くにさくロゴ
1947/09/20 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第16号
姉妹サイト
 
1947/09/20 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第16号

#1
第001回国会 厚生委員会 第16号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價額撤廃に関する陳情(第
 二号)
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
○兒童の福祉増進に関する法令制定の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廳職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死、戰災遺家族並びに傷病者の更
 生に関する陳情(第五十條)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青年禁酒法案(小杉イ子君発議)
○恩給増額に関する請願(第三十九
 号)
○災害救助法案(内閣送付)
○兒童福祉法案(内閣送付)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第五十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十一号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十三号)
○恩給法の改正に関する陳情(第百五
 十三号)
○國民健康保險組合の振作促進に関す
 る陳情(第百五十五号)
○國民健康保險制度の更生に関する請
 願(第八十二号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第八十七号)
○恩給増額に関する陳情(第百九十三
 号)
○最低生活の保証に関する陳情(第二
 百十八号)
○國際電氣通信株式会社等の社員で公
 務員となつた者の在職年の計算に関
 する恩給法の特例等に関する法律案
 (内閣送付)
○医師会、歯科医師会及び日本医療團
 の解散等に関する法律案(内閣提
 出)
○恩給増額に関する請願(第百十一
 号)
○戰死者遺族の更生対策に関する請願
 (第百十六号)
○生活協同組合法の制定に関する請願
 (第百四十三号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百四十六号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百五十一号)
○住宅営團経営の住宅を國営とするこ
 とに関する請願(第百六十九号)
○東京帝國大学演習林拂下げに関する
 請願(第百七十二号)
○教員恩給増額に関する請願(第百七
 十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第百七十九号)
○生活協同組合法の制定に関する陳情
 (第二百七十五号)
○教員恩給増額に関する陳情(第二百
 九十八号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月二十日(土曜日)
   午前十一時四十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第八十七号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十三号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百四十六号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第五十八号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) それではこれより開会いたします。本日は青少年禁酒法案の審議を続行したいと考えますが、順序といたしまして、これに関聯しまする青少年禁酒法制定に反対の請願と、並びに賛成の請願がそれぞれ出ておるわけでありますから、この機会にこの請願の要旨をお聽きすることにしたいと思います。請願は付託になりました順序によつて審議を進めることに参議院規則に決められておるのでありますので、付託の順序によつて進めることにいたします。
 先ず第一番に請願文書表の第五十八号、青少年禁酒法制定反対に関する請願、紹介議員駒井藤平君の請願の要旨御開陳をお願いすることにいたします。駒井藤平君。
#3
○委員外議員(駒井藤平君) ちよつと順序を変更して頂きたいのですが、柏木庫治君を先に……
#4
○委員長(塚本重藏君) 紹介議員の方からお聽きのような希望が出ております。それから尚紹介議員で、順位から行きますとお見えにならない方もありますから、順序を変更いたしまして、請願文書表の第八十七号を先にしたいと思いますが、御異議ございませんか。
#5
○委員長(塚本重藏君) それでは請願文書表第八十七号、青少年禁酒法制定反対に関する請願、紹介議員柏木庫治君の請願の要旨御開陳をお願いしたいと思います。
#6
○委員外議員(柏木庫治君) 紹介議員柏木庫治であります。私は二十歳から二十五歳までの青年男女に禁酒させるということについてでありますが、二十歳以上の者は自からの責任において選挙権を通してすでに政治に参與いたしております。それから二十歳以下の者が結婚いたしますと親はその結婚に参加いたしますが、二十歳を過ぎますとすでに自分の生涯の配遇者を自由に選ぶところの判断力と、從つて権利を持つております。こうした成熟した立派な青年は酒の持つておる害ありとすれば害も知つており、酒の持つておる効ありとすればすでにその効をも十分に知つておるのであります。この意味におきまして二十六歳の者には飲ませるが、二十五歳の者には飲ませないという、そうした法律は青年を區別するものでありまして、一方に特権を與えるようなものまでありまして、こういう法律を作ることに反対いたす者であります。これが第一の理由。
 第二の理由は、敗戰後遵法精神が非常に低下いたしております。汽車に乘り、電車に乘つて見ますと、進駐軍の命により車外乘車を禁ずるとかいうようなことを常にお互いの眼前に見るのでありますが、進駐軍が命令しなければそんなことさえも十分に守れないという程敗戰後遵法精神が低下いたしております。私は二十歳以上二十五歳の青少年に禁酒させようといたしましても守れないと思うのであります。少くとも半分ぐらいの者は陰で、或いは最後には大ぴらでこれを飲むと思うのであります。酒を飲みました時に警官に見つけられると見つけられないとに拘らず、飲んだそのときが犯罪人である。この法律は次の日本を背負つて立つ青年を犯罪人にするような法律であると思うのであります。ここで最も恐るべきものは、次の日本を背負つて立つ青年を前科者にするということであります。その前科者になることを非常に恐れておる間はまだ結構でありますが、平氣で犯すように道義心が低下いたしましたならば、誠に恐るべきものだと思うのであります。そうした青年が一人できますとその親は前科者の母である、前科者の父である。前科者の兄である、姉である。そうして伯父叔母、從兄弟がいつの間にか知らん間に前科者の伯父となり、叔母となり、從兄弟になつておると思うのであります。ここまで考を及ぼして見ましたならば、恐らくこの法案が成立いたしましたとき、日本人の九割九分までは前科者の母か、親か、兄弟か、從兄弟か、伯父か、叔母になつておると思うのであります。法は國を活かし、人を活かすものではなくてはならんと思いますのに、殆んど日本人のすべてを前科者の親子、兄弟というようなものにいたすような法律を成り立てることは國家のために最も有害であると思うのであります。私もそうだが、人もそうだ、あの家庭もそうだというふうに、この前科者の繋がりになることを恐れざる大和民族になりましたならば、民族の立つ瀬は全くない。この意味においてこの法案に反対いたす者であります。
 それからこの禁酒法を成り立てようといたします人は酒の害だけを盛んに説いているようでありますが、私は六ケ月北海道の炭鉱で勤労奉仕をいたしまして、あの坑夫たちが、今日は酒の配給があるぞと申しましたときに、それこそ坑内で心勇んで、それが仕事の上に現われまして非常な成績を挙げるのであります。適当な酒で一日の疲れを擁して、又明日の戰いへの精力を囘復する姿は誠に美しいものであります。大きく言いますと、石炭を出す最も大きな力は、今の酒給量の三倍程坑夫たちに酒を與えることができましたならば、私は三千万トンが出て來るんだとまで思うのであります。この酒の実際に持つところの青年を働かしむる力は誠に大なるものである。これが第三の理由であります。
 私は非常に熱心に禁酒を説き廻わる実に立派な婦人に一度お会いいたしまして、いろいろお話を聞いた最後に、あなたの御主人公は酒癖はどうでしたかと訊きましたら、その方は酒乱であつたのであります。酒乱の経驗から、どうしても酒を止めさせなければならんと御努力なすつている立派な婦人を見ましたが、酒乱は一万人に一人か、五千人に一人でありまして、多くの人は酒のために狂うと思いますけれども、狂うような性格、狂うような心を先ず持つておりまして、それが酒によつて動き始めたというだけであると思うのであります。狂う人は酒がなくてもいつかはそれは勃発するものでありまして、酒にのみその罪を着せますことは、最も過つたる見方であります。いくら飲んでも少しも狂わず、而も朗らかで明るくして、明日の戰いへの精力を養うものが数多あることを知つておりまする私は、ささやかでありますが、これも又本法案の成立に反対をいたす者であります。これを以ちまして私の説明を終ります。
#7
○委員長(塚本重藏君) 質問その他の意見は、一應全部紹介者の説明を聽いた後にしたいと思います。次に請願文書表第七十三号、同じく「青少年禁酒法制定反対に関する請願」につきまして、紹介議員の堀末治さんの請願の要旨の説明をお願いいたします。
#8
○委員外議員(堀末治君) 御指名によりまして、私青少年禁酒法制定の反対を請願いたしました一人として、私の反対請願の趣旨を簡單に申上げたいと存じます。反対請願の趣旨は、すでにこの請願書の中に一通り書いてございまするので、私の申上げるところはこの範囲を出でません。私固より酒を好む者でありまするが、酒というものに対しては、甚だなんでございまするが随分深い経驗を持つておると思つておるのであります。從つて酒は惡い半面を見れば誠に惡い半面も多分にございまするが、又いい方面を見ればいい方面が多分にあるのでありまして、いい方面のことについては先の弁士の方も大分お話になりました。從いまして私自分が酒を嗜む関係から甚だ失礼ではございまするが、私の経驗を申上げて、決して酒はさように嫌うべきものでないということを、何よりも私の体驗をお聽き願つてお察しを願いたいと、実はかように存ずるのであります。私は名は堀と申しますが、実は養子でございまして、生れない先から実は養子に貰われた者であります。而もその父はやはり非常な、これはどちらかと申すと豪酒という方の部類であります。私その後父の酒飲みの様子を見たのでありまするが、少さい猪口でちびちび飲んでおるようなのではない。必ず大きいコップに一遍に注いでぐつと飲んでしまう。さようなのでありましたが、私の貰われた父も又同じく酒を飲むのであります。これは又いわゆる浅酌低唱とでも申しますか、小さい猪口でちびりちびりゆつくり飲んでおる。まあこういうようでありましたが、私貰われてその養父の家に行つたのでありますが、父がちびちび飲んでおる中に寂しくなると、私が七つ頃から私を相手に酒を飲み、私にも飲めと言う。その当時は酒の旨さを知りませんでしたが七つ頃でもやはり飲んで見るとなんとはなしに愉快になり、いろいろとその後愉快な眞似をするのが父親が面白かつたものか、たまたま飲まされたものであります。まあさようなことで酒の味を覚えたのでありますが、或るとき思い切り一つ飲んで見たい。父は自分の方で分量を計つて飲まして呉れるのですから、より以上飲んだことはないが、どうもその中に酒の味を覚えたから思い切り一つ飲んで見たい。実はこんなことを思つて、忘れもしないが、十四の年、実は両親が私を留守にして日曜に出かけた。この時とばかり父の酒を引張り出してしたたか飲んだ経驗があるのでありますが、その時は大分酔つてそのまま寝込んでおつたのを、あとで母親が帰つてから起されて、子供の時はそんなに飲んではいけないと、そのときに言われたことも覚えておるのでありますが、その後別にずつと飲みもいたしません。やがて私中学を出ると、その中学の友達に酒屋さんの人がおつて、その息子さんとは偶然意氣が投合して非常に仲が好かつた。私はそんなようなことで、私は家が貧しかつたものですから、中学くらいを卒業したら、どこか実業界に身を投じようと思つておつたところが、その友達が言うのに、若しなんなら家へ來てくれないかと言つて勧められた。考えて見ると、どうも私も酒の方が嫌いでなさそうだ。そこは酒屋さんだから同じ奉公するのなら酒屋でもあるし、尚又友達の家でもあるしなにかと便宜がいいと実はそんなことを思つて酒屋に奉公した。それから今日までずつと酒の関係ばかりで通して参つておるのであります。從つて飲むことは今日まで殆んど絶やしておりません。幸いにこの通り酒に不足な時代ではございますが、我々の方には、製造しておる者には特別の手持用酒というものを大藏省から許されて、私共の飲むくらいのものは自由にさせられておりますから、今日までずつと飲むことを止めておりません。申せばなんですが、本年六十二になりますが。酒の上で今日までどれ程健康を害したということもなければ、実は甚だこれは申しては恐縮でございますが、実は飲んでしくじつたということは今日まで私はないと断言して憚らないと思う。そうして私の兄弟は男が四人、女が二人あるのでありますが、実は男の兄弟の中、兄の二人は全然酒を飲まん。而もその中の一人のごときは、どうだ一つやらんかと言うて盃を差すと盃を差されただけでもう身振いをする。同じ親から生れた兄弟でありながら、而も私の直ぐ上の兄のごときは、一杯たまに酒をやらんかと言つて差された盃を見て、もう身振いをするというような次第であります。その子供の当時父も酒を飲んでおつたのでありますから、これらのことはどうも私には分りません。その上の兄もやはり飲まない。私と私の下の弟が飲むだけで、あとは皆んな飲まない。私は又酒に關係しておるものですから、いろいろの方面にも關係があるのでありますが、これは本当に天賦とでも申しますか、飲めない人にはいくら勧めても飲めません。又いくら飲むなと言つても好きな者はそれぞれに嗜んでおるのであります。そうして又飲んだ者は必ずしくじるかと申すと決してさようではない。そんなようなことですから、私は飲み友達は全國到る処にあるのでございますが、飲む者は必ずしくじるとは申されません。却つて飲んで実に愉快になる人もある。私の友達の一人に、誠に風の変つた人がある。これは或る立派な実業家でございますが、なにか不愉快なことでもあると決してものを言はない。会社で私はその人と永年一緒に仕事をしておつたのでありまするが、どうも会社の運営にも非常に……。なにか面白くないこと、不愉快なこと、判断のつかないことがあると、朝から煙草ばかりぷかぷか吹かしておる。朝からその日一日だけかというと、二日も三日もそうである。そんな時に今日は一つ飲まないかと言つて飲む。やがて一杯、二杯、三杯と重なつて大抵頃合いがよいと思う時に、君は一体なんで二日も三日も氣嫌が惡いのか、なにが面白くなくてそういう不愉快な顔をしておるのか、ううむ実は……と始めて口が綻びて、その不愉快なわけを語つてくれる、それはこうしたらよいだろう、ああしたらよいだろうと言つて帰つて來ると、それでずつと台風一過のような感じがいつもする。そういうような事例は私沢山持つておるのでありまして、私は思うにこういうものは、本当に人間そのものに自然に與えられたいわゆる嗜好でありまして、法律ではなかなか取締られないものではないか。実は私そのように思うのであります。或いはこういうものを本当に取締るためには、普通の道徳律でも到底できますまいと思いますから、本当に大きく根ざした宗教的方面からでも持つて行つて是正するということのためには結構かと思ひますが、併しこういうものは法律を以ては決して是正するということはできないものではなかろうか、その又法律を作つた上に幾多の弊害があるということは、私が今更申上げませんでも、皆様すでに御承知の通り、現にいわゆる未成年者禁煙法も早くできておるのでございまするが、いつの頃できたのかと思つて実は二、三の人に尋ねて見ましたけれども、さあ明治時代であつたか、大正であつたか、かようなことで、殆んどこれは忘れられて空文にも等いい。かようなことでございまするので、私かような本当に法律として眞に價値ありや否やというような問題は、成るべく法律を置かない方がよいのじやなかろうか、現に今日といたしましては、未成年者の禁煙法のあることに対しては、恐らくこの法律を制定なさろうと思召さる方々におかれましてもよく御承知のことと存じまするが、それが何程にも行われないで空文化しておるということは、私が申上げるまでもなく御承知のことではなかろうかと、実はかように存ずるのであります。
 而も先般來やかましかつた姦通罪の問題のようなもの、あれも罰を置くか置かないか、随分今日まだ議論が結論に到達しておらんようでございますが、これらの法律は、訴えるものについて初めて取上げられるものでございますが、若しもこれらの法律が施行されるということになると、飲んだ者はそのまま罪になるというようなことでございますので、私どうもむしろあれらの法律よりも、この法律が行われるということが非常に大きい國民的な衝動を起すのではなかろうか、実はかように思うのであります。殊に今日の世相といたしまして、恐らくこれらの御提案をなさるお方は、今日の世相を憂えて、あらゆる方面からこの世相を矯めようという御趣旨から出たのではございましようけれども、私むしろこういうものの制定によつて逆効果を來しても、本当に國民が納得して、良い法律ができたと言つてこの法律を守るという方面には向わないのではなかろうか、私はまあかように思うのであります。さようなところから私この法律には反対を申出た次第でございます。
 尚まだ申せば多分にございますが、大体そういうようなところからこの反対の請願をいたした次第でございますが、何卒委員の諸君におかれましては、それらの点十分お分りのこととは存じまするが、一層深く思いをいたされまして、私共の反対に御賛成を頂くことを特にお願い申しまして、私の反対理由を終りたいと思います。
#9
○委員長(塚本重藏君) 次に請願文書表第百四十六号、青少年禁酒法制定に関する請願、紹介議員木内キヤウ君であります。木内君によつて請願の要旨を御説明願いたいと存じます。
#10
○木内キヤウ君 紹介議員の木内でございます。今までのと全く反対のことを私が皆様方にお話しなければなりません。青少年全体の、成年ではございません。大人ではなくて、青少年の禁酒法制定に関する請願で、これは高知縣の三百三十九名の方から、青少年に禁酒法を制定して貰いたいという御請願でございます。私もその心持を持つておる一人で、これを詳しく御説明しなくても、ほぼ私は皆様方御承知かと思つておりましたが、今反対の方の御説を伺いますと、又そこにも一眞理があるようで、お迷いになる方があるかと思つて、私曾て教育をしておる者として、その点から又ここに請願なさつた方のお心持と併せて、反対の方にもお分り頂けるか知らんと思つて、禁酒法を制定して貰いたいという方の理由を少し述べさして頂きたいと思います。
 お医者の方からアルコール中毒のいけないことが、身体の上からも、心持の上からも、殊に警戒性を破壊する。このお酒から思わない罪惡を犯すことの多いということは、今本当にお酒を深く嗜んで、そうしてその中毒性の力の強くなつておる方には現われないことかと思いますが、この青少年に飲酒をさせることがどんなに心身の上に惡いか、そうしてそれが他日酒を嗜むことの量を殖やす原因になつておることを思つたときに、早く習慣のつかないうちにこれを阻止させたい。この意味から二十五までぐらいは青少年に禁酒の制を設けて貰いたいということであります。何故二十を二十五に延ばしたいかということを考えたときに、学生或いはその外の團体の青年たちが集まつたときに、二十まではあらかたお酒を飲まないのが習慣にもなり、家庭でも心得ておりますが、そういう人と二十五までの許された人と相会して何か会合なりそれから事を行うときに、その二十以上の人は愉快げに酒を飲んでおる。まだ酒の害がどんなに自分の身体に影響するものだということを考えない者が、自分の先輩、又尊敬しておる兄達が飲んでおるときに、つい心身の定まらないその人達が盃を手にすることを考えたときに、自分はどうしても二十五まで、本当に精神の困まるその時代まで禁酒の制を布いて、法律の上から禁酒をして貰いたいというようなことに考えておる者でございます。今労働能力が非常に酒を飲むと倍加するというようなお話がございました。それですから、その働らく青年の労働者に生産の能率を上げるためにというようなお話も出たと思いますが、確かに酒を飲む人は一時的に生産能力を発揮するかも知れませんが、今労働者というものの中には女も含んでおるということを考えて頂きたいと思います。それから実際に酒を飲んだとき一時興奮状態になつて労働能力を上げるかも知れませんが、それが酒を飲まないときの後の身体に影響して、労働の能力を上げていないことは事実なんでアメリカの禁酒法も、伺つて見ると石炭の増産のときに、どうしても出さなければならないというので、その業者に諮つたときに、増産するのには禁酒より外ないとあのときに決議されたということを私は仄かに聞いております。それから尚前の方が、飲むと親類縁者殆んど犯罪者の家族になる、縁者になるということを憂えておいでになるようなお話がございましたけれども、今私たちの請願いたしますのは、それに飲ませる者、賣る者、勧める者を処罪して貰いたいということで、当人には罪を制定するということは決めておらなかつたつもりでございます。若し決めるにいたしましても、私は善のために法律を決めて、そうしてその法律を愼れない者が現在あると言われても、それは私の考えでは、もう習慣になつて、アルコール中毒になつて、自分で阻止する、止めることのできなくなつたときに犯すのであつて、その習慣のつかないときには止められておる。殊に法律を犯してまでしようという考えは起らないものだと信じております。習慣のつかないようにするために法を設けてそうして法を犯してさえも、これを飲もうという日本人を一人でも少くしたいと考えるのが私の賛成の理由でございます。
 今日本はどうしても再建しなければならない時に、殊に日本の食糧問題がこんなに逼迫しておる時に、お酒を造るために日本の少いお米を減らして行くということは、お國の再建の上にも、教育面から考えても、青少年たちに酒は飲んではならないものだということを知らせたいものだと思つて、この禁酒法案をどうしても通過させて頂きたいと思つております。さつきの方のお話のように、酒を深く嗜んで、却つてそれが世の中の有益な社交になる、これは私が家庭において、又自分自身も酒を嗜まないものに、家庭の酒毒、酒害というものを自分は経驗しておりません。幸いに酒乱の夫も持ちません。酒乱の父母も持ちませんでしたので、酒の害毒は私は知りません。知りませんけれども、青少年に酒を飲ませたくないということは、曾て教えておるところの子供たちの成績不良、それから性癖に何か故障のある者を家庭的に調べたときに、殆んど父なり母なりが大酒であり、又常に酒を飲んでおる家庭の子供であつたときに、どうか日本人に一人でも多く酒を飲ませたくない、こういうことをしみじみ自分は考えました。それは外交とか、或いは商業の取引をする上に、酒を飲んでおる人とそれからどんなに飲んでも酔わなくて精神を乱さない人と、或る量を飲むと自分の意思が乱れてしまう人と取引をする時には、確かにどつさり飲んでいて精神を乱さない人の方が勝つかも知れません。そうしてその人の方が結果はいいかも知れない、併しこれは日本人としては極く少数の人の迫るべき途で、少数の人の存在は許すべきことかと思つておりますが、日本人全体を考えたときには、その酒を飲んだことによつて利益が若し生ずるにしても、それは特殊の少数の人の範囲に止めて置きたい。日本全体の國民から見て、今日再建の時、それから教育の面、子孫、その人個人でなく、子孫のために酒を嗜む人の少ないようにしたいと考えた時には、習慣を持たない小さな時に禁酒の令を布いて、そうして酒飲みの少くなることが日本に行われて、それを罪惡と皆が考えることを自分は願うものでございます。
#11
○委員長(塚本重藏君) この機会に、紹介議員の希望によりまして発言を後に延ばしました請願文書表の第五十八号、青少年禁酒法制定反対に関する請願の紹介議員駒井藤平君から、請願の要旨説明を願います。駒井藤平君。
#12
○委員外議員(駒井藤平君) 私は只今委員長から紹介を頂きました紹介議員の駒井藤平であります。前段柏木君なり堀君からこの法律案制定に反対意見の陳述があつたのであります。而も自分の反対も織込んで縷々説明されましたからこれは簡略しまして、只今木内先生から賛成の御演説がありました。これに対しまして一々私は反対する論旨を持つております。併しながら私は紹介議員でありまするのて、反対の論旨は他日に避けまして、ただ一、二点皆さんに御願いをいたしたいと存じます。と申しますのは、この青少年禁酒法案は毎年出ておるのであります。併しながらついこれが上程されたということはないのであります。これは毎年の議会においてすでにもう研究済みでありまして、こうした法案は、つまり法律として認むべきものではない、立案すべきものではないということが明らかに証明されております。而も本年の請願書のメンバーを見まするときに、各縣から数千の反対請願が出ております。而もその内訳を見まするのに、勤労階級の人、労働階級の人が多数に上つております。この請願者の数におきましても何千という数に上つております。かくのごとき勤労大衆又労働大衆の人たちに必要なものであるということが明らかに証明されております。又これに対しまして賛成論者は、或いは酒の害云々と仰つしやいますけれども、今日の酒は害毒ではありません。これは陳情書の一端にも書いてありますが、衛生の上から、又これが必需品であるとまで認められておるのであります。ただ私はこうした法案が若し万一通れば、徒らに遵法精神を脱却する、法律というものは有難く又嚴守すべきものなりということを思わざることになることは、日本の秩序を紊すということに多大の影響があると私は考えるものであります。どうか賢明なる委員諸公が御同意下さいまして、この法案制定に反対されんことを切にお願いする次第でございます。
#13
○委員長(塚本重藏君) この機会にお諮りいたします。請願文書表の第七十一号、同じく第百五十一号、同じく第百七十九号、これらの請願に対しまする紹介議員が、本日事故あつて御出席になりませんでした。こういう場合にいかにこれを処置するかということにつきまして、現在の参議院規則にはないわけであります。そこで七月の一日に各常任委員長と議院運営委員の懇談会を開きまして、この処置方法について協議したことがあります。その場合、その協議におきまして、紹介した議員に事故があるときには常任委員会の專門調査員が代つて説明する、こういうことに決定いたしておるのでありますが、その処置を今日採るべきでありますが、或いは数日先きに延ばすべきであるか、お諮りしたいと思います。
#14
○草葉隆圓君 ちよつと伺いますが、予めこの紹介議員には何日の何時頃からこれを開くから、説明されるようにという御通知はあつておるわけですね。
#15
○委員長(塚本重藏君) 昨日これを決めましたときに、昨日の中に電話のある方は電話を以てし、その他の方には郵便を別に差出しまして、それぞれ手配をいたした次第でございます。小林さんは多分七十一号の紹介議員ですが、小林さんは交通事故のために参院になつていないかと考えます。
#16
○内村清次君 小林誰ですか。
#17
○委員長(塚本重藏君) 小林米三郎さんです。それから尚御参考までに、昨日配付になりました文書表の中に第二百一号、同じく青少年禁酒法制定反対に関する請願がまだあるわけであります。本日これを審議に掛けたいと考えましたが、議長から正式に付託にまだなつておりません。そこでこれは後日にしたいと思います。そういう機会もあることはあります。
#18
○三木治朗君 出席のない議員もあり、尚且つ新らしい請願もあるということであれば、次の機会において、やはり一應聽いてあげることの方がいいのではないかと思いますから、本日は紹介者の説明はこの程度で打ち切つて次の機会にやつて頂きたいということを希望いたします。
#19
○委員長(塚本重藏君) 爾余の請願は爾後に延期すべしとの三木委員の動機に御異議ございませんか。
#20
○委員長(塚本重藏君) では三木委員の提案通りにいたしたいと思いますが、実はもう暫く引続いて質疑を進めたいことがあります。それは鈴木安孝君から委員外発言としてこの件に関して発言を許してくれとの申出がありました。これを許すことに御異議ありませんか。
#21
○委員長(塚本重藏君) それでは許すことにいたします。
#22
○委員外議員(鈴木安孝君) 私は法律を取扱つておる方面からこの度の法案制定の反対の意見を申上げまして皆さんの御参考に供したいと思います。この法律が発布されますれば、國民の遵法精神……。
#23
○委員長(塚本重藏君) ちよつと発言中でありますが一言申上げますが、この委員会ではまだ質疑應答が終了いたしておりません。從つて討論には入つていないわけであります。我々がこの法律案を審議するに当りまして各種の請願が出ておりますので、これを審議の参考に供したいと考えまして請願を取上げた次第でございます。若し反対の御意見でありましたならば、いずれ討論に入る場合があろうかと思いますが、その時にお讓り願うことがいかがでございましようか。
#24
○委員外議員(鈴木安孝君) それでは次の機会に発言したいと思います。
#25
○委員長(塚本重藏君) ではさようにお願いしたいと思います。その時には必ずお知らせいたします。それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時三十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事      今泉 政喜君
   委員
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           三木 治朗君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           木内キヤウ君
           藤森 眞治君
           小川 友三君
           小杉 イ子君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
  委員外議員
           柏木 庫治君
           堀  末治君
           駒井 藤平君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト