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1947/09/18 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第14号
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1947/09/18 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第14号

#1
第001回国会 厚生委員会 第14号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價額撤廃に関する陳情(第
 二号)
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
○兒童の福祉増進に関する法令制定の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廳職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死、戰災遺家族並びに傷病者の更
 生に関する陳情(第五十号)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青少年禁酒法案(小杉イ子君発議)
○恩給増額に関する請願(第三十九
 号)
○災害救助法案(内閣送付)
○兒童福祉法案(内閣送付)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第五十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十一号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十三号)
○恩給法の改正に関する陳情(第百五
 十三号)
○國民健康保險組合の振作促進に関す
 る陳情(第百五十五号)
○國民健康保險制度の更生に関する請
 願(第八十二号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第八十七号)
○恩給増額に関する陳情(第百九十三
 号)
○最低生活の保証に関する陳情(第二
 百十八号)
○國際電氣通信株式会社等の社員で公
 務員となつた在職年の計算に関する
○恩給法の特例等に関する法律案(内
 閣送付)
○医師会齒科医師会及び日本医療團の
 解散等に関する法律案(内閣提出)
○恩給増額に関する請願(第百十一
 号)
○戰死者遺族の更生対策に関す請願
 (第百十六号)
○生活協同組合法の制定に関する請願
 (第百四十三号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百四十六号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百五十一号)
○住宅営團経営の住宅を國営とするこ
 とに関する請願(第百六十九号)
○東京帝國大学演習林拂下げに関する
 請願(第百七十二号)
○教員恩給増額に関する請願(第百七
 十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第百七十九号)
○生活協同組合法の制定に関する陳情
 (第二百七十五号)
○教員恩給増額に関する陳情(第二百
 九十八号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月十八日(木曜日)
   午後一時四十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○医師会齒科医師会及び日本医療團の
 解散等に関する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。本日は医師会、齒科医師会及び日本医療團の解散等に関する法律案に関しまする質疑をお願いいたします。尚厚生大臣、東医務局長は水害視察のために不在であります。出席ができませんので、厚生事務官の医務局次長心得の久下勝次さんが代つて御答弁したいとのことであります。政府委員ではありませんが、これを許可するに御異議ありませんか。
#3
○委員長(塚本重藏君) それでは許可することにいたします。どうぞ御発言を願います。
#4
○小林勝馬君 この医師会、齒科医師会及び日本医療團の解散後における処置は如何ようになつておるのでありましようか、これを御説明頂きたい。
#5
○説明員(久下勝次君) それではお許しを頂きまして私から只今の御質問に関しましてお答えを申上げます。医師会、齒科医師会、日本医療團の解散の後はどうなるかというお尋ねでございますが、これは医師会、齒科医師会、日本医療團の解散に至りました大体の経緯を申上げますことが、全般に御了解頂きます上にも亦只今の御質問に対しましても、おのずからお答えになることと存じますので、少しく時間を頂きまして簡單に経緯を申上げたいと存じます。
 医師会及び齒科医師会は御承知の通り、又昨日厚生大臣の御説明にもございましたように、國民医療法に基きまして強制的に設立されておりまする團体でございます。昨年の秋以來、医師会及び齒科医師会におきましては、それぞれ今日の時勢に即應して考えまするときに、かような強制的に設立をされ、或いは強制的に加入せしめられておる團体は面白くない、医師会及び齒科医師会の正しい発達のためにはこれを根本的に改組する必要があるというお話が起つて参つたのでございます。その後医師会及び齒科医師会共に度々改組委員会を開きまして、この問題について御検討を進められておつたのでありますが、いずれも本年の五月になりましてそれぞれ総会を開きまして、医師会及び齒科医師会は今後は民法の規定に基く社團法人になるように改組をして行きたい、そのためには從來の医師会及び齒科医師会に関する法律及び勅令の規定はこれを廃止いたしまして、從つて從來の医師会、齒科医師会はこれを解散をするのが適当と認め、こういう措置をとつて欲しいというような意味の意見書が、それぞれの会長から厚生大臣宛に提出をせられましたのであります。さような経緯を辿りまして、その後民法に基きます社團法人となりますために、いろいろ定款の規定等につきまして檢討が進められておる実情であります。只今申上げました意見書に基きまして、政府といたしましては、國民医療法中の医師会、齒科医師会に関する規定を削除いたしますと共に、医師会、齒科医師会を解散をする法律案を提出したします運びに至りました次第でございます。
 以上申上げましたような事情でございまするので、從來の医師会及び齒科医師会が解散をいたしますると、これと入れ替りに民法の規定に基く社團法人たる医師会及び齒科医師会が発足をいたしますように、只今医師会、齒科医師会におきましてそれぞれ準備を進められておるところであります。実際問題といたしまして、この法律案が可決になりまして公布せられましたならば、できるだけ早い機会にこれを施行をすることにいたしまして、そうしてこの法律に基いてその日において医師会及び齒科医師会はすべてこれを解散する。一方別途民主的な方法によつて進められておりまする医師会、齒科医師会が民法に基く社團法人として発足するのでございます。
 尚法律上の根拠の関係がさようなふうに変るのでございまするけれども、新らしく生れ出ます医師会、齒科医師会は任意加入とは申しながら、成るべく多くの会員を、医師及び齒科医師をこれに加入して頂くように、只今それぞれの会において御盡力中であります。そうすることによりまして、医師及び齒科医師としての身分を持つております者が、打つて一丸となつて我が國の國民の保健衞生の向上及び医学医術の発達のために貢献をしようというようなことに相成つておるのでございます。
 それから次は日本医療團の解散に関することでございまするが、日本医療團を解散をするようになりました主な理由を申上げますると、第一には日本医療團が昨年春以來の経済上の事情に基きまして、非常に財政的に窮迫をいたして参つたのでございます。この程度は日を経る毎に甚しくなりまして、本年の春頃になりますると、一部の施設におきましては職員の俸給の支拂いさえ困難なような実状に相成つたのでございます。これは詳しく申上げると時間がかかるのでございますが日本医療團の財政的な基礎が、一方におきましては医療債劵という法律の規定に基きます債劵の発行をいたしましてこれを賄う建前になつております。更に一方におきまして結核療養施設等のために、政府の補助金を貰つておつたのでございます。その余の問題は、いずれも各施設の收入で賄うというような建前になつておつたのでございまするが、医療債劵の発行は法律上許されておりましたけれども、從來実際問題といたしまして、この医療團の医療債劵は政府の預金部資金或いは簡易保險の資金によつて賄われておつたのでございます。昨年の春連合軍の指令に基きまして預金部資金の貸出しが全面的に止められました。從いまして医療債劵の発行を引き受けて呉れる途が殆ど閉ざされた恰好になつたわけでございます。又一方におきまして政府の補助は依然として行わておつたのでございまするけれども、御承知の通り急激な物價の昂騰、人件費の増嵩によりましてその補助金をどうしても後から後からと継ぎ足しをしなければならない実状にあつたのでございます。その間の資金繰りに今申したような関係から非常に困つて参つて來たのでございます。更に医療施設の收入の面におきましても、未拂金が相当嵩んで参りました。これ亦医療團の財政に致命的な打撃を與えて來ておつたのでございます。これらの理由で財政的に極度に逼迫いたしまして、医療團というような組織機構がこのまま運営を続けますことが困難な状態に立ち至つたのは第一の理由でございます。
 第二に解散をすることになりました理由は、医療團というような全國的な組織を以ちまして、末端の無医村の診療地に至るまでこれを一手で統制的に運営をして行くといくことが 実際問題として無理があるということが考えられたのでございます。事実医療團本部というものは中央にございまして、そうして全般の予算を作り運営をする建前になつておつたのでございますけれども、なかなか遠い縣の末端の各診療所に至るまで実態を確実に掴んで、これをうまく運営するということは極めて困難であつたのであります。これを徹底しようとすれば、徒らに人件費のみ増すというようなことで、医療團出発の構想が実際問題といたしましてなかなか円滑に行なわれなかつたということが、第二の理由でございます。
 更にこれに加えまして、日本医療團は結核療養施設の殆ど大部分、及び一般病院、診療所につきましても、その半ば以上のものを医療團の傘下に收めてそうして國民医療を担当さして行こうというのが、当初の設立の趣旨であつたようでございまするけれども、御承知のように設立以來物資の不足その他の事情によりまして、結局医療團としては既存の施設を統合いたしたものも、全國統一された医療團というようなものでなかなか纒まつた精神的な結合というようなことに極めて困難な点があり、特に一般病院につきましてはこの統合が思うように運びませんので、当初の構想は殆ど実現されなかつたといつてもよいような状態であつたのでございます。これが第三の理由でございます。
 第四に、さような関係が原因となり或いは果となりまして、医療團に対する一般の世評は芳ばしくなかつた事実もあるのでございます。これは一般の世評でございまするので確実なところを申上げられませんのでございますが、その中には或いは誤つた観測に基く批評もあるようにも思いまするけれども、多くのものが医療團という組織につきまして、その運営につきまして、考慮せざるを得ないような正しい批評もあつたように思うのでございます。そういうような見地に基く世評というものは必ずしも全般的に芳ばしくない状態であつたというようなことが、解散理由として考えられるのでございます。
 以上申上げたような理由が主なる事情でございまして、本年の一月二十四日に閣議の決定をいたしまして、日本医療團の解散を決定をいたしましたのでございます。
 從いまして、解散後の処置につきましては、以上申上げたような理由を考慮しつつ、この措置をとることにいたしたのでございまするが、医療團を解散をいたしまして、先ず第一に、日本医療團の経営をしておりました結核療養の施設はこれを挙げて國営に移しまして、國において直接結核療養所施設経営の費用を負担いたしまして運営していくことにいたす方針でございます。それから結核療養所以外の病院、診療所につきましては、只今申上げました閣議決定にもあつたのでございまするが、医療制度審議会というものを設けまして、各方面の権威者の方々にお集りを願いまして、日本医療團の解散後における結核療養所以外の病院、診療所の後始末をどうしたらよかろうかということを檢討審議をして頂きましたのであります。三月頃から五月にかけまして度々御参集を頂いて研究をして頂きました結果、日本医療團の一般病院及び診療所は原則としてこれを府縣又は大都市に移すことにしてはどうか、若し府縣、大都市にしてこれを引受ける意思もなく、或いは能力もないというような場合におきましては、國においてこれを引取る、こういう建前に相成りましたのであります。そういう御方針が医療制度審議会から厚生大臣に御答申があつたのでございまして、厚生省におきましては、この医療制度審議会の答申に基きまして、医療團の経営しておりました医療施設は処置いたしたいと考えておる次第であります。尚医療團の施設は申す迄もなく、日々患者を吸收をして医療を行なつておる生きた施設でございますので一日と雖もこの業務を休むことはできませんので、解散後におきましても清算の過程におきましても医療團として医療機関の経営をなし続けて行きますように、法律に特に念のためにその規定を置きまして、そうして只今申しましたような方針に基いて終局的な処理が行われます迄の間は、解散をした法人でありまする日本医療團が責任を持つて医療機関の経営を続けて行くようにいたしておる次第でございます。
 大体以上を以ちましてお答えといたします。
#6
○小林勝馬君 今の御説明によりまして、必ずしも強制組合じやないのだから加入しなくてもよい、こういう結果になるわけでございますが、加入しなくてもよいということは、今度できまする社團法人の医師会ですか、医師会に加入しなくてもよいということは、又別個に組合を作つてもよいということになるのじやないかと思いますが、そういう点を御説明願いたいと思うのです。
 尚この社團法人としておやりになる場合の結果、厚生省の認可組合と申しますか、監督組合と申しますか、そういうあれで制限して行かれるか、どういうふうなあれになりますか、その辺り承りたいと思います。
#7
○説明員(久下勝次君) お尋ねの通りに医師会、歯科医師会は今後は設立そのものが自由ということになるわけでございます。又加入ということも自由意思に任せるという建前でございます。この点につきましては、実は私共といたしましては先程も御説明申上げましたように、医師会、歯科医師会の解散につきましては何ら積極的にこうして頂きたいというような命令的な態度は全然やつておりません。專ら医師会及び歯科医師会の動にお任せをいたしまして、その御意図に基いてこの法律の提案をいたすということになりましたのでありまするが、ただお尋ねもありましたので私共の氣持を申上げたいと存じまするが、医師会、歯科医師会は従來強制設立、強制加入ということになつておりまして、苟くも医師の身分、歯科医師の身分を持つております者はそれぞれこれに加入しなければならないということになつておつたのであります。そういう制度の下におきましても、一部の医師及び歯科医師は、これに参加することを好まないものが相当あつたのであります。そのことは会費の納入等に事実となつて現われて参りましたのであります。法律的には入ることになつておりますが、実際問題としては入らないに等しい人が相当にあつたことは事実であります。反面におきまして医師会及び歯科医師会というものを目的としておりますような仕事を達成いたしまするのに、無理に法律を以て強制して入らせるというようなことを以て果してその目的を達し得るか否かということについてはやはり民主主義的な考え方から考えまして、相当考慮をせなければならん、むしろそういうことは適当でないと私共も考えておるのでございます。本当に医師会及び歯科医師会の使命を自覚した人々が集つて、そうして本來の使命に進んで自主的に邁進をして頂くということがむしろより適切である、新時代の指導精神から申しましても適切である、かように考えておるのでございます。勿論私共医師会及び歯科医師会に関係のある医療の行政をやつております者といたしましては、そういうような意味におきまして成るべく多数の医師、歯科医師が、眞に医師会及び歯科医師会の使命、言葉を換えて申しますれば、医師及び歯科医師の本來の任務というものを自覚いたしまして、挙つて医師会及び歯科医師会に参加をいたして頂きますることは、医療行政の民主的な円滑な運営のためにも非常に結構であると思いまして、新らしい医師会及び歯科医師会の誕生につきましては非常な期待を持つておる次第でございます。
 でき上りました医師会及び歯科医師会は、先程申上げましたように、民法に基く法人でございますので、民法に基きます以上、主務大臣である厚生大臣はやはりこれに対する設立の認可を與えて、その後におきましても監督をいたすことになつております。併しこの監督は極めて一般的な法人に関する監督でございます。特別な一般法人と違う監督権を行使するということはいたさないつもりでございますので、先程申しましたような精神で、できるだけ医師会で自主的に健全に発達をして行きますことを期待をしておる次第であります。
#8
○小杉イ子君 昨日厚生大臣の医師会及び歯科医師会或いは医療團解散に対する御説明を聞きまして、私はこれに全面的の賛成を致す者でございます。医師会の方は余り詳しく存じませんけれども、私は歯科医師会の解散についてどれくらい喜ぶ人が多いかということを存じております。その理由といたしましては、会の権利として共食いになるから何町か離れた所には開業ができないというようなことを、法律でございますか、規定にあるか存じませんけれでも、新らしい人に開業させないことも事実でございます。又こういうことはどこにでもあつたことでございまするが、この医師会の役員だという人たちが配給物を余分に頂いたと本人が言うておりますが、そのために誠にそれを薄く受取つた者もおりますし、配給されて與えられるベきものが配給されないで、驚くべし、あの獣医の使うところの、馬に飲ませるところの藥が配給されたという例もございます。そうしてその配給の馬に飲ませる藥を取らないというと、次は配給を止めるぞといつた例もございます。それから戰災に罹からない立派な歯医者がございます。そういう人は堂々たるビルディングで堂々と開業して、堂々と治療代を取つてやつておられます。それに反しまして、罹災者、被戰災者の人たちはバラックで開業し、そうしてその相手というのもバラック又貧民窟部落、そういうところの人たちをみまするので、ビルデイングで堂々と取つておる人と同じ料金を取ることは到底できないのでございます。そうして又一つはよく医師会の役員会、相談会と申しまして集まりましても、まず会はそつちのけとして、飲むこと食うことに非常に費用を掛けているのでございます。これは医師会の方でございますけれども、非常に医師会あたりの宴会の派手なことというものは実にお話にならんほど派手なものであつたのでございます。それで本会に入ろうと入るまいと自由であると今おつしやつたことにつきましては、どれくらい歯科医師会の中に喜ぶ者があるかも知れないと思うのでございます。それにつきまして、その治療の成績によつて配給品を渡すということを規定して頂きたい希望を持つております。場所によりましたら、今申上げた通り貧民窟もございますし、本当に取れない者も中にはあるのでございます。從つてみて貰いたくてもみて貰えない者もおりますから、それもその会の規則に違反しないのでございましたらそれを取らないことを希望しておる者もあるのでございます。ただ今後開く者は自由でございますが、もし設立されるとすれば、それは歯科医師会は親睦的の程度でありたいと私は希望いたしております。
 それから解体につきましての弁償方法でございます。これにつきましては他はどうか存じませんが、私の知つておる会ではどうしてこれを支拂いができるか、弁償方法に困つておる、役員たちはうまいことをしておる人もありますけれども、惠まれない者に対しても大した弁償金を出さすということが協議をされておるのでございます。この辺もどうか御相談なさいまして、罹災者などにはそういうものを沢山掛けない方法をして頂きたいと思うのでございます。
#9
○藤森眞治君 第十五條についてお伺いしたいのですが、政府の方で必要があれば、日本医療團の所有する財産を優先的に買上げ得ることになつておりますが、これについて政府の方で一つの方針ができておりますかどうかということをお伺いしたいのでございます。尚承りますところによりますと、或る一定度の医療團の診療所というものが、又再び前の所有者に返されるということも承つております。而かあるベきこととは存じますがこれにつきまして巷間いろいろ面倒な問題が起つているということを噂に承つております。これに対して厚生省としてはどこまで医療團の方にお話ができまするのか、いわゆる監督の立場において、医療團が精算に入りましたときに、どういうふうにされまするかということをお伺いしたいのです。と申しますのは、若干理由を申上げておきまするが、戰時中この法律によつて、我々から見ると相当苛酷であるかと思われる買収價格によつて買われてゐる診療所が相当あります。而も買上げられたその買収金額というものは、その後のいろいろな経済状態の変動によつて、殆どこれが使用に耐えなかつたような現状になつておるのであります。それで成る程当時戰爭中でございまして、一方には戰災によつて燒けるかも知れないという予想がありましたのにいたしましても、現在医療團が解散するということになりましては、いわゆる民間における医療施設、これについては相当十分な御考慮を拂つて頂きたいということを考えておりますので、この辺の詳細を一つ承りたいと存じます。
 それから第二には、先程お話のありましたこの医療團の解散の原因として、いわゆる経営そのものが十分うまく行かなかつた、こういうことが一つの原因であるという御説明を承りましたが、この医療團によりまして、いわゆる統制された廣い範囲の大きな診療、或る意味においては國家が指導した医療機関、これがうまく進行しなくて、ということは、今後我々が國民医療或は國営医療ということにつきまして大きな示唆を與える点があります。若しこの点もお差支がなければ医療團の業績がどういうふうか、この病院はいかが、こういう病院はうまく行つてこういうふうになつたというふうな点が分りますればお知らせを願いたい、かように存じます。
#10
○説明員(久下勝次君) 最初に小杉委員のお尋ねの中お答えをいたす必要があると思うことがございますから……。医療費につきまして、実情に應じて徴収のできるような規定を設けて欲しい、こういうお話でございます。つまり取れない者からは取らなくていいようにというようなお話であつたように伺いました。医療費の問題につきましては、医師会、歯科医師会の解散とは直接関係がないようには存じておるのでございますが、この点につきましては若干今までの経緯を簡單に申上げたいと思います。医療費につきましては國民医療法の中に、必要な命令を厚生大臣が、なし得ることになつておりまして、医師会、歯科医師会令には、医師会、歯科医師会はそれぞれ医療報酬の標準額を総会において決定することになつておつたのであります。これがいわゆる医師会、歯科医師会の定めた医療報酬でございます、これはあくまでも標準額でありまして、個々の医師はその標準額に基きまして適当な医療費を決めて、具体的な場合に應じて頂くということになつておつたのでございます。この根本的な今までの行き方を如何様にいたすかということは、実は御承知の私的獨占禁止法の関係もございまして、果して医師会、歯科医師会というものが、今後新らしく出来ましたものに対しましても、自分の会員の取るべき医療費を、会として決めていいかどうかということは、この私的獨占禁止法との関係において考慮を要すべき点があるように思うのでございます。併し又一面におきまして、医療費というものの本質につきまして考えなければならない面がお話の通り相当ございます。この辺の調和につきましては、只今経済安定本部その他関係方面と相談をいたしておるところでございまして、御趣旨に副うようにいたすつもりでございます。
 それから清算に関する弁償金を取らないように、人によつては軽減するようにというお話でございます。この点につきましては、今度の法律の建前が、すべて医師会、歯科医師会の総会においてこれを決定するということにいたしておるのでございます。私共といたしましては、その決定に基きまして、それぞれ主務官廳が認可をすることになつておりますが、この認可もできるだけ総会の決議を尊重いたしましてやるようにいたしたいと思います。併しその決定が基だしく公益を害するような場合には、或いは認可を與えないというような処置によりまして、甚だしい場合の処置としては今のような最後の手もございますので、極端の場合には処置ができると考えております。できるだけ御趣旨のように医師会、歯科医師会が自発的にそういう点を考慮するようにいたして行きたいものと念願をいたしております。
 それから藤林委員のお尋ねでございますが、法律案第十五條に対する御質問でございます。第十五條を設けました趣旨は、実はそ前に日本医療團の現在経営しております施設の概要を申上げる必要があろうと思うのであります。医療團の経営しております施設は、医療團が設立せられましてから既存の施設を買収したものがあり、或いは寄附を受けたものがあり、或いは借受けてやつておるものもございます。或いは又法律に基く出資を受けておるものもあるのでございます。又借受けましたものにも、期限付のものもあり、或いは無期限のものもあり、有償のものもあり、無償のものもあるというような状態でありまして、極めて複雑でございます。そのうちこの十五條の規定が適用せられまするものは、ここにも書いてございますように、日本医療團の所有する土地建物その他の施設物件でございまして、即ち医療團が所有するという事実がなければこの規定は動かないのでございます。かような規定を設けましたのは、医療團の経営しております施設の中には、新設、買収、出資、寄附というようないろいろなものがございますが、これらの物のうち寄附或いは買収に際して條件を附けておるものもございます。この條件の中には、医療團が解散をする場合には返して欲しいというような條件の附いたものが相当あるのでございます。この規定はさような條件の附きましたものについて考えておるものでございますが、先程申上げました医療制度審議会の答申の方針から申しましても、日本医療團の経営しておりまする医療施設は成るべく一括してこれを処理するようにしたいという一般方針が定められておるのでございます。而もこれを公的な医療施設として残すようにして欲しい、こういう一般方針が定められておるのでございます。この根本方針に基きまして、その処理方針といたしましては、仮に條件の附いておりますもの、例えば仮還しなければならないという條件の附いておりますものでも、十分相手方と相談をして、そうして話し合いのつく限りこれを公的機関として残すように努力すべきである、その他借入れの施設につきましても亦同様にこれを從來医療團の施設として利用しておりました人々に対しては、日本医療團の経営方針として社会保險の單價をもつて從來全部医療を行なつておつたのでございます。これが私的の病院になつてしまつたり、或いは病院以外のものに轉換をされるというようなことがありますと、その附近の人々が非常に迷惑をいたしますので、公的機関としてできるだけ安い費用でよい医療を受けられるように処理すべきであるというのが、医療制度審議会の答申の方針でございます。かような考え方から、特に國が、國家とてし必要と認めます場合には、さような條件の附いておりまする施設でも、外のものに優先して買取り得るということをこの規定でいたしたいと思うのでございます。勿論この規定はさようなことでございますけれども、私共の只今の考えといたしましては、これを盾に取つて何でもかんでも國に取上げるというような措置をいたすつもりではないのでございまして、あくまでもこれはいわゆる傳家の宝刀というような考え方で、できるだけ相手方との話合いによりまして、十分な了解を頂きました上で、今申しますような医療制度審議会の答申の方針に副うように処置をいたして行きたい、こういう考えでございますので、十五條は一應こういう規定を傳家の宝刀として規定はいたしておりますけれども、実際の運用としてはできるだけこれを使わずに、円満に解決して行きたいと思つておる次第でございます。
 尚甚だ失礼でございますが、お尋ねに添えて一二お答え申上げて置きます。元の所有者に対する返還をなすべきであるというお尋ねもございましたが、これも只今申上げたことで御了解を願いたいと思います。それから戰時中買収したことについては無理があつたというお話でございます。この点は私共としては全面的に否定をいたすつもりではありませんが、御了解を頂きますために若干そのときの状況を申上げたいと思います。昭和二十年戰爭末期に非常に空襲が激しくなりましたときでございます。あの当時各大都市に、空襲を受ける危險の多い所におきましては、多くの病院が他に身賣りをいたしまして、そうしてその金を握つて田舎へ疎開をしよう、或いは医療機関としてそれを放釋してしまつて、とにかく人に賣つてしまつて田舎に逃げようという傾向が非常に多くなつておりました。時の政府はこの点を憂慮いたしまして閣議の決定をいたしました。そうして空襲が激しくなつた場合にはそういう病院がなくなりますことは、空襲によりまして出た怪我人の救護に非常に支障を來たす虞れがある、又不断の國民一般の医療にも差障りがある、こういう理由によりまして日本医療團として成るべく買取らせよう、日本医療團の施設として利用させよう、こういう措置をとつたのでございます。このために閣議決定をいたしましたのは、その者に強権を発動しようというのではないのでありまして、それに必要な資金の融通、或いはどうしても赤字になるような状態でありましたならば、國が後から尻拭いをしてやろうというような氣持で、当初の閣議決定が行われたのでございます。医療團はこの閣議決定の処置に副いまして、当時相当な病院まで或いは買收し、或いは借受けをいたしておるのでございます。勿論そういうような状態下におきまして、そういう理由に基きまして、買收或いは借受けをいたしました関係上、実際問題として無理がなかつたとは申せないと思いまするが、但し私共承知しておりまする限りにおきましては、一つの法律を発動して、本人の意思に反して價格を決め、或いは無理に買收をしたというような事実はないものと承知をいたしておるのでございます。
 それから最後の、医療團の運営がうまく行かなかつたということについては、將來の医療制度として大いに考慮しなければならないということでございます。この点は私共も全然御同様に考えておる次第でございまして、日本医療團の一般医療施設の後始末として、医療制度審議会の答申の内容も、その趣旨を尊重いたしまして、原則として府縣又は大都市というふうに、つまり中央集権的な経営方針を採らずに建前は縣なり大都市なりというところでやつて行く、又半面これを余り小さい経営主体に渡したくない、こういうような兩面からの抱負が加わりまして答申になつておるものと考えておる次第でございます。
#11
○藤森眞治君 ちよつと関聯しておりまするので……、この医療團の経営がむずかしかつたということは、先程のお話の中にも、健康保險の診療費を目標にしてやつたがために、経営がうまく行かなんだとおつしやるように受取れましたのですが、そう解釈いたしてよろしうございますか。
#12
○説明員(久下勝次君) そういうふうにお答えを申上げたつもりではないのでございます。医療團は全面的に社会保險の診療單價を以て経営いたしております。そのための赤字ということではないと了解をいたしております。むしろ赤字が出ましたのは、國民保險などから非常に多額の未拂金がございまして、今年三千万以上の未拂金があると見積られておるような次第でございます。資金繰りが先程申上げましたように、全面的に窮屈になりました上に、更にそうした未收入金のためにますます経営が困難になつたという事実はございます。勿論私否定的に申上げるのではございませんけれども、その後逐次に社会保險の單價も全面的に上つておりまするし、この程度でやつて行きまして医療の経営は必ずしも困難でないと見ておるのでございます。
#13
○姫井伊介君 國民保險組合制度の関係でお尋ねいたします。今お話になりました國民健康保險組合側からの未收入金が相当ある、その跡始末をこの医師会、歯科医師会が、解散後はどういうふうに処置されますかということと、それからいま一つは、從來の國民保險組合の診療費といいますか、藥價と申しますか、報酬と申しますか、そういうものかこの團体との協定になつたのでありますが、解散後任意的な組合となりました場合に、それらの協定はどういうふうに処理されますか、これをお尋ねします。
#14
○説明員(久下勝次君) 國民保險の未收入金の処理のことでございまするが、非常に未收入金が溜りました関係で、実は窮余の一策といたしまして、本年の四月以降医療團はいわゆる窓口扱いということを社会保險に対してやつておるのでございます。窓口へ金を持つて來て頂かなければ診療ができない、そういたしませんと、この未收入金がますます重なるばかりでございまして、そうした清算に重大なる影響を來す慮れがございますので、実は医療團が勝手にそういう処置をいたしたのであります。私共としては必ずしもこれはその他の面から考えまして妥当な処置とは考えなかつたのでございますけれども、そういう処理をいたしてしまつた後で聞きましたので、止むを得ざるものとして仕方なく承認をいたしたのでございます。それまでの未收入金につきましては、これも非常に無理な処置であつたのでございますけれども、たまたま政府の補助金が各健康保險組合に参ることになつておりましたので、その補助金を渡すときに、この補助金は医療團の未收入金の支拂に充てるようにということを保險局の方から指示して頂きまして、そうして先程申上げました医療團の施設の俸給さえ拂えないような窮状を、一時凌ぎにやつて頂くようにして貰つたのであります。この結果は必ずしもいい成績は挙げておらんようであります。まだ正確にこの結果も聞いていないのであります。さような処置を取りまして、今日におきましても未收入金の囘收に努力いたしておるのであります。
 それから解散後の医療費についてお尋ねでございましたが、何か私によく了解ができなかつたのでありますが、第二のお尋ねは医療團の問題を離れまして医師会の方のお尋ねであります。新らしくできます社会保險の診療費というものは、実は契約によつて定めるという建前ではないのでございます。法律によりまして只今の制度は社会保險診療報酬算定協議会というものがございまして、これに医師会、歯科医師会の関係者が入つて頂き又社会保險の関係者も亦政府筋も入りまして、そういう協議会の議を経まして、厚生大臣が決めることになつておるのでございます。契約によつて定めるという建前ではないのでございますので、その点は解散の前後に関係なく変らないことと承知いたしております。
 それから医師会関係、即ち一般の開業医につきましても相当多額の社会保險の未收入金があることを承知いたしております。これにつきましては厚生省の保險局の問題でございますので、保險局の方におきましても何とかこれを早く解消をするようにということで、努力をいたしておるようでございます。それだけお答えいたします。
#15
○米倉龍也君 医療團の経営か非常に困難であるということが、医療團の解散の一つの理由になつておりますが、その結果清算の見通しがどのくらいな國家に対する損害がありますか、そういうお見通しがついておりましようか。國は一億の出資をしております。まだ未拂込が三千なにがしあるでしようが、それらのものが全部残余財産が國に帰りまするか、相当のものが損害として見通しがどのくらいですか。そこをお聽きしたいということであります。
 それからこの医療團には、國の外に医療團令による他の出資者がある筈ですが、この出資者がどんな程度にありましたか、そういう出資者に対して損害が及ぶものでありましようか、そういう点を聽きしたいと思います。
#16
○説明員(久下勝次君) 医療團の清算の結果に対する見通しのお尋ねでございまするが、実は今日まだはつきりした見通しが立て得ないことを甚だ遺憾に思つておるのでございます。と申しまするのは、先程簡單に申上げましたように、一應結核療養所につきましては、これを國で引受けまして、即ち医療團はこれを國に買取つて貰つて、そうして國の物として経営をして行くように、それぞれの出資……これは殆ど出資の施設でございまするので、それぞれの出資者とお話合いをいたしたいと思つておるのでございます。これらもお話合いの見通しが成るべくそうなりますように、私共として期待をしておりますけれども、はつきりした見通しをつけ難い点が少しあるのでございます。特に結核以外の一般病院、診療所につきましては、個々につきまして非常に実際問題としての條件に差がでざいますので我々といたしましては実はすでにもう数十、百以上の陳情を各施設について受けておるのでございまして、これらの実情につきましては、今後その関係者、即ち個々の施設に関係を持つておりまする人々、関係の縣、日本医療團及び厚生省というような所におきまして、十分個々についてできるだけお話合いをいたしまして、そうして処理の具体的な方針を決めて行きたいと考えておりまする関係上、借入する施設が果してどの位残るか或いは皆返さなれけばいけませんのか、又或いは寄附、買收にかかるものがありましても、一体どういう程度に先程申した原則的な処置ができまするのか、そういう点についてはつきりした見通しがございませんので、正確に今数字を挙げて申上げるわけには参らないのでございますが大体考えておりまするところは、日本医療團の債務が約一億二千万円程ございます。それから資産としては一應決算書に載つておりまするのは、二億……失礼いたしまいた。負債は一億五千万円、それから資産が二千四百万円程であります。尤もこの資産の中には、今日殆ど價値のないような有價証券がまだ帳簿價格で残つております関係上、資産はもつと減るものと考えております。從つて資産と負債との関係は大体トントンくらいのところ、同じ位の額に至るものではないかというような、極く大雜把な見通しをつけておるのでございます。この外に政府の出資が七千万円すでに拂込済になつております。それから各出資者、縣、市等から結核療養所と、それから一ヶ所の一殷病院がございまするが、出資額四千四百万円程でございます。即ち政府の拂込済の出資額七千万円、それから四千四百万円、この出資額合計したものがこの医療團の資本になつております。この出資額は出來るだけ残余財産の分配として返し得るように処置したいと思つております。それこれ考えますると、大体現在の病院、診療所、療養所等を帳簿價格の約二倍ぐらひに評價できましたならば、医療團の清算は残余財産の分配をしても滞りなく行くのではないか、こういう見通しをつけておるのでございます。医療團の清算のやり方の考え方といたしましては、何しろ病院でございまするので、而も引受先は先程申上げたように原則として國又はは府縣でございまするので、医療團の清算の事情の許します限りは、成るべく安い金でこれを讓渡し得るようにするのが筋道だと考えておるのでございます。帳簿價格は今日から申せば非常に安いものでございまするが、これを文字通り時價に見積つて処分をするというようなことでなしに、公的な機関として國なり縣なりが引受けて行きます場合には、できるだけ医療團の清算の事情の許るす限り安い評價額を以て讓渡し得るようにいたしたいと考えておるのであります。
#17
○米倉龍也君 この医療團の一殷病院などの帰属は縣、大都市ということですが、それ以外に協同組合等に委讓するというようなことはお考え置き下さつておるのでありましようか。そういう場合があればやはりそれらも認めて頂けるか。そういう場合は今の評價額を大体帳簿價格の二倍くらいにする、そういう場合も考えられておるのでありましようか。
#18
○説明員(久下勝次君) 医療團審議会の答申には、先程申上げましたように原則として府縣、大都市又は國において引受けるようにしたいという方針が決められております。私共としましては、この原則的な方針に基いて関係の方面と折衝をいたしたいと思つております。併しながらその方針通りにいろいろな事情から行かない場合が多いことも十分承知をいたしております。そういう場合のことを予想いたしまして、医療制度審議会の答申にも、特別の事情によつて前各号に拠り難いものにつきましては、おのおのの実情に應じてその具体的措置を決定して差支えないという條項が一つ附け加えられております。只今のお話の協同組合で引受け得るかどうかということにつきましては、この例外的な扱いの問題として考慮したいと思つております。尚これらの扱いにつきましては、法律にも書いてございますように、日本医療團清算管理委員会というものを設けたいと思つております。この清算管理委員会に重要な事項をすべて付議をいたしまして、合議制によつて問題を円満に解決するように合理的に適正に解決して行きますように考えておりますので、原則的にやつてもどうしても工合が惡いが、こういうの方面において引受けたいというものがあるが、どうかというような場合におきましては、それぞれそうした委員会に付議いたしまして、その御意見によつて処置をいたしたいと考えております。
#19
○中山壽彦君 私は現在日本医師会長の職に在りまして、只今久下君から御説明になりました通り、現在の医師会の解散を厚生大臣に申請をいたしました責任者であります。私共は今日の社会情勢の急角度に轉囘をいたしました情勢に鑑みまして、昨年の十月以來、現在の医師会を民主的に改組しなければならん、こういう信念の下に又一方関係方面とも常に密接な連絡をいたしまして、任意設立、任意加入の大網を定め、又從來の特殊法人格の枠を棄てまして、アメリカの医師協会と同じように一つの社團法人として発足することに決めたのであります。而して新らしくできまする医師会は任意加入でもありまするが、この新らしい医師会の性格をよく全般に滲透せしめて、開業医も、学究の人々も、官吏も技官も打つて一丸となつて、現在よりもより有力な、又より権威ある医師会を設立し、而してこの設立によつて社会情勢に適應したいろいろな有益な事業をいたすべく発足することに決めまして、今それぞれ廣くその準備をいたしておりますることをよく御了解を願つて置きたいと存じます。
 既往の医師会につきまして、いろいろ御批判も起きておるようでありまするが、御批判の当つておりまする点もあり、然らざるものも沢山あることと存じております。今日はすべての轉換期でありまするから、今後生まれまする医師会は、これらの点について十分なる考慮を拂い、從來よりより高度の社会一殷より信頼を集中すべき新らしい立派な医師会を造るべく、今努力をいたしておりますということを皆さんの御了解を願つて置きたいと存じます。
#20
○中平常太郎君 只今委員である医師会長の方から大変前途喜ばしい御声明がありまして、私質問の一半はそのお話で取止めにいたします次第でございます。ただここに國なり縣なりに委讓されましてやります上におきましては、或る程度日本医療團の公共性はそのまま持続されて行こうと思いますが、それ以外の出資者によつて還元せられないところのものがありますというと、その点につきましては、公共性が多分に失われはしないか。私の氣遣うところは日本医療團が今日まで引合う引合わんに拘らず敢えてなされた様々の予防設備、或いはまあ弱体青年の訓練道場を起すとかいうようなことまでやつておられるのでありますが、そういうようなことは縣なり大都市なりに委讓されました後にも、多分それぞれできることではあると存じまするが、ややもするというと医療團がやつた程に徹底しないかと思うのであります。殊に縣等以外に還元せられたところの施設に対しましては、社團法人となりまして医療に邁進されるのでありますが、例えて申せば、実費診療所を各施設に持つとか、勤労階級というのは極めて多数の人々に対する施設が医療團において行われた以上に行われるように今後ならなければならんと思うのでありますが、私などの希望しておるところは、実費診療所はこれはもう至るところになければならんものである。又これが勤労意欲を高める上において、これ程大切なものはないというように考えておりますが、社團法人となりました後は、果してそういう方面が十分に期待されるかどうか。万一そういう方面に期待が薄いということであれば、これは問題外になりますけれどもが、どうしても國家は実費診療所の問題にうんと馬力を掛けて徹底しなければならんと思うのであります。この廃止に関する法律案に対しましては深い疑問は持つておりませんが、只今説明員からのお話を聽きまして、資産の処分につきましては相当な程度に解決ができる様子でありますから、私も大変安心いたしておりますので、ただ解散後においての、社團法人になつた後の医師会との連絡、並びに勤労階級に最も必要な実費診療の問題がいかなる方面にも十分に徹底的に施設されるや否や。そういう方面につきましては、厚生省は今後ますます深くこの問題を檢討して頂かなければならんのでありますから、この際これが解散に伴つて、この問題を深く我々が念頭に置いて止まないところであることをここに申上げて置きまして、社團法人となるべき医師会の態度、それが又厚生省のこれに対する十分なる用意などにつきまして、私はもう少し立入つてこの問題をお伺いしたいのであります。
#21
○河崎ナツ君 私もあのことに同感でございますので、是非それは聴かして頂きたいと思います。
#22
○説明員(久下勝次君) 只今お尋ねのございました問題につきましては私共も全然同感でございまして、医療制度審議会の答申もやはり全然同一の考え方からなされておるのでございます。と申しまするのは、医療制度審議会が、日本医療團の一般医療施設の後始末につきまして具体的な審議をいたします前に、医療制度改正要綱というものを今年三月六日の第二囘医療制度審議会の席上で決定をされたのでございます。只今の問題に触れて居りまするし、その御質問に対するお答えになると思いまするので、関係のところを朗読をいたして見ることにいたしたいと思います。医療制度改正要綱の第一に方針を掲げまして、その一には、すべての國民に対し必要にして十分な医療を確保することということが掲げられてございます。そうしてその次には、すべての國民が大なる苦痛なしに、医療費の負担に堪え得るようにすることということが掲げられてございます。その外四項目に互つて根本方針が定められているのでございますが、只今お尋ねになりました問題は、この二つのことに集約できると思うのでございます。医療というものは必ずしも費用が安いばかりでもいけないことは申すまでもございません。その意味におきまして、医療の実態であるところの、必要にして十分な医療をすべての國民に確保することということが第一に掲げられてございます。と同時に、そのいい医療を國民が大なる苦痛なしに受け得るように、特に経済的な面において、これを受け得るようにしなければならないということが掲げられておるのでございます。この二つの方針、又その外の方針もございまするけれども、こういう眼目に基きまして、いろいろ医療機関の経営主体につきまして、医療制度審議会の小委員会におきまして何囘も何囘も十分な討議がされたのでございまして、その結果先程から申上げておりますように、府縣、大都市又は國で医療機関の経営をすることが適當である。從つて医療團の所有権に属していない、借受けの施設でありましても、その方針に基いて、國又は府縣がそのまま現在の所有者から借受けを続けまして、経営をするように努力をすべきであるというようなお話があるのであります。お話の通り日本医療團は多少の赤字を忍びつつも社会保険の單價或いはその以下で從來医療を担当しておつたのでありますが、その他医療團の施設につきましても私共第一次的に考えまして、國民の福祉に資したいという念願を持つておる次第でございます。
#23
○三木治朗君 医師会が解散されて、次の医師会が社團法人として生まれるまでのその移り変りといいますか、その期間に健康保險との関係がどういうことになるか、ちよつとお伺いしたいのでございますが、たしか健康保險は医師会と團体契約といいますか契約をしておるように私記憶しておるのです。最近のことは知りませんが、元私第三次の審査員をやつておつたのでありました当時はそうであつたと記憶いたします。その場合に引継ぎ等が滯りなくうまく行くかどうかということ、それから今度できる社團法人の医師会が任意の形、強制でないということ、これは当然なことであるのでありますが、近頃の医者の傾向といいますか、甚だ我々寒心に堪えないものがあるのであつて、幸い医師会の御関係の方もお出でなので申上げて置きたいのですが、健康保險の診療を喜ばない医者は多数にあるのであります。そういう点から考えると、今度加入が任意であるということになると、若し昔の通り医師会と政府とで契約をして健康保險の診療をやつておるということであれば健康保險などは実はやりたくないというお医者さんが多いと考えられるので、その場合果して全部の医者或いは大多数の医者がそれに参加するかどうかということは非常に疑問が持たれるわけであります。
 それからこれは話が少し外れますが、医師会のあたりでやつぱり藥價を協定するのだろうと思いますが、その藥價が守られていないというと、いかに法律やいろいろな会が立派にできても、実際それがうまく運用されて行かなければ何ら意味はないのでありますが最近の医者の患者の対するなには実はひどいものがあると思うのです。現にそれについて私共は実感しておるところであります。ちよつと子供の病氣を手当して貰うのに、二百円持つて行けば沢山だろうと思つて持たしてやると、それじや足りないというようなこともあります。少し重い患者によると、別段入院もしないものを、中耳炎あたりで以て一万円取られるというような実例があるのであります。今度新らしくできる社團法人の医師会というものが、政府の強制力も持たなければ医師会も余り拘束力を持たんということになると、一体將來の医療機関というものがどういうあり方になるかということに非常な不安を感ずる、それらに対して見通し等を一つお伺いして置きたいと思います。
#24
○説明員(久下勝次君) 第一は医師会の團体契約の今後の成行はどうなるかというお尋ねでございます。これにつきましては今日多少やり方等に食い違いもあると思います。と申しまするのは、昔は、昔と申しましても前には医師会が全部社会保險当局と團体契約をいたしまして、そうして一定の総額的な金額で診療を引受けておつたような制度があつたのでございますが、今日におきましては、それぞれ法律に基きまして個々の医者が保險医に指定されまして、報酬額は最後的には先程申上げたように、厚生大臣の指定に基きまして、定めるところによつてやる建前になつておりますので、その面におきましては、團体契約という問題は今日存在しておらないのでございます。從いまして医師会が解散をいたしましても、実体の医療の問題については制度的に影響ないということができるものと考えております。ただ医師会が現在團体契約をいたしておりまするのは、保險医の指導及び診療、報酬の査定、監査、こういうような仕事につきまして政府と契約をいたしまして、その政府の行うべき事務を医師会が引受けておるのでございます。そのために政府から事務費を交付金として受取りまして、そうしてその仕事をやつておる事実はございます。この点につきましては、旧医師会が解散いたしまして、新医師会になつて、新医師会にそのままこの仕事を引継がれるかどうかということで、この問題につきましては関係方面の意向もございまするので、取敢えず私共といたしましては旧医師会――旧医師会というのは現在存在しておる医師会――が解散をいたしました以後は、別に官民合同の委員会を作りまして、そこに今申しました事務費を流しまして、そうして診療報酬の監査竝に保險医の指導というような仕事をやつて行きたいと思つております。取敢えずの施設として、さようなことによりまして、医師会との團体契約等の問題を処理して行きたいと考えております。
 それから医療費の問題についてのお尋ねでございますが、私共としても各方面からそういうお話を聞いておりまして甚だ憂慮いたしておるのでございます。この問題は非常にむずかしい事柄でございまして、一面において御承知のごとく社会保險が一定の診療報酬を定めて、これで医者が診療を引受けて貰うようにいたしておるのでありますが、これがどうしても事柄の性質上、個人々々によつて差等をつけるわけに参りませんので、一律無差別にならざるを得ない事情があるのでございます。この点におきまして個々の医師がこれに対して不満を持つておりますことも事実でございまして、只今社会保險の側におきましては、できるだけ中央で決めた報酬額を各地方に一律にやらせるのではなしに、又地方の実情に應じて、國が全体として定めた報酬額の範囲内、限度内で適当に地方的に又定めるような措置を講じてはおるのでございますが、それとても地方行きますればやはり個々の差別をせずに一律にやるような恰好になつております。そこにまあ問題が起きておると思うのでございます。更にその問題を超えて甚だ不当な医療費を取つております医師、歯科医師が世の中に相当あるということもときどき耳にして憂慮いたしておるのでございます。この問題につきまして只今私共が腹案として考えておりますることはどうしてももう少し医療費について科学的な検討をいたして見なければならないというようなことを感じておるのでございます。そのために実はもう近く十月頃から著手いたすつもりでございまするが、相当大掛かりな医療費の調査をいたすべく、すでに準備が整つておるのでございます。この調査に基きまして、私共の腹案といたしまては、できれば國家として、政府として医療報酬の標準額を定めて見たいと思つております。併しこれは飽く迄も標準でございまして、個々の医師がその標準の上か下か、どの程度を取るかということは、これは標準の定めのみでありまして、あとは医師の自由に任せる、その間に若し私的獨占禁止法の関係が生じますれば、各地域の医師会、歯科医師会で國の定めた標準の前後において適当な標準額を定め、それ以上は個々の医師に任せる、社会の批判に任せるというような方法を取りましたならば、從來政府として全然具体的な額について何ら標準を取つておらなかつた点が或る程度是正されはしないか、こういう考え方をいたしておるのでございます。このことは一面から申しますれば、医療費について國が公定債格を定めるということは適当でないという考え方もあるのでございます。さような考え方でうまく行きますかどうか分りませんのでございますが、只今そういう考え方で実現し得ますように基礎的な問題から出発をいたしつつあるのでございます。
#25
○井上なつゑ君 只今政府委員のおつしやつて頂きました医療費に関聯するのでございますが、実はこの間も或る國立病院に参りましたときに、進駐車の医官の方がお出でになつておりましていろいろお話をしておりましたが、こんな立派な國立病院であるけれども、自分たちの目から見ればこれは三流のホテルぐらいにしか見えない氣持がする、病院がそういうように見えて汚ない、それに又病院の看護婦そのものはいろいろな病院の雑用の方面の仕事はしますが、一番必要な看護の仕事を看護婦がしないで、そうして家の人が附き添つて來て大切な看護の仕事をしておる、こういうようになつておれば、入院料は安いように見えるけれども決して入院料は安くはない、そうしてよい治療もして貰えない、もう少し病院の中の組織を考えるつもりはないのかということを私共に申されまして、非常に恥かしい思いをいたしたのでございます。これからそうした新らしい医療組織に向つてお考えを頂いておりますときに、こういうこともお考えになつて頂いておりますかどうか承りたいと存じます。
 それから日本医療團が四月に解散すると伺つておりましたのですが、こんなに延びて來ておりますのはどういう関係で延びて來ておるのでございますか。大体清算されます日時と申しますか、いつ頃までに解散され清算されますのですか、大体の見通しがおつきになつておられましたらお伺いしたいと思います。
#26
○説明員(久下勝次君) お答え申上げます。看護婦の病院における活動について改善をする必要はないかというお尋ねでございますが、お話の通り私共といたしましても、從來我が國における看護婦の実際の働きにつきましては、大いに改善の余地があると考えております。そのことは又同時に反面におきましては、看護婦の素質の向上ということがこれに伴わなければならないものと思うのでございます。從來のようにいい加減な教育で看護婦の免状を與えておりましたような制度の下におきましては、実際的に從來のようなやり方にならざるを得ない傾向もないとはいえないと思います。すでに七月三日付で國民医療法に基く政令が出まして、看護婦の制度が根本的に改正されることになり、相当高度の素養を要求する建前に相成りましたのでございます。で、これと関聯をいたしまして、看護婦が本当に病人の看護に専念をして、今までのような余分の仕事に從事をしなくてもいいように、病院の運営を改善して行くようにいたしたいと思つております。これらの点につきましては医師会方面においても今研究中でございますし、私共の方におきましてもこれに呼應いたしまして具体的の措置を考えつつあるのでございます。
 それから医療團の清算、結了の時期の見通しというお尋ねでございます。実は只今非常にはつきりした見通しを持つておるのではありませんけれども、医療團の総裁などの考え方を綜合して見ますると、何分多数の、而も複雑な事情が伴つておるものもございまするので、幾ら急ぎましても、最後の処理が済んでしまいまするのには一年乃至一年半は掛かるものと見通ししておる次第でございます。
#27
○草葉隆圓君 お尋ねしますが、國民医療法を改正される御予定じやないんですか。
#28
○説明員(久下勝次君) 國民医療法の改正につきましても目下私共の手許で研究をいたしております。このことにつきましては、実はすでに昨年初めから厚生省におきまして相当多くの部分におきまして医療法の改正の必要を認めまして、当時非公式ではございましたが、医療制度協議会というものを作つて、関係の方面の方々の御意見を伺つたりいたしましておつたのでございます。最近更に又情勢も大部変つて参りましたししまするので、ますますその必要を痛感をいたしておりまするので、できるだけ早い機会に改正いたしますように運びたいと思つております。
#29
○草葉隆圓君 私が國民医療法の改正のことを申上げたのは、医師会、歯科医師会及び日本医療團の解散等に関する法律案という規定をお出しになるよりも、國民医療法を改正するという法律をお出しになる方が適当ではないか、こういう意味であります。
#30
○説明員(久下勝次君) この法律案はそういう表題にしたらどうかという御質疑でございますか。
#31
○草葉隆圓君 そうです。その内容をそういうようにしてやる……。
#32
○説明員(久下勝次君) その点につきましては、私たちといたしましても考えなかつたわけではないのでありますが、医療法の改正につきましてはまだ各方面の御意見をもつともつと聞いていたす、これを檢討しなければならない事柄が相当多いのでございます。一方におきまして医師会、歯科医師会の解散、医療團の解散をいたします関係上、こういう表題で実質は医療法の改正、この部分だけは医療法の改正ということをいたす。尚爾余の医療療法の部分につきましては並行して今研究を進めておりますところであります。成案のでき次第又御審議を頂くようにしたいと思つております。
#33
○草葉隆圓君 國民医療法の中に医師会、歯科医師会を、第何章ですか、二章、三章に出し、そうして第二章、三章、四章、五章とありますが、その中で医師会、歯科医師会並に医療團というものが相当関係をしておりますから、むしろ國民医療法の中におけるそれらの條項を削除するというその形式を採る方がむしろいいじやないかと我我は考えるのと、これは一つの形式の問題、もう一つは、從つて一方医師会、歯科医師会云々の法律案として出しながら、國民医療法としてはそのままずつと残つて参りまするから、それで大変おかしいものになりはしないかというのと、それからもう一つは、この医療團の後始末につきまして一月二十四日の閣議では結局そういう施設は全部國が引継ぐということに閣議の決定事項になつておりますが、その場合に医療國策として、今後結核は全部國家がやつて行くという前提の下に今後お進みになるが。從つて結核療養は方針として國家がやつて行くのだ、そういう意味における医療團の結核療養施設というのは國家が引継ぐという意味でおやりになる方針であるか。それから先程來の御答弁を承つておりますと、医療團が失敗した一つの原因は、全國に亘つた医療機関のいろいろな意味における余りに厖大なるものと、それからいろいろな意味においての困難性があつたということでありましたが、今後結核だけについて考えましても、結核の各施設を國営に全部お出しになるとすれば、再び医療團の嘗めたような状態を今後國家が負わなければならないという憂いはないのか。それは経費についてはないでありましよう。先程月給の貰えないというようなお話もありましたが、経費についてはないと存じますが、例えば戰爭中におきましても、國家が経営いたしておりました傷痍軍人療養所のごときはむしろ手を燒いたという問題がありはしないか。その内容においては地方々々の相当な機関、或いは公共團体にこれを移讓されることが、却つて結核予防の上においては適当であり妥当ではないか。然るに先程もちよつと御質問がありましたが、一月二十四日の閣議決定というものが強いものであつて、この方針が今度の医療團の解散というものに対して先行しながら決められておつて、その線によつてのみこの医療團の解散というものを我々はここで議決をせんならんのか、この点を一つ駄目を押して置きたいと思います。
 つまり本年の一月二十四日の閣議で、医療團の点は全部これが國家が引継ぐという意味における十五條が入つて來ておる。若し万一の場合にはこれでやるぞという、そうすると、それが前提になつて法律案を我々が考えますることでありまするが、その問題は改めて考えていいのか、その点を一つ伺つて置きたい。と申しまするのは、殊に五大都市等においては相当熱望をいたしております。一方結核予防法等がありまして、又都市といたしましては、そういうことが考えられて來る問題だと思いますので、それを一月二十四日の閣議で決定して、そうして今度、本日のこの御提案の法律案によつて裏付けながら、もうその線より行かないぞということであると、随分これは考えて見んならん問題だと思います。從つて十五條は最後に出すのだ、交渉しながらやるのだというお話でありましたが、その交渉するには相当無理な交渉がありはしないか、これは率直にお尋ね申上げる次第であります。
 もう一つは十四條の中に、日本医療團清算管理委員会というものがあり、その後で二三行こういうものについての規定がある、二十一條では別にこれを政令で出すとありますが、一体どういう輪廓のものであるか。
 それから更に先程來医療報酬の問題が出ておりましたが、現在では大体医療報酬については、府縣医師会において一應の標準を示していながら相当の藥價、治療代等を示しておりますが、この法律が成立し、同時に医師会、歯科医師会等が解散になり、任意医師会、歯科医師会ができ 更に医療費については、先程のお話では根本的な方策を立てるということでありますが、今國民が最も困つておりますことの一つは医療費が高いということ、高いという言葉は妥当ではないと思いますが、つまり医療費に支拂う金高の多いということです。病氣をした場合に……。高い安いという問題ではなしに、病氣をした場合に、医療費に支拂うべき金高が相当多いということの苦惱を持つております。これは藥品なんかのいろいろの報酬の問題、これは今度大分改正になるようでありますが、いわゆる卸賣價格等で医師会にも入るという道行もありまして、大分そういうものが安くなると思いますが、とにかく國民は今すべての物價が昂騰したと同様に、医療費に対する多くの金の支出に困つておるのであります。
 で、今申上げましたように、その間に一方におきましては、この法律が成立して医師会、歯科医師会が解散になり、任意医師会、歯科医師会というものができ、一方におきましては藥價の一つの標準を國家が決めると言いながら直ちにはなかなか困難だ、そうすると藥價なりそういうものは、全然開業医師にその間というものは自由に任してやられるのか、その場合においては相当の病氣の場合の治療費、報酬等に対する國民の負担というものが多くなるというこのギヤップをどういうふうな行政措置なりをお採りになるかという点を一つお伺いしたい。
#34
○説明員(久下勝次君) 草葉委員の第一のお尋ねでございます、法律の形式の問題でございます。私共実は当初医療法の改正ということで出そうかと思つたのでございますが、余りにも他の方面に全然触れずにおりますことを氣にいたしまして、只今御提案申上げたような形式にいたしたのでございます。お話の通りこういうことにいたしまする結果、國民医療法の一つの体系的なものの大きなところが崩れて参りますので、國民医療法というような大きな表題を掲げておる法律が甚だ恰好としてはおかしなものになるということを重々承知いたしております。この点は医療法を又急速に根本的に改正をしなければならないということに拍車を掛けるものと考えておるのでございます。いずれにいたしましても、私共といたしましては、こういう形式でやりまして、この穴の開いた妙な恰好になりました國民医療法は早急に根本的な改正の成案を得たいというつもりでおるのでございます。
 それから医療國策として結核を國家においてやるという趣旨かどうか。又先程私が申上げまして解散理由との矛盾或いは十五條との関係等でいろいろ御意見がございました。一月二十四日に閣議決定をいたしました考え方には少くとも今日のような情勢の下におきましては、当分の間結核施設は國家においてこれを経営するのが適当である、こういう考え方の下にあの閣議決定がなされたのでございます。御承知のごとくそれまでの状態といたしましては、國家が直接元の傷痍軍人療養所というものを厚生省がこれを引取り、そうして一般國民に開放するということになりました関係上、一般國民の利用する結核療養所を一方においては國が直接経営をし、一方においては外廓團体である医療團が経営しており、これは医療團自身が経営上の困難に遭遇した問題を離れまして考えましても、一体どちらが本筋なのかというようなことにつきましていろいろ檢討が行われたのでございます。これはお話のごとく主として財政上の理由を考慮いたしまして、その他いろいろな理由が考えられました結果、当分の間は國家において直接経営するのが適当である言い換えまするならば、もと医療團の経営しておりました結核療養所施設を國が引受けまして、そうして國において直接経営をして、從來の傷痍軍人療養所と一体となつて、これを合理的に運営して行くのが適当である、こういう考え方に出ておるのでございます。解散の理由として述べました点はむしろ結核療養所の問題ではございませんので、一般病院、特に無医村等に散在する診療所のことに触れて申上げたのでございまして、結核療養所はその性質上相当規模の大きいものでございますので、その数から申しましても國において直接経営をして行きますことは、医療團でやつておりましたこととそう変りなく行き得るものと思う。むしろ國の方が財政的なことにおいてやることがよりよく行くではないか、その他全体的の結核療養所を効率的に活用をするというような面から考えましても、更に又終戰後今日に至るまでの我が國における結核蔓延の状況等から考えましても、これは國策として結核を直接國家において責任を持つて取扱つて行くことが適当であるという考え方の下にあの閣議決定がなされておるのでございます。併しながらそれはあくまでも政府の方針、政府の考え方でありまして、政府といたしましてはさような考え方の下に医療團を解散するのでございます。又解散した後の処理につきましてはそういう考え方で処理をして参りたいという考え方であります。これに関しまして五大都市等の熱望につきましても私共十分承知をいたしております。これは一應政府としてはさような考え方でありますけれども、御承知のごとく五大都市その他の結核療養所を、医療團の出資をいたしましたものの中には、出資者の選択に從つてこれを出資者に返還をして欲しいという條件の附いてをりますものは相当沢山あるのでございます。五大都市等はその條件があるからということで、この返還を希望しとおる事実がございます。このことは政府としては今申したような方針ではおりますれども、出資者がさような條件を附けて又その條件の履行を希望しております以上、私共としては十分今後お話合をいたしまして、政府の今申上げたような考え方に御協力頂くようにして努力をしたいという考えは持つておるのでございます。併しながら飽く迄も返して欲しいという希望を申し出でられまするならば、私共としては五大都市のような特殊性のありますものについては、この法律を盾に取つて無理やりにどうこうするというようなところまではいたしたくない。成るべくできるだけ先程申上げたように御了解を頂いた上で処理をして行くようにというような考え方を持つておるのでございまして、從いまして十五條の関係は、結核國策という点からも一つは出ておるのでございまするけれども、むしろ十五條の規定をいたしました主なる私共の考え方は、そういう医療施設として今まであつたものをその條件を盾に取つて引取つて、そうして或いはアパートにし、或いはその他の寮に轉用してしまう、つまり医療機関としての機能を失わせるような極端なものもないとは申せませんので、さような場合にはこれは個々の規定の発動によつて、医療機関としての機能を継続するようにしたいというようなところをむしろ主眼として規定したのでございます。今の五大都市のように、依然として結核療養所施設として自分たちが経営して行くのだというような希望のあります所については、この規定を盾に取るのではなしに、今の申上げた政府の方針を十分お話合いをして御了解を頂くように努力をしたいという考えでおる次第でございます。
 次は清算管理委員会についてのお尋ねございましたが、只今政令の案の要綱を作りまして、法制局その他関係方面と話合いをいたしておるところでございまして、まだ最後の決定に至つておらないのでございまするが、その要綱案として考えておりまするのは、委員会は会長一人、委員二十人以内を以て構成組織をするようにいたしたいと思つております。そうしてその構成は関係官廳の一級又は二級の官吏、國民医療法第三十三條の出資者、これは府縣都市でございます。及び日本医療團の債権者竝に学識経驗のある者、こういう範疇で二十人の人を選び、御委嘱を申上げたいと思つておるのでございます。この委員会の担当いたしまする仕事の本質は、厚生大臣の諮問機関でございまして、法第十四條に書いてありまする清算計画の樹立、それから十五條を発動します場合の買取及び買取の條件、それから医療團の財産の評價基準、その他清算に関する重要事項を厚生大臣の諮問に應じて調査審議するということを規定して頂きたいと思つておるのであります。
 最後に医療費の問題についての御尋ねでございましたが、お話のごとく、又先程申上げましたように、國民が医療費の負担に苦しんでおります実情は十分承知をいたしておる次第でございます。この面については先程申しましたような措置もとりたいと思いまするが、更に一方におきましては、社会保驗を全國的に普及をするような面において、この面の医療費の負担の軽減を図りたいと思いまするし、又できますならば、医療費に関する國庫の負担を、何らかの意味において相当新設或いは増額をして頂くというようなことも、私共の立場としては今後十分な努力をいたしたいと思つておる次第でございます。更に又現在問題になつておりまする社会補償制度というような事柄が具体化いたして参りますれば、國民の医療費負担の面におきまして恐らく画期的な解決策が講ぜられるのではないかと期待をいたしておる次第でございます。
#35
○委員長(塚本重藏君) 本日は都合により、本案に関しまする質疑をこの程度で打切りたいと思います。尚今後の諸法案の審議に関聯して、その進行の方法等について、皆さんと協議をしたいと思いまするから、暫くお残りを願いたいと思います。本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事      宮城タマヨ君
   委員
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           三木 治朗君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
           波田野林一君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           米倉 龍也君
  説明員
   厚 生 技 官
   (医務局次長) 久下 勝次君
ソース: 国立国会図書館
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