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1971/10/30 第67回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第9号
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1971/10/30 第67回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第9号

#1
第067回国会 本会議 第9号
昭和四十六年十月三十日(土曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十六年十月三十日
   午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)
   午後七時十八分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第
  1号)
#3
○藤波孝生君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。
#6
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。予算委員長瀬戸山三男君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔瀬戸山三男君登壇〕
#7
○瀬戸山三男君 ただいま議題となりました昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)、特別会計補正予算(特第1号)、及び政府関係機関補正予算(機第1号)の三案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算三案は、去る十月十人目に予算委員会に付託され、二十三日に政府より提案理由の説明を聴取し、二十五日より質疑に入り、本日質疑終了後、討論、採決をいたしたものであります。
 まず、補正予算の概要を簡単に申し上げます。
 一般会計は、歳入歳出ともそれぞれ二千四百四十七億円を追加するものでありまして、歳出におきましては、公共投資、公務員給与改善費、その他合わせて総額四千六百二十二億円を追加計上するとともに、他方、地方交付税交付金、その他合わせて総額二千百七十五億円を修正減少することとし、歳入におきましては、公債金七千九百億円を増額計上するとともに、租税及び印紙収入において所得税減税の年内実施に伴う減収額千六百五十億円のほか、法人税の減収額二千九百億円等を合わせ、合計四千七百五十七億円を減額することとし、税外収入で六百九十六億円を減額することといたしております。
 また、特別会計及び政府関係機関予算については、一般会計補正予算に関連し、道路整備特別会計等十六の特別会計と、日本国有鉄道等三つの政府関係機関について、それぞれ所要の補正を行なうことといたしております。
 次に、予算委員会の審議の経過を申し上げます。
 審議は、急変せる内外情勢を反映して、内政外交各般にわたりきわめて熱心に行なわれたのでありますが、詳細は会議録をごらん願うことといたし、ここではその一、二について申し上げます。
 第一は、公債発行の追加の問題であります。
 「今回の補正予算では、七千九百億円という多額の公債収入を予定している。昭和四十年度の補正予算で公債を発行した際には別途立法措置を講じているのに、今回はその措置を講じていない。現時点では、公債発行そのものは肯定してよいと思うが、その歯どめが重要と思われる。特に七千九百億円のうち、補正予算に計上されている公共事業費等の財源となっている部分を差し引いた五千三百五十六億円は、年度途中で歳入欠陥を補てんする実質的な赤字公債である。したがって、その歯どめを厳重にするためにも、昭和四十年度補正の場合と同様に特別の立法措置を講ずべきではないか。また、七千九百億円の市中消化は可能か」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対し、政府より、「四十年度においても、財政法第四条の規定でも発行し得るという議論もあったが、政府としては、財政法施行後初めての公債発行であり、また、当初予算において公債発行を予定しておらなかったため、財政法の規定による公共事業費の範囲を予算総則で定めておらず、国会で議決しておらなかった等を考慮し、四十一年度以降に発行を予定されていた財政法第四条による公債とは一応区別し、別途特例法により国会の議決を得ることが適当であると判断したためであり、今回の場合と事情を異にしている。公債発行について歯どめが必要だという点は同感であるが、財政法第四条による公債の場合は、公債発行対象経費の総額がおのずから限定されるので、歯どめがなくなる心配はない。この点で、そのときどきの事情で発行総額をきめる特例法のようなやり方はかえって好ましくないと思うが、なお、公債発行に関し種々の議論があるので、財政制度審議会に付して検討したい。また、現在金融市場は緩和しているので、公債の市中消化は可能である」との趣旨の答弁がありました。
 第二は、日米繊維協定についてであります。
 すなわち、「日米繊維問題は、本年七月から実施に踏み切った業界の自主規制で最終的解決を見たはずである。しかるに、さらに譲歩して今回政府間協定を締結するのは、明らかにアメリカのどうかつに屈したもので、国益を守ったものとはいえない。国会の決議を無視し、関係者の権利を大幅に侵害することとなる協定は、当然に国会の議決の対象にすべきではないか。また、この協定実施に伴う業界の被害額は幾らとなり、被害に対する救済措置をどうするつもりか。さらに、今後の見通しとして、繊維以外の、たとえば自動車、テレビ等に関しても輸出規制に関する政府間協定を要求されるおそれがあるのではないか」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対し、政府より、「政府としては自主規制でおさめたいと思っていたが、アメリカ側の合意を得られなかった。すなわち、アメリカは最近の国際収支の逆調等の改善をねらいとする新経済政策を強力に推し進めることとなり、その態度はきわめて強く、もし協定がととのわない場合には一方的に規制をするとの意向を示したので、政府は、両国間の話し合いの道がとだえるのを避けるため、高度の政治的判断に立って政府間協定に踏み切った。しかし、これにより日米間のわだかまりを解消したという効果と意義は、きわめて大きいものと考えている。国会の決議の趣旨に沿わないという点については、情勢の変化等もあるので、一がいに国会の決議を無視したものとは考えないが、なおその間の事情を十分に説明し、理解につとめたい。また、この種の協定は先例もあるし、政府に与えられている行政権の範囲内のことであり、国会の承認案件とする必要はない。協定による被害額は業種によってそれぞれ異なり、明確に把握することは困難であるが、要は、五%の伸びをあくまでも確保し、生産の縮小を最小限に食いとめることに全力をあげたい。このため、協定には弾力条項も設けることとしているし、また、新規市場開拓に努力するほか、延べ払い等も考慮している。繊維業界は生産が需要の二倍に達しているので、織機の買い上げ等のため、本年度すでに七百五十一億円の政府資金を投入することにしているが、さらに今後とも財政、金融、税制等各般にわたって援助措置を講じていきたい。繊維以外の他の商品については、輸出の急増を避ける必要はあるが、政府間協定による規制は行なわない」との趣旨の答弁がありました。
 以上のほか、日中国交回復、国民政府の国際法上の地位、経済協力のあり方、日華平和条約の取り扱い、核抜き本土並み等を中心とする沖繩返還、国際通貨、ドル・ショック、公共投資の拡充と土地価格及び財源措置、地方財政の赤字、生鮮食料品の価格、米の生産調整、中小企業対策、公害、減税、財政投融資資金と年金制度、国鉄の財政再建、医療保険制度、近畿日本鉄道の衝突事故等、国政の各般にわたりきわめて熱心な質疑が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありました。
 かくて、本日、質疑を終了し、補正予算三案を一括して討論に付しましたところ、政府原案に対し、日本社会党反対、自由民主党賛成、公明党反対、民社党反対、日本共産党反対の討論があり、採決の結果、補正予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(船田中君) 三件につき討論の通告があります。順次これを許します。辻原弘市君。
  〔辻原弘市君登壇〕
#9
○辻原弘市君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十六年度補正予算三案に対し、反対の討論を行なうものであります。(拍手)
 佐藤内閣の施政はすでに七年の長きにわたっておりますが、その間、国民生活の諸問題は一向に解決されず、事態はいよいよ深刻の度を増しております。公害による環境の破壊、物価の値上がり、社会保障の貧困、都市の過密、農山村の過疎、あるいは住宅難、交通地獄、医療制度の矛盾、老後不安など、国民の苦悩はますます深まっているではありませんか。
 さらに、沖繩県民の悲願を踏みにじる核つき返還、中国問題では、みずから進んで逆重要事項決議案の提案国となり、繊維の政府間協定を強行して、新しい罪をさらに重ねようとしているのであります。
 しかも、佐藤内閣は、その最後の政権にあって、ニクソン訪中声明、ドル・ショック、さらに中国の国連復帰という世界的な政治経済の変動の前に対処できず、将来の展望を失って、不安と動揺を続けているのであります。いまや戦後の世界的な秩序と構造が歴史的な転換を迫られているのであり、わが国にとっては、戦後二十五年の保守支配体制が、内外の矛盾の露呈によって根底からくずれ去ろうとしているのであります。(拍手)それは、政府・自民党が続けてきた対米追従、中国封じ込め政策の破綻であり、同時に、ドルのかさのもとに進められた対米依存の経済外交の行き詰まりでもあります。
 ニクソン声明は、まさしくIMF・ガット体制の崩壊と、日米協調による安保繁栄論が全くの幻想にすぎなかったことを示すものであり、対米偏重の経済外交の転換を必然とするものであります。
 国内的には、政府、財界の一枚看板であった高度成長政策と、大企業中心、GNP第一主義の経済政策の破綻といわなければなりません。労働者には低賃金と長時間労働を押しつけ、公害をたれ流し、社会保障を怠り、農村をそでにし、国民生活を犠牲にした一種のダンピング政策が、国の内外からのきびしい批判にさらされ、大企業優先の経済政策から、真に国民福祉を最重点とする政策への転換を迫られているのであります。
 しかるに、佐藤内閣は、この戦後最大の政治経済の危機に直面しながら、相も変わらずアメリカのアジアに対する軍事支配の片棒をかつぎ、危険な沖繩返還協定調印を強行し、アメリカ追随の外交、経済の姿勢を改めようとはしないのであります。
 政府の通貨政策の誤りは、国民に膨大な損失を与えております。のみならず、ドル・ショックに便乗した財界の首切り合理化、賃上げの抑制にも同調しようとしているのであります。
 また、七千九百億の国債増発と、五千億にのぼる公共事業の追加を中心とする景気浮揚策は、その中身は、総理の言う福祉社会の建設とはおよそ縁の遠いものであり、生活基盤への投資や社会福祉充実は、全く軽視されていると言っても過言ではありません。言うならば、今日的視点を欠いた古い経済政策のパターンの繰り返しにすぎないということであります。
 歯どめのない公債増発は、インフレ、物価高を一そう刺激し、国民生活を圧迫するのみならず、将来放漫財政への突破口ともなりかねないのであります。
 政府の目玉商品といわれる年度内減税千六百五十億の半分以上は、年収五百万前後の高額所得層に向けられ、物価高の中で、税負担の不公平はかえって拡大する結果となっているのであります。
 公共投資の追加分二千三百二十億も、その内容は、依然として道路、港湾などの産業基盤への投資に重点が置かれ、地価対策のない現状においては、いたずらに大手土建業者などの利益に奉仕するだけであって、景気刺激の効果すら危ぶまれているのであります。
 住宅政策や社会福祉施設充実への積極的な姿勢は見られず、老人、乳幼児の医療無料化や国民年金の引き上げ、生活保護費の増額など、恵まれない階層への配慮がきわめて薄いことは、まことに遺憾であります。
 また、ニクソン訪中など、アジアの緊張緩和に向かう情勢の中で、いまこそ第四次防衛計画を取りやめ、防衛費を削減して、社会保障その他生活基盤の拡充に資することこそ、大多数国民の願いではないでしょうか。(拍手)
 施政方針では、強力な物価対策をうたいながら、具体的には何一つ行なわれておりません。むしろ、逆に、公共料金一年据え置きの公約を忘れて、消費者米価をはじめ医療費、鉄道運賃、バス料金その他の公共料金の引き上げすらささやかれているではありませんか。
 野菜の異常な高騰は目をみはるばかり、政府の無策を象徴的に物語っております。本年度の物価騰貴は、政府見通しの五・五%を大幅に上回ることは、いまや必至と見なければなりません。
 こうした物価高の中で、低賃金にあえぐ公務員のベースアップは、本年もまた不合理な五月実施であり、民間との格差は一向に縮まらないのであります。
 沖繩対策予算の貧困については、全く期待はずれであり、現地沖繩県民の失望は大きなものがあります。沖繩は干ばつ、台風による被害に加え、ドル・ショックによってダブルパンチを受け、いま大きな不安にさらされ、本土政府の大幅な援助が切望されているのであります。
 次に、指摘しなければならぬことは、国債発行に対する政府の態度についてであります。
 政府は、今回の補正において七千九百億の国債を増発し、当初計画と合わせて一兆二千二百億の巨額にのぼる国債発行を予定し、この国債はすべて財政法第四条にいう建設国債であると強弁しておりますが、これほど国会及び国民を愚弄する詭弁はありません。国債増発に追い込まれたのは、租税及び印紙収入の減収四千七百五十七億と日銀納付金の減収六百九十八億がその主たる原因であり、これらの赤字を補てんするためのものであることは明白な事実であります。明らかに財政法第四条にいう建設国債とはその質を異にする全くの赤字国債にほかなりません。したがって、四十年度の国債発行と同様、当然財政法の特例として立法化を必要とするものであります。
 このような安易な国債発行を続けることは、財政法第四条の歯どめを有名無実とするものであり、財政法の乱用といわなければなりません。明年度以降、さらに大幅な国債発行が予定されていると伝えられるいま、それがインフレ経済への危険な道とならないよう、強く警告を発するものであります。
 同時に、国債増発と公共事業費の追加は、不況による税の減収と相まって、地方財政に大きな圧迫を加える結果となっており、ようやく立ち直りつつある地方財政に深刻な影響を与えているのであります。
 地方債の増発は二千五百二十二億の多額にのぼり、これにより、本年度地方債計画は一兆五千七十二億とふくれ上がり、前年度対比六七%増という膨大な借金と相なったのであります。これに対し、政府資金によるものはわずか六百億円にすぎず、不交付団体分の縁故債を含めれば、一千八十三億という財源調達が新たに課せられる結果となり、今後の地方財政はきわめて憂慮せられるのであります。
 私は、以上述べました各般の理由によりまして、本予算案三案に強く反対をするものであります。(拍手)
#10
○議長(船田中君) 林孝矩君。
  〔林孝矩君登壇〕
#11
○林孝矩君 私は、公明党を代表して、昭和四十六年度補正予算案に反対の討論を行ないます。(拍手)
 まず、補正予算審議中に決定した中国の国連復帰は、まさに新しい時代の開幕を告げるものでありました。と同時に、わが国の外交が、国際情勢の把握と予見性を欠き、虚構の歴史に執着した醜態を明確にあらわしたものであります。
 中国問題といい、沖繩返還協定問題といい、本委員会に示した政府の姿勢は、国際政治の新しい潮流に逆行するものであり、わが国の前途を案ずる国民に対して重大な憂いを与えたのであります。
 政府が従来とり続けてきた日本外交の決定的な破綻に際して、日中国交回復のためには、中華人民共和国を中国を代表する唯一の正統政府であると承認し、日台条約を廃棄することにあることを強く訴えるものであります。
 中国の国連復帰問題で見せた政府の失態は、ひとしく国内政策においても露呈されているのであります。
 今日のわが国経済の動揺と混乱は、直接的には、アメリカの新経済政策によってもたらされたものであることは事実でありましょう。しかし、その根本的な原因は、政府がとり続けてきた輸出至上主義の経済政策にあったことは論をまちません。この点は総理も認めたところであり、所信表明演説の中でも、経済政策の転換を言明されているのであります。しかしながら、今回の補正予算案を見るとき、総理の発言が口先だけのその場を糊塗しようとするものであることが、はっきりと浮き彫りにされているのであります。
 私は、補正予算が、今日の事態に対処することはもちろん、政府の経済政策を転換する手始めとなるものでなければならないと考えるものであり、この意味から、以下、反対の理由を申し上げ、補正予算案に反対の意を表明するものであります。
 反対理由の第一は、七千九百億円にのぼる増発国債の発行手続の問題であります。
 私は、今日の事態における国債発行に対し、否定的立場をとるものではありません。従来もそうであったように、財政による景気政策の手段としての国債発行は、機動的に行なわれるべきであると思うのであります。しかしながら、補正予算の審議の中で政府が重ねて答弁した、七千九百億円の国債は建設国債に限られており、国会で承認を得た限度内であって、財政法第四条の特例とする理由はないという態度は、どうしても納得できないのであります。歳入欠陥を補う国債発行である以上、財政法第四条の特例措置とすべきであるからであります。
 政府の弁明が法律上疑義がないとしても、国債発行と公共事業費の使途とが、直接的に結びつくものでないことも明らかであります。もし、政府の主張が正しいとするならば、当初予算で公共事業のワクを故意に拡大しておけば、年度途中で歳入欠陥があった、だから建設国債を出すといって、その範囲内においては無制限に発行可能になるのであります。このようなことが認められるならば、全く国債発行の歯どめがなくなってしまうといっても過言ではなく、近い将来、国民はインフレという犠牲をしいられる結果になることは必定であります。
 したがって、内容的には明らかな歳入欠陥の補てんであり、しかも、当初予算における国債額の二倍にも近い国債を安易に発行し、それを建設国債として、財政法第四条の適法な措置であるとすることには、反対せざるを得ないのであります。
 反対理由の第二は、上厚下薄の所得税減税の内容であります。
 所得税の年内減税には、それなりの評価ができる。しかし、物価高騰の中にあって、重税に苦しみ、最も減税を必要としているのは、言うまでもなく低所得者層であります。従来の高額所得者優遇の税制を転換する意味においても、景気対策の実をあげる意味においても、基礎控除の引き上げを中心とする課税最低限の大幅引き上げをするのが当然の措置なのであります。にもかかわらず、今回の減税は、年所得五百万前後を中心とする高額所得者層のための減税となっているのであります。したがって、結局は、景気刺激に名をかりた高額所得者優遇のまやかし減税といえるのであります。さらに、規模はきわめて小さく、かかる減税に賛成するわけにはいきません。
 反対の第三の理由は、地方財政の落ち込みに対する不十分な措置についてであります。
 今日の景気停滞によって、地方財政は、交付税、地方税の大幅減収並びに地方公務員給与の引き上げ、さらには政府の景気刺激策としての公共事業の地方負担分等によって、実に総額五千億にのぼる膨大な資金が不足しているといわれております。しかるに、これに対する政府の補てん額は、わずか五百二十八億円の特別交付金のみの措置をとろうとしております。政府は、特別交付金を補てんすることが、あたかも前例にない特別措置を講じたかのごとく言っておりますが、これは所得税減税という政府の税制改正によるもので、今回の措置は当然の措置なのであります。
 このような状態が何を意味するかといえば、借金によらなければ地方財政をささえる道がないということであります。地方公営企業の累積赤字、たび重なる地方債の発行によって、悪化しつつある地方財政構造に追い打ちをかけるものといわざるを得ないのであります。
 結局、国民生活に密着した地方固有の事業を放棄せざるを得ず、国民生活優先の方向から大きく逸脱せざるを得なくなるのであります。地方財政の充実こそ、国民生活向上につながることを十分理解すべきであり、この点を無視した補正予算は認めることはできないのであります。
 私は、財政による国民生活中心の景気浮揚策を必要とするものでありますが、今回の補正予算は、景気浮揚という面からも不十分であり、従来の政府の国民生活無視の経済政策から一歩も抜け出ていないと断言するものであります。
 以上、本補正予算案に対する反対理由を明らかにし、私の反対討論を終わります。(拍手)
#12
○議長(船田中君) 岡沢完治君。
  〔岡沢完治君登壇〕
#13
○岡沢完治君 私は、民社党を代表し、ただいま提案されております昭和四十六年度一般会計補正予算、特別会計補正予算並びに政府関係機関補正予算の三案に対し、一括して反対の討論を行ないます。(拍手)
 現在のわが国を取り巻く情勢は、内外ともに激しく流動いたしております。戦後二十五年間にわたって続いてまいりました世界の外交並びに国際経済情勢は、中国の国連加盟、ニクソン声明によるIMF体制の崩壊、日米関係の再調整などを契機に、大きな転換期に直面いたしております。この転換期にあたり、そのよって来たる諸因を明らかにし、将来の展望を持つことが、現在のわが国政府並びに立法府に課せられた緊急の課題かと私は存じます。にもかかわらず、政府は、これらの基礎的変化に対し、手をこまねいて目をおおい、いたずらに景気の落ち込みに対する当面の対応策に追われて、基本的な施策を見失い、その場しのぎの措置でこれを取りつくろい、これらの重要課題への真正面からの取り組みを避けようとしておられるのであります。
 たとえば、円切り上げ問題に対する政府の対処のしかたについて触れてみます。
 申すまでもなく、現在の国内、国際経済の混乱と、それに基づくわが国の財政経済上の損失は、歴代自民党政府の経済政策と無縁であるとは断じて言えません。口では国民生活の向上、人間尊重の政治をうたいながら、その実、アメリカ追従、生産第一、輸出中心、経済成長本位の自民党政治がもたらした結果が、外圧による円切り上げに道は通じているのでありまして、むしろこれが現在の国内経済の低迷の真因であることを政府は銘記すべきであります。
 また、日米繊維問題につきましても、アメリカの理不尽な要求に一方的に屈し、対外経済取引に悪い先例を残されますとともに、繊維業界に多大の損害を与えられました。
 この政府の態度は、今後のわが国の外交姿勢への警告をも含めて、予算審議にあたり、この際重ねて指摘せざるを得ない重大な要素をはらんでいるのであります。これらの責任を何ら根本的に反省されることなく、近視眼的な措置によって当面の問題を切り抜けられようとする政府の姿勢こそ、わが党が本予算案に反対する第一の理由であります。(拍手)
 わが党が本補正予算案に反対いたします第二の理由は、あまりにも安易な政府の国債政策についてであります。
 政府は、本年度の租税及び印紙収入が五千六百二十二億円の減収になることにかんがみ、その穴埋めとして、七千九百億円の国債を追加発行されようとしておられます。
 まず第一の問題は、この五千六百億円にものぼる歳入欠陥をもたらした見通しの誤りについて何ら政府に反省が見られず、あたかも当然に歳入欠陥が起こったかのごとき態度をとっておられることであります。まさに責任の所在を忘れた政治姿勢といわざるを得ません。
 今回の事態は、政府が何と強弁されましょうと、昭和四十年当時の国債発行時の背景とほぼ同様の条件下での発行であるにもかかわらず、昭和四十年の際にとられた特別立法等の措置を講ぜられることなく、財政法第四条をたてに、問題の所在をうやむやにしておられます。しかし、これは明らかに財政法第四条の精神をゆがめ、財政法律主義の基本原則を踏みにじるものであります。
 さらに重大な問題は、政府の国債政策の基本方針が確立していない点であります。あるときは景気刺激政策の手段として国債を使い、あるときは民間設備投資を国債発行に優先させるなど、建設国債のたてまえを無視して、実質的に赤字国債としての機能のみを活用されんとしておられることであります。わが国の社会資本の立ちおくれを取り戻し、積極的な公共投資計画を推進するために、明確なプロジェクトを設定して国債を活用することが建設国債の真の意義であると私は考えますが、この意義を見失い、名目はともあれ、実質は赤字国債としてのみ国債を利用されようとする政府の態度は、断じて間違いであることを私はここに強く指摘いたします。
 わが党が本補正予算案に反対する第三の理由は、減税政策の方法についてであります。
 政府は、今回新たに基礎控除等の引き上げ、税率の緩和により、千六百五十億円の所得税減税を行なわれたのでありますが、その国民大衆に与える効果たるや、まことに疑問であります。
 第一に、今回の減税政策が景気刺激策の一環として行なわれたにもかかわらず、減税額の大部分は消費性向の低い高額所得者に回され、政府の所期のねらいである景気刺激に対しても、その効果が非常に薄いことであります。第二に、現在勤労者が最も強く要望していた給与所得控除の引き上げが全く見送られ、税率の緩和に重点を置き、その結果、全勤労者の三%にしかすぎない年間三百万円から五百万円の高額所得者を優遇する結果になっていることであります。
 まさに課税の基本原則である税負担の公平、平等の原則が無視され、むしろ不平等の拡大がはかられていると言っても過言ではありません。このような重大な矛盾をはらんだ減税であるにもかかわらず、減税さえすればよく、中身は二の次であるという政府の安易な態度は、きびしく批判されなければなりません。
 わが党が本補正予算案に反対する第四の理由は、その歳出面において、依然として道路整備等を中心とした産業基盤整備関係公共投資が優先されている点であります。
 たとえば、現在なお最も緊急な国民的願望、課題の一つであり、また、現在こそその実現の絶好の機会でもあります住宅不足対策につきましては、今回の補正予算案におきまして、わずかに百三十億円しか追加されておりません。このような産業基盤整備優先、生活環境整備軽視の公共投資政策の方向こそ、いつか来た誤った道であり、これには強く反対せざるを得ないのであります。
 政治は選択であるといわれます。私も、産業基盤整備の必要性を否定するものではございません。しかし、現時点においてわれわれがとるべき選択は、産業基盤の整備よりも生活環境の整備であることは明らかであります。佐藤総理も水田大蔵大臣も、よもやこのことを否定はされますまい。ならば、なぜこれを実行に移されないのでありますか。予算は政策を数字で示すものといわれます。なぜ予算案にこれを反映されないのでありますか。
 最後に、私は、今後の新しい経済政策のビジョンについて、政府が何ら国民にその指針と具体案を示していないことを指摘いたしたいのであります。
 いまや、国民は、日米経済関係の悪化、円の実質的切り上げ等による先行き不安、それによる国内経済の不況の深刻化に対し、非常な生活不安と政治不信に見舞われております。この国民の生活不安と政治不信を一刻も早く解消し、日本国の今後進むべき道を明らかにし、国民に対し、安心と希望を与えることが政治の使命であると私は思います。申すまでもなく、今後わが国の進むべき道は、経済的、軍事的大国の道ではなく、国民の健康と暮らしを守る高度福祉社会の建設の道でなければなりません。また、その具体的施策として、生活環境整備中心の新しい各種年次計画が、その財政的裏づけとともに早急に立案されなければなりません。
 いまこそ、政府は、一刻も早く国民の不安と動揺にこたえるあすへのビジョンを策定され、これを実行に移すプロセスとその財政上の裏づけを示されるべきであります。その際、人よりも経済に、国民よりも企業に顔を向け続けてこられた従来の政府の姿勢を百八十度転換されることが、その出発点でなければなりません。
 私は、国民にかわり、このことを強く政府に要望いたしまして、補正予算案に対するわが党の反対討論を終わります。(拍手)
#14
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 三件を一括して採決いたします。
 三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#15
○議長(船田中君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#16
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後八時一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 高見 三郎君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君
        郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        建 設 大 臣 西村 英一君
        自 治 大 臣 渡海元三郎君
        国 務 大 臣 大石 武一君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
        国 務 大 臣 竹下  登君
        国 務 大 臣 中村 寅太君
        国 務 大 臣 西村 直己君
        国 務 大 臣 平泉  渉君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
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ソース: 国立国会図書館
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