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1971/10/20 第67回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第4号
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1971/10/20 第67回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第4号

#1
第067回国会 本会議 第4号
昭和四十六年十月二十日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  昭和四十六年十月二十日
   午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
   午後一時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(船田中君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。赤松勇君。
  〔赤松勇君登壇〕
#4
○赤松勇君 内外の情勢が激しくゆれ動く中で、いよいよ歴史的な沖繩国会がここに開かれました。
 私は、この国会の大きな意味と、われわれ政治に携わる者に課せられた責任の重大さを痛感しながら、日本社会党を代表し、内外の重要問題について、国政の責任者たる佐藤総理に対し質疑を行なわんとするものであります。(拍手)
 昨今、太平洋のかなたから打ち出すニクソン大統領の強烈なる対日攻勢の外交の前に、日本政府の外交はその対応に顔色を失い、ニクソン・ショックに対処する臨機応変の姿勢に欠け、国民の間に危機と不安感を増大させております。わが国を取り巻く世界の情勢は、きわめて重大かつ深刻なものがあり、まさしく一国の死活にかかわる問題であります。総理の施政方針演説では、そうした世界のきびしい情勢に対応する意欲は認められず、国民はひとしく佐藤内閣に失望したことでありましょう。
 ちょうど本日は、ニクソン大統領のキッシンジャー補佐官の乗った特別機が、上海から北京に到着する日であります。十一月末と伝えられますニクソン北京訪問の下準備が、着々と進行しております。ニューヨークの国連総会では、中国の代表権についての論戦が始まっております。また、ニクソン大統領は来年五月にモスクワを訪問、ソ連首脳者と会談することが予定されており、ソ連の外交も、さらに目をみはるようなテンポで展開されております。九月三日には二十六年ぶりでベルリン協定に仮調印が行なわれ、インドとの友好条約も結ばれ、ブレジネフ書記長がユーゴスラビアを訪問、十月にはパリを訪問、コスイギン首相はカナダを訪問し、さらにアルジェリア、モロッコを回る予定といわれております。その間、中国の積極外交が依然として進行し、中国承認国はすでに六十五に達しました。米中ソの諸国だけではありません。アジアにおいてもインドのガンジー首相の訪ソが伝えられ、七〇年代の新しい均衡をつくるために、世界は休むことなく動き続けておるのであります。
 しかるに、この重大な時期に、あたかも、あなたは、無為無策のままこの情勢に背を向け、激動する国際政治に対処しようとしなかったのであります。ある漫画に、動く大統領、動かない佐藤首相と書かれ、イギリスのザ・タイムスは、先ごろの通貨変動の間、佐藤首相は軽井沢で静かにゴルフを楽しんでいた、と皮肉っています。総理は、この世界の激しい激流、大きな変動をどのように受けとめていらっしゃるのか、これを承りたい。
 このような激しい世界政治の変動には、今後幾多の紆余曲折がありましょうが、米中、米ソの首脳会談、ベトナム人民の勝利、中華人民共和国政府の国連の地位の回復、そして南北朝鮮の平和統一の機運など、その進み行く方向は、東西緊張対立の緩和であり、冷戦構造の後退と平和共存への方向であることは、否定できない事実であります。特に、一九五〇年以来の中国封じ込め政策の後退であります。佐藤内閣が、この緊張緩和の情勢の中で、あえて自衛隊の大増強を行ない、自衛隊を沖繩に配備し、韓国、台湾の防衛まで肩がわりをし、日中国交回復を妨げる姿勢をとっているのは、国民を納得させ得ない時代錯誤であるばかりでなく、中国その他アジアの人々から、軍国主義復活の不安と警戒をもって非難を受けるのは避けられないことであります。(拍手)この際、政府は、第四次防衛計画を全面的に中止すべきであり、防衛費を増強する防衛二法を撤回すべきであり、すみやかに中華人民共和国との間に国交回復を進めるべきだと思うが、総理はどのように考えていますか。
 さらに、一昨年十一月の日米共同声明の内容は、米中接近の現状において、現実と逆行する点があると思うのであります。アメリカの国防総省の秘密報告書においてベトナム介入の実態が明らかになった今日において、当然、政府はアメリカのベトナム政策支持の態度を訂正すべきであり、アメリカみずからが中国と接近しようとする現状、あるいは朝鮮の最近の情勢などを考慮すれば、韓国、台湾の安全がすなわち日本の安全と不可分であるという条項は、むしろ現時点で廃棄すべきものではないかと考えるが、総理の見解はいかがでございますか。(拍手)
 かくして、東西緊張の緩和と平和共存への世界の大勢は、まさにわが日本社会党が多年主張してきた日本の平和中立外交の可能性を一そう強めておるといわざるを得ません。日本、中国、アメリカ、朝鮮を含めて、平和五原則に基づく集団的または個別的な平和保障体制が、わが党の主張のごとく、次第に現実のものとなりつつあります。
 中国問題は、もはやほとんど論議の余地のないぎりぎりのところまできております。世界の大勢は、中華人民共和国を承認し、北京政府を中国を代表する政府として国連に迎え入れようとしています。また、国内の世論の方向も中国との国交回復を望んでいることは、世論調査によっても明らかであります。
 しかるに佐藤総理は、この大勢にさからい、世論にそむいて、アメリカの要求に応じ、逆重要事項指定決議案及び複合二重代表制決議案の提案者の役割りを引き受けました。もはや何をか言わんやであります。
 当面、最大の外交課題は、国連における中国代表権問題であります。国連における大勢は、中華人民共和国に中国の代表権を認める方向に急速に動いており、世論に逆行する逆重要事項指定方式を支持ないしは共同提案国となることは、日本としてやめるべきことであるということが国民の圧倒的な声であります。それを佐藤総理は、逆重要事項指定、二重代表制の両決議案をアメリカが推進しているということと、台湾政府との国際信義を重んじるという東洋的倫理感でのみ、アメリカとともにこの両決議案の共同提案国となることに踏み切ったのであります。しかるに、アルバニア決議案は総会で採択になる日は目前に迫っており、それが成立した場合、佐藤総理はその政治責任をどのようにおとりになるのか、これをただしたいのであります。(拍手)
 いまや世界各国は、中国との関係を改善し、中国を国際社会に迎え入れようとつとめているではありませんか。そうした世界的潮流の中で、隣国日本だけが取り残された形でアジアの緊張を高めていく姿は、日本軍国主義の声となってアジア諸国からはね返ってきているのであります。中華人民共和国政府が中国を代表するただ一つの合法政府であり、台湾は中国の一部であって、台湾問題は中国の内政問題であるとの基本的な見地に立ち、いまこそ日中外交の転換を国民の前に明示すべきであります。
 そこで、中国政策の形成については、まずわが国の外交に中国問題が占める位置づけを明確に認識することから進めなければなりません。まずなすべきことは、日中間の戦争状態に終止符を打つことが緊要であり、そのためには、少なくとも日中議連共同声明で示した四原則を中国政策の基本的条件とし、その方針を示すことが必要であると考えるのであります。(拍手)
 そこで、私はあなたに端的にお尋ねをいたします。
 九月二十二日の記者会見で、アルバニア決議案が成立した場合には、国連の意思だから考慮しなければならないと言っていらっしゃいますが、それは一体どういう意味でありますか。
 第二に、台湾政府を国連に残すのは過渡的措置だと昨日の施政演説でおっしゃっていらっしゃいますが、それは一体どういう意味ですか。
 第三に、北京の中華人民共和国政府の国連代表権を確認しているということは、台湾を含めて、中国を代表するただ一つの政府は北京の中華人民共和国政府であると認めるのかどうか。
 第四に、台湾政府に国連の議席を与えるというが、台湾政府は一体何を代表する政府なのか、それを明らかにしていただきたい。
 第五に、あなたは施政演説の中で、台湾政府を国連から追放することは、国際情勢にそぐわないばかりでなく、アジアにおける緊張激化の要因となると言っています。それは一体どういう意味なのか。われわれ日本社会党の見解によると、台湾政府を国連に残しておくことのほうがむしろ緊張激化の要因となると考えておりますが、いかがでございましょう。(拍手)
 第六に、日中国交正常化のためには、何よりも、昭和六年以来十数年間にわたる侵略戦争の決着をつけ平和を回復することが当然必要であるのに、一言も総理は施政演説の中でこれに触れていないというのは、一体どういうことでありますか。
 第七に、総理は、日台条約で戦争状態は終了したと考えているのかどうか。もしそうだとすれば、これほど非現実的で非合理的な論理はありません。この点について総理にお尋ねをいたします。
 右七点について、的確な答弁をこの際国民の前に明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 次に、沖繩返還協定について質問いたします。
 この国会に提案された沖繩返還協定並びに附属文書の内容は、われわれの主張する無条件全面返還の要求、沖繩百万県民の、基地のない平和な島として復帰したいという熱望とは大きな隔たりがあるばかりか、政府が約束した核抜き本土並みの公約にすら違反するものであることは、もはや明らかであります。
 核兵器の存在は公表せず、検査もできないのに、どうして核抜きを保証することができるでしょうか。政府は、一昨年の日米共同声明第八項により、大統領が核に対する日本政府の政策に違反しないと約束しているからだいじょうぶだと常に言っておりますが、政府の核兵器に対する方針は、持たず、つくらず、持ち込ませずの三原則そのものではなく、アメリカの核のかさのもとにあることを前提条件としたいわゆる三原則であります。したがって、アメリカが日本を守るために必要だとして核の持ち込みをやっても、共同声明第八項に違反しないこととなり、アメリカ大統領との約束は、核抜きを保証するものではなく、その意味からいって、政府の核抜きの公約は、国民へのごまかしと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 また、軍地基地は、本土並みどころか、ほとんど従来の規模と機能を維持しながら、その基地の機能を守るために六千八百人の自衛隊の配備までが逆に義務づけられているのであります。去る六月二十九日、防衛庁久保防衛局長とカーチス在日アメリカ大使館担当官との間に署名をされました沖繩の直接防衛責務の日本国による引き受けに関する取りきめについては、前国会でわが党の代表から質問をいたしましたが、政府はこれに対して答えておりません。
 そこで、要約して総理にお尋ねをいたしますが、一つ、自衛隊の配備は何ゆえ一々アメリカと相談しなければならないことになっているのか。第二に、沖繩返還に関する協議なら、何ゆえ外務省同士でやらないのか。第三に、いまだ安保条約が沖繩に適用されていないのに、安保協議委員会にかけているのは一体どういうわけか。これらの点を明確に答えてもらいたいのであります。
 さらに、政府は、米軍基地確保のため、憲法に違反する沖繩復帰に伴う防衛施設のための土地等の暫定収用に関する法案を提出し、所有者及び関係者との間に合意が成立しない場合でも五年以内でその土地を使用できるとし、土地の長期取り上げをやろうとしております。本土における安保条約第六条による地位協定の場合の強制収用は六カ月であったはずであります。したがって、五年というのは本土並みとはいえないのであります。何ゆえ本土は六カ月で、沖繩は五年であるのか、これもこの際明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 さらに、その対象を、沖繩に配備される自衛隊が引き継ぐ土地、道路、民間空港にまで拡大していることは、まことに不当といわなければなりません。沖繩にのみ適用する特別措置は、憲法第九十五条によって住民投票に付することが必要であります。
 このような、沖繩県民の人権と生活を無視した措置は、沖繩返還が、異民族の支配に苦しんだ同胞をあたたかく本土に迎え入れようとするものではなく、大軍事基地沖繩を日米共同で管理することを意味するにすぎないということをここに暴露しておるのであります。(拍手)
 なお、政府が特に声を大にして、基地縮小を沖繩返還の目玉商品としておりますが、その実態を見ると、沖繩返還後の基地は、沖繩の一二、三%を占め、本土の比率〇・〇八%に比べ、政府の宣伝する本土並みではないことは、これをもってして明らかであります。それだからこそ、新聞の世論調査を見ても、返還協定に満足と答えた者は、沖繩においても、本土においてもわずか一割にすぎず、核抜き本土並みが実現すると思う者は、わずか二割に足らないのであります。政府は、ともかくも返還した上でと考え、自民党内でも、沖繩返還までは佐藤総理に協力するという考えが大勢を占めていると聞いていますが、返還協定は、中国問題その他と密接に結びついているものであることを忘れてはなりません。
 また、この協定は、明らかに中国などへの謀略放送施設であるVOAの継続を約束していますが、将来中国からその撤去を要求されたとき、佐藤内閣あるいはこれを引き継いだ後継内閣は、一体これをどうするつもりでありますか。その処置に困惑することは明らかであります。
 自衛隊が米軍と共同して、台湾、朝鮮、中国及びインドシナ地域まで作戦範囲を持つという沖繩基地の運営に日本が参加することは、日本が直接これらの地域に対して新たなる軍事的かかわり合いを持つことであり、その責任を断じて免れることはできません。特に、中国と国交回復の障害となることは明らかであります。
 これら、あらゆる面から検討したとき、まず返還協定を成立させ、その次には日中国交回復をといった、そういう見解はきわめて誤りであるといわなければなりません。政府の見解を聞くとともに、与党各位にもこの点の御配慮を要求するものであります。
 日米共同声明以来この協定調印に至るまで、アメリカ政府が沖繩返還を種にしていろいろ義務負担を日本にかぶせてきたことは、だれしも否定できないところであります。調印後においても、アメリカはこの協定を人質にして……(発言する者あり)この協定を人質にして、中国の国連代表権についての逆重要事項決議への提案国になることを強要し……
  〔発言する者多し〕
#5
○議長(船田中君) 静粛に願います。
#6
○赤松勇君(続) なおかつ、ドル防衛新政策の一環として、繊維規制問題その他の対日要求とからませてきたことは、多くの報道解説の指摘するところであります。私は、アメリカの不当な外交圧力に怒りを覚えるとともに、佐藤内閣がここに追い込まれた拙劣にして無能な外交に対し、全く国民とともに失望を禁じ得ないものがあるのであります。(拍手)
 沖繩は、本来、無条件で全面返還すべきものであることは、カイロ宣言、ポツダム宣言あるいは平和条約第三条、国連憲章の精神により明白であります。わが党は、佐藤内閣に、この不法、不当な返還協定が沖繩県民の人権と生活を無視し、かつ日本と中国、朝鮮、インドシナの国々との対立を激化し、アジア人同士の戦いに巻き込まれる重大な危険を内包しているものであることを指摘し、この返還協定のやり直しを総理に要求いたします。(拍手)総理のお考えはいかがでございますか。
 政府・自民党の対米追従、対米依存の安保外交の破綻は、経済の面でも決定的となっております。
 八月十六日に発表されたニクソンのドル防衛政策は、国内経済政策の失敗、ベトナム戦争など海外軍事支出、アメリカ大企業の直接投資などによる国際収支の赤字、ドル危機の責任などを日本になすりつけようとするものであり、それは当然、貿易の三分の一をアメリカ市場に依存する日本経済に最も強いショックを与えたものであります。この混乱のため、ドル防衛に協力し、手持ちのドルの金交換を押えてきたわが国は、この一年間に、約百億ドルも安くなったドルをかかえ込まされました。ドルが一〇%減価すると三千数百億円の損失となるのであります。
 ニクソンの対日経済圧迫は次第にきびしさを増し、総理の言われる日米協調体制は、いまや一片の幻想と化してまいりました。その最たるものは、繊維の政府間協定の強引な押しつけであります。政府は、業界のごうごうたる反対を押し切り、去る十月十五日、突如として日米政府間協定了解覚書に仮調印いたしました。その内容は、わが国の繊維産業を壊滅的打撃におとしいれるものであり、過酷きわまるものであります。しかも、政府は、これを形式上ガットのワク内に置くとか、輸出の規制期間を三年にとどめるとかいう意図的条約の作成技術により、国会承認の対象とならない行政協定方式で今度の政府間協定を締結しようとしています。かかる政府の措置は、国会を無視し、憲法七十三条に違反するもので、わが国民主政治を破壊するものといわなければなりません。
 糸を売ってなわを買ったと俗にいわれていますが、沖繩の資産買い取り問題に対しアメリカ側は六億ドルを要求し、これに対しわが国は三億二千万ドルに値切ったことから、そのツケが繊維の規制で代償を求められるに至ったのではないかといわれています。また、去る十月十五日、ケネディ特使と韓国の李商工大臣との会談のおり、繊維の規制問題に関し、韓国は五年であるのに日本は三年ということで、韓国側が不満を表明したところ、ケネディ特使は、日本は三年規制後さらに二年延長するとのことで韓国側の主張を押し切ったといわれています。あたかもそれを裏づけるように、今回仮調印された一項目中、規制の終わる第三年目には、両国政府はその後の期間の取りきめの延長を合意することにしております。この点、総理大臣は、昨日、議院運営委員会に出席し釈明をされたようでありますが、国民は釈然としておりません。この際、明確なる答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 世界経済の混乱は、日米関係だけではありません。戦後二十五年、世界の資本主義が戦前の大恐慌を回避して、とにもかくにも経済を成長させ貿易を拡大してまいりました。いまや各国とも、不況とインフレ、失業と物価高の新しい病気が共通の現象となり、IMF、ガット体制がくずれかかり、各国の経済競争が激しくなりつつあります。いまや資本主義は戦後最大の危機に直面しておるといわなければなりません。資本主義の永久繁栄論の夢は、次第に色あせつつあることは、否定できません。総理はこの現象をどのように見ているのか、見解を承りたい。
 わが国の経済についていうならば、いわゆる安保繁栄論がその有効性を失ったということであり、今後は、わが党が多年主張してまいりました、対米偏重政策を改め、社会主義国との交流をふやし、開発途上国とも均衡のとれた平等互恵の立場で経済を発展させる方向に対外政策を転換すべきであると思いますが、総理はどのように考えていらっしゃいますか。(拍手)
 今回のドル・ショックは、単なる外部からの圧力によるものではありません。自民党政府の、労働者への低賃金と長時間労働、公害のたれ流し、これら国民の犠牲の上に進められた経済高度成長政策の行き詰まりを示すものであります。すでに佐藤総理は、七年前、組閣当初に、人間尊重、社会開発、これを強調しておりますが、言ったことは必ず実行しないというのが、佐藤内閣の特徴であるのであります。(拍手)あれほど約束した政治資金規制をたな上げにし、年に数百億円の政治献金を受け、高級官僚の選挙違反を処罰しようともしない、その政治姿勢の中から、財界と高級官僚と自民党の結託した国民不在の政治しか生まれてこないことは、当然といわなければなりません。(拍手)
 かつて、われわれは、次のように佐藤内閣の十の大罪を指摘しました。物価、公害、都市過密、農村過疎、土地問題、住宅難、交通地獄、医療の矛盾、老後の不安、受験地獄等であります。しかしながら、あなたの七年間の施策の中でどれ一つ解決しないばかりか、国民の苦しみは一そう日を追って激しくなりつつあります。せめて中国国連代表権回復について前向きに対処し、共同提案国からおりるぐらいの前向きの姿勢を示すことを期待しておりましたが、その期待もむなしく裏切られました。
 総理は、施政演説で、物価、社会保障、国民生活の安定などに触れておりましたが、七年間の実績を見ても、だれがこれを信ずる者がありましょうか。新聞の内閣支持率は二三%と、驚異的低下を見たこともまた当然といわなければなりません。いたずらに命を長らえて恥多い終末を見るより、いさぎよく退陣されることを要求して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 赤松君からたいへんたくさんの、また多岐にわたってのこまかな御質問をいただきました。できるだけ忠実に、順を追ってお答えするつもりでございますが、あるいは落ちるものがあったら、他の機会に譲らしていただきたいと思います。
 現在、国際間の緊張緩和につきましていろいろな努力がなされておりますが、特にニクソン米大統領の北京訪問あるいは中華人民共和国政府の国連加盟が実現すれば、アジアにおける緊張は大いに緩和されるものと思います。政府としては、このような傾向は、平和の達成という成果となって実ることを強く希望するものであります。
 申すまでもなく、国際間の緊張は、政治、軍事、経済など、各面の要因が複雑にからみ合ってかもし出されるのでありますが、それを取り除くためには、各国の節度ある態度が望まれるところであります。同時に、各国ともそれなりの主体的な努力を行なってこそ、初めて緊張緩和を導き出すことができると思う次第であります。わが国としては、自由を守り平和に徹する理念を基本として、みずからの国はみずからの手で守るとの気概のもとに、適正な規模の自衛力を整備することが、アジアの緊張緩和に貢献するゆえんであると信じます。(拍手)
 したがって、沖繩の施政権がわが国に返還されたあと、みずからの責任において沖繩の安全を確保するのは当然であります。自衛隊の配備もこのような観点から行なわれるものでありまして、基本的に米国の肩がわりとは異なる性格のものであることを御理解いただきたいと思います。(拍手)
 日中関係の改善については、相互尊重、相互理解の新しい原則のもとに、心を新たにしてこれと取り組む決意であることは、所信表明演説で申し述べたとおりであります。
 次に、日米共同声明とベトナム戦争との関連についてのお尋ねがありました。政府としては、米国のベトナム政策の究極の目的は、南ベトナムの住民が民族自決の原則に従って、外部からの干渉を受けることなく、みずからの将来をみずから決定し得るような環境をつくるにあり、このため、南ベトナム政府の要請にこたえて、米国及びその他の諸国が軍事的支援を行なってきたものと了解しております。今回の秘密文書に関する報道があったからといって、このような政府の考えに誤りがあったとは私は思っておりません。
 日米共同声明におけるいわゆる韓国、台湾条項は、その時点における相互の認識を述べ合ったもので、これは廃棄するとかしないとか、そういう性質のものでないことは、しばしば申し述べているとおりであります。
 次に、第二十六回国連総会における中国代表権問題の取り扱いでありますが、所信表明で申し述べたとおり、政府が今回行ないました決定は、中華人民共和国政府の国連代表権を確認し、その安保理議席を勧告するという考え方に基づくものであります。中国敵視という御批判は、当たらないのであります。また、過渡的な措置として中華民国政府の議席を維持することは、国連の普遍性の原則にかなうとともに、わが国にとって国際信義を尊重するゆえんであることは、国民各位の御理解を得るものと確信しております。(拍手)
 さらに、国連の場における種々の表決は、国連加盟国の票数の多寡によってきめられるのでありますから、中国代表権問題につきましても、国連の決定と加盟国の一員としてのわが政府の政治責任を直接結びつけて考えるのは妥当ではないと思う次第であります。もちろん、政府は国連と歩みをともにし、国際間の協調をはかってまいる所存でありますから、国連加盟国の多数の意見は、これを尊重する考えであります。
 ただいまお答えいたしましたところで一言ことばが違っておりますから、その点を訂正さしていただきます。
 私は、過渡的な措置ということを申しましたが、これは過渡的ではなく、経過的な措置でございます。赤松君が先ほど、過渡的な措置とは一体どういうことを意味するのかというお尋ねがありましたが、ついそれにつられて過渡的と申しましたが、原案は、経過的な措置であります。この経過的な措置ということは、これは私がさらに説明するまでもなく、読んで字のとおりでありますから、これは御理解がいただけるだろうと思います。
 次に、赤松君から政府の外交方針の大転換を迫る御意見がありました。その御提案の中心にある思想は、やはり社会党の方でありますから、社会党の年来の主張である非武装中立並びに日米安保条約の破棄にあるものと理解いたしますが、その点につきましては、これまでもしばしばお答えしたとおり、基本的な考え方を異にしているのであります。私は、国民の国を守る気概のもと、その足らざるところを日米安保条約によって補完するという、国防の基本方針を堅持するものであります。この考え方は国民大多数の理解と支持を得ていることを確信しております。(拍手)
 また、政府の外交の基調は、いずれの国とも仲よくする、国際協力を通じて平和の維持と相互の繁栄をはかり、かつ国際緊張の緩和に資するというところにあります。御理解をいただきたいと思います。
 次に、日中正常化を行なうにあたって、日中両国間で相互理解と相互尊重の立場に立った新しい原則を確立することが必要であると考えております。そして、その原則は、主体性を持つと同時に、広範な国民的合意が得られるものでなくてはならないと存じます。
 台湾の領土的帰属の問題につきましては、法律的見地からすれば、サンフランシスコ条約には、台湾をどの国に帰属させるかの規定はなく、わが国は台湾を第二条に基づき放棄したものであって、わが国としては、台湾がどこに帰属するかについての発言権はございません。しかしながら……(発言する者あり)大事なところですから、よく聞いてください。しかしながら、中華民国政府も中華人民共和国政府も、台湾は中国の領土であるといっており、カイロ宣言、ポツダム宣言の経緯からも、両政府がこのような立場をとることは、日本政府としても理解できるところであります。政府としては、このような経緯をも踏まえ、かつ長期的展望に立ってこの問題に取り組む所存であります。
 中華民国を一方的に国連から追放する決議案に反対であることは、先に申し述べたとおりであります。申すまでもなく、中華民国政府は国連創設の当初からの重要メンバーの一員であり、それが一方的に国連から追放されるととは、国際間に大きなしこりを残すおそれのあることを憂えるものであります。われわれとしては、緊張緩和のため、できる限りの努力を重ねるべきであると思います。また、政府としては日華条約の締結をもって日中間の戦争状態を終結させたことは、周知のとおりであります。しかし、一方、政府としては、中華人民共和国政府が同条約を不法なものとして指摘していることも承知しておりますが、この問題は、今後、日中間の国交正常化に関する話し合いの過程であらためて取り上げられるものと見ております。
 国連における中国代表権問題の帰趨につきましては、いまから予測できませんが、政府としては、国連とともに歩み、国際協調をはかることを本来の行き方としているので、国連大多数の意思決定は十分尊重する考えであります。
 また、経過的な措置という表現につきましてお尋ねがありましたが、これは、この問題が今後当事者間の話し合いによって円滑かつ妥当な方法で解決されるまでの間ということであります。
 次に、沖繩問題についてお答えいたします。
 申すまでもなく、沖繩問題というのは、サンフランシスコ平和条約第三条によって米国の施政権下に置かれていたわが国の領土及びそこに住む日本国民を、本来あるべき姿、すなわち、わが国の施政権下に復帰させるという問題であります。
 私は、政権担当以来、このことをなし遂げるのが現代の政治に課せられた重大なる課題であり、責任であることを自覚し、真剣にこの問題と取り組んでまいりました。(拍手)幸いにして、本年六月、日米間で、核抜き本土並みを貫く返還協定に署名するところまでようやくこぎつけることができました。そして、本臨時国会でその御審議を願うことといたしたのでありますが、何ぶんにも本土と沖繩の断絶は、はなはだしいものがあります。戦中、戦後を通じて沖繩県民が負うてこられた苦悩というものは、われわれ本土の国民にとっては、ことばの上では理解できても、ほんとうに心底から理解することはむずかしいのではないかと思うのであります。
 返還協定にしても、関係国内法案にしても、私はこれが完ぺきなものであるとは考えておりません。いろいろと不備な点もあることは承知しておりますが、とにかく核抜き本土並みという国民の要望も達成し得た以上、一日も早く復帰を実現して、その日から新しい沖繩県づくりに全力をあげなければならないと思うのであります。(拍手)
 なお、赤松君は、米軍基地の自由使用を認め、核兵器の再持ち込みを許していると批判されましたが、沖繩返還は核抜き本土並みであることを重ねて申し上げておきます。
 土地使用の問題についてのお尋ねでありますが、この法律は土地収用法等による正規の手続に移行するまでの暫定的なものであるので、このための必要最小期限を暫定使用期間と定めたものであります。また、住民の日常の生活や福祉に密接な関係を持つものは、復帰の日以後一日としてその機能をとめることのないように保障しておく必要があります。このような考えから、道路、水道、空港等についても暫定使用の対象とした次第であります。
 また、この法律は、経過的な措置を定めるためのものであり、沖繩県の組織、権能等について本土の府県と異なる特殊な制度を設けようとするものではありません。したがって、憲法第九十五条にいう特別法に当たらないので、住民投票の問題は起こらないものと考えております。
 次に、沖繩基地の関連についてのお尋ねでありますが、まず、返還後の沖繩においては、本土と同様、日米安保条約の取りきめに基づいて、所要の施設、区域を米軍に提供することになります。このことは、わが国と極東の平和と安全を確保するために必要なことであります。しかしながら、基地は漸次縮小すべきであると考えておりますので、現地の要望をも考慮しながら、今後できる限り努力してまいる考えであります。
 土地等の取得については、できるだけ関係者の合意を得るようつとめるのは当然であり、目下、この基本線に沿って最善の努力を払っております。
 沖繩に対する自衛隊の配備でありますが、返還後は沖繩の防衛はわが国が主体的に行なうべきであることは申すまでもありません。その任務は、本土におけると同様、直接間接の侵略に対抗するとともに、所要の民生上の協力を行なうことにあります。沖繩に配備される自衛隊が、米軍の任務を分担して米軍の肩がわりの要員となるものでないことは、十分御理解いただけるものと思います。(拍手)
 また、沖繩における核兵器の問題については、一昨年の日米共同声明第八項及び今回の沖繩返還協定第七条により、明確に約束されております。政府としては、返還後の沖繩に核が存在しないということについて、これ以上何らかの方法でさらに具体的に確認する必要があるとは考えておりません。
 沖繩の自衛隊配備に関する米側との話し合いについてお尋ねがありました。沖繩が復帰して本土の一部となれば、本土の場合と同様、その防衛については、わが国の責任となることは当然のことであります。わが国が沖繩の防衛を引き受けるにあたっては、現にこれを担当している米国との間で、引き受けの段取りについて調整する必要があることも当然であります。また、その取りきめは、日米双方の防衛当局者間の討議の結果をまとめたものであり、自衛隊の展開に関する日本側の考えを示し、時期、施設等につき所要の調整の結果を述べたものであると承知しております。したがいまして、特に米政府と特別な取りきめをしたわけではありません。
 赤松君は、沖繩問題の締めくくりとして、沖繩の返還協定のやり直しを主張されましたが、政府としてはその御意見には賛成することはできません。政府としては、今国会において沖繩返還協定の締結が承認され、関連法案が成立して、明年のなるべく早い時期に沖繩返還が実現することを強く期待しております。(拍手)社会党におかれても、沖繩百万同胞のため、審議促進に御協力いただくよう切にお願いするものであります。(拍手)
 次に、経済問題についての質問にお答えいたします。
 赤松君は、佐藤内閣は経済政策で失敗したと言われましたが、私はそのようには考えておりません。戦後二十六年の間に、わが国経済は、国民各位のたゆまぬ努力の結果、世界にも類を見ない速さで発展し、今日わが国の一人当たり国民所得はほぼ欧州水準に達する一方、国際収支の面でも、その状況により、国内の経済政策がかつてのような制約を受けるという事態から解放されるに至っております。また、最近におけるいわゆる変動為替相場制のもとでの円の実勢高は、円の価値、すなわちわが国経済の実力が高まったことをあらわすものにほかなりません。
 しかしながら、わが国はその経済が大きくなった結果、国際社会にも大きな影響を及ぼすまでになり、また、国内にも社会資本の立ちおくれ等のひずみ現象が見られるのは事実であります。私は、今後のわが国の進むべき道は、国際経済社会における有数の先進国としての責任を進んで果たしていくとともに、国内政策としては、拡大した経済力を国民生活の質的向上に積極的に振り向けていくことであると考えるものであります。(拍手)政府は、八月以降の事態の変化による影響を防止するため、当面、輸出関連中小企業対策、景気の振興等に全力をあげていく考えでありますが、このような観点から、この政策展開の過程においても、極力社会資本の整備を促進し、国民の生活福祉向上に資するようつとめる所存であります。
 次に、繊維協定の期間についてのお尋ねがございましたので、お答えをいたします。
 繊維に関する日米間了解覚書におきましては、規制期間は本年十月一日より一九七四年九月三十日までの三年間となっており、これを五年とすることにわがほうが同意を示した事実はありません。なお、三年後、本協定を延長するかどうかは、他の極東諸国の状況等をも勘案しながら、あらためてその時期に検討をすることとしております。(「延長はきまっておるんだよ」と呼ぶ者あり)総理がただいまはっきり申し上げたのですから、そのとおり御信用いただきます。
 次に、世界経済の危機についてお答えをいたします。
 第二次大戦後、国際経済は、IMFやガット等の国際機関を中心に、各国が相協力して、自由、無差別、互恵の精神のもとに順調な拡大を続けてまいりました。しかしながら、去る八月の米国の新経済政策の実施以来、主要国は、何らかの形で変動相場制への移行を余儀なくされ、世界経済は貿易、通貨の問題をめぐって大きく動揺しております。この基本的な原因は、戦後のIMF、ガット体制の中心となってきた米国がインフレ、国際収支の悪化を生じ、その地位を弱化させていることにあります。この反面で、欧州諸国及びわが国が経済力を拡大し、国際経済社会は多極化しております。現在の問題は、戦後のIMF、ガット体制が、こうした新しい情勢へ適応していく過程で生じているものと言うことができましょう。
 当面の難局を打開するためには、ひとり米国のみに責任をゆだねることなく、国際協調のもとに、平価調整を含む総合的な措置を主要国が共同でとることが必要であり、また、これが各国共通の認識になって国際的努力が払われております。この点において、戦後の国際経済及び各国の経済は、自国本位の政策をとり、世界恐慌を招いた戦前とは、全く異なっております。IMF、ガットの基本的精神のもとで、国際経済情勢に即応しつつ、国際協調のもとで懸命な措置がとられ、御指摘のごとき事態は生じないと確信しております。
 最後に、御意見を述べられて、私の退陣を要求されましたが、御意見は御意見として謙虚に聞いたつもりでございます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(船田中君) 小坂善太郎君。
  〔小坂善太郎君登壇〕
#9
○小坂善太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、佐藤内閣総理大臣の所信表明に関し、若干の質問を行ないたいと存じます。(拍手)
 まず、冒頭にあたり、天皇、皇后両陛下には、先般ベルギー、イギリス、ドイツ連邦共和国をはじめ欧州各国を歴訪され、去る十四日無事御帰国になられました。両陛下おそろいでの外国訪問は、わが国有史以来初めてのことでありましたが、各国との友好、親善の実をあげられましたことは、まことに意義深いことであります。国民ひとしく心からお喜びを申し上げる次第であります。(拍手)
 まず第一の質問は、沖繩問題についてであります。
 今次臨時国会は、沖繩国会とも言われており、そのおもな任務は、沖繩返還協定の承認と関連法案の成立であります。戦争の結果、一たん他国の施政下に置かれた領土が、平和的な話し合いのもとに回復されるという例は、史上いまだかつてないところでありまして、戦後の歴代内閣、特に佐藤総理の七年間にわたる御苦心と御努力の結果、また日米両国の相互信頼、友好協力のたまものでありまして、われわれの心から喜びとするところであります。(拍手)
 しかるに、一部では、沖繩基地全面撤廃とか日米安保体制破棄といった現実無視の反対論を主張し、この国会を混乱におとしいれんとする企図が見られるのであります。このような主張は、一億国民の熱願を無視して、いつまでも沖繩を他国の施政権下に置かんとすることにほかなりません。私は、このような無責任な反対論者に対して、強く反省を求むるものであります。(拍手)
 私は、この際、特に強調いたしたいことは、沖繩の返還は日米間の戦後処理の終わりでありまするが、同時にまた、新しい沖繩の出発点であるということであります。返還直後の沖繩の状況にはわれわれの満足し得ない点もあるのでありますが、まず返還を実現してこそ、その後の望ましい沖繩の姿が実現し得るのでありまして、その意味で、返還協定並びに関連諸法案を一日も早く百万沖繩県民のために成立させねばならないと存ずるのであります。(拍手)
 沖繩返還に関しましてお伺いしたいことの第一は、この国会において沖繩返還協定が承認され、また、米国上院の同意が得られましたる場合、万一関連国内法が国会において成立しなかったときには、協定発効の批准書交換はいかなることになるでありましょうか。もし批准書の交換ができないようなことになれば、多年の国民的願望である沖繩本土復帰が不可能になることをおそれるものであります。総理大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
 第二は、ニクソン・アメリカ大統領の北京訪問についてであります。
 これによりまして極東の情勢が全く変貌する、したがって、沖繩返還協定はやり直すべきであるという一部の議論に対してであります。
 このような主張者の多くは、主として従来反米、反安保の立場から沖繩の基地全面撤去と日米安保体制の廃棄を主張していた論者であります。われわれは、ニクソンの訪中によって今後の極東情勢が本質的に変化するものではないと見ておりますが、総理大臣の御見解はいかがでありますか。
 また、沖繩への自衛隊の配備反対の立場から沖繩の非軍事化を宣言し、沖繩を安全保障上全くの空白にしようとする主張がありますが、これらに対して総理はどのように考えられるか、御所見を承りたいのであります。
 第三は、核抜き本土並みの実体についてであります。
 反対論の理由の一つは、核抜きが明確に約束されていないことと、基地が本土並みでないということであります。
 総理が所信表明演説で明言されておりまするように、沖繩返還は、核抜き本土並みであり、非核三原則という日本政府の政策、方針が貫かれておりますことは、何ら疑いのないところであります。しかるにもかかわらず、「核隠し」などと宣伝する背後には、日米安保体制廃棄のねらいが隠されていると思うのであります。この際、政府は、沖繩に核がなくなることについて、国民が十分納得できるように明確な御説明をお願いいたします。
 また、本土復帰後の沖繩の基地は、当然極東の緊張緩和を旨として運用されるべきであり、そのため復帰後は実情に即して基地の漸減が行なわるべきであり、また、残された基地に対しては周辺の住民の福祉を守る措置がとられなければならないと存じます。政府の方針を総理大臣より伺いたいのであります。
 第四は、復帰後の沖繩県民の民生等についてであります。
 一部の沖繩県民が復帰後の生活に不安を感じていることは事実であります。去る十月八日にとられました沖繩のドル・円交換の措置は、まことに時宜に適したものでありまして、沖繩県民とともに喜びたいと思います。しかし、今後われわれは、希望に満ちた復帰と豊かな沖繩を築くために、あらゆる分野にわたってあたたかい気持ちで努力しなければなりません。今国会に提案せられました関連諸法案は、すべてこのための措置でありますが、何よりも肝要なことは、この内容を沖繩県民に対してよく理解せしむることであります。政府は、そのためにどのような努力をなされているか、御答弁を願いたいのであります。
 第二の質問は、日中問題についてであります。
 総理も申されたとおり、ニクソン米大統領の訪中決意声明以来、国連におきまする中国問題は急速に進展する様相を呈し、いまや中華人民共和国を国連に招請することは世界の大勢となったのであります。また、わが国と中国とは、歴史的、文化的、さらに地理の上からも深い関係を持ち、日本国民は中国国民に対して強い親近の情を抱いております。したがって、中国七億五千万の人々とわれわれが正常な関係を持つことは、わが国はもとより、アジアの繁栄と平和のため、きわめて望ましいことであります。
 いまや日中接近の試みはなだれ現象を呈している感がありまして、われわれ政治家としては、与党であると野党であるとを問わず、この現象に秩序と筋道をつける努力をせねばならぬと存じます。(拍手)また、それには、政府が日中国交正常化についての基本姿勢を明らかにすることが必要であると存じます。要は、いかにして正常な関係を実現するかということであります。総理は、機会あるごとに政府間の公式接触を呼びかけるとともに、通信、気象、航空、漁業の政府間協定を検討したいと言明されましたが、具体的にはどういう努力をなされているのか、また、なされんとするのかを明らかにされたいのであります。私の手元には、いまはもはやそのような実務的な協定を部分的に考える時期はすでに去っているとの意見が多く寄せられておりまして、日中間に正常な国交を持つためには、進んで政府間交渉を行なうべき時期に来ていると考えると言っている者が多いのであります。また、かくのごとくすることによって、今日各種各様の人たちが北京に入国を許されて、ただいたずらに日本政府を非難しているような野方図な状態が改善されると存ずるのであります。(拍手)この点について政府はいかように考えられるか、いかなる意図を持たれるか、明らかにされたいのであります。
 次に、政府は、今次国連において中国代表権についてアメリカをはじめ二十一カ国と共同して二つの決議案の提案国となったことの理由について、さらに明確にされたいのであります。
 一部の人たちは、この二つの決議案は、二つの中国論に通ずるものであって、事実上中華人民共和国の国連加盟を阻止し、今後の日中国交正常化の妨げになるものとして強く非難をしているのであります。私は、この際総理大臣から、そうではない、国交正常化の妨げにならないという理由を承りたいのであります。
 また、国連安保理事会の常任理事国の地位を認める決議案の提案国になることは、法律論はともかくといたしまして、わが国がすでに中華人民共和国を承認することになっていると考えるのでありますが、これはいかがでございましょうか。
 われわれは、総理の言われるとおり中国は一つであり、中華人民共和国政府は中国を代表する政府と考えますが、同時に同じ中国人が台湾に国民政府をつくっていることも歴史的な事実であります。したがって、中国が名実ともに一つの中国となるためには、中国人同士の平和的な話し合いによって解決がなされることを期待するほかありません。(拍手)わが国の側から一方的に国民政府や日華条約の存在を否認し、台湾にいる中国人との絶縁を主張するごときは、ある意味において中国に対する内政干渉であるとも言えましょう。(拍手)また、このような現状の急激な変更は、その方法いかんによっては極東に新たなる緊張を生むおそれなしとしないのであります。しかるに、わが国が共同提案国になったことが、あたかも二つの中国論に立つものであるかのごとき宣伝が執拗に続けられ、さまざまな激論の渦の中にあって判断に迷っている国民も少なくないと存じます。この際、総理の明確なる御答弁をお願いいたす次第であります。(拍手)
 なお、この際、わが国が国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄している国是をよく理解せしめる努力がなされねばならぬと思うのであります。
 まず、永久不戦宣言を日中双方で交換して、しかる後に日中国交正常化の交渉に入ることはいかがでございましょうか。私は、三年前にも予算委員会でこのことを申し上げたのでございます。総理の御答弁は、わが国の憲法は平和憲法である、したがって、その宣言は必要ないというお話でございましたが、いまやこの点について竿頭一歩を進めていただきまして、日中双方で日本軍国主義のおそれなどはないという事実を確認し合うことが、日中接近の第一歩であると考えるのでありますが、いかがでございましょう。御答弁をお願いいたします。
 国連における中国代表権の表決の結果は、加盟国の集団的意思の決定としてこれを尊重することは当然でありますが、わが国として最も重要なことは、ただいまも申しましたように、いかにして日中関係の正常化をするかということであります。一方において、中華人民共和国との国交を正常化し、これと両立し得ない台湾の国民政府との関係をどうするか、このことが中国問題の核心であり、また最も困難な問題であります。これに対しまして、総理大臣はいかように対処せんと考えておられるか、承りたいのであります。
 第三にお尋ねしたいことは、国際通貨の危機と日本経済の関係であります。
 これらは現下最大の内政問題であると同時に、今後の国際経済の動向と世界貿易の消長を左右し、ひいては世界平和の基礎にも関連する重大な国際問題であります。ニクソン声明による金・ドル交換の停止と一〇%の輸入課徴金の徴収という非常措置は、輸出契約の大半をドル建てで契約し、アメリカ経済とのつながりの深いわが国に対して、他のいかなる国よりも強いショックを与えているのは事実であります。これに対して、政府をはじめ、各界各層が総体的な国益擁護という大局に立って、誤りなく対処しなければならないのであります。もしそれを誤りますならば、わが国の経済と国民生活にいやしがたい打撃を与えることになるおそれがあります。このような観点に立ちまして、二、三の重要問題につきまして質問をいたしたいと存じます。
 私は、戦後長い間自由貿易とIMF体制のささえとなってきたアメリカが、このような非常措置をとらざるを得ない事態に立ち至ったことをまことに残念に思います。今後、新しい国際通貨体制が確立し、アメリカの輸入課徴金が廃止されても、これを定着させて世界貿易の増進を確保するためには、アメリカをはじめ関係国が体制を整備して、再び今回のような措置による世界経済の混乱が繰り返されないようにすることが絶対に必要と存ずるのであります。
 ニクソン声明によりまして、アメリカが多くの非難のあることを承知しながら、対外的に輸入課徴金をかけ、対内的に物価と賃金の凍結を行なっていることは、それだけ異常なアメリカの内部事情を示しているものと考えます。したがって、われわれとしては、単に理論的にアメリカの非を指摘し、筋を通したといって自己満足しているだけでは、アメリカをしてさらにかたくなな態度に追いやり、日本はさらにそのはね返りを受けてしまうおそれがあると存じます。したがって、今後の問題解決の一つのポイントは、日米経済関係の調整、改善にあるといっても過言ではありません。それには政府、民間を通じまして、対米経済外交を根本的に刷新強化することが必要であると考えます。これはまた、あまりに急激な輸出の増強と性急なる日本経済発展方策に対する反省に通ずるものとも考えます。単に日米間が競合時代に入った結果であるとのみ言っていてはいけないと思います。また、高度成長経済の中にあって、国内の物価抑制のためとして、財政、金融を引き締め、結果的に輸出にドライブをかけたことが今日の日米経済関係を生んだともいわれておりますが、輸出体制とともに今後の財政経済政策についても検討を要することと思います。これらにつきまして総理大臣の御所信を伺いたいのであります。
 次にお尋ねしたいことは、当面の対策についてであります。
 さしあたりの急務は、国際的にはすみやかに新しい国際通貨体制を確立するとともに、アメリカの輸入課徴金を撤廃させ、国際貿易を拡大発展に導くことであります。これは各国の利害関係の対立もあって今後なお複雑な過程をたどるものと予想されまするし、国内においてもさまざまな議論がなされておりますが、最も肝要なことは、わが国が国益と国際経済との調和確保という高い視野に立って、主導的な役前りを果たすということであります。わが国に対する欧米各国の感情や態度にはきびしいものがあり、わが国も主張すべきところはあくまでも主張するとともに、世界的な、また長期的な視野に立って譲るべきところは譲るという寛容さをもち、いやしくも国際経済社会から孤立するようなことがないようにしなければならないと存ずるのであります。政府当局もさらに一そうの英知を傾け、最も賢明に対処されんことを期待するのであります。
 わが国が変動相場制に移行して後、新規の輸出入商談はとだえがちとなり、このままの状況を放置いたしますときには、年末年始にかけてゆゆしき問題を生ずるおそれありとの不安も一部にあるのであります。この際、特に総理大臣から、平価調整に対する方針を承っておきたいと存じます。
 また、通貨調整が行なわれましたる場合、去る八月十六日以後におきまして流入した巨額のドルが逆に流出して異常なデフレ現象を生ずるおそれもあるのでありまして、これに対する財政金融面での準備についても伺っておきたいと存じます。
 国内的に最大の急務は、ドル・ショックによって致命的な打撃を受けている輸出関連中小企業の救済と、為替先行き不安によってほとんど全面的にストップしている新規輸出契約の成約を促進することであると存じます。対米輸出総額の中に占める中小企業製品の比重は四四%を占め、これが輸入課徴金と変動相場制の採用によって、深刻な苦境に追い込まれているのであります。
 わが党もこれを重視いたしまして、臨時中小企業ドル対策本部を設置して、緊急対策要綱を決定し、政府に申し入れましたが、政府も輸出手形の買い取りや、外国為替銀行に対する外貨の預託、滞貨、減産に対する資金の融資、先物予約制の実施など、着々と実施しておられることでありまして、高くこれを評価したいと思います。
 さらにこの際、今後予想される深刻な不況から脱出いたしますための景気浮揚対策がきわめて緊要であると考えております。景気浮揚の主役をになうものは、何といいましても財政であります。この意味において、政府は、昭和四十六年度の補正予算と四十七年度の予算を一体としてとらえ、補正予算は思い切った年内減税と建設的事業費、北海道冷害対策及び財政投融資の大幅増額による有効需要の喚起をねらいとして、住宅、上下水道、病院、福祉施設の増強をねらった積極的予算として編成されており、時宜に適したものと存じます。来たるべき通常国会におきまして提案される昭和四十七年度予算は、さらに一そうの景気浮揚に留意されるとともに、従来の高度成長政策にかえて、脱GNP中心主義と国民福祉優先の方向を明確にし、零細企業、低所得者の対策を強化すべきものと存じます。また、このような方針をとりまする場合、歳入の上で公債政策をいかようにするか、これはきわめて重要な問題であると存じます。政府の構想を伺っておきたいと存じます。
 最後の質問は、わが国の産業、貿易構造の調整についてであります。
 かりに円の平価が切り上げられましたる場合、その幅にもよりますが、効率の低い輸出関連中小企業の存立が困難になることは必至であります。これまで対米輸出の中で四四%の比重を占めていた中小企業製品は、一つにはアメリカのインフレ傾向にささえられ、一つには一ドル三百六十円の為替レートによりまして、輸出を伸ばしてきたのであります。わが国の中小企業の効率がアメリカのそれよりも本質的に高いということで輸出が伸びていたわけではないのであります。中小企業の輸出品のうち、相当部分のものが、早晩発展途上国に席を譲らなければならないようになるものがあります。今回の繊維政府間協定も、総合的な輸出対策と産業構造の改革の中で、誤りない事後処理をしていかなければならないと存じます。
 一方において、公害対策を進め、しかも新事態に対処して中小企業を再建し、企業の体質を改善する道は、一つには国内市場を拡大して国内に販路を求めると同時に、より多角的な貿易を追求し、しかも秩序ある輸出を可能にする新しい産業政策が必要であると考えます。また、わが国独自の産業、頭脳集約的な産業へと転業対策を進めることが必要と思います。
 ドル・ショックは、国際経済にとっても、わが国の経済にとっても、まことに衝撃的なことでありましたが、これをわが国産業調整と国民福祉、社会資本等とつり合いのとれた、真の安定成長への契機とすることができるならば、災いを転じて福となす結果にもなると思うのであります。(拍手)
 最後に一言申し述べます。最近頻発する暴力は、まことに憂慮にたえないものがあります。総理も言われましたとおり、暴力は、集団によるものであろうと、また個人によるものであろうと、民主主義の敵として徹底的に糾弾することは当然であります。(拍手)ことに昨日は、神聖なる国会本会揚にまで暴力の手が及んだことは、さきの公明党の竹入委員長に対する傷害事件とともに、われわれの深く遺憾とするところであります。(拍手)このような暴力のエスカレーションが予想されておりながら予防できないことは、警備の制度あるいは体制にも反省と検討を要する点があるのではないかと思うのであります。また、そのような暴力に対しては、与党であろうと野党であろうと、そのいずれを問わず、また党派を越えて、民主主義というもの、民主主義の議会政治を守るものという立場から、力を合わせてこの暴力を排除しようではありませんか。(拍手)これは私ども議会人の使命であると思うのであります。これにつきまして内閣総理大臣の御所見を承りたいと思います。
 今国会は、沖繩返還という大事業を締めくくる国会でありますが、たまたま中国問題についても転機を迎え、しかも、戦後の国際通貨の根幹をなしてまいりましたIMF体制が動揺し、アメリカが不況におちいり、その経済政策が内向きの方向に転換のきざしを見せるなど、わが国は、いわゆるドル・ショックを含めて国際環境の大きな変化の時期に当面いたしました。戦後初めて迎えるこの大きな困難は、二十五年間にわたる平和の代償ともいうべきものでありましょう。われわれは、この解決のために、従来の惰性を捨てて、思い切った対策を立てて真剣に立ち向かわなければならないと思います。わが日本民族は、これらを克服し得る十分な素質を備えておる優秀なる民族であると確信いたしますが、この進路を誤りなく進めることは、七〇年代の使命であり、責任であると考えるのであります。この点に関しまして、総理大臣の所信をお伺いいたします。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 政府は、今国会に沖繩返還協定並びに関連諸法案を提出し、御審議を願うこととしたのでありますが、ここまでこぎつけることができたのは、ひとえに各界各層の御尽力のたまものでありまして、衷心より感謝のことばを申し述べます。
 小坂君御指摘のように、当面私どもに課せられた使命は、何よりもまず返還の早急実現にあることは申すまでもありません。そうして、今後、二十余年にわたる本土と沖繩の断絶をなるべくすみやかになくするようにつとめることが私どもに課せられた使命でもあり、責任でもあると、かように考えております。
 御承知のように、返還関係の国内諸法案は沖繩の円滑な復帰を期するために必須のものであります。これに基づく諸準備がおくれますと、本土復帰が行なわれ得ない事態に立ち至りますので、批准書の交換を行ない得ないこととなるおそれがあります。したがいまして、民族の悲願である沖繩の復帰が明年早期に実現するように、これら関係諸法案の今国会における成立を強く希望するものであります。
 次に、ニクソン米大統領の中国訪問は、国際政治の面におけるいわゆる二極構造の時代から多極化時代への変化を端的に示す事柄であると思います。沖繩の核抜き本土並み返還とともに、アジアの緊張緩和につながるものであります。ニクソン訪中が直ちに極東情勢の本質的な変化に結びつくかどうかは、なお慎重に見きわめなければなりませんが、このことによって沖繩返還協定を再検討することは全く考えておりません。むしろ、この沖繩協定こそ、自由を守り平和に徹し続けてきたわれわれ日本国民の努力の結晶であると考えております。(拍手)
 また、緊張緩和それ自体は、願望だけでもたらされるものではなく、不断の防衛努力の積み重ねの上に初めて達成されるものであることを認識しなければならないと思います。したがって、復帰後、沖繩の防衛を自主的に行なうため、所要の自衛隊の部隊を配備するのは当然であります。
 さらに、本土と同様、米軍に施設及び区域の使用を認めることは、わが国の安全並びに極東における国際平和及び安全のために必要であると考えるものであります。
 沖繩の核抜きについては、日米共同声明第八項で明らかなとおりでありますが、今回、これをさらに明確にするため、協定の第七条において、核に関するわが国の政策に背馳しない沖繩返還を条約文として明記した次第であります。この点について、米政府を代表してマイヤー米大使は、協定調印の際、特に声明を発表し、日米共同声明と沖繩返還協定は、核兵器に関する日本政府の政策と日本国民の感情を米国が十分に認めていることを明らかにしており、沖繩の返還は完全に本土並みで行なわれると述べていることを念のため申し添えておきます。
 次に、復帰後の沖繩における基地の問題については、小坂君御指摘のとおり、実情に即して次第に縮小すべきであると考えております。その際、現地の要望を十分取り入れてまいりたいと存じます。本土の場合も、平和条約発効直後と現在とでは比較にならない変化を示しているのでありまして、沖繩についても、復帰後現実的に可及的すみやかにこの問題に取り組み、沖繩住民の福祉の向上に一そう努力する決意であります。
 政府が今国会に提出いたしました五法案は、これまで三回にわたって発表してきた沖繩復帰対策要綱の趣旨に基づいて作成したものでありますが、その策定にあたっては、琉球政府と緊密な連絡をとり、十分調整を行なってまいりました。したがって、その趣旨はすでに理解を得ているものと思いますが、さらに一そうの県民の理解を得るため、積極的なPRを行なっていく考えであります。過日、沖繩一日政調会を開催されましたのも、党におけるこの種の県民の理解を得んがための企てであったと、かように思います。
 次に、中国問題についてお答えいたします。
 所信表明演説で申し述べましたとおり、中華人民共和国政府に対する国連代表権を確認し、同政府が安全保障理事会理事国の議席を占めることを勧告するという政府の決定は、従来の政府の外交方針を実質的に大きく転換するものであります。まずこの点を十分御理解いただきたいと思います。
 そこで、御質問の順序に従って、まず日中二国間の問題についてお答えをいたしますが、両国間の関係を正常化するためには、両政府間の公式な接触が必要であることは申すまでもありません。日中交流は、民間ルートを通じて貿易や人的交流は相当活発に行なわれておりますものの、政府間の公的な接触はまだ残念ながら見るべきものがありません。そこで、私は今後、日中国交正常化について大使級会談、閣僚級会談など、先方の希望するあらゆるレベルの会談に応ずる用意があることを、この機会にあらためて表明するものであります。(拍手)
 小坂君は、もはや通信協定や気象協定など、部分的な実務協定を考える時期ではないのではないかとの御指摘でありましたが、私としては、そのこと自体の必要性もさることながら、これらの話し合いを通じて日中関係正常化という大筋の話し合いに結びつけたいと考え、特に取り上げたものであります。
 次に、国連代表権問題についてでありますが、国際社会、特にアジアのありのままの姿をすなおに認めていこうというのが、私の基本的な考え方であります。中華人民共和国政府を承認する国が世界で多数になりつつあるということが現実であるとともに、中華民国政府が、国連発足以来、安全保障理事会常任理事国の一員として今日まで国際間の平和維持に重要な役割りを果たしてきたこともまた厳然たる事実であります。さらに、両国間には、日華条約によってかたく結ばれてきたという歴史的事実も存在するのであります。国際社会の責任ある国家の一つである日本として、この現実から目をそむけることはできないと思うのであります。二つの決議案について共同提案国となるかどうかについては、自民党内にも両論があったことは私も十分承知していたのでありますが、以上のような考え方に基づいてあえて決断したのでありますから、国民各位の御理解をお願いする次第であります。
 また、機会あるごとに申し述べるとおり、政府は、中国は一つであるとの基本的認識に立っております。したがって、中国に対して二重の代表権を認めるということはあくまでも経過的な措置であり、今後当事者間の話し合いによって円満かつ妥当な解決策がもたらされることを強く希望しております。
 なお、中華人民共和国政府の安保理議席を認めることは承認行為ではないかとのお尋ねでありますが、法的には両者の間に直接の関係はなく、承認行為とはなりませんが、中華人民共和国政府の安保理議席を認めるということは、政治的には大きな意味を持っていることは言うまでもありません。なお、両国間に外交関係を設定するためには、あくまでも日中二国間の合意を導くための政府間の交渉が必要であることは申すまでもありません。
 次に、小坂君は、日中両国間で永久不戦宣言を交換し、その後国交正常化交渉をしたらどうかという御提案がありました。私は、中国側から出されている、わが国の軍国主義を懸念する声を聞くたびに、きわめて遺憾に思うとともに、国際関係においては過去の思い出というものはなかなか消えないものだということを痛感している一人であります。その意味で、小坂君の御提案のような問題は、他の諸問題とともに、日中間で関係正常化の話し合いが行なわれる過程で検討されるものと考えます。
 中国との国交正常化を進めるにあたって、台湾問題というのは入り口であるのか出口であるのか、いろいろと議論の存するところであります。いずれにいたしましても、避けて通ることのできない関門であることは間違いありません。しかし、北京政府、台湾政府ともに、中国は一つであるという原則については一致しております。今日の事態は、もともと中国内の国共の争い、すなわち中国人同士の争いの結果の産物でありますから、やはり中国人同士の話し合いによって一つになってもらうことを望むほかありません。これによりていま直ちに望むような結果が得られないかもしれませんが、今後極東の緊張が緩和の方向に向かう中で、時間をかけて解決することは可能であると思います。悠久な歴史の一こまとして、長期的な視野の中で円満な解決がなされることを期待する次第であります。(拍手)
 次に、経済問題についてのお尋ねにお答えいたします。
 まず、今回の米国のとった非常措置はまことに残念ではあるが、わが国としては米国側の事情にも十分理解を示し、今後も日米経済関係の調整、改善に一そう努力すべきであるという御指摘でありましたが、私も全く同感であります。私は、日米両国の友好と信頼こそが、わが国の一そうの発展と繁栄にとっても、また、世界の政治、経済の安定にとっても不可欠であるとの確信のもとに、今後も日米間の相互理解促進に、さらに細心の努力を払う決意であります。しかしながら、日米経済関係のコミュニケーションと相互理解を増進するためには、政府による対米経済外交の強力な展開にとどまらず、国会議員同士の接触であるとか、両国財界、文化人等広範な分野での人的交流をさらに拡大強化する必要があります。この機会に、国会議員各位をはじめ国民各層の御協力をお願いしておきたいと思います。
 次に、戦後四半世紀にわたって、成長と国際収支の両立という困難な問題を克服して発展を続けてきたわが国経済は、現在、御指摘のように、国際通貨問題あるいは日米経済関係の緊張という問題に直面しており、また、国内においても、高度成長の過程で、物価、公害等の諸問題が生じております。このような状況のもとで、わが国経済を引き続き発展させていくためには、環境保全、公害防止など国民生活の質的充実、国際協調へ重点を置いていくことが必要であります。所信表明演説でも明らかにしたとおり、当面の経済運営の緊急課題は、財政を中心として積極的な景気振興をはかることでありますが、私は、このような観点から、あわせて社会資本、社会保障を充実するなど、国民福祉と経済成長の調和のとれた新たな繁栄への条件をつくり出していく所存であります。
 なお、財政金融の引き締めが結果的に輸出ドライブをかけ、これが今日の日米経済関係を生んだのではないかとの御指摘でありますが、昭和四十四年末から四十五年秋まで景気調整策を実施したのは、行き過ぎた景気の過熱と物価上昇の加速化を防止するためであって、わが国経済成長の安定化のために必要な措置でありました。景気調整の結果、国際収支の黒字幅が一時的に拡大いたしまし、たが、これは景気の立ち直りとともに縮小する性格のものであります。不幸にも、景気が立ち直る前に国際通貨危機に際会することになりましたが、現在の国際通貨不安の根本的な原因が、米国のインフレと構造的な国際収支の悪化にあることは明らかであり、わが国の景気調整と直接関係はないと考えております。このような認識のもとに、私は、新経済政策を軸に経済立て直しに懸命な米国政府の努力を理解し、インフレ克服による正統的な国際収支改善の成功を強く希望するものであります。
 ただ、この問題は、同時に世界的な解決を要するものであり、わが国としても、負担の公平な分担を内容とする通貨調整を積極的に推進し、長期にわたる国益と国際協調との調和をはかりつつ、事態の早期解決に全力を尽くす所存であります。
 次に、為替相場の変動に伴う差益及び差損の問題でありますが、いわゆる変動為替相場制への移行後、為替レートは円高で推移しているため、輸入品の価格低下を通じて国内物価に好ましい影響の期待できることは御指摘のとおりであります。政府としては、こうした利益が流通段階で吸収されることなく消費者に還元されるよう、今後の価格の動きを十分監視していく所存であります。
 また、変動相場制移行に伴う会計処理については、九月二十一日に企業会計審議会が公表した意見により処理されることになっておりますが、同意見によれば、企業の選択により、一時的に巨額の為替損失を計上しないことができるとされているので、経理上の問題は解決されたと思います。このように、企業は、為替変動による損失について実情に応じた経理を行なうことができますので、現在のところでは、為替差損対策として特に税制上の措置を講ずることは考えておりません。
 次に、来年度予算の構想についてお尋ねでありましたが、これから年末にかけて、今後の経済情勢の推移を十分見きわめながら、流動的な経済の動きに即応した予算編成に当たりたいと考えております。そのような意味において、いま具体的な形で来年度予算の構想を申し上げるのは、やや時期尚早でありますが、基本的には、なお引き続き公債政策を活用しつつ、積極的に景気浮揚策に取り組む段階にあるものと考えます。このため、公共投資の充実につとめるとともに、社会福祉の向上のため十分留意してまいる決意であります。
 次に、困難な情勢に当面している中小企業の問題でありますが、新しい事態に対処し、これを克服していくためには、わが国中小企業者が英知を結集し、きびしい国際経済情勢に耐えるだけの十分の実力をつちかうことが基本であります。
 このため、政府といたしましても、一方において秩序ある輸出の確保と市場の多様化をはかり、他方においては業種別の近代化あるいは高度化事業等の施策を一そう推進するとともに、転換を余儀なくされた業種については、発展性のある業種への円滑な事業転換をはかるための金融、税制上の措置を講ずることとしております。今国会に提出した国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案におきましても、今回の事態に対処する中小企業者の積極的な努力に対する十分の助成を盛り込んだところであります。
 小坂君から、国際環境の変化に当面し、従来の惰性を捨てて思い切った対策を立て、真剣に立ち向かわなければならないとの御指摘がありました。私も同様に考えるものであります。所信表明の中でも申し上げましたように、心がまえを新たにして問題の解決に取り組む決意であります。
 最後に、最近の相次ぐ暴力事件について、私も、小坂君の御意見に全く同感するものであります。政府としては、今後一そう警備の体制や方法にくふう、改善を加え、積極的に暴力事件の根絶に努力する決意であります。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(船田中君) 矢野絢也君。
  〔矢野絢也君登壇〕
#12
○矢野絢也君 私は、公明党を代表いたしまして、昨日の総理の所信表明に関しまして、現在の緊急政治課題である沖繩返還問題、日中国交回復問題及び日本経済の新しい方向、特に当面する経済混乱への緊急対策などについて、佐藤総理に御質問をいたしたいと思います。(拍手)
 今日、国際情勢の変転は激動をきわめ、その中で、わが国の役割りは重大であります。なかんずく、わが国の方向を指導される総理――佐藤さんのことです。総理の責任と使命は、今日、きわめて重大であります。
 佐藤内閣の命運すでにきわまれりということは、これはもうすでに常識になっておりすす。しかし、総理、やめろとかやめないとか、そんな押し問答しておる間にも、国際情勢は急激に動き、国内中小企業や勤労者は、その日その日の生活をかけた苦しみを戦っております。おやめになるその日まで、あなたは日本の浮沈と興廃を握る総理であります。佐藤内閣七年間の終幕にあたり、今日までの誤ったいきさつに固執されるよりも、今日の混乱にどのように対処し、次の新しい展望をどのように開かれるかが、あなたの国民に対する義務であります。その意味において、総理、しっかりしてもらいたいと願うのは私一人だけではありますまい。
 今日までわが国は、第二次世界大戦後のサンフランシスコ体制、安保体制、並びにこれに基づくアジアの冷戦対立の中で、二十数年の星霜をけみしてまいりました。自民党の諸君は、安保繁栄論であるとか、日米のパートナーシップこそわが繁栄の根本であると、鳴りもの入りで主張してこられました。私たち野党は、大国のエゴイズムヘの盲従をしいられたこのような力の論理による戦後体制の延長が、アジアの平和に逆行し、緊張を激しくする危険なものであることを指摘し続けてまいりました。今日までの日米関係は、わが国が常に被保護国であるにふさわしい従順な弱国にとどまる限り、ネコかわいがりも期待できたかもしれませんが、国力の充実に伴って、必ずこのパートナーシップは対立に変わり、軍事同盟体制は必ず軍事力の肩がわり要求に転化することは必然であります。いわば強者の命令と弱者の従順に基づく何らたよりにならないものであり、そのこと自体がわが国の主権と主体性を侵害するものであることを指摘してまいりました。そのゆえにこそ、平和と相互尊重の原則に立った自主的、合理的な外交政策の展開こそ肝要であることを主張してきたのであります。
 今日、わが国の頭越しに行なわれるニクソン訪中、あるいはアメリカの新経済政策、繊維交渉、なかんずく対敵国通商法を適用するなどの脅迫、これら一連のアメリカのわが国への強圧的な姿勢について、私はここで伺いたいのですが、安保繁栄論や日米のパートナーシップを主張された諸君はこれをどう説明されるのか、とくと伺いたいのであります。(拍手)
 反面、国際政治の根底はマキャベリズムであるといわれております。アメリカがインフレ、高物価、失業、ベトナム戦争の行き詰まり、これはまあいわば身から出たさびでありますけれども、きわめてアメリカが困難な条件の中でこのような一連の行動をとることは、むしろそれが、政治の冷徹さという面で見る限り当然であるとする向きもあります。むしろそのようなことすら予想だにもしないで、砂上の楼閣に、無為無策に終始し、今日いたずらに周章ろうばいするわが国政府の責任こそ糾弾されなければなりません。(拍手)
 公明党は、イデオロギーとか、あるいは党利党略のみでかかることを申し上げているのではございません。日米関係の大切なことは十分承知しております。ただ、独立国家にふさわしい、そして国民を代表する政府にふさわしい主体性と責任を持ってもらいたいと主張しておるのです。わが党は、自民党政府の対米追随、国民不在の誤った政治の責任を今日まできびしく追及してまいりました。しかし、それとともに、与野党の立場の違いこそあれ、また、あげて政府の責任であるとはいえ、ともに政治に携わる者の一員として、あすへの展望が混乱した今日の事態を招いたことは、国民に対しまことに申しわけないことだと、心から考えております。
 願わくは、総理をはじめ政府・与党各位は、多数に安住することなく、国民の声に真摯に耳を傾けられ、そしてさらに日本国民百年の平和と繁栄のために、冷静に、大胆に正しい方策を選ばれることを、心より期待するものであります。
 さて、まず沖繩返還協定について逐次御質問をいたします。
 政府は、核抜き本土並み返還であると言われる。であるならば、それぞれ、みずから正しいと信ずる政策に従いまして、核抜き本土並みがいいのか悪いのかを議論されなければなりません。しかし、私たちは、沖繩の即時無条件全面返還こそ、正しい道であると信じております。したがいまして、この核抜き本土並みは、よいとは申せません。しかし、それよりももっと大事なことは、この政府のいう核抜き本土並み返還がほんとうなのか、うそなのかという議論が本国会において必要であることは、全く情ないことであります。(拍手)国民は、核抜き本土並みのこれがよいのか悪いのかと判断する前に、これがほんとうかしらという切実な疑惑を持っております。
 総理、核抜きやあるいは本土並みでよいのか悪いのかの議論よりも、ほんとうなのか、うそなのかの議論が必要であるということは、これは繊維交渉にも見られたことでありますが、とりもなおさず、政府のなさることが国民に全く信用されていないということであります。なぜそのようにこそくなことをなさるのか。率直に事実を国民に告げ、国の大事を国民とともに悩み、ともに解決しようとはなされないのか、全く悲しむべきことであります。
 私たちがこのように核抜き本土並みは欺瞞だと申し上げれば、おそらく、政府は、それは野党の思い過ぎである、安保条約がそのまま適用されるのだから本土並みだ、核についても事前協議でお断わりするのだから安心しなさいと言うでしょう。しかし、ジョンソン国務次官補あるいはチャップマン海兵隊司令官その他、アメリカ政界、軍界の発言は、核隠しであり、有事持ち込みであり、沖繩基地の事実上の自由使用が運用面で保証されておるという趣旨の発言ばかりであります。安保がそのまま沖繩に適用されるということは、形式面での本土並みであって、それはしょせん詭弁にすぎません。あの膨大な沖繩基地の面積、機能は、どれを見ても、どこを見ても、本土並みなどと言えるものではありません。
 政府が、まじめに返還問題を国民のコンセンサスの上で審議をしてもらいたいと期待するならば、私はまず次のことを要求したいと思います。
 まず、核は、沖繩はもちろん、日本に持ち込まないことを明らかにした日米の交換公文、わが国国会の非核決議、さらに、安保条約の事前協議について、わが国政府にも発議権、拒否権があることを明確にした日米間の交換公文、さらに沖繩基地の査察権、あるいは基地のすみやかな縮小、撤去の計画案、これがあって初めて政府は、核抜き本土並みですよと公言し得るものであります。(拍手)かかるものを用意しないで、口先だけで「核抜き本土並みだ、総理の言うことだから信用しろ」などとは、これはもうはなはだ失礼ながら笑止千万であり、国民を愚弄するものであります。(拍手)
 沖繩返還協定は、一昨年の佐藤・ニクソン共同声明がその基礎になっていることは、その前文に明らかにされているところであります。すなわち、アジアの冷戦的発想に基づき、中国敵視、封じ込め政策がその基礎となっていることは、共同声明の、韓国、台湾並びにベトナム問題に言及している部分に明確に示されております。
 しかしながら、この二年間、客観情勢が大きく変わってまいりました。アメリカ自身が、従来の中国敵視政策をはじめ、アジア極東政策の大きな転換を余儀なくされておる今日、アメリカにとりましても、沖繩基地の軍事的価値は二年前の認識にこだわる必要もなくなり、いつまでも沖繩基地を太平洋の軍事的かなめ石としてわが国が黙認する必要もなくなったと思います。このことは、極東の安全のために沖繩米軍基地並びに米軍の果たしている役割りの重要性を強調しておった佐藤・ニクソン共同声明が、いまや時の流れとともに誤りであったことが実証されたというべきであります。これに基づく返還協定もまたその基礎を失ったことになると私は思うのでございます。
 総理、あなたはいまでも沖繩基地が日本の平和と安全にとって不可欠のものであると考えておられるのかどうか。もし考えておられるとするならば、それではわが国に脅威をもたらすのはいずれの国なのか、具体的に御説明を願いたいのであります。(拍手)
 私は、まず第一に、返還協定を、せっかくこのように苦労してまとまったものだ――確かに苦労はなされたと私は思います。しかし、このようにまとまったものだと誤った執着を持つことなく、国際情勢の変化に従って、軍事的ではなく、平和のキーストーンとしての沖繩返還を目ざし、日米再交渉を行なうのが政府の義務であると思うのでありますが、佐藤総理にその用意があるのかどうか伺いたいのでございます。
 佐藤・ニクソン共同声明、あるいはこれに基づく沖繩返還協定は、日米安保のアジア核安保への変質を示すものであるといえます。すなわち、本土にはない謀略的かつ攻撃的機能と任務を持つ特殊部隊がほとんど残されておる、また、対共産圏向けのVOA放送が存続される、さらに、事前協議の形骸化による実質的な基地の自由使用が、沖繩に限らず本土にも、もたらされるという、いわゆる本土の沖繩化が必然となるのであります。これらの点がどうして安保のワク内に入るものでありましょうか。安保のワクに入る、そういう意味の本土並みではなくして、安保のワクが広げられたと理解するのが当然ではありませんか。(拍手)安保が変質していないとするならば、政府は、返還後の米軍基地の実態を、あるいはその行動範囲などを、かってなことを許さない、かってに核などを持ち込まさない、そういう意味での確認の方法はどうなっているのか、明らかにしていただきたいのであります。
 核兵器についても、国民の疑惑は高まっております。政府が核抜きというなら、それを証明する具体的な手段あるいは証拠をここに示していただきたい。核装備していることが常識化されておる沖繩の戦闘爆撃機のあの核の確認はどうなるのでしょうか。数千発といわれる核弾頭の撤去を確認し、県民を納得させることができるのでしょうか。日米間の不信が今日たいへん積み重なっております。こういう現在、いままでのように日米信頼のきずな、こういうような、わからないわが国政府の希望的意見ではなく、国民すべてがなるほどと納得する御説明を伺いたいのであります。
 米軍基地の撤去は、県民の正当な権利の回復実現のため、切り離せない大きな問題であります。しかし、政府は、単なる米軍基地に関する了解覚書によって事を済ませ、大部分の米軍基地を永久的に固定化させようとしているのであります。さらに加えて、米軍基地の返還後に自衛隊を継続的に派遣し、しかも、この基地を確保するために、暫定使用法案という強制立法を行なおうとしていることは、これはきわめて重大であります。米軍にかわって引き続き日本政府が沖繩に軍事優先の支配を行なおうとするものにほかならないと私は思うのでありますが、このような県民の主権を侵害する欺瞞的な強制措置立法は、断じて許されるべきでありません。
 沖繩のあの強力な基地機能の維持が返還の絶対的条件となっておることは、総理も、昨日、所信表明演説でお認めになったところであります。この条件のゆえに、私たちも沖繩の人々もすなおに祖国復帰が喜べない。このような軍事基地機能の維持が絶対条件である。だからこそ、すなおに喜べないのであります。わが国自衛隊の駐留もその条件のためのものでありましょう。このような自衛隊派遣を取りやめるべきだと思いますが、総理の御見解を承りたい。
 軍事優先の沖繩返還、わが国自衛隊の増強、産軍複合の進行、これはアジア諸国の恐怖心をかき立て、国際緊張を高めておることは、否定できない事実であります。政府が、わが国の平和国家としての姿勢を内外に明らかにされようとするならば、憲法の原点に立ち戻り、安保を早期に解消するとともに、日中国交をすみやかに実現し、攻撃的な第四次防衛計画を中止するなど、具体的な事実をもって示していただきたいのであります。
 さて、私は、先ほど小坂議員も触れました、あるいはまた、総理も先ほど言われましたが、沖繩返還協定が批准されなければ沖繩は返らなくなる、こういう意味の発言をなさったことをきわめて重大視するものであります。
 私たちは先日沖繩のまじめな青年と懇談する機会がありました。実にまじめな、平和を愛し――それこそ、総理の言う、自由を愛し平和に徹するといいますか、総理が言ったのじゃあまりぱっとしないのでありますけれども、沖繩の青年は真剣に平和を願って、いろいろな考えを述べておりました。そのとき、私たちのある人が、返還協定は国会対策の運営上反対する、ほんとうにこの返還協定をぶっつぶしてしまったならば沖繩が返らなくなる、それでも沖繩の人はいいのだろうか、このように質問をしたわけであります。このような質問は、私たちの場合は、そんな皮肉な、いやみな意味で聞いたのではありません。しかし、それに対して、沖繩の青年の諸君は、何も答えられなかったといいますか、ほんとうに平和な沖繩としての返還も願いたい、しかし基地は困るのだと言って、そこにおった青年の諸君は涙ぐんだのであります。
 私は佐藤総理にお願いをしたいのでありますが、あの終戦後、あの敗戦、そしてその後の二十数年間にわたる米軍の圧制のもとにあって、ほんとうに米軍の基地は困るのだ、しかしそれでも早く祖国に返りたいのだ、私は、そういう青年の方々の、むしろ慟哭ともいうべき悲痛な声に、こんなことは聞くべきではなかった、聞いてはならないのだと心底から思ったのであります。(拍手)
 私は、自民党の諸君が、返還協定に反対するのは沖繩が返らなくてもいいのだ、こういうようなことを言われるのに心から憤りを感ずるのであります。(拍手)そうではない。私は、平和の島としての沖繩の返還を自民党の諸君も真剣に考えるべきだと思います。
 さらに、こういった意味で、わが党は、この際、本国会において、沖繩の平和宣言あるいは非武装宣言を行なって、この二十数年間の苦悩に耐えてきた沖繩の人々に対して報いるべきではないか。軍事基地、軍事施設をすみやかに撤去し、また、将来においても永久に沖繩を平和な島にすべきが、本土の私たちの責任ではないかと思いますが、この平和宣言、非武装宣言についての御見解を承りたいのであります。(拍手)
 次に、中国問題について御質問をいたします。
 歴代自民党政府は、一つの中国と称しながら、その中国を代表する正統政府は台湾にある蒋介石政権であるとの、私たちから言えば虚構に満ちた政策を続けてまいりました。今日の中国をめぐる内外の諸情勢の急激な変化に、ただ周章ろうばいするばかりでなく、もはや何とも説明のつかない醜態を演じておられるのであります。中華人民共和国が中国国民を代表する唯一の合法政府として国連に復帰することは、もはや時間の問題としてだれの目にも明らかになり、とどめることのできない世界の潮流となっております。
 わが党は、御承知のとおり、去る六月に中華人民共和国を訪問し、対等、平等、相互尊重の原則を守り、国民政党としてわが国民の意のあるところを主張し、五項目にわたる日中国交回復のための原則を明らかにしてまいりましたが、(発言する者あり)さらに、先日、与党議員も含めた日中議連の訪中によって、公明党五項目と軌を一にする四つの原則があらためて明らかにされたのであります。
 いま私にだれかがやじを飛ばしましたが、そのやじは、与党の、私たちと考えを同じくする諸君にも向けるべきだと私は思う。(拍手)
 今回の日中議連の訪中成果をどのように評価しておられるのでありましょうか。御意見を承りたいのであります。
 わが党は、これまで、あらゆる機会を通じて、中国の国連代表権問題について、中華人民共和国の国連復帰を妨げる敵視的な方策をとるべきでないことを政府に要求してまいりました。しかし、政府は、中華人民共和国を実質的に国連から締め出す逆重要事項指定方式、あるいは複合二重代表制の提案国になったのでありますが、近く国連総会においてこの問題がクライマックスを迎えます。これら二つの中国を締め出す決議案が否決され、中国を国連に招請するアルバニア案が通過する見通しが濃いといわれております。
 そこで、いまならおそくはない、すみやかに誤った共同提案国からわが国は脱退すべきであると考え、それを求める決議案を社会、民社両党とともに提出をいたしましたが、これを拒否し、何ら誠意の見られない姿勢でありました。
 総理に伺いたいのでありますが、なぜそこまで中国を敵視し、不自然な日中関係を続けなくちゃならないか。先ほど総理も、敵視していないと言われましたが、これはことばの遊戯であります。総理は国益をしばしば口にされます。中国の国連復帰を妨げるかかることが、どのようにわが国の国益に合致するのか、国民は全く理解できないのであります。その理由と、国連での表決の見通しについてどのように分析をしておられるかをお聞かせ願いたい。
 もちろん、かりに日米両国の悪だくみが成功し――これは悪だくみなんです。これが可決されたとしても、中国を締め出し、世界の大勢を逆行させようとした責任は、消えるものではありません。しかも、一般に予想されるごとく、共同提案が否決されたとするならば、これはきわめて重大な政治責任が追及されねばならないのであります。もし否決されたならば、それはわが国の世界政策が世界の少数意見であり、しかもそれが世界の多数意見を妨害する形であっただけに、今後の国際社会における孤立を招き、わが国の立場を著しく傷つけるのみならず、先見性のなさ、主体性のなさについて、世界の嘲笑の的になるに違いありません。ましてや、自民党内の有力な反対や国内世論の大勢にまでさからってかかる結果を招いたことは、きわめて重大であります。その節には、みずからの政策の破綻を率直に認められ、即刻その責任を明らかにされて退陣なさるべきであると思いますが、佐藤総理の御決意を承りたいのであります。(拍手)
 佐藤総理は、二つの決議案の提案国になる、そのことをわが国が決定したときの記者会見で、あくまで中国は一つであり、これは経過的措置であると述べておられる。国連に二つの中国、あるいは一つの中国一つの台湾をつくり出すものにほかならない両決議案は、明らかに二つの中国を目ざすものであります。これはどういう理由で一つの中国ということになるのか、私もわからないのでありまして、納得のいく御説明を承りたい。
 さらに、先ほど御答弁の中で、経過的とはことばどおりであるとお答えになった。正確な日本語の解釈から申し上げますと、経過的というのは、目ざす方向が明確に設定されており、それに至る過程、これを経過的というのであります。総理は、その目ざすゴールを明らかにしないまま、経過的ということばを使っておられる。どのような中国政策がその経過の最後、ゴールに設定されておるのか。たとえば、中国を代表する唯一の正統政府は中華人民共和国であり、台湾は中国の領土の一部である、このようなゴールが想定されて、その上でそれまでの経過的措置ということなのか、あるいは、目標もきまらないで、時間かせぎの単なる経過的ということなのか、そういった点について、ことばどおりだなどという、そんな子供だましの御答弁じゃなしに、まじめにお答えをお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
 中国問題について御質問を終わるにあたりまして、総理に強く要望申し上げたい。
 すなわち、今日のわが国は、少なくとも中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の正統合法政府であり、すみやかにわが国との法的戦争状態を解消し、台湾の帰属未定論を明確に否定して、台湾は中国と不可分の領土であり、中国の一省であり、日台条約はそのゆえに廃棄されるべきであることを明確にした国会決議を成立せしめ、それを転機として政府の中国政策を転換し、わが国とアジアの平和と繁栄を期せらるべきであると思うのでありますが、総理の御見解をしかと伺いたいのであります。
 ここで、日中問題につきまして、さらに先見性と良識のある自民党議員の諸君にお願いを申し上げたいのであります。
 日中国交回復には佐藤総理と意見を異にして、きわめて前向きの意見を述べる人が自民党内にもおられるのであります。非常にけっこうなことでありまして、尊敬を申し上げておる。しかし、そういう諸君も、沖繩の返還については、これに賛成をされておる。これは、正直申し上げて、理解に苦しむものであります。すなわち、中国敵視政策も、沖繩の軍事優先返還も、すべてアジアの冷戦構造の既定図式の上に成り立っておるのであります。このような軍事優先の沖繩返還協定に賛成をしながら、日中国交回復――まあ私は、何といいますか、御尊敬の意味で申し上げておるわけでありますから、悪気を持たないでください。願わくは、日中国交回復を前向きに考えるならば、中国問題と沖繩とは一体でありますゆえに、この軍事優先の沖繩返還につきましても、何とぞ当然の批判をされるべきではないかと私は思います。(拍手)まあすべからく熟思再考をお願いする次第でございます。(拍手)
 わが国経済は、米国の新経済政策によりまして、不安と混乱におちいっております。米国が深刻な経済危機を招きましたのは、ベトナム戦争などの海外軍事行動による浪費、放漫経済政策などによるものであります。それらにつきまして米国は深刻なる反省を全く抜きにして、諸外国に理不尽な要求をするに至っては、これは言語道断というべきであります。
 しかしながら、これとあわせて追及されなければならないのは、今日までの佐藤内閣の経済政策であり、外交政策であります。総理は、せんだってのアメリカのNBCテレビで、日本と米国は同じ船に乗り合わせておると、米国の新経済政策について積極的な協力姿勢を示されました。これは、昨日の所信表明においても明らかに見られる基本姿勢であります。しかし、相互の友好と申しましても、これは相手の態度によりけりであります。ほんとうの友好とは、譲るべきは譲るが、争うべき正義の論点は一歩も引かず相手の反省を求めるのが、国民の期待する日米友好ではないかと思います。
 したがって、通貨問題の解決にあたっても、いやしくも国民に不測の損害を与えないよう、多国間協議によって通貨調整を行ない、一方的ではなく、米国にもドルの切り下げ、課徴金の完全撤回を前提としての交渉をすべきであります。しかし、アメリカは、各国が、平価と貿易障害、また、特に防衛負担について十分な代償を提供しない限り、ドルの切り下げや課徴金撤回についても容易に歩み寄ろうとしておらないのであります。
 総理は、昨日の所信表明において、いたくアメリカの立場に同情と理解を示し、あたかも弁護なさっておる印象すらありました。
 総理、このようなアメリカの姿勢は、自民党の諸君がいままで賛嘆してこられた安保体制の相手方としてふさわしい態度と思っておられるのでしょうか。あるいは、これは困ったことであり、許しがたいことであると思っておられるのか、その御心中をとくと伺いたいのであります。
 特に、これからの円切り上げなど一連の通貨政策について、その具体的なプロセスと目標をこの際明らかにされなければ、国民はこの問題に冷静に対処できません。同時に、総理は忍耐と時間と負担が必要であると述べておられますが、いつまで忍耐すればよいのか、そのめどとをあわせまして明快な御答弁をお願いするものであります。(拍手)
 さらに、繊維の政府間協定は、国会決議に反し、業界と国民の強い反対にもかかわらず、政府の独断で結ばれたのであります。しかも、総理は、聞くところによりますと、今回のケネディ案を六月末に受け取っておられながら、それを隠しておられた。どういうことなんでしょうか。被害の立証されない限り規制はあり得ないとの国際経済の常識も振り捨て、みずから涙をのんで自主規制に踏み切った業界の誠意と忍耐すらけ飛ばし、わが国繊維業界の壊滅を意味する今回の政府間交渉は、これはもうむちゃといいますか無慈悲といいますか、言語を絶する暴挙であります。やはり二年前の佐藤・ニクソン会談以来の総理の密約といわれておりますが、こういうかってな手形のためではないかといわれてもやむを得ないと思います。この重大な疑問に対し、業界はもとより、国民に十分納得できる御答弁をお願いいたします。(拍手)
 あわせて、業界九百万人の従業員とその家族、生活を守れる自信をどのような裏づけのもとに持っておられるか、具体的にお教えを願いたい。
 さて、九月の日銀の月例報告は、ドル・ショックの影響が実態面にあらわれたことを指摘し、景気回復の期待が遠のき、不況が長期化することを示しております。さらに、現在の通貨危機は、単に輸出関連産業のみならず、他産業に大きい影響を及ぼし、わが国の総事業従業員数の七七%を占める中小企業に恐慌状態を招きつつあります。
 わが党は、社会、民社両党とともに、九月二十二日、政府に対して、中小企業緊急対策として、輸出取引の円滑化のための為替差損による損失補てんのための低利、長期の融資資金制度などをはじめ、六項目の緊急措置を直ちに実施することを申し入れたのであります。これらの措置を即刻実現されなければなりませんが、これとあわせまして、中小企業緊急対策について、もっと具体的な、もっと誠意のある総理の御構想をお聞かせ願いたいのであります。
 次に、社会福祉問題についてお尋ねをいたしますが、まず老人福祉につきましては、そのかなめである所得保障の年金制度は、生活実態から遊離し、保障の名に値しないものになっております。直ちに老人一人につき二万円年金を支給することと、物価に対応するスライド制の導入をなすべきであります。
 また、現在全国約四十万人といわれる寝たきり老人をはじめ、六十歳以上のお年寄り、病気のお年寄りに対して、医療の無償制度の具化体が急務であります。
 さらに、児童福祉の向上のための投資を惜しんではりっぱな国づくりはしょせん不可能でありまして、そのためにも、全部の児童に毎月三千円の児童手当の早期実施はきわめて大切であります。これらの施策の充実について御意見を承りたいのであります。
 次に、公害についてでありますが、昨年末の公害関連法案、これは不十分きわまりないものでありましたけれども、政府はこれによって万全の対策をとったかのごとき錯覚を持っておられるようであります。しかし、その後も公害は一日も歩みをとめることなく……
#13
○議長(船田中君) 矢野君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
#14
○矢野絢也君(続) 国土と人命をおかし続けております。紛争処理の迅速化を含めた被害者救済措置の強化、公害防除のための財政措置を一段と充実すべきである。さらに、われわれが強く主張しておる企業の公害無過失賠償責任制度の法制化にあわせ、環境保全基本法を次の通常国会において制定することを強くお願いするものであります。
 さらに、社会資本の充実でありますが、今日まで国民の勤勉、忍耐、国力充実のための努力を全く無視し、生産や貿易の利潤を国民に還元することなく、国際競争力強化というにしきの御旗のもとに、設備投資主導型の高度経済成長政策を遂行してまいりました。このことが今日の事態を招いた原因であります。したがって、今回、政府が増強しようとしている社会資本投資が、単に景気浮揚策の美名のもとで、従来のような産業優先の公共投資ではなく、国民の生活と環境を守るための公共投資であらねばならないと私は思います。そのため、政府の具体的な目標と内容を明らかにしていただきたいのであります。
 あるいは、住宅問題、これも住宅難世帯は一千万世帯以上であるといわれておる。下水道につきましても、第三次下水道整備五カ年計画を終了したとしても、たったの三八%にとどまります。
 住宅難、通勤難、激増する交通事故、公害あるいは地震、台風などに対する防災措置、どれ一つを見ましても、きわめて貧弱で、国民を忘れた生命軽視の内閣といわれても当然ではありませんか。
 いろいろと申し上げましたが、これらをすみやかに実行することを要求するとともに、御見解を承りたい。
 さらに、国債発行につきましても、本来、国民生活と環境を充実することに限った公共投資の充当財源に国債というものは限定すべきであります。その発行、引き受け、財政の体質改善、その償還などについて、厳格なるルールを定めるべきであります。景気が好転した場合には、国債発行はゼロに戻すべきであります。このように、生活と環境充実のためのプロジェクトが設定され、初めて国債はやむを得ないものとして正当化されるのでありまして、財源が足らないから赤字公債の発行をするなどという姿勢は、国家百年の大方針を誤るものであり、政府の節度のない財政姿勢は、寒心にたえないものであります。
 あるいは、最近、政府は、四十七年度分を含め約五千億円の減税規模を考えておられるようでありますが、これで善政をやったなどとは、これはお義理にも申せるものではありません。生活水準の向上を基調とし、課税最低限をさらに上げ、現在の重税、不公平の矛盾を取り除いてこそ、減税の目的、効果を得られると考えます。本来、大衆がみずからの生活を営むための必要収入には課税すべきではないのであります。今日のように庶民大衆の生活費に食い込む税は、苛斂誅求の典型だといわれてもしかたがありません。政府の所得減税に対する基本的なお考えを聞きたい。
 同時に、不況から国民生活を守り、あわせて内需振興をはかるためには、物価の安定が不可欠な要素となっておりますが、今日すでに不況下の物価高的な傾向が強まっております。今日までのマンネリ化した行政の延長あるいは補強ではなく、政策の転換を断行することこそ肝要であります。きのうの総理のお話では、物価が上がるのはまるで気象条件だけが原因であるかのごとき口ぶりでございまして、政治に携わる者として、これぐらい不感症と申しますか、無責任と申しますか、度が過ぎるのも私はちょっとほどがあると思います。
 公共料金、流通機構、管理価格、輸入自由化、構造政策、これらの効果のある対策、あるいは消費者米価の物価統制令適用廃止をやめることとあわせて、明快な御答弁を願いたいのであります。
 最後に、激動を続ける内外の諸情勢を背景に、わが国社会にばっこしつつある暴力的な風潮について伺います。
 わが党委員長に対するいわれなき卑劣な刺傷事件につきましては、その節お寄せいただきました国民各位や政府あるいは与党、野党の友人の皆さん方の心からのお見舞いに厚く御礼を申し上げます。重傷ではありましたが、おかげさまで順調に快方に向かっております。
 私たちは、これら目的のために手段を選ばない一連の暴力には心からの憤りを覚え、断じて容認できません。しかしながら、現代社会の暴力的風潮の背景とその根底には、真の民主主義の成長と人間性を疎外した政治に対する反省がなくてはならないと考えます。こうした意味から、暴力追放に対する政府の明快な見解をお伺いしたいのであります。
 わが国が直面する内外の重要事態に処して、外には積極的に平和と秩序を希求し、内には国民生活優先の経済政策と真の民主主義を確立するため、重点的な問題だけに限りまして政府の所信をお尋ねいたしました。総理より、国益を守り国民を思う熱情あふれる、そして責任ある御答弁を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
 政府は、日米関係のあり方について反省の必要があるとの御意見でありましたが、さらに御意見を交えていろいろ広範多岐にわたってのお尋ねがありました。なるべく順序を追って忠実にお答えするつもりでありますが、あるいは答えに不十分なところがあるかもしれませんが、もしありましたらお許しを得たいと思います。あらかじめ御了解を願っておきます。
 頭越しの米中接近や課徴金の問題さらには繊維交渉などについて国内に不満のあることは、私も十分承知しております。しかしながら、米国がそこまでの徹底した措置をとらざるを得ない事情についても、この際、あらためて考えてみる必要があるように思います。
 戦後、わが国が復興から建設、さらには繁栄への道をたどった過程において、米国との協力関係がその軸をなしたことは、いまさら申し上げるまでもありません。さらに、今日、日米間のパートナーシップがアジア太平洋地域の平和と安定のためにきわめて重要な役割りを果たしていることもまた厳然たる事実であります。それだけに、私は、今後の日米関係をさらに強化し、信頼と友好のきずなを固めていかなければならないと信ずるものであります。
 最近の米国の一連の新しい政策は、そのまま現代米国の苦悩を浮き彫りにしたものであるといえると思うのであります。ある意味においては、われわれは自由主義体制という大きな理念の中で共同生活をしているのでありますから、多国間の協調と相互協力によって、新たな展望を見出すべく一そう努力しなければならない、かように考えている次第であります。
 次に、沖繩返還問題について、核を持ち込ませないための日米間の交換公文など、二、三の点について具体的な御提案がありました。これらは、いずれもこれまでも国会論議の対象になった事柄でありますから、政府の考え方はすでに御理解いただいていると思うのであります。
 すなわち、核の問題は、一昨年の日米共同声明第八項及び沖繩返還協定第七条によって明確にされておりますから、特に新たに交換公文をかわすことは考えておりません。また、政府は、非核三原則を堅持しておりますので、新たに国会等で決議する考えもありません。安保の事前協議においては、イエスもあり、ノーもあるのでありまして、事柄を見きわめ、国益に沿って対処してまいります。この点についても新たに交換公文は考えておりません。
 基地の査察の問題は、国際法上の問題があり、強制はできませんが、日米間の信頼と友好に基づいて、政府として何らかの形で核が撤去されていることの確認を得たいと考えております。
 また、基地の縮小については、政府もその方針で臨むつもりであります。今後、現地の要望をも十分に取り入れながら、真剣に取り組んでまいります。
 矢野君は、沖繩返還によって、日米安保条約が変質するとの見解を示されましたが、決してそのようなことはありません。沖繩の核抜き本土並み返還は、アジアの緊張緩和に大いに貢献するものであることを御認識いただきたいと思います。
 次に、米中の和解ムードがかもし出された今日、日米共同声明に基づく沖繩返還を取りやめ、再交渉する気はないかとのお尋ねでありますが、小坂君並びに赤松君にもお答えしたとおり、米中関係の推移によって、沖繩返還協定を再検討ないし再交渉する必要があるとは、私は考えておりません。私としては、むしろ戦争で失った領土を平和裏に話し合いで解決するという、世界史にもまれに見る交渉のあり方から、今日の米中接近の転機が生まれたと考えるものであります。
 われわれが沖繩返還問題に真正面から取り組んだ最初と今日では、国際情勢は変化した面もあります。したがって、今日の時点で私どもに課せられた使命は、平和でそして豊かな沖繩県を建設することであると考えます。私は、そのためにも、一日も早く沖繩の祖国復帰を実現しなければならないと確信している次第であります。重ねて御協力をお願いいたします。
 沖繩返還によってアジアの緊張が緩和されるのであろうことは、すでに述べたとおりでありますが、引き続き、わが国として主体的な努力を行なうべきであることは、言うまでもありません。
 政府は、わが国を含む極東の平和及び安全維持のため、日米安保条約の取りきめに基づき、沖繩において引き続き米軍に施設、区域の提供を行なうものであります。その中には、復帰までに地主等との合意を得ることができないおそれのある案件も含まれております。また、住民の日常の生活に不可欠な電気、水道等の施設については、事柄の性質上、復帰と同時に運用を開始しなければならないものもあります。政府としては、法律による使用権の設定後であっても、地主等と話し合いを続け、御理解を得たいと念願しております。
 また、さきの質問にもお答えしたとおり、沖繩に対する自衛隊の配備は、局地防衛と民生上の協力を任務としているものであって、米軍の肩がわりではないことを御理解いただきたいと思います。
 さらに、四次防の問題にも触れられましたが、政府としては専守防衛の立場から、慎重に検討を重ねているところであります。
 さらに、沖繩の平和宣言あるいは非武装宣言についての御提案がありましたが、政府は、ただいまそのようなことは考えておりません。
 次に、中国問題についてお答えをいたします。
 中国問題は、わが国にとってきわめて重要な外交問題であり、政府としても、その解決のため今後とも最善の努力を払う所存でありますが、わが国は、中国大陸との間にも、また台湾との間にも、他の諸国とは比較にならないほど深い歴史的関係があるので、一方との関係だけを重視して、他方との関係を無視することは適当ではないと考えております。
 政府としては、今後わが国がいかなる中国政策をとるかについては、わが国が置かれた立場を勘案し、また、国内の各方面における建設的意見を十分尊重しながら、長期的視野から問題解決に積極的に取り組んでいく考えであります。
 国連における各種決議案についての表決の結果をいまから予測することは困難でありますが、勝敗は別として、ものごとに筋を通していくことが結局は国益を守るゆえんであると、かように考えております。(拍手)
 また、いわゆる変形重要問題決議案が否決されたときの政府の政治責任についての御質問でありますが、本来、国連における中国代表権問題は、国連加盟国の票数の多寡によりきめられる問題であって、国連加盟国の多数による決定と加盟国の一員としてのわが政府の政治的責任とを直接結びつけて考えるのは、妥当でないと考えます。(拍手)
 政府は、繰り返し申しているとおり、中国は一つであるとの基本的認識に立っており、二つの決議案の共同提案国となることに決断したのは、中国で二つの政権が相対立しているという問題が、今後当事者間の話し合いによって、円満かつ妥当な方法で解決されるまでの間、とりあえずの経過的措置として、国際関係の現状に目をそむけることなく、これを国連に反映させることが適当と考えたからであります。したがって、その経過措置は、いつの時点までという性質のものではないことを御理解いただきたいと思います。
 次に、日中間の法的な問題に対する見解でありますが、政府としては、中国とわが国の戦争状態は、一九五二年の日華平和条約によって終結したという見解を一貫してとっております。しかし、その一方において、北京政府が日華平和条約を認めず、日中関係は法的には戦争状態にあると主張していることも承知しております。この問題については、将来、日中政府間の会談が持たれることになれば、双方がそれぞれの主張を述べ合い、話し合いが行なわれることになる性質の問題であると考えるものであります。また、わが国は、サンフランシスコ条約において、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、また、日華平和条約においてこれを確認しております。したがって、わが国は、台湾がどこに帰属すべきかの問題について発言する立場にないことは、たびたびいままで説明したとおりであります。
 しかし、本日、赤松君にもお答えいたしましたとおり、私どもは、ただいまのような状態ではありますが、中華民国政府も、中華人民共和国政府も、台湾は中国の領土であるとしているが、カイロ宣言、ポツダム宣言の経緯よりして、両政府がこのような立場をとることは日本政府としても理解し得るものと、かように考えております。在来の説明にただいまの点をつけ加え、そうして正確なる答えといたします。
 次に、経済問題の質問につき、順を追ってお答えいたします。
 まず、米国の新経済政策についてであります。
 米国は、国内の失業とインフレに加え、国際収支の悪化という問題に対処するため新経済政策を打ち出しましたが、これにより、米国の景気は来年には回復の基調を強めるものと思われます。しかし、輸入課徴金、ドルの金交換停止等が世界貿易、ひいては世界経済に与える影響には深刻なものがあります。
 わが国経済についても、景気が本年夏に至って回復のきざしを見せていたやさきに、今回のアメリカの新政策とその後の国際経済情勢の動揺があり、再び停滞色を深めることが憂慮される事態となりました。特に輸出関連中小企業を中心に、その影響は深刻なものがあります。さらに、今回の米国新政策と、これによる対外貿易・資本取引の不安定化が保護主義の台頭につながるならば、海外依存度の高いわが国経済の存立にもかかわる大問題であると思います。このため、政府は、今後でき得る限りすみやかに、多国間調整等を通じて国際経済環境の安定化につとめるとともに、積極的な財政金融政策により景気のすみやかな回復をはかり、あわせて社会資本、社会保障を充実するなど、国民福祉と経済成長の調和のとれた新たな繁栄への条件をつくり出していく所存であります。
 次に、国際通貨問題についてのお尋ねにお答えをいたします。
 現在のような国際金融情勢の異常状態が長く続くと、貿易その他の国際取引の円滑な遂行が妨げられるので、できるだけ早い機会に正常な状態に復することが望まれます。そのためには、わが国を含めた主要先進国が、大局的見地に立って米国の国際収支改善に協力し、国際経済不安の原因を取り除くことが必要であります。このため、主要先進国が平価の再調整を含めた共同行動をとることが、世界経済全体にとって必要なことであり、こうした考え方は、いまや主要先進国に共通なものとなっております。
 このような背景に立って、現在十カ国蔵相会議やOECDの第三作業部会等の場を通じて検討が急がれており、早ければ本年中に解決の目途がつくことが期待されております。いずれにしても、わが国としては、国際協調をはかりながら、主張すべきは主張し、長期的に見て最もわが国の国益に寄与する方向で問題を解決するよう努力する所存であります。
 次に、繊維の問題についてであります。
 政府が国会決議を十分尊重する意向であることは、これまでの交渉態度で御了解いただきたいと思います。今回の措置は、米国のよりきびしい一方的輸入規制という新しい事態に対処して、これを防止するとともに、悪化している日米経済関係を改善するために、まことにやむを得ないものでありました。
 なお、困難な事態に直面するおそれのある繊維産業に対しては、所信表明にも明らかにしたように、財政、金融、税制等各般にわたる援助措置を講ずることとしており、現在その準備を進めているところであります。
 次に、中小企業対策についてでありますが、矢野君御指摘のとおり、米国の輸入課徴金制度の実施等により、輸出関連の中小企業は大きな影響をこうむることが懸念されます。そのため、政府としては、九月二十三日の閣議において、中小企業に対する特別緊急融資、信用補完措置、為替取引の安定化措置、税制上の特別措置等、御提案の趣旨にも沿った内容の当面の緊急中小企業対策を決定し、これを行政的に実施できるものから順次実施に移しているところであります。さらに、法律の裏づけを要するものの実施を急ぐため、関係法案を今国会に提出いたしましたので、その早急な成立につき御協力をお願いいたします。
 次に、老人福祉対策の重要性について、御指摘にお答えをいたします。
 老齢福祉年金については、いま直ちにお説のとおりにするとは、ここでは、はっきり申し上げるわけにはまいりませんが、年金額の引き上げだとかあるいは支給制限問題の解決を重点に、その改善をはかってまいる考えであります。また、老人に対する医療問題についても、その改善につき検討を進めているところであります。
 さらに、児童手当制度につきましては、明年一月から実施し、その対象範囲を段階的に拡大して、昭和四十九年度からは完全実施する予定であり、当面はこれを円滑に実現するよう努力する所存であります。御指摘の、全児童に対する給付は、現在のととろ、まだ考えておりません。
 次に、矢野君より、国民生活関連の社会資本の整備に重点を置くようにとの御指摘がありましたが、私も、この点につきましては同様に考えるものであります。わが国経済の成長の過程において、生活関連社会資本の不足、環境問題などが深刻になってきているのは事実でありますし、また、所得水準の上昇により国民の欲求も高度化、多様化し、単なる経済的な欲求にとどまらず、余暇の増大、生活の安定性、快適性などが重視されるようになってきております。このような情勢にかんがみ、政府としては、経済成長の成果を活用して、環境保全、公害防止など国民生活の質的充実と生活関連の社会資本の充実に経済運営の重点を置いていく考えであります。
 次に、国債発行につき節度を守るべきだとの御指摘がありましたが、正しい御指摘だと思います。
 政府は、景気のすみやかな回復をはかるとともに、あわせて社会資本の整備を推進するため、国債政策を積極的に活用する方針でありますが、この国債が公共事業費等の範囲内の建設国債であることはもちろん、その消化にあたっては、従来と同様、市中消化の原則を維持するとともに、償還についても遺漏なきを期しているところであります。
 次に、今回の所得税減税は、当面の経済情勢にかんがみ、景気振興策の一環として、従来あまり例のない年内減税の形で緊急に実施しようとするものであります。その規模は、年度当初における減税額と同程度の千六百五十億円にのぼり、昭和四十七年度ともあわせて考えると、四千億をこえる大幅な減税であります。
 なお、減税の具体的内容につきましては、所得税の負担感が特に強い面に留意しつつ、できるだけ幅広く減税の効果が及ぶように配意することとして、課税最低限の引き上げとともに累進税率の緩和をもあわせて行なうこととしております。
 次に、物価問題の質問についてお答えをいたします。
 最近の消費者物価の上昇には、異常低温、台風被害等による生鮮食料品価格の急騰が大きなウエートを占めており、これが……(「それだけではない」と呼ぶ者あり)これだけではないという声もあり、また、ただいま矢野君からもさような御指摘がありましたが、これが直ちに不況下の物価高につながるものとは思われませんが、国民生活の安定のためには物価の安定は急務であり、政府としては、低生産性部門の構造改善、流通機構の改革等をさらに一段と推進するとともに、輸入政策の一そうの活用、消費者の利益に重点を置いた各種制度の運用等の改善など、各般の施策を強力に進めていく所存であります。特に、昨今の内外経済情勢及び物価動向にかんがみ、円の変動相場制移行による輸入品価格低落の利益を、物価安定の形で広く国民一般に還元するよう適切な対策を講ずるとともに、生鮮食料品の安定供給の確保のための諸措置を一段と充実してまいりたいと考えております。
 最後に、暴力追放について御質問にお答えをいたします。
 竹入委員長もたいへんお元気になられたそうでございまして、私は、心からお喜びを申し上げます。
 この問題は、私は、所信表明でも明らかにしたとおりに、暴力は、それが集団によるものであろうと個人によるものであろうと、民主主義社会の基盤をゆるがすものとして、絶対に許すことのできないものであります。政府は、暴力行為に対し断固たる態度で臨む決意でありますが、国民各位におかれても、暴力が芽ばえるような風潮は排するとともに、これをきびしく批判し、健全な社会をつくるために御協力いただくことを切にお願いする次第であります。
 以上、お答えいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#16
○藤波孝生君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十一日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#17
○議長(船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五十八分散会
     ――――◇―――――
出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 高見 三郎君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君
        郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        建 設 大 臣 西村 英一君
        自 治 大 臣 渡海元三郎君
        国 務 大 臣 大石 武一君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
        国 務 大 臣 竹下  登君
        国 務 大 臣 中村 寅太君
        国 務 大 臣 西村 直己君
        国 務 大 臣 平泉  渉君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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