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1971/03/14 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第11号
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1971/03/14 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第11号

#1
第068回国会 本会議 第11号
昭和四十七年三月十四日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十七年三月十四日
   午後三時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 水田大蔵大臣の昭和四十五年度決算の概要につ
  いての発言及び質疑
   午後三時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
#3
○藤波孝生君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 関税定率法等の一部を改正する法律案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長齋藤邦吉君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔齋藤邦吉君登壇〕
#7
○齋藤邦吉君 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、国民生活の安定、自由貿易の推進に資する等の見地から、関税につき所要の整備を行なうため、関税定率法、関税法及び関税暫定措置法について、次の改正を行なおうとするものであります。
 その第一は、関税率の改正でありまして、まず、国民生活の安定充実に資するため、生活関連物資等七十三品目について関税率の引き下げ、次に、輸入自由化に対応するため、十二品目について関税率の調整を行ない、自由化実施の日から適用すること、さらに、各種の産業政策上の要請にこたえるため、九十三品目について所要の関税率の調整を行なうほか、すでに暫定税率を適用している八十二品目についてその期限の延長を行なうこととしております。
 また、中国大陸産品の輸入品で関税格差の生じているもののうち、三十一品目について格差解消の措置を講ずるほか、従来関税格希解消措置を講じている品目について、引き続き同措置を継続することとしております。
 このほか、税関実務を簡素化し、輸入者の便宜をはかる見地から、関税率の調整、また、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約の改正に伴い、分類が変更となる品目について所要の関税率の調整等を行なうこととしております。
 なお、以上の関税率の改正に伴い、輸入者の携帯品に対して適用される簡易税率について所要の調整を行なうこととしております。
 その第二は、関税制度の改正であります。
 まず、本邦への住所移転に際し、入国者が輸入する乗用自動車の免税要件を緩和するほか、関税の減免・還付制度の拡充をはかることといたしております。
 また、特定の用途に供することを条件として関税の減免を受けて輸入された物品を他の減免税要件を満たす用途に転用することを認めるための規定を設けるほか、保税地域への貨物の搬出人、指定保税地域等に関する規定について、税関手続の円滑化をはかるため、所要の整備を行なうこととしております。
 その第三は、税関における物品の評価に関する条約への加入に備え、課税価格に関する規定について所要の改正を行なうこととしております。
 なお、以上の措置により、昭和四十七年度約百二十億円をこえる減収が見込まれているのであります。
 本法律案は、去る三月十日質疑を終了し、本日採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決したのであります。
 なお、本案に対しては、生活関連物資の関税引き下げが消費者価格に十分反映するよう調査と行政指導の強化、また輸入品の流通機構の整備等、また、次期国際ラウンドが発足することにかんがみ、関税制度の見直しを行ない、今後関税及び非関税障壁の軽減撤廃につとめると同時に、諸外国に対しても、その関税及び非関税障壁の軽減撤廃を強力に働きかけるべきである旨の二項目にわたる附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#9
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 水田大蔵大臣の昭和四十五年度決算の概要についての発言
#10
○議長(船田中君) 大蔵大臣から、昭和四十五年度決算の概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣水田三喜男君。
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#11
○国務大臣(水田三喜男君) 昭和四十五年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 昭和四十五年度予算は、昭和四十五年四月十七日に成立いたしました本予算と、昭和四十六年二月十二日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。
 昭和四十五年度本予算は、わが国経済の持続的成長の確保と物価の安定を眼目として、次のような基本方針のもとに編成されたものであります。
 第一は、財政面から景気を刺激するととのないよう財政規模を適度のものにとどめるとともに、公債発行額を縮減し、さらに、経済財政事情にかんがみ、法人税の増徴を行なったことであります。
 第二は、国民の税負担の軽減をはかるため、所得税及び住民税等の減税を行なったことであります。
 第三は、歳出内容について、社会経済情勢の変化に即応して、重点施策の着実な遂行をはかり、国民福祉の着実な向上につとめたことであります。
 なお、補正予算は、公務員の給与改善をはじめ、本予算成立後に生じた事由に基づき、特に緊要となった事項につきまして所要の措置を講じたものであります。
 昭和四十五年度を顧みますと、わが国経済は、前年度からの金融引き締め措置の浸透等により、年度途中、夏ごろから景気後退局面へ入りました。実質経済成長率は、下期にかなり低下しましたが、上期において大幅な拡大を示しましたので、年度では、一〇%をわずかに下回る程度となりました。
 なお、卸売り物価は、前年度比二・四%、消費者物価は同比七・三%の上昇となりました。
 国際収支の面では、昭和四十五年度の総合収支は、前年度に引き続き、約二十億ドルの黒字となり、外貨準備府も年度末には約五十五億ドルに達しました。
 このようなわが国経済の状況を背景として昭和四十五年度予算が執行されたのでありますが、以下、その決算の内容を数字をあげて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は八兆四千五百九十一億円余、歳出の決算額は八兆千八百七十六億円余でありまして、差し引き二千七百十四億円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和四十六年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和四十五年度における財政法第六条の純剰余金は七百三十二億円余であります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額八兆二千百三十億円余に比べて、二千四百六十億円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額千六百七十六億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和四十五年度の歳入の純増加額は、七百八十四億円余となるのであります。
 この内訳は、租税及び印紙収入、雑収入等の増加額千百十三億円余、公債金における減少額三百二十八億円余となっております。
 一方、歳出につきましては、予算額八兆二千百三十億円余に、昭和四十四年度からの繰り越し額七百十八億円余を加えました歳出予算現額八兆二千八百四十八億円余に対しまして、支出済み歳出額は八兆千八百七十六億円余でありまして、その差額九百七十一億円余のうち、昭和四十六年度に繰り越しました額は七百六十一億円余となっており、不用となりました額は二百十億円余となっております。
 次に、予備費でありますが、昭和四十五年度一般会計における予備費の予算額は千億円でありまして、その使用額は九百九十九億円余であります。
 次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。
 財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は千九百九十三億円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は千九百十四億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額三千八十六億円余を加え、昭和四十五年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額千九百億円余を差し引きました額三千九十九億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額になります。
 財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は二百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は百十三億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額六十四億円余を加え、昭和四十五年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額六十六億円余を差し引きました額百十一億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額にたります。
 次に、昭和四十五年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十三でありまして、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計しますと、歳入決算において十八兆千六百四十八億円余、歳出決算において十六兆七十五億円余であります。
 次に、昭和四十五年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は七兆四千五百八十七億円余でありまして、この資金からの歳入への組み入れ額等は七兆四千四百二億円余でありますので、差し引き百八十四億円余が昭和四十五年度末の資金残額となります。これは、主として国税にかかる還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。
 次に、昭和四十五年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
 以上、昭和四十五年度の一般会計歳入歳出決算、特例会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和四十五年度決算の概要についての発言に対する質疑
#12
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。森下元晴君。
  〔森下元晴君登壇〕
#13
○森下元晴君 ただいま大蔵大臣から、昭和四十五年度一般会計決算外二件につきまして説明がごさいました。これにつきまして、私は、自由民主党を代表いたしまして、質問をいたしたいと思います。
 申し上げるまでもなく、昭和四十五年度決算はこれから審議されるものであり、私の質問も当然総括的なものであることをお断わりしておきたいと思います。
 まず初めに、決算制度の基本的な問題についてお伺いをしたいと思います。
 決算の重要性につきましては、いまさら申し上げる必要もありませんが、決算は予算とともに車の両輪のごときものでありまして、予算の執行が正当かつ効果的に行なわれているかどうかは、決算によって初めて明らかにされるのであります。したがって、決算の審議は、会計検査院提出の報告書その他を参考として、会計上の不法支出、不当支出につきまして監督的に指摘するだけでなく、将来、国の財政支出に対する警告はもちろん、長期国家経営の指針を確立するための役割りを有するものであります。
 それで、その役割りを最高度に発揮するために、第一の問題として、決算も予算と同様、国会の最重要審議事項として取り扱うべきであります。したがって、予算が議決によって決定されるのに対応して、国の財政処理の最後の締めくくりである決算も、当然議決によって確定すべきであるとの根強い意見があるのであります。現在の憲法では、予算については議決、決算については提出と、それぞれ八十六条あるいは九十条で規定されており、決算を議決案件とすべきであるかどうかは、必ずしも明瞭でございませんが、そのゆえをもって決算を軽視すべきではございません。
 第二の問題といたしましては、決算処理のスピード化をはかるべきであるということであります。
 すなわち、内外を通じて社会情勢は急激に変化しており、その変化のスピードは、十年一昔といわれた時代より、一年一片といわれるほど、今日は変化の度合いがスピードアップされておるのであります。これに対応して、未来を先見するための過去の情報の整理もまた一そうのスピード化が要請されるに至っております。こうした時代の要請にこたえて、国の決算についても積極的にその処理を進め、予算の効果測定等を行ない得るよう、内容の充実をはかる等のくふうをこらすべきであると思うのであります。しかし、残念ながら、会計検査院の現状は、制度的にも、機能的にも、必ずしも十分な体制ではなく、新しい時代の要請に沿い得るものとはとうてい言えない実情であります。
 私は、国会の決算審議のあり方をも含めて、決算制度の根本的再検討がいまこそ必要になってきていると考えます。総理は、決算制度のあり方について、いかがお考えでありましょうか、御所見を承りたいと存じます。
 次に、海外経済協力、技術協力等についてお尋ねをいたします。
 国家存立の目的は、国民の幸福と繁栄を希求し、永遠の平和を保持することにあります。国家財政は、そのために効果的、効率的に使用さるべきであります。戦後の世界情勢は、戦前に比べ大きく変わりました。近年、特に、イデオロギーの東西問題より、貧富の南北問題が世界の趨勢になっております。特に、個々の繁栄から、集団の繁栄を実現しようとする国際協力に向かっております。一国家のみの繁栄というエゴイズムは許されない時代になっております。
 元カナダ首相ピアソン氏は、その報告書で、「先進国は一九七五年までに国民総生産の一%を援助に振り向けるという目標を達成すべきである」、また、「先進国は一九七五年、おそくとも一九八〇年までに政府開発援助を国民総出産の〇・七%に伸ばすべきである」、また、「開発途上国は自助努力を強化すべきである」等のことを述べております。この報告書は、何ら公的な拘束力を持つものではございませんが、南北問題に造詣の深い有識者が提言した経済のバイブルとして、あらゆる場において引用され、その後の国際的政治決定に大きな影響力を及ぼしております。
 わが国は、数年来、海外において、金もうけのためには他人の迷惑を顧みないエコノミックアニマル、アグリージャパニーズ、または日本株式会社などと呼ばれていますが、これらはわが国の経済成長に対する羨望と嫉妬から生じたものかもしれないし、自国市場にはんらんする日本製品を見て、経済侵略への恐怖心を呼び起こした結果かもしれません。しかし、このような非難が出ることは決して好ましいことではありませんから、相手国の立場を尊重し、いやしくも経済協力という善意に発する行為が、わが国に対する不信にならないよう気をつけなければなりません。二十一世紀は日本の世紀といわれていることからしても、わが国は国際協力に消極的態度をとることは許されません。平和国家日本が、みずからの意思に基づき、率先して経済協力を推進することは、ひいてはわが国の長期的繁栄につながるものであります。
 一九七一年版の経済協力白書を見ますと、七〇年のわが国の経済協力による実績は十八億ドルをこえ、国民総生産に占める比率は〇・九三%となり、目標の一%に近づき、アメリカに次ぐ世界第二の援助国になったわけであります。しかし、その内容を調べてみると、真の援助の名に値するものといわれている政府開発援助の比重は、主要先進国中でも最低なのであります。すなわち、わが国の援助額は、GNPに占める割合からすれば〇・九三%と、量的には多いのでありますが、この中から民間投資や延べ払い融資など輸出振興色の強い援助を差し引いた純粋の援助である政府の開発援助の割合は、〇・二三%と、DAC加盟国中十三位という低い位置にあり、また、援助に占める贈与の割合も、一九七〇年の実績で六八%で、DACの勧告八六%とだいぶ隔たりがあります。また、開発途上国がみずから努力することを助ける技術援助の比率も、まことに低いのであります。これらの点から申しましても、今後は政府援助に力を入れるとともに、開発途上国と摩擦を起こさないような民間ベースの援助が必要であると思うのであります。
 さらに本問題について申し上げておきたいことは、昨年の本会議における質問でも触れておりますが、わが国の対外経済技術協力の実施機関は、外務、大蔵、通産、農林、企画、建設、厚生、文部など、多岐に分かれており、何がどこで行なわれておるか明確でございません。この点につきましては、昨年の九月、総理の諮問機関である対外経済協力審議会が、その答申において、対外開発協力省または庁の設置を勧告しておることは、総理も十分御存じのことと思います。また、答申は、もはやわが国は自国の経済発展を追求するだけでなく、世界の調和的発展をはかるため、開発途上国に対する経済協力の面で真剣に先進国としての責任を果たすべき段階に至っていることを強調し、政府の思い切った対外援助政策の飛躍を進言していることも御承知のことと存じます。
 以上、今後の海外経済技術協力のあり方について、総理または外務大臣の御所見を承りたいと存じます。
 次に、健康保険、食管、国鉄及び国有林野の四K赤字問題について質問をいたします。
 昭和四十五年度の厚生保険特別会計健康勘定の赤字は三百八十三億円で、年度末累積赤字は千七百八十六億円であり、食糧管理特別会計の昭和四十五年度損失額は、国内米管理勘定三千六百八億二千六百四十二万余円、国内麦管理勘定は百五十九億三千六百三十万余円であり、昭和三十三年度から昭和四十五年度までに約一兆九千三百八十四億円が一般会計から赤字補てんのため繰り入れられております。また、日本国有鉄道の昭和四十五年度末の繰り越し欠損金は五千六百五十三億九千六百八十四万余円であり、いずれも決算のガンになっております。今後、運営の改善はもちろん、抜本的な制度改正のメスを入れなければなりません。
 これらの大赤字を生じた原因には、時代の大転換による社会構造、産業構造または輸送構造等の変化による不可抗力的な赤字の要因もありますが、決算面での赤字は国民に大なる疑惑を与え、かつ、政治不信につながる問題でもあります。
 幸い、四K赤字のうち、国有林野事業特別会計以外の三K問題は多年の懸案事項でもあり、古米の処理に、また稲作の生産調整に、また保険制度の改正、そして国鉄の総合交通政策の中での再建計画に取り組んでおり、大いにその整理、改革、改善に期待したいと思います。
 しかし、今回新しく赤字経営の仲間入りをした国有林野事業特別会計の赤字は、今後飛躍的に増加の傾向にあって、心配されております。現在の政治課題として国民の大きな関心の的である公害問題と同様、公益機能を持つ森林政策の主導的役割りを持つ国有林経営に政治的スポットライトを当てるべきであります。
 林業白書の内容を見ますと、昭和四十五年は、日本林業にかつてない転換の年であったと述べられております。すなわち、第一に、外材がついに国内木材需要の半数をこえたこと、第二に、国有林野事業特別会計が赤字に転落したこと、第三に、木材供給源としての森林に、さらに国民的水や酸素等の活力供給源としての使命が課せられるようになったことであります。
 要するに、国にとって、国民経済にとって、また国民生活にとって林業とは何であるのか、またどうあるべきかが問い直されているのであります。外材輸入が五五%に伸びたということは、外材が主導権を握った、すなわち、外主内従の構造的変化が生じたということであります。また、国土の約七〇%を占める森林国日本の外材依存が、国有林野事業特別会計を赤字へ転落させ、しかも、恒久化による累積赤字は三Kそれぞれの累積赤字に追いつくことは必至であり、回復の前途は容易でありません。外材主導による日本林業の構造的変化が、国有林野事業の構造的赤字を生み出したのであります。
 経済の高度成長が日本農業に暗い変化をしいたように、日本の林業、森林政策にも新しい機能を要求し始めました。経済的機能とは別のいわゆる公益的機能、すなわち、国民生活への緑の効用がそれであります。経済的機能と公益的機能との板ばさみになっているのが国有林野事業特別会計の現状であります。赤字を防ぐためや人を養うために森林を乱伐することは許されません。
 決算の目的は、ただ赤字の追求のみでなく、なぜ赤字に転落したのかの背景となる各種の構造的機能の変化及び価値観の変化まで検討し解明して、政治先見の資料となすべきであります。この四K赤字の問題についての御所見を総理並びに大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
 最後の質問に移ります。
 去る一月十七日より二十日までの四日間、決算委員会は、議長承認により、委員長以下与野党七名、瀬戸内海を中心に中国、四国地方へ国政調査を行ないました。特に瀬戸内海国立公開での産業公害の問題、海上における交通公害の問題、そして三本同時に着工するといわれている本州四国連絡架橋の調査状況等に重点が置かれたのでありました。
 政治効果は国民に公平に享受されなくてはなりません。したがって、国土開発は、地域的にも産業的にも、あまねくその恩恵が波及すべきでありましょう。すなわち、本州に対し北海道も九州も四国も、そしてまた、二十六年ぶりに祖国復帰する沖繩にも、公平に国の財政は支出されなければなりません。過去長年、国土開発のためにまいた国の財政支出の種は、全国各地で色とりどりの花を咲かせ、実を結んでおりますが、その政治効果は複雑であります。
 瀬戸内海地域は、特に新産都市四、工業整備特別地域が三と、まさに産業開発の花は瀬戸内海沿岸各地で咲き競い、お花畑のごとき感がいたします。中にはもうりっぱな実をつけている個所もございますが、中には毒の花もあって、経済発展、産業発展の陰に公害問題が起こり、自然保護か産業開発かの板ばさみになっておるところもございます。
 大気汚染、海水汚濁、そして海上航行のふくそうによる交通事故は、輝かしい経済成長、産業開発の止んだ大きなひずみであり、暗い谷間でもあります。今後、その被害はますます増加することであり、海の銀座といわれておる瀬戸内海の航行は危険であります。特に近畿地方より四国へ、また中国地方より四国への横断航行は危険であって、フェリーボートの事故等は続発しております。
 幸い、本州四国連絡架橋の調査も大詰めであり、また、四国新幹線鉄道計画も含めて、四十八年度同時着工を待望するのは、四国の住民のみならず、全国民ひとしく見守っているのであります。
 私は、今回の調査に参加して特に感じましたことは、光輝く経済発展とその陰に生じた各種公害の極端なコントラストとともに、同じ中国、四国地方でも、山陰地方や四国の大部分の地域が、公害はないが、産業開発に取り残されて、ますます過疎が進んでおる現象であります。すなわち、同じ地方にあって経済発展の格差がますます増大する明暗が特に印象に残りました。国際間でも南北間の格差問題がすでに取り上げられており、最近には、同じ南の中でも南北ができて、格差問題が論ぜられる現状でありますが、国内でも同じような現象が、中、四国のみならず、全国的に起こりつつあります。その是正のためにも、新幹線による鉄道、高速道路及び本州と四国を結ぶ連絡架橋等の交通網の整備、そして早期着工、実現が絶対必要と思います。政治の効果は国民に公平に分配されなければなりません。
 以上、地域開発によって新しく生じつつある各種の公害問題と、ますます格差が大きくなりつつある開発途上地域の問題について、総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 森下君にお答えをいたします。
 決算は、国会の議決により成立した予算の執行実績であり、きわめて重要なものであることは言うまでもありません。決算の性格は過去の事実についての計数的な記録であり、これを予算と同様の案件と考えるのはいかがかと思います。しかしながら、決算の重要性にかんがみ、政府といたしましては、国会における審査結果を重視し、批難、警告があった事項につきましては、その後の予算編成及び執行にあたり、十分留意しているところであります。
 また、決算の国会への提出をなるべく早くすることは、予算編成あるいは長期計画の重要なデータとするためばかりでなく、決算の効果的な審議をお願いするためにも望ましいことであります。このため、政府といたしましてはできるだけ決算作成事務の促進をはかり、法律上、内閣から会計検査院への送付は翌年度十一月三十日までとされておりますが、従来から、これを一カ月半繰り上げて十月中旬に送付することといたしております。
 なお、会計検査院における会計検査の時期、その取りまとめ等の関連もありまして、決算の国会への提出時期にはおのずから限度があるように考えますが、今後とも、早期提出につきまして努力を続けたいと考えております。
 次に、対外経済協力の問題についてお尋ねがありましたが、これは外務大臣からお答えをいたします。
 いわゆる三K赤字の問題で、そのうちの林野の問題について、私からお答えをいたしたいと思います。
 国有林野事業につきましては、最近、林業を取り巻くきびしい情勢の変化により、その経営収支が急速に悪化してきており、経営の全般にわたって抜本的な改善が必要となってきておりますが、改善対策の検討にあたっては、森下君も御指摘のように、森林の持つ公益的機能をも重視しながら、国有林の持つ多角的な機能が、総合的かつ効率的に発揮できるよう、経営の改善、合理化をはかってまいりたいと考えております。
 次に、中国及び四国地方において、瀬戸内海地域と山陰及び南四国地域との間で、発展段階にかなりの不均衡が見られ、これを是正することがこの地域の今後の発展にとってきわめて重要なことは、森下君御指摘のとおりであります。このため、山陽新幹線や縦貫自動車道の建設、整備の状況に応じ、両地域を結ぶ基幹的交通体系の整備を急ぐことが必要でありますが、また、発展のおくれた山陰及び南四国地域におきましては、広域生活閥の形成により、地方都市の機能強化並びに住民福祉の向上をはかるとともに、豊富な自然資源やすぐれた伝統、文化を調和させながら、食糧供給基地、観光、レクリエーションの地域等の整備により、今後の発展を期待したいと考えております。
 また、本州四国連絡架橋は、瀬戸内海沿岸各地域はもとより、広く西日本に大きな経済的効果をもたらすものと考えられますので、現在、本州四国連絡橋公団におきまして、計画の策定及び事業実施のための調査を鋭意行なっているところであります。ただ、着工の時期をいつにするか、また、将来、本州−四国間を結ぶ新幹線鉄道を建設するかどうかにつきましては、政府としては、本州四国連絡橋公団の調査の結果を慎重に検討した上決定したいと考えております。
 以上、私からお答えを申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#15
○国務大臣(水田三喜男君) 特別会計や国の政府関係機関の赤字についての所見を求められましたが、私は、この種の赤字は、もう初期において早期に解決されることが必要であると感じます。その意味において、私は、決算が重要であり、いやしくも決算に企業赤字が出てきたときには、そのときに解決をはかることを考えないでこの赤字を累積させてしまったら、国家財政のこれが大きい病根になってしまう。現に、いわゆる三K問題といわれておるものも、もうこそくな手段ではこれを解決することがほとんどできない、抜本的な解決を要するというようなことになってしまいまして、今年度におきましても、国鉄、健保、相当国費の大きい犠牲による解決策をとることにいたしたわけでございますが、これは、やはり解決をほうっておくことが一番悪いことでございまして、決算の重要性は、ここに赤字が出てきたというときに、早期に解決するということをする必要がどうしてもあろうというふうに私は考えます。
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま森下君から対外経済協力につきまして、御意見を交えての御質問でありますが、その御意見の部分につきましては、私が考えているとおりのことを申されたわけであります。私は、御質問ではありまするけれども、私に対する御激励と承りまして、この御激励を体し、いよいよ精励いたしてまいりたい、かように存じます。
 御指摘のように、いま、わが国の対外経済協力は大いに前進をいたしまして、アメリカに次いで世界第二の額の協力をいたしておる次第でございます。しかし、その内容はどうかということを考えてみますると、質的には非常にまだ貧弱だと思う。つまり、わが国の対外経済協力が、どうもわが国の輸出貿易の伸張をするための手段として使われてきた、こういう傾向がある。私は、過去においてこういう傾向があったことについて、これを非難するということはできないと思いまするけれども、今日になってみますると、その影響というものがぽつぽつ出かかってきておりはしないかということを心配しておるのであります。いま森下さんが御指摘のように、エコノミックアニマルでありますとか、あるいは経済支配体制をとり出したというようなこともいわれる。ぽつぽつそういう動きがあるのです。そういうことを反省しなければならぬ時期に来ておると思うのです。つまり、量から質への転換の時期に際会してきておる、こういう理解でございます。
 それを実行するためにはどうするかといえば、これは、政府援助を、御意見のように拡大をしていくということを考えなければならぬと思います。ところが、これは非常にむずかしい問題なんです。つまり、国民の御理解を得なければならぬ問題です。国内を見れば、まだ下水道は整わぬ。住宅も不足である、道路も不十分だ、そういう状態下において、海外に向かって政府援助をする、こういうことについての国民の御理解、これが非常に大事だと思うのです。
 しかし、私どもは、わが日本国は、もうこの段階にきますると、自分のことだけを考えておるわけにはいかぬと思います。わが日本はこれだけの経済力をたくわえました。その余力をもちまして、内はそういうわれわれの生活環境を整えなければならぬけれども、同時に、目を世界に転じまして、世界じゅうのおくれた国々にしあわせをもたらすような施策を進めなければならぬ時期に来ておる。わが国は資源を持たないのです。世界じゅうからその資源を求めなければならぬ。その資源をまた世界の市場にこれを売却しなければならぬわけでございます。そういう立場にあるわが日本国といたしますると、どうしても世界じゅうが平和であり、そうして同時に繁栄しておるものでなければならない。そういうことを考えるときに、世界を平和にし、世界をしあわせにするためには、森下さんがおっしゃるように、偏狭なナショナリズムじゃもういかぬと思います。広く目を世界に転じて、そうして、世界の中に日本のしあわせを求めるという姿勢こそが私は非常に大事である、全く森下さんに対しまして御所見敬服をいたしておる次第でございます。
 なお、そういう大事な時期でありますので、この対外経済協力につきましては、国内の機構も整備しなければならぬじゃないかというお話でございますが、私も、もうとにかく対外経済協力に六千億円の金を使う、こういう時代になりましたのですから、何かしかるべき機構があってしかるべきだというふうに思うのです。しかし、いろいろ私も考えておるのですが、新しい機構をつくりまして、これをやりそこないますと二重機構になる、これはかえって国益にマイナスになるというようなこともありはしないか。その辺で私も行きつ戻りつをいたしておるというような状態でありまするが、なおよく検討いたしまして、機構上間違いのないようにいたしたい、さように考えておりますので、この上とも御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(船田中君) 井野正揮君。
  〔井野正揮君登壇〕
#18
○井野正揮君 私は、日本社会党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十五年度決算報告及び関連する諸報告、説明書について、若干の質問をいたしたいと思います。
 昭和四十五年二月十四日、本議場において行なわれた佐藤総理の施政方針演説、また、稲田大蔵大臣の財政に関する演説の概要は、要約しますと次のようなものでありました。
 すなわち、総理は、第三十二回総選挙の結果、与党三百の議席にすっかり酔われて、自信にあふれた態度に終始し、安保繁栄論を強調し、特に外交問題に触れては、中華人民共和国を中共と呼び、あるいは中国大陸との関係は、北京政府がその対外関係において、より協調的、建設的態度をとることを期待しつつ云々と言われ、日米協力を背景としたトラの威をかりるキツネといっても差しつかえない、たけだけしい姿を感じさせたのであります。
 内政面においては、一億国民に奉仕する姿勢は見られず、行政の最高権力者として君臨し、国民に精神訓話をするといった感じであり、国家の繁栄、将来の問題には、美辞麗句に満ちた幻想という感じでありました。すなわち、民主主義の擁護について、民主主義の理念を国民的信念に高めると強調し、教育の刷新と充実、国際視野に立った経済政策の運用、農業の近代化などをあげられました。結論として、裕福な国となりつつあるわが国が、国民一人一人の人間性を保全、発展せしめ、われわれの愛国心を高い、普遍的人間愛にまで昇華し得るやいなや、われわれが身をもって同等すべき問題と述べておられるのであります。
 福田大蔵大臣は、総理のこの方針を受けて、わが国経済の前年比二%の伸び、国民総生産世界第三位、六十兆円、国民一人当たり所得四十七万円を誇示し、貿易における国際収支の好調など、余裕ある経済力として高らかに謳歌せられ、この二つの演説を聞く限りでは、豊かな国、しあわせな国民を幻想することができたのであります。
 いま、ここに、昭和四十五年度決算を審議するにあたり、この政府の施政方針と行政実施の結果を対比してみますと、両者の間にあまりにも大きな隔たりを痛感せざるを得ません。
 言うまでもなく、昨年の中華人民共和国の圧倒的多数の支持による国連復帰、さらにアメリカのドル防衛政策、また、本年二月のニクソン訪中による共同市況など、佐藤総理の国際視野は、ゆがんだ、うしろ向きのものであり、時代の流れとは全く、反対の認識であったことが実証されました。このことは、日本の進路を誤ることであり、重要政治課題を解決する基本を誤ることであります。
 内政における五つの政治目標についても、その第一に掲げられた民主主義の擁護は、議会制民主主義が、まず総理みずからによって踏みにじられ、国際視野に立った経済の発展、農業の近代化、その解決に何一つうなずけるものがないではございませんか。
 佐藤総理の施政方針は空疎であり、虚構であって、国民の要望には何一つこたえておらないだけでなく、政策の破綻と矛盾が露呈し、その政治の災いが国民に生活苦、公害、交通災害など枚挙にいとまがなく、極度の社会不安となっている現実を見のがすことはできません。
 一方において、佐藤総理の日米安保、日米軍事経済協力による国家繁栄論と国威発揚の内政指導が、自衛隊の制服組を思い上がらせ、平和主張に対しては挑戦的風潮を呼び、軍国主義的あるいは国士的感情を高め、政府首脳の指示指導についても、民主的擬装と専断し、自衛隊の独断専行、実績是認が国民合意への道と錯覚を起こしているようにも思われます。立川基地への抜き打ち移駐、沖繩基地への独断的な派遣部隊物資の輸送がその証拠であります。
 いまや、自衛隊は、専守防衛という羊の仮面をぬいで、軍隊という猛獣の体質を次第に見せ始めたと考えても、決して考え過ごしではないと思うのであります。日本軍国主義の萌芽は、大きくわれわれの眼前に姿をあらわしてまいりました。反面、このたびの連合赤軍派の実態を冷静に観察するとき、私は、極右、極左の共通性を痛感するのであります。
 私ども日本社会党は、立党以来、党是として、暴力革命を否定し、軍事力保持を否定し続けてまいりました。非武装、平和中立がわれわれの主張であります。赤軍派構成メンバーがかつて所属した党派、または京浜安保共闘メンバーも、暴力革命を唱える集団であり、連合赤軍の名のもとに反体制、彼らなりの誤った革命理論に導かれ、陶酔した行動であったと思うのであります。それらの考え方を信奉させた社会的背景を今日のわが国政治の現実と結びつけ、社会の風潮と対置して、その責任を感じない者があるとするならば、すでにその者は国政を論ずる資格はないと思うのであります。
 自衛隊の合憲性と同次元で武力革命成熟が信仰される社会風潮は、政府みずからが平和憲法を歪曲解釈による国民への強要にあることを知らなくてはなりません。アメリカの退廃文化の影響と、アメリカ従属の植民地的支配に屈した自主性のない政治姿勢、強食弱肉の資本主義経済の生み出す鬼っ子であって、かかって政府みずからの責任が問われなくてはなりません。まさに事きわまれり。今国会冒頭において、各党代表がこぞって佐藤内閣の退陣を要求した理由も、実にここにあったと思うのであります。
 私は、決算の審議は会計だけのものではなく、あらためて佐藤内閣の総決算を求め、総理に退陣の時期についての御所見を伺いたいのであります。
 私は、さらに決算審議の持つ意味を、政府の施政の行政効果を的確に測定表示し、その実績を反省し、行政前進のかてとすべきものと考えるのであります。
 現行では、会計検査院の機能は、単に予算執行の検察的役割りとして運用されているところにも問題があると考えます。昭和四十五年度決算検査報告書を読んで、明年度予算の積算なり政策検討の要素を見出すことができるでしょうか。不当事項総計百四十六件、不当事項とは別に、意見を表示しまたは処置を要求した事項十七件を詳細に検討してみても、枝葉末節にかかわるとは言いませんが、予算の内容、執行の矛盾から来る避けがたい違反行為があげられ、結果的には役所の末端職員が懲戒され、小さな業者が請負指名からはずされ、社会から葬り去られる結果となっております。
 会計検査院の機能に、予算執行の公正と適正を期待するにとどまらず、行政の効果を測定する側面を持たせることが大切だと考えます。このことは、各省庁の独善的な各種の報告を改革し、予算の編成にも予算の審議にも大きく役立つと考えるからであります。私は、このことを前提として、総理に二つのことを質問いたしたいと思います。
 その一つは、総理は、決算報告書を提出するにあたり、あなたの施政方針演説を読み返してみましたか。総理みずからが述べられた施政方針の結果がどのようなものになっていると考えておられるか、率直な御所見を承りたいのであります。
 その第二は、会計検査院の機能に行政効果の測定、財政及び会計運用指導の機能が働き得るように改革すべきではないかと考えますが、御所見を伺います。
 次に、大蔵大臣にお伺いします。
 わが国の風土は気象的に著しい地域差を有しております。建設工事の上では、画一的に予算の執行を行なうとき、著しい気象的制約を受けて執行不能にし、あるいは投資効果を減殺し、あるいは不経済な結果をもたらすことは、大臣も御承知のことと思うのであります。
 すなわち、島根県から青森県に至るいわゆる裏日本、北海道等の積雪寒冷地は、十二月ともなれば、治山治水、海岸保全、道路建設その他の建築工事は、あるいは全く、あるいは一部分が執行不能であります。予算の投資効果をあげるためには、法令法規のたてまえと現実の障害とを勘案したくふうがあってしかるべきものと考えますが、昭和四十五年度予算の執行にあたっていかなる措置がとられたでありましょうか。また、そのことは、予算配賦の時期、季節と執行の関係にいかようにあらわれているか、お答えをいただきたいのであります。
 同時に、具体的に各省庁ごとに説明資料の提出をわずらわしたいと存じます。と申しますのは、会計検査院の指摘事項の中でも、予算執行の季節的な制約から当然起こり得る問題として数えられるものもあり、また、このことは、積雪寒冷地域の官民の共通の悩みでもあるからであります。
 第二は、道路、港湾、ダム等の建設費用の積算の根拠についてであります。
 請負制度とも関連をして、現行のあり方は、何としても国民に納得のいくものではありません。約九千社に及ぶ指定業者、災害復旧費を含めて一兆四千九十八億円の公共難業予算、さて、その実行は、いわゆる大手業者ABランク約八百六十社、すなわち請負業者数では九%弱が、予算額では五七・七%を落札し、残り九一%の業者、中小企業八千社が、予算額の四二・三%を請け負うというのであります。大手の直営と下請の関係となりますと、子、孫、ひ孫、少なくとも三段くらいの誘致が常識となっておるのであります。現に、このことについては決算審議のつど指摘されていることは、これまでの決算委員長報告をひもとけば直ちに明瞭であります。しかし、一向に改善されておりません。予算の信憑性にも触れて国民の疑惑を招いているところでもあります。
 政府は、決算委員会報告書に基づく改善の措置について、いかように考えておられるのか、御所見を承りたいのであります。
 第三は、競馬、競輪、ボートレース等、賭博経営の益金の配分方針と、配分を受けた各種法人の事業監督についてであります。
 簡単に言いますと、これらの法人の中で、特に公益法人の場合、芸名の政治家、高級官僚、天下り役人、著名な社会活動家を入りまぜて役員が構成されていることが特徴であります。これらの法人の事業は名目的なものが多く、益金の配分を受けたことにより公益性を宣伝し、寄付集めをし、適当に費消するといったものが多いということであります。行政管理庁は、これら法人の実態調査に努力しておられるようでありますが、一向に成果があがっておりません。
 私は、この国会で、ギャンブル益金の配分補助を受けた公益法人とその事業内容を明らかにしていただきたいと思います。行管、農林、通産、運輸等にまたがっておりますので、各大臣の御所見を承りたいのであります。また、これらの資料提出を要求いたします。
 最後に、防衛費について一言述べたいと思います。
 昭和四十五年度一般会計五千六百五十九億円に及ぶ防衛費について、会計検査院は、四千二百五十日人、実施検査施行率各行庁平均六・九%に対し、防衛庁は特に三八・二%というきわめて濃密た検査を行なっておられるのであります。この検査報告書には、しかし、一言半句の指摘事項もないということであります。国庫負担行為額が他の省庁に比べ多額であることや、兵器、被服など、特別な物資購入でありますだけに、一言半句の指摘もないことは、かえって首をかしげたくなるのは私一人ではないのではないかということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 井野君にお答えをいたします。
 たいへん多岐にわたっての、また、御意見を交えてのお尋ねでございますが、私は私なりにお尋ねの点をつかまえてお答えをいたしたいと思います。
 自衛隊の文民統制の問題につきましては、国民の間に不安や疑念の起こらないよう、今後とも十分配慮してまいる所存であります。
 連合赤軍の事件は、御承知のとおり、目下治安当局において取り調べ中であります。やがてその全貌が明らかになるものと思いますが、今後二度とこのような忌まわしい事件の起こらないよう取り締まりを厳重にするとともに、このような過激派集団を生み出した社会的環境につきましても、この際あらためて思いをいたさなければならないと思います。私は、政治の最高責任者としてその責任を痛感しておりますが、これはひとり政治の分野にとどまらず、社会全体の理解と協力が何よりも必要な問題であると、かように考えます。今日われわれが享受している自由と平和は、民主主義社会の基盤である法秩序を維持することによってもたらされていることを認識し、暴力が芽ばえるような風潮を排するとともに、これをきびしく批判し、社会の健全化に御協力いただくよう重ねて訴え、国民各位の御理解と御協力を切望してやまない次第であります。
 次に、昭和四十五年度の施政方針演説についてのお尋ねでありますが、政治を担当するにあたって私の基本的な考え方は、当時も現在も変わっておらないことを御理解いただきたいと思います。
 当時、私は、世界平和は基本的には力の関係に依存しながらも、国際政治の多くの面において軍事力以外の要素の比重が高まり、各国の自主性が増大し、軍事的均衡のみならず、より多元的な均衡が模索されるようになったとの情勢認識のもとに、わが国は自由を守り平和に徹するとの態度を基本とするものであって、国際間の緊張を緩和し、すべての国との友好関係を樹立し、平和を恒久的なものとする国際秩序の形成につとめねばならないとの信念を表明しております。この国際情勢に関する認識とわが国の進路についての考え方は、今日におきましても基本的には何ら変わりはないのであります。掲げた目標と結果に相違があるとの御指摘でありますが、わが国は、従来から一貫してこのような考えのもとに、あらゆる努力をしていることを申し上げておきたいと思います。
 また、内政面におきましては、私は、七〇年代の目標として、経済繁栄の中で生じてきた環境、物価、過密過疎など現代の悩みの解決と経済の国際化を掲げ、この目標達成のため各般の施策を鋭意講じてきている次第であります。もとより、これら目標の達成は決して容易ではありませんが、政府としては、わが国がこれまで蓄積してきた経済力を活用し、国民福祉充実への重点的な資源配分等を通じ、高度国民福祉社会建設のため今後とも努力していく考えであります。
 次に、井野君から、会計検査院に現在の機能に加えて行政効果の測定、評価の機能をも持たせるべきではないかとの御意見がありました。
 会計検査院は、国会、裁判所と同様、憲法上の機関であり、このような問題には慎重でなければなりませんが、行政効果を十分に把握することの重要性は言うまでもないところであります。このため、政府といたしましては、収入支出の経理の適否と行政効果とは密接な関連があるので、会計検査院の検査結果について行政効果の面からもこれを重視するとともに、大蔵大臣の行なう予算執行の監査行政管理庁の調査等を活用して、予算執行の効率化や行政効果の確保につとめているところであります。
 最後に、佐藤政治の総決算をしろ、こういうお話がございました。この決算は、私がするのでなくて、皆さんからその決算の結果を報告していただきたいと思います。
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#20
○国務大臣(水田三喜男君) 公共事業費の配分時期を地域別に配慮することが必要であるという御意見でございましたが、政府は前から、日本海側や北海道のような、冬季に事業の執行の困難な地域、いわゆる積雪寒冷地帯につきましては、予算の配賦がおくれたというために事業の不消化が起こったということのないようにということに気をつけておりまして、四月一日、もう新年度の発足の日に実行計画の承認をするということにしておりますが、たとえば四十六年の例をとりますと、道路で見ますと、内地の道路は全体のうちの三二%を四月一日に実施計画の承認をする、北海道は六二%するということにしますし、住宅とか、あるいは海岸とか都市計画においては、もう四月一日に一〇〇%の実施計画の承認をしてしまうというような措置をとってこの点は配慮しておりますので、おくれるとすれば、この予算の配賦がおくれたからではない、やはりほかの理由によっておくれがあるということになろうと思いますが、今後この点は十分気をつけたいと存じます。
 それから、会計検査院の指摘事項を予算編成にどういうふうに活用しているかということでございますが、これはもうこの結果を非常に重視しまして、会計検査院と連絡会議を開いて、指摘事項については詳細な打ち合わせ、検討をして、次の予算編成と執行に活用することにいたしております。たとえば本年度、四十六年度を見ますと、八月の十二日から八月の三十日まで、第一日目が厚生省、労働省関係、その次が運輸省、建設省関係、その次が大蔵省、農林省関係というふうに、全省にわたって会計検査院の指摘事項の説明を聞いて、これに対する対策を立てるということを、これは非常に精力的にやっておりますので、これによって改善された事項も非常に多くなっていると存じます。
 大体以上でございます。
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#21
○国務大臣(赤城宗徳君) 地方競馬全国協会の益金の配分方針及び交付する団体の選択方針等についてお答え申し上げます。
 地方競馬全国協会は、競馬法第二十三条の二十二の規定に基づきまして、馬の改良増殖及びその他畜産の振興に資するための事業につきまして、その経費を補助しております。
 同協会の定める補助実施要綱に基づきまして、農業協同組合等の畜産関係団体を対象といたしまして、事業の緊急性、公益性及び裏業の効果について考慮しまして適正なものを選定いたしております。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
#22
○国務大臣(田中角榮君) 競輪資金は、工業の振興と公益事業に大別し配分をいたしておるわけでございます。
 補助金配分の手続といたしましては、毎年新聞公告、官報告示等をいたしまして募集いたしました補助要望に対しまして、基準により慎重審査の上、車両競技審議会の議を経まして、大臣認可の上決定をすることにいたしておるわけでございます。
 念のため、最近三年間の補助状況を申し上げますと、機械振興につきましては、四十四年百十六件、八十一億八千六百万円、四十五年百二十三件、九十一億七、十六百万円、四十六年百四十一件、百七億七千九百万円でございます。なお、公益事業関係につきまして申し述べますと、四十四年三百八十一件、七十二億九千万円、四十五年三百九十三件、八十八億六千三百万円、四十六年、三百六十七件、百三億六千四百万円でございます。
 自今も、自転車競技法に基づきまして振興会を監督し、配分資金の補助につきましては適正を期し、その実行にあたりましては効率的使用をはかってまいりたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣丹羽喬四郎君登壇〕
#23
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 船舶振興会の交付金の選択基準についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、この交付金の使途といたしましては、造船及び造船関連工業の振興に必要な資金を、銀行その他の金融機関に対しまして資金の貸し付けを行なっている。また、造船及び造船関連工業並びに海難防止に対する事業の振興を目的とする事業の補助を行なっておる。また、海事思想の普及及び観光に関する事業並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興を目的とする事業の補助を行なっておりますとともに、振興会の直轄事業といたしまして、以上述べました事業に関連した公益の増進をはかる事業を実施することになっている次第でございまして、交付先の要件といたしましては、公益法人またはこれに類似する法人に対しまして、その法人の定款による事業の内容がモーターボート競走法第二十二条の五に適合したものであることを要する次第でございます。
 これらの点を、学識経験者で構成する交付金運用専門委員会で慎重に審議をいたしますとともに、その団体の監督官庁とも十分連絡をとりまして、さらにそれを運輸省が審議をいたしまして認可をすることになっておりまして、実際の問題といたしましては、交付金の交付にあたりましては、現実に当該事業が施行されたか、また、施行されることが明白である場合に限って支出されておりまして、いやしくも事業が行なわれなかったり、交付金のみを受領するというような法人に対しましては、絶対に交付しないことにいたしておる次第でございます。
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#24
○国務大臣(中村寅太君) 井野議員にお答えいたします。
 行政管理庁では、昨年、公益法人の指導監督行政に関する監察を実施しまして、その結果に基づきまして、十二月二十一日、改善をはかるべき事項について、関係各大臣に勧告をいたしましたが、その要旨は次のとおりであります。
 第一点は、事業活動が行なわれていない法人につきましては、その実態を確認の上、事業実施の見込みのないものは解放せしめるよう指導するとともに、これらのうちに事務所及び理事の所在が不明なものに対しましては、整理を促進するための立法措置を講ずるということであります。
 第二は、事業活動が法人の設立目的に沿っていないと認められる法人については、設立目的に沿うよう、その適正化をはかり、これが期待できないものについては解散せしめるよう指導監督を強化することであります。
 第三は、公益法人の設立の許可及び法人が提出すべき各種書類の範囲、期限等について、統一的な基準を作成し、許可及び監督事務を厳正に行なうことであります。
 第四点は、指導監督すべき立場にある主務官庁の現職公務員が法人の役職員を兼務することを厳に抑制することでございます。
 なお、これらの勧告事項の改善については、関係者大臣から本年三月末日までに回答を得ることになっておりますので、回答の内容を十分に検討し、場合によってはさらに必要な推進措置を講ずるなど、今後とも公益法人に対する監督行政の適切な運営をきびしく推進していく所存でございます。
    ―――――――――――――
#25
○議長(船田中君) 鳥居一雄君。
  〔鳥居一雄君登壇〕
#26
○鳥居一雄君 私は公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十五年度決算等につきまして、総理並びに大蔵大臣に質問を行なうものであります。
 言うまでもなく、現行の決算審査は、予算の執行実績や事業の施行実績、その効率性などを審査しまして、文字どおり行政府の財政実績を明確にしていくものであります。
 私は、昭和四十五年度決算の審査にあたり、決算審査の入り口に横たわる問題をまず指摘したいのであります。
 現行の決算審査の制度は、会計検査院の検査報告を中心にした審査であり、この報告で指摘した不当事項が行政上大きな効果を生み、政府は是正改善をはからなければならないものであります。会計検査院は、その意味で、院法でも、内閣に対して独立の地位が明確に保障されているのでありますが、残念ながら、実態において行政府に従属したものと見る以外にない現状であります。
 この会計検査院の独立の意味につきましては、さきにも決算委員会で論議し、明らかにされていますが、まず、調査官等の十分な身分保障、次に、職務執行上、行政府の圧力から独立した検査を行なえること、また、検査院の要求する予算を実現できますよう財政法上守られることなど、いずれも独立に欠かせない要因があげられています。
 ところが、これらを勘案した制度は、現実には名のみでありまして、実際、独立とはほど遠い実情にあることが指摘できるのであります。検査院が行なう実地検査は、検査を必要とする個所に対しまして、ここ数年、七%というきわめて低い検査率であります。検査院当局は、一〇%検査をほぼ理想的な検査率として、これを目標にし、検査の充実を目ざしておりますが、これを不可能にしている壁は、実に不十分な予算措置、行政府からの無言の圧力であることがほぼ明らかであります。
 たとえば、最近の具体的な事例をあげてみますと、政府の景気浮揚策としての公共事業促進にからんで、会計検査のあり方に注文をつける発言をしております。昨年の補正予算編成時に、水田大蔵大臣は、検査方法に問題があると閣議で発言したり、ことし一月十二日の予算閣議で、西村建設大臣が、六月、七月の公共事業発注の多忙時には検査は困るので、延期してほしい、こう発言しております。これらの大臣発言の真意は、まるで検査が事業促進の妨げであるような、多少の粗雑工事はやむを得ない、こう受け取れるものでありまして、事は重大であります。
 こうした圧力の結果、ことしは、建設省の検査を五月中旬まで異例の中止ということになりました。これに便乗するように、農林省も公共事業検査の引き延ばしを申し入れまして、直轄、補助工事ともに五月中旬まで全面中止となっております。表向きは公共事業の促進に協力するというものでありますけれども、実は圧力に屈せざるを得ない力関係に大きな問題があるといわなければならないのであります。
 また、大蔵当局との予算折衝の実際作業を見ますと、ここ数年、検査院の職務遂行の上で最も大切な出張旅費が、概算要求額から大幅に削られているのであります。
 年々予算規模が拡大しまして、常識的に見ましても、検査の充実は急務であり、増強されなければなりません。検査する者が検査される者に予算を削られ、手足を縛られた実情、これは、どう考えても実情において独立とはいえないのであります。単に旅費のみの問題にとどまらず、調査陣容の強化育成、調査官の待遇改善など、長年放置されていたこの課題に対しまして、佐藤総理はどう解決されるか、御所見をまず伺いたいのであります。
 次に、本院に提出されました昭和四十五年度決算検査報告によりますと、不当事項が百四十六件、収入面で約九億二千九百万円、支出面で二億七千六百万円など、合わせて十二億六千六百万円余にのぼるものが示されております。一向に血税のむだ使いがなくなっていないのであります。いずれも親方日の丸的意識のずさんな収支でありまして、この姿勢が一向に是正されていないことを端的に物語るものであります。
 不当事項の過半数を占める農林、建設両省のうち、これを具体的に例示しますと、農林省所管の畜産振興事業団が、四十五年度から不必要になった輸入牛肉の販売促進費を、二千八百万円も卸売り人に対して支払っていた事実があります。また、災害復旧事業などでは、砂を多量に含んだ粗悪コンクリートが不当と指摘されております。明らかに手抜き工事でありまして、監督不良がこうした原因となっております。これらはいずれも事前にむだ使いが避けられなかったかといいますと、決してそうでないものばかりであります。
 これらの不当事項は、七%検査したそのワクの中のものでありますけれども、政府を総括する総理は、この現実をどう考えられるか、伺いたいのであります。
 さらに、四十五年度決算上明らかになっています無計画な鉄道新線建設についてお尋ねしたいと思います。
 すでに着工した新線の建設五十一線の工事費は、総工事費五千六百八億円に対しまして、四十五年度までに工事費は一千三百六億余になっております。これらの工事の建設状況や投資効果を調査したところによりますと、路盤工事が竣工し、レールまで敷いておきながら使わない白糠線など新線があります。この北海道白糠線は、総予算額七十八億円で、昭和三十九年十月一部開通し、現在国鉄が常業いたしておりますが、上茶路−二股間につきましては、すでに四十四年十月工事が完成しているにもかかわらずこれを使用せず、四十五年度までに投じました九億五千六十万円余が全く無効投資となっているのであります。また、路盤工事完了直前になりまして工事を中止し、投げ出した九州油須原線は、総予算額十九億円で、四十一年三月一部開通いたしましたが、残りは、路盤工事が完成しているにもかかわらず使用されず、昭和四十五年度までの四億五千六百万円が全くの無効投資となっております。さらに、北海道追分線では、四十五年度までに無効投資額が二十一億四千万円余となり、また、北海道芦別線におきましては、八億五千八十万円が無効投資となっているのであります。したがいまして、追分線ほか三線についての四十五年度までの無効投資額は、実に四十四億円をこえるまでになっております。
 このほか、工事が長期間のために、完成しても、計画時とは全く事情が変わってしまい、利用者がいなくなってしまうもの、国鉄が分業廃止を検討しているローカル線に接続しようとしている新線、これが全国に北海道名羽線など三十八線もあります。四十五年度までにこれらに投じました工事費は、四百五億八千百万円余にのぼっておりまして、これからの投資額を加えますとばく大な数字になりまして、これらはいずれ無効投資になろうとしているのであります。これらは、長期のもので完成までに七十六年、短いものでも十年かかるというのんびりした工事でありまして、でき上がっても使いものにならないことは、これらの事例が示すとおりであります。
 とかく、政治家の横車で新線の建設が進められるとうわさされていますけれども、むだのない、大局観に立った有効な新線建設でなければならない、こう考えるものであります。総理は、これらの無謀ともいえる新線の建設をどう考えておられるか、伺いたいのであります。
 最後に、わが党は、決算を議案にすべきであることを再三主張してまいりましたが、これを重ねて伺いたいと思います。
 現行の決算は、憲法第九十条を根拠とした単なる報告事項であります。旧憲法下の慣行をそのまま踏襲してきているのが現行の決算の審査であります。政府はかねてから、国会にその認否の意思を求める必要はないという考え方に立ちまして、議案とする主張を退けてまいりました。予算執行上の不当、不正事項は、毎年指摘をされているにもかかわらず一向に改善されず、国民にますます政治不信を抱かせる結果となっていますことは、さきにも述べましたとおりであります。したがって、決算審査のあり方、制度の効率的な運用、これを再検討し、財政の効率化をはかることは、まことに重要な問題であると思うのであります。
 また、国の財政措置につきましては、憲法第八十三条に規定されておりますとおり、国会中心主義を明らかにしております。この国会を中心とする財政の原則から見ましても、決算は単なる報告にとどめず、その内容を予算と同じように議案として扱うべきであります。事なかれ主義では全く改善は望めないのでありますが、総理は、決算審査のあり方と決算制度を今後大幅に改善しようとする考えはないか、伺いたいのであります。
 以上、四項目にわたる私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
 まず、会計検査院につきましては、従来からその独立性及び機能の重要性を考慮し、その運営に支障のないよう十分配慮してきているところであり、鳥居君の心配しておられるような問題はない、かように私は考えております。
 予算面でも従来から十分配慮し、御指摘の検査旅費につきましては、四十七年度予算においても大幅増額を行なうこととしております。
 また、調査官については、現行制度でも十分な身分保障が与えられており、給与上の処遇につきましても、その職務の特殊性に応じて、それなりの優遇措置が講じられていると考えております。
 公共事業等の事業施行の促進に関連しまして、会計検査院の協力を得ていることは事実でありますが、これは検査院の検査に支障のない範囲の協力でありまして、政府が会計検査院の検査に対して圧力をかけるものでないことは、言うまでもありません。
 次に、四十五年度決算におきまして、会計検査院から百四十六件の不当事項、さらに十七件の制度改善措置の要求事項の指摘を受けたことは、まことに遺憾であります。
 租税その他の収入の徴収不足につきまして指摘のあった事項につきましては、すでに徴収決定等を完了し、収納に鋭意努力しているところであります。今後とも、納税者等に対する法令の周知と指導の徹底を期し、部内においては、職員の専門知識の向上につとめるとともに、内部監査をより充実すること等により、適正な徴収をはかってまいります
 また、補助事業等における工事の設計施工の不良等については、すでに手直し工事を施行させ、または補助金の返還をさせるなどの措置を講じております。なお、今後とも、事業主体に対する指導の徹底、関係職員の資質の向上等につとめて、このような事態が再び起こらないよう、この上とも努力いたします。
 国鉄財政を再建するためには、赤字の原因となっている地方閑散線の撤去が必要であります。国鉄財政新再建対策におきましても、地方閑散線の計画的撤去を予定しているところであります。このような状況において、開業すれば赤字の原因となるような新線建設を継続することは問題がありますが、これらの新線の中にも、地方開発のため建設が必要とされるものや、過去に大部分の投資が行なわれ、これをむだにしないためにも、建設を続けることが国民経済的にも適当と認められるものも、全くないとは言えないと考えられます。いずれにせよ、今後、建設の重点をしぼりながら慎重に検討してまいる考えでございます。
 ことに、地方の名前をあげてのお話でございますが、北海道には、いわゆる赤字線、なかなか採算のとれない線の多いことも、これは御指摘になるようにあると思います。しかしながら、それが地方開発にもやはり効果がある、こういうことを考えますと、あながち、その線だけが赤字だ、こういうことでそれを徹底的にやめさすわけにもいかない、かように私は考えます。(拍手)
 最後に、御意見を交えて、決算を国会の議案にしてはどうかとの御質問がありました。決算は、国会の議決により成立した予算の執行の実績であり、きわめて重要なものでありますが、その性格は、過去の実績についての計数的な記録であり、これを国会の承認案件とするのにはなじまないと考えられます。現行憲法の規定も、予算については議決、決算については提出と、それぞれ異なる規定のしかたをしており、憲法の規定の上からも、現行の取り扱いが最も適切なものであると考えております。
 なお、決算についての国会の御審議を率直に行政の運営なり予算の編成に反映させることは、言うまでもありません。一そう努力する決意でございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#28
○国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。
 公共事業費の事業施行の促進に関連しまして、会計検査院の協力方について発言したことは確かにございます。それは、たとえば、いわゆる標準設計というような段階で一応契約してもいいというような促進方の便法はないかというようなものの検討を願ったということでございまして、ずさんな工事を見のがせとかいったようなことを希望したわけではございませんでした。したがって、会計検査院の検査に対して圧力をかけたというような事実は、これは絶対ございません
 その次に、何か会計検査院を予算でいじめているようなお話がございましたが、これは調べてみましたら、そういうこともございません。四十六年度の会計検査院の予算を見ますと、四十五年度からふえたものは一一・三%でございますが、四十六年度から四十七年度の予算のふえ方は一二・六%になっておりますし、旅費の部面を見ましても、この前は八・五%の旅費のふえ方になっておりますのを、四十七年度は九%の増加ということで、これらの点を見ましても、旅費を大幅に削減したということはございません。また、例年補正予算で各省の旅費は一応節約させておりますが、会計検査院の旅費についてだけは例外な取り扱い方をしておるということでございますので、大幅に特に会計検査院の旅費を削減しているという事実はございません。
    ―――――――――――――
#29
○議長(船田中君) 吉田賢一君。
  〔吉田賢一君登壇〕
#30
○吉田賢一君 私は、民社党を代表して、昭和四十五年度決算につき、佐藤総理並びに水田大蔵大臣に対し若干の質疑を行ないます。
 第一は、福祉国策についてであります。
 顧みますると、昭和二十年終戦直後、物資欠乏のときに、将来のため生産重視の経済政策と、一方、憲法に宣言しました福祉国家の建設は、国策の二つの大きな柱でありました。国民の手になる生産が万人のために公平に分配せられ、道義と平和の国づくりに邁進することは、国家最高の目標でもありました。ところが、国策は、生産第一、経済、至上主義として推進せられて、国民福祉は軽視せられ、一方、消費水準の高まりにつれまして、生活の多様化、社会環境の立ちおくれの目立ち、あるいはまた、物価高、公害等続発してまいりまして、社会悪が重なってきたのであります。加えて、ドル・ショック、不景気によって社会的な多くの矛盾があらわれ、が然国論は沸騰して、経済至上主義への熾烈なる反省と福祉充実を求める国民的世論が燃えあがりました。
 わが国の社会保障は、考えてみると、制度としては一応形式は整ったようですが、中身の貧困さはヨーロッパよりはるかにおくれて、問題は山積しております。一、二、例を指摘しますると、たとえば医療保障、公衆衛生の不備、医療とその負担の過大、医師、看護婦などの不足、リハビリテーションの不備、あるいはまた住宅国策の貧困さは、住宅難、住宅困窮世帯がはんらんしております。ことに物的生活環境の施設のごときは西欧の二分の一以下といわれております。さらに、最近の公害の続発では、各地とも問題が次第に重大化してまいりました。
 一体、何が原因であろうか。一言で言いまするならば、経済至上、高度成長国策の強行が、福祉を置き忘れた型の財政政策となって繰り返してきたのであったことです。これが重要な原因です。ところが、いまや、好むと好まざるにかかわらず、経済は、国民のため、福祉の充実、国民の豊かなしあわせの実現に役立つべき本来の位置づけに立ち戻らねばならない。
 この点から、昭和四十五年度決算を通じて見ましたときに、福祉国策に対する基本姿勢について、佐藤総理の所信を伺っておきたいのであります。
 第二は、物価問題につきまして。
 物価は、佐藤総理の再三の公約にかかわらず、依然として上昇を続けております。四十五年度予算の編成の方針につき、時の福田蔵相は、物価抑制を眼目とうたいましたが、同年度の消費者物価は、戦後、インフレ期を除きまして最高でありました。四十六年も政府予想よりはるかに上回り、四十七年度はまた、物価対策費は実に一兆四百二十一億円も計上しております。佐藤総理の所信表町にも、重要施策だと述べ、あるいはまた、昨年私の質問に対しましても、物価対策はただ実行あるのみと決意を強めておると答えられました。しかるに、本年度は、公共料金の値上がりが豪雨のように押し寄せまして、国民は物価厄年と嘆いております。
 顧みると、十年前、物価問題懇談会が設立せられまして以来、閣議決定事項も加えまして、幾たびか数十項目にわたりまして重要な物価安定対策、財政金融対策が決定を見まして今日に至っております。佐藤総理の言のとおりに、実行あるのみで経過したのです。しかも、依然として年ごとに上昇の一途をたどってきました。政府は、佐藤総理の責任でなすべき施策は実行し、公約を果たさねばならぬのではありませんか。
 忍び寄る不況下の物価高に、町の感じは何とのう暗い。国民の声なき声は、物価の安定と暮らしの安らぎの念願であります。政治家は、一言をいやしくもすべきでない。言に忠実に、約を重んじ、所信を行なう。物価安定対策の公約の実行につきまして、佐藤総理はほんとうに偽らざる所信を述べてもらいたい。のみならず、この問題につきましては、大蔵省も膨大な物価対策費を予算に組んでおる財政当局でありまするので、相当な責任をもちまして所信を明らかにしてもらいたいのであります。
 第三は、行政改革につきまして。
 行政改革の問題は、幾たびか佐藤総理は確約をせられ、臨調の積み上げた所産であります。また、他面、池田前総理の貴重な遺産でもありました。それがいまなお未解決の案件でありまするので、ここに重ねて伺わねばなりません。
 自民党の故川島正次郎氏は、昭和四十五年の九月に行政改革について新提案をして、予算編成の方針等について内閣に総合企画庁の設置をすべきだとなし、そして他界せられました。いまはなきこの川島先輩の高邁な政治姿勢によりまする提案が一体どうなったのでありましょうか。しばしば行政改革の推進を約された佐藤総理さん、いかがでしょうか。
 また、去年の十月には、行政監理委員会は「行政改革の現状と課題」を発表しました。特に重要なのは、その最後の一節であります。すなわち、いわく、行政監理委員会は、昭和四十年に設立せられた、自来、臨調の改革意見の実現のために審議し努力をしてきた、政府も臨調意見に沿って改革を推進するということをしばしば言明してきたが、当委員会の見解によれば、政府の不十分な改革の措置を効果的改革であるように、隠れみのとして利用せられたとの批評があるが等、辛らつな政府への強い発言をしたのであります。しかも、その長は、行政管理庁の長官であります。
 行政改革につきまして、何が一体阻害原因であろうか。第一は、官僚機構の抵抗であります。第二は、各種利益集団の活動であります。第三は、国民が平常から関心度が薄い、不足しておるのであります。結論的に、改革の厚い壁は打ち破られなんだと主張しておりますが、他面におきまして、国会審議の場で、各党は政治的なイデオロギーの差を超越して、国民的合意に達し得べき基本線を見出し得るのではないかと、一つのアプローチを示しておるのであります。そう指摘いたしまして、かつ、幾多の提案をなして、終わりに、行政改革の推進を強く期待すると結んでおります。
 最近、この行政監理委員会は改組の事態に直面しましたことは、公知の事実であります。四十五年度の決算審査にあたりまして、行政改革をなすことなくしては、物価も公害も、その他多くの政治問題の解決が容易にあらずということを考えまするときに、この池田前総理の貴重な遺産である、しばしばの国会への公約である行政改革につきまして、佐藤総理は、何らかのほんとうに偽らざる所信を表明せられる責任はないのでしょうか。私は、あらためてこの機会にあなたの所信を伺います。
 同時に、水田大蔵大臣に対しましても、この行政改革につきまして相当な御意見があってしかるべきでないでしょうか。なぜならば、それは、膨大な予算につきまして、それぞれの各省庁ともあんばいし、これを使っていく、これを平素もいろいろと見詰めていく、編成に参加していくという重要な立場にありますので、一言なかるべからずと思いますので、お尋ね申し上げたいのであります。
 そこで、私は最後に伺いたいのであります。ちょっと新聞を朗読させてもらいたい。
 政治のあり方。政治は、単に個人のものでも、リーダーのものでもない。国民大衆のものだ。別な言い方をするならば、神の声を聞くことだとも言い得る。つまり、各階級、階層のあらゆる意見を聞いて、そしてその後、勇断をもって実行する、これが政治家の使命にほかならない。現代の文明の欠陥は、人間不在だといわれる。しかし、われわれの対象は人間で、人間性の尊重が思想的にもにじみ出なければならない。経済成長の陰に人間性が滅却されているのは残念でないか。これが特に中小企業、農民に対する思いやりのなさになってあらわれておる。いまの政治に欠けているものはビジョンと総合的なソーシャルプランニングのないことだ。身近なもの、具体的なものばかり追いかけないで、たとえば二十世紀もやがて終わろうとする現存、二十一世紀への広大なる構想があってもいいのではないか。総合的施策を講じて初めて次の時代へのビジョンが生まれる。いま欠けておるのは、こうした総合的なものの考え方だ。精神的なものを忘れた経済の発展だけでは意味がない。総合的なソーシャルプランニングに基づかない経済の発展が、今日のいびつな状態におちいったことを考えると、経済成長をやかましくいう結果、中小企業、農業が立ちおくれてしまった。繁栄の中の貧乏感をひしひしと感ずるとだれかが言ったことも考えてみたい。住宅、教育、厚生施設などと総合的に結びつけられなければならぬのではないであろうか。
 一体、この新聞の発言はだれでしょうか。佐藤総理、思い出してみてもらいたいのであります。非常に重要な発言で、まさに現在の世相と政治の実情と、そしてわれわれが指摘する幾多の社会的な欠陥と混乱をまざまざと如実に語っている、同じような感じがするのでございます。
 最後に私は伺いたい。
 終戦直後、心ある識者が強調しましたことは、平和と道義の真正日本の建設ということでありました。軍事的、経済的に敗北したばかりでなく、道義的にも敗北し、日本人の道義心の低いことが戦争によって暴露せられた。そこで、日本の復興にはぜひとも道義の再建が必要であるといわれ、道義国家の再建が一つの目標ではなかったでしょうか。遺憾ながら、日本はそうはいきませなんだ。今日のわが国は平和ではあります。自由である。物質的には脇かで、四半世紀にしてよく世界の経済大国となりましたが、道義の面、精神的な面におきましてはますます貧困になり、まことに憂うべき状態であります。
 政治、経済、財政、行政の血はもとより、最近の忌まわしい世相、いずれを見ましても、その根本的原因は、この道義の退廃、モラルの低下に無関係ではありません。政治家は有言不実行、公約を守らない。一体これは何事でしょう。国民はエコノミックアニマル化して、目先の利益の追求にきゅうきゅうとする。このような無責任な、無道義な状態は、日本の将来を考えると、おそるべきことを思わずのであります。もう一度われわれは戦後再出発のあの初心に立ち返りまして反省すべきであろうと考えるのであります。
 戦後最も長い間政権を担当せられた佐藤総理、あなたの責任は、この問題を提示いたしまするときに、まことに重かつ大なるものがあることを思わざるを得ません。多くの公約をなぜ実行しないのか、できないのか、できないものをなぜすると言ったのか。政治家として恥ずべき限りであります。一体、こういうことであっては、今後の日本はどこへ進んでいけというのであろうか。この点につきましても、佐藤総理の偽らざる所信を承っておきたいと思うのであります。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 吉田君にお答えいたします。
 まず、四十五年度予算についての御批判でありましたが、国民福祉向上のための諸施策の推進につきましては、四十五年度予算におきましても重点施策として配慮したところであります。詳細にわたる説明はいたしませんが、社会資本の整備を促進するため、生活環境施設を中心として、重点的に公共事業費の増額をはかったほか、社会保障費につきましても大幅な増額を行なうとともに、その内容についてもきめこまかな配慮を加えております。
 また、国民生活に関係の深い物価対策や公告対策、交通安全対策等に対しましても、重点的な財源配分を行なっております。
 このように、政府といたしましては、従来から予算編成にあたって、国民福祉の着実な向上を目ざしてきており、特に四十七年度予算におきましては、内外の諾情勢の変化にかんがみ、この方向を一段と強力に推し進めることといたした次第であります。
 次に、物価の安定は、国民福祉の増進をはかる政府の重要な政策課題の一つであり、政府はこれまで、物価安定政策会議等の提言の趣旨に沿って、各般の対策を講じてまいりましたが、今後さらに積極的にこれに取り組んでまいる決意であります。そのため、今後、低生産性部門の近代化、競争条件の整備、生鮮食料品の価格安定対策等をさらに推進するほか、円切り上げによる輸入品価格の低下の利益を適正に国民に還元するための措置を講ずることとしております。
 消費者物価の騰勢は最近落ちついてきており、各般の物価対策の効果と相まって物価安定が実現されることを期待している次第であります。
 次に、行政需要の増大の中で、非能率、非効率な行政組織制度を改革していく必要があるとの御指摘がありました。そのとおり私も考えております。これは国民各界各層の強く期待するところであります。政府におきましては、かねてより、行政事務及び行政機構の簡素化と定員削減のための努力を続けてまいりましたが、今後とも、行政需要の変動に即応しつつ、簡素にして能率的な行政を実現するよう努力してまいりたいと考えております。
 なお、行政監理委員会の御意見につきましては、政府はこれを十分に尊重し、意見の趣旨に即して、実現可能なものから実施に移してまいっております。
 また、同委員会の改組をいかに進めるかとのお尋ねであったと思いますが、従来の委員の任期が昨年十月に満了して以来、政府は、全員新任の方針で委員の人選を進めているところであります。
 最後に、私は、現在のわが国の世相がすべて荒廃しているとは考えておりませんが、吉田君がただいま御指摘になりましたように、社会の各面にわたる高いモラルを醸成すべきことには同感であります。特に政治、行政の面におきましては、率先してその努力がなされなければならないと思います。最近の連合赤軍の事件を見まして痛感いたしますことは、世代間の断絶というようなことばかりではなく、青少年教育の基本にさかのぼって考えなければならない問題を含んでいるようにも考えられます。わが国は一九六〇年代に飛躍的な経済発展を遂げましたが、その反面、自然環境の破壊など、数々の阻害要因が発生し、目下国をあげてこの対策に当たっているわけであります。今後の問題点は、やはり日本人の心を豊かにし、高いモラルを築き上げることであると考える次第であります。政府としては、各界各層の御協力を得て、今後ともこの問題に真剣に取り組んでまいる所存でありますから、何とぞよろしくお願いをいたします。
 また、先ほどお読みになりました新聞、これは、三十九年の私が総裁立候補のときの私の所信に触れられたものであります。私は、そのことを考えながら、いまも当時もあまり変わっていない、かように考えまして、なお一そう、今日の世相について決断をもって取り組むべきその時期ではないか、かように考えます。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#32
○国務大臣(水田三喜男君) これから政府の福祉政策が進んでいくにつれまして、国民のそれに対する負担もある程度高くならざるを得ないと私は考えます。それに対しては、国民の理解と支持を得て、長期的な視野から、村税の負担とかあるいは社会保険の負担とか、受益者負担というようなもののあり方をこれから検討していかなければならないと思います。そういたしますと、その過程において、当然、行政費の思い切った節減というようなことが国民的課題になってくるんではないかと思います。
 やはり、国の財政硬直化の相当大きい原因をなす行政費の問題は、福祉国家建設という路線を歩き出したら、これは当然一ぺんはぶつからなければならない問題であると思いますが、行政改革は、御承知のように非常にむずかしい問題であります。したがって、これは、ひとり微力な政府にだけたよるべき問題ではございませんで、与党、野党も、これは共同の目標として、今後国会が解決すべき……(発言する者あり)私は、国会が解決すべき政治課題になるというふうに信じておりますので、お互いに勇気を出してこの問題の解決にはこれから当たりたいと考えております。(拍手)
#33
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#34
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君
        国 務 大 臣 中村 寅太君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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