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1971/03/16 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第12号
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1971/03/16 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第12号

#1
第068回国会 本会議 第12号
昭和四十七年三月十六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  昭和四十七年三月十六日
    午後二時開議
 第一 外務公務員法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 外務公務員法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(中山正暉君提
  出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(山中吾郎君提
  出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(桑名義治君提
  出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(受田新吉君提
  出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(林百郎君提
  出)
    午後二時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 外務公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(船田中君) 日程第一、外務公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#4
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。外務委員長櫻内義雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔櫻内義雄君登壇〕
#5
○櫻内義雄君 ただいま議題となりました外務公務員法の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案のおもな内容を申し上げますと、待命中の特命全権大使または特命全権公使が特派大使、政府代表等の任務に従事している場合には、待命の期間が一年を経過するに至った場合においても、その任務を終了するまでの間、大使または公使の職を免ぜられないこととする待命制度の整備をはかろうとするものであります。
 また、在外勤務期間が四年をこえる外務公務員に対し、一回限り許可することができることとなっている休暇帰国について、これを三年をこえる者に対し、三年につき一回許可することができるように改め、休暇帰国制度の改善をはかろうとするものであります。
 本案は、二月八日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。
 かくて、三月十五日本案について質疑を終了しましたので、採決を行ないましたところ、原案のとおり全会一致をもって可決すべきものと議決いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 連合赤軍事件に関する緊急質問(中山正暉君
  提出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(山中吾郎君
  提出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(桑名義治君
  提出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(受田新吉君
  提出)
 連合赤軍事件に関する緊急質問(林百郎君提
  出)
#8
○藤波孝生君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、中山正暉君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問、山中吾郎君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問、桑名義治君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問、受田新吉君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問、及び林百郎君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
#9
○議長(船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 まず、中山正暉君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問を許可いたします。中山正暉君。
  〔中山正暉君登壇〕
#11
○中山正暉君 私は、自由民主党を代表して、現在、内外の耳目を集めております一連の共産主義革命を目的とする過激分子の行動と、それに関連をする政府の措置について質問を試みようとするものであります。(拍手)
 深い冬の眠りについていた上信越の山々のしじまを破って、連合赤軍による山岳アジトが二月初句発見されましたが、そこをのがれた五人の犯人により、居合わせた牟田泰子さんを人質として浅間山荘事件は、内田尚孝警視長、高見繁光警視正と民間人田中保彦さんの三名の惜しみても余りある人命を奪い、十三名の勇敢な警察官に負傷を負わせるという痛ましい結果を招いたのであります。
 ここに、私は、全国民の名において、自由民主党を代表して、なくなられた方々の御冥福を心からお祈りを申し上げ、御遺族に心からの哀悼の意を表するものでございます。(拍手)そしてまた、おけがをなされた方々に対し、心からお見舞いを申し上げ、その御回復の一日も早からんことをお祈りをしたいと存ずる次第であります。(拍手)
 犯人を憎み、人質の早期救出を願うため、警察の処置について種々の批判はあったとしても、国民は、警察関係者の御努力、御労苦にあらためて感謝と敬意を表しているものと推察をいたしております。(拍手)
 全国民注視の中で、何のちゅうちょもなく顔面を狙撃し、死に至らしめた犯人の非情さは、いまさらながら身の毛のよだつものを感じますが、殉職警官には老母と養育途上の子弟のおられることでもあり、十分なる補償を御配慮願いたいと存じます。一連の被害者に対する事後の措置について、お伺いを申し上げます。
 また、人質となられた牟田泰子さんの救出は大きな福音であり、御協力をいただいた河合楽器にも感謝を申し上げるものでございますが、愛する者に振りかかった大きな恐怖を耐え、そして忍ばれた御主人塩田郁男氏にも祝意を表したいと存じます。
 そして、ここで、申し上げておきたいことは、牟田御夫妻の、そのささやかな、そして晴れやかなしあわせと、三名の民間人を含む殉職者――あの救出をされた後に牟田泰子さんがおっしゃったことは、あの連合赤軍の連中も人情はあったという一時的な評価をなさったことでございます。牟田御夫妻に申し上げたいことは、あなた方御夫妻のしあわせと、そして三名の方々の御家族とのしあわせを取りかえたしあわせでございます。間違った評価をなさることなく、大きな人の愛から受けたその二人への大きな愛情を、今後の御生涯を通じて大切にしていただきたいものと、蛇足ながら申し上げておきたいと存じます。
 ここで、今回の事件を通じ、その教訓から学ぶととは、人質としての条件を利用しての要求を一切せず、無言の威圧を加えられたことであります。条件提出の場合は別として、今回のケースは、改正が予想される刑法条文にはその予測はなされていないと伺っております。刑法の大改正に期待をいたしますが、そこに至る間の処置として、この種類似の犯罪の予防をも兼ねて、単独の立法措置がなされるべきではないかと存じますが、いかがでございましょうか。
 また、とうとい人命を失うことのないよう、犯罪を事前の段階での阻止の効果を考えて、警職法の改正を考える必要はないか。また、銃砲、火薬等の取り締まりにどういう施策が講じられておるのか、この点もあわせて伺いたいと存じます。
 また、破壊活動行為以外の何ものでもない一連の爆弾闘争、銀行襲撃など、これら過激集団に対しては容赦をせず、破壊活動防止法の個人に対する罰条適用は言うに及ばず、団体規制をも適用して解散を命ずべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
 地下潜行によって監視困難となることを予測されての逡巡であろうとは拝察をいたしますが、それがかえって根拠のない過激派泳がせ論を助長することになると思います。そこで、断固たる御処置を期待を申し上げ、自由民主党を代表して、この点大きく総理の御判断に御期待を申し上げたいと存じます。
 治安の維持と国防の確立は、国家存立の重要な基礎でありまして、国民の安全をはかるため、この二大支柱は政治が国民のために果たさなければならない重大な義務であり、最大の責任であると思います。
 国民の中に、政府に対する反体制感情をあおるために、治安の乱れを政治情勢、社会情勢の責任にすりかえようとする傾向がありますが、ばく大な資金を背景にした過激派の行動は、カビのはえた一片の空虚な思想のためであり、生活の困窮その他何ら同情に値すべき理由によるものではなく、共産主義世界革命への歴史的必然性を信じ、その反面、ますます繁栄する自由主義体制下の文明にあせりをさえ感じ、革命の成功はまず破壊による社会情勢に不安を生ぜしめる、そういう判断から、むしろ自分自身を人間の皮を着た野獣に仕立て上げる彼らの教条的な思想をこそ憎むべきであり、彼らをしてあの境遇に追い込んで、悪魔の洗礼を与えた彼らの指導者をこそ糾弾すべきでありましょう。(拍手)
 スピノザのことばに、「太りゆく豚はしあわせではない」との名言があります。太ることによって死地に近づく豚のように、ともすると経済繁栄の陰に魂を見失う傾向のあるこの日本も、太りゆく豚といえるのではないでございましょうか。まさしく先般の「よど号」事件、そして今回の連合赤軍による浅間山荘事件から派生した、リンチによる大量虐殺事件は、戦後の日本の教育と政治の上に横たわる不気味な暗黒のふちがぽっかりと口をあいているようにさえ思えるのでございます。
 これらの事件の中で、男山村新治郎と勇名をはぜた山村政務次官の快挙と、頼良ちゃんの生存確認の一事は、暗い話題の中の一条の光であったと存じます。
 世界は、政治的に多極化時代と表現されていますが、その一翼である共産主義陣営内部にも、一段階革命理論をとる強硬路線と、二段階革命理論をとる柔軟路線との対立が理論闘争を激化させ、その理論の相違が過激派をしてますます救いがたい狂気の行動へと追いやり、種々の過激な反社会的行為となってあらわれているのでございます。しかし、ここで注意深く見なければならないことは、穏健派を装い、内紛を利用して、議会主義を通じての一党独裁をねらい、善玉になりすまそうとする真の民主主義の敵の存在することを忘れてはならないのでございます。(拍手)
 あるものの見方を紹介してみたいのでございます。それは、最近刊行された「ユダヤ人と世界革命」と称し、シオンの議定書なる副題を持つ永淵一郎氏による書物に、一九六〇年国際共産主義センターから全世界の共産党に対し、穏健派、強硬派の二つのグループに分かれるように指令を発して、穏健派は温和でほほえみをさえ浮かべ、民族的な装いをこうして浸透をしていく。逆に強硬派は、きわめて攻撃的にゲリラを組織し、強硬路線をしいていく。こう任務の分担を行なったのであり、末端組織での少々の混乱や、いわゆる内ゲバによる殺傷事件などあってもやむを得ない。もっと高い次元での大きな利益を得るためには、そんな微々たる犠牲は黙殺してしまうんだ。各国内のことだけではなく、国際的にもこの両面作戦をうまく使っているのであり、そして共産主義陣営の内紛は大がかりな芝居にすぎず、世界じゅうはほとんどがこの芝居で国際認識を混乱させられてきている。しかし、政治家や軍事専門家までがこれを信じ、それを前提としてしまったのでは、はなはだ危険ではないであろうか、ということを指摘をされております。
 ここで私どもは、民主主義について考えてみる必要を痛感するのであります。
 一党独裁の国家でありながら、国名にも「民主主義」を名称として冠している国々が存在していますが、当然のことながら、民主主義とは、公正な選挙を通じて代表を選び、公共の福祉に反することのない限り保障された自由によって、人民による、人民のための、人民の政治をするのであり、政権交代の可能性を秘めているものでなければなりません。政権奪取とともに反対党の存在を否定するものなど、一党独裁を標榜する政治思想は、わが国の指向する政治の体制ではないと信じますが、この際、国民の真の政治意識の高揚のため、わが国の希求する、平和を愛し、自由に徹するという総理の信念の中で、民主主義とは一体いかなるものであるのか、民主主義に対する日本の定義を確立することが急務ではないかと存じますが、総理の確固たる御所信を伺いたいと存じます。
 私がこのことを申し上げるのは、四十四年、最高潮に達した大学紛争に象徴された不穏な社会情勢は、一にかかって、戦後の国家目標を失った教育制度、内容に、その原因が内在するものと思われるのでございますが、私は、教育の自由と学問の自由がはき違えられている結果ではないだろうかと心配をいたしております。
 いやしくも国家を形成する以上、国家目的に従った一定の教育方針が存在することは当然のことでありまして、その上に立って、学問研究の自由があるべきで、この関係は、列車とその牽引する客車の中での乗客とその読書に置きかえて考えて例とするならば、列車は一定の方向にばく進する国家にひとしく、その客車での、種々の書物に読みふける乗客のありさまは、国民と学問の自由にひとしいのではないかと思うのでございます。そのためにこそ国家目標をはっきり立て、多くのとうとい犠牲によって手に入れた私どもの真の民主主義、自由主義がそこなわれることのないよう、特段の配慮が必要ではないかと思われますが、この点をいかに、中教審の答申の出された平時における教育改革の行なわれようとする今日、新しい教育の中でどう盛り込まれようとするおつもりか、御所見を伺いたいと存じます。
 わが憲法において、学問の自由、思想の自由を声高らかにいうなればこそ、その挑戦者に対してはきびしい目を持った国民を育てる義務を痛感するのであります。
 人間の脳の働きは二つの本性があるといわれております。その一つは、相手の存在を認めない殺しの本性とされ、その反面、置かれる環境によって、愛情で相手の存在を認める本性も存在するとのことです。その愛情の本性を育てるのが教育であり、倫理であり、道徳であり、家庭の環境であるとされています。
 教育なる文字は、御承知のごとく、教学と徳育の四文字の中から二字を抽出されたものでありまして、戦後の教育は、教学があっても徳育はなかったのではないかと、過激分子の行動を見るにつけ気になるのでありますが、文部大臣、いかがでございましょう。批判力ある愛情の本性を育てるために、今後どのように教育指導の上に徳育を考えていただけるものか、意欲ある御答弁をちょうだいいたしたいものと存じます。
 政府の施策の中で、七十歳以上の高齢者に対する医療行政上の給付がなされても、目上を敬う東洋の純風美俗が失われていったのでは、ますます老齢化の激しい日本の人口形成の中でさみしいお年寄りをたくさんつくることになり、美しい人間関係は根底からくずれ、一民族一国家一言語というわが日本の伝統も誇りも消えて、同床異夢、心の通わぬ民族として、落ち行く先はおのずから明らかであります。責任をとって自殺した親の死亡通知にも不敵な笑みさえ浮かべる青年、親の説得にライフルでこたえた青年、こんな青年男女の出現を何としてでも押えることが教育に課せられた使命であると思います。(拍手)
 今回の過激派学生には、国立、公立、私立など、その出身校も混然雑多といたしておるようでありますが、教授の中には公然と学生を扇動する者があると聞きます。国立は当然のことながら、地方自治体の首長をもって設置責任者としている、たとえば大阪市立大学等の、さきの「よど号」事件の田宮、今回の森と、超過激派を養成している感がございますが、こういう公立大学等の運営管理面での指導はいかがなされているのでありましょうか。
 自分自身の学問研究を請われて発表する場合はいいとしても、みずから進んで政治活動に没入することは、国公立から給与を支給されて生計を立てている限りにおいては、中立義務を順守させるべきであると考えますが、文部当局はいかなる施策をお考えでありましょうか、その歯どめの方式についてお伺いを申し上げたいと存じます。
 なお、今回の総括、そして死刑と称するむごたらしい、残虐きわまりない行動を見るにつけ、少年少女を対象にした出版物が、非常に非情なもの、残虐性を帯びたものを好んで掲載する傾向があることを憂えるものでありますが、表現、出版の自由とはいいながら、これらの自主規制に対する方策を業者その他の方々と打ち合わせ、国家の将来に危険感を及ぼすことのないような少年少女を育てる、それを教育をする文部当局には義務があるのではないかと存じます。
 さて、総理にもう一つお伺いをいたしたい重大なことがございます。それは、先ほども話題に取り上げましたが、わが一本の憲法のその欠陥ないしは不備とも言える点についてであります。
 過激分子は、今回の事件により――その目標としたのは、総理、あなたが寝起きをしていらっしゃる総理官邸がその目標でございました。そのための部隊編成をして、そのための武闘訓練をしておったのがあの山岳アジトであるわけでありますが、過激派は壊滅したわけではございません。ごみを捨てるなと木札が立っていると、ふしぎにそこにはごみが集まってくるものでございます。過激分子は、要人誘拐を公然と宣言をしております。あってはいけないことでございますが、総理、もしあなたが拉致、誘拐をされたら、一体日本の国はどういうことになりますか。いまの日本の憲法では、まことに失礼な話でございますが、日本の国家の安泰を祈って申し上げるのでございますからお許しを願いたいと思うのでございますが、総理大臣は、やめられたりなくなられたりしたら次の総理を選ぶことができるのですが、拉致されたり誘拐をされても、生きておられたら、次の総理大臣はつくることができないのでございます。
 旧憲法の十四条には戒厳令規定がございます。よほどいまの憲法はあわててつくったものとみえまして、新憲法には国家の非常事態に対処する規定がありません。その上、旧憲法下では、閣僚が一人でも辞表を提出すると内閣は総辞職をしなければなりませんでしたが、いまでは、極端に言えば、総理大臣一人を残して全閣僚の首を切るととさえ可能でございます。それに、閣僚の半数は国会議員ではなくてもいいことになっていますから、強迫を受けて心にもない閣僚を任命させられる心配もあります。最もおそろしいことは、戦前は天皇大権であった陸海空の統帥権、つまり自衛隊を動かす権利も、警察を動かす権利も、首相の一身に帰属をしているということであります。この問題は、現在論議されているシビリアンコントロール以前の重大な要素を含んでいると私は思うのでございます。将来、権力欲に燃える独裁的な、一党独裁をはかる人物が、いつの日にかその席にすわられることがあったとしたら、国会議論に辞易としたとき、その人さえその気になれば、簡単にこの国をその個人の意のままにできるということなのでございます。
 日本の体制は、あたかも氷の張った上に大仏さまをのせたような体制が日本の体制である。わが国の文民統制がはたしてどんなものになるのか、ただむやみに予算額だけでつかみ取りをしていたう、真剣に国防を考える人たちにとって、二・二六事件以前の気持ちを醸成するのではないだろうかと、私は右の革命をも危険視しておるものでございます。肩身の狭い思いでする防衛論争も、ひよわな緊急事態対処策を考えても、すべては、憲法問題を避けては新しい日本は考えられないと私は存じます。(拍手)
 それはとにかくとして、国家の非常事態に対処する立法措置を考える必要があると思うのでございますが、総理、いかがでございましょう。緊急事態法その他国家安全対策に対する立法措置を講じていただきたいと存ずるのでございます。われわれが大切にしているこの民主主義国日本が、個人の、一人の政治家が拉致をされ誘拐をされることによって、この日本が一躍暗転の世界に入ってしまうことは、私どもは耐えていくことはできないのでございます。
 いまから二十五年前、国会に現憲法が提出されたときは、共産党の方々は、全員が反対投票をされておられます。社会党は、修正案を出しておられますが、現在はその憲法を守るとおっしゃっておられます。
 同じく沖繩の問題にしても、二十五年前には、米軍の軍政下に入った沖繩を、民族の解放であり独立であると評価した共産党が、何と沖繩の独立を祝うメッセージを出しておられるのでございます。いまでは完全返還を叫んでおられます。
 時代の推移をしみじみと感ずるのでございますが、新しい日本を考えるときが来たと私は思うのです。(拍手)
 総理、あなたは戦前戦後を通じ、総理大臣在職最長期の記録というすばらしい業績を残されました。沖繩も、あなたのおかげで、復帰は目前に迫っております。あなたの頭の中には欲も得もなく……
#12
○議長(船田中君) 中山君、申し合わせの時間が来ましたので、なるべく簡単に願います。
#13
○中山正暉君(続) 功成り名を遂げた政治家として、あなたが愛する山紫水明の祖国日本、そして、その祖国の命運やいかにと、それのみが総理のあなたの胸には去来するものと私は信じております。走り出したばかりの私のような若い政治家としてお願いをしたいのでございます。あなたが政治家として有終の美を飾るためにも、信念のある行動をとっていただきたいと存じます。(拍手)リンカーン演説の、人民による人民のための人民の政治は、神の意思に照らしても恥ずかしくない行動を人民のためにとることだとしています。五箇條の御誓文の中にも、「萬機公論ニ決スヘシ」、そういうおことばも、真実は一つであるとの披瀝であると存じております。現時点での評価はどうであっても、後の歴史家に、花の生涯といわれてとそ政治家の面目でありましょう。
 向後の御健闘を心からお祈りを申し上げまして、質問を終わりたいと存じます。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私は、中山君の御質問にお答えする前に、浅間山荘において、人質救出にあたって敢然とその任務を遂行され、ついに職に殉ぜられた二人の警察官の御冥福を、心からお祈りいたしたいと思います。(拍手)
 中山君御指摘の、被害者に対する事後の処置につきましては、殉職された二警官並びに一市民、この残された御家族の今後のお暮らしが少しでも明るく、将来への希望が持てるように、物心両面のお助けをいたしていくこととしております。また、過激派集団の不法行為によって傷ついた方々に対しても、長期にわたる予後措置を含め万全を期する所存であります。(拍手)
 次に、民主主義についてのお尋ねがありましたが、私は、民主主義の本質は、一あって二なきものと心得ております。すなわち、政治体制の相違によって、それぞれの取り組み方に相違はありましょうが、われわれ日本国民の信奉する民主主義は、主権在民を根幹とし、政党政治のもと議会主義を貫く真に自由な体制であります。この基本的な認識については、御異論のないところと考えます。
 また、このような民主主義体制を堅持することは、すでに確固たる国民的合意の存在するところであると確信いたします。したがって、わが国教育の目ざすところは、人間尊重の態度を身につけ、自由と規律を尊重し、民主社会の規範のもとに、平和的な国家社会の形成者を育成することにあると思います。このことは従来から学校教育の本旨とされてきたところでありますが、さらに今後とも、その徹底を期したいと考えるものであります。
 次に、現行憲法が、いわゆる緊急権について定めるところがないのは、中山君御指摘のとおりでありますが、政府としては、御指摘のような国家緊急事態に関する立法をいま直ちに進めることは考えておりません。しかしながら、御指摘の点は一つの問題であることは確かでありますので、御提案につきましては、立法の要否を含め慎重に検討してまいりたいと考えております。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣前尾繁三郎君登壇〕
#15
○国務大臣(前尾繁三郎君) 中山君にお答えいたします。
 私に対する質問は、第一点は人質罪の問題だと思います。
 今回の連合赤軍の事件は全く遺憾のきわみで、われわれも峻厳な態度をもって臨まなければならぬ、かように考えておるのであります。ただ、今回の事件は、犯人が殺人その他の凶悪な犯行を重ねてやっておりますので、量刑の点からいいますと、現行法のもとでも、死刑を含めまして十分に重い刑を適用することができるのであります。したがって、必ずしも新立法を必要としないというふうに考えております。ことに人質罪につきましては、御承知のように解放減軽というのが特色を持っておるわけでありますが、今回の事件に解放減軽というようなことが考えられる余地はなかったように思います。ただ、現在法制審議会で検討されております刑法草案におきましては、人質罪がいわゆる強要行為とともに罰せられる、こういうふうになっておるのであります。したがって、強要行為が必要であるかどうか、今回の事件には、現存のに案では何ら適用にならないという点がありますので、今後これを検討して、そうしてできるだけ早い機会に、刑法全体の改正を急いでおるのでありまするから、その中に十分織り込んでまいりたい、かように考えておる次第であります。
 次に、御質問の第二点は、いわゆる破防法を適用すべきかどうかという問題であります。
 いわゆる連合赤軍につきましては、有力な幹部は大体に逮捕されたわけではありますが、将来にわたって危険な行動に出るおそれがないというわけにはまいりません。したがって、この点を十分現在究明をいたしておるのでありますが、ただ、御承知のように連合赤軍は、共産主義同盟赤軍派の一部いわゆる中央軍と、日本共産党革命左派の人民革命軍との連合軍でありまして、昨年の九月にできたばかりであります。したがって、その目的なりあるいは組織あるいは団体の意思決定というようなものが非常に不明でありまして、そういう点に若干の問題があります。したがって、団体規制を直ちにやるかどうかということにつきましては、現在いろいろと究明して検討いたしておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣高見三郎君登壇〕
#16
○国務大臣(高見三郎君) お答えいたします。
 今回の事件は、大学の卒業生、在学生、少なくとも高等教育を受けておる人々が非常に多かった。私は、この機会に、文教政策の最高の府にありまする者として、心から国民の皆さまにおわびを申し上げなければならないと存じております。ことに、わずか一握りの狂暴なこの凶悪学生たちのために百七十万の全国大学生の諸君が受けた社会的評価の低下というものは、まことに申しわけないことであると存じておるのであります。
 そこで、私は、この機会に教育改革に真剣に取り組むべき時期が参っておると思うのであります。今日、国家と個人、自由と規律というような問題につきまして国民の間に共通の理解がないことは、遺憾ながら中山君御指摘のとおりであります。しかしながら、教育基本法が明らかにしておりまするように、教育は、平和的な国家社会の形成者の育成を目ざすものであります。また、中教審の答申が指摘いたしておりまするように、多様な価値観を追求する自由が保障されるためには、民主社会の規範が確立されることが何よりも大切であると思うのであります。今回の事件を契機といたしまして、このような教育の基本問題についての関心が高まってまいっておりまするが、私は、真に民主社会の規範確立の基礎をつちかう教育の進展を目ざして、教育改革の推進に一そうの努力を傾けてまいりたいと存じます。
 国公立大学の管理の問題につきましては、私は、この事件に関連して直ちに改正するという意思はございません。問題は、中教審の答申の提案いたしておりまする方向を十分に見きわめて、大学管理のあり方を検討していきたいと考えております。残念に存じますることは、今回の事件に対する大学側の対応の態度は必ずしも適確なものではないと申さざるを得ないのであります。(拍手)この点から考えましても、将来の問題としてはやっぱり考えざるを得ない問題であると思うのであります。
 教育は、少なくとも人間と人間との精神的な交流によって生まれるものであります。大半の教官は、学生に与えまする影響のいかに大きいかということに思いをいたされますることを切に要望するものであります。(拍手)
 最近の文書、漫画など、まことに憂うべきものが多数出ております。これを私の手によってどうするということはできませんけれども、何とか取り締まりの制度をつくっていただきたいということを切に希望をいたしておるわけであります。
 私は、この問題を契機といたしまして、どうぞ皆さま方の御協力のもとに新しい教育制度の確立ができまするよう、心からお願いを申し上げ、おわびを申し上げて、お答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#17
○国務大臣(中村寅太君) 中山君の質問の中で、人質に関する立法措置、さらに殉職警察官に対する補償の点につきましては、これは総理からお答えになりましたし、人質の問題につきましては法務大臣から答えられましたので、私は省略いたします。
 第三の問題の、連合赤軍事件などを未然に防止し取り締まるために、警職法の改正とかあるいは破防法の積極的適用等に対しての考え方に対する質問にお答えいたしたいと思います。
 連合赤軍をはじめ、過激セクトによる凶悪事犯に対しましては、今後とも断固たる決意のもとに、警察の総力をあげて対処し、事犯の未然防止と犯人の早期検挙をはかり、国民各位の信頼にこたえる所存であります。ところが、御承知のように、最近における過激セクトの闘争を見ますと、ゲバ棒、投石から火炎びん、さらには爆発物、銃器と、急速にエスカレートしてまいっておりますので、警察といたしましては、これらの凶器を使って犯罪が起こることのないよう、未然にこれを防止するというたてまえで取り締まりに当たっておる次第であります。
 火炎びんにつきましては、被害の甚大なるにかんがみまして、火炎びんの使用等の処罰に関する法律案は、これはぜひ必要と考えられまするところから、今国会において早期に成立を願っておるところであります。また、爆発物につきましては、手製爆弾の原料となるピクリン酸、塩素酸カリ等の毒劇物の規制が行なえるような立法措置を講ずる必要があり、主管省である厚生省に、規制強化をはかるための法改正について検討を進めていただいておるところであります。さらに、ライフル銃あるいは猟銃等の銃器及び弾丸等の製造、販売、保管等の規制の強化をはかるための法改正につきましても、主管省において検討を進めていただいておるところであり、これら関係法令の整備強化により適確な警察処置を積極的に講じ、未然に事犯を防止してまいる所存であります。
 最後に、この種事犯の取り締まりは、上記関係法令の多角的活用及びその検討、改正などの諸措置によるべきであると考えられまするので、当面警察官職務執行法の改正は考えておりません。
    ―――――――――――――
#18
○議長(船田中君) 次に、山中吾郎君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問を許可いたします。山中吾郎君。
  〔山中吾郎君登壇〕
#19
○山中吾郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、今回の一連の連合赤軍事件に対して緊急質問を行なうものであります。(拍手)
 連合赤軍の浅間山荘籠城事件より次々に発覚した陰惨な大量リンチ事件は、全国民に深刻なる衝撃を与えております。各新聞の投書欄に表明された国民の批判もまことに痛烈であります。たとえば、発育不全の自閉症の子供集団、極限状況に追い詰められたときにあらわれる人間の魔性団体、社会から浮き上がった強盗革命集団等々、痛烈なる批判がございます。また、この事件の周辺には、自殺した親あり、教職を捨てた親あり、この親に追い打ちをして、死んで責任をとれと脅迫する第三者もあらわれており、社会全体をおおうたまことに陰惨な事件であるといわねばなりません。
 しかし、この非人間的な事件の中にも、浅間山荘における牟田泰子さんの救出、頼良ちゃんの生存は、国民にとってわずかな救いであったと思います。心よりうれしく思うものであります。
 また、浅間山荘攻略行動において、牟田泰子さんの生命を守るため、二名のとうとい警察官の死に対して、その御家族に対しても、心より御弔意を申し上げるとともに、負傷された警察官及び御家族に心よりお見舞いを申し上げます。(拍手)
 わが日本社会党は、人命尊重の哲学にささえられた暴力否定、絶対平和の党であり、この党の基本的立場から、今回の連合赤軍事件に対して、革命行動としても、革新運動としても、断じてこれを認めないことをまず表明いたしておきたいと思います。(拍手)
 さて、今回の連合赤軍事件に対しては、親の責任か、教育の責任か、また警察取り締まりの責任か、はたまた、世相の退廃を訴えるもの、政治の姿勢に責任を問うもの、まことに多岐にわたる批判が加えられております。私は、この事件に対しては、その原因のいかんにかかわらず、単なる感情的な憤りによって非難することに終わってはならないし、取り締まり強化の対症療法に終わってもならない、また、思想統制強化に便乗することに終わってはならないと考えております。(拍手)
 私は、きわめて厳正かつ理性的にこの事件を分析し、親も、教師も、また、われわれ為政者も含めて、全日本国民自身の問題として、真剣にその本質を探求し、(拍手)今後再び発生させない対策を立てねばならないと考えておるものであります。(拍手)
 私は、この赤軍事件の本質は、生命軽視のわが国の伝統的風上から生まれた、きわめて日本的な事件であると考えておるのであります。したがって、根本において、教育による生命尊重の価値観を国民のものにする以外に、根絶の道なしと考えておるものであります。(拍手)
 この見地に立って、総理並びに文部大臣、国家公安委員長に質問をいたします。
 まず、国家公安委員長に御所見をお聞きいたします。
 今回の赤軍事件に対する捜査のあり方に、あるいはとやかく批判を耳にしないではないが、私は問題といたしません。私は、浅間山荘籠城事件において、警察官二名の死亡、十数名の負傷という高い代償を払っても、一人の婦人の生命を救うために、人命尊重の基本方針を貫いたことに、無条件に、心から敬意を表するものであります。(拍手)
 わが国の伝統的な警察のあり方に対しては、いまなお国民は不信感を持ち、オイコラ警察のイメージを払拭できないままに、警察に対するある拒否反応は強く残っておるのであります。また、わが国の警察の体質の中には、必要以上の過剰捜査、権力の乱用、拷問等の危険性が内在しておることも否定はできません。
 しかし、私は、この際、この事件を契機として浅間山荘攻略において貫いた国民一人一人の生命を守る精神をさらに発展をさせ、わが国警察官の哲学として確立することを切望してやみません。(拍手)このことが、国民のための、国民の警察として国民の信頼を高めるゆえんであり、古い、国民不在の警察のイメージを取り払う道であることを確信をいたします。
 この際、国家公安委員長の確固たる所信をお聞きいたしたいと思うのであります。
 次に、文部大臣の御所見をお聞きいたします。
 今回の連合赤軍事件は、戦後の六・三・三・四制の教育を受けた青年層による事件であり、また、彼らの大部分は、いずれかの学校に在籍する学生、生徒でもあります。したがって、戦後の教育に深いかかわりのある事件といわなければなりません。したがって、文部大臣として、特殊な人間の、特殊な偶発的な事件として片づけることのできない事件であるといわねばなりません。私は、戦後の教育による人間形成のひずみの問題として考えておるがゆえに、今後の教育のあり方につき、国民が納得する、責任のある文部大臣の御所見を承りたいのであります。
 私は、今回の赤軍事件の本質を、生命に対する畏敬の念が完全に欠如したところに根ざすものと考えるがゆえに、赤軍型青年の再現をなくするためには、人命尊重を原点とする人生観形成を目ざす新しい教育目標を確立しなければならないと信じております。
 戦後、平和憲法のもとにおける国民教育は、人命尊重、暴力否定を国民形成の原点として教育目標を確立すべきであったにもかかわらず、教育はイデオロギー対立の谷間の中に埋没をして、平和教育、人権教育、人間尊重の教育はなおざりになっておることはまことに遺憾であります。そのために、いまなお戦前、戦後の価値観の混乱があり、国民の人間形成に多くのひずみを出んでおるのであります。いまこそ、一人一人の命は地球より重しとする生命尊重の人生観形成を教育の主要課題として、教育改革を構想すべきであると思うのであります。
 たとえば、戦後における経済成長のもとにおける公害の発生、こういうものも含んで、人間形成による人生観の確立以外に基本的に改革すべき道はないと考えておるのであります。たとえば、将来経営者を志す青年は、公害産業に対しては断じて経営者にならないという人命尊重の人生観の形成を、あるいは大学卒業、就職を希望する青年は、二倍の給与が与えられても公害産業には就職しないという抵抗力を持った人間尊重の人生観を持つ青年に、あるいはまた、いかなる目的、いかなる思想のもとにおいても、その目的実現の手段として人間を犠牲にすることのない人間尊重の哲学を持った青年に育成することこそ、この問題に解決を与える根本的な方途であると確信をするものであります。(拍手)
 この意味において、以下数個の具体的教育課題について文部大臣に御質問をいたします。
 第一、「期待される人間像」を御破算にして、人命尊重を軸とする新しい人間像を、国民の同意を求めて設定する意思はあるかないかをお聞きいたします。
 第二に、マル・バツ式テスト教育を廃止する意志はないか。マル・バツ式教育は、敵か味方か、体制か反体制か、マルかバツかの二者択一の単細胞的思考力の養成には役立っても、目的のために手段を選ばぬ赤軍派的人間の再出を阻止することができないのであり、この文部省が強調してきたマル・バツ式教育の廃止についての大臣の御意見をお聞きいたしたいのであります。(拍手)
 第三に、劣等感による人間形成のひずみを生み、友情喪失を企む現行競争試験制度を抜本的に改革する用意があるかどうか。
 第四に、幼児教育制度を飛躍的に改革をし、よい生活習慣を形成することによって、人間の性格形成を確固たるものにする用意があるか。赤軍派青年の再生防止のために、大学管理強化は的はずれであると考えます。むしろ、幼児教育の軽視によるひとりよがり、自己中心の精神的未成熟の青年こそ、赤軍派青年の温床であるからであります。
 第五に、全国小中高の学校を緑化し、植物園化することにより、生命を育てる体験を通じ生命尊重の精神を養うために、抜本的な教育環境改造の方途を立てる御意思はないかどうか。すでに沖繩の小中高においてその学校の緑化は着手をしておるからであります。
 第六に、差別、選別を柱とする生命尊重の理念欠如の中教審の答申を振り出しに戻し、赤軍派的非人間的青年を生まない、新しい国民教育体制の確立を構想する御意思があるかどうか。
 これらについて、文部大臣の具体的なる、大胆なる御所見を承りたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、総理にお伺いをいたします。
 総理は、すでに去る十四日、本会議において、今回の事件に対して政治の最高責任者としての責任を痛感しておると答えております。この際、さらに総理大臣の痛感する責任の中身は何かをお聞きいたしたいのであります。
 総理府の青少年意識調査によると、現在社会に不満を持つ青少年は六七%に及び、議会制民主主義に疑問を持つ青年は五九%に及んでおるのであります。私は、この過半数以上の日本の青少年の政治不信は、赤軍派青年の発生する温床となっておると考えます。公害、物価の解決、または社会福祉に対する最大限の努力を実践的に示すことによって、議会制民主主義の信頼を回復し、平和的に社会を改革する可能性と希望を多数の青年諸君に与えることができる、この努力こそ、総理大臣の責任ではないのか。
 また、新聞世論調査によっても、政治が日本の進む道を明示していないことによって、方向感覚をなくした青年が過半数であるということも示しておるのであります。国家目標を明示されないままに、方向感覚をなくした青年諸君が、エゴとマイホーム主義に生きるか、あるいは、破壊を目ざず革命過激派に走ることはやむを得ないのではないでしょうか。
 私は平和憲法において、平和と民主主義を基調とする誇り高き国家目標は明らかに示されておると思うであります。しかるに、総理大臣自身は、口では、憲法を守る、平和に徹すると繰り返しておるけれども、事実は憲法を軽視をしておることを、日本の青年諸君ははだ身に感じて知っておるのであります。そのために、過半数の青年諸君は政治不信におちいり、また、政府に対し、あるいは議会に対する不信を持つに至っておるのであります。このことはまた赤軍派青年の温床にもなっておるといわなければなりません。
 この際、首相は沖繩返還を機として首相の地位を去ることは、国民の常識になっております。この最後の政界を去るときの時期において、赤軍派青年のこの事件を前にして、本音のある、うそでない、一世一代の佐藤総理大臣の哲学を、憲法に対する信念をここの壇上において明確に示されて、日本青年諸君が政治に対する信頼を復活し、青年諸君の議会制民主主義に対する信頼も回復することにより、赤軍派青年の再び出ることのない、責任のある、大胆で本音のある答弁を切に要望いたしまして、私の質疑を終わることにいたします。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山中君から、私の政治哲学は何かとのお尋ねがありましたので、まずこの点からお答えをいたします。
 かねがね申しておりますように、私は、自由を守り、平和に徹することを政治の基本理念としております。戦後のわが国の特徴は、他のいかなる先進諸国家に比べても決して遜色のない自由な社会だということができると思います。これは、過去の数々の歴史的教訓からわれわれが学び取った貴重な財産であります。私は、この自由な体制を守り抜いていくことが、何にも増して大きな政治の責任であると信じております。したがって、私の政治的行動はすべてこの基本理念から発していると御理解いただきたいと思います。
 そこで、今回のいわゆる連合赤軍の事件についてでありますが、何が彼らをしてこのような行動に走らせたかは、いろいろな角度からとらえることができると思います。
 私は、いわゆる大学紛争のとき、予算委員会の席上、山中君から多くの建設的な御意見を承ったことを記憶しております。当時お答えしたとおり、戦争を経験した世代と、平和な時代に育った世代の間に思考の断絶があることも事実であり、また、経済発展によってもたらされた物質的な豊かさが、精神的な豊かさに必ずしもつながらない傾向があったことも否定できないと思います。しかし、大学紛争と今回の連合赤軍の事件とでは、本質的に大きな差異があることは明らかであります。すなわち、今回の事件は、少数の暴徒が、革命と称しながら凶悪な犯罪者集団に転落し、あげくの果ては仲間同士を殺し合うという、まことに陰惨な事件であります。その反社会性、非人間性は、人道上からも絶対に許すことはできません。(拍手)今日われわれが享受している自由は、その背景に、起立と責任という無言の道徳律が厳然と存在しているということは、今国会の冒頭に申し述べたとおりであります。(拍手)しかるに、これら過激派集団は、いずれも自由をはき違え、自分の自由は謳歌するが、他人の自由は認めない、また、自分の権利は主張するが、他人の権利は認めないという、はなはだしい錯覚におちいっているものと断ぜざるを得ないのであります。
 もとより、政治は、この問題についてその責任を免れることはできないと思います。私は、政治の最高責任者として、深く責任を痛感しております。政府は、二度とこのような事件の起こらないよう、断固たる決意のもとに万全の措置をとり、国民の不安を解消するよう最善を尽くす所存であります。しかし、このようなことを二度と繰り返さないためには、厳重な事前、事後措置をとるだけでは足りないのであります。このような風潮をきびしく排するという、強い世論のバックアップが何よりも必要であると考えます。各界各層の御協力を心からお願いしたいと思います。
 私は、この機会に、民主主義社会の基盤は法秩序の維持にあることを、山中君も御指摘になりましたが、人ごととは思わないで、国民各位にあらためて再認識いただくことを念願するものであります。そこから、国民の進むべき目標はおのずから生まれることと確信いたしております。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣高見三郎君登壇〕
#21
○国務大臣(高見三郎君) 山中さんにお答えを申し上げます。
 生命尊重の問題は、申すまでもないことであります。戦後教育において最も強く叫ばれながら、最も軽んぜられておった結果が、今日の状態であると私は思っておるのであります。私は、その意味におきまして、山中さん御提案の、「期待される人間像」をやめたらどうだという御意見には、残念ながら賛成ができません。と申しますのは、中教審が答申をいたしました「期待される人間像」の中には、人命の尊重というものが強く主張をされておるからであります。(拍手)
 さらに、マル・バツ式の試験方法、これはやめたらどうだという御意見、この御意見は私も同感であります。できるだけこういう形の二者択一という形での選別方法は避けなければならないと思っております。
 ただ、問題は、この方式を改めて他の方式に変えるか、あるいは、現状のままで出題形式を変えるかという問題につきましては、目下鋭意検討中であるということを申し上げておきます。
 この意味から申しますると、試験の問題や、いつも競争試験だという意識のもとに、ややもすると劣等感を与えるじゃないかという御意見、これもごもっともだと思いますけれども、お互いの社会における生活は、その日その日が大なり小なり競争の世の中であるのであります。その競争の世の中にあって、なおかつ人間性豊かな友情を持ち得ることができる教育こそ、最も望ましい教育であると思うのであります、ことに、今回の赤軍派の事件というものを顧みますると、私は、大学に入ったとたんに赤軍派に入ったとは思いません。教育は、生まれてから死ぬまでの期間の教育であると思うのであります。先生御指摘のように、幼児教育に対して画期的な施策を講じなければならないということは、私も痛感をいたしておるのであります。幼児教育と申しますよりは、むしろ母親教育から出発し直さなければならぬじゃないかという感すら抱いておるものであります。
 山中先生が前々から学校の緑化運動に非常に御熱心であることは、よく承知をいたしております。私は、植物を育て、動物を飼うことによって、生きとし生けるものに対する愛情を持ち、その愛情が人間愛にまでなってくることを願います。しかしながら、残念ながら、今日の学校環境の全部が全部これを許さないというところに、実はまことに残念な事情があるのでありまするけれども、御希望になっておりまするただいまのお話は十分胸にとめて、この問題の実現に尽力をしてまいりたいと存じております。
 中教審の答申が差別と選別を柱としておるというような御認識のもとに、これをやめたらどうだという御意見でありまするけれども、四年間にわたって検討に検討を重ねましたこの中教審の答申は、人間性を尊重し、人間の能力の開発を最大限に目ざす答申であります。私は、この趣旨に沿いまして教育改革の実をあげていきたいと考えておるわけであります。(拍手)
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#22
○国務大臣(中村寅太君) 山中議員に、今回の殉職警官に対してその働きを高く評価していただきましたことを、公安委員長として感謝いたす次第でございます。
 警察の究極の目標は国民の平穏な生活の確保にあることは、申すまでもありません。全警察官は、とりわけ、その基本となる人命の尊重を第一義として日々の警察活動に従事しているところでございます。このたびの殉職事案は、この警察精神の発露であると確信いたしております。今後、警察といたしましても、最近の社会情勢の変化はまことに急激なものがございますが、この基本姿勢のもとに、新しい時代に適応する活動を続けて、国民の期待にこたえるべく努力を続けてまいる所存でございます。
 青少年犯罪等のことにつきましては、総理からお答えになりましたので、省略させていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(船田中君) 次に、桑名義治君提出も連合赤軍事件に関する緊急質問を許可いたします。桑名義治君。
  〔桑名義治君登壇〕
#24
○桑名義治君 私は、公明党を代表いたしまして、暴力行為の根絶に関し、政府の所信をお伺いいたしたいと思います。
 質問に先立ち、武力革命を意図する過激な狂気集団、連合赤軍派等の一連の暴力行為によって不慮の犠牲となられた方々並びに殉職された警察官に対し、心から哀悼の意を表するとともに、傷つかれた方々に心からお見舞い申し上げるものでございます。(拍手)また、浅間山荘に人質として恐怖の二百十八時間を過ごされた牟田泰子さんを無事に救出された警察の努力に対し、敬意を表するものであります。(拍手)
 なお、今後かかる暴力事件に際し、警察官に犠牲者の出ないよう万全の方策をとられんことと、警察官の福利厚生の充実に配慮し、市民の生命と生活を守る民主的な警察行政を確立されんことを要望するものであります。
 さて、今回の連合赤軍派の暴力行為ほど、われわれに、暴力のおそろしさと、暴力を生む政治的、社会的背景についての認識と反省を深めたものはありません。われわれは、一切の暴力を憎み、一切の暴力に反対し、一切の暴力を追放することに一そうの決意を固めるものであります。
 言うまでもなく、民主主義の基本原則は、自由、平等、さらに、人間生命の尊厳であります。一個の生命といえども地球よりも重いのだという根本的な認識こそ、すべてに優先した原則であります。そして民主主義の確立、擁護にとって最も重要なことは、この基本原則にのっとって、主義主張やイデオロギーの相違を越えて話し合う精神であります。いかなる理由があろうと、また、いかなる目的のためであろうと、そのために暴力手段に訴えることをわれわれは断固として排撃しなければなりません。いかに対立した意見であろうとも、自分の意見を押し通すために暴力を用いることを否定するものであります。
 今回の浅間山荘事件並びに連合赤軍派内部の集団リンチ殺人事件ほど、人間性を喪失した残虐非道なものはなく、まさしく国民の敵であり、民主主義の破壊者であります。
 しかしながら、われわれは、連合赤軍派の想像を越えた残虐行為のみに目を奪われて、その背後にある生命軽視及び暴力至上主義の風潮と、それを生み出した原因の究明を怠ってはならないと思うのであります。(拍手)
 トーマス・マンは、今日、人類の運命は、政治を通して初めてその意味を持つと述べております。われわれは、過激派集団が、自己の暴力行為を自己弁護するために、社会が悪い、教育が悪い、政治が悪いと主張する甘えの精神を認めるものではありません。しかし、われわれが政治に携わる者として、過激派集団の暴力行為を考えた場合には、このトーマス・マンのことばは、大きな意味と示唆を持っていると思わざるを得ないのであります。
 端的に申し上げます。彼らに甘えの口実を与え、生命軽視の風潮をもたらしたものは、政治にその責任の一端があることを深く反省しなければならないのであります。(拍手)過去二十数年に及ぶ保守政権、なかんずく七年余にわたる佐藤政権下の政治の矛盾とその結果として、国民各層に根深く植えつけられた政治不信に大きな原因があることも見のがしてはなりません。(拍手)
 佐藤総理は、昭和三十九年十一月、池田内閣の高度経済成長政策を批判して、政権の座につかれました。そして掲げた公約は、人間尊重の政治でありました。しかし、総理の七年間の実績は公約と全く逆行いたしました。池田内閣にまさるとも劣らない産業優先の経済政策であり、軍事優先へ傾斜した政策でありました。池田政権下の矛盾とひずみは解消されるどころか、むしろ拡大再生産されたのであります。だが、その中にあって、国民は人間として尊重されるのではなく、経済発展のための手段として扱われてきたといっても過言ではないのであります。現代の青年から夢と希望を奪ったのは、一体だれでありましょうか。確かに連合赤軍派の残虐な行為は絶対に許すことはできませんし、この事件の事実関係は徹底的に明らかにしなければなりません。
 しかし、総理大臣、生命を軽視したのは連合赤軍派だけではありません。たとえば水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく等々の公害問題、あるいはベトナム戦争の死傷者数をこえる悲惨な交通事故の犠牲者は、連合赤軍派の生命軽視が暴力によるものであるならば、これらは政治による生命の軽視であります。政治が人間尊重をすべてに優先させていたならば、公害問題も解決し、交通事故も減少したでありましょう。政治がこの点を忘却していたところに、暴力と生命軽視の風潮を生んだ最大の原因があると思うのであります。(拍手)
 さらに、われわれが思いをいたさなければならないのは、戦後二十七年間の議会政治の姿であります。絶対多数にあぐらをかき、反対意見には一顧をも与えようとせず、最後には強行採決で押し切るといった力の政治こそが、目には目を、歯には歯をといった暴力主義を生み出していることを、総理は知るべきであります。いかに民主主義を唱えようとも、少数意見が、少数であるというだけの理由で政治に反映されない政治土壌にも問題があるのであります。われわれは、今後かかる暴力行為が二度と発生しないために、政治の原点に立ち返って、基本的に政治への取り組み方を転換するとともに、国民の意思が十分に政治に反映し得る真の民主的な議会政治を確立すべきであると考えるのでありますが、総理は、今回の事件を通して、生命軽視の風潮をどう認識しているのか、また、生命軽視の風潮を生み、社会を混乱におとしいれた責任はだれにあるのか、さらに、現在の政治のあり方についてどう反省しているのか、政治不信を一掃するために、真の民主的な議会政治を確立するどのような決意と方策を持っているのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、われわれが指摘したい問題は、連合赤軍派の異常な精神が形成されたことの背景にある教育制度であります。
 教育の原点は、言うまでもなく人間そのものであり、教育は人間の一生にわたる自己開発であります。しかるに、戦後、政府がとってきた教育政策は、経済成長第一主義と軌を一にして、産業社会の要請にこたえる方向に沿い、旧来の国家意識の中にある愛国心、国防意識を復元するため、中央集権的な文教行政権の強化をはかりつつあるのであります。青少年が教育に期待したものは、自己の能力を十分に開発し得る人間教育でありました。しかしながら、持ち受けていた現実は、小学校から大学に至るまでの激烈な受験地獄でありました。某新聞は、連合赤軍の異常な精神の形成について、周囲はみな敵という思想は受験ただ一筋の学園生活に根ざすものなのではないだろうか、一方的なものごとの割り切り方に二者択一のマル・バツ教育の影は感じられないだろうか、との深刻な疑問を投げかけているのであります。
 高見文部大臣は、今回の事件に関係を持った学生たちを処分するよう各大学に警告したとのことであります。しかし、これだけでは問題の本質的な解決にはなり得ません。依然として第二、第三の連合赤軍が生まれる素地を教育制度は内包しているのであります。現在、全国の百をこえる大学で学生たちが告発している入試制度、授業料、マスプロ教育等の問題に鋭いメスを入れなければなりません。教育制度の改革、大学問題に対して、政府はどのような構想をお持ちなのか、明らかにしていただきたいと思います。
 ここでわれわれが非常に危惧することは、大学管理法案であります。
 政府の大学対策は、大学の運営に関する臨時措置法を強行採決したごとく、常に紛争という一点に着目し、治安維持のみを目的としてきたことであります。大学管理法案も、そのねらいは、大学を国家権力のもとに置こうとするものであります。われわれは、今回の事件を口実に、大学管理法案の成立をもって大学問題を解決しようとすることに強く反対するものでありますが、総理並びに文部大臣はどのようにお考えなのか、所信を伺いたいと思います。
 さらに、教育制度に関連して伺いたい。
 われわれは、昨年六月に提出された中教審の答申には、その底流に明治以来の富国強兵の教育観があること、選別による人間性を軽視した教育が行なわれると考えております。ところが、去る十日の文教委員会で文部大臣は、中教審の答申に沿って大学改革の基本計画を策定し、管理運営の強化をはかると言明されております。本日もまた同じような答弁があったわけでございます。
 教育制度の改革に際して、中教審の答申をそのまま適用することは、教育を全く危険な方向に押しやるものであり、ますます青少年層を過激な方向に追いやるものであります。総理並びに文部大臣は、中教審の答申の再検討はもとより、中教審の基本的姿勢とその発想の偏向につき、現時点に立ってきびしい批判と検討を加えるべきであります。この点について、所見を明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、治安対策について伺います。
 政府の責任として、国民一人一人の生命と生活、財産を守るための治安対策は重要であることは論をまちません。しかしながら、政府の従来の姿勢は、何らかの事件を契機として、国民生活を守るのではなく、むしろ民主的な運動を弾圧する方向をとり続けてきたことも事実であります。たとえば破防法のごとく、法律の運用によっては多大の危険をはらんでおる点であります。現在、国内には、暴力を憎む強い世論が台頭しております。われわれは、この暴力追放の世論の高まりを心から喜ぶものであります。しかしながら、私たちのおそれるのは、暴力を憎む世論に便乗して、治安対策に名をかりて民主的な運動を弾圧するための治安立法が行なわれることであります。この点について、総理並びに法務大臣、国家公安委員長はどう考えておられるのか、所見を明らかにしていただきたいのであります。
 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) いろいろ御意見をまじえてお尋ねでございますので、その御意見について議論するわけではございませんが、私と桑名君とだいぶん所見を異にしておりますから、まず私のほうから説明しますので、十分お聞き取りをいただきたいと思います。
 現在の世相に生命軽視の風潮があるのではないかとのお尋ねでありますが、私は、現存の国、社会一般に生命を軽視する風潮がある、かようには考えておりません。今回の連合赤軍の事件は、一般と全く隔絶された特殊な環境の中で起こった、これは異常な事件でありまして、わが国の市民社会一般は、きわめて健全であると確信しております。ただし、一部に享楽的な風潮があることは事実でありまして、強い刺激を求めるあまり、これが生命軽視につながったり、凶悪犯罪につながったりすることのあることは、私も十分認識しております。ただ、そのような傾向はすべて政治不信から発するものだとの御指摘が妥当なものだとは考えませんが、このような傾向を正すことは政治の責任であることは申すまでもないところでありまして、政府としては、今後とも施策の面で十分配慮してまいる所存であります。
 暴力につきましては、これが集団によるものであろうと個人によるものであろうと、また、右翼のものであろうと左翼のものであろうと、政府としては、きびしくこれを取り締まる方針であるととは申すまでもありません。この点は、御意見と全然同様でございます。
 次に、国民の政治に対する信頼を確立するため、私の決意を求められました。
 社会が進展するにつれて、国民の日常生活と政治の関係はますます緊密化することになります。したがって、政治は、今後一そう、広範かつ多角的な国民の要請にこたえていかなければなりませんが、それだけに、国民の政治に対する信頼を高めなければならないことは申すまでもありません。私は、時代の推移、国民世論の動向を的確にとらえ、国民各位の政治に対する期待にこたえるべく、全力を尽くす所存であります。また、党派を越えて相協力し、健全な議会政治を確立しなければならないと信ずるものであります。
 次に、連合赤軍の異常な精神の形成過程、これをどう考えているかとか、あるいは人間性豊かな教育を確立するための方策いかん、あるいは中教審の答申を今日あらためて再検討すべきではないか等は、文部大臣からお答えをいたさせます。
 最後の、治安立法につきまして、これは法務大臣やあるいは公安委員長からも答えるだろうと思いますが、私も、これについては一言申し上げておきたい。
 年来、国民の平穏な生活が確保された国家社会の建設を念願し、その実現に努力しております。したがって、善良な国民の生活を確保するため、必要な法制につきましては、たとえば、過激派集団が使用して国民に多大の迷惑をかけている火炎びんを規制するなど、情勢に応じて絶えず検討すべきものと考えておりますが、国家権力の拡大強化をはかるというようないわゆる治安立法につきましては、一切考えておらない、このことを申し上げておきます。
  以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣前尾繁三郎君登壇〕
#26
○国務大臣(前尾繁三郎君) お答えいたします。
 ただいま総理がお答えになりましたとおりに、われわれも暴力は絶対に排除しなければならぬと思っておりますが、それに名をかりて権力を強化するというような治安立法は考えておりません。私の所管で考えましても、もうすでに爆発物取締罰則違反とか、あるいは銃砲刀剣類所持等取締法違反とか、殺人、殺人未遂、監禁、公務執行妨害などの犯罪が成立しておりますから、これらの罰則適用によって十分責任を追及することができると考えております。したがって、刑事立法としては、先ほどお話し申し上げました人質強要罪というようなものの検討とか、あるいは国家公安委員長の先ほどお話しのありました火炎びん法案は、ぜひ通していただかなければなりませんが、それ以外に刑事立法などで考えておるものは全然ありませんので、その点申し上げます。
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#27
○国務大臣(中村寅太君) 警察といたしましては、平和と民主主義に徹した平稀な社会情勢の確保を目途に、日々職務に邁進してまいっておる次第でありますが、今後ともこの信念に変わりはございません。したがって、国民の平穏な生活を守り、生命の安全を確保するために必要な対策につきましては、情勢に応じて絶えず検討すべきものと考えておりますが、今日の事件を契機に、桑名議員が言われますような、もっぱら警察権力を強化するがごとき立法措置は考えてはおりません。
  〔国務大臣高見三郎君登壇〕
#28
○国務大臣(高見三郎君) お答え申し上げます。
 教官制度、教育のあり方に問題があるのではないか、どうするつもりだということが第一問であったように伺いました。今度の事件が、確かに教育のあり方に大きな問題を投げかけたことは、申すまでもございません。しかし、それだけではなかったということも言えるのであります。
 私は、教育は、学校教育制度のみにおいて解決する問題ではない、幼児教育、家庭教育、社会教育、職場の教育等を通じても教育というものは考えなければならない問題であると考えておるのであります。したがって、これら多岐多様の面について、教育の機会をより充実し、より拡大していくことに全力をあげていきたいと考えておるのであります。
 大学管理法の問題を今回の事件と関連して考えてはおりません。
 私は、大学が、願わくは大学らしい大学であってほしいと思っております。何が起こってもわれ関せずというような大学ならば、時にとっては国家の災いであるという場合もあり得ると思うのであります。その意味において、大学当局の今後の出方を慎重に見守りながら、中教審の答申が指摘いたしておりまするような方向においての大学のあり方というものを検討してまいりたいと考えております。
 さらに、中教審の答申が偏向しておるという御指摘でありまするが、四年の長きにわたって、日本の過去の教育の実績を探求し、将来にわたる社会の変遷を展望しながら、多岐多様な答申を出しております。部分部分をとらえてみまする場合には、あるいはお気に召さないところがあるかもしれませんけれども、少なくともこの答申は尊重すべき努力の結晶であるということを私は評価をいたしておりまするし、この方面に向かって進んでまいりたいと存じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(船田中君) 次に、受田新吉君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問を許可いたします。受田新吉君。
  〔受田新吉着登壇〕
#30
○受田新吉君 山荘の管理人として、平凡で、しかも平和な生活を営んでおりました一主婦が、十日間人質として監禁せられ、世間の批判を集めたやさき、さらにリンチ事件が発覚された、いわゆる連合赤軍リンチ殺人事件は、狂気の行動といわれ、人間における残虐性の極点とさえ思われる悲しむべき事件であります。いま警察の手によってその全貌が現らかにされつつあります。国民一人一人が、人間の中にひそむ魔性に身ぶるいをいたしております、あの浅間山荘における荒々しい、しかも長時間にわたる武力抗争、及び、残虐きわまりなき、かつ、わが国の犯罪史上、社会運動史上において類例を見ない血の大粛清の全容が、日一日と当局の手によって解明しつつあります。国民ひとしくこの事態の行くえに重大な関心を寄せると同時に、各方面に与えた衝撃たるやはかり知れないものがあるのでありますが、私は、この問題につきまして、民社党を代表し、一連のいわゆる連合赤軍事件実態をただし、政府のこれに取り組む姿勢をたださんとして質問を試みる次第でございます。(拍手)
 まず第一の質問は、共産同盟赤軍派、通称赤軍と、日共革命左派神奈川県委員会、通称京浜安保共闘は、いかなる目的をもって組織され、いかなる目的をもって連合がなされたのか、調査の過程で判明した部分をわかりやすく御説明願いたいのであります。
 また、彼らの常時用いたる世界同時革命とか、毛沢東思想をもととした反米愛国とかのことばの持つ意味、及び、中央軍とか人民革命軍とか称する暴力集団の目的が何であったかについて、ごく平易に御説明を願いたいのであります。(拍手)
 第二に、今回の事件を展望するとき、およそマスコミの報道する限りでは、きわめて特徴的なことがございます。それは、他人に対して驚くべき残忍であり、冷徹でありながら、おのれに対してはあまりにも寛大であり、かすり傷一つ負わない用心深さで人質をたてにして身を守るという態度であります。あの浅間山荘における事件のごとく、警察官の頭をねらい撃ちにする必殺の射撃、同志を死刑あるいは総括と名づけるリンチ等、すべて、死という、人間を最後のふちにいとも簡単に追い込みながら、みずからは完全な、いな、かすり傷一つ負わない態度は、みずからには厳格であれ、そして他人には寛大であれという道徳観は、完全に無視されておるのであります。(拍手)
 これは、はたしてこの集団のみの特徴というべきでありましょうか。この事件を契機に巷間にいわれる論評の中で、戦後教育にその根源を求める説がございます。つまり、覚えることや判断の明晰を求める、そのことに急であって、若者が一つ一つ事を深く考え、個々人の個性を深め、人間性を育てる人格教育にほど遠かったとの声は、この事件とはたして無関係であったと言い切れるでありましょうか。(拍手)ささいなことかもしれませんが、漢字制限による教育方法が、人間の思考能力よりも音感に重点が置かれ、マル・バツ式記号答案方式が記憶と判断の正確さを養った反面、主体性のない、没個性的、非情操的、唯我独尊的人間をつくったのではないかという声を無視することができないのであります。戦後教育のあり方について反省する点があったのではないか、この点について、総理及び文部大臣に明確な御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 次に、社会及び家庭と断絶した個人教育は、戦後四分の一世紀の教育の中であらためて再検討の必要があるのではないでしょうか。それはひたすらに一流大学への入学に執着し、教育の本質を見失う家庭教育の悲劇といえないでしょうか。家庭教育のあり方について御所見を承りたい。
 浅間山荘を占拠した彼らに呼びかける母親に対して銃弾でこたえ、また、わが子の行動に責任を感じ自殺した父親の知らせにも顔色一つ変えないという、この平然とした態度を示した彼らを見たとき、親子関係の断絶、すなわち、親を親とも思わない子、子供の行動に対して今日まで放置した、一方における親の無責任さを強く感ずるものでございます。(拍手)
 こうした学校、家庭教育の中で育て上げられた彼らは、没個性的でありながら、集団ともなれば、反面著しく自己顕示欲が強く、しかもマスコミを最大限に意識し、マスコミの反応の上に闘争の作戦を立てるという、いわば情報化時代の狂気の集団であります。
 彼らの企ては一つ一つの事件、すなわち大菩薩峠の軍事訓練、「よど号」事件、連続銀行金融機関強盗事件等々に見る、社会に事件をアピールさせ、マスコミを騒がせることを意識した事件が、浅間山荘をもってまさに頂点に達した感があります。
 これらの事件を通じて気がつくことは、これらの若者が育った時代環境が、人間の内なるものへの充実よりも、外への宣伝と、オーバーな自己顕示欲によって、みずからの行動の重心を失った狂気の集団と化し、まやかしの論理によって残虐性を正当化した姿は、彼らのみの特異の集団と言い切ることが可能でありましょうか。さきの東大事件を頂点とする大学紛争における過激派集団の各セクトにも、程度の差こそあれ、その体質には同質のものが存在することを見のがすわけにはまいらないのであります。(拍手)
 したがって、一連の彼らの行動を報道するマスコミの使命たるや、まさに重大でありましょう。国民との不離一体、その原則に立って、常に公正かつ正確なる情報の提供を期待するものであります。
 特にこの際、日本共産党は責任者の名をもって次のように論じておりますが、それが真相ならば、事は重大であると思いまするので、御答弁を願いたい。
 すなわち、政府・自民党、治安当局が彼ら反共暴力集団に対して泳がせ政策をとってきたことを指摘し、トロツキスト集団を泳がせて政治的に利用する政策をとってきたことを主張しておられます。また、一九七〇年四月に、赤軍派のハイジャック事件が起きた際、警察当局は、彼らの中に協力者がおり、資金を提供していることを国会で証言してまいりました、また、この三月二日にも、警察庁長官は、赤軍派の中に多くの協力者を持ち、謝礼金を払ってきたと答弁をしておるといっております。ところが、これらの協力費が、爆弾製造の資金に利用されていることは、一九六九年の背叛社事件公判で犯人自身から証言されたところでございます。こうした泳がせ政策こそが、連合赤軍などの暴力集団を横行させてきた最大の要因の一つとなっていると発言をしておられます。
 このことは、公党対公党の問題であり、事は政府・自民党にとって決定的重大事態であると思うのであります。よって、総理は、一国の総理大臣として、また、政府・与党の総裁として、はっきりと事態を明確にされ、世の親たちの不信及び社会の不安を一掃する必要があると信じ、あえて御答弁を求める次第でございます。(拍手)
 他面、もし事態が真実でなければ、日本共産党こそ、彼らと異質のものと主張しながら、社会不安を増大せしめて、実は彼らを育て上げることに間接的影響を与えていたことを反省する必要があると信ずるのであります。(拍手、発言する者あり)
 いつの時代でも、青年は、過激派にくみし、学生は、純理論的に、単純行動の極限に心酔する性格を持っております。それは、右翼であろうと、あるいは左翼であろうと、極端な思想、そして行動の極限に走る可能性を持っているといっても過言ではないのであります。したがって、その際最も重要なことは、これらの諸君を指導し扇動してきた背後関係が何であったかを究明し、それを正すことこそ、政治の最も重要な使命であると思うのであります。(拍手)
 今日まで、若者を弁護し、若者を過激的なことばであおり立て、彼らをあのような幻覚状態に導いた一部の教育者、評論家等の言動にも反省の要があることを指摘しなければならないのであります。(拍手)
 「このごろのように、間違った教育をしていると、あんな行動をする人間が出てくるのは当然です、たれも言わないけれども、私は十五年間もこのことを言い続けてきました」と訴えておられる大学教授のことばを、文部大臣はどう受けとめておられますか。大学教育の中に、いまこそ人間性回復のための教育を求めるときではありますまいか。そしてまた、われら政治に携わる者も、この事件を契機として、政治の立場から何一つ反省するものがないといっては絶対に許されないことも、われわれは知らなければならないのであります。(拍手)
 今般の赤軍事件を、政府は、一部の人間の人命軽視の行動と見るか、あるいは社会悪の頂点と見るか、どのような判断をされているか、この点について一言伺いたい。
 つまり、浅間山荘籠城から大量リンチ殺人と発展した過程で、リンチ殺人事件の解明により、きわめて残酷、陰惨この上もないものとして全く同情の余地はない。しかしながら、過激な行為の発覚前は、極左集団の社会反抗、政治への抗争として、一部国民、わけて進歩的知識人と称される層が学生に同情したといわれていることを見のがすことができないのであります。(拍手)
 さきに、高見文相は、管理面の改革を積極的に進めると述べていられますが、その後の状況の変化に応じてどのような措置をとられようとしているか、今後の対策をお聞きしたいのであります。今回の事件を契機として、管理面の改革を理由に、学問の自由を妨げるような学校管理の強化であってはならないと思うのでありまするが、いかがでありましょうか。
 よい教師はよい子供をつくる。教育者の質向上をはかると同時に、学生と教師の断層を排除し、人間疎外のなき学風づくりのため、教育者の大幅な優遇措置を進める時期がまさに到来していると考えるのでありますが、お考えを承りたいのであります。(拍手)
 このことにつき、わが民社党は、かつて大学紛争のおり、いち早く今後の大学のあり方について党独自の大学基本法案を提示いたしました。一、情操教育の推進、二、大学の管理運営は幅広い人選により構成、三、学生の地位を明確にし、学生協議会を通じ運営管理に参加させる、四、国家の財政的負担の増強をはかる、等を柱として、社会、経済の進展に伴い、新時代に即応する新しい大学像を映出して、国家百年の大計のもと、人間尊重の教育国策を天下に宣言したのであります。
 これに対して、現行の大学の運営に関する臨時措置法のごときこそく手段は一切これを廃して、国民とともにあるわが党の大学基本法案を根本的な観点よりこれを採択する時期が来ていると思うのでございまするが、佐藤総理の英断を承りたいのであります。(拍手)
 次に、政府は、昨年度、連合赤軍が結成されて以来、今回の危険が当然予想されたにもかかわらず、かかる結末に追いやったことは、事態を重視していなかったのではないか、こういう疑念すら抱かざるを得ないのでございまするが、警備のあり方はどうであったのでございますか。
 私たちは、第二以後の連合赤軍事件を断じて絶滅しなければなりません。連合赤軍の主力はこの事件で一応くずれたと思われるのでありまするが、なお残党はどうなっているか、また、他のセクトに今回の事件がどう影響するおそれがあるか等についても、国家公安委員長及び法務大臣より御所見を承りたいのであります。
 新宿クリスマス事件、警察庁土田部長宅事件等に見られる爆発物による危険から一般市民を守るための火薬類取り締まりを強化し、銃砲店等での取り扱いをきびしくするなど、危険物の取り締まりに万全を期せられたい。
 さらにお伺いしたいことは、過激なデモ行動隊や今回の赤軍派の事件に見られるような、事件と何らかかわりのない良心的な一般市民に犠牲者が出た場合に、それは災難であったといって見のがすことはではないと思います。ある日突然、生命、身体、財産に大きな危害を加えられたる良心的な一般市民に、国家はこれに対してどのような責任をとるべきか、前向きで御答弁を願いたいと思います。(拍手)
 また、浅岡山荘において警察官の犠牲著を出したことはまことに残念であり、その犠牲に深く哀悼をいたしますとともに、今回のごとき暴力に対処する警察官の人命尊重を考え、階級章を見られて幹部をねらい撃ちにされるような不用意のない、近代的防備体制を考えるべきであろうと思うが、いかがお考えであるかをお答え願いたいのであります。
 私は、今回の一連の残虐事件の要因を、一つは教育上の背景、二つには政治、社会的な背景の両面から考察したいと思っております。
 この事件の背景としての禍根は、大学のみならず、高、中、小、ひいては家庭教育を含めた社会教育と、すべての社会全般の教育環境の荒廃にあると言って差しつかえないのではありますまいか。知識詰め込み教育に執心し、愛のむちを忘れたようなそういう家庭、知識欲優先に徳育が消されていくという、そういうモラルを忘れた情性欠如型の人間が形成されているのではありますまいか。現下、学歴偏重の中で、エリートコースへの道中を受験戦争とともに走り続ける若人たち、しかし、夢破れたときの失望感ははかり知れないものがあると思うのであります。彼らは、親を憎み、社会に対抗し、極左集団に巻き込まれる。いま、わが国は、物質文明、技術大国と叫ばれ、急速に経済の進歩を続けてきたのでありまするが、一方において、青年に希望を与え、みずから地域社会、職域社会に、楽しい、生きがいのある、そういう参加をさせるための社会環境の整備こそ喫緊の要務ではないかと考えるのでございます。(拍手)
 目下審議中の四十七年度予算を見るとき、私は、文部省予算の社会教育施設整備費が約三十一億であることに、まさに焼け石に水の悲しみを感ずるものでございます。特に、将来の日本を背負い、未来を開拓していく、その可能性は、われらおとなだけでなく、青年であるという自覚を与えなければならないと、あなたの政府が出された青少年白書にも明記されております。しかるに、青少年育成の教育施設費は約十億円、何と一人当たりわずか十円という予算で、将来をささえる青年が育成されましょうか。
 一方、年次的に一般会計予算とこれに伴う文教予算を比較しますると、昭和三十年度文教予算費千二百億円、総予算の一二・五%、本年度は文教費一兆一千億円、全体の一〇・三%、まさに二・二%の減少であります。主要国家では、文教予算は常に並行し、あるいは上昇する過程の中にあって、文明国家といいながら、わが国の教育軽視を如実に物語る数字であると指摘しなければならないのであります。(拍手)明らかに、ここに教育に対する政治の配慮が欠けていると思うのでありまするが、いかがでありましょうか。
 高度の文化国家として教育優先の原則を政治の上に確立し、今後の教育問題、とりわけ清純な青少年育成、戦争や革命でなく、平和で明るい国づくりに青少年を協力させるよう、佐藤総理はいかなる構想をお持ちであるか。経済政策には五カ年計画をひんぱんに打ち立てている政府は、精神面の五カ年計画などかけらも考えておられないところに大きな問題があると思うのであります。総理及び文部大臣の御答弁を願いたい。(拍手)
 最後に、私は、かつて大学紛争事件続出の渦中において、紛争学生の言い分の中に、金権政治の腐敗堕落を指摘し、そして明治維新百年記念の恩赦の対象に選挙違反者を入れたことに対する痛烈な攻撃のあったことを忘れ得ないのであります。今回の悲しい事件の再発を紡ぐためにも、政治の粛正、政治の高度の倫理化、清い政治実現の前提としての選挙の公正等、私たちが取り組むべき国の基本態度を忘れてはなりません。
 一切の政治不信を排除して、国民大衆とともにある善政をしくことであります。金と権力の支配、買収を中心とする腐敗選挙が平然と行なわれる。特にその点では、政府・与党の体質の中にとりわけこれを拝見できるのでございまするが、これらを払拭して、一方においては、党派を越えて、国民とともにある清潔な政治実現のために一緒に取っ組もうではないかということを最後に提案して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 受田君にお答えをいたします。
 さすがに、教育者であられただけに、お話しになることも肯綮をついておる、かように私思います。
 戦後の平和と民主主義に徹したわが国におきまして、これと全く相反する暴力革命を信奉する集団が生まれた原因につきましては、簡単に結論づけることは困難であります。しかし、彼らと年代を同じくする大多数の青年諸君は、正しい民主的なルールを守って、健全な批判精神と旺盛な活力を身につけてたくましく成長し、将来の日本を背負うべき世代としてまじめに努力していることも、疑いのない事実であります。このことを考えあわせますと、彼らが民主主義の原則に反し、あえて暴力肯定の立場に立ったことが、人間性を喪失し、精神の荒廃と行動のゆがみを招き、ついには警察官を銃撃によって殺害し、さらには、運動をともにした仲間までもリンチによって殺害するに至った大きな原因であろうかと考えられるのであります。
 また、彼らを取り巻く社会にも原因がなかったとは言い切れません。彼らの主張する暴力主義に対して、社会が絶えずきびしい批判を繰り返し続けていくことが必要であることは当然であります。しかし、一部には彼らの主張を励ますような風潮さえ見られ、また、爆弾製造の手引き書が公然と市販されている事実もあり、彼らの行動を助長した原因の一つは、このような社会的状況にもよるものと考えられます。この点については、本通常国会の初頭、この席において表明しましたとおり、政府の努力と相まって、暴力の芽ばえる風潮を排するため、教育者、マスコミ関係者をはじめ、各界各層の理解ある御協力を重ねて強くお願いする次第であります。
 次に、青少年に見られる親子の断絶等の風潮は政治の貧困が生んだのではないかなどの御指摘についてであります。
 もとより、政治に携わり、国政に責任を負う者として、これらの問題に関しては常に心を砕いているところであります。
 特に教育の重要性については、新しい時代にふさわしい道徳の確立が急務であり、人間尊重と国民福祉を基調とした教育の推進が何より肝要であると確信しております。しかしながら、教育は長い年月の間に次第につちかわるべきものであり、今後とも、学校教育のみならず、家庭教育を含めて、社会教育の場において、たゆまぬじみちな努力を積み重ねてまいりたいと存じます。
 また、青少年の生きがいについてでありますが、本来、青少年は国家、社会の活力の源泉であり、青少年は若さそれ自体に生きがいを感ずるものでありますが、さらに、広く国際社会に目を向ける機会を設け、また、青少年が社会的に活動できる分野を拡大する等の施策を講じて、未来に希望と生きがいを持って成長するよう、従来にも増して配意する所存であります。
 次に、この種過激集団を警察は泳がせていたのではないか、こういうお尋ねでありますが、さようなことは絶対にございません。この点ははっきり否定しておきます。
 また、教育者の優遇あるいは大学の改革等について、民社党案にぜひ賛成しろ、こういうお話でありますが、私どものほうでも改革案を出しておりますので、これらの点は十分ひとつ御審議のほどをお願いいたします。
 次に、政治不信の根を断ち、きれいな政治の実現を求められる受田君の御意見には、私も同感であります。きれいな政治、きれいな選挙の実現は国民の強い要望であり、政治に携わる者のひとしく心がけるべき鉄則であります。
 また、議会制民主主義がわが国の政治の基本でありますが、御指摘の学生の間にある政治不信の一つには、時間と手数のかかる議会制民主主義の制度にあきたらぬ点もあると聞いております。しかしながら、この制度は、人類が長い歴史の過程を経て到達した人間の英知の所産であるといえるのであります。私は、将来に向かってのじみな、たゆまぬ努力によって、一歩一歩理想の姿に近づくよう努力してまいりたいと念願しております。また、その努力の績み重ねがあれば、国民の政治不信もやがて解消できるものと確信いたしております。
 先ほど、私のほらかう教育改年案を提案したと、こう申しましたが、まだ提案はしておりませんので、その点は訂正させていただきます。
 以上で終わります。(拍手)
  〔国務大臣前尾繁三郎君登壇〕
#32
○国務大臣(前尾繁三郎君) 受田君にお答えいたします。
 私に関する問題は、二度とこういう事件を引き起こさない、それに対する私の所感を求められたものと思います。
 私は、何といっても、現在行なわれた事件を徹底的に糾明することがまず第一だと思っております。
 従来から、今回の事件が起こりましたのも、もっと根本的に捜査したらというような、警察、検察一体になりまして考えたところから始まっておるのでありまして、今回の捜査にあたりまして、過激派集団の組織がどうなっておるか、闘争方針はどうなっておるか、あるいは具体的な計画がどうなっておるかというようなことを、お互いに資料を交換しながら一体になってやっていく必要があるということを痛感もし、また、やってきたのであります。
 第二点としましては、やはり早期に検挙するということでいかなければならぬと思うのでありますし、あくまで厳正な処置をとっていかなければならぬ、かように考えておるのであります。
 さらに第三としましては、もっと科学的な捜査をやっていく、あるいはもっと科学的な装備を考えていくということでなければならぬと思っております。これは早急に確立していかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
 また、今後、刺激をされてこういうような同種の犯行が行なわれるかどうかという危険性につきましては、にわかに私は即断ができない。しかし、いかなることがありましても、それに十分対応することのできるような――破壊活動に対しましてきびしく警戒していかなければならぬ、かように考えておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣高見三郎君登壇〕
#33
○国務大臣(高見三郎君) 受田議員から御意見をまじえてのいろいろな御質問がございました。全部同感だと申し上げていいのでありますが、私は、今日わが国を、と申しますよりは、世界を流れておる風潮の、人間疎外の風潮というものは、これは何としても、幼年期における情操教育というものをもっともっと重視していかなければならぬじゃないかと考えておるものであります。親子の断絶と申しますが、実はこのごろ母親の乳房で育つ子供が少なくなったというところにすら、私は大きな問題を感じておるのであります。これは社会的な要因が多分にあると存じますけれども、私にはそういう感じすらするのであります。
 そこで、大学の問題をお取り上げになりまして、民社党のお出しになりました大学基本法案、私も謙虚に何度も読み返しておるのであります。同感の点が非常に多いのであります。しかし、私は、大学管理法というようなものは、政府が本来出すべきものではないという感じを持っておるのであります。前回やむを得ず管理法案を時限立法として提案いたしましたときの事情は、皆さん御承知のとおりであります。けれども、あくまでも大学の自治というものは尊重しなければならないと考えております。しかしながら、残念ながら、大学に自治能力があるかないかということになりますると、問題なしとしないのであります。私は大学の今後の努力を見守りまして、政府としての判断を下さなければならないと考えております。
 教師の質の改善の問題につきましては、御指摘のとおりであります。待遇の改善もさることながら、私にとって一番大きな問題は、教師自身がまず教師であるということに対する使命感に燃える教師でなければならないと考えておるものであります。(拍手)受田先生は師範学校の御出身であります。教師としての使命感をお持ちになって教壇にお立ちになった、それが今日の受田先生を私はつくっておると思うのであります。(拍手)ことに、今日この赤軍事件を弁護するがごとき言動をなす教官があるとするならば、それは進歩的ではなくて、全く古代の原始人の思想であると申さざるを得ないと思います。(拍手)
 そこで、私は何度も繰り返して申し上げますけれども、教育は、学校体系における教育だけが教育ではない、家庭教育しかり、社会教育しかり、私が特に力を入れておりまする幼児教育、特殊教育というような問題、社会教育というような問題に特に力を入れておりまするのは、人間の生涯を通じての教育を完成したいという念願からやっておるわけでありまして、先生が先ほど御指摘になりました数字はちょっと違っておるようでありますので、訂正をしておきますが、昭和三十年の一三%に比べて、ことしは一一%になった、こうおっしゃいましたが、実は今年度の予算は一兆二千四百億になりまして、二〇・三%になっております。これは何かの誤解があったと思いますので、念のために訂正をいたしておきます。
 それから社会教育につきまして御指摘がございました。御指摘のように、社会教育予算は非常に予算額が少ないのでありまするけれども、それでも前年度に比較いたしまして六四%増という状態にいたしておるのであります。私は、社会教育、家庭教育、これらのものを通じまして、これらの有機的関連に立って教育全体を進めてまいりたいと考えておるわけであります。どうぞよろしく御支援のほどを願います。(拍手)
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#34
○国務大臣(中村寅太君) 受田君の質疑にお答えいたします。
 警察は連合赤軍あるいは極左暴力学生を泳がしておるのではないかという質問でございますが、極左暴力学生集団によります七〇年の安保闘争が本格化いたしました昭和四十二年の十月八日、第一次羽田闘争以来、昨年末までの間に、殉職しました警察官が六名、負傷しました警察官が一万八千余名に及んでおります。今年に入ってからも、連合赤軍による浅間山荘事件だけでも、殉職警官二名のほか、二十二名の警察官が重軽傷を負っておるという痛ましい犠牲者を出しております。
 以上の事実からおわかりいただけるように、警察が暴力学生を泳がせているというようなことは全く事実無根でありまして、きわめて心外に存ずる次第であります。
 警察は、治安維持の責任を果たすために、犯罪を敢行するおそれのある組織やあるいは個人につきましては、重大なる関心を払っております。したがいまして、犯罪行為を未然に防止し、また、犯罪発生の場合はこれを的確に取り締まるため、平素から情報を収集し、分析検討しているのであって、このような警察の活動について善意からなる国民の御協力を得ており、これに対しまして実費程度の謝礼をすることはあります。しかし、治安を守る警察が、不法行為をなす者に資金を出すというようなことは断じていたしておりません。
 殉職者に対する処遇を厚くするようにという御配意、これは総理が先ほどお答えになりましたので、省略させていただきます。
 それから今後の警察の対策等につきましても質問がありましたが、先ほどからお答えいたしておりますので、省略させていただきます。(拍手)
#35
○議長(船田中君) 文部大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。文部大臣高見三郎君。
  〔国務大臣高見三郎君登壇〕
#36
○国務大臣(高見三郎君) たいへん失礼いたしました。
 私が申し上げましたのは、伸び率が二〇%になっているということでございますので、御了承いただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#37
○議長(船田中君) 次に、林百郎君提出、連合赤軍事件に関する緊急質問を許可いたします。林百郎君。
  〔林百郎君登壇〕
#38
○林百郎君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる連合赤軍事件に関し佐藤総理に質問をいたします。
 今回の事件の最大の特徴は、彼らが毛沢東の唯武器論、すなわち、武器を絶対視する理論や、人民戦争万能論を盲信し、実践してきた当然の帰結であり、その自己破産を示すものであったという点であります。彼ら自身の言動によって証明されているように、連合赤軍とは、毛沢東に盲従し、彼らの四つの敵論に従って、日本共産党を完全に粉砕しなければならない、これは、彼らの機関紙「解放の旗」七一年八日一日付に明記してあります。このような呼号をする暴力集団と、社会主義国の転覆、日本共産党打倒を目標とするトロツキスト暴力集団の一派が連合した特殊な反共挑発者集団であります。彼らの思想や行動は、真の共産主義や社会革新運動とは縁もゆかりもありません。そのことは、彼らの実践が生み出したものが、強盗と殺人と自己破産以外の何ものでもなかったという事実が証明しております。
 昨日の朝日新聞の投書欄で、元東京地検検事で、赤軍派を取り調べた経験を持つ近藤弁護士が「連合赤軍に属する人たちを、革命家とか革命の戦士と考えることは、重大な誤解と思われる。彼らは派手好みだけで思想も信念もない。」「確固たる現状の認識もなければ、将来の展望もない。漫画を愛し、共産主義思想の理解はなく、社会改革とは全く縁のない人々である。」こう語っておるのであります。これもまた、彼らの特徴を端的にとらえたものと言えるでしょう。
 そこで、いま、この事件から明らかにすべき最大の問題は、このような反社会的、毛沢東盲従のトロツキスト暴力集団がなぜ今日まで温存されてきたか、今後どうしてこのような暴力集団をなくしていくかという点であります。連合赤軍事件を生み出し、また、彼らに類似の毛沢東盲従分子やトロツキスト各派暴力集団の活動を今日なおはびこらしている重要な原因は、第一に、政府・自民党が、彼らの盲動を日本共産党や革新勢力と何らかのつながりがあるかのように描き出すことによって、革新勢力の姿を国民に誤解させるという政治的効果をねらい、これを利用するという姿勢を取り続けてきたところにあります。そこで、これらの点を中心に総理の所見をただしたいと思います。
 第一に、いま幾つかの大学を拠点に暴行をほしいままにしているトロツキストの一派ブントは、浅間山荘の銃撃戦支援集会を東大、京都大学の構内で開いており、革マルや中核派も同情的論調を掲げました。総則はこういう事実を一体知っておられるのでありましょうか。しかも重大なことは、一九六七年十一月、当時各大学で暴行を繰り返していたこれらのトロツキスト暴力集団に対して、事もあろうに、保利自民党現幹事長は、三派全学連は泳がしたほうがよろしいと、こう公言しているではありませんか。また、一九六九年五月には、中曽根自民党現総務会長が、「佐藤内閣をささえているのは、反代々木系学生だという見方もある。彼らの暴走が、反射的に市民層を反対にまわし、自民党の支持につながる作用を果している。」これが朝日新聞の一九六九年五月三日――と、その政治的効用を大いに諸君の幹部は礼賛しているのであります。
 こうした同一論法から、三月二日の衆議院地方行政委員会で、自民党の中山議員は、連合赤軍事件は共産党がやらしておる、などという暴言さえ吐いているではありませんか。
 政府・自民党関係者のこうした発露や態度が、彼らを甘やかし、泳がせ、はびこらせてきた何よりの証拠であるが、その結果が連合赤軍事件にまで及んだ今日、総理はその責任をどう感じておられるか、その所見を伺うものであります。(拍手)
 第二に、三月二日、衆議院地方行政委員会での私の質問への答弁で、後藤田警察庁長官は、彼らは彼らなりに、今日の青年労働者の意欲が既成左翼の中にくみ取られていない、だから自分たちが銃を持って立たなければならないと考えている、主観的には確信犯だ、というように述べております。これは、彼らをやはり革新勢力の一部であるかのように誤って認識しているか、さもなくば、そう描き出すことによって、革新勢力の姿を国民に誤解させる政治的効果をねらったものとしか解しようがないではありませんか。
 しかし、連合赤軍なるものの正体は、まじめな青年労働者や学生革新勢力とは無縁な強盗集団、残忍、凶悪な反共挑発者殺人集団にすぎなかったという事実の前に、いまやその誤りは明白であります。後藤田長官と富田警備局長は、私の質問に対して、赤軍派の中にも協力者がおり、謝礼金も支払っていると、ちゃんと委員会で答えております。
 一九六〇年安保闘争の当時、小倉警視総監、三井警視庁公安一課長、反共右翼の田中清玄らが、当時の学生組織の首脳部を占めていた唐牛らトロツキストと連絡を持ち、資金を流し、革新勢力の運動の挑発と攻撃に利用したことは、関係者の証言でいまや天下に明らかになっているところであります。
 この十年間、警察が毛沢東盲従分子やトロツキストなどの暴力集団にこのような態度をとってきたところに、彼らをはびこらしてきた重要な原因があります。総理は、警察当局のこのような判断や、暴力集団に対する情報提供の名のもとによる資金提供等の態様が正しかったと思っておられるのかどうか、明確な見解を求めるものであります。(拍手)
 第三に、政府、警察当局は、盲従トロツキスト暴力集団の暴行を警備体制強化の口実として、この十年間弾圧体制を著しく強化してきました。七一年度の警察予産は、六〇年度予算の約四倍にもふくれ上がっています。今回も、中村国家公安委員長は、この事件を契機に、早急に警察装備を強化すると主張しております。また、高見文部大臣は、大学管理の反動的な強化を進めようとしております。警察当局や文部省のこのような態度では、彼ら暴力集団を真になくすることができないことも、この十年間の経過が証明しているところであります。盲従トロツキスト暴力集団を反共、反革新の道具に利用する態度や、これを警察の弾圧体制強化、大学教育の反動化への促進剤として利用する態度を直ちにやめるべきであると思うが、総理のこの点についての所見を伺うものであります。
 最後に、日本共産党は、トロツキストや毛沢東盲従分子発生の当初から、彼らが反民主主義的、反社会的、反共挑発者暴力集団であるという本質を鋭く暴露し、広く国民にその正体を知らせ、彼らを社会的に孤立させ、その盲動を封じるために、一貫してき然として戦ってきたことは、わが党に対する支持が漸次拡大してきているこの事実一つ見てもわかるではありませんか。盲従トロツキスト暴力集団を一掃するためには、政府・自民党が彼らを泳がせ、利用する態度をきっぱりやめること、また、中国の指導者におもねって、盲従分子に批判が加えられないような自主性のない態度を、政治家、知識人、文化人、報道陣が率先してとらないようにする必要があります。トロツキストにいささかでも心情的に同情するような風潮を根絶しなければなりません。こうして初めて効果的に盲従トロツキスト暴力集団根絶の国民的運動を進めることができます。わが党は今後もその先頭に立つ意思を明らかに表明して、私の質問を終わります。(拍手)
#39
○議長(船田中君) ただいま林百郎君の発言中、不穏当の言辞があるとの申し出がありますが、議長は、追って速記録を取り調べることといたします。
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 林君にお答えをいたします。
 私は、日本共産党は合法政党であり、りっぱな政党だ、それぞれの主張は違いますけれども、これは憲法で認められた政党だ、かように考えておりますので、先ほど来のお話を聞くと、いかにも連合赤軍と関係がないということについて特に重点を置いて説明されるが、私などはさようには考えておりませんから、そういう点は、もう少し肩を張って、この問題、ひとつ過激派学生とは縁のないことを確信を持たれることをお願いをいたします。
 そこで、私は、お答えをいたしますが、過激派学生の動きに対しまして、政府が手心を加えているのではないかとの御意見のようでありますが、先ほど来再三申し述べているとおり、彼らの言う暴力革命の主張は、国民多数の支持する民主主義に全く相いれないところであり、過激派集団の違法行為に対しては、従来より厳重な取り締まりを行なっているところであります。このことは、過激派集団による七〇年闘争が本格化した昭和四十二年十月八日から昨年末までの間に、二万八千余名の過激派学生が検挙されている一事をもってしても明らかであります。また、この間に六名の警察官が殉職しており、負傷した警察官の数は一万八千余名の多きにのぼっております。さらに、今回の浅間山荘事件におきましても、殉職警官二名をはじめ、二十二名が重軽傷を負うという痛ましい犠牲者を出しております。
 このようなことからもおわかりいただけるように、政府が過激派学生らを泳がせているとか甘やかしているといった事実は全くなく、きわめて心外であります。政府としては、過激派集団の不法行為に対しては今後とも一そうきびしく対処する方針でありますが、単に取り締まりの面だけではなく、このような風潮を根絶するため、強い世論形成に各界各層の御協力を特にお願いするものであります。
 日本共産党においても、同様に、ぜひともこの種の問題については強い批判を加え、政府に対しての御協力をお願いしておきます。
 次に、彼らの暴力的活動が外国からの援助によるものではないかとの御意見でありますが、これまでのところ、そのような具体的事実は認められません。御承知のとおり、現在の国際関係はいわゆる多極化しつつありますが、このことは、大国、中国、小国を問わず、諸国間に独立自尊の気風が高まっていることのあらわれでもあると思います。自由を守り平和に徹するわが国としては、もとより他国の内政に干渉することはありませんが、かりに諸外国から御指摘のような干渉があれば、これに断固たる態度で臨むことは申すまでもありません。
 次に、いわゆる赤軍派と称する過激派集団が、共産主義革命を主張し、これを実現するためには暴力に訴えることも当然と呼号しているため、大きな社会問題として各方面でいろいろな議論を呼んでおります。これは、すでにわが国において定着した議会制民主主義を否定し、暴力によって現在の社会体制に変革を加えようとするものへの国民の怒りの声でもあると信じます。林君の最後の御質問に関しまして、政府としては、正しい民主主義の発展のために今後とも全力を尽くす所存であります。このことをはっきり申し上げて、御理解を得たいと思います。(拍手)
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#41
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時四十三分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 高見 三郎君
        国 務 大 臣 中村 寅太君
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ソース: 国立国会図書館
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