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1971/10/21 第67回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第5号
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1971/10/21 第67回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第5号

#1
第067回国会 本会議 第5号
昭和四十六年十月二十一日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和四十六年十月二十一日
   午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国土総合開発審議会委員の選挙
 原子力委員会委員任命につき事後承認を求める
  の件
 宇宙開発委員会委員任命につき事後承認を求め
  るの件
 公正取引委員会委員任命につき事後承認を求め
  るの件
 公安審査委員会委員任命につき事後承認を求め
  るの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき事後承
  認を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき事後承認を求めるの
  件
 日本電信電話公社経営委員会委員任命につき事
  後承認を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき事後承認を求め
  るの件
 検査官任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
   午後二時四分開議
#2
○副議長(荒舩清十郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国土総合開発審議会委員の選挙
#3
○副議長(荒舩清十郎君) 国土総合開発審議会委員の選挙を行ないます。
#4
○藤波孝生君 国土総合開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#5
○副議長(荒舩清十郎君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、国土総合開発審議会委員に村上勇君を指名いたします。
  〔拍手〕
     ――――◇―――――
 原子力委員会委員任命につき事後承認を求めの件
 宇宙開発委員会委員任命につき事後承認を求めるの件
 公正取引委員会委員任命につき事後承認を求めるの件
 公安審査委員会委員任命につき事後承認を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき事後承認を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき事後承認を求めるの件
 日本電信電話公社経営委員会委員任命につき事後承認を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき事後承認を求めるの件
 検査官任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
#7
○副議長(荒舩清十郎君) おはかりいたします。
 内閣から、原子力委員会委員に北川一榮君を、宇宙開発委員会委員に網島毅君及び八藤東禧君を、公正取引委員会委員に呉文二君を、公安審査委員会委員に岡村二一君を、中央社会保険医療協議会委員に篠原三代平君及び高橋正雄君を、運輸審議会委員に仲原善一君を、日本電信電話公社経営委員会委員に土川元夫君及び細川隆元君を、労働保険審査会委員に大竹政男君及び猿渡信一君を任命したので、それぞれその事後の承認を得たいとの申し出があります。
 まず、原子力委員会委員、宇宙開発委員会委員、公正取引委員会委員、公安審査委員会委員、運輸審議会委員及び日本電信電話公社経営委員会委員の任命について申し出のとおり事後の承認を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#8
○副議長(荒舩清十郎君) 起立多数。よって、いずれも承認を与えるに決しました。
 次に、中央社会保険医療協議会委員及び労働保険審査会委員の任命について申し出のとおり事後の承認を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○副議長(荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも承認を与えるに決しました。
 また、内閣から、検査官に佐藤三郎君を、運輸審議会委員に荒舩清一君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、検査官の任命について申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○副議長(荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
 次に、運輸審議会委員の任命について申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#11
○副議長(荒舩清十郎君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
#12
○副議長(荒舩清十郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。今澄勇君。
  〔今澄勇君登壇〕
#13
○今澄勇君 私は、民社党を代表いたしまして、日中関係を中心に、沖繩、日米問題など、わが国が当面する現下の重要課題について、総理に対し、政府の見解をたださんとするものであります。(拍手)
 去る七月十五日のニクソン米大統領の訪中決定は、戦後二十数年間維持されてまいりました世界政治の冷戦構造を大きく転換するものであります。特に米ソ、次いで米中間の冷戦と、日米友好の上に組み立てられていたアジア・極東の力のバランスは、いまやその根底から修正を迫られておることは否定できません。その背景は何か。もとより、それはベトナム戦争の大幅縮小化、台湾、朝鮮及び日本からの米軍の大幅撤退、そして沖繩返還などに具体的に示されているアメリカのアジア・極東政策の一大転換であり、また、最近自信に満ちた一連の周恩来外交に見られる中国の柔軟路線であります。さらに、アジア集団安保へ向かって具体的布石を積み重ねるソ連の外交攻勢が、三本の柱をなしておるのであります。こうした中で、米ソ冷戦時代の焦点であった朝鮮半島、さらにベルリンにおいて緊張緩和と平和的話し合いが進行しつつあることは、軌を一にしたものと考えなければならないのであります。
 ニクソン大統領が昨年の外交教書でいみじくも交渉の時代と述べたごとく、いまや、世界は、軍事攻勢の時代から、米中ソ三極化における外交攻勢の時代へはっきり移ったというべきであります。この歴史的大転換の中で、佐藤内閣は、いわば惰性化した対米依存に安住しておる間に、頭越しニクソン訪中、ドル・ショック、繊維問題等に見られるように、ついにアメリカから痛烈な背負い投げを食わされたこと、御承知のとおりであります。(拍手)
 問題は、こうした米中ソ三極角逐の時代に突入した今日、わが国が、冷戦時代の感覚と、甘い対米依存のムードからいかにすみやかに脱却し、新時代に対応し得る強力な自主外交、そして安全保障の政策路線を確立し得るかどうかが、今日わが国の最大課題であります。(拍手)
 昨年来日しましたアメリカの未来学者ハーマン・カーン氏は、われわれに対し、日本はネオ・ペリーを迎えつつあると述べております。つまり、日本が開国の契機となったペリー来日に匹敵する大転換期をいま迎えつつあるということを彼は言っておるのであります。総理は、この基本認識についていかなる見解を持っているか、いかなるアジア政策を展開しようとしているか、アメリカの新しい世界政策に対し、日本独自の立場をいかに確立せんとしておるか、まず、端的に質問いたしたいのであります。(拍手)どうも総理は、昨日の答弁を聞いても、この基本認識が欠けておるのではないかと私は考えられてならないからでございます。
 さて、質問の第一は、新しい時代の中心となりました中国政策について伺いたい。
 わが国の中国政策は、今日まで米国との共同歩調ないしは追随の中でその大ワクがきめられてきたことは、今回の中国国連代表権問題を見るまでもなく、明らかでございます。特に、昭和三十九年一月には、ラスク・大平両外相会談において、日米両国政府は今後中国問題で密接に協議する方針を確認し、さらに具体的にこれを詰めて、ライシャワー大使と黄田外務審議官の間において、今後日米両国政府のどちらかが中国政策に変更を加えようとする場合は、一方的措置はとらない、事前にこれを協議するとの合意に達しておること、御承知のとおりであります。次いで四十三年四月にも、ジョンソン駐日大使は、佐藤総理との間にこの問題を再確認いたしております。しかるに、七月十五日のニクソン大統領訪中決定が佐藤内閣に知らされたのは、何と、その三分前であります。しかも、これを演出した周恩来・キッシンジャー会談の内容は、その後においてもなお総理には知らされておらないのであります。つまり、約束は全く一片のほごにされたわけでございます。何がパートナーシップでありますか。このことは、明らかに佐藤内閣の米国追随外交、中国政策の破綻を示す一大証拠であると考えなければなりません。(拍手)
 しかも、今回の国連総会では、このアメリカの背信行為にもこりず、総理御自身の裁断において、またまた逆重要事項の共同提案国と相なっておるのであります。
 また、総理、あなたは、去る七日のNBCテレビの記者会見を通じて、「米国に裏切られたとは思わない、米国を信じている」と言い張っておられます。しかし、わが国の国益が、個人の趣味や心情と混同されては困るのであります。
 そこで伺いたい。総理は、ニクソン訪中について、約束違反としては日本側が一片の抗議をもなし得なかったと伝えられているが、アメリカとの間に何らかの話し合いをされたことがありますか。それとも、今日までただ事態をながめてまいられたのか、総理の心境とともに明確な御答弁を承りたいのであります。(拍手)
 国連での中国代表権問題の表決は今月末にも行なわれる予定で、勢力伯仲と伝えられておりますが、逆重要事項指定決議案が否決され、総理の見込みがはずれたときは、いかなる政治責任をとる覚悟でありますか。
 きのう、総理は、直接の責任はないとの答弁でありましたが、今日まで、外務省においても、一つの中国を論ずる者はうとんぜられ、国府擁護の人々がその側近に多くあるために、情報においても大きく欠くるものがあることは、歴代保守党内閣、特に佐藤内閣の責任であります。今回、国連のひのき舞台において見通しを誤まり、国益を損じ、これに対して政治責任が日本の総理にないということとならば、一体、日本の総理は何の政治責任を負おうとずるものでありますか。(拍手)私は、この際ぜひ明確なる答弁を要求いたす次第であります。
 さて、中国問題は、原則確認の段階から、決断と行動の段階に入ってまいりました。イギリス、イタリア、カナダなどの欧米先進諸国はすでにドアの中に入り、米国もついに踏み切ったのであります。しかし、日本はまだその入り口にも寄りつけず、ちゅうちょしていること、御承知のとおりであります。総理は、中国が最も忌みきらう逆重要事項について国連での共同提案国となり、しかも、この共同提案に対して、経過的措置であると言っておられる。他方、福田外務大臣は、記者会見を通じて、日中正常化のためには、政府・与党の首脳の直接接触、さらにはキッシンジャー的人物が必要であり、すでに具体的にこれを行なっていると述べておられるのであります。この福田外相が言うキッシンジャー的人物とは一体だれのことであるか、具体的にそうした接触がどうして進められつつあるかをこの際承りたい。また、総理の言う経過的措置とは、中国と平和条約を結ぶまでの経過的措置を意味するのかどうか。きのうのお答えでは不明確でありますから、明確なお答えを願いたいのであります。終局の目的は中国との平和条約であるということを、この席上において確言をしていただきたいと思うのであります。
 さらに伺いたいのは、中国を含めた不可侵条約の締結問題についてであります。
 去る十二日付のワシントンポスト紙によると、佐藤総理は、同紙のインタビューに答えて、「米国、ソ連、中国、日本の間で、罰則のついた不可侵条約を結ぶ必要がある、それは中国の要望にも十分対応すると信じておる」と述べられておるのであります。御自身御承知のとおりであります。そこで、この際、総理の真意を具体的に伺いたい。
 まず第一に、この構想は、米、ソ、中、日四カ国の条約なのか、それとも個別条約の積み重ねを考えておられるのであるかどうか。
 第二に、この構想は、すでに米、ソ、中それぞれに伝え、具体的に進行させておられるのかどうか。
 第三に、この構想と日米安保条約、さらには第四次防との関係はどうなるのか伺いたい。特にかかる構想をなすからには、わが国の防衛の基本となってきた日米安保条約について再検討を加え、基礎条件の変化に対応して、四次防を根本的に組みかえることが当然の結論として出てくるのでありますが、政府としては、安保条約の再検討に踏み切る用意があるのかどうか、この構想とあわせて総理からお伺いをいたしたいのであります。
 これを要するに、中国問題はアジアの問題であります。したがって、アジア全体の大きな流れの中でその本質をとらえていかなければなりません。政府は中国問題を一つの独立したテーマとしてとらえ、それだけを他の関連する問題と切り離して解決しようとしておるところに誤りがあり、そんな身がってだからこそ中国が相手にしてくれないことは、総理御自身よく御存じのとおりであります。
 日中問題というのは、中華人民共和国との間に国交を回復する、つまり、日本がかつて大陸にしかけた戦争のあと始末をつけるため、中国との間に平和条約を結ぶということであり、アメリカとは全く立場が違うのであります。言ってみれば、戦争の相手であった八億の中国国民を除外して、アメリカの圧力に屈し、不幸にも台湾政府と条約を結んだいびつな姿を、本来の姿である真の相手との平和条約の線に引き戻そうとするものであります。すなわち、究極において日本は日華条約を解消しなければならないのは当然のことであります。台湾問題こそは日中国交回復の焦点であります。この点をごまかして日中間の国交回復を論じても、それはただ国民に対する人気取りというほかはないのであります。
 総理、中国が総理の言われるように一つになったときは、日華条約はこれを解消するのか、日華条約を生かしつつ中国が一つになると考えておるのか、ポイントはここのところでございまして、日華平和条約の効力については、従来、予算委員会を通じ、総理は、大陸にも及ぶものであるから、法的戦争状態は解決したとこれまで答弁されておられるが、昨日は、これを中国との話し合いの中で解決したいと言われた。私は一歩の前進であるとは思うが、この際、日華平和条約と日中の国交回復について、腹蔵なき総理の見解をひとつ承っておきたいと思うのであります。(拍手)
 七月、北京を訪れた際のキッシンジャー大統領特別補佐官の折衝プログラムは、情報として私の集めたところでは、次の三点となっております。一つは、ニクソン・ドクトリンとしてのインドシナ戦争の終結と沖繩返還によるアジア安全保障の問題。一つは、中国の国連加盟と国府処遇の問題。一つは、アジア及び世界の安全のための米中復交の問題であります。
 おそらく近く北京入りすると見られるニクソン大統領は、中国との間に以下四つの取りきめをいたすものと私は観測をいたしておるのであります。すなわち、平和的台湾問題の解決、中国の国連加盟、ベトナムからの米軍の撤退、アメリカの中国承認というこの四つの問題が、前向きに取りきめられるものであると伝えられております。
 台湾問題を解決して中国の民族統一を完成することは、中国人の悲願であり、毛沢東氏はそのためにこそ米中首脳会談に応じたといわれておるのであります。それを踏まえて周恩来総理は、毛主席の目の黒いうちに民族の悲願を達成しようというタイムリミットで米国に対応せんとしておるというべきであります。この際、総理が真剣に中国の立場を理解し、台湾を中国の領土と認め、台湾は中国の国内問題であるとの立場に立ち、日中平和条約の成立とともに日華条約を解消することこそが、日中打開のかぎであると信ずるものであります。この際、ことばの遊戯や羅列ではだめなのであります。真剣な佐藤総理の中国政策を重ねてお伺いをいたしたいと思うのであります。(拍手)
 今回私が中国を訪問して得た感触では、さらにニクソン訪中団と中国との間に討議されるべき重要問題は、次の諸点であると考えられます。
 一、アジア各民族の平和と繁栄のための協力体制は、まず日本と中国の提携であることについて。一、日本がアメリカの核のかさの下で台湾や韓国と結ぶアジア冷戦政策を主導しておる現在の姿から、米中両国はいかに平和政策への転換を日本に求めるかについて。一、日本の貿易構造が対米輸出三〇・七%、対中輸出二・九%というアンバランスな現状を根本的に転換し、日本は対米輸出を減らして日中貿易の拡大によりその経済を発展させることが、米中両国の国益であることについて。一、アメリカが、世界の通貨と貿易の新体制として、東南アジアにおける中国人民元の流通圏成立に協力し、それとドルとの連結の構想について。最後は、中国の新五カ年計画に対するフランス、イギリスを中心とする中国経済開発プロジェクトへのアメリカ資本の参加と、その骨子となる黒竜江開発運河計画など、巨大規模の工業化計画へのアメリカの協力について、であると私は考えておるのであります。
 これらについてはほとんど米中が合意に達すると見られるだけに、いかに自民党内閣の現状が世界の大勢から取り残されているかを痛感するとともに、私は党派を越えてふんまんの念禁じ得ざるものがあるのであります。(拍手)
 総理は、この進行しつつある現実を踏まえて、日本の指導者として、国益のため日本の自主的判断で勇気ある外交の転換を断行すべきときであります。
 この私の情報に対して、総理はしからばいかなる情報を持っているか、お持ちであるならば、この壇上を通じて明らかにしていただきたいのであります。また、これに対していかなる具体的な対応策があるか、国民に対しても明確な答弁を願いたいのであります。およそ内閣総理大臣であるからには、友邦であるアメリカのニクソン大統領が訪中していかなる問題が協議されるのか、御存じないはずはありますまい。この壇上を通じて明らかにされることを私は特にお願いをいたしたいのであります。(拍手)
 日中国交回復の基本的原則としては、中国はただ一つであり、それは中華人民共和国であります。中華人民共和国は中国を代表する唯一の合法政府であり、台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であるという最低限の原則を容認することが、日中国交回復のスタートであります。もしこれもだめだというなら、アメリカの口添えで世界最後の中国承認国となる悲劇に日本は甘んずる以外はないであろうことを断言いたしまして、中国問題に対する私の質問を終わる次第であります。
 次に、沖繩返還協定について質問いたします。重複を避け、時間の関係上これを一点にしぼってお伺いいたします。
 わが党は、すでに周知のごとく、沖繩の核抜き完全本土並み返還をいち早く提唱し、その実現に向かって今日まで邁進してまいりましたこと、御承知のとおりであります。しかし、今回の返還協定については、政府が何と説明しようとも、このままでは決して核抜き本土並みとはいわれず、われわれとしては断じて賛成できがたいのであります。この際、政府が実行しようと思えば、協定自身に手をつけずとも、米国との再協議と合意のもとに核抜き本土並みを現実のものとする方法、手段は幾つもあると考えられるのであります。そこで、以下そのためのわれわれの最低限の具体的提案を示し、その実施を要求したいのであります。
 まず、核抜きについては、返還時の核点検を両国で合意すること、国会における非核三原則の決議に同意すること、核抜きについて米大統領の声明を求めること、以上の三つのうち、政府はそのいずれかの措置を実行して国民の不安を解消する熱意があるかどうか。
 また、基地については、協定第三条に基づく了解覚書について米国と再協議を行ない、いわゆる特殊部隊の撤去はもとより、基地全体の整理縮小についてのスケジュールを明らかにすべきであります。
 さらに、私たちが強く反対しているにVOAについては、協定第八条にいう「五年の期間」にかかわらず、その非合法性にかんがみ、日米間の協議によって直ちにこれを撤去することを実現することが必要であります。
 以上、われわれの具体的要求を示しましたが、この要求が実行されるかいなかが、とりもなおさず、国益に沿うかどうかのかぎであり、核抜き本土並み返還が実現するかいなかのポイントであります。したがって、わが民社党はこれによって協定に対する最終的態度を決する方針でありますが、政府としてこのわが党のぎりぎりの要求を実現する意思ありやいなや、この壇上から確と承っておきたいのであります。(拍手)
 沖繩返還協定の詳細については、いずれ提案説明の際承ることとし、本日は以上の点についてのみ総理から御答弁を願います。
 さて、最後の質問は、日米の間にいまや深刻な対立をかもしておるドル・ショックと、それに引き続く経済的対立についてであります。その代表的第一弾が、アメリカ政府に完全敗北して屈辱的態度に終始した繊維協定であります。
 ニクソン大統領は、八月十六日、突如、金・ドル交換停止を宣言し、引き続いて八月十九日、テキサス州ダラスにおいて開かれた海外戦争復員協会の年次総会において、次のごとく訴えております。米国が現在直面している事態は、真珠湾当時の暗い体験よりもはるかに真剣にならなければならない、と。すなわち、日米関係では最大の禁句である「真珠湾」を大統領が公然と口にしたことは、まさに経済戦として日本に対する宣戦布告とも受け取れるものであることをわれわれは銘記しなければならないと思うのであります。
 この意味において、つい先ごろの日米貿易経済合同委員会における論議は、全く無意味であったことを認識すべきであります。日米間の亀裂は一そう深まっており、困難はむしろこれからで、そこには佐藤政府の政治姿勢そのものに対するアメリカ側の強い不信があると見なければならないのであります。
 政府は、十月十六日、日米繊維協定に仮調印しました。わが国繊維業界は、七月から対米輸出の自主規制を実施、着実に成果をおさめてまいり、政府間協定には強く反対してきたのであります。それを政治的に強引に押し切って、佐藤内閣は米国の主張に全面的に屈服し、数度にわたる国会の決議を完全に無視して、見切り発車、それも見殺し発車に踏み切ったことは、まことに言語道断といわなければならないのであります。(拍手)
 問題の核心は何か。日米関係をこのような事態に追い込んだのは、一体だれの責任であるかということであります。伝えられる佐藤首相の軽率な取りきめについて、これまで一度として、国会においても、業界に対しても、国民に向かっても、率直な釈明を聞いたことはないのであります。全く政府の責任である本問題について、佐藤内閣の無理押しは、民主政治の何たるかを理解せざるものというべきであります。一方的輸入制限か、それとも政府間協定かと、沖繩返還を前にしていたけだかに迫ってまいりました米国、それに対し無条件降伏で屈服した佐藤内閣、何と釈明されようとも、国民の佐藤内閣に対する不信、対米反感は高まり、その興奮が根深く強烈であることを、国民を代表して強く総理に申し入れるとともに、以下三点について質問をいたしたいのであります。(拍手)
 第一点。佐藤総理、あなたが行政協定として仮調印した今回の措置は、明らかに行政権の乱用であります。行政権にゆだねられた貿易政策は、当然、ガット加盟国として、ガット条項の許容する範囲でなければなりません。ところが、米国自身ガットを逸脱していると自認しておる輸入制限の政府間協定にわが国が追随することは、日米ともにガット違反であるばかりでなく、行政越権行為であります。しかも、あなたは一昨年五月の国会決議を無視し、各党に対しては今日まで何ら日米交渉についての真実を語ろうとはいたしておりません。すべからく政府はその理由を説明し、十分な審議を尽くして国会の承認を求めるのが、新憲法下、民主憲法の本筋であります。これに対し、総理の明確な所信を伺いたいのであります。(拍手)
 第二点は、なるほど、ニクソン大統領のメンツを立てる繊維協定が仮調印されたことは、当面日米間の政治関係を小康に保つでありましょうが、貿易の分野では、繊維が悪例となって、遠からず、カラーテレビ、卓上電算機、自動車、各種の雑貨類についても、本日も新聞紙上に出ておるように、米国内から政府間協定を要求する勢力が強まってまいります。欧州諸国にも米国に見習う動きが出てまいります。今回の仮調印は、今後の世界経済競争及び国際通貨調整に臨んで、わが国にとってはきわめて不利なハンディキャップとなることは、だれしも疑う余地がありません。この点につき総理の釈明を伺うとともに、繊維以外の品目、すなわち、自動車、オートバイ、その他先ほど申し上げました品目について政府間協定をアメリカから求められた場合は、絶対に他品目にこのような事態を起こさないと、この壇上を通じて総理は確約をすることができるかどうか、誠意ある答弁を求めておきたいと思うのであります。(拍手)
 第三点。政府は、今回輸出貿易管理令を発動し、業界の協力なくとも繊維品の輸出手続を続けるといっている。その準備のため、繊維品の輸出承認をとりあえず輸出急増品目については全面停止する方針と聞くが、それははたして事実であるかどうか。いかなる理由があるとしても、全面停止は国民の権利侵害であります。さらに、明らかに輸出手続が遅延し、事実上輸出不能におちいるならば、それは国民の財産権侵害であります。輸出貿易管理令実施上の見通しについて、総理から責任ある答弁を承りたい。
 さて、アメリカのドル防衛政策は一方的であり、攻撃的であって、資本主義世界ばかりでなく、世界各国にも多くの非難の声を起こしております。だが、日本がいまほんとうにおそれなければならないのは、日本に恐慌がしわ寄せされる公算が大きいということであります。現在の国際通貨危機は、顕在的な信用恐慌の様相を深めており、それは、貿易活動の萎縮を通じて生産恐慌に発展するおそれを現実に多分に包含しておるのであります。アメリカは、それをドル防衛非常措置によって他国に転嫁しようとしているが、拡大EC諸国は、相互間の貿易活動を維持できる体制を持ち、また、為替リスクをおかして他地域への貿易拡大をはかる手段と経験を持っております。それから取り残されるのは日本であります。国際通貨、為替制度の早急な調整がつかなければ、日本に恐慌がしわ寄せされる公算は最も大きいと見るのが、世界の経済学者の見方であります。その要因となる過剰信用と過剰生産の圧力は、いま日本国内に蓄積されております。客観情勢は、そうした過程を通じて、日本政府が主体的に自主政策を打ち出し、局面の打開をすべきせっぱ詰まったところに追い込まれておりますが、佐藤政府は、これに相応する能力を持っているかどうか。外に通貨政策、内にデノミネーションを含めて、詳細なる総理の答弁を承りたい。
 伝えられるところによれば、各国為替平価の大幅な改変と並んで、金・SDR本位の通貨準備制度の導入が考えられると聞いておりますフリーメーソン系の世界通信「ダイヤモンドレター」一四七号は、九月十五日のロンドン情報として、アメリカが金・SDR本位制への移行を促進するため、近く公的ドル債務三百億ドルに対しモラトリアムを実施するであろうと伝えてまいっておりますが、政府は、いかなる情報を持ち、いかなる対策を持っておるか伺いたい。もし、万が一にもそういうことに相なれば、ドル債権百二十億ドルを保有する日本が、最も深刻にショックを受けるであろうことは明らかであります。伝えられるがごとく、日本の戦後の外貨蓄積を根こそぎ巻き上げるのがアメリカの真の腹の底であるといわれておるが、もしこのモラトリアムが実施されるならば、文字どおりそうした結果になることを私は警告いたします。
 以上、外交、内政にわたり、当面する緊急課題について質問いたしました。
 結論を申せば、いまや、佐藤内閣は、内閣の相応能力の限度を越えんとする難問の山積に直面し、歴史の流れに取り残されようとしておるのであります。本国会の重大性にかんがみ、誠意ある答弁を要求して、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 今澄君から、まず、転換期に立っての基本的認識はどうかとのお尋ねがありました。
 私は、このたびの所信表明演説において申し述べたとおり、現在の国際間の諸問題は、もはや戦後体制のワクの中では処理し切れなくなっていることを痛感しているものであります。中国問題にしろ、IMF体制にしろ、それなりの歴史的背景を持って今日まで推移してきたのでありますが、それがいまあらためて見直されていること自体、大きな意味を持っていると思うのであります。しかしながら、このような時期であるだけに、国際情勢についての一段と冷静な現状認識を踏まえつつ、わが国益が那辺にあるかを見きわめることが必要であると考えるものであります。
 今澄君は、米中ソの三極時代という考え方に立っておられるようでありますが、確かに、軍事力という面では依然として米ソ両国が傑出していることは明らかであります。しかし、今日の世界は軍事力だけが基準ではなくなっており、経済力を含めた総合的な国力というものがもとになって国際社会の新しい秩序を形成しつつあると考えられるのであります。そのような観点から申せば、米ソをはじめヨーロッパ共同体、中国、日本などを含めた多極化の時代になってきていると言ったほうが、より正確であろうと私は考えるのであります。
 問題は、このような時代にあって、日本としてはどのような外交上の選択を行なうべきかという点でありますが、私は、日米協調の維持、増進こそが、わが国の安全と繁栄を確保するために不可欠であるのみならず、またアジアと世界の平和と安定のためにも必要と考えるものであります。もとより、国際化時代の今日、いずれの国とも仲よくし、多国間の協調によって国際社会の秩序を維持していくという基本理念がその根底にあることは、申すまでもありません。その意味で、私は、日本としては、いまこそ米国の苦悩に対して理解を示しつつ、米国経済の健全な立ち直りに期待し、ともに手を携えて相互繁栄の道を歩むべきだと考えるものであります。
 次に、中国問題についてお答えをいたします。
 国連代表権問題に対する政府の考え方は、昨日以来の質疑によってすでに御理解いただいていると思います。中国は一つであるとの基本的認識の上に、アジアの緊張を激化させないという慎重な配慮を行なっている次第であります。
 国府の議席を維持するという観点から共同提案国となったが、もし国連決議で敗れたらその責任はどうするのかということのお尋ねにつきましては、すでに昨日お答えしたとおりであります。
 また、経過的な措置の意味でありますが、国連における中国代表権の問題については、中国で二つの政権が相対立しているという現状をあるがままに反映する決議を採択することが、現状において最も公正かつ妥当な解決と考えるという意味であります。
 すでに申し述べましたとおり、政府は、あくまでも中国は一つであるとの基本的認識に立って、中国問題が当事者間の話し合いによって円満に解決されることを強く期待するものであります。(拍手)
 また、佐藤内閣は日中国交回復の意思があるのかどうかというお尋ねでありますが、この点は、すでに今回の国連代表権問題につきましての政府の対処のしかたからも御理解いただけると思います。すなわち、政府は中華人民共和国政府の国連代表権を確認し、同政府が安保理事国の議席を占めるよう勧告しているのであります。日中間にはまだ正式な交渉のルートは存在しておりませんが、政府としては、相互尊重と相互理解の新しい原則を確立して政府間の話し合いに入ることを強く希望している次第であります。
 次に、米人記者に私が述べたと伝えられる、中国を含む不可侵条約構想についてお尋ねがありましたが、私の真意は、先ごろニューヨークタイムズのレストン記者に対して話したとおり、不可侵条約というものは、条約加盟国の違反行為に対して実効的な制裁規定がなければ意味がないということであります。およそ、不可侵条約は、関係国間の相互信頼を前提とするものでありますが、現実の世界においてそのような信頼関係が実際に存在するかどうか、疑問なしとしないところであります。いずれにしても、不可侵条約を軽々しく結ぶことは、国の安全について現実離れした幻想を生みかねないおそれもあります。(拍手)わが国としては、自衛力を整備するとともに、日米安保体制により侵略を抑止するという政策が、現状において最も妥当なものであると考えております。(拍手)
 次に、日中打開のためわが国の防衛計画の改定も必要ではないかとの御意見がありましたが、国際間の緊張緩和は、各国がそれぞれに主体性を持ち、き然たる態度を維持しつつも、対決によらずして、平和的話し合いにより問題の解決につとめるため相応の努力をしてこそ初めてもたらされるものであると信じます。したがって、わが国の場合、国力にふさわしい自衛力を整備し、その足らざるところを日米安保条約によって補完するという基本姿勢を貫くと同時に、政治理念や国情の差にかかわらず、すべての国々との間に相互理解と友好の関係を築き上げるようつとめることが、アジア、ひいては世界の緊張緩和につながるものと確信いたします。(拍手)
 軍国主義という非難に対して、自由を守り、平和に徹するわが国の国柄を一そう国際社会に理解せしめるよう努力する必要があると思います。
 日中問題の最後に、具体的接触を行なっているなら、その説明をしろとのことでありました。私としては、かねがね申しているように、先方が応ずるなら、いつでもどこへでも出かけていく用意があります。そのような機運が高まることを願っている次第であります。
 また、今澄君は、最近の訪中によりまして、みずからの考え方に基づく、ニクソン訪中の見通しなど述べられました。ただいまキッシンジャー補佐官が北京に参りまして具体的な話し合いの段取りなどしておるはずであります。したがって、いましばらく、これは見通しを申し上げるよりも、そのキッシンジャーの交渉の結果を待ったほうが、より正確ではないかと思います。ただいまからあわてていろいろ考える必要はないように思います。
 そうして、情報はどうしてとっているか、こういうような情報源についてのお尋ねもありましたが、私どもは、公式なルートの情報源もございます。いわゆる外国には多数の外交官、大使を派遣しておりますから、そういうところからの情報もあるのでございます。したがいまして、私は、それ以外に秘密の情報網、そういう特別なものは持っておりません。そのことだけはっきり申し上げておきます。また、先ほど申しましたように、アメリカの態度は、そのうちキッシンジャーが帰ることによりまして明らかになる、かように思いますから、しばらくお待ちを願います。
 沖繩問題についてお答えをいたします。
 今澄君もまた、沖繩返還協定の再交渉をせよとの御意見でありますが、政府は再交渉は全く考えておりません。それよりも、むしろ一日も早く返還を実現して、明るく豊かで平和な沖繩県を建設し、戦中、戦後を通じての百万同胞の御労苦に報いることこそ、本土国民の責任であり、使命であると考えております。民社党におかれましても、審議促進に特段の御協力を賜わりますよう、この席から切にお願いを申し上げる次第であります。(拍手)
 そうして、いろいろ問題があるが、特に核の問題にしぼって尋ねる、こういうことで、核についてのいろいろの御意見を交えながらお尋ねになりました。
 まず第一は、沖繩基地の査察の問題でありますが、これは、昨日、公明党の矢野書記長にお答えしたばかりでありますから、これでもう御存じかと思いますが、国際法上の問題もありますし、強制はできませんが、日米間の友好と信頼に基づいて、政府としては、何らかの形で核が撤去されていることの確認を得たいと希望しております。
 非核三原則は佐藤内閣の政策として堅持しており、国会決議には賛成いたしません。
 また、核抜きについて米大統領の声明を求めよとの御意見でありますが、御意見は御意見としてありがたく承っておきます。
 次に、沖繩の基地については、現地の要望をも反映しつつ、整理縮小については真剣に努力する考えであります。――最初の予定では、お尋ねがもっと広範だったのですが、ただいまのように数点にしぼられましたので、ただいまメモを整理しておる最中であります。
 次に、繊維問題の質問にお答えをいたします。
 まず、今回の了解事項に基づいて両国政府間で結ばれることになる政府間取りきめは、すでに法令によって政府に与えられている権限の範囲内で実施し得るものと考えております。また、ガット条項に違反するものでもないと考えております。
 次に、国会決議の関係でありますが、政府が国会決議を十分尊重する意向であることは、これまでの交渉態度で御了解いただきたいと思います。
 次に、今回の協定が悪例となり、他の商品に悪影響を及ぼすのではないかという御意見がありましたが、今回の協定の締結によりまして、日米間の最悪の事態を避けることができ、これを契機として日米経済関係が改善され、他品目への波及を抑止し得るものと考えるものであります。また、これが契機となって欧州から同様な扱いを受けることにならないかという点も政府としては考えておりますが、これまでのところ、欧州はわが国からの繊維品輸入に対する新たな規制を要求してきておりませんし、わが国としても、国際協調の精神にのっとり、そのような事態を招かないよう、各国と話し合いを進めてまいる所存であります。
 次に、貿易管理令による輸出実施上の問題についてのお尋ねがありましたが、同令の運用にあたっては、わが国輸出の混乱をできるだけ避けるよう、十分に配慮しつつ行なっていきたいと考えております。
 次に、今澄君は、米国の新経済政策の結果、わが国に恐慌が来るのではないかという御意見であるかのようなお話でありましたが、政府がこのような事態を招かないよう適時適切な措置を講じております。今回の予算補正におきましても、政府は、公共事業、財政投融資の追加及び大幅な年内減税を実施するなど、積極的な景気振興策をとることとしており、さらに来年度の予算編成にあたっても積極的姿勢で臨む考えであります。これに加え、国際通貨情勢の安定化が進められれば、景気振興策の本格化とともに、四十七年度には景気は次第に回復に向かい、安定成長の軌道に乗ることを期待してよいと思います。
 国際通貨体制の立て直しについてのお尋ねにお答えをいたします。
 従来のIMF体制、これは一つの基軸通貨国にあまりにも大きな責任がになわされてきたことに問題があったと思われるので、今後はこの点を改め、SDRのようなものを中心に、各国が共同でささえる国際通貨体制をつくり上げることが検討されなければならないと考えております。具体的には、IMFや十カ国蔵相会議等において、国際通貨体制全般にわたって検討が加えられておりますので、これらの討議を通じ、世界貿易の拡大とそのもとにおける日本経済の発展をはかる方向で、国際通貨体制の再建をはかるべく努力してまいる考えでございます。
 以上で答弁を終わりますが、何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○副議長(荒舩清十郎君) 平林剛君。
  〔平林剛君登壇〕
#16
○平林剛君 私は、日本社会党を代表し、昨日の赤松副委員長の質問に引き続いて、この臨時国会の焦点の一つであるわが国経済、財政の当面する重要問題を中心に、佐藤総理をはじめ関係閣僚に対し、その所信をただしてまいりたいと思うのであります。(拍手)
 まず、私は、アメリカの新経済政策に関するニクソン大統領の声明と、これに対応した佐藤内閣の無策ぶり、あまりにも多くの失態をきびしく批判しなければなりません。
 佐藤総理は、所信表明において、わが国の景気が十分に立ち直る前にアメリカの新経済政策が発表され、これを契機に国際通貨の危機が生まれたことはまことに遺憾であると述べました。しかし、率直に言って、佐藤総理がニクソン声明に至るまでのアメリカ経済の動きについて正しい認識を持たず、情勢の推移について的確な判断力を欠いたことを、私はまことに遺憾だと思うのであります。(拍手)
 御承知のように、世界の銀行と警察といわれたアメリカの圧倒的な経済力も、放漫な財政によって国際収支は悪化の一途をたどっておりました。過去七年間、毎年のように国際通貨の危機となり、国内では失業とインフレに悩み、上下院合同経済委員会のロイス報告は、各国通貨の切り上げを求めて一方的行動をとるべしとの勧告までしたのであります。しかも、この三年間、日本の対米輸出は連続して十億ドル以上の超過となり、昨年のように二十二億ドルをこえるに至りまして保護貿易主義が高まり、日本はアメリカの市場を腹一ぱい食いものにするのかと非難する声まで聞かれるようになりました。つまり、アメリカは、この日本を、東洋の友人というよりは、不公正な競争相手であり、経済的には敵であるとみなすに至ったのであります。
 ドル経済に依存して、対米輸出に狂奔した産業界はもちろんのこと、日米親善という神話のとりこになって、それだけが国益と信じ込んだ佐藤総理が、この新たなる事態に鈍感であったことは、まさに日本経済の悲劇といわなければなりません。(拍手)
 主要諸国との通貨調整を提唱したロイス報告を、実現性の薄いものと楽観した佐藤内閣は、議会においてドル危機と円の問題に質問が集中しても、円の問題は頭の片すみにもありませんと繰り返してきました。これが日本の経済を必要以上に混乱におとしいれ、方向感覚さえ失った要素でもあるのであります。佐藤総理は、ニクソン声明に反応を示さず、軽井沢でゴルフと読書を続け、二十日の閣議も夏休みで中止、と当時の新聞は皮肉りました。はたして、このアメリカの動きをどの程度つかみ、どう対処すべきかの構想をお持ちであったのでしょうか。きょうは、その御判断をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 八月十五日のニクソン声明に対応して、ヨーロッパ諸国は直ちに為替市場を閉鎖し、あるいは変動相場制に移るなど、すみやかなる措置をとりました。しかるに、ひとりわが国は為替市場を開いたまま、殺到するドルを買いささえ、わずか十二日間に約四十六億ドルの外貨をため込んだのであります。一ドル三百六十円の固定相場を維持するための必死の抵抗か、何をしたらいいかわからない、即座の判断がつきかねたのか、日本の孤独にして勇敢なる無策ぶりを、まるで気違いざたと批評する声もありました。(拍手)
 強力な為替管理を誇り、日本の大蔵大臣は口笛吹いていられるという自信も、二週間の抵抗の後、ドル売りのあらしに屈し、いわゆる変動相場制に追い込まれました。各国の為替市場が閉鎖されたとき、なぜわが国も機敏にこれに対応し得なかったのか、少なくとも、もっと早く変動相場制に移る決断がなし得なかったか、国民の疑問はいまだ消えてはおりません。
 水田大蔵大臣は、日本は輸出契約のほとんどがドル建てであるから、市場閉鎖すれば混乱が起きると弁明しました。しかし、その期間、貿易の契約は事実上停止の状態にありましたから、それでは説明がつかないのであります。閉鎖したら中小の輸出業者に倒産の危険があったとの弁明も、四十六億ドル急増の実態は、アメリカやヨーロッパ諸国に支店を持っている大手の商社やメーカーの船積み後の輸出手形や輸出前受けのドル流入でありますから、これも国民は納得することができないでありましょう。つまり、気違いざたのように為替市場を開いたままにしたのは、この期間に、やがて安値となるドルを早目に円と買いかえさせて、為替銀行のリスクを救い、一部商社、メーカーの損失をカバーした政府の資本家サービスではありませんか。(拍手)
 いずれにしても、短期間に流入した外貨は、いまでは円高相場を反映し、値下がりしたドルの差額だけ、国の負担、国民の負担に転嫁されたのであります。かりに円のレートが一〇%高くなれば、日本銀行はその差額だけ納付金を減らすとか積み立て金を取りくずし、その穴埋めをして、間接的には国民全体の損失につながるのであります。日本円に換算して約千六百五十億円、日銀の準備金は大きく減少し、一般の企業なら重大なる経営危機となりましょう。
 ある銀行では、架空の輸出手形で九千万円の背任を働いた社員が罪に問われましたが、この大がかりな国家的背任は、一体どうなるのでございましょう。(拍手)為替市場を開いておくか閉じるかの判断でこの損失を招いた政治責任は、一体だれがとるのでございましょうか。私は、今後のあと始末のしかたを含めて、明確なる御答弁を要求したいと思うのであります。
 さて、いわゆる変動相場制に移行したことにより、わが国経済は、内外ともに全く新しい局面を迎えました。お互いに、この新しい局面の意味するものを掘り下げて、抜本的な政策転換の第一歩としなければなりません。
 そこで、ニクソン大統領がドル防衛の新経済政策をとるに至った背景は何かという問題について、お尋ねしたいと思います。
 私は、アメリカがドル危機を招いた背景は、べトナム戦争に投じた軍事費と、経済援助という名目で流出した多額のドル、そして、世界市場に進出したアメリカ企業の投資にあることは、世界の常識であると思うのであります。したがって、もしニクソン大統領が真にドル防衛を果たし、経済の安定をはかるとするなら、一日も早くベトナム戦争をやめて、アメリカの軍隊を撤退させること、(拍手)また、世界の市場支配を目ざしている企業に対し、米国へ戻って雇用の機会をふやせと呼びかけることが、必要な緊急措置とは思いませんか。(拍手)
 私がこの原則的な質問をあえてするのは、日米親善の外交に任じ、アメリカが難破すれば日本も同じ運命にあると自覚する総理が、ドル危機最大の理由についてアメリカに忠告し、その反省と是正を求めることが日本の国益と考えるからであります。
 佐藤総理、相手に都合の悪いことはなるべく言わないようにするのが日米の親善というのでしょうか。理論的に筋を通してもはね返りがある、何でもアメリカのことは理解するというのでは、日本の国益は守れません。ドル危機を招いた背景について、これは答弁をそらさないで、国民に真相と総理の御認識を語ってほしいと期待してやみません。
 この認識に立てば、ニクソン大統領が、アメリカの国内問題をみずからは根本的解決策をとらず、課徴金を取ったり、世界各国に通貨調整を迫るのは、全く筋違いであります。
 問題はドルにあります。まず、高過ぎる評価のドルと金との関係を改めるとか、理不尽な課徴金はこれを撤廃するよう要求すべきではありませんか。総理も、輸入課徴金の撤廃を強く求めると言明をされましたが、では、その実現についてどのような自信がございますか。
 また、わが国の国際収支が黒字基調となったのはここ二、三年ばかりのことであります。それまでは輸入超過で、国際収支の赤字に悩んだのはむしろ日本でございました。しかも、傷だらけのドルは百三十三億ドルになったとしても、金の保有高はわずか六億ドル、その割合は五%にすぎません。アメリカの七八%、アメリカを除く世界の総準備に占める金保有の割合が平均三八・九%に比較すれば、わが国の立場は相対的に条件が悪いのであります。
 金は利息を生まないが、ドルはアメリカの銀行に預金をして利息を生んでいるといういままでの政府の見解は、国際通貨の危機に際してかえって国損を招きました。アメリカに遠慮して金との交換もできなかった外交とともに、いまどんな御反省がありますか。金の保有を高める対策があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思うのであります。
 そこで、問題となるのは、わが国の貿易構造が、アメリカ一国との間に総輸出額の三〇%をこえる対米偏向であります。ドルに依存した日本経済は、いま、対米輸出超過二十二億ドルの是正を求められ、貿易の自由化や、鉄や自動車、カラーテレビなどの輸出規制も、やがて日米間の新たなる摩擦になろうとしておるのであります。経済外交において、日本の政府がアメリカに正当な主張さえ遠慮するのは、輸出総額の三〇%も一つの国に依存したからにほかなりません。総理は、世界のすべての国と貿易を拡大し、平和と互恵のバランスある構造に転換する決意をお持ちでしょうか。
 とにかく、ニクソン大統領の新政策は、国際通貨体制の崩壊であり、その絶対的王者の地位をみずから放棄したことになりました。この際、ドルという一つの国の通貨を基軸にしないで、ソ連のルーブルも中国の元も含めた全世界的な制度を構想し、新たなる国際通貨体制をとるべきだと思いますが、総理の御見解はいかがでありましょうか。
 かくして、ドルの問題と国際通貨体制については、やがて多国間調整によって結論が導き出されるでありましょう。為替変動相場制に移行してから、円の相場も次第に実態に近づきつつあり、この段階で一ドル三百六十円に固執することは困難であるかもしれません。しかし、わが国経済の実態を踏まえて、安易な妥協を選ばず、アメリカの鼻息をうかがうような二国間調整はとるべきではありません。政府は、来月上旬、コナリー・アメリカ財務長官の来日を待って、円切り上げの具体的話し合いを進める考えがあるといわれますが、この日米交渉は、多国間調整でという方針を曲げる結果にはなりませんか。今後の多国間調整の見通しとともに、御見解を承りたいと思います。(拍手)
 この機会に、私は、あらためて佐藤総理に問いただしたいことがあります。
 わが国経済の当面する事態の深刻さに、総理の所信表明は憂色が濃く、いままでのような、輝かしい成果を遂げた経済大国日本とか、目ざましい発展をしたわが国の国際競争力という表現は影をひそめて、戦後二十年、ひたすら経済的繁栄に努力した日本国民にとって、あらためてみずからの発展に思いをいたすべきときが来たと語りました。しかし、みずからの発展に思いをいたすのは、日本国民ではなくて、長い間政権の座にあって、経済の高度成長政策をとり続けた佐藤内閣そのものではありませんか。(拍手)
 昨日も、総理は、外貨がたまって、アメリカから円の切り上げを迫られるのは、日本の経済力が強まった証拠だと、国際的協調を説きました。国際競争力が強いのは、政府の経済政策のおかげであると自慢したことも、お忘れではないでしょう。私がいま佐藤総理大臣にお尋ねしたいのは、その経済大国日本と、世界が目をみはるという国際競争力の裸の姿についてであります。
 この十年間、確かに、わが国経済は、年率一一%をこえる成長を遂げ、国民総生産は、規模において世界第二の地位を占めました。造船はその生産力において世界のトップに立ち、鉄鋼はアメリカに次いで世界で第二位、自動車は三番目、日本製のテレビやトランジスタラジオは世界市場にはんらんをしました。
 問題は、この偉大なる国際競争力は、何によってもたらされ、だれのために強化されたかということであります。政府は、これを、国民の勤勉さと努力と表現するかもしれません。しかし、それは、砂漠の中のピラミッドのように、国際的に低い日本の労働者の賃金と、二重構造といわれる中小企業と、未来の展望を失った日本の農業と、生活基盤への投資も、社会保障の充実も、みんな犠牲にした国民生活の上にどっかりと築き上げられた資本家の繁栄であります。(拍手)
 今日までの保守政権が、貿易立国を看板にして、財政も、金融も、また税金の制度も、輸出第一主義に総動員した結果、国民の福祉は、佐藤総理の言うような活力に満ちた福祉社会ではなくて、道路の舗装率も悪く、下水道も、住宅の水準も、わずかにアメリカの五分の一という劣悪な社会環境にあります。
 国際競争力というお化けによって、企業は公害をまき散らし、自然は破壊され、交通事故は激増し、消費者物価まで高騰を続けたのは、生産第一主義をとり続けた佐藤内閣の高度成長政策であります。(拍手)
 いま、減価されたドルといえども、外貨準備は百三十三億ドルをこえ、アメリカとの貿易も輸出超過となりました。しかし、ドル危機のあおりを受けて、国内景気の不況は長引き、円の切り上げは目前に迫っているのであります。猛烈社員とおだて上げ、マル生とか生産性向上運動とかで人間性まで奪い取り、一体何のために働かせてきたのか。(拍手)
 総理には、盟友というアメリカの中でさえ、貧弱な道路や学校、そして汚染された空気と引きかえに経済成長を手に入れたところで、それが何で国民に利益を与えられるのだという批判の声が聞こえませんか。(拍手)
 佐藤総理、戦後のわが国の高度成長政策は、いま完全に行き詰まり、あなたの自慢した経済大国日本とは、ミンクのコートは着ていても、コートを脱げば破れたスーツの生活しかなかったことに気づかなければならないのであります。(拍手)
 なるほど、所信表明では、これまでの民間投資と輸出にささえられた経済成長を、「環境保全、公害防止など国民生活の質的充実を目ざした発展に重点を置く」とは述べました。しかし、八月以降、ニクソン声明に対応する政府と財界の動きを見ると、円切り上げによる為替差損の穴埋めとか、不況を克服するための法人税の軽減とか、総理が私に約束した輸出振興税制の廃止までこれを打ち消すような暗躍が目立つのは、また大企業のための政治を繰り返すのでないかと疑わざるを得ないのであります。日本経済の重大な転機に立ちながら、ブレーキもハンドルもきかない欠陥車に乗っているようで、あぶなくてしかたがないと思うのは、偽りのない国民の気持ちだと思うのであります。(拍手)
 繰り返して私はお尋ねをいたします。政府は、この際、大企業優先と輸出第一主義の行き詰まりを認め、大胆に、根本的に、国民生活優先、福祉第一主義の政策に転換する意思がおありでしょうか。佐藤内閣が、もし、国民生活優先、福祉第一主義の政策をとると言明されるならば、いかなる政策を用意しておられるか、具体的ビジョンを国民に示すべきであります。ことばだけではなく、具体的な実行計画をこの本会議場で承りたいと思うのであります。(拍手)
 日本経済のいままでの軌道を修正するために当面とるべき政策は、すでに述べたとおり、明らかであります。社会保障、社会福祉の充実、水準を高めて、早急に西欧並みの水準を目標にし、少なくとも三年以内に社会保障費は三倍に、福祉施設は倍増させる三カ年計画を立案、実行するような具体的構想に総理はどうこたえていただけますか。国民生活に必要な社会資本の拡充をはかり、下水道とか住宅とかその他の都市施設、交通の手段、都市緑地の整備など、具体的計画を立てて、私どもの期待にこたえる御意思がございますか。環境保全、公害防止などの質的充実を目ざすというなら、この臨時国会に企業の無過失損害賠償法案を緊急提案をして、具体的実践の実を示すべきであります。(拍手)
 わが国の低賃金構造をなくすために全国一律の最低賃金制を確立し、今度こそ人事院勧告の四月実施を約束してくれますか。
 企業がいかに苦しくとも、その中から勤労者の生活条件を高め、労働時間の短縮をしなければ、またいままでの国際競争力の強化路線の繰り返しとなることを考え、週休二日制や賃上げを促進するような措置をとると言明できるでしょうか。
 高度成長の犠牲となった日本の農業を荒廃と衰退の道から救うために、米と畜産と果樹を三本の柱とした農業を確立し、未来の展望を開くと約束してくれますか。いかにアメリカの要求があっても、抵抗力のない果樹農業を守るために、オレンジ、果汁の自由化は認めないとはっきり言明できるでしょうか。(拍手)
 ドル・ショックで転廃業、倒産の波を激しく受けた輸出関係の零細な工場に、為替差損による損失補てん融資制度を講じ、中小の企業が大企業の圧迫を受けて困らないよう、行政機関の厳重な監査をして、行き届いた措置をとってくれますか。抽象的な御答弁ではなく、はっきりわかるように、繁栄の陰にある人々に誠意を示すことを求めたいと思うのであります。(拍手)
 佐藤内閣は、円切り上げ後の不況と、すみやかなる景気の回復をはかるために、財政金融の面から積極的な財政政策をとり、国民福祉と経済成長の調和のとれた繁栄の条件をつくると述べました。税制面においては、年内減税の実施と、税収の不足を補うために、積極大型公債発行の財政をとられたことは、私の注目するところであります。通貨問題とこれに伴う不況の長期化に対して、積極財政で、ある程度の公債発行政策をとるにしても、問題は、財政支出の内容がいままでと大きく転換して、国民生活の充実と国民福祉の増進に真に役立つか、公共投資も生産関連の資本に傾けるか、生活関連の資本を重視するかにかかっています。総理の演説はこの点が不明確で、相変わらず、調和のとれた新たな繁栄と述べただけであります。この積極財政は、財界に顔を向けているのか、国民の側に立つのか、はっきりとしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 不況克服を旗じるしに登場した大型の国債政策によって、本年度の国債は総計一兆二千億円となり、四十六年度末には四兆八千億円の累積高になりました。私は、昭和四十年度に初めて公債政策がとられたとき、財政の放漫な体質を改めること、租税特別措置は抜本的に改廃すること、公債を財源とするなら、国民の福祉に振り向けることを要求しました。しかるに、その要求は満たされず、いま巨額な公債累積だけが残り、総理は、これから豊かな福祉を実現すると、ことばだけ繰り返しているのであります。来年度の景気見通しと成長率の鈍化から見て、税の自然増収はあまり期待できないとしたら、また国債の大増発は目に見えております。通貨の増加傾向は、物価やインフレと重大な関係があるだけに、私は、国債発行の節度と歯どめをはっきりと注文しておきたいのであります。
 第一に、実質的な赤字公債はとるべきではありません。第二に、市中消化を原則に、日銀引き受けによる公債発行はしないと約束すべきであります。第三に、国債の償還計画を提出し、新規国債も見通しを立てて、安易な公債依存はとるべきではありません。これらの点についてどういうお考えをお持ちですか、お答えをいただきたいと思うのであります。(拍手)
 不況の中で物価の上がる傾向は、東京都の九月の消費者物価が、前年と同じ月と比較して一〇・三%上昇したことから見て、深刻であります。東京のある主婦のグループは、台所の実感から、もっと上がっているのではないかと調査を始め、その結論では、一五・三%というそうで、これはたいへんなことであります。経済企画庁の年次報告では、昭和四十五年、つまり昨年の物価上昇は長期好況の落とし子といいました。では、景気が後退し、不況の中で物価が上がるのは何と説明すべきでございましょう。(拍手)佐藤総理は、気象条件に恵まれなかったと、お天気さまの責任にしましたが、閣僚の中には、いまごろ物価のことを言うやつはばかだと放言したというじゃありませんか。その閣僚は、このひな壇の中のだれですか。不況の中でも、国際通貨の問題もあって、輸入の自由化や関税の引き下げが進行すれば、ほんとうなら物価を安定させる絶好の機会であります。円レートが切り上げとなれば、輸入物資も原材料もそれだけ下がる効果があって、企業の中にはかなりの利益をふところにする会社があるはずであります。流通機構が輸入価格の低下を吸い取ってしまうというなら、それを改革するような措置は、当然政府は実施する義務があるではありませんか。すでにとった実績がありますか。あれば、ここで御報告をしていただきたいと思うのであります。
 お天気と関係のない公共料金は、政府は、財政支出をしてでも積極的にこれを抑制すべきじゃありませんか。佐藤内閣はとにかくやる気がないから、物価安定はお題目だと言われないように、公共料金についての態度だけは明確にするよう、お答えをいただきたいと思うのであります。
 また、わが国の企業や会社が使う交際費は、大蔵省の資料によると、昭和四十六年度は一兆円をこえることは明らかであります。言うまでもなく、これは非生産的な消費で、わが国経済に与える影響は無視できません。私の調査では、昭和四十四年度の交際費九千六百億円の中で、東京と大阪の国税局管内だけでその七割、六千億円が動き回っておるのであります。つまり、これは東京や大阪の物価が相対的に高くなる役割りを演じているのではないか。このような点に着目をして、政府の検討を要求したいと思いますが、いかがでございましょうか。
 年内減税千六百五十億円の実施は、総理の目玉商品でございましょうが、私は、この程度の減税は、昭和四十六年度の当初予算のときに実施してしかるべきものと思うのであります。しかも、景気浮揚のためという政府の減税は、国民生活の安定というより、景気の手段としてとらえている点で、国民の税負担の認識を誤っているといわなければなりません。もし不況が立ち直っていれば、政府はこの減税を実施しなかったに違いありません。まさに、生活優先を口にしながら、腹の中では需要効果をねらった企業配慮の減税で、無条件で喜ぶことはできないと思うのであります。しかも、その規模は、一般会計に対してわずかに三%、必ずしも、需要喚起の役割りを果たすことになるでしょうか。明年度減税の構想はどうでしょうか。低所得者の減税にウエートを置いて課税最低限を引き上げするよう、この際これを積み増しすべきであると思いますが、御見解はいかがですか。
 以上、私はかなり広範な問題について政府の所信をただしてまいりました。佐藤総理に対する代表質問は、おそらくこれが最後の機会になると思うのであります。そこで、日米の親善と友好がわが国の繁栄に不可欠であると、対米一辺倒の態度をとり、沖繩返還も国連における行動も、アメリカの走狗のような役割りを演じた佐藤総理に、私は一言申し上げておきたいと思います。
 戦後二十数年、日米パートナーシップのことばで象徴された日米関係は、いま激動する国際政治の中で重大な転機にあり、ニクソン大統領の訪中も新経済政策の発表も、みんな総理の頭越しに行なわれました。国会の決議を無視して、数十万の失業と大量の倒産が予想される日本の繊維産業を見殺しにして、日米繊維協定を結びましたが、これは決して交渉ではなくて、イエスかノーかのどうかつ外交ではありませんか。繊維をいけにえにすれば、ニクソン大統領の腹の虫がおさまり、保護主義が後退し、輸出規制もやわらぐという考えは、卑屈な隷属外交で、決して日本の国益につながるはずはないのであります。(拍手)
 いま、日本とアメリカは、甘い親善の時代から激しい競争の時代に変わっているのであります。やがて新しい世紀が始まり、日本は日中国交回復という歴史的時代に出発をいたします。佐藤総理にこの自覚がなければ、新しい時代に取り残され、経済政策でも、人間尊重と社会開発のことばだけを残した政治家として、日本の国民が、未来に希望とほんとうの福祉を手に入れたとき、あなたのことばだけを思い出しましょう。そこに新しい革新の政権が生まれ、世界は国民福祉の日本と呼ぶかもしれません。
 人は、いま、政治の転換期にあり、あるいは佐藤内閣と断絶の時代と呼んでおります。せめて御在任の期間、少しでも真の国益を考え、一つでも具体的実践の実をあげますよう衷心より祈りまして、私の代表質問を終わることにいたします。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 平林君のお尋ねにお答えをいたします。
 順を追って、できるだけ忠実にお答えするつもりでありますが、何ぶんにも御意見をまじえての広範多岐にわたるお尋ねでありましたので、あるいは答えに不十分なところがあるかもしれませんが、ありましたらお許しを得るよう、あらかじめ御了解をいただきたいと思います。
 まず、最初のお尋ねの、米国経済の動向につきましては、米国と緊密な関係を有するわが国経済にとっても、また世界の経済にとっても、きわめて重要な問題でありますので、政府としては、これを的確に把握するため、あらゆる機会をとらえて米国政府その他との接触につとめてきた次第であります。
 今後、政府としては、国際経済社会の責任ある一員として、新しい時代に対応した国際協力体制の立て直しに協力する所存であり、幅広い政策選択の余地を留保しつつ、関係国間の国際的調整の場を通じ、問題の解決につとめていきたいと考えております。
 今回米国がとったドル防衛施策の本質は何かというお尋ねでありますが、これは、米国自体の国際収支の著しい逆調を背景としたものであります。米国の国際収支悪化は、種々複雑な要因が重なって発生したものでありますが、米国のインフレ高進と、これに伴う米国産業の国際競争力低下とを背景とする貿易収支の悪化が大きな原因となっていることは明らかであります。米国は、今回の新経済政策において、国内的にはインフレ抑制のための一連の施策を講ずるとともに、対外的には、輸入課徴金と平価の調整を通じ国際収支の改善をはかっておりますが、政府としては、かかる米国政府の努力を十分理解し、かつ、世界経済全体の繁栄の見地から、米国経済の早期立ち直りを望んでいるのであります。
 次に、通貨の調整及び米国の輸入課徴金撤廃についての質問にお答えします。
 現在の国際通貨不安の根本的な原因は、米国の国際収支の著しい悪化でありますが、しかしながら、ドルが現在基軸通貨として果たしている役割りを考えると、ドルの弱体化は、米国一国だけの問題ではなく、世界的な問題としてその解決を考えていかなければならないのであります。したがって、わが国も多角的平価調整に進んで参加し、事態の早期解決に全力を尽くすことが必要であります。
 輸入課徴金については、米国政府も、米国の国際収支の改善を目ざすための暫定措置であることをたびたび明言しており、さらに、最近では、通貨問題等の解決がつけば課徴金を撤廃する用意がある旨を言明しております。政府としても、この輸入課徴金が可及的すみやかに廃止されることを、先般の日米貿易経済合同委員会をはじめ、十カ国蔵相会議、IMF総会、ガット等の場で強く要請しており、その方向でさらに努力してまいりたいと考えております。
 次に、ソ連のルーブル、中国の元も招き入れた新たな国際通貨体制を主張せよとの御意見がありましたが、私としても、ソ連や中国を含めた世界全体の通貨体制がつくられることは望ましいことと思います。しかしながら、平林君御承知のように、ソ連は、ブレトン・ウッズ体制に結局参加しなかった経緯もあり、このような構想を早急に実現することはむずかしいと思います。
 次に、日米二国間で円問題の解決がはかれるかというお尋ねでありました。
 主要国の通貨が、何らかの形で変動相場制に移行している現状においては、平価の多角的調整が必要であることはもちろんであります。そのため、主要国による国際会議が続けられております。しかし、多角的国際会議とあわせ、アメリカやその他の国と二国間の協議の場が得られれば、相互の理解を一そう深め、問題の解決にプラスになることと思います。ただ、現在のところ、水田大蔵大臣を訪米さす、さような計画は持っておりません。
 次に、日米経済の転換期をどう認識するかとのお尋ねにお答えします。
 わが国経済は、これまで四半世紀の間、目ざましい成長を遂げてきた結果、いまや、一人当たりGNPは西欧水準に近づくなど、幾多の成果をおさめてまいりました。しかしながら、この過程において、生活関連社会資本の不足や環境問題などが深刻化し、また、所得水準の上昇に伴い、余暇の増大、生活の安全性、快適性の確保などが重要な課題となってきております。
 このような情勢にかんがみ、政府がこれまでの成長の成果を活用し、環境保全、公害防止につとめるとともに、社会保障、住宅建設等を通じて国民生活の質的充実をはかり、真に活力に満ちた福祉社会の建設に向かって邁進することが、今後のわが国の課題であると考えております。
 次に、お尋ねの輸出振興税制につきましては、国際収支対策八項目の一環でありますが、最近の国際通貨、経済情勢はきわめて流動的な状況にありますので、その推移に配慮しつつ、さらに検討を続けてまいりたいと考えております。
 次に、国民福祉優先施策についてのお尋ねでありますが、私は、所信表明でも明らかにしたように、今後社会資本、社会福祉を充実するなど、国民福祉と経済成長の調和のとれた新たな繁栄を目ざして経済運営を進めてまいる所存であります。
 また、国民生活に関連する社会資本の整備につきましては、政府が従来から特に配慮してきたところでありますが、現在行なわれている新経済社会発展計画の補正のための作業などを通じ、総合的な資源配分の一環として、特にその充実のために一そうの努力を払う所存であります。
 また、無過失損害賠償責任に関する法案につきましては、政府は、次期通常国会に提出して、その成立を期したいと考えております。
 次に、お尋ねのありました全国一律の最低賃金制、公務員給与改定の四月実施等につきましては、いまのところ、これらを直ちに実施する考えはありません。
 なお、労働時間の短縮は、国民福祉の向上のため望ましいことと思いますが、これは、基本的には、労使間において、実態に即し、自主的に決定すべきものと考えます。
 次に、農業問題についての質問にお答えいたします。
 今日、わが国の農業は、内外のきびしい情勢のもとにおいて、米の生産過剰、貿易の自由化等、種々困難な事態に直面していることは御承知のとおりであります。
 政府としては、このような情勢に対処して、わが国農業の健全な発展をはかるため、米の生産調整と転作の推進を通じて、需要の動向に即応した農業生産の再編成をはかるとともに、農業の体質改善を進め、国際競争に耐え得るような、生産性の高い、近代的な農業の確立をはかるよう、農政の本格的な推進につとめているところであります。
 このような重要な時期にありますので、政府としては、国内農業の体質改善を早急に進めることとし、オレンジ等わが国農業の基幹となるべき品目については、当分自由化を考えておりません。
 本年産米の作況、現下の経済情勢等を勘案しつつ慎重に検討を重ねてきたところでありますが、米の需給には問題がないとはいえ、本年産米の作況が、新米の価格動向等に及ぼし得る心理的影響に加えて、最近の経済情勢等を考慮する必要があり、また、米穀小売り販売業者の新規参入、その他所要の対応措置について、事前に十分の準備期間をとることが望ましいので、本年十一月からの適用廃止は見送り、明年四月から実施することとして、適用廃止に伴う諸準備を進める方針であります。(発言する者あり)これは、質問者から、特にこの問題を追加してほしいということでありますので、私が特に追加したのであります。
 次に、円切り上げで安くなる物資については、消費者に還元するようにせよとの御意見でありましたが、昨日、わが党の小坂君から同様な質問があったのにお答えしたとおり、政府としては、こうした利益が流通段階で吸収されることなく消費者に還元されるよう、今後の価格の動きを十分監視し、所要の措置を講じてまいる所存であります。
 次に、交際費についてのお尋ねにお答えします。
 まず、交際費課税を強化せよとの御意見につきましては、本年度の税制改正で措置したばかりであり、現在は、このような改正が交際費の支出状況、特に社用消費の自主的な規制にどのような影響を与えるか、その動向を十分に見て、さらに措置が必要かどうか判断すべきであると思います。
 また、交際費と物価の関係については、多額の社用交際費が乱費されるときは、物価対策上も好ましくない、かように思います。(「公共料金はどうした」と呼ぶ者あり)
 公共料金、物価その他についてのお尋ねがございましたが、以上で私の答弁は終わらせていただきます。
 また、冒頭に申しましたように、その他の点については、他の機会にまた譲らせていただきます。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#18
○国務大臣(水田三喜男君) ニクソンの声明に対応して、もう少し早く機敏に対応のしかたがなかったかというお尋ねでございますが、これについて、あらためて御答弁申し上げます。
 この声明が出たときは、ちょうど日本ではもう為替市場が開かれておったときでございますので、そのまま閉鎖しないで過ごしました。欧州の諸国におきましては、この声明の出た直後市場が開かれる番になっておりましたので、ここでは全部市場の閉鎖をいたしました。したがって、翌日わが国はどうすべきかという問題は、当然問題でございましたが、御承知のように、欧州の諸国は自国の通貨建ての取引の部分が非常に多い。したがって、為替市場を閉鎖しても対外取引にそう大きい支障を来たさないということでございますが、わが国におきましては、全く違って、ほとんど全部の輸出入取引が外貨建てになっておるということでございますので、したがって、市場を閉鎖することは対外取引に対して非常に大きい支障を与える。そのことがいろいろ経済の混乱を招く危険が十分にございましたので、非常に慎重に考えて、日本はそのまま続行することにいたしました。と申しますのは、もしそのまま市場を閉鎖しないでおいたために、投機的な短資が入り込んできてだれかをもうけさせる、そういう不当なことが起こる可能性がございましたら問題でございますが、日本の為替管理は非常に行き届いておりますので、そういう危険が見られなかった。したがって、これをこのままにしておいても、国内の経済混乱を来たすよりは非常にいいという判断で、日本は市場を閉鎖しないことにしました。もし、あの場合に、海外の例にならって何らかの形で変動為替制度に日本が移行したとしましても、ドルに対する不安が非常に強かったということと、初めての経験でございますので、それに対する戸惑いから、やはり大きい経済混乱を起こしたんじゃないか、この可能性が非常にございましたので、すぐにこういう変動制に移行するということに追随することもしないで、そのままにした次第でございます。
 しかし、そうやっておりますというと、外国の市場レートに比べて円が事実上切り下げられたことになってきましたので、これは今後の国際協調の上から見て非常に大きい支障になるということが一つと、さらに、この問題を解決するために国際会議が開かれるということになって、日程まで、日取りまできまったという事態になりましたので、そういたしますというと、日本も同じ基盤に立たないと交渉について非常な不利な立場に立つということから、二十八日になって初めて日本は、欧州と同じような変動為替制に移行する、こういう決心をした次第でございまして、まあ、あとから考えることでございますが、あの場合には、これくらいの慎重な態度であってやむを得なかったんじゃないかと私は考えます。(拍手)
 そこで、延びたことが、メーカーやあるいは特殊な商社、為替銀行を擁護するためにやったんじゃないかというお尋ねもございましたが、いま申しましたように、国民経済全体の動向を見ましてとった処置でございまして、そういうことではございません。
 その期間にドルが非常に流入して、この差額だけ国民全体の損失になったというお話でございましたが、これもまた問題でございまして、買い取り資産が減価したということは確かにございますが、しかし、もしああしないで国民経済が混乱した場合の損失に比べてどういうことであるかということと、円を切り上げたということは、円の国際購買力を全体としてそれだけ増大させておるということを考えますと、国民経済的に見て、広い視野から国損であるかどうかの判断は、そう簡単には私はつかないものではないかというふうに考えております。
 今後どう対処すべきか、どういう措置をとるかということでございましたが、これも御承知のとおり、各国とも、やはり取引の安定を期するためには固定為替相場に戻ることが望ましい。各国の協調によって新しい平価の調整をして、一日も早く固定相場制へ戻ろうというのが、各国のいま話し合いでございまして、そのためには、お互いに負担を分かち合って平価の調整をしようということでございます。それじゃどういう調整をするかというめどでございますが、この基準がございませんので、相談の結果、結局、ドルの安定をはからなければ国際通貨の安定は期し得ない。国際通価の安定を期すためには、ドルを安定させることが必要だ。ドルを安定させるためには、アメリカの国際収支の赤字について必要な協力をすることだということに結論がついて、その必要な協力をすべきアメリカの赤字幅をどれくらいに見るかという作業がいま始まっておるということでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、先ほど、アメリカ自身にも責任を持たすべきだという平林さんのお話がございましたが、そのとおりでありまして、アメリカの赤字のうちで、どの部分がアメリカの国内政策によって処理してもらうべき赤字であるか、どの部分が各国とも為替障害になるようなことの除去によって解決すべき赤字であるか、そうして、どの部分が平価の調整によって引き受ける部分の赤字として適当であるか、この三つに分けて、私どもは、その三つのうちの必要と認めた分の平価調整についての責任を果たそう、こういうことでございますので、まだまだ、そこまでの話し合いがつくのには非常に時間がかかるのじゃないか。きのう、おとといの会議のぐあいによりましては、まだまだ一カ月や二カ月ではなかなか各国の合意が得られるような状態にはないという情勢でございますので、おそらく、もうしばらくの間はお互いにいまの状態で、そうして持久策を完全にして、そうして解決の機の熟するのを待つという方向よりほかにはしかたがないのではないか。私どもは極力これを早く解決することに骨を折るつもりでございますが、非常にむずかしい問題であるということだけは申し上げておきたいと存じます。(拍手)
 それから、金の問題がございましたが、これはもういつも言うようでございますが、国際通貨のこれからの動向が、人類の英知によってできる新しい通貨を中心に改革していこうという方向でございまして、自然の産物である金に固執するという方向は、もう各国ともそういう方向から離脱しようというのが傾向でございますので、私は、日本で金をもっとためようというようなことは考えなくてもいいのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
#19
○国務大臣(田中角榮君) 対米偏重、すなわち日本の貿易は米国に片寄り過ぎておるのではないか。そのような貿易構造を是正して、すべての国との貿易交流を拡大するほうがいいのだという御質問でございますが、趣旨はそのとおりでございます。わが国の貿易が年間四百億ドル、すなわち十五兆円ベースにも達しておるのでございますから、世界経済に大きな影響を持つことは申すまでもありません。このような状態でありますから、わが国の経済の安定的な成長のためには、互恵と国際協調の精神に基づき、摩擦を回避しながら貿易を確保してまいらなければなりません。その意味では、広く各国との貿易交流の拡大につとめてまいらなければならないことは御指摘のとおりでございまして、そのような方向で進めてまいるつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○副議長(荒舩清十郎君) 不破哲三君。
  〔不破哲三君登壇〕
#21
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、当面する内外政策の若干の問題について、総理に質問したいと思います。(拍手)
 今日、激動する国際情勢のもとで、わが国は、日米軍事同盟の継続強化の道を進むか、それとも中立平和の道に進むか、七〇年代の進路の選択をいよいよ痛切に迫られております。
 アメリカのニクソン政府は、ニクソン・ドクトリンのもとで、一方で対中、対ソの接近政策をとりながら、他方、ベトナムの侵略戦争を続け、アジアにおける軍事同盟と戦争の体制を強化しようとしています。しかも、そのかなめに日本をしようとしている、ここに今日の重大な問題があります。私は、本国会に提案されている日米沖繩協定が、この侵略的なニクソン・ドクトリンの具体化であることをまず指摘したいと思います。(拍手)
 総理は、一昨日の所信表明において、今回の沖繩協定は、沖繩県民をはじめ日本国民の多年の悲願の実現である、こう述べられました。しかし、これは全く空虚な自画自賛であります。なぜなら、今回の協定が、ほんとうの意味で沖繩を日本に返還するものでなく、沖繩県民の苦しみの元凶であり、巨大な侵略機能を持った米軍基地を半永久的に存続させる、ここにその第一の眼目があることは、内外周知の事実だからであります。(拍手)このことについては、沖繩米軍の最高責任者であるランバー上局等弁務官自身、米国の議会において、沖繩は今後不定期間にわたり、太平洋における米国並びに同盟国の防衛のため決定的役割りを果たすだろう、こう証言しているところであります。
 政府が沖繩協定によって日本をどのような危険な立場に引き込もうとしているのか、その全貌を解明することは、本国会が国民に負っているきわめて重大な責任であります。(拍手)私は、この問題で、総理に二、三の基本点をただしたいと思います。
 第一に、総理はこれまで繰り返し、核抜きを国民に約束されました。しかしながら、調印された日米沖繩協定には、核撤去の義務も、将来の核持ち込みの禁止も、何ら明記されなかったのであります。そればかりか、日本共産党の沖繩調査団は、政府が協定に付属する了解覚書で、今後の存続を確約した基地リストの中に多数の核戦力が含まれていることを、米軍自身の資料によって明確にいたしました。たとえば、今後在沖米軍の主力となる第三海兵水陸両用部隊あるいは空軍の第十八戦術戦闘航空団、これはいずれも明確に核攻撃能力を持ち、日常核戦闘訓練を行なっている核部隊であります。私どもは、これについて、協定審議の過程で、具体的な証拠資料とともに解明を行なうつもりであります。
 ここで伺いたいのは、核攻撃の機能を持ち、あるいは核兵器の貯蔵管理に当たっている部隊の存在が国会で明らかになった場合、政府は、これらの部隊や基地の撤去をアメリカ政府に要求し、それを実行させる用意があるかどうか、その点を伺いたいのであります。(拍手)さらに、それに加えて、少なくとも指摘された基地について、また米軍部隊について、政府の責任でその基地の点検を行ない、国民の前で核撤去を確認する用意があるかどうか、このことについて総理の明確かつ責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に、沖繩の海兵部隊は、西太平洋地域においてどこに緊急事態が起きても、直ちに投入できる緊急即応戦力として沖繩に配備されているのであります。しかも、そのために、この部隊の一部は絶えず交代で第七艦隊に乗り組み、東南アジア、極東の海域を遊よくしております。このような危険な緊急出撃部隊に根拠地を提供している国は、この世界に日本以外にはただの一国も存在しないはずであります。政府は、協定発効後は事前協議によってこの行動をチェックできる、こう言っておりますが、初めから緊急事態での緊急出撃を任務としている部隊を、事前協議などでチェックすることが不可能なことは、自明の理であります。(拍手)政府が、もし、沖繩からの自由出撃の禁止という国民への公約にほんとうに真剣な責任を負うものであるならば、海兵隊のような緊急出撃部隊への基地提供は初めから拒否するのが当然であると考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。
 第三に、政府は、今回の協定で、米陸軍第一特殊部隊、第七心理作戦部隊をはじめ、一連のいわゆる特殊部隊に基地を提供することを取りきめました。
 特殊部隊とは何か。アメリカ国防総省のベトナム秘密報告が、彼らの活動の一端を明るみに出しております。それによれば、特殊部隊の任務は、スパイ情報活動とともに、敵に対する不正規軍事行動、政治心理作戦の遂行にあるとされております。しかも、沖繩から派遣された特殊部隊は、米軍がベトナムで公然と戦争行動を開始するはるか以前、一九五四年のジュネーブ協定成立の直後から、ベトナムでの破壊活動を行なっています。特殊部隊とは、まさに、戦時中だけではなく、いわゆる平時においてもあれこれの仮想敵国、特にアジアの社会主義国や民族解放運動に対し、不正規の軍事作戦や破壊撹乱活動、スパイ情報活動などを行なうことを本来の任務とする部隊であります。
 このような部隊に基地を提供すること自体、この特殊部隊が活動の対象としている国々、たとえばベトナム、朝鮮、中国その他に対する直接の敵対行為にならざるを得ないことは明白であります。これは、かつて政府自身も明言していたように、日米安保条約によってさえ正当化することの不可能な行為であります。にもかかわらず、政府がこれらの特殊部隊への基地提供に合意したのはいかなる理由によるものか、この部隊の沖繩配備がどういう意味で日本の安全に寄与すると考えておられるのか、総理の見解をただしたいと思います。(拍手)
 総理は、平和で豊かな沖繩県の建設を約束されました。しかし、この巨大で危険な米軍基地をそのままにして、沖繩県民の平和な生活を保障することは不可能であります。私は、日本の安全とアジアの平和を守るために、また、沖繩県民の豊かで平和な生活のために、本国会が日米沖繩協定の承認に反対し、それによって、核も基地もない真の沖繩返還、全面返還への道を開くことを強く訴えるものであります。(拍手)
 次に、インドシナ問題であります。
 アメリカのインドシナ侵略戦争は、二重の意味で許すことのできない不正不義の戦争であります。
 第一に、この戦争は、フランスとの独立戦争に勝利したインドシナ人民が、みずからの意思によって民族独立と平和の道を選ぼうとしたとき、これを阻止し、この地域を今度はアメリカの支配下に置く目的で、アメリカ政府が計画的に開始し遂行してきた侵略戦争であります。このことについては、国防総省の秘密報告に含まれているアメリカ政府の公式文書自身が、無数の証拠を提供しているところであります。
 第二に、この戦争は、米軍が非戦闘住民のみな殺しという、残虐で非人道的な戦争手段に広く訴えているという点でも、国際法上許すことのできない犯罪戦争であります。たとえば、あの連日行なわれているB52の爆撃にしても、さきにわが党が沖繩で入手したビラの中で、米軍自身、これが住民への殺戮を目的にした無差別爆撃であることを誇示しているところであります。このような犯罪的侵略戦争に直ちに終止符を打つため、可能なあらゆる努力を尽くすことこそ、真に平和を願う政治家の最大の国際的責務であります。(拍手)
 ところが、佐藤内閣は、この七年間、この侵略戦争に協力する態度を一貫してとってまいりました。内閣成立の三カ月後、米軍が初めて連続的な北爆を開始したとき、政府はこれを正当な自衛措置だと呼びました。さらにその後、米地上部隊のベトナム派兵、ハノイ、ハイフォン爆撃、カンボジア侵攻など、アメリカが侵略戦争をエスカレートするたびに、政府は、この国会において、国連憲章に基づく集団的自衛権の行使としてこれを正当化し続け、わが日本をこの戦争の最大の後方基地としてきたのであります。これこそ、佐藤内閣七年間の施政が日本国民にもたらした最大の汚辱だといっても、決して言い過ぎではないのであります。(拍手)
 そこで、私は、端的に総理に伺いたい。
 ベトナム戦争をめぐる真実がこれだけ明白になり、アメリカの国会さえも、悪名高いトンキン湾決議を廃棄するなど、ベトナムにおける米軍の軍事行動をもはや無条件には支持できない、こういう立場に立っている今日、それでもなお政府は、ベトナムにおけるアメリカの軍事行動を正当な自衛行為とみなす態度をとり続けるつもりかどうか。そして、この不正不義の戦争のために米軍がわが国土を利用することを、今後とも認め続けるつもりかどうか、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、日中問題をはじめアジアの社会主義国との国交問題について質問したいと思います。
 中国問題については、すでに多くの議論が尽くされてまいりました。しかし、真剣に日中国交回復を目ざす立場に立つならば、日本がとるべき方途はすでに明白であります。それは、蒋介石かいらい政権を中国人民の代表とみなす二十年来の虚構を、不法な日華条約とともにきっぱりと捨て去り、中華人民共和国が中国人民を代表する唯一の正統政府であり、台湾が中国の領土であることを明確にして、日中両国間に領土主権の尊重、相互の不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存の平和五原則に基づく国交を樹立することであります。(拍手)
 総理は、政府の対中国政策の重大な転換を大いに強調されました。しかし、この転換とは、蒋政権を唯一の中国代表とみなすこれまでの立場から、二つの中国、二つの政権論による蒋政権擁護の立場への転換であり、日中問題のほんとうの解決に逆行し、これを妨害する転換であります。政府が、台湾の蒋政権を中国の代表と認めて、これとの関係維持に固執する限り、いかに強弁しようとも、それは日中国交回復の道をみずから閉ざすことにほかなりません。この誤った政策を清算できるかどうか、ここに日中問題の核心があります。
 総理は、政府の現在の政策は経過的な措置だと言われました。それなら、いつになったらこの経過的な措置を終わらせ、蒋介石政権との関係を清算するつもりなのかどうか、それを伺いたいと思います。もし、政府の方針が、台湾に蒋介石政権がある限り、日華条約に基づく現在の関係を続ける、こういうことであるならば、それは日中国交回復への展望を実際には放棄することにほかなりません。総理は、この点についての政府の見解をあいまいにすることなく、国民の前に明確にする義務があります。(拍手)
 さらに、総理は、しばしばアジア平和への念願を口にされます。しかし、中国だけでなく、アジアのどの社会主義国とも国交を結ばず、貿易や人事の交流の面で特別に厳重な制限を行なっているのが、佐藤内閣の外交政策であります。そもそも、その国の社会制度や政体は、その国の人民がきめるべき事柄であります。それが気に入らないからといって、国交を閉ざしたり、貿易や往来を制限したりするのは、平和外交とは無縁のものであります。朝鮮民主主義人民共和国やベトナム民主共和国との外交関係について、政府がどのような政策を持っているのか、人事の往来や貿易などの面で現在の厳重な制限政策を改善する用意があるかどうか、総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 最後に、経済政策と国民生活の問題であります。
 政府は、これまで安保条約に基づく日米経済協力を経済政策の柱とし、これこそわが国経済繁栄の道だと主張してきました。しかし、それが何を意味したか、事態の真相はすでに国民の前に明白であります。日米経済協力とは、第一に、アメリカがみずからの戦争政策によって引き起こしたドル危機を、協力の名のもとに日本に転嫁することであります。第二に、アジア支配を目ざす反共軍事同盟や新植民地主義の計画のために、日本の経済力を動員することであります。第三に、資本と貿易の自由化を通じて、米国資本が日本市場に進出し、これを握ることであります。九月の日米貿易経済合同委員会でアメリカが持ち出した一連の要求、円の大幅切り上げ、在日米軍経費や対外援助費の肩がわり、農産物等の完全自由化などの要求、そして、それに続く繊維輸出規制協定のどうかつ的な押しつけなどは、日米経済協力のこのねらいをむき出しの形であらわしたものにほかなりません。
 ところが、佐藤内閣は、この不当な要求に対して一貫して屈従の態度をとり、繊維問題では、ほとんどアメリカの要求そのままの規制案を政府間協定として結びました。さらに、円の大幅切り上げを準備し、電算機、農産物などの輸入自由化を拡大するなど、次々と対米譲歩を重ねてきたのであります。これは、経済繁栄の道どころか、国民生活に破綻と災厄をもたらす道であります。(拍手)
 わが党は、日本の主権と国民の利益を犠牲にするこのような日米経済協力を直ちに打ち切り、ドル支配体制への従属をやめることを強く主張するものであります。(拍手)特に、当面緊急の繊維問題では、政府間協定を白紙に戻し、また日本農業保護の立場から、農産物の自由化は、すでに実施したグレープフルーツを含めて中止すべきであると考えますが、総理の見解をただしたいと思います。(拍手)
 また、国際通貨危機に対応する国内政策としては、国民生活の防衛こそが焦眉の急務であります。ところが、政府は、ニクソン声明の直後においても、大商社、大銀行の利益をすべてに優先させて、巨額の資金を投じて四十億ドルをこえるドル買いを行ない、さらにはその負担を、今度はインフレを高進させる赤字公債の増発によって国民に転嫁しようとしております。このような大企業奉仕の政策と根本的に手を切ることこそ、いま国民が政治に求めているところであります。円・ドル問題でも、その被害者は大企業、財界ではありません。最大の被害者は、大量の人員整理や実質賃金の切り下げに直面している労働者、自由化によって前途を一そう暗くしている農民、経営難、倒産の危機に苦しむ中小業者、そしてインフレと物価高に悩む一般国民、これこそが政府の救済を何よりも必要としている最大の被害者であります。(拍手)この国民生活防衛のために、いかなる積極策をもって今日の事態に当たろうとしているか、総理の具体的な答弁を求めます。
 以上、幾つかの重要問題について質問いたしましたが、日本の政治と経済のすべての現実は、対外的には日米軍事同盟の堅持、対内的には大企業優先という自民党政治そのものをやめさせ、日本の平和と中立、国民本位の民主政治を目ざす真の革新政治の実現を強く求めております。私は、ここにこそ七〇年代の日本の政治の進むべき道があることを最後に強調して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 不破君にお答えいたします。
 沖繩が米国の施政権下にある現在、沖繩に核があるかないかということを日本政府として公式に申し上げる立場にはないことは、御了承いただきたいと思います。私どもがただいま責任がないからでございます。外国の状態について私どもはとやかくは申せません。
 お尋ねのような仮定の問題にはお答えすることはできませんが、いずれにしても、沖繩の核抜き返還が、一昨年十一月の私とニクソン大統領との共同声明第八項及び今回の沖繩返還協定第七条により明確に約束されているところであります。したがって、御指摘のような部隊の点検等は考えておりません。
 また、安保条約とその関連取りきめはそのまま沖繩に適用されますが、この結果、復帰後の沖繩においては、本土におけると同様に、安保条約第六条の使用目的のワク内においてのみ施設、区域の使用が認められることとなるのであります。また、事前協議制度も何ら変更なく沖繩に適用されるのでありますから、言われるような自由出撃、さようなことなどはあり得ないことで、御理解をいただきたいと思います。
 さらに、復帰後の沖繩に駐留する米軍は、復帰前の米軍とは性格を異にするものであることは、言うをまたないところであります。復帰前後を通じて同じ米軍部隊が引き続き沖繩に駐留するとしても、復帰後は安保条約のワク内においてのみ施設、区域の使用が許され、かつ、事前協議制のもとに置かれるのでありますから、その性格は異なったものとなるのであります。
 一、二の部隊が安保条約になじまないとのお尋ねでありますが、軍隊の能力だけをとらえて問題とすることは、当を得ないことと存じます。重要なことは、これらの部隊を含めて、沖繩の米軍の性格が沖繩の復帰とともに変わるという点にあることを特に申し上げて、御理解を得たいと思います。
 わが国としては、米国のベトナム政策の究極の目的は、南ベトナムの住民が、民族自決の原則に従って、外部からの干渉を受けることなく、みずからの将来をみずから決定し得るような環境をつくることにあると理解しております。このため、南ベトナム政府の要請にこたえて、米国及びその他の諸国が軍事的支援を行なってきたものと了解しているところであります。いわゆる国防総省の機密文書なるものに関する一部米国紙の報道があったからといって、かかるわが国政府の考えに変わりはありません。
 また、B52が現在沖繩にないことは、御承知のとおりであります。
 次に、中国問題についてお答えをいたします。
 政府としては、中華民国政府及び中華人民共和国政府の対立から発生する諸問題については、あくまでも両当事者の平和的な話し合によって解決されるべきであること、また、話し合いの結果については、そのいかんにかかわらず、これを尊重するという態度を従来より明らかにしております。
 政府が、先般、国連における中国代表権問題に関連して使用した「経過的な措置」の意味でありますが、国連における中国代表権の問題については、中国で二つの政権が相対立しているという現状をあるがままに反映する決議を採択することが、現状において最も公正かつ妥当な解決と考えるという意味であります。
 いわゆる中国問題については、今後の国際情勢の推移とわが国の国益を十分見きわめつつ対処してまいりたいと存じます。一方との関係を重視するあまり、他方との関係を無視するつもりはありません。
 次に、わが国外交の基本原則は、自由を守り、平和に徹することであり、政治信条、社会体制を異にする国を含め、あらゆる国々とできる限りの友好的な関係を保つべく努力することにあります。したがって、政府としては、客観情勢の許す限り、御指摘の両国との関係を改善する方針であることは言うまでもありません。両国それぞれの特殊な事情を十分勘案して、アジア情勢の推移とわが国の国益を考慮しつつ、具体的な問題ごとに適切な措置を講じていく方針であります。
 次に、経済問題についてお答えいたします。
 日米経済協力関係についての御意見でありましたが、私は不破君とは全く認識を異にするものであります。私は、日米の友好と信頼こそが、わが国対外活動の基軸であり、国際社会の繁栄の条件であると確信するものであり、日米間の相互理解の促進にさらに努力を払う決意であります。
 次に、繊維問題についての政府間協定を白紙に戻す考えはないかというお尋ねでありますが、今回の了解覚書は、長期的に見たわが国の国益の伸長のためにやむを得ないものとの判断に基づくものであり、白紙に戻す考えはありません。
 次に、農産物の自由化は、内外からの要請もあり、国内農業への影響に配慮しつつこれを推進しております。ただ、現在、わが国農業は、生産性の高い近代的な農業の確立を目ざして、その体質改善を早急に進めているところでありますので、今後農産物の自由化を進めるにあたっても、国内農業にさらに十分な配慮を払っていかなければならないと考えております。なお、これは当然のことながら、自由化を中止するようなことは考えておりません。
 次に、今回のいわゆる円・ドル・ショック対策についてのお尋ねにお答えいたします。
 政府は、米国の新経済政策により生じた事態に対処するため、本国会に補正予算を提出し、公共投資の追加、所得税の年内減税を実施するとともに、第四次財投追加を行なうこととしております。このような対策の効果は、年度内にもかなりあらわれ、また、来年度に入ってさらに経済の各分野に浸透し、来年度の予算措置と相まって、わが国経済を安定成長路線に乗せるものと期待されます。
 このほか、政府は、雇用問題、農業問題、中小企業対策等につきましても、必要に応じ適時適切な措置を講じ、国民生活を守っていく所存であります。この点は不破君と同じように、さらに国民そのものの生活防衛のために、積極的な政府の政策であります。御理解をいただきたいと思います。(拍手)
#23
○副議長(荒舩清十郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#24
○副議長(荒舩清十郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 高見 三郎君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君
        郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君
        労 働 大 臣 原健 三郎君
        建 設 大 臣 西村 英一君
        自 治 大 臣 渡海元三郎君
        国 務 大 臣 大石 武一君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
        国 務 大 臣 竹下  登君
        国 務 大 臣 中村 寅太君
        国 務 大 臣 西村 直己君
        国 務 大 臣 平泉  渉君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
ソース: 国立国会図書館
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