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1971/05/19 第68回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第30号
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1971/05/19 第68回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第068回国会 本会議 第30号

#1
第068回国会 本会議 第30号
昭和四十七年五月十九日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十六号
  昭和四十七年五月十九日
    午後二時開議
第一 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びに
 その環境の保護に関する日本国政府とアメリカ
 合衆国政府との間の条約の締結について承認を
 求めるの件
第二 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す
 る法律案(第六十七回国会、内閣提出)
第三 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
第四 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
第五 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
第六 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類
  並びにその環境の保護に関する日本国政府と
  アメリカ合衆国政府との間の条約の締結につ
  いて承認を求めるの件
 日程第二 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を
  改正する法律案(第六十七回国会、内閣提
  出)
 日程第三 所得税法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 日程第四 法人税法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 日程第五 相続税法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 日程第六 農林漁業団体職員共済組合法等の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案
  (建設委員長提出)
 赤城農林大臣の農業基本法に基づく昭和四十六
  年度年次報告及び昭和四十七年度農業施策に
  ついて並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和
  四十六年度年次報告及び昭和四十七年度沿岸
  漁業等の施策についての発言及び質疑
    午後二時五分会議
#2
○副議長(長谷川四郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件
#3
○副議長(長谷川四郎君) 日程第一、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について、承認を求めるの件を議題といたします。
#4
○副議長(長谷川四郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員長櫻内義雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔櫻内義雄君登壇〕
#5
○櫻内義雄君 ただいま議題となりました渡り鳥及び絶滅のおそれのある馬瀬並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 政府は、米国との間に、渡り鳥等保護条約を締結するため、昭和四十三年以来、二回にわたり日米間で専門家会議を開催する等交渉を行なってまいりました結果、合意が成立いたしましたので、本年三月四日東京において本条約に署名を行ないました。
 本条約は、日米間の渡り鳥につきましては、その捕獲及び卵の採取は禁止されるものとし、また、国内法によって認められている例外の場合を除き、不法に捕獲または採取された渡り鳥、その卵及びそれらの加工品等の販売及び購入等も禁止されることとなっております。
 絶滅のおそれのある鳥類につきましては、その保存のために特別の保護が望ましいことに同意し、これらの鳥類及びその加工品の輸出入を親制することとしております。
 このほか、日米間でこれら鳥類の研究に関する資料を交換し、かつ、鳥類の環境を改善するために適当な措置をとるようつとめることとしております。
 本件は、三月十八日本院に提出され、同日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聴取し、質疑を行ないましたが、その詳細につきましては会議録により御了承を願います。
 かくて、質疑を終了しましたので、五月十七日採決を行ないました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○副議長(長谷川四郎君) 採決いたします。
 本件は委員、長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○副議長(長谷川四郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部
  を改正する法律案(第六十七回国会、内閣
  提出)
#8
○副議長(長谷川四郎君) 日程第二、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#9
○副議長(長谷川四郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長伊能繁次郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔伊能繁次郎君登壇〕
#10
○伊能繁次郎君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の、要旨は、
 第一に、自衛官の定数を、海上自衛官六百六十三人、航空自衛官六百四十三人、統合幕僚会議の自衛官五人、計千三百十一人増加し、予備自衛官の負数を三千三百人増加すること。
 第二に、防衛庁本庁の付属機関として、自衛隊離職者就職審査会を設置し、隊員の営利企業への就職の際に要する長官の承認は、同審査会の議決に基づいて行なわなければならないものとすること。
 等であります。
 本案は、第六十七回国会に提出され、今国会に継続されているものでありまして、今国会におきましては、四月二十五日政府より提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入り、前後五日間にわたり熱心な審議を行なってきたのであります。
 質疑の論点は、文民統制を実効あらしめるための適切な措置、極東情勢の変化と自衛隊増強の必要性、第四次防衛力整備五カ年計画の戦略構想と自衛力の限界、自衛隊の沖繩配備をめぐる諸問題、沖繩返還を契機とする事前協議制度の再検討、在日米軍当地におけるベトナムへの補給活動の実情等、わが国の防衛の基本に関する各般の問題にわたって行なわれたのでありまするが、その詳細はすべて会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 かくて、五月十七日質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#11
○副議長(長谷川四郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#12
○副議長(長谷川四郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 所得税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第四 法人税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第五 相続税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#13
○副議長(長谷川四郎君) 日程第三、所得税法の一部を改正する法律案、日程第四、法人税法の一部を改正する法律案、日程第五、相続税法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
#14
○副議長(長谷川四郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長齋藤邦吉君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔齋藤邦吉君登壇〕
#15
○齋藤邦吉君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、先の年内減税における所得税の一般減税に引き続き、今次税制改正の一環として、老人扶養控除の創設、寡婦控除の適用範囲の拡大などを行なうもので、その内容は次のとおりであります。
 すなわち、年齢七十歳以上の老人扶養親族について、通常の扶養控除十四万円にかえて十六万円の老人扶養控除を設け、また、これまで寡婦控除が適用されていなかった扶養親族のない未亡人について、年所得百五十万円以下の場合には、その控除の適用を認めることといたしております。
 また、源泉徴収の対象となる報酬、料金等の範囲に工業所有権の使用料を加えるほか、確定申告の際に提出する財産債務明細書の提出不要限度を、年所得一千万円から二千万円に引き上げることといたしております。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、中小法人の税負担の軽減と内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得に対する課税を軽減しようとするものであります。
 すなわち、課税留保所得を算定する場合に控除する定額控除額について、現行の二百万円から三百五十万円に引き上げることといたしております。
 最後に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、今次税制改正の一環として次の改正を行なおうとするものであります。
 まず、配偶者に対する相続税額の軽減措置の拡充であります。すなわち、現在、配偶者につきましては、遺産額が三千万円の場合を限度としてその法定相続分、通常は一千万円までの取得財産に対し相続税を課税しない趣旨軽減措置が設けられておりますが、夫婦の財産形成の上で妻が大きな役割りを果たしていることを税制上さらに評価するため、法定相続分のいかんにかかわらず、その婚姻期間に応じ、最高三千万円までの取得財産に対し相続税を課税しない趣旨の新たな軽減措置を加え、いずれか有利なものの選択を認めることとし、その拡充をはかる事といたしております。
 次に、社会福祉の一環として、心身障害者の相続税額から、七十歳に達するまでの一年につき、一般の心身障害者は一万円、重度の心身障害者は三万円を控除する障害者控除を新設する事といたしております。
 また、不動産に関する物納制度の整備その他所要の改正を行なうことといたしております。
 これら三法律案につきまして、当委員会は、去る五月十七日質疑を終了いたしましたが、質疑応答の詳細は会議録に譲ることといたします。
 これら三法律案に対しまして、昨十八日、山下元利君より、それぞれの修正案が提出されました。その内容は、いずれも本年四月一日とされておりました法施行日を「公布の日」に改めるとともに、それに伴う所要の措置を講ずることといたしたものであります。
 次いで、三法律案について順次採決いたしましたところ、所得税法の一部を改正する法律案、並びに法人税法の一部を改正する法律案につきましては、修正案並びに修正部分を除く原案は多数をもって可決され、相続税法の一部を改正する法律案の修正案並びに修正部分を除く原案は全会一致をもって可決され、よって、三法律案はいずれも修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#16
○副議長(長谷川四郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#17
○副議長(長谷川四郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#18
○副議長(長谷川四郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第五につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○副議長(長谷川四郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第六 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#20
○副議長(長谷川四郎君) 日程第六、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
#21
○副議長(長谷川四郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長藤田義光君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔藤田義光君登壇〕
#22
○藤田義光君 ただいま議題となりました農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、農林漁業団体職員の共済制度の円滑な運営に資するため、給付に要する費用に対する国の補助率の引き上げ、任意継続組合員となることができる者の範囲の制限及び標準給与の月額の下限の引き上げを行なうとともに、国家公務員共済組合等からの年金に準じて、既裁定の年金の額の改定及び年金の最低保障額の引き上げ等を行なおうとするものであります。
 委員会におきましては、四月二十五日赤城農林大臣から提案理由の説明を聴取し、その後、慎重に審査を重ね、五月十七日質疑を終了いたしましたところ、本案に対して、角屋堅次郎君外二名提案による修正案、津川武一君提案による修正案、及び委員長提案による修正案がそれぞれ提出され、五月十人目採決の結果、角屋堅次郎君外二名提案による修正案及び津川武一君提案による修正案を否決し、委員長提案による修正案を可決し、結局のところ、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本修正は、全国農業共済協会等三法人の職員の年金について、本共済組合加入前の厚生年金保険期間をも組合員期間とみなし、これを通算すること等を内容とするものであります。
 また、本案に対し、附帯決議が付せられました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#23
○副議長(長谷川四郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○副議長(長谷川四郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
#25
○藤波孝生君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#26
○副議長(長谷川四郎君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○副議長(長谷川四郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#28
○副議長(長谷川四郎君) 安員長の報告を求めます。商工委員長鴨田宗一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔鴨田宗一君登壇〕
#29
○鴨田宗一君 ただいま議題となりました特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、最近におけるわが国の繊維工業を取り巻く情勢は、先進諸国の輸入制限、発展途上国の追い上げ、円平価の切り上げ等、国際環境は大きく変化し、国内においても企業の過少過多、生産・取引体制の近代化のおくれ、労働力需給の逼迫等、深刻なる問題が山積しております。
 本案は、このような繊維工業の置かれているきびしい実情に対処し、昭和四十二年より実施されております紡績業及び織布業の構造改善事業に対する措置を引き続き講ずるとともに、繊維工業構造改善事業協会の業務の拡充等をはかろうとするものでありまして、そのおもなる内容は、
 第一は、特定紡績業構造改善基本計画の目標年度を昭和四十六年度より昭和四十八年度に改めるとともに、特定紡績業及び特定織布業の構造改善期間を二年間延長し、昭和四十九年六月三十日までとすること。
 第二は、特定精紡機の一括処理の完了に伴い、特定精紡機の処理にかかる規定を削除すること。
 第三は、協会に振興基金を設け、新商品または新技術の開発、海外市場調幾等の事業に必要な資金に充てるための助成金の交付並びに特定紡績事業者が行なう構造改善に関する事業に必要な資金の貸し付け及びその借り入れにかかる債務の保証の業務を加えること。
 等であります。
 本案は、去る四月十一日当委員会に付託され、同月二十五日田中通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以来、参考人から意見を聴取する等、慎重に審議を重ね、本十九日質疑を終了し、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、今後あるべき繊維工業のビジョンの確立、構造改善事業の円滑な推進等に関し附帯決議が付せられました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(長谷川四郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#31
○副議長(長谷川四郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律
  案(建設委員長提出)
#32
○藤波孝生君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、建設委員長提出、日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#33
○副議長(長谷川四郎君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○副議長(長谷川四郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案を議決といたします。
    ―――――――――――――
#35
○副議長(長谷川四郎君) 委員長の趣旨弁明を許します。建設委員長亀山孝一君。
  〔亀山孝一君登壇〕
#36
○亀山孝一君 ただいま議題となりました日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 本案は、日本勤労者住宅協会の財政的基盤の安定と事業の実績等にかんがみ、その業務の改善をはかることを目的とするもので、その内容は次のとおりであります。
 第一に、建設大臣の監督規定を整備し、法令等の違反に対して適切な措置を講ずることといたしております。
 第二に、協会に対して宅地建物取引業法の規定の適用はしないことといたしております。
 なお、附則で本法施行に伴う営業保証金の処理等、所要の規定をいたしました。
 以上が本案の提案の理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○副議長(長谷川四郎君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○副議長(長谷川四郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 赤城農林大臣の農業基本法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度農業施策について並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度沿岸漁業等の施策についての発言
#39
○副議長(長谷川四郎君) 農林大臣から、農業基本法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度農業施策について、また、沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度沿岸漁業等の施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣赤城宗徳君。
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#40
○国務大臣(赤城宗徳君) 昭和四十六年度農業の動向に関する年次報告及び昭和四十七年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十六年度農業の動向に関する年次報告について申し上げます。
 わが国の農業は、内には、長期を要する構造改善の過程において米の過剰、物価問題等に面面し、外には、経済の国際化に早急な対応を迫られるなど、きわめてきびしい局面に立ち至っているのであります。
 このような情勢のもとにおいて、農業の他産業に対する比較生産性の格差は、前年度に引き続き拡大しております。これは、農業の生産が米の生産調整の実施等により前年度よりわずかに低下し、また、農産物生産者価格が停滞的に推移したことがおもな要因であります。
 しかし、農家の生活水準は、農外所得の増加等により向上を続けており、勤労者世帯と比較してほぼ遜色のない水準に達しております。
 次に、農業の構造についてみますと、農業就業人口の減少にもかかわらず、農家戸数の減少は緩慢で、耕地規模の拡大による農業経営の発展は必ずしも順調な進展を見せていないのであります。このような中で、多くの農家は、兼業により農外所得に依存する傾向を強めておりますが、農業に意欲のある専業的農家は、土地の制約の少ない中小家畜、施設園芸等の部門において規模拡大を志向しているのであります。
 以上のような農業の動向のもとにおいて、今後、経済の成長とその国際化の進展に対処して、農業の均衡ある発展をはかるためには、何よりもまず、わが国農業が国際競争場裏において競争できるようその体質改善をはかることが肝要であり、このため、農業生産及び流通加工等の体制を団地的に再編整備し、先産性の向上を通ずる高能率な農業の展開をはかることが必要であります。また、農業、農家及び農村については、その役割りをあらためて見直すべき時期に来ており、農村地域の整備開発につきましても農村地域住民の福祉の向上、自然環境の保全等の総合的視点に立ってこれを推進する必要があるのであります。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部におきましては、昭和四十六年度を中心として、講じた施策を記述しております。
 最後に、昭和四十七年度において講じようとする農業施策について申し上げますと、以上のような農業の動向に対処するため、農業基本法の定めるところに従い諸情勢の推移を織り込みまして、農政の本格的展開をはかることとしております。このため、四十七年度におきましては、わが国農業の体質改善と農業生産の再編成をはかることを基本とし、農業構造の改善、農業団地の形成、農業生産基盤の整備、価格、流通対策の強化、農村の整備開発など各般の施策を推進することといたしております。
 以上をもちまして概要の説明を終わります。
 次に、昭和四十六年度漁業の動向に関する年次報告及び昭和四十七年度において沿岸漁業等について講じようとする施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。わが国の漁業生産は、四十五年には九百三十二万トンと史上最高を記録しておりますが、国民経済の発展に伴う食生活の向上により、高度化、多様化しつつ堅調に推移している水産物の需要に十分対応するまでに至らず、水産物の価格の上昇はかなり大きくなっております。また、海洋の水産資源の一般的な状況は、必ずしも楽観を許さないものがあります。
 漁業経営体数は、近年微増しておりましたが、四十五年度にはやや減少しております。これは、その大部分を占める沿岸漁業経営体数の減少と、中小・大規模漁業経常体数の伸びの鈍化によるものであります。
 また、就業者数は、近年減少傾向にあり、引き続き女子化、高齢化が進んでおります。
 沿岸漁業の平均漁家所得は、農家及び都市勤労者世帯の平均を上回っておりますが、世帯員一人当たりでは、都市勤労者世帯の八割程度となっております。
 中小漁業経常では、生産量の増加や価格の上昇等により、その収益性は、業種により差がありますが、平均では前年に比べわずかに上昇しております。
 最近におけるわが国の漁業をめぐる内外の諸情勢は、公害による漁場環境の悪化、国際規制の強化、労働力事情の逼迫等きわめてきびしいものがありますが、水産資源の開発等により生産の増大につとめ、水産物の安定的供給を確保するとともに、漁業従事者の所得の増大により生活水準の向上等をはからねばならないと考えております。
 次に、沿岸漁業等について講じた施策は、四十五年度及び四十六年度において沿岸漁業及び中小漁業について講じた施策を明らかにしたものであります。
 最後に、昭和四十七年度において沿岸漁業等について講じようとする施策について申し上げます。
 ただいま御説明いたしました漁業の動向に対処するために、政府といたしましては、水産動植物の増養殖の推進、新漁場の開発等による水産資源の維持増大、漁港等漁業生産基盤の整備、沿岸漁業構造改善事業の推進、沿岸漁業及び中小漁業の近代化、水産物の流通加工の合理化及び漁業従事者の福祉の増進等に重点を置いて、諸施策の推進をはかることといたしております。
 以上、その概要について御説明した次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 農業基本法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度農業施策について並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十六年度年次報告及び昭和四十七年度沿岸漁業等の施策についての発言に対する質疑
#41
○副議長(長谷川四郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。
 まず、農業の年次報告等についての質疑を順次許します。江藤隆美君。
  〔江藤隆美君登壇〕
#42
○江藤隆美君 私は、ただいま農林大臣から御説明のありました昭和四十六年度における農業の動向並びに昭和四十七年度において講じようとする農業の施策に関連して、自由民主党を代表して、佐藤総理をはじめ関係大臣に質問を行ないたいと存じます。
 政府は、昭和三十六年度から、農業基本法に基づいて年次報告を国会に提出してきたのでありますが、申すまでもなく、農業基本法は、農業と他産業との出産性の格差を是正し、生活水準の均衡をはかる、そして自立経営農家の育成をはかることを目標として、農民に未来の夢を持たせることがその目的であったと言えます。
 しかし、現実の姿はどうかというと、この白書が示すとおり、農業と製造業との比較生産性は、昭和三十五年度の二八%から、四十五年度には三一・四%にわずかに上昇したにとどまり、近年は、昭和四十二年度の三九%をピークとして、例年低下の傾向にあると白書は指摘しております。また、農家の生活水準については、その格差は縮まったとはいいますものの、その実、農外所得の増加によりかろうじてささえられてきておることも、否定はできません。さらに、自立経営農家の割合は、昭和三十五年度が九%でありましたが、四十五年度には七%に低下しております。このきびしい事実を今回の白書は物語っておるといえるであろうと私は思います。
 このような前提のもとに、まず佐藤総理にお尋ねをいたしたいと思いますことは、わが国は、世界に類例のない経済成長をなし遂げました。その中で、将来とも、わが国の主要な食糧については、原則として自給自足という国の基本方針を貫いていこうというお考え方に変わりはないのかどうか。また、今回、第十一回目の白書を国会へ提出されたわけでありますが、農業所得が、わずかとはいえ、前年よりへこみを見せたというのは、今回が初めてであります。この原因はどこにあったとお考えでありましょうか。白書を通じて、農業に対する認識と今後の展望について、総理の率直な御意見を賜わりたいと存じます。
 さらに、激しい国際化と自由化の波の中において、わが国の農業が、はたして自由化に対応し得るような近代性を今日備えつつあると総理はお考えになっておるかどうか。そのような体質改善が進んでおると総理はお考えであるかどうか、お尋ねをいたします。そして、政府が勇断をふるって新しい農政の方向を展開せざる限り、農民自身はあすへの活力を失いつつあるという現実に目をつぶってはなりません。虚心たんかいに総理の御心境を伺いたいものであります。
 次に、農林大臣にお尋ねをいたします。
 わが国を取り巻く情勢は、中ソの深刻な対立、ニクソンの訪中による米中の接近、あるいはアメリカの経済破綻、そして国内的には、円の切り上げ、自由化、公害、米の減反、農村から都市への人口の流出など、昭和三十六年にこの基本法を制定した当時とは、大きく様相を一変したと言えます。全く想像の及ばなかった事態が今日農業の周辺を取り巻いておるといっても過言ではないでありましょう。
 そこで、政府は、新経済社会発展計画や新全国総合開発計画等の手直しもいま行なっておるとか承っておりますが、農業とても、移り変わる情勢の中で、そのらち外であり得るはずはありません。近年の諸情勢の変化に対応し、新たなる発想に基づいて、農業の憲法ともいうべき基本法をはじめ、農業構造改善事業等の一連の施策について、大胆な手面しと改定を必要とする時期が来たと思うのでありますが、農林大臣はいかがお考えでありましょうか。(拍手)
 現在、米の生産調整に伴い、野菜をつくれ、くだものをつくれ、あるいは畜産をやれと言われます。しかし、農民の心の中には、いつも言い知れない不安があります。これでだいじょうぶなんだろうか、このままでやっていけるのだろうかという、その心配であります。その不安と心配を一掃せざる限り、新しい農業へのエネルギーを開拓することはできないのであります。(拍手)それは端的に言うならば、価格の不安定もさることながら、常に、事あるごとに、農村の周辺に押し寄せてくるものは自由化の波であります。この際、政府は、自由化をすべきものと自由化をしてはならないものとを、はっきりと明らかにする必要があります。そして、その自由化をしなければ国内の需給の成り立たないもの、基幹作物であるから自由化をしてはならないもの、そのおのおのについての長期展望をやり直して、そして新しい長期計画と実行可能な対応策を、大胆に国民の前に示すべきであると私は考えております。
 日本の農業は、欧米の農業と、その規模、資本力、歴史的な背景において、非常に異なっております。きわめて国際競争に耐えがたい体質を持って今日に及んできた産業であると言えます。米の転作による主幹作目と定められた作物といえども、いまだにきわめて不安定な状態にあるとも脅えます。私は、自由化に対して未来永劫に反対をしようというものではありません。むしろ、その時期が来るとするならば、進んで自由化をすべきであろうと思います。しかし、米、牛肉あるいはくだもの、特定の蔬菜のような基幹作物については、それ自体が自分自身で国際競争に耐え得るだけの体質を持つまでは、どこのどの国が何と言おうとも、絶対に自由化をしないという政府の変わらざる方針が望まれるのであります。その意味において、いやしくも、なしくずしの自由化は絶対に避くべきでありますし、また、そうすることが、わが国が新しい自主独立の経済外交路線を踏み出す基本的な方針でなければならないと思っておるのでありますが、このことについても農林大臣の所見を承ります。
 けさのマスコミは、アメリカのエバリー通商代表が来日をして、電算機をはじめ農産物の自由化を強く迫っていると伝え、あるものにおいては日米の経済戦勢が再開すると、聞く者をしてきわめてショッキングな報道を行なっております。また一方、円対策七項目が明日の関係閣僚会議でもって決定されるといわれておりますが、その内容について農林大臣にお尋ねしたいことは、以上、自由化について申し上げましたような農民の不安は当たらないと、大臣はここで言明されることができますかどうかを承っておきたいのであります。
 ここで、外務大臣にお尋ねを申し上げます。
 日本の外交は大きな転換期に立ちました。日本の農業も同じく大きな転換期に立たされております。今日、日本が平和外交を進め、そして経済自立、国民の生活の安定をはかっていこうという、その過程において、外交交渉で必ず問題になってくるのが農産物の自由化であることは、私は想像にかたくないと思います。しかしながら、少なくともさきに申し上げましたような状況のもとでは、日本の農産物を外交の具に供してはならないと私は思っておるのでありますが、外交の責任者であります外務大臣のこれらについての御所見を賜われば幸いに存じます。
 さて、さきに自由化をすべきもの、すべからざるもの、おのおのを設定すべきであると申し上げました。そうするならば、自由化をしてはならないもの、これから基幹作目としてどうしても伸ばしていかなければならないものをきめた暁においては、いまの制度をもう一度見直してみる必要があります。
 今日の農政は、伸びようとする農民に制度のワクをはめ、一方では数多くの補助金によって、補助金依存の安易な気持ちを醸成させてきた面が一部なしとはしないのであります。私は、今日そうした補助金の行政から、大きく金融対策を重視する長期低利の金融制度を取り入れた方向に農政を転換していく必要を感じるものであります。
 いまの金融、補助制度は、あまりにも複雑多岐であります。昨日農林省から資料をとってみましたけれども、私自身が幾ら読んでもわからないのであります。数を数えること自体がたいへんであります。その中が、金利も違えば、制度も違う、償還期限も違う、いろいろとむずかしい。そういうものが今日の農村に適合するはずがないのであります。私は、この際、系統金融を含め、制度の洗い直し、そして交通整理をはかって、抜本的な農業金融の体系をここに確立する必要を感じるのでありますが、農林大臣はいかがでありましょうか。
 最後に、生鮮食料品の問題について、ここであえて私は大蔵大臣にお尋ねをしてみたいと思います。あるいはこのことについては農林大臣にと思いましたけれども、この機会に私はあえて農林大臣ではなくて大蔵大臣に質問をさせていただきます。
 一昨年の秋から去年の春にかけて秋冬野菜が非常に値上がりをいたしました。その当時、産地ではずいぶんと安い値で、買い手のない野菜を買いたたかれたのであります。本会議においても、あるいは各般の委員会においても、このことはしばしば議論をされてきたところであります。私は、この生産地では安くて生産地が泣き、消費地では野菜の値段が上がって消費者が困って、今月に至るまで政治が失った信頼は金にかえがたいものがあると思っております。少なくとも生鮮食料品を安定した価格で安定して供給するということは、もはや単なる経済活動ではなくて、政治の今日大きな責任であると考えるのであります。(拍手)
 顧みて、わが国は敗戦直後に廃墟の中から日本の経済復興をなし遂げました。それはアメリカの見返り資金を開発銀行につぎ込んで電力を起こし、石炭を掘り、鉄をつくり、船をつくって、日本の財政の立て直しをはかってきました。いま日本の農業はそれを求めておるのであります。思い切った財政投資と、為政者の理解と温情があるならば――いま世界で食糧の困っておる国は、どの国を見ても社会主義国家あります。食糧があり余って出産過剰に悩んでおる国は、先進自由主義国家であることを忘れてはなりません。(拍手)日本の農民はそれだけのエネルギーと英知を持っております。戦後の財政復興をなし得たごとく、私は大蔵大臣が勇断をもって国の財政の方向を転換し、農業に対する大幅なてこ入れをされることを心から願うがゆえに、あえて大蔵大臣の所見を求める次第であります。(拍手)
 以上をもちまして、質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#43
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 江藤君にお答えをいたします。
 今日のわが国農業の生産性及び農家の生活水準は、農業基本法制定暫時に比して著しい向上を示しております。すなわち、労働出産性はこの十年間に二倍近い向上を示し、また、農家の世帯員一人当たりの家計費で見た生活水準は、勤労者世帯のそれに対して九五%の水準に達しております。
 しかし、最近のわが国農業をめぐる諸情勢はきわめてきびしいものがありますが、このような中にあって経営規模の拡大等を進めている意欲ある農家が育っていることも事実であり、今後の農政の推進にあたっては、国民の食生活安定のために、このような農家を中核としてその育成と生産の組織化をはかり、生産性の高い近代的な農業を確立するよう努力する必要があると考えております。
 ただいま、いわゆる貿易の自由化について、農業については特例を設けろ、こういうお話がございましたが、わが国の経済の基本的原則におきまして、自由化、その方向でただいま諸施策を進めておる最中でございます。
 私は、農業が一日も早く合理的され、さらにその生産を高めて、国際競争力を十分持ち得るようなそういう農業になることを心から願っておる次第でございまして、これらの点では誤解のないようにお願いをいたします。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#44
○国務大臣(赤城宗徳君) 私のほうに対する質問の第一は、農業基本法に関連して新経済政策あるいはまた新全国総合開発計画等を進めておるが、農業との関係でどうかということでございます。
 政府といたしましては、経済の動向に対応しまして、経済企画庁を中心に新しい長期経済計画を策定することとしております。また、新全国総合開発計画の総点検を行なうこととしております。農業が国民経済の一環として健全な発展を遂げるための方向等、諸施策をこの新しい経済計画の中に織り込むべく、今後十分検討を行なっていきたいと考えます。
 そこで、農業基本法制定当時と情勢が変わっておるから、農業基本法をこの際改定してみたらどうか、こういう御意見でございますが、農業基本法に書いてあります、目標としております生産性の向上と生活水準の均衡、この点につきましては、生産性の向上、ことに労働生産性は相当上がっております。なお、生活水準の均衡も、先ほど白書で申し上げましたように、農業外と相当均衡がとれてきております。それからまた、農業生産の選択的拡大ということで、米からほかのほうへ転換するという方向も相当進んでおります。あるいは農業の構造政策、これも進めております。あるいは農産物価格の安定、これにも尽力をいたしております。こういう点においては、農業基本法に目標としているところが、別にまずいことではございませんで、その方向に着々進めておるのでございます。
 また一つは、専業農家、自立経営農家の育成ということが農業基本法にありますが、これは残念ながらそこまでいきません。自立経営農家は一五%ぐらいになりまして、八五%が第一種、第二種兼業農家というような情勢で、目標の方向には進んでおりません。でございますけれども、それだからといって基本法全体をこの際改定すべきかということでございますが、基本法の目標としておることは、権利、義務を規定しておるものではございませんで、農業の行くべき方向を書いておくのでありまして、その方向についてはあながち私は間違いはないと思います、目的を達しない面もありますが。
 そういう面から考えまして、現在農政の基本としては、農業基本法にうたっていることも変わりはないのでございますので、これを改定するという考えは持っておりません。しかし、基本法の目標を達成するための手段、方法につきましては、内外の諸情勢の変化に即応して検討を加えていきたい、こう考えます。
 第二に、農産物を自由化するものと自由化しないものとをはっきり明確にして施策を展開しろ、こういうことでございますが、いまのところ農産物は自由化を進めてきまして、現在においてこれ以上自由化を進めるというような考えは、いま全然持っていません。でございますから、自由化すべきものと自由化をしないものとを分けてみろといったって、全部自由化したくないのでございますから。そういうような現在の状況でございます。でございますので、結論的に申しますと、先ほど総理が言いましたように、いま農業政策を進めて、国際競争にたえ得るような農業に持っていきたい、体質改善をしていきたい、こういうことで、せっかく骨を折っているのでございますから、そういう段階に来ない前に、いま自由化しようというようなことは、私どもは全然考えておりません。
 エバリー代表の話も出ましたが、きょうも詳しい話はしませんでしたが、日本の自由化を迫るような要素は、私との話では全然なかったわけであります。そうしてまた、私は、日本の農業とアメリカの農業と、こういうものをよく検討してもらいたい。その上で、確かに国際収支の不均衡はあるけれども、全体的に見れば日本のほうは黒字で、アメリカのほうは赤字になっておるかしらぬが、農産物に限っては日本のほうが赤字でアメリカのほうが黒字になっているんだ、こういうようなことをよく認識してもらいたいというようなことを話しておきました。そうしたら、アメリカの農務長官を招待するかということでございまするから、ぜひ来てもらいたい、来て日本の農業事情も見てもらいたい、こういうことで、アメリカの農務長官を招待することをさっき約束したばかりなんです。
 第三は、この農業政策で、補助行政でなく金融行政に変えていけ、こういう御意見でございます。
 農業というものは、よく世間では、私は農業の立場に立っているから言うのではございませんが、農業を甘やかし過ぎているとか、国は補助し過ぎておる、こういうことを言いますが、農業の本質が、工業などと比較して、生産性も上がらないし、あるいはマスプロ化できるわけでもなし、天候を相手にしているようなものでもございまするから、これはやはり国として相当助成するというか、金を出していかなければ、農業というものはこれは存立しないものでございます。これは日本ばかりではございません。全世界どこでもそうであります。でございまするから、これは補助されているんだと、こういうことじゃなくて、当然国として助成をすべき性格のものだと思うのであります。(拍手)しかし、金融との関係もありますが、でございまするので、基盤整備だとか、あるいはまた構造改善とか、長期的なものですから、こういうものには補助的に金を出してやっていかなくちゃなりません。しかし、農家の経営というような企業的な面においては、できるだけ金融面をもって、農家がみずから立っていくという気概を与えるためには、やはり金融面でこれを力づけていく、こういうことが必要であると思います。
 そこで、その金融が非常に複雑であるということでございますので、金融の近代化という点にもいま検討を続けて、なるたけ簡素に、そうして長期に、そうして低利に、ほかとの関係もありますから、私一人で言ってもなかなかそうはうまくできないのですが、そういう方向をもって農林金融政策をやっていきたい、こういうふうに思っています。
 それから、食糧の安定的供給をしていかなくちゃならぬ、これは私は、日本のこれからの農業政策は、一つは、日本の農業というものを高能率のものに持っていって、国際競争力にもたえ得るようにして持っていかなければ、あとからあとから、自由化だ自由化だと言われるたびに、これを拒否するのが骨折れてかなわないです。ですから、どうしてもこれは日本の農業が国際競争力を持てるようにしていくということが一つの目標。
 もう一つは、やっぱり食糧を全国民に供給しているのですから、どうしても需要と供給のバランスを持たなければ、幾らつくっても収入が減るということでは、豊作貧乏になっちゃいますから、どうしても需要と供給とのバランスをとる、こういうことが必要でございます。需要と供給とのバランスをとって食糧の安定的供給をするというのが、農業としての使命だと思います。そういう面におきまして、余ったものは、しかたない、これは少しは出産調整もしなくちゃならぬ。足らぬものは、自給率を強めてそうして国内でまかなえるようにするような方向へ持っていく。それについて相当の財政投資をする――これは大蔵大臣に対する質問でございまするから、私の答弁のあれではございませんから申し上げませんが、安定的供給、この財政の投資は大蔵大臣のほうへ申し上げまするが、しかし、先ほど申し上げましたように、どうしても国が支持しなければ農業というものは滅亡するものでございまするから、よく見きわめて、出すべきものは出してもらいたい、こういうふうに考える次第であります。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#45
○国務大臣(水田三喜男君) 財政政策と金融政策についての御注文もいま承りましたが、農産物の価格安定ということは、単に農家所得の安定、確保のためだけではなくて、消費者の家計安定につながる重要な問題でございますので、今年度の予算におきましては格段の配慮をしたつもりでございます。すなわち、何と言っても、これは構造政策による生産性の向上をはかることが必要でございますので、これを中心とした生産基盤の整備というようなものは、本年度二千七百億円以上を計上してございますので、従来から見ましたら、画期的と言っても差しつかえないのじゃないかと思います。また、急激な価格の変動を避けるということが必要でございますので、需要供給の動向に沿った年産の指導をするという指導対策、それから効率的な流通をはかるといういわゆる流通対策というようなものは、物価関連費と称せられておるものでございますが、生鮮食料だけについても本年は二百六十五億円を計上しておるというようなことでございますので、食管の管理費五千億円を除いた農業予算は七千八百億円ということでございますので、予算の伸びをはるかに凌駕して二五%ということで、農業予算としては相当の伸びでございますが、これがやはり御指摘のようにこれからの農業政策の方向であると私は考えております。
 同時に、金融問題が出ましたが、政策金融は、おっしゃられるとおり複雑多岐でございます。この整理をする必要がございますが、なぜ政策金融がこういうふうに複雑になっておるかと申しますと、やはり全体の日本の金利水準が高いということが一番の原因で、そのために実情に沿ったいろいろなくふうがこうされて、こういう複雑な金利体系をとっているというふうに思いますので、いまの国際的な情勢、日本の最近の金融情勢から見まして、やはり日本の金利水準というものをもう一歩下げるということをやることによってこういう問題の解決をはかることが、本筋的な解決策であるというふうに考えて、いま政府はそういう方面でいろいろ検討中でございます。(拍手)
  〔国務大臣稲田赳夫君登壇〕
#46
○国務大臣(福田赳夫君) 江藤君から、自由貿易体制の中における農業への心配、これがるる述べられたわけであります。
 いま私は、世界の経済情勢の前途につきましてたいへん心配しているのです。御承知のように、アメリカには根強い保護貿易主義への働きがあるわけです。それが、いま国際収支が非常に悪い、また物価は非常にむずかしい段階にある、そういうようなことから、アメリカにおける根強いこの保護貿易主義というものがさらに勢いを得る、こういう傾向も見られるわけであります。そういうことになりますと、あの巨大なアメリカ経済が保護貿易主義になった、そうしますと、これは世界じゅうに波及します。わが国も、またECの諸国も、その他の国々も、対抗手段をとらなければならぬ。そうすると、これは世界経済の総沈みになってしまいます。これは第二次世界戦争前のような悲劇を繰り返さないとも限らない。わが国は、世界の第一の経済大国であるアメリカや、あるいは第二の大国であるソビエト・ロシアと違いまして、資源を国の中に持たない。そうでありまするから、自由貿易体制で世界があること、これにはわが国ほど重大な関心を持っている国はないはずであります。でありますから、どうしてもこの自由貿易体制の維持、保護貿易体制の台頭阻止、これにはわが国が先頭に立って戦わなければならぬ立場にある。そういうことを考えますと、わが国の経済全体とすると、これは自由貿易体制、つまり、わが国への輸入の自由化、これに真剣に取り組むべき立場にあります。
 しかし、この政策を具体的に適用するということになりますると、これはわが国のもろもろの現実との調整というものも考えなければならぬ。その中において一番考慮しなければならぬことは、これは何と言っても農業であります。いま江藤君が烈々たる農業への理解と同情の念を示された。私も江藤君に劣らざる同じ考えを持っておる。かつて、だれよりも、だれよりも農民を愛すと申し上げましたが、私のこの信念は、外交政策をやっておる立場にある私の今日のこの胸の中にも健在であるということを申し上げまして、お答えといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#47
○副議長(長谷川四郎君) 長谷部七郎君。
  〔長谷部七郎君登壇〕
#48
○長谷部七郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま報告のありました昭和四十六年度農業白書に関連し、農政の基本問題について、佐藤総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 このたび提出されました農業白書は、政府みずからが基本法農政の失敗をほぼ全面的に認めざるを得ないという、きわめて注目すべき白書といわなければなりません。
 すなわち、生産者米価の三年連続の据え置き、減反政策の強行などにより、わが国の農業生産指数は四十四年、四十五年と連続して低下し、四十六年度の農業総産出額は十五年ぶりに前年度を下回ったのであります。農畜産物輸入は昭和四十五年度は三十二億七千五百万ドルに達し、前年度を二〇・五%上回り、わが国の総合食糧自給率は前年度より四%落ちて七六%、耕地面積は四十五年、四十六年の二カ年の間に十一万一千ヘクタールも減少し、自立経営農家は全体のわずか七%に落ち込んだことなどが明らかにされ、日本の農業はいまや荒廃と衰退を余儀なくさせられており、全農民の農業に対する不安と農政不信はますます拡大するばかりであります。
 一方、農業を取り巻く経済環境も、景気後退の長期化が予想される中で、国際収支の大幅黒字基調に基づく外貨準備高の累積、大幅円切り上げにより、米国などからの農畜産物の輸入増大と自由化の圧力が一そう強まっております。
 かように、わが国の農業をめぐる内外情勢はきびしく、かつてない困難な局面に直面しています。政府は、いまこそわが国農業発展の長期ビジョンを明らかにし、混迷と不安動揺の中にある全国生産農民に光と希望を与えなければ、国の将来に重大な禍根を残すことは明白であります。
 この際、佐藤総理の農政に対する基本姿勢をお伺いするものであります。
 以下、わが国農業が当面する幾つかの問題点を明らかにしつつ、政府の基本的見解をただしてまいりたいと存じます。
 第一の問題は、食糧の自給度と農産物輸入自由化の問題についてお伺いをいたします。
 その一つは、食糧の自給度の確立と農業生産の地域分担政策についてであります。
 およそ一億国民が必要とする食糧農産物は、国内自給の体制をとることが国の農政の基本でなければならないと考えるものですが、今日わが国の総合食糧自給率の低下を招いた第一の原因は、政府の無定見かつ強権による米の生産調整に最大の原因があります。五十五万ヘクタールの生産調整を実施するにあたって、積極的な援助と誘導措置がないままに、畜産、果樹、野菜などの転換を一方的に行なわせたところにあります。政府が示した農産物の長期需給見通し並びに農業地産の地域指標は、そのいずれもが確固とした需給動向に基づくものでありません。ただ単に米の生産調整を強行する一手段に使われているところに問題があり、これが案施の具体的な政策的裏づけは何ら示されていないのが実情であります。
 このため、今後の農業生産の方向づけは、新たな観点に立った総合自給率の樹立と個々の主要農産物について確固たる自給率を早急に設定するとともに、農業生産の地域指標も、単なるガイドポストではなく、これを実現するための生産政策、価格政策、土地利用政策など総合的施策を同時に講ずることが必要であると考えるが、政府は、今後の自給率の設定と、その実現策にどのような方向で対処しようとしているのか、農林大臣の考えを伺いたいと存じます。
 その二は、農産物の輸入自由化対策についてであります。
 自給率低下のいま一つの原因は、政府が今日まで農業を大企業本位の高度経済成長政策に従属させ、特に工業製品の輸出優先のために、無制限な農畜産物の輸入の増大と自由化を強行してきたことであります。政府は、ここ数年来、物価対策を口実として、むりやりに農畜産物の自由化を推し進めてきましたが、特に昨年は、グレープフルーツ、豚肉など、農民が最も反対していた多くの農産物の自由化を強行し、また、本年に入ってからも、わが国農業の最後のとりでであるオレンジ、果汁、牛肉などの輸入ワクの拡大をはかるなど、農民の期待を全く裏切る行為を続けています。
 本来、農畜産物の輸入自由化などは、ただ単にその国の外貨事情、物価問題等を中心に考えるべきものでなく、そこに置かれた農業の現状と将来を十分見通してきめるべきものであることは言うまでもありません。このことは、過去においてレモン、大豆をはじめとした自由化の強行がわが国関連農業に壊滅的打撃を与えていることから見ても明白であります。
 現在、わが国の残存輸入制限農産物数は、フランス、西ドイツ、イギリスに比べても決して多い数とはいえず、来年度以降ガットの場で討議が予定されている自由化交渉においては、断じてこれ以上の自由化を許すべきではないし、現在進めている輸入政策そのものについても、抜本的に洗い直す必要があると考えるものでありますが、外務、通産の面大臣の見解を承りたいのであります。
 また、これに関連して、中華人民共和国との貿易の転換と拡大は、わが国との国交正常化に大きく寄与するものと期待されていますが、政府は、現在の対米一辺倒の輸入形態を、今後、中国を含めて広く再検討すべきと思うが、通産大臣にあわせて伺いたいのであります。
 第二の問題は、農業と他産業との所得格差の是正と、これに対応した価格流通政策についてお尋ねいたします。
 昭和四十六年度の農家所得は百五十九万六千円と、前年に比べ一六%の伸びを示しているものの、その増加のすべてを農外所得に依存し、農業所得は逆に四%減と、かつてない減少を示すに至っております。農業所得減少の最大の原因は、米価の据え置きをはじめとした農畜産物価格が低迷していることであり、最近においては、農業購入資材の価格上昇が農畜産物価格上昇を上回るといったシェーレ現象が出ております。
 このため農家は、所得の源泉を必然的に農外所得に求める傾向が強まり、四十六年度の兼業農家率は八四・八%にまで高まっており、一方、政府が基本法農政のにしきの御旗として強調してまいりました自立経営農家の育成については、四十五年度の農家戸数割合ではわずかに七%にまで落ち込んでいる現状であります。このことは、農業と他産業との所得格差の是正をはかろうとした基本法農政の失敗を如実に示しているものといえましょう。
 このような実情に対処して、農業と他産業との所得格差を是正するためには、第一に、物価、労賃の上昇に対応した農畜産物価格の引き上げと安定をはかることが最も必要であり、特に、四十三年以降三年間、実質的に据えかれてきた生産者米価については、この際思い切った引き上げ措置を講ずるとともに、消費者米価については、家計安定の面からこれを据え置くべきと考えますが、佐藤総理並びに農林大臣、大蔵大臣から、今年の米価政策についての基本的考え方を承りたいと存ずるものであります。
 ここで農畜産物の価格政策について一言触れれば、政府は、従来より農産物価格の上昇が消費者物価に及ぼす影響が大であるとの理由のもとに、その抑制策を講じてきたところであります。しかし、白書の示すところによれば、昭和四十五年度の農畜産物生産者価格指数は前年比二・八%の増、食糧農産物消費者物価指数及び消費者物価指数はともに前年比七・一%増となっており、生産者手取り価格が抑制されているのとは逆に、消費者価格のみが高騰しております。かかる点を総合勘案いたしますれば、今後の農産物の生産者価格はこれを無理に押える必要は全く存在せず、流通、消費形態の近代化によって消費者物価の抑制をはかるべきであると考えますが、農林並びに大蔵両大臣の所見を承りたいと存じます。
 また今後、需要の拡大が予定されております畜産、果樹、野菜などの成長作目の積極的拡大をはかるためには、現行価格制度を抜本的に改革し、生産費及び所得補償方式を中心とした新しい価格政策を打ち出すべきことと考えますが、農林大臣の考えを承りたいのであります。
 また、特に重大なことは、最近における一連の動きを見ておりますると、政府は、現行食管法をなしくずしに改悪し、国民の主要食糧である米の直接統制をはずし、間接統制への道を指向しているかに見られるのでありますが、一体政府は、わが国の食糧政策の展望をどのように考え、特に生産調整の終わる五十一年以降の食糧管理の姿をどのように持っていこうとしておられるのか、この際、政府の基本姿勢を全農民に明らかにすべきと思いますが、佐藤総理の考えを伺いたいと存じます。
 次に、兼業農家及び出かせぎ対策について特にお尋ねをいたします。
 高度経済成長によって大企業は、農業から、労働力だけでなく、土地と水を求めました。この結果、農業労働力の老齢化、都市近郊における農地のスプロール化、山村地域における過疎現象を一段と促進させるとともに、農家の兼業化がますます進行しております。このままの状態では、わが国の農村は総兼業化に追いやられることは、もはや時間の問題といわねばなりません。しかも、最近においては、景気後退の長期化傾向などによって、兼業農家の安定的所得確保に与える影響はきわめて大きくなっております。
 政府は、この兼業農家対策にいかなる方針で臨まれるのか、特に、昨年法制化されました農村地域工業導入促進法の実施状況と今後の見通しについて、通産大臣にお伺いをいたします。
 また、地元で安定的兼業機会の少ない地域では、妻子と刷れての長期出かせぎは今日推定百万人ともいわれ、年とともに激増の一途をたどり、家庭生活だけでなく、農村社会をも大きく破壊している実情にありますが、これら農村の悲劇を解消するための政府の施策はきわめて貧困であります。また、当面出かせぎ先で労働災害が増加し、悪質な賃金不払いなどが依然としてあとを断っていませんし、その大部分は泣き寝入りを余儀なくさせられていますが、政府の出かせぎ農民の労働条件の改善及び福祉対策などはきわめて立ちおくれの状態にありますが、この際、農林大臣より所見をお伺いいたします。
 最後に、私は、佐藤内閣七年にわたる長期政権の無策が今日の農業危機を招いたことは明らかでありまして、その政治責任はまことに重大といわなければなりません。いま政権の座を去るにあたり、過去の農政にきびしい反省を求めるとともに、この際、佐藤総理に農業政策の一大転換に対する所信の表明を要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#49
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 長谷部君にお答えをいたします。
 長谷部君からは御意見をまじえて多くの問題が提起されておりますが、私からは、農業についての基本的な考え方をお答えいたします。ことに、最後に私にお尋ねになったのもそういう点だと思いますので、よくお聞き取りをいただきたいと思います。
 まず、農業基本法施行以来わが国農業は、食糧需要の高度化あるいは多様化に対処して、農業生産の選択的拡大を進めるとともに、欧米に比較し遜色のない生産性の向上を遂げながら、農業従事者の所得と生活水準の向上を果たしてきたと考えております。
 しかしながら、今日、わが国農業をめぐる内外の諸情勢は、米の生産過剰や経済の国際化など、まことにきびしいもものがあります。このような事態に対処してわが国農業の健全な発展をはかるためには、何よりもまず、わが国農業を国際的に競争できるような近代的な農業として確立することを目ざし、その体質の改善をはかるとともに、需要の動向に見合った農業生産の再編成をはかることが肝要であります。このため政府といたしましては、農業団地の形成をはじめとする、出産、構造、流通、価格等の各般の施策を強力に推進し、農政の本格的展開をはかるよう格段の努力を傾けてまいる考えでございます。
 次に、米価の問題でありますが、四十七年産米の生産者米価につきましては、現在方針をきめているわけではありません。いずれ米価審議会の議を経て決定することとしておりますが、生産費、物価、及び米の生産調整を行なっているという事情などを総合的に配慮する必要があると考えております。
 また、政府売り渡し価格につきましても、現在まだ方針をきめているわけではありませんが、家計費及び物価その他の経済事情をしんしゃくし、消費者の家計の安定を旨として定める方針であります。
 最後に、食管制度につきましてのお尋ねがありましたが、米の管理の問題は、農家経済、国民消費生活等、国民経済の各分野にきわめて大きな関係を持つ重要な問題でありますので、生産調整との関連も含め、今後事態の推移に応じつつ、なお慎重に検討する必要がある、かように考えております。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#50
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
 いまわが国が当面しておる非常な大きな問題として、自由貿易体制の世界的な規模における堅持、推進、こういうことは、先ほど江藤君にお答え申し上げましたから、申し上げません。
 ただ、その中におきまして、輸入の自由化におきましてわが国の農業にこれをどういうふうに当てはめるか、これは非常にむずかしい問題でありますが、これに対する私の心がまえ、これも先ほど江藤君にるる申し上げたとおり、間違いなく、そのとおりにやろうと考えております。
 わが国の農業は生産性が非常に乏しい、この生産性を上げる国内施策、これに最大の努力を傾けなければならぬ、かように考えますが、その成果と相まちながら、農作物の輸入自由化政策を進めていくべきである、かように考えます。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#51
○国務大臣(水田三喜男君) 生産者米価の据え置きは、米の需給の基調が大幅に供給過剰になっておりまして、巨額な財政負担において生産調整とかあるいは稲作転換を行なっておるというような状況でございますので、それらの施策が阻害されないようにという考慮が主要な原因であったと存じます。したがって、物価の観点からこれを無理に押えつけて値段を据え置いているということではないというふうに存じております。
 それなら、本年度の産米の価格についてはどうかというお尋ねでございましたが、現在まだ方針をきめておりません。いずれ、米価審議会の議を経てこれは農林大臣が決定することになっております。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#52
○国務大臣(赤城宗徳君) 農業を取り巻く諸情勢が非常にきびしい情勢であるということは、御指摘のとおりで、農業白書においてもその点はよく述べておるわけでございます。
 そこで、農業基本法はもう全部失敗だったというふうな受け方をするような御質問もありましたが、先ほども江藤さんに申し上げましたように、三十五年度から四十五年度までの間に、農業の労働生産性を調べてみますと、約二倍に膨張しています。年率六・四%の伸びであります。農家所得は約三・六倍に増加している。年率一三・五%の伸び。農家の生活水準は、勤労者世帯とほぼ匹敵する水準まで向上してきております。また、農業生産の選択的拡大、これにつきましては、野菜は一・四倍、果実は一・八倍、畜産は二・七倍、こういうふうに年産が増加しておるということを見ましても、農業基本法の規定する方向が、全然これは、ゼロだとか逆行しているというわけでもございません。
 しかし、その中で一つ指摘されました、専業農家が七%ぐらいになってしまったじゃないか、専業農家を育成しようといっていたが、だめじゃないか、こういうような御指摘、それは確かにその方向へいっています。これは経営規模を拡大するということでも、土地が相当な面積を必要とするので、その土地を集めて専業農家の経営が大きくなるようにという方向であったのでございますが、土地価格の暴騰その他、その土地を手離さないというようなことで、これは御指摘のように、よくいっていません。
 そこで、この土地の所有権を合併するということでなくて、土地をみんなで利用して経営規模を大きくする方向が一つの方向ではないか、こう考えますので、農業団地というような構想で、それには兼業農家も入れて、兼業農家の土地提供とか労働力提供とか、こういうようなことで、土地の所有権を一つところへ大きくしていくというのでなくて、利用方面を広げていって、こういう方向、目的に向かっていこうというので農業団地構想なども出して、予算もそれに裏づけしてあるわけでございます。
 そこで、そういうようなことで自給率はどうなんだ、こういうような自給率についてのお尋ねがございました。先ほど江藤さんの質問では、自由化をすべきものとしないものときめろということですが、これは、私は、自由化はいまのところ、もう残ったものについてはしないということでございますが、自給率につきましては、絶対に自給しなくちゃならぬものと、なかなか自給しようとしてもできないもの、これはあると思います。しかし、食糧は国民生活の基礎的なものでございますから、国内生産が可能なものにつきましては、極力国内でまかなうという方針でいくべきが当然であります。でありますので、安易に外国産依存をとるべきではない、こういうふうに考えています。そういう観点から、もう長谷部さんも御承知でございましょうが、農業生産の効率を高めながら国内生産の維持、増大をはかるために、各種の施策を実施しておるのでございまして、食糧の総合自給率につきましては、できるだけ高くすることが望ましい。そこで、将来の自給率につきましては、これも御承知のとおり、昭和五十二年におきまして米は完全な自給――いま余っているのですから、これを生産調整していくくらいでございますから、完全な自給ができます。野菜とか鶏卵も一〇〇%自給できる。牛乳、乳製品、肉類、果実等につきましては、八割から九割程度国内でまかないたいと考えておるわけでございます。
 それで、これは単にそういうことばかりじゃなく、先ほどお話もありましたように、適地適産ということがありますから、地域的にも適地適産的に地域の指標をつくって、そうして、その指標に基づいてこの自給率にも力を入れる、あるいはまた、それを通じて団地的な経営にも持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから、自由化対策でございますが、これは先ほど江藤さんにも答弁申し上げましたが、現在、御指摘のように、ヨーロッパ、世界並みに残存品目はなっておるわけでございます。それで、残存品目は、やはり日本の農業の現在及び将来にとっても、あるいは自給していかなくてはならない大事な農産物でございますので、先ほど外務大臣が言っていましたが、生産性が向上して、ほんとうに国際競争力に近いようなところまでいく間は、この自由化はできない、こういうような態度で進んでおります。
 それから、農産物の輸入の問題でございますが、輸入は、やはり品質あるいはまた価格等によってきめる問題でございます。でございまするから、これは、何も一国からだけ輸入をしなくちゃならぬという理由は全然ございません。むしろ多面化して、あるいは場所によっては、えさのようなものは東南アジアのようなところで、そこから開発輸入するというようなことも必要だと思うのでございます。
 それから、農外所得が多くなって兼業農家がふえた、こういう御指摘、したがって農産物すべて所得補償方式でやれということでございますが、農業の価格政策でございますが、私は、農業は価格政策だけでいくべきじゃないと思います。やはり農業の生産性を上げていかなければ、国際競争力もできませんし、消費者にも安いものを提供するというわけにまいりません。これは農業の基本問題でございます。そういう意味においていろいろな施策を講じておるわけでございますが、農産物の価格支持ということも、これは大事な問題でございますから、価格支持政策もしていかなくちゃならぬ。
 そこで米の価格はどうかということになるのでございますが、これにつきましては、私は再々申し上げておりますように、米の価格決定の方式もございます。これはほかの農産物と違って所得補償方式という方式でございます。そういうような方式に従ってやっていくというような、ここでいま作業を進めようとしております。いずれ米価審議会の諮問を経て決定するということになるわけでございます。それを少しお待ち願いたいと思います。
 それから、川かせぎの問題でございますが、出かせぎが確かにふえてきておる、兼業農家がとにかく八五%以上になっているのですから。それがまた、その大部分は出かせぎ、ことに東北などは出かせぎが多い。でございますので、この対策といたしましては、工業導入法ができましたが、まだこれは実際に進んでおりませんが、遠くで兼業収入を得るよりも、やはり近くにおいて兼業収入を得るというようなことが必要でございますので、工業の分散、工業の導入等につきまして慎重な考え方を持ちまして、そこで農外収入を得られるようなこと。しかし、労働条件などが非常に出かせぎや何かはまずいことがございます。こういうことにつきまして、労働大臣とも、労働省ともよく話したのでございますが、こういうものを改善していく。やはり農外所得も得なければ、いま農業者としてもやっていけないような状況でございまするから、そういうような方面も十分各省と連絡をいたしまして、改善していきたい、こういうふうに考えております。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
#53
○国務大臣(田中角榮君) 私から三点お答えを申し上げます。
 第一点は、農産品の残存輸入制限品目は二十四でございまして、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス等に比べても高くない、これ以上自由化を進めてはならない、進めるべきではないという御意見でございますが、申すまでもなく、保護貿易主義を押えまして自由貿易体制を維持していくことは、世界の大勢でございます。また、そうすることが平和維持のためにも大切なことでございますし、また、国内における物価を安定し、国民生活の向上をはかるためにも、自由化の推進は必要でございます。このために、農業の構造改善の諸施策を積極的に推進をすることもまた不可欠の要件でございます。農業の体制整備状況とも勘案の上、自由貿易の拡大政策を推進してまいりたいと存じます。
 第二は、向米一辺倒の輸入を改め、中国を含めて輸入先の自由化、輸入形態の再検討等が必要ではないか、もちろんそのとおりでございます、貿易量も非常に大きくなりましたので、輸入先の多様化、また多角化傾向が見られておりますし、そのように政策を進めなければならぬことは申すまでもありません。
 四十六年度の数字でもって申し上げますと、アメリカ合衆国より輸入いたしましたものは、対前年度よりも一〇・五%輸入量が減っております。それに比べて中華人民共和国から入りましたものは、二億五千四百万ドルが三億二千三百万ドルヘと、二七・三%の大幅増加がはかられておるのでございます。しかし、輸入は民間の自由な行動にまかせられておりまして、政府介入の余地は少ないことは御承知のとおりでございます。しかし、国交未回復国からの輸入に対しまして障害になるもの等がありとすれば、逓減、撤廃につとめてまいるつもりでございます。
 第三点は、農村地域工業導入促進法の実施状況について、また今後の見通しいかんという問題でございますが、四十六年度におきましては、四十二の道府県が、昨年策定されました国の基本方針に即しまして基本計画を策定をいたしました。また、この計画に基づきまして、拠点工業導入地区といたしまして、二十六の県及び百十二の市町村が実施計画を策定をいたしたわけでございます。なお、情報提供、あっせん、指導等を行なう民間の機関といたしまして、昨年十一月に財団法人農村地域工業導入促進センターなるものが設立をせられました。通産省といたしましても、財団法人の機能を十分活用いたしますとともに、本国会に御審議をいただいております工業再配置法案による措置ともあわせまして、地域開発の実をあげたいと考えておるのでございます。以上。(拍手)
#54
○副議長(長谷川四郎君) 瀬野栄次郎君。
  〔瀬野栄次郎君登壇〕
#55
○瀬野栄次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十六年度農業の動向に関する年次報告並びに昭和四十七年度において講じようとする農業施策について、佐藤総理並びに関係各大臣に対し質問をいたします。
 農業を取り巻く経済環境は、景気後退の長期化が予想される中で、国際収支、大幅黒字基調に基づく外貨準備高の累積、円の大幅切り上げ等により、農畜産物の輸入増大と自由化の要請がますます強くなり、内外ともに、かつてないほど困難な局面に直面いたしておるのでございます。
 この中で、全国五百二十六万戸の農家は、どこに行っても、日本の農業はどうなるのか、また、何をどのくらいつくればよいのかという不安と疑問を持って、ただ生きるために営々と働き、希望を求め続けているのでございます。
 そこで、質問の第一点は、日本農業の憲法といわれる農業基本法の目的と、これに対する政府の農業政策の矛盾についてであります。
 農基法が施行されて以来すでに十年を経過しておりますが、この間、わが国農業は、本法が指向した農業と他産業との生産性格差及び所得格差の是正は一向に進まず、かつまた、農業生産の推進母体となることが予定された自立経営農家等の育成は減少の傾向をたどり、一方兼業農家、特に二種兼業農家が増大しております。すなわち、農基法の示した方向がから念仏となっております。加うるに、米価の据え置き、減反政策等により、農業生産指数は四十四年、四十五年と連続して低下し、四十六年度の農業総産出額は、十五年ぶりに前年度を下回る見込みとなっているのであります。
 いまや、農基法農政の目ざす農業の建設は挫折を来たし、高度成長の陰の部分としてそのひずみをますます拡大しつつありますが、このような現状に対し、総理はいかに反省されているか。また、農業基本法を抜本的に再検討すべきではないか。さらに、わが国農業の位置づけをいかに考え、その長期的ビジョンと中期的な展望に立った施策をどのように考えておられるかを、まず明確に示していただきたいのであります。
 第二点として、農畜産物の自給率について承りたいのであります。
 農業白書は、「食糧の安定的供給を図ることは、直面するわが国農政の課題であり、そのために需要の動向と地域の特性に応じた農業生産の実現を図るため、再編成を強力に推進する。」と報告しておりますが、昭和三十五年に九〇%であった食用農産物の自給率は、四十五年についに七六%にまで低下をしております。
 政府は、「農産物の長期需給見通し」の中で、昭和五十二年におけるわが国農産物の自給の見通しを立て、自給率を算出しておりますが、この見通しは、農産物の自由化やその他各種条件等については何ら明らかにしていないのであります。また、この自給率の見通しは、需要と生産見通しからどう算出したか明らかでなく、主体性のない見通しであります。
 そこで、今後の農業生産を考えた場合、ここ数年来急速に増加してきた農産物の輸入、施設農業の拡大傾向に比べ、土地利用型農業の著しい後退、米の減反政策による生産意欲の減退等から、農業生産の向上はきわめてむずかしく、このままではわが国の自給率は低下の一途をたどることは明らかであります。
 自給率を明らかにすることは、農政の推進にあたり、政策の基本的前提とすべきものであります。したがって、農産物の自給率については、地域的に、品目別にはっきり目標を定め、地域分担を明確にし、その目標達成のために構造、価格、生産の諸施策を強力に推進すべきであると考えますが、これについて佐藤総理並びに農林大臣の所信を承りたいのであります。
 第三点は、農畜産物の自由化問題であります。
 現在、農畜産物の残存輸入制限品目は二十四品目で、先進諸国と変わらない程度にまで減少し、この結果、わが国の農畜産物の輸入は年々増大し、四十五年に前年を二〇・五%も上回る三十二億ドルに達しております。
 農畜産物の貿易拡大に対するわが国への要請はさらにきびしく、アメリカのみにとどまらず、イギリスのEC加盟により、オーストラリア、ニュージーランド等、また、中国からも一そう輸入の増加が予想されることは、白書も指摘をしておるとおりであります。
 わが国農業に壊滅的打撃を与えるオレンジ、果汁、牛肉等の輸入自由化問題は、日米通商交渉により一年間凍結されたと政府は言っておりましたが、昨十八日以来、田中通産大臣とエバリー米大統領通商特例代表との会談が行なわれ、本日の新聞報道では、いわゆる一年休戦は早くも御破算になることが確実になったと伝えています。
 生産者農家の現状から見て、私は、これら農畜産物の自由化をすべきではないと考えておりますが、佐藤総理並びに農林大臣は、今後の自由化に対していかなる決意で臨まれるか、その所信を承りたいのであります。
 さらにこれに関連し、中華人民共和国との農産物貿易の拡大は、わが国との国交正常化に大きく寄与することは言をまちませんが、政府は、現存の対米一辺倒というべき輸入形態を、中国貿易を含めて、広く再検討すべきであると思いますが、総理並びに農林大臣の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 第四点として、食管問題、米価問題についてお尋ねします。
 農林省米穀管理研究会は、食管問題について、その検討の経過と中間的取りまとめを、去る三月三十日、農林大臣に提出いたしました。
 その中で、米穀管理の制度、運営の改善に関する考え方の諸類型の例示として、一つには、画一的価格統制の廃止、自主流通の促進等により現行管理制度の運営を改善する考え方、二つとして、現行管理制度を末端配給統制の廃止によって弾力化する考え方、三つには、部分管理の考え方、さらに、間接統制の考え方等、四つの類型が出されていますが、政府は、この中間報告にある四つの方向に対し、いかなる方向をとられるのか、また、どのような検討を進められているのか、総理及び農林大臣の見解と所信を承りたいのであります。
 次に、生産者米については、昭和四十三年から三年連続して据え置かれ、四十六年産米の引き上げも、わずか三%程度にとどまっております。しかも、これは四十五年における政治加算金分を引き上げたものであり、実質的には据え置きと変わりないのであります。しかし、米の過剰化は、政府の農政の失敗によるものであり、その責任を米価の据え置きという形で農民に転嫁することは、筋違いといわざるを得ないのであります。米価の決定にあたっては、農業基本法及び食管法第三条の精神によるべきであり、物価、農業経営費が上昇している今日、生産者米価の引き上げは当然であると考えるものであります。
 赤城農林大臣も、六月下旬には米価審議会に生産者米価の引き上げを諮問する意向のようでありますが、加算、補助の繰り入れも含めましてどのように考えておられるか、農林大臣及び大蔵大臣から御答弁をいただきたいのであります。また、総理はどのように考えておられるか、あわせてお答えいただきたいのであります。
 さらに、消費者米価問題でありますが、四月一日より消費者米価の物統令が適用廃止されたことにより、小売り価格は自由価格となったわけであります。私たちは、従来から、この適用廃止により事実上消費者米価が上昇するとして強く反対をしてきたのでありますが、最近の一部の新聞には、政府の売り渡し価格を引き上げるような記事が報道されています。政府売り渡し価格の引き上げは、必ず消費者米価の上昇をもたらし、同時に、諸物価の高騰につながることは必至であります。したがってこの際、生産者米価に関係なく、政府の売り渡し価格は据え置く方針であるのかどうか、農林、大蔵大臣、経済企画庁長官の明快なる答弁を求めるものであります。
 第五点として、農林省の目玉商品とされている農業団地構想についてでありますが、本事業は、過去十カ年余にわたる農政の失敗を十分反省して行なう必要があり、いやしくも、本事業が過去の農政の行き詰まりを糊塗するためのものであったり、また、農畜産物自由化促進の隠れみのに使われることは、絶対に看過できないのであります。農林大臣は、今後の農業団地事業を進めるにあたっての基本的な考え方、特に本事業と農業生産の地域分担との関係、及び農業団地における生産のにない手等につき、いかに考えておられるか、明確なる御答弁を伺いたいのであります。
 第六点は、農業と他産業との所得格差の拡大問題と、これに対応した価格政策についてであります。
 昭和四十六年度の農家所得は百四十一万円と、前年比一一・五%先の伸びを示しているものの、その増加のすべてを農外所得に依存し、農業所得は逆に四%の減となって、かつてない現象を示すに至っております。この最大の原因は、米価据え置きをはじめ、農畜産物価格の低迷、農業購入資材の価格の上昇などにあります。このため、農家は所得を必然的に農外所得に求める傾向が強まり、四十一年度の兼業農家率は実に八四・八%にまで高まっており、自立経営農家の育成については、四十五年度の農家戸数の割合で六・六%にまで落ち込み、四十二年度に比して半減しているのが現状であります。このことは、農業と他産業との所得格差の是正をはかろうとした基本法農政の失敗を如実に示しているものであります。
 かかる実情に立って、農業と他産業の所得格差を是正するためには、物価の上昇等に対応した農畜産物生産価格の安定をはかり、さらに、今後需要拡大が予定されている畜産、果樹、野菜等の成長作目の積極的拡大をはかるため、現行価格制度を抜本的に改革した新しい価格政策を行なうべきであると主張するものでありますが、これに対する農林大臣の御見解を承りたいのであります。
 第七点として、出かせぎ対策並びに農業経営の後継者確保の問題についてお伺いいたします。一 現在、わが国の農家は、好むと好まざるとにかかわらず、兼業化に追いやられている中で、出かせぎ農家は年々増大の傾向にあるのであります。この農村の悲劇に対し、何ら見るべき対策を講じていないというべきでありますが、これに対して一どう対処されるか、農林大臣にお伺いするものであります。
 次に、農業経営の後継者の確保についての基本問題でありますが、高度経済成長は、農業から労働力と農地の収奪を行ない、その結果、農業労働力の老齢化と、都市近郊地域における農地のスプロール化、山村地域における過疎現象を一そう促進させております。このままの状況が将来とも続くとすれば、わが国農業の衰退は火を見るより明らかであります。
 そのため、農村における生活環境整備、衛生施設、交通通信、文化施設の整備など、農村地域の総合的な開発による新しい農村建設が重要な課題となっていますが、これに対する佐藤総理並びに農林大臣の所見を承りたいのであります。
 第八点は、農林金融問題についてであります。
 農林中央金庫が、法律上、来年をもって失効することになります。これが存続については、当然存続する方向にあると思いますが、その際、公庫資金や系統資金の交通整理をすべきではないかと考えます。
 また、国際競争力をつける必要のあるもの、自由化を受けやすいものについての特別金融、さらに、現在の生産サイドから、流通、消費者対策のためにも、金融の道をはかるべきであると思いますが、これらについて、農林大臣並びに大蔵大臣の見解を承っておきたいのであります。
 最後に、沖繩農業の振興についてお尋ねをいたします。
 戦後二十七年間、異民族の支配下にあった沖繩が、去る五月十五日、新生沖繩県として日本に復帰しました。沖繩における農業の著しい立ちおくれを取り戻すためには、生産基盤の整備と経営の近代化に重点を置いて、手厚い農業の振興策を急速かつ広範に推進するとともに、本土の関係諸制度の円滑なる適用をはかることが最も緊要でありますが、沖繩開発庁長官のその具体的な対処方針について御答弁を承りたいのであります。
 以上、当面の重要な農政問題についてお尋ねいたしましたが、佐藤総理をはじめ関係閣僚の熱意ある答弁を願い、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#56
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 瀬野君にお答えいたします。
 まず、農業基本法のもとにおける農政についてのお尋ねがありましたが、先ほど社会党の長谷部君にもお答えしたように、同法施行以来、わが国農業は、欧米諸国に遜色のない生産性の向上を遂げながら、農業従事者の所得と生活水準の向上を果たしてきたのであります。ただ、経済の成長がきわめて著しかったため、これに必ずしも対応し得なかった面もあることは、これは事実であります。
 現在、わが国農業をめぐる内外の諸情勢は、ますますきびしいものがありますが、農業基本法のねらいとする生産性の向上と生活水準の均衡、農業生産の選択的拡大、農業の構造改善、農産物価格の安定等につきましては、現在におきましても農政の基本として変わりはないものと考えております。政府といたしましては、農業基本法の目標の実現をはかるため、さらに格段の努力を傾けていく考えでございます。
 農業基本法を再検討しろ、こういうようなお話でございましたが、私は、その基本的趣旨を守ることが農業の育成強化に役立つ、かように考えておるのでございます。
 次に、御指摘のように、わが国農業の基本的役割りが、国民の必要とする食糧を安定的かつ効率的に供給することにあることは言うまでもありません。このため、農産物の自給については、国内生産が可能なものはできる限り国内生産でまかなうことが望ましいと考えております。このような観点から、政府は、さらに農政の強力な推進をはかることとし、このため需要の動向と地域の特性に応じた望ましい農業生産の実現をはかるとともに、国際競争力にたえられる近代的な農業の確立をはかってまいる考えでございます。
 次に、農産物自由化の問題でありますが、かねてから申し上げておりますとおり、自由化の促進は政府の基本方針であります。農産物といえどもこの例外ではありません。しかしながら、わが国農業は、国際競争にたえ得るよう、その近代化の確立を目ざして各般の施策を強力に推進している最中でありますので、御指摘の品目について新聞で何と報道しようとも、いま直ちにこれを自由化する考えはございません。政府といたしましては、農業の近代化を急がなければならない、かように考えております。御協力をお願いいたします。
 次に、農産物の輸入先の問題でありますが、これは先ほど通産大臣からもお答えしたように、農産物につきましてどこの国から輸入するかについては、これは一般的には民間の自由な選択にまかせておりまして、国が、アメリカから輸入しろ、かように指定するというようなことはやっておりません。現にアズキにつきましては、七〇年の実績によれば、その約八七%、これを中国から輸入しているのであります。私どもの食べているあんこには中国からのものである、こういうことを御記憶願いたいと思います。
 なお、今後国交未回復からの輸入の障害があれば、極力その軽減、撤廃につとめ、今後とも市場の多角化をはかってまいりたいと考えております。
 次に、食管制度改革の問題は、先ほどお答えしたように、今後なお慎重な検討を必要とする問題であります。
 なお、農林省部内の研究につきましては、農林大臣からお答えすることといたします。
 生産者米価、消費者米価等につきましても、これまたそれぞれお答えし、また長谷部君に答えたところで、米価審議会にはかって決定する、ただいまはきめておらない、このことを御承知願いたいと思います。
 最後に、御指摘のように、近年農家子弟の農業就業が減少し、農業就業者の老齢化が進んでおりますが、日本農業の近代化をはかるためには、専門的な知識と経営管理能力を備えたすぐれた後継者を確保し、育成することが必要であります。さように考えますと、教育、研修等の施策の充実をはかることが最も必要だと思います。また、農家の出産と生活の場である農村が豊かに発展し、近代的な社会として確立されることは、わが国社会全体の発展にとっても重要なことであると考えております。このため、立ちおくれている農村の生活環境の整備を進めるなど、豊かな農村を建設するための施策の充実に一そう努力したいと考えております。
 以上、私からお答えをいたしまして、不足の点についてはそれぞれの大臣からお答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#57
○国務大臣(水田三喜男君) 本年度の米価をどうきめるかということは、先ほどお答えいたしましたように、ただいま方針をきめておりませんが、生産者米価は、いずれにしましても、出産費、物価、生産調整を行なっているという事情を総合的に考慮して、米審の議を経てきめる、それから消費者米価は、家計費、物価その他の経済事情を参酌してきめる、こういうことになっておりますので、そこらを総合的に勘案してきめられることと思いますが、ただ財政当局としてしいて希望を申し上げますと、米価はあるべき姿にきめられることが一番望ましいことでございますが、ただ、これ以上逆ざやの負担をふやすということは、財政上は非常に問題ではないかと思います。ただいま、出産調整費やあるいは逆ざやの負担が五千二百億円という非常に大きい財政負担となっておりますが、これがさらに拡大するということになりますと、今後の減税政策をはばむ大きい要因になりかねないと思いますので、この点を避けられるようなくふうのもとにこの両米価を決定されることを私どもは非常に希望しておる次第でございます。
 それから金融の問題の御質問でございましたが、農林漁業金融公庫は、農林中央金庫とか、あるいはそのほか一般の金融機関では融通することの困難な金融、基盤整備の分野というようなものを中心にこれまで担当してきましたが、今後もこの分野の調整はずっと守って、農林漁業の動向に即した運用をいたしたいと考えております。
 また、自由化対策につきましても、公庫資金を自由化の影響を受けやすい畜産、果樹等の部門に重点的に運用するというようなことにしまして、公庫と農林中央金庫との分野の調整は現在行なわれておりますので、この方向はそのまま今後において維持して運営していきたいと思っております。
 また、生産者側からの流通消費対策、これは生産者団体による貯蔵とか販売とかいう施設を農業近代化資金の対象に加えるということも現在やっておりますので、これも、これからの方向においては、分野の調整としてさらに守っていくというような方向で、この次の農林金融問題の改革のときには、いまの調整分野の方向をもっと合理的にして改革したいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#58
○国務大臣(赤城宗徳君) お答え申し上げます。
 再々御答弁申し上げているので重複の点もございますが、自給率をはっきりさせろ、これはもういたずらに外国の農産物を入れるということは避けて、できるだけ自給していきたいという方針は、前々申し上げているとおりでございます。でございますので、これを地域あるいは品目別にきめて、各県まではおりていますから、その各県のものをまた下へおろしてコンクリートにしていきたい、こう思います。それで、このことは、なお農業団地をつくっていく上におきましても、地域別の品目等に重要な要素として必要でございまするから、自給率をきめて、五十二年の自給率は大体目標はきまっていますが、なお十年先ぐらいのものをきめてこれを進めていきたい、こう思います。
 農産物の自由化につきましては、もう総理からも通産大臣からもずいぶん答弁しているようでございますから……。
 それから輸入の多面化、これにつきましても答弁があったようでございます。
 米価の問題につきましても、これは先入主をもってきめるべきじゃなくて、やはり弾力的にきめていこうという方針でございますが、いまのところ、まだその作業に入っておりませんから、米価審議会の諮問案をつくったときにだんだんはっきりしていくと思いますから、少々お待ち願いたいと思います。
 団地構想等につきまして、これは先ほど申し上げましたが、非常に地域分担というものの重要性がありますから、地域分担を相当組み入れて団地構想をやっていく。あるいは作物別。それで責任者、担当者、これは団地のあり方、組織化ですが、組織化に対しましては、共同作業の場合もありまするし、共同経営の場合もありましょうし、あるいは委託というような場合もありましょうし、いろいろな態様はあると思います。そういうことで進めていきたいと思います。
 畜産、果樹、野菜等に対する新価格政策はどうかということでございますが、農産物の大部分は価格支持をしております。十分でない点につきましては十分検討しますが、同時に、需要供給のバランスをとるということが価格政策においても非常に必要だと思いますので、それと相まって価格支持政策は進めていきたいと思います。
 出かせぎ対策につきましては、前に御答弁申し上げたとおりでございます。出かせぎといいますか、二種兼業といいますか、農業収入だけでやっていけないような現状でございまするから、遠くへ出るよりも、なるべく近くにおいて収入を得られるような、工業導入促進法などによって、健全な、安定的な工業を導入して、近くにおいて農外収入を得られる、こういう方面、また、労働対策を十分講じていく、こういう方向で進めていきたい、こう思います。(拍手)
  〔国務大臣木村俊夫君登壇〕
#59
○国務大臣(木村俊夫君) 消費者米価についてのお尋ねでございますが、もらすでに総理、各大臣からお答えしたと同じ考えでございます。(拍手)
  〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#60
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩においては、農業の持つ条件で、すぐれた条件と劣った条件と二つあると思います。すぐれた条件に即応して農業政策の展開がされなければなりません。すなわち、亜熱帯性営農というものを確立する。キビ、パイナップルあるいは肉牛、野菜等、これらを組み合わせて、沖繩が有利である条件のもとに、本土営農よりもすぐれた条件を確立すれば、沖繩の前途は、ある意味において農業の上においても明るいものがあると考えますので、これらの政策を積極的に進めます。
 さらに、劣っております面は、長い間、施政権下にありまして、本土の各種制度あるいは金融等の恩典をあまねく受けられませんでしたために、おっしゃるとおり、農業基盤その他が非常にまだ整備以前であります。したがって、開発庁において予算を一括計上し、高度の補助と金融とを組み合わせながら、かんがい施設、あるいはまた水資源の開発、土地改良、構造改善、こういうものを積極的に進めて、機械化、協業化等近代化を進めてまいらなければならぬと考えます。
 第二の点で、本土制度への移行の問題でありますが、これは沖繩における特殊な背景をよく踏まえて移行しなければならない。そして、沖繩の農村に有利なものは、すみやかにこれを適用しなければならぬと考えます。
 その意味で、戦時中の強制疎開もしくはまた軍用地に取られたための問題、あるいは施政権下の合併や分村等による問題等を踏まえて、農地法の特例等を小作地所有制限等において認める措置をいたしております。また、食管法等についても、当面五年間は現行の沖繩制度を尊重して据え置くとともに、沖繩において水田が有利な条件とはいえませんので、キビやパイナップルに転作いたしまする場合は、強制作付制限をかけないで、なおかつ転作奨励金の対象作物とする、そういうようなことで、沖繩の農業をあるべき本来のすぐれた方向に引っぱってまいらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#61
○副議長(長谷川四郎君) 合沢栄君。
  〔合沢栄君登壇〕
#62
○合沢栄君 私は、民社党を代表いたしまして、先ほど農林大臣より御説明のありました昭和四十六年度農業の動向に関する年次報告並びに四十七年度の講じようとする農業施策に関連いたしまして、総理並びに関係閣僚に対し質問をいたします。
 わが国経済が昭和四十五年の秋から景気後退に入り、特にアメリカの新経済政策の実施と国際通貨不安による輸出成約の減退は企業収益の悪化をもたらし、景気の停滞がこれまでになく長期化しているという状況のもとで、なお国民の食糧需要は依然堅調で、昭和四十五年の食糧支出は前年度よりも十三・四%も増加したにもかかわらず、農業所得は反対に十三年ぶりに四%減少し、さらに四十六年度は七・五%、約二千億円前年度を下回っております。
 また、農村の老齢化、婦女子化は一そう深刻となり、六十五歳以上の老齢人口は、都市の五・五%に対しまして実に二倍の二・七%に達し、まさに農村はうば捨て山的様相を呈するに至っております。
 また、農産物価格は、消費者物価高騰の中で低迷しております。しかしながら、農家が購入する肥料をはじめとする農業生産資材は著しく上昇しております。
 また、農産物の輸入は急増の傾向にあり、昭和四十五年度は、前年度対二〇・五%増加して、三十二億四千八百万ドルとなり、食糧の総合自給率も七六%に低下しました。
 このような環境条件の悪化は、真剣に農業に取り組む自立経営農家を兼業化に追いやり、自立農家は、前年度の九%がさらに二%減少して、約七%となっております。また、国民総生産は、四十五年度は一六・四%増加したが、農業はわずかに一・一%、また、昭和四十六年度は、国民総生産は九・四%の増加に対し、農業は反対に、昭和三十一年以来、実に十五年ぶりに四・六%の減少となったのであります。
 農業白書にて報告されておる農業の動向を要約すると以上のとおりでありまして、日本農業の総兼業化を指摘した昨年の農業白書に引き続き、アメリカのドル危機によるところの農産物の貿易自由化圧力の加わった近年にない暗い農業白書であり、一億の国民の食糧を生産し、まかなうべきわが国農業の衰退と、民族の母体ともいわれる農村の荒廃を示唆しておるのであります。
 佐藤総理在職七年有余、GNPは確かに自由世界第二位となり、ドルもまたもてあますほど多くなりました。さらにまた、総理念願の沖繩の施政権の返還も、曲がりなりにも実現いたしましたが、しかし、今日までわが国経済発展の基盤となり、縁の下の力持ち的な存在であった農業と農村のこの破局に瀕した現状に対し、総理はどのように責任を感じておられますか。また、十二年前に農業従事者と他産業従事者の所得均衡を掲げて成立した農業基本法とは逆に、その所得格差が拡大し、農業所得はその前年を下回るに至り、兼業や出かせぎを余儀なくされているみじめな農業者に対しまして、総理はどのように感じておられるのか、その心境をまずお伺いいたします。
 次に、農産物の貿易の自由化についてお尋ねいたしますが、地球上の人類は、三十年後には二倍の七十億人となり、食糧不足が深刻化されるといわれております。わが国も一億四千万に近い人口が予想され、国民食糧の確保は、今後一そう重要となることと思います。しかるに、近年、食糧農産物の輸入が急増して、食糧自給率は四十五年度七六%に減少し、さらに昭和四十六年度は輸入の増加とともにさらに低下することは必至であります。米の生産調整という農業再編成の混乱のさなかに、近代化の立ちおくれたわが国農業は、アメリカをはじめ、先進農業国の貿易自由化の前にはとうてい抗すべくもないことは御承知のとおりであります。
 昨年六月、突然のグレープフルーツの自由化をはじめ、輸入農産物の増加に農業者は不安動揺し、農業の将来に対する明るい希望を失い、出産意欲も減退しているという憂うべき状態にあり、その結果は、農業の縮小再生産の繰り返し、食糧自給率は急速に低下し、一億の国民の胃袋は、遠く海を隔てた海外の農産物に大きく依存せざるを得なくなる危険を含んでおるのでございます。しかしながら、国際的な自由貿易圧力の強まりと、たまったドルをもてあまして、新円対策の一環としても農産物の自由化が考えられておるようでございますが、残された二十四品目についてどうするのか、そのお考えをお伺いいたしたいのでございます。
 農産物の貿易制限については、フランスが現在三十九品目、西ドイツ、イギリス等十九品目というように制限品目を持っておりまして、わが国の二十四品目は必ずしも多いとは思われないのであります。また、農産物の自由化を迫るアメリカ自身、十品目ばかりの制限品目を持っており、各国とも、それぞれ自国の農業を守り、国内食糧の自給度向上を目ざしておるのでございます。
 特に、アメリカから自由化要請の強いオレンジ、果汁、牛肉については、今後のわが国農業の基幹作物であり、絶対に自由化すべきでないと考えます。本国会の予算委員会で、赤城農林大臣は私の質問に答えて、残りの二十四品目に対しては、基幹的作物でありますから、それは自由化しない方針をきめていると言明されましたが、グレープフルーツの例もあるので、農産物貿易自由化の問題について、佐藤総理の率直な御見解をお伺いいたします。
 次に、農業白書に指摘する農業の現状は、まさに羅針盤をなくして大海に漂う難波船でございまして、自由化の波をかぶれば沈没必至の運命にあります。政府は、まず貿易自由化の波を取り除くとともに、これに正確な羅針盤を与え、明るい彼津に向かって安全な航海をさせる責任があります。それはまさに、農政の立て直しでなくてはなりません。
 農業も農村も、時代に応じて変化し、多面化することは当然であり、今日、食糧生産のほかに国土の保全、緑の提供、大気の浄化など多岐にわたるに至りましたが、いかに時代の要請が多面的であろうとも、食糧生産という第一義的使命が減殺されるものではありません。人口が増加し、所得の向上とともに高級化、多様化する食糧需要の動向に沿って、良質の食糧を国際価格に近く国民に供給できる農業の立て直しこそ、独立国家として、今日最も緊急の課題であると考えるのであります。そのためには、ただ総合農政の展開だとかあるいは農業近代化を進めるとか、観念的なことだけじゃなくして、国民経済との最も好ましい整合値を求めた具体的な年次計画が樹立、実行されなくてはならないと思います。
 特に、計画の策定にあたっては、作物ごとの年次別自給目標と地域分担が明示されて、さらに国及び公共による大胆な投資が裏づけされ、生産性の高い農地の造成を中心にすべきことは言うまでもないところであります。最近、農林大臣も、作目ごとの自給率について準備を進められておるように伺っておりますが、農政の立て直しを目標に、具体的な計画樹立について、その用意があるかいなか、お伺いいたします。
 なお、農業投資についての大蔵大臣の御所見もあわせてお伺いいたします。
 また、このことに関連して、日本農業が自給率を高めるべき品目を、何年ぐらいでどれだけ自給するか、そのため、どれだけの農用地を開発し、土地の生産をどう引き上げるか、そうして、それに必要な水の確保をどうするか等、農業政策の目標を明確にするための農業計画法を制定すべきであると考えますが、農林大臣はいかようにお考えになりますか、お伺いいたします。
 次に、昨年の国会で農村工業導入促進法が成立し、いままた都市側からする工業再配置促進法が提案されております。景気の立ち直りとともに、農村地区への工業進出が本格化することと思います。農村工業導入のメリットは認めますが、工業による環境の汚染、公害の発生の防止、特に下流における農業用水あるいは生活用水の汚染が起こるとするならば、工業導入によるメリットどころではなく、新たに上流と下流の利害対立となり、社会問題となるおそれもあります。慎重に対処されなくてはなりません。これらの問題にどう対処されるか、農林大臣と環境庁長官に、その方針なり対策をお伺いいたします。
 最後に、米価についてお尋ねいたしますが、本年産生産者米価については、農林大臣は引き上げる方針を明らかにしておりますが、消費者物価並びに労賃の高騰、生産資材の値上がりの中で、生産者米価は四十二年産米価の水準のままで今日に及んでおる。しかも大幅な生産調整が行なわれておるのでありますが、その中で、昨年は異常気象のために米の大減収となり、米作農家は二重三重の苦しみを味わっておるのでございます。米価の値上げは当然であります。要は値上げの額であります。
 十三年ぶりの農業所得の前年度よりの減少といい、あるいはまた十五年ぶりの、農業総生産が前年度を下回るという、農業と農村にとってまさに最悪の事態を迎えて困窮しておる米作農民に対する愛情ある措置を強く要請いたすものであります。
 今日このような農業の事態を招いた最高責任者として、総理は、本年産生産者米価をどのように考えておられるか。佐藤内閣最後の米価決定にあたり、少なくとも一〇%以上値上げすべきであると考えるが、総理の御見解を承りたいのでございます。
 なお、消費者米価について農林大臣が、食管赤字のゆえをもって値上げを考えているやに灰聞いたしておりますが、消費者米価を食管赤字にこと寄せて値上げすることは、法の趣旨から見ましても穏当を欠く措置であります。不況の中の物価高が予想されております今日、安易な消費者米価の値上げは強く反対するものであります。消費者米価についての農林大臣のお考えを眠りたい。
 農業者が明るい希望を持って、安んじて農業出産に従事し、それが国民経済の多様な要求にも合致し、そして、農業者が他産業従事者と均衡のとれた所得が得られるよう、農業基本法に沿った抜本的な農政の確立を強く要望し、これからも毎年報告されるであろう農業白書が、一日も早く明るいものに変わるよう心から期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#63
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 合沢君にお答えをいたします。
 今日の農業が内外ともにきわめてきびしい局面を迎えていることは、今回の農業百白書も明らかにしているところであります。しかしながら、このような事態のもとにおきまして、施設園芸、中小家畜等をはじめとする園芸、畜産の伸展、稲作における集団的生産組織の展開など、農業生産は、全体として選択的拡大の方向に沿って発展しているものと思います。
 農業の基本的役割りは、一億国民にその必要とする食糧を安定的に供給することにあります。御指摘のとおりであります。現在のきびしい諸情勢に対処して、このような農業に課せられた使命を達成し、その健全な発展をはかるためには、さらに一そう農政の本格的な展開につとめる必要があります。このため政府といたしましては、農業団地の形成をはじめとする構造、生産、価格、流通等、各般にわたる施策を強力に推進し、わが国農業の体質改善をはかるとともに、需要の動向と地域の特性に応じた農業出産の再編成をはかるため、さらに一そうの努力を傾ける考えでございます。
 次に、農産物の自由化、さらにまた生産者米価等についてのお尋ねがございましたが、これは社会党の長谷部君や公明党の瀬野君にもお答えしたところでございますので、これは省略させていただきます。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#64
○国務大臣(赤城宗徳君) 国際情勢が農業に対して非常にきびしいものがありますことは、御指摘のとおりでございます。そこで、食糧生産をしている農業関係に携わっているわれわれとしましては、食糧の国際価格に近いもので一億国民に食糧を供給する、こういう責任が非常に大きいのでございます。そこで、これを年次別あるいは地域別、こういうものによってその目的に近づけよう、こういう努力をしておるわけでございます。確かに、農業基本法に指向していることが必ずしもよくいってない点は御指摘のとおりでございますが、その中のいまの点からいいますれば、自給率を考えまして農産物の需要と出産の長期的見通し、これを公表したことも御承知のとおりでございます。また、地域指標をガイドポストとしてつくって公表したことも御承知のとおりでございます。これをさらに十年間くらいの先を見通しまして、それに従って、先ほど御指摘のように、国際価格に近い値段で食糧を供給するというようなことに、努力を一そう進めていきたいと思います。
 第二は、工業の導入、公害がそれによって出てくるじゃないかということでございますが、先ほどの出かせぎの問題、農外収入に依存しなければやっていけない状況から見まして、やはり遠くへ出かせぎするより、近くで農業外収入を得るということが必要でございますので、工業の導入につきましては、公害のないようなもの、安定的なものを導入していきたい。土地改良法などにおきましても、そういう面で虫食い的な工業導入をしないように配慮をしたようなことも御承知のとおりでございます。
 米価の問題でございますが、生産者米価、消費者米価等につきまして、これもすでに御答弁申し上げたのでございますが、やはり算定の基礎がありますから、その基礎に従って、近くこれを諮問するような段階にいきたいと思っております。そのときに、価格などもおはかりしたいと思っています。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男登壇〕
#65
○国務大臣(水田三喜男君) 御指摘のように、内外のきびしい情勢に直面しておる日本の農業の健全な発達をはかりまするためには、やはり国際競争力を持つ近代的な農業として日本の農業が確立されるように体質改善をすることが基本的な問題だろうと存じます。したがいまして、農業の近代化ということにつきましては、ひとり民間の農業金融とか農業投資にまかせるのではなくて、国といたしましても、従来から、予算編成上の重要事項の一つとしてこれを扱って財政措置を講じてきたところでございますが、四十七年度の予算におきましては、先ほども申しましたように、農業団地の育成、農業構造の改善、農業生産基盤の整備というような点に重点を置いて、生産性の向上を推進するための予算措置を講じてきたところでございますが、土地の改良等を中心にして、予算の総額を申しますと二千八百億に近いといろ予算でございますので、いままでの予算に比べましては、この点に相当の配慮をいたしたつもりでございます。
 以上でございます。(拍手)
  〔国務大臣大石武一君〕
#66
○国務大臣(大石武一君) 現段階では、農村なり農業の繁栄は、農業それ自体の内部だけではとうてい解決できないことは御承知のとおりでございます。そこで当然、工業が農村に導入されてくるわけでございますが、その際、最も注意しなければならないのは、お話のとおり、やはり環境汚染による公害の問題だろうと思います。
 御承知のように、農村地域工業導入促進法におきましても、知事がその計画を策定します場合には、必ず公害の防止の規定をすることになっておるのでございまして、このようにいまの政治も公害の防止ということに向いておるわけでございますが、われわれもできるだけ各地方自治体とも十分な連絡をとりまして、今後は、公害というものは防止する以外に道はございませんので、そのような方向に行政を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#67
○副議長(長谷川四郎君) 次に、沿岸漁業の年次報告等についての質疑を許します。田中恒利君。
  〔田中恒利君登壇〕
#68
○田中恒利君 私は、日本社会党を代表して、ただいま政府より説明を受けました昭和四十六年度の漁業白書について、佐藤総理並びに関係国務大臣に質問をいたします。
 まず、私は、この白書を読んで一番感じましたことを、率直に総理に申し上げねばなりません。
 それは、毎年のことでありますが、漁業をめぐる現状の分析が行なわれ、課題が提示されていますが、それをどう解決していくかという大胆な政策展開に欠けている点であります。魚をとる漁民も、魚を食べる国民も、いまひとしく政治に求めていることは、漁業発展を阻害する条件、すなわち、海の環境汚染を改め、漁業資源の開発を進め、複雑な流通機構を改革して、良質のたん白質食糧を安定した値段で供給してほしいということでありますが、これにこたえる政策は著しく立ちおくれているといわねばなりません。
 昭和四十七年度漁業関係予算は、農林予算の五・九%、総額六百五十三億円にすぎきません。このうち、漁場開発と資源拡大の対策費は三十二億円、水産庁の公害対策費はわずかに一億円、国民が最も期待する価格安定、流通、加工対策は十二億円にとどまっております。これではとうていわが国の漁業が当面するきびしい課題に対処することはできません。まして、海の資源を育て、環境を守るという新しい政策への接近は、とうてい期しがたいといわねばなりませんが、総理はどうお考えでしょうか。
 私は、この際、佐藤総理がわが国の漁業についていかなる考えを持っておられるか。多年にわたるGNP第一主義、大企業中心の成長政策によって、沿岸漁場は奪われ、魚の生息を許さない海の汚染、漁業労働力の流出などの悪条件が漁業の発展を著しく阻害させているといわれますが、これに対しどう対処されるのか、その所信のほどをまず明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 白書によれば、わが国の漁業生産は毎年ふえ続け、昭和四十六年には九百三十二万トン、世界生産量の七分の一を占めています。その限りにおいては順調な生産を示しているといえますが、その中身がきわめて危険であります。
 すなわち、生産の増加は加工用の魚であり、海面生産量の四二%がスケソウダラとサバであります。国民が日常生活で最も求め、親しまれているイワシ、アジ、タイ、ブリなどの生鮮魚介類は、この数年来停滞ないしは減少の傾向を示し続けています。もし、スケソウダラとサバが資源的に行き詰まり、不漁にでもなれば、わが国の漁獲高は一挙に低落を示すわけであります。
 一方、国民の食生活の高級化と多様化に伴い、生鮮魚介類の生産拡大はますますその需要を強めていますが、政府はこれにどう対処されるのか。
 水産物の政府需給見通しによっても、昭和五十二年度には需要量千二百四十万トンに対し、供給量は九百五十万トン、差し引き二百九十万トンの不足が示されていますが、この不足量はどこからどれほどまかなってくるのか、この際、明らかにしていただきたいのであります。
 ことに、昭和四十三年をピークに、依然として停滞傾向から脱し切れぬ沿岸漁業をどうするのか。いわゆるとる漁業からつくる漁業への資源転換は、一体どれほど期待されるのか。これまで手をつけていない深海魚を含む未利用資源の開発対策を含めて、農林大臣の所信をお尋ねいたします。
 次に、海の環境破壊をめぐる問題であります。
 沿海と内水面漁場は、排水と都市下水、屎尿、廃棄物などが大量に漁場に流出、堆積され、日とともに汚染の度を強め、その被害は増大の一途をたどりつつあることは、何人も否定することはできません。
 政府は、曲がりなりにも、海洋汚染防止法、水質汚濁防止法など一連の公害立法を制定し、各様の規制を加えようとしていますが、汚染の進行はそれをはるかに上回り、一体いつになれば海の環境破壊を防ぎとめるのかという関係地域住民の不安は増大の一途をたどっております。環境庁がさきに発表した海洋汚染防止法に基づく廃棄物処理についての新基準が完全実施されるのは数年あとになるといわれますが、なぜ直ちに実施しないのか、水質汚濁防止法に基づく排水の総量規制を行なうのかどうか、漁場を奪う堆積ヘドロの撤去などについて、具体的にお答えをいただきたいのであります。
 私は、この際、特に瀬戸内海の汚染防止についてお尋ねをいたします。
 瀬戸内海は、申すまでもなく、わが国が世界に誇る海の公園であり、同時に高級魚を中心とするわが国の重要な沿岸漁場でありますが、いまやその景観美は著しくそこなわれ、海は青きを失い、大阪湾等はどす黒いにおいの出る海と化しています。このような状態が続けば、魚の生息はとうてい困難になるといわれますが、政府は、この瀬戸内海の汚染防止をいかなる形で解決しようとするのか。いたずらに調査検討に時をかすことなく、汚染防止の具体策を早急に明らかにすべきであります。瀬戸内海の特殊性からして、現存の公害諸立法のみではその対策は不十分と思われますが、この際、瀬戸内海環境保全の特別立法の必要性について所信をお尋ねいたします。
 さらに、内海における巨大タンカーの航行は、昨年の新潟沖座礁事故が示すように、一たび事故が発生すれば、その及ぼす事態は重大でありますが、瀬戸内海はもとより、東京湾、伊勢湾などを含めて、巨大タンカー船の航行禁止について環境庁長官よりお答えをいただきたいのであります。
 漁場をめぐる自然環境破壊の原因が歴代自民党政府の無計画な工場優先の地域開発政策にあることを重ねて指摘するとともに、伝えられる新長期経済計画や新全国総合開発計画の改定をめぐって、自然と産業の調整をどう取り扱うのか、この際、経済企画庁長官にもお答えをいただきたいのであります。
 次に、魚介類の価格、流通をめぐる問題であります。
 白書は多くのページをさいて、これを取り組む姿勢を一応明らかにしていますが、物価安定は、遺憾ながら七年間の長きにわたった佐藤内閣がかけ声にのみ終始した最大の内政課題であり、国民に対する公的無視の最たるものであります。(拍手)われわれは、物価高の根本は大企業本位の異常なまでの日本経済の高度成長政策にあることをしばしば指摘をしてきたところでありますが、現象的には、生鮮食料品、特に魚の価格問題が一つの要素であるととも否定できません。
 昭和四十五年の魚の産地価格は四十年に比べて一・六五倍、消費者価格は一・五七倍、ともに食料品総合価格の一・三倍を大幅に上回っており、鮮魚は毎年二二%前後の上昇を続けてきたのであります。小売り価格も、この二、三年前までは一ぱい四、五十円のスルメイカがことしになって二百円になったり、産地ではとれ過ぎて一尾十円もしないサバが消費地では百円もするという奇妙な状態をもたらしてきたのであります。これらはいずれも従来の生産対策一本の漁業政策に対し、流通、消費にわたる総合的な施策の欠如を指摘しているといわねばなりません。
 国民は、いま政府助成の冷凍施設が中間業者の投機の施設となっていないかとの不信感を強め、生産地と消費地に二つの魚市場が存在することに素朴な疑問を抱いております。生産漁民も消費者も、一様に今日の複雑な流通機構の根本的な改革を強く求めているわけでありますが、農林大臣は、流通改革に対しいかなる政策を準備されているのか、明らかにしていただくとともに、物価担当大臣として経済企画庁長官の魚価安定に対する所見をもあわせてお尋ねをいたします。
 最後に、国際漁業について質問をいたします。
 その一つは、北洋漁業についてであります。毎年難航を重ねる日ソ漁業交渉は先般妥結をいたしましたが、その内容は、毎年のように漁獲量が著しく減っていますが、北洋漁業のこれからの見通し、減船に伴う漁業者への被害救済措置並びに安全操業問題について、農林大臣の答弁を求めるものであります。
 漁業問題をめぐっての日ソ間の話し合いは、やがて両国の平和条約に引き継がねばなりませんが、最近の国際情勢を背景にして日ソ平和条約についての窓口が開かれつつあるといわれますが、外務大臣のこれに臨む方針、交渉時期などについてもお尋ねをいたします。
 その二は、一九七三年ヘーグで開催を予定されている国際海洋法会議における政府の方針であります。すでに国連の拡大海底平和利用委員会は、新しい国際海洋法の作成準備に入っていますが、この過程で、専管水域、領海二百海里を主張する中南米諸国の動きが積極化し、わが国の態度は孤立化するのではないかとの不安がありますが、領海、専管水域、公海をめぐる方針をまず明らかにしていただくとともに、懸案の領海の幅については、二百海里はともかく、十二海里以下ではとうていおさまることはあり得ないという情勢と聞きますが、わが国が領海幅を十二海里に踏み切るのかどうか、その時期はいつごろに予定されるのか、外務大臣のお答えをいただきたいと思います。
 最後に、近くストックホルムで開催される、国連人間環境会議において、鯨の資源保護のため、捕鯨の十年間停止案が提出される予定と聞きますが、これに対する政府の態度を明らかにしていただきたいと思います。
 以上、私はわが国の漁業をめぐる若干の問題について政府の見解を求めたのでありますが、いずれもこれらの解決には多くの障害が存在することは言うまでもありません。しかしながら、強力な政策の展開によって果たし得る問題でもあります。大企業中心の開発政策にあえぐ漁業者に対し、政権末期とはいえ、在職七年の佐藤政権が負わねばならない問題として積極的に取り組まれることを強く要求して、質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#69
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 田中君にお答えをいたします。
 田中君も御指摘のように、近年わが国の漁業を取り巻く環境は、公害による漁場環境の悪化、国際規制の強化、労働力事情の逼迫等、きわめてきびしいものがあります。このような状況に対処し、動物性たん白質供給産業としての漁業の発展をはかるため、政府としてはできる限りの努力をしているところであります。
 白書は十分実情は説明しておるが、対策としての何ら見るべきものなし、こういう断定をされましたが、しかし、政府として取り組んでおりますことは、御承知のように、海洋新漁場の開発と沿岸における養殖推進による水産資源の開発、あるいは漁港等の漁業生産基盤の整備、沿岸漁業の構造改善、流通の合理化、公害対策の拡充等の施策を推進しているところであります。これより以上には社会党にもないだろうと私は思います。
 政府といたしましては、今後とも漁業の生産及び流通の各面を通ずる施策の充実をはかり、漁業生産者はもとより、消費者である国民一般の要求にこたえていく考えであります。
 以上、私から政府の基本的な考え方についてお答えをいたしました。足りない点については、農林大臣から補足させます。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
#70
○国務大臣(赤城宗徳君) 農業事情と同じように、漁業事情もきびしい国際環境にさらされておりますことは、御指摘のとおりでございます。
 そこで、生産面でございますが、需給の見通しから言いましても、供給が減少するという傾向であることもまたおっしゃるとおりでございます。それで生産面では、私から申し上げるまでもなく、一つは、海洋の新漁場の開発ということに手をつけなければなりませんし、沿岸では、御指摘のように、とる漁業よりもつくる漁業、こういう増殖の方面に力を入れなければならない、この両面から生産面を進めていかなければならぬと思います。ですから、いま総理から言われましたが、漁港等漁業生産基盤の整備とか、沿岸漁業の構造改善とか、流通の合理化等を積極的に推進していく、こういうことでございます。
 ところが、今度は生産だけではいけませんで、流通、加工という方面が強く要請されております。こういう面では、貯蔵とか保存の設備等を相当増強していく、こういうことでございます。
 なお、北洋漁業については見通しはどうかということでございますが、御承知のように、ことしはマスの不漁年でございます。そしていままで減船をしばらくやっておりませんでしたが、ことしは一割減船を、業者といいますか、水産業の関係者が相談してやりましたが、それに対して、残った人々がやめる人に対して命を出していく、こういうことできまりました。それにつきまして、政府としては資金の利子補給というような方法でこれをやっていくということできまりました。
 なお、北洋の安全操業の見通し、これはどうだということでございますが、安全操業につきましては、御承知のように、かつて赤城試案というようなもので交渉を進めておりました。その中途で、一昨年でしたか、愛知試案というようなことで、北方の四島周辺で安全操業をするという案を出しました。しかし、これは領土、領海の問題とあまり強い関係を持たしては、なかなか向こうもうんと承知しないんじゃないかと思いまして、とにかく魚がたくさんおるところ、そうして拿捕の可能性というか、拿捕されることが非常に多い場所、こういう場所をきめまして、そしてそこにおいては拿捕しないで自由に日本の漁船が安全操業できるように、こういう案を出しまして、その案に基づいてただいま外交ルートで交渉を進めております。
 そこで、今度は北方領土が平和条約でもって返るということになって、北方領土問題が非常に前に進むということになると、安全操業問題などはもう意味をなさないのじゃないか、必要ないのじゃないかというようなこともありますが、北方領土の問題がそう急に解決するとは私は考えません。また、これが全部日本の要求どおりに解決するかどうかということも、これはなかなかこれからの大きな問題だと思います。でございますので、漁民の立場からいって、安全操業問題というものは、やはりこれと並行して強く進めていくということが必要だ、こう思っております。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君君登壇〕
#71
○国務大臣(福田赳夫君) 第一点は、北方漁業問題と非常に深い関係のある日ソ平和条約交渉はどうなっておるか、こういうお話でございます。
 この交渉は、ことしの秋から冬にかけて第一回会談を行ないたい、そういうふうに考えております。日ソ平和条約交渉は、これは申すまでもございませんけれども、領土画定交渉といってもいいくらいな領土問題が中心になる交渉でございます。したがいまして、この領土問題が前提となっておる交渉でございますので、ソビエト側も非常に慎重なかまえをとってきたわけなんです。ところが、ことし一月来日いたしましたグロムイコ外務大臣が、とにかく日ソ平和条約交渉を今年中にやりましょう、こういうことになりました。私どもといたしましては、長い間の悲願である北方領土問題、これに対する主張、これを公式な平和条約の場において主張し得るという立場になるわけでありまして、私は、北方問題が大きく前進した、こういうふうに見ております。ただ、その前途を考えてみますると、いま赤城農林大臣が申されましたが、そう簡単なものじゃない、そう簡単に私は領土問題が解決し、したがって平和条約が締結されるというふうには考えませんけれども、しかし、これに臨む態度につきましては、私は非常に強気でございます。私は、この領土の問題につきましては、わが国の従来の主張を一歩も譲ることはない、そういう立場において粘り強く取り組んでいきたい、かように考えております。それから、第二の、国際海洋法会議の問題でありますが、確かに、お話のように、来年は国連において国際海洋法会議が開かれる、そのとおりであります。その議題はまだ明確にはなっておりませんけれども、おそらく、領海の問題、専管水域の問題、大陸だな問題等が論議されるであろう、こういうふうに思います。
 わが国は、申し上げるまでもなく海洋国家である。したがいまして、海洋の自由、これがわが国の国益の基本になる、かように考えておる次第でございますが、さらばといいまして、最近の世界の傾向は、特に開発途上国なんかにおきまして、専管水域を設定するとか、あるいは領海の幅を拡大するとか、いろいろな動きがあるのでありまして、わが国の立場だけに固執をするということもできない。端的に言いますと、わが国の海洋法会議に臨む立場は苦しい立場である、こういうふうに考えます。しかし、とにかく、わが国の立場を踏んまえ、国益を考え、そうして国際社会におい、公正なる、バランスのとれた解決ができるようにという姿勢をもってこの会議に対処したい、さように考えます。お話の領海十二海里問題、これにつきましては、私どもはこれを積極的に主張はいたしません。しかし、おそらく大勢が十二海里というようなことになってくるだろう、そういう際には、これはちゅうちょすることなくこれに賛同をする、そういう方針でございます。(拍手)
  〔国務大臣大石武一君登壇〕
#72
○国務大臣(大石武一君) 海洋汚染防止法は、ことしの六月二十五日から施行されることになります。したがいまして、その船舶からの投棄物の排出の海域なり方法につきましては、いま政令でこれをきめなければなりません。三月十六日に、中公審におきましてその答申を得ましたので、近いうちにこれをはっきりと公布することにいたしております。この場合には、相当きびしいものを考えております。いま海洋投棄する場合には、少なくとも親潮なりあるいは黒潮なりの外の海洋に棄てるということで、まず海域を考えております。相当きびしくなります。ところが、いまお話がありましたように、瀬戸内海においては屎尿投棄が前面で行なわれておりますが、これも四十七年度で廃止いたします。その瀬戸内海では小さな船で屎尿投棄をしておりましたが、それが今度は相当の外洋に参りまして投棄するので、その船ではとうてい役に立ちません。したがいまして、もっと大きな安定性のある船をつくるとか、いろいろな問題が出てまいります。
 そういうことを考えますと、直ちに六月からこの法律を適用することは不可能でございますので、やはり経過措置が必要となります。しかし、経過措置もできるだけ短い期間にしまして、できるだけ考えのきびしいものにいたしたい、そして早く海洋を汚染から守ってまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、瀬戸内海の汚染防止の問題でございますが、これはたいへんなことで、御承知のように、昨年十月には瀬戸内海環境保全対策推進会議というものを政府内につくりまして、私がその中心となりましてその対策を立てておるわけでございますが、これはとりあえず早急にやらなければならないものと、長い点からいろいろ理想的なことを考えてやらなければならない面と、二つがございます。そういうことで、去年じゅうは、各省庁を動員いたしまして、どのような問題が一番重点であるかという、その問題点を洗い出しました。その結果、それに対処してやはり直ちにいまからでもやらなければならない問題がたくさんございますので、そういうものに着手しておるわけでございます。たとえば、下水道の問題を十分に解決すれば、私は、汚水処理さえうまくできれば、六割や七割は瀬戸内海の汚染は防げると思うのです。そういう意味で、下水道の促進であるとか、あるいは屎尿処理の問題であるとか、いろいろな問題がたくさんございます。あるいは大きな工業都市の公害防止計画を早く実現させるとか、こういうことをやっておるわけでございますが、それだけではとても間に合いません。そこで、まず、ことしの五月二十二日には、瀬戸内海の水質の一斉点検を行ないます。これを今後年四回行ないまして、早くその実態の一部をつかまえてまいりたいと考えておりますし、また、いろいろな赤潮の問題につきましても、これは各関係省庁と十分努力いたしまして緊急対策を進めておる段階でございます。
 このようにして、できることはいたしておりますが、これだけではとうてい不十分でございます。今後はやはり大きなビジョンを持って年次計画を立てることが必要でございますが、それを実行する段階になりますと、いまの法律だけでは少しむずかしいような気がいたします。また、瀬戸内海でわれわれがいかに努力しましても、この沿岸の関係の県なり市がかってに埋め立てをしたり、あるいはいろいろなことで海をいじくる処理をしますと、それはどうにもなりません。したがって、公害防止という点だけにつきましても、総合的な、広域的な行政が行なえるような新しい立法がどうしても必要になるのではなかろうか、こういうことを考えまして、目下検討いたしておる最中でございます。何とかして早くこのわれわれの希望が実現するよう努力いたす決意でございます。
 それから、ちょっとあと二、三分時間をいただきます。
 大型タンカーの問題でございますが、これは私の所管よりは、運輸省その他の所管でございますが、せっかくのお尋ねでございますので、考え方を申し上げます。
 日本が現在のような産業構造の政策をとってまいります限りは、大型のタンカーは絶対に規制しなければならぬ時期がすぐまいると思います。したがいまして、このような政策をどのように転換するか。たとえば、鉄鋼の問題とか油の問題をどのような形においてこれを今後進めていくかということが、大きな日本の政策になると思います。そういう意味では大型タンカーの問題も変わってまいりますが、いままでのような政策を続けてまいりますならばタンカーはますます大型になってまいると思います。三十万トンとか五十万トン、百万トンのタンカーになると思います。そういうものが国内の内海や湾を横行してはたいへんなことになります。したがいまして、これについても十分な配慮と規制が必要だろう、こういうことを考えておる次第でございます。
 それから最後でございますが、ストックホルム会議の鯨の話でございます。これは当然農林大臣がお答えするところでございますけれども、ちょうどこの会議に私が大体首席代表で参るような予想をされておりますので、それで私が一応お答えいたしたいと思うのでございます。
 この会議は、国際捕鯨委員会のような大きな規制力を持っている会議ではございません。この会議においては、鯨の問題、アメリカを中心としまして、十年間捕獲を禁止しようという決議案が出ておるのでございます。へたをするとこれは決議されます。決議をされますと、これはいま申しましたように、国際捕鯨委員会のような大きな強制力はありませんけれども、しかし、現存世界でいわゆる商業的捕鯨として鯨をとっている国は、ソ連と日本しかないんです。ほかの西欧諸国は、すでに、昔はさんざんとり尽くして、そうしてこのような現在の鯨に悲惨な状態をつくっておきながら、みな逃げまして、残っておるのは、しがみついておるのは、日本とソ連だけなんです。ことに、ソ連はこの会議には参加いたしません。したがって、われわれがよほどがんばらないと、へたにこの十年間の禁止を決議されますと、これは必ずしもそれに拘束されるわけではありませんが、やはり国際的な世論において日本が孤立すると思うんです。その点でひとつがんばってまいりたいと思います。これにつきましては、やはり先日アメリカのトレイン公害の委員長からも手紙が参りまして、返事を私出しておりますが、大体の鯨は今後永久に捕獲を禁止しなければなりませんが、いま問題になっておりますナガスクジラと、それからイワシクジラとマッコウクジラのこの三種は、十分に資源の保護を考えて捕獲すれば、まだまだ商業的捕獲ができると思いますので、しばらくの間はそのような方針で進んでまいるということをがんばってまいりたいと思いますが、それにつきましても、やはり日本とソ連がこれを守るための、資源を保護するための十分な規制を行なう、これを強力に申してまいりたい、こう考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣木村俊夫君登壇〕
#73
○国務大臣(木村俊夫君) お尋ねが二つございます。
 一つは、新全総計画の総点検及び新しい長期経済計画の策定にあたりましては、御指摘のとおり、環境問題を最重点課題の一つとして取り上げます。開発と環境保全との関係を中心にいたしまして、各面から検討いたしたいと考えております。
 次に、魚価の安定の問題でございますが、先ほどから総理、農林大臣からのお答えの中にございますように、最近野菜が比較的安定しておりますにもかかわらず、ここ数年魚の値段が非常に上がっております。この魚価の安定をはかりますためには、新漁場の開発、栽培漁場の推進等、何としましても供給をふやさなければなりません。そのほか、輸入政策をもっと活用すべきであろうと思います。流通機構もたいへん立ちおくれておりますので、その魚価の高騰を助長しておる流通機構の改善を今後重点的にやっていきたいと考えておる次第でございます。(拍手)
#74
○副議長(長谷川四郎君) これにて質疑は終了いたしました。
#75
○副議長(長谷川四郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        建 設 大 臣 西村 英一君
        国 務 大 臣 江崎 真澄君
        国 務 大 臣 大石 武一君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
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ソース: 国立国会図書館
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