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1971/03/07 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第9号
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1971/03/07 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第9号

#1
第068回国会 本会議 第9号
昭和四十七年三月七日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十七年三月七日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員門司亮君、佐々木更三君、倉石
  忠雄君、勝間田清一君、小平久雄君、受田新
  吉君、鈴木善幸君、成田知巳君、園田直君、
  石田博英君、松野頼三君、田中角榮君及び中
  曽根康弘君に対し、院議をもつて功労を表彰
  することとし、表彰文は議長に一任するの件
  (議長発議)
 議員請暇の件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、
  法人税法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
  及び租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨脚及び質疑
    午後一時四分開議
     ――――◇―――――
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました門司亮君、佐々木更三君、倉石忠雄君、勝間田清一君、小平久雄君、受田新吉君、鈴木善幸君、成田知巳君、園田直君、石田博英君、松野頼三君、田中角榮君及び中曽根康弘君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。(拍手)表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員門司亮君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員佐々木更三君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員倉石忠雄君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員勝間田清一君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員小平久雄君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員受田新吉君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員鈴木善幸君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員成田知巳君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員園田直君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員石田博英君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員松野頼三君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員田中角榮君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員中曽根康弘君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
 この贈呈方は、議長において取り計らいます。
 この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。
  〔被表彰議員登壇、拍手〕
#5
○議長(船田中君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、門司亮君から発言を求められております。これを許します。門司亮君。
#6
○門司亮君 ただいま、私ども十三名の議員が本院在職二十五年に及びましたことに対し、御丁重なる表彰の御決議を賜わりました。まことに光栄に存じ、感謝にたえません。ここに、表彰を受けました議員一同を代表して、一言お礼を申し上げます。(拍手)
 私どもは、昭和二十二年四月、第二十三回衆議院議員総選挙によって、初めて本院に議席を得たのでありまして、同年五月に施行された新憲法のもとに、帝国議会にかわって新たに召集された第一回国会に臨んだのであります。(拍手)
 国会が国権の最高機関として、また国の唯一の立法機関として発足したそのときからこの四半世紀の間、私どもは、本院議員として国会とともに歩んでまいったのでございます。(拍手)
 私ども十三名は、すべてが同じ党派に属しておりませんし、主義主張も異なっております。そうして、いま、二十五年を顧みて、それぞれの立場においてそれぞれの感慨がございます。しかしながら、この間、私どもはひとしく議会制民主主義の進展を願って歩んでまいったのでございます。(拍手)議会制民主主義こそは、国民の福祉の向上と平和の確立のため真の基礎をなすものであると信じているからにほかなりません。
 いまや、わが国は、あの荒廃をきわめた戦後の時代を乗り越え、繁栄の時代を迎えるに至りましたが、さらに新たな次元における困難な問題に直面いたしております。
 この際、私どもは、日本国憲法の志向する高邁な理想と議会の果たすべき役割りにあらためて思いをいたし、議会政治の発展のため党派を越えて最善の努力を尽くし、議会人として今後の進路に誤りなきを期したいと思うものでございます。(拍手)
 本日、この栄誉ある日を迎えることができましたのは、ひとえに諸先輩、同僚諸賢の御指導、御鞭撻のたまものであり、また、選挙民各位の長年にわたる御支持によるものでありまして、ここに衷心より感謝申し上げる次第でございます。(拍手)
 なお、この上とも従前に変わらない御支援を賜わりますよう切にお願いを申し上げまして、謝辞といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#7
○議長(船田中君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君のあいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。(拍手)
    …………………………………
    佐々木更三君のあいさつ
  不肖私が、本院に在職すること二十五年のゆえにより、ただいま院議をもって御丁重なる表彰の御決議を賜わりましたことは、望外の喜びと感謝の念にたえないところであります。
  顧みれば、大正九年農民運動に投じて以来、各社会主義運動を続け、特に戦前の苦難に満ちた社会主義政党活動の継続として、昭和二十二年四月の新憲法下第一回の総選挙で当選して以来、早くも二十五年を経過したということは、まことに感慨深いものがあります。
  しかしながら、五十年間戦い続けてきた私の、働く者の大衆政治確立には、いまだ道遠しであります。この上は、さらに、本表彰の御意向に沿うためにも、また本来の目的とする政治使命達成のためにも、一そう努力をいたしたいと思いますので、今日まで私を支え援けてくださいました皆さん、特に選挙民の皆さんに、深甚なる感謝の意を重ねて表します。
    …………………………………
    倉石忠雄君のあいさつ
  ただいま私どもが永年勤続議員として院議をもって表彰されましたことは、身に余る光栄と存じ、終生忘れることのできない感激でございます。
  議会制民主主義の完成を理想として本院に議席を占めて以来、そのための努力を傾倒してまいりましたが、いまだその実をあげるには遙かに道遠しの感がございます。しかしながら、その困難に対して失望することなく、さらに一そう奮闘してまいる所存でございます。
  今日、顧みて功なき私が、憲政に尽くしたるのゆえをもって表彰せられましたることは、ひとえに、先輩、同僚各位の御指導と、選挙民各位の御援助によるものでありまして、深く感謝申し上げる次第であります。何とぞ従前に変わりませぬ御支援を賜わりまするよう切にお願い申し上げまして、謝辞といたします。
    …………………………………
    勝間田清一君のあいさつ
  このたび、本院の院議をもって、二十五年の永年勤続に対し、丁重な表彰を賜わりましたことは、身に余る光栄であります。
  これひとえに、先輩、同僚の御指導と郷里有権者の皆さまの多年にわたる御支援の結果でありまして、身にしみてありがたく、心から感謝申し上げる次第であります。
  私が初当選いたしましたのは、昭和二十二年四月でありましたが、新憲法下の最初の国会でもあり、議会制民主主義と社会主義に対する国民の期待と支持はきわめて高く、新生日本の息吹きが、全国にわたって、村から町に充ち満ちておりました。そして、私もまた、微力を尽くして、この道の前進のために努力を続けてまいりましたが、二十五年の過去を振り返るとき、みずからの力の至らざることを嘆かざるを得ません。
  しかし、七〇年代の日本は、再び重大転換期を迎えているかに見えます。そして、いまこそ、議会制民主主義を、人類が選んだ最高の政治制度であるとの信念に基づき、その改革に勇気が要求されているときはないと思います。また、人間が人間を搾取し、民族が民族を搾取する敵対社会を永久に終わらせ、連帯と平和の中で幸福に共存できる社会を創り出すことが、切実に求められているときはないと思います。
  初心に返って今後とも微力を尽くす覚悟でありますので、皆さまの御理解と御指導を切に願って、私の謝辞といたします。
    …………………………………
    小平久雄君のあいさつ
  このたび、私が本院在職二十五年に達しましたことに対し、院議をもって丁重な表彰の御決議をいただきましたことは、身に余る光栄でありまして、心から感謝申し上げます。
  顧みますと、昭和二十二年四月初めて本院に議席を得ました私が、新しく国権の最高機関として発足した国会へと勇躍上京いたしましたときは、東京はいまだ焦土と化したままの姿であり、この白亜の塔も黒色に染めあげられ、あたかも世を忍ぶ仮の姿の観を呈していたのであります。私は、初めて登院した日、このくすんだ議事堂を眺めながらわが国の前途を考え、まことに暗たんたる気持ちであったことを思い出すのであります。
  以来二十五年、わが国の復興、発展は実に目ざましく、今日では、経済大国ともいわれるほどの国力の充実を遂げ、国際社会におきましても確固たる地位を占めるに至ったのであります。まことに欣快にたえないところでありまして、往時を回顧するとき、感慨無量なるものがあります。
  特に本年は、長い間米国の施政権下に置かれていた沖繩が祖国日本に復帰する記念すべき年であります。この意義ある年にこのたびの栄誉に浴しましたことは、ひとえに、私を国会へ送り出していただいた選挙区の皆さま方の御支援と、先輩、同僚諸君の御指導、御鞭撻のたまものでありまして、ここに衷心より厚く御礼申し上げるとともに、この長期にわたる民族的宿願の達成にいささかなりとも力を尽くすことができましたことは、国政に携わる者として喜びを禁じ得ないところであります。
  現下、わが国をめぐる国際情勢は、いよいよ厳しさを加え、国内においては、解決を迫られる多くの諸問題が山積し、わが国の進路はきわめて重大なときを迎えております。発足以来すでに二十五年を経た国会は、いまこそ国権の最高機関としての使命に省み、国民諸君の求めるところをはかって、その役割りと責務を完全に果たさねばなりません。
  私は、この際、四半世紀にわたる議員生活の体験をもとに、決意を新たに、国家の隆盛と国民福祉の向上に一そうの努力をいたすとともに、人類多年の経験と英知に基づく議会制民主政治のより健全な発展を目ざし、議会人、政党人とて全力を傾注する所存であります。幸い健康にはたいへん恵まれております。浅学非才の身ではありますが、初心に返り、今後もひたすら国政に尽くしてまいりたいと存じます。各位のますますの御指導と御協力をお願いする次第であります。
  ありがとうございました。
    …………………………………
    受田新吉君のあいさつ
  私が本院議員として在職二十五年に達しましたことについて、他の十二名の議員各位の驥尾に付して、ただいま院議をもって御丁重なる表彰を賜わりましたこと、まことに感激かつ光栄の至りに存じます。
  顧みますれば、私が初めて本院に議席を与えられましたころは、新憲法公布ほどないときでありまして、世はなお敗戦の病苦の中にあって、引き揚げ者、復員者たちが焦土の中にリュックサック一つで帰り来る姿が引きも切らないという悲惨な時代でありました。廃墟の祖国に平和で明るい復興の夢を託して、新議員として初めて登院した当時、私自身、古ぼけた洋服にびょうを打った軍靴をはいて赤いじゅうたんを踏んでいたのであります。
  星移り様変わってここに二十五年、国民一人一人の営々の努力実を結んで、国土の復興、経済の発展ぶりは目をみはらせるものがあります。しかし一方、敗戦当時すべての国民が乏しきを同じゅうした時代と比較して、今日の世相はあまりにも貧富の差はなはだしく、人間尊重の大切な一面の陥没を見のがすことができません。
  この間、国会も新憲法とともに歩んでまいりまして、第一回国会から現存の第六十八回国会まで多くの回を重ねたのでありますが、ことに自主性を抑えられた占領時代、希望にわいた独立時代など、来し方を回顧するとき、まさに感慨無量の一語に尽きるものがあります。私はこの二十五年の大半を野党議員として国民の負託にこたうべく微力を尽くしてまいりましたが、ことに戦争の痛手を直接受けた方々の援護こそ祖国復興の前提であるとして、第一回国会以来十三年間本院に設置せられていた海外同胞引揚特別委員会(後に遺家族援護を含む)に終始一貫委員として参加し、党派を超えて問題の解決に当たらせていただいたことなど、各党の協力一致による人間愛の政治は、ことのほか私の脳裏に深く刻まれておるのであります。
  こうして大過なく今日の栄光をいただくことになりましたのは、ひとえに先輩、同僚各位のあたたかいお導きと、微力な私を支えてくださった選挙区の皆さま、国民各位のおかげであると衷心感謝申し上げる次第であります。
  私は、この栄光にこたうべく、国民大衆のよき奉仕者としての初志一貫、議会制民主主義のもと、国民のためのよい政治実現を期して、ますます奮励努力いたしたいと誓うものであります。
  どうぞ一そうの御高導をお願いする次第であります。
    …………………………………
    鈴木善幸君のあいさつ
  このたび、本院在職二十五年になりましたことに対し、院議をもって御丁重な表彰を賜わりましたことは、まことに感激のきわみでございます。
  顧みまするに、私は、永年勤続議員として表彰に値する何らの功績も有しておりません。ただ、先輩、同僚各位の御懇情と選挙区の方々の変わらざる御支援によって、この光栄をになうことができたものであります。
  今後は、本日のこの感激を肝に銘じ、議会人として初心に返り、微力ながら国家の繁栄と国民の福祉のため、一身をなげうって最善を尽くす所存でございます。
  いささか所懐を申し述べて、謝辞といたします。
    …………………………………
    成田知巳君のあいさつ
  私は、このたび院議をもって、他の同僚議員とともに、ここに二十五年永年勤続議員の表彰を受けましたが、身に余る光栄と存じ、感謝申し上げます。
  思えば、私が本院に初めて議席を得ましたのは、いまだ敗戦の傷あとが日本全土になまなましい昭和二十二年の春でありますが、この年は、新憲法が施行され、新生日本のとびらが開かれた年でもあります。私はいま、胸にわき出る感激をもって登院した記憶を新たにするものであります。
  自来私は、日本国憲法の基本精神たる非武装、戦争放棄の絶対平和主義、国民主権の民主主義、基本的人権を最大限に尊重する人権主義の原則に基づいて、みずからの政治流動を貫徹すると同時に、議会の一員として、この新憲法の基本に基づいた日本政治を確立し、発展させるために微力を尽くしていこうと決意し、今日に至った次第であります。
  連続十回当選させていただき、二十五年間の政治生活の中で個人的にも数多くの波乱と紆余曲折がありましたが、顧みてじくじたるものがあります。
  いま、新たな展開を見せようとしいている内外の諸情勢に対処して、議会人としての立場からも、今後一そう平和と民主主義、国民生活向上のために努力と精進を続け、国会が名実ともに国権の最高機関としての機能を発揮し、その権威を回復し、代議制民主政治が真に国民の信頼を得て発展するよう微力を尽くしたいと念願するものであります.
  あらためて、同僚及び有権者各位に心から感謝申し上げる次第であります。
    …………………………………
    園田直君のあいさつ
  本日、私が二十五年在職したことに対し、院議をもって永年勤続議員として表彰していただきまして、身に余る光栄と存じ、感謝にたえません。これひとえに、同僚各位と郷党の皆さまの御支援、御鞭撻のたまものでありまして、重ねて御礼申し上げます。
  二十五年はたちましたが、引き続き国家の繁栄と国民の幸福のため身を挺する覚悟でございますので、変わらざる御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  復員服に身を包んで敗戦の焦土を踏みわけて初登院して以来の二十五年は、文字どおり敗戦処理と占領政策の哀歓の歴史であり、一瞬のうちに過ぎ去ったように思います。GHQとの折衝はもちろん、講和会議後に立案、制定した政策のほとんどが、敗戦という色彩に濃く色どられ、それらをいかに払拭し、新しい国家と民族の将来を切り開くかが、二十五年間だったと思います。
  このため、私の歩んできた二十五年の道程は、坦々たるものでは決してなく、むしろ茨の道と呼ぶにふさわしいものになりましたが、それは、皆さまの御支持のもと、信念を貫いた結果だと深く信じております。
  とはいいましても、私どもは、戦後というものにすべて訣別したとはいいきれません。外交、内政ともに、いわゆる曲がりかどに来ているように思います。それがたまたま七〇年代に差しかかったのが、七〇年代の激動と呼ばれるものでありましょう。これらに敢然と挑戦し、切り開き解決することが、いま私に与えられた課題であると考えます。
  いたずらに過去にとらわれることなく、日々新たな闘志を燃やして、国家、民族のいしずえとなるべく努力を続けてまいります。
  何とぞ一そうの御指導、御鞭撻を重ねてお願い申し上げます。
  所信の一端を添えて感謝のことばといたします。
    …………………………………
    石田博英君のあいさつ
  二十五年は、顧みればまたたく間であったようにも思いますが、また数多い起伏と事件の連続でもありました。やはり第一に思うことは、敗戦日本がよくここまでになったという感懐であります。日本民族の能力に対する信頼がわき上がります。
  だが、日本の内政、外交が今日まで歩んできた道、すなわち内にあっては生産第一、産業優先、外に対しては東西対立を前提とし、自由国家群の一員として、力の均衡によって平和を保つというわが国の基本政策は、近年までの路線としては正しかったと思いますが、いまやすみやかに大転換をしなければならなくなった。そのとき在職二十五年目を迎えたという使命感が次に強くわき上がってまいります。
  内に対しては国民生活の充実、外に対してはイデオロギーや体制の違いを乗り越えた相互理解の推進、すなわち冷戦意識をかなぐり捨てて共存の道を進むということであります。
  海洋国家である日本の生命は海上交通の安全でありますが、これは武力では断じて守れません。今後私はこの道を強く推し進みたいと思います。
  議会政治ないし議会の連帯という点で二十五年を回顧すると、残念ながらほとんど進歩のあとを見ることができません。不合理と非能率、混乱の原因とその処理の経過は、体質的に同じものの繰り返しであります。
  この問題について、超党派的合意による権威の創設が必要であると思うのであります。すなわち、議長は第一党から出すが必ず第二党以下の合意を要し、副議長は第二党から出すが第一党の合意を要することとし、ともに党籍を離脱するが将来の議席を保証する。そして議会はこの正副議長の決定に必ず従う。私はこの機会にこのことを提議したいと思います。
  私の郷里秋田県において永年表彰を受けるのは、故町田忠治先生に次いで二人目だそうであります。この光栄に感慨ひとしおのものがありますが、町田先生でさえこの間一度落選しておられます。長い間支持を続けてくれた選挙区の各位に、いまさらのようでありますが、深い感激を覚えるのであります。
    …………………………………
   松野頼三君のあいさつ
  光陰矢の如し――とか申しますが、まさに戦後は茫々たる時の流れのうちに、早くも四半世紀を経ました。
  この間、衆議院議員として微力を傾けてまいりましたが、このたびあらためて本院の院議をもって永年在職二十五年の表彰を受け、まことに感激にたえません。
  この光栄も、ひとえに選挙民の変わらざる御声援と同僚各位の御交誼によって、はじめてにない得たものと存じます。
  失意と混乱の中から、戦後の日本は、平和に徹するとともに、絶えざる勤勉さとあふれるエネルギーを活用することによって、確かにわれわれは経済大国の夢を達成することができました。
  だが今日、急速な経済の発展を遂げながら、他面、索莫たる日々を迎えていることも否めない現実であります。
  われわれは一体何のために生きるのか。政治は何を目標に進めていくのか。われわれはいまこそ世界の新しい歩みに沿った「価値観」を生み出さねばならない――そんな時に直面していると思います。
  価値観とは、結論すれば「愛」と「英知」、そして「創造」である――と碩学トインビー博士は、こう言われております。
  生きとし生けるものの価値を認め、愛することが「愛」の本質であり、すぐれた理性を働かして的確な選択を行なうことが「英知」でありましょう。さらに、人間の生命を守り、現代の科挙、芸術などの各面で、より望ましいものを発展させること、それこそ「創造」が意味するものにほかなりません。
  この三要素の調和によって、はじめて人間としての価値観が生まれるもの、と信じます。
  そして、普遍的な生きがいを生み出すことができるのが、政治であります。
  新しき時代の新しき生きがいを生み出し、少なくとも“平和な日本像”が国際社会の中に定着するよう、私は、今後とも渾身の勇をふるって、政治に最善の努力を続ける決意であります。
  いささかの所信を述べて、謝辞にかえたいと存じます。
    …………………………………
    田中角榮君のあいさつ
  永年勤続議員として、特に院議をもって表彰をいただき、感激にたえません。
  初めて本院議員に当選した昭和二十二年の四月は、敗戦の直後であり、混乱のさなかでありました。また、この年は新しい憲法が施行された年でもあります。
  焼け果てた町の復興に寧日ない人々。一片のパンの配給に長蛇の列。外地から引き揚げてき数多くの家なき人たち。職を求める人の群。社会不安からくる思想の混乱など、国会が解決しなければならないことは山ほどありました。しかし、占領軍治下にあった国会の活動には、おのずから制約があり、自由で濶達な政治活動ができなかったこともまた事実でありました。
  当時、メモランダム・ケースといわれた幾つかの法律が制定されましたし、わが国の法律条文としてはなじまない直訳条文も数多く見られました。私は、これらの法律が施行されたときの混乱を考え、幾たびか抵抗を繰り返したことをあざやかに記憶しております。
  戦いに敗れた国の多くが、血で血を洗い、兄弟牆に攻めあう、暗く陰惨な歴史をつづってきたのが世界の現実であります。二千年余の長い歴史の中で生き続けてきた日本人だけは、この轍を踏んではならない。これこそ私たち、新たに議席を得た者の責務でなければならない。この誓いは、二十五年の歳月を経たいまも心の底に抱き続けておるのであります。
  戦後四半世紀余にわたる新しい日本の歴史は、みごとに書きつづられてきました。日本と日本人になじまない多くの諸法規、諸制度も、これを消化し、定着せしめた日本人の英知は、高くこれを評価すべきであります。私は、議員としてのみずからの非力を恥じながらも、日本国民の書いた戦後の歴史は、人類の歴史に新しく光彩ある一ページを飾ったものと信じています。
  永年勤続議員、それは私にとって夢のようなものでありました。私は、今日まで私を理解し、支援くださった多くの有権者の皆さまに、心からお礼を申し上げます。そして私は、私なりに懸命な努力を続けてまいるつもりでありますが、これからも皆さまの期待にこたえ、永年勤続議員の名に恥じない治績を積むべく、全力投球を続ける覚悟であります。
  真に議会政治の発展を信じ、国民皆さまの御理解を願って、私のごあいさつを終わります。
    …………………………………
    中曽根康弘君のあいさつ
  このたび、私が本院在職二十五年になりましたことに対し、院議をもって御丁重な表彰を賜わり、身に余る光栄と厚く御礼申し上げます。この光栄は、私を育てていただきました美しい日本の国土や、郷里の敦睦な人情、祖先及び父母の大恩のしからしむるところでありまして、深く感謝申し上げます。
  私は、昭和二十二年、新憲法下の第一回国会に、二十八歳をもって、大東亜戦争後の復員服のまま登院いたしました。当時の私の念願は、日本の復興と独立、民生の回復と日本の国際社会への復帰促進でありました。
  サンラランシスコ平和条約成立後は、占領政策の行き過ぎを是正するとともに、外交、安全保障、教育、民生、科学技術、芸術文化等の分野において日本を正常な姿に建設し、戦後の新しい日本の国家目標を探し求めて政治活動をいたしました。
  いま、顧みますと、占領政策の行き過ぎに対する反感などから、当時の行動は多分に衝動的な、直進的な動念に動かされた反省なきにしもあらずであります。
  この間に、日本の経済成長と相まって、日本社会に市民意識とその生活の岩盤が雄々しく逞しく築かれ、平和と自由を守ろうとする国民の意志が広く、強く、堅く形成されていることに非常な驚異と喜びを感じた次第であります。
  そして、いままで治める者の立場から政治や国民生活を見てきたことに対し、治められる者の立場から深く長く政治や国民生活を考えることにつき蒙を開かれた感があります。
  そして、いまこの感慨のもとに過去二十五年間のあやまち多き足跡を反省しますと、はたして私が今日この栄誉を受けるに価するや面はゆき思いで一ぱいであります。
  私は、明治初年以来、先輩たちが血と汗と涙の犠牲によって建設してきた憲政確立の苦闘の歴史を思い、民主政治とは、一言でいえば、英知ある国民が望む政府と政治をつくることであると信じ、これが実現と、また、日本が国際社会において品格ある国として名誉ある地位を占めるよう、議会政治家として今後一そう努力精進いたす決心であります。
  この世界史の偉大な転換期の関頭に立って、国家の目標を正しい国民合意の上に確立し、日本的個性のある戦後文明の一大金字搭を築くことは、私たちの重大な責任であると痛感いたします。それは、国民とともにわれわれの努力により、この国土の中より湧然とわき出てくるものと信じます。私は国民の一員としてその理想のもとに努力いたす所存であります。
  終わりにあたり、不徳不敏な私を今日まで育ててくださった議長、同僚並びに郷里の有権者各位に重ねて深甚なる謝意を表します。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#8
○議長(船田中君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。
 勝間田清一君から、三月十日より二十三日まで十四日間、また、竹入義勝君及び正木良明君かう、三月十一日より二十五日まで十五日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 人事官任命につき同意を求めるの件
#10
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、人事官に佐藤達夫君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#11
○議長(船田中君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(船田中君) 内閣提出、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣水田三喜男君。
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#13
○国務大臣(水田三喜男君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、昨年十二月税制調査会から提出された昭和四十七年度の税制改正に関する答申に基づき検討を重ねた結果、昭和四十七年度の税制改正におきましては、最近における国民負担の状況にかんがみまして、さきの年内減税における所得税の
 一般減税に加え、老人扶養控除の創設、寡婦控除の適用範囲の拡大、配偶者及び心身障害者に対する相続税の軽減などを行ない、法人税の付加税率の適用期限を延長するほか、当面の経済社会情勢の推移に即応するよう、住宅対策、公害対策、中小企業対策等のための諸施策の拡充をはかり、輸出振興税制を大幅に整理縮減し、また、空港施設等の整備充実に資するため航空機燃料税を創設することといたしております。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 所得税の負担軽減につきましては、さきの臨時国会におきまして千六百五十億円の年内減税を実施したところでありますが、これは昭和四十七年度においては二千五百三十億円の減税となります。今回は、これに引き続き、老人、寡婦対策に資するため、年齢七十歳以上の老人扶養親族について十六万円の老人扶養控除を設け、また、扶養親族のない未亡人についても、年間の所得が百五十万円以下であれば寡婦控除の適用を認めるほか、工業所有権の使用料を源泉徴収の対象に含める等の所要の改正を行なうことといたしております。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 法人税法の一部を改正する法律案におきましては、中小法人の税負担の軽減とその内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げることとしております。
 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案におきましては、財政の健全性を保ちつつ、国民福祉の向上と国際経済との調和をはかることに配意し、各般にわたり所要の措置を講ずることといたしております。以下、その大要を申し上げます。
 まず、当面の経済財政事情及びわが国法人税負担の実情にかんがみ、法人税の付加税率の適用期限を二年間延長することといたしております。
 第二に、国民生活の充実をはかるため、最近における住宅対策の緊要性にかんがみ、新規の持ち家取得について住宅取得控除制度を創設することといたしております。
 第三に、中小企業の体質強化には特に配意し、従来の青色事業主特別経費準備金制度にかえて、一律十万円の青色申告控除制度を創設し、また、中小企業合理化機械の特別償却制度にかえて、広く中小企業者の取得する機械及び装置について特別償却を認める制度を創設することといたしております。
 第四に、最近の国際経済情勢にかんがみ、いわゆる輸出振興税制については、その期限の到来を持たずに大幅な整理合理化を行なうことといたし、輸出割り増し償却制度の廃止及び技術等海外取引所得の特別控除の対象範囲の縮小を行なっております。
 第九に、先般の通貨調整措置に伴って巨額の為替損失をこうむることとなる法人に対し、為替損失相当額を税務計算上早期に繰り上げて損金に算入すこるとを認める措置を講じております。
 第六に、環境保全の見地から、公害防止対策について、従来から特に意を用いてきておりますが、今回、現行の公害防止施設特別償却制度に加え、さらに公害防止準備金制度を創設いたしております。
 以上のほか、期限の到来する特別措置につきましては、それぞれ実情に応じ一部の改正を行ない、あるいは適用期限を延長する等所要の措置を講ずることといたしております。
 以上、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#14
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。藤田高敏君。
  〔藤田臨敏君登壇〕
#15
○藤田高敏君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案のありました所得税、法人税、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、佐藤総理並びに関係大臣に対し、その見解と対策について質問をいたします。
 一九六〇年代の日本経済は、いわゆるGNP第一主義、民間設備投資主導型の高度成長政策であり、この目的を達成さすために、政府は、税制面においても、資本蓄積と企業体質強化のために、なりふりかまわぬ産業優先の優遇措置をとり続けてまいり接した。労働者の低賃金、公害と環境破壊、社会保障と社会資本の立ちおくれも、こうした租税構造が生み出した産物ということができるでありましょう。
 総理の施政方針や大蔵大臣の財政演説では、昨年来の国際通貨問題を契機に、今日までの日本経済のパターンを一部修正して、国民福祉重点の経済政策に転換することの必要を認めているのでありますが、そうだとするならば、税制面においても、これまでの税の仕組みと租税構造のアンバランスを抜本的に是正し、大多数の国民が納得する公平な税制改正が提案されてしかるべきであります。
 ところが、このたびの四十七年度税制改正全般を見ても、この三法案の改正においても、佐藤内閣特有の有言不実行ぶりを遺憾なく発揮しているばかりか、六〇年代どおりの税制の基調を強化する方向を踏襲していることは、きわめて遺憾であります。たとえば、所得税の一般減税は完全に見送られ、所得税はもちろん、住民税、事業税の減税も、その実態は物価調整減税すら行なわないのが、この四十七年度税制改正の最大の盲点であります。そのため、低所得者層ほど負担が重くなる税の逆進性が強められているのであります。あの悪名高い租税特別措置の改廃も、われわれのこれまでの追及と要求によって、今回、部分的に若干の手直しと言いわけ程度の縮減を行なったにすぎません。それと引きかえに、通貨調整に伴う為替差損に対する租税特別措置の新設を中心として、最近の景気後退や円切り上げを口実に、企業優遇措置の拡大につとめているのであります。また、多年にわたって国会でも継続して問題になっている企業交際費課税の強化や株の譲渡所得課税などは、意識的に完全に見送っているではありませんか。まじめに働く勤労国民に対する税制上の背信行為ともいうべきものであります。
 いま、国民が税制改正に向けて強く要求しているものは、政府が言うところの高福祉高負担ではなく、現存の税の不公平を根本的に是正し、法人税の適正化、租税特別措置の改廃などを通して、取るべき税を取ることにより、税構造そのものの硬直化を打開し、物価高の中で実質増税に苦しむ勤労国民に対し、勤労所得税の大幅減税を行なうことであると考えるのでありますが、政府の見解をただすとともに、最も近い将来に向けての税制改正の大綱について、その方針を明らかにすることを求めるものであります。(拍手)
 続いて、私は、所得税について質問いたします。
 政府の言い分によれば、昨年末、景気対策の一環として一千六百五十億円の年内減税を行なったので、その平年度化による四十七年度の所得税減税の効果は二千五百三十億円となるので、新年度は所得税の一般減税は行なわないというものでありますが、これは、まきに驚くべき官僚的発想ともいうべきものであって、税制表の読みかえによって、巧妙に減税をごまかそうとする以外の何ものでもありません。
 この所得減税の見送りによって、四十七年度の物価上昇分約八百九十億、名目所得の増加に対する税率課税の引き上げによって、給与所得者は、減税どころか、増税になることは必至であります。加えて、公共料金の軒並み値上げ、授業料及び医療費などの値上げによって加重される生活費への圧迫は、はかり知れないものがあります。たとえば夫婦子二人の四人家族では、政府の主張によれば、所得百五十万円の減税額は、平年度で六千五百二十二円、月割りで五百四十円の減税になると言うのでありますが、たとえば国立大学、公立高校通学者を持つ家庭では、授業料の値上げ分だけで月二千四百円の増加で、政府の言うところのこの減税分は完全に帳消しされてまだ赤字にたるのであります。この上に、通学定期代の値上げ、医療費も一二%アップとすれば、厚生省調査の資料によっても、自己負担分は年五、六千円、月割りにして六、七百円は最低増加するのでありまして、大幅増税になっても、絶対減税になることはありません。総理や大蔵大臣はも所得税が減税にたるというのであれば、具体的な数字をもってその減税額の根拠を示してもらいたいのであります。
 また、このような物価値上げ、公共料金の値上げと所得減税との相関関係につき、経済企画庁長官は、四十七年度の経済政策の策定にあたり、これらの諸条件をどのように直視してきたのか、税は大蔵省まかせとして放任してきたのか、それとも、国民経済全体の中で、国民生活の向上という観点から、所得税の位置づけについてどのように努力をされたのか、その経過と見解を承りたいのであります。(拍手)
 さらに、私は、所得税と自然増収との関係についてお尋ねいたします。
 四十七年度の自然増収は五千九百三十二億円もあり、そのほとんどが勤労所得税収入であります。したがって、この面からだけでも四千億程度の一般減税は十分可能ではありませんか。この自然増収分は、全部給与所得者に還元すべきものであり、昭和四十一年の実績でも、その還元割合は六九・七%で、これをピークとして、自来、毎年、自然増収のあるところ、必ず所得税減税を行なってきている実績、経過から考えても、今回一般所得減税を見送ったことは、きわめて不当であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 また、課税最低限の問題についても、政府は、四人家族で百三万七千八百円の課税最低限は、欧米諸国との水準比較においても遜色なしと、あたかも鬼の首でもとったように説明しておりますが、これは、欧米諸国の社会保障水準及び物価など総合的な生活条件との比較を抜きにして、単純比較しているところに重大な欠陥があります。
 ちなみに、この課税最低限の生活実態とは何かということであります。つい先日、総理府が発表した四十六年十一月の消費者家計調査によっても、四人家族の一カ月の消費支出総額は八万八千円、食料費は約三万円、エンゲル係数三五%としてこれで計算しますと、家族一日一人当たりの食費は、何と驚くなかれ、二百五十円にしかならないのであります。このように、常識ではとうてい考えられないくらい食費を切り詰めなければ、サラリーマンの家庭では、子供の教育も、高い家賃を支払うこともできず、多様化された消費生活に対応できないのであります。
 このことを裏づけするごとく、一昨日の朝日新聞に、厚生省の四十六年度の国民生活実態調査の結果が発表されております。それによると、やっと食べるだけの生活をしている者が、その二割も占めているではありませんか。このような貧困な生活費に対してまで所得税を課税しているというのが、佐藤内閣の課税最低限の実態であります。佐藤総理や大蔵大臣は、このような生活実態を御存じの上で所得税減税を考えたことがあるのでしょうか。政府は、この際、これらの政府資料をも十分勘案し、今次税制改正において、当面、四人家族で百三十万円、五人家族で百五十万円まで課税最低限を引き上げ、課税最低限の全体的な見直しを行なうべきだと考えるのでありますが、大蔵大臣の見解をただしたいのであります。
 また、所得人員と納税人員の割合についても、昭和三十六年当時の五五%が、この十年間に異常な形で急増しまして、四十七年の見通しでは八〇%台にもなり、所得のあるところ無条件、無差別に苛斂誅求政策を強め、はかり知れない大衆課税の傾向をきつくしております。この納税人員を十年前の六〇%台することにより、給与所得者の納税人員の面からする税の全体的な緩和策をとるべきではないかと考えるのでありますが、これまた大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 次に、私は、法人税の改正について質問いたします。
 政府の大企業法人に対する税対策は、まさしく過保護政策であり、勤労所得税との差別は、まさに天地の違いがあります。今回の改正も、現行税率のまま引き続き二年間延長し、優遇しようとするものでありまして、欧米諸国の税負担率を引例するまでもなく、法人税と地方税を含めた実効税率においては、わが国は四五%、アメリカ五二、西ドイツ四九、フランス五〇で、いずれもわが国よりも高く、イギリスのみがやや低位の四〇%であります。さればこそ、昨年八月の税制調査会の答申でさえ、わが国の法人税はどの角度から検討しても引き上げる必要があると示唆しているにもかかわらず、基本税率の引き上げになぜ踏み切らなかったのか、われわれの良識をもってしては全く理解に苦しむものでありまして、政府にその理由を明らかにしてもらいたいのであります。
 また、今次改正の金融保険業に対する貸し倒れ引き当て金の問題についても、全く言いわけ程度の微温策に終始し、政府はなぜ金融界に対してこのようにまで気がねをしなければならないのか。全国金融保険業は、その総資本金九千三百六十億円に対し、この貸し倒れ引き当て金だけでも、その累計額はすでに約七千億円の多きに達し、資本金構成の七五%にも達するという、異常なばく大な引き出て金を持つに至っているのであります。したがって、当面は、全廃の方向で検討すべきではないのか。この際、大法人に対する引き当て金及び準備金制度については、全般的な洗い直しの時期に来ていると思うが、大蔵大臣の見解をこれまたただすものであります。(拍手)
 最後に、私は、今回改正の租税特別措置のうち、まず第一に、通貨調整に伴う為替差損に対する対策の不合理性について質問をいたします。
 今回の措置によれば、昨年十二月二十日を含む時点から、向こう十カ年に及び為替差損を税法上の欠損として処理する方策がとられ、会計処理上は、その欠損を一度に繰り上げ、もしくは十年間にわたって適当に分割して欠損処理を行なう企業保護の優遇策をとっているのでありますけれども、これは、為替差損問題の発生した原因とその経緯から見て、全く不当なものであります。政府の経済政策と大資本の経済政策の失敗を国の名においてあと始末をするがごときは、税の原則から考えても絶対に許すことはできません。(拍手)為替差損に対する措置を講ずるのであれば、当然のこととして、通貨調整で巨額の為替差益を得た企業法人に対しては為替差益税を当然創設しないことには、片手落ちとなり、課税の公平性と法益均衡の立場からも絶対に許されないことであります。(拍手)かりにこのような制度を新設するにしても、近い将来、国際通貨調整からくる円の再切り上げが起こらない内外政策をとる必要があるにもかかわらず、政府の四十七年度の経済政策や貿易計画からは、総合国際収支で約三十億ドルにも及ぶ黒字を見込み、円の再切り上げが十分予見される条件下でかかる税制を安易に創設することは、二重、三重の不合理性を持つものであります。
 そもそも特別措置は、必要悪として認める場合といえども、それはあくまでも暫定的なものとして、その期間は二年ないし三年程度のものに限定すべきであり、法人税法上も五年を最高としているのに、なぜ今回に限って十年もの悪例を残す優遇措置をつくったのか。昭和三十六年硫安価格差問題以来の異例の措置をとったのは、いかなる理由に基づくものか。政治的には、総選挙向けの選挙資金との関係ありと指弾されても、答弁のしようがないのではないか。(拍手)佐藤総理並びに大蔵大臣の率直な見解をお聞きするものであります。
 最後の最後に、大法人に対する企業交際費問題についてでありますが、この額はすでに一兆七百億円にも達しているにもかかわらず、税金の対象になっているものは総額のわずか二九%であります。この交際費ほど非生産的、非社会的なものはありません。それにもかかわらず、どうしたことか、佐藤内閣の交際費対策は、優柔不断、緩慢の一言に尽きるのであります。
 この問題は毎国会でやかましく取り上げられ、昨年の本会議におけるわが党の同僚議員の質問に対し、福田前大蔵大臣は、現行の基礎控除についても否認割合の七〇%を含めて再検訂することを約しておきながら、政治資金規正法と同じように、思い切った改正措置をとらず、今次改正においてもまた見送ったのであります。その理由は何なのか、非常に不明朗なものを感ぜずにはおれません。私は、このような不合理きわまる間違った税制が、あたりまえだという、既得権益化される社会的風潮と、その傾向を心から憂えるものであります。
 政府のこれが抜本的な改正を強く要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 藤田君から、いろいろ各方面にわたってのお尋ねでございます。私からは、今回の税制改正の基本的考え方、これについてお答えをいたしまして、その他の点は大蔵大臣あるいは企画庁長官に譲らしていただきたいと思います。
 今回の税制改正におきましては、昨年秋の所得税の年内減税に引き続き、個人住民税の軽減により一般的な個人課税の負担軽減を行なって、国民生活の充実をはかることとしているほか、老人扶養控除の創設や寡婦控除の適用範囲の拡大など、国民福祉向上のための種々の措置を講ずることとしております。
 他方、企業課税につきましては、法人税の付加税率の適用期限の延長、輸出振興税制の大幅縮減などによって、税負担の維持ないし強化をはかり、これを国民福祉のための歳出や減税の財源に充てることとしております。
 御指摘の、通貨調整によって相当の影響をこうむることとなる企業につきましては、為替差損の計上につき特別措置を講じてまいりますが、これはあくまで法人税の納付時期の繰り延べにとどまるものでありまして、税負担の軽減、免除、これを行なうものではありません。また、企業優先税制の延長というのは当たらないと思います。
 なお、今後の税制のあり方につきましては、今後の経済成長の姿や財政のあり方と密接な関連がありますので、来年度中に予定されている新経済計画の策定に並行して、税制調査会にもおはかりし、適切に対処してまいりたいと、かように考えております。
 冒頭お答えいたしましたように、この点について私の考え方を申し上げて、その他は大臣に譲ります。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#17
○国務大臣(水田三喜男君) 非常に多岐にわたった御質問でございますので、順次お答えいたします。
 まず、所得税についての問題でございますが、自然増収五千九百三十二億円という数字は年内減税実施後のものでありますので、年内減税の四十七年度の見込み二千五百三十億円をこれに加算いたしますと、八千四百六十二億円ということになりますので、減税の割合は約三〇%ということになろうと思います。この数字は、最近における累年の自然増収に対する減税の割合と比較して、決して幅の狭いものではございません。本年は、さらにこれに続きまして、一千億円の地方税減税をやっておりますので、個人課税を中心とした減税は三千五百億円をこすということでございますので、お尋ねのように、非常にこの数字が少ないということはいえないのじゃないかと思います。
 さらに、物価との関係の御質問でございましたが、年内減税の前に比べまして、課税最低限の上昇率は七・七%になっておりますので、そうしますというと、来年度予定されておる物価、公共料金も含めて五・三%という、物価よりも減税率のほうがはるかに上回っておるということでございます。
 また、所得者に対する納税人員の割合が最近非常にふえておることは、御指摘のとおりでございます。これは、国民の所得水準がふえていくことと、同時に、特に初任給水準が上昇したために納税人員が増加するのは避けられない現象でございまして、これはひとり日本だけでなくて、外国と比べましたら、日本の八三%に比べて、アメリカが九二%とかフランスが八七%というようなことで、日本だけが高いということではございませんで、これをもって大衆課税という批判は私は当たらないんじゃないかというふうに考えます。
 法人税についてのお尋ねでございますが、今回付加税率の適用期限が到来しましたので、これをどうするかという問題がございましたが、昨年の夏以来、多角的な通貨調整によって、この影響が法人には非常に悪い状態でございますので、景気回復をはかる意味から、この際法人負担をむしろ軽減しろという意見が非常に強かったことは御承知のとおりと存じますが、しかし、いま御指摘になりましたように、税制調査会の答申は、将来にわたって法人税は徐々に上げていくものというのが税制調査会の答申となっておりますので、その答申を大体勘案をしまして、一・七五%という特別措置を、今回は二年間さらに延長するという措置をとった次第でございまして、法人税の本税を今後どうするかということは今後の問題に残した次第でございます。
 それから、金融機関の貸し倒れ引き当て金についての御質問がございましたが、貸し付け金が基本的な金融機関の財産でありますから、貸し金の残高に応じて貸し倒れ引き当て金が多額にのぼるということはやむを得ません。したがって、これは貸し出し高に応じて七千億というものが計上されておるのでございまして、資本金とこの比率でこれを云々するということは適当ではないだろうと思います。しかし、この問題は、実情とあわせて、今後の問題としては十分検討したいと存じます。
 その次は租税の特別措置の問題でございますが、為林差損対策の問題は、長期の外貨建て債権について、会社が実際に為替損失を計上する時期よりも早い時期に、税務計算上は換算差額相当額を損金に算入するということによって課税の繰り延べをはかった、繰り延べを認めたということでございまして、したがって、税をまけたわけではございませんし、また、特に国が為替差損に対する補償をしたということではございません。したがって、国が通貨調整のあと始末をするために特に納税額を云々したという性質のものではございません。
 それと同時に、それなら差益についても特別課税をしたらいいじゃないかという御意見でございましたが、この差益にはいろいろ形がございまして、外貨建ての債務の換算差益というものもございますし、輸入価格の低下ということによる利益もございますが、いずれにしましても、一たんは債務を有するたとえば輸入業者等の企業にこの利益は属しますが、その利益がいつまでもその企業に属しておるのじゃなくして、最終的にはこれは消費者に還元されるところまでいくのがこの切り上げのねらいでございますので、したがって、この差益について特別な課税をするということは事実上は非常にむずかしいという問題は、前回にもこの場所で御説明したとおりでございます。
 それから、交際費の問題をお尋ねでございましたが、交際費は本年度、昭和四十六年度の税制改革のときに、否認割合を六〇%から七〇%に上げました。そうして、まだいま一年たたないところでございますので、この結果がどうなるかを見たいと思います。この期限が、しかももう来年の三月に期限が参りますので、三月までにこの実施の結果を見まして、控除を下げる必要があるか、あるいはさらにこの否認割合を上げる必要があるかというようなものは、今年一年の実績によって判断したいというふうに考えて、四十七年はこの改正を見送ったということでございます。
 大体、以上でございます。(拍手)
  〔国務大臣木村俊夫君登壇〕
#18
○国務大臣(木村俊夫君) わが国の課税最低限百三万七千八百六十円は、英国の七十九万九千三百五十円や西ドイツの七十七万二千二百八十六円より高く、また、百三万六千九百三十七円のフランスとほぼ同一の水準に引き上げられてきておりますが、国民生活の実態につきましては、各種の統計や調査を通じまして、常にその把握につとめております。また、その結果を社会福祉、税制など具体的政策に反映させるよう努力しておるところでございます。
 税制の問題は、もとより大蔵省の主管でございますが、当庁といたしましても、経済全般の運営の基本にかかる問題として、年々の減税等、基本的な租税政策の方向につきましては十分検討しておりまして、また、具体的な税制改正の問題につきましても、必要に応じ事前に協議を受けることにいたしております。(拍手)
#19
○議長(船田中君) 松尾正吉君。
  〔松尾正吉君登壇〕
#20
○松尾正吉君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま政府より提案されました所得税、法人税並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして総理並びに関係大臣にその所信をお伺いしたいと思います。政府は、昭和四十七年度予算について、内政の目標を景気の回復と人間性豊かな福祉国家の建設という二本の柱に置いて大型予算を編成し、福祉政策への転換を課題として出発したのでありますが、税制も当然その方向で見直さなければならない時期に来ていると思います。したがって、資本蓄積優先の税制から、国民生活立て直しのための税制に切り変えていくために何を重点に改正をしたのか、こういう立場で順次質問を進めてまいります。
 まず、佐藤総理も御承知のように、いま国民が最も政治に期待しているものは、物価の安定と日常生活の不安の解消ということであります。特に、国民生活に最も影響を与える消費者物価は、昨年来の異常な高騰が続いております上に、本年春からの集中豪雨的な政府主導による公共料金の大幅な引き上げ、これらによってさらに騰勢が強まることは常識となっております。住民の不買運動などに見られますように、国民の非難もとみに高まっているところであります。
 佐藤総理は、施政方針演説の中で、物価の安定は、福祉社会を目ざす政策においても最重点課題の一つである、このようにして、野菜価格安定対策の推進、食料品を中心とする輸入の増大をはかり、輸入品の価格低下を国民生活の中に活用していく、このように述べているのでありますが、実際には、円切り上げ後の輸入品の消費者価格は、企画庁をはじめ通産省等の追跡調査によっても、値下げ分が消費者価格に反映していないことが明らかになっております。残念ながら、いま国民が関心を寄せている物価問題に対して、総理の公約は全く絵にかいたもちにひとしく、何ら実効が期待できない状況にあるのであります。
 国民が不況と物価騰貴というきびしい情勢の中で待ち望んでいるものは、新年度の大幅な減税であります。ところが、ただいま提案されました四十七年度所得税法等を見る限り、まことに遺憾ないは無情にも切り捨てられてしまったという以外にないのであります。
 すなわち、このたびの所得税法の改正においては、景気浮揚と国民福祉向上のため租税負担の軽減、合理化をはかった、このようにしておりますが、現実には所得減税はゼロとなっておるのであります。
 これについて、政府は、昭和四十六年度実施の繰り上げ減税が四十七年度に及ぼす効果は二千五百億円程度の減税になるはずだ、このように説明しております。これは明らかに脆弁であるといわざるを得ません。繰り上げ分を含めて三千億円程度の減税は、昭和四十六年度当初から当然実施すべき規模にすぎなかったのであります。景気刺激と福祉充実をうたいながら所得税負担の軽減に目をつむっているのでは、物価高に脅かされている国民を愚弄しているという以外にはないのであります。
 政府は、昨年、景気刺激策として千六百五十億円の異例な繰り上げ減税を実施しましたが、これは、景気振興に最も即効力を持つのは減税であるからこそあえて繰り上げ減税措置をとったことは、論をまたないところであります。であればこそ、四十七年度も所得税減税を行なうべきところを、政府は、新年度は景気刺激対策として公共投資に力点を貫き、減税を無視したということは、まことに言語道断であり、政府の景気政策のねらいに重大な疑問を抱かざるを得ないのであります。なぜ減税努力をしなかったのか、この点について納得のいく理由を、国民の前に明確にお示しいただきたいと思います。
 また、政府は、減税ができない理由に財源難をあげながら、いま国民や世界各国から不安と不信が集中をしている防衛予算についてはこれを先取りし、一方、国民の生活安定実現のための減税をゼロにしたこの政府の態度には、全く理解に苦しむのでありますが、この点について、総理は国民にどのように説明をしようとなさるのか、お伺いしたいと思います。
 また、政策の大転換をうたっているのですから、歳出面の徹底したチェックは当然であるのに、各省庁の歳出について、すでに機能を失った既得権的な継続予算や、また、会計検査院の決算報告による改善指導等について、どこまで政府は思い切ったメスを入れたのか。これら既得権的なものを当然増とした増分主義を脱しない限り、資源再配分政策の新たな転回は望めないと思うのでありますが、歳出面での政策の転換をどのようにとったのか、また、どのように行なおうとするのか、説明を願いたいと思います。
 また、不況のために四十七年度の自然増収は五千七百億円程度しか見込めないので、減税はできないと言っておりますが、この不況の原因は、昭和四十四年度の金融引き締め政策、その上に輸出至上政策をとり続けてきた結果、円の大幅な切り上げに追い込まれる等、政府の経済運営の失敗にその要因があったはずであります。こうした政府の責任については何ら反省することなく、そのしりぬぐいを、あたかも不測の災害のような感覚で不合理な税制を国民に押しつげることは、断じて容認できません。
 去る四日に厚生省が発表した国民生活実態調査の結果を総理も御承知と思います。これによると、五十歳以上の男性は老後に大きな不安を抱いており、全調査対象の五一%が、生活できそうにないと、生活の不安を訴えているのであります。また、総理府統計局の調査によって、現在、夫婦子二人の四人家族の生活費を推計すると、その生活費は百三十万円を上回るといわれております。これに対し、所得税の課税最低限は百三万七千八百六十円であり、大幅に生活費に食い込んで課税されているのであります。
 このような、国民の生活不安や担税力を無視して応能の原則を逸脱した課税措置は、国民を軽視したものであり、強く政府の再考を促すものであります。政府は、すみやかな景気浮揚と国民生活所得税の減税を行なうべきであります。また、いま直ちに手直しができないというのであれば、四十七年度中に繰り上げ減税ないし臨時減税を断行すべきであると考えますが、総理大臣並びに大蔵大臣から確固たる所信をお伺いしたいと思います。
 なお、あわせて、今後の税制の方向についてお伺いいたします。所得税減税については大幅減税をやる意図があるのか、また、かねてから要望の強い二分二乗方式をどうするのか、付加価値税制は、国民のどんな強い反対があってもこれを導入していこうとなさるのか、これらについても明示していただきたいと思います。
 次に、租税特別措置について。
 租税特別措置については、税の公平をゆがめるものとしてきびしい批判が加えられてまいりました。わが党も、しばしば問題点を指摘してきたところであります。昭和四十七年度の税調答申も、これまでわが国は産業体質の強化と輸出の振興とを政策の中心としてきたが、国際収支の面でゆとりを持つようになった現在、これを契機として国民福祉充実のための経済資源の配分を再検討する段階に来ており、税制に期待される分野は少なくない、このように政策の転換を指摘しております。この答申があるにもかかわらず、いつの間にか電力、鉄鋼、電算機、航空、海運、自動車など、名ざしの形で特別減税措置が拡大されているが、これらの産業は、いずれも保護を必要としない巨大な力を持つ産業なのですから、経済成長から国民本位の政策転換という立場から見ると、まさにこの措置は逆行すると思うのであります。これら名ざしで、しかも答申後に、なぜ巨大産業に税制上の保護を与えなれけばならなかったのか、大蔵大臣から納得のいく理由を説明していただきたいと思います。
 また、租税特別措置について過去の実績を見ますと、昭和四十四年度の減税措置による減収額は三千二百億円、四十五年度が三千八百億、四十六年度が四千三百億、四十七年度見込みにおいても四千七百億円と増加しているのでありますが、政府の公約から見れば、今後、課税の特例については勇断をふるって整理縮小していくべきと思うのでありますが、総理はこの点に関してどう考えておられるか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、具体的にお伺いします。
 大蔵大臣は、円切り上げ後の経済運営について、租税特別措置については積極的に検討をするとして、特に輸出振興税制、金融機関の特例、医師に対する特例、交際費課税の適正化については次国会にこの改正案を提出することを委員会で確約しておったにもかかわらず、医師の特例並びに交際費には手をつけなかったのであります。一方では財源難を理由にして所得税減税をゼロとし、他方では当然整理して増収をはかるべきを見送っている。これでは国民は納得できません。
 そこで、医師の特例については、税制調査特別委員会から答申が出たならば、直ちに措置をされるのかどうかを明確にしていただきたいと思います。
 これとあわせて、交際費課税並びに既得権化しているものの含まれいる百四十項目をこえる課税の特例について、厳格な判断に立って整理縮小していくために、この際、税調に特別諮問をしていくことが時期的に必要である、このように考えるのでありますが、この二点について政府の考えをただしておきたいと思います。
 次に、政府は税の簡素化並びに所得税、住民税の一本化などを積極的に検討していくことをしばしば言明してまいっておりますが、一例を課税最低限について見ますと、昭和四十五年度の所得税、住民税の差額は二十三万九千三百三十八円、昭和四十六年度当初で二十六万五千三百五十円、昭和四十七年度見込みでも二十三万二千九百八十九円で、何らの前進を見ていないのであります。また、徴税の一本化、むずかしい税法の簡素化をせよという国民の声は、きわめて強いものがあるのでありますが、政府はこの国税、地方税、特に税の一元化をほんとうに実現していく意図があるのかどうか、あらためて総理の所見を伺っておきたいと思います。
 最後に、市街化区域の宅地並み課税については、これをどう収拾しようというのか、この際、国民の前に態度を明確にしていただきたいと思います。
  以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松尾君にお答えをいたします。
 まず、すでに先ほどもお答えいたしましたように、来年度におきましては、昨年秋の所得税の年内減税に引き続き、個人住民税の減税によりまして、一般的な個人課税の負担軽減を行なって、当面の景気停滞の克服とともに国民生活の充実をはかることとしております。
 また、このほか、老人扶養控除の創設や寡婦控除の適用範囲の拡大などを行なうこととしておりますが、これらはいずれも国民福祉向上のために特に措置したものであります。
  他方、企業課税につきましては、法人税の付加税率の適用期限の延長、輸出振興税制の大幅縮減などによりまして、その税負担の維持ないし強化をはかり、これを国民福祉のための歳出や減税の財源に充てることとしております。
 このように、政府は、国民生活優先あるいは国民福祉向上のために、税制面からも大いにつとめていることを御理解いただきたいと思います。
 次に、所得税についていろいろのお尋ねがございましたが、これらは大部分大蔵大臣からお答えすることといたしまして、私からは、一点、今後における所得税の負担の見通しにつきましては、財源事情等がしばらくは不振を続けるものと予想されますので、御質問のように、これは早く減税ができる、かようには私考えておりませんが、いずれにいたしましても、税制調査会の答申も述べているように、所得、物価水準等の動向を注視しつつ、今後慎重に対処してまいりたいと考えます。
 その他の点については、大蔵大臣からお答えしたいと思います。
 次に、租税特別措置法についてお答えをいたします。
 通貨調整後のわが国におきましては、従来の産業体質の強化と輸出の振興に重点を置いた政策から、国民福祉の充実を目ざした政策運営への転換が要請されているところであります。このような観点から、四十七年度税制改正におきましては、冒頭にも述べたように、老人扶養控除の創設や住宅対策、公害対策の拡充など、国民福祉の向上につながる施策を重点的に講ずることとし、他面、輸出振興税制の大幅な整理縮減をはかるなど、祖税特別措置を中心としてかなり大幅に整理合理化を行なうこととしております。これは十分御了承はいただくことだろうと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、松尾君から、税の簡素化及び所得税、住民税の一元化にさらにつとめるべきではないかという御趣旨の御質問がありました。所得税と住民税の課税最低限につきましては、従来からその格差の是正につとめているところでありますが、なお相当の開きがあることも事実であり、今後も税の性格、地方財政の実情を勘案しつつ、できるだけ近づけたいと考えております。
 また、国税、地方税を通ずる賦課徴収の合理化につきましては、従来から特に、国、地方を通ずる徴税の一本化が要望されておりますが、これにつきましては、国税といい、地方税といい、結局は同じ納税者の負担に帰するものであること、また、納税者側の事務負担の軽減や、国、地方の徴税費の節減が可能になることなどの観点から、大局的に見て望ましいことと考えます。しかしながら、この問題は、他面におきまして地方自治と地方税制のあり方にも関連する事柄でありますので、今後、なお慎重に検討してまいりたいと考えます。
 次に、市街化区域内の農地の課税の問題につきましては、松尾君も御承知のとおり、周辺の宅地との固定資産税の税負担の不均衡が著しく、かつ、土地対策の見地からも問題がありますので、市街化区域内の農地につきましては、昭和四十六年度の税制改正におきまして、段階的に税負担の増加を求めることといたしたものであります。
 しかしながら、農地所有者または農業団体等から反対の意見が出ていることも承知しておりますので、この措置は、予定どおり昭和四十七年度から実施する方針でありますが、その実施にあたりましては、十分慎重に、実情に合うように進めてまいりたい、かように考えております。
 以上、私からお答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#22
○国務大臣(水田三喜男君) まず、減税が物価を考慮していないというお話でございましたが、減税では食い違いがございまして、私どもは、年内減税は四十七年度分の繰り上げであるというふうに思っておりますので、全く減税をしなかったという御質問には賛成できません。物価についてはもう十分考えておりまして、昭和四十年から今日までの物価の上昇率は平均して五・五%となっております。これに対して、所得税の課税最低限の引き上げ率というものは、親と子供二人の標準家庭におきましては四十年からは平均して一一・八%になっておる、こういうことでございますので、常に課税最低限の引き上げ率のほうが物価の上昇率よりも多くなっておるということでございまして、今回の年内減税においても、同様に物価の上昇率よりは課税最低限の引き上げ率のほうが多いということになっております。
 それから、二分二乗についての見解について御質問ございましたが、これは政府の税制調査会におきましてもいま重要問題としてこの問題は取り上げられて検討が進んでおりますが、これまでの研究された結果を見ますと、この方式を採用すると、片働きの世帯と共かせぎの世帯と寡婦の世帯と独身者世帯の間の税負担が非常にバランスを失するということになることがまず一つと、それから低額所得者と高額所得者を見た場合に、高額所得者の税負担を非常に軽減することに特に役立つというようなこと、それから、年末調整で精算する仕組みになっておりました給与所得者の源泉徴収制度が大きく狂ってくるという、こういうおもな三つの問題からこの問題がなかなか簡単でないので、たくさんの問題を含んでおりますので、いま引き続き税制調査会でも検討しておってくれる問題でございますが、結論を出すのにはいましばらく時間がかかることと思っております。
 それから、付加価値税の問題は、これはもう今後におけるわが国の税体系に大きい変化を与えることであると同時に、実際問題として実施の、手続には非常に問題が多うございますので、それらを相当研究してかからなければ、これはすぐに採用できる税制ではございませんので、引き続いて広い角度からこの問題を取り上げて、いま大蔵省においても、税制調査会においても、一緒に検討しておる問題でございます。
 それから、税の特別措置の問題でございますが、これはおっしゃられるとおり四千三百九十五億円の減税、昨年がそうでございましたが、本年は四千七百三十億円にこれが昨年よりも額がふえておるということは、姿として非常に遺憾でございますが、これは内容が、全く中身が違っておるということでございまして、輸出振興税制とか、あるいは貸し倒れ準備金などは大幅に整理いたしましたが、それによって新たにどうしても必要に迫られてとった特別措置がことしは非常に多い。まず、福祉政策をとったために福祉問題を中心にする特別措置の必要がたくさん出てきたということと、通貨の調整によって中小企業そのほかにいろいろ問題が出てきましたので、ここでやはり特別措置をしなければならぬという問題が出てきましたので、そういうものの差し引きで実際は昨年よりも多くなっているということでございますが、これはやはり方向としては順次減らすべきが方向でございますので、さらに引き続きこの見直しということについては、税制調査会にもこれは諮問して、やるつもりでございます。
 それから、交際費の問題については先ほどお答えしたとおりでございますが、医師の課税特例につきましては、これは税制調査会から昨年答申が出てまいりました。税制調査会は、何回政府に答申してもこの問題は実行しない、税制調査会が少しおこり出しまして、今度は自分たちが特別に委員会をつくって、この問題を、現実的、具体的な案を税制調査会において答申する。そうした場合は、政府は今度は実行するかということを、税制調査会から実は私が迫られましたので、私は税制調査会に出席しまして、もし税制調査会で現実的に具体的な案が示されるのなら、政府は今度は実行するという約束を私はしてきましたので、この答申が出てきましたら、今度は政府はこれを実行するつもりでおります。
 大体御質問は以上のことだと思います。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
#23
○国務大臣(田中角榮君) 松尾さんにお答えいたします。
 平価調整による輸入品の消費者物価への反映等についてでございます。円平価が切り上げられたのでありますから、輸入品はそれだけ安く輸入できるわけでございまして、その安くなった分が消費者物価に適正に反映されなければならぬことはもちろんでございます。
 まず、政府は三月三日、物価対策閣僚会議を開きまして、通貨調整に伴う物価対策の強化を決定したわけでございます。次いで、通産省といたしましても、輸入団体、流通団体等に対しまして、輸入品価格の引き下げが流通段階において吸収されることのないよう要請をいたしておるのでございます。また、主要輸入商品の価格動向の追跡調査をいたしております。値下がりをしないような品目がありますれば、その原因を究明いたしまして、必要な措置を講じてまいる所存でございます。輸入品等価格動向追跡調査の対象品目といたしましては、牛肉、豚肉、乗用車、原油、雑貨等六十品目に及んでおるのでございます。
 念のため、日銀による輸入物価指数で申し上げますと、昭和四十年を一〇〇といたして計算をしますと、去年の八月には、総平均は一〇九・四でございました。それが十二月には、一〇二・〇に下がっておることは事実でございます。食料品につきましては、八月の一一五・〇が一〇九・〇に下がっておるのでございます。繊維に関しても、一〇〇が九二・七に下がっております。雑品品目につきましては、一一〇・二が九九・二に下がっておりますが、このような状態で満足をするものではございません。ですから、輸入価格が消費者価格に反映をしますように、万全の体制をとってまいります。
 ここで一言だけ申し上げておきますのは、昭和四十五年度の個人消費支出のうち、財貨購入に充てられたものは七百九億ドルでございます。この七百九億ドルに対しまして、直接消費財の輸入に充てられた金額はわずかに三十三億ドルでございまして、国内消費に占めるウエートは四・七%であります。ですから、輸入品によっていま直ちに消費者物価を下げるというような数字にないことはこのとおりでございますが、円平価調整によるメリットを消費者に還元をすると同時に、やはり消費に占める輸入品のウエートを上げていくということが一つのポイントだと思うわけでございます。念のため申し上げておきます。(拍手)
#24
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#25
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時三十一分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
        国 務 大 臣 竹下  登君
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ソース: 国立国会図書館
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