あらかじめ中止命令を出すということの規定でございまして、これと在日朝鮮人の場合の関連におきましては、先ほど来申し上げましたように、法第百二十六号二の六に該当する人たちは、この中止命令の対象からはずされておるということでございまして、在日朝鮮人の大部分の方は、この対象から除外されておる次第でございます。
#149
○鍛冶委員 これはやはり先ほどから言うとおり、イデオロギーが違うということを認識しておるものですから、そこで、何でもこれへ持ってきてこれにはめられてはたいへんだ、こういうことです。あなた方は、そういう意味でこの条文を入れたものでないとは私は信じまするが、相手方から見るとそういうように思うのだから、この機会に、この条文を入れたのはそういう意味であるのかどうか、そういうことでないならばないということを、ここでひとつ鮮明してもらいたいと思うから、私はこういう質問を出したわけです。
#150
○前尾国務大臣 およそ独立国であります場合、何ら政治参加の許されていない外国人が参りまして、それによっていろいろ政治運動がなされるということは、これは原則として許されない。これは独立国である限りにおいて、外国から、外国人からいろいろ政治的な介入を受けるということは、独立国のたてまえとしてはあり得ないこと、そういうことを明らかにしたにとどまります。
 したがって、戦前からおりました朝鮮の方々というのは われわれはむしろ、いままでの沿革から考えて日本人であるという考えのもとに、例外の規定を置いておるわけであります。それらの人が政治活動をやることについて、われわれ特例を設けてはっきりそれを許しておるのでありまするから、その限りにおいては、私は、何もそれで束縛するというような考えは、毛頭持っていないことをはっきり申し上げておきます。
#151
○鍛冶委員 では、一応このくらいで……。
#152
○松澤委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時十二分開議
#153
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 出入国法案について質疑を続行いたします。鍛冶良作君。
#154
○鍛冶委員 大体同じような質問ですが、いろいろあげておられるから、それを私はここで明白にするために言うので、よくわかるように説明していただきとうございます。
 本法案の第六条十五号の外国人上陸許可拒否規定についてでありますが、「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行なうおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」とありますが、これも在日朝鮮人の再入国許可を取り消すことを、法務大臣の任意でやって、いつでも取り消すようにしようという考えだろう、こう言いますが、この「おそれがあると認める」ということです。これはどういう意味でお入れになったのか。そういう目的であるかどうか、ひとつ明瞭にしていただきたいと思います。
#155
○吉岡政府委員 御指摘の第六条第十五号におきましては、外国人が日本に入ってまいります場合に「日本国の利益又は公安を害する行為を行なうおそれがある」ということでございますが、これはもちろん入国に先立って、入国を許可するかどうかということでございますから、この利益、公安を害する行為を行なうおそれがあるかどうかを、客観的な事実に基づいて法務大臣が認定いたしまして、それでそれに該当する場合には、入国を拒否する条項でございます。
#156
○鍛冶委員 これは前と変わっておるのですか。このおそれという問題だが、これは前も同じじゃなかったですか。どうですか。
#157
○吉岡政府委員 前と全く同じでございます。
#158
○鍛冶委員 前というのは現行令ですよ。いまの管理令です。
#159
○吉岡政府委員 現行管理令と同じでございます。
#160
○鍛冶委員 そうすると、別に改悪とか改正という問題じゃないが、この「おそれ」という文字を乱用して、そして在日朝鮮人を追っ払おうとするのでないか、こういう主張もあるのです。大臣、さような考えで規定を入れられたものではなかろうとは思いますが、この点ひとつ明瞭にお答え願いとうございます。
#161
○前尾国務大臣 もとより、乱用するというようなことは全然考えておりません。独立国として、公安なり国益を害するというおそれがある者を入れるというわけにはまいらぬわけでありまして、これは独立国家として当然のことではなかろうかと思います。しかし、先ほど局長も答弁いたしましたように、これは常に客観的事実に基づいて、はっきりそういうおそれがあることを認めるという客観的事実があることを前提として考えていかなければならないと思います。
#162
○鍛冶委員 次に、これはこまかいようなことであるが、特に憲法上認めておる人権の侵害を目的とする改悪だ、こう言っておりますから、これはひとつ丁寧にお答えを願いたいと思うのです。
 第一に申し上げたいことは、この法案の第四十八条、これは緊急の場合に、令状なくして収容するという重大な規定でございますから、特にやかましく言うのだと思いますが、旧令では、「逃亡の虞があると信ずるに足りる相当の理由があるとき」とあったのを、今度の法案では、「逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるとき」と改められたわけであります。「虞があると信ずるに足りる」ということと、「疑うに足りる相当の理由」ということと、いまのものは軽くなった、こういう意味だろうと思いますが、変えられた理由はどこにあるのか。また、いま言うような考えではもちろんなかろうと思うが、その点をひとつ明瞭にここでお答え願いたいと思います。
#163
○吉岡政府委員 御指摘の点は、単に用語を統一したものでございまして、「虞があると信ずる」と申しますのと疑いという場合には、内容的にわれわれは差異はないと考えております。収容には、疑うに足りる相当の理由の存在が要件にされております。その理由は、客観的にも理解できるものでなければならないから、乱用のおそれが生ずるということはないと考えております。
#164
○鍛冶委員 その文字を変えられた理由ですよ。前は「虞があると信ずるに足りる相当の理由があるとき」こうあった。それを、疑うに足りると信ずるじゃない、「疑うに足りる相当の理由」こうなっておるから、それで範囲が広くなったのじゃないか、こう言うのです。この点はどういう意味で変えられたのか、その点からひとつ述べていただけばわかる。
#165
○吉岡政府委員 両方の表現の間におきましては、実体的には相違がないということで、法制局のほうと相談をした際に、用語を統一する意味で、法案の用語を選んだものであります。
#166
○鍛冶委員 そうすると、あなた方のほうで考えがあって書いたのではなくて、法制局の条文上の整理というか、例というか、そういうところから書いたんだということになりますね。
#167
○吉岡政府委員 お説のとおりでございます。実体的に相違がないということで、用語を統一する上で法制局のほうから、このほうがよかろうということで書いた次第でございます。
#168
○鍛冶委員 その点は重大に考えておるようですから、ひとつ機会あるごとに、その点を明瞭にしてもらいたいと思います。
 その次は、被収容者との面会の制限の点でございます。法案第七十七条では、「できる限りの自由が与えられなければならない。」と出ておるので、これはたいへん考えてつくられたと思うのですが、同条第五項において、「被収容者の面会を制限し、」として、旧令で認めておった弁護士及び肉親との面会をも制限した。これはだれでも制限できるというように読めるものだから、これはたいへんだ、人権の侵害である、こういうことを言っておるのですが、この点は、「被収容者の面会を制限し、」とあることはありますけれども、これをどういう意味でこういうふうに直されたのか、この点を明瞭にしていただきたい。
#169
○吉岡政府委員 現行令では、第六十一条の七の第六項におきまして、委任規定に基づきまして被収容者処遇規則に規定いたしておりまして、面会の規制をすることができるようになっておりますが、現在の令の運用の経験から申しまして、そのことは性質上法律において規定するのが相当であると考えまして、七十七条第五項にその旨を規定したのでございます。
#170
○鍛冶委員 旧令では、これは第六十一条の七であったはずですな。その第五項には、「入国者収容所長又は入国管理事務所長は、入国者収容所又は収容場の保安上必要があると認めるときは、被収容者の発受する通信を検閲し、及びその発受を禁止し、又は制限することができる。」こうなっておったのを、このたびは、「入国者収容所長又は地方入国管理官署の長は、収容場所の保安上必要があると認めるときは、被収容者の面会を制限し、若しくは禁止し、又はその者の発受する通信を検閲し、」この「面会を制限し、若しくは禁止し、」このことでございますが、それならこれは、いま疑問にしておられるように、弁護士及び肉親との面会を制限するつもりで入れたのですか、どういう意味ですか、その点を明瞭に答えてもらいたい。
#171
○吉岡政府委員 この規制をいたしました目的は、この種の施設の機能を保障するための最小限度のものでございまして、いわば施設管理権に基づいて当然認められるものであるとわれわれは考えております。したがいまして、弁護人の接見交通権を無視したり、あるいは弁護人の接見は十分尊重し、これを妨害するつもりはございません。
#172
○鍛冶委員 それじゃ、弁護人の面会はできるというのは、どの法律に基づいてやられるのですか。刑事訴訟法の準用かなんかでやるのですか。
#173
○吉岡政府委員 刑事訴訟法の場合にはそれがそのまま適用になりますし、別にこの法律が禁止いたしておりません。
#174
○鍛冶委員 そうすれば、この規定があるからといって弁護人の制限はできないわけだと、こう聞いてよろしゅうございますね。
#175
○吉岡政府委員 収容施設の保安上の必要がある場合だけ規制するということでございます。
#176
○鍛冶委員 そうなると問題になってくるのです。どういう場合に保安上必要があるのですか。その点、何でも保安上だ、保安上だと言われてはたいへんだ、こう言うのですが、あなたのほうでも一定の規律を認めて、無理にこれを入れてその制限を拡張したというものでないだろうと思うのですけれども、ないならばないということを、ひとつ明瞭にしてもらわぬと困ります。
#177
○吉岡政府委員 被収容者の面会等を制限または禁止します場合は、収容者の逃走とか、自傷他害、集団暴動のおそれがある、そういった収容場所の保安上の必要があるときに限って制限するということでございます。
#178
○鍛冶委員 それは旧令の六十一条の七第五項にも同様の規定があるのですよ、そういう保安上の必要があると認めるときはというのは。そして「発受する通信を検閲し、及びその発受を禁止し、又は制限する」ということになっておったところへ、ただいまのような、今度の新しい法案では、「被収容者の面会を制限し、若しくは禁止し、」こうなっておるから問題になっているのですよ。保安上の必要があるからというのは当然であって、答弁にならないのです。
#179
○吉岡政府委員 先ほど申し上げました現行令の第六十一条の七、六項の委任規定に基づきまして、被収容者処遇規則というのが省令で定めてございまして、その省令に規定してあったものを、今度法律にあげて明記したということでございます。
#180
○鍛冶委員 この六項ですか。
#181
○吉岡政府委員 はい。
#182
○鍛冶委員 そうすると、そういうことで、特に本法案においてはその制限を広くした、こういうものではない、かように聞いてよろしゅうございますね。
#183
○吉岡政府委員 お説のとおりでございます。
#184
○鍛冶委員 これはよほど重要なことでございまするから、とくと御注意を願いたいと思う。
 その次は、送還先の指定権についてでございます。現行令では、送還する場合には本人の希望をまずもって先に聞きまして、それからこれこれこれこれということになっておる。これは旧令の第五十三条の三項。ところが、この法案ではこれこれのところへ指定する。そしてそのあとで、一番あとに本人の希望ということが載っておる。現在では本人の希望を第一番にし、それから本人の希望でないときにはこれこれと、こうなっているのに、今度のはこれこれに指定する、そのあと本人の希望があればこれをいれる、こういうものだから、本人の希望があとになって、前とは優先とそうでないとの違いが出てくる、こういうことだろうと思うのです。これはどういうわけであと先にせられたのか、この点を明瞭にせられたいのです。あなた方のほうで本人の希望をいれないことが目的でやられたのならば、これはたいへんな問題ですが、そういうことであるのかどうか、まずそのことからお答え願って、次に、法案でこういうことになったのはどういうわけか、こういうふうにお聞かせを願いたいと思います。
#185
○吉岡政府委員 法案第五十六条第二項の各号の規定は、その精神におきましては現行令と同じでございます。地方入国管理官署の長が送還先を指定するにあたり、送還先を五十六条第二項第一号ないし第五号及び第六号、第六号は本人の希望する国でございますが、この六つのうちのいずれかに限られるという趣旨でございまして、送還先の優先指定を定めているわけではございません。まり一から六までのうち、一番、二番、三番は優先順位というつもりではございません。したがいまして、入国管理官署の長は、同項に定めましたいずれかの国を送還先として指定し得るわけでございますが、同条の三項におきまして、送還先を指定する際には、「できる限り退去を強制される者の希望を尊重しなければならない。」ということを規定いたしまして、人道上の見地に立った配慮が十分なされなければならないことを定めたものでございます。
#186
○鍛冶委員 現行令の五十三条は、二項の本文といいますか、前文といいますかに、「前項の国に送還することができないときは、本人の希望により、左に掲げる国のいずれかに送還されるものとする。」こういって、本人の希望を主としてこういうふうに定めるというふうに書いてあるわけですね。ところが、いま出された五十六条二項では、「地方入国管理官署の長は、退去を強制される者を前項の国に送還することができないとき、又は送還することが適当でないと認めるに足りる相当の事情があるときは、次に掲げる国のいずれかを送還先に指定することができる。」こうなっておりますね。だから、これは別に優劣を定めずにどれをやってもいい、こういうことに書かれたのであろうけれども、第六号に持っていっておるからそういうことになるのです。
 そうすると、いずれかを送還先に指定するというのだから、本人の希望があれば、本人の希望をなるべくいれるというふうにも解釈できるが、そう解釈してよろしいのですか。そういうつもりですか、どうですか。
#187
○吉岡政府委員 いま御指摘のとおりでございます。
#188
○鍛冶委員 これもどうも、書き方によってそういう疑いを生ずるということは、まことにどうも情けないことでありまするからね。ことにいやなことには、この条文をもって朝鮮公民を韓国へ送ろうとするのだ、朝鮮へ戻ろうとするのに、いや韓国へ行け、前におったところだ、こう言ってやるんだ、こういうことまで言うておるのですから、よほど重大に考えぬと、これは大きな反対の理由になっておりまするから、この点、もう一ぺんあらためてひとつ御答弁を願いたい。
#189
○吉岡政府委員 御指摘の点は、われわれとしましても十分慎重に考慮して対処してまいったのでございますし、また、この法案が成立いたしましたら、運用にあたりましては、御趣旨を体して慎重に対処いたしたいと思っております。
#190
○鍛冶委員 十分ひとつとくと御留意を希望いたしておきましょう。
 その次は、特別在留許可申請の不許可の命令に対して、行政訴訟を起こす権利をなくした、これはどうも重大なる人権の侵害だ、こう言うのです。これはこの前からもやかましく言っておるのです。それは私にもどうもよくわからぬのですけれども、私の解釈では、旧令第四十九条で、不許可の通知を受けたときは、本人は異議の申し立てができる。ところが、新法案では第三十二条第五項、第六項で、「地方入国管理官署の長は、特別在留許可を上申することができる。」この本人のやるのにかわって、地方入国管理官署の長が許可申請をする。そして不許可の場合は右の長に通知する、こうなって、本人に通知しなくても、本人からその決定に対して、不服だというので行政訴訟を起こすことができない、こうなった規定だろうと思うのですが、そういうのかどうか。またそれとも、この規定の改正は前と変わりない、不許可の決定に対して、不服の場合は異議申し立ての行政訴訟ができるのかどうか、これが第一番です。できるとするならば、私が言ったのと違うか、どういうことでできるのか、こういう点をひとつ明瞭に説明してもらいたい。
#191
○吉岡政府委員 法案におきましても、強制退去事由に相当した者は、異議の申し立てをいたしまして出願をすることはできるのでございまして、現行出入国管理令と何ら異なっておりません。ただし、今度の法案の立て方といたしましては、現行令におきましては、退去強制事由に該当いたしました際には、退去強制の手続を進め、最終段階で強制令書が発布される段階において、異議の申し立てをして特別在留許可の申請をすることになっておりますが、法案のたてまえから申しますと、いついかなる段階におきましても特別在留許可の申請ができる、また上申ができるということになっておりますので、出願ということは、今度の法案には条文上明記されておりませんが、事実上出願をすることは差しつかえないし、また、事実行なわれると存じます。
#192
○鍛冶委員 どういうことでできるのですか、それを言ってください。どういうことで、どういう場合にできるのか。
#193
○岡田説明員 先ほどの鍛冶先生の御質問の中に、法務大臣に対して特別在留許可の申請をすることができる、それに対して法務大臣が不許可の命令を出すことができるかのごとき制度になっているというような御趣旨の、そういう誤解があるというような御趣旨の御質問がございましたが、この法案におきまして、法務大臣に対して特別在留許可に対する申請という制度はございません。また、法務大臣の特別在留許可の不許可の命令という制度もございません。
 ところで、法務大臣の裁決に至ります前に、退去強制事由に該当いたしますというふうに入管の警備官あるいは審査官が認定いたしました者につきまして、地方入管の長のところで、退去強制事由に該当いたしますという判定をいたしました場合に、その判定に対しまして異議の申し立てをすることができるという制度は、現行管理令におきましても、この法案におきましても同様にできるのでございます。
#194
○鍛冶委員 それは三十二条の何項の何号にあるか指摘してもらいたい。
#195
○岡田説明員 法務大臣に対して特別在留許可に対します本人からの出願というものにつきましては、この法案におきましては明文上規定しておりません。地方入管の長の上申権、これは規定しております。ところで、異議の申し立てができるという点につきましては、これは三十二条のほうではございませんで、退去強制手続のほうの条文に、異議の申し立てができるという制度が明記してございます。
#196
○鍛冶委員 それは何条ですか。
#197
○岡田説明員 法案の五十一条でございます。
#198
○鍛冶委員 「異議の申出」のところですね。それならばその点をひとつ明瞭にしていただいて、決してそういう権利を奪っておらぬのだと、かように承知してよろしゅうございますね。
#199
○岡田説明員 そのとおりでございます。
 ただ、出願という面につきましては、本人の出願権、権利というような形のものは明記しておりません。しかし、本人が特別在留許可の、法務大臣の許可の職権発動を求めまして出願をすることができるという、そういう意味での出願は、いつでもすることができるというふうになっております。
#200
○鍛冶委員 まあこまかく言えば切りがありませんから、それじゃもう一つだけにとどめましょう。
 仮放免について、放免の理由を厳格にしたと、こういう主張です。これもいま言われた五十寿のようですが、第一番は、現行では「仮放免」とあるのを「収容の一時解除」ということに直した。これは一体どういうわけでこういうふうにしたのか。仮放免でいいのじゃないのか。これが第一ですが、これはいかがです。
#201
○吉岡政府委員 仮放免と申しますのは、御承知のとおり、本来証拠が十分でない場合にかりに放免して、新たな証拠があらわれたときに再び手続を進める制度を意味するのでございますが、出入国管理令に規定いたします仮放免はこのような制度でございませんので、その者の情状等により収容を一時停止する制度でございます。
 そこで法案では、その実態を正確に表現する用語といたしまして、収容の一時解除及び退去強制令書の執行停止の一態様である収容の停止という用語を用いたものでございまして、その実態は、現行令に規定されておる制度と全く同一でございます。
#202
○鍛冶委員 これは読む人の気持ちですから、同じなら同じだということを明瞭にしておいていただきましょう。
 その次は、解除の条件をきびしくした。これは前の旧令の五十四条といまの五十三条とでは幾つも、前は第三項までしかなかったのが、今度は第七項までありますから、その点をあげておるのですが、何か特別強くしておるのかどうか、またせなければならぬことでもあったのか、その点を承りたい。
 その次に、いままで保証金は三十万円であったものを五十万円にした。これは時節が変わるのですから、罰金等の臨時措置法を改正しておるから、それは問題ないと思いまするが、条件をふやしたのはどういうわけか、この点を説明をしてください。
#203
○吉岡政府委員 現行令におきましては、いかなる場合に仮放免をすることができるかについては、法律上の制限がないのでございますが、入国者収容所長または主任審査官は、情状、容疑者の性格等を考慮して仮放免すべきこととされておりますので、逃亡のおそれがあったりあるいは収容を猶予すべき事情がない者についても仮放免をすることができるということは、現行令には明示していないのでございます。したがいまして、法案のような規定を設けたことによって、内容的にきびしくなったということはないと存じます。
#204
○鍛冶委員 要するに、やらなければならぬことをやったのであって、特別に仮放免をめんどうにしようという意思ではないと、こういうふうに承ってよろしゅうございますね。
#205
○吉岡政府委員 はい、そのとおりでございます。
#206
○鍛冶委員 きょうはこの程度にしておきましょう。
#207
○松澤委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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